2012年10月24日 第13回社会保障審議会年金部会議事録

年金局

 

○日時

平成24年10月24日(水)12:59~13:52

 

○場所

厚生労働省9階 省議室

 

○出席者

神 野 直 彦 (部会長)

植 田 和 男 (部会長代理)

宮本 礼一 (委員)

小 塩 隆 士 (委員)

柿 木 厚 司 (委員)

菊 池 馨 実 (委員)

駒 村 康 平 (委員)

小 室 淑 恵 (委員)

小 山 文 子 (委員)

佐 藤 博 樹 (委員)

武 田 洋 子 (委員)

花 井 圭 子 (委員)

藤 沢 久 美 (委員)

森 戸 英 幸 (委員)

諸 星 裕 美 (委員)

山 口  修 (委員)

山 本 たい 人  (委員)

吉 野 直 行 (委員)

米 澤 康 博 (委員)

 

○議題

(1)「厚生年金基金制度に関する専門委員会」の設置について

(2)通常国会に提出した社会保障・税一体改革(年金関連)に関する法案等の状況について

○議事

○神野部会長 それでは、定刻前でございますけれども、予定していただいている委員の皆様方、御出席でございますので、ただいまから第13回「年金部会」を開催したいと思います。

 委員の皆様方には、大変お忙しいところを万障繰り合わせて御参集いただきまして、本当にありがとうございます。心より御礼を申し上げる次第でございます。

 まず、年金部会の委員の異動について御報告を申し上げます。

 10月18日付で逢見委員が退任され、同日付で宮本委員が御就任されております。

 宮本委員、どうぞよろしくお願いいたします。

○宮本委員 宮本です。どうぞよろしくお願いいたします。

○神野部会長 次に、本日の委員の出席状況でございますが、植田委員、柿木委員、駒村委員、小室委員、佐藤委員、武田委員、藤沢委員から御欠席との御連絡をいただいております。

 御出席をいただきました委員の方々が3分の1を超えておりますので、会議は成立していることをまず御報告申し上げておきたいと思います。

 また、事務局からの出席者ですけれども、お手元の座席図のとおりとなっておりますので、御紹介にかえさせていただきます。

 大分大きな異動があったわけでございますが、御承知おきいただければと思います。前回の年金部会以降、年金局長、年金管理審議官を初めとして、多くの方々の異動が実施されたようでございますが、年金局長と年金管理審議官にごく簡単に御挨拶いただければと思います。

 よろしくお願いいたします。

○香取年金局長 本日は、お忙しい中、お集まりをありがとうございます。

 9月10日付で年金局長を拝命いたしました、香取でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 前任は、社会保障・税一体改革を担当しておりまして、年金関係の法案では大変お世話になりまして、ありがとうございます。

 年金は引き続き、さまざま課題がございますが、よろしく御指導いただければと思います。

 ありがとうございます。

○高倉年金管理審議官 同日付で年金管理審議官を拝命いたしました、高倉と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 私は、年金局の事業部門の担当をさせていただきます。

 以前、年金の関係では、直近では、2004年から2007年の間、年金課長制度部門を担当させていただいたことがございますけれども、今後は、事業部門につきまして責任を持って進めさせていただきたいと思います。

 また、いろいろとこの部会での御議論等で御指導いただきながら進めてまいりたいと思っております。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 こちらもいろいろ事務局には御迷惑をおかけいたしますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入らせていただきます。

 議事に入らせていただく前に、資料の確認をさせていただきたいと思いますので、事務局から資料の確認についてお願いいたします。

○藤原総務課長 お手元の資料について確認させていただきます。

 本日の資料でございますけれども、資料1-1、厚生年金基金制度をめぐる状況について。

 資料1-2、社会保障審議会年金部会「厚生年金基金制度に関する専門委員会」の設置について(案)。

 資料2、通常国会に提出した社会保障・税一体改革(年金関連)に関する法案等の状況について。

 参考資料、厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する有識者会議報告(平成24年7月6日)を配付させていただいております。

 よろしく御確認をいただきたいと思います。

○神野部会長 よろしいでしょうか。

 それでは、大変恐縮でございますけれども、カメラの方はここで御退出いただければと思います。

 御協力をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○神野部会長 では、議事に入らせていただきます。

 お手元に行っております、議事次第を見ていただければと思いますが、きょうは大きく2つの議題を用意させていただいておりまして、1つは「厚生年金基金制度に関する専門委員会」の設置について。もう一つは、通常国会に提出した社会保障・税一体改革(年金関連)に関する法律案等の状況についてという2つの議題を準備させていただいております。

 まず初めの第1の議題であります、「厚生年金基金制度に関する専門委員会」の設置についてにかかわる資料について、事務局から御説明をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○渡辺企業年金国民年金基金課長 企業年金国民年金基金課長でございます。

 それでは、私からお手元の資料1-1、1-2に沿いまして御説明をさせていただきます。

 まず、資料1-1、厚生年金基金制度をめぐる状況についてでございます。

 1ページ目、これは御案内のとおり、年金制度全体の体系図でございますが、本日御審議いただきます厚生年金基金につきましては、いわゆる3階部分に当たる企業年金でございます。

 我が国の現在の企業年金制度としては、大きく3つの制度がございまして、一番右にございます、厚生年金基金、現在、加入者数、約440万人でございますが、これが昭和41年にできた厚生年金保険法に基づく制度でございます。

 そのほかに、その左にございます、確定給付企業年金、略してDBと言っております。確定拠出年金、DCと言っております。これは平成13年に、いわゆる企業年金二法というそれぞれの根拠法ができまして、それによって導入された制度でございまして、創設から10年を経た制度でございます。両者合わせて約1,200万人の加入者数でございます。

 今、この3つが大きな企業年金制度でございますが、厚生年金基金に関しましては、この図をごらんいただいてもわかりますように、後ほど御説明いたしますが、公的年金でございます厚生年金保険の一部を代行するという、代行部分を持っているところが他の企業年金にはない特徴でございます。

 2ページ目、今、申し上げました3つの企業年金制度の現状ということで、平成13年ぐらいから10年間の加入者数のトレンドを追っております。

 全体としては、企業年金の加入者数、これは重複もございますけれども、10年前の2,000万人ぐらいから現在、1,700万人ぐらいということで、若干、漸減傾向にあるところでございます。

 かつては厚生年金基金と、ことしの3月に廃止されました税制適格退職年金の2つが企業年金の主柱でございましたが、平成13年に先ほど申し上げました2つの新しい制度が導入されて以降、特に平成15年から17年ぐらいにかけまして、企業会計基準の変更等もございまして、大企業を中心としまして、厚生年金基金の代行部分を国に戻して、確定給付企業年金などへ移行するという、いわゆる代行返上などが相次ぎまして、また、その後の解散などもございまして、厚生年金基金、現在では、ピーク時の3分の1ぐらいになっております。

 確定給付企業年金、確定拠出年金は、左にもございますように、合わせて1,200万人ぐらいの加入者がいる状況でございます。

 また、資産残高で見ますと、厚生年金基金は約27兆円、確定給付企業年金は約45兆円、確定拠出年金は約5.5兆円という状況でございます。

 3ページ目、先ほど厚生年金基金制度、代行部分を持っているところが特徴だと申し上げましたが、具体的に基金に加入していない方と、基金に加入している場合で負担と給付がどう変わるかという図で、これはあくまでもモデルでございますが、示しております。

 左のほうは基金に加入していない場合でございまして、モデルケースといいますか、夫婦2人世帯ということで書いておりますけれども、基礎年金が約13万円、厚生年金が約10万円ということで、それぞれ国から支給されて、国に約16%納付をするという形でございます。

 厚生年金基金を設立している場合でごらんいただきますと、厚生年金のうち、いわゆる物価スライドとか再評価といった世代間の助け合い部分を除いた部分、ここが代行部分でございまして、現在、平均の月額で申しますと、約3万円ぐらいでございまして、これに企業独自の上乗せ部分を乗せるという形で、この部分については基金から支給されるところがございます。

 厚生年金の代行給付につきましては、あくまでも公的年金でございますので、給付設計は厚生年金と同様でございまして、給付減額等が勝手にできるものではございません。

 また、基金が解散した場合であっても、代行給付については、最終的には厚生年金本体が保障する仕組みになっております。

 負担のほうをごらんいただきますと、代行部分につきましては、公的年金でございますので、当然、掛け金は労使折半。上乗せ部分は、大半が事業主のみが負担しているところが多いです。

 代行することに伴いまして、本来、国に治めるべき保険料の一部をかわりに基金に納める形になっておりまして、これを免除保険料と言っております。

 かつては、全ての基金一律に設定されておりましたが、現在は、それぞれの基金の代行にかかるコストに応じて免除保険料を設定する仕組みになってございます。

 こういう公的年金の一部を代行する仕組みとしては、イギリスで適用除外という仕組みがございますが、こちらは完全にコントラクト・アウトしてしまうものですが、代行給付は最後まで公的年金本体が責任を持つところが独自の特徴でございます。

 4ページ目、この厚生年金基金につきましては、平成15年ぐらいから代行返上が相次ぎまして、現在では、577ある基金のうち約8割は中小企業が集まってつくる総合型と言われるものでございます。

 平成バブル崩壊後の金融市場が、非常に動きが激しいということもありまして、また同時に、平成9年に厚生年金基金につきましては、一律であった運用規制を撤廃しまして、基本的には、基金の自主運用になりました。そういう運用環境の悪化ということもございますし、また、それによって生じた積立不足を埋めるだけの体力がないということもありまして、厚生年金基金の積立不足はかなり厳しいものになっております。

 左の図にもございますように、上乗せ部分だけではなくて、代行部分に必要な保有資産を持たない、俗に代行割れと言っておりますが、こういった基金が、もちろん年によって変化はございますけれども、直近の平成23年度では、577基金のうち287基金、約半数となっておりまして、代行割れの総額が、23年度に1.1兆円という状況でございます。

 5ページ、こういった代行割れ基金につきましては、平成16年の法律改正によりまして、指定基金という制度がありまして、5ページの下の「※」にございますが、積立水準が著しく低い基金につきまして、厚生労働大臣が指定をしまして、健全化に向けた計画を立てさせるという仕組みを導入いたしました。

 この具体的な基準としましては、3年間連続で代行部分の9割を下回っているか、あるいは単年度でも代行の8割を下回るものを指定しておりますが、ごらんいただきますとおり、23年度の直近では、81の基金が指定を受けております。かなり指定基金は業種が特定のところに偏っておりまして、そこにございますような運輸、具体的には、タクシーとかトラック、繊維、製造、建設。石油というのはガソリンスタンドなどでございますが、こういった業種がかなり厳しい状況にあるということでございます。

 通常、基金が解散する場合は、代行部分に不足している場合は一括で埋めなければいけないというのが原則でございますが、これを分割払いで納入できるという特例解散と言っておりますが、そういう仕組みを、かつて平成17年から19年まで、3年間の時限付で導入したことがございましたが、昨年、法改正をいたしまして、23年度から再び5年間の時限措置ということで、この特例解散という制度を入れてございます。

 ただ、分割納付をする場合に、あくまでもこれは基金の債務として残りますので、仮に例えば50社が分割納付をして、途中で数社が倒れてしまうと、残りの部分、倒産分はほかの社が負わなければいけない。これを連帯負担と言っておりますが、こういう問題があるために、昨年、この特例解散を導入したのですが、なかなか進んでいないという現状がございます。厚生年金基金は、一進一退といいますか、厳しい状況が続いているということでございます。

 6ページ、こういった厚生年金基金が抱えておりました、ある意味、潜在的にあった問題が顕在化をしたのが、ことしの2月下旬に発覚をいたしました、AIJ問題でございました。

 AIJ問題自体は、どちらかといいますと、金融行政の問題が大きい部分もございますが、厚生年金基金が顧客の大半であったこともございまして、厚生年金基金の資産運用の問題、あるいはその背後にございます、制度、財政運営の問題がクローズアップされてまいりました。

 この問題につきましては、与野党でもさまざまなプロジェクトチームなどがつくられましたが、厚生労働省でも、6ページにございますように、ことしの4月に有識者会議を立ち上げまして、8回にわたる審議を経まして、報告書をとりまとめております。

 7ページ、報告書本体につきまして、本日、参考資料としておつけしてございますが、大きくこの報告書は、資産運用規制のあり方と制度財政運営のあり方という2つのパートに分かれております。

 資産運用規制のあり方につきましては、平成9年からは、国による一律の規制ではなくて、基本的には、各基金が受託者責任の下で運用していくということでございますが、改めて今回のAIJ事件の反省の上に立って、分散投資の徹底あるいは資産運用管理体制の強化、運用受託機関を選ぶときのチェックの具体項目をガイドラインで示すとか、行政への報告内容の見直しなども含めて、こういったところを見直していくということを御提言いただきました。

 一方、財政制度運営のあり方につきましては、代行部分の財政あるいは制度のあり方というところが焦点になりまして、2つ目のところでございますが、代行部分の財政運営につきましては、代行部分のそもそもの債務でございます、最低責任準備金の計算方法等について精査が必要ではないかという御意見もございました。

 代行割れ問題につきましては、もちろんこれは母体企業の責任が大前提ではございますけれども、連鎖倒産等によって企業そのものが年金の債務で倒れてしまうということでは、またこれは地域経済、雇用への影響もありますので、両者のバランスを考えながら、さらには、最終的には代行部分の給付責任は厚生年金本体にございますので、厚生年金被保険者に十分な納得が得られる仕組みを前提としながら、特例解散について、もう少し内容を見直すことを検討すべきではないかという御提言をいただいております。

 また、あわせまして、そもそもこの代行制度、昭和41年からもう既に半世紀近くたつわけでございますが、この代行制度のあり方ということも有識者会議ではかなり議論になりました。

 これにつきましては、そこにございますように、今後のあり方については両論がございまして、1つは代行割れに象徴されますように、かなり厚生年金本体の財政に与えるリスクが高まってきているという観点から、一定の期間を置いて廃止すべきという御意見もございましたし、一方では、やはり代行制度が今、支えているのは大半が中小企業の企業年金でございますので、代行そのものがなくなってしまうとなかなか上乗せだけで企業年金を維持していくのは難しいということで、中小企業の企業年金の維持・普及という観点から、制度は維持すべきだという両論がございました。

 これにつきまして、全体として、1番の資産運用規制のあり方につきましては、政省令あるいは通達事項でございましたので、ことしの9月にパブリックコメントを経て所要の改正をしております。一方、制度・財政運営のあり方は依然として課題となっておりまして、有識者会議の報告の中でも、特に厚生年金本体の財政との関係が強いということで、今後さらに審議会等で議論していくことになっておりました。

 8ページ、今、申し上げました有識者会議と並行いたしまして、厚生労働省の中では、きっかけはAIJ問題でございましたけれども、厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する特別対策本部ということで、副大臣を本部長とします対策本部を省内に立てまして、この中で有識者会議と並行して資産運用あるいは財政運営のあり方について検討してまいりました。

 9ページ、ことしの9月28日に第7回特別対策本部におきまして、これから審議会で御議論いただくに際しまして、その時点での到達点と今後の検討の視点をまとめようということで整理をしたものでございます。

 具体的には、次の10ページ、今後の検討の視点ということで、大きくここでは3つの論点を挙げております。

 1つは、まず、先ほど有識者会議でもさまざまな議論があったと申し上げました、代行制度のあり方でございますが、代行制度につきましては、かつてのいわゆる代行メリットが失われて、厚生年金本体の財政にとっても、あるいは母体企業の経営に与えるリスクからも、リスクはかなり高まっているということ。平成13年の企業年金二法によりまして、他の企業年金制度も普及・定着してきているということ。また、公的年金制度自体も被用者年金一元化という大きな流れの中で、代行制度の今後の持続可能性は低いということで、できるだけ他の企業年金制度の移行を促進しつつ、一定の経過期間を置いて廃止する方針で対応していくという大きな方針を出しております。

 ただ、これを実現していくに当たりましてさまざまな課題がございまして、その中でも大きなものが次の2つでございます。先ほど厚生年金基金は大半が中小企業であると申し上げましたが、上乗せ部分の企業年金、今、DBやDCという制度があるわけでございますが、現在のような経済基調あるいは金融市場の動向の中でできるだけ持続可能な企業年金にしていくために、さまざまな選択肢の多様化も含めた施策がさらに必要ではないかということ。

 さらに、代行割れ問題につきましては、母体企業の責任を基本としつつ、特例解散制度の見直しについて一定の具体的な仕組みを検討するという大きな方針を本部としてとりまとめまして、今後の進め方としましては、きょうお諮りいたしますが、年金部会のもとに専門委員会を設置していただいて、ここに私ども厚生労働省として議論のたたき台に当たります試案を提示して御検討いただきまして、成案が得られましたら、年明けの次期通常国会に法案を出していくという全体的なスケジュールで進めていってはどうかということで、9月28日の本部ではそのような方針を出しております。

 以上を踏まえまして、資料1-2、本日お諮り申し上げますのが、年金部会のもとに「厚生年金基金制度に関する専門委員会」を設置してはどうかでございます。

 具体的な設置の趣旨は、今、御説明申し上げたとおりでございまして、構成につきましては、年金部会の委員の中から部会長に御指名いただく。

 検討項目は、先ほど対策本部のところでも御紹介をいたしましたけれども、大きな論点としては、この代行制度そのもののあり方、持続可能な企業年金のあり方、さらに、代行割れ問題への対応といったことにつきまして、私どものほうで議論のたたき台をお示ししながら御議論いただくという形で進めてはどうかということでございます。

 運営に際しましては、もちろんこれはさまざまな関係者がいる制度でございますので、検討のプロセスにおきましては、必要に応じて関係者の方からの意見聴取も考えながら進めていってはどうかということでございまして、本日この専門委員会の設置についてお諮りを申し上げたいと思います。

 以上でございます。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、最初に御説明をいただきました厚生年金基金、これは制度、現状、これまでの検討の経緯などの状況について御説明をいただきましたが、この資料など、御説明いただいた点について何か御質問があれば頂戴したいと思います。

 いかがでございましょうか。

 特によろしいでしょうか。

 それでは、2つ目の資料1-2に基づいて御説明をいただきました委員会の設置に関することでございますけれども、委員会の設置については、社会保障審議会の運営規則では、部会に諮って設置することができるという規定になっておりますので、御提案をいただいております「厚生年金基金制度に関する専門委員会」について、御説明をいただいた資料1-2の設置基準に基づいて設置をしたいと思いますが、部会にお諮りしたいと思っております。

 いかがでございましょうか。

 御異論がなければ設置をさせていただく、かつ、この資料1-2に基づいた要領でもって設置させていただくということでよろしいでしょうか。

 どうぞ。

○宮本委員 設置については異論はございません。

 1つ質問をさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。

 私の出身母体は、国内の金属製品製造業の労働組合、約2,000の企業別組合が集まっている連合体ですが、その8割が中小企業です。中小企業は今、いろいろな問題で経営基盤を揺るがしている状況ですが、特にこの厚生年金基金総合型の代行割れ問題は、多くのところで課題になっております。一方で、例えばことし3月31日に廃止された適格年金も、実は、廃止になったものの、新しい企業年金がつくれずに困っているところもたくさんあります。退職金は賃金の後払いの趣旨が色濃くて、元本割れは当然ながら、こういった問題については、我々働くものも大きな関心があります。

 そうすると、この専門委員会は、厚生年金基金制度に関する専門委員会ですので、当然この問題ですが、ただ、幅広く考えれば、この基金制度そのものを廃止するのか、あるいはもっと違うものにするのかという検討をする中で、例えば中退共の問題ですとか、あるいはDBだとか、DCだとか、特にDCについては中小企業では専門的な知識を持ったプロもいないわけで、そういったところも含めて総合的にこの検討会で検討課題として対象になるのかどうなのか教えていただきたいと思っています。

○神野部会長 これは一応、厚生労働省のほうからいただく案に基づきながら検討を進めていくことになると思うのですが、今のところ対象にするということで。

 どうぞ。

○渡辺企業年金国民年金基金課長 先ほど御説明しましたように、いわゆる持続可能な企業年金という文脈では、今あります、DBやDCをどうしていくかということも当然対象にはなると思います。

 中退共につきましても、年金部会でございますので、ストレートに制度論そのものにどこまで踏み込めるかということはあるかと思いますけれども、持続可能なものにしていく、できるだけ中小企業にも3階を持っていただくという文脈の中では、いろいろ御意見もいただければと思っております。

○神野部会長 よろしいですか。

 それでは、ほかに。

 どうぞ。

○菊池委員 大枠については全く異論ないのですけれども、私も1点確認させていただきたいのですが、今の御質問と関連するのですが、公私の年金の役割分担という観点からいきますと、今回は、厚生年金基金のあり方ということで結構ですが、基礎年金以外の自営業者等も含めた公的年金以外の取得保障のあり方みたいな部分も、今後の公的年金の役割がどうなるかを考えた場合には、念頭に置く必要はあるかと思います。今回、直接は議論の対象にはならないと思うのですが、少なくとも議論の中で射程に置いていただきたいというのが1点希望として申し添えたいと思います。

○神野部会長 承っておきますが、いずれにしても、大きく関連する出来事として取り上げることがあったとしても、主たる議論の目的は、基金の問題にあるということでよろしいですか。

 ほかはいかがでございますか。

 どうぞ。

○諸星委員 先ほど質問ということだったので、質問ではないのですが、3点ほど、専門委員会を設けるに当たってお願いしたいことがございます。

 専門委員会を設けること自体は、私は大賛成です。きめ細やかな内容を検討するということですが、まず1点目は、私が以前在籍しておりました社会保険審査会においても基金問題、特に特別掛け金の問題ですが、脱退時期により額がかなり異なってしまった、億単位で単位が違ってしまうというものの不服がありましたし、規約そのもの自体を基金の方々の知識不足ではないですけれども、規約がきちんと整理されていないというものも散見されましたので、そういったことも含めて、基金の現状も検討していただければと思います。

 2点目は、先ほど連帯債務のお話がありましたけれども、平成17年当時は、特例措置として分割をした事業所が連帯責任をとるという形だったと思うのですが、昨年8月の法改正では、分割したものではなくて、ちょっと読みますと、基金解散時の設立事業所、つまり、もし解散をするときに一括納付をする体力がある会社は、それで以前でしたら終わりだったのですけれども、それがどう見ても、分割分が残っている場合については、連帯債務で一括納付をしても、後々請求が来るような形になっていました。その辺も厚労省のほうはよくわかっていらっしゃいますので、連帯債務問題については、やはり17年と昨年とちょっと違うやり方をとられておりますので、昨年の改正に係る実績がまだわからないのです。17年は結構、連帯で倒産をしたとか、そういうことも聞いていますけれども、昨年の法律改正によってどれだけの影響があったかというのは、やはり数字的に見て、かつ実態に合わせて検討すべきだと思います。

 3点目が、実は、私が実際に相談を受けたものですけれども、ある東北の会社の設立事業所さんですが、昨年の震災で工場が流されてしまって、半分ぐらい社員を解雇せざるを得なかったということでした。やっと1年以上たちまして、復興の兆しが見えて、新しい工場を設立しましたと。それで、人を採用したいといったときに、まだ基金を脱退していないわけです。そうしますと、本来は、基金というのは、先ほど中小企業のお話がありましたけれども、中小企業にとっては、退職金が保障されていますよと安心を与えるものだったはずなのに、今や加入される従業員の方が危ない基金に何で入らなければいけないのだ、あるいは会社も加入させると将来の負担がふえるだけで、もし仮に解散となったときに、解散時の被保険者数とか繰越不足金とかいろいろ計算があるのですけれども、それによって先ほど言ったように額が異なってくる。そうなるとどういうことが起きるかといいますと、新たに採用する人は、正社員ではなくて、非正規雇用、つまり、30時間未満の雇用をして、とりあえずは社会保険に入らなくていいやり方でいいのかという具体的な御相談を受けました。ですので、そういったことも実際あるということを専門委員会の中で検討されて、今、これから解散するという方向で決定事項があるのですが、では、その決定事項において細かなそういった問題が起きているということをやはり吸い上げて、一緒に検討していただければと思っております。

 以上です。

○神野部会長 まだいろいろ御意見があるかと思いますが、まず、委員会の設置を決めていただかないと、これはどうやって運営するかというときに、今の御意見を含めて運営面で配慮しますとかと答えようがないので、とりあえず、委員会の設置そのものについてでなければ、この辺で諮らせていただいて、今、御意見をいろいろ頂戴いたしましたけれども、御異論ではないので、設置につきましては、資料1-2の要領に基づいて設置させていただく。

 どうぞ。

○山本委員 私も設置は賛成ですが、1点質問がございます。決定事項に、一定の経過期間を置いて廃止する方針で対応するということが明確に記載されておりますが、制度を廃止する場合にはどういう時限、あるいはどういう手法で廃止をしていくのかというプランを練るのが専門委員会の役割なのか、それとも制度を残すことも含めてのことでよろしいのか、どう理解した方がよろしいのでしょうか。

○神野部会長 今のお話は、事務局、何かコメントはありますか。

○渡辺企業年金国民年金基金課長 先ほど申し上げましたように、事務局からは議論のたたき台ということで、たたき台の大きな方向としては出させていただきますので、そういう意味では、結論まで拘束するものではございませんけれども、ただ、大きな方向としては、試案として出せていただいて、御議論いただくということだと思います。

○神野部会長 まず、決めていただかないと話にならないところもあるのですが、いずれにしても、この委員会の任務は、出たものについて検討をするということですので、委員会そのものとして全部けってしまうということはあり得ない話ではないわけですから、その点を含めて、委員会をスタートして、その中で検討していくと。そこには案が出てくるけれどもと、そう御理解いただければと思います。

 よろしいですか。

○山本委員 ありがとうございます。

○神野部会長 それでは、繰り返すようですが、お認めいただいたということにさせていただいてよろしいでしょうか。

 お認めいただいたわけでございますけれども、その後、「厚生年金基金制度に関する専門委員会」を今、お認めいただいた資料1-2のとおりに設置させていただくということにさせていただきます。

 この規定によりますと、専門委員会の委員は、社会保障制度審議会年金部会に属する委員から部会長が指名することになっておりますので、今、お認めいただいた規則に基づきまして、私から委員を指名させていただきたいと思いますので、委員の名簿をお配りいただきたいと思います。

(資料配付)

○神野部会長 行き渡りましたでしょうか。

 専門委員会の委員の名簿をごらんいただければ、私のほうで、分野・領域などを考慮しながら、さらには、有識者会議に御参加いただいております、山口、森戸、花井の3名の委員を含めた委員の構成にいたしております。御承知おきいただければと思います。

 さらに、この規則によりますと、専門委員会に委員長を置き、委員長は部会長が指名するとなっております。この年金基金の問題は、基金のみならず、先ほど菊池委員からも御指摘がございましたが、さまざまな公的年金の制度あるいはほかの諸制度と全体に関連する重要な問題でございますので、役目柄は部会長を務めております私が委員長を務めさせていただいて、責任をとらせていただくのが筋かと思いますので、委員長につきましては、私が務めさせていただくということをお認めいただければと存じます。

 したがいまして、私も至りませんので、御参加いただく委員の皆様方に一層の御協力をお願いする次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、よろしいでしょうか。

 先ほどいただきました諸星委員などの御意見につきましては、御意見として承るということと、現状の問題、御指摘のさまざまな諸問題を含めて、運営する段階で、時間が何分少ない時間かと思いますが、場合によっては、ヒアリングを含めて、現状の問題についての把握は努める運営にしたいと思っております。

 ここの段階でまた御意見があれば頂戴いたします。

 委員会を設定するということであれば、御意見を頂戴できれば、運営面で配慮させていただきます。

 よろしいですか。

 それでは、議題2、資料2に基づいて御説明をいただきます。

 よろしくお願いいたします。

○度山年金課長 年金課長の度山と申します。

 お手元の資料2に基づきまして、先の通常国会に提出をさせていただきました年金関連の法案の状況について御報告を申し上げます。

 ページを1枚おめくりいただきたいと思いますが、昨年来ずっと御議論をいただきました、社会保障・税一体改革におきまして、年金制度において検討すべき課題とされた部分につきまして、一番左側、2月17日に大綱という形で閣議決定された項目が並んでおります。既に素案の段階からずっと御議論を賜りまして、その右側、真ん中にあるとおり、3つの法案を通常国会に提出したところでございます。このことに関しましては、前回、4月24日の12回の年金部会で御報告をさせていただいております。

 この後に何が起きたかということについてが、今日の説明でございますけれども、御存じのとおり、社会保障・税一体改革に関しましては、国会で御議論があり、民主党・自民党・公明党三党による協議があり、三党合意がなされまして、それに基づいて必要な修正あるいは新たな議員立法等々を含めて処理がされたところでございます。

 年金の関係で御説明いたしますが、3本法律を出しておりましたが、一番下の法律、被用者年金一元化法案と真ん中にございます年金機能強化法案につきましては、8月10日、一体改革その他の法案とともに可決、成立をしたところでございます。

 ただ、真ん中の年金機能強化法案に関しましては、三党合意に基づき一定の修正が行われております。

 一番上の国年法等改正法案でございますが、基礎年金の国庫負担を2分の1にする。その差額を負担するために平成24年度、交付国債という形で財源確保するという話になってございましたが、これも三党の協議の結果、交付国債という形にはしない。結論として、年金特例公債という消費税引き上げ分を償還財源とするつなぎの国債を発行して、26年度までの、24年度、25年度の2年間の差額を賄うという形で整理されましたので、その旨、修正をした状態で、今、国会で継続審議中という形になってございます。

 この法案につきましては、一体改革特別委員会ではなく、厚生労働委員会にかかっておりましたので、審議時間がとれなかったという関係もございまして、修正をした状態で国会にかかっておるということでございます。

 その右側の欄のその下になりますけれども、年金生活者給付金法案というものがございます。これは、年金機能強化法案に盛り込んでおりました低所得者等への年金額の加算という項目につきまして、年金の加算という形ではなく、年金制度の外側に置いた福祉的な性格を持つ給付という形で整理されたことを受けて、別法案として提出をし直したものでございます。これも提出時期の関係で一体的な処理ができずに、継続審議中ということでかかっているのが現在の状況でございます。

 一体改革とは趣旨が異なりますけれども、もう一本、いわゆる三号被保険者の記録の不整合の問題解決をするための、通称、主婦年金追納法案と申しておりますが、それが昨年の臨時国会に提出されて、ずっと継続審議という形になってございまして、間もなく臨時国会が始まるという状況になってございますが、この3本の法律を継続審議という形で抱えているのが現状でございます。

 あと、それぞれの法律につきまして簡単に1枚ずつ資料を準備しておりますので、御確認いただければと思います。

 2ページ目、いわゆる年金機能強化法についてでございます。

 一番下の「※」にございますように、低所得者の年金額の加算は、今、申し上げたとおり、一本独立をしたということ。高所得者の年金額の調整につきましては、三党協議で削除し、検討規定という形で整理されてございます。先ほど申し上げましたように、交付国債の償還に関する規定は、財政的な整理が変わりましたので、削除されてございます。

 あと、項目で申しますと、主要項目の(3)短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大に関しましては、適用の範囲と施行時期について、これも三党協議の結果を受けて修正が行われてございます。

 3ページ目、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部改正法案ですけれども、さまざまな修正を行いましたので、技術的な修正はございましたが、主要項目については、提案したとおり可決、成立をしてございます。

 施行日は、平成27年10月になってございます。

 以上、法律した法案でございますが、次からが継続審議で残っている法律になります。

 国年法等の一部改正法ということでございますけれども、先ほど御説明いたしましたとおり、基礎年金の国庫負担の2分の1差額を確保する財源を年金特例公債という形に変更するということと、25年度も同じ措置を行うということでございましたので、基礎年金国庫負担2分の1関係の条文の該当部分を修正してございます。

 また、年金特例公債の発行根拠ということになりますと、いわゆる特例公債発行のための法案を財務省さんから出されるわけでございますけれども、それは臨時国会に提案されることになっておりまして、両方がちょうど裏表の関係にあるということで、合わせて何とか成立に向けて努力をしていきたいと考えてございます。

 同法案におきまして、もう一つ、(2)にありますとおり、2.5%特例水準ということで、本来の法律の規定より高い給付が出ているということを計画的に解消することにつきましては、平成24年度から26年度までの3年間で解消するというスケジュールを引き、第1弾の施行は、平成24年10月1日としておりましたが、既に10月1日を過ぎておりますので、この部分については、一定の修正をかけていただくことが必要になってきている状況でございます。

 5ページ目、年金生活者支援給付金の支給に関する法律案ということで、年金の加算が福祉的な給付措置という形で性格を変えて独立の法案ということになってございます。

 加算と言っていたときと違いまして、これも三党協議の結果でございますけれども、一定の保険料の納付ですとか、手続を経ていたということにある程度、対応した形で加算額を決めるという内容に若干変わってございます。

 一番最後の6ページ目、今後の公的年金制度改革についてですが、社会保障・税一体改革の大綱におきましては、新しい年金制度についての検討も盛り込んでおったわけでございます。

 このことにつきましては、三党による議員立法で社会保障制度改革推進法が提案され、一緒に成立してございます。その規定の中で、第5条、公的年金制度に対する規定がございまして、今後の公的年金制度については、財政の現況及び見通し等を踏まえ、第9条に規定する社会保障制度改革国民会議において検討し、結論を得ると、そのように定めてございます。

 6月に行われた民主・自民・公明の三党のいわゆる三党合意におきましては、今後の公的年金制度にかかる改革については、あらかじめその内容等について三党間で合意に向けて協議をするということが申し合わされておりますので、このとおりということであれば、三党の間でしかるべき協議がされ、その後にこの社会保障制度改革国民会議において議論されるという整理になっていることについて御報告をさせていただきます。

 以上でございます。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 ここで御審議いただきました事項について、法律案として修正されて、成立したものと、検討中のものがあるということで御報告をいただいたところですが、委員の皆様方から何か御質問があれば頂戴したいと思います。

 いかがでございますか。

 よろしいでしょうか。

 その後の経過についての御報告について、特にございませんでしょうか。

 それでは、御報告を承ったということにさせていただいて、予定の時間が大分余っているのですが、早く切り上げて悪いということはないと思いますので、本日の審議をこれにて終了させていただきますが、次回の年金部会等々、事務局から連絡事項がございましたら、お願いいたします。

○藤原総務課長 本部会の次回の開催については、未定でございます。追ってまた御相談、御連絡をさせていただきたいと思います。

 大変ありがとうございました。

○神野部会長 それでは、議事運営につきまして御協力いただいたことを感謝いたしまして、本日の審議を終了させていただきます。

 くり返しでございますが、御多用の折、御参集いただきましたことに深く感謝を申し上げる次第でございます。

 どうもありがとうございました。

 

(了)

 

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