第14回 社会保障審議会企業年金・個人年金部会 議事録

日時

令和2年8月26日(水)13:58~16:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター 15階ホールD

出席者

神野部会長  内田委員  藤澤委員

森戸部会長代理  大江委員  細田委員

伊藤委員  小川委員

井戸委員[オンライン]  金子委員

臼杵委員[オンライン]  小林委員[オンライン]

 

(オブザーバー)

鮫島企業年金連合会理事長  松下国民年金基金連合会理事長

 

議題

関係団体からのヒアリング

議事

議事内容

○神野部会長

 それでは、定刻少し前なのですが、御出席の予定の皆様方、お揃いでございますので、ただいまから第14回「社会保障審議会企業年金・個人年金部会」を開催したいと存じます。

 皆様方には、大変お忙しいところ、かつ、異常な暑さが続いている折にもかかわらず、万障繰り合わせて御参加いただきましたこと、深く感謝申し上げる次第でございます。

 本日の委員の出欠状況ですが、白波瀬委員、渡邊委員から御欠席との御連絡を頂戴いたしております。

 また、井戸委員、臼杵委員、小林委員におかれましては、オンラインにて御参加をいただいております。

 御出席をいただきました委員の皆様方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを、まず、御報告申し上げたいと思います。

 それから、議事に入るに先立ちまして、事務局の方に異動があったということでございますので、この件につきまして、事務局から御紹介を頂戴したいと思います。

 よろしくお願いいたします。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 企業年金・個人年金課長の吉田です。本日も、どうぞ、よろしくお願いいたします。

 まず、事務局の異動について、改めて御報告いたします。

 大臣官房審議官年金担当の朝川です。

 年金局総務課長の内山です。

 企業年金・個人年金課基金数理室長の木村です。

 以上です。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 それでは、議事に入らせていただきますが、カメラの方は、特にいらっしゃらないと思いますので、いらっしゃるようであれば、御退室をお願いしたいと思います。

 まず、事務局の方から、資料の確認をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 資料の確認をさせていただきます。

 本日の資料ですが、資料1、本日のヒアリング出席者一覧。

 資料2、生命保険協会提出資料。

 資料3、信託協会提出資料。

 参考として、みずほ信託銀行提出資料。

 資料4、企業年金連絡協議会提出資料。

 参考資料1から参考資料3まで7月の当部会の資料を、参考資料4として委員名簿を用意しています。

 事務局からは、以上です。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 それでは、議事の方に入りたいと思いますが、お手元の議事次第を御覧いただければと思いますけれども、前回に引き続きまして、関係団体からのヒアリングを行いたいと考えております。

 本日は、生命保険協会、信託協会、企業年金連絡協議会の3つの団体でございますが、この3団体から御意見を頂戴することになっております。

 本日の進め方ですが、まず、お越しいただきました3団体の皆様方から御意見を頂戴し、恐縮でございますが、それぞれ15分から20分程度で御発表いただければと思います。

 その後、3団体の御発表の後、3団体の御発表をまとめて意見交換の方に移りたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、大変お忙しいところを快くおいでいただきました3団体の皆様方にお礼を申し上げるとともに、早速でございますが、発表に移らせていただければと思います。

 まず、生命保険協会様からお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○生命保険協会

 生命保険協会の菊地でございます。よろしくお願い申し上げます。

 本日は、このような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 では、早速でございますが、説明に入らせていただきます。

 生命保険協会の資料の1ページ目を御覧ください。

 生命保険会社は、DBやDCを提供しておりまして、お客様の退職給付制度の安定的な運営や、高齢期の所得確保等をサポートしております。

 本日は、DBやDCの受託会社としての立場から意見を述べさせていただきます。

 次のページを御覧ください。2ページ目です。

 ここから「当面の対応のために議論を要する事項」のうち「(1)DB併用時のDCの拠出限度額」「(2)第2号被保険者の個人型DC加入時の事業主証明等」「(3)DBの掛金設定の弾力化の検討」の3点について、生命保険協会の意見を述べさせていただきます。

 では、次ページ以降で、具体的に説明させていただきます。

 3ページ目を御覧ください。

 1点目の検討課題は「DB併用時のDCの拠出限度額」でございます。

 DBの仮想掛金に関する論点となります。

 DB仮想掛金につきましては、多様な課題が存在しておりまして、各課題に丁寧に対応した上で検討が必要と考えております。

 特に、コスト・事務負担・時期につきましては、受託会社等の関係者との綿密な連携が必要でございます。

 本ページ以降、多様な課題のうち、特に重要な論点を4点述べさせていただきます。

 課題の1点目は「退職金制度の見直しが必要な企業への対応」でございます。

 DB仮想掛金とDC掛金の合計額が月額5.5万円を超過する企業では、退職金制度の見直しが発生することとされております。

 ページの下段に課題を挙げてございます。

 まずは、労使合意の上、定めた退職金制度を強制的に見直す必要が発生するという点。

 DB仮想掛金を変更するたびに退職金制度の見直しの検討が発生し得る点。

 DBまたはDCを減額することで、企業年金・個人年金の普及促進という本部会の方針に逆行し得る点を課題と考えてございます。

 このため、例えば、既設の制度でDB、DC合計が5.5万円を超えている制度につきましては、適用しないといった既存制度への配慮が必要と考えております。

 なお、この点につきましては、資料上ないのですけれども、データを補足させていただきたいと思います。

 仮想掛金の算出方法は、まだ確定していませんので、あくまで参考データとなりますが、一部の生命保険会社で確認をしたところ、DBとDCの併用規約、両方ともやっているという規約の約12%が合計で5.5万円を超えているというところにかかっているということでございます。

 なお、この試算に当たりましては、DBの仮想掛金額は、標準掛金を2020年5月末時点の加入者数で割って算出するという簡易な方法をとってございます。

 また、DCの掛金は、規約上の最大掛金額ということで使用してございますので、あくまでも一部の従業員の方が5.5万円を超えてしまう可能性がある規約の割合として、今、申し上げた12%という数字を捉えていただきたいと思います。

 では、次の4ページ目です。

 課題の2点目は、個人型DC掛金の減額・停止が必要な加入者への対応でございます。

 DB仮想掛金と企業型DC掛金の合計額が4.3万円を超過しますと、個人型DC加入者は、現状の掛金額を減額または停止せざるを得なくなるということでございます。

 ページ下段の課題を御覧ください。

 個人型DCは、手数料を加入者自身が負担するということでございますので、積立金が今後増えませんというケースでは、積立金に占める手数料の割合が相対的に大きくなりまして、資産が目減りするという可能性が高まります。

 このような加入者への対応も検討課題となると考えております。

 次の5ページ目でございます。

 続きまして、3点目の課題が「社会的コスト・事務負荷の増加」というところでございます。

 現状、仮想掛金額の算出方法あるいは掛金データの連携方法といったところは、詳細な前提が提示されてございません。このため、コストや事務負荷の規模や負担者等が現状では把握できていないという状況でございます。

 そのような中ではございますが、中段の図で書いてございます。想定されるフローの例示ということで捉えていただきたいと思います。

 赤字の部分、仮想掛金額を計算するというマル2番のところ、マル6番で連携データを管理するというところ、マル7番のデータの連携というところ、この辺りにシステム開発コストがかかると考えてございます。

 また、受託会社がデータ連携を行うという前提の図になってございますが、事業主が自身で加入者管理を行っているという場合もございまして、そのようなケースでは、事業主がデータ連携を行うフローになりますので、開発コストも直接事業主が負うということが考えられると思います。

 ページの中段にコストに関する課題を記載してございます。

 仮想掛金の算出や連携データの管理・連携の場面においてシステム対応が必要となるというところは、先ほど申し上げたとおりというところです。

 ページの下段に事務負荷に関する課題を記載してございます。

 仮想掛金の算出は、簡易かつ算出結果が課題にならない手法でなければ、事務負荷が増える可能性があると考えてございます。

 また、連携するデータは、個人情報が含まれますので、個人情報保護の観点をクリアした連携の仕組みも必要と考えてございます。

 また、データの連携方法は、簡素な仕組みとして、併せて頻度も検討するということが必要だと考えています。

 最後ですが、基礎年金番号が収録されていない場合、事業主がデータを収集する必要が改めて発生するという点も懸念事項の1つというところでございます。

 この点も資料上ないので恐縮なのですが、データを口頭で補足させていただきたいと思います。

 一部の受託会社の概算データとなるのですが、加入者数ベースで見ますと、基礎年金番号の収録はどの程度できているかというところは、規約型は約3割弱、基金型は約9割です。全体では、収録率は5割に満たないというデータがございます。

 取り急ぎ集計した概算データですので、参考値として捉えていただきたいのですが、それなりの規模で基礎年金番号は収録できていないという現状があるというところを、この場で紹介させていただきたいと思います。

 このページの上段の四角囲みの2つ目のマルに戻っていただきたいのですが、これまで述べてまいりましたコストや事務負荷といったところは、最終的には、事業主様や加入者様に転嫁せざるを得ないと考えてございます。

 このため、コストの抑制への配慮をお願いするとともに、コスト等の規模や負担者を検討していただくということが重要かと考えてございます。

 次の6ページ目でございます。

 4点目の課題として「改正時期」を挙げてございます。

 これまで列挙させていただいた課題を検討いただいた上で、それでもなお見直しを実施するということになりました場合でも、改正時期は適切な時期を御検討いただきたいと考えております。

 ページ中段の2つ目のポツを御覧いただきたいと思います。

 今回の改正には、システム開発がどうしても必要になるということでございます。例えば、企業型DCと個人型DCの通算の改正がなされる2022年10月というところで同時に実施するということになりますと、受託会社によっては、システム開発が間に合わないといったような懸念もございます。

 また、段階的な導入といった事務負荷を平準化できるような方法も併せて御検討いただければありがたいと考えております。

 次の7ページを御覧ください。

 こちらは、DCの拠出限度額に関する新聞報道を受けたお客様の声というところでございます。特に、お客様に総ざらいで当たって拾っているということではなくて、自然体で入ってきた声ということでございます。

 5つ挙げているのですけれども、特に2つ目の意見や5つ目の意見のように、DCとDBの制度設計に制約を感じていらっしゃると、DBをやめるといったような意見であるとか、あるいはDBの制度設計に制約を感じると、そういったようなお客様がいらっしゃいました。今回の見直しは、あくまでもDCの拠出上限のついているものということでございまして、DBは、現行の枠組みを維持ということが前提としてあるということかと思っておりますが、実際に企業年金制度を実施されている皆様の受けとめを見ますと、DB制度の方の運営にも影響が出るといったようなお声もございます。

 このように、企業年金制度実施者の意図せざるような反応を惹起する可能性でありますとか、金額ベースで企業年金制度の大半を現状占めているDB、この普及にマイナスの影響を与えるリスクがなくはないという点を御検討いただきたいと考えてございます。

 以上が、DB仮想掛金に関する課題でございます。

 冒頭に申し上げましたように、DB仮想掛金につきましては、多様な課題が存在しておりまして、各課題に丁寧に対応した上での検討が必要と考えております。

 繰り返しになりますが、コスト、事務負荷、時期につきましては、受託会社等の関係者と綿密な連携をお願いしたいと考えております。

 次のページを御覧ください。

 2点目の当面の対応のために議論を要する事項につきまして、2点目の検討課題である「第2号被保険者の個人型DC加入時の事業主証明等」というところでございます。

 事業主証明や現況確認の撤廃につきましては、事業主、個人型DC加入者の手続簡素化になるという点において賛同するというところでございます。

 ただし、ページの下段の図でお示ししておりますが、企業型DCの掛金とDB仮想掛金を踏まえた上で、いずれの主体が個人型DCの拠出額を個人に通知する必要があるのですが、現時点では、その通知の主体が不明であるというところですので、場合によっては、ここは事業主の負担となるという点は、ちょっと懸念事項でございます。

 また、事業主証明、現況確認の撤廃は、DB仮想掛金のデータ連携が大前提ということでございますが、繰り返しになってしまいますが、この点のコストや事務負荷が課題にならないように配慮をお願いしたいと思います。

 次の9ページ目を御覧ください。

 3点目の検討課題である「DBの掛金設定の弾力化の検討」につきましては、資料に記載のとおり、一部のお客様からも標準掛金なり、特別掛金、特例掛金に対する猶予を求める声が上がっておりますので、コロナ禍における企業年金の持続性を高める取組として賛同いたします。

 10ページ目を御覧ください。

 ここからは「中期的に議論を重ねていくべき事項」につきまして、生命保険協会の意見を述べさせていただきます。

 11ページ目を御覧ください。

 「将来的な『穴埋め型』の検討」につきましては、税制や拠出限度額・中途引出し等の多様な課題を踏まえた慎重な検討が必要だと考えてございます。

 特にDBにつきましては、退職給付制度として広く利用されているという現状があることから、拠出限度額の設定や中途引出しの制約は行わず、自由な設計を引き続き可能とすることが望ましいと考えております。

 次の12ページを御覧ください。

 「終身年金の理解・利用促進」でございます。

 平均寿命を大きく超えて長生きする方が相当程度存在するということでございます。そのような長生きリスクへの備えとして、生存中の収入を安定させることができる終身年金の利用が考えられます。

 一方で、終身年金に対する認識や心理的な傾向があることから、制度上は、受給者が終身年金を選択できるケースにおいても、実際には選択されているケースは少ない状況にございます。

 この点につきましては、OECDで長生きリスクに対応するために、終身年金化の働きかけをすることが指摘されてございまして、金融教育によって終身年金の需要が促進され得るとされております。

 これらを参考に考えますと、ページ上段の四角囲み、3つ目のマルを御覧いただきたいのですが、長生きリスクや終身年金のメリット・デメリットについての周知・啓発を行うこと、さらには、公的年金の状況に応じて、企業年金・個人年金の終身年金による上乗せとしての役割をより重視する場合には、補助金や税制を含めたインセンティブを付与するということを検討することも重要かと考えております。

 最後のページ、13ページを御覧ください。

 受取方法のり選択肢の拡充や見直しが行いやすいように、制度や手続の整備を提案してございます。

 こちらは、第3回の企業年金・個人年金部会において、当協会が提示した資料の再掲でございますので、説明は割愛させていただきたいと思います。

 生命保険協会からの説明は、以上となります。

 御清聴ありがとうございました。

 

○神野委員長

 どうもありがとうございました。

 それでは、引き続きまして、信託協会様から御説明を頂戴したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○信託協会

 本年度、信託協会において、年金専門委員長を務めております、みずほ信託銀行の上田でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、貴重な機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。

 時間も限られておりますので、早速ではございますが、資料に沿いまして、当協会の意見を申し上げます。

 それでは、2ページを御覧ください。

 まず「より公平なDC拠出限度額の設定の検討」につきまして、意見を申し上げます。

総論といたしまして、DB仮想掛金額を導入し、企業ごとの給付水準をもとにDC拠出限度額を算出する見直しにつきましては、拠出可能額の有効活用につながる可能性があると考えております。

 一方、DBと企業型DCを併用している企業のうち、DC拠出限度枠が縮小・消滅する企業やDBの給付減額を選択する企業が想定されますことから、慎重な議論をお願いしたいと考えております。

 また、より公平なDC拠出限度額の設定を実施するに当たり、労使合意に時間を要することや、制度変更当初は加入者が混乱するおそれがあることも想定されますので、経過措置を導入することにつきましても、併せて御検討いただきたいと考えております。

 経過措置の一例といたしまして、施行日前に設立された制度については、従前の掛金額の適用を可能とすることや、DB仮想掛金額の評価により、DB拠出可能枠が縮小・消滅する場合、一定期間、従前のDC掛金の拠出額を維持することが考えられます。

 このような経過措置につきましては、後ほど御説明いたしますが、今回の見直し案の影響を受ける加入者が相当程度いらっしゃいますので、ぜひとも検討をお願いできればと思います。

 続きまして、3ページを御覧ください。

 ここでは、先ほど御説明させていただいたことのほかに想定される懸念事項につき、少し粒度は細かいですけれども、御説明させていただきます。

 懸念事項といたしましては、DB仮想掛金額の算出による影響、労使合意の取得、企業会計上の債務認識の3つの観点がございます。

 1つ目の観点、DB仮想掛金額の算出による影響についてです。

 こちらは、3点ございまして、1点目は、今回の見直し案により、DB仮想掛金額の評価というものが導入され、DB仮想掛金額の評価によって企業年金の給付水準を調整するために、退職一時金へ振り替えられることも想定されます。

 このため、受給権保護の措置が取られていない状態に陥ることになることを懸念している点でございます。

 2点目、DB仮想掛金額の算出については、詳細は決まっていないものと承知しておりますが、計算時期や方法、関係者間でのデータ連携の実施により、我々DB受託機関やDBの事業主のほか、データの受け手となり限度額を管理する機関において、システム開発や体制整備が必要となるという点でございます。

 加えまして、DB仮想掛金額につきましては、複雑な計算方法とならないよう、日本年金数理人会様と十分に検討を行っていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 DB仮想掛金額の算出による影響の3点目ですが、DB仮想掛金額の算出に当たり、年金数理人の責任範囲や計算の妥当性の検証基準を明確にする必要があると考えております。

 懸念事項の2つ目の観点、労使合意の取得時期についてです。

 企業年金は、退職給付由来であり、労使合意に基づく制度ではございますが、労使合意が得られる前に、今回の見直し案に係る改正が行われた場合は、労使合意がないままDC拠出枠が縮小・消滅することに留意が必要であると考えております。

 懸念事項の3つ目の観点、会計上の債務認識についてですが、DB仮想掛金額の評価によって、DB拠出可能枠が消滅した場合は、DC資産をDB制度へ移管することは可能ではありますが、企業会計上は、DC制度と異なり、債務認識が必要であるということに留意が必要であると考えております。

 以上が懸念事項でございます。

 続きまして、4ページを御覧ください。

 現行のDBを併用している企業型DCの拠出限度額は、一律月額2.75万円となっていることから、今回の見直し案によって、DB仮想掛金額が2.75万円以上と評価され、企業型DCの拠出限度額に影響を受ける可能性がある加入者の範囲について、信託協会として分析を行っております。

 こちらのグラフでは、信託銀行がDBの総幹事業務を実施している企業におけるDBの1人当たりの平均標準掛金の状況をお示ししております。

 棒グラフのうち青色部分が企業DCを併用しているDB加入者数を示しており、紫色部分が企業型DCを併用していない加入者を示しております。

 折れ線グラフは、企業型DCを併用しているDB加入者の累積割合を示しております。

 企業型DCの拠出可能枠が縮小・消滅する可能性がある加入者数、すなわち赤枠の中の青色の棒グラフの合計は、約60万人となっております。

 このデータは、信託銀行が総幹事業務を実施している企業に限っており、個人型DCの拠出についても考慮したデータとはなっていないため、実際には、今回の見直し案によって、DB拠出可能枠が縮小・消滅する加入者は60万人以上となります。

 このため、冒頭で申し上げましたとおり、今回の見直し案により、DB拠出可能枠が縮小・消滅する加入者に対する経過措置を、ぜひともお願いしたいと考えております。

 5ページを御覧ください。

 こちらは、参考資料でございます。

 信託銀行が総幹事業務を実施しているDBの加入者数は647万人であり、DB加入者全体の約7割を占めております。

 したがいまして、先ほど御説明いたしました影響を受ける加入者分析のデータについては、一定程度網羅性があるものと考えております。

 以上が、より公平なDC拠出限度額の設定の検討についての意見となります。

 6ページを御覧ください。

 続きまして「DBの掛金設定の弾力化の検討」について意見を述べさせていただきます。

 こちらには、確定給付企業年金の決算に関する報告時や、日頃の営業活動の中で、お客様より信託銀行各社に対して寄せられました掛金設定の弾力化の措置を求める声を記載しております。

 御覧のとおり、金融危機当時と同様の措置を求める声や、類似の措置を求める声が複数ございました。

 このような掛金設定の弾力化の措置を求めている企業の業種は、主に医療・福祉、卸売業・小売業、建設業となっております。

 したがいまして、信託協会といたしましても、金融危機当時に講じたDB掛金設定の弾力化措置及び類似の措置を講じていただきたいと考えております。

 7ページを御覧ください。

 本ページは、金融危機当時に講じた措置を記載した参考資料でございます。

 第12回の企業年金・個人年金部会の資料の再掲でございますので、説明は割愛させていただきます。

 8ページを御覧ください。

 こちらも参考資料でございます。信託銀行が総幹事業務を実施する確定給付企業年金のうち、2020年3月末決算先における決算速報値をお示ししているものです。

 左側のグラフは、非継続基準の積立比率の状況をまとめたものであり、基準値である1.0を下回っている年金制度は、約20%程度存在していることが分かります。

 また、右側のグラフは、2020年3月末時点の運用実績をまとめたものとなっておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、約9割の年金制度において、時価ベース利回りがマイナスとなっていることが分かります。

 以上がDBの掛金設定の弾力化の検討についての意見となります。

 続きまして、9ページを御覧ください。

 ここからは、拠出時・給付時の仕組みの在り方について意見を述べさせていただきます。

 政府税制調査会や社会保障審議会企業年金・個人年金部会においても、拠出、運用、給付の各段階を通じた適正な税負担の在り方について議論されていることも踏まえて、拠出、運用、給付の段階に分けて意見をまとめております。

 まず、拠出時の措置から説明いたします。

 拠出段階における現状の課題としては、

・企業型DCにおける従業員拠出においては、事業主拠出と合わせて拠出限度枠の内枠、かつ、事業主拠出額を超えない範囲内での拠出しか認められていないこと・毎年のDC非課税枠を使い切れず、有効活用できていない者がいること

などが挙げられ、老後の生活等に備える資産形成や所得確保の機会が不十分であると考えられることから、企業型DCにおける従業員拠出の拡充、DCの一定の限度額までの年をまたいだ非課税枠の繰り越し、DC拠出限度額の引上げを要望いたします。

 10ページを御覧ください。

 続きまして、運用時の措置でございます。

 近年、公的年金を補完する観点から、DB及びDCの役割期待が高まっている状況です。

 その状況下において、現状、企業年金等の積立金には、特別法人税が課税されることとなっておりますが、令和5年3月末まで課税停止措置が取られております。

 仮に、特別法人税が課税された場合は、運用時及び給付時を合わせた税負担が重くなります。

 これらを踏まえまして、老後生活の維持・安定を目的とする企業年金が一層普及するよう、特別法人税の撤廃をお願いしたいと考えております。

 また、特別法人税の撤廃には、一定程度の時間を要することも想定されますので、撤廃に至るまでは、課税停止措置の延長をお願いいたします。

 11ページを御覧ください。

 最後に給付時の措置でございます。

 平均余命の伸長により、高齢者の雇用形態や退職年齢の多様化が進むことが想定されます。

 また、公的年金の繰下げ受給上限年齢が70歳から75歳へ引き上げられるとともに、企業年金の世界においても、DBの支給開始時期の設定可能な範囲が70歳まで拡大し、DCの受給開始時期の上限年齢についても75歳に引き上げられ、老後の生活設計の選択肢がより一層広がることが期待されます。

 したがいまして、年金支給の繰下げを促すなどの利便性を高める目的で、公的年金等に係る雑所得の控除額を拡充する措置をお願いしたいと考えております。

 以上、長くなりましたが、信託協会からの意見として御説明させていただきました。

 御清聴ありがとうございました。

 

○神野委員長

 どうもありがとうございました。

 それでは、引き続きまして、企業年金連絡協議会から御説明を頂戴したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○企業年金連絡協議会

 企業年金連絡協議会、略称企年協でございます。

 本日は、このような席を設けていただきまして、誠にありがとうございます。

 それでは、私、共同会長を務めております芥川と申しますが、私から、まず、1ページ、2ページにつきまして、御説明をさせていただきます。

 私ども企年協は、1ページにございますとおり、600を超える国内の年金制度の実務者が集合いたしまして、2ページにございますように、相互の交流、研鑽を通しまして、事業運営に必要な知識・情報を交換、共有、そして「知りたい・交流したい・発信したい」をサポートするということで活動している団体でございます。

 3ページを御覧ください。

 こちらは、組織図となってございます。幾つかの部会に分かれて研究を進めております。

 4ページは、役員の名簿でございます。後ほど、御高覧をいただければと思います。

 それでは、本日の企年協としての意見の発表につきましては、私ども企年協の専任顧問でございます、前会長の田川より御説明をさせていただきます。

 

○企業年金連絡協議会

 これより、田川の方から説明させていただきます。

 まず、6ページをお開きください。

 より公平なDC拠出限度額の設定の検討ですが、総論として、現行枠組みの範囲内で、非課税枠を有効に、より公平な利用を可能とする考え方には賛同します。

 真ん中の段は、懸念事項です。ポツが3つありますけれども、ポツ1は、今回の見直し次第では、現行DB、DC制度で労使合意されている枠組みに制度縮小となるような変更を求められる可能性があります。

 ポツ2、DB仮想掛金額の算定次第で、現行のDC拠出額が削減される可能性があります。

 ポツ3、そのDC拠出額を維持するために、DB拠出額の削減、すなわち給付減額が引き起こされることも可能性としては考えられます。

 続いて要望事項ですが、今後、拠出、運用、給付の各段階での仕組み及び課税の在り方が総合的に検討され、その見直し実施が中期的な議論として予想されます。年金課税の見直しの実施時期まで、各社の現行体制、制度体系が維持できるような経過措置をお願いいたします。

 7ページをお開きください。

 「マル1企業型DCの拠出限度額について」でございます。

 1つ目、DC拠出限度額の水準については、再考が必要ではないかと考えます。

 制度縮小となる変更が回避できることがポイントになるのではないかと考えます。

 2つ目、現行のDC拠出限度額は、ここには書いていないのですけれども、制度創設時は、月額3.6万円、それが4万円、5.1万円、5.5万円とだんだんと増えてきているわけでございます。その計算基礎数値であります、大多数の民間事業所の標準給与あるいは免除保険料率の中央値、それから、望ましい上乗せ水準が徐々に見直されてきた結果ではないかと考えております。

 14ページの補足に書いておりますが、今後、公的年金は、マクロ経済スライドの実施により、御承知のとおり所得代替率が2019年の61.7%から、2040年代半ばには50%に到達することが、2019年の公的年金財政検証で示されております。そのため、公的年金を事実上補完することになる企業年金の望ましい水準も、やはり引き上げていくべきではないかと考えます。

 それから、昨年の3月、企業年金連合会の報告書、「企業年金制度研究会における議論の整理」で示された退職前所得の6割、高齢勤労者世帯の消費支出、国家公務員の退職給付に基づく算定方法等あるいは、多様な働き方に対応した検証モデル等をもとに前提条件として、再検証していただくことはできないかというお願いであります。

 続いて、8ページをお開きください。

 8ページは「DBを併せて実施する場合の企業型DCの拠出限度額」(5.5万円-DB仮想掛金額)であります。

 まず、1つ目、現行枠組みの範囲内で、非課税枠をより公平に利用可能にする考え方に共感いたします。

 一方、DBの仮想掛金額の算定次第では、DCの拠出が認められなくなることになり、将来の年金に対する従業員の期待権が失われるという恐れがあります。

 2つ目ですが、もし、DB仮想掛金が月額2.75万円を超えますと、DC拠出額は下がってしまい、現在のDC拠出額を維持したいところは、DB拠出額を減らす可能性が出てきます。

 実際に制度見直しが必要になった場合、労使合意の前提が変わってしまうことにもなります。これまでの労使合意で構築、運営されてきた企業年金制度を維持できるような配慮をお願いいたします。

 3つ目、これまで労使合意で法令に基づき認可、運営されている既存のDB、DCについては、制度変更などの影響をもたらさないよう、現行制度を継続できる経過措置をお認めいただきたいと思います。

 最後の4つ目は、標準的な給付額から仮想掛金を算定する方法については、日本年金数理人会との専門的な議論に委ねられていますが、加入者にとって公平な仕組みとなるよう、慎重な議論をお願いいたします。

 9ページをお開きください。

 9ページは「個人型DCの拠出限度額」です。

 1つ目、DB制度の有無にかかわらず、可能な限り多くの人が個人型DC制度に加入できることは重要であり、この拠出限度額が現行より増額されることに賛同いたします。

 2つ目、現行DB、DC制度がそのまま維持されることを希望する先は、一定時期まで経過措置の実施をお願いするものです。同時に、個人型DCについても、同様の経過措置を適用すべきではないかと考えます。

 3つ目、企業型DCもDBも実施していない場合の個人型DC月額2.3万円は、DC、DBの事業主掛金月額5.5万円との金額差の是正が必要だと考えます。

 また、iDeCoプラスの事業主掛金は、企業型DCの拠出と実質同様ですが、iDeCoの個人掛金との合計額が月額2.3万円のままであることや、事業主掛金と個人拠出掛金が常に合算されることについては、個人型DCが企業の退職給付制度の延長線上にある制度か、個人の高齢期における所得確保に関わる自主努力での制度か、十分な議論が必要ではないかと考えます。

 続いて、10ページをお開きください。

 「第2号被保険者の個人型DC加入時の事業主証明等」でありますけれども、1つ目でございます。

 企業型DCの記録関連運営管理機関(RK)と国民年金基金連合会との情報連携により、iDeCo加入者の企業型DCの加入状況が確認でき、事業主証明の発行と、年1回の現況確認が不要になることに賛同します。

 2つ目、さらに事業主(DB業務の受託機関)と国民年金基金連合会との情報連携を加えることで、事務負担の軽減につながることから、基本的に賛同します。

 3つ目、DC拠出額の変動を希望せず、現行制度を維持する企業にも、DCとDBの掛金相当額が合算された掛金月額の状況次第でも、現行体系での経過措置が適用される場合には、事務負担軽減の扱いにしていただきたいと思います。

 11ページをお開きください。

 こちらは、DB掛金設定の弾力化の検討についてでございます。

 まず、マル1感染拡大等防止措置の影響により掛金拠出に支障ありと見込まれる場合についてですが、1つ目、コロナ禍における経済活動の自粛・休業による企業業績の悪化から企業年金が廃止に陥ることを回避するため、DBの財政検証(決算)において、掛金引上げが必要となった場合に、一定期間引上げを猶予する措置が必要と考えます。

 2つ目、中小企業の事業承継へのさらなる対応として、DB、DC掛金の一部または全部の拠出を一定期間猶予する措置とともに、その掛金未拠出部分相当分に関わる給付対応について、給付減額等の検討を要望します。

 マル2金融危機当時の弾力化措置と同様の取扱いの可否、及びそれ以外の措置についてですけれども、1つ目、感染拡大が今後長期化するおそれから考えますと、特に体力のない中小企業への影響が大きいと考えられますので、金融危機当時に実施された猶予等に加えて、中小企業の事業継続に向けた機動的な対応が必要ではないかと考えます。

 2つ目、総合型基金において、掛金拠出が難しい事業所ごとの掛金拠出の猶予または一定期間の掛金減額と、その掛金、未拠出分に見合う給付減額を認めていただきたいと思います。

 掛金拠出の猶予・減額措置だけでは、その事業所が倒産した場合に、他の加入事業所が未拠出の掛金の債務を背負うことになるため、基金存続のため、緊急措置として必要と考える次第であります。

 続きまして、12ページをお開きください。

 これは「中期的に議論を重ねていくべき事項」の「拠出時・給付時の仕組みの在り方について」でございます。

 1つ目、我が国の企業年金は、退職金を原資としているものが大部分であり、退職金は、賃金と同様に労働条件の1つであり、企業が任意で設定し得るものであります。

 その水準は、企業・従業員が創出する付加価値の違いによってそれぞれ異なります。その水準を制限するような限度額管理を設けるべきではないと考えます。

 2つ目、企業拠出における税制優遇は、法人税法上どこまで損金算入が認められるかであり、労働条件である賃金を従業員に付与するに際し、拠出額については企業によって決定されるものと考えます。

 3つ目、法令改正の施行により、労使合意がないまま給付減額となることについては、これまでの労使合意の積み重ねを無為にするものではないかと考えます。労使間の検討など必要な時間をかけ、合意に導くためにも、相当期間の猶予・経過措置が必要であると考えます。

 4つ目でございますが、公平な税制優遇枠等として提案されている「穴埋め型」で対象とされるのは、個人資産形成に資する制度からの本人拠出であり、企業年金での退職給付に至る前の積立時の事業主掛金とは分けて考える必要があるのではないかと考えます。

 特に、(中途)退職時に本人に給付された退職一時金等など、退職給付の受け皿として「穴埋め型」が、老後の所得確保に結びつく資産形成を目指すものであり、有効な施策と考えますので、今後とも引き続き御検討をお願いしたいと思います。

 13ページをお開きください。引き続いて、拠出時・給付時の仕組みの在り方についてでありますけれども、1つ目、DB、DCなど積立金に関わる特別法人税の撤廃を引き続き要望いたします。

 特に、主要諸外国においては、積立金課税はまれであり、国際的な整合性を欠くことから、諸外国と同様に、拠出時及び運用時は非課税、給付時に課税というEET型に準拠すべきではないかと考えます。

 2つ目、諸外国では、私的年金掛金拠出に非課税上限枠が設けられており、我が国のDC拠出限度額と比較しても相当高い水準であり、今後の老後所得の安定確保のために参考とすべきではないかと考えます。

 3つ目、企業年金等から退職給付の受給開始にあたっては、一時金選択されることが多いと、これはデータ上もそうなっているのですが、これは、まとまった資金が必要とされるケースが多いものの、税制上の有利、不利の観点から一時金選択がされるケースも多いと聞いております。

 老後所得の安定確保のためにも、年金選択がより進むよう、公的年金控除など、年金に関わる雑所得税制と退職所得控除など、一時金に関わる退職税制について、互いに中立的でバランスの取れた税制としていただきたく、見直しを要望いたします。

 説明は、以上でございます。

 

○神野委員長

 どうもありがとうございました。

 3団体の皆様方から、適切な御発表を頂戴したところでございます。

 それでは、意見交換の方に移りたいと存じますので、ただいまの3団体の御発表の内容につきまして、御質問等々ございましたら頂戴したいと思います。いかがでございましょうか。

 まず、大江委員、よろしくお願いします。

 

○大江委員

 3団体の皆様、非常にコンパクトに要点を御発表いただきましてありがとうございます。

 私の方からは、信託協会さんと、厚生労働省さんの方に1つずつ質問と、御発表いただいた団体の皆様に御意見を伺いたいということが1つございます。

 まず、信託協会様の資料の4ページなのですけれども、DBの仮想掛金を参考にするDC掛金の上限を作るという場合に、企業型のDCの掛金が縮小する可能性のある人数ということでお示しをいただいているのですけれども、この人数というのは、平均標準報酬掛金が、2.5万円を超えている、そのDBに属している総人数で、例えば、入社直後の方というのは、DCの掛金などは非常に低いと思うのですけれども、そういう方々も含めた人数になっているという、もしかすると影響を受けない方も含まれているというような認識で合っているかというのを、まず、教えていただきたいと思います。

 企業型DCの掛金額が縮小・消滅する可能性のある方々の人数というのは、非常に気になるところで、先般の会議で課長の方から、厚生労働省さんとしてもお示しがいただけるというような御回答があったかと認識をしております。DB全体での数字がお示しいただけそうか、また、時期などについて目算が立っていれば、お伺いしたいというのがございます。

 あと、3団体皆様に御意見をお伺いしたいのは、御発表の中で、いずれも既存制度に配慮を求めるという御意見をいただいていると思っております。誰も不利益を被らない形で済む改正というのが望ましいと思うのですけれども、DCは、個人が自分の資産を管理して、持ち運びをするというような形になりますので、DB以上になるべくシンプルで、誰にでも分かりやすい枠組みであるということがとても大切だと思っています。また、企業年金は、一定の要件を満たすものについて税制優遇が認められていて、現在、公的年金とともに、多くの方の老後生活を支えている役割を果たしていると認識しています。

 今回、既に導入しているところを温存するということになると、やはり税の公平性の部分の担保がされているとはみなされにくくなるのではないかと懸念いたします。

 新しい税制枠組みということになると、改めて労使協議、労使合意というのが必要になってくるかと思います。御発表の中では、PBOのこともあって、企業としては単純にDC減額分をDBの増加にあてるというのは難しいという御指摘もありましたけれども、従業員の側からすると、そういう制度変更も考えられるかと思います。いろんな観点から検討することが必要ですし、労使合意するには、それ相応の時間が必要になるかと思います。

 参考までに、先の改正のときには、運用商品を35本以内にするという見直しがあったわけですけれども、そのときには、35本超えているところでは、その運用商品を労使協議し、検討しながら減らしていくという必要があって、これについては5年という経過措置が設けられたかと思います。今、まさにそれを行っているかと思います。

 もろもろ考えますと、私は、既存の制度を残すというのではなくて、こういう時間的猶予を、今回も配慮として行うというのが適切だと思っているのですけれども、この点について、それぞれの団体様の御意見をお伺いできればと思います。

 長くなりました、すみません、よろしくお願いします。

 

○神野委員長

 ありがとうございました。

 それでは、信託協会様の方に、まず、4ページ目のことについてお答えいただいて、その後、厚労省の方から御説明いただいて、最後に3団体の皆様方から、最後の御意見をお伺いしたいという件について、お答えいただければと思いますので、まず、信託協会さんの方に、4ページの問題に限ってお答えいただければと思います。

 

○信託協会

 信託協会の方から、お答えさせていただきます。

 4ページでございますけれども、計算式が決まっていない中で、標準掛金を用いての計算でございますので、全体が含まれているかということで申し上げますと、含んでいるということでございます。

 ただ、本編でもお話しいたしましたが、DCの掛金額が個人個人違っておりますので、その額を加えていった場合には、これよりもさらに増える、全体として減る分もありますし、掛金の額によって増えていくというところはあろうかと思います。そこは、連携して計算してみないと、実際に影響が出る人という数にはならないと認識しております。

 

○神野委員長

 それでは、吉田課長、お願いできますか。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 見直しによって影響を受ける制度の件数、また、人数につきまして、議論のために数字を出すよう、前回の部会でも御指摘をいただいています。

 参考資料2の17ページを御覧いただきたいと思うのですが、今は、この資料だけを提出させていただいています。

 この分布は、DBごとの標準掛金総額を加入者数で割ったものになります。DBの仮想掛金額の算定式は、これから詰めていかなければいけないというのは、皆様、共通の御指摘ですが、例えば、個人単位ではなくてDB単位で計算し、予定利率もそのDBの利率を使うことにすれば、DB単位の仮想掛金額というのは、この分布に近似します。

 今日の信託協会さんの資料については、企業型DCの併用の有無で色分けをされて、また、私どもが出した資料は、DB件数ベースでの分布ですが、人数ベースに改めたものだと理解しています。

 この17ページの赤枠で囲ったDBの掛金額が月額2.75万円以下で企業DCもやっている企業または従業員のDCの拠出額は間違いなく増えるわけですが、一方、減る方が問題だということです。

 月額2.75万円を超える方で企業型DCを併用している方の拠出枠は狭まりますが、信託協会さんもおっしゃられていたように、DBの仮想掛金はDB単位で仮に設定することとしても、DCの拠出額は一人一人異なっていますので、この枠にいる、例えば、信託協会さんは60万人という数字を出していますが、この全員の枠が狭まるわけでは決してないわけです。

 併用型の拠出限度額は2.75万円で、これはまた、数字をしっかり出しますが、加入者の分布で実際の拠出額を見ると、5,000円以下が3割、1万円以下で累積6割、2万円までで累積9割と非常に低くなっていますので、そうなると、DBの掛金額が一律2.75万の評価だったのが、この赤枠の1つ隣の3万の枠に評価が個別に変わっても影響を受ける方というのは、実際にはほぼいないというわけです。

 これが右の方へ進めば進むほど、影響を受ける方が増えていくという形になります。同じくiDeCoの問題も起きるわけでして、様々データに制約がある中、一定の場合分けをして、前提を置いての試算をしないといけないと思っています。

 今、資料なしで説明しても、なかなか瞬間理解できないと思いますので、しっかり議論するしかるべき回に資料を提出できるよう準備を進めていきたいと思います。

 

○神野委員長

 どうもありがとうございました。

 それでは、それぞれの団体から、先ほどの件につきまして、御説明いただければと思いますが、生命保険協会様。

 

○生命保険協会

 生命保険協会でございます。

 御質問をいただいたところの回答をさせていただきたいと思います。

 御指摘いただいたとおり、税の観点からの公平性というところは、全くもって御指摘のとおりだと考えております。

 しかしながら、今回の見直しが一部の企業に不利益しか与えないような、そういう見直しになっているというところを少し懸念しておりまして、ある意味、税の観点から離れたより広い意味でフェアな扱いになっているのかというところを少し懸念しているというところでございます。

 お話をいただいた数年前のDCの運用商品の見直しのところにつきまして、確かに上限を超えているところは減らさなければいけないということではあったのですけれども、そうすること自体が、その当該制度にとってもいいことだと、加入者にとってより選びやすくなるという、いい見直しだったと私は捉えておりまして、一方で、今回、一部にとって全く不利益しかないという見直しになりますので、ちょっと毛色が違うかなといった受けとめでございます。

 

○神野委員長

 引き続いて、信託協会様、お願いできますか。

 

○信託協会

 私どもの方も、生保協会さんと、基本的には近いところでございます。

 やはり、企業によって有利というか、枠の可能性が広がる企業様と、そうではない企業様がいらっしゃるので、その意味での公平性というところは、ぜひ担保いただきたいと思っているところであり、できれば、恒久的な措置を考えたいところでございます。ただ、おっしゃるとおり、税の公平性の観点を踏まえるとすれば、少なくも一定の経過措置はお願いしたいと考えているところでございます。

 

○神野委員長

 それでは、企業年金連絡協議会様。

 

○企業年金連絡協議会

 我々のところは、やはりDBから見たDCという目で見てしまう会員が多いということです。特に総論6ページの中で、現行体系の制度を維持してほしいと、大江委員の御指摘のとおりなのですが、特に問題なのは、DBを仮に減らすとなれば、給付減額という大問題があって、これは、たとえ1人でも1社でも給付減額という問題は、財産権を失うことになってくるということですので、特に企年協で会員から多くの意見が寄せられた部分であります。まだ、実数は出ていないのですけれども、数社ということはなさそうです。DBで、恐らく私見ですが数十社はいくのではないかと見ていて、これは、先ほど吉田課長がおっしゃったように、正確な数字を何らかの形で、こちらも出してお示ししたいと考えています。どちらにしても、DCも同じように財産権が、下げられてしまうということは、個人のこれまで積み上げてきた権利と労使で協議してきた結果を何か無為にしてしまうのではないかという声が会員間で強かったものですから、ここにそのような表現をさせていただいた訳です。

 少し感情的な話かもしれませんけれども、実数が出てきた場合に、これまで積み上げてきた努力、退職金ですから、40年以上の期間をかけて積み上がってきたものが、何らかの理由で制限されるとなると、先ほど生保協会様もおっしゃっていたように、その点を不利益だけしか感じないという会員も出てきます。仮に1社であっても問題にされてしまうということから、我々企年協としては、その旨きちんと委員の先生方にお聞きいただきたいという点であります。

 

○神野委員長

 よろしいですかね。

 それでは、金子委員、お願いできますか。

 

○金子委員

 金子でございます。

 私からは、感想を1つと、質問を1つということでお話しさせていただきたいと思います。

 まず、感想からなのですけれども、信託協会さんだとか、生保協会さん、それから、企年協さんの資料を見て思ったのですけれども、企業の賃金も退職金も、結局は働いたことに対する報酬であって、このうち一定の要件を満たすのを企業年金として制度化して、これは大江さんもおっしゃっていたことですけれども、税制優遇を与えているわけです。税制優遇がある以上、公平性の観点が重要だということで、今回の見直しが議論されているわけです。

 今回の見直しが仮に実施されるとなると、確かに信託協会さんあるいは生保協会さん、企年協さんが御指摘されているように、DBの掛金が高い企業では、企業型DCだとか、もしかしたらDBの見直しがあるかもしれないというのは御指摘のとおりだと思います。

 ただ、この際、賃金ですとか、退職金あるいは企業年金の総額が減らないよう労使で協議いただきたいと思いますし、総額が減らないように監視することが労働組合の役割ではないかと思っております。

 その上で、年金制度の見直しによって、前払退職金として給与に加算して支給するようになったとしても、職場のみんなでNISAですとか、財形などをやることを推奨するような雰囲気の醸成が必要ではないかと思っています。

 この点については、この部会で、私は前に何度かお話しいたしましたけれども、改めて述べさせていただきたいと思いました。

 それから、質問なのですけれども、これは、生保協会さん、信託協会さんも部分的に似たような資料があったと思うのですけれども、資料の5ページとか8ページに、データ連携のコストの話がありました。

 新たな対応なので必ずコストがかかるわけです。今の段階では前提が示されていないので、そのコストがお客様である事業主に転嫁せざるを得ないほど膨大なものなのか不安だということだと思います。

 細部の検討は、これからなのだと思いますけれども、iDeCoの限度額管理ですとか、事業主証明を廃止するために必要となる情報というのは、これまでDBの加入者原簿に収録することが求められている加入者の氏名、性別、生年月日、基礎年金番号と、それから、DB単位の仮想掛金額のデータだけだと思います。

 このデータ項目の点では、実はDCのレコードキーパーと国基連の連携に求められるデータの方が多いわけだと、比較するとですね。

 例えば、DCのレコードキーパーの例ですと、DCの加入者ごとの企業拠出額だとか、加入者がマッチングを行っているか等の情報も含まれるから、レコードキーパーの方が多いということなのですが、それにもかかわらず、DCのレコードキーパーと国基連の連携のケースより、DBの受託会社から大変だというような声が上がっているような印象を受けるのは、データ連携そのものが大変だというよりは、要は基礎年金番号などの基本的な情報が受託会社で管理されていないので、それらを新たに受託側で管理する必要があるから大変だということなのかなと思えるのですけれども、この点は、いかがなのかということを生保協会さんと、それから、信託協会さんは、直接ここら辺には言及されていなかったと思うのですけれども、信託協会さんにも、ちょっとお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 

○神野委員長

 それでは、いいですかね、生命保険協会様と信託協会様の方にコメントをいただければと思いますので、よろしくお願いします。

 

○生命保険協会

 生命保険協会でございます。

 御質問をいただいた点は、御指摘のとおりでございまして、両面ございます。

 基礎年金番号は、現状収録できていなければいけないというものではあるのですが、できていないケースが5割ぐらいあるという現状がありますので、そこがまず大変ですねという事務負荷のところと、あと、仮想掛金の算出やデータの管理、連携といったシステム開発にも、やはりどうしても一定のコストはかかってしまうということでございまして、そこは、まだ見積もれていない不安感というところは、全くおっしゃるとおりということで考えております。

 ですので、詳細が見えてくる中で分かってくることもあると思いますので、現時点で確かなことは申し上げられないというところです。

 

○神野委員長

 信託協会様、あれば、お願いできますか。

 

○信託協会

 私どもは、計算方法とか、頻度とか、実際のものがまだ決まっていない中ですので、それ次第でかなり変わってくるということで御指摘をさせていただいたところでございます。

 そこについては、十分考慮をいただいた上で、精緻化をするのが理想なのかもしれないのですが、そうすると、結果的に個人の方々へのコストとして返ってきてしまうので、そこはコストと便益と両方を考えていただく必要があるとお話しさせていただいたと御理解をいただきたいと思っています。

 また、DCのところがやっているのに、DBがというお話だったかと思うのですが、DCも事業主そもそものところで、データ連携にコストがかかるため、これまで紙ベースであったのではないかと理解しておりますので、その意味で、どちらも相応にコストがかかるものなのではないかと思っております。

 

○神野委員長

 ありがとうございます。

 追加で、どうぞ。

 

○金子委員

 信託協会さんに確認なのですけれども、生保協会さんの場合には、基礎年金番号のデータを受託会社で余り管理されていないケースもあるので、そこから始めなければいけないから大変だとおっしゃられていたと思うのですけれども、信託協会さんのケースだと、余りそれは気にならないといったレベルなのでしょうか。

 

○信託協会

 いいえ、そこは実際のデータを見てみないと、正直申し上げられないところではございます。

 ベースとしては、事業主の方できちんと整備いただいている前提ではございますが、それが正しいかどうかまで全部精査し切れているわけではございませんので、その意味では、足元で把握しているところではございません。

 

○神野委員長

 それでは、内田委員、お願いできますか。

 

○内田委員

 内田です。

 私の方からは、生命保険協会さんと信託協会さんに2点の御質問と企年協さんに1点の御質問がございます。

 まず、生命保険協会さんと信託協会さんに御質問ですが、DB併用の企業型DCの拠出限度額を5.5万円からDBの仮想掛金を引いた額とする案に対して、生命保険協会さんではスライドの3、信託協会さんではスライドの2のところでお示しをいただいているのですけれども、拠出限度額の関係で調整が必要となる場合の、現実的にDCとDBのどちらを減らす可能性が高いとお考えになっているのかということと、また、その背景や理由も併せてお伺いしたいというのが、まず、1点ございます。

 また、同じスライドになりますけれども、ここではどちらかが多い場合というのでお示しいただいているのですが、DBの限度額に満たない場合は、DCの拠出額が増加するケースもあるかと思いますが、制度全体を考えた場合、今回の厚労省さんの案に対して、公平性の観点からどのように考えられているのかということと、公平性というのを、どのような意味で公平性と考えられるのかというのをお伺いしたいというのがございます。

 また、企年協さんにつきましては、スライドの12に穴埋め型を検討する場合には、本人拠出と事業主掛金を分ける必要があるとの御指摘がございましたが、スライド9でも同様の観点から個人型DCについても本人拠出と事業主掛金の限度額が合算されて評価されることに疑問があるという御指摘だと理解いたしましたが、それでいいのかということ。

 また、長期的な課題だと思いますけれども、退職給付としての企業年金、事業主掛金の税制優遇枠と個人型DCや企業型DCのマッチング拠出の加入者掛金などの本人拠出部分の税制優遇枠を別々に設定すべきという御提案という理解でいいのかということです。

まず、以上のことをお願いいたします。

 

○神野委員長

 それでは、生命保険協会さん、それから信託協会さんからいきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

○生命保険協会

 2点御質問をいただいたと思っておりまして、1つ目が、実際に超えてしまったときに、どちらから減らすのが多いと考えられるかというところと、公平性というところをどう協会として認識しているかというところだったかと思います。

 まず、最初に、超えてしまった場合に、どちらを減らすというところなのですが、これはなかなか悩ましいところでして、恐らく今回の改正が通りますと、DCの方は強制的に減るという形になると思います。ですので、何もしなければ、DCは減るということではあります。

 一方で、DBの方を減らすためには、強制的に減るということではないので、給付減額の手続を経た上でやらなければいけないという一定のハードルがあるというところは違いとして存在していると考えています。

 では、どちらが多いのかというところなのですが、ハードルが低い方に寄るのだろうという考えも一方ではあると思うのですけれども、他方で、年金制度を実施されている事業主さんのインセンティブというところから考えますと、DBは退職給付債務、PBOということで会計上はオンバランスされるものでございますので、どちらを減らすとすれば、DBを減らしたいと、いっそこのタイミングでDBを減らしてはどうかといったようなインセンティブが働くことは容易に想定されると考えています。

 先ほど申し上げたとおり、DBの給付金額のハードルは高いものがございますので、それを突破できるかどうかというところは別途あるのですけれども、少なくともインセンティブとしてはDBを減らしたいと思われるところが少なからずあるのではないかと、DBへの影響というものを懸念しています。

 あと、2つ目の公平性のところなのですけれども、これが御回答として適切かが、若干自信がないのですが、先ほど大江委員からの御質問の中でも御回答させていただいたとおり、税の観点からの公平性というのは、全く御指摘のとおりかなと思うのですけれども、広い意味でフェアな扱いになっているかというところを懸念していまして、一部のところにしか不利益が当たらないと、しかも、これまでの拠出枠というのは適法に認められてきたもので、何ら悪いことをしていないという言い方はあれなのですけれども、適法に認められたものをただ制度として構築してきただけなのに、事後的にそれがひっくり返されて拠出できなくなってしまうというところがフェアなのかというところが、やはり懸念としてございます。

 加えるとしたら、年金制度は、長期的に運営していくものですので、その根本となる法制度も安定性というものは重要かなと思っています。長期的にこの制度が続くと思うからこそ、それを土台にして制度を構築していくということですので、それは後から、やっぱり無しねということになってしまうということが、制度自体の法的安定性というのですか、そういったものに傷をつけてしまうというようなことがないかと、それが今後、変な方に働かないかといったようなところが懸念としてあります。

 

○神野委員長

 それでは、信託協会さん。

 

○信託協会

 基本的には、生保協会さんの御意見とかなり同じかと思っております。

 その上で、どちらを減らすのか、という観点で申し上げますと、一言だけつけ加えるとすると、DC、DB併用されている企業様は、特に一時金も含めて全体として退職給付という観点で制度設計をきちんとインセンティブを含めてされているかと思います。

 ですので、実務的にやりやすいかということももちろんございますけれども、その企業様の全体の退職給付に対する考え方を踏まえて、労使合意された内容で運営していくということになりますので、一概にこうなるというところは、やはり言いづらいのではないかというところはつけ加えさせていただきたいと思っております。

 それから、公平性の観点は、どちらかというと、私どもの場合は、2ページの主張のところが、丸々その御回答と考えておりまして、可能性が広がる一方で、これで不利益を被るといったような公平性を御配慮いただきたいというところでございます。

 

○神野委員長

 どうもありがとうございました。

 よろしいですかね。

 それでは、オンラインで御出席いただいている井戸委員、お願いできますか。

 

○井戸委員

 ありがとうございます。井戸でございます。

 3団体様、御説明どうもありがとうございました。

 生命保険協会様の資料の3ページの下の方に、大江委員や金子委員が、御指摘の問題が、ほかにも課題が何点か、4ポツですか、記載されています。

 まず、労使の合意はもちろんとても重要なのですけれども、この労使合意というのも制度、税制の枠組みの要件を満たした上だという金子委員の意見に、私も賛同いたします。

 ここからは、感想と、最後にお伺いが1つあるのですけれども、DBの仮想掛金額の変更の都度、退職金制度の再見直しの有無の検討が生じることと書かれているのですが、今までDBを実施していると、一律半額の限度額とされていて、それが、制度が始まってから一度も見直しがされていなかったというところが、今回の議論の出発点だと思っています。

 あと、DBの仮想掛金額は毎年ではなくて、財政再計算のたびに見直すという方法だと思っています。5年に一度ということですので、企業としてもDBの財政再計算のたびには、賃金、退職金制度などもできれば検証していただき、労使でどうあるべきか御議論いただくというのがよいのではないかと思っております。

 今回の見直しで、税制優遇枠が広がる企業や個人もあれば、小さくなる企業、個人もあるわけです。税制優遇枠に広がる企業、個人が圧倒的に、人数ベースなのか、件数ベースなのか、まだちょっとグラフがはっきり出ていないわけですけれども、圧倒的に多いというのは見て取れるので、生命保険協会様の資料3ページに、企業年金、個人年金の普及促進の流れに逆行するものと書いていただいているのですが、そういうものではないと、私は思っています。

 生保、信託さんは、DBの受託機関とともに、DCの運営管理機関であるところもたくさんあります。様々な金融商品も販売されているわけです。

 今回の見直しの際、また、今後は5年ごとになるかもしれませんけれども、賃金、退職金制度の見直しの検討を必要とする企業、個人の御支援とか、サポートというのをぜひお願いしたいと思っています。

 税制優遇枠が小さくなるところへのサポートと併せて、税制優遇枠が反対に広がる企業、個人もしっかり税制優遇を活用していただくというのは、やはり両協会様のサポートがないと、枠が広がっても、結局使われないということになりかねないと思います。

 今回の見直しでの御支援やサポートなど、営業戦略というのを、もし、お考えであるのであれば、生命保険協会様、信託協会様にお伺いできればと思っております。

 よろしくお願いいたします。

 

○神野委員長

 それでは、両団体にお答えいただいて、よろしいですかね。

 生命保険協会からお願いいたします。

 

○生命保険協会

 御質問ありがとうございます。生命保険協会でございます。

 御質問いただいた営業戦略というものを持ち合わせているかというところにつきましては、現時点では、持ち合わせておりません。そうではないのではないかという御意見はいただきましたけれども、あくまでも当協会としましては、既存の5.5万円を超えてしまうようなところにつきましては、現行の拠出枠、DCの拠出枠を認めていただきたいというところを第一に考えてございますので、まずは、そこを御検討いただきたいというところが、協会の立場でございます。

 以上です。

 

○神野委員長

 信託銀行さん、お願いできますか。

 

○信託協会

 信託協会の方ですけれども、会社によって、同じ会社でDB、DCをやられている会社、分かれている会社もろもろございますが、いずれにいたしましても、やはりDBの仮想掛金額の算出式の影響ないしは企業様との会話というのも大きく異なってくると思っています。

 ですので、今まででも、私どもの方、信託協会各社、お客様に対して、ここでの議論内容等について情報発信はさせていただいているのですけれども、そこでも、仮想掛金額次第といったような御案内をしているところが大宗ではないかと思っておりますし、今後は、その意味で、しっかりとサポートをさせていただきたいと思っております。

 ですので、実際の仮想掛金額を含めた詳細が分かってくるところで、それに基づいた営業戦略といったようなものも各社練っていくものであると承知しております。

 

○神野委員長

 ありがとうございました。

 井戸委員、よろしいですか。

 

○井戸委員

 はい、ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 

○神野委員長

 藤澤委員、伊藤委員、小川委員と行きますので。

 

○藤澤委員

 どうも御説明の方、ありがとうございました。

 コメントが2点と、最後に質問が1点ございます。いずれも企業年金連絡協議会に対するものとなります。

 企年協の資料の7ページですが、企業型DCの拠出限度額について、厚年基金を計算の基礎にして過去に設定されたわけですが、これを直近の数値を用いて計算し直すという点が記載されています。

 以前の部会でもコメントをしたように、既に代表的なモデルと言いにくい厚年基金を使うというのは、適当なのかどうかという論点はあると思いますので、何らかの形で新しい手法を考える必要があると思っています。

 資料の13ページに、与党税制改正大綱で取り上げられているイギリスとカナダは、拠出限度額が高い水準であるから参考にすべきという主張がございます。

 しかし、与党税制改正大綱において、イギリスやカナダが取り上げられているのは、DB、企業型DC、個人型DCに共通の限度額を適用している国の例として紹介されていると理解しております。

 そして、この点について、資料の12ページにございますように、DBの限度額管理を設けるべきではない、穴埋め方式では、本人拠出と事業主拠出を分けて考えるべきと主張されていますが、例えば、カナダだとDBも含めた限度額管理を行っていますし、本人拠出と事業主拠出を分けていません。

 イギリスとカナダの拠出限度額が高いのは、公的年金の水準が関係していると思っています。税の公平性というのは、万国共通のテーマだと思いますが、拠出限度額の水準、具体的な数字は、前提となる公的年金の仕組みなどが異なることから、そこだけ切り取って議論しても、余り参考にならないと考えています。

 最後に質問ですが、資料の1ページの沿革のところを拝見すると、2017年に総合型基金が加入したという記載がございますので、総合型基金の立場での御意見をお伺いしたいと思っています。

 今回のDCの拠出限度額の算定に当たって、DBの掛金を一律評価するという扱いから、DBごとの掛金の実態を踏まえるべきという見直しは、DBの水準が総じて低い、総合型DBの企業や従業員にとっては、DC側の拠出枠が広がると考えています。

 企業がDCの拠出枠を増やすかどうかは経営の状況等にも依存すると思いますが、そこにお勤めの従業員のiDeCoの拠出枠が2万円になるということは、大きなメリットだと思っています。

 この点について、総合型DBを会員とされている企年協さんのお考えをお伺いしたいと思います。

 以上です。

 

○神野委員長

 そうしましたら、連絡協議会さん、お願いします。

 

○企業年金連絡協議会

 私自身が、総合型のDB、厚年基金からDBへ移動をしておりますので、今の御質問には十分お答えできるかと思いますけれども、おっしゃるとおり、総合型のDB基金は、総じて給付の割合が大変低いところが多うございますので、一部に非常に高いところはありますけれども、総じて低いところがほとんどでございますから、そういった意味では、各総合基金に加入をしている企業さんにおいては、仮に今回の改正案ということになりますと、これでDC枠が広がったなというところは多いとは思います。

 ただ、現実の問題としては、それぞれの総合基金、全国的には150ほどの総合のDB基金がございますけれども、加入事業所は数十から千を超えるところまで規模はいろいろですけれども、ほとんどのところで、恐らくは、DCを実施しているのか、あるいは退職金制度があるのか、ないのかというところまで詳細を把握していないというのが実態だと思います。

 総論としては、おっしゃるとおり、限度額が上がることでDC枠が広がって、喜んでいるという事業所さんはおありだと思いますけれども、一方では、DBの掛金もそれほど大きく設定ができないということは、やはり拠出の限度というのか、大企業さんと違って、従業員のための年金制度にどれだけのものが拠出できるかというところでいえば、業態にもよりますけれども、現在の非常に薄いDBが限度であって、それ以上のことは、ちょっと考えられないなという事業所も多いというのも、一方の実態としてあるかと思います。

 大きなところは3,000人程度の事業所さんがございますので、そういったところはDCも併せて実施している事務所さんは多うございますが、一方で、数十人単位というところは、なかなかDCまでは手が回らないというのが実態かと思っております。

 

○神野委員長

 それでは、小川委員先に。

 

○小川委員

 部会長すみません、私の前に内田委員の御質問で、たしか企年協さんが答えていらっしゃらないのではないかなと思うので、先にそれを。

 

○企業年金連絡協議会

 先ほど、内田委員から12ページと9ページ、要は、個人拠出と事業主拠出を分けて考えるべきかどうか、ということでの御指摘があったわけですね。

 この12ページでは、森戸先生がいらっしゃる前で、穴埋め型のお話をするのは非常に僭越なのですが、いわゆる全体の大きな非課税枠の中で、DB、DCを引いて、国民全体に公平な枠を取るといった場合、大変大きな問題になります。企業年金なのか、引退後の所得保障か、積上げ型か、穴埋め型かという議論で、これは継続して、ぜひ御検討を続けていただきたいと思います。

 というのは、これから議論が発展していきますと、何をもって税制が公平なのかということになってくるのではないかと思います。現段階では、個人拠出と事業主拠出を明確に分けて考えるべきと考えているのですが、この先議論を進めていったら、むしろ、全体の枠組みの中で考えた方が、実は理路整然としているということも当然想定し得るわけでございますので、これは、ぜひこの部会において、引き続き御検討いただきたいと考えております。

 それから、9ページのiDeCoプラスの部分は、たまたま事業主掛金と個人掛金という性格が違うものが1つの中でiDeCoと考えられているので、ここを分けて考えるべきではないかという部分の強調もありますので、これらも含めて御議論していただけないかという御提案でございます。

 内田委員、よろしいでしょうか。

 

○神野委員長

 いいですか、申し訳ありません。

 では、小川委員、どうぞ。

 

○小川委員

 どうも3団体とも分かりやすい説明をありがとうございました。

 日本年金数理人会の小川でございます。

 私からは、各団体に御質問を1つずつさせていただきたいと思いますが、その前に、感想というか、コメントを1点申し上げたいと思います。

 これは、これまでの部会でも、私が発言していることですけれども、今日は、たびたび出ている税の観点からの公平性というところについては、既に以前の部会でお話ししているとおり、私はこう考えていて、確かに税の観点での公平性というのは、一番大事なところの1つだとは思っておりますけれども、今回、この後コメントするDB併用時のDCの拠出限度額を今回拡充していこうということでいうと、DBの拠出限度額とかということについては、全く触れている話ではないので、本当に今、公平、公平ということで、そこを言い過ぎて考えない方がいいのではないかということと同時に、どなたかからも出ていますけれども、普及の方も大事な観点だと思っていて、一部コメントがあったように、不利益しか被らないところにとっては、やはり普及ということも、この部会でやっているわけなので、非常にどうなっているのだということで、私も受けとめたいなと思っています。

 年金数理人というのは、コンサルみたいなことも仕事として一部やっているので、御指摘のあった人事制度の提案とか、そういったものについても関与していることが多い中で、印象としては、30年間やってきて、やはりすごく人事制度まで考えるのは時間がかかるなと思っています。

 ですから、今回、これからお話しする仮想掛金額なるものが一定期間ごとにあるので、それをトリガーに見直すということもあるのかもしれませんが、一方において、人事制度というのは、連続的に安定して行う必要がありますので、私としては、やはりそういった意味でも普及の観点からも、余り複雑にならない方がいいと思っております。

 その観点で、順次御質問させていただきますが、まず、生保協会さんの方で申し上げますと、5ページです。下の方の課題(事務負荷)というところの4つある1点目に、仮想掛金額の算出方法は、簡易かつ過大な金額とならない手法というコメントがあるのですけれども、簡易については、非常に意識しておりまして、専門的であるがゆえに、殊さらに理論を垂れて複雑にしようとする傾向が、私自身もありますので、そこは肝に銘じて、以前も藤澤委員からあったように、正確性と簡便性というのはトレードオフの関係ですので、なるべく皆さんに分かりやすい方法をと思っています。

 一方、過大という言葉は、どういう意味で使われているのかというのを後で教えていただきたいというのが生保協会さん。

 続きまして、信託協会さんの方は、3ページの真ん中辺りに、手前どもの名前が出ておりまして、複雑な計算方法とならないよう、弊会等の識者と十分に検討ということで書いていただいているのですが、複雑さというのが、非常にコメントしづらいかもしれませんが、どういったレベル感だと複雑だと思われているかというのを、ちょっと参考までに聞いておきたいなと。

 私が複雑ではないと思っても、世の中の人がほとんど複雑だと思うようなこともありますので、ちょっと聞いておきたいなということです。

 最後、企年協さんは8ページで、一番下のところに、田川さんの方から、加入者にとって公平な仕組みということがあったのですけれども、これも冒頭のコメントにつながるのではないかと思っておりますし、先ほども少しコメントをいただいたような気もしますけれども、改めて具体的にどういうところを一番ここでポイントにされているか、長くなりましたけれども、この3点について、それぞれお答えをいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

○神野委員長

 それでは、申し訳ありません、生命保険協会さんから。

 

○生命保険協会

 生命保険協会より御回答申し上げます。

 資料に載せております、過大という表現ですけれども、こちらは仮想掛金を算出した結果、今、計算方法が見えていない中でありますので、その結果として、金額が大きくなるようなことになりますと、退職金制度の見直しというのが発生する形になりますので、先ほど来、申し上げているような人事制度等への影響というのが出てくるというところでございます。

 結果として事務負荷になるというところを踏まえて、このような表現とさせていただいているところでございます。

 

○生命保険協会

 すみません、ちょっと補足させていただきます。

 イメージみたいな話になって大変恐縮なのですけれども、例えば、やり方を割り切りました、簡単にしました、簡単にしたのですけれども、結果として仮想掛金が多く出るような、簡単だけれども大きく出てしまうという計算式がまずありますと。

 他方で、対局で、精緻でちょっと難しいやり方なのだけれども、仮想掛金額はちゃんと実態に合った小さい値が出ていますという計算式があったとして、そのバランスを取ったような、簡単であり、かつ、そんなに大きくなり過ぎない、その中庸を取ったような計算式というものがあるといいのかなと、今、ちょっとふんわりとしたイメージで恐縮なのですけれども、そのように考えております。

 

○神野委員長

 よろしいですかね、そうしたら、信託協会さん。

 

○信託協会

 信託協会の方からですけれども、複雑になるというのは、いろんな計算式云々とか、昇給どうのとかということで細かい話ということではなくて、事業主あるいは個人の方々が、なるほどとまではいかなくても、こうだねと納得できる、分かりやすい、そうだなと思えるようなものである必要があるのかなと思っております。

 結局、自分の金額がよく分からないとならないようにすることが大事なのではないかというところでございます。

 

○神野委員長

 それでは、引き続いてですが、連絡協議会様、お願いいたします。

 

○企業年金連絡協議会

 なかなか難しい質問なのですけれども、ここで言う加入者にとって公平な仕組みは、仮想掛金を算定する方法について、厚労省さんと日本年金数理人会さんで、今後詰めていくと書かれていたものですから、それがどういう詰められ方をするかは別にして、その点はお任せしますという意味で、結果的には、加入者あるいはDBでいいますと、加入基金にとって、基金ごとにおいても公平に思えるか、あるいは加入者一人一人がどこまで理解しているかは別にして、これならリーズナブルだなと感じるような仕組みを御相談される際に、日本年金数理人会さんとして盛り込んで考えていただきたいというお願いであります。

 

○神野委員長

 それでは、伊藤委員、お待たせいたしました。申し訳ありません。

 

○伊藤委員

 連合の伊藤です。

 まず、3団体ヒアリングの御対応をいただきまして、ありがとうございます。

 共通して御指摘になっているのが、やはり労使合意に基づく退職給付への影響ということで、労働組合として非常に懸念しているところを御指摘になっていて、改めていろいろ考えることが多くなっております。

 企業年金制度の見直しが退職給付制度の強制的な見直しを行わせるようなことになって、労使合意が形式的というか、ないがしろになってしまうようなことは絶対にあってはいけないと思っていますし、労働条件全体の見直しを行うようなきっかけになるというようなこと、特に指摘があったように、このコロナ禍で、そのようなことが進むようになることを、大変憂慮しております。

 先週のヒアリングのときにも、労使合意の重要性について認識を述べさせていただきましたけれども、仮想掛金額の設定と変更に当たっても、その都度、労使協議の上、合意を行う必要があるわけでして、企業内や企業をまたがって、このような営みを行っていくという景色を、ぜひ想像していただきながら負担とメリットを考えて、実現可能な制度の在り方というのを検討していく必要があるなと思っております。

 それぞれの団体に御質問させていただきたいと思います。

 生保協会さんにつきましては、まず、5ページのところ、仮想掛金額の設定などをする場合のコストのことを御指摘になっている中で、5ページの上の方の囲いの枠の2つ目のマルで、事業主だけではなく、加入者に転嫁されるものと考えられるという御指摘をされているのですけれども、加入者へのコストの転嫁というのが、どうやって行われるのか、また、それはどういう意味で正当化されるのか、その辺について、もう少し教えていただければと思います。

 あと、生保協会さんの13ページのところで、既に昨年のヒアリングで御提示になっている点をもう一度掲載されているところなのですけれども、右側に赤いマル1というところがあって、受給開始年齢の見直し時の事務手続の柔軟化というものが、改めて掲載されています。今日は、余り御説明になっていなかったかと思うのですけれども、この点について、受取方法の選択肢の拡充、見直しを行いやすくするという趣旨で、こういうことが必要なのだということのようですけれども、私どもとして問題意識を持っているのは、まず、不同意申出方式による減額同意を可能とするというようなことが、規約変更の申請書類の柔軟化という考えで認識されているようですけれども、その内容は、規約変更の手続ルールの変更ですので、やはり慎重に行う必要があるというのが、私ども労働組合の考えであります。

 あと、定年延長を伴い、給付額が下がらない場合ということ、これが、下がらないと考えるべきなのか。今までよりも長く働かないと約束されていた給付が行われないという意味で考えれば、まさしく給付減額ではないかとも考えるところです。

 あと、不同意申出方式という方法で十分な説明が行われるのかという懸念があります。説明がないと、やはり納得した上での同意ということが行われない可能性があります。真意に基づく同意からかけ離れてしまわないかという心配をしております。

 あと、信託協会さんにつきましては、ほかの団体の方も指摘されているところなのですけれども、代表して教えていただければと思いますが、DBの掛金設定の弾力化の方の話です。

 6、7ページ辺り、これについて、リーマンショック時と同様の財政上の措置を求める必要があるという点ですけれども、リーマンショック時に、こういった特例措置が行われた後に、結果的に追加拠出がされたのか、この点について教えていただければと思います。今、情報があればですけれども。

 あと、やはり退職給付が棄損しないように、規約変更手続をちゃんと経るというような歯止めは不可欠だと思いますけれども、その辺も御認識を示していただければと思います。

 最後に、企年協さんです。先ほどの事業主掛金と加入者本人の掛金を分けて限度額管理をすべきという考え方というのは理解しやすいところもあります。

 ただ、今、悩ましいのは、現に企業年金に公的年金の補完機能が与えられていて、厚年基金とDB、DCとでは、税制上の取扱いは若干違うところがあるにしても税制優遇上の根拠にもなっているということを踏まえると、この辺のところ、事業主拠出については、限度額管理をしないというようなことについては、どういうように考えるかということを教えていただければと思います。

 あと、最後になります。企年協さんの11ページ、DBの掛金の弾力化の話なのですけれども、中小企業については、掛金未拠出相当分に関わる給付対応について、給付減額等の検討を要望すると。それから、総合型基金については、給付減額を認めていただきたいということが書いてあります。この辺の意味合いをもう少し教えていただければと思っております。

 6ページの方で、DB、DC併用のDC枠がなくなることについて、相当給付減額を心配されているわけなので、もしかしたら、企業規模によって、企業年金の性格について、考え方を分けてお考えなのかなとも想像したりするものですから、教えていただければと思います。

 以上です。

 

○神野委員長

 それでは、生命保険協会さんから、お願いします。

 

○生命保険協会

 生命保険協会でございます。

 まず、最初に御質問いただきましたのが、5ページ目の四角のマルの2つ目、事業主加入者に転嫁されるというところの加入者にというのはどういう意味合いかというところを御指摘いただいたところでございます。

 ここは、まだ、どういう体系で転嫁、転嫁するのか、しないのかというところと、どういう理屈でというところは、詳細が検討できているわけではありませんので、ちょっと広めに書かせていただいているというところで、この場では御容赦いただきたいと考えております。

 ただ、事業主様につきましては、我々受託会社として事業主様が計算するところ、あるいはデータ管理をするところは受託しているということになりますので、そこの受託する業務が増えましたということで、転嫁させていただくという可能性はあるのかなと思っております。

 加入者様につきましては、まだ、今後の検討ということで、この場では御容赦させていただきたいと思います。

 あとは、最後の13ページ目にあるところで、右側の赤丸の1番「受給開始時期(DB)」とあるところの1つ目のポツ「受給開始年齢の見直し時の事務手続の柔軟化」というところは慎重にという御意見をいただいたところでございます。そこは、全く我々もそのように思っておりまして、ここは慎重に判断する必要があると思っております。

 ただ、ここで改めて強調させていただきたいのが、我々の主張としては、同意が不要だと、同意を取らなくてもやっていいということを申し上げているわけではなくて、やはり、ここはちゃんと同意の手続を経てやるということは大前提だと思っています。

 我々の御提案は、同意のやり方です。ここの実務負担を労使双方で軽減するすべがあってもいいのではないかという御提案でございます。

 同意が実質的なものになることは大前提ですので、誰が見ているのかも分からないようなところに掲示していて、その上で不同意はなかったからいいと、そういうことではなくて、個々人にちゃんと通知をして、その上で同意、不同意というのを判断いただくという形とか、不同意申出形式であったとしても、同意の実質が確保できるような措置を取ることというのは大前提だと思っています。

 その上で、加入者、受給者の保護と実務負荷の軽減といったものが両立できるような、折り合いがつくところがないかなと、そういう御提案と御理解いただければと思います。

 以上です。

 

○神野委員長

 それでは、すみません、信託協会様、お願いします。

 

○信託協会

 信託協会の方は、質問は2つだったかと思いますが、まず、リーマン時の緊急措置、緩和措置に関して、その後ということでございますが、基本的に拠出されていると理解しております。

 2つ目でございますが、規約変更は一定程度必要なのではないかということに関しましては、おっしゃるとおりで、一定程度、場合によって簡便な対応は必要かと思いますが、前提としては合意があった上でと思っております。

 

○神野委員長

 それでは、すみません、連絡協会様。

 

○企業年金連絡協議会

 2つ御質問があったと思いますので、掛金拠出の問題は、先ほど委員の先生方から2つ出ていまして、我々は現時点では事業主拠出と個人拠出は分けるべきだと考えてお願いしているわけです。

 今回、5.5万円からDB仮想金額を差し引くということが出てきましたので、それもそうなのだろうという考え方としては分かるということでお答えした部分です。今後、個人型DCが、企業年金の範疇に入ってくるのか、個人の高齢期による所得確保による制度なのかによって、税制の考え方も変わってきてしまうのではないかということを、先ほど、委員の先生方の御質問からも感じておりまして、この点は、ぜひとも議論を続けていただきたいと思います。その定義が固まってくると、この事業主と個人の掛金拠出のところがもう少し見えてくるのではないかと考えています。現時点では、5.5万円から引き算をするのであれば分けて、本当は考えた方がいいのではないかという提案でございますので、これは、引き続き御検討をいただきたい部分でもあります。

 2番目の質問については、芥川から回答させていただきます。

 

○企業年金連絡協議会

 中小企業の問題でございますけれども、現状としては、各基金とも厚生年金の保険料、それから税法の方でも、そういうふうに承っておりますが、いわゆる納付猶予が必要な事業所に対しては、納付猶予をすると。

 また、本来であれば、納付が遅れた場合には、いわゆる延滞金に相当する部分、損害遅延金という言い方もしておりますけれども、この部分を免除する対応はしておるところでございますけれども、しかし、現実の問題として、我々の現場の実務者の立場から申し上げますと、仮にですけれども、6か月間掛金を猶予した後、7か月目から2か月分ずつ払ってくださいとなるわけで、これが果たして経営状況の、特にコロナ禍においては、非常に脆弱になっております中小零細企業にとって可能かどうかということを考えますと、これが可能なところはいいのですけれども、大変難しい事業所も出てくるということになります。現実の問題としては6か月目で、あるいは7か月目で、2か月分ずつ払ってくれということになった瞬間に、ではやめますと、制度を離脱しますと、こういうことにもなりかねないというのが実態としてあるわけでございます。こういった部分に対しては、2か月分払えということではなくて、もちろん、労使のきちんとした合意に基づいてですけれども、6か月間は、例えば、掛金を猶予するのではなくて、休止をすると、制度休止をするというようなことも考えられないだろうかということでございます。

 6か月間掛金が入らない部分は、給付にその分を反映させないということにはなりますけれども、こういった処置が取られることによって、中小企業が、この苦しい経済環境の下で、制度から離脱をしていくということが防げるのではないかと、このようなことで、ここに掲げさせていただいているものであります。

 もちろん、相当強い歯止めが必要だと思いますので、例えば、労働組合があおりになれば、当然、労働組合の合意、一方労働組合がおありにならなければ、従業員の、ここは議論のあるところだと思いますが、3分の2なのか、4分の3なのか、あるいは全員なのかというところはありますけれども、合意、こういったものがあった上で、申出があれば認めるということが、中小企業の場合はできないだろうかと、こういう思いでございます。

 

○神野委員長

 よろしいですか、どうぞ。

 

○伊藤委員

 ありがとうございました。

 悩ましいところなのだとは思うのですけれども、中小企業の従業員や、総合型の加入者こそ、安定的な退職給付、企業年金が必要だという考え方があるはずで、全体の話としては、退職給付減額がだめとすごく言っている割に、中小企業のところはいいではないかというように聞こえましたので、最終的には、歯止めが必要だという話ではありましたけれども、先ほど、信託協会さんの方からは、拠出されているというお話もありましたし、ここについては十分慎重に検討していかなければいけないなと、改めて思いました。

 以上です。

 

○神野委員長

 それでは、臼杵委員。

 

○臼杵委員

 もう時間も押していますので、私の方から1点、コメントと質問なのですけれども、今日の一番大きな論点になったのは、DBの仮想掛金を計算したときに、DCとのトータルで5.5万円を超えてしまうことで、何らかの方法、DCを減らすか、DBを減らすかしなくてはいけないという問題にどう対応するかということかと思います。

 データについては、前回も申し上げましたように、実際に5.5を超えてしまう人数とかがどれぐらいで、それがどのくらいの金額を超えるのかということが、できるだけ分かればいいのかなと思います。

 あとは、公平と普及という論点からいくと、公平ということは、もちろん今回1つの眼目ではあるのですが、やはり、今まで労使合意でつくってきた制度ですので、普及を妨げない、ある意味では既得権というところをどう尊重していくかということかと思います。

 時限的に、それを認めるということなのかもしれませんし、あるいは、例えば実際の規定を考えると、施行の時点でDBの仮想掛金が2.75を超えた部分については、上限の中にカウントしないと、ゼロにするというような規定を設けて、それを5年続けるのか、あるいは、今日のヒアリングですと、半永久的に続けてくれというようなことなのかなと思いました。

 確かに5年というと、財政再計算は一度はあるかもしれませんけれども、例えば、来年とかに財政再計算があって、そこまでに全部労使合意をして、きれいに片をつけるというのは、なかなかな難しいというような感じもしますので、その辺りは少し考えていかなければいけないのかなと思います。

 それから、普及という観点からいくと、逆に、これはもし分かれば教えていただきたいのですけれども、逆に、今、DBの仮想掛金が2.75万円には全然いっていなくて、だけれどもDCは2.75万円に、天井に当たっているので、この仕組みが導入されたら、ぜひDCを充実させていきたいというような例がどのぐらいあるのだろうかというのも、逆に関心があるところです。その辺りについて、もし、3団体さんの方で、今、DCは2.75万円に突き当たっていて、それについてDBの方は余裕があるというような事業主さん、あるいは制度がどのくらいある、また、何パーセントというところは難しいのかもしれませんけれども、ほとんどないということなのか、そこそこあるということなのか、その辺り、もし、分かれば教えていただきたいというのが質問です。

 以上です。

 

○神野委員長

 それでは、3団体、今、御指摘いただいた点について、御発言があれば、お願いできますか。

 生命保険協会さん、お願いします。

 

○生命保険協会

 生命保険協会でございます。

 申し訳ございません、今、いただいたところにつきましては、資料を持ち合わせてございませんので、この場で御説明できる内容がございません。恐縮でございます。

 以上です。

 

○神野委員長

 信託協会様。

 

○信託協会

 信託協会も、そこのデータは、今、手元にない状況でございます。

 

○神野委員長

 連絡協議会様。

 

○企業年金連絡協議会

 やはり、今、手元にデータがないのですけれども、先ほど調べているところと併せて、どこまで迫れるか、もう少し検討してみます。

 

○臼杵委員

 いつもすみません、何かないものねだりばかりで、申し訳ありません。大体の感触でもと思ったのですけれども、また、教えてください。ありがとうございました。

 

○神野委員長

 では、細田委員。

 

○細田委員

 時間がほとんどないので、簡単に感想だけ述べさせていただきます。

 私ども商工会議所の会員は中小企業がほとんどで、私はその代表として参加しているのですが、今、中小企業が大変な時代に入っており、また、退職給付制度そのものがなかなか普及してきていないという中で、企業年金の普及というのがこれから大変重要な問題になってくるのかなと思いながら、皆さんのお話を伺っておりました。

 先ほど小川委員からも、公平性だけでなく、普及も大事な観点であるという御指摘がありました。今日のテーマとは違うのかもしれませんけれども、もう少し、今後もその辺りについて、各団体も焦点を当ててほしいなと思いました。

 また、伊藤委員から組合側のお話がございましたが、我々経営側から申し上げると、企業を守っていくために組合側とどのように協調を取っていくのか、こういう難しい時代においてはそこが課題になってくるのかなと思いながら聞いておりました。

 企業を経営する立場からしますと、やはり、先が見えないというのが非常にやりにくいのですね。組合と一度約束をしてしまうと、その約束を守っていかなければいけないということですので、そこら辺が大きなハードルになってくるのではないかなと思いながら聞いておりました。

 以上です。

 

○神野委員長

 当面、承ってということでよろしいですか。

 

○細田委員

 感想だけですので、それで結構です。

 

○神野委員長

 小林委員、何か御発言ありますか。

 

○小林委員

 今日は、特にありません。ありがとうございました。

 

○神野委員長

 ありがとうございます。

 部会長代理。

 

○森戸部会長代理

 3団体の皆様、詳細な御報告をありがとうございました。

 1点だけ感想を、ちょっと質問もありますかね、皆さんの御発言の中に、大体キーワードというか、経過措置とか、労使合意の在り方、DB、DCの見直し、どうしていくのかということが論点だなというのは、大体出た話なので繰り返しませんが、1点だけ、生保協会さんの4ページですか、企業型DCの見直しが必要だというのは3ページの方で質問が出たのですが、4ページの個人型の方にも影響があり得るという話で、こちらに関しては、これも非常に大きな問題で、特に個人でやっていたのに拠出できなくなると、手数料ばかり大きくなると、ここで指摘された問題は、確かにあると思いますので、この点は検討しなければいけないなと思うのですが、3ページの方には、例えば、こうしてほしいというようなことが書いてあるのですけれども、こちらの4ページの方には、課題で終わっていて、ここで、3ページと同じように、少なくとも経過措置とか、あるいはできればやらないでほしいとか、新しい制度、新規の人からにしろとかというのは、もちろんこっちもあり得るのでしょうけれども、何か個人型DCに特化して、何か特別に問題解決のための手法とか、アイデアみたいなものは、何かあり得るのかというのが、もし、あれば生保協会さんの方にお聞きしたいです。

 あとこれは、事務局の方への要望になるかもしれませんが、今日もいろんなデータをちゃんと出してくれというお話もあって、それは、私もそう思いますけれども、生保協会さんの4ページのような影響を受ける人が、余りいないのかなという気はするのだけれども、どのぐらいいるのかなという、そういうデータも出してもらえると思っていいのか、これも事務局に確認したいと思います。

 以上です。よろしくお願いします。

 

○神野委員長

 すみません、生保協会、よろしいですかね。

 

○生命保険協会

 御質問いただきましたところに、御回答させていただきます。

 このページの部分につきましては、特にこうしてほしいといったような解決策を、こちらで具体的に持ち合わせているというところではないのですけれども、企業型DCの3ページに書いているような既得権といったものが認めていただけるのであれば、それは同様に解決策になるのかなと考えております。

 以上です。

 

○神野委員長

 吉田課長、コメントがあれば。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 影響を受ける人数、それは拠出枠が拡大する人もいれば、狭まる人もいますので、そこは場合分けをして、かつ、企業型と個人型というのも分けて提示をしたいと思います。

 今回のヒアリングを通じて、様々論点が浮き彫りになってきましたので、しっかり整理をし、事務方としての考え方というものを今後出していきたいと思っています。

 

○神野委員長

 お二人のオブザーバー、何か御発言があれば、よろしいですか。

 ありがとうございます。

 それでは、ちょうど時間でございますので、申し訳ありません、御質問、御意見、つまり意見交換会は、これにて終了させていただければと思っております。

 3団体の方々には、貴重なお時間を割いていただいた上に、実りあるヒアリングができたかと思いますので、深く感謝を申し上げる次第でございます。ありがとうございました。

 それでは、本日頂戴いたしました意見につきましては、事務局において整理していただきたいと思っております。

 以上をもちまして、本日の議事については終了したいと思いますので、今後の予定について、事務局から御連絡があれば、頂戴したいと思います。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 ありがとうございました。

 次回の部会の開催日時は、事務局から各委員の御都合をお伺いした上で、正式な御案内をお送りしますので、よろしくお願いいたします。

 

○神野委員長

 それでは、どうもありがとうございました。

 これにて、第14回の「企業年金・個人年金部会」を終了させていただきたいと思います。

 重ねてではございますが、御多忙の折、御参集いただきましたことに感謝を申し上げる次第でございます。

 どうもありがとうございました。