第8回 社会保障審議会

企業年金・個人年金部会 議事録

日時

令和元年10月9日(水)10:30~12:07

場所

全国都市会館 3階 第2会議室

出席者

(委 員) 神野部会長、森戸部会長代理、伊藤委員、井戸委員、内田委員、大江委員、小川委員、金子委員、小林委員、白波瀬委員、藤澤委員、細田委員、

(オブザーバー)松下国民年金基金連合会理事長、宮園企業年金連合会理事長

 

議題

(1)拠出時・給付時の仕組みについて

 

議事

 

議事内容

○神野部会長

 それでは、定刻でございますので、ただいまから第8回の「社会保障審議会企業年金・個人年金部会」を開催したいと存じます。

 皆様には、お忙しいところ、万障繰り合わせて御参集くださいましたことに深く感謝を申し上げる次第でございます。

 本日の出欠状況でございますが、臼杵委員及び渡邊委員から、御欠席との御連絡を頂戴しております。

 御出席いただきました委員の方々が3分の1を超えておりますので、この会議は成立していることを初めに御報告申し上げたいと存じます。

 それでは、議事に入らせていただきたいと存じますが、まず事務局から資料の確認をお願いいたします。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 企業年金・個人年金課長です。どうぞよろしくお願いします。

 それでは、資料を確認させていただきます。

 本日の資料は、資料1「拠出時・給付時の仕組みについて」。

 参考資料1「令和2年度税制改正要望事項(抄)」。

 参考資料2「拠出時・給付時の仕組みについて(参考資料)」。

 参考資料3として、委員名簿を用意しています。

 事務局からは以上です。

 

○神野部会長

 ありがとうございました。

 それでは、議事に入りたいと思いますので、恐縮でございますが、カメラの方はここにて御退室をお願いしたいと思います。御協力をよろしくお願いいたします。

 初めに、少々これまでの部会の経緯を振り返っておきたいと思いますが、御案内のとおり、今年の2月に、これまでの「企業年金部会」から「企業年金・個人年金部会」に改組をいたしまして、制度の見直しの議論をスタートしたところでございます。

 以降、御案内のとおり、関係団体からヒアリングを行うとともに、委員の皆様方からいただきました御意見を含めて検討課題を設定して、この検討課題ごとに議論を行ってまいりました。

 その上で、前回の終わりにも少し申し上げたと思いますが、今回と次回の2回でこれまでの議論を踏まえながら来年度の税制改正、さらには制度改正を見据えて議論を頂戴できれば、つまり、論点をさらに明確にして議論を深めていただければと思っております。

 本日は、お手元の議事次第を御確認いただければと思いますが、「拠出時・給付時の仕組みについて」を主要な議題として設定してございます。

 進め方でございますが、まず初めに、事務局から資料、参考資料を一括して御説明いただいて、その上でもって委員の皆様方から御質問、御意見を頂戴したいと考えております。

 それでは、事務局から資料の御説明を頂戴いたします。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 御説明させていただきます。

 部会長からありましたように、これまでの議論を整理した上で、来年度の税制改正・制度改正を見据えて論点を提示していますので、御議論をいただきたいと思います。

 論点の資料の前に、まずは参考資料を御説明します。

 参考資料1をお開きください。本年8月末、財務省に対して行った「令和2年度税制改正要望事項」の抜粋です。年金関連では2点要望しております。

 1つ目は、企業年金・個人年金制度等の見直しに伴う税制上の所要の措置です。「企業年金・個人年金制度等については、現在、社会保障審議会において議論を行っており、その結果等を踏まえて税制上の所要の措置を講ずる」ことを要望しています。

 2つ目は、企業年金等の積立金に対する特別法人税の撤廃又は課税停止措置の延長です。

 続きまして、参考資料2をお開きください。本日のテーマは「拠出時・給付時の仕組み」です。参考資料については、これまでの部会で提出した資料が大半ですが、全体を整理し編集し直していますので、ポイントとなる資料や新しい資料を中心に簡単に御説明します。

 2ページ、3ページ、我が国の3階建ての年金制度体系の説明資料です。

 4ページ、企業年金の位置付けとして、我が国の企業年金の源流は退職金であり、退職給付制度の一つとして位置付けられています。その確認です。

 5ページから企業年金・個人年金制度の変遷を整理していますが、8ページが制度の変遷のまとめになりますのでご覧ください。確定給付企業年金(DB)は、企業の退職給付制度の中で、企業のニーズに柔軟に対応できるよう設計された適格退職年金や厚生年金基金を承継した確定給付型の統一的制度として創設されました。

 確定拠出年金(DC)は、単なる貯蓄とは異なり老後の所得確保を図るという明確な制度趣旨の下に設計されました。

 個人型確定拠出年金(iDeCo)は、国民年金第1号被保険者と企業年金のない国民年金第2号被保険者のための制度としてスタートしましたが、2017年1月、企業年金加入者、公務員等共済加入者、国民年金第3号被保険者まで加入可能範囲が拡大され、被保険者種別にかかわらず全ての国民年金被保険者を包括する制度となりました。

 9ページ、下半分にDB・DC両制度の法律の目的規定を記載していますが、DB・DCともに、下線部分、「公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的」としています。

 10ページ、確定給付企業年金は、適格退職年金や厚生年金基金の移行の受け皿としての位置付けであったことから、両制度の特徴を承継しています。

 11ページ、一方、確定拠出年金は貯蓄と何ら変わらないのではないかという議論があった中で、2つ目のマルの部分、資産が老後所得となることを担保するための要件、例えば中途引き出しの原則禁止等を課すことで、確定給付型の「年金」と同等の税制優遇措置が認められることとなりました。

 12ページ、確定給付企業年金と確定拠出年金とでは、制度創設の経緯を反映して、拠出や給付の仕組みが異なっています。

 13ページ、キャッシュバランスプランですが、2つ目のマル、確定給付企業年金制度に位置付けられていますが、確定給付型と確定拠出型双方の特徴を併せ持ちます。

 DB実施企業の16.7%をキャッシュバランスプランが占めます。特に1,000人以上規模のDB実施企業では26.5%を占めます。

 14ページから制度の実施状況ですが、16ページが一番詳細ですので、16ページをご覧ください。2つ目のマル、2013年調査と比べて2018年調査では、従業員規模300~999人と1,000人以上で確定給付企業年金の実施割合が減少し、従業員規模1,000人以上では確定拠出年金(企業型)の実施割合が確定給付企業年金の実施割合を上回ったところです。

 17ページ、2015年1月に当時の企業年金部会がまとめた議論の整理です。下線部分、「企業年金(DB・DC)の拠出時・給付時の仕組みのあり方については、拠出限度額、中途引き出し、加入可能年齢、支給開始年齢及び給付方法等について、今後のあり方について議論を行った。企業年金の拠出時・給付時の仕組みのあり方については、今後引き続き議論を重ねていく必要があるとされた」ところです。

 続きまして、加入可能要件と受給開始時期の選択等です。

 19ページ、確定拠出年金(DC)は公的年金の上乗せ年金ですが、加入可能要件として、公的年金被保険者の資格を有していることに加えて、企業型は65歳未満、iDeCoは60歳未満という年齢要件があります。

 一方、同じく上乗せ年金である確定給付企業年金(DB)については、このような年齢要件がなく、厚生年金被保険者を加入者とすることができます。

 20ページ、1つ目のマル、確定給付企業年金は、従業員の老後の生活を安定させるための年金制度との位置付けから、一定の年齢に達した場合に支給を開始することを原則としています。

 3つ目のマル、確定拠出年金は、老後の所得確保を図るという制度趣旨の下、受給開始時期を設定し、60歳以上としています。

 ※の部分をご覧ください。受給開始時期を60歳以上としたのは、確定拠出年金制度創設の検討当時は、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢についてこれから段階的に引き上げられていく状況にあり、公的年金の補完として確定拠出年金も60歳から受給できるようにしたものです。そして、それまでの間の中途引き出しを原則禁止するとともに、拠出・加入可能年齢は60歳到達前までとしました。

 21ページ、その公的年金の支給開始年齢は、現在、65歳へと引上げの途上にあります。

 22ページ、確定給付企業年金制度創設の検討当時は、60歳定年の義務化が1998年4月から、高年齢者雇用確保措置導入の努力義務化が2000年10月から施行された状況にあり、確定給付企業年金の支給開始要件は、企業の一般的な定年を踏まえ、60歳から65歳までの範囲で設定可能とされました。

 現在、高年齢者雇用安定法では、希望者全員の65歳までの雇用確保措置を企業に義務付けていますが、定年制を廃止する企業や66歳以上で働くことができる企業も増加しています。加えて、今後、70歳までの就業機会を確保する制度が実施されていくことを踏まえれば、65歳以降の高年齢者雇用はさらに進展していくと見込まれます。

 23ページから25ページは、高年齢者雇用に関する基礎的な資料で、いずれもこれまでの部会で提出してきたものになります。

 26ページ、いわゆる骨太の方針ですが、70歳までの就業機会の確保が検討されています。65歳から70歳までの就業機会の確保については多様な選択肢を法制度上整えること、具体的には真ん中あたりになりますが、(a)定年廃止、(b)70歳までの定年延長、(c)継続雇用、そして(g)まで7つの選択肢が掲げられています。

 下のほう、下線部分ですが、「70歳までの就業機会の確保に伴い、現在65歳からとなっている年金支給開始年齢の引き上げは行わない。他方、現在60歳から70歳まで自分で選択可能となっている年金受給開始の時期については、70歳以降も選択できるよう、その範囲を拡大する」ということが閣議決定されています。

 27ページは平均余命が伸びていること、28ページは高齢期の健康状態が改善していること、29ページは高齢期の就労意欲が高くなっていること、30ページは高齢者の就業率が高くなっていること、また、今後も高くなる見込みとなっていることのデータです。31ページは加入可能要件と受給開始時期の選択等に関するこれまで出ている意見です。32ページは国民年金の任意加入被保険者の現行の取扱いです。いずれもこれまでの部会で提出してきたものになります。

 続きまして、掛金です。

 34ページ、これまで幾度となくご覧いただいている拠出限度額の一覧になります。

 35ページ、拠出限度額の考え方ですが、絵の左端の青い点線で囲った部分、企業型確定拠出年金の拠出限度額は、公的年金と合わせて退職前給与の6割に相当する水準を勘案して設定しています。絵の右側の黒い点線で囲った部分、確定給付型自体には拠出限度額がありません。真ん中あたり、確定給付型を併せて実施する場合の企業型確定拠出年金の拠出限度額は、一律2分の1としています。

 36ページ、企業型確定拠出年金の拠出限度額は、マクロ経済スライド調整後の公的年金と合わせて退職前給与の6割に相当する水準・厚生年金基金の望ましい上乗せ水準を勘案して設定しました。算定に当たっての基礎数値は、当時の厚生年金基金の実績を用いました。

 37ページから39ページまでは拠出限度額についての資料、40ページから42ページまでは確定給付企業年金の掛金についての資料になりますが、いずれもこれまでの部会で提出してきたものになります。

 43ページ、これもこれまでの部会で提出してきたものになりますが、大事な点ですので改めて御説明をいたします。

 厚生年金基金には代行部分に上乗せして支給する独自の給付があり、この上乗せ水準は代行部分の3割以上を確保することを求めています。

 この上乗せ水準は各基金によって差がありましたが、確定拠出年金制度創設の検討当時、上乗せ水準の平均は代行部分の0.86に相当しました。当時の望ましい上乗せ水準は、代行部分の1.7であったことから、上乗せ水準の平均は、望ましい上乗せ水準の概ね2分の1に相当したことになります。

 企業型確定拠出年金の拠出限度額は望ましい上乗せ水準を掛金ベースに変換することで設定しましたが、確定給付型を併せて実施する場合の企業型確定拠出年金の拠出限度額は、各基金の上乗せ水準の平均が望ましい上乗せ水準の概ね2分の1であったことを踏まえ、残り部分という考え方から、企業型確定拠出年金のみを実施する場合の一律半額としました。

 このように、確定給付企業年金ごとや加入者ごとの給付水準から算出したものでありません。

 44ページ、厚生年金基金の上乗せ水準は代行部分の3割以上を確保することを求めていたことから、上乗せ水準を把握していました。

 2003年から代行返上が可能となったことに伴い、給付水準の比較的高い単独・連合型の厚生年金基金が大きく減少し、上乗せ水準の平均は低下しました。また、健全化法が施行された2014年度以降は解散・代行返上で厚生年金基金数が大幅に減少しています。

 確定給付企業年金については、給付水準に関する基準はなく、水準を把握していません。

 45ページ、老後の所得確保に向けた支援・非課税枠を公平にする観点から、iDeCoを活用した「穴埋め型」の意見です。

 46ページ・47ページは政府税調で示された資料で、カナダ、イギリスは、DB型の企業年金、DC型の企業年金、DC型の個人年金について共通の非課税枠というものがあります。

 48ページも政府税調で示された資料ですが、老後の備え等に対する自助努力・資産形成への主な支援措置の現状として、企業年金・個人年金のほかにも、中退共をはじめとする退職金共済、NISA、個人年金保険、マル優、財形などがあります。

 49ページ、政府税調が本年9月末に取りまとめた、いわゆる中期答申と言われているものの抜粋です。

 下線部分、「我が国においては、これまで企業年金や個人型確定拠出年金等の私的年金に関する税制が段階的に整備・拡充されてきた中、働き方の違い等によって税制の適用関係が異なることや、各制度それぞれで非課税拠出枠の限度額管理が行われていることといった課題がある。我が国においても、諸外国の例も参考にしつつ、働き方の違い等によって有利・不利が生じないような企業年金・個人年金等に関する税制上の取扱いについて検討するとともに、拠出・運用・給付の各段階を通じた適正な税負担のあり方についても検討する必要がある。こうした課題については、諸外国と我が国では雇用慣行等の経済社会環境や公的年金制度に違いがあることや、企業年金・個人年金等は企業の退職給付のあり方や個人の生活設計にも密接に関係することなどを踏まえ、その検討を丁寧に行い、関係する税制の包括的な見直しを行っていくべきである」とされています。

 50ページ、確定給付企業年金は全く加入者ごとの給付水準を計算していないかと言えばそうではなくて、2つ目のマルの部分、受給権保護の観点から設けられている毎事業年度末の最低保全給付・最低積立基準額の計算に当たっては、加入者や受給者ごとに加入期間に応じた給付水準・給付額を算出しています。

 51ページ、4月の部会において臼杵委員から提出された確定給付型の「みなし拠出額」の考え方です。

 続きまして、中途引き出しです。

 53ページ、確定給付企業年金は、企業の退職給付制度の中で企業のニーズに柔軟に対応できるよう設計された適格退職年金や厚生年金基金の後継制度であり、退職時の支給は自由に認められるべきとの考えから、退職等を事由として、支給開始要件到達前の中途引き出し、いわゆる中途脱退が広範に認められています。

 確定拠出年金は単なる貯蓄とは異なり老後の所得確保を図るという制度趣旨の下、中途引き出しは原則認められていません。

 54ページ、例外的に認められている中途引き出しの要件・流れになります。

 55ページ・56ページは中途引き出しを求める意見と安易に認めるべきではないといった両方の意見があったことの御紹介です。

 57ページ、いわゆるバッドボーイ条項と言われるもので、確定給付企業年金は、規約で定めるところにより、懲戒解雇等の場合、給付の全部又は一部を行わないことができることとされています。

 最後に、受給の形態です。

 59ページはこれまでの部会に提出した資料ですが、60ページが分りやすいので、そちらをご覧いただきまして、確定給付企業年金・確定拠出年金ともに、年金による支給を原則としつつ、労使による合意がある場合に限って、一時金の選択肢を設けることができる仕組みとなっています。

 61ページ、確定給付企業年金・確定拠出年金ともに、相当数が一時金受給を選択しています。特に確定拠出年金では、企業型・個人型ともに9割程度と、この傾向が顕著です。

 これは、我が国では退職一時金制度が先行して普及・慣行化した経緯があること、受給者にとっても退職時に多額の一時金を必要とするニーズがあること、年金と一時金に対する社会保障制度や税制の違いがあること、確定拠出年金は個人の資産額が少額のケースが多いこと等、さまざまな要因があると指摘されています。

 62ページ以降は、いずれもこれまでの部会で提出してきたデータになりますので、説明は省略します。

 論点になります。資料1をご覧いただきたいと思います。

 1ページ、確定給付企業年金は、企業の退職給付制度の中で企業のニーズに柔軟に対応できるよう設計された適格退職年金や厚生年金基金を承継した確定給付型の統一的制度として創設されました。長期雇用が中心となっている大企業で導入しやすいと考えられました。

 確定拠出年金は、米国401(k)を参考にしつつ、老後の所得確保を達成するために、貯蓄との違いを考慮した年金制度として設計・創設されました。年金資産の持ち運び(ポータビリティ)が容易であることから、離転職の多い中小企業でも導入しやすいと考えられました。

 確定給付企業年金と確定拠出年金は、それぞれ制度創設の経緯や期待されていた役割は異なるものの、公的年金の給付と相まって老後の所得確保を図るという目的は共通しています。

 確定給付企業年金と確定拠出年金とでは、制度創設の経緯を反映して、拠出や給付の仕組みが異なっていますが、近年、双方の特徴を併せ持つハイブリッド型も普及が進んでいます。また、大企業では、確定給付企業年金の実施率は低下し、確定拠出年金の導入が進んでいます。確定給付企業年金と確定拠出年金の両方を実施している企業も多いです。

 これらを踏まえると、確定給付企業年金・確定拠出年金ともに、公的年金と相まって国民の老後の所得確保を図るものとして、その役割をどう果たすべきかという視点から、拠出や給付の仕組みの在り方について検討していく必要があるのではないか。

 今後は「より多くの人が、これまでよりも長く多様な形で働く社会」、「高齢期が長期化する社会」へと変化することが見込まれます。高齢期の就労の拡大を制度に反映し、長期化する高齢期の経済基盤を充実できるよう、公的年金の見直しに併せて、企業年金・個人年金の加入可能要件を見直して加入可能年齢を引き上げるとともに、受給開始時期等を柔軟化することが考えられるのではないか。

 2ページ、赤字の部分、より長く多様な形となる就労の変化を年金制度に反映し、長期化する高齢期の経済基盤を充実することが、公的年金・私的年金を通じた今回の年金制度改革の基本的な考え方・コンセプトになると考えます。

 そして、改革の2つの大きな柱としては、下の2つの箱の左側、被用者保険の適用拡大と、右側、就労期の長期化による年金水準の充実が考えられます。この右側の一つとして一番右下、私的年金の加入可能年齢等の見直しがあると考えます。

 3ページ、企業型DCの加入可能要件の見直しです。従業員の老後の所得確保を図る退職給付制度である企業型確定拠出年金・企業型DCについては、高年齢者雇用安定法の雇用確保措置を踏まえ、現行は、厚生年金被保険者のうち65歳未満の者を加入者とすることができます。60歳以降は、60歳前と同一事業所で継続して使用される者に限られます。

 一方、同じく退職給付制度である確定給付企業年金・DBについては、このような年齢要件や同一事業所要件はなく、厚生年金被保険者(70歳未満)を加入者とすることができます。

 企業型DCについて、企業の高齢者雇用の状況に応じたより柔軟な制度運営を可能とするとともに、DBとの整合性を図るため、年齢要件と同一事業所要件を撤廃し、厚生年金被保険者(70歳未満)を加入者とすることができることとしてはどうか。

 4ページ、iDeCoの加入可能要件の見直しです。老後のための資産形成を支援するiDeCoについては、国民年金第1号被保険者と企業年金のない国民年金第2号被保険者のために、60歳まで加入して掛金を拠出でき60歳以上で受給できるという上乗せ年金の制度としてスタートしましたが、2017年1月、企業年金のある国民年金第2号被保険者と国民年金第3号被保険者まで加入可能範囲が拡大され、被保険種別にかかわらず全ての国民年金被保険者を包括する制度となりました。

 現行は、加入可能要件として、国民年金第1号から第3号被保険者の資格を有していることに加えて、60歳未満という年齢要件があります。

 一方、同じく上乗せ年金である国民年金基金については、このような年齢要件がなく、国民年金被保険者であれば加入可能となっています。

 高齢期の就労が拡大していることを踏まえ、iDeCoの年齢要件(60歳未満)を撤廃し、共通の要件として国民年金被保険者であれば加入可能としてはどうか。

 ※の部分、国民年金被保険者の資格ですが、第1号被保険者は60歳未満、第2号被保険者は65歳未満、第3号被保険者は60歳未満、任意加入被保険者として保険料納付済期間等が480月未満の者は任意加入が可能ですが65歳未満となっています。

 5ページ、(1)DCの受給開始時期の選択肢の拡大です。DCについては、現行は拠出終了後の60歳から70歳までで選択可能となっています。公的年金の受給開始時期の見直しに併せて、70歳以降も選択できるようにしてはどうか。

 (2)DBの支給開始時期の設定可能範囲の拡大です。DBについては、企業の一般的な定年を踏まえ、現行は60歳から65歳の範囲で支給開始時期を設定可能です。企業の高齢者雇用の状況に応じたより柔軟な制度運営を可能とするため、支給開始時期の設定可能な範囲を70歳までに拡大してはどうか。

 6ページ、拠出限度額です。企業型確定拠出年金の拠出限度額(現行月額5.5万円)は、マクロ経済スライド調整後の公的年金と合わせて退職前給与の6割に相当する「水準」を勘案して設定しました。

 企業型確定拠出年金と確定給付型を併せて実施する場合、当時の厚生年金基金の上乗せ水準の平均から確定給付型を上記「水準」の2分の1として一律に評価し、残り部分という考え方から、確定給付型を併せて実施する場合の企業型確定拠出年金の拠出限度額は一律半額(現行月額2.75万円)としました。

 拠出限度額の設定方法について、これまでの厚生年金基金をモデルとした方法が今後はモデルになり得ないことから、例えば、公的年金と合わせて一定の水準となるよう掛金を積み立てる方法など、新たな方法を検討していく必要があるのではないか。その際、

・制度の公平性を確保するとともに制度を分りやすくする観点から、老後の備えのための「非課税積立の枠」を持つこととし、各人がそれぞれの方法で、老後に向けた非課税の積立を行うことができる仕組みを目指すべきという意見、

・確定給付型を一律に評価するのではなく、確定給付型の掛金も、一定の前提を置いて数理的に拠出相当額を加入者ごとに算出すべきという意見、

・企業による確定給付型の拠出相当額や企業型確定拠出年金への実際の拠出額を上限額から控除し、残余がある場合は個人の所得から非課税拠出を可能とした場合、こうした個人の拠出は、iDeCoのみならず、企業型の枠組みを活用したマッチング拠出や国民年金基金も活用できるのではないかという意見、

・個人ごとの拠出額をどう一元的に管理し、また、どの機関が管理業務を担うのかという意見、

・企業年金・個人年金のみならず、退職金共済(中小企業退職金共済等)や他の資産形成制度もあるという意見

等、これまでの部会の議論の中で出た様々な意見について、メリット・デメリットを明らかにしつつ、引き続き丁寧に検討を継続していく必要があるのではないか。また、実務上の負担についても十分考慮して検討していく必要があるのではないか。

 8ページ、拠出限度額の設定方法のイメージです。下の絵、これまでの厚生年金基金をモデルとした方法は、退職前給与の6割水準の年金を終身で受給できる水準となるよう、代行部分に対する上乗せ分の倍率から拠出限度額を設定していました。この方法が今後は成り立たないため、上の絵、例えば公的年金と合わせて一定水準となるよう、掛金を積み立てていく方法で拠出限度額を設定する方法が考えられないか、というイメージになります。

 9ページ、中途引き出しです。確定給付企業年金と確定拠出年金は、公的年金の給付と相まって老後の所得確保を図るという目的は共通していますが、確定拠出年金は原則として60歳到達前の中途引き出しは認められていない一方で、確定給付企業年金は支給開始年齢到達前の退職時にも支給される仕組みです。

 これまでのような、新卒で会社に入り、定年で引退して現役を終え、老後の暮らしをおくるといった「単線型」であれば、「退職=老後」だったため、結果的に確定給付企業年金も老後の所得確保に資するものとなっていたと評価できます。しかしながら、働き方が多様化する中、中途引き出しが可能であることを前提に企業の退職給付制度として設計されている現状には配慮しつつも、老後の所得確保を図る観点から確定給付企業年金の中途引き出し(脱退一時金の支給)の在り方について今後検討していく必要があるのではないか。

 確定拠出年金について、中途引き出しの原則禁止は資産が老後所得となることを担保するための重要な要素であり、安易に緩和すべきではなく、中途引き出しは加入資格がなく年金資産を積み増すことができない例外的な場合に限るべきではないか。

 現在、企業年金の税制上の措置は、退職年金独自の優遇措置であった適格退職年金並びとなっていますが、公的年金や公的年金に準じた取扱いとなっていた厚生年金基金同様、拠出時非課税・運用時非課税・給付時課税、いわゆるEETという税制上の措置が今後認められるためには、中途引き出しのあり方が重要な要素の一つになるとも考えられるがどうか。

 また、確定給付企業年金は、中途脱退時に退職事由等に応じた率を乗じることで脱退一時金の額を決めることができることや、懲戒解雇等の場合に企業年金給付を減額・没収できることに象徴されるように、人事管理の手段として用いられていますが、老後の所得確保を図ることを重視するのであれば、このような点についても検討していく必要があるのではないか。

 10ページ、受給の形態です。公的年金は老後生活の基本を支える役割を担い、終身年金であることが特徴の一つです。

 公的年金の給付と相まって老後の所得確保を図ることを目的とする確定給付企業年金・確定拠出年金について、受給の形態としては、終身年金に限らず、多様な選択肢を用意することで、個人の状況に応じた、高齢期の就労、公的年金、企業年金・個人年金の組み合わせが可能となるのではないか。

 確定給付企業年金・確定拠出年金について、終身年金による上乗せとしての機能を重視するのであれば、今後、拠出限度額の検討と併せて、年金原資は十分か、終身年金の提供の枠組み・受け皿は十分かといった点についても検討していく必要があるのではないか。

 確定給付企業年金の保証期間の上限(20年)や確定拠出年金の有期年金の期間(5~20年)の取扱いについては、まずは高齢期の就労の拡大やそれを踏まえた受給開始時期等の柔軟化を行い、これらの状況や余命の延びを見つつ今後検討していく必要があるのではないか。

 最後に、連合と臼杵委員から資料をいただいております。連合については後ほど御説明があると思いますが、本日御欠席の臼杵委員から、本日の論点について御意見をいただいておりますので、簡単に御紹介をしたいと思います。

 1.加入可能要件の見直しについては賛成。

 2.新たな考え方で拠出枠を考えること、退職年金制度について統一的な非課税拠出枠を設けることにも異論はない。統一的な非課税拠出枠には、中退共のほか「みなし拠出額」を計算するなど確定給付型における掛金拠出も含めて拠出上限を設定することが望ましい。

 3.老後の準備という性格に着目すると、中途引き出しに一定の制限を設けることは自然。ただし、老後の資産と言える住宅への振り替えなどなどには引き出しを認めてはどうか。統一的な拠出枠をDBに広げる場合には、同様に扱うことが考えられる。ただし、DBは退職金の振り替えという性格をより強く持っているので、企業年金制度が後退しないように長期にわたる経過措置が必要。

 4.上記のようなDB・DCにわたる制限を設けた場合、退職一時金とのアンバランスが拡大して年金制度が後退する可能性がある。退職所得控除の改廃が考えられるのではないか、といった御意見を頂戴しております。

 長くなりましたが、以上でございます。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 初めに、来年度に向けて厚生労働省のほうでお出しになっております税制改正要望事項を御説明いただきました。これを念頭に置かれた上で、その後、今日御審議を頂戴するテーマにつきましての参考資料を御説明いただきました。さらに、最後に論点整理を御説明いただきましたので、御審議を賜れればと思います。

 御質問、御意見はいかがですか。

 伊藤委員、どうぞ。

 

○伊藤委員

 資料を出させていただいておりますので、意見を申し上げさせていただきたいと思います。

 「I.はじめに」というところに書いてありますように、企業年金は退職給付由来で「後払い賃金」としての性格をもつものであると、この場で何度も御説明いただいております。それに加えて、老後の生活保障ということで公的年金の補完機能を果たすべきとの要請も強まっている。

 こういう中で、公的年金とその補完関係にある私的年金について、企業年金部会と年金部会という別々の議論の場で検討しているので、こちらを決めればあちらがそれに基づいて決まっていくということになりかねない。どちらが先に規定するというものでもないだろうと思うところがありまして、非常に悩ましい検討を連合の中でしてまいりました。

 約700万人の労働者を組織する連合ですけれども、最初に申し上げた退職給付由来という点が非常に重要でありますし、また、中小企業、非正規労働者の退職給付がほとんどない現状をあわせ考えまして、このような方針を確立したところでございます。

 2ページ、III.の1.基本的な考え方ということでまず確認いたしまして、企業年金は退職給付であることから、確実な給付が受けられる制度を基本とする。また、事業主と労働者の掛金の区別を曖昧にしてはならぬ。企業年金制度は労働条件と密接な関係にあることから、労使自治を尊重すべきだと。公的年金の給付水準の長期低下が見込まれる中、企業年金制度の公的年金補完機能が広く発揮されるよう、企業年金の普及促進を強力に進めるべきであるという考え方をまず立てまして、その上で今回お示しいただいているような個別の論点についての考え方を確認してまいりました。

 まず、2ページの2.(1)の囲いの下にマル1というものがありまして、加入可能年齢ということです。原則として60歳までとなっている加入可能年齢について、健康寿命の延伸やそれに伴う高齢期の就労の拡大、公的年金の支給開始年齢との関係等を踏まえ、加入可能年齢の引き上げを検討すべきである。ただし、受給開始可能年齢については、老後の多様な資金ニーズを踏まえ60歳を維持すべきであると考えます。

 続きまして、拠出限度額に関してですけれども、まずDCについてはその下、マル2です。掛金額の状況と加入者掛金にかかる税の公平性を踏まえ、拠出限度額の見直しの必要性について慎重に検討すべきであると考えます。

 また、DBにつきましては、3ページの真ん中に(2)でDBがございまして、その下に囲いがありまして、その下、マル1です。企業年金制度は退職給付制度であり、労使合意の下で実施されているものであることを踏まえ、DBに拠出限度額の設定は行うべきではないと考えております。

 それから、中途引き出しにつきましては、DCについてなのですけれども、3ページの真ん中辺、ちょっと上にマル3というところがございます。中途引き出し要件については、被災時など労働者の責めによらずに生活困窮に陥った場合など明確な要件を定めた上で、例外的な取り扱いとして慎重に検討すべきであると考えております。

 今日の論点につきましては、以上の点を連合としての考え方でお示しをさせていただきます。よろしくお願いします。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 網羅的、体系的に御意見を頂戴いたしましたので、ここで何か特にコメントはいいですか。

 それでは、御意見を頂戴したいと思います。いかがでございましょうか。

 大江委員、どうぞ。その後、内田委員に行きます。

 

○大江委員

 大江でございます。

 分りやすい御説明をいただき、ありがとうございました。

 私からは、確定拠出年金について1つ質問と、全体的に4つぐらい意見を述べさせていただきたいと思います。

 加入可能年齢の件につきましては、公的年金とiDeCoのほうの年齢を上げること、並びに企業型についても、従来60歳前と同一の事業所という要件については緩和をし、年齢が引き上げられるということについては大賛成です。

 これに関連して質問なのですけれども、企業型確定拠出年金については労使合意をすれば70歳まで加入できることになるという案について、例えば61歳の方が、それまで企業型もiDeCoも入っていなかった方で、70歳まで引き続き加入できる規約を持つ会社に転職をした場合、企業型の確定拠出年金の加入資格は得られるのかどうかという点について確認をさせていただきたいと思っております。

 拠出の件に関しましては、今後、来年度以降、内枠も含めて検討する中で、企業からは要望の強いマッチングの上限撤廃については、引き続き検討の俎上にのせていただきたいと思っております。

 脱退一時金につきましては、参考資料2の55ページにも取り上げて頂いている弊協会の調査でも、企業様からは要望が多い事項ではございますけれども、昨今、離転職も増えまして、その都度受け取れてしまうと老後資金としてまとまった額を確保することが難しいということからしますと、個人的には外国人労働者の帰国のときであるとか、生活困窮時であるといった限定的な対応の検討が適当かと思います。

 最後、給付についてなのですけれども、確定拠出年金のほうで企業型の受給開始の選択肢を広げる件で、企業型の件につきまして、2013年の企業年金連合会さんの調査なので少し古いのですけれども、データを見ますと、規約で60歳以降の運用指図者の口座料等費用について、会社負担にしているという事業所さんが500以上ございました。その当時としては割合はとても高かったと思うのですけれども、法律で一律に選択の幅を広げるということになると、企業としてはそれなりの負担が急に生まれるということかと思います。高齢者雇用の処遇とも関連する部分であり、企業型の確定拠出年金の給付開始可能年齢の引き上げについては、労使合意に基づいて規約ごとに決められるほうが適当ではないかとも私は思います。

 以上です。

 

○神野部会長

 最初に具体的な例で御質問をいただいていますので、お願いします。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 御質問いただいた件にまず御回答を申し上げます。

 年金とは、現役時代からこつこつ一定額の掛金を拠出して、老後に給付を受けるものです。例えば58歳とか59歳になって急にDCに加入し、掛金を拠出して運用商品を購入して、60歳で一時金で受給したとしたら、一般の運用商品を購入した場合と実質的に変わらないにもかかわらず、税制上の優遇措置を受けることになってしまいます。このため、年金としての性格を担保するため、現行、DCにつきましては、受給開始時期の始期・始まりである60歳前に、一定の拠出期間として10年の加入期間を設けています。

 この10年の期間には、DBからの資産移換したときのDBの加入期間も入りますし、運用指図者である期間も入るということになっています。今回、論点で提案したとおり、企業型も個人型もそれぞれ5歳ずつ加入可能年齢が引き上がったとしても、受給開始時期の始期は引き続き60歳以上とすることを考えていますので、引き続き60歳前に原則10年の加入を求めることを考えています。

 このため、企業にとっては、60歳以後に企業型DCを適用しようとする場合、要件を満たさないこともありますので、必ずしも適用する必要がなく、ただし、その方について退職金を算定するのであれば、代替措置を講じてもらう必要があります。これは現行、50歳以上の方を加入者として適用する場合も同じことで、50歳超の人を加入者として適用しようとすると10年要件を満たし得ない人たちがいるので、このような措置を認めています。

 大江委員の御質問のような60歳を超えて初めて期間を持つという人については、企業は適用しても拠出が空振ってしまいますので、その者については適用せず、代替措置を講じることになるということです。

 企業型DCの受給開始時期の点もありましたが、今は60歳から70歳の間で、退職後に受給していただく形になっています。この受給開始の終期を、今回、公的年金の見直しと併せて、70歳以後、何歳にするかは公的年金とともに決めていく必要があると思っていますが、退職後にどのように受給するかを自ら選択していただいて受給を開始していただく。そこは一時金、終身、有期という選択をしていただくことになります。

 

○神野部会長

 ありがとうございました。

 ほか、いかがですか。

 内田委員、お願いします。

 

○内田委員

 御説明ありがとうございました。

 私からは2点意見がございます。まず1点目ですが、資料1のスライド5、(2)になりますが、DBの支給開始時期の設定可能範囲の拡大ということで、範囲を70歳までに拡大するという方向性については、労使自治の中で設計できる選択肢を増やすという意味で反対するものではないかと思っております。ただし、今回の見直しを前提とした制度変更が行われる際に、給付額の確定時期によっては給付減額になる可能性もあるのではないかと思われます。給付減額に該当する場合においては、個別同意等の手続の実効性が確保されるような条件整備や手続の必要性についての周知徹底をお願いしたいと思います。

 また、2点目ですが、スライド6とスライド9になりますが、DBの拠出限度額とか中途引き出しの検討におきましては、企業年金が退職給付由来であることがございますので、労使合意に基づく制度であるということを十分に留意する必要があると思っておりますので、改めてこの場で確認をさせていただきたいと思います。

 以上2点です。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 いいですか。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 1点、冒頭の方でありましたDBの支給開始時期の設定時期の可能範囲を拡大したとき、そして、実際に時期をずらしたときに給付減額の扱いになることがある点をしっかり徹底して欲しいという御意見がありましたが、一方で、現行の給付減額となる取扱いについて見直しを求める声もいただいますので、これはどのようにして取り扱っていくべきか、次回の部会で御議論いただきたいと思っています。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 ほか、いかがでしょうか。

 では、小川委員、井戸委員と行きます。

 

○小川委員

 数理人会の小川です。

 私からは資料1の6、7の拠出限度額について、1点だけお話したいと思います。

 4月22日に開催されている第4回の部会でも同様のことを申し上げているのですけれども、公的年金の所得代替率は、これから将来的に低下が見込まれると。加えて、老後の所得におきましては、一定の自助努力も一方においては必要である、こういうことが国民レベルでかなり意識が高まっている。こういう中で、既に金額的に大きい確定給付型の給付が設定されている場合に、そこに新たに限度を加えるというのはよろしくないのではないかと思っております。

 また、これにつきましては、同日の第4回の部会で事務局から示された2018年10月23日開催の政府の税制調査会の資料で、森戸部会長代理がレジュメとして出された資料に、企業年金とその原型たる退職金制度が日本の雇用において担ってきた役割も軽視すべきではない、あるいは、企業年金、退職金の実施意欲をそぐ改革をすべきではないとありますので、私も同じように感じております。

 一方、そうはいっても、確定給付型の年金制度を実施している企業が、確定拠出型の拠出上限額を算定しなくてはいけない局面は来ると思います。そういうときに、相当する金額の算定につきまして、確定給付型の拠出相当額の算定が必要となる場合には、我々日本年金数理人会の知見を最大限に用いまして、具体的にどう対応していくかということについて、中心となって協力をさせていただきたいと思っております。

 最後に、資料の7ページの一番下にも書いていただいているのですけれども、そういう算定方法の仕組みを考えていく中で、その仕組みや手続が、制度運営そのものの負担が過度に大きくならないようにという配慮は必要だと思っております。

 以上でございます。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございます。

 どうぞ。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 新たな拠出限度額の設定方法につきまして、DCを含めて御発言がございました。諸外国にありますようないわゆる穴埋め型とすべきという御意見、それにはDBの掛金も加入者ごとに数理的に算出し評価すべきという御意見があります。

 参考資料2の49ページに、政府税調の中期答申を入れていますが、ここの中でも、我が国と諸外国とでは雇用慣行などの経済社会環境に違いがあること、企業の退職給付のあり方や個人の生活設計にも密接に関係することなどを踏まえ、その検討を丁寧に行うとされているところです。

 本日、我々、論点として提出した資料1の6ページ・7ページにも、政府税調の記載同様、我々もいただいている意見について、メリット・デメリットを明らかにしつつ、丁寧に検討を継続していく必要があると考えています。

 特に御指摘をいただいているDBにつきましては、その経緯・変遷を踏まえまして、退職給付制度といった性格付けをどう考えていくかといった根本的な問題から、拠出相当額を計算し、DC・iDeCoの枠を計算するときもそうですが、どう数理的に算出するのかといった技術的な問題まで、幅広くクリアすべき課題があると考えておりますので、諸外国の制度にも詳しい数理人会の皆様方の知見もお借りしながら、丁寧に検討していきたいと思っています。

 

○神野部会長

 よろしいですか。

 井戸委員、お待たせしました。

 

○井戸委員

 井戸でございます。

 資料の御説明ありがとうございました。私からは2点です。

 今回の改正は上乗せ年金であるDCの年齢の要件を撤廃しまして、企業型であれば土台になる厚生年金の被保険者である限り、iDeCoであれば国民年金の被保険者である限り、誰でも加入できるというふうにするものでございます。

 私的年金の加入可能の範囲とすることは、やれる限りのことをぜひやっていただきたいと思っておりますけれども、引き続き、土台となる公的年金の被保険者の資格の拡大ということが非常に重要になってくるかと思っています。

 この点、今般の財政検証のオプション試算で検討されていますように、被用者保険のさらなる適用拡大ということと、厚生年金の加入年齢の上限を、現行の70歳から75歳まで延長すること、それから、国民年金の保険料の拠出期間を現行の40年から45年に延長することといったことをしっかり検討していただきたい。そして、上乗せ年金として限界まで拡大していただきたいということです。

 拠出限度額の新たな設定方法も、穴埋め型を基本として分りやすいように、誰でも加入できて長く分りやすい制度にしていただきたいと思っています。

 2点目ですけれども、脱退一時金、途中引き出しのことです。決して個人の理由ではなくて、被災をしたなどの限られた困窮したことだけにしていただいて、この点は、とても慎重に議論を進めていっていただければと思っております。よろしくお願いいたします。

 

○神野部会長

 どうぞ。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 加入可能要件について、本日論点で示したとおり、DC制度固有の年齢要件・同一事業所要件というものがこれまであったわけですが、これらを撤廃することによって、井戸委員御説明のとおりですが、企業年金であれば厚生年金被保険者の資格がある限り、個人年金であれば国民年金被保険者の資格がある限り、私的年金に加入可能としてはどうかという提案を今日させていただいています。

 土台である公的年金の被保険者資格がある限り、私的年金に加入可能とする提案になりますので、いわば上乗せ年金としての限界まで、我々がやれるところまで提案しているつもりです。

 これも御指摘のとおりですが、現在、公的年金の制度改革において、被用者保険の適用拡大、厚生年金の加入期間の延長、国民年金の拠出期間40年を45年に延長というテーマにつきましては、検討課題として議論をしていただいているところです。土台となる公的年金のカバー範囲が広がれば、当然私的年金も広がるという形になっていきますので、ますます土台である公的年金の議論が大事になると思っております。

 公的年金・私的年金ともに制度が密接に関連しています。伊藤委員からも御指摘があったように、部会としては分割して議論をしていますが、部会長はともに神野先生にやっていただいています。両部会が連携し情報共有しながら議論を嚙み合わせていくということは、我々事務局としての果たしていくべき役割と思っています。

 

○神野部会長

 ありがとうございました。

 ほか、いかがですか。

 どうぞ。

 

○細田委員

 日本商工会議所社会保障専門委員会の細田でございます。

 御丁寧な説明をいろいろとありがとうございました。

 公的年金の支給開始年齢が将来的に65歳になったり、70歳までの就業が進んだりする中で、我々雇用する側としても、3階部分に対するもろもろの制限が緩和されていくことは非常にいいことなのではないかと思っております。事務局から提案されました加入可能年齢の引き上げですとか、受給開始可能年齢の引き上げについては、ぜひ進めていっていただきたいと思います。

 それから、iDeCoですとかDCの拠出限度額の引き上げやマッチング拠出についても、もっと自由な裁量でできる部分があってもよろしいかなと思っておりますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。今後、税務当局とのいろいろな調整が出てくると思うのですけれども、大所高所からの意見をきちんと受けて進めていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 私からは以上です。

 

○神野部会長

 ありがとうございました。

 ほか、いかがですか。

 どうぞ。

 

○金子委員

 私から、感想と意見とまぜこぜのような感じでお話しさせていただきたいと思いますけれども、ともにDCの加入可能年齢の引き上げの部分についてです。

 これについては、多くの人がより長く多様な形で働ける社会の実現という政府の全体での取り組みとあわせた対応で、確定給付企業年金ですとか、国民年金基金と同じ条件にするということですので、DCとして可能な見直しを最大限やろうという努力をしているのだなという印象を受けました。

 ここは非常に評価できるということで、感想を率直に申し上げたのですけれども、ひょっとすると多少誤解があるかもしれないのですけれども、ただ、これが実現すると、今後はDC、中でも自由意思で加入する個人型のほう、iDeCoのほうについてなのですが、自分が本当は一体何歳まで加入できるか分らなくなるのではないかという気がしています。

 今日の説明では65歳未満という感じになっていましたけれども、実は国民年金とリンクがあって、国民年金にはたしか加入可能な期間は最大40年ですから、480カ月と決まっていると思います。そうすると、例えば大卒で途中転職などをして、あるいは自営業などもやって、また企業もやってといった感じの方だとすると、60歳に到達したときに一体何カ月入っているのかは認識するのは難しいのではないかと思いました。例えば企業型を60歳までやっていて、60歳以降、企業型が続けられないということで新しい制度になったiDeCoならばできるのかなと思ったのですけれども、あとどれくらいできるか分らないといった状況が発生するような気がしました。

 今まで特にiDeCoについては働き方によって拠出上限が複雑で分りにくいという上限の複雑さというのは御指摘されて、複雑なのはある程度しようがないとすると、逆に周知徹底するような、あるいは通知するような仕組みは大江さんなども御提案されていたと思います。年齢についても同じようなことが言えるような気がしておりまして、だとすると、これは個別に通知するか、周知徹底が図れるような統一的な情報の与え方があるのか、そこら辺は分らないのですけれども、何かそこを知らしめることが非常に大事なのかなという気がしました。誤解があるかもしれませんけれども、私の理解のとおりだとすると、そういう方策をとることも大事ではないかということを意見として申し上げたいと思います。

 以上です。

 

○神野部会長

 どうぞ。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 国民年金第1号被保険者について、60歳以後に入ろうとすると、国民年金の任意加入被保険者になりますので、480月というフルペンションを満たすために、入りたい、保険料を納めたいという意思表示を自らする人が対象になりますので、その公的年金保険料を納めている月はiDeCoも入れるということですので、何ら、自分自身がiDeCoに入れるか分らないということにはならないと思います。

 保険料納付済期間はねんきん定期便で確認できますので、それを見ていただいて、フルペンションを満たすために自分は任意加入しようかというふうに考えるか、考えないか、ここだけだと理解しています。

 

○神野部会長

 どうぞ。

 

○金子委員

 いずれにしても、多分ねんきん定期便で確認できるということだとは理解しました。ただ、私が想定したのは、最後60歳に到達する直前というのは企業に勤めていて、企業型か何かをやっていて、その企業ではたまたま60歳までしか加入できないと。引き出さないとすると運用指図者になるのですけれども、iDeCoでせっかく続けられるのだったらということで続けたいと思うような人がいた場合、この人は多分、働き続ければ厚生年金に加入されているので厚生年金の部分は特に気にせず続けられると思うのですけれども、そのケースにおいて分りにくいかなとは思います。

 ただ、言っていて瑣末な部分の指摘のような気もしますので、全般的に制度自身としては、最大限頑張ったという意味の裏返しでもあるのですが、若干複雑になった感じもあるので、そこら辺の分りやすさを少し御指摘したいと思います。

 

○神野部会長

 どうぞ。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 自分が厚生年金保険料を払っているかというのは給与明細などを見てもらえば分かりますので、そのまさに払っている月にiDeCoに入れるだけです。

 ただ、厚生年金被保険者資格は65歳を超えてもありますが、国民年金第2号被保険者資格は65歳で切れていますので、そういう意味で年齢は65歳まででその間にちゃんと公的年金保険料を納めているか、それを確認していただければと思っています。

 

○金子委員

 こだわるわけではないのですが、瑣末なことなのですけれども、要するに、60歳になったときにあと何年iDeCoに入れるかなというのが。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 iDeCoに入れる期間に上限がありませんので、あと何年入れるかというのは確認する必要がないです。

 国民年金第2号被保険者であれば65歳までは入れます。国民年金第1号被保険者であれば自ら任意加入被保険者としてフルペンションを満たすために保険料を払うかという判断をしますので、分からないことはありません。

 

○神野部会長

 白波瀬委員、どうぞ。

 

○白波瀬委員

 御説明ありがとうございました。

 一般的なことというか、分りやすいと言われても、分らないという人も少なくないと思いますので、広報というか、説明の仕方にも工夫が重要だと思います。多分もとにあるのは教育のところが重要で、何度か複数時点で情報を流していただけると、国民の理解が上がっていくと思います。

 企業・個人年金の土台の話は既に出ましたので、繰り返すことはないと思うのですけれども、公的年金と一緒に連動して企業年金等が存在します。ただ、私は公的年金の審議に加わっていないので誤解もあると思うのですけれども、公的年金のところでの適用拡大の議論にあっても、例えば、そこでの理論のたてつけが企業年金からの視点とは多少異なります。そういう意味では、この企業年金での議論体系と公的年金での議論枠組みは必ずしも一致しない部分もあるので、できれば公的年金での議論も適宜情報共有していただきながら、こちらの企業・個人年金についての議論もできるといいのかなと感じました。

 年齢の制限を撤廃するというのは、これだけ長寿化していますので、そういう意味では正しい方向だと私も思います。ただ、できる規定であるということは、選択が入ってきますので、制度として私は複雑になるのではないかという気がします。中小企業の事務負担については議論がすでにありましたが、制度に選択の余地が入れば入るほど事務的には煩雑になるリスクが高まります。制度にあって、事務処理ができるだけ効率的に最後までやり切れるような設計としてもらうのが重要ではないかと考えています。

 以上です。

 

○神野部会長

 宮園オブザーバー、お願いします。

 

○宮園企業年金連合会理事長

 それでは、若干申し述べさせていただきます。

 まず、今日は論点整理を明確にしていただきまして、誠にありがとうございます。その中で、論点の中にも記載してございましたし、先ほど金子委員も引用されましたとおり、より多くの人がこれまでよりも長く多様な形で働く社会となり、こういう経済社会の構造変化に対応した制度の見直しということで、今回提示されております加入可能年齢の引き上げですとか、受給開始時期等の柔軟化につきましては、その観点から大変評価できることだと思っておりまして、賛成でございます。

 その上で、2点ほど簡潔に意見を申し上げさせていただきたいと思います。1点目は、先ほど来、小川委員等からも御指摘があることと重複いたしますけれども、DB・DCともに公的年金と相まってという表現が出てまいりますけれども、DBにつきましては、御高承のとおり、その多くが退職一時金から移行してきたという歴史的背景を反映いたしまして、企業の退職給付制度の中で労使の合意に基づく自由な制度設計に委ねられております。このため、拠出限度額は設けられておりませんので、老後資金の準備だけでなく、労働者の幅広い生活保障ニーズに対応できるように設計されておりますし、中途引き出しにつきましても、企業の倒産や解雇による生活困窮などの場合の資金ニーズにも対応できる仕組みとなっております。

 こうしたことから、企業にとりましても人事施策の根幹にかかわるようなこうした柔軟な設計が、もしもそういう自由度が大幅に損なわれることになりましたら、企業におきまして、年金制度を廃止して退職一時金に変更するとか、そういった対応が生じて、企業年金制度自体の衰退を招きかねないのではないかと懸念を抱いております。

 DBは現に私的年金制度の中では加入者数、資産額、どちらを見ましても中心的な制度であることは間違いございませんので、これを維持していくことが企業年金制度を通して老後の安心を確保していく上で大変重要なことだと思っております。

 2015年の1月のこの部会での議論の整理において今後の検討課題とされて5年弱が経過していることは承知しておりますが、これから検討を深めていく場合には、先ほど来、御指摘もありますとおり、企業や労働者のニーズを的確に把握して、真に老後の所得確保に資する仕組みは何かという観点から、慎重かつ丁寧に議論していく必要があると重ねて申し上げておきたいと思います。

 付け足しのようで恐縮でございますけれども、2点目は老後の安心を保障する仕組みとしての終身年金は非常に有効な制度でございますけれども、その持続可能性を確保するためには、長寿化に伴う財政リスクへの対応が重要な課題だと考えております。日本人の寿命はどんどん伸長しておりますし、今後も伸び続ける見込みでございますので、長寿化に伴う財政悪化リスクを緩和する仕組みについて、方法はいくつかあると思いますけれども、引き続き御検討いただきたいと考えております。

 以上でございます。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございます。

 藤澤委員、どうぞ。

 

○藤澤委員

 藤澤でございます。

 コメントが3点ございます。1点目は企業型DCと個人型DCの加入要件の見直しの部分ですが、この部分はほかの委員からも御意見がありましたが、DC法の目的に資する改正だと考えていますので、ぜひ前向きに検討していただきたいと考えています。

 2点目のDCの受給開始時期の選択肢についても、同様に賛成で望ましい改正だと考えていますが、受給開始時期の分布を把握できるような体制もあわせて整えていただいて、制度を改正した後に、今後の議論を行う上で受給開始時期がどうなっていくのか、モニタリングできるような体制も整えていただきたいと考えています。

 最後、資料1のスライドの6ページの下線の部分ですが、拠出限度額の設定方法について、厚生年金基金をモデルとした方法が今後はそのモデルになり得ないという部分はそのとおりだと考えています。今後、新たな方法を検討していく必要があって、拠出限度額の変更を実現していく必要があると思っています。

 その際、DCだけでなくDBの拠出限度額のあり方についても必然的に検討が必要になると思いますが、その設定に当たっては、その前提の設定などに技術的な論点があることに加えて、4月のこの部会でも御紹介させていただきましたが、カナダの事例でDBの拠出限度額を設定しても制度の普及に悪影響を及ぼしてしないという研究もございますので、そういった海外の事例等も含めて丁寧に議論していく必要があると考えています。

 以上です。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 どうぞ。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 2点目、DCの受給開始時期の話がありました。現行でも60歳から70歳の間でどう選択されているのか、RKでは把握できているのですが、それを統計データとして我々も承知していませんし、皆様方にも提供できていない状況です。受給開始の選択時期が延びても、延びなくても、しっかりモニタリングしていけるようにしたいと思います。

 また、最後のDBの拠出につきましては、先ほど小川委員にもお答えしたとおり、海外事例に詳しい数理人会の知見もお借りしながら丁寧に検討していきたいと思います。カナダと言えば藤澤委員ですので、しっかりお聞きながらやっていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 

○神野部会長

 ありがとうございました。

 小林委員、どうぞ。

 

○小林委員

 既に多くの委員からもご発言がありましたように、働き方の多様化や、就労期間の長期化といった環境変化を踏まえると、個人の自助努力をより一層支援強化することは重要と考えております。

 今回提示いただいたDCの加入可能年齢の引き上げや受給開始時期の選択肢拡大、あるいはDBの支給開始時期の設定可能範囲の拡大については、経団連から要望してきた事項でもあり、ぜひ進めていただきたいと考えております。

 一方で、企業年金の見直しに当たっては、そうした個人を取り巻く環境変化だけではなく、実施事業主である企業がグローバルな競争環境に身を置いていることも踏まえて、制度の持続可能性の確保向上に資することが必要不可欠と考えております。

 これまでも申し上げてきましたとおり、企業年金は、会社、企業が自社の従業員福祉の向上のために実施する報酬、福利厚生制度の一つであり、老後所得の確保のみを目的として実施しているわけではないことに留意が必要と考えます。どのような給付形態、水準とするかは、あくまでも各社の従業員特性や報酬、ポリシーといった人事戦略上の観点を踏まえて、労使合意に基づいて決定、運営されるべきものであると認識しております。

 こうした実態がある中において、資料6ページ以降に拠出時・給付時に関するその他の検討課題として御提示いただいている拠出限度額や中途引き出し、受給の形態等に関する各論点につきましては、企業年金を現状の退職給付制度としての位置づけから大きく変更させるものだと考えます。

 例えば、DB年金の中途引き出しについて制限を設けることは、これも先ほど来、多く出ていますが、企業年金が退職一時金制度から移行されたものであることを踏まえますと、制度のあり方や考え方を根本的に覆すものであり、これまでの各社の労使が議論し、築き上げてきた合意事項についても、大幅な見直しを迫られるものと考えます。特にDBを実施する会社にとっては大幅な制約になるものであり、各社制度への影響は多大と考えます。

 これらの論点については、今回初めて提示されたものですが、いずれも突き詰めると、老後生活における自助・共助・公助の役割分担のあり方や、現役時代を含めて従業員個人と会社の関係をどうしていくのかという雇用のあり方そのものなど、根幹の議論に行き着く話だと認識しております。当然にして個々の企業によって受けとめ方も影響の度合いも異なり、与えるインパクトも大きく、軽々に判断できるものではないと認識しております。

 拠出・運用・給付について、具体的な水準等の詳細内容が示されない中においては、現時点で賛否を申し上げることはできませんが、改めて会社にとって企業年金はあくまで公的年金の上乗せとして実施するものであって、公的年金の補完を目的として実施するものではないということを申し添えておきたいと思います。

 以上です。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 伊藤委員、どうぞ。

 

○伊藤委員

 私は先ほど提出した意見書に沿った形で申し上げましたが、1点、論点をトレースできていない部分がありますので、その点について。DBの中途引き出しに関してですが、これにつきましては、今回、資料で出されているようにバッドボーイ条項というものが現状認められていて、功労報償的な性格から減額が正当化されているのだろうと思いますが、私たちとしては賃金の後払いという位置づけで考えているわけです。それにしてもDBは労使合意に基づいて給付内容、給付設計を行ってきていて、それを踏まえて考えていくことは極めて重要だと思っていますので、また、仮に見直した場合、その影響は大きいでしょうし、DB制度のこれまでの経緯を十分踏まえた検討をしてもらいたいと思っています。拠出限度額の設定方法の検討も今回大きい論点になっておりますので、その点は共通の問題だと思っています。

 その際、中退共などはEET型が実現しているということだと思いますので、こういうところも含めて勉強をさせていただきたいと思っております。

 以上です。

 

○神野部会長

 どうぞ。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 経済界、また労働組合から、両方から御意見をいただきましたので、少し整理して御回答したいと思います。

 DBの話がございましたが、特別法人税の撤廃又はその課税延長というのも要望させていただいているという話を冒頭にさせていただきましたが、税制上の優遇措置が認められるためには税制上の適格要件を満たす必要があり、一定の公益性があると我々は主張していかざるを得ないと思っています。

 現在の企業年金の税制は、独自の税制優遇であった適格退職年金並びの措置にとどまっています。具体的には、掛金については本来拠出時に従業員の給与として所得税を課すべきとの考え方の下、給付時まで課税を繰り延べているので、その「たまり分」について特別法人税を課すという考え方になっています。

 これを公的年金や代行部分があった厚生年金基金のように、拠出時非課税・運用時非課税・給付時課税といった、いわゆるEET型としていくためには、現行より一歩進んで税制優遇のない退職一時金との差別化が現行よりも必要なのだろうと考えています。

 その退職一時金との差別化を図る場面として、限度額、中途脱退、受給の形態などがあるわけですが、そう多く場面があるわけではなく、私が申したぐらいしかないのだと思っています。

 受給の形態としては、多様な選択肢を用意するのだと一時金での受給を認めるとしたら、残されるのは限度額か中途脱退か、また、その両方かということになるかと思っています。

 もちろん、さまざま配慮、考慮すべき点はあります。DBについて、歴史的経緯等、また、労使自治でやっている部分もあるということも十分配慮しなければいけませんが、我が国では、企業年金の横には、常に、税制優遇のない退職一時金もあり、それとの差別化を何に求めていくのだということを併せて考えていかないといけないと思っています。

 ただ、伊藤委員御指摘のとおり、中退共については、EET型、拠出時非課税・運用時非課税・給付時課税という形になっていますが、資料にも入れているとおり、中退共についてはバッドボーイ条項があり、没収はできませんが減額までならばできるという、退職金としての性格は持っています。ですので、バッドボーイ条項をなくさない限りEETにならない、とは直結はしない点と思っていますが、さまざま公益性が認められ、EET型になっていきますので、この部分は企業年金もどうあるべきかを丁寧に議論していく必要があると思っています。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 森戸委員、何かありますか。

 

○森戸部会長代理

 丁寧な御説明、ありがとうございます。

 全体的なコメントみたいなものを2つほど、あとは各論的にも少しだけ申し上げたいと思います。

 結局、DBもDCも確定給付企業年金・確定拠出年金という年金法、年金制度として、建前はといいますか、法律上もそうなっているのだけれども、実際は御紹介があったようにDBのほうは退職金の性格を非常に引きずっていて、バッドボーイの話もいっぱい出ていましたけれども、そういう退職金でできることもできたり、他方で、DCのほうは新しくできたから割と年金っぽい性格でやってきた。そういう建前と実際がずれているところがあって、でも、それは何となくそれでいいやというのでやってきた。悪く言えばごまかしてやってきたのだけれども、いろいろ社会の変化もあって、高齢化が進み、70歳で働くとか100年時代とかになり、公的年金もいろいろ問題が出てきて、税制との関係も議論しなければいけなくなってきたと。そう言ったら悪いですけれども、ごまかしがきかなくなってきて、制度の趣旨とか位置づけを明確にしないといけないよということを、だんだん迫られるようになってきたのかなと思っております。

 それと同じようなことですが、2つ目は、今日出た話は、実は前の企業年金部会のときにDC・DBのイコールフッティングという話で出ていたことと内容はそんなに変わらなくて、でも、イコールフッティングと言ったらいろいろ反発があったから、イコールフッティングと呼ばなくなったというだけだと思うのですけれども、中身は同じだと思います。そこについては、先ほど小川委員から御紹介があったのですけれども、当時、私なども含め、余りイコールフッティングを進めると退職金の良さみたいなものが殺がれていってしまう面もあるから慎重に考えなければいけないということで、割と部会でもそういう意見が出ていて棚上げになったという歴史があるのですけれども、ある意味、それがもう一回出てきたところがあります。

 私もそのときと意見がそんなに変わっているわけではありません。退職金制度の良さなり、人事管理における位置付けなり、そういうものを認識していますし、そういうものを全くなくしてしまうような改革は良くないと思っています。ただ、今回違うのは、課長もわざわざおっしゃいましたけれども、税当局の動きというか、税制がこれでいいのかという話に、この企業年金なり退職金の退職所得の話とかが入ってきて、特別法人税もそうですけれども、税制上の位置付けとして本当にこういうものでいいのか、さらに言えばフェアなのかという話が出てきているので、その点が一番違うかなと。税制上、公益性と課長がおっしゃったけれども、そういうことの説明がつく制度になっているのかなというのをある程度考えていかなければいけない時期に来たのかなと。そういう覚悟を持たなければいけないのかなと思いました。それは総論的な話です。

 各論的にはそんなに細かい意見はないのですが、加入可能年齢とか受給開始年齢とか、今日具体的に出た方向性については基本的に皆さんと同じ意見で賛成したいと思います。働く年齢も寿命も延びていますので、いろいろ細かいことは考えなければいけないでしょうが、大きな方向としては異論のないところであります。

 拠出限度額の話では、この辺はまだ議論するという話ですが、大事なのは6ページの3つ目のマルで線が引いてありますが、これまで厚年基金モデルだったが今後はモデルになり得ないと明言され、だから、公的年金と合わせて一定の水準となるような掛金とか、そういう新たな方法を検討していく必要があるのではないかというのはそのとおりで、重要なことは、公的年金と一緒に考えなければいけない、つまり、公的年金の話とセットで考えなければいけない、向こうの動きも無視できないのだということ。

 それから、新たな方法、これは掛金の話ですけれども、突き詰めれば企業年金なり私的年金なりでどういう水準のものを確保できるべきなのか、どういう考え方で制度なり税制を制定していくのかということを改めてというか、そういう望ましい水準みたいなものも考えていかなければいけないという話につながるのだろうと思います。

 受給形態とか中途引き出しの話は、話は戻りますけれども、先ほども出ているように、DBなり退職金なりの実施意欲みたいなものを殺がないというのも非常に大事なことで、先ほどの課長の整理だと、退職一時金と確定給付をある程度別に考えていくような感じでおっしゃったのもあるのです。それもそうかなと思いますが、これも穴埋め案のところで、もとは臼杵先生がおっしゃっていたことですが、退職一時金も税制上一定の措置をすれば穴埋めの拠出に入れることができるとか、そういう形でうまいこと、今の退職金制度を一時金のものも大きな制度の流れの中にソフトランディングみたいにしていくことができないかなと。なかなか両方を満たすのは難しい、退職金、企業年金の実施意欲を殺がないように、しかし、制度を揃えていこうというのは難しいと思いますが、なるべくそういう方向で考えなければいけないと思います。

 最後ですが、受給形態の話については、本当は終身がいいのかもしれないけれども、難しいという話は常に出ますが、法律上、公的年金と相まってと言っているのが、それはそもそも終身でなければいけないのかということも考えたほうがいいかと思います。いわゆるつなぎ年金みたいな話も昔からよく出ていますし、年金部会でも昔出た記憶があるのですけれども、終身給付の制度設計なり、どういうふうにしていったらいいかということを考えつつ、公的年金との相まり方は、老後の所得確保の図り方はいろいろあり得るのだという前提で、少し柔軟に受給形態のところは考えていく必要があるのかなと思いました。

 以上です。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございます。

 松下オブザーバー、何かございましたら、どうぞ。

 

○松下国民年金基金連合会理事長

 ありがとうございます。国民年金基金連合会の松下でございます。

 私からはiDeCoと国民年金基金の事業主体という立場から幾つかコメントをさせていただきたいと思います。

 まず、御説明いただいた資料1の4ページのiDeCoの年齢要件の撤廃等の加入可能要件の見直しについてでありますが、当連合会といたしましても、3月の本部会でiDeCoの加入可能年齢の引き上げを検討することを要望させていただいておりまして、今回の検討案の方向性は評価させていただきたいと思っております。今後、できるだけ簡素で分りやすい仕組みという視点も含めて、具体的な制度設計を詰めていただきたいと考えております。

 また、5ページにありますiDeCoの受給開始時期の選択についてでありますけれども、今回の検討案のように受給開始時期の選択肢が拡大されるということになりますれば、iDeCoの加入者にとってより利用しやすい制度になると考えておりまして、こちらも評価しております。

 資料6ページから7ページにかけての拠出限度額について、2点ほどコメントをさせていただきたいと思います。

 まず、7ページの上から2つ目のポツにあります、国民年金基金の活用についてというところであります。これにつきましても、当連合会では本年3月の部会におきまして、現在1号被保険者しか加入が認められていない確定給付型の国民年金基金について、iDeCoと同様に2号、3号の被保険者も加入可能となるように見直しを要望したところであります。この2つ目のポツにありますとおり、個人の拠出につきまして、iDeCoのみならず、国民年金基金にも加入が活用できると見直されれば、会社員や公務員の方々の個人における老後の備えが一層充実すると考えておりますので、拠出限度額の引き上げとあわせまして、これら課題のさらなる検討をお願いしたいと思います。

 また、7ページ目の3つ目のポツにあります一元管理についてであります。iDeCoを初めとして、各制度の拠出限度額を適切に管理していくということは、制度運営の大前提だと考えておりますが、iDeCoの限度管理という点では、当連合会としましても3月の本部会で、資格区分や限度額区分を簡素化、合理化するとともに、資格区分、限度額区分について、情報に関するプラットフォームをつくり効率化を図るということについて要望させていただいております。いわゆる穴埋め型の実現については、制度と事務が煩雑にならないようにということを目指していくことが課題ではないかと考えております。制度設計や手続をできるだけ簡素化、効率化するという観点から、今後、制度全体のあり方についての御検討をよろしくお願いしたいと考えております。

 以上でございます。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 どうぞ。

 

○金子委員

 先ほど触れようかなと思ったところなのですけれども、関連することをおっしゃったので少し御意見をさせていただきたいのですが、今、お話しされた中で、国民年金基金を2号保険者まで広げるというお話がございました。ここら辺を実現しようと思うと、結局はiDeCoですとか国民年金基金への個人の拠出と、企業年金の事業主拠出の両方の情報を集めていくことが必要になってくるのかなと思います。これはちょうど企業年金連合会さんと国民年金基金連合会さんの役割が重なるところだと思いますので、何かインフラなりをつくるのであれば一元的にやったほうがいいと思いますので、両連合会の組織体制なども含めて、事務処理を考えていく必要があるのかなと思っております。

 以上です。

 

○神野部会長

 お三方の御意見について、何かまとめてコメントがあれば伺っておきますが、いいですか。

 ほか、いかがでございますか。

 次回も引き続き議論をいたしますので、今回ということではないのですが、わざわざ次回に回していただく必要もないので、あれば。よろしいですか。

 それでは、御発言もないようでございますので、本日はこれにて終了させていただきたいと思います。

 本日、委員の皆様方から極めて生産的といいましょうか、有意義な御意見をたくさん頂戴いたしましたので、事務局におかれましては、税務当局と必要な調整を進めていただければと思っておりますので、お願いいたします。

 それでは、事務局から今後の予定についてお願いできますでしょうか。

 

○吉田企業年金・個人年金課長

 本日はありがとうございました。

 今、部会長から御指示がありましたように、本日いただいた御意見を踏まえまして、事務局としてさらに詳細な検討を行いまして、税務当局とも事務的な調整をしっかり進めてまいりたいと思います。

 次回の部会の開催日時につきましては、事務局から各委員の御都合をお伺いした上で、正式な御案内を送らせていただきます。よろしくお願いいたします。

 

○神野部会長

 それでは、最後まで御熱心に御議論を頂戴いたしましたこと、深く感謝申し上げる次第でございます。おかげさまで昼食時間にそう大きく響きませんで、非人間的な運営をせずに済みましたこと、御礼申し上げる次第でございます。

 どうもありがとうございました。