第24回社会保障審議会年金部会(議事録)
日時
令和6年12月24日(火)14:00~16:30
場所
東京都千代田区平河町2-4-2
全国都市会館 2階 大ホール
出席者
会場出席委員
菊池部会長 出口委員 小野委員 小林委員 駒村委員 是枝委員
佐保委員 島村委員 たかまつ委員 武田委員 永井委員 原 委員
平田委員 堀 委員 百瀬委員
オンライン出席委員
権丈委員
議題
社会保障審議会年金部会における議論の整理(案)について
議事
議事内容
○総務課長 それでは、ただいまより、第24回「社会保障審議会年金部会」を開催します。皆様、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。
本日は、嵩委員、玉木委員は御欠席、堀委員は途中退席、永井委員は遅れて参加される御予定です。
権丈委員はオンラインで参加されております。
出席委員が3分の1を超えているので、会議は成立しています。
続いて、資料を確認いたします。傍聴者の方は、厚生労働省のホームページから資料を御覧ください。
本日の資料は、資料1「社会保障審議会年金部会における議論の整理(案)」のほか、参考資料1から4を事務局で用意しております。
参考資料2及び3は、今月、自由民主党及び公明党で取りまとめられた年金制度改革に向けた提言となっております。
また、参考資料4は、本年12月3日に、厚生労働省の年金広報の取組が、国際社会保障協会が主催したアジア太平洋地域社会保障フォーラムにおいて特別優秀賞と優秀賞を受賞したことを報告するものです。本表彰はアジア太平洋地域21か国・地域の34の政府機関から187件の応募があり、その中から厚生労働省年金局の公的年金シミュレーターが特別優秀賞、社会保険適用拡大特設サイトが優秀賞を受賞したものでございますので、御報告をいたします。
また、駒村委員から資料の提出がございます。
事務局からは以上です。
以降の進行は菊池部会長にお願いいたします。
○菊池部会長 皆様、こんにちは。師走の押し迫ったところ、御参集いただきまして、どうもありがとうございます。
それでは、カメラはここで退室をお願いいたします。
(カメラ退室)
○菊池部会長 それでは、議事に入らせていただきます。
本日は「社会保障審議会年金部会における議論の整理(案)について」を議題といたします。
一昨年の10月より、これまで2年以上の時間をかけまして、今後の年金制度の在り方に関して、様々な論点について御議論をいただいてきました。本日は、これまでの議論を踏まえ、事務局において議論の整理案という形でまとめていただいていますので、これについて皆様から御意見を頂戴したいと存じます。
それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
○年金課長 年金課長でございます。本日もよろしくお願いいたします。
私のほうから、資料1、議論の整理案を御説明します。
40ページを超える大部になっておりますので、30分ほどいただいて、ポイントを説明してまいります。
最初に目次がありまして、構成は「はじめに」、「次期年金制度改革等」、「年金広報・年金教育」、「おわりに」と4部構成になっています。
3ページの「はじめに」からになります。まずはこれまでの改革の経緯ということで、昭和60年改正法で今の基本的な構造、基礎年金と報酬比例部分に再構成されました。それから、第3号被保険者としての女性の年金権の確立、保険料財源についての拠出金の仕組み、こういったものが60年改正で整備されたものです。
一番下にありますが、来年は、この昭和60年改正から40年に当たる年となります。4ページで、この間社会経済の状況は大きく変わっておりまして、年金制度にも様々な影響を与えてきました。人口構造の変化あるいは日本経済の低迷、こういったものが制度の持続可能性に対する大きな課題としてクローズアップされました。
この点で大きな転機になったのは、4ページの真ん中辺りの平成16年改正法で導入された財政フレームでして、将来の財源を固定し、その範囲内で給付水準を自動的に調整する仕組みとしてマクロ経済スライドが導入されました。他方で、マクロ経済スライドには「名目下限措置」というルールがある中で、発動に当たってはその後のデフレ経済の影響を受けたということもあります。
この財政フレームは現在でも制度の根幹となっておりまして、その後、国庫負担割合の2分の1への引上げ、あるいは5ページに入りますが、平成28年改正法でキャリーオーバー制、賃金スライド徹底というものが導入されました。
社会経済の状況に目を転じると、パートタイム、アルバイトといった非正規の働き方が広まり、従来の第2号被保険者として想定していない働き方が増えてまいりました。この中で短時間労働者への適用拡大が導入され、それから、第3号被保険者の方について約4割が就労する状況において、いわゆる「年収の壁」の問題意識が生まれています。
それから、平均寿命、健康寿命の延伸、高い就労意欲から高齢者の方の就業が進みまして、これに対応する形で、前回改正の在職老齢年金制度の見直し、あるいは繰下げ受給の拡大といったことも措置されています。
6ページに入りまして、前回の令和2年改正法成立後の経緯です。前回改正では、主に適用拡大、低在老の基準額について見直しを行い、改正後の令和4年10月から本部会は議論を開始しております。
その後、適用範囲の拡大については、6ページ下のほうですが、令和6年2月より「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会」を別途設けまして、この議論の取りまとめもしていただきました。
それから、被用者保険の拡大に伴って、いわゆる「106万円の壁」「130万円の壁」というものが意識されるようになり、7ページの真ん中辺り、昨年10月から「年収の壁・支援強化パッケージ」が当面の時限的な対応策として実施されています。あわせて、制度的な対応の検討が求められて今に至っています。
加えて、7ページの下のほうですが、基礎年金水準の低下への対応が、今回のもう一つの課題として検討が求められてきました。これへの対応としては、一つは基礎年金の拠出期間の45年への延長、もう一つはマクロスライドの調整期間の一致になります。
8ページに移りますが、本部会ではこういった様々な課題について議論いただきました。その間には企業年金・個人年金部会との合同開催というのも初めて行うとともに、議事録の早期公開あるいはアーカイブ配信といった試行も新たにしております。
その下は今回の財政検証についてです。ご案内の内容ですが、本年7月に取りまとめられて、オプション試算が併せて実施されています。
それから、8ページの下のほうですが、今回の財政検証では、初めての試みとして、世代ごとの65歳時点における老齢年金の平均額、分布の将来見通しを示した、いわゆる分布推計というものを実施しています。
財政検証で得られた点については、8ページから9ページにかけて、①から⑥という形で記載しています。所得代替率50%の給付水準が確保され、前回よりも将来の給付水準の向上を確認できたこと。一方で、基礎年金の調整期間の長期化、水準低下というのが課題になっています。オプション試算については③から⑤にあるとおり実施したところです。
これらを踏まえて、9ページの「4.次期年金制度改革の方向性」として、大きな柱を2つ記載しています。検討項目の全体を貫いて今後の制度改革の基本に置くべき考え方として、概ね以下のような方向性を共有したとしています。
10ページですが、1つ目は、ライフスタイル等の多様化の反映・働き方に中立的な制度の構築です。この40年間で国民の生活、ライフスタイルは大きく変化していますが、一方で年金制度には、遺族年金のように性別による固定的な役割分担を念頭に置いた男女差や、あるいは扶養関係を前提にした制度が存在しています。こういったものについて、ライフスタイルの多様化を反映した在り方の議論を深める必要があります。
それから、女性や高齢者の就業拡大があり、それに対する就業調整ということも言われており、一番下になりますが、どのような働き方、雇い方を選択しても中立的な制度であって、就労インセンティブを阻害せず、より長く働いたことが年金給付に的確に反映される制度が求められるとしています。
続いて2つ目の視点は、高齢期の経済基盤の安定、所得保障・再分配機能の強化です。所得保障の柱である公的年金のうち、特に基礎年金は、将来的な水準が低下する見通しとなっており、11ページに各ケースの水準を書いていますが、これに対しては、オプション試算では、適用拡大あるいは拠出期間の延長・給付増額、マクロスライドの早期終了が効果あると確認できたところです。こういった観点から制度の在り方の検討をする必要があるということを2番目の視点としています。
以上を踏まえ、具体的な項目は12ページからになります。
まずは、被用者保険の適用拡大について、基本的な考え方を3つまとめています。セーフティーネットを拡充する観点、あるいは中立的な制度を構築する観点、労働者にとってメリットがあることの発信といった点を基本的な考え方としています。
その上で、短時間労働者の適用拡大については、一番下ですが、まず企業規模要件については撤廃する方向でおおむね意見が一致したとしています。
続いて13ページ、短時間労働者への適用拡大における賃金要件については、最初の段落の最後ですが、撤廃する方向でおおむね意見が一致したとしています。ただし、ということで、最低賃金の動向を踏まえつつ、撤廃の時期に配慮すべきであるというご意見を頂いています。あるいは最低賃金の減額の特例の対象になる方がいらっしゃるので、こういった方については任意で加入できる仕組みとしてはどうかとしています。
その下の労働時間の週20時間要件については、要件の撤廃も含めた議論の継続を求める意見もあった一方で、慎重な意見もあり、この段落の最後ですが、今回は見直さないこととするとしております。
学生除外要件についても、今回は見直さないこととしています。
続いて、14ページにかけては、個人事業所の関係で、最初の○で、常時5人以上の従業員を使用する個人事業所における非適用業種については、解消する方向でおおむね意見が一致したとしています。他方で、常時5人未満の場合については、今回は見直さないこととするとしていますが、将来的には適用を拡大すべき、という御意見もありました。
それから、複数事業所で勤務される方については、その下ですが、まず労働時間を合算して適用を決めることについては慎重に検討する必要があるという御意見がありまして、引き続き検討していくとしています。
それから、そもそもの現行の適用事務についての見直しの方向性の議論もしていただきましたが、様々な課題があり、引き続き検討していくとしております。
それから、15ページにかけてフリーランスの方への適用の話になります。まず、労働者として実態があると判断できる事案については、確実に被用者保険を適用すべきとしています。他方で、そうでない働き方のフリーランスの方については、これは労働法制でも議論をしておりますので、ここを注視するとともに、中長期的な課題として引き続き検討していくとしています。
ここまで適用拡大の方向性について御紹介しましたが、いずれについても適用拡大を進める場合には事業所等への配慮が必要というのが15ページの真ん中より下になります。適用手続や事務の負担、新たな保険料発生に伴う経営への影響、こういったことに対して、影響を踏まえた経過措置、支援策による配慮、準備期間の十分な確保等、総合的な取組が必要であるとしています。特に施行時期については、個人事業所への適用拡大の影響を考えて、企業規模要件の撤廃を優先すべきとしています。その際には段階的な拡大という御意見もございました。
15ページ下のほう、適用拡大は医療保険にも関係しますので、医療保険部会でも議論していますが、そこでの御意見を紹介しています。
続きまして16ページは、いわゆる「年収の壁」と第3号被保険者制度になります。
基本的な考え方として、「年収の壁」とは手取りの減少を避けるための就業調整が行われているとの指摘であり、もちろん被用者保険に加入した場合にはメリットがありますが、人手不足への対応等がある中で、制度の見直しに取り組む必要があるということで議論が進みました。
壁には「106万」と「130万円」の2つがあり、106万については、16ページの一番下ですが、あくまでも雇用契約上の賃金で判断し、時間外労働に係るものなどは入れません。こういったところの広報・啓発もきちんと強化・展開する必要があるということで記載をしております。
それから、17ページに移って、130万の壁については、第3号被保険者制度の在り方の議論と適用拡大の一層の加速化を基本としています。
その上で17ページの真ん中、106万円の壁への制度的対応について、議論の経過を少し振り返っておりまして、昨年9月の年金部会では、仮に制度を設計する場合として、加入することに伴う保険料負担が発生しないように保険料を免除する仕組みを資料としてお出ししました。それについて議論いただきましたが、この仕組みについては慎重な意見が多かったところです。
それを踏まえて、さらに17ページの下、新たに就業調整に対応して保険料負担割合を変更できる特例というものを御提案しました。
18ページにかけて、仮に導入する場合に考えられる仕組みについて事務局からの提案ですが、あくまでも時限措置とすること、あるいは対象者を限定するということ等について18ページの真ん中辺りまで記載しています。
これに対する御意見としては、特例措置として考えられるといった御意見があった一方で、一番下の○になりますが慎重・反対意見もありました。
そこは様々な御意見がありましたので、それをまとめて19ページの真ん中上辺りですが、本特例の導入については賛成意見が多かったものの、制度の細部までは意見が一致せず、一方で慎重意見や反対意見が多くあり、部会として意見はまとまらなかったことから、さらに検討を深める必要があると結んでいます。
それから、第3号被保険者制度については、検討の背景として、19ページの下の方ですが、平成27年の議論の整理において一定の方向が示されており、まずは、被用者保険の適用拡大を進めて、第3号被保険者制度の縮小・見直しに向けたステップを踏んでいくとされました。この方向は、前回改正でも踏襲されており、20ページになりますが、適用拡大が進められています。
一方で、より多くの女性が就労して、新たに被用者保険の適用となる際に、扶養の範囲にとどまるかどうか選択する必要が生じ、制度が働き方に影響を与えることを意識する機会が増えてきました。働き方が多様化する中で、この制度は現状とそぐわないものになっている可能性があり、働き方に中立的な制度の観点から検討事項として取り上げて議論を行っていただきました。
20ページ真ん中辺り、現状ですが、第3号被保険者の人数は減少していますが、一定数がいらっしゃいます。それから、昨年の部会では調査結果をご紹介しており、働かれている方がいる一方で、働いてない方の中には、出産・育児、看護・介護、あるいは健康上の理由等によって、すぐには仕事に就けない方など様々な方がいる状況にあることも分かったところです。
制度に対する評価としては、この制度が女性のキャリア形成を阻害し、賃金格差等を生む原因となっているという指摘、見直しが必要という御意見があった一方で、所得保障としての機能、応能負担の原則に基づく制度である、といった御意見もありました。
21ページは、今後の取組の方向性ということで、まず前提として、就労されている方が第2号被保険者として加入する途を開くことが重要であることは、本部会では共有されているとしています。そういった意味では、引き続き適用拡大を進め、これによって制度の縮小を進めていくことが基本的な方向性であり、ここは共有されています。
その上で、その先に残る第3号被保険者の方には様々な方がいらっしゃることは先ほど御紹介したとおりです。そこについては将来的な制度の見直しや在り方に言及する意見が多くあった一方で、次期改正における制度の在り方の見直し、将来的な見直しの方向性については意見がまとまらなかったとしています。具体的に様々いただいた意見についてはその下に御紹介しています。
それから、22ページでは、本部会としては、ということで、第3号被保険者制度をめぐる論点についての国民的な議論の場が必要であるとの認識を共有したとしています。また、政府に対しては、適用拡大を進めることで、制度の縮小・見直しに向けたステップを着実に進めるとともに、第3号被保険者の実態も精緻に分析しながら引き続き検討を求めると結んでいます。
その下では、今回様々に頂いた御意見を論点という形でまとめています。こういったものを今回の取りまとめに残すことで今後の議論に生かせればと考えています。具体的には、所得保障の機能の観点、給付と負担の観点、特定の者への配慮をどうするかという観点、第1号被保険者とのバランスの観点、年金財政の構造の観点、それから付随する制度への影響等、多岐にわたる論点があったということでまとめています。
それから、真ん中辺りは、広報の必要性ということで、第3号被保険者であることによる年金給付へ影響あるいは生涯賃金、キャリア形成等への影響ということについて伝えることが重要だという指摘を紹介しています。
続いて、在職老齢年金制度の見直しです。こちらは平成12年改正で導入され、報酬のある方には制度を支える側に回ってもらうという考え方で現行の仕組みになっています。
24ページの真ん中辺りでは、この制度に対しては、高齢者の就労促進の観点から見直しを求める声が従来からある一方で、オプション試算でも確認されたとおり、将来の受給世代の給付水準に影響するということで慎重な意見もあります。前回改正では、いわゆる低在老についての見直しが行われたところです。
24ページ下のほうですが、様々な世論調査等に基づくと、一定程度の方がこの制度の存在を意識して、就業時間を調整しながら働く方がいらっしゃいます。
また、いくつかの業界の方にお話を伺うと、人手不足が生じ、就業者も高齢化していく中で、人材確保あるいは技能継承の観点から支障が出かねないといった声も寄せられています。
25ページでは、見直しの方向性として、本部会の議論では現行の制度を見直すことで概ね意見は一致した、としています。
その上で、見直す内容について、部会では基準額(現行は50万円)を引き上げる案と廃止案について議論いただきましたが、特定の案に意見はまとまりませんでした。引き続き、具体的な制度の見直しについて検討を行う必要があるとしています。
続いて、標準報酬月額の上限の見直しです。26ページにかけて、現行制度は平成16年改正で導入され、この改定ルールに基づいて2020年に今の65万円が追加されています。現在、この65万の上限に該当する方は全体の6.5%と多くいて、男性については最頻値となっています。
今回、上限等級の追加について議論いただいたところで、上限を追加した場合には新たな等級に該当する方の年金額が増加するとともに、厚生年金の受給者全体の将来の給付水準上昇にも資することから、所得保障・再分配機能の強化につながる面があります。
以上を踏まえ、見直しの方向性については、27ページにかけてですが、負担能力に応じた負担を求める観点、あるいは将来の給付水準全体にプラスの効果をもたらすという所得再分配機能の強化の観点から、現行のルールを見直して新たな等級を追加するということについて、概ね意見は一致したとしています。他方で、上限引き上げに伴う本人や事業主の負担感に留意が必要という意見もありました。
新しいルールについては、健康保険の改定ルールを参考に、としております。いずれにしても、事業主負担への配慮から引上げの上限は小幅にという御意見もあり、政府において具体的な制度の見直し案について検討が必要であると結んでいます。
それから、御意見としては、標報の上限見直しによるプラスの影響、それから在老の見直しによるマイナスの影響と相殺する形での見直しを求めるという意見もございました。この辺りは、少し検討していく必要があると思っています。
続いて、基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了です。
マクロ経済スライドについては、27ページ下辺りからですが、デフレ経済が続いたことで給付調整が長期化しています。特に基礎年金については、御紹介したとおり、長期にわたって水準が低下する見込みです。
本部会では、デフレが継続した過去30年のケースを前提に、なるべく早く早期に終了させていくことについて議論いただきました。その方法として、真ん中辺りですが、事務局からは基礎年金拠出金の算定を変更して、積立金も勘案するという考え方も提示しています。これは、賦課方式の年金制度においては、積立金には個人の持ち分という考え方はなく、被保険者が制度間を移動しても移動しないという、現在の給付と負担の構造からこういったことが考えられるという提案です。
29ページですが、この措置には論点として、過去30年のケースについてみると、将来的にはほぼ全ての受給者の給付水準が上昇する見込みですが、マクロ経済スライドの終了時期が一致するまで厚生年金について当面の調整期間が継続することに伴って、一時的に年金の給付水準が低下することがあります。こういった点も資料を示して議論いただきました。
それから、真ん中の辺り、この給付調整の継続については、財産権との関係という論点があるという御指摘もいただきまして、関連となる最高裁判決の紹介もしたところです。
それから別の論点としては、将来の基礎年金の水準が上昇する結果、国庫負担が増加することになるので、安定財源の確保が必要という点もあります。
それから、30ページにかけてですが、今後の社会経済状況がよくなれば、マクロ経済スライドによる給付調整はさらに早期に終了できるといった資料もお示ししたところです。
以上を踏まえ、本部会における議論では、過去30年の状況を投影した経済前提を中心に、基礎年金について将来にわたって一定の給付水準を確保することの重要性については、概ね委員の意見は一致したとしております。この観点から、早期終了の措置を講じることについては賛成の意見が多かったとしています。
一方で慎重な意見もかなりあった、ということで、負担と給付の構造が分かりづらいこと、それから足元の給付水準が下がるという場合があることなど、そこに記載があるとおり、様々な意見がありまして、部会として意見はまとまらなかったと結んでいます。
そのほかの意見も御紹介した上で、最後の段落では、政府においては、保険料や積立金の使途を明確にして、基礎年金をめぐる仕組みの透明性の向上を図り、分かりやすい説明を心がけるということで、早期終了措置についてはさらに検討を深めるべきとしています。
続いて31ページから、遺族年金についてです。
まず問題意識ですが、特に遺族厚生年金について、20代から50代で死別したお子さんのない配偶者への厚生年金に男女差があるということです。男女差については、寡婦のみを対象とした中高齢寡婦加算もあり、ご議論いただきました。
その上で、32ページにかけて、制度が始まってからの変化を見ると、女性の就業率の向上あるいは賃金水準の格差の縮小ということがあり、世帯構成も変わってきました。そういう意味で、男性が主たる生計維持者であることを前提とした社会経済状況は変化しており、見直しの方向性として、遺族厚生年金の給付について段階的に見直すことについては概ね意見が一致したとしています。その際には、既に受給権が発生している場合、あるいはご高齢の遺族厚生年金は現行の仕組みを維持するとしています。
33ページからは、具体的な見直し内容についてで、この遺族厚生年金については原則5年間の有期給付とする一方で、所得状況あるいは障害状態によっては最長65歳まで継続して給付を受給できることにしています。それから、段階的に20年程度の時間をかけて引き上げる形で施行することとしています。
33ページでは、有期給付化に伴う配慮措置として3点をご提案しており、死亡に伴う年金記録分割の導入(いわゆる死亡時分割)、それから、生計維持要件うち収入要件を撤廃すること、有期給付加算の創設です。
まず、33ページの下は死亡時分割についての考え方の整理です。それから、34ページは、有期給付の収入要件の撤廃と有期給付加算についての記載です。
それから、35ページにかけては、お子さんがいらっしゃる場合の給付内容で、子が18歳に到達するときまでの給付は現行どおりですが、その以降について、例えばお子様が18歳に到達して遺族基礎年金が失権した後もさらに5年間の有期給付を受給できる仕組みとしています。また、5年間が経過した後も、状態によっては継続給付も受給可能とする仕組みで提案しています。
続いて、中高齢寡婦加算については、将来に向かって十分な時間をかけて加算措置を終了するとしており、その際には経過措置を設けることで、例えば今、加算を受給している方は対象とせず、新規の方のみを対象とするといった形で十分な時間をかけながら逓減させていくこととしています。
それから、その下の遺族基礎年金については、お子さんに対する遺族基礎年金について検討いただきました。現行規定では父または母と生計を同じくするお子さんに対する遺族基礎年金は支給停止となります。お子様を取り巻く家庭環境が変化する中で、この支給停止の規定は、お子様の生活の安定を図るという遺族基礎年金の目的から適切ではないということで、支給停止規定を見直すことで概ね意見は一致したとしています。
それから、36ページでは、寡婦年金については、60代前半の生活実態を踏まえた更なる検討が必要であり、将来的な廃止を含めて引き続き検討事項としています。あわせて死亡一時金の取扱いについても検討事項としています。
次に子供に係る加算等についてで、現行では障害基礎年金、遺族基礎年金等に加算、あるいは老齢厚生年金に加給年金というのがありますが、これについては真ん中の辺り、賦課方式で運営される年金にとって、次世代の育成は制度の根幹を維持するために必要であるとして、取組を強化する方向性については概ね意見が一致したとしております。
具体的にはというところで、一番下のところですが、第1子・第2子と同額となるまで第3子以降の支給額を増額することについては意見が一致したとしています。
それから37ページですが、加算額について全体として引き上げることや、対象範囲を拡大することについては、賛成の意見があった一方で、幾つかの観点から検討すべきという意見もあり、紹介しています。
それから、加算対象となる子に国内居住要件を設けることについては概ね意見が一致したとしています。
その下の配偶者に係る加給年金については、社会状況の変化等で役割が縮小しているということを踏まえ、将来的な廃止も含めて見直す方向性については概ね意見が一致しました。その際、経過的な措置が必要であるという意見もありました。
それから、その他の制度改正事項ということで、①から⑥までありますが、以下については概ね意見は一致したと冒頭に記載しております。
は、障害年金の支給要件のうち、直近1年要件というのがありますが、これを時限措置として10年間延長を行うというもの。
は、国民年金の納付猶予制度について、時限措置の5年延長を行うもの。さらに、実態を把握した上で引き続き検討が必要としています。
は、高齢任意加入という65歳以降の方が特例的に年金保険料を納付できる仕組みですが、これについて措置の延長を行うものです。
は、離婚時分割の請求期限について、現行の2年から5年に伸長するものです。
は、遺族厚生年金の受給権者の老齢年金について、繰下げ申出を認めるという措置です。
は、脱退一時金制度について、再入国許可を受けて出国した外国人は、当該許可の有効期間内は請求できないこととし、加えて、支給上限年数を現行の5年から8年に見直すものです。
「9 今後検討すべき残された課題」として2つ挙げています。
一つは基礎年金の拠出期間の延長についてで、保険料拠出期間について60歳までと定めた制度創設時から状況は大きく変化しています。本部会では、今回は詳細な制度設計について議論していませんが、これに対しては将来的な実現を求める意見がありました。下の辺りですが、基礎年金の拠出期間の延長というのは、基礎年金の給付水準の向上を確保するために自然かつ有効で意義のある方策であると考えられるというご意見があり、引き続き、議論を行うべきであると結んでいます。
それから、39ページは、障害年金についてです。こちらも議論いただいて、様々な論点、課題がある中で、引き続き(1)から(3)にある点を中心に整理していく必要があるとしています。結びのところでは、障害年金についてはこうした点を整理しつつ、社会経済状況、医療技術の進歩等を踏まえながら、様々な課題について引き続き検討すべきとしています。
それから、その後ろは、年金教育・広報についてです。若い世代に対する安心感の醸成、情報発信の工夫が必要であるといただいています。年金額の分布推計、公的年金シミュレーターの役割についても御意見がありました。
40ページ、公的年金シミュレーターについて、障害年金に加えてiDeCoの試算機能を設けるという方向性には賛成の意見が多かったとしています。
それから、多様なライフコースに応じた年金の給付水準の示し方についても御議論いただきました。いわゆるモデル年金というものには、所得代替率の「物差し」の役割や、必要性がある一方で、様々なパターンの年金額を分かりやすく示す必要があるということで様々なご意見をいただいたところです。引き続きこういったものについて精査して、実際の広報につなげていくことにしています。
それから、年金教育についても引き続き推進したいと考えており、学生との年金対話集会には委員の方にも参加いただきましたが、この取組の継続強化を書いています。
それから、公私の年金の一体的な広報、制度改正全体の広報について41ページに記載しています。
最後の42ページ、「おわりに」ということで、基礎年金導入後の40年間の変化を見ますと、年金制度を取り巻く社会経済状況は大きく変化しています。今回の年金部会では、制度全般を議題として取り上げていただき、従来からの検討事項のみならず、財政の根幹に関わる事項、あるいはこれまでは十分議論できなかった事項も議論いただきました。
40年という節目のタイミングで幅広い事項について議論をいただき、現状や課題、見直しの方向性を整理いただいたことには大きな意義があると考えております。
一方で、制度を取り巻く状況は変化を続け、制度はこれらの影響を常に受け続けます。そういう意味では不断の見直しを行うプロセスを継続することで、国民に信頼・安心される制度の在り方を模索し続ける必要があると結んでいます。
続いて、参考資料について、基本的にはこれまでの年金部会に出したものと同じですが、新しいものが3枚ありまして、そこだけ御紹介します。
まず19ページで、現在の適用要件の考え方についての新しい資料を出しています。
続いて、53ページになります。基礎年金の財政構造についてで、部会で議論いただいたものがその前の52ページにありますが、53ページはさらに考え方として、1階に重点活用される厚年積立金(53兆円)のうち、拠出金の按分率の変化分は5兆円で、この5兆円というのは第1号被保険者の中にいらっしゃる被用者分に充当される、という考え方を説明したものです。
54ページも新しい資料ですが、第1号被保険者の中で被用者が一定数いらっしゃるというデータになります。
資料の説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、皆様から御意見等をいただきたいと思います。ここまで24回にわたって2年2か月間議論をしてまいりましたので、非常に広い項目につきまして様々な御議論を頂戴したわけですが、そういったこれまでの全体を踏まえた御意見なり御感想なりでも構わないですし、また、ただいま御説明がありました議論の整理案につきましての御意見、具体的な修正の御提案がある場合には、具体的な修文案をお示しいただきますようお願いいたします。
それでは、まず、本日堀委員が途中退席の御予定ということですので、よろしければ最初にお願いできればと思います。
○堀委員 先に発言の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
事務局及び菊池部会長におかれましては、長期にわたり困難な課題に取り組まれ、今般、取りまとめの議論に至ったことにつきまして、心から敬意を表したいと思います。
今回様々な議論が行われましたが、8ページに記述されているように、世代ごとの65歳時点における老齢年金の平均額や分布の将来見通しが示された点はとりわけ意義があったと考えるところです。今後の議論の基礎になっていく推計だと推測いたします。
また、今回3号につきましては議論が多く残りましたけれども、特に22ページの特定の者への配慮をどのように考えるかについての議論は、今後も一層調査や検討が必要だと考えます。私としましては、育児支援の観点からの配慮が考えられるという意見を盛り込んでいただき、大変ありがたく思っております。さらに、基礎年金の拠出期間の延長45年化につきましても、今後重要な議論になっていくと推測をしているところです。
全体として事務局案に賛成の立場でございます。
最後に1点質問でございますが、今回示された本文だけではなく、参考資料1もともに次の議論に引き継がれていくのか、あるいは本文だけなのかにつきまして教えていただけるとありがたく存じます。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。引き継がれるという意味ですか。
○堀委員 次の議論の参考にしていただけるのかということです。
○年金課長 本文と参考資料をセットで、という御趣旨かなと思っておりますので、今後これを使う際にはなるべく併せた形で引き継いでいきたいと思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、いかがでしょうか。
是枝委員、お願いします。
○是枝委員 私からはいろいろあるのですが、まず30ページの調整期間の一致について、議論の前提について認識を共有させていただきたいと存じます。
30ページの本部会における議論の4行目で、マクロ経済スライドの早期終了の措置について、3行目にあるとおり、今後の経済が好調に推移しない場合に発動される備えとしてはという前提条件の下、我々は議論を行ったというように報告書案で書かれているところですが、これは私の認識とは異なるように思います。
もちろん経済前提につきましては多様なものがあり、かつ一番蓋然性が高そうなもの、政府の目標とは異なるかもしれませんが、蓋然性が高そうなシナリオとして過去30年投影シナリオを念頭に置きながら議論を行ったことは事実ではあると思いますが、今後の経済状況によってマクロ経済スライドの早期終了の措置を講じるか講じないかが変動し得るというような議論は行っていなかったのではないかと私は認識しております。自民党の提言に決して反対するものではなく、我々は選挙の付託を受けた人間ではないので、最終判断は当然政府与党において決定されるものと承知しておりますが、部会における議論の前提というのは正しく記載しておくべきではないかと思います。
この点について御意見等がございましたら、ぜひほかの皆様からもお願いいたします。私の勘違いではないと思います。
○菊池部会長 これは引き取りますけれども、是枝委員の御意見としてはほかにもあるのでしょうか。
○是枝委員 ほかにもありますが、一旦はほかの方にこの点について。
○菊池部会長 それはこちらのほうで考えるので、まだほかにも何点かありますのでしょうか。
○是枝委員 分かりました。では、続けて発言させていただいてよろしいでしょうか。
○菊池部会長 まず一旦述べていただいて、その上でということにさせてください。
○是枝委員 分かりました。
マクロ経済スライドの早期終了、具体的には基礎年金拠出金の按分ルールの改正というのは、報酬比例年金のマクロ経済スライドが止まる前までに行わなければならないと私は認識しております。その意味では、もし報酬比例年金のマクロ経済スライドは次の財政検証である2029年まで止まらない見込みであるというのであれば、調整期間の一致というのは2029年までに判断すればよいことであり、現時点では判断を保留することができるという意味では私はこの部会でも意見を申し上げてきました。そういった意味であるならば、今後の経済状況云々によってマクロ経済スライドの調整期間の実施を行うかどうかを検討すればよく、今回は保留するという結論もあり得るとは思います。ですが、今後の経済状況云々によってマクロ経済スライドの調整期間の一致が発動されるかされないかといった措置を検討するという話はしていなかったと記憶しております。
続いて、調整期間の一致について、本日示された参考資料1の53ページに基づいて意見を申し上げさせていただきます。53ページの基礎年金の財政構造の変化(適用拡大マル2・基礎年金の給付調整の早期終了)という資料について意見を述べさせていただきます。
適用拡大マル2とともに基礎年金拠出金の按分ルール変更を行った場合、厚生年金の積立金の一部、この資料でいう5兆円が厚生年金の2階に使われる予定であったものが国民年金、第1号被保険者の1階部分に充てられることとなります。53ページの資料における事務局の説明は、国民年金第1号被保険者の1階部分に充てられる5兆円というのは、あくまで国民年金第1号被保険者のうち被用者である者に充てられるものであり、被用者の中での再分配にとどまるのであり、被用者から被用者以外、自営業者などへの再配分ではないのだということを説明しているものだと思います。
この説明は、労働者や事業主に対して幾らか納得しやすいものとなっているように思います。一方で、同じ被用者であるからといって、同じ厚生年金の枠組みの中に入っていないということについては不満が残る内容だと思いますので、このような説明をするのであれば、将来的には被用者は全て厚生年金に加入させる方針であり、それが実現した際には全て被用者かつ厚生年金被保険者の範囲内での再分配となるため、それを先取りする形で按分ルールを変更するというような説明の仕方をするのがよいのではないかと考えております。
最後に、5年後の年金部会への展望ですが、今回の議論の整理を取りまとめるに当たり、2024年財政検証を振り返りますと、女性や高齢者の労働参加の進展や積立金の好調な運用などによって将来見通しが明るくなったというのが大きな要素となったかと思います。将来見通しが明るくなったからこそ、必要性が薄れてきた給付を削る、いわゆる厳しい案だけでなく、より必要性が高いものに新たな給付をつくるというような案も含めて、年金制度はどのような制度であるべきかということに立ち返った検討ができたものと思います。
将来については予断を許さないものではありますが、このまま5年間、さらに女性や高齢者の労働参加が進展し、社会として被用者保険の適用拡大を乗り越えることができたならば、5年後にはまた違った景色が見えてくるものと思います。今回検討事項に入っているものにつき、5年後改めて検討させていただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
4点いただきました。3点目、4点目は御意見として承りたいと思いますが、1点目、2点目について、まず事務局、案を策定した側から。
○年金課長 御指摘ありがとうございます。
経済が好調に推移しない場合に発動される備えとしてという30ページのところについての記載ですが、これまでの部会の議論を踏まえた形ということで事務局案としてお示ししたものです。経済が好調に推移しない場合というのは、まさに今回のケースでいいますと、成長型ケースでない、過去30年投影ケースを想定しておりまして、この状況にも書いておりますが、それを中心に議論いただいたものです。備えとしての位置づけの下というところについても、当初からの課題となってきた過去30年のケースにおいて、基礎年金の水準が長期的に低下することを防止する政策ということで議論いただいたものとして、この趣旨を書かせていただいております。
そういう意味では、経済が好調に推移した場合でない場合に限ってという趣旨ではございません。主には過去30年ケースのような経済を念頭に議論したところですが、経済が好調に推移した場合にはこの早期終了の措置を講じなくてよいのかといった議論まで年金部会ではしていないと私どもは認識しておりますし、そういう趣旨で書いているものではないということも、今申し上げたとおりです。
拠出金の按分ルールについては、これはこの先も検討してまいりますが、基本的に調整期間を一致させるという時点から拠出金の按分ルールが発動することになります。したがって、過去30年ケースでいうと、2036年の時点で調整期間が一致して、基礎年金のマクロ経済スライドが停止することになりますので、その代わりに新しい按分ルールが発動して、積立金も加味した形でのルールが動き始めるという順番だと思っております。
○菊池部会長 是枝委員。
○是枝委員 もう一度すみません。調整期間の一致を実施して按分ルールが改正されるとしたら、マクロ経済スライドの調整期間が終了した時点から積立金按分率が変わるというような御説明が今あったと認識しておりますが、正しいでしょうか。
○数理課長 そこについてはまだこれからの検討だと思います。マクロスライドの調整が終わった後から積立金割を導入しても、財政上特段困るものではないということですので、今後引き続き政府与党内で検討していきたいと思います。
○是枝委員 前回示された資料の計算上は、2026年だったか8年だったかの時点から按分ルールが改正される前提の試算だったかと思いますが、確かに年金数理上いつから積立金按分率を導入しても、最終的な結果は同じになるということは理解しております。ただ、積立金按分率の導入が遅くなればなるほど、国年と厚年の積立金のバランスが大きく崩れた状態から積立金按分率がスタートするということになるという理解は正しいでしょうか。
○数理課長 100年間をトータルで見た場合、そこは積立金按分の導入をいつから始めたとしても変わりはないのだろうと思います。足下と将来での切り分けが変わってくるという話だと考えております。
○是枝委員 数理的にはそのとおりではあるとは思います。
○菊池部会長 1点目について事務局の説明がありましたけれども、それに関しては是枝委員から何か。
○是枝委員 認識に相違はないのですが、であるならば、この「今後の経済が好調に推移しない場合に発動されるうる備えとしては」という一文があると、反対解釈によって今後の経済が好調に推移した場合には発動しなくてよいとも読めてしまうことから、誤解がないように「今後の経済が好調に推移しない場合に発動されうる備えとしては」という部分を削ってはいかがかと思います。
○菊池部会長 御意見として承ります。御意見としてまずは受け止めさせていただいて、反対解釈とするとそうなるのだけれども、是枝委員としてはそういう認識の下に賛成したわけではないということでしょうか。
○是枝委員 条件つき発動ということを前提に賛成したわけではなく、今後、過去30年投影ケースの経済状況も生じ得るという前提の下、今後どうなるか分からないけれども、今の時点の判断としていろいろ条件はつきますが賛成できると述べたというところです。
○菊池部会長 了解しました。ほかの皆さんの御意見を一当たり、それ以外の部分も承った後にまた調整をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
いかがでしょうか。
佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
まずは、議論の整理案の取りまとめに際しまして、各種調整など御奮闘いただいた事務局に敬意を表したいと思います。
全体的な感想として、適用拡大が前進に向けた方向性とされていることは評価した上で、その他の項目も含めまして、3つのテーマに対して発言を申し上げます。
1点目は19ページから第3号被保険者制度です。22ページの上から1つ目の○になりますが、第3号被保険者制度について、第3号被保険者制度をめぐる論点についての国民的な議論の場が必要であるとの認識を共有したとして、継続的な議論を前提とした取りまとめを御記載いただいております。連合は本部会において将来的な廃止のイメージを求めてきており、そのことからすると十分ではないものの、少なくとも議論の必要性の点については部会として認識が共有できたものと捉えております。
連合としては、働き方やライフスタイルなどが多様化する中で、配偶者の働き方などにより第3号に該当するかが決まる現行制度は中立的な社会保険制度と言えないことや、女性のキャリア形成を阻害し、男女間賃金格差を生む原因の一つと指摘されたことも踏まえて、就労を阻害せず、働き方などに中立的な制度の構築に向けて取組を今後行っていきたいと思っています。
2点目は、先ほど是枝委員から御質問、御意見があった部分とまさに重複しておりまして、30ページの部分でございますが、先ほど是枝委員が言った文言について、経済が好調に推移しない場合とはどういう場合なのかとか、備えとして位置づけの下とはどういうことかとか、さらに検討を深めるべきと書いてありますが、いつ頃どこでどういった形で検討を深めるのか確認を求める趣旨の発言をしようと思っていました。
加えて、早期終了の措置を講じることについて賛成の意見が多かったという記載についても、年金部会の議論においてそういう前提での説明があったのかどうか、先ほどのお答えからすれば、そういう文言を明確に示してのお話はなかったと思っておりますが、再度確認をさせてください。
そういうことを踏まえまして、基礎年金水準上昇分への国庫負担がない場合の説明なども含めて、こういう表現での文章を書き込むのであれば、改めて年金部会の中で事務局説明、提案を行って、各委員の意見を聞いてまとめるのが本来ではなかったかと思っております。
それから、「9 今後検討すべき残された課題」の39ページ目の障害年金でございます。第22回年金部会でも発言しているとおり、障害基礎年金の支給については、障害厚生年金と同じ3級からとすべきと考えていることだけはお伝えしたいと考えております。
私は以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
是枝委員と重なっている部分は、今、答弁としては必要でしょうか。
○佐保委員 先ほど是枝委員が言ったように、この部分の文章をどう扱うかですね。はっきりこういうことで提案をされていないのであれば、文章は削除してもいいのではないかなと思っています。
○菊池部会長 分かりました。この点も後ほど調整したいと思います。
いかがでしょうか。
駒村委員、お願いします。
○駒村委員 ありがとうございます。
事務局におかれましては、大変御負担のかかる作業だったと思います。
ほとんどの部分では事務局の御提案に賛成であるわけですけれども、やはり今の30ページの部分に関しては、趣旨がまだクリアにはなっていないのかなと思います。今後の経済が好調に推移しない場合とは、それは30年ケースを想定しているのだというお話でしたけれども、一方で、マクロ経済スライドの厚生年金の適用は2026年で終結してしまうはずなので、その判断がどういうタイミングで行われるのか、今後とはいつのスパンの話をしているのか、ここの部分がよく分からない部分としてはあります。一度、厚生年金へのマクロ経済スライドを止めてしまってまた再発動するとか、政府の任意な時期にマクロ経済スライドを動かしたり、止めたりするように読まれるとおかしな話になるので、少しそこは丁寧な議論をしないといけないのではないかなという気はします。
文言的には、まず全体的には、記述はあるのですけれども、42ページに老齢・障害・死別という所得保障の減少云々と書いてあって、ここで拾うのだと思いますけれども、基礎年金が導入されて40年たつ中で、基礎年金というのは、10ページに書いてあるような高齢期の所得保障だけではなくて、障害、遺族も含めて多くのライフステージにおける重要な所得保障の役割を果たしているということをやはりちゃんと押さえておかないと、基礎年金の意義を議論するにはちょっと足りないのかなと感じておりますので、そういう記述が必要だろうと思います。ただ、この10ページに挿入するには文脈がちょっと違うので、やはりその最後のほうでは基礎年金の重要性を改めて、所得保障制度の重要性を確認していただきたいなと思います。
12ページには、加入することへのメリットで、加入することによって被扶養配偶者への特定健診などの権利も発生するととともに、逆にこれまで被扶養者だった人が加入することによってダイレクトに特定健診を受けられることになる。現在、健康保険組合等での問題は、なかなか被扶養者に特定健診を受けていただけないということがありますので、短時間労働者が被保険者になること、直接的に受ける可能性が上がってくるという意味があるのではないかと思いますので、そこも加えていただいたほうがいいのではないかなと思います。
長くなってしまいますけれども、特にこの基礎年金のマクロ経済スライドの早期停止に関して、この意義というのは、やはり社会保障全体で迎えつつある2040年問題ともかかわる部分がある。2040年には団塊ジュニア世代より若い世代、人口のボリュームが多いところはリタイアしていく。それに向かって医療・介護も今後給付の見直しも進んでいくだろうと思います。そういった中で基礎年金のレベルはどうあるべきなのかと点は、社会保障制度全体にかかわります。そこでは、団塊ジュニア、氷河期世代である1974年生まれの世代はどういう世代だったのかということをやはり押さえていただかないと、マクロ経済スライドの早期停止の意義が分かってこないのではないかと思います。残念ながら、そこの部分の記述があまり書かれていないので、果たしてこの後議論を国民の中で深めていただくときに、この意義というものが伝わるかどうかという心配はあります。
配布した資料のほうでは、前回、堀委員も武田委員もロストジェネレーションや団塊ジュニア世代のことについて言及していただきましたので、類似の話になりますけれども、人口が多い、未婚率が高い、そして、現役期間の長期の期間において不利な経済状況を経験しているというのが団塊ジュニア、氷河期世代の特徴です。現在においては、いわゆる瑕疵効果が小さくなったとしても、積分で考えれば年金への期待額はあまりよくないのではないかと考えます。こういったことは慶応においでになった清家先生なども指摘されているということでございます。
一見、分布シミュレーションを見ると、確かに団塊ジュニア世代の年金額は前後の世代と遜色ないように見えますけれども、これはあくまでも今後もトレンドに基づいて労働力率が上昇したというシミュレーションの結果であります。遜色ないのは、今後現役期間の15年ぐらい、10%ぐらい加入期間が延びるという効果を受けているものであります。
ただ、2040年以降、この世代が就業し続けることができるかどうかというのは、同時に介護と仕事の両立政策の効果次第というところもありますので、ここはそのインパクトもちゃんと考えておかなければいけないと。あまり楽観に考えていけないのではないかと思います。
団塊ジュニア世代、氷河期世代がどういうことを経験したかは、資料の参考表で近藤先生の一連の論文を引用させていただいておりますので、これは御参考までです。
それから、5ページは裁定後の基礎年金年金が退職後をどう下がっていくのかというものも分かりやすく説明したもの、これは検証によって確認されているものですので、念のために表示したいと思います。
90年代前半から社会に出た氷河期世代と言われている人たちには、そのキャリアのかなりの部分でかなり厳しい経験をしたと思います。こうした人たちがそういう経済状況を経験をしたことについて、当時の政労使の関係者がどういうふうな見解を持っていたのかというのが6ページから7ページでございますが、ここに紹介されている皆様は大変責任感のある方ばかりで、急激に雇用形態が変わっていく中で十分な対応ができなかったということに対して反省というか、自分たちの責任を感じた意見を出されているということでございます。
いよいよ団塊ジュニア世代、氷河期世代が2040年に向けて退職のタイミングに入ってきたときに、この世代の老後の不安とちゃんと向き合わなくてもいいのか、これは社会の責任としてどうなのかということを7ページに掲げています。狭く年金制度だけではなくて、社会政策として安心できる社会をつくるためにも、あるいは不条理を小さくするためにも、基礎年金の役割と老齢・障害・遺族と3つの役割を果たせることは、所得保障制度の中核的な役割だと思います。
そして、団塊ジュニア世代、氷河期世代の厳しい状況に社会が対応できなかったことに対しては、特に直撃を受けなかったような世代には協力してこの世代の受けたコストを分散して負担していく必要があるのではないかと思います。そのために国庫負担、積立金を考慮した拠出金の調整を使うということで、これにより2040年世代以前に受給している世代の2階部分を調整して、それ以降の世代の1階部分をかさ上げするということが正当化できるのではないかと思います。
取りまとめの中では被用者、被保険者、事業主の理解が得られなかったということが書かれていますけれども、理解が得られなかったのは説明が不十分だったのかということもあるかと思いますけれども、団塊ジュニア、氷河期世代が経験した厳しい雇用環境とその結果としての低い年金額の見通しに、責任と連帯を持つ発想がないのは、非常に残念に思っております。ぜひ今後の議論の中では、被保険者代表、事業主代表は、こういう経緯もあってこの基礎年金の底上げが必要になっているのということを御理解いただきたいなと思います。
それから、今後は単身者が増加していくわけでして、特に単身女性の貧困問題なども広がっていくと思います。そういったことを踏まえて、3号の位置づけ、評価、それから、年金生活者支援給付金の在り方といったものを議論していただくような場が必要ではないかと。
いずれにしても所得保障政策、関連する政策全部に関わる問題ですので、年金単体で議論するだけではなくて、厚労省全体でこの2040年以降の貧困問題をきちんと考えていただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
30ページの記載については、先ほどと同様、後ほどということにさせていただいて、10ページの基礎年金についての記述、それから、医療保険でしたか。
○駒村委員 42ページ辺りで基礎年金の所得保障政策上の意義について触れなくていいかというコメントです。基礎年金が出来て40年たっていますけれども、やはり依然として重要なのだということ、それから、12ページですけれども、健康保険に直接短時間労働者が加入することの意義というのは、短時間被保険者御本人が直接特定健診を受けてアクセスがより直接的になるということもあるので、そこは少し書き加えたほうがいいのではないかというのは本文中へのお願いというかコメントであります。
以上です。
○菊池部会長 すみません。ありがとうございます。
今の2点につきましては、いかがですか。説明の部分ですので、具体的な論点に直接関わるものではないので、そこは書き加えることを含めて検討させていただくということで、今、事務局とも話をしましたので、引き取らせていただければと思います。それ自体にあまり異論はないところだと思いますので。
あとは、それ以外の部分は修文のお求めではないと認識しておりますが、事務局からコメントを。
○年金課長 御指摘ありがとうございます。
私どもも基礎年金の重要性、それから、将来の水準低下への懸念というのは十分共有しておりますし、こちらにも書いておりますけれども、ここの部分については委員の皆様の意見は一致している、重要性へのご認識は一致していると思っております。
その上で、特定の世代を出すのかどうかについては少し議論があると思っておりまして、この整理案では単語は出てきておりませんけれども、当然ながら、今回の調整期間一致については、特に2030年代後半以降の給付水準の確保に資するものです。そこにちょうど氷河期世代の方がその頃に65歳を迎えられるという面がありますので、結果的にそこのところに念頭を置いたものになるということではございますが、本来的には給付水準そのものは特定の世代に限らず全ての世代に影響することでして、このような整理案にさせていただいているところです。
○菊池部会長 駒村委員の問題意識は重々承知いたしました。
○駒村委員 厚生年金に対するマクロ経済スライドの適用期間がどうなるのかというのはよく分からない、曖昧な文章になっているのは気になっているところです。
○菊池部会長 そこは繰り返し御意見をいただきましたので、承知いたしました。今日も資料をお出しいただきましたし、今御発言いただきましたので、駒村委員の問題意識はしっかり残していただけると思っております。ありがとうございます。
それでは、小林委員、お願いします。
○小林委員 御説明ありがとうございました。
今回の「議論の整理」案は、様々な立場の方々の意見を網羅的に盛り込んでいただいておりますので、そのことについては、事務局の皆様の御苦労に対し、謝意を表したいと思います。
私は中小企業を代表する立場として参加させていただいています。何度も申し上げてきたことですが、各事業者の皆さんは、コロナのような大きなイレギュラーな事態を経験した後、立ち直ったところ、厳しさが増して業績が低迷しているところ、本当に様々です。
そうした中、ある意味、政府が主導した賃上げが進められ、それ自体は事業者としても当然そうしたいということで頑張っているところです。他方で、それに伴う社会保険料負担の増加には大変苦慮しておりますので、改革の実施に当たっては、特段の配慮をしていただきたいと思います。
その配慮の一つとして、論旨を明確にする観点から、資料1の15ページ、下から2つ目の○の最後のところなのですが、「段階的に拡大すべき」のところで、「例えば、小規模事業者の基準である20人で一旦区切る」ということなど、ぜひ具体的な方策も加えていただけるとありがたいと思います。
また、17ページ以下にあります「特例」につきましては、人手不足対策を考慮されて御提案いただいたものと、そのお気持ちはありがたいのですが、適正性や効果に疑問があり、多くの中小企業では対処できない。また、様々な影響を及ぼすおそれが高いため、その創設に賛同し難いと考えています。今回、19ページで「妥当性」そのものの検討の必要性についても触れていただいていますので、御提案の特例とは別の方策で人手不足への対策が図られるとありがたいと思います。
なお、今次改正では、第3号被保険者制度の見直し、基礎年金の拠出期間の延長といった課題が積み残しとなったほか、資料には記載がありませんが、マクロ経済スライドの名目下限措置の撤廃についても、意見が寄せられていたかと思います。次期制度改正等で対応すべく、今後積極的な議論が行われることを期待したいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
15ページの記述についてですかね。今の15ページにつきましては検討させていただきたいと思います。
○小林委員 よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、いかがでしょうか。
島村委員、お願いします。
○島村委員 どうもありがとうございます。
事務局におかれましては、幅広い議論を丁寧に取りまとめくださいまして、誠にありがとうございます。
私からは、15ページの文言について1点修正提案をさせていただきたいというのがございます。一番最初の1行目なのですけれども、被用者ならば、「形式的な契約内容によらず、実態に即して判断される」という表現があるのですけれども、形式的な契約形式あるいは契約名称によらず、実態に即して判断されるというのが正確なのではないかと思われますので、その点御検討いただければありがたいです。
先ほど是枝委員からございました30ページの文言の部分について、私も削除していただく案に賛成しております。個人的には、積立金の性質というものに着目すると、基礎年金拠出金として出た部分があったとしても、いまだ国民年金の保険料と言える性質というのが残っているのではないか、そこに着目することによって財政移転を正当化できるのではないかと考えておりますので、付け加えさせていただきます。
最後に、年金の範疇からは外れるかもしれないのですけれども、今回の財政検証では外国人の方たちがかなりの数入国されることも想定した上での結果が出てきたかと思います。外国人の方も働く担い手であると同時に、生活者でもあります。日本人でも外国人でも子供を産んで、育てる環境というものの整備を併せてしていく必要があると思いますので、年金と直で関係はないのですけれども、外国人がいらっしゃることを前提に試算するのであれば、各種の生活しやすい仕組みについても整えておく必要があるということを添えさせていただければと思います。意見です。失礼いたしました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
15ページの1行目は確かに私もそうだなと。形式的な内容というのはよく分からないというのはそのとおりだなと思いますので、ここは修正をさせていただきますので、ありがとうございます。
30ページにつきましても御意見は承りました。ありがとうございます。
それでは、いかがでしょうか。
それでは、小野委員、お願いします。
○小野委員 ありがとうございます。
私は、議論の整理の案につきましては賛成させていただきます。様々な意見を忠実におまとめいただきまして、謝意を申し上げます。
その上で、感想になりますけれども、3点ほどコメントをさせていただきます。
いわゆる年収の壁の件で、16ページの最後に「被用者保険の適用拡大の推進に向けて、こうしたことや被用者保険加入のメリット等について、労働者等に対する広範かつ継続的な広報・啓発活動を展開・強化する必要がある」とされています。ここでいう「こうしたこと」とは、短時間労働者の認定要件のことですが、誰が展開・強化するのか、この主語がありません。私は、この主語には当局とともに事業主団体も含められるべきだと思います。昨年この件について議論したときに思ったのですけれども、事業主から悲鳴のような声が上がっているのであれば、まずは事業主団体が基準の詳細を確認して、残業等は直接関わらないこと等を組織を通じて事業主に周知させるべきではないのかなと考えました。お互いに協力して推進したいということでございます。
2つ目ですけれども、22ページの3号被保険者制度をめぐる論点について、国民的な議論の場が必要であるとの認識を共有した上で、政府に対して適用拡大を進めることにより、第3号被保険者の縮小・見直しに向けたステップを着実に進めるとともに、第3号被保険者の実態も精緻に分析しながら、引き続き検討することを求めるという整理は、私はそのとおりだと思います。
第3号被保険者制度の廃止というのは、共同負担の概念を否定するということになりますので、ここにお書きいただいたような様々なひずみが出てきます。これらは主に応能負担と応益負担との接点の部分に関わる問題を整理することになると思いますけれども、それは非常に至難のわざだと思います。私としては5年後の財政検証における議論を待ちたいと思います。
最後に調整期間の一致と適用拡大との関係ですけれども、かつて権丈委員と会話していたときに、私なりの解釈になりますけれども、これはお金を移動させるか、人を移動させるかの問題でありまして、同じ方向の効果が期待できるというわけです。私はこの件には若干距離を置いていますけれども、やはり人の移動のほうがきれいに結果が得られるということだと思います。お金の移動となるととかくぎすぎすするという話になりますし、人の移動ということになりますと働き方に中立的な制度ということになって、非常にきれいにまとまるという意味もありまして、やはり人の移動のほうがきれいに結果が得られるのではないかなと思っております。
そういう意味で、30ページの文言というのも、私もやや目を引いたわけですけれども、こういうまとめ方もあり得るかなと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。御意見として承らせていただきます。
それでは、出口委員、どうぞ。
○出口委員 ありがとうございます。
この議論の整理につきまして、菊池先生をはじめ、事務局の皆様の御苦労に感謝と敬意を申し上げます。ありがとうございます。
その上で何点かコメントをさせていただきたいのですが、まずは適用拡大や在職老齢年金についてでございます。働き方に中立な制度とする方向性を示していただいた点は高く評価できると考えています。
ただし、適用拡大に関しましては、2点ほどコメントを申し上げたいと思います。
まず、保険料負担割合を変更できる特例のところでございますが、特に対象となる事業主を中心に懸念を示す意見が多くございましたので、事務局におかれましては、これはよく御考慮いただきたいと思います。
それと、労働時間要件が今回残りました。これが今後新たな壁になることが想定されますので、見直しに向けまして速やかに検討していくべきではないかと考えております。
次に、在職老齢年金に関してでございます。取りまとめの方向性に異論はございませんが、文章の記載ぶりについてお願いがございます。今回の見直しにより、廃止まで至るかどうかは別にしまして、少なくとも基準額を引き上げていくという方向性は一致しているのではないかと思います。その方向性を明確化するためにも、25ページの一番下の○の最初の段落です。「引き続き在職老齢年金制度が存続する可能性がある」というこの文言が何回も出てくるので、削除してもいいのではないかと。「基準額の引上げにとどまる」とした上で、次の段落で「仮に制度が残る場合に」ぐらいにして、少しニュアンスを明確にいただいたほうがいいのではないかと思っております。
それと、マクロ経済スライドの早期終了につきましては、部会としては「意見はまとまらなかった」ということを踏まえまして、事務局におかれましては今後慎重に考えていただければと思います。とりわけ私どもから、保険料や積立金の使途を明確にして、基礎年金をめぐる仕組みの透明性向上が不可欠であること、将来の安定財源の確保の時期などが曖昧であること、さらに報酬比例部分の調整期間の終わりも見えていないといった課題を繰り返し指摘してまいりましたが、そうした点がいまだ明確になっていない点についてぜひ御対応をお願いしたいと思っています。
この関連で文案について御検討いただきたい箇所がございまして、30ページの最初の○の2段落目です。「一方で、慎重な意見もかなりあり、」の後ですが、「見直し後の給付と負担の構造が分かりづらい」という記載がございますが、この点につきましても、私どもは保険料や拠出金、積立金などの関係が分かりづらいということを再三これまでもお願いしておりましたので、具体的にこの点も可能であれば明確に記載いただければと思っております。
最後でございます。基礎年金拠出金の45年化についてですが、基礎年金水準の確保の観点からは、今回この45年化が十分な議論がないまま、早々に論点から外れたことは非常に残念に思っております。速やかに議論して実現すべきではないかと思います。
こうした観点から考えますと、これも文言の書き方の問題ですが、38ページに基礎年金拠出期間45年化に関する記載がございます。これも1つ目の○の下から4行目、「引き続き、社会経済の状況などに応じて、議論を行うべきである」というこの表現が少し弱いと思っています。最も自然かつ有効な意義のある方策であると言っている以上、文章を前向きに記載いただければと思っていまして、「社会経済の状況などに応じて」との表現については削除いただいて、実現に向けて議論すべきという前向きな表現にしていただけたらというところが私どもの意見でございます。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
具体的な修文のお求めがございまして、少しお待ちください。
すみません。25ページの「引き続き」以下の部分、その前で切って、それを次の段落に持ってくると。
○出口委員 はい。細かいニュアンスですみません。
○菊池部会長 これは文章表現のニュアンスの問題なので、ほかの委員の皆様から特段御異議がなければ、その方向で修文させていただきたいと思います。
特によろしいですか。
御異議はないようですので、その方向で検討させていただきます。
それから、30ページの「見直し後の給付と負担の構造が分かりづらい」というところを具体的にと。これはもう一度おっしゃっていただいてよろしいでしょうか。
○出口委員 保険料や拠出金、積立金などの関係が分かりづらいということをこちらからお願いしておりますので、具体的にそこを記載いただいたほうが良いという意見でございます。
○菊池部会長 ここは個別の御意見に関わる部分ですので、これも特に御異論がなければよろしいですか。
特に御異論はないようですので、その方向で進めさせていただきます。
それから、38ページの拠出期間延長につきましては、ここは御議論のあるところと思いますので、一旦置かせていただいて、また後ほど調整させていただければと思います。
○出口委員 了解しました。ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、百瀬委員、お願いします。
○百瀬委員 まずは、部会案の取りまとめに御尽力いただいた事務局と部会長に敬意を表します。
私からは、遺族年金、子の加算、それと障害年金に関して意見を述べさせてください。
第一に、遺族年金についてです。32ページの上段で遺族年金見直しの背景となる社会経済状況の変化というのが指摘されています。これに関連して、女性で厚生年金保険料を納付する方が増えていることも見直しを要する背景になっていると思います。男女差のある制度では、女性の拠出した保険料が男性の拠出した保険料に比べて遺族年金に反映されにくくなります。以前にも部会で発言しましたが、アメリカやドイツで遺族年金の男女差解消が行われた背景の一つは、この点が問題視されたことでした。遺族年金の見直しというのは、遺族となった男女の格差解消だけではなく、厚生年金保険料を払う男女の格差解消につながるということを改めて指摘したいと思います。
また、32ページの最後の段落では、遺族年金の見直しに合わせて男女間賃金格差是正や遺族の就労支援等の取組を併せて進めていく必要があるという記述がございます。この記述には大いに賛成をいたします。その一方で、これも以前部会で指摘しましたが、女性の場合、非正規労働者比率の高さや非正規の賃金の低さも考慮する必要がございます。フルタイム労働者の男女間賃金格差是正だけではなく、正規・非正規の賃金格差の縮小に向けた取組も遺族年金の見直しと併せて進めていただきたいと思います。
第二に、子の加算についてです。37ページの上段で、子の加算の見直しに関して、第3子以降の増額以外の論点についても賛成の意見があったという記述がございます。部会の議論では、子の加算を充実させるという方向性には賛成の意見があったと思いますが、老齢基礎年金の子の加算の創設だけは反対意見が多く、明確に賛成と述べた方は極めて少なかったと記憶しています。養子となるケースを除けば、高齢の夫と年下の妻の世帯で生まれた子供だけを優遇する仕組みを新たに追加する理由は乏しいと思います。この点は是枝委員やたかまつ委員が述べていました。このような反対意見があったことも含めて、老齢基礎年金の子の加算の創設については反対意見が多かったと記述を変えることも、可能であれば、御検討いただきたいと思います。
第三に、障害年金についてです。今後検討すべき残された課題として、39ページで障害年金が挙げられています。その記述にもあるように、障害年金の見直しに当たっては、制度上だけではなく、実務上の観点からの検討が必要になります。こうした観点からの検討であれば、年金改革全般を論じる年金部会とは別のところで、実務家の方や当事者の方も含めた少人数で議論するとか、あるいは実務家の方や当事者の方にヒアリングを行うとか、これまでとは異なる審議の進め方が求められるのではないかと思います。今後、事務局で御検討いただければ幸いです。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
32ページに2か所御意見をいただきましたが、社会経済状況云々の部分のお話は、この改正の背景事情に関わるもので、百瀬委員のお詳しいところでもありますので、皆様の御異論がなければ、その要素も織り込んでいくということではどうかとは思うのですが、もう一度修文案というか、盛り込むとすればどういう形になるかをお願いしてもよろしいですか。
○百瀬委員 働く女性が増えており、かつ厚生年金の適用拡大が進められているので、厚生年金保険料を払う女性が増えています。同じように厚生年金保険料を払っていても、女性の場合、自分が亡くなったときに配偶者に遺族年金が残らないケースが多くなる一方で、男性であれば、保険料を払っていれば、自分が亡くなったときに配偶者に遺族年金を残せる可能性が高くなっています。同じように保険料を払っているのに男性と女性で差が生じていることになります。遺族年金の男女差の解消は、この点を是正することにつながるのだという趣旨の文言をどこかに入れていただきたいと思います。ただし、文脈の都合上入れるのが難しければ、この議事録に残していただくだけでも十分ですので、無理に入れていただく必要はございません。
○菊池部会長 ありがとうございます。
もし皆様から御異論がなければ、ここは引き取らせていただいて、可能であれば盛り込んでいただくということでよろしいですか。
では、それでお願いします。
それから、老齢基礎年金の加算につきまして、ここは引き取らせていただいてよろしいでしょうか。後ほどまた検討させていただくようにしますので、ありがとうございます。
それでは、平田委員、お願いします。
○平田委員 まずは、この議論の取りまとめ、本当にありがとうございました。菊池先生、事務局の皆さんに大いなる敬意と感謝を申し上げたいと思います。
今まで出てきた意見に加えての、この報告、議論の整理に対する、追加の意見はございません。その上で、今後の改正に向けて3点申し上げたいと思います。
1点目は障害年金についてです。障害年金に関しまして、まだたくさんのいろいろな、解決しなくてはいけないことが残っているということを、今回の議論で非常に気づかせていただきました。そのことで困っている方が、多かろうと思います。ですので、ぜひ次回の検討会で、もっと進展を見せていければいいと思っております。その際、先ほど百瀬先生がおっしゃいました、現場の方にちゃんと具体的な意見を聴いていくということは、とても大事だと思っております。
2点目は、その現場の声を聞くことについてです。この大切さということを、非常に強く感じております。あらゆる仕組み、例えば年金制度には、当時、当初、その目的たる効果があったと思います。しかし、時代が変わったり、それが行き過ぎれば、意図せぬ負の効果、つまり、逆効果が生まれるということがあります。例えば3号の問題は、まさにその象徴かと思います。
そうした逆効果にできるだけ早期に気づいて、何らか対応していくということがとても大事だと思っておりまして、そのためには、現場で実際に困っておられる人、あるいは雇用している方、働いている人の声というものを、できるだけ聴いていくことで、現場で起きていることを少しでも早く察知することが大事だと思います。
3番目です。年金広報についても書かれていたのですけれども、具体的には41ページのところです。年金制度改正に関する広報では、年金制度の基本的な部分も併せて広報していくことと書かれています。こちらに関して非常に重要だと思っております。そもそも年金は予測できない将来の万が一への備えを国民全体で支え合う仕組みと理解しております。加えて、格差が非常に拡大していると感じておりまして、金銭面でより困難な状態にある人を、国民全体で支える仕組みであるということを、全員がちゃんと理解していくこと、そして、再分配機能の必要性、重要性についてもしっかり広報することが、大事ではないかと思っております。
加えまして、厚生年金に関しましては、そもそもなぜ使用者が被用者の社会保険料を折半して支払っているのか。それが使用者責任というものなのであれば、なぜそうした形で使用者責任を果たすべきなのかということを、明確に伝えることが大事ではないかと思います。そもそも支払うべきものを免れていたというお声もあるかと思いますけれども、多くの事業主はそうは思っていない。多くの事業主にとっては、週30時間以上働く人が社会保険に加入する人で、保険料を折半して支払う対象という決まりだからやっている、という感じで理解していらっしゃる事業主が多いのではないかと思います。私は中小企業の社長様などとたくさん話す機会があるのですけれども、それを長年当たり前としてきた中で、支払う対象に変化が起きて困っている。ですので、そのことがなぜ必要なのかということを、ちゃんと理解される、明確に理解される必要があると思います。このことが被用者、働く人にもちゃんと伝わることが大事で、そこから働いてくれることへの感謝、払ってもらっているものへの感謝という、ちょっと情緒的なことを言いますけれども、感謝の好循環のようなものが生まれるとよいと思っております。
誰しもにその人にとっての当たり前があり、その人にとっての正しさというものがあると思います。その正しさは、今日まで生きてきた中での体験、一人一人異なる体験から生まれてきているし、見てきた現実から生まれてきている。その正しさというのは自分の正しさであって、全体からすればそうでないこともあることに、みんなが気づけていけるような形での広報というものが、とても大事になるのではないかと思っております。
以上です。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、原委員、お願いします。
○原委員 このたびは議論の整理案ということで、非常に膨大な量を細かくまとめていただきまして、私からも感謝申し上げます。
その中で、幾つかコメントをさせていただきます。
まず、第3号被保険者についてなのですけれども、いろいろまとめていただいた22ページ、23ページなどなのですが、全体的にこれはまた少し先の議論へということになるかと思うのですけれども、この部会の会合の場で第3号被保険者についてということで何度かコメントさせていただきましたが、やはり20年、30年先の将来的な方向性として、私は第3号被保険者制度の在り方をどう捉えていくかということについて引き続き議論していくことは必要だと思っております。将来像を考えていくことは、今の若い世代の未来の姿ですとか働き方、特に女性の働き方に対する考え方に非常に影響するほどの重要なテーマだと考えます。私世代ですと、子供の世代ですとか、あと、教えている学生さんの世代に当たりますが、正直、そのような方に第3号被保険者制度を説明するのが難しい面もあります。10代、20代の方はイメージがなかなか湧きにくいというのがあるかと思います。
この制度があることで、特に女性の働き方やキャリア形成に影響を与え、御意見の中にもありましたけれども、やはり男女の賃金格差等をまた生んでしまう原因になり続けるのではないかという思いがあります。さらには、第3号制度が選択肢の一つとして残るとなると、適用拡大が今も進んでおりますが、これからさらに進んで、厚生年金の加入者同士の共働き世帯、非正規ではなくて正社員同士の共働き世帯というのが増えていくと思われるのですけれども、そういった方向性の中においても、昔ながらの価値観などがいつまでも残ってしまうのではないかという懸念もあります。
まずは、今一度、この第3号制度というのが第2号被保険者、つまり、厚生年金加入者、会社員、公務員世帯の夫婦単位であるということと、扶養という考え方の原点に基づいて、議論を引き続きしていくことが必要なのではないかと思います。いろいろな要素が入ってきているような感じがいたしますので、もともとは夫婦単位で扶養、そして、厚生年金の加入者に限ってということだと思います。もともと想定していた扶養という考え方が、現代、そして、将来の姿に合っているのかどうかということを改めて検討していく必要があるのではないかと思います。
時代に合ったものにしていくということはどの制度でも同じだと考えます。40年前、20年前というところと今の状態というのは、違う状況あります。例を挙げれば、ちょっと外れてしまうかもしれないのですけれども、20年前にできた確定拠出年金の中には、企業型と個人型があります。個人型はiDeCoと言われていますが、iDeCoに対しては、今、第3号被保険者の人も加入者として掛金を拠出できます。そういった中での若干の違和感というのも感じていたところであります。ですので、そういった意味では、引き続きの議論になると思いますが、若い世代からの見直しという方向性を探るということなども含めて、議論が必要だと考えます。
そこで、1つ文言の御提案というか確認なのですけれども、「はじめに」の中の冒頭の3ページの真ん中辺りに、共同負担というのはもちろんそうなのですが、その上で、平成16年の年金改正では、「第2号被保険者の負担した保険料は夫婦で共同負担したものとする」という規定が設けられたとありますが、これは厚生年金保険法の78条の13から持ってきていると思うのですけれども、平成16年の年金改正では、「被扶養配偶者を有する第2号被保険者の負担した保険料は」というのが細かく言えば法律どおりだと思いますので、第2号被保険者のといきなり文章に入っていると全体のことに見えてしまうので、後々残るものなので、これは細かくしていただきたいと思っております。
次に、マクロ経済スライドの早期終了について、最後のコメントをさせていただきたいと思います。今回の財政検証では、今後の見通しとして、繰り返しになりますけれども、基礎年金のみ調整期間が長引いて厚生年金の調整が早く終わってしまうというような事態になることが分かったわけですが、それを是正する必要はあると思っており、また、将来世代の給付水準の確保という意味においても先延ばしにしないほうがいいと思っております。
まず大前提として、第2号被保険者である厚生年金の加入者も同時に国民年金に加入しているということと、将来は老齢厚生年金だけでなく老齢基礎年金も受給できるということもありますし、また、賦課方式の年金制度での積立金というのは、これは以前資料もありましたけれども過去の被保険者の保険料の残余が積み立てられて、運用によって増大してきたものということになるかと思います。
特に将来の給付水準を確保するという観点からも、公的年金制度全体として、マクロ経済スライドの給付調整を早期に終了させること、全体として、もともと一緒に終わるという予定だったものがずれてしまっているので、元に戻すといったことが必要なのではないかと思っております。したがいまして、マクロ経済スライドの給付調整を早期に終了させるということは必要なことだと思っておりますので、意見としては賛成です。ただ、慎重な意見というのも大いに理解できますので、これについては十分粘り強く説明していく必要があるのだろうかと思っております。
3つめは子に関わる加算等のところです。特に配偶者加給年金のところがメインなのですが、ここは37ページにも記載がございます。こちらには賛成です。配偶者に関わる加給年金ということで、これも現在の社会の状況に合わなくなっていると考えますので、また、繰下げ受給という選択にも影響を与えるということもあります。被用者保険の適用拡大が進んで、厚生年金に長く加入する人が増えると思われる中で、夫婦単位で、かつ夫婦の年齢差でもって支給の有無や長さが決まるという配偶者加給年金は、これからの時代の考え方には合っていないのではないかと思っております。
あと、配偶者加給年金は特別加算がつくので、金額が大きいということもあります。こちらにも文章にあるとおり、「将来的な廃止も含めて見直す方向で、今回の改正では新たに対象となる者の支給額を見直す」という事務局案には賛成です。ただ、「加給年金を前提に生活している人への配慮」は必要ということかと思います。そうであれば、配偶者の加給年金をぜひ見直していただくということで進めていただき、現在のような状況、背景においては、子供のほうの加算へという動きがありますので、そのような見直しの方向性にも賛成いたします。
最後に、年金広報・教育のところです。前回の議論の整理ではその他の中に入っていた年金広報・年金教育が今回は大きなタイトルで入っていることに、まず、個人的に感慨深いものがございます。
公的年金シミュレーターについては追加機能を検討していただくなど、また、教育現場などでも活用の教材ができていますので、活用を一層進めていただきたいと思っております。
年金教育については、41ページに社会保障制度の一環としての年金教育を推進するというような文言がありますけれども、もちろんこのとおりだと思うのですが、例えば年金と経済の関係という部分も公的年金の場合は大いにありますので、そういった意味では、財政検証から公的年金と日本経済の関係とか、大学生などに向けてになるかと思いますが、財政フレームですとか財政方式などを含めた日本の公的年金の特徴というのは、若いうちから知っていただくと、公的年金への理解がさらに進むのではないかと思います。公的年金というものと私的年金、特に今、関心がある個人年金ですけれども、それとの違い、役割分担、そういったことを基本とするような一体的な広報も引き続き進めていただきたいと思います。
それから、金融経済教育推進機構という言葉がありましたけれども、こちらもやはり老後の資産形成を考える際には公的年金の知識は必須ですので、公的年金の意義から始まって、公的、私的の役割分担など、相談業務ですとか講師業務を担う専門家の方々に向けてまずはしっかりと伝えていただき、広くその方々を通して一般の方々にも広まっていくということが期待されるのではないかと思います。
最後に、年金制度改正に関する広報がありましたけれども、制度改正の趣旨ですとか対象者を国民に分かりやすく細かく伝えていくことや、事業主に対しても正確な情報発信に努めていくというような文言が入っていたかと思うのですが、まさにそのとおりだと思います。特に、今回の制度改正は非常に細かい部分の内容が含まれることが見込まれますので、その記述にあるように、国民や事業主へ直接的な情報発信とともに、誤解のないよう、メディアの方々もそうですけれども、さらに言えば、例えば社労士などの専門家への周知徹底をしていただき、より広く事業主や国民の方々へ制度改正事項やその趣旨、制度変更の内容等を対象者等が分かりやすく理解しやすいよう、正確な情報が伝わるような方法を取っていただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
3ページの第2号被保険者のところの記述ということですが、これは条文に沿った形でというお求めでよろしいですか。
○原委員 はい。
○菊池部会長 そこはより正確にということですけれども、駒村委員。
○駒村委員 今のところはもうちょっと正確にお聞きしたいと思います。原委員が何を意図して何をおっしゃっているかよく聞き取れなかったので。保険料は共同負担の範囲は、離婚時年金分割とか死亡時年金分割にもはねる話なので、丁寧にやらないと、後でモザイクのように変なふうに動いてしまいますので、ここは丁寧に確認していただければと思います。
○菊池部会長 了解しました。
○原委員 23ページのところにも同じような記述があるので、そことの関係もあるのですが、いろいろ出てくるのですけれども、ここにも「被扶養配偶者を有する被保険者が負担した保険料は」と書いてあるので、夫婦で共同負担、この共同負担というのは離婚分割の章に入っているので、3号分割のところの根拠だと思うのですけれども、そこは第2号被保険者というと広くなってしまうので、一応そこは細かく書いておいたほうがいいかと思っております。
○菊池部会長 具体的な修文の御提案があれば、いただけると、今、駒村委員のお求めもありましたので。
○原委員 特にそんなにこだわりはございません。このままでも通じるので、議事録に残していただければいいです。
○菊池部会長 では、今、事務局からお答えさせていただきます。
○総務課長 条文も確認して、もう一回事務局で検討したいと思います。
○菊池部会長 百瀬委員、どうぞ。
○百瀬委員 原委員がおっしゃりたいことは次のようなことだと思います。厚生年金では、夫婦ともに被保険者のケースもありますが、その場合に関しては、共同負担規定というのがないはずです。つまり、条文上は、被扶養配偶者を有する被保険者の払った保険料について、共同負担したものとするという規定になっています。現在の案の文章だと、例えば、夫婦ともに正社員で共働きの人も含めて、保険料を共同負担しているように読めてしまいます。それゆえに、条文どおり、被扶養配偶者を有する被保険者が負担した保険料については共同負担規定があるという形に、記述を変える必要があるのではないかという指摘だと思います。
○原委員 そのとおりです。
○菊池部会長 了解しました。
よろしいですか。
○総務課長 今おっしゃるとおり、条文上は「被扶養配偶者を有する被保険者が負担した保険料については」という記載になっていますので、そのとおりに書くということであれば、事務局としては問題はないかなと思っておりますけれども、要するにそもそも単身の2号の方とかはここに入らないという趣旨ですよね。
○菊池部会長 駒村委員、よろしいですか。
○駒村委員 死亡時年金分割の議論とかが出てきますので、条文どおりだったらそれはそうだと思いますけれども、ほかのところに波及しないか丁寧に確認してもらえればという趣旨でお話ししました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
条文に忠実にというところは間違いのないところであると思いますので、その方向で修文させていただきます。よろしいですね。
○総務課長 はい。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、永井委員、よろしいでしょうか。
○永井委員 ありがとうございます。
まず、遅参いたしまして申し訳ございませんでした。
私からも、今回の取りまとめに対しまして、数多くのテーマに対し丁寧に行っていただいたことに感謝を申し上げたいと思います。
その上で、被用者保険の適用拡大と第3号被保険者制度につきまして意見を述べさせていただきます。
まず、被用者保険の適用拡大ですが、資料のページでいいますと13ページ、上から2つ目の○の辺りになると思いますが、この間の部会におきまして、私のほうからは、労働時間要件が残って19時間近傍で調整する労働者が残ることに懸念があり、労働時間要件の撤廃も含め、今後も議論すべきと申し上げており、この整理におきましては、労働時間で就業調整する者の存在を懸念し、要件の撤廃も含めた議論の継続を求める意見があったということを記載いただきましたことには感謝申し上げたいと思います。今後は部会で取り上げられた課題を整理し、適用拡大をさらに前進させていく必要があると考えております。
また、15ページの事業所への配慮等の○の2つ目のところですが、経営に与える影響を踏まえた経過措置や支援策による配慮、労務費等の事業主負担の価格への転嫁を求める意見も踏まえ、円滑な適用が進められる環境整備のため、準備期間の十分な確保、事業主や労働者への積極的な周知・広報、事務手続や経営に関する支援に総合的に取り組むことが必要だとして、適用拡大に伴う事業所の負担、影響に対する支援の必要性について記載いただきました。今後、適用拡大をさらに検討していくに当たり、こうした観点も併せて検討することが重要であるということに触れておきたいと思います。
2つ目に、第3号被保険者制度でございますが、今回の見直しの議論において、将来的な見直しの方向性について現時点で明示すべきという御意見がありますが、私もそう思っておりますし、また、これまで将来的、段階的な廃止を打ち出すべきとも申し上げてまいりました。今回、第3号被保険者制度をめぐる論点についての国民的な議論の場が必要であるとの認識を共有したとする記載をいただきました。国民的な議論の場の詳細は今後検討されるものと考えますが、可及的速やかにその場が設置され、議論において第3号被保険者の実態を明確にするとともに、議論を着実に前進させていただきたいと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、武田委員、お願いしてよろしいですか。
○武田委員 ありがとうございます。
部会長、事務局におかれましては、議論を取りまとめていただいたことに対して感謝と敬意を表したいと思います。
特に、従来から示しているモデル年金の所得代替率に加え、世代ごとの65歳時点における老齢年金の返金額と分布の将来見通しを初めて丁寧に公表いただいたことは大変労力がかかる作業だったと思います。その点について感謝しており、大変有意義な試算結果であったということを付け加えさせていただきます。
今回の年金制度改革は、過去から経済環境が大きく変化する中で行う制度改革である点が非常に重要なポイントと思います。従来から予想されていた高齢化の進展や健康寿命の延伸に加え、5年前の議論と比べ、物価や賃金をめぐる環境が大きく変わったこと、女性や高齢者が着実に就労を拡大する中でも人手不足が深刻化している点は過去と相当異なる環境になっているとの意識を持っております。
人手不足がさらに進むことになりますと、この先潜在成長率を抑制する方向に働く状況であることは、経済を見ている立場から、重ねて申し上げてきました。したがって、持続的な経済成長と同時に年金財政の安定的な改善を両立させていくには、10ページにも記述のとおり、就労インセンティブを阻害しない制度を確実に実現していくことの重要性は、過去の年金制度改革に比べて一段と増していると思います。
そうした中で、被用者保険のさらなる適用拡大、今回は最低賃金の動向も見ながら賃金要件を撤廃する方向性で意見が一致したことは、大きな進展、前進だと捉えております。一方で、他の委員もおっしゃいましたように、未だ労働時間の要件は残っており、そうした課題もあると認識しております。
また、在職老齢年金制度の引上げの方向性は、先ほど御意見がございましたが皆様も引き上げに前向きだったと受け止めており、こちらも重要と思います。
さらに、共働き世帯が過半を占めている現在、男女の賃金格差や男女の役割意識の是正が求められる中で、第3号被保険者制度は、将来に向けた見直しの方向性を示すことが重要であり、この点は積み残しの課題になったと思います。
資料の記載にございますとおり、まずは適用拡大を進めることにより、第3号保険者制度の縮小・見直しのステップを着実に進めることは非常に重要ですので、着実に進めるということを文字どおりぜひお願いしたいと思います。
今後、第3号被保険者制度の見直しに向けて様々な検討すべき事項があることは承知していますが、スピード感を持って開始し、方向性を早期に示すことで、根強く残っている社会の意識を変え、将来を見据えた議論を行い、時代に合った制度にしていくことが重要と考えます。
日本は今、失われた30年と言われていた時期から、新たなステージに移っていく局面にあるのだと思います。そうした重要な局面で、人生の選択や就労に対して中立な制度にしていくことの重要性を強調するとともに、経済成長と年金財政の持続可能性を両立していくことについて、丁寧に発信していく必要があると思います。
最後に、今回の財政検証では、所得代替率が改善するという大変望ましい結果が示されております。私自身は、そうした結果が出たことを様々な場でお話していますが、残念ながら、そうした事実が十分に国民に浸透していないようにも感じております。年金制度の持続可能性の確保は、全国民の安心・安全に直結いたします。広報活動については、公的年金シミュレーターというツール等で様々努力いただいているところですが、事務局の皆様と我々を含め、データに沿って正しく周知されることが重要と思いますので、その点もお願いしたいと思います。
以上です。ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、たかまつ委員、お願いします。
○たかまつ委員 部会長、事務局の皆様、取りまとめありがとうございます。
私からは、感想や意見、今後検討していただきたいと思う内容をお話ししたいと思います。
まずは第3号被保険者についてです。第3号被保険者は、その中で就業調整をしてしまったり、男女の賃金格差につながってしまっていると思います。なので、このままだと議論が先送りになってしまっているため、将来的な廃止や解消など、その時期などをもう少し入れられなかったのは、個人的には少し残念だなと思いました。本部会でも何度も議論を重ね、文言調整など御苦労されたと思いますが、さらなる具体的な終着点があるような議論ができればと思っています。
ここは、私が個人的に感じたことなのですけれども、委員の中でも男女で大きく意見が分かれたように思います。本部会は女性が比較的に多い部会であるというようなことはお伺いしたのですけれども、部会のメンバーは女性の割合を引き続き減らさないようにするというのは、次回の委員の方がどういうメンバーになるか分からないですけれども、努力を引き続きお願いしたいところです。
今後私が議論したいと個人的に思ったことについてお話しします。今回はあまり議論になりませんでしたが、LGBTQパートナーの方や事実婚の方について、どう権利を保障するのかということをもう少し明確にしていただきたいなと思いました。それが今回はなかなか時間もなくて議論ができなかったと思いますので、次回の検討課題に入れていただくことや、次回改正時の議題に入れていただくことを検討していただきたいです。
また、意見が今回まとまらなかったものも幾つかあったと思いますし、今後の見直しについて、どのような調査やデータがあれば意見がまとまりやすいのかというような見立てをつくり、調査内容を議論できたらいいなと思いました。例えば次回検討課題の議題の素地となるような調査を、財政検証のときの議論のようにどういうデータや調査をしたほうがいいのかということを皆さんで議論して、実際に次回の改選のときまでにその調査を実施した上で議論するということができると、議論が先送りにならないようになるのではないかと思いました。その際、マイナンバーの活用などを年金部会のほうからもっとこういうことができるのではないかみたいな提言みたいなことができると、さらにいいと思います。
あとは、社会保障教育や広報についてなのですけれども、こちらも大きく取り上げていただいて、すごく個人的にはうれしいのですけれども、私が周りの若い世代の方とかにお話を聞くと、皆様も御存じだと思いますが、やはり年金に対する将来の不安感というのが強くあるということが分かりました。私、厚労省の対話集会も実際に見にいかせていただいて、すばらしい取組だと思いましたが、学校の全国の数に厚労省の取組が追いつくというのはなかなか難しいと思います。なので、社会保障教育を行う外部団体の育成ですとか、民間との連携も含めて、授業を実施する団体が増えることや、そういう団体が使える予算措置みたいなのがあるとさらにいいと思いました。なので、社会保障教育を行う民間団体の育成方法などもぜひ検討していただきたいと思います。
あとは、議論をする際に、本当に年金部会ではこんなに幅広く議論しているのかと率直に驚いて、私の知識がなかった部分もあるのですけれども、もっと議論に当事者の方を入れていただきたいというお願いです。ほかの委員の方から御発言もありましたが、特に障害年金については、医師や支援団体の方、当事者の方など、専門家を入れるような会議を新たに設置することやヒアリングすることなど、当事者の方を置き去りにしないために検討していただきたいです。遺族年金においても、やはり当事者の方の声がなかなか見えなかったので、様々な御意見があったのではないかなと思うので、できる限り当事者の方を入れた議論というのができるといいと思いました。
あとは、子供の意見表明についてもお話しさせてもらいたいと思います。私は今回最年少の委員で、やはり年金の知識がない部分もあって、皆様に多々御迷惑おかけした部分もあると思うのですが、年金というのは将来子供たちが大きく影響を受ける制度です。こども基本法の中では、子供に関する施策においては子供の声を聴くということを義務づけています。なので、例えば審議会のメンバーに若者を3割入れるというようなことですとか、そういう新たな試みみたいなものを検討していただきたいです。子供や若者の声、意見をどのように取り入れるのか、もう少し方法を議論して、実際にただそれを聴くというだけではなく、施策にまでどうやってできるのかという方法をより検討していただきたいと思います。
あとは、格差をどう縮めるかということについても検討していただきたいです。この部会でも年金生活者支援給付金などについてお話ししたと思いますが、低年金者の方の生活をどう保障するのか、私は解決策の一例として高齢者のお金に余裕がある方からの課税などを何度か提案したことはあったのですけれども、そのことについて大きく話すテーマとか時間がなかったと思うので、もっと話したいなと思いました。
高齢女性の低年金から生活保護につながっている、生活保護を受給されている方も多いと思うので、女性のライフワークというものを横串で刺して議論するような場ですとか、そのような観点から年金制度を見直す場があれば、さらによかったと思います。
あとは、子育て支援についてもいろいろ意見される方も多かったと思うのですけれども、そのことに関しても、当事者の方を入れた議論ですとか、あとは年金だけではなく子育て支援はほかにどうしていくのかとか、あとはほかの省庁の審議会に年金制度の観点から見てほかの子育て政策とかこういうものがあったほうがいいと思いますというような提言みたいなものを出すということとか、そういう連携みたいなことができるとさらにいいと思いました。
最後に、議論の在り方についてです。厚労省からの議論の説明の部分、例えば委員の皆様が事前に受けられているようなものとか、そういうものを公開することはできないのかなと思いました。というのは、この審議会の間にもデマが拡散されたりしたこともありましたし、どういう議論が審議会で行われているのか全然分からないというような、それは本当はここに傍聴に来たり、YouTubeを見たり、議事録を細かく見れば分かるかもしれないのですけれども、一般の方々にはなかなか伝わっていないこともあるのではないかなと思いました。なので、資料を見ながら、その資料と対応した説明というのが動画であるだけでも議論に参加できる人が増えると思うので、そういうのが年金に対する不安感とかが解消されていくものにつながると思うので、そういうのを例えば事前に公開するですとか、その部分が難しいとしても、この審議会での冒頭の部分も音声のほうは少し改善されたと思うのですけれども、冒頭の説明の部分だけでも動画であると、若い人は動画になじみがあるので見やすいかなと思いました。そういうような議論の在り方なども、国民や若者の安心感につながるようにするため、今回もいろいろな新しい取組を始めていただいたと思うのですけれども、次回改正時は、引き続きそのようなどのようにすればもっと若い人に伝わるのかということをいろいろなSNSとかを駆使したりすることも含めて検討していただきたいなと思いました。
以上になります。
○菊池部会長 ありがとうございます。
確かに、毎回の部会の前に、総務課長か年金課長が国民の皆様に分かりやすくYouTubeで今回の議論はこういうことをやりますというのを説明するというのは、いいアイデアだなと私個人は思います。
○たかまつ委員 ありがとうございます。ぜひ検討していただきたいです。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、オンライン参加の権丈委員からお願いいたします。
○権丈委員 事務局の皆さん、本当にお疲れさまでした。
私としては、国際社会保障協会での公的年金シミュレーターと適用拡大サイトの受賞は本当におめでとうと言いたいところです。年金広報の長い歴史、民主党政権下で広報費ゼロ査定の歴史などを知っている者として、本当にこれはうれしく思います。おめでとうございます。
ということで、今日の議論の整理案ですけれども、私としては、改革のキーワードとして「働き方に中立」に加えて「雇い方に中立」というワードが入って、非常に物すごく大きな前進だなと思っております。そして遺族年金でジェンダー平等、有期化という大きな改革が今回なされること、世の中には高く評価してもらいたいと思います。
幾つか感想を述べさせてもらいますと、年金制度と世論の関係をどう考えるのかというのはとても難しくて、もし年金制度が世論とかいろいろな人たちの意見の数で決まるのであれば、2004年改革は実現できていないのではないかとも思います。
ただ、世論が大きく事実と違ってくると、ミクロには多くの人たちが長い人生の中で選択ミスをして、不幸になっていくというのはある。20年前から10年間ほど年金が政争の具とされて、年金世論が物すごくすさんでいたために、当時のうわさを信じて未納を決め込んだり、繰り上げ受給をしてしまった人たちが、どうも大勢いる。その人たちは今となっては何とかならないのかと後悔したりしているのだけれども、彼らの判断ミスの責任は誰が取るべきなのかと考えると、その多くはメディアにあるのではないかと私は昔から言っています。
今もそうで、3号はお得で不公平だ、年収の壁は大問題で働き損だという報道をすると、普通、人は3号を利用しようとするし、就業調整をしようとします。これは当たり前です。
問題は、そうした報道が正しいのか、ファクトチェックをし終えたものなのかということになります。
私は若い記者たちには自分でしっかり考えたほうがいいと話しています。考える材料としては、今日も小野委員は難しい話をしていたのですけれども、本質的な話をしていたわけですが、例えば難し過ぎるかもしれないけれども、小野委員の話を時系列で追って理解できるまで自分で考えなとか、あと、今年3月に東洋経済の野村記者が書いた「専業主婦『年金3号』は公平で正当性のある制度だ」というオンライン記事があるのですけれども、そういうオンライン記事も若い記者たちには勧めています。その記事には、3号は主婦層からの反発をおそれて廃止できないというような話ではない、というかなり正確な話が書いてあるわけです。彼の予測に基づくと、「専業主婦の年金3号は廃止されることはない」というのを3月に書いているわけですけれども、その論拠を若い記者たちは批判的な観点で眺めてみて、本当に野村記者の論を潰すことができるのかどうかを自問自答していきながら学んでいったらどうですかという話をしています。
今日の資料にもありますけれども、日本の年金は1人当たり賃金にだけ基づいて設計されているために、片働きとか共働きとか単身などという家族類型とは全く関係ないです。そのことは、賃金以外の状況が歴史的、時代的に変化したとしても、年金制度は対応できるということになってもいたりする。
確かにジェンダー平等にはほど遠い社会なのだけれども、そうした社会が第3号被保険者制度に原因があるのかどうかというところは大きな論点なのですけれども、第3号被保険者制度が原因であるかのような記事が多々ある。そうした記事が、3号を利用する必然性もない人たち、若い人たちは利用する必然性はあまりないのですが、この議論の中でコーホートという言葉が出てこないということ自体、私は不思議で仕方がないのだけれども、そういう3号を利用する必然性もない人たちに継続就業をやめさせたり、さらには就業調整をさせたりする影響がメディアにあるとしたら、私は罪が大きいと思っています。
年収の壁や3号周りの報道を信じて、彼らが就業調整をするようになるという現象を「予言の自己実現」と私は呼んできました。この国では一旦仕事を辞めると元に戻るのが極めて難しい状況にまだまだある。そういう残念な状況にあるために、つらいだろうけれどもしがみついてでも就業を継続したほうがいいよとアドバイスするのが大人からのアドバイスになるはずなのですが、今のメディアはその逆のことをやっている。とにかくメディアの人たちには自分で考えてもらって、3号の利用を促したり、就業調整を結果的に勧めていることになる報道、それは多くは誤報なのですが、そういうのは避けてもらいたいと思っています。
そして、2008年辺り、年金抜本改革とか破綻とか言われていたあの時代には、幾つもの抜本改革案を政府側が肉づけをして、そして、その肉づけした制度を比較することによっていろいろとその具体案を議論していって、いろいろ言われていた抜本改革案、最低保障年金が必要であるとか、租税方式にするべきであるというただスローガンが掲げられただけの議論というものを政府側は潰していったわけだけれども、3号周りの議論ももうそういう段階に入っているのではないのかと思っています。
それと、調整期間の一致の話なのですけれども、日本の年金というのは、基礎年金は最低保障年金でもないし、ベーシックインカムでもないですということはまず押さえておこうということです。最低保障年金やベーシックインカムの観点から見れば、日本の基礎年金は初めから壊れています。何も今年7月の財政検証をきっかけに基礎年金は壊れているということが明らかになったわけではなくて、始めから基礎年金は最低保障年金でもないし、ベーシックインカムでもないということです。
この最低保障年金とかベーシックインカムを言う人たちは、日本の年金というものをホラーストーリーで語らなければならなくなってくるという論理必然性を持っているわけで、先週も就職氷河期世代の厚生年金被保険者期間の延びは「たらればの話」と言う人もいたわけで、年金の抜本改革とか言っていた民主党の時代の岡田克也さんは、2005年には「国民年金制度は壊れている」と発言していたわけですが、7年後の2012年にはあの発言は「大変申し訳ない」と発言したりもしている。
就職氷河期の人たちに限らず、非正規就労のグループが、世代にかかわらず、基礎年金は満額かのような前提で話をしていいのかというのは、やはり多くの人たちが疑問を持っている。免除とか若年者猶予とか未納が多いだろうこのグループには、基礎年金の満額を多少底上げして、効果はどのくらいあるのだろうかと。しかし、その改革というのは、満遍なく給付を行うために莫大な財源が必要になる。これは中高所得者にも満遍なく給付を行うベーシックインカムというものに共通する話なのですけれども、それは本当に効率的・効果的な政策なのだろうかというのは、多くの人たちが疑問に思っているところです。
今回、この年金部会では過去30年投影に基づいて調整期間の一致の議論をしてきましたが、財政検証は予測ではなく投影であって、それぞれの発生確率にウェイトを設けなかった従来の方法を、年金局が自ら否定する形になったのではないのかなと思います。だから、今年の財政検証でのいい結果、あるいは分布推計とかいろいろなものが出てきて、モデル年金に基づいた議論ではないさらばモデル年金の時代に入ったのだけど、財政検証の後、ぱたっとその話が止まってしまい、過去30年投影のモデル年金の話ばかりになった。そのため、年金世論は何だか大変なことになっているのではないか、抜本改革しなくてはいけないのではないかという形で相当すさんでいると感じます。
そうした議論の進め方の年金論的なおかしさ、あるいは政治的な危うさに気づいた人たちが、調整期間の一致はリスクシナリオが実現する場合に発動する備えとして位置づけたということは、私は妥当ではないかと評価しています。
45年化については、45年化は国庫負担の力も借りて、年金の所得代替率を大きく改善する効果があり、45年化は調整期間の一致と国庫負担で競合し、両方をやると物すごく給付水準が高くなります。ゆえに調整期間の一致というものは、45年化やさらなる適用拡大にとっては、私はトロイの木馬になるだろうと予言しております。
ということで、全部が感想で、修文の要求、要請は一切ありませんということで終えたいと思います。どうもありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
駒村委員。
○駒村委員 先ほどの原委員の御指摘の部分は、法文どおりの修正でよろしいのではないかと思いました。ただ、そうすると23ページの記述が気になってきて、共同負担の基本認識に伴う年金分割等の在り方というのが、どの年金分割を指しているのか曖昧になってきて、これは3号分割なのか、2号同士の離婚時分割、死亡時分割を指しているのか、ちょっと整理をしていただきたいなと思いました。
以上です。
該当部分は分かりますでしょうか。23ページの上から1つ目のポツで、「それに伴い、年金分割等の在り方」のところの年金分割とは何を指しているのかというのが、3号分割を指しているのか、2号同士の離婚時分割や死亡時分割も入れているのか、ここの表現が曖昧なので、そこのところは丁寧に書き分ける。それぞれの分割の根拠が違うならば、この書き方だとちょっとおかしいのではないかなというので先ほど引っかかったので、申し訳ないです。結構です。
○原委員 ありがとうございます。
○菊池部会長 是枝委員、これに関してでしょうか。
○是枝委員 その点で、駒村委員の先ほどの発言について、23ページのそれに伴い、年金分割等の在り方も検討する必要が生じるのはあくまで3号分割に限った話であり、仮に第3号被保険者制度を廃止したとしても、2号同士の離婚時分割には影響を及ぼさないと思います。なので、ここは3号分割の在り方も検討する必要があると正確に表記したほうがよいと思います。
○原委員 ありがとうございます。私もそう思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
原委員、改めてどうぞ。
○原委員 私もこちらの文脈を読んだときに、ポツのタイトルが「第3号被保険者制度に付随する制度への影響」ということですので、3号分割と理解しておりました。ありがとうございます。
○菊池部会長 この「等」は何かというのも、細かく言うと気になるですが、事務局からこの点に関してどうですか。
○総務課長 精査はしますけれども、大体御指摘の方向で修文を検討したいと思います。
○菊池部会長 今ございましたように、御議論いただいた方向で見直すということで、よろしくお願いします。
長時間にわたりまして、ありがとうございます。これで一当たり皆様から御意見をいただくことができました。
宿題になっておる事項が3点ございます。少しお時間をいただければ思います。恐縮です。
改めてですけれども、私3点と認識しておるのですが、それを確認させていただきたいと思います。
まず、30ページの(本部会における議論)の3行目からです。「今後の経済が好調に推移しない場合に発動されうる備えとしては」の部分は削除すべきではないかという御議論をいただきました。そういうことでよろしいですか。
○是枝委員 30ページの最後の2行、「上記の経済が好調に推移しない場合に発動されうる備えとしての位置づけの下、さらに検討を深めるべきである」の部分も全く同じ文言が使われている箇所になるかと思います。
○菊池部会長 そうですね。ありがとうございます。
それから、37ページの老齢基礎年金の加算は反対意見が複数というか、多かったというか、あったのではないかという旨を記述に入れたほうがいいのではないかという御指摘でよろしいですか。
これは百瀬委員でしたよね。そういうことでよろしいですか。
○百瀬委員 老齢基礎年金の子の加算については、積極的な賛成意見はむしろなかったと記憶しています。
○菊池部会長 その認識を含めて。
それから、出口委員から、38ページの下からというか、マル2の上の4行目のところにある「社会経済の状況などに応じて」という文言は要らないのではないかということですね。
○出口委員 そうです。
○菊池部会長 ちなみに、ほかにはいいですか。ほかにはなかったと私は認識しているのですが、よろしいですか。
ありがとうございます。
○総務課長 ただいま御指摘いただいた3点について、事務局の考えを御説明いたします。
まず、30ページに2か所出てまいります「経済が好調に推移しない場合に発動されうる備え」という表現ですけれども、この解釈につきましては、先ほど年金課長から御説明をいたしましたとおり、過去30年投影ケースのような場合に基礎年金の調整が30年以上続くような場合を想定して議論してきたということを踏まえて書いたものでございます。
経済成長するような場合にどうなるかというのは、参考資料でいうと56ページのような図で示しているところでございますけれども、このようなケースについてどうするかというような議論はこの部会ではできていないのではないかと。仮にこういう成長するようなケースで調整期間の一致をやるかやらないかという話以前に、そもそもこういう状態になったときに、仮にこの状態で調整期間の一致をやれば、来年から1階、2階とも調整が止まるというような状況になるわけですけれども、そういう状況についてこの部会で議論ができたかというと、そこまではしていないのではないかと認識しておりますので、そういう意味では、やはりこの調整期間の一致というのは基本的には過去30年投影ケースのような経済が好調に推移しない状況というのを念頭に置いて議論してきたということであって、その旨はきちんと明記をしておく必要があるのではないかというのが事務局の考えでございます。
それから、37ページのこの子の加算ですね。老齢基礎年金については賛成がなかったのではないかという御指摘ですので、これについてはまた当時の議事録も確認しつつ、正確な賛否の状況を書き表せるような修正を検討したいと思います。
最後、38ページの45年化のところで引き続きというところですけれども、ここも「社会経済の状況などに応じて」という部分は削除する方向で考えたいと思います。
あと、追加なのですけれども、原委員の御指摘に関連して、19ページにも同じような記載があって、19ページの下のほうのマル2の下の段落にも第2号被保険者の負担した保険料は夫婦で共同負担したという記載がありますので、ここも3ページと同じように修正をしたいと思います。
以上になります。
○菊池部会長 ということでございます。
2つ目の加算については、御議論の内容を精査した上で、私のほうでも責任を持ってその旨の記述を入れさせていただきたいと思います。
3つ目は削除ということで、ほかに御異論がなければ進めさせていただきます。
1点目に関してですけれども、是枝委員、いかがでしょうか。
○是枝委員 先ほどの趣旨の明確化があったかと思いますが、それであるならば、この「今後の経済が好調に推移しない場合に発動されうる備え」というような書きぶりは、やはり発動されるかされないかということを明確に書いている、つまり、今後の経済状況次第でやるかやらないかですよということを念頭に議論を行ったという解釈ができてしまいますので、部会での議論の趣旨をより正確に説明するという観点から申し上げます。「過去30年投影ケースとなる可能性も想定しつつ」というような文言ではいかがでしょうか。その上で、想定しつつ、マクロ経済スライドの早期終了の措置を講ずることについて賛成の意見のほうが多かったというようにつなげると、部会での議論に合った形での報告書の取りまとめになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○菊池部会長 ありがとうございます。
事務局から。
○総務課長 30年ケースは一つのシナリオではあるわけですけれども、必ずしもそれに絞っているわけでもないので、もう少し幅広く読めるような言い方ということで、経済が好調に推移しないというような表現にしているということです。
○是枝委員 では、「今後の経済が好調に推移しない場合も想定しつつ」というような文言ではいかがでしょうか。
○菊池部会長 ちなみに、今、話をしているところですが、「今後の経済が好調に推移しない場合も想定しつつ」ですよね。先ほど御議論いただいた、さらに複数の委員からも同様のお求めがあったと思いますが、ちなみに今の是枝委員からの表現ぶりについての御意見、あるいはほかの委員の皆様から何かあれば、併せて承りたいと思いますが、特にはないですか。
○佐保委員 さっきの過去30年投影ケースのようなとか、要は前提が分からないのです。どうなると、こうなるというのがこの表現では分からないです。しかも、この話はどこかで話しましたっけというところで、さっき過去30年投影ケースという説明があったので、「のように」とかそういう頭言葉があるといいなということで発言しました。
○総務課長 そうすると、例えば「過去30年投影ケースのように、今後の経済が好調に推移しない」とか、そういうことならいいですか。
○是枝委員 それはまずよくて、その上で、最後の「発動されうる備えとしては」というのは、条件が満たされたら発動される、満たされなければ発動されないという反対解釈のできる文章になりますので、あくまでそれは経済状況がどういう可能性があるかということを考慮した上で検討しましたよというものにすぎないかと思いますので、何々の場合に発動され得る云々というような文言は削除するほうが部会の議論に沿った表現になるのではないかと思います。
○総務課長 発動され得るどうこうということに関して言うと、もちろん経済状況の話もあるのですけれども、もう一つ大きな問題として、財源をどうするかと。そこがクリアできないと、というところもありますので、それも含めて「発動されうる」という表現になっている。
○是枝委員 財源と発動されるというものの関係性はどうなっているのでしょうか。
○総務課長 財源自体が必要になるのは将来の話ではありますけれども、やはりある程度そういう財源確保の見通しといったものを見つつ考えていくというところはあろうかと思っております。
○是枝委員 それは当然財源が確保できないならば実施できないという話で、発動する云々ではないと思います。
○総務課長 ただ、全く見通しが立たない状況で発動できるのかというのは、やはり議論あろうかと思います。
○是枝委員 50%のようにこれを切ったら自動的にやりますというような話が発動という話なのではないでしょうか。あるいはマクロ経済スライドのように開始するための条件、終了するための条件がそろってこそ、何々する場合に発動するというような話が出てくるのではないでしょうか。
○総務課長 実際にどう判断するのかというのはさらに詰める必要はありますけれども、やはり財源確保の状況などを見つつ判断していくという意味で「発動されうる」ということかと考えております。
○菊池部会長 島村委員、どうぞ。
○島村委員 発動という言葉が、何を発動したいのかという点で、多分2つあって、厚生年金へのマクロの継続という話と積立金割の導入で、多分前者についてはもう発動しなくてはいけない。そこがこの案ですとごにょっとなってしまっているので、私は「発動されうる」という言葉は是枝委員がおっしゃるとおりは省いたほうがよいのではないかと思っています。
○菊池部会長 それに変わり得る島村委員の妙案は。
○島村委員 私は是枝委員がおっしゃった「推移しない場合も想定しつつ」でよろしいのではないかと思いました。
○菊池部会長 ここで私が何かすばらしい妙案を御提示して、皆さん一堂に御納得いただけるような形にできればいいのですが、そういうわけにはいかないので、事務局もよく考えられて出された案ではあります。ですので、かといって、この場でやり取りしてもまとまらないと考えます。
そこで、異例ではあるとは思うのですが、今の3点以外の修正提案につきましては、個別に前向きに検討させていただきます。この方向でと申し上げた事項は幾つもありましたので、それはその方向で進めさせていただくことにし、今の3点のうちの2点目、3点目についても基本的に取り入れさせていただくということにさせていただき、今の30ページのこの部分を除いて部会長に一任を取らせていただければということでございます。
そして、この今議論している事項につきましては、何らかの修正を入れるという前提で、事務局と私、そして、今日修正のお求めを発言された、私の認識では4名の委員の方、そちらに並んでいらっしゃる委員の皆様と調整をさせていただく。ただ、期限のある話なので、そこはここまでみんなで一緒に議論してきましたので、まとまる方向で議論させていただき、その上で、この点についての文言案をまとめて、委員の皆様にそれをお示しし、その上で全体を確定させる。やはりこの場で全体一任をいただくのは難しいと思いますので、異例ではあるのですが、そのような形で、特に4名の委員の皆様、御理解いただければと思うのですが、よろしいでしょうか。そして、そういう形でまとめの方向に持っていかせていただくということで、ほかの委員の皆様も御了解いただけますでしょうか。
(首肯する委員あり)
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、引き続き調整事項が残りましたけれども、それ以外につきましては私に御一任いただけたということで、文言調整を事務局とさせていただき、さらに、今議論していた点も含めまして、修正が終了した時点で委員の皆様にその修正内容の全体をお伝えするということにさせていただきたいと思います。そして、それを厚生労働省のホームページでも公表するという形にさせていただければと思います。
私も不手際というか、まとめ能力がいま一つで大変申し訳ないのですが、そういうことでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、そのような形で今後進めさせていただきます。
以上、大分時間をオーバーしてしまいましたが、予定しております議事は以上で終了とさせていただきます。
委員の皆様におかれましては、これまで長期間にわたりまして公的年金の在り方について御議論いただきまして、活発な御議論をいただきましてどうもありがとうございました。
この年金部会では、先ほども冒頭で申し上げましたが、一昨年10月に議論を開始し、2年以上の長期にわたり24回の部会を開催して御議論いただきました。先ほども委員からも御意見がございましたが、今回の年金部会では非常に幅広いテーマを取り上げて議論を行ったと思います。私もこれまで何回か改正の議論に参加させていただきましたが、恐らく今回が一番幅広の議論だったように思います。
いろいろ議論はございましたが、前回の制度改正から継続して議論してまいりました被用者保険の適用拡大については、賃金要件や起業規模要件の撤廃、個人事業主の非適用業種の解消、また、在職老齢年金についても見直しをしていく方向でおおむね意見の一致を見たところであります。
また、これまで本格的な議論が行われてこなかった遺族年金についても議論を行い、男女差解消などの見直しの方向性が示されたかと思います。
さらに、今も議論になりましたけれども、財政検証の結果を踏まえて、基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了についても議論は深められたと思います。基礎年金の拠出期間延長とこれに伴う給付の引上げについても、今回は議論できなかったですが、引き続き検討課題であるということを確認しました。先ほどもそこの文言調整もさせていただきました。
このほか、本日も第3号被保険者制度については大変多くの御意見をいただけましたし、また、障害年金についても、まだ本格的な見直しをしたことはないと思いますが、一定の議論を行って将来の議論につなげられたと思います。
このように多岐にわたる議題について、委員の皆様から忌憚のない多くの御意見をいただき、本日、本部会としての議論の整理案について議論をさせていただきました。最終的な成案は、今後、一定のプロセスを経た上で、取りまとめを私が責任を持ってさせていただきますが、今後の検討課題はいろいろありますけれども、現時点での本部会の議論の到達点を形にできるのではないかと思います。
委員の皆様には、限られた時間の中で取りまとめに御協力いただいたことに改めて深く感謝申し上げます。
事務局におかれましては、この議論の整理を踏まえ、まだ宿題は残っていますけれども、内容の具体化、関係者との調整など、法案に向けた作業に取り組んでいただくことになりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、最後に、今回の議論の整理に当たりまして、間年金局長より一言いただきたいと思います。
○年金局長 年金局長でございます。
菊池部会長をはじめ、年金部会の委員の先生方に、私からも心からの感謝を申し上げたいと思います。
1985年の昭和60年改正で基礎年金を創設し、女性の年金権の確立と言って3号被保険者制度をつくって、そして、再来年、初めて基礎年金制度の下でフルペンションの受給者の方がでてくるといったような時期です。そして、今の財政構造をつくりました2004年の制度改革から20年が経過しました。2004年改革は、保険料上限を固定し、マクロ経済スライドを導入し、そして、そこに現在現在の受給者にも御協力いただく形で年金の持続可能性を高める、国庫負担も2分の1にします、積立金も活用しますと、今の財政フレームがまさにそこに出来上がったわけでございますが、そのマクロ経済スライドをどう終わらせるのかという議論ができるような時代になったということで、大変そういう意義深い時期に、多岐にわたりまして、そして、精力的かつ建設的な御議論をいただきましたことを感謝申し上げます。
先ほど部会長からも、一昨年の10月からですから、2年2か月余り、24回と開催したというお話しがありましたけれども、回数で語るにはあまりにも失礼なほど中身の濃い御議論をいただきました。ちなみに、前回改正のときの年金部会の御議論は15回でございましたので、そういった意味でも大変広範な深い御議論をいただいたということだと思います。
今回、財政検証が7月3日に公表されたわけですけれども、その中で、皆様御案内のように働く方々が増えたといったこと、そういう意味で被保険者も増えました。そして、年金の積立金が好調だったことなどを背景に、5年前よりも財政的な見通しがよくなったというのが一つ重要なことだったと思います。
それと同時に、私が2回改正前のときに年金課長だったときには実現しなかった分布推計という非常に新しい取組ができて、そして、特に女性の場合には若い世代ほど年金がよくなっていくということが示されたことは非常に意味のあることだったと思います。特に若い世代に向けても重要なメッセージになったのではないかと思っています。
それに併せて、本年11月に年金額の示し方について、いわゆるモデル年金ではなくて個人単位でもお示しして、あとは組合せの問題であるといったことを示してきたのも新しいことだったと思います。
こういった取組をしながら、年金については信頼性を高めていくということが非常に重要でございますので、その上で、今日も委員の皆様からたくさんお話がございましたが、時代に合ったものにするという意味で、働き方に中立、雇い方に中立という話もございました。そういった時代に合ったものにしていくということが大切です。
それと同時に、老齢だけではなくて遺族、障害もある中で、様々な状況にある人たちがいらっしゃり、対応するという意味で、基礎年金水準の話であったり、例えば遺族年金を今回20代から50代についても見直しをさせていただいておりますけれども、その中で単に5年の有期というだけではなくて、その後の様々な所得状況なども踏まえて継続給付を創設するというような御提案もさせていただいて、委員の皆様方から御承認をいただいていると思っています。
こういったそういう状況の変化にもきめ細かに対応するといったことも含めて、今回いろいろ御議論いただけたということをありがたく思っております。
全ての事項についておおむね意見が一致したというような形にはならない点については、私どもの御説明が十分ではなかったところもあるのかもしれません。ただ、今後は、今回いただいた御意見をしっかり踏まえまして、引き続き検討も進め、政治あるいは関係方面ともよく調整をしながら、法案の成案を得るべく、検討を進めてまいりたいと思います。
先生方の御尽力に本当に心から改めて感謝を申し上げまして、私からの御礼の言葉とさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、今後の予定について事務局からお願いします。
○総務課長 本日も長時間にわたりありがとうございました。
今後の開催につきましては、必要に応じて御連絡をいたします。
○菊池部会長 それでは、本日の審議はこれにて終了いたします。
御多忙の折、また、大変長時間にわたって御議論いただきまして、どうもありがとうございました。
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