第27回社会保障審議会資金運用部会

年金局

日時

令和7年2月25日 (火)9:30~11:10

場所

全国都市会館 第2会議室(3階)

出席者

現地出席

神作部会長   大野部会長代理   大森委員   佐藤委員   德島委員

オンライン出席

五十嵐委員   井上委員   岡野委員   佐保委員   原委員   福田委員

議題

(1)GPIFの次期中期目標案について

(2)GPIFの次期中期計画案について

(3)積立金基本指針の改正について(報告)

議事

以下のPDFのとおり

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社会保障審議会資金運用部会(第27回)

日時:令和7年2月25日(火)9:30~11:10

場所:全国都市会館 第2会議室

西平資金運用課長

皆様、おはようございます。年金局資金運用課長の西平でございます。

それでは、定刻になりましたので、ただいまより第27回「社会保障審議会資金運用部会」を開催いたします。

委員の皆様方におかれましては、お忙しいところ御出席をいただき、ありがとうございます。

それでは、審議に入ります前に、前回の資金運用部会の開催以降、委員の異動がございましたので、御報告をさせていただきます。

本日の部会までに、山口委員が御退任されました。

続きまして、委員の出欠状況について御報告を申し上げます。

本日は、金井委員、玉木委員が御欠席との連絡をいただいております。

また、所用のため、五十嵐委員、佐保委員から途中で退席される旨を伺ってございます。

御出席いただいております委員の方々が定足数の3分の1を超えておりますので、本日の会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。

また、本日は、五十嵐委員、井上委員、岡野委員、佐保委員、原委員、福田委員には、オンラインで御参加をいただいてございます。

オンラインで御参加いただいております委員の皆様方におかれましては、会議中、御発言される際は「手を挙げる」ボタンをクリックし、部会長の御指名を受けてからマイクのミュートを解除した上で御発言をお願いいたします。また、御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。

なお、事務局につきましては、年金局長の間、年金局総務課長の小野が欠席、審議官の武藤が遅れて出席いたしますので、御了承いただければと思います。

それでは、これからの議事運営につきましては、神作部会長にお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

神作部会長

おはようございます。神作でございます。

委員の皆様におかれましては、大変お忙しいところ御出席いただきまして、大変ありがとうございます。

それでは、恐縮ですが、カメラにつきましてはここまでとさせていただきます。

(カメラ終了)

神作部会長

引き続き、ただいまから議事に入らせていただきます。

本日の議題は「GPIFの次期中期目標案について」「GPIFの次期中期計画案について」「積立金基本指針の改正について(報告)」の3点を議題といたします。

初めに、議題1の「GPIFの次期中期目標案について」、事務局から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

西平資金運用課長そうしましたら、まず、1つ目の議題「GPIFの次期中期目標案について」の御審議をいただきたいと思います。

資料1-1でございますけれども、厚生労働大臣がGPIFの中期目標を定める際には、社会保障審議会への諮問が必要とされておりますが、この次期中期目標案につきまして、資料1-1のとおり、2月20日付で諮問をさせていただいてございます。

また、具体的な文案につきましては、資料1-2といたしまして中期目標案、また、資料1-3といたしまして第5期中期目標案の新旧対照表というものを用意させていただいてございます。

中期目標案に関しましては、前回1月の資金運用部会におきまして内容を説明させていただき、委員の皆様方から貴重な御意見をいただいてございました。そのいただきました御意見を踏まえて検討しました結果、変更箇所を中心に、今日は御説明をさせていただきたいと思います。

そうしましたら、資料1-2を御覧いただけますでしょうか。

変更点といたしましては、そちらの資料1-2の4ページ目のところでございます。

3といたしまして「運用手法及び運用目標」ということで、まず(1)におきまして、実質的な運用利回り1.9%、こちらを最低限のリスクで確保することを目標として資産構成割合を定めて、これに基づく管理を行うことという目標を定めてございます。

続きまして(2)のところで、ベンチマーク収益率の確保というものを目標として定めてございます。前回御審議いただきました際は、(2)のベンチマーク収益率のタイトルのところでございますが、「ベンチマーク収益率(市場平均収益率)の確保」という言い方とさせていただいておりました。

前回の審議でいただきました御意見といたしましては、こちらのベンチマーク収益率といいますのは、この先の本文にも書いてございますけれども、GPIFの基本ポートフォリオで加重した資産全体の複合ベンチマーク収益率の確保ということを目標として課すということでございますが、現行の基本ポートフォリオを前提として考えた場合、国内外の債券と株式が25%ずつということで、50%が国内資産ということになるのだけれども、それは世界全体で見たときの市場平均収益率ということには、若干の違和感を感じるとの御意見を頂戴いたしました。

そのようなことから、タイトルの中からは、市場平均収益率というのを削除させていただきまして、単にベンチマーク収益率の確保ということとさせていただいた上で、本文の冒頭に、市場平均収益率の確保の観点からという文言を入れさせていただいてございます。

資産全体の目標として、GPIFに対してお示しする内容についての変更ということはございませんけれども、紛れがないような書き方とさせていただいたところでございます。

続きまして、前回の審議で御意見をいただきましたところといたしまして、7ページ目の下のほうでございます。

「8.法人の業務運営を支える人材の確保・育成・定着等」というところがございます。

こちらは、これまでも、いろいろ御説明させていただいておりますとおり、現在の中期目標までは、人材の確保・育成などにつきましては、その他の項目の中に入っておったということでございますが、次の中期目標におきましては、独立した目標として定めたいと考えてございまして、こちらに8ということで、新たに項目立てをさせていただいてございます。

前回1月の資金運用部会で複数の委員の方々から、このように独立した項目として設定することは評価するとしていただいた上で、さらに、こちらの項目につきましては、重要度が高いという項目として設定してはどうかという御意見をいただいたところでございます。

いただいた御意見を踏まえまして、重要度をどうするかということを考えさせていただいたところでございますが、中期目標におけます重要度を付している項目につきましては、例えば、リスク管理でございますとか、運用受託機関の選定といった、まさにGPIFの業務そのものと密接に関連する項目、また、そのようなGPIFの目標を達成する上で密接不可分な国民の御理解を賜るための情報発信、透明性の確保といった項目について重要度を付しているところでございます。

一方で、こちらの人材の確保・育成・定着といいますのは、そのようなGPIFの目標を達成するための言わば手段といいますか、そのような位置づけでございますし、また、これまでその他の項目にあったものを独立した項目として新たに位置づけ直し、GPIFとしても重点的に取り組んでいくことをお願いするこのタイミングで、最初から重要度を付すというのもなかなか難しかろうかなというところでございます。

来年度以降、その業務実績を毎年夏に資金運用部会で御議論いただきまして評価をしていただくということでございますので、この項目につきまして、そのようなGPIFの取組を資金運用部会の委員の皆様方に見ていただきながら、やはり、まだまだ取組が不十分であろうということになりますれば、重要度を改めて付すということも視野に入れながら、まずは重要度を付さない形で、この中期目標につきましては、定めさせていただいてはどうかと考えているところでございます。

簡単ではございますが、前回の資金運用部会でのいただいた御意見を踏まえました修正あるいは検討につきまして、御報告をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

神作部会長

御説明どうもありがとうございました。

それでは、ただいま御説明のありました、GPIFの次期中期目標案につきまして、委員の皆様方から御質問や御意見を頂戴したいと存じます。

会場にお越しの委員が御発言を希望される場合には、恐れ入りますが、挙手の代わりに、お手元のネームプレートを立てて、質疑が終了しましたら元に戻していただきますよう、お願いいたします。

また、オンラインにて御参加されておられます委員におかれましては、会議中、御発言される際は「手を挙げる」ボタンをクリックし、私から御指名をさせていただきますので、御指名がございましたら、マイクのミュートを解除した上で御発言をお願いいたします。

御発言終了後は、再度、マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。

それでは、どなたからでも結構ですので、御質問、御意見ございますでしょうか。いかがでしょうか。

それでは、オンラインで御参加の五十嵐委員、佐保委員の順番で御発言ください。

初めに、五十嵐委員から、どうぞ。

五十嵐委員

ありがとうございます。

2回くらい前にも少しだけ申し上げたのですけれども、オルタナティブ投資のところですが、現状では目標上限5%というところに対しまして、まだ1%強の実績ということになっております。

これにつきましては、特に国内のプライベート・エクイティファンドなどへの指示をGPIFとして出していただくことによって、さらに国内の企業の成長に結果的に資するような形で、投資のご検討をお願いしたいと思っております。

GPIFの運用収益の向上がもちろん最重要なのですけれども、プライベート・エクイティについて見ると、国内に比べて海外の投資にある程度偏っていると思われます。ぜひその辺を考慮していただければと思います。

また、これに関し、毎年度の報告も、これは目標のほうにも書いてありますけれども、継続的にチェックをしていくということなのですけれども、件数のみでなく、投資した率についても、ご報告・検証を行っていただければと考えております。よろしくお願いします。

神作部会長

どうも御意見ありがとうございました。

それでは、続きまして、佐保委員、お願いいたします。

佐保委員

ありがとうございます。

まず、次期中期目標案の取りまとめにおきまして、事務局の皆様に感謝を申し上げます。

次期中期目標が策定されれば、実質的な運用利回りを1.9%に引き上げることになりま

す。

また、次期中期目標期間中にインパクトを考慮した投資についての検討と、必要な取組が行われることになります。

GPIFには、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から安全かつ効率的に積立金運用を引き続き行っていただくよう、重ねてお願いいたします。

私からは以上です。

神作部会長

どうも御指摘ありがとうございました。

それでは、続きまして、井上委員、御発言ください。

井上委員

おはようございます。よろしくお願いいたします。

今回、これまでの意見をよく反映された形で取りまとめをしていただいたと、感謝を申し上げます。

その上で何点か御指摘を申し上げたいのですけれども、この中期目標、中期計画は、

年に1回ということなので、それを考えたときに、この5年というのは、これまでとは経済情勢とか、国際情勢が非常に大きく変化をしているということだと思います。これを念頭に、目標であるとか計画の遂行に当たってほしいということです。

まず、第1に国内経済を考えますと、これまでとは全く異なる金利のある世界に入っていくわけでございます。物価あるいは人件費、こういったものが国際情勢とか人手不足を背景に、これからも上昇局面が続いていくと思いますし、これを上回る運用が求められるということになっていきます。

また、金利のある世界というのは、時間の価値というのが上昇をしていきますので、投資の面から見ても、これまでよりは、積極性が一定程度求められるということになっていくのだと思います。

第2に国際経済を見ますと、これまでのグローバル主義であるとか、同じ目標に向かって各国が協力して自由に経済取引を行っていこうという方向が非常に大きく変化しつつ、修正をされつつあります。

これは、この部会の議論が始まった昨年から比べても、ここ数か月でも非常に大きく変化をしていて、恐らく米国の影響は非常に大きいですけれども、今後5年間も、恐らくその傾向は続くのではないかと思います。

いずれの国も自国経済の利益を中心に考える傾向が非常に強まっていると思いますので、この運用に当たりましても、やはり、日本の自国の経済に及ぼす影響というものは、一定程度考慮せざるを得ないと思いますし、国内経済の成長が、この年金をはじめとする社会保障制度の持続可能性には不可欠であると考えております。

こういう状況の変化の中で、今後の目標計画の遂行に当たって留意すべき事項とか、また、情勢が変わりますので、この部会で適宜御報告をいただきたい事項を2点申し上げます。

第1に、ESG投資についてでございます。先ほど2点目で指摘を申し上げたのですけれども、米国では、今、グリーン投資でありますとか、DEIに対する投資に対して、非常に急激な揺り戻しの動きがございます。投資家が逆に提訴される、訴訟になってしまうという事態にも至っています。

しかしながら、当然のことながら、これは皆さん御理解の上ですけれども、地球温暖化による長期のリスクというのは、これは紛れもない科学的な事実でありますから、決して短期的な視点で脱炭素投資にブレーキをかけることがあってはならないと思います。

とりわけ、日本はエネルギーがないわけでございまして、先般取りまとめられましたエネルギー基本計画あるいはGXビジョンで、国家戦略として脱炭素の推進というものも図っているところでありまして、投資の面におきましても、この国の戦略と軌を一とした運用を継続すべきだと思いますし、ぜひESG投資の状況につきましては、今後とも国際情勢も変わりますので、丁寧にこの部会にフィードバックをお願いしたいと思います。

第2に、先ほど五十嵐委員からもありましたけれども、オルタナ投資でございます。これも5%の上限に対して、まだ1%程度ということですので、これにつきましては、その体制の強化を図りながら、超過収益を獲得していくことが重要だと思いますし、現状、海外の投資に偏っておりますけれども、先ほど申し上げたような各国の動きとか、国内経済の活性化という観点を踏まえれば、オルタナ投資の中におけるバランスも内外のバランスを図っていくと、あるいは国内のいいベンチャーを重視していくことが重要だと思います。

このオルタナの拡大状況、内外バランス等につきましても、ぜひ、この部会で毎年のGPIFの実績報告、評価プロセスの中で継続してモニタリングをお願いしたいと思います。

私からは以上でございます。

神作部会長

どうも御指摘ありがとうございました。

続きまして、会場で御参加の大森委員、その後、オンラインで御参加の福田委員、そして、その後、また会場に戻りまして、佐藤委員の順番で御発言をお願いしたいと思います。

それでは、初めに大森委員、御発言をお願いします。

大森委員

御説明ありがとうございました。

中期目標案につきましては、これまでの議論を踏まえて整理されたもので、また、この会議においてもチェックと確認を行っているものですので、特に追加の修正のお願いはございません。

コメントを申し上げますと、前回の繰り返しになりますけれども、重要マークというのは操作性のよい項目や議論のしやすい項目についているという側面がありますから、GPIFが注ぐ実際の努力の大きさとは必ずしも一致しない部分があると思います。

その中で大事なのは、重要マークがないけれどもコストをかけるべきものになりますが、それが8の人材ですね、御説明もありましたが、人材は最終的な目的であるパフォーマンスを達成するための土台ですから、重要なのは当然ですし、今回から項目を独立させているので、その重要性の認識はされていると思います。重要マークはついていないけれども、実際に努力できることですので、時間などのコストを十分にかけて取り組んでいただきたいと思います。

それから、今、少し御議論がありましたけれども、受益者のために運用というのは、具体的には金銭的な収益を得ることですから、国内の政策との整合性とか、そういったことは考慮されるのは、目的にはかなっていないと思われます。オルタナ投資につきましても収益性を重視して御判断いただければと考えます。

コメントは以上になります。

神作部会長

どうもありがとうございました。

続きまして、オンラインで御参加の福田委員、御発言をお願いいたします。

福田委員

それでは、発言をさせていただきます。

私も案に関しては、特に異論はございません。これまでの議論を適切にまとめていただ

いていると思います。

その上で、追加的なコメントとしてさせていただきたいことですけれども、投資というのは、私が申し上げるまでもなく、リスクとリターンが両輪となる、両方が重要だということだと思います。リターンを上げることだけではなくて、リスクをどう減らすか、この2つが非常に重要だということです。それが重要だという点は、中間の案でも強調はされていますけれども、このたびリターンに関する運用目標が引き上げられたということもあります。他方では、やはり足元は非常にいろいろな意味でのリスクが高まっています。そういう意味では、被保険者の利益というのは、もちろん高いリターンを上げるということは当然重要なことですけれども、それをいかに小さなリスクで達成するかということは、改めてこの場で強調させていただきたいと思います。

また、今、おっしゃられたように、あくまでもこれは被保険者の利益のために行っている投資だということですので、やはり国の政策と必ずしも一致しているものではないという理解は重要です。もちろん、被保険者は国民ですので、重複するところはあるわけですけれども、ただ、やはり日本の経済政策とかとは無縁で、あくまでも被保険者の利益のためにいかに運用が、リスクとリターンという観点から適切かという観点で、やはりまとめていただいていると思いますし、その点は、改めて確認しておくことは大事だと思います。

私からは以上でございます。

神作部会長

貴重な御指摘、どうもありがとうございました。

それでは、会場に戻りまして、佐藤委員、御発言をお願いいたします。

佐藤委員

御説明どうもありがとうございます。案の取りまとめ、どうもありがとうございます。

私も内容に異存はございません。

コメントが1点、お願いも兼ねておりますけれども、項目8の人材の確保・育成・定着、これが、今回独立した項目となったことは大変よいことだと思います。

この文言にあるように、まさに法人の業務を支えるのは人でございますので、有言実行、今度はよりよい結果につながるように、PDCAをきっちり回していただいて、この部会にもポジティブなフィードバックを期待しております。よろしくお願いいたします。

神作部会長

どうもありがとうございました。

ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。

德島委員、お願いいたします。

德島委員

一言だけ申し上げたいと思います。

取りまとめ大変ありがとうございました。これまでの議論を十分に反映した目標になっているかと思います。

今日も含めて、オルタナ投資の内外比率とかの御指摘が外からもいろいろ聞こえてきていますが、あくまでも収益を上げるという、ほかの委員からも御指摘のあったとおり、被保険者の皆さんの利益を優先するものです。その中で、可能であれば、国内にお金を回すことは、望ましいと思いますが、優先すべきなのは被保険者の利益で、適切な投資対象があれば、国内にお金を回すということです。無理やりにオルタナ投資を内外50%ずつにするといった目標は、一切私たちも考えていないわけですし、法人も考えていないと思います。優先すべきものの意識をきちんと持って取り組んでいただけたらと思います。

私からは以上です。

神作部会長

どうもありがとうございました。

ほかに御発言ございますでしょうか。

よろしゅうございますでしょうか。第5期中期目標案について、修正すべきだという御意見はなかったかと思います。この目標の実現に向けた業務の遂行、実施、また、計画の遂行に当たりまして、注意すべき事項について、様々な貴重な御指摘をいただきました。

また、本部会等においても、報告すべきような、そういうフィードバックすべき事項についても、重点的な項目について、貴重な御指摘をいただきました。どうもありがとうございました。

しかし、冒頭に申し上げましたように、この第5期中期目標案、本日御説明いただいた目標案について、修正を要すべきだという御意見はなかったと存じますので、当部会として、第5期中期目標案を了承することとしたいと存じますけれども、よろしゅうございますでしょうか。

(異議なしの意思表示あり)

神作部会長

どうもありがとうございました。

それでは、そのように答申をすることとさせていただきます。

それでは、次に進ませていただきます。

次は議題の2「GPIFの次期中期計画案について」、GPIFから御説明をお願いいたします。

御説明に先立ちまして、最初にGPIFの宮園理事長に、本日御足労をいただいております。

宮園理事長から、御挨拶をいただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。

宮園理事長

委員の皆様には、平素から格別の御指導を賜っておりますことを、改めて厚く御礼申し上げます。また、私どもの中期計画案につきまして、本日、御審議賜りますこと、また、厚く御礼申し上げる次第でございます。着座で御説明させていただきます。

本日お示しいたします、私どもの第5期中期計画案でございますけれども、今ほど御了承いただきました、次期5年間の中期目標を達成するための計画案として作成したものでございます。

昨年10月のこの部会で説明しました、当法人の課題認識を基に、これを私どもの経営委員会の審議も経て、より深く議論をいたしまして、また、部会の各委員の御示唆も頂戴いたした上で、本日の案として取りまとめたものでございます。

今、第4期中期目標期間におきまして、当法人は、基本ポートフォリオに即した運用やリスク管理の高度化、それから管理運用業務を支えるシステム等の体制整備、さらにスチュワードシップ活動やESGを考慮した投資、こうしたことに鋭意取り組んでまいりました。

第5期の中期計画案におきましては、いただいた中期目標を達成するための、さらなる取組といたしまして、まず第1に、運用資産が250兆円を超える規模に膨らんでいる状況を踏まえまして、中期目標を達成するための基本ポートフォリオに即した管理運用や、超過収益の獲得に向けた運用の高度化、多様化とリスク管理、これらをより一層深化、強化するための取組を盛り込みますとともに、2つ目に、アセットオーナー・プリンシプルを踏まえまして、スチュワードシップ活動をより深化させるための取組を推進すること。

3点目は、サステナビリティ投資に関する基本方針のもとで、ESGやインパクトを考慮した投資について、必要な取組を行うこと。

最後に4点目として、人材の確保・育成・定着、それから業務のデジタル化、調査研究の充実など、業務運営体制の充実強化に資する取組を進めることを中期計画案に盛り込んでおります。

とりわけ、多くの委員の皆様から御指摘をいただきました人材の確保につきましては、結果を出せるように、体制を強化し、戦略的に取り組んで参る所存でございます。

本日、委員の皆様方の御議論、御意見を頂戴いたしますよう、よろしくお願い申し上げます。

具体的な内容につきましては、当法人の審議役から御説明をさせていただきます。

石川審議役

それでは、私から御説明いたします。

⑦の資料、「GPIF 第5期中期計画(案)の概要」について御説明いたします。

今後、正式に中期目標が法人に対して示された上で、また、本日の御議論もいただいた上で、経営委員会の審議を経て改めて中期計画案を検討しまして、厚生労働大臣への認可申請を進めていくこととしますけれども、本日は、今日時点の中期計画案の概要ということで御説明させていただきます。

資料の右下の2ページをお開きください。

これが第5期中期計画の構成でございます。第1、第2、第3以降、それぞれ従前の構成と基本的には同様でございますけれども、中期目標の構成も踏まえまして、左下の8の「人材の確保・育成・定着等」と、9の「業務のデジタル化の推進等」、これらを中期計画においても独立した項目立てをして、中期計画を構成することとしたいと考えております。

続きまして、3ページにお進みください。

これ以降、主な内容を御説明いたしますが、まず、第1の「1.年金積立金の管理及び運用の基本的な方針」についてでございます。これは現行の中期計画と同様ですけれども、(1)として「基本的な方針」、これについては、被保険者の利益のために長期的な観点から安全かつ効率的に行うことなどを目的とすることを明記しつつ、関係法令及び中期目標の定めるところに基づき行うことといたします。

(2)の「管理及び運営に関し遵守すべき事項」としましては、①の「受託者責任の徹底」、②の「市場及び民間の活動への影響に対する考慮」を引き続き明記することといたします。

また、(3)の「他の管理運用主体との連携」についても、「努める」という形で記載することといたします。

続きまして、4ページでございます。「2.国民から信頼され、法人としての使命を着実に果たすための健全な組織運営」でございます。

申し遅れましたけれども、青字の部分が現行計画からの実質的な追加・修正部分になりますが、その点を中心に御説明いたします。

2.の「健全な組織運営」に関しましては、1つ目の○ですけれども、経営委員会、監査委員会、執行を担う理事長等が適切に役割分担及び連携を図りながら、健全な組織運営を確保していく。また、経営委員会の判断事例の蓄積を活用して、経営委員会の議決事項を整理し、規程化する等の透明性の向上に資する取組を引き続き推進する。中期計画では、こういったことを引き続き記載することといたします。

また、役職員の業務運営への積極的な関与を促進するための取組により、継続的に業務運営の改善を図っていくことも記載することといたします。

続きまして、5ページでございます。「3.基本的な運用手法及び運用目標」についてでございます。

「(1)基本ポートフォリオに基づく運用」につきましては、中期目標で示される実質的な運用利回り1.9%を最低限のリスクで確保することを目標とし、この運用利回りを確保するよう、長期的な観点からの基本ポートフォリオを定め、これを適切に管理することを次期においても取り組むことといたします。

また、その際には、利子や配当収入を含め、世界経済の成長の果実を長期的かつ安定的に獲得する。また、リスク管理の観点から、資産や地域等を分散させた長期国際分散投資を基本とする。こういった方針を引き続き次期中期計画で記載することといたします。

さらに、市場の価格形成や民間の投資行動等を歪めないように配慮することといたします。

「(2)ベンチマーク収益率の確保」につきましては、中期目標に関する御議論でもございましたけれども、それに対応しまして、市場平均収益率の確保の観点から、中期目標期間において、資産全体の複合ベンチマーク収益率を確保する。

また、次の○ですが、各年度につきましては、資産全体の複合ベンチマーク収益率及び各資産のベンチマーク収益率を確保するよう努めることといたします。

さらに、ベンチマークにつきましては、適切な市場指標を用いる。また、最後の○ですが、パフォーマンス評価に当たりましては、ベンチマーク収益率をもとに適切な方法を用いるとともに、その結果を経営委員会に報告する。その際、要因分析の精緻化や透明性の向上等の観点から、できる限り投資行動に沿った要因分解を行って、投資行動のPDCAサイクルが回るように努める。こういった記載をすることといたします。

次の6ページにお進みください。

「(3)モデルポートフォリオの策定・見直し」についてでございます。モデルポートフォリオにつきましては、他の管理運用主体と共同して、モデルポートフォリオを策定する。また、検証や見直しに関する所要の事項を記載することといたします。

「(4)基本ポートフォリオの策定・見直し」に関しましては、先ほど触れましたモデルポートフォリオを参酌して、基本ポートフォリオとして、運用の目標に沿った資産構成割合とすること。また、下の2行にありますような、予定された積立金額を下回る可能性の大きさを適切に評価することや、より踏み込んだ複数のシナリオで実施するなど、リスクシナリオ等による検証を行うことも含めまして、中期目標に沿って基本ポートフォリオの策定を行っていくことを中期計画で記載することといたします。

次の○ですけれども、市場動向を踏まえた適切なリスク管理等を行い、策定時に想定した運用環境が大きく変化する可能性がないか等について毎年度適時適切に検証を行い、経営委員会が必要と認めるときは、中期目標期間中であっても、見直しの検討を行い、必要に応じて速やかに修正を行う。こういった記載をすることといたします。

(5)の「流動性の確保」につきましては、年金給付等に必要な流動性を確保することに関する所要の記載を置くことといたします。

次の7ページ、「4.運用の多様化・高度化」についてでございます。

まず「(1)運用手法」についてでございます。運用手法につきましては、1つ目の○ですけれども、経営委員会による適切な監督の下で適切なリスク管理を行うことや、その次の○ですけれども、運用に当たっては、原則としてパッシブ運用と超過収益の獲得を目指すアクティブ運用を併用する。ただし、アクティブ運用につきましては、定量的な実績を勘案した定性評価に基づいて、超過収益を獲得できるとの期待を裏付ける十分な根拠を得ることを前提とした上で、資産全体の適正なリスク量の下、スタイル分散等に留意して行う。その際には、運用理念や運用手法の相互理解を深める等、運用受託機関とのアラインメント強化を図ることといたします。

また、ベンチマークについては、幅広い観点から検討する。また、ベンチマークにより難いオルタナティブ資産につきましては、資産の管理及び運用に関し一般に認められている専門的知見に基づいて、伝統的資産対比の運用パフォーマンス評価方法等を構築し、必要に応じて改善を図りながら評価を行うことといたします。

「(2)運用対象の多様化」でございます。まず、運用対象につきましては、管理及び運用の基本的な方針に基づいて、分散投資を進めるため、オルタナティブ投資などその多様化を図っていくことを記載いたします。

その次の○ですけれども、オルタナティブ投資につきましては、先ほど委員からも御意見がございましたけれども、考え方としては、運用の効率性を向上させつつ超過収益を獲得する観点から行うものであること。一方で、オルタナティブ資産には固有のリスク等があることを踏まえて、高い専門性を有する投資フロント人材に加えて、法務・税務やリスク管理等を担う人材の拡充などを行いながら、良質な案件の選定力を高めていく。あわせて、ミドル機能及びバック機能の更なる充実によって体制整備を図りつつ、リスク管理及び超過収益の安定的確保の観点からの検証を継続的に行い、その検証結果を十分に踏まえながら取組を進めていく。オルタナティブ投資についてはこういう方針で進めていくことといたします。

次の8ページ、「5.運用受託機関等の選定、評価及び管理」についてでございます。

運用受託機関等の選定・管理の強化のための取組を進めるとともに、定期的に運用受託機関等の評価を行い、資金配分の在り方等を含めて適時に見直すことといたします。また、その際には、これは中期目標を受けてでございますけれども、過去の運用実績等だけでなく、投資対象の選定の考え方やリスク管理の手法等も含めて総合的に評価する。さらに、現行の中期計画と同様ですけれども、運用受託機関の選定に当たっては、スタイル分散等のマネジャー・ストラクチャーについても勘案する。こういった記載をすることといたします。

次の○ですけれども、より付加価値の高い運用受託機関等の採用に向けた評価手法の高度化を図る。また、運用の高度化・多様化に対応した、より柔軟かつ質の高い資産管理機関の利用及び運用データの利活用の促進を図ることといたします。

最後の○ですけれども、運用フロントの専門性を最大限発揮させるためのミドル・バック体制の強化を図る。

以上のような形で運用受託機関等の選定等について進めていくことといたします。

次のページにお進みください。「6.リスク管理」でございます。

まず(1)に、リスク管理の基本的な事項について書いているところでございますけれども、リスク・リターン等の特性が異なる複数の資産に分散投資することをリスク管理の基本とし、各種リスクの管理を適切に行うことといたします。また、リスク管理の状況については、理事長から経営委員会に対して定期的に、必要がある場合には速やかに報告し、経営委員会において適切にモニタリングを行ってまいります。加えまして、新規の追加として、国内の日中取引時間以外のリスク管理体制について、次期において検討を行うことといたします。

こういったリスク管理の具体的な方法につきましては、①以降、いくつかの観点からのリスク管理を行っていくことといたします。

まず、資産全体につきましては、基本ポートフォリオとの乖離リスクについて、参照値等を設定した上で、適切な管理を行う。また、適切かつ円滑なリバランスを実施するため、市場動向の把握・分析等を行い、資産全体について、市場リスク、流動性リスク、信用リスク、カントリーリスク等を管理し、リスク負担の程度についての分析及び評価を行う。

その際、アクティブ運用等の投資行動に沿った要因分解を含めて行うとことといたします。

さらに、各年度の複合ベンチマーク収益率との乖離要因の分析等を行う。このように資産全体についてリスク管理に取り組むことといたします。

一方、各資産につきましては、政策ベンチマークからの乖離リスクを適切に管理するこ

とといたします。

各運用受託機関に関しましては、各社の運用状況やリスク負担の状況を把握して適切に管理、評価する。また、運用受託機関の運用スタイル分散を図る等マネジャー・ストラクチャーについて適切な管理を行うことといたします。

各資産管理機関につきましては、資産管理状況を把握して管理・評価を適切に行うこと。

また、BCP(事業継続計画)等の観点から資産管理機関における安定的な運営状況を継続的に注視するとともに、運用の高度化・多様化に対応した資産管理の体制整備を進めることといたします。

自家運用とトランジション・マネジメントについては、現行と同様に取組を進めることを中期計画で盛り込むことといたします。

次の10ページにお進みください。「(2)リスク管理・内部牽制機能強化のための体制整備等」についてでございます。

運用資産が増大し、また、運用対象が多様化する中で、ポートフォリオ全体のリスク管理を適切に行う観点から、統合的・複眼的なリスク管理を進める。あわせて、ミドル・バック機能の充実・強化を図り、3線管理の枠組みによる多重化した牽制体制を強化する。

こういうことを通じて、リスクを適切に管理するための体制の一層の強化に取り組むことといたします。

また、リスク管理の高度化を推進する観点から、リスク・リターン分析ツール等をはじめとした各種ツールを活用する基盤整備を一層進めるとともに、各種リスク管理に当たっては、地政学上のリスクや、気候変動によるリスク等の多様なリスクが取引環境を含めて金融市場等に与える影響についても適切に考慮するように努めることといたします。

その次の○ですけれども、業務リスクやコンプライアンス・リスクのPDCAサイクルを着実に実行し、内部牽制機能の強化を図ることといたします。

次の11ページにお進みください。「7.スチュワードシップ責任を果たすための活動及びESG等の非財務的要素を考慮した投資」についてでございます。

(1)のスチュワードシップ活動につきましては、2つ目の○でございますけれども、運用受託機関への委託に当たっては、ESG要素を含むサステナビリティの重要性を踏まえて効果的なエンゲージメントを行うことといたします。

また、最後の○ですけれども、アセットオーナー・プリンシプルを踏まえまして、アセットオーナー・プリンシプル取組方針、これは昨年9月に法人として策定したものでございますが、こういった取組方針に沿って、インベストメントチェーンを構成する様々な主体との継続的な対話の実施等、スチュワードシップ活動を深化させるための取組を推進することといたします。

次の12ページ、「(2)ESGを考慮した投資」についてでございます。

年金積立金の運用において、投資先及び市場全体の持続的成長が運用資産の長期的な投資収益の拡大に必要であるとの考え方を踏まえて、被保険者の利益のために長期的な収益を確保する観点から、財務的な要素に加えて、非財務的要素であるESGを考慮した投資を推進する。サステナビリティに関するリスク低減や市場全体の持続的成長による長期的な投資収益の拡大と、市場平均収益率の確保、これらの両立を図りながらESGを考慮した取組を進めることといたします。

また、その際には、この中期計画の前半で書かれております、第1の1の基本的な方針、また、第1の3の運用目標、これらに留意しつつ、サステナビリティを考慮した投資に関する基本的な方針、サステナビリティ投資方針を策定して、これに沿って取組を進める。

また、PDCAサイクルを適切に回して、ESGを考慮した投資について継続的に検証を行い、その結果を取組の改善等につなげることといたします。

次に「(3)インパクトを考慮した投資」についてでございます。

これにつきましては、市場平均収益率を確保しながら、被保険者の利益のために長期的な収益確保を図る観点から、非財務的要素の一つとして、投資先企業の事業内容がもたらす社会・環境的効果、インパクトを考慮して投資を行うことについて、次期において検討し、必要な取組を行うことといたします。

その際には、ESGを考慮した投資と同様でございますけれども、第1の1の基本的な方針及び第1の3の運用目標に留意しつつ、サステナビリティ投資方針に沿って取組を進める。

あわせて、取組が法人の運用に求められる基本的な考え方に則って行われているかについて継続的に検証する。

こういった形でインパクト投資について中期計画の記載をすることとしたいと考えて

おります。

次の13ページにお進みください。8.の「人材の確保・育成・定着等」についてでございます。新たに項目立てをしたものでございます。

「(1)人材の確保・育成・定着のための環境整備」といたしまして、1つ目の○、法人に期待される高度な業務運営を支える人材に求められる業務やキャリアパス等を明らかにするとともに、それら人材の受入れのための環境整備を行うことといたします。

また、法人の業務を通じて得られる経験・能力や法人の業務の社会的意義の効果的な発信等を行って、必要な人材を確保していくことを記載します。

その次の次の○です。人材の報酬水準・体系については、必要に応じて、その報酬体系を成果連動型とすることや民間企業等における同様の能力を持つ人材の報酬水準と比較するなどにより、その見直しも含めて適切な在り方を検討することといたします。

これらの取組を通じて、長期国際分散投資を行う中で、運用の高度化・多様化等を引き続き進めるために必要な人材の確保・育成・定着、それらを戦略的に進めるための機能の強化を図ることといたします。

続きまして「(2)業務遂行能力の向上等」についてでございます。

1つ目の○ですけれども、資産運用等の分野に係る専門的、実務的な研修の実施、また、資格取得を積極的に支援する等によって、役職員の業務遂行能力の向上を図ることとします。加えまして、中期目標の記載も踏まえまして、従業員エンゲージメントの向上を目指すことといたします。

また、「特に」ということで、女性の活躍を推進するための取組の一層の強化、多様な人材が活躍できる勤務環境の整備を推進していくことといたします。

最後の○ですけれども、必要な人材を戦略的に確保及び育成するための人材確保・育成方針を策定して、取組を進めることといたします。

次の14ページにお進みください。これも独立した項目にしたものでございますけれども、「9.業務のデジタル化の推進等」についてでございます。

「(1)業務のデジタル化の推進」につきましては、データサイエンス等を活用した運用の多様化・高度化や運用リスク管理の高度化に資するデータを集約・分析する基盤整備を推進して、組織横断的なデータマネジメント手法を確立することといたします。また、業務の効率化等の観点から、IT分野における専門人材の確保・育成・定着等を進め、加えて業務のデジタル化等を推進し、管理運用業務の情報基盤の拡充などを通じて業務の質的な改善を推進することといたします。

また、これらの取組を効果的・効率的に進める観点から、組織として戦略的に業務のデジタル化を推進するための機能の強化を図ることといたします。

「(2)情報セキュリティ対策」につきましては、規程に基づく情報セキュリティ対策を厳格に実施することなどを記載することといたします。

次の15ページにお進みください。「10.情報発信・広報及び透明性の確保」についてでございます。

1つ目の○でございますけれども、各年度の管理及び運用実績の状況については、毎年1回、また、法人としては四半期ごとも含めて、迅速に公表を行うことといたします。

また、2つ目の○ですけれども、法人として今後長期にわたり積立金が積み上がっていく可能性が大きいといった特性を有することを踏まえまして、あるべき運用の姿についての多面的な観点、現行でも長期国際分散投資の必要性等を挙げておりますけれども、ESGやインパクトを考慮した投資の考え方等も含めて、多面的な観点から国民の理解をいただけるように、分かりやすい情報発信の在り方について検討を深めることといたします。

次の○ですけれども、広報の取組についての定期的な検証、その結果を踏まえた取組内容の継続的な改善に引き続き取り組んでいくことといたします。

次の○ですが、経営委員会が重要事項と判断する事項については、経営委員会の審議を経て議決を行うなど、経営委員会による適切な監督の下で、透明性を確保していく。また、

経営委員会の議事録等及び議事概要を省令に基づいて一定期間経過後に速やかに公表することも今後取り組んでいくことといたします。

また、保有銘柄の開示に関する取組も引き続き行うこと。また、オルタナティブ投資の投資案件についても、できるだけ分かりやすい形での情報開示を進めること。さらに、運用会社等に対して支払っている実質的な費用について、できる限り詳細なレベルで把握した上で、適切な情報開示の在り方を検討していくことといたします。

以上のような情報公開に当たっては、市場の影響に留意することといたします。

次の16ページ、「第2 業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置」でございます。

まず、「1.効率的な業務運営体制の確立」といたしまして、組織再編及び管理部門を含む各部門の人員配置を実情に応じて見直すこと。また、業務運営の高度化・効率化のために、先進技術、AIによる文書作成支援などを積極的に活用することといたします。

また、被保険者の利益のために年金積立金の管理及び運用を安定的に行うための業務運営体制を適切に確保する観点にも留意しつつ、経費節減の意識及び能力・実績を反映した業績評価等を適切に行っていくことといたします。

次の2.の「経費節減」につきましては、一般管理費及び業務経費の合計について、令和6年度を基準として、新規に追加されるものなどを除いて、毎年度平均で前年度比1.33%以上の効率化を行うことといたします。

人件費については、政府の方針を踏まえて適切に対応していくこと。また、運用の高度化・多様化やリスク管理の強化等に的確に対応できるよう、必要な人員体制を確保していくことといたします。

給与水準については、国家公務員の給与、金融機関等の民間企業の給与、法人の業務実績等を考慮して検証した上で、新たに、必要な人材の確保等を図る観点にも留意しながら、適正化に取り組んでいくことといたします。

「3.契約の適正化」につきましては、法人として策定している「調達等合理化計画」に基づく取組を着実に実施していくことといたします。

「第5 短期借入金の限度額」については、骨子の御説明でも触れたところでございま

すけれども、予見し難い事由による一時的な資金不足等に対応するための短期借入金について、金額としては4兆円という数字に今回改めることといたします。

17ページ、第9の「その他業務運営に関する事項」についてでございます。

「1.調査研究」については、年金積立金の管理及び運用を安全かつ効率的に行う観点から、大学等をはじめとした外部のリソースの活用に加えて、国内外のアセットオーナーとの情報交換の機会も活用しながら、「被保険者の利益のため」という目的に即した調査研究等に取り組むことといたします。その際には、調査研究等で得られたノウハウの法人内での蓄積に加えて、法人内での人材育成を通じた調査研究の体制整備の一層の推進に留意することといたします。

また、経営委員会の適切な関与の下で、調査研究業務に係るPDCAサイクルの取組を引き続き強化していくことといたします。その際には、長期的な視野で取り組む基礎的な研究を含む多種多様な調査研究のテーマを設定するように努めることといたします。

「2.内部統制の一層の強化に向けた体制強化」についてでございます。

これは、法人が策定しております「内部統制の基本方針」等に基づいて、法令遵守や受託者責任等の徹底を図り、投資原則・行動規範を遵守する、こういったことを引き続き行うこととした上で、他の民間金融機関等の例も参考にしつつ内部統制等の体制の一層の強化を図り、国民からより一層信頼される組織づくりを進めることといたします。

また、次の○にありますような関係法令、中期目標、中期計画等の周知及び遵守の徹底を図ること。

最後の○ですけれども、業務執行能力の向上を図りつつ、業務執行の透明性・公正性の確保に一層取り組むとともに、内部統制体制・コンプライアンスの徹底を図り、法令遵守の確保等を一層的確に実施できるよう、法務体制・機能の更なる拡充・強化・活用を進めることといたします。

18ページ、最後のページになりますけれども、「3.監査委員会の機能強化等によるガバナンス」といたしまして、(1)では、監査委員会がその役割を発揮できるような環境の整備・改善を図っていくこと。(2)として、監査委員会は監査の方針に基づいて法人の業務の監査及び監視を行うこと。

また、(3)として、監査計画を策定して、計画に沿った監査を実施し、監査委員会において、監査対象とのコミュニケーションを図ることや、監査室その他内部統制機能を所管する部署と緊密な連携を保つこと、監査のPDCAサイクルを回すことによって監査の実効性を向上させることを記載することといたします。

その上で、監査委員会として、業務運営が規定に基づいて行われているかを確認しながら進めていくこと。

このような監査委員会の機能に関して中期計画に記載することといたします。

長くなりましたけれども、第5期中期計画案の概要については、以上でございます。よろしく御審議をお願いいたします。

神作部会長

御説明どうもありがとうございました。

それでは、ただいま御説明をいただきました内容につき、委員の皆様方から御意見や御質問を頂戴したいと存じます。

先ほどと同様の方法で御発言の意思を示していただきましたら、恐れ入りますけれども、私から御指名をさせていただきます。いかがでしょうか。

それでは、大森委員、御発言ください。

大森委員

御説明ありがとうございました。

目標もそうなのですけれども、対応する計画も行わなくてはいけないことが多く大変でありますが、非常にしっかりとした計画をつくられていると思います。

近年の市況が優れていたために、GPIFの運営は、今、批判は少なく認められている側面はあると思います。けれども悪いときは来ますから、そうしたときに、ぶれずに、自分の業務をしっかり、長期の目標を見据えて行っていくためには、こうしたしっかりした計画が非常に有効であると思います。

少しお話をさせていただきますと、訓練されていない個人にとって、実は低コストで分散投資による長期運用というのは、簡単なことではありません。逆に好きなのは何かと言いますと、安全資産とギャンブルです。これは近年研究が進みまして、しばしば指摘されておりますけれども、訓練されていない個人の最大の敵は、こういった長期の資産形成に反する心理的なバイアスとされています。これらとGPIFを一緒にしてはいけませんけれども、人間の直感としては、あまり好きでないことをやっているのですね。ですので、パフォーマンスがはかばかしくないときには、的外れな批判が起きやすいかと思います。

批判に耳を塞ぐことがあってはいけないのですけれども、的外れなものは、排除しなければいけませんので、そのためには、こういったよく考えられた、しっかりした計画、これが有効だと思います。

個別の投資についても同じようなことは言えると思います。ESG投資でありますとか、オルタナティブ投資、これらについても、その狙いや考え方が大事ですから、それらを明確にした上で、短期的な市況やそれに伴う的外れな批判にぶれずに、長期的に取り組んでほしいと思います。

今、根拠を明確にと申しましたけれども、もちろん内部的にということです。情報開示につきましては、計画にも「情報発信を含む自らの行動が、市場に過大なインパクトを与えることで、結果的に自ら不利益をこうむることがないように」とございます。こういったことに留意していただきたいと思います。

今回の中期目標で求めるものが高くなりまして、また、中期の期間における複合ベンチマークの確保ということが明示されたことで自由度は大きくなりました。

現状では、まだ具体的な変化は見えていませんけれども、これから出てくるものだと思います。 投資行動の情報開示については、インパクトを考慮して慎重に行っていただければと思います。

最後に人材なのですけれども、人材に活躍してもらうのは、エンゲージメントの向上が非常に重要だと思います。

そのためには、教育投資が有効だと思うのですけれども、例えば、海外の大学とか、大手の公的年金への派遣などはあるのでしょうか。あれば、役職員の方のモチベーションは上がりますし、資産運用業界における人脈などもつくれますし、また、調査研究にもつながりますので、これらは、エンゲージメントの向上につながるのではないかと思います。

すみません、長くなりまして、コメントと質問をさせていただきました。

以上になります。

神作部会長

どうもありがとうございました。

1点御質問があったかと思います。

それでは、石川さん、お願いいたします。

石川審議役

御指摘ありがとうございます。

御指摘を踏まえまして計画に基づいてしっかり取り組んでいくことをいたしますが、御質問のありました海外への派遣や学ぶ機会といったことについてございます。

現状におきましては、海外の運用機関に長期出張という形で派遣をしまして、運用機関における取組を実際に肌で感じながら経験する、こういった一定期間の長期出張という形で研修のようなことを行う取組は現在行っております。

その他、海外機関との接点ということでは、例えば海外での会議への参加や、海外の機関投資家といろいろなコミュニケーションを取ったりすることは随時行っているところでございます。そのように、海外の他の機関の動向に触れながら業務を進めていくという機会は一定程度現状でもあるということでございます。

その上で、先ほど御説明した中期計画案の中でも、調査研究のところで一言触れましたけれども、国内外のアセットオーナーとの情報交換の機会も活用しながら、ということを今回新たに追加することとしております。もちろんホームページなどで海外のアセットオーナーや海外の運用機関の動向は把握できますけれども、こういった情報交換の機会も活用して知見を得つつ、それが調査研究にも資することにつながればということで、今回そのように取り組むこととしたいと考えているところでございます。

御指摘ありがとうございました。

神作部会長

よろしゅうございますか。

大森委員

ありがとうございました。人材の活性化につながるよい取組と思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

神作部会長

それでは、続きまして、德島委員に御発言いただき、その後、オンラインで御参加の岡野委員、原委員、また、会場に戻りまして、佐藤委員の順で御発言をお願いいたします。

それでは、德島委員、お願いいたします。

德島委員

御説明ありがとうございました。

これまでの中期目標、それから前回御提示いただきました骨子を反映した、十分ボュームのある計画になったかなと拝聴いたしました。

その上で、2点ほどコメントを申し上げたいと思います。

1点目は、まず、スライドの9番のところでございます。

この中の(1)のマル2のところの各資産のところで、各資産の政策ベンチマークからの乖離リスクを適切に管理するという文言がございます。

実は、この箇所で初めて政策ベンチマークという言葉が出てきます。年金運用に携わる者としては、ここに政策ベンチマークと書いた意味は十分に分かっていますが、そもそも政策ベンチマークという言葉自身、これは、年金運用が日本に入った頃に、インベストメントポリシーという英語を投資政策と訳してしまい、私は誤訳だと思っているのですが、いわゆる投資方針に基づくベンチマークで、運用委託者に指示するマネジャーベンチマークではないということをはっきりさせる意図だと思います。政策ベンチマークと書かれているという気持ちは十分に分かるのですが、唐突に新たな表現が出て来る感があるので、少し表現を工夫いただけたらと思います。

2点目は、お願いです。スライドの13番、中期目標のところでも議論になった法人の業務運営を支える人材の確保・育成のところです。

前回、この部会におきまして、私も、目標として難易度を高いと設定したほうがいいのではないかという御指摘をさせていただきました。事務局の説明で、取りあえずは、単独の項目を立てるとことで納得した理由としては、1つは、やはり人材の確保・育成を評価することが難しいと考えるからです。単に人数を集めただけでは駄目でしょう。質を伴うことが必要です。秋の段階から、GPIFを退職した職員がなぜ辞めたかといった理由もちゃんとヒアリングしてくださいとお願いしたのは、ハッピーに辞めているのか、不満があって辞めているのと、そういったことまで含めて、人材については評価しないといけないと思っています。この点につきましては、法人におかれましては、今後どのように評価するのかということを、主務官庁と共同して考えていただけたらと思います。

よく民間の運用会社などでも、MBAを持っている者が何人だとか、証券アナリスト資格を持っている人間が何人だとか、そういった数字を開示していることが多いのですが、単にそれだけでは十分ではないと考えます。人材の確保・育成・定着といった取り組みをどうやって評価するか、この中期計画期間中にお考えいただいて、将来、もしできるのであれば、目標として高い難易度に変えるということが、直接の運用の成果につながるものではありませんが、長い意味での運用のパフォーマンスの獲得につながるものだと思います。

御検討を賜れれば幸いです。

以上です。

神作部会長

どうも御指摘ありがとうございました。

それでは、続きまして、オンラインで御参加の岡野委員、御発言をお願いいたします。

岡野委員

ありがとうございます。

御説明ありがとうございました。先ほど確認されました中期目標への達成に向けた計画案ということで、こちらの御説明をいただいた内容につきましては、賛同の立場で、今後御留意いただきたい点について意見させていただきたいと思います。

御説明いただいた内容から少し外れますけれども、資料8、2-3の中期計画案の新旧対照表についてです。

こちらの3ページから1つ意見させていただきたいと思います。

基本ポートフォリオの具体的な資産構成割合と、乖離許容幅、こちらが今の時点では黒丸印となっています。

この点につきましては、GPIFにおかれまして検討された上で、次回の資金運用部会で

示しされるのではないかと考えております。

この実質的な運用利回りを1.9%に引き上げる根拠のバックテストというのは、現行の

基本ポートフォリオを基にしたものでありますので、改めてとなりますけれども、基本ポートフォリオの策定に当たりましては、リスクを引き上げることがないよう強くお願いしたいと申し上げたいです。

私からは以上でございます。

神作部会長

どうもありがとうございました。

続きまして、オンラインで御参加くださっております、原委員、御発言をお願いいたします。

原委員

御説明いただきまして、ありがとうございます。

私からも、特にということではないのですが、幾つか、コメントをさせていただければと思います。

御説明いただいた中期計画案の概要の中で、3か所ぐらいですけれども、まず、7ページのところ、これは基本的なところなのですが、運用に当たってということで、運用の高度化・多様化のところの最初のところですが、パッシブ運用とアクティブ運用を併用していくということだと思います。そして、そこにありますとおり、青字が新しく加えられたあるいは修正されたところとお聞きしましたけれども、そういった中で、アクティブ運用については、定性評価に基づいてということでいろいろと書かれていますが、超過収益が獲得できる期待を裏づける十分な根拠を得ることを前提に、資産全体の適正なリスク量のもとで、スタイル分散等にということで書いてあります。これは、もう言わずもがなですけれども、この辺りもきちんとこのような形で進めていっていただければと思います。

あとは、何人もの委員の方からお話があった、やはり人材の確保・育成・定着のところ、13ページなのですが、やはり私も、ここは、重要度は高いと思っておりますので、ただ、今回こういった形で、細かく新しいところも入れていただきながら取り組まれるということなので、それはそれで、独立項目としていただいたということでよいかと思います。

特にその文脈の中で、2つ目の○のところにもあったのですけれども、GPIFならではかと思うのですが、法人の業務の社会的意義の効果的な発信というところで、必要な人材を確保するという言葉がありましたし、あと(2)の業務遂行能力の向上等のところでも、従業員エンゲージメントということで、今もお話がありましたが、括弧書きの中にも各職員が法人の社会的意義や役割を理解しというところに、2回目で出てきております。

そういったところを、GPIF独自といいますか、社会的意義というところにつきまして、きちんと職員の皆様で共有しながら、人材の確保・定着、そして育成というところは取り組んでいっていただきたいと思います。

お聞きしましたところ、中途採用ですとか、あとは新卒の採用も開始されているということ、様々な年代の人、様々な経験値の人が、今後、入り混じっていくかと思いますので、この辺りについては、共通認識としていっていただきたいと思っております。

最後ですけれども、特に申し上げたいのが、やはり情報発信のところです。15ページになると思うのですが、ここのページが、少し黒字が多くて、青字が少ないのが、まずは気になったところなのですけれども、今、やはりSNSなどの影響が非常に大きくなっていると思います。予想しなかったところについてのSNS等の拡散など、そういったものも見られているようです。

そういった中で、それは、いろいろな制度改革とか、そういったことをしようとするときにも、切り取られてしまうような部分があるかと思いますので、広報というのは非常に重要だと私も認識しております。

この中にもありますとおり、2つ目の○印の「管理運用法人が」というところなのですが、非常に細かく書かれています。あるべき運用の姿について、多面的な観点でというところです。それから、国民の理解が得られるように分かりやすい情報発信の在り方について検討を深めるということだと思うのですけれども、その括弧の中にありますけれども、今までいろいろこの委員会では出てきておりますが、高度で多様な手法としてということで、括弧の中にありますけれども、オルタナティブとか、あとは、ESG、インパクトを考慮した投資ということで、そういった中で、我々にとっては、今まで議論した中で何回も出てきているのですけれども、やはり一般の方にとっては、なかなか専門用語というところがあるかと思いますので、そういった手法を取り入れることがどうして必要なのかとか、そういったことを、公的年金の積立金の運用ということを前提に、分かりやすく情報発信、広報活動を進めていただきたいと思います。

3つ目の○のところも非常に重要かと思いますけれども、この広報の取組について、なかなか検証するというのは難しいかもしれませんけれども、検証等を行っていただいて、その取組内容を継続的に改善することは、引き続き行っていただきたいかと思います。

最後に1つだけ、それに関連してのコメントなのですけれども、昨年、公的年金の財政検証が行われまして、賦課方式である公的年金について、積立金というものはどういうものかということが部会等で確認されたところでございます。

過去の経緯からお預かりしてきた積立金というものを運用して、将来へと目標を設定して管理していくものという認識が、もう既に広まっていると思いますけれども、その中で、新しい運用手法ですとか、新しい専門用語とか、一度聞くと、ともすると、先ほどもありましたけれども、一般の方々といいますか、そういう運用の知識があまりない方からすると、公的年金の積立金の運用ということで少しかけ離れているのではないかと聞こえるような用語に感じられることもあるかもしれません。しっかりとその辺りについては、広報、そして説明をして、広く正確な理解をしてもらえるように丁寧に説明をしていく必要があると思いますので、ぜひとも情報発信、広報というところは、引き続ききちんと、これまでもされていると思いますが、今、非常に影響も大きいと思いますので、引き続き、お願いしたいところでございます。

以上です。ありがとうございました。

神作部会長

どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、会場に戻りまして佐藤委員、その後、オンラインで御参加の福田委員に御発言をお願いいたします。

まず、佐藤委員、お願いいたします。

佐藤委員

御説明どうもありがとうございます。私も内容に異存はございません。

その上でコメントが2つございます。

1つ目はスライド7、項目4の「運用の多様化・高度化」のところでございまして、これは、議題1で他の委員からも御意見がありましたように、金融投資環境が大きく変わってきた、そして、今後も変わっていく中で大変重要で、例えば、運用手法の○の3つ目のベンチマークを、伝統的な時価総額型インデックスのみならず、幅広い観点から検討すると、これは今までもいろいろ取り組まれているかと思いますけれども、環境が大きく変わる中で、今まで有効であったものがそうではなくなる、一方で、それを長期的な視点からどうバランスを取るかというところも難しい課題かと思いますけれども、引き続き、充実した取組をお願いいたします。

運用対象の多様化についても、同様のことがあるかと思います。

2点目は13ページ、今日も大変他の委員の方からも、いろいろ御意見が出ていて、私も同感なのですけれども、(2)の業務遂行能力の向上のところで、大森委員がコメントされたように、従業員エンゲージメントというのも大変重要で、これは報酬をたくさん払えばいいという問題ではなくて、例えば、これをどう向上させるかということで、先ほど内外のアセットオーナーとの意見交換という話も出ましたけれども、特に海外で先進的な取組をしていらっしゃるアセットオーナーの事例も大変重要かと思います。

彼らも予算が潤沢ではないところもあって、従業員のエンゲージメントを向上させるためにどういう工夫をしているか、私自身、過去に大変よい取組を聞いた経験がありますので、ぜひこういったところの意見交換を進めてほしいということ。

あと、次の○の多様な人材が活躍できる勤務環境、よく多様というと、必ずジェンダーが切り口に上がってきますし、過去の部会でも女性の活躍推進というのは、議論はされておりますけれども、重要なのは、多様な人材が活躍、定着するということでございますので、そこのところ、よろしくお願いいたします。

以上でございます。

神作部会長

どうもありがとうございました。

続きまして、オンラインで御参加の福田委員、御発言をお願いいたします。

福田委員

ありがとうございます。

私も非常に大部に、いろいろな点でまとめられていて、非常によかったのではないかと思います。

特に1点だけ、追加的にコメントさせていただきますと、最後の調査研究部門も明示的に書かれたということは、私は非常によかったのではないかと思っております。

GPIFの運用、被保険者の利益のためということですので、非常に長期にわたる視野で本来運用しなければいけないということだと思います。

中期目標は5年ということですけれども、本来は5年でも、むしろ短過ぎるぐらいで、10年、20年あるいはもっとさらに長いターンでの議論というものもしながら、どういう運用が適切かということを議論していく場は大事です。調査研究部門というのは、まさにそういう問題を取り扱う部門だと思います。短期的にどうこうということではないけれども、長い目で見た場合に、ただ単に運用だけではなくて、例えば日本の人口構成はどうなっていくのとか、そういう日本経済全体のいろいろな問題は、やはり年金の運用を考えたときには、重要だとは思いますので、そういった非常に幅広い、直接的に短期的な運用には無関係であったとしても、やはり被保険者の利益のために、長い目で見ると大事ないろいろな問題というのはあると思いますので、そういった問題にも取り組むような調査研究部門というものも充実させていただくことは大事なのではないかなと思いました。

私からは以上でございます。

神作部会長

どうもありがとうございました。

ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。

大野委員、お願いいたします。

大野部会長代理

ありがとうございます。

私も特に異論はございません。非常に詳細に取りまとめていただいたと思います。その上で、何点かコメントをさせていただければと思います。

GPIFが管理運用を行う資産規模は巨額になっておりまして、今後も資産規模は拡大していく可能性があります。

したがいまして、リスク管理がこれまで以上に重要になるかと思いますけれども、現状では比較的手薄と認識されていらっしゃる日中取引時間外のリスク管理についても、今回の中期計画案の中で触れられておりまして、今後御検討いただくと伺っております。

日中取引時間外のリスク管理だけではありませんが、リスク管理が、今後、一層重要になるかと思いますので、リスク管理のあり方、あるいはもう少し幅広く、組織のあり方なども含めての検討が必要になるかもしれませんので、さらなる御検討をお願いしたいと思います。

2点目ですけれども、何人もの方が既に御指摘されていらっしゃいますが、人材についてもコメントをさせていただければと思います。

人材の確保・育成・定着は、GPIFの業務運営を担う上で非常に重要な項目であるかと思います。資産運用に携わる方のみならず、これだけ組織も大きくなっておりますので、その組織の管理運営に携わる方の確保というのも非常に大事になってくるかと思います。

今回は、この8という項目は、重要項目にはならなかった。新規で項目立てされたということは大きな進歩でもありますし、取組を進めるに当たっては、例えば、人を採用するための予算も必要で、研修なり、あるいは育成のためのプロジェクトを行うための費用もかかりますので、今すぐに重要項目として格上げするというのは難しいという状況は、私も理解しておりますけれども、この点については引き続き御検討いただければと思います。

あと、人材の多様化について、女性の活躍についてという記載がありました。

現状では、リーダークラスの女性が非常に少ないということですので、特に女性の活躍に向けての取組について記載していただいたのは望ましいことだと思いますけれども、佐藤委員もおっしゃったとおり、人材の多様性を進めるに当たっての整備環境、これが非常に重要になってくるかと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

第5期については、まず、女性の活躍に関する取組に焦点を当てるということでもよろしいのかもしれません。時間のかかる長期的な取組にならざるを得ませんので、一気にいろいろなものを同時に進行させていくことは難しいかと思いますが、第5期以降も継続的に、女性のみならず、多様な人材の確保・育成・定着に向けての取組をお願いしたいと思います。

以上です。

神作部会長

どうもありがとうございました。

ほかに御発言を御希望の方はいらっしゃいますでしょうか。

よろしゅうございますか。委員の皆様方からも様々な御意見、コメント、御示唆を頂戴いたしましたけれども、ただいまの時点で、全体を通してGPIFさんから、もしコメントがございましたら頂戴できればと存じます。いかがでしょうか。

それでは、宮園理事長、お願いいたします。

宮園理事長

ありがとうございます。

本日は、私どもの第5期中期計画案につきまして、多様な側面から非常に多くの重要な御指摘を賜りましたこと、ありがたく、感謝申し上げる次第でございます。

本日の御議論を踏まえまして、また、法人内で経営委員会にも諮りました上で、次期中期計画案を作成して、厚生労働大臣の認可申請を行いたいと考えております。

議論が多かった人材の確保につきましては、私どもやはり人材の確保というのは、競争だと思っておりまして、そのための体制が、まだ十分にできていなかったということを踏まえまして、先ほど申し上げましたように、戦略的に対応してまいりたいと、このように思っております。

人をふるいにかけたり、使い捨てにするだけの余裕はございませんので、御指摘がありましたエンゲージメントの強化とか、それから内部での研修等を通じた育成にも力を注いでまいりたいと考えております。

いずれにいたしましても、この中期計画案をアクションプランに落として、実績を上げてまいりまして、毎年、この委員会で良い報告ができるように努めてまいりたいと思いますので、引き続き御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

神作部会長

どうもありがとうございました。

それでは、本日、委員の皆様方から頂戴した御意見を踏まえて、次期中期計画案の御修正等をお願いしたいと存じます。

次回の当部会におきまして、次期中期計画案の諮問を予定しております。事務局とGPIFにおかれましては、御準備をどうぞよろしくお願いいたします。

続きまして、議題「(3)積立金基本指針の改正について(報告)」でございます。

事務局から御説明をお願いいたします。

西平資金運用課長

そうしましたら、資料の3を御覧いただけますでしょうか。積立金基本指針の改正についての御報告ということでございます。

おめくりいただきまして、右下のページ番号の2つ目でございます。

こちらの積立金基本指針といいますのは、平成27年10月に被用者年金が一元化された後、実際の積立金の運用につきましては、GPIFのほか、国家公務員共済、地方公務員共済、私立学校教職員共済組合、それぞれの管理運用主体において行われておりますが、それらの運用が、長期的な観点から安全かつ効率的に行われるようにするために、所管しております4省庁が共同して基本的な指針というのを策定しているものでございます。

こちらの指針につきましては、財政検証が行われたときですとか、その他必要があると認めるときは、検討を加えて必要に応じてこれを変更することとされてございます。

これまで、こちらの資金運用部会におきまして、次期中期目標に関する議論をお願いしてございましたし、また、それぞれの管理運用主体も様々な取組を行ってございます。

そのような状況を踏まえまして、今般、積立金基本指針に関しまして、何点か改正をするということでの御報告ということでございます。

おめくりいただきまして、右下のページ番号3ページ目からが、その改正内容でございます。

それぞれ赤字にしている部分が、今回の積立金基本指針の改正部分ということでございます。

こちらのページで言いますと、下のほうの2のところでございます。積立金の運用の目標に関しまして、実質的な運用利回りで目標を設定してございますが、これまで財政検証を踏まえての設定ということでございましたが、今回の中期目標から将来合理的に期待できる運用利回りの水準、こちらも勘案することとさせていただきましたので、そのような記載を追加させていただいてございます。

おめくりいただきまして、4ページ目でございます。

中ほどのところでございます。今、申し上げましたのと同じ改正に加えまして、今回実質的な運用利回りの数値といたしまして、1.9%ということを目標として定めましたので、そのことを記載させていただいてございます。

おめくりいただきまして5ページ目でございますけれども、下のほうのところでございます。スチュワードシップ・コードを踏まえた記載の部分でございまして、足元直近の日本版スチュワードシップ・コードの用語に合わせまして、改正を行ってございます。

また、それぞれの管理運用主体におきますスチュワードシップ活動の進展というものがございましたので、最後、文末のところの記載をより踏み込んだ内容ということで、基本的な方針を策定し、公表した上で必要な取組を行うという改正とさせていただいてございます。

おめくりいただきまして、右下のページ番号6ページ目でございます。

12のところでございますが、今回新たにインパクトを考慮した投資というものにつきまして、検討した上で必要な取組を行うとさせていただいてございますので、ESGと併せましてインパクトを考慮した投資についての記載を追加させていただいてございます。

また、昨年の夏に策定されましたアセットオーナー・プリンシプル、こちらは、それぞれ管理運用主体4つとも受入れということでございますし、そのための取組方針というものも策定してございますので、必要な取組を行うことを明記させていただいてございます。

以上、簡単ですが、積立金基本指針の改正内容についての御報告でございます。

神作部会長

御説明どうもありがとうございました。

それでは、ただいま御説明をいただきました内容につきまして、委員の皆様方から御質問や御意見等を頂戴したいと存じます。

先ほどと同様の方法で御発言の意思を示していただきましたら、恐れ入りますけれども、私のほうから御指名をさせていただきます。いかがでしょうか、御質問、御意見がございましたら、御発言ください。

特に御質問等ございませんでしょうか。いかがでしょうか、よろしゅうございますか。

それでは、今後、厚生労働省におかれましては、告示に必要な手続を進めていただきますようお願いいたします。

本日は、多岐にわたる御意見をいただき、大変ありがとうございました。予定の時間には達しておりませんけれども、予定していた議事が終了いたしましたので、本日の審議は終了させていただきたいと存じます。

最後に、事務局より連絡事項があれば、お願いいたします。

西平資金運用課長

事務局でございます。

本日は、活発な御議論、御意見をありがとうございました。また、中期目標に関しましての答申をいただきまして、誠にありがとうございます。

次回の部会におきましては、先ほどお話がございましたとおり、中期計画につきまして、また、同じように諮問させていただきたいと思いますが、その開催日程につきましては、調整の上、改めて御連絡をさせていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

神作部会長

それでは、本日の審議は、これにて終了とさせていただきます。長時間にわたり、活発な御審議をいただき、誠にありがとうございました。