令和5年1月30日 第31回社会保障審議会 議事録

1.日時

令和5年1月30日(月)16:27~17:30

2.場所

オンライン開催(厚生労働省省議室)

3.出席者

委員 ※50音順

荒木委員、植田委員、内堀委員、遠藤委員、岡委員、岡部委員、小国委員、

小塩委員、角田委員、菊池委員、楠岡委員、新保委員、砂上委員、武田委員、

立谷委員、津谷委員、野口委員、前田委員、増田委員、松田委員、松原委員、

村上委員、森戸委員、山口委員

 

4.議題

 1.会長の選出について

 2.部会の改廃等について

 3.全世代型社会保障の構築について

 4.令和5年度厚生労働省予算案について

 

 

 

5.議事

議事

○三好参事官(総合政策統括担当) それでは、こちらの不手際で定刻を大幅に超過してしまいまして申し訳ございません。ただいまから第31回「社会保障審議会」を開会させていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

 私、総合政策担当参事官の三好のほうで、しばらく進行させていただきます。

 まず、開催に先立ちまして事務的な御連絡を申し上げます。本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催とさせていただきました。質疑に当たりましては御不便があろうかと思いますが、よろしくお願いいたします。

 オンライン会議における発言方法について確認させていただきます。画面の下にマイクのアイコンが出ておりまして、今はミュートにしていただいております。会議進行中は、委員の皆様のマイクを基本的にミュートとさせていただきますけれども、御発言される際は「手を挙げる」ボタンをクリックしていただきまして、会長の御指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言いただくようお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。音声に不具合等ございましたら、事務局宛てにチャットにてお知らせください。

 また、議題に対して御賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくことで異議なしの旨の確認をさせていただきますので、よろしく申し上げます。

 また、会議は、動画配信システムのライブ配信により一般公開する形としております。

 昨年の審議会から数名の委員の方が改選もしくは再任されておりますが、各委員の御紹介につきましては、誠に恐縮ですが時間の都合上、資料1-1の委員名簿をもちまして御紹介に代えさせていただきます。

 次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は翁委員、鎌田委員、小堀委員、田辺委員、中里委員、松原委員におかれましては御欠席との御連絡をいただいております。また、内堀委員におかれましては遅れて出席とのことです。その他の委員の皆様には御出席いただいており、総数の3分の1を超えておりますので、会議は有効に成立しておりますことを御報告申し上げます。

 また、資料は委員の皆様にはメール等で送付させていただいておりますので、お手元に御準備いただければと思います。

 では、会議を進めさせていただきます。

 まず最初の議題でございます、これから当審議会の会長の選出を行っていただきたいと存じます。社会保障審議会令第4条では「審議会に会長を置き、委員の互選により選任する」となっております。選出の方法につきましては「委員の互選」となっておりますので、皆様にお諮りしたいと存じます。いかがでしょうか。

 菊池委員、よろしくお願いします。

○菊池委員 互選ということですので、会長候補として遠藤久夫委員を推薦させていただきます。遠藤委員は、医療・介護分野はもちろん、社会保障・人口問題研究所所長をお務めになられるなど、社会保障各分野に大変深い造詣をお持ちであることに加えまして、以前もこの審議会の会長をお務めになるなど社会保障分野の重鎮と言うにふさわしく、まさに適任であると考えられますので、会長候補として推薦させていただきます。よろしくお願いいたします。

○三好参事官(総合政策統括担当) ありがとうございます。ただいま菊池委員から遠藤委員に会長をお願いしたらどうかとの御発言がございましたが、委員の皆様いかがでございましょうか。

(首肯する委員あり)

○三好参事官(総合政策統括担当) ありがとうございます。では、皆様うなずいていただきましたので、異議なしということでございます。遠藤委員に本審議会の会長をお願いしたいと存じます。遠藤委員、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速で恐縮でございますが、遠藤委員には以後の進行をお願いしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○遠藤会長 皆様こんにちは。ただいま会長を務めるようにとのお話をいただきました遠藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 御案内のとおり、社会保障を取り巻く期待と課題は日増しに増加しておりまして、今や第一級の国内問題であることは疑いございません。私自身3年前まで、この会の会長を務めさせていただきましたが、本日再び会長に就任することになり、改めてその重責に身が引き締まる思いでございます。

 社会保障審議会では、実質的な議論は分科会や部会で行われております。委員の皆様には、それらの会議体において中心的な役割を果たしていただき、大変御苦労をおかけしていることと存じますが、引き続き皆様方の御協力を得て円滑な運営に努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。社会保障審議会令第4条第3項では「会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する」となっております。この定めに基づきまして、会長代理を指名させていただきたいと思います。

 会長代理としましては、御経験が大変豊富で、現在も会長の代理職をされております増田委員に引き続きお願いしたいと存じます。増田先生、どうぞよろしくお願いいたします。

○増田委員 増田でございます。承りました。どうぞよろしくお願いいたします。

○遠藤会長 よろしくお願いします。

 それでは、次に、分科会及び部会への委員の所属について御報告いたします。社会保障令第5条第2項及び第6条第2項では、分科会については厚生労働大臣が、部会については社会保障審議会会長がそれぞれ属する委員の指名をすることとなっております。この定めに基づきまして、今回改選となります何人かの委員の方々には、その専門性を踏まえて、資料1-2「社会保障審議会委員の所属分科会・部会一覧」のとおり、分科会・部会への所属をお願いしたいと思います。内容を御確認いただきまして、御了承いただきたいと思いますが、御確認の上御了承よろしゅうございますか。

(首肯する委員あり)

○遠藤会長 画面の向こうで多くの方がうなずいておられますので、御了承いただいたとさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

 それでは、議題2に移らせていただきます。部会の改廃等についてでございます。部会の改廃等につきましては、今回の見直しは本年4月のこども家庭庁の設立に伴うものとのことですので、まずはその関係について御説明をいただいて、次に部会の改廃の案について、事務局より御説明をいただきたいと思います。

 では、事務局よろしくお願いいたします。

○藤原子ども家庭局長 子ども家庭局長でございます。こども家庭庁組織体制の概要につきまして、資料2-1によりまして御説明申し上げます。

 令和5年4月よりこども家庭庁が内閣府の外局として設置され、厚生労働省の子ども家庭分野がこども家庭庁に移管されることとなっております。これまで各府省において別々に担われてきたこども・子育て支援、少子化対策、児童虐待対策などのこども政策に関する総合調整権限をこども家庭庁に一元化し、子どもや子育て当事者、現場の視点に立った強い指令塔機能を発揮することとしております。

 こども家庭庁組織体制の概要資料2-1の1枚目に記載しているとおりでございますが、こども家庭庁の内部組織としては、こども大綱や総合調整事務を担当する長官官房と保育、子育て支援、母子保健などを担当するこども成育局及び児童虐待防止対策や社会的養育、障害児対策を担当するこども支援局の1官房2局体制で発足し、定員につきましては内部部局で350名、国立児童支援施設・自立支援施設2か所として80名、合計430名を確保することとしております。

 2枚目には、局の中の課や室の組織についての記載をさせていただいております。

 厚生労働省といたしましては、子ども家庭局と障害児の部分がこども家庭庁に移管するわけですので、現在移管に向けた準備を進めておりますし、また、4月以降、厚生労働省が所管する医療、福祉、社会保険、労働政策は厚生労働省が引き続き所管するわけですが、こども政策と非常に密接な関係がございます。厚生労働省とこども家庭庁でしっかりと連携しながら、この政策に取り組んでいきたいと考えております。

 引き続きまして、資料2-2を御説明申し上げます。

○三好参事官(総合政策統括担当) 引き続き、資料2-2を私から御説明します。「社会保障審議会児童部会の廃止及び小児慢性特定疾病対策部会の設置について」という資料でございます。

 今、御説明がありましたように、令和5年4月1日付でこども家庭庁が創設されること、そして、こども政策に関する重要事項等を審議する、こども家庭審議会等が設置されるということでございますので、当社会保障審議会の児童部会については廃止するということでございます。

 なお、小児慢性特定疾病対策に関する施策につきましては、引き続き厚生労働省で所管する難病対策と一体のものとして、引き続いて厚生労働省で所管するということでございますので、今般、社会保障審議会の下に新たに小児慢性特定疾病対策部会を設置する必要があります。

 審議内容につきましては、2あるいは3を御覧いただければと思いますけれども、小児慢性特定疾病児童等への医療費助成等について御審議をいただくものということで提案してございます。4月1日付ということでございます。

 以上でございます。

○遠藤会長 ありがとうございました。

 ただいま説明がありました児童部会の廃止、小児慢性特定疾病対策部会の設置、この2つについて何か御意見等ございますか。よろしゅうございますか。

 機能としては強化されていくということだと思います。特段の御意見がないということでございますので、ただいま事務局から説明がありました児童部会の廃止と小児慢性特定疾病対策部会の設置について御了承いただいたことにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 それでは、議題の3と4をまとめてやりたいと思いますが、議題3が全世代型社会保障の構築について、議題4が令和5年度厚生労働省予算案について。関連がありますので、2つまとめて事務局から説明をしていただきまして、その後御意見等をいただければと思います。

 では、事務局、よろしくお願いします。

○中村政策統括官(総合政策担当) 政策統括官でございます。お手元の資料3を御覧いただければと思います。内閣官房に設置されております全世代型社会保障構築会議におきまして、昨年末に報告書が取りまとめられておりますので、報告させていただくものでございます。

 まず6ページを御覧いただきたいと思います。「全世代型社会保障の検討体制について」という資料がございます。総理を本部長とし、関係閣僚からなる全世代型社会保障構築本部がございまして、その下に全世代型社会保障改革担当大臣(後藤大臣)が主宰し、有識者に御参集いただく全世代型社会保障構築会議が設置されている状況でございます。

 構築会議の座長は、下に◎が書いてございますが、日赤の清家先生、座長代理は、本審議会の会長代理でもいらっしゃる増田先生にお務めいただいてございます。本審議会の委員からも何名かの方が構成員として御参画いただいている状況でございます。

 7ページを御覧いただきますと、この構築会議は、おととしの11月に初回の議論が行われまして、これまで12回に及ぶ議論が行われてまいりまして、昨年12月16日に報告書を取りまとめられたところでございます。

 また、同日の構築本部におきまして、政府としても報告書に基づき着実に取組を進めることが決定されているところでございます。

 1ページにお戻りいただければと思います。以下、報告書の概要についてポイントを御説明いたします。

 まず「全世代型社会保障の基本的考え方」と書いてございますが、目指すべき社会の将来方向として3点掲げられてございまして、第1に、少子化・人口減少の流れを変えるということが掲げられています。2つ目の・で、子どもを産み育てたいという個人の希望をかなえることは、個人の幸福追求の支援のみならず、経済と社会保障の持続可能性を高めることにつながる。このため、最も緊急を要する取組は「未来への投資」として、子育て・若者世代への支援を急速かつ強力に整備することであり、希望する全ての人が安心して子育てできる環境の整備が急務とされているところでございます。

 第2に、これからも続く「超高齢社会」に備えるということで、働き方に中立的な社会保障制度を構築し、経済社会の支え手となる労働力を確保するとともに、社会保障を能力に応じて皆で支える仕組みを構築していくことが重要とされてございます。

 第3でございますが、「地域の支え合い」を強めると掲げておりまして、独居者の増加等を見据え、人々が地域社会との中で安心して生活できる社会の構築が必要とされています。

 その上で、ただいま申し上げた将来方向を踏まえ、基本理念といたしまして①から⑤まで5つの理念が掲げられております。全世代型社会保障の構築においては、これらの理念に基づく取組を進めていく必要があるとされています。

 また、3でございますが、取組を進めていくに当たっては足元の短期的課題とともに、人口動態等を踏まえた中長期的な課題について、時間軸を持つとともに、社会保障ニーズや利用可能資源の地域的差異を考慮した地域軸の視点を持つことも重要とされているところでございます。

 2ページを御覧ください。こうした基本的考え方を踏まえた各分野の具体的な取組として、2ページ以降に記載がございます。

 まず「こども・子育て支援の充実」でございます。

 (1)基本的方向の4つ目の○に、今後、必要なこども政策が何かをしっかりと議論した上で、体系的に取りまとめることが重要だということで、来年度の「骨太の方針」には将来的にこども予算の倍増を目指していくための当面の道筋を示していく必要があるとされてございます。

 その上で足元の課題といたしまして、妊娠時から寄り添う伴走型相談支援と経済的支援の充実や出産育児一時金の50万円への引き上げ等が掲げられております。

 さらに、仕事と子育ての両立支援に掲げる各項目について、早急に具体化を進めていく必要があるところでございます。

 続いて3ページでございますが、「働き方に中立的な社会保障制度等の構築」につきましては、国民の価値観やライフスタイル、働き方の多様化が進む中、格差の固定化や貧困の防止を図り、社会の分断を防ぐ観点からも、どのような働き方をしてもセーフティーネットが確保され、誰もが安心して希望どおりに働くことができる社会保障制度等の構築が求められているところでございます。

 そのため、勤労者皆保険の実現に向けまして、短時間労働者の適用に関する企業規模要件の撤廃をはじめとする被用者保険適用拡大や、フリーランス・ギグワーカーについて、被用者性の捉え方などの検討を深め、より幅広い社会保険の在り方を検討すること等が課題とされているところでございます。

 4ページを御覧ください。「医療・介護制度の改革」でございます。

 こちらにつきましては、2025年までに75歳以上の後期高齢者の割合が急速に高まること等を踏まえ、増加する社会保障給付について負担能力に応じて、全ての世代で公平に支え合う仕組みを早急に構築する必要があるとされています。

 特に足元の課題として、後期高齢者医療制度の保険料負担の在り方の見直し、かかりつけ医機能を発揮するための制度整備等が掲げられておりまして、既に当審議会の関係部会でも御議論いただき、今国会に必要な改正を盛り込んだ法案を提出する見込みとなっているところでございます。

 また、介護分野の改革等につきましても、早急に検討を進めるべき項目とされております。

 5ページでございますが、「『地域共生社会』の実現」につきましては、人口構造や世帯構成が変化し、家族のつながりや地縁も希薄化する中で、支える側・支えられる側という従来の関係を超えて、一人一人が生きがいや役割を持ち、助け合いながら暮らせる包摂的な社会の実現が必要とされております。

 このため一人一人に寄り添う支援とつながりの創出に向けた取組を推進するとともに、住まい政策を社会保障の重要な課題と位置づけ、必要な施策を展開すべきとされております。

 報告書の概要についての説明は以上でございますけれども、厚生労働省といたしましては、引き続きこの報告書の内容に基づきまして、関係府省とも連携しながら全世代型社会保障の構築に向けて着実に取組を進めてまいりたいと思います。

 私からの説明は以上でございます。

○熊木会計課長 続きまして「令和5年度予算案の概要」につきまして、私、会計課長の熊木と申します。御説明させていただきます。資料4を御覧ください。

 令和5年度予算案は、昨年12月23日に閣議決定したものでございます。

 1ページをお開きください。令和5年度の厚生労働省予算につきましては、33兆1686億円が一般会計でございます。これは1.6%、金額にしますと5,382億円の増でございます。

 自然増といたしまして、社会保障の関係費につきましては約5,600億円が伸びるだろうと見込まれております。これを様々な改革努力あるいは予算の縮減を果たしまして、総計1,500億円ほど執行させていただきまして、ここに記載してございませんが、4,100億円ほどが高齢化による伸びということで認められております。

 ここで増減額で5,382億円、4,100億円より多くなっておりますが、年金スライドにつきましては、今申し上げましたような予算フレームとは別に認められたということで、その分が捻出されている状況でございます。

 留意点でございますが、※2に書いてございますように、この厚生労働省予算につきましては、4月から始まりますこども家庭庁予算は当然ながら含んでおらず、令和4年度の予算額からも、こども家庭庁に移行する分につきましては取り除いて比較させていただいております。

 その他、表の真ん中から下に特別会計についても記載がございますので、御確認いただければと思います。

 なお、こども家庭庁の関連予算につきましては、別途参考資料4があると思いますので、御確認をいただければと存じます。

 2ページですが、社会保障の関係費用のうち年金、医療、介護及びその他の分野ごとにプロットしたものでございます。

 年金につきましては、今申し上げましたように年金スライドがございましたので、マクロ経済スライド込みで2%前後の上昇を見込んだ予算ということで、例年に比べると少し高めになっております。

 医療につきましては、0.5%の伸びですが、薬価の見直しや昨年10月から後期高齢者医療制度におきまして2割負担の対象の方が増えるなどの見直しが行われておりますが、それが予算上反映されているということでございます。

 雇用につきましてはマイナスが立っておりますが、これはコロナ禍におきまして雇用調整助成金で特例の措置が講じられておりましたところ、そうしたものがなくなることを反映したものでございます。

 福祉等の伸びにつきましては、高齢化というよりも主に障害者施策におきます利用者の数が増えている状況が反映されたものでございます。

 それぞれの各事項につきまして、3ページ以降で記載しております。

 厚生労働省予算につきましては、3つの柱、左側の保健・医療・介護、真ん中のいわゆる雇用、それから右側にございます福祉やその他の分野ということで、3つの分野に分けて記載しております。

 最初の柱、保健・医療・介護の分野につきまして、4ページ以降にございますので御確認ください。

 まずは、コロナウイルスへの対応と次の感染症危機に備えた取組でございます。左側の波線囲みに昨年秋の補正予算の事項を記載しております。いわばコロナ対策につきましては、特例的あるいは緊急的なものがございましたので、恒常的な経費、当初予算ではなく補正予算あるいは場合によっては予備費を活用して、これまで措置しているということでございます。

 医療介護DXにつきましても、補正予算ではマイナンバーカードと健康保険証の一体化に向けた取組等々につきまして、しっかりと措置した上で恒常的にかかることを踏まえまして、当初予算について必要な経費を計上しております。

 そのほか、項目だけ申し上げますが、医薬品・医療機器の実用化の促進や安定供給の事項がございます。

 5ページにまいりまして、科学技術の向上・イノベーションの実現といった項目について予算計上をしております。

 さらに、地域医療構想の推進、医師偏在対策、医療従事者の働き方改革といった医療提供体制に関するものは、救急や災害医療体制の充実を含みます。

 介護分野では、地域包括ケアの構築や認知症施策の推進等を計上しております。

 5ページ右の真ん中以降は、疾病対策や予防・健康づくりといった分野の予算を記載しております。

 6ページにまいりまして、右側にあります*は、昨年12月21日に厚生労働大臣及び財務大臣の間で合意された事項の一部でございます。薬価につきましては、平均乖離率7.0%の0.625倍を超える品目を対象。不採算品再算定は、新薬創出等の加算や特例的な対応をしております。

 2つ目に、診療報酬上の対応として、オンライン資格確認の導入・普及の観点や医薬品の安定的な供給といった観点での措置を今年12月末までの間としています。

 出産育児一時金につきましても、大臣合意におきまして42万円から50万円への増額が決定したものでございます。

 7ページ以降は、2つ目の柱、雇用の対応でございます。

 ここは政策の流れを簡単に申し上げますと、まず「賃上げ・人材活性化・労働市場強化」雇用・労働総合政策パッケージを昨年策定してございますが、これまでコロナ禍におきまして雇用の安定を図ってきた部分が大きかったところ、これからは人手不足あるいは成長する分野に労働移動を円滑に図り、それに対してはしっかりと人への投資等を含めまして行って、相まって構造的・継続的な賃金上昇を図っていくことをそれぞれの予算として措置していることになります。

 右のその他の部分といたしましては、多様な人材の活躍促進ということで、女性や高齢者、障害者、外国人、就職氷河期世代、若者といった方への就労支援を計上しております。

 次に、多様な働き方への支援や非正規雇用労働者への支援あるいは雇用形態に関わらない公正な待遇の確保などについても、必要な予算を計上しております。

 この分野の大臣折衝でいいますと、ここには記載してございませんが、令和5年度の失業等給付の雇用保険料につきまして0.8%ということが決められたところでございます。

 最後に、3番目の柱、安心できる暮らしと包摂社会の実現ですが、先ほど前者の説明にもございました地域共生社会の実現を図っております。分野といたしましては、重層的支援体制の整備促進や生活困窮者、ひきこもり、自殺対策あるいは成年後見制度、権利擁護、さらには困難な問題を抱える女性の支援、障害者支援といったことへの対応をきめ細かく図っていくこととしております。

 9ページの左側に*で生活保護基準の見直しとございます。これも大臣合意で決まったことでございまして、生活扶助基準につきましては、検証結果を適切に反映することを基本としながら、足元の社会経済情勢を踏まえた特例的な対応として、月額一人1,000円を加算、加算後もなお現行から減額となる場合には、現行の基準額を保障するといった特例措置を令和5年度に行うことが決まっております。

 その他、水道や年金、その他の政策につきましては省略させていただきます。

 以上でございます。

○遠藤会長 ありがとうございました。

 ただいま事務局から御説明がありましたけれども、これに関連して御意見・御質問等あればいただきたいと思います。

 それでは、内堀委員、お手をお挙げになっておられるかと思いますので、よろしくお願いいたします。

○内堀委員 遠藤会長、ありがとうございます。

 まず、全世代型社会保障の構築について、大きく4点申し上げます。

 1点目は、こども・子育て支援の充実についてです。報告書において、「最も緊急を要する取組は、未来への投資として子育て・若者世代への支援を急速かつ強力に整備すること」とされています。また、1月23日の岸田総理の施政方針演説の中でも、こども・子育て施策を最重要施策と位置づけているとの御発言もありました。

こども・子育て支援の充実に向けて、安定財源の確保が必要です。伴走型相談支援と経済的支援など、強化される支援策について恒久的に実施していく場合には、その地方負担分について恒久的な税財源を確保していただくようお願いします。そして、新たな施策を導入する場合には、早期に具体案を示した上で、国と地方の役割分担を含め、地方と十分な協議をお願いします。

 また、子どもの健やかな育ちの観点から、医療費負担の軽減は大変重要です。速やかに全国一律の医療費助成制度を国において創設する必要があると考えます。

 併せて、子どもの医療費助成を行った場合の国民健康保険に係る国庫補助の減額調整措置については、未就学児に限らず廃止していただくようお願いします。

 さらに、令和4年7月から導入されている子どもに係る国保の均等割保険料の軽減措置について、子育て世代の負担軽減という制度の趣旨にのっとり、対象範囲及び軽減割合の拡充を引き続き検討いただくようお願いします。

 2点目は、医療保険制度についてです。報告書では、「引き続き給付の在り方、給付と負担のバランスを含めた不断の見直しを図るべき」とされています。今後更なる負担の見直しの検討を行う場合には、制度設計者である国の責任において必要な医療への受診抑制につながることがないよう、特に低所得者に配慮した制度の在り方について検討をお願いします。

 3点目は、医療提供体制についてです。かかりつけ医機能の制度整備の具体化と地域医療構想の実現に向けた更なる取組は、各地域において質の高い医療サービスを確保するために重要な取組です。各地域における議論の実務を担うこととなる都道府県に多大な負担が生じることがないよう、制度や取組の具体化に際して地方と十分な協議を行うとともに、地方への十分な財政措置や人員体制を整備することに対する支援をお願いします。

 4点目は、介護についてです。介護が必要となった高齢者が安心して生活することがでるきよう、将来にわたって安定して運営される介護保険制度の在り方について、保険料や介護サービスの利用者負担、国と地方の公費負担等の重要課題を含め、都道府県及び保険者等と十分な協議を行うことともに、地方の更なる財政負担を生じさせることがないよう措置を講じていただきたいと思います。

 また、低所得者対策については、引き続き介護保険料や利用料の負担軽減について、恒久的な制度として拡充に努めるとともに、必要な財政措置を講じていただくようお願いします。

 次に、令和5年度厚生労働省予算案については、これまでの全国知事会の要望に真摯に対応していただきました。ありがとうございます。その上で、新型コロナウイルス感染症対策ですが、1月27日に5類への見直しが決定され、今後段階的な移行措置の検討が進むことになります。国民や保健・医療の現場に混乱を招くことなく、移行に伴う取組が着実に実施できるよう、これまで同様、緊急包括支援交付金等の財源措置について、引き続きお願いいたします。

 私からは以上です。どうぞよろしくお願いします。

○遠藤会長 内堀委員、ありがとうございました。地方自治体のお立場から子育て、医療保険、医療提供体制、介護あるいは5類への移行に伴う考え、御意見及び御要望を承りました。

 続きまして、武田委員、お願いいたします。

○武田委員 私からは3点意見を述べたいと思います。

 1点目は、令和5年度予算案の概要に関してです。3ページに概要が掲載されておりますが、いずれも重要と思い、特に2つ目、成長と分配の好循環に向けた「人への投資」、こちらが今大変重要な局面にあると思います。現在の日本は、これまでの低賃金・低価格、そして、低付加価値生産性の負の循環から、安定的な賃金上昇、適切な価格転嫁の慣行、そして付加価値向上を伴う生産性の上昇という正の循環に変われるのか、その岐路に立っていると思います。

 そこで、まず春の賃上げをトリガーとして、負の循環から正の循環に変換できるように、政労使・官民が同じ方向を向いて取り組む必要があると考えます。

 また、構造的に付加価値向上を伴う生産性の上昇を続けるためには、多様性の確保、労働移動を前提とした制度や慣習の見直し、それを可能とするリカレントの拡充、これらがセットであるべきと考えますので、この点に関しましても具体的にぜひ御検討いただければと思います。

 2点目は、全世代型社会保障の構築に関してです。今構築会議には私も委員の一名として参加しておりますが、今回、座長のリーダシップのもと全世代型社会保障の基本的な考え方が取りまとめられたことは、大きな成果と感じております。目指すべき社会を皆で共有し、5つの基本理念に沿って社会保障の改革を着実に進めることが何よりも大切と考えます。

 基本理念の1では、将来世代の安心のために負担を先送りせず、同時に給付の不断の見直しが必要と記載がございます。基本理念の2の能力に応じて支え合う方法が重要ではございますが、同時に、基本理念1の給付の不断の見直しにもぜひ取り組む必要があると考えます。

 その実現には、基本理念4のサービス提供体制の見直しや、基本理念5のDXに積極的に取り組むことが不可欠ですので、この点も併せて更なる御尽力をお願いいたします。

 3点目は、こども家庭庁関連予算に関してです。少子化対策が急務であること、これは総意と思います。ゆえに真に少子化に歯止めをかける施策の実施が重要であると考えます。生まれた子どもへの給付に焦点が当たっておりますが、その前の段階にも課題があると感じております。例えば、正規雇用と非正規雇用の男性で比較しますと、非正規雇用の未婚率が正規雇用の2倍にまで上昇しております。つまり、少子化問題の主因の1つが雇用格差にあり、ここにフォーカスを当てた施策も必要と思います。

 また、財源に限りがある中で、その財源が広く薄く使われてしまいますと、真に必要な世帯に財源が集中されず、少子化問題を解決できないことになれば、後世に大きな影響、大きな問題を残すと思います。

 一方で、財源面の支援はそれほど必要としていない世帯においても、仕事との両立などでは支援が必要な世帯が多くいらっしゃいます。

 つまり、エビデンス、ニーズを踏まえて真に少子化対策につながる施策をお願いしたいと思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

○遠藤会長 どうもありがとうございました。予算案に関連いたしまして、マクロ経済の視点からの御指摘、さらには全世代型社会保障会議に委員として御参加されているお立場から、幾つかの補足の御説明・御意見を承りました。こども家庭庁の設立に伴って、子どもが生まれる前、むしろ雇用問題に視野も置くべきではないかということと、給付については重点化してやることが重要なのではないかという御指摘をいただいたと思います。

 それでは、村上委員、お待たせいたしました。お願いいたします。

○村上委員 ありがとうございます。連合の村上です。私も本日、御報告いただきました全世代型社会保障の構築について3点述べたいと思います。

 1点目は、子ども・子育てについてです。妊娠期から寄り添う伴走型相談支援など、こども・子育て支援の拡充は進みつつあるものの、当事者の子育てしやすくなったという実感にはつながっていない状況にあると思います。所得制限による線引きなども印象に残ってしまっているところがございます。すべての子どもの養育や教育に係る費用の軽減とともに、子育て世帯の雇用の安定や子育てしながら働くことへの支援などを充実していただきたいと考えております。

 2点目は、医療・介護についてです。質の高い医療とこれから急増する介護ニーズに対応できる地域包括ケアの更なる推進を求めます。そのためにも医療・介護などの分野での人材確保に向けた更なる処遇改善が必要と考えております。

 3点目は、社会保険の適用拡大についてです。働き方や雇用形態、勤務先の事業所の規模などの違いによって、社会保険の適用の有無が変わることは合理的だと考えております。速やかに企業規模要件を撤廃するとともに、労働時間要件等の緩和、個人事業主における非適用業種の見直しなどにより適用拡大をさらに進めるべきと考えております。

 以上です。ありがとうございました。

○遠藤会長 ありがとうございました。

 まだ多くの方が手を挙げておられることが分かりましたので、少しスピードアップさせていただきたいと思います。

 続きまして、津谷委員、お願いいたします。

○津谷委員 私も、資料3「全世代型社会保障構築会議 報告書」について一言申し上げたいと思います。

 まず、この報告書を読ませていただきましたが、いろいろな視点から、重要な事柄がきちんと網羅されていると思います。報告書作成にたずさわられた方々の御尽力に感謝いたします。特に、先ほどから御意見が出されておりますが、こども・子育て支援の充実の内容については、全くそのとおりだと思い賛成いたします。ただ、これを読ませていただいて心配な点がひとつあります。1ページの最初に「『少子化・人口減少』の流れを変える」とあり、その中をもう少し詳しく見ますと、「流れを大きく変える」とあります。こども・子育て支援の拡充がどれくらい政策効果があるのかについて、その評価が少子化や人口減少というマクロの人口変動と結びつけられてしまうのではないかと心配しております。もう少し平たく申しますと、少子化や人口減少の流れが大きく変わることが、この支援の効果と解釈されてしまうのではないかと大変懸念しております。

 ここにいらっしゃる皆様は御存じだと思いますが、少子化は出生率が置換水準を継続的に2以下に低下し、下回り続けることです。わが国では、少子化は1975年から今まで続いております。近年は、女性1人当たりの合計出生率は1.3から1.4人くらいで一応安定して推移しておりますが、非常に低い水準です。この低出生率が最大の理由となって、人口の減少が2010年から始まっております。わが国の人口は、2000年代の後半にはほぼゼロ成長の状態でしたが、2010年を境に減少に転じ、今後しばらくは加速して続くと思われます。人口にはモメンタムがあり、一旦減少が始まりますと、しばらくは止まりません。ここにいる私たちのほとんど全員が元気で活動しているうちは、人口減少が続くことは確実だと思います。

 この少子化の最大の理由が、出産のピーク年齢である20代から30代の女性の人口の減少で、これは1980年代からずっと続いております。ですので、たとえ出生率が置換水準、これは女性1人当たり子ども2人くらいの水準ですが、戻ったとしても、人口減少はしばらく続きます。私の杞憂に終わればよろしいのですが、少子化や人口減少といったマクロの人口現象とこども・子育て支援を結びつけることは、できればやめた方がよい、やめるべきであると思います。なぜなら、少子化や人口減少の流れを変えることをこども・子育て支援の評価基準にしてしまうと、評価の答えは既に出ているように思うからです。

 むしろ、先ほどから皆さんがおっしゃっているように、個々の家族やカップルや親子のウェルビーイングとウェルフェアを充実させて、多様化する働き方に対応するきめ細かいミクロの厚生労働政策を粘り強く実施することを、こども・子育て支援の目標としていただくよう要望いたします。

 以上でございます。

○遠藤会長 ありがとうございました。人口学者のお立場から、ある意味非常にシビアな現実もあるということを踏まえましての御意見だったと理解させていただきます。

 続きまして、荒木委員、お願いいたします。

○荒木委員 全国町村会会長の荒木でございます。先ほど説明がありました全世代型社会保障構築会議の報告書について、2点ほど申し上げたいと思います。

 報告書本文にも記述がありますように、少子化の問題は地域社会の存続、国の存続に関わる重要な問題であり、早急な対応が求められます。我々町村においても、引き続き創意工夫を凝らした少子化対策に取り組んでまいる所存ですが、岸田総理の「従来とは次元の異なる少子化対策を実現したい」との発言や、こども家庭庁の発足も含め、国の取組に大きな期待を寄せているところでございます。

 地方は、豊かな自然など子育て環境に恵まれている一方、財政力の違いなどにより子育て支援策等に自治体間格差が生じている現状もあります。こうした格差をなくすための施策を講じていただくことはもとより、地域の活性化を図り、分散型国づくりを推進することも我が国の少子化対策において重要であると考えております。今後の少子化対策の議論に当たっては、報告書に盛り込まれた事項に加え、このような視点も重視していただくようお願いいたします。

 もう一点につきましては、全世代型社会保障構築会議報告書には「地域軸」を踏まえた取組の必要性が盛り込まれていますが、これに関連して意見を申し上げます。

 持続可能な地域づくりを展開すると、都市部や中山間地域等のいかんに関わらず、どこに住んでいても同じように医療・介護の提供を受けることができる体制や、医療・介護が必要な状態になっても、自分が住み慣れた地域でこれまでと同じように日常生活を送ることができるような支援が極めて重要でございます。あるべき社会保障制度を考える際には、安定的な財源確保に加え、こうした地域の実情に合わせた継続的な支援、すなわち「地域軸」を踏まえた取組の必要性について、引き続き検討を進めていただくようお願いいたします。

 また、現在、別途検討が進められている「ポスト2025年の医療・介護提供体制」においても、そのような姿を目指すべきであり、全世代型社会保障構築会議の議論と同様、今申し上げた視点を大切にしていただくよう強調しておきたいと思います。

 以上でございます。

○遠藤会長 どうもありがとうございます。地方自治体のお立場から、地域軸が大変重要だという御指摘だったと思います。

 次に、立谷委員、お願いいたします。

○立谷委員 市長会として今までの議論を踏まえて若干申し上げさせていただきます。

 令和5年度予算案が計上されておりますので、要望としていくつか申し上げます。まず新型コロナ感染症の問題でああ。5月4日から新型コロナ感染症がなくなるわけではありません。今まで新型コロナ感染症に対していろいろ支援をいただいてきましたが、まず、ワクチンの接種について、個人負担ということになりますと、それぞれの自治体がどこまで支援するか、非常に地域間格差が出てきます。ワクチンの接種についてはこれまで同様、全額国費でやっていただきたい。

 それから、医療機関も大分頑張っております。例えば、新型コロナ感染症の患者を受け入れるためには病棟ごとに感染防止対策をとらなければいけませんが、そうなると空床補償という問題が出てきます。今まで医療機関に対して行ってきた支援を急にやめるのではなく、医療機関と相談しながら段階的に行っていただかなければ医療機関は立ち行かなくなります。

 次に、総理が異次元の支援とおっしゃっておりますが、市長会で発言があった意見を申し上げます。

 子どもの医療費を無料にしていただきたい。具体的には、中高生の医療費の負担分を無料にしていただきたいということが多くの市長から挙っています。

 もう一つ、異次元なことをするというのでであれば、給食費を無料にしていただきたいという意見もありました。我々は今後、こども家庭庁に対してそのような要望をしてまいりますので御紹介させていただきますとともに、重々考えていただきたいと思います。

 それから、先ほど、武田委員、村上委員がおっしゃったことと関連しますが、少子化の原因は何か。婚姻率が低いというのはもともとありますが、男性に関して見ると直近の生涯未婚率は10年前に比べ8ポイント以上も上昇し約3割という衝撃的な状況です。低所得がゆえに結婚したくてもできないということもありますし、原因はいろいろあると思います。先ほど武田委員から正規労働者・非正規労働者で賃金格差が相当あって、婚姻率の格差も相当あるという話がありましたが、連合の村上委員の方向性と一緒であると思います。最低賃金の問題とか今まであったわけでありますが、私はもう一つの見方として、大きな目で見ると少子化の大きな問題、というのは「男性が結婚できないことは女性の対応者がいないということ」ですので、全体的な問題として考える必要があるだろうと思います。

 最後にもう一つ申し上げますが、賃金を上げるという話があります。実際上がってくるかと思います。ただ、医療業界、特に今厳しいのは介護業界です。介護業界の賃金を上げるためには、介護の単価が上がらないと無理です。公的な機関であれば税金で対応するということも1つの方法としてあるかと思いますが、民間の機関ではそういうわけにはいきませんので、それなりの介護の報酬あるいは医療費、人件費について考えていただかないと、単に給料を上げるということだけでは、この業界は立ち行かないということを皆さんにも御理解いただきたいと思います。

 私からは以上です。

○遠藤会長 ありがとうございました。

 まだ、大分お手を挙げていらっしゃる方がいますので、私のコメントは省きまして、続けて松原委員、お願いいたします。

○松原委員 早稲田大学の松原です。大学院の審査会で遅れまして、大変申し訳ございません。どうぞよろしくお願いいたします。

 子育てについてなのですけれども、先ほど委員がおっしゃいましたように、人口減少はどうしても止められないことですが、出生率はまだ改善の見込みは考えられまして、出生率が改善していけば経済も、どんどん人が減る一方だと思えば投資も控えてしまいますけれども、出生率改善といういいニュースは経済的にも、投資してみようかなという気になると思いますので、社会保障と経済は両輪で回っていきますので、その基礎となる出生率の向上に向けてできるだけのことをするのが非常に重要だと思います。

 そのためにも、こども家庭庁ができましたが、せっかく文科省も一緒にやるということですので、ぜひ義務教育の段階から、子育てというのは社会全体で取り組むのだということを教育していただきたいと思います。先進国において日本ほど子育てを家族・家庭に押しつけている国はございません。ぜひ、この点の意識改革を義務教育のときからやっていただきたいと思います。

 もう一つは財源確保です。短期的に現金をばらまくのでは、すぐなくなるのではないかと思って、とてもとても子どもを産もうなどという気になりません、後押しになりませんので、しっかりした財源確保をして、子育てだけではなく、社会保障全体の機能強化を図るためにも、財源確保の議論から逃げない姿勢が重要だと思います。

 以上です。

○遠藤会長 ありがとうございました。

 それでは、前田委員、お待たせいたしました。

○前田委員 私は、児童部会の会長ということで参画させていただいておりまして、児童部会がなくなります。今回の会議が最後になりますので、意見を述べさせていただければと思います。

 こども家庭庁ができることによって、子ども関係の施策が大きく進むことを期待しているのですけれども、1つ危惧しておりますのが、子どもは18歳までということで18歳から成年になるわけですが、皆様も御案内のとおり、高校を卒業して働く人たちは17~18%ぐらいです。しかし、3年以内に半分くらいの人が辞めますし、大学・専門学校進学率75%ということで、青年が一人前の大人になっていくのは20代全部がかかるようになり、後期青年期といいますか、自立まで大変時間がかかるようになっております。厚労省の新規予算にも多様な働き方とか雇用の活性化がございますし、新卒応援ハローワークをつくっていただいておりますけれども、まさに切れ目のない支援ということで、子どもの年齢が18で終わっても、青年期の20代まで一貫して自立するまで支援ができるような連携を厚労省とこども家庭庁でしっかり組んでいただければと思います。

 以上、私からのお願いでございます。ありがとうございました。

○遠藤会長 どうもありがとうございました。

 続きまして、砂上委員、お願いいたします。

○砂上委員 少しお時間を頂戴いたします。私からは意見というより確認となります。

 先ほど資料2-2で、児童部会の廃止及び小児慢性特定疾病対策部会の設置というお話がございました。私は、福祉文化分科会に所属しておりまして、児童文化財の審査や広報・啓発を行っております。福祉文化分科会は、4月1日以降こども家庭庁の創設に合わせて、こども家庭審議会のほうに移管という話も聞いてはおるのですが、その点御確認をいただければと思っております。よろしくお願いいたします。

○遠藤会長 それでは、事務局、お答えいただけますか。

○藤原子ども家庭局長 ただいまの砂上先生の御確認事項でございますが、おっしゃるとおりでございまして、現在、子ども家庭局で所管しております福祉文化の関係につきましては、こども家庭庁に移管されますので、設置法に基づいたこども家庭審議会の下で、具体的な組織については今は御説明申し上げませんけれども、こども家庭庁の中の審議会として引き続き御検討いただくことになりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○砂上委員 分かりました。御説明ありがとうございました。

○遠藤会長 ありがとうございました。ほかにございますか。

 小国委員、よろしくお願いいたします。

○小国委員 鎌倉女子大学の小国でございます。

 予算案の中で、弱者の子どもに対する財源を充てていただいて感謝しているところですが、例えば、今大きな枠組みの中で動いているのが、親の仕事がうまく両立していくようにという取り組むべき課題で、子育てが金銭的にうまくいくようにという取組のように見えるのですけれども、実際、ひとり親家庭ですとか親に障害があったりするような子どもたちが隠れてたくさんいるということが、ヤングケアラーということで昨今かなり話題になっております。やはりソーシャルワーカーやスクールカウンセラーのような人たちが各学校に配置されることがとても急務なのではないかと思っておりまして、そちらへの財源もぜひ考えていただけるといいのではないかと思います。

 いつまでたっても取り残されているように見えて、この子育て支援の充実の中でも、その言葉が全く出てこないことに非常に危惧しておりますので、発言させていただきました。

 以上です。

○遠藤会長 ありがとうございます。御意見として承りました。

 ほかにございますか。

 ちょうど予定していた時刻となりました。大体御意見は出尽くしたかと思いますので、本日の会議はこれで終了したいと思います。

 長時間にわたりまして積極的な御発言をいただきまして、どうもありがとうございました。

 事務局におかれましては、本日様々な御意見・御要望が出てまいりましたので、それらも踏まえまして今後、社会保障制度の運営・改革を進めていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、これにて終了させていただきたいと思います。委員の皆様には御多用中にもかかわらず御参加いただきまして、どうもありがとうございました。

 

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