第25回 社会保障審議会企業年金・個人年金部会 議事録

日時

令和5年7月24日(月)10:00~11:39

場所

AP新橋 3階Aルーム

出席者

森戸部会長          小林(司)委員    冨樫委員

渡邊部会長代理(オンライン) 小林(由)委員    原田委員

岩城委員           小林(洋)委員    藤澤委員

大江委員           島村委員       山口委員(オンライン)

金子委員           谷内委員

 

(オブザーバー)

鮫島企業年金連合会理事長   松下国民年金基金連合会理事長

 

議題

(1)ヒアリング等における主な意見について

(2)「経済財政運営と改革の基本方針2023」等について

議事

議事内容

○森戸部会長

 皆さん、おはようございます。

 定刻になりましたので、ただいまより第25回「社会保障審議会企業年金・個人年金部会」を開催いたします。

 お忙しいところ、お集まりいただき、ありがとうございます。

 本日ですが、渡邊部会長代理、山口委員については、オンラインにて御参加いただいております。

 出席いただきました委員の方が3分の1を超えていますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。

 議事に入る前に、前回の部会から事務局に異動がありましたので、事務局から御報告をお願いします。

 

○大竹企業年金・個人年金課長

 事務局の異動について御報告いたします。

 大臣官房審議官の泉でございます。

 

○泉官房審議官

 よろしくお願いします。

 

○大竹企業年金・個人年金課長

 企業年金・個人年金課基金数理室長の榎でございます。

 

○榎企業年金・個人年金課基金数理室長

 どうぞよろしくお願いいたします。

 

○森戸部会長

 それでは、議事に入らせていただきたいと思いますが、まずは、事務局から資料の確認をお願いします。

 

○大竹企業年金・個人年金課長

 資料の確認をさせていただきます。

 本日の資料といたしましては、資料1「ヒアリング等における主な意見」。

 資料2「『経済財政運営と改革の基本方針2023』等について」を用意しております。

 参考資料といたしまして、参考資料1「今後の検討における主な視点」、参考資料2「私的年金制度の現状等」、参考資料3「委員名簿」ということで準備をしております。

 以上でございます。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 それでは、議題に入りたいと思います。

 カメラの方、もし、いらっしゃいましたら、ここで退室をお願いいたします。

 本日は「ヒアリング等における主な意見について」「『経済財政運営と改革の基本方針2023』等について」を議題といたします。

 一括して議論を行いたいと思いますので、まずは、事務局から説明をお願いいたします。

 

○大竹企業年金・個人年金課長

 資料1と資料2について、まとめて御説明をさせていただきます。

 まず、資料の1「ヒアリング等における主な意見」でございます。

 2ページ目をお開きください。

 「本資料について」ということでございますけれども、当部会において、主な検討課題の設定に当たりまして、過去4回にわたりまして、有識者の方、また、関係団体の方からヒアリングを実施しております。

 この資料につきましては、ヒアリングにおいていただきました有識者の方、また、関係団体からの御意見、また、部会の委員からの御意見を踏まえまして、以下の総論、視点1から3に分類した上で、事務局の責任において整理をしたものでございます。それぞれ御説明をさせていただければと思います。

 3ページ目でございます。

 まず、総論でございますけれども「私的年金を取り巻く環境の変化」ということでございまして、深刻な人手不足に直面している中で、高齢者の就労継続は重要な経営課題であるということで、働くほうが高い収入を得られるという選択肢を提示することが重要であって、私的年金の仕組みにおいても、そのような視点で見直す必要があるという御意見。

 また、働き方やライフコースの多様化が進んでいる中で、老後の資産形成が継続されるよう、促していくとの重要性が高まっているという御意見。

 また、企業年金のポータビリティ機能の制度面、運用面の双方の強化が必要であるという御意見をいただいております。

 また、企業年金の現状といたしまして、特に総合型の場合、掛金の設定が限定的にならざるを得ないということや、事務費の負担が厳しいという御意見をいただいております。

 また、業務運営面の負担、財政面での負担というものを軽減して、また、税制優遇などの支援を強めていくことが必要であろうという御意見をいただいております。

 また、私的年金制度の位置づけといたしまして、私的年金は公的年金を補完する役割であって、量的な側面と質的な側面が考えられるであろうということで、一つは、私的年金のつなぎの役割、もう一つは、上乗せの役割であるという御意見をいただいております。

 また、私的年金において、終身給付を提供することが困難な環境になってきているという御意見や、老後所得を確保する新たな方策として、WPPという考え方が選択肢として考えられるという御意見をいただいております。

 続いて、4ページ目、視点の1でございます。

 「働き方・ライフコースに対応し公平で中立的な私的年金制度の構築」でございますけれども、まず、拠出限度額について様々御意見をいただきましたが、引上げの考え方ということで、拠出限度額の上限程度まで支払う者が一定程度存在しているということであったり、老後取得保障の観点から十分な水準までの引上げが必要という御意見をいただきました。

 また、DCとDBの合算管理がなされる中で、既にDBで5.5万円以上拠出している基金も一定数ある中で、これも、やはり拠出限度額の引上げが必要であろうという御意見。

 また、この限度額の考え方につきまして、所得代替率、賃金上昇率、物価上昇率を反映させる仕組みを検討すべきという御意見。

 また、拠出額そのものは、各企業に任せ、税制を非課税にするかどうかというところで、上限を設定すべきであるというお考えもいただいております。

 さらには、企業における退職給付制度の一環としての企業年金と、個人の自助努力の側面が強いiDeCoとでは分けて、外枠としたほうがいいのではないかという御意見。

 iDeCoの拠出限度額についても、一部引き上げた上で統一することが必要ではないかという御意見をいただいております。

 また「生涯拠出限度額・キャッチアップ拠出」ということで、前年度の未利用分を翌年度に繰り越すということであったり、生涯枠として拠出する。あとは追加の拠出枠を設定する、キャッチアップ拠出ができるようにするという御意見をいただいております。

 続いて、5ページ目でございます。

 続きでございますけれども、NISAなどの仕組みも参考にしながら、年間拠出限度額が変わらなくても、生涯拠出枠を設けるということも考えられるのではないかという御意見や、あとは、税制上と法令上の論点に加えて、実務上の課題について検討が必要であるという御意見をいただきました。

 また、DBの拠出限度額につきましても、拠出上限額の設定や、中途引出しの原則禁止、そういった制限を講じることがないようにしていただきたいという御意見をいただいております。

 また、iDeCoの最低拠出額5,000円を撤廃してはどうかという御意見もいただいております。

 また、拠出限度額の合算管理ということで、DB、DCの合算を行う予定としておりますけれども、DB制度の廃止や総合型DBからの事業所脱退の要因ともなりかねないという御意見であったり、企業型DC以外の手段に流れていくことが起こり得るのではないかという御意見。

 また、受給者にとって不公平になるのではないかという御意見や、経過措置について、恒久化してはどうかという御意見をいただいております。

 また「加入者掛金に係る税制」についてということで、社会保険料控除として統一してはどうかという御意見。

 続いて、6ページ目について、続きになりますけれども、第3号被保険者について、税制優遇を強化してはどうかという御意見もございます。

 一方で、第3号被保険者つきましては、公的年金制度の方向性とそごが生じないように考えていく必要があるのではないかという御意見もいただいております。

 また「DBの掛金拠出の弾力化」ということで、特例の掛金をDBにも認めるべきであるという御意見をいただいております。

 続いて「マッチング拠出における本人拠出額上限の見直し」ということでございまして、企業型DCのマッチング拠出につきまして、加入者掛金の額の上限を事業主掛金の額としている規制について、撤廃すべきであるという御意見をいただいております。

 一方で、事業主から労働者への転嫁の懸念があるということにも留意する必要があるという御意見もいただいております。

 続いて「iDeCoの加入可能年齢の引き上げ、受給開始可能年齢の引き上げ」でございます。

 これは、一律70歳へ見直してはどうかという御意見をいただいているとともに、実務上の課題もあるということで、加入資格の確認を容易にする仕組みとしてはどうかという御意見をいただいております。

 7ページ目、続きでございますけれども、受給開始年齢の上限引上げにつきましては、実務上の懸念も踏まえ、慎重に検討すべきではないかという御意見をいただいております。

 続いて、国民年金基金制度の見直しでございますけれども、1号のみに加入が認められている、国民年金基金制度につきまして、第2号被保険者や第3号被保険者を加入可能としてはどうかという御意見。

 また、掛金額についても、その上限を引き上げてはどうかという御意見をいただいております。

 また、加入可能年齢の引上げをiDeCoについて実施する場合においては、国民年金基金においても、それに必要な改革を実施してはどうかという御意見をいただいております。

 続いて、特別法人税の廃止ということで、撤廃すべきだという御意見をいただいております。

 続いて、受給方法でございます。

 受給に関する税制ということでございまして、WPPを実現させるための環境整備として、税制の見直し(年金受取と一時金受取の税制上の中立化)が必要であろうという御意見をいただいております。

 また、公的年金等控除の拡充や、新たに年金受給に資する税制について、策を講じてはどうかという御意見。

 続いて8ページ目、受給に関する税制の続きでございますけれども、特定の年金等商品について購入する場合には、年金制度等の一時金を課税対象としないことを検討してはどうかという御意見。

 また、お互いに中立的でバランスの取れた税制とすべく、見直しが必要ではないかという御意見。

 また、終身年金制度に対する税制優遇を行ってはどうかという御意見をいただいております。

 また、受給に関する実務でございますけれども、これもWPPを実現させるための環境整備として、中継ぎに対応した受取方法の普及が必要であろうという御意見をいただいております。

 また、取り崩しの段階、ペイアウトの段階、そういったところでの在り方が、今後の大きな課題となるという御意見をいただいております。

 続いて、有価証券のまま受給することを認めて、資金運用を継続しながら取り崩せるようにしてはどうかという御意見。

 また、柔軟な受取方法の実現のために、給付区分ごとに支給繰下げを可能にしてはどうかという御意見。

 また、DB、DCだけではなくて、退職一時金を含めた各退職給付制度からの給付等を拠出して、一括して管理をする、その上で年金として受取可能とする制度を構築してはどうかという御意見をいただいております。

 また、一番下の○でございますけれども、大きな要因として年金商品が貧弱なことがあるという御指摘、運用をし続けながら、年金を受給する選択肢として、DC制度専用の年金を受け取る仕組みが考えられないかという御意見をいただいております。

 続いて、9ページ目でございます。

 視点の2「私的年金制度の普及・促進」でございます。

 iDeCoの手続簡素化、効率化ということでございまして、事務の一層の効率化を図る必要があるという御意見をいただいております。

 また、電子申請の利用率、これが新規加入者の約1割にとどまっているということでございますけれども、第2号加入者の事業主証明の廃止と併せて、さらなる届出の簡素化を検討しているということであったり、デジタル改革への対応と併せて取組を推進しているという現状でございます。

 また、様々資格区分、限度額区分、そういったものの簡素化・合理化を検討してはどうかという御意見。

 具体的には、例えばということで、一帳票で複数の諸変更手続ができるような改定を検討いただきたいという御意見をいただいております。

 そのほか、マイナンバーの活用や、住所変更手続の簡素化というような御意見をいただいております。

 続いて、iDeCo+の導入推進策ということでございまして、例えば、従業員300人以下とする要件を緩和していただきたいという御意見や、DBを既に実施している企業においても、iDeCo+が実施可能となるよう条件を見直してはどうかという御意見をいただいております。

 また、iDeCo+などの私的年金制度を、企業が人材を育成する姿勢について、若者にアピールしていく手段として、有効活用できないかという御意見をいただいております。

 続いて、10ページ目でございます。

 「相談窓口の設置」ということでございまして、事業主と従業員個人の双方に対して、公的な個別相談窓口を全国に設置してはどうかという御意見。

 その際には、公的機関や、税理士・社労士、商工会議所等の既存機関の活用、また、イギリスのNESTを参考とすることを検討してはどうかという御意見をいただいております。

 続いて「加入促進に資するDB・企業型DCの制度見直し」でございますけれども、脱退一時金の受給要件の緩和ということで、脱退一時金としての受給要件の緩和を要望するというお話でございます。

 続いて、自動加入でございますけれども、原則全ての企業に対して、従業員を私的年金に加入させることを義務づける自動加入の仕組みを導入してはどうか。加入しないことを選択(オプトアウト)できるような仕組みも考えられるということでございます。

 一方で、イギリス等の諸外国と日本との公的年金制度の違いも前提に、日本でどのような形で導入できるのか、導入できないのかということを整理すべきであるという御意見もいただいております。

 続いて「中小企業への導入促進策」でございます。

 中小企業への企業年金の普及のために、インセンティブとして掛金や事務費負担への助成を行ってはどうかという御意見。

 また、総合型DB・簡易型DCの活用というものに加えて、共同事務処理センターのような仕組みの構築であったり、イギリスのNESTのような低廉な価格で年金サービスを提供する組織を創設してはどうかという御意見をいただいております。

 続いて、11ページ目でございます。

 「加入者への支援」ということで、DBの加入者掛金の普及を拡大してはどうかという御意見、低所得者の方への支援が必要ではないかという御意見をいただいております。

 続いて「周知広報」でございますけれども、行政と民間のコラボレーションによる企業年金のPRを実施してはどうかという御意見。

 また、中小企業従業員に対する適切なサポートが重要であるという御意見をいただいております。

 続いて「公的/私的を合わせた制度周知・個人の年金状況の見える化」ということでございまして、個人が自身の必要な情報にアクセスしやすいよう、取組を進めてはどうかという御意見。

 また、個々人の現在の状況を「見える化」する仕組み(年金ダッシュボード等)の検討についても議論が必要であるという御意見。

 また、iDeCoの資格区分や限度額区分の簡素化については、公平性とトレードオフの関係性にあるということでございますけれども、自身の必要な情報にアクセスしやすいようにする取組を同時に進める必要があるのではないかという御意見をいただいております。

 また、企業年金プラットフォームにつきましては、マイナンバーの活用という御意見をいただいております。

 続いて、12ページ目でございますけれども「ポータビリティの拡充」ということで、年金原資の通算・一元化の拡充が必要ではないかという御意見をいただいております。

 また、中小企業退職金共済制度などとの行き来がしやすいような規制緩和を進めるべきではないかという御意見をいただいております。

 また、5つ目の○になりますけれども、運営管理機関の交代については、法令上可能であっても、加入者の資産をキャッシュ化しなければならないと、そういう中で、実務上なかなか難しい状況にあるという中で、現物移換が可能な仕組みにできないかという御意見。

 また、転職時の商品のポータビリティが確保されていないという指摘もあるという中で、RK同士のデータ連携や、データ連携がもたらす現物移換以外の効果についても、部会として理解する必要があるのではないかという御意見。

 また、年金ポータビリティにおいて、デジタル化を推進すべきであるという御意見をいただいております。

 続いて13ページ目、視点の3「資産形成を促進するための環境整備(投資教育・運用関係見直し)」でございます。

 まず、DC制度の環境整備、投資教育の充実ということで、ナッジを活用しまして、老後資産形成の重要性に関する教育機会の提供などを通じて、年金選択を増やす行動変容を促す施策。

 また、退職時にポータビリティの選択をデフォルトに設定するといった施策を検討すべきであるという御意見をいただいております。

 また、DCの加入者データについて、活用がしやすいようにすることや、DC加入者への通知に関してプッシュ情報を送ってはどうかという御意見をいただいております。

 また、資産の取崩しと運用の継続性、継続の重要性が認識されるような投資教育を行ってはどうかという御意見をいただいております。

 続いて「指定運用方法の見直し」ということで、複数のファンドを組み合わせたデフォルトファンドの指定を可能にしていただきたいというような御意見。

 また、指定運用方法の設定を義務化することで、未指図となることを防止すべきではないかという御意見。

 また、指定運用方法について、原則として元本確保型以外の資産を基本として、あわせて事業主や運営管理機関が、運用の結果について責任を問われないというセーフハーバールールを、政省令等において明確化していただきたいという御意見をいただいております。

 また、DCにおいて、個々人の状況に合わせて、元本確保型を含む幅広い選択を促してはどうかという御意見もいただいております。

 また、運用未指図者においては、DCに関心がない層が多く、そこがこの問題の一番の根っこであるということで、指定運用を義務化するときには、これらの層に関心を持ってもらうための企業アプローチのスキルや、能力をどう上げていくのかという観点も重要であるという御意見をいただいております。

 続いて、14ページ目でございますけれども「自動移換金」につきまして、まずは、自動移換者を増やさないような入り口対策が重要であるという中で、既に自動移換された者について、実務的な対応では限界が明らかで、制度的な対応が必要である、検討すべきであるという御意見をいただいております。

 また、自動移換者を増やさないような措置、自動的にiDeCoに移換するような仕組みを導入してはどうかという御意見。

 また、自動移換の管理手数料が安いということが、制度の適切な在り方からすると問題であって、管理手数料の一定の引上げも議論すべきではないかという御意見をいただいております。

 また「コストの透明化」といたしまして、販売会社とRKとの接続料の低廉化、コストの開示というものを進めるべきであることや、販売運営管理機関のフィーの開示が必要ではないかという御意見をいただいております。

 また支払い予定期間の延長や、支払い予定期間の延長という御意見をいただいております。

 続いて「運営管理機関による投資アドバイスの実現」ということで、運営管理機関が加入者等に対して個別の投資アドバイスを行えるよう、検討を進めていくことも考えられるのではないかという御意見をいただいております。

 また、老齢給付金の支給要件の撤廃ということで、一定の加入期間を要件としていることについて、撤廃してはどうかという御意見をいただいております。

 続いて、15ページ目でございますけれども、運用指図者の資産移換も可能にしていただきたいという御意見。

 続いて「DB制度の環境整備(定年延長に伴う給付減額の判定基準)」ということで、定年延長に伴う給付時期の延長のみで、給付総額が減らない場合には、給付減額としないなど、判定基準や手続を簡素化すべきという御意見をいただいております。

 また、そういう手続の簡素化のみならず、各DBが個別に設定している予定利率の水準によらない方法に見直してはどうかという御意見をいただいております。

 DBの加入期間が長くなる一方で、給付額が同じということであれば、それは減額と認識しているという御意見をいただいております。

 また「予定利率の見直し」についても御意見をいただいております。

 続いて、16ページ目「脱退一時金の要件」について、一部追加をしてはどうかという御意見をいただいております。

 また「DB基金事務の簡素化」ということで、Q&Aの充実等を通じた行政審査の明確化を進めるということが重要ではないかという御意見。

 また、基金型DBの事務局同士における共同事務処理や、運用執行理事を含む役職員の兼務などを柔軟に行える仕組みとすべきではないかという御意見。

 また、代議員会議事録等の署名を電子的に行うようにできないかという御意見をいただいております。

 また、総合型DBのガバナンスにつきまして、選定代議員の定数を事業主の数の10分の1以上とする基準について、見直しを行うべきであるという御意見をいただいております。

 また「DBの保証期間の上限延長」や「転職支援制度の導入」、また、選択型DCについても御意見をいただいております。

 以上が、ヒアリングにおいていただいた意見ということでございます。

続いて、17ページ目でございます。

 これらの論点に加えまして、これまでの法改正や、部会の意見書などにおいても、引き続き議論するとされている事項や昨今の閣議決定などの内容もございます。例えば、以下に挙げておりますけれども、厚生年金基金の在り方、これは、2014年の4月に施行された健全化法で規定がされております。また、支払保証制度や年金バイアウトの仕組み、これも何度か議論をされておりますし、直近で言えば、前回の意見書に書かれておりますけれども、そういった内容を記載しています。

 他にも、企業型DCのガバナンスの確保であったり、DBのガバナンスの確保の話、また、選択制DB・選択制DCへの対応という話であったり、個人退職年金勘定の創設、こういった内容も、これまで言及されてきておるということでございます。

 また、前回の法改正におきまして、iDeCoの手数料の算定根拠に関する情報公開ということも書かれてございますので、こういった点も含めまして、次回以降、それぞれの視点ごとに順次議論を進めていければと考えております。

 続いて、資料の2でございます。

 「『経済財政運営と改革の基本方針2023』等について」ということでございます。

 最近行われた閣議決定について、御紹介するということでございますけれども、まず、2ページ目でございます。

 いわゆる骨太の方針と言われているものでございますけれども、下線が引いてあるところ、iDeCoの拠出限度額及び受給開始年齢の上限引上げについて、2024年中に結論を得るとされてございます。

 続いて、3ページ目でございます。

 「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」ということでございまして、こちらにおきましても、iDeCoについて拠出限度額の引上げ及び受給開始年齢の上限の引上げについて、来年の公的年金の財政検証に併せて結論を得るとされておるところでございます。

 また、4ページ目でございますけれども、資産取得倍増プランに書かれておりましたiDeCo制度の改革についても、同様の記載がなされているということでございます。

 続いて、5ページ目でございます。

 同じく新しい資本主義のグランドデザインの関係でございますけれども、資産運用立国に向けた取組の促進という内容が記載されております。

 2パラグラフ目になりますけれども、一部の資産運用会社やアセットオーナーでは、海外と比べて専門性や人材が不足している等、運用力の向上に向けた取組が十分でないとの指摘があると。

 資産運用業の高度化やアセットオーナーの機能強化を強力に推進すべく、資産運用立国の実現に向けた取組を行うとされてございます。

 具体的にはということで、資産運用会社やアセットオーナーのガバナンス改善・体制強化やスチュワードシップ活動(企業との対話)の実質化、国内外の資産運用会社の新規参入の支援拡充、競争促進、資産運用力の向上及び運用対象の多様化に向けた環境整備等を通じて、資産運用業等を抜本的に改革するということで、最後になりますけれども、これらの取組を含む具体的な政策プランを新しい資本主義実現会議の下で年内にまとめ、国内外への積極的な情報発信を含めた必要な対応を進めるということが記載されてございます。

 続いて、6ページ目でございますけれども「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023」ということでございまして、こちらについても、最後の2行になりますけれども「年金等のアセットオーナーにおける体制の拡充等のスチュワードシップ活動の実質化に向けた課題の解決に向けて、運用機関・アセットオーナー等による取組を促進する」とされておるところでございます。

 以上が、最近行われた閣議決定ということでございまして、こういうことも含めて、今後、この部会において議論を実施していきたいと考えております。

 以上でございます。

 

○森戸部会長 ありがとうございます。

 では、ただいま御説明のありました資料について、議論に入りたいと思いますが、本日の議論ですけれども、事務局が非常に詳細かつ網羅的にまとめていただいた資料があるわけですけれども、いろいろ論点はいっぱいですから、全て提示していただいています。

 ただ、本日は、ヒアリングにおける個別の意見の是非について、直接それというよりも、整理した論点のラインナップについて、今後、視点1から3と整理していただいて、それに沿って議論を深めていこうという方向になっているわけですが、その際に論点として、さらに必要なものはないのか、要は抜けているところはないのかと、こういう論点も重要なのではないかというのがないのか。

 それから、挙げていただいた中にはあるけれども、特にここに重点を置いて議論すべきであるというような御意見、それから議論していく際に、やり方等はいろいろあると思うのですが、議論していく際の考え方について、その辺り、今後の部会における検討の仕方に役立つようなというか、今後の部会における検討の方向性についてということで、議論を深めていければと思います。

 結果的に、いろいろな論点に御意見が及ぶことはあるかもしれませんが、それは別に構わないのですけれども、一応そういう意識で御意見を言っていただければと思います。

 では、委員の皆様から御質問、御意見を時間の許す限りいただきたいと思いますので、どなたからでも、お願いいたします。

 では、大江委員。

 

○大江委員

 本当にいろいろな意見を網羅してまとめていただきまして、ありがとうございます。

 今後、議論をしていく上で、事務局にお願いなのですけれども、やはりデータというか、実態を踏まえた議論というのが非常に重要なのではないかと思います。いろいろ要望はあるのですけれども、ニーズが幅広い人に効果的なものなのかといったところが必要だと思います。

 特にDCの運用改善の辺りについては、例えば、加入者一人一人の運用利回りがどんな状況であるかとかを、ここの部会の皆さんが共有できると、前向きな議論ができるのではないかと思います。

 あと、除外など2016年に行いました運用改善の取組などについて、それが効果的に進んでいるのかどうか、例えば除外をしたけれども、そこの商品に相変わらず加入者がとどまっているというような状況があるやなしや、または、運営管理機関がホームページで提示可能なリストというのを開示していますけれども、その中には、例えば、外国株式や国内株式の同じパッシブ運用において、信託報酬が4倍ぐらい違うような商品も並んでいます。 これは、例えば、提示可能なユニバースとして並んでいるので、非常に高いコストのものが、実際に選定されていないのであれば問題ないのですけれども、これが相変わらず企業型DCにおいて選定・提示されているということになりますと問題です。こういった細かい部分になるかもしれないのですが、実態把握として、特にDCの運用の改善については、可能な範囲でデータをまとめていただきまして、議論ができればと思っております。お願いでございます。

 

○森戸部会長

 事務局、いかがでしょうか。

 

○大竹企業年金・個人年金課長

 データに基づいて議論していただくのは、当然、前提ということかと思いますので、事務局としてしっかりと準備をして、材料を集めたいと思います。

 DCの運用はどうなっているかとか、運管の評価ということにも関連するかもしれませんけれども、そういったところについて、まさに前々回の改正で見直しが行われて、その状況がどうなっているかというところとも関係すると思いますので、そこもある意味、1つの大きいポイントと申しますか、前々回の改正が、今、どうなっているのかというところで、また、御説明をさせていただければと思います。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 大江委員がおっしゃったことは、私も全く同意見ですので、DCに限らず、やはりここで議論することに関してのデータなり、実績なり、ちゃんとエビデンスを、もちろん全部あるわけではないでしょうけれども、それに基づいて、みんなで議論する必要があると思いますので、いろいろ大変だと思いますけれども、大江委員等もいろいろデータをお持ちだと思いますので、皆さんにも協力をいただいて、そういう方向で議論ができればと私も思います。ありがとうございました。

 では、小林洋一委員、お願いします。

 

○小林(洋)委員

 御説明、ありがとうございました。

 資料1の内容を踏まえ、今後、厚生労働省事務局から本部会へ、企業年金・個人年金制度の改革案が提示されて、議論が行われると思います。

 その過程において、厚労省事務局にお願いしたい点を2点、申し述べたいと思います。

 1点目です。現状、制度の活用開始までのハードルは、決して低くありません。その要因として、制度が複雑で分かりにくいことを挙げる声があることは、既に申し上げてきたとおりです。

 今後の見直しにより、企業年金・個人年金制度を活用するメリットが創出されたとしても、仕組みや手続が簡素化されないままだと、利用は進まないと思います。

 さらに言うと、先ほど「(制度が)分かりにくいとの声がある」と申しましたが、運用に関しての不安感などが、その分かりにくさを助長していると思います。

 運用については、選択肢が幅広く自由度が高いことは、本来良いことなのでしょうが、それが逆の効果を持つ可能性があるような気がします。

 極端な話、二者択一くらいのお仕着せのコース設定で始められるといった形なら、利用の手前で感じる面倒くささのハードルは、少し下がると思います。

 制度そのものの話ではないのですけれども、御考慮いただければと思います。いずれにしても、改革案の検討に当たっては、分かりやすく、シンプルなものにするということを第一に取り組んでいただきたいと思います。

 2点目です。資料1に様々な論点が記載されていますが、その多くは、既に制度を利用している人の、利便性向上を図ることが主な目的であり、制度利用者を新たに増やすという視点がどの程度含まれているのか、その部分が、非常に分かりにくいと感じました。

 制度の見直しに当たり、既存の制度利用者の利便性向上と、新規利用者の発掘という2つの目的を意識した検討を行っていただくよう、お願いしたいと思います。

 以上です。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 事務局、何かありますか。

 

○大竹企業年金・個人年金課長

 まず、1点目に関しましては、厚生労働省で改革案を提示するというよりは、まずはデータを提示させていただいて、御議論をいただければと思っていますけれども、選択の範囲を狭めるのかどうかというのは、まさにDC制度の根幹にも関わるところかと思いますので、ぜひ御議論をいただければと考えております。

 我々としては、企業年金・個人年金の関係のみならず、今、まさに資産所得倍増プランの中で、大きい金融リテラシーを高めていこうという取組を、政府全体として進めていこうという中でもございますので、そういう中で、広く運用のリテラシーを高めていただいて、そういう中で、少しDC制度もしっかりやっていこうと、自分でもできるのではないかと思っていただくということが大事かと思っております。

 とはいえ、そこは、そうは言ってもハードルがあるという御意見も当然あるかと思いますので、そこは、引き続きこの部会でも御意見をいただければと考えております。

 また、2点目の今使っている人のみならず、新しい人という視点につきまして、我々としても十分意識をしていきたいと思いますし、視点の2のところは、まさに、今やっている人だけではなくて、いかに新しい方にやっていただくか、それは個人という意味でも、企業という意味でもそうだと思いますけれども、という意味で、1つ大きい柱、視点として立ててやっていくということかと考えておりますので、ここも複雑だとか、当然そういう課題がある中でございますので、どこまで簡素化できるかというところ、どうやってPRしていくかも含めて、議論を重ねていければと考えております。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 どちらの視点も非常に重要だと思います。今、課長からもありましたけれども、特に利用していない人の視点も、これからの人の視点も考えようというのは、非常に貴重な御指摘だったと思います。ありがとうございます。

 谷内委員、お願いします。

 

○谷内委員

 私からは2点コメントします。まず、今回の部会(第19回以降)を開始して以降、既に複数名の方から、「一口に私的年金といっても、企業年金と個人年金とでは性質が異なる」という指摘があります。

 企業年金と個人年金の性質の在り方そのものを議題にするのは、議論を進める上では遠回りになることが予想されなかなか難しいのですけれども、今後、資料1で示されている各論点、例えば拠出限度額のあり方などを議論する際は、企業年金と個人年金の性質の違いについて、横串を刺して検討する必要があると考えます。

 もう一点は、例えば自動加入やキャッチアップ拠出のように、海外で先行事例がある措置については、当該措置を導入している国における実態を踏まえた議論が必要だと考えます。

 要望する側の方々は、アメリカやイギリスではもう実施しているのだから、日本でも取り入れればいいだろうとおっしゃる方が多いのですが、そうした仕組みを導入した国には、それぞれの固有の事情があるはずです。

 例えば、イギリスで導入されている自動加入ですが、イギリスではそもそも公的年金の水準が貧弱なので、私的年金に加入させてカバーすることが尚のこと重要になるのですが、公的年金の水準がそこそこある日本において果たして同じように考えていいのかという論点があります。

 また、キャッチアップ拠出については、私もちょうどそういった年代に差しかかっており、個人的には望ましいとは思いますが、一方で、海外で先行導入されたしくみを日本で導入したときには、海外では早くもその弊害めいたものが顕在化しているといった話はよくあります。

 その最たる例が、確定拠出年金の投資教育です。20年ほど前に確定拠出年金が導入されるときは、「欧米では投資教育が完璧に行われているのだから心配はいらない」と喧伝されましたが、ところがいざ導入してみると、「じつは海外でも加入者は資産運用にそんなに関心を示さない」といったことが、後から後から判明したりします。よって、諸外国で先行導入されている制度やしくみについては、導入している国でどのような実態になっているかを踏まえた検討が必要だと考えます。

 以上です。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 いずれも、また、貴重な視点だったと思います。確かに海外の事例は参考になりますけれども、それも先ほど大江委員がおっしゃったデータというか、実態をちゃんと踏まえてということにつながるのかなと思いますけれども、正しく参考にするという視点は、別に企業年金・個人年金に限らないと思いますが、ちゃんと肝に銘じておきたいとは思います。1つ目の視点も、もちろん重要だと思います。

 事務局、何かありますか。

 

○大竹企業年金・個人年金課長

 今回で言えば、総論に当たるような企業年金と個人年金の考え方をどう整理するのかとか、そういったところをどう織り込んでいくかは、また事務局としても考えていきたいと思いますけれども、視点1、2、3とは、またちょっと異なり、まさに横を貫く部分ということかと思いますので、そこの議論の在り方は、少し工夫をしていきたいと思います。

 以上でございます。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 島村委員、お願いします。

 

○島村委員

 ありがとうございます。2点、発言させていただければと思います。

 1点が、私が伝え聞いたところによると、投資教育に関連する問題なのですけれども、RKのところには、各労働者がどういう運用商品を選んでいるかという情報が、もちろん蓄積されていると思うのですけれども、実際に投資教育を担うところの企業だったり、運営機関については、各労働者個人が、どの運用商品を選んでいるかということを把握できていないと学んだことがあります。多分、個人情報保護の壁になるのかなと思いますが、具体的にどういう壁があって、投資教育等もよりやりやすくできるような制度にしていくというところも、考えていけたらと思っています。

 もう一点は、最初にお示しくださった資料の5ページで、iDeCoの最低拠出額5,000円の撤廃のお話がありましたけれども、学生と議論をしていても、やはり5,000円というのは額が高いという印象があります。少額から長い期間こつこつ継続的にできるようにということで、1,000円とか2,000円とかでも始めるということが大事かと思いますので、ここは、ぜひ進めていただければと思っております。

 以上です。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 2点いただきまして、1点目については、一応、どういう趣旨でそうなっているのかというのは、事務局からお話をいただいてもよろしいですか。

 

○大竹企業年金・個人年金課長

 ありがとうございます。

 まさに、個人情報保護の観点も含めてになりますけれども、事業主においては、個々の従業員の方がどういう運用をしているか、共有されていないということになります。

 運営管理機関のほうは、少し把握しているのではないかという気がしますけれども、いずれにせよ、運営管理機関が、もう少し簡単に事業主に情報を渡して、そういう投資教育をしやすくするという環境をつくるという意味では、大事かと思います。今、例えば、商品除外する場合に、なかなか事業主のほうが、個々の方がどういう運営をしているのか分からないので、周知はしづらいという観点で、今回の主な意見でも入ってございますけれども、投資教育を行っていくという観点でも、まさにそういう情報を使いやすくするということが大事かと思います。

 個々の方の運用状況まで知っている必要があるのかどうかということはあると思いますけれども、そういうマクロのデータを共有して使いやすくとか、そういう話はあると思いますし、運管によってはやっているところも当然あるのだと思いますけれども、それをもう少し広く行われるようにするには、どうしたらいいかというところを含めて、論点なのかなと思います。

 以上でございます。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 今の話は、RKではなくて、いわゆる運管は、個人個人どこに運用しているかは、一応そのデータを持っていると、ただ、事業主には言っていないと。

 事業主は、今もおっしゃいましたけれども、もちろん個人のデータは来ていないけれども、全体として、うちの会社は、こういうファンドに、このぐらいの人が投資しているらしいみたいなデータも来ていないと。

 

○大竹企業年金・個人年金課長

 そこは、運管によって違うのだと思いますが、基本は情報を提供しているのだと思います。

 

○森戸部会長

 やっても別にいいわけですか、何か補足があれば、すみません、大江さん。

 

○大江委員

 現状を認識しているところをお話ししますと、そこは運営管理機関さんによって、または契約をされている相手様の事業主へのサービスレベルによって異なりますが、運営管理機関から事業主に対して、プランにいる加入者の状況が、全体としてどうかというだけではなくて、例えば年代別であるとか、中には事業所とか職種とか、個人が特定されないレベルの状況は教育に必要な情報として提供しています。

 ですので、全ての事業主が加入者の運用状況について情報を全く持っていないということはないと思うのですけれども、詳細な状況についてはまだらであるというのが実態かと思います。

 

○森戸部会長

 なるほど、ありがとうございます。よく分かりました。

 だから別に、個人の生情報は出すなということになっているけれども、ほかは別に出しても、出さなくてもいいけれども、実態はそんな感じだということですね。

 島村委員の御趣旨も、要は投資教育をする上で、事業主に投資教育をしろと言っておいて、その割に、そう言われてもどうしていいか分からないという状況になっているのではないかという御指摘だと思いますので、そこのところ、まさに視点2とか3にも入っていた話だと思いますが、今いただいた御意見をベースに、また、引き続き議論ができればと思います。ありがとうございました。

 岩城委員、お願いします。

 

○岩城委員

 どうもありがとうございます。

 資料に列挙されている、いずれの論点につきましても、自営業者や非正規労働者など、引退後所得保障が十分でない人も含めて、広いシェアを持って議論を進めていければと思います。

 質問を含め、4点述べさせていただきます。

 企業年金と私的年金の意義の違いというのが、これまでも述べられてきましたが、例えば、マッチング拠出における本人拠出限度額の見直しについてなのですけれども、第7回の部会の資料を見ますと、マッチング拠出における本人拠出限度額について、企業年金だということを重視するという観点から、事業主の掛金負担が従業員に転嫁され、加入者掛金が基本となることがないよう、事業主掛金を超えない範囲内で認めることとされたと記載されています。

 企業型DCは、企業が掛金を出して加入者の運用指図による運用益との合計額を基に、給付額が決定される制度です。

 企業は、加入者に対して投資教育を行う努力義務がありますけれども、運用リスクを加入者が負っていると思います。また、近年では事業主の運用リスク回避の観点から、DBから移行する企業も多いと思います。

 加入者が自ら運用リスクを取って、長期化する老後の資産形成をするために、より自助努力を進めたいというのを、限度額を設けて規制することが実情に合っているのかということを疑問に思っています。

 そもそも令和4年10月から、企業型DC加入者のiDeCo加入の要件が緩和されたのは、より自助努力での資産形成の重要性が認識されてのことだと思いますので、企業年金の存在意義というのも理解できるのですけれども、もう少し柔軟に考えるべき時期に来ているのではないかと思っています。こういった視点を入れていただきたいと思っています。

 マッチング拠出における本人拠出限度額の見直しについてですけれど、マッチング拠出を実施している場合は、マッチングかiDeCo加入かという、各自が選択可能ですけれども、事業主掛金が少ない場合で、もっと拠出したいと考えるならば、「自分で費用を負担してiDeCoに加入しなければならない」ということになります。本人拠出額の上限規制があることによって、自助努力の意欲をそぐことにならないかと懸念します。

 これも退職後の所得保障を拡充する方向性と整合性が取れているのかという点でも、議論をすべきだと思います。

 3つ目なのですけれども、iDeCoの最低拠出額の撤廃についてなのですけれども、おっしゃったように、所得が低い若年層らを考慮してということは、もちろんなのですけれども、企業年金に加入している場合でも、iDeCoの拠出限度額に影響しているという実情があります。これは、すごく疑問を持っていたのですけれども、仮に月額4,500円で年間5万4000円の拠出額が残っている人が拠出をしたいと思っても、最低拠出額が5,000円だとできない。けれども、6万円の拠出額が残っている人はできる。その差額は月500円ですので、この最低拠出額5,000円という規制について、あまり合理性があるとは思えないのです。

 そもそもこの5,000円は、何か根拠があるのであれば、教えていただきたいなと思っています。

 もう一つ、「企業年金がない第2号」の拠出限度額についてなのですけれども、「企業年金がある第2号」の拠出限度額は、令和6年12月以降、事業主掛金及び加入者掛金の合計額が5万5000円に引き上げられます。

 それで、「企業年金がない第2号」の拠出限度額は月額2万3000円です。拠出額の引上げについては、24年の財政検証に合わせて結論を得るとなっていますけれども、現在、加入区分で差が生じている、その根拠についても、制度についてもとても分かりにくいように思いますので、繰り返しになりますけれども、国民が老後所得を確保するすべを持つ必要性というのを考えると、この辺もしっかり議論をしていくべきだと思っています。

 以上です。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 いずれも具体的な御意見につながるところもありますので、そこは、まさにこれから部会で議論していくというところもあると思いますが、制度の根拠について確認の質問もありましたので、事務局から可能な範囲でお願いいたします。

 

○大竹企業年金・個人年金課長

 ありがとうございます。

 マッチング拠出関係は、また改めて議論ができればと思いますけれども、iDeCoの最低拠出額5,000円という話は、これは、そもそも手数料を一定額いただいているところもございますので、ある程度の掛金がない中で、ある意味、手数料の割合が増えてしまうところもあるので、そういう中で、1,000円拠出して手数料が何百円みたいな話だと、さすがに割に合わないのではないかという話もあって、最低額を設定しているという面もあると思います。また、事務負担を考慮して設定をさせていただいていることかと思いますけれども、今後そこは、今、いただいたような事例もあることなども踏まえて、多分、議論を進めていくということかと思います。

 また、様々上限額が分かれているというところも、これは、特にiDeCoについては、そもそも企業年金がない方について、個人年金という形で積立てをしていただくということで始まった制度というところもございまして、そこを少し手厚く上限額を高く設定するという考え方で行われてきたということかと思います。そこは、ある意味、公平性を重視して設定をしてきたということかと思います。

 一方で、随時いただいてございますとおり、分かりやすさという観点からすると、どうなのかというところもあると思いますので、そこも公平性とのバランスという意味で、今後、一つ大きい論点なのだろうと考えております。

 以上でございます。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 現行法の説明としては、そういうことですけれども、ただ、岩城委員の御指摘された点、いずれも重要ですし、これから、いずれしても議論をしていかなければいけない点だと思いますので、これは、また、後でやっていきたいと思います。ありがとうございました。

 それから、ついでにということでもないのですけれども、私、今日誰かが言ったことが、少し自分の話にかぶってきたら、そこに乗せようというトッピング作戦で行く予定でおりまして、今、岩城委員が自営とか非正規の人とか、そういうことも考えなくてはいけないのではないかとおっしゃって、それは少し私も思っていたのですけれども、視点1ですかね「働き方・ライフコースに対し公平で中立的な私的年金制度の構築」と、全く大事な視点であることは言うまでもないのですが、ただ、中に出ているのが割と転職するか、しないかで、中立的でなければいけないというのに関わるのが少し多いような、ちゃんと見ていない気がするのですけれども、多分、中立的なというのは、いろいろな視点があって、転職する人、しない人の中立というのもあるし、正規、非正規の間の公平さ、中立というのもあるし、大企業、中小企業の人の中立、公平もあるし、それから、雇用か自営かという人の公平中立もあると思うのです。多分いろいろな視点があって、それぞれ全部絡むのですけれども、全部バランスよく考えて、中立性なり公平性というのは考えなくてはいけないのではないかなと思いましたので、当然、そういう観点で、事務局も分かっていることだと思いますけれども、一応一言申し上げておきます。ありがとうございます。

 では、小林司委員、お願いします。

 

○小林(司)委員

 ありがとうございます。

 部会長や委員がおっしゃった点は私も重要だと思っておりました。働き方に中立的との視点は公的年金においても重要であり、さらなる社会保険の適用拡大を推し進めていくべきだと考えます。企業年金・個人年金もそのような公的年金制度を十分に踏まえた検討が必要であり、公的年金制度の方向性に逆行せず、また、拠出できる人がさらにできるようにする、そういう発想よりも公的年金を補完する機能が広く発揮されるようにしていく観点を大切に検討していくべきだと考えております。

 そのような意味で、各団体の皆様より多岐にわたる御意見をいただき、また、事務局には視点に沿って簡潔に整理をいただいたと思います。ただ、意見は参考にしつつ、議論に当たっては、働き方に中立的との視点をぜひ大切にしていただきたいと思います。

 本日は細かい内容の議論をするつもりはありませんが、企業型DCの拠出限度額の引上げについては、多く御意見があったと受け止めています。

 その上で、企業年金は退職給付由来であり、労使自治が尊重されると同時に税の公平性を確保すべきであること、この2つを両立できる方策について検討の余地があると思います。

 いずれにしても、拠出限度額に関する議論を今後行っていく際には、慎重な検討が必要だと思っており、現行の枠組みでの限度額の引上げありきとはならないようにすべきと思います。また、企業年金の性質、それから自助努力の個人年金の性質を考慮すると、同じ法律で一元的に管理されていることが適切なのかどうか、企業年金を一時金として受け取ることが公的年金を補完する役割を十分に発揮していると言えるのか、そこにどれだけ税制優遇を設けるべきかなどの点について整理した上で、限度額の引上げの必要性について議論することが必要と思います。

 以上です。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 どの視点も、もちろん重要で、あと、公的年金を補完する企業年金なり私的年金、その補完という意味なり、どう補完するかというのが、多分、これから詰めていかなくてはいけないという話だとは思います。ありがとうございます。

 何か、事務局、ありますか。

 

○大竹企業年金・個人年金課長

 特段ございません。いただいた視点が、まさに大事かと思います。ある意味、上げることありきだけではなくて、より多くの方に参加していただくというか、加入していただく、裾野を広げていくという取組が大事かと思っております。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 では、金子委員、お願いします。

 

○金子委員

 ありがとうございます。金子でございます。

 今回、この何か月間、いろいろ御意見を伺って、いろいろな角度から細部に至るまで御意見をいただけたと思っています。

 私から今日申し上げたいのは、まとめていただいた資料1や2を見て、少し感じたことを申し上げたいと思います。

 1つは、政府全体の政策の長期的な方向性を意識して議論していくことは大事だと思っています。いろいろなものが長期的な視点で目標とされているのだと思いますが、例えば、マイナンバーの活用を軸にした公的年金サービスのデジタル化というのは、間違いなく政策の長期的な方向性でしょうから、マイナンバーを活用した事務手続の簡素化ですとか、個々人の利用情報をマイナポータルへ集約することなどは、意義ある議論になるのではないかと思います。

 また、資料1の最後のほうに、部会では議論になかった話が、幾つか出ておりましたけれども、その中で1つ、個人退職年金勘定も、恐らく長期的な方向性の候補の1つだと思っております。

 この個人退職年金勘定については、年金を受給の主流にすることが含意されていると理解しております。その場合、今回の部会でも多くの指摘のあった受給に関する部分というのは、将来にも生きる議論につながっていくのではないかなと思っております。

 2点目なのですけれども、資料2ですが、今回の部会であまり議論できなかったところだと思いますが、そこで指摘されているような、政策横断的な取組を積極的に考えるべきと思っています。

 資料2では、専ら経済政策ですとか、金融機能の強化的な観点から、例えば、アセットオーナーの話など、従来だと年金政策として対応してきた領域についても、課題を提示し、対応を迫っているということだと思います。これと同様、例えば、年金政策や年金機能の強化的な観点から、金融関連の取組についても問題提起してもいいのかなと思っております。

 例えば、金融経済教育推進機構で行われるであろう施策について、年金の普及ですとか、年金制度の活用促進の観点から、協力を要請することなども考えるべきだと思います。DCの投資教育推進についても、今までのように実施企業等への努力義務とすることのみならず、金融経済教育推進機構からのアプローチ等も、要請することも検討すべきだと思っております。

 少しざくっとしたことなのですけれども、以上、感じた2点を申し上げたいと思います。

 以上です。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 早速乗せるところが来ましたので乗せますけれども、やはり資料2にあるように、政府が、今、どういう方向を出しているかというのは非常に大事なので、もちろん、それはそれで、こちらのことをそんなに考えずにやっていると言ったら怒られますけれども、そうかもしれないけれども、やはり現実として、政府がそういう方向に向いているわけだから、そこにどう乗ってくかというか、それは、やはり現実論としても考えなくてはいけないし、大きく言えば、資産運用立国を目指すのだと言って、iDeCoの上限とかちょいちょい出てくるのだけれども、そういう中で、老後所得確保のことは、こちらでやっていることは、どう考えているのということは、向こうにも考えてもらわなくてはいけないし、むしろこちらから、この話も、こういう感じに関わりますから、こう取り入れてくださいとか、こう考えないとおかしくないですかということは、言っていかないといけないと思いますので、まさに金子委員がおっしゃったようなこと、私も思っていて、その結果、いろいろ金子委員が指摘したような、より具体的な政策につながる面があるかなと思いますので、ぜひその点は、私からも事務局にお願いしたいと思いますが、いかがですかね。

 

○大竹企業年金・個人年金課長

 全くおっしゃるとおりかと思いまして、まさにこの部会において、企業年金・個人年金に関する議論を行っているということでございますし、えてして、ほかの場でというとあれですけれども、企業年金とか、ひとくくりで議論されがちです。当然、企業年金と一口に言っても様々な規模があるとか、あくまでも任意の仕組みなのですが、いろいろなところがちゃんとファクトとして議論されているかというのは、我々としても当然大事なところかと思います。ある意味、こちらの現状なり、ちゃんと把握しているところからの発信というのも、当然大事なのだろうと考えております。

 

○森戸部会長

 ぜひ、よろしくお願いいたします。

 では、冨樫委員、お願いします。

 

○冨樫委員

 ヒアリングを踏まえ、企業年金がない企業、または企業年金を実施済みの企業、どちらにおいても労働組合の重要性を改めて認識したところです。

 その上で、1つ意見を申し上げたいと思います。

 労働組合としては、自助努力の性格が強いiDeCoという制度に過度に依存することなく、企業年金の中小企業への普及、またカバレッジの拡大が重要であると考えます。

 ヒアリングで関係団体様から、本日の資料にも記載の通り、自助努力であるiDeCoは企業年金の外枠とすべきという提言もございました。

 私的年金制度として、企業年金と個人年金がひとくくりにされることに対して、やはり違和感があります。老後の資産形成の機会を拡大することについての必要性は理解しておりますが、今後の部会では、企業年金と個人年金を切り分けて、先ほども両者の性格、性質というところがございましたが、この違いを踏まえた上で議論を進めるべきと思います。

 今後議論を行う際の資料についても、その点御考慮いただければ、ありがたいと思います。

 私からは以上です。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 そもそもDCにせよ、DBにせよ、何でも労使合意、労使合意となっているわけで、その時点で、労働組合なり、労働者側の意見は非常に重要だというつくりになっているのは、動かせない事実だと思いますけれども、その中で、今、非常に1つの方向を御指摘いただいたとは思います。

 おっしゃるとおりで、もちろん企業年金・個人年金は性格が違うので、それをちゃんと踏まえて議論していかなくてはいけないという面はあると思いますが、他方で、同じような役割を果たすところもあるし、それから労働組合とか労働者側に、もし問いかけるとすれば、自助努力をしたいという組合員を労働組合は、どう考えているのかというのは、私は組合のほうにも考えてほしいなと思います。いろいろ労働者像が多様化する中で、もちろん組織力で組合はやっているわけだけれども、そういう中で、どういう層を前提として考えていくのか。もちろん、議論されていると思うのですけれども、労使関係の在り方にも関わる非常に大きな話にもつながる議論だと思うので、ぜひ今の視点も含めて、今後の部会でも、そういう視点からの御意見は、積極的にいただきたいと思っております。

 事務局から何かありますか。

 

○大竹企業年金・個人年金課長

 いただいたとおりで、資料のつくりなどもよく考えて整理していきたいと思います。我々として、当然のことながら、個人年金だけをやっていこうという話では、当然ないのだと思っていて、だからこそ中小企業を含めて、いかにより多くの企業の方に、どうやったらDCなりDBなりをやっていただけるかというところが、ある意味、大事な論点として取り上げているということかと思います。そこは両方相まって、いかにカバー率が高まっていくか、老後の所得保障能力が高まっていくかというところが大事かと思いますので、そこがうまく組み合わさって広がっていくように議論をしていければと考えています。ありがとうございます。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 原田委員、お願いします。

 

○原田委員

 ありがとうございます。

 私からは2点なのですけれども、1点目は、私的年金の普及促進に関してですが、DBとDCというのは、やはりどちらもメリット、デメリットといいますか、いい面というのが、それぞれあると思います。

 それで、それぞれのいいところを、うまく活用できるようにということが大事なのかなと思っておるのですけれども、特にDBを応援する側の立場として申し上げますと、DBは退職金由来というところもありますし、事業主が、給付の際の責任を一定程度負っているというところで、非常に従業員にとってはありがたい制度だと思っています。

 そういうようなこともありますし、運用のリスク許容度からしても、支払いの最終期限というのがなくて、ずっとロールしていけるというところがありますので、要は、失敗を取り返すチャンスがずっとあるということもあって、リスク資産への投資というのも可能になってくるわけで、そういう観点を皆さんにも十分御認識いただいて、DB制度についても、もっと活用していくという方向で、ぜひ検討していただきたいなと。導入しやすく、運営しやすく、活用しやすくと、そういうような観点で、ぜひ検討していけたらなと考えているのが1点。

 もう一つは、お願いなのですけれども、資料1の最後に、厚生年金基金制度の在り方というのが論点で挙げられておりますが、いろいろと設立から今の状態になるまでの経緯とか、そういったところをもう一度、最終的に議論する際には、簡単に整理していただいて、どういう背景でその制度が始まって、どういうことが起きて今の姿になってしまったのかというところを、整理してお示ししていただけると、議論がしやすいのかなと思いますので、そこは1点、お願いでございます。

 私からは以上です。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 1点目は、数理人の方、ぜひ、そんなに数学ができなくても分かるようなDBの話を、もっとしていただけると、多分、みんなもっとメリットが分かると思うので、こちらから、お願いしたいと思います。逆にお願いになってしまいましたけれども。

 2点目、厚生年金基金の点は、10年の見直しの期間みたいなものが来るのですね、ちょっと事務局から御説明をいただいてよろしいですか。

 

○大竹企業年金・個人年金課長

 ありがとうございます。

 まさに、資料1の最後に記載しましたとおり、2014年の4月から施行されています。我々は健全化法と言っておりますけれども、それにおいて、厚生年金基金の在り方について、議論すべきという話が出ており、それが今年度中ということになっておりますので、この部会でも御議論をいただきたいと考えておりま。その際には、お話をいただいたとおり、資料についても経緯なども含めて、共有した上で議論ができるようにしたいと思います。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 議論することがどんどん増えてしまいますけれども、厚生年金基金も、現に制度があるわけですし、一応見直しというか、検討しなくてはいけないということもありますので、それも引き続きお願いしたいと思います。ありがとうございます。

 藤澤委員、お願いします。

 

○藤澤委員

 ありがとうございます。

 先ほどの金子委員の意見とも少し関連しますが、国が行っている方針との平仄を取ったほうがいいというところで、国は継続的な賃上げを推奨していると理解しています。

 物価上昇や賃金上昇が継続して行われるような世界になったときに、これまでDB法、DC法ができてから、ずっとデフレだったこともあって、インフレだったり、賃金上昇が、DCとかDBにどういう影響を及ぼすのか、この部会で少なくとも議論はしていないと思っています。

 それで、資料1の中で、DCの拠出限度額にフォーカスして御意見がまとめられている形になっていますが、ほかにも、多分、考える論点というのがあるのではないかと思っています。例えば、DCのデフォルトファンドは、今のままでもいいのか。DBも昔は最終給与比例が多くて、賃金上昇が起きたときには、退職給付制度の水準自体も上がっていくような、そういう調整機能が過去にはあったと思います。今では、ポイント制が増えていて、そういう調整ができなくなっています。このインフレや賃金上昇が与える影響というのは、幾つか考える論点はあるのではないかと思っていますので、一度議論したほうがいいと思っています。

 あと、資料2の分厚い中間層の形成というところが、今回の骨太の方針の中でも少し気になっていて、この中間層とは誰なのかという点や、例えばこの中間層から漏れる層を引き上げていくような議論をここで行っていくのか、それとも中間層の人たちの資産形成を促すようなことをここで議論するのかとか、それが企業年金・私的年金にどういう影響を及ぼすのかとか、そういったところも共通認識を持った上で検討したほうがいいのではと思っています。これから、そういった議論がいろいろなところでなされると思いますが、この部会でも、中間層とは誰なのかといったところを念頭に置いた上で、議論ができたらいいなと思っています。

 以上です。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 もちろん、中間層も底上げして、そうではないところも上げてというのがいいのでしょうけれども、もちろん、現実にどこにフォーカスして、どういうことを考えていくかというのは、もちろん決めなくてはいけないのだろうとは思います。

 事務局から何か補足があれば、お願いします。

 

○大竹企業年金・個人年金課長

 1点目にいただきましたインフレの影響という話は、全くおっしゃるとおりかと思いまして、論点においては、確かに拠出限度額に絞った形になっておりますけれども、幅広いところで影響があるだろうと思います。それは、指定運用方法だとか、そういうところも含めて、様々なところで考慮すべき事項ということかと思いますので、取り上げ方は考えられればと思いますけれども、拠出限度額に限らない形で議論ができればと考えております。

 おっしゃるとおり、多くの方が、あまりインフレというものの感覚がないところもあると思いますので、そういったところを踏まえた形にできればと思います。

 2点目の分厚い中間層について、すみません、これそのものがどういうところを定義しているかというところまで、承知していないところもございますけれども、一方で、我々の分野に置き換えれば、まさに先ほど御議論いただいたとおり、今、加入されている方が、例えば、拠出限度額が上がることで、さらに拠出すると。それで、トータルとして投資額が増えてよかったという話ではなくて、やはり我々からすると、より多くの、今やっていない方に参画いただいてというか、運用というか、何らかの形で、私的年金制度、個人年金でも企業年金でもいいわけですけれども、より多くの方に参加をしていただいて、それが結果として老後の所得保障につながることが大事なのだと思います。トータルの投資額そのものは一緒かもしれませんけれども、つまり高額の方が投資をしても、そうではない方の裾野が増えて投資が行われても一緒かもしれませんけれども、我々としては、裾野を広げていくというところが、やはり重要なのだろうと思いますし、まさに分厚い中間層の形成ということにも資することなのだろうと考えております。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 小林由紀子委員、お願いします。

 

○小林(由)委員

 ありがとうございます。

 私からは、今後の議論の進め方について、要望をさせていただきたいと思います。

 本日、資料1で御説明いただいた内容は、ここまでのヒアリング結果を、初回に御提示いただいた主な視点に沿って区分け、整理をされたもので、今後の議論の方向性や論点については、まだ必ずしも明確になっていないと受け止めております。

 具体的な論点については、次回以降の部会で順次示されていくものと理解はしておりますが、改めて、今後その議論を行うに当たって、論点の全体像と優先順位を明確にしていただきたいと思います。

 こちらの部会では、私的年金制度の改正を検討するということですが、2024年に財政検証が行われる公的年金の次期法改正に向けた動きも踏まえながら、今後の議論を進めていくことになると認識しております。

 資料1において様々課題が提示されていますが、かなり網羅的で、かつ多岐にわたっております。この他に2019年にまとめられた議論の整理における検討課題も含めるとなると、全ての論点を限られた時間の中で議論することは、なかなか難しいのではないかと危惧しております。事務局には、今後の私的年金制度の改正に向けて、政府税調の動向等も見据えながら優先順位づけを行った上で、全体像が分かるように論点を御提示いただきたいと思います。

 その上で、特に重要度が高い私的年金の税制に関わる論点については、資料2の15ページにも、税制改正の基本的考え方として記載があるように、拠出、運用、給付、各段階を通じて包括的な見直し、そのための幅広な議論が必要と認識しております。

 一方で、同じく資料2の3ページの記載には、退職時の課税や、iDeCoの拠出限度額といった一部の論点のみが取り上げられているようにも見えます。今後の議論が一部項目のみに集中して、私的年金全体としての議論のバランスを失することのないように、ぜひ適切に差配をいただきたいと思います。

 以上です。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 まさに、これから議論していく上では、当然、優先順位を決めて議論していかなくてはいけないと思いますので、おっしゃるとおりですが、ただ、それを決めることで、ある程度議論をするところが決まるわけだから、そこは非常に大事で、今日もそれで御意見をいただいているわけですけれども、ですので、皆さんには、ぜひこの間も、事務局のほうに積極的に、この点を議論してほしいというのは、アピールと言ったら変ですけれども、言っていただいていいのだと思いますので、それもぜひ、そのために、事務局も意見を皆さんにお伺いしますので、ぜひ御協力をよろしくお願いしたいと思います。

 何かあれば、事務局、お願いします。

 

○大竹企業年金・個人年金課長

 今まさに、部会長におっしゃっていただいたとおりかと思いますので、徐々に優先順位をつけていくことになるにはなるのだと思いますけれども、まずは、幅広く御意見をいただければと考えております。

 以上でございます。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 一応、委員の皆さん、ここにいらっしゃる皆さんには、御意見を一通りいただいたので、オンラインの方に聞いてみたいと思いますが、オンラインのほうでは、山口委員、何かありますでしょうか。

 

○山口委員

 ありがとうございます。山口です。よろしくお願いします。

 皆様の御意見を伺いながら、同感と思いながら聞いていたのですけれども、その続きの話として2点、お伝えしたいと思います。

 1点目、これまでのヒアリングで、もらった先も取り崩しながら、運用することが、高齢期間が長期化すると重要になるというお話がありました。退職して、年金をもらうようになってからも、さらに運用とか資産管理を考えていく必要性があることを認識する一方、最近、金融ジェロントロジーの知見などを見聞きすると、例えば、加齢により金融リテラシーは低下し、特に50代辺りをピークに、だんだん下がってくるということです。これから制度の拡大について検討していくときに、その年代辺りからの資産管理、運用もあるということですので、長期間管理、運用するようになっても、利用者にとって安全な取引が確保される環境をしっかり考えていく必要があるのではないかと思いました。

 仕事をしている間は、職場で情報が得られるとしても、そうでなくなったときに、地域なり暮らしている場で、きちんと情報が得られるようにしていかないと、特に消費者教育において、その必要性・重要性が社会的に認識されたのが、深刻な金融の消費者トラブルが高齢者で起こったことが契機であったと思いますし、一人暮らしの高齢者については、これからも考えていかないといけないと思いますので、そういう面からも考えていきたいことがあると思いました。

 もう一点が、今までのお話で、いろいろな制度が年金に関わって存在することが見えてきたのですけれども、それぞれの制度が何となく切れ切れで、かつ、従業員の側と、企業、事業主の側のコミュニケーションがあまり取れていないところで制度の運用が低調なのかと、すみません、印象を持ちました。

 例えば、働くことが、老後の資産形成や年金と、どう関係してくるのか、それから自分が働いている先の退職給付や年金の仕組みがどうなっているかということは、意外と働いている側でも、どれだけ分かっているかというところがありまして、そういう部分の関係者間の共通理解が不十分なままですと、いろいろな仕組みを改善して入れていっても、生かされないのではないかという気がしております。関係者間のコミュニケーションを促すことによって、仕組みが動いて、かつ、見える化などをしたときに、利用者がより使っていけるような形になっていくのかと思います。全体としては、利用者本位の仕組みに、どう改善していけるのかという視点を持ちながら、今後の議論を進めていきたいと考えております。

 以上です。

 

○森戸部会長

 ありがとうございました。

 1点目は、他分野の政策にも関わる話だと思いますが、非常に重要な御指摘だったと思います。

 2点目も同様に重要で、利用者本位はもちろんですけれども、事業主と加入者なりのコミュニケーションということで言えば、先ほども少し出ましたけれども、まさに労働組合にも、いろいろ役割というか、期待する面が出てくるかなと思いました。

 それから、少し乗せる話が出てきたので、今日の資料にもありますけれども、投資教育の話がいろいろ出ていまして、今も御発言がありましたけれども、投資教育は、狭い意味では、要するに企業型DCをやっている場合の、例の努力義務がかかっている投資教育で考えますけれども、今、山口委員がおっしゃったような視点も踏まえると、もっと広義にというか、より広くDC制度そのものだけではなく、もう少し言えば、DCをやっていない会社でも、広い意味で投資教育ではないかもしれないけれども、老後の資産形成に向けた、もしくは自分のところの退職給付制度についての教育なり、皆さんは老後をどう考えていったらいいのですか、みたいなことを教育ではないかもしれないけれども、発信していく、分かってもらうというのは、恐らく事業主としてやってもいいことだし、最近、エンゲージメントとか、そういう議論でもあるようですけれども、そういう視点も広げていくと、私の本来の専門である労働法的な話にもつながる、つまり職場での事業主の義務なり、労使の関係というところにも至ると思うのですけれども、また、狭い投資教育の制度をよりよくしていく、整備していくのも大事ですけれども、より広い視点も大事かなと、今、伺っていて思いました。ありがとうございます。

 事務局、何かあれば、お願いします。

 

○大竹企業年金・個人年金課長

 まさに部会長にまとめていただいたとおりかと思いますけれども、より幅広い視点で取組を進めていく必要があるということかと思いますし、その際には、まさに山口委員におっしゃっていただいたとおり、関係者間のコミュニケーションをしっかり図って取り組んでいく必要があるということかと思います。その際に、企業年金なり個人年金がどういう仕組みなのかというところが、ある意味、私的年金以外の方々とちゃんと共有されているのかというところもあるということかと思いますので、どういう仕組みなのかということも含めて、しっかりと個々人にも発信していくということのみならず、ある意味、個々人に接している方々にも、正しく情報が共有できるようにしていくということが大事なのだろうと考えております。そこは政府全体としても様々な取組が行われておりますけれども、そういったところともしっかりと連携をして、また、情報を共有しながら進めていければと考えております。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 渡邊部会長代理、何かありますか。

 

○渡邊部会長代理

 いろいろ御説明をありがとうございました。

 各委員から、もう既にいろいろな御指摘がありましたので、私のほうからは、2点ほどコメントをさせていただければと思います。

 まず1点目は、こういった議論もしてほしいといった点なのですけれども、私的年金というものが、高齢期の生活を支える所得として重要であるという観点からは、受給の際の保護をどのように図るのかといったような点を、やはりきちんと議論しておく必要があろうかと思っております。

 特に、先ほど利用する側にとって、ハードルが高い理由の1つに、運用の不安感があるというお話が出ていたかと思います。

 結局は、個人レベルで見ますと、運用を失敗することが、どうしても出てくるかと思います。

 そういった運用の失敗時に対して、私的年金制度上で何らかの対応をすることを考えるのか、そうではないのか、そういった点も含めて議論が必要ではなかろうかと思っております。

 さらに、これまで各団体のヒアリングにおいて、見直しを検討する必要があるのではないかと言われていた、いろいろな規定があったかと思います。

 そういった規定の見直しに際しましては、当該規定の設けられました当時の議論状況ですとか、その理由について、改めて確認する必要があろうかと思います。

 その規定の趣旨、目的といったものが、現在の状況下においても意味を持っているものなのかどうか、意味をなさなくなってしまったのかどうかといった点から、その妥当性を慎重に検討する必要があるのではないかと思っております。

 私からは以上です。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 広い意味での受給権保護の話が重要であるというのは、もちろんですけれども、2点目、もちろん、当時の立法趣旨なりを踏まえて、もしそれが古くなっているようであれば、見直すというのは、基本的に全てそうやって考えていくべきだと思いますので、事務局のほうも、もちろんそれを意識して、今後、議論の整理をしていただけると思いますけれども、改めてそれも事務局にお願いしたいと思います。

 何かありますでしょうか。

 

○大竹企業年金・個人年金課長

 ありがとうございます。

 まさに今、部会長がおっしゃっていただいたとおり、規定の趣旨なり、ちゃんと確認をして、議論の題材を提供した上で御議論をいただくということかと思いますので、そこはしっかりと対応させていただければと思います。

 1点目の運用の不安感につきましても、どこまで私的年金として対応できるのかどうかというところ、ある意味、根本に関わるところでもあると思いますけれども、一方で、制度ができて、20年余り経って、徐々にそういう受給をされる方が増えてくる中で、具体的な事例がいろいろ出てくるところかとも思います。そのような中で、ある意味、少し抽象的に運用をしっかりやれればというところから、いざ受取時の金額はどうだというところにもなってくるところかと思いますので、そういった点も意識しながら、議論ができればと思います。

 以上でございます。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 オブザーバーの方は、何かありますか、よろしいですかね。

 まだ、少し時間がありますので、ほかに委員の方で、もう少し何か発言に補足があれば、今日は珍しく時間がありますので、よろしいですか。

 では、私、まとめというほど大したものではないのですけれども、一応私も一言述べさせていただければと思います。

 もう事務局が、資料を非常にお忙しいところ、整理をしていただきましたので、まさに皆さんがおっしゃったように、これ以降、これをベースに今後議論を続けていければと思いますけれども、今日いただいた御意見も、もちろんちゃんと反映したいと思います。

 少し私の意見ということでもないのですけれども、感じたことを少しだけ申し上げますと、まず、総論のところでは、これもありましたが、もちろん公的年金、私的年金、その役割、先ほど補完ということの意味という話も申し上げましたけれども、まさに公私の役割を改めて考える、再考するというのか、そういう視点はいずれにしても必要だろうと改めて思いました。

 それから、これも何人かの先生、委員から御指摘がありましたけれども、もらい方のほう、どうしても、もらうまでの話で何となく議論が終わってしまうところがありますけども、実はもらい方、それは終身なのか、それとも一時金なのか、それでいいのか、もらいながら運用していくというのもあるのかとか、それから谷内委員のWPPの話とかも絡むと思いますが、いろいろもらい方のほうも少し議論をしなくてはいけないだろうと、総論のところでは思います。

 それから、先ほど少し申し上げました視点1ですかね、働き方・ライフコースに対応して、公平で中立的な制度と、先ほど中立と言っても、いろいろな視点で考えなくてはいけませんねということは申し上げたのですが、ただ、ここは、実はより深いというか、より根本的なことも、少し私は考えておりまして、それは、前提は公平で中立的なのがいいよという話になっているのですが、もちろん、いいのですけれども、公的年金は確かに、公的な年金ですから、中立で公平でなければいけない、できるだけ、どんな人でも公平中立であるべきだと思いますが、要するに、私的年金のほうは、企業年金が少し念頭にありますけれども、結局、委員の方もたびたび御指摘されるように、もとは退職金だと、退職金というのは、雇用の制度の一部のわけで、要するに、雇用のほうは、長期雇用制などは典型ですけれども、中立的ではないわけですね、長く勤めることを前提に、何だかんだ、日本の大企業の人事制度はできているし、辞めたら損なような仕組みで、人事管理も報酬制度も、変わってきたとはいえ、できているところがあるわけですね。

 企業年金も退職金の変形だと、だから、いろいろな要望にもありましたけれども、だから退職金でできていたことは、できるようにしといてくれという御意見も幾つかありましたね。

 ですから、雇用のほうは、いわば中立的ではない面があって、それは、どんな雇い方をしようと勝手だからいいと言えば、いいのかもしれないけれども、そういう中で、1つの考え方としては、別に、もとは雇用で、退職金があって、退職金が企業年金だから、企業年金のほうは別に中立的とかではなくたっていいだろうと、極端な言い方をしますけれども、そういう考え方もあると思うのですが、そうではなくて、働き方も変わっていく中で、企業年金なり、私的年金のほうは、働き方なりに中立的でなくてはいけないということなのか、それとも雇用のほうも含めて、全体がもっと流動化したニュートラルな形に変われという話なのか、そこは結構いろいろ議論があり得ると思うのです。

 公的年金とはまた違う視点が、まさに、実はそういう御指摘が委員の皆さんから出ていたと思うのですけれども、結局、どれだけ、いわゆる伝統的な退職金的な性格を残すのか、残さないのか、残したほうがいいのかという話と絡んでくると思いますが、だから、公平中立というのは、それはいいことだねと思う言葉ですけれども、その意味というのは、やはり議論していくと、真剣に考えなくてはいけないところが出てくるかなと思いました。少し大きなことを申し上げましたけれども、そういう視点も少し頭にあります。

 それから、普及促進ということに関しては、とにかく、これも皆さんおっしゃいましたが、より使いやすい、分かりやすい制度にすべきだというのは、もちろん、言うまでもないところだと思います。

 それは、加入者、労働者にとってというのは、もちろんですけれども、その事業主側というか、制度を使う側、中小企業も含めた側にとってもそうだし、それから、これは現実として、いろいろな金融機関なりの会社の方が絡んだビジネスになっているわけだから、一応ビジネスとして動くような形にしないと、規制ばっかり強めて、このビジネスをやっていても全然うまみがないなとなったら、結局発展しませんから、そこは、うまく必要な規制をしつつ、ちゃんとビジネスとして、この業界が動いていく形にしなくてはいけないということは考えなくてはいけないと思います。

 いろいろ使いやすい制度と、ファンドの商品の除外のDCについて言えば、商品の除外の話もそうですし、運管の変更の話とかもそうですし、少しシンプルに使いやすいというのを優先すると、どうしても今まで少し慎重になってきたところは、少し思い切らなくてはいけないところもあるのかなとは思っております。

 ほかの点は、さっき投資教育とかについては申し上げたので、もうそれで、一応足りましたけれども、あとは、中立公平な話も、正規、非正規の話も出ましたが、少しこれは法律的な、マニアックな気になり方ですけれども、要は、企業年金法上、不当に差別的な給付とか、加入資格ではいけないという規制になっていて、でも、不当に差別的とは何かというのは、指針とかにも書いてあるのですけれども、結局、元をたどると元の退職金制度がそうなっているならいいよというところに行き着くようなルールになっています。これもさっきの話に絡むのですけれども、そこをどのぐらい分けていくのかということですね。

 つまり退職金なり、元の会社の雇い方がそうなっているからいいということにするのか、それとも企業年金・私的年金は違う理屈で公平中立を考えなくてはいけないのかということも、大きな議論としてはあるかなと思います。

 もう一つ、これは少し違う話になるかもしれませんが、割と委員の皆さんの中でも、デフォルトファンドのところとか、セーフハーバー的な規制を考えてというような御意見もあったかと思います。

 広い意味で、いわゆる昔から言われていますけれども、受託者責任法制みたいなこと、どういうときに、どういう責任を企業が負うのか、負わないのかということ。

 あまり日本では、少なくとも今のところ、DCで訴訟がばんばんみたいな話は、聞いたことはありませんが、別にそうなるのがいいということでありませんが、ただ、やはり、そういうことも想定して、改めてどういう法的責任が、どういう場合にあり得るのかというのを、改めて詰めていかなくてはいけないのだろうとは思います。

 それは、加入者側にとっても必要なことだし、事業主側にとっても、結局どうすればいいのかということが分かるということも必要だと思いますので、その議論も必要かと思います。

 すみません、まとまりがないようなまとめですが、一応そんなようなことを思いまして、後は、途中でトッピングしたことが、私が一応考えたことでございます。

 すみません、時間があったので、いろいろしゃべってしまいましたけれども、ほかに、今、森戸が言ったことはおかしいという以外の意見があれば、受けたいと思いますので、大丈夫ですかね。おかしいは、後でいただくということにして、これから幾らでも部会でたたいていただければと思います。

 それでは、少し早いのですが、少し予定の時間より早いですが、本日の議事は、以上で終了したいと思います。

 本日の御議論を踏まえて、次回以降、個別の論点について議論を深めていければと思います。事務局には、さらにいろいろ作業を、今日の議論も踏まえてお願いするので、大変だと思いますが、ぜひよろしくお願いいたします。

 では、今後の予定等について、事務局からお願いいたします。

 

○大竹企業年金・個人年金課長

 ありがとうございます。

 一点、連絡事項となりますけれども、以前、資料だけ提出をさせていただいておりました、「金融商品取引法等の一部改正に関する法律案について」でございますけれども、こちらは、今年の通常国会においては、成立しなかったということでございます。また秋以降、国会審議などもあるとは思っておりますけれども、そういった状況を見ながら、また、時間を取って御報告、御説明をさせていただければと考えております。

 次回以降の議題、開催日程につきましては、また、追って御連絡をさせていただければと思います。よろしくお願いします。

 

○森戸部会長

 ありがとうございました。

 例の金取法の改正のものは、すみません、何となく勝手に通るのかと思っていたのですけれども、通らなかったようなので、その話も、今後、秋にまた、そちらが進めば、こちらの議論にも及ぶところが結構あると思いますので、それもまた議論していければと思います。ありがとうございました。

 それでは、第25回「企業年金・個人年金部会」を終了したいと思います。

 御多忙の折、お集まりいただきまして、皆さん、ありがとうございました。