2015年9月11日 第16回社会保障審議会企業年金部会議事録

年金局企業年金国民年金基金課

 

○日時 平成27年9月11日(金)15:00~16:44

 

○場所 中央合同庁舎第5号館専用22会議室(18階)

 

○出席者

山崎部会長、森戸部会長代理、井戸委員、臼杵委員、小林委員、白波瀬委員、鈴木委員、高崎委員、平川委員、山本委員、村瀬オブザーバー

○議題

(1)確定給付企業年金部会の弾力的な運営について

(2)厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会における議論の経過について

(3)その他

○議事

○山崎部会長

 ちょうど定刻になりましたので、ただいまより第16回「社会保障審議会企業年金部会」を開催いたします。

 お忙しいところ、お集まりいただきありがとうございます。

 本日、半沢委員からは御欠席との連絡をいただいております。御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議が成立しておりますことを御報告申し上げます。

 また、今回の主な議題は、今年1月16日の当部会で行われた「社会保障審議会企業年金部会」における議論の整理で挙げられました「確定給付企業年金の関係について」でございますので、引き続き、企業年金連合会の村瀬理事長にオブザーバーとして参加いただきたいと思いますが、御意見等はありませんか。よろしいでしょうか。

 

(了承)

 

○山崎部会長

 それでは、村瀬理事長、引き続きよろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入らせていただきます。

 カメラの方は、ここで退室をお願いいたします。

 

(報道関係者退室)

 

○山崎部会長

 まずは、事務局から資料の確認をお願いいたします。

 

○内山課長

 それでは、資料の確認をさせていただきます。

 本日の資料ですけれども、資料が3つ、参考資料が2つとなってございます。

 資料1 確定給付企業年金の弾力的な運営について

 資料2 平成28年度税制改正要望事項「確定給付企業年金の弾力的な運営等に係る税制上の所要の措置」

 資料3 厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会の開催状況(平成26年10月1日~平成27年3月31日)に関する報告書

 参考資料としましては、

 参考資料1 社会保障審議会企業年金部会委員名簿

 参考資料2 確定拠出年金法等の一部を改正する法律案の概要

 ということで、資料を配付させていただいてございます。

 資料の不備等がございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。

 

○山崎部会長

 ありがとうございました。

 本日は「確定給付企業年金の弾力的な運営について」、「厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会における議論の経過について」を主な議題といたします。

 議題に入ります前に、当審議会での議論を踏まえて立案された確定拠出年金法等の一部を改正する法律案が現在国会に提出されておりますので、当法律案の審議状況について、事務局より説明をお願いいたします。

 

○内山課長

 それは参考資料2でございます。「確定拠出年金法等の一部を改正する法律案の概要」で、おめくりいただきますと、法律案の概要、それぞれの説明がついてございます。この企業年金部会の議論の整理をもとに法律を作成して、国会に提出したものでございます。

 経過といたしましては、今年の4月3日にこの法律案を閣議決定いたしまして、国会に提出をしてございます。

 その後、8月に入りまして、8月5日に衆議院厚生労働委員会で法律案の提案理由説明をさせていただきまして。8月21日、28日と、衆議院厚生労働委員会で審議をしていただきました。そして、8月28日に厚生労働委員会で可決をいただき、9月3日に衆議院の本会議で可決をいただいてございます。

 そういう意味で、あとは参議院の審議をということでございますので、簡単ですが、現在の審議状況の御報告とさせていただきます。

 

○山崎部会長

 よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。

 それでは、議題「確定給付企業年金の弾力的な運営について」に入りたいと思います。

 事務局より資料の説明をお願いいたします。

 

○内山課長

 それでは、資料1と資料2をお開きください。

 まず資料1から御説明いたします。

 資料1「確定給付企業年金の弾力的な運営について」でございます。

 1枚おめくりいただきますと、目次がついてございます。大きく2つのブロックに分けてございまして、1つ目のブロックが拠出の弾力化について、そして、2つ目のブロックが、柔軟で弾力的な給付設計(ハイブリッド)の仕組みについてでございます。

 1枚おめくりいただきまして、3ページ、4ページは、これまでの経過的なものでございます。

 まず3ページは、先ほど部会長からも言及いただきました、今年の1月16日にこの企業年金部会で議論の整理をいただいたわけでございますけれども、その中で、柔軟で弾力的な給付設計(ハイブリッド型)の企業年金制度について、制度導入を視野に入れた検討をすべきというふうにおまとめいただきました。

 また、DBの弾力的な掛金拠出についても、DC法の見直しに合わせて実施できるようにというふうに御整理をいただいたところでございます。

 こうしたものを受けまして、4ページに、今年の6月30日に「日本再興戦略」、いわゆる成長戦略の『改訂2015』が閣議決定されてございますけれども、下の欄に書いてございますように、「ハイブリッド型の企業年金制度の導入や、将来の景気変動を見越したより弾力的な運営を可能とする措置について検討し、本年中に結論を得る。」と記載をされてございます。

 それでは、実際の内容ですけれども、5ページ目からは、まず1つ目の大きなブロック「拠出の弾力化について」でございます。この拠出の弾力化を2つのパートに分けてございまして、6ページからの1-1.では現行の仕組みについての説明、そして、後ほど出てまいります1-2.で、これからの姿、事務局の提案ということで、まとめさせていただいてございます。

 7ページをお開きください。現行のDB制度の基本的な仕組みでございます。DB制度の給付の財源は、掛金収入と積立金でございます。給付の算定方式がDB制度においては定まっておりますので、その給付と財源が等しくなるように、財政が均衡するように掛金の額を算定するということでございます。

 下のイメージ図に書いてございますが、まず左の給付、給付費、これがあらかじめ給付の算定法が決まっているということでございますので、これをもとに右側になりますけれども、今後支払われます給付と財源が等しくなるように、財政が均衡しますように、積立金がありますので、それに加えて、掛金の額を算定するという形になります。

 8ページは、その姿をバランスシートのような形で図示したものでございます。今後、支払われます給付とその財源について、現在の価値に置き直して図示してみると、この図のようになるということでございます。まず右側の給付部分ですけれども、給付の現価、すなわち、今後支払われると見込まれます給付を現在価値に換算したものです。左側にまいりまして、その財源ですけれども、その時点でたまっているといいますか、その時点でございます積立金の現時点の評価額がございます。この(1)と(2)を前提にしまして、(1)-(2)となるように必要な掛金の額を算定するということでございますので、それによりまして、この掛金の収入現価というところが出てくるというのが基本的な構造になってございます。

 おめくりいただきまして、9ページです。DB制度、今のようにある時点では年金財政が均衡するように掛金を設定することになるわけですけれども、時間がたちますと、これは掛金や運用収益について一定の予測に基づいて計算しておりますので、期間が経過しますと、その予測あるいは前提とその実績との違いができますので、年金財政の均衡が崩れることがあるということでございます。

 財政均衡が崩れる要因、下のほうに書いてございますが、例えば、予測よりもDBに入られている方の平均寿命が延びたといったことによりまして給付が増加するといったようなこと、あるいは、予測よりも給与の額が伸びなかったことによりまして掛金収入が減少するといったこと、あるいは、運用が低調であったことによって運用収益が予定よりも確保できなかったというような要因がございます。

10ページに進みまして、「現行の拠出の課題」でございますけれども、財政が悪化した場合、すなわち、下のイメージ図でいきますと、当初掛金設定時は均衡する形を描いて設定をしているわけですけれども、真ん中の図、財政が悪化した場合には積立不足が生じることになりますので、そこの部分については掛金の引上げによって対応するということになります。

 現在の仕組みでは、財政が悪化したときに初めて掛金を増加させるということですので、積立状況の悪化が掛金の増加に直接結びつくこと。すなわち、悪化した時点で対応する構造になってございます。そこに書いていますように、積立状況が悪化する場合、すなわち、積立不足が生じる場合は、一般的には世の中の景気が悪化している場合が多いということでございます。そうした場合は、もちろんそれぞれの会社の業容によるわけでございますけれども、景気が悪化している場合は、それぞれの企業の業績も悪化している場合が多いということで、すなわち、景気が悪化しているときに掛金の増加が求められる構造になってございまして、企業活動に支障が生じているという御指摘がございます。

 実際に11ページに、景気とDBの積立不足の関係をグラフにしたものでございますけれども、ごらんいただいてわかりますように、ITバブルの崩壊時、あるいはリーマンショックといったように、日経平均株価をとっていますが、景気あるいはそうしたものが低調・悪化した場合に、企業年金の積立不足額は大きくなっているということでございます。また、逆に、景気の比較的よいときには、余り積立不足は生じないというような結果でございます。

12ページは、今まで御説明したものを文字でまとめたものでございますけれども、DB制度はあらかじめ給付の算定方法を定められておりますので、想定していた予測、前提と実績が違うことによって財政が悪化した場合には、掛金を増加させることは対応の基本となります。ところが、現在の仕組みは、財政が悪化したときに初めて掛金を増加させるという仕組みになってございますので、DBの安定的な運営という視点からは課題があるのではないかと考えてございます。

 また、積立状況の変動は景気の変動と連動をしていることが多ございますので、景気が悪化して、多くの企業の業績が悪いときほど、追加拠出が必要ということになってございますので、企業活動にも支障が生じているのではないかということでございます。

 また、財政状況が極度に悪化した場合には、加入者等の給付減額により対応する、そういうことをせざるを得なくなる場合もございまして、そうした場合には、受給権保護の観点からも課題があるのではないかと考えてございます。

13ページ以降が、1-2.として、これからの姿の1つの案でございますけれども、14ページの図は波の線を描いてございますが、好況時には掛金の拠出水準は比較的低くて済む。不況のとき、景気の悪いときに積立不足が生じる可能性が高いため、拠出の水準が高くなるという波を描いたものでございます。一般的には、こういうような実線で描かれるような姿になっていますので、DBの運営を安定化させるためには、点線で描いていますように、できるだけ平準化する、一定程度平準的なものにする必要があるのではないかということでございます。

 そして、15ページが具体的な事務局の案でございます。不況のときの掛金増加につながらないように、あらかじめ財政悪化時に想定される積立不足をまず測定してみてはどうかということでございます。下の図に4つの場面が書いていますけれども、(1)「財政均衡」の状態、現時点の状態がございます。この時点で、(2)の将来の財政悪化時に想定される積立不足を測定してはどうかということでございます。この測定された積立不足をもとに、左下の(3)に行くわけですけれども、財政悪化時に想定される積立不足をもとに、その水準を踏まえまして、それに対応できるような、それをカバーできるようなリスク対応掛金をあらかじめ拠出できるようにしてはどうかということでございます。こういうような仕組みを仮にとるようにしますと、(4)ですが、仮に財政悪化の場合であっても、積立不足の発生が起こりにくくなるのではないかと考えてございます。

 なお、「リスク対応掛金」と今呼んでございます仕組みを入れる場合には、2つのルールをさらに設ける必要があるのではないかと考えてございまして。1つ目は、積立不足を測定するためのルールが必要なのではないかということでございます。16ページにそのイメージを描いてございますけれども、現行で積立不足が生じた場合に、最大20年で償却しているという状況がございますので、この財政悪化時に想定される積立不足については、20年程度に一度の損失にも耐え得る基準というようなものをつくってはどうか。

 具体的には、今3つほどアイデアを出していますが、例えば「ストレスシナリオによる方法」、あるいは「資産価格の変動を見込む方法」、あるいは「VaRによる方法」でございます。VaRの方法については、下のイメージ図を描いてございますけれども、積立不足の変動を一定程度予測をいたしまして、それで、20年程度に一度の損失にも耐え得る基準を設定してはどうかということでございます。

17ページはもう一つのルールです。リスク対応掛金を設定する場合に、その拠出の方法あるいは出し方のルールといったものが必要なのではないかということでございます。

 参考までに、今、積立不足を解消する掛金であります特別掛金では、その出し方のルール、拠出の方法によるルールとして、均等償却、弾力償却、定率償却といったような方法を決めてございます。

18ページは、仮に、こうしたリスク対応掛金の仕組みを設けたとした場合ですけれども、その場合には、あらかじめ給付に必要な額以上の財源を手当することが可能となります。その場合ですけれども、どういう状態を財政均衡の状態にあるかということにするかということでございますが、財政悪化時に想定される積立不足が測定されるわけでございますので、その範囲内に財源の水準が入っている、その範囲内にある場合には、財政均衡の状態にあると整理をしてはどうかということでございます。現在ですと、財源が給付に一致している状態が財政均衡の状態ということでございますけれども、今回の仕組みを入れる場合には、この財政悪化時に想定される積立不足の配分だけ許容範囲ができることになりますので、現行の制度に比べて、積立剰余や積立不足が発生しにくい安定的な運営が可能になるのではないかと考えてございます。

19ページは、今御説明したものを、仮に、財政均衡の状況を財政悪化時に想定される積立不足の範囲にあれば財政均衡とした場合に、積立剰余の状態あるいは積立不足の状態がどういうことかということでございますが、積立剰余の状態は、財政悪化時に想定される費用を超過して、掛金や積立金の水準がその状態を超過している場合が積立剰余になるということでございますし、積立不足は、通常の予測に基づく給付に必要な掛金に不足をしている状態が積立不足の状態になるのではないかということでございます。

20ページは、今回はそういう意味では少し弾力的な運用ということで、拠出の方法ということで許容範囲を認めるという提案でございますけれども、保険会社や銀行においては、リスクにあらかじめ備えるバッファーということで、保険会社であれば「ソルベンシー・マージン比率」といったようなもの、あるいは銀行にあれば、バーゼル3に基づきまして自己資本の上乗せというような仕組みが今でも行われているという参考情報でございます。

 そして、その次の21ページは、今御説明したものを文字にしてまとめたものでございますけれども、現行の仕組みは、景気の変動に応じてDBの拠出額が変動しやすい状況にありますので、これを一定程度平準的なものにして、安定的な運営を実現してはどうか。そのためには、リスク対応掛金といったようなものの拠出を可能としてはどうかという提案でございます。

 なお、リスク対応掛金の拠出に当たりましては、税制上の視点、恣意的な掛金拠出が行われて、過剰な損金算入が行われることは防止しなければならないといった税制上の観点がございますので、これに配慮する必要があるのではないかということでございます。

 したがいまして、「財政悪化時に想定される積立不足」については、その測定方法あるいはリスク対応掛金の拠出、出し方の方法について、一定のルールを設ける必要があるのではないかということでございます。

 なお、一定のルールを設けた際には、そのルールに沿った積立不足の測定、あるいは拠出額の設定が行われているかについて、一定の専門性を有する第三者が確認することにしてはどうかという提案でございます。

 以上が、大きな1つ目のブロックの拠出の弾力化の部分でございます。

22ページからは、「柔軟で弾力的な給付設計(ハイブリッド)」の説明でございます。

23ページ、24ページは、この部会に出させていただいた資料を改めてお出しするものでございまして、23ページは、DB制度は、基本的には、積立不足が生じた場合には、事業主が追加拠出をするということで、事業主のリスクが高いということでございますし、DC制度の場合には、加入者個々人が運用して、その運用の結果が給付に結びつくということでございますので、加入者のほうにリスクが偏っているということでございます。

24ページも、以前この企業年金部会でお出しした図ですけれども、DB制度については事業主にリスクが集中しており、DC制度については加入者にリスクが集中しているということですので、そのリスクを加入者と事業主で分け合うような仕組みが求められているのではないかということでございます。

25ページは、現状のDBについての調査の結果ですけれども、DBについて、今後の制度見直しの予定をお聞きしたものでございますが、そうした中で一定数、赤で囲った部分ですけれども、例えば全部または一部をDCに移行する、あるいは給付水準の引下げ、これは加入者の減額もございますし、受給者の減額もあります。また、制度終了、そうした予定だとお答えになっているDBの方が一定程度いらっしゃいます。そういう意味ではDB制度では、現時点では事業主の負担が大きいということでございますので、そうしたDCへの移行あるいは給付水準の引下げといったようなことを検討されている企業も一定程度あるということでございます。

26ページが具体的な事務局の案でございますけれども、「リスク分担型DB(仮称)」という仕組みをつくってみてはどうかということでございます。すなわち、将来発生するリスクについてどのように分担するか。労使すなわち事業主と加入者でどのように分担するかを、あらかじめ労使合意によって定めておく仕組みも設定可能とする、選択できるようにするのは考えられないかということでございます。

 あらかじめ労使合意によってリスクの分担を決めておくという仕組みですけれども、前半で申し上げましたリスク対応掛金の拠出の仕組みを活用してみてはどうかということでございます。リスク対応掛金について、このリスク対応掛金の拠出、リスク対応掛金で事業主が拠出する部分を、事業主によるリスク負担部分と労使合意によって決めておく仕組み、「リスク分担型DB(仮称)」と呼んでいますけれども、そんな仕組みが考えられないかということでございます。

 下の図を見ていただきますと、まず右側に給付現価がございますが、その上に「財政悪化時に想定される積立不足」を測定していただきます。「財政悪化時に想定される積立不足」に対して、そのうちどの程度まで事業主が掛金負担で対応するかというのを労使で決めていただこうというものでございます。そのリスク対応掛金の水準について労使で定めていただきまして、その部分が事業主の掛金負担により対応する部分ということになります。それ以上の部分については、加入者等の給付調整によって対応する部分というような形でございます。このような整理をすることによって、リスク対応掛金の仕組みを用いながら、あらかじめ労使合意によって労使のリスクの分担の水準、どのように分担するかというのを決めておいていただく仕組みは考えられないかという提案でございます。

27ページは、仮にそうしたリスク分担型DBをつくった場合の財政均衡の図をイメージで示したものでございます。こうしたリスク分担型DBをつくった場合には、給付に対する財源のバランスが毎年度変化するということになりますので、毎年度、給付の増減によりまして財政の均衡を図ってみてはどうかということでございます。もっとも、※で書いていますように、調整の仕方は、単年度ではなく、複数年度にかけて調整を平準化することも可能だと考えられます。

 下の図ですけれども、先ほど御説明しましたように、財政均衡の状態は、財政悪化時に想定される積立不足の範囲内、右側の白い範囲内に左の財源のラインが入っている状態でございます。この場合には財政均衡してございますので、特に給付の調整は行わないということになります。

 左側、剰余が生じている場合ですけれども、これはもともとの給付現価に加えて、財政悪化時に想定される積立不足を足し合わせた水準の上限を超えて財源のほうがある場合でございます。こうした場合には剰余が生じているという整理になるかと思いますので、基本的には、給付を増額していただくという対応になるかと思います。

 右側の図は、逆に不足が生じている場合ですけれども、これは本来必要な給付現価のラインにその財源のほうが達しない場合でございまして、その部分について減額をするという形になるかと思ってございます。

28ページは、その調整の具体的なイメージですけれども、従来のDBの給付の算定式に調整率を乗じたものとなるのではないかということでございまして、28ページの下のほうですが、(ア)、(イ)、(ウ)と書いてございますが、財政均衡していれば、特に調整率はございませんので、従来のDBの給付の算定式ということになるかと思います。

 「(ア)剰余が生じている場合」には、1よりも大きな調整率を掛けることになるかと思いますし、「剰余不足が生じている場合」は、1よりも小さな調整率を掛けることになるかと考えてございます。

29ページをお開きいただきますと、これもこれまで企業年金部会で御紹介してきた事例でございますが、「オランダにおける集団型DC(CDC)」という制度がございます。これについては、その制度の詳細はともかく、今回、御提案しているものと趣旨としては同様なものではないかと考えてございます。

 また、30ページは、これまでもDBの中では、「キャッシュバランスプラン」が行われてきたわけですけれども、キャッシュバランスプランとの違いという意味では、今回の御提案は、伝統的な給付算定式をもとにした制度であっても、今回の制度では、労使でリスクを柔軟に分け合える仕組みになるのではないかということで、そこがキャッシュバランスプランの違いではないかと考えてございます。

31ページからは会計上の課題について整理をしたものでございますけれども、DBについては、企業会計上、債務認識が必要だということが大きな課題というふうに、これまでも企業年金部会でも指摘をされてございます。

32ページですけれども、現行の企業会計基準26号におきましては、事業主である企業が、追加的な拠出義務を負わない場合には、確定拠出の類型に分類されて、債務認識を要しないということにされてございます。すなわち、今、御提案しております「リスク分担型DB」を仮に採用するとすれば、これはあらかじめ事業主の負担の範囲が決まっておりまして、追加的な拠出を生じないことになりますので、これは厚生労働省で決めることではないので、今後、関係機関との調整が必要になりますけれども、確定拠出の分類に分類することも可能ではないかと考えてございます。

33ページは、国際会計基準(IAS19)におきましても、2011年度改訂において、給付算定式のあるDBの制度であっても、企業に追加拠出を求めないものは確定拠出型(DC)に分類されるということが明確をされてございます。

34ページに書いていますのは、オランダのCDCは、会計上は確定拠出に分類をしているわけですけれども、このIASの動きを受けながら、オランダではガイダンスを策定しているというような御紹介でございます。

35ページからは、もう一つ、仮にリスク分担型DBをとった場合の意思決定のあり方というようなことでございます。35ページに全体のまとめをつくってございますが、リスク分担型DBは、運用の結果によって加入者・受給者の給付が調整される可能性があるということでございますので、制度開始時の意思決定に加えて、制度実施後も、加入者が適切に意思決定に参加できるような仕組みが求められるのではないかと考えてございます。

36ページは、制度開始時の意思決定の仕組みでございまして。これは現行の仕組みと変わらないわけですけれども、リスク分担型DBを開始する場合には、給付設計、それから、事業主が拠出しますリスク対応掛金の水準について、通常の規約変更が必要ですし、それについて労使によって意思決定を行っていただく。基金型であれば代議員会、規約型であれば過半数労組等の同意をとっていただくことが必要かと思ってございます。

37ページは制度実施後の形でございますけれども、このリスク分担型DBであれば、運用の結果が加入者の給付に反映されるということでございますので、具体的には、加入者の代表が参画するような委員会を設置することといたしまして、その委員会が理事会や事業主に対して提言を行うといったことにしてはどうかということでございます。

 また、運用基本方針あるいは政策的なポートフォリオの策定を必須とする。あるいは、委員会に参画する加入者代表が、運用実績の詳細について確認することができるようにしてはどうかということでございます。

38ページは、今度は加入者に対してでございますけれども、通常のDBであれば、加入者に対しては、年1回業務概況について周知することになっている一方で、受給者に対しては、「加入者と同様の措置を講ずるように努める」という努力義務になっておるわけですけれども、このリスク分担型DBでは、加入者だけでなく受給者もリスクを負担することになりますので、受給者への周知についても、加入者と同じような扱いにしてはどうかということでございます。

 最後に、39ページ、40ページは、リスク分担型DB、もちろん新しく始める場合もありますけれども、現行、通常のDBをやられているところから移行する場合もあると考えてございますので、通常のDBから移行する場合の手続についての整理をしたものでございます。

 まず、現行のDBにおいて、給付減額の場合には、加入者であれば3分の1以上の労組があればその同意の取得、あるいは加入者の3分の2以上の同意の取得など、そして、事業主についても3分の2以上の同意の取得などが、給付減額の場合には手続として定められてございます。

 今回のリスク分担型DBに通常のDBから移行する場合ですけれども、給付減額にまず該当するかどうかという判定基準を定めてはどうかということでございます。リスク分担型DBは、財政悪化時に想定される積立不足を測定をいたした上で、Aのラインを積立額が上回れば増額になり、Bのラインを下回れば減額になるという仕組みになってございます。

 実際の財源のラインは上下に変動することになるわけですけれども、その上下の変動の幅の中で、この財政悪化時に想定される積立不足の2分の1の水準にある場合には、増額・減額もいずれも等しく起こり得ると考えられますので、移行時点においてXのラインが2分の1の水準を下回っている場合は給付減額であるというふうに整理をしてはどうかという提案でございます。

40ページは、そうした整理をした場合の具体的な手続ですけれども、まずXのラインが2分の1の水準よりも下の場合ですけれども、この場合は給付減額に該当いたしますので、これまでの給付減額と同じ仕組み、加入者や受給者の3分の2以上の同意の取得といったものが手続を踏むこととしてはということでございます。

 (2)で書いていますのは、Xのラインが2分の1の水準よりも高い場合でございます。この場合には給付減額には該当しないと整理をしたいと考えてございますけれども、受給者に対する手続としては、事前の十分な説明、あるいは希望する方がいらっしゃる場合には年金給付に代えて移行前の給付を一時金で支給できるようにするといったような整理をしてはどうかということでございます。

 最後に、41ページは、今まで申し上げたことを文字に整理をしたものでございます。

DB・DC二者択一では、労使のどちらかにリスクが偏っているということですので、このリスク対応掛金の仕組みを活用して、リスクをどのように分担するかをあらかじめ労使合意によって定めておく仕組みも設定可能としてはどうかということでございます。これによりまして、DBの運営の安定性を高めることができるのではないかと考えてございます。

 最後の○は、加入者の給付が調整される可能性があるということですので、意思決定に参加できるような委員会の設置などの措置を講ずるべきではないかということでございます。

 少し長くなりましたが、以上が資料1の説明でございまして、引き続き、資料2について簡単に触れさせていただこうと思います。

今、拠出の弾力化、ハイブリッド型の制度についての説明をさせていただきましたけれども、8月末に「税制改正要望」を税務当局に提出してございまして、その中で、概要的なものですけれども、ハイブリッド型の仕組み、それから、拠出の弾力化についての仕組みについても、税制要望を今しているところということをつけ加えさせていただきます。

 以上、説明が少し長くなりましたが、説明は以上にさせていただきます。ありがとうございます。

 

○山崎部会長

 ありがとうございました。

 それでは、ただいま説明のありました資料につきまして、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。

 臼杵委員。

 

○臼杵委員

 どうもありがとうございます。

 春頃まではDCの話をずっとしてきて、今回、DBということで、基本的には結構ではないかと思います。

 1つは、掛金の柔軟な拠出をするのに一つの考え方を示されたということ。それから、2つ目は、そのリスク分担をキャッシュバランス以外で何かする方法がないかということでお考えになったということで、大きな方向としては結構だと思います。

 多分これからこの制度を詰めていく中で、2つ課題があり、1つは、当然ながら税務当局とどういうふうにこれをお話し合いされていくかということと、それから、さっき少しお話がありましたけれども、会計のほうで債務認識をしないDB。DBで債務認識しないというのは何だというような多分疑問も出てくると思いますので、そこをどう説得していくかというところで、引き続き、課題として努力をお願いしたいなと思います。

 私からは質問とコメントで、1つは確認ですけれども、1と2と2つの制度を今日御提案いただいていると思うのですけれども、2つ目の制度をやるのには1つ目の制度がないとできないという、そういう理解だと思うのですが、1つ目の制度だけをやることはそもそも可能なのか。つまり、従来のDBだけれども、掛金について、そのリスクバッファーとしての掛け金をあらかじめ積むことは可能だと考えておられるのかというのが1つ目です。

 それから、2つ目はちょっと細かい話ですけれども、16ページの「財政悪化時に想定される積立不足」をあらかじめ積むようにするということですが、後の制度との関係で言えば、これが大きければ大きいほど仕組みとしては安定するのかなと。給付の増減がないということで、なるべく大きいほうが、企業の負担できる範囲で大きいほうがいいのかなとは思います。、そういう中で、例えば、VaRでは、20年に一度の損失ということで考えられているようですけれども、この「20年に一度」とされたのは、積立不足の償却期間が最大20年だということと何か関係されてこの数値を。例えば20年に一度というと、VaRでいくと5%になったのかもしれませんけれども、例えば1%にするとか、3%にするとかいう考え方もあったと思うのですけれども、その辺については、どういうお考えでこうなっているのかというのが2つ目の質問です。

 

○山崎部会長

 では、お答えいただきましょうか。

 

○内山課長

 まず、1つ目の制度と2つ目の制度ですけれども、まさに先生御指摘のとおりでございまして、2つ目の制度は1つ目の制度をつくることを前提に制度設計の御提案をしていますけれども、1つ目の制度だけ、弾力的な拠出だけということももちろん可能でございまして、1つ目の制度は2つ目の制度の前提になっているわけではございません。

 もう一つの御質問の「20年程度に一度」ですけれども、これも御指摘のとおり、現在、積立不足が生じた場合、その償却方法を17ページに、先ほど簡単に触れさせていただきましたけれども、最大20年の範囲でその積立不足を解消するということになってございますので、企業年金のこの世界では、最大20年が1つの目安になるのではないかということで、今回は「20年に一度程度の損失にも耐え得る基準」ということで設定をさせていただいてございます。

 

○臼杵委員

 1点だけ、ちょっと細かい話で気になるのは、VaRでやった場合、16ページの真ん中の図でいくと、★のところから右に行って▼のところまでが多分VaRなのかなとは思うのですが、細かい話でいくと、この斜線部分は全部起こり得ると考えると、要するに、CVaRといいますか、条件つきのVaRのほうがより確実な損失額になるのかな。より確実と言うと変ですけれども、より安定する、信頼できる計算になるのかなという気もしますので、もし可能であれば、そういうこともとり得るようにしていただいたほうがいいのかなというのがコメントです。

 以上です。

 

○山崎部会長

 山本さんからどうぞ。

 

○山本室長

 今の臼杵委員のコメントですけれども、おっしゃるとおり、VaRの場合ですと、本当にテールの先のほうの大きさを無視してしまうという問題点が従前から指摘されておりまして、臼杵委員に今御指摘いただきましたように、コンディショナル割当リスクというか、テール割当リスクという言い方もされますけれども、網かけ部分の平均値をとるような概念があるのですけれども、そういったようなやり方もあると承知しておりまして、そういった部分も含めて、今後検討をさせていただきたいと存じます。

 

○山崎部会長

 平川委員。

 

○平川委員

 今回示された案ですが、基本的には、方向性としてはこの方向でよいのではないかと思っているところです。

 現行のDBが安易にDCに流れないような歯止めになることも一定程度は考えられるのではないかと思っています。そういった意味では、仕組みについては、より詳細な制度設計をわかりやすいものにして、広報に努めることが重要ではないかと思います。

 その上で、16ページの「財政悪化時に想定される積立不足」の測定でありますが、これは、具体例がどうもよくわかりません。どのくらいのイメージでこれは計算されているのか。私は素人なものですから、そのイメージがよくわかりません。このポンチ絵でいくと、どのぐらいの額なのか、また、この箱のイメージが正確なのかどうなのかというのをお答え願いたいと思います。

 あとは、※1で「簡易な基準で財政計算を行っているDB(加入者数500人未満等が条件)は、測定不要」と書いてありますが、これはなぜなのでしょうか。測定不要だと、この仕組みそのものが成り立たないのではないかと思いますので、それがどうなっているのかというのをお聞きしたいと考えているところであります。

 また、39ページですが、これについては、「給付減額の判定基準」ということで、「『財政悪化時に想定される積立不足』の2分の1の水準」というところがありますが、労働者側が過度のリスクを負わされることのないように、このラインは変えないということについてもしっかりと指摘させていただきたいと思っています。

 最後に、意思決定のあり方です。この間も企業年金のガバナンスのあり方についていろいろ指摘させていただきました。これを機会に、引き続き、全てのDBに共通して加入者が参画できるガバナンスの強化とか、資産運用委員会の設置の検討であるとか、また、今回「委員会は少なくとも年1回以上開催」となっていますが、少なくとも複数回開催すべきではないかということも含めて、ガバナンスの関係についても、さらに強化する方向で御検討いただければと思います。

 以上です。

 

○山崎部会長

 お願いします。

 

○内山課長

 まず、わかりやすい広報・周知ということでございますけれども、これはもちろん今国会で御審議いただいていますDC法が成立した場合などにも共通することと思いますけれども、確かに、今回の提案は少し複雑な姿になっていることも多ございますので、その広報・周知、あるいはわかりやすいような広報は、また、今後、意を砕かせていただきたいと思ってございます。

 それから、39ページの2分の1のラインですけれども、現時点では、給付減額の判定について、2分の1のラインでどうかという提案でございまして、基本的にはこのラインを守っていただくということかなと思ってございます。

 

○山本室長

 それから、16ページの「財政悪化時に想定される積立不足」のレベル感についてお話がございました。これにつきまして、私どもで今考えておりますのは、「財政悪化時に想定される積立不足」は、企業年金によって随分ばらつきがある可能性もある。要するに、資産運用でリスクをとっていればそれなりに大きな幅になるでしょうし、逆に、余りリスクをとってないようなものであれば、ほとんど積立不足が生じる余地がないという可能性もございまして、そういう意味では、一概にどれだけのレベル感になるというのを申し上げることは今の時点では難しいのですけれども、企業のそれぞれの特性に沿った形で測定できるような方法を考えていきたいと考えてございます。

 それから、16ページの※1に書いています、簡易なDBについては測定不要というのはどういうことかというお尋ねがございました。これにつきまして、今、私どもで考えておりますのは、ここに書いておりますのは、簡易なDBというのは、例えば予定利率で一番低い、下限の予定利率で計算しなければいけないとか、選択肢がないような状態で運営もしておりますし、それなりに保守的な財政運営もされているということもございますし、そもそも給付現価が基金の実質にどこまで合っているのかというようなものもございまして。それに加えて、積立不足のようなものを測定するのはなかなか難しい面があるのではないかと思いまして、この簡易なDBについては新しい仕組みに移行せずに、これまでどおり運営していくことも考えられるのではないかということで、※1に「測定不要とすることが考えられる」ということを書かせていただいております。

 以上でございます。

 

○山崎部会長

 では、鈴木委員お願いします。

 

○鈴木委員

 これは2つの案ともやりたいところがやればいいということでしょうから、選択肢が広がるという意味で、それは結構なことだと基本的には思います。

 私も2つ質問をしたいのですけれども、1つは、「財政悪化時に想定される積立不足」をリスク対応掛金で拠出していくということですが、このいただいた資料の17ページの(参考)のイメージは、現行の特別掛金の償却のイメージですね。このイメージで言うと、有限期間で償却し終わるというイメージですね。

 一方で、同じ資料の26ページのリスク分担型DBで、イメージ図の一番下に、リスク対応掛金はあらかじめ労使合意されて固定されたリスク対応掛金と。このイメージは何となく未来永劫続くように読めるのですが、私はどっちかというと、有限で償却が終わるという感じではないのではないかという気がちょっとするのですが、例えば、給付現価の仮に1.1倍としたら、ノーマルコースは1.1倍になりますね。その0.1倍部分の掛金は未来永劫出ていくわけですね。どっちかというとそっちのイメージに近いのかなと思ったりもしているのですけれども、前のやつを見ると、まだ有限で、あたかも不足金を償却していくというイメージになっているので、これはどちらのイメージを持たれているのかというのが1点です。

 それから、2点目は、このリスク分担型DBで、オランダのコレクティブDCに非常に似ているというお話で、確かにそういうところもあるかと思うのですが、これは私がちょっと不勉強なので勘違いしているかもしれないのですけれども、オランダのCDCは105%積み立てているという前提があると思うのですけれども、今、御提案になっている仕組みを、素直に、この絵だけから読めば、要するに、過去給付債務の未償却部分が残っている状態でも、つまり、26ページの絵で言うと、掛金収入現価にはノーマルコスト以外の特別掛金も入っているように読めるのですが、過去給付債務の償却が終わっていない状態で、こういうふうに給付を上げたり下げたりするというのは、私の理解では、コレクティブDCとは大きく違うような気がするのです。つまり、27ページの図で、左の「剰余が生じている場合」増額となっていますね。しかし、この状態で、過去給付債務の償却を終わってないときに、その償却よりも優先して増額するというのが、それは果たしていいのかどうかというのがちょっとよくわからないのです。

 ですから、私の質問は、まずオランダのコレクティブDCがそういう過去給付債務の未償却の状態はオランダであるのかということと、それから、今、想定されているこの仕組みはどうなのかと。未償却の状態でも増額するのですか。そうだとすると、何か少し様相が違いますねという、もうちょっと検討しないといけないことがあるような気がするのです。

 その2点です。

 

○山本室長

 まず第1点目のリスク対応掛金というものが有限期間なのか、あるいはずっと永久に未来永劫拠出されていくのかどうか、その点ですけれども、前段の拠出の弾力化の意味で申し上げますと、基本的にリスクの測定が、例えば20年に1回起きるような損失だとすれば、20年を超えて積み立てるのはどうかというふうな気がしますので、有限期間で積み立てるのが前提なのではないかなと思います。

 一方で、リスク分担型DBにしたときに、リスク対応掛金を有限期間で終えるのかどうかという辺りは、これは終えてもいいような気もしますけれども、別にずっと出し続けるというのも構わないのではないかなというふうに考えております。

 それから、オランダのケースで、積立不足のようなものが残っているのかどうか、そこまでオランダの財政基準は必ずしもよくわからないのですけれども、ただ、我々が今考えておりますのは、特別掛金のようなものも含めて掛金収入現価に含めるような形のものを考えておりまして。もちろん特別掛金収入現価の償却が残っている間に給付の増額をしていいのかどうかという、そこは細かいところとして今後詰めていく必要があるような気はしますけれども、例えば特別掛金のようなものがあったという前提でも、有限期間で償却されるという前提であれば、あっても制度としては成り立つのではないかなというふうに考えております。

 

○鈴木委員

 ありがとうございます。

 後段の部分は、これから詰めるという感じなのだと思いますが、前段のほうがもう一つよくわからないのは、20年に一度起こるかどうかの積立不足が、現在の時点で測定したものが、例えば20年で償却するとして、20年後で同じ規模の額だというのであれば、20年間で償却するのはわかるのですけれども、そういう性格のものなんですか。つまり、不足の金額も動いていくものではないですかという、そういう質問です。

 

○山本室長

 今の点ですけれども、我々が今考えている想定される積立不足は、一回セットしたらずっと固定するということではなくて、5年に1回の財政再計算ごとに計算をし直すようなことを考えておりまして、その都度、リスク対応掛金も含めて掛金全体を見直すというような制度のイメージを描いているところでございます。

 

○山崎部会長

 高崎委員、どうぞ。

 

○高崎委員

 皆さんおっしゃるように、私はDBの使い勝手をよくする、できるだけ安定した将来の給付が確保されやすい仕組みのDBを維持できるような工夫を、選択肢をふやすのは非常にいいことだと思っていまして、方向性は非常にいいと思っています。やはり皆さんおっしゃるように、税制上とか会計上のテクニカルな部分がかなり多いので、その辺りが使いやすくしようと思っていながら、何かがネックになって使いにくいということがないようにしっかり詰めていく必要があると思っていますので、その点は引き続きよろしくお願いいたします。

 1点質問ですが、16ページの※1で、現行制度において、積立上限額が設けられているので、その範囲内で積立不足の金額を測定するようなルールを導入されると書いてあります。私も現行の積立上限額の算定ルールがよくわからないので、これは念のため確認ですが、将来の積立不足のために備える計算をするルールに沿って計算した金額がこの積立上限額を超えてしまった場合に、現行ルールの積立上限額の制約を受けてしまうのか、それとも将来の積立不足を解消するためという、このもともとの精神を尊重して、税務当局との話とかもあると思いますが、この一定のルールに沿って計算した金額以内であれば認めてもらえるような形に持っていこうと考えられているのか、その辺を確認させていただければと思います。

 

○山崎部会長

 では、山本室長。

 

○山本室長

 今の御質問でございますけれども、まず積立上限額のルールですけれども、数理債務の1.5倍以上の積立がある場合には、掛金を引き下げるなり、拠出を停止するなりしなければならないというルールがございまして。さらに、そのときの数理債務の計算を最も保守的な予定利率を置いた場合の数理債務を計算して、その1.5倍というようなルールで設定されているところでございます。

 今、現行は積立上限額と本来あるべき積立不足の関係がというので、もちろん物すごいリスクをとったような運用をすれば、想定される積立不足は非常に大きくなる可能性はないことはないと思いますけれども、ただ、実際、現行の積立上限額を我々が見ている限り、゛かなり高い水準のように思っておりますので、その範囲内でおさまるような感じになるのではないかと見ているところでございます。

 

○高崎委員

 ありがとうございます。

 

○山崎部会長

 それではお待たせしました。白波瀬委員。

 

○白波瀬委員

 ありがとうございました。

 最初は、すごく基本的なことですけれども、趣旨は私も理解いたしまして、不確実性が世の中は増しておりますので、お互いにリスクを分担するという考え方についても、これはいたし方ないと思うのですけれども、雇われている企業自体が倒れてしまったら仕方がないので、その意味でもリスク分散を皆さんしましょうということで、12ページの3つ目の○で、「企業活動にも支障が生じている」という表現があるのですけれども、実際にどの程度の問題があって支障が生じたのかということを、データとしてもう少し提示していただいたほうが、より説得的にこの制度を紹介することができるのかと1点思いました。

 2点目は、私は素人なのでちょっとずれているかもしれないのですけれども、今、鈴木委員から非常にテクニカルな専門用語でお話があったのですけれども、ちょっとわからないというか、少し気になるのは、例えば14ページの最初の一番基本の図ですけれども、リスクをどう分担させるか。一応20年という場の中で、それ全体で均衡をとりましょうということですね。この20年間という将来的なリスクを大体どれぐらいと設定しておきながら、28ページの調整率の話のときに、毎年ここで調整率を決定していくということ自体が、どうも私の中でうまく消化できていないのですね。ですから、リスクを20年にわたってとろうという設計のもとで、各調整率を毎年変えていったら、20年間のリスクはどこで結局消化するのかという、そこの辺りがちょっと私の中で整理できないのが1点ありました。

 それから、もう一つ最後には、確定給付というところで、制度的に給付を確定すると言いながら、どういう制度のもとで労使間で、要するに、予測できないリスクが外的な環境のもとにあった部分については、それを両者でリスク分担して、それを結果として給付のところにもはね返ってよいという、こういう枠組みだと思うのですけれども、でも、制度的に「確定給付」と言っているので、その辺りの説明がもうちょっとあるといいなと思いました。

 以上です。

 

○山崎部会長

 お願いします。

 

○内山課長

 済みません。ちょっと繰り返しになりますが、企業活動に支障というのは、まさに資料の中で御紹介をしましたけれども、要は、DB実施企業で、25ページで御紹介しましたように、企業活動をしている中でいろいろなDBの運用がなかなか負担になっているという声が一定数寄せられているというようなお声を聞きますし、あとは、実際に個別の御要望として、まさにこの特別掛金とかの拠出が一般的には、もちろん景気が不況のときに業績好調の会社もあるわけですけれども、一般的には、不況のときには業績がよろしくない会社が多いので、そういうときの対応を求められるという声をお寄せいただいているわけでございます。

 あと、27ページ、28ページのところで、28ページで、毎年毎年調整率をかけるというような御説明ですけれども、ここは27ページの※で書いていますように、基本的には、増額とか減額、調整をすることになった場合に、もちろん単年度で調整してもいいですし、複数年度に分けて調整することも想定していますので、その辺りでいわばバランスをとっているような形になっているのかなと思ってございます。

 確定給付ですけれども、基本的には、給付の算定式というか、給付の方式、算定式を決めるということですので、今回は、調整も含めて給付の算定式といいますか、そのルールを決めているという理解で、確定給付の制度ではないかと思っています。

 

○山崎部会長

 森戸部会長代理、お願いします。

 

○森戸部会長代理

 一言だけ。今の確定給付云々ですけれども、多分、確定給付という言葉、訳というか、語感が実際のもとの意味とずれているのかなというのはありますけれども、現行法でも、確定給付企業年金法のもとでも、給付減額という仕組みがあるので、だから、実は今も、白波瀬委員のおっしゃる「確定」ではないのですよ。だから、会計基準何とか委員会に行って、「確定給付法で確定拠出なのか」と言われたときに、厚労省が何とおっしゃるか知らないけれども、「いや、もともとそうではないのです」と言ってもいいということかなという気がします。ざっくり言うと、ちょっと言い方は悪いかもしれませんが、大体そんな感じだと思います。

 

○山崎部会長

 山本委員、どうぞ。

 

○山本委員

 御提案をいただきまして、要するに、掛金側と受益側で調整のできるDBというふうな御提案だと思います。ということで、非常に選択肢。これは拝見する私の感想ですけれども、要するに、DBの方がDCとか、あるいは制度そのものをやめてしまうとか、そういうことを食い止めるためにはこの制度は僕は非常に有効かなという感じがしたのですが、今の例えば厚生年金基金がなくなって、それをどう補てんして、民間がそれを請け負いながらやっていくのかみたいなことで、こういうものを普及させていこうではないかという視点でこのことを考えてみると、この内容のことで、私も中小企業ですからあれですけれども、じゃ、やってみようかという気になれるほどの今おっしゃるように、世界の変化というか、あるいは経済状況の変化は激しいですから、新規のこういった制度を導入しようとする企業は余りふえないのではないかなという感じがいたしました。

 企業サイドから見ると、ここでも、特に、今後支払われるという毎年度の給付見込まれるという部分ですけれども、この辺が、大企業であるとか超安定的な企業はこういうものが見込めるからある程度算定できると思いますけれども、財政検証じゃないですけれども、やはりある程度見直しができる、何年かに一遍はこの見直しができるとか、1,000人の企業が500人の企業になることもあり得るし、分社化することもあるし、いろいろなことが起きるので、その辺の変化対応が、果たしてこういうプレゼンテーションのあり方で、会社側が受け入れられるものかなというのがちょっと心配な感じがいたしまして。ですから、特に企業の決算上のよいとき、悪いときの規模が小さくなればなるほど浮沈は激しいのです。

 そうなったときに、先ほどの償却の年限等の問題もありますけれども、積立の範囲を、いいときにはもっと積めるとかですね。これは財政当局がいいよと、それでも民間でもっと企業年金をやりなさいと、厚生年金だけでは到底賄えないのだから、民間でもっとやってちょうだいと。税収の若干の減はあっても、これでむしろそれを推奨していこうではないかという理解を得て、そのもとに、損金算入が可能になるとかという線をもっと強く出していかれないと、冒頭に申し上げました食い止めはできるかもしれないけれども、新しい年金の普及ということには僕はつながりにくいのではないかなと、こんな感じをちょっと持ったのと、先ほどの5年とか3年の見直しはできるようになっているのかどうか、これはちょっと質問させていただきたいと思いました。

 

○内山課長

 ありがとうございました。

 今、なかなか新規はふえないかなというようなお話もありましたけれども、この企業年金部会で議論してまいりましたように、なるべくこの企業年金を普及させていただこうということで、DC法の法案の中にも中小企業向けの対応、簡易型DCなども盛り込みましたし、今回の対応は、それと併せて一体となって普及の一つの選択肢ということで提案をしているものでございまして、今のところ、事務局で考えているのはこういうような形でございますので、できるだけこういうものをやっていただきたいなという気持ちがございます。

 また、損金算入ですけれども、先ほど御紹介もしましたように、これまでの税務当局との整理では、恣意的な損金算入になるような形は許されないということになっていますので、ここは、これから、また、税務当局と調整をしていく、交渉をしていくということになるのですけれども、極力、企業にとって使いやすい形になるような整理をさせていただければと思ってございます。

 

○山本委員

 見直しの意味がよくわからないのですけれども、見込みでやるのですが、その見込みはどんどん変わっていく危険性があるので、その見込みの変更はできるのかどうか。

 

○山本室長

 リスク分担型DBの場合で、見込みの変更のようなことができるのかという、そういう御趣旨の御質問でしょうか。

 

○山本委員

 はい。

 

○山本室長

 リスク分担型DBでも、財政再計算をして、見通し自体をつくり直していかないと、本当にバランスしているかどうかというのは検証できませんので、それは5年に一度見込み自体も見直して、改めて、どれぐらい給付を調整する必要があるのかというのを検証していくという、そのような仕組みを考えているところでございます。

 

○山崎部会長

 小林委員。

 

○小林委員

 御提案ありがとうございました。

 企業年金については、これまでの部会でも確認されているとおり、基本的には、個社ごとの従業員の規模や実態を踏まえて、労使合意に基づいて実施するものであると認識をしております。その前提で見たときに、多くの委員の皆さんからもあったように、これまでの伝統的なDBとDCに加えて、今回新たな選択肢が用意されることについては大変好ましいと思っております。

 ただ、先ほど来の議論にも少し出ていたように、実際にこの仕組みを活用する企業がどれぐらい出てくるのかについては、会計上の取扱いが大きなポイントになると思いますので、ぜひASBJへの積極的な働きかけをお願いいたします。それに加えて、制度運営にかかわる様々なガバナンスコスト、あるいは移行時のハードルについても重要な判定要素になるのではないかと思いますので、制度の普及促進という点も踏まえて、過度にハードルが上がることがないようにしていただきたいと思います。

 その観点で1つ気になるのが、資料37ページの「リスク分担型DBにおける意思決定のあり方」についてです。リスク分担型DBを運用する場合に、新しく委員会を設置し、そこで検討を行い、かつ、資産運用等が加入者等の意向に沿った形で行われるようにと提示されていますが、ここで言う「提言」の位置付けや、「加入者の意向に沿う」ということについて、具体的にどのような取扱いがイメージされているのかが気になっており、例えば「意見聴取」というような理解でよいのであれば、特に基金型の場合は、今の仕組みにおいてもきちんと担保されていると思いますので、似たような仕組みを重複して持つ必要があるのか疑問に思います。

 また、一方で、「提言」というものをもう少し重くとらえるならば、受託者責任には当らないのかもしれませんが、「提言」を行う加入者代表の方々には、一定の専門知識も求められると思います。それを外部の有識者で代替する方法もある、とのご提案だと思いますが、一方で、資産運用の業務執行に当たっては、既に外部コンサル等の助言を受けて実施している場合がほとんどだと思いますので、コスト面でも二重負担になるのではないかという懸念もあり、この辺りの問題については、是非制度運営の実態も踏まえて、現実的な枠組みを御検討いただきたいと思います。例えば基金型については、代議員会等の場がありますので、その議事の一部として資産運用状況の報告を義務づける等、既存の枠組みの中で完結する方法なども御検討いただきたいと思います。

 それから、また別の論点になりますが、掛金拠出の弾力化について、今回の御提案は、リスク対応掛金の拠出が前提になっていますが、年金財政を健全化する観点で言えば、こうした新しい枠組みを活用しない場合、現行の特別掛金についても、さらなる弾力化は御検討いただきたいと思います。一例ですが、現行の法令上で積立不足と見なされる部分については、積立金が責任準備金とか最低積立基準額を上回っていても、特例掛金の一括拠出を可能にする等、さらなる柔軟化も御検討いただきたいと思います。

 以上です。

 

○山崎部会長

 お願いします。

 

○内山課長

 幾つか御指摘をありがとうございました。

 御指摘のとおり、これまでも出ていましたように、会計上の取扱いが1つ大きな論点になっております。これは基本的には企業会計基準委員会で扱いを決めていただいていることでございますので、そこと交渉・調整をしていきたいと思っています。

ただ、一定程度詳細な制度設計がございませんと、なかなかその調整・交渉もできないということでございますので、本日このような資料を出させていただきましたので、おおむねの方向性について御賛同いただける場合には、こうした資料をもって、さらに調整を進めたいと思ってございます。

 2点目、ガバナンスコストや移行時のハードルが余り高くならないようということでございますけれども、今現在は、35ページ以下で御説明したようなイメージで考えてございますけれども、さらに、現状ある制度との関係などについては、引き続き、少し検討・調整をさせていただければと思ってございます。

 また、特別掛金など現行の規定のさらなる何か弾力化のような措置ということでございますけれども、これまでも規制改革の要望などでいただいているような御要望もございますし、できるだけお応えをしていきたいと思ってございますけれども、一方で、繰り返し申し上げていますように、恣意的な損金算入にならないといったような高いハードルもございますので、これまでに規制緩和要望などでいただいている御要望も含めて、税務当局とは調整をさせていただきたいと思ってございます。

 

○山崎部会長

 よろしいですね。

 井戸委員。

 

○井戸委員

 ありがとうございます。

 普及させていくために選択肢が広がるというこの御提案は、私もいいと思います。

 ただ、加入者側から少しお願いをさせていただこうと思うのですけれども、37ページにありますように、知識のある加入者の代表の方が参画されて委員会で提言されるということですが、実際に受け取る側の場合は労使合意によって、会社によってそれぞれ違うと思うのですが、少なくとも5年に1回ということなので、加入者の人が最悪どのぐらい減るかということをしっかりお示しいただかないと、ライフプランとか組むときにどれだけ要るのかがイメージがわからなくてとても困られると思いますので、できれば、そういう加入者に対する説明をすることとかというのを一文入れていただくとありがたいです。

 

○山崎部会長

 よろしいですか。今のお答えはありますか。

 

○山本室長

 御指摘のとおり、給付見込みのようなものは、周知をする中で少し工夫をしてもらうとかそういったことも考えていきたいと思います。

 

○山崎部会長

 オブザーバーの村瀬理事長お願いします。

 

○村瀬オブザーバー

 先ほど山本委員からお話がありましたように、本件が中小企業を初めとした新たなDBの制度設計に生きるのかどうかということについてですが、我々、基金制度を扱っているところから考えますと、多分、これは新たなこの制度を活用してDB制度を立ち上げるというのにはなかなか難しいのではなかろうかと。先ほど、内山課長からもお話がありましたように、現行制度の中でDB制度からDCなり併存なりへ移行している部分、その部分でDB制度を維持していくための1つの選択肢という形で使用されることは大いにあるのだろうと思っております。

 ただ、先ほども御指摘がありましたように、制度を移行も含めて余りにも複雑化しますと、結局、絵に描いた餅になりかねないということで、ガバナンスコスト、運営コスト、これらも含めて利用しやすいような仕組みをお考えいただくというのが必要でなかろうか。これが1点でございます。

 それから、2点目に、掛金の弾力化の問題ですけれども、これは以前から申し上げておりますように、年金制度を維持するためには極めて大事なポイントだろうと思います。したがいまして、この部分については、ハイブリッド型の旧設計とは切り離してでも早期に実現していただくことが必要ではなかろうかと考えております。

 以上です。

 

○山崎部会長

 臼杵委員。

 

○臼杵委員

 1点だけちょっと追加で恐縮ですけれども、さっきリスク分担型DBも5年ごとに財政再計算のようなことをしてきちんともとに戻す。もとに戻すという言い方がいいのかよくわかりませんが、戻されるということをおっしゃっていたのですけれども、そうすると、逆に言うと、企業に追加負担の可能性が出てきて、それは結局会計基準上では債務ではないかという話になるのかなと。そのバランスというか、その辺については何かお考えはございますか。

 

○山本室長

 ちょっと説明不足でしたけれども、再計算をして、将来見通しをつくり直すということをやります。その結果、掛金は、資料にも書いてございましたけれども、追加負担を求めないという前提で見直しまして、その上で、財源側と給付側がバランスするように、給付のほうを必要に応じて調整をするという、そういったような仕組みを考えてございまして。そういう意味で、今考えている制度は、一度設定した掛金は、後にその合意の変更がない限りは、そのまま維持されるといった前提で考えているものでございます。

 

○山崎部会長

 その前の村瀬理事長の御発言につきましてはありますか。

 

○内山課長

 複雑化するとというお話があって、なるべく利用しやすいということで、これも繰り返しになりますけれども、これまでDCの法案に盛り込んだ簡易型DCとか、あるいは個人型DCの仕組みの利用などを事務局でも考えてきたわけですけれども、確かにシンプルな制度かと言われると、そうでない部分もあるのですけれども、このところは、逆に申しますと、極力、いろいろなアイデアをいただきながら、なるべく選択肢が広がるように、そして、できればわかりやすくなるようにということは心がけていきたいと思ってございます。

 また、これも繰り返しになりますけれども、拠出の弾力化とハイブリッド型、リスク分担型DBの仕組みにつきましては、拠出の弾力化はリスク分担型ができないとできないというわけではございませんので、拠出の弾力化についても、リスク分担型と併せてですけれども、いろいろなハードルがあるとは思いますけれども、早期の実現に努めていきたいと思ってございます。

 

○山崎部会長

 最後になりましたが、森戸部会長代理にお願いいたします。

 

○森戸部会長代理

 幾つかコメントと1つ質問もあるのですが、それは最後にさせていただきます。

 きょう出た案、非常に考えられた、練られた案で、よくこういうのを考えられるなと素直に思ったのです。基本的には、皆さんおっしゃっていたように、今のところ、方向としては異論はないです。ただ、何か見逃しているのかなとか、ちょっと不安もあるのですけれども、今のところは、非常によく考えられた制度で、基本的方向としてはいいのではないかと思っています。

 ポイントは、もちろん先ほどから質問が出ている点は全部ポイントですけれども、私なりに今回の提案がうまくいくために、結局、何がポイントかなと思うと、2つあって、1つは、専門家が、ちゃんとした第三者がリスク対応掛金をチェックします。要するに、数理人ということだと思うのですけれども、年金数理人の方の役割がより大事だと。今でももちろんそうですけれども、それが1つ。

 もう一つは労使合意だと思います。これももちろん労使合意は大事ですけれども、それで、特に複雑な制度になっていますので、労使で、従業員サイドが本当に理解できるような、導入のときも導入後も、ちゃんと理解できているのかというのをきちんとチェックできないといけないだろうと思います。それで、いろいろ委員会をつくるとかそういう提案もあったのだと思うのです。数理人の方は、数理人の方でしっかりやってもらうということです。

 それから、労使合意というのは、別に組合があればいいというものでもありませんが、しかし、組合があれば、一応集団的な合意の担保はあるわけで、そうすると、残るのが組合がないときの過半数代表ですね。これは別に今始まった問題ではなくて、企業年金法全体、もうちょっと言えば、労働法制全体の問題で、過半数代表はいわば個人ですから、この人がいろいろな重要なことを決めてしまっていいのかという問題は根本的にあるので、別にここで議論する話ではないのですが、要するに、こういう複雑な仕組みを導入するとかそういうことをきちんと理解するというのが、いわば過半数代表者という個人の判断にかかってしまっている。この人は選ばれた人ですけれども、みんなの意思を代表していると言えるかどうかというのは、必ずしも疑問な点もありますから、その辺も考えないといけない。つまり、企業年金法では、労使合意があるからいいじゃないかというふうに、割とそういうつくりになっているのですけれども、その労使合意というのも本当にちゃんと、それは皆さんがおっしゃったガバナンスとかそういうことにつながると思うのですが、そういうのがちゃんとできているのかという観点から、特に組合がないような場合のチェックというか、そういうことがきちんとされるような手当もする必要があるかなということを思いました。それが1つです。

 それから、実際上は、先ほどから出ているように、2つ目のリスク分担型DBですね。移行するパターンが多いだろうということで、39ページ、40ページで、これが給付減額になるのではないかと、こういう法的な問題は当然出てくると思います。伺っていて、給付減額の要件を法律で一応正面から定めるという前提かなと思いまして。気になったのは、結局、受給者に関して減額が起きるかもしれないという制度に変わるということなので、現行法下でもそれは給付減額と言えるかもしれないという気がしたのですが、40ページの最後に書いてあるように、受給者には一時金で出すオプションはこの変更のときに与えるよということなので、これで一応その点はクリアして、担保しているのかなと思いました。それが1つですね。

 これは最後の質問につながっていくのですが、リスク分担型DBはいわば現行法も、先ほど私ちょっとコメントしましたように、DBでも給付減額はあるわけですが、いろいろハードルが高いので、いわば事前に給付減額の起きる場合を決めておくといいますか、そういう意味では給付減額の規制緩和と言っていいのかなと思うのですけれども、そういう仕組みかなと思います。そういう前提で、それはそれで、さっき言ったように、ちゃんと納得して導入される分には、それはそれでよいと思います。

 質問は、これは会計基準の話に関わるのかもしれません。もしかして、物すごいとんちんかんな質問だったらちょっと恥ずかしいのですが、一応聞かせていただこうと思うのですが、26ページ、これがリスク分担型DBの基本的仕組みであるということですね。

 私の理解では、この制度を会計上、確定拠出と認めてもらいたいのだという、そういうことでいいのですね。

 これは左のオレンジ色の部分の上のところ、リスク対応掛金で、これは事業主が掛金で対応して、上の部分が加入者の給付調整で対応だと。この加入者の給付調整で対応する部分がもしなかったら、それは最初に(1)で説明された、リスク対応掛金をフルに積みますという場合だととらえていいですね。

 それでいいですか。

 順番に聞いていかないと、もしかして、すごい外していたら恥ずかしいので、順番に聞いています。

 質問は、きょう(1)、(2)と2つ仕組みの説明があったとして、最初の(1)だけの、要するに、掛金を今までより多く出していいですよと、簡単に言えばそういう制度ですけれども、会計上、これを確定拠出にしろとは言ってないのですね。

 でも、加入者の給付減額で対応する部分があると、確定拠出にしてみてくださいねと、会計上、そういうふうにしたいのですね。そういう理解でよろしいですか。

 私の理解が間違っているのかもしれないけれども、加入者の給付調整で対応する部分が少ないほうが事業主は多く掛金を出すのですね。確定拠出と見てほしい制度で、どんどん掛金もっと多く出せよとやっていて、加入者で給付調整する分がなくなったら、確定給付に会計上はなってしまうということですか。

 私の理解はちょっとおかしいですかね。

 済みません。ちょっと勘違いしていると思うので、教えていただけますか。

 

○山本室長

 我々が会計上確定拠出にできるかどうかというところは、積立不足に対応するリスク対応掛金を出せるかどうかというところを論点にするのではなくて、要するに、あらかじめ今の時点で何を出すかというのを決めていて、さらに、予期せぬ掛金拠出が起こるか起こらないかによって会計上DBと扱われるのか、会計上DCと扱われるのかというのを、今、国際会計基準もそうなっているので、そういう切り口で見てもらえれば、例えリスク対応掛金でフルに出していたとしても、さらに、それに加えて、何か拠出が求められることがない制度であれば、債務がないということで、会計上は確定拠出として扱われるといったことに整理してもらえる可能性があるのではないかと見ているというところでございます。

 

○森戸部会長代理

 では、私はどこが間違っているのですか。

 

○内山課長

15ページなどで御説明しましたように、財政悪化時の積立不足を測定して、どの水準で掛けるかというのは、それはまた任意の話でございます。

26ページは何がポイントかというと、範囲内でどこまで掛けるかというのをあらかじめ労使合意で固めておく。その固めるところがポイントでして。仮に、それが森戸先生が言われるように100%になったとしても、あらかじめ労使合意で決めているというところがポイントになるかと思っています。

 

○森戸部会長代理

 これ全部事業主負担が物すごい多くても、別に決めていれば、それはやはり会計上、確定拠出にしてほしいという土俵に乗るという理解でいいですか。

 

○内山課長

 はい。

 

○森戸部会長代理

 ありがとうございました。

 この間に、多分いろいろ説明を受けるような気がしますけれども、きょうはこれで。ありがとうございました。

 済みません。余計なことを申しました。

 

○山崎部会長

 おおむね御発言いただきましたが、追加して、何かございますか。

 ありがとうございました。

 それでは、確定給付企業年金の弾力的な運営につきましては、おおむね目指すべき制度の姿につきましては、御了解いただけたと思いますので、この方向で進めるということでよろしいでしょうか。

 

(「異議なし」と声あり)

 

○山崎部会長

 事務局は引き続きよろしくお願いいたします。

 続きまして、「厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会における議論の経過について」に入ります。

 当部会の下に置かれている「厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会」における議論の経過について、事務局より報告をいただきます。

 

○内山課長

 それでは、縦の3ページ物になってございますけれども、資料3をお出しください。

 これは前回12月の部会でも報告をさせていただきましたけれども、森戸部会長代理に専門委員会の委員長をしていただいています「厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会」についての報告書でございます。

 この専門委員会は、26年4月より、おおむね月に1回程度の審議をいただいてございまして、前回12月には、26年9月までの開催状況について御報告をいたしましたが、今回は26年10月1日から27年3月31日までに関しての報告書になります。引き続き、おおむね半年に一遍程度の割合で報告をさせていただきたいと思ってございます。

 中身ですけれども、1、2については、法律の仕組みなどが書いてございまして。1ページ目の一番下「専門委員会の開催状況」を見ていただきますと、26年10月から27年3月までについては、専門委員会、おおむね月1回ペースで計6回開催をして、審査を行っていただきました。その中で、13件の基金について特例解散の承認が妥当と判断をしていただいてございます。

 具体的には、2ページ以降、各回の審議の模様が第6回から第11回まで書いてございます。個別に説明することは省略させていただきますけれども、案件によっては継続審議になったようなものもございますが、最終的には、13件の特例解散が認められたということでございます。

 また、半年後ぐらいには、27年4月以降の状況を報告させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 

○山崎部会長

 それでは、予定の時間には達しておりませんが、本日の審議につきましては終了させていただきます。

 次回の開催につきまして、事務局から連絡はありますでしょうか。

 

○内山課長

 次回の部会の開催日時につきましては、事務局から、各委員の御都合をお伺いした上で、改めて、正式な御案内をお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。

 

○山崎部会長

 ありがとうございました。

 それでは、本日の審議を終了いたします。

 どうも、御多忙の折、お集まりいただき、ありがとうございました。

 

 

(了)