2013年12月18日 第18回社会保障審議会年金部会議事録

年金局

 

○日時

平成25年12月18日(水)14:00~16:00

 

○場所

厚生労働省17階 専用第18・19・20会議室

(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2)

 

○出席者

神 野 直 彦 (部会長)

植 田 和 男 (部会長代理)

小 塩 隆 士 (委員)

菊 池 馨 実 (委員)

武 田 洋 子 (委員)

出 口 治 明 (委員)

花 井 圭 子 (委員)

原 佳 奈 子 (委員)

藤 沢 久 美 (委員)

宮 本 礼 一 (委員)

森 戸 英 幸 (委員)

諸 星 裕 美 (委員)

山 口 修 (委員)

山 本 たい 人 (委員)

吉 野 直 行 (委員)

米 澤 康 博 (委員)

○議題

(1)年金事業の運営の見直しについて

(2)次期財政検証の進め方について

(3)積立金運用のあり方について

○議事

○神野部会長 それでは、定刻でございますので、ただいまから第18回の年金部会を開催したいと存じます。

 冬将軍が足早にやってまいりまして、ベツレヘムは想定外の大雪だそうでございます。委員の皆様方にはお寒い中を、さらに年の瀬の先生が走り回るお忙しい中を御参集いただきまして、本当にありがとうございます。

 本日の委員の出欠状況でございますが、柿木委員、駒村委員、小室委員、小山委員から御欠席との御連絡を頂戴しております。いずれ出口委員もお見えになるかと考えております。

 それでは、既に皆様のお手元には配付してございますけれども、柿木委員からは提出資料を頂戴いたしておりますので、御参照いただければと存じます。

御出席をいただいております委員の方々が3分の1を超えておりますので、会議は成立していることをまず御報告させていただきたいと思っております。

また、事務局からの出席者につきましては、お手元に配付してございます座席図のとおりでございますので、これをもって御紹介にかえさせていただきたいと存じます。

それでは、議事に入ります前に資料の確認をさせていただきたいと思いますので、事務局からよろしくお願いいたします。

○八神総務課長 お手元の資料を確認させていただきます。きょう各種にわたっております。

議事1「年金事業の運営の見直しについて」関係

資料1-1 年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会とりまとめ(概要)

資料1-2 年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会とりまとめ

資料1-3 第6回年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会提出資料

資料2-1 年金保険料の徴収体制強化等に関する専門委員会報告書(概要)

資料2-2 年金保険料の徴収体制強化等に関する専門委員会報告書

資料3   年金事業の運営改善関係スケジュール

 

議事2「次期財政検証の進め方について」関係

資料4-1 年金財政における経済前提のあり方について(専門委員会における議論の経過報告

資料4-2 年金財政における経済前提のあり方について(専門委員会における議論の経過報告)-参考資料集-

資料4-3 今後の財政検証の進め方について

 

議事3「積立金運用のあり方について」関係

資料5-1 公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議報告書

資料5-2 第14回年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会における「積立金運用のあり方について」の主な意見

参考資料1 経済対策(25.12.5閣議決定)における有識者会議の提言関係部分

参考資料2 厚生年金・国民年金の積立金運用について

それから、先ほど部会長から御紹介ありました柿木委員から提出をいただきました資料でございます。以上でございます。よろしいでしょうか。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

それでは、大変恐縮でございますが、カメラの方は御退室されていらっしゃいますね。どうも御協力ありがとうございます。

 それでは、議事に入らせていただきたいと存じますけれども、お手元に配付してございます議事次第をごらんいただければと思います。本日大きく3つの議事を準備させていただいております。1つは、「年金事業の運営の見直しについて」、2つ目は「次期財政検証の進め方について」、そして3つ目は「積立金運用のあり方について」でございます。

まず最初の議事「(1)年金事業の運営の見直しについて」に入りたいと思いますが、この年金事業の運営の見直しにつきましては、この部会の下に2つの専門委員会を設置してございます。1つは「年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会」、もう一つは「年金保険料の徴収体制強化等に関する専門委員会」でございますが、この2つの専門委員会で議論を重ねられた上、これらの委員会において取りまとめが行われたというお話でございますので、事務局からそうした取りまとめについて御報告をお願いできればと思いますので、よろしくお願いいたします。

○赤澤事業企画課長 それでは、まず、私のほうから、「年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会」の取りまとめについて御報告をさせていただきます。資料は資料1-1~1-3までありますが、資料1-1の横書きの2枚ペーパーを使って御説明をさせていただきます。

 年金記録を始めとする年金個人情報、この専門委員会では、この取扱いについて、訂正手続の創設、情報提供の推進、厳格な保護の関係、この3つの観点から御議論をいただいたということになっております。

最初のページでございます。最初が年金記録を始めとする基本的な年金記録の訂正手続の創設についてということでございます。これは年金記録の訂正について、どういう仕組みをつくるかということでございまして、まず現在の訂正の仕組みは、そちらに書いてございますように、年金事務所段階での訂正、それから、総務省に年金記録問題を契機として、年金記録訂正のあっせんを行う第三者委員会が設けられておりますが、それに基づく訂正、3番目が、一般的な行政機関個人情報保護法に基づく訂正という3つがございます。

特にこの報告書の中で言及されておりますのは、2番目の「総務大臣への年金記録訂正あっせんを求める申立て」につきましては、平成19年より臨時・緊急的に設置したものであって、恒常的な仕組みではないということ。それから、総務大臣からのあっせんは事実上の行為にしかすぎないので、訴訟を提起されても却下される傾向にあって、「司法手続も考慮に入れた年金記録確認の仕組みが必要」であると言われているというようなことが書かれております。

また、その下にあります「行政機関個人情報保護法に基づく訂正請求」につきましては、訂正請求だけでなく、あらかじめ開示の請求をしないといけないということで、もともと年金記録というのは既に開示の対象として容易に開示されますので、煩雑な手続になっていると言われているところでございます。

その下のところをごらんいただきますと、「現在の年金記録の訂正事案」ということでございます。現在の年金記録の訂正事案は、以前、年金記録問題が始まったころは、過去の国民年金の事案が多かったわけでございますが、現在は事業主の報酬の届出漏れ・誤りや賞与の届出漏れ・誤りといった厚生年金の事案、最近10年以内の期間といった最近の事案が訂正を求めるものが増えているということで、足下での年金記録等の訂正が恒常的に発生しているという状況にあるところでございます。

そういうことから、この1枚目の右に書いてございますように、恒常的に発生し得る年金記録の誤りを訂正する手続を年金法の中に位置づけるべきではないかということで、具体的には、年金記録の訂正を請求することができる手続を年金制度に創設する。

下のところに書いてございますが、ただ、それだけでは事実関係を明らかにすることが難しいので、厚生労働大臣がいろんな関係機関に調査できる権限を設ける。

そして、最終的に訂正する、訂正しないという決定については、審議会の意見を聞くということで、訂正請求に対して大臣が訂正決定という処分を行うという処分性のある仕組みとして、年金記録の訂正を位置づけたらどうかということが御提言いただいているところでございます。

 また、不服につきましては、現行の仕組みよりも、さらにすぐれたものとするという観点から、処分に不服があれば当然行政処分としてされますので、不服申立手続や司法手続をすることができるというようなことでございます。

 この報告書の2枚目のほうは、2つの観点、「情報提供の推進」と「厳格な保護」ということでございます。

情報提供の推進につきましては、先ほど申し上げましたように、厚生年金事業者のいろんな誤りとかございますので、引き続き「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」等を活用しながら、御本人に対する情報提供を充実する必要があるという御指摘をいただいているところでございます。

また、年金個人情報の厳格な保護ということは、現行、日本年金機構法上、個人情報を提供するのは厳格な規制がかかっておりまして、一定の場合にしかこの情報を提供できないような形になっております。

一方、私ども伺っているところでございますと、例えば高齢者の虐待事案で年金を詐取されるようなケース、御家族が遮断をしていて、高齢者の年金口座がどこにあるかわからないようなケースで、市町村が経済的虐待等々の実態を把握することが非常に難しいという事情もお聞きしておりますので、そのような場合も含めて、年金個人情報を提供できる場合について、具体的に明確にした上で情報提供を行うことが必要という御提言をいただいているところでございます。

以上が、冒頭申し上げました年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会の取りまとめの概要ということでございます。

○大西事業管理課長 それでは、引き続きまして、「年金保険料の徴収体制強化等に関する専門委員会報告書」の概要につきまして、私、年金局事業管理課長でございますが、御説明申し上げます。お手元の資料2-1と2-2でございます。資料2-1は、簡単に報告書の項目をまとめただけですので、恐縮ですが、資料2-2に沿いまして、私のほうで抜粋しながら御説明するような形にさせていただきたいと思います。

資料2-2でございますが、まず冒頭のところに、今回の検討の経過等が書いてございまして、この専門委員会での議論は、社会保障・税一体改革担当大臣の下に設けられた「年金保険料の徴収体制強化等の検討チーム」、これは内閣官房副長官が座長で、各省の政務官、政治家のメンバーの方々が入った検討チームだったわけですが、こちらで取りまとめられた論点整理を踏まえて、それに沿って6回にわたり御審議をいただいたのがこの結果でございます。

大きな柱立ての、その1は「国民年金保険料の基本的な考え方」ということでございますが、1ページ目の「1保険料納付の意義」というところに関しましては、現在の国民年金の保険料の納付は、制度発足時ですと自主納付というようなことを言っていたわけですけれども、自主納付といっても、納めても納めなくてもよいという任意加入の意味ではなくて、社会連帯の仕組みへの加入義務が全国民に課されているということで、もちろん保険料を納付することが、下から4行目のあたりに書いていますが、納付者自身の老後生活の安定や万が一の障害事故などへの備えという意味で大きな意義を有しますけれども、同時に、世代間の仕送りという賦課方式の下で運営されている今の年金制度の下では、2ページ目になりますけれども、保険料の納付は、誰もが守らなければならない義務であることを確認する必要があるということを、まず納付は義務なのですということを御確認いただいたということでございます。

その上で「2滞納者への対応」ということです。保険料の納付につきましては、所得のない方の場合には、保険料の免除制度や猶予制度が設けられておりますが、それにもかかわらず滞納している方も数多くいらっしゃるということで、このようなことは連帯の仕組みを危うくすることにもつながりかねないし、また、将来無年金や低年金のために生活保護を受給するという方の増大にもつながりかねないということで、最大限努力するということでございます。

下のア・イ・ウ・エ・とありますけれども、ア.広報、教育などの理解の促進の取り組み、イ.納付督励、ウ.納めやすい環境整備、エ.強制徴収、差押えや督促といった手法、そういうものを最適な組み合わせというものを図りながら取り組みを強化していくことが重要ということを指摘しております。

それから、2ページ目の下のほう「3保険料納付のメリット」ということですが、改めて国民年金の保険料を納付するといろいろいいことがあるということを整理しておりまして、老後の生活保障から、次のページに行きまして、障害、遺族の保障。税制上、保険料、給付に対しても優遇措置がある。それから、上乗せの給付なども用意されているということ。あるいは国庫負担が行われているということ。免除や猶予といった制度が設けられているということ。それから、一番最後のところですけれども、低年金・低所得の方には、税財源で年金生活者支援給付金も創設されているということで、こういうメリット、保険料を納付するといろいろなメリットが受けられるということを整理しまして、4のところですが、このメリットが十分周知されていないことが納付率の大きくなる要因の1つなので、政府は一層のPRに努めるべきだということを御指摘いただいております。

4ページ目に入りまして、こういう正しい理解を得る努力をした上で、納付率の向上策にいかに取り組んでいくかということで、個別の納付率向上策の議論が大きな2のところになります。

まず「(1)督促の促進及び強制徴収体制の強化」というところでは、差押えや督促というような強制徴収については、3つ目の「○」にありますとおり、まずは高所得でありながら長期間保険料を滞納している方に重点化するなど、滞納者の所得などによって一定の基準を設けて、その範囲の者には必ず督促を実施するということで、対象を絞って重点化をしていく。それを順次拡大していくという方向で取り組んでいく。その際、4ページ目の一番下の「○」にありますが、納付についてのメリットに対する理解を深めて自ら納めていただく。負担能力のない方に対する免除や猶予を確実に適用するといった努力をしていくことと並行してやっていくということでございます。

5ページ目、「(2)徴収コストの滞納者負担(延滞金)等のあり方」ということですが、1つ目の「○」にありますとおり、督促の範囲を(1)に書いたように拡大をしていった場合には、延滞金の賦課対象者にも拡大を図っていくことにつながっていくということと、2つ目の「○」にありますが、延滞金の率について、現在、税制上の延滞税などとの率に比べると高くなっておりますが、そこはバランスを考慮して引下げを検討するべきだとしております。

それから、5ページ目の「(3)免除等における申請主義の見直しについて」というところでございますが、これは具体的には6ページ目の1つ目の「○」のところに、「したがって、まず」で始まる段落がありますが、当面の方策として、被保険者本人の申請意思を簡便な方法で確認できるような、職権適用と同様のメリットが期待できる仕組みを設けるということを御指摘いただいております。

6ページ目の「(4)年金保険料の納付機会の拡大」ということでございます。これは保険料は、今、過去2年分までしか納められないということについての問題意識なのですが、現在では、平成27年9月までの3年間の時限措置として、10年分の後納制度が設けられておりますが、これは時限措置ということでございます。これを恒久化するということは受給資格期間が10年に短縮されるということから適切ではないということを確認した上で、6ページ目の一番下の「○」のところからですが、2年を過ぎてから納付したいという意欲のある方もいらっしゃいますので、7ページになりますが、モラルハザードに留意しつつ、事後的な納付の機会を設けることにしてもよいのではないかということで、時限的な措置として、事後的に2年を過ぎても納付できる機会を設けるということを御指摘いただいております。

それから、次の「若年者納付猶予制度は」というところですが、現在は平成16年改正で、30歳未満の方を対象に行われている若年者納付猶予制度がありますが、今日では非正規雇用の労働者が幅広い年代で増加していることを踏まえて、対象年齢の見直しを検討するということをしていただいております。

それから、7ページ目の「(5)確実かつ効率的な収納体制の強化」というところでは、年金機構の管理体制の強化、次の8ページ目にありますが、市場化テスト事業ということで、国民年金保険料の納付督励を民間事業者に委託しておりますけれども、その市場化テスト事業の改善、次の「○」にありますが、口座振替の利用促進といったことに御指摘をいただいております。

それから、8ページの「(6)関係行政機関との連携強化」というところでは、悪質な事例に対する強制徴収、滞納処分については国税庁に委任できるという制度がありますけれども、この積極的な活用に向けたマニュアルの策定。次の「○」は市町村との連携。一番下が、ハローワークとの連携などが御指摘いただいています。

それから、9ページ目の一番上の「○」、学生納付特例制度の推進に関しては、1つは、学校に対する手数料の引上げというものと併せまして、学校が学生から学生納付特例猶予の申請書を預かっている間に障害事故が発生した場合の制度的対応というようなことについて御提案いただいております。つまり学校が申請書を受け取った後、年金事務所に届く前に事故が発生した場合に障害無年金者になってしまうと、そういうことがないような制度的対応をするべきだということでございます。

9ページ目の「(7)雇用形態など社会経済の変化への対応」というところにつきましては、パート適用について、今後ともしっかり検討を進める課題ということ。それから、2つ目の「○」のところですが、国民年金に入っている臨時・パート等の従業員の保険料納付につきましては、3行目のところにありますけれども、事業主の協力が得られる場合には、従業員が事業主を通じて国民年金保険料を納付できるという仕組みを設けるということについて御指摘をいただいております。

それから、9ページ目の一番下、「(8)公的年金制度に対する理解の促進」というところでございます。こちらは公的年金に対する広報・教育、こういうものが非常に重要ということで御指摘をいただいたところであります。

10 ページ目に具体的な広報・教育の手法について、いろんな手法を具体的に御提言いただいていまして、これらについて、私ども実施してまいりたいと考えている次第でございます。

10 ページ目の「3 厚生年金の適用促進策」ということで、厚生年金の適用につきましては、具体的には2つ目の「○」のところですが、今般、新たに国税庁に対して稼動中の法人に関する情報、所得税の源泉徴収を行っている法人事業所の名称、所在地等の提供というものを依頼するということで、これを国税庁からいただければ、より積極的に厚生年金の適用促進を進めることができると考えております。

最後の「○」にもございますけれども、社労士会との連携といったことについても御提言をいただいております。

最後、「4 国民の利便性向上策」というところですが、中身は11ページ目の1つが、住民税の申告義務がない方からの保険料の免除申請については、負担の軽減や手続の簡素化を図るべきということ。2つ目の「○」にございますけれども、厚生年金と労働保険の共通で、滞納事業所に関する財産・債権等の情報がある場合にそれを一元的に管理をすることによって事務の効率化等を図ろうということを御提言いただいた次第でございます。

名簿と開催状況は、参考資料として報告書の一番最後についているとおりでございます。

私からの説明は以上でございます。

○神野部会長 どうもありがとうございました。2つの専門委員会の取りまとめ及び報告書について御説明いただいたところでございますが、委員の皆様方から御意見を頂戴する前に、私どもの部会から菊池委員が2つの専門委員会の委員として、さらに諸星委員が個人情報にかかわるほうの専門委員会に御所属されていらっしゃいますので、コメントがあれば頂戴できればと思います。菊池委員、何かございましたら、よろしくお願いします。

○菊池委員 2つのただいま御紹介ございました委員会に出席させていただきましたので、簡単に御報告申し上げます。

まず、前者の「年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会」についてですが、この委員会では、御紹介ございましたように、年金の原簿記録である年金個人情報の訂正手続の創設について、法的な論点を中心に議論を行ってまいりました。年金記録問題が完全に終息したわけではありませんけれども、御紹介ありましたように、最近の第三者委員会への申立ては件数がピーク時の8割減となっていることのほか、事業主の届出漏れや誤りなど厚生年金の記録の訂正を求める事案が多くを占めるに至っております。

第三者委員会への申立ての仕組みは、総務大臣からのあっせんという事実上の行為によるものでありまして、これに不服がある場合に、国民の側が法的に争う手段がないという不備がございます。そこで新たな年金個人情報の訂正手続に係る法的な仕組みを公的年金制度の中に設ける方向で検討を行ってまいりました。また、本人自身による年金記録の確認の推進のために「ねんきん定期便」の活用や「ねんきんネット」の拡充など、年金個人情報の提供のあり方についても議論を行いました。さらにプライバシー性が高いという年金個人情報の性格を十分踏まえながらも、認知症、高齢者などへの対応のための市町村への情報の提供などの必要性にかんがみて、情報の適切な提供、範囲についても議論を行ったところです。

以上のように、訂正手続の創設など幾つか法整備の検討が必要な指摘も行っておりまして、厚生労働省及び日本年金機構におきましては、この取りまとめを踏まえて必要な検討作業を行っていただきたいと思います。

それから、もう一つの、「年金保険料の徴収体制等に関する専門委員会」ですが、これも、今、事務局から御説明あったとおりですけれども、国民年金制度について、納付率が約60%にとどまり、社会連帯の仕組みである制度の基盤を強化する必要があるのではないかという観点から議論が進められました。その上で、支払いが可能であるのに保険料を納付しない滞納者がいることは、まじめに納付している方の納付意欲をそぐことになりかねず、連帯の仕組みを危うくすることになりかねないことから、一方では、まずは高所得者などの滞納者への督促の促進から始めていくといった観点を打ち出しています。ただし、滞納者には低所得の方などが多数含まれていることから、この点への配慮もうたっております。同時に社会保障制度における申請主義の原則を意識しながらも、所得情報などから免除基準に該当する可能性が高いと判断できる方に対して、被保険者本人の申請意思を簡便な方法で確認できるような職権適用と同様のメリットを期待できる仕組みを設ける方向性についても述べております。

全体の議論といたしましては、国民年金に加入することの利点や制度の仕組みが国民に十分伝わっていないことが納付率の低い要因となっているのではないかという指摘が多くなされまして、学生などを含む国民への広報や教育の必要性・重要性などについて盛り込まれております。さらに確実かつ効率的な収納体制の強化のためには、日本年金機構の人材不足などについても複数の指摘がなされ、体制強化に向けた人的基盤整備の必要性が議論されました。

今後、当部会でも財政検証の議論が本格化いたしますが、制度の適正な運営も重要な課題と考えます。今回の報告書を受けまして、厚生労働省及び日本年金機構におかれましては、国民年金の納付率向上等にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

以上です。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、諸星委員、お願いできますでしょうか。

○諸星委員 私は「年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会」に出席をさせていただきましたが、報告にございますように、最近の厚生年金の事例で誤りが多いということについて、現場の視点から御意見はさせていただきました。今回の訂正手続については、法的にきちんと整理をして処分性を持たせたうえ、それに対する不服への道筋をつけること、つまり以前でしたら社会保険審査官、審査会という、今、申立てが殺到しているところですが、そうではない別の道筋で第三者の合議体を設立されるという方向性になったことは、私は個人的に非常に喜ばしいと思っていますし、また、訂正についてなるべく簡便な手続で、国民の利便性を図ったという点では、非常にいい結論になったと思っておりますので、この結果を受けて、今、菊池委員がおっしゃったように、厚生労働省並びに日本年金機構がこの報告に沿って、今後様々に細かいことを、これから大変だと思いますけれども、やっていただければと思っております。

 以上です。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、委員の皆様方から御質問、御意見を頂戴したいと思います。きょうは議事が盛りだくさんでございますので、まとめて、いずれの委員会の取りまとめ報告でも構いませんので、御質問、御意見ございましたら頂戴できればと思います。いかがでございますか。花井委員、どうぞ。

○花井委員 意見と質問を述べたいと思います。まず、意見ですが、今の菊池先生の御報告にもありましたように、7ページのところです。「確実かつ効率的な収納体制の強化」と出ておりまして、ここに「日本年金機構では」という2つ目の「○」ですが、人材不足等々が記載されております。2008年の日本年金機構に関する基本計画の中で人員体制が規定されたと承知しているのですが、設立当初から比べたら相当の業務量、複雑性等々が増えているのではないかと察することができまして、財務省とのこともあろうかとは思いますが、人材の確保や育成、専門性の確保等々を含めまして、人員体制の強化を図るべきであることをぜひ意見として述べておきたいと思います。

2点目ですが、9ページのところです。「学生納付特例事務法人への手数料の引上げ」云々と書いてありまして、学生へ国民年金の制度を周知するのだということの流れですが、そもそも学生が障害者になったときに年金が出なかったということが随分問題視されまして、学生であっても国民年金に入ろうということで20歳からになったのではないか。それが全てではないですが、1つの大きな要因だったと覚えています。学生納付特例事務法人とは一体どういうものか、今、大学がどのぐらい、この手続の関係に関与していて、学生がどのぐらい入っているのかということがわかれば教えていただきたいと思います。

といいますのは、全国に大学生がいますが、若者に対して年金の重要さを伝えていくには、ここが大きな窓口と考えますので、そういう意味で法人の役割が重要なのではないかと考えるものですから、現状がどうなっているのか、おわかりになれば教えていただきたいと思います。ある意味、大学が全てそういうことをしたらいいのではないかと思うのですが、そのあたりもどうなっているのか、お聞かせいただければと思います。

以上です。

○神野部会長 2番目の学生納付特例事務法人、これについては事務局でよろしいですか、お願いします。

○大西事業管理課長 お答えいたします。学生納付特例事務法人と申しますのは、要は学校が厚生労働大臣の承認を受けてこのような法人ということで登録されますと、学生さんは、学生納付特例の手続をわざわざ年金事務所等にお届けいただかなくても、こちらの事務法人、つまり学校の学務課みたいなところで、納付特例の猶予の手続をとることができるということで、学生さんに漏れなく、こういった猶予制度を活用していただく上では、学生納付特例事務法人というのは非常に有効なやり方と考えてございます。

ただ、すみません、正確な数字は、今、手元にすぐ出てこなかったのですが、全国的にはまだまだ学校が事務法人として手を挙げてきてくださっている数は非常に少ないのですが、ただ、一部非常に熱心に取り組んでおられる学校では、それこそ20歳になった学生さん全員に声をかけて、漏れなくこういう手続をとってくださっているような法人もあって、かなりばらつきがあるというような現状があるものですから、こちらにございますようなことで、促進を図りたいということで提言をいただいているということでございます。

学生だけの納付率の数字はございませんけれども、学生の場合は保護者などが保険料を納めていただいているか、事務法人の制度などを御活用いただいて納付猶予を受けていただいているかというような形で、国民年金に御加入いただいていると理解しております。

すみません、学生納付特例事務法人の指定状況ですけれども、24年度で168法人ということでございます。そちらで取り扱っていただいた取扱い件数は1,454件ということで、非常に利用は限定的だと思っております。

以上です。

○花井委員 こういう法人があるというのを初めて知りまして、学生が卒業して、就職していく過程で、今のように非正規が大変多い中で、国民年金保険料が払えないという方も増えているわけです。それと同時に年金に対する無関心さも一方で大きな問題だと思いますので、ぜひとも、せめて国立・公立は義務づけるぐらいの、そういう形でこの制度の活用を要望しておきたいと思います。

以上です。

○神野部会長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 今回の資料を拝見しておりまして、資料2-2の4ページに出ていますが、強制徴収を行う場合の徴収コストが100円当たり90円程度かかっているというところがございまして、これは極めて効率が悪いということだと思います。ですからこの方式を拡大していってもすごくコストがかかり過ぎるので、これまでと異なる方法を考える必要性があることを示唆していると思うわけです。払わない人が、払わないままでいると、何かの不都合が生ずるといったような可能性があることを周知して、自ら払っていただけるような方向に持っていくことが必要ではないかと思うわけでございます。

不都合の例としては、国民年金の保険料を払えるのに払わない人については、例えば国民健保の更新を留保して、1年ごとの更新を受け付けないとか、そういったような、社会保険の別の仕組みとリンクして運営を行うなど、年金保険料を払わないことがすごく不都合になるということが周知されれば、これは払わなければいろいろ社会生活を送る上で問題があるということを自覚していただく形で、余りコストをかけないで徴収できるようなことも少し考えていく必要があるのではないかと思いました。

以上です。

○神野部会長 諸星委員、どうぞ。

○諸星委員 3点ほど情報提供と意見を1点だけ述べさせていただきます。徴収の強化に関する件なのですが、それぞれまとめられた中で、私は以前、社会保険審査会にいたこともありまして、不服審査の中で、実は申請主義の見直しということですけれども、現実、今、継続申請というのを全額免除と若年者猶予が行われております。これは1回届出をすれば翌年もわざわざ届けなくても自動的に申請ができますよという制度なのですが、実は前年度に例えば所得がたまたまあって、全額免除ではなく、半額免除とか4分の1免除の対象になるようなときには、一度そこで自動申請が切れてしまう仕組みとなっている制度なのですね。ですからそこの部分を全額免除だけではなくて、他の免除などある程度広げるようにされたらいいのではないかと思います。これは情報提供ですが、具体的な実務の対応として考えられたらいいかと思っております。

2点目が延滞金の問題ですが、実はここは非常に不服が多くて、今回の部会の中でも検討されていますが、延滞金が非常に高い。払おうと思っていたのに、延滞金ばかりが増えてしまい、いつまで経っても払えないということも含め、いろいろありましたので、延滞金の見直しについては是非とも考慮していただきたいということです。

それから10ページに、今回広報の方法ということで、私は社会保険労務士でもありますが、厚生年金の適用促進の中に社労士会も一緒にやりましょうということを書いて頂いております。その広報の部分で言えば、現在、社会保険労務士会の全国会や東京会においても、実はほぼボランティアとはなりますが、年金教育をきちんと行っております。もちろん年金教育だけではなくて、働くための知識とか雇用問題、そういったものも含めた形で実際行っておりまして、年金教育としての効果も出ていますし、またアンケート結果を見ると、年金のことがすごくよくわかって、将来は自分たちもおじいちゃん、おばあちゃんのように、きちんと年金を頂けるために国が守ってくれている、という意識が出てきていることがわかります。実は学校というのは文科省が管理するので、年金教育をするという事業に入り込むのはまた別の問題があるのですけれども、社労士会では社会貢献の一環として教育活動を実際行っている実績があるので、一緒に併せてやっていただくこともいいのではないかと思っています。

最後に意見なのですが、9ページのところの7番目、「雇用形態など社会経済の変化の対応」の「○」の2つ目、臨時・パート等の従業員の1号を、事業主が保険料を個人に代わり納付させようということなのですが、これは逆を言えば、事業主が本来適用事業所の事業主であるにもかかわらず、1号のままで良いのなら適用事業所にならなくていいとか、あるいは中には、いわゆる社会保険の適用を受けずに従業員の1号被保険者としての保険料分を給与に乗せて払っているような会社などもありますから、この納付制度をもし導入するのならば、より慎重に御検討されてほしいと思います。事業主も1号の保険料を納めるとなったら、それだけ責任を持つことにもなりますし、実際徴収したけれども、事業主が納めなかったという問題が起きないとは限らないので、この取扱いについてはやはり慎重にしていただければなということを感じました。

以上、意見でございます。

○神野部会長 ありがとうございました。それでは、事務局から、ここで何かコメントがあれば、なければ時間の関係もありますので、次に進みますが、よろしいですか。どうぞ。

3時で御退室になるので、後段の議題等々で頂戴する御意見があれば、重ねて言っていただいても構いません。

○原委員 すみません、ここまでのところで1つコメントと確認させていただきたいことがございますので、お話させていただきます。「年金保険料の徴収体制強化等に関する専門委員会報告書」という中でなのですけれども、先ほど山口委員もおっしゃっていましたが、(6)の「関係行政機関との連携強化」というところなのですが、ここの部分は国民年金の保険料の納付率の向上という意味では市町村との連携は非常に重要なことなのではないかと感じております。国民年金の第1号被保険者で保険料を滞納している人であっても、私の記憶ですと、大体6割近い方が国民健康保険料は納付しているというような調査もあったかと思います。ですので、国保の保険料と国民年金の保険料を一緒に徴収することができるかどうか、これは難しいかもしれませんが。あるいは、国民健康保険の手続のときや納付のときに、年金の保険料を納付しているかどうかの確認をとるなどとか、そういった検討をしてはいかがかと思っております。

そういった意味で、いろいろな面で、過去の経緯はあるかと思いますけれども、市町村との連携というか、再度密に連携をとれるような検討をしていただいた方が良いかと思っておりますが、現時点で市町村との連携で、何か具体的に描かれている事柄などございましたら教えていただきたいと思っております。

以上です。

○神野部会長 簡単に、今の御質問よろしいですか。事実上は余りないかもしれませんが。

○大西事業管理課長 御指摘のとおりで、市町村との連携は大変重要だということは今回の報告書でも御指摘いただいていますし、私どもも本当にそうだと思っております。具体的な連携の内容については、これから詰めることですが、今でもいろんな形で市町村の窓口にお越しになった方に、国民年金の保険料を納めていただくようなチラシみたいなものを御用意いただいて渡していただくとか、そういった形で法定受託事務以外の部分で協力していただいている部分は多々ございまして、ただ、それは市町村のやっているところとやってないところとあるものですから、私どもとしてはどんどん市町村にこういうのを積極的にやっていただくようにお願いしていただければということで、やった場合の手数料の引上げ、我々でいうと交付金を増やすというようなことについても取り組んでまいりたいと考えてございます。

○原委員 ありがとうございました。

○神野部会長 ほかいかがでございますか。どうぞ。

○山本委員 いろいろな議論の中で、今朝の朝刊にも出ているように、要するに差押え等も含めて徴収を強化するということが突然出てまいりますが、まずはなぜ国民皆年金が必要なのかということの意味をもう一回どうやって伝えるかが先行してあるべきで、国民皆年金を続けて行く道筋を示さないと非常に唐突感が強い。私も日本年金機構から「ねんきん定期便」をもらっておりますが、この情報が不突合のケースがあります。そのことを年金事務所へ行って聞きましてもすぐに回答として出てこない。よく調べなくてはわからないということがまま起こる。ということは、閣議ですとか国会の決定によって年に一遍ずつぐらい年金の計算基準値が変わるということがあり、そのことがわからないがために、自分の思っている金額とそれが実際に送られてくる「ねんきん定期便」の金額と不突合が生じるみたいなこともある。その辺の情報整理の仕方や、年金事務所と「ねんきん定期便」のあり方、連携がとれているかどうか少し疑問に感ずるところです。

また、今回の一連の年金の改革で、行政改革という視点がどう入るか。先ほどの山口委員のお話もそうなのですが、従来の徴収方法をよくしようとすれば、当然人力もかかるし、いろんな意味でコストがかかる可能性も十分あるわけですね。ここはやり方を変えるなり、それから、背番号制の問題も含めて、今の健康保険との合体徴収ですとか、いろんな企画を盛り込みながら、全体としてコストは下がるという視点で進めるのか、それともサービスさえ向上すればいいのだという視点で進めるのかを、よくよく皆さんの知恵をいただくべきところではないかと思います。

以上です。

○神野部会長 今の時点で、事務局のほう、いかがでございましょうか。

○樽見年金管理審議官 この報告書の中の、先ほどの山口先生の御意見もそうなのですが、まさにコストが非常に高いという中で、納付の意味ということについてしっかりと周知を図るということがまず大事ではないか。これは本当にそのとおりだと思います。実はこの検討会の中でも随分そういう意見は繰り返し出まして、ただ、構成上周知の話が後のほうになっているので、最後のところで、4ページの納付率向上策の具体的なものの前に、「以下に述べる納付率向上策を進めるに当たっても、まずは、公的年金に関する正しい理解を得る努力が重要であることを常に念頭に置くべきである」というのが実は最後に入ったのですけれども、まさに全体、そういう周知をして意味がどうなのかということをよく理解いただきながら、そうすることによって少しでも効率をよくしていくというのは必要だろうと思います。

具体的にこれからどういう方向で行くのかということで言いますと、ここの中にもまさにコストはいろいろかかりますので、こういうことを考えろ、ああいうことを考えろということはいろいろ書いてあるという形になっているわけでございます。若干体制の強化ということを、先ほど花井先生からお話がありましたけれども、必要だと思いますので、そういったようなことも含めて、まずは納付の今の59%というのはどう考えても低過ぎるので、これをもう少し上げるという努力をしなければいけない。当面そういう意味でのコストはかかることはあると思いますが、少しずつそれをやりながら、しかし全体として免除の努力のほうも含めてコストがかからないようなやり方ということを模索していきたいと思います。

○神野部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。そういたしますと、委員の皆様方から多くの意見を出していただきましたので、その点について、事務局におかれても参照をしていただきながら進めていただきたいと思いますが、事務局のほうから、この年金事業運営の見直しに向けた今後のスケジュールについて御説明いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○赤澤事業企画課長 それでは、お手元の資料3で簡単に運営改善関係スケジュールを御説明させていただきます。

 最初2つ書いてございますように、専門委員会の報告書等が取りまとまっているところで、本日年金部会にこれを御報告させていただいているという状況でございます。

今後の予定は太字のところでございます。私ども法制度的なものも含めて御提言をいただいておりますので、次期通常国会への法案提出を目指しまして、こちらに書いているようなスケジュールでその作業を進めたいと考えております。

まず、12月20日に日本年金機構評価部会というのがございまして、そちらの下に記録問題の集中取組期間が終わります記録問題の総括を図るような特別委員会で報告書取りまとめの案が出ることになっております。1月にそのような流れを受けまして法律改正事項の整理・取りまとめ、そしてこの年金部会に法律改正事項について御報告させていただいて、2月以降の次期通常国会の法案提出を目指すという形で作業を進めさせていただけたらと思っておるところでございます。

以上でございます。

○神野部会長 どうもありがとうございました。今、御説明いただきましたスケジュールにつきまして、何かございますか。よろしいですか。それでは、法案化すべく、今の意見等々も御参照の上、進めていただければと存じます。

それでは、議題の(2)でございますが、「次期財政検証の進め方について」というテーマのほうに入らせていただきたいと思っております。次期の財政検証につきましては、この部会でも議論を継続中のところでございますけれども、財政検証における経済前提につきましては、「年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会」のほうで主として議論をしていただいております。この専門委員会での議論の経過の取りまとめが行われたということでございますので、私どもの部会から専門委員会の委員長として務められていらっしゃいます吉野委員から御報告を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。

○吉野委員 それでは、資料4-1という横長のものを使いながら御説明させていただきたいと思います。

 今、神野先生のほうからありました「年金財政における経済前提のあり方について」ということでございます。年金財政の前提のあり方をなぜ議論するかといいますと、少なくとも5年に一度、1行目にありますけれども、経済あるいは財政の現状や見通しが変わってまいりますので、これを5年に一度見直していくということが言われております。4行目からですが、そのために昨年の10月からことしにかけまして14回の会合を開かせていただきました。

「※」が真ん中にありますけれども、経済前提の中で物価上昇率、賃金上昇率、運用利回り、こういうものも含めて前提条件を考えております。

次に下のほうにまいりますけれども、「財政検証に用いる経済前提の基本的な考え方」としましては、皆様御承知のように、下から2行目のところのマクロ経済スライド性というのが年金では導入されておりまして、最終的な保険料水準が法律で定められ、その負担の範囲内で給付を行うということとされております。財政検証は、このような給付と負担の均衡を図っていくということでつくられたものでございます。

次に2ページ目をごらんいただきたいと思います。

(2)財政検証の結果の中では人口や経済の長期的な前提、こういうものを5年ごとに最新のデータを用いてさまざまな前提を見直していくということが言われております。

さらに(2)の第2パラグラフですが、財政検証に当たっては、ある程度1つの数字を与えるのではなくて、複数の前提を考えまして、それで幅を持たせながら考えていくということを今回もやっております。

 次に(3)にまいりたいと思います。ここでは後で申し上げますが、生産関数に基づきまして推計をしてまいりますが、2行目ですが、委員会の中では、諸外国でどのようにこういう制度を見ているかということを見ましたけれども、日本でやっているものも割合水準が高い。後で申し上げますが、OLGモデルとか、いろんなことも考えたのでございますけれども、ここでは生産関数を考えながら、さらに需要面、(4)のところですけれども、生産関数と言いますと、供給側とよく見られてしまうわけであります。それが2ページの下から4行目のところに書いてありますが、ここでは需要面を考えるためにも、稼働率の変化、こういうものを入れていきまして、それで需要の変化の部分を生産関数ですけれども、織り込んでこようという考え方でございます。

次に3ページをごらんいただきたいと思います。上から3行目のところに四角のくくりでございますけれども、経済成長率の前提としましては、ここの式がありますように、コブ・ダグラス型生産関数を使いますと、このような式が出てまいります。左辺が実質経済成長率であります。右辺の第1項が資本の成長率に資本分配率を掛けたもの、その次は労働の部分で、労働の成長率に労働分配率を掛けたもの、最後が全要素生産性、これが技術進歩の部分に当たります。資本の部分、第1項目、真ん中の労働の部分、それから技術進歩、これから一番左辺の経済成長率は妥当と、こういうのがここのコブ・ダグラス型生産関数による経済の見通しを出すものであります。

「※」のところ、3ページの真ん中をごらんいただきたいと思いますが、議論の中では、世代重複モデルというものも考えることも検討してみました。人口問題研究所の中にはこういうモデルも細かくやっている部門もございますが、4行目ですけれども、効用の前提にいろいろ恣意性があることから、これまで同様にコブ・ダグラス型関数を使いながら今回は推計するということにしております。これは先ほど申し上げました諸外国で見てもそういうモデルが多いですし、国によってはモデルも使ってないような国もございましたので、日本の今のレベルとしては諸外国と比べても割合いい部分にあると思います。

次に(2)のところでございます。技術進歩率、全要素生産性(TFP)の上昇率ですけれども、これもこれまでと同様に3通りいいケース、中間のケース、悪いケース、このように幅を持たせながら設定をしていきたいと思っております。ただし、3ページの下から3行目ですけれども、幅を持たせる場合には、その背景となるシナリオとそれと整合的な組み合わせ、こういうものを考えていきたいと思っております。

次に4ページをごらんいただきたいと思います。4ページの1行目、「需要側の要素を考慮する」と書いてございますが、コブ・ダグラス型生産関数というのは供給側であります。そこで需要側の部分も入れるために、2行目、3行目の稼動率のところを入れてきております。その稼働率の入れ方としましては、第2パラグラフですけれども、初期値の潜在的なGDP、ここのところに稼働率の要因を含めまして、それで推計するという方法をとっております。

次に(4)をごらんいただきたいと思います。もう一つ、こういう生産関数でいきますと、御批判があるのは海外の部門、経常収支、この部分が入ってないではないか。それが(4)の1行目のところに書いてございます。ところが2行目の「総貯蓄率」と「総投資率」、ここの背後には経常収支の黒字、赤字が入っているわけでありまして、ここで考えていますような投資と貯蓄を考えた、こういう計算の方法でも、裏側としては経常収支の動きを見ているということになるわけです。

次に(5)の2行目でありますが、生産要素の中には資本分配率、労働分配率、これがどう動くかということがもう一つ、重要になってきております。最近の動きを見ますと、下から4行目、賃金が低下する中で、資本分配率が少し上昇しているというのが最近見られた傾向であります。しかし、直近のところでは、賃金の上昇も少し出てきておりますので、そういう意味では下から3行目のように、長期的な動向を見て資本分配率や労働分配率を考えていきたいと思っております。4ページの下から2行目の資本減耗率というのがもう一つございます。これも資本分配率と同様に、ある程度幅を持ちながら、どれぐらい減耗していくかということを考えております。

次に5ページをごらんいただきたいと思います。(6)、1行目の全要素生産性(TFP)、これが先ほど申し上げた技術進歩率がどれくらいかということであります。これはどういうふうに考えているかというと、4行目でございますけれども、内閣府の試算では、経済再生ができるケースでは1.8%、参考ケースでは1.0%、こんなふうになっております。ここでの推計でもこういう幅を持たせたものにしたいと思いますし、さらに来年の1月、上から5行目ですけれども、26年1月に、新たに内閣府から試算が公表される予定になっております。それを踏まえながら全要素生産性については幅を持って考えたいと思います。

次に(7)をごらんいただきたいと思います。労働投入量、これが全体の労働の部分に影響してまいります。ここでは(7)の2行目、「マンアワーベース」、働いている人の人口とそれに労働時間、こういうものを掛けた形で考えてまいります。これは3行目ですけれども、国立社会保障・人口問題研究所が「日本の将来推計人口」を出しております。さらに労働政策研究・研修機構は「労働力需給の推計」を行っておりますので、そこからフルタイムの雇用者、短時間雇用者それぞれについての見通しとその労働時間数、こういうものを掛けまして、労働のマンアワーベースを求める予定です。特にまたここも同じなのですが、(7)の下から2行目ですが、平成26年1月をめどに「日本再興戦略」を踏まえた労働推計の推計を取りまとめられる予定になっております。ですからここの推計も見ながら、また推計することになります。

5ページの下は運用の関係でございます。「4.経済前提の設定に係る他の論点について」でございますが、ここでは運用利回りの設定についてどうするかということであります。特に5ページの一番下のところですけれども、実質長期金利と利潤率、この間で少し以前とは違った動きがありまして、これも長期的に見ないといけないと考えております。特に長期金利のところは最近日本銀行の長期の国債の購入が始まりましてから少し長期金利と利潤率との乖離が出てきております。

次の裏のページの6ページをごらんいただきたいと思います。ここでは将来の金利の推計が6ページの(イ)のところであります。これが2行目の長期債のイールドカーブと言われるものでありまして、短期の金利から長期の金利がどのようになっていくかというのを見るところであります。これもインプライドフォワードレートとかいろんなやり方で計算がございますが、これも幅を持った形で、おおむね2~3%の金利という形で推計していく予定でおります。

次に(ウ)ですが、実質長期金利がどうかという場合には、国債での今の金利と、2行目ですけれども、内外の株式にも運用しておりますので、内外の株式における分散投資における効果、これを上積みする必要があります。

(ウ)の下の次のパラグラフの真ん中の4行目、分散投資効果は、おおむね0.3%~0.9%、こんなふうになっておりまして、このパラグラフの一番下ですけれども、実質的な運用利回りの分散投資効果は、おおむね0.4%前後と、こんなふうになっております。

次に、6ページの下から2番目のパラグラフの(2)物価の上昇率、日本銀行が物価安定の目標値を2%と設定しておりますので、これがどの程度になるかというのは、これからまた検討していく必要があるということであります。

(3)は、下から3行目ですけれども、先ほどほかのところで申し上げましたが、来年の1月に内閣府による経済見通し、「経済財政の中長期試算」が来年1月に出されることになっております。ですから、その試算も見ながら経済前提のところに活用しようと思っております。

最後、7ページをごらんいただきたいと思います。(4)のところでありますが、こういう経済前提を見る場合には大きな変動がある場合と余り変動がない場合、(4)の2行目のところであります。マクロ経済スライドの調整の動き方にも変動が出てまいりますので、ここでは3行目ですけれども、ある程度変動を織り込んだ場合、こういうケースも前提と考えながらやっていきたいと思っております。その幅については物価、賃金を見ながら設定する必要があると考えております。

最後、5でございますが、2行目のように、平成26年1月に日本再興戦略を踏まえたここには労働力需給の推計が示されることになっております。そういう意味では、ここでやっておりますいろいろな推計と来年1月に出てきます内閣府などの推計も見ながら今後推計を重ねていきたいと思っております。

最後の裏側の8ページは、これまでの専門委員会の1回目から14回目までの開催状況を見ております。

駆け足ですけれども、以上で説明を終わらせていただきます。

○神野部会長 吉野委員、どうもありがとうございました。要領よく御説明いただいたわけでございますが、ただいまの委員長の御報告に対する質問を頂戴する前に、事務局から、この報告をも念頭に置きながら、今後の財政検証の進め方について御説明をお願いできればと思いますので、よろしくお願いします。

○山崎数理課長 数理課長でございます。お手元の資料4-3を御参照いただきたいと存じますが、よろしゅうございましょうか。「今後の財政検証の進め方について」という資料でございます。

まず《経済前提》の設定に関しましては、ただいま吉野委員長から御説明いただきましたように、基本的な考え方や経済モデルの立て方、パラメータ設定等の基本的な枠組みにつきまして、専門委員会において一定の整理を行っていただいたところでございます。その中で経済前提につきましては、一定の幅を持って設定することが必要とされているところでございますが、具体的な数値の設定につきましては、関係する推計や試算等を踏まえまして、専門委員会で御議論いただいた上で、改めて本年金部会にお諮りする予定としておるところでございます。

次にその下にございます《制度改正の検討のためのオプション》という項目でございますが、他方で社会保障制度改革国民会議の報告書におきましては、財政検証に関しまして、単に財政の現況と見通しを示すだけではなく、報告書において提示された年金制度の課題の検討に資するような検証作業を行うべきとされておるところでございます。

また、この報告書を受けまして、いわゆるプログラム法が成立したところでございますが、その中でもマクロ経済スライドの仕組みのあり方、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大、高齢者期における就労と年金受給のあり方など、報告書で提示された課題を検討課題として列挙しているところでございます。

このため、次期財政検証に当たりましては、法律で要請されている現行制度に基づく「財政の現況及び見通し」の作成ということに加えまして、これらの課題の検討に資するように、以下のような制度改正を仮定したオプション試算も行うことを検討させていただきたいと存じます。

その下にございますオプションの例示でございますが、1つ目の「●」といたしまして、物価・賃金が景気の波により変動する場合等を想定し、物価・賃金の伸びが低い場合でもマクロ経済スライドによる調整がフルに発動されるような仕組みとした場合ということで、こちらにつきましては、経済前提の専門委員会におきましても、それを考慮して、どういう前提を置くかということにつきまして御議論いただいておるところでございます。

次に2番目の「●」といたしまして、原則として、所定労働時間が週20時間以上である短時間労働者を全て被用者保険の適用対象とした場合ということで、こちらにつきましては、週20時間以上の方々のうち、賃金や企業規模で一部制約を置きました推定で約25万人規模ぐらいの適用拡大というのは、28年10月施行予定ということでございますが、法律の規定の中では施行後3年以内に状況を検討して、必要な見直しを行うというような規定もございますので、その辺も念頭に置きつつ、2番目の「●」のような試算を考えてはどうかということでございます。

次に3番目の「●」でございますが、平均余命が伸びている状況や65歳までは原則、雇用の場が確保される状況を踏まえ、就労期間と受給期間の均衡を図る観点から、現行20~60歳となっております保険料拠出期間の延長などを行った場合ということで、このような3点につきまして、制度改正を仮定したオプション試算を行うことを検討させていただきたいと考えておるところでございます。

次のページは、10月7日の第15回の部会に提出いたしました財政検証に向けた議論のプロセスという資料に、今回のオプション試算の実施を書き加えてリバイスしたものでございますので、御参照いただければと存じます。

御説明は以上でございます。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいま吉野委員長、事務局から御説明いただきました件に関して、御意見や御質問などございましたら頂戴したいと思います。なお、冒頭申し上げましたけれども、柿木委員から、このテーマに関して提出資料をいただいておりますので、御参照いただければと思います。いかがでございましょうか。どうぞ。

○宮本委員 まず、この検証に携わっている先生方には難しい検討に敬意を表したいと思います。その上で、資料4-1の6ページの(3)のところについて、御意見を申し上げたいと思います。6ページの(3)で、「足下の経済前提をどのように設定するかは改めて本専門委員会で議論するものと考えている」と締めくくっているわけでありまして、確実な年金制度の運営によって国民の信頼を回復し、今後も年金制度に対する信頼を維持するためには、長期的な試算についても前提にしなければなりませんけれども、他方では、足下の経済前提を試算する場合には、現実離れしていないといいますか、現実的な実態的な数字をぜひ設定すべきだというふうに思っております。

 同様な観点で言うと、前回の財政検証では、国民年金・第1号被保険者の保険料納付率は80%で設定されたと認識しておりますけれども、現下の納付率が60%を下回っているということが現実あるわけでありまして、この数字の乖離は年金財政全体への影響はそんなに大きくないのかもしれませんけれども、年金制度に対する信頼性という意味では、こちらもぜひ実態的な数値を設定してもらいたいと御意見として申し上げたいと思います。

以上です。

○神野部会長 これは何かコメントが委員長ございますか。よろしいですか。

○山崎数理課長 よろしゅうございましょうか。前回、平成21年の財政検証に際しまして、国民年金の納付率の前提というものを、当時の社会保険庁の事業計画に沿いまして80%という数字で置かせていただいたところでございますが、実際上、直ちに80%ということにはなりませんので、現実と乖離が生じているという状況でございます。

今回の財政検証におきましては、このあたりをどう置いていくかということでございますが、本日も御報告ございました、これから保険料徴収を強化していくということで報告書が出ておりまして、その中で、今後どのぐらいを具体的に目指していくのかというようなことはこれから御議論されていくと思いますので、そういう状況も踏まえまして、適切な前提を置くということでやらせていただきたいと存じますし、また、それをどういうふうに前提を置くかということにつきまして、この部会にもまたお諮りさせていただきたいと考えているところでございます。

○神野部会長 ありがとうございます。ほか、いかがでございましょうか。山口委員、手挙がっていますか、どうぞ。

○山口委員 専門委員会で非常に熱心な御検討をいただきましてありがとうございました。資料4-3で、追加的な計算をしていただくに当たって、私の希望といいますか、可能であればということでお願いできればと思っているのですが、前回もそうだったのですけれども、マクロ経済スライドを発動してまいりますと、特に基礎年金の部分について、相対的な水準が非常に低下することが前回も大きな話題になったと思いますし、今回も多分その構造自体は余り変わらないのではないかと思うわけです。それを例えば理想で言えば報酬比例部分と同じ時期に調整が終わるようになれば有難いわけですけれども、もしそういうふうにするためには、どういった政策を行えば可能かといったようなヒントを得ることができるような計算があれば非常に参考になると思っております。例えばこれは財源的にそれがうまく見合うかどうかよくわからないのですが、今、被用者年金の報酬比例部分の上限、報酬上限は健康保険と比べると非常に低いわけです。この報酬上限を超える報酬について適用対象として、保険料を徴収する。一方、給付の方は、今の給付乗率ではなく、例えば今の乗率の半分ぐらいにするといった形で乗率への反映は抑える中で、いわば剰余要因を発生させて、その剰余を使って基礎年金に、所得再配分をするといったことは考えられないだろうか。一つの例なのですけれども、こういう調整をやっていくことを通じて、できるだけマクロ経済スライドの調整期間を前倒しして終わるように何か工夫できる方策について議論できる材料が欲しい。そういう計算について、具体的な方法はどういうやり方でもよいのですが、今申し上げたのは1つの例示で、そういった財政調整的な検討材料を出して頂ければ、今後の議論に非常に大きな参考になるのではないかと考えておりますので御検討いただければありがたいと思っております。

○神野部会長 これも事務局から何か、いいですか、コメントがあれば頂戴しておきますが。

○山崎数理課長 財政検証の中で直ちに対応できるかどうかは、作業的なこととか、どこまでアイディアが出るかというところはございますが、今、貴重な御示唆も頂戴したと思いますので、私どものほうで引き続き検討させていただきたいと存じます。

○神野部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。出口委員、花井委員、武田委員。

○出口委員 この資料4-3のオプションのところですけれども、民間とかでオプションを考えるときには、大体極論を考えてやるケースが多いのです。例えばせっかくオプションをやるのであれば、「●」の2つ目、所定労働時間が週20時間以上と限定されていますが、例えば短時間労働者を全て含んで、この24時間を外してみんな含んだ場合はどうなるのかといったオプションはどうか。というのは、雇用保険等の関係で20時間というのはよく理解できるのですが、制度の方向としては短時間労働者も全部含みでいくことのほうが、この国の安定につながるような気がするので、そういったオプションは考えられないのかどうか。これは希望なのですが、もしできたら広げてやっていただければどうかなと。

それから、もう一つは、総理も「女性の活用」ということを成長戦略のポイントに置いておられますし、これからの我が国を考えていく上では、やはり男性も女性も自由に働く社会が1つの理想であると。そうであれば、3号被保険者のような仕組みはやめていく方向がみんなが望んでいる方向ではないかと思うのですが、例えばそういうことをやめた場合のオプションがどうなるか。そういう極論的なオプションも考えていただいたほうが検討しやすくなるのではないか。これは意見というか、希望ですが、御検討いただければありがたいと思います。

○神野部会長 コメントございますか、いいですか。

○度山年金課長 若干コメントをさせていただきますが、今、ご指摘いただいた恐らく2つはかなり関連をするのだろうと思います。ただ、我が国の制度体系で難しいのは、結局は非被用者と被用者という2つの区分を立てて、それで国民全体を包含するという体系をとっているので、どこかで線を引かなければいけないという現実はございます。例えば極端に言うと週に1時間働いたら被用者扱いされるかというような、そういう仕切りの中で判断ということがありますのと、ずっとパートの適用に関しては20時間というところの旗を立ててやってきたので、どういうデータの拾い方含め、あるかなというところは少し考えてみますけれども、いずれにしても、制度設計上もいろいろ考えなければいけないところが出てくるものなので、簡単ではないのですが、何かできるかは少し検討させていただきます。

○神野部会長 花井委員、どうぞ。

○花井委員 今の4-3の資料で、オプションのところでございます。本当に財政検証は専門的でなかなか理解するのが大変なのですが、1つ目の「●」のところで、「物価、賃金の伸びが低い場合でも」というのは、要するにこれはデフレ下におけるマクロ経済スライドの発動ということだろうと思いますが、先ほど山口先生もおっしゃったように、基礎年金の場合は生活の基礎的経費を賄う部分というふうに言われておりまして、非常に影響が大きいと考えます。どういう出し方をするのか、なかなか難しいのですが、2階部分、いわゆる報酬比例部分と基礎年金部分と分けて試算することができるのかどうなのかも含めてお聞きしたいと思います。意見と質問のようなことになりますが、ぜひともデフレ下におけるマクロ経済スライドの発動というのは基礎年金に対して影響が大きいということを御理解いただきたいと思います。

 それから、一番下のところですが、「現行20~60歳の保険料拠出期間の延長」とあるのですが、今、40年間で基礎年金のフル受給ということになり、これを例えば45年にするとか、そういうことを考えられているのかどうか。これは事務局への質問です。同時にもう一つ、例えば18歳で高校を卒業して就職し、そこで社会保険に加入した場合、18~20歳までの2年間は基礎年金を受給するときに反映されないと思っているのですけれども、そうしますと延長ということもあります。例えば18歳から40年間、あるいは18歳から45年とか、そういう考え方も出てくるのではないかと思います。18歳にするというのは制度改正になるかと思いますが、その辺はどんなふうに考えられているのかということを質問したいと思います。

○神野部会長 どうぞ。

○度山年金課長 幾つか御指摘いただきましたが、まず1階と2階でスライド率を変えるという発想は、1~2階という構成を前提にすれば、実はそのとおりなのですけれども、現実の年金は実は旧法に基づく年金があったりするので、多分テクニカルには非常に難しい問題をはらむのではないかという感じがします。

 それから、45年でしたか、40年の加入期間を延長するという話は何度かこの年金部会で御議論いただいたときに御発言があったことをヒントに考えてみようということなのですが、今、花井委員おっしゃられたようなことを1つ設定して試算をしてみるのも1つのやり方かなと思います。いずれにしてもやり方はよく考えたいと思います。

 それから、3つ目に20歳以前の就労期間ということなのですが、確かに御指摘のとおり基礎年金のカウントはしないのですけれども、制度的に言うと、厚生年金のほうで古い仕組みで言うところの定額部分という形でカウントするようになっていますので、期間という意味では損はしないように制度的にはなっている。ただ、そうはいっても定額部分を基礎年金も上限の期間480月というのがありますので、それを超えることはできませんけれども、そこまでのところはカバーする制度設計になっていたかと思います。

○神野部会長 ありがとうございます。武田委員、お願いします。

○武田委員 私も今後の財政検証の進め方に関しまして1点意見を申し上げたいと思います。前回の部会の話題では、労働インセンティブを阻害しない制度設計の要請という項目があったと記憶しております。私も以前も申し上げましたとおり、経済の成長と年金制度の持続性、さらには財政の健全化を実現していく上では、就労インセンティブを高める方向にさまざまな制度設計を国全体として変えていく、かじを切っていく必要があるのではないかと思います。前回の資料で、就労インセンティブを阻害している要因は何かという、大変興味深い資料があったわけですが、就業調整に関する調査を改めて拝見いたしますと、23年の調査で一番多かった回答は、「所得税の非課税限度額103万円を超えると税金を支払わなければならないから」という項目と、2番目は「一定額130万円を超えると配偶者の健康保険、厚生年金などの扶養から外れ、自分で加入しなければならなくなるから」という回答が34%であったことが資料に記載されておりました。

この調査で最も高かったのは税金であり、これは年金部会の範囲ではないですが、年金に関して申し上げるならば、先ほど出口委員からも御指摘があったところでございますが、今、日本が置かれている状況、すなわち過去に比べて世帯のあり方など時代が変わってきていること、また、政府も成長戦略において、就業率の上昇を目標として掲げており、2020年までに数字の達成目標も掲げているわけですから、成長戦略との整合性を踏まえ、私は制度の見直しを求められているのではないかと考えます。

一方で、直ちに、先ほどお話があった第3号被保険者制度を全てなくしましょうというご提案は極端なケースを試算するという点では意味があると思うのですが、その環境整備、つまり女性が働く環境や子育ての環境の進展ペースなどもございますので、1つのオプションとして御提案させていただきますと、例えば10年ぐらいに期間を短くしてみるということを計算上、頭の体操といいますか、整理ということでオプションとして入れてみてはどうかということを御提案申し上げたいと思います。

私からは以上です。

○神野部会長 コメント何かございますか。

○度山年金課長 先ほどと同じなのですけれども、どういうことを考えられるかということはよく考えてみたいと思います。

○神野部会長 すみません、局長。

○香取年金局長 4-3の資料なのですが、今、オプションで何をするかという議論になっているのですが、次のページのスケジュールを見ていただきたいのですが、今後の段取りを考えますと、まず専門委員会において経済前提をセットしていただくということになります。その後、経済前提に基づいて検証の作業に入るわけですけれども、4-3の資料にありますように、財政検証に当たって、これからどういう考え方で財政検証していこうかということをお示ししたのが実は4-3の資料ということで、実は大きく分けて2つのことを言っていて、先ほどの説明の繰り返しになりますが、まず経済前提については一定の幅を持たせた検証を行いましょうということなので、高いケース、低いケース、いろんなケースがあり得るわけですが、そういうもので試算をしたい。具体的などういう数字を用いるかということについては、1月、2月の段階でお示しをして決めていただくことになります。

さらに言えば、物価と賃金と運用利回りというのは、言ってみれば相互に連関するものですので、どれかを動かせばどれかも動くという関係にありますので、3連の組み合わせ、馬券ではないですけれども、3連の組み合わせを幾つか用意することになるということが1つです。

もう一つは、今、御議論になっているところですが、幾つかこの財政検証を踏まえて制度改正事項を来年の財政検証の結果を見た後、この審議会の御議論いただかなければならないわけですが、既に今の段階で幾つか検討すべしと言われている事項がそこにありますように、プログラム法にも書いてある。あるいは一体改革大綱の附則等にも書いてある。あるいはこの部会の中でも議論されている。

そういった法律事項を検討するに当たって、そういった改正がマクロ的な年金財政にどういう影響を与えることになるのか。あるいは最終的なマクロスライドの終期の設定であるとか、個々の給付水準にどういう影響を与えるのかということをある程度財政影響をあらかじめ念頭に置きながら議論しませんと、制度改正の是非は議論できないということになるので、そういった財政的に見て大きい影響があると考えられるもの。あるいは改正内容としてある程度大きいものについては、それをやった場合の財政影響については、年金財政についてプラスに働く、マイナスに働く、あるいは年金の水準にどういう影響を与えるかということを見るという意味で、幾つかのオプションをあらかじめ行うということを財政検証を行うに当たって念頭に置きましょうということを今回申し上げているわけです。

ここに例示されているのは、まさに今、検討課題として挙がっているものということでお示しをしているということなので、きょう御議論ありましたように、これ以外にも、例えば3号をどうするかとか、きょうのお話のようなものは幾つかあります。こういったものは、きょうこの場で別に決めるということでもなくて、申し上げたように、最終的にその数字を見た後、いざこれで作業に入りましょうというときに、オプションとして、プランA、プランB、プランC、これとこれをやりましょうということになりますので、実は具体的にどうするかという御議論は、来年のまさに専門委員会の報告を受けた後、具体に数字を決めて作業に入るときに改めて御議論いただいて、どういうものをやるかということを少し御議論いただくと。もちろんそこで検証するというのは、別に制度改正をやることを前提にということではなくて、まさに中身を検討するに当たって財政影響を踏まえないと、最終的にマル、バツがつけられない。しかも財政検証は作業に時間がかかりますので、後からやりますと手戻しになりますので、あらかじめ幾つやっていくという趣旨ですので、やる、やらないも含めて、ここでどうするかということを決めるということではないので、そういう意味では幾つかアイディアがあればお出しいただくということでお願いしたいと思います。

○神野部会長 ありがとうございました。どうぞ。

○花井委員 今の局長の御発言の上で確認です。一番最後の「保険料拠出期間の延長」ですが、現行は20~60歳という40年となっていますが、これを45年にするということなのか、20~65歳までの、例えば65歳とした場合、そこの40年なのか、そこがこれではなかなか理解できないのですが、それはどちらの制度改正なのか。例えばオプションですから、必ずやるということではないというのは承知しておりますが、どういうことを想定してこの延長とおっしゃっているのか、そこを確認しておきたいと思います。

○度山年金課長 前回の会議のときに諸外国の事例等を御報告させていただいたと思うのですけれども、ある意味では、今、世界の年金の流れはより長く働くという形に動いてきていて、そういうことを年金制度上も反映した形の制度設計を考えていくというふうにしていると思います。そういうふうに考えますと、今、我が国の制度は、基本的に20~60歳の40年間、実際には長い人もいれば短い人もいるわけですけれども、そういうことを1つのモデルとして取り組まれているということだと思いますが、恐らく我が国でもこれから平均余命がどんどん延びていく中で、40年間というのをもう少し長期化していくということは、これは別に年金制度だけではなくて、経済全体の観点からも求められているのではないかという御議論を前回させていただいたと思います。そういうことを考えてということなので、設定としては40年間というのは、45年かどうかはともかくとして、もう少し延ばしていくということを考えた制度とした場合にどういうふうに年金の給付と負担が変わるか、そういう見通しを御議論する材料になるのではないか、そういう御提案です。

○神野部会長 吉野委員、もしもあれでしたら、遠慮なく御退席いただいて。

○吉野委員 今のような議論ですと、これだけ高齢化になって長く働かないといけないという社会になっているわけですから、そういうふうに少し長く働いた場合、どういうふうに年金財政に影響するかというのはやっておく必要が必ずあると思います。そういう意味では、それをやるとか、やらないとか、そうなったケースがどうなるか。マクロの物価スライド制もそうですし、きょうの御議論のところ、もし事務局ができるところであれば、それをいろいろ制度的にももしできたら、少しいじれるところを見直していただいて、どういうふうに財政に影響するかというのはぜひやっておいていただいたほうがいいと思います。

○神野部会長 ありがとうございます。小塩委員。

○小塩委員 そんなにたくさん追加することないのですが、コメントを申し上げます。前回の財政検証と比べて、今回の財政検証、私も委員会のメンバーですが、少し苦労しているところがあります。具体的に言うと2つあります。1つは、今までに比べると利潤率と実質金利の関係が不鮮明になっているということです。ですから長期的な相関を見るということなのですが、データを短くすると相関が低くなっています。ですから実質金利をどのように設定するか慎重に議論しないといけないということが1つです。

もう一つは、TFP(全要素生産性)で、これは私もこだわっています。内閣府の試算では、経済再生ケースでは1.8という非常に高い数字を出しております。前回、私たちが使ったのはたしか1.0だと思います。来年の1月に新しい数字を内閣府から出ると伺っておりますが、そんなに低い数字は出ないのではないかと思うのです。ただ、同じ政府内ですから、これをどのように使うかという非常に悩ましいところです。先ほどいろんな数字を幅広く出すという方針を吉野先生から出していただきましたが、まさしくそれでないといけないと思うのです。財政検証は今までと性格が違って、今の18.3%まで保険料率を上げるということで制度がどこまでうまくいくかを絶えずチェックしていくということですので、いろいろな仮定を置いて、うまく運転できるかどうかチェックしておく必要があると思います。それだけつけ加えておきます。ありがとうございました。

○吉野委員 よろしいですか。今の小塩先生の、資料4-1の5ページの一番下のところで、長期金利と利潤率、今、ちょうど長期国債のところが、需要がすごく多いものですから、金利と利潤率がすごく乖離しているような気がしますので、おっしゃるように、これをどういうふうにとるか、長期でとるかというのが1つあると思います。

もう一点は、資料の3ページをごらんいただきたいと思います。3ページの四角く囲ってあるところなのですが、これは前回の専門委員会の議論で、一番左側の経済成長率を出すわけですけれども、そのときに右側に3つの大きな項目がありまして、1つ目が資本の部分、労働の部分、全要素生産性(TFP)、ここでは資本と労働の部分は非常に精密に皆さんで議論しているのですけれども、全要素生産性は内閣府の試算をポーンと数字を入れてくると。この数字によって非常に成長率が振れてしまうということがありますので、せっかく一生懸命最初の2つをやっているわけですから、最後のところにポーンと外から来てしまってというのが、私自身も忸怩たるものがありまして、前回申し上げました。今のように幅広く見ていただかないと、せっかく最初の2項目の努力が失われてしまうのではないかという気がいたしました。御意見ありがとうございます。

○神野部会長 ありがとうございます。ほか、どうぞ、花井委員。

○花井委員 すみません、もう一つだけ教えていただきたいのですが、所得代替率50%というのは財政検証でどんなふうに取り扱われるのか。

○神野部会長 これは所得、試算でなくて、50%切るか、切らないかということですか。

○花井委員 そういうことも含めて試算されるのか。

○度山年金課長 2009年の財政検証のときもそうだったと思いますが、一応マクロ経済スライドと一定のルールがありますので、そのルールで調整をしていてどこで均衡するかという数字は、50%にかかわらず、それより高いケースもあれば低いケースも計算上はまず出てきます。

その上で、前回か前々回にもそういう御質問があってお答えしたかと思いますが、法律上はどうなっているかというと、財政検証を5年ごとにやりますので、そういう意味で言うと財政検証は次は2014年にやるわけですが、その5年後、2019年までの間に50%を切ると、そういう計算結果になったときには、まずマクロ経済スライドについて、50%まで行ったところでとめるという意思決定をします。とめたままでは今度出と入りがつり合いませんので、給付と負担全般にわたる見直しを行うべしということが書いてあるということです。ただ、現行は所得代替率は60%を少し超したような状態にございますので、そういう意味で言うと、恐らく来年計算してもすぐに5年後に50%を切るということにはならないはずです。

ただ、当然のことながら、2009年の財政検証のときもそうでしたけれども、いろんなケースを置きますと、特に経済成長の余りよくないケースでは、例えば30年後とか40年後に50%を切るみたいな計算が出てくる場合もあるということです。

○山本委員 よろしいですか。

○神野部会長 どうぞ。

○山本委員 少し不勉強な意見になるかもしれませんが、5年ごとの財政検証の期間中にいろいろな変化が来された場合、マクロ経済スライドは5年間ではなく、前年あるいは前々年ぐらいの平均数値を基準に数字を変えていくなど、1年ごとに変化するという理解でよろしいのかということが質問です。

それともう一つは、一般的にマクロ経済スライドが精緻になればなるほど国民の理解はなかなか難しくなる。例えば物価水準が基準と言ってしまえばものすごく簡単で、物価が上がったから年金も上がるだろうぐらいに単純に考えられればわかりやすいのですけれども、実際には、デフレから脱却しつつ物価水準が少しずつ上がっていると言いながら、実はマクロ経済スライドを見ると年金の額は減っていくという状況があったときに、生活実感の中における乖離というのは一体どういうふうに説明されていくのか。さまざまな要素から財政検証が行われたときに、そのことを加味して、どの程度の給付水準にすればよいのかというのは生活実感など感性的な部分も必要だと思うので、その辺のことを理論プラスアルファ、どうやって含めていくのか、1つ視点として入ってもよろしいのかと思います。

○神野部会長 2点ありますが、関連しますので。

○度山年金課長 まず最初の御質問があったところは、例えば物価スライドですと前年のCPIの平均値ということになりますし、マクロスライドの調整値自体は、これは主には標準報酬の変動率がベースと、被保険者の減少率、被用者年金を含めた公的年金全体の被保険者の減少率を労働力人口の変化の変数としてとっていますので、要は生産年齢人口が今もう減り始めていますので、労働力人口もどちらかというと減少傾向にある。その減少値の分を物価や賃金が伸びたときの増やす分と相殺をするというのがわかりやすく言うとマクロ経済スライドの考え方なので、それ自体は全てそういう意味で言うと、将来の見通しではなくて、基本的には実績値で決まってくる。計算式もきちんと法定されていますので、まず、それは動かぬ数字として決まるということがあります。

それから、これをどのようにわかりやすくお伝えをしていくのかということに関しては、実は制度をつくって10年間まだスタートをしておりませんので、ようやく平成27年4月に年金の特例水準が解消した後に初めて発動する可能性があると、そういう状態ですから、発動するときにはどういうことになるかというと、物価が上がったほどには年金は上がらないことになるということなので、このことはよく、まさにそういう意味で言うと、生活実感と年金の改定の乖離がそれぞれ受給者の方が感じられるようになると。そこはどういうふうに説明していくのかということは課題です。

ついでに言うと、実はこの10月から年金が1%下がって、その支給が12月13日に行われたわけですけれども、額改定の通知のお知らせをするときに、そこも一生懸命丁寧に書いてお知らせをしているのですが、何せはがき1枚の情報量の中に書くのはなかなか大変でございましたけれども、そういうことをやっていく必要があるだろうと思います。

○神野部会長 ありがとうございます。それでは、時間が押しておりますので、引き続き専門委員会のほうで作業をしていただいて、私どものほうでまた検討する機会がございますので、そのときにまた御意見を頂戴したいと思っております。

そこで議題の(3)に移りたいと思いますが、「積立金運用のあり方について」でございます。御案内のとおり、積立金運用のあり方につきましては、内閣官房の下に設置された「公的・準公的資金の運用・リスク管理などの高度化等に関する有識者会議」が議論をして報告書を取りまとめたのは御案内のとおりでございますが、この報告書を踏まえながら、この部会の下に設置されております「年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会」、ここでも御議論をいただいたということでございますので、これにつきまして、事務局から御報告ちょうだいできればと思います。よろしくお願いします。

○森大臣官房参事官 先ほど開催状況についても御説明ございましたが、今回、経済前提の専門委員会におきましては、併せて積立金運用のあり方に関しても御議論いただいておるところでございます。今、部会長からございましたように、内閣官房のほうでございますが、「公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化に関する有識者会議」で11月20日に報告書を出されまして、それに関しまして運用関係を中心に御報告いたしたいと存じます。

まず、報告書、資料5-1でございますけれども、2ページ目でございます。内閣官房の有識者会議につきましては、対象資金につきましては公的年金、GPIFだけではございませんで、共済関係、もしくは独法関係ということで約200兆円の資金が対象となっております。

2ページの下の「運用目的」のところでございますけれども、被保険者の利益を優先する資金運用は、結果的に、日本経済に貢献することになり、また、各資金は、資金運用により経済成長の果実を享受する立場にもあることから、経済成長と資金運用との好循環が期待される、というウインウインの関係を書いてございます。

3ページ目、「運用目標・方針」のところでございますけれども、1国内債券を中心とするポートフォリオにつきましては、デフレからの脱却を図り、適度なインフレ環境へと移行しつつある我が国経済の状況を踏まえれば、収益率を向上させ、金利リスクを抑制する観点から、見直しが必要である、と述べております。

また、2のところでございまして、これは私どもの年金もそうですが、名目賃金上昇率をある一定比率を上回るという形で収益目標を定めることについては合理性がある。ただ、これまでのデフレ経済下では当該目標が著しく低い水準になっていた可能性がある。一方で、デフレ脱却を見据えれば、今後は、当該目標が現在より高い水準になる可能性もあり、こうした点も踏まえて、適切に収益目標を設定する必要があるという指摘でございます。

また、リスク許容度につきましては、(注)のところでございますが、一定のモデルを用いたリスク計測や、シナリオ分析などにより、フォワード・ルッキングなフォワード・ルッキング検証を実施することが望ましい、と述べております。

めくっていただきまして4ページでございますが、ポートフォリオのところで、「運用対象の多様化」でございますけれども、これは市場環境の整備状況を踏まえつつ、GPIF等のリスク管理体制の構築を図った上で、新たな運用対象(例えば、REIT・不動産投資、インフラ投資、ベンチャー・キャピタル投資、プライベート・エクイティ投資、コモディティ投資など)を追加することにより、運用対象の多様化を図り、分散投資を進めることを検討すべきである。

2でございますが、現状では、ポートフォリオにおけるアクティブ運用の比率は総じて低くなっているが、各資金の規模・性格に応じて、アクティブ運用の比率を高めることについて検討を行うべきである、と御提言いただいています。

5ページでございまして、3パッシブ運用につきましては、東証1部上場全銘柄を対象とするTOPIXを忠実にトラックしている場合がございますが、企業の収益等も踏まえた新たな株式指数を利用したりするなどの改善策について検討すべきであるという御指摘。

また、4のところでございますが、経済環境や市場環境の変化が激しい最近の傾向を踏まえれば、適宜点検し、必要に応じて見直すことが重要である、という御指摘もいただいております。

 めくっていただいて6ページでございまして、ガバナンスのところは詳細を省略させていただきますが、GPIFにつきましては、規模の大きな資金運用専業機関ということでございまして、新たな組織改正も含めた体制変化につきまして御提言をいただいております。

また、8ページでございますけれども、リスク管理につきましては、フォワード・ルッキング的な見方のほか、デフレ脱却を見据えまして、物価連動債の運用対象への検討。

4のところでございますけれども、日本版スチュワードシップ・コードに係る検討結果を踏まえた方針の策定・公表を行い、ただし、その一方で、各運用機関本体による過度な経営の関与や一律の方針設定に基づく形式的な議決権行使が行われないよう、留意が必要である、という御指摘を得まして、またGPIFにつきましては、改革の工程表を示していただいているところでございます。

これを踏まえまして、参考資料1でございますが、12月5日に経済対策が決定されまして、厚生労働省等の関係省庁において、各資金の規模・性格に応じ、長期的な健全性の確保に留意しつつ、必要な施策を迅速かつ着実に実施すべく所要の対応を行う、という形で決定されているところでございます。

このような内閣官房の報告書につきまして、専門委員会で御議論いただいたもの、資料5-2、主な意見(未定稿)でございますが、書かせていただいてございます。

1つ目の「○」でございますが、運用利回りは賃金上昇率+αですが、分散投資効果を長期金利に加えるということで、国内債券並みのリスクに抑えるという合意があったが、これについては改めていいのか年金部会でも御議論が必要ではないか。

2つ目の「○」でございますが、有識者会議の議論を極論すれば、国内債券並みのリスクから離れてしまうこともあり得るので、そのあたりのスタンスを決めておく必要があるのではないか。

3つ目の「○」でございますが、よりリスクをとった運用を行う場合は、損失を出したことにつきまして、制度的な対応も必要ではないかという話でございます。

4つ目の「○」でございますが、有識者会議の提言は是々非々で取り組めばいいのではないかという御意見。

また、その次でございますが、フォワード・ルッキングなリスク分析は、見方によれば相場を読むということになりかねないので、もう一つ、ある種のストレステストみたいな考え方で取り組むべきではないか。

その次の「○」としまして、確実論的なモンテカルロシミュレーションをもっと行うことが考えられる。

あと、最後のところでございますが、有識者会議の報告書につきましては、もう少し大きな観点から議論したいと思う、という御意見もございました。

以上が御意見でございまして、そのときに厚生年金・国民年金の積立金運用ということで、参考資料2について提出させていただきました。柿木先生から御意見いただきましたが、非常に貴重な御意見でございまして、運用対象の追加でございますが、今、運用の仕組みにつきましては、個別の運用につきまして、右側の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)で精査していただいて、厚生労働大臣は中期計画の承認とか改善措置要求という形で関与しておりますので、このような運用対象に関する御意見につきましては、GPIFのほうに伝えたいと考えております。

めくっていただきまして、今までの積立金運用のリスク・リターンにつきましての経緯がございまして、4ページ目でございますが、今、GPIFで、年金財政上のリスクをどのように検証しているかにつきまして、2.で書かせていただいております。財政検証で年金積立金の額が想定されているわけでございますが、これにつきまして、GPIFで具体的に投資対象のリスク・リターンを精査しまして、それに基づきまして確率論的な話でございますけれども、2038年の積立金を下回るかどうか等につきまして、下回る場合の平均値を検証し、最も適切なポートフォリオを選択しているところでございます。これらの情報につきましては、また一層、情報提供に努めてまいりたいと考えております。

私のほうから以上でございます。

○神野部会長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からの御報告について御質問を頂戴したいと思いますけれども、先ほども触れていただきましたように、柿木委員の提出資料もございますので、御参照いただければと思います。どうぞ。

○米澤委員 前も言いましたけれども、私も有識者会議には参加させていただきまして、この報告書には責任を持っておりますが、今、特に年金部会で改めて議論をさせていただきたいというか、伺いたい点は、資料5-2にありますように、我々というか、年金部会として、ないしは年金の財政として、どのぐらいリスクをとるかということに関しましては、正面から御議論されてないと理解しております。

1つは、これまでは、資料5-2の一番上の「○」、全体のリスクは国内債券並みのリスクに抑えるというようなところで暗黙の合意でやってきたわけですし、これは諸外国の公的年金の運用に比べるとリスクを非常に抑えていると位置づけられるかと思います。ただ、これにはそれなりの理由もあって、こういうふうになってきたわけですけれども、皆さん方に、ここで議論ということではないのですけれども、いや、もう少しリスクをとるべきではないだろうか、ポートフォリオとしてCalPERSとか、海外みたいなところに少し近づけたほうが、こういう理由からいいのではないだろうかというもし御議論があったら、こういう場でお聞きして、少なくとも経済前提の委員会の中には参考にできるのではないかと思っております。

有識者会議のほうでも、残念ながら年金財政のほうまでおりて議論されているわけではなくて、先ほどからも説明がありましたように、単にデフレ脱却で、こういうこともあるので、もう少しポートフォリオとしてはリスク資産のほうのウエートを高めたらいいのではないだろうかという程度で書かれていると理解しておりますので、もう少し冷静な目で、ここで参考になる意見を伺えればいいかと思っております。それが1つは、大きくポートフォリオのリスク資産とリスクが比較的少ない資産とのウエートをどうするかという議論にかかわってくるわけです。

もう一点は、資産の多様化の話です。いろいろ新しいインフラとかREITとかというのですが、私の理解では、こちらは別に今の前半の話とは独立で、例えばリスク性の資産でももっとそのウエートは高めないですけれども、その中の種類みたいなものを増やして、簡単に言えば、よりリスク分散を徹底化させて、リスク前提を少し抑えていくというようなことで理解するのが適当かなと思っておりますので、そこのところを幅を広げたからといって、直ちに年金財政のリスク性が高まったということではなくて、むしろリスクを抑えるという方向で議論できるということなので、そこのところは分けて議論する必要があるのではないかと思います。ですから問題は、最初のほうで、もう少しリスクをとれるのではないだろうか。ないしは今までのところでいいのではないだろうかということで、我々が参考になるような意見を伺えればうれしいと思っております。

○神野部会長 ありがとうございます。適切なアジェンダいただきました。

○出口委員 一番の前提はどこまでリスクをとるかどうかということではないと思うのですが、私自身は、結局年金は恒等式なので、要するに積立金と保険料と税金が負担が給付になるので、一番大事なところはリスクをとる、とらない以前に、リスクをとって損失が出た場合にはどういうことになるのかということを国民にはっきりと説明して、そこでコンセンサスをとるかどうかだと思うのですね。

そのために一番大事なことは、先生の言われた、どこまでリスクをとるか以前の問題として、この前、小塩先生のお話を聞いてすごく感動して方々で言って回っている。のですが、年金というのは、生物学的に考えて、次の世代に何を残すかが全てであると私自身も思っているので、リスクをとる運用をやるのだったら、大きいリスクでも小さいリスクでもいいのですけれども、そこでリスクをとって失敗した場合には翌年度から直ちに給付を引き下げる、あるいは保険料を直ちに引き上げる、その覚悟でやるかどうかということが議論の大前提で、そこについて国民のコンセンサスがあって初めて、どの程度リスクをとりましょうかと、その話になるので、この問題のポイントはどこまでリスクをとるかどうかではないと。左辺と右辺を国民がどう判断して損失が出れば、必ず例えば翌年に給付を減らすのですと、そのくらいの覚悟を持ってやらなければ問題を誤るのではないか、個人的にはそういうふうに思うのです。

もちろんこのほかにも、前回も申し上げましたけれども、これだけ巨額な資金が動いたときにどういう影響があるか。例えばマーケットでは、11月にこの報告書が出たときに、外国人の投資家が、これを見込んで既に思惑が走っているといった話もありますので、これだけ巨額なお金はマーケットを人為的に動かすこともあるので、まず大前提を議論したほうがいいのではないかと私は思います。問題の設定の立て方が少し違うと。

○神野部会長 ありがとうございます。どうぞ、宮本委員。

○宮本委員 今、出口委員がおっしゃったとおり、私も全く同感であります。全くそのとおりでありまして、国内債券並みのリスクというのはどういうことを指すのかということも含めて考えなければならないと思っています。その上で例えばGPIFなのですが、保険料拠出者の意思が反映できるシステム、仕組みになっていない。要するに合議制のような、そういう仕組みになっていない、そういう機関がありません。例えば被保険者の人たち、保険料を負担している人たちの意見が反映できるような仕組みになっていない。そういう中で国内債券並みのリスクから、よりリスクをとる運用にシフトする場合は相当な根拠と説明責任が求められると思います。

そのような意味でも、よりリスクをとった運用ということについては、より慎重に考えるべきで、被保険者に安心して年金掛金を負担してもらうためにも、国内債券並みのリスクというのは1つのベースとして堅持すべきであるということを御意見として申し上げたいと思います。

以上です。

○神野部会長 ありがとうございます。ほか、いかがでございますか、菊池委員。

○菊池委員 ありがとうございます。用事で退出しなければいけないので。私も、今、お二方の御意見と同様の意見でございますが、社会保険の仕組みでございますけれども、税ではなくて保険の仕組みであるということの意義は、保険者自治というものが機能しているはずで、そこに加入者が参加をし、そこに一定の制度に対する貢献をしていく。ただ、年金にはなかなかそういう自治的な仕組みを入れるのは難しくて、厚生年金基金を除いてはなかなかないのですけれども、ただ、その場合、誰がそういった加入者の方の利害というか、そういうものを体現していくか、代弁していくかという、その1つの大きな役割がこの審議会だと思うわけです。

ただ、被保険者の観点といってもいろいろな観点があり得るのですけれども、その中で、先ほどお話ありましたように、リスク・リターンについては、加入者の皆さんに情報提供した上でしっかりと選択をしていただけるような、そういう情報の透明性が1つ重要だと思うのと、もう一つは、日本の年金は賦課方式ですけれども、ただ、法的に見ると、自らの拠出記録に基づいて給付がもらえるという1対1対の対応になっていますので、そこから考えますと、1つ参考になるかなと思うのは、例えば確定拠出型年金で、これは投資教育の問題もありますけれども、多くの方が元本保証型の商品を選択しているという、個人が自ら自分の問題として自分のこととして考えた場合にどういう選択をするかというのは1つの参考にはなると思うのですね。そういったことで、これは先ほどの小塩先生の説明と違った観点からの、ある意味、自分の拠出記録に基づいてもらうと、そういう説明ではありますけれども、そういう観点からも慎重に考えたほうがいいのではないかと思います。

以上です。

○花井委員 私も同じ考えなのですが、ただ、先ほどありましたように、GPIFは被保険者の声が反映できる組織にはなっておりません。そういう中で、もう一方で、財政検証が今から出されようとしているときに、新聞報道ですが、カナダのオンタリオ州の公務員年金基金と共同でさまざまな投資を行っていくのだと出ているわけですが、一体どうしてこういうことになるのか。今、そんなリスクを誰が望んでいるのかということも問いたいと思いますし、それが本当に失敗した場合、誰が責任をとってくれるのか、何十年も払った年金保険料で引退したときにそれで生活しようというのが多くの労働者だと思いますけれども、その責任は誰がとるのかというのは強く問いたいと思います。

そういう意味で、既にGPIFでカナダの年金基金との連携を進めているということは、一体どういうことなのか、ぜひとも事務局から答弁いただきたいと思います。

○神野部会長 何かございますか。

○森大臣官房参事官 先ほど申しましたように、与えられたリスクの中で分散投資を行って、その中で行うことにつきましては、一応GPIFに任せておりまして、中期目標・中期計画の中で、一番最適なものにつきましては、GPIFのほうで日々検討していただいているわけでございますが、先ほどの新たな投資対象の拡大につきましても、その範囲の中で、今、検討していただいていると考えております。

○神野部会長 植田委員。

○植田部会長代理 ごく簡単に、出口委員のほうから恒等式というお話がありましたが、それはよく見ると方程式という面もあるのだと思うのですね。つまり現状では債券並みのリスクをとることによって年金制度がうまく回るという前提でやっているわけですね。今度新たに財政検証を行うわけですけれども、その計算の結果によっては、例えばこれまでと同じように、債券並みのリスク、安全な運用で年金制度はうまく回るという結果が出てくるかもしれません。そうであればそれでいいわけですし、むだなリスクをとる必要はないのだと思うのですが、他方、場合によっては債券並みの運用では年金制度は回らないという結果になるかもしれないわけです。

そうすると、先ほどの式は方程式になりまして、どれくらいのリクワイアドリターンを上げたら年金制度は回るか、それを計算する式になる。そのやや場合によったら高めのリターンを上げるためには、普通で考えれば多少リスクをとらざるを得ないということになるわけです。リスクをとった場合には、平均的にはうまくいけば、そういうリターンがとれるわけですが、場合によったら非常にひどいことになるかもしれないということを考えつつ、そういうリスクをとっていく。とらないのであれば、年金給付のほうをどこかで調整せざるを得ないという選択なわけで、そこのところを認識してないと非常に甘い議論になってしまうのだと思います。

○出口委員 そこのところは、私の言い方が不正確で、先生のおっしゃったとおり、恒等式と申し上げたのは、右辺と左辺が連動して動くということを理解してほしいという意味で申し上げたので、厳密な意味では方程式ということは理解しております。私自身は運用の多様化ということはチャレンジしていいと思っているので、それ自体に反対しているわけではないのですけれども、本当にその認識があるのか。私自身は、自分の意見に一番ぴったりするのは、資料5-2にありますけれども、この上から3番目、よりリスクをとった運用を行う場合は、損失を出した世代が責任を負うような制度は必要である。例えば、損失が発生したらその翌年度に特別保険料を上げるとか、給付を減額するとか、こういう仕組みをつくって、方程式であるということを国民がちゃんと認識してやってほしいということが一番の主眼でして、リスクをとるなとか、そういうことを申し上げているのではありません。恒等式という言葉ではそういう意味で申し上げました。

一番大事なことは、次の世代にたらい回し、先延ばしすることだけは絶対に避けなければいけないと。それは我々の今生きている世代の責任だと思っていますので、そういう意味で申し上げました。

○神野部会長 わかりました。ありがとうございます。よろしいでしょうか。どうぞ。

○米澤委員 時間もあれですけれども、1点だけ。制度的にはポートフォリオ、最終的に細かく決めるのはGPIFなのですね。しかも先ほど言ったように、かなり細かなシミュレーションして決めてくれるわけですけれども、ここで御意見いただいているように、必ずしもGPIFで各人の意見が反映されにくい可能性もあります。というのは、いろんな人の意見を反映されるのはこの年金部会が私が知っている限りでは一番適当だと思いますので、ここでもう一回ぐらい議論していただきたい。ここは答えがないかもしれませんけれども、一応我々が納得する、今は半分ぐらいヒントを得られましたけれども、ここでやるしかほかは今はないのではないかと思いますので、もう一回ぐらい、どこかで時間いただければいいかなと思っています。

○神野部会長 ありがとうございます。それではよろしいでしょうか。予定の時間がかなり過ぎておりますので、どうぞ。

○森戸委員 一言いいですか。

○神野部会長 はい。

○森戸委員 すみません。出口委員と代理のおっしゃったこと、全くそのとおりだと思うのですけれども、ただ、代理のおっしゃったことで、債券並みのリスクだと年金制度回らなくなるかもしれないというのは、公的年金だけで完結していればそうなのですけれども、多分その外に、私的年金とか企業年金というのがあって、どっみち公的年金で100%国民の老後を支えられるようにはなってないので、恐らく国民の老後を支える上でどうするかという話だから、多分方程式の外にわからないのですけれども、私的年金や企業年金のあり方とか、それぞれのリスクのとり方の議論とも一緒になるので、最終的にはそちらの議論も一緒にできるようにして、運用の話もその中の一部には入っているのではないかと思います。それだけです、すみません。

○神野部会長 すみません、それではどうもありがとうございました。予定の時間かなりオーバーしたことをお詫び申し上げまして、事務局のほうから連絡事項をお願いしたいと思いますが、よろしくお願いします。

○八神総務課長 次回の開催日時ですが、年明け1月または2月を考えております。詳細はまた追って連絡をさせていただきます。

○神野部会長 どうもありがとうございました。本日は極めて生産的に熱心に御議論を頂戴したことを感謝いたします。私の不手際で終了時間を超えたことをおわび申し上げまして、閉会させていただきます。

どうもありがとうございました。

 

(了)

 

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