自由民主党

1.企業年金の受給権について

 財産権については、公共の福祉の観点から合理的と考えられる場合は、一定の制限ができることは、最高裁の判例でも認められているところであり、確定給付企業年金法においては、実施事業所の経営状況の悪化又は掛金の額の大幅な上昇により掛金の拠出が困難であると見込まれる場合であって、加入者又は受給権者の3分の2の同意を得ることなどの一定の要件を満たす場合に受給者の減額が可能とされています。

 なお、確定給付企業年金については、将来の財政悪化を想定して計画的に掛金を積み増すことができるリスク対応掛金の仕組みを導入することとされており、企業年金の更なる財政の安定化が図られるものと承知しております。

 

2.「厚生年金保険法等の一部改正」案について

 基金が解散した場合、公的年金である代行給付は保障されます。また、上乗せ給付については、残余財産の範囲内で分配されることにおりますが、上乗せ資産のある基金が他の企業年金に移換し、上乗せ給付を続けることもできます。2013年改正では、上乗せ資産のある基金が他の企業年金制度等への移行できるよう、厚生年金基金解散後に事業所単位で既存の確定給付企業年金等に残余財産を移換できる特別措置等が講じられています。

 また、厚生年金基金が解散又は他の企業年金制度等に移行するにあたり、母体企業が退職金規定に基づく退職給付義務を履行することが必要であることを周知させるとともに、確実に周知が行われていることを確認のうえ解散は認可されているものと承知しております。

 

3.確定拠出年金法の改定について

 急速に高齢化が進行する我が国における老後の所得保障のあり方としては、老後所得保障の基本となる世代間の支え合いの仕組みである公的年金制度については、その持続可能性を維持しながら、将来世代も含めた給付水準の確保に必要な措置を講じつつ、私的年金が公的年金を補完する形で老後所得のさらなる充実を図るための環境整備を進めていくことが求められていると考えています。

 なお、今般の改正について、個人型確定拠出年金に関する改正だけでなく、確定拠出年金から確定給付企業年金への移行を可能とするポータビリティの拡充や確定給付企業年金制度の手続きの簡素化を図っているほか、別途リスク対応掛金等の新しい制度の導入を検討しており、確定給付企業年金制度の充実を図っています。

 今般の改正後も、引き続き労使判断により元本確保型商品を外す場合には労使合意や商品除外の手続きが必要であり、こうした手続きを経なければ労働組合や本人の意に反して外されることはないこととされており、これらを国民各層に丁寧に周知していくことが必要だと考えています。

 

4.リスク分担型(仮称)確定給付企業年金について

(1)リスク分担型DBは、事業主が従業員との間で積立状況に応じた給付の調整を行うことも含めて給付の内容を約する制度あり、「事業主が従業員と給付の内容を約し、高齢期において従業員がその内容に基づいた給付を受けることができるようにする」という確定給付企業年金法の目的と合致するものと考えています。

 

(2)現行では、給付の額を減額することを内容とする給付設計の変更を行った場合には、受給者の3分の2以上の同意などの手続きが必要となっていますが、これはリスク分担型DBに移行する場合についても同様であると認識しています。

 また、①全受給者に対する事前の十分な説明、②希望者には年金給付に代えて移行前の給付を一時金で支給というのは、給付減額に該当しない給付設計の変更を行う場合の手続きを定めたものであり、従来の給付設計の変更の取扱いよりも手厚い手続きになっていると考えます。

 

(3)「確定給付企業年金の本旨から乖離した仕組み」の具体的な内容が分らないためお答えできません。

 

5.支払保障制度の法制化について

 確定給付企業年金において支払保証制度を導入する必要性、企業年金の性格、受給権との関連、モラルハザードの回避方策など整理すべき課題が見らることから、引き続き検討すべきものと考えています。

 

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