(旧)松下福祉年金「契約順守を求める会」

2011年4月29日金曜日

◎ 裁判までの経緯

 平成14年4月、経営不振などを理由に、一定利率の引き下げをお願いする、同意だけの項目があるハガキ入りの社長名の封書が送られてきた。

同意者が少ないため、元上司や責任者を通じての説得、いやがらせ、家族へのおどしなど、いろいろな手段で同意が強要された。

 同年9月、9割を超える同意が得られたと、創設以来36年間一度も無かった、利率の変更(減額)を不同意の受給者も含め強行実施した。

 やむなく、受給者(待機者含む)115名が訴訟を決意し、平成15年5月減額された者、75名が大阪地裁に提訴、以降、減額が生じた者30名が順次加わり結審時、計105名が裁判をする一次訴訟団となった。

◎ 一次訴訟団、一・二審で敗訴、最高裁も不受理。

①裁判の中で、会社側は、開示も告知もしていない「福祉年金規程」の23条1項を引き下げの根拠とし、また、内田貴東京大学教授の「制度的契約論」と言われる鑑定意見書を提出して、会社対個人の契約では無いので、社長が福祉年金規程を改定すれば減額できると主張した。

②原告側は、会社と個人の契約であり、内田意見書に反論する、龍谷大学、川角由和教授の鑑定意見書を提出、受給者の同意を得ずして一方的に減額できるとする制度的契約論で不正義が合理化されてはならないと反論した。

③原告の敗訴は、裁判所が、労使協定を無視し福祉年金契約を規律するものは「福祉年金規程」しかないとする誤った判断を前提としたもので、一審では、契約は退職金の支給方法の合意であり、年金額の利息部分に①「通常利息」と②「超過利息」(贈与)があり、②は下げても良いと常識では区分の出来ない全く不可解な判示がなされた。

④最高裁に上告受理申立をしたが、平成19年5月、民訴法318条1項により不受理との決定がなされた。

◎ 二次訴訟団10名の裁判闘争。

 一次訴訟の大阪地裁の結審時、まだ減額がなく原告になれなかった(待機者)10名が、平成18年5月、新たに、労働協約を基とした観点から、大阪地裁に提訴した。

①松下の労使協定書には福祉年金に関し「具体的実施基準」を定めている。年金契約はこれに基づき誘引、申込み、承諾したもので、裁判の中で会社側に、この労使協定書の提出を求め証拠として採用させた。

②社長が、この労使協定書の内容に反する規程の制定はできない事は明らかで、減額は協定違反であると主張した。

③協定書には 既契約者の契約内容を変更できるとする定めが無いことも明らかとした。

④一・二審はこの協定書と規定の関係を無視し、福祉年金規程の23条による引き下げを有効として敗訴した。平成21年3月、最高裁に8名が上告受理申し立てを行い、受理要請活動を1年8ヶ月にわたり実施したが平成22年11月、最高裁は一次訴訟と同じ理由で不受理の決定を下した

 

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