2018年5月9日 第7回社会保障審議会資金運用部会

年金局

 

○日時 平成30年5月9日(水)9:30~11:19

 

○場所 全国都市会館3階 第1会議室

 

○出席者

神野部会長、井上委員、植田委員、大野委員、河村委員、神作委員、熊野委員、徳島委員、杤原委員、原委員、平川委員

○議題

(1)GPIFの業務方法書の変更について

(2)その他

○議事

○神野部会長 それでは、定刻でございますので、ただいまから第7回「社会保障審議会資金運用部会」を開催したいと存じます。

 皆様には、年度を明けて間もないお忙しい時期を御参集いただきましたこと、また、あいにくの空模様の中を御足労いただいておりますことに深く感謝を申し上げる次第でございます。

 御報告しなければならないことがございまして、前回の開催以降、これまでに委員の異動がございましたので、御報告をさせていただきます。

 本日までに永井委員が御退任され、後任として、全日本自動車産業労働組合総連合会中央執行委員の熊野委員に御就任いただいておりますので、御紹介申し上げます。よろしくお願いいたします。

 本日は、臼杵委員、安浪委員、四塚委員から御欠席との連絡を頂戴しております。

 また、平川委員は10時半ごろ御退席の御予定とお伺いしております。

 それでは、議事に入ります前に、事務局から資料の確認をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

○宮崎資金運用課長 ありがとうございます。

 それでは、資料の確認をさせていただければと存じます。本日配付の資料は、全部で7点ございます。

 資料1-1「GPIFの業務方法書の変更について」でございます。

 資料1-2「年金積立金管理運用独立行政法人業務方法書の変更(案)新旧対照表」でございます。

 資料2「平成29年度第3四半期運用状況」でございます。

 資料3-1「平成30年度計画のポイント」でございます。

 資料3-2「年金積立金管理運用独立行政法人平成30年度計画」でございます。

 資料4「経営委員会のこれまでの開催実績」でございます。

 そして、最後ですが、参考資料1「年金積立金管理運用独立行政法人法施行令の一部を改正する政令の施行について」という通知を配付させていただいております。

 お手元の資料に不備等がございましたら、御指摘をいただければ対応させていただきたいと存じますが、ございますでしょうか。

○神野部会長 よろしいですか。お手元、御確認いただければと存じます。

 それでは、議事に入らせていただきますが、お手元の議事次第をご覧いただきますと、本日は主要な議題として1つ準備をさせていただいておりまして「GPIFの業務方法書の変更について」という議題でございます。

 そこで、早速ではございますけれども、議題1「GPIFの業務方法書の変更について」について、御議論を頂戴したいと考えておりますので、資料に基づきまして、事務局から御説明を頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。

○宮崎資金運用課長 それでは、議題1関連の資料について御説明をさせていただきます。

 資料1-1をお開きいただければと存じます。本日の議題1「GPIFの業務方法書の変更について」でございます。業務方法書と申しますのは、独立行政法人共通のものでございまして、それぞれの法人の業務の方法についての基本的な事項を定めるものでございまして、主務大臣の認可にかからしめているものです。今回はこの業務方法書の変更として、2点、法人から申請がありましたことから、御審議をいただくものでございます。中身は、当社会保障審議会、この資金運用部会の前身にも当たります年金部会、あるいは本資金運用部会でこれまで御議論されてきた内容に沿いまして、法人が業務方法書に反映させたものでございます。順次御説明をさせていただければと思います。

 1点目は、LPS(リミテッド・パートナーシップ)出資における要件についてとでございます。これはオルタナティブ投資における投資手法の一つとしてLPSを追加することにつきましての変更です。内容といたしましては、平成28年7月25日に社会保障審議会年金部会で了承されましたことを踏まえて、平成29年9月に関連の政令改正を行ったところでございます。当時第5回の資金運用部会でも報告をさせていただいた内容でございますが、このLPSの出資の際の要件につきまして、年金部会における議論を踏まえた要件というものを定めておりました。これを業務方法書に反映させたというのが1点目でございます。

 2点目は、デリバティブ取引に関するルールということです。デリバティブ取引に関しましては、こちらも年金部会及び資金運用部会の議論を踏まえまして、新たに「先物外国為替」を法改正で追加し、また「株価指数先物」を先般の政令において定めたところでございます。この際、デリバティブ取引を開始するにあたりましては、年金部会で御紹介をいたしましたようなルールというものに沿って取引を開始するということでございました。この取引を行うルールというもの、審議会で議論されたものを業務方法書に反映したということでございます。

 これら2点につきまして、GPIFの経営委員会で変更案について議決がされ、厚生労働大臣に先日認可申請がございましたことから、厚生労働大臣が認可するにあたりまして、当部会において御審議をいただくものでございます。そういう意味では、これまでの年金部会、あるいは資金運用部会における議論、その結果がきちんと業務方法書の変更に反映されているかということについて御確認いただくという趣旨でございますので、よろしくお願いいたします。

 では、1点目、2点目、それぞれにつきまして、少し詳しく御説明させていただきます。

 2ページ、1点目のLPSの関連でございます。LPSにつきましては、オルタナティブ投資の投資手法の一つでございます。ここでオルタナティブ投資について少し御紹介させていただきますと、GPIFのオルタナティブ投資の位置づけというものが上段に書かれております。いわゆるオルタナティブ投資というのは、オルタナティブという言葉、英語を使っていますけれども、ある選択肢にとって替わるという意味でございますので、日本語で言うと「代替投資」という言い方もいたします。一般にはオルタナティブ投資とそのまま片仮名英語を使っていますので、ここでもそのように使わせていただいております。何に替わる投資かといいますと、債券や株式といった伝統的な投資に替わるものということで、このような債券、株式等以外の投資というものを一般にオルタナティブ投資という位置づけとされていると承知をしております。

 このオルタナティブ投資でございますけれども、厚生労働大臣が認可をいたしました現行の中期計画の中におきましては、分散投資によるリスクの低減や運用の効率化を進めるために、オルタナティブ資産での運用についての記載を入れたところでございます。オルタナティブ投資につきましては、先ほどの定義にありますように、いろいろなものが考えられますけれども、現在、GPIFにおいて対象としておりますのは2番目の○の中に書かれておりますように、インフラストラクチャー投資、プライベートエクイティー、いわゆる非上場株式でございます。そして、不動産ということになります。そのほか、経営委員会の議を経て決定するものがございますけれども、現在はこの3種類以外に対象とするということを決定したものはございません。

 これらのオルタナティブ資産につきましては、リスク・リターン特性に応じて国内債券、国内株式、外国債券、外国株式に区分して管理を行い、全体としては資産全体の5%を上限とするという規定がなされているところでございます。上限という規定でございますので、範囲としては0%から5%の間で、GPIFの体制の整備の状況ですとか、あるいは投資対象の状況ですとか、市場の状況等を踏まえて、その範囲で必要な投資を行うというものであります。平成29年12月末現在となりますが、オルタナティブ資産が積立金全体に占める割合は0.1%というところでございます。

 これまでの経緯でございます。オルタナティブ投資にかかわるこれまでの取り組みということで、2ページの中段ぐらいから書かれてございます。投資手法としては、LPSを含めまして、現在可能になるもの、3通りございます。1つ目が、投資信託を通じた投資ということでございまして、これは平成26年の2月からインフラ投資を、27年の6月からプライベートエクイティー投資を行っております。いずれも内外の機関投資家との共同投資による実施ということです。投資信託受益証券を購入する形でインフラストラクチャーやプライベートエクイティーに対する投資を行うというものです。こうした投資信託を最初に始めまして、それに伴いまして、(2)にございますが、運用体制の整備ということで、オルタナティブ投資を担当する独立した課を設置し、専門人材も登用いたしまして、体制の充実を図ってきたところでございます。また、あわせて、リスク管理体制というものも強化をしてきたところです。オルタナティブ投資室は平成30年4月1日現在で15名の職員を配置しています。

 3ページ、オルタナティブ投資の2つ目の手法として、昨年度からはファンドオブファンズ方式も始めております。これはゲートキーパー等と投資一任契約を結びまして、それらを通じた投資を行うものでございます。平成29年度、これまでに国内不動産、グローバルインフラストラクチャーに関する運用受託機関を選定し、運用を始めているところでございます。

 そして、本日御審議の対象といたしましたLPSの追加というものを、順次実施に向けて取り組んできたところでございまして、平成28年2月に「GPIF改革に係る議論の整理」の中で、このようなLPSによる投資というものは、より効率的に年金積立金の運用を行うという観点から必要ではないかということで、方向性をお認めいただきまして、平成28年7月に具体的に投資手法としてLPSを追加することを社会保障審議会年金部会において了解をいただき、昨年9月に関係政令の公布・施行に至ったということでございます。その際に具体的な取引のルールにつきましては、厚生労働大臣の認可事項にかからしめるということで、業務方法書に反映をさせることが定められていたところです。

 4ページ、このLPSを通じたオルタナティブ投資の中身、内容でございます。LPSというのは、いわゆる集団投資スキームの一つでございますけれども、法令や契約により設立され、組合員が共同して主として投資事業を行う組合のことでごす。メンバーとしては、組合の業務を執行し債務について無限責任を負う運用者、無限責任組合員、GPという言い方もいたしますけれども、この無限責任組合員と、債務については出資の範囲で有限責任を負う有限責任組合員によって構成されます。今回GPIFは、この有限責任組合員として、出資の範囲で責任を負う投資家として、LPSを通じた投資を行うということで、現在、準備を進めております。既に海外の年金基金等におきましては、オルタナティブ投資を行う場合に、このようなリミテッド・パートナーシップの手法が多く活用されているところで、こうした観点からも、このような集団投資スキームというものを取り入れていくことにしたということでございます。

 5ページ、このリミテッド・パートナーシップというスキームを導入するにあたりまして、部会で御議論いただきました際には、この5ページに掲げられておりますような4つの要件を入れた上で認めていこうという話になっております。

 要件1としては、特定の案件への投資を回避する。集団投資スキーム、組合という形で投資を行うわけですけれども、その投資を行う組合が特定の案件に対して、例えば1つの案件にしかやらないということがあらかじめ決まっているようなLPSには投資をしないというものです。後ほど少し御説明をいたします。また、要件2としては、レピュテーションリスクの回避ということで、個別の投資案件について、原則、GPIFの投資分が50%超とならない契約に限る。要件3としては、不動産投資に関して、LPSが不動産を直接は保有しないということ。要件4としては、適正手続、透明性の確保という観点から、当時の資料でございますので、運用委員会としておりますけれども、現在で言えば、経営委員会への事前及び事後の報告を行う。また、必要な情報を開示するという4つの要件を入れていたところでございます。

 6ページ、要件1と2につきまして少し詳しく御説明いたします。LPSの出資における要件として、1番目、特定案件への投資の回避ということでございます。LPSに出資する場合には、個別案件の投資判断をGPIF自身は行わず、議決権等行使を通じた投資先の経営への関与ということも行うことはできません。これは制度としてできないわけでございます。しかし、LPSの形態は非常にさまざまです。また、契約の内容は個別性も高いものでございますから、例えばLPSが特定の個別案件のみに投資することを目的として組成されるケースも想定されます。例えば、非上場株式を対象に考えますとわかりやすいと思いますが、現在GPIFは、上場株式の場合でもインハウス運用を行わないという仕組みにしています。GPIFが判断して、例えば個別のある自動車企業に投資をするとかしないとか、そういう判断はしないという仕組みで動いております。このLPSにおきましても、例えばこのLPSがある非上場の会社だけを対象として組成されていた場合には、それをGPIFが投資するということになりますと、事実上、投資対象の非上場株式会社を買う、買わないを判断していることになりますので、そういう意味では、GPIFの現在の個別銘柄の選択をしないというスキームを考慮した上で、このLPSにおきましても、特定の案件を対象としたLPSは投資の対象としないという要件を入れております。

 下の絵がございますけれども、左側、今回対象としておりますのは、複数のプロジェクトを対象としたLPSであって、また、そうしたどのプロジェクトにどのような投資を行うかということは、基本的には運用者が判断をし、GPIFはそれに対してLPという形で出資を行うという形で有限責任を負っていく仕組みを対象としております。今回対象としないとしておりますのは、まさに今、申し上げましたような特定の個別のプロジェクトのみに投資することを目的としたものは対象としないということでございます。

 7ページ、次にルールの2番目について御説明いたします。1番目の要件は、対象とするLPSそのものの仕組みについての話でしたけれども、2番目の要件は、LPSが出資する先、投資対象に対する要件でございます。個別の案件について、支配的な地位に立つことを避けるということで、投資対象案件での不祥事等が生じた場合のレピュテーションリスクを回避するということから、GPIFの投資分はLPSの投資対象となる個々の案件について50%以下とするという要件を入れております。LPSという仕組みそのものが、本来有限責任組合員ですので、投資対象に対して何を投資対象にするとか、しないとか、あるいはそういう直接的な関与というものは想定しない制度ではございます。けれども、個別の投資対象案件ごとに見たときに、GPIFの出資分が相当割合を占めるということになりますと、例えばそこで何か不祥事等が起きた場合に国の保険料を原資とした積立金の運用ですので、一定のレピュテーションリスクが生じるおそれがあるのではないかということで、このような要件を入れております。

 左側、今回対象とするものとして絵が描かれております。投資対象案件それぞれにつきまして、50%超の持ち分を保有しないということでございます。今回対象としない右のほうは、GPIFの出資分が50%を超える持ち分を有しているということで、このような場合は対象としないことになります。ただ、個別に見ますと、例えば対象案件について支配的な地位にないことが明確な以下のような場合は、例外的に投資可能とするということで、2つの例を挙げております。例えば議決権の保有割合は50%以下だけれども、その保有する有価証券の総額が当該対象案件の全有価証券の総額の50%以下である場合に、一部、債券等の50%超を保有するような場合。あるいは、例2としてありますけれども、複数の案件から構成される場合であって、一体的に進められているプロジェクトで、その一部分に投資するような場合に、プロジェクト全体から見ればGPIFが支配的な地位にないことが明らかな場合につきましては、経営委員会で事前に審議をした上で、例外的に投資可能とする。個別に判断をしていくという形で例外的な規定というものを設けることにしております。

 8ページ、この2点を含めまして、4点につきまして、LPS出資に関するルールが、もともと5ページにありますように示されていたわけでありますけれども、これをどのように業務方法書に変更したのかということが、左右対称で書かれてございます。

 まず、要件1の特定案件への投資の回避ということにつきましては、業務方法書の5条の2、ア号におきまして、特定の個別案件のみに投資することを目的に組成されるLPSではないことということで、明記をしております。括弧内に書いておりますのは、新しく組成されるLPSの投資については、例えば組成時には複数の案件に投資することを想定していたものの、その後、経済情勢の変化等により投資が行われなかったために、結果的に個別案件に投資することとなったもの、これは投資対象としても構わないと。複数やってみましたけれども、経済情勢が変化して、これ以上投資をすると想定していたリターンが得られないという場合に、この要件を課さないがために、逆に無理に2つ目、3つ目の案件に投資をするということもかえって非効率でございますので、こういったものを除いております。また、既に組成されているLPSの投資。これは既にでき上がっているLPS、セカンダリー投資という言い方をしますけれども、後からそれを買いに行く、投資をしていく場合です。この場合であれば、既に複数の投資対象に分散されているものに限るということにしております。

 要件2がレピュテーションリスクの回避ということで、原則、GPIFの投資分が50%超とならない契約に限るということでございますが、業務方法書の変更案、右側イ号におきまして、投資対象とする案件につきましては、法人の投資分が有価証券の種類ごとに50%以下であることと定めております。ただし、議決権の保有割合が50%以下であることを前提として、LPS等による投資が投資対象の経営に関与する懸念がない等、管理運用法人が支配的な地位にないことが明確であるとして、経営委員会の議決を経た場合は投資が可能であることとしております。ただし書きは、経営委員会におきまして個別に判断をして、問題がないということであれば、議決権保有割合が50%以下であることを前提として認める場合があるということを定めております。

 要件3の不動産投資の取り扱いにつきましては、記載のとおり、投資するLPSが不動産を直接保有するものではないことと記載しております。

 要件4、適正手続、透明性の確保につきましては、エ号、オ号におきまして、それぞれLPSの投資を行う場合は、経営委員会への事前及び事後の報告を行うことと。ただし、経営委員会が定める一定規模以下の出資の場合には、事後の報告とすることとしております。オ号につきまして、LPSの投資については、投資対象分野、投資額、投資期間など、必要な情報を開示することと記載をしております。

 以上、LPS出資に関する4つのルールにつきまして、業務方法書に反映した形で提出があったということでございます。

 続きまして、2つ目の変更点のデリバティブに関してのルールを御説明いたします。

 9ページ、デリバティブに関しましても、これは平成28年2月のGPIF改革の議論の整理の際に、新たにデリバティブ取引、現在も一部デリバティブ取引が認められておりますけれども、それに追加をするということが方向性として示されたわけです。その際に、事例を示して、どのようなデリバティブ取引を新たに行うことを想定しているかというものを厚生労働省のほうで作成をして、平成28年2月から3月にかけて与党に示したものが下の図等でございます。ルール1から6があるうち、ルール1につきましては、既に法律の中でそのような規定を入れているところでございます。ルール2からルール6につきましては、このルールに沿いまして、平成29年10月1日以降、経営委員会で議論されて、具体的な内容を定め、業務方法書に反映すると御説明させていただいてきたところです。

 それぞれ簡単に御説明いたしますと、ルール1としては、利用目的の制限ということで、リスク管理を目的として行う取引に限定する。投機的な形でデリバティブを使わないということ。ルール2、3につきましては、利用機会、あるいは利用額というものを制限する。資産の売買が一定期間に行われるような場合に限定し、予定する資産配分変更の範囲内の利用に限定をするという形でございます。ルール4としては、リスク量の測定・管理、デリバティブを利用する際には、毎日リスク量を測定して、監視を行い、システムによる監視あるいは取引担当者以外の者によるチェックを実施する。ルール5としては、経営委員会を関与する。経営委員会の事前または事後の報告を義務づけるということ。ルール6としては、常勤の監査委員が常時監視をするということで、監査委員が投資の決定の場等に同席し、システムを通じてリスク量の変化等を確認するということをルールとして定めようということで議論をしてきたということでございます。

 こうしたルールを通じまして、デリバティブが投機目的とならず、また、1回のデリバティブ取引が長期となることを排除いたして行っていくということです。デリバティブ取引に関する議論を行った際には、生命保険会社等、機関投資家の間では、こうしたデリバティブの利用は一般的に行われているものであって、導入することに何ら問題ないという御意見もございました。一方で、デリバティブ取引そのものに対する国民の不安なり、そういうものもございますので、慎重にやるべきだという御議論もある中で、今回の追加に当たっては、このようなルールを定めた上でやっていこうということになったという経緯がございます。

 9ページにありますようなルールがどのような形で業務方法書に変更されているかということでございます。ルール1から6でございますが、まずルール1につきましては、GPIF法において既に法改正においてそのような規定を入れたところでございまして、対応を終えているところでございます。

 ルール2から6が業務方法書の第5条2の(14)ア号からオ号におきまして規定をしておりまして、ルール2利用機会の制限につきましては、ア号におきまして、現在保有し、または保有することが確定している原資産の価格変動の危険防止または軽減のために行う保有原資産の処分の一時的な代替または保有原資産の取得の一度的な代替であることと、利用機会に関するルールを定めております。

 利用額の制限につきましては、イ号におきまして、デリバティブの想定元本は、売りヘッジの場合には、資産配分変更のために処分しようとしている保有原資産の当該変更額の範囲内に限ることとし、買いヘッジの場合には、資産配分変更のために取得しようとしている保有原資産の当該変更額の範囲内に限ることとしております。

 ルール4、リスク量の測定・管理につきましては、ウ号におきまして、毎日リスク量を測定するとともに、システムによる監視及び当該デリバティブの運用担当者以外の者による確認を実施するという規定を入れております。

 ルール5、利用時の経営委員会の関与につきましては、デリバティブによる運用は、開始後、おおむね3カ月以内に経営委員会に報告すること。ただし、ア及びイに該当する場合であって、経営委員会に報告していない投資手法や取引体制に基づくデリバティブによる運用を行う場合には、事前に経営委員会に報告をすることとしております。開始後おおむね3カ月以内というのは、四半期に1回は必ず報告をするという趣旨でございます。

 常勤の監査委員が常時監視するという点につきましては、オ号におきまして、常勤の監査委員は、やむを得ない場合を除き、デリバティブの投資を決定する会議の場に同席するとともに、リスク量の変化などデリバティブの利用状況を確認し、その結果、適当でないと認めるときは、遅滞なく経営委員会に報告することとしております。常勤の監査委員の役割としては、日常の執行業務の監視ということがございますので、こうしたデリバティブにつきましても、執行状況を見るということがございます。一方で、監督権限というのは経営委員会のほうにございますので、監査委員としては、不適当な運用が行われていた場合には経営委員会に報告をし、経営委員会において議論をして、不適切ということであれば執行部に対して改善を求めるということになろうかと思います。

 こうしたルール1から6というものを業務方法書にも盛り込む形でデリバティブ取引に関するルールを整備し、今後追加して、デリバティブというものを用いていこうということです。LPSにつきましても、デリバティブにつきましても、一般の運用機関という目で見ますと、やや厳しい規制を入れる、あるいはルールを入れるということになりますけれども、一方で、年金保険料を原資とした積立金の運用であるということですとか、あるいは150兆円から160兆円と非常に巨額の資金を扱う公的な機関でございますので、市場への影響等もございます。そうした観点から、このようなルールを設けるということで進めてきたものでございまして、今回業務方法書の変更の認可がおりれば、具体的な投資行動に移っていくということになろうかと思います。

 以下、参考資料として入れておりますのは、参照条文や、あるいは例外事例につきましての簡単な絵図などを入れておりますけれども、もし必要があれば御質問にお答えする中で御紹介をしたいと思います。

 資料1-2は、今、御説明の中で申し上げました8ページ、そして、10ページの業務方法書の変更案を具体的に新旧対照表で入れたもので、案文は全く変わっておりませんので、どちらを御参考いただいてもよろしいかと思います。

 私からの説明は以上でございます。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 ただいま第1番目の議題であります、GPIFの業務方法書ですね。これはGPIFの経営委員会で議決されたものでございまして、変更内容はLPS出資における要件及びデリバティブ取引の部分についてでございますが、いずれも御案内のように、私どもというよりも年金部会及び資金運用部会等で議論してきたものを反映して、法令等になっているものに基づいて、それを業務方法書に反映させるべく認可申請があったわけでございます。これまでの経緯と対象とすべきものの資料を御準備して御説明いただきましたので、御審議を賜りたいと思います。御質問、御意見がございましたら、御議論を頂戴できればと思いますので、よろしくお願いいたします。

 どうぞ。

○大野委員 資料1-2の業務方法書の新旧対照表に関して伺いたいのですけれども、2ページ目に、LPSへの投資を行う場合には、経営委員会への事前及び事後の報告を行うことと明記されているかと思います。投資を行うタイミングについての経営委員会の関与ということについてはきちんと明記はされているのですが、撤退する場合については特に記述はありません。撤退する場合についても、これは事前に経営委員会に諮る必要があるですとか、事後で構わないですとか、そういったことについては特に明記する必要はないという理解でよろしいのでしょうか。

○神野部会長 投資を撤退する場合等については、これは課長にお答えいただいていいですか。

○宮崎資金運用課長 確かに委員御指摘のように、全ての投資が当初予定したとおりにいかない場合もありますので、撤退する場合はあり得ますけれども、その場合をあらかじめ業務方法書の中で想定して書いている形にはしておりません。実行上は、非常に大きな影響のある判断であれば経営委員会に諮ることも考えられますけれども、撤退のタイミング等もあり、案件によると思いますが、場合によっては、それは事後になるということもあろうかと思います。

 いずれにしてもそうした投資行動につきましては、常勤の監査委員なども常時どういうことが行われているかというのは見ておりますので、そのような報告が不十分だということであれば、経営委員会を開催する形になろうかと思います。経営委員会側から見ますと、経営委員会と監査委員の連携のもとで見ていくということになりますし、執行部側からすれば、一番いいタイミングを経営委員会にどういう形で報告するかを考えながら判断していくことになろうかと思います。あらかじめ撤退する場合は必ず事前だとか事後だとか、全ての場合であるわけではない、むしろレアケースでありますので、それを想定して業務方法書に書くということはしていないことでありますけれども、実際にはそのように調整しながら何らかの形で経営委員会に報告が上がっていく形になろうかと思います。

○大野委員 業務方法書に記載されているかどうかは私は確認していないのですが、伝統的な株式なり債券の運用の場合については、受託した運用機関の運用がふるわなかった場合には委託を取りやめるといったルールも設けて、受託機関の選定というのはかなりいろいろ工夫を凝らしてやっていらっしゃるかと思うのです。こちらのLPSに関しては、伝統的な資産運用とは異なりまして、委託先の機関もそれほどたくさんあるわけではないとは思っていますので、同じような扱いをするというのはなかなか難しいかとは思うのですけれども、ただ、伝統的な資産運用の場合については、ある意味、撤退というようなことについての検討も行われているかと思います。ですから、LPSに関しましても、そのあたりの何らかの検討、業務方法書に書くかどうかというところはあるかと思いますが、その点について伺えればと思います。

○神野部会長 課長からでよろしいですか。

○宮崎資金運用課長 今、大野委員がおっしゃったのは、運用の委託先の評価というものをどうしていくかということで、これは業務方法書の中で、伝統的資産についても、今回のオルタナティブ資産につきましても、いずれも運用委託先の評価というものを定期的に行いまして、必要があれば解約するという規定を入れておりますので、そのルールに従って、預けっ放しにはしないできちんと定期的に評価をして、その評価結果に応じて解約等の手続を行うということを入れております。

 もちろん伝統的資産と、やや個別性が高いという意味で違う面はありますけれども、同じように定期的にきちんと評価をし、検証をして、必要があれば見直しをしていくというPDCAサイクルが回るような形を業務方法書の中でも入れているということでございます。それはLPSに限った話ではないものですから、ほかのところでそういう規定を入れているということでございます。

○神野部会長 よろしいですか。

 ほか、いかがでございますか。

 平川委員、どうぞ。

○平川委員 ありがとうございます。

 最初に、LPSの出資の透明性の確保という観点で意見と2点ほど質問をさせていただきたいと思います。6ページのLPSの出資における要件の記載の中で、個別性が高いということを強調して記載がされているのかなと思っています。その上で8ページでは出資に関する要件を4点記載されていますけれども、この要件をどうやって実効性あるものにしていくのかというのが大きな課題ではないかと考えているところであります。ただ、この間のGPIFの経営委員会議事の概要が公表されているわけでありますけれども、執行部から「今後5%、さらには世界の年金基金の常識的な数字としてはもっとオルタナティブのアロケーションは多いので、その方向性に向かっていくということを考えると、LPSは絶対に必要になる」という発言をされております。この部会で示されている要件に基づいてLPSを進めていくのだということから考えると、気になる発言が議事概要で報告がされていると思っているところであります。しっかりと示されている要件を実効あるものにしていくことが重要だと思いますので、この要件を今後もGPIFにどう担保してもらうように対応していくのか、ということを質問させていただきたいと思います。

 また、LPSの投資についても、投資対象分野、投資額、投資期間などの必要な情報を開示するとされているわけでありますけれども、こうした情報の開示ということについて、どう確認をしていくのかということについて、質問をさせていただきたいと思います。

 あと、これは簡単な質問ですけれども、2ページ、オルタナについては資産全体の5%を上限と規定してありますが、現在5%の上限という具体的な金額、その下の括弧に積立金全体に占める割合は、0.1%となっていますけれども、原資産のパーセントではなくて具体的な額を教えていただきたいと思っています。

 以上です。

○神野部会長 実効担保や情報開示をどうやってやらせるかということについての質問、どちらでも構いませんが、お願いいたします。

○宮崎資金運用課長 まず、要件の担保ということでございます。要件の担保につきましては、先ほどの大野委員の御質問の回答とも近いところがありますけれども、現在、GPIFは昨年10月から経営委員会という仕組みが新たに導入されまして、常勤の監査委員がおりまして、執行部の日常の執行状況を監視するという役割も担っております。ですから、基本的にはこうした日々の執行状況の監視などを通じまして、経営委員会が状況を把握して、要件のとおりに業務が行われているのかどうかを把握するということが担保することの基本となろうかと思います。その中で、要件を満たさない、要件に反する投資が行われているということであれば、経営委員会の中で執行部に対して改善を求めていくということになろうかと思います。もちろん業務方法書というのは法人のルールになりますので、この業務方法書に違反する場合というのは、相当責任が重いということになります。一般的な監督の規定としては、例えば厚生労働大臣による改善命令の権限もございますし、役職員に対する解任等の手続もございますので、違反の程度によっては、そういったことも考えられるものでございます。業務方法書のルールに記載したというのは、そういう意味で非常に重たいものだと思っておりますので、それに沿って行われるものだと思っております。

 また、実際、これはもう運用委員会の時代からそうですけれども、運用委員会の時代における監事、現在の監査委員というのは、実際に現在の運用の中では、投資委員会という内部の委員会に常時出席するような形で投資状況を見守っておりますので、隠れて変な運用が行われるというようなことはない、そういう意味では非常に適切な運営がなされている、そういう仕組みになっていると考えております。

 また、御紹介の中でありました5%についてでございます。確かに、今、御指摘のあった経営委員会での議論の中で、今後5%あるいは世界の年金基金の常識的な数字としては、もっとオルタナティブの資産配分が多いので、その方向性に向かっていくということを考えると、LPSは絶対に必要になるというような発言があったことは事実であります。そこだけとると確かに5%超を目指すと言っているようにも聞こえないこともないのですが、ここで言われていた趣旨は、前後で見ますと、経営委員会の中で、LPSというものが投資費用の節減につながるのかという話がありまして、今のファンドオブファンズ形式のような形でやるよりも節約になるのかという議論が経営委員の皆さんの間であったときに、今、契約しているファンドオブファンズのものを置きかえるということはできないけれども、これから新しく投資を行う場合に、ファンドオブファンズ形式ではなくてLPS形式を行う場合、ファンドオブファンズ形式よりはコストが下がる可能性が高いという説明をした上で、今の0.1%よりは増える方向で動いている。そういう意味で5%とか、他の年金の例を挙げて説明したものでございます。何かその時点で執行部も5%超を目指しているということを言っているわけではなくて、0.1%よりは増えていく、つまり、新しい案件が今後出てくるということを考えると、LPSを導入することはコスト削減につながる意味があるということを申したものだと理解しております。ややもしかしたら議事概要が内容を端折っていて誤解を与えているかもしれませんけれども、前後を読むとそういう趣旨でございます。現実に、今はGPIFで5%超を目指すということが決定されているものではございません。

 実際、海外の年金基金は確かに比率が高いところはございます。けれども、例えばカナダのCPPIBやカリフォルニアの公務員年金などは、GPIFの資産規模に比べると4分の1から5分の1ぐらいですので、GPIFの5%というのは、そうした年金基金と絶対額で比べると彼らの20%や25%に当たるということになります。もちろん本来基本ポートフォリオに与える影響はポートフォリオの中での比率で考えるべきものではありますけれども、同時に投資可能額ということで考えると、絶対額というのも一つの要素になってきますので、そういう意味では他が20%だから20%が必要だとかということには当然にならないことはGPIFの執行部もよくわかっておられますので、5%超についての何か決定をしているということではございません。

 その上で、5%についての御質問がありましたので、まず具体的な額でありますが、0.1%につきまして、29年12月末時点で0.1%と一致しておりますけれども、その総額は約2,000億円であります。5%ということになりますと、160兆円の5%ですから、約8兆円ということになりますので、その8兆円に対して2,000億円程度ということです。繰り返しになりますけれども、5%というのは上限という形で定めておりますので、0%から5%があり得るということで、基本ポートフォリオの中でも必要な体制の整備を進めながらやっていくということで書かれておりますし、現実、GPIFのほうでは大変優秀な外部の人材を入れてチームをつくっておりますけれども、対象案件などを見ながら、この間、慎重に準備を進め、投資を進めてきておりまして、その結果が0.1%にとどまっているといいますか、そのような状況だと御理解いただければと思います。

 情報の開示につきましても、今、書かれておりますようなこともございますし、このルールで示しておりますような内容を記載するほか、業務概況書の中では恐らくこれまでもそうでございますが、どのような考えに基づいて投資を行っているのか、あるいは、それに対するリスク管理をどのように行っているのかということなども具体的に記載されることになるのかと思っております。そうしたことを通じて、オルタナティブ資産につきましても、必要な情報開示、あるいはその内容がわかりやすく被保険者、国民の皆さんに伝わるような形になるのではないかと考えております。

 私からは以上でございます。

○神野部会長 ほか、いかがでございましょうか。

 熊野委員、どうぞ。

○熊野委員 ありがとうございます。

 内容でちょっと確認したいことがあります。資料1-2の業務方法書の変更のところの1ページで、(13)のイのところに、投資案件について、有価証券の種類ごとに50%以下であるとして、その上で、議決権の保有割合が50%以下であることを前提に、LPSなどによる投資が経営に関与する懸念がないなど、管理運用法人が支配的な地位にいないことが明確であるとしてという記載がございます。例示していただいていると思うのですけれども、支配的な地位というものに対して、会社法とかそういったもので、具体的な定量的な判断基準というものがございますでしょうか。

○神野部会長 よろしいですか。

○宮崎資金運用課長 私どもこのルールをお示しする段階で参考にいたしましたのは、今、御指摘がございましたように、会社法の支配基準というものも一つの参考とさせていただきました。直接引用するものではないのかもしれませんけれども、どこかで線引きするということを考えたときに、会社法における支配基準というものを参考として、50%超の議決権を持たないようにとしたということでございます。会社法では、形式的な基準としては50%超で子会社に該当するという記載がございます。それ以外、50%を超えていなくても、例えば役員の過半数を送り込んでいるとか、方針決定を支配するような契約を持っているとか、実質的に支配しているという基準もありますけれども、今回のこのケースで言うと、LPS投資という形でありますので、有限責任のLPとしての組合員がGPIFの役員を送り込むなどということは考えられませんので、形式的な基準のみを参考として、50%超というところを一つの線引きとして反映させたということでございます。

○神野部会長 どうぞ。

○熊野委員 なぜこういうことをお伺いしたかといいますと、こちらの資料1-1の13ページから、個別に50%を超える場合の幾つかの例示をいただいていると思います。過去のGPIFの議論の整理の中で、個別企業、プロジェクトの運営に関与することがあった場合、予期せぬ事故とか、労働問題、環境問題で、経済的な損失に加えて、GPIFだとか、国の責任が問われる事態もあり得るだろうという議論があった、問題意識があったと認識しております。この1、2、3は経営全体には影響がないという話でございますが、例えば15ページの3に、ある地区の開発のプロジェクトで、全体ではないですけれども、一部B棟、C棟にGPIFが50%を超える場合もあり得るだろうということをおっしゃっていますが、ある場合は認めるということなのですが、例えばこれがある程度出資率が上がっていくと、かなりのウエートに、プロジェクトといっても大きいものもございますから、そうなってくると、金額とかインパクトも大きいので、何かあったときにGPIFですとか国の責任が問われないか、そういう心配をしておりますということを意見として申し上げたくて、お話しさせていただいた次第でございます。

○神野部会長 何かコメントはありますか。

○宮崎資金運用課長 ありがとうございます。

 確かに今、委員から御指摘のありましたような個別の投資対象先で労働問題や環境問題などが生じたりすることでレピュテーションリスクを毀損する可能性がないのかということ、2年前の審議会での御議論の中でも大変懸念としてございましたので、そういう観点から、今回こういうルールを入れているわけでございます。もちろんGPIFの担当の方々は少しでも被保険者のために有利な条件でいい契約をとりたいということで努力しているので、少しでもいい条件でとろうという努力とこうしたルールとのせめぎ合いになるところがございます。ここに書かれておりますのは、その中で、例えば一部分の債券で50%を超えるようなケースというのはどうしても契約の仕方によっては出てくる場合があって、少なくとも議決権が50%を超えていなければ認められる場合があるだろうということ、あるいは、大きなプロジェクトでA棟、B棟、C棟を建てて、B棟だけ少し50%を超える。最初はもしかしたら50%を超えていないかもしれませんけれども、例えば他の出資者が降りることでそこの部分をとらざるを得なくなって、とったほうが有利だということで60%を超えるようなケースとか、いろいろ考えられるものですから、そうしたものは個別判断として経営委員会で判断いただきたいということで、整理させていただいたところでございます。

 御指摘のような御懸念があったことも踏まえつつ、適切な契約がなされるように、被保険者から見てできるだけ有利で、かつ御心配を招かないような契約になるように個別判断をしていただくということかと思いますので、御議論があったことはきちんとお伝えしたいと思っております。

○神野部会長 神作委員、どうぞ。

○神作委員 私も今の熊野委員の御発言に近い問題意識を持っておりまして、御質問と意見を申し上げさせていただきたいと思います。

 まず、御質問は、LPSを通じて株式に投資するという場合ではなくて、直接株式を投資する場合について、例えばレピュテーション上のリスクの回避などについて、現状、どのようなルールが採用されているのでしょうか。そもそもルールが存在しないのかどうかということも含めて、直接株式を投資した場合に、レピュテーショナルリスクの回避についてどのような法規制になっているのかということをまず御教示いただきたいというのが第1点目の御質問でございます。

 御意見にわたる部分は、その御質問の回答に関わる部分もあるのですけれども、レピュテーショナルリスクということを言い出すと、例えばきょう御説明がありました新旧対照表の2ページ目のエのところで、LPSへの投資を行う場合は、経営委員会への事前及び事後の報告を行うことが必要だけれども、経営委員会が定める一定規模以下の出資の場合には、事後だけでいいですよと、こう書いてあるのですが、レピュテーションということになると、必ずしも規模は関係ないようにも思うのです。経済的な影響力という観点からすると、規模の基準というのは非常に有用だと思うのですけれども、もしレピュテーションということを言うと、例えばLPSの契約の中で、有限責任組合に対してもかなり契約上権限が認められているというケースになってくると、だんだんレピュテーショナルリスクに関わってくるということもあると思います。私の意見は、経営委員会に対する報告とか、経営委員会における御判断においては、投資の経済的な条件だけではなくて、そもそもLPSの契約がどのような内容であるのかが非常に重要で、特にレピュテーショナルリスクにおいては、それが影響を与え得ると思われますので、その点をご勘案いただきましたら幸いに存じます。

○神野部会長 では、最初の直接投資の現状の場合と、最後のレピュテーションリスクに関するようなことについて、コメントをいただければと思います。

○宮崎資金運用課長 まず、株式投資に関して言いますと、現在GPIFはインハウス運用は禁じられていますので、直接株式をGPIF自身が差配することはないのですけれども、運用受託機関を通じた株式の取得になります。したがって、投資先企業に対する把握といいますか、そういったところは運用受託機関が一義的には担うことになります。GPIFとしては、運用受託機関との契約の中で、例えばESGの配慮ですとか、そういったことを求めておりまして、あるいは、どう対象案件を管理しているのかという体制を見るということで、運用受託機関のモニタリングを通じてGPIFのレピュテーション等に支障が生じないようにウオッチしているというのが正確なところかと思います。

 レピュテーションリスクというのは確かになかなか難しいところがございまして、あるいは、どこまで予想して、どこまで対策が立てられるのかというところはございます。余りそこを過度にやり過ぎると、逆に投資機会を失うことにもなりかねないので、そういう意味では、運用受託機関、あるいは、LPSで言うと無限責任組合員、GPとの契約の中で、そういうリスクをできるだけ最小にするような契約を結び、かつ、その状況をモニタリングしていくことを通じて最小化していくということだと思います。それに加えて、LPSの場合には、このルールに反映したようなものを入れているということでございます。そして、委員御指摘のようなそうした配慮を契約の中で入れていくのだということは、経営委員会とかそういうところに、個別の契約の内容を御説明するというよりは、そういう点には配慮してやっていますとか、こういう判断でこの委託先を選んだというようなことを御報告するような形で、単にリターンの面だけで御説明するのではなくて、そういった面も含めて御報告することが確かに必要になろうかと思っております。

○神野部会長 どうぞ。

○神作委員 御回答ありがとうございました。

 特に私が気にしているのは支配権のところでございまして、運用機関に委託して株式に投資するとき、支配権についてはどのような取り扱いがなされていますでしょうかというのが御質問の趣旨でございます。例えば発行会社の株式の100%を買っていいような、そういう取り扱いになっているのか、そこのところをお聞きしたいというのが第1点です。

 あと、先ほどの熊野委員に対する御回答の中で、会社法の支配基準に合わせたということをおっしゃいましたけれども、御承知のように会社法によって、従来はおっしゃったとおり過半数基準だったのですが、会社法制定時に実質基準を取り入れておりまして、今や会社法は形式基準プラス実質基準で支配の有無を判断しておりますので、それとの関係もあって、支配権に着目して御質問をさせていただきました。

○神野部会長 よろしいですか。

○宮崎資金運用課長 まず、株式の場合ですが、個別の受託機関ごとに対象企業の時価総額の5%以下に抑えることにということで運用しております。ですから、株式に関しては、個別の受託機関ごとでありますけれども、一つの企業に対して非常に大きくなるということはないということでございます。

 そして、支配権につきましては、会社法の先生を前にして申し上げるのはあれなのですが、まさにそのような実質基準というものがあります。ただ、私どもが参考としましたのは、そういう意味で、もともとLPSという仕組みのもとで有限責任組合員としての関与の中でどれぐらい見るかということになったときに、なかなか実質基準のようなところでかかわるようなことは想定できなかったものですから、議決権行使の50%というものを一つの目安として採用したということでございます。

○神野部会長 河村委員、どうぞ。

○河村委員 御説明いただきまして、ありがとうございます。

 既に意見が出ていらっしゃるところもあるのですけれども、私としても、このようないろいろな金融情勢、経済情勢の中でオルタナティブ投資が必要になってくるというのは十分理解できるし、ただ、いろいろ要件を定めて、ルールを定めて、きっちりリスクを管理しなければいけない、その必要があるというのは全く同意するところであります。

 今回、業務方法書の変更ということでいいと思うのですが、すごく心配なのは、先ほども大野委員からも指摘があったのですけれども、入り口のところは結構きっちり決めていらっしゃると思うのです。ところが、LPSなどが投資されるプロジェクトで、一応支配的な地位にないことが明確ないろいろな場合ということを資料1-1の7ページに書いてありまして、13ページ以降で具体的にどういうケースだったら認められるかということがわかりやすく書いてあるのですけれども、こういうものは実際にプロジェクトが始まって、やっていく途中で状況が変わってくることがある、それが最大の要注意点だと思うのです。そういう情報がきちんとタイムリーに伝わるか。GPIFの責任ある執行部の方々にきちんと伝わって、責任ある判断がなされるか。先ほど大野委員が御質問くださったような撤退云々のときに、GPIFとしてもこれはだめだ、明らかにだめだから撤退しようというのが割と誰の目にも異論なく意思決定できて、これをもう一回考えましょうということで、経営委員会にかかるとかというケースはそんなに心配しなくてもいいのかもしれませんが、私が非常に心配するのは、途中でプロジェクトの内容が変更になったところが、実は微妙な部分がある。それをどうやってきちんと審議するか。だから、それを経営委員会に持っていくか持っていかないかの判断が微妙になるような案件があったときに、いかに大事な情報をきちんとGPIFとしてキャッチしてやっていくのか。そこをきっちりしなくて大丈夫なのかなという気がいたします。

 例として申し上げると、これから先、いろいろ金融情勢とかが変わってきて、伝統的な資産でのリターンが余り稼げなくなってきたりなどしたときに、オルタナティブはいろいろ要件に合っているかどうか、ちょっと危ない感じがしてきたけれども、リターンが結構稼げるとすると、別にGPIFさんに限らず、どこでもお金を預かって運用されているところはそうだと思うのですが、ある程度のリターンはちゃんと上げてよねという要請もあるわけですね。そういう両方のプレッシャーのせめぎ合いの中で、これは危なくなってきたのだけれども、グレーだけれども、いいか、黙っておこう、黙っておこうみたいな感じで、気がついたときには大変なことになってしまったみたいなことにならないかということを非常に心配いたします。ですから、そういったあたりのチェックのかけ方などを、先ほど課長は途中途中でということもおっしゃってはいたのですが、どのようにかけていくのかというところをお尋ねしたいのが1点です。

 もう一つは意見にも渡るところなのですけれども、今回の議論はあくまでGPIFの業務方法書の変更ということで、これで終わっているのですが、こうやっていろいろな具体的な事例、あり得る展開なども踏まえて話を伺っていくと、それなりにリスクはありますね。高いですね。一応、全投資資産の5%以内に抑え、今は0.1ぐらいしかないということで、もちろん金額は限られているとは思うのですけれども、それなりに伝統的な投資とは違うところがある。これは独法の趣旨、本省が直接何でもやるのではなくて、独法にある程度任せてやる、そういう趣旨にもかかわる部分かもしれないのですけれども、こういうリスクの高い部分について、全部GPIFに任せておいて本省に話が来るのが年度評価ごととか、そのような感じで大丈夫なのかなと。もうちょっとタイムリーに本省のほうに、年金局に情報が来るようにしておかなくても平気なのか。これはきょうの御議論の対象から超えてしまうところなのかもしれませんけれども、意見といいますか、ちょっと気になりまして、お尋ねさせていただければと思います。

○神野部会長 2点にコメントをいただいてよろしいですか。

○宮崎資金運用課長 河村委員の御指摘のとおり、オルタナティブ投資といいますのは、上場株式や債券と異なりまして、オープンなマーケットで取引されているものではないものですし、非常に個別性も高い。あるいは投資期間も長期にわたる、流動性が低いという特徴もございますので、それによるリターンもありますけれども、同時にいろいろなリスクもあるという特性を持っているものだと思います。だからこそ、分散投資の効果があるということでもありますけれども、同時に、リスク管理などをきっちりやらないといけないということでございます。その意味で、まずGPIFの中で言いますと、体制もきちんと専門の人間を雇いまして、現在で言うと15名という体制でやっている。海外の年金基金などに比べると少ないのかもしれませんけれども、GPIFの120人という規模の中では、ある程度の人数をかけてそういったものを担当させているのは、そうした投資の特殊性によるところもあろうかと思います。

 そして、リスクの管理という観点で言いますと、GP、無限責任組合員の判断を通じた投資ではございますけれども、投資先の案件についての情報というものをきちんとGPIFのほうでも取り込んでリスクを管理する。システムにも情報を入れて、全体としてのリスクがどうなっているのか、最初に預けたきり、あるいは任せきりということではなくて、きちんとどう変化しているのかということを投資先の案件の情報までもGPIFに情報として取り込む形で、全体としてのリスク量がどうなっているのかを見るという仕組みを取り入れることにしております。そうした取り組みを通じて、この投資が急に大きなリスクを抱える、気づいたら大きなリスクを抱えていたということのないようにリスク管理をしっかりやっていくということで、臨んでいるということでございます。

 年金局との関わり、行政との関わりということですけれども、GPIFという専門機関を設けた趣旨からしますと、個別の投資の内容に行政が口を出すのは適当ではないと考えておりますし、そのような仕組みではないわけでございます。したがって、まずは経営委員会という合議体、労使団体の推薦をいただいた方も入っておられますので、そうした経営委員会の方々が、いわば被保険者、国民の皆さんの代わりとなってチェックをするということが第一としてあり、また、あわせて、最終的には厚生労働大臣は資金を寄託している立場でありますので、寄託者として本当に変なことが行われていないかを見ていく部分はありますので、必要な情報交換とか、そういうものはGPIFの執行部と日常的に行って、何か意思の齟齬のようなものが生じたり、気がつかないうちに何か変なことが行われていることのないように、我々も気を配っていきたいと思っております。ただ、大原則としては、なかなか個別の投資案件まで踏み込むことは仕組みとしてはそういう仕組みではないということはあり、その中で、寄託者として必要な監督というものは行っていきたいと思っております。

○神野部会長 ほか、いかがでしょうか。

 徳島委員、どうぞ。

○徳島委員 今回のデリバティブにしてもオルタナティブにしても、以前、年金部会、資金運用部会で内容について議論したことですので、私は業務方法書の記述について特に議論はありません。しかし、皆さんから御指摘のあったとおり、少し実質的にいろいろな懸念などコメントさせていただけたらと存じます。まず1点は、既に大野委員、河村委員からご指摘のありましたとおり、今回の規定の中で、投資タイミングでの基準でしかないものが散見されるかと思っております。例えば資料1-1の13ページの総額で50%を越えなければいいというところも、例えばLPSのパフォーマンスが余りよろしくなくて、エクイティー部分が毀損した場合、減損の結果として持分が50%を超える姿もあり得ると思います。そういったところは、今後リスク管理でチェックしていかなければならないところだと思っています。ますますリスク管理の重要性が増してくる。これは宮崎課長が言われているとおりですので、そういった意識で、GPIF御自身も以前からその意識をお持ちでいらっしゃいますけれども、より進めていただければと思っています。

 2点目でございますが、また、これもリスク管理にかかわるところですけれども、オルタナティブ投資室に格上げされ、人員が増強されている。これはある意味すごく正しい、いいことだと思っておりますが、逆に運用機関に所属していた経験から申しますと、既存の株式のセクションと、オルタナのセクションと、別々に投資判断をするケースがあります。そういった際に、例えば上場企業の非上場子会社にプライベートエクイティーで投資したりというケースも理論的にあり得るものですから、インサイダー取引にならないよう情報遮断を行いつつ、法人全体のリスクは情報を集約するというのはリスク管理のマターだと思っております。これは今回の業務方法書とは何ら関係はないところではございますけれども、投資に携わるセクションの間の適切な情報交換及び情報遮断の両方が必要になると思っています。GPIFの内部で予めきっちりルール化し、手続を決めていただけたらと思います。

 3点目です。先ほど平川委員から御質問のあったオルタナティブの投資額でございます。これは毎年度末に関しては実額を開示されていらっしゃるのに、本日お配りいただいている資料の中にある12月末ですと0.1%という比率しか開示されていらっしゃらない。このあたり、情報開示としてどう考えるべきものかという気がいたします。ただ、オルタナの投資額につきましては、特にプライベートエクイティーやインフラの投資に関して、コミットメントしている額を開示するのか、既に出金している実額を出すのか、そういったところも決め事だと思っております。情報開示の趣旨に鑑みて、数字の出し方といったこともぜひGPIFで議論していただきたいと存じます。どうしても皆さんは、オルタナティブやデリバティブに関しては少しアレルギーというか、懸念をお持ちでいらっしゃいますので、そのあたりの懸念を多少なりとも払拭できるように、工夫されることを望みます。実務の観点から言いますと、例えばプライベートエクイティーで実際の投資はキャッシュとして100億しか出ていないのに、コミットメントは既にその数十倍あるとかということもあり得ます。財務情報とリスク情報の違いなども含めて、開示に際して御注意いただけたらと思っております。

 以上です。

○神野部会長 どうもありがとうございます。

 時間を大幅にオーバーしているので、まず御意見だけあれば承っておいて、まとめてお答えいただければと思います。

 杤原委員、どうぞ。

○杤原委員 河村先生の御指摘、大変重要だと思っていまして、国民全員が感じていることではないかと思っています。既に決定されている事項ですので、今さら反対をするものではありませんけれども、国民の財産である年金資産をデリバティブで運用することについては、個人的には、未だ了としておりません。なぜならば、昨今のシステムトレードですとか、デイトレードが世界的に動いておりますので、運用資産の範囲内といえども、たとえ入力間違いやシステムエラーであっても売買は成立して、意図しない差益とか差損が現実に発生しております。そういった事実を国民は承知しておりますので、そこのところの担保が必要なのだと思っています。

 そこで、念のための御確認なのですけれども、9ページと10ページのところで、デリバティブ取引のルールをきちんと整理していただいておりまして、まさにこのとおりだとは思いますけれども、実質的に差益が出たときはいいのですが、あるいは、リスク管理ができたときはいいのですけれども、万が一、デリバティブ取引で差損が発生した場合に、一義的に誰に責任が帰属するのかというのをはっきりさせていただきたいと思っております。業務方法書をつくった、承認をした資金運用部会に責任があるのか、理事長、理事会に責任があるのか、経営委員会が責任を持つのか、常勤の監査委員が見ているということですから、監査委員に責任が属するのか。あるいは、この資料ですと、適正に管理されていますという形ですので、適正に管理さえしていれば、仮に差損が発生しても誰も責任は結局問われないで、国民の年金額が減ることになるのか。そこの責任の所在が9ページ、10ページからでは読みとれないので、時間軸が1分1秒で動いている中で、経営委員会の常時常駐していない方が適正に執行状況を監視できるのかという疑問にもつながっていくと思います。この資料を国民の皆さんが見たときに、恐らくルール2のア号のところで、「価格変動の危険防止又は軽減のために行う」としっかり書いてありますので、逆読みしますと、価格変動の危険があると国民は受け取ると思います。もうちょっと責任の所在、監視体制、管理を明確にする必要があるということです。

○神野部会長 今後のということですね。これはもう年金部会で既に議論されてまとめたものですが。

○杤原委員 決定されていると思いますけれども。

○神野部会長 それについて、残された課題みたいなもので御議論されているという理解でよろしいですね。

○杤原委員 差損が発生するときにどなたがリスクを負うのか、その御回答だけいただければと思います。

○神野部会長 では、まとめてお答えいただきます。

○宮崎資金運用課長 まず、御意見がございましたリスク管理等にかかわる部分につきましては、本日も法人からも職員が来ておりますけれども、こういう御指摘があったことはきちんとお伝えしたいと思います。このリスク管理の部分が非常に大事だということは、しかも、入り口だけではなくて、入り口以降の管理が大事だということは、まさに御指摘のとおりでありますので、そこはきちんと対応していきたいと考えております。

 また、責任の所在という点がございまして、これは運用でございますので、デリバティブに限らず、その他の運用におきましても、例えばマーケットの変化等によって損が生じることそのものについて、何か結果責任を問うというものではないのだとは思っております。例えばマーケット全体がマイナスのときに、そのマイナス分に応じて積立金の評価損が出たというときに、それで責任をとるのかというと、運用の世界では、きちんと運用をルールに従って行った結果であれば、何か評価損について責任を問われるものではない。逆に言うと、マーケット自体がプラスだったときに同程度にプラスだったとしても、別にそれがすごかったと言われることのないのと同じように、結果責任を問われるものではないと思います。ただ、不適正な運用を行ったとかということによって、何か損失を生じさせるようなことがあれば、デリバティブに限らず、それは法人の執行部、あるいは、監視がきちんと行われていなかったということであれば、役員としての経営委員会等の責任というものが問われる可能性は出てこようかと思います。それは他の株式や債券の運用等も同じでありますけれども、そういう一般ルールの中で行われるものだと思います。

 また、やや蛇足になりますけれども、デリバティブ取引に関して言いますと、これはデリバティブ取引を使っても投資益を単体で得ようとしているというよりは、株や債券などの取引の際に、デリバティブを併用することで、想定しなかったような損失等が起こらないようにしようということで、その部分は、デリバティブに関してはコストをかけてそういう手当てをするということでありますので、デリバティブだけで何か利差益がどうこうという議論というよりは、デリバティブが本当にどういう効果があったのかということを、そのコストに見合うものだったのかということを判断するということになるのかなと思っております。デリバティブを使って何か投機的にポジションをとってやるというものではないということをこのルールで定めていますので、そうした中で、きちんと適正に行われるように担保されて、経営委員会なりがきちんと監督をし、また、我々もルールがちゃんと行われていることを寄託者として監督していきたいと思っております。

○神野部会長 それでは、どうもありがとうございました。

 私の不手際で大分時間をオーバーしてしまったのですけれども、生産的な御議論を頂戴したことに深く感謝を申し上げる次第でございます。御議論をお伺いした私の印象といいましょうか、こういう形で御了承いただいていいかということでございますが、GPIFの経営委員会のほうでおまとめいただいた今回の業務方法書につきましては、認可をすることについて、了承した。それは御意見を頂戴して、ほぼこれまで年金部会及び資金運用部会で議論してきたこと、この取りまとめ及びそれを反映してというか、それに基づいた法令等をこの業務方法書は反映していると。ただし、この御議論の過程で、さまざまなこれからの運用についての御懸念や大変有益な御意見を頂戴しておりますので、本日の委員の皆様方から出された意見等を、いらっしゃっていますが、事務局等とGPIFに適切にお伝えいただいて、運用上、留意していただくということを条件に認可をするということを承知いただいたということでまとめさせていただいてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○神野部会長 それでは、そのようにさせていただきます。どうもありがとうございました。

 その後でございますけれども、「その他」のところですが、これは資料2からの資料を御説明いただくことになるかと思いますが、宮崎課長のほうでよろしいですか。

○宮崎資金運用課長 それでは、御報告という形になりますが、当部会が発足してから昨年10月までに精力的に御議論をいただき、平成29年10月1日にGPIFが新しいガバナンスのもとでスタートいたしまして、それから部会としては初めてということになりますので、その間の幾つかのトピックを御報告させていただければと思います。

 まず、資料2、GPIFの直近の運用状況ということになります。これは今年2月に発表したものでございますけれども、昨年12月末時点での運用状況をまとめたものでございます。第3四半期の収益率としては3.92%ということでございまして、運用資産額は、12月末時点で162兆6,723億円ということでございます。第4四半期、3月末までの運用状況につきましては、本年の7月6日に業務概況書という形で公表させていただくことになっていると承知しております。GPIFの運用状況の開示につきましては、年度に1回アニュアルレポートといいますか、業務概況書という形で7月にまとめて発表する。その際には、制度の仕組みや、あるいは資産ごとの運用の方針、リスク管理の状況等、わかりやすく説明をして、一般の国民の皆様方に御理解いただきやすいような形で詳細な資料、分析をつけて発表しております。今年度、29年度の状況につきましては、7月6日を予定しているところでございます。それ以外に、第1、第2、第3・四半期につきましては、この資料2にありますようなサマリーといいますか、簡単なものを公表しているところでございます。

 2点目、資料3-1、3-2でございます。御案内のように、GPIFは中期目標管理法人という形でございますので、5年ごとに主務大臣、厚生労働大臣のほうで中期目標を策定し、それに対して、法人のほうで中期計画を策定して、5年単位で法人運営を行ってまいります。ただ、各年度におきましては、法人のほうで年度計画というものを策定します。中期目標、中期計画に沿った形で年度ごとの計画をつくり、それを厚生労働大臣に届け出る形になっております。資料3-1は今年3月30日に届け出られた30年度計画のポイントをまとめたものでございまして、資料3-2はその本文でございます。

 資料3-1にありますように、30年度計画のポイントといたしましては、リスク管理の高度化ということで、きょうも御議論の対象にございましたけれども、LPSですとか、デリバティブといった形で、投資対象が広がっておりますし、リスク管理もそれにあわせて高度なものにしていく必要があるということで、種々の取り組みを行うことにしております。また、運用手法、運用の多様化に対しまして、アクティブ運用、パッシブ運用について、例えばアクティブ運用につきましては、定量的な実績を勘案した定性評価に基づいて行う新しい実績連動報酬を導入するという形で、より効率的、適切な運用がなされるような取り組みが行われているということでありますし、また、オルタナティブ資産につきましては、本日も議論がありましたけれども、運用受託機関や投資対象資産等のモニタリングをより発展させていくということも書かれております。3点目として、スチュワードシップ活動というものがございますけれども、投資原則の中では、株式以外の資産においてもその資産にふさわしい活動を進めるということで、対象を広げておりますので、こうした取り組みを進めていくということが書かれております。また、透明性の向上や調査研究におきましても、平成30年度、ここに書かれておりますような活動を行っていくことが記載されております。

 これは30年度計画でございますけれども、当部会との関係で申しますと、29年度の業績評価というものがまたこの夏にございます。先ほど申し上げました業務概況書、あるいは財務諸表が取りまとまるのが今年6月末から7月の上旬にかけてでございますので、29年度、業務に関する実績評価につきましては、当部会で今年7月後半から8月ぐらいにかけてお願いする形になろうかと思います。その際には、29年度の状況、こうした年度計画を作ってやっているわけですけれども、それについて御説明をさせていただくことになろうかと思います。

 最後に、資料4でございます。経営委員会のこれまでの開催実績を資料としてお配りしております。10月1日に経営委員会が新たに設立をされまして以降、この間、4月までに9回の経営委員会が開催されております。御案内のように、従来の運用委員会というのは、運用に関する諮問を行うということでしたので、運用に関しての議題でございましたけれども、経営委員会に関しては、その運用に関する議論のほか、法人の経営に関わる部分の議論もございます。例えば組織の定員に関わるような話とか、そういうものも含めて経営委員会では議論されております。この間、9回の議論の中では、きょう御紹介しましたような業務方法書の変更なども議論されておりますし、かなりいろいろなことが御議論をされているということでございます。御紹介のみでございますけれども、そのような状況でございます。

 また、きょうの御質問の中にございましたけれども、経営委員会における御議論につきましては、議事の概要というものをホームページで公表しております。従来よりもより詳しくなった形で議事概要が公表されておりますので、その点でも被保険者の目線に立って合議体の経営委員会が活動することが機能しているのではないかと考えております。

 私からの報告は、簡単ですが、以上でございます。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 ただいま事務局から御説明いただきました事項について、御質問があれば頂戴したいと思います。

 どうぞ。

○原委員 御説明いただきありがとうございました。

 私から、確認とコメントをさせていただきたいと思います。特に平成30年度の計画、資料3-1と3-2についてなのですが、これは昨年の中期計画が変更されたところからの今年度、30年度の計画分だということだと思うのですが、この中で、特に最初の3-2を見ても「2.国民から一層信頼される組織体制の確立」のところが非常に大事だと思うのです。今、リスク管理の高度化とか運用手法とか、いろいろなお話がありましたけれども、信頼される組織体制の確立はどうあるべきかということもあるのですが、私の個人的意見ですが、体制などをしっかりしていくのはもちろんなのですけれども、そもそもGPIFというのはどういう組織であるのかということをしっかりと国民の皆さんに伝えていくことが、より信頼される組織になるためにまずは必要だと思います。もちろん、ホームページにきちんと書いてあることは拝見させていただきました。GPIFの目的ですとか、使命とか、積立金の意義とか、そういったことをすごく細かく書かれているなと思っています。ただ、それをしっかり理解している人は一般の方ではまだまだ余り多くないのではないかと思います。あと、賦課方式の年金制度において、積立金はどうして必要なのか、どういう目的で運用を行っているのかということなどについても広く知ってもらうことも信頼される組織になることに繋がることだと思います。

 そういうベースとなることをもう少ししっかりと広く知っていただくことが大事で、そのためには、この平成30年度の計画のポイントの4番にあるとおり、以前も言ったかもしれませんが、透明性の向上は非常に重要なのかなと思います。資料3-2にも細かく書かれてあるのは拝見させていただいたのですが、4の透明性の向上の中に、キーワードとして、公開資料をより一層わかりやすく工夫するとか、国民に対する情報公開、広報活動のあり方を検討する。これは今年度の計画ですね。あと、広報活動の評価、この中に効果測定を含むとあります。広報の効果測定というのはすごく難しいと思うのですけれども、そういった意味で、その後(2)から(9)、いろいろ書いてあるのですが、まずは確認なのですが、こういう広報活動のあり方とか、広報戦略とか、広報活動の評価というものは、誰が、どこの部署がやるのかということです。組織図で広報部とか、そういうものが見当たらなかったものですから、このレベルだと広報のプロがやってもおかしくないようなレベルだと思うのですが、例えばホームページの公開とか開示というのがいろいろ書いてあるのですけれども、それイコール広報というところから一段上を目指していただきたいというのが個人的な意見です。

 一般の方々が情報誌や一般の新聞などでGPIF関連の情報が載っていたときには、読んですぐに、こういう理由でこういうことをやっているのだということが分かってもらえるようになればよいと思います。基本的な情報が伝わっていれば、何かをやるときにも、さまざまなことをこれから検討していく上でも理解されやすくなります。そういう土台づくりというのは非常に必要なのではないかと思います。また、公的年金制度への理解、信頼と一体となっていると私は考えております。しっかり透明性の向上をしていただいて、情報発信、広報活動はどうあるべきかというあり方の検討をしっかりと部署内で、できれば担当を決めていただいて、もちろんいらっしゃると思うのですが、議論していただいて、それを進めていただきたいと思います。

 もう一点だけいいですか。この計画の中に、去年変更された中期計画と比べて少し足されたところがあったので確認なのですけれども、今の情報発信も含めてなのですが、アクティブ運用のところです。リスク管理のところで、資料3-2の中の4ページになるのですが、「(3)運用手法」のマル2のところです。アクティブ運用とパッシブ運用の併用のところで、これはもともと中期計画にも入っていたかと思います。アクティブについては、「過去の運用実績を勘案して定性評価とか、超過収益が期待できることを裏づける十分な根拠を得ることを前提に行う。」とあります。これはもともとあったものですが、その後のマル4について確認させていただきたいのです。アクティブ運用については、目標超過収益率を確保する観点からというところです。その中の実績連動報酬の導入というキーワードと、パッシブ運用については、多様なベンチマークへの対応を進めるというところについてなのですが、具体的にアクティブ運用について、実績連動報酬の導入とありますけれども、これはアクティブを拡大していくとか強化するという意味合いでこのようなことが書かれているのか、そうではなくて、より厳しい基準で成果を見ていくということなのかということが一つです。

 また、もちろんプラスもマイナスも両面を見ていくと思うのですが、ある程度の期間を区切って見ていくのか。運用成果を上げようとするとコスト面などもあると思うので、その辺の新しい文脈が入ったところの意味合いと、もう一点、パッシブ運用のところについても多様なベンチマークへの対応を進めるということのわかりやすいイメージというか、年金積立金の運用の観点から、この辺りについてもどうしてこういうことが必要なのか、今の時流に添ってということだとも思うのですけれども、どういうメリットがあるのかということ、これは明確に伝えていくことも必要だと思います。なぜパッシブ運用を今、多様化するのか、いろいろな対応をしなければいけないのか、ここの部分についてしっかり伝えて、そして伝わることがまずは必要かと思います。アクティブ、パッシブについては、皆さん敏感になるところかと思います。

 繰り返しになりますが、年金積立金はそもそも国民のお金であり、巨額であるというところから、国民からの支持が得られるよう、そうすることの必要性がわかるような、例えばもしできれば検証や説明などがあったらいいのですけれども、そういう情報発信を含めた上で理解を得た上でやっていくことが必要だと思います。今後、いろいろな試みも検討していくことは必要かと私は思いますが、理解を得ながら行っていくほうが組織にとっても今後業務なども受け入れやすく、やりやすくなっていくと思いますので、そういった意味で、透明性というところを含めて、これから運用のリスク管理の高度化などいろいろな事柄が出てくる中で、ぜひその辺も、引き続き検討いただければと思います。これは報告事項ですので、決まったことだと思いますので、運営していく中でご検討いただければと思います。

 以上です。

○神野部会長 井上委員、どうぞ。

○井上委員 手短に。今の御意見とほとんど重なりますけれども、年金制度に対する国民の将来不安の払拭という観点から、国民に対する広報がすごく重要になってきて、きょうのオルタナとかデリバティブに関しても、何となく一般の方から見るとわかりにくくて危ないのではないかと、まず不安が先に走ってしまうところもあります。ぜひ、今後広報をするに当たって、企業では決算の後IRというものをやりますけれども、恐らくGPIFはインベスターではないですが、広い意味でのパブリックリレーションだと思うのです。そういう活動をわかりやすくしっかりやっていただきたいと思います。

 以上です。

○神野部会長 ありがとうございます。

 ほか、よろしいですか。

 そうしたら、まとめてコメントをいただければと思いますので、よろしくお願いします。

○宮崎資金運用課長 まず、広報についての御指摘がございました。年金制度の中における積立金の役割とか、そういった部分につきましては、そもそもGPIFだけではなくて、年金局も含めまして、積極的に御説明していかなければいけないと思いますし、そういう努力はしていかなければいけないと思っています。この場ですので、GPIFに関して申し上げますと、御質問がありましたように、広報に関して、法人の中、執行部におきましても大変重要な課題だということで、この間、取り組んでこられておりまして、広報の担当の職員というもの、専任の職員を雇用いたしまして、今は専門の職員が周囲を動かしながら広報に関しての活動を行っているということでございます。その結果は、ここ数年で見ますと、例えばツイッターを活用した広報ですとか、ツイッターの中でいろいろなQ&Aみたいなものを出してわかりやすく御説明させていただいたり、業務概況書の内容もかなり充実してきたと思います。そうした形で少しずつ広報の内容の充実が図られてきているところでございます。

 例えば経営委員会でも、経営委員長が広報が大変重要だと発言されたり、制度に関しもう少し説明したらどうかという御議論がされているとも承知しておりますので、今が全部いいというわけではなくて、引き続き、そういう広報に関して、あるいは制度を含めた広報について進めていく方向でGPIFも動いているということと思っております。

 アクティブ運用に関しての御指摘がありました。運用のかなり中身に入るので、もし次の業績評価のときに法人から聞く機会があれば、また詳しくやりとりいただいたほうがいいのかもしれませんけれども、私から御報告する点は、この実績連動報酬の導入というのは、アクティブ運用をふやすためにやるということではなくて、現在行っているアクティブ運用につきまして、きちんと法人が想定する、あるいは期待するアルファ、運用益がきちんと運用受託機関でもそこを目指して頑張ってもらえるように、同じ方向を向いて頑張ってもらえるように、より実績連動型の報酬制度を導入してやっていこうというものでございます。想定したアルファがよりきちんととれる方向で報酬体系を見直したと理解しており、何かそれがあるから急にアクティブ重視になったとかということではないと思っております。原委員の御指摘で言うと2つ目のほうかもわかりませんけれども、現在やっているアクティブ運用がよりよいものになるようにという方向での見直しだということでございます。

 パッシブ運用についても、多様なベンチマークへの対応というのは、これは年々、例えば従来ですと、日本株のパッシブを取り上げればTOPIXですとか、そういったものが中心だったものから、JPX400とか、スマートベータですとか、ESG関連の指数ですとか、いろいろなベンチマーク指数が出てきておりますので、そうした市場の状況などを踏まえて、より効率的なパッシブ運用を行うという観点で多様なベンチマークへの対応を進めていくということで動きが出てきているということだと理解しております。

 私からは以上でございます。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、既に予定の時間を私の不手際で大幅にオーバーしておりますので、本日の審議につきましては、これにて閉じさせていただきたいと存じます。事務局から次回の開催等、連絡事項がございましたらお願いいたします。

○宮崎資金運用課長 次回の部会の開催日時は追ってまた各委員の御都合をお伺いして、調整した上で正式な御案内をお送りいたしたいと思います。現在予定しているところでは、6月末までに財務諸表が主務大臣に提出されて、7月6日に業務概況書の公表ということで、6月末から7月頭にかけて昨年度の状況がまとまってまいりますので、法人の評価という部分で、7月の末から8月ぐらいにかけて、次回を開催させていただくことになろうかと思っております。また改めて御調整させていただきたいと思っております。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 最後まで大変生産的な御議論を頂戴したことを深く感謝申し上げますが、私の不手際でもって大幅に審議時間をオーバーしてしまったことを重ねておわび申し上げて、本日の審議につきましては、これにて終了させていただきたいと思います。申しわけありません。

 御多忙中のところ、どうもありがとうございました。

 

 

(了)