2017年4月18日 社会保障審議会企業年金部会確定拠出年金の

運用に関する専門委員会(第5回)

年金局企業年金・個人年金課

 

○日時  平成29年4月18日(火)10:00~12:01

 

○場所  厚生労働省 講堂(中央合同庁舎第5号館 低層2階)

 

○出席者

     森戸委員長、臼杵委員長代理、井戸委員、大江委員、重富委員、杉浦委員、清家委員、山崎委員

○議題

    (1)運用商品提供数の上限・指定運用方法の基準等について

    (2)その他

○議事

○森戸委員長

 皆さん、おはようございます。定刻になりましたので、ただいまより第5回「社会保障審議会企業年金部会確定拠出年金の運用に関する専門委員会」を開催いたします。

 お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

 山崎委員はもう少しでいらっしゃるかと思いますので、始めたいと思います。

 では、議論に入りたいと思います。

 カメラの方、もしいらっしゃいましたら、ここで退室をお願いします。

 

(報道関係者退室)

 

○ 森戸委員長

 まずは事務局から資料の確認をお願いします。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 それでは、資料の確認をさせていただきます。

 本日の資料として、資料1「確定拠出年金の運用商品の選択への支援」。

 資料2が、ちょっと長いので省略して申し上げますけれども、この専門委員会における意見等でございます。

 あとは参考資料1に本専門委員会の名簿があり、参考資料2が運用の改善についてという資料で、第1回目の配付資料ですので、基礎資料集としてごらんいただければと思います。

 資料の不備などはございませんでしょうか。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 では、議事に入りたいと思います。

 これまで4回ヒアリングを行ってまいりましたが、本日は、資料1「確定拠出年金の運用商品の選択への支援(運用商品提供数の上限・指定運用方法の基準等)」でこれまで出された意見等をもとに論点を整理していただいています。

 また、資料2「社会保障審議会企業年金部会確定拠出年金の運用に関する専門委員会(第1回~第4回)における意見等(運用商品提供数の上限・指定運用方法の基準)」で前回、それから第1回から第3回で出された意見等をまとめていただいたものに、前回第4回で出された意見等を追加していただいています。

 では、事務局より説明をお願いいたします。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 それでは、説明いたします。資料1をごらんください。「確定拠出年金の運用商品への選択への支援」というタイトルにしております。この資料は、今、紹介いただきましたとおり、論点について整理をしたものでございますが、タイトルをこのようにしましたのは、もともと政令、省令で定めるために本委員会で検討をお願いしています運用商品提供数の上限・指定運用方法の基準の措置のみならず、それに関連する対応策も多々御議論いただきましたので、それらもあわせて全体的に整理する趣旨でこのようなタイトルにしたものでございます。

 めくっていただきまして、論点の全体像というページがない紙がございます。こちらがこれから書いております論点の骨子、構造がわかるものでございますので御紹介しますと、大きく柱としては3つありまして、1つ目が運用商品選択への支援。これは運用商品提供数の上限を中心とする商品選択をしていただくための支援に関する論点でございます。

 2つ目が運用商品を選択しない者への支援ということで、運用商品を選択しないという人が存在することを踏まえた指定運用方法の基準その他の関連論点をまとめております。

 3つ目は、以上のいずれの論点にも共通する話として、運用についての支援強化ということで労使等、関係者の取り組みについて論ずるものとして挙げております。

 それでは、2ページ以降に入ります。

 まず、運用商品選択への支援という固まりの論点が3ページにあります。初めの3行にありますとおり、加入者が継続的に選択しやすくするための支援を行う必要があり、運用商品提供数の上限を定めるとともに、商品を提示する方法を工夫することが重要ということで、提供数の上限と商品提示の工夫、両方を挙げております。

 このうち1、2、3、4とありますが、1、2、3が提供数の上限に関する論点でございます。1が運用商品提供数の上限そのものでございまして、政令で定める上限を何本とするかということと、次のポツで、その上限を定めるに当たって、次の事項をどう考えるかということで、まず、運用商品提供数の数え方の問題、次に加入者の運用商品選択のしやすさというのは、上限を考える視点かと思いますが、挙げております。もう一つ、上限を考える視点となると思われる運用商品の適切な内訳・構成でございます。その他、政令での上限を定めるという必要がありますけれども、これまでのヒアリング等で議論がありました労使での主体的な運用商品の選定の問題、あと、上限を超える運用商品の除外が必要となるという問題、あと、個人型年金と企業型年金それぞれの扱いについて挙げております。

 2が、今、1で挙げたもののうち運用商品提供数の数え方の問題を取り出しまして、加入者による適切な選択等の観点から、どのような数え方をすべきかということを挙げております。

 3が、さらにそのうち商品除外の際の話でございまして、除外を円滑かつ適切に行うために、除外する商品の選定や加入者への情報提供等について実務上留意すべき点はあるかと掲げております。

 4が、本数そのものとあわせて、カテゴリー化など運用商品の提示について、選択しやすくなる措置を講ずることも重要であるが、どのようなものが考えられるかという形で論点として挙げております。

 4ページをごらんください。運用商品を選択しない者への支援でございます。まず、初めの3行の1行目ですが、本来は加入者自身で運用商品を選択し、運用を行うことが重要でありますが、2行目、運用商品を選択しない加入者は、適切な手続を経て指定運用方法、デフォルト商品において運用を継続することが必要と。ですが、3行目で、そういう加入者であっても、自身の指図による運用に早期に切りかえるような働きかけが重要と書いております。

 以下、1、2、3とありますけれども、1、2が指定運用方法そのものの論点でございまして、1が基準ということで、省令で定める基準をどのように設定するか。その際、法律の規定に照らして不適格な商品はあるかということを挙げております。

 2が指定運用方法の適用に当たっての留意点ということで、指定運用方法が適用されると本人が指図を行ったものとみなされるけれども、加入者保護の観点から、運営管理機関や事業主はどのような対応を行うべきかということを挙げております。

 3が運用の指図をしない者への継続的な対応ということで、指定運用方法の基準そのものとは別に、指図をしない者に対して指定運用方法を適用するまでの間のみならず、適用後に継続的にどのような働きかけをするかという論点とさせていただいています。

 マル3が運用に関する支援強化で、労使等の取り組みということで、主体的な運用を支援するために、運用商品提供数やその選定、指定運用方法の設定、投資教育等々に関し、労使や運営管理機関等の取り組みはどのようにあるべきかということを挙げさせていただいております。

 以上が論点でございまして、これから各論点に関連する資料を出させていただきまして、議論の参考として見ていただきたいと思います。

 5ページ以降が上限に関する資料でございます。6ページがその1枚目ですが、運用提供数の上限そのものに関するものとして、6ページはこれまでの意見などを整理しております。1つ目の○で、2行目ですけれども、上限数によっては商品除外が多くなることをどう考えるか。また、政令で上限を定めることとは別に、労使で適切な提供数を考えたいとの意見があったけれども、加入者属性や特性を踏まえて労使で定めることについてどう考えるかでございます。

 次の○が、具体的な提供数につきましては、ヒアリング先からは、ちょっとかいつまみますけれども、例えば20本程度、30本から40本程度等々の意見があった。委員からは、例えば30本や40本では多過ぎて選びにくくなるとか、多過ぎないと選びやすい等の意見があったところでございます。

 そういうこともありまして、事務局で提供数ごとに運用の指図を行わないという加入者行動がどうなっているかについて調査をいたしましたのが7ページ以降でございます。

 7ページは、その調査の結果の前に、どういう調査をしたかを書いております。細かい字で恐縮です。概略御説明しますと、3行目ですけれども、ことし1月時点で不指図となっている人の数などを調べているのですが、不指図が何かといいますと、加入者自身が運用指図を行わず、現行での通知の運用でのデフォルト商品が適用され、その後一度も指図をしなく、デフォルト商品が適用されたままのものを不指図と呼んでいます。なお、ここで出てくる不指図者の中には、デフォルト商品の商品に運用指図を行いたいとみずから思っている人が指図しなくてもそのまま適用されるので、意図的に不指図者になっている者も、数はわかりませんが、存在することは想定されます。

 このデータのもとですけれども、記録関連運営管理機関、レコードキーピングの3社の企業型年金のデータでございます。事業主ごとに運用商品提供数とか不指図者の数などを入手して集計を行ったものです。なお、記録関連運営管理機関は4つありますが、残り1つの日本レコード・キーピング・ネットワーク株式会社につきましては、指図が行われた後のデータのみを取り扱う運用のため、その以前の段階でどこまで不指図であったか見分けがつかないので、そのデータは除外をしております。

 次のポツですけれども、この不指図者の数などについては、加入後3カ月が経過した人を対象としております。いろいろ初めの手続等があり、大体落ちついて、それでもなお不指図のままということで確定したのかなと思いまして、その期間をとっております。

 運用商品数が出てきますけれども、これはばらばらに数えております。

 8ページをごらんください。今の調査で運用商品を選びにくくなる運用商品提供数があるのかということで、不指図者と提供数の相関関係を見ましたところ、以下のとおりでございます。下の表をごらんいただきますと、まず右下に不指図率の平均です。不指図になってデフォルトが適用されている率、そういう意味で全加入者ではないですけれども、276万人分のうち平均の15%が不指図であると。本数の帯ごとに見ますと、当初10%台なのですけれども、36本以上のところで28%と急増しております。そういうことがこのデータで見えてまいりました。その後ずっと2割以上になっているということでございます。

 9ページでございます。今度は上限を考えるに当たり、運用商品の資産クラスごとに見る視点が意見にもありましたので、運用商品の種類と提供数についても事例を調べたものでございます。A社からF社まで企業型年金の例でございますけれども、これを見ますと運用商品の構成や提供数は多様でありまして、さまざまな加入者属性等を踏まえて実情に応じて設定することになっていると思われますが、それがあらわれているかなと思います。A社ですとパッシブ中心で1桁、B社、C社が10本台、D社が22本、E社が37本、F社が41本ということで、このようにさまざまなバラエティーに富んで、資産クラスも大体同様ながらもアクティブとパッシブをどれだけまぜるかとか、それについてはさまざまな本数構成がなされております。

11ページをお開きください。上限に関する最後ですが、個人型年金と企業型年金の上限と書いております。これまで主に企業型のデータなどを中心に出してきておりますけれども、個人型についても議論する必要があるということで議論いただいてきましたが、個人型については企業型より多いほうがいいとか、規制が要らないといった意見があった一方で、競争が働くので一つの運管には全てがなくてもよい等の意見がありました。他方で、提示されたものを選ぶという局面は同じという意見もございました。これも御議論いただければと思います。

 以上が上限ですので、これを踏まえて御議論いただければと思います。

12ページが上限に関連しますけれども、その前提となる数え方でございます。これもかいつまみますけれども、加入者による適切な選択等の観点からどうすべきかというふうに記述させていただいております。3つ目の○をごらんいただきますと、ヒアリング先及び委員からは、満期の異なる定期預金とか、バランス型投資信託等パッケージ(シリーズ)はまとめて1本と数えてはどうかという意見もありました。一方で、一本一本は別々に数えるべきという意見もございました。提供数を考える場合には、情報提供や除外時の取り扱いについて課題がある等々の視点が考えられまして、具体的には13ページ以降で御説明します。

13ページをごらんください。特に今言いました課題ということにつきましては、13ページの2つ目の○でございます。満期の異なる定期預金とかバランス型投信のパッケージ(シリーズ)を、今はばらばらですけれども、仮に1本で数えるようにした場合には、加入者への情報提供について、このようにまとめて1つの情報提供ということでなされることになりまして、本人は結局そこからどれかを決めなければいけないということになるかと思います。あと、除外につきましても、まとめてしまうと、まとめて除外することになるという点について整理が必要と考えられるとさせていただいております。

 一方、次の3つ目の○ですけれども、ターゲットイヤー型のように基本的に加入者が選択するものが一意に決まるものについてはどのようにすべきかと書いております。ターゲットイヤーは、退職時のライフイベントの年の償還に向けてリスクを変動させて仕組まれた商品でございますけれども、運用が終わる年を分けて2020とか2050というふうに提供されていることが多いかと思います。ということで、これは退職する人によって、要は年齢によって決まるので、一意に決まるのではないかと思われます。

 なお、こういう数え方の問題は、最後の○ですけれども、指定運用方法に指定する場合にもまとめて指定されることになるということがあることにも留意するということを書いております。この場合、ターゲットイヤーにつきましては、運用方法で設定する場合にもまとめて設定すれば、その人にとって2020、2050、どれが可能かというのが一意に決まるので、まとめて指定運用方法としてやるということは現実的ではないかと思われるところでございます。それと、事務局のほうでそう考えることを示しております。

14ページをお開きください。これは商品除外という手続についての実務上留意すべき点でございます。14ページは商品除外についての仕組みを書いたもので、○の1つ目、2つ目にありますとおり、従来、商品除外する場合には、運用している人全員の同意が必要でありましたけれども、法改正で今回、提供数の上限を決めるので、それを超えると除外していかなければいけないので、それに資するように3分の2以上の同意というふうに緩和したところでございます。それでも商品除外というのは非常に負担が大きいという御意見もあったので、手続について実務的な検討が必要と思われます。

15ページをお開きください。商品除外の手続について、法令の定めなどを踏まえながら、手続のイメージを事務局のほうで書いてみました。法令上は、運用商品の除外は運営管理機関が決定し、指図している加入者に示すのですけれども、現実には、1ポツにありますとおり、運管が労使合意を踏まえ、労使とも協力しながら決めて、周知するかと思います。

 2ポツ目にありますとおり、除外する商品を運用している加入者等について通知し、同意の取りつけを行うことになります。

 3ポツ目で同意がとれたら、その旨を知らせて除外する時点を決めるかと思います。その時点までにほかの運用商品へ指図を変更するよう、いわゆるスイッチングですが、お願いするということで、期限が来ましたら除外をする。

 4ポツ目にありますとおり、期限が来たときに指図の変更をしていなかった人の分は、基本的に現金となってしまうということになります。

 上記の流れの中で、最後の○ですけれども、商品の選定や加入者等への情報提供といったところについて、どのような実務上の工夫が考えられるかと提示させていただいております。

16ページをごらんください。ちなみに今回、政令で上限を決めますけれども、除外という手続を行っても商品提供数を減らせなかった場合の扱いでございます。経過措置で施行から5年の範囲内で減らしていくことをすればよいことになっていますけれども、その期限までにもできなかった場合については、法令上の上限を超えていますから法違反となりまして、指導の対象となります。

 3つ目の○ですけれども、違法状態の解消を働きかけ、それでも改善されなければ改善命令といったことが想定されますし、さらに違反が悪質であれば、必要に応じて規約の承認取り消しとか運営管理機関の登録取り消し等の処分を行うことがあり得るという法令の仕組みとなっております。このように除外の重要さを見ていただければいいと思います。

17ページはその関連の規定ですので、御参照いただければと思います。

18ページが上限についての対応策ではあるのですけれども、上限そのものとあわせてカテゴリー化など運用商品の提示について選択しやすくする措置についてどう考えるかということでございます。この場での御議論でも、上限をどうするかという御議論とあわせて、わかりやすい提示がいかに重要かという御議論もいただいたと思いますので、それを大きな論点として掲げております。

 2つ目の○にありますとおり、運用商品の選定理由を示すといった場合にも、個別の運用商品の推奨という法令上禁止されているものとの関係には留意しなければいけませんけれども、個々の運用商品の選定理由は今でも説明する義務がありますが、あわせて運用商品の全体構成に関する説明、ラインナップの構成についての説明を充実させていく必要があるかと思います。また、その提示や情報提供の仕方そのものも工夫する必要があるということが考えられると提示されております。

 下の考えられる例は、これまで出たもの、ヒアリング等で紹介されたものなども参考にしながら、あくまでも例を示したもので、例1にありますとおり、4資産別、パッシブ・アクティブの区分を示したり、例2にありますとおり、パッシブ運用のものを一くくりにして基本的な運用商品、その他を応用的なものと示すこととか、例3は、手数料の話も重要な情報ですので、一覧を並べる際に手数料も一覧の中にきちんと入れて示すということも入れております。

 具体例のイメージが19ページでございまして、左上のものが資産別とかタイプ別に分けた分類で、具体的にこの商品がこの中にぶら下がるかと思うのですが、あと、右のところがちょっと見にくくて恐縮ですけれども、パッシブのものを基本商品と整理して、それ以外の応用としたものの例とか、左下は、一覧を掲げる中で手数料を一緒に掲げることで、手数料が比較できるようにするということを例として挙げております。

20ページは、現行求めている情報提供の内容でございまして、簡単に言いますと、施行規則20条、真ん中よりちょっと上のところにありますとおり、今は、20条の1行目の右のほうに「運用の方法ごとに」とありますので、運用商品別には情報提供する義務がありますけれども、商品全体の構成を情報提供するということは必ずしも明確になっていませんので、そこも含めて提供することの促しは重要かなと思ったところでございます。

 商品の選択への支援については以上でございます。

21ページ以降は選択しない人への支援に関する論点の資料でございまして、まず、指定運用方法の基準に関する資料が21ページ以降でございます。

22ページをお開きください。指定運用方法の基準を定めることを求めている法律の規定の説明でございます。23条の2、2項に、指定運用方法は、長期的な観点から、物価その他の経済事情の変動により生ずる損失に備え、収益の確保を図るためのものとして省令で定める基準に適合するものでなければならないという規定となっております。

 この説明ですが、このように、この規定は、運用商品の内容ではなく指定運用方法が目指す目的を定めております。それを踏まえて基準の検討が必要なのですが、長期的な観点等の目的のところを多少解説しますと、長期的な観点というのは、制度として基本的に60歳までの間、継続して運用するという趣旨でございまして、実際には年齢により運用期間はさまざまであります。

 あと、物価その他の経済事情の変動により生ずる損失であります。物価とありますので、物価上昇リスク、いわゆるインフレリスクが考えられますし、そのほか金利リスク、為替リスク、価格変動リスク等、さまざまなリスクが想定されます。実際、リスク許容度も個人によって異なるかと思います。

 最後の収益の確保は、年金制度であるということから当然に、老後に向けた所得確保が必要なので、一定の収益の確保を期待するものでございます。この場合、期待される収益の水準は多様でございます。他方で、手数料によっては収益の確保が図られない可能性があることも留意した上での収益の確保が必要かと思います。

23ページをお開きください。基準を考えるに当たりまして、実際の具体の商品の種類を踏まえた御議論をされてきましたが、改めてこちらで元本確保や分散投資効果に期待できる運用商品、それぞれのメリット等の整理をさせていただいております。かいつまみますと、左2つ、定期預金と保険が元本確保商品ですけれども、商品特性としては、元本が保証されるということでメリットとなっていますが、留意点としては、インフレリスクに対応できない可能性があるということでございます。

 右3つが分散投資の商品でございますけれども、いずれも元本確保よりも大きなリターンを得られる可能性があるということで、その分散投資効果が見込まれる。他方で、元本を下回る可能性はあるということ。右3つにパッシブ、アクティブ、ターゲットイヤー型を並べましたけれども、右のターゲットイヤーはメリットのところにありますとおり、退職年に向け、自分で配分を変更しなくてもよい利点がさらにあったり、留意点の中で、アクティブとターゲットイヤーはパッシブよりは高い信託報酬になる傾向があるというところの留意点を書かせていただいております。これを参考にしていただければと思います。

 今は定性的に整理しましたが、24ページ、25ページで、元本確保型なり分散投資が求められる商品、つまり投資信託なり、それぞれをデフォルト商品と設定することについての効果、機能、問題点等について、これまで出された意見をまとめましたので、再掲になりますが、ごらんください。簡単に紹介しますと、元本確保型は、例えば中途採用、転職時の資産管理の受け皿とか高齢者の受け皿となっている等々の使われ方の紹介とか、3つ目の○にありますとおり、リスクをとってまでふやそうというよりも、減らさずにおきたいという意識の場合もあるということなどの説明があります。

25ページでございますけれども、投資信託については、インフレに対応できる、リスク分散がきくという利点の紹介がありましたし、実質の収益率を考えたらリスクプレミアムが正である確率が高いという御紹介もありました。ということで、それぞれの御議論があったところでございます。

26ページは、今の投資信託に代表されるような分散投資による効果を改めて整理したものでございます。多分に皆さん御案内の内容ですが、確認の意味で書かせていただいております。複数の異なるリスク特性を持つ金融商品に分散して投資することでリスクを軽減させ、安定的なリターンが得られるようにするというものが分散投資でございまして、その利点は認められているところでございます。このグラフにありますとおり、価格の動きが打ち消し合いまして、リスクを減らすことができ、中長期的にリターンが見込めるということでございます。

27ページが、分散投資の場合と元本確保型投信を運用した場合の運用利回り比較を事務局のほうでしてみたものでございます。ちょっと細かいデータで恐縮ですけれども、これは青が4資産均等の分散投資、信託報酬が2種類あります。赤が株式・債券、2種類の投信ということで、これも信託報酬を2段階に分けております。緑が預金ということでございまして、これは4つ何が違うかというと、運用期間を変える、つまり起点を変えていまして、図1が30年、図2が25年、図3が20年、図4が15年間のものになっていますし、起点のどういう時代だったかによっても状況が違います。

 例えば図3は株価が一番高いところが起点なので、株式・債券のところは高いところから推移していくのでほかの図よりも上に行っていないとか、あと、図1と図2、古いほど預金は高いですけれども、図3、図4とかになると、図4だとなおさら、今、ほぼ預金の利回りがゼロに近いところということとなっておりますし、投信のリターンのほうが高くなって見えます。ということで、時期によってさまざまですけれども、一般的なものとして比較を見ていただければと思います。

28ページが、先ほどの法律の説明の中で収益の確保を考える場合に手数料の問題があるという関係で、信託報酬の影響を出させていただいているものです。40年間一定の前提で運用した場合の信託報酬の1%の差がどれだけ影響するかということでございまして、40年後には、これは2万円とか一定の前提を置いたものですけれども、208万円ということで約5倍になっているということでございます。

 以上が指定運用方法の基準そのものに関連する資料でございました。

29ページをごらんください。これは適用に当たっての留意点でございます。加入者保護の視点から、運営管理機関や事業主はどのような対応を行うべきかということで、これまで当委員会でも指定運用方法を指定された場合の運管とか事業主の受託者責任、説明責任等の問題がありました。こちらは改めて、29ページが法律の趣旨を整理したものでございます。指定運用方法が適用された場合には、法律上は、加入者が運用方法を選択し指図をしたものとみなされます。指図していませんけれども、みなされるという法律構成をとっております。そういうことも背景に、法律では、適切な手続を経ないまま適用されると、本人の指図権が侵害される可能性があるので、適用の適切な手続を法定したものでございます。下にありますとおり、一定の期間、本人においてから通知等をするということで慎重に手続をした後に適用させることになっております。

 これに関しまして、説明責任などの関連でセーフハーバールール、すなわち事業主、運管等の免責の定めを置くか置かないかという意見がヒアリング等で出されておりましたけれども、それはアメリカのセーフハーバールールを想定した御議論かもしれませんので、下に※でアメリカの例を説明しております。アメリカは、デフォルトにつきましては、適格デフォルトというのが規則でありまして、それを設定した場合に加入者自身によるコントロール行使があったとみなされます。加入者自身によるコントロール行使があったというのはERISA法上の仕組みでございまして、それがあった場合に、それにより生じた損失については、事業主など受託者側は責任を負わない、と規定されております。このように、ERISA法上、加入者自身によるコントロールがあったか否か、それによっての損失責任の所在を明確に書いております。ただ、選定する際の責任等は免れないので、選定で問題を生じたら、そこでは責任は果たさなければいけないのですけれども、このような構造になっていますので、日本との法律の構造の違いはあるのかなと思ったところでございます。

30ページがデフォルトについての新しい法改正後の規定ですので、参照ください。よろしくお願いいたします。

30ページ、24条の2だけ確認いただきたいと思うのですけれども、デフォルト商品についての説明義務です。運管がデフォルトを設定した場合には、24条の2の1から4号にありますとおり、利益の見込み及び損失の可能性や、その選定理由、手続の後、本人の指図とみなされる旨等々のことを情報提供する義務がありますので、この説明責任は最低限課されております。

31ページをごらんください。これは現行の法律改正前の通知上のデフォルトの規定でございます。現在でも通知でこのように規約により設定が可能となっておりますが、4の最後の(3)、下のほうをごらんください。加入者等に定期的に情報提供すべきということを書いておりまして、これは運用指図が常に必要だということの働きかけとあわせて、マル3、デフォルトで損失が生じた場合には、その責任は加入者等本人が負うことということも、本人に情報提供するように今でも通知で求めております。

32ページでございます。今のような法律の規定等があるのですけれども、やはり運営管理機関等の受託者責任を踏まえますと、加入者保護をする観点からは、手続上、何か取り組みが考えられるかということで事務局から例を挙げさせていただいております。

 例1は、仮に投信のようなものを選定した場合に必要なものとして、それにより生じた損害は加入者が負担することを情報提供するということを、指定運用方法について情報提供する際にあわせて情報提供することが考えられるかと思います。今、見ていただきました現行の通知でも求めていることでございます。

 例2が、仮に元本確保型商品を選定した場合につきましては、元本確保型商品はインフレリスクで価値を下げる可能性もあるので、そういう機会損失が生ずる可能性がある旨を、これも情報提供の中で伝えることが考えられることかと思います。

 例3が、どういう商品かにかかわらず、全加入者からの確認を得るよう推奨してはどうかということを提示しております。指定運用方法が適用される旨を理解したことの確認を本人からとるということでございます。指図をしない人なので、なかなか理解されているかわからない点があるのですが、ただ、重要なことでありますので、みずから選択しないとデフォルトの適用になるということを本人が理解したという確認をとることを、いろいろな機会を利用してやってはどうかということを書いております。

33ページをごらんください。これは運用の指図をしない者への継続的な対応ということで、デフォルト商品の基準とか説明責任とは別に、デフォルトを適用するまでの間だけではなく、デフォルトを適用された後も継続的な働きかけをしてはどうかという論点でございます。これは現状でも、運営管理機関等から加入者に対しまして働きかけが行われております。今後もデフォルトの制度が施行され、適用される場合であっても、投資教育とか資産額通知等の機会を利用しまして、運管や事業主から働きかけを積極的に行うことが適当かと思われて、提示しております。

 左下は、これまでヒアリングとかでお聞きしましたとおり、運管等による本人へのさまざまな働きかけ、投資教育の場面とか残高通知の場面でさまざまな運用指図ができることの働きかけなどをやられているということがわかっております。

 右のグラフは、先ほど本数のところで示しました不指図率のデータを使いまして、事業主におけるDC制度ができてからの経過年数ごとの不指図率がどうなっているかということで、でこぼこはあるのですけれども、おおむね経過年数がたっている企業ほど不指図率が低目になっているということで、もっと下がればいいかと思いますが、やはりさまざまな取り組みによって不指図率は下げることができるということは期待できるかと思います。

34ページをお開きください。今の話の続きでございまして、特にこの不指図の状況は中小企業ほど、事業主規模が小さい企業ほど高くなっておりますので、こういうところほど投資教育などの働きかけが重要ではないかということを提示しております。不指図率15%という全体平均に対しまして、例えば99人以下の企業では26%と高くなっております。中小企業はみずからの力だけでやるのは難しいというのはヒアリングでも出てきましたけれども、一つの例として、○のところに書いております。現在、企業年金連合会におきまして、今回の法改正によって企業の委託を受けて共同で継続投資教育を行うことができるようになりましたので、まさにそういう中小企業向けの継続投資教育を今、取り組もうとしております。こういうものも利用いただくことは有用なのではないかと思い、例として書かせていただいております。

35ページでございます。これは今、言いました投資教育の重要性というものは中小企業を含めありますし、これまでのこの委員会の議論でもございましたので、現行の投資教育が努力義務になっているということと、通知でどういう投資教育を求めているかということの内容を整理しましたので、御参照いただければと思います。

 資料1は以上でございます。

 資料2は簡単な御紹介だけにします。これは前回も出しましたこれまでの委員会における意見などをこのことでまとめたものでございます。それに前回出た意見を加えましたので、ちょっと御参照でと思います。

 前回は、例えば上限について、9ページの2ポツ目以降が前回いただいた意見ですけれども、アクティブの扱いとか、構成からどのような本数が導き出せるか等の議論がありましたので、そのあたりの議論を加えたりしております。

 あとは、ヒアリングを前回、運営管理機関連絡協議会からしましたけれども、18ページに前回ヒアリングした運営管理機関連絡協議会からの意見、説明などの内容を書かせていただいております。

 その他ありますけれども、残りは省略しますが、御参照いただければと思います。

 資料のつくり方について、前回指摘いただきましたものを踏まえまして、「ヒアリング先の意見等」という緑の枠で囲ったタイトルがある部分につきましては、ヒアリングですので、意見を出された団体の名前は入れております。委員の意見につきましては、名前を入れないままとさせていただきました。これは議論の御参照にと思いましてつくったものでございます。

 説明は以上でございます。これも踏まえまして、きょうは忌憚のない意見交換をいただければと思います。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 それでは、ただいまの説明も踏まえまして、委員の皆様から御自由に御発言いただきたいと思います。運用商品提供数上限の話と指定運用方法の基準の話、大きく2つあるわけです。結局両方にかかわる話でリンクしてくるとは思うのですけれども、一応、運用商品提供数上限の話から始めることにしたいと思います。その後、指定運用方法の話と。ただ、結局こちらの話も出てきてしまうねということもあると思いますので、それはそんなにうるさく申し上げるつもりはございませんが、一応、運用商品提供数の話からということで順番にやらせていただければと思います。

 それでは、どなたか、いかがでしょうか。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 済みません。補足で、御議論の始めのときに申しわけございません。説明で今、言い忘れましたけれども、資料1の論点、初めのほうに戻っていただきまして、御説明を忘れました。3ページ、4ページで、例えば3ページの上のほうの1の1ポツで「(政令)」とあります。政令、省令で定められるべきことは、政令、省令というふうに括弧させていただいていまして、これはこちらで御議論いただいたものを踏まえて政省令に事務局のほうで定める必要があるものです。それ以外のところもいろいろな措置を議論いただくような論点になっていますけれども、それ以外のところは、例えば通知とかで何かを促すとか、指南するということがあり得るかなということで、措置について多少ツールが異なるということも付言させていただきます。それも踏まえまして、御議論いただければと思います。

 申しわけございません。以上です。

 

○森戸委員長

 資料1の3ページ、4ページですね。政令とか省令で少なくとも絶対というか、まず決めなければいけないことは括弧して、ここに書いてもらっています。しかし、ほかの話も当然絡みますし、ここであわせて御意見いただくのはもちろん構わないということでお願いしたいと思います。

 では、運用商品提供数上限の話からということで、どなたか御発言ありますでしょうか。

 山崎委員、お願いします。

 

○山崎委員

 運用商品の上限数の話と絡めての商品提供数の数え方問題、多分、私が最初に言い出しっぺのような気がしますので、その話からコメントというか意見をさせていただきます。12ページと13ページです。

12ページと13ページの整理の中で、どちらかというと13ページだと思いますけれども、ターゲットイヤー型の商品に関しては、一商品として、要するに同じ運用方針にのっとった商品なのだけれども、保有する方の生年月日等で違う商品を買っているわけなのですが、実質としては同一の運用方針のものを買っている。それは多分一つのグループに数えるのが適当なのかなというのは、一番最初にも申し上げたとおりで、そのとおりでよろしいのではないかと思います。

 一方で、バランス型ファンドのスタティックな株式30、50、70とかいう商品を一本にしたり、あるいは定期預金の1年、3年、5年を一本にしてしまうと、これはそうすると指定運用方法に1と数えてしまうのもちょっとおかしな話ですし、除外のときにもまとめて全部外さなければいけないのかみたいな問題が出得るということが論点として指摘されて、それは全くそのとおりだと思いますので、数え方問題の中で仮にグループとして1と数えてよさそうなものは、ターゲットイヤーに類するものにする、というのは整理としてはわかりやすいのかなと思いました。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 数え方のお話からいただきました。数え方の点は、私が思うに、今、山崎委員がおっしゃったように、ある程度、これを一緒にしてしまうのはひどいよねと、これは分けなければいけないよねというのはもちろん合理的な幅はあると思いますが、結局、数え方が何で出てくるかというと、この後、より重要な話として出てくる政令で上限を決めるという話があるから、上限を決めるなら数え方を決めなければねという話なので、ある意味、数え方は大体こういうことにしようねと決まれば、要するに道路で右側通行か左側通行かではないですけれども、数え方を決めて、もしこういう数え方をするなら上限はこのぐらいなければいけないよねと。例えばこれを全部まとめて数えるのだったら上限はもうちょっと少なくていいよねとかいう話だと思うのです。

 もともとは上限をつくられるという話で、だったら本数をもうちょっとまとめて数えてくれよという話が出たと思うので、これはある程度合理的な、つまり論理的に絶対これが正しいというものがあるとも思えないので、あとは法律上除外のときにどうするかとか、指定運用方法をどうするかということとの関連で、ある程度こうなるのではないかというのを12ページ、13ページで整理していただいたと思うのです。

 数え方のことは、ある程度ルールを決めれば、それは上限との絡みで決めなければいけない話ですので、余り論理的に正しいとかいうことを突き詰めてもしようがないかなと個人的には思っています。今、山崎委員がおっしゃったような方向が大体この整理のとおりですので、よろしいかなと思いますけれども、そのように一応、一言コメントをしておきます。

 今、数え方の点からいただきましたが、そこも含めて上限の話について、いかがでしょうか。

 では、臼杵委員。

 

○臼杵委員長代理

 ありがとうございます。

 まず、今の数え方については、委員長がおっしゃったとおりで、ターゲットデートをばらにして数えるのだったらその分上限をふやせばいいということかなとは一応思います。

 ただ、それはそれとして、商品数の上限の数え方と情報提供とか商品除外のときに一本にするかどうかも、一緒にする必要もないのかなという感じはして、仮に上限の一本と数えるとしても、除外のときはそれぞれ同意をとりなさいとか説明をしなさいという決め方もできるので、余りそこは厳密に考える必要もないのかなと思います。

 ほかのところで順番に申し上げますと、8ページの不指図率のグラフはすごく参考になって、どうもありがとうございます。ただ、1個気になるのは、後のほうで、たしか企業規模別の不指図率みたいなものが出ていたと思うので、その影響とか年数の影響がこのグラフに入っていないのかどうか。入っているのかどうか。つまり、例えばP8の表からざっと計算したら、私が手計算で計算すると、商品数15本までのところで加入者数を事業者数で割ってみると200人行かないのだけれども、もうちょっと上のほうに行くと300人とか600人とかになっているので、企業規模の影響がこのグラフに入っているような気はします。なので、厳密に言うと重回帰分析して不指図率を被説明変数としてとか、説明変数を企業規模と商品数と経過年数の3つでやると、それぞれきちんと分けられるとは思います。ただ、それが若干大変。私がやってもいいのですけれども、例えばクロス表みたいなものをもうちょっとつくってみるとか、3つの項目でそれぞれ規模別と商品数とクロス表にしてみるとか、そういう形でもう少しここは厳密にできるのかなという気がします。ただ、いずれにしてもすごく参考になりました。

 それから、9ページ、10ページ、これもヒアリングのときに出てきた実際の例なので、重要な例だとは思います。ただ、これで気になるのは、1つは、これは何度も議論に出ているけれども、今ある制度と新しい制度とで、もちろん経過措置みたいなことなのかもしれませんけれども、商品数の上限は分けて考えることもできるのかなと思うということが1つと、例えば10ページにあるところで、株式のアクティブファンドを、D社だったら国内株だと3本とか、E社だったら6本とか入れているのですが、後で選定理由をちゃんと説明しなさいというところが18ページにも出ているのですけれども、個々の運用商品の選定率。例えばこういうアクティブファンドをきちんと選んでいるかどうか。要するにアクティブアルファがとれるファンドなのかどうかというのを考えて選定している、そういう選定理由が本当に説明されているかどうか。もしそういう例があれば、あるいは説明していない例があれば、教えていただきたいなと思います。

 そこはある意味ではアクティブアルファアクティブリターンがあがらないということは、元本損失に近いような、要するにインデックスに対してリスクをとって、マイナスになっているということなので、それはそれできちんと責任を負って、説明責任があるのだろうと思います。

 本数に関しては、とりあえず以上です。ありがとうございました。

 

○森戸委員長

 事務局から、今の臼杵委員に対していかがですか。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 今ありました運用商品の選定理由の説明の中でアクティブについては個々にどこまで説明しているのかという御質問ですけれども、残念ながら、申しわけないのですけれども、個々にどういう説明をしているかまで行政のほうに必ず運管とかから提出させて、チェックしているということ、なかなかそういう届け出をするようになっていません。もちろん個々に何か問題があれば、個別に指導というのはあり得るのですけれども、網羅的にこちらが個々の説明の内容までを聴取しているという形はしていませんので、ちょっと済みません。わかりかねます。申しわけございません。

 

○臼杵委員長代理

 ありがとうございます。

 1点つけ加えになりますが、もう一つ懸念しているのは、森戸先生も前におっしゃったように、本来は少ないほうがいいとわかっているというか、ある程度、多いのはまずいとわかっているのだけれども、取引関係とかそういう中で何となくふえているということもあるのかなと。その辺、選定理由みたいなものをもう少しちゃんと説明するような仕組みはあってもいいのかなと思います。

 

○森戸委員長

 取引関係云々が私の意見かどうかは別として、(笑声)いずれにしても、今のは選定理由に取引先なのでとは絶対に書いていないですね。だから、調べても出てくる話でもないですね。

 

○臼杵委員長代理

 だから、例えばアクティブファンドであれば、その理由をちゃんとあるかどうかを、もし取引関係だったら説明できないわけですから。

 

○森戸委員長

 そうですね。おっしゃるように、一応このメニューの中にこういうファンドが入っている理由をちゃんと説明しているはずなわけですから、それは本当は本数の話の以前の問題として、どこまで役所がチェックするかという話はありますけれども、ちゃんとしていなければいけないのではないかというのはおっしゃるとおりですね。

 それから、先ほど臼杵委員がおっしゃったのは、例の今回初めて出てきた8ページの不指図率のグラフの関係ですが、これと34ページの企業規模のデータともうちょっと一緒になったような。

 

○臼杵委員長代理

 そうです。

 

○森戸委員長

 この34ページだと、要するに企業規模が小さいほど不指図率が高いのですが、それと8ページの話で、本数が多いとやはりふえるという、これが結局どちらかに偏ってしまっているのではないかということですか。

 

○臼杵委員長代理

 わかりませんけれども、割と真ん中が低くなっていますね。一番左が結構高くなっているのだけれども、これは企業規模が小さいところが一番左のほうにあるのかなということです。

 

○森戸委員長

 なるほど。そういう推測ということですね。わかりました。いずれにしても、この2つのデータからもうちょっと細かいデータがもしつくれれば、お願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 やってみたいと思います。

 

○森戸委員長

 ほかの方。

 では、井戸委員、お願いします。

 

○井戸委員

 ありがとうございます。

 今、8ページと34ページの事業主の規模の差のお話なのですけれども、これは推測なのですが、これは運管の説明の差というのがすごく大きいと思います。なので、一番初めに御議論いただいたように、企業型と個人型はまず分けて考えたほうがいいだろう。企業型を参考にしながらシンプルな資産クラスに分けて、シンプルな商品を選ぶ。多くなれば、アクティブがだんだんふえてくるわけですね。だから、加入ニーズを狭めないということも大切なのですが、もしアクティブとかふやしていくのであれば、運管さんもいろいろ御苦労されて、工夫されて、いいものにされていらっしゃるのだと思うのですが、ある程度、運用商品の提示の見せ方が大切かと思います。18ページ、19ページでわかりやすくお示しいただいているのですけれども、もう一度ガイドラインみたいなものを、絶対これだけはというのが要ると思うのです。

 私は実感するのが、一覧表にして、まずカテゴリーと、資産投資先はどこか、それから信託報酬は幾らなのかというのは最低限のことなので、一覧表に、しかも手数料が安い順にしていただくとか、加入者が気づきやすいようにしていただきたいです。

 ある運管さんの例なのですけれども、例えば19ページだと個別タイプとパッケージタイプとなっていますが、個別タイプのことを一品のお料理みたいにして、パッケージは詰め合わせ、定食みたいなものなので、いろいろ組み合わせて注文していくわけですね。定食のほうは、例えばA、B、Cとあって、Aは先進国だけとか、Bは先進国とちょっと新興国が入っていますよとか、株の量がどのぐらいですよと、さらにもうちょっと細かくメニューを分けていっているのです。それによって御自身のリスク許容度などを簡単に確認し、その点数と年齢を掛け合わせて、こういうタイプはどうなのだみたいなものをお示しされているのです。それが全部にできるかというと難しいかもしれないのですが、ある程度こうすれば運用のことを御存じない従業員の方も受け入れやすいというのをお示しいただけると、運管さんの差が少しは縮まるのではないかと思っています。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 今の井戸委員のお話は、主として工夫といいますか、見せ方の工夫という話だったと思います。それに絡めて、私なりの整理ですけれども、この運用商品提供数の上限の話というのは、最初に課長から説明があったのですが、政令で決めなければいけない上限数をどうするかという話があって、プラス、見せ方の工夫をするというのもある。その上限数を決め、かつ見せ方をできるだけ工夫することにより、選びやすくする。結局、今、議論しているのは、選びやすくするためだと。選びやすくするというのは、要するにこのDC制度は基本的に、いわゆる自己責任で加入者が自分で運用先を選ぶ制度だから、それがちゃんと自己責任を果たせるように選びやすくしなければいけないのだと。選びやすくするための方法として大きく2つ、政令で決める上限数と、それから見せ方の工夫をどうするかという話で、工夫のほうは解釈通知とかもうちょっと下のもので決まるのだと思いますが、そういうつくりで議論するという枠組みになっています。もちろんこの枠組み自体にも御意見あるかもしれませんけれども、なので、上限数だけで全部話を片づけようとしているわけでもなく、見せ方の工夫だけで片づけようとしているわけでもなく、これをセットで考えるということです。決めなければいけないのは政令の話ですけれども、全体で議論するという枠組みに今、乗っているのではないかと理解しております。

 井戸委員の今のお話は、主として工夫、見せ方のほうの話だったかと思います。これは今後また、現場を御存じの方にいろいろアドバイスもいただかなければいけないのではないかと思います。

 では、清家委員、お願いします。

 

○清家委員

 ありがとうございます。

 デフォルトと比べて商品数の上限は政令で定められるということで、もちろん運管さんの問題はありますが、事業主の立場から申し上げますと、やはりDC規約の最終的には承認にかかわる極めて重要な問題だと思っておりまして、いろいろな御意見があるかと思いますが、極端な本数を定めることになりますと、それはそれで問題も出てくるのではないかと思っております。

 今回、厚労省から8ページでエビデンスを出していただきまして、今までの議論では、本数が多いから選べないのではないかとかそういう御指摘も多々ありましたが、これを見ていただきますと、必ずしもそうではない部分も一つのエビデンスとしてはあるのではないかなと。先ほど企業規模の話をされましたけれども、恐らくこれについては、投資教育だったり、情報提供だったり、そういう取り組みも相まって、こういう結果も影響しているのではないかと思います。それは今回の論点でいきますと、まさに運用商品選択への支援の取り組みを、今までも労使で投資教育なり情報提供を一生懸命やってきたところがある。そこは十分御考慮いただきたいなと思っております。

 そういう意味で、本来、加入者がそれぞれ選択肢の中から考えて、長期分散投資するというのがあるべき姿ですので、そういった今までの取り組みをされているところをディスカレッジするというか、そのような決め方は、ぜひ避けていただきたいというのが一つでございます。

 もう一点が、企業型と個人型について基準を分けるという御指摘も出ておりますが、私はこれを分ける意味がいま一つ理解できません。同じDC制度ですので、ペーパーの中にもありましたが、あえて分ける理由はないのではないかと思います。

 以上です。

 

○森戸委員長

 後半の分ける必要はないのではないかというのは、いずれにしても先ほど私の整理で出ましたけれども、要するに加入者が選びやすくするための上限という話だから、別に個人型だろうが企業型だろうが、選ぶというのは一緒だからという趣旨でよろしいですか。

 

○清家委員

 はい。

 

○森戸委員長

 前半の部分ですが、8ページのグラフにも言及されて、余り極端だと困るという、それは現場としても困るだろうという話ですが、ただ、この表自体に余り否定的なことをおっしゃらなかったので。この図は丸がついている時点で何か誘導されているのかなみたいな感じもするのですけれども、(笑声)例えば36から40とか、35とか、この辺のラインだったら別に極端ではないという理解でいいのですか。

 

○清家委員

 お答えしにくいのですけれども。

 

○森戸委員長

 でも、極端なものはだめとおっしゃったから、極端なのはどこかなと思って。

 

○清家委員

 なかなかお答えしにくいのですが、少なくとも、私どもが3回目ですかね、労使ヒアリングの際に、私どもの関係する部会に参加されていてDCを採用されているところの数字も提示させていただきました。それでいくと平均は、企年連さんの数字よりも若干高くて20本台後半でした。一番多い数でたしか50本超えているところがあったと思いますが、恐らくこの赤丸で示されたところはかなり少数派だったと理解しています。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 言いづらいことを無理やり聞いてしまって、申しわけございません。でも、上限の話ですので、やはり最終的には数を決めていかなければいけないので、ぜひ突っ込んだ御意見をいただければと思います。

 ほかの方はいかがでしょうか。

 では、重富委員から。

 

○重富委員

 ありがとうございます。

 先ほど井戸委員からありました提示の方法とか見せ方の部分については、非常に重要な論点かと思っています。ここでの議論でも、投資教育に限界があるのか、ないのかみたいな意見もありましたけれども、仮に加入者がよくわかっていないままに商品数を絞り込んだとしても、加入者にはよくわからない商品がそのまま減っただけということになりますので、残されたよくわからない商品を選択するよりも、わかりやすい元本確保型を選ぶ傾向が強くなってしまうのではないかという懸念もあります。ですので、やはり運用商品を選択しやすいようにするために、提示のあり方の工夫ですとか、商品の見せ方というのは、加入者への選択の支援という観点からも非常に重要だろうと思っていますし、金融リテラシーを高める教育の充実も図るべきだろうと思っています。

 それと、前回少し出た論点ですけれども、除外にかかるコストの話ということで、やはりコストを誰が負担するのかということも明確にする必要があるのではないかと思っています。例えば商品除外によって投資信託の解約にかかる費用、信託財産留保額というものが発生するような商品も場合によってはあると思いますので、例えば商品除外の加入者がその費用を負担するということになれば、解約を望んでいないにもかかわらず負担だけが課されることになりますと、退職給付への毀損になるのではないかとも思われます。こうした費用を加入者に負わせることがないように明確化するべきではないかということで意見として申し上げたいと思います。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 では、杉浦委員から。

 

○杉浦委員

 議論の方向がどちらかというと2番目の論点にちょっと行きがちなのかもしれないと思ったので、まず最初に数を決めないといけないのですよねということで思い切って申し上げますが、30から40の間ぐらいでよろしいのではないでしょうか。なぜそんなことを言うかというと、まずはエビデンス上、ある程度はっきりしているということ。それと、今、清家委員はお立場もあって、数はおっしゃらなかったわけですけれども、アメリカのその他を含めた、例えば401kのケースなども含めて、30あたりから急激に選択しなくなるという傾向があるというのも証拠としてある。こういった場合に数を決めるときに、数を決めるに当たって一定の証拠物を必ず出さなければいけないというのが政省令を決めるときの基本的な原則と考えたときに、一応これだけのものが一定量そろっているというのは一つの材料になるのかなと考えられるわけです。

 私自身も、臼杵委員がおっしゃった、規模によって多少違うのではないかということには、興味はあるのですけれども、恐らくきちんと出していっても、余りエビデンシャルなものがそこまでの制度を詰めたもので出てくるのかどうかは少しわからないと思っていて、またちょっと時間がかかってしまうのかなというところも少し懸念をしております。

 反面、現在、今回の段階においては、35とか40というのを一つの基準として置くものの、この制度が恐らく根づいてくる過程の中において、実際の加入者の方たちの行動性向とかが変わってくる可能性があって、そのときにこの35、40では足りないというケースが出てくる場合、もしくは、あのときは多過ぎたのではないのということが出てきたときに、むしろこれは政省令に入れるかどうかは定かではないと思いますが、どれぐらいのタームで数についての見直しを行うか、つまりモニタリングをどのようにしていくのかが大事だと思っていて、そこに関して、また今回の委員会等を通じて、モニタリングと諮問を行っていくことが大事なのではないかと考えます。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 数を率直に御意見を言っていただいて、基本は8ページの資料が一つのエビデンスになるのではないかというお話かなと伺いました。

 後半おっしゃったことなのですが、確かに、別に今後この数の話を、大変ですけれどもまたやって、政令ですから政令を変えて、数をふやす、減らすということももちろん可能性としてはできるのでしょうけれども、ただ、余りそういうことを毎年毎年やる話ではもちろんないし、そういうことも含めて、つまり今後、加入者のいわゆる金融リテラシーが順調に高まるかもしれないし、そうでもないかもしれない。それから、傾向として不指図率みたいなものが上がるのかもしれないし、下がるのかもしれない。いろいろな可能性はあり得ると思いますが、そういうのを踏まえても、例えばおっしゃったような30とか40の間ぐらいにしておけば、今後、加入者がどういう行動、どういう傾向になってきても、ある程度いけるのではないかという趣旨もありますかね。

 

○杉浦委員

 一応はそのように思っていて、すぐこの1年、2年、3年とかで急速に大きな変化があるというふうにも私は考えていないので、モニタリングすると申し上げましたが、毎年やるという意味ではもちろんございません。さはさりながら、やはり金融市場の実態の問題など、いろいろなことを考えていたりすると、政省令で一度数を決めてしまうと、その数ありきでずっと来てしまって、何かフレキシビリティーを持たなければいけないときに変えられなくなってしまうので、逆にどこかの段階のときに適時、3年とか5年になるのですかね。ここはむしろ、この委員会にはFPの方がいらっしゃるので、その方たちの御意見も伺わなければいけないかと思いますけれども、それくらいのタームでの数を含めた制度見直しを行うということがある程度決まっていれば、それでよろしいのかなと思います。余り固定性が強過ぎて、かえって変えられなくなるのが逆に厳しいと思いました。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 もちろん変えられないものではないと思います。それから、モニタリングというか加入者の傾向を今後もちゃんとウオッチしていかなければいけないというのは当然、事務局ももちろん理解しているところだと思います。ただ、最後のほうにおっしゃったように、しょせん数なのですけれども、やはりこれは数が決まるとそれなりに実務上、それが一定の基準になりますから、重要なものになるので、今後、これは多過ぎたねとか、少な過ぎたねとかいって、だめだったねとなるのはやはり避けたいから、数にある程度余裕を持って、余裕を持ってというのは多い、少ないという意味ではありませんけれども、ある程度この基準で一定の期間いけるような数にしないといけないのではないかと思っています。それなりにこの数が決まれば、重要な実務へのインパクトがあると思いますので、そういう趣旨で追加の質問をさせていただきました。ありがとうございます。

 では、大江委員、お願いします。

 

○大江委員

 ありがとうございます。

 先ほど拝見いたしました8ページというのは非常に興味深いグラフだと思うのですけれども、先ほどどなたかおっしゃったように、この赤い丸がついているのは何かを示唆しているみたいなところがある。そういうふうにすると、世論の形成がそちらのほうへ行ってしまうかのような部分もあって、私は35とか40というのは明らかに多過ぎると思っているのですけれども、どれぐらいの数字がいいか、悪いか、多いか、少ないかということ以前に、そもそもの議論ということを考えた場合に、これは一般の資産運用とはちょっとまた違うもので、あくまでも企業型の場合は企業の退職給付制度であるというところが大前提になっていると思うのです。

 そうすると、退職給付制度の中で加入者である従業員が自分で運用をしなければいけないということを考えたときに、多分、幾つかの特徴的な、ほかの資産運用にはない特徴的なことがあって、1つは投資の未経験者が非常に多いということ。2つ目が、確定拠出年金での運用はこれが自分の資産運用の全てというわけではない。ごく一部であろうということ。それから、前回もこれを私は申し上げたのですが、上手に運用するための技術を教えるということではなくて、老後の適切な資産形成を図るために、それに資するような制度及び商品構成になっていなければいけないということになってくると思うのです。そうすると、本当にベーシックな、シンプルなコストの安い商品をそろえるというだけで実は十分なのかなと思っています。

 同時に、きょうは9ページと10ページも非常におもしろいところだと思うのですが、A、B、CとD、E、Fは明らかに方向が違うなと思っていまして、これで見る限り、商品数の多いところはやたらアクティブと元本確保型の定期預金が多いのです。これをもう少し整理すれば、実際にはA、B、Cぐらいのところ。Aはかなり少ないのですけれども、B、Cぐらいのところが一番妥当な水準になってくるのかなという感じがするわけです。それは、この数字がいいとか、悪いとか、多いとか、少ないということではなくて、そもそものこの制度の本質を考えた場合には、やはり基本的なアセットクラスの低コストのものがそろっており、そして、分散投資に必要なものが十分措置されていれば、前にどなたかの意見でアクティブなんか必要ないのではないかという御意見がありましたけれども、私もそれにどちらかというとやや近いのです。ただ、アクティブを全部排除してしまうというところまでは必要ないと思いますけれども、さすがにアクティブを5本も6本も入れるというのは、これは何かの意図があるとしか思えないなという気もいたします。そういう意味で、本数を議論するときには、そもそもこれはどうでしたっけというところも踏まえて議論をしていきたいなと感じている次第です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 本数の話は大江委員、前の回からも一貫しておっしゃっていますけれども、やはりもうちょっと絞る方向にあるべきなのではないかということを、DC制度の趣旨なり、退職給付だというところも踏まえて考えるべきだという、それはもっともな御意見だと思います。ありがとうございます。

 山崎委員、お願いします。

 

○山崎委員

 私も本数の話を一言述べさせていただきます。きょうは来るのはちょっと気が重くて、といっても気が重いから遅刻したのではないのですけれども、みんなが順番に名指しされて何本ですかと自己申告することになるのかなと思って、来ながら考えたのです。(笑声)

 私は、どういう立場に立って考えるべきかということを一応自分なりに今回の委員会を通じて考えたわけなのですけれども、いろいろな意見があるのは承知なのですが、経験者にとっての選択の多様性を重視するべきかというと、私はむしろそうではなくて、やはり投資リテラシーが低い方、あるいは若い方、特に企業型DCで確かにベテラン投資家もふえるかもしれないですけれども、常に新入社員が入ってくるわけなので、そういう若い方の選択のしやすさに重きを置くべきなのではないかというのが基本的な考え方で、この問題を考えたいなと思っています。

 その上で8ページの資料を拝見する限り、35本のところからがくんと上がる。そのために赤い丸が引かれているわけなのですけれども、今回の商品提供数の上限は絶対に超えてはいけない数字であるということも配慮しなければならないとすれば、確かに35というのがとにかく絶対防衛ラインで、これ以上の商品提示はどうでしょうかと言えそうに思います。ただし、やはり大江委員がおっしゃっているとおり、本来は未経験者の方が多くて、さらに超長期で分散投資をしていかなければいけない。そうすると、本来の商品ラインナップはもう少し厳選して提示するほうが望ましいのではないかということで、過去のヒアリングの中でも貴重な意見として出た中では、もし仮に35のところに線を引いたとしたら、これは政令ではそうは書くけれども、法令解釈等で、そうは言いながら、特に投資経験が浅い、リテラシーが低い方にとっては、できるだけ厳選してあげたほうが望ましいのだよと。なかなか厳選してあげたほうがパフォーマンスがいいとかいう証拠は出にくいのが悩ましいところではありますけれども、望ましい商品構成、本数の提示のあり方は法令解釈等で少し示唆をしてあげて、言ったほうがいいのかなと思います。

 いずれにせよ、DC制度を運営する限り、方向感としては絶対に追加する方向になってしまいますから、いつも例えば35本のぎりぎりでうろついていて、毎回3本足したかったら、毎回3本外すとか、いつもぎりぎりのところで駆け引きするよりは、基本的にはもっと余裕を持った状態のラインナップで、できれば余り入れかえなく中長期的に回せるというのが望ましいのではないかと思いますので、数字が少し多目になったとしても今回の考え方でよいかと思います。ただし、できれば望ましいあり方としてはもう少し厳選したほうが普通の勤労者にとっては好ましいのだみたいなことがどこかにあったらいいのかなと思います。

 あと、前半の話が多分そろそろ終わってしまうと思うのでもう一個ですけれども、15ページの除外の手続の件で1個だけコメントさせていただければと思うことがあります。ここには一番最初ですけれども、労使合意を踏まえて必要に応じて周知するというところから手続の流れが始まっているのですが、実態としては、そもそも何を外すかを決定するということそのものが相当のプロセスとしてそこにあるはずです。一番下の○のところに、もっと工夫が考えられるかということで指摘がありましたので、この記述の前段階のところでどのような商品がそもそも除外の検討に値するのか。あるいは、それを中立・客観的に検討して、労使で納得を得るためにはどういうことが考えられるのか。例えば第三者の知見を借りたり、労使間でちゃんと話し合う場を設けるとか、あるいはどのような商品が除外に値するかという点では、コストの面であるとか、同じカテゴリーでパフォーマンスが劣後しているといった点で比較する方法があるというように、多分ある程度の指針がないと、そもそもの何を残して何を除外するかというのが選べないと思うのです。これも政令ではないと思うので、法令解釈等で一つのアドバイスを与えていただけるといいのかなと思います。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 除外の点は実際上、いろいろ実務上大変なこともあり得ると思うので、それは今おっしゃった御意見を十分検討して、今後、解釈通知等に盛り込んでいただきたいと思います。

 今の山崎委員の御意見、私が最初に整理させていただいたように、結局この上限云々の話は、初心者も含め、みんなが選びやすいシステムにしなければいけない。より選択を容易にするような選びやすいシステムをつくらなければいけない。その方向として、一つは上限を決めるという話と、もう一つは見せ方の工夫等をする。もちろん両方大事なのでしょうが。先ほど大江委員がおっしゃったのは、その上限のほうできちんとかなり絞り込むという形でそこを担保すべきではないかという御意見だったかと思います。山崎委員は、上限のほうはある程度少し余裕を持たせて、いわゆる見せ方の工夫と呼ばれているところでもうちょっと通知等のレベルでかなり具体的に踏み込んだことを書いて、実際上選びやすくするという方向もあるのではないか。そういう御意見かなと、一応、勝手な乱暴な整理かもしれませんが、伺っておりました。その辺がポイントだろうと思います。

 それで、指定運用方法の話もありますので、一通り皆さんの御意見は一応お聞きしたのですが、臼杵委員、前回は大江委員と臼杵委員が割と本数は10本ぐらいでいいだろうという感じの御意見だったと思うので、本数に関してもうちょっと何かあれば、最後に一言。(笑声)山崎委員がおっしゃったように、1人ずつ何本ですかと出させてもいいですけれども、それはやめておくので、ぜひ臼杵委員の御意見もいただければ。

 

○臼杵委員長代理

 基本的な考え方としては、確かに8ページのグラフはあるのですが、少ないほうが選びやすいという原則は、そういう理解を共有していただいた上で、もう一つは、先ほど申し上げたように、アクティブファンドはせいぜい1本とかにしていただくというふうに数えていくと、おのずと20とかそのぐらいかなとは思います。ただ、今あるものを急に20に減らせというのは、除外の手続とかを考えてもまず無理だと思うので、先ほど申し上げたように、新しい制度と既存の制度で分けられるのかなと思っています。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 では、大江委員、どうぞ。

 

○大江委員

 本数を絞り込めの急先鋒みたいに思われているかもしれませんが。

 

○森戸委員長

 でも、急先鋒ですよ。

 

○大江委員

 私は、前回お話ししたのは10本で十分ではないかということを言ったわけではなくて、例えば論理的に考えれば、こういうものの組み合わせていくと、それぐらいでも十分可能は可能だと。事実そういうプランもあるわけですね。

 ただ、おっしゃるように、これは法律でやるわけですから、そうすると例えば決まってしまった数から除外していかなければいけない。それをやらなかったら法律違反になりますよということになるので、その辺はやはり現状も踏まえて少し考慮したほうがいいというのはよくわかります。そのとおりだと思います。

 ただ、私は、この本数がいいとか、この本数が適当であるとかいうことを言っているわけではなくて、少なくとも本来こうあるべきではないのですかというところから議論して本数を決めていかないと、ちょっとどうかなということを言いたかったということです。

 

○森戸委員長

 済みません。ありがとうございます。ついついレッテルを張る癖がありまして、申しわけございません。(笑声)

 どうぞ。

 

○山崎委員

 もう一個だけ言っておかなければいけないと思ったのを忘れていたのですけれども、企業型と個人型の本数問題なのですが、今回の8ページの赤丸ラインが一つの絶対防衛ラインともしするのであれば、私は、企業型と個人型は同じでいいのかなと思います。企業型が仮に20本で個人型が35本というのなら、それはありかなと前から思ってはいたのですけれども、今回もしこれぐらいの線で引くのだったら、さらに個人型にプラスのサービスポイントをつける必要は特にないのかなと思います。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 確かに個人型と企業型は違ってもいいではないかという話は、要するに上限を絞るという話になったから、企業型が絞られるとすれば、個人型はもうちょっと多くていいのではないかという流れで出た話かなと思いますので、共通の上限がある程度上なら、その問題は出ないのかなとも思います。もちろんこの点もまだ議論はしていかなければいけません。

 それから、話が戻ってしまいますけれども、先ほど山崎委員がおっしゃったように、大江委員も同じ趣旨かなと思いましたけれども、例えば仮に20本とか15本ぐらいがいいとしても、上限が20だと身動きがとれないから、もうちょっと上に上限がないと入れかえにせよ余裕はないですね。その観点は、かつ上限なので、これを超えてはいかぬという話ですから、常にそこぎりぎりでやっていると動きづらいだろうというのは確かにおっしゃるようにあるかと思います。そういうことも踏まえて考えないといけないだろうと思います。

 どうぞ。

 

○臼杵委員長代理

 今、委員長がおっしゃったとおりですけれども、身動きがとりやすいように、ある程度そういうことも考慮するとか、既存の制度を考慮するということと同時に、ただ、逆に、上限がこれだから、もっとうちもふやしたほうがいいのではないかと、そのような考え方はなくす。そういう意味で、できれば少ないほうがいいという労使の理解を、それは1本とか2本にしろという意味ではないですけれども、余り多いと選びにくいということと、一本一本選ぶときに、先ほど申し上げたように、きちんと理由を考えるということは徹底していただきたいと思います。

 

○森戸委員長

 今のようなことは、解釈通知的なところにもうちょっとそういうことも具体的に書くという話ですかね。

 杉浦委員、どうぞ。

 

○杉浦委員

 大江委員が数を少なくするというレッテルを張られているとすれば、私は特定の数を決めたというレッテルを張られているかもしれないので、これは半ば冗談ですが・・・。基本的なこの委員会の中で各委員の方々の趣旨は同じで、目的もどういうものかということも皆さん共有されていらっしゃるのだと思います。その点、数がもともと多ければいいと思っている人は誰もいなくて、そして、一定の数のところで落ちつくだろうと。その数が恐らく、今のところだったら何本だろうというところに、10とか20という数字がたまに出てくるということなのかなと解釈をしています。がために、私などは一応、現状を大きくいじらないために、あえて35とか40あたりですかねという数字を申し上げましたが、恐らく大事なことがあるのは、まさに臼杵委員がおっしゃったように、選定理由に関してどういう説明がきちんとしていることがわかるようにきちんと明記することというのを、政省令上もどうきちんと入れていくかということが大事であって、それに関して言うなら、恐らく昨今の投資信託などもさまざまな形での説明の工夫を最近されているところも多い中、このことは金融商品全体の説明水準の底上げということにもつながるかもしれません。私自身はその辺の選定の説明義務に関しては、あえて何か示唆するものが入っていればよろしいのかなと思います。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 では、重富委員。

 

○重富委員

 ありがとうございます。

 先ほどから商品数の話が議論されておりますけれども、やはり9ページですとか10ページで商品数にこれだけばらつきがあるというか、多様だというのは、当然働いている業種だとか、従業員の方の年齢層だとか、さまざまな部分を考慮した上で、労使で真摯に議論をした結果、このような数になっていると思っています。余りこの数が望ましい数だということを決めるよりも、労使の中で議論して、例えば10本が望ましいということで決めるのか、20本なのかというところについては、現状もやっておりますけれども、そこは労使で決める幅を持たせていただきたいというのが1点です。

 それと、企業型と個人型の議論も出ましたが、例えば個人型で見てみますと、1桁台の商品数しかないところでも、定期預金と、あとの残りはすべてアクティブファンドのみというようなところも実際にあります。企業型ではなかなかそういうのはないかと思いますけれども、そういうことも考えて、本当に企業型と個人型の基準が一緒でいいのかという議論も一つ、論点としてはあるのかと思います。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 まだまだ上限数について御意見おありかと思いますけれども、次回も恐らくまだ議論できると思いますので、とりあえず残りの時間、30分ぐらいしかないですが、指定運用方法の話もできるだけしておきたいと思いますので、そちらに行きたいと思います。やはりレッテルを張るといろいろ問題があるということを学びましたので、これからはレッテルはやめて、淡々と進めていきたいと思います。

 では、指定運用方法の基準に関してのほうで御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

 臼杵委員、お願いします。

 

○臼杵委員長代理

 まず、22ページですけれども、長期的な観点とか、物価とか、元本の確保とか、特に※のところです。加入者等の年齢により運用ができる期間はさまざまで、幅があると想定されるとか、個人の違いがある。これは確かにそのとおりなのですが、もちろん御承知の上でお書きになっているとは思うのですけれども、基本的に指定運用方法を決めるということは、もちろん企業ごとに、あるいはプランごとに平均年齢が違うとかいうのは、それはそうとして、まず、最大公約数を決めるのだというふうに理解をしておきたいなと思います。つまり、個人個人のニーズはあるのだけれども、そのプランとして一番多くの人にふさわしいような商品。そういう意味で最大公約数と申し上げているわけですけれども、それを決めていくのだということがまず一つあります。

 それから、23ページなのですけれども、先ほどの説明の絵でも出ていたのですが、元本確保という言葉が、例えば金融リテラシーというのはこの場でもすごく言っているわけですけれども、金融リテラシーを高めると元本確保という意味が余りよくわからなくなるということです。つまり、リスクがないとか、リスクが大きいという言葉はあるかもしれない。あるいはリスクフリー、無リスク資産だとか。だから、定期預金は無リスク、リスクがないのがメリットですよというのはわかるのですが、元本割れしないとか、元本割れするとかいうところで線が大きく2つに分かれるというのは、前の法律の影響が多分すごくあって、例えばリターンがゼロ%とマイナス0.1%の間にそんな大きな違いがあるのでしょうかということなのです。だから、元本割れという考え方をそもそも余り考えたくない。できたら元本確保という言葉は使いたくない。リスクがないかわりに期待リターンが少ない。逆に、リスクが高いけれども期待リターンが大きいということなのかなということがあります。

 そういう意味でいくと、指定運用方法については、結局、私なりに考えた結論的に言うと、効率的なフロンティアというのが金融リテラシーにあるわけですけれども、基本的にその上に乗っかっているかどうか、あるいはそこからそんなに外れていないかどうかというところがまずあって、その中でそれぞれのプランごとのリスク許容度に応じて、もしかしたらリスクフリー資産ということがあるのかもしれませんけれども、その中で選んでいくというプロセスを踏んでほしい。要するに、DBの運用執行理事とかGPIFの運用委員と同じような思考のプロセスで考えてほしいなと思います。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 今の御意見はもちろんこれから参考にしますが、臼杵委員が最初におっしゃったことが私はここの議論にすごく重要だなと思うので、ちょっとコメントを挟ませていただきますけれども、臼杵委員がおっしゃったのは、デフォルト、指定運用方法というのは、プランとして一番多くの人にふさわしいものとおっしゃいました。私もデフォルトはそういうものだろうと思っていたのですが、ただ、この資料のつくりもそうなのですけれども、この整理自体はどうかという議論はあると思うのですが、例えば33ページ、運用の指図をしない者への継続的な対応というところにも書いてありますが、最初の○、加入者保護の観点から、指定運用方法が適用されないように、できるだけ自分で運用指図するように働きかけろという感じなのです。ほかにも、要するに基本は自分で選択すべきだと。だから、自分で選択できるように一生懸命働きかけをしてください、投資教育もしてください。それでもしない人がデフォルト、指定運用方法なのですよという整理になっているのです。

 つまり、これは結構重要な話だと思うのですけれども、プランとして多くの人にふさわしいものとは考えられていないのではないかと思いまして、これはできれば選んではいけないものという、(笑声)そう言ったら怒られるけれども、そういう感じでしょう。本来は自分で選ばなければいけないのに、一生懸命働きかけしているのに、それでも選ばないやつがいるのだと。しようがないからここにしようというものだと。それは法的に、そもそもそういうものと、法の趣旨からしてそうなのかどうかというところはすごく大事な話ではないかと思います。

 これをさらに突き詰めると、結局、先ほどRKがどこかによって、NRK方式だと不指図者が出ないように現場での対応でしているという話があって、今の話を突き詰めていくと、みんなNRKみたいにすればいいではないかという話になりませんか。つまり、自分が選ぶのが一番いいとなっていて、選ばないのは本当におかしいことなのだという位置づけなのだから、そもそもRKによって対応が違うことは問題だと思うのです。ちゃんと同じような整理にしてほしいし、別にNRKがいいとは思えませんけれども、ただ、本来選ばなければいけないのだという整理をするならば、そういうことも言えるかなと思って、先に臼杵先生がおっしゃったので、私が臼杵先生の位置づけがおかしいと思っているわけではないのだけれども、整理はどちらかというとそういうものではない感じになっている気がして、そこはちょっと議論をしなければいけない、もしくは整理しなければいけないかなと思います。それはちょっとコメントで、済みません。

 大江委員、どうぞ。

 

○大江委員

 今、先生がおっしゃったのは全く私も同感でして、そもそもこれはどういう位置づけなのでしたっけということで、例えば本来は全員にやってもらわなければいけないのだけれども、それができない人に一時的に指図するまでの間、置いておいてもらおうという位置づけなのか、そうではなくて、例えばアメリカのように、要するにリバタリアン・パターナリズムではないですけれども、最も無難という言い方はちょっと変なのですが、無難というか、好ましいというか、そこそこに満足がいく。そんなに高いリターンはとれないかもしれないけれども大丈夫だろうみたいなところのことで、最も好ましい方向に持っていこうとしているのか。これによっても全く議論が違ってくると思うのです。

 本当に一時的に置くというのだったら、私は元本確保型を入れても別に構わないと思うのですけれども、そうではないとしたら、元本確保型は入れるべきではないということかなと私は思っているのです。本来、好ましいということでいけば、元本確保型は確定拠出年金においてはそれほど好ましいかと言われると、私の意見としてはそうではないと思うのです。ただ、一時的に置くということであれば、別に元本確保型が入ってもいいかなという感じかなと私は思っています。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 まさに今、大江委員がおっしゃったとおりの論点があると思います。

 とりあえずきょうは皆さんに御意見をまずいただきたいと思うので、ほかの全然違う観点でも、御質問でも構いませんので、ほかの委員の方、ぜひお願いします。

 山崎委員、お願いします。

 

○山崎委員

 私も、後半の資料のまとめ方に対してちょっと違和感があって、方向感として、今までの議論は、例えばバランス型ファンドが適当なのか、ターゲット・デート・ファンドが適当なのかみたいな印象で議論があったのかなと思っています。ただ、要望の中には元本確保もできればありがたいみたいな話があって、この資料を拝見する限りだと、結局のところ労使で話し合って、22ページで言えば条文の長期的な観点から、物価その他の経済事情の変動により生ずる損失に備え、収益の確保を図るものだと納得できるのだったら、元本確保型商品でもどの運用商品でもあり得るというような資料に見えるわけです。23ページも一応そういうふうにして全部が比較されていて、32ページも例1が投資信託の場合、例2が元本確保の場合ということで両方が併記されているということなので、ちょっと違和感があるなというのが正直なところです。

 やはりリテラシーが低い方とか若い方にとっての、ベターな選択肢を与えるという考え方です。ある程度リスクはとるけれども、リスクは抑えられていて、それは長い目で見れば元本確保型よりも高いリターンがとれて、それはインフレにも対応できるだろうと。リスクとリターンのバランスがとれた運用をする選択肢を提示する。それは先ほど森戸先生がおっしゃったとおり、むしろ前向きに選択をして提示するのだということを、あえて踏み込んで法改正に取り組まれてきたという過去の流れもあったはずなのです。そういう意味では、その点が少し戻ってしまっている感があるなというのが正直なところです。だから、先ほどのレッテルの話で言うと、私は元本確保はどちらかというと入れてほしくないなというレッテルは張られてもいいかなという感じです。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 ほかの委員の方、御意見いかがでしょうか。

 では、清家委員。

 

○清家委員

 きょう厚労省さんから出された4ページ、まず論点ということで、考える前提として、DC制度は本来は加入者自身で運用選択し、運用を行うことが重要。私はこれがやはりDCの本来あるべき姿ではないかと思っておりまして、私どもが知り得る限り、デフォルトを適用される方はなるべく少ないほうがいいのではないかということで、各労使でいろいろな働きかけも行っていますし、ヒアリングの際も申し上げましたけれども、未指図運用者への対応ということだけでなくて、いろいろな役割をデフォルトということで活用している。そういう実情があるということは申し上げたいと思います。

 今回、厚労省さんから提示があったのは、22ページで、23条の2に書かれてあるような3つの点を※で補足説明されておりますけれども、いろいろな状況があるかと思いますので、各労使できちんと議論して、その結果、どういったものを選ぶのかをきちんと担保できるようにしていただければよい。

 ある意味、デフォルト運用しているものが望ましいことになりますと、そもそも本来は加入者自身で運用を選択して、運用するというところがあるべき姿ですので、そこと随分違った景色になってくるのではないかという懸念も持っております。それが1点です。

 質問が1つありまして、32ページに受託者責任を踏まえて加入者保護の観点から3つ取り組みを行うことが考えられるという提示がありまして、例1、例2は、このあたりは恐らく現状でも行われているものかと思いますが、例3です。全加入者から確認を得るよう推奨とありまして、これはいろいろ運管さんも含めて対応を求められるところかと思いますが、厚労省さんの見解として、例3のようなものを勧めれば、受託者責任はきちんととられているとか、加入者保護はきちんと対応しているのだと。そういう御認識と、そういう受けとめでよろしいのですか。その点、確認させていただければ。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 ありがとうございます。

32ページの例3につきましては、このように提案している理由は、指定運用方法が適用されるのは本人の指図なく本人の運用になるということなので、そういうことをわかった上でやらないと、本人の指図権との関係で非常に問題なので、慎重に本人の理解を得て初めて当てはめることが必要かなということで、そこを徹底してはどうかなという趣旨で書いております。

 受託者責任につきましては、もともと運管等は忠実に加入者のために運用をするということですので、まさに指図権にかかわるようなことにつきましては、本当に深く理解されるように努めていただく必要があるのかなと思いますので、これをやればどこまで出せるかという限界事例はわかりませんけれども、受託者責任をより徹底することには、少なくともつながるかと認識しております。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 この点は実際上、どういう通知とかどういうことをやってもらうかはこれからも議論することになると思いますので、これで決まりということではもちろんないと思います。

 これは考えたら、ブラックユーモアと言ったら怒られますけれども、指定運用方法、何も指図しない人に適用されるものなのに、運用商品を選択しないとこれが適用されるよと全員から確認をとれというのは、ある意味ちょっとおもしろい。(笑声)そんなこと、何もしない人に指定運用方法を確認しろというのは若干無理がある気もしますので、そこはいずれにしても実務上ちゃんとできるような整理はされると思いますので、また後で議論できればと思います。

 ほかの方はいかがでしょうか。

 井戸委員。

 

○井戸委員

 ありがとうございます。

 指定運用方法のデフォルト商品なのですけれども、その方に一番ふさわしいものかどうか、あるいは仕方なくここにいてなってしまったよという御議論かなと思います。ふさわしいかどうかというのはすごく難しくて、その方の家族構成とか、御年齢とか、ほかに持っていらっしゃる資産とかによってすごく違ってくると思うのです。ですから、一人ずつふさわしいかどうかはわからない。なので、御年齢とかで見るしかないかなと思うのですけれども、ベターなもの、無難なものをこの指定運用方法に置きかえるのではないかと私は理解しておりました。

 資料の最後のところに書いていただいていますけれども、働きかけもずっと継続的な対応でデフォルトが要らなくなるぐらいずっと、どうですか、どうですかと多分聞いていかれるというようなことが書いてあるので、それを意思として選んでいなくても、そんなに失敗がなく、退職後の生活に困らないというところを国が守っていくよという理解だと思っているのですが、いかがですか。

 

○森戸委員長

 それは質問ですか。

 

○井戸委員

 そういう理解でいいのかなと思ったのですけれども。

 

○森戸委員長

 おっしゃるとおりだと思いますよ。ただ、何が無難かとかいうのも結局、それは人によって違うよねみたいな話にまた戻るのです。恐らく臼杵委員も、一番多くの人にふさわしいとおっしゃった趣旨は多分そんなに変わらないのだと思いますが、もちろんおっしゃるように個別に見ていったら、それは人によってニーズも違うしねということに行くのは当たり前で、ただ、要するに国の法律なりプランとして、まさにおっしゃったような、大体多くの人がこれにしておけばいいよねというものと考えるかどうかという話で、おっしゃったことはそのとおりだと思います。

 

○井戸委員

 ありがとうございます。

 

○森戸委員長

 よろしいですかね。ありがとうございます。

 重富委員、お願いします。

 

○重富委員

 ありがとうございます。

 私も、法律の本旨にもありますとおり、DCは個人が自己の責任において運用の指図を行うというのが基本だろうと思っております。そのためにどういった支援ができるのかということを考えていくべきだと思っています。デフォルトは、あくまでも一時的な措置だと思っておりますので、デフォルトで20年とか30年の長期運用を行うということを前提にするべきではないと思っております。

 その上で、さまざま労使の中で議論をして、デフォルトをどうするのかということはありますけれども、この資料を見ても、例えばこの間、いろいろと意見がありました法律上の訴訟リスクの問題は回避できないのではないかと思っておりますので、そういったリスクの限界性みたいなこともありますので、DCにおける一方の当事者である労働組合としては、やはり加入者、組合員の声に耳を傾けて、どのように選択するのかという心証にならざるを得ないところであります。一方で、デフォルトには元本確保型のみがいいのだということではなく、この間、実際に各労働組合に話を聞いた際にも、少しでもリスクをとったとしても退職給付を確保したいということで投資信託を選んでいるようなところもあります。今回つけていただきました資料の23ページでもメリットや留意点をわかりやすく提示いただいておりますが、こうした資料なども参考に、労使での真摯な議論で決めていくほうがいいと思っております。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 今のデフォルトで長期運用するというのは本来想定されていないのではないかという話も、まさにこのポイントに、議論にもかかわると思います。事務局も資料でそこに気づいていただいて、中で注釈的に細かくコメントを入れていただいているのですけれども、本来自分で選ばなければいけないのだと、例外なのだよと考えるかどうかという話にもかかわるのですが、例えば、デフォルトはこのファンドなのだと。じゃ、俺は運用指図をしなくていいやという人ももしかしたらいるかもしれない。その人は黙示に指図しているようなものですけれども、ただ、データ上はそれは不指図なのかもしれない。でも、それはやはりいけないというか、そういう人も、僕はデフォルトでいいですと言わせることに意味があるのだと考えるかどうかというのも実は議論にかかわると思います。

 先ほどから出ているように、臼杵委員がおっしゃった観点とも絡むのですが、本来は自分で選ぶべきだよねと。それは恐らく誰も否定はしないのですが、ただ、そうはいっても選ばない人はいるよねという、ある程度そこを踏まえてこの話は始まっていますので、選んでもらうのが本来だという話と、しかし、絶対に選ばない人はいるよねという現実と、そこをどこで折り合うかという話にもかかわってくるかなと思います。

 ありがとうございました。指定運用方法に関して、ほかにいかがでしょうか。

 杉浦委員、お願いします。

 

○杉浦委員

 重富委員からもお話があって、ちょっと私が誤解していなければですけれども、訴訟リスクが現実的に存在するのかどうかということに関して言えば、恐らく前半のときにあった御議論のように一定のきちんとした選択方法をとられて、きちんとした選択をされて、さらに加入者の方たちにきちんとした説明が行われていることがあれば、仮に何かが起こったとしても、訴えても実際に勝てないわけで、そこは多分そういうリスクの話にならないのだろうなと思います。

 現実に金商法とかさまざまなところの中で訴えが起こっているものに関しては、おおむね説明義務に関して著しい欠陥があったような場合に限定されていて、この委員会で取り上げているものについては従前からかなり丁寧なことが行われていると解釈しております。この場合のときの訴訟リスクの話をされたのかどうかはわからないのですが、私の解釈ではそのように思いました。

 ただ、これからは実は迷っていますという話をするだけなのですけれども、もう一つあって、今までデフォルトの部分でお話が集中されていましたが、23条の2というのはなかなか悩ましい条文だなと思っていて、この条文で何が悩ましいかというと、収益の確保を図るためのものとか書いてあって、その後に、厚生労働省令で定める基準と書いてある。この基準というのはどの程度のものをもってして基準とするのかというのが結構あって、恐らく金融機関等々の立場から、要するに管理機関の立場から考えると、労使にとってもそうかもしれませんが、関心のある部分だと思います。(政省令の作成時に)よくやる手ですけれども、決めにくい、わからないのでとりあえず収益の確保とかを意識したものにしてくださいねと、条文を二重書きするみたいな形で基準をつくったりするときもあったりしますけれども、ここで労使や管理機関のほうで期待されているものは、それなりに詳細なものである可能性がある。そのときに数値的なものを入れるような基準はなかなか難しいでしょうし、この中身をどうするのか、私もまたさらに考えたいと思っているのですが、1回資料を拝見した段階でもなかなかこの基準の書き方が難しいなということは思っていて、ここはさらに議論を深めさせていただければ幸いかなと思いました。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 おっしゃるように、23条の2の条文は、22ページの説明もありますけれども、何でも当てはまるではないかと言われればそういう面もあります。それから、基準を書くというときに、確かにおっしゃるようなごまかし方もあると思うのですけれども、そうすると法律と同じことを省令に書いてあるなという、それはそれで、そんなに格好よくもないから、やはりもうちょっと詰めなければいけないなと思います。ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 では、臼杵委員、お願いします。

 

○臼杵委員長代理

23条の2はまさに今おっしゃったとおりなのですが、私が見て間違いなければ、30ページにある25条の2というのがあると思うのですけれども、これを解釈すると、例えば一時的、臨時的な、難しいのですけれどもね。25条の2でデフォルトに行った後に、さらにデフォルトに行った人に、やはりデフォルトは臨時だから通知しなさいよという規定はないですね。25条の2で、デフォルトに行ったらそのままとりあえず、とりあえずという言い方はありますけれども、それはある意味、何もしなければずっと続くという前提でデフォルトというのは設定するように、この25条の2は読めるような気がしますけれども、いかがでしょうか。

 

○森戸委員長

 それは事務局に聞こうかな。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 確かに30ページの25条の2は、デフォルトが提示されている場合のデフォルトを適用するまでのことを書いている規定です。その後のことは法律では書いていません。もともと運用の指図というのは常時できるものですので、法律の前提としてデフォルトを適用する前か、後か、デフォルトと関係ない企業かどうかにかかわらず、常に指図というのはできるというのが法律の原則であります。

 あわせて、25条の2の見出しを見ていただきまして、運用指図の特例という表現になっています。もともとDC法では、加入者は運用の指図を行うとなっていまして、確かに義務にはなっていないのです。おっしゃるとおり、先ほどの議論にもありました、行わなければいけないのかというと、なければいけないとまでは書いていないのですけれども、行うことが大原則の法律になっていて、でも、25条の2のように指定運用方法が適法に設定され、適法な手続をもって初めて、本人が指図していないにもかかわらず指図とみなすということで、これは非常に政府内の法制的な議論でも、本人の指図権を侵害しないように非常に慎重に議論されて書かれた部分でございますので、法律上はそういう整理がされているということも御説明させていただきます。

 あと、現行は通知なので、これは未来永劫続くものではないですけれども、31ページの(3)の1行目にも、一応現行の運用としまして、その後の運用の指図が不要であるとの誤解を招くことのないようとありますので、もともと一回デフォルトが適用されたらそのままでいいという前提に立たずに、なるべく指図というものをできるのだよということは情報提供しましょうねということを指導してきたのは事実でございます。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 今の点ですが、もう時間も迫っていますので、いずれにしても現行法上、それから改正法上、結局デフォルト、指定運用方法とはどういうものと位置づけられているのか。今、事務局からちょっと御説明がありましたけれども、極端な話を言えば、この制度の推奨。推奨をしてはまずいのだけれども、事実上このプランお勧めの運用方法だという、極端に言うとそっちなのか、それとも本当はあってはいけない。でも、本当は選ばせたいのだけれども、どうしても選ばない人がいるときにしようがなく行くところなのか。物すごく極端に2つあえて言いましたけれども、その辺の法的なつくりというのですかね。その話はやはり大事だと思うので、今おっしゃった話を次回は、こういう法の趣旨だと考えられると。もちろんそれ自体けしからぬという議論もあると思いますけれども、現在の法のつくりとしてはこう考えざるを得ないというのをある程度出していただけたら議論にも役立つと思うので、それは事務局にお願いしたいと思います。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 わかりました。

 

○森戸委員長

 済みません。まだまだ御意見あると思いますが、ちょっと私ものんびりしていて12時になってしまいましたので、まだもうちょっと議論をする時間はとれると思いますので、一応本日の審議は、申しわけありませんが終了いたしたいと思います。また次回以降に御意見をぜひいただければと思います。

 次回の開催について、事務局から連絡があればお願いします。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 次回の開催日時は、委員の御都合をお伺いした上で、正式な御案内をお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。

 

○森戸委員長

 ありがとうございました。

 では、本日の審議は終了いたします。御多忙の折お集まりいただき、大変ありがとうございました。

 

(了)

 

団体