07/01/24 企業年金研究会第4回議事録

 

第4回 企業年金研究会議事録

 

 

               日時 平成19年1月24日(水)

                  10:00~12:00

               場所 霞ヶ関ビル33階東海大学校友会館阿蘇の間

 

 

○森戸座長 ただいまより、「第4回企業年金研究会」を始めます。本日は、海外の企業年金制度の現状について、小野委員、野村委員からプレゼンテーションをお願いすることになっておりますが、オランダの企業年金制度についてご紹介いただくため、オスカー・フォルダー様にもお越しいただいております。本日はよろしくお願いいたします。

 それではまず、事務局から資料の確認をお願いいたします。

 

○簑原課長補佐 資料1が「平成19年度税制改正について」、資料2がオスカー・フォルダー様からの説明資料、資料3が小野委員からの説明資料、資料4が野村委員からの説明資料、資料5が日本年金数理人会でまとめられた要望事項に関する説明資料、資料6が企業年金連合会の要望事項に関する説明資料、資料7が企業年金連絡協議会でまとめられた要望事項に関する資料、資料8が事務局で整理した論点(案)に関する資料、資料9が前3回までの企業年金研究会で出された主な議論に関する資料、資料10が今後の進め方(案)に関する資料となっております。

 

○森戸座長 次に、平成19年度税制改正要望については、前回、事務局より報告がありましたが、その結果について、事務局からご説明をお願いいたします。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 資料1、「平成19年度税制改正について」をご覧ください。前回の研究会で申し上げたとおり、平成19年度の税制改正で3点ほど要望した、その結果です。

 まず、確定拠出年金の拠出限度額の引上げは、長期検討ということでした。

 2点目の中途脱退要件の緩和は、多少要望事項とは内容が変わって、法案の内容を見て検討という結果になりました。企業の退職者について、一旦、企業型から個人型に移換した後に、個人型からの脱退を認めます。具体的には、企業を退職して資格喪失した後、2年以上継続して個人型運用指図者であって、資産額が25万円以下などの要件を満たす場合に脱退を認める方向で検討いたしております。現在、3号の被保険者等については、個人型の加入資格がありませんので、掛金の拠出ができないということで、一定資産額以下の方については脱退が認められておりますが、それとの均衡を考慮して、掛金が掛けたくても掛けられない状況で、2年以上継続して運用指図をしている方については、資産要件を課した上で脱退を認めるという内容です。

 3点目は高年齢者雇用安定法に対応して、企業で継続雇用等の措置を講じた場合に、現在は60歳で資格喪失しますが、企業単位で最大65歳まで資格喪失年齢を引き上げることができるようにするという内容です。これも法案の内容をみて検討ということです。

 以上、2と3は法案の内容をみて検討ということで、いずれも法律改正事項ですので、法律改正する方向で検討したいと思います。

 

○森戸座長 これはこれで、この研究会の議論にも関係のあることですが、とりあえずここではご報告ということにさせていただきます。

 それでは最初の議事に入ります。まず、オスカー・フォルダー様から、ご説明をよろしくお願いいたします。

 

○フォルダー氏 ABN AMROのオスカー・フォルダーです。これから約15分で、オランダの職域年金事情、特に財政運用規制と集団型DC(コレクティブDC)についての概要を紹介したいと思います。

 まずは2頁の「オランダ職域年金制度の概要」です。オランダの場合、年金制度は労使の合意に基づくもので、政府の役割は限定的です。労使の間に年金合意があった場合その合意が十分守られるか、加入比率が高い水準にあるか、制度そのものの質が高いかという観点から、政府は関わっているのですが、合意の内容については労使が決めます。

法的には給付合意・資産合意・拠出合意という3つが認識されている次第です。実際に労使が決める合意は、すべてこの3つの枠組みの中で分類されるという形になっています。

 オランダの場合は英国や米国と違って、年金給付保証制度や、そのような機関がないので、積立比率の基準と監督役割が非常に重要になるという特徴があります。オランダの職域年金制度の特徴は、加入比率が非常に高く、労働人口の9割ぐらいが加入しています。これは2つの間接的な義務によるものであると認識されています。年金資産が非常に膨大で、オランダGDPに対して120%の年金資産が、この職域年金制度に眠っています。平均積立比率も国際的に見ても高く、2005年末には125%ぐらいあったという状況です。給付水準については典型的な事例、典型的な制度ですと、平均給与の80%が、第1ピラーの給付水準とあわせて担保されているという状況です。

 オランダの場合、給与上昇に給付水準が比例するかしないかという“indexation”が非常に重要です。無条件の約束は名目の約束で、給与上昇に比例した給付水準、条件付きのindexationが通常です。

 最後に、オランダの場合は集団型の運営がメインで、個人型のDCはあまり普及していません。オランダの常識は、年金というものは集団で世代間の連帯を活かした形での運営が望ましいのではないか、という一般的な考え方があります。

 第3頁は、年金財政運営規制についてです。オランダでは2007年1月1日から、新しい年金法が適用されています。昨年も2005年もそうでしたが、この新しい年金法にはいろいろな議論があって、やっと今年から有効という形になっています。

 何が変わったか、年金法には積立規制について何が書いてあるかというと、まず債務の評価です。これは本来、法定の割引率である4%で割引いたものが時価評価ということで、中央銀行が発表するスワップ金利カーブを使って債務を評価しなければなりません。実際の積立比率についての規制は以前からあって、常に105%以上の積立比率を維持しないといけませんでした。それに加えて新しく導入されたのは、1年後に積立比率が超過する確率を、97.5%以上に維持しなければならないということです。

 前者の基準を満たさない場合は、3年以内に改善しなければならず、後者の積立基準を満たさない場合は、長期改善計画を中央銀行に出して、15年以内に改善しなければならないということになっています。ちなみに、後者の基準を満たすために、いま持つべき積立比率は、中央銀行の試算によると130%です。

 これらの基準を満たしているか満たしていないかという判断基準、検定基準は3つあります。1つが単純モデル、もう1つが、ほとんどの基金が使うことになるかと思いますが標準モデル、それから内部モデルです。この3つのモデルを使って、基準を満たしているかどうかを検定しなければなりません。標準モデルの詳細は、ご参考までに付録1に添付させていただきました。また、内部モデルと単純モデルを使おうと思えば、これも中央銀行の承認が必要です。

 年金法の非常に重要な特徴は、これも新しい部分ですが、コミュニケーションと一貫性です。自分が目標とするindexationに合った掛金・拠出方針・加入者へのコミュニケーションをしっかりと行わなければなりません。加入者としてはどのぐらいindexationが期待できるのかということを、明確にしなければなりません。そのために6つの分類にわたるindexationの方針が認識されて、それぞれのindexation方針に沿った拠出方針、いわゆる財源調達法を明記します。実際の年金基金の規定にも、それに沿った表現を使った規定を持たなければならず、加入者に対しても決まった表現で、どのぐらいindexationが期待できるかを説明しなければなりません。これがいわゆる“マトリックス”というものです。かなり大きなマトリックスになっていますが、その概要も日本語で、付録2として添付させていただきました。

 4頁に入ります。もう1つ重要な部分は掛金の設定です。オランダの場合、付与される給付権利のコストに相当する掛金を設定しなければなりません。その具体的な計算は、4つの部分からなっています。それぞれこちらに書いてあるとおりで、まず無条件の給付の約束の数理的価値に合う掛金を拠出しなければなりません。それに加えてバッファ、つまり積立超過の状況を維持・達成させるために必要な掛金と年金運営コストをカバーするための掛金、そして4番目にindexationの目標に沿った追加拠出です。基金にindexationの目標があれば、それも追加拠出として掛金に反映しなければなりません。

 コスト相当掛金の計算根拠として使ってもよい割引率は、市場金利を使うか、運用期待利回りを使うかです。掛金を安定化させるために、ある程度のスムージングも許されています。10年の平均を使うか、根拠がしっかりとした期待値を使うかということです。

実際に監督庁がこの計算の根拠として使われるいろいろなリスクプレミアムの上限は、下の小さい字で書いてあります。こちらには私のミスが入っております。給与上昇においては、上限ではなく下限です。物価上昇についても、上限ではなく下限です。少なくとも2%の物価上昇、3%の給与上昇を想定した上で、コスト相当掛金を計算しなければならないという状況です。ちなみに、オランダの大手年金PGGMは、6.5%の期待利回りに基づいて、コスト相当拠出を計算していて、それに基づいて拠出金が給与の22.5%になっているというのが、最近のアニュアルレポートから読み取れます。

 次に、オランダは集団型がメインであるというのは申し上げたとおりですが、そのメリットはどこにあるかというのを、5頁で説明したいと思います。1999年にオランダ政府を科学的な観点から、いろいろな実証研究で支えるサイエンティフィック・カウンシル・フォー・ガバメント・ポリシーという団体がレポートを出しました。彼らは何を分析したかというと、集団の中での個人と集団外の個人が年金の給付を積み立てた場合に、将来に向けてのいろいろなリスクをシナリオ分析した結果、集団内の個人が同じ給付水準を達成しようと思えば、より少ないリスクで給付水準を達成できるということです。

逆に言えば、集団内の個人が同リスクで目指している給付水準を達成しようと思えば、30%のリスク削減、30%の低リスクで給付水準が達成できるという結果が出ております。

 なぜ集団内の個人が、よりリスクの少ない形で同じ給付水準が達成できるかというと、その源泉がこちらにいくつか書いてあります。基本的には、集団である年金基金が、市場では手にできないような契約を手にできます。例えば個人として年金基金に参加することによって、高世代の人たちに債務を、つまり給与上昇に比例するような給付水準を約束しながら、株式に投資を行うことができます。いわゆるレバレッジを掛けたリスク資産への運用ができます。逆に、高世代の人たちは、本来自分だけで運用すれば、最後になると非常に低リスクの運用しかできないので、年金基金によって自分の投資ホライズンを超えた形で、リスク資産の配分を維持できるということです。このように、個人対市場においては手にできないようなリスク・トランスファー、リスク・シェアリングが、集団によって可能になってくるということで、そこにそのような源泉が現れるという状況です。

 オランダではこの議論が非常に活発で、職域年金制度で、ただ単にリスク・トランスファーではなくて、集団として全員が恩恵を受けるようなリスク・シェアリングを維持したいということで、集団型のDCを2004年から新しく導入している企業が増えています。このCDCの仕組みは6頁にあります。これをパッと見たら、従来のオランダの確定給付型の年金の仕組みと、全く同じように見えます。何が違うかというと、母体企業と基金の間の拠出契約です。基金の中の運用が悪くなった場合も、こちらに追加拠出はありません。その結果、運用が悪くなったときに誰がリスクを負うかというと、加入者です。万一、運用が非常に悪くなった、積立状況が大きく悪化した場合に、indexationだけではなく、名目の給付額と給付権利額を削減できるという仕組みになっております。

 なぜこれを導入したかというと、オランダの場合は年金債務がどんどん大きくなっていて、企業の給与額がそれほど伸びない中で、万一、積立状況が悪くなったときに、追加拠出で解決できない関係になってきているからです。これはどうしても解決しないといけない問題です。また、もちろんDBの場合はスポンサーが貸借対照表に載せないといけないので、スポンサーもDBの会計処理を避けるために、この制度が導入されているのです。

 CDCの基本設計、特に給付水準の決め方は7頁にあります。非常にDB的な給付の設計ですが、年金基金の積立比率次第で給付額が、full indexationではなく、部分的なindexationしか導入されません。万一、積立比率が105%以下になった場合には名目の給付額、給付権利額の削減も可能です。これは最後の最後の選択肢ですが、それも許されるという状況です。

 CDCの利点が8頁にまとめてあります。スポンサーにとっては年金コストのコントローラビリティが大きく上昇します。つまり、年金費用はどのぐらいになるかというのが、スポンサーは長期的にわかるわけです。これは決してコスト削減の措置ではありません。オランダの場合、CDCを導入した企業は、どちらかというとより高い掛金、あるいは一時掛金を年金基金に振り込んでいるのです。ですからコストコントローラビリティが上昇して、コスト削減には決してなりません。会計上はスポンサーがDCとして処理できるというメリットがあります。加入者はより高い拠出金をもらえますから、加入者にとってもそんなに悪い制度ではないというのが、私の考え方です。

 投資意思決定は個人ではなく、DBと同じように基金が行います。先ほど紹介した世代間の連帯とリスク・シェアリングが、そのまま維持されるというメリットがあります。

低コスト、高効率のシステムだと思います。すべてのリスクが加入者にあるので、もし積立超過金があった場合も、スポンサーがそれを無理して引き出すこともできません。

それはすべて加入者に所属するということで、ガバナンスや利害関係がはっきりします。

 どちらかというと、これは業種年金よりは企業年金基金が導入する制度で、企業年金が初めて導入したのは2004年です。いろいろやっていてどういう問題点があったかというのが、こちらにまとめてあります。もちろん拠出金を長期固定しなければならないので、“長期”というのが何年なのかという問題はありますが、オランダの場合、5年という落としどころになっています。しかしオランダの会計士協会とアクチュアリー協会が相談をして、会計上DCとして認めるためには、どういう条件を満たさなければならないかというのは、いまも検討中です。間もなくそのレポートが発表されると思われます。この制度においては、個人の資産口座はありません。ですから、あくまでもスポンサーの観点からはDC、加入者から見た場合は条件付きの確定給付型の年金制度なのです。

 最初、企業年金がCDCを導入したときには、新しい年金法にCDCを明記してほしいという依頼があったのですが、政府が否定して、これは先ほど紹介した3つの分類でカバーできるのではないかという立場を取りました。その後、業界が実際にCDCを導入しようと思えば、ここで述べている4つの項目をしっかり法律に反映してくださいという依頼を出して、政府はこの4つの項目をすべて受け止めて、法律に反映しました。

 それは何かというと、事前の中央銀行の承認を得て初めて、給付削減ができるのではなく、積立比率が105%以下になって、もちろんほかの選択肢がないと判断した場合に、名目の給付を事前承認無しでも削減もできるような措置になっています。あと1年待った後に給付削減ができるのではなく、105%以下になった場合、早急に給付削減ができるような設定になっています。以前の法案では、これが100%以下になっていました。

 また、ある1年において、固定の拠出金がその年の給付権利を購入するために不十分な金額である場合に、その年に蓄積される給付権利を削減できます。これは年金基金の運営規制にしっかり書いておけばできるという状況です。

 最後に、客観的なルールに基づいて加入者に徹底的にコミュニケーションをした上では、この運営を行う必要が非常に大きいわけです。加入者に、そのリスクはあなたにあります、しかも給付削減のルールはこういうものですということを十分伝えれば、CDCが今のオランダの年金法にも導入できるという状況です。大変大雑把なご紹介で恐縮ですが、以上です。

 

○森戸座長 ありがとうございました。ただいまのご説明について、皆様からご質問、ご意見等はありませんか。

 

○小島委員 1つだけ質問いたします。6頁にある図で、母体企業が拠出契約をする年金基金との関係については、基金のほうでの運用が資金不足になった場合でも、別途、企業からの追加拠出はないということでした。この母体企業と従業員との関係は雇用契約があり、労使の合意に基づいてこの制度を導入するというご説明でしたが、オランダの場合、個別の企業ごとにこのような基金に契約するという形なのですか。おそらくオランダの場合は企業別労働組合ではなく、横断的な産業別労働組合という形になっております。その際の労使合意というのは、個別企業ごとにやるのか、それとも産業ごとにやるのか。例えば電機産業、自動車産業といったところでの横断的な労使合意に基づいて、そこに加盟する自動車メーカー等の各企業が共同で、年金基金と契約という形になっているのでしょうか。あるいは、日本と同じように、個別企業ごとに基金を持って運営しているのですか。

 

○フォルダー氏 オランダの場合は業種別基金と企業年金基金という2つの種類があります。債務や加入者の人数で言えば、業種別のほうが圧倒的に多いのです。資産ベースでも6割以上が業種別です。しかしCDCを導入したのは、大体企業年金です。会計の問題から考えて、企業年金がいまCDCに走っています。企業年金の場合も、労働組合があって、労使の間でその企業の従業員を代表して、全員に当てはまるような合意に至ります。その中にこういう仕組みがあるのです。

 

○小島委員 そうすると新しい制度であるCDCは、今は業種ごとより、個別企業ごとで導入しているのですか。中には業種別で導入した所はないのですか。

 

○フォルダー氏 今のところ、私はないというように把握しています。業種別にCDCを導入するかしないかという議論にはなっています。

 

○野村委員 2つ質問があります。1つは、給付削減が比較的可能ということですが、この削減は現役の加入者のみならず、受給者にも及ぶものですか。

 それから会計基準での扱いが、オランダの中でもまだ完全に固まっていないとおっしゃっておりましたが、国際会計基準での扱いは、どういう議論がされているのですか。

 

○フォルダー氏 前者の質問はイエスです。受給者に対しても削減可能という状況です。

 国際会計基準においては、こちらがDCとして認識されるというように理解しております。しかしアメリカの会計基準においては個人口座がないので、DBの扱いだというように認識しております。

 

○森戸座長 ほかにいかがでしょうか。

 

○小野委員 1点確認いたします。3頁に、債務の評価と積立比率がありますね。これは基本的に市場のスワップ金利を使って評価するということが書かれておりますが、一方、コストに関しては4頁において、運用の期待利回りを使ってもいいようなニュアンスで受け取ったのです。基本的に債務評価と積立計画で使われる掛金の算定というのは、もう完全に別ものだと理解してよろしいのでしょうか。

 

○フォルダー氏 はい、そのような理解でよいと思います。

 

○島崎座長代理 ポータビリティについてお伺いしたいと思います。例えばCDCを持っている企業があって、そこに勤めていた従業員が途中で退職したときに、それに個人勘定はないわけですよね。そうすると、その分はどういう形になるのですか。

 おそらくこの目的は、老後の所得保障というのが重要な目的だと思うのです。例えば、仮に個人の部分を計算して、個人に配分されたときに、その使途制限、つまり貯蓄と同じように、何に使ってもいいという形になってしまっているのか、老後の所得保障のために使うという何らかの条件が課せられているのか、教えていただければと思います。

 

○フォルダー氏 ポータビリティについては、いまのオランダの確定給付型年金と同じように、自分が積み立てた年金給付権利は持っていけます。しかし超過金は持っていけないという状況です。今後CDCにおいては、超過金も持っていけるような議論はあるのですが、今のところ、それは不可能だと理解しています。

 そもそもこのオランダの職域年金制度は、掛金に対して法人税がかからないという形になっています。その条件としては、これは老後の65歳以降に初めて使えるもので、そのときに給付として所得税がかかるような設定になっていて、やはり老後を支えるための原資として、この給付が使われることが条件となっております。

 

○藤井委員 9頁に会計基準上、DCと認識できる云々ということがあって、一部質問が出たわけですが、確認させていただきます。CDCを広くオランダで導入されるようになったきっかけというか、全体の事情として、会計基準の問題が最も大きな要素であったという理解でよろしいのでしょうか。

 

○フォルダー氏 はい。もう1つは、やはりコストのコントローラビリティです。初めてこの制度を導入したのは、アルカーディスという会社です。彼らの給料の総額が、年金債務に対して1割しかなかったのです。ですから年金債務が彼らの年間の給与額の10倍ぐらいということで、積立比率が1%下がった場合に、彼らの給与に対して10%の追加拠出をしないと、その1%が埋められなかったのです。ですから母体企業と年金債務の関係が、完全にしっぽが犬を動かしているような関係で、彼らにとっては拠出方針が全く無効だったのです。そうであれば「確定給付型」と言いながら、でも、最終的に積立比率に不足があった場合に母体が助けられないという状況だったら、加入者にも正直に、リスクはあなたたちにあります、でもそれは集団で埋め合いましょうということも要素として大きいのです。つまりコストなのです。

 

○藤井委員 その場合のコストというのは、掛金というような意味も含まれますか。

 

○フォルダー氏 はい、掛金のことです。

 

○森戸座長 よろしいですか。私も含め、オランダの制度はまだ十分に勉強したいのですが、時間の関係もありますので、大変申し訳ありませんが、ここでフォルダー様には席を移動していただきたいと思います。ありがとうございました。

 では、引き続き小野委員、野村委員からご説明をお願いします。まず小野委員からよろしくお願いいたします。

 

○小野委員 資料3、「米国給付建て制度の動向と日本との比較」ということで、特にこの研究会の趣旨に従って、日本のDB制度への示唆を中心にまとめました。いままでの経緯から言いますと、どちらかというと論点は、DCの部分が多かったというように感じておりますので、本日はわりと幅広に、トピックスを取り上げることにさせていただいております。その分だけ、若干つまみ食い的な感じになってしまっておりますが、ご容赦いただきたいと思います。

 1頁をご覧ください。5つご説明申し上げます。1つ目は、アメリカの給付建て制度の概況で、最近の動向をご説明申し上げます。2つ目は年金制度のガバナンスや受託者責任に関する議論です。3つ目が制度運営ということで、特に財政運営に関して、2006年年金保護法に関しても言及しながらご説明いたします。4つ目が給付設計です。これはいわゆる「Whipsaw」問題で、一時金の年金化のときに発生する、ある種の弊害に関してご説明します。最後が支払保証制度です。資料が少々大部です。あくまでも材料提供ということで作成した資料ですので、本日は各章の冒頭にある1頁を使い、必要であれば適宜、そのほかの頁に言及しながら、ご説明するということで進めたいと思います。

 2頁の「要旨」の所に4点ほど書かせていただいております。まず第1点目は、アメリカの単独事業主の制度というのは、1985年には11万2,000件程度存在しましたが、2005年時点では2万9,000件弱まで減少しています。それとともに、かつて現役加入者の比率が高かったわけですが、最近は半分以下に落ち込んでいるという点が指摘できます。

 2点目ですが、最近のアメリカの確定給付制度は、凍結というのが一定程度存在します。併せて、凍結した制度を外部に委託するという形で、それを引き受けるビジネスも出現しているという点が指摘できます。

 凍結や閉鎖、outsourceといったこれらの動向に大きく影響しているものとして、企業会計基準があります。FASBが昨年9月に基準書第158号というのを公表して、いままでのFAS87を中心とする会計基準を改正しております。

 このFAS158は、まだ中間的なものと位置づけられており、さらに今後、公正価値基準の一層の徹底が図られる可能性もあります。そういった場合には、上記でご説明した傾向に拍車がかかる可能性もあるのではないかと思います。

 3頁は、制度と加入者数の推移についてのグラフですので、ご覧いただければと思います。

 4頁は、どのぐらい凍結が進んでいるかということです。若干古いのですが、PBGCの調査によると、2003年時点では制度ベースでいって大体10%弱です。最近ではかなり大型の基金が凍結に踏み切っています。

 凍結の定義にはいろいろありますので、ご参考までにということで飛ばさせていただきます。

 5頁に、outsourceのことを書いております。これはどちらかというと、アメリカではまだ新しいビジネスというように認識されており、5頁の下半分に書いてあります。

むしろ、年金会計基準がかなり公正価値基準に傾斜しているという意味では、イギリスの会計基準のほうが特筆されるということで、イギリスでのビジネスということで一定の普及があります。いずれにしても凍結やoutsourceというのは、別に違法ではなくて、合法的な制度変更と言えると思います。

 FAS158のポイントとしては、7頁の枠の中の上の2つのポイントがあります。公正価値基準で評価された制度資産と年金債務の差額を、企業の貸借対照表の資産または負債として認識いたします。一方で、いままで認められていた未認識の損益というのがあります。これが2つ目ですが、これを調整しないといけないということで、資本勘定の「その他の包括利益累積額」というところで調整することになっており、今のところ、やや変則的な取扱いになっております。

 第2点目は、年金制度のガバナンスの問題です。8頁をご覧ください。要旨としては、アメリカの企業年金における機能として、制度を設定する機能と管理運営する機能ということで、区別して考えることが適当であろうと思われます。いわゆる受託者責任というのは、管理運営機能を所管する受認者(fiduciary)の義務であると理解できるのではないかと思います。

 日本の確定給付企業年金制度における行為準則は、アメリカ式の整理でいくと、制度設定機能にも及ぶということが指摘できますが、一方で、労使合意に基づく運営が課されているところが特徴的ではないかと思います。

 そういった観点からしますと、私自身は日本の法律構成から見た場合に、ガバナンス構造は一定程度整理されているのではないかと思います。

 事業主の行為準則の対象は、確定給付企業年金法第69条という規約型制度を指していると思われます。こういったものがさらに入念的に明確化される必要はあるかと思いますが、そういった部分ぐらいに限定されるのではないかと思います。

 ここら辺りは14頁に図としてまとめてあります。いま申し上げた機能としては、「制度設定機能」というのがあります。例えば制度を作る、変更する、終了させる、掛金を拠出するといったことと、「管理運営機能」としての給付の裁定や積立金の管理運用ということで、一応大雑把に分けさせていただきますと、米国ではこの左側が事業主の裁量です。これは当然ですが、法令遵守義務というのが付いている裁量です。それと事業主の義務ということで規定されますが、右側の管理運営機能は、受認者の義務ということで整理できるかと思います。

 それに対して日本は、基金型であれば制度の設立は事業主ということになりますが、その後の運営については、設定機能も含めて企業年金基金の裁量または義務です。事業主は企業年金基金の積立義務を受けた形で、掛金を拠出する義務が発生するという整理になるのではないかと思います。そういった意味で基金型というのは、受託者責任という議論よりも、むしろ基金は社団ですので、社団の法理というように考えたほうがよろしいのではないかと思います。規約型については、裁量なり義務ということがあります。

アメリカ的に言うと、これはどちらかというと事業主イコール指名受認者という形だろうと思います。いずれにしても、アメリカにはない特徴的なこととしては、制度設定機能について、労使合意という網がかぶせられているということだろうと思います。

 3つ目は制度運営や財政運営の件です。要旨として、2006年年金保護法というのは、従来の複雑な積立基準を簡素化して、伝統的な単位積立方式という財政方式に一本化しております。それから基礎率、例えば利率は社債イールドカーブを基準としたセグメント率等を使うことで、裁量の余地を狭めて、なおかつ公正価値基準への傾斜を強めたということが1点指摘できると思います。

 2つ目に、積立水準の低い制度に対しては「危機状態(At Risk)」プランを規定して、この積立基準を強化するとともに、例えばある意味で制度をフリーズするような制度設定機能の運営に関しても、さまざまな制約を課しているという点が特徴的だと思います。

 3つ目に、積立目標の150%であれば、掛金の拠出を認めています。

 論点としては、米国式のソリューションというのが、ある意味、日本にとっていいかどうかということは、大いに議論の余地があるのではないかと思いますし、取捨選択も必要ではないかと思います。

 一方で、積立目標を上回る積立を認めることは、銀行や保険に関して要求されている資本要件のようなものを、企業年金に確保する自由を認めることにあると考えることもできるので、有効な策であるということはご指摘申し上げられます。

 16、17、18、19頁は、現行の制度がいかに複雑で、かつ、フレキシビリティーがあるかというご説明ですので、ご覧いただきたいと思います。

 20頁は、2006年年金保護法に至るまでのブッシュ政権の対応です。かなり逆向きというか、緩和する方向での対応がなされております。21頁は単独事業主の給付建ての年金制度に関して、主に積立基準に関係する改正事項です。詳細は割愛させていただきます。

 第4点は給付設計です。25頁を開いてください。要旨として、米国の企業年金というのは、基本的に終身年金であり、かつ、結婚していれば適格な連生遺族年金というのが原則です。私としては、もし日本の年金制度において終身年金を設計するような阻害要因があるとすれば、何らかの形で解決できないかと考えております。

 2つ目に、選択一時金というのは、一定の基準に基づく現在価値以上であることが求められているわけです。このために「Whipsaw」といって、キャッシュバランス制度では口座残高よりも高い一時金を支払わなければいけないという問題が発生します。この点に関して、2006年年金保護法では解決が図られています。

 日本にも「Whipsaw」の問題、つまり退職一時金を年金化した後、それを選択一時金にするときに、なかなか退職一時金に戻らないという問題が存在します。規制自体がアメリカと完全に逆です。アメリカはこれ以上の額を払えということですが、日本の場合はこれ以下の額にしなさいということです。そのようなこともあって、終身年金の設計が困難ということはご指摘申し上げます。

 最後に、アメリカでは年金の現在価値が5,000ドル以下の場合には、制度側に一時金で清算できるという権利があります。こういったところも事務の合理化等の観点から、参考にできることなのかと思います。

 論点としては、日本的な「Whipsaw」問題を解決する施策として何か考えられないかということと、少額の年金については、清算権というものを考えてはどうかということです。

 具体的な「Whipsaw」の解決策は31頁にあります。これは終身部分を含めて、そのコスト込みで年金化したケースを考えています。辞めたときに一時金を選択する前は、こういった保証付終身年金ですが、一時金はこの終身部分のコストを含めて選択するということが全く考えられないかどうか。あるいは、一部選択ということで、保証部分50%を選択した場合、何も終身年金部分が5割になる必然性もないのではないか。あるいは支給開始後も、保証部分だけ前借りして一時金で給付するということで、終身部分の受給権を失わないということは考えられないかと思っております。このようなことをすれば、いくらかでも終身の設計はしやすくなるのではないかと思います。

 併せて、給付利率と下限予定利率の大小関係についても、アメリカの規制などを参考にしますと、どの程度の意義があるかということも考えなければいけないのではないでしょうか。

 32頁は支払保証制度についてです。アメリカの制度終了保険というのは、保証上限は賃金連動ですが、定額保険料というのは1990年代から据置きです。変動保険料は、積立不足に対する一定率ですが、この保険料の発動する基準が甘いということがご指摘できます。

 また、大型の債務引受案件は2000年以降に集中しているということで、この財政建直しというのが、2006年年金保護法の眼目の1つでありました。

 アメリカの給付建て制度は、事業主の給付義務というものに構造的な問題があると認識しております。事後的にPBGCが求償する現在の仕組みには限界があるのではないかということです。その一方で、掛金については、掛金債権等の規定というのは注目されるのではないかと思っております。

 論点としては、確定給付企業年金法成立時の附帯決議があるので、私自身、「検討を加える」という必要を認識しております。その際に、支払保証制度だけを取り出して良い悪いと議論するのではなくて、より広範な議論というのが必要ではないかというのが趣旨です。

 保険料については、36頁に保険料の過去の経緯を載せております。

 37頁は大型の制度終了案件です。最近では、今年に入ってデルタ航空のパイロットの制度の終了が確定して、PBGCにオーバーテイクされています。

 40頁に、先ほどの給付構造の話を簡単にまとめております。やはり支払保証制度は、まずは事業主に給付義務を法的に認識させることが出発点で、積立基準やセーフティネットという順番が筋だろうと思います。アメリカの制度は給付の約束をするために、しっかり積み立てましょうということがまず趣旨だろうと思います。大雑把に言うと、その後にセーフティネットが発動して、その結果積立不足であれば、積立不足部分をPBGCが求償するという順序になっているのではないかと認識しております。

 2つ目のポツですが、掛金の拠出不足については、先取特権があります。また、掛金の猶予が認められていますが、これについては担保の提供を求められることがあります。

こういったところはやはり考えなければいけないところなのかもしれません。

 ちょっと駆け足で恐縮ですが、これで私のプレゼンを終わりにします。

 

○森戸座長 ありがとうございます。引き続き野村委員、よろしくお願いいたします。

 

○野村委員 私は資料4「米国401(k)プランからの示唆」に基づいて、お話させていただきます。私もやや駆け足になるかと思いますが、資料の中の一部は、後でご覧いただくという形で進めたいと思います。

 1頁の「はじめに」で、そもそもなぜアメリカという海外の制度を見るのかということを、左側に若干書いております。当然、細かい制度は日米で異なるわけですが、大きなトレンドという意味では、先進国には共通の部分もあり、その先鋭化した事例としてアメリカを見るということです。次に具体的な内容ですが、この研究会での過去3回の議論なども踏まえ、日本の改正すべき点として挙がっているものに引き付けて並べております。

 右側に主な内容を挙げております。1つ目は、確定給付型の企業年金から401(k)プランへのシフトという現状確認です。その後の2、3、4の部分で、中途引出しの話や拠出限度額、従業員による拠出について触れたいと思います。次に加入対象者の話、つまりどれだけの人たちが確定拠出型年金に加入できるステータスを得ているかという話をします。それから401(k)プランと日本の確定拠出年金共に大きな特徴である、加入者自身が運用指図をすることについて触れます。そして最後に、制度の話からややそれる部分もあるのですが、いまアメリカでビジネスとして401(k)プランがどのように確立されているかということを、お話したいと思います。

 資料の2頁、3頁では要約を述べております。よろしければ後で読んでいただくために付けましたので、そこは飛ばさせていただきます。

 4頁「確定給付型企業年金から401(k)プランへのシフト」をご覧ください。この左側の部分では、民間の賃金労働者に占める加入している人数の割合、すなわち企業年金のカバレッジを見ております。これを見ますと、確定給付型、確定拠出型の両方に入っている人の比率があまり変化していないのに対して、主に確定給付型に加入という人の比率が減って、確定拠出型という人の比率が増えています。マクロ的にはこのようにシフトが進んできたわけです。ただ全体のカバレッジが、50%ぐらいのところで横這いというのが、アメリカの実状です。

 このような形でシフトが進んでいったのですが、その要因はいろいろあります。1つの会社が確定給付型をバッサリやめて、確定拠出型に変えてしまうパターンというよりは、長い時間をかけて、確定拠出型が普及しやすいタイプの産業が、アメリカの経済構造の中で比率を高めていったなどの要因もあると指摘されております。労働市場の流動化等、さまざまな要因が絡まっての現状です。

 また401(k)プランの特徴として、加入するかどうかを従業員が決めるという部分がありますが、やはり最初から全員がすぐに入ったわけではないようです。これも制度の認知が進むにつれて上昇し、4頁の右側のグラフにありますように、現行では、提供されている企業ですと、大体7割ぐらいの従業員が加入しているようです。

 5頁には、資産残高から見た現状をご紹介しておりますので、ご一覧ください。1つだけ指摘させていただきますと、日本では確定拠出型は企業型のほうを念頭に置きがちですが、アメリカの資産残高を見ますと、個人型に当たるIRAのほうが大きいのです。

ただ、この資産残高の膨らみのかなりの部分が、401(k)プラン等の職域DCからの資産移換に起因するものであると言われております。

 6頁から、中途の引出し等についての話をしたいと思います。まずアメリカの制度の大枠ですが、59.5歳に達する前に引き出すと早期の引出しになります。この早期の引出しには10%のペナルティ的な課税があり、所得税の税率にさらに上乗せ10%をプラスするという形になっております。この10%課税によって、資金の引出しが行われないようにするというのが、ベースになっていると理解しております。ただ、それに対してさまざまな例外が設けられており、「ただし、こういう場合は引き出すことも可能」という形になっています。

 この10%の引出しに対するペナルティ課税に加えて、特に従業員の税前拠出については、さまざまな規制が課されております。たまに401(k)プランの困窮時の引出しについて日本でも紹介されることがありますが、これは税前拠出の引出制限に関して、困窮時は引き出しても構わないという例外規定です。比較的厳しめに引出しを制限されている従業員による税前拠出についても、困窮時の引出しは認められているということで、6頁目の右側に医療費や住宅関連の支出といった、その例を挙げております。ただ、引出しは可能ですが、冒頭に申しました10%のペナルティ課税が適用されない条件を満たしていない限り、やはりその課税がありますので、それでも引き出したいですかという形になっております。

 困窮時の引出しよりも、より柔軟に在職中の引出しが可能となっているのが、7頁の「401(k)プランのローン」です。これがあるが故に、在職中もかなり柔軟な引出しが可能です。なぜ、そのようなことを許しているのかというそもそものところですが、やはりアメリカの401(k)プランというのは、加入するかどうかを従業員自身が決めます。なるべく若年の、あまり給与所得が高くない人たちの加入を募りたいわけです。ローンのような形で、一時的にせよ資産が出ていってしまうのは、できれば抑制したいという考え方がある一方で、あまりそこを厳しくしてしまうと、一般従業員のいちばん入ってほしい人たちの加入が、どうしても進まないという現実とのバランスが意識されて、今に至ると聞いております。ちなみにローンに関する規定は、ERISA法が入った当初からあったということですので、歴史は比較的古いと考えております。

 また、401(k)プランのローンについて日本で紹介されるときに、ひとつ気になる点なのですが、これは証券担保の融資ではないと理解しております。そういうものがないと言い切ってはいけないのですが、アメリカで普通に「401(k)プランのローン」と言われるときには、これは加入者が自分の口座資産を引き出すという形です。ですから、利息も税法の規定に則ったものを払わなければいけないのですが、誰に対して払っているかと言いますと、自分の口座に対してです。自分の口座資産を引き出して、それに対して利息を付けて一定期間内に返すという仕組みですので、いわゆる証券担保ローン的な言葉のイメージするところとは違うのではないかと思います。ただ、引き出してしまっている間は税制優遇を受けた資産運用の機会が失われますので、その点は十分加入者に対して知らせなければならないとよく言われます。

 8頁に「ローンの利用状況」を紹介しています。提供の状況という意味では、左側のグラフですが、約8割のプランでローンが提供されているというアンケート調査もあり、比較的普及している制度ではないかと思います。

 右に利用の実態がありますが、30代、40代ぐらいの加入者を取ると、2割ぐらいの人が利用しており、これが高いか低いかは、捉える人によって違うかと思います。

 さて、いま申しましたのは、在職中の制度ですが、9頁では、離転職時についてご紹介しています。細かいことは割愛させていただきますが、ここでも離転職時に引き出して自分の普通のお金と一緒にしてしまうと、10%のペナルティの課税がかかりますので、そういうことをしないようにという形の制度になっています。

 あとで触れますが、転職により自営業者になる、あるいは新しい会社に勤めるときに、資産が塩漬けにならないことが非常に重要であるという観点に立つと、どれだけの人たちが加入対象者の中に含まれているかという、カバレッジの部分とも大いにかかわってくる話ではないかと思います。この絵でいきますと、米国の場合、B社の従業員になって、IRAに資産を残すことが可能ですし、実際に行われているわけですが、このときにIRAに引き続き拠出ができるような形になっています。

 10頁は「離転職時の資産移換の実態」ですが、割愛させていただきます。

 11頁では、米国における拠出限度額のご紹介をしています。2007年、今年の足元ですが、401(k)プランの加入者の拠出に対する規制が年間1万5,500ドルとなっています。

また、これも含めて、加入者1人の個人口座に対する拠出、この拠出の中には加入者の拠出と企業の拠出の両方が含まれますけれども、その一口座に対する拠出の上限が4.5万ドルで、金額的には日本に比べて、随分高い拠出上限が設定されていると言えるかと思います。

 いまご紹介した拠出上限というのは、2001年の税法改正で引き上げが行われました。

ただ、2001年の税法改正以前の歴史を振り返りますと、実は401(k)プランの上限等については、必ずしも積極的に引上げが行われていたとは限らず、引下げが行われた局面もありました。このようなことを紹介しているのが、12頁の制度改正の歴史です。いろいろありましたが、ここで留意する必要があるのは、もともと上限は高かったということです。例えば、1982年に上限の引下げがありましたが、そのときも口座全体に対する拠出上限は当時の3万ドルということで、あくまでも日本に比べて高めの話だったことを認識いただければと思います。

 次に従業員による拠出の話ですが、やや興味深いと思われるのが、アメリカの確定拠出型年金も、そもそもは企業拠出のみのパターンから始まっています。これに対して従業員税前拠出CODA(Cash or Deferred Arrangement)が、法律ではっきり規定されたのは1978年のことです。

 すなわち、後から従業員拠出が可能になったわけですが、そこまでに至るさまざまな議論において、当初は従業員の拠出を企業拠出とみなすという形でした。「従業員が現金、もしくは繰り延べて年金の拠出金とする」という選択肢を与えられた上で年金拠出を選択するという形で口座に入ってきたお金についても、企業が拠出したとみなすことによって、これに税制優遇を与えるという形で処理されました。このような歴史的な経緯がありますので、日本の加入者拠出を議論する際においても、十分な拠出上限がそもそも確保されているのが大前提になるのですが、このような発想も応用できるのではないかと思います。

 13頁には、税後拠出の制度もあるという紹介をしていますが、詳細は割愛させていただきます。

 14頁は、加入対象者が非常に幅広いという紹介です。ただ、401(k)プランのような職域の制度を提供するかどうかは、日本と同じように企業が意思決定する部分ですので、カバレッジの広さ、加入対象者の広さという部分で、アメリカではIRA(個人型)が活躍していると言えるのではないかと思います。

 例えば、米国のIRAの場合職場に年金がある人についても、画一的に、それではIRAが利用できないという形には必ずしもなっていません。拠出はできるが、所得控除の上限が、年収が一定以上になると減らされてゼロになる、ただし、税後拠出は可能となっており、いわゆる塩漬けの状況がなるべく生じない形になっています。所得のない配偶者であっても加入が可能です。

 15頁には、IRA(個人型)がどのように制度改正をたどってきたかという歴史を紹介していますが、ここでお伝えしたいメッセージは、IRAの制度改正のポイントは、カバレッジの広さ、加入対象となる人たちの広さが拡大されていった点にあったことです。

つまり、初めから今の姿ではなかったわけで、いろいろ工夫をして、長い時間をかけて改正してきたのです。

 IRAの拠出上限については、アメリカの401(k)プランに比べると低いですし、日本の第1号被保険者の拠出上限よりも低いです。ただ、その分、カバレッジが広いということが指摘できるのではないかと思います。

 もう1つの特徴として、16頁で「確定拠出型年金と中小企業」を紹介しています。IRAを小企業向けの年金プランとして活用していこうという考え方は、アメリカでは従前よりかなり根強く、工夫がこらされてきた感があります。SEPは、企業だけが拠出するパターンです。SIMPLEは401(k)プランも可能なものの、普及しているのは主にSIMPLE IRAのほうだと聞いておりますが、従業員自身も拠出できるというパターンです。諸々の規制が従来の401(k)プラン等の職域の制度よりも軽く、その分、制度設計の柔軟性が制約されます。小企業は、柔軟な制度設計よりもプランの提供コストが低いほうを選択するという考え方で、このような形で小さい企業による職場の年金プラン提供を促進したい、そこでIRAを活用するという工夫がこらされております。

 17頁で運用指図をめぐる展開を紹介しています。これも詳細を述べる時間がありませんので、キーワードだけを紹介する形になります。右に「Do-It-Yourself」と書いてありますが、これは1990年代のアメリカの401(k)プランで、基本的には加入者教育を提供し、適切な投資の選択肢を提示して、あとは加入者が自分で考えてください、というスタンスを意味しています。

 それに対して、特に21世紀に入ってからですが、アメリカでも改めて継続教育の重要性が注目されました。そのような中で加入者の多様性が意識され、すべての加入者にDo-It-Yourselfを求めるのは難しいのではないかという認識も生じて、少し運用指図の部分について専門家の助けを借りられる選択肢を、加入者に対するサービス、商品の形で充実させてはどうかという論調になっています。

 そのような多様化を紹介しているのが18頁です。この絵の中でも、特に左寄りに書いてある「可能な限りプロに任せたい」という加入者のニーズに、なるべく応えていこうというのが近年の状況です。

 その一例として挙げているのが19頁の投資アドバイスです。これは今まで何回か研究会の中でも触れられていましたので詳細は割愛します。念のための確認ですが、アドバイスというと、その年時の相場を反映した投資を助言するように、言葉からイメージしてしまう場合もあるかもしれませんが、ここで申しているのは、そういうことではなく、一定のコンピュータ・モデルのようなものをあらかじめ用意しておき、加入者の属性をその中にインプットし、そのモデルが弾き出した、どの商品にどれだけ拠出するかを加入者にアドバイスするサービスです。

 2006年年金保護法(PPA)によって、投資アドバイスのようなサービスを加入者が利用できるようにしてあげる際の、事業主の受託者責任等について、それまで不明確な部分があったのが解消されたという制度改正もなされています。

 20頁にデフォルト商品について若干触れています。アメリカの401(k)プランは、もともとは加入するかどうか等は従業員の意思決定ですが、昨今は、「入りたくない」という意思表示をしない限りは、自動的に加入させてしまうという自動加入、オートメーションが制度設計で注目されています。自動加入が普及するにつれて、そういう形で入ってきた人たちは、一般に運用指図をしない可能性が高いと考えられることもあって、デフォルト商品への投資が拡大するのではないかと指摘されています。

 デフォルト商品への注目が高まっている中で、従来はMMFやGICがデフォルト商品指定されることが多かったのですが、ライフサイクルファンドのような、幅広い分散投資を行って、リスクリターンがMMFなどよりはある程度高めの商品を設定することについてどう考えるか、という議論が始まっています。

 日本の場合は、定期預金がデフォルト商品の中心ですが、アメリカでこのような議論が起こっていることを、日本ではどう考えていけば良いのかという論点はあるのではないかと思います。

 21頁は割愛して、22頁に、米国の401(k)プランはどのように変化してきたのかを、概念図的に提示しています。いま紹介した自動化や、運用指図の部分はなるべくプロフェッショナルの手を借りたいという最近のトレンドは、401(k)プランの質的な変化とも言え、従来のイメージの401(k)プランよりも、あえて申しますと、確定給付型に近い部分があると思います。加入の意思決定から自動的に行われる、そのようなシフトが起こっていると観察しております。

 ただその際、確認が必要なのは、運用リスクの負担者と、運用指図に関する最終的な意思決定権者、これはアメリカの401(k)プランの場合はあくまでも加入者だということです。特に先ほどのCDCの紹介などを踏まえると、アメリカではこの点は変わっていません。DBのほうについても、両方とも企業です。アメリカの最近の変化はこのように整理されるのではないかと思います。

 23頁は、時間の制約もありますので、ほんの一言ですが、アメリカの401(k)プランのビジネスがどのような仕組みになっているのかという紹介をしています。投資信託が商品の中心にあることもあって、23頁の絵で示しているような「レベニュー・シェアリング」と呼ばれる仕組みが比較的普及しています。すなわち、レコードキーパーが加入者に対するサービスも提供していますが、投資信託の残高から引き落とされる手数料の一部が、彼らに対する報酬として支払われるという慣行です。

 ただ、これが可能なのは、あくまでも、どの投資信託をプランの投資の選択肢として選定するかという意思決定を、事業主が責任を持って行っているからです。もともとの資産規模や、ある程度プランの規模に応じた顧客セグメンテーションに基づくサービス提供が行われていることに加えて、レベニュー・シェアリングの仕組みが背景にあり、アメリカでは401(k)プランのビジネスは収益が出るビジネスとして確立されています。

 このようなことに触れたのも、日本はまだ導入から5年ですので、これからのことなのかもしれませんが、あくまでも民間の企業がサービス提供していくという現実がありますので、いずれはビジネスとして確立されていかないと、最終的には制度そのものがうまく運営されないことにもなりかねないと認識しているからです。レベニュー・シェアリングについては、日本は同じロジックは使えないと思いますので、日本なりのビジネスモデルの確立も必要ではないかということです。駆け足になりましたが、私からは以上です。

 

○森戸座長 小野委員、野村委員から、短い時間でたくさんの情報をご提供いただきまして、ありがとうございました。ただいまのご説明について、ご質問、ご意見をお受けしたいと思います。座長もたまには質問したいので、最初にしゃべらせていただきます。

 お二人に1つずつ質問があります。小野委員には、小野委員の資料の14頁にある、「制度設定機能」と「制度管理運営機能」の話で大きく2つのことを言いたいと思います。

日本の場合、労使合意が設定機能で、それ以外の事業主や基金が管理運営機能という位置づけはできないのかと思っています。これはいいのですが、小野委員のお考えでは、設定機能と管理運営機能が明確に意識して分けてあったほうが、ガバナンス的に効率的だという前提で話をされているのかどうかをお聞きしたいと思います。

 野村委員には、最近の動向もわかって面白かったのですが、全体の印象として、例えば困窮だと引き出せるとか、でも10%のタックスとか、アメリカは最終的には自由な意思で選択を尊重するというのもあると思いますが、そういうベースである結果、ちょっと穿った見方をすると、ある程度お金があり、つまり困窮したり、引き出したりする必要がなく、かつ、いろいろ知らないでいると、税制優遇で損をしてしまうところが結構あるような気がして、スマートというか、制度をよく知っているような人でなければ、うまく利用できない、あるいは得ができないような部分がないのでしょうか。

 最近のデフォルトの話や自動加入の辺りも非常に面白かったのですが、その辺りも、いい会社にいたり、お金を払えるような人でなければ、良いアドバイスなども得られないとすると、金持ち優遇というのは簡単な言葉ですが、全体としてある程度要領よくいろいろなことを知っていて、余裕のある人しかうまく使えないような制度になっているということはないのでしょうか。少々ひねくれた見方ですが、そのようなことをお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。

 

○小野委員 ガバナンスのことに関しては、正直言って、私もそれほど専門ではなく、隣にいる者からいろいろ聞いたりしており、そういった意味で少々暗い部分があります。 私の理解としては、基金型の基金というのは、基本的には法的な主体になり得ますし、その法人として意思決定をするのだろうと思います。その意思決定をするのは代議員会で、執行を行うのが理事だろうという理解をしておりまして、その意味では、制度設定機能は基金型の場合には基金に属するということで整理をしました。これも1つの考え方であり、ほかの考え方もあるのかもしれません。

 その場合に労使合意というのは、その意味でどのように位置づけるかは課題かもしれませんが、それを担保するような形で、かなり入念的に位置づけられているのではないかと思っております。そのような理解をしております。

 

○野村委員 比較的恵まれた人たちが利用しやすく、そうでない人は利用しづらいという指摘はアメリカでも行われております。このように整理をするのがいいのかどうかわかりませんが、あえて単純化すると、共和党政権下で行われた2001年の税制改正などにも言われることで、すなわち、税制優遇というインセンティブは、所得がある程度以上の水準で、貯蓄する余裕がないと利用できないタイプのアプローチであるということです。

 これに対して民主党、その他から、そうではない人たちに対する政策がもっと必要ではないかということは指摘されています。関連する提案などもいろいろ出ており、IRAを、よりユニバーサルに、すべての人に対して基本的に提供されるようにして、所得の少ない人たちに対しては、政府がそれこそマッチング拠出的なことをしてはどうかという提案ですとか、そのような議論はあります。新しく民主党議会になったので、このような議論が賑やかになるかもしれないという気はしています。

 

○森戸座長 ほかの委員はいかがでしょうか。

 

○藤井委員 まず小野委員にですが、オランダの場合は、支払保証がないことから、積立基準監督機能が比較的重要である、という報告があったかと思います。一方、小野委員の報告ですと、15頁辺りからPBGCの点に関しても、積立水準に関する規制の強化、画一化が述べられているかと思います。そうは言いながら、実はオランダのほうが現実には100%を超える積立水準が一般的に用意されていて、何となく報告を聞いている範囲では、うまくいっているのかなという感じがあります。

 ところが、アメリカの場合には、支払保証があることが、かえって支払保証の給付債務をどうにかカバーせんがために、年金制度側に積立水準を強く求める。一方、支払保証制度があるがために、積立水準がそもそも満タンである必要性が理論上ないのではないかという気もするわけです。一方、そうであるがために、逆に支払保証制度のほうで積立不足の問題が生ずるというジレンマではないかという感じがします。

 その結果、DB全般がアメリカにおいては立ち行かなくなっている1つの原因になっているのではないか。一方、オランダでは、むしろDBが主体であって、かつ、CDCなどという若干工夫をしているところはありますが、大きな枠組みとしては、従来の形が残っているのかという気がします。

 小野委員に、米国におけるPBGCの功罪などについて、ご意見があれば全般的な点でお話をいただければと思います。

 野村委員のほうについては、12頁で法案経緯に関する歴史の紹介がありましたが、このうち、本人拠出の導入に関する点が非常に重要なお話だったかと思います。我が国でも、そもそも確定拠出年金については加入時における任意制があって、必ずしも全員が直ちに加入しなければならないという規約ばかりではない。加入しない場合には、別途、掛金見合いの額を給与等に上乗せして受け取ることもあり得るわけで、それを指して本人拠出と言えるというか、そういう性格をも有しているのではないかという気がします。

 お尋ねしたいのは、本人拠出というのはそもそも何なのかということです。私の受ける印象では、加入のときに1回だけ選択肢がある場合では、本人拠出という点では若干不十分で、本人拠出というからには、年に1回とか、月々とか、拠出額について本人が自由に増やしたり減らしたりできることが加入後についても用意されていて初めて、本人拠出なのだという実感が相当強くなるのではないかという気がします。

 そういう点で、米国の1978年の法改正の前後辺りにおいて、本人拠出がどのようなものとして捉えられていたのかという辺りについて、ご存じなら教えていただきたいと思います。

 

○小野委員 PBGCと、その積立規律という話かと思います。最後に説明しましたとおりで、私は企業が確定給付制度の給付義務を直接的に負っているということは、現状法律的にはないのではないかと思います。ですから、その分だけERISA法の中の積立基準でしっかり積み立てなければいけないということは徹底しなければいけないという面があったかと思いますが、2000年に入ってからの積立基準の緩和が、積立不足、大型の債務引受けという形でPBGCの財政を悪化させたという面は否めないのではないかと思います。ですから、あくまでも積立基準というのは、緩和するにしても、非常に考慮が必要なのではないかと思います。

 そのようなこともありますので、例えば経営が危なくなった企業は、果たして給付義務を正しく認識するかというと、そうでもないのではないかという気がします。少し前に別の所で紹介しましたが、37頁の倒産の案件の中に入っていますベツレヘム スチールという会社があって、2003年に引受債務37億ドルでPBGCが引き受けたわけですが、倒産したあと、ある投資ファンドが4億ドルぐらいで買収をしたわけです。そのあと制度を終了しました。これは医療保険も終了したことになろうかと思いますが、そのあとに40億ドルを超える金額で売り抜けたという話がありました。ですから、それを考えると、引き受けた者は誰かが得をしているのかなという面があります。そういう面では、PBGCだけを責めるのではなくて、全体の構成の中では、なかなか整理しづらい立場にあるのではないかということで、功罪というか、その意味では日本とも給付義務の状況が違っていますし、それなりに整理をして検討しなければならないと思います。

 

○野村委員 導入前後の本人拠出とは何かという質問でしたが、アメリカの歴史を見ますと、本人拠出の可否はまずボーナスについてどうするかという話から始まったようです。日本的にいうと給与ではなく賞与ですが、その一部についてCash or Deferredというアレンジメントを提供することから始まって、それを普段の給与に対して同じような形で提供しても税制適格ですかということが問われて、IRSがそれに対して「イエス」と言い、最終的には法律で固めたという流れですので、DC制度導入時もしくは加入時に1回だけ選択するという発想ではないと思います。

 また現実問題として、加入後、給与の何パーセントという比率は加入者が自由に変えることができ、最初は低くても、あとから引き上げなさいというのが加入者教育の重要な項目になっています。

 

○森戸座長 ほかにいかがでしょうか。

 

○加子委員 野村委員に質問します。11頁に「米国における拠出限度額引上げ」という

表があり、拠出限度額の歴史が述べられています。そもそも米国において拠出限度額を

決めているメルクマールは何ですか。日本の場合は代行部分との関連で決まっているや

に認識しているのですが、アメリカにおいては何をメルクマールにこれを決めているの

でしょうか。そうすると、2002年の法改正でパッと数字が上がっているというのは、そ

ういうメルクマールとの関係があるのだろうと思うのですが、その辺について教えてい

ただければと思います。

 

○野村委員 実は、それこそ引き下げ時になぜ3万ドルだったのかというのは、私も興味があって少し調べる工夫をしたのですが、申し訳ありませんが、これが根拠で3万ドルにしましたという部分がなかなか見つからなかったのです。そのあとの引上げについては、インフレ調整を止めていた分とか、刻みをどうするとか、やや技術的な部分もあるかと思います。あとは財政の規律との関係などもあるかと思います。確かにもう少し歴史を遡って、なぜこの辺りで始まっているのかという疑問はありましたが、ERISA制定時の議論くらいまで遡る必要があると思います。そのサポートをする材料が見つかりませんでした。

 

○森戸座長 ほかにいかがでしょうか。何しろ盛りだくさんでしたので、まだいろいろご意見、ご議論があると思いますが、時間の都合もありますので、先に行かせていただきたいと思います。

 次の議題ですが、「要望事項」に移りたいと思います。前回、藤井委員からご紹介いただきましたとおり、日本年金数理人会において、「確定給付型企業年金制度の一層の充実・発展に向けて」というのが取りまとめられたとのことですので、ここで藤井委員から内容について説明をお願いします。引き続きまして、企業年金連合会西山部長より、「企業年金制度の改善に関する要望事項」についての説明もいただきたいと思います。

では、藤井委員よろしくお願いします。

 

○藤井委員 日本年金数理人会として、今回の法律の見直しに当たって、提言すべき事項をまとめましたので報告いたします。

 本件は、日本年金数理人会という団体の性格上、確定給付型の企業年金に関して述べています。直接的には確定給付企業年金法に関する点ですが、当然、内容に応じて厚生年金基金に関する点も含まれていると考えています。

 大きく4つの内容に分かれております。1頁の1の「確実な給付に向けての積立てということで、受給権の確保という点を念頭に置いて、継続基準と非継続基準がありますが、継続基準を基本としつつも、非継続の点にもよく注意して積立水準を確保することが、結局、受給権の確保に重要なポイントとなるのではないかという観点を持っています。

 そういう点で(1)に「積立水準の向上」を挙げています。積立てというのは掛金のことですが、これを一定に保つという1つのルールを置くと、企業としては、いいときはいいのですが、将来悪くなったときのことを考えて、本来出せる額より低い額に設定する恐れがあるのではないかという感じがあります。悪いときに多く出せと言っても、

現実問題として無理ですから、むしろいいときに余分に出せる仕組みを作ることが、全体として積立水準を引き上げて受給権の確保に資するのではないかということを述べています。

 特に(1)の2つ目のポツ印ですが、最低積立基準額という基準がありますが、これを超える一定の範囲まで積立てを可能として、積立水準を高くすることを求めたらどうかと考えています。これについては、今日報告があった米国あるいはオランダの場合でも、最近の法改正によって、少し余分めの拠出についても、将来の変動を考えれば許容というか、むしろ求めるべきではないかという考えもあるようで、それとも通ずるところがあるのではないかという気がします。

 積立ての内容の運用に関しても、将来の変動ということがありますから、これについても加入者等に示すことが必要ではないかと考えています。

 3番目として、最低積立基準額の計算内容ですが、これについては制度が終了した場合に、本来給付するべき額と比べて、若干低い数値での計算が現在行われています。これもやむを得ない面もありますが、本来の額を注記するなどして、本来的な目標額を念頭に置いた運営が重要ではないかということを示しています。

 2頁ですが、2は「制度設計」に関して2つ提言したいと考えています。(1)定年延長に関する点です。冒頭の紹介で確定拠出年金の場合の60~65歳の関係に関する要望がされていると伺っていますが、確定給付企業年金については60歳から支給をするのが大原則になっています。しかし一方で、65歳まで雇用延長することがあり、これとの絡みで65歳などを念頭に置いて、そこに向かって支給開始の要件、あるいは従来の設計等の変更に関して、雇用条件の変更と合わせて、全体で捉えてみたときに、給付減額等のルールの適用について、若干検討を加える必要があるのではないか、という点について提言しています。

 (2)は、先ほど来、オランダ、米国でも出ているように、オランダのCDCや、米国ですとキャッシュバランスプラン、現在でもフロアーオフセットプランというのがあるようで、DBとDCのさらに間の制度ということです。現在、キャッシュバランスプランは認められていますが、それに加えて、さらに中間的な制度についての検討を拡大する必要があるのではないかという点です。

 3頁ですが、3で「税制」について述べています。これは各方面から出ているかと思いますので省略いたします。

 4は、「数理人の確保と役割の拡大」の点について申し上げておきたいと思います。(1)ですが、現在、指定数理人制度が厚年年金基金制度では導入されていますが、確定給付企業年金については、そういう状況になっていませんので、これについても、確定給付企業年金制度の健全な発展を推進という観点から導入を検討したらどうかと考えています。だたし、簡易基準を採用するなどの300人未満の制度については、若干の負荷のかかりすぎもあるでしょうから、それについての現実的な対応も必要ではないかということです。

 (2)は、「確定給付企業年金の規約認可等への関与」の点です。あとでも要望事項が出ているようですが、確定給付企業年金制度の認可に関しては、相当時間がかかっているという状況もあろうかと思います。これに関連して、年金数理人制度を活用して、一定のチェックポイントをあらかじめ定めた上で、これは過去の事例等に基づくものを整理して作成するのですが、これに照らして、特に問題がない、あるいは受給権の点で不利益がない場合には、年金数理人のチェックを重視することで、認可の迅速化も考えられるのではないかと考えております。特に、適格退職年金が今後確定給付企業年金に移っていくという、非常に多くの件数が予想される点を考えますと、こういうことも必要なのではないかということです。当然、チェックポイントでの適合性に疑問が生じるような新たな事例があるのなら、これについて、その点で当局と数理人会での協議をして確認をした上で、さらにチェックポイントの完成度を高めていくということでよろしい

のではないかと考えています。

 最後に「年金数理人の確保」ですが、日本年金数理人会が実施する試験がありますが、これに基づいて年金数理人の認定をしていただくことで、数理人の確保が開かれていくのではないかと考えています。

 

○森戸座長 ありがとうございました。では、西山部長お願いします。

 

○企業年金連合会(西山部長) 資料6は「企業年金制度の改善に関する要望事項」で、昨年12月に厚生労働省に対して提出しております。本日の資料として提出しましたのは、その要望書です。本研究会の第1回で、若干、当方の要望について述べましたが、当時は税制改正の要望は既に提出していたのですが、制度改善については、まだ検討中でした。今回、要望書がまとまりましたので、再度、この場で簡単に説明させていただきたいと思います。

 この要望書の構成ですが、最初に全体としての「要望事項」という2枚紙があり、そのあと厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金と、それぞれの企業年金制度についての要望が整理されています。これは、連合会におきまして、実際に制度の運営に携わっている者をメンバーとした委員会を作り、そこで議論をした成果をまとめたものです。その意味では、かなり実際の日々の運営に関する委員の切実な要望が入っているものです。膨大になっておりますので、簡単に紹介したいと思います。

 まず、3項目の「厚生年金基金制度改善要望」と題した別添1があります。大きな項目として、1「財政検証の緩和」に関する事項、2「給付減額要件の調和、手続きの簡素化」、3「社会保険庁からの情報提供の拡大」、4「規約変更認可の早期化」、5「企業会計基準について」です。次の「確定給付企業年金制度改善要望」も、若干構成は違っていますが、要望事項としてはかなり似ているところがあり、時間の関係もありますので、まとめてお話させていただきたいと思います。

 厚生年金基金、確定給付企業年金は、つい最近まで非常に厳しい財政状況の中で、何とか運営をしてきました。最近、若干運用環境が良くなりましたが、なかなか厳しい状態がまだ残っている部分もあります。

 そうした中で、存続していくために、各基金自身がいろいろな工夫をしてまいりました。例えば、この要望ですと、2頁ですが、なかなか財政が厳しい中で、掛金の引上げができない、しかし、何とか基金の解散を回避したいというために、加入者、さらには受給者についても、給付減額を計画して、そのために規約変更を行うことを行政当局に相談をすることがあります。

 最近は、企業において合併、分割、人事政策の変更などがよくありますが、それも基金のほうに反映してくるということで、基金の規約も変更しなければいけません。そうしたことから、最近は厚生年金基金も確定給付企業年金も、基金規約の変更を相談して申請する件数が非常に多くなっていますが、なかなか行政側で対応していただけないという声がかなり出ています。

 1つは厚生年金基金について、2頁の給付減額に関してですが、そういうことについて、基金側の事情を聞いていただけない画一的な対応をされているという声が、基金からかなり出ています。

 4頁の4ですが、先ほども数理人会の話がありましたが、規約変更の認可について、時間がかかって、何カ月経ってもなかなか認可をいただけなかったり、もしくは、各地方厚生局によって対応が違ってしまったりして、基金の事務局としては相当苦しい思いをしています。基金としてもスケジュールを作って作業をしていますので、基金の実情を踏まえて、給付減額であれば柔軟な対応をしていただきたいし、また、認可事務についていろいろご検討いただき、簡素化・早期化をお願いしたいと思います。

 なお、基金の中で、特に最近、総合型基金の関係で要望がありますのが、3頁です。総合型基金の場合、厚生年金の被保険者記録と基金の加入員記録の整合を何とかとっていきたいということですが、その辺がなかなかうまくいかない点があります。社会保険庁との間での記録の整合性をお願いしたい。個人情報の保護という問題があると思いますが、これは重要なことですので、よろしくお願いいたします。

 確定拠出年金に関しては、別添3に「確定拠出年金制度改善要望」があります。表紙の次に要望項目が書いてあります。この項目としては、税制改正の要望の関係で出した項目がかなりあります。いわゆるマッチング拠出枠の関係、拠出限度額の引上げなどの要望は、確定拠出年金法の改正にかかわるので、再度要望しております。この中にない、今回新しく要望したのはアンダーラインのある事項です。この中でいくつか紹介したいと思います。

 1つは、1の(3)「運用商品の除外要件の緩和」です。中身は3頁にありますが、いろいろ運用商品を設定していく際に、よりよい運用商品が出てきたときは、事業主とすれば切り換えたい。ところが、これが当該商品を運用している者全員の同意を必要としなければならないとされていますので、なかなかうまくいかない。商品除外の要件については、除外することが可能になるような手続等を整備していただきたいということです。

 別添3の2頁、4「その他」に「継続教育における投資教育義務等の明確化」があります。事業主は、加入員に対する投資教育については、当初も当然やりますが、そのあと継続的にもきちんとやらなければならないのですが、熱心にやろうとしている事業主にとって、どこまでやれば義務を果たしたことになるのだろうかということが、なかなかわからない状況です。あとになって、十分な教育をしていないではないか、情報を提供していないではないか、と非難されたり訴えられることもあり得ますので、その辺についての判断基準をお願いしたいと思います。

 それから、先ほどの「確定給付等」と同じように、事務の簡素化についての軽減をお願いするといったことが、今回新しくあった中身です。これらは制度を運営している者の要望ということで、よろしく対応をお願いしたいと思います。

 

○森戸座長 ありがとうございました。ただいまのお二人の説明について、皆様からご質問、ご意見等をお願いします。

 では、特にご意見、ご質問ないようですので、配付資料の7ですが、企業年金連絡協議会におかれまして、第2回の研究会の開催時点では、とりまとめ中であった確定給付企業年金等に係る要望事項がとりまとめられたという連絡を、事務局を通じていただいておりますので、配付資料7としてお配りしております。委員の皆様においてはご参照いただければと思います。

 それでは、次の議題の「論点案等」に移りたいと思います。事務局より資料の説明をよろしくお願いします。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 それでは、資料8、資料9、資料10について説明いたします。前回の研究会において、本日までは関係者のヒアリング等でしたが、そろそろ論点を整理して議論を進めてはどうかという座長からのご指示もありましたので、そういった観点からまとめたものです。

 資料9は、これまでの議論を議事要旨を中心に整理したもので、それを基に、今後の議論をすべき主な論点ということでまとめたのが資料8です。資料8は「論点(案)」で、大きく分けて3つのパーツに分けてはどうかということです。

 1が「企業年金共通の課題」です。この研究会でも、企業年金それぞれいろいろな制度がありますが、厚生年金基金、確定拠出年金、確定給付企業年金それぞれについて、その性格をどのように考えるかをまず整理すべきではないかという議論がありました。

性格の整理といっても、いろいろな観点があろうかと思いますが、特に歴史的な経緯なども踏まえると、退職金との関係をどのように考えるか、あるいは公的年金との関係をどのように考えるか。軸としては主に2つあると思いますが、歴史的な経緯も踏まえながら、そういった性格をどのように整理すべきかという論点があろうかと思います。

 ある意味では、そういった性格論が、企業年金の制度や公的支援の在り方にも関連があるのではないかということで、現在でも自社年金等を除いて、かっちりした制度的な企業年金については、年金性の担保などについても一定の規制があるとともに、特に公的支援では税制が中心ですが、税制についての支援があるわけで、そういった企業年金の性格と、規制あるいは公的支援の在り方が関連があるかどうかといった整理が必要ではないかということです。

 特に税制については、拠出時、運用時、給付時という年金全般に関する税制の考え方がありますし、そういった整理が必要ではないかということもあります。緊急の課題としては、特別法人税が、平成19年度で凍結が切れるという状況にもありますので、特に税制の中でも特別法人税について、少し突っ込んだ議論をしてはいかがかと考えております。それが第1のパーツです。

 第2のパーツとしては、「個別制度の課題」で、この間、特に関係者からの要望、ヒアリング等で出てきた論点を中心に議論してはどうかということです。確定拠出年金については、本日、野村委員からもプレゼンテーションをいただきましたが、まずは拠出限度額の在り方について、どのように考えるかということです。前回、小野委員からも、現在の拠出限度額の考え方、具体的な算式等について、少し突っ込んだ資料も出してほしいということもありましたので、拠出限度額について、少し考え方等を含めて整理して、今後どのようにすべきかという論点があろうかと思います。

 また加入者の在り方、あるいは本日も議論にありましたが、企業型における個人拠出、いわゆるマッチング拠出ですが、そういった要件の在り方について、現時点でどのように考えるかということです。

 先ほどの企業年金連合会からの要望等に関連しますが、投資教育や、導入時あるいは除外時等における商品選択の在り方、手続等についてどのように考えるかということがあろうかと思います。

 ある意味個別問題ですが、個人型における自動移換問題について、どのように考えるかということです。その他、自動移換問題にも関連しますが、中途引出要件を年金性との関連で、どのように考えるか等の論点があろうかと思います。

 「確定給付企業年金」については、当面ですが、審査の効率化、標準化が課題かと思いますので、そういったことを中心に議論をしてはどうかと考えております。特に適格退職年金が5年後に廃止されるということで、大幅な申請等が見込まれますので、そのような点についてどのように考えるか、あるいは規制緩和ということで、本日の要望にもありましたが、60代前半での退職時の支給など、退職金との関連も含めて、もう少し使い勝手がよくならないかといった論点があろうかと思います。

 3つ目のパーツとしては「その他の企業年金をめぐる課題」です。これは、本日のオランダの企業年金、あるいはアメリカの企業年金でも、重要な論点として挙がっておりましたが、企業年金におけるガバナンスといいましょうか、事業主と加入者の責任・役割分担、全体のガバナンスについてどのように考えるかということがあります。

 特に、これまで要望等ではあまり議論していないところですが、積立基準、いわゆる受託者責任の在り方について、どのように考えるか。資産運用の在り方について、どのように考えるかという点です。本日はアメリカの支払保証の点などもありましたが、そのような点も含めて、このような課題を論点として議論したらどうかということです。

 続きまして、「今後の進め方」ですが、資料10です。大きく3つのパーツに分けてはどうかと申し上げましたが、3つの課題ごとに議論してはどうかということで、2月に2回予定しています。「企業年金共通の課題」、「個別制度の課題」をそれぞれ1回ずつ議論し、3月以降の第7回で、先ほどの3つ目のパーツの「その他の企業年金をめぐる課題」を議論してはどうかということです。あくまでも事務局でのたたき台ですが、以上です。

 

○森戸座長 今日はもうあまり時間がありませんが、いまご紹介があったように、あくまでたたき台ですが、この「論点(案)」に関して、何かご質問、ご意見がありますでしょうか。

 

○島崎座長代理 「論点(案)」ですが、資産運用の在り方について、どう考えるかというのは、具体的には何をイメージされているのですか。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 積立基準や受託者責任というところに絡みますが、例えば、現在デリバティブなど新たな資産運用商品も出てきていますが、現在の資産運用に関する基準が必ずしも新たな商品に対応していないという課題もあって、そのような議論があるのではないかということです。

 

○森戸座長 これは資料としては、一応「これまでの主な議論(案)」を見ると、もう少し詳しく書いてあるという関係になっているのですか。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 本日は時間の関係で説明を省略しましたが、「これま

での主な議論(案)」の中で、主なものをピックアップしたものです。

 

○森戸座長 ほかにいかがでしょうか。

 

○小野委員 「企業年金共通の課題」ですが、私の不勉強で申し訳ないのですが、各国でも企業年金の税制は、それなりに変わっているという例もあるように伺っております。例えば、イギリスですと、概念的には各個人に対する生涯非課税枠という概念が持ち出されているようなことを伺っており、それが一生で何万ポンドなどといった形で決まっているようなことを伺っています。そのようなことなどを参考にするような、ある意味、税部分の材料提供というか、そういったものがあれば非常に有難いと思います。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 事務局で調べて、可能な限り用意したいと思います。

 

○森戸座長 ほかにいかがでしょうか。

 

○野村委員 本日のオランダの話や、小野委員からの確定給付型のアメリカの話などを参考にして考えています。給付減額の柔軟性をもっと拡大してほしいという要望がある一方で、アメリカは比較的そこの部分、特に過去の勤務の対価に関するベスティングがとても手堅いです。それはもちろん両方の善し悪しがあると思います。ベスティングというのは日本語にしづらいのですが、この話はどこかに盛り込む余地があるでしょうかという質問です。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 事務局で用意した整理では、3月以降のテーマとして取り上げると思います。

 

○森戸座長 この「論点(案)」の整理だとどこの話になるのですか。やはり「確定給付等」という話なのでしょうか。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 「その他の企業年金をめぐる課題」の給付に関する事業主の責任の在り方ということになろうかと思います。

 

○小島委員 いまの野村委員が指摘されたベスティングの問題は、極めて重要な問題だと思います。特に企業年金の性格は退職金の分割払いであり、まさに賃金の後払いということで、賃金・労働力に直接かかわる。企業年金にした場合のベスティング、いわゆる受給権の確保ということになります。企業年金の性格にも極めて密接な関係があると思います。「その他」の項目ということでなく、共通の課題でもあり、極めて重要なポイントだと思います。

 

○森戸座長 その点も、先ほどの税制の点も、これは案ですので、これからまた追加のご意見もいただくでしょうが、「その他」となっているところを、できるだけ重要だと思うところは出していただいて、またそれは作っていただくように事務局にもお願いしたいと思います。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 いまのご意見も踏まえて、整理させていただきたいと思います。

 

○森戸座長 ほかにいかがでしょうか。本来はもう少し質疑応答の時間も取りたかったのですが、先ほどから申し上げているように、「論点(案)」等に対する追加のご意見を、是非、事務局までお寄せいただくようにお願いいたします。

 本日はこれで終了いたします。ありがとうございました。次回は2月16日です。よろしくお願いいたします。

 

 

(照会先)

厚生労働省 年金局 企業年金国民年金基金課 企画係

(代表)03-5253-1111(内線3320)

 

 

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