2012年2月6日 第10回社会保障審議会年金部会議事録

年金局

 

○日時 平成24年2月6日(月)13:00~15:03

○場所 全国都市会館2階大ホール

○出席者

神 野 直 彦 (部会長)

植 田 和 男 (部会長代理)

逢 見 直 人 (委員)

小 塩 隆 士 (委員)

柿 木 厚 司 (委員)

菊 池 馨 実 (委員)

駒 村 康 平 (委員)

小 室 淑 恵 (委員)

小 山 文 子 (委員)

佐 藤 博 樹 (委員)

武 田 洋 子 (委員)

花 井 圭 子 (委員)

藤 沢 久 美 (委員)

森 戸 英 幸 (委員)

諸 星 裕 美 (委員)

山 口  修 (委員)

山 本 たい 人  (委員)

吉 野 直 行 (委員)

米 澤 康 博 (委員)

 

○議題

社会保障・税一体改革素案に基づく年金制度改革について

○議事

○神野部会長 それでは、定刻でございますので、ただいまから第10回を数えますが、年金部会を開催したいと存じます。委員の皆様方にはお忙しいところ、また、寒さが続くところを御参集いただきまして本当にありがとうございます。

 本日の委員の方々の出欠状況ですが、植田委員、逢見委員、小塩委員、佐藤委員、森戸委員、吉野委員、米澤委員が御欠席との御連絡をいただいております。

 それでは、議事のほうに入らせていただきますが、事務局から御説明をいただく前に資料の確認をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○藤原総務課長 よろしくお願いいたします。本日の資料でございますが、資料1といたしまして、「受給資格期間の短縮について」、資料2といたしまして、「産休期間中の保険料免除について」、資料3といたしまして「制度運営上の改善事項について」と3つ資料を用意させていただいております。御確認をいただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。

○神野部会長 資料、御確認いただいて、よろしいでしょうか。

 それでは、カメラの方にはここで御退室いただきたいと思いますので、御協力をお願いします。

(報道関係者退室)

○神野部会長 本日は前回に引き続きまして準備をしております法案にかかわる事項について、前回に引き続いて御議論をちょうだいしたいと考えておりますが、事務局のほうから資料につきまして御説明いただければと思います。

○梶尾年金課長 それでは、資料1につきまして、まず御説明をしたいと思います。資料1は「受給資格期間の短縮について」というものでございます。

1ページおめくりいただきますと、1月6日の一体改革の素案には、この項目につきましては、「無年金となっている者に対して、納付した保険料に応じた年金を受給できるようにし、また、将来の無年金者の発生を抑制していく観点から、受給資格期間を、現在の25年から10年に短縮をする」ということで、これは「最低保障機能の強化」ということで、この通常国会の法案提出、税制抜本改革とともに、法案提出に向けて検討することになっております。

昨年暮れの「年金部会の議論の整理」におきましても、この無年金者対策の観点から、納付した保険料を極力納付に結びつけるという観点から、短縮の方向は一定の賛同を得た。そして、期間については10年程度が妥当であるというような御意見だったかと思います。

また、その際に、留意事項として、まずは40年間納付が原則であるということと、周知徹底・広報、年金教育が大事であり、納付率の対策が必要だということをこの部会でも御意見をいただいたところでございます。

本日は、資格期間の短縮、10年に短縮をするということに関連して、確認的に、こういった法改正の内容にする必要があるのではないかということと、若干関連する制度については、このような整理になるのではないかということを整理して御報告を申し上げたいと思っているところです。

3ページですけれども、「受給資格期間の短縮について」ということで、改正内容は、老齢基礎年金の受給資格期間を10年に短縮をするということですが、老齢基礎年金だけかと申しますと、(対象となる年金)という欄にありますように、老齢基礎年金と二階建てで一体的に受給要件が判断をされる老齢厚生年金、共済の場合の退職共済年金、これにつきましても、基本的には基礎年金が出るのであれば二階部分の厚生年金、共済年金も出る、基礎年金が出ないのであれば二階も出ないというのが現在の構造ですので、セットで老齢厚生年金、退職共済年金についても10年という形に併せて見直しをする。

次に「寡婦年金」というのを書いてございますけれども、これはこの資料の後ろの7ページに「(参考)寡婦年金について」というのがありますけれども、これは自営業者の国民年金制度独自の給付でございまして、前回の遺族年金の男女差のところで、年金制度の中の男女差、女性にしかない給付の一つとして、こういうのもあるわけですが、現在、寡婦年金ということで、死亡した夫の第1号被保険者期間としての納付済期間、免除期間を合算したものが25年以上であり、婚姻関係が10年以上継続をしていて、御主人が障害基礎年金を受けたり、老齢基礎年金を受けたり、あるいは繰上げも含めて、そういったことも何もしていない。25年以上は払っているけれども、何も受給されないまま亡くなった場合について、国民年金は別にほかにも死亡一時金という制度もあるわけですけれども、何も受給されずに亡くなった場合で、10年以上婚姻関係があった奥様、まだ年金をもらっていらっしゃらないというようなケースについて、夫が受けることができたであろう老齢基礎年金額の4分の3相当額を奥様が60から65歳までの間、65になったら御本人の老齢基礎年金出ますので、60代前半の間だけ支給をするというのがございます。

これについても、今、25年ということが定められておりますけれども、ここもある程度の期間を納めた方について、何も受給されないまま亡くなったケースという話ですので、ここも10年にするということでございます。

あと、3ページに戻りまして、「旧法老齢年金」という昭和60年改正の前に年金受給権が発生した、基礎年金ができる前に、国民年金、厚生年金等と分かれていた時代において、その当時は国民年金は25年、厚生年金単独ですと20年とかあったわけですけれども、したがって、昭和60年以前に受給権発生ですから、大正生まれの方々になりますが、期間が短くて受給できていない方についても10年に短縮をするということで、ここは、こういうグループは老齢基礎年金を10年にすることに併せて行うということに整理されるであろうと考えております。

2個目の「○」は、今の旧法の方も当然含みますけれども、現在25年を満たさずに無年金である高齢者に対しても、改正後の受給資格期間を満たす場合には、経過措置として施行日以降、法律が改正された以降について納付済期間と、10年なら10年分、15年なら15年分に対応する年金額を計算して支給を行うと。昔の分に遡ってということではなくて、法改正後についてということで、ここについては法改正の効果を今の無年金者まで及ばさなくても別に法的な問題があるわけではないけれども、やるというのは政策判断でというような形だったと思いますけれども、無年金者対策という観点も一部あるということで、そこも支給をするという整理だろうと考えております。

ただ、一方で、年金制度の障害年金・遺族年金がございますけれども、これにつきましては、例えば年金制度に加入して直ちに障害者になった、あるいは直ちに死亡という事故が起きた場合についても、一定程度の給付がなされるというような仕組みではあるのですけれども、その際に年金制度に加入して以降、保険料の納付が少ないといいますか、未納の期間が多いというようなことであると、そういった短期の障害とか死亡という保険事故に対する給付が適当でないということで、何年以上納めたという納付済期間の長さではなくて、未納期間が1/3以上ではない、逆に言えば2/3以上の期間について納付済み、または免除期間ということを要件としておるということであります。ここは2/3以上の期間を納めていたのであれば、こういった障害者・遺族になった場合の保障があるということについてはここは変わらない。40年のうち10年でも老齢年金が出るようになったから、障害年金や遺族年金を1/4でもいいとか、そんなような話にはしないということなのだろうと考えております。

その点について、4ページで補足的なことを書いてございますけれども、障害年金については現在2/3という要件しか基本的にないのですけれども、遺族年金に関しては、短期要件といいますか、「被保険者期間の2/3以上が納付済みまたは免除であって、未納期間というのは1/3以下であるということ」のほかに、「25年の受給資格期間を満たすこと」という2つの要件のどちらかを満たせばいいという遺族年金については法律の条文になってございます。現在、40年のうちの25年ですから、2/3は大体同じような数字になっていて、現在、概ね両者のバランスが図られているわけですが、短期要件は2/3は変えずに、長期のほうで、老齢基礎年金の10年の受給資格期間を満たしている方が亡くなったからといって、遺族年金を出すというようなことにしてはいけないのではないだろうかと考えています。短期要件というのは、年金制度に加入直後に死亡とか障害があった場合でも、一定以上の給付、厚生年金でいえば、すぐ亡くなった場合でも300月(25年)加入していたとみなして、ある程度の年金額になるような計算もしておるわけですけれども、そういったことのバランスの問題になるということもありますので、遺族年金について、老齢基礎年金の受給資格期間を満たすことと現在なっておりますけれども、単純に老齢基礎年金の受給資格期間を満たすことのままですと、10年の納付でも遺族年金が出てしまうということになりますので、ここについては25年を残しておく必要があるのではないかと考えております。

あと一点ですけれども、現在、受給資格期間が25年であることを前提として設けられている加入制度がございます。そこについての整理の方針ですけれども、2点ありまして、外国人の脱退一時金制度の話と任意脱退制度という余り見なれない、聞きなれない制度でございますけれども、2点ございます。

5ページを見ていただきますと、〈外国人脱退一時金制度〉といいますのは、日本に滞在される外国人の方でも厚生年金の適用事業所に働かれれば厚生年金に入っていただくと。あと、日本国内に住所を有する方であれば国民年金に入っていただくということなのですけれども、短期間の滞在で母国に帰られるケースがございますので、そういったケースにつきまして、老齢年金の受給資格期間を満たさないままで日本を離れる。それで日本国籍のない方については、帰国後2年以内に請求があれば大体納めた保険料の半分ぐらいが目安になりますけれども、条文に仕組みがございますけれども、一時金の支給を請求して外国人の脱退一時金という形で返還するというものがございます。これは受給資格期間を満たさなかったというケースですので、現在は25年満たさなかったということですけれども、これにつきましても、10年を満たさなかった場合については脱退一時金制度の対象にする。10年以上入っていただいた方であれば、それは日本の老齢年金を帰国後も受給できるわけですので、それは脱退一時金の対象にはならないというような整理にしようということが1点です。

あと、下の〈任意脱退制度〉というのは、国民年金制度は強制加入であるのですけれども、国民年金の第1号被保険者資格を取得した際に、その後60歳まで加入したとしても25年を満たさないという場合については、国民年金の脱退の申請をすることができる。日本人の方が外国にいて、日本に帰って来られたようなケースであれば、日本人が外国にいた期間というのは、いわゆるカラ期間、合算対象期間ということですので、それまでの期間も、現行でいえば25年の資格期間にカウントできる期間になるものですけれども、外国人の方で日本に来られた場合、そういった取扱いもないので、それ以降の加入期間だけが対象になるということで、したがって、現在は、35歳以上で日本に初めて来られた方であれば任意脱退というのは可能だということになってございます。

ただ、今回、資格期間を10年にしますと、国民年金の加入は60歳までですけれども、60以降の任意加入というのが70まであるということを考えますと、このような特別な制度というのはなくしてしまって、基本的には日本に来られて日本に住所のある方については入っていただくという整理にするというのが適当なのではないかと考えております。

以上が、資格期間10年の短縮に関連しまして、短縮の対象になる年金ですとか、遺族年金等の取扱い、関連制度はこのような整理をしてはどうかということで現在検討しているということの報告をさせていただきました。

以上です。

○神野部会長 どうもありがとうございました。第1の案件として、受給資格期間を10年に短縮するということとして、それを具体化する際の論点を御説明いただきました。

それでは、委員の皆様方から御意見をちょうだいしたいと思います。いかがでございましょうか。柿木委員、どうぞ。

○柿木委員 ちょっとお聞きしますけれども、新たに受給資格期間10年にする場合には、その中身を現行制度と同様に保険料の納付済期間、免除期間、それと合算対象期間、これを含めて計算するということでよろしいわけですか。

○梶尾年金課長 はい。

○柿木委員 ここから意見ですけれども、納付インセンティブのことを考えると、現行制度よりも10年の中身を厳しくするという考え方はないのでしょうか。例えば合算対象期間を除くとか、納付済みの期間ときちんと手続をした免除期間のみにするといった考え方はどうでしょうか。

○神野部会長 コメントがあれば。

○梶尾年金課長 前回もほかの委員からそんな御意見もいただいたところでありますけれども、この合算対象期間というのは、外国におられた期間、あるいは任意加入はできたけれども、任意加入されてなかったというような期間がある方についても、一定程度、できるだけ年金受給資格に結びつくようにということで、年金額には反映しないけれども、受給資格には結びつける。合算対象期間があったからその分だけ年金が増えるわけではなくて、期間は満たして、実際に納めた期間に応じて年金が出るようにしようということですので、例えば25年のときには合算対象期間が認められていたのに、10年になったらそれはなくなるとか、そういうのは余り適当ではないのではないかというふうには考えております。

○神野部会長 よろしいですか。

○柿木委員 おっしゃるとおりだと思うのですけれども、ただ、合算対象期間も給付の対象にしないということになると非常に少額の年金を支給するようなことになって、事務処理が非常に過大になるというようなことはないのですか。

○梶尾年金課長 事務処理の話は勿論ございますけれども、それは現在も25年の判断のときに、実際記録がない中でいろいろ情報を教えていただきながら合算対象期間がないかというのを併せて調べているというのは、それは勿論ございますけれども、そうは言っても、できるだけ年金受給権に結びつけられるように、外国におられた期間や60年改正の前のサラリーマンの奥様で任意加入されてなかったような期間を、期間には入れて、年金に結びつけるようにということですので、今の25年満たしている方の中にも、例えば納付済みは7~8年ですけれども、合算対象期間20年とか、そういった方も実際おられたりもするわけですので、そういったことを考えると、今回の10年に短縮をするような機会に合算対象期間をそこについては外すとか、あるいはそもそもそういうのは外すとか、そういうのは余り適当でないのではないかと思っております。

○柿木委員 わかりました。

○神野部会長 ほか、いかがでございましょうか。諸星委員。

○諸星委員 外国人の脱退一時金制度について、これも10年にするということなのですが、今現在は日本でも結構外国の方々が入国されて勤務されているということが多いと思います。以前、外国人の一時金の問題であったのが、25年以上、たまたま受給権を持っていて、海外に戻られ、日本にはもう入国することはない方がいらっしゃるのですね。でも何かしらの事情で年金ではなく、どうしても一時金の請求をしたいと思ってもできないような状況があって、それに対して不服が来たという事例がございましたので、仮に10年に短縮す

るとなると結構厳しい条件となることに問題があるかなという印象はあります。

 今回は受給までの支給期間を10年に短縮するということはいいのですけれども、外国人脱退一時金制度、もしそれも合わせるとなると、今、進めていらっしゃる社会保障協定の国の範囲を広げないと、また別の問題が出てくるのではないかと私は思います。以上です。

○神野部会長 協定を増やすということと併せてということですが、これは何かコメントありますか。なければ、御意見としてちょうだいしておきますが。

○梶尾年金課長 社会保障協定については大体毎年1~2カ国ぐらいずつ増やしているところでありますけれども、その取組は当然引き続き進めていかなければならないと思っております。

○神野部会長 あと、いかがでしょうか、菊池委員、どうぞ。

○菊池委員 この方向性については、私は賛成ということで申し上げておりますが、一点、事務的なことですけれども、経過措置を設けて、今、無年金の方にもお支払いするということなのですけれども、申請主義の原則というのは、新たに裁定、申請をしていただいて裁定するということにせざるを得ないという理解でしょうか。事務的なことですけれども、どうかなと思いますので。

○神野部会長 経過措置、申請主義というふうに理解していいかどうか。

○梶尾年金課長 条文構成どうするか、まだ詰めの最中ですけれども、基本的には請求に基づいてという形にはなろうと思います。

○神野部会長 小山委員、どうぞ。

○小山委員 専門的なことはよくわからないのですけれども、一般人として発言させていただきたいと思います。こうして部会に出席させていただいて、皆さんの御意見とかについていくのがやっとなのですけれども、その中で一般の人たちは、自分の年金について結構計算をしているのですね。例えば繰上げて受給するときに、何歳になってもらって、65歳から支給開始をした方と何歳になったら同じになるよとか難しい計算を一生懸命していらっしゃいます。

それで、この「10年」という数字が出たときに、特に若い人たちとかパートさんたちとか、どのくらい働いて、どうしたら、一番自分が得かという計算も多分されると思うのですね。なので、この10年は10年でよいかと思うのですけれども、これを伝えるときに「10年」という数字がひとり歩きしないように、やはりきちんとした正しい情報を出すという、前回もそういうお話出ましたけれども、そういうことがすごく必要ではないのかなと思っています。以上です。

○神野部会長 どうもありがとうございました。あと、いかがでしょうか。

○山本委員 簡単なことで恐縮でございますが、この3ページの下の表を拝見しますと、10年未満が59%ですので、41%の方がこれによって救われるという考えでよろしいのかと思いますが、支給総金額がこれによって増えてくる部分があると思います。昨今の新聞を見ておりますと、今日の高齢者に対する補助よりは、むしろ将来の若年層の方々に対する給付金額のほうを少し厚めにしたほうがいいのではないかというような所見等もございます。その辺との絡みで、今の金額とともに、こちらのほうを厚くしていくということと、将来の若年層の方々に対する給付の問題とその辺の整合性はどうなっているのでしょうか。

○神野部会長 これについてコメントいただけますか。

○梶尾年金課長 この3ページの資料の見方につきましては、今、御指摘のありましたとおり、65歳以上の無年金者約42万人という推計ございますけれども、その方々が何年納付済みがあるかということを見ますと、こういった分布でありますが、約4割の方が10年以上ですと。これは実は、先ほども話題になりましたけれども、旧社会保険庁の記録のある、納付済みとか免除だけですので、これにカラを加えたらもう少しいるかもしれませんけれども、数字上としては約4割(17万人)になります。この方々に対して、納付済み期間に応じた、例えば10年であれば1万何千円とか、そういった年金額を支給しますと、基礎年金で約500億ぐらい。したがって、基礎年金の国庫負担分で言うと250億ぐらいというような計算をしてございます。

それを含めて、低所得者の加算の話とか、障害基礎年金の加算等を含めて、あと、高所得者への年金額の調整と全体合わせて約0.6兆円(6,000億円)程度の費用、この250ないし300億円ぐらいを含めて約6,000億ぐらいの給付を年金の案のところに立てようと。これは消費税を含めて税制の一体改革の中で、消費税引き上げた中の、社会保障の機能強化をやっているプラス2.7兆円のうちの年金に0.6兆円ということになりますけれども、そのほかの分を子ども・子育て、いろいろな対策、そういったものを含めて、全世代対応型の社会保障の機能強化をしていくと。その中で子ども・子育て、そういったところにも充てていくというのが、ほかの税の話なども含めてあるわけですが、その中の年金については、これを含めて6,000億ぐらいを充てると。そういう全体の提案の中に位置づけられるということでございます。

○神野部会長 駒村委員、どうぞ。

○駒村委員 2つありまして、先ほどの小山委員からお話があった、10年に短くするという意味、これはきちんと解説をされたほうがよくて、今の制度のままだと1/4しかもらえないということであるわけですし、それに対して加算に期待をしていただくということも、これからの議論かもしれませんけれども、余り加算を、足りない分をするというわけでもないと思いますので、その辺は解説をきちんとしたほうがいいのではないか。間違って、10年で満額もらえるとか、そういう話は伝わらないようにしなければいけない。

それから、今日の資料1に関する主題というか、重要なところのもう一個は、3ページ目の上から3つ目の「○」の遺族年金と障害年金の受給要件をどうするか。これは変えるか、変えないかというところで、これは結果的に言うと、4ページの補足に書いてあるような形で、考慮すれば余り変える余地はないのかなとも思うのですね。確かにもう少し選択肢がないのかというと、例えば短期要件を2/3から1/2にするとか、そういう考え方あるかもしれませんけれども、そうすると今度は300か月を200か月にしなければいけないとかいろいろ一緒にくっついてくる可能性もありますし、長期要件を10年にすると、確かにバランスを崩すという感じもします。

この辺はもう少し丁寧に説明文書を加えられたほうが納得感が得られるのではないかと思います。300か月というところはセーフティネットというか、底支えをする機能を果たしていて、短期要件のところを機能しているわけですので、ここをまた10年にしてしまえば、非常にバランスも確かに崩れると思いますので、この資料1の4ページはもう少しバランスとか、300か月の機能などを書き加えて、こちらの遺族年金、障害年金については要件をそれほど変える余地はないという説明をしたほうがいいのではないかと思いました。

○神野部会長 事務局、何かコメントありますか。よろしいですか。

○梶尾年金課長 はい。

○神野部会長 それでは承っておきます。ほか、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。ただいま出された意見等を今後御検討の際に生かしていただきたいと考えております。

それでは、続いて資料2について御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

○梶尾年金課長 それでは、続きまして資料2、改正項目の1つの「産休期間中の保険料免除について」という資料についてです。これにつきましては、昨年、御議論いただきました際に、多くの委員から、これはやるべきだという御意見をちょうだいしたところであります。

1ページおめくりいただきまして〈改正内容〉ということで、産前産後休業を取得した者に、育児休業同様に以下の配慮措置を講ずるということで、休業期間中の保険料徴収の特例ということで、この期間について厚生年金保険料を免除するということです。昨年の議論で、この点だけ申し上げておりましたけれども、育児休業同様の配慮措置というのを考えた場合に、現在、育児休業を終了して、その後、職場に復帰された際に、従前の標準報酬を適用しているままですと、実際には働く時間を育児休業明けですので働く時間を短くしたりして、従前の休業前と比べると実際の賃金は下がっているというようなケースが出てくるわけですけれども、そういった際に、従前の高い標準報酬のままでありますと保険料負担が高いということにもなりますので、通常の標準報酬の改定、2階級以上下がるとか、幾つか要件ありますけれども、随時改定の要件に当たらないような場合であっても、実際3か月ぐらい、そういった低い標準報酬が続くようであれば、特別な標準報酬の改定というのを設けておりますけれども、これは産前産後休業を終了した後についても、早い段階での標準報酬の改定、実勢に応じた形での標準報酬に見直すということの特例を、このケースについては設けるということでいいのではないだろうかということを整理して、本日はこの資料に書いているということでございます。

説明は簡単ですけれども、この資料の説明は以上でございます。

○神野部会長 どうもありがとうございました。それでは、これは既に前の議題と同じように一度御議論ちょうだいしているものでございますが、いかがでございましょうか。花井委員、ないということですか。

○花井委員 はい。

○神野部会長 ほかにいかがですか。柿木委員、どうぞ。

○柿木委員 直接関連ないかもしれませんけれども、今、医療保険部会では、産休期間中の保険料免除、健康保険の取扱いについて、強い抵抗があるという話を聞いておるのですが、厚生年金と健康保険の取扱いで保険料免除が異なるというような可能性はあるのでしょうか。

○梶尾年金課長 この資料、厚生年金のことだけ書いてございますけれども、健康保険については、産休期間中の保険料免除については医療保険部会でなかなか議論まとまってないというふうに伺っております。これにつきましては、現在の段階としましては、厚生年金についての保険料免除をということで、健康保険は含めない整理で提案をしているところでございます。

○神野部会長 ということは、場合によっては取扱いが異なる場合もあり得べしということですね。

○梶尾年金課長 そういうことです。

○神野部会長 よろしいですか。

○柿木委員 はい。

○神野部会長 ほか、いかがでございましょうか。

○山口委員 基本的に賛成ですが、前回のときも出ていたと思うのですけれども、厚生年金の加入者については、今でも育児休業期間中の保険料免除の取扱いがあり、さらに今回の産前産後の取扱いが追加されることになっていくわけですけれども、国民年金とのアンバランスという点が非常に気になるところです。これはある意味で第3号被保険者の取扱いと同じように、夫が厚年に入っていると第3号になって、国年の場合には第1号になるといった話と同じようなことが、今後また増えるわけですね。余りこういう形で厚年と国年の間での格差が拡大していくというのはどうかなという感じがしております。

 恐らく国年のほうでは財政的な問題もあってなかなか育児休職期間中や産前産後の保険料免除といったことが難しい面があると思いますが、前回も申し上げたのですけれども、次世代の育成といったのは年金の問題として非常に重要ではありますが、同時に我が国の将来の国の基盤を形成するという意味で、国全体の政策としても非常に重要であるわけです。この問題は保険料財源という枠の中で考えるとどうしても制約はありますので、税財源等も含めて、国年の対象者にもこういった保険料免除ができるようにしていくというのが今後の大きな課題ではないかと思っております。以上です。

○神野部会長 ありがとうございます。菊池委員は意見あるのですか。

○菊池委員 1つは、今、山口委員がおっしゃられたところで、以前、ここでも保険料でやるのか、公費でやるのかという議論になっていたと思いますので、その辺、今回は明示されていないように思うのですが、保険料でやるという前提で考えているということですね。ということは、国民年金には差し当たり今回広げないという理解ですね。

○梶尾年金課長 はい。

○菊池委員 わかりました。それから、これも先ほど出ていましたけれども、医療保険等の扱い。私、医療保険部会の議事録を読みましたけれども、必ずしも積極的でない、むしろ否定的な意見もあったように思われまして、随分こちらの部会はトーンが違うなと感じたのですが、本当にそれでいいのか、トータルな意味での被用者保険という枠組みの中での議論もしなくていいのか。医療保険部会のほうは、こちらの部会のテリトリー外のことですけれども、統一的な説明をどうするかというような点につき、もし別扱いするにしても考える必要があるのではないかと思われます。

○神野部会長 この段階で、今、出た2つの指摘について、何かございますか。

○梶尾年金課長 厚生年金と健康保険の関係につきましては、そういう別扱いにするという際にもどういう理由になるのかというのは明確な説明をしていく必要があるだろうと、御指摘のとおりだと思います。

あと、こういった対応について、保険料に限らず、税も含めた形での次世代育成支援というのは、それは大きなテーマであって、先ほどの山本委員からの御指摘にありましたとおり、今回の全体の改革の中で、子ども・子育てに対して税財源を用いて取り組んでいくというのはそれはそれで大きなテーマとしてあるわけですけれども、年金制度の中でどのようなことをするのかという際に、従来の育児休業の制度と同様に産休関係については、ある意味、そこだけ残っている状態ですので、そこを今回やる必要があるのではないかという問題設定と、また、保険料でやる場合は、国民年金は保険料をどうするかというのが、厚生年金の場合と比べるとかなり厳しい議論になってくる。一方で国民年金の部分にだけ税でというわけにも、なかなかそれは難しいというような形の中で、今回、厚生年金について育児休業と同様のやり方で産休の部分はやらせてしていただけないかという整理での提案でございます。

○神野部会長 よろしいですか。

○菊池委員 はい。

○神野部会長 駒村委員、どうぞ。

○駒村委員 今の議論、議論をもう少し工夫すれば自営業の国民年金1号の方にも、保険財源を使って何とかできる工夫も余地はあると思うのですね。例えば休業というのが自営業の場合、どうとらえるのかとか、これは厄介かもしれませんけれども、子育て期間、ある一定期間については保険料を免除してあげると。その免除分は1号の保険財政の中でつじつま合うようにしてあげればいいわけでありまして、国庫負担の分は免除扱いにしておけば何とかなるのではないかと思いますので、何も国庫を使わなくても、国民年金の1号の中の保険料をうまくみんなで、賦課方式なのですから、子育て期間中については、そういう子どもを持つ人に対しては応援してあげましょうというやり方はあるとは思うのですね。

ここら少し次のステップに入ると思いますけれども、厚生年金に限定する議論であれば、これでもいいと思うのですけれども、もう少し課題としては、1号の人たちを含めた工夫の余地はあると思います。

○神野部会長 どうぞ、コメントあれば。

○梶尾年金課長 問題設定としては、まさに駒村委員からあったとおりなのですけれども、最初におっしゃったように、子育て期間というのをどう決めるかとか、そういった場合、今の厚生年金のほうも含めてどうするのかということで、かなり大きな整理の議論になるというようなことではあろうかと思います。今回は厚生年金の育児休業と同様な形を産休期間中についてもという、ある意味、限定的な議論になりますけれども、今後、大きな年金制度の中で、子育てというのをどのように考えていくのかというのはかなり以前からある論点ではありますけれども、大きな論点であろうと思っております。

○神野部会長 花井委員、どうぞ。

○花井委員 確認なのですが、産休期間中の厚生年金保険料免除は健康保険料の免除とセットかと思っていました。今回、厚生年金保険料に限定した議論をするということは、健康保険では出産手当金として標準報酬日額の2/3が支給されているということも1つの要因かとも思いますが、それは確定したということなのでしょうか。社会保険料は、医療保険と年金をセットで賃金から徴収されて納付されているので、医療保険と年金を切り離した制度設計にするということかどうかの確認をお願いしたいと思います。

○神野部会長 これはいいですか、今の段階で。

○梶尾年金課長 決まっている、決まってないというとあれですけれども、一応厚生年金という仕組みと健康保険という仕組みは免除対象が変わるということもあってはいけないという話ではない。ただ、そういう意味でどう整理していくのかということかと思っております。

○花井委員 そうしますと、今の段階では厚生年金保険料に限定した議論であるが、健康保険料の免除もあり得るということでしょうか。

○梶尾年金課長 先ほど答弁しましたとおりです。

○神野部会長 よろしいですか。これはいずれ、まだ決定している話ではないですね。

○梶尾年金課長 これについては。

○神野部会長 ほか、いかがでございましょうか。よろしいですか。

 それでは、次の資料について御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○梶尾年金課長 それでは、資料3の「制度運営上の改善事項について」ということについて御説明をいたします。

表紙をおめくりいただきまして、12月の議論の整理でも、この部会で一体改革の夏でいえば成案に盛り込まれた事項につきまして検討を重ねていただいたわけですけれども、もとより、現行制度の課題はこれに限られるものではないということで、昨年中でも若干年金機構からの提案ですとか、厚労省に対して国民の声として寄せられているさまざまな要望があるということを御紹介しましたけれども、そういった制度運営上の中の、こういった制度改善を図っていく際に、法律の条文でこうなっているというものも幾つかございまして、そういったところを法律改正がある機会には併せて改正をすることにしたらどうかということで、幾つか検討したものがございます。こういった改正を今回法案出すのであればそれに盛り込んではどうかということで、まず、この資料の中の3ページから5ページにわたりまして、項目、見出しございますけれども、まず「(1)給付関係」というところについて御説明申し上げたいと思います。

「給付関係」ということで、次のページまでの5項目、繰下げ支給の取扱いですとか、任意加入等がございます。

まず「繰下げ支給の取扱いの見直し」につきましては、6ページに進んでいただければと思いますけれども、現在の老齢基礎年金につきましては、65歳が支給開始年齢ですが、これは繰上げて減額して早く60歳以降受給するとか、あるいはもらい始める時期を66とか64とか遅らせて、そのかわり割増になるというようなことが御本人の選択でできることになっております。繰下げて、少し受給開始時期を遅らせて、多少割増で受給するという場合について、1か月遅らせるごとに0.7%の割合で増額、5年間、60か月遅らせますと42%の増額になるということで、65歳からでなく70歳から受給すれば、元が6.6万だとすれば、9.4万円になるというようなことになるというのが現在の仕組みです。

70歳以上、そこ以降は幾ら繰下げをしても42%というのは変わらない。何歳から受給しようとも42%は変わらないということなのですが、繰下げ受給をする場合については、繰下げをしておいて、これから受給したいということの申し出をしていただくわけです。68からでも69からでも別にいいわけですので、それは御本人の選択で開始できるのですが、70を過ぎてから、71歳になってから請求した場合も、現在の法律の条文ですと、71歳で請求した以降の月分だけをお支払いをする。70歳になったときから9万4,000円があるはずだから、70歳のときの分からということではなくて、請求してから以降ですということになっているのですけれども、これにつきまして、繰下げ支給、繰下げをされている方は遅らせて割増で受給をされようということですので、70歳から受給したいという意思があるのだろうというようなことも考えられますので、多少請求が遅れた場合でも70歳に到達した時期の分からお支払いをするということに見直しをしてもいいのではないかというのが、これも要望もよくある話でございまして、それを対応してはどうかというのが1点です。

 次の7ページが2つ目なのですが、先ほども議論にありましたが、合算対象期間ということで、外国にいた期間ですとか、60年改正前のサラリーマンの奥様の期間、任意加入をしようと思ったらできるけれども、しなくてもよかった期間は合算対象期間ということで、受給資格期間には入るけれども、年金額に反映されない期間ということなのですが、任意加入をしたのだけれども、何か月間は払ったのだけれども、その後、払わなくなったとか、任意加入をしたのだけれども、未納になったという期間が現実にはあります。任意加入はしたけれども、払えないからやめますということをされれば、その後ろは任意加入しなかった期間なのですけれども、ということで合算対象期間になるのですが、任意加入はしたけれども、そのまま任意加入をしっぱなしで保険料未納でありますと、今、合算対象期間には入らないというような扱いになっております。

 これにつきましては、そういった期間につきましても、任意加入を行わなかった期間と外形的には同様な期間ということになりますので、そこについては、これは遡るということではないですけれども、法律改正の施行以降については、当該その期間を合算対象期間として取り扱うようにしてはどうか。そうするとこういった期間を含めれば、現在でいえば25年を満たすけれども、そういった任意加入したが、未納期間になっているという期間が25年に入らないために年金を受給されていないという方が、そういったケースについてのみ効果が生じるといいますか、25年を満たせるというようなケースが生じるということなのですけれども、そういった合算対象期間としての取扱いにしてはどうかということです。

 3つ目は8ページですけれども、これは障害年金の関係なのですけれども、障害年金、現在、基礎年金だと1級、2級、厚生年金は3級までございますので、症状が重くなったということで、3級から2級へ、2級から1級へということで額の改定の請求をするということが可能です。その際は診断書など、そういった資料を付けていただくのですけれども、重くなったと思うので額改定したいということの請求をして、いや、まだ上の等級に該当するほどは重くなってないですというのが判定をされたようなケースで、それから、また、しばらく経ってすぐに、また、やはりもう一回請求したいということですと、余り状態も変わらないままでそういうというふうなことがあって、現在は一度、額改定請求したら1年間は請求できませんというふうになっておるのですけれども、中には著しく障害の程度が増進しているケースも中にはあると思われますので、そういったケースについては、一律1年ということではないような形にしてはどうかというのが3つ目です。

4つ目は、9ページですけれども、特別支給の老齢厚生年金というのは、60代前半の方の厚生年金です。65歳以降は一階が基礎年金、二階が厚生年金なのですが、60代前半については一階部分、二階部分とも厚生年金で、一階部分の定額部分については現在支給開始年齢の引上げが既に進んでいて、二階部分については、男性で2013年から61に上がっていくような形のあの部分でございますけれども、この部分について、定額部分のほうは、現在支給開始年齢が引き上がっていて、男性は64歳、女性は62歳になっておるのですけれども、障害の状態にある方については、男性64歳、女性62歳ということではなくて、60歳から受給をできるというような、60歳からといいますか、現在は請求以降に受給できると。障害の状態にあるという方については、そういった請求をされれば、それ以降は定額部分についても60歳前半、早い時期から受給できることになっております。

これは障害の状態にあるかどうかわからないので請求をしていただいて、それで判断してということなのですけれども、既に障害年金をもらっていらっしゃるような方であれば、障害状態を改めて確認する必要がないので、請求時以降でなくて、障害状態であると判断されて特別老齢厚生年金の支給開始年齢に当たった時点から、特段、請求主義と、請求しなくても、その時点から受給権発生ということに取り扱っていいのではないかというようなことが4つ目です。

あと、給付関係の5つ目は、10ページになりますけれども、「未支給年金の請求範囲の拡大」ということですけれども、年金を受給されている方がお亡くなりになられた場合、亡くなった月の分まで、年金はお支払いということになるのですけれども、これは死亡月分の年金は受け取る方が亡くなられているので、いらっしゃらないということになります。年金というのは、「一身専属」と言っていますけれども、その方固有の権利であって、他人に譲り渡したり、そういったことはできないものなんですけれども、現在、その受給者と生計を同じくしている一定範囲の親族については、本来は年金は一身専属の権利でほかの人には行かないのですけれども、その例外として、当該親族が「未支給年金」という位置づけで、その受給を請求することができるという仕組みがございます。

この「未支給年金」を請求できる範囲を、現在は生計を同じくしていた2親等以内の親族ということにしておるのですけれども、家族、世帯の形態などもさまざま変わってきまして、甥、姪ですとか、そういった3親等に当たるような方々、こういった方々についても生計を同じくしたということであれば、「未支給年金」を請求できるようにしたらどうかということで、これもこういった拡大についての要望も多くあるというようなことで、こういった改善をしてはどうかということです。

給付の関係で、20ページ以降に、3月に日本年金機構から出されました改善検討要望がさまざま出ておりますけれども、まず給付の関係でこういったような改善を今回法律改正する際に法律事項としてはこういったことについて併せて実施をしてはということで検討しているということの状況報告でございます。

以上です。

○神野部会長 どうもありがとうございました。制度運営上の改正事項のうち、給付にかかわる論点についてご説明をいただきました。それでは、御意見ありましたらちょうだいしたいと思いますが、山口委員、どうぞ。

○山口委員 7ページの資料に出ていました「国民年金任意加入被保険者の保険料納付を行わなかった期間の合算対象期間への算入」の件でありますが、国民年金任意加入やっていたのは昭和60年ぐらいまでで、基礎年金に変わってからは、任意加入はなくなっていると思います。ですからかなり以前の話だと思うのですが、これは私も今日初めて知ってちょっと驚いているのですが、結果から見れば、任意加入しなかったほうが優遇されていたというよう取扱い、すなわち任意加入していて保険料が未納だと、はじめから任意加入しなかったよりも悪い状況になっていたということですから、これはなかなか合理的な説明しにくい事態ではないかと思われるわけです。

随分以前のことですから、今の段階では受給権の有無は既にはっきりしている人が多いのではないかと思いますが、今回、先ほどの受給資格期間を短縮するという話と同時にこれをやるということになれば、ほとんど10年に短縮するということによって、受給権が発生することになりこの取扱いを変えなくても多分10年のほうで対応できるようになると思うのですが、これについては、どちらかといえば、もっと早く対応すべきテーマであったように思われますので、そういう意味では、改正以降の将来の期間だけに適用するだけでなく、こういうものについては、遡って適用してあげるような取扱いをやらないといけないような問題ではないかとちょっと感じたのですけれども、この点はいかがでしょうか。

○神野部会長 どうぞ。

○梶尾年金課長 まず、制度的な整理としましては、任意加入をして被保険者となった上で未納ですので、そこは何もしなかった人より不利に見えるのではないかとおっしゃいますけれども、任意加入をするという行為をされて、その上でのことなので、法律上の整理としては未納期間と言わざるを得ないということかと思います。その上で、そうは言っても、実際かなり前の期間とおっしゃいましたとおり、当事者の方はある程度の年齢に達せられているような方でもありますし、任意加入を行わなかった期間と同視するようなことも今となってはしてもいいのではないだろうかと、そこは評価になるのですけれども、そういうようなことで、実際そういった要望もあるというようなことでの提案ですが、あくまでも、それは法律改正の効果というのを遡るというのは、この項目はいい、この項目は悪いということでなくて、法律改正の効果というのは遡らないというのが大原則ということだろうと思っています。

 あと、施行時期については、実際、受給資格期間短縮ですとか低所得者への加算というのは、先ほどこれは0.6兆円の話ということで、消費税の増税との関係となりますけれども、今日挙げています項目については、実施準備に一定の時間かかりますけれども、それについては可能なものは早く実施するというようなことは心がけたいと思っております。

○神野部会長 ほか、いかがでございましょうか。諸星委員、よろしいですか。

○諸星委員 今回の改善事項の中で、私は以前から意見を申し上げましたが、70歳の繰下げ問題について早急に対応していただいたということは非常にありがたいなと思っています。昨年4月以降、70歳前に通知を出すようになってから大分改善が見られたようなのですけれども、これで法改正がきちんとなされれば、そういったこともなくなるということで安心いたしまし。

 それと60歳以降の障害特例の取扱いも、趣旨からいえば同じですので、請求か、申し出かの違いはございますけれども、この見直しについても私は賛成で大変ありがたいなと思っています。

 そのほかにも障害の額改定請求については法律上1年と書いてありますので、1年待たずにできる額改定請求について、具体的な事例は今後検討されるというように記載されてありますけれども、その際は、最新の医学的根拠を採用した客観的なデータに基づいた症例に限定するなどするべきではないか、認定基準自体が結構あいまいな部分がありますし、1年に満たずとした結果、いわゆる額改定請求が殺到するということも懸念されますので、その際の認定基準について、ある意味限定をされるものを入れるべきではないかと私は思っています。

 それから、未支給の範囲拡大については、実際、現場で甥っ子、姪っ子が面倒見るとか、あるいは配偶者の妻、つまり実際は未支給の対象ではないけれども、お嫁さんが見ていますよとかという事例も非常に多いですので、この拡大についても賛成できる内容だと思います。

以上です。

○神野部会長 ありがとうございます。特にありますか、いいですか。

○梶尾年金課長 はい。

○神野部会長 ほかはいかがございましょうか。よろしいですか。

 それでは、また、給付問題のほうに戻っていただいても構いませんので、引き続いて、保険料関係のほうを御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○梶尾年金課長 それでは、保険料関係の内容について御説明いたします。1つ目は、「免除期間に係る保険料の取扱いの改善」ということで、それに関連して3項目、11ページ、12ページ、13ページに挙げています。11ページにまとめて箱の中にありますけれども、ちょっとややこしい話になりますが、恐縮です。

 国民年金保険料に関してですけれども、国民年金保険料については一定期間分を前納して1年分とかまとめて予め払いをすることは可能なのですけれども、前納した後に、後から免除に該当するようになった場合、免除に該当するというのは、例えば障害者になって、障害基礎年金の受給権者というのは法定免除ということで免除になるのですけれども、そうした場合に免除に該当するようになる前に、既に納めていた前納保険料というのがあるわけですけれども、1年分を前納していて、途中から免除になったというときに、これからの月分も免除でおかしくないなと思われるのですが、1年分は払っていただいているのだから、それは返せませんということなのですが、今後は、免除になった月以降の分については還付ができるようにするというのが1点です。

 次の2点目なのですが、2点目は遡及して法定免除になる場合、これは特に内部障害などでもよく出るのですけれども、障害基礎年金の認定を請求して、実は2年以上前から、数年前から障害基礎年金の受給資格がありました、2級に該当していましたということがわかって、そうしますと、年金のほうも、なった時点、2~3年前の障害に該当した時点から年金をまとめて受給ができるわけですけれども、そうすると2~3年前のその時点から、実は法定免除でしたということになります。そうしますと、2~3年前からですから、去年の分とか今年の分の保険料を納めていた場合、これは保険料を納める時点より前に障害者になったということになるものですから、今度このケースについては、これは法定免除ですので、払っていただきましたけれども、これは還付しますということで、これについては返ってきます。先ほどのは、納めた期間の途中から免除になった場合は一切返さないという扱いなのですけれども、前納するより前から障害者になったということであれば、その前納自体はしなくてよかったのですよとなるものですから、それは必ず返るということになります。普通はそれで返ってきて終わりなのですけれども、実は障害基礎年金については、内部障害の方の場合は、障害の程度が重くなったり軽くなったりするというケースがあって、障害基礎年金の2級を受給できていれば老齢基礎年金の満額と同じ額ですので、65歳以降も障害基礎年金を受給し続ければその額になるのですけれども、障害の程度が軽くなって2級に該当しない、3級とか軽くなってしまうと、障害基礎年金を受給できなくなるので、そうすると老後は老齢基礎年金しかないと。免除期間だと、今だったら半分、昔だったら1/3ということで、2万円とか、そういった額になるということがあるものですから、将来、症状が軽くなって、障害基礎年金の受給の該当に当たらなくなるかもしれないと思う方は、実は保険料を後から追納するという、免除なのですけれども、追納するという形で納めていただいたりしています。

そういう現実があるわけですけれども、先ほどのように、必ず返す、返す以外にないという仕組みなものですから、1つには、割引がある前納でやっていたのに、返してもらって、それを納めると割引のない納付しかないというのが1つだったり、あるいは4~5年前から障害者になったという話ですと、2年以上前の免除期間の追納をすると加算がつきますとか、そういったものもあるものですから、納付済みの期間の納めたままで、そのままにしてほしいという方がいらっしゃるので、そういった方については、強制的に還付ということではなくて、そういった御希望のある方についてはそのままにするということを可能にすると。多くの方は返していただくで大体いいのだと思うのですけれども、そういった御希望の方もおられるので、それに対応できるようにしようというのが2つ目です。

3つ目は、今、途中で申しましたけれども、障害基礎年金で法定免除になって納めるのについては、後から納めるしかないものですから、要するに納期限の翌月あたりに納めるようなケースもあるのですけれども、そういうものしかないものですから、いわゆる前納割引がないということなので、そういった方についても、前納でできるとか、もっとより納めやすいやり方が可能になるようにしようというのが3つ目の「○」で、これらはいずれも法律に結構きっちり書いてあるので、例外的な取扱いが難しいということですので、そういった弾力的な対応ができるような条文に見直しをしてはということが免除関係の見直し案でございます。

○中村事業管理課長 事業管理課長でございます。引き続きまして、保険料関係の残りの部分、(3)のその他の部分について、私のほうから御説明を申し上げたいと思います。資料で申し上げれば13ページ以下でごらんいただければと思います。

 まず、保険料関係、2番目でございますが、「国民年金保険料免除に係る遡及期間の見直し」と書いてございます。現在、保険料免除の申請をいただきますと、法律上、直近の7月まで遡っての免除が可能な取扱いとなっておるわけでございますが、これを保険料の時効にかかっていない2年以内のものであれば、遡及して免除が行えるようにしようというものでございます。

 具体的に下に絵を書いてございます。現在は、例えば上の図でごらんいただきますと、23年12月に免除の申請をされた場合、その直近の7月までが免除の承認期間になるわけですが、それ以前につきましては、仮に保険料の負担能力がなかった、低所得であったということが確認できる場合であっても、そこは免除の対象外ということで未納状態になるわけでございます。

 これを改善いたしまして、下の見直し後でございますけれども、昨年の12月の申請ということであれば、昨年の7月を更に遡って、2年以内である21年11月までは免除は可能にするというような取扱いです。

このようにすることによりまして、みすみす未納状態になるということから、免除の承認をすることによって将来の年金の給付に結びつけていくことが可能になるのではないかと考えているところでございます。

こうした取扱いについて、一番下の「○」でございますが、学生納付特例制度、若年者納付猶予制度についても同様に過去2年分まで遡及して対象となることができるようにしようということでございます。

一番下に「免除」と書いてございますが、最後は猶予制度でございますので、済みません、失礼をいたしました。

それから、関連いたしまして、国年の納付率の現状の資料を後ろのほうに参考資料でお付けいたしましたので、お時間をいただきまして御報告を申し上げたいと思います。32ページをごらんいただければと思います。現在、対象者の状況に応じまして適用の促進をした上で、低所得の方には免除等の勧奨、中間所得層の方には納付督励を行い、所得があるにもかかわらず保険料を納めていただけない方には強制徴収という手続に移行していくことになるわけでございますが、次の33ページをごらんいただきますと、昨年度の現年度分の納付率で申し上げれば、59.3%ということで、ここ数年、低下傾向が続いている大変厳しい状況が続いているところでございます。22年度と21年度を比べれば、△0.7ポイントというような状況になっているわけでございます。

そうした厳しい状況が引き続き続いているという中ではございますけれども、21年度と22年度を比べていただきますと、下がり幅、あるいは各年金事務所での取組状況、少し改善の兆しも見えてきているということは言えるのではないかと思っています。

下に表をつけてございます。19年度から22年度まで対前年度の現年度納付率、▲2.4から▲1.8、▲2.1、▲0.7ということで、機構発足後、▲0.7というところまできているということでございます。

(参考)として、今年度に入りまして、毎月公表いたしております国年の納付率でございますが、更に昨年度末の▲0.7から、対前年度比でかなり肉薄するところまでは追い上げてきているというところでございます。10月末現在、一瞬プラスになったところですが、直近の足下ではまた▲0.2のところまで下がっており、年度末に向けて更に取組を強化していく必要があると考えているところでございます。

34ページ、35ページには、今、申し上げたことを少し表にしたものをお付けをしております。

36ページをごらんいただきますと、最近の毎月の対前年度同期の納付率の推移を見てございますが、見えづらいかもしれませんが、一番上のグラフが平成21年度の各月の実績でございます。その下の点線が22年度の各月実績でございまして、見ていただきますと、22年度の後半あたりから徐々に差を詰めつつあるというような状況でございまして、23年度に入りますとほぼ前年同期比で申し上げればとんとんぐらいで推移をしているというのが今年度に入ってからの状況ということで、更にこれを昨年度を上回れるように取組を強化していきたいと考えているところでございます。

37ページには、第1号被保険者の中で法定免除、あるいは全額免除になられている方等の実績を挙げているところでございます。

以上でございます。

続けて、14ページにお戻りをいただければと思います。保険料の関係でございまして、国民年金保険料そのものではございませんが、国民年金の上乗せの制度として「付加年金」という仕組みがございます。任意加入ということになってございまして、付加年金のための付加保険料を月額でいえば400円をお払いいただき、将来ひと月当たり、お支払いいただくと年に200円の付加年金がつくという仕組みでございます。この付加年金につきましては、通常の国民年金保険料の2年間という時効とは異なっておりまして、納期限、翌月末でございますが、それまでに保険料を納められなかった場合には加入を辞退したものとみなすという取扱いになってございまして、その後、また希望される方は改めて加入したいという申し入れをいただくという取扱いになっておるところでございます。

これによりまして、一番下に日本年金機構からの改善要望もそのまま書かせていただいてございますけれども、翌月末を過ぎると資格を失うという取扱いのものですから、現場で付加年金の保険料を納めていただいているにもかかわらず還付をしなければいけない。あるいは改めて申し出をしていただかなければいけないということで、御本人あるいは年金事務所双方にとってもかなり煩瑣な手続が必要になっているという実態があるわけでございまして、ここを現在の国民年金保険料と同様に、2年間は納めることはできるという形にしてはどうだろうかということが、この付加保険料の納付期間の延長の話でございます。

続きまして、「前納制度の拡充」について御説明申し上げます。15ページをごらんいただければと思います。

国民年金保険料を前納していただいた場合には一定の割引があるという仕組みになってございます。現在で申し上げれば、1か月前納、6か月前納、1年前納という仕組みがあるわけでございまして、それぞれ口座振替が原則であるとか、現金納付も可能、こういった違いがございますけれども、そうした取扱いになっております。前納される場合には、1つ目の「○」の4つ目の「・」のところに書いてございますけれども、一定の利率に基づきまして保険料の割引になるという仕組みになってございます。今回、御提案いたしますのは、ここに「2年前納」という区分を新たに設けてはどうだろうかということでございます。実務的な対応上の必要性から口座振替を原則とさせていただきたいと思っていますが、仮に2年前納という仕組みを導入しました場合には、現在の利率で計算をいたしますと、口座振替の案の下に少し網かけが入ったところでございますが、全体で36万480円という本来納付額に対して1万4,000円余の割引になる。同じ割引率を適用してございます。ということで、かなり大きな割引になるのではないかということでございます。

こうした取組につきましては、法律改正を要さないと考えておりますので、今後、機構において必要なシステム改修等がございますので一定の時間はいただく必要はございますが、準備ができたところで告示等で対応をしたいと考えているところでございます。

ちなみに右側に前納をどのくらいの方が御利用いただいているか、実績を用意してございますが、1年前納で申し上げれば11%の方が今活用いただいているということでございます。

続けて16ページでございますが、「DV被害者の免除の改善」と書かせていただいています。国民年金保険料につきましては、配偶者あるいは世帯主が連帯の納付義務を負っていますので、所得を判断するときには配偶者の所得、世帯主の所得を見させていただくということになっておるわけでございますが、配偶者からの暴力等によって、今、逃げていらっしゃる方、いわゆる被害者の方につきまして、配偶者の方の所得をもとに保険料の免除の判断をするということにつきまして改善の御要望もあるところでございます。

したがいまして、〈見直し案〉のところでございますけれども、DV被害を受けていらっしゃる被害者については、連帯納付義務が果たされることは期待しがたいということに鑑みまして、そうした場合には配偶者の所得を考慮せず、御本人の所得のみによって免除の審査を行うという取扱いにしてはどうかというようなことでございまして、具体的には、婦人相談所等が発行するDVの被害証明書等を添付していただいて判断するという形にさせていただこうということでございます。こちらにつきましては、省令改正による対応ということを考えているところでございます。

以上が保険料関係でございます。

17ページ以降にその他といたしまして、3項目書かせていただいてございます。1つは、「悪質な未適用事業所等の公表」と書いてございますけれども、厚生年金保険法の中で、適用事業所に該当する場合には事業主が届出をしていただく必要があるわけでございますが、年金機構のほうでさまざま加入指導を行うにもかかわらず届出をされない事業所について、事業所名の公表という仕組みを設けたいというものでございます。

現行制度、御案内のように、法人であれば、1人以上から適用になります。それから、個人事業所の場合には、一定の業界を除きますけれども、5人以上は原則として適用事業所になるというところでございますが、現実に届出がされない事業所が存在しています。

「※」のところに書いてございますが、年金機構のほうで、22年度末の段階で把握している未適用事業所は10万8,000事業所ほどあるということでございます。この適用関係につきましては、参考資料の27ページ以下に少し、現在の取組について御紹介する資料を用意をさせていただきました。

27ページでございますけれども、適用関係、厚労省が保有する情報、更には雇用保険の情報、あるいは民間の信用会社からの新設法人の情報、こういったものを活用いたしまして未適用となっているであろう事業所を把握し、指導の対象に加えていくということでございます。文書で、更には訪問、こうした取組を行いますし、場合によっては年金事務所にお越しくださいという来所要請をする。更にはこちらからも出向いて行って指導する。こうした結果により、最終的には適用に結びつけていくという取組をしているところでございます。

そうした中で、次のページでございますが、22年度で申し上げれば、未適用事業所として把握した中で新たに適用した事業所が大体4,800事業所。かぎ括弧の中は対前年度の数字でございます。それから、職権で適用したというのが71事業所、1万7,500人余の方を新たに被保険者として適用したということでございまして、残るところはまだ10万8,000事業所近くあるというようなことでございます。

下のほうは、適用事業所になっているところも事業所調査の結果、いわゆる適用漏れ、個々人の被保険者で厚年の被保険者になられてなかった方を把握し適用したケースで1万2,453名が22年度の実績ということになっているところでございます。

これは直近の実績でございまして、29ページには、最近5年ほどの毎年の実績の推移を書かせていただいておるところでございます。

30ページ、31ページには、今度は保険料収納の関係の資料もつけてございますので御参考までにごらんいただければと思います。

17ページのほうへお戻りをいただければと思います。

今、現状について御説明をいたしましたけれども、今、年金機構が把握しているだけでも11万近い事業所が未適用ということでございまして、更にここに対する働きかけ、取組を強化していかなければいけないということで考えている中で、累次の加入指導にもかかわらず届出をしない事業所について、事業所名の公表をするということを考えたいということでございます。

「※」のところに書いてございますが、現在でも年金機構が立入検査をする、あるいは帳簿の閲覧等をするというときに、それを正当な理由もなく拒まれた場合には罰則の適用というのがございますので、罰則規定との関係については少し法制的にも整理が必要ではないかと思っていまして、現在、政府部内でも検討を進めているというような状況でございます。

続きまして、18ページをごらんいただきたいと思います。「所在不明高齢者に係る届出義務化」ということでございます。これにつきましては、また、恐縮でございますが、38ページをごらんいただければと思います。

所在不明の高齢者の問題につきましては、一昨年の夏になりますけれども、足立区のほうで生存していれば111歳の方が、実は30年前にお亡くなりになっていたとの報道があり、全国的に高齢者の方の安否の確認が行われたという経緯がございます。私どもとしましても、当時、さまざまな調査を行いましたし、現在の取組としては、2番に書いてございますが、22年の夏の段階で後期高齢者医療を1年使用された実績がない方の情報をもとに、現況申告書の提出をお願いをする。それに対して返事をいただけない方、あるいは行方不明であるという御連絡をいただいた方について順次年金の差止めを行うという取組をやってきているところでございます。

こうした結果に基づきまして、4つ目の「○」のところに書いてございますが、昨年の夏に公表をした調査結果でございますが、累計で977人の方の年金の差止め、中には死亡が判明というのもございますが、行方不明の方も800人以上判明をしたというようなことで、居所が知れないということで年金の差止めをおこなっているところでございます。

現在は引き続きということでございますが、このときの調べで現況申告書に「健在」と返事をいただいた方について健在確認を日本年金機構のほうで継続して行っておるという状況でございまして、昨年度の調査に更にもう一年間新しい後期高齢者医療の利用状況のデータを用いまして、トータルで2年間後期高齢者医療を利用されてない方を対象に訪問調査を実施しているというようなことが今の取組の状況でございます。

こうした状況の中で、18ページに戻っていただきますと、判明してまいりましたのが、お亡くなりになったことを隠して年金を受けられた方は明らかに刑法犯にもなるわけでございまして、そうした事案につきましては、警察への相談を経て刑事事件になっているものもあるわけでございますけれども、所在が不明になってもう長いというような方について年金が支給され続けているという事例が結構あるということが昨年の調査でもわかったということでございまして、今回、同居の親族等にそうした所在不明であるという旨の届出をしていただくことによって年金の支給の差止めにつなげていこうということでございます。

もし、そういった届出をしていただいた場合には、それに基づいて御本人に生存確認を求める通知を出した上で、どうしてもそれに対して行方が知れないということであれば、年金の支給を一時差止めるという取扱いに手続を進めていくというものでございます。

以上が、所在不明高齢者の関係でございます。

それから、最後でございますが、19ページをごらんいただければと思います。「年金給付の内払調整の対象範囲拡大」ということでございまして、現行規定上も一定のルールのもとに年金の支給に過払いが生じた場合に、その後、支払う年金から内払調整、いわばその後、支払う年金を少し減額をして、それまでの過払分の年金を調整をさせていただくという規定がございます。この規定につきまして少し拡充を図りたいということでございます。

具体的には、現行の仕組みの上では、中央のところにも書いてございますけれども、例えば障害年金の障害等級の変更に伴う改定や加給年金額の支給停止に伴う改定で過払いが生じたような場合に内払い調整ができるという規定がございますけれども、例えば事務処理誤り、計算誤り等で過払いが生じているような場合についてはそうした規定がございません。現状におきましては、御本人に御了解を得た上で年金の内払いをさせていただくという取扱いをしているわけでございますが、全員から同意をいただけるわけでもないので、なかなか実務的にも困難を来しているという点がございます。この点につきまして、今後、こうした場合についても、年金の内払調整ができるようにしようということでございます。

ちなみに最終ページ、40ページに現在の実務の流れを書かせていただいております。事務処理誤りなどで年金の過払いが発生した場合ですが、御本人にまず御説明をした上で、返納方法の申出書をいただくということで、この中で内払いを選ばれるか、現金での返納、現金というのは金融機関での振込みということになります。振込みを選んでいただくということでございます。その上で年金の再裁定を行いまして、支給額を変更し、返納を始めていただくということでございます。

足下のデータで申し上げれば、大体内払いで行われる方が半分、現金で払われる方が半分というのが今の状況ということになっているところでございます。

私からの説明は以上でございます。

○神野部会長 ありがとうございました。それでは、今、御説明いただきました保険料関係等々にかかわる問題について御意見がございましたら。山本委員、何かございますか。

○山本委員 時間の関係で早目に退席をいたしますので、先に発言をさせていただきます。今の御説明の中で17ページに未適用事業所についての記述がございますが、一方、年金機構から、5人未満の法人事業所について、むしろこれは任意脱退を推進すべきと、逆のことが指摘されているようでございます。直接関係ないことかもしれませんが、そちらのほうに対する対処の方針というのは特に今回出ないのでしょうか。

それともう一つ、同じ17ページですが、悪質な未適用事業所とございますが、悪質というところの意味合いを判然とさせていただけたらありがたいと思います。

それから、時間の関係で申し訳ないのですが、もう一点ございます。先ほども健康保険と年金の問題の総合的な判断がないといったことや、この部会での意見もなかなか出しづらいのではないかというお話があったように拝見いたしましたが、パート労働者への社会保険の適用拡大の問題、いわゆる基準を30時間から20時間にするという問題がございますけれども、先般、パート労働者への適用拡大についての特別部会では、3号被保険者の取扱いは年金部会で決めるものという説明あったようです。この部会でも3号被保険者の取扱いを今後どうするかといったことが議論されましたけれども、その後は審議されてないという現況だと思われます。適用拡大については、3号被保険者をどう扱いをするのかという議論を先に煮詰めた上で検討していくべきであります。3号被保険者の議論をむしろ先行しながら、いずれかの段階で、ある程度の方向性を見いだして、その上で、適用拡大の審議をしていかないと、事の順序が逆になる危険性があるのではないかと感じておりますので、指摘をさせていただきました。

○神野部会長 1点目というか、2つ内容がございましたけれども、内容についてコメントをいただいた上で、最後の問題は、当面今かかわる問題を議論しているわけですが、それについても後でコメントいただけますか。お願いいたします。

○中村事業管理課長 最初の2点について私からお答えを申し上げます。今、御指摘いただいたのは年金機構からの要望書の中で、5人未満適用事業所については、従業員の同意の下に任意脱退の道を開いてはどうかという要望があるという点についての取扱いの御質問だと思いますけれども、今、パート労働者の適用拡大の議論もされておりますけれども、被用者の方につきましては、流れとしては厚生年金の対象にしていくということで、これまでも法人の適用範囲について順次拡大を図ってきていたという流れの中で、機構からの要望にはございますけれども、厚年から抜けていく道を更に拡充することについては大きな流れの中でなかなかそぐわないのではないかということで、今回、見直しの対象には入れてないというのが1点ございます。

 それから、今日、御提案を申し上げている17ページの未適用事業所の関係でございますけれども、ここで申し上げたかったのは、届出をしないことを把握して直ちに事業所名を公表するということではなくて、年金機構のほうが、当然必要な加入指導等の手続を経た上で、それでも加入届出をされないところを対象にこうした措置を考えたいという意味で申し上げているということで、まさに一定の段取りというか、手続、デュー・プロセスを踏んで、こうしたことを行っていくということをこのように書かせていただいております。

○梶尾年金課長 3点目の点につきましては、短時間労働者の社会保険適用の特別部会で、前回、先週の会議でどのような適用拡大を考えていくのかという議論がありました。その際、労働時間とかさまざまな考え方のほかに、労働者の属性によって区分けをすることが適当なのかどうか、学生はどうか、高齢者はどうか、あるいは3号被保険者であるような主婦をどのように位置づけるかというような議論がありました。

 その際に、今、山本委員からありましたように、そもそも3号被保険者制度というのがあって、例えば130万とかそういうので調整をしたりしている、そういう現実があるのだから、そこの話が先に整理されなければ、短時間労働者の話の議論をするのは難しいのではないかという御意見があった、そういう事実関係ございますけれども、一方で、10月ごろの第3号被保険者の議論の際にも御紹介しましたとおり、第3号被保険者制度をどう取扱っていくかにつきましては、保険料の負担の仕方をどうするか、給付をどうするか、さまざまな議論があって、この部会では年金分割型の形はどうかということで、それはまたいろいろ論点もあるという話でございましたけれども、そもそもそういった負担の形とかを変えるもののほかに、短時間労働者への適用の拡大をしていくことによって3号被保険者自体を少なくしていくと。収入を得て働いている方には社会保険適用をすることによってそこは保険料負担していただくと。そういう形で3号被保険者の数を、全体的に小さくしていって、その上で残ったところをどうするかとか、いろいろ負担の形、給付の形をどうかえていくか、さまざまな議論あって、なかなかまとまらないのはそうなのですけれども、適用拡大によってそこを減らしていくということについては、かなり前の時期から、そこは大体方向性としてはそうだろう。そういった議論も特別部会でも委員からもありました。そういった社会実態があるということは事実だと思いますけれども、3号の話が進まなければ、パート適用拡大の議論できないと、そういう順番関係ではないと思っております。

○神野部会長 よろしいですか。

○山本委員 はい。

○神野部会長 ほか、いかがでございますか、駒村委員、どうぞ。

○駒村委員 今、17ページのことで話がよくわからなかったのですけれども、年金機構から5人未満の適用事業所については任意脱退をさせてくれという要望が出ているということなのですね。これは大変、皆保険・皆年金に対して真逆の動きのような気がして、今でも一部の人からは、社会保険の徴収漏れが兆の単位であるのではないかという議論があるぐらいで、一体改革に関する疑義にもすらつながっている話であろうと思いますので、その辺は真逆の話はちょっと驚いたわけですけれども、経済学の中には罰則の経済学という分野がありまして、結局、調査をして発見される確率と罰則がどうなっているかということだと思うのですね。調査力に十分な力があれば、余り罰則を重くしなくてもいいわけですけれども、調査力、ここでいう機構の発見指導能力に限界があるならば、当然これは罰則できちんとやっていかなければいけないと思うのですね。

現状の調査力というのはどういう状況になっているのかというと、今日の資料で29ページにあるわけですけれども、これを見ると10万件存在して、電話等で外部委託でやっている。これはどの程度有効かというのは、また、それはそれで私は疑問があるわけでありますけれども、しかし、マンパワーの関係なので、恐らく現場は大変だろうと思いますし、私も現場はそういう意味ではよく知っているわけではないので、また、いろいろな意見があるかと思いますけれども、実際に調査に機構が入っているのは、来所と戸別の1万と2,000人ぐらいということで、10万に対して1割ぐらいしかやっていない。これはもしかしたらマンパワーや資源の問題でどうしようもないということなのかもしれません。この辺はどういう調査力が今あって、どういう業種で多くて、どういう特徴があって、こういう未適がいるのかという問題がまず1個説明をいただきたいのと、それから、現状の罰則がどのくらいのものであって、どのくらい実際に使われているのかということも教えていただきたいと思います。

結論から言うと、調査力が仮に弱いならば罰則で強化してもらわないと、皆保険・皆年金を維持するには非常に困ることだと思います。現実の問題にもしこれを適用することによって経営が云々ということになれば、社会保険料をダンピングしなければ経営が成り立たないという話になってくれば、これはこれで国としては中小企業政策とか下請政策のほうできちんと考慮をしてもらいたいなと思いますので、この辺、もう少し説明をいただけますでしょうか。

○神野部会長 調査力、罰則等々。

○矢?日本年金機構理事 済みません、日本年金機構でございます。資料の21ページをごらんいただきたいと思いますが、私どもの要望で厚生年金の適用関係、4つの事項を挙げています。5人未満の話、業法の認可の際の加入要件化、パートの話、滞納事業主、保険料を滞納しても給付がされてしまいますので、そこの整理、私どもこの4つはパッケージではないかと思っております。

5人未満適用なのですが、これはおっしゃるように、被用者は被用者保険・被用者年金でという流れの中で、昭和60年改正のときに、これはむしろ当時は短期保険の健保のほうで3割負担、1割負担の違いがあった中で健保主導で5人未満適用がされたという事情がございます。一方、その後、法人については、1円でも法人が簡単にできてしまうという状況の中でどこまで追えるかというのは現実的に大きな問題になってきています。私どもとしては、勿論限られたマンパワーの中でどれだけできるかということは当然ありまして、特に現在は記録問題でかなりの人員を投入していますのでなかなか手が回らないという現実もございます。

そういった中で、今回、御提案申し上げておりますが、こういった制度的にもより重点的に適用すべきところはいろんな方策を使って適用するといったことが御検討願えないかということで年金局のほうへ申し上げているところであります。

罰則ですが、これは年金局のほうが、お答えするのがいいのかもしれませんが、厚年法102条で、50万以下の罰金と結構重たい罰金にはなっているのですが、ただ、現実問題、これを適用して罰則をかけているということは余りございません。ですから実際今回の新しい制度改正で公表していくというようなツールももし実現すれば、併せてできる限り適用を進めていくことになっていくのだろうと思います。

○神野部会長 駒村委員、よろしいですか。

○駒村委員 罰則はほとんどない、ほとんどゼロに近いということでいいですね。それから、10万のうち1万しかやってないというのも、これも完全にマンパワーの問題で、これはどうやって10万のうち1万ぐらいに選び込んでいるというか、特にこれは規模とかを見て、これは問題だということでやっているのですか。

○矢?日本年金機構理事 それぞれの事務能力などもありますから、その中で、規模などを勘案した選定をそれぞれの事務所でしていくということです。これは記録問題が起きる前のレベルになるべく早くもっていきたいというふうには思っております。

○神野部会長 ほか、いかがでございますか、諸星委員。

○諸星委員 今の未適用問題については、駒村委員がおっしゃるとおりだと思うのですけれども、私はこれに関してはかなりこれでも課題が残るのではないかと思っています。法的には当然に適用させるべきであるという考えは前提に勿論あるのですけれども、以前、私は現場で未適用事業所に対する適用促進に実際訪問していました。そうしますと、入らない、あるいは入れない理由として、年金制度がそもそも信頼できない、毎月の保険料の負担がまずできない、家族経営で法人にしていると。先ほどの5人未満の問題があると思いますが、法人にしているだけの、ただ、それだけの小規模事業所であり、現状に満足しているのだと。つまり、年金とかそういうものは要らないよ、みたいな形で答えられるのですね。後は、他のもっと大きな会社でも入ってないのに、何で自分のところだけターゲットにするのだという回答もあって、まだ、そのような回答はいいほうなのです。

逆に、多分機構の現場でも、皆さん苦労されていると思うのですが、訪問した途端、どなられたり、私は社労士という立場ですけれども、勿論、不満をぶつけられたり、居留守を使われるなんていうこともあり、徹底的に拒否をされた経験もございます。

ただ、一方、厚生年金に加入したいのに事業主が加入してくれない、という声、相談も多いことは間違いないので、先ほど27ページにあるような促進業務をやっていますという内容を見れば、これは従来のままなのです、はっきり言えば。先ほど皆さんがおっしゃったように、どうやって進めているのですかということに問題があるのではないかということをもう一度考えるべきだと思います。

例えば、私など社労士として適用促進を勧める上で話をしてきたのは、法を遵守するというのは当たり前なのです。だけど、企業としての信頼度を高める、就労意欲の高い人材を採用するのに社会保険の適用は不可欠ですよということを説明するということが大事だと思うのですけれども、どうも最近の加入促進に関しては、ただ、法律で決まっていますからという一本やりで加入を勧めているという現実があるやに聞いておりますので、そこは現場の声をちゃんと拾い上げて私は見るべきだと思います。

それから、仮に適用事業所になったとしても、やはり景気の変動を受けるなどして、保険料の滞納、ここにもございますが、発生しています。納付できない状況が続くと、年利14.6%、今、3か月間だけ安く延滞金がつくような形になっていますけれども、それが雪だるま式に増えて悲惨な場合は倒産を招きかねない事態もあります。先ほど駒村先生も厳しいことをおっしゃったけれども、まさにそうなのですけれども、滞納延滞金問題は適用促進に併せて増大する可能性が絶対あるんですね。これは国としても悩ましい問題だと思います。

また、保険料の納付義務者は適用事業主であって本人ではないんですね。ですから事業主が滞納していても被保険者の年金などの給付、あるいは傷病手当金などの給付があった場合に、その支給は拒否できない、妨げることができない。先ほどちょっと機構の方がおっしゃっていましたけれども、結果的に倒産してしまったら保険料が回収できずとも、将来的な給付が発生するという事実がある点で、負担の公平性の点でも、これからの課題があるのではないかと私は思っています。

ですから、そこの部分の適用促進の次にあるのは、従来のやり方ではなく、先ほど言ったように、どうやって把握するのか。どこまでを許容範囲にするのか。それと悪質というのは一体何なのかということをきちんと整理をされた上で進めるべきだと思います。

以上です。

○神野部会長 何か諸星委員のことに関してコメントありますか、事務局、いいですか、承っておくということでよろしいですか。

○花井委員 3点、意見を述べさせていただきたいと思います。1つは、悪質な滞納事業所に対しての企業名公表制度の導入についてです。現在の罰則規定は健康保険法と厚生年金法と二重に規定が入っていながらほとんど発動されてないと伺っておりますので、罰則規定の適切な適用が必要であると思います。直ちに罰則規定の適用が難しいとすれば、公表制度というのも1つの方法であるということが1点です。

それから、2つ目の、業法許認可の際の社会保険加入要件化についてです。資料の21ページに今お話に出ました「業法の許認可等の際の社会保険加入要件化」が日本年金機構からの要望事項として記載があります。今回、具体的な改善措置の中には入っていないのですが、私はこれは以前から問題意識を持っておりまして、例えば社会保険で事業を営んでいるような医療や介護事業者は当然に社会保険に加入すべきだと思っております。現在も許認可の際に社会保険加入が条件になっているとは思いますが、仮に条件になってないとすればすべきだと思いますし、なっているとすれば、その後、ほとんどそのことがチェックされているのかどうなのかということがわからないので、社会保険で業を営む業種に関しましては確実に社会保険に加入するようなことを義務づける方法を検討すべきです。それから、派遣業も許可事業になっておりまして、これも許可を申請するときには社会保険加入が要件化されているようですが、その後がチェックされないということもあると聞いております。各種業法を所管する省庁はたくさんあると思いますけれども、とりあえず厚生労働省にかかわる許認可のところから出発すべきではないか。是非ともそこは見直しを行っていただきたい。

3つ目は、同じ23ページの「滞納処分等に係る事前承認の導入」です。社保庁がなくなりまして、日本年金機構が発足したときに、滞納処分「行政行為」と位置づけられて個別案件ごとに事前に厚生労働大臣の許可が必要とされたと伺っております。これをもって保険料徴収の現場では、急な倒産などに基づく機動的な滞納処分が非常に困難になっていると聞いております。したがいまして、この滞納処分に係る事前承認、包括承認、あるいは事後報告といった実態に即した手続きが必要であり、1件ごとに厚生労働大臣の許可が必要ということではなくて、そういうことを是非とも検討すべきではないかというふうに思います。そうでなければ、滞納の期間が長くなればなるほど延滞金がかさんでいって滞納額が増えていくという問題があります。滞納者に対しては一刻も早い処分が必要だと思いますので、是非ともその辺を検討していただければと思います。

以上です。

○神野部会長 今の御意見に関連していいですか。

○中村事業管理課長 3点いただきましたけれども、まず、今回の公表の関係につきましては、当然罰則という規定がある中でこの公表制度をどのように位置づけていくのかというのは十分検討する必要があるだろうということで、先ほどもちょっと政府部内でも少し罰則との関係について調整をしているというようなことを申し上げたところでございます。罰則の活用をすべきケース、あるいは公表するケース等について、更に検討していきたいと思います。

それから、2点目の業法の許認可関係でございますが、これまでも関係部局、関係省庁の御協力を得ながら少しずつ進めてきているという実態がございまして、今、お話がございましたように、医療、介護に関しては保険料の滞納がある場合には登録がされないような仕組みというのはございます。こうした仕組みを更に徹底していく必要があるだろうと考えている次第でございます。派遣につきましても、今、同じように許認可にからめてやっておりますので、私ども重点指導対象ということで、労働部局とも取り組んでいるということでございます。引き続き、こうした取組について進めてまいりたいと思ってございます。

それから、最後の滞納処分の事前の許可につきましては、これは非常に公権力の行使にかかわるような権限でもございますので、予め包括的に機構にその権利を委ねていくというところまではやってございませんが、必要なときに時間を置かずに許可ができるように、今、年金機構と実際に行うのが地方厚生局になるわけでございますので、そこの実務の体制というものを少し調整をして速やかに申請が機構からあれば、滞納処分の許可をおろせるような形をとらせていただいているということでございます。ただ、事前に包括的に権限を与えるというところまでは適切ではないのではないかということでやっておらないのが今の状況でございます。

○神野部会長 よろしいですか、花井委員。

○花井委員 今のお答えのとおり是非進めていただきたいと思うのですけれども、悪質な例は本当にたくさんあります。例えば許認可を申請したときには社会保険に加入しており許可を受けたものの、その後、即座に全喪届を出してしまうとか、それから標準報酬月額を意図的に低くして申請するとか、さまざまなことがこの間、起こっております。よって、許認可のときの申請のときだけではなくて、事後にも、そこで働いている人たちがきちんと社会保険に加入しているのかどうなのかということを定期的に点検できるような方策を強化していただきたいと思います。要望ですのでよろしくお願いいたします。

○神野部会長 どうもありがとうございます。駒村委員、どうぞ。

○駒村委員 50万の罰則については、そういう制度があるわけですから、もうちょっとちゃんと活用するというか、やっていただくと。その上で、更にその上のステップも考えてもいいのではないかと思います。

 それから、この要望書の21ページを見ると、ちょっと危ないなと思うのが、「従業員の半数以上の同意により任意脱退」という、これは危ないのではないですか。つまり同意しなければ従業員として不利なことになるよということになれば、同意せざるを得ないわけですね。随分前ですけれども、とあるテレビの番組でそういう場面を見たことがありますので、余りこういうのは皆保険に対する大きな穴をあけてしまうきっかけになるのではないかと思いますので、こういうのはもう少し慎重に考えなければいけないと思います。

 あと、諸星委員からも御指摘があって、私もつぶれてしまってもいいからやれというわけではなくて、多分事業所の方も現場の年金機構の方も、本当にこれをやるかどうか、悩まれると思うんですね。制度・政策として、特に中小企業向けの制度・政策、保険料を片目をつぶるかどうかといって現場が悩むのではなくて、制度・政策として中小企業向けのこういう景気の波の大きいときにはどう対応してあげるのかというのはまた別途考えてもらいたいと思います。これは企業政策として考えていただくべきであって、年金をお目こぼしするかどうかという現場の判断に委ねると非常に負荷がかかるのではないかと思います。以上です。

○矢?日本年金機構理事 若干、よろしいでしょうか。

○神野部会長 はい。

○矢?日本年金機構理事 5人未満のほうですが、勿論、最後制度自体をどうするかという年金局の考えをいただくことだと思いますが、60年改正以前というのは従業員の半数の同意で任意加入ができたわけです。それをむしろ逆にして、原則加入しますが、その状況で払えない、あるいは払ったら倒産してという場合には、皆さんが同意すれば、勿論皆保険ですから、国年・国保に行くわけですから、そういった道をつくったほうがより現実的ではないかという意味で御提案申し上げているところでありますが、最終的にはこれは極めて根本的な制度論ですので、勿論、年金局の御判断のとおりに当然ながら従うということであります。

○神野部会長 諸星委員。

○諸星委員 済みません、何回も。2点だけちょっとあるのですけれども、まず1点目は確認なのですが、13ページの「保険料免除に係る遡及期間の見直し」で、申請免除と多分若年者の納付猶予ついては多分7月ということだと思うのですね。学生は4月ですね。これらいわゆる申請時期の基準について、4月と7月はそのままということでよろしいのでしょうか、が1点確認したかったのです。というのは、対象期間は年度となっており、分かりにくいため、ここの部分についての確認をお願いします。

2点目は、最後にありました内払いの件なのですが、これは今まで年金において確かに審査会でも根拠条文がなくて非常に困ったのですね。ただ、多く支払い過ぎた年金について返納していただくためには必要だと思いますけれども、今回はそれを何げなく入れてありますが、法的に、先ほどもちょっとありましたけれども、法で決まっているから内払いしますよ、ではなくて、実態でもそこの部分の説明がきちんとされてないのですね。特にあるのは、保険者側がたまたま間違った記録で裁定していましたと。それが結果的に給付が多かったとしても、それは国が間違ったのだから、そこの責任をとれよということをよく国民の方がおっしゃるので、この条文を入れるのであれば、今まで以上に説明をきちんとしていただきたいということです。

以上です。

○神野部会長 コメントありますか、どうぞ。

○中村事業管理課長 1点目につきましては、各制度の現行の仕組みに沿って問題ないように整理をする必要があると思います。

それから、2点目につきましては、当然こういう仕組みをつくるのであれば、十分周知が必要だろうということでございます。

○神野部会長 藤沢委員、済みません、お待たせしました。

○藤沢委員 また、話題を戻してしまって恐縮なのですけれども、悪質事業者のところで、私は駒村先生の御意見に大賛成で、中小企業で払えない、14.6%は大変高い金利です。そういう意味では、今の円高対策でも特別融資がある世の中ですので、そういったものの特別融資枠みたいなものも、ここの厚労省で考えることではないかもしれませんけれども、そういう余地は確実に必要であると思います。

もう一点に関しては、年金に事業者が入ってくれなかったので、従業員は結果、入れなかったというのは確かに事業者の問題でもあるのですけれども、国民一人ひとりの責任義務としても自分がきちんと年金保険に入っているのかどうかというのを確認することは非常に重要な義務だと思うのですね。その1つに、「ねんきん定期便」とかがあって、見ることができるのでしょうけれども、私、ちょっと不勉強で申し訳ないのですが、全く加入してない状況、新卒で入って、入社した会社が一切入ってくれてなかったということになると定期便は届くのだろうか、わからないのですけれども、そういう一個人として、自分が今どうなっているかというのを全員が本当に確認できるのかということと、実際に定期便を、今、送っていらっしゃる中で、実は転職した先で年金にきちんと入ってもらってなかったというようなことに対して、国民から何らかの助けの声とか、そういうものが上がっているのだろうか。国民がなかなか声を上げるということは難しいのかもしれないですけれども、そのあたりというのはどうなのか、少し教えていただけたらと思います。

○中村事業管理課長 今は20歳になられた方で加入手続をされない方は全部住基ネットから全部ピックアップして手続を勧奨し、手続されない方は最終的には職権適用ということをされていますので、大卒でどこか社会保険に入られてない方のところに就職されたとしても、1号の被保険者になられた状態ですから、定期便の対象にはなっておると承知をしてございます。

それから、自分が入られた会社が社会保険未加入だったというようなことになったとき、御承知で入られたか、あるいはそこは十分認識がないまま入られたかにもよるかもしれませんが、例えば27ページの資料を見ていただきますと、未適用事業所のフローの一番右のところから「被保険者等からの情報提供」というのがございますけれども、自分の会社が本来は対象なはずなのに入ってないというような情報は、年金事務所のほう、私ども本省のほうにも時どき参りまして、年金事務所には非常に多く来ておるような状況がございますので、そうした状況をもとに実際の指導が始まるという現実がございます。

○小室委員 済みません。全体的なことというか、この部会でも、今の藤沢委員の意見にも関係するのですが、たびたび出てきた、そもそも学生に対してもっと早期の段階で教育をするべきではないかという話についても何らかの対策が今後打たれるということを是非盛り込んでいただきたいと思っています。

私、学生向けの勉強会を13年間ずっとボランティアでやってきているのですけれども、自分たちで勝手にテーマを設定するのですが、今年の50人の生徒のうちの12人が年金についてのテーマを選んだのですね。余りにも自分たちでわからないので勉強しようということになったと。彼らが言うには周りの大人は全く詳しくなくて、何を聞いても正確な答えが返ってこないというので、彼らは年金に対して学ぶ機会を与えられていないような状態にあるのかなと感じています。

高校、大学の単位の1つにするであるとか、何かしらそういう教育、NPOの支援をするであるだとか、もっと具体的な長期にわたっての効果が出てくるものもこういった機会にしっかり具体的に盛り込んでいただかないと、今は短期のいろんな改正を細々やってはいるのですが、全く抜本的な対策になってないのかなというところで、それを是非盛り込んでいただきたいと思います。

○神野部会長 どうもありがとうございました。菊池委員。

○菊池委員 別の点でもよろしいですか。給付のさまざまな決め細かな改善といった面で、場合によって遡及支給なども含めてきめ細かくされていると思うのですが、先ほど最初の10年にするという点に関してお聞きして、それで終わってしまったのですけれども、かなり給付について、さまざまな細かな対応をされていることとの関係で、今度は新しく17~18万人の方に新たに自分自身の所得記録に基づく給付を行うわけですね。なかなか申請主義という原則を変えるのは難しいと思うのですけれども、これはある意味、特殊な新しくつくられる給付で、多分附則に書かれると思うのですけれども、その中で、特に無年金の高齢者の方なので、一般的に新しい制度ができましたよということではなかなか適用は進まないというのは明らかだと思いますし、この中で、生活保護を受けられていれば、補足性の原則でそちらのほうから把握されるかもしれませんが、附則の中に、大臣あるいは機構の努力義務のような形で周知義務のようなものを書いていくというのも1つあり得ると思うのですが、それが可能かどうかちょっとわからないので、いずれにしても、きちんと個々の新たな受給者、資格を得られた方に情報が行くような仕組みづくり、これからだと思いますけれども、きちんとやっていただきたいというのが要望です。

○神野部会長 周知その他については重ねて意見出ていますので、何かございますか。

○矢?日本年金機構理事 機構でございますけれども、新しい制度改正できましたら、どういった周知の仕方をしていくかということだと思います。勿論、一般的な制度改正の周知というのは年金局で中心にやっていただくことと思いますが、機構のほうでもわかるデータで個別にお知らせできるようなところはどういうやり方でやっていくかというのは当然検討していくことになろうかと思います。

○神野部会長 柿木委員、お願いします。

○柿木委員 済みません、時間ですので簡単に2点だけ申し上げます。1つはプリミティブなんですが、前納制度について2年前納の区分を設けるという趣旨がよくわからない。というのは、これを見てみますと、前納2年分というのは35万ぐらいになって、サラリーマンの平均的な月収に相当するような額なのですね。そういう人が2年前納した場合、1万4,000円も割引をするというのはどういう趣旨なのでしょうか。第1号被保険者のなかの高額所得者、こういった人を優遇するような制度になるのではないかと思うのが1点です。

 2点目は蒸し返しになってしまうのですけれども、17ページのところで、見直し案として、届出をしない悪質な未適用事業者、これは悪質が何かというのは諸星委員からいろいろ御意見もございますでしょうけれども、事業所名等の公表を「行うことができる」というのは非常に何かあいまいな表現ではないかと考えます。累次の加入指導をして、かつ悪質と認定したら公表すべきなのではないか。10万も未適用事業所があるということですので、きっちり保険料を納めている事業所と、そうでない所を峻別するような形をとっていかないと、これから成りたたないのではないかと私は思います。

○神野部会長 ありがとうございます。今の、どうぞ。

○中村事業管理課長 まず1点目でございますが、前納制度を拡充することによって納付へのインセンティブを高め、納付率の向上につなげたいという趣旨でございます。確かに一遍に36万円近くを納められる方ということにはなりますけれども、当然そうした方が2年に一度の納付ということになれば、その方に回していった労力というのはほかの方にまた回すこともできるだろうというようなこともあり、こうしたことで納付へのインセンティブを拡大したいという点が1点でございます。

それから、悪質な未適用事業所の公表のほうは、一定の形式的な要件をどんなにつくってもそれぞれの個別の事情等で、例えばもう少ししたらやるから待ってくれみたいな個別の事情等もあり、全て一律に公表するものとするというところまではなかなか実際の実務としても回らないのではないかというような疑念もあり、こうした措置を講ずるということを実際の適用対策にも日々の指導等の中でも生かしていくということも念頭に置きながらそうした措置を講じてはどうかということで書かせていただいているということでございます。

○神野部会長 よろしいでしょうか。あと、いかがですか。ございませんでしたら、そろそろここら辺で議論を打ち切らせていただいて、事務局におかれましては、ただいま委員の皆様方から出していただいた意見を引き続き御検討いただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、本日の審議をこれにて終了したいと思いますが、次回の日程などにつきまして事務局から連絡事項がありましたら、よろしくお願いします。

○藤原総務課長 本日はどうもありがとうございました。次回の開催日時でございますけれども、2月14日(火曜日)の13時からを予定してございます。詳細は追って御連絡を差し上げさせていただきます。

○神野部会長 どうもありがとうございました。それでは、本日の審議はこれにて終了いたしたいと思います。御多忙の折、委員の皆様方には御参集いただきましたことを重ねて御礼申し上げる次第でございます。

どうもありがとうございました。

 

(了)