第1回企業年金研究会議事録

 

                              日時 平成18年10月10日(火)

                                     10:00~12:00

                              場所 厚生労働省専用第12会議室

 

 

○簑原課長補佐 ただいまより「第1回企業年金研究会」を始めさせていただきます。本日は事務局といたしまして座長が選任されるまでの間、進行を務めさせていただきます課長補佐の簑原です。よろしくお願いします。

 早速ですが、資料の確認だけ最初にさせていただければと思います。資料1として「企業年金研究会の開催要綱」、資料2として「企業年金の施行状況について」、資料3の1として日本経団連からの「税制改正に関する提言概要」、3の2として「提言の本体」です。資料4として日本商工会議所からの「平成19年度税制改正に関する要望」をいただいています。

 資料5の1として、企業年金連合会からの「企業年金連合会の改善要望について」、5の2として「税制改正に関する要望事項」、5の3として「確定拠出年金に関する実態調査、結果概要のポイント」、5の4として「調査結果の概要」、資料6として、国民年金基金連合会からの「個人型確定拠出年金制度の概況」、資料7として、「企業年金に関する研究会の今後の進め方」というように配付させていただいています。落丁のほうはございませんでしょうか。

 本研究会の参集者のご紹介につきましては、先ほど確認させていただいた資料1の開催要綱の別紙1と2のとおりになっていますので、名簿をもってご紹介に代えさせていただきます。また、本日は加子委員が都合によりご欠席ですので、経団連の経済第三本部遠藤副本部長が代理出席という形でお願いしています。よろしくお願いします。 続きまして、本研究会の事務局を代表して、年金局長の渡邉より一言ご挨拶を申し上げます。

○渡邉年金局長 おはようございます。連休明け、週の始めに、朝から本当にありがとうございます。ご多用中に本企業年金研究会の開催にご参集いただきまして、重ねて御礼申し上げます。開会に当たり事務局を代表して、本研究会の意義や位置付けも含めて、一言ご挨拶申し上げます。また、何よりも直接の関係者、有識者の方々、両方いらっしゃっていますが、日頃企業年金の発展についてご尽力、ご協力を賜っておりますことを、この場を借りて厚く御礼申し上げます。 ご承知のとおり企業年金については、かつて昭和41年に創設された厚生年金基金が中心となって、企業の従業員の老後所得保障の充実、福利厚生の確保に大きな役割を果たしてまいりました。しかしながら、過去15年を振り返ってまいりますと、バブル崩壊以降の経済の長期低迷、運用環境の悪化、雇用の流動化など、社会経済情勢が厚生年金基金が創設された時期とは大きく変化したことは言うまでもございません。

 また、従来の厚生年金基金、惜しむらくは、必ずしも中小零細企業に十分普及していなかったという面もあります。こうした企業の従業員の方々の老後の所得保障、これに対する自助努力を支援することがずっと課題となってきたわけです。こうした状況や課題に対応して、時代のニーズに合致した企業年金制度ということで、ご承知のように平成13年10月にアメリカの401Kを参考にして、いわゆる確定拠出型年金の創設を図る確定拠出年金法が制定されたわけです。

 また、翌平成14年4月には、公的年金の代行部分がない純粋な企業年金としての、確定給付型の年金の創設を図る確定給付企業年金法が制定されたわけです。 その後困難な財務環境の下で、平成16年には公的年金の見直しと併せて、企業年金の充実を図るとともに、雇用の流動化に対応する観点から確定拠出年金の拠出限度額の引上げや、企業年金間のポータビリティの拡充等を図ったのは記憶に新しいところです。

 おかげさまでその後の経済の回復もあり、現在では確定拠出年金の加入者数は200万人を超え、確定給付企業年金の加入者数も450万人に達するなど、現在のところ両制度は、基本的には着実な普及が図られてきているものと考えています。

 しかしながら一方で、関係団体等から、この制度を運用していく中で、様々な問題意識のもとに様々なご要望もいただいているところです。また一方、この先を見てまいりますと、平成23年度末には税制上の制度であり、日本の企業年金の社会を大きく支えてきた適格退職年金が廃止されることが予定されています。だいぶ減ってきましたが、現在でも4万5,000件、560万人以上が残っていると聞いております。これをいかに他の企業年金等に円滑に移行させるかという大きな、しかも近い将来の課題があると考えています。確定拠出年金法、確定給付企業年金法には、ご承知のとおりそれぞれ法律の附則において次のような記載があります。「施行後5年を経過した場合において、法律の施行状況を勘案し、必要があると認めるときは必要な措置を講じる」、こういう趣旨の条文が、明記されています。折しも、今月10月で確定拠出年金法は施行後5年、来年4月で確定給付企業年金法も施行後5年を迎えることとなります。まさしく両制度とも、施行状況を検証する時期にきているものと考えております。 本研究会は、こうした状況や諸課題を踏まえまして有識者の方々にご参集いただき、客観的にその施行状況の検証を行っていただくことを目的として開催するものです。委員の皆様方におかれましては、企業年金の施行状況の評価、問題点などについて、どうか忌憚のないご意見を賜り、率直なご議論をいただければ幸いです。冒頭私のほうから簡単にご挨拶をさせていただきましたが、課題がたくさんあると思いますので、是非それぞれのお立場で有意義なご意見の開陳をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○簑原課長補佐 それでは、お手元に配付した議事次第に沿って、会議を進めさせていただきます。まず、この研究会の座長の選任をお願いしたいと考えています。お手元の開催要綱に従いますと、参集者の互選により選出となっていますが、事務局としては森戸先生にお願いしたいと考えていますが、皆様いかがでしょうか。                 (異議なし)

 

○簑原課長補佐 それでは、今後の議事の進行は、森戸座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 

○森戸座長 座長に選任されました森戸です。よろしくお願いします。早速ではございますが、座長代理のほうを私のほうで指名させていただければと思います。私としては島崎委員にお願いしたいと考えていますが、皆様いかがでしょうか。

(異議なし)

 

○森戸座長 では、島崎委員に座長代理をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 早速ですが、まず本研究会の開催趣旨について、事務局から説明をお願いいたします。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 資料1「企業年金研究会開催要綱」です。趣旨につきましては、先ほど局長からご説明したとおりで、施行5年後の検証を行っていただくということです。2の「研究事項」ですが、確定拠出年金、確定給付企業年金の施行状況が基本的なことです。その他関連のものも、研究事項にしたいと思っています。研究会の構成員については、省略をさせていただきます。

 今後の日程ですが、概ね月1回程度の開催で進めさせていただければということです。なお、その他の(3)に書いてありますが、本日もご出席していただいていますが、委員のほかに別紙2のオブザーバーということで、商工会議所年金教育センター、企業年金連合会、国民年金基金連合会にそれぞれ参加していただいています。

 また、研究会には必要に応じて関係者の出席を求めることができるということで、ヒアリング等により出席をしていただくことを想定しています。 本日もそうですが、別に申し合わせた場合を除き、基本的には公開ということで進めさせていただければと考えています。以上です。

 

○森戸座長 続きまして、企業年金の施行状況についてということで、事務局より資料の説明をお願いします。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 続きまして資料2、A4横長のペーパーの「企業年金の施行状況について」です。第1回目ですので、厚生年金基金を含めて施行状況全般について概略を説明します。

 1頁めくって「目次」ですが、共通事項、確定拠出年金、確定給付企業年金、厚生年金基金、最後に、最近の企業年金の動向という順番で説明します。 5頁は、ご存知かとは思いますが、改めて年金制度の体系を簡単にご紹介します。現在公的年金加入者は7,000万人です。その中で第2号被保険者は、公務員を含めて3,766万人いますが、公務員を除きますと、厚生年金保険加入者は真ん中ほどですが、3,300万人ほどいます。基本的には企業年金については、この3,300万人のいわゆる3階部分として企業独自に支給するものですが、従来からの制度である厚生年金基金、確定給付企業年金、適格退職年金、確定拠出年金はそれぞれご覧のような数字で、先ほど局長からもありましたが新しい確定給付企業年金が450万人、確定拠出年金の企業型が199万人、左端にある個人型が7万人と書いてありますが、そのうちサラリーマンが4万人、自営業者が3万人です。そうしますと、企業年金として見てみますと重複がありますので、正確な数字は若干わかりづらいところがありますが、1,700万~1,800万人ぐらいが3階部分の企業年金に加入しており、ほぼ半数以上が3階部分に加入しているという状況です。

 6頁は、企業年金制度の比較です。現在ある企業年金を真横に並べて比較したものです。詳細は省略しますが、左のほうの確定拠出年金が掛金額保障、給付額が運用成果により決まる確定拠出型、それ以外は右にありますが、国民年金基金を含めて確定給付型、すなわち給付額を保障する年金です。この資料では確定拠出年金を中心に説明させていただきますが、確定拠出年金については特に年金制の担保ということで、いくつか制約

というか、特徴的なものがあります。

 真ん中ほどですが、老齢給付を基本として支給するわけですが、支給開始年齢については60歳で、原則として10年以上の加入期間を要するということです。また一番下にありますが、脱退一時金は、貯蓄性の排除というか、年金制の担保という観点から、原則として中途引出しができないということです。加入期間が短い場合や資産が一定以下の場合は例外がありますが、原則はそういうことです。 7頁で確定拠出年金には企業型、個人型がありますが、企業型については事業主拠出のみ、個人型については本人拠出のみということで、いわゆるマッチング拠出は認められていないということです。特に企業型については、基本的には企業の福利厚生という

観点で、現行制度では事業主拠出のみです。 また確定拠出年金については掛金の拠出限度額が定められていまして、企業型については4万6,000円が原則で、他の企業年金と併用する場合にはその半額です。また、個人型については国民年金基金と同じ枠の中、6万8,000円の枠の中で掛けていただく。それ以外の方については1万8,000円ということです。 税制ですが、特に確定拠出年金制度は、税制上の制度と非常に密接な関連がありますが、拠出時非課税、運用時については特別法人税の課税、給付時は公的年金等控除という形です。形を見ますと、厚生年金基金、国民年金基金、確定給付企業年金を含めて同じような形に見えますが、厚生年金基金と国民年金基金は、いわゆる公的年金の代行部分があるということで、拠出時についても社会保険料控除を原則拠出時非課税というとで特別法人税を含めて非課税扱いになっているのに対して、確定拠出年金、確定給付企業年金、適格退職年金は拠出時、非課税扱いにはなっていますが、課税を繰り延べているという考え方でして、運用時については、その利子相当分について特別法人税が課税される。給付時については、公的年金等控除という扱いになっています。 最後に受託者責任ですが、平成24年3月で廃止になります適格退職年金を除きまして忠実義務、利益相反行為の禁止等受託者責任が明記されていまして、受給者の保護を図るための仕組みが取られているということです。

 8頁は、企業年金等の状況です。左端にあるのが、従来からの厚生年金基金、適格退職年金ですが、厚生年金基金ピーク時の平成8年度以来、あるいは平成9年度末には、1,880基金、1,200万人強の加入者がありましたが、現在では代行返上、あるいは解散ということで、上から右側2つ目ですが、厚生年金基金、直近では672基金で、加入者も約4割、530万人まで減ってきている状況です。

 適格退職年金ですが、平成23年度末で廃止されることが決まっていますが、平成14年に7万3,000件あったのが現在4万5,000件で2万8,000件減少しています。この移行状況を見たのが右側です。一番多いのが一番下の解約で、これが約6割ぐらいあります。残りの約4割強が他の制度に移行で、一番多いのが中小企業退職金共済制度で約9,000件で3割、確定拠出年金3,265で約1割、最後に確定給付企業年金への移行916件で約3%です。この4年ぐらいで2万8,000件移行したわけですが、いまだ4万5,000件残っているということで、他の企業年金等への移行が課題というのは、先ほど局長から申し上げたとおりです。

 9頁は、日本の年金・退職金制度の沿革です。簡単に説明しますと、年金制度で最初にできたのが税制上の制度である昭和37年の適格退職年金です。その後昭和41年に厚生年金基金制度が発足しました。その後昭和60年に基礎年金の導入等がありまして、右上の昭和63年厚生年金基金の努力目標水準の制定が行われています。

 従来の厚生年金基金の水準ですが、代行部分の+αですが、基本的には職域の公務員の共済年金の水準に合わせるという考え方で制定されていましたが、昭和60年の改正により、公務員の年金水準はサラリーマン並に引き下げられたことに伴い、独自の水準を制定するということで、目標水準が昭和63年に制定されています。

 最近ということで次の頁ですが、社会経済情勢の変化等に対応するということで、確定給付企業年金法、確定拠出年金法が平成13年に制定されて、受給権の保護、労働移動に対する柔軟な対応、企業の制度選択の幅の拡大といったことが行われています。直近では右側ですが、平成16年改正においても、公的年金の改正に併せて一定の改正が行われているということです。

 確定拠出年金は、12頁からです。特徴ですが、自己責任、個人ごとに資産管理、ポータビリティ、企業負担の軽減といった特徴があります。

 13頁は、特に対象者がどうなっているかを見ていただく資料です。誰が対象外になっているかということですが、左端の国民年金の第3号被保険者、いわゆるサラリーマンの妻は現在加入対象外ということです。また右端ですが、国家公務員については、事業主拠出が税金、あるいは民間の動向水準等を踏まえて考えることで対象外になっています。少し細かいですが、その右側、確定給付型の年金制度を実施している場合には、企業型の確定拠出年金も制度上は実施できるわけですが、企業において企業型を実施していない場合には個人型にも加入できませんので、そのような場合は確定拠出年金の世界から見ると加入対象外というのが現行制度です。

 14頁は、確定拠出年金間のポータビリティですが、先ほど申し上げた加入関係があるため、このポータビリティでの同じような扱いになっております。企業型年金の加入者が退職した場合ですが、基本的には引き続き加入者になれますが、加入対象外になった場合にはそうではないということです。転職先等の一番下ですが、いわゆる3号、あるいは公務員になった場合には、一定の要件になる場合には脱退一時金を受け取って脱退する、あるいは運用指図者として資産を移換して運用だけ行うという扱いになります。

 先ほど最後に説明したところですが、サラリーマンになった場合でも、転職先の真ん中の企業型年金なし、確定給付型の年金制度を実施している場合でも企業型の確定拠出がない場合には、運用指図者として掛金の積み増しはできず運用指図だけ行うという扱いになっています。

 15頁以降が実態です。まず、確定拠出年金企業型の概要ですが、平成15年、16年ぐらいから急増してきまして、現在直近では企業型だけでも約200万人(199万2,000人)で、個人型を合わせて200万人突破という状況です。16頁の規約数で見ると1,993件で、カーブは先ほどの人数とほぼ同じですが、2,000件に迫る勢いです。

 17頁は、企業型で従業員の規模等の別に見たものです。確定拠出型は特に中小零細企業の老齢年金の確保ということでスタートしたわけですが、300人未満が中小企業ですが、100人未満の57.9%、100~299人の22.4%を合わせまして、約8割が中小企業に普及という状況です。また、確定拠出年金の導入企業で、他の企業年金の実施状況を見ますと、他の制度がなく確定拠出年金だけ実施しているのが6割、その他との併用が4割ということで、企業年金のない所に新しく普及した状況が見てとれるかと思います。18頁も同じような観点ですが、他の制度からの移行状況を見ても、他制度からの移行なしで、全くないところに新設した所が左側の39%、約4割が全くの新設です。適格退職年金、あるいは適格退職年金及び退職金からの移行が約4割、退職金からのみの移行が12%で、適格退職年金から約4割移行しているということです。また、規約の類型を見ても中小企業中心とする総合型、あるいは連合型で共同で実施するという形態が、半分の約6割になっています。

 19頁は掛金の状況です。平均掛金額1万1,000円、資産、ストックで約2兆円ということです。掛金については上限が4万6,000円であり、企業年金併用の場合には2万3,000円ということで、まだ隙間があるように見えますが、規約ベースで見ると他の企業年金がない場合、4万6,000円の上限に達している規約数が22.8%。他の企業年金がある場合については33%ということで、規約ベースで見ると上限に当たっているものが結構ある状況です。

 20頁は運用商品の状況ですが、これはある意味当然ですが、(1)を見ますと、平均で300人未満が13で300人以上が16と、大企業のほうが選択肢が幅広くなっています。内訳を見ても、全体的に大企業のほうが少し多い状況です。運用商品の残高割合を見ますと、預貯金、一番下の生保・損保、すなわち元本確保型ですが、合計を見ると合わせて約6割ということで、元本確保型が中心の状況です。特に個人型を見てみますと、それよりも少し多い状況になっていますので、このようなところからも投資教育等が課題といったことが見てとれるかと思います。

 21頁からが個人型の概要です。これについては、後ほど国民年金基金連合会からもう少し詳細な資料説明があると伺っています。合わせまして約7万人、第2号被保険者が4万人、第1号被保険者が3万人という状況です。掛金は、第1号被保険者、自営業者については、6万8,000円の国民年金基金との併用でその内訳ということですが、ざっと見るとまだ余裕がありそうに見えますが、第2号被保険者については1万8,000円が上限ですが、1万5,000~1万8,000円のほぼ上限に当たっている方々が48%で半数に迫っている状況です。以上が確定拠出年金です。

 続きまして確定給付企業年金は、24頁からです。平成14年4月に受給権保護ということで創設されたわけです。制度の枠組みですが、労使合意の年金規約に基づき実施する規約型、厚生年金基金の代行のない基金でほとんどが厚生年金基金からの移行という形の、基金型の2つがあります。25頁は受給権保護のための措置で、これが適格退職年金にはない部分ですが、積立義務、受託者責任の明確化、情報開示という措置が図られています。26頁は、確定給付企業年金の承認・認可状況ですが、左側が新設か移行かということですが、適格退職年金からの移行が約48%、基金からの移行が37%ということで、両方合わせて85%が適格退職年金、あるいは厚生年金基金からの移行という形です。これに対応して、右側が基金型、規約型、あるいは給付類型ですが、基金型については36%、603件で、厚生年金基金からの移行は、ほぼすべて基金型という状況で、その他が規約型です。真ん中ほどにキャッシュバランス、その他、伝統的な確定給付型とありますが、新しく入りましたキャッシュバランスプランが約4割、伝統的なものが約6割という状況です。

 27頁については、代行返上等を経て、現在では1,670件です。基金型、規約型の状況は、ご覧のとおりです。28頁については、代行返上と申してまいりましたが、将来にわたって代行を行わない将来返上が平成14年4月から、過去分も含めて資産移換して代行返上を行う過去返上が平成15年9月からということで、将来返上が現在848、過去返上が773という状況です。

 29頁はご案内かと思いますが、キャッシュバランスプランは、新しい給付類型で、確定給付企業年金においては、運用リスクは事業主が負担するわけですが、受給権が確定されるまでの間の利回りが客観的な国債利回り等が用いられるということで、事業主にとっては事業主の負担、リスクがかなり軽減されるという特徴がありますし、市場に対応した給付プランが立てられるものです。

 30頁は、適格退職年金の状況です。冒頭で移行状況を申し上げましたが、真ん中ほどにありますが、現在で約4万5,000件、加入者567万人が残っています。平成7年から順次減ってきまして、平成14年から制度がなくなることがわかってから急激に減ってきているわけです。

 続きまして、32頁から厚生年金基金です。昭和41年に厚生年金基金を設立して、一部老齢厚生年金の代行、それから上乗せ給付を行っています。給付については物価スライド、賃金再評価、マクロ経済スライド部分を除いた分を代行ということで、上乗せ給付については代行部分の5割以上の給付をすることになっています。

 33頁の掛金については基本的には代行が労使折半ですし、代行部分に見合う保険料については国への納付を免除され、その分基金に納付していただき、運用して給付を保障するということです。次に35頁です。先ほど過去の歴史の中で努力目標水準と出てきましたが、現在では代行部分の3.23倍が厚生年金基金の努力目標水準、いわゆる望ましい給付水準ということでして、考え方としては、平均的なサラリーマンの退職前の年間所得の6割程度を賄える水準として設定をされています。下に注がありますが、当初、昭和63年に設定された際には代行部分の2.7倍と設定されましたが、平成12年改正で代行部分の給付が5%カット、平成16年改正のマクロ経済スライドで将来の厚生年金の給付水準が低下するということで、厚生年金基金で賄うべき部分が多くなっています。厚生年金基金の努力目標水準については、厚生年金基金について言えば特別法人税の非課税の水準がこの水準になっておりますし、確定拠出年金の限度額についても、厚生年金基金の努力目標水準を踏まえた水準に設定するという考え方になっています。

 36頁に基金数等とありますが、基金数は675で、そのうち8割の519が総合型という状況です。加入員数については約530万人で、資産額を見ますと、直近の平成16年は下の(2)の36.8兆円がストックの状況です。37頁以降は最近の推移ですが、先ほどから申し上げているとおり、解散、もしくは代行返上ということで基金数は減ってきています。(1)を見ていただくと、平成14年くらいから平成15年、16年がピークで、解散数はそのような状況になっています。ただ、平成18年では解散数は5で、解散のピークはほぼ過ぎている状況です。

 39頁は修正総合利回りの推移で、先ほどの代行返上のピークの前ぐらいまでが利回りでいうと底ということで、平成12年、13年、14年とマイナスだったわけですが、平成15年、16年とプラスに転じている状況です。

 もう少し遡って、40頁の厚生年金基金と厚年本体の運用利回りの推移を見ますと、制度発足以来当分の間は、厚生年金基金はずっと利回りが本体より高かったわけですが、平成4年から逆転して、平成4年から14年までの間は、平成9年、11年を除いて厚年本体の利回りを下回る状況が続きました。それが平成15年、16年と先ほど見ていただきましたが利回りが回復して、厚年本体を現在は大きく上回る状況になっています。

 41頁はそういったことを反映して、財政状況についても剰余・不足、基金を分けたものですが、平成12年、13年、14年という状況では9割を超える95%までが不足基金だったわけですが、平成16年では半数以上が剰余のある基金という状況に転じています。

 最近の改正の動向ということで、43頁です。平成16年改正におきまして、マクロ経済スライドの導入が主眼だったわけですが、企業年金についても、大きな改正がいくつかなされています。

 まず厚生年金基金については、経済の低迷等によって、先ほども申し上げたとおり不

健全な基金が増加していた状況の中で、解散時における最低責任準備金の納付方法の緩和ということで大臣の承認を受けた上で分割納付を認めること、または解散時における厚年本体への納付額の特例ということで、最低責任準備金の計算方法について一定の特例を設けること。具体的に申しますと、厚年本体の利回りで免除保険料率を回していった料率、転がし方式と言っていますが、そのようなもので納付するのを認めるという特例があります。また、免除保険料率についてはマクロ経済スライドの導入等に伴い、新しい水準の設定がなされています。

 44頁は、確定拠出年金についても老後の所得保障の充実という観点から、限度額の引上げがなされています。それぞれ見ていただいたとおりです。考え方としては公的年金、マクロ経済スライドによって給付水準が下がった分を確定拠出年金でカバーできるように水準を確保するという考え方です。また中途脱退要件の緩和ということで、基本的には年金制の担保で中途脱退要件は厳しく制限されていましたが、実態を見ますと資産額が少額の場合には、例えば運用結果よりも手数料が高いという場合、運用するにしたがって手数料で元本割れを起こすといった水準の方については、中途脱退を可能にするという改正がなされています。

 45頁はポータビリティの確保です。厚生年金基金、確定給付企業年金から確定拠出年金への年金原資の資産移換を可能とするという改正も行われています。最後に通知ですが、投資教育の強化ということで、導入当初は導入時教育を主眼に行われていましたが、その後元本確保商品が非常に多いなどいろいろな状況がありまして、事業主の継続教育が非常に重要だということで、通知を改正して一定のメルクマールを示すという改正をしています。

 46頁は、企業年金二法の見直し規定です。確定拠出年金法は今年10月で、確定給付企業年金法は来年4月でそれぞれ施行後5年を迎えるわけですが、ご覧のとおりの見直し規定が付されています。以上です。

 

○森戸座長 非常に詳細な資料でしたのでいろいろご質問もおありかと思いますが、先に2つ目の議題のほうに行かせていただいて、そのあとまとめてと思っています。次に、2つ目の議題の「要望事項等について」に移りたいと思います。

 最初に、本日代理でご出席していただいています日本経済団体連合会経済第三本部の遠藤副本部長のほうからご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 

○遠藤副本部長(日本経済団体連合会) 代理で大変申し訳ないのですが、一番最初に簡単にご説明をさせていただきます。中身は資料3の2の11頁をお開きいただきたいと思います。本日は、税制のみの要望事項について説明をさせていただきます。

 すでに先ほどのご説明の中にありましたが、11頁の4の年金税制の第1パラグラフにつきましては、いわゆる特別法人税を速やかに廃止してほしいという内容です。基本的な考え方として年金の税制については、掛金の拠出・運用時は非課税として課税は受給時に行うという考え方から、特別法人税そのものを廃止してほしいという要望が第1点です。これは、年金関係すべてに共通する問題です。

 「また」以降のところが確定拠出年金部分ですが、私どもの考え方としては、確定拠出年金が企業年金のうちの特に中核として発展することを期待しております。そのために既存の一時金や企業年金から確定拠出年金へ移行を行うことのためにも、拠出限度額を一旦引き上げていただきましたが、さらに引き上げてほしいという内容です。先ほど22.8%が上限に達しているというご説明があったと思うのですが、特に大手の企業からすると、まだもう少し引き上げてほしいという内容です。

 その他確定拠出年金については、先ほども説明がありましたが、マッチング拠出という方式を認めてほしいと思います。資産の中途での引出しということで死亡・高度障害以外の事由についても、資産の引出しを認めてほしいという話もあります。中途脱退時の少額資産も引き上げていただいたのですが、なお一層の拡大の余地はないかどうか検討をいただきたいということです。

 適格退職年金については、平成24年3月31日までに他の制度へ移行するか、あるいは廃止するかなどを検討しなければならないのですが、税制上の措置として、さらに支援措置をご考慮いただければありがたいという内容です。その他規制改革についても要望はあるのですが、本日は省きます。以上です。

 

○森戸座長 続いて、小島委員から説明をお願いしたいのですが、よろしくお願いします。

 

○小島委員 私のほうは、今日は特段資料を用意してありませんので、要望というか、これまでの企業年金に関する私たち連合の基本的な考えについて述べたいと思います。

 日本の企業年金は、基本的に賃金の後払いという制度である退職一時金の横倒しというか、年金化したものであります。また、老後所得保障という役割を担っているので、基本的には企業年金の給付については給付建てであるべきです。企業年金が退職金給付として各企業において位置付けられていることから、掛金建ての制度はなじまないのではないかと考えているわけです。なお、確定給付企業年金、あるいは確定拠出年金についての共通の税制要望としては、従来から拠出時、運用時、非課税の原則から特別法人税の撤廃を強く求めているところです。

 確定給付企業年金については、受給権保護の観点から一定要件による支払保証制度の創設が必要ではないかと思っています。それと適格退職年金の廃止が確定していますが、まだ4万5,000件ほど残っていますので、他制度へ移行の必要性に対する周知やPRの徹底が必要であると思います。

 確定拠出年金については、特に前回の通知等で従業員、加入者に対する投資教育の充実ということが出されています。これも従来から私どもは、確定拠出年金を入れるのであれば導入時及び導入後の継続教育の義務付けが必要であると思っています。適格退職年金からの移行の受け皿として中小企業退職金共済への移行が1つあります。これは中小企業退職金共済の見直しになるかと思いますが、その逆の中小企業退職金共済から確定給付企業年金への移行に加えて、確定拠出年金への移行も可能にする必要があるのではないかと思います。とりあえず要望というか、当面対応すべきことについては以上の点です。

 

○森戸座長 続きまして、オブザーバーである商工会議所年金教育センターの菊地事務

局長からご説明をお願いします。

 

○菊地事務局長(商工会議所年金教育センター) 商工会議所年金教育センターと申しますのは、日本商工会議所と各地商工会議所、関係団体の協力のもとに6年前に設立した団体で、主に企業年金や退職金に関する啓発普及活動を中心に行っています。本日は、日商でまとめて9月20日に関係各方面に配付した資料4の「平成19年度税制改正に関する要望」を使ってご説明いたします。便宜上、全体で4枚にしており、2、3枚目は全体の目次です。この中の重点要望項目の4番目にとりあげている「中小企業が利用しやすい企業年金制度の構築」を抜粋したものが4枚目の資料です。本日は、4枚目の内容に従ってご説明いたします。

 まず、大きく分けて2つ記載しています。1つは、適格退職年金制度から特定退職金共済制度への非課税移換です。特定退職金共済は、現在、中小企業退職金共済とともに中小企業に広く普及していますが、現時点では適格退職年金からの非課税での移換先にはなっていません。従来から商工会議所としては、特定退職金共済への非課税での移換について要望してきましたが、昨年12月の税制改正の審議において、特定退職金共済については、適格退職年金からの年金資産を非課税で移換するための所要の措置を講じるべく検討するとされたため、現在、関係省庁で必要な法整備の検討が行われています。

 特定退職金共済は、中小企業退職金共済と違いまして、掛金が1,000円からできるということと、中小企業だけではなく中堅企業等も加入できること、中小企業であっても、中小企業の規模を超えても継続して実施できるというメリットがありますので、受給権の保護等の所要の措置を盛り込んだ法整備と併せて、非課税での移換ができるような税制上の所要の措置もお願いしたいというのが第1点です。

 2つ目は、確定拠出年金の抜本的な見直しです。確定拠出年金の定着と発展を図るためには抜本的な見直しが必要であり、このための要望事項としては、限度額の一段の引上げ、中途引出し要件の一層の緩和、マッチング拠出の認可を記載しています。

 また、中途引出し要件の一層の緩和と併せて、年金資産を担保にしたローンの創設をお願いいたします。特に中小企業の場合には、企業の経営上の理由で退職を余儀なくされるケース、あるいは何らかの事情により自己都合で退職されるケースなどがありますので、こういったものを中途引出し要件の一層の緩和と併せてお願いいたします。

 今年4月から改正高齢者雇用安定法が施行されたことから、中小企業においても、60歳以降の継続雇用に取り組んでいるところです。現時点では、確定拠出年金には61歳以降加入できませんので、こうした雇用延長の義務化に併せて、加入年齢の見直しを行っていただきたいと思っております。

 最後に、運用時の非課税という年金課税の原則に反している特別法人税については、凍結の期限を待つことなく即刻廃止していただきたいということです。 以上です。

 

○森戸座長 それでは、最初の事務局のご説明、いまお三方からそれぞれ要望事項のご説明をいただきましたが、それらすべてについて皆様からご質問、ご意見等を承りたいと思います。何かございますか。ご自由にお願いします。

 

○藤井委員 単なる質問で認識不足だけかもしれませんが、最初の資料19頁で、確定拠出年金の掛金が上限に達している場合の規約の数などを計算されているわけですが、質問は、規約の中に上限に達している掛金の場合があるということなのか、それとも当該制度の加入者の掛金は、すべてが上限にぴったり付いてしまっているのかとでは相当意味が変わってくると思うのですが、そのどちらであろうかということです。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 いまのご質問ですと、前者の掛金の上限に達している方がいらっしゃる規約の割合ということです。確定拠出年金の特に企業型の場合には個人別にどのようになっているかというデータが、いまの段階では事務局にもありません。そういう意味では個人単位にばらしたときにどの程度が達しているかというのは、個人型の場合にはわかるわけですが、企業型の場合にはデータがないという状況です。

 

○森戸座長 要するに、規約上上限までは出せるが、実際それはみんなが出しているかどうかはわからないということですか。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 厳密に言うとそういうことになるわけですが、そのような意味で給料の何パーセントとか決めている場合に、実際上はない給料を定めていることがあるかどうかということがありますが、実際には上限に達している方が一定程度いらっしゃるとは思いますが、厳密に言うとわからないということです。

 

○森戸座長 ほかにいかがですか。

 

○島崎委員 20頁の資料について伺います。運用商品の残高割合が載っているのですが、この中身がわかるのかということです。つまり有価証券といっても株式と債券ではリスク・リターン特性は全然違うわけで、そこがわかるのかを伺いたいと思います。

 また、19頁で企業型の場合の平均掛金額が月額で1万1,000円程度となっているとの説明がありましたが、手数料や信託等の管理料は、どのくらい取られているのか伺いたい。

 お尋ねする趣旨は、お金を預けたが、実際にはいろいろな諸経費が差し引かれ、言葉は悪いかもしれませんが「滅失」していて、実際に老後の保障にどの程度充てられることになるのかということです。それとの関係でご質問したいと思いますので、もしおわかりなら教えてください。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 手数料ですが、このあと国民年金基金連合会の資料でまたご説明があるかと思いますが、概ね5,000円程度というのが実態のようです。ちなみに中途脱退要件について個人型からの中途脱退の場合、資産50万円以下という設定をしておりますが、この50万円以下という設定が、運用環境で1%以内の利回りで10年間回った場合には、50万円でちょうど手数料相当の5,000円程度になり、その資産額を下回ると元本割れを起こすので、中途脱退要件を50万円に設定しています

 運用商品の状況ですが、実は私どもの持っている調査ではこれ以上のものはありません。ただ、民間団体の調査でかなり数は少ないですが、もう少し詳しいものがあります。民間団体の調査をご紹介しますと、もともと構成割合自体が違うわけですが、元本確保型の定期預金が、その調査では48.7%、元本確保型の生損保が12.3%とここまで同じですが、国内債券が6.5%、海外債券が3.4%で、債券が約10%、国内株式が18.2%、海外株式が4.1で、債券が1割、株式が2割というデータが民間団体にあります。

 

○森戸座長 ほかにいかがでしょうか。

 

○小野委員 確定拠出年金の掛金の上限の引上げの件についてお伺いします。いまの規約の施行状況の中で、いわゆる給与に対する一定比率という形で設けている制度が多いのか、あるいは定額制という形で設けているケースが多いのか。というのは、4万6,000円となると、40年掛けると2,200万円ぐらいになってしまうので、結構な水準だと思います。それに、例えば2%程度の利息を付けると、それでもうすでに軽く3,000万円を超えてしまうと思います。

 日本経団連さんの調査によりますと、大卒男子の標準退職金も、大体2,500~2,600万円程度だとお伺いしていますが、4万6,000円なり2万3,000円というのをどのような形でどの程度まで引き上げることをイメージされているのかを、お伺いしたいと思います。

 

○森戸座長 それは経団連さんへのご質問ですか。

 

○小野委員 それと、事務局です。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 まずデータの類ですが、いまは確たる数字はありませんが、規約承認をしている感じで申しますと、率で設けているほうが圧倒的に多い状○小野委員 ということは、ある意味給与の高い人に合わせて上限を設定してくださいというご要望のように受け取ってしまうのですが、その辺りを含めてということでお願いしたいのです。

 

○森戸座長 遠藤さんに、お答えいただきたいです。

 

○遠藤副本部長 ご指摘のように、平均的には大卒男子の退職金の水準に合わせるという考え方はあるのだろうと思います。公的年金等の改正等の動向を踏まえることもあり、一部の企業、我々の会員企業のほうからはもう少し上げてほしいという声があったことを反映して、税制改正要望の中に盛り込んでいる状況です。これ以上詳しい話は、いま手元に細かい数値等がないのでご説明はできませんが、そういった状況です。 もう1つは、アメリカの401Kの状況などもこれまでの制度創設時の議論であったと思うのですが、一部頭の中にあるということです。

 

○森戸座長 その辺りはまさにこの研究会でも議論になるところだと思いますので、次回以降も議論したいと思います。それ以外にご質問はいかがですか。非常に情報が多く詰まった事務局の資料ですので、いろいろご質問はあるかと思います。もう少し時間がありますので、いかがでしょう。

 

○小島委員 確定拠出年金の個人型ですが、加入者が7万人で、第1号の方が3万人、第2号の方が4万人ということです。いままで企業型の確定拠出年金の方が個人型のほうに移行された数というのは、おそらく国民年金基金連合会の資料で出ているのでしょうが、おわかりですか。

 

○日原部長(国民年金基金連合会) そういった資料は準備できていません。ただ、参考までに申し上げますと、運用指図者になる方は、最近で言いますと9割近くは企業型から移ってこられた方という状況になっております。

 

○島崎委員 先ほどの遠藤副本部長と小島委員のご要望の中で、拠出時は非課税、運用時も非課税で、給付時課税というのが本来原則であるべきだという趣旨のご発言のように聞こえました。企業年金は賃金の後払い的な性格であり、課税を繰り延べているという考え方に立てば、それが適切なのかもしれませんが、その場合の給付時課税についてのお考えを確認させていただきたい。つまり、公的年金等控除は適用してほしいというのを変えるつもりはないということですか。あるいは、給付時課税の意味合いについて、何か特別な考え方をお持ちなのか教えていただきたい。

 

○遠藤副本部長 私どもの考え方では、公的年金等控除については縮減ないし廃止を前提に給付時課税を考えています。その場合に、どのような所得形態に当たるのかを改めて再検討した上で見直すことを考えています。

 

○小島委員 いまご質問があったように、給付時課税の問題については、現在は公的年金等控除がありますので、公的年金等控除全体をどう見直すかに関わると思います。基本は現在の公的年金等控除の対象として考えるべきだと思います。

 

○野村委員 ご要望の中には、脱退時の一時金の上限を引き上げてほしいとあります。これはおそらく日本の年金制度が退職一時金からの移行であるというイメージが現実としては大きいので、いろいろな理由で途中でやめられる方が、その時点では全くキャッシュを手にする方法がないのが、そもそも制度を新しく導入する際のハードルとなっているという趣旨でおっしゃっていると思います。それはとてもよく理解できるのですが、現実の脱退一時金の金額はそれなりの金額をイメージしていらっしゃって、いまは50万円になっておりますが、どのぐらいの金額が妥当だというイメージをお持ちなのかというのが質問です。

 

○森戸座長 それはどなたに聞くことになりますか。

 

○野村委員 両方です。

 

○小島委員 私どもは、現在のところそこについては特段要望として出しておりません。

 

○遠藤副本部長 数字的なものについては、いろいろな状況を踏まえてということで、いま現在ははっきりとしたイメージは持っていません。

 

○森戸座長 いまのところは、まだはっきりしないということです。ほかによろしいですか。

 それでは、私から小島委員にお伺いします。先ほど連合としてのお考えをいろいろご説明いただいたのですが、いわゆる確定拠出年金についてマッチングを認めろなどの要望は、いま割とあると思うのですが、基本的には退職金であるから、賃金の後払いであるから、給付建てが本来だということを最初におっしゃっていましたが、もう少し確定拠出年金を使いやすくしてほしいとか、マッチングを認めてほしいとか、そういう要望に対する見解は、私が聞き逃したのかもしれませんが、おっしゃっていなかったような気がするのです。その辺りは、何か連合としてまとめていらっしゃるのでしょうか。

 

○小島委員 マッチング拠出について特段まとめているわけではありませんが、基本的な考え方を言いますと、先ほど言いましたように日本の企業年金は賃金の後払いですので、給付建てが基本です。その観点から考えますと、日本の確定拠出年金は企業年金をベースにしているので、そこに従業員の拠出をさらに上乗せすることはなじまないと思っております。仮に認めるということになれば、2号の個人型1万8,000円、1号の個人型の上限6万8,000円の引上げということが、当然出てくると思います。そうしますと、相当高額な拠出限度額になりかねない。結果的に高所得者優遇税制になりかねないのではないかと危惧をしているところです。

 そういう意味で、そこを考えるなら、所得税の個人年金や生命保険料控除、財形非課税制度措置などもありますので、そういう税制との整合性も図る必要があると思います。アメリカのIRA(個人退職勘定)、そういうものを基本的に作る中で、個人がどの制度に拠出をするかといった本格的な議論が必要になってくるのではないかと思います。

 

○森戸座長 その辺りは、まさにこれから議論になるところだと思います。ほかによろしいでしょうか。

 

○駒村委員 経団連の考え方を1つ教えてもらいたいのですが、11頁に、公的年金給付の縮減が確実になる中で、企業年金の役割が非常に重要になるとあります。これはそのとおりだと思うのですが、経団連としては、企業年金の位置付けについてこれまでとは違う考え方が出てきたかどうか、そこだけ教えていただけますか。

 

○遠藤副本部長 違うというのはどういったことですか。

 

○駒村委員 いままでは、企業年金はあくまでも上乗せという考え方だったわけですね。ここに書いてある文面は、公的年金の縮減部分を補完する、代替するというようにも取れる。ヨーロッパでは、例えばドイツが公的年金を下げる代わりに、リースター年金を入れて企業年金の位置付けが大きく変わったわけですが、そういったことを意図されてここに書かれているのか、それとも依然として上乗せという考え方が背景にあるのか、企業年金の位置付けについて大きく考え方が変わったのかどうかお聞かせ下さい。

 

○遠藤副本部長 私どもの企業年金についての基本的な考え方は、あくまでも私的年金、労使の自主的な合意に基づくものだということで、企業によっては公的年金等とのある程度の役割分担も考えるところがあるかと思いますが、労使の合意できる範囲内で行っていくものだという位置付けは変えていないので、代替できるかどうかまでは、会全体として合意はできていないという感じです。

 

○森戸座長 いまの駒村委員のご指摘、まさに企業年金をどういうものとして位置付けるかという話は、この研究会でも議論の中心になるのではないかと思いますので、またそこもこれから議論していきたいと思います。

 それでは、まだいろいろご質問もあるかとは思いますが、時間の関係もありますので、次に企業年金連合会の西山企画振興部長、続いて国民年金基金連合会の日原確定拠出年金部長から、それぞれご説明をお願いします。よろしくお願いします。

 

○西山部長(企業年金連合会) 私どもは、いわば企業年金を運営している側の団体ということで、そうした立場から企業年金関係二法の施行後5年を迎えた状況についての認識、企業年金連合会としての改善要望についてお話をします。先ほどから若干お話が出てきておりますが、確定拠出年金について、つい最近当方で確定拠出年金の実態調査を行いました。これは先週末にまとまったばかりのものなのですが、それについて調査結果の概要を簡単にお話しておきたいと思います。単純集計結果だけで、クロス分析までは至っていないのですが、この会の議論の参考になるのではないかと思いますので、それをご説明したいと思います。

 資料5-1をご覧ください。先ほど厚生労働省のほうからもお話がありました、企業年金二法の施行後5年間の状況ということで、「(1)企業年金各制度の状況」です。厚生年金基金は基金の解散、代行返上による確定給付企業年金への移行ということで、特に単連と呼ばれる基金について大幅に減少している。それに対して、確定給付企業年金は、基金型は代行返上基金の受け皿、規約型は適格退職年金の受け皿として機能してきているのではないかと認識しております。

 確定拠出年金の企業型は、制度創設当初は先駆的に検討していた企業が導入していて、そう数は多くなかったようですが、最近になってかなり増えてきていると認識しております。

 適格退職年金は、先ほど厚生労働省からもありましたが、平成24年3月末で制度廃止ということで、当然他の企業年金制度への移行が課題になってくるかと思います。状況を言いますと、基本的にはあまり制約のない中小企業退職金共済や確定拠出年金への移行が多いのかなと思います。ただ、まだかなりのものが移行していない状況かと思っております。

 「(2)企業年金が直面した課題と対応」ということで、厚生年金基金・確定給付企業年金が平成12年度から3年連続で非常に厳しいマイナス運用であったこと。もう1つは、退職給付の新会計基準の導入で、これも企業年金、厚生年金にとって非常に大きな状況でした。これによって企業年金の積立金が不足すると、母体企業の財務諸表にも影響を与えるという問題があり、こうした非常に厳しい状況の中で、基金側において給付水準・予定利率の引下げやキャッシュバランスプランの導入、代行返上等の対応をしてきたということがあるかと思います。

 2頁ですが、またこれと並行して、制度のほうでも財政運営の弾力化や厚生年金本体との中立性の確保など、先ほど厚生労働省から説明していただいたような対応がされ、平成15年度から運用環境が好調になってきたこともあって、一息ついている状況と認識しております。ただ、こうした状況の下での認識としては、企業年金制度の制度面・財政面・手続面の規制緩和といったものは引き続きお願いしたいと思っておりますが、それと併せて、それよりむしろ大きなものとして経済状況、税制、会計基準といった制度の外的要因が、企業年金に対する影響が非常に大きな問題として出てきていると思っております。確定拠出年金については、またのちほど要望のほうで申し上げますが、先ほどから議論が出ているマッチング拠出の問題、拠出限度額等について改善が求められていると考えております。

 当連合会の要望として、別紙の3枚目をご覧ください。資料5-2で、税制改正に関して当方の要望をもう少し詳しい形で整理しておりますが、これを整理して、税制改正要望だけではない全体としての要望を、簡単に事項として整理したのが別紙です。まず、企業年金の各制度共通のものとしては、先ほどからもある特別法人税の撤廃を是非お願いしたいということです。

 厚生年金基金・確定給付企業年金に関しては、制度運営面では、現在私どものほうでいろいろな基金の話を聞いていますと、事務の簡素化・迅速化をお願いしたいという要望が強いです。まず、規約変更等手続が、なかなか煩雑であったり時間がかかったりするということがあります。給付減額については、もちろん一定の要件は必要ですが、制度の運営面として手続緩和等お願いできればという点があります。また、積立基準の弾力化をお願いしたいという点。さらに当方では給付の代行等を行っている関係もあって、社会保険庁といろいろな情報交換をしております。これからいろいろな制度改正もありますので、そうしたものも拡大をしていただければというのが、制度・運用面です。

 もう1つは、必ずしも厚生労働省への要望にはならないかもしれませんが、会計基準の問題があります。1つは厚生年金基金の代行部分の取扱いの見直しをすることについて、私どもは従来から何度も要望を申し上げておりますが、引き続き要望していきたいと思っております。

 また、会計基準の処理について、ここに書いてありますが、長期的な費用処理、複数事業主制度があげられます。まず、年金の場合には長期的な費用処理を考えていただきたいという話です。複数事業主制度というのは、総合型基金のように単独の基金でない場合の取扱い、いま現在していただいている取扱いを引き続きお願いしたいという要望があります。

 確定拠出年金については、事項としては、先ほどからも各団体からお話いただいているマッチング拠出の問題、拠出限度額の問題、脱退一時金の支給要件の緩和等を要望しております。

 趣旨については、資料5-2にあります。マッチング拠出の関係では、5頁の2)で自助努力における老後資金形成を促す必要が高いということ、もう1つ、事業運営者と話をしていると、本人が拠出することは、本人の自覚を促すという意味合いでもそれが大きいという意味で、マッチング拠出をお願いしたいということです。

 拠出限度額の引上げについては、先ほどの厚労省の話にも、この後触れます私どもの

調査結果にもありますが、限度額に張り付いているところがありますし、制度を実施する際にそこを気にしながら作らなければならない点が、普及を阻害している面があるのではないかと思います。6頁に脱退一時金の支給要件の緩和とあります。これが実際、各企業に普及していくときに制約になっているという話も随分聞いておりますので、こうした点の緩和もお願いしたいと考えております。

 少し戻りますが、資料の2頁目で企業年金連合会についての簡単なご紹介を、この場を借りてさせていただきます。私ども企業年金連合会は、企業年金二法の施行を踏まえて平成17年10月に、従来は厚生年金基金だけを会員とする厚生年金基金連合会となっていたのが、確定給付企業年金や確定拠出年金も会員とする企業年金連合会という形でスタートしております。そうした意味で、そこに書いておりますように2つの機能を担っています。1つは、企業年金全体の「年金通算センター」です。従来は、厚生年金基金を短期間で脱退した方や解散した基金に入っていらっしゃった方の年金通算があったのですが、現在ではそれが確定給付企業年金や確定拠出年金も含めた通算センターの役割を果たしております。もう1つは、そうした意味で、企業年金運営者の団体としてさまざまな検討をして、調査研究、政策提言等をしているということです。これが、本日の第1点です。

 第2点につきましては、先ほどからも若干出てきておりますが、確定拠出年金に関する調査結果で、資料5-3、資料5-4をご覧ください。資料5-3が簡単なポイントですので、それを通じてご紹介します。2頁の調査の概要ですが、確定拠出年金を実施している企業が2006年5月の時点で1,898社あり、これに対して、調査票を送って8月に調査をしました。厳格に言えば規約ですが、端的に言うと企業ということで書いてありますが、521社から返事をいただいています。回答率27.4%、4分の1以上ということで、民間調査としてはかなりの回答率だと思っております。回答企業における加入者数も、大雑把に計算すると大体50万人以上、全体だと200万人で、4分の1以上です。どういう所が回答してくださったかですが、企業規模は、平均すると大体995名、1,000人弱ぐらいです。3頁ですが、99名以下から1,000名以上まで、いろいろな規模の企業から回答をいただいたと思っております。

 確定拠出年金の導入時期は、制度創設時1年以内はあまり数が多くないのですが、それ以降はだんだん増えてきて、1年間に全体で25%ぐらい増えてきております。確定拠出年金制度の設立方法・移行状況ですが、このうち大体4分の3が他の制度から資産を移換して、確定拠出年金を設立しています。3分の2は適格退職年金からの移行です。ほかの制度との併用を見ますと、確定拠出年金だけが約4割です。確定拠出年金及びほかの制度というのが、約5割近くです。設立の形態で言うと、回答をいただいた企業では、約3分の2が1つの企業で1つの確定拠出年金という状況です。

 次の確定拠出年金規約の設計状況ですが、これは先ほどご質問等のあった件とも絡むと思います。9頁に詳しく書いておりますが「一律定額、一律定率等」とあります。一律定額は14.6%しかありませんで、あとは定率なり職種・資格に応じて設定する、もしくは定額と定率との組み合わせです。大雑把に言うと、定率タイプが足し上げると大体8割強ある状況になっています。年齢を追うごと、職階が上がるごとに掛金が増えていく感じになっているのではないかと思います。

 次の資料です。詳しいことは9頁にありますが、拠出限度額との関係です。2割の企業が、拠出限度額に達している従業員がいるという調査結果となっています。その場合どう調整しているかですが、そのうち6割が現金で差額精算をしている状況です。

 (3)、(4)については、確定拠出年金加入そのものに従業員の選択を認めている企業も中にはあり、これでいくと3分の1です。前払い退職金との選択を認めている企業があるというのが、(4)の関係です。

 (5)ですが、四角の中にありますように、確定拠出年金制度に企業年金制度を移行するときに、どのくらいの運用利回りを確保できればいいかという、想定利回りを作っているケースが多いということで、想定利回りを聞いてみました。資料4にありますが、平均すると2.26%で、1.5~3.0%の範囲内に全体の7割弱が入っている状況になっております。

 運用商品がどうなっているかが、(6)の関係です。詳しいところまで調査できていないのですが、平均では15本弱。採用本数が多いものとしては元本の確保の型、日本株投信、バランス型投信が多いということです。資料では15~16頁に若干入っております。

 制度の運用状況、先ほどお話した投資教育の関係ですが、最初に、確定拠出年金の担当者がどうなっているかです。実際は90%以上が専任担当者ではなく、人事・労務の部分が他業務と併任でやっているということです。継続教育ですが、継続教育は実施が33.5%、3分の1の企業で実施はされております。確定拠出年金施行1年目に導入する企業の実施率が高いというのは、そういう意識を持っている企業が多いのかなと思っておりますが、一定年月を経過するとだんだん実施率が高まってきている状況です。

 導入時教育・継続教育の企画実施についても、詳しいことは資料4にありますが、基本的に一緒になってやっているという回答があるのですが、運営管理機関が主導になってやっております。ただ、調査結果を見ると、継続教育になると事業主が主体的に入ってきているというのが、資料から見えてくるのではないかと思っております。導入時教育・継続教育をどのようにやっているかですが、標準的なものは全員を対象として業務時間内に1回実施する、みんなで集まって行う集合の研修が中心になるかと思います。

 事業主、制度管理者自身が状況をどのように把握しているかですが、運営管理機関から情報を収集している企業が約7割。従業員からアンケートを実施している企業が17%と、そう数は多くありません。 資産運用の状況ですが、詳しい資料は28頁にあります。これは資産の残高ベースと掛金ベースの両方で聞いております。その意味でいくと、大雑把に言うといわゆる投資信託等リスク資産の運用比率が46%、半分弱という形です。これが全体の状況ですが、詳しい資料では次の頁で、資産残高ベースの投資信託の比率を確定拠出年金を導入した企業ごとに見ると、投資信託の運用比率がだんだん高まっています。割合については、制度を導入した時期が運用環境、経済状況の動向によってだいぶ率が違っている部分もあるのですが、全般的には高まってきている状況が見えてきているということです。

 (7)ですが、導入時から一定年度経過した企業を見ると、投資信託の上昇割合が直近になるとだいぶ高くなっているものが多くなっているということです。(8)ですが、運用商品についてはあとから追加ができる形になってはおりますが、追加を設定しているものが15%、除外をしている例はありません。例えば、初年度に入ったものは5年経っていますので、半分以上が運用商品を追加しています。 追加設定される商品の選択肢は、ここにあるように、大雑把に言うと保険タイプの元本確保型、アクティブの国内株投信、外貨資産での運用数、相対的にリスクが高い投信です。それ以外にも、いま現在検討を考えている企業が約4割という状況になっております。調査自身はまだ単純集計ですので、深くやってはいないのですが、とりあえず集約させていただきました。

 

○森戸座長 ありがとうございました。日原部長、お願いします。

 

○日原部長 私どもの国民年金基金連合会は、国民年金基金関係の業務は別途ありますが、確定拠出年金の枠組みの中では個人型確定拠出年金の実施主体ということで、資料6「個人型確定拠出年金制度の概況」に基づいてご説明します。

 3頁をご覧ください。ご案内のとおり、個人型確定拠出年金は制度の中にも2つのグループがありまして、自営業や自由業など国民年金の第1号被保険者の方と、サラリーマンで勤め先で企業年金や企業型確定拠出年金の対象にならない方、第2号加入者の方、この2つのグループの方に加入していただき、掛金を拠出していただく制度です。同じ個人型の中でも、この2つのグループでは掛金の拠出限度額などが異なっております。

 4頁で加入者数等をまとめておりますが、本年8月末現在で7万1,000人です。先ほどお話がありましたように、第1号加入者の方よりも第2号加入者の方のほうが約1万人ほど多くなっております。そのほかに、掛金の拠出をせずに運用だけを行う運用指図者の方が4万7,000人ということで、加入して掛金拠出できるのだけれど、それを選択していない方と、もともと個人型や企業型に入っていて、加入資格がなくていま運用している方の二とおりいらっしゃる状況です。

 第2号加入者の方については、加入資格の証明などのために、加入に先立ってお勤め先の事業所にまず登録していただく必要があり、手続上大きな特色になっておりますが、その登録していただいている事業所が、約3万7,000事業所ということです。

 5頁は、加入者数の推移です。平成14年1月のスタート以来着実に増加しておりますが、企業型の伸びなどから見ると緩やかになっている状況です。

 6頁ですが、これは毎月新規に加入者、運用指図者としてそれぞれ個人型に新しく入ってこられる方の数を棒グラフにしたものです。それぞれの月の右側が運用指図者の方の数ですが、最近は増加傾向にあります。先ほどお話しましたように、新規に運用指図者となる方の9割は企業型から移換された方となっておりまして、企業型の普及に伴ってこうした増が起きていると考えております。

 7頁は加入者の状況ですが、男女比で見ますと男性のほうが多い、年齢別に見ますと45歳以上の方が全体の6割という状況です。

 8頁は、加入者の状況を掛金で見たものです。これも先ほどお話がありましたが、第1号加入者の方は割とばらつきがあるのに比べ、第2号加入者の方は約半数、48%の方は1万5,000~1万8,000円までのグループに入っております。一昨年10月に拠出限度額の引上げが行われ、1万5,000円から1万8,000円まで引き上げられたわけですが、この中のグループの内訳を細かく見ますと、1万8,000円一杯まで掛けていただいている方が過半数という状況になっております。 9頁では掛金拠出額を年齢層別に見ており、10頁では地域別に加入者の状況を見たものを載せております。これは、のちほどご覧いただければと思います。

 11頁は「確定拠出年金制度のポータビリティ」という題になっておりますが、先ほどもお話がありましたように、転退職などによって企業型の確定拠出年金の資格を喪失された場合、選択肢としては、新しい勤め先に企業型確定拠出年金があって、そこにそれまでの資産を移して続けるということがあるわけですが、それ以外に個人型に資産を移して、加入者として拠出と運用の両方を続ける、あるいは運用指図者として運用のみを続けるというものがあります。また、ごく一部要件に当てはまる場合は、脱退一時金を受け取るという選択肢があるわけです。

 12頁ですが、こうした手続を6カ月間全く取らずにいますと、私ども国民年金基金連合会に資産が移換されてきて、仮にお預りする仕組みになっております。「自動移換」と呼ばれておりますが、仮のお預りですので、この状態のままでは運用するとか年金給付を受け取っていただくことができません。あるいは、この状態の期間は加入者等期間に算入されないということです。もちろん、手続を取って個人型、企業型に移していただければ、運用や年金給付の受取りは可能です。

 13頁ですが、自動移換の方の数の推移をグラフにしたものです。正規移換、ご自身で個人型への加入なり運用指図者などとして手続を取った方よりも多くなっており、本年3月末現在で自動移換の状態にある方が4万7,000人となっております

。 14頁ですが、正規移換と自動移換の方の数の動きを毎月ごとに見たもので、その月に正規移換の手続を取った方の数よりも、自動移換となってくる方の数が上回る月が多くなっております。

 15頁は、正規移換、自動移換の方の状況を資産階層別に見たものです。資産額が大体30万~40万円の所で両者の数が均衡しておりまして、40万~50万円の所で正規の移換手続を取る方の数が多くなっている状況です。

 16頁は給付の状況を示したものです。これも、のちほどお目通しいただければと思います。

 17頁以降は、運用の状況をまとめております。個人型は、各加入者の方に運営管理機関を選んでいただき、そちらが提示している商品の中から運用する商品を選んでいただく仕組みですが、各運営管理機関が提示している商品数は12.9と、先ほどの企業型の14と比べると1ほど少ないという状況です。 18頁は割愛して、19頁ですが、これは運用の状況を資産額で見たものです。左側に加入者の方、右側に運用指図者の方と分けておりますが、資産額で見ると、加入者の方の場合預貯金など元本確保型商品が6割近くを占めております。一方運用指図者の方で見ると、預貯金が2分の1以上を占めておりますし、元本確保型で3分の2以上という状況です。これは、運用指図者の中に受給間近の方が多いので、受給までの期間が短いということで、こういう選択をされていることも影響しているかと考えております。駆け足ですが、以上です。

 

○森戸座長 ありがとうございました。ただいまのお二人のご説明について、何かご質問、ご意見等ございますか。

 

○野村委員 企業年金連合会さんのとても興味深いデータを拝見したという感じなのですが、1つ、いろいろと加入者の間で運用商品のどれに投資するかの行動に開きが出ているという話をよく聞くのですが、パフォーマンスにはどのぐらいのばらつきがあるのか。個々の加入者のデータをそのまま出すわけにはいかないので、例えば規約ごとにすることも可能だと思いますが、いままでのパフォーマンスの調査は、このときにはされたのでしょうか。

 

○西山部長 私どもは、それについては今回調査はしておりません。基本的に、調査事項はほぼこの中に網羅しておりまして、単純集計はほぼここに入っております。むしろ、これをクロスで見ていこうかと思っておりますが、基本的には調査事項はこの中に入っているものに限っております。

 

○野村委員 もう1つ、今度は国民年金基金連合会さんのほうなのですが、自動移換について、これはかなり衝撃的なデータだと思います。私は前にも伺ったことがあって、今回もその気持を新たにしました。15頁のデータを見ると、おっしゃるように相対的には比較的少額の方に自動移換の方が多いというのは感覚的にも理解できるのですが、そうは言っても100万円、200万円、場合によっては400万円超の所にも自動移換の棒グラフが立っております。こういった非常に金額の高い自動移換の方がいるのは、どのように考えればいいのかな、というのが質問です。

 

○日原部長 いまのご質問の点ですが、私どもは自動移換者へのアンケート調査を行いまして、その結果から見ると、中にはもう手続などをよくご存じで、その上でご自身による資産運用を避けるという言葉は変ですが、こちらを選んでいる方がいらっしゃるのかなと思います。はっきりしたことは分かりませんが、高額資産者の方にはそういう方も比較的おられるのかなという感じを持っております。

 

○森戸座長 自動移換の人は、アンケートにしっかり答えてくれるけれど、移換はしない人たちだということですか。所在不明になっているわけではないのですね。ついでですが、企業年金連合会さんはいろいろ要望などもおっしゃってくださったのですが、国民年金基金連合会さんは要望ではないのでしょうが、自動移換の問題なども含めて、制度はこうあるべきではないかというようなことがあればお伺いしたいのですが。

 

○日原部長 本日は、制度の概況の説明ということでうかがっておりますので。

 

○森戸座長 それでは、次回以降お願いしたいと思います。ほかの方は、いまのお二人のご説明について何かご質問等ありますか。

 

○藤井委員 企業年金連合会からの資料の中で、改善要望事項の点について伺いたいと思います。制度の運営面で、事務の簡素化・迅速化の点について改善要望を出しておられるのですが、これも今後重要な論点になっていく点ではないかと思うのです。今日のところは、こういう要望をお出しになるということは、逆に言えば現状で何らかの差し障りがある、論点となる事項があるということかと思いますので、その点についてご説明いただきたいと思います。

 

○西山部長 私どものほうで、いま厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金と、それぞれ関係者で委員会を設けて、いろいろな関係者の要望を聞いております。そうした中で、聞いてきたものをここに整理したものがこの事項です。例えば、いま言われた事務の簡素化・迅速化ですと、規約変更がかなり詳細な事項になってきたり、非常に手続に時間がかかるということがあって、制度を運営する側からすると、自分の基金の運営などもありますので、できるだけ速くしてほしいとか、もう少し簡単な手続にならないだろうかという要望がかなり出てきております。それを1つの例としてここに書いたということです。

 

○藤井委員 要は、事務と言っている内容は、申請認可の辺りに関わる事項と理解してよろしいのですね。

 

○西山部長 そのように考えていただいて結構です。

 

○駒村委員 国民年金基金連合会の資料で、1つだけ教えていただきたいのですが、10頁の地域別の加入率ですね。これがこんなに違うのは、年齢だけではないような気がするのですが、これはどのように分析されたのですか。

 

○日原部長 私どもの想像ですが、加入者の方については、そこでどのくらい加入に力が注がれているかということで、こういうばらつきが出てきていると思っております。

 

○駒村委員 制度の周知ということですか。

 

○日原部長 はい。

 

○森戸座長 それがなぜ違うのかが分からないかというご質問ですね。

 

○日原部長 運営管理機関がかなり加入に力を入れている所では、やはり加入率が高くなっていると思っております。

 

○森戸座長 よろしいですか。

 

○駒村委員 はい。

 

○島崎委員 企業年金連合会さんにお伺いしたいのですが、税制改正要望の中で、拠出限度額の引上げだけではなくて、撤廃ということまでおっしゃっていますね。企業年金連合会は、確定給付企業年金や確定拠出年金、厚生年金基金などいろいろな年金プランを持つ会員を抱えている中で、それぞれの差別化、相違に対してデリケートな問題があると思うのです。確定拠出年金について、先ほど駒村委員が遠藤副本部長にお聞きになったことと関係するのですが、企業年金には、労使合意に基づく私的な自治の尊重との要請のもう一方で、税制上の優遇を行う以上それには公共性も求められる。この2つの要請が絶えず働く中で、拠出限度額の引上げにとどまらず撤廃までというのは、どういう理由に基づくものなのか。もしお考えがあれば教えていただきたいと思います。

 

○西山部長 先ほどの資料にも若干書いてありますが、島崎委員がおっしゃったように、いま私どもは確定拠出年金、確定給付企業年金、厚生年金基金等を検証しておりまして、厚生年金基金や確定給付企業年金についてそういう限度額が設けられているわけではありません。制度の普及という意味からすると、望ましいものとすると撤廃していただければ一番ありがたい。ただ、もちろん制度の制約等があるでしょうから、そうした意味で選択として撤廃または引上げということで整理をしています。

 

○森戸座長 それに少し関わるのですが、これも企業年金連合会さんにお伺いしたいのですが、連合さんや経団連さんの要望は、労働者なり経営側なりの声の集約と捉えればいいと思うのですが、企業年金連合会さんが要望として上げてくるものはどのように捉えたらいいのかということです。それは、まさに企業年金を運営している現場の人からの要望ということですか。そうすると、制度を労使合意で運営しているとすれば、非常に中立的というか、企業年金の現場からの声のような感じで捉えればよろしいのですか。

 

○西山部長 そう考えていただいて結構だと思います。実際制度を運営しているものとして、企業年金が今後発展・普及していくためにこういう点をもっと改善していただければ、さらに制度として発展・普及して、皆様のお役に立てるのではないかということで、要望と考えていただければよろしいかと思います。

 

○森戸座長 わかりました。ほかにいかがでしょうか。

 それでは、いまのお二人のご説明も含めて、今日の会議全体について、時間まで自由にご質問、ご意見等フリーディスカッションをしていただきたいと思います。フリーと言うには時間が少なくて申し訳ないのですが、何でもかまいませんので、残りの時間で今後のことについてもご意見をいただければと思います。

 

○藤井委員 このタイミングで言うべきことかどうか躊躇があったのですが、連合のほうから支払保証という発言があったかと思うのですが、企業年金連合会として厚生年金基金に関して一定の類似の制度を実施しておられることから、感想なり意見がおありならお伺いしたいのと、経団連としてこの時点で発言されたいことがあればお伺いしたいと思います。

 

○西山部長 私どもは、現在厚生年金基金について支払保証制度を運営しております。実は、かなり前から制度はあったのですが、厳しいときに解散基金が出てきて、それに対して給付をしております。そうした意味で、支払保証制度が厚生年金基金にとって大きな役割を果たしているのではないかと思っております。ただ、制度自体をどう運営していったらいいかは、関係者のご意見を聞きながらやっていきたいということで、やってきているところです。

 

○遠藤副本部長 支払保証制度については、確定拠出年金、確定給付企業年金の両制度創設時の議論と、基本的にスタンスは変わっておりません。基本的には必要ないという態度です。

 

○小野委員 いま多くの団体でマッチング拠出の要望を拝聴しましたが、私の個人的な感想ですが、マッチング拠出は401K制度で本人拠出が主たる制度の中で企業が補助するものをマッチング拠出と言っていますが、日米では完全に逆転していて非常に面白いと思います。質問は、個人拠出をする場合に所得控除などをやるわけですので、過大な格差の拡大や高所得者の優遇の形にしないようにするために、アメリカの401Kでは、いろいろな意味での加入率や拠出に関して非差別テストを行っているということを勉強しました。もしマッチング拠出ということになれば、財形とは違ってくると思いますので、相応の非差別テスト的な措置が必要になってくるのではないかと思っているのです。その辺りは、皆様方はどのようなお考えなのかをお伺いしたいのです。

○森戸座長 それはどなたに伺いましょうか。

 

○小野委員 ご要望をされている皆さんで、どなたか代表していただければ。

 

○森戸座長 アメリカの法制上の非差別テストのようなものかどうかは別として、いずれにせよ高所得者がさらに優遇なのではないかとの声は当然あるでしょうから、もし実際そのような制度を進めていくとすれば説明が必要でしょうが、その辺りはどうお考えかということになると思います。野村委員、お願いします。

 

○野村委員 導入すべきか否かの答えというよりは、米国に非差別テストがある。このテストは、毎年基準をクリアしないと税制適格でなくなってしまうという重たい制度で、一説ではこのテストは401Kプランの制度運営の負担という意味では、かなり重たく受け止められていると聞いております。米国では、確かに401Kプランのほうが確定給付型の企業年金よりも多くなっておりますが、401Kプランと言えども、中小より小さい企業にとっては導入の負担があるので、米国では個人型のIRAをより職域に活用できないかということが行われてきている経緯があります。そのような議論のときによく出てくるのが、このテストです。これは401Kプランの制度運営上の負担と捉えられているという事実もありますので、もし仮にそのような議論をするのであれば、そのことも十分認識した上で考える必要があるのではないかと思います。

 

○森戸座長 それはそうですね。アメリカでの規制の立法趣旨もありますし、もちろんその状況もありますから、また米国の状況などもこの会で勉強できればと思っておりますので、そのときにその議論もしたいと思います。

 

○駒村委員 先ほど島崎委員もおっしゃったことで、いまの議論にもおそらくつながると思うのですが、マッチング拠出、拠出限度額、脱退制約、いろいろな規制にしても、それをどの程度緩和あるいは拡大していくかは、企業年金の位置付けをどのように考えるかに関わってくるところだと思います。マッチング拠出の大きさも本人の自覚なのか、限度額の普及を議論に考えるのか、あるいは先ほど少し議論したように、公的年金の給付縮減に対する代替的な位置付けのような考え方に拠っていくのか、それが401Kを参考にしていいのか、ドイツのリースター年金のような代替型の企業年金を参考にしていくのかで、企業年金と公的年金の関連というか、企業年金の位置付けも、パーシャルな議論としてではなく、全体をカバーする意味として議論できればいいのではないかと思いました。

 

○森戸座長 そのとおりだと思います。小野委員のご質問に対する答えは、これからまさに会で議論すべきことだと思いますので、次回以降また深く検討するということでよろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。あとお一人ぐらいになりますが、委員の方々、何かご意見はございますか。

 では、これからまだいろいろ議論を進めていきたいと思いますが、最後に事務局から今後の進め方についてご説明をお願いします。よろしくお願いします。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 資料7「企業年金研究会の進め方(案)」です。月1回程度ということで、第2回目は11月上旬、第3回目は11月下旬~12月上旬にかけて開催いただければと考えております。第2回目ですが、関係者からのヒアリング、例えば生保協会や信託協会、レコード・キーピング会社から実態などを踏まえたヒアリングを行っていただいてはどうかということです。 第3回目は、先ほど議論がありましたが、アメリカの確定拠出年金の状況、あるいは確定給付企業年金の状況等につきまして委員からと書いておりますが、小野委員、野村委員からプレゼンテーションをいただいてはどうかという案です。なお、年明け以降については、年内の状況を踏まえて改めて開催予定をセットしたいと思います。

 

○森戸座長 特段ご意見がないようでしたら、いまのご説明のとおりに進めていきたいと思います。 次回は、今後の進め方にありますように関係者からのヒアリングを行い、施行状況の検証を行っていきたいと思います。具体的にヒアリングを誰にしていただくか等は、私が事務局と調整して決めたいと思いますが、よろしいでしょうか。

                               (異議なし)

○森戸座長 それでは、次回の日程について事務局からお願いします。

 

○簑原課長補佐 次回以降の日程について、11月の上旬と11月、12月の日程調整表に関して、お手元に橙色の2枚紙を配付しております。今わかる範囲で結構ですので、ご都合の悪い日に×を付けていただければと思います。現段階でわからない部分がありましたら、そこは空欄で結構ですので、別途皆様の日程について調整してご連絡させていただこうと思いますので、記載をよろしくお願いします。

 

○森戸座長 よろしくご協力をお願いします。それでは、ほかにないようでしたら、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。

 

(照会先)

厚生労働省 年金局 企業年金国民年金基金課 企画係

(代表)03-5253-1111(内線3320)

 

団体