第17回 社会保障審議会企業年金

・個人年金部会 議事録

日時

令和2年11月20日(金)15:00~17:18

場所

TKP新橋カンファレンスセンター 15階ホールD

出席者

神野部会長

森戸部会長代理

伊藤委員

井戸委員

臼杵委員[オンライン]

内田委員[オンライン]

大江委員

小川委員

金子委員

小林委員[オンライン]

藤澤委員

渡邊委員[オンライン]

(オブザーバー)

 

鮫島企業年金連合会理事長

松下国民年金基金連合会理事長

議題

DCの拠出限度額について

議事

議事内容

 

○神野部会長

 それでは、定刻でございますので、ただいまから第17回「社会保障審議会企業年金・個人年金部会」を開催したいと存じます。

 足早に師走が近づいているのですけれども、汗ばむような夏日が続くという異常な気象状況の下で、かつ新型コロナウイルス感染症が勢いを増しつつあるというような混乱した状況の下で、万障繰り合わせて御参集くださいました。本当にありがとうございます。

 本日の出欠状況でございますが、白波瀬委員、細田委員から御欠席との御連絡を頂戴いたしております。

 また、臼杵委員、内田委員、小林委員、渡邊委員におかれましては、オンラインにて御参加をいただいております。

 森戸委員はまだお見えになっていらっしゃいませんが、遅れて御出席との御連絡を頂戴いたしております。

 出席をいただいております委員の方々が3分の1を超えておりますので、この会議は成立しておりますことをまず御報告申し上げたいと思います。

 議事に入ります前に、事務局に異動があったと伺っておりますので、事務局の方から御紹介いただければと思います。よろしくお願いします。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 年金局企業年金・個人年金課長の吉田です。本日もどうぞよろしくお願いします。

 事務局の異動について御報告いたします。

 大臣官房審議官の依田でございます。

 

○依田大臣官房審議官

 依田でございます。よろしくお願いいたします。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 以上です。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 それでは、大変恐縮でございますけれども、議事に入らせていただきますので、カメラの方々はこれにて御退室をお願いいたします。御協力を頂戴できれば幸いでございます。

 まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 資料の確認をさせていただきます。

 本日の資料ですが、資料1「DCの拠出限度額について」。

 資料2「日本労働組合総連合会提出資料」。

 資料3「藤澤委員提出資料」。

 資料4「渡邊委員提出資料」。

 参考資料として委員名簿を用意しています。

 事務局からは以上です。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 それでは、議事に入らせていただきますが、議事次第にございますように、本日、議題を1つ用意しておりまして、それはDCの拠出限度額でございます。先ほども繰り返すようでございますが、年末も近づいて、これから来年度の税制改正に向けた議論が本格的に進んでいくと存じます。この部会では、7月に事務局の方から、「DBを併せて実施する企業型DCの拠出限度額の見直し」や、「企業年金加入者の個人型DCの拠出限度額の見直し」について、具体的な提案を頂戴いたしております。その後、この部会においては、関係団体のヒアリングを行うなどして、審議を深めていただいたところでございます。

 概算要求は締切りの1か月遅れだったのですが、予算の編成につきましては通常どおりの日程で行うということでございますので、税制改正の日程等を考えますと、本日、事務局の方から見直しの最終的な案を示していただき、皆様の御意見を頂戴した上で、事務局から税務当局との最終的な調整をいただくという段取りにならざるを得ないと思っております。

 また、これまでもこの部会において、企業年金や個人年金の将来像について、諸外国のように共通枠を設けるべきといった意見や、自助努力は高所得者優遇とならないように配慮しながら、企業年金とは別枠にすべきだといった御意見も頂戴いたしております。

 私もその委員として参加させていただいております政府税制調査会におきましても、中期的な方向性について、諸外国の制度を参照基準としながら、つまり国際比較の観点からも議論を進めております。そこで、私どもの部会におきましても、国際比較的な観点からの検討も進めていきたいと考えておりますので、本日は、藤澤委員と渡邊委員からそれぞれカナダとドイツの制度体系についてプレゼンテーションいただき、また次回以降、アメリカ、イギリスについて、外部の有識者をお招きしてヒアリングを行っていきたい。そして、将来像について模索をし、今後も議論を継続していきたいと考えております。

 そこで、事務局の方から資料を御説明いただいた後に、藤澤委員と渡邊委員からプレゼンテーションいただき、その後、一括して委員の皆様方から御意見、御質問を頂戴して審議をしていただければと思っております。

 それでは、事務局の方から資料につきまして御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 それでは、説明させていただきます。資料1をお開きください。前回の10月の部会資料を更新していますので、更新した箇所を中心に説明をします。

 少々飛びますが、まず、31ページからの「DB掛金相当額(仮想掛金額)の算定方法(案)」について御説明し、その後、今回の見直しに当たっての経過措置等について御説明をしたいと思います。

 前回、日本年金数理人会の小川委員から、DBの年金数理の専門家としてのお考えを提案いただきました。貴重な御提案をいただきましたので、その御提案も踏まえて検討した結果、厚生労働省としての考え方をまとめたものになります。

 31ページを御覧ください。まず、基本的な考え方です。

 DB・企業型DCに係る税制については、かつての適格退職年金と同様、拠出時において、事業主掛金は損金算入、ただし、掛金については、本来、拠出時に給与として課税すべきとの考え方の下、給付時まで課税を繰り延べる。運用時において、特別法人税課税、所得税の課税繰延べ分を遅延利子相当分として課税。給付時において、課税、ただし、公的年金等控除・退職所得控除を適用となっている。

 給付建てのDBには拠出限度額がないが、拠出建てのDCは、拠出時に加入者の資産となり、加入者自身が資産運用をすることから、加入者が受けることができる税制上の措置の範囲として、事業主掛金に拠出限度額(月額5.5万円)が設定されている。

 DBを併せて実施する場合、DBに加入している者と加入していない者との間で不公平が生じないよう、企業型DCのみを実施する場合の拠出限度額から、DBに事業主が拠出する掛金相当額を控除する必要があるという基本的考え方に立ち、現行は全てのDBの掛金相当額を月額2.75万円と一律評価し、企業型DCの拠出限度額は残りの月額2.75万円となっている。

 このDBの掛金相当額を控除するという仕組みは、DBに加入している者と加入していない者との間で不公平が生じないよう考慮したものだが、DBの掛金相当額を一律に評価しているため、DBごとの掛金相当額の実態によって、企業型DCの拠出限度額に不公平が生じている。

 この点に関して、DBに事業主が拠出する掛金相当額を適切に設定することができれば、公平できめ細かな算定方法とすることができる。

 32ページ、DBの掛金設定と仮想掛金額の算定方法です。

 給付建てのDBは、事業主掛金が個人ごとの資産として管理される企業型DCとは異なり、事業主が加入者全体を一つの集団として財政運営を行う仕組みである。このため、DBの掛金は、個人ごとに設定されず、集団として給付と財源が等しくなるよう設定されている。

 具体的には、給付の算定方法を決めた上で、集団として将来見込まれる給付総額を賄うために事業主が拠出する必要がある掛金総額を計算する。その際、恣意的な事業主拠出とならないよう、定期的に拠出する方法を定めるに当たって、掛金総額を給与総額や加入者総数などの客観的な指標で除することで、掛金率や定額の掛金額を設定する。

 一人ひとりの給与や加入者数の総和が給与総額や加入者総数となるため、一人ひとりの現時点の給与に掛金率を乗じた額や定額の一人当たり掛金額が計算はできるものの、この掛金額そのものがその時点で加入者一人ひとりに付与されているものではない。

 事業主が現在拠出する掛金額そのものが、その時点の加入者の受益に直接紐づくものではないことから、拠出限度額からDBに事業主が拠出する掛金額を控除するに当たっては、掛金額そのものではなく、DBの給付水準から掛金に相当する額(仮想掛金額)を算定する必要がある。現行のDBに事業主が拠出する掛金相当額(現行一律月額2.75万円)も、厚生年金基金の上乗せ部分の給付水準から算定している。

 その際、個人単位でDBの給付水準を見込んで仮想掛金額を算定する方法と、集団単位でDBの給付水準を見込んで仮想掛金額を算定する方法が考えられ、どちらが適切か整理する必要がある。

 33ページ、個人単位で算定する場合の考え方です。

 個人単位でDBの給付水準を見込んで仮想掛金額を算定するためには、マル1、加入者一人ひとりの将来の給付水準を推計する方法、マル2、非継続基準の最低保全給付・最低積立基準額の計算のように、仮に現時点で脱退した場合に得られる給付水準を基準とする方法が考えられる。

 マル1の方法の場合、給付の算定基礎となる給与等を加入者ごとに見込む必要があるが、加入者一人ひとりの給与等は人事上の評価や処遇等に基づくものであり、個別に予測することは困難であることから、集団の実績に基づいて設定される共通モデルを用いて推計する必要がある。

 すなわち、加入者一人ひとりの現時点の給与等ベースとする一方で、以後の期間はどの加入者も同じ昇給率を乗じる等、共通モデルを用いて推計することとなる。また、翌年には翌年時点の給与等の実績に基づいて改めて将来の給付水準を見込み直すことを繰り返していくことが考えられる。

 マル2の方法は、カナダが採用しているが、カナダのDBは加入期間が1年延びるごとに将来の給付もその都度追加的に発生するといった考え方に基づいた給付設計が一般的であるため、この方法を採用した上で、給付の増加分から掛金相当額を算定している。

 一方、我が国のDBは、加入期間が1年延びるごとに給付が追加的に発生するといった設計ではなく、退職時の退職事由を考慮して給付額を算定する設計が一般的であって、非継続基準は仮に現時点で制度終了した場合に必要となる積立金を確保するための財政運営上の指標にすぎず、最低保全給付・最低積立基準額の増加分が必ずしも給付の増加分に対応するものではない。

 さらに、マル1またはマル2のいずれの場合であっても、約940万人のDB加入者一人ひとりについて個別の算定・管理が必要となることから、事業主やDBの受託機関などにおいて、相当の事務負担とシステム構築のコストが必要になるものと想定される。

 34ページ、集団単位で算定する場合の考え方です。

 加入者一人ひとりの将来の給付水準を個別に予測することは困難である中、個人単位で仮想掛金額を算定するために、相当の事務負担とシステム構築のコストをかけて、共通モデルを用いて将来の給付水準を見込み直すことを繰り返すよりも、集団(加入者全体)で財政運営・掛金設定を行っているDBにおいては、当該集団の実態を反映した標準的な給付水準を見込むことができることから、当該集団単位で仮想掛金額を算定・適用することができるのではないか。

 具体的には、各DBは、給付の算定方法を決めた上で、その給付と財源が集団で等しくなるよう事業主が拠出する掛金を設定している。その際に用いる基礎率から、「標準的な給付水準」を算出し、そこから利子分を控除したものを加入月数で除することで、DCと比較可能な毎月定額の仮想掛金額を算定することができるのではないか。

 DBごとに、その実績に基づいて設定した基礎率から算出される「標準的な給付水準」は、その集団における標準的なキャリアパスに基づく給付水準となる。

 「標準的な給付水準」から控除する利子分は、各DBの基礎率の一つである予定利率を用いて計算する。仮想掛金額は、DCの拠出限度額の算定上、DBがどの程度を占めるかを評価するものであって、従業員の将来の給付水準に対して事業主がその時点で拠出したものとみなされるもの、税制上の措置である課税繰延の対象とみなすことができるものとして算定する。

 各DBの予定利率は、積立金の運用収益の長期の予測に基づき合理的に定められるものである。

 この「標準的な給付水準」は、DBごとの脱退率や脱退時の給付に適用される減額率も考慮されることとなる。

 過去の期間の運用実績が予定利率を下回った場合や上回った場合であっても、将来の給付水準は変わっていないため、仮想掛金額は影響を受けない。事務費掛金については、企業型DCにおいても拠出限度額とは外枠で事業主が別途負担するのが一般的であり、将来の給付水準と関連することもないことから、仮想掛金額とは関連しない。

 35ページ、仮想掛金額を算定する区分です。

 仮想掛金額は、財政運営の単位であるグループ区分(同じ基礎率を用いて財政運営・掛金設定を行っている単位)ごとに算定する。

 確定拠出型のように仮想の個人口座を設定して、あたかも個人別に積み上げられた資産が存在するものとして取り扱うキャッシュバランスプランの場合であっても、退職時の退職事由を考慮して給付額を算定する設計が一般的であり、仮想の個人口座の資産額の増加分が必ずしも給付の増加分に対応するものではないことから、他のDB制度と同様にグループ区分における加入者全体を一つの集団として、グループ区分ごとに仮想掛金額を算定する。

 総合型の基金など複数の実施事業所によって構成されるDBの場合であっても、他のDB制度と同様にグループ区分単位で財政運営を行うことから、当該区分の掛金設定と整合するよう、グループ区分ごとに仮想掛金額を算定する。

 ここまで、前回の日本年金数理人会の提案と予定利率の考えを除けば全て一致をしています。

 加入者数500人未満の簡易基準のDBの取扱いについては、日本年金数理人会から、前回、問題提起をいただいていますので、厚生労働省としての考え方をまとめました。

 仮想掛金額は、標準掛金の計算時と同じ基礎率に基づいて算定されるため、実際に拠出された標準掛金総額を加入者数で除した額と近似する。ただし、標準掛金総額を加入者数で除した額は、その時々の給与総額や加入者数の変動などの影響を受ける。

 簡易基準のDBは、掛金設定が簡便となるよう、基礎率の設定を予定利率と予定死亡率のみに限っており、年金数理人による確認も不要としていることから、標準掛金総額を加入者数で除した額を仮想掛金額とする。

 36ページ、実務上の取扱いです。

 仮想掛金額は、標準掛金の計算時と同じ基礎率を用いることから、基礎率が更新される財政再計算のたびに算定する。

 企業型・個人型DCの拠出限度額の管理事務の簡素化を図るため、仮想掛金額は千円単位で端数処理する。この点、前回、小川委員からも一定のアローアンスが必要という指摘がありましたが、その指摘にも一定程度応えるものだと考えています。

 3つ目のマル、標準的な給付水準から仮想掛金額を算定するに当たって、通常の掛金計算と同様に適正な年金数理に基づく必要があることから、簡易基準のDBを除き、年金数理人の確認を必要とする。

 経過的な取扱いとして、仮想掛金額の算定は年金数理人による数理計算が必要となるが、施行時に約1万を超える全てのDBの数理計算を行うことは非現実的である。仮想掛金額は、実際に拠出された標準掛金総額を加入者数で除した額と近似することから、施行後最初の財政再計算が行われるまでの間、その額で代用することを認める。

 その他として2点。

 施行に向けて、詳細を検討し、全ての年金数理人が適正に仮想掛金額の算定を行えるよう、日本年金数理人会と協力して取組を進める。

 現行の拠出限度額(月額5.5万円)の算定方法の見直しを議論する際には、改めて仮想掛金額の算定方法も議論する。

 37ページ、以上御説明した仮想掛金額の算定方法について1枚にまとめたものです。

 38ページを御覧ください。私どもの提案は、現在のDBを38ページにあるように、現在のDCの土俵に乗せてDBを評価するものだと考えています。仮想掛金額は、DCの拠出限度額の算定上、DBがどの程度を占めるかを評価するものであって、従業員の将来の給付水準に対して事業主がその時点で拠出したものとみなされるもの、すなわち税制上の措置である課税繰延の対象とみなすことができるものとして算定することを考えています。

 将来の給付水準に対して事業主が現在拠出している掛金があります。それが損金算入されていますし、従業員にとっては課税繰延がなされている受益の範囲となります。事業主が実施しているDB制度、これは給付建てですが、この給付水準のDBをDCに置き換えたとしたらどの程度の掛金相当額を事業主が用意しているかを算定するもので、DCの拠出限度額の算定ですので、税制上の観点から見ての評価を行ったものであります。

 前回御報告いただいた日本年金数理人会の提案は、給付建ての制度であるというDBの根源的な制度設計に着目した場合、DBごとの予定利率の差は生じさせてはいけないというものでありましたが、これはこれで一定の理解はできるものの、税制面の観点から見て事務局としての案を考えたものであります。

 39ページ・40ページを御覧ください。これまでの部会における仮想掛金額に係る委員の皆様や関係団体の御意見になります。個人単位でなく集団単位で、かつ皆にとって分かりやすい仕組みとすることが指摘されてきたかと思います。これは計算式がシンプルであるということのほか、論理・ロジックが、すなわちなぜそういうことになるのかというのが大事だと思っています。現行ですと、なぜDBを一律2.75万円として扱っているのか、経緯以外説明できなくなっています。

 40ページを御覧いただいて、一番下、見直しの施行時期の御意見として、「改正時期は適切なタイミングを検討いただきたい。また、段階的な導入など事務負荷を平準化できるような導入方法も検討いただきたい」といった関係団体の御意見があったことを申し添えます。

 41ページ、「DB情報の集積による効率的な個人型DCの制度運営(案)」です。

 個人型DCの実施主体である国民年金基金連合会が拠出限度額の管理を行うためには、企業年金の情報を国民年金基金連合会が確認できることが必要となる。現在、この確認を従業員の個人型DC加入時の事業主証明等で実施している。

 事業主が企業型DCを実施している場合、DBも実施している場合にはその情報も含めて、企業型RKに個人型DCの必要な情報が集積されている。2022年10月からは、企業型RKと国民年金基金連合会との間で情報提供を図ることとしている。

 事業主がDBのみを実施する場合、DBに関する情報を事業主証明等で確認する方法もあり得るが、DBの加入掛金の情報を提供することで、より効率的な事務の実現を目指すことができる。

 企業年金に関する事業主からの情報提供に当たっては、企業年金連合会の協力を得て実施する、といったことを考えています。

42ページ、個人型DCの実施機関である国民年金基金連合会からは、資格区分等についての情報に関するプラットフォームを作っていただきたいという御要望をこれまでいただいていましたが、今回、企業年金連合会の協力を得て仕組みを構築することで、効率的な個人型DCの事務運営を目指していきたいと考えています。

 さて、先ほど御説明した仮想掛金額の算定方法を前提としますと、6ページに戻っていただきまして、この6ページの分布は、DBごとの標準掛金総額を加入者数で割ったものです。DBの仮想掛金額を個人単位ではなくDB単位で計算し、予定利率もそのDBの利率を使うこととなれば、DB単位の仮想掛金額はこの分布に近似します。これまで何度も御覧いただいてきた資料になりますが、9割以上のDBは仮想掛金額が月額2.75万円以下となります。ただし、高い給付水準・掛金水準となることが予想されるDBもあります。

 そこで、15ページを御覧ください。「DBを併せて実施する場合の企業型DCの拠出限度額の見直し(案)」です。こうした中、企業型DCの拠出限度額の算定に当たって、全てのDBの掛金相当額を一律に評価している現状を改め、企業型DCの拠出限度額は、月額5.5万円からDBごとの掛金相当額を控除した額とすることで、公平できめ細かな算定方法とすることを7月の部会以降、提案してきました。

 箱の部分を御覧ください。現行は、企業型DCのみを実施している場合の拠出限度額は月額5.5万円、DBを併せて実施する場合は一律で月額2.75万円となっていますが、右の欄、「月額5.5万円から、DBごとの掛金相当額」を控除した額とします。

 ※1の部分ですが、DBは給付建ての制度であり、DCの拠出限度額の算定に当たって使用するDBの掛金額(掛金相当額)は、DBの給付水準から、DCと比較可能な形で評価したものにする必要があります。先ほど説明した仮想掛金額のことになります。

 ※2の部分ですが、DBを実施していなければ、控除する額は0円で、企業型DCの拠出限度額は現行どおり月額5.5万円となります。

 そして、2つ目のマルの部分。制度の見直しに当たっては、既に現行制度下で承認を受けた規約に基づいて企業型DCを実施している企業があることから、既存規約に基づいた従前の掛金拠出を可能とする経過措置を設けることとしたいと考えます。すなわち、括弧の中ですが、「月額5.5万円から、DBごとの掛金相当額を控除した額」が2.75万円を下回るときは、企業型DCの拠出限度額を2.75万円とすることを考えています。

絵の部分を御覧いただいて、現行は、DBの給付水準・掛金水準にかかわらず、企業型DCの拠出限度額は一律2.75万円。右の方、これを見直すと、DBの給付水準・掛金水準が低い場合は、DCで拠出できる額は大きくなり、DBの給付水準・掛金水準が高い場合は、DCで拠出できる額は小さくなります。赤枠の部分、DCの拠出を増やそうとする企業は、施行日以降、規約変更後、拠出可能となります。

 絵の右2本、青枠点線の白抜きの部分がありますが、DBの給付水準・掛金水準が高い場合、DCの拠出限度額が現行の2.75万円より縮小する企業が出てしまいます。この部分について、既存規約は従前の拠出を可能とします。ただし、※の部分ですが、施行日以降の新設の場合や既存規約のDB・DCの設計を見直した場合から新ルールを適用します。

 16ページ、同じことを別の形で図示しています。左の方が現行ですが、DBの給付水準・掛金水準にかかわらず、企業型DCの拠出が月額2.75万円の範囲内で可能です。

 一番左、青字の矢印で書いているとおり、企業型DCのみの場合の非課税拠出限度額は月額5.5万円です。企業型DCの拠出限度額について、DBに加入している者と加入していない者で不公平が生じないよう、DBの掛金相当額を控除する必要があるという基本的な考え方ですが、DBと企業型DCを同時に実施している場合、全てのDBの掛金相当額を一律2.75万円と評価しているため、給付水準・掛金水準が高いDBでも、現行、左の水色のように2.75万円のDC拠出が可能となっています。

 これを右の絵のように、企業型DCの拠出限度額について、DBに加入している者と加入していない者で不公平が生じないようにするのであれば、月額5.5万円からDBの掛金相当額を控除した額とすることで、企業型DCを実施している場合の公平を図ることができるわけです。

グレー色の部分は、左の絵では水色だった部分でして、既存規約に基づいた従前の掛金拠出を可能とする経過措置を設ける部分になります。

17ページ、「企業型DCの拠出限度額の見直しに伴う経過措置(案)」です。

 施行日、具体的な期日は要調整ですが、その時点で、企業型DCとDBを併せて実施している事業主については、「月額5.5万円から、DBごとの掛金相当額」を控除した額が2.75万円を下回るときは、企業型DCの拠出限度額を2.75万円とし、施行日前の既存規約に基づいた従前の掛金拠出を可能とする。

 ただし、経過措置の適用を受けている事業主が、施行日以降に企業型DC規約の掛金又はDB規約の給付設計の見直しを行った場合には、経過措置の適用を終了するといった方向で詳細を検討する。

 絵の部分を御覧ください。施行日以降に事業主AやBがDBや企業型DCを開始した場合、企業型DCの拠出限度額は「月額5.5万円から、DBごとの掛金相当額を控除した額」という新ルールになります。施行日前から企業型DCとDBを併用している事業主CやDは、真ん中辺りの赤枠点線で囲ってある部分ですが、当該事業主が既存の企業型DC規約の掛金又はDB規約の給付設計の見直しを行わなければ、経過措置の適用が継続されます。その下の吹き出しの部分ですが、事業主の名称・住所の変更、事務委託先の金融機関の変更、実施事業所の追加等が生じても、引き続き経過措置を適用します。

 ページの一番下、※の部分ですが、具体的には、企業型DCについて、規約事項のうち、事業主掛金の額の算定方法(DC法第3条第3項第7号)の見直しを行った場合、DBについて、規約事項のうち、給付設計(DB法第4条第5項の事項)の変更であってDB法第58条の規定に基づく財政再計算を伴う見直しを行った場合には、経過措置の適用を終了する方向で詳細を検討したいと考えています。つまり、DCであれば掛金の算定方法の見直し、DBであれば給付設計を見直して財政再計算を行うと、経過措置は適用終了とします。DBは少なくとも5年に1度、財政再計算をし、予定利率を含む基礎率の見直しを行って、掛金の見直しを行いますが、それだけであれば給付設計の見直しを行っているわけではありませんので、経過措置の適用は終了しません。

 18ページ、「企業年金加入者の個人型DCの拠出限度額の見直し(案)」です。

 今回、全てのDBの掛金相当額を一律に評価している現状を改め、DBごとに個別に評価することに伴って、企業年金に加入する第2号被保険者の個人型DCの拠出限度額について公平を図ることができる。

 ※の部分ですが、企業型DCとは異なり、個人の自助努力である個人型DCの拠出限度額の見直しに当たっては、経過措置は設けない。施行日以降、企業型DCの事業主掛金とDBの掛金相当額を反映する。すなわち3.5万円を超えると個人型DCの拠出限度額は逓減し、5.5万円を超えると消失する。

 この見直しは企業年金加入者間の公平を図るものであるが、企業年金のない第2号被保険者、第1号被保険者、第3号被保険者を含めて、個人型DCの拠出限度額全般について、自助努力に対する支援の公平、企業年金のある者とない者の公平、企業年金の普及等の観点から、引き続き、新たな設定方法を検討していく必要がある、としています。

 19ページから21ページまで、見直しによる個人型DCの拠出限度額の変化のイメージになります。

 19ページ、企業型DCのみに加入する者の場合、今回、現行から変化はありません。

 企業型DCの拠出限度額は月額5.5万円で、この範囲内で、かつ月額2万円の範囲内で個人型DCに加入可能・拠出可能です。つまり、事業主金額が3.5万円を超えると、個人型DCの拠出限度額は2万円から逓減します。

 右の方、マッチング拠出では事業主掛金額を超えず、かつ事業主掛金額との合計が月額5.5万円の範囲内でマッチング拠出が可能です。そして、マッチング拠出か個人型DC加入かを加入者ごとに選択可能となります。

 20ページ、DBと企業型DCに加入する者の場合です。左の方が現行ですが、DBの給付水準・掛金水準にかかわらず、企業型DCの拠出が月額2.75万円の範囲で可能です。また、この範囲内で、かつ月額1.2万の範囲内で個人型DCに加入可能・拠出可能です。

 「企業型DC又は個人型DC」と記載している薄ピンクの部分になりますが、先ほど御覧いただいた16ページの図に個人型DCの拠出可能額を重ねています。これが右のように変わります。グレー色の部分、企業型DCでは経過措置を置く部分になりますが、個人の自助努力である個人型DCは経過措置を講じません。個人型DCの拠出限度額を2万円に引き上げますが、個人型DCの掛金額とDB・DCの事業主掛金との合計額は月額5.5万円とし、1ページ前の19ページとピンクの部分、個人型DCの拠出可能枠は同じ形になります。

 21ページ、DBのみに加入する者の場合です。左の方が現行ですが、DBの給付水準・掛金水準にかかわらず、一律月額1.2万の範囲内で個人型DCに加入可能・拠出可能となっています。これが右の図のように変わります。個人型DCの拠出限度額を2万円に引き上げますが、個人型DCの掛金額と、DBの事業主掛金つまり仮想掛金額になりますが、それとの合計が月額5.5万円以内とし、19ページ・20ページのピンクの部分、個人型DCの拠出可能額と同じ形になります。すなわち企業年金加入者の個人型DCの拠出可能枠は全てそろうことが御理解いただけると思います。

 22ページ、「DB掛金相当額の個別評価に伴って掛金拠出ができなくなる個人型DC加入者への対応(案)」です。

 「マル3DBのみを実施している場合」(DBのみに加入する者)は、現行、DBの掛金相当額にかかわらず、個人型DCの拠出限度額は一律月額1.2万円となっている。

 DBごとの掛金相当額を個人型DCの拠出限度額に反映すると、DBの掛金相当額によってはDCの拠出限度額を使い切ってしまう場合が生じることとなる。

 個人型DCの掛金拠出ができない場合であっても、企業型DCに加入していれば、いつでも個人型DCの資産を企業型DCに移換し、引き続き、資産を積み増しながら運用することができるが、DBのみに加入する者であって個人型DCの掛金拠出ができないものについては、資産額が一定規模以下である等の脱退一時金の要件を満たした場合については、脱退一時金の受給を認めることとする。

 ※の部分ですが、2016年の法改正前は、DBの加入者は個人型DCに加入できなかった(個人型DCの掛金拠出ができなかった)ため、企業型DCに加入していない場合は、資産額が一定規模以下である等の要件を満たせば、脱退一時金の受給を認めていました。DBに移換することも現行可能ですが、DB規約に受換の定めがある場合に限られています。

 23ページを御覧いただきたいと思います。

 個人型DC加入者がDB加入者となった場合、DB規約に受換の定めがあれば、個人型DCの資産をDBに移換することができます。個人型DCからDBへのポータビリティは、2016年の法改正で可能となったものですが、DBの規約の定めが必要で、受入れ可能としているDBは少ないのが実態です。DBの給付水準・掛金水準が高い企業は、今回の制度見直し後、従業員のために受入れを考えていただくことも選択肢の一つではないかと思います。

 上の箱の2つ目のマルの部分、受換した個人型DCの資産をどのように給付に反映するかについては、DBの給付設計によって様々で、DBの給付設計がキャッシュバランスプランの場合は、個人型DC資産を仮想個人勘定資産に加算する方法、DBの給付設計が最終給与比例の場合は、個人型DC資産を給付の算定基礎の一つとなる加入期間に変換して給付に加算する方法等があります。

 24ページ、今まで御説明しているものが最終的な形では当然ございません。積年の課題であるDBの掛金相当額を一律評価から個別評価にすると、このような形になるという見直しの提案ですが、将来像につきましてはこれまでの部会でも繰り返し述べているとおり、2つ目のマルですが、「企業年金のある者も個人型DCに加入可能となったことを踏まえ、個人型DCの拠出限度額について、自助努力に対する支援の公平、企業年金のある者とない者の公平、企業年金の普及等の観点から、引き続き、新たな設定方法を検討していく必要がある」と考えています。

 27ページに飛んでいただきまして、諸外国の制度体系です。

 27ページのカナダのように共通枠を設け、事業主掛金の残余の範囲内で個人拠出を認めることで公平な税制優遇を担保している国があります。28ページのイギリスも同様です。

 一方、27ページのアメリカのところを御覧ください。アメリカは個人年金であるIRAがDB・企業型DCから独立しています。ただし、高所得者が有利に税制優遇を活用できないよう、調整型と赤字で書いていますが、企業年金に加入している場合、所得額に応じてIRAの限度額が逓減・消失する仕組みとなっています。

 本日は、冒頭、部会長からありましたように、藤澤委員、渡邊委員から、それぞれカナダ、ドイツの制度体系についてプレゼンいただき、また次回以降、アメリカ、イギリスについては、外部有識者をお招きしてヒアリングを行うなど、将来像については今後も議論を継続していきたいと思います。

 長くなりましたが、私からの説明は以上です。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 ただいまも御紹介がありましたように、本日は、藤澤委員と渡邊委員から、カナダとドイツの制度についてプレゼンテーションいただきます。その後、委員の皆様方から一括して御議論を頂戴したいと思っておりますので、まず、藤澤委員から、カナダにつきまして御発表いただければと思います。よろしくお願いします。

 

○藤澤委員

 藤澤でございます。

 資料3を御覧ください。「カナダの企業年金・個人年金」ということで、1990年頃にDB・DC共通の限度額の仕組みが導入されたのですが、その仕組みの概要や背景について説明させていただきます。

 2ページを御覧ください。カナダの年金制度の体系です。カナダの人口は約3600万人です。カナダの年金制度は、日本と同じ3階建ての制度となっております。1階部分、老齢基礎年金ですが、これは連邦政府が運営する税方式で定額の年金制度です。2階部分、ケベック州とケベック州以外のカナダで2つの公的年金があります。カナダ年金制度、ケベック年金制度は、社会保険料方式で所得比例の年金制度となっております。

第3の柱、本日の説明の中心部分ですが、登録企業年金と呼ばれるものと登録退職貯蓄年金と言われるものがございます。登録企業年金が日本で言うところのDBや企業型DCに相当する部分、登録退職貯蓄年金、これはRRSPと呼んでいますが、これが日本の個人型DCに相当する部分となっております。

 コメ1のところを御覧ください。老齢基礎年金の補足ですが、低所得の高齢者のためのGISと呼ばれる補足所得保障という制度もございます。受給者の所得が一定金額を超えると年金額が減額、停止されるクローバックと言われる制度が存在し、高所得になると年金が全額ストップされることもございます。

 コメ2のところ、登録企業年金に関する補足ですが、この中にはDB、DC、ハイブリット型制度などが含まれております。DBの加入者数は約430万人、DCの加入者数は約120万人ということで、DBの加入者の方がかなり多くなっております。非正規雇用者も登録企業年金に加入するという点が日本と異なる点でございます。

 コメ3のところ、RRSPは加入者数が約600万人ということで、全人口の6分の1、15歳から64歳人口で見ると4人に1人がRRSP、日本で言うところのiDeCoに加入しているということで、RRSPがかなり普及しているということが分かると思います。

 3ページを御覧ください。共通の拠出限度額が導入されるまでの沿革です。

 企業年金に関する州法に先んじて1957年にRRSPが導入されております。老齢基礎年金が導入されたのが1952年ですので、それから5年後にRRSPが導入されたという形になります。

 1987年から2階部分の公的年金の保険料率を段階的に引き上げていく仕組み、1989年にクローバックと言われる高所得者の年金額を一部停止もしくは全額停止する仕組みが導入されております。

 1990年に所得税法を改正して、共通の拠出限度額を導入するということが行われています。このタイミングでDCとRRSPの拠出限度額を引き上げるという措置も取られております。

 4ページを御覧ください。共通の拠出限度額導入の背景です。

 2階部分の公的年金の導入が企業年金の普及に悪影響を与えたと言われております。その間もRRSPが着実に増加しています。右側の点線の枠のところですが、1974年のRRSPの新規登録件数は9年間で14倍に膨れ上がったということで、かなりRRSPが普及しているということが見てとれると思います。

 1970年代後半から高齢の単身女性の貧困の問題及び公的年金の財政の問題が論点になってきて、公的年金、企業年金、個人年金の改正に関する一連の議論の中で共通の拠出限度額の提案が1980年代半ばに行われております。

 次の5ページを御覧ください。これは1990年に導入された共通の拠出限度額を導入する前の仕組みですが、1990年前のRRSPの拠出限度額は、所得の20%もしくは上限金額のいずれか低い額とされております。この上限金額は、企業年金の水準にかかわらず一律に設定していましたが、公平性の観点から課題とされていました。この点は、今この部会で議論している状況とすごく類似性があると感じております。

 1)DB・DCの非加入者の上限金額は7,500ドルということで、コメ1のところ、日本円に換算すると60万円ぐらいとなります。これは年間の金額ですが、12で割ると5万円ということで、日本のDCの拠出限度額5万5000円と近い水準であったということが分かると思います。

 2)DB・DCの加入者の上限金額は3,500ドルですが、企業年金の部分を一律に評価していたという点も、日本のDB部分を2分の1で評価している点と通じる部分だと思います。

 日本と違う部分としては、3つ目のマルですが、DBにも年間の年金限度額が設定されておりました。金額でいうと6万ドルということで、日本円に換算すると480万円ぐらいの水準になるので、比較的高い水準のキャップが設定されていたことになります。この6万ドルという水準は、一番下のコメ3を御覧いただくと、DBの給付限度額、これは1年間に積み上がる1年分の給付の増加額ですが、1,715ドルがキャップになっています。35年間、このDB給付限度額でずっと給付が積み上がっていった場合に約6万ドルになるということで、上限の金額が計算されています。

 6ページを御覧ください。1990年に導入された共通の拠出限度額の概要です。基本的には、この仕組みが今日まで続いているものと御理解ください。

 1つ目のマル、1990年以降のRRSPの拠出限度額は、マル1、所得の18%、もしくはマル2、上限金額のいずれか低い額となっております。この上限金額、コメ1のところですが、毎年変更される数値であり、2020年は2万7230カナダドル、日本円で217万8400円ということで、かなり高い水準の限度額が設定されていることが分かると思います。

 当時のカナダの財務省の懸念点は3点ございます。DB加入者とDC加入者とDB・DCの非加入者(自営業者も含む)で不公平な税制になっていたことを是正するという点が1つ目になります。

 2つ目、拠出時期の柔軟性ということで、キャリーフォワード制度と現地では呼ばれていますが、利用しなかった拠出枠を繰り越す制度を導入したというのが2つ目です。

 3つ目は、もともと法的拘束力がなかったので、所得税法に関連する規定を明記したという改正を行っております。

下の図ですが、RRSP、日本で言うところのiDeCoに相当する部分ですが、ほかの企業年金制度に入っていない場合は、RRSPのコントリビューションルームが丸々使えるという形になっております。一方、ほかのDB・DC等に加入している場合は、年金調整という仕組みを通じて、年金調整の額を全体のRRSPのコントリビューションルームから控除した残りの部分が本人のRRSPの拠出の枠になるという仕組みになっております。

コメ3のところですが、個人ごとのRRSPのコントリビューションルームについては、カナダ歳入庁がマイアカウント、ウェブサイト、マイアプリを提供して、個々人が把握できる仕組みを整えています。

 7ページを御覧ください。今説明した年金調整の仕組みですが、年金調整とは、1年間に積み上がる登録企業年金等のみなし価値となります。DCの場合はシンプルで、1年間の実際の拠出額が年金調整となります。DBの場合は、年金調整の額イコール9倍の1年間に獲得する給付の額マイナス600カナダドルが年金調整となります。先ほど吉田課長からも説明がございましたが、カナダの場合は1年間に積み上がる給付の額が明確に定義されている給付設計になっております。その1年間に獲得する給付の額を9倍することで、給付を掛金に換算するという取扱いを行っております。

 「ここで」というところに書いていますが、この係数9については、1ドルの代表的な年金を購入するには9ドルの掛金で十分であるということが数理的に示されております。例えば、1年当たり所得×1%の終身年金がもらえる制度の場合であって、1年当たりの給与が7万ドルの場合、7万掛ける1%が1年間に積み上がる給付の額になりますが、それに9を掛けることによって掛金に換算するということを行っております。そこから600を控除して、5,700ドルが年金調整の額となります。

 こういった形で7,000ドル、1年間に積み上がる額を掛金に換算することで年金調整を計算して、全体のコントリビューションルームから年金調整を控除して、個々人の枠を計算するという仕組みになっております。

 8ページを御覧ください。DBの給付限度額とDCの拠出限度額の関係でございます。DCの拠出限度額は、表を御覧いただくと分かるのですが、1990年以降、徐々に引き上げられています。

 一方、DBの給付限度額、1年間に積み上がる最大の年金額ですが、これは最初に1,722.22ドルからスタートしたあと、DBの給付限度額は一定期間凍結されております。先ほどの説明で少し触れましたが、1990年前のDBの給付限度額は1,715ドルだったので、1990年のタイミングで微妙に引き上げられているということになります。

 一方、DCの拠出限度額は1990年以降、段階的に引き上げられていて、2003年のところを御覧いただくと、1万5500ドルというのがDCの拠出限度額になっています。DBの給付限度額はそれを9で割ることで計算でき、1722.22ドルになります。2003年以降は、DCの拠出限度額とDBの給付限度額が9倍という関係になっております。ここでいわゆるイコールフッティングというか、限度額が統一されて、その後、2009年以降は賃金スライドで調整していくという形で、今日まで至っています。

 9ページを御覧ください。公平性を考える視点ということで、カナダ・アクチュアリー会が1995年にポリシーペーパーを出しております。そこに記載の1から8のグループについては、同じ引退貯蓄のための機会を持つべきという提言が行われております。1つ目、複数の私的年金制度の加入者とRRSP、日本で言うところのiDeCoの加入者。2つ目、被用者と自営業者。3つ目、DB加入者とDC加入者。4つ目、従業員拠出のある年金制度の加入者と従業員拠出のない年金制度の加入者。5つ目、付随的な給付が充実している加入者と付随的な給付が充実していない加入者。6つ目、1つの事業主の下で終身雇用した従業員と頻繁に転職を行った従業員。7つ目、民間セクターの従業員と公務員。8つ目、現在と将来の世代。

 10ページを御覧ください。共通の拠出限度額がカバレッジに与えた影響ということで、昨年12月に公表された議論の整理の中でも、カナダの事例に関する言及が載っています。

 参考に、1992年、95年、99年のDB・BCの加入者数と制度数を表で載せていますが、例えばDBの加入者数を御覧いただくと、477万5000人から徐々に減ってはいますが、434万6000人ということで、米国のような極端なDC移行は起こっていないと見てとれると思います。

 最後、11ページですが、今後の議論のための論点、様々な論点があると思いますが、カナダの事例を踏まえて4点記載しております。

 1つ目、制度間の公平性。DB加入者とDC加入者の公平性は、日本版の年金調整の仕組み(すなわち、仮想掛金)を導入すると改善することとなりますが、その他のグループの公平性をどのように考えるべきか。

 2つ目、拠出時期の柔軟性(キャリーフォワード)です。カナダでは、もともとは貧困問題に対処するために自助努力、RRSPを促進するという方向の政策が取られております。日本の企業型・個人型DCにおいて、資金余力があるときに柔軟に拠出できる仕組みを導入すべきか否かという論点です。

 3つ目、拠出限度額と給付限度額と公的年金の関係でございます。カナダの老齢基礎年金は所得再分配の機能が強いという特徴があります。例えばクローバックの制度がございますので、高所得者は年金がもらえないことになっていますし、全て税方式で財政運営が行われています。私的年金の拠出限度額の水準も高く、DBには給付限度額がございますが、その水準も日本から見るとかなり高くなっております。DC拠出限度額の議論とDBの給付限度額の議論は、日本の公的年金の状況も踏まえつつ、併せて議論すべきではないかというのが3つ目の論点です。

 4つ目、デジタル化ということで、カナダは社会保障番号があって、カナダの歳入庁のマイアプリやマイアカウントがあって、税関係の手続をオンラインで行える環境が整っている中で実務を行っております。日本においても同様の環境構築が可能かという論点です。

説明の方は以上となります。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 それでは、引き続きまして、渡邊委員からドイツについて御発表いただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○渡邊委員

 それでは、資料4を御覧いただければと思います。

 ドイツの企業年金・個人年金において、そこの拠出の部分について、税制がどのようになっているのかということを中心にお話しさせていただきたいと思います。

 まずはドイツの企業年金の概要ということになりますが、ドイツでは、企業年金といいますと、資料の方に記載してございますように、5つの制度の種類というものがあります。これらが企業年金だというような形で把握されるものです。

 最初の、直接保険と呼ばれるものは、使用者と保険会社との間で従業員を被保険者とする生命保険契約を締結しまして、当該保険会社が給付運営機関となるような実施方法ということになります。この直接保険から始まりまして、1、2、3とあります年金基金までは、外部積立型の企業年金制度として把握されております。そして、4、5とございますが、下の方に記載してあります直接約定、共済金庫というのは、内部積立型の企業年金として把握されています。

 今、直接保険のところはお話しさせていただきましたが、どこが給付の責任を負うのか、外部積み立てなのかどうなのか、さらに、支払いに関して、支払不能保険と呼ばれるような支払保証制度への加入義務があるのかどうかといった点で、各制度の違いがございます。

2つ目の年金金庫というものに関しては、「年金金庫」といった機関を設立しまして、そこが責任主体となって、企業年金制度を行う方式のことでございます。

 さらに、3つ目の年金基金というのは、比較的新しく導入された制度なのですが、年金原資の運用規制を大幅に緩和することを目的として、新たに導入された制度ということになります。これは「年金基金」といった別の組織が設立されまして、そこが責任主体となって年金支給を行う方式となっております。

 4つ目、5つ目ですが、直接約定と呼ばれるのは、退職金引当制度という言い方もされることのある制度でございます。企業内部に引当金を形成し、使用者が直接労働者に対して年金支給を約束する方法が一般的なものです。ドイツでは、伝統的にこの直接約定と呼ばれる退職金引当制度が選ばれている率が高くなっています。

 最後に書いてあります共済金庫というのは、やはり「共済金庫」といった別の機関を設立して、そこが年金支給を行う方式なのですが、伝統的に存在しております年金金庫などとは異なりまして、受給者に対して、この共済金庫が法的請求権を認めるという形で、年金の支給債務を負っているわけではありません。最終的に事業主が責任主体となって行っている制度で、こちらはどちらかといえば直接約定に近い形のものと把握されております。

 これら企業年金の実施方法、大きく5種類ございますが、その企業年金制度がどのように導入されるのかということに関して、レジュメの次のページに行っていただきますと、企業年金制度というのは、伝統的にはドイツでは使用者の任意の給付として、使用者の費用負担によって行われてきた経緯がございます。現在では、従業員に報酬転換請求権と呼ばれるものが認められるようになりまして、自分自身の賃金を企業年金の受給権の方に換えるといったような形で、使用者に対して企業年金の実施を求める法的な請求権が認められるに至りました。

 そういった意味で、企業年金、それまでは使用者が任意に行うものですので、導入するかしないか、どういった形で行うのかということについて使用者に一方的に決定権があったものが、近年変更されたといった経緯がございます。

 ドイツの企業年金への拠出といった面を見ていきますと、伝統的な、使用者が費用を負担する、それによって行われているものもあれば、先ほど申し上げました報酬転換などを通じて、従業員が財源を担うといったような形で行われるもの、さらに、使用者と従業員双方が拠出を行うもの、大きく3つのパターンがございます。

 従業員拠出は、通常、この報酬転換を通じて行われている状況にございます。

 では、その報酬転換をもう少し詳しくお話しておきたいと思いますが、報酬転換というのは、従業員が自己の報酬の一部を、将来企業年金として受け取るために、企業年金の制度に拠出、報酬を転換するということを行うものです。

 この報酬転換には、総報酬から転換をする方法と、手取りの報酬から転換をする方法の2種類がございます。総報酬の場合、例えば月額2,000ユーロの報酬を有する従業員が200ユーロの報酬転換を選んだ場合、その人の社会保険料などが賦課される報酬額は1,800ユーロになります。

 このように、報酬転換した金額が総額から引かれていく形になります。その効果が何に反映されるかといいますと、社会保険料の算定基礎の賃金が小さくなるといったことで、使用者にとっても負担する社会保険料負担額が減ります。一方で労働者、従業員の方から見ますと、社会保険料の算定基礎となる報酬額が小さくなりますので、将来受け取る公的年金などの社会保険給付の額が減るということにつながってまいります。ですので、総報酬からの報酬転換を行うかどうか、どの程度行うのかという点に関しては、そのような公的な年金などの給付額が減ることを踏まえて判断すべきだという形になっております。

 さらに、手取りの報酬転換に関してなのですが、こちらの方は、月額2,000ユーロの報酬額であって、手取り額から報酬転換をしますという形になりますと、これは社会保険料などが付加される、算定基礎となる報酬額は2,000ユーロのままという形になります。

 次の黒ポツに書いてございますが、この後、お話します個人年金のリースター年金というのは、外部積立型の企業年金制度の枠内で実施することも可能になっているのですが、個人年金の助成、リースターの助成を受けるためには、手取り報酬からの転換がなされる必要があります。要は、リースターの助成を受けるためには、課税された後、社会保険料が賦課された後、残った手取りから拠出をすることが求められているという形になります。

 さらに、2022年からは、総報酬転換によって従業員の拠出が行われた場合、使用者は社会保険料負担が軽減するという効果を得ますので、その社会保険料負担が軽減した範囲内で、報酬転換額の15%を企業年金の方に追加拠出しなければならないということが定められております。

 拠出に対する税制の方に話を進めてまいりますと、この拠出に対する税制に関しては、近年の改正によっていろいろな経過措置が講じられているところですが、改正後の原則的な取扱いのみ、ここではお話しさせていただきたいと思います。

 企業年金の実施方法によって、拠出に対する税制上の取扱いが異なっているのですが、外部積立型の企業年金の制度の場合、直接保険、年金金庫、年金基金という3つの制度に関して、使用者拠出に関しては、一般年金保険、こちらは公的年金のことです。公的年金保険の保険料算定上限額、西ドイツ側ですと2020年で8万2800ユーロとなっております。それの8%まで、2020年ですと6,624ユーロまでは非課税で拠出することが可能になっています。

 この保険料算定上限額の8%への引上げは、2018年から行われたものです。まさに企業年金の普及拡大を狙って、このような非課税枠の拡大 といった措置が講じられました。それ以前は半分の4%とされておりました。

 報酬転換によって従業員も拠出に貢献することができるのですが、報酬転換、ここでは使用者拠出に対する非課税枠の残余の範囲で行われることとなっています。ですので、使用者拠出の部分が大きい、金額が高いということになりますと、従業員拠出で使える非課税枠は小さなものになります。ですが、それを超えて従業員が報酬転換をしたような場合、超えた部分は課税されるという取扱いになります。

 4番目、5番目の直接約定、共済金庫と言われる制度に関しては、使用者拠出に関しては損金算入という取扱いになりますので、無制限で全額非課税扱いという形になります。報酬転換によって従業員が拠出を負担するような場合も、無制限で非課税といった取扱いになっております。

次のページに進んでいただきますと、個人年金の概要が出てくるかと思います。個人年金に関しては、リースター年金と言われるものと、リュールップ年金と呼ばれるものがございます。リースター年金に関しては補助金が支給されるということで、日本においても注目されているものかと思われます。このリースター年金なのですが、助成措置が受けられる一定の要件を満たしているといったことが求められている個人年金となります。その助成措置には補助金を支給するという形態と、特別支出控除という大きく2つの助成措置が設けられております。

 補助金に関しては、基本補助というものと、児童補助と呼ばれる、大きく2つのものがあります。特例的な措置で最初に25歳未満の若い世代から、こういった年金、老後の所得に関して備えをするということに対して奨励する目的で、1回限りのスタートボーナスというような形の補助金も存在しております。

 基本となっている基本補助金と言われるのは、2018年から175ユーロ。2017年までは154ユーロでした。児童補助金に関しては、2008年以降生まれの児童については1人当たり300ユーロ、それ以前の児童については1人当たり185ユーロという給付額になっております。

 この補助金を満額受給するためには、最低自己拠出額というものを個人が拠出する必要がございます。最低自己拠出額を満たしていない場合には、補助金がその割合に応じて減額されるという取扱いも併せて規定されております。

 補助金と並んでもう一つ助成措置として講じられているのが、特別支出控除と呼ばれるものです。これは原則として年額2,100ユーロまでは追加的な支出控除、所得控除が受けられるといったものです。補助金よりもこの特別支出控除による節税効果が高いような場合、補助金を併せて計算されておりまして、補助金を上回る部分について還付されるという方法で助成がなされております。

 リュールップ年金と言われるものがもう一つございます。リュールップ年金は、一定の要件を満たす個人年金として設けられているものなのですが、その主たる対象者として想定されているのは、公的年金の強制被保険者となっていない自営業者などの方々です。公的年金、一般年金保険と同じ非課税の拠出限度額を利用できるようになされております。

 2020年では拠出額の90%が非課税となる取扱いで、2025年には拠出金に関しては100%非課税となる取扱いで制度が進められております。

 この拠出額の最大のところを見ておきますと、非課税となる最大額はどれぐらいかといいますと、一般年金保険と先ほど申し上げましたが、公的年金がドイツでは大きく2種類ございまして、一般的な企業のサラリーマンなどを対象としているものと、鉱山従事者などを対象としているものがあります。鉱山従事者などの方が実は金額が高くなっておりまして、そちらを使うということになっております。

 非課税になる範囲というのが、2万5046ユーロの90%までとなりますので、2万2541.40ユーロという金額が2020年の数値となっております。

ドイツでは、私的年金制度間において拠出額の調整を行うということはなされておりません。各制度において、拠出限度額というような非課税枠が設定されておりまして、共通枠のようなものですとか、企業年金と個人年金を同じ枠内で調整するといったようなことはなされておりません。

 以上で、私からの報告とさせていただきたいと思います。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 それでは、冒頭に申し上げましたけれども、事務局の方から御提案いただきましたDCの拠出限度額についての御説明と、それから、藤澤委員、渡邊委員から御発表いただきましたカナダとドイツの制度内容についての御説明、一括して御質問、御意見を頂戴したいと思いますので、いかがでございましょうか。どなたからでも結構でございます。

 大江委員、お願いします。

 

○大江委員

 厚生労働省からの拠出限度額の説明、並びに、藤澤委員、渡邊委員の御説明、本当にありがとうございます。海外の制度を知る機会をいただけるのは、日本の制度をもう一度違う角度から捉えて考えることができるので、大変ありがたいと思いました。

 拠出限度額について2点意見と、海外の制度について1つ質問をさせていただければと思います。

 企業型DCの拠出限度額の見直しに伴う経過措置の御説明があったと思うのですが、既存規約は従前の拠出を可能にしようという本日の厚生労働省の提案に対して、賛同いたします。拠出限度額の公平性の確保と制度の安定性の確保の両立を目指すものとして高く評価したいと思います。厚生労働省におかれましては、要望が認められるようにぜひ頑張っていただきたいと思います。

 一方で、DBの仮想掛金額が高く、iDeCoの拠出枠がなくなってしまうという方がいます。自助努力の公平性のため、いたし方ない部分かと思います。かつてDBの加入者は、iDeCoへの加入、拠出ができなかったので、運用指図者になって、資産額が小さくなると手数料負けをするということから、脱退一時金の受給が認められていました。これと同様の扱いとなるわけですが、当時は認められていなかったiDeCoの資産をDBに移換するということが現行は認められています。そのためには、資料の23ページなどでも御説明がありましたが、DB側での受換を可能とする規約の定め等が必要となります。ぜひ、DBの仮想掛金額が高く従業員のiDeCo拠出ができなくなるような企業では受入れを可能にしていただきたく、労使の取組を期待したいと思います。

 それから、藤澤委員へカナダの件で1点質問をさせていただきます。

 資料の10ページの下の部分で、DB制度とDC制度で税制上の条件を公平にしていることが、カナダにおいてはアメリカほどDC移行が進んでいないというお話があったのですが、この点についてです。日本の場合、DBとDCの条件を同一にするという議論をすると、DBが衰退することにつながるのではないかという御意見もあるわけで、この辺りとの関係について教えていただけるとありがたいです。よろしくお願いします。

 

○神野部会長

 それでは、最初に事務局の方から、第1点についてコメントがあれば頂戴します。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 御指摘のとおり、現在、iDeCoの資産をDBに受け入れることは制度上認められているのですが、説明の際にも申し上げたとおり、実際、DB側での受入れは全く進んでいないのが現状です。今回、DBの仮想掛金額が高くて従業員のiDeCo拠出ができなくなるような企業、これは大企業が基本多いわけですが、このような企業におかれては、キャッシュバランスプランを採用しているところも多いと思いますので、ぜひ労使で御協議いただいて、受け入れるという選択肢も御用意いただけると幸いで、また、そういう取組を期待したいと思いますし、促していきたいと思います。

以上です。

 

○神野部会長

 ありがとうございました。

 藤澤委員、コメントいただけますか。

 

○藤澤委員

 資料3の10ページの下段のコメントに関する質問ですが、米国とカナダの比較について、DBとDCで税制上の条件を公平にしていることが、カナダにおいては米国ほどDC移行が進んでいない要因の一つというコメントです。これはあくまでもカナダと米国との比較でございまして、日本とカナダを比較したものではないという点は御留意いただければと思います。

 日本との比較という意味では、5ページのところで少し触れましたが、1990年前の限度額の記載がございます。DBにも限度額はありましたが、6万カナダドルぐらいということで、かなり高い水準だったということが分かると思います。もともとDCやRRSPに比べるとDBの限度額がかなり高い中で、共通の限度額を導入してDB側にそろえるということを行っています。ですので、もともとRRSPの拠出限度額は7,500ドルだったのですが、この水準にDB側をそろえるということをやっているわけではなくて、あくまでも高いDBの方にDC側の拠出限度額を合わせるということを行っています。恐らく背景には、同じぐらいのタイミングで公的年金の基礎年金にクローバックが導入されて、高所得者は1階部分の年金をもらえないという制度が導入されていますので、1階部分でもらえない部分は、3階部分の企業年金・個人年金で準備してもらうという政策が取られたものと認識しています。

以上です。

 

○神野部会長

 大江委員、よろしいですか。

 それでは、金子委員、どうぞ。

 

○金子委員

 金子でございます。

 まず、いろいろ御説明いただいて皆さんありがとうございました。私の方からは、DCの限度額の見直しについて質問なのですけれども、その前に、基本的に御説明いただいたDCの拠出限度額の見直しについては賛同いたします。

 その上で、質問ないし御見解を伺いたいというのが4点ほどございまして、1点目は企業型DCの限度額の見直しの経過措置のところなのですが、現状5.5万円の限度額が将来引き上げられた場合、それに併せて掛金を増やすと、経過措置は切れてしまうのかということを確認したいということが1点目です。

 それから、2点目なのですけれども、個人型DCの限度額の見直しに経過措置がない理由について教えていただきたいと思っています。

これに関連して私が思うのは、DBがある人の場合、新たな制度が導入されると、個人型DCができなくなる場合も当然出てくるわけなのですが、これからiDeCoに加入しようとしている人の判断を助けるためにも、DBの1人当たり標準掛金を、事業主は早めに従業員に知らせるのが好ましいのではないかと思っております。DBについては、現在でも業務概況の加入者への周知が求められていると理解しておりますので、そうであれば1人当たり標準掛金を通知することについては障害がないはずだと思っております。そういう意味でも、早く従業員に知らせてほしいと思っております。

 それから、3番目、これは単なる興味で恐縮なのですが、公務員の場合の仮想掛金はどうなっているのかなと思いまして、新規の保険料が存在しないというのを解説書か何かを見ると書いてあるので、ゼロなのか、それとも、そうではなくてあるということなのかを教えていただけたらなと思います。

 最後は、1週間前の新聞の話なのですけれども、本日厚生労働省が説明いただいた内容が報道されていました。そこには、DB・DC合わせて9万円を拠出している財閥企業系の担当者のコメントとして、ゼロ回答ではなかったというような、括弧書きで、発言みたいな感じで書いておりまして、厚生労働省はそういった財閥系企業に配慮して部会より前に説明に回ってくれるような印象を受けました。部会より前に特定の企業に対して説明することはすべきでないと思いますので、この点について確認させていただきたいと思っています。

 以上、4つでございます。

 

○神野部会長

 事務局の方からお答えを。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 4点御質問がありました。お答えします。

 まず、企業型DCの拠出限度額の見直しと経過措置の関係ですが、資料1の15ページから17ページ辺りがこの見直しと経過措置です。施行日前にDCとDBを併せて実施している企業の企業型DCの拠出限度額は、DBの水準にかかわらず2.75万円ですが、これが制度改正によって、拠出限度額は月額5.5万円からDBごとの掛金相当額を控除した額に見直します。DBの水準が低い企業は、制度改正後、拠出限度額が2.75万円より広がります。15ページの右の方、見直しの内容のところの赤枠点線で書いてあるところですが、現行のDCの掛金額を引き上げようとすると、それは当然、労使合意による規約変更が必要になりまして、制度改正があったからといって自動的に事業主掛金額が引き上がるわけではありません。そもそも枠も低いわけなので、経過措置があってもなくても関係ないわけですが、見直すと以降は新ルールの適用になるということです。

 一方、DBの水準が高いところは、まさに経過措置の適用の効果があるわけですが、月額5.5万円からDBごとの掛金相当額を控除した額が2.75万円を下回っていたら、もう1回2.75万円に計算上戻すというのが経過措置です。こうすることによって、施行日前の既存規約に基づいた従前の掛金拠出を可能とするわけであります。こちらも自動的、こちらはいわば強制的にといいましょうか、そういう形で事業主掛金額を引き下げるわけではないわけですが、その後に企業型DCの掛金算定を見直そうとするときには経過措置がなくなります。

 金子委員がおっしゃったのは、そのときに拠出限度額が5.5万円が引き上がっていたらどうなるか、仮に10万円に引き上がっていたとしたら、10万円の範囲内で見直すことができるし、10万円に見直されていなくて5.5万円のままであれば、5.5万円の中で見直すことになり、いずれにせよ、見直したときには経過措置がなくなります。つまり、現行を動かそうとすれば経過措置がなくなるということです。

 個人型DCの拠出限度額に経過措置がない理由という点ですが、18ページ、左の方を見ていただくと現行ですが、DBの掛金相当額を月額2.75万円と一律評価していることと連動して3区分に分かれています。企業型DCのみの人は事業主掛金が3.5万円を超えると調整が働くわけですけれども、マル3のDBのみの場合は、DBの事業主掛金相当額、仮想掛金額がどんなに豊かな企業に勤めていらっしゃっても1.2万円の拠出ができる。これが果たして公平かどうかというところが今回の見直しの議論の出発点でして、DBの掛金相当額を評価することによって、企業年金加入者は全て月額2万円までiDeCoに拠出ができるようにしつつ、事業主掛金との調整も同様にすべきと考えました。

 さきほど19ページから21ページまで同じピンクの枠になりますと御説明しましたが、このような形にしたいがため、つまり公平を図るための改正ということで御理解を賜りたいと思います。企業の退職給付である企業型DCと個人の自助努力を支援する個人型DCというのは、そもそも公平化の考え方も違うのだろうということで、経過措置を設けないというものです。

 公務員の場合の仮想掛金額はどうなるのかという御質問ですが、国家公務員・地方公務員にも3階部分の年金払い退職給付というのがあります。これはDBと同様に考えたいと思っていまして、仮想掛金額を算定していただくことを考えています。国共・地共の退職給付はキャッシュバランス型プランでして、毎月の保険料は標準報酬に1.5%を乗じた形になっており、1人当たりの拠出ベースで見ますと、金額は1万円未満となりますが、仮想掛金額は将来の給付水準からの換算になります。

 その際、国共・地共の退職給付の財政方式は、DBで一般的な加入年齢方式と異なっていまして、標準加入者を設定しなくて、基準日時点における加入者全体を1つの集団とみなして、その閉鎖された集団全体で収支相当するよう掛金を設定する、DBで言う閉鎖型総合保険料方式というものだと承知しています。この閉鎖型総合保険料方式はDBでも用いられていますので、日本年金数理人会とどういう算定式にするかという細かい点を決めさせていただいて、その上で関係省庁と国共・地共の仮想掛金額の具体的な金額を設定することを考えています。

 最後に、新聞報道の御質問がありました。私ども、今回の見直しや経過措置を考えるに当たって実務の関係もありますので、本日の部会より前にDBの受託機関等の団体と意見交換をしてきたというのは、紛れもない事実です。ただし、それはあくまでDBの実務を担っているという立場で御議論させていただいておりまして、特定の企業に事前に説明したというものでは決していないということは申し上げておきたいと思います。

今回の見直しは多くの企業が関心を持っています。情報が流れているようであれば、ゆゆしき問題なので、これから意見交換の仕方も考えていきたいと思っています。

 今回の部会の前にあのような報道がなされたことは私どもも遺憾だと思っています。以後、対応はよく考えたいと思います。

 

○神野部会長

 では、伊藤委員、お願いします。

 

○伊藤委員

 連合の伊藤です。

 今日は、委員提出資料として連合からの提出資料を資料2という形で出させていただきました。内容は、前回の部会で口頭でお話をした内容そのものですので、重複しますので説明は避けますが、ページが打っていませんけれども、2ページ目のローマ数字3の1の(1)が今回のDB併用の企業型DCの拠出限度額の見直しの考え方でありまして、以下の懸念点が払拭されない限り、導入すべきでないというようなことを考え方としております。

 この点につきましては、今日御説明、御提案いただいた点について、一定の御理解をいただいたと理解しております。企業年金が退職給付であって、いわば労働条件であるということを共有していただけた結果として、こういう経過措置を御提案いただけたのではないかと理解します。

仮想掛金額の計算方法についても、今日の御説明は理解しました。個人単位とすれば、iDeCoとの整合性や親和性は非常に高いと思うのですけれども、結局はシミュレーションにすぎないので、正確性という点では限界もありますし、煩雑さということも考えると、このような集団単位でも税制上の公平性が担保できるということであれば、これでいいのだと思います。

 この形で、ぜひ各方面に御理解いただけるように説明をしていっていただいて、実現していただければありがたいと思っております。

なお、実施時期については、コロナの問題もありますし、こういった制度見直しを提起することによって、それが引き金になって企業年金制度の見直しとか企業にいろいろな影響を与えるということを心配しておりますので、その辺のことは考慮いただきたいと思っております。

 また、もう一点の方のiDeCoの掛金限度額の問題でありますが、それは意見書の2ページの(2)に書いてあるところでございます。ここは説明を避けますが、今回、資料1の18ページで、個人型DCの拠出限度額全般について、様々な観点から引き続き新たな設定方法を検討していくことが必要だとありますので、ぜひそのようにお願いしたいと思っております。

 先ほどちょっと課長の説明で、今回は企業年金のある企業のiDeCoの枠をそろえたいがためにこういう改正をするというようにも聞こえましたけれども、そこが目的ではない。いつも言葉尻みたいな感じになって大変申し訳ないですが、そういうことでは非常に狭い議論ではないかと思っております。企業年金の実施率は大幅に減っているのですね。2018年で22.6%の企業となっていますけれども、その前の10年で14.9ポイント下がっていたりして、今回の見直しは非常に限定的な企業の人のiDeCo枠の話になっております。iDeCoについてはそこにとどまらず、私どもとしては退職給付である企業年金と自助努力である個人年金の税制上の取扱いを明確に区別していく方向で検討を行っていただきたいと思っておりますが、その際、高所得者優遇とならないように留意する必要もあると考えております。

 今日は本当に大変興味深いお話を伺いまして、それぞれに御質問させていただければありがたいと思います。

 藤澤委員のお話で、カナダは公的年金、企業年金、個人年金を通じた所得再分配をかなり強力に行っている前提でRRSPというものがあることが分かりました。1つお聞きしたいのは、RRSPの拠出状況が分かる情報というのはあるのかということです。要は、かなり枠が大きいと思うのですけれども、それがどれぐらい利用されているのか。掛金水準の分布ですとか、そういった資料があるのであれば、ぜひ御披瀝いただければありがたいなと思って御質問します。

 渡邊委員のお話について、まず1つ、制度間調整をドイツの方はしないということの背景といいましょうか、考え方というのが明確にありましたら、ぜひ教えていただきたいと思います。

 あと、リースター年金で補助金を出すというのは、多分、拠出能力の低い人への支援ということだと思うのですけれども、考え方としては、カナダのようにクローバックで逆に高所得者の給付を切るというのもあると思うのですが、なぜ、民間金融機関を使う年金、貯蓄優遇を補助金をつける形で行うというように判断したのかという、そういったところの政策判断の背景があれば、教えていただけるとありがたいです。

 以上です。

 

○神野部会長

 それでは、事務局、コメントがあれば頂戴します。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 まず、伊藤委員から、直接な御質問ではなかったですが、仮想掛金額についてです。個人で算定するか、集団で算定するかというのは非常に大きなテーマであったわけですが、日本年金数理人会からも御提案いただきました。

 カナダは加入期間が1年延びれば幾ら給付額が増えるかという仕組みですが、カナダと違って日本は、ある意味退職金ですので、退職時の状況まで見ないと給付額というものが確定しないという特性がある中、今の拠出相当をどう評価するか。

 それは個人で算定しても仮想にすぎず、集団で算定しても仮想にすぎません。前提の置き方を恣意的にはやれないので、どう前提を置くかと考えたときに、集団で置いている基礎率というのがあるので、それを使った方がいいのではないかと考えたわけです。この点は、日本年金数理人会と一致した意見でした。

 iDeCoの話については、先ほど私の言葉が過ぎた部分があるかもしれませんが、18ページにあるように、今回、DBの掛金相当額を今まで一律2.75万円と見ていたものを直すことによって、企業年金のある方、つまり、DBがある方と企業型DCのある方の公平性が必然的に保たれるものです。また、企業年金がある方は一部に限られているというのは御指摘のとおりですので、自助努力に対する支援の公平、企業年金のある方とない方の公平、これらをどう考えるかというのは意見が分かれる部分ではあると思いますが、引き続き、新たな設定方法は考えていきたいと思っています。

 金子委員から先ほど具体的に質問された部分で、仮想掛金額を事業主の方は早めに従業員に周知することが大事ではないかという指摘についてお答えが漏れていたので補足させていただくと、おっしゃるとおり、DBの仮想掛金額が早期に周知されないと、iDeCoの額が本人は分からなくなってしまいます。この仮想掛金額は、標準掛金の計算時と同じ基礎率を使いますので、資料の6ページにあるように、標準掛金総額割る加入者数の額に近似します。まずこれを業務概況でしっかり周知していただくというのが1点。

 もう一つ、数理計算による仮想掛金額の算定方式も、これから日本年金数理人会と調整を重ねたいと思いますが、早めに算定式がオープンになるように努力をしたいと思います。

 伊藤委員からも御指摘があった、施行日をいつにするかという話ですが、制度の周知とシステム開発というものをしっかりやった上で、最速2022年10月に企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和がスタートするので、これより前はあり得ないわけですが、十二分に施行準備に時間を取って、今はコロナの影響もありますので、企業年金に悪影響がないような配慮もしながら決めたいと思います。

 以上です。

 

○神野部会長

 それでは、藤澤委員。

 

○藤澤委員

 カナダのRRSPの加入状況、金額等の統計がないかという質問ですが、残念ながら手元にはございません。ただし、別途レポートをまとめているところですので、そういった統計情報を盛り込もうと思っています。制度の違いもございまして、例えば、カナダの場合は子供の頃からRRSPに加入できたり、配偶者のために本人が拠出できたりというように、日本のiDeCoとは少し違った仕組みもございますので、そういった制度上の違い等も反映しながら、統計情報もレポートの中に盛り込もうと思っております。

 以上です。

 

○神野部会長

 ありがとうございました。

 渡邊委員、お願いできますか。

 

○渡邊委員

 2点大きく御質問があったかと思います。

 まず、制度間での調整がなぜ行われていないのかということなのですが、税法の専門家ではございませんので、今回、企業年金などの拠出に対する税制の取扱いについて調べました浅い知識の中でのお答えで大変申し訳ございませんが、日本で議論されているような拠出に対する課税の公平性という観点から、共通枠を設けたり、調整をするというような考え方は、どうもドイツではそれほど重視されていないように思われます。それぞれの当該制度の中において、同じ制度を利用している者に対しては同じ取扱い。例えば年金金庫であれば、年金金庫の中で同じ取扱いをするといったところに重点が置かれて考えられているのではないかと思われます。

 2点目の補助金が選択された背景なのですが、御指摘のとおり、税制優遇というような措置ですと、税の優遇を受けられないような低所得者にとっては意味がない、魅力的ではないというような点が考慮されました。このリースター年金が導入された背景には、公的年金の給付水準が将来的に下がっていく、役割が小さくなる、その分を私的年金で補おうという観点がございますので、その補うための私的年金を形成する、低所得者にとっても形成を促す必要があるという観点から、低所得者層にとって魅力的なのは、税金を戻すとかそういうようなことではなくて、直接補助金を支給するという形態が選ばれたと思います。

 以上です。

 

○神野部会長

 それでは、小川委員、お願いします。

 

○小川委員

 日本年金数理人会の小川です。

 事務局から説明がありましたDB掛金相当額、仮想掛金額の算定方法に関してコメントします。

 前回の部会でプレゼンテーションさせていただいた当会の案は、DBの掛金は予定利率で大きく異なりますが、実施企業の資金調達手段の違い、すなわち現金で用意するのが掛金、資産運用で用意するのが予定利率部分の運用収益といった区分でしかなく、そのため、従業員の給付が同水準の場合には、実施企業の資金調達手段の違い、すなわち予定利率の違いでDB掛金相当額の水準が異なることは好ましくないのではないかという考えに基づいています。したがいまして、DB掛金相当額がDBごとの給付水準から算定されるという根源に戻れば、当会の案が適切であると考えております。

 これに対しまして、本日の資料1、34ページの中ほどの下から4つ目の※印の部分の後半に、「事業主がその時点で拠出したものとみなされるもの(税制上の措置である課税繰延の対象とみなすことができるもの)」とあるとおり、DB掛金相当額の算定に関して、実際に拠出している掛金ベースの観点が今般新たに追加されており、ここまでを踏まえることが最優先されるのであれば、今回の事務局案には一定の理解を示すことができると考えております。

 また、従来から数回にわたって述べてきました、既にDBとDCを併設している先への経過措置につきましては、今般、資料の15、16ページに記載されていますけれども、ぜひこのような十分な経過措置が税制改正の中で認められるよう、引き続き尽力いただきたいと思います。

 以上です。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 それでは、井戸委員。

 

○井戸委員

 ありがとうございます。御説明ありがとうございました。井戸でございます。

 仮想掛金額の算定方法や、DBを併せて実施する場合の企業型DCの掛金限度額の見直し、それから、企業年金加入者の個人型DCの拠出限度額の見直しにつきまして、厚生労働省の提案に賛成いたします。税務当局や与党の御理解がいただけるように、厚生労働省にはぜひ頑張っていただきたいと思っております。

 従業員の皆様が、自分は幾らiDeCoに拠出できるのか分かるようにする、いわゆる見える化をカナダでもされているようですけれども、そのような取組を事業主の皆様に期待したいと思います。

 また、18ページにございましたように、企業年金のない方の個人型DCの拠出限度額、現在2万3000円ですが、企業年金のある方と比べて非常に見劣りすると思います。制度の見直しに当たって、経過措置というのは非常に重要で、労使合意のある企業型DCに経過措置というものは残しつつ、自助努力の支援である個人型DCは、事業主掛金をしっかり反映し切ること自体は納得します。けれども、先ほど金子委員がおっしゃっていたDC・DB合わせて9万円を拠出する財閥系の従業員の方というよりも、私は、老後が心配なのは企業年金のない方だと思います。このような方への支援の充実というものをぜひとも厚生労働省に求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

 あと、藤澤委員、渡邊委員、御説明どうもありがとうございました。とても興味深く聞かせていただきました。渡邊委員に質問しようと思ったら先に伊藤委員に言われたので、藤澤委員だけに御質問します。

 カナダのDBなのですけれども、その特徴を踏まえて、換算方法が決まっていると理解しました。先ほど厚生労働省から、日本のDBの給付水準から掛金相当額への換算について御説明がありましたけれども、日本のDBの特徴を踏まえた適切な換算方法になっているのかどうか、藤澤委員の御意見を聞かせていただければ幸いです。よろしくお願いします。

 

○神野部会長

 事務局、コメントをよろしくお願いします。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 資料18ページの個人型DCの拠出限度額の見直しですが、今回、DBの掛金相当額を一律評価していることを見直すことに伴って、企業年金のある方の個人型DCの拠出限度額は必然的に見直すのだという話をさせていただきましたが、資料1の8ページにありますように、企業年金のない方々のところの課題は積み残っています。企業年金のない第2号被保険者の個人型DCの拠出限度額、これが設定当時は1.5万円、今は2.3万円となっていますが、企業年金に入っていたとしたら受けることができる拠出と同程度の拠出枠とするために設定がされました。

 その後、企業型DC加入者にはマッチング拠出であったり、個人型DC加入といった自助努力の手段が別途用意をされて拡充もされてきたわけでして、こうしたことも踏まえて、この2.3万円という部分を今後どうしていくのか、伊藤委員からも同じような問題提起があったかと思っています。

将来像については、大きく2つ、カナダのような共通枠か、自助努力を別建てして調整するかという形があるのだと思っていますが、企業年金のない方への支援、ここに手を差し伸べなければいけないというのは、御指摘のとおりでして、引き続き、企業年金・個人年金はどうあるべきかというのをしっかり検討していきたいと思います。

 

○神野部会長

 では、藤澤委員、お願いできますか。

 

○藤澤委員

 カナダですが、9倍という一つの係数を使ってDBとDCの換算をしているという特徴がございます。この9倍という係数自体は、一つのモデルを設定して、具体的には最終給与比例制度を想定していますが、一定の前提を置いて9倍という係数を導いています。

 背景には、日本と比べるとカナダは最終給与比例、定額制、累積給与比例のような、いわゆる伝統的なタイプの制度がかなり多くて、例えばキャッシュバランスプランは認められていません。一方、日本の場合は退職金由来ということで、企業によって実施している企業年金の給付設計もそうですし、水準もかなり幅広いと理解しています。そういった多様な制度に一つのモデルを当てはめると、公平性の観点が懸念されるところでございます。一方、今回事務局から説明があった標準掛金を用いるという手法は、個々の制度の特徴を反映した形になっており、日本の特性を反映した手法になっていると思います。

 以上です。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 それでは、森戸部会長代理。

 

○森戸部会長代理

 森戸です。

 コメントをしながら、お二人への質問もちょっと混じってくると思うのですが、まず、事務局からの御説明について、今回つくづく、毎回言っているかもしれませんが、日本の企業年金というものが日本的な雇用の在り方と密接に関係しているのだなということを改めて思いました。どういうことかといいますと、34ページ辺りにあるように、今度、仮想掛金を算定する前提としていろいろ御説明されているとおりですが、標準的な給付水準から考えていくと。その集団における標準的なキャリアパスに基づく給付水準となるというところは、ある意味、DBがある程度長期雇用を前提に、この会社に定年までいたら大体どうなるかということが前提になっているわけです。制度設計からしても、そういうことを標準にせざるを得ないということは理解できるのですけれども、そうするとやはり、この標準的なキャリアパスから外れる人について、何か問題なりアンフェアなことはないのかというのは考えていかなければいけないのではないかと思います。

 一番極端なことを言えば、懲戒解雇された人とかもそうですけれども、そんなのは悪いやつはしようがないとかいうのも割り切りですが、それ以外でも転職が多い人とか、休職した人とか、分かりませんけれども、標準的なキャリアパスではない人というのはいっぱいいるわけです。まさに労働政策の方でも多様な働き方というようなことを議論している中ですので、それは結局、企業年金がない人への老後を考えるとかいう話とつながるのだと思うのですけれども、その辺も考えながら、施行日までにそういうことも考えて、あまりにアンフェアなことが起きないのかということは検討していかなければいけないのではないかと思います。

 もちろん、結局そもそもDBはそういうものでしょうということなのですが、ある意味それは前提、所与のものとして、新しい仕組みを考えていくということでありますので、そういうことを認識した上で考えていかなければいけないと思います。

 あとは事務局案、事務局の御説明の中では、経過措置についても基準を明確にしていかなければいけないということ。それから、これは大江委員が既におっしゃっていましたけれども、個人型DCに拠出できなくなる人には、DBへの移換を義務づけられないにしても、何かそういうルートがあるということは宣伝というか、ガイドラインなり指針なりで分かりやすく示してあげるというようなことも必要なのかなと思いました。

 お二人に御説明していただいたことにもコメントと質問があるのですけれども、まず、藤澤委員の方について、質問とコメントが混ざりますが、これはどちらかというと厚労省、事務局の資料に関係する話ですが、事務局の資料1だと33ページです。結局、個人単位では給付設計からも事務負担からも問題だから、集団単位でという結論なのですが、既にさっきお答えいただいていたような気もしますが、カナダは個人単位でやっているわけで、カナダは個人単位でやることが、事務負担とかシステム構築のコストがそんなに大変ではないのはなぜなのか。大変なのかもしれないけれども、もしくは昔は大変だったのか分かりませんけれども、その辺り、要するに個人単位でやれない理由として、日本では事務負担があってなかなか無理でしょうということですが、カナダではそういう問題はないのかということが1つ目です。

 それから、今度は藤澤委員の資料そのものに行きますが、これも五月雨になってしまうかもしれませんが、これは質問というよりはコメントになります。9ページの95年のポリシーペーパーということで古いものですが、ただ、ここで指摘された同じ機会を持つ、つまり、こういう観点でフェアかどうかをチェックしなくてはいけないというのは、今の日本でもそのまま当てはまる話だと思いまして、このことはちゃんと日本でもこういう視点から各政策を考えて、この問題も考えなければいけないのではないのかというのは思いました。

 それから、マイアプリの話が出ていました。こういうアプリを見ればコントリビューションルームが分かるようになっているのだと。それは非常にいい仕組みだと思います。日本でもそういうことを考えていかなければいけないと思いますが、突き詰めると、これも技術的にというよりも、多分技術的には別にできないことはないかなと思って、それよりもやはり老後についての考え方が、自分で言っておいてなんですけれども、突き詰めると穴埋め型みたいな発想で、自分の老後はこういうふうにつくっていかなくてはいけない。それはどのように埋めていかなくてはいけないというふうにみんながある程度思っていれば、そういうアプリでいけるのでしょうけれども、今の日本の老後に対する考え方を前提とすると、なかなかそういうアプリみたいなもので自分の老後の全体像がどのぐらい拠出できるかとか、制度によってこうなっているのだよみたいな発想自体に行かない気もしまして、その辺のところから見直していかなければいけないのかなということも思いました。

 あとは、ちょっと長くてすみません。藤澤委員の方は、11ページの御指摘もそうかなと思いました。特にキャリーフォワードの話などは、日本でも大いに参考にして議論すべきだろうと思いました。

 それから、渡邊委員の方にも、まずは1点、伊藤委員が質問されたことで、要するにリースターで補助金みたいな対応はしたけれども、カナダみたいにクローバックみたいな話にならないのはなぜかという御質問もあったと思って、勝手に私は考えたのですが、カナダは公的年金が税方式で、多分ドイツは社会保険だからクローバックとかをやりづらいだろうなと思ったのです。別に社会保険でクローバックして悪いという話もないかもしれないので分からないですけれども、そういうことでいいのかというのを渡邊委員に1つ聞きたい。

 いつになく長くてすみません。もう一つは、渡邊委員の資料の税の話で、2ページ目、3ページ、どこになるのかな。要は、たしか拠出に対する税制で直接約定、使用者拠出非課税(無制限)とあったのですけれども、直接約定はブックリザーブだから、多分これは給付のことですかね。退職金給付に相当するものについて非課税ということかと思ったのです。つまり、直接約定だから、引当金はあるけれども、拠出という概念はないのかなと思いまして、給付そのもののことをおっしゃっているのかなと思ったのですけれども、そういう理解でいいのかということも確認させてください。

 すみません。あちこち行きましたが、以上です。

 

○神野部会長

 事務局。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 現行制度は給付水準、また財政運営が異なる1万を超えるDBを一つの仕組みで月額2.75万円と評価していたところ、これをもう少し公平にしようという第一歩でありまして、引き続き、あるべき姿というのは考えていかなければいけないと思っています。

 DBは集団単位で、日本の終身型雇用モデルを前提に制度を組んでいる部分があります。ただ、標準掛金額・仮想掛金額は、例えばある集団で、つまり会社で脱退一時金の受給、つまり転職が多い集団だと、その部分が標準的な給付水準にはね返り、それが標準掛金・仮想掛金額に連動するようになっていきます。それでも、あくまでも集団単位ではないかという御指摘はごもっともなのですが、今よりは一歩、公平になるものと考えています。

以上です。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 

○藤澤委員

 質問とコメントをありがとうございます。事務負担に関する質問ですが、大変か大変ではなかったかと言われると、恐らく大変だったと想像しております。例えば9倍というファクター自体が提案されたのが1980年代半ばで、実際に導入したのが1990年ということですので、5年ぐらい準備期間といいますか、その中で政権交代等もあったので、純粋に事務負担だけが問題かと言われると、そうではないかもしれませんが、提案から導入までかなりの年月がかかっています。

 カナダの給付設計上の特徴で、吉田課長からも説明がありましたが、毎年、給付額が積み上がるようなDBの給付設計になっていることから個人単位の方式がやりやすかったという側面や、数理計算も個人単位で、予測単位積増方式という方法で行っていますので、日本は集団単位でやっていますけれども、そういった違いも導入のしやすさの背景にあると思います。

 細かいオペレーションの話で言うと、過去の給与が間違っていた等の事例もあるようで、例えば50ドルだったら間違っていたとしても許容するというような許容幅も設けています。オペレーションはやはり大変だと思いますが、そういう間違ったときの許容幅を設けることで、一定程度事務負担を抑制している部分もあると思います。

 以上です。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 渡邊議員、よろしくお願いします。

 

○渡邊委員

 御質問をありがとうございました。

 まず1点目のリースター助成のところで、なぜ高所得者が除外されないのかというのは、私の方としても明確なお答えが分からないといえば分からないのですが、結局リースター助成というのは、私的年金を個人的に自助努力で形成することに関して、同じような努力をする人に対しては同じような助成を行っていこうということで、そこを所得が高いからというような理由で除外するという発想はなかったように思われます。

 2点目の直接約定ですが、こちらの方も正確には分からないところがあるのですが、一定の個人の拠出枠というようなところを観念することができる場合があるようです。ですので、総報酬転換による従業員拠出というのも、そういった枠で観念できる形になっているので、あくまで企業年金、直接約定に基づく使用者の拠出というような形で、ここは無制限で非課税ですというような説明がなされておりました。

 

○神野部会長

 それでは、内田委員、御発言をどうぞ。

 

○内田委員

 御説明ありがとうございました。電機連合の内田です。

 4件のコメントと要望がございます。

 資料1のスライド15、16につきまして、今回の御提案は、これまで積み重ねてきた労使合意を相当程度尊重する経過措置と受け止めており、時限的な措置にとどまることなく、既存規約については、引き続きの拠出を可能とした点については評価したいと思っております。ただし、既存のDBに与える影響については十分に留意いただきたいと思っております。

 コロナ禍で厳しい経営を強いられている企業が多い中で、DCシフトや企業年金そのものの終了に拍車をかけないか、大変懸念をしているところでございます。

 また、総合型DBにおきましても、10以上の区分を設けているところもあると思いますが、その場合には多数の仮想掛金額の設定や加入企業単独でDCを実施しているケースなども考慮しますと、単独型より事務負担も大きくなると考えられます。何かしらの対策が必要ではないでしょうか。

 最後に、今回の見直しはいずれも企業年金のある企業における拠出限度額を引き上げるというものであり、企業年金がない企業への普及促進という効果は、ほぼないのではないかと思われます。引き続き、中小企業などへの企業年金の普及促進策などを、より具体的な形で御検討をいただきたいと思います。

 私からは以上です。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 それでは、小林委員、お待たせいたしました。どうぞ。

 

○小林委員

 御説明ありがとうございました。

 私からは、資料1と資料3についてコメントと御質問をさせていただきたいと思います。

 まず資料1ですが、DB併用時のDC拠出限度額について、本日示された経過措置の案は、これまでの部会での議論を踏まえた内容として評価したいと考えております。

 仮想掛金額の算定方法についても、資料に示されているとおり、集団単位で、各DBで想定している基礎率をベースに標準的な給付水準から求める方法とすることでよいと考えます。より簡便で分かりやすく、実務面での負担が少ないものとなるように、引き続き御検討いただきたいと思います。

 個人型DCの加入者への対応に関してですが、資料の22ページで脱退一時金の支給が認められる要件の一つとして、資産額が一定規模以下である場合が示されていますが、可能であれば、具体的な金額を示していただきたいと思います。

 続いて、資料3、藤澤委員の御提出資料についてですが、御説明いただいたDB・DC共通の拠出上限に関して2点確認させていただきたいと思います。1点目は、拠出上限の引上げの経緯についてです。1990年以前は7,500カナダドルであった拠出限度額が、2020年度には2万7230カナダドルまで引き上げられたということですが、この間の引上げの経緯について、政策的な背景や、税収が減少することとの兼ね合いで何か議論があったのかなど、分かれば御教示いただきたいと思います。

 2点目は、DBの限度額の算定方法ですが、拠出金額の算定に用いる9という換算係数について、導入から約30年経過して見直しの議論が出ていないのかどうか。特にDBの加入者から意見等が出ていないのかという点について、御教示いただきたいと思います。

 以上です。

 

○神野部会長

 事務局、お願いします。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 小林委員から、資料22ページのiDeCoの脱退一時金の資産額要件について、具体的な金額の御質問をいただきました。iDeCoの脱退一時金は、現在、資産額が25万円以下になると受給が可能という形になっています。この25万円というのがどのように設定されているかですが、小さな資産額になりますと、1年間で運用益が例えば1%出せても、運営管理機関等の手数料負担が生じますので、どう頑張っても手数料負けしてしまう可能性が高くなる場合、そうなったときのために脱退一時金というものが認められています。この金額は、平成28年改正で設定された金額から動いていないのですが、今、運営管理機関の手数料は軒並み下がってきているので、税務当局等から25万円をもっと下げることができるのではないかという指摘もあるのですが、25万円を維持することを考えているという状況です。

 以上です。

 

○神野部会長

 では、藤澤委員、たびたび申し訳ありません。

 

○藤澤委員

 2点御質問をいただいております。1点目が、資料の8ページ、DC拠出限度額引上げの経緯というところでございます。この部分については、もともとDBの方が優遇されていたところ、DB・DCの両方で拠出限度額があったのですが、DBの方にそろえるということで、DBの給付限度額とイコールフッティングになるように、9倍という係数を使ってDCの拠出限度額を引き上げていくということが行われています。

 その後は、DCの拠出限度額、DBもそうですけれども、賃金スライドで賃金が上がった分増やしていくというような形になっています。

 税収の観点で言うと、1980年代のカナダは財政問題の課題があり、日本よりもGDP比で債務残高が大きくて、1980年代とか90年代ぐらいは結構抜本的な財政見直しを行っています。

 その結果、1990年代後半には財政の問題はある程度解決し、財政状況も改善した状況になっていることから、2000年以降は、こういったDCの拠出限度額を引き上げることができるようになったと考えています。

 2点目の御質問で、9倍という係数は、御指摘のとおり約30年前に設定されたもので、例えば利回りでいうと7%という、今のカナダから見ても高い水準で設定されていたり、死亡率も当時の死亡率で設定しているので、その後改善して長生きしているということがありますが、30年間変わらずに9倍というファクターを使っております。DB加入者サイドから意見があるのかどうかまでは把握していませんが、研究機関からは、そろそろ見直すべきではないかというペーパーが出ておりますので、そういった議論はカナダでも行われていると理解しています。

 以上です。

 

○神野部会長

 ありがとうございました。

 御発言がなかった臼杵委員、特にございますか。

 

○臼杵委員

 ありがとうございます。

 特に、今日の事務局の提案には、基本的に賛成いたします。

 それから、お二人のプレゼン、ありがとうございました。皆さん御指摘のように、多分企業年金のない人の老後をどう考えていくかということがこれから議論になると思いますので、その際に参考にさせていければと思います。ありがとうございました。

 

○神野部会長

 ありがとうございました。

 お二人のオブザーバー、いかがですか。どうぞ。

 

○鮫島企業年金連合会理事長(オブザーバー)

 時間が過ぎましてからすみません。企業年金連合会の鮫島でございます。

 まず、事務局の御提案につきましては、DC拠出限度額の公平かつきめ細かい運用に向けてということ、その趣旨に賛同しておりますので、賛成でございます。

 そのうち、経過措置についてでありますが、現場としましては、DBを併せて実施している場合の拠出限度額が減少ないし消滅するケースについて懸念しておりましたけれども、今回示されました経過措置によって、DC掛金あるいはDBの給付設計の見直しを伴う規約変更を行わなければ、従来の掛金拠出が可能になるということでありますので、移行時に大きな混乱は避けられるのではないかと、安堵をしております。

 この点を申し上げた上で、企業年金の現場からの声ということで少し申し上げますと、一部に、この経過措置の運用によっては、将来の制度見直しの制約になるのではないかという危惧をする向きもありまして、例えば就労期間の延伸に伴う制度の変更、あるいは企業合併の場合などに柔軟な取扱いを求める声といったものがありますし、また、先行きということで言いますと、DC拠出限度額5.5万円の見直しを期待するというような声も聞かれておりまして、その点を付け加えておきたいと思います。

 それから、DBの仮想掛金の算定方法でありますが、数理人会さんが提起された予定利率の問題など、論点はなかなか尽きないように思いますけれども、事務局が現在の税制上の観点も踏まえて、この案を提案されるということであれば、考え方としては標準掛金に近くて、比較的シンプルな案でありますので、この方法でスタートすることに異論はありません。先々、拠出限度額5.5万円の見直しが議論される際に、改めて様々な角度から検討が行われることを期待したいと考えております。

 最後に、DC拠出限度額管理のための情報連携に関しまして、事務局資料にありましたように、私ども企業年金連合会も参画しまして、企業年金情報の集約などを通じて、企業型DC、iDeCoの拠出限度額管理の仕組みの一翼を担う所存であります。企業年金のナショナルセンターとして、関係機関・団体の皆様と協力して、しっかり取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上です。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 松下オブザーバー。

 

○松下国民年金基金連合会理事長(オブザーバー)

 国民年金基金連合会の松下でございます。

 iDeCoの実施機関として簡単にコメントをさせていただきます。

 本日、資料1の41ページですけれども、DBも含めました企業年金の情報を関係機関が連携する仕組みの構築について、改めて取り上げていただいております。今、鮫島理事長の方からもお話がございましたように、私ども連合会としても、実務を担う関係機関の一つといたしまして、この制度の詳細を踏まえて、厚労省や企業年金連合会、関係者の皆様と連携して対応をしていきたいと考えております。

 また、企業型DCとiDeCoの情報連携につきましても、これまで申し上げているように、2022年10月から実施ということでございますので、これに向けた対応をしっかりやっていきたいと考えております。

 以上です。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 貴重な様々な御意見を頂戴したこと、深く感謝を申し上げる次第でございます。

 皆様方の御意見を一当たりお伺いして、事務局から頂戴いたしました提案については、疑問点とかコメント等を頂戴いたしましたけれども、御意見としては、基本的には賛同する御意見だったと思います。もちろん追加でいろいろ御要望や留意点などもございましたが、基本的には、事務局の提案については、むしろ少なくともこの要望を実現するようにという激励の言葉をいただいたように理解をいたしております。

 したがいまして、事務局におかれましては、今日も様々な留意点等々を頂戴いたしておりますので、その点を御勘案の上、一層奮励努力せよという旗を掲げて、税務当局をはじめとして関係部署に御調整をお願いしたいと思います。

 さらに、藤澤委員、渡邊委員、本当にありがとうございました。諸外国の制度は、もちろん関連するその他の制度が違いますし、そもそも経済的、社会的な諸条件等々も違いますので、直ちにそのまま何か学ぶということは難しいのですが、少なくとも私たちは、そうした条件の違い等々を考慮に入れながら、引き続き諸外国の制度も参照して検討していきたいと思っておりますので、よりよい制度の将来像、ビジョンを描くために、冒頭にも申し上げましたが、諸外国の制度との比較考量を続けていきたいと思っております。

 これまで私どもの部会は、来年度の税制改正に向けて、この夏以降、議論を重ねてまいりました。この税制改正の議論がどのように決着していくのかということは別にしても、これまで夏以来重ねてきた議論を、次回は整理いたしていきたいと思っておりますので、御承知おきいただければと思います。

 次回の部会の予定等々につきまして、事務局の方から連絡事項をお願いいたします。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 ありがとうございました。

 部会長から御指示がありましたように、これまでの部会の御意見を十分踏まえまして、事務局としては、細部の検討と、税務当局との事務的な調整をしっかり進めていきたいと思っています。

 諸外国の制度は興味深いところで、本日は時間が足りなかったと反省しています。引き続き議論できるようにしていきたいと思っています。

次回の部会の開催日時は、事務局から各委員の御都合をお伺いした上で、正式な御案内を送りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 それでは、これにて第17回「企業年金・個人年金部会」を終了いたします。

 つるべ落としのように日の落ちる時間が早くなっておりますので、もう外は真っ暗かと思います。暗くなるまで熱心に御議論頂戴いたしましたこと、深く感謝を申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。