第10回 社会保障審議会年金部会、

第30回社会保障審議会企業年金・個人年金部会 議事録

日時

令和5年12月11日(月)14:00~16:16

場所

全国都市会館 2階 大ホール

出席者

第10回社会保障審議会年金部会

菊池部会長   玉木部会長代理   小野委員   小林(洋)委員   権丈委員(オンライン)

駒村委員(オンライン)   是枝委員   佐保委員   島村委員   たかまつ委員

武田委員(オンライン)   出口委員(オンライン)   永井委員   原委員   百瀬委員

平田委員   深尾委員(オンライン)   堀委員(オンライン)

第30回社会保障審議会企業年金・個人年金部会

森戸部会長   渡邊部会長代理(オンライン)   岩城委員   大江委員(オンライン)

金子委員   小林(由)委員(オンライン)   小林(洋)委員   島村委員   谷内委員

冨樫委員   原田委員   藤澤委員   松田委員   山口委員(オンライン)

オブザーバー

鮫島企業年金連合会理事長   松下国民年金基金連合会理事長

議題

(1)公的年金と私的年金の連携について

(2)制度の周知、広報・年金教育について

議事

議事内容

○総務課長

 では、ただいまより、第10回「社会保障審議会年金部会」及び第30回「社会保障審議会企業年金・個人年金部会」を合同で開催いたします。

 皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

 初めに、委員の出欠状況を報告します。

 年金部会につきましては、嵩委員が御欠席、武田委員、堀委員が遅れて参加される予定と伺っております。

 また、権丈委員が、まだ、オンラインに入られていないと伺っております。

 企業年金・個人年金部会につきましては、全員予定どおり出席されると伺っておりますが、山口委員が、まだ、オンラインに入られていないようでございます。

 年金部会の出口委員、権丈委員、駒村委員、武田委員、深尾委員、堀委員、企業年金・個人年金部会の大江委員、小林由紀子委員、山口委員、渡邊部会長代理はオンラインでの参加となります。

 それぞれ出席委員が3分の1を超えておりますので、両部会とも会議は成立しております。

 なお、事務方につきまして、年金局長の橋本が途中退席、年金課長の若林が遅れて参加する予定となっておりますので、御了承ください。

 次に資料の確認をいたします。

 本日の部会は、ペーパーレスで実施しております。傍聴者の方は、厚生労働省のホームページから資料を御覧ください。

 本日の資料は、資料1「社会保障審議会年金部会及び企業年金・個人年金部会の合同開催について」。

 資料2「公的年金と私的年金の現状と課題について」。

 資料3「年金広報と年金教育の取組について」を事務局で用意しております。

 また、権丈委員から資料の御提出がございました。

 座席表につきましては、紙でお配りしているものが最終版となっております。タブレットに入っているほうが古いものになっておりますので、紙のほうを御覧いただくようにお願いいたします。

 続いて、オンラインで参加されている委員の皆様にお願いがございます。会議中は部会長の指摘を受けて御発言されるとき以外は、マイクをオフにしていただくようにお願いいたします。一方、ビデオにつきましては、会議中は常にオンにしていただくようにお願いをいたします。

 最後に、本日の進行につきましては、あらかじめ両部会長に御相談の上、今回は菊池部会長に進行をお願いすることにしております。以降の進行につきましては、菊池部会長、よろしくお願いいたします。

○菊池部会長

 皆様、こんにちは。

 師走のお忙しい中、御参集いただきまして、どうもありがとうございました。

 合同部会ということで、資料の1にございますように、社会保障審議会の運営規則にも、合同による調査審議という規定があったというのは、私も初めて知りましたけれども、この規定にのっとって、今回、合同部会という形での開催を企画していただいたということと認識してございます。

 今回は、私が司会を仰せつかりまして、この辺も、森戸部会長と御相談の上、次回以降にまた開催があれば、例えば、交代制でやるとか、そういう形にさせていただければと思います。

 森戸部会長とは以前、東京の労働委員会で一緒にお仕事をさせていただいたりしておりまして、連携を図れているつもりであると、個人的には思ってございますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、カメラの方は、ここで御退室をお願いいたします。

(カメラ退室)

○菊池部会長

 それでは、議事に入らせていただきます。

 本日は「公的年金と私的年金の連携について」、そして「制度の周知、広報・年金教育について」、この2つを議題といたします。

 それでは、本日の議題について、事務局から御説明をお願いいたします。

○総務課長

 では、まず、資料の1を御覧ください。

 今回、年金部会と企業年金・個人年金部会を合同で開催することとなっております。これまで両部会の複数の委員から、公的年金・私的年金の一体的な議論の必要性について御指摘をいただいてきたところでございます。それを受けまして、両部会長にも御相談の上で今回の開催に至ったものでございます。

 資料の1の2ページのところに、事務局といたしまして、今回の合同開催の趣旨や、主に御議論いただきたいことについて整理をしております。

 2つ目の段落にございますように、公的年金と私的年金は、高齢期等における国民の生活の安定を図るという共通の目的を持っております。こうした共通の目的を達成していくために、それぞれの機能の維持、強化を図りながら、適切な役割分担と連携を進めていく必要があると考えております。

 このような観点から、公的年金・私的年金の現状や、次の制度改正に向けた論点、また、それぞれの部会での議論の状況などを共有しながら、論点の1つ目として、公的年金・私的年金の役割分担と連携の考え方や、それを踏まえた制度の在り方。

 また、論点の2つ目といたしまして、年金教育や年金広報につきまして、これまでの取組を評価していただくとともに、今後の方向性について御意見をいただきたいと考えております。

 特に、公的年金・私的年金の役割や機能などについて正しい理解を促しつつ、国民の皆様がライフプランを立てていけるような公的年金と私的年金の一体的な広報や教育、見える化の進め方などについて、御議論いただければと考えております。

 1つ目の論点につきましては資料の2、2つ目の論点につきましては資料の3を参考資料として用意しております。

 では、資料の2を御覧ください。

 初めのほうは、基礎的な資料となっておりますけれども、4ページは、日本の年金制度の体系を示しております。

 また、5ページは公的年金と私的年金の役割分担につきまして、公的年金は老後生活の基本を支える役割、私的年金は老後生活の多様な希望やニーズに応える役割を持つというのが基本的な考え方となっております。

 6ページは、関係法令の目的規定を引用しております。例えば、国民年金につきましては、国民の共同連帯によって国民生活の維持向上に寄与するという目的を持っております。

 また、DBやDCにつきましては、国民の自主的な努力を支援し、公的年金の給付と相まって、国民の生活の安定と福祉の向上に寄与するとされているところでございます。

 7ページは、公的年金と私的年金の加入や給付の仕組みを対比したものでございます。

 8ページは、公的年金につきまして、賦課方式を採用した仕送りを社会化した仕組みとなっております。

 また、9ページにございますように、公的年金は、高齢、障害、遺族といった所得を失うリスクに対する保険の機能を持っているとともに、賦課方式によって実質的な価値に配慮した年金の支給が行えるようになっております。

 また、10ページからは企業年金に関しまして、まず、企業年金は、退職金から発展してきたという歴史がございます。

 11ページにございますように、バブル崩壊後の運用環境の悪化や、新しい会計基準の導入などを受けて、現在のDB、DC制度が導入されたという経緯がございます。

 12ページは、私的年金制度の発展の経過を表しております。個人年金であるiDeCoが拡大してきたことが分かるかと思います。

 13ページは、そのiDeCoの概要となっております。

 14ページは、現在の企業年金・個人年金の体系です。

 15ページは、DBとDCの比較となっております。

 16ページは、1号被保険者を対象とした国民年金基金の概要となっております。

 17ページからは、公的年金・私的年金の加入、受給の状況です。

 18ページは、公的年金の被保険者数の推移です。

 19ページは、企業年金の加入者数の推移となっております。

 20ページが、iDeCo加入者数の推移です。

 21ページからが、企業年金の実施状況となっております。

 22ページを御覧いただきますと、青い部分が企業年金を実施している割合となっておりまして、企業規模が小さいほうが、実施割合は小さくなっております。

 23ページは、公的年金・私的年金の加入、受給の年齢などを表しております。赤い矢印の部分が前回の制度改正で拡大をしたところでございます。

 24ページは、公的年金の繰上げ、繰下げ受給の仕組みになっております。

 25ページが、繰下げ、繰上げの利用状況となっております。赤い折れ線グラフが繰下げ受給の割合となっておりまして、現状は2、3%という水準になっております。

 26ページは、DB、DCの受給につきまして、年金、一時金の選択状況を表しておりまして、一時金の受給が多くなっております。

 27ページは、iDeCoを年金で受給されている場合の受給期間を示しておりまして、5年、10年程度の受給期間が多くなっております。

 28ページは、iDeCoの加入可能年齢を表したものでございまして、前回の改正で65歳まで加入可能年齢を引き上げておりますけれども、国民年金の被保険者であることを要件としております。

 29ページは、これは企業年金・個人年金部会で資料として提出されたものでございますけれども、WPPというWork longer、Private pensions、Public pensionsという考え方でございまして、就労を延ばすとともに、公的年金は終身年金であることを生かして、なるべく繰下げ受給をして増額を図り、そのつなぎとして、私的年金や貯蓄などを活用するといった考え方を提唱したものでございます。

 30ページからは、関連する調査や海外の状況となっております。

 31ページは、平成30年に内閣府が実施をした調査となっております。左側が老後の生活設計の中で公的年金の位置づけをどう考えるかということでして、年代による違いはございますけれども、総数で見ると8割程度の方は、公的年金を中心に考えておられて、2割程度の方は、公的年金にはあまり頼らないと、お答えになっております。

 一方、右側のグラフは、公的年金以外に老後に備えるための資産として何があるかということでして、最も多いのは預貯金、2番目が企業年金を含む退職金となっております。

 少し資料は飛びますけれども、次に34ページを御覧ください。

 こちらは、高齢者の世帯収入の内訳ということでして、公的年金が全体の6割強を占めるのに対し、企業年金・個人年金は合計しても5%強という状況になっております。

 35ページは、公的年金について各国の制度を比較したものでございます。

 36ページは、2017年に森戸部会長に研究代表者となっていただいて実施した調査の結果を、厚労省の責任で要約したものでございます。

 公的年金・私的年金の連携につきまして、例えば、フランスにつきましては、賦課方式への信頼が厚く、公的年金が主流となっていると。

 また、ドイツにつきましても、公的年金が老後所得保障の中心とされております。

 一方、イギリスにつきましては、近年の改革で公的年金が1階建てのシンプルな仕組みとなって、それ以外のニーズは私的年金で対処するといった考え方になっております。

 また、アメリカにつきましては、公的年金が再分配の要素が強いことから、私的年金は、特に中高所得者向けといった位置づけになっているとされております。

 37ページから前回の改正の概要となっております。

 38ページが、令和2年の年金関係の法改正の概要です。このときは、公的年金と私的年金の一体的な改正を行っております。

 39ページは、そのときの附則の検討規定でございます。主な検討事項として、公的年金につきましては、1項にございます、公的年金の所得再分配機能の強化、あるいは2項にございます、被用者保険の適用範囲の検討、また、3項にございます、マクロ経済スライドの調整期間に関する検討といったことが挙げられております。

 一方、私的年金につきましては、5項にございますように、加入要件や拠出限度額、中小企業向けの制度の在り方などが検討課題として指摘されております。

 40ページ、41ページは、そのときの附帯決議になりますが、40ページの下にございますように、公的年金の基礎年金水準につきましては、マクロ経済スライドの在り方のほか、基礎年金の拠出期間を45年とすることについても、検討課題とされております。

 42ページからが、これまでの両部会での議論の状況でございます。

 43ページが、年金部会の議論の進め方です。これまで月1回程度のペースで議論をしてきておりますけれども、今後の予定といたしましては、来年の夏に財政検証の結果の報告を行い、来年末に部会として取りまとめを行う予定でございます。

 44ページが、年金部会の主な検討事項となっております。

 45ページは、これまでの開催状況です。

 46ページからは、年金部会でいただいている御意見ということで、公私年金の連携などについて、様々な御意見をいただいております。

 49ページは、企業年金・個人年金部会の検討の視点となっております。真ん中より下の辺りに主な視点ということで、働き方やライフコースの選択に対応した制度の在り方、あるいは分かりやすい利用しやすい仕組みの構築、あとは資産形成を促進するための環境整備といったことが課題として挙げられております。

 また、50ページにございますように、これは、今年の6月に政府が決定した計画でございますけれども、その中でマル2にございますように、iDeCoにつきまして、加入可能年齢を70歳に引き上げること。

 また、マル3にございますように、拠出限度額の引上げや、受給開始年齢の上限の引上げが検討課題となっております。

 51ページが、企業年金・個人年金部会の開催状況。

 52ページ以降が、企業年金・個人年金部会における、これまでの公私の連携に関する主な意見となっております。

 資料2につきましては、以上でございます。

 次に、資料3を御覧ください。

 こちらは、年金広報、年金教育に関する取組となっております。

 まず、4ページが、前回の制度改正時、令和元年の年金部会の議論の整理となっております。

 年金広報の在り方について総論的に述べられた後に、主な取組事項として生涯を通じた年金教育、被用者保険の適用拡大、年金の見える化、この3点について特に御指摘をいただいております。

 次の5ページは、令和元年の企業年金・個人年金部会の議論の整理となっておりまして、こちらでも年金の見える化について御意見をいただいております。

 6ページは、令和元年から開催をしている年金広報検討会でございます。現在、こちらの検討会から技術的な助言をいただきながら、年金広報を推進しております。

 7ページは、この年金広報検討会で取りまとめられた年金広報の方向性となっております。

 8ページは、今年度の主に公的年金の年金広報の取組でございますけれども、先ほどの令和元年の年金部会の議論の整理を受けまして、生涯を通じた年金教育、被用者保険の適用拡大、年金の見える化を主な柱として取組を進めております。

 以下、まず、この3つにつきまして、最近の取組状況を御紹介いたします。

 まず、生涯を通じた年金教育につきましては、10ページが「こども霞ヶ関見学デー」のイベントということで、主に小学生ぐらいのお子様を対象にして、小さい頃から年金に親しみを持ってもらうということで、有名人の方に来ていただいてイベントを開催しております。

 次の11ページは、学研の漫画で『年金のひみつ』というものを製作いたしまして、全国の小中学校や公立図書館に配本しております。

 12ページからは、主に大学生を対象にした年金対話集会の内容でございます。年金局の職員が大学に赴くなどいたしまして、講義と対話を行っております。

 13ページが、その対話集会で使っている資料のイメージでございます。

 また、14ページ、15ページは、対話集会に参加した学生の満足度調査や、主な意見になっておりますので、後ほど御覧ください。

 16ページが対話集会の開催実績です。昨年度は25校で開催しております。また、今年度も現時点で昨年度並みの開催回数となっております。

 17ページでございますけれども、これまで年金対話集会は、公的年金を中心に開催してまいりましたけれども、今年度からパイロット事業といたしまして、私的年金、あるいは資産形成などに関する講義も行うようになっております。

 企業年金・個人年金部会の委員でおられる岩城委員をはじめとして、外部の講師の方にもお越しいただいて、講義を展開しているところでございます。

 18ページは、年金機構で実施している年金セミナーでございます。こちらも大学生や高校生などを対象に開催されておりまして、実施回数は昨年度で3,500回近くに達しております。

 19ページから21ページまでは、ユーチューブを使った年金広報でございます。著名なインフルエンサーの御協力をいただきまして、これまで3本の動画を作成、公開しております。

 視聴数が、3つ合わせて200万回を超えておりまして、比較的高い評価もいただいているところでございます。

 こちらのユーチューブ動画につきましても、これまでの3部作は公的年金を中心とした内容となっておりましたけれども、現在4作目の作成に取りかかっておりまして、私的年金も含めた、より幅広い内容のものを検討しているところでございます。

 次の22ページは、中高生向けの教材の開発ということで、学習指導要領にも社会保障教育が位置づけられていることも踏まえまして、中高生向けの年金教育特設サイトを制作して、学生向けのワークシートや教師用の台本などを今後開発することとしております。

 このように年金教育につきましては、これまでは公的年金を中心に展開してまいりましたけれども、今年度辺りから、その内容に私的年金も含む方向で拡大を図っているところでございます。

 次の23ページからが、被用者保険の適用拡大に関する広報でございます。

 24ページが、適用拡大に関する特設サイトあるいはガイドブックでございます。

 25ページが、年金機構の取組ということで、昨年の10月あるいは来年の10月の適用拡大に合わせまして、先ほどのガイドブックや特設サイトなども活用しながら、事業所への訪問あるいはガイドブックの郵送、専門家の派遣といった働きかけを行っているところでございます。

 26ページは、適用拡大の特設サイトの閲覧数でございます。合計では700万回のアクセス数となっておりますけれども、やはり昨年10月の適用拡大の直前である昨年9月のアクセス数が多くなっております。

 27ページは、昨年12月に全世代型社会保障構築会議で取りまとめられた報告書の中でも、被用者保険の適用拡大のさらなる推進に向けて、環境整備や広報の充実を図るとされているところでございます。

 これを受けまして、28ページにありますように、適用拡大に関するアドバイザー会議というものを開催して、新たな広報資材の開発などに取り組んでおります。

 29ページを御覧いただきますと、上の青い部分は既にあるものでして、特設サイトの中でガイドブックやチラシ、動画などを提供しておりますが、これらにつきましては、一般的な制度内容の説明となっております。

 それに対して、今後新たに開発をするのが、黄色っぽい部分のところでございまして、特設サイトにさらに動画や説明ツールなどを掲載して、例えば事業主の方が従業員の方に説明する際に使えるような、より具体的な事例などを踏まえた広報物を作成することとしております。

 続いて、30ページからは公的年金の見える化になります。

 31ページが、公的年金シミュレーターの概要でございます。昨年の4月から運用を開始したところでございまして、個人情報の保存、記録などを行わないことから、ID・パスワードなどを取ることなく、簡便に将来の受取額の試算ができることとなっております。

 また、32ページにございますように、年収とか就労完了年齢あるいは働き方などの条件を変えることによって、将来の年金額がどう変わるかといった試算を行えるようになっております。

 33ページは、シミュレーターのアクセス件数で、直近で490万件弱となっております。

 34ページにございますように、シミュレーターのプログラムを今年の7月から民間開放しておりまして、民間企業におきましても、こうした公的年金の試算機能を活用いただけるようになっております。

 1ページ飛ばしまして、36ページは金融行政との連携ということで、保険会社向けの指針の中でも、公的年金、公的保険についての情報提供について位置づけをしていただいております。

 これを踏まえまして、37ページ以降にございますように、生命保険協会において、募集人やお客様向けのチラシの中でシミュレーターを取り上げていただいております。

 続いて、40ページが、ねんきんネットになります。シミュレーターよりも詳細な試算を行いたい場合には、ねんきんネットを御活用いただけます。

 41ページが、ねんきんネットの画面のイメージです。

 42ページが、ねんきんネットの利用者数ということで、直近で960万人程度となっております。

 43ページにございますように、手続のデジタル化も進めておりまして、例えば、国民年金の保険料の免除申請や学生納付特例の電子申請、あるいは控除証明書や源泉徴収票の電子交付などが受けられるようになっております。

 また、年金の納付につきましても、スマホによるキャッシュレス納付なども可能となっております。

 44ページは、財政検証などに関する漫画となっています。

 45ページは、運用の状況につきまして、GPIFからもユーチューブなどによる広報が行われております。

 46ページ以降は、私的年金の広報、見える化でございます。

 48ページ以降にございますように、チラシとか、ホームページなどを活用した様々な広報を行っております。

 53ページからが、iDeCoの拠出限度額の見える化ということで、被保険者種別や企業年金の加入状況などによって、拠出限度額が変わってくることを、チラシやサイトなどで広報しております。

 57ページにございますように、企業型RKの加入者専用サイトにおきまして、企業年金の拠出額に応じた、iDeCoの拠出限度額についても確認ができるようになっております。

 58ページ以降が、年金資産や給付見込み額の見える化でございます。

 59ページにございますように、DCにつきましては、年1回以上加入者に個人別管理資産額の通知を行っています。

 また、DBにつきましては年1回以上給付の種類ごとの標準的な給付の額や、給付の設計が周知されています。

 また、国民年金基金につきましても年1回掛け金の納付結果通知書に合わせて、受け取り予定年金額が表示されるようになっております。

 これらに加えて、それぞれの実施主体による工夫も行われているところでございます。

 60ページ以降は、それぞれの見える化の画像のイメージなどを掲載しております。

 64ページからが、諸外国における年金広報の事例でございます。

 65ページにございますように、ヨーロッパにおきましては、欧州保険年金監督機構というところから、いわゆる年金ダッシュボードの開発が推奨されております。

 これを受けまして、66ページに各国のダッシュボードの構築状況を整理しております。

 各国とも、官民の協働による事業として展開をされているようでして、運営経費などにつきましても官民の共同出資というところが多くなっております。

 このほか、ダッシュボードを担当する組織の設置、根拠となる法令や契約の締結、さらに将来推計に向けた公的年金と私的年金の共通したルールの策定といった取組が行われております。

 67ページ以降は、各国の状況でございます。

 まず、イギリスにつきましては、まだ、ダッシュボードが開発途上でして、サービスの提供が始まっておりません。

 そうした中で、年金、さらには資産形成などに関する様々なガイダンスが行われております。67ページの例としましては、マネーペンションサービスという組織から、一般的なガイダンスとしては、マネーヘルパーというサービス。

 さらに、50歳以上の方を対象にしたDCに特化したガイダンスとして、ペンションワイズといったサービスが提供されております。

 68ページは、マネーヘルパーの画面の例でございます。

 69ページは、先ほどものに加えまして、さらにイギリスではMid-life MOTといった形で、40代、50代の労働者を対象とした特設サイトが開設されておりまして、これは、お金の面だけでなく、仕事とか健康状態も含めた生活設計について、支援をするサイトと承知しております。

 70ページは、フランスのダッシュボードのイメージになりますけれども、フランスにつきましては、まだ、公的年金の試算機能だけで、私的年金については契約状況のみの表示となっております。

 71ページは、ドイツのダッシュボードのイメージ。

 72ページは、スウェーデンのダッシュボードのイメージでございます。

 73ページで、金融経済教育の文脈の中で、年金教育についてサービスが提供されている例でございます。

 74ページが、デンマークのダッシュボードのイメージ。

 75ページは、アメリカにおける消費者教育の枠組みにおいて、年金受給額の概算、年金受給の際の考慮すべき事項などが周知広報されているサイトの例でございます。

 76ページは、御参考ですけれども、日本の年金広報につきまして、ISSAと言われる国際社会保障協会から、特別優秀賞を受賞したことの御紹介でございます。

 79ページからは、年金広報、年金教育につきまして、これまで年金部会や企業年金・個人年金部会でいただいた主な御意見となっております。

 駆け足でございますけれども、資料の説明は以上となります。

○菊池部会長

 ありがとうございました。

 それでは、ただいま御説明いただいた資料に基づきまして、皆様から御意見、御質問などございましたら、お願いしたく存じます。

 本日は大勢の皆様に御参加いただいておりますので、年金部会では、そのようにやらせていただいているのですが、まず、対面で御参加の皆様から御発言を頂戴し、その後、オンライン出席の皆様から御意見を頂戴するという順序で進めさせていただければと思います。

 それでは、いかがでしょうか、挙手でお願いできればと思います。

 谷内委員、お願いします。

○谷内委員

 谷内です。

 私からは、公的年金と私的年金の連携の考え方と、それに伴い公的年金の側で制度改正すべき点についてコメントします。

 まず、資料2の5ページを御覧ください。

 公私年金の連携といいますと、公的年金と私的年金を併せて望ましい給付水準を確保することが昔から提唱されてきましたました。そして近年は、公的年金の給付水準が長期的に低下するから、そのぶん私的年金を拡充すべきという意見が出ていますけれども、事はそう単純ではありません。なぜなら、公的年金と私的年金は、制度の持つ目的や役割が異なるだけでなく、対象者や支給期間など機能面でも大きく異なるからです。

 よって、単純に私的年金を拡大したとしても、私的年金に加入できる方は公的年金よりも限定されますし、また、私的年金の割合が増えるということは、終身給付の割合が相対的に減ることを意味します。公的年金と私的年金の両者は、完全な補完関係あるいは代替関係にはないということをまず念頭に置いていて考える必要があります。

 その上で、次に、資料2の29ページを御覧ください。

 29ページでは、私が現在提唱している、公的年金と私的年金の新たな役割分担の姿であるWPPという考え方が示されています。これは、有期給付が主体の私的年金と終身給付が主体の公的年金という、まさに機能面面に着目した役割分担を図るものであり、終身給付たる公的年金の出番を終盤まで温存することで、長生きリスクに備えることを目的としています。

 また、WPPで重要なのは、就労延長、私的年金等、公的年金の三者の組み合わせ方方を、個々人がライフスタイルに応じて自由に決定あるいは変更できる点にあります。

 その上で、公私年金の連携をより進めていく観点から、公的年金の側で制度改正すべきと考えている点があります。それは、在職老齢年金の廃止です。

 在職老齢年金は、WPPの枠組みで言いますと、まず、就労延長を阻害する要因となります。また、公的年金の繰下げ受給では、在老による停止部分の増額が反映されないことも、繰下げ受給の選択を阻害する要因になっていると考えております。

 一方、在職老齢年金を廃止すると、将来の取得代替率が0.3%から0.4%程度下がるという意見もありますが、就労を促すことによって、被保険者期間が長くなり将来の所得代替率の底上げを図るべきと考えます。いずれにせよ、単体の施策だけをみて所得代替率の増減に一喜一憂するのではなく、複数の施策を組み合わせることで所得代替率の低下を補うう効果を生むような対策を講じるべきと考えます。

 本日は時間も限られていますので、まずは、この点についてのみコメントします。以上です。

○菊池部会長

 ありがとうございます。

 いかがでしょうか。

 それでは、小野委員、是枝委員、佐保委員、島村委員、たかまつ委員、原委員、百瀬委員、平田委員の順番で、すみません、年金部会のほうがざっと手が挙がりましたので、それでは、小野委員からお願いします。

○小野委員

 ありがとうございます。

 かつて金融機関で年金のリサーチ業務についていた関係もございまして、私からは、金商法等の改正法が成立しましたので、金融庁との連携を深めていくという必要性につきまして、具体的に2点申し上げ、最後に厚生年金基金制度について、コメントをさせていただきたいと思っております。

 まず、私は米国の企業年金をフォローしている関係で、ERISA法におけるフィデューシャリー・デューティーというのは、プロセス責任だと理解しております。

 この考え方に基づくと、企業年金等の金融サービス提供業者は、資産運用や投資選択肢の提示に関して、選定とか監視等について、結果のみならず、検討経緯とか、判断根拠といったプロセスが確認できるように、当局に対して、業務報告書において具体的に報告すべきですし、これを金融庁と共有することが有効ではないかと考えております。

 次に、第2点ですけれども、選択型の制度に関してです。これは、前回の企業年金・個人年金部会でも話題になりましたけれども、私は、この制度は医療保険への懸念があると考えております。選択型の制度では、標準報酬が減額されますので、事業主負担を含めて、社会保険料が減少します。すると、例えば、協会けんぽでは、収入が減少して、行く行くは、それ以外の事業所を巻き込んで保険料を引き上げる必要性が出てきたり、または、総報酬割を通じて、他の保険者にも影響することになると思います。

 したがいまして、選択型の制度は、個々に法令違反ではないとされていますけれども、社会全体としては、課題があると考えます。

 例えば、念のためですけれども、業者側の説明の適正性等につきましては、連携して確認する必要があると思っております。

 最後に、厚生年金基金についてですけれども、健全化法附則に基づき、厚生年金基金制度の廃止を粛々と進めることを期待しております。

 私は、実は11年前に、ここにいらっしゃる何人かの先生とともに、本件に関わりましたけれども、AIJ事件がセンセーショナルだったこともございまして、当時は議論があまりなかったと記憶しておりますが、代行給付の位置づけが制度改正や経済低迷によって時代にそぐわなくなっているという問題に思いが至りませんでした。

 それで、この点を、この場を借りまして改めさせていただきたいと思います。

 以上でございます。

○菊池部会長

 ありがとうございます。

 是枝委員、お願いします。

〇是枝委員

 公的年金と私的年金と退職一時金を合わせた老後の年金一時金の受給見込み額というのが、個人のライフプランニングのために非常に重要ですので、ぜひ分かりやすく、国民に示すために年金ダッシュボードの実現に向けて御尽力いただければと存じます。

 加えまして、あと2点、金融経済教育推進機構についてと、退職一時金について意見をさせていただきます。

 まず、金融庁が所管している金融経済教育推進機構において、年金を含む社会保障制度についても教育することが望ましく、ぜひ厚生労働省として積極的に関与していただきたいと思います。

 将来受け取る公的年金や企業年金の見込み額や、万一の際の障害年金や遺族年金の受取り見込み額というのは、どの程度投資信託を購入するべきかや、民間の生命保険に加入すべきかを検討する際の前提となります。

 金融経済教育推進機構では、適切な金融サービスの利用等に資する金融または経済に関する知識を習得し、これを活用する能力の育成を図るための共助及び指導を推進すること目的としており、この目的を達成するためには、社会保障制度の教育が必須だと考えております。

 大和総研が2020年に行った資産形成のためのリテラシー調査においても、公的年金についてのリテラシーが高い者ほど、NISAやiDeCoの利用率が高まる傾向が見られました。公的年金についての正確な理解は、資産形成を行うための大事な土台だと考えております。

 続いて、退職一時金についてです。

 DBの見える化などについても、企業年金・個人年金部会について検討が進められているかと思いますが、資料2の22ページにあるとおり、会社員の多くにはDBやDCがなく、退職一時金制度のみがある企業で勤めている会社員が多いです。退職一時金の支給見込み額の通知については、何ら法令で義務づけられておらず、正確に認識できていない者も多く、個人が老後に必要な資産形成額を見積もりにくい大きな要因になっているものと思います。

 こちらは、むしろ、社会保障審議会というより労政審のほうかもしれませんが、労働法令において退職一時金制度を実施する企業で、退職金の支給見込み額などについて、労働者に通知することを義務づけることも検討課題ではないでしょうか。こちらのほうも検討をよろしくお願いいたします。

○菊池部会長

 ありがとうございます。

 佐保委員、お願いします。

○佐保委員

 ありがとうございます。

 この間の発言と重複する内容もあると思いますが、資料2について概括的にコメントをさせていただきます。

 まず、このような合同部会を開催していただいたことは意義があり、各部会の連携による公私年金全体を見た議論の必要性については、十分理解をしております。

 その上で、誰もが高齢、障害、死亡などにより生じるリスクに対して安心して暮らし続けるための所得保障の中心はやはり公的年金であること、とりわけそれは基礎年金であることを改めて強調しておきたいと思います。

 かつて老後2000万円問題が注目されたことがありましたが、公私年金の境界を曖昧にすることで、公的年金に頼ることなく、老後は私的年金で自ら備えなければ生活できないといった不安感が国民に広まることで、社会保険制度に対する信頼性の低下を引き起こしてはならないと考えます。

 確かにマクロ経済スライドにより、公的年金の給付水準の低下が見込まれており、企業年金や個人年金などの私的年金制度が果たすべき、あるいは期待される役割は今後も大きくなっていくと理解しております。

 しかし、だからといって、公的年金、とりわけ基礎年金の所得保障としての機能あるいは所得再分配機能を後退させることがあってはならず、私的年金に過度に依存せずに、全ての人が公的年金によってしっかりと生活を営むことができる水準を目指すことが重要と考えます。

 もちろんその実現のためには、税財源も含めた公的年金の財政基盤の強化が必要であることは言うまでもありません。

 ただ、例えば私的年金制度において、非課税枠などの税制優遇の上限を制限なく拡大していくことは、その負担を現役時代に許容できる方にとっては老後の所得保障を確保しやすくなることを意味しますが、一方で税収全体、つまり、基礎年金をはじめとする様々な社会保険に係る国庫負担の財源とのバランス、あるいは世帯や個人間の税の公平性も踏まえる必要があります。

 それらの観点も踏まえつつ、公的年金、企業年金、個人年金の境界を曖昧にすることなく、それぞれが持つ役割と性格を整理し、それを十分に踏まえた上で、公私年金全体の議論を進めることが極めて重要だと考えております。

 私からは以上です。

○菊池部会長

 ありがとうございます。

 島村委員、お願いします。

○島村委員

 ありがとうございます。

 両方の部会に参加させていただいておりますが、それぞれの部会が向き合わないといけない課題というのがあまりにも多くて、公的年金と私的年金のそれぞれの役割というより根源的な部分というのが、それぞれの会ではあまり議論できていなかったような気がしておりますので、合同部会というのは、そこを埋める意味で非常に意味があるものだと思っています。

 まず、私的年金に関しては、先ほどもありましたが、退職給付についてはない企業もありますので、やはりiDeCoなどのカバーによって、退職給付がなくても十分な老後を過ごせるように準備できることが重要かと思います。

 その上で、公的年金がどれぐらいをカバーすべきかという問題については、より明確にできるといいと思っています。

 2004年改正で、財政フレームが変わったことで、もう基礎年金だけで老後の基礎的支出をカバーするという発想は取られていないかとは思うのですけれども、年金生活者支援給付金の額を設定する際には、基礎年金と併せて基礎的な支出をカバーできるようにという考慮もあったかと思います。

 現状では、そこがまだカバーされていないという問題もあるかと思いますので、そこら辺についても、両方を併せて基礎的な支出をカバーするという考え方でいいのかも含めて、今後話し合いができるといいかと思っています。

 最後に、厚生年金基金についてですけれども、5つを残すのみとなった厚生年金基金の解散や移行について、めどがあるのかという問題意識がございます。

 この厚生年金基金の財源には、厚生年金本体から給付現価負担金というお金が交付されているかと思います。

 その一方で、給付水準については、マイナス改定下においては、厚生年金本体からの給付とは異なり、スライドなどの再評価が行われていないのが現状かと思いますので、果たして、こういう仕組みでよいのかという点に、問題意識を持っております。

 厚生年金基金が早期に解散されるということならいいのかもしれませんが、今後も存続するということでしたら、給付現価負担金の存続については、ぜひとも議論をさせていただく機会をいただけるとありがたいと思っております。

 以上です。ありがとうございました。

○菊池部会長

 ありがとうございます。

 たかまつ委員、お願いします。

○たかまつ委員

 若者の中の意見を、私は中心に御紹介したいと思っています。

 自分が将来幾らもらえるかというイメージが、若者の中で全くイメージが湧いていないケースというのが多いと思います。

 そのことによって、年金制度は、例えば、将来破綻するのではないかとか、知らないがゆえに年金に対する不安や、実態と違う情報を信じてしまいがちなのではないかなと思います。

 私的年金については、さらに全く知らないという方も多いと思います。ですので、情報格差とか賃金格差というのが、将来の格差につながる可能性が非常に高いと思います。

 若者は、賃金が低くて今の生活で精一杯という方も多くいらっしゃるため、将来に回す余裕がなくて、入りたくても私的年金に入れないという方も多くいることというのも、当然ながら考慮する必要があると思います。

 私は、年金に対する正しい情報というのが必要だと考えていまして、例えば、国民年金の月およそ6万円で、自分たちが将来、その金額で生活できるのかとか、だからこそ将来に向けて幾らぐらい貯蓄が必要で、厚生年金とか私的年金と合わせた将来設計ということが必要であるということとかをしっかり伝える必要があるのではないかなと思います。

 また、そのような過度な情報不安ですとか、将来幾らもらえるかということが分からないということが、消費を抑えたりとか、将来の不安というところから結婚や出産になかなか踏み切れないということもあると思うので、正確に知るということによって、将来の設計をすることが可能であることを伝えることが大切だと思います。

 そのような情報格差とか、過度な不安をあおらないために、広報だけというところではなく、教育の中で自分の年金をどのくらいもらえるかということを計算する方法を知る方法とか、今日の資料にもありましたけれども、具体的には、そのような公的年金シミュレーターとか、そういうものを活用するということで、事業の中で実際に使ってみたりするということで、イメージがわくことが大事だと思います。

 今、学習指導要領の中では、制度の理解というところが中心に書かれていますけれども、そのような自分で計算できる手段を身につけるところまで、例えば、到達目標に置くとか、そうすることで教科書とかにも、より社会保障制度の全体的な枠組みというところだけではなくて、自分の生活実態とかライフプランに合わせた方法というのが明記されてくるのではないかと思います。

 また、やはり制度が複雑過ぎるために、幾ら調べても分からない部分が多くあると思うために、全体的に制度をより簡素化していくこととか、厚生年金とか私的年金も併せたシミュレーションができる方法とか手段が広がるといいと思っております。

 以上です。

○菊池部会長

 ありがとうございます。

 原委員からお願いします。

○原委員

 今日は、このような機会を設けていただいて、ありがとうございます。

 私から2点、端的にお話しいたします。

 まず、資料の最初のほうのところから、少し横断的になるかもしれないのですが、公的年金と私的年金の役割の違いの認識の重要性と、その表現の方法ということで、資料2の5ページにあるとおり、公的年金が老後生活の基本を支える役割、柱ということが書いてありますし、あと私的年金のところは、それぞれの老後の生活の多様な希望やニーズに応える役割とあります。それによって老後の必要資金も人それぞれ異なるというわけですが、このような公的年金・私的年金の役割を正確に伝えていくことが、まずは重要だと思います。

 そういった中で、私的年金とは何かということを表す際に使われる表現の中に、「公的年金を補完する私的年金」と言われることがあります。私は、この表現は適当なのかどうかというのは少し疑問に思います。

 またよく「上乗せ」とか、「上乗せの給付」とも言いますし、私も使いますが、この表現もそろそろ考えてもいいのかもしれないとも思います。

 いずれにしても、老後の所得確保を考えるときには、公的年金を受給することがまずあって、それではそれぞれの多様な希望やニーズに届かない場合に、それに応える私的年金があるという考え方になるかと思います。また、老後の資産形成を考える際にも、この年金制度の体系を軸に、まずは考えてもらうことも重要だと思います。

 その際、これからの時代は、就労するということもありますし、私的年金は有期年金で受け取ることもありますし、終身年金の公的年金は繰り下げるといういろいろな選択肢がありますので、表現の仕方も工夫が必要かと思います。

 発信された言葉というのは、受け止める側の印象で、そこから誤解されてしまう可能性もあると思いますので、共有したほうが良いのではないかと思っております。

 もう一つですけれども、公的年金の制度の改正に向けた動きと、企業年金・個人年金の改正に向けた動きには、どうしても進度、進め方の程度に違いが出てくるように思います。

 しかし、これは、ある程度仕方のないことだと思っています。公的年金制度の改正を行うには、議論にも時間がかかることもありますし、また、決定してもある程度の時間、経過措置を設ける必要があるものもあります。

 ただ、今、昭和60年の公的年金制度の法改正から約40年たっていますので、社会経済の状況は大きく変化しています。年金部会では、今まさにそのような変化に対して制度をどうするか、制度の今後の在り方を議論しているわけですけれども、その中で私的年金のこれまでの改正動向や、その改正の背景や理由を知ることというのは、何らかの糸口を与えてくれるものもあると思っております。

 反対に企業年金・個人年金部会さんのほうでも、公的年金制度の状況、その改正動向を踏まえて議論していただいているかと思います。例えば、iDeCoの加入可能年齢でいえば、2022年5月から60歳以上65歳未満の国民年金の任意加入者もiDeCoに加入ができるようになりました。この期間は年金部会でいえば、以前から課題となっている基礎年金の拠出期間の延長の検討対象となっている期間と重なります。また、第3号被保険者については、少し前の改正でiDeCoに加入することができるようになっています。

 また、お互いの課題というものを共有することも大切だと思いますが、例えば、今後、厚生年金保険の適用拡大を進めていく中で対象企業が中小企業へと移っていきます。これは、適格退職年金の廃止や厚生年金基金の解散などの影響からだと思うのですけれども、一方で、中小企業の企業年金の普及というものをどうするかということは以前より課題となっているかと思います。

 両部会のこういった連携というものは、必要性を感じていましたので、今後もこのような機会は必要だと思います。

 以上でございます。

○菊池部会長

 ありがとうございます。

 百瀬委員、お願いします。

○百瀬委員

 私的年金に関して、一言だけ述べさせてください。

 まず、私的年金を利用しやすくするという方向性には異論ありません。私的年金の広報が重要であると、今日御報告がありましたけれども、その点もそのとおりだと思います。

 ただし、私的年金は、公的年金に比べて理解してもらうことが難しい制度です。税制や金融に関する知識が、より多く必要になるからです。

 また、私は、これまでにも様々なところで、年金について若い世代に話す機会がございました。その経験に基づくと、内容の理解力だけでなく、それ以上に、新たな知識を獲得したいという意欲に、学校による差や個人による差が非常に大きく存在しています。

 こうしたことを考えると、私的年金について、今日御紹介いただいたようなチラシ、パンフレット、セミナー、eラーニング、オンライン記事などで広報をしたとしても、それが届くのは学歴が高い、あるいは新たな知識の獲得意欲が高いという一部の人に限定されると思います。

 そして、そうした人ほど、所得が高くなる可能性が高く、税制優遇などの私的年金のメリットも大きくなります。

 ですので、私的年金の広報を今までどおりのやり方で充実させながら、私的年金の本体も拡充させていく、例えば、iDeCoの拠出限度額を上げていくのであれば、高所得者に有利に働くくだけに終わるのではないかという危惧を持っています。

 もちろん、このような危惧が杞憂であることを願っておりますが、一言だけ述べさせていただきました。

 以上です。

○菊池部会長

 ありがとうございます。

 平田委員、お願いします。

○平田委員

 ありがとうございます。

 私からは、年金広報と年金教育の取組について、2点意見をさせていただければと思います。

 第1に、社会の大きな変化を踏まえた広報内容の工夫が必要なのではないかと思っています。

 具体的には、社会保険における所得再分配機能と相互扶助の役割というものを、もっと強く打ち出してもいいのではないかと思いました。

 今、個人にとってのメリット、デメリットというものが、どちらかといえば、強調されていると思いますけれども、助け合い、それも現役世代から高齢者への社会的仕送りというものだけではなく、横の範囲を広げてはどうかということです。

 今、横に関しては、遺族年金、障害年金といったところで、収入が突然断たれた人に対する年金の在り方ということで広報されていますが、今、一般的な人の中でも、大分収入の格差、いわゆる貧困格差みたいのがあるのではないかと、実際に働く人の声を聞きながら感じています。

 例えば、就職氷河期世代もありますし、非正規労働が非常に増えて、女性労働も増えましたけれども、その内容は非正規労働の増加という側面もあります。つまり遺族になった、障害を負ったほどではないにしても、人により、家庭により収入の状況全く違うということを社会で認識した上で、その上での横の支え合いというものが、社会保険にはあるということがメッセージされてもいいのではないか、これは時代の変化に対応したものとして必要なのではないかと思っています。

 なお、その際、小学校1、2年生など、より低年齢から行うことが大事ではないかと思っています。子供というのは接していても、困っている人を助けたいとか、みんなで喜び合いたいみたいな、純粋な気持ちが非常に強いのを感じます。そういう純粋な気持ちを肯定する形で伝えることで、社会の常識が変わってくるのではないかというのが1つです。

 2点目に、3号に関してです。

 3号に関する広報は、同じ3号でも、人によって立場が全然違うので、受け取られ方が全然違うということです。

 例えば、中高生、大学生に対して、これは、やはり女性が主になるかと思いますが、でしたら、どう働き、どう生きるのかという観点ですし、基本の若手の女性ということであれば、子育てをどう過ごしたいのか、でも、そのことが未来にどう影響するのかという視点になる。

 一方で、50代くらいになってしまいますと、なってしまうというのも何ですが、もう既に3号であるとか、そういう優遇が当たり前だった人たちになります。そういう方々にどうメッセージするのかというのは、やはり受け手に応じた伝え方があると思いました。

 これは、今回、ユーチューバーさんの若者に向けた発信を見まして、こういうやり方もあるのか、やはり受け手に応じた発信の工夫が必要だなと思った次第です。

 以上です。

○菊池部会長

 ありがとうございました。

 それでは一旦、また、企業年金・個人年金部会の、こちらのサイドの皆さんからお願いしたいと思いますが、それでは、岩城委員、金子委員、松田委員の順番でお願いします。

 岩城委員からお願いします。

○岩城委員

 ありがとうございます。

 生涯に通じた年金教育の取組は大変重要で、今後も続けていっていただきたいなと思っています。

 先ほど、たかまつ委員から御発言がありましたが、学生のうちに公的年金、企業年金などの私的年金について学ぶ機会をより積極的に設けることが重要だと思います。

 資料3の17ページで御紹介いただきました、キャリア選択と公的年金・私的年金についてのパイロット事業では、資産形成のポイントについてお話ししました。もちろん公的年金シミュレーターも御紹介して、長期的視点を持ってキャリアプラン、マネープランを考える必要性を伝えました。

 学生さんからのアンケートでいただいた感想が大変リアルで、今後の取組を考えていく上で参考になると思いますので、御紹介いたします。

 まず、現状として、企業年金などの私的年金の存在を知らない学生さんが多いということ。

 一方で、老後のお金については、あまり余裕がないと感じ、希望が持てないでいること。

 そして、資産運用については、投資は怖い、投資をするのは一部のお金持ちだけ、頭のよさや知識がないとできないというイメージがあることが分かりました。

 しかし受講後は、自分のライフプラン、キャリアプラン、それに合わせたマネープランを長期的に考えたい。公的年金で足りないと思う場合は、自助努力で年金をプラスしていけること、自分でやれることがあると知り、自分が過ごしたい老後に近づけると安心した。

 公的年金だけでなく、プラスアルファでのお金があることは気持ちの上でも余裕ができると変化しています。

 資産形成については、投資信託やiDeCoなど誰でも始めやすい仕組みがあることを知った。今後、理想の人生を生きるために何をすればいいかなど、主体的、積極的に取り組んでいきたい。

 自分の老後はかつかつで、ただ時間が流れていき、気がついたら死んでいると想像していたので、やれることがあると知り、老後に希望が持てた。

 マネーリテラシーが自分には全然足りていないと感じた。

 ライフプランに合わせて公的年金や企業年金などをどのように形成していくか、しっかりビジョンをつくることが必要。

 年金の仕組み、自助努力の必要性や投資の基本知識などを学生時代に学ぶ意義は非常に大きい。

 社会人になって得る収入は、老後の年金に関わっており、自分が老後どのように過ごしていくかは、若いうちに計画を立てることで、今後の人生に影響を与えることを学んだ。

 このような御感想を読みますと、学生時代に公的年金、保険制度を正しく理解することはもちろん、さらに企業年金等の知識を得る機会を積極的につくる必要を感じます。

 多くのDC導入企業では、入社後すぐにDCの商品選択をしなければなりませんし、資産形成には長い期間が必要です。なるべく早い段階で正しい知識を持つことが重要だと思います。

 就職者サイトなどの調査を見ますと、就活では年収ややりたいことを重要視して、企業年金制度や福利厚生について着目している学生はごく少数ですけれども、企業年金等の知識を得ることで、企業がどのような資産形成の支援や運用体制、運用担当者のスキル向上に取り組んでいるのかなども関心が向かうのではないかと思います。

 そうすれば、今後人手不足が進む中で、選ばれる側の企業も従業員に対し、より積極的な取組をせざるを得なくなりますし、結果、運用力の向上に努め、従業員の経済的自由を実現するという社会的責任を果たすことにもつながると思います。

 以上です。

○菊池部会長

 ありがとうございます。

 金子委員、お願いします。

○金子委員

 ありがとうございます。

 私からは、2点ほど意見を申し上げたいと思います。

 既に何人かの委員の方がお話しされたと思うのですが、年金制度の役割の認識と、それから信頼性の向上ということについて、少しお話をさせていただきたいと思います。

 資料2の5ページに、公的年金と私的年金の役割が記載されておりましたが、年金制度がどのような役割を担うべきか、今一度深く議論をしてはいかがかと思っております。

 それは、2つの意味があって、1つは公的年金及び私的年金を併せて、適切な給付水準を探ることであり、もう一つは、それぞれの年金制度の役割、公的年金と私的年金の役割の違いだけでなく、公的年金間、つまり基礎年金と厚生年金の役割の違いも再度確認すべきだと思っております。

 現在、2号被保険者の私的年金の限度額は、公的年金と合わせて退職給与の6割に相当する給付水準を確保するために、必要な掛け金額を1つの基準として設定されています。

 これを所与として我々企業年金・個人年金部会は議論しており、正面切って、この水準について再確認する機会は、今までなかったと思っております。

 また、公的年金と私的年金の役割づけによっても、当然、私的年金の今後に議論に影響するのではないかと思っております。

 さらには、公的年金である基礎年金等、厚生年金のそれぞれの役割も私的年金の議論に影響するのではないかと思います。

 なぜならば、基礎年金と厚生年金の役割づけによっては、それぞれの給付水準が検討されるはずで、その場合、例えば、中高所得層の自助努力で行うべき範囲が広がることも考えられます。

 私的年金は相対的に余裕のある人が中心に加入していることが想定されますが、彼らの自助努力の必要性が増すということになり、このことは私的年金の今後の在り方に大きな影響を与えるのではないかと思っております。

 2点目は、資料3を見ての感想なのですけれども、年金教育の講演ですとか、コンテンツを見た人の感想を読んでみますと、障害年金や遺族年金についての意義を認識したとの意見は多く見られるような感じがするのですけれども、老齢年金について評価している意見は、あまり見られなかった感じがしています。

 私は老齢年金について、若い人は信頼していない人がかなり多いのではないかなと思っています。というのは、私自身が2020年の3月に全国の25歳から64歳の男女にアンケートを行ったのですけれども、2号被保険者と思われる人を対象に分析したところ、公的年金の仕組みをかなり知っている人でも、自身の需給予測額をかなり低く見積もっておりました。

 これは、2019年の財政検証で示された所得代替率の低下以上に悲観的でして、自身の需給予測額の平均値が25歳から34歳以下の人たちの場合、現行のモデルケースの需給額の7割以下でありました。

 公的年金シミュレーターなどを通じて、見える化を推進することは言うまでもなく重要なことであるのですが、現行のモデルケースの受給額をおおむね知っている人でも、自身の受給額はその7割以下と思っているわけで、年金制度の将来とされる情報を信頼していないのだと思っております。

 その状況下で幾ら正しいとされる情報を発信しても信じてもらえないわけで、信頼性の向上が非常に重要だと思っています。

 信頼性の向上のための取組として、打開策のようなものがあるはずもなくて、地味な取組を幾つも重ねることが必要なのだと思うのですけれども、審議会では、例えば、国民うけの悪いような話もちゅうちょすることなく、俎上の上にのせた議論もしていただけたらと思っております。

 以上でございます。

○菊池部会長

 ありがとうございます。

 松田委員、お願いします。

○松田委員

 ありがとうございます。

 まずは、公的年金と私的年金がそれぞれ持っている役割と性格を十分に踏まえること、とりわけ私的年金制度については、企業年金と個人年金それぞれの掛金拠出者、性格の違いを十分に踏まえて議論することが重要です。

 その上で、私的年金の役割が大きくなっている中で、とりわけ企業年金については、いまだ労働者のカバレッジが小さく、有期、パート、派遣等労働者多くが加入していません。そのため、高齢期に貧困に陥りやすい状況にあると言えます言えます。

 以前に部会で紹介いただきましたが、「令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査」では、企業年金の適用割合について、正社員27.2%に対し、パートタイム労働者が2.7%と大きな差があり、課題であると認識していますい。

 まずは、全ての労働者への社会保険の適用拡大を目指し、各要件の見直しや撤廃など、次期年金制度改革に向けた年金部会での議論をお願いいたします。

 また、できるだけ早く企業年金に加入することで、老後の所得の確保に大きな効果をもたらすためため、適用拡大により企業年金の加入対象者を広げ、雇用形態などにかかわらず、労働者の高齢期の所得を充実させることが急務であると考えております。

 以上です。

○菊池部会長

 ありがとうございます。

 富樫委員、お願いします。

○富樫委員

 私からは資料3、特に企業年金について意見を申し上げます。

 日本では残念ながら、中小企業を中心に、企業年金の導入が進んでいるとは言えない状況です。

 以前部会で意見として挙げられていましたいが、企業年金の普及促進のためには、例えば、就職を希望する人がその企業の企業年金の有無や制度に着目し就職先を選定する、また、労働組合として企業年金の導入について企業と積極的に交渉するなど、企業年金が重要な労働条件であることが社会に広く認知されるされことが重要と考えます。

 その実現のためには、1つ目は企業年金を導入していない事業主向けの制度の告知、そして2つ目は労働者個人が企業年金の重要性を把握する、受け止めることが大事と思います。特に、企業年金が老後の所得保障にもたらす効果を知ることが大事です。

 本日の資料で、欧州の年金ダッシュボードの紹介のがありました。日本にも取り入れ、個人が公的と私的どちらの年金の状況も横断的に把握ができるようになる、分かるようすべきと考えます。

 その上で、日本でもしこのダッシュボードを導入するとなった場合、個人年金保険や年金財形など、他にも老後の所得保障に関わるものがあり、それらを含めて全てをカバーすることが理想です。

 ただ、企業年金を実施する事業者にどのようなデータ提供を依頼するのか、法整備を含め正確なデータの提供をどこまでお願いし、それを担保するのか、また、これは個人情報の塊ですので、個人情報の漏えいに対してどのようなセキュリティ体制を構築するのかが大事と思います。

 そして何よりも、コストを誰が負担をするのかという点も含め、いろいろな課題が想定されます。本日の資料には具体的な仕組みの掲載はありませんが、今後議論する場合には事務局の皆様に整理をいただきたいと思います。

 また、企業年金の普及は中長期的な課題でもあります。私たちのような産業別の労働組合としても、企業年金に対する労働組合、それから労働者の関心を強めるため、取組を進めていきたいと思います。

 それから、これは感想なのですが、紹介いただいたいただいた公的年金に関するユーチューブのクイズノックを見ました。大変分かりやすくなっておりました。ただ、2年前の配信でしたが、知ったのは昨日でした。もっと前に知っておきたかったと思いました。

 以上です。

○菊池部会長

 ありがとうございます。

 原田委員、お願いします。

〇原田委員

 ありがとうございます。

 私からは、公私の連携のところと、広報、教育について少しお話をさせていただきます。

 公私連携のところにつきましては、皆さんからの御発言にもありましたが、やはり公的年金の十分性はどうかというところがスタートになると思っております。

 基礎年金でどのくらいカバーできて、厚生年金でどうなる。それにプラスして私的年金でこうなるから、老後の生活はこうなるよということが、よりはっきりと示せればいいと思います。

 一方で、先ほどもありましたが、国が老後生活の基本を支えるという中で、基礎年金の水準としては、どのくらいが最低限必要かとか、厚生年金はどうなのかというところの検証も重要になってくると思っております。

 そこから私的年金では、どのくらい民で対応すべきなのかという議論がはっきりとできてくるのではないかと思いまして、そうすれば、例えば、iDeCoの拠出限度額であったり、企業年金ですとか、そういったところの税の取扱い、給付のときの税であったり、そういったものの具体的な議論につながりやすいと思います。

 そのため、こういうところを踏まえながら、私的年金の分野でもいろいろな検討をしていきたいと考えております。

 それから、広報、教育の在り方についてです。まず、非常に個人的に残念に思っていることは、公的年金の話になると、どうしても損得論になってきてしまうところです。

 正直自分でもいろいろな保険に入ったりしていますけれども、それぞれ期待値で考えると、決して得になる保険は、そう多くないというのが現状でして、でも、やはり不安だから入るという側面が強いのかなと思います。

 一方で、公的年金、老齢給付を取り上げますと、これは終身リスクに備えるもので、私は個人的に最強の保障ではないかなと思っておりまして、働けなくなって、収入がなくなっても、死ぬまで、これだけの生活の支えがあるということは、本当にすばらしいことといいますか、大切なことだと考えておるのですが、なぜかそこが損得論につながってしまうのかという点が残念に思うところです。

 そこは、多分、広報や教育のところで対応していく必要もあると思いますので、小さいときから公的年金や老後に対する基礎的な知識を入れることも必要ですし、高等教育、高校、大学においては教えられるだけではなくて、自分で考えさせる場をつくることも非常に大事で、効果的なのではないかと思います。

 具体的に、先日、大学生の方が、公的年金などについて調べて発表する場に参加させていただいたのですが、学生の方の考察や面白い視点があったり、本当に、私が大学生のときには全く関心なかったことではありますが、いろいろなことを調べて、知識として身に付けて発表されてされていました。そういった場が増えてくれば、もう少し、損得論とかそういう変な議論にならないのではないかと思いますので、教育方法というところにも力を入れていただければと思っております。

 以上です。

○菊池部会長

 ありがとうございます。

 企業年金・個人年金部会で、それでは、藤澤委員、お願いします。

○藤澤委員

 藤澤でございます。ありがとうございます。

 2点コメントしたいと思います。

 1点目が、公的年金の制度改正を支援するために、私的年金で何が必要なのかという視点も必要だとだ考えています。例えば、被用者保険の適用拡大について言うと、国民年金の第2号被保険者等の割合は増加傾向にあるという説明がございました。私的年金で何らかのインセンティブを付与することで、この増加トレンドを後押しできないかといったことも念頭に置いた上で、今後、議論をしていく必要があると感じた次第です。

 ほかにも公的年金の受給開始時期の繰下げ制度も増加トレンドにあるものの、いまだ2%、3%程度の水準であるという説明がございました。ここも私的年金の広報や年金教育を通じて、繰下げ制度の利用率をもっと増やせないかといったことも考える必要があると思ってございます。

 もう一点目が中小企業の従業員の資産形成支援のために、中退協も含めた広報や年金教育を行っていただきたいというものでございます。こちらは、年金局を超えた調整が必要になると認識してございますが、利用者である中小企業からすると、従業員向けに退職給付制度を準備するという選択肢の1つと考えてございますので、中退共を含めた広報等の活動を行っていただきたいと考えてございます。

 以上です。

○菊池部会長 ありがとうございます。

 オブザーバーのお二方から、ございますでしょうか。

 よろしいですか。了解しました。

 それでは、また、サイドが変わりまして、小林委員、お願いします。

○小林(洋)委員

 御説明、ありがとうございました。

 部会の合同開催、多岐にわたる新たな資料の御提示など、本当にありがとうございます。

 私のほうからは、3点、意見を申し上げます。

 1点目は、資料2の感想です。23ページの公的・私的年金の加入・受給の全体像が記載されておりますけれども、一見しただけでは理解しにくいと感じました。

 一方、5ページの公的年金と私的年金の整理や、29ページのWPPのパターンの整理などの図は、制度の大つかみとして、多くの人に理解いただけるものであろうと思います。

 このように、シンプルかつ分かりやすい形で提示することで、人々に将来設計などへの関心を持ってもらい、その上で、少しずつ理解を深めてもらうといったステップを想定した説明に、引き続き、注力していただければと思っております。

 2点目は、年金教育についての意見です。私的年金制度については、家計管理や金融を含め、金融経済教育推進機構が、今後、個人が将来の人生設計をするのに必要な知識の教育、広報等を行う役割を担っていただけるものと理解しております。

 老後のライフプラン設計という視点から、ぜひ公的年金に関する教育もセットでお願いしたいと思います。

 資料3の65ページ以降を拝見しますと、諸外国では、一元的に情報を提供し、教育や見える化を行っていると読み取れます。教育推進機構のきめ細かな活動に期待したいと思います。

 3点目は、公的年金シミュレーターについての質問です。資料3の34ページでは、民間サービスとの連携についての記載がございます。民間企業のアイデアを活用することで、サービスの利用が広まり、国民の金融リテラシーも向上していくものと期待します。

 他方、プログラムの公開件数が、現時点で3件にとどまっていることが気になります。今後、民間企業の利用を増やしていくためにも、もし課題となっていることがあれば、ぜひ、お教えいただければと思います。

 本日の議題に関連する意見等は以上でございますけれども、人手不足に直面する中小企業という立場から、一言、付け加えさせていただきます。

 年金制度の充実は大変重要なことです。経営者として従業員の暮らしを応援したいと思っております。

 その上で、あえて申し上げたいことは、そうした制度が働く意欲と能力のある人の就労を妨げる要因とならないようにしていただきたいということです。

 また、働き方や勤め先の違いによって、有利不利が生じない制度とすることも重要だと思っております。

 以上です。

○菊池部会長

 ありがとうございます。

 御質問がございましたが、お願いできますか。

○総務課長

 シミュレーターの民間へのプログラムの公開について、御質問がございました。現時点で今年の7月から公開を開始して、3件の提供ということになっておりますけれども、これ以外にも御関心を持っていただいている事業者とか、御相談をいただいている事業者というのは、ある状況でございます。

 これまで、3件プログラムを提供しておりますけれども、まだ、実際にそれを使ったサービスというのは出ていないと、まだ、民間事業者のほうで、サービスを開発している状況ということでございますので、今後、実際にこのプログラムを活用したサービスが展開され始めると、また、関心も広まっていくのではないかと考えております。

○小林(洋)委員

 ありがとうございます。

○菊池部会長

 ほかにいかがでしょうか。

 それでは、永井委員、玉木部会長代理の順でお願いいたします。

○永井委員

 ありがとうございます。

 私からは、資料3の社会保険適用拡大広報広報について、職場実態に触れつつ、意見を申し上げます。

 厚生労働省として、社会保険の適用拡大に関する広報に様々努力いただいていることは承知しておりますが、社会保険の適用拡大に関して、いまだ現場労使の制度の誤解により、就業調整を行っている現状があります。

 私が所属するUAゼンセンの流通サービス業の加盟単組からは、多くのパート労働者が税制の給与所得控除と基礎控除の合計額である103万円と、社会保険適用の賃金要件を混同し、制度の誤解によりシフト調整を行っているとの声を聞いております。

 当該労組では、会議や広報誌による制度周知、さらに会社による個人面談での説明なども行い、社会保険の適用拡大を進めているとの報告を受けておりますが、いまだ多くの現場労使において、制度の理解は十分に進んでいないのではと考えております。

 特に103万円を意識した就業調整の背景には、103万、106万、130万、150万の壁という、報道等で耳にする言葉が印象に残り、それを超えると損をするというイメージが先行した結果、当該労働者が制度をよく理解しないままに、取りあえず、最も低い103万円を超えないようにしようと意識していることがあると聞いております。

 これも現実であり、それほど現行制度は複雑であり、現場の混乱の要因になっていると感じています。

 さらに、本年10月から「年収の壁・支援強化パッケージ」が実施されていますが、これまでに既に適用拡大が進み、適用とならない方は労働時間を延長できない理由がある人であり、今の要件でのこれ以上の適用拡大は難しいということ、また事業主にとって制度が複雑に捉えられているといったことなどから、パッケージを使って拡大するという議論になりにくいといった話も聞きますし、もちろん、一方でパッケージを活用しようとしている業種もあると聞いております。

 パッケージは、社会保険の適用に係る課題を根本的に解決するものではなく、次期年金制度改革では、さらなる適用拡大に向けて、各要件の見直しや撤廃を不断に進めるべきと考えます。

 その上で、正しい制度理解のための広報については、例えばフローチャートなどにより、当該事業主や労働組合が労働者に対して社会保険の適用になるかどうか分かりやすく説明できるような資料の作成や、ホームページへの掲載を検討いただければと思います。

 あわせて、支援強化パッケージの利用状況や影響などもお示しいただければと思います。

 以上です。

○菊池部会長

 ありがとうございます。

 それでは、玉木部会長代理、お願いします。

○玉木部会長代理

 私からは、年金に関する、特に企業年金に関する広報等について、コメントを1つしたいと思います。

 いろいろ資料で拝見したり、あるいは皆様のお話を伺っておりまして、年金広報あるいは金融教育等、様々な活動を強化すべきことにつきましては、全面的に賛成をいたしますし、また、この部屋におられる方を含め、各方面において、そうした働きかけをいろいろな方々に行っておられる方々に対して敬意を表したいと思います。

 その上で申し上げます。先ほど百瀬委員から御指摘がありましたけれども、様々な働きを行う場合に、その働きかけが効果を奏しやすい人と、そうでない人がいるというお話がございました。

 また、奏しにくい方こそ、社会保険あるいは企業年金等の税制優遇その他の政策の恩恵が及ぶべき方々であるということは、十分に踏まえる必要があると思います。

 そういったことを考えますと、例えば、企業型DCにおきまして金融商品が30本あります。

この中で、あなたにとって一番いい組み合わせを選びましょう、さあ、勉強してください、教育はしますというアプローチもあるかと思いますけれども、それに対して、企業年金の仕組み自体を可能な限りシンプルにして、大きな間違いといいますか、不利な結果にはなるべくなりにくいような、少し教育のあるいは勉強のバーが下がるような環境を用意するというアプローチも、これまたあるのかなと思うところでございます。

 やはり何千万人という方々を対象にした営みでございますので、相手方は当然のことながら多様でございます。

 この部屋におられる方々は、しばしば、小学校のときに学級委員をなさっておられると思いますけれども、そうではない方々の方が圧倒的に多数でございますし、また、皆さん、小学校のときに掃除当番や給食当番の班があったかと思いますけれども、その班長もしたことがないという方々こそ、様々な働きかけのメジャーターゲットである場合がございますので、そういったことを踏まえて、様々な工夫を凝らしていただきたいと思うところでございます。

 以上です。

○菊池部会長

 ありがとうございました。

 これで会場に御出席の皆様からは、一当たり御発言をいただけたと思いますので、ここでオンラインの皆様から御発言をいただければと思います。挙手機能で合図をしてくださると幸いです。

 それでは、深尾委員からお願いいたします。

○深尾委員

 ありがとうございます。

 広報について、3点コメントがあります。既に会場の委員の方から御発言があったことと重複しますが、1つ目は、是枝委員もおっしゃった、EUが進めている年金ダッシュボード、全ての年金財源から予測される所得について分かるようにするというのは、もちろん運用資産の収益率の変動等で非常に予測自体が難しいという問題はありますが、ぜひ日本でも、これを目指して、構築について検討すべきだと思います。

 2番目に、若年層、学生など若い人への広報が非常に重要だと思うのですが、いただいた資料だと、参加者数とかネットへのアクセス数は分かりますけれども、それが本当に社会にどこまで浸透したか、先ほど何人かの委員から、ほかのいろいろな皆さんの理解に関する御紹介もありましたけれども、例えば、研究集会に出ている人については、理解度について1点から5点ですかね、何割ぐらいの人が分かっているかと出されていますけれども、若年層の平均的な理解がどう高まっているかということについて、例えばサンプリング調査みたいな形で、母集団全体の理解度の程度を把握するようなことを考えてもいいのではないかと思います。広報の活動が、どれくらい成果があったかということを考えるときに、やはりアクセス数とかだけでは心もとないというのが2番目の点です。

 3番目は、あまり発言がなかったかと思うのですけれども、SNSのフェイクニュース、年金は、自分が年取ったらもらえないみたいなフェイクニュースの発信が非常に深刻な問題になりつつあって、これは日本政府としても、恐らく、今後取り組まざるを得ないと思うのですけれども、フェイクニュースの誤った情報について、どう訂正していくかということも、これは、ここだけの話ではなくて、政府全体の話、それから旧ツイッター等も非常にもめている問題で、言論の自由等々も絡んで難しい問題だと思いますけれども、検討していく必要があるのかなと思います。

 私からは以上です。

○菊池部会長

 ありがとうございます。

 駒村委員、お願いします。

○駒村委員

 駒村です。

 すみません、声が大変ひどい状態で恐縮です。

 公私の連携した議論ができる場を持っていただきまして、大変ありがとうございます。

 今日お話がありましたように、公的年金、私的年金、それぞれ性格が違うということではあります。それは、そのとおりなのですけれども、連携として考えたときには、先ほども議論がありましたように、いつまで働き、公的年金と私的年金をどういうタイミングでもらっていくのかということを、個人が自分のリスクや能力を考えながら決めていかなければいけないと思います。

 運用能力、リテラシー、あるいは加齢に伴って発生する認知機能の変化、あるいは寿命リスク、寿命も未婚者と既婚者では違う部分もあります。価格変動、運用リスク、こういったものに対する許容度といったものも、人によって違うわけです。

 また、加入だけではなくて運用についても、私的年金の場合は着目していく部分も大きいのではないかと思います。

 そういうものを考慮した上で、資料2の5ページ目なのですけれども、これは、本来もう少し踏み込んだ議論をすべきページではなかったのかなと思っております。

 というのは、ここに書いてあるように、所得代替率が60から50に今後変わっていくと、それから、我々は、今まさに議論している基礎年金の給付水準の低下と、こういったものに対して、私的年金はどういう役割を果たしていくのかという議論をしないと、本来はいけないのではないかと思います。

 特に基礎年金の給付率の低下については、これも今日議論がありましたけれども、これを私的年金で補うということが現実的なのかと。では、私的年金の加入者、所得階層別、就業形態別の実態はどうなっているのだと、そういうのが分かっているのかということを考えると、もし仮に、私的年金で、基礎年金の低下部分とか所得代替率の低下の部分を補っていくときには、低所得者に対しての格段の配慮が必要になってくるのではないかと思います。

 さらには、この基礎年金の低下を抑制する、そのインパクトを制御するためには、年金生活者支援給付金も同時に考えていかなくてはいけないと思いますので、本来、資料2の5ページを、もっと充実した議論をしなければいけないと思います。

 したがって、本来は、公私年金合同の検討会というのは、今日1回だけでいいのかというのは、私は、本当はもう少しやったほうがいいのではないかなと思っております。

 以上です。

○菊池部会長

 ありがとうございます。

 堀委員、お願いします。

○堀委員

 どうもありがとうございます。

 まず、合同部会の開催につきましては、大変意義の高いものだと考えておりまして、準備や開催にお礼を申し上げたいと思います。

 私からは、2点申し上げます。

 今回の御説明に当たりまして、私的年金の重要性を改めて感じるとともに、百瀬委員や玉木部会長代理が示唆されたように、既にある格差を拡大してしまうという危惧を私も持ちました。

 公的年金だけでは支えられない部分も大きくなっているということは、認識しておるのですけれども、やや自己責任が大きくなり過ぎているようにも感じた次第であります。

 また、高齢期につきましては、年金だけではなく、退職金や就業継続まで含めた複雑な選択の組み合わせになっていくのだとすると、若い時期の年金教育とともに、老後が身近に感じられるようになる40代後半辺りから、例えば、個別にかなり踏み込んだ内容でも相談できるような機会も検討していただけると大変ありがたく存じます。

 私からは以上です。

○菊池部会長

 ありがとうございます。

 出口委員、お願いします。

○出口委員

 私からは、資料2について2点と、資料3について1点申し上げたいと思います。

 まず1つ目、公的年金と私的年金の役割分担についてでございます。公的年金が老後生活の基本を支え、企業年金・個人年金はその上乗せとして多様なニーズに対応するとの役割分担を前提に、次の改正で取り組むべき方向性を申し上げたいと思います。

 公的年金については、給付の十分性の改善、とりわけ、将来の基礎年金給付の底上げを目指すことが重要な課題であり、中低所得者の将来の給付を厚くする所得再分配機能を強める方向性と受け止めております。

 こうした公的年金の制度見直しの方向性と連動して、企業年金・個人年金については、より多くの普及拡大を図ることだけではなく、所得再分配機能の強化を支えるものに対する自主的な努力の支援を拡充する視点も大事だと考えております。

 2つ目ですが、税制との一体改革の必要性について申し上げます。公的年金・私的年金ともに、1点目で述べた制度見直しを行う際には、並行して税制との一体改革の議論も必要だと考えております。

 例えば、基礎年金の給付の底上げには、国庫負担の財源確保が必要になります。私的年金の見直しには、拠出時、運用時、受給時を通した年金に係る税制の在り方の検討が不可欠であります。

 実際に、確定拠出年金の拠出限度額の引上げ、特別法人税の撤廃などが指摘されております。

 公的年金等控除は、公的年金・私的年金両面から課題提起されております。今後の議論に際しましては、税制との一体改革も論点として取り上げていただくべきだと考えております。

 最後3点目でございます。資料3について1点申し上げます。

 諸外国における年金ダッシュボードの御説明がございました。このような見える化の取組につきましては、我が国においても進めることは必要だと考えております。

 ただし、公的年金と私的年金を一体に閲覧できるようにするためには、解決すべき課題も結構多いと思っております。情報の取扱いやセキュリティ対応をはじめ、丁寧な議論で進める必要がございますが、個々の職域や組織に委ねるのではなく、国を挙げて、基本インフラとして公共性の高い機関が、年金のダッシュボード化に取り組むのが望ましいと考えております。

 他国の例を見ても、最初から完全なものを作るというのはなかなか難しいということで、アジャイルな動きのもと、段階的に機能向上を図ることがよいのではないかと考えております。

 私からは、以上でございます。

○菊池部会長

 ありがとうございます。

 権丈委員、お願いします。

○権丈委員

 提出している資料について、少し説明をします。

 年収の壁には2種類あって、働く人たちに見える壁と見えない壁があります。世の中の人たちが大好きな見える壁については、昔は状況が違うのですけれども、今の時代には公的年金シミュレーターの使用を、適用拡大時に企業に義務づければほとんど解決します。

 そして、付け加えておきますと、勤労者皆保険というのは、見えない壁の対応策ですので説明は省きますが、これは、突き進めるしかないと思います。

 公的年金というのは、火のないところに煙が立つ世界でして、そうしたおかしなことが繰り返し起こる原因の多くは、時間軸が関わることを、人間というものはどうも理解できないというところにあると見ていいと思います。

 昨年後半からの壁騒動でも、子供たちとか若い人という話ではなくて、長く大人の経済学者たちがそろって、制度を知らないというのもあるのですが、時間軸が関わる事柄への人間の無理解という問題に陥っていた現象がありました。

 人間が持つそうした認知バイアスの問題を克服するのは、長期的なシミュレーションによる可視化が有効ですので、この年金部会で私は、例えば、新たに適用拡大の対象となる企業の事業主には、公的年金シミュレーターを利用して労働者とのコミュニケーションを義務づけるという話をしてきました。

 加えて事業主には、月額8.8万円の正確な意味を学習してもらう広報の方法も考えてもらいたいところなのですけれども、そうした話に参考となる資料を提出していますので御参照ください。

 今日の皆さんの話では、フェイクニュースの話とか、あるいは制度が複雑過ぎて若い人たちが学ぶのには、なかなか難しいというのがあるのですけれども、みんな忙しいので制度というのはじっくりと学べないです。だけれども、このシミュレーターを使えば、一体何が将来どうなっていくのか、賃金が上がると給付が増える、長く働くと給付が増えるというような、そういう基本的なことをしっかりと教えてくれるので、これは、どんどんみんなが利用してくれるようになっていくことですね。

 この文章を年金部会に配付させてもらう旨を、執筆者の藤森克彦さんに連絡をしますと、返事が来まして、その返事の内容というのは、「年収の壁の議論を真に受けて、高齢期になって後悔する人が少しでも減ればいいと思います」というものでした。

 年金には時間軸が関わってくるということは、我々のアドバイスは、将来後悔しないアドバイスをするということが大切なのですね。今の選択での今の損得ではない、今どうのこうのではなくて、将来後悔しないアドバイスをするということが大切なので、配付資料の話は重要だと思います。

 ということで、ぜひ、本日配付している資料を見て、皆さんも、フロアにいらっしゃる方々も公的年金シミュレーターを試してみて、世の中に、このシステムがあるということをしっかりと伝えていってもらえればと思っております。

 以上です。

○菊池部会長

 ありがとうございました。

 ほかには、オンライン参加の皆様から、大江委員、お願いします。

○大江委員

 ありがとうございます。

 私のほうからは、広報について申し述べさせていただきます。今、権丈先生からお話があった公的年金シミュレーターは、公的年金について自分ごととして捉えて自分の老後についてどれぐらいの経済的な備えになるのかがわかり安心を感じていただけます。多様な働き方及び私的年金を活用したし備え方もある中で、自分がどれを選択したらいいかを考えていただくようなときにも、やはり自分の受け取り見込み額が見込み額が数字で見えることは大変有用です。私自身、職場で行うセミナーなどで使わせていただきますと、額が見えるということで理解が大きく進むというところがございます。

 一方で、ダッシュボードについて検討を進めるべきだという、先生方の御意見は、私も賛成なのですけれども、出口委員とか渡邊委員も御指摘のように、なかなか時間がかかりそうなところかなと思っております。

 私的年金の1つである企業年金というのは、年金という側面と報酬の一部という側面もあります。報酬としての側面は、企業が自社の人的資本を高める意味で、独自の制度設計を労使合意に基づいて行うことになり。

 特に人手不足にもなってきている中で、優秀な人材の定着は、企業経営にとっても重要事項です。定着のためにベネフィットを知ってもらうという意味で、職場で公的年金も含めた、自社の退職金制度をトータルに見せて知ってもらうという取組は、大手を中心に事業主及びそれをサポートする民間企業で、今、広がりつつあるところがございます。

 時間軸を考えると、まずは足元では、こういう取組をしている事業主を応援しつつ、先を見据えてダッシュボードも検討していくというような両建てで進めていく必要はあるのではないかと思います。

 特に、民間の独自の部分というのは、公的な広報だけでカバーするのは非常に難しい部分があります。最後の細かいところ、自分にとってどうなのかというところが本人にとっては重要ですし、年金額の情報だけではなくて、報酬の一部として経営としてこういう意味合いで老後資金準備をしているということもキャリアを考える上では必要です。やはりそういった意味でも、公的部門だけではなくて、事業主にもある程度広報できるところは取り組んでいただく、それを公が支援していくということも必要なのではないかと思います。

 公的年金シミュレーターは、非常に有効なので、民間企業との連携も、現在3件ということなのですけれども、ぜひこれを広げていただきたいというのがあります。

 1点、全然違う話なのですが、広報にも関わるところなので、iDeCoの限度額について触れさせていただきたいと思います。

 iDeCoの限度額は、資料3の56ページにあるように、私的年金の内枠というルールもありますので、ほかの制度での自らの掛け金額を正確に知っていなければ、自身の限度額は分からないという状況になっております。

 そこで、国としてユニバーサルな年金に関する情報を提供する、ねんきん定期便に本人限度額を普及促進のために記載いただくということを御検討いただけないかと思っております。

 加入可能な方全員に届くツールで、同じ場所に限度額が載っていれば、本人も分かりやすいですですし、本人をサポートするファイナンシャルプランナーといった方もサポートしやすくなりますので、自ら老後資産形成をするということの支援にもつながると考えます。

 以上です。ありがとうございました。

○菊池部会長

 ありがとうございます。

 それでは、渡邊部会長代理、お願いします。

〇渡邊部会長代理

 御説明いろいろありがとうございました。

 既に、ほかの委員からも指摘されていることなのですが、公私の役割分担といったことについて、少しだけコメントをさせていただきたいと思います。

 所得保障の中心というのが、公的年金であるということに関しては、大きな異論は存在していないところかと思います。

 そのことを前提に、公的年金・私的年金の役割分担をということであれば、まずは、公的年金の役割を明確にする必要があろうかと思っております。

 私的年金は、その上で、どこまで公的年金を補完する必要があるのか、または公的年金の役割が将来的に縮減されるのであれば、これまで果たしてきた公的年金の役割というものを、私的年金が代替することになるのか、代替することが期待されているのか、あるいは、それはやはり私的年金では無理だということになるのか、そういったことを明らかにした上で、私的年金について、例えば、拠出可能限度枠というものをどのように設定するのかとか、そういったところを議論する必要があろうかと思っております。

 ですのでまずは国民の不安を解消するためにも、公的年金の果たす役割について、例えば、公的年金に不十分性が生じる可能性があるというのであれば、そのことも含めて、国民に分かりやすく説明する必要があろうかと思いますので、その点のことをよろしくお願いしたいと思っております。

 以上です。

○菊池部会長

 ありがとうございました。

 小林由紀子委員、お願いします。

○小林(由)委員

 御説明どうもありがとうございました。

 私からは、資料3に関して1点申し上げたいと思います。

 公的年金について、その持続可能性や保険料納付の重要性、制度加入の恩恵等を国民が正しく理解することは、制度の安定運営のために必要かつ重要であり、リテラシーを高めることが将来に対する漠然とした不安を取り除くことにもつながると考えます。

 その一方で、国民一人一人について、私的年金も合わせた将来給付額を見える化することについては、解決すべき課題も多いと認識しています。先ほども少しお話が出ていましたが、具体的には、働き方の多様化あるいは労働移動の活性化が進む中で、企業年金や個人年金の情報と公的年金の情報をどのように結びつけるのか、情報提供の実施主体をどのようにするのか、あるいは、将来の年金給付額という個人資産に関わる重要情報のセキュリティをどう考え、どう取り扱うのかなど、実際の運用に向けては、クリアすべき課題やハードルが数多くあると認識しております。

 先ほど、出口委員が指摘されたとおり、見える化の対応は個々の企業ではなく、公共性の高い機関が中心になって行うことが望ましいと考えます。具体的な検討に当たっては、私的年金分野において、事業主の事務負担が制度の普及拡大を阻害する一因となっているということも踏まえて、負担と便益の双方に配慮しながら丁寧に議論を進めていただきたいと思います。

 以上です。

○菊池部会長

 ありがとうございました。

 山口委員、お願いします。

○山口委員

 ありがとうございます。山口です。よろしくお願いします。

 すみません、入るのが大分遅くなりまして、オンラインの委員の先生方のところから聞き始めたので、もしかすると、前半部分のところ、お聞きしていなくて的外れなことを申すかもしれませんけれども、申し訳ございません。

 主に2点お伝えしたいと思います。

 先ほど駒村先生からの御指摘のありました点、資料の2の5ページについて、私は、ふだん企業年金・個人年金部会で私的年金のほうからの議論をしているのですけれども、公的年金に対する私的年金の位置づけを改めて考える必要があると思いました。

 確定拠出年金法の「相まって」という部分に関わるところですが、現在の私的年金の加入者の状況などからも、今の、そしてこれからの生活水準を踏まえた、公的年金と私的年金の関係についての整理は、私も必要であると考えております。

 それから、海外の例なども、今日御説明があったかと思いますけれども、私的年金の対象範囲が、制度によって異なるという点が見えてきました。

 我が国では、今、資産運用立国という政府の方針が打ち出されています。ここで私的年金、運用といったときに、どこを対象としているのかは、必ずしも明確になっていないのではないかと思いますす。これからの私的年金の対象を、誰を対象として考えるのかは、さらに詰めていく必要があると感じております。

 その点を踏まえて、皆様が御指摘のように、私もダッシュボードとか、見える化は必要であると思っています。公私双方を一体化して見せるというときに、今、申したような「相まって」の部分、一体化して見せる必要性を、きちんと説明できる必要があると考えます。

 その上で、情報提供の中身を体系的に構築していくこと、それとダッシュボードなどの見せ方という両面から併せて検討する必要があるのではないかと考えております。

 以上です。

○菊池部会長

 ありがとうございます。

 武田委員が入られたようですが、御発言があれば。

○武田委員

 どうもありがとうございます。

 山口委員と同様に、途中から参加しましたので、他の委員及び事務局からの御説明と重複する部分がありましたら、お許しいただければと思います。

 3点意見がございます。1点目は、皆さんがおっしゃっているとおり、正しい理解にむけて、これまでも厚労省をはじめ、皆さんご尽力されていらっしゃったと思いますが、引き続きそうした努力が必要という点です。

 我々は、年に1回、日本の将来において不安と思うことは何かという質問を、生活者3万人に対して行っております。今年で13年目になりますが、13年間、常に1位の項目がありまして、それは社会保障で財政が悪化する、という項目です。

 年金についてではありませんが、社会保障について、将来、確かに受け取れるのだろうかという漠然とした不安が国民の中にあることは、その調査からもうかがえますので、教育の現場から、給付と負担の仕組みの問題を正しい理解として伝えていく努力は、重要なことと思います。これは年金の問題だけではなく、将来不安への対峙ということでも、非常に重要な論点であり、取組みが必要と思います。

 では、どうすれば取組が進むのかということですが、2点目は、本日、恐らく多くの皆さんがおっしゃったとおり、データで見える化していくことだと思います。制度が非常に複雑ですので、全ての制度を自分で理解し、公的と私的を自分で計算することことは、相当大変と思います。

 したがって、本日の資料に入れていただいているとおり、公的年金シミュレーターができたこと、そして、そこへのアクセスが広がっていること、これは大変有意義で、今申し上げたような不安の解消にもつながるシミュレーターと思います。

 しかし、周りを見てみますと、シミュレーターが、国民の皆さんに幅広く知れ渡っているかといえば、それを知っている方と、知らない方がいらっしゃいます。さらに、シミュレーターの存在を知ってもらう取組を強化すること、そしてDXが進む中で、ダッシュボードや、このシミュレーターの機能のユーザーインターフェースなどを使いやすくする工夫をしていただけたらありがたいと思います。

 3点目ですが、シミュレーターで見えやすくしていくとともに、制度として簡素、中立な形にしていく努力も必要です。いろいろな制度は、時代時代の背景があり、ふさわしい形で改革が行われていますが、その際の1つのポイントとして、複雑なもの、働き方に対して中立的ではないものを、時代に合わせて見直していく努力も必要と思います。確かに時間軸などを含めて理解を得ることは大切ですが、理解されないものに対して、どう簡素に、中立に制度を考えていくかということも重要で、で改革の議論を進めていく必要があるのではないかと思います。

 以上、3点です。よろしくお願いいたします。

○菊池部会長

 ありがとうございます。

 これで一当たり皆様から御発言をいただけたかと思います。この点、どうしても言い残したので、補足をしたいという方がおられたら、合図をしていただきたいのですが、会場でいかがですか、是枝委員ですね、それから、オンラインは特によろしいですか。

 それでは、是枝委員から、お願いします。

○是枝委員

 多くの委員の方から公私の年金の役割分担について、しっかり議論するべきだという意見をいただきましたので、私自身の意見を申し上げさせていただきます。

 役割分担について2つに分けて考える必要があり、1つは、被用者期間の長い方、もう片方は自営業者期間の長い方についてです。

 被用者期間の長い方については、公的年金が引き続き老後生活の基本を支える役割を担うべきだと考えております。ただ、新たな課題が一部出ているということになります。

 まず、資料2の5ページを御覧いただきながら、お話を聞いていただきたいのですが、公的年金で、厚生年金と夫婦2人分の基礎年金を合わせて、現役期の手取り収入50%を確保ということで、今、60%強の水準が50%に下がることで、公的年金の役割が縮小するかのようにも受け取れるところなのですが、あくまでこれは、40年加入、65歳給付のものにすぎないものですので、45年加入、67歳給付などになっていければ、私どもの世代、1985年ぐらいの生まれの世代においても、所得代替率60%強を確保できますので、引き続き繰下げ受給できるように、私的年金等も併せて、WPPの考え方を進めていく、そのための改正を進めていくということだろうと思います。

 ただ、新たな課題として出てきていることとしては、これは片働き世帯のモデルでの所得代替率ということであり、夫婦とも厚生年金に加入する共働き世帯については、1人当たりの所得水準が高いということだからではあるものの、所得代替率で見ると低い水準に留まる。その際に、現役の所得に対して一定の割合を保障するという観点からは、さらに再分配のことを考えると、公的年金の代替率を共働き世帯で上げるというのは、ちょっと理解を得にくいと思いますので、その分、私的年金の部分で機会を提供するということが必要になってくるのではないかと考えております。

 また、遺族年金についても、夫婦の所得が均等に近い世帯ほど、遺族年金がほとんど出ずに、夫婦のうち一方が亡くなった時点で、年金の給付額がほぼ半分になるということになります。

 この部分については、公的年金の改正で対応することも考えられますが、夫婦とも厚生年金に加入する世帯の1人当たり賃金水準が高いことを踏まえると、それは、やはり公的年金ではなく、私的年金の役割で対応すべきではないかと考えております。

 2点目に、自営業者についてです。

 自営業期間が長い方については、自営業の構造の転換によって生産資本を持たない自営業者が増えてきている面がございます。その点を踏まえると、基礎年金を45年化したとしても、基礎年金だけで老後の生活の基本を支えるというのはなかなか難しい状況がございます。

 こちらを踏まえると、生産資本を持たない自らの労働だけでサービスを提供する自営業者を踏まえて、私的年金の水準をどの程度まで拡充するのかということを検討する必要があるかと存じます。

 以上です。

○菊池部会長

 ありがとうございました。

 ほかは、よろしいですかね。

 様々な御議論をいただき、ありがとうございます。

 それでは、森戸部会長から、お願いできれば幸いです。

○森戸部会長

 では、手を挙げていないのですけれども、部会長特権で一言だけお話しさせていただきます。2、3点、感想みたいなものですけれども、申し上げさせていただきます。

 1点目は、私が部会長をやっております企業年金・個人年金部会の方ですが、私的年金は、是枝委員も先ほどおっしゃっていましたけれども、私的年金といっても企業年金と個人年金と、また違う部分もありまして、企業年金のところは、これは大江委員もおっしゃっていましたかね、やはり労働条件なのですね。元は退職金であるという、皆さん御存じのとおりですけれども、企業の労働条件というところがありますので、政策を考えるときに、そこの意識を、もちろん公的年金と同じような役割を果たす部分もあるのだけれども、企業が任意に、自分の従業員に提供する労働条件である退職金である、その一部であるというところは意識をしなければいけない。

 それは、また、iDeCoとかの個人年金とは、また違う部分もあるということだと思います。

 その観点からすると、現行法上も、実は労働基準法とかには、労働条件を明示する義務、説明する義務がありますので、退職金についても一定の情報開示をしなくてはいけないのだと思いますが、それを企業年金のような形で、例えば見込み額という話になると、そもそも退職金制度は、金額も変わるものですし、見込み額というのを示すのも難しいのかもしれませんが、でもそういうところを、どう公的年金などと一緒に考えていくか、性格の違うものだけれども、どう一緒に取り扱っていくかということは、考えなくてはいけないのだろうと思います。

 企業の労働条件というのは、別に企業が勝手に従業員のためにやっているものだから、別に見える化とか外に出すものではないということも言えますが、他方で、最近、次世代法とか、育介法とか、いろいろな法令で、やはり一定の形で企業の労働条件に関わることも外に出していけという流れもありますので、そういうものとの連携というか、一緒に考えていくこともできるのかなと思います。それが1点です。企業年金の労働条件という性格をちゃんと意識しようというのが1つ。

 もう一つは、これもどなたかおっしゃいましたが、公的年金の上乗せだ、補完だと、企業年金などの私的年金が言われるわけですが、これは、山口委員もおっしゃっていましたけれども、実は法令上は「相まって」と書いてありまして、ほかのところは、上乗せとかは言っていないのですね。ですので、公的年金と企業年金、私的年金、確定給付企業年金、確定拠出年金が、どのように相まるのかというところは、いろいろ柔軟に考えていいのだと思います。まさに谷内委員がおっしゃったようなWPP的なものも含めて、公私の連携、役割の在り方というのは、フレキシブルに考えていいのだろうとは思います。

 それで、それとも関わりますが、最後に、この合同部会は、恐らく史上初だと思うのですけれども、史上最後かもしれませんけれども、もし史上最後ではなかったら、次をやるのであれば、せっかくなので、もう少しテーマを絞ってやれれば、より突っ込んだ議論が面白くできるのかなと思います。

 いろいろ公私両制度にわたるポイント、論点というのがあると思うのですけれども、1つは、今日もいっぱい意見が出ました、広報とかシミュレーションの在り方とか、見える化をどうトータルでやっていくかというのは、割とすぐ必要な話だし、いろいろ議論もできるのですが、ただ、実は広報で公的年金・私的年金を併せて、どういう将来の見込みなり、どういう制度ですよと情報提供をするには、実は公私の役割分担、公的年金は、こういうもので、私的年金はこういうものですよというのを、ある意味、正式に決めないと、その広報もシミュレーションもできないと思うので、実は結局、先ほどから皆さんが参照されている資料2の5ページですか、公的年金と私的年金の基本的な役割についてという表を、結局もう少し埋めないといけないということが必要なのだと思います。

 だから、もし、この合同部会で議論するなら、この5ページの表を、要するに私的年金のところが空いているわけです。公的年金のほうは5割確保とか、現在、6割強と書いてあるところは、私的年金のところが白くなっていますけれども、ここに何を書くのかということをもう少し詰めなくてはいけないのだと思います。それは、公的年金・私的年金を合わせて、例えば、現役時代の収入の何割を確保するのですよとか、もしくは将来このぐらい必要だから、それから逆算したら私的年金は、このぐらいないといけませんねとか、これはこれで大問題、大議論だと思いますけれども、こういうことを詰めて考えなくてはいけない。

 せっかくだから、年金部会と企業年金・個人年金部会で一緒に議論するというのは、結局、この5ページの表を全体としてどう完成させるかという話かなと思うので、せっかくなので、この辺の議論が、もし次回あれば、できればいいなと思いました。

 感想ですけれども、私から一言申し上げました。

 以上です。

○菊池部会長

 どうもありがとうございます。

 私からも一言、お許しいただければと思うのですが、まさに今、森戸部会長からお話がございましたが、今日は、年金の十分性という議論がなされましたけれども、何をもって十分かというのは、いろいろな議論ができますけれども、今の政策論議の中で、公的年金の不十分性を前提として、私的年金の在り方を議論、どう埋め合わせるかという議論、多分そういう議論の立て方はされていないわけでして、まずは公的年金で何とか所得代替率50%というベースがございますけれども、何とか知恵を出して、公的年金でそれを確保していく、そのための議論を積み重ねているというところでございまして、その上で、森戸部会長からもお言葉がありましたが、では、役割分担をどう考えていくかという、そこのところの議論を積み重ねていく必要があって、そこがまだはっきりしていないという、まさに5ページの右上は空いていますねという辺りが、そうなのなのだと思いますので、私もせっかくですので、今後、両部会でさらに議論を深める機会があればいいのではないかなと思った次第です。

 あと、もう一言お許しいただきたいのですが、年金教育に関して、今日、原田委員から損得論というお話が出まして、実は対話集会ですか、厚生労働省に入省したゼミの卒業生に、ゼミで対話集会を、数年前になりますけれども、やってもらったのですが、確かに持続可能性ですとか、若い人たちにとってもメリットがあるのですよというのはよく伝わってきたのですが、どうも損得論というのか、損はしないのですよと、どうもそういうニュアンスに、私には聞こえて、その点、実は先週、経済財政諮問会議で社会保障が議題になって、権丈委員が出席されたと思いますが、そこで年内の改革工程をまとめるということで、まだ素案ですけれども、年内にまとまる方向ですが、その中で、社会保障教育の一層の推進というのが入っています。これは、来年度に実施する取組として入っています。

 これは、実は年金制度改革ではなく、地域共生社会の推進という項目の中に入っています。その中には、重層的支援体制整備事業のさらなる促進ですとか、住まい支援の強化ですとか、その一環、1項目として社会保障教育の一層の推進というのが入っています。

 要するに、もちろん、シミュレーターの活用も、今度大いに進めていく必要があると思いますし、諸外国で金融経済教育、消費者教育、そういう側面からもやっていく必要があると、それはそのとおりだなと思うのですけれども、地域共生社会の推進という、これは、いわゆる経済的な意味での損得論ではない部分の項目に位置づけられていて、全社会議で、そのもとで推進せよと、そういうお達しでもあるので、これは年金局に対するお願いでもあるのですが、その観点から、今の年金教育の在り方というのを少し点検していただきたいと、お願いしたいと思います。

 すみません、少し時間を取りまして申し訳ございません。

 あとは、皆様からよろしいでしょうか。

 それでは、予定している議事は以上でございます。やや時間は早いのですが、ここまでとさせていただきます。

 今後の予定につきまして、事務局からお願いいたします。

○総務課長

 次回の議題や日程につきましては、年金部会、企業年金・個人年金部会、それぞれ、また追って御連絡をいたします。

○菊池部会長

 それでは、本日の審議は終了いたします。大変お忙しい中、お集まりいただきまして、本日はどうもありがとうございました。お疲れさまでした。

 

 

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