令和6年1月26日 第32回社会保障審議会 議事録

1.日時

令和6年1月26日(金)10:00~11:30

2.場所

厚生労働省 専用第21会議室(17階)

3.出席者

委員

※50音順

内堀委員、遠藤委員、岡委員、岡部委員、翁委員、小国委員、鎌田委員、

神作委員、楠岡委員、立谷委員、田辺委員、津谷委員、野口委員、増田委員、

松田委員、松原委員、村上委員、山口委員、吉田委員

4.議題

1.全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)について

2.こども未来戦略について

3.令和6年度厚生労働省予算案について

5.議事

議事

○安藤参事官(総合政策統括担当) おはようございます。それでは、定刻になりましたので、ただいまから第32回「社会保障審議会」総会を開会させていただきます。

委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

本日の審議までの間、私のほうで進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

まず、開催に先立ちまして事務的な御連絡を申し上げさせていただきます。本日は、会場での御出席とオンラインによる御出席の併用開催とさせていただいております。オンラインで御出席の委員におかれましては、御不便があろうと思いますが、よろしくお願いいたします。

まず、オンライン出席の委員の方々に確認させていただきたいと思います。画面の下にマイクのアイコンが出ておりまして、今はミュートにしていただいていると思います。会議の進行中は、委員の皆様のマイクを基本的にミュートとさせていただきますけれども、御発言をされるに際は「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、会長の御指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言をいただくようお願いいたします。また、御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。音声に不具合等ございましたら、事務局宛てチャットにて恐縮ですけれどもお知らせください。

なお、会議につきましては動画配信システムのライブ配信により一般公開する形とさせていただいております。

次に、昨年の審議会から数名の委員の方々が改選もしくは再任されてございますが、各委員の御紹介につきましては、誠に恐縮でございますが、時間の都合上、参考資料4-1で配付させていただいております委員名簿をもちまして御紹介に代えさせていただきたいと思います。

次に、本日の委員の皆様の出欠状況について御報告申し上げます。本日御出席の委員は、現在、内堀委員、遠藤委員、岡委員、岡部委員、翁委員、小国委員、鎌田委員、神作委員、楠岡委員、立谷委員、田辺委員、津谷委員、野口委員、増田委員、松田委員、村上委員、山口委員、吉田委員の合計18名の委員の皆様に御出席をいただいており、委員総数の3分の1を超えてございますので、会議は有効に成立しておりますことについて、まず御報告を申し上げたいと思います。また、松原委員につきましては、遅れて御出席されると伺っているところでございます。

○松原委員 間に合いました。

○安藤参事官(総合政策統括担当) 大変失礼いたしました。皆様もう参加されているということでございます。

続きまして、議事に入ります前に、事前に議事次第のほか、資料を送付させていただいておりますので、お手元に御準備いただけばと思います。

本日の配付資料でございますが、議事次第のほか、資料1といたしまして「「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋」、「こども未来戦略」について」。

資料2として「令和6年度予算案の概要」。

参考資料として、参考資料1「全世代社会保障構築を目指す改革の道筋について」。

参考資料2「こども未来戦略」。

参考資料3「令和6年度予算案の主要事項」。

参考資料4-1「社会保障審議会委員名簿」。

参考資料4-2「社会保障審議会委員の所属分科会・部会一覧」を配付させていただいているところでございます。

不足等ございましたら、事務局のほうまでお申し付けいただければと思いますが、よろしいでしょうか。

それでは、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。

(カメラ退室)

○安藤参事官(総合政策統括担当) それでは、本審議会の遠藤会長に以降の進行をお願いしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○遠藤会長 遠藤でございます。どうも皆様、おはようございます。久しぶりの開催でございますけれども、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

それでは、早速、議題に移りたいと思います。

本日、議事は3つございまして、議事の1が「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)について」、議事の2が「こども未来戦略について」、議事の3が「令和6年度厚生労働省予算案について」でございます。

議事の1と議事の2につきましては、資料1に関連の内容が盛り込まれております。議事の3については資料2がそれに該当いたしますので、事務局からこの資料1と資料2、まとめて御説明をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○鹿沼政策統括官(総合政策担当) 政策統括官(総合政策担当)の鹿沼でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

私のほうからは、議題の1と2、全世代型の話とこども未来戦略について説明をさせていただきます。

資料をお開けいただきまして、次のページ、「少子化対策と「全世代型社会保障」」というところでございます。もう先生方も御承知のとおりのことだと思いますが、少子高齢化が今まで私どもとして非常に大きなテーマということで、2025年、団塊の世代が後期高齢者になるところを目指していろいろな施策を打ってきたところでございます。特に昨今は人口減少が非常に大きなもう一つの問題になっており、2020年から2070年までの50年間で、生産年齢人口でいえば7500万人から4500万人に3000万人減る、約4割減るという状況でございます。また、この状況は地方ですとさらに厳しい状況だと思っております。昨年末に社人研のほうで公表いただきました地域別の将来推計人口によりますと、11県では2020年と比較して2050年の総人口が30%以上減少する。さらに、市町村別でいえば、2050年の人口が2020年の半数未満となる市区町村が約2割ということで、非常に大きな問題だと思っております。

そうした中で、この人口減少社会にどう立ち向かうのか、まさに今がラストチャンスだということで、こども未来戦略というものを打ち出しました。また、こども未来戦略の財源の議論の関係もございますが、こういった人口減少、少子高齢化の中で社会保障をどういうふうにしていかなければいけないのか、そういったことで今回、改革工程としてまとめさせていただいたものでございます。

3ページ目が改革工程の概要でございます。大きく3つのテーマ、働き方に中立的な社会保障制度の構築、医療・介護、地域共生社会の実現、この3つのテーマにつきまして、時間軸としては来年度まさにやる話、その次が2028年度までの話になっています。これは2028年度までの中で、必ずやるというものもありますが、基本的にはここに書いてあるテーマの中で、国民の皆様に与える影響等も考慮しながら、毎年の予算編成の中でやるかやらないかを決めていくという話です。あと、ここの資料上ははしょっておりますが、2040年というもう少し先のビジョンというものを打ち出させていただいております。

まず、働き方に中立的な社会保障制度の構築につきましては、来年度については、同一労働同一賃金、多様な正社員、こういった労働市場や雇用の在り方というものについての見直しがあります。また、2028年度までということであれば、主に年金制度改正の射程に入ってまいりますので、被用者保険の適用拡大の議論、さらにはフリーランス、年収の壁、こういったものが議論として出てくると思っております。

次の医療・介護につきましては、2024年度については、介護保険制度改革、1号保険料負担の在り方ですとか、イノベーションの適切な評価との関係で長期収載品の保険給付の在り方の見直し、さらには介護の生産性、質の向上、3報酬改定、こういったもろもろの議論が2024年度に実施する話としては書いております。また、2028年度までの検討項目としては、大きく3つのテーマで分かれております。1つが生産性の向上、効率的なサービスの提供、質の向上。これから少子高齢化、人口減少の中で、給付は伸びてきて負担も増えてしまう。これをリーズナブルな形での負担に抑えていかないと、なかなか国民は負担できないのではないか。もう一つは人口減少の中でサービスを担う方々が足りなくなってしまう。こういった中で、効率化というものを徹底していかないと、この社会保障制度を維持できないのではないか。そういったような問題意識の中で、科学技術をフルに活用し、医療DX、介護ロボット、センサー、ICT、そういったものを活用しながら生産性を上げていくということです。さらには新型コロナの経験も踏まえながら、医療提供体制についての改革を引き続き進めていく。こういったもろもろの改革のほかにも、介護保険制度についても給付と負担の見直しということでの改革、これは2024年度には行わなかったものについて、引き続きの検討課題になっているようなものもあろうかと思っております。

さらには、全世代型社会保障の中で言われております能力に応じた全世代の支え合いということで、この中には、介護保険制度の改革もございますし、医療・介護における金融所得を保険料に勘案していくという議論、こういったようなものも出てくるかと思っております。

さらには、高齢者の活躍促進や健康寿命の延伸等ということで、これは老健局のほうでよく最近言われているのですが、介護予防とか健康づくりとかを一生懸命やっていく中で、要介護の認定度がかなり改善してきているという話がございます。要介護5の方や4の方がだんだん減ってきている。これは国民の皆様から見てもプラスの話ですので、予防というものをしっかりと進めていきながら、あわせてこういった方々がどう活躍できるのか、そういった場をつくっていくということが、この国の将来にとって大切なことなのかなと思っております。

最後の項目は、地域共生社会の実現ということで、まず来年度につきましては住まいの関係。これは社会保障の中に住まいというものも位置づけ、国交省と連携しながらしっかりと進めていきたいということです。これも全世代型社会保障構築会議の報告書の中でも御指摘をいただいた話ですが、そういったことに向けて制度改正をこの通常国会に国交省と連携しながら行いたいと思っております。

また、2028年度までということであれば、孤独・孤立対策、身寄りのない高齢者への支援、こういったものがあろうかと思っております。

次のページにつきましては、こども家庭庁の話がメインではございますが、今回、こども未来戦略ということで3.6兆円の予算を確保し、今までとは違う形でのこども・子育て支援を行うものであります。今まではどちらかといえば待機児童にかなり力を注いできた。これはそうせざるを得ない状況もあったと思いますが、今回は待機児童の状況も地域によってかなり改善してきている、こういった状況も踏まえながら、全ての子育て家庭に対して支援を行っていく。こども・子育て家庭というものを、子育て家庭の当事者、親に任せるのではなくて、社会全体で支えていく、そういった大きな思想の転換がベースにあろうというふうに理解をしております。

児童手当の問題だけではなくて、学校教育、高等教育の話や住宅支援、さらには切れ目なく全ての子育て支援ということで、こども誰でも通園制度、保育所の量の拡大から質の向上。多様な支援ニーズということで貧困、虐待、障害児、医療的ケア児、こういった話もありますし、また、私どもの関係では、共働き、共育ての推進、ここが非常に大きなテーマだと思っております。女性の方が結婚してこどもを産み、その後正規から非正規になってしまう、あるいは仕事を辞めてそのまま仕事に就かない、こうしたことになると、生涯賃金が一億数千万円前後マイナスになってしまうという民間の調査結果があります。子育て罰という言葉も聞かれますが、こどもをつくること自体がリスクになっているという状況でございますので、こうしたことは絶対に改善していかなければいけない。女性の活躍というものが生産年齢人口が減少する中で重要だという点から考えても、大切なテーマであります。そのために、夫婦が共に子育てをし、夫婦が共に働いていく、そこには男女の差もなくやっていくということが基本だということで、男性育休の推進、さらには育休以降のいろいろな働き方の改善、こういったことを、今回こども未来戦略に盛り込んでおりますし、この通常国会に法案を出していきたいと考えております。

5ページ目がこども未来戦略の財源の話であります。歳出面については、資料にあるように3.6兆円。歳入面については、様々な工夫を行う中で、規定予算の中で少しまだ余っているものを活用させていただいて、これが1.5兆円。さらには、先ほど言いました歳出改革を行う中で、6年間でこどものほうを1.1兆円増やすということ。そして、残った部分である1兆円、これを支援金ということで企業の皆さん、また高齢者も含めた全ての国民の皆さんに御負担いただくような形で財源を確保していきたいと考えているところでございます。

また、歳出改革の徹底を行う中で公費が節減されるわけではございますが、一方で医療介護などにつきましては、公費が下がることに伴って社会保険負担も軽減されるという効果も出てまいります。こういった社会保険負担軽減の効果や、また賃上げによって生じる効果、こういったものと先ほど言った支援金に伴う負担増の部分、これを見合うような形にしていくことで、トータルで見たときの実質的な追加負担をなくしていこうということが今回の考え方でございます。

支援金等につきましては、6ページ目でございます。まずは新しく特別会計をつくって、この中に今までのこども・子育て支援勘定、また育児休業等の給付勘定、こういったものも再編いたしまして、費用の見える化を図るという形で、新しい特別会計をつくっていきたい。そして、その中でこども・子育て支援金制度につきましては、1兆円程度を確保するということで、企業を含め、社会・経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で広く拠出していく仕組みといたします。その際、新しく徴収の仕組みをつくるよりは既存の徴収の仕組みを活用していくほうが効率的ですし、国民が広く拠出するという考え方を踏まえれば、被保険者の対象範囲が広い医療保険の徴収ルートを活用することで支援金の徴収を行っていきたいと考えております。こちらにつきましては、こども家庭庁のほうで、現在、法案の提出に向けて議論を進めているというふうに承知しております。

以下、参考資料として、全世代型社会保障構築関係やこども未来戦略関係の検討体制、議論の経緯が書かれておりますので、御参照いただければと思います。

私のほうからは以上でございます。

○森会計課長 続いて、資料2について説明させていただきます。「令和6年度予算案の概要」ということでございます。

1枚おめくりいただきまして、一番上の段、左から2つ目の箱を御覧ください。令和6年度予算一般会計、全部で33兆8,191億円となっております。

1つ下の段を御覧いただきまして、いわゆる社会保障関係費、年金医療等の国庫負担でございますが、これらについては33兆5,000億ということで、隣の箱、増減でプラス6,700億円の増となっております。

次のページを御覧いただきまして、こちらが年金、医療、介護、それぞれの増減が分かるような形になっております。年金3,000億、医療1,100億プラスになっているということでございます。なお、雇用につきましては、育児休業給付に係る国庫負担を本則に戻すということで、今回大幅に増えているという形になっております。

続いて、次のページを御覧いただきまして、厚労省関係の予算の主な重点事項ということでございます。詳細は次のページ以降でお話しいたしますが、大きく分けて3つ、左から保健・医療・介護、それから真ん中の雇用の関係、それから右端の包摂社会の関係、福祉等についてそれぞれ必要な予算を今回用意させていただいております。

次のページに参りまして、まず、令和6年度の最も重要な予算につきまして、1つは物価高騰・賃金上昇を踏まえた3報酬改定の話になっております。診療報酬改定についてはプラス0.88%、薬価についてはマイナス1.00%、介護報酬についてはプラス1.59%、障害福祉サービス等報酬についてはプラス1.12%という形で整理させていただいておりまして、来年度から報酬改定をさせていただくということでございます。

続いて、ブルーの箱のほうに参りまして、最初に、医薬品等のイノベーションの推進ということを掲げさせていただいております。我が国におきまして、ほかの国で承認されていて、まだ我が国で承認されていない医薬品は170ぐらいございます。こうした中で、一刻も早く必要な医薬品が我が国で申請いただいて承認されるように、1つ目の矢羽根のところを御覧いただいて、例えばオーファンドラッグですとか小児用の医薬品についてPMDAの相談体制を強化する取組、相談手数料を軽減することによって、より申請しやすくするような取組。それから、2つ目の矢羽根のところ、こちらは日本で承認を受けた医薬品がアジアの諸外国でできるだけ早期に承認されるように、アジアの国々の審査官の方々に日本の承認の仕組みについて学んでいただくような研修をやっていくような拠点をつくっていくといった取組をしていきたいと考えております。

それから、右側に参りまして、イノベーションの推進ということで、例えば一番上の矢羽根にありますように、がん・難病の全ゲノムの解析を進めていく。それから、2つ目の矢羽根にあるようにAI創薬といったことで新たな取組を進めていきたいと考えております。

次のページに参りまして、医療・介護のDXの関係でございます。こちらにつきましては、5年度の補正予算でかなりの額、必要なものを用意しております。DXのところに点線の箱があるかと思いますけれども、この点線で囲まれている部分が5年度の補正予算でつけさせていただいた予算になっております。この点線のところはDXの関係、全部で1,000億円強ございますので、当初予算はそれほど大きくないという形になっておりますが、当初予算のほうも一番上の矢羽根にありますように、電子カルテを共有していくための標準化の推進、それから、2番目の矢羽根のところ、いわゆるLIFEと呼ばれますけれども、介護のデータを共有できるようにしていくために、市町村が閲覧できるようにしていくための改修等の費用を用意しております。

続いて、地域医療・介護の基盤強化というところでございますけれども、1つ目の○、地域医療構想等の推進で880億円、それから、右側に参りまして、地域包括ケアシステムの構築、救急・災害医療の推進・充実ということで、引き続き、必要な予算を確保してまいります。

続いて、健康づくりの関係ですけれども、1つ目の○の健康づくりのところの1個目の矢羽根、国立成育医療研究センターに来年度、「女性の健康」ナショナルセンターを創設いたしますので、それに必要な費用を用意しております。

次のページに参りまして、認知症の関係でございます。昨年、認知症基本法が成立いたしました。点線の箱にありますように、補正予算でも必要な予算を確保しておりますが、当初予算でもさらに推進に必要な予算を用意しております。例えば3つ目の矢羽根のところにありますように、認知症疾患医療センターで今後、アルツハイマー病の新薬等が使われていくことになりますので、そこにおける相談機能の強化をしていくような予算等を用意しております。

それから、下に参りまして、がん、循環器病対策、その次の肝炎、その次の難病・小慢、右側に行っていただいて歯科保健、国際保健等の必要な予算も引き続き確保してまいります。

続いて、感染症の関係ですけれども、次なる感染症に備えた体制強化ということで、一つは保健所、地衛研の体制強化のための費用を用意しております。もう一つが新興・再興感染症対策ということで、現在、検体等をデータベース化したREBINDという仕組みがございまして、それをさらに活用して、臨床研究に使っていけるような仕組みを構築していきたいと考えております。

次のページに参りまして、こちらのほうは雇用の関係でございます。1つ目が賃金の引き上げということで、一番上の矢羽根のところは最賃の引き上げをしていただく中小企業に対する生産性向上の支援という予算を用意しております。

それから、4つ目の矢羽根でございます。いわゆる医療保険や年金等の被保険者に発生する年収の壁の問題への対応ということで、キャリアアップ助成金を活用して支援を行っていく予算を来年度以降用意しております。

右側に参りまして、リ・スキリングの支援ということで、一番上の矢羽根はいわゆる教育訓練給付の関係。それから2つ目が、ハローワークにリ・スキリングの相談をできる相談コーナーを設置しまして、キャリアアップとリ・スキリング等について相談できるような体制をつくっていきたいと考えております。

次のページに参りまして、こちらは成長分野への労働移動の円滑化ですとか、多様な人材の参加できるような職場づくりというのを進めてまいります。例えば、左下のところにありますフリーランスの関係です。こちらも昨年、新法が成立いたしました。フリーランス110番というのを中企庁、公取と一緒に設置して、必要な相談に応じて支援していきたいと考えております。

9ページに参りまして、こちらがいわゆる両立支援の関係です。育児休業を取られた方の代わりに働いた方に対して手当てをできるような助成金を今回新たに大きくメニュー化してまいります。

それから、多様な人材の就労・社会参加の促進では、例えば一番上の1つ目のところはシルバー人材センターでニーズを掘り起こししていくために、特養等で1か月お試し就業体験していただいて、そのニーズをどんどん開拓していくというというようなことをやっていきたいと考えております。このほか障害者ですとか外国人等に対する支援も行ってまいります。

下のところにオレンジ色のボックスがあると思います。厚労省関係の予算を、女性が健康で働きながら頑張れるという予算をここで再掲させていただいておりまして、大体3000億円程度の予算をいわゆる女性関係の予算として用意しているということになっております。

さらに、次のページに参りまして、福祉の関係です。地域共生社会の実現等のところで、一番上、重層的支援体制ということで、属性を問わない障害者とか貧困とか子育て支援とか、そういったものを壁がなくワンストップでサポートできる体制を整備してまいります。この重層的支援体制をやっていただいている市町村の箇所数が大幅に増えてきておりますので、今回必要な予算を大幅に増額しております。

それから、生活困窮者自立支援につきましては、今回、この通常国会で法案提出していることにしておりまして、その関係の住まい支援ですとか、それから就労インセンティブの強化といった予算を用意しております。そのほか障害者支援、成年後見制度の利用促進、困難な問題を抱える女性への支援とか、自殺、ひきこもり対策等を進めてまいります。

最後に、遺骨収集の関係や年金の国庫負担、被災者・被災施設の支援等も引き続き行ってまいります。

私から、予算の関係の説明は以上でございます。個別の予算について御参照になりたい場合は、参考資料3で少し分厚い資料をお配りさせていただいております。こちらに個別の予算の概要が載っておりますので、必要に応じて御参照いただければと考えております。

以上でございます。

○遠藤会長 ありがとうございました。

それでは、ただいま御報告いただいた内容を中心に、皆様から御意見、御質問等をいただこうと思いますけれども、まず最初に、内堀委員におかれましては、公務の御予定が詰まっているということでございますので、まず、内堀委員から御発言がもしあればいただければと思いますが、内堀委員、いかがでしょうか。

○内堀委員 遠藤会長、御配慮ありがとうございます。

それでは私から、まず、改革工程、全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋について、4点申し上げます。

1点目は、医療・介護保険制度の給付と負担についてです。

本工程においては、「引き続き、給付の在り方、給付と負担のバランスを含めた不断の見直しを図る必要がある」とされています。今後、さらなる見直しの検討を行う場合は、必要な方が必要な医療・介護サービスを受けることができるよう、特に低所得者への配慮をお願いします。また、将来にわたり持続的で安定的な制度とするため、引き続き、地方と協議を行うとともに、公費負担の財源については地方にさらなる負担を生じさせることがないよう、国において十分な措置を講じるようお願いします。

なお、国保の普通調整交付金の配分の見直しについては、これまで全国知事会で要望してきたとおり、普通調整交付金が担う自治体間の財政調整機能を引き続き維持するとともに、生活保護受給者の国保等への加入については拙速な見直しを行うことなく、慎重な議論を行うよう、改めて求めます。

2点目は医療についてです。

医療DXの推進は、医療分野の機能分化と連携を進めるために不可欠な取組です。医療機関等の負担なく、各システム等を導入できるよう、低コスト化や財政的な支援が必要であると考えています。

地域医療構想の実現に向けては、各都道府県において医療機関の対応方針の策定及び地域での合意に向けた議論を行っています。また、かかりつけ医機能が発揮される制度整備については、令和7年4月の施行に向けた具体的な議論が進められていますが、かかりつけ医機能の報告や地域での協議等において都道府県が実務を担うこととされています。いずれも、地域の医療資源を有効に活用しながら、質の高い医療提供体制を確保するために重要な取組でありますが、都道府県に求められる役割が増えていますので、都道府県に対する継続的な支援とともに、地域の実情に応じて柔軟に活用できる財源の確保をお願いします。

3点目は介護についてです。

地方においては、現役世代の減少に伴う担い手不足が深刻となっています。介護人材の確保・定着のため、介護職の魅力の積極的な発信や処遇改善加算の拡充など、適切な制度設計を行う必要があります。また、ロボットやICT機器の活用などにより、働き手の負担を軽減しながら介護現場の生産性や介護の質の向上を図ることは重要です。事業者への支援や事例の周知等により施策の推進をお願いします。

4点目は孤独・孤立対策についてです。孤独・孤立対策推進法において、地方は国民の理解促進、相談支援の推進、プラットフォーム整備、人材確保、地域協議会の設置に努めるよう求められています。本工程にもある「孤独・孤立対策を安定的・継続的に推進していく」ことを担保するためにも、財政措置を含め、地方に対し十分な支援をお願いします。

次に、こども未来戦略についてです。

これまで全国知事会で要望してきた内容を含め、こども・子育て政策の強化に向けた道筋が示されました。今後は、加速化プランに示された施策を早期に着実に実行していく局面となります。国においては、地方が円滑に実効性ある取組を展開できるよう、丁寧な調整を行っていただくようお願いします。

また、加速化プランに盛り込まれなかった施策についても、地域のニーズを十分に踏まえた総合的な展開が図られるよう、財政措置を含め、さらなる支援をお願いします。

私からは以上です。よろしくお願いします。

○遠藤会長 ありがとうございました。

それでは、皆様から御意見を承りますが、まずは会場に御参加になっている委員からお話を承って、その後、オンラインの皆様からの御意見を頂戴したいと思います。

会場の委員の先生方、いかがでございましょうか。何かございますでしょうか。

では、小国委員、お願いいたします。

○小国委員 鎌倉女子大学の小国と申します。私は、小児慢性特定疾病自立支援事業の委員をしております。その関係で発言させていただきたいと思います。

こども・子育て支援加速化プランということで、予算が非常に未来を見据えた計画的なものになっておりますけれども、見てみると、6ページにあります難病・小慢特定疾病対策等の推進ということで、非常にシェアが小さくなっております。しかしながら、こども・子育てを推進していく中で、やはりこういう難病・小慢の方たちを見据えたこれからの政策というのは絶対に欠かせないものになってきます。今、小慢の自立支援事業は、第一歩というところですけれども、非常によいプランが推進されてきております。これは毎年1年ごとの継続となっておりまして、来年度また継続されるかどうか非常に不安になっているところでございます。ぜひ継続的に推進できるような取組にしていただけるとうれしいなと思います。

このプランが今、第一歩、進んでおりますが、これで打ち切りになりますと後ろ向きになってしまいますので、せっかく始まったところですので、推進の方向でぜひ今後も考えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○遠藤会長 ありがとうございました。

それでは、ほかにいかがでございましょうか。

それでは、村上委員、お願いいたします。

○村上委員 ありがとうございます。まず、資料1の改革の工程についてです。3ページにある勤労者皆保険の実現に向けた取組について申し上げます。現行制度は、様々な要件により社会保険の適用の有無が変わる不合理な制度であると認識しています。企業規模要件の撤廃や個人事業所に関わる非適用業種の撤廃、5人未満を使用する事業所への適用だけでなく、全ての労働者への適用を目指し、いわゆる年収の壁の要因の一つである賃金要件の引下げが必要と考えます。

参考資料1に、「年収の壁」を意識せずに働くことが可能となるよう、制度の見直しに取り組むとあります。この点、2023年10月から実施されている支援強化パッケージのような対応は、課題を抜本的に解決するものではないと考えます。第3号被保険者制度など社会保険制度における被扶養の在り方について、情勢の変化や働き方、ライフスタイルの多様化を踏まえて抜本的な見直しに向けた議論を進めていただきたいと考えます。

もう一点は、こども未来戦略についてです。子育てを親任せにせず、社会全体で支えることは大変重要だと考えます。ただ、そのための財源確保策として提案されている新たな支援金制度については、様々課題があると考えており、私どもの考えは別の会議体でも述べているため繰り返しませんが、本日は資料1の6ページに関して意見を申し上げたいと思います。

2のこども・子育て支援金制度(仮称)の○の3つ目と4つ目についてです。○の3つ目では、「支援金制度は、少子化対策に充てる費用について、企業を含め社会・経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で、広く拠出していく仕組み」とされています。ここで書かれている「参加者全員」という部分はどういうことなのかと思います。また、その次の「公平な立場で」という部分についても、高齢者から現役世代まで医療保険の保険料と併せて徴収される金額が異なることになると思いますが、「公平な立場」とはどういうことなのか、まだ理解ができていないところです。

さらに○の4つ目の医療保険者が介護納付金と同様に被保険者に支援金を賦課・徴収することについてです。医療保険者は特段この制度に関して権限がないのではないかと思っており、「賦課・徴収する」とはどういうことなのかという点も疑問に思います。こうした点について十分な議論が必要と考えます。

以上です。

○遠藤会長 ありがとうございます。ただいまのは質問ということではなくて、あくまでも御意見ということでよろしゅうございますね。ありがとうございます。

ほかにいかがでございましょう。

それでは、吉田委員、お願いいたします。

○吉田委員 全国町村会の吉田でございます。

初めに、1月1日に発生しました能登半島地震において、被災地の住民の命や健康を守るため、厚生労働省におかれましては、医療等の万全な支援をお願いいたします。また、長い避難所生活も想定をされるため、高齢者やこどもをはじめとした被災者への心のケアや福祉支援についても、十分な対応を講じていただきますようお願いをいたします。

次に、先ほど御説明がありましたこども未来戦略及び全世代型社会保障の改革工程について申し上げます。少子高齢化が加速度的に進んでおり、今後も社会保障関係費の増加が見込まれる中で、町村が継続して行政サービスを提供できるよう、国の責任において地方財源を含め、安定した財源の確保をお願いいたします。改革工程で示された具体の施策に関しましては、地方自治体の意見を十分に聞いていただくとともに、全ての地方自治体において円滑に実施できるよう、早期の情報提供をお願いいたします。また、医療や介護、保育を担う専門人材は地方において特に不足をしていることから、人材の確保支援もお願いをいたします。

こども未来戦略に基づき集中的に取り組む加速化プランに盛り込まれた施策の多くを担うのは地方自治体であり、私たち町村も現場としての役割をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。一方で、財政力の違いによって、こども・子育て政策に地域格差が生じている現状もございます。自治体の財政力等によって格差が生じることのないよう、全国一律に実施すべき総合的な施策については、国の責任と財源において必要な措置を講じた上で実施をしていただきたいと思います。

私からは以上でございます。

○遠藤会長 ありがとうございました。

ほかによろしゅうございますか。

それでは、田辺委員、どうぞ。

○田辺委員 1点だけ申し上げたいと思います。全世代型社会保障構築の委員でもありますので、そこの部分でございます。

今回の工程表ではなく、その前の報告の中では、この改革というものを時間軸と地域軸に沿って行うということをうたっておりました。今回の工程表を見ますと、時間軸は分かるのですけれども、地域軸はどこに行っちゃったのという感じが若干否めません。それはうちの地域推計が12月末でありましたので、そこの情報を反映できなかったというのは、私としては慚愧の念に堪えないところでございます。

ただ、あまり注目されていませんけれども、大きなことを申し上げますと、2025年までに1,700ある市町村の中で高齢者の数がピークに達したところはもう62%であります。つまり、ほとんどのところは、もうこれからは市町村においては高齢者が減っていく状況になっているというのが1つであります。

他方、残ったところはどういう推移をたどるかというと、2030とかはあまりピークに達していなくてフラットでありまして、そのピークに来るところが、大都市圏だと思いますけれども、2040とか50という結構後にピークが来るということであります。つまり、時間的な格差というか違いというのが地域においてかなり出ているということでありまして、そうなると、ピークに達したところの供給体制の問題は、もしかしたら今が、もうちょっと後に来るとは思うのですけれども、ある程度一定の形を取っているかもしれませんけれども、大都市圏においてはまだニーズが増えるというので供給体制の問題は残るということであります。

こういう地域の図というのを見ていきますと、全世代型は当然、全国的な議論をやらざるを得ないのですけれども、実際の地域に落としてきたときの取組というのは、大分色合いが違ってくるのではないか。そこのところを今後考えていかないと、もうピークに達しているところが半分以上になっていますので、そこを改革工程表の中に書き込むことはできませんでしたけれども、実際の地域に落としたときの問題としては、非常にこういう観点は重要性を持ってくるのではないのかなと思ったところでございます。欠落しているところを申し上げるのもなんではあるのですが、1点申し上げた次第でございます。

以上です。

○遠藤会長 重要な御指摘をありがとうございました。

ほかにございますか。

楠岡委員、どうぞ。

○楠岡委員 楠岡です。

社会保障全般の中で、特に医療の面に関して少し意見を述べさせていただきたいと思います。現在の医療提供体制は、地域医療構想に基づいて進められているわけでありますけれども、1つは、地域医療構想をつくった時期から比べて少子高齢化がより一層進んでいるということ、それから、地域での医療提供の偏在がより顕著化していること、さらに、医師の働き方改革等によって供給力そのものに関してもかなり制限が出てきているような状況があります。

既に医師不足、看護師不足その他の医療従事者の不足が明らかになっている中で2040年を迎えたときに、今のような形では、当然のことながら医療提供が十分にできないということがありますので、これに関して地域医療構想の、2025年までにまだ1年ありますけれども、もう既に見直しを始めて、次の時期に対する計画あるいは修正を行っていくということと、それを2040年まで待っていたのでは決定的に手遅れになりますので、さらに2030年程度、2025年から5年以内のところでどのような体制にするかを明確化し、それに対するいろいろな手立てを打っていかないといけないのではないかと思います。

コロナによりまして医療機関は非常に疲弊した状況にあって、その後、これだけの大きな改革等をうまく乗り切れるかどうかということも心配ですが、加えて、今回の能登半島地震のように災害が起こりますと、一度にいろいろなものが崩壊してしまうということも出てまいります。そういうことを含めて、今回、感染に対してはある程度対策は立てられましたけれども、災害については、今までいろいろ対策は立てられてきましたけれども、災害ごとにその様相が異なるので、万全、これさえあれば絶対というものはなかなかないとは思いますが、その辺も踏まえて、ある程度余力を持った形での体制構築を考える必要があるのではないかと思います。

このままでいきますと、特に今、病院等においては経営が極めて困難な状況になっておりますので、思いのほか早く破綻してしまう可能性もあります。ぜひこの辺りは十分な御配慮をしていただければと思っております。

以上です。

○遠藤会長 ありがとうございました。医療提供体制の課題について御発言をいただきました。

それでは、フロアの委員の皆様は大体御発言いただきましたので、オンラインで御参加されている先生方の御意見を承りたいと思います。冒頭、事務局から説明がありましたように、御発言の際は挙手のボタンを押していただいてお待ちください。押された順番で私のほうから指名をさせていただきます。

それでは、立谷委員、お願いいたします。

○立谷委員 全国市長会でございます。私のほうから、今出た意見も踏まえて、ちょっと市長会としてお話しさせていただきたいと思います。

楠岡委員から医療・介護の人材不足の話がございました。これは我々基礎自治体を担う首長としても非常に深刻な問題だと思っているのです。特に一番の問題は人材不足ということです。この人材不足に合わせて対応して、私は、若い方々が医療・介護の世界に入っていくことを推奨するためにも、処遇の改善というのは非常に必要なことだと思っているのですが、もう一つ、リ・スキリングということも念頭に置いて考えていかなければならないのではないかと思うのです。

これは相馬市の実例で大変恐縮なのですけれども、相馬地方には看護学校、それから准看護学院があり、相馬市としても介護職員初任者研修の無料講座までやっています。ですが、参加者、入学者が減ってきているのですね。特に准看護学院は定員割れを起こしているような現状なのです。

私は、准看護学院とか介護職員初任者研修は高齢者の人や、例えば40代、50代、60代のひとり親の離婚された女性の方のような方々が入っていただけるように、随分進めてきたのですが、なかなかこれが進まないのです。進まないというか、なかなか人が入ってこないのですね。そうすると当然、地域においては医療・介護の人材不足というのが起こってくるわけです。これは、1つは、私は国民の皆様の意識の問題でもあろうかと思うのです。ここは社会全体として考えていかなくてはいけない問題なので、1つの検討課題としていただきたいというようなことを申し上げたいと思います。

それから、高齢者の対策ということになるのですが、孤独の問題もありますし、高齢者の方々は身体が弱くなってきて、どうやってサポートするかという問題もあるのですけれども、新型コロナ感染症の影響で、非常に社会的には孤独な状態が多かったという高齢者がたくさんいらっしゃるわけです。そういう方々は、言葉は悪いかもしれませんけれども、認知症になりやすい、認知症の傾向が強いということが相馬市においては散見されました。

したがいまして、やはりこういう方々、特に孤独な高齢者の方々に対して社会参画をどうやって進めていくか。そういった意味では、その予防ということも含めて、シルバー人材センターの機能がもっと発揮されなくてはならないのではないかと思っていますし、また、高齢者の方でも介護に参加することはそう難しくはないのですね。あるいは人生経験がある分だけ心のこもった介護ができるという側面もあると思います。ただし、その際には、やはり体力の問題がある。例えば寝返りを打たせるということに対して、なかなか大変なところもあるし、体を持ち上げるということはまず不可能かと思います。

一時、ロボットの議論が随分されたのですが、しかし、現場では、やはりなかなか使いづらいというのが現場の声でございます。イノベーションの中に1つこのことを念頭に置いて、介護のロボットを、AI化ということにもなりましょうし、デジタル化ということにつながってくるかとも思うのですけれども、進めていただきたいということを考えています。

それから、孤独対策として、これも相馬市の実例で大変申し訳ないのですが、集落の後期高齢者の独り暮らし等の方をグループをつくって見守りするという活動を行っています。相馬は東日本大震災の被災地でありますから、これは被災者支援総合交付金を使って今実行しているのですけれども、これはお互いの地域の中で独り暮らし等の高齢者の人を、声かけだけでも私はいいと思うのです。コミュニティーの一部にどうやって組み入れていくのかということが重要だと思いますから、相馬市の実例で申し訳ないのですけれども、お考えいただきたい。

それと、こども未来戦略会議、これは皆さん大変御苦労なさって結論を出したわけですけれども、実行するに当たってなお御苦労かと思いますので、ひとつ頑張っていただきたいと思うのですが、こども未来戦略会議の中で出てこなかった話として、市長会の中では大分そういう意見がありまして、こどもの中学生までの医療費の無償化、あるいは給食の無償化ということを要望される市長さんたちが全国市長会の中で意見としていらっしゃいました。今後の課題として、考えていってもらいたいと思っています。

子育てをしていく上での国民の分かりやすい望みの一つではないかということを考えるわけです。将来的な課題ということになりましょうが、念頭に置いてお考えいただきたい。

私からは以上です。

○遠藤会長 ありがとうございました。

それでは、ほかにいかがでございましょうか。

それでは、津谷委員、お願いいたします。

○津谷委員 先ほどの立谷相馬市長、そして吉田委員からもご発言がございましたが、皆様御存じのとおり先般、能登地方で非常に大規模な震災が起こっております。資料2に示された予算には、スライド5で災害医療体制の充実について記されており、スライド10では先ほど市長からもお話があった被災者・被災施設支援の交付金について触れられております。今回の震災は当初の予想よりも規模が大きく、影響が長引くであろうと予想されます。東日本大震災に比べると、被害を受けた地理的エリアは小さいですが、能登半島の地形は非常に複雑なようで、復興には困難が伴い、時間もかかるであろうと思います。能登地方では震災前から人口の超高齢化が既に進行しており、自然減、つまり生まれる数よりも死ぬ数が多いことによる急速な人口減少が起こっていたわけですが、今回の震災により、社会減、つまり人口の流出によって人口減少にさらに拍車がかかるのではないかと心配です。震災による一時的な避難が恒久化すると、地域社会の空洞化が起こることが懸念されます。人口減少は能登地方に限ったことではありませんが、この地域社会の急激な空洞化を回避するために、復興への特別な政策的配慮をお願いしたいと思います。

最後に1つお伺いしますが、この震災は元旦に起こりましたので、震災対応のための予算は資料2に示された令和6年度予算には反映されていないのではないかと思います。この審議会はライブストリーミングされていますので、ここでおっしゃりにくいこともあるかと思いますが、もし可能であれば、厚生労働省として、予算の面から震災への政策的支援についてどのように考えておられるのか、お聞かせ願えればと思います。

この震災は相当長期化すると思いますので、特別会計という形をとることも含めて、資料2に示されている予算項目についてもそうですが、包括的で重複の少ない、しかし一貫した長期的な対応のために、厚生労働省の政策的支援をお願いしたいと思います。どういうふうに考えていらっしゃるのかについて、もしここでお答えいただけるのであれば、お伺いできればと思います。

以上です。

○遠藤会長 ありがとうございます。

対策に関する特に財政上の問題を含めて、御質問だというふうに思いますので、では、会計課長、よろしくお願いいたします。

○森会計課長 会計課長でございます。

今、能登の災害について御質問がございました。先ほど説明させていただいた当初の予算案については、いわゆる通常の災害対策の予算として今回用意させていただいているものでございます。能登の関係につきましては、昨日、政府の対策本部で「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」というのが決定されております。この中で政府全体として、先ほどおっしゃっていただいたようなことも含めて、地域とそれぞれの方々の今の生活と、これからの生活の再建に向けてどうやっていくのかということを決めさせていただいております。

さらに、そのために、今この瞬間に必要な確認できる予算として予備費を今日の閣議で政府全体として1,500億程度決めていただいておりまして、そのうち厚労省分に関して申し上げますと、1つはいわゆる生活福祉資金の貸付け。どうしても給付等が出る前にも急ぎで必要になる資金がございますので、そうした小口の貸付けを緊急的にやっていくものですとか、あと、福祉施設の災害復旧、それから、今回、水道が結構大きなダメージを受けておりますので、水道の災害復旧への費用などを積み上げさせていただいております。

これらの予備費だけでなくて、さらに見守り支援ですとか、それから医療保険、介護保険の保険料負担、利用者負担の軽減、それから雇調金の関係については、今ある予算を上手に活用しながら対応し、仮に途中で足りなくなれば、さらに積み増していくということを含めて検討しているところでございます。

政府全体として今できることと、それから、これからどんどん必要になってくること、少しタイムラグがあると考えておりますので、そういうニーズに合わせて必要な支援をやっていきたいというふう考えているのが現状でございます。

○遠藤会長 ありがとうございます。

津谷委員、よろしゅうございますか。

○津谷委員 はい、分かりました。今後ともどうぞ御支援のほどお願いいたします。

最後に一言付け加えますと、復興のためにはいろいろな情報・データが必要になると思います。今回の震災を受けて、能登地方は政府の基幹統計調査などの対象地域から一時的に外されたと理解しておりますが、できる限り早くいろいろな情報を収集して頂くようお願い致します。適切な政策立案にはエビデンスが大変大事ですので、地域の状況も考えながら、地域住民の方々の理解と協力を得てデータを収集して頂ければと思います。情報収集は時計を戻して行うことはできませんので、タイムリーにご尽力頂くようお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○遠藤会長 ありがとうございました。

それでは、野口委員、お待たせいたしました。

○野口委員 発言の機会をいただきどうもありがとうございます。私からは1点、いわゆる保険収載と費用対効果について指摘をさせていただきたいと思います。

昨今、アルツハイマー型認知症に対する非常に高額な新薬が保険収載されて話題になったところです。今後、こうした認知症あるいはがんに対する免疫療法、ひいては個人の遺伝子等に応じたオーダーメイド治療等々、高額な新薬が数多く開発されることが予想されます。

先ほどの厚生労働省様の御説明の中で、日本で承認されていない新薬が多々あって、今後そういったものをできるだけ早くということだったのですが、もしこれらの新薬を承認して、さらにそれを全て保険収載するとなれば、今後、医療費は、今ですらこういった新薬が承認されて保険収載されるたびに急増しているわけですけれども、さらにどんどん増えていくと思うのですね。これというのは、今後、要するに財源をどういうふうに、生産年齢人口が激減する中で、どういうふうに医療と介護のシステムを持続可能なものにしていくかということを考える上での非常に大きなトレードオフだと思っています。

ですので、現行こうした薬価をコントロールするシステムとして、一応費用対効果評価専門組織というものがあって、そこが一手に担っているわけですけれども、こういったシステム自体にもう限界があると私は思います。まず、承認と薬価収載というものを別途考えられて、薬の承認、あと費用対効果評価専門組織に対する全体的な承認の在り方、あるいは費用対効果の在り方ですね。これに対する抜本的な改革をぜひお願いしたいと思います。これは意見です。

○遠藤会長 ありがとうございました。高額薬剤に対する対応ということで、非常に重要な課題でありますので、その点について御指摘をいただいたということだと思います。

ほかにいかがでございましょう。既に御発言いただいた方でも、もしあれば結構ですけれども、よろしゅうございますか。

それでは、翁委員、お願いいたします。

○翁委員 御説明ありがとうございました。2点申し上げたいのですけれども、全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋の中で、働き方に中立的な社会保障制度の構築で年収の壁の問題がございます。御説明にもありましたように、生産年齢人口は大きく減り始めておりますけれども、人手不足は本当にサービス業などを中心に深刻化しております。先ほど女性の活躍、逸失利益が非常に大きいというお話がございましたが、サービス業などのアンケート調査を見ますと、7~8割の方が、この壁の問題がなければもっと働きたいとおっしゃっているという結果も現れております。

一方の企業のほうも、今や就業調整が通常であれば11月ぐらいに行われるのが夏ぐらいから行っているということで、本当に人手不足に深刻に悩んでおります。今、取りあえずの年収の壁対策というものが行われておりますが、第3号被保険者が創設されたのは1980年代のことで、現状を考えますと、本当にライフスタイルが大きく変わってきていると思っております。このような問題に正面から向き合い、年金を含めて社会保険制度の在り方を考えていただくというのは、人口問題に対応するためにも非常に重要な課題であると考えております。

2点目は、同じページの医療介護制度の改革のところでございます。メニューが生産性向上、効率的なサービスの提供、質の向上というところに書いてありますが、ここに書いてある一番上のところが非常に重要で、何のための給付の見直しなのかということで、やはり質を向上させていくということ。それから、効率的なサービスを提供していくということ。生産性を向上していくということ。これのために私はしっかりと給付の見直しを進めていただきたいと思っております。

例えば、今、野口先生からも御指摘がありましたけれども、保険では、本当に重篤な方のリスクというのはカバーしていかなければいけないと思っております。その意味での国民皆保険は非常に重要でございますけれども、やはり保険の対象範囲の見直しというのは、ここにも書いてございますけれども、医薬品などを含めてしっかり、むしろ本当に例えば効果のあるものはどういう医薬品になっているのか、OTCについてはどう扱うのか、こういったことを国民的な議論としてしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。あと、医療の経営情報とか質の情報が開示されることによって、国民、患者が安心して医療や介護サービスにかかれる。そして、重複投薬とか頻回受診などの非効率なものが是正されるということも大事ですし、医療提供体制もプライマリーケアも併せた形で地域で考えていただいて、24時間365日のプライマリーケアの方々が多職種連携でチーム医療をやっていただく形で機能分化と連携というのを進めて、国民の安心も提供できるしっかりとした医療提供体制を考えていただきたいと思っています。

最後に、やはりデジタル化、データ活用は極めてこの分野で重要だと思っております。AI活用、オンライン化、これによって生産性の向上と、あと従事者の方々の働き方の改革や満足度の向上、そして従事者の方の賃金、ここについてしっかりと対応していくということも非常に重要ですので、そうした目的をしっかり見定めた上での給付の改革をぜひ進めていただきたいと思っています。

以上です。

○遠藤会長 ありがとうございました。

それでは、増田委員がお手を挙げておられますので、よろしくお願いいたします。

○増田委員 ありがとうございます。私は全世代型社会保障のメンバーでもありますし、内容的にはこれで進めていくということでよろしいかと思うのですが、あえて一言だけ、スケジュール感をきちんと遵守して、それで確実に進めていくということを今まで以上にやっていかなければいけないと思います。例えば医療提供体制の中で、地域医療構想についてはやはり全体としてかなり遅れていると言わざるを得ませんし、あと、財源の問題にも関わってきますが、負担増の関係については、やはり先送りをしてきた問題というのはございます。時間軸の節目とすると、2024年、来年度までに決めること、あと次が2028年度、それから2040年ということですが、2028年度までに結論を得るということについては、特に負担増につながるような話は、1年でも遅らせれば遅らせるほど逆に決めることが困難になるような性格のものばかりということになります。

介護の2割負担の問題もそうですし、あと、医療・介護全体を通じて現役並み所得の3割負担についてもまたいろいろ厳しい状況の中で決めざるを得ないと思いますので、こういった幾つかのことも全員が分かっているとおりの状況の中で、スケジュール感を遅らせるということがないようにこれから取り組んでいかなければいけないと改めて思いますし、あえてそのことだけ付言しておきたいと思います。

私からは以上でございます。

○遠藤会長 ありがとうございました。

それでは、松原委員、よろしくお願いいたします。

○松原委員 ありがとうございます。社会保障というと、やはりどうしても負担ばかり着目されまして、それをいかに減らすかというところにばかり目が行きがちなのですけれども、社会保障のそもそもの意義とか機能、これによって社会の安寧がつくられて、みなが安心して働くことができる、例えば家族が要介護でも介護保険があるため働くことができるなどの直接的な話とか、日本だと、朝、こどもを家の玄関で行ってらっしゃいと送ればいいだけですが、海外に行ったら学校まで届けなければいけないとか、治安の良さによるそうしたコストが低くすんでいるといった間接的な話とか、そういう社会の安寧と経済にずっと貢献している機能というものを改めてしっかり伝えていく、そういう努力が必要だと思います。

一方で、増田委員がおっしゃったように、社会保障をまともにやろうとすれば、どうしたって負担増というのは避けられない問題でして、こういった負担の議論から逃げないことが必要だと思います。負担増を求める以上、社会保障の改革も進める必要があり、例えば社会保障の大きな機能として再分配があると思いますけれども、その機能が例えば正規社員なのか非正規社員かで大きく異なれば、再分配ではなく格差をさらに拡大することとなってしまいます。そうならないように、負担の議論とあわせて改革を進めていくことが必要だと思います。

以上です。

○遠藤会長 ありがとうございました。

では、山口委員、お待たせいたしました。よろしくお願いします。

○山口委員 山口です。よろしくお願いいたします。

私からは2点です。1点は年金に関してなのですが、先ほど資料1の3ページで働き方に中立的な社会保障制度の構築として、年金に関する取組項目について幾つかお話がございました。年金といったときに、公的年金、それから私的年金とを併せて議論していくことになると思いますが、働き方が非常に多様化していることと、老後の資産形成を若いときから行っていく必要性が高くなっていることを踏まえると、今の制度は公的年金、私的年金ともに、どのように適用されるのかが非常に複雑で分かりにくくなっています。現役世代のときから老後の資産形成をしていくのに、利用者、国民にとって、公的年金、私的年金の中身が理解できて、それに向けて自身の資産形成を行っていくという形が望ましいと考えますので、公私が見えるように、そして働き方に中立、不公平がないように議論を進めていただきたいと考えております。

もう一点が、先ほど地震に関するお話が幾つかございました。今回、生活の状況として、生活用水の確保が非常に困難となっていますが、重要であることが見えてきます。地域の生活を建て直して取り戻していくときに、水道は欠かせない非常に重要な部分です。国交省に厚労省から水道の部門が移管されますが、水道の復旧を、地域の地理的条件などの難しさもあるかもしれないのですけれども、遅滞なく進めていただきたいと考えております。よろしくお願いします。

以上です。

○遠藤会長 どうもありがとうございました。

ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。

それでは、御意見、御質問等出尽くしたと思いますので、本日の会議はこれまでにさせていただきたいと思います。

本日、様々な御意見が出ましたので、それを踏まえつつ、事務局におかれましては、社会保障制度の運営や改革を進めていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、本日はこれにて終了したいと思います。委員の皆様におかれましては、御多用のところ御参加をいただきましてどうもありがとうございました。

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