第35回 社会保障審議会企業年金・個人年金部会 議事録

日時

令和6年5月22日(水)10:00~11:30

場所

全国都市会館 3階 第一会議室

出席者

森戸部会長   渡邊部会長代理(オンライン)   岩城委員   大江委員   金子委員

小林(由)委員   小林(洋)委員   島村委員   谷内委員   冨樫委員

原田委員(オンライン)   藤澤委員(オンライン)   松田委員

(オブザーバー)

鮫島企業年金連合会理事長   松下国民年金基金連合会理事長

議題

1.確定給付企業年金の資産運用力向上のための施策について

2.その他

 

議事

議事内容

2024-5-22 社会保障審議会企業年金・個人年金部会(第35回)

 

○森戸部会長 皆さん、おはようございます。

 少し定刻よりも早いのですけれども、皆さん、おそろいのようですので、ただいまより第35回「社会保障審議会企業年金・個人年金部会」を開催いたします。

 お忙しいところ、皆様、今日もお集まりいただきまして、ありがとうございます。

 本日ですが、山口委員が御欠席、原田委員、藤澤委員、渡邊部会長代理はオンラインで御参加いただいております。藤澤委員は途中退席される予定です。

 御出席いただきました委員の方が3分の1を超えていますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。

 それでは、議事に入らせていただきたいと思いますが、まずは、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○海老企業年金・個人年金課長 資料の確認をさせていただきます。

 本日の資料といたしましては、資料1「確定給付企業年金の資産運用力向上のための施策」、資料2「大江委員提出資料」、参考資料として、参考資料1「アセットオーナー・プリンシプルのアウトライン」、参考資料2「社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員名簿」というのを御用意しております。

○森戸部会長 ありがとうございます。

 それでは、議題に入りたいと思います。

 カメラの方は、もし、いらっしゃいましたら、ここで退室をお願いいたします。

(カメラ退室)

○森戸部会長 本日は、議題1「確定給付企業年金の資産運用力向上のための施策について」、議題2「その他」を議題としまして、議題2では大江委員からDCに関する好事例を御紹介していただくことになっております。

 まず、議題1について、事務局から説明をお願いいたします。

○海老企業年金・個人年金課長 議題1について、資料の1を使いまして御説明させていただきます。資料の1をお手元に御用意ください。

 資料1「確定給付企業年金の資産運用力の向上のための施策」でございます。

 最初に、これまでの議論の少し振り返りをさせていただければと思います。

 めくっていただいて、スライドの3ページになります。

 「確定給付企業年金制度の主な改正」と書いてございますけれども、こちらの部会の前身である企業年金部会においても、確定給付企業年金、DBのガバナンスに関しては、2018年の際にずっと御議論をいただいて、制度全般を検証し、議論の整理というのも行ってきております。

 そうした課題に対して、2016年から2018年にかけて部会で議論を重ねて、見直しを行ってきている経緯がございます。

 スライドの3ページの一番下のところの4というところにありますとおり、確定給付企業年金に関するガイドラインに関しても、2018年の改正の際に、ガイドラインの見直しを行っておりまして、その後、一部2020年の制度改正に合わせて通知の改正を行っております。

 次に4ページになります。

 「資産運用ガイドラインの見直し」というところで、2018年(平成30年)4月にガイドラインの見直しをしたわけですけれども、その際1から6に挙げられているような項目、資産運用委員会ですとか、分散投資、オルタナティブ投資、運用コンサルタント、スチュワードシップ、ESG等、加入者等への説明・開示、こういったことについて、適切に行うことに関する見直しを行ってきた経緯がございます。

 大きな改正としては2018年、それから、2020年の制度改正に合わせて見直しをしたというのが1つございまして、その後の動きとして、5ページ以降に資料をつけています。

 2020年の制度改正以降の大きな動きとして、まず、金融商品取引法等の一部を改正する法律の概要という資料をご覧ください。

 こちらは、昨年の部会においても御紹介しておりますけれども、金商法は、2023年11月に成立しております。

 赤枠で囲っている「顧客本位の業務運営の確保」というところで、受益者の最善の利益を勘案しつつ、誠実公正に業務を遂行すべきである旨という義務を広く金融事業者、企業年金も含めた関係者に幅広く規定するということで改正が行われているところです。

 次のページが「顧客本位の業務運営の確保」というところで、下のマル1「最善の利益を考えた業務運営の確保」で、顧客の最善の利益を勘案しつつ、誠実公正に義務を遂行すべきである旨ということを、金融事業者及び企業年金等関係者一般に共通する義務として法定をすることとされました。これによって、顧客本位の業務運営の一層の定着・底上げ等を断固図っていく、このような形で、改正が行われているところです。

 次のスライド、7ページになります。

 特に今御説明をした誠実公正義務のお話に関しての私的年金に関する部分というのをまとめたものになります。

 こちらの概要のところにありますが、私的年金制度に関しても、顧客等の最善の利益を勘案しつつ、誠実公正に業務を遂行すべきである義務というものが法定化されています。対象となるのは、私的年金全般になりますが、資料にも記載しているとおり、この金サ法に基づいて、何か指導監督の規定が新設されるわけではなく、指導監督等に関するものに関しても従来の枠組みにおいて厚生労働省が行うものです。

 それから、一番下の傍線のところになりますけれども、今般規定される義務は、新しい内容というよりは、現行の忠実義務等の規定による対応を定着・底上げするために、主体横断的に法律で明記するものである、このような趣旨で規定されているところでございます。

 次のスライドは、スチュワードシップ・コードに関することです。

 スチュワードシップ・コードに関しては、2014年に策定され、機関投資家が投資先企業と建設的な対話を通じて、企業の持続的成長と顧客・受益者の中長期的な投資のリターンの拡大というスチュワードシップ責任を果たすための行動原則ということで定められているものでございます。

 企業年金は、この機関投資家という中のアセットオーナーというところで、このスチュワードシップ・コードにも関わってきているところです。

 次に、スライドの9ページになります。

 企業年金におけるスチュワードシップ・コードの受入れというのを、これまでも部会で御説明をさせていただいておりますが、企業年金においては、真ん中の赤のところですけれども、スチュワードシップ・コードの受入れというのは、運用機関の取組を促す意義があるのだということで、運用機関が投資先の企業と直接的なスチュワードシップ活動を実施するところのモニタリングなどの間接的なスチュワードシップ活動を行っていく、こういったことが企業年金において有用であるというところです。

 こちらは、先ほどのガイドラインの2018年の改訂の中でも、スチュワードシップ活動の取組に関する記載という形で、既に盛り込まれているところです。

 一方で、その後に、スチュワードシップ活動自体の議論というのが、金融庁のほうでもいろいろ行われているというところで、10ページをご覧ください。

 このスチュワードシップ活動に関して、コードの受入れの推進というところで取り組んできたわけですけれども、マル3のところ、スチュワードシップ活動自体の実質化をきちんと図っていくべきである。このような議論が金融庁のほうでも行われてきていて、資産運用立国の議論の中でも、このスチュワードシップ活動の実質化のお話というのが記載されているところです。

 この実質化とは何かというのが、11ページのほうに、もう少し具体的に書いているものですけれども、マル3のところ、赤枠で囲っております。スチュワードシップ活動の実質化というところで、スチュワードシップ・コードの趣旨を踏まえて、自らの置かれた環境に応じた対応の促進、また、協働エンゲージメントなどの取組の積極的な活用として、協働していろいろと取り組んでいくことも推進していってはどうかという話が、スチュワードシップ活動の実質化の1つとして挙げられてきていると、このような経緯がございます。

 それから、12ページになります。

 こちらは、令和5年の12月に取りまとまった「資産運用立国実現プラン」ですけれども、この中のDBの改革というところで、資産運用力の向上というパートがございます。

 施策として具体的に書いてあるところを少し見ていただければと思うのですけれども、DBに関しては、資産運用力の向上に向けた取組というところで、資産運用に関する研修、情報提供を通じた人材育成等の取組を推進すること。

 また、運用力、運用委託先の評価であったり、運用先の見直しだったり、こういったことを促進することなどについて、ガイドラインを改訂するなど、必要な方策を講じると、このように記載がされているところでございます。

 それから、スライドの13ページになりますが、企業年金・個人年金部会において、今年の3月に取りまとめていただいた中間整理の中にも、DBの運用力の向上というところで、「運用力の向上について」というくだりがございます。

 ここのところに、特に2つ目のポツでは、企業年金連合会等において資産運用のコンサル、相談、助言、情報提供など強化をしてほしい。あるいはルールをつくり過ぎないよう、バランスを取っていくことが重要、このような意見があったことが記載されているところです。

 また、アセットオーナー・プリンシプルをめぐる議論というものも行われているところでして、資産運用立国実現プランにおいて、アセットオーナーに共通する原則であるアセットオーナー・プリンシプルを今年の夏めどに策定することが盛り込まれておりまして、こちらに関しては、今まさに内閣官房において、アセットオーナー・プリンシプルに関する作業部会が設置されて、そこでアセットオーナーに共通する原則の議論がなされている状況になってございます。

 こうした、これまでの状況を踏まえまして「DBの資産運用力の向上のための施策について」というところでまとめさせていただいているものが、16ページ以降になります。16ページを御覧ください。

 本日御議論いただきたいのは、この16ページにまとめている内容ということになります。

 DBの資産運用力の向上のための施策として、DBの資産運用ガイドラインについて、以下のように改訂してはどうかということを書かせていただいております。

 上の点線の枠にありますとおり、これまで行われてきました、金融サービスの提供に関する法律の改正であったり、あるいはスチュワードシップ活動の実質化という御議論、あるいは資産運用立国に関する御議論、こういったものを踏まえて、DBの資産運用ガイドラインにおいて、以下の項目に関する改訂を行って、DBが、資産運用力向上のために取り組むことが望ましい方向について、示していってはどうかと考えているところでございます。

 下の枠になります。項目としては全部で5つ書いています。

 1つ目は、金サ法に関する誠実公正義務の位置づけ。

 2つ目は、スチュワードシップ活動に関する協働モニタリング。

 3つ目は、運用受託機関の定期的な評価・必要に応じた見直し。

 4つ目が、人材育成等の推進。

 5つ目が、加入者のための見える化という話です。

 それぞれの項目に関しては、概要を書いていますが、誠実公正義務の位置づけに関しては、先ほど御説明いたしましたとおり、新しい事項が義務づけられたものではなく、現行の忠実義務等の規定による対応を定着・底上げするものであることを明確化するために、一般的な義務に注を追記してはどうかといったことを考えております。

 2つ目「スチュワードシップ活動に係る協働モニタリング」ということですが、今の資産運用ガイドラインの中にも、スチュワードシップ活動について、運用機関のスチュワードシップ活動をモニタリングしていくことが、企業年金におけるスチュワードシップ活動であるというお話が盛り込まれているところです。

 こうしたところに加えて、運用受託機関によるスチュワードシップ活動について、協働モニタリングの取組に参画することが考えられるのではないかといったことを追記してはどうかと考えております。

 3つ目「運用受託機関の定期的な評価・必要に応じた見直し」です。

 こちらに関しては、今も運用実績の確認というのは、既に運用ガイドラインの中にも盛り込まれているところですけれども、総幹事会社を含む運用受託機関の定期的な評価・必要に応じた見直しを行うことが望ましいということを追記してはどうかと考えています。

 4つ目、人材育成のところでございます。

 人材育成に関しては、今も専門性の向上といいますか、次のページにあるのですけれども、自己研鑽という形で専門性を向上していくような取組をしていくこと自体は、書き込まれているところですけれども、そこに加えて、適切な資質を持った人材、一定の年数の実務経験を有する人材ですとか、関連資格や研修受講歴等を有しているような方、こういったような方の計画的な登用・配置が望ましいことや、専門性の向上に努めること、このようなことを記載してはどうかと考えております。

 それから、一番下になります。「加入者のための見える化」というところです。

 加入者のための見える化に関しては、前回の部会でも、見える化に関する御議論をしていただいたところで、厚生労働省が集約して公表していくことを検討していってはどうかということで、御議論をいただいているところです。

 こちらに書いてある見える化に関しては、次のページの目次と一緒に見ていただくのがいいのかもしれませんが、既に加入者等には業務概況の周知というものが、各DBが行うべきこととして盛り込まれています。

 これに加えて加入者の利益に資するよう、加入者への周知事項等をホームページなどに開示をする、公表するといったことも考えられるのではないかといったことを記載してはどうかと考えている次第です。

 あと、一番下の※のところになりますけれども、内閣官房で策定される予定のアセットオーナー・プリンシプルに関しましては、今後の議論を踏まえて、ガイドラインの記載を検討していってはどうかと考えております。

 次の17ページが、今のガイドラインの目次を並べているところですけれども、先ほど御説明をした項目について、どこに具体的に入れていくのかというイメージになります。

 誠実公正義務に関しては、一般的な義務について、既に記載がございますので、ここに追記をするような形で記載しています。

 また、スチュワードシップ活動に係る協働モニタリングであったり、運用受託機関の定期的な評価、必要に応じた見直し、こちらに関しては、運用の委託に関するところを記載しています。

 人材育成に関しては、今、自己研鑽と書いてあるパートに関して、専門性の確保・向上に修正をした上で、人材育成等の推進に関する項目を追記していくとしています。

 それから、加入者等への業務概況への周知というものに関しては、加入者のための見える化というところで任意の情報開示をしてはどうかという話を、このパートに追記をしてはどうかと考えているところです。

 本日御議論いただきたい点としては、17ページは参考で、16ページの項目ということになります。

 また、18ページには、DBの資産運用の向上のための取組の支援ということで、企業年金連合会において、支援事業が行われておりますので、こちらの御紹介の資料をつけさせていただいています。

 資産運用に関する人材育成、情報提供のための取組として、企業年金連合会においては、受託者責任のハンドブックを作成したり、あるいは研修事業を行ったり、相談対応、コンサルティング等を行ったり、といった活動をいただいているところです。

 先ほどの「人材育成等の推進」中の適切な人材の確保といったところで、研修も想定されるわけですけれども、そういったものの中にこうした企業年金連合会における研修というのも考えていくこともできるのではないかということも含めて、今回参考にご紹介しているところです。

 それから、スチュワードシップ活動の協働モニタリングに関しましても、協働モニタリングを進めていってはどうかと記載をさせていただいておりますが、企業年金連合会において、企業年金スチュワードシップ推進協議会というものを設立し、それで協働モニタリングを推進していく体制を整えていくことを、今、御検討されていると伺っております。

 今年度には、この取組が立ち上がると承知しておりますので、こういった協働モニタリングの取組というものに参画していくといったことも考えられるのではないかということで、資料としてご紹介させていただきます。

 本日の議題の説明は以上なのですけれども、本日の資料の参考資料1、アセットオーナー・プリンシプルに関しても併せて補足で御説明をさせていただければと思います。

 資料をめくっていただいて、参考資料1の「アセットオーナー・プリンシプルのアウトライン」を御覧ください。

 アセットオーナー・プリンシプルに関しては、先ほど御説明をいたしましたとおり、内閣官房におけるアセットオーナー・プリンシプルに関する作業部会において、現在、御議論されているところです。

 まず、1ページにございますとおり、アセットオーナーに共通する原則として定めていくことが期待されているということで、アセットオーナーには、受益者等の最善利益を勘案して、その資産を運用する責任が求められていると記載されています。これを実現する上で必要となる共通の原則として、アセットオーナー・プリンシプルを定めると記載されています。

 このプリンシプルは、各アセットオーナーが自ら御自身の取組を点検し、あるいは対外的関係者に示すということで活用されることが期待されるということ。

 また、本プリンシプルを受け入れる場合でも、全ての原則を一律に実施しなければいけないわけではなく、コンプライ・オア・エクスプレインという手法を取ることが記載されています。

 それから、本プリンシプルを受け入れる場合には、その旨を所管の関係省庁に表明するということで、政府において受入れ状況を整理・公表する。このような形でアウトラインが示されています。

 プリンシプルとしては、全部で5原則書き込まれています。1ページの下にございますのが、まず、原則の1になりますけれども、アセットオーナーが受益者等の最善の利益を勘案するというところで、運用の目標を定めて、きちんと運用の方針も定めるべきであると、また、これは状況に応じて適切に見直すべきと、このようなことが記載されているところです。

 原則の2になります。2ページ目の上になりますけれども、受益者等の最善の利益を追求する上で、アセットオーナーにおいては、専門的知見に基づいて行動することが求められるというところで、アセットオーナーは原則1の運用目標・運用方針に照らして、必要な人材、体制整備を行うということ。それから、それが不足する場合には、必要な外部知見の活用や外部委託を行うべきと、このようなことが記載されているところです。

 原則の3になります。原則の3は、アセットオーナーは、運用目標の実現のため、運用方針に基づいて、運用の方法の選択を適切に行うほか、投資先の分散投資をはじめとする、リスク管理を適切に行うべきと。また、最適な委託先を選定するというところですとか、定期的な委託先の見直しを行うべき、このようなことが記載されております。

 原則の4、アセットオーナーは、ステークホルダーへ運用状況の情報提供、見える化を行っていくべきである。このようなことが書かれております。

 原則の5、アセットオーナーは、受益者等のために運用目標の実現を図るにあたり、スチュワードシップ活動を実施するなどの投資先の持続的成長に資するような必要な工夫をするべきであると、このようなことが記載されているところです。

 それぞれの補充原則を含めて、今まさにこの作業部会において議論が深められているところです。

 アセットオーナー・プリンシプルは、夏にかけて策定を目指して議論が進んでいくことになろうかと思いますが、本日は、ガイドラインの改正の参考ということで、少し内容の御紹介をさせていただきました。

 本日の資料1及び参考資料1も踏まえつつ、先ほどのスライドの16ページの内容について御議論いただければと思っております。よろしくお願いします。

 以上です。

○森戸部会長 ありがとうございます。

 それでは、議題1について、委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思いますけれども、途中退席される関係で、最初にオンラインの藤澤委員より御発言いただければと思うのですが、藤澤委員、よろしいでしょうか。

○藤澤委員 藤澤です。ありがとうございます。少し回線が不安定なので、もし聞き取りづらい等あれば、言っていただければと思います。

 説明ありがとうございました。DB資産運用のガイドラインの改訂の方向性ということで、全体的なところは異論ございません。この方向性でいいと思っています。

 その上で質問したいのが、アセットオーナー・プリンシプルのところですが、参考資料1を読むと、受益者等という言葉が何度か出ています。基本的な点ですが、この受益者等は誰なのかという点を、教えていただきたいと思っています。

 加入者は当然入っていると思います。年金受給者や年金受給待期者も入っていると思いますが、この中に将来の加入者が入っているのかという点を、お聞きしたいと思っています。

 参考ですが、GPIFのESG活動報告書を見ると、GPIFは現世代のみならず、次世代の被保険者のためにも、必要な積立金を確保するために、ESGの取組を推進しているということで、将来加入者も入っている書きぶりになっています。GPIFは公的年金ですので、賦課方式で財政運営を行っている一方、企業年金は積立方式ですが、財政方式によっては、将来加入者も想定して掛け金の計算を行っています。

 資料1の4ページを見ると、加入者等への説明・開示として、「加入者等」という書き方になっています。これまで議論していた16ページの加入者のための見える化のところは、加入者という書き方になっています。等がどういうものを含むのかが気になったので教えていただきたいというのが質問です。

 以下、コメントですが、参考資料1の原則5の一番下に、ステークホルダーの考えを自らの運用目的に照らして必要な場合には、サステナビリティ投資を行うこと、例えば投資方針の策定やPRI署名についても考えられるという記載がございます。

 DBの重要なステークホルダーである母体企業の考えを聞いた上で、サステナビリティ投資を行わないという決断をしているのであれば、健全だと思うのですが、日本の場合、TCFD開示に賛同している企業が多い一方で、PRI署名しているDB制度が少ないという現状を考えると、DBが母体企業の考えを十分に聞く機会が少ないのではないかという点を懸念しています。そういった観点も、今回、DB資産運用のガイドラインに入れてもいいのではと思ってございます。

 以上となります。

○森戸部会長 ありがとうございました。

 最初のほうの質問ですが、受益者もしくは受益者等と出てくるけれども、これはどこまでを指すのかということで、結構大事な、重要な問題だと思いますが、事務局にお答えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○海老企業年金・個人年金課長 御質問ありがとうございます。

 まず、アセットオーナー・プリンシプルにおける受益者等というものに関しては、各アセットオーナーごとに御判断されるということで御議論されていると理解しております。

 ですので、各アセットオーナーが、どういった目的で、どういったことで資産を運用されているのかということも踏まえて、受益者等の最善の利益を勘案してやっていくということでございますので、そこは各アセットオーナーごとに、受益者等のところも含めて御判断されていくと、そういう議論の前提となっているという理解です。

 また、企業年金において、我々の資料のほうで加入者と書いてあったり、加入者等と書いてあったりしているところに関しては、これまでの御議論でも、企業年金においては、加入者と受給者というのは、受益者に当たってくるのだろうということで、そこは皆様、御議論の中では、ある程度共通のものということで御議論いただいていたのかなと理解しておりますので、資料1のほうで、加入者、受給者等と書いてある部分について、一般には加入者、受給者というのが含まれてくるのだろうと。

 さらに、あとは各企業年金ごとに、状況は様々というところもあると思いますので、そこは、各アセットオーナーとして、どう御判断されるのかというところはあるのかなとは考えております。

 以上です。

○森戸部会長 ありがとうございます。

 この話、もちろん最終的に何かガイドラインにせよ、法律にせよ、何か書くときには、加入者とか加入者等という用語が出てきて、これは何を指すのかというのは、きちんと決まると思います。受給者とか、待期者とかも含む場合もあるし、それから、見える化というのは、取りあえず、今、従業員でいる人にということで加入者と書いてあるのかなと思うのですが、ただ、今日は、あまり深くは入りませんけれども、やはり企業年金における受益者というのが、藤澤委員がおっしゃった将来というところまで考えるのかという論点もあるし、あと、藤澤委員も少しおっしゃいましたけれども、要は母体企業そのもの、つまり将来のということになると、将来、うちの企業に人がずっと入ってこられるようにするというのだったら、企業が存続してほしい、だったら企業の利益なのではないか、でも、それは加入者の利益と、もしかしたら反するかもしれないという、昔からある受託者責任の議論みたいのがありますので、そういうことも実は、ちゃんと詰めなくてはいけないのだろうとは思います。

 このガイドラインのときに、そんなにそこを深入りしなくていいのかもしれないですけれども、根本的に、まさにアセットオーナーだけれども、企業年金というのは、誰のためにやっているのか、誰が受益者なのかというのは、もしかしたら、ほかのアセットオーナーより、少しややこしい仕組みであるということはあるとは思います。

 すみません、少し余計なコメントですけれども、何か追加はありますか。

○海老企業年金・個人年金課長 一点だけ補足で、ガイドラインの中に、ガイドラインにおける加入者等という表現に関しては、加入者及び加入者であったものという形で、一応定義づけをして使っているということがございますので、この運用ガイドラインにおいての加入者等というのは、加入者及び加入者であったものということで使われているところでございます。補足です。

 以上です。

○森戸部会長 ありがとうございます。

 藤澤委員、よろしいですか。

○藤澤委員 はい、ありがとうございました。

○森戸部会長 ありがとうございます。

 では、谷内委員、お願いします。

○谷内委員 谷内です。

 まず、議題1に係る対応ですが、資料1の16ページに記載されているガイドラインの改訂事項については、まず、資産運用立国プラン等で言及されている事項には適宜対応しているものと考えます。

 かつ、改訂の中身を見ても、企業年金の実務担当者に対し過大な負荷を課すような内容ではないと見受けられますので、私は、16ページに記載のガイドラインの改訂につきましては、過不足のない対応だと評価しております。

 まず、ガイドラインの改訂についての意見は以上です。

 ここからは私の見解ですが、資産所得倍増プランに端を発した企業年金の資産運用の高度化に関する一連の議論では、どうも企業年金の取組が守旧的で少し遅れているという決めつけを出発点にいろいろ指摘というか議論されてきた節がありますけれども、例えば、資料1の17ページでは、今回の改訂内容が既存のガイドラインのどの項目に該当するかが示されていますが、実は、もう既に現行のガイドラインにおいても項目としては把握しているというところは、このページを見れば大体お分かりではないでしょうか。

 それから、参考資料1のアセットオーナー・プリンシプルの現時点の案ですが、皆さんも内容を御覧になったかと思いますが、私からすると、内容に思いのほか新鮮味が無いなと感じました。ただし、新鮮味が無いというのは、決して悪口ではありません。理由は2点あります。まず、原理原則というのは普遍的なものなので、新鮮味を売りにするものではないというのが1点目です。

 もう1点は、企業年金の関係者があの案を見て新鮮味を感じないということは、逆に言えば、これまできちんと受託者責任を果たすために対応してきたことの証左であると私は考えます。

 もちろん、形式面だけ充足していても意味はありません。いかに実効性をもってガイドラインを遵守するかが今後の課題でもありますけれども、私は、この一連の議論を見た限りでは、企業年金は、他のアセットオーナーに比べて著しく劣っているということはなく、むしろ率先して受託者責任に取り組んできたということが、今回よくよく明らかになったのではないかと考えます。

 だからといって、他のアセットオーナーに対して、企業年金を見習えなどと上から目線で申し上げるつもりはありませんが、そう考える次第です。

 もちろん企業年金としましても、これまでの取組の延長線上で、運用の高度化については、引き続き底上げを図っていく必要があると考えます。

 私からは以上です。

○森戸部会長 ありがとうございます。

 コメントということでよろしいですかね。ありがとうございました。

 では、島村委員、お願いします。

○島村委員 ありがとうございます。私も方向性には賛成しております。

 ガイドラインの改訂項目の4つ目の人材育成等の推進について、一言発言させていただければと思います。

 読んだ印象として、既に適切な資質を持っている人というのが、前提になっているように読めて、それでよいのかと少し思いました。

 もちろん、適切な資質を持っている人の登用や配置が望ましいのは、そのとおりなのですけれども、企業さんによっては、これまで全く違う畑で仕事をされてきた方が、人事異動で初めて企業年金の資産運用を任されるということもあるかと思います。

 そういう方を、研修などを通じて適切な資質を持った人材へと育成していくという視点も重要かと思いました。もちろん、そういうことを排除している趣旨ではないと思うのですけれども、誤解のないような書き方にしていただけるとありがたいと思います。

 今の点にも関連して、研修ですとか、実務担当者の意見交換の場というのが非常に重要かと思います。

 その点で、企業年金連合会さんが行っていらっしゃる取組は非常に大事かと思います。ぜひ、会員でない方も研修に参加できるように門戸を広げていただいて、担当者の方のスキルアップに貢献していただけるとありがたいです。

 特に中小企業の担当者さんなど、ほかの業務と兼務する形で運用担当をやらざるを得ない人たちにも届くようなコンパクトな研修というのも御用意いただけると、とてもありがたいのではないかと思いました。

 以上です。ありがとうございます。

○森戸部会長 ありがとうございます。

 企業年金連合会への要望も含め、島村委員自らがおっしゃいましたけれども、別に専門性の向上、適切な人材というときに、島村委員がおっしゃったようなルートの方を排除しているわけでは、もちろんないと思いますけれども、いろいろなルートがある、いろいろな人が来る可能性もあるということも踏まえて、定めていただきたいということですので、それは、そのようにしていただきたいと思います。ありがとうございました。

 金子委員、お願いします。

○金子委員 金子でございます。

資料1の16ページに記載されている本日のお題については賛成ですが、全般的に感じたこと、感想や意見を2点ほど申し上げたいと思います。

 1点目は、金サ法ですとか、アセットオーナー・プリンシプルのアウトラインを見て感じたことについて申し上げたいと思います。

 金サ法では、企業年金に対しても顧客等の最善利益を勘案しつつ、誠実かつ公正に業務を遂行しなければならないとされています。

 既にDB法には、忠実義務規定が存在しておりますので、実質的な変化はないと、そんな感じで、谷内委員も捉えられたのだと思うのですけれども、全く同じかといえば、そうではないのではないのかなと感じております。

 今までは、DB法の中の規定なので、企業年金の世界で通用する水準で達成していれば、それでよかったのだと思うのですけれども、金サ法やアセットオーナー・プリンシプルでは、金融事業者と一緒に比べまして、企業年金の内輪の理屈は通じない外部の目にもさらされることになるのではないかと解釈してございます。

 今までは、極端に言えば、労働者の同意さえあれば許されると考えてよかったのが、外部にも説明できるレベルを求められているのではないかと思っております。

 資料1の16ページの表の中にも「底上げするものである旨を明確化する」と記載されているのですけれども、金サ法で金融事業者と共通する義務という形で規定されたことにより、表現によっては、今までとは全く同じでなく、レベルアップが求められているという点には、しっかり認識していく必要があるのではないかと感じております。

 2点目は、こうした企業年金のガバナンスの強化の際の小規模な企業年金に対する配慮という点です。

 金サ法などにより、よりレベルの高いガバナンスが要求されますと、企業年金の場合には金融事業者と異なり、対象となる業務は本業でないので、小規模なところを中心に企業年金をやめてしまう可能性を意識する必要があるのではないかと感じております。

 我が国の私的年金のカバー率は、例えば、民間企業社員のケースだと、かつては、恐らく半分ぐらいあったのではないかと思いますが、今では3割近くまで低下しております。

 この点は、資産運用立国実現プランでも課題として挙げられており、私的年金の普及促進に向けた取組の重要性が指摘されています。

 このため、企業年金のガバナンスの強化を求める際には、小規模な企業年金でも取組やすい、例えば代替手段を用意するだとか、そういうことを示していくことも重要だと思います。

 資料1の18ページ辺りには、スチュワードシップ活動に係る協働モニタリングが示されておりますけれども、これなどは、小規模な企業年金でも取り込みやすい代替手段の1つなのですが、他の点についても、例えば代替手段などを含めて、小規模な企業年金に対する配慮は重要だと思っています。

 いずれにしても、企業年金とか私的年金のカバー率の向上ということを強く意識する必要があるだろうと感じております。

 以上でございます。

○森戸部会長 ありがとうございます。

 2点とも非常に重要な御指摘だったと思います。

 1点目、確かに金サ法なりで一般的に要求される水準というのは、数字にできるものではないですけれども、仮にあるとして、それがこの企業年金のほうでは、それに達しないものがあるのではないか。

 でも、企業年金のほうは、企業年金の特殊性があるから、それによって説明できる部分もあるだろうと、でも、できない部分もあるかもしれないという、そこが具体的にどういうことで、それをこれからもう少し精査していかなくてはいけないのかなというのを伺っていて思いました。今、研究費のネタをつかんだような気がしますけれども、費というといやらしいですけれども、真面目な研究の、何か非常に面白いテーマが見つかったような気がいたします。

 2点目もおっしゃるとおりで、その点を意識しないと、何でもいいようにつくった結果、みんながやらなくなったとか、中小企業はできなくなったみたいなことはおかしい話なので、もちろんそれも企業年金のある意味特殊性でしょうけれども、その点を踏まえて議論していけばと思います。ありがとうございました。

 では、大江委員、お願いします。

○大江委員 ありがとうございます。

 今の金子委員の話にも通ずるところがあるのですけれども、アセットオーナー・プリンシプルのアウトラインの補充原則で挙げられている項目の中には、DBの実態からして乖離しているように見受けられるものもあります。

 例えば、多くのDBにおいて、運用担当責任者の設置とか、OCIOの活用といった概念は、そぐわないように私は思います。

 今、DBのうち大半が中小だけではなくて規約型というのも多いと思いますので、その専任の体制を整えていないということですから、コンプライ・オア・エクスプレインといったことを適用されたとしても、どのように対応すべきか、まさしく部会長もおっしゃっていましたが、これをどう理解していったらいいのだという実務上の課題が出てくる可能性があると思います。

 そこをこう解釈して対応していくという意味で、本日示された運用ガイドラインの読み替えであるとか、追加というものが必要と理解しております。

 そういった意味で、今日の提示されたものについては、実効性があるというか、現場的に、これに沿って対応していくことが可能になる、いいアプローチだと思います。

 以上です。

○森戸部会長 ありがとうございます。

 金子委員がおっしゃったことと、ある意味共通しているのでしょうけれども、やはり、丁寧に見ていくと、中小企業や、もしくは規約型を採用する事業主で、まともに正面から対応できるのかと、具体的にどう対応することで、これを乗り切ればいいのかというのは、実ははっきりしないではないかという御懸念だと思いますので、その辺、2人続いたから事務局に聞こうかなと思うのですけれども、その点は、どのように考えられているのでしょうか。こういうのをどんどん受け入れていくのはいいけれども、やはりこういうのに対応できないところが、もうやめてしまうかみたいになる、そこを具体的にこのように対応していきましょうというのは、もちろん、これから考えていくのですけれども、その辺について、何かお考えはありますか。

○海老企業年金・個人年金課長 ありがとうございます。

 お二人とも御指摘いただいたところは、まさにおっしゃるとおりというところかと思います。企業年金の実態ですとか、小規模のDBが多いという状況あるいは実際の実務の御負担、そういったものも踏まえて、どういった形でやっていくのがよいのかというお話に関しては、まだ、プリンシプル自体が、今、まさに議論をしている最中で、受入れに関してもどのような形でやっていくのかといったことも含めて、先ほどの補充原則のところも、まさに議論がされているところではありますが、我々としては、やはりプリンシプルができた暁には、その内容も踏まえて、厚生労働省として現場に周知を図っていく中で、どうした対応をしていけばいいのかというのは、本日の御意見も踏まえて検討していきたいと思っています。

 以上です。

○森戸部会長 ありがとうございます。

 ぜひ、そういう観点からの情報収集といいますか、それもお願いできればと思います。ありがとうございました。

 では、岩城委員、お願いします。

○岩城委員 ありがとうございます。

 私も全体として、改訂内容について異議はございません。

 しかしながら、運用受託機関と事業者及び従業員との間には、やはり大きな情報格差、そしてリテラシー格差というのが存在しているという現実を考えますと、評価というのを定期的に行ったとしても、その結果を改善のために十分生かしていけるのかなというのが疑問です。

 最適解というのは企業ごとに異なりますし、そのガイドラインというのは、一般的な考え方を示したものであることを前提としているとしても、せっかくの改訂内容を生かしていくためには、やはり比べる基準というのが必要なのではないかと思います。

 例えばなのですけれども、ホームページを情報開示することが考えられる旨を記載と書かれていらっしゃいますので、それに付け加えるような形で、他社比較して加入者の利益を最大化していく取組をしていくことが望ましいという考え方を示すというのも、1つではないかなと思います。

 そうしますと、現状固定化している運用委託先の評価とか選定がなされるというのにもつながるのではないかと思っています。

 方向性として、やはり加入者及び加入者であったものというのが、ガイドラインの対象者ということでしたので、その利益に資するように、この情報というのをオープンにして、競争原理を働かせてよりよい制度にしていくためのガイドラインの改訂というものになればいいなと思います。

 具体的な方策については、例えば、厚生労働省が情報を集約して公表することも含めて、ぜひ次期年金制度改正時に対応していただけるようにお願いしたいと思います。

 以上です。

○森戸部会長 ありがとうございます。

 ガイドラインについては、基本的にはこういう方向でよろしいけれども、もう少し他社比較できるような形とか、もう少し突っ込んで書いたらどうかという御意見かなと承りました。それは、そういう御意見を踏まえて、どこまで書けるかというのはあると思いますけれども、事務局のほうにお任せしたいと思います。ありがとうございました。

 松田委員、お願いします。

○松田委員 ありがとうございます。

 16ページからのDBにおける資産運用力の向上についてですが、政策的な目的ではなく、あくまでも受益者である加入者のために行われるべきものと考えております。

 また、受益者等の最善の利益についても、高いリターンの獲得ではなく、受給権を保護するためのリスク回避の観点も重要と考えています。

 なお、資産運用立国実現プランにおけるアセットオーナーという文言の定義が不明確です。DBの資産運用ガイドラインでは、規約型DBを実施している事業主も対象としておりますので、アセットオーナーという文言には事業主も含まれるものと理解しています。

 ガイドラインの改訂やプリンシプルの受入れ有無の確認を進めるに当たっては、このアセットオーナーの文言の定義を明確にしていただきたいと思います。

 以上です。

○森戸部会長 ありがとうございます。

 今の点は、事務局に確認したいのですが、アセットオーナー・プリンシプルにおけるアセットオーナーの対象は何なのかということでしょうか。

○海老企業年金・個人年金課長 恐らく、アセットオーナー・プリンシプルにおけるアセットオーナーの定義というのは、アセットオーナー全般、多分もっと幅広くというところではあると思うのですけれども、恐らく今のお話は、ガイドラインの中でアセットオーナー・プリンシプルを位置づける場合に、対象となってくるのがどこなのかというお話と受け止めております。

 それを踏まえると、ガイドラインの中で、この用語を使うときに、どこを対象にしているのかということを分かるようにしておいてほしいという御意見と受け止めました。ありがとうございます。

○森戸部会長 すみません、ありがとうございます。

 その点、もちろんガイドラインを最終的に考えるときに、文書をつくるときに、もちろん踏まえていただければと思います。

 それは別として、やはり今、松田委員がおっしゃったように、受益者のためにということ、別にそこには誰も文句はないのだけれども、受益者のためにというのはどういうことなのかというのは、実はちゃんと、どういうことを企業年金においては考えるのかというのは、実は、その先の課題としてはあるのだろうと思います。ありがとうございました。

 では、冨樫委員、お願いします。

○冨樫委員 ありがとうございます。私からも意見を申し上げさせていただきます。

 基金型、規約型問わず、DBは労使合意によって実施されるものです。その意味では、労働組合を含めた加入者代表が関与していくことが重要と考えます。

 これは制度だけではなく、ガイドラインの改訂項目にある、協働モニタリングや運用受託機関の定期的な評価、必要に応じた見直しなど、運用に関しても同様に関与していくべきと思っております。

 現在、17のスライドのガイドラインの資産運用委員会の構成、また、その他の運用管理運用業務の記録について、労働組合の記載がございます。

 今回の改訂に際して、DBの運用における労働組合を含めた加入者代表の関与の必要性、そして、そのための労使のコミュニケーションの強化などについても、可能な範囲でガイドラインに盛り込んでいただきたいと考えます。

 以上です。

○森戸部会長 ありがとうございます。

 制度として、何をやるにもそもそも労使合意が要るということにはなっているから、もちろん形式的に組合側、労働者側の合意が必要ということになっていると思うのですが、それとともに、今、おっしゃったようなことを書けないか、もっと書いていくべきではないかという御意見で、それは承っておきます。ただ毎回、冨樫委員とかが何か言ったら、私が必ず組合も何かやってくれるのですねみたいなことを言うから、すごく怯えられているのが最近分かるのですけれども、また言ってしまいますけれども、今のお話は結構、労働組合は、こういう運用はどうしたとか、そういうことに積極的に関わっていくようにも聞こえましたけれども、結構責任も負ってしまうというか、運用とかそういうことに、それは何かそれなりに大きなことかなと思っています。もちろん労使合意は、最低限必要ですけれども、どのぐらいかんでいくかというのは、もちろん、それは労使ごと、企業ごと、基金ごとに考えることなのですけれども、何かそういう決意表明ではないけれども、そんなふうに捉えたら少し大げさかもしれないけれども、何か組合も頑張って、それこそ人材育成とか、そういうことも含めて、ここに積極的に関与していきますということかと思いました。

○冨樫委員 すみません、これは個人の意見としてですが、労働組合では、DBの運用に関してかなり難しく感じていると思っています。執行委員が企業年金について、組合役員、職場委員、一般社員まで周知し、どうするべきかを話すだけでいっぱいいっぱいで、実際の運用になると、かなり難しく、会議に出て話は分かったけれども、腹まで落ちてこなかったというのはよく聞きます。これは実際の話です。

 ですので、決意表明という意味では、頑張っていかなくてはいけないと個人的には思っています。

○森戸部会長 すみません、率直な御意見というか、現場の状況も教えていただきまして、ありがとうございます。

 それは当然というか、一労働者がそんなに詳しいわけもないし、そもそもちゃんと制度としてやっている場合でも専門性が足りないのではないかという話をしているのだから、当然なのですけれども、ただ、そういう中で、労使合意で組合なり労働者がどう絡んでいくかという話も、多分、考えていかなくてはいけないテーマだと思いますので、また、嫌われそうですけれども、聞きたくなって、組合側、労働側の御意見を伺わせていただきました。どうもありがとうございました。

 では、小林委員、お願いいたします。

○小林(由)委員 ありがとうございます。

 私からは、DBの資産運用ガイドラインの改訂案と、アセットオーナー・プリンシプルとの関係について確認させていただきたいと思います。

 もちろん、詳細は今後検討されるということで承知をしていますが、大きく2点、事務局として、今後どのように整理しようとされているか、現時点のお考えを伺いたいと思います。

 まず、アセットオーナー・プリンシプルの原則4についてです。アウトラインの案では、補充原則として、運用目的を踏まえ、アセットオーナーの特性に応じて情報提供すべきステークホルダーを検討することとされ、ステークホルダーの範囲には、注記として、受益者や株主等を含む資金拠出者などが例示されています。

 これまで、本部会の議論で確認してきたのは、加入者のための見える化であったと認識しておりますが、この原則4の解釈によっては、株主のための情報提供という、これまでの議論とは異なる趣旨、論点が生じる可能性もあるのではないかと考えます。

 アセットオーナー・プリンシプルは、様々なアセットオーナーを対象としたものであることは承知していますが、個別の制度、現場での混乱を回避するという観点も踏まえて、企業年金を所管する厚生労働省さんとして、どのようにお考えか伺いたいと思います。

 次に、プリンシプルの原則5に関してです。補充原則において、日本版スチュワードシップ・コードの受入れを表明した上で、その趣旨にのっとった対応を行うという記述があります。この表現は、コードの受入れに対する強制力が、従来以上に働くようにも読め、現行の資産運用ガイドラインにおけるスタンスや、記述のトーンとも異なるように感じられます。

 この点についても厚生労働省として、どのように整理をされようとしているのか、御教示いただきたいと思います。

○森戸部会長 ありがとうございます。

 ガイドラインとアセットオーナー・プリンシプルとの関係について、具体的な御質問を2点いただいたので、事務局のほう、現在のところで構いませんので、コメントをお願いいたします。

○海老企業年金・個人年金課長 御質問ありがとうございます。

 アセットオーナー・プリンシプル自体も、まだ議論中というところではありますので、現在、お答えできる範囲でというところになりますけれども、先ほど御指摘のありました、原則4のところです。

 ステークホルダーの運用状況の情報提供(「見える化」)を行うべきというところで、ステークホルダーとして受益者、資金拠出者等も様々であるということが書かれているところです。

 まさに、ここに書いてあるとおり、ステークホルダーとしては、これは本当に共通の原則なので、各アセットオーナーごとに、そこは様々であると理解をされるものだと考えております。

 もちろん、企業年金においても、各企業の状況において、例えば、上場企業における各企業と株主との関係ということで考えるならば、企業年金を含む退職給付に関する情報は、今、もう既に株主に提供されているという取組があったり、そこは各ステークホルダーでも、さらに企業年金でも、その中で各企業の状況に応じてまさに様々なのかなとは捉えているところです。

 また、補充原則の部分に関しては、先ほど大江委員からもお話がありましたとおり、各DBに当てはめていったときに、これは果たしてどう捉えればいいのだろうかと、困惑あるいは混乱など戸惑われるような場面が出てくるのではないかということなのかとは思います。

 その点に関しては、まさにアセットオーナー・プリンシプルの原則と補充原則と、さらに、その受入れを進めていく上でのコンプライ・オア・エクスプレインのやり方のところに関する部分というところになってきますので、正直まだ、これから、いろいろ補充原則に対する考え方、取扱い、あるいは補充原則そのものについても議論があるところなのだろうと理解をしているところです。

 作業部会において、まさに議論が行われているところではございますので、恐らく実務的な御負担だとか、そういったものも含めて、アセットオーナー・プリンシプルの周知を進めていく過程では、その点を配慮していくべきだという御意見、先ほどもいただきましたけれども、そういった趣旨もあるのかなと受け止めておりますので、周知等のフェーズになってきたときには、どう考えていくのかというところを、我々としてどう整理していくのかといったことも含めて、考えていきたいと思っています。

 以上です。

○森戸部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。

 確かにガイドラインとアセットオーナー・プリンシプルが決まってから、ガイドラインに取り込んでいくというか、考えていくときに、具体的にこの項目をどのように統合というか、ガイドラインのほうに反映していくかというときに、今、小林委員がおっしゃったようなことが生じ、ステークホルダーは企業年金ガイドラインではこうですよとか、でも、こういう人は違いますというのも書きづらいし、やはりいろいろな細かい調整が必要な感じがしますね。その辺は事務局に、また、いろいろ考えていただかなければいけないなと思いました。

 ありがとうございました。

 金子委員、どうぞ。

○金子委員 すみません、2回目なので、短めに、これは特に冨樫委員のお話を聞いていて感じたことで、この会場にいる方というよりは、多分この中継を聞いていらっしゃる金融事業者の方々にお願いしたいようなことがございまして、1点、補足させていただきます。

 というのは、先ほどの冨樫委員などのお話を聞いても、事業主もともかく、それから労働側のほうでも、特に資産運用に関しては難しいという話がございました。

 一方で、アセットオーナー・プリンシプルのアウトラインなどの原則3などを見ますと、付加価値に応じた報酬の支払いみたいなものをちゃんと評価しろというのが書いてございます。

 でも、そもそも理解が難しいものを、評価はできないですね。ですので、これは、金融事業者の方々へのお願いなのですけれども、自らの報酬額が、企業年金に提供している価値と照らして正当化ができるのかどうか、きちんと自ら定期的に評価するようにしていただきたいと感じております。これは、やはり情報の非対称性がある世界では、常にプロフェッショナルたるもの、そういう姿勢を持つことが非常に重要だと思いますので、これについては、お願いしたいと感じております。

 以上でございます。

○森戸部会長 ありがとうございます。

 要は、高過ぎるのではないかということを言っているのですか。

○金子委員 いや、必ずしもそうではなくて、きちんと正当化できるかということを、考えていただきたいと思っております。

○森戸部会長 分かりました。これは、聞いている人に響く話だったのかもしれませんが、御発言を確かにいただきましたので、ありがとうございました。

 それでは、原田委員、何かありますか、お願いいたします。

○原田委員 原田です。ありがとうございます。

 基本的には、資料1の16ページに記載してあるガイドラインの改訂について、方向性はいいのではないのかと思います。

 皆さんからお話があったとおり、これまで積み上げてきた内容というのは、かなり今の段階で、ということではありますけれども、必要なことはきちんと盛り込まれてきていたと思っていますので、それをさらに、時代に合わせて変化させていくということだと思います。

 ただ、藤澤委員とか皆さんからあったように、受益者の最善の利益という加入者の利益、こういったものの定義は、やはり難しいと感じていて、明確にこれだという定義ができれば、比較的こういったガイドラインなどを定めるのは簡単かもしれませんが、加入者だけなのかとか、将来入ってくる人も含むのかとか、そういうことも含めると、いろいろと性質が変わってくる項目もあると感じました。

 それで、16ページの項目について、少しコメントをしますと、1つ目の誠実公正義務の位置づけの部分ですが、金商法とか、そういったルールの策定に伴うことということもあると思うのですが、追記する内容については、屋上屋を重ねるような内容にならないといいと思います。

 スチュワードシップでいうと、直接DBがスチュワードシップ活動をするかというと、運用委託先がどのようにしているのかということをモニタリングするとか、そういった形になっていると思うのですけれども、DBはあまり直接投資をしないので、直接相手先企業との会話というのはないと思いますのでそれでいいのですが、こちらの誠実公正義務についても、運用委託先に求める内容と、その団体が運用する場合に求められる内容とで少し変わってくるのかなと思いますので、その辺りの書きぶりを工夫していただけるといいと感じました。

 それから、4番目の人材育成は、皆さんと同じで、私も非常に難しいと感じているところで、実は、大規模なところはあまり心配していなくて、コンサルを委託するとか、そういったことができると思いますが、資産規模がそこそこあって、だけれども、会社としてはあまり人材を充てることが難しいといったところが一番苦労するのではないのかと思っていて、適切な人材の配置に関しても、実際にその運用業務に明るい人を配置するというのは、なかなか難しいと思います。かといって、通常の会社の業務においても、最初から人事の専門家を採用して人事部に配置するとか、財務とかの専門家を財務に配置するとかをしているわけではないので、やはり配置された後、当然育成というか、配置した後の教育ですとか、そういう、研修の場の提供というのが、非常に大事になってくるのではないかと思います。

 それから、5番目の加入者のための見える化のところですけれども、本当に加入者に対して情報を開示するということは、非常に大切なことだと思っています。

 運用に関して言うと、前回の議論で少し話題になりましたが、どのように情報を伝えるのかということが非常に大切だと思っていて、数字を横に並べるとか、単に数字はこうですと言って開示するだけだと、やはり、どう理解して、どう加入者は考えたらいいのかというのが分かりませんので、運用の目的は何なのか、目標はどういうことなのか、もし踏み込んで言うとすれば、なぜ、その目標にしたのか、それを踏まえて、そのためにどう行動しているのかということが分からないと、加入者にとっても、どう改善要望をしていったらいいのかとか、どういうことに会社が取り組んでいくべきなのかということは、理解できないのではないかと思うので、これもなかなか難しい問題だと思います。いきなりそういうことをやれと言っても、かなり難しいことだと思いますので、これは、今後の課題なのかなと考えております。

 最後に、アセットオーナー・プリンシプルの件なのですけれども、このプリンシプルは、受け入れるかどうかというのが、まず、アセットオーナーの選択肢としてあって、受け入れるとすると、先ほどのコンプライ・オア・エクスプレインという形での、全面的なのか部分的なのかという二段階になってくると思うのですけれども、現時点で、このプリンシプル受入れというのが、どのくらいのカバー率というか、DBに対して、例えば、少なくとも100億円以上の規模のDBには受け入れてほしいとか、そういう想定がもしあれば、教えていただきたいというのが最後の質問でございます。

 以上です。

○森戸部会長 ありがとうございます。貴重な御意見いろいろいただきました。

 では、最後の点、一応事務局に伺おうかと思います。

○海老企業年金・個人年金課長 御意見、御質問ありがとうございます。

 最後の御質問に関しては、現時点では、特段我々として何か持ち合わせているものはないですというのが、今のお答えになります。

○森戸部会長 ありがとうございます。

 渡邊部会長代理は、ありますか。

○渡邊部会長代理 ありがとうございます。私も簡単にコメントをさせてください。

 今回のガイドラインの改訂などの機会が今後もあろうかと思うのですが、ガイドラインなどにおいて、望ましい活動に関する具体例というものが示されることは、何を行えばいいのかといった点についての理解促進につながると思われますので、積極的にそういった提示を進めていただければと思いました。

 あわせて、例えば、今回のところでも専門性を高めるための研修を受けるとか、協働モニタリングを実施するといった例が示されるということであれば、やはり、そのような研修が受けられるような体制を整えるとか、協働モニタリングを実施するといったことに対してのハードルが下げられるような環境整備といった点が重要になろうかと思いますので、それらと併せて推進をしていっていただければと思いました。

 以上です。

○森戸部会長 ありがとうございました。

 オブザーバーから、何か御発言はありますか。

 では、企業年金連合会から、お願いいたします。

○鮫島企業年金連合会理事長 まず、資産運用ガイドラインですけれども、先ほどからお話も出ておりますけれども、ひとくくりにDBといいましても、資産規模の点でも、それから事務局の人員体制の点でも、かなり差がありまして、資産運用の内容も事務的な対応力も一様ではないというのが実情であります。

 したがって、ガイドラインの具体的な内容につきましては、厚生労働省において、小規模なDB基金あるいは規約型DBが対応できるかどうかという観点からも十分に御確認いただき、その上で改訂作業を行っていただきたいと思います。さらなるDBの衰退ということにならないように、丁寧な御検討をお願いいたします。

 特に、その中で適切な資質を持った人材の登用・配置という専門性の点なのですけれども、これにつきましては、もともと人員配置に余力のない小規模のDBでも対応可能な書きぶりとし、仕組みを設けるということが、実際に専門性の向上につながる道でもあると思いますので、この点、どうぞよろしくお願いいたします。

 それから、アセットオーナー・プリンシプルのアウトラインについてですけれども、まだ策定中ということではあるのですが、企業年金の現場では、先々このプリンシプルの受け入れを検討するに当たって、コンプライするにしましても、エクスプレインするにしましても、それぞれの原則や補充原則について、どこまで対応すればいいのかという疑問あるいは戸惑いの声が既に上がっております。

 したがいまして、いずれプリンシプルの解釈について、厚生労働省、金融庁において、何らかの形で具体的にお示しいただくことが必要ではないかと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

○森戸部会長 ありがとうございました。

 大江委員、どうぞ。

○大江委員 すみません、最後に検討いただくときに、冨樫委員の御発言も受けて、ここを整理しておく必要があるかなと思ったのが、アセットオーナーといったときに、何となく運営している事業主さんをイメージしていますけれども、委員長が突っ込みをされたように、労使が入った、労使で決めている制度で、労使が意思決定に関わっているということからすると、そこに加入者でもある組合員の方が、いわゆるオーナー側というか、意思決定側にいるということで、いわゆるアセットオーナーと言ったときに、その責任というか、負うところが誰になるのかという話が、一般的なアセットオーナーとは随分質が違うように思うので、その点、企業年金に落とし込みをするときに、十分に配慮して書き込みなり、説明なりをする必要がある点かなと思いましたので、すみません、最後に一言つけ加えさせていただきました。

○森戸部会長 ありがとうございます。

 おっしゃるとおりで、もちろん、ただ、労使合意を全部経ているのだけれども、制度の実施者は、恐らく基金であったり、事業主なので、オーナーというのは、もちろんこちらの母体なり基金なのでしょうが、とはいえ、大江委員がおっしゃるような仕組みでできていることは確かなので、それはどう整理するのだというのは、もう既に皆さんが御指摘になったかもしれませんけれども、考えなくてはいけないということは、おっしゃるとおりだと思います。ありがとうございました。

 私は、特には、途中でちょいちょい言いましたので、もうないのですが、二言ぐらい申し上げると、1つは専門性、人材育成、専門的な人材という話、これは昔から言われている話で、大分昔の部会、これではない部会か、研究会か知りませんが、昔委員だった臼杵委員などが、専門性のテストみたいな、試験をやれば、検定をやればいいではないかとおっしゃった気がして、おっしゃっていなかったら、すみません、おっしゃった気がしているのですけれども、そのときは、そんな試験などをやってもな、と思ったのですけれども、ただ、これだけずっと議論をしているので、大体専門性は、こういうことを指すのだねとか、こういう能力は最低限なくてはいけないねというのは、恐らく何となくあるのかなと思って、それをテストにするかどうかは別として、何か専門的人材とか育成といったときに、具体的にこういう人ですとか、こういう能力がなくては困りますというのは、もう少し突っ込んで言えるのかなというのは、少し聞いていて思いました。

 もう一点は、少し違う話ですけれども、これはDBのガイドラインですけれども、一応、あと4つになってしまいましたけれども、厚生年金基金もこの話は、アセットオーナーでしょうから及んでくると思うので、どういう形になるのか分かりませんけれども、ちゃんとそこもカバーするような形で、他の措置になるかもしれませんが、していただければとは思いました。

 その点だけですが、事務局はよろしいですか。

 ありがとうございます。今日は、いろいろ議題1について御意見をいただきました。ガイドラインの改訂については、いろいろ宿題というか、もっとこういう点を考えて、具体的にガイドラインを変えるときに考えろという御意見をいただきましたが、おおむね改訂については御了解をいただいたと理解しておりますので、事務局において、本日出た御意見を十分踏まえまして、詳細を検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。

 どうぞ。

○海老企業年金・個人年金課長 ありがとうございます。

 今後について、アセットオーナーに関する議論も並行して進んでいるところですので、そちらの議論も進捗を踏まえながら、本年秋頃の改訂を目指して、先ほどの御意見を踏まえた案を固めて、パブリックコメント等の手続を経て、ガイドラインの改訂の手続というものを進めていきたいと考えているところです。

 以上です。

○森戸部会長 ありがとうございます。

 では、もう一つ、今日は、次に議題2があります。本日、大江委員からの提出資料がありますので、この資料について、大江委員から御説明をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○大江委員 ありがとうございます。

 改めまして、特定非営利活動法人確定拠出年金教育協会の大江です。

 資料2になります。好事例を発表するようにということで、1ページになりますが、私どもの協会のほうでは、企業型の確定拠出年金の制度運営において、非常に熱心な取組をされている事業会社さんを、DCエクセレントカンパニーとして表彰する活動をDC制度が始まった10年目となる2011年から毎年実施しております。

 当初、継続教育についての表彰活動だけだったのですが、ガバナンスが言われるようになりまして、2019年より、ガバナンスの部門を追加して、2つの部門での表彰を行っております。

 この表彰は、目的としては、社内の方、それから社外の方によい取組を知っていただくことで、それがいいものだと認識されて、実際にその活動が続く。結果、企業型DC制度の健全な発展に寄与するということを目的として行っております。

 自薦他薦を問わないエントリーの形式で御応募いただいた企業さんの中から、それぞれの、こちらにお示ししているような基準に沿って選考を行っています。

 2018年から賛同いただきまして、厚生労働省さんの後援をいただいている賞になっております。

 今日は、昨年の受賞企業の中から、継続教育部門について3社、それからガバナンスについて1社、その取組を御紹介したいと思います。

 2ページ目になります。

 まず、継続教育部門ですけれども、こちらは、愛知県に本社のある自動車用の防振ゴムをつくられて、その分野では世界トップシェアだと聞いています、住友理工さんの取組です。

 4,000名を超える大企業様で、社員の方の約半数が工場勤務ということで、デスクとかパソコンが個別にはないという職場環境にいらっしゃる方々です。

 導入後10年ぐらいたった辺りから、非常に継続教育を熱心に実施されています。制度導入後、制度運営を健全にずっとやっていくためには、きちんとDCの制度運営について、指針、方針みたいなことが必要だと考えられて、2020年にDCの制度運営について、自社の導入の目的にさかのぼって、どうあるべきかという基本方針、さらには、右側に出ておりますけれども、その達成度合いを図るためのKPIといったものを策定されています。

 DCの関心度として、加入者自身が残高を見たり、商品の切換えをするウェブサイトがあるのですけれども、そこへのアクセス数というものを用いられています。

 見ていただきますと、年代別で言うと、20代のところが、ぐんと低い状況で、課題として若い人の無関心ということを認識されました。

 この若い人の無関心というのは、非常に多くの導入会社さんから聞かれる課題です。

 それに対して、次の3ページになりますけれども、普通に任意参加のセミナーをしても、関心がない若手の方は参加いただけないので、住友理工さんでは、人材開発部門として行っている研修、階層別の若手が対象の研修の中に、DCの継続教育を枠をもらって行ったということです。これによって、研修対象者は全員参加ですので、関心が低い方も聞くということになりました。

 さらには、そこの中での説明も、講師から一方的に説明するのではなく、右側になりますけれども、パネルディスカッションの形式の研修を行われました。人事部の若手の人が受講生の代表という形で、その人が若手というか、分かっていない人目線で質問をどんどん投げかけて、それに対して講師から説明してもらうという形式での研修です。これによって、自分ごととして比較的理解をしてもらえたということでした。

 次の4ページですけれども、工場の現場への情報周知の工夫として、上長という、ある程度の人数をグループとして束ねている上司の方から、部下の人に紙、チラシを用いてこういうことをやってくださいねという案内をされています。

 顔が見えている上司ですので、もらった側としては、やらなくてはという意識もありますし、逆に上司の側も部下に渡すわけですから、内容をきちんと理解している必要があるので、双方にとって効果的な周知が徹底できた例かと思います。

 ただ、これを行うには、その工程の中で手間をかけることを社内として了解してもらわないといけないので、なかなか大変なことではあります。

 結果として、KPIはどうなったかというと、ウェブのアクセス率は32%ですし、こちらの会社は、DCと前払いと制度としては選択できるようになっているのですけれども、加入率においてもほぼ達成されたという状況になっています。

 2社目、5ページになります。

 こちらは、オオヤマさんという会社なのですが、東大阪にある締結部品を取り扱う卸専門商社さんです。従業員数を見ていただきますと、173名です。

 こちらは、導入以来、継続教育を熱心にされていまして、きちんと目標、ありたい姿というものを設定されています。

 この会社の営業のモットーが、お客様の困ったという悩みを、よかったに変えるということらしいのですけれども、それを使って、DCにおいては、従業員の困ったをよかったに変えるということをポリシーにおいて、実施されています。

 具体的な方法としては、右側になりますけれども、全従業員が集まる場、の中で、必ず年2回5月と11月にDCについての情報提供を行われています。

 6ページですが、どういうことを伝えると効果的なのかということについて、実施する前に加入者の基本的な事項への理解であるとか、あと、ニーズなどを把握するためのアンケートを実施して工夫されています。

 右側になりますが、DCの残高について確認をしたことはありますかというのに対して、年代別で見てみると、20代が非常に低いのですね。スマホでもウェブにはアクセスできますし、残高確認はできるはずなのだけれども、していないということは、多分その方法がきちんと伝わっていないのではないか、こういうことを伝えれば、20代はできるのではないか。

 それから、その下のほうになりますが、ねんきん定期便を見ている人とDC残高を見ている人というのは非常に相関性が高く、逆に言えば、見ていない人は両方見ていないということもあるようでした。そこで、公的年金の受取見込み額について知ってもらう方法を伝えることは、老後の資産形成に関心を持ってもらうことにつながるのではないかということで、7ページになりますけれども、こういった方法についても説明をされました。

 結果、説明をしていくと、加入者サイトのログイン件数というのは飛躍的に伸びていますし、右側になりますけれども、運用の方法についても元本確保の割合などが、なだらかに下がっているという状況になっています。

 そして、3社目になりますけれども、8ページ。

 こちらは、ばいこう堂さんの取組です。本社は大阪なのですけれども、大勢の方がいらっしゃるメインの工場というのは、香川県、東かがわ市というところにある、さぬき和三盆を製造して販売をすることをされている会社様です。

 ここは、DCの制度は、もともとは厚生年金基金があって、これが解散をするということに伴って、その後継制度として企業型のDCを導入されたという会社様です。従業員数が106名という会社様です。

 ここで行われている継続教育は、毎年5月に制度加入者全体全員に対して、就業時間内に60分研修として話を聞くという場が設定されるもので、さらに秀逸なのが、この後、個別の面談、個別相談というのをされています。

 加入後3年間は、全員が必須です。もちろん個別の相談の中にはDCだけではなくて、例えば住宅ローンの話とか、お子さんの教育費などの、お金の相談もしていいということになっています。

 この研修も個別相談もFPの会社さんに、それなりの金額を支払って委託して実施されているということです。

 黒川社長に、なぜ、ここまで熱心にされているのですかという質問をしたところ、次の9ページになりますけれども、やはり導入するときに、これまでの厚生年金基金と企業型DCというのは全く違う制度になるので、これを自分ところの社員にきちんと活用してもらうためには、不安に思っていることをきちんと解消するということは、会社としては、当然やらなくてはいけないと思ったということでした。

 そういった意味で、継続教育というのは必須だし、一人一人の不安を解消するような仕組みというのが、当社としては必要だと考え実施しているということをおっしゃっていただきました。

 非常に丁寧に対応されていて、結果として、10ページになりますけれども、残高が、元本変動型と書いている投資信託なのですけれども、そこの残高が積み上がっているのに対して、オレンジ色の元本確保型の商品の割合というのはあまり伸びていない。つまり、元本確保型の割合は、全体としては、だんだん低くなっていて、御自身それぞれが3年ぐらいたつと、だんだんこういう配分でいいのだなと、皆さん納得してできるようになってくるそうです。結果として、このような資産配分状況になっています。

 そして、マッチングのほうも、導入当初はしていないという方もいらっしゃったのですけれども、やはりこちらも3年ぐらいたってくると、メリットが浸透してきて、それ以降は、8割以上の方が利用しているという状態になっています。いずれも丁寧に対応して説明をされている結果かなと思います。

 今、3社御紹介をさせていただいたのですけれども、11ページになりますが、やはり教育を継続的に実施されている会社様に、共通していることをコツとして挙げさせていただきました。

 まず1つは、職場にもともとある仕組みを活用して実施されているということです。キャリア研修とか昇格研修とか、そういった会社の研修、それから組合さんなども含めてですけれども、ライフプランセミナーとかライフプラン研修といったものがあるとすると、その中にDCのことを織り込んでいただく。または会社の行事として、比較的規模が小さい会社様でいうと、社員全員が一堂に集まるという行事を設定されている会社様もあるので、そういった場でDCの情報提供をするということをされている会社様もあります。

 中には、営業会議で、DCとは全然違う会議体ですけれども、皆様が定期的に集まるような場に、改めてDCの基本的なこと、残高の確認であるとか、制度の基本的なことを10分間だけ入れてもらって情報を徹底する例もあります。いずれにしてもDCだけでというよりは、何か会社の仕組みを活用することによって、研修とかは常に行われますので、結果的にDCの教育も継続して、情報提供も継続してできているところがあります。

 2つ目は、やはり継続的に実施されている会社さんは、PDCAを回していると思います。そもそも制度運営として、このようにありたいという姿があって、そこと現状とのギャップから課題を発見して、それの背景にあるのは何なのか、何を解決すると課題解決になるかということを掘り下げていって、そうだとすると、こういう情報提供がいいかなということで、ドゥをされて、それの効果が出たのかどうかチェックをし、それをまた検証して、これは効果があった、これはまだ駄目だからということで、次のアクションに向けて企画をしていくという、このPDCAのサイクルがあるというところがあります。

 これがないと、実施しても、次の継続的な実施がされないというケースが多いです。

 3点目ですけれども、こういった熱心な取組というのは、発端は、その担当者が非常に熱心な方だったりする属人的な部分で始まるところもあるのですが、継続的に実施をしていくということになると、担当者個人ではなくて、部署として複数名で、または、さらには労使で、経営も入っていただいています。やはり社員の時間を使うわけですし、経営が推進に協力してもらえるという体制になっていると、継続的な実施がなされるところがあるかと思います。

 ということで、ここまで、継続教育について御紹介をさせていただきました。

 ここからは、ガバナンスなのですけれども、ガバナンスは、経営がしっかり制度運営にコミットして、あるべき姿の制度運営を行うという意味ですので、ということから言うと、教育ほど手法においてバラエティがあるというわけではありません。ある意味、冒頭の審査基準のところで挙げているような項目が、加入者のためのDCガバナンスの基本項目にもなるのではないかと思います。

 具体的な取組として、皆様もよく御存じのサントリーさんの取組の紹介を実例としてさせていただきます。

 サントリーホールディングスさんでは、加入者本位の制度運営のために、事業主としての責務を改めて定義づけをされて、それを実現していく方法として、2020年にガバナンス体制として人事部長さん、それから労働組合の委員長もメンバーで入っているDC委員会というものを立ち上げられました。

 この委員会でDCの制度運営状況のモニタリングを定期的に実施して、必要な改善を行う体制が整えられたということです。

 具体的には、右側の方にNEWというマークがいろいろついていると思うのですけれども、委員会で、加入者のためにこれは行うべきだとなった取組を新たに次々と実行されています。

 中段にあります加入者アンケートによって、加入者の方々の意見収集とか、定量分析によって実態、ニーズ把握等をされていて、これを教育に生かしたり、制度運営に生かしたりされています。

 経営に制度の現況を聞いていただく場をつくっていくというのが、ガバナンスの基本のところになるかと思います。

 次の13ページになりますけれども、5年に一度は行うとされている運営管理機関評価ですが、まず、右側を見ていただきまして、法令解釈に沿った評価ということのみならず、加入者からの要望、ここの部分も踏まえて、運営管理機関の業務を評価しています。加入者の関心もですし、加入者の利益を確保するという意味では必要だろうと考えて取り組まれていると伺っていますが、ここは、少しエクセレントなポイントかなと思います。

 さらに左側になりますけれども、要望も踏まえて、専ら加入者のためにと考えたときに、運営管理機関から提供されている業務とかサービスにおいて、改善を要望すべき点はないかということを議論されて、評価をして、それについて、改善していただきたいところについては、書面で申入れをし、それに対して運営管理機関さんから書面で回答をもらい、協議を行って、それも記録を残していくと。さらに、それを加入者の方に、その結果も含めて開示をする形にされています。

 開示の背景には、運営管理機関評価が目的ではなくて、加入者にとってよりよい制度運営環境を整えるためのアクションという位置づけにされていることがある、と思います。

 もう一つエクセレントなポイントは、このアクションをマニュアル化し、形骸化しないようにしているというところです。属人的ではなく、継続できるようにされています。

 最後、14ページ、DC委員会で行うべきだとされた商品見直しですけれども、これも加入者利益を確保するためにという視点で、説明も社員から要望があった具体的な手続方法などを説明会で行ったり、動画をつくって展開をされました。

 商品除外の現場では、除外される高コストの商品で運用している方がなかなか他の商品に切り替えが進まないということがあります。動かない方に聞くと、そもそも自分が対象となる用品を持っているかどうかさえ分からないという声が多数あります。そこで、対象商品を持っている方々に個別通知を運営管理機関に依頼して、封書とメールで実施し、行動が取れるようにされました。結果、手数料の高い商品から安い商品への切換えが大きく進みました。

 ガバナンスの一環として、教育でも、このような結果も出ているところです。

 ここまで、昨年の受賞企業の6社の中から4社の取組について、ざっとポイントを説明させていただきました。

 15ページにその6社さんすべての社名を載せています。他社事例を知りたいというお声は、よく企業型DCの御担当者さんからいただきますので、弊協会としては、毎年の受賞企業さんの取組を記事であるとか、動画にして、いつでも見れる状態にして最近は紹介しています。

 ここに掲載させていただいている受賞企業さんには、昨年1社大体20分、本日の説明よりもう少し詳しい説明をきっちりしていただいている動画が、上記のサイトからどなたでも見ていただくことができます。御関心を持っていただけるようであれば、ぜひ御視聴をいただけたらと思います。

 そして、次のページ、厚生労働省も継続教育について、昨年、投資教育ページというのを開設されています。皆様、御存じだったでしょうか。

 実は、ここのページの中で、加入時・加入後、それから退職のときに、こういう内容を加入者に伝えてくださいということも案内されています。また、なかなか自社でやるのが難しいケースに対して、企業年金連合会で行っている継続投資教育の協働実施という方法もありますよという外部委託先の紹介などもされています。良い取組事例として、弊協会の受賞会社についても触れていただいています。

 こういったことで、いい事例を知って頂き、真似できるところは、どんどん活用していただけるように、もっと広く知っていただけるといいなと思っています。

 私からの説明は以上です。

○森戸部会長 ありがとうございました。

 まず、時間のことなのですけれども、今日はすみません、10時から11時半ということでお知らせをしていたみたいで、今日は、森戸がそんなにハイにならない想定で時間を組んだので、もう11時半を過ぎてしまって申し訳ないのですが、もし何か御予定がある場合は、お忙しいでしょうから適宜御退室ください。ただ、会場自体は、時間はもう少し大丈夫そうなので、せっかく大江委員からも非常に貴重な御説明をいただいたので、質疑応答の時間等を取らせていただければと思います。

 では、今、大江委員に御説明いただいた内容について、委員の皆様から御質問、御意見があれば、いただきたいと思います。本当に非常に貴重な資料で、すごく勉強になるし、まさに他社事例というか、このようにやっているのだというのがすごくよく分かりました。

 結局、もちろんアセットオーナーとかの企業年金の話を前半にしましたけれども、やはり企業年金は、労働問題なのだなと、私は、今お話を聞いていて思いました。

 いかがでしょうか、何か御質問、御意見があれば、どなたでも、オンラインのほうでも構いません。

 では、冨樫委員、お願いいたします。

○冨樫委員 ありがとうございます。

 素朴な疑問なのですけれども、DC実施企業の社員は、企業を辞めたとしても60歳まで引き出せないことを、最初に説明されると思います。

 実際に途中で辞められた方は、次の職場に向けた支援となるような手元資金、つまり、退職金のようにDCではない別のものがあり、辞めても大丈夫な制度が多いのか、それとも、自分で備えておきなさいということをあらかじめアナウンスしているのか、教えていただきたいです。

○大江委員 何かDC以外に備える必要があるか、ないかを伝えているかどうかということでしょうか。

○冨樫委員 言い方が悪くて、すみません。

 DC一本だとすれば、60歳前に別の会社に転職する人は、新しい次の転職先のために幾らか手元にほしいのではないかと思いまして、そういうところも何かお話しされているとか、ありますでしょうか。

○森戸部会長 恐らく、分からないですけれども、私が言うのもあれですけれども、DCだから転職先にDCがあれば、そこに移せるし、そうではなかったらiDeCoなりで運用してとか、そういう制度だということは、もちろん説明はされているのだろうとは思うのですけれども、何か取組などありますでしょうか。

○大江委員 そうですね、加入をするその段階で、新入社員で入った人に、やはり時間も限られるので、軽重をつけて説明していると思います。そうなると新入社員の人にいきなり辞めること前提に、話をするというのは、あまりないとは思うので、されていますかと言われると、おっしゃるとおり、引き出せない制度で転職のときには持ってく制度なのですよという話はしていると思うのですけれども、では、転職をするに当たって、手持ちが必要だとすれば備えなさいよということまで徹底して話しているというわけではないと思います。

○森戸部会長 それこそ、その企業の離職率とか、どのぐらい人が回転する会社なのか、それとも長期雇用的なのを前提としているのかとか、恐らくそういうこととも含めてであり、だから私は先ほど、労働問題だというのを申し上げたのだけれども、多分絡むし、冨樫委員がおっしゃったポイントも、本当はもっと深く各企業さんのお話を聞きたいという感じがいたします。また言いますけれども、労働組合も多分こういう事例というか、それをどのようにしているのかとか、そういうのを、ぜひ、情報をそちらのルートからもいただければありがたいかなと思いました。

 ありがとうございました。

 では、岩城委員、お願いします。

○岩城委員 今日は、大変すばらしい取組を御紹介いただきましてありがとうございます。

 実情として、恐らく事業主の方々は、DC教育を十分にしていくこと、制度をよりよくしようというようなことにあまり興味を持っていない方のほうが多いのではないかと思います。

 NPO法人として、何かそういう働きかけをしていらっしゃれば、それを教えていただきたいですし、また、大江さん御自身として、例えば、事業主さんの意識を変えるために、どのようにしたら取組を促すことができるかみたいなことについて、お考えがあったりとか、また、よい事例があったりとかすれば、教えていただけたらと思います。

○大江委員 ありがとうございます。

 経営の方にも、こういうことをやっていたほうがよさそうだねと思っていただくところは、本当に大事だと思っていて、ですので、この表彰活動を行っています。そして、表彰式には、上の方に出ていただいて、盾をもらっていただくようにしています。そうすると、社内でもきちんと認識をされるということがあります。ある受賞会社さん、300人ぐらいの会社さんでしたけれども、受賞式に出られた社長さんがすごく正直な方で、ここの席に来て初めてうちの会社が、社員のためにここまでやっているということを認識しましたというお話もありました。担当者は本当に熱心に対応されていても、実は社内でもそれを上の席の方に認識されていなかったり、社員の方もやってもらって当たり前、とありがたいベネフィットとして認識されなかったりということもあるので、認識を新たにしていただくためにこの活動をしているところもあります。

 そういった意味では、本当は、この賞みたいなことが、健康経営の優良法人認定のように、受けていたほうがいいねという認識になればいいと思っています。よい取組でいい会社だねと思ってもらうきっかけになるように、DC導入されている事業会社さんに、こういう取組が載っている冊子を、年1回だけなのですけれども、お送りさせていただいています。それで気づく方はどれだけかというのはあるのですけれども、少しでも知ってもらう取組は行っています。

 以上です。

○岩城委員 ありがとうございます。

○森戸部会長 ありがとうございます。

 では、金子委員、お願いします。

○金子委員 すみません、これは質問ですが、大江さんの資料の11ページ目に、秘訣、コツ、最後のところに、担当者個人でなく複数名で、労使で推進すると書いてございます。

 それで、こういうことやるというのは、先ほど岩城さんからも質問があったように、経営側の理解というのが大前提なのですけれども、それでも人手がいないとか必ず言いそうな感じがします。そのときに、これは労使で推進する、労働側も推進すると書かれています。私などは、安易なのでこういったこういうやり方があると、率直に思ってしまうのですが、逆に労働側から見て、ここで書かれることに対して、難しさというのはどんな感じなのでしょうか。御意見お持ちだと思うのですけれども、こういうところが難しいのだというのがあればお聞かせいただけたらと思うのですが、いかがでしょうか。

○森戸部会長 今日は厄日だなという感じかもしれませんけれども、でも、本当に私も聞きたいですから、ぜひ労使でと出てきましたが、何かもし、コメントがあれば、お願いいたします。

○松田委員 労働側としては、もちろん推進したい立場で考えていますが、実際に現場の方の意見を聞くと、やはり余裕がない、人手がない、こういったことまで手が回らないという声が多く、先ほど冨樫さんもおっしゃっていたとおり、実際には分かっている方がなかなかいないというのが実情です。連合としてはもっとやってほしいという思いはありますが、実態としてはついていっていないというのが現実です。

 以上です。

○森戸部会長 ありがとうございます。

○金子委員 もう一点、これは感想なのですけれども、14ページに、サントリーさんの例で、これは、多分、従来型の手数料の商品があって、それに対して、例えば、同じようなインデックスファンドでより手数料率の低いものを加えたときの対応として、高い手数料の商品を保有している人に、個別に通知を出したと紹介されています。この後保有者は非常に減っていて、驚いたのですが、一方で、逆の見方をすると、高い商品を保有していた従業員の6割が安い商品に切り替えましたが、それでも4割はそのまま保有しています。これはすごい努力だと思いますけれども、それでも個別に通知をしていても、まだ4割が保有し続けていることは、逆の意味で驚きました。商品の追加は簡単にできると思うのですが、除外の難しさを改めて感じたところでございます。

 以上でございます。

○森戸部会長 ありがとうございます。

 その除外の点は、確かにそうだなと思いました。

 労使でという話ですけれども、もちろん専門的な人材というか、分かっている人はいないしと、それは、そうかもしれませんけれども、ただ、本当に全てのことを、運用の細かい理論まで知らなくてはいけないわけではなくて、要は、こういう制度があって、こういう手数料の問題として、こういうのがあるよということ自体、そのぐらいは分かるでしょうし、それは前々からここでも出ているように、やはり労働条件の一部のわけだし、積極的に捉えれば、労働側からすれば、交渉材料でもあるわけですね、今までと違うアプローチで会社側と対峙するというか、交渉を進めていくというポイントでもあると思いますので、そのように捉えていく必要もあるかなと、伺っていて思いました。ありがとうございました。

 ほかに、いかがでしょうか。

 大江委員から、発言があるそうなので、お願いします。

○大江委員 先ほど岩城さんに御質問を受けたときに、回答が漏れたなと思ったのは、今、人的資本開示という流れが世の中、上場企業さんを中心にある中で、現状はまだ、これに具体的にDCの継続教育をやって経済面での不安をなくしチャレンジングに社員に働いてもらえるような取組をしていることを開示にしっかり書いていただいているようになるといいと思っています。まだそのような例を残念ながら見つけられていないのですけれども、開示するのが標準になっていって、いい会社だと言われるためにはこれぐらいはやっておかなくては、となっていくと、継続教育実施率も上がっていくと思っています。

 ですので、今までよりは、経営の方に御関心を持っていただきやすい環境にはあるのだと思いますので、ガバナンスでは、サントリーさんのすごい例を出してしまったので、ここまでやらないといけないのかと負担に思われたところもあるかもしれませんが、まずは、担当者の人が、ひとりで運営管理機関からモニタリングの報告を聞くのではなくて、組織として聞く、または組合さんの執行部の方も同席して聞いていただけるのであれば、そこから労使で聞くというところから、ありたい姿を一緒に考えていくところからスタートしていけばいいのかなと、現実的には思っております。

○森戸部会長 ありがとうございます。

 確かに、継続投資教育のほうは、非常になるほどという感じでしたけれども、ガバナンスのほうは、確かに超有名企業ばっかりだから、こういうことをやらないとガバナンスは駄目なのだと思ってしまう部分もあって、もちろんそうなのでしょうけれども、何かもう少しいろいろな企業のレベルなり、規模に合わせたガバナンスの在り方というのか、それも多分あるでしょうから、そういうのもぜひ御紹介いただければと、今、伺っていて思いました。ありがとうございます。

 原田委員、お願いします。

○原田委員 ありがとうございます。

 私も本当に感想だけです。大江委員、ありがとうございました。

 最後に、厚生労働省のホームページに投資教育のページができたというのが載せてありましたが、先ほどの教育の好事例の紹介とともに、アクセスしやすいといいなと思っていて、実際アクセスしてみたのですが、一生懸命掘り下げていかないと、なかなかここにたどり着かないというところもないことはないので、厚生労働省のホームページとしての構成もあるとは思いますが、一般の人も見ているところから直接飛べるような工夫とか、そういうのがあると使いやすいし、大江委員のほうの好事例の紹介についても、すみません、私、あまり見ていなかったのですけれども、多くの人に見ていただけるような場に出していただければいいのと思いました。

 以上でございます。

○森戸部会長 ありがとうございます。

 では、大江委員、本当に貴重な御報告をありがとうございました。

 それでは、予定の時間は過ぎてしまったのですが、本日の議事は、以上で終了といたしたいと思います。

 今後の予定等について、事務局からお願いいたします。

○海老企業年金・個人年金課長 次回の議題や開催日程につきましては、追って御連絡をさせていただきます。

○森戸部会長 ありがとうございました。

 それでは、第35回「企業年金・個人年金部会」を終了いたします。

 皆様、大変お忙しいところ、お集まりいただき、ありがとうございました。お疲れさまでした。