06/11/27 企業年金研究会 第3回議事録

 

第3回 企業年金研究会議事録

 

 

                                     日時 平成18年11月27日(月)

                                            10:00~12:00

                                      場所 厚生労働省専用第21会議室

 

 

○森戸座長 ただいまより、第3回企業年金研究会を始めさせていただきます。議事次第に沿って会議を進めてまいりますが、前回皆様にご賛同いただいたとおり、関係者の方々からヒアリングを行います。

 本日は、日本レコード・キーピング・ネットワーク(NRK)の小寺様、日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー(JIS&T)の冨手様、NPO法人確定拠出年金教育協会の斎藤様、そして在日米国商工会議所(ACCJ)のハイマス様と小泉様にお越しいただいております。なお、小野委員、野村委員によるプレゼンテーションを行う予定にしておりましたが、前回のヒアリングの状況を踏まえて、フリーディスカッションの時間をもっと確保したほうがいいだろうと考えましたので、私の判断で、次回にお願いしたいと思います。ご了解いただければと思います。

 それでは、まず事務局から資料の確認をお願いいたします。

 

○簔原課長補佐 それでは資料の確認をさせていただきます。資料1は日本レコード・キーピング・ネットワーク様からの説明資料、資料2は日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー様からの説明資料、資料3はNPO法人確定拠出年金教育協会様からの説明資料、資料4は在日米国商工会議所様からの説明資料です。委員の方々の席には議事要旨を前回と同じように配付いたしましたので、何か修正すべき点等ございましたら、今週中に事務局までご連絡をお願いいたします。

 

○森戸座長 早速ですが、日本レコード・キーピング・ネットワークの小寺様、日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジーの冨手様から説明をお願いいたします。

 

○小寺様 日本レコード・キーピング・ネットワークの小寺です。よろしくお願いいたします。

 本日は、RKとしての日頃の問題意識や、それの解決のための制度上の改正要望をということで手前勝手ですが、我々の業務基盤の1つであるシステムが経営上5年が償却期間とされていることと関連して、丁度よい振り返りの時期と感じております。しかしながら、何分私どもは運用関連運営管理機関の再委託先として業務を実施しております。

また、制度に従ったインフラを支えている、いわば裏方です。まず、弊社業務の実態の一部を説明し、その後若干の要望を、それは制度の基本的部分というよりも運用面での要望といった感じになるかもしれませんが、申し述べたいと思います。

 まず弊社の概要ですが、1頁目に示されているとおり、私どもはシステムの管理サイドと事務処理の会社として1999年12月に設立されました。なお、システムの開発サイドはこれより先、1999年8月に別会社が設置されておりましたが、一応立ち上げの目処がたったということで、2004年9月に弊社に統合して今日に至っております。

 これまでの間、そうした合併や会計上のルールに基づく資産の償却等を経ており、現在の資本金は165億円です。当初の見積もりでは、管理する加入者等数がそろそろ200万人に達して、いわば収支均衡の状態に差し掛かっているはずでしたが、現在のところ、実績値としては半分程度の規模にとどまっております。然はさりながら100万人の規模でありまして、その方々の確定拠出年金の情報をお預かりするという立場からしますと、何よりも業務の安定性、安全性を心がけて業務に従事しているところです。また、利便性や効率性といった面も、私どもが多数の関係者に支えられている立場から、当然の業務理念として日頃肝に銘じて業務に邁進しているところです。

 その中で私どもが配慮すべきことは多数あるため、1頁の下の方に、業務遂行上の課題としてそれらを記させていただきました。加入者等数増加と加入後の経過年数の長期化に伴う記録管理データ量の増加、より煩雑な給付裁定業務の増加、セキュリティ体制の一段の強化、これらが私どもが十分注意してやっていくべき主要な課題であると認識しております。

 まず、加入者等数の増加です。2頁目にあるとおり、当初緩慢な伸びでありましたが、2003年度に入ってから比較的まとまった伸びを示しております。おそらく、今年度も25万人程度増えて、年度末の3月には110万人ぐらいになるのではないかと期待をしています。

 ただ、ここで注意することは、データ量の伸びです。我々のデータ量というのは業務の重要な基盤の1つです。これに関して3頁のグラフをご覧ください。ここに折れ線で示された加入者等数と棒で示されたデータ量はあたかも比例して増えているように見えるかと思いますが、これはそれぞれグラフのマジックといいますか、目盛りの取り方によるものであり、むしろご覧いただきたいのは、いちばん下の表です。2001年度末を1としたときの指数変化で見ますと、加入者等数が2006年9月末で54.3、これに対して容量のほうは1,045.3と約19倍の開きがございます。つまり、データ量という資源の一部は、単に人数だけではなくて、年数その他の変数の影響も受けて処理量が増えていきます。我々の資源、言い換えれば確定拠出年金のインフラにどんな変数があるのか、また、その変数が今後どのような変化をするのであろうかといったところをよく見極めて将来の準備をする必要があるということがまず1つです。

 そうした資源需要の増加にどうすれば効率的に対応していけるのかが2つ目で、そのようなところに注意しています。もちろん、こうした変数の中には先ほどの加入者等数のように、かえって初期の増加見込みを下ぶれしてしまうような場合があるわけで、まさしく的確な予測が安定的な業務の遂行のためにも非常に重要であると考えております。

 同じようなことが給付裁定の問題でも言えると思います。4頁にあるとおり、絶対水準としてはまだまだですが、確定拠出年金が新しい制度であるということもあり、関係者の皆さんが事務に不慣れな点も見受けられ、今後、そうしたところがいかに正確になっていくか、また、増加スピードがどの程度になっていくのかといったところの見極めが必要です。

 システム同様、もう一方のインフラ要素である事務についてもこのような変数の予測、また、何よりもそれに対してどのように効率的に対応するかといったところを我々は注意していかなければいけないと考えています。3番目に挙げましたセキュリティについては、この場での説明は割愛させていただきます。

 実態面の説明として、5頁に過去の制度改正時の対応状況を簡単に紹介しております。RKの記録業務は、システム面、事務面ともに入口部分の加入者登録処理関連の部分と、途中部分の加入期間中処理関連、それから出口部分の裁定給付の3つに大きく分かれると思いますが、ほとんどの場合、制度の改正がなされると、いずれの段階の処理関連にも何がしか手をつけていかなければならない、ということがご覧いただけると思います。

 こうした費用が発生する一方で、ではどういう効果があったのかということについては、まだ改正後1年ですので結論を出すのは早いかもしれませんが、今後注視していく必要があるのではないかと考えております。利便性向上のために制度改正するわけで、それがコスト高ゆえに使われなくなれば何の改正か分かりませんし、コストを無視したインフラ投資というものは、結局巡り巡って、利用者の中長期的な不便にはね返ってくるのではないかと考えます。インフラ整備に従事する者といたしましては、制度改正に当たって、真に制度普及につながるものというのをよく見極めていただきたいし、できるだけ簡素な設計をしていただきたい。金銭的なコストに加えて、時間的な対応といった面からも、そういうことを申し上げておきたいと思います。

 6頁に、実務運営上の問題をいくつか項目として挙げてあります。1つ目の特別法人税については、すでにさまざまなところから、制度普及の観点から要望が出されているようですが、RKの立場からしますと、凍結解除ということになりますと、現行に比べて相当な事務及びシステム面での増加要因になるであろうと考えております。

 2番目の原簿項目及び保存期間の見直しも、システム負担を少しでも軽くしていただきたいという観点から挙げました。

 3番目の加入者住所等の変更手続に関しては、基本情報の正確性を高める観点から、事業主経由となっているところを、加入者自身からの変更手続も認めていただければというところです。

 4番目の退職一時金制度からの移換については、関係者、事業主、運営管理機関、それから我々、ともに負担がかなり重いようですので、できれば一度の手間で済むようにできないかという希望です。

 5番目は基礎年金番号についてですが、本人の動静確認は、「簡便かつ正確」がキーになりますので触れさせていただきました。7頁に、毎年出している業務報告ベースのケースについて、重複のデータを分かる範囲でお示ししましたので参考にしていただければと存じます。

 冒頭申し上げたとおり、弊社の業務形態やRK業務の性格ということで制度について直接物を申し上げるというよりも、RKとしてはこのような影響がありますといった観点で説明させていただきました。制度普及に資する改正には積極的に対応する所存です。

また、そうしたことでRKとしての業務基盤をより一層強化したいわけで、制度改正とインフラ強化の好循環を要望したいと考えております。以上で私の説明を終わらせていただきます。

 

○森戸座長 ありがとうございました。では冨手様、お願いいたします。

 

○冨手様 日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー経営企画部長の冨手です。よろしくお願いいたします。

 本日は、NRKさんと同じように記録関連運営管理業務を担うRK業者の立場として、主に制度改正についての要望内容を説明させていただきます。先程ご同業のNRKさんから業務内容、運営状況、あるいは制度改正についての要望といった報告がありまして、私がこれから説明する点と重複する点があろうかと存じますが、重複している点については共通の、より強い要望だとお考えいただければと思います。

 本日は説明用資料として資料2「確定拠出年金法制度改正に関する要望」を用意いたしました。同業でありながら、資料の作りや報告内容について差があるとお感じになるかもしれません。ここでの説明の場をいただいていろいろ考えたのですが、説明の順番として私どもが2番目だということもあり、業務報告についてはおそらく詳細な説明をいただくであろうと考えました。そこで、私どもは専ら制度改正の細かい点について述べたほうがバランス上よろしいかと思いまして、かなり体裁の違う資料になっておりますが、ご容赦いただきたいと存じます。

 先程、NRKさんから業務概要について説明がありましたので、私も同じように、件数や資本金等について補足をさせていただきたいと思います。資料1と並べて報告したいと思います。会社概要ですが、設立は1999年8月です。また、私どもは設立後ずっと単体で来ておりますので、昨年80億円の増資を行い、いまは429億円の資本金となっております。従業員数は70人強です。接続機関は、運営管理機関が144機関、資産管理機関が6機関、商品提供機関が138機関です。

 次に2頁目、加入者等数について報告いたします。10月末時点での加入者等数は、企業型と個人型とを合計して101万5,000人ですので、NRKさんとほぼ同数の加入者を受託していることになります。単年度の増加数でいいますと、今年度は14万5,000人ほど増えています。また、着値もほぼ同様になるのではないかと見ております。

 データ容量等の説明がありました。あいにく、私はケースを持ち合わせていないのですが、傾向としては資料1で示されたものとほぼ同様だと考えております。定時の拠出やスイッチング等で運用の記録が累積的に増えます。年金ですので、仮に30年なり40年なり経過する期間の中では、単純にこのデータを見ておりますと、累増していく形になろうかと思います。しかし、これはRKとしての宿命といいますか、当初から想定された業務ではあります。データの持ち方やデータの保有期間等については後で要望として申し上げたいと思いますが、何らかの期間を設定する等の配慮はしていただければと思います。

 それでは資料に基づいて説明に入らせていただきます。資料2の目次をご覧ください。

要望内容を4つのカテゴリーに分けております。要望の1は「確定拠出年金制度の普及に向けて」です。この研究会には、過去においても各方面から同じような要望がなされており、そういうことと重複しておりますが、健全な業務運営をしていただきたいと思います。私どもからすると、受託数が増えることが経営基盤の安定上非常に重要だということもありますので、制度普及をより促進していただくように、このような点については重ねて要望したいと考えます。

 要望の2は「関係機関事務処理効率の向上に向けて」です。これは先程も話があったとおりで、RKとして事務処理の効率化あるいはシステムコストの引き下げといった努力はしているのですが、法定要件の見直しで合理化が見込まれるものを列挙させていただきました。

 3番目は「自動移換問題の解決に向けて」ということで2点挙げております。前回この場において、国民年金基金連合会の日原部長から「自動移換者増大への対応のために」ということで説明があったとおりで、制度創設当時は、自動移換者というのは例外的なケースと考えられていたかと存じますが、現時点では、当初の想定を超えるような水準で増加しております。自動移換に関わる特定運営管理機関業務を私どもが受託しておりますので、業務運営上の観点から、この点については私どもから要望するのが適切であろうということで3番目として挙げさせていただきました。

 最後は「その他(諸規定の整備について)」ということで1項目だけ挙げておりますが、その他にも細かい点が多々ございます。これは当局のほうに日頃から、解釈の点あるいは見直しについて細かい点を要望しており、あまり末節に近いような話をこの場でするのはいかがなものかと思い1点だけ挙げました。

 1頁をご覧ください。「制度の普及・浸透を着実なものとするために」です。これは制度そのものの魅力をより一層高めていくことが普及を考える上では肝心な点であるということで(1)~(6)まで挙げております。(1)の拠出限度額の引き上げ、(5)の退職手当制度からの資産の移換について、(6)の特別法人税の撤廃については、前回も報告がありましたので内容について重ねて申し上げることはないと思いますが、企業が制度を見直す上でこれらが障害になってはいけないということで挙げている点です。

 同様に確定拠出年金制度の魅力を増すと思われるものとして、(2)の個人型年金加入者資格要件の緩和が挙げられます。特に第三号被保険者への適用拡充についてと、(4)の脱退一時金の支給要件緩和について挙げております。これもこの場で取り上げられたと思いますが、特に、現状は確定拠出年金制度が他の人事制度といいますか、退職金制度や年金制度との選択制がとられている場合がありますが、その際に、確定拠出年金として要件が厳しくて選択する上では躊躇してしまうといったことがありますと、こちらとしては大変残念なことだと思っております。そのため、この2点は特に検討をお願い

したいと思います。

 (2)の個人型年金の加入者資格要件の緩和ですが、加入者であった方が辞めて第三号被保険者となった場合には、個人型の運用指図者となるか、手続を行わない場合には自動移換者となるか、いずれかということになり、そのままでは拠出を継続することはできないわけです。そのため現実問題としては、給付を受けられるまでの間は、老齢給付ですと60歳までになりますが、その間のコストを負担せざるを得ない状況となり、そのことが問題だと思います。また、これは自己責任の制度ということもありますので、拠出を続けたいという意思があってもできないということになれば、制度に対する不満が生じると思います。

 (4)の脱退一時金の支給要件の緩和ですが、退職金の代替という位置づけの話については前回も議論があったかと思います。私どものコールセンターにも、昨年要件緩和された以降も引き続き、なぜ制度から脱退できないのかといったような問合せがあり、他の制度と比較してバランスに欠けている点があるのではないかと感じられますので、この辺りもご検討いただければと思います。

 (3)の公務員の確定拠出年金制度への加入についてですが、公務員の年金制度全体の見直しがいま議論されている最中でもありますので、その過程で結論が出るものと期待しております。公務員の皆さんが確定拠出年金制度に加入することになりますと、対象者が拡大するということで、民間についても制度の普及が一層進むのではないかと期待しており、私どもとしては、是非このような方向でご検討いただければと思います。

 2頁では、私どもを含めた関係機関全体での事務処理の効率化ということで3点挙げております。先程もRKの業務特性という話がありましたので繰り返しは不要かと思いますが、制度で規定された法定要件の中には、利用者の皆さんの利益を侵害することなく、かつ制度の趣旨に沿った範囲内で事務の合理化、効率化が期待できる点があろうかと思い、以下のような点を挙げております。

 まず1つ目と2つ目です。これは原簿の記載事項という細かい話になってしまいますが、項目の引き継ぎ、保存期間の短縮、あるいは一部項目の保存年限の設定ということがあります。これについてはなかなかご理解いただくのが難しい点があろうかと思いますが、私どもが主たる業務としている加入者原簿の記録管理という点からしますと、管理の対象となるデータを過不足なく、利用目的に沿った形で保管することが業務要件になります。そういった観点で資源の有効活用というのは先程申し上げたとおりで、このままいきますと、単純に加入時点から、給付を受け、制度を脱退し、一定期間保管するという長期間のことを考えますと、データ量としては相当なものになりますので、ある意味、実務面で代替手段がとれるもの、また法定要件で定期的なレポートを出しておりますが、レポートを出すことで利用目的が達せられるものは、保存期間を合理的な範囲で見直していただく、つまり短縮していただきたいということです。

 それとは別に、保存年限が決められていないものがあります。その中には、決めていただくことで私どもの扱いが合理的になるという面もありますので、そういった点についても見直しをしていただければ大変ありがたいと思います。

 基礎年金番号の取扱いについては、先程のNRKさんの話と同様に、基礎年金番号は、確定拠出年金法においては原簿、帳簿の記載事項になっておりませんので、私どもからすると、各加入者を特定するための情報としてすべて使える状態ではない、あるいは届け出ていただくという義務が課せられていないという点があり、この点を見直していただければありがたいと思います。

 3の自動移換問題の解決に向けてですが、これは当然、脱退一時金の支給要件の緩和によって自動移換になる方を減らすという策と合わせて検討していただきたい点です。

冒頭に申し上げたとおり、私どもは特定運営管理機関業務を国民年金基金連合会から受託しており、企業型、個人型のRKと特定運営管理機関という両方の立場から見て、自動移換者の発生を抜本的に防ぐ措置はないかということで(1)個人別管理資産の移換先についての要望をしております。

 企業型年金規約においては6カ月間その方が自ら手続をしない場合には、移換の受け皿として、規約であらかじめ決めていただいた個人型プランに特定しておくことになっています。自動移換の対象にならずに、企業型から個人型に移行がスムーズに行われるのではないかということで要望しているものです。これを規約に最初から入れ込んだということではありますが、あくまでも資格喪失された方が自ら移換手続を行わない場合には決められたものに移行するという措置でありまして、ご本人が自らの意思で別の個人型に行きたいといったものを阻害するようなものではありませんので、1つの考え方としては成立するのではないかと思います。

 3頁の(2)は、現存する自動移換者に係る諸規定の整備についてです。今後表面化することが予想される実務面での課題を3点挙げております。まず①の個人別管理資産が消滅した自動移換者の記録の取扱いです。個人別管理資産がゼロになった方については記録だけ保管することになっておりますが、将来給付を受ける際に必要とされる事項として、通算加入者等期間という情報があるのですが、このようなものを書面で送付することで管理の対象から外れるようにしたほうが、自動移換者にとっても、手続をスムーズに行う上では有効なのではないかという点です。

 ②は、自動移換者が70歳に到達した場合の取扱いです。これは企業型、個人型の年金加入者であった方については、制度内で個人別管理資産、つまり残高がある場合、70歳までに老齢給付を行えない場合には、強制裁定といいますか、老齢給付を受けることができるのですが、特定に自動移換された方については、70歳を超えても、いわば無期限に管理が継続するという状態になっております。弊社としてはそのような状態になった方をそのまま放置することになるのですが、このような対処が果たしていいのかどうかという点もあり、この手続については是非明確にしていただきたいということです。

 ③の自動移換者が氏名または住所を変更した場合の通知義務についてです。これはもともと移換、受換の手続を直ちに行うことを前提にした制度だと思うのですが、そこでは住所変更手続は明記されていないという状況になっており、私どもからすると、この辺りで明確に変更手続をしていただく形になっていないと、督促する上で年1回の通知を発送しておりますが、届かずに戻ってくるものが散見されております。このような状況が続くと、連絡のつかない方が増えていくというようなこともありますので、管理する私どもとしては、氏名・住所の変更といった点については手続を進めていただきたい、そのような制度上の枠をはめていただくのがいいということです。

 70歳到達時の取扱いや氏名・住所変更、自動移換者については、制度設計時点ではポータビリティの途中のステータスということで、おそらく長期にわたることはなく、また、件数についても少数にとどまるだろうといったことかと思いますが、いささか当初の想定から外れていると感じますので、この点については是非見直しをお願いしたいと思います。

 「その他」については、企業型年金の資格喪失者が辞めるのと同時に引っ越しをされるといった場合に、氏名・住所の申出を義務づけされていないために、送付物を送っても戻ってくるケースがありますので、連続性を担保する上では、こういう通知義務を規定していただきたいという内容です。かなり細かい話を申し上げてしまいましたが、RKとしてはこのような細かい業務運営をやっております。5年が経過し、その間に当初想定していなかった点については制度改正で手当をしていただいておりますが、手続面ではこれからも、このような細かい点の要望をさせていただいて改善に努めたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 

○森戸座長 ありがとうございました。ただ今の小寺様、冨手様のご説明について、皆様からご意見、ご質問等は何かございますか。

 

○加子委員 これは質問というよりは意見なのかもしれないのですが、今JIS&Tの冨手さんからご説明のあった自動移換に関する点です。ご要望は、企業の規約で定めればということです。確かに規約で定めれば、形式的には自動移換はなくなるということなのかもしれませんが、我々企業の実務をやっている立場で考えますと、現実にはなかなか難しいかと思います。これは考え方の問題ですが、特定の金融機関のようなものを定めることが推奨行為との関係でどうかという議論があるかと思います。また、特定の金融機関について労使で合意するということは現実的にも難しいと考えます。

 いわゆる自動移換の問題ですが、事はそんなに簡単ではないと思っております。私どもも、説明の義務ということもあって退職者に対して説明を行いますが、それにもかかわらず、自動移換に行く人もいるというのが実態です。退職してから後の行動様式について、必ずしも我々が把握しているわけではないのですが、我々が実務をやっている中で感じますのは、1つは、意識的に自動移換に行っている人もいるということです。手数料の問題等を勘案した上で、それでいいという選択をする人がいます。手数料という点で見てみますと、現実には金融機関の手数料というのは、企業型の場合は競争ということもあって手数料が非常に下がってきている状況にありますが、個人型の場合というのは、競争原理にさらされていないと言うと問題なのかもしれませんが、手数料が結構高いということがあり、手数料の高さという点で個人型に移るのに躊躇するケースがあります。

 当社を退職した後、すぐに別の会社に勤めるような方ですと、その会社に確定拠出年金があればそこへ入ればいいわけですが、そうでないようなケースで、手続をするのが、いろいろな意味で難しい、あるいはなかなか暇がないということがあります。それから、当社の場合ですと地方の拠点も結構ございますが、地方の金融機関ですと、相談に行っても、個人型の確定拠出年金を扱う専門の担当者がいなかったり、十分説明していただけなかったということもあるように聞いていまして、いずれにしても、これをやろうとすると、いろいろな意味で世の中全体のインフラについてといいますか、そのようなことも踏まえた上で総合的に見ていく必要があるのではないかと感じております。JIS&Tの方のご要望に対してそのようなことを思ったものですから申し上げました。

 

○森戸座長 冨手さん、何かありますか。

 

○冨手様 いまおっしゃった点はまさにそのとおりだと思っております。私どもが今回抜本的にこれをやればというのは非常に直接的な方法でありまして、これしかないとは思っておりません。しかし、検討テーマの1つとしてはあり得るのではないかということで申し上げておりまして、これも排除されるということになると、なかなか打つ手もなさそうですし、お辞めになった方が自分で選択する際に迷っておられるという話も聞きますので、そのような点を考えると、最初に労使合意でこのような手続が進められる可能性があるのであれば1つの手ではないかと思った次第です。

 お考えは大体一致していると思うのですが、自動移換者の問題を考える上では、相当数の企業が確定拠出年金制度を導入して、ある一定の水準まで加入者の方が到達し、かつ金融機関や運営管理機関もある程度この業務について習熟しているというような環境があれば、こういった問題はあまりないと思うのです。最初に確定拠出年金制度が大企業からスタートしているということもあり、結果的にこのような方が大量に出てきたということはあろうかと思いますが、これは徐々に解消する話だろうと思います。ですので、あまりここだけ捉えて議論をねじれさせるのも具合のいい話ではないとは思います。

いずれにしても、いま6万人ぐらいに達しておりまして、毎月3,000人を超える方が自動移換されるという状況になっておりますので、何らかの手を考えていただければありがたいと思います。

 

○森戸座長 先程のご意見は単なる質問ではなくて、議論のベースになるようなご意見をいただいたと思いますので、後のフリーディスカッションでも議論したいと思います。

ほかにご質問、ご意見等がありますか。

 

○島崎座長代理 大きな流れというかご主張の趣旨について、十分理解できなかったので、もし私の理解が違うのならご指摘いただきたいということでお二方に伺いたいと思います。次のような理解でよろしいのでしょうか。

 レコード・キーピングというのは、イニシャルコストが結構かかる。確定拠出年金については、当初両社で考えていた見込みとは少し異なっている。しかし、今後いろいろな条件を整備していくなり、要件を緩和していくなりすれば、もっと魅力が高まって加入者が増えるだろう。ただし、2つ大きな問題がある。1つは、途中で制度改正をすると、それによってシステム負荷がかかってくるものがあり、そのことはよく考えておいてほしいということ。2つ目は、加入者が増えれば容量も増えてくるので、それに伴ってランニングコストもかかってくる。現行の制度の中でも合理化が図れる部分があって、それをやってもらえれば、もう少しコストが下がる。おおよそ、そのような理解でよろしいのでしょうか。それがあまりにも大雑把な捉え方だということであれば、ご指摘いただきたいと思います。

 

○小寺様 概ねそのようなご理解で結構ですし、我々もそのように理解しています。当初想定外のことが、5年も経てばいろいろ出てくるのです。先程私は、200万人を目処にやっていて、そろそろほぼ同じぐらいのところにいくのではないかと申しましたが、これも、我々自身の努力によってもう少し見直しをすればペイラインはもう少し下がってくるということも見えております。一方で制度改正や予期せぬ展開があって、追加的なものも発生しており、そこのところが今後どうなるかというのはよく分からないのですが、できる限り簡素な設計をお願いしたいという思いはございます。我々としてもできる限り合理化をして、最終加入者には負担がいかないように、むしろ、今想定している中で、できる限り品質の高いものを提供できるように努力をしているところです。

 

○冨手様 私も同じような感じではありますが、私どもが業務を開始して丸5年が経ち、減価償却という点でいいますと、今月辺りで丸5年の償却を終わっております。この制度を立ち上げるためには莫大なご出資をいただいて装置をつくったということなのですが、ここまで来ますと、収支均衡を目指して私どもも合理化をしているということでもありますので、そのような点では目鼻が立ってきたという状況だと思います。

 ただ、制度改正の追加コストという点で言いますと、当然、制度改正しませんと普及ができないというバランスです。私どもとすれば、普及促進のための投資であれば、それは当然見合う部分はあると思います。ただ、追加コストのかけ方として、これは5年前あるいは7年前の反省だとは思いますが、制度改正の中身が明確にならない前にシステム構築をせざるを得なかったという状況がありました。現時点では、さすがにそのようなことはないだろうと思いますので、適正な検討期間、リードタイムをいただいて、その間でいちばん合理的な企業事務なりRKの事務を構築できるのであれば、負担で立ちいかないといった話にはならないだろうと思っております。

 

○野村委員 先程、競争というような言葉も出てきたかと思うのですが、そういう意味では2社以上のRKがあるということはとても重要なことではないかと思います。2社の方がお揃いだということもありますので、両者を差別化というか、ここが違うというようなことを少しご教示いただければと思うのですが。

 

○冨手様 直球に直球で返すのはなかなか難しいのですが、企業事務でいいますと、私どもは企業と直接データのやり取りをしている、というところが若干違うと思います。

ですので、私どもから送付物が行く場合には、JIS&Tと書かれたものが基本的に行っておりますし、データのやり取り、あるいはチェックは直接行うという違いがございます。 システム的な作りは、当時の設計者のそもそものコンセプトが違っているということから、おそらく、運営コストや構築費用については違いが出ているのだろうと思いますが、それが差別化の要因になるかは明確に言えないと思います。また、サービス内容を反映して、料金体系も違っていると私どもは理解しております。

 

○小寺様 冒頭に私が申し上げたとおり、業務のやり方が2社の間でも異なっています。我々は運営管理機関の再委託先ということで、直接には接していません。JIS&Tさんのほうはより直接接することが多いと思います。その分、料金にはその分がそれなりに反映されていると思います。そういうことで、利用者から見て全く同じではないと考えております。

 

○小島委員 NRKさんの資料を拝見しますと7頁で、加入者平均の商品数が2006年3月末では2.7と若干増えてきているということです。しかし、実際に加入者自身のスイッチングで運用先の比率を確保するということは、多少は増えてきているのだとは思いますが、その辺りは、導入時期から比べるとどのような状況になっているのかお聞きしたいのです。

 それから、加入者の増加に伴ってデータ量が増えたということでした。これについては3頁のグラフが出ておりますが、上の方の棒グラフで、2006年のところでかなり増えています。先程お話のあった、制度見直しが2005年に行われたことの影響だと思いますが、商品のスイッチングを頻繁にやる。スイッチングが増えれば事務量は増えていくのですが、データがそんなに増えるということではないと思います。つまり2つ目の質問は、データ量あるいは事務量がスイッチングの動向によってどのようになるのか、スイッチングは事務量あるいはデータ量にあまり影響がないのかどうかを伺いたいのです。

 

○小寺様 ご質問の1点目の預け替えですが、我々のシステムの中でデータを瞬時に、即時に正確なものを出してくるというのは、正直に申し上げて難しいところがございます。我々としても、今は少し落ちついてきましたが、マーケットが一時期右肩上がりになったときには、データ負荷が高まるので見ておかなければいけない、ということで見たことがありました。詳しいデータはこの場では分かりませんが、そのときには確かにかなり増えていたという記憶がございます。ただ、加入者によって非常にばらつきがあるのです。預け替えを頻繁になさる方と、そうでない方とでは差があるだろうと思います。これが第1点のご質問に対する回答です。

 質問の第2点目についてですが、2006年1月に大幅に増えているのは、このときと前後して大口の加入があったということが最も大きな理由と聞いております。ただ、おっしゃるように制度改正の影響、あるいは、ちょうどこの時期加入者増に伴ってスイッチングが結構あったということも影響していたと思います。細かい分析はまだ行っていないので、この場ではお話することができないのですが、最も大きいのは、この時期大口の加入があったということです。

 

○森戸座長 ありがとうございました。まだいろいろご意見、ご質問等がおありかと思うのですが、時間が迫っております。小寺様、冨手様は席を移動していただきたいと思います。

 

(小寺様、冨手様席移動)

 

○森戸座長 続きましてNPO法人確定拠出年金教育協会の斎藤様、在日米国商工会議所のハイマス様、小泉様から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○斎藤様 確定拠出年金教育協会の斎藤と申します。本日はこのような機会をいただきまして、どうもありがとうございます。

 私どもの協会は2002年1月に発足して、約5年弱になります。主に確定拠出年金における教育の重要性をアピールしてまいりました。以来、活動の一環として確定拠出年金に関する調査を行ってきまして、本日は、その結果をご紹介しながら、協会の持っております現状の認識と、今後の制度充実に向けての改善のお願いをしたいと思います。

よろしくお願いいたします。

 資料の2頁をご覧いただきます。本日のお話の趣旨をこの一枚に書きました。この一枚で話の7、8割方が終わってしまうようなところもございますが、私が是非お願いしたい点は、ハード面、OSの充実とともに、実効性を高めるソフト面の充実です。いままでお話があった制度や全体のシステムをハードという面に置き換えますと、ハードの改善という部分は専門家の方々に委ねて、より良くしていただくことを是非ともお願いしたいと思っております。私どもの協会がやっておりますことは、立場的には加入者の立場に立って、この制度がより良く機能するように、まさに企業の導入のしやすさというようなことに加えて、最終的な利用者である加入者自体がより良くこの制度を利用していけるように、それから、主人公として上手にマネジメントできるようにすることですので、それを介助するソフト面の充実を同時にご考慮いただければと考えております。

 協会が今までやってきた調査を紹介したいと思います。まず、現状を報告するに当たって3つのブロックから抜粋しました。1つは企業担当者の制度改正要望の内訳を、昨年2005年と今年2006年、2回にわたって意見を聞くことをいたしました。その調査の中で、制度改正の項目については、従業員規模や制度導入の年数などによって要望の内訳が異なるということが分かりましたので、それを報告したいと思います。

 2つ目は、導入後の事業会社の状況なのですが、確定拠出年金を導入してから初めて経験する、もしくは直面する課題というものがあることが調査結果から見受けられます。

実際に導入した後の制度の運営面におけるスムーズな実行について、何らかの改善がなされればと考えております。

 3つ目ですが、加入者の制度の利用実態、運用実態についての調査もいたしました。これは2005年の暮れから2006年の初めにかけて行った2,300名の調査データの中身です。その中から見えてくるところは、本来の主人公であるはずの加入者が十分に制度を使いこなせていないのではないか、ということです。最後の21頁に、今日使用した調査の概要を記しておきましたので、適宜ご参照いただきながら話を聞いていただければと思います。

 3頁です。これが1つ目のブロックの企業担当者の制度改正要望の内訳の結果です。

これも以前発表したことがありますので、ご覧になった方もいらっしゃるかと思います。

我々が調査した中で非常に注目しているポイントは、本人拠出の容認を求める企業が、2005年から2006年との比較の中で伸びていることです。「本人拠出が出来ることを希望する」割合が49.6%の2005年の数字が、2006年では70%になっており、約20%伸びています。その理由については10頁にあります。4~8頁については、中途脱退及び限度額の引上げについての内訳の調査の中身になっています。これは時間があるときに見ていただければと思って資料として添付しました。本日は本人拠出の部分について特に説明したいと思います。

 10頁は、企業の担当者に対して、制度改正の要望についての本人拠出の容認について「なぜそれを希望しますか」という質問をした答えです。4つの選択肢の中から選んでいただきました。1つ目が「確定拠出年金制度に対する従業員の加入意識を高めたいから」、2つ目が「従業員の老後の資産形成に対する、会社の負担能力に限度があるから」、3つ目が「会社分の負担を減らしたいから」、4つ目が「従業員個人に合った老後の資産形成を、会社がサポートできるから」という設問にしました。 全体の平均でいいますと、4つ目の「従業員個人に合った老後の資産形成を、会社がサポートできるから」という理由を選んでいる方が多いのですが、下のグラフを見ますと、早期に導入した企業2002年、2003年の赤で括っている数字が、サンプル数2002年の場合は、少し少ない数字ですが、60%を超えて高くなっています。「確定拠出年金

制度に対する従業員の加入意識を高めたいから」に高い数値が出ています。

 2002年、2003年の導入企業に対していえば、そこの部分だけを見ますと、先程平均で「老後の資産形成を、個人に合った格好で会社がサポートできるから」という数字と逆転していることがわかります。

 これに関連して、もう1つ興味深いデータがあります。11頁を見ますと、同じ調査で、「本人拠出の容認の意向と、継続教育を導入企業の中で実施されましたか」という質問をクロスさせたものです。継続教育を実施した企業に「本人拠出ができることを希望する」と「実施した」が交わるところを見ますと、先程のパーセントに対して75%という高い数字になっており、有意な数値になっていると言えると思います。先程の加入者意識を高めたいという希望が、まさにこの背景にあるのではないかと考えています。

 私どもは継続教育という部分が、導入後の確定拠出年金の実効性を高めるソフト面という意味では極めて重要な要素であると考えている次第です。現在、継続教育については、企業の負担になっていますが、企業の担当者自身も、実はそうは言っても、どう行えばいいのか、どうすれば従業員を引き付けられるのか、どう行えたら気づきを与えられるのかと悩んでいる姿が見えてきます。それをサポートする何らかの方策が必要ではないかと考えるのが次の頁のデータからです。

 12頁です。企業の担当者の現状の評価を聞きました。いちばん上の退職給付制度の改定は、とりあえず一段落したという一段落感を、企業の方々は確定拠出年金導入後、多く持っています。「ややあてはまる」まで入れると86.6%になります。一方で4番、5番のような金融商品の情報収集に、改めて不安を持ち始めたという、導入後の不安感があることが実際に数値として高くなっていることがわかります。

 具体的に継続教育そのものについて聞いたのが13頁です。これは継続教育の必要性を感じていますでしょうかと、継続教育に関する現状を聞いたのですが、1の継続教育の必要性を感じている所は8割に上ります。一方で7、8の他社の継続教育の動向が気になっていたり、年金への関心の低い若年層への対策が必要だと感じていたり、9の継続教育について相談する相手がいないというのが少ないのが救いですが、おそらくこれ

は運営管理機関に対して相談するという意味合いだと思います。10の加入者の「投資知識レベルについて検証する必要がある」が5割を超えており、導入はしたものの、新しい不安と課題に担当者自身が直面していると理解しています。

 企業の方々には単独で継続教育をするには負荷がかかるので、合同で複数の企業が集まって、就職活動の会社説明会のような格好で教育をやっていこうかという話も、時々相談などで承っていますが、そうした状況が見て取れます。

 15頁です。実際に継続教育などのきっかけになるのは元本確保型商品に加入者が非常に偏重していて、なかなか加入意識を持ってくれないのではないかという部分です。「それはなぜだと思いますか」と聞いたのが、担当者として加入者が元本割れのリスクを取りたくないからではないか、運用の知識がないからではないかなどと思っている方が8割、7割という高い数値です。

 このデータの中で非常に特徴的なのは、誰も思い当たることはないと言っている方がいないことです。「思い当たることはない」がきれいにゼロになっており、何らかの格好で、この状況について改善の必要性や課題を感じていると認識しています。

 16頁です。3つ目のブロックで、加入者について目を向けていこうということで資料をまとめました。以前から協会では、加入者がどのような商品を、どれだけ入れているかで知識、理解度、行動パターンが異なることに注目していたのですが、こちらは2005年の先程申し上げた報告書で、総数2,384名を対象に調査をしたものです。この中で元本確保型商品を選択している割合が、自分のポートフォリオの中で50%を超える人を元本確保派(以下、元本派)、50%を超えて投資信託を選択している人を投信派、半々の人は中間派という形で入っていませんが、それで分けて分析しますと、非常に面白い傾向が出てきます。それを次の頁以降の3枚でまとめました。

 17頁の上のデータは商品選択の基準です。元本派の方は元本割れする可能性があるかどうかのみが大きな選択の基準になっていることがわかります。企業担当者の推測で、「なぜ元本確保型商品を選ぶと思いますか」という質問のときに、リスク割れすることが怖いからではないかという答えがありましたが、まさに当たっており、元本派自体も、そのようなことを怖がって、なかなか踏み出せないところがあるようです。一方、投信派については、明らかにリスクテイクする覚悟があるということが、上のグラフから見て取れます。

 下のグラフは、今後知りたい情報は何かということで聞きました。左側は退職給付制度についてや確定拠出年金制度についてなどの制度の基礎情報です。これは元本派の方が知りたい数値が高いです。右側は具体的な見直しのタイミングなどの実用情報ですが、投信派の赤い色が高くなっていることがわかると思います。

 このような状況の中で、そもそも基本的な情報をどれだけ認知しているかを見たいと思います。18頁です。上が想定利回りをどれだけ知っていますかという質問で、「よく知っている」「ある程度は知っている・見当がつく」とあり、投信派が多いことがわかります。振込み金額自体も投信派の方はしっかり認識していることがわかります。基礎的な基本情報が分からないと、どうしても自分がどうしたらいいのかが分からない。そのような状況が元本派と投信派の格差の中からわかると思います。

 19頁はインフラの活用状況ですので、ご参考までです。ネットの利用状況、残高のお知らせの利用状況、最後は掛け金配分を実行したことがある。実施というのは、いろいろ考え方もあると思うので、これだけで1つ見ることはできないと思いますが、上の2つのインフラの活用度合からしても、投信派のほうはより実現できていると思います。

以上が私ども協会が認識しているもので、制度の運用について十分に使いこなせていないのではないかという現状をまとめてみました。

 最後がそのまとめですが、冒頭に申し上げたハード面(OS)の充実とともに、是非とも実効性を高めていくソフト面の充実をお願いしたいと考えております。

 1の本人拠出の容認の是非は、いろいろな角度から議論がなされるべきだと思いますが、1つの方策として、制度加入の認識向上、運用への意識的関与の観点からお願いできればと思っています。

 2は、投資家保護の観点からも継続教育をある種義務的なものにしていただけないでしょうかというお願いです。加入者の運用スキル習得の機会を是非とも保証していただきたいと思っています。ただし、事業会社の方だけにお願いする義務としては重すぎると思っており、そのレベルにまで行っていないということがあるのだと思います。文科省や金融庁など省庁を跨ぐ話になるかもしれませんが、投資家保護の最大の方法は教育だと言われる方もおられますし、そのような観点で是非ともご検討願えればと思っています。

 3は、そこまでではなくても、教育を実施しているのかどうかという報告については、義務化していただければと思っています。制度の安定・定着のためにPLAN-DO-SEEのサイクルがきちんとなされるように、その辺りの観点についても是非ともご検討願えればと思っています。

 

○森戸座長 では、続けてハイマス様、小泉様よろしくお願いします。

 

○ハイマス様 私は、在日米国商工会議所の投資運用小委員会の会長のダグラス・ハイマスでございます。在日米国商工会議所、いわゆるACCJ(American Chamber of Commerce in Japan)は1,400社以上の企業、約3,200名のビジネスパーソンを会員としております。

 ACCJの加盟会社の中には確定拠出年金ビジネスを展開している企業、確定拠出年金制度を日本にも外国にも採用している企業もあります。投資運用委員会の中にはグローバルに事業を展開している金融サービス企業が多くあり、それぞれの国で現地の従業員に確定拠出年金を提供しています。今日、この場で日本の確定拠出年金制度についてのACCJの意見を述べる機会を与えていただき、大変うれしく思います。本日お話させていただく内容は、資料4の3頁にまとめてあります。

 資料4の4頁です。リストは、現在日本が直面している状況をまとめたものです。加速する高齢化社会、家計貯蓄率の著しい低下、政府に対する退職後の所得保障への期待、労働流動性の上昇、人口の減少、正社員の雇用率の減少です。

 1つ目のポイントは加速する高齢化社会、2つ目のポイントは家計貯蓄率の著しい低下です。これについてOECDは1991年当時には15%であった日本の家計貯蓄率は、2005年末の時点でわずか2.4%という統計を出しております。また内閣府経済社会総合研究所の2004年度の統計結果は3%であり、これも減少の経過をはっきり表しています。

 家計貯蓄率に関連して退職後資金の貯蓄についても、日本の就業者は十分な備えをしていない恐れがあります。マッケンジー・クォータリーの記事によりますと、いま退職時期にある世帯が35歳の時点で収入の26%を貯蓄していたのに対し、現在の35歳の世帯は6%しか貯蓄していないという結果が出ています。これは若い世帯になるほど貯蓄率が低いことを表しており、全体的には今後も減少傾向にあることが予測されます。

これらの統計を見ても、ほかの多くの先進国と同じように、日本が貯蓄の国から負債の国へ向かっていることがわかります。

 その他、政府に対する退職後の所得保障への期待、労働流動性の上昇、人口の減少、正社員の雇用率の減少なども、現在日本が直面している問題として挙げられます。このような状況下で老後の生活資金の魅力的な貯蓄方法の1つである確定拠出年金を広く普及させることで、これらの問題解決の一助になると考えております。これらの現状を考慮した結果、私たちは確定拠出年金の改革が必要であると考えています。

 5頁です。日本はこれらの問題に直面しており、問題解決のために確定拠出年金改革は重要な役割を果たすところ、ほかの発展国に比べ、日本の確定拠出年金制度の普及率は低いです。現在、確定拠出年金の加入者数は約200万人です。これは日本の労働者数5,000万人のうちの4%に満たない数字です。

 これに対し、確定給付年金の加入者は、約1,000万人で、確定拠出年金加入者の約5倍に当たります。

 米国では1億2,200万人の労働者数に対し、4,200万人が確定拠出年金制度による資産形成を選択しています。全労働者数の30%以上が確定拠出年金制度を利用しているということです。にもかかわらず、米国政府としては、退職後資金の貯蓄状況が、まだ不十分であるという認識から、今年の8月に成立した年金改革法(略称PPA)で自動加入制度などを導入し、さらに普及率を上げようとしています。

 6頁です。確定拠出年金制度は、制度設計上の問題から、未だ浸透していませんが、有効活用されれば、以下のような効果があると考えております。労働者に退職に備えた貯蓄に自己責任を持たせること、労働者が投資について理解を深め、投資を促すこと、つまり、「貯蓄」から「投資」への構造改革を促進し、公的年金制度を補完するということです。申し上げたような効果を実現するため、ACCJとしては5つの項目について提案したいと思います。1.雇用主による拠出の上乗せとして、従業員による拠出を認めること。2.非課税拠出限度額を引き上げること。3.一定の条件下での60歳前の積立金引き出しを認めること。4.事業主が投資アドバイス・サービスを提供しやすい環境を促進すること。5.公務員に対する確定拠出年金制度を導入することです。

 1つ目のポイントの雇用主による拠出の上乗せとして、従業員による拠出を認めることについて説明します。7頁です。従業員拠出を認めることによって退職後の資金形成が可能になります。これにより事業主が提供する年金に対する従業員の関心が高まり、退職に備えるために積極的に投資方法を理解し、老後資産を管理するようになると考えています。

 米国では、確定拠出年金の魅力を高めるために、従業員の拠出を認めています。企業拠出額のほかに1万5,000ドル(加入時50歳以上の場合には5,000ドルを追加拠出ができる)までの従業員拠出を非課税としています。また従業員拠出による税収低下を防ぐため、2006年に確定拠出年金に対する個人所得税引き後の従業員拠出「ロス401(k)」を導入しました。

 2つ目のポイントは、8頁の非課税拠出限度額を引き上げることについてです。現行の非課税拠出額の上限を引き上げれば、確定拠出年金制度によって十分な労働者の退職後資金の準備が可能になります。米国では、2006年の確定拠出型年金に対する拠出額の上限は4万4,000ドルか、給与の100%のうち、いずれか低い金額となっています。

 9頁には一定の条件下での60歳前の積立金引出しを認めるべきであるという点について説明してあります。以上の3点については、ACCJ以外の団体も共通して提案している点であるという理解です。ACCJとしては、残りの2点についても併せて提案するところです。

 4.事業主が投資アドバイス・サービスを提供しやすい環境を促進すること。投資アドバイス・サービスは、貯蓄から投資への政府スローガンを推進します。

 5.に関しては、今日JIS&Tさんからお聞きになったと思いますが、ACCJも公務員に対する確定拠出年金制度を導入することを訴えています。米国連邦政府の経験を踏まえ、公務員の確定拠出年金導入については、確定拠出年金制度に対する民間の信頼を促進し、制度全体の発展につながると考えております。

 以上、申し上げたような提案が採用され、確定拠出年金改革が行われることで、確定拠出年金の有効利用が促進され、効果的に日本の直面する問題の解決に役立つと考えています。その意味で、この研究は非常に重要であると思います。本日のプレゼンテーションは以上です。このような機会を設けてくださったことについて、今一度お礼申し上げます。

 

○森戸座長 では、ただ今のNPO法人確定拠出年金教育協会の斎藤様、ACCJのハイマス様のご説明について、皆様からご質問、ご意見等何かございますでしょうか。

 

○藤井委員 質問ですが、前半の教育協会の資料の20頁に、継続教育は重要であるとしつつも、会社にだけこれを義務として課すのは重すぎるということが指摘されているかと思います。まさにそのとおりだと思いますし、仮に義務として課したところで、会社側が継続教育について意欲的に取り組む動機がなければ、現実にやってみても効果が十分発揮できないのではないかと思います。

 その関連でACCJの資料の10頁に、米国の最近の法改正などを踏まえての提案だと思いますが、投資アドバイス・サービスを事業主が提供するという環境づくりをしたらどうかということが出てきていると思います。

 これに関連しての質問ですが、この両者は非常に似かよったことを主張していると思います。例えば米国でアドバイス・サービスを提供するに当たって、その費用を事業主が持とうとしているのか、本人に払わせようとしているのか、あるいはそのことはどのように義務化されているのかという点。それに加えてそのことを事業主はどのように動機づけられているのかという辺りについて情報があれば教えていただければ幸いです。

 

○小泉様 アメリカで確定拠出年金が始まってから20年以上経っているわけですが、抱えている問題はまだまだ多くあります。一人ひとりの個人が十分な資産運用ができていないのは、日本と同じような問題だと考えています。

 今の質問ですが、費用をどのように払っているかは事業主との関係でして、事業主がまとめて払っている場合もあれば、希望する従業員が払っているケースがあります。それは各サービスとの契約によって違ってくると思います。

 最近、アメリカが直面しているのは、さらに大きな問題です。私どもがここで話しているのは確定拠出年金の投資アドバイスということですが、アメリカの従業員が求めているのは確定拠出年金だけではなく、老後どのように生活していったらいいかということです。確定拠出年金というのは、20数年前に補完的な位置づけで始まったわけですが、いまアメリカの場合は、非常に大きな、主要な役割を担うようになりました。

 それ以外にも各従業員は資産を持っているわけで、全体に対してどのような資産のアドバイスを提供していこうかということが、ここ2、3年特に力を入れていることです。

ですから、自分がどのようにお金を運用したらいいのか。特にパーソナライズというのがアメリカでは非常に大きなトレンドで、私はどうしたらいいのか。私の資産をどのように運用したらいいのかといったサービスを提供していくような環境作り、インフラ作りをしていくべきです。

 それは確定拠出年金だけではなく、各従業員は確定給付年金もあれば、確定拠出年金もあれば、それ以外の資産もあるわけですから、ここではこうすればいいという回答はないのですが、そういったインフラを事業会社、または提供するような運営管理機関、それ以外の業者が提供できるようなインフラを作っていくことが非常に大切なのではないかと思います。

 

○森戸座長 藤井委員の質問の関連でいうと、フィーの負担は言ってしまえば、契約自由というか、そこはいろいろあると。投資アドバイスの提供自体は何か一定のやらなければいけないという法的な位置づけがあるという理解ですか。

 

○小泉様 法的な位置づけは日本とほとんど変わらないようで、義務化ということはありません。ただ、今多くの事業主はこのまま従業員が退職を迎えてはまずいのではないかと考えていますので、この2、3年で今私が話したような老後どのような資産形成をしていくべきかが大事です。特にアメリカの大企業のGMなどが注力してきているというのが、ここ2、3年の大きなトレンドです。

 日本との大きな違いは、アメリカでは健康保険の問題があったり、確定給付年金の問題がもう少し違ったりということがあり、その辺りは日本とは少し異なりますが、アメリカの多くの企業でもそういったことに最近は注力をしています。

 

○森戸座長 他にいかがでしょうか。

 

○野村委員 1つだけACCJさんに事実確認です。事業主が投資アドバイスを提供すると書かれていますが、正確には個別な商品等について、事業主がこうしなさいと言うのではなく、そういうアドバイスをしてくれる業者とのサービスをつないであげるということですよね。

 私の質問と若干のコメントは斎藤さんに対してです。元本派と投信派というデータを見せていただいたのですが、元本確保商品に向かっている方々の中で、元本割れが怖いと意識をして選んでいる方は、ある意味ではまだ意識を持たれているタイプの加入者と言えると思います。一方、何も行動しない、運用の意識が全くないという加入者の資金も、いわゆるデフォルト設定ということで元本確保型に投資されます。そのような形でデフォルト商品だからそちらに入ってしまったという方も同時におられると思うので、もし可能であれば、どのぐらいの人がデフォルト商品だから行ってしまいましたということになっているのかを教えていただきたいと思います。

 コメントは、いただいた資料の中で継続教育を実施する予定がないと答えている事業主が35%ぐらいおられると思います。これは3分の1以上ということですから、事業主の間での気づきというか意識の改革も引き続き重要なことではないかという印象を持ちました。

 

○斎藤様 1つ目の質問ですが、積極的にリスク商品に対して、元本割れするのが嫌なので元本確保型商品を選びましたというご指摘の部分の方は、確かにおっしゃるように少ないと思います。選択しなかった結果、デフォルト商品になってしまった方は私どもの手元のデータにはないのですが、RKさんのほうの仕組みにもよると思います。NRKさんの場合は、すべての方々に最終的に紙でしっかり書かせて提出させると聞いておりますので、自分で全く意識せずにその商品になってしまったという方はおられないのかもしれません。JIS&Tさんのほうはデフォルトという格好で元本確保型、定期預金が多いと聞いていますが、定期預金に自動的に割合が行ってしまうことがあると聞いておりますので、RKさんがどちらかということによっても、若干差があるかもしれないと思っています。詳細については手元に資料がありません。

 2つ目の事業会社の担当の方の意識の部分についても、野村委員がおっしゃるとおりだと思います。事業会社の担当者にも非常に熱心な方がおられます。とても熱心な方と、そうは言っても、確定拠出年金を入れてしまったので役割は終わったと思っている方とかなり差もあります。

 あとは、確定拠出年金の担当の方は人事部や総務部に所属している方が多いのですが、その中で金融商品や確定拠出年金の部分に不慣れで、財務や金融商品などに関連する仕事ではないので、その辺りの認識が十分ではない方もいらっしゃるように思います。確定拠出年金を導入して5年経ちましたが、企業の中には人事部からほかの部署へ人事異動があって、人事のローテーションの中で担当者が代わり、その中で確定拠出年金の意識の部分がそのまま継承されないこともあると聞いています。

 

○森戸座長 ほかにいかがでしょうか。

 

○駒村委員 私はACCJの報告に大変関心があってお聞きしました。教えていただきたいのは9頁の海外諸国の取組みで、資金難などの一定の状況下ではペナルティ課税等が課されることなく引出しができるというのは、どのような状況か、どのぐらいの引出しが行われていて、それは問題を起こしていないかどうか、説明を補足していただければと思います。

 

○小泉様 手元にどのぐらい引出しがあるかというデータを持っていませんので、後日提出させていただこうと思います。一定の条件下というと、例えば不定期なもの、住居の取得、教育ローンなどの条件下で引出しをする場合です。

 ただ、私の個人的な意見は、そのような状況かどうかというのは、アメリカの場合は事業主が「そうですよ」と確認をすれば、それで払えるようになっているわけで、そこで事業主サイドが「それがそうだ」ということをしなければいけないということです。

これはこのようなことがあるので、アメリカの場合だと加入率が上がったり、このような条件で使えるということがあれば、制度に加入しようということで率が上がることは確かです。例えば、去年1年間でどのぐらいこれがあったかというのは、今データを持っていませんので、調べさせていただきたいと思います。

 

○森戸座長 駒村委員が言われる何か問題があるというのは、例えばどのようなことですか。

 

○駒村委員 引出しが非常に出てしまうとか、多かったとか、安易に引き出されてしまったということがあったかどうかということです。

 

○森戸座長 要件が実際緩くて、引出しが多すぎるなどといったことですか。

○駒村委員 そうです。たとえば老後の所得保障という制度の目的に合わないといった

ようなことです。

 

○小泉様 問題はもう1つありまして、ローンと書いてあるのですが、ローンというのはさらに使いやすいもので、一定の条件下でローンを使えるわけです。たとえば、いまはちょうどクリスマスのシーズンですからローンを借りて、クリスマスプレゼントを買うことも全く問題はないわけです。

 ただ問題は、その会社を辞めたとき、その制度から出るときにはローンを返済しなければいけないので、そのときにローンを返済しないで、ペナルティを払って、退職後の積立がなくなってしまうケースがあるというのは、1つの大きな問題です。

 

○森戸座長 最新のことはフォローしていませんが、私の理解では、まさにこれに書いてあるとおりで、一応原則引き出すときは課税がなされるのですが、このような要件があれば引き出せ、さらにローンもあるということです。そういう制度ですので、それはそういうものだと言えばそうなのでしょうが、もちろん人によってなので、老後資金が引き出されてしまっているのではないか、という指摘はアメリカでもあったと思います。

 

○小泉様 ただ、このようなことをすることによって加入率が上がったというのは事実です。

 

○島崎座長代理 実際の投資教育の実態等がよくわからないので、斎藤さんに伺いたいと思います。先程小泉さんは、「個人化された個人ベースの」という意味でパーソナライズという言葉を使われたと思います。例えば、投資商品のリスクリターンの特性や、ハイリターンはハイリスクと対だというレベルの一般的・抽象的な話と、個々人のライフスタイルの選択、あるいは自分の公的年金の受給見込み額やローンの状態など、まさに一人ひとりの中高年の人が個別に困っているというか、自分のお金の運用をどうすればいいのかという具体的な話では、相当違いがある。後者は、投資教育というより投資アドバイスのような領域の話であり、一口で投資教育といっても、相当違いがあるということですね。

 先程斎藤さんは、そのような「パーソナライズ」されたレベルまでの話ではなくて、もっと基礎的なところで相当ばらつきもあり、あるいは十分ではないという意味合いで言われたのだと思いますが、まずそのレベルからきちんと投資教育をやっていかないことには先へは進めないという趣旨だと理解しました。確認したいのですが、齋藤さんが言われた趣旨はそういうことですよね。

 

○斎藤様 おっしゃるとおりです。

 

○島崎座長代理 それでは、それを知っていることがどういう意味を持つのかという評価は別にして、例えば、「金利が上がると債券の価格は下がる」ということを理解している従業員は、感じでいうと、大体どのぐらいだと思われますか。

 

○斎藤様 調査した結果があるのですが、加入者実態調査の中で、投資信託について知っていると答えても、本当に知っているかどうかわからないので、14問の正誤問題で投資に関する質問を出しましたら、金利が上がると債券の価格も上がるということについて、「正しくない」が正解なのですが、正解された方が26%で、5人に1人でした。あとは確定拠出年金が課税されると思っている方も半分おられました。

 

○小野委員 先程の藤井委員のご質問と関連で、斎藤さんにお答えいただくのが適切かどうかよくわからないのですが、確定拠出年金制度を運営するためには、それなりのコストが必要ということですが、そのコストを実態として誰が、どのように負担しているのかを企業と加入者、加入者といっても実際に拠出している人と運用指図者との関係の区別があるのかどうか。あるいはそういったものの水準が、現状でどの程度のものなのかに関して、何かデータがあったらお願いしたいと思います。

 ACCJさんに伺いたいのは、私はアメリカの401(k)制度というのは、非常に複雑なものだと思っています。それは先程来のご説明どおり、ローンがあり、高齢者についてキャッチ・アップ・ファンドがあるし、ブッシュ政権になってから様々な改革がなされています。最近、PPAではオートマティック・エンロールメントに伴って、加入者宛の通知を義務づけるなどの改正がなされていると聞いています。そういう意味では、かなり膨大な装置産業だと思います。日本のシステムと比べて、開発コストなどが非常に負担だろうと思います。その点も含めて、運用のコストもそうだと思いますが、様々なコストをまとめると、それなりの水準に収まっているのかどうかがよくわからないので、その辺りを教えていただきたいと思います。

 

○斎藤様 大変申し訳ないのですが、コストの部分、その水準の部分については、私ども協会ではデータがありません。おそらく運営管理機関と事業会社の間で、事業の規模、どのような契約をされるかによっても違うと思いますので、その件ついてはデータはありません。

 

○森戸座長 その点は小野委員の質問をもう少し広げると、もちろんコストがどれくらいかということはわからないでしょうが、加入者など協会のアンケートの対象になるような方が、コストについて意識や知識があるのかという辺りはいかがですか。

 

○斎藤様 運営に関するコストということですか。

 

○森戸座長 要するに、タダではなく自分の運用益なりから引かれているということや、それはどのぐらいだとか、そういう意識はあるのでしょうか。

 

○斎藤様 それはあります。「商品を選ぶときに、何を根拠に選びますか」という質問で、手数料という項目があって、そこについて若干触れていた調査を把握しています。17頁の元本派と投信派で商品選択の基準のところで、元本割れするかどうかや、高いリターンが期待できるかどうかという報告の中で、6の手数料が高いか低いかというところで、商品を選択していますと答えている方も、平均では1%程はおられました。

○森戸座長 それでは2つ目の質問についてお願いします。

 

○小泉様 アメリカの先程の制度は歴史も長いですし、加入者も多いので、日本の制度とはかなり異なります。ブッシュ政権としては、今後もこの制度を使い勝手を良くして、老後の資産形成の柱にしていこうというのは明確だと思います。

 コストですが、1つの大きな違いは日本の確定拠出年金の残高とアメリカの残高では、大きな違いがありますので、それに投資をした分、返ってくるリターンも違います。今日はNRKさん、JIS&Tさんの話もありましたが、毎年システムをアップデートしたり、新しいサービスを提供していくには、ある程度のコストが必要です。これはあくまでも20数年あり、毎年毎年積み重ねてきたものですので、今すぐどうのこうのではなく、中長期的にわたり投資をしてきたと言えると思います。

 これはあくまでもフィデリティの数字ですが、年間の運営管理手数料は、加入者1人当たり60ドルぐらいです。そのような意味では、日本に比べると、アメリカの方が高いのです。繰り返しになりますが、残高が多かったりしますので、加入者の負担感は非常に小さいものになっていると言えるかと思います。

 先程のローンの話で、ハードシップ・ウイズドロー(経済困窮者の引き出し)についてのデータがないのですが、昨年度行ったフィデリティの1,200万人の加入者に対してのデータで、約15%の方がローンを使っています。アベレージは8,000ドルです。

 

○森戸座長 よろしいですか、ほかにいかがでしょうか。それでは、特にその他ご質問、ご意見がないようですので、斎藤様、ハイマス様、小泉様には席を移動いただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 

(斎藤様、ハイマス様、小泉様席移動)

 

○森戸座長 座長の不手際であまり時間が残っておりませんが、あと10分ほど今日の皆さんのヒアリングの結果も踏まえて、自由にご質問、ご意見をおっしゃっていただければと思います、どなたからでもいかがでしょうか。既に出たご質問、ご意見等に関連したことでも構いませんので。

 

○小島委員 アメリカの401(k)の積立金を担保にしたり、ローンに活用できるということも日本でも検討したらどうかというご意見がありましたが、日本のいま財形制度の中では、自分の積立金に対しての住宅ローン、教育といったものができる制度があります。それと財形では、若干ですが、企業側のマッチングが認められていますので、仕組みは違うのですが、財形制度との関係をどう考えるかも整理しておく必要があるのだろうと思います。

 日本の確定拠出年金制度を作るときには、当初は今の日本の財形制度をベースにした考え方が検討されたという話を聞いていますが、結果的には日本の場合は企業年金をベースにした形の確定拠出年金になったことがあるので、そこに今言ったような新たな制度を付加することについては、もう一度原点を議論する必要があるでしょう。他の制度との関係というか、そういうものとの整合性が必要になってくるのではないかと思っています。

 

○森戸座長 それはまさにおっしゃるとおりで、小島委員が言われるように、当初日本の確定拠出年金も、実際に、まだ労働省のときに財形の部署が最初は研究会を行ったりしていました。私もメンバーだったものですから、よく知っていますが、最終的には年金という整理で、老後の所得保障だということで作ったわけです。それに伴って引出しができないなど、今日要望で挙がったことも、それは老後の年金だからということで一応整理をしたのだと思います。

 それが絶対的に変わらないものということではないでしょうが、例えばそこにアメリカの例なども参考に、ローンにせよ、引出しにせよ、考えていくとなると、当然当初決めたことから少しずれてくるとすれば、一応別なものと考えていた財形制度と確定拠出年金との関係はどうなのだとか、あるいは確定給付、あるいは退職金との、また、それ以外のいろいろな制度なり、自分の老後の資産形成をする制度となる枠組みは、他にもあるわけですので、そこは全部整理しなければいけないと思います。

 今日はたまたま確定拠出年金の話を中心に伺いましたが、そこで今後どうしていくかを考える上では、他の制度の話が全部、もちろん税制も含めて入ってくるということは、まさに小島委員のご指摘のとおりだと思いますし、なかなか大変な大きな議論になる話ではあると思います。やはりどのような制度かということを抜きにしてはできない話だと思いますので、例えば、財形との関係なども頭に置いておく必要があるかと思っています。他にいかがでしょうか。

 

○藤井委員 それに関連する点で申しますと、斎藤さんの資料の3頁に、本人拠出を望む声が高まっているということがあったかと思います。ACCJのほうでも、本人拠出の提案があったかと思います。

 一方、詳細に拝見してみると、NRKさんとJIS&Tさんのほうには、本人拠出という点は出ていなかったのではないかと思います。これは推定ですが、本人拠出をしたからといって、一概には件数が増えるとは言えないということもあってかどうか、データ管理上の観点から見れば、いたずらにデータ量が増えるのみで、件数がさほど増えるとも限らないという思いがあったか、なかったかわかりませんが、そういうことも予感されるわけです。

 例えば、本人拠出をするとなれば、本人拠出について、年金税制上の枠組みに入れるとすれば、生命保険料控除にするとか、あるいは特別法人税は撤廃に越したことはないのですが、仮に一部残る場合でも、本人拠出分については課税しないなど、極めて困難な内容が伴うのではないかと思います。

 一方、要望が多いとは言うものの、蓋を開けてみたら、実際にはそう多くないということも十分考えられるわけで、いたずらに議論を進めるのではなく、実際の内容や具体的なニーズなどについても踏まえながらやっていかないと、レコード管理会社などの他の業者も含めて、妙に負担をかけるばかりで、実際にはあまり普及しないという現象が生じかねないので、そのようなことがないように、いろいろ内容については考える必要があると思いました。感想です。

 

○野村委員 本日の確定拠出年金の話の中で、継続教育の話も結構出てきたような気がします。継続教育はきめ細かさが鍵になる一方で、きめ細かさを追求するほどコストがかかります。今日伺った中で、コストの話、パーソナライズという言葉がありましたが、きめ細かさとコスト面をどう両立させるか。そしてきめ細かい継続教育を本気でやろうと思ったら、実はRKがそれに必要な記録管理のデータを持っているのです。ですから、RKとの極めて効率的な協力関係の部分を確保することも重要です。今日発表いただいたものは確定拠出年金の中ではつながり合っている部分もあるのではないでしょうか。

 あまり話を広げすぎてもいけないのですが、このような話題に関連してよく私が耳にするのは個人情報の保護があって、事業主が継続教育を考える上で、よりきめ細かく対応したいからRKさんからデータが欲しいが、その部分の関係があまりクリアになっておらず、やりづらいということです。ここまでやっていい、ここまではやってはいけないということを、よりクリアすることによって、少し道が開ける部分もあるのではないかという印象を受けております。

 

○森戸座長 他にいかがでしょうか。

 

○島崎座長代理 このような言い方をすることが適切かどうかわかりませんが、これまでの議論を聞いていると、企業年金の本質を巡るような話から、個別具体的なことまでいろいろなレベルがある。この研究会としてのミッションが何であるのかということとも関わると思いますが、これまでも「合意」まで至っていないけれども、全員重要性や必要性を認識しているという部分と、やはり根っこからきちんと議論しておかないといけない部分が混在している。例えば、税制でいえば、税務当局の壁というか、税の論理との整合性が図られるかということだけではなく、そもそも企業年金は税制上優遇されているわけですが、高所得者優遇政策という側面はないのかといった、かなり本質的な話までいろいろあって、その辺りを少し整理しておく必要があるのではないかという気がしました。

 そうしておかないと、小野委員なり野村委員に折角ご報告いただくときに、何を聞こうとするのかということがぼやけてしまうのではないかという印象を持ちました。

 

○森戸座長 座長代理のおっしゃるとおりで、何回かヒアリングを行っただけでも、そもそも企業年金とは何か、どうあるべきかという大きな話から、実務上の話、例えば、自動移換がこうだとか、あるいはさらに技術的な、今日RKさんのお話を伺ったところで、実務上はこういう問題がある、この項目がこうだといういろいろな問題、それが全部あるわけです。確かにそこはまとまりなく議論していると、何となく言いっ放しで終わってしまう感じにもなってしまいますので、そこは座長と事務局でも、とりあえずやればいいだろうというつもりでは決してやっておりません。ただ最初は各方面からいろいろお話を伺おう、現状を知ろうということで、次回以降、少し論点を絞りつつ、有意義な議論をしていけるように事務局にも議論の整理をお願いしたいと思っております。

次回の委員の方のご説明のときにも、どのようなスタンスで聞けばいいかわかるような感じで、徐々に問題を整理しておきたいと思いますので、ご了承いただければと思います。他にいかがでしょうか。

 

○小野委員 1つだけお願いですが、拠出限度額の話で、平成16年10月に引き上げられたということも踏まえて、過去の算定根拠の経緯などは、ご存じの方も多いと思いますが、1度レビューしておいたほうがよろしいのではないかと思います。

 

○森戸座長 要するに、法律上、こういう計算でこの限度額が設定されたということですね。

 

○小野委員 明確ではないのかもしれませんが。

 

○森戸座長 確かそれはありましたね。それが今度改正でこのように変わったという資料を事務局に用意していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 では、本日はほぼこれで終了ですが、事務局から研究会の今後の進め方等について、ご説明をお願いしたいと思います。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 それでは、今後の進め方等についてご報告をいたします。まず税制改正要望についてご報告をしたいと思います。平成19年度の税制改正要望については、夏の段階では被用者年金制度の一元化等に伴う税制上の主要な措置ということで、具体的には被用者年金制度の一元化の検討結果を踏まえた税制上の措置ならびに一元化及び企業年金二法の施行状況の検証結果を踏まえた税制上の措置について検討中ということで要望したところです。

 税制改正については、今週から本格的に議論が始まるところですが、平成19年度の税制改正要望については、これまでの研究会の検証作業の状況等を踏まえて3点要望させていただくことにしております。具体的には、確定拠出年金の拠出限度額の引上げ、中途脱退要件の緩和及び企業型確定拠出年金に係る資格喪失年齢の引上げの3点を要望することとしております。

 なお研究会については、引き続き検証作業をお願いしたいと考えておりまして、今日ご指摘の点も踏まえて、事務局として整理し、ご議論を願えればと考えております。

 また年明け以降の検証作業の結果については、必要に応じ平成20年度以降の税制改正要望あるいは制度改正等に反映してまいりたいと考えております。

 研究会の次回の日程については、年明けにしたいと考えておりますが、具体的な日時は、後日事務的に調整させていただきたいと存じます。

 

○藤井委員 次回、小野委員と野村委員からご報告があるかと思いますが、その際に日本年金数理人会が提言をまとめていることがありまして、時間をいただければ、少しご報告したいと考えております。

 

○森戸座長 それは今承ったということで、事務局と相談させていただきます。それでは、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。

 

 

(照会先)

厚生労働省 年金局 企業年金国民年金基金課 企画係

(代表)03-5253-1111(内線3320)

 

 

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