2014年8月20日 第23回社会保障審議会年金部会議事録

年金局

 

○日時

平成26年8月20日(水)16:00~18:00

 

○場所

農林水産省共済組合南青山会館 新館2階 大会議室

(東京都港区南青山5-7-10)

 

○出席者

神 野 直 彦 (部会長)

植 田 和 男 (部会長代理)

小 塩 隆 士 (委員)

柿 木 厚 司 (委員(代理出席))

菊 池 馨 実 (委員)

駒 村 康 平 (委員)

小 室 淑 恵 (委員)

小 山 文 子 (委員)

武 田 洋 子 (委員)

出 口 治 明 (委員)

花 井 圭 子 (委員)

原 佳 奈 子 (委員)

藤 沢 久 美 (委員)

宮 本 礼 一 (委員)

森 戸 英 幸 (委員)

諸 星 裕 美 (委員)

山 口  修 (委員)

○議題

(1)今後の検討の進め方について

(2)企業年金部会の検討状況について(報告)

○議事

○神野部会長 定刻でございますので、ただいまから、第23回を数えましたけれども、年金部会を開催したいと存じます。

 皆様にはお忙しいところを、また不幸が続くような異常気象が続いておりまして、大変お暑い中を御参集いただきまして本当にありがとうございます。

 本日の委員の出欠状況でございますが、柿木委員、佐藤委員、山本委員、吉野委員、米澤委員から御欠席との御連絡を頂戴しております。いずれ、武田委員もお見えになるものと理解いたしております。

 御欠席の委員にかわりまして御出席いただける参考人を御紹介したいと思いますが、柿木委員の代理として、日本経済団体連合会から清家参考人が御出席いただけるとのことでございます。清家参考人の御出席につき、部会の御承認を頂戴したいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○神野部会長 どうもありがとうございました。それでは、お認めいただいたということにさせていただきます。

さらに、御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立していますことを御報告申し上げる次第でございます。

 それでは、議事に入ります前に、事務局のほうに人事異動があったと伺っておりますので、事務局から御出席の皆様方を御紹介していただくとともに、資料を確認させていただきたいと思います。事務局のほうからよろしくお願いいたします。

○八神総務課長 事務局です。

事務局からの出席者ですけれども、まずお手元の座席図のとおりとなってございますので、紹介にかえさせていただきます。

また、ただいま御紹介いただきましたように、前回の部会開催以降、年金局で異動がございましたので紹介させていただきます。

大臣官房審議官の山崎でございます。

国際年金課長の柳樂でございます。

企業年金国民年金基金課長の内山でございます。

数理課長の武藤でございます。

数理調整管理官の山内でございます。

続きまして、お手元の資料について確認させていただきます。

本日、配付資料といたしまして、

資料 今後の検討の進め方

 参考資料1 持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律(プログラム法)で定められた検討課題と年金部会におけるこれまでの主な御意見

参考資料2 国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し  -平成26年財政検証結果-

 参考資料3 国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しの関連試算 -オプション試算結果-

 参考資料4 企業年金部会における検討課題

 参考資料5 社会保障制度改革推進会議について

 以上を配付させていただいております。お手元の資料を御確認いただき、不足等ございましたら、事務局にお申しつけください。

○神野部会長 ありがとうございます。お手元に間違いなく資料が配付されていらっしゃるか、御確認いただければと存じます。

 よろしいでしょうか。

 それでは、大変恐縮でございますけれども、カメラの方々にはここで御退室をお願いしたいと思います。御協力を頂戴できればと思います。

(カメラ退室)

○神野部会長 それでは、議事のほうに入らせていただきたいと思いますが、お手元に議事次第が行っているかと思います。議事の欄を見ていただきますと、本日は、「今後の検討の進め方について」と「企業年金部会の検討状況について」、この2つの議題を設定させていただいております。

既に皆様方御案内のとおり、平成26年の財政検証とオプションの試算の結果につきましては、前回及び前々回のこの年金部会におきまして事務局から御報告を頂戴した上で、委員の皆様方から極めて生産的な御議論を頂戴したところでございます。前回の年金部会の最後に私のほうから、今後の年金制度のあり方について、この財政検証と、それからオプションの試算の結果を材料としながら、国民会議の報告書で取り上げられている諸課題、これを念頭に議論を進めていきたいと申し上げた次第でございます。

本日は、事務局のほうから、今後の検討の進め方について整理していただきました。それについて御説明を事務局のほうからしていただくことになっております。

また、議題2の企業年金制度の検討課題については、企業年金部会において議論を既にされておりました。この検討状況についても、今後の検討の進め方と関連いたしますので、議題1の今後の検討の進め方とあわせて事務局のほうから御説明していただきたいと思っております。

それでは、2点につきまして、事務局のほうから御説明していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○八神総務課長 それでは私のほうから、まず資料「今後の検討の進め方」について御説明をさせていただきます。本日、今後の検討課題の整理をさせていただきたいと思っております。その検討課題の整理をするに当たりまして、まず、これまでの経緯、一体改革ですとか国民会議プログラム法、それから財政検証の結果と、こういったもののまず経緯の御説明を改めてさせていただいて、その上で今後の検討の課題を整理すると、こういった形で御説明させていただきたいと存じます。

1枚めくっていただきますと、表紙、「これまでの経緯」とございまして、2ページをごらんいただきたいと存じます。「社会保障・税一体改革(年金分野)の経緯」という紙がございます。上の枠囲みに、「平成16年改正による年金財政フレームが完成するとともに、社会経済状態の変化に対応した社会保障のセーフティネット機能の強化に着手」とございます。少し具体的に申しますと、この2ページの右のほうに「成立した法律」という欄がございます。一体改革の中で4本の法律が成立しております。国年法等改正法成立以下、4本の法律が成立し、この中で、例えば年金額の特例水準の解消ですとか基礎年金の国庫負担2分の1の恒久化、幾つかの課題がこの中で見直されて改正されてきたという経緯がございます。

あわせて、その2ページの右下のほうに「年金機能強化法附則に記載の検討事項」ですとか「一体改革大綱記載の検討事項」とございます。一体改革を進めていく中で、幾つかの課題、今後の課題というものが検討事項として残されてきたと。主に長期的な持続可能性を強固にしていく、あるいはセーフティネット機能の強化をしていく。こういったために残された課題が幾つかあるということがこの1枚目の紙でございます。

おめくりいただきまして、3ページです。「平成16年改正財政フレームの完成」とございます。前後しますけれども、平成16年の制度改正におきまして、今後急速に進行する少子高齢化を見据えて、将来にわたって制度を持続的で安心できるものとするために年金財政のフレームが導入されております。図でシーソーのようになっておりますが、左側に保険料収入、積立金、国庫負担とございます。これが入りの部分ですが、入りを決めまして、年金額、右側のほうですけれども、給付をその範囲でおさめていくと、こういったフレームをつくりまして、長期的に年金財政が安定する。こういったフレームが平成16年の制度改正でつくられています。

その下に(1)から(4)まで、このフレームの主要な4つの要素ですが、上限を固定した上での保険料の引き上げ。保険料を上げていきますが、上限が固定される。あるいは基礎年金国庫負担の2分の1への引き上げ、積立金の活用、それからマクロ経済スライドの導入と4つの要素がありますが、このうちの(2)の基礎年金国庫負担の2分の1への引き上げ、これがまさに一体改革の中で消費税財源が確保されて、恒久措置として確保された。あるいは、4番目のところですが、先ほど少し触れましたけれども、年金の特例水準の解消ということで、マクロ経済スライドが発動するという前提条件が整う。こういったことが行われまして、平成16年につくられた年金の財政フレームというものが一体改革の中で完成したと考えております。

そういう中で、4ページですが、残された課題ということでございます。具体的な課題として、まさに国民会議の中で取り上げられた年金制度の検討課題、4つほどございます。マクロ経済スライドの見直し、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大、あるいは高齢期の就労と年金受給の在り方、高所得者の年金給付の見直し、こういった課題、これがまさに今後残された、持続可能性を強固にする、あるいはセーフティネット機能を強化するといった観点から残ってきた課題です。

次の5ページですが、社会保障制度改革プログラム法、この中でも4点記載され、長期的な持続可能性を強固にし、セーフティネット機能を強化する観点から取り上げられた4つの課題というものがプログラム法にも規定された、こういう経緯がございます。

6ページをごらんいただきますと、今まで申し上げたところを整理して一覧にしているものです。年金関連4法成立以降の公的年金制度の検討課題ということで、一体改革関連法の検討過程で俎上に上った検討課題、幾つかのものは今ご紹介したプログラム法にも規定されています。また、機能強化法の附則というものに規定された検討課題があり、右下ですが、「機能強化法の施行過程で課題となった検討課題」、これは遺族年金を父子家庭にも支給するという話の施行過程で課題になったもの、こういったものが公的年金制度の検討課題として整理されているということでございます。

続きまして7ページ、8ページですが、「政府の経済財政運営方針等と年金制度」とございます。直近の閣議決定、政府の運営方針ということですが、ことしの6月24日に閣議決定されました「経済財政運営と改革の基本方針2014」、ここで社会保障改革の中で年金についても触れられております。この中でも、財政検証の結果を踏まえた幾つかの課題について検討する。加えて、3行目ですが、企業年金の活用促進等ということで、こういったことも含めて検討するということが触れられてございます。

また、同じ6月24日の日本再興戦略改訂2014、こちらも閣議決定です。少し紹介いたしますと、(11)で「働き方に中立的な税制・社会保障制度等への見直し」ということで、2行目のところです。女性の活躍の更なる促進に向けて社会保障制度等について経済財政諮問会議で、年末まで総合的に検討するというようなことが触れられており、その下の「社会保障制度について」というところですが、3号被保険者の課題などについて触れておりますが、4行目以降、経済財政諮問会議における議論を踏まえつつ、社会保障制度の持続可能性を高める観点や、女性の生き方・働き方に対してより中立的な制度の構築といった観点から、被用者保険の適用拡大や給付・負担の在り方等を含む検討を進めるといったことが触れられてございます。

また、8ページ、同じ日本再興戦略の中ですが、(3)のところには、確定拠出年金の一層の普及といったことで、3階部分も含めた公的年金制度の全体の見直しとあわせて検討を行うといったこと。また、その下ですが、公的・準公的資金の運用等の見直しということで、GPIFのガバナンス体制の強化を図る必要があるということで、下から3行目以降ですけれども、厚生労働省において、当該資金の規模・性格に即して、長期的な健全性の確保に留意しつつ、年金制度、法人の組織論等の観点から今後の法改正の必要性も含めた検討を行うなどということが触れられてございます。政府の方針の中でも、年金制度について幾つかの検討について触れられているということでございます。

経緯に関しまして、最後の9ページです。7として「平成26年財政検証結果、オプション試算結果の総括」という紙でございます。今回、財政検証を行うに当たりまして、年金部会でも御議論いただきまして、幅の広い経済前提を設定して、経済状況によって年金財政がどのような姿になるかというものを幅広くお示しするということで、年金制度と経済社会の関係、持続可能性、年金水準確保のためにどういう対応があるかということ、さまざまな議論のベースとなるものを提示していただくという考えで財政検証を行いました。

その結果から見えてきたということで、大きく2つに分けて書いてございます。真ん中の枠囲みのところでございますが、日本経済の再生と労働市場参加の促進が進めば、今の年金制度の下で、将来的に所得代替率50%の給付水準を確保できることが確認できたということが1つでございます。

ここから言えることとして、その下ですけれども、日本経済の再生を軌道に乗せる。それから、成長に必要な労働力、女性、高齢者が安心して働ける、こういう環境を整備して労働参加の促進を実現するということが日本経済の再生にもつながり、また年金制度の持続可能性を高めるという意味でも、さらに給付水準の確保という意味でも大変重要であるということでございます。経済社会との関係ではこうしたことが言えるだろうと。これが1点でございます。

2つ目、下の枠囲みでございますが、一方で、経済が再生するケースという中でも、基礎年金のマクロ経済スライド調整に30年近くかかる。基礎年金の水準が相対的に大きな低下をしていくという問題をどう考えるか。あるいは、経済が低成長であった場合には年金財政均衡のためには代替率が50%を割り込むことになるといった課題が存在している。この点につきまして、今回、持続可能性を強固にして、セーフティネット機能を強化するという観点から、まさに国民会議報告書でも示された課題の検討に資するように一定の制度改正を仮定したオプション試算を初めて実施したところでございます。このオプション試算の結果、3つのオプションいずれも制度の持続可能性を高め、また給付水準を確保する上でプラスの効果を持つことが確認できたと考えております。

以上、財政検証の結果を、どう見るかといったことも含めまして、また、以上の経緯を踏まえて、今後の検討課題をどのように整理するかということで、11ページ以降をごらんください。

11 ページ、まず「公的年金に関する検討課題」ということで、「平成26年財政検証結果を踏まえた公的年金制度の検討課題」でございます。左に2つ書かれているのは前のページでご紹介した財政検証結果の総括ということでございます。1点目の、まさに経済社会との関係から考えますと、右の枠囲みの上にございますが、年金を支える経済社会の発展への寄与(特に労働参加の促進)の観点から、年金制度としても取り組むべき課題、こういったものがあるのではないか。こういう観点で課題を幾つか整理させていただいております。

4つ、四角の中にございますが、「短時間労働者への社会保険の適用拡大」ということで、「労働参加の促進に向けて、多様な働き方が実現できる環境整備」という視点から、この適用拡大というものをどのように考えるかというのが1つ。2つ目ですけれども、「第3号被保険者制度・遺族年金制度の見直し」ということで、「女性の活躍促進、働き方改革を進める中で、共働き世帯が一般的であることを前提とした制度設計」、こういう視点から、この仕組みをどう考えるか。3点目ですけれども、「第1号被保険者の産前産後期間の保険料免除」。第2号被保険者につきましては、一体改革の中で保険料の免除ということが実現をしたわけですけれども、第1号被保険者についても、出産により就労できない産前産後期間に配慮するという視点からどう考えるかということでございます。4点目でございます。「高齢期の就労と年金受給の在り方、在職老齢年金の見直し→高齢期の就労の促進に向けて、就労インセンティブを高める観点からの制度設計」という視点でどう考えるか。こういった観点があろうかと存じます。

続きまして、下でございます。3つのオプションを実施したということを踏まえて、持続可能性の強化とセーフティネット機能の強化といったこと、こういう観点から取り組むべき課題として、1つは「マクロ経済スライドの在り方」ということで、賃金・物価の伸びが低いケースにおいて、制度の持続可能性を高め、将来の受給者の年金水準を確保という観点からどう考えるか。

2つ目、これは前のものの再掲でございます。「短時間労働者への社会保険の適用拡大」でございますが、短時間労働者に被用者としてふさわしい保障を確保という個人の給付水準の観点、それから、自営業者は国民年金、被用者は厚生年金で保障することを基本とすることで、財政が安定するという制度の持続可能性の観点からどう考えるかということでございます。

3点目です。これも再掲になりますが、「高齢期の就労と年金受給の在り方」ということでは、就労期間と社会保険料拠出期間の延長、個々人の就労と年金受給の選択の幅の拡大を通じて年金水準を確保する、こういう観点からこの問題をどう考えるか。

こういったことで整理させていただいたところでございます。

続きまして12ページです。「公的年金に関する検討課題」の2つ目、「GPIFのガバナンス体制についての検討課題」ということでございます。先ほど少し紹介しました日本再興戦略」を引用させていただきますが、ガバナンス体制の強化ということでございます。独法改革の基本的な方針、下につけております。その閣議決定に基づき、また資金運用の観点から行われた有識者会議の提言、これは一番下につけさせていただいております。25年11月20日のものでございますが、こういった提言を踏まえて、厚生労働省において、資金の規模・性格に即して、長期的な健全性の確保に留意しつつ、今度は年金制度、法人の組織論等の観点から今後の法改正の必要性も含めた検討ということが言われております。年金制度の観点からの検討ということでございます。年金部会でガバナンス体制の強化について御議論をお願いしたいと考えてございます。

続きまして13ページです。ここからは「企業年金制度に関する検討課題」ということで、今までお話ししましたのは公的年金制度の関係です。こちらの13ページは企業年金制度ということでございます。後ほどもう少し詳しく説明いたしますが、まず、《課題設定の視点》というところをごらんください。老後所得保障の柱であります公的年金制度が中長期で給付水準の調整を予定しております。また、働き方の多様化が進む中で、個々人のライフスタイルに合わせた老後の生活設計を支える仕組みが必要であろう。

また、諸外国を見ましても、公的年金と私的年金を組み合わせて老後の所得確保を図るという流れでございます。また、企業年金については、企業年金2法成立時から状況が変わってきている。また、厚生年金基金制度の見直し等ございました。こういうことを踏まえますと、全体的な見直しを行う時期に来ていようかということで、《検討課題》4つほど、企業年金等の普及・拡大、ニーズの多様化への対応、ガバナンスの確保、その他ということで、こちら、企業年金部会のほうで7月のおしまいに検討課題の整理をさせていただいたところでございます。

14 ページでございます。全体を総括して、右、左に分けてございます。「公的年金に関する検討」、それから「企業年金制度等に関する検討」ということで、二本柱で、公的年金に関する検討はまさに財政検証結果を踏まえた年金制度の検討ということで、この年金部会において各検討課題について御検討、御議論いただければということ。それから、GPIFのガバナンス体制につきましても年金部会において御議論いただければと思っています。

一方、企業年金制度に関しましては、ここに書かれている視点を踏まえて全体的な見直しを企業年金部会において御議論いただきたいと思っております。

最後、15ページ、年金部会の検討スケジュールということでございます。この9月以降でございますが、今申し上げた検討課題につきまして、年金部会において月2回程度開催をお願いして、検討課題についての議論を一通りお願いして、年内をめどに議論の整理をしていただければと考えております。

一方、企業年金制度に関しましても並行して、企業年金部会において議論を進めていく予定でございます。必要に応じて合同会議ということも考えたいと存じます。

私のほうからは以上でございます。

○内山企業年金国民年金基金課長 続きまして、参考資料4に基づきまして企業年金部会の検討状況について報告をさせていただきます。

少し後ろのほうになりますが、参考資料4、「企業年金部会における検討課題」という資料をお取り出しいただければと思います。表紙に書いていますように、この検討課題は7月下旬に開催されました企業年金部会におきまして、部会長一任とされました検討課題案に、部会における御議論、御意見を踏まえて必要な修正を加えたものでございます。

1ページおめくりいただきまして、「課題設定の視点」でございます。課題設定の視点として3点挙げておりますが、これは先ほど総務課長からの説明にありましたとおりですので、ここでは省かせていただきます。3点の課題設定の視点を設けてございます。

下の2ページ、「検討課題の設定について」ということで経緯を書いてございますが、6月、7月にかけまして、上の点線の枠囲いに書かれておりますような、関係団体の皆様からヒアリングを実施させていただきまして、先ほどご紹介いたしましたように、真ん中の四角でございますが、検討課題を大きく4つに整理しております。

1つ目が「企業年金等の普及・拡大」、2つ目が「ニーズの多様化への対応」、3つ目が「ガバナンスの確保」、4つ目が「その他」ということでございます。以下、この4点につきまして少し詳しく説明させていただきます。

3ページをお開きください。3ページ以下の資料は少し見開きで見ていただきたいと思いまして、上のページにヒアリングにおける意見や委員の御意見が書かれてございます。それを踏まえて、下のページで今回検討課題として整理したものが掲げてございます。まず、1の「企業年金等の普及・拡大」、その中で「一般企業向けの取組」ということですが、3ページの1つ目の○でございます。ヒアリングにおける意見としましては、DCにつきましては、拠出限度額の制約が強い。そういう意味から、多様な制度設計が困難であるということ。そのため、DBとのイコールフッティングの確保が必要というような意見をいただいてございます。

2つ目の○ですけれども、企業における組織再編、あるいは雇用の多様化に対応するために、労使合意を前提とした制度間移行を可能にすることが必要という御意見をいただいてございます。

また3つ目の○ですが、全ての労働者が加入でき、確実な給付を受けられる企業年金制度を確立することが重要といった御意見をいただいております。

こうした御意見を踏まえて、4ページですけれども、「一般企業向けの取組」としては2点の課題設定をしてございます。1つ目ですが、各企業の実情に応じた多様な制度設計を可能とするための、DB・DCのイコールフッティングの確保ということでございます。2つ目は、企業の組織再編等に対応するための制度間移行に係る手続のあり方やポータビリティの向上といったことでございます。

1枚おめくりいただきまして5ページ、6ページですが、ここでは「中小企業向けの取組」ということでございます。以下では少しヒアリングにおける意見をかいつまんで御紹介いたします。

1つ目の○ですが、DBについて、中小企業にとっては数理計算や事務手続等の事務負担が重いといった御指摘がございます。

2つ目の○ですが、DB・DCの二者択一ではない制度設計が必要ではないかといったような御意見をいただいております。

こうした御意見を踏まえまして、6ページの「中小企業向けの取組」の課題ですけれども、1つ目は、中小企業が企業年金を実施・継続する際の負担、事務手続や数理計算等の負担ですけれども、そうした負担を軽減するための新たな仕組みが必要ではないかということでございます。

2つ目は、労使の継続的な関与・監視を前提としまして、DB・DC双方の特徴を併せ持つような制度設計のあり方を検討すべきではないかということでございます。

次の7ページでございます。2、ニーズの多様化への柔軟な対応ということでございます。主な意見としましては、現行の仕組みでは、従業員、事業主どちらかの片方にリスクが集中しているのではないかということ。それから、2つ目の○ですけれども、純粋なDB・DCの二者択一ではない柔軟な制度設計というのが必要ではないかという御意見でございます。

8ページの「課題」ですけれども、1つ目は、再掲になりますけれども、DB・DC双方の特長を併せ持つ制度設計が必要ではないかということ。それから2つ目は、制度設計の選択肢の多様化を図る場合には、労使の関与・監視のあり方や関係者の役割と責任のあり方について整理すべきではないかという御意見を伺ってございます。

9ページ、10ページになりますけれども、「ライフコースの多様化への対応」ということでございます。9ページの1つ目の○ですが、雇用が流動化している中、ポータビリティ制度の拡充が求められるのではないかといった御意見。また3つ目の○ですけれども、「個人型」確定拠出年金の見直しが必要ではないかといった御意見。それから、最後の○ですけれども、全ての労働者が加入できるような企業年金制度が必要ではないかといったような御意見がございました。

10 ページの「課題」では、各制度間のポータビリティの拡充、あるいは資産移換時のコスト軽減といった課題。そして、2つ目ですけれども、企業年金等における個人単位で加入する仕組みの位置づけ、あるいは個人型DCの適用範囲のあり方、こうしたものが課題として設定されてございます。

11 ページに進みまして、3の「ガバナンスの確保」ということでございます。11ページの主な意見としましては、企業年金は、労使が十分な対話のもとで絶えず関与・監視し続ける仕組みが重要ではないかといった御意見。2つ目の○ですが、受給者保護の重要性、あるいは変動の大きい運用環境を踏まえて、制度のリスクに応じた弾力的なルールが必要ではないかといった御意見を伺ってございます。

12 ページに参りまして、こうした御意見を踏まえまして課題を幾つか設定していますけれども、1つ目は、企業年金の運営全般について、労使が明確な運営方針を示し継続的な関与・監視する仕組みのあり方、2つ目としまして、「一定の積立目標に対する積立不足を速やかに解消できるなど制度のリスク等に応じた弾力的な運営ルールのあり方」、3つ目としましては、制度設計の選択肢の多様化を図る場合における労使の関与・監視のあり方や関係者の役割と責任のあり方、4つ目としまして、制度設計のあり方に応じた効果的な投資教育のあり方、こうしたことが課題になるのではないかということでございます。

13 ページ、14ページ、大きな4つ目のくくりの「その他」でございますが、1つ目は「現行制度の改善」でございます。13ページの1つ目の○ですけれども、DCにつきまして、投資教育や商品除外規定、運用資産選択における自己責任のあり方を検討すべきといった御意見。2つ目の○ですけれども、手続の簡素化に関する御意見。最後の4つ目の○ですが、DCのマッチング拠出に関する御意見を伺ってございます。

それを踏まえまして14ページでは、まず課題の1つ目としまして、DCの運用資産選択について、個々人のニーズ等を踏まえた適切な運用資産選択に資する措置について、2つ目はDB・DCの申請諸手続の簡素化、3つ目としまして中退共などの他制度との関連につきまして、制度間の連携、あるいはポータビリティの向上といった企業年金を継続しやすい措置、4つ目としましてマッチング拠出の取り扱い、こうしたものを課題として整理してございます。

最後、15ページ、16ページですけれども、「公的年金制度や税制等との関係」でございます。15ページの1つ目の○ですけれども、被用者年金制度に加入できていない労働者の適用拡大を積極的に進めるべきではないかといった御意見。あるいは、15ページの一番下ですけれども、退職金制度と老後の所得保障としての制度という2つの観点を踏まえて企業年金制度を議論すべきではないかといった御意見をいただいてございます。

16 ページの課題の設定ですけれども、1つ目は、公的年金給付の水準を前提とした老後の所得確保のための制度として企業年金等の位置づけ、それからそれに対応した税制のあり方。2つ目としまして、再掲になりますけれども、ポータビリティの拡充や資産移換時のコスト軽減、3つ目としましては、個人単位で加入する仕組みの位置づけや個人型DCの適用範囲のあり方といった形で整理させていただいてございます。

以上でございます。

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

議題の1と2、両方に関係いたします資料について御説明いただきました。まず、「今後の検討の進め方について」御説明していただいた上で、企業年金部会における検討状況を御説明していただいたわけでございますが、この2つのテーマは関連しておりますし、もちろん重点は第1の課題にありますけれども、2つの課題についてまとめて御議論頂戴したいと思います。今、御説明を頂戴いたしました2つの資料等々についての御質問でも構いませんし、御意見を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

 駒村委員、どうぞ。

○駒村委員

 4つ5つありますけれども、一気によろしいですか。

○神野部会長

 はい、どうぞ。

○駒村委員

 コメントのほうですけれども、2つほどございまして、公的、私的年金の企業年金の拡充なのですけれども、公的年金の水準が低下するのを代替するという性格が出てくると思いますので、なるべく多くの人が入り、なおかつ低所得者の方も非正規の方も入れるような制度設計にする必要があるのだろうと思います。

この制度の設計の中でもう少し調べていただきたいというか、情報を入れていただきたいのは、イギリスやドイツやスウェーデン等々で公私年金の連携をやっているわけですが、例えばイギリスでは自動加入という制度を入れ、ドイツでは低所得者や子供がいる世帯ほど税制上の優遇が大きくなるような制度にしていたり、あるいは、公私年金の連携という視点から、この優遇する年金については、その商品の中身について踏み込んだルールが導入されているのではないかと思います。

例えば個人型DCで考えれば、口座手数料、維持手数料が高くつけば手取りの運用利回りが下がってしまいますので、運用コスト、マーケティングコスト、それからレコードキーピングコスト、このコストの内容について余り上がらないようにコントロールするような政策が入っている。つまり、ある程度規制的な政策も入っているのではないのかというのが、諸外国で公的年金との代替との関係で優遇している個人年金ではないかと思いますので、そういうところに踏み込んだレポートというか、情報も必要ではないのかと思います。これは1点目、コメントになりますけれども、もし合同委員会が行われた場合はそういう資料もいただきたいなと思います。

2つ目ですけれども、GPIFについては、今回配付されていない資料として、OECDのほうから、以前、日本向けのレポートが出ていたと思います。これはOECDの東京事務所がたしか翻訳をしていると思いますし、それをやはり出していただいて、ガバナンスの議論の資料にしていただかないと、資料としてもう少し多くあったほうがいいのではないかなと思います。

それから、年金部会の専門委員会のほうでもレポートは出ているのですけれども、今回はそれは年金部会の下の専門委員会だということで特段お示しはしていないということでしょうか。なぜ有識者会議のほうの取りまとめだけが示されているのか。専門委員委員会のポイントを示したほうがいいのではないかと思いました。

それが2つ目です。

3つ目は、資料の3ページの説明がこのままで果たしていいのか。これはもう一回確認ですけれども、資料の3ページ目の絵ですけれども、これは非常にわかりやすい絵でいいわけでして、(1)(2)(3)と(4)がバランスとれていますねということで、ただ、これは2009年の標準ケースではこうなっているという話でありますが、この(1)(3)(2)のウエートというのは、例えば今回の経済財政検証では、累積保険料収入を見れば、(1)が65%、積立金のところは16%、国庫負担のところ、(2)が19%、これは100年間の累積で言うと、Eケースの場合はそのぐらいになるわけですけれども、したがって、保険料収入が一番大きいわけですが、AからHのパターンの中でF、G、Hまでのパターンになると年金額の調整というのは下限に引っ掛かるわけです。代替率50%を守る必要があるかどうかは人によっては議論あるかもしれませんけれども、少なくとも現行制度では下限があるわけですから、この説明だと何もしなくても大丈夫みたいに読めるので、ちゃんと下限があって、このF、G、Hのときにはこの調整は限界になっているのだということをちょっと明確にしないと、この下限がまるでなくなったような書きっぷりになっていて、ちょっと疑問になりました。だからこそ、9ページの何かのオプションをやらなければいけないのではないかという話につながってくると思うので、これだけだとちょっと誤解を与えるのではないか。

とりあえず3つくらいで、あとまだありますけれども、また後ほどと思います。

○神野部会長
 わかりました。まず第1点は、公私年金の連携についてはいずれ資料を、それとOECDのレポート等々については御配慮いただいて、何かコメントがあればいただいておいて、最後の3ページ目の今の読み方といいますか、下限の存在についての読み方などについてコメントがあればいただければと思います。

○内山企業年金国民年金基金課長

 済みません。私の説明で飛ばしてしまいましたけれども、参考資料6にも書かせていただいていますように、諸外国でもいろいろな工夫をしておりますので、御指摘のありました、例えばイギリスのNESTですとか、いろいろな工夫をされていますので、そうしたものも踏まえながら、資料も取りそろえながら検討を進めさせていただきたいと思ってございます。

○神野部会長

 ありがとうございます。次のGPIFの。

○森大臣官房参事官

 駒村先生から御指摘いただいたレポート、これは実は植田先生が座長をやっていただきましたGPIFの在り方検討会で公表されまして、それを踏まえて検討会の報告書をつくっていただいたわけでございますので、この報告書及びGPIFの在り方検討会の報告書等につきましても、関連部分を審議の際に御紹介させていただきます。

○神野部会長

 ありがとうございます。3点目の読み方については。

○度山年金課長

 きょうの資料の3ページ目、従来より使ってきた資料で、きょう初めて出したものではないのですが、2004年の改正のときも、いろんな前提を置いたときに必ずしも50%を上回るケースばかりではなく、何があっても、この財政フレームで年金制度を乗り切っていけるのだということではもとよりなかったということです。

このページで申し上げたいのは、2004年改正のときには国庫負担もはまってなかったし、まだマクロ経済スライドも発動されてなかったということで、未完成状態にあったものが、10年たって、一体改革を経て一応完成を見たということを言っているので、これでもう何があっても大丈夫なのだということを言った資料ではないと御理解いただければと思います。

○神野部会長
 よろしいですか。経過として。

○駒村委員

 最初から出てくると何か大丈夫そうに見えてしまうので、これの下限があるからこそ今回の議論をやっているわけですので、ちょっとその辺が確認できればと思いましたので。

○神野部会長

 ありがとうございます。

小室委員、早く御退室、いいですか。

○小室委員

 大丈夫です。

○神野部会長

 では、ほかに御意見があれば頂戴したいと思いますが、いかがでございますか。

どうぞ、山口委員。

○山口委員

 今、企業年金の話も出たので、少し私からも御意見申し上げたいと思います。

駒村先生がおっしゃったのと私も一緒なのですが、従来の企業年金の考え方をそのまま踏襲していくというよりも、新たな考え方を導入する必要があるように思っております。NESTでありますとか、あるいはリースター年金といったようなものを参考にして、従来、我が国の企業年金、個人年金でもそうですが、私的年金というのは、法律で認められたものであっても、任意性が非常に強くて、制度をつくるとか、あるいは加入するといったことはその当人の任意に任されていたわけです。先ほども話が出ていますけれども、自動加入で、NESTの場合なんかそうですけれども、全部入れていくと。入らないということを選択した人だけは除外するといったような、任意性と強制性といいますか、そういったものについても従来とは全然違う考え方を大胆に取り入れるといったことが必要ではないかと思います。前回の当部会の資料でもありましたように、所得代替率が年金受給中には40%程度まで下がっていくわけですから、そういう状況の中で、従来とは違って、公私年金の役割分担というか、年金ミックスということを考える場合には、これまでの考え方の延長線上ではなくて、新たな考え方を導入してやっていかなければいけないと思っております。

それからもう一つ、公的年金の制度の見直しのほうでありますけれども、私は、今回、幾つかポイントを書いていただいておりますけれども、加入する制度が国民年金であっても被用者年金であっても、給付水準が違うというのは、保険料が違うから当然ですけれども、給付水準の違いは別として、制度運営のルールであるとか枠組といったものはできるだけ同じベースになるようにそろえていくということがやはり大事だと思っています。

具体的には、マクロ経済スライドの調整期間が不一致であるとか、あるいは第1号被保険者に係る産前産後の保険料免除の問題といったようなものをできるだけ同じように是正していくということが必要だと思うのですが、そこには当然財源問題が出てくると思います。特に国民年金においては、おそらくそれが一番大きな問題だと思います。

一方で、被用者年金では短期間労働者への被用者年金拡大でありますとか、あるいは標準報酬上限の見直しという問題があるわけですが、実はこれらは年金財政的には剰余の要因になると考えることができると思います。つまり、被用者年金の財政では、基礎年金プラス報酬比例年金の給付を行い得るように保険料が設定されているわけですけれども、パートタイマーの適用拡大をしますと第3号が第2号に振り変わるわけですので、報酬比例部分だけ給付することになるわけですね。したがいまして、同じ保険料で報酬比例部分だけの給付をするという形になるわけです。

同じ理屈で、報酬上限の引き上げをした場合も剰余が出るということになります。仮に適用給与が倍になったとして、今、報酬上限非常に低いですから、それが倍になったということになりますと、保険料の額は2倍になるわけです。しかしながら、給付のほうは、基礎年金は1人分だけですから、報酬比例部分だけの給付がふえることになるわけですので、ここでも剰余の要素になります。給付は2倍にならないということです。

さらに言うならば、報酬上限の引き上げに当たっては、引き上げ分をそのまま給付に反映させるのかどうかといった問題があります。以前の部会で申し上げたのですが、給付乗率は現在1,000分の5.481ということになっておりますけれども、例えば今の上限を超える新たな給与の部分については、この給付乗率を例えば3分の1ぐらいに落として、その部分についてはもう少し低い乗率を適用するといった考え方もあります。

アメリカの場合は、御案内のとおり、給与を3つに分けていまして、アメリカの公的年金は、最初の給与が給付係数が0.9で、次の給与が0.32でしたか、それから最後は0.15だったと記憶していますけれども、そのような、給与が大きくなれば乗率は下がるという体系にしているわけです。ですから、それと同じような考え方で、報酬上限を引き上げるということをやりますと、ここでまた剰余が出てくる。そういった剰余を財源として、基礎年金勘定を通じて、先ほど申し上げましたようなマクロ経済スライドの調整期間の不一致とか、あるいは第1号被保険者の産前産後の保険料免除といったような問題に、制度間での財政支援ということになりますけれども、そういったことも考えて、できるだけ不公平を解消していくということが今後必要ではないかといったようなことで、できれば、そういう財源の計算も含めて教えていただければありがたいし、そういう議論が今後できれば、私としては非常にありがたいと思っております。

以上でございます。

○神野部会長

 ありがとうございます。コメントございますか。

なければ、どうぞ。

○出口委員

 11ページの公的年金に関する検討課題即ち第1のテーマですけれども、いろいろ御苦労をかけてやっていただいた財政検証結果の総括というか、あの結果を十分に考えれば、取り組むべき課題というのはこういうものになるのだろうということがすごくよくわかります。

ただ、マクロ経済スライドについては、理屈から考えてもフルスライドしかないということで答えは出ていると個人的には思うのですけれども、こういう方向で検討していただいて問題はないのではないかと思います。

ただ、検討の視点ということで、労働参加の促進の観点や、持続可能性の強化や、セーフティネット機能の強化の観点から、こういう観点から取り組んでいただくことはそのとおりだと思いますが、もう一つ大事な点が抜けているような気がしていて、それは、将来どういう年金制度をつくっていくのかという根本の考え方のようなものがやはり必要だと思っていて、そんなことはわかっていると言われるかわかりませんが、やはり目的はシンプルな年金制度であると。もちろん、今までのいろんな経緯の積み重ねですから、白地に絵を書くことはできないと思いますけれども、できるだけシンプルでわかりやすい制度を目指す。それから、公的年金と企業年金の整合性を図っていく。シンプルで整合的な年金制度をつくっていくという大きい視点を入れていただくことがやはり必要ではないだろうかと思います。

それから、同じことかもしれませんが、企業年金を検討していただくに当たっては、いろいろ問題点は出ていますけれども、やはりどういう社会を前提に置いてこれからの年金を考えていくのかという観点が要ると思います。3号被保険者の問題に象徴されるように、従来の年金制度は、女性は家で専業主婦でいるということを、無意識か意識的かは別にせよ、前提に置いて絵を書いていたのだと思います。これからの社会を考えるときには、僕自身は、人はどんどん変わっていくのだと、つまり労働の流動化であり、男性も女性も全員働くのだと、そういう社会を前提に置いた制度のつくり方をしていただきたいと、個人的にはそのように考えております。

それから、大変細かいことですけれども、先ほど御指摘があったので、この3ページの絵について意見を申し上げると、この絵も僕は大変不満で、まずこの(4)番の年金で上から矢印があるのは全く要らないと思っていて、この絵を見るだけで、これは何か年金がどんどん減っていくような不要なイメージを市民に与えるような気がしていて、ここは右にちゃんと説明があるわけですから、この矢印は金輪際取っていただきたいと。市民に不安を与えるだけではないかと、できるだけシンプルでわかりやすいものをつくっていただきたいなと思います。

○神野部会長

 ありがとうございます。よろしいですかね。もちろん、視点その他については今後の議論に行かせていただきたいと思いますが。

小塩委員、どうぞ。

○小塩委員

 ありがとうございます。

まず、私も、「今後の検討の進め方」の11ページに書いてあります財政検証結果の総括についてちょっと思うところがあります。左の上のところに書いてありますが、日本経済の再生と労働市場参加の促進が進むと、現行制度でうまく回るという意味の説明があります。しかし、今回の財政検証につきましては想定が甘過ぎるという議論もありますので、ちょっとこの書きぶりは甘いという印象を受けます。

これだと、経済再生と労働市場の参加が現行制度の持続可能性にとっての十分条件になるというイメージを受けるのですが、経済再生のプログラムがうまくいく、それから、労働市場参加を促進することが、現行制度を維持するために最低限必要だという、むしろ必要条件として受けとめたほうがよいと思いました。それが1つです。

それから、メジャーなコメントですが、私は、今後の公的年金制度改革の進め方について、一種の世界標準的なアプローチも必要だと思います。日本の高齢化はほかの先進国以上に進んでおりますので、公的年金改革についても、ほかの先進国がやってきたのと同じようなことは、最低限クリアーしないといけないと思います。

そこで参考になるのは、これまでもいろいろ部会で取り上げられてきましたが、社会保障制度改革の国民会議の報告書にも言及されていた、OECDのPension at a Glance 2011に示されていたものです。そこでは、制度の持続可能性と給付の十分性という互いに矛盾するような目標を達成するためには、そんなに多くのメニューはないということを述べています。何をやらないといけないかというと、1つは就労期間を長期化するということです。つまり、働き手をふやすということです。2番目は、公的年金の給付を困っている人にできるだけ重点的にする努力をするということですね。それから3番目は、公的年金は削減していかないといけないが、それを補完するために退職後の貯蓄を奨励することです。これは、実際には私的年金を拡充することだと思います。

そういう観点から申しますと、まず1番目の就労期間の長期化という点から言うと、私はもう少し支給開始年齢について踏み込んだ議論をしていいのではないかと思います。

それから、2番目の、最も脆弱な人に対する支援を強化するという点から言いますと、今までの年金部会でもいろいろ議論になっておりましたが、1階部分しかもらわないような人たちの給付をどのようにするかを真剣に考えていかないといけないということです。特に、マクロ経済スライドをそのまま適用すると非常に困ったことになってしまうことにどう対応するかが問題になります。

それから、3番目の老後の貯蓄を奨励するという観点ですが、これはまさしくきょう議論が新たに出ましたことで、企業年金のあり方を再検討することが重要だと思います。新規裁定の時点では50%の所得代替率をクリアーできたとしても、それ以降だんだんと削られるということになりますと非常に困ります。それから、可能性は低いかもしれませんが、支給開始年齢を引き上げるということになりますと、退職後と支給開始年齢の間の所得保障をどうするかという問題もあります。そういう部分を現行の賦課方式の公的年金でカバーすることはだんだん難しくなってくるということになると、これまで以上に、私的年金や企業年金の役割が重要になると思いますし、公的年金のあり方と私的年金のあり方合わせた議論をする必要が高まると思います。

以上です。

○神野部会長

 ありがとうございました。

お待たせしました。原委員、どうぞ。

○原委員

 私も、きょうの御説明を聞いて気になった点等について、公的年金と企業年金とそれぞれについて少しコメントさせていただきたいと思います。

先ほどから出ていますとおり、まず、公的年金のほうの最初の御説明の11ページにありますとおり、公的年金の検討課題の中で、労働参加の促進の観点から取り組むべき課題ということで、第3号被保険者制度の見直しというのが挙げられていますけれども、これは検討するには非常に時間のかかることだと思いますし、時間をかけていかなければならないものと思っています。

なぜかというと、いろいろ出ていますとおり、いろんなほかの社会保険制度ですとか、税制ですとか、企業の手当とか、それに対応する評価制度とか、復職時の教育支援とか、いろんな総合的な検討というものが必要で、年金制度だけでというのもなかなか難しいというのがあるのと思います。それと、より前提になるのが、女性、男性、そして個々の年代によってもかもしれませんが、それぞれの立場によって、かなり意識の差があると思われます。意識の問題といいますか、第3号被保険者というものに対しての考え方の違いというものがそれぞれにあると思います。余り一気に大きな題目で議論を広げてしまうと何か感情論的になってしまう可能性もあり、それによって年金制度全体への不信というものにつながってしまうというのも避けなければいけないと思いますので、この部分は、もちろん取り組まなければいけないと思いますが、慎重に議論すべき課題なのではないかと思っております。

そうはいっても方向性をきちっと見据えた上で、まず着手すべき問題である、例えば女性労働者全体に占める割合が多い非正規の方への社会保険の適用拡大ですとか、就業調整といった就業を抑制するような実態の問題の解消へ向けての検討など、入り口はたとえ小さくても、論点の的を絞って、少しずつ徐々に広げていく課題なのではないかと思っております。こういった検討、議論を重ねていく中で、国民の皆さん、年代問わず、女性、男性双方の意識というのも変わっていくかと思います。そういった意味で、第3号の部分については少し時間をかけなければいけないのではないかと、他の制度とも連携しながらだと思いますけれども、そのようなに思っております。

もう一つ、企業年金制度の検討についてですけれども、こちらで7ページ等にもありましたけれども、各企業様への企業年金制度のコンサルをしてきた立場から言わせていただきますと、確定給付企業年金法と確定拠出年金法、この2法が成立してから時間がたっているということで、新たな考え方というものが必要であり、見直しがなされるべきだと思うのですけれども、仮に、何か新たな目新しい制度というものを入れるなどとなった場合、、法律制定当時から、例えば確定拠出年金といった制度を導入して、投資教育、従業員教育をきちっとやっていらっしゃる企業さんに対して何か不公平が生じないような形でお願いしたいなと思います。今ある制度をベースとして、企業年金のさらなる普及やニーズの多様化へ対応していくような形が望ましいのではないかと思っております。

また、ライフコースの多様化への対応についてですけれども、確定拠出年金制度については、やはり個人型をより活用しやすいものにしたり、中途引き出し要件とか拠出限度額など、そういった見直しで、より魅力ある制度にすると同時に、何か自己責任、運用リスクといったことを言われてしまうような制度ではあるのですけれども、実は個人や企業にとってのメリットのある制度であると思いますので、より中立的な立場から正しい情報発信をされるべきではないかと思っております。それと同時に、老後の生活設計含めて、企業が従業員へ公的年金、企業年金、そしてそれを合わせた老後の生活設計、これはお金の面だけではなく、医療とか介護の備えというのも含めて、全体的な教育というものが必要になってくるかと思います。企業の中には年金委員さんなどもいらっしゃるかと思いますので、より積極的にそのような年金等に対する情報発信というものをしていっていただければと、また、そういう支援をしていただければと思っております。

以上です。

○神野部会長

 どうもありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。

では、武田委員、先に。

○武田委員

 どうもありがとうございます。11ページについて2点コメントさせていただきたいと思います。

1点目は、11ページの左側にございますとおり、今回の財政検証の結果でわかったことは、労働参加が進まず、低成長になった場合、つまり、ケースFやHになった場合には、所得代替率は50%を割り込むことが数字上で示されたということです。そのシナリオの下でも持続可能性を確保するためには、オプション試算で示された取組を速やかに検討していくべきではないか、というのが1点目のコメントでございます。

2点目は、左上部分でございますが、日本経済の再生と労働市場の参加促進の重要性です。特に財政検証で得られた結果を見ますと、労働参加が進むケースと進まないケースで大きな差があることが数字上示されております。先ほど小塩先生から「必要条件」というご意見がございましたとおり、これが持続可能性確保の鍵になるのではないかと考えております。

幸いにして、昨年来、景気が回復し、労働市場の需給は改善している、つまり、雇用環境がよくなっているという良いニュースがございます。ただ、業種によっては、一部で人材不足という問題が出てきており、人材不足が成長を阻害するような方向に、例えば受注を見送ったり、あるいは営業を抑制したりせざるをえないとの声も聞かれ始めている状況です。

労働力の減少は、1998年をピークに続いてきたことですけれども、景気が回復して初めて、成長の天井が下がっていることが浮き彫りになったわけです。これから持続的に成長を続けていくためには、その天井を押し上げていかなければならないことが明らかになったのが、この1年の動きだと思います。

そういう意味では、その芽をつぶさないように、むしろ側面支援をいろんな制度で、今こそ進めていくことが重要ではないかと思います。以前考えていたよりは、少し緊急性が高いのではないかと、経済指標を見て感じており、スピード感、つまり比較的早目の改革に向けた議論が必要な時期に来ているのではないかと思いますので、意見として述べさせていただきました。

以上でございます。

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

菊池委員、どうぞ。

○菊池委員

 1点なのですが、これは本当は最後に質問させていただくのにふさわしいことかと思うので、何でしたら最後のまとめのところでお答えいただいてもいいのですけれども、内容というよりは今後の進め方をどうするのかなというあたりです。

さまざまな検討課題がある中で、3年前に議論したときは、非常に緊張感があって、その時は法律改正ありきというのが大前提となっていたような気がしまして、それと今回と比較して、どのようにこれを議論していくのかなというあたりで、プログラム法で提示されている課題もある中で、1つは、その辺を中心に法律改正やるのかやらないのかというところですけれども、つまり、短期的に12月まで議論できるということにある程度絞って、法律改正目指して議論していくというスタンスでいかれるつもりなのか、それとも、もう少し長期的な課題まで広げて、3号の問題ですとか、あとは、はっきり出ていませんけれども、支給開始年齢引き上げというのも長期的には議論になり得ることだと思いますので、あるいは低所得者対策、低年金者対策ということも大事だという話も出ていますが、少し広げて、必ずしも法律改正ありきではないものも含めて議論していくのだという、そういう方向でいかれるのか。多分、多くの方がそのあたり、気になっておられるのではないかと思いますので、現時点で今後の検討の進め方について明らかにできる部分があればお教えいただきたいということで、これは最後のまとめのところでも構わないので、お願いできればと思います。

以上です。

○神野部会長

 法律に結びついたまとめをするのかどうかということですか。今後によりますけれども、それは、何か今のことで事務局のほうからコメントしていただく点があれば伺っておきます。

○八神総務課長

 法律に結びつくかどうか、まさにそれはこれからの年金部会での御議論によるということですが、私ども、必要に応じて、必要があれば法律改正ということももちろん考えなければいけないと思っていまして、それをまさにこれから御議論いただく中で判断していくということだと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○神野部会長

 どうぞ、小室委員。

○小室委員

 ワーク・ライフバランスの小室です。

私からは、先ほど武田委員もおっしゃられていた観点に近いのですけれども、決まったものがいつ施行されるのかというところを非常に、1点驚いたのがあって、短時間労働者への社会保険適用が実際施行されるのは平成28年の10月であると伺ったのですが、余りにも遅いなと感じています。というのも、なぜこれをやるのかというのを考えたときに、未来の労働力、子供を産むということが進みながら、今の女性たちが働ける、今の年金の払い手を労働市場に出しながら将来の年金の払い手をふやす、産んで働けるということを実現しないと、短期と長期の年金の払い手が維持できないからなわけですけれども、ただ、団塊ジュニア世代の女性の出産適齢期はもうどんどん終わっていってしまうのですね。だから、実は女性が働いて産める環境をつくるということに関してはとても急ぐわけなのです。

なので、今後、ほかの女性の就労支援に関することはかなり急がねばと優先順位を上げていただきたいというのもありますし、もう既に決まっている、こういった短時間労働者への社会保険の適用の話も、本当に平成28年なんて言っていていいのかということをもう一回議論いただきたいなと思っています。企業がそれを適用させるときにさまざまな準備に時間がかかるというのはもちろんわかるのですけれども、これを急がなければ、国全体の子供が産まれていかない、国全体が沈んでしまうというような問題ですので、そこの決まった後のスピード感ということもセットで考えていかなければ、本来の狙った労働力人口をしっかりと確保していくというようなことにつながらない、決まったのだけれども、結局その効果は非常に少なくなってしまったということになるのではないかと思っています。

以上です。

○神野部会長

 現時点でコメントいただけることありますか。

○度山年金課長

 施行時期に関係してお話がありましたが、これはどういう経緯だったかということだけ申し上げますと、1つは、おっしゃられたとおり、ある程度システム対応も含めて準備に時間がかかるという問題であることは確かです。新しい標準報酬のランクをつくったりとか、企業への周知とか、適切な手続を踏んでもらうということがあったということがございますのと、もう一つは、これ自体が実は相当政治的な大きなマターとして、3党合意という形で施行時期とか範囲も含めて決められたということですが、やはり新たな保険料負担が生じるということもあって、消費税の引き上げということも視野に入っていましたので、そういうものとの兼ね合いでこのようなスケジュールで設定されたということは御理解をいただければと思います。

その上で、短時間労働者の適用拡大については、28年の10月の施行ということで、施行前の話ということになるのですけれども、問題としては、一歩でも二歩でもこの問題を先に進めていくために何ができるのか、あるいは何を今の段階で確認しておかなければいけないのかという観点から御議論できるように我々も準備したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○神野部会長

 森戸委員、どうぞ。

○森戸委員

 ちょっとさみだれに大きなことから小さいことまでごちゃ混ぜになるかもしれませんが、幾つかコメントさせていただきます。

企業年金部会での議論のことも、企業年金の今後についての御紹介もあって、それから委員の皆さんもそれについての意見をおっしゃっていて、最初の総務課長の御説明でしたか、この二本柱で公的年金、企業年金とやっていくとさらっとおっしゃいましたけれども、ある意味、結構今までは、要するに公的年金の上乗せです、補完です、ついでですとは言っていませんけれども、そういう位置づけだったものが、二本柱だとおっしゃったというのは、非常に大きな一歩というか、ここでこういう議論が出ていること自体もそうですけれども、非常に重要なステップだったのかなと思います。

それで、駒村委員、その他皆さんおっしゃっていましたけれども、企業年金部会、それから企業年金国民年金基金課、役所の設置法とか組織法には別に文句は言わないですけれども、ただ、要するに中身は、今、皆さんの意見で出ていたように、企業年金だけの話ではもはやなくて、私的年金部会かもしれないし、もうちょっと言えば、公的年金以外の老後所得保障確保システムに関する議論の必要性ということだと思いますので、こちらの部会でもそうですけれども、向こうの部会でも、そういう意識で、別に企業がやる年金だけの話ではなくて、実際に個人型DCとかは、既に企業年金という枠をはみ出した話でもありますので、そういうことも含めて議論するべきだし、こちらでもしていかなければいけないのだろうと思います。

それで、まさに公私の役割分担という話でいきますと、国はもう面倒見られないので自分でやれという話だと言ってしまうと、それはなかなか理解が得られないわけです。ただ、他方では、さっきリースター年金の話なんかもちょっと御紹介ありましたけれども、ドイツなんかはシンプルに、公的年金が減るので、それを補うためにかわりにリースター年金導入しました、と言っているのですね。

日本の場合も、その公私の役割分担、企業年金の重要性、今後の発展、私的年金の拡大がどうして必要なのかというその理屈、理論的な説明というのはやはり要るのだろうと思います。例えば、それこそOECDの議論にも出ているかもしれませんが、賦課方式と積立方式が組み合わさっていたほうがいいのだという議論もあるでしょうし、公的年金で全部保険料上げてやるよりも、私的年金で任せてうまくミックスしたほうが効率的にやれるのだということなのかもしれません。いずれにしても、要するに国がもう面倒見ないということだと思われないようにというのですか、なぜ企業年金、私的年金の充実・補完、こういう二本柱体制が必要なのかという理屈、それをつくっていかないといけないのではないかなと思います。

それで、私はその企業年金部会の委員でもあるのですが、さっきイギリスの例とかドイツの例とか、委員の中からも御意見出ましたけれども、企業年金部会のほうでもちろんそういうものは踏まえて議論しています。それで、今日の資料のほうでは、例えば投資教育の充実の必要性みたいなことまでにとどまっていた部分もありましたが、もちろん、投資教育の重要性等について否定するものでありませんが、他方で、あちらの部会のほうでは、そうはいっても投資教育には限界あるのではないか、完全に自己責任、DCの加入者の自己責任での運営という形は限界があるのではないかという議論も出ています。例えばイギリスの例なんかにもならって自動加入とか、アメリカであればデフォルトファンドとか、そういうソフトパターナリズムみたいな方向での規制も考えていくべきなのではないかという議論もあるということは一言申し上げておきます。

あとは、これは細かい話なのですが、公的年金改正絡みで言えば、今まさに出ていた短時間労働者の話、私の読み方が悪いのかもしれませんが、短時間労働者にも社会保険拡大、加入資格拡大する、その方向に別に異論はありません。しかし、加入資格拡大すると労働参加が促進されるよと書いてあるような気もして、3号の問題とセットでならそのようになるのかもしれませんけれども、単純にそういうことでは別にないのではないか。非正規の人にも、あるいはいろんなキャリアパスの人にも、どんな人にも、老後にちゃんと年金を確保してあげるために必要ですよというのならわかるのですけれども、ただ短時間労働者に加入資格を拡大したら、もしかしたらむしろ労働参加が促進されない面もあるかもしれないので、そこはちゃんと既に議論されていることだと思いますが、書き方の問題、読み方の問題かもわかりませんが、ちょっとだけ気になったので、一応一言だけ申し上げておきます。

○神野部会長

 ありがとうございました。

○度山年金課長
 今の点について解説をいたしますと、今日の資料の7ページ目に「政府の経済財政運営方針と年金制度」というところがございます。下の○の日本再興戦略のところに「働き方に中立的な税制・社会保障制度等への見直し」というところがあって、その下に「社会保障制度について」ということでこう書いてございますけれども、私どものこの問題に対する問題意識は、いわゆる第3号被保険者、被扶養扱いになる130万円というところの問題と、もう一つは、被用者保険の適用基準になるところのいわゆる4分の3の基準という2つの基準で、要は両方の利害が相まって、その2つの壁の手前でとどまるというところに妙な合意点ができていて、その結果、労働市場がある意味で歪んだ形になっているという問題意識です。

この歪みを直すと、その結果、中にはもっと働きたい人もいるかもしれないけれども、その手前で何となくとどまってしまっているということが、被用者年金の適用拡大をしていきますと基本的に報酬比例で保険料をいただくという世界に入ってくるということになりますので、あとはどの領域で働いても基本的にはイーブンな負担になるということで、この歪みを是正する、そういうことを通じて人々がより能力を発揮しやすくすると、そういう観点で検討していくことが必要ではないかということです。

7ページに書いた日本再興戦略に関しましては、お読みいただければわかりますけれども、このような意味合いをきちんと書いていただいた上で、最後に課題として、3号の問題と被用者保険の適用拡大の問題はかなりつながっていると思いますので、そういう形で書いてあるということです。

それから、何人かの先生から3号の問題について御指摘いただきましたので、その上を見ていただきますとわかるように、実は税制と社会保障制度、それから、企業がお支払いしておられる、いわゆる給料の一環としての配偶者手当みたいなものについて、総合的な検討が必要だということになっていて、どのような形で議論進められるかはこれからよく内閣府のほうと調整したいと思いますが、経済財政諮問会議で年末までに総合的に検討するということがアナウンスされておりますので、状況をご報告した上で、こちらのほうでも議論を進めていくと、そういう形をとりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○神野部会長

 花井委員、どうぞ。

○花井委員

  適用拡大について、意見を述べさせていただきたいと思います。多くの意見が出されておりますが、この間、2016年10月施行というのは非常に遅過ぎるので、できるだけ前倒しで実施してほしいということを述べてきました。しかし、なかなか事務的に難しいということで、多分そうなのだろうとは思いますが、それはそれであきらめたわけではなくて、ただ、2016年10月にスタートしたとしても、見直しはその3年後となっていて、スタート時の20時間以上ですとか、501人以上の企業であるとか、そういう5つの条件が変わるのはあと4年とか5年先になってしまう。それが今の法律だと思います。ではその間、スタートしてさらに拡大するまでじっと黙っていればいいのかというと、経済のスピード、雇用状況の変動は大きいのではないかと思います。

そこで、1つ、これは質問ですが、5つの条件がつけられて2016年10月スタートということになっているのですが、例えば501人以上、あるいは月収8.8万円以上、それから労働時間20時間以上とあるわけですけれども、これを上回るといいましょうか、具体的には、企業規模で言うと501人未満の企業が先んじて、例えば人材確保のために社会保険があったほうがいいということで加入するということが可能なのでしょうか。強制ではないので、企業の判断で、労使が合意して社会保険に加入していく、短時間労働者を加入させていくということができるとすれば、進めたほうがいいですし、できないとすれば、制度改正が可能なのかどうなのか。これが質問です。

それからもう一つは、雇用情勢が確かに改善して有効求人倍率も上がってきており、さらに正社員化が大手企業で一部進んでいますが、それでもやはり全体で見ると非正規労働者の数はふえているというのが最近の数字だと思います。これからさまざまな働き方が出てくるということを考えたとき、そして現状を見たとき、20時間未満でダブルジョブ、トリプルジョブをしている人、その人たちが一つの企業で20時間に達しない、今でいうと30時間に達しないがために、結果として、どこでも社会保険に入れない。とりわけ母子家庭で子供を抱えて低賃金で働いている女性たちがそこからこぼれているという現状。これからもそういう問題が改善されないとすれば、今後どうしていくのかということをやはり考えていく必要があるのではないでしょうか。来年とかそういう簡単な問題だとは決して思いませんが、とりわけ20時間以上ということでスタートするとすれば、その問題は絶対に出てきますので、中長期の課題だと思いますが、ぜひ検討課題として取り上げていただきたいと思います。

それからもう一つ、資料の12ページです。GPIFの改革の問題です。12ページの一番下ですが、公的・準公的「有識者会議」の提言のところで、2つ目の○の右側のほうに、「合議制により」という言葉が入っております。GPIFの場合、独立行政法人ですが、独立行政法人のままの形態で合議制というのは果たして可能なのかどうなのか。これは質問です。

以上です。

○神野部会長

 質問事項のうち、2点ありますね。

○度山年金課長

 では、最初の2点について、これからの議論のポイントだと思いますので、ファクトだけ確認をさせていただきます。

まず、最初、適用拡大の要件の対象になっていない人が、それに先んじて入ることが可能かどうかということですけれども、機能強化法の建てつけは、被保険者にどういう人がなるかということで規定してありますので、その要件を満たさない方は被保険者となれない形になっているのが今の法律構成だと御理解ください。

それから、2つ目のダブルジョブの関係ですけれども、これも今どういう扱いになっているかということだけファクトを確認しますと、要件を満たす形で加入されている方については、基本的に事業所が複数になった場合には、両方を合算して調整して、それで適用するという形になっていますが、要件を満たさない形でダブルとかトリプルとかジョブをされていても、保険加入にはならない扱いになっています。

今回、20時間のところで拾っていきますので、例えば20時間でダブルワークをしている方がいらっしゃるとすると、従業員規模とか年収の問題はございますけれども、そういう方は新たに被保険者としてひっかかってくる可能性は高まるのではないかと考えます。

○森大臣官房参事官

 GPIFの関係でございます。独法の組織につきましては、長の独任制になっておりまして、基本的な中の組織につきましては長のほうで決定するということになっておりまして、例えば合議制ということでございますけれども、長のほうで決めれば、その中で自己抑制ということで実質的な合議制を導入することは可能でございます。

ただし、法的にそこの機関が決定するということになりますと、これは別途法人形態を変えなければいけないという整理になっております。

○神野部会長

 よろしいですか。

ほか、どうぞ。

○宮本委員

  ありがとうございます。「企業年金部会における検討課題」について意見を申し上げたいと思います。

5ページの「中小企業向けの取組」について「ヒアリングにおける主な意見等」が記載されておりますけれども、以前、中小・零細事業所の現場を実際に歩いてみました。適格退職年金の廃止のときです。それから、代行割れをしている総合型の厚生年金基金に加入している中小・零細事業所の労使それぞれの現場へ行って、多くのところでヒアリングをさせていただきました。

そのときに多く出された、中小・零細の労使の皆さん方がおっしゃったことは、中小・零細単独で企業年金を、持続可能性の高いものを単独で維持するのは非常に難しいということでした。総じてそのようにおっしゃるわけです。それは、中小・零細事業所の場合は、企業年金の運営に係る事務とかコスト面での負担が非常に大きいだとか、あるいは中小・零細事業所単独だと大きなリスク負担の問題もあるということで、そのような、非常に生の声を聞きました。

5ページに記載の意見で、連合の意見にもありますように、中小・零細事業所で雇用される従業員が安心して活用できる企業年金制度にすることは大変大事なことでありまして、さらには、先ほど言いましたように、適格退職年金の廃止のときに見られたように、多くの中小・零細事業所が他の企業年金等に移行できなかったということを踏まえると、厚生労働省としても、当該事業所、あるいは受託機関に対してもしっかりと指導をお願いしたいと思います。

あわせて、3ページの「一般企業向けの取組」のところもそうですけれども、中小・零細事業所で働く労働者や、退職金規程が適用されない短時間労働者も含めて全ての雇用労働者が加入でき、そして確実な給付を受けられる、そういう仕組みや制度を設けることは重要だと思っています。そうしなければ、ややもすると、企業年金の議論というものが一部の正社員のためだけの議論になってしまいかねないと危惧します。非正規労働者の老後の生活設計にも十分に寄与するような仕組みの構築をぜひこの際お願いしたいと思います。

最後に、公的年金の機能強化を図るためには、社会保険の適用拡大というものが大変大事でありますし、不可欠な課題だと思います。その上で、企業年金は公的年金の補完的なものであって、代替機能にはならない、そういうことにさせてはならないと思っています。ぜひこの年金部会でもそのことを共通認識としていただきたいと思います。

以上です。

○神野部会長

 ありがとうございます。

藤沢委員、どうぞ。

○藤沢委員

 ありがとうございます。2点ございます。

1つ目は、菊池委員の御意見とつながるところで既にお答えもあったのかもしれませんけれども、改めて。今後の年金部会検討スケジュールで2つの議論をすると、財政検証結果を踏まえた公的年金制度の検討課題とGPIFのガバナンス体制ということで、両方、11ページ、12ページを見比べてみると、12ページのほうのGPIFについてだけ、今後の法改正の必要性も含めた検討を行うという文言があって、11ページの公的年金のほうにはそういった文言はありませんので、やはり非常に気になるところで、本当に緊張感持って議論するということを考えたときに、その辺の、12月の議論の整理というところで一体どういったランディングをイメージされているのかというのをもう少し聞かせていただけると大変ありがたいなと思いました。

2点目につきましては、12ページのGPIFのところですけれども、先ほど花井委員から御指摘があった、常勤委員が配置されて、合議制で実質的な決定を行うというような文言がありましたけれども、ガバナンスというのを考えたときに、常勤というのは内部者なので、内部者が合議することでよりリスク管理のできるガバナンスになるのかというのはいささか疑問がございまして、官民ファンドとこれを一緒に議論してはいけないとは思うのですけれども、たしか官民ファンドのほうではどういったガバナンス体制が好ましいかということは官邸で議論されていたと思います。そういう意味では、日本国として、国民の財産を預かって運用するというときの基本的なガバナンス体制というのを、もう少し官邸のほうの議論と整合性を見ながら、こちらのほうも議論できたらよいのではないかなあというのは個人的な意見でございます。

以上です。

○神野部会長

 最初のほうにつきましては、先ほどもお答えいただいたと思いますが、ここで議論を、時間のかかる課題やその他いろいろあるかもしれませんが、精力的に進めながら、まとまり次第、これはどういう課題からどうやって進めていくのかというのにかかわりますが、できるだけまとまったものについてはというお話でしたが、ほかに何かコメントすることがあれば。いいですか、それで。

○度山年金課長

 きょうの資料の5ページ目に、昨年成立いたしました社会保障制度改革プログラム法の年金に関する規定が載っております。それで、4つ代表として、先ほど最初に説明のあったような課題が並んでおりますけれども、これは、基本的にはいずれも年金の給付や負担にかかわることなので、おおよそ何かこの辺に手をつけようと思うと、それはある程度法律的な手当てというのが必要になる課題だと認識しております。

ただ、先ほどもお話ししたように、例えば2番目にある短時間労働者に関する適用拡大の問題というのは、施行がまだ先の形でなっていて、しかも、その先どう考えるかということなので、そういう意味でいうと、全ての課題について全部答えを出してということができるかどうかというのはちょっと今後の議論次第ということでございますけれども、一体改革に関連したつながりのある議論ということでございますし、財政検証でもああいう形で出したわけですので、一通りきちんと議論した上で、どういう課題から取り組むのかということの一応の整理をさせていただければと私どもとしては思っておるということを申し上げたいと思います。

○神野部会長
 ありがとうございました。

○森大臣官房参事官

 先ほど藤沢委員に御指摘いただきました点ですが、本当に今回は年金制度の観点からの検討ということでございまして、年金制度といいますと、システムの中で年金の積立金の運用をどう扱うとかのほかに、もう一つ、専門家に対してどのようにリスク管理をしていくか、特にステークホルダーの観点とかあると思いますが、そういう観点を入れてどのように考えていくというのが非常に重要な御指摘だと、今、御意見を聞いていて思った次第でございます。

○神野部会長

 済みません。お待たせしました。諸星委員、どうぞ。

○諸星委員

 ありがとうございます。私のほうからは1点、ちょっと印象ということと、もう一点はちょっと質問ですね。それについて回答いただければと思います。

まず印象というのは、2ページにありますように、先ほど菊池委員もおっしゃっていましたけれども、3年前に比べたら、この3年間の中において具体的にいろんな法律が成立されたということは、年金部会に関与している一人の委員としては非常にうれしいことですし、あと、逆に、全体的なマクロの部分で言うと、それはきちんと決まっているのですけれども、すごく細かい部分で言うと、非常に現場目線でいくと、例えば70歳での繰り下げ請求の見直しとか、非常に細かいところできちんと整理がされているということで、私はとても進んでいるのではないかなという印象を持っております。

それで、引き続き検討するという今回残された事項についてはこれから具体的に検討に入られますけれども、正直、大変難しい問題が残されてしまったなということは思っています。ただ、当初議論されたことに比べて社会の情勢も変わってきておりますし、先ほど武田委員もおっしゃっていましたが、女性の雇用に関してとか、スピード感、それと雇用が、今現場では、やはり非正規から正社員、大手だけではなくて、中小も、パートから契約社員、あるいは正規社員にせざるを得ないという動きが来ていますので、実は平成13年に女性と年金検討会、もう13年前ですけれども、まさに今回3号の被保険者に対する複数の改革案を見ると、今でも同様の問題が同じように指摘されているのですね。でも、この13年間の間に何も、正直、進歩してないとは言いませんけれども、ほとんど進歩がないということです。

でも、先ほど武田委員がおっしゃったように、やはりスピード感と、情勢が変わっているということなので、今、財政検証で女性の雇用を促進する点も含めて一層この年金部会で今後議論が進む印象があると私は思っております。

もう一点が、4ページにあります、これから具体的に議論されていくと思いますが、高所得者の年金給付の見直しの中で、再分配ということもあると思うのですが、ここでちょっと確認したいのが、実は年金受給権者からの自主的な申し出による支給停止という制度が平成19年からできているのですね。現在どのぐらいの方々が支給停止の申し出をされているのかということをちょっとお尋ねしたいのと、支給停止にする理由、例えばほかに高額な、いわゆる所得があるので、年金は自主的に受けていませんよとか、理由がわかることがあるのであれば、それを今後議論の中で、もしかしたら何かヒントになるのかなと思っておりますので、その点について、もしおわかりになればで結構なので、回答いただければと思います。

以上です。

○神野部会長

 できますか、支給停止の。

○度山年金課長

 確認したところ、今年の5月末現在で、支給をとめるという申し出をされておられる方が全国で550人いらっしゃるそうです。ただ、どういう理由でというところまでは調べておりません。

○神野部会長

 よろしいですか。

駒村委員、どうぞ。

○駒村委員

 ちょっと踏み込んでいきますけれども、委員同士の議論も必要ではないかと思うのですけれども、幾つか大事な意見があったのかなあと思っていて、全部で4つほどあります。

先ほどの藤沢委員のお話ですけれども、この積立金は公的年金の財政のためだという、かなりはっきりしたものといけない。保険料としての拠出者の性格があるので、税金とはちょっと違うので、そこはガバナンスの問題としては、やはり労使が、拠出者としてどうかかわるかというのがとても重要なポイントではないのかなと思います。

それから、先ほどの宮本委員の御発言が実はとても大事なところだとと思ったのは、公的年金と私的年金の代替という言葉ですけれども、これは先ほど出口委員も、この3ページの絵が非常に人を不愉快にする絵であるとおっしゃったのですけれども、財政フレームとしてはこういう形状になっていて、これは事実なのですけれども、だから何もしないでいいのかということではなくて、これはだから、落ちていってしまうのは仕方がない、マクロ経済スライドでやるしかないわけですけれども、それを補完するというか、それを代替と言うかどうか、補うために、横から私的年金への税制上の優遇措置が入ってくるのだよと。私的年金への支援が入ってくるのだよと。

だから、もし先ほど森戸委員がおっしゃったように、公私年金二大柱というようなことで、なおかつ、公的年金の絵の中に私的年金が入ってくるという絵がすごい意味があるということならば、この絵の中に、横から私的年金を支援しますと、だから、そこは政府がなるべく多くの人が入れるように支援しますと明瞭に一枚の中に書けばいいのではないかなあと思ってお話を聞いておりました。

それから、山口委員のお話は、賦課限度額を上げるというのは大変魅力的な話ですけれども、気になるのは、給付と負担の対応関係がさらに弱くなってしまうのが心配なので、もう一案としては、ちゃんと給付には反映させ、それに課税して、年金課税を基礎年金の会計に必ず戻す目的税的な課税で返してあげると、税の効果としてと社会保険の効果として何とかできるのかなあという案もあるのではないかと思いますけれども、これもまた大きな話だと思います。

これは、今、委員同士の議論でふと思ったことを申し上げたのですけれども、事務局に1つ質問です。きょうの資料の参考資料1は説明されなかったと思いますが、その4ページ目の5番目に「60~65歳の者を強制加入にして」云々と書いてあるのですけれども、オプション3はここにはめ込んでいると。だから、随分小さい扱いになっている。オプション3については、例えば60~65歳までの人の例えばオプション推計をやった際にはどういう前提で、例えば納付率をどう設定してああいう姿になっているのかとか、そういう情報がまだないので、このオプション33などを議論していくに当たっては、その前提として、今の現状はどうなのか、どういうケアをしなければいけないのかという次のステップの議論に入るためには、もう少し全体的にオプションの前提の説明をいただいたほうがいいのではないかと思いました。

以上です。

○神野部会長

 ここについては何かコメントございますか。

○武藤数理課長

 ただいま駒村委員から御質問のありましたオプション3での60歳代前半の計算方法についてですけれども、基本的には60歳から65歳までに引き上げることになりまして、保険料を納付された方は基礎年金の拠出金算定にされるとしています。つまり、2号被保険者、今でもサラリーマンとして働いている方はいらっしゃいますし、その方は2号被保険者の拠出金算定になりますし、それに伴う被扶養配偶者を3号被保険者として拠出金算定対象者としています。

それで、1号被保険者につきましては、今までどれぐらいの方が払っていらっしゃるか、データがないのですけれども、基本的には50歳代後半ぐらいの方の納付状況と同程度のものを払われると仮定しまして、1号被保険者も1号の拠出金算定とするということで考えております。

○神野部会長

 出口委員、どうぞ。

○出口委員

 1点だけですが、議論を聞いていて1つ気になったことがあるのですけれども、公的年金と企業年金、つまり私的年金が二本柱というのはよくわかるのですけれども、この二本柱は同じようなウエートの二本柱ではないと思うのですね。本当に困っている人は一定の確率でどのような社会であれ必ず生じると思うのですけれども、その人は私的年金などためられるはずがないので、公的年金は本当に困っている人にできるだけ丁寧に対応していくと、私的年金は自立できる人を中心に設計すると、そういう意味での二本柱であって、必ずしもこれは並行的な二本柱ではないと僕は思っているのですけれども、その二本柱という言葉も、あの絵の話に戻りますけれども、ある意味では同じように、この2つで支えていくのだということにやはり誤解がないように、そこはちゃんと価値の序列みたいなものをつけていただければと。それはもうお考えになっていると思うのですけれども、ちょっと二本柱という言葉でそこの点が気になりましたので、一言申し上げました。

○神野部会長

 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

どうぞ。

○清家参考人(柿木委員代理)

 先ほどから一部、高所得者に対する保険料負担だとか給付に関して御議論がありましたが、それにつきまして、必ずしも賦課上限を上げることだけが選択肢ではないと思います。ある意味、財政対策というか、取りやすいところから取るという印象も受けます。いろいろなオプションがほかにもあり得るのではないでしょうか。例えば、以前、法案にも盛り込まれてなくなってしまいましたが、基礎年金の国庫負担部分の一部を減額するとか、いろんなやり方があると思いますので、そこは幅広く考えていただきたいなというのが1点でございます。

もう一点は、適用拡大につきまして、28年10月施行が遅過ぎるのではないかという御指摘をいただいておりますが、私どもが伺っている限り、短時間労働者をたくさん雇われている業界の皆さんは、今、相当御苦労されています。これは年金保険料の問題だけでなくて、健康保険をそれぞれお持ちで、その健保をどうやってマネージしていくのかという問題もありますので、28年10月からさらに踏み込むような話をされる場合、ぜひ、柿木委員からも申し上げておりますが、年金の問題だけでなくて、医療保険の問題もあわせて御議論いただければと思います。

以上です。

○神野部会長
 ありがとうございました。

○植田部会長代理

 一言だけ。GPIFのガバナンスについての議論のあり方というところで、既に複数の方から指摘ありましたが、最初に駒村先生ですか、過去にさまざまな委員会等でガバナンスのあり方についていろんな議論をして、ある種、議論出尽くしのような感じもあるように思いますので、それは要領よく整理していただいて、その上でもう一回議論ということが望ましいと思います。

ただ一方で、そういう議論をしますと、やや白地に絵を書くとか、何となく浮世離れした議論になってしまうという感じも、昔やっていてしましたので、もう少し地に足がついた議論という意味では、運よく報じられているところによりますと、GPIFのほうから新しい、基本ポートという名になるのかどうかあれですけれども、新しいポートフォリオ、あるいは運用の姿が年内にも、あるいはもうちょっと早いタイミングで出てくるという話もありますので、それを見てみますと、現状、GPIFは形式的にはガバナンスはほとんど変わっていないのだと思いますが、実質的には多少、あるいはかなり変わりつつあるかもしれないという中で動いて出てくる案でしょうから、その案に恐らくいい点も悪い点もあると思いますので、その辺を議論しつつ、ガバナンスのあり方に踏み込むということができればと思います。

私の感想です。

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

それでは、ほかにないようであれば、そろそろ予定の時間でございますので、一応本日の議論を締めくくっておきたいと思います。

委員の皆様方には大変生産的な御議論を頂戴したことを深く感謝申し上げる次第でございます。事務局のほうでまとめていただいた今後の検討の進め方等につきましては、こういう視点が抜けているのではないかとか、さまざまな留意点などを頂戴いたしましたけれども、いずれにしても、これからの検討を進めていくに当たって、より実り多いものにしていこうという御提言だったと理解いたしております。

それで、私といたしましては、事務局がまとめていただいたこの検討の進め方及びスケジュールで、この予定でいっても、委員の皆様方には月に2回程度、積極的に御参加いただかなくてはいけないのですが、とりあえずこれを手がかりに進めさせていただいて、本日いただいたさまざまな、抜けている視点とか何とかは、私の運営、私も力がありませんけれども、可能な限り、運営の中で生かさせていただくということで処理させていただいて、本日については、事務局で提示していただいた、まとめていただいた「今後の進め方」について一応御了承いただいたと、したがって、来月からはこのスケジュールに基づいて進めさせていただくということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○神野部会長
 それでは、そのようにさせていただきたいと思います。事務局のほうから連絡事項ございましたらよろしくお願いいたします。

○香取年金局長

 年金局長でございます。

きょうは、お忙しい中、ありがとうございました。今、部会長からおまとめいただいたことで進めたいと思いますけれども、きょう御議論いただいたので、少し私どもの受けとめをちょっと整理してお話ししたいと思っております。

今回、きょう、論点をお示ししたわけですが、これはこれまで一体改革以来さまざま議論されてきた論点をできるだけ幅広に整理するということでお示しをしたものですけれども、きょうまさに御議論ありましたように、この論点に尽くされるものでは恐らくなくて、個別に議論していく中でさまざまな論点が出てくるだろうと思っております。

それから、今回は、再興戦略でありますとか、それから骨太でありますとか、いわば年金制度の外側といいますか、社会保障制度の外側から年金制度に対して、あるいは社会保障に対してさまざまな指摘をいただいていることもできるだけ幅広にお示しをして、いわば外から見て年金制度に求められるものということも含めてお示ししたということでございます。

年金は、5年に1度、財政検証しますので、何となく5年に1遍、制度改正するというふうにみんな思っているのですが、実際は、ことしも年金は制度改正しています。去年もしています。一昨年もしています。一昨年は何と4本やりましたので、ある意味、毎年のように制度改正しているというのが現実の年金制度の姿ということになります。

先ほど、16年改正のフレームの絵で、ちょっと(4)が邪魔くさいという話がありましたが、さまざま御議論ありますが、私どもとしては、この間のさまざまな制度改正で、年金制度というのは、一種、一定の到達点には達しているのだろうと考えていますが、逆に言うと、一種、一定の到達点に達しているからこそ、これから先、5年10年を見据えた大きい枠組での制度改正の議論を今しておく必要があるというのが私どもの理解でございます。

先ほど菊池先生から、法改正を頭に置いて考えるのか、それとも、もうちょっと幅広で考えるのかという御指摘がありましたが、私どもとしては、そういう意味で言えば、あらかじめ法改正事項に絞って議論するということは実は余り考えておりませんで、申し上げたように、一定の到達点に達しているということを前提にしながら、被用者保険、パートの適用の拡大の問題もそうですし、3号の問題もそうですし、運用の問題もそうですが、できるだけ今議論しておくべきこと、今すぐ何かができるというものでなくても、考え方や方向性を整理しておくべきことについてはできるだけ御議論いただいて方向性を示しておくと。その中で、今すべきこと、できることについては臆することなく法律改正を、またことしもやるのかと言われるかもしれませんが、必要とあらばそれは取りまとめいただいて立法府の議に付したいと考えております。

ということで、今まさに神野部会長、取りまとめていただいたとおりで、基本的にはこの枠組で議論させていただきますが、その御議論の中でまた出てきた問題についてはできるだけ受けとめながら議論を深めていきたいと思っております。

以上です。

○神野部会長

 どうもありがとうございました。あと、よろしいですか、連絡事項等々。

 それでは、これにて本日の部会を終了させていただきます。もう日差しは秋の気配でとっぷり暮れ始めておりますが、暗くなるまで御熱心に御議論を頂戴したことを深く感謝申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。

○八神総務課長

 どうもありがとうございました。

次回の日程はまた追って連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 

(了)

 

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