07/07/10 企業年金研究会第10回議事録

 

日時 平成19年7月10日(火)

         15:00~

場所 全国都市会館3階第1会議室

 

○森戸座長

 定刻になりましたので、ただいまより第10回「企業年金研究会」を開催いたします。事務局より資料の確認をお願いいたします。

 

○簑原課長補佐

 資料1「企業年金制度の施行状況の検証結果(案)」、資料2として参考資料を配付させていただきました。

 

○森戸座長

 前回、企業年金制度の施行状況の検証結果(案)について議論をし、各委員・オブザーバーの皆様からご意見をいただきました。その結果を踏まえ、私が事務局と相談をして必要な修正を加えております。事務局より、修正点について説明をお願いいたします。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 資料1です。公開になり、傍聴者の方々につきましては本日初めてご覧になるということになりますが、恐縮ではございますけれども、研究会としては修正点を中心にした説明ということでご了解をいただきたいと思います。

   それから、委員の方々は最新のものになっておりますが、数字が訂正になっているところが2、3カ所ありますけれども、その点についてもご了承いただきたいと思います。

   全体の構成については目次にありますように、「はじめに」「企業年金の性格」「税制」「確定拠出」「確定給付の課題」「審査の効率化」「企業年金のリスク管理」「おわりに」といった構成になっております。修正点を中心にご説明いたします。

 8頁です。この辺りは企業年金の性格で、制定の経緯なり方針の位置づけ、それから近年の企業年金の動向ということで記述してあります。(4)企業年金の現状のところで、前回いくつかご指摘をいただいております。1つは企業年金の現状の第2パラグラフです。確定給付企業年金の新規導入は5%程度と書いておりますけれども、なお書きを追加しております。「なお、新規導入の一部は、将来分の退職金からの移行となっていると考えられる」ということで、確定拠出年金は4割が新規導入、確定給付企業年金は新規導入が5%ということです。特に、確定拠出年金の約4割が新規導入ということでもなくて、将来分の退職金からの移行というものも入っているのではないかということです。

 次のパラグラフで、適格退職年金の移行割合が、確定給付企業年金への移行が3%、確定拠出年金への移行が1割ということです。結論から申しますと、ここの割合が逆になっておりましたので、そこは修正させていただきました。

 内容に当たるものとしては、(4)のいちばん最後のパラグラフの「さらに」ということで、前回ご指摘がありましたように、平成16年の年金制度改正のマクロ経済スライドの導入をはじめとした状況の変化等により、企業年金の果たす役割も大きくなっているのではないかということを追加いたしました。

 諸外国の動向がずっとあって11頁です。(5)今後の企業年金制度の方向ということで、諸外国や近年の動向を踏まえてどんな論点があるのだろうか、ということを記述しているパラグラフです。イの文章の下から5行目に「我が国における三者の役割分担」、つまり公的年金、企業年金、個人年金の役割分担についてどのように考えるかという記述が前回はありました。前回のご議論で、そういう中で特に確定拠出年金制度において、企業型と個人型の役割分担、あり方についても検討課題ではないかというご指摘がありましたので、括弧書きで企業年金、個人年金等の役割分担には、確定拠出年金制度における企業型と個人型の役割分担についても検討課題、ということを明記いたしました。

 14頁からは、現行の企業年金の税制の仕組みを記述いたしました。15頁の特別法人税撤廃の議論の中で、特に特別法人税の性格なり、内容について前回ご指摘がありましたので、そこをより正確に記述するという修正を行っております。具体的には、第3パラグラフの「仮に」というところです。確定拠出年金等に係る所得税制の考え方、企業年金の掛金については、企業の掛金自体を本来従業員の給与として所得税を課すべきとの考え方。これは、撤廃論に立つ場合には、税制の簡素化の観点から、拠出時に給与所得として課税すべきということではなくて、もともと本来年金の受給時に所得税を厳格に課すべきという考え方に変えることが考えられるということで、より正確な記述に修正いたしました。

 前回、特別法人税の撤廃論で、上限を含めていろいろなハードルがありうるのではないかという議論がありましたので、撤廃論の場合の議論として、(2)のパラグラフの下から2つ目に「さらに」というところで、「さらに、公的年金等控除の見直しについては、企業年金加入者以外の被用者の税負担や医療保険の自己負担など多大な影響が生じることとなる」ということで、控除の見直しについてはいろいろなハードルがありますけれども、公的年金等控除の見直しについては、このようにいろいろな影響がある旨を記述いたしました。

 17頁は、税制全般の議論の締めのところです。内容としては変更しておりませんけれども、表現の点で、企業年金に対する税制のあり方については、企業年金制度の今後の方向と表裏一体の関係、これと併せて検討ということ。それから、特別法人税のあり方、また年金課税に係る抜本的な検討を行う中で検討する必要があるということ。特別法人税については、そういう状況も見て現在の凍結措置を継続すべきだという記述にしております。

 18頁からは公年制度の課題ということで、まず確定拠出です。19頁で拠出限度額の議論のアの(ア)の3つ目のパラグラフの「なお」のところです。前回のご指摘の中で、特に若年層は拠出限度額まで掛金が掛けられていない実態があるということを、このパラグラフの中でも記述すべきというご指摘がありましたので、そういう旨をなお書きで追加いたしました。

   20頁の(2)の企業型における個人拠出、いわゆるマッチング拠出の議論です。これについては企業年金制度として個人拠出が他の制度で認められている。特に若年層を中心に残枠があるということに加え、「さらに」ということでここを正確な記述にしたということです。基本的には確定拠出年金は老後の所得保障が目的ということですが、投資促進に資する、副次的に資するという側面もありますけれども、その点をファクトも踏まえて少し書きぶりを修正したということです。具体的に申しますと、「貯蓄から投資へ」という流れの中で投資促進の一面をあらわしたということです。

 制度創設当時と比較して、元本確保型の運用商品から、収益性の高い運用商品へと。

   現実にそういう商品の割合が高まる、シフトしているということがありますので、そういう現実。それから、本人の投資意欲が高まるという効果も相まって、「貯蓄から投資へ」の流れを加速するという効果が期待できるという記述にしております。

 その下のなお書きですが、貯蓄性の排除といいますか、年金性の担保ということについてはある意味当然ですけれども、「中途引出しの原則禁止等現行の貯蓄性の排除のための規制を個人拠出についても課すほか、後述する限度額の設定」といったことによって貯蓄性の排除を担保するという記述にしております。

   21頁で具体的要件です。(ア)については特に修正はありません。(イ)の個人拠出の限度額については前回ご議論がありまして2つ考え方があるのではないかということです。拠出限度額の範囲内であれば自由に認めるという考え方と、労使折半までという考え方があります。ここは、この研究会としても両論ありましたので、両論併記ということで記述しております。自由に認められるということであれば、老後の所得保障機能を高めることにつながる。他方企業年金制度であることを前提とした場合には、事業主拠出額の範囲内とすべきこととなるということで、ここは両論併記に修正させていただきました。

 それから、31頁には企業年金のリスク管理で、支払保証関係が書いてあります。支払保証制度については賛否両論あったわけですが、31頁の(5)の前の記述の上から3つ目のパラグラフの「他方」ということで、賛成論もありましたので、賛成論については公的年金との関連を重視する、あるいは企業や基金の努力・責任で対応できない場合もあるということで、支払保証制度を導入すべきとの指摘もあるということで、賛成論について賛成の趣旨を前回よりも正確に記述いたしました。

 32頁の「おわりに」というところでは、真ん中の「しかしながら」のパラグラフのいちばん最後になお書きが付いています。「なお、制度の改革に当たっては、そのコストにも留意し効率的な運営を図ることが望まれる」ということです。前回、改革に当たってコストも考えるべきだという議論がありましたので、その点を追加いたしました。

   主な修正点は以上です。

 

○森戸座長

 議論に入ります。ご意見等ありましたらお願いいたします。

 

○藤井委員

 29頁の受給権保護の辺りです。前回、請求権の問題があるのではないかということをお話したかと思います。今回は、特別に、請求権については記載していないということです。確かに十分な議論を行う時間がなかったということと、企業年金に関する実施状況の検証という観点からするとやや範囲が外れるということもあるのかもしれないとは思います。今回は、わざわざ書くほどのことではないかと思いますけれどもそうは言っても支払保証の問題や受給権の保護という観点は、請求権のレベルというかプライオリティの問題と重大なかかわり合いがあると思いますので、この点は発言をしておきたいと思います。

 

○森戸座長

 発言として承っておきます。

 

○小島委員

 私がこれまで発言したことを盛り込んでいただき、補強という形で支払保証制度についても、その趣旨がはっきりするような形での補強がされております。具体的にどこをどう直せということではなくて、全体的な企業年金の性格・役割というところも含めて総括的に発言させていただきたいと思います。

 具体的には4点ほどあります。12頁のところで企業年金の性格・役割について整理をしています。12頁の(3)は今後の企業年金制度の方向ということで2つの考え方が示されています。これまで、企業年金についてこういう形での整理というのは、今回この研究会で論点が整理されているのだと思います。

 基本的にはアとイの2つがあり、労使合意に基づいた自由な制度設計という性格、あるいは公的年金との関係を重視した老後の所得保障機能を強化する、といった2つの役割・性格があるということで、必ずしも今回のこの研究会では、どっちということの結論を得なかった、という結論になっています。私としては、8頁で補強をされました、平成16年度の公的年金制度の見直しに伴って、企業年金の役割というのは、公的年金との関係で老後所得保障の機能、という役割がますます強まっているということから言いますと、12頁で指摘されているイのほうに重点を置くべきではないかと思っています。

 アにしろイにしろ、基本は労使の合意が基本だということについては変わりはないと思っています。その際の問題は、労使合意の中身が果たして十分に対等な立場での合意になっているかどうかということについて少し危惧を持っています。企業年金あるいは金融市場に対する労使間の情報量の格差の問題はどうしても歴然としていますので、労使合意が基本ではありますけれども、その合意をきちんとサポートするだけの制度的な枠組みの整理が必要ではないかと思います。それは、当然受給者なり従業員の受給権の保護という観点からすれば、労使合意が基本ではありますけれども、それを制度的な枠組みでサポートする、という仕組みは当然必要ではないかと思っています。

 そういう観点からして、今回新たな提案といいますか、方向性、考え方として確定拠出における個人拠出のところの考え方が示されております。20頁の企業型確定拠出年金における個人拠出については、成立当初から貯蓄性の排除という観点からこれまで認めていなかったという経緯が含まれております。

   今回は、企業拠出の枠内ということ、それから個人拠出についても企業の拠出の上限までという2つの枠組みという形で、貯蓄性については一定の排除ができる、という整理をしておりますが、少し心配しているのは、ここでも労使合意が当然基本でありますけれども、本人拠出を認めることになりますと、従来は企業型でありますので、企業拠出が基本だというところが、企業拠出のほうはある程度押さえて、その分本人拠出のほうを増やしていくことになってしまわないかというマイナスの面が働かないかというところを危惧しています。

 もっとも、確定拠出の企業型年金が退職金制度の内枠ということが明確になっていれば、そこは確定拠出のほうについての企業拠出を減らせれば、その分は別の確定給付、あるいは退職一時金という制度があるので、そちらで担保されるということがありますけれども、その辺が退職金制度の内枠というところがあまり明確になっていない場合には、そういう企業拠出を押さえて、本人拠出を求めていくという流れにならないかという危惧を持っております。

   それについては、もしこの報告を基に税制上一応これが認められるという形で、来年度の法律改正というところまで運ぶことになれば、その際にはいま言ったようなことがきちんと担保できるような措置を要望として述べておきたいと思っているのが2つ目です。

 3つ目も労使合意を基に認めるということですが、23頁の商品の適用除外の件です。

 これは、既に法案として国会に提出されて継続扱いになっています。ここで危惧するのは適用除外について労使合意を基に認めるということで、その運用商品を利用している本人同意を得ずにということなので、そこは労働組合に対する責任のリスクは負わないといったことが必要だと考えます。ここは何度か発言しているところですが、ここも労使合意の十分な議論が前提になります。

 もう1つここで危惧するのは、現役従業員については労使合意と言って、そういう意味合いのこともできる可能性はありますけれども、運用指図者、いわゆる退職者が使っている商品も現役の労使合意だけで除外してしまうことについて、ここは十分な情報提供なり説明の措置が必要ではないか。ここは全部意見として述べておきます。

 最後は、31頁の支払保証制度の件です。先ほど、課長から修正補強という形で説明していただいたところですが、今回は、今後の引き継ぎ検討課題ということで結論となりました。その際には諸外国として、アメリカの支払保証制度については説明がされておりますけれども、諸外国の支払保証制度についても十分参考にして、日本の制度を検討すべきであると思います。

 

○森戸座長

 いまのことに対して事務局から何かありますか、よろしいですか。いまのご指摘はそれぞれ貴重なご意見として承りました。労使の情報量の格差といいますか、情報の非対称性みたいな話というのはあると思うのです。手前味噌ですけれども、最近私は何人かの方たちと、年金格付けの研究をやりました。そういう形で何かフィードバックするような仕組みがあれば、その研究自体は非常に不十分なものではあるのですけれども、もちろん組合が頑張ってもらうというのがいちばんいいのかもしれませんが、それに加えていろいろなことも考えうるのかと思って伺っていました。

 

○小野委員

 最後ですので、中長期的な話をさせていただきます。先日、年金アクチュアリーの国際会議的なものに出席しました。そのときに企業年金のテーマとして大きく取り上げられていたのはロンジェビティリスク、長生きのリスクということでした。それに関してオランダの企業年金制度であるCDCがどんなものであるとか、スウェーデンの制度はどうだとかという話になっていました。

 私が非常に寂しいなと感じたのは、日本の企業年金というのはロンジェビティリスクというのがないつまり、終身年金がないというケースが多いということです。単なる金融リスクについての話しか関われないと思ったのが非常に寂しかったということです。

 日本の現状を見てみますと、私としては終身の給付がないこと、あるいは実質的に正社員だけの制度になってしまっているということに関して、現状はしようがないとはいうものの、やはり、世界的な基準との関係でちょっと引っかかりを感じます。

 ご承知の方も多いかと思いますけれども、OECDが2004年7月に、企業年金に関する監督規制を敷いて、中核原則を出しています。その中の第5原則に、企業年金に対する労働者の差別のないアクセス権というのが規定されております。これは、企業年金が実質的に義務的な制度なのか、任意的な制度なのかというところも関わって、必ずしもパートタイムとかフルタイムの労働者を差別なく扱うように義務づけるということではないのですけれども、税との関係を考えますと、それなりに奨励すべき施策ではあるということをコメントしていたりするわけです。

 ここの記述にもありましたとおり、マクロ経済スライドの効果がどんどん浸透していくと、やはり企業年金に対する期待というのは非常に大きくなるので、あくまでも現状の企業年金法制というものが、いま申し上げた点に関してそれを阻むような、既成事実化を指示するような形のあり方というのは避けるべきであるし、現状の法制はそうなっていないと理解しております。引き続き一般的に差別のないとか終身年金だとか、そういうことに対してオープンな仕組みであり続けてほしいと思います。

 

○森戸座長

 2点とも非常に貴重なご指摘でした。いわゆる被差別禁止というか、差別禁止というか、例えば非典型雇用の労働者とか、正社員だけではない人に関して企業年金をという話でした。

 少し話は違うのかもしれませんが、最近パート労働法の改正が通り、いろいろ限定は付いていますけれども、方向としては正社員とそうではないというのは、いままで契約自由なり労使合意の世界ということになっていたのですけれども、そこは労働法のほうでも徐々に平等にすべきエリアなのではないか、という方向に政策としては動いている気がするのです。企業年金がどういう意味で労働条件なのか、という議論はもちろんしなければいけないのですけれども、ただ大きな流れとしてはそういう方向があるのかという気がいたします。いずれにしても、いまのご指摘を踏まえて、これから議論が必要な点だと思います。

 

○野村委員

 私も、この研究会にわたって随分感じるところがあった点を申し述べさせていただきます。それは、確定拠出年金が日本に導入され、企業年金の性格といったことに対し、少し変わった点、変化を及ぼしたと思う点です。

 それは、確定拠出年金では、企業年金の運営に個々の加入者が非常に密接に携わるということです。いまの日本の確定拠出年金では運用指図が中心になっておりますが、先ほどご指摘がありましたように、企業型年金における個人拠出、本人拠出の議論もあります。そのような形で仮に拠出においても個人が意思決定をする部分がより大きくなりますと、ますます個人の存在というものを抜きにして、また個人がどのように行動するかという、ある意味の不確実性、この点をなしにして制度全体の方向性を考えるのは難しくなります。ある意味で不確実性はより大きくなったようなところがあるのではないかと思います。

 その点について、今回の検証結果(案)の11頁で新たに括弧書きということで、確定拠出年金については企業型年金と個人型年金の役割分担という記述が加えられたのは大変よいことではないかと思いました。

 いまの小野委員のご指摘ともまさにつながるところではあるのですが、ご存じのようにアメリカでは401(k)プランという確定拠出型年金が民間の企業年金においては、もはや確定給付型企業年金よりも大きくなっております。あちらのロンジェビティの議論なのですが、アメリカでは確定給付型は終身を色濃く残しているということもあり、他方、確定拠出型年金にはロンジェビティ・リスクの対策はどうしても打ちづらい面があり、いま、まさにベビーブーマー世代のうち、それなりに資産を確定拠出型年金で貯めたような人たちが、これからかなりの時間にわたってですけれども、リタイヤしていこうとしています。

 そういうタイミングにあることもあって、確定拠出型年金の資産を持って辞めていく人たちが、いかにこのロンジェビティ・リスクに対抗するか、ということが大変大きなテーマとなっていると聞いております。

 私が少しだけ調査した限りでは、まだあちらでは結論めいたことにはなっておらず、ありとあらゆるサービスその他で何とかできないか、という議論をしている最中ではないかと理解しております。今後、日本で確定拠出年金がどのくらい普及し、確定給付型とどのような関係で職域の私的年金の中での役割を果たすのかわかりませんけれども、このようなことが伴う制度であるということはきちんと念頭に置いて、折角ですから先に導入した国の議論を参考にしながら、より良い制度にしていく必要があるのではないかと思いました。

 

○森戸座長

 貴重なご意見をありがとうございました。

 

○岩本委員

 連合の小島委員のお話には同感です。基本的に企業年金というのは労使合意を基本として、というところは間違いないわけです。心配にならないように情報提供もきちんとして、健全な財政を維持する一方で、労使にとって合意しやすいような仕組み作りというのが、企業年金を発展させる上で大事なことなのだろうと思います。

 私は、途中から参加させていただいて恐縮なのですけれども、今回特別法人税、いままで凍結ということできていて、その辺がしっかり議論されたというところが1つ大きな収穫ではなかったかと思います。撤廃した場合の不公平・公平性、課税した場合の問題点というところまでよく整理されて、まとめは凍結継続という結論でこのようになりましたけれども、そのとおりで結構なのだろうと思います。

 

○森戸座長

 岩本委員が小島委員に同感だ、という感動的な最後の会になりました。

 

○岩本委員

 発展させていくためにはと思いまして。

 

○森戸座長

 そんな細かいところを突っ込む必要はなかったのですけれども。

 

○企業年金連合会

 そろそろ委員の方々にはご発言いただいたようなので、私のほうから発言させていただきます。前回も発言させていただいたのですが、資料の12頁で、企業年金制度の方向としてアとイということがあります。確かに企業年金は両方の点に気をつけて留意してやっていかなければならない、という意味ではむしろバランスをとってやっていただきたいということで私のほうから申し上げたところです。

 いま、実際に企業年金を運営している側からしますと、いろいろな面で制約があって、もっと発展していこうとするのにはということで、当初当方からの要望をいろいろ申し上げたところです。前回も意見を申し上げて、中には取り入れられた部分、取り入れられなかった部分とありますけれども、いろいろなことで選択肢が増えるようなことを今後ともご配慮いただければありがたいと思います。

 2点目は、この中で目次等を見ましても、いろいろな制約という意味で確定拠出の関係で非常に制度的な制約が大きいということでご議論いただきました。確定給付の関係、これは厚年基金もそうなのですが、どちらかというと関係者としては、いま制度の運営関係でいろいろ問題意識を持っているという意味では、この中で審査の効率化等を取り上げていただいたというのは非常にありがたいと思っております。そういうことを受けて、また実施していただければありがたいと思います。

 3点目は、企業年金二法の施行を受けた形で、どうしても厚生年金基金の問題についてはあまりこの中で触れている機会がなかったのは残念です。やはり、厚生年金基金独自の問題があるものですから、それは見聞きしてこれについては今後ともいろいろご検討いただければありがたいと思います。

 

○森戸座長

 私からも一言発言させていただきます。通り一遍の謝辞ということではないのですが、修文のほうはないという前提に一言申し上げさせていただきます。本日は、修文とは関係なくということで、最後にご発言いただいた意見が非常にいいご意見で、本当はここからスタートして、文章を作る作業から離れて議論できたらいいなと思ったのです。本日で終わりというのは非常に残念です。それだけ良いメンバーに集まっていただいた会で座長ができて非常によかったと思います。特に、実務的な課題も拾えたのは、両連合会にもご参加いただいたということがあると思います。非常に有意義な会になったと思います。

 1点、これは委員の皆様にというよりも、傍聴の方も含めてなのですが、いろいろな論点を深く取り上げ、例えば20頁辺りにありました貯蓄から投資への流れをつくるものといった感じに書かれたところもあって、それはここに4行か6行ありますので、政府が貯蓄から投資への流れを後押ししていて、本人拠出の導入が結果としてそれに重なる部分があるということはそのとおりで、ここに書いてあるとおりなのです。

 報告書全体をお読みいただくと、別にそのためにやったわけではなくて、より良い企業年金なり労働のためにみんなで議論して論点を拾おうというためにやったわけです。

 その辺を是非踏まえて全体を読んでいただければというのが私からの最後のお願いです。

 修正のほうはないということですので、本研究会は昨年10月から本日を含めて10回を数え、委員・オブザーバーの皆様のご協力をいただきながら、本日、企業年金制度の施行状況の検証結果ということで取りまとめることができました。座長として御礼申し上げます。(案)というのを取っていただいていいということですので、傍聴の方もすぐにあちこちへ回せるということです。

 それでは、私から渡邉年金局長に、「企業年金制度の施行状況の検証結果」をお渡しいたします。

  (座長から局長に手交)

 

○森戸座長

 研究会として、この検証結果をお渡しできました。なお、公表用の資料として、「企業年金制度の施行状況の検証結果」の概要を作成したいと思っておりますが、これについては私が事務局と相談して作成したいと思いますのでご一任いただきたいと思います。それでは、年金局長よりご挨拶をいただきます。

 

○渡邉年金局長

 座長をはじめとして、委員・オブザーバーの皆様方におかれましては、大変お忙しい中、昨年10月の第1回から本日の第10回までの9か月間、企業年金の性格や税制、個別制度の課題、あるいは企業年金のリスク管理まで非常に多岐にわたる論点を拾い出してご議論いただいたということに大変感謝を申し上げております。

 企業年金制度は、確定拠出、確定給付両年金制度の施行から5年を迎え、多数に上っておりました厚生年金基金の代行返上もほぼ落ち着いてきた状況になっております。しかしながら、平成16年改正による公的年金制度の見直しや、今般の年金記録問題など、企業年金をめぐる環境というのはさまざまな変化があります。確定拠出年金制度、確定給付企業年金制度創設時とは大きな環境の変化と言えるのではないかと思います。

 そうした現在こそ、制度発足以来の諸課題を丁寧に検証し、厚生年金基金を含め、将来に向けて企業年金制度がしっかりしたものとなるように見直しを行っていくことが重要であると考えております。

 今般、多岐にわたりご議論いただいて、「企業年金制度の施行状況の検証結果」という大部な報告をまとめていただきました。この検証結果も踏まえ、企業年金制度の改善のため、必要な見直しを行ってまいりたいと考えております。委員の皆様方におかれましては、今後ともご指導、ご支援のほどよろしくお願い申し上げまして私の挨拶に代えさせていただきます。

 

○森戸座長

 ありがとうございました。企業年金制度の施行状況の検証結果の「おわりに」にも触れてあるのですが、本研究会といたしましては、確定拠出年金法及び確定給付企業年金法の施行後5年を契機とした企業年金制度の検証という作業はこれで終えることとしたいと思います。今後、必要に応じフォローアップ等を行う際にはよろしくお願いいたします。

 各委員・オブザーバーの皆様におかれましては、昨年より本日まで長期間にわたり、本研究会のためにご尽力いただきまして誠にありがとうございました。本日はこれで終わりにいたします。ありがとうございました。

 

(照会先)

厚生労働省 年金局 企業年金国民年金基金課 企画係

(代表)03-5253-1111(内線3320)