令和4年1月20日 第30回社会保障審議会 議事録

1.日時

令和4年1月20日(金)14:00~15:30

2.場所

オンライン開催(厚生労働省省議室)

3.出席者

委員 ※50音順

秋田委員、荒木委員、今村委員、内堀委員、翁 委員、小国委員、小塩委員、

鎌田委員、菊池委員、楠岡委員、武田委員、立谷委員、田中委員、田辺委員、

津谷委員、永井委員、野口委員、平野委員、宮本委員、村上委員

 

4.議題

(1)全世代型社会保障構築会議・公的価格評価検討委員会について

(2)令和4年度厚生労働省予算案について

 

 

5.議事

議事

○横幕大臣官房審議官(総合政策担当) それでは、定刻になりましたので、ただいまから第30回「社会保障審議会」を開会させていただきます。

まず、委員の皆様、お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

審議が始まりますまでの間、私、総合政策担当審議官でございますけれども、暫時進行を務めさせていただきます。

開催に先立ちまして、事務的な御連絡です。新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催とさせていただいています。御不便があろうかと思いますが、よろしくお願いいたします。

発言方法ですけれども、ほかと同じかと思いますが、画面の下にマイクのアイコンが出ております。今はミュートにしていただいていると思いますが、会議進行中、委員の皆様にはマイクは基本的にミュートとしていただきたいと思います。御発言される際には「手を挙げる」ボタンをクリックして、会長の御指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言いただきたいと思います。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。不都合等ございましたら、事務局宛てにチャットでお知らせいただければと思います。

今日の会議は、動画配信システムのライブ配信で一般公開する形としております。

それから、委員の皆様の中で改選あるいは昨年の審議会後に再任されていらっしゃる方がおられますけれども、恐縮ですが、今日の資料の中の参考資料3-1に委員名簿がございますので、御紹介に代えさせていただきたいと思います。

出欠状況でございますけれども、今、20名の委員の皆様に会場とオンラインで御出席いただいております。総数の3分の1を超えておりますので、会議は有効に成立しておりますことを御報告いたします。

資料はあらかじめお送りさせていただいておりますので、お手元で御覧いただけるよう準備をお願いしたいと思います。

議事次第にもございますけれども、資料1、2、参考資料が5種類ございます。よろしくお願いしたいと思います。

それでは、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきたいと思います。

(カメラ退室)

○横幕大臣官房審議官(総合政策担当) それでは、田中会長、以後の進行をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○田中会長 委員の皆様、よろしくお願いいたします。

早速ですが、議事に入ります。

議事1「全世代型社会保障構築会議・公的価格評価検討委員会について」、議事2「令和4年度厚生労働省予算案について」、事務局から一括して説明をお願いします。

○大島政策統括官(総合政策担当) まず、資料1につきまして、御説明をさせていただきたいと思います。「全世代型社会保障構築会議・公的価格評価検討委員会について」の資料でございます。

全世代型社会保障構築会議・公的価格評価検討委員会が昨年11月9日に発足しました。1枚おめくりいただいたところにメンバーの方々のリストが載っております。全て有識者で構成されておりまして、全世代型社会保障構築会議の委員の先生は17名です。座長は清家先生です。そのメンバーのうち6名の方によって構成されるのが公的価格評価検討委員会です。こちらの座長は増田先生です。

この分担ですけれども、全世代型社会保障構築会議は、社会保障に関連した全世代型社会保障に向けた取組を広く議論していただく場でございます。公的価格評価検討委員会は、看護、介護あるいは保育など、公的価格によって賃金の影響を受ける方の賃金につきまして評価をし、それについての検討を加えるという整理になっております。

全世代型社会保障構築会議は11月に発足しましたが、実質の議論は今年に入ってからでありまして、まだ日程等の調整を行っておりますが、当面、若者、子育て世代に注目した男女が希望どおりに働ける社会づくり等をテーマにして議論を進めていく予定にしております。

公的価格評価検討委員会は、11月9日を含めまして昨年中に3回議論がありまして、中間的な取りまとめをしていただいております。5ページの中間整理がそれです。この内容は、その直前にありました補正予算あるいは当初予算案の内容を前提としております。補正予算の内容が次の6ページにありますので、最初にこちらを説明させていただきたいと思います。

6ページに「看護職員等処遇改善事業補助金の概要」とございます。昨年の補正予算で新たにできた補助金です。今年の2~9月分までの賃金引上げ分を全額国費で補助するというものでありまして、対象となる医療機関の看護職員1人当たり平均4,000円の賃金引上げに相当する額を補助いたします。

対象となる医療機関は、救急医療管理加算を算定する救急搬送件数が年間で200件以上の医療機関及び三次救急を担う医療機関です。

この医療機関にお勤めになっている看護職員が対象となりますが、医療機関の判断により、看護補助者、理学療法士・作業療法士等のコメディカルの方の賃金改善に充てることも可能です。

これは9月までとなっておりまして、今、中医協で議論されていますが、診療報酬改定の中で10月以降の賃金を手当てしていくことになっています。その際、金額が月額平均4,000円から1万2000円に引き上がるという方向です。

次のページからは介護職員、障害福祉職員等を書いてございますが、金額の水準が9,000円といったあたりに違いがあります。こうしたことが年末に決まりまして、それを踏まえまして5ページの公的価格評価検討委員会の中間整理がまとめられております。

細かい字で恐縮ですけれども、【4(2)処遇改善の方向性】で、左側に介護・障害福祉職員、保育士等・幼稚園教諭、右側に看護職員と2つに分けて書いてあります。

左側の介護等に関しまして、ポツの1つ目ですが、処遇改善の最終的な目標は、職種ごとに仕事の内容に比して適正な水準まで賃金が引き上がり、必要な人材が確保されていることだと、されております。

そして5つ目のポツですが、経験・技能のある職員に重点化した処遇改善の在り方について検討し、次なる目標として、すなわち先ほどの9,000円といったことの次の目標として、経験・技能のある職員について、仕事の内容と比して適正な水準であるかという点も考慮しつつ、他産業(適切な他産業がなければ全産業平均)と遜色ない水準とすることを目指すべきということで、引き続き9,000円の後も経験・技能に着目しながら、全産業平均あるいは他産業と遜色ない水準を目指すべきという記述になっております。

他方、看護職員につきましては、右側の箱ですが、経験・技術に応じた処遇ルールの明確化(賃金体系の整備)やタスクシフト・タスクシェアによる業務の高度化・効率化、各職種の養成課程の在り方等の勤務環境の改善について検討するということでありまして、キャリアアップに伴う処遇ルールの明確化などが今後の方向性として示されております。

この紙の一番下ですが、処遇改善に向けた政策手法を実現する観点から、それぞれの分野における費用の見える化やデジタル等の活用に向けた課題等について検討し、年が明けましたので今年の夏になりましたが、来夏までに方向性を整理するとあります。引き続きこうした検討を進めていくことになります。

資料1につきましては以上であります。

○鳥井会計課長 会計課長でございます。

続きまして、資料2に基づきまして、「令和4年度予算案の概要」につきまして、簡潔に御説明をいたします。

めくっていただきまして1ページ目、金額面で見た全体像でございますけれども、厚労省一般会計予算全体で33.5兆円、1.1%、3800億円の増でございます。額的には過去最大となります。

そのうち社会保障関係費が33.2兆円でございます。これが約4000億円弱の増です。これは予算編成過程で自然体の伸びといいますか、高齢化等による増を見込む一方で、薬価改定とか一定収入以上の後期高齢者の2割負担導入等という歳出減の要因も見込んだ結果として、このような伸びになってございます。

参考までに、労働保険特会は4.9%減でございまして、これは雇用勘定で失業等給付金の減を見込んだことが主な要因です。年金特会は3300億円の増でございます。額は非常に大きいですが、率は小さくなっております。

2ページ目、社会保障関係費の内訳でございます。

御覧になりましたとおり、雇用は令和3年度が高かった反動で減っておりますけれども、年金、医療につきましてはそれぞれが4割弱を占めておりまして、伸び率としては1%以下。介護、福祉士等については3%台の伸びとなっております。

3ページ目、令和4年度厚労省予算案の重点事項でございますけれども、令和4年度予算案は新型コロナ感染症への万全な対応と、成長と分配の好循環を大きく目指しておりまして、ポイントといたしましては令和3年度補正予算と一体として編成したというものでございます。したがいまして、補正予算の内容と当初予算の内容を同じ紙にまとめております。

当初予算の内容といたしましては、大きく4つの柱でございまして、1つ目は、新型コロナの経験を踏まえた柔軟で強靱な保健・医療・介護の構築、2つ目は、雇用が中心でございますけれども成長と分配の好循環、3つ目は、子供を産み育てやすい社会の実現、4つ目は、安心して暮らせる社会の構築でございます。

主な項目に絞って少し御紹介させていただきたいと思います。4ページ目以下でございます。

なお、点線で囲った部分が昨年12月に成立いたしました令和3年度の補正予算で措置した事項でございます。

4ページを見ていきますと、1つ目の柱の新型コロナ感染症の経験を踏まえた柔軟で強靱な保健・医療・介護の構築です。

左側、新型コロナウイルス感染症を克服する保健・医療等提供体制の確保のところを見ていただくとお分かりになると思いますけれども、保健・医療等提供体制の確保と、その下の研究開発の推進等についてもそうでございますけれども、かなり大きな部分を3年度の補正予算で対応しております。

4年度予算で対応するものといたしましては、額的には少なくなっておりますけれども、医療関係ですと最初のマルの3つの矢羽がございますが、例えば新興感染症の感染拡大時に対応可能なDMAT体制の整備、あるいは2つ目のマルですと、保健所の人員体制の強化、それから地方衛生研究所の機能強化のための予算を確保しているというのが特色といいますか、新しい部分でございます。

右側、研究開発体制の強化では、国立感染症研究所等の体制強化等がございます。

次に、同じ4ページの右側の地域包括ケアシステムの構築等でございますけれども、これは御承知のとおりこれまで幅広い分野で一貫して推進した政策課題ということになろうかと思います。

具体的には1つ目のマル、感染症対策はもちろん、医師偏在対策、働き方改革の推進など多くの課題がございますので、地域医療構想の推進、看護師の人材確保、薬剤師の資質向上といったもののための予算を盛り込んでございます。

なお、右下の四角囲みの部分が診療報酬・薬価改定等でございまして、これはもう報道されておりますとおり、診療報酬は看護の処遇改善、不妊治療の保険適用等を含めて0.43%、薬価改定がマイナス1.35%でございます。

これらを含めまして、医療提供体制面での新型コロナをはじめとする新興感染症等への対応の強化などを進めていくということでございます。

5ページ目でございます。左側、引き続きの課題でございますけれども、予防・健康づくりやデータヘルス改革を推進していくということで、必要な予算を計上いたしております。

1点だけ、左側の下のほうに実線の囲みで「医療情報化支援基金による支援」が735億円でございますが、ここは医療保険のオンライン資格確認等のさらなる普及とか、令和5年1月からの電子処方箋の運用開始を目指した医療機関等のシステム整備のための経費を盛り込んでございます。

同じ5ページ目の右側でございますが、がん・循環器病をはじめとする疾病対策、その下、医薬品・食品等の安全の確保、そのさらに下、国際保健への貢献、医療の国際展開といったことにつきましても着実に進めていきたいと考えております。

6ページ目でございます。緑のページになりまして、2番目の柱の「成長と分配の好循環」の関連事項でございます。

主なものといたしましては、左の一番上のマル、雇用の維持・在籍型出向の取組への支援といたしまして、雇用調整助成金などでございますが、補正で1兆円強、当初6000億円強を計上いたしております。

その下、上から2番目のマルでございますが、「人への投資」の強化ということで、11月の経済対策で、3年で4000億円規模の政策パッケージということで盛り込んだものでございますが、補正と当初予算でそれぞれ新規として1000億円程度を盛り込んでございます。

その他、6ページ目の右側でございますけれども、多様な人材の活躍促進ということで、それぞれ必要な予算を盛り込んでございます。

7ページ目でございますが、右下、公的部門における分配機能の強化でございます。ここは今、統括官から説明があったところでございますけれども、現場で働く方々の収入の引上げとして必要な予算でございます。補正の1600億円強というのは本年9月までの措置として必要な予算ということで、国費100%、全額国庫負担の措置として盛り込んでございます。当初予算の395億円の部分は、本年10月以降の措置、具体的に申しますとそれぞれの診療報酬とか介護報酬で対応することを想定しておりますけれども、それに必要な予算ということで必要な国庫負担額を計上いたしております。

以上が2番目の柱でございます。

3番目の柱、子ども関係が8ページ目でございます。青い部分でございます。

左上の1つ目のマル、子育て家庭や女性を包括的に支援する体制の構築ということで、母子保健や福祉も含めた一体的な相談体制等の提供のための予算でございますけれども、ここで新たなものといたしましては、ヤングケアラー支援のための体制整備、あるいは困難な問題を抱える女性の支援の充実を図るための婦人保護施設の機能強化、NPO等との協働に必要な経費です。

2番目のマルでございますけれども、児童虐待防止対策・社会的養育の推進ということで、地域における子供の見守り体制の強化等に必要な経費を計上しております。なお、ここの部分は補正予算でも相当の必要な経費を計上しておりますので、併せて対応していくということでございます。

右側の最初のマルも新規事項でございますけれども、不妊治療の保険適用として診療報酬での対応を行うための予算を計上いたしております。

9ページ目、紫色の部分でございます。安心して暮らせる社会の構築でございます。

まず左側、地域共生社会の実現に向けた地域づくりということで、相談支援、参加支援、地域づくりの一体的実施による重層的支援体制の整備促進とか、その下、生活困窮者自立支援、ひきこもり支援、自殺総合対策、孤独・孤立対策の推進に必要な予算を計上いたしております。この部分は、コロナもございますので、3年度補正予算と併せて必要な予算ということで計上いたしております。

右側が障害児・者支援、依存症対策の推進、あるいは水道の基盤強化、持続可能で安心できる年金制度の運営などにそれぞれ必要な経費を計上いたしております。

資料にはないですけれども、政府全体としては、新型コロナウイルス感染症対策の予備費として、令和3年度と同額の5兆円が計上されておりますので、併せて御報告いたします。

参考資料を少しだけ触れさせていただきたいと思います。

11ページ目でございますが、新型コロナ感染症対策では当初予算と合わせて補正予算でかなり多額の財政上の対応をしております。それをまとめたものでございますので、後ほど御参照いただければと思います。

12ページ目、消費税増収分の使途についてでございますが、これまでの予算と同様な対応をいたしております。中でも社会保障の充実ということで、中ほどで4.01兆円を活用するということでございまして、具体的に申しますと13ページで内訳を書いてございますが、消費税収分で合計2.8兆円でございます。医療・介護のところで見ていただければと思いますけれども、上から3つ目ぐらいのシカクですけれども、この中には診療報酬改定における介護職員の処遇改善とか不妊治療の保険適用、医療情報化支援基金、それから介護のところで、ポツの3つ目ぐらいにありますが介護職員の処遇改善、これは消費税財源を活用して賄ったということでございます。

私からの説明は以上でございます。

○田中会長 説明ありがとうございました。

事務局からの説明は以上となります。

ただいまの説明について、御意見、御質問がおありの方は、御自由にどうぞ。

内堀委員、お願いします。

○内堀委員 田中会長、ありがとうございます。

まず初めに、公的価格評価検討委員会についてです。

看護、介護、保育など、現場で働く方々の収入を引き上げていくことは、各分野の人材確保の後押しにつながるものであり、極めて重要です。今回、今年2月から9月までの処遇改善の取組への支援について、考え方が示されました。10月以降の対応についても、経済対策による収入の引上げが一時的な効果とならないよう、また、地方自治体、事業者、被保険者等に過度な負担が生じることのないよう、国において十分な財源確保も含め必要な措置を講じていただくよう、お願いします。

次は、令和4年度厚生労働省予算について、4点申し上げます。

1点目、新型コロナウイルス感染症対策については、緊急包括支援交付金による支援、ワクチン接種体制の確保など、令和3年度補正予算と一体的な措置により予算が確保されたことについて評価をいたします。引き続き、必要な財政支援について御配慮いただきますよう、よろしくお願いいたします。

2点目は、雇用調整助成金等についてです。オミクロン株の全国的な感染拡大による地域経済への影響のさらなる長期化が懸念されます。雇用維持の取組を支援する雇用調整助成金等の特例措置については、4月以降の延長を早期に決定していただくよう、お願いします。

3点目は、診療報酬改定についてです。診療報酬改定の基本的視点の一つとして、新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療供給体制の構築を重要課題として位置づけていただきました。現在、オミクロン株による感染が加速度的に拡大をし、医療や保健所業務の逼迫につながる危機的な段階に突入しています。診療報酬を含めた適切な対応が重要となりますので、引き続き、特段の御配慮をお願いします。

4点目は、国民健康保険における子供の均等割保険料の軽減措置が導入されることについてです。かねてより地方団体から要望してきたものであり、感謝を申し上げます。今回の軽減措置は、対象となる子供の範囲が未就学児に限定をされ、その軽減額が5割とされています。子育て世帯の負担軽減を図る観点から、対象範囲及び軽減割合の拡充についてさらなる検討をお願いいたします。

私からは以上です。どうぞよろしくお願いいたします。

○田中会長 内堀委員、ありがとうございました。主に御要望ですね。

立谷委員、お願いします。

○立谷委員 全国市長会の立谷でございます。

今、内堀福島県知事がおっしゃったことと若干重なるのですが、私のほうから2点ほど申し上げたいところがあります。

1つは、公的価格評価検討ということで、これが今、具体的に看護師の処遇改善、介護士の処遇改善等々の一時金の形で計上されてきています。病院だけではないですが、クリニックもそうなのですが、経営者としては一時金で頂けるような形だと、その分そのままスライドして配るのみになってしまいます。これを継続的にすることになると、当然、保険点数にどうやって反映させるのですかという話にもなってくるし、やはり給料というのは1回上げてしまうと下げるわけにいかないのです。看護師や医療従事者は、特に新型コロナの対応が大変ですし、新型コロナの対応だけではなく、これからの社会、介護士さんも含めて、相対的に給料を上げていかなければいけないと思うのです。しかしながら、一昨年以来、病院はみんな疲弊しているのです。新型コロナ対応による収入低迷が続いています。

そういうところで、継続的に看護師さんあるいは介護士さん、検査技師などの医療従事者の給料を上げ続けていくことは非常に困難なのです。ですから、一時金として頂く分については、そのまま払っていいのでしょうけれども、それを本俸に還元することがなかなか難しい。ということは、今後も継続的に上げた分について、保険点数上で診療所、病院側の収入が担保されるようなことをお考えいただかないと、これはなかなか難しいという問題があります。

病院や介護施設が潰れたら大変なことになりますので、危惧するのです。当然、診療報酬の問題になってくると思いますので、今村先生がおいでになりますから、当然、医師会としてもこのことについては相当しっかりと目を光らせてくださっていると思いますが、今9,000円上げるとか、今4,000円上げるとか、それだけの話にはとどまらないということを踏まえて、後々のことを考えていただいて、取りあえずこれだけ上げますということにしていただかないと、問題が出てくることを御指摘させていただきます。

それと、私のほうから特に皆さんに御紹介申し上げたいことなのですが、不妊治療について、相馬市はここ10年ほどやっていまして、小さな町ですが、不妊治療を受ける際の助成金を出してきました。7年間で192人の人に助成金を出したのです。保険外診療だということもあって、後押しをしたわけです。

192人に後押しをしたら、そのうち54人が成功している。7年間で助成した金額が2400万円ぐらいなのです。約2400万円の相馬市からの後押しで、54人の子供が誕生しているのです。こんないいことはないと、自分で自画自賛しているのですが、不妊治療に掛かる大部分の費用については若い夫婦が自分たちで負担しているのです。保険が適用になるということになれば、保険適用したところに相馬市の助成金がさらに上乗せになるようなことになれば、私はもっと皆さんは不妊治療などに積極的になってくれるのではないか、もっと需要のある政策になるのではないかと思うのです。1つ御紹介させていただきました。これは真剣に考えて、ぜひ推進していただきたいと思います。

私からは以上です。

○田中会長 ありがとうございました。

続きまして、村上委員、お願いいたします。

○村上委員

まず、資料1についてです。少子高齢化や人口減少が急速に進行する中で、私ども連合としても、全世代支援型社会保障の構築を求めております。社会保障の持続可能性という観点から、人材確保と財源確保について問題意識を持っております。

人材確保については、このたびの看護、介護、保育などの現場で働いている方々の収入を増やしていくという方針は極めて重要なことであり、評価しております。

実施に当たりましては、医療、介護、保育などの各分野で確実に賃金の引上げを担保する仕組みを確立し、現場で働く全ての労働者の賃金の継続的な改善により、将来にわたり質の高い社会保障サービスを担う人材の確保につなげていくことが重要と考えております。

処遇改善に係る補助金については本年9月までの実施分ということで、本年10月以降の対応については、一部で既に議論が始まっていると承知しております。

補助金については、例えば介護では、対象となるサービス事業所が限定されていることなど、幾つも課題が残されております。今後の議論を通じて、ぜひ現場で働く者の声を反映させた施策となるよう、要望しておきたいと思います。

さらに、処遇改善の施策について、私たち連合としても加盟組合に呼びかけてまいりますが、これらの分野では労働組合のない職場も多くございます。国と地方自治体との連携で、申請を待つということではなく、積極的なサポートを行っていただくことによって、実効性のあるものにしていただくよう、お願いしておきます。

また、社会保障を支える財源を確保していくことも重要です。コロナ禍での対応としては、この間、医療、介護などの提供体制の確保、ワクチンや検査の実施、生活支援などに政府が全力を挙げてきたことは評価しております。しかし、社会保障給付費等予算額は毎年度増加しておりまして、今後も社会保障ニーズはますます高まっていくと思われます。歳出のメリハリを利かせることのみならず、財源の在り方とともに、社会保障の充実に充てるための安定財源を確保する方策についても、全世代型社会保障構築会議において議論が深まっていくことを期待しております。

また、資料2の令和4年度厚生労働省予算案についても、2点触れたいと思います。

1点目は、コロナ禍への対応として、保健所の体制強化が重要と考えております。感染対応と公衆衛生の強化に向けて、保健所の人員配置を手厚くするなどの抜本的な体制強化を図る必要があると考えております。

2点目に、生活困窮者自立支援に関連いたしまして、コロナ禍の影響が長期に及んでいる中、住まいの確保をはじめ自立支援のニーズが高まるということも想定されます。困っている方に寄り添う自立支援制度となるよう、実施体制を確保していくことが必要と考えております。

以上でございます。

○田中会長 いずれも重要な点です。ありがとうございました。

秋田委員、お願いいたします。

○秋田委員 ありがとうございます。学習院大学の秋田です。

現在、オミクロン株が拡大しておりまして、ニュース等でも保育所の休園が話題になっております。看護、医療、介護等とともに保育士や幼稚園教諭がエッセンシャルワーカーとして社会を支えているということは、今明らかになっているところだと思います。このたび、公的価格評価検討委員会におきまして処遇改善が図られているわけですけれども、この点に関しましてです。先ほどからもございましたが、これが1回限りではなく、今後持続可能になっていくような形が必要だと考えられます。特に、まだ保育士は有効求人倍率も高く、本当に人が足りないというような領域でございますので、このあたりについて今後も継続を検討していただきたいと考えております。

また、今回、保育士に関しましては、新たに賃上げの部分を、「又は」とは書かれていますが、「賃金改善全体の最低でも3分の2以上を基本給に入れるように」ということを要件として書いてくださっております。これは一時的ではなく極めて重要なことだと考えております。今後、処遇改善があるときにも、このような基本給へ入れる形の方向に向かうべきであろうと考えているところであります。

2点目でございます。今回、女性活躍、男性の育休取得の推進というところでも予算が取られております。この点につきまして、男性の育休取得ば、0歳児の保育が減になりますので、それが保育人員においてゆとりを生み出していくというようなことも考えられます。その意味で、男性の育休取得を具体的にどのような形で促進していくことができるのかにつきまして、予算だけではなくて、効果的な政策の在り方につきましても、今後さらに御検討いただきたいと考えているところであります。

第3点でございます。今回、子供を産み育てやすい社会づくりということで、かなりの部分で子供に関連しまして補正予算、それから令和4年度予算で継続的に予算を取ってくださっております。この尽力をくださいました担当官の皆様に御礼を申し上げるとともに、今後、子供の問題は全世代を考えたときに未来投資として大変に重要な意味を持っている公的な資金でございます。今後も、この点について考えていっていただきたいと考えます。特にヤングケアラー、それから若年層の妊婦へのケアなどが重要なところになってくると思います。

以上です。

○田中会長 御指摘ありがとうございました。

続きまして、翁委員、お願いいたします。

○翁委員 それでは、3点申し上げたいと思います。

1つは予算に関わるところでございますけれども、今回、新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえて、しっかりとした医療体制・介護体制などを構築していくということが柱になり、様々な対策が取られているわけでございますが、やはりプライマリ・ケアを充実させるとともに、病院間の連携をしていくというような医療提供体制の強化・見直しが非常に重要だと思っております。その点で、特にデータ連携をしっかりと進めていただくことが非常に重要ですので、一層加速していただきたいと思っております。

それに関連して2点目でございますが、データの活用というのは質の高い医療を提供していく上でも極めて重要だと思っております。データを活用し、価値に基づく医療の評価の仕組みを実装していく。そして、そういったことが治療薬やワクチンなどの研究開発に結びついていくことを大いに期待したいと思います。その点でも、質の高い医療を提供していく上でのデータ活用を一層強化していただくことをぜひ進めていただきたいと思っております。

最後、3点目ですが、今、秋田委員もおっしゃいましたが、少子化対策の重要性でございます。コロナに伴いまして、出生率の低下が一層深刻になってきていると思っております。何としても希望出生率について実現がかなえられるような社会を実現していくことは、本当に日本の将来にとって大事なことだと思っております。

今回、全世代型社会保障構築会議のほうでそれがしっかりと議論されていくということを伺っておりまして、ぜひこれを厚生労働省とともにしっかり議論していっていただきたいと思っております。

少子化の問題は1つの対策で全てが解決する問題ではなく、若者の所得の問題、働き方の問題、子育て支援、さっきおっしゃった育休などもそうだと思いますし、様々な施策を組み合わせて初めて実現していくものだと思っております。しかし、これは本当に重要な課題であると思っておりますので、ぜひ財源も含めて、しっかりとした対策を考えていっていただきたいと思っております。

以上でございます。

○田中会長 ありがとうございました。

荒木委員、手を挙げていらっしゃいますか。お願いいたします。

○荒木委員 新型コロナウイルスの蔓延が長期化する中、医療、介護、保育などの現場で働く皆さんは、徹底した感染防止対策に取り組みながら、利用者に対するサービス提供をしなければならず、その負担は計り知れないものと思います。

こうした現場で働く人材の不足も大きな問題となっており、人材確保のためにも、今般の経済対策等において、看護師や介護職員、保育士等の収入を引き上げるための措置が盛り込まれたことは、大いに評価したいと思います。

先ほど説明のありました公的価格評価検討委員会中間整理にあるように、その仕事に見合った適切な処遇が行われることは大変重要なことであります。今後とも国を挙げて取り組んでいただきますよう、お願いしたいと思います。

ただし、これまでのルールの延長線上で対応することとなると、利用者や被保険者はもとより、地元自治体の負担増にもつながるため、その負担が過度にならないよう、国において、十分な財源の確保も含め、必要な措置を講じていただきますよう、お願いいたします。

加えて、中山間地域や離島など、人口減少、高齢化が先行して進んだ地域では、特に慢性的な人材不足に陥っておりまして、このような地域でも人材が確保できるよう、御支援をよろしくお願いしたいと思います。

私もコロナ禍で改めて実感いたしましたが、命と健康を守る医療や保健福祉の提供を全国どこにいても受けられる仕組みづくりが重要であり、人口減少、高齢化に悩む全国の地域が活力を取り戻し、豊かな地域社会を創出していくことが、全世代型社会保障が目指す持続可能な社会保障制度の構築につながることを強調しておきたいと思います。

以上でございます。

○田中会長 御意見ありがとうございました。

御質問、御意見があれば、どうぞ御自由にお願いいたします。

それでは、小国委員、どうぞ。

○小国委員 鎌倉女子大学の小国でございます。

予算案で慢性疾患及び小児慢性特定疾病の予算をしっかりと取っていただいて、ありがとうございました。継続的な事業が必要でございます。単年度ずつの事業も行われておりますけれども、それについても今後ずっと続いていく事業でありたい、あるべきものだと思っておりますので、そのあたりも鑑みて、今後も予算をお願いいたします。

予算の中には、看護師とか介護士の方々に0.3%増の収入になるようにという具体的な数字が出ておりますけれども、ただ、その0.3%がどこから来ているのかとか、あるいは平均収入に向かってどの程度の改善が必要なのかというような、処遇改善のことに関して例を挙げましたが、PDCAサイクルのような形できちんとした見通しを立てたプランでの予算案を立てていただくと理解しやすいと思います。少なくとも、今回は0.3%を実行するが、もし次年度もまた0.3%実行していくということを今後していけば、○○年には平均収入になるだろうという見通しがあると安心感につながりますし、国民も納得するのではないかと思います。

このように、可能なものだけでもできるだけ分かりやすいPDCAサイクルを示した上で予算を示すか、これから先の予算の目標を示し、この目標に向かって進めるというような目標値があるような中での予算の提示の仕方をしていただきたいと思います。

よろしくお願いいたします。

○田中会長 ありがとうございました。

次に武田委員、お願いいたします。

○武田委員 ありがとうございます。意見を2点申し上げたいと思います。

1点目は全世代型社会保障構築に向けてに関してです。今後の人口構造の変化を見据えますと、持続可能な社会保障の構築に向けて、引き続き総合的な検討や対応が望まれると思います。

弊社が毎年実施しております3万人の調査によりますと、今後の日本社会の不安の1位は10年連続で社会保障による財政悪化でございます。国民不安の緩和や解消は、岸田政権も掲げていらっしゃいます成長と分配の好循環の観点からも必要と考えます。

私も全世代型社会保障構築会議のメンバーの一員ではございますが、持続可能な社会保障の構築に向けて議論をし、総合的な検討や対応に着手する必要があると考えます。

2点目は医療の提供体制に関してです。新型コロナウイルス感染症、足元では特にオミクロン株の感染が拡大する中で、医療従事者の方々をはじめ、介護、保育の現場で第一線で御対応いただいております皆様には、心から敬意を表したいと思います。

同時に、昨年夏の新型コロナウイルス感染症拡大の過程では、医療資源が必ずしも効率的に使われてこなかった、あるいは実態が把握できなかったという問題も浮き彫りになりました。医療の機能分化と連携が進んでいなかったこと、また、データの連携が不十分であったことがあると考えます。

コロナ危機時の体制を一度検証し、危機から得られた教訓を生かし、医療の機能分化と連携、そしてデータ連携を進めていくことが、国民の命を守るため、また、質の高い医療提供と、現場の第一線で働かれていらっしゃる方々の働き方改革の観点から求められると存じます。

よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

○田中会長 ありがとうございました。

次に今村委員、お願いします。

○今村委員 ありがとうございます。日本医師会の今村でございます。

4点お願いをしたいと思っておりまして、私のお願いに関しては、厚生労働省の様々な部会等でも議論されていることではありますけれども、医療現場を担っている者として、改めてこの場でお話を申し上げたいと思っていることがございます。

まず、1点目が医師の働き方改革であります。本当に今までの医師の激しい勤務環境、そしてしっかりとした健康確保策は長年の課題でありました。今般、いわゆる長時間労働の労働時間短縮を行うとか、あるいは健康確保を推進するということで、医療法や労働基準法、そして労働安全衛生法の改正が行われたことは本当に大きな意味があったと思っております。このことは、若い先生方がこれから誇りを持って地域医療に取り組んでいただけるためには大変重要なことだと思いますけれども、大変な大改革でありますので、今後の地域医療の提供体制にどのような影響を及ぼしていくかはまだまだ予測不能な部分がございます。したがって、厚生労働省としてはしっかりと医療現場や地域の実情に十分配慮しながら、丁寧な進め方をしていただきたいと思っております。

特にこの2年間、医療現場は本当にコロナ禍で病院も大変苦労されておられます。そういった病院が2024年から、これはもう法律で期限が決まっておりますから、それに向かって取り組むわけですけれども、拙速に期限が決まっているからといって、現場の状況を考えないでどんどん進めるということがあって、進むことがかえって障害になってはいけないと思っておりますので、この点もしっかりと病院の現場に情報提供していただくこと、また、厚生労働省が支援していただくということを改めてお願いしたいと思います。

2点目はICTの活用でございます。ICTも様々ございますけれども、特に今後のAIの重要性について申し上げたいと思っております。

医療は非常に高度化しておりますし、専門性が非常にどんどん進んでいくということで、知識の習得あるいは事務作業等に時間が必要となります。そのために患者さんに向き合う時間は逆に減ってしまうのでは全く意味がない。AIは医療従事者に取って代わるものではなくて、いわゆる医療者と患者さんが心温まる医療が行えるような支援を行うものであると考えております。

AIの活用は、先ほどの医師の働き方改革にも関係しますけれども、医師が減少する地域、そういった地域での事業を維持するためにも非常に重要でありますし、最先端の技術は、大きな病院だけではなくて地域の診療所等でも活用されてこそ意味があると思っておりますので、ぜひ貴省としても、こういったものに対する支援をお願い申し上げたいと思います。

3点目は、先ほど翁委員からもございました医療情報の活用ということですけれども、次世代医療基盤法が成立したことによって、医療に関するデータの利活用と個人情報保護の両方が図れる仕組みはできたわけですけれども、データの収集や活用等の場面でまだ多くの課題がございます。この点についても見直しの議論が進められているという理解はしておりますけれども、プライバシーを保護した上で医療情報を集めていくこと、あるいは利活用することを、まずは国民の方にしっかりと理解していただくことが一番重要だと思っておりますので、厚生労働省としてもそういった啓発を行っていただきたいと思いますし、さらなる改善を図っていただければと思っています。

最後、これまでも国から新型コロナウイルス感染症に対応するということで、医療に本当に様々な御支援をいただきました。この点に対して本当に感謝を申し上げたいと思っております。

ただ、その仕組みは大変多岐にわたっていて、担当課や手続がばらばらであるなどの問題があり、せっかく支援があるのに、その申請や受領や清算に大変な作業が必要になっていることと、それゆえに支援を十分に活用できていないというお声を聞いております。ぜひとも、そういう現場の事務負担等をできるだけ軽減していただいて、そういった支援の中身をよく整理して、簡易なものにしていただければ大変ありがたいと思っております。

大変長くなりましたけれども、私から4点のお願いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○田中会長 御意見ありがとうございました。

続きまして、津谷委員、お願いいたします。

○津谷委員 ありがとうございます。私からは2点ほど申し上げたいと思います。

まず1点目は、先ほど翁委員も言及されましたが、コロナ禍により出生率が下がっております。我が国では少子化が進行しており、それに対する政策的対応に厚労省も大変力を尽くしていただいているわけですけれども、2020年以降のデータから見る限り、コロナ禍の影響は死亡率よりも出生率に効いているように思われます。つまり、死亡率の増加よりも出生率の低下がより顕著であるように見えます。この出生率低下は、コロナ禍によって子供を産むことを一時的に延期していることによるのか、それとも出生意欲全体が下がってきているのか。先ほど医療サービスに関するデータ収集を充実するべきという御意見が複数出されましたが、人口全般についての統計データ、特に出生と子育てに関するデータをこのタイミングを逃さず収集していただくようお願いします。出生率低下がクライシスファティリティで一時的に落ち込んでいるのか、そうでないのか、これは我が国の将来にとっても大事な情報だと思いますので、そのデータの収集をぜひお願いしたいと思います。まだコロナ禍は続いておりますけれども、2020年、2021年、2022年、2023年頃までは大変重要な時期だと思います。

2点目は、少子化に関連した現象の1つである晩産化についてです。少子化の一側面として、女性が子供を産む年齢が上がっております。コロナ禍によって出産年齢がさらに上がることも考えられます。先ほど、不妊治療の保険適用への円滑な移行に対する政策的支援についての御発言がありましたが、子供は将来への投資だということはその通りであると思います。さらに、不妊治療の公的費用負担はコストパフォーマンスがよいということについて、立谷委員から相馬市の事例を御紹介いただいたわけですけれども、晩産化が進む中で、不妊治療の保険適用の出生率への影響を検証することは重要だと思います。保険適用があることによって、出生意欲が維持され強化されるかどうかを知ることは大変重要であり、不妊治療を受けたい人、実際に受ける人の属性はどのようなものなのかについての情報が必要です。不妊治療が出生に結びついたかどうかということも重要ですが、それに至るプロセスやそれを取り巻く状況、治療を受ける人々の経済状態や働き方といった包括的なデータをぜひ収集していただきたいと思います。それによって、保険適用が円滑かつ早期に実現するよう願っております。

以上でございます。

○田中会長 ありがとうございました。

続きまして、小塩委員、お願いいたします。

○小塩委員 一橋大学の小塩です。非常に詳細な説明をありがとうございます。

私からは2点コメントさせていただきます。

1点目は、看護、介護、保育、幼児教育等々で働いている方々の処遇改善が今回認められたということで、これは非常に結構なことだと思います。ただ、これがどれだけ持続するかまだ流動的なところがありますので、こういう職場の魅力を高めるという面でも、処遇改善は恒常的に進めることをぜひやっていただきたいと思います。これが1点目です。

もう一つは、前半の御説明で、全世代型社会保障構築会議についての御説明がありました。私たちのメンバーの中にも、ここに参加していらっしゃる方がいらっしゃると伺いましたが、要望が2つあります。

1つは、数字で長期展望を出していただきたいということです。2018年5月に、2040年を見据えた社会保障の将来見通しを内閣官房と内閣府と財務省、厚生労働省で出されましたね。そこで社会保障の将来見通しが数字で明らかにされたわけなのですが、このアップデート版をぜひつくっていただきたいと思います。先ほどからも、制度の持続可能性も重要ですという御指摘がありましたが、私もそうだと思います。

前回の見通しは意外と落ち着いていまして、これで結構うまくいくのではないかという印象を受けたのですが、新しい政権になってこのままいけるのかどうか、数字の上でもチェックしていただきたいと思いますので、ぜひお願いします。それは持続可能性の点で重要だと思います。

もう一つは、ワイルドカードというか、我々がまだあまりしっかりと意識していないものの、将来において結構重い問題になりそうな問題をフォワードルッキング的に見ていただきたいという点です。具体的に何かというと、貧困の高齢化です。先ほど予算のお話でも少し出ていましたが、就職氷河期の人たちが無視できない層を人口の中でつくっています。今、その人たちはまだ比較的若いのですが、これから2040年、2050年になると年金受給世代になるわけです。やはり非正規の人が多いし賃金も低いので、現在のセーフティーネットでちゃんと生活保障ができるか、ちょっと怪しいところがあります。それから、現在の生活保護の仕組みでそういう人たちをサポートし切れるのか、非常に不安です。

こういう問題は、今、足元では顕在化していないのですが、これから顕在化してくる危険性があります。しかも、コロナの影響は社会経済的に見て不利な人に重い形で出ていることを示す実証分析が既に出ていますので、ここはこれから注意すべきことではないかと思います。貧困の高齢化ということについても、ぜひこの会議で検討していただければと思っております。

以上です。

○田中会長 ありがとうございます。大変重要な御指摘をいただきました。

次に楠岡委員、お願いいたします。

○楠岡委員 楠岡です。

看護職員の処遇改善の件に関してでありますけれども、今回は介護あるいは福祉の前例に基づいてといいますか、見習って作成されているかとは思うのですけれども、制度上の大きな違いとしまして、介護、福祉の場合には、処遇改善を行いたいという施設で実際に行えば補助金が頂けるのに対して、今回病院におきましては外形基準が既に定められていて、改善に取り組もうとしても、その基準を満たさないところ、すなわち三次救急あるいは二次救急で救急車を200台以上受け入れているという外形基準があるために、補助金が受けられない施設が出てくる。こういう点が1点。

もう一点は、介護のほうでも問題になりましたけれども、現在、医療はチーム医療ということで、看護師さんだけではなくてその他の多くの職種が一緒になってやっている中で、現状においては看護師の職員数での補助金という形になっております。当然、病院判断で他の職種にも配分できることにはなっておりますけれども、しかし、頂けるお金の上限が看護職員数で定まってしまっておりますので、配分しようとするとこれも結構大変なことになってくるかと思います。

この制度を皮切りに、もしこれを恒常的なものにして、さらに職種あるいは病院数を増やすとなると、診療報酬との関係とかで、また患者さんあるいは保険者への負担も増えることになりますので、慎重な検討が必要だとは思いますけれども、ぜひ広く、病院職員全体に、そして全ての病院に行き渡るような制度設計を検討いただければと思います。

以上であります。

○田中会長 処遇改善についての御意見でした。

次に平野委員、お願いします。

○平野委員 ありがとうございます。

今回の現場あるいは世の中のニーズに即した予算の計画、そして獲得されたことに、本当に敬意を表します。すばらしいと思いました。

そして、事前の御説明も昨日いただきまして、そのときに私が疑問に感じたことはすぐに御回答いただいているので、ここでは質問いたしませんが、早速の御対応ありがとうございます。

今ここで私が1つだけ提案というか、もう既に取り組んでいるかもしれませんが、病院や産婦人科、全ての医療機関で、当事者だけではなくて、当事者を取り巻く方々の環境を整えていくための、ITの導入やWi-Fi環境の整備は必要ではないかなと思っております。

例えば、今日偶然、私は母の検診にどうしても付き添わなければいけなくて、今、都内の某病院の中でこの会議をずっと受信していたのです。実は、近くの貸し会議室はどこも空いていなくて困ったなと思っておりましたら、何とこの病院の中にコンセントが使えるところがあり、そこでパソコンも使っていい、受信もしていいですよと言われました。また、この病院には1階のロビーのそばに携帯電話が使える広いスペースがあるのです。これは要するに病人あるいはお医者さんだけではなくて、付添いに来る人たちの仕事を妨げないようにもできるのだなと思いました。

今、妊婦さんなどでお仕事をされている方も多いと思いますし、そうしたなんらかのITの導入と社会生活を妨げない環境の整備ぜひ促進していただきたいと思います。

以上でございます。

○田中会長 ありがとうございました。

ほかにございませんか。

御意見、御質問が出尽くしたと感じますので、本日はここまでといたしたいと存じますが、よろしゅうございますか。

それでは、厚労省においては本日の御意見を踏まえつつ、社会保障制度の運営や改革を一層進めていただくよう、お願いいたします。

委員の皆様には、御多用のところ御参加いただき、また貴重な意見を頂戴し、どうもありがとうございました。

これにて終了いたします。

 

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