第10回 社会保障審議会企業年金・個人年金部会 議事録

日時

令和元年12月25日(水)12:58~14:08

 

場所

AP新橋 3階ルームA

 

出席者

神野部会長、森戸部会長代理、伊藤委員、井戸委員、臼杵委員、内田委員、大江委員、小川委員、金子委員、小林委員、白波瀬委員、藤澤委員、細田委員

(オブザーバー)松下国民年金基金連合会理事長、宮園企業年金連合会理事長

 

 

 

 

 

議題

社会保障審議会企業年金・個人年金部会における議論の整理について

 

 

 

 

議事

 

議事内容

○神野部会長

 それでは、ほぼ定刻でございますので、ただいまから第10回の「社会保障審議会企業年金・個人年金部会」を開催したいと存じます。

 本日は、年末も押し迫り、先生が走り回るというお忙しいところ、かつ、今日はクリスマスでもございます。万障を繰り合わせて御出席いただき ましたことに深く感謝を申し上げる次第でございます。

 本日の委員の出欠状況でございますけれども、渡邊委員から御欠席との御連絡を頂戴いたしております。

 初めに御報告申し上げておきますが、御出席いただきました委員の方々が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを、まず、委員の皆様方に御報告したいと思います。

 それでは、議事に入らせていただきたいと思いますが、その前に事務局から資料の確認をお願いしたいと思います。

 よろしくお願いします。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 企業年金・個人年金課長の吉田です。本日も、よろしくお願いいたします。

 本日の資料は、資料1「社会保障審議会企業年金・個人年金部会における議論の整理(案)」。

 参考資料1「令和2年度税制改正に関する参考資料」。

 参考資料2「社会保障審議会企業年金・個人年金部会における議論の整理に関する参考資料」。

 参考資料3として、委員名簿を用意しています。

 事務局からは、以上になります。

 

○神野部会長

 お手元を御確認いただければと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、大変恐縮でございますが、これから議題に入りたいと思いますので、カメラの方々はここで退室をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。御協力を賜れれば。

 それでは、議事に入らせていただきますが、お手元の議事次第をご覧いただければお分かりのように、本日は1つ議題を準備させていただいておりまして、「社会保障審議会企業年金・個人年金部会における議論の整理について」という議題を設定させていただいております。

 私からわざわざ申し上げる必要もないのですが、今年の2月からほぼ1年間にわたって企業年金・個人年金部会を開催いたしまして、委員の皆様方から様々な論点から生産的な御議論を頂戴してまいったところでございます。

 本日は、この委員の皆様方からの御議論を事務局において議論の整理案としてまとめていただいております。これにつきまして、皆様方から御議論を頂戴いたしたいと思います。

 進め方は、事務局から参考資料を含めて資料を一括して御説明を頂戴して、それから、委員の皆様方からの御議論、御意見を頂戴したいと思います。

 それでは、資料につきまして、事務局から御説明いただければと思います。

 よろしくお願いします。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 それでは、資料1をお開きください。

 先ほど部会長からありましたように、これまでの議論を事務局において整理した案になります。ページ数も多くなっておりますし、10月と11月の部会でお示しした論点を基に作成しておりますので、一通り単純に読み上げることは省略させていただきまして、どのような形でまとめたか、概略を御説明します。

 1ページ、冒頭、「はじめに」として、1つ目のマル、企業年金・個人年金制度は、自主的な努力を支援し、もって公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする制度であることを、2つ目のマルにおいて、我が国は3階建ての年金制度であることについて説明しています。3つ目のマルから、

○諸外国においては、公的年金の議論とともに、企業年金・個人年金の議論が盛んに行われている。

○我が国において公的年金が国民の老後生活の基本を支える役割を果たすものであることは言うまでもないが、公的年金の上乗せとしての企業年金・個人年金が老後の生活設計の選択肢の一つとして活用されるためには、企業年金の普及等が必要不可欠であり、我が国においても、より積極的に企業年金・個人年金の在り方について議論を深めていく必要がある。

○特に、我が国では、高齢期の就労が拡大しており、今後も拡大することが見込まれる。こうした高齢期の就労と公的年金の組み合わせに、さらに企業年金・個人年金が加わることで、老後の生活設計の選択肢がより一層広がることが期待できる。

と記載した後、6つ目のマルから、我が国の企業年金・個人年金制度の現状、取り巻く環境の変化を記載しています。

 2ページ目、下2つのマルをご覧いただきまして、

○当部会では、こうした企業年金・個人年金の現状や取り巻く環境の変化等を踏まえ、企業年金・個人年金制度について全般にわたる検討が必要という問題意識の下、本年2月から12月まで10回にわたって議論を重ねてきた。この間、労使団体をはじめとする関係団体からのヒアリングを実施した上で検討課題を設定し、その検討課題ごとに議論を行ってきた。

○議論の中には、概ね方向性が一致したものと、引き続き議論を要するものがあったが、設定した検討課題について議論が一巡したことから、ここで「議論の整理」をとりまとめる。

としています。

 続いて、各論になります。

 まず、3ページ、「拠出時・給付時の仕組み」です。このテーマは、4月の第4回部会と10月の部会で御議論いただきました。

 3ページの1つ目のマル、DB、DCの制度創設の経緯や期待されていた役割を記載し、2つ目のマル、後半部分、「DBとDCとでは、制度創設の経緯を反映して、拠出や給付の仕組みが異なっているが、公的年金の給付と相まって国民の老後の所得確保を図るという制度の目的は共通している」ことを記載しています。

 3つ目のマルから、

○近年は、双方の特徴を併せ持つハイブリッド型の普及が進むとともに、大企業でも、雇用・働き方の変化等もあり、DBの実施率は低下し、DCの導入が進んでいる。DBとDCの両方を実施している企業も多くなっている。

○これらを踏まえると、DB・DCともに、公的年金の給付と相まって国民の老後の所得確保を図るものとして、その役割をどう果たすべきかという視点から、拠出や給付の仕組みの在り方について改めて検討していく必要がある。

○なお、検討に当たっては、DBとDCの整合性を確保すること自体を目的とするのではなく、あくまで、社会・経済の構造が変化する中で、公的年金の給付と相まって国民の老後の所得確保を図るという両制度の制度目的を達成するためには、両制度の仕組みはどうあるべきかといった視点から検討していく。

と記載しています。

 そして、「1 加入可能要件の見直しと受給開始時期等の選択肢の拡大」として、4ページ、「(1)企業型DCの加入可能要件の見直し」、「(2)個人型DC(iDeCo)の加入可能要件の見直し」、5ページに続きまして、「(3)DCの受給開始時期の選択肢の拡大」、「(4)DBの支給開始時期の設定可能範囲の拡大」を記載しています。中身は、10月部会で方向性についておおむね一致していたものと理解しています。

 一方で、「2 拠出限度額」、「3 中途引き出し」、「4 受給の形態」は意見が分かれたところであり、各意見を列記させていただいています。

 続きまして、8ページをご覧いだきまして、「制度の普及等に向けた改善」です。このテーマは、5月の第5回部会や11月の部会で御議論いただきました。8ページの冒頭にありますように、現状を見ると、

・中小企業を中心にそもそも企業年金がない者がいる

・企業に企業年金があっても、非正規雇用労働者等、適用されていない者がいる

・iDeCoについて、加入可能範囲が拡大されたが、企業型DCの加入者のうちiDeCoに加入できるのは、iDeCoの加入を認める労使合意に基づく規約の定め等がある企業に限られている

といった課題があります。そのほか、様々な手続上の課題について指摘があります。

 これらを踏まえると、加入可能年齢の引上げ等の制度の充実を図ることに併せて、より多くの企業・個人が制度を利用できるよう、制度面・手続面の改善を図るべきであるとして、これまでの議論の到達点を、以下、整理しています。

 DBに関する一部の項目を除いて、方向性についておおむね一致していたものと理解しています。項目名だけにとどめさせていただきますが、8ページ、「1 中小企業向け制度の対象範囲の拡大等」、「2 加入者資格等」、9ページ、「3 企業型DC加入者の個人型DC加入の要件緩和」、10ページ、「4 iDeCoに係るその他の改善」として、「(1)マッチング拠出とiDeCo加入の選択」、「(2)iDeCoの加入申込み等のオンライン化」、11ページに続きまして、「(3)iDeCoの手数料」、「5 脱退一時金の改善」、「6 ポータビリティの改善」、12ページ、「7 その他のDCの手続面の改善」、13ページ、「8 DBの各種手続」について、記載しています。

 15ページに進んでいただきまして、続いて「ガバナンスの確保等」になります。このテーマは、7月の第6回部会と11月の部会で御議論いただきました。DB、企業型DC、iDeCoのガバナンスについて記載するとともに、16ページの「2 支払保証制度」、17ページの「3 年金バイアウト」、「4 いわゆる選択制DC」について、記載をしています。

 18ページからは、「将来像の検討」になります。このテーマは、4月の部会で拠出時・給付時の仕組みを御議論いただいた際、また、8月の部会でiDeCoのあり方を御議論いただいた際など、折に触れて紹介してきました。後に参考資料2でも御確認いただきますが、与党税制改正大綱においても、私的年金等に関する公平な税制のあり方の検討が盛り込まれています。

 今回、当部会において、この点に関して本格的な議論を行ったわけではなく、あくまでこれまでの議論の紹介程度だったわけでありますが、そのような中でも、賛同する意見があった一方で、慎重意見もありました。19ページ、1つ目のマルにまとめさせていただいていますが、

○諸外国と我が国では雇用慣行等の経済社会環境や公的年金制度に違いがあることや、企業年金・個人年金等は企業の退職給付・雇用の在り方や個人の生活設計にも密接に関係すること等を踏まえ、引き続き丁寧に検討を継続していく必要がある。また、拠出段階のみならず、拠出・運用・給付の各段階を通じた適正な税負担の在り方についても検討していく必要がある。

と記載しています。

 20ページ、最後に、「結びに」としてまとめさせていただいていますが、この部分を読めば全体が分かるよう書き起こしています。

○かつては、企業年金制度に関する議論は、社会保障審議会年金部会において公的年金制度とともに行われてきたが、厚生年金基金制度の見直しを機に、年金部会とは別の専門の企業年金部会が設置された。

○企業年金制度について専門的に議論を行う常設の部会が設置されたことにより、これまで必ずしも十分に議論を行うことができなかった内容について幅広く議論を行うことが可能となり、2016年改正においては、マル1からマル5まで、大規模な改正が実現した。

○今回、部会の再開に際して、「企業年金部会」から「企業年金・個人年金部会」に改組され、企業年金のみならず、個人年金を含めて幅広く議論を行った。

○議論の結果、2016年改正の内容をさらに一歩押し進める形で結論を得ることができた。具体的には、マル1からマル5までについて結論を得ることができた。加えて、今回は、加入可能要件の見直しと受給開始時期等の選択肢の拡大についても結論を得ることができた。

○そして、厚生労働省においては、当部会における議論等を踏まえた企業年金・個人年金制度の見直しに伴う税制上の所要の措置を講ずることについて税制改正要望を行ってきたが、今回、確定拠出年金法等の改正を前提に要望が認められた。

○さらに、今回は、法律事項に限らず、政令・省令・告示・通知事項まで含めて制度面・手続面を総点検し、iDeCoの加入申込み等のオンライン化等についても結論を得ることができた。

○厚生労働省には、当部会におけるこれまでの議論を踏まえ、制度の詳細な検討や調整を進め、改革の歩みを進めるよう求めたい。その際には、公平性・中立性の確保は重要だが、制度の簡素さ・分かりやすさや、システムへの負荷も十分考慮して検討を進めるべきであることは言うまでもない。

○各制度の実施機関としての企業年金連合会・国民年金基金連合会・運営管理機関には、厚生労働省の監督の下に、厚生労働省と密接な連携を図りながら、かつ、両連合会は十分に連携して、企業年金・個人年金制度を適正に運営するとともに、制度の普及・発展に取り組むことを求めたい。また、各企業においては、加入可能年齢の引上げ等の制度の充実を受け、労使で十分に話し合いを行い、制度の十分な活用を期待したい。

○一方、積み残った課題も多い。拠出限度額・中途引き出し・受給の形態といった拠出時・給付時の仕組みの在り方については、引き続きの検討課題となるが、企業年金が退職給付由来であり労使合意に基づくものであるということや、これらの見直しの内容によっては、企業年金、特にDBの普及を阻害しかねないことにも留意して、自助・共助・公助の役割分担や雇用・働き方の変化等を踏まえつつ、将来像の検討とともに、税制との関係も含めて、引き続き丁寧に検討を継続していく必要がある。

○リスク分担型企業年金の合併時・分割時等の手続、定年延長等の雇用延長に伴う給付設計の見直しに当たっての手続、支払保証制度及び年金バイアウトについては、意見の考え方を整理した上で、改めて議論することとされた。できる限り速やかに議論を再開し、丁寧に検討していく必要がある。また、企業型DCのガバナンスについては、2016年改正の施行後の実態を把握し次第、直ちに議論すべきである。例えば、運営管理機関の評価、商品除外等については、運用面での改善を含めて検討していく必要がある。

○手続面についても、今回の取組にとどまることなく、マイナンバー・マイナンバーカード・マイナポータルの活用、電子化の一層の推進等、関係者の利便性の向上を図る観点から、あらゆる方策を幅広く検討していく必要がある。

○制度の見直しのほか、制度の普及に向けた広報・教育の充実も重要である。今回の制度の見直しに当たっても、分かりやすい広報・周知に努めるべきである。なお、制度の実施時期については、周知期間やシステム改修等に必要となる期間を十分に考慮し、施行に向けて万全を期すべきである。

○今回の加入可能要件の見直しにより、企業年金は厚生年金被保険者であれば、個人年金(iDeCo)は国民年金被保険者であれば、加入可能となる。上乗せ年金としての限界まで、企業年金・個人年金の加入可能範囲を拡大することとなり、今後は、厚生年金加入期間の延長、国民年金の拠出期間の延長、厚生年金の適用拡大等のテーマとも連動することから、社会保障審議会年金部会とより緊密に連携した議論が必要となる。

○以上、来年度の制度改正・税制改正に向けて、企業年金・個人年金部会としては初めてのとりまとめとなるが、引き続き、制度・手続の現状や課題を確認しつつ、議論を行っていく。

と記載しています。

 続きまして、参考資料を簡単に御確認いただきたいと思います。

 参考資料1をお開きください。「令和2年度税制改正に関する参考資料」になります。

 1ページ、厚生労働省としては税制改正要望を行ってきましたが、今回、確定拠出年金法等の改正を前提に、要望が認められました。

 また、2ページ、特別法人税の課税停止措置の適用期限を3年延長することが認められました。

 続きまして、参考資料2をお開きください。議論の整理に関する参考資料になります。今回の議論の整理をお読みいただく際の参考となるような資料を入れていますが、後半の30ページから将来像の検討に関する資料を入れています。

 38ページ、今回の与党税制改正大綱の冒頭、「令和2年度税制改正の基本的考え方」に「4.経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し」として、「私的年金等に関する公平な税制のあり方」が盛り込まれています。冒頭のパラグラフだけ御紹介しますが、「働き方やライフコースが多様化する中で、老後の生活に備えるための支援について、働き方によって有利・不利が生じない公平な税制の構築が求められている。諸外国を見ると、例えばイギリスやカナダにおいては、加入する私的年金の組み合わせにかかわらず同様の非課税拠出が行えるように、各種私的年金に共通の非課税拠出限度額が設けられている。 こういった諸外国の例も参考に、わが国においても、働き方によって税制上の取扱いに大きな違いが生じないような姿を目指す必要がある。」と記載されていますので、御紹介させていただきました。

 私からの説明は、以上になります。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 2月から御議論を頂戴いたしました内容につきまして整理をしていただいたものを御説明いただいたわけでございますが、委員の皆様方から、御質問あるいは御意見があれば頂戴したいと思います。いかがでございましょうか。

 内田委員、どうぞ。

 

○内田委員

 御説明、ありがとうございます。労働側の内田です。よろしくお願いいたします。

 私からは、2点、意見とお礼を申し上げたいと思います。

 まず、資料1の8・9ページ目にございます加入者資格のところについてですが、企業年金の加入者の資格に関して、「退職金と同様、『同一労働同一賃金ガイドライン』の『基本的な考え方』を踏まえた取扱いがなされるべきであり、その旨をDB・DCの法令解釈通知においても明記、周知すべき」と記載されました。来年4月より同一労働同一賃金に関してパート有期法が実施されることから、積極的な周知をお願いしたいと思います。

 2点目は、10ページにございますiDeCoの加入申し込み等のオンライン化について、以前の部会でも意見を述べさせていただきましたが、電子化ができるという部分で、「オンラインで行うことを可能とするなど、各種手続面の改善をできる限り速やかに実現すべき」と記載いただき、ありがとうございます。

 もう一点、意見を申し上げたいと思います。DBとDCに拠出限度額の上限を設けるとか、あるいは、中途引き出しに関しても、様々な御意見がございましたが、最後の21ページ目の引き続きの検討課題の1つ目のマルにも記載がされておりますが、引き続き丁寧に検討を継続していく必要があると記載されており、今後の検討課題とされております。労働組合としましては、企業年金制度は退職給付制度であり、労使合意のもとで実施されているものであることを踏まえ、DBに拠出限度額の設定は行うべきではないことを改めて強調させていただきたいと思います。

 以上です。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 ほか、いかがでございましょうか。

 どうぞ。

 

○細田委員

 商工会議所の細田でございます。

 私は途中からの参加だったのですけれども、全体をまとめていただきまして、ありがとうございました。

 商工会議所として、いろいろなことを申し上げてきたと思いますけれども、私的年金の普及について、要件緩和とか見える化を進めるということで、非常に評価したいと思っています。

 ただ、我々としても何回か言わせていただいたと思うのですけれども、企業型DCの拠出限度額の引上げとかマッチング拠出の自由化といったことについて、議論の整理にはなかったように思うのですけれども、引き続き検討課題としていただきたいと思っております。

 こうなってくると、本来の1階や2階の部分も含めまして年金の組み合わせがいろいろと出てくると思いますので、そういったことも自由に組み合わせられ、皆が分かりやすい制度とすることも非常に重要かなと思います。また、マイナンバーの利用も、ぜひ積極的にやっていただければありがたいと思います。今、話も出ていましたけれども、手続の簡素化は非常に重要だと思いますので、特に私も途中からの参加で分かりにくいこともいっぱいあったのですが、そういう中でもって手続がややこしいと、もう仕方がないかなという感じになってしまうので、その辺はぜひ易しい形を考えていただければありがたいと思います。

 以上でございます。

 

○神野部会長ありがとうございます。

 ほか、いかがでございますか。

 どうぞ。

 

○金子委員

 金子でございます。

 私から、意見というよりは感想を2点ほど述べさせていただきたいと思います。

 1点目は、企業年金や個人年金の加入率を高めていくことは非常に重要であり、そのための方策として、今回、企業型DC加入者へのiDeCoの加入要件の緩和とか、iDeCoの加入申し込み等のオンライン化が挙げられています。この方策では、企業型記録関連運管とか国基連が大きな役割を果たすことになるわけで、十分な対策をとっていただきたいと思っています。また、同時に、これらの方策が軌道に乗った場合には、両者、特に国基連は高く評価されるべきだと思っております。

 2点目なのですけれども、企業型DC加入者へのiDeCo要件の緩和に伴う方策として挙げられている企業型DC加入者へのiDeCo額を通知するという取組について、制度の公平性あるいは厳密性と分かりやすさといった相入れない目標を同時に達成するための一つのソリューションを提示したという意味で、大いに評価できるのではないかと思っております。企業年金や個人年金は今後も恐らく一層公平性や厳密性が求められ、制度全体としては複雑になる傾向にあるのではないかと思っています。分かりにくくなることも予想されるわけですが、そのような場合であっても、対象者に前もって個別に使える枠を通知することにより、対象者自身がどう活用できるかといった理解の助けになるということだと思います。このような枠組みを利用することにより、個人年金の加入率が高まることを期待しております。

 以上でございます。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 白波瀬委員、どうぞ。

 

○白波瀬委員

 ここまでとりまとめていただきまして、ありがとうございました。私もしばらく委員をさせていただいているのですけれども、技術的な議論になると 毎回難しいなと思いつつ、でも、今回はとても分かりやすいまとめ方です。ありがとうございます。

 全般的なことについて、まず、これだけ老後が長くなってきて、全体の老後保障という中で、もともとは年金部会の中で議論され、そこから独立の部会が立ち上がり、現在、改めて年金部会と本部会との連携が重要になってきました。その意味でも改めまして情報共有も含めて、今後の議論を公的年金制度という全体枠組みを意識しつつ、より発展的に進めていくのが望ましい、ということが1点。

 2点目として、中小企業向け制度が導入されたわけですけれども、この中小企業の中身が、金融も含めて新しい産業分野や業種が増えてきて、またその業種に就く多くの若者にとって、以前の中小企業での労働者という枠組みが必ずしも当てはまらなくなりました。ですから、今までの大企業型の日本的な雇用とはまた少し違った側面も含め、若手にとっての老後保障をより意識的に考慮した制度設計が求められていると思います。ここでは穴埋め型についての言及もありましたが、一人一人がポートフォリオといった個人勘定をもって、自らの老後運営に自覚的、かつ積極的に関わることができるようになるよう、教育についてもより幼い時期から導入することも含めて今後議論できればよいと思います。

 感想です。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 ほか、いかがでございましょうか。

 まず、伊藤さん。

 

○伊藤委員

 とりまとめに当たって、労働者、労働組合の考えを十分に聞いていただいたと思っておりますので、このような形のとりまとめに至ったことは本当に感謝いたします。

 その上で、特に2点、iDeCoの手数料のところとか、いわゆる選択型DCについては発言をさせていただいた結果、きちんとこの議論の整理の中で今後の対応について書いていただいたことを本当に感謝いたしたいと思います。ぜひこの点については周知と実施を速やかにやっていただければと思います。

 このほか、先般申し上げたのですけれども、今回、こういった形で制度改正が今後されることになれば、中小企業やいわゆる非正規労働で働く人への制度の普及に当たっては、厚労省、国会などに負担をかけながら法令改正などがされるわけですので、労働組合においても普及については取り組んでいく所存ですけれども、事業主、金融機関を含め関係者は、ぜひこういった制度改正が活用されるように取り組んでいただきたいと思います。

 また、13ページのところにありますが、リスク分担型の合併時・分割時の扱いとか、定年延長時の給付減額の取扱いが検討されたわけですけれども、この点については、給付減額としての扱いのあり方という面においても、また、個別同意の手続のあり方においても、労働組合としては労働条件の変更ルールへの影響も含めて非常に重大な関心を持っておりますので、今後、こういうことを検討することになる際には、丁寧に議論を進めていただくようお願いしたいと思います。

 15ページのところに、労使による決定の実効性を高めるための条件整備ということで情報開示・分かりやすい説明を行うべきとの意見があったとあります。これは私が言ったからそう書いていただいたとは思っているのですけれども、このDC・DBを通じてガバナンスの確保がここの文脈にはあるわけですので、この労働組合に対する説明という点においては特段の条件整備をお願いしたいと思っていますので、重要なポイントとぜひ御理解いただきたいと思います。

 最後ですけれども、白波瀬先生もおっしゃっていました年金部会との関連なのですけれども、例えば、年金部会では社会保険の適用拡大で士業を国民年金第2号被保険者にするという見直しも出てくるようですし、そうなると、確定拠出年金の拠出限度額も変わってくる。また、公的年金の給付水準が下がっていくと考えると、こちらの企業年金・個人年金には制度内に再分配の仕組みがないので、所得保障政策全体としてどうあるべきなのかということを総合的に検討する必要があると思っておりますので、年金局としてぜひそういった検討の工夫をしていただきたいと思います。

 以上です。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 ほか、いかがでございますか。

 井戸委員に行きます。お待たせしました。

 

○井戸委員

 ありがとうございます。

 井戸でございます。

 議論の整理をしていただきまして、ありがとうございました。

 今回、iDeCoについて、年齢の引上げのほか、オンラインの申請など、様々な改革が実現いたします。国基連さんのお取組に感謝するとともに、大きな期待を今後もしております。

 資料にございましたけれども、iDeCoは、20代、30代の加入率がまだ少ないように思います。ですので、今後の生活設計が分かりやすく、公的年金も含めまして、見える化を含め、分かりやすい広報を引き続きお願いしたいと思います。

 引き続きの検討課題なのですけれども、ぜひとも穴埋め型を速やかに進めていただきたいということを希望しております。

 ありがとうございました。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 大江委員。

 

○大江委員

 大江でございます。

 本当に各方面から多くの意見を吸い上げていただいてとりまとめいただきましたことに感謝申し上げます。

 特にDCの改正では、帰国する外国人の方の脱退一時金が受け取れることについては、事業主さんから既に歓迎の声が私の方にも届いております。ありがとうございます。一方で、拠出限度額とかマッチングの件はまた引き続き検討をお願いしたいと思います。

 何人かの委員の先生から既にお話に出ていたのですけれども、特にDCは手続が多いというところがございますので、法制化をしていく部分でも、手続の負担が、加入する個人、事業主さん、運営管理機関さんにとってなるべく負担が増すことのないように御配慮いただけると非常にありがたいと思っております。

 最後ですけれども、今回の改正は労働環境とか高齢化に合わせてアップデートをしていく過程なのだろうと私は思っておりまして、穴埋め型等、とても重要な議論については、今後、少し時間のウエートを多く配分いただいて、しっかり議論をできたらと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 小川委員。

 

○小川委員

 資料で申し上げますと、議論の整理の13ページ、「8 DBの各種手続」に4つあるのですけれども、これらは全て日本年金数理人会が関与あるいは提言させていただいたことであります。今回結論が得られたとなっている(1)や(4)はもとより、改めて議論することとなっております(2)や(3)についても、引き続き積極的に尽力してまいりたいと思っております。特に(3)につきまして、定年延長のところですけれども、前の資料にございましたように、厚生年金基金の時代に給付減額が実質的に認められるようになってから、我々は初めて定年延長を経験しているような状況でありますので、提案させていただいているとおり、再定義することを考えてよいのではないかと、改めて思っております。

 積み残った課題とされている拠出限度額につきましては、つけていただいている参考資料2の31ページ、これまでに出てきているイメージ図が4つあるのですけれども、その右の2つのケースのように、確定給付型の年金制度を実施している企業がiDeCoの限度額を算定する際には、確定給付型の拠出相当額の算定が必要となる。そういう場合に備えてあらかじめ計算方法を検討しておくことは、我々が中心となって関わっていく必要があるのではないかと考えております。

 一方、DBの掛金に拠出限度を設けることにつきましては、既に第4回・第8回部会でも申し上げているように、我々としても反対であることを最後に改めて申し上げておきたいと思います。

 以上でございます。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 ほか、いかがでございますか。

 小林委員、どうぞ。

 

○小林委員

 御説明、ありがとうございました。

 経団連としても、これまで申し上げてきました意見や要望を含め、部会の議論を丁寧にとりまとめていただいたことに、改めて感謝を申し上げたいと思います。

 資料の21ページ目に、引き続きの検討課題として整理をいただいていますけれども、今回積み残しとなりました課題につきましても引き続き丁寧に検討・議論を進めていただくよう改めてお願いしたいと思います。

 特に拠出限度額・中途引き出し・受給の形態といった拠出時・給付時の仕組みのあり方につきましては、制度の根幹部分であり、企業年金の普及拡大を図る上でも肝となる課題と認識しています。資料の1つ目のマルに記載いただいているとおりですが、企業年金が退職給付由来であって労使合意に基づいて実施・運営されるものであることや、見直しの内容によっては、特に確定給付企業年金、DBの普及を阻害しかねないこと、これらを十分踏まえた上で検討する必要があることは、これまで繰り返し申し上げてきたところでございます。

 一方で、雇用や働き方が大幅に変化する中にあっては、企業年金の位置づけ、あり方、将来像、これらを税制との関係も含めて抜本的に検討・議論していくことが必要な状況にあることも事実と考えます。

 どのような方向に進むにしても、その見直しの内容は、企業の人事管理や労使関係のあり方、あるいは個人の働き方やライフスタイルに影響し、それらを大きく変えていく可能性もはらんでいることを踏まえて、引き続き丁寧かつ慎重な議論・検討をお願いしたいと思います。

 以上です。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 どうぞ。

 

○藤澤委員

 藤澤でございます。

 これまでの議論を丁寧に整理していただき、ありがとうございます。制度の現状や課題がよくまとまっていると思います。

 引き続きの検討課題のうち、拠出限度額についてコメントをしたいと思います。

 拠出限度額については、様々な意見があり、引き続き丁寧に検討していく必要があると認識しています。5ページの拠出限度額に対する意見の中にはDBを実施している企業に与える影響が大きいという意見もございますが、影響が大きいかどうかは拠出限度額の具体的な水準次第だと考えています。影響については、具体的な水準とそれを設定するためのロジックがないと議論しにくいと考えています。以前もコメントしましたが、厚生年金基金の実績を用いるという手法は見直しのタイミングに差しかかっていると考えていますので、今後、拠出限度額の検討を継続する中で、海外の事例も踏まえつつ、どのような水準が退職金由来の日本の制度に合うのかを検討して、所属している企業の年金制度によって税制上の取扱いに大きな差異が出ないような姿を目指すべきだと考えています。

 以上です。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 臼杵委員、どうぞ。

 

○臼杵委員

 どうもありがとうございます。

 ほぼ1年近くの間の議論をこのような形で、漏らさずという言い方がいいのか分かりませんけれども、丁寧にまとめていただいてありがとうございます。

 最後のV、VIあたりですかね。将来像とか結びのところで書かれていることと重複するとは思うのですが、3点ほどコメントないし要望のようなことを申し上げたいと思います。

 1つは、穴埋め型に関する検討でありまして、諸外国の例、カナダやイギリスの例等も参考に、例えば、本人確認をどうしているかとか、手続面でどういうふうにしているのかとかということも含めて調査なりをしていただいて、引き続き議論を進めていただければと思います。

 2番目、穴埋め型も、今、やっていない人、十分にできていない人にどうやってもらうかということが眼目で、穴埋め型ができて企業年金の加入者が逆に減ってしまうということでは問題になるのだろうと。そういう面でいくと、これは2番目のポイントなのですけれども、穴埋め型をやる・やらないもあるかと思うのですが、DC、iDeCoをどう普及させていくかが重要でしょう。実は大学にリサーチセンターというところがあって、そこから厚労科研が今年はこういうものが出そうですよというものが出てくるのですけれども、そこで先ほどの穴埋め型の制度的な課題等と、もう一つは、DC、iDeCoの加入者に関する調査もされるようですので、特に入っている人もそうですが、逆にどういう人が入っていないか、入っていない人の理由について、例えば手続が面倒なのか、あるいは、もちろん余裕がないということもあるでしょうし、経済学でいういわゆる時間選好率が高い、マイオピック、近視眼的であるということなのか、そのあたりをきちんと検証していただければと思っています。

 3番目は、必ずしも今回の1年の中では十分な議論ができていたかどうか分からないのですけれども、DCの投資教育ですね。その内容とか、効果。もちろんきちんと継続教育をしてもらうことは必要ですけれども、具体的にどういう内容であればどういう効果があるのかということ。これはガバナンス等も絡むのですが、特に投資教育については、どういう場合に効果があって逆に効果がないとしたらどういう対応が考えられるのかということを、また今後検討していただければと思います。

 以上です。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 オブザーバーのお2人、何か。

 

○松下国民年金基金連合会理事長

 国基連の松下でございます。

 iDeCoと国民年金基金につきまして、若干コメントをさせていただきたいと思います。

 iDeCoにつきましては、今回、加入可能年齢の引き上げ、企業型DCとiDeCoの同時加入の要件緩和等の制度面でのさらなる充実や、加入申し出のオンライン化等の手続面・運用面での改善につきまして、とりまとめをいただきました。委員の皆様のこれまでの精力的な御審議によりまして本日このようにまとめていただいたことにつきましては、大変感謝を申し上げたいと思います。当連合会といたしましては、iDeCoの実施機関として、皆様の御意見、御期待にお応えすることができますように、厚労省や関係者と連携いたしまして、制度のさらなる普及と加入者の利便性の向上及び我々の業務の効率化に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。引き続き、関係の皆様には、御支援、御指導を賜れればと思います。

 次に、国民年金基金について申し上げます。当連合会では、これまで確定給付型の個人年金であります国民年金基金につきましても、iDeCoと同様に第2号被保険者や第3号被保険者も加入可能となるように制度改正を行うとともに、拠出限度額につきましても引き上げていただくよう要望を出してまいりました。これらは、残念ながら今回のとりまとめの中には盛り込まれておりませんけれども、2号・3号の方々の選択肢を増やして老後の所得確保の一層の充実を図るという意味では、大変重要な課題であると考えております。今後、引き続き本部会で御議論いただきまして、本件が一日も早く実現するよう、強くお願いしたいと考えております。

 以上でございます。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 

○宮園企業年金連合会理事長

 企業年金連合会の宮園でございます。

 本日、この部会の最初のころに整理されていた広範な課題に対して一つ一つ方向性をお示しいただいたということでありまして、制度の改善・普及が随分進むということで、この内容について高く評価をさせていただきたいということで、何よりのクリスマスプレゼントだと思っております。それとともに、熱心に御議論いただきました委員の皆様方に深く敬意を表する次第でございます。私どもも、今回整理された制度改正の内容を含めまして、私的年金制度の普及・発展に貢献してまいりたいと考えております。

 また、改めて検討することとされた拠出時・給付時の仕組みのあり方につきまして、議論の整理の中でも、3ページにおいて明確にされておりますように、DBとDCの整合性を確保すること自体を目的とするのではなく、それぞれの制度を普及・発展させる観点からの検討をお願いしたいと思っております。私どもも、企業年金の現場の声やニーズを的確にお伝えしていきたいと考えております。

 なお、DC、iDeCoは、個人が長期にわたって適切な資産形成を行うという、個人にとっては極めて難度の高い金融行動でございますので、私どもを含めて関係者がしっかりとサポートしていくことが、制度改正が実を結ぶ上で、大変重要なことだと思っております。そういう意味では、運営管理機関や運用機関などの受託機関におかれましても、金融サポートに対する期待と責務は今後益々大きくなると思いますので、一層の役割を果たすようお願いしたいと考えております。

 以上でございます。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 森戸部会長代理。

 

○森戸部会長代理

 トリを任されるほど大したことは言わないのですけれども、クリスマスプレゼントと言おうと思ったら宮園理事長に言われたので言うことがなくなりましたが、クリスマスプレゼントかもしれませんけれども、あけてみたら結構クリスマスの宿題のような気もしますので、これはこれで非常に重いプレゼントだなという気がします。

 事務局には、非常に詳細に、法改正する点、今後の課題、これからの結び、方向性みたいなものがまとまっていて、非常に立派にまとめていただいて本当にありがとうございました。

 私からは本当に一言だけで、既に何度も申し上げたことですが、皆さんがおっしゃったように、公平な制度をつくっていかなければいけないということはもちろんで、穴埋め型の提案などもそういうことを意識しているわけですが、他方で、これも皆さんが御指摘のとおり、退職金から出発して、依然として退職金の性格を持っている企業年金があり、それがこれだけ企業に普及しているわけで、いわばその伝統といいますか、余り実施意欲なり維持する意欲をそぐような改革をすべきでないというのはもちろんあるわけですね。

 そうすると、ある意味、そういう企業年金、特にDB、退職金の実施意欲をそがないように、しかし、公平な制度を作っていくというのは、ある意味、非常に矛盾したことを言っている面もあるわけで、非常に難しい課題に取り組まなければいけない。まさに宿題だと思うのですが、そのときに、結局、何が公平かというのはなかなか深い話で、絶対的に公平だという概念はあるのかもしれませんけれども、突き詰めると、言ってしまえば、国民みんながまあまあ公平だねと思えるかどうかという話なのだろうと思います。

 そのためには、これも御指摘があったように、制度の周知・広報も大事ですが、それは、政府、または、もしかしたら政治的な問題として、その制度に対する信頼というのですかね。全体としては公平な制度になっているねとみんなが思えるような制度を作れるかというところをこれから考えていかなければいけないかと思います。幸い、iDeCoというものが、言葉も含めて、人口に膾炙したといいますか、一定のインフラ的な位置づけを占めつつあるのかなと捉えておりますので、そういうものをベースに、一定の、少なくとも不公平ではない、公平な制度とみんなが捉えられるような制度を作っていけるかということが今後の宿題かと思っております。

 以上です。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 事務局から、まとめてコメント等々をいただければ。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 様々な御意見をいただきました。

 まず、連合のお2人から、例えば、加入者資格については同一労働同一賃金ガイドラインの適用を受けるということをしっかり周知して欲しいという御指摘をいただきましたし、選択型DCも指摘をいただきました。しっかり対応したいと思っています。

 細田委員から、拠出限度額の水準や、マッチング拠出のお話をいただきました。大江さんからも、いただきました。この点は意見が分かれた部分ですが、そのような意見があった旨は、5ページ、6ページに列挙させていただいていますので、当然、検討課題として引き続き検討していくことになります。

 また、大江委員から現場の声をという話がありましたが、外国籍人材が帰国する際に、一定の要件を満たせば、今、公的年金の脱退一時金を受給できるわけでありますが、一方で、DCの受給ができないという矛盾点を抱えているという御指摘をいただいたので、今回、見直しの提案をさせていただきました。現場が感じている制度の矛盾点、また、改善すべき点は、しっかり声を上げていただき、我々はそれをしっかり吸い上げていくということが大事だと思っています。

 その意味では、手続のさらなる簡素化という指摘は、今日も何人かの委員から御指摘をいただきました。今回、国基連の皆様方の御尽力もあって、iDeCoの加入申し込み等のオンライン化については目途が立ったわけですが、井戸委員からもいつも指摘をいただいていますiDeCoプラスの手続もオンライン化して欲しい等々、さまざまな課題があります。電子化のさらなる推進という点を盛り込ませていただいていますので、あらゆる方策を幅広く検討していきたいと思っています。

 制度の見直しのほか、制度の普及に向けた広報・教育が重要になります。今回の制度の見直しに当たりましても、iDeCoについては特に国基連とともに分かりやすい広報・周知に努めてまいりたいと思います。20代、30代の方がまだ加入者数が少ないというお話もありましたが、これらの年齢層は結婚とか子供の教育資金などもありますので、まだ自らの老後を考える時期でもないからかもしれません。今回、iDeCoの加入可能年齢も引き延ばせるだけ延ばしたわけでして、長くなる高齢期にいつからどう備えるのか、国民の一人ひとりが自分事として考えていけることができるような、公的年金、退職金・企業年金、iDeCo・NISA、こういうものについて全体の見える化の取組が大事になってくると思っています。

 いわゆる「穴埋め型」につきましては、働き方や勤め先の企業によって大きな有利・不利が生じないようにしていかなければいけないという観点から、今日も賛同する意見があった一方で、特にDBに係る部分で慎重な意見がありました。

 DBについては、拠出限度額、また、中途引き出しなどのあり方については、経団連の小林委員からもありましたが、肝となる課題ですので、企業年金が退職給付由来であること、労使合意に基づくものであること、これらの見直しによって企業年金が衰退してしまっては元も子もないということも理解しながら、税制との関係を含めて引き続き丁寧に検討していきたいと思っています。

 改めて議論すべき課題がいくつかあります。リスク分担型の話であったり、定年延長の給付減額の話であったり、支払保証もそうですし、年金バイアウトについても引き続きの課題とさせていただいています。できるだけ早く議論ができるよう準備をして、丁寧に議論をしていきたいと思っています。

 企業型DCのガバナンスの話で、今回、確かに投資教育の話等々は十分な議論ができていなかったと思います。これは法改正後のデータがまだ出ていないことからですが、この部分のデータをしっかり把握・咀嚼し次第、すぐに議論ができるように準備をしたいと思っています。

 年金部会との連携につきましては、私一人で決められることではありませんので、年金局長と相談しながら、どう議論を進めていくべきかということは、今後、考えたいと思います。

 以上です。

 

○神野部会長

 ありがとうございました。

 それでは、一わたり御意見を頂戴いたしました。私の印象では、皆様方から、非常に有益なコメントとか、御感想とか、特に御要望も頂戴いたしましたけれども、本日提出させていただきましたこの議論の整理案については、ほぼ皆様方に評価をしていただいているという印象で受け取っております。

 御異論がなければ、「社会保障審議会企業年金・個人年金部会における議論の整理(案)」について、本日、委員の皆様方から御了承いただいたということで、案を取った形で、もちろん後日委員の皆様方にお送りすると同時に、厚労省のホームページ等々で公表するということで、本日、この案を取らせていただくことについて、委員の皆様方から御了承いただいたとさせていただいてよろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○神野部会長

 どうもありがとうございます。

 それでは、そのようにさせていただきますので、事務局におかれましても、引き続きこの方針に基づいて進めていただければと思います。

 これで本日用意いたしました審議を終わらせていただきますが、冒頭にも申し上げましたように一つの区切りでございますので、私から委員の皆様方に、おわび方々、御礼を申し上げたいと思っております。

 私は、部会長を仰せつかっておりますが、行き届かない点が多くて、うまくまとめるリードできたかどうか、忸怩たる思いでございますが、本日、議論の整理をまとめることができました。ひとえに委員の皆様方の御協力と御指導の賜物として理解をいたしておりますので、心より御礼を申し上げます。

 さらに、事務局においても、奮励をいただいて、今も皆様方の同意をほぼ得られるようなまとめ方をしていただいたということで、事務局から頂戴いたしました様々な御努力に敬意を表するとともに、御礼を申し上げる次第でございます。

 任がおりたところで、軽い話をすると、私が子供のころは人生50年と言われていたものが100年になって、今、私の父は102歳で、さいたま市の市報によると男性で最長寿、母が94歳ですので、その2人を70歳を過ぎた我々夫婦が介護するという老老介護の状態で、これがごくありふれた風景になっているのだろうと思います。類的本質、人間、ホモ・サピエンスの特色を、絶滅したネアンデルタール人との対比で比較・議論をされているのですが、最近のダイアモンド等々の指摘によると、ネアンデルタール人と現代人と共通するところは、ネアンデルタール人も、障害を負った仲間、年老いた仲間をちゃんと世話をしたと。これは骨から全部分かると。これが現代人とネアンデルタール人の統一した特色であると指摘されて、現代人は危なくなってきているかもしれませんが、いずれにしても、私たちは家族の機能やコミュニティーの機能が非常に弱くなっているので、そのかわりに年金という社会の構成員の共同事業によって高齢者の生活を支えていこうとしているのだろうと思います。さらに、人生が長くなり、就労も多様化していて、その基本的な共同事業を超えて、様々なニーズについては私的年金がこれを補強・補完するという形になると思います。今日の最後の皆様方の御意見でも、公的年金と企業年金・個人年金とを有機的に関連づけるようにという御要請が非常にあったわけですが、そういう点を含めて、今後とも重要な課題になってくるだろうと思います。

 冒頭にも申し上げましたように、今日はクリスマスですが、クリスマスは、聖書には12月25日にキリストが生まれたとは一言も書いていないので、ギリシャ正教は1月ですから、どうもプレゼントとか何とかという問題ではなくてむしろ太陽が反転する日のゲルマンのお祭りが基礎になっているようでありまして、今日まとめた整理案が、太陽が反転するように、次の私たちの年金のあり方についての重要な導きになるように期待しながら、事務局に一層の奮励をお願いする次第でございます。

 どうもありがとうございます。

 引き続いて、局長からお言葉をいただければと思います。

 よろしくお願いします。

 

○高橋年金局長

 部会の委員の先生方、また、部会長を初め皆様方には、2月以来、10回、ちょうど10回という切りのいいところでございますけれども、また、夏以降、特に集中的に制度改正に向けた御議論をいただきまして、ありがとうございました。

 夏から集中的にかなり速いペースで詰めに向かって御議論いただきまして、その後、これは税制改正なものですから、与党の税制改正プロセスを進めまして、それがしっかりと目途がついたものですから、ちょうど本日、分かりやすく文章をおまとめいただいたということで、心より御礼申し上げます。

 部会長からもお話がありましたように、健康寿命が延びて、ますます長生きをする時代になってきた。人々が多様な形でまた長く働く社会になってきた。こういう中にあって、公的年金制度を基本としながら、企業年金・個人年金をどのように上乗せで組み合わせてしっかりと構築していくか。これは社会経済の変動に合わせて、逐一メンテナンスをして、新しい時代に合うものにアップデートをしていく必要があると思います。

 今回は、公的年金につきましての年金部会の議論と、私的年金につきましての企業年金・個人年金部会の議論を同時並行して進めていただきました。そのコンセプトも一体のものとして、より長く多様な形で働く社会にあって、どのようにしていくか。公的年金につきましても、被用者保険の適用拡大や、より長く働く時代に応じまして、受給開始時期の選択肢の拡大等々の見直しを行う。それに合わせまして、私的年金も、加入要件の年齢の引き上げであったり、受給開始時期の選択肢の拡大であったり、また、制度の運営面の改善とか、いろいろな意味で、iDeCoの関係とか、テクニカルなシステム化なども図りまして、より分かりやすく、より使いやすい制度にしていくことの提案をおまとめいただいたと思います。

 来年3月に向けまして、法案化の作業を進めているところでございまして、公的年金と私的年金の部分を一体の制度改正として、来年の通常国会に提案し、国会で御審議をいただきまして、ぜひとも早期の成立をお願いした上で、その施行も図っていきたいと考えてございます。

 今回の議論のとりまとめでは、今後の課題も多数宿題事項をいただいてございます。大変重要な課題だと思っておりまして、一つ一つ、これからじっくりと年金局が準備を進めた上で、できるだけ早い時期にまた議論を再開していただけるように用意をして進めてまいりたいと思います。

 重ね重ね、この1年間、大変精力的な御議論をいただきまして、ありがとうございました。また、大変分かりやすい前向きな議論の整理もいただきまして、誠にありがとうございました。本日は、御礼を申し上げます。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 部会は引き続き継続しますので、次回以降の開催につきまして、事務局から御連絡を頂戴したいと思います。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 次回の部会につきましては、事務局から連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○神野部会長

 それでは、これにて本日の会合を終了したいと思います。

 御多忙中のところを御参集くださいましたことに深く感謝を申し上げる次第でございます。

 どうもありがとうございました。