08/06/27 第13回企業年金研究会議事録

 

日時 平成20年6月27日(金)

          13:30~

場所 はあといん乃木坂6階ソレイユ

 

○森戸座長

 少し時間が早いのですが、メンバーが揃いましたので、ただいまより第13回企業年金研究会を始めさせていただきます。本日はお忙しい中、ご参集いただきましてありがとうございます。

 まず、人事異動がありましたので、ご紹介いたします。本日は、商工会議所年金教育センターの菊池事務局長の後任として山田事務局長がご出席の予定ですが、まだいらっしゃっておりません。本日は所用により、藤井委員、岩本委員、小島委員が欠席となっております。岩本委員の代理として、日本経団連経済第三本部の今井本部長が、また、小島委員の代理として、連合総合政策局生活福祉局の伊藤部長が出席されております。また、本日はタワーズペリンの浦田様にもご参加いただいておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、議事次第に沿って会議を進めてまいります。まず、事務局より資料の確認をお願いいたします。

 

○簑原課長補佐

 配付資料の1として「確定拠出年金関係税制改正要望について」と参考資料、資料2として「経済成長戦略」、資料3として委員の皆様方には「確定拠出年金投資教育ハンドブック」というピンク色の冊子そのものを配付しております。これは部数の関係上、傍聴者の方には表紙のみの配付になっておりますが、ご了承ください。資料4として「デフォルトファンドを設定する際の手続に係る企業型年金承認基準の改正内容」、資料5として「自動移換者問題関係者連絡協議会について」、資料6として「企業年金制度における規制緩和等について」、資料7として「企業年金数理専門官の募集について」、資料8として「適格退職年金について」、資料9として「企業年金における住所管理対策について」、資料10として「厚生年金基金における裁定請求を行っていない者に係る改善計画等について」、資料11として「企業年金における受給者等の住所の把握について」。以上11の資料となっておりますが落丁等はありませんでしょうか。

 

○森戸座長

 ありがとうございました。資料の確認がよろしければ、まず「確定拠出年金関係税制改正要望について」事務局より説明をお願いいたします。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 資料1「確定拠出年金関係税制改正要望について」説明させていただきます。

 1枚めくっていただきまして、平成20年度と平成19年度の税制改正要望の結果について、改めておさらいということで資料を用意させていただいております。

 平成20年度税制改正要望の結果の、まず要望の趣旨ですが、確定拠出年金は、公的年金と相まって老後の一定の年金水準を確保するものですが、平成16年改正、これは経済スライド等の導入等によって公的年金の水準が低下することから、その重要性はますます高まっているということで、企業型確定拠出年金における個人拠出の導入等により、国民の老後の生活の安定を図る必要がある、というのが大まかな要望の趣旨です。

 内容としては、昨年は3点要望をしております。企業型における個人拠出の導入ということで、現在個人拠出は認められておりませんが、拠出限度額の範囲内で、かつ、労使折半の範囲内で個人拠出を認め、これを所得控除の対象とするということです。注で書いておりますが、具体的な所得控除の中身としては、後ほど出てまいりますが、小規模共済控除という現行の個人型に適用されている控除を適用するという前提で要望しております。2点目が個人型の加入対象者の拡大ということで、確定給付型の企業年金のみを実施している企業の従業員についても、個人型への加入を認めるという内容です。3点目は個人型の限度額の引上げです。

 2頁です。こういった税制改正要望の結果として、昨年は税制改正大綱上において大綱上の検討課題という位置づけになったわけです。昨年12月にも大綱の趣旨についてはご説明しましたが、特に公的年金制度改革の動向等を見極めつつということで、財政検証あるいは国庫負担問題等、財源論を見極めるというのが大きな論点です。それから、この課題の中で言いますと、各種企業年金制度間のバランスという項目がありますが、強制拠出のものは社会保険料控除が認められているが、一方で任意拠出については、生命保険料控除が原則というのが税務当局の見解でして、そういったバランス論というところが大きな論点だったわけです。

 3頁は、ちょっと古い話になりますが、平成19年度においても、3点税制改正要望をしております。平成19年度は、企業型についても拠出限度額の引上要望を出しておりまして、これも長期検討ということです。趣旨としては、平成21年の公的年金の財政検証の結果等を踏まえる必要があるというのが税務当局の見解でした。2点目は、非常に要望が強かった中途脱退要件の緩和ですが、内容としては、企業型から直接脱退する要件を大幅に緩和してほしいという要望を出したわけです。結果としましては、やはり年金の積み増し努力をする必要があるのではないか、年金たるもの、年金の実をあげる必要があるということで、直接脱退ではなくて、やはり個人型に移換した後に、資産額25万円というある程度小額の資産者について、2年間運用努力をすることを要件として脱退を認めるということでした。これは一元化法案に入っております。3点目は、高齢者雇用安定法の60~65歳までの継続雇用等に対応するということで、この間も金額拠出を引き続きできるようにするということが認められておりまして、これも一元化法に入っているという状況です。

 4頁からは、これまでの特に認められていないものについて、その要望の具体的な根拠等を整理した資料です。まず、マッチング拠出ですが、税制上の支援の必要性としては大きく3点あります。1点目は企業拠出が不十分ということです。4万6,000円の限度額があるわけですが、全体平均では約1万円強で、十分な水準になっておらず、本人拠出を行い自助努力によって老後の所得を確保する必要性が高いということです。2点目は導入企業の大半が中小企業だということです。実施する企業の約8割が企業拠出を増額する余力が低い中小企業ですので、中小企業の人材確保に資するよう、本人拠出に対する税制上の支援を行うことによって、中小企業の従業員の老後の所得確保を充実させる必要があるということです。3点目は、若年世代の企業拠出が特に低いということです。企業の掛金、これは通常、賃金に一定率を掛けるものなので、結果として若く賃金の低い方々の掛金の額自体は低いということで、特に若い世代からの自助努力で年金資産の積み増しをする必要性が高いだろうということです。

 税制上の支援措置の内容としては、すでに個人型については拠出限度額の範囲内で全額所得控除、小規模共済控除と言っておりますが、それが適用されており、企業型におけるマッチング拠出、個人拠出においても、同様の趣旨内容なので、同じ控除を適用すべきというのが私どもの要望内容です。いちばん下に※印で書いておりますが、この小規模共済控除は、個人型確定拠出年金の掛金のほか、個人事業主が自らの退職金を共同で確保するための任意加入の小規模企業共済制度というものがあり、これに個人事業主が自分で出した掛金に対して適用されているものです。いわば小規模、中小企業の退職金を積み増すための制度で、そういう意味では中小企業の従業員を中心とした、老後の年金の確保のための掛金も、同じ考え方で控除を適用すべきではないかというのが要望の趣旨でした。

 5頁です。個人型への加入対象者の拡大については、要望の趣旨は2点あります。1つはポータビリティの確保ということです。現在は転職による掛金の積み増しが困難です。下の左側の図ですが、確定拠出年金を実施する企業を転職する間は、老後の資産がどんどん確保されるわけですが、企業で確定拠出年金をやっていない場合には、掛金の積み増しができないというのが現行ですので、転職でどんな企業に行っても確定拠出ができるようにしたい、するべきではないかということです。2点目は水準論ですが、確定給付企業年金のみを実施している企業の掛金水準が低いということです。(2)の右側の大きな図ですが、企業型確定拠出年金と確定給付企業年金両方を実施している企業の掛金は、全体で見ると約3万円弱ですが、確定給付企業年金のみを実施している企業の掛金は1万9,000円ということで、ここに格差があるわけです。これは自助努力で補う必要性が公平性の観点からあるのではないかというのが要望の趣旨です。

 6頁は、拠出限度額の引上げです。これは個人型と企業型と2つありますが、個人型については、拠出限度額が現行1万8,000円ですが、1万5,000円以上という、ほぼ使いきりの方々が半数近くまで達しており、実態としてかなりニーズが高いということです。それから、企業型では4万6,000円または2万3,000円の限度額であるのに対して、個人型は1万8,000円ということで、そもそも丈が低く、個人の自助努力で掛金を拠出して、年金給付の充実を図る必要性が高いのではないかということです。2点目は平成19年度に要望した企業型の限度額の引上げですが、これは若年世代の企業拠出が低くなる、低くなっているというのが主たる理由です。と申しますのは限度額自体に張り付いている方々、結果的にはあまりいらっしゃいませんが、これは年功序列賃金体系のもとで、高い年齢の方々の掛金を限度額の枠内に抑えようということで、そもそも企業で制度設計をする際に、4万6,000円の枠に抑えるようにしているという実態があります。そうすると年功序列で、かつ、定率の掛金ですので、若年世代の掛金が低くなるということがあります。若年世代から一定程度の年金を確保するためには、全体の拠出限度額を底上げすることによって、若いときから年をとるところまでを通じた平均的な掛金が、全体として確保されるという考え方です。以上です。

 

○森戸座長

 ありがとうございます。これまでの税制改正要望の経緯について説明していただきました。いまお話がありましたように、平成19年度の税制改正要望においては、個人型からの中途脱退要件の緩和と、企業型における資格喪失年齢の引上げが認められたが、その他については引き続き検討すべき事項となったということです。そして平成20年度の税制改正要望においては、確定拠出年金の課税のあり方について検討を行う旨、与党税制改正大綱に明記されたが、検討課題としてそれがまだ残っているというところです。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 1点、説明し忘れました。参考資料は飛ばしていただいて資料2、横長の「経済成長戦略(経済財政諮問会議決定)」という資料です。

 去る6月10日、諮問会議において経済成長戦略が決定されておりますが、その中の「グローバル戦略」という中の「国際競争力ある成長分野の創出」というカテゴリーの中で、マッチング拠出等が検討課題として位置づけられているということです。3の「3つの戦略」の中の「前略」という所を飛ばしていただいてその下、「『株式市場の厚み』と『老後の資産形成』の両方に資することから、企業型における個人拠出の導入等について検討し、平成20年内に結論を得る」ということです。昨年も検討課題として諮問会議、あるいは骨太の方針で検討課題にあげられていたわけですが、今年度は平成20年内に結論を得るということで、期限が区切られているというところが、昨年と違うところです。その下の「戦略実行プログラム(別紙)」という所にもう少し詳しく出ております。下から2つのポツですが、「マッチング拠出と個人型の対象の拡大」、それから、「転職時における関係者間の連携等によりポータビリティを一層確保する」とありますが、主として自動移換問題等の解消ということが想定されているということです。ちなみに、6月10日段階では諮問会議の決定ですが、本日骨太の方針ということで閣議においても同様の内容が決定される予定です。以上です。

 

○森戸座長

 ありがとうございました。いま説明がありましたが、6月10日の経済財政諮問会議において決定された「経済成長戦略」、ここでもマッチング拠出の導入等について検討し、平成20年中に結論を得ようということが謳われております。いま税制改正要望と経済財政諮問会議のものを見たわけですが、本年は要するに、その制度創設時から検討されてきたマッチング拠出の導入が、一定の結論を出す節目の年となることも考えられます。確定拠出年金の税制のあり方については、この会で、検証結果を取りまとめる際にいろいろご議論をいただきましたが、本日はその後の環境の変化と、このような提言等もありますので、それらを踏まえて、今後の税制改正要望のあり方について、皆様から自由にご意見をお願いしたいと思っております。

 ご意見をいただく前にちょっと資料確認ですが、資料1の「平成20年度税制改正要望の結果」というときの、この「結果」というのは、平成19年度の結果というのとは意味は違うのですかね。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 すみません。2枚に分かれていてわかりづらかったかもしれません。平成20年度につきましては、1、2、3すべて検討課題ということなのですが、2頁の与党の税制改正大綱という記述になったのが、いわば「結果」ということです。

 

○森戸座長

 この2頁目が「結果」だということですね。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 はい。

 

○森戸座長

 これは、ここの前回か前々回かの会で、○だとか△だとか言っていたものですよね。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 はい、そういうことです。

 

○森戸座長

 それが税制改正大綱に入った。そうですね。ここの部分が要望と結果ということになるのだと思います。一応確認です。

 では皆様、ご意見いかがでしょうか。特にマッチングの話で、いろいろ具体的な話が出てきていると思うのですが、ご意見がありましたらよろしくお願いします。

 

○野村委員

 いまご説明いただいた骨太の方針にも入るであろう、いちばん新しい内容について1つ確認させていただきたい点と、全体についてのコメントめいたものを申したいと思います。

 質問です。マッチング、いわゆる企業型の個人拠出についてははっきり書かれていますが、昨年度、平成19年度内に出された提案の、いわゆる3点セットの残りの2つ、確定給付型の企業年金のみを実施し、企業型確定拠出年金を実施していない企業の人に個人型確定拠出を解禁するということと、今も企業年金がないので個人型に入れるという人々の限度額を上げるということ、も含めた3点セットで、この骨太の方針の中に引き続き残る、同じワンセットで相変わらず一緒、という理解で正しいのでしょうか。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 いま、骨太の素案で公表されている記述そのものは、この経済成長戦略の記述と全く同一です。そういう意味で厳密に言いますと、マッチング拠出と個人型の対象範囲の拡大というところが、骨太の範囲ということです。

 

○野村委員

 そうしますと、いま企業年金なしで個人型に入れますという人の限度額引上げというのが、少し微妙な感じになるのでしょうか。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 そこは、閣議決定する政策としての法改正といった大きい話なのか、限度額の拡大そのものは、いわば形式で言いますと、政令改正で運用マターに近い話ですので、この骨太に入らなかったからといって、限度額の拡大が政策的なプライオリティーが低いなどということではないと理解しています。

 

○野村委員

 もう1つコメントですが、研究会の間でも何度かこの個人拠出については、企業拠出と同額にするという制約を設けることの善し悪しがテーマになっていたと思います。

 いただいた資料などを拝見しても、やはり考え方としてそういうものがあるのはわかるのですが、その縛りを入れてしまうと、例えば若年の方で、いま5,000円会社が出してくれている人は個人拠出が5,000円までとすると、その時点では枠が残ります。もっと高年齢になって、例えば会社と本人でそのまま同じ定率でいくと3万円ずつになるとします。会社が3万円出せるのであれば、本人も同じ額なら3万円まで出すことができると考えられますが、法律の限度枠があるので3万円ずつは出せない、ということで、おそらく、限度額いっぱいまで使いきることができる年齢層が、若い方と上の方のちょうど中間ぐらいの層にどうしても絞られてしまって、やや活用のできる方々の対象が狭くなってしまうので、非常にもったいない気がします。

 それで思ったのですが、先ほどのご説明の内容にあった、全体の限度額を平行移動で引き上げていただくのが、私も、ある意味いちばんストレートでいいと思います。

 ただそれが、研究会でずっと議論していたような困難な課題に別の所で直面してしまうということであれば、やはり、使い残しを後年度に繰り越すと言うのでしょうか、若いときに、先ほどの例でいきますと、5,000円ずつで1万円だと、残りはまだ3万6,000円ある。この3万6,000円をもっと年齢が高くなったときに、言うならば繰り越すことができるような措置も考えられないものだろうかと思います。以上です。

 

○森戸座長

 ありがとうございます。いまの点、私も同じようなこと、繰り越すというのは、そこまで思ってなかったですが、前半の部分ですね。資料1の4頁あたりで、マッチング拠出導入の必要性として説かれているところ、その税制上の支援の必要として出てくる、中小企業が多いとか若年世代の企業拠出は低いということからすると、いままさに野村委員がおっしゃったように、企業の拠出額が低ければ、それ以上個人では出せないので、折半だと、ここに書いてある目的は達成されないのではないかという感じがしまして、私も野村委員と同じような感想を持ちました。こういうことを言うのだったら、折半というところにとらわれていると、ちょっと不十分かなという気もしたのですが、それは事務局のほうで何か検討の中身がありますでしょうか。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 研究会でもご議論いただきましたとおり、ここの企業型で折半かどうかというところはかなり本質的なところを含んでおりまして、まず、現行制度の位置づけ自体は、企業型の確定拠出年金も、通常の厚生年金基金や確定給付と同じように企業年金です、そういう一環ですということがあります。したがって、いまの制度の枠組を前提とすると中小企業でも、拠出能力は低いですが、基本的にはできるだけ事業主に拠出していただく。それでその足りないところを補う形で、自助努力の本人拠出を入れるというのが、いまの基本的な考え方になっているということです。

 おっしゃるように、例えばイギリスのように個人勘定でずっと管理するとか、あるいは、4万6,000円の範囲内で労使折半、原則にはめずに自由にするという考え方は、制度論としては当然あると思います。それは、アメリカなどもそうですが、個人型をベースにして、それに企業がむしろマッチングするという制度設計もありますが、いまの企業年金としての基本的考え方ではなくて、むしろ個人型をベースにするという考え方です。仮に、労使折半原則を外すとすると、そういう転換が必要になるのではないかというところが、去年要望した労使折半原則を事務局として外さなかった理由です。

 

○森戸座長

 その議論はすでに何回かやりましたので、もう蒸し返しはしませんが、若いときのものを繰り越すというような話は、もちろんここにはあがってないですが、事務局からは何かありますか。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 繰り越すとすると、個人でストックとして、例えば500万円とか1,000万円とか、そういう勘定を設けて、それを管理するという仕組みが必要になると思います。そういう意味では、企業年金ではなくて個人としての勘定があって、その中で一定程度までは積み立てられるなどです。そういう制度論はイギリスなどで行っていますし、あり得ると思いますが、いまの仕組みとはかなり違う仕組みを基本的に入れていく必要があるのではないかと思います。

 

○森戸座長

 いずれにしてもいろいろと、そもそも企業年金という枠をどう考えるかということに関わる大きな議論ではあると思いますが、そういう議論、論点はあるということで、是非この会でもメンションしておく必要はあると思いました。野村委員、よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。その点でもほかの点でもかまいません。

 

○小野委員

 仮に今回結論が得られて、そのマッチング拠出なりが認められて法制化されることになった場合に、いま、一元化法案に盛り込まれている改正というのがいくつかあると思うのですが、それとの関係と言いますか、それはまたセットにして、新しい法案としてお出しになるとか、手続的にはどういう取扱いになるのでしょうか。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 まず、今年度の税制改正要望そのものについても今日ご議論いただきますが、これから政府部内、あるいは与党でご議論いただいてどうするか。まずそういう段階だということをご理解いただきたいと思います。その上で仮にその法改正を認めるということになった場合の扱いですが、それは極めて国会情勢にもかかわる話ですので、政府としてどうこうということはありませんが、一元化法案そのものは継続審議で、引き続き国会で審議いただく対象になっております。一元化法案の動向如何によって、その時点での状況でこちらも検討するということになると思います。

 

○島崎座長代理

 結論から言えば、頑張ってくださいねということになるのだと思うのですが、1つ、小規模共済控除というのは、平成20年度の税制改正要望の際にも持ち出したのでしたか。つまり、こういう制度があるよと。要するに、改めて理論武装する中で、こういう制度もあるからその横並びということなのか、平成20年度の税制改正要望の中で、こういう議論があって、再度ここに載せているということなのか、その点だけ確認させていただきたいのですが。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 正確に申しますと、この研究会に出した資料は所得控除ということで、控除の内容を具体的に書いているわけではありませんが、税務当局との事務的な折衝、ヒアリング等の中では、小規模共済控除という前提で折衝をしてきたという事実関係があります。

 

○伊藤部長(小島委員代理)

 マッチング拠出については、従来から連合としては、企業拠出に対して個人がマッチング拠出するというのが馴染むのかどうかという、もともとの問題意識がありましたが、他の企業年金の個人拠出があるということとの整合性というようなことから、議論が必要だということで、ずっとこの企業年金研究会で研究されてきたということは十分受け止めております。その間、情勢が変わったということはありませんので、この次の税制改正要望にあたって、特段の意見を申し上げるつもりはありませんが、1点あります。4頁で、マッチング拠出の必要性の3つ目、若年世代の企業拠出は低いというところで、これは、当然低いのですが、マッチング拠出を行うことで個人資産が積み増されるのだ、そうする余地をつくるべきだという話ですが、そういう可能性はあるかもしれません。申し上げたいのは、企業年金の傘に入れる人と、入れない人がもともといるというところについても、ちょっと問題意識を持っておりまして、非正規とか、そういった企業型の確定拠出年金というようなものに入れない、あるいは確定給付とか、その他の企業年金にも入れないといった場合、完全に個人型の1号として入るという形になるのかもしれませんが、かなり所得の低い方も多くそれどころではないというのが、いま社会問題になっている。資産をつくる余地のある人の選択の幅を広げるというのはわかりますが、その他の方についての、今後の老後の対応をどうするのかということも、1つ論点としてあります。ここでの議論ではないのかもしれませんが、そういう問題意識があるということを一言申し上げたいと思います。

 

○森戸座長

 そういう注意も必要であるということを、いま研究会の場で言及いただいたということでよろしいですか。基本的には制度の中身の話ではあるが、ちょっと外の話ではあると思うのですが、関係のある話ではあると思いますので、そこはもちろん、政策全体を考える上では1つのセットになっている部分であるとは思います。よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。

 

○今井本部長(岩本委員代理)

 若い世代の方を含めまして、できるだけ需要を多く促していくような形で進めていくことが重要だと思っております。そういう意味で、できるだけ縛りのない形で要望が実際に実現できればという気持だということは、改めて申し上げるまでもないと思います。ただ、このような要望につきましては、私どものみならず皆さんの共通の要望ということで出していることで、こういった整理を今回されていると理解をしておりますので、このような内容で理解をしているということをひと言付け加えさせていただきます。

 

○駒村委員

 考え方の確認なのですが、先ほどの「事業主の掛金を超えない範囲で」とありますが、これの考え方の根拠というのは、どういう整理をしてこのような条件を付けたのかを少し確認させてください。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 企業型確定拠出年金は、いまは全額事業主拠出ですが、基本的には企業年金ですので、企業・事業主が掛金を掛けるのが基本です。その上で確定給付でも本人拠出はありますが、あくまでも補完的なものという位置付けです。企業年金である以上は、やはり事業主拠出が基本であろうという意味では、半分以上を超えない範囲という考え方です。

 

○森戸座長

 いまのは企業年金とは何か、という説明ですね。そのような理解で、企業が出している掛金より多く個人が出したら企業年金とは言えないだろう、と。もう一度そこ自体議論があると思いますし、そこで妥協があってはいけないのか、そもそも企業年金とは何かとそこの議論につながると思うので、先ほど少し申し上げたのですが、いまの説明としてはそのようなことだと思います。よろしいですか。他にいかがでしょうか、この点はよろしいでしょうか。

 では、以上のような議論も踏まえまして、厚生労働省としては平成21年度税制改正要望に向けて準備を進めていただければと思います。

 少し話題を変えまして、次に、企業年金連合会の「確定拠出年金における投資教育のあり方に関する検討会」におきまして、確定拠出年金投資教育ハンドブックが取りまとめられましたので、検討会の座長であります、タワーズペリンの浦田様に本日いらしていただいておりますので説明をお願いしたいと思います。また、関連して「デフォルトファンドを設定する際の手続に係る企業型年金の承認基準の改正内容」についても、事務局から後ほど説明をお願いします。では浦田様、よろしくお願いします。

 

○浦田(タワーズペリン)

 企業年金連合会の投資教育に関する検討会の検討結果について、ご報告を申し上げます。昨年9月より企業年金連合会の中の政策委員会のさらに下の確定拠出小委員会のもとに、確定拠出年金における投資教育のあり方に関する検討会というものが置かれまして、毎月2回ぐらいのペースで発表、議論等が行われてきました。3月までそれが実施されていたわけですが、その検討結果がお手元にあります、このピンクの冊子としてまとめられました。傍聴席の方は配られていないという話を聞きましたけれども、これは企業年金連合会のホームページからも自由にダウンロードできる状態になっておりますので、ぜひそうしていただければと思います。

 検討会の議論に参加していただいたメンバーですが、今日いらっしゃる森戸座長、野村委員、それから濱谷課長、確定拠出年金を実施されている事業主の方、運営管理機関等々、テーマに応じてゲストスピーカーにも来ていただいたところです。この検討会を設置した背景ですけれども、投資教育は2極化をしているのではないか、という問題意識が初めにありました。確定拠出年金を実施している企業の中には、非常に熱心に投資教育に取り組んでいる企業もあれば、全く取り組んでいないという企業もあります。これは加入者の立場から見ると、同じ日本の確定拠出年金の加入者であるにもかかわらず、所属する企業によってその教育に機会の不均等が生じているということで、これは問題ではないかということです。

 このようにバラバラの状態であるというのは、1つには、企業の投資教育に対するコンセンサス、どういう責任があるのかのコンセンサスが広く共有化されていないからだという問題意識がありました。こういった問題があまり議論されてきた形跡がこれまでなかったので、一旦ここで整理をしようというのが1つの目的です。確定拠出年金が導入されてから6年ぐらい経っていますので、各事業主が投資教育に関してこれまで取り組まれてきた事例の中で、ベストプラクティスと言いますか、好事例が結構あるだろうから、それをなるべく多く集めてテーマ毎に整理をしておけば、今後確定拠出年金を導入する企業にも、あるいはすでに導入している企業にも参考になるようなガイドブックが作れるのではないかと、このような目的があってこの投資教育ハンドブックができました。

 あまり時間がないので、ポイントだけ紹介していきたいのですが、このハンドブックは4つの章からなっています。第一章は、3頁から始まりますが、これは企業年金連合会が毎年実施をしております投資教育に関する実態調査の状況がまとまっております。簡単に言ってしまうと、確定拠出年金を導入する時点で行う、いわゆる導入時教育はほとんどの企業が実施をしています。ところが、その後行うべき継続教育、こちらを実施している企業は非常に少なく、40%に満たないかその前後ぐらいの企業しか実施していません。その理由としては、予算的に厳しいですとか、あるいは研修にかける時間の捻出が社内的に理解を得られないとか、どんな継続教育をやったらいいかノウハウがないのでわからないなど、このような背景があるようなのですが、そういった実態がまとめられております。

 第二章は、投資教育を実施する際の事業主の法的な責任です。それを少し考察してみました。ご承知のとおり投資教育に関する責務は、確定拠出年金法第22条で努力義務と規定されているわけなのですが、やはりこの努力義務という言葉遣いがどうもわかりにくくて、事業主としての対応にバラツキが生じているのではないか、というような考察がありました。この検討会の中では、結論から先に申し上げますと、投資教育を実施することは事業主の義務であると、はっきり書いております。こう書くことによって現在なんの投資教育の取組をやっていない企業に対して、ウォーニングを発するという趣旨を持たせています。

 この冊子はそもそも企業向けにつくったものですので、企業向けのメッセージという意味合いが強い冊子になっております。そこのところをご理解いただきたいと思います。ただ、確定拠出年金は、加入者に自己責任を求める制度です。だから事業主の責任とは何だということになるのですが、一応整理としては加入者が、自らの判断で適切な資産運用を行えるような状況にまで、その知識水準を持ちあげて、初めて加入者に自己責任を問うことが出来るのだと、このような構成で書いています。多くの企業では確定拠出年金の導入に際して、既存の退職給付制度の一部や全部をスイッチする形で導入をされておりますので、確定拠出年金法では努力義務と書いてありますが、もっと根本的には、労働契約上、あるいは信義則上の義務として、重要な労働条件である確定拠出年金の導入に関しては、やはりきちんと社員に説明をしていく義務があるのだろうということを、書いているということです。これが第二章の話です。

 この報告書の本当の根幹は第三章の部分でして、これがボティになるわけですけれども、この第三章が投資教育の実例集になっています。基本的には、いろいろな項目毎に、左頁に論点、右頁にベストプラクティス等を並べるという構成に極力したつもりです。項目によってはそのようになっていない構成もありますが、必要に応じて関心があるところを見ていただければと考えております。

 最後に第四章の部分は、投資教育に関連する周辺エリアの課題についてまとめてあるセクションです。特に重要と思いますのは、個人情報保護法と投資教育の関係です。確定拠出年金法が制定されてから個人情報保護法の方が後で制定されたこともあって、加入者がどのような投資行動をとっているかの個人情報があれば、非常に効果的な教育ができるのに、個人情報保護法があるためにそれができていないという現状をここで認識しています。個人情報保護法による法益と、投資教育をきちんと効果的に実施することによる便益、この両方を斟酌して、後者が上回れば多少個人情報保護法のところも、なんとか緩めることができないか、といったような課題も、ここに書かせていただいています。簡単ですが大体以上がこの冊子の内容です。

 

○森戸座長

 ありがとうございました。次に濱谷課長お願いします。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 関連いたしまして、資料4「デフォルトファンドを設定する際の手続に係る企業型年金承認基準の改正内容」です。1頁です。いま説明を省略されましたが、投資教育ハンドブックの中でもデフォルトファンドのルール作り等について検討課題として指摘をされておりますし、研究会でも指摘はされておりますが、この4月からデフォルトファンドに関しての審査要領を基準として示したところです。デフォルトファンドという言葉遣いがあまりよくないという指摘をこの場でもいただきましたが、加入者から運用指図がない場合に、指図が行われるまでの間、あらかじめこのファンドで運用しますということを業界用語でデフォルトファンドと言っております。現在でも通常は定期預金と元本確保型ですが、そのような一定期間に指図がないときに運用する商品を決めている規約が多いですが、これまでかっちりした基準がありませんでしたので、そのルールを定めたものです。

 1つはデフォルトファンドについては、規約できっちり定めるということです。これは従来もこのような扱いになっております。現在は元本確保型の運用方法だけですが、投資信託等の元本確保型以外の商品をデフォルトファンドに定める場合の一定の手続ルールを定めております。1つは、そういったデフォルトファンドを定めること、元本確保型以外で運用するということについて、それと具体的な商品がどういう商品かということについて、説明をすることを規約に明記していただきたいということです。また、証拠書類ということで、それを書面または電磁的な方法で提供することを規約に定めるとのことです。(3)に書いてありますが、あくまで自己責任で自ら運用することが確定拠出年金の原則ですので、そういった方々に対しても定期的に運用指図ができるということを説明していただくということです。以上です。

 

○森戸座長

 ありがとうございました。引き続いて、自動移換者問題関係者連絡協議会の進捗状況について、国民年金基金連合会の郡司部長より説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 

○郡司部長(国民年金基金連合会)

 それでは自動移換者協議会につきまして説明をいたします。資料5です。自動移換者の協議会については、昨年10月に設置されて以降、各メンバーからこの問題についての基本認識、あるいは取組の現状につきまして報告を承わったところで、この問題についての論点の中間的な整理を行なった状況です。その中には概ね各メンバーのコンセンサスが得られた論点もありますし、今後引き続きコンセンサスを得るための協議が必要だという論点もあります。

 掻い摘んで説明を申し上げますが、概ね各メンバーのコンセンサスが得られた論点としましては、(1)にもありますが、自動移換者の発生の要因や背景といたしまして、これは特に若年層に多いわけですが、資産が少額であり、手数料が引かれて資産がいずれなくなってしまうという方で、個人型に移換して運用しようというインセンティブに欠けるような方のグループがいらっしゃいます。資産額が比較的多い方でも、自動移換のほうがコストが安いし、運用リスクを回避したいとのことで自動移換を選択されるという方もいらっしゃいます。こうした自動移換者の要因や背景を踏まえた対策を講じていくべきだというのが概ね一致した意見です。

 (3)は、自動移換者の対策といたしましては、企業型の資格喪失者がいかに自動移換者になることを防いでいくかという「入口」の対策と、一旦なってしまった自動移換者について、いかに正規の手続をとらせて自動移換者から出していくかという「出口」の対策と、これは分けて考えるべきではないかという意見が出されています。

 自動移換者の発生を抑制するための取組といたしまして、入口の対策が重要だとのことで、この入口の発生を抑制するためには、主に企業型年金サイドの関係機関の対応が重要になるわけでありますけれど、これにつきましては、協議会でも実例として報告があったわけですが、在職中から資格喪失の手続について、よく周知、教育をしておくと。退職後につきましても、退職者に対して、きめ細かい働き掛け、フォロー・コールやフォロー・ワーク、フォロー・レターといったきめ細かい取組を行なうことによって、格段に自動移換者の発生を抑制することができるという報告をいただいております。

 次の頁は、制度の仕組みが複雑でわからないため自動移換者になってしまうという方もいらっしゃるものですから、このような方々に対しては、できるだけ丁寧なわかりやすい情報の提供が重要であるということです。

 住所情報の把握ですが、自動移換者に対しては様々な通知が出されるわけですが、そのような通知の中に住所変更の届出用紙を同封することによって、自発的に届出が行ないやすい環境になるべきではないか、という意見も出されています。住所情報については、住民基本台帳からの住所情報の提供や社会保険庁からの情報提供を受けられるようにすべきだという意見が出されています。住所の把握のために費用がかかる場合のコスト負担の問題ですが、費用負担の公平性という見地から、当該自動移換者の個人別管理資産から徴収すべきである、いわゆる原因者負担の考え方でやるべきだろうという意見が出されています。

 その他の課題として、(2)ですが、確定拠出年金制度はポータビリティがメリットですので、その記録や資産が企業型あるいは個人型の年金移換で移動するわけです。そうした記録を正確に把握しておくためには、やはり企業型年金を含めて基礎年金番号の活用が図れるのではないかといった意見も出されています。

 次の頁は、今後引き続き議論が必要な論点という形でまとめております。自動移換者に対する基本認識という点では、3つに分かれています。1つはアに書いてありますが、自動移換者の存在は容認されるべきものではなく、その発生をなくすための制度的な対応が不可欠だという意見です。これは突き詰めると、そもそも確定拠出年金制度上、自動移換者という法律上の存在が必要なのかという議論につながります。イの意見は、自動移換者がいないことは望ましいが、現実的には、一定程度の自動移換者の発生は止むを得ないという意見であります。ウの意見は、自動移換という制度は、個人別管理資産の分散を防ぐという機能をはたしているので、自動移換を選択肢のひとつとして位置づけたらどうかという意見です。

 自動移換者の発生をなくすための制度的な対応といたしまして、デフォルト・プラン方式と企業型年金運用指図者方式が提案されています。デフォルト・プラン方式は、あらかじめ企業型年金規約において、移換の申出を行わない時の移換先の個人型プランを決めておくというものです。これはいわば米国のIRAへの自動移換に近い仕組みです。企業型年金運用指図者方式は、企業型年金にいたいという方については、企業型年金に留め置いたらどうかという意見で、これもアメリカの5,000ドル以上の高額資産の方の対応を類似したものです。

 自動移換者から徴収する手数料の設定について、違った意見が2つ出されております。1つは、自動移換者に関わる事務に要する費用を考慮して、その実費は弁償という観点から手数料を設定すべきであるという意見と、もう1つは先ほど自動移換者の発生の背景ということでもありましたが、自動移換の状態に「安住」させないような経済的な誘因の効果を考慮した手数料体系にすべきであるという意見と2つ出てきています。

 入口の対策として、企業型年金資格喪失者へのきめ細かな対応が重要だとのことですが、そうした対応は誰の責任でやるのかという点につきましても、事業主の責任で行うべきであるという意見と、企業型運営管理機関の自助努力で行なうべきであるという意見に分かれています。

 脱退一時金の要件の緩和については、自動移換者の問題を議論する際に脱退一時金の要件緩和について、議論は避けて通れないだろうというのが概ね一致した意見です。多くの方が脱退一時金の要件緩和をすべきであるということでした。例えばウに書いてありますが、アメリカと同様、ペナルティを支払ってそれと引き換えに脱退を認めるべきだという意見が出されています。これに対して、確定拠出年金という性格を考えれば、安易に中途脱退の要件を緩和すべきではない、それは慎重に考えるべきだという意見が出されています。

 記録のみの自動移換者、いわゆる資産がない方ですが、こういう方の取扱いについては、そうした方の記録をそもそも管理する必要があるのか、というような意見が出されております。また資産を持っていないわけですから、そういう方の管理コストについては、その他の自動移換者から徴収される手数料から賄っているわけで、そうした点は不公平ではないか、という意見も出されています。法の規定の場合はそういう方は自動移換者の対象にならないわけですが、法の規定どおりにやったらどうかという意見も出されております。自動移換者の資産の管理といたしまして、現在は利息のつかない決済性預金で管理をしているわけですが、少しもったいないのではないか、少し利息がつく形で運用したらどうかと、その果実を自動移換者へのサービスの向上に充てたらどうか、という意見も出されております。

 その他の提案といたしましては、例えば(2)にも書いてありますが、現在資格喪失後6カ月という基準があるわけですが、これについてはもう少し、1年ぐらいに延ばしたらどうか、そのような検討をすべきではないか、という提案もなされたという状況です。

 以上が自動移換者協議会の状況ですが、今後の進め方ですが、最後の頁、5頁です。6月11日に有識者ヒアリングということで、ここにおいでの野村亜紀子先生に米国の制度について、きわめて貴重なお話を伺ったとのことでして、今後更にもう一方の有識者からのご助言をいただきたいと考えております。引き続き議論が必要な論点について議論をしていくわけでありますけれども、有識者のご助言を参考に取りまとめていきたいと思っております。この問題というのは、やはり私どもだけで解決できる問題ではありませんので、企業方サイドあるいは個人方サイドの協調的な枠組みを作っていくという方向で報告書を取りまとめたいと思っております。以上が今回の状況でございます。

 

○森戸座長

 ありがとうございます。ただいま説明がありました3つの項目、投資教育ハンドブックの話、デフォルトファンドの承認基準の改正の話、自動移換者の話がありました。時間の関係で3つまとめてですが、いまのこの項目につきまして、ご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。

○野村委員

 ただいまの自動移換について私の日ごろから少し考えていることを申し述べたいと思います。いまの郡司部長のお話でも、要するに中途脱退の話は避けてとおれない部分があるというご指摘がありました。そういうところもあるとは思うのですが、もっとそもそも論的なことをあえて申しますと、いわゆるポータビリティがきちんと真の意味で確立できていないから、自動移換に至ってしまう部分があることを忘れてはならないのではないかと思います。つまり、自分の個人資産を確かに持っていけるかもしれませんが、加入資格の制約によって拠出を続けることができないというケースに往々にして陥ってしまう。例えば第3号保険者の方がいちばん典型的な例として思い浮かぶところです。そのようなことが仮にない、勤め先が変わったり、あるいは就労するかしないかということを置いておいて、基本的に拠出を続けて運用を続けて60歳にゴールインできるという展望があるのであれば、例えば若いときにその時点で少額であっても続けられるという道があれば、必ずしも無関心になる限りではない方も、もっといてもいいのかなと思います。

 また、加入資格がいまは細分化しているところがありますが、制度のわかりにくさにも直結していると思います。そもそも加入対象をもっと幅広くする対応によって、自動移換の根本的な要因を取り除き、その上で脱退一時金の話になる。順番としては加入資格の拡大を先にしていただきたいという気がしました。

 もう一点は、これからいろいろな方策を講じて工夫を重ねていくと思いますが、どうしても行動してくれない人が残ってしまうのではないかと思います。100%は難しいだろうというときに、そのような方々によって生ずるコストを誰が負担するかです。今の議論はこれをグルグル回しているような印象があります。いまは国民年金基金連合会が、かなり全面的に負担しています。

 ただ、先ほどあった選択肢のうちの企業にある程度残すとなると、今度は企業、あるいはその企業の運営管理機関などが負担をするという話になります。あるいはアメリカに倣って個人型に自動移換となりますと、今度は個人型の運営管理機関が移ってきてしまった資産の保有者が住所不定になったときに困ってしまい、そちらに負担が移る。結局誰かがどこかで行動しない方々の分の負担を受けることにならざるを得ません。どこかの時点で、もう十分ですということで、どういうやり方があるのかわかりませんが、例えばそういう資産が金融機関の休眠口座などのときにどういう措置が適用されているのか、ということなどを参考にする。ここは発想を広げて、公的年金だとそういう割切りはなかなかできないと思いますが、企業年金ですので、業者も営利組織の民間の金融機関ですから、この点を視点として是非入れていただければと思います。

 

○森戸座長

 いまのご意見は非常に重要だと思います。後半のことはもちろんですが、後半の話に行く前に前半の部分で、そもそも制度上、ポータビリティなり、加入資格でややこしかったり、入れなかったりということのある結果ということもあるでしょうから、そこから検討しなければいけないというのはそのとおりだと思います。

 自動移換自体は、非常にテクニカルな問題のような感じもしますが、結局その制度全体の枠組みに跳ね返ってくるところがありますので、そこの関係を忘れずに、制度全体をどのように良くしていくかという観点も議論して、その中にこの問題もあるのだということを忘れないようにしなければいけないと、いま改めて思いました。自動移換のこと以外、デフォルトファンドのこと、ハンドブックのことでもよろしいのですが、ほかにいかがでしょうか。

 

○駒村委員

 あまりよく理解しないで質問しているかもしれません。投資教育ハンドブックの中の56頁の個人情報の話について、非常に重要な指摘で、こういう障害があることがよくわかったのですが、企業福祉のほか、今後重要になる企業福祉は健康増進の部分と企業年金の部分だと思います。

 不思議に思うのは、メタボリック症候群の指導においても、健康保険組合は情報をもらって、その対象者、予備群については、企業などに委託して健康指導をある意味でやっていいという仕組みになっているわけです。そういう意味では、個人情報をそこでどのように乗り越えているかわかりませんが、その個人情報を使って有効なアドバイスをしていくという仕組みが一方で作られている。

 一方では、こういう形で個人情報は従業員の福利を改善するためにも、使うときには非常に制限が付いているというのは、企業福祉における個人情報の取扱いというのは、一体どういう考え方で、これが対象になって、これは対象にならない、というのが区分けされているのかよく分からないという感想を持っていたのです。この解釈はこういうものでどうしようもないのでしょうか。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 現行の運用として、1つは個別の誰が、どの商品を買っているかなどについては自己責任で、事業主がそこまで個別に知る必要がないのではないか、そういう意味では必要性が乏しいのではないかということで、現行はこのような扱いになっています。

 投資教育の際に、統計的な処理や、ある程度元本確保型の人がどのぐらい買っているかなどについては、現在でも個人情報の保護法には引っかからないわけです。

 法令上の整備を申しますと、確定拠出年金法でも個人情報保護法でも、画一的にこれが○、これが×ということではなく、そういう意味では各制度の運用、趣旨目的に委ねられているところがあって、そういう意味では○とか×とか一義的に決まるところではありません。

 そういう意味では、個人情報のこのような扱いについて、現行のままでいいのか、もう少し把握する必要性があるのか、あるとすれば、どの程度の必要でどこまでが必要なのかというところは、まだ企業側の実態なども十分把握できていないところもあります。例えば投資教育のために、こういう場合にこういう情報が必要だとか、現行でも個別に同意を取れば情報が出せるわけですが、同意スキームではなかなか難しいのかどうかなども含めて、これは検討課題にさせていただきたいと思います。

 

○森戸座長

 駒村委員は、社員のお腹が出ているか、出ていないかを企業が把握していいのに、こちらのことは把握させないのか、ということですか。

 

○駒村委員

    例としては良くないのですが。

 

○森戸座長

 いやいや、いいと思います。

 

○駒村委員

 企業福祉の中で従業員情報をどのように扱っていくのかを、どう整理しているのかという整合性の意味や、そこはもっと整理をし直して明らかに本人にアドバイスをするほうが本人にとっても良い場合。例に挙げられているのは、全く年金を放置しているケースで、もう少しアドバイスをしやすい工夫がいいのではないかという個別ケースについては、個人情報を少し整理し直して入っていけるような形にはできないのか、という問題提起です。

 

○森戸座長

 労働安全衛生法上の健康診断の義務が企業にはあるので、それをベースにしていると思いますが、健康情報も個人情報保護やプライバシーなどで、法的にはそれなりに問題にもなっていますので、一定の整理はあると思います。いまいろいろ申し上げて違っているといけないので、例えばその辺の比較のようなことも、つまり健康情報に関しては、このような感じで企業は把握している、他方で確定拠出年金の情報に関しては、こういう縛りが付いていて、比較すると、これは駄目で、これはできる、というのを企業福祉という観点では共通するわけですから、このように違います、でもその趣旨はこちらはいいが、こちらは違うのだから、違っていいのです、というような説明があるのなら、その辺も何かの機会に、できる範囲まとめていただきたいと思います。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 いまの話は宿題にさせていただきたいと思います。ただ、メタボの話などは、健保組合の保険者に、個別にそういう指導をするということに責務がかかっています。少なくとも確定拠出年金で個別の商品については、むしろ事業主が口を出してはいけないところがありますので、口を出さない範囲の手前で、いわゆる投資教育一般のためにどこまで必要かというところの線引きの違いがあるのではないかと思っています。

 

○森戸座長

 口を出すことになっているのと、なっていないものの理由づけというか、それを改めて確認できればいいのかと思います。大体いまのご説明だと思いますが、メタボの話まで行き、勉強になり、よかったと思います。ほかにいかがでしょうか。

 

○伊藤部長(小島委員代理)

 今回、投資教育ハンドブックを企業年金連合会が作られて、先ほどもご説明がありましたが、基本的に事業主の投資教育の努力義務は責務なのだと位置づけられたということで、大変心強いと思っております。これと先ほどの自動移換なども関わってくると考えておりまして、退職時の投資教育という意味でも、退職する方が確定拠出年金に入っていたら、きちんと手続をしてください、という指導をし、代わりに移換手続をするぐらい面倒を見ることまで投資教育の範囲に含まれるなどと、企業の役割が位置づけられないものかと思っています。

 国基連の協議会のペーパーでも、例えば自動移換となる期間を6カ月から1年にすることも検討したらどうかというのが4頁の下の方にありますが、延ばしても円満退社でなければ、どこへ行ったかわからなくなり、住所もわかりませんし、退職時にやるしかないと思います。とにかく事業主の責務ということで是非やっていただく中に入れてもらいたいと思っています。

 最近、確定拠出年金教育協会の話を聞く機会があったのですが、こちらでも投資運用実態調査をされたということで、大手の所に聞いたにもかかわらず、投資教育どころか、社内の退職給付制度自体を教えてほしいと、従業員が多くの割合で言っていたりするという実態も出ているようですので、投資教育以前に、もっと従業員に対して周知というか説明をしなければならない部分がまだまだあるのかな、という感じがしました。

 

○森戸座長

 このハンドブックは、先ほどありましたが、浦田座長に相当ご尽力いただいてまとめたもので、私も含めて、いろいろなことを言う人がいっぱい集った会でしたので、浦田さんもだいぶご苦労されたと思いますが、まとめていたただいて、かつ、ただまとめるだけではなく、先ほどご紹介になったような一定の方向も出したものです。いま伊藤部長がおっしゃったことも含めて、たぶん議論をある程度したのかと思いますので、またご活用いただければと思います。

 

○今井本部長(岩本委員代理)

 自動移換の点で、個々の論点は別として、基本的なところでは分散を防ぐ意味から必要な制度かと認識しております。その上で、取組・対応という点ですが、もちろん退職時に本人に聞くと、そういういう点について理解を求めることは当然必要ですが、退職後、引き続き事業主の責任でずっとフォローしていくことについては、実態としてかなり難しいものがあると考えております。

 

○森戸座長

 もちろんそれ自体、自動移換の協議会で検討されていると思います。何かつかまえる時点としては、退職時が重要であろうということは、伊藤部長もおっしゃったことだと思います。あとはそれをどのように無理のない形でコストの負担なりをしていくかというのは、野村委員が先ほど言われたとおりかと思いますので、そこの検討を引き続き国基連にもお願いしたいと思います。

 ほかにいかがでしょうか。まだご意見がおありかもしれませんが、時間の関係もありますので次にまいりたいと思います。次は、審査の効率化等について、事務局からご説明をお願いします。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 それでは資料6、7、8を説明いたします。まず資料6「企業年金制度における規制緩和等について」です。1頁です。規制緩和以外のものもありますが、現在のところは3点ほど検討中です。まず1点目は、障害・遺族給付金の基準額の改正です。現在、確定給付企業年金、厚生年金基金においては、老齢年金のほかに障害年金・遺族年金も給付できるわけですが、現在は個人ごとに見て、老齢年金の額を上回らない額、例えば月額老齢年金5万円ですと、その額以内という制限がかかっていますが、制限を緩和して、各企業年金全体で障害年金あるいは遺族年金の総額が老齢年金の総額を上回らない額を基準とするという内容です。公的年金でも障害1級の場合には1.25倍とか、障害年金を手厚く給付することもありますので、ここは企業の判断に、この範囲内で委ねようという内容です。

 2点目が、企業年金分割の際の資産の按分方法等とありますが、合併・再編等における企業年金の基準緩和特例です。4頁を見ますと、現在特に大きく2つ例があります。1つ目は、総合型の厚生年金基金で、基本部分と第1加算という2階建て構成が通例ですが、特に適格退職年金を設立事業所が行っている場合に、厚生年金基金で合わせて、これを持ってきて給付としたいというニーズが結構あります。こういう場合に、基本部分と第1加算は、現在はこういう給付を持ってきても、財政単位として一本になっており、仮に適格退職年金の第2加算部分に積立不足があった場合でも、全体で積立不足を負担する、あるいは剰余があった場合でも吸収されてしまうという扱いになっております。

 2つ目の例は、グループ企業で共同して確定給付企業年金を実施するという例です。グループ企業でそれぞれ別立てで企業年金をやっていたのを退職給付の統一化等で一本の企業年金にしようという例が、特に基金型によくある例として、共通給付区分を作り給付区分をいくつかに分ける。例えば、技術職等で長い期間働く方については少し高めの給付、営業マン等で転退職が少し激しい方には、少し低めの給付で、その分給与に上乗せするとか、そういう例があります。設立事業所が同じように、それぞれの企業年金、適格退職年金等を持ってきた場合に、積立不足等が全体での認識で反映されてしまうということで、なかなか持っていきづらいということがあります。こういうことに配慮して緑の部分について区分して管理して、財政単位として別々に運営していくことを認めようという内容です。大まかな内容は以上です。

 全体で財政認識することと、こういった区分管理をするときの違いですが、原則的取扱いとの相違点が3頁にあります。現在では、企業年金全体で100%を目指して掛金をかけるということですが、今回の場合では給付区分ごとに剰余や不足があった場合に、不足がある所について掛金をかけることが可能になるということです。結果としては、企業年金全体で100%を超える積立水準になることがあり得るということです。ただし、現在でもそうですが、150%を超える場合には、それ以上は掛金がかけられないという制限がありますが、150%の上限は引き続き適用されます。

 3頁のいちばん下です。一方で解散時においては、年金あるいは残余財産分配をすることになるわけですが、受給権には給付区分ごとに差異がありませんので、公平に分配する必要があり、解散時においては全体として100%までの掛金の拠出まで認めるという内容です。

 関連して8頁です。いまご説明したのは、恒常的に給付区分を別々に設ける場合の扱いですが、これはある企業年金に中途で事業所が編入する場合の特例です。現在は一言でいいますと、中途で編入する事業所が剰余金を持っていても、それは編入された時点で企業年金全体に吸収されるという扱いになっています。一方で、積立不足がある場合には、持ってきた編入時の積立不足については、その企業の負担になります。このように、剰余と積立不足があった場合の取り扱いはアンバランスになっています。

 今回、編入する事業所が剰余金を持ってきた場合には編入時の剰余金については別管理をして、そこから少しずつ取り崩して全体の積立不足に充てることを認めようということです。原則的取扱いとの相違点、掛金の扱い、解散時の扱いについては、先ほどのグループ給付区分の場合と同じです。

 最後に1頁に戻り、事業所の合併等による基金脱退時の手続の改正です。これも合併・再編絡みですが、現在は確定給付企業年金、厚生年金基金は、典型例としては総合型の厚生年金基金の事業所が他の会社に吸収合併されて厚生年金基金を脱退する場合、規約変更が必要です。その場合の規約変更は届出ですし、吸収合併される事業者について、当該事業所の事業主や組合との同意は必要ないという運用をしておりますが、労働条件の変更等になりますし、法令上は脱退時には事業所あるいは組合等の同意が必要となっておりますので、法令の原則どおり、吸収合併等によって脱退する場合においも規約変更を大臣の認可にするとともに、事業主や組合等の同意が必要という扱いにするものです。

 ちなみに例示の話として健保組合でも同様の事例が ありますが、健保組合ではすでにこういったケースについては組合、事業主等の同意が必要という運用になっております。当面こういう規制緩和等について、近々改正する方向で検討しております。この研究会でも指摘されている届出事業の拡大、添付書類の簡素化、給付減額基準の明確化等について引き続き検討し、追ってお示ししてまいりたいと考えています。以上が資料6です。

 資料7は報告です。適格退職年金は次に説明いたしますが、今後適格退職年金の移行等に伴い、規約変更等の審査事務が大量に発生することが見込まれますので、審査体制の強化を図るということです。平成20年度の組織移転要求で関東信越厚生局と近畿厚生局に数理専門官の設置がそれぞれ認められており、これに伴い、一定程度厚生局にも権限を移譲した上で、審査の迅速化等を図ってまいりたいということです。ちなみに近畿厚生局については、6月1日からすでに配置されておりますし、関東信越厚生局についても近々再募集をかけて、できるだけ早く配置したいと考えております。

 資料8は、適格退職年金についてです。1頁は、連絡会議の設置についてです。一昨日、課長クラスの適格退職年金の円滑な移行の推進に関する連絡会議を設置しました。趣旨は、適格退職年金は、平成23年度末に廃止されますが、この3月で未だ440万人が加入しているという状況です。

 2頁は、適格退職年金の現況及び企業年金等への移行状況についてまとめた資料です。左側の適格退職年金のところを見ますと、平成14年3月末は7万3,000件だったものが3万2,000件で、減少数約4万件。917万人が443万人ということで減少数は474万人で、過半数が移行していますが、逆に言いますと、まだ440万人が残っています。残りが4年を切りましたので、単純計算でいきますと、100万人強ずつ移行しなければ間に合わないということで、この際、少し移行促進を政府全体で図っていく必要があるのではないかということです。

 ちなみに今般、受託金融機関の協力を得て、実態を直近で把握したものを含めた移行状況がこちらの表です。厚生年金基金に移行したものはまだ少ないのですが70、確定給付企業年金が4,475、確定拠出年金が4,707で、いわゆる企業年金に移行したのが9,252事業主です。片や4万件、片や事業主ベースですので単純にはいきませんが、大ざっぱにいうと、約4分の1が企業年金に移行し、中退共が1万4,325で4割弱なので、合わせて約2万4,000事業主、約6割が制度移行をしており、残りの4割が解約等という状況です。私どもとしては、できるだけこの制度移行を促進してまいりたいということです。

 1頁に戻ります。こうした状況を踏まえて連絡会議において、連携して適格退職年金の円滑な移行の推進を図ってまいりたいということです。

 検討事項は、適格退職年金の移行予定及び移行実態 の把握ですが、事業主サイド、受託金融機関サイドに移行予定及び移行実態についてアンケート調査等を、当面緊急に実施してまいりたいということです。また2、3年前に1度広報を行っていますが、政府広報を中心に改めて広報を行っていくというのが当面の課題です。

 メンバーは関係省庁ということで、受託金融機関の指導・監督の立場から金融庁、適格退職年金の所管の財務省、中退共所管の勤生部、年金局。農協でも適格退職年金を持っておりますので農水省、事業主サイドの所管ということで経産省、中小企業庁です。なお、必要に応じてオブザーバーの参加を求めることができるとあって、第1回目は関係省庁のみで開催しましたが、第2回目以降は経済団体や金融機関の関係団体等にもオブザーバーとして参加をしていただき、官民挙げて推進を図ってまいりたいと思います。以上です。

 

○森戸座長

 ありがとうございます。いまご説明のあった項目について、ご意見、ご質問等はいかがでしょうか。

 

○小野委員

 確定給付企業年金のことが多いので、発言させていただきたいと思います。まず全体の話を質問させていただきます。いくつかの項目はパブリックコメントに出ていますが、いくつかは出ていないということで、出す出さないの基準を理解していないものですから、それを伺いたいと思います。それと、私が聞くのは不相応だと思いますが、この研究会との関係で感想を申し上げればよいのかなど、その辺をお聞かせ願えればと思います。

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 まずパブリックコメントですが、1番と3番はパブリックコメントの対象で、2番はパブリックコメントの対象外になっています。パブリックコメントの対象かどうかは、規約の許認可や許認可にかかわる事項についてはパブリックコメントの対象です。

 2番の企業年金分割の際の資産の按分方法等ですが、これは必須的規約事項ではありませんので、そういう意味では規約の許認可にかかわらないということでパブリックコメントの対象にはなっていないという整理です。

 この研究会との関係ですが、企業年金全般についてご議論いただく研究会ということで、現在、政省令については政府部内でも議論中ですが、ご意見を賜りできるものについては反映させてまいりたいと思います。

 

○小野委員

 わかりました。もう何点か伺いたいと思います。第1点目の障害・遺族の関係です。これは濱谷課長から資料を頂戴してご説明いただいたのですが、2頁の図を見ても、具体的に新しい基準がどうなるかがわからないという感想を持ちました。最近、制度設計の基準に給付現価というのが出てきて、これが判断の材料にされるのですが、給付現価というのは、評価のための割引率もありますが、その給付に関する保険事情の発生確率なども入るわけで、それが時々の再計算によって変わってしまうこともあるわけです。従って、給付減額を中心としてやむを得ない場合もあるかもしれませんが、給付現価を制度設計の基準とすることは最小限にすべき、というのが個人的な感想です。

 その次の確定給付企業年金における財政運営に係る改正案ということで、第1点の給付区分の管理に関する部分ですが、これは非常にまとまっていてよろしいかと思います。1点申し上げたいのは、これによって不足の給付区分と剰余の給付区分があったりするということですが、この辺りは年金制度全体としての剰余金や不足金のあり方なり、それの個々の帰属問題など、かなり基本的なコンセプトにかかわる部分ではないかという感じがあります。

 ここで確認したいのは、原則的取扱いという部分が、今までどおりになっているのか、やや不安な面があるということです。具体的に申しますと、5頁の左側の図の吹出しの中で、資産の按分の基準が数理債務比と、限定的に書いている辺りが、現状、区分管理をしない基金についても影響が出てくるのかどうかがよくわからなかったのです。

 それから、編入時の積立金の話です。継承事業所償却積立金というのも複雑で私の理解が正しいのかどうか自信がないのですが、こういった基準を設けるときには、企業の普通の取引の常識から、不自然でないことが重要で、そういう意味では、そういった部分を残すと企業というのは裁定機会を取ってしまい、結果的には易きに流れる部分というのは当然出てきます。そういう部分を考慮し、なるべく中立的な基準にしたいという観点から2つほど申し上げたいと思います。

 1つは、編入時の扱いが、新規設立との関係で整合性がとれているかどうかという点です。新規設立でできなかったものが編入時にできてしまうということになると、一旦4月1日に設立したあと、4月2日に編入すればいいではないかという話になりますので、そこはある程度の整合性があったほうがいいのではないでしょうか。

 それから、承継事業所の償却積立金の扱いです。これは図を理解しなければいけないのですが、例えば特例的取扱いを基金として決めた場合に、ある時点で債務が100億円あって、積立水準が150%で、資産が150億円あった場合、そこに債務が10億円で同じ積立水準150%の15億円の資産を持った確定給付企業年金制度があって承継されてきたという場合に、5億円は承継事業所の償却積立金になってしまいます。

 そういう形で運営が始まった途端に、極端ですが、資本関係が変わってしまい、一旦編入した事業所が脱退するとします。図を拝見する限りでは、まず5億円を取り置き、それ以外は、一定の基準で分配するということで、出ていくときのお金は、簡単な計算をしますと、15億円が19.5億円ぐらいになってしまうと理解しています。これは瞬間的に市場がクラッシュした場合や、瞬間的に市場が好転した場合などを考えても、一旦入ったあと、すぐ出ていくという事業所を考えると、残っている事業所にとっては納得できない結果になってしまうのですが、ここに書かれた取扱いが、こんな理解で正しいのかどうかというところも含めて伺いたいと思います。

 私は個人的には数理債務ではなくて、責任準備金は、そもそも積立金との比較において財政上の剰余・不足を把握するためのツールですので、責任準備金の比によってみなし資産を充てることは、全体で資産をシェアしつつ、合理的なリスクの配分をするという考え方になるのだろうと思っています。必ずしも否定すべきではないと考えていますが、どちらかというと、責任準備金という考え方がちょっと後退しているという印象もありますので、その辺りは全体的に伺いたいと思います。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 逐一というわけにいきませんので、大ざっぱな方向だけ申し上げたいと思います。本日の資料は、かなり大枠なものですので、例えば、いまの企業年金分割の話については、省令あるいは通知マターです。

 現行の扱いもご指摘のとおり、現行の扱い自体がどこまでが○で、どこまでが×かというところは不明確でグレーな所も結構ありますので、そういう意味では現行の扱いも含めて、少し整理をした形で、ルールづくりをしていきたいということです。

 給付現価が曖昧ではないかというお話ですが、障害・遺族給付金に限らず、特に給付減額の際に、総給付現価が減数するかどうかというところは、まず給付減額のメルクマールになっているところで、給付現価の計算の仕方のルールが曖昧ではないかというご指摘もありますので、そういう意味では資料の1頁の最後に「給付減額基準の明確化等について検討中」とありますが、ここの意味はまさに総給付現価の意味合いを明確化する必要があるのではないかということで、事務的に検討させていただいております。

 途中編入時で150%を超えた場合には、すぐ出ていくときに召し上げになるのではないかという話ですが、現在はとにかく150%を超える、超えないにかかわらず、資産があれば全部召し上げで、出ていくときには企業年金に置いていかなければいけないというところを改正しようという趣旨です。まず方向としては、まさに小野委員がおっしゃった不公平を解消するということで、こういったルールにするということです。

 150%を超えたときにどういう按分をするか、あるいは新規設立のときに過去分の適格退職年金を引きずって、それで新規設立するときの扱いとの均衡や、ご指摘のような均衡論としてもありますので、そういった均衡論も含めて、業界からもご指摘いただいていますので、検討してまいりたいと思っています。

 

○森戸座長

 確認ですが、規制緩和の2で、これはあくまでも企業年金分割の際の按分方法ですよね。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 省令でカチンと規定するのは、企業年金の際の分割の方法ですが、これを突き詰めていきますと、日ごろからグループで給付区分の管理をしていかないと、分割の際にこういう扱いができませんので、そういう意味では資産の按分方法、分割の方法を省令で規定するのに併せて、通常時の企業年金の財政の管理の仕方についても、それに合った形でのグループでの管理を運用として認めていこうという話です。

 

○森戸座長

 分割の話だと、私も細かいことになると怪しいのですが、分割して、それこそM&Aではないですが、企業も分割している、年金も分割するというときに、今まではできなかった形で資産を持っていけるかもしれないという、そこは少し条件が緩和された改正かなと思ったのですが、そういう理解では違いますか。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 例えば4頁で言いますと、Aが1つの事業所のグループ、Bがもう1つの事業所のグループと単純化して、もともとは別々の企業年金だったものを、共通の部分を作って給付区分を別々に作るということを想定しますと、共通の部分は共通ですのでここは分割できませんが、上乗せした部分については区分をして、仮に分割する際には持っていけるようになるということです。

 ただ、ここで少し我々としてこだわっているのは、これはあくまで給付区分ごとに給付設計が違うということに着目していることと、共同でやる以上は共通の部分が必ず必要だということで、完全にバラバラで事業所ごとに縦割りでそれを個別に管理して自由自在に分割などができることになると、それぞれの企業年金を単純にくっ付けているだけにすぎませんので、あくまでも共通の財政単位で財政責任を共同で持っている所があるという前提で、こういうことを認めるということです。

 

○森戸座長

 細かくなると時間がなくなってしまうので、このぐらいにしますが、いずれにしても規制緩和等を検討中ということですので、当然なぜそういう改正がされるかという説明はあるわけです。それをちゃんとしていただくということで、小野委員のご質問に対しても、その中にある程度答えがあるのではないかと思います。それもよろしくお願いいたします。これ以外にも規制緩和等ということでほかにも出ていたのですが、いかがでしょうか。

 

○島崎座長代理

 いま座長から指摘のあった2番目の規制緩和の部分というか、資産の按分のところに関して申し上げたい。先ほどの小野委員の質問にあったように、我々はどういうオブリゲーションを持っているのかという感想だけを述べればいいのかということとも関係するのですが、仔細に見たときに、確かに今までの取扱いがちょっと変だと言えば変なのかもしれませんし、企業のダイナミックな合併や再編に対して、むしろいろいろな規制が阻害要因になっているのであれば、それを是正していくことは必要なのだろうと思います。しかし、一方で、個人の受給権の保護や、そもそも何をもって1つの基金なり1つの企業年金として考えるのかという、つまり、比喩的に言うと「ミシン目」をどの程度まで入れればいいのかということについては、結構デリケートな問題を抱えているはずです。

 現価について私も1年少し前に勉強しましたが、これまでの規制緩和の歴史を繙くと、結構際どいことをやっていることがあるという印象があります。ですから、その点は十分吟味して遺漏がないようにしていただきたいと思います。

 

○森戸座長

 私もそういう趣旨でして、どういう問題があって、どういう不都合があるので、こういう改正が必要であるということを最低限説明していただければと思います。なかなかわかりづらいところもあるのですが、私も島崎委員と同じように、この辺りは細かい話のようですが、それなりに重要なポイントを含んでいる話かなと思いますので、それをお願いしたいと思います。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 そもそもの趣旨論が、なかなかうまく説明できなくて恐縮です。4頁ですが、典型的な関係団体等からの要望は、2番目のグループ企業で共同して確定給付企業年金を実施するケースということで、いまでも給付設計自体は労働条件の違いでいくつかグループで区分して給付設計をしてもいいということになっています。あくまで財政単位は一本というのが原則になっています。

 そうすると、1つの事業所の中で、労働条件に応じて給付設計を変える分には、掛金自体は1つの事業所が負担するので、ある意味で何の問題もないのですが、10とか100という複数事業所が集まっていくつか給付設計を作り、もともとあった適格退職年金などをしたときに、積立不足で持ってくる、剰余で持ってくるなどいろいろな財政事情が、特にAとかBとか2階部分についてかなり違うケースがあります。今の運営ですと給付設計自体はバラバラで作ってもいいのですが、過去の積立不足や全体として債務として認識してください、ということになります。ですから、共同連帯債務で、簡単にいうと頭割りで負担しなければいけないということになっています。

 それが例えば適格退職年金などを持ってくるとか、グループ全体で企業年金を設計するときの損得が出るものですから、かなり阻害要因になっているということで、関係団体からは、完全に個別の事業所ごとに資産などを管理することを認めてくれないかという要望があったわけです。

 ただ、完全に個別な事業所ごとの管理ですと、それぞれ独立の企業年金が単に事務局を一緒にしていることと変わらず、共同で財政責任を負っているというところが曖昧になるものですから、そういう意味では事業所ごとに区分するのではなく、あくまで給付区分ごとに管理する。しかも財政責任を共通で持っている部分が必ずある、共同で財政責任を持っているという実質が必ずあるということを条件にして2階建というか、それぞれの事情が違うところについては、財政管理、財政運営を別々にやってもいいということです。ただし、受給者にとっては、受給権はどの事業所に属そうが同じ権利ですので、解散時においてはそこの区分ごとの財政状況にかかわらず、平等に分配するという考え方です。

 

○森戸座長

 共通給付区分というのは、もちろんあるということと、実際に要望があることもわかりました。いまの理解だと、そういうのが不公平だと思うなら持ってこなければいいではないかとなるところを、そうではなくて、その要望に応える形で、ある程度緩和しようということなのだと思います。

 島崎委員も私もそうなのですが、結局受給権の保護において、何か変なことが起きないかどうかはチェックしてくれということ、解散のときはとりあえず平等だということです。だから心配は、入ってきたが、また出ていくというときに何かないかということですね。いまご説明があったと思いますが、その辺をきちんとしてくれということですね。

 

○島崎座長代理

 基本的にそういうことです。解散のときの説明は書いてありますが、移ったり、抜けたり、入ってきたりとか、いろいろなケースが想定されるので、そのときに受給権保護という観点から、ここの詰めが甘かったということのないようにしていただきたいと思います。

 もう1つお尋ねしますが、施行はどうするのでしょうか。規制緩和だから、過去に遡らず、将来に向かって認めるという形をとるのでしょうか。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 基本的には事務的な作業が終了次第、一定の猶予期間をもって、その時点において、そこから先の掛金にしか適用しないということではなく、昔のものも含めて、遡及ではないのですが、こういった扱いを認めるということです。

 

○森戸座長

 ほかの点もあると思うのですが、適年の話で、1点だけ事務局によろしいですか。連絡会議設置ということですが、1点目は連絡会議というのは、例えば議事録みたいなものが公開されるようなものなのでしょうか。

 もう1点は、自動移換ではありませんが、適年もなくなり大変だと言っているが、もちろんわかっている会社もあるでしょうが、まだ加入者もこれだけいる。そうすると、自動移換ではありませんが、適年が終わってしまったが、お金はそのままだというケースがゼロではないかもしれないという気もします。そうなったときに法的にはどうなるのか、何が起きるのかのコンセンサスというか、政府として、こうなってしまいますという説明というか、そういうのがなされているのか。そういうこともこれから公表されたりするのか。そもそも何が起きるのかということもあると思いますが、その辺を伺いたいと思います。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 まず、この会議の扱いですが、第1回目の関係省庁間で扱いについてルールを決めております。会議自体は基本的には関係省庁の連絡会議ですので非公開です。提出した資料については、特に非公表と決めたもの以外については求めに応じて公表していくという扱いにしたいと思います。

   適格退職年金が仮に残った場合、特に税務でどのような扱いになるのか、関係団体から税務当局に照会をしておりますが、回答がない状況です。たぶん税務当局から現在回答はありませんが、これまで解約を行うなどして、とにかくなくす前提で努力をしてきていますので、現段階で残ったらどうかということを前提に、いろいろな法解釈を詰めるのはいかがかという観点があると思いますので、私どもとしては現段階では円滑な移行に向けて最大限努力するというのが、いまのスタンスです。

 

○森戸座長

 わかりました。もしかすると余計なことを言ったかもしれません。ただ法的にというか、税務的にというか、考えておいたほうがいいのかなと。それを逆に広報なりにも使えるのかと思ったものですから伺いました。適年の話と、先ほどの話と、数理専門官の話の説明からありましたが、ほかによろしいですか。それでは次に行かせていただきます。次は、「企業年金における住所管理対策等について」、事務局からご説明をお願いします。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 それでは、資料9、10、11の3つを簡単にご説明いたします。まず資料9「企業年金における住所管理対策について」です。1頁です。すでに旧聞に属するかと思いますが、本年4月から住所管理対策を2つ講じております。1つは、社会保険庁から厚生年金基金企業年金連合会に対する住所情報の提供で、4月からすでに厚生年金の受給者の住所情報は提供されており、10月からは被保険者の情報も含めて提供する予定です。

 厚生年金基金サイドですが、これまでは必ずしも住所管理の責任が明確ではなく、基金が加入者の住所管理をするという原則で、待機者について住所変更があったときに変更届を提出させるなど、待機者の住所管理を確実に行うといったことを、この4月から制度化しております。資料9は以上です。

 資料10の「厚生年金基金における裁定請求を行っていない者に係る改善計画等について」です。1頁は、昨年末に未請求者が厚生年金基金でもかなりいるということを発表したのと併せて、平成19年度内に改善計画を策定していただきたいと厚生年金基金に指導したところ、その改善計画をとりまとめたもの及び4月から社会保険庁の住所情報提供が始まったと申し上げましたが、厚生年金基金の申請状況の2点をとりまとめた資料です。

 2頁は、まず改善計画ですが、原因分析を厚生年金基金にお願いしています。注1に書いておりますが、未請求者に直接伺うことも難しかろうということで、基本的には担当者の考え方として書いていただいたものを集計したものです。昨年企業年金連合会でも同様の分析をしておりますが、似たような状況です。やはり働いているので直ちに年金を請求する必要がないというのがかなり多く、8割がそういう回答です。住所問題はかなり大きいだろうということで、住所不明が6割、残りは加入期間が短い、年金額が少額、あるいは忘れているというのがそれぞれ5割、4割といった状況です。稀には、手続が難しい、面倒くさい、年金を辞退するという方もおられるのではないかという回答もありました。

 3頁です。未請求者の対策で、まず実施時期ですが、600の厚生年金基金から回答をいただいています。3月までにすでに着手・実施済みが4割、4月から取りかかる、この前半にも取りかかるが5割で、残りの1割がシステム開発等で少し時間がかかるということです。

 具体的な対策の内容ですが、裁定請求書を再送付する、送付機会を増やすというのが、ほぼすべての所で97.5%です。その他広報誌やホームページにより裁定請求を勧奨するが3割、事業所や市区町村に対して住所を調査するが合わせて5割程度という状況です。

 注2のその他ですが、同僚やOB会への調査、説明会の実施。少ないのですが、個別訪問を行うという基金もありました。

 4頁は、住所不明者の対策についてです。これは社会保険庁の住所情報提供以外の対策ですが、3月までに実施済みが3割、4月から取りかかるが5割ということで、残りの15%はシステム開発等で10月以降ということでした。

 内容としては住所ですので、住民票を取りに行くが8割、事業所に調査に行くが4割、その他は基金ホームページ等で届出を勧奨するということです。

 5頁は、社会保険庁の住所情報の提供に係る申請状況です。すでに申請済み、あるいはこの9月までに活用して申請するが8割、システム開発等で10月以降が約1割で、残りの7%はとりあえず現段階では住所不明者はいないということでした。

 資料11の受給者等の住所の把握についてです。1頁は、住基ネットとの連携です。昨年末の研究会でも住基ネットの活用が非常に効果的ではないかという指摘をいただいております。昨年末から総務省と住基ネットの活用について調整を続けており、今日の資料は現段階での調整状況です。

 2の検討状況ですが、主として3点について調整しています。1つは、連携、提供をいただける範囲です。まず対象となる企業年金の範囲は、厚生年金基金については社会保険庁からも住所情報をすでに提供されていますが、加えて確定給付企業年金、確定拠出年金についても、公的年金の上乗せで必要性が高いのではないかということで、範囲に入れてもらえないかということで調整をしています。具体的な個々人の範囲ですが、受給者は確定として、待機者、加入者について、全員とはまいりませんが、どの程度の範囲で提供いただけるかというのが範囲の議論です。

 2点目は、具体的に提供いただく場合の提供活用方法ですが、現段階で想定しているのは、企業年金連合会が、企業年金から委託を受けて一括して住基ネットから情報の活用の提供を受けるという方向で調整しています。と言いますのは、個人情報の保護の観点、あるいは情報の効率的な活用を図る観点、コスト、個人情報の両面からしても、各企業年金がバラバラではなく、ある程度一括して窓口を一本化して調査をするのがいいのではないかという方向で調整をしています。

 3点目は、住民基本台帳ネットワークの情報については、プライバシー等で種々議論がありますので、法令上の根拠を明確にすべきではないかということで、現在は住基との連携を図る、提供を受けられる団体が住民基本台帳法に載っておりますので、そういった形で法律上連携を受ける範囲をカッチリ位置づけるなど、法令の整備についても調整をしています。以上です。

 

○森戸座長

 ただいまご説明があった項目について、ご質問、ご意見等はいかがでしょうか。

 

○伊藤部長(小島委員代理)

 最後の住基ネット情報の活用について教えていただきたいのですが、住基ネットの情報、住民基本台帳の情報を企業年金の住所の把握に使う必要性は、受給者の住所の把握がしたいわけですよね、給付漏れをなくすために。この活用の仕方は、企業年金連合会を通じて各厚生年金基金や確定給付企業年金や確定拠出年金などの記録との突合をするということのようですが、その必要性があるのかどうなのかがわからなくなりました。従来は会社から従業員の情報を得て、基金などが受けているということだと思うのですが、そうではなくて、住基ネットの情報を直接企業年金側は受け取る。現加入者についてもそうするということなのでしょうか。オペレーションをどうするのか、住基ネットに直接接続するようなことになっているのかも含めて、何のために、どういう扱いをするのかを説明していただきたいと思います。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 そういう意味では、加入者と書いてありますが、加入者については、基本的には会社で住所を把握しているはずですので、たぶん必要性はあまりないのではないかという方向での調整をしています。

 受給者は、まさに未請求問題で、本人の利益になるだろうということで、住所を把握して、本人に裁定請求の勧奨をするためのものです。

 待機者については、近くなったときに裁定請求の勧奨をするということと、あとは企業年金についても、ねんきん特別便のようなものを送る方向で昨年通知等を出しておりますが、記録の確認のため、本人に書類を送るときのために活用ができないかということで、住基ネットの情報を活用するということです。

 

○伊藤部長(小島委員代理)

 住基情報をどのように企業年金に提供し、企業年金側はそれをどうやって活用するのでしょうか。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 具体的な方法は、まだ範囲から含めて、現在調整中ですので、細部にわたってはこれからの調整になるわけですが、例えばで申しますと、各企業年金から連合会に対して、この人の住所を調べてほしいというリストを出していただいて、連合会から住基ネットのセンターにそのリストを出し、基本的に3情報が中心になると思いますが、氏名、性別、生年月日の3情報を突き合わせて、リストアップされた人を企業年金の方に戻すという形です。

 加えて厚生年金基金については、基礎年金番号を含めて突き合わせをするというやり方もありますが、個人の特定の方法や3項目で突き合わせをするというのは間違いがありません。基礎年金番号を活用するかどうか、あるいは活用するならばどういう形で住基の番号とのつなぎをするかは、実務的な調整課題です。

 

○伊藤委員(小島委員代理)

 そうすると、受給者の年齢を迎えていて、給付ができるのに請求がきていない方の氏名、性別、生年月日で住基ネット側と合う人に対して、住所をもらって、その人に連絡をするということだと思いますが。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長

 おっしゃるとおりです。

 

○森戸座長

 ほかにいかがでしょうか。最後の資料の点はよろしいですか。その他ご質問、ご意見がないようでしたら、本日はこれで終わりにしたいと思います。次回については、事務局から追ってご連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。本日はこれで終了いたします。ありがとうございました。

 

(照会先)

厚生労働省 年金局 企業年金国民年金基金課 企画係

(代表)03-5253-1111(内線3320)