第6回 社会保障審議会企業金・個人年金部会 議事録

日時

令和元年7月24日(水)14:56~17:06

 

場所

AP新橋 3階 ルームA

出席者

(委 員) 神野部会長、森戸部会長代理、伊藤委員、井戸委員、内田委員、大江委員、小川委員、金子委員、小林委員、白波瀬委員、藤澤委員

(オブザーバー)松下国民年金基金連合会理事長、宮園企業年金連合会理事長

 

 

議題

(1)企業年金のガバナンス等について

(2)その他

 

 

議事

 

 議事内容

○神野部会長

 それでは、定刻少し前なのですけれども、委員の皆様方はお揃いになっていらっしゃいますので、ただいまから第6回「社会保障審議会企業年金・個人年金部会」を開催したいと存じます。

 梅雨明け間際の大変不順な気候のもとで万障を繰り合わせて御参集いただきましたことに、深く感謝を申し上げる次第でございます。

 本日の委員の皆様方の出欠状況でございますが、臼杵委員、細田委員、渡邊委員から御欠席との御連絡を頂戴いたしております。

 御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを、まず、御報告申し上げたいと存じます。

 議事に入ります前に、前回の部会から事務局に異動があったと聞いておりますので、事務局から、御紹介方々、御報告いただければと思います。

 よろしくお願いいたします。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 年金局企業年金・個人年金課長の吉田でございます。本日も、よろしくお願いいたします。

 事務局の異動について御報告申し上げます。

 年金局長の高橋です。

 総務課長の竹林です。

 また、局長より一言御挨拶申し上げます。

 

○高橋年金局長

 7月9日付で年金局長を拝命いたしました、高橋でございます。

 前職は、年金管理審議官としまして、2年間、公的年金事業、日本年金機構の事業運営のところの担当をさせていただきました。

 委員の皆様におかれましては、企業年金・個人年金につきましてさまざまな御指導をいただいておりまして、厚く御礼を申し上げます。

 本部会でございますけれども、第1回が開催されました今年の2月から始まりまして、本日で6回目でございます。第1回では、企業年金・個人 年金制度の現状等につきまして御確認いただきました。第2回、第3回では、関係団体の皆様方からヒアリングを行いました。第4回では拠出時・給付時の仕組みについて、第5回では企業年金の普及・拡大について、御議論をいただいたところでございます。本日の第6回は、企業年金のガバナンス等につきまして御議論をいただきたいと思います。

 高齢期の生活は、高齢期の収入や資産の状況、その方が望ましいと考えておられる生活など様々でして、こうした中で、公的年金を基本としながら、企業年金制度の普及やiDeCo等の個人の資産形成の支援もあわせまして、多様なニーズに対応していく必要があると考えてございます。

 こうしたことを踏まえまして、委員の皆様におかれまして、今後の企業年金・個人年金制度につきまして、これから秋に向けてということになりますので、引き続き精力的な御議論をよろしくお願い申し上げたいと思います。ぜひともよろしくお願い申し上げます。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 議事に入りたいと思いますが、見渡した限りカメラの方はいらっしゃらないようですけれども、いらっしゃるようでしたら御退室をお願いしたいと思います。御協力を頂戴できればと思います。

 まず、事務局から資料の確認をお願いできますでしょうか。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 まず、局長が公務のため途中で退席することをお許しいただきたく思います。

 資料を確認させていただきます。

 本日の資料といたしましては、資料1「ヒアリング等における主な意見」、資料2「企業年金のガバナンス等について」、資料3「前回の指摘事項について」、参考資料として委員名簿を用意しています。また、本日御欠席の臼杵委員から資料を提出いただいておりますので、あわせて用意しています。

 事務局からは、以上になります。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 それでは、議事に入りたいと思いますが、お手元の議事次第をご覧いただければと思います。

 先ほど局長からお話がございましたように、本日、「企業年金のガバナンス等について」を議事にさせていただいております。

 進め方については、毎々同じように、事務局からまずは資料をこのテーマについて一括して御説明いただき、それから、委員の皆様方から、御質問、御意見を頂戴したいと思っております。

 まず、事務局から資料について御説明いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 本日は、前回からの企業年金の議論の続きといたしまして「企業年金のガバナンス等」を御議論いただき、次回は個人年金等を予定しております。

 資料1から3までを通しで説明いたします。

 資料1をお開きください。

 4月、5月の部会でもお示ししたもので、ヒアリングにおける各関係団体からの御意見等をまとめたものになります。この資料は、私ども事務局の責任で一旦整理したものですが、ヒアリング等で述べてきた意見が反映し切れていない箇所があるといった御指摘をいただきましたので、前回までの資料から数カ所修正しています。

 修正箇所は、3ページ、【企業年金の現状】の最初の○の部分に「連合」を追加いたしました。

 5ページ、真ん中あたり、(個人型確定拠出年金の拠出限度額)の箇所ですが、「一方で、拠出できる人との格差という問題がある。(連合)」という点を追加しています。

 9ページも、再掲で同じ表現を盛り込んでいます。

 続きまして、本日御議論いただくテーマの「企業年金のガバナンス等」に関する点につきまして、11ページをご覧ください。

・制度の複雑化や事務の煩雑化につながらないよう十分配慮すべき、

・事業主等には加入者や受給者はもとより労働組合に対しても丁寧な説明が求められる、

・受給権保護を図るためには、ガバナンスの実効性を高めることが必要。適切に情報を開示し、丁寧に説明を行い、加入者等が適時適切に関与できるよう条件整備を行うべき、

・ガバナンスについては、企業型DCについても少し長いスパンで議論が必要、

・商品除外や指定運用方法など、施行後の実態を把握しながら、議論すべき、

・資産残高でみると、企業型DCは12兆円にとどまるが、給付の十分性の観点で十分か議論すべき、

・DCの給付の十分性を考えると、運用利回りの中央値を少しでもプラスのほうに持っていくという施策も必要、

・投資教育の継続性と実効性を同時に高めることが重要、

・企業型DCと個人型DCを一体的に捉え、投資教育など投資判断を支援する取組が必要

といった御意見がありました。

 協働運用型DC制度などについては、前回の部会で御説明させていただきました。

 続きまして、資料2をお開きいただきたいと思います。

 本日のテーマは「企業年金のガバナンス等について」です。

 1ページ、企業年金制度の目的は、公的年金と相まって加入者の高齢期の所得確保を図ることにあります。企業年金は、掛金の拠出を行ってから実際に年金給付が行われるまで数十年の期間を要しますが、このような長期にわたる仕組みを、将来の給付が確実に行われるよう適切に運営していくためには、制度を健全に運営するための体制の整備等、企業年金のガバナンスの確保が重要であるとし、これまで企業年金部会においては、主に確定給付企業年金のガバナンスについて議論がなされてきました。

 OECDのガイドラインでも、ガバナンスが定義されています。箱のOECDガイドラインの部分をご覧ください。要すれば、ガバナンスは、年金制度にかかわる全ての関係者から構成される目標の設定、目標達成のための手段、実績のモニタリングといった一連の仕組みで、会社におけるコーポレートガバナンスに相当するものとされています。

 2ページ、OECDのガイドラインでは、企業年金のガバナンスについて、「統治機関」、「責任」など、11項目を提唱しています。

 4ページ、企業年金のガバナンスについては、かねてより、様々な場で議論がなされてきました。

 5ページ、企業年金部会では、企業年金のガバナンスに関し、行為準則・組織、事業運営の検証・監査等、資産運用、加入者への情報開示といった面から、制度全般を検証し、議論の整理を行いました。この中で、確定給付企業年金については、OECDガイドラインに照らしても、制度が健全に運営されるための基本的な仕組みは概ね整備されていますが、下の表にあるような課題が指摘されました。指摘されたそれぞれの課題について、2016年4月から2018年4月にかけて継続的に企業年金部会において議論を重ね、順次見直しが行われました。一つ一つ見ていきたいと思います。

 6ページ、「総合型基金」とは、2以上の厚生年金適用事業所の事業主が共同で実施する基金型の確定給付企業年金であって、当該事業所間の資本的・人的な結び付きが弱いものをいいます。下の左の円グラフをご覧いただくと、758ある基金型のうち、総合型基金が183となっております。上の箱に戻っていただきまして、総合型基金は、事業所間の結び付きが弱いため、事業主が基金の実施主体であるという意識が低くなりやすく、実施事業所の事業主としての責務を果たさないなどの問題につながる懸念があること、各事業主が他の事業主の掛金拠出分の確認等ができず、各事業主が基金全体での会計の正確性を確認することが困難であることといった課題が指摘され、それぞれ対応を図ったところです。

 7ページ、総合型基金の代議員の選任の在り方の見直しです。事業主に対し基金の運営方針決定への関与を促し、事業主の基金運営への参加意識を高めるため、2018年10月1日以降の基金設立時又は代議員の任期満了時の選定から、選定代議員の数は事業主数の10分の1以上とすることなどとしました。

 8ページ、総合型基金においては、2017年度決算以降で年金資産が20億円を超えた決算の翌々年度の決算から、公認会計士又は監査法人による「会計監査」か、「AUP・合意された手続」を受けることとし、その結果を監事監査に活用して、監事監査の充実・会計の正確性の確保を図ることとしました。

 恐縮ですが、若干戻っていただいて6ページ、右の円グラフをご覧いただくと、約7割の総合型基金が資産規模20億を超えております。

 9ページ、AUPの概要になります。総合型基金におけるAUPは、確認すべき事項として、現金・預金残高の正確性と網羅性の確認、経費承認の内部統制の整備・運用状況の確認などの14の「チェック項目」と、各項目を具体化した「チェックポイント」を通知で示しています。総合型基金とその契約相手であるAUP業務提供者・公認会計士等は、基金の事務体制に応じて「チェックポイント」に即した確認手続・合意された手続を協議の上で決定し、AUP業務提供者が確認手続を実施します。総合型基金の監事は、AUPの結果を監事監査に活用し、監事監査の充実を図ることとなります。

 10ページ、今年度からのAUPの円滑な導入に向けて、実務指針、実践ハンドブック、AUP業務提供者名簿の作成・公表を行うなど、準備を進めてきました。

 11ページ、政策的資産構成割合の策定義務化前の2017年度決算時点では、約6割の確定給付企業年金が政策的資産構成割合を策定していませんでした。また、資産規模が小さいほど策定が進んでいませんでした。

 12ページ、一定の予定運用利回りを確保する必要がある確定給付企業年金においては、積立金の運用の目的やその資産構成などの事項を記載した「運用の基本方針」や、長期にわたり維持すべき資産の構成割合である「政策的資産構成割合」の策定なしに安定的な運営は困難であることから、2018年4月以降、受託保証型を除く全ての確定給付企業年金において「運用の基本方針」と「政策的資産構成割合」の策定を義務付けました。

 13ページ、続きまして、資産運用ガイドラインです。厚生労働省年金局長通知である「資産運用ガイドライン」は、現行法のもとで資産運用関係者に課されている「善管注意義務」や「忠実義務」について、業務を行う場面を想定して具体的な行動指針を記述したものです。確定給付企業年金の資産運用ガイドラインについては、企業年金部会での議論を踏まえ、2018年4月、資産運用管理体制の強化等を図る観点で改訂しました。

 14ページは、見直した主な項目です。15ページは、ガイドラインの全体構造になります。見直した主な項目について、一つ一つ見ていきたいと思います。

 16ページ、まず、資産運用委員会です。改訂ガイドラインの施行前の2017年度決算時点では、資産規模が100億円以上であっても、資産運用委員会を設置していない確定給付企業年金が存在しました。また、資産運用委員会を設置していたとしても、2017年度中に委員会を開催していない確定給付企業年金も存在しました。資産運用ガイドラインにおいては、これまで資産運用委員会を設置することが望ましいとしていましたが、2018年4月以降、運用に係る資産の額が100億円以上の場合、資産運用委員会を設置することを定めました。

 17ページ、オルタナティブ投資を実施している確定給付企業年金は、近年、増加傾向にあります。また、資産全体に占めるオルタナティブ投資の配分割合が15%以上の確定給付企業年金が、年々増加しています。資産運用ガイドラインにおいては、2018年4月以降、オルタナティブ投資を行う場合、運用の基本方針に「オルタナティブ投資を行う目的」などを記載することを定めました。

 18ページ、2017年度決算時点では、運用コンサルティング会社と契約している確定給付企業年金は全体の4分の1となっています。また、資産規模が大きくなるほど、運用コンサルティング会社と契約している確定給付企業年金の割合は高くなっています。資産運用ガイドラインにおいては、2018年4月以降、運用コンサルタントと契約を締結する場合、金融商品取引法上の投資助言・代理業者であることや運用受託機関との間で利益相反がないか確認することを定めました。

 19ページ、スチュワードシップ・コードの受入れです。企業年金におけるスチュワードシップの受入れを促進していくため、厚生労働省と企業年金連合会が連携して、2016年10月から「スチュワードシップ検討会」を開催し、企業年金におけるスチュワードシップ・コードの受入れの意義、具体的な行動例などについて、2017年3月に報告書を取りまとめました。その後、コーポレートガバナンス・コードの改訂もありました。

 20ページ、改訂ガイドラインの施行前の2017年決算時点では、資産規模が大きい確定給付企業年金ほどスチュワードシップ活動に「関心がある」とする一方で、資産規模が小さい確定給付企業年金においても、一定程度、「関心がある」としています。資産運用ガイドラインにおいては、運用受託機関の選定の際に、スチュワードシップ・コードの受入れや取組状況等を定性評価項目とすることを検討することが望ましいことなどを定めました。2019年6月末現在、スチュワードシップ・コードの受入れを表明した企業年金は19基金となっています。

 21ページ、今まで御説明したように、この間、DBのガバナンスについて企業年金部会で御議論いただき、様々な取組を行ってきましたが、多くが運用上・行政指導上の取組でした。代議員数などの組織に関する規定や、AUPに関する規定は、他制度では法令で規定されています。

 23ページ、続きまして、企業型確定拠出年金・DCのガバナンスについてです。OECDのガイドラインは、確定給付企業年金のみならず、確定拠出年金にも適用されます。企業年金部会では、企業年金のガバナンスを「制度を健全に運営するための体制の整備等」と定義し、マル1からマル4の面から確定給付企業年金制度全般を検証してきましたが、これは企業型確定給付企業年金にも有効です。ただし、企業型確定拠出年金のガバナンスを議論する際には、制度の仕組みが大きく異なっている点に留意が必要です。企業型確定拠出年金は、加入者等が年金資産の運用方法を自ら選択し、その運用結果に基づいて給付を受け取る仕組みで、加入者等が運用の責任を負います。また、運営や資産の管理を行うための機関として運営管理機関や資産管理機関が設けられており、事業主は、資産の管理や資産運用の結果について、直接、責任を負うことはありません。しかしながら、企業型確定拠出年金は従業員の高齢期の所得確保を図る退職給付制度であり、事業主には、加入者等が適切に資産運用を行うことができるよう、加入者等を支援する重要な役割・責任があります。なぜなら、※の部分ですが、企業型確定拠出年金の導入を決定した上、運営管理機関を選任し、運用商品の選定・提示に関与するのは事業主であり、加入者等は提示された運用商品の中からしか商品を選択できません。また、加入者等の多くが退職給付制度への理解、投資経験、資産運用の能力が十分でないことへの配慮も、実施主体である事業主には必要です。

 24ページ、OECDのガイドラインでは、「DB・DC共通の責任」に加え、「DC特有の責任」が規定されています。具体的には、箱の下の部分、適切な運用商品の提供、その商品の実績モニタリング、加入者が負担するコストの適正さとコストの開示、ガイダンスの提供などになります。

 25ページ、加入者の制度への関心ですが、確定拠出年金制度の加入者であっても、約2割の者が「確定拠出年金制度を知らない」と回答しています。また、加入者向けWebサイトや資産額通知で資産残高を確認したことがある者は半数程度となっています。

 26ページ、2016年の確定拠出年金法等の改正においては、企業型確定拠出年金制度を健全に運営し、加入者等が適切に資産運用を行うことができるようにする観点から、様々な環境整備を行いました。当時、「DCのガバナンス」という言い方はしていませんが、年金ガバナンスが、制度にかかわる全ての関係者から構成される、制度目的を達成するための仕組みということであれば、従業員の高齢期の所得確保を図るというDC制度の目的達成に向けた先の様々な改正はDCガバナンス確保の一環であったと評価できると考えています。

 27ページ、まず、企業型確定拠出年金の運営において事業主が果たすべき役割・責任について、確定拠出年金法令では様々な規定が設けられています。マル1、実施主体は事業主であり、実施に当たっては労使合意を要します。マル3、事業主は、運営管理機関を定期的に評価し、必要な措置を講ずるように努めなければなりません。マル4、事業主は、投資教育を実施することが努力義務とされています。マル5、運用商品の選定及び提示は、多くの場合、運営管理機関によって行われますが、「加入者等が真に必要なものに限って運用の方法が選定されるよう、確定拠出年金運営管理機関と労使が十分に協議・検討を行って運用の方法を選定し、また、定期的に見直していくこと」と法令解釈通知において事業主の関わりを示しています。これは指定運用方法についても同様です。マル6、事業主は、法令、法令に基づいてする厚生労働大臣の処分及び企業型年金規約を遵守し、企業型年金加入者等のために忠実にその業務を遂行しなければなりません。いわゆる忠実義務になります。

 この忠実義務につきましては、28ページをご覧いただきまして、法令解釈通知において、少なくとも留意すべき事項として7項目を掲げています。

 29ページ、制度運営の体制についてです。企業型確定拠出年金の運営に当たっては、外部型の基金型確定給付企業年金のように、理事会や代議員会といった機関を設けることが必要とされているわけではありません。確定拠出年金制度において、年金委員会等の会議やプロジェクトがある企業は2.9%となっています。運営管理機関から定期的に提供される「加入者運用実態報告、レポート等」を「経営に報告」している企業は14.l%となっています。

 30ページ、確定給付企業年金を実施している企業においては、企業型確定拠出年金の運営に当たって、社内に年金委員会のような組織を設ける事例も見受けられるようになっています。企業型確定拠出年金の担当者が社内で定期的な情報共有を行ったり、判断を仰いだりすることによって、経営層も制度運営に関与する仕組みが整うといった指摘があります。

 31ページ、労使間の体制ですが、企業型確定拠出年金の導入時又は変更時においては、労使合意が求められますが、日常的又は定期的な制度運営に際しても、加入者の意見を聴取し制度運営に反映できる体制としている事例があります。これらは、企業年金連合会のハンドブックに掲載された事例ですが、普段から運用商品のモニタリングを行うことができている事例などになります。

 32ページ、確定拠出年金については、加入者自らが年金資産を運用する仕組みであり、運用実績に基づいた年金が給付されることとなります。このため、加入者が自らのニーズに応じて適切に運用商品を選択することができるよう、事業主は、加入者に対し、投資教育を実施することが法律上の努力義務とされています。

 33ページ、投資教育の具体的内容や提供方法等については、法令解釈通知において示しています。具体的内容は、3.(3)の部分、マル1、我が国の公的年金制度を含む制度の具体的な内容、マル2、金融商品の仕組みと特徴、マル3、資産運用の基礎知識、マル4、老後の生活設計などになります。具体的な提供方法は4.(1)のマル1の部分、「投資教育の方法としては、例えば資料やビデオの配布、説明会の開催等があるが、各加入者等ごとに、当該加入者の資産の運用に関する知識及び経験等に応じて、最適と考えられる方法により行うこと」としています。

 34ページ、継続投資教育については、実施率は向上しつつありますが、努力義務施行前の2017年度決算時点では4分の1以上の事業主が未実施の状況にあります。

 35ページ、継続投資教育の手法としては、多くの事業主が「集合研修」で実施しています。継続投資教育は、「DC制度の基本的な仕組みの理解」、「基本的な資産運用の理解」、「基本的な金融商品の理解」などを内容としているものが多くなっています。

 36ページ、継続投資教育の実施により、約8割の事業主が効果があったと回答しています。効果があった項目として、「加入者Webサイトへのアクセス回数が増えた」、「IDの照会やパスワードの再発行依頼が増えた」、「スイッチングの回数が増えた」などが挙げられています。

 37ページ、継続投資教育を実施していない理由としては、「業務との時間調整が難しい」が6割強となっています。

 38ページ、企業型確定拠出年金においては、実施主体である事業主は、実務の多くは運営管理機関に委ねることとなります。その運営管理機関のサービスの内容等は加入者等の資産運用に影響を及ぼす非常に重要な要素であることから、制度導入時には、原則として複数の運営管理機関の専門的能力の水準、提示されることが見込まれる運用の方法、業務・サービス内容、手数料の額等を比較検討し、選任を行うこと、また、選任理由を加入者等に提示することを求めています。また、運営管理業務を委託する事業主は、委託した運営管理機関を少なくとも5年ごとに評価し、運営管理業務の委託について検討を加え、必要に応じて運営管理機関の変更その他の必要な措置を講ずるよう努めなければなりません。事業主による運営管理機関の評価に際し、事業主が運営管理機関によって提供されるサービスの相対的な比較を可能とする等の観点から、運営管理機関が自身の選定した運用の方法の一覧をインターネットで公表することとしました。

 39ページ、努力義務化施行前の2017年度決算時点では、運営管理機関に対する評価等を実施している事業主は、約1割となっています。多くの事業主において運営管理機関の評価は今後の課題と言えますが、評価等を行っていない事業主の約4分の3が、今後の実施については「未定(わからない)」と回答しています。

 40ページ、事業主が運営管理機関に委託している運営管理業務の評価すべき項目や手法は、企業の規模や加入者等の構成、制度導入からの定着度、投資教育を運営管理機関に委託している場合はその充実度などにより、それぞれの事業主において異なるものであると考えられますが、少なくとも表にあるような具体的な評価項目について、運営管理機関から報告を受け、運営管理業務の実施状況について評価を行い、その報告内容や評価内容を加入者等に開示することが望ましいと、法令解釈通知において示しています。

 41ページ、2017年度決算時点では、運用商品のモニタリングを実施している事業主は5割を下回っています。運用商品の選定と提示は、多くの場合、運営管理機関によって行われますが、運営管理機関を選任するのは事業主であり、運営管理機関によって提示された運用商品が加入者等にとって適切なものであるかを判断する役割が事業主にはあります。先ほど事業主が果たすべき役割・責任のところで説明したとおり、法令解釈通知上、運営管理機関と労使が十分に協議・検討を行い、運用商品の定期的な見直しを求めているわけでありますが、その前提となる運用商品のモニタリングの取組は現時点において不十分な状況にあると言えます。

 42ページ、運用商品提供数について上限35本を設けることにより商品の厳選を促すとともに、商品除外要件を商品選択者の3分の2以上の同意に緩和を図りました。2018年5月から5年間は、施行前に提示された提供数を上限とする経過措置を設けたところであり、この期間内に上限の範囲内となるよう商品の除外を行っていただくこととなります。「確定拠出年金の運用に関する専門委員会」では、商品除外の実例がほとんどないため、「除外の方法等について必要な周知を行うことが適当」との指摘があり、法令解釈通知において具体的な手順や除外に当たって考慮すべき事項を明記しました。また、経過措置終了後、一定期間経過後に上限を再度検討することが適当とされました。

 43ページ、商品除外の実例がほとんどないため、事業主や運営管理機関等は円滑に除外を行うことが難しいとの意見があり、商品除外の具体的な手順や除外に当たって考慮すべき事項を法令解釈通知に明記しました。

 44ページ、これまでは、厚生労働省年金局長通知に基づく「あらかじめ定められた運用方法・デフォルト商品による運用方法」を活用することが可能でしたが、その運用方法を設定していたのは64.9%であり、商品のカテゴリーとしては元本確保型が95.0%を占めていました。加入者による運用の指図が行われない場合、一定期間を経た後は加入者の指図とみなす効果を有する「指定運用方法」の規定を整備しましたが、この規定に基づく指定運用方法を設定したものは30.9%であり、商品のカテゴリーとしては、元本確保型が70.7%、バランス型とターゲットイヤーがそれぞれ12.0%となっています。

 45ページ、企業型確定拠出年金の企業担当者に指定運用方法として最も望ましいと思う商品のカテゴリーを尋ねたところ、「元本確保型商品」、「バランス型」、「ターゲットイヤー型」の順でした。また、指定運用方法の運営について問題・困難と感じる事柄について尋ねたところ、「投資教育、継続教育の方法」、「指定運用方法で設定した商品に対する加入者の理解」、「新規加入者への説明・対応」の順でした。

 46ページ、指定運用方法については、運営管理機関による選定・提示に当たって労使での検討が基本となります。まずは事業主と運営管理機関の間で連携し、選定・提示の前提となる加入者集団の属性等についての情報を共有することが重要となります。

 47ページ以降、DBや企業型DCに関する企業年金連合会の役割になります。企業年金連合会におかれては、48ページにあるような人材育成から、49ページにあります制度実施の相談・助言、継続投資教育の共同実施まで、さまざまな役割を発揮していただくことがDBや企業型DCの普及には欠かせません。事業主は、こうした支援を活用しつつ、DBや企業型DCを実施する事業主としての役割・責任を果たしていただくことが必要になると考えます。

 52ページ以降は、参考となる数値になります。説明は、省略させていただきます。

 最後、資料3をお開きください。

 前回、皆様からいただいた指摘事項、宿題事項になります。

 まず、1ページは前回の資料ですが、この退職給付制度の実施状況について、業種によって違いがあるかどうか、御質問をいただいておりました。この資料の一番下になりますが、これは5年に1度の就労条件総合調査から作成したものになりますが、注3の部分にあるように、2018年調査はそれ以前と調査範囲が異なるため過去の調査と比較できるよう特別に集計し直しています。

 2ページをご覧ください。特別集計前の数値を一番右側にそれぞれ記載させていただきましたが、この4つの数字については、各業種別に数値が公表されています。

 それが3ページになります。業種別に見ると、赤字が平均より低い数字になりますが、退職給付制度の実施率は主にサービス業で低くなっています。就労条件総合調査では、業種別、規模別にクロスをさせる集計は行っていません。これは、集計区分が細かくなると、各区分のサンプル数が小さくなることで統計上の精度の確保が困難になるためであり、集計・公表を行っていないことを御理解いただければと思います。

 4ページ、ドイツのリースター年金のカバレッジや補助制度の効果について御質問をいただいておりました。各種文献に当たりましたが、2つ目のマルの部分、「2015年末時点で、従業員10人未満の小規模企業の労働者への適用率28%にすぎず、月収1,500ユーロ未満の労働者の47%はリースター年金や他の企業年金に加入していなかった」とのことで、この数値がドイツの制度全体の中で高いのか低いのか、にわかに私どもでは判断しかねるのですが、この2つ目のマルに続けて、「本来、リースター年金による支援を受けることが期待されていた低所得者ほど、リースター年金の加入率が低い状況があった」と、また、最後のマルの部分、「公的年金の給付水準低下を企業年金や個人年金の普及拡大で補うという当初の目的は、達成されていないというのが政府の評価となった」とありまして、5ページ、企業年金強化法がドイツでは制定・施行されたとのことです。

 企業年金強化法の内容ですが、

・中小企業による企業年金導入を容易にするため、各種手続を弾力化・簡易化、

・給付保障なしの拠出建ての年金制度の導入を可能とすること、

・基本補助の額の引き上げや低所得者への事業主拠出に対する政府補助、

・低所得者の加入を阻害しないよう、企業年金をはじめとする私的年金の給付を老齢期の基礎保障のミーンズテストの算定対象から除外する、医療保険・介護保険の保険料算定からも除外する

といった内容になります。

 6ページ、企業型DCの加入者資格になります。企業型DC・DB・厚生年金基金は、「一定の資格」を設けることができ、7ページ、「一定の資格」としては、「一定の職種」、「一定の勤続期間」、「一定の年齢」、「希望する者」の4つが認められています。

 以後、通知内容を記載しておりますが、10ページに飛んでいただきまして、現在、6,161規約のうち96%の5,936の規約で「一定の資格」が設けられていますが、4つの区分の内訳を示すよう、御指摘をいただいておりました。結果は、右の表のとおりでありまして、複数の設定が可能であるため合計数は一致しませんが、「一定の職種」を資格として設定しているのは約9割、「一定の勤続期間」はほぼなく、「一定の年齢」が約1割、「希望する者」が約2割となっています。

 11ページ、最後のページですが、参考までにつけさせていただいたものですが、「一定の資格」の関係で議論になる同一労働同一賃金との関係についてです。正社員と非正規雇用労働者との間で職務の内容等を考慮して不合理な待遇差を設けることが禁止されています。「同一労働同一賃金ガイドライン」では、正社員と非正規雇用労働者との間に待遇の相違が存在する場合に、いかなる待遇の相違が不合理と認められるものであり、いかなる待遇の相違が不合理と認められるものでないのか等の原則となる考え方等が示されています。同ガイドラインには、企業年金や退職手当等の待遇については原則となる考え方等が示されていませんが、これらを含めて「不合理と認められる待遇の相違の解消等が求められる」ことや「各事業主において、労使により、個別具体の事情に応じて待遇の体系について議論していくことが望まれる」ことが、「基本的な考え方」に明記されております。

 大変長くなりましたが、以上です。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 資料1から資料3まで一括して、かつ、的確に御説明を頂戴いたしたところでございます。

 議論を生産的に進める上で、最初に御説明いただきました、つまり、資料1「ヒアリング等における主な意見」について、御質問、御意見が何かあれば頂戴しておきますが、特によろしいでしょうか。もちろん後でまた御質問や御意見をいただいても構いません。

 ちょっと飛んで、資料3、つまり、「前回の指摘事項について」の御説明、宿題返しがあったわけでございますが、いかがでございましょうか。これについて、質問、御意見が何かあれば承っておきます。

 どうぞ。

 

○内田委員

 御説明ありがとうございます。労働側の内田です。

 私からは、質問が1点ございます。

 スライドの7から8になりますが、こちらで企業型DCの加入者資格についての「一定の資格」の中でということですが、短時間労働者を規約に定めることは許されるのかどうかという質問になります。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 まず、確定拠出年金、確定給付企業年金においては、労使合意の下で加入対象について一定の資格を設けることが認められておりまして、その定められる資格は先ほどの4点で、不当に差別的であってはならないという原則があります。さらには加入対象としない者に代替措置を併せて行うことが前提になります。

 退職給付との関係上、非正規雇用労働者の方、短時間労働者の方を対象にしないということは認められていて、それに対して代替措置を講じなくとも不当に差別的にはならないことを示しております。

 

○内田委員

 公的年金においては短時間労働者の社会保険のさらなる適用拡大について議論がされているとは承知しておりますが、社会保険の適用拡大と並行して企業年金のカバレッジを向上させるべきであり、同一労働同一賃金のガイドラインの不合理な待遇差の禁止の趣旨をしっかり踏まえる意味でも、「一定の資格」に短時間労働者を定めることを認めるべきではないかと考えます。

 以上です。

 

○神野部会長

 とりあえずは承っておけばよろしいですか。

 

○内田委員

 はい。

 

○神野部会長

 何かコメントがあれば。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 1点だけ。企業年金の「一定の資格」につきましては、労使合意を尊重して退職給付の範囲とあわせた取り扱いを認めておりまして、同一労働同一賃金のガイドライン上も労使間でしっかり議論をしていただくという形になっておりますので、このガイドラインをもとに、直ちに、我々が示している「一定の資格」についての取扱いを変更することは想定していないわけです。労使でよく御議論いただき、その範囲を決めていただくことが大事になるのと思っております。

 

○神野部会長

 よろしいですか。

 

○森戸部会長代理

 今の点でちょっと補足なのですけれども、この資料3でしたかね。スライドの9、企業型確定拠出年金の加入資格のマル4というもので、結局、この承認基準までおりてこないとわからないのですけれども、パートタイマーは別扱いをしてよいということになっているのですね。今、課長もおっしゃったのですけれども、重要なのは就業規則等で扱いが違うと。つまり、就業規則上、パートと正社員と違う待遇にしているなら、こっちもしていいよということになっているので、言ってみれば、課長がおっしゃったように、労使でそこを区別しているのだから企業年金でも区別をしていいとなっているので、まさにその同一・同一でそれはそもそもいけないのではないかという話になっているのです。

 だから、変な話、労使、その会社で通常の労働条件で短時間とフルタイムとを区別していないのだったらこっちも差別できないことになっているので、もちろん企業年金法の問題でもあるのですけれども、労使関係というか、労働法上のまさに同一・同一的な一般的な問題にかかわるのだということは認識しておく必要があるかと思います。

 一言だけ、以上です。

 

○神野部会長

 伊藤委員、どうぞ。

 

○伊藤委員

 もう少し確認したいと思うのですけれども、法律の先生から言われますと、そうなのかと思うのですけれども、7ページ、8ページで、このDC法の法令解釈として、その「一定の条件」が4つだと明確に言っていて、それが職種、勤務期間、年齢、希望する者ということで、短時間労働者という労働時間は明確になっていないわけです。しかも、その次の承認基準、9ページの(2)のところで、「臨時雇員(いわゆるパート職員を含む。)」、その後に「等」とかとなっているので、どう読むのかわからないのですけれども、パートというのは臨時雇員の中に含んでいるというように読めるものですから、そうすると、労働時間が短いということ、すなわち、外していい「一定の資格」という意味ではなくて、雇用期間が短い人でパートだという人も雇用期間が短い人の中には入っているよということしか書いていないように見えるのですね。

 10ページの加入者資格の設定状況を見ると、その一定の勤務期間で定めているというのは、56規約、0.9%しかないということなので、パートを外している例はほとんどないというふうに理解してもよいのではないでしょうか。同一・同一の考え方に即しても不合理な格差は禁止されるということで、もはやその労働時間の長短は企業年金上の取り扱いで区別する理由にはならないと考えるべきではないかとも思うものですから、ここのところの考え方をもう少しきちんと共有したいなと思います。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 パートタイム労働者うんぬん、実際、どう呼ばれているから除外するとか入れるとかというものではなくて、森戸先生がおっしゃるように、原則は入れるのだけれども、資格を設けてもいい、ただし、そのときに、代替措置も講ずることが原則ですけれども、その代替措置を講じなくてもいい範囲として給与規定とか就業規則とかもろもろで就労条件が違っていると代替措置を講じなくてもいいという通知になっているわけです。一律にパートだからということではなくて、労使でしっかり御議論いただき、我々の企業年金では拠って立つべきものがないと資格のところは判断できないわけですので、その部分については就業規則等々でこういう差があるので代替措置を講じていないのだと規約の申請をしていただく、こういう段取りになっているというところです。

 

○神野部会長

 よろしいですか。森戸委員、繰り返しになるかもしれませんが、何かありますか。

 

○森戸部会長代理

 しゃべりたくなってしまいました。済みません。

 御指摘はもっともで、結局、この9ページは、「パート」とかと書いていますけれども、わかりづらいのですけれども、要は、労働条件が異なっているなら何でもいいということなのですよ。それは、本当の短時間労働者だろうが、パートと呼ばれている実際にはフルタイムで働いている人だろうが、要するに、結局、これは、就業規則とかで、違うカテゴリー、会社で正社員と違う扱いをしている人は違う扱いをしていいということなのです。

 ですので、それは、ある意味、今まで労働法上はそれでオーケーだったから企業年金もオーケーですねということにしていて、問題は労働法で同一・同一みたいになってきているからこっちもという話ですけれども、そういう労働法の議論とは別に、こっちはこっちで企業年金法としてきれいな新しいルールをつくりましょう、これを変えましょうというものが一つあると思います。そういう議論はここでしなければいけないのかもしれません。労働法の議論を待つというのもあると思いますけれども、ちょっと微妙なのは、あちらも、同一・同一と言っていますけれども、不合理な格差はいけないというのが基本的なルールで、本当に労働条件が一緒だったら差別してはいけないのですけれども、ほかは不合理な格差は禁止なのですね。つまり、全く同じにしなければいけないとまでは言っていないのです。だから、言ってみれば、パートに退職金がゼロなのはいけないけれども、4分の1ぐらい払うならいいとかというのもあり得るので、そういうものをこの企業年金法の承認基準なりにどう入れていくかというのは結構難しい話かなとは思います。

 済みません。この話を話し出すと長いので、もうやめます。

 

○神野部会長

 よろしいですか。

 ほかになければ、今日の本題になりますが、資料2で御説明いただいた件につきまして、御説明は各パートに分けて御説明いただきましたけれども、どこからでも結構です。御質問、御意見があれば、頂戴できればと思います。いかがですか。

 どうぞ。

 

○金子委員

 金子でございます。

 いつもながらよく整理された説明をいただき、ありがとうございます。また、資料についても大変力作だったと思っております。

 私から、3点ほど感想や意見を述べたいと思います。

 1点目は、企業年金のガバナンスの向上を求める制度全般についての感想です。企業年金においてガバナンスが重要であることはもちろん賛同しておりますので、それが大前提なのですけれども、企業年金のガバナンスに係る制度を検討する際、運営側の負担という視点からもモニタリングをしていく必要があるのではないかと考えております。運営側に過度な負担を求めますと、結局は企業年金のカバレッジがなかなか増えないということにもつながる可能性がある。それを懸念しているからでございます。とはいえ、何もかも手心を加えろというものではございませんので、体力のある企業年金から導入し、実施状況をモニタリングした上で、どの程度の企業年金まで広げていくかということを検討していくことが必要ではないかと感じております。

 2つ目が、25ページ目あたりでしたか。DCの加入者の制度への関心あたりについて、企業年金に加入しているにもかかわらず制度を知らないといった無関心な人が多いとの御指摘ですけれども、別の見方をすると、無関心な人も加入しているわけです。そういう無関心な人にも老後の所得を確保してあげるようなことをしているわけでございまして、そういう意味では、日本の企業型DCのすぐれた点であると言えなくもないというわけでございます。ですから、無関心な人が一定数いることが問題ではなくて、問題があるとすれば、そういう無関心な人がいつまでたってもあるいはある程度の資産規模になったとしても依然として無関心であるという状態があれば、それは問題なのかなと思うわけでございます。この観点からすると、制度に関する知識とか関心をやみくもに高めることに努力するということではなくて、導入時の投資教育は当然だとしても、継続投資教育については、加入期間が一定の長さ以上の人とか、あるいはDC資産が一定の金額以上の人に絞ってなのかあるいは重点的なのかというのはあると思いますけれども、そういった人たちの制度への関心や知識のレベルの向上を目指すべきではないかと考えております。

 3点目は、直接御説明いただいたものに対する感想とかという話ではないのですけれども、DCにおいてガバナンスが効いてきているのではないかというお話をちょっと御紹介させていただけたらと思っています。私は、最近、これはDCも含むのですけれども、日本の投資信託全般でどの程度市場の競争が働いているかということを調べております。その中で気がついたのですが、DCで提供されているインデックスファンドについては、少なくともインデックスファンドについてはかなり強い競争圧力が働いていると見られるのではないかと解釈できるのではないかと思います。例えば、DC専用に提供されているインデックスファンドの信託報酬を、これは加入者からするとコストになるわけでございますけれども、その投資対象別に最低水準を見てみますと、今年の3月、2019年3月時点で、年率で0.1%から0.16%、10ベースから16ベースという水準でございました。この水準は、DB向けのファンドと比較しても遜色ないぐらいの水準ではないかと言えると思います。または、保有残高の分布を見ましても、最低水準から10ベースぐらい、0.1%ぐらい高いところまでの間におおむね9割ぐらいの残高が集中しているということでございます。この情報を実際に仕事で携わっていらっしゃる運管の方々に見ていただいて議論をしたわけでございますけれども、彼らが言うには、最近では事業主に提示するインデックスファンドは資本系列にかかわりなく業界最低水準のファンドを提示している運管が多いのではないかという話でございます。これは事業主による運管評価制度の導入も一つのきっかけになったのではないかという話でございました。なお、さっき、おおむね9割が最低水準のところに分布しているということだったのですけれども、私が行った分析ですと、最低水準とはいえないような、最低水準を40ベースも50ベースも上回るファンドを持っていらっしゃる方も1割ぐらいいらっしゃいます。ここだけクローズアップをいたしますと、このように高い信託報酬を提供し続けている事業主も運管もけしからぬという話になるかもしれないのですが、これについてもヒアリングをしたところ、高い信託報酬のインデックスファンドを提供している契約でも、同じ種類のインデックスで、より信託報酬の低い、最低水準に近いようなインデックスファンドを提供していることがほとんどなのだということでございました。それにもかかわらず、いまだに高い信託報酬のインデックスファンドを保有している人が1割程度いるというのは、信託報酬の高いファンドから低いファンドに乗りかえるほうがいい、乗りかえるべきだということは言いづらい、これは特定商品の推奨ととられかねないという考慮からなかなかそこまで言えないのだということでございました。DCにおいて特定商品の推奨を禁じている趣旨とは多分ずれていると思いますので、多くの運管で同様な懸念を持っているようでしたら、当局としましては、検討の上、適切なメッセージを出していただけたらと考えている次第でございます。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございます。3つばかり、興味深い指摘をいただきました。

 事務局でコメントがあれば。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 まず、DC制度は、加入者がしっかり関心を持って運用商品を選択していただくことが基本中の基本であるとは思います。

 ただし、資料にも盛り込ませていただいているように、加入者、従業員の多くが、投資経験、資産運用の能力が十分でないということも踏まえて、事業主は、まず、関心を持っていただく意味でも投資教育を行うよう努める義務があります。それでもなお運用商品の選択をしない人が出てくるので、指定運用方法という形で制度的な担保として無関心である方にも関心を持ってもらうようにしつつ、さらにそれでも救えるような仕組みを用意しているところです。

 運用商品の関係で、運管評価によってDCガバナンスが効き始めているのではないかという御指摘がありました。商品35本というラインナップの上限というものも設定いたしましたし、加入者にとって望ましいラインナップで常にあるべきですので、運営管理機関と事業主が労働側を含めて御議論いただき、商品のモニタリングをし、必要な追加・除外をしていただくことが大事になると思っています。

 運営管理機関が専門的知見に基づいて事業主に商品追加・除外の助言を行うことについては、法律上位置づけられている特定の商品の指図を推奨とか、指図を行わないことの推奨には該当しないとは思っておりますが、疑義があるというのであればしっかり我々としてもメッセージを出すことを考えていきたいと思います。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 ほか、いかがでございましょうか。

 大江委員、どうぞ。

 

○大江委員

 大江でございます。

 DCのところで、幾つかお話ししたいと思います。

 DCについて制度運営主体である事業主は、適切な商品を提示して教育を行う責務があると考えます。それを実施していくためには、29ページに御紹介いただきました、いわゆる制度運営の実態を経営を含めた関係部署と共有することが、DCのガバナンスにおいてはまず第一歩なのかなと思います。DCの場合はいろいろな形式で導入されていますので、ガバナンスの下限を引くのが難しいと思ったのですけれども、ただ、ここの部分は、つまり運用商品のモニタリングと加入者等への教育ができる体制は不可欠だと思います。特に、運用商品モニタリングでいきますと、金子委員からは見直しが進んでいるというお話があったのですが、DCでは人事が割と担当部署になっていることが多くて、その方だけが運営管理機関と対話を行うだけでなく、経理とか、財務とか、基金とかといった運用、金融に知見のある部署のサポートがあった方が、より良い形に進むと思います。

 教育も、37ページに御紹介いただいておりますけれども、事業主様にいろいろ伺うと、実施する上での最大のネックは「従業員の時間の確保」なのだそうです。働き方改革もあり、従業員の就業時間中に継続教育の時間を確保することが大変難しいというのが本音としては聞かれます。時間の確保は経営の御理解がないと実現ができません。実施割合がこちらの資料では74%となっておりますけれども、私ども中小や非代表も加えた2,600社余りの調査を2017年に行ったものでは、4割ぐらいのところが「実施する予定がない」という回答でございました。特に非代表の50人未満の事業主様では半数ぐらいが「実施する予定がない」という回答でございました。残念なことです。企業型DCにおける受託者責任を経営の方に認識してもらうためには、厚生局さんでもできれば状況を把握していただきたいと思います。また、規約承認の審査項目に今後は継続教育の実施計画も入れて、導入の時点でこういうことは事業主としてやらなければいけないのだということをしっかり認識していただいた上で導入していただくことも必要ではないかと思います。

 もう1点だけ、28ページのところで、忠実義務の6番のところで、「加入者からの照会・苦情処理」とございます。加入者からの苦情は、事業主様に聞きますと、運営管理機関から報告はあまり受けていないようなのですね。ですので、誠実に対応されているのかというのが見えないようになっているように思います。加入者が困っている、先ほど金子委員からは商品のコストは非常に安くなってきているということでしたけれども、事業主が運用商品の見直しに動いていないと加入者が思ったときに、それを訴える、苦情を受けていただくようなところがありません。もし可能であれば、いわゆる事業主、運営管理機関以外の第三者、例えば、地方厚生局さんの中で直接受けていただいて、その難しい実態なども把握をしていただけると、その課題解決に資するのではないかと思います。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 37ページの企業年金連合会の継続投資教育の数字は、これは毎年実施されている調査でトレンドを把握するために我々はいつも使わせていただいているのですが、大江委員の401k教育協会による調査ですと、企業規模の小さい事業主や総合型DCの非代表事業主では実施率が低くなっているのは御指摘のとおりです。

 DBも企業型DCも制度の目的は従業員の老後の所得確保を図ることにあるわけでありまして、DBは制度運営を継続基準や非継続基準といった財政上の指標で測ることができるわけですが、一方で、企業型DCにおいては資産運用は個々人が行ってその結果も個々人が負うという形になってしまいます。しかしながら、企業型DCであっても、事業主が制度の実施主体でありますし、経営層が制度の運営状況を把握し、それを労使で共有するとともに、加入者にしっかり開示をしていただくことが、DB同様、DCでも基本になると考えています。

 事業主が果たすべき役割を、資料の27ページに入れさせていただいておりますが、運営管理機関の選任であったり、投資教育であったり、各種の義務がかかっています。また、忠実義務という形で、28ページにあるように、少なくとも7項目、御指摘のように、照会・苦情体制の忠実義務というものも含めて、「DC制度は事業主に様々な役割・責任を果たしていただくことがある制度なのだ」ということをちゃんと事業主に理解していただくことが、導入時の基本になるのだろうと思っています。

 御指摘のとおり、今、事業主と接点を持っているのは地方厚生局になるわけでありまして、まず、DCの導入時・規約の承認時に、各地方厚生局において、事業主の皆様に、継続投資教育、運管評価、苦情処理体制を含めてさまざまな責務があることをちゃんとお知らせするとともに、継続投資教育の計画であったり、苦情処理の体制であったり、運管評価はまだ施行後1割しか事業主はやっていないのですけれどもそれを含めて、制度に入るときから状況をしっかりヒアリングをする。そして、地方厚生局は、企業型DCの指導、必要に応じて監査をやっておりますので、そういう時にも事業主の皆様から実施状況をちゃんとヒアリングをすることが非常に大事になってまいります。その点、人的な体制整備も必要になりますけれども、対応を考えてみたいと思います。

 また、苦情処理機関もバイでやるのではなくて、例えば、第三者の苦情処理機関として、介護サービスの苦情処理は国民健康保険連合会がやっていたりする例はありますので、こういうものも含めて、制度的な対応や体制の整備も含めて必要になりますが、考えてみたいと思います。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 それでは、内田委員、小川委員。

 

○内田委員

 内田です。

 スライド29で<加入者運用実態報告(レポート等)の社内開示状況>という数値が示されていますが、こちらで、組合または従業員代表に開示が2.9%、さらに全社員に開示が15.2%という状況になっており、この現状は厳しく受けとめなければならないと考えます。特に加入者に対しては、しっかりと定期的に報告が行われて、必要に応じて加入者や労働組合が改善を申し入れることができるよう情報開示の徹底が不可欠だと考えますので、よろしくお願いします。

 もう一点、資料の20ページ目になります。スチュワードシップ・コードの受け入れについて、ここでスチュワードシップ・コードの受け入れを表明した企業基金は19基金となっており、本来推進役となるべき金融機関の企業年金基金においても9基金ということで、スチュワードシップ・コードの受け入れが進んでいないように見受けられますが、その原因等をもし分析されていれば教えていただければと思います。

 以上です。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 御質問いただいたスチュワードシップ・コードですが、機関投資家がその投資先企業との建設的な対話を促進することで、企業の中長期的な企業価値の向上、また、日本経済全体の持続的成長につながり、受益者の中長期的な投資収益の拡大を図ることを目指しております。企業年金にとっても、スチュワードシップ活動を行って中長期的な投資リターンの拡大を図ることは、企業年金の基本的な役割ともなじみ、受給者の期待にも沿うものだということで、スチュワードシップ検討会等を開催し普及活動をしているわけであります。

 他方、企業年金は、資産規模が小規模なところも多くて、また、スタッフが必ずしも十分でないという基金も多く、何をやったらいいのか、それが事務スタッフにとっては非常に負担になるのではないかという声も聞かれております。しかし、企業年金の運用機関のほとんどがスチュワードシップ・コードを受け入れていて、そこの取組に濃淡があるので、企業年金として間接的にスチュワードシップ活動をやって運用機関の取組を促すというのが企業年金のスチュワードシップ活動の役割になりますので、言葉が不適切かもしれませんが、それほど大変ではないはずなのです。理解が進んでいなくて進まないという話もあるので、経団連・金融庁とも連携して、こういうことをやらなければいけないがさほど負担になっていませんということを、既に19が受け入れ表明をしていますので、そういう先行事例で何をやってきたかという普及活動を始めております。これでも伸びて19基金になっているところでありまして、これからもしっかり取り組んでいきたいと思っております。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 それでは、小川委員、お願いできますか。

 

○小川委員

 年金数理人会の小川です。よろしくお願いします。

 DCが続きましたので、私からはDBのことについてちょっとコメントをしたいと思います。

 まず、全体的な話といたしましては、半世紀以上前に始まりました厚生年金基金時代の多くの経験を踏まえて、相応の対応がきちんとなされてきているのではないかと思っております。

 個別の話では、資料の2ページにもございますとおり、OECDのガイドラインでは7番に年金数理人が規定されており、30年ほど前に発足いたしました年金数理人制度で、我々年金数理人は、資料の30ページにありましたけれども、過去から制度運営の好事例に示されたような個別の事案で運営に直接参画してきておりますし、この観点では今後も専門家として十分に役に立っていけるのではないかと思っております。

 1点だけ付言をさせていただくとするならば、資料の21ページにございましたけれども、「他制度における規定例」にございましたように、他制度では、ガバナンスの規定は法律あるいは少なくとも政令・省令で規定されているのに対しまして、確定給付企業年金におきましては一部通知によっているものがございます。これは即時性に鑑みたと思料いたしますけれども、確定給付企業年金法が施行するに当たりましては、厚生年金基金時代の対応を踏まえて、基本的に、通知という行政ではなく、政省令で少なくとも規定することとしたと記憶しております。

 したがいまして、今後はできるだけ法令というベースで規定していただいたほうが、より望ましいのではないかと思っております。

 以上でございます。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 御指摘いただいたとおり、厚生年金基金につきましては、その多くを通知で規定して制度運営がなされてきた時代がありました。その反省をも踏まえて、DBについては、権利義務にかかわる点については、しっかり法令でしっかり規定をしようという基本的な考え方のもと取り組んできたと理解しておりますので、今回、まずは指導ベースでスタートをしたところがありますが、他の法令とのバランスも悪い部分がありますし、また、取り組んだところだけが損をするような形になってはいけないと思います。例えば、代議員規制も、承認基準には入れているのに、拠って立つべき法令がないという形に今はなっている中で指導をしているという状況ですので、行政として拠って立つべき規定はしっかり法令に用意するという基本的なスタンスで臨むのが適当ではないかと考えております。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 それでは、井戸委員、お待たせしました。申しわけありません。

 

○井戸委員

 御説明ありがとうございました。

 私からは、2点ございます。

 33ページの「投資教育の具体的内容」というところでございます。せっかく時間をとって継続教育をされたとしても、内容が導入時とほぼ同じことがとても多いのですね。それはとても大事なことだと思うのですが、金子委員がおっしゃったように、一定の長さで一定の規模になっているというのだったら、導入時と同じというのも継続教育の機会がもったいないと思います。この中に各商品の内容を理解することに重点を置くということも入れていただいたらいいのではないかと思っています。例えば、マンスリーレポートの読み方です。余り見たことのない方であると、本当は毎月ぐらい見ていただきたいのですが、どう変わっていくのかという興味を持っていただく、自分のお金がどうなっているのかということを具体的に確認していただくというのが何より大事だと思います。ポートフォリオ理論とか、こういう人はこういう行動をとるというのもとても大事なことではあるのですが、ちょっと寄り過ぎているかなという実感がございます。正確な情報、今、どうなっているのかということをどう伝えたらいいのかということをもう少し考えていただければと思います。

 継続教育の時期なのですけれども、例えば、マッチングが年1回申請する機会があるとすれば、大体申請が3カ月前にされるところも多いのですけれども、そうすると、税金の効能などがよくわかるので、マッチングをする人が2~3割上がると聞いています。ですから、そういう継続教育のタイミングもぜひ重要視していただきたいと思います。

 もう一点でございますが、38ページのところです。「運営管理機関の選任と評価」というところなのですが、ここはもちろん非常に大事なところで、事業主さんは、DCを導入する前は、すごくいろいろな運営管理機関さんを比較されて決めていらっしゃいます。ここの○の3つ目に5年ごとに評価して必要に応じて運営管理機関を変更とかと書いてあるのですが、できなくはないですが、かなりリスクがあるので、これはすごく大変なことわけです。導入した後、運営管理機関さんがどんな商品のラインアップのレポートを出してどういうふうに交渉するかという、業界を挙げての底上げが非常に大事だと思っています。○の4つ目なのですけれども、運営管理機関自身が選定した運用の方法の一覧をインターネットで公表されているとなっているのですけれども、これが非常に発見しづらくてわかりづらいので、ここのところのわかりやすさ、事業主さんが自分のところとどう比較できるのかというところをぜひ見やすくしていただければと思います。

 私からは、以上でございます。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 投資教育につきましては、各加入者ごとに資産運用に関する知識及び経験などに応じて、御指摘のとおり、タイミングも含めて最適な方法によることが必要であると考えております。加入時・導入時には、実際の運用指図を経験していませんので、DC制度における運用の指図の意味を理解することを主な目的として、非常に基本的な中身からまずは入るというのが効果的だと法令解釈通知にも書いてあります。他方で、加入後の継続投資教育というのは、実際に運用指図を経験していますので、加入前の段階では理解がしがたい金融商品の特徴、また、運用等について、運用の実績データなどを活用し、より実践的・効果的な知識の習得が期待されると考えております。どういうやり方が考えられるかというのは企業年金連合会の投資教育ハンドブックにも多数掲載されておりますが、井戸委員が御指摘のとおり、各運用商品のレポートを持ち寄ったり、各自に届く資産額通知を持ち寄ったりして、どうやって見たらいいのかとか、その見方を教育することも非常に大事な要素になるのではないかと思っております。それをこの法令解釈通知上明記したほうがいいというのであれば、しっかり明記をしたいと思っております。

 運営管理機関の評価につきましては、さきの法改正で少なくとも5年ごとに実施するよう努めるという形で規定をされたわけでありますが、事業主はどうやって評価していいかが分からないということもあり、事業主による運管評価に際して、運管の相対的な比較を可能にするために、その運営管理機関が提供している全ての全商品の一覧をインターネットで公表することを求めて、この7月1日から施行をしたところです。

 御指摘のとおり、私も7月1日にホームページを見ようと思って見ると、なかなか奥深くに行かないと見えないところも結構あります。今、厚生労働省のホームページでは運営管理機関の一覧をホームページで出していますが、そこに、今、アドレスが載っているのですが、アドレスというのが、住所をホームページ上に載せていまして、このアドレスを載せるのではなくて、ホームページのアドレスを載せるべきではないかと私は課の中でも言っているのです。事業主が運管評価をしやすいように、我々も我々自身のホームページを見直して、事業主が運管のホームページにアクセスしやすいように改善を図りたいと思っております。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございます。

 ほか、いかがでございましょうか。

 どうぞ。

 

○藤澤委員

 藤澤でございます。

 コメントが1点と質問が1点ございます。

 企業型DCの加入資格の設定状況を見ると、希望する人が23.9%とかなり多くなっています。この選択型DCの場合の投資教育の対象は、DCを選択した人になると思いますが、投資教育の具体的な内容を見ると、日本の年金制度の概要や老後の生活設計のように、DCを選択しなかった人にも有用な情報があると考えています。これは法令で規定すべき事項ではないと思っていますが、運営としてDCを選択しなかった人であっても、そういった一般的な教育の機会にアクセスできるような、そういった柔軟な運営になるといいなと思っております。以上、コメントです。

 2点目が質問ですが、現在、私は日本アクチュアリー会で、ERM委員会の委員長をやっております。ERMというのは、Enterprise Risk Managementの略のことで、日本語だと統合的リスク管理という概念でございます。その関係で、主に保険会社でリスク管理をやっている方と情報交換をする機会が多くございます。リスク管理の観点からすると、例えば、AIJ投資顧問のような事件が起きたときに、再発防止策を講じることはもちろん重要だと思いますが、何も起こっていない平時であっても、将来発生するかもしれない有事に備えて、ガバナンスを含むリスク管理体制を検討することはすごく意義があると考えています。スライドの2ページで御説明いただいたOECDのガイドラインですが、原文を読んでみると、個別の項目の中にイギリスで導入されているホイッスルブローイングという仕組みについての記載が幾つかございました。ホイッスルブローイングというのは、企業年金の運営管理の関係者に違法行為の通報を求める仕組みのことですが、具体的には、6番目の監査人、7番目の年金数理人の部分でshouldを用いてホイッスルブローイングの役割を担うべきという表現がありましたし、8のカストディアンについても、mayを用いているので若干弱い表現なのですが、そういった役割を担ってもいいかもしれないという記載がございました。過去の議論を全部把握できているわけではありませんが、こういったホイッスルブローイングのようなものを日本で導入するか否かという点についても、もし過去の議論があったら御紹介いただきたいと思います。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 まず、御意見でいただいた選択制DCの投資教育の話についてもコメントをさせていただきたいのですが、選択制DCの場合、確定拠出年金法において事業主が対象とする投資教育の対象者はDCを選択した者になりますので、制度加入者に限られるわけです。DCを選択しなかった非加入者を含めて、DC法の継続投資教育の対象とすることを一律に法律で求めることには慎重であるべきだと思いますが、各企業において労使で議論をいただいて、当該企業の社員全員を対象に、公的年金制度の概要であったり、退職給付制度全般、資産形成全般などについて、老後の生活設計を含めた社員教育・研修、ライフプランセミナーを実施するということは何ら妨げられるものでもなく、ある意味、望ましいことと思います。

 御質問いただいたOECDガイドラインに位置づけられている、監査人・年金数理人などの関係者が違法行為を発見した場合に外部の機関に通報を求める「ホイッスルブローイング」の制度ですが、日本において、そういう議論は、私は企業年金部会の資料は全部見ておりますが、部会では議論はなされていません。ただし、既に我が国の法体系として、事業主や企業年金基金が、事業年度終了後に、決算・事業報告書を厚生労働大臣に提出するわけですが、その提出に当たって、数理書類につきましては、年金数理人に適正な年金数理に基づくものとなっているかどうかを確認いただいて、必要に応じて、所見・意見を付することとなっております。また、企業年金基金においては、これに加えて、決算・事業報告書の提出前に、基金の運営が健全に行われるよう、自己監査機関として行われている監事の意見を付けて、代議員会の議決を得る必要があります。したがいまして、厚生労働省本省と地方厚生局においては、提出された決算又は事業報告書から年金数理人や監事の意見を確認させていただいている点が1つあります。また、行政による監査制度があるわけですが、定期的な書面監査や実地監査に加えて、厚生労働省や地方厚生局に対して、法令違反の疑いがある内部通報のようなものがあった場合には、特別監査を実施するという仕組みも、監査のマニュアル上、位置づけています。ホイッスルブローイングの議論が、特にOECDガイドラインとの関係上、企業年金部会では議論はなかったわけではありますが、法令上の担保はなされているのではないかと受け止めています。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 それでは、小林委員、どうぞ。

 

○小林委員

 私からは、DCの関係で3点ほど申し上げたいと思います。

 まず、1点目が、先ほど来、議論に出ています、投資教育についてですが、これまでも何度か部会の場で申し上げてきましたが、特に継続投資教育については、加入者等の運用の指図に資するためという目的に照らして、事業主がどこまで責任を負わなければいけないのか、どこまで実施すればいいのかが、よくわからず、対応に苦慮する面があります。何らか一定のガイドラインをお示しいただけるとありがたいと思います。制度の運用実態等を見ますと、加入者のリテラシーレベルは人により小さくない開きがあると認識しています。一方で、投資教育を実施するに当たっては、一定のリソースやコストの負担も必要であることを考えますと、真に必要な加入者等に対して、重点配分ができるような見直しも要るのではないかと思います。過去、2017年当時だったと思いますが、この部会の下部の専門委員会でも同様の議論があったと記憶しています。例えば、投資教育の卒業ということについても、具体的な議論があってもいいのではないかと考えております。

 2点目が、運営管理機関の選定と評価についてです。資料の40ページに具体的な評価項目をお示しいただいていますが、これらは主として運用関連の運営管理機関が念頭に置かれたものではないかと思います。運営管理機関によって提供されているサービスを事業主が評価するに当たっては、当然、記録管理や資産管理機関に関しても評価をすることが不可欠と認識しています。運用関連に比べれば、これらの機関が直接加入者等に対して接点を持つことは少ないのですが、例えば、一たび事務過誤が起これば直接加入者等に影響が及ぶこともありますし、実際にそうしたトラブル等も発生しております。これらの機関についてもきちんと評価の対象とするようにすべきではないかと思います。その上で、運用関連運営管理機関も含めて、必要な場合は、委託先の変更や、その他、必要な措置をもう少し講じやすくするような環境整備も必要ではないかと考えています。

 最後に、3点目は、やや感想めいたことになりますが、今回は、DCのガバナンスの議論ということで、企業型のDCにおけるガバナンスについて言及されています。資料の23ページに記載されているように、企業型DCの位置づけを踏まえてのことだと理解しておりますし、退職給付制度として実施する以上、事業主として負うべき責務があることは当然だと思います。一方で、自ら資産運用を行うDCを導入することの目的や効果については、従業員においても、現役世代のうちから自助努力の必要性に気づいて、自発的に取り組んでほしいという側面もあると思います。つまり、企業型制度の加入者であっても、一定の自助努力や自己責任は必要なのではないかと思います。事業主や運営管理機関が投資教育を頑張って実施すればいいということだけではないと思いますので、そうした観点も含めて検討が必要ではないかと思います。また個人型については、企業型と異なり、自己選択をした上でということだとは思いますが、制度の裾野が広がり、中には必ずしもリテラシーレベルの高くない加入者も一定数いるのではないかと思います。加入者の自助努力の支援の必要性ということであれば、企業型、個人型を問わず投資教育の議論があってもいいのかなと考えております。

 私からは、以上です。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 投資教育、継続投資教育の機会を提供するよう努めることは事業主の義務を果たすために非常に有効なものでありますが、企業ごとの制度導入の状況、また、個人の制度理解の状況も異なりますので、投資教育のどこまでやればその責務を果たせるのかというところは非常に難しく、形式的な要件を求めることがなかなか難しい中、努力義務になっていますが、御指摘はごもっともと思いました。

 また、運営管理機関のほか、記録関連、資産関連の機関もあり、そのような機関についてももちろん忠実義務はかかっているわけでありますが、事業主は委託していますので、そこも事業主によるモニタリング・評価の対象にすべきではないかという御指摘をいただいた点は、重要な視点だと思いました。

 本日は企業型DCのガバナンスという視点から整理をさせていただいております。企業型DCですので、事業主が従業員の老後の所得確保を図るための退職給付制度で、実施主体である事業主が継続投資教育を含む様々な義務を果たしていただくことが重要だという観点で資料を整理させていだたいています。他方で、個人型DC・iDeCoについては、個人が自ら加入を希望して、運用商品などから運営管理機関を選んでいますので、加入をやめることも運営管理機関を変えることも比較的自由であって、おのずと企業年金と仕組みは異なるとは受け止めています。iDeCoの実施主体である国民年金基金連合会には、企業型DCの事業主同様、継続投資教育の努力義務は課せられているのですが、その実施は運営管理機関に委託されています。また、iDeCoの運営管理機関の評価を国民年金基金連合会がする義務はないという仕組みになっています。

 ただ、企業型の事業主の投資教育のみならず、ベースラインとなるような投資教育、金融教育、社会保障教育を広く国民一般に行っていくべきという御指摘はとり得る考え方ではないかと思っておりますし、例えば、イギリスなどでは、年金のみならず、お金に関すること全般のガイダンスを行う機関が設置されて、広報とともに実施されていると承知しています。我が国で実施する場合、もちろん体制の問題とかコストの問題等々いろいろあるかと思いますが、現状、我が国では、公的年金、私的年金・退職金、さらにはその他の資産形成手段の情報が、実施主体とともに分断されているわけでありまして、全体の「見える化」が図られておらず、日本人全体の金融リテラシーの向上が一つの課題ではないかという御指摘もいただいているところです。4月の当部会でも御議論いただいた、例えば、企業年金と個人年金での穴埋め型を検討していく際に、穴埋め型の担い手となるiDeCoの実施主体がそのベースラインとなる教育・相談・広報を担うことも併せて検討できるのではないかと思います。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 ほか、いかがでございますでしょうか。

 代理に行って、小川委員にいきます。

 

○森戸部会長代理

 質問が幾つかと、コメントをさせていだたきたいと思います。

 1つ目は、これは簡単な質問ですけれども、今日はガバナンスがテーマです。スチュワードシップ・コードもそうかもしれませんが、そもそも何のためにガバナンスとかが必要なのですかということは、私の理解では、法的にはいわゆる受託者責任をちゃんと果たしてもらうための基準というか、その前提もしくはその中身だという理解かなと思っているのですが、そういうことでいいのか。もしそういうことであるならば、そういうつながりがわかるような説明になっていたとは思うのですが、よりわかりやすいとよいかと思いました。質問というか、コメントかもしれません。

 2点目は、これは金子委員がおっしゃったことに課長がお答えになったところで、私が聞き逃してしまっただけかもしれないのですが、金子委員の情報提供で、信託報酬が高いようなものに10%ぐらいの人がお金を入れているのだけれども、同じようなもっと安いものもあって、でも、そっちに誘導するというのは特定商品の推奨みたいになるからというお話で、課長のお答えは、こっちが安いよと言って教えるのはそれは商品の推奨みたいになるけれども、こっちの高いほうを除外してしまう分には構わないだろうというお答えをしたと、まとめ過ぎかもしれないけれども、そういう答えをしていただいたということでいいのかという理解が2点目の質問です。

 3点目は、資料2の45ページで、事務局というよりは大江さんに聞いたほうがいいのかもしれないのですけれども、指定運用方法として最も望ましいと思うカテゴリーは何ですかといって、元本確保が34.8%と。理由は何か、何で担当者が元本確保だと思っているのか、それは興味があるというか、答えによってはそれでいいのかと言ったほうがいいかもしれないし、なるほどそういうことであればもっといろいろ考えていかなければいけないということもあるかもしれないし、いずれにしても、さっき加入者は余り関心がなくても入っているとかという話がありましたけれども、担当者の方は、いろいろなこと、制度の仕組みなりを全部わかった上でやっている方のはずだから、その方が元本確保が指定運用方法で望ましいのだとおっしゃっているというのは、その理由は非常に重要というか、聞きたいし、政策を考える上でも必要な情報かなと思ったので、もしわかれば、別に今日でなくてもいいのですけれども、ちょっと気になったというのが1点です。

 コメントは、資料全体に、今日はガバナンスにかかわる話なのですが、例えば、今、見た、45ページの次の46ページのところにも、労働組合等などというものが出てきまして、ガバナンスにおいては、労使合意です、労使で話し合ってとかというものがちょいちょい出てくるのですね。同じようなことを何度も部会で申し上げている気もしますが、労使合意といっても、過半数なり多くの従業員が入っている労働組合という場合もあれば、労働組合が非常に少数もしくは全然なくて、過半数代表者の場合もあるのですね。それは大分話が違うだろうと思って、過半数代表は、要は、個人なので、個人の選び方ももちろん問題ですけれども、仮にちゃんと選んでいたとしても、個人と企業とが、こういう重要なこと、いろいろなことを決めなければいけなくて、ガバナンスがそれで担保されているといえるのかというのは考えなければいけないだろうと思います。それはもうちょっと話が広がるのですけれども、結局、さっきまさに伊藤さんとか内田委員とかが質問されたところにもつながるのですけれども、基本的にこれまでの企業年金法の考え方は、労働法で労働条件として設定されているものは尊重するのだという前提で、そこは任せてきたところがあって、さっきの非正規、パートの人を外せるかとかという話も同じですよね。ここも、いわば過半数組合なり過半数代表者が労働法上の規制において一定の役割を果たしていますから、そこに倣って労使合意としているのですが、こういうふうにだんだんなってくると、今日などのテーマを考えると、本当にそれでいいのかというか、労働法の話は置いておいて、企業年金法としてのガバナンスなりの観点から、労使合意なり、そういうものがちゃんとなされるにはどうしたらいいかという規制の在り方みたいなものを考えていかなければいけないのかなということをちょっと思いました。興味深いのは、伊藤委員とか内田委員からさっきの非正規の話などの問題提起が出ているわけですが、ある意味、言い方はちょっと悪いかもしれないけれども、要は、これは労使合意にずっと任せてきた、労使合意に任せた結果、労働条件にも差があるとかというのも連合とか組合の方がずっと大事にしてきた労使自治というものを尊重した結果でもあると思うのですね。ですから、ある意味、労働側というか、そちらにも宿題が投げかけられているのかなと思って、労使自治を別に否定するわけではないけれども、企業年金のほうで規制を強めていけば、同一・同一規制も同じですけれども、労使自治に一定の枠をはめていくという方向にもなるわけなので、そういうことでいいのかというのも含めて議論しなければいけないのかなということを、今日、強く思いました。

 最後のものはコメントです。

 以上です。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 何点か御質問いただきましたが、企業年金のガバナンスを考えているのはなぜかという点は、事業主等に受託者責任を果たしていただくためのスキームという観点から議論をしていただいているものです。

 金子委員への私の回答が分かりづらかったと反省しておりますが、森戸先生がおっしゃるとおり、特定の商品のこれを選んでくださいと加入者に言うのは推奨になりますが、同じカテゴリーで、こういうふうな違いだけあり、だから、これを除外しましょうということを、事業主との関係で、専門的知見に基づいて運営管理機関が助言をし、そして、事業主が除外していいかと労働側にも聞いて除外をするということは推奨には当たらないと思っています。

 401k協会のアンケートの結果ですが、私がコメントをする立場にないのかもしれないのですが、なぜそういうふうに思っているかまでは聞いていないのだと思います。担当者が元本確保型を望ましいと考えている積極的な理由があれば当然いいとは思うのですけれども、資料右のほうにあるように、新規加入者への説明・対応が難しい等から安易に元本確保型が望ましいとしているようであればそれは問題だと、聞いていて思いました。

 最後のコメントの部分ですが、企業年金については、事業主が任意で従業員の老後所得確保のためにやるのだという形ですが、その際に従業員の意向をちゃんと聞こうということで、労使自治を大原則としています。公的年金と同じように全員をカバーするという形でやっていませんし、厚生年金基金のときも代行部分は2号被保険者は全員入れるという形になっていましたが、加算部分については労使自治を尊重してきたわけでありまして、労使の合意を越えて、企業年金としてこうあるべしというところまでやれるかどうかというのは、非常に難しい問題と思いました。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 コメントがありますか。

 大江さん、その後、小川委員、伊藤委員といきます。

 

○大江委員

 今、課長に御説明いただいたのですが、元本確保のところですけれども、これは歴史的な経緯もあるかと思います。制度が始まったときに全員が配分指定をする、指図をするということが大前提のもとに制度が始まったのだけれども、例えば、長期の休職とか、配分指定ができない状況の人もあり得ますよね、ということで、記録関連運営管理機関のほうで指図をしなかったときにデフォルトというものを、全部の記録管理機関ではなくて、幾つかの記録管理機関が事務的に設定できるようにしていました。当時、それは一時的な預入先として元本確保型商品で始まり、途中、通知があって投資信託も設定できるようになったということがありました。ですので、デフォルト商品の時代には多分95%ぐらいが元本確保型であったと思います。これが、指定運用方法ということで、運用指図をしなかったときに長期での運用も考えた上で然るべきものを労使で考えるということになりました。もともとのところが元本確保型になっていたところからどうするか考えた影響はあると思います。結果をみた私どもとしては、「投資信託を選んだ事業主さんがそれなりにいた」と感じました。

 

○神野部会長

 ありがとうございました。

 小川委員、お願いします。

 

○小川委員

 先ほど藤澤委員からホイッスルブローイングの話が出まして、年金数理人という名前も出ていますので、ちょっとだけコメントをさせていただきますと、今からお話しする話は、課長の説明のように、こういう場で表だって話している話ではないのですけれども、年金数理人という制度は、このOECDのガイドライン、先ほど触れたものにありますように、名前は違えども諸外国でいろいろなこういう年金数理人という立場の人間がいるのです。大体今から10年ぐらい前なのですけれども、これに特化したというよりは、諸外国の対応を踏まえて、数理人としてどういうことをしていけばいいか、2つだけ例を出しますと、ピアレビューと申しまして一つのコメントだけではなくて複数の人がコメントをするという方法と、先ほど出ましたホイッスルブローイングというものについて、研究をいたしました。ピアレビューは、別に数理人会から提案したわけではないのですけれども、例といたしましては、現在残っている厚生年金基金に対しましては、業務委託先に属していない年金数理人が第2年金数理人として財政診断するということで、先行して実施が我が国においても行われたわけですけれども、それから10年ほどたちましたので、またこのホイッスルブローイングについても、厚生労働省さんと相談しながら、必要に応じて検討を再開したいと思います。

 以上でございます。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 伊藤委員、どうぞ。

 

○伊藤委員

 先ほど資料3のところで御質問させていただいた点について、DCの一定の資格の内容は、法令解釈として、4つの条件として、掲げる資格に限っているということが、労働時間との関係においてどういうように整理されているのかということを聞いたつもりでありました。

 今日、資料2の論点に即して申し上げると、ガバナンスという大変重要な点ですが、これは企業型DCのことだけでなくDBのほうがより重要だと思っておりますけれども、OECDのガバナンスの考え方だと全ての関係から構成と1ページ1つ目のポツのところに書いてあるのですけれども、とりわけ過半数労働組合と過半数代表者については法令で幾つもの点においてその役割が定められていて、より一層のガバナンスの役割を発揮する責務があるのだと理解しています。実際にそれを行うだけの状況がすべての同意者において現実にあるかというところが、正直、ずっと悩ましいところです。今日も、スチュワードシップ活動のところですけれども、スライド20のところで、先ほど内田委員が触れられていたと思うのですが、企業年金基金でも金融機関のところで9ということで、今、多分金融機関には企業年金基金がかなりあると思うのですけれども、それでも金融のプロのいる職場の基金でもなかなか投資家としてのスチュワードシップ責任を果たしていく活動をやり切れていないというのが実情だと考えますと、この役割を果たすための条件整備をぜひ考えていく必要があると思っております。

 DBのガバナンスのところで、今回の総合型のところで特段幾つか指摘があります。AIJの事件を踏まえて考えますと、総合型についてはきちんとした枠組みが必要だと思っております。今日の資料の中にも、代議員の選任基準とか、会計の正確性の確保とか、資産運用委員会の設置とか、こういった点についてきちんと法令上の根拠がまだない形での取り組みを促されている。この点についてはきちんと法令で求めていく形にする必要があると思っております。

 投資教育のところですけれども、これについては、これまでも申し上げているし、今日も随分皆さんがおっしゃっているように、かなり差があると思っております。投資教育を受ける側にもそれぞれ習熟度に差はあると思います。これについては、金融庁の6月の「高齢社会における資産形成・管理」という報告書の中でも、事業主においては、より従業員一人一人の資産形成に資するような投資教育、継続教育を行うことが求められるということで書いてありますし、この投資教育は、単に継続教育、一つの意味ではなく、一人一人という観点が重要になってくるのだと思ってお りますので、この点を認識しておく必要があると思います。

 今日の資料では2018年5月に施行された努力義務化の法律改正の効果はまだ出ていないと思うのですけれども、この点を踏まえて、さらにもう一段の投資教育に対する取り組みの強化が法改正の中にも必要なのかどうかということを確認する必要があると思っていますが、この法改正後の状況は資料として出せるかどうかというのを教えていただきたいと思います。

 以上です。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 まず、事実関係ですが、スチュワードシップ・コードの受入れ表明のところで金融機関が少ないという話なのですが、生保とか証券会社が基金をつくっていないというところは、まず、1点、お断りをしておきます。

 投資教育については、御指摘のとおり、各加入者ごとに知識・経験に応じて最適な方法でやってくださいということは求めているわけでありますが、経団連の小林委員からの御指摘もあったとおり、なかなかゴールを何に求めるかというところもまた難しいというところがあります。そのような中、実施しているか・していないかという意味だけでの実施率でありますが、これは企業年金連合会の決算ベースでの調査で、2018年5月が継続投資教育努力義務の施行日ですので、2018年度決算から、企年連のデータとしては見えてきます。また、401k教育協会など関係団体からいろいろな実施状況が見えてくると思いますので、それは適宜御報告をしたいと思います。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 宮園オブザーバーの後、白波瀬委員にいきます。

 

○宮園企業年金連合会理事長

 今日は、ガバナンスに関連して2点ほど御要望申し上げるのと、継続投資教育についてコメントをさせていただきたいと思います。

 まず、総合型DBにおける代議員選任規制について、金子委員からもお話がありましたとおり、制度を規制に従って運営することに対する負担と効果に関連する話でございますけれども、総合型DBの実態は非常に多様でございまして、従業員が極めて少ない小規模の町工場とか、そういった規模の事業主が大勢集まって構成している基金が相当あるわけでございます。その中には業界団体みたいなものがあるケースも多いのですが、代議員規制の適用除外の要件がありますけれども、適用除外要件に合致する母体組織を持たないというケースがほとんどで、こうした基金では、人手が少ない中でより多くの代議員を選出する必要があり、その人選確保は非常に困難であります。また、頑張って代議員を選出いたしましても、実際には仕事の関係でなかなか代議員会に出られないとか、書面審議が多くなるといったケースが多くて、果たして負担に比してガバナンスの向上につながっているのだろうかという悩みを実際に基金の方からお聞きすることがございます。また、一方で、きちんとやっていらっしゃる基金の実例も横展開をする必要があると思いますけれども、いずれにいたしましても、この制度を実施していく中で、現場の課題を十分に把握して、過度の負担とならずに、そのうえで実効性のある仕組みとなるようにひとつお願いをしたい。我々もそういった声を届けていきたいと思っております。

 AUPについて、会計監査とは性格が違うのですけれども、14のチェックポイントが非常によくできていると私は思っていまして、不適正な経理も含めて十分にこのチェックができる、つまり、総合型DBで必要な会計上のチェックは、事業主が拠出した掛金が正確な会計処理によって適切に年金給付されているかどうかということだと思います。こういうことについてチェック項目は十分に機能するのではないかと思いますし、基金の側としましても、AUPの導入により会計の透明性が高まったり、誤りの発見や不正防止につながるとか、あるいは、専門家との意見交換の中で、内部統制の不備等が改善されていったり、不正や誤りの生じにくい体制が構築されるという効果が期待されますので、このAUPはすぐれた制度だと思いますし、費用の話を申し上げますと、会計監査と比べますとはるかに安いコストでこういったことができるわけでございますので、会計の正確性を確保する十分に有効な手段であることをぜひ御理解いただきたいと思っております。

 もう1点だけ申し上げますと、継続投資教育は、企業年金連合会も平成29年度から企業の委託を受けて継続投資教育事業を請け負っていますが、本年度で3年目に入りました。コンテンツとしては、先ほど来、話題になっておりました年代別とか、あるいはテーマ別があり、できるだけ多彩な内容を用意しておりますし、実施方法も、集合セミナーとか、こちらから出向いていく訪問セミナーとか、eラーニングとか、いろいろな形をやっております。より実践的でわかりやすい、そういった形をさらに模索していきたいと思っております。また、効果としましては、先ほど吉田課長の話にもありましたように、まだ定量的に分析できるようなところまでいっておりませんけれども、例えば、元本保証型から投資信託への選択の割合が増えたとか、あるいは単一資産の運用から分散型の運用が少し増えたとか、あるいは、運用管理機関のホームページにアクセスをしたり、コールセンターへ問い合わせをしたりという回数が明らかに増えたとか、こういうところは少しずつ出てきているようですので、こういう効果がもっと出るような研修を心がけてまいりたいと思います。また、大江委員からも御指摘がありましたように残念なアンケート結果も出ておりますけれども、これはそもそも事業主の継続投資教育に対する意識の一層の醸成が必要だということだと思います。これにつきましても、連合会といたしましても、事業主が実施主体であるという基本的な意識の醸成をサポートしてまいりたいと思います。

 以上であります。

 

○神野部会長

 後でまとめてコメントをいただきますので、白波瀬委員、お願いします。

 

○白波瀬委員

 ありがとうございます。

 私からは簡単な点を二つです。まず、たまたま先ほどの御指摘と共通なのですが、総合型基金については、できるだけデータを出していただいて、AUPの中身も含めて少し状況を共有させていただきたいので、どうかよろしくお願いいたします。

 2点目については、スライド36のところで、先生方、皆さん、投資教育のことを御指摘されたのですけれども、その効果のはかり方を一体どういうふうにするのかというのは少し検討してもいいのかなと感じました。回数を一つの目安としても、効果の結果をよしとするかは、必ずしも同じことではありません。一つの見方としては、確かにアクセスが増えたとか、今、委員がおっしゃったような点もなるほどと思いましたが、もう少しデータとしてはいろいろ細かいところが見たいなというところがあります。ですので、少し結果を含む諸データを蓄積していただいて逐次共有させていただけるとありがたいなと思いました。

 以上です。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 松下オブザーバー、特に何かありませんか。

 

○松下国民年金基金連合会理事長

 今日のメーンテーマではございませんけれども、当連合会におけますiDeCoの投資教育について、先ほど吉田課長からも御説明がありましたが、一言だけ。

 お話がありましたように、当連合会の位置づけとしてはiDeCoの投資教育に関しては努力義務という形で位置づけられておりまして、関係法令、規約に基づいて、実際には当連合会から運営管理機関に委託をして行っていただいているという状況にございます。

 ただ、私どもとしましても、iDeCoの事業主体としまして、運営管理機関と一緒にやっております普及・推進協議会等を通じましていろいろな情報交換をしておりますので、こういう中から、今から申し上げるような、簡単に4点ございますけれども、このような取り組みを行っているということであります。

 1つは、iDeCoの公式サイトあるいはパンフレットで、制度の具体的な内容とか資産運用の基礎知識といったものの普及を行っている。

 2点目は、加入希望者に対しては、専用のコールセンターであります「イデコダイヤル」を設置して対応している。

 3点目は、iDeCoアプリを作成して、iDeCoに関します最新ニュースを提供している。

 最後に、iDeCoのシンポジウムやセミナーを当連合会としても実施しておりまして、平成29年から実施しておりますが、今年度も2回開催する予定でございます。

 こういう取り組みを通じて、加入者の方の運用指図に資するような取り組みを今後につきましても取り組んでいきたいと考えております。

 以上でございます。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 吉田課長、お三方の御解答をお願いできますか。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 何点かコメントをします。

 総合型DBのお話がありましたが、全ての事業主が企業年金基金の構成員でありますので、その全ての事業主が当事者意識を持って基金の運営に関与していただくというのは、制度運営の大前提と思っています。

 代議員制度の実施に当たりましては、過度な負担とならないよう一定の上限を設けるとともに、テレビ会議の活用とか書面参加でも可能としているところでありまして、書面参加についてはあらかじめ提示された事項について書面で議決権等を行使するものでありますので、無関心より代議員としての責任を果たせる一つのやり方ではないかとは考えています。

 また、継続投資教育の共同事業を企業年金連合会はやっていただいておりますが、先ほど大江委員からもありましたが、地方厚生局が事業主と接点を持つときに、継続投資教育の実施計画が不十分であるのであれば、運営管理機関や企業年金連合会を活用すべきといったことをしっかり周知を図っていきたいと思っています。

 白波瀬委員の御指摘もあったように、継続投資教育の効果のはかり方がなかなか難しいところでありまして、今、アクセス回数が増えたといったアウトプットの結果しかないところでして、これをどういうふうにアウトカムで見ていけるかというのはよく研究していかなければいけないテーマと思います。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 それでは、予定の時間を過ぎておりますので、ひとまず本日の企業年金のガバナンスにかかわる議論はここで閉じさせていただいてよろしいでしょうか。冒頭、吉田課長からお話がありましたように、次回もテーマ別の議論を行いますので、もしも御意見があれば、またそのときにでも御発言を賜れればと思っております。

 一応本日の議論はこれにて打ち切らせていただきますので、今後の予定につきまして、事務局から御報告をお願いいたします。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 本日は、ありがとうございました。

 次回の部会の開催日時は、事務局から各委員の御都合をお伺いした上で、正式な御案内をお送りいたします。

 

○神野部会長

 それでは、これにて第6回の「企業年金・個人年金部会」を終了させていただきます。

 御多忙のところ、お集まりいただいた上に、最後まで御熱心に御議論を頂戴したこと、深く感謝を申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。