第22回社会保障審議会年金部会(議事録)
日時
令和6年12月3日(火)14:00~16:00
場所
東京都千代田区平河町2-4-2
全国都市会館 3階 第1会議室
出席者
会場出席委員
菊池部会長 玉木部会長代理 小野委員 小林委員 是枝委員 佐保委員
たかまつ委員 堀 委員 百瀬委員
オンライン出席委員
権丈委員 駒村委員 永井委員 平田委員 井上参考人(出口委員代理人)
議題
(1)年金制度における子に係る加算等について
(2)その他の制度改正事項について
議事
議事内容
○総務課長 ただいまから、第22回「社会保障審議会年金部会」を開催します。
皆様、お忙しいところ、お集まりいただきありがとうございます。
本日は、出口委員、島村委員、武田委員、嵩委員、原委員は御欠席、駒村委員、永井委員は遅れて参加される御予定です。
御欠席の出口委員の代理として日本経済団体連合会の井上様に御出席いただいております。井上様の御出席について部会の御了承をいただければと思います。いかがでしょうか。
(委員首肯)
○総務課長 ありがとうございます。
小林委員、佐保委員、井上様は途中退席される御予定です。
また、権丈委員、駒村委員、永井委員、平田委員、井上様はオンラインでの御参加です。
出席委員が3分の1を超えているので本日の会議は成立しています。
続いて資料の確認です。傍聴者の方は厚生労働省のホームページから資料を御覧ください。本日の資料は、議題1について資料1、議題2について資料2を事務局で用意しています。また、御欠席の島村委員、嵩委員から資料の提出がありました。
事務局からは以上です。
以降の進行は菊池部会長にお願いいたします。
○菊池部会長 皆様、こんにちは。
本日も大変お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
それでは、カメラの方はここで御退室をお願いいたします。
(カメラ退室)
○菊池部会長 それでは、議事に入らせていただきます。
本日は「年金制度における子に係る加算等について」「その他の制度改正事項について」の2つを議題といたします。
それでは、議題2つにつきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○年金課長 年金課長でございます。私のほうから議題の2つに関連して資料1と2を併せて御説明します。
まず、資料1「年金制度における子に係る加算等について」です。
3ページですが、年金制度では、子や配偶者のいる世帯に対して扶養の実態に着目した加算措置がございます。その下にありますが、基礎年金、厚生年金それぞれについて、薄いピンクが配偶者への加給年金、青が子供への加給年金で、基礎年金では加算という表現になっています。
額について、子供は第1子・第2子が23万4800円、第3子以降は7万8300円、第3子以降が少なくなっています。
それから、赤い四角のところについては、現行では加算措置等はないという状況です。
4ページは、本日お願いする議論を挙げておりまして、
第3子以降の加算額の考え方。
第1子、第2子含めた全体の考え方。
厚生年金、基礎年金における加算の対象範囲について。
子に係る加算の国内居住要件について。
配偶者に係る加算の考え方。
についてです。
5ページからまずは子に係る加算の見直しについてです。
近年、児童扶養手当あるいは児童手当の拡充など、子ども・子育てを支援する施策が充実されています。また、民間企業・公務員においても被用者に対する扶養手当について、子供への支援を強化する動きが広がっています。
こうした変化を受けて、年金制度においても次代の社会を担う子供の育ちを支援する観点から見直しを検討してはどうか、ということで以下に2つの視点があります。
最初は多子世帯への支援の強化で、現行制度では第3子以降の加算額が低くなっていますが、第1子・第2子と同額に増額してはどうかというものです。
2つ目は、子に係る加算のさらなる拡充で、出生時における親の年齢が上昇傾向にある状況を踏まえ、子育て期間中に定年退職等を迎えて収入が年金のみとなる方が増えることが想定されることから、子に係る加算額を拡充してはどうかというものです。
具体的には加算額について、第1子・第2子そのものを引き上げることと、現在は加算措置等がない老齢基礎年金、障害厚生年金、遺族厚生年金についても、新たに加算の対象に追加してはどうかというものです。
その他、後の資料で出てまいりますが、国内居住要件、あるいは厚生年金の子への加給年金の要件緩和、厚生年金を優先する併給調整等を行ってはどうかと考えております。
具体的な引上げ額については、民間企業、あるいは公務員の扶養手当などの見直しの状況も参考に検討することで考えています。
6ページは、この点を全体像という形で示しています。まず赤い四角の点線の部分ですが、現行では加算措置がない給付について、新たに対象として追加してはどうかというものです。加算額については1子、2子、3子を同額にそろえた上で、一律の額として加算額そのものを引き上げる。それから厚生年金の加給年金については現在20年という加入期間の要件がありますが、老齢基礎年金の加算措置が追加になれば10年が受給資格期間になるので、厚生年金についても10年に短縮してはどうかとしています。
それから、真ん中の辺りに書いていますが、共に受給する方、例えば障害基礎年金と障害厚生年金を両方受給される方の加算についてですが、共に満たす場合には厚生年金を優先して併給調整を行ってはどうかということです。
どれぐらいの人数が対象になるかは、子に係る加算件数として、対象となるお子さんの人数を推計として書いています。
それから今回の措置に伴って、どれぐらい新たに加算を受給される方がいるかという点については、老齢厚生年金の加算要件期間の10年への短縮と、老齢基礎年金への加算措置の追加で3万人ほどのお子様が新たに対象になると見込んでいます。
続いて7ページは、老齢基礎年金に係る加算の検討です。要件や加算額についてどう考えるかという点で、要件については、老齢基礎年金の受給権を有すること、他制度と同様に子の生計を維持していること、子が18歳未満であることを要件としてはどうかと考えています。
それから加算額についてですが、現行の遺族基礎年金、あるいは障害基礎年金では、子の数に比例して一律に定額を加算する仕組みになっていて、遺族基礎年金、障害基礎年金の本体給付自体も定額給付になっていますが、老齢基礎年金については保険料の免除、あるいは納付猶予があることから本体給付の額は様々です。老齢基礎年金の額が様々な中で、受給権者間での不公平が生じないような形で額の設定をしてはどうかと考えています。
具体的には加算額の式をその下に書いておりますが、満額については現在23万4800円を想定しています。これについて遺族年金の受給権が発生する長期要件25年を参考にして、25年を分母とした上で保険料納付済期間と免除期間の合計月数を分子にして調整してはどうかと考えています。
続いて8ページは、国内居住要件の検討です。他制度として参考にしている児童手当や児童扶養手当では、親子双方に国内居住要件が設けられています。この理由としては、次代の社会を担う子供の育ちを支援するという観点から、国内に居住する子供へ支給することが目的に沿うという整理がされています。
年金制度についても、こうした類似目的と整合的になることが望ましいと考えており、今回新たに国内居住要件を設けてはどうかとしています。
その際には、社会保険である年金制度において加算対象となる子の範囲に要件を設けることについて、加算等の性格の関係から整理が必要と考えています。原則、社会保険の本体給付は保険料の拠出と給付が対価的な関係にある、つまり保険料拠出期間が長かったり、拠出額が多いと給付はそれに比例することが原則になっています。
一方で、子に係る加算は子供の数に比例する定額給付であり、逆に言えば、お子さんの数にかかわらず負担する保険料は同じで、お子さんがいる方といない方の保険料負担は同じになります。こうした点を考えると、加算部分については保険料の拠出との対価的関係というのは薄いのではないかと整理しています。
その上で、こうした性格を持つ子供の加算の拡充について、次世代育成支援という政策的目的で行うことに鑑みると、こういった一定の制約を設けることについては、政策的な配慮の範囲内ではないかと考えています。
なお、年金制度において、こういった国内居住要件は初めてではございません。福祉年金、あるいは20歳前の障害年金といった保険料負担と結びついていない給付について、既にこういった措置は入っています。
以上が子供の加算の関係です。
次に、配偶者の加給年金については、昨年の遺族年金の時に議論いただくとともに、その後も意見をいただく機会がありまして、これまでの意見は13ページにまとめています。
9ページになりますが、配偶者への加給年金は、老齢厚生年金あるいは障害厚生年金の受給権発生時に生計を維持する配偶者の方を対象に加算するものです。これは、昭和60年改正時の第3号被保険者制度の導入時に一定の整理が行われて現在に至っていますが、60年改正以前の旧法の老齢厚生年金では、いわゆる夫名義の年金で夫婦2人が生活できるという給付設計を採っていました。ここで新たに基礎年金が導入されて、妻の基礎年金と配偶者の加給年金の部分が切り出され、その部分を妻の老齢基礎年金として65歳から支給することになりました。
他方で、老齢基礎年金が受給できるのは65歳からですので、配偶者自身が老齢基礎年金を受給できる65歳までの有期給付という形で配偶者加給年金が設けられています。その際、妻が65歳で老齢基礎年金を受給するまでの間、それまでの水準との比較において著しい格差が生じないようにということで、当時の議員修正で特別な加算が設定され、現在はこの額も加えた形で支給されています。
こういった現状を踏まえた方向性になりますが、高齢期における就業の進展、あるいは65歳前の配偶者の方についても、就労して報酬を得ていることが多くなっています。就労をした場合でも加給年金の支給停止はなく、現在では生計維持関係に着目して65歳未満、年下の配偶者がいれば加算される仕組みになっています。
こういった状況に対して、女性の就業率の向上、あるいは共働き世帯の増加といった社会状況の変化を踏まえると、扶養する年下の配偶者がいる場合にのみ支給されるという役割は縮小していくのではないかということです。下線を引いていますが、現在受給している方への支給額は維持した上で、将来新たに受給権を得られる方に限って支給額を見直すことを検討してはどうかとしております。
10ページは、現在の加給年金の受給要件について、本人の年齢ではなくて配偶者の年齢で受給が決まること、特に夫婦で年の差がある場合のみ加算されるという点に着目して、分かりやすい例示を挙げています。
左側では、夫が67歳、妻が55歳としており、これは夫と妻が逆であっても制度上の男女差はありませんが、例えばということで置いています。この場合、妻が55歳ですので850万円未満という収入要件を満たした場合には、妻が65歳に達するまでの10年間、夫の老齢厚生年金に加給年金が加算される仕組みになっています。
右側の例1~3は加算されない例でして、例えば夫は同年齢でも妻自身が65歳に達していれば自身の老齢基礎年金が出るので加給は出ません。つまり年の差が小さいほど支給期間が短くなります。
それから、妻が55歳でも自身の収入が850万円以上ある場合、これは、今働いてらっしゃる女性でそういう方は多くなっていると思いますが、そういう方々についても加給は出ません。
それから、夫が繰下げを希望して待機中の場合には、老齢厚生年金の受給権が発生していないので加給年金が加算されないことになり、これは繰下げを阻害しているのではないかという御意見もあります。
こういった点について、制度が始まった昭和60年からの変化を踏まえると、公平性の観点からも課題があるのではないかということです。一番下は、当時と現在について世帯構成や就業率等々の比較になります。
それから将来についてみると、11ページは11月年金部会でお示しさせていただいた資料ですが、現在65歳になる方の現役時代の類型を見ると、厚年期間中心が37.7%ですが、右側の現在30歳の方は将来の厚年期間が大きく伸びていく見込みです。こういった将来の変化も考慮していくべきではないかと考えています。
以下は参考資料で、13ページはこれまで加給年金についていただいたご意見です。
御意見としては、夫が年上、妻が年下といった年の差の夫婦が対象になる、という年齢差に着目した意見を多くいただいています。また、真ん中辺りでは、御紹介した繰下げへの影響について御意見をいただいています。
下のほうでは経過措置についてで、どのような見直しをする場合でも当然現行制度を前提として生活設計を立てる方が多くいらっしゃいます。先ほど分布推計の資料を御覧いただきましたが、受給が近い方と今の20代、30代の方で状況は大きく異なることから、見直しを行う場合には十分な経過措置が必要という御意見をいただいています。
14ページは現行の加算の一覧で、本日紹介したものとしては、例えば左上の老齢構成年金の加給年金の受給者が92万人で給付額が3571億円、その下は、子の加給年金が2.6万人で、この数字は受給者数ですので、例えば子供の加給年金ですと親の老齢厚生年金に加給がつくので、その親の受給者数ということです。先ほど御紹介した数字は対象となる子供の人数ですので、そこは数字がずれています。
15~16ページは今回御提案している新たな加算対象とした場合の要件についてやや詳細に書いたものです。
17ページは、児童扶養手当、児童手当の制度についてで、児童扶養手当では今年の11月から3人目以降の支給額を2人目までと同額に引き上げています。
続いて資料2を御説明します。
資料2は「国民年金保険料の納付猶予制度について」で、議事では「その他の制度改正事項」としていますが、この納付猶予制度については前回9月20日に議論いただいて、そのときは時限措置について10年間の延長、そして世帯主の所得が多い場合の新たな仕組みを御提案いたしました。
その際、様々な御意見をいただいたことを踏まえての資料です。
現在の納付猶予制度では、納付猶予を利用すると受給資格期間には算入されるので、例えば障害状態に陥った場合に障害年金の受給等は可能です。他方で、10年以内に追納を行わない限りは基礎年金の受給額には反映されない仕組みになっています。
この点について、今回時限措置となっている納付猶予制度の扱いを検討するに当たって、どれぐらい追納されているのかというお尋ねがありました。それを今回調べたのが、真ん中にある追納による納付率の状況です。
これは2024年時点の数字で、10年間の追納が可能なことから、10年前の2014年中に納付猶予を受けた月数について、その後どの程度追納されたのかを集計しています。この時点では20代の方に対する納付猶予制度が導入されており、2016年から30代以降が対象になりましたので、これは20代で納付猶予を利用された方の追納の数字になります。御覧いただくと7.0%でして、10年以内に追納する方は少ないことから、最終的に本人の老齢基礎年金の受給額につながっていない方が多い状況にあります。
同じような納付猶予の仕組みとして学生納付特例がありまして、こちらも今回調べたところ10年以内に追納を行う割合は8.9%で同じように低い状況です。
こうした現状を踏まえて今後の方向性については、まずは実態の把握が必要だろうと考えており、特に今回の追納率は20代で利用された方であって、その後30歳以上の方まで対象者が拡大しています。これは2016年から始まった制度ですので、どれぐらい追納しているのかが分かるのは、そこから10年たった2026年から把握可能なりますので、こういった点を考慮する必要があると考えています。
したがいまして、前回の提案とは異なりますが、今回は被保険者の対象年齢の要件等は現行制度をそのまま踏襲した形で延長し、延長期間については現在令和12年6月までになっているのを令和17年6月までの5年間の延長としてはどうかと考えています。この点が今回御意見をお願いしたい点です。
以下は参考資料で基本的に9月の資料と同じです。
3ページは、現行の納付猶予制度が導入された経緯について、当時の雇用情勢の悪化、若年失業者の増大、フリーターの増加ということがありまして、同居している世帯主の所得にかかわらず、本人と配偶者の所得のみで判断する仕組みとして導入されています。
現在の状況ですが、適用者数は令和4年度時点で約58万人いらっしゃいます。おおむね納付猶予期間が2年以下である方がどの世代でも半数程度いらっしゃいます。一方で、30代以上の方では5年を超える方も存在していらっしゃる状況です。
以下は、9月20日に提出した資料です。
5ページは、先ほど御紹介した9月20日部会での御意見です。上のほうに追納の実態の調査の必要性、あるいは10年というのは少し検討が必要ではないかという意見をいただいておりますし、下のほうでは所得要件の見直しという提案について御意見をいただいたところです。何よりも将来、保険料納付につながっていくようなものを考えていかなくてはいけないということで、現在の状況も踏まえた形で引き続きしてはどうかと考えています。資料2について説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明いただきました議題1、議題2につきまして、御意見・御質問などをお願いしたいと思います。なお、最初に御紹介がございましたように、佐保委員、小林委員、井上参考人がそれぞれ途中退席の御予定でございますので、よろしければはじめに御発言いただければと思います。
佐保委員からお願いします。
○佐保委員 発言順序を御配慮いただきましてありがとうございます。
私からは議題1の年金制度における子に係る加算等について意見を申し上げます。
年金制度における子に係る加算について、老齢厚生年金、障害基礎年金及び遺族基礎年金について、第3子以降の加算額を第1子・第2子と同額化することについては、整合性の観点から賛同いたします。
一方で、子に係る加算額を引き上げること、老齢基礎年金、障害厚生年金及び遺族厚生年金に新たに子に係る加算を追加することについては、働き方やライフスタイルが多様化する中で公的年金制度の枠組みですべきこと、公的年金制度以外での支給においてすべきことの整理など、加給年金の在り方を含めて慎重に検討する必要があると考えます。
配偶者加給年金につきましては、働き方やライフスタイルなどに中立的な社会保険制度とする観点から方向性については理解いたします。なお、障害基礎年金の支給については障害厚生年金と同じ3級からとすべきであると申し添えます。
私からは以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、小林委員、お願いいたします。
○小林委員 御説明ありがとうございました。私からは2つコメントを申し上げさせていただきます。
1つ目は年金制度における子に係る加算等についてです。まず、事務局がお示しいただいた子に係る加算等及び配偶者加給年金の見直しの方向性について、特段の異論はございません。現行制度を前提に暮らしている方への配慮など、円滑な制度改正が図れるよう検討を進めていただければと思います。
2つ目は国民年金保険料の納付猶予制度についてです。まず、新たなデータをお示しいただきまして誠にありがとうございます。2ページ中段の「追納による納付率の状況」を見ますと、納付猶予制度の追納率は7%にとどまっており、将来の無年金・低年金を防止するという観点からは、その役割をあまり果たせていないのではないかと感じます。今回お示しいただいた「現行どおりの内容で5年延長する」という御提案に異論はありませんが、将来的には、納付猶予制度の在り方を含めて検討する必要があると思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、オンラインから井上参考人、お願いいたします。
○井上参考人 今回の年金改正の議論で最も重要なのが基礎年金水準の維持ということだと思っておりまして、こうした議論の中で追加の給付拡充が提案されることに対して若干違和感を覚えます。公的年金、特に老齢年金は保険料納付した方の老後の所得保障として給付される仕組みでございますので、この中で特定の条件に当てはまった子供に対する給付を新たに対応するということについては疑問を持ちます。
政府におかれましては、子ども・子育て支援の拡充の観点から、児童手当等の大幅な拡充といった形で、他の政策での対応が図られておるところでございますので、あえて年金制度の方で拡充する必要性には、私としては若干疑問を持ちます。
配偶者加給年金につきましては、女性の就業率の上昇でありますとか、共働き世帯が7割以上になるという状況の中でございますので、社会情勢の変化に即した仕組みにしていくということは必要なことだと思います。政府も多様な労働参画、女性活躍支援を進めておりまして、共働き・共育てということをゴールにするのであれば、より踏み込んだ対応も必要になってくるのではないかと考えております。
また、納付猶予について、2ページのデータで追納率は低調であることが確認できたわけでございます。追納率を少しでも向上させる必要がございますし、将来の無年金・低年金の防止につなげる観点からも、納付猶予対象者に対して、さらに追納に関するメリットなどを含めて一層の周知を行っていくことが重要であると思います。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、いつものように、まず、会場からお願いできればと思います。
是枝委員、お願いします。
○是枝委員 まず、子の加算について、次に配偶者の加算について述べたいと思います。
子供の育ちを支援する観点及び子供を育ててきた世帯の年金財政の貢献を反映する観点から、公的年金の中でできることとして、遺族基礎年金、障害基礎年金の第1子・第2子への加算額を引き上げること及び第3子以後に対する加算額を第1子と第2子の同額まで引き上げることには賛成いたします。
引き上げ後の水準ですが、例えば子供1人当たりの加算額を老齢基礎年金の満額の3分の1とするのはいかがでしょうか。2024年度の老齢基礎年金の満額は81万6000円ですので、その3分の1は27万2000円ということになります。この場合、配偶者と子供3人が受給者となる場合、支給額が老齢基礎年金の1倍に3分の3イコール1を足した2倍ということとなります。世帯人数が増加した際に必要となる生計費は、およそ世帯人数の平方根で増加すると考えられます。等価可処分所得の考え方を取ったとき、世帯人数4人の場合、4の平方根は2ですので、子の加算額を老齢基礎年金満額の3分の1とすると、ちょうど対象者4人の場合の年金額が対象者1人の場合の年金額の2倍となり、等価可処分所得で考えておおむね世帯人数に対する給付として当てはまりがよいのではないかと思います。
また、老齢基礎年金の3分の1というのも加算の金額として分かりやすく、覚えやすいものとしてよいのではないかと思います。
一方で、昨年7月の第6回年金部会で述べてきたとおり、私は老齢年金に対する子の加算はそもそも廃止すべきと考えており、老齢基礎年金の子の加算の創設には反対いたします。老齢年金における子の加算はライフステージのうち比較的遅い時期、47歳以上になってから子供を持った世帯に対して特別な支援を行う形になっています。ライフサイクルのうちお金を支払う時期が異なるというだけで、生涯賃金が同じで支払う保険料が同じであれば、給付も原則として同じという形をあえてここで崩す必要はないと思います。
また、47歳以上というと、女性が子供を出産する年齢としてはかなり難しくなる年齢であり、この対象となっている世帯の多くは、夫が年上、妻が年下になっているかと思います。夫が年上の世帯を想定した給付を行う配偶者加給を見直そうとしているわけですから、ジェンダー中立の観点からも子の加算は廃止したほうがよいのではないかと思います。
また、遺族厚生年金、障害厚生年金に子の加算をつけることにも反対いたします。事務局資料では、厚生年金、基礎年金のいずれにおいても、年金の種別によらない共通の制度とするという説明がありますが、そもそも基礎年金こそが国民年金第1号被保険者であるか、厚生年金被保険者にあるかによらない共通な制度でございます。
障害厚生年金や遺族厚生年金の受給権が発生するのであれば、当然に障害基礎年金や遺族基礎年金の受給権が発生いたします。障害厚生年金や遺族厚生年金に子の加給をつけた上で、障害基礎年金や遺族基礎年金と併給調整し、厚生年金を先当てするというのは、事実上、国民年金第1号被保険者に対する給付は厚生年金を含む共通の基礎年金に負担させ、厚生年金被保険者に対する給付は厚生年金の中だけで負担するということを意味しており、これは国民年金と厚生年金のバランスを大きく崩すものであり容認できません。
先ほど経団連の井上様や連合の佐保様から意見があった点も、こうした厚生年金と国民年金の保険料拠出と給付のバランスの観点から懸念を示されていたのだと私は思います。
私はそもそも老齢基礎年金の子の加算に反対ですが、もしどうしても老齢基礎年金に子の加算をつけたいのであれば、老齢厚生年金の子の加算を廃止し、子の加算は、老齢、遺族、障害とも基礎年金に対してつけるという形で統一を図るべきだと思います。その際に必要となる財源は厚生年金と国民年金で平等に負担するべきです。厚生年金については現行制度から名前を変えるだけですので追加の負担は不要です。一方、国民年金については国民年金第1号被保険者に係る加算を増やすわけですから、その分、月数十円程度だとは思いますが、国民年金保険料を引き上げて財源を賄うのが筋ではないかと思います。
次に老齢厚生年金における配偶者の加算について述べます。配偶者の加算については60代前半の女性の労働力率も6割を超えていて、50代以下では75%を超えていることも踏まえて、夫が65歳に達しているとしても65歳未満の妻を働けないものとみなして加給年金を支給する必要性は薄れているように思います。ただし、既に加給年金を前提に生活設計をしている方もいますし、事務局提案のとおり、既裁定者の受給権は維持した上で新規裁定者から少しずつ制度を改正して将来的に廃止すべきと思います。
まず、見直しの際の視点ですが、現行制度では配偶者加給の対象となる配偶者の年齢に下限がございません。このため、極端なことを言えば配偶者が十分働けるはずの30代や40代であったとしても加算されることになります。まずは配偶者加給の対象となる配偶者の年齢につき、例えば50歳以上や55歳以上などの条件をつけた上で、中高齢寡婦加算の見直し案と同様に、段階的に支給額を逓減させていくのがよいのではないかと思います。
最後に国民年金の若年猶予制度について意見を述べます。国民年金の納付猶予制度は第17回年金部会で私が述べたとおり、5年後に見直しの判断ができるよう、5年間単純延長する案となっており、見直しの方向性に賛成いたします。なお、今回の資料で納付猶予及び学生納付特例の追納率がいずれも10%にも満たないということが示されました。そもそも納付猶予や学生納付特例を受けた者が後から追納することがほとんどできず、ほとんど受給権につながっていないことが明らかになったものと思います。
先週末、ユース年金学会という場で学生の意見を聞いてきましたが、学生納付特例を受けた2年分、40万円ほどの保険料を20代のうちに追納することにそもそも無理があるのではないかという学生の率直な意見があり、私もそのとおりだと思います。5年後に納付猶予及び学生納付特例については廃止を含む抜本的な見直しの検討をすべきだと思います。学生についてはそもそも保険料を拠出させることに無理があるように思いますので、高卒就職者とのバランスも考慮しつつ、基礎年金の拠出開始年齢を22歳や23歳に引き上げることも検討すべきだと思います。納付猶予については被用者については適用拡大で対応し、なお残る低所得の国民年金第1号被保険者については、連帯納付義務の範囲や免除制度で所得を見る家族の範囲の変更なども含めて検討させてください。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、堀委員、どうぞ。
○堀委員 私からは3点申し上げます。
まず、子に係る加算ですけれども、是枝委員がおっしゃいましたように、老齢年金につきましては若い時期に子育てした人が受けられないという点にはやや疑問を持ちますけれども、賦課方式という年金の性質から、子に係る加算の拡充は子育て支援として行うという点に一定の合理性が認められると考えております。また、国内居住要件も児童手当等のこれまでの経緯からすると妥当なものだと考えます。
また、配偶者の加給年金につきましては、時代の変化により一定の役割を終えたものと考えており、縮小の方向に向かうのが望ましいと考えております。
最後に、納付猶予制度につきましてデータを出していただきありがとうございました。学生納付特例につきましては追納率の低さに驚きを禁じ得ませんでした。学生の間は親が払ってくれている場合もあると思いますけれども、6割近くが22歳まで教育を受けていることを鑑みますと、事実上、年金が22歳からの支払いになってしまっているのかどうか、次回の検討の際にはぜひデータを基に議論をしていただきたいと思います。
また、世帯主の所得をもって納付猶予の対象から外すというのは、世帯単位から個人単位という流れに逆行していると考えており、今回の事務局の御提案に異論はございません。とはいえ、追納率が低く低年金に結びつきやすいという点は大きな課題であることから、ぜひこちらにつきましても次回の改正の際に時間をかけて議論をお願いできればありがたく存じます。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
たかまつ委員、お願いします。
○たかまつ委員 まず、老齢厚生年金の加給年金は時代に合っていない制度だと私は思うので廃止するべきだと考えています。専業主婦で働けないというようなことを想定してできた制度だと思いますが不公平な制度だと思います。年の差の夫婦ほど支給期間が長かったり、独身者の人はそもそも出ない制度だったり、LGBTQカップルの人には出ないというのは不公平だと思います。また、支給要件も年下パートナーの収入が850万円以下というのは金額が高すぎて社会の実態に合っていないと思います。女性が社会進出し、独身者も増える中で、年下パートナーがいるということだけで年額40万円出るというのは時代に合っていないと思います。ただし、現在利用されている方は加給年金を想定して生活されていらっしゃるので制度移行の議論は慎重に行うべきだと思います。
子の加給年金、子の加算、障害厚生年金の配偶者加給年金についても、そもそも必要なのか、それとも給付を拡充する必要があるのか調査してほしいです。年を取ってから生まれた子だけ給付されるのは制度的に不平等だと思いますし、高齢の人がその時点での収入の額面は少なくても資産が多くある場合など、本当に支給する必要があるのか、検討する必要があると思います。
本来あるべき姿は年金制度に頼るのではなく、どの世代の人に対しても子育て支援策や教育の無償化など、教育政策を充実させていくことだと思います。そして、社会保障費が膨らむ中で、本当に困っている人に給付が行くためには、例えばマイナンバーカードなどを活用して資産を把握して、世代で区切るのではなく困っている人に給付がいく形を模索していくのがいいと思います。なので、まずは収入がなくて子育てに困っているのか、それとも資産があるからそこまで困っていないかなど、実態を調査した上で決定していき、そもそも社会として年金制度に頼らない子育て支援策を充実させることを優先する必要があると思います。私は年金制度に頼りすぎるということに対しては、慎重に考えています。
そして、納付猶予制度の5年間の延長については賛成です。納付率が低いことから、調査の際にその原因を調べることも必要かと思います。制度理解の問題なら対象の方への周知が必要なのか、生活に余裕がないからなのか、調査の上で必要な施策を議論することが必要だと思います。また、学生納付特例については抜本的な見直しが必要だと思います。以前も申し上げたのですけれども、年金の加入の年齢を大学卒業時点にするなども含めて検討をお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
百瀬委員、お願いします。
○百瀬委員 御説明ありがとうございました。
まず、第3子以降の子の加算額について増額に賛成いたします。厚生年金保険で加給年金が最初に設けられたときに、その金額が国家公務員の扶養手当を参考に決められたことは旧厚生省の資料にも明記されています。その後は扶養手当の支給額の引き上げに応じて加給年金額も引き上げられてきました。しかし、かつての扶養手当は第1子・第2子に比べて第3子以降の金額が低く抑えられていました。そのため、それを参照した加給年金でも第1子・第2子に比べて第3子以降の金額が低いという構造が出来上がりました。1980年改正以降は加給年金の金額設定で扶養手当の金額は参照されなくなっています。しかし、第3子以降の金額が低いという構造がそのまま残っている状態です。
その一方で、加算額がかつて準拠していた扶養手当の支給額は3人目以降の金額の引上げが行われて、現在は、全ての子について、同額になっております。公的年金において第3子以降の加算額を極端に低くする合理的な理由はもはや存在しないと考えます。第1子・第2子の加算額との差を縮めることに賛成をいたします。
一方で、子の加算額全体の引き上げについては、加算の役割をどう考えるのかも含めて慎重な検討が必要と思います。
また、子に係る加算についての国内居住要件の設定についても賛成をいたします。ただし、児童手当と同じように、海外留学中は支給対象とするというような例外措置を設けていただきたいと思います。
最後になりますが、老齢基礎年金に子の加算を新たに設けることについて少し気になる点がございます。もし、老齢基礎年金に子の加算が設けられた場合、例えば同い年の自営業夫婦が受給権発生の直前に養子を受け入れて同居すれば、老齢基礎年金に子の加算をつけることができます。また、資料の7ページを見ますと、保険料納付だけでなく免除も含めて300月以上あれば加算を満額出すという案になっています。それゆえ、老齢基礎年金の額が例えば年額40万円ぐらいでも加算を満額受け取ることができます。
さらに子の加算に関する調整ルールが変わらなければ、養子を1人受け入れた場合、夫の老齢基礎年金に子の加算がついて、妻の老齢基礎年金にも子の加算がつくことになります。ですので、世帯で見れば、子供1人につき年額50万円弱の加算がつくことになります。
もし、今回提案されている第3子以降の増額をした場合、養子の受け入れ人数によっては、年金本体の金額が非常に少なくても世帯レベルで非常に大きな金額の加算を受け取ることができます。このような事態が生じることをよしとしていいのか、少し疑問がございます。こうした観点からも、慎重な検討が必要だと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、小野委員、いかがでしょうか。
○小野委員 子に係る加算額に関する御提案ですけれども、私は異議がありません。
ただ、1点質問させていただきたいのですが、第17回の年金部会で親子関係や養育関係によっては支給されない場合等について見直しの方向が示されたと思いますけれども、これに関しても事務局で検討を進めていただいているという理解でよろしいですかということを確認させていただきます。
また、配偶者に係る加給に関して様々な御指摘がありました。私は過去に繰下げ受給の判断を鈍らせるという観点から意見をさせていただきました。もう一つ指摘させていただきますと、これは夫婦の共同負担という考え方からすると、離婚してしまえば支給されないわけですけれども、婚姻関係がある限り夫名義の給付が妻よりも大きくなるわけですので違和感があります。ただ、将来的な廃止に向かって縮小の方向で検討されていると受け止めまして了解いたします。
なお、お願いになるのですけれども、子の加算についても配偶者の加算についても具体的な水準が示されておりませんし、財政上の影響というのもよく分かりません。そういう意味で、最終的には財政上の影響とともにお示しいただくということを考えております。
国民年金の納付猶予の件についてもコメントさせていただきますと、これについても了解いたしました。国民皆年金の下で第1号被保険者のみ応益負担によって運営している現状は、常に解決が難しいこの種の問題をはらんでいると思いますので、状況を注視しつつ対応するしかないと思います。ただ、追納のチャンスが提供されているというメッセージが該当者に確実に届くように御対応をお願いしたいと思います。
また、本件とは直接関係いたしませんけれども、重要なのは第1号の被用者をできる限り応能負担で運営されている被用者保険の適用とする政策だということを指摘させていただきたいと思います。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
お問い合わせがございましたのでよろしくお願いします。
○年金課長 先生、恐縮ですが、第17回の親子関係の検討のというのは具体的にどういったお話でしょうか。
○小野委員 具体的に細かく覚えていないのですが、こういうケースでは受給権がないとか、養子縁組とか、そういう話があったのではないかと思います。
○年金課長 遺族年金の議論のお話だったかと思いますが、次回の部会で遺族年金についてもう1度議論いただきたいと思っており、子がいらっしゃる場合等々について整理をしてお出ししたいと考えております。そこに先生の御関心が含まれているか事前に確認させていただいて、それを含んだ形でお出ししたいと思っています。
○小野委員 ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、オンライン参加の皆様からお手をお挙げいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
永井委員、お願いします。
○永井委員 私からは国民年金保険料の納付猶予制度について1点意見を申し上げます。国民年金保険料の納付猶予制度の5年間延長ということに異論はございません。今回、追納による納付率の状況を提示いただきましたが、納付猶予の追納率は7%と低い水準にとどまっておりました。追納しなければ年金額に反映されないため、追納していない方の事情は様々あると推測いたしますが、保険料免除を含め、正しい制度理解の上で必要な選択が行えるようにすることが重要だと考えております。これまでも御尽力いただいていると思いますが、改めて広報・周知の徹底をお願いしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
平田委員、お願いします。
○平田委員 年金制度における子に係る加算の見直しについて、そして、国民年金保険料の納付猶予制度について申し上げたいと思います。
まず、多子世帯の支援の強化につきまして、年金という制度でどこまでどうみるかという観点はありながらも、基本的に賛成です。第3子以降の加算額を第1子・第2子とそろえることに賛成です。年金の目的は一体何かと考えたときに、老齢になったとき、あるいは障害を負ったり、配偶者を失ったときなど、従前の収入を得づらくなったときの生活保障なのだと思います。では、生活とは一体何かと考えると、今回子に係るということで子供がいる世帯ということになりますが、家庭における親の主な役割は、収入確保に加えて家庭の運営にあると思います。具体的には家事や子育てに当たります。これが生活ということです。
家事・子育てに係る労力というのは、もちろん兄弟間の支えとか年齢によっても変わって、単純比例ではないですが、子供が増えればその分増えると考えられます。障害等級1級・2級というのは相当程度の障害だと思いますし、遺族に関しては、多くの場合共に収入確保と家庭の運営をしていた配偶者が、突然亡くなることになりますので、生活に係るエネルギー総量がほぼ同じまま担い手が半分になることに関して、年金でその生活を支援するということには、一定の整合性があると思っております。また、どの制度に加入していても子育てに対する加給が同じということは、国民全体で子育てを支援するという観点からよいのではないかと思っております。
加えて、子に係る加算についての国内居住要件に関してです。これはいろいろなことがあると思うのですけれども、つまり不正受給等を避けることも大事ではありますが、今後、グローバル化は進んでいくものだと思います。少子高齢化の日本において、日本国内だけでバランスするというよりは、世界との相対の中でバランスするように、全体としては世の中が動いていくのではないかと思っております。
そういった中で世界とのつながりを持つことは、日本にとってはとても大事だと考えております。今、インバウンドで海外の方がいっぱい来てくださっています。あるいは外国人労働者も増えていますが、我々が出ていくこともある程度支援できるような、あるいは阻害しないような制度であることは大事だと思っております。
少なくとも留学とか親の転勤に帯同するような場合など、具体的に考えた上で整合性が取れるように、細やかな例外措置等を取ることが必要ではないかと考えております。
続きまして、国民年金保険料の納付猶予制度に関して、お示しの方向性に賛成です。積極的に賛成というよりは、制度をただちに変更するに足る情報がないと思うがゆえの賛成です。追納の実態もそうなのですけれども、猶予制度を利用する人が一体どういう状況にある人なのかということを詳細に知ることこそ大事ではないかと思います。我々がペルソナをちゃんとイメージできるようにすることで、猶予制度で援助すべき対象なのか、そうではないのかということが明らかになると思います。今、雇用されて働いていない、あるいは働けない人が一体どういう方なのかということです。
以上、プラスの方向性の意見ばかり申し上げましたけれども、財源との兼ね合いはあると思います。その際、保険料をどのように考えるのか、それから、国庫負担をどのように考えるのか、難しいことですが、収入だけではなくて資産にどう踏み込むのかというようなことも併せて検討していくことが大事だと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
駒村委員、お願いします。
○駒村委員 まず、子供の加算についてですけれども、何人かの先生からも懸念事項がありましたが、6ページの併給調整の点なども深く議論しなければいけない部分があると思います。
重なるコメントをしてもしようがないので、一つ厚労省にかねてから整理していただきたい点を御質問したいと思います。子供に対する様々な手当や児童手当とか児童扶養手当、それから、年金、それから、生活保護において多人数世帯の給付の計算式も極めて複雑になっているわけですけれども、多人数の子供に対して家計の実態から考えて、子供が1人増えることによってどのぐらいの割合で給付額を増やすべきなのかというのは、きちんと実証的な研究をして、加算のルールを決めたほうがいいのではないかと思います。
極めて単純な議論が行われていて、多子世帯に対する経済的サポートはどうあるべきかということが制度を超えて、実証、深く議論されたことがないと思っています。給付の性格もありますけれども、多子世帯に、一人の子どもが増えることで、どのような金額の幅で加算していくのかというのは、きちんと研究した上で数字を出していただきたいなと思います。その点が従来からなかったと思っています。
それから、配偶者に対する加給年金の縮小・廃止は基本的には賛成なのですけれども、子供の加算と併せて財政的にどのぐらいのインパクトがあるかは数字を出していただきたいと思います。
それから、納付猶予については、雇用悪化に対応するためという必要性があったわけですけれども、今日あったように追納が10%を切っている。年金額が増えず、結果的には低年金につながっている。制度の趣旨は支払えばちゃんと保障するというものの、実際には低年金につながっているということです。基本的にはこの制度を見直すべきだろうと思いますが、もし、少し時間をかけて見直すならば、10%の追加で払っている人はどういう人だったのかというのを少し実証的に研究していただきたいと思います。恐らく年金記録をさかのぼって、1号から2号、3号と動いている方のデータをちゃんとつなげないといけない。どういう条件を満たしている人が払えているのか、払えていないのか分からないと思いますので、これはきちんと研究を深めてから制度改革をお願いしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
駒村委員、最初に事務局への御質問という形でお伺いしたような気がするのですが。
○駒村委員 というよりは、いろいろな所得保障、児童向けの給付が、それぞれ金額の根拠、加算の根拠が曖昧ではないか。いろいろな子供向けの制度があるのだけれども、それぞれどういう数字に基づいてそれが設計されているのかというのがよく分からない。これは所得保障制度全部、特に子供向けの制度全部、研究がよく進んでないのにこういう形で金額が決められているのはおかしいのではないかという、研究をしておいてくださいというリクエストです。
○菊池部会長 了解しました。御意見ということで承りました。
それでは、権丈委員、お願いします。
○権丈委員 還暦を超えた私の周りにも結構新たな制度ができたら対象になる人がいると思うのですけれども、そうした彼らに今回こういう制度ができるかもと話をしても、ぬか喜びになる可能性は大だと思っています。というのも、彼らは繰下げ受給を選択すると思います。となると、年金給付への加算という仕組みを採っている限り、今の配偶者への加給年金と同じように給付ができないだろうと思います。
今の社会において高い優先順位を持つ社会的価値にWork Longerというのがあるわけですが、その目標と整合性を持たない制度、矛盾する制度というのはなるべくというか、可能な限りつくってもらいたくないと思っています。
そういう問題を避ける、つまり繰下げ受給をしても給付を受けることができるような制度にしていくためには、今回の資料にありますように次世代育成支援とか、さらには子育ての社会化という政策の中で、高齢期の子育てに関しては年金が協力していくというような考え方ができるのかもしれないです。もし、そう考えると、年金支給開始の基準年齢である65歳になったら給付をするという仕組みを考えることができるかもしれないですけれども、そのように変えようとしていくと、高齢期の子育てに関しては年金の受給者ではなく、受給権者の子育てに給付を行うという方向性になるのだろうかと思います。しかし、それはうまくいくのかどうかよく分からないというのがあります。
こういう形でとにかく繰下げ受給をしたら受け取ることができなくなるとかいう加給年金と同じような欠点を持つ制度を新しくつくらないようにするためには、越えていかなければならないハードルはかなり高いように思えます。
ほかのところでも言っているのですけれども、公的年金保険に他の次元の目標を期待して、それを年金に組み込もうとすると結構おかしな話になってしまうので、私は「混ぜるな危険」というような話をしているのですが、そういう「混ぜるな危険」の範疇に入る問題なのかもしれないと思っています。その辺のところを乗り越えることができるのだったら、私は一歩前進だと思うのですけれども、これはかなり難しい話かなと思っています。
それとも関連しますが、もし、この話が通っていくときに、年金による高齢期の子育て支援の性質からいって、老齢基礎年金の加算について加入期間に応じた金額の調整という制度を組み込んで複雑にしていき、また、子と親の連帯責任を求める措置というのは本当に必要なのだろうかとも資料を見て思いました。
もう一つ、配偶者の加給年金についてです。今回の資料で興味深かったのは、9ページの真ん中の囲いに、加給年金が生まれる際の「夫名義の年金で夫婦2人が生活できるような給付設計」と書かれているところです。1985年改革で第3号が生まれたわけですが、あの時の改革で夫名義の定額部分を2人分の基礎年金と読みかえて3号制度が生まれ、85年改革前後の給付水準の継続性を保つために3号の配偶者が65歳になるまでの給付として加給年金も生まれたわけです。そして、あの頃はまだ「夫婦2人が生活できるように」という年金の水準論の話があった。
しかし、あれから40年経って、2004年に給付建てから拠出建てに変わっていって、20年過ぎた今、年金の水準論というのはモデル年金の所得代替率50%と既裁定年金の8割ルールくらいしかないというように私は理解しております。
そういう側面、つまり水準論で設定されていた加給年金というのは、これを取り巻く社会経済環境が大きく変わっていったと資料の中にもあり、そういうのがいろいろあるけれども、年金論そのものがもう本質的に変わってしまっているわけだから、この水準論をベースとして生まれていた加給年金というのは速やかに廃止すべきだと思っております。
小野委員も言っていたように、加給年金は繰下げ受給に悪影響を与えます。そして特老厚の年齢の引き上げに伴って、制度の矛盾がこれから加速していきます。今回の資料にも入っていましたけれども、制度の矛盾が加速していくために、加給年金の改革は時間との戦いになっている。問題はどのように改革していくかというのを以前私は発言していて、今回もピックアップしていただいているのですけれども、そういう意味で、廃止していく具体的な日付つきの工程を財源規模も含めた形で年金部会で議論してもいいのではないかと思っております。もうそういう段階になっているのではないかと思っています。
それと、納付猶予制度とか学生納付特例制度についてです。これはいろいろと御意見があったわけですけれども、今は若い人たちの間では年金をもらえないとか、払い損になるとか、世代間格差があるとか、そういう年金の保険料を若い人たちに課していること自体が、政府そのものを憎む理由となっているというような感覚が、若い人たちの間でSNSの影響もあってものすごく蔓延しているわけです。この状況の中で、この猶予制度、あるいは学特の納付率を高めていくのは極めて難しいけれども、若い人たちが信じているかなりの部分、ほとんど全部と言っていいかな、デマなんですね。
このデマを年金局は徹底的に排除していかないことには、納付猶予制度の問題以前に、この国の民主主義、いろいろなものがおかしくなっている原因として年金が存在し、そして、年金への不信感を原因として、この納付猶予制度、学生納付特例制度の納付率などにも影響している可能性があります。
例えば適用拡大などでは将来年金がもらえるのだからといって、この負担は壁ではないという説明をしても、将来の年金などは当てにならないのだからという回答が返ってくるような社会に今はなっている。このことを我々おじさんたちは自覚して取り組んだほうがいいかなと思っております。
感想になりましたけれども、以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、玉木部会長代理、お願いします。
○玉木部会長代理 今回御説明いただきまして、最も驚いたといいますか印象に残ったものは、資料2の2ページの追納率のデータでございます。学特も含めて1割にも満たないという数字に驚きました。また、特に学生の場合、2年間で40万円ぐらいの猶予があり得るわけですけれども、多くの学生はそれよりも一桁多い奨学金の負債を抱えて社会人となるわけでございます。
そういう奨学金を借りて大学に通う学生の場合、多くの場合、お家の御両親が年金まで払うことは難しい。逆に奨学金が要らない、つまり親が払ってくれるお家であれば、親が国民年金を払って社会保険料控除を受けるという形になってございます。ということで、20代、30代ぐらいにかけての若い方々の家計の在り方に対して、奨学金が非常に大きなインパクトを持ち、それに加えてこの学特の分がかかっていくことを踏まえて、もう少し年金の枠を超えた20代、30代の家計の在り方という視点も、この年金部会の間口ではないと思いますけれども、持ってあげないと、若い方々は少しかわいそうではないかという気もいたすところでございます。
また、そういった若い方々こそ、次の世代の日本人を自分の望むところにしたがって生んでいただきたいわけでございますけれども、今や子育てに関しまして、あるいは子を持つ意欲、あるいはその環境を整備するという観点につきましては、既にエマージェンシーの領域に達しているのかなというところもございます。資料1の5ページの上から6行目ぐらいですけれども、年金制度においてもさらに次代の社会を担う子供たちを支援し、子を持つ年金受給者の保障を強化する観点からと、新たな視点が加わっているのだろうと、そういう措置ではないかと思いますので、この新たな視点について、国民の合意があるのであれば、こういった年金制度上のアクションも大いにあり得ることかと思うところでございます。
他方、配偶者の加給に関しましては皆さんの御指摘のとおり、今の世の中に合わなくなって久しいのではないかと思います。これはもちろん激変緩和的なものは十分なきめ細かなものが必要ではございますけれども、ゴールについてはなるべく早く設定し、また、そこに至る工程も具体性を持って示す方が、国民にとって情報提供として有益なのではないかと思います。
最後に、子供の居住要件についてです。当面この資料のとおりで全然問題ないと思います。ただ、外国人の子供の場合、つまり永住しているような外国人の子供の場合、当然年金の制度に入るわけですけれども、そういった方々が日本でどのような暮らし方をなさるのだろうか、あるいは場合によってはどのような家庭を形成されるのだろうかといったことについては、全く分からないところが多いと思いますので、その辺の動向については年金行政上もコンスタントな情報収集、あるいは注目の目を向けるといったことをお願いしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかに追加で御意見がおありの方はいらっしゃいますでしょうか。よろしいですか。
本日も様々な御意見をいただきましてありがとうございます。
年金制度における子に係る加算については、おおむね事務局提案の見直しの方向性で御賛成との御意見を、島村委員、嵩委員の書面での御意見も含め、多くいただいたかとは思いますが、部分的なものを含め慎重な御意見もいただいたところでございます。それに対して配偶者加給年金につきましては、おおむね事務局提案の見直しの方向性で御了承いただけたかと思います。また、国民年金保険料の納付猶予制度についても方向性についておおむね御了承いただけたかと思います。
それぞれにつきまして、本日皆様からいただいた御意見も踏まえ、さらに事務局で検討していただき、部会での扱いを整理させていただきたいと思います。
ということで、かなり早いのですが予定しております議事は以上で終了でございます。
今後の予定につきまして、事務局からお願いします。
○総務課長 次回の部会の日程は12月10日火曜日の14時から、場所は本日と同じ全国都市会館を予定しております。
○菊池部会長 それでは、本日の審議は終了とさせていただきます。
御多忙の折、お集まりいただきましてどうもありがとうござい
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