2017年2月14日 社会保障審議会企業年金部会確定拠出年金の運用に関する専門委員会

(第1回)

年金局企業年金・個人年金課

 

○日時  平成29年2月14日(火)9:30~11:28

 

○場所  厚生労働省 専用第12会議室(中央合同庁舎第5号館 12階)

 

○出席者 森戸委員長、臼杵委員長代理、井戸委員、大江委員、重富委員、杉浦委員、清家委員、山崎委員

○議題

(1)委員長の指名等について

(2)社会保障審議会企業年金部会確定拠出年金の運用に関する専門委員会運営規則について

(3)過去の議論の整理について

(4)その他

○議事

 

○青山企業年金・個人年金課長

 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第1回「社会保障審議会企業年金部会 確定拠出年金の運用に関する専門委員会」を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

 私、厚生労働省年金局企業年金・個人年金課長の青山でございます。委員長を御紹介するまでの間、私、青山が議事進行を務めさせていただきます。

 本日は、社会保障審議会企業年金部会確定拠出年金の運用に関する専門委員会の第1回に当たりますので、鈴木年金局長から御挨拶を申し上げます。

 

○ 鈴木年金局長

 おはようございます。年金局長の鈴木でございます。よろしくお願い申し上げます。

 委員の先生方には、本当に御多忙のところ、当専門委員会の委員に御就任いただきまして、本当にありがとうございます。

 冒頭、一言御挨拶を申し上げますとともに、検討をお願いするに当たりましての私どもの基本的な考え方などをちょっと申し上げさせていただきたいと思います。

 御案内のように、我が国の国民の老後の所得保障ということで、公的年金制度を主たる柱としつつ、私的年金をこれに組み合わせてより充実を図っていくといった基本的な考え方にあるわけでございます。その上で、今の全体の状況を申し上げますと、御案内のように、昨年の臨時国会で公的年金制度につきましては、年金改革の2法案が成立いたしまして、公的年金制度につきまして、額改定ルールの見直しでございますとか、あるいは国民からお預かりいたしております大事な年金積立金を運用するGPIFのガバナンスの強化、こういった取り組みが実現したところでございまして、こうしたことを通じまして、公的年金制度につきましては、持続可能性を維持し、さらに強め、そして機能強化を図っていく、こうした取り組みを不断に行っていくというところでございます。

 そうした中で、今後、いろいろな社会経済の情勢を見据えますと、やはり国民の老後の所得保障を充実していくためには、公的年金を主たる柱としながら、私的年金を適切に組み合わせて充実を図っていく、こうした視点が欠かせないわけでございます。

 我が国の状況を見ますと、私的年金の加入状況はまだまだ先進諸国に比べて少のうございまして、ここのところをいかに拡充を図っていくかというのが大きな課題の一つだと思っております。

 そうした観点から、先生方も御案内のように、昨年の5月に確定拠出年金法等の一部改正が成立いたしまして、当専門委員会におきましても、そこの具体的な取り組みにつきまして、さまざま御検討いただきたいと思っております。

 私的年金の充実を図っていく上では、私どもは基本的な考え方といたしましては、加入者の方々に対する保護をきちんと中心に据えながらも、その上で、加入者の方々に主体的、積極的に選択をしていただく、こういった基盤をいかに整えていくかということが大事だろうと思っております。

 そうした観点から、この専門委員会におきましても、先般成立いたしました確定拠出年金法等の具体的な運用でございますとか、あるいは具体的な詳細の肉づけをいろいろ検討をお願いしたいと思っております。その中で、当面、重要になりますのが、指定運用方法の選定基準でございますとか、あるいは、運営管理機関が提示する運用の方法の上限数などがポイントになってまいろうかと思っております。

 以上のような全体の枠組みの中で、どうぞ先生方の御専門の見地から、忌憚なく御議論を賜りまして、よりよい制度ができますように、いろいろと御指導賜れば幸いでございます。

 冒頭、考え方とともに御挨拶をさせていただきました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 続きまして、資料の確認をお願いします。

 本日の資料として、資料1「社会保障審議会企業年金部会確定拠出年金の運用に関する専門委員会について」。

 資料2「社会保障審議会企業年金部会確定拠出年金の運用に関する専門委員会委員名簿」。

 資料3「社会保障審議会企業年金部会確定拠出年金の運用に関する専門委員会運営規則」。

資料4「確定拠出年金における運用の改善について(運用商品提供数の上限・指定運用方法の基準)」でございます。

 参考資料として「社会保障審議会関係法令・規則」を配付させていただいております。

 資料の不備等はございませんでしょうか。

 

(首肯する委員あり)

 

○青山企業年金・個人年金課長

 それでは、議事に移ります。

 初めに、委員長の指名等についてですが、まず、当委員会の設置について御説明いたします。お手元の参考資料をごらんください。社会保障審議会関係法令・規則をまとめて抜粋したものです。

 4ページ以降に、社会保障審議会運営規則がございまして、最後の6ページの8条で、分科会長または部会長は、必要があると認めるときはそれぞれ分科会または部会に諮って委員会を設置することができると委員会の設置について規定されています。

 当委員会、社会保障審議会企業年金部会確定拠出年金の運用に関する専門委員会については、昨年6月14日に開催された第18回社会保障審議会企業年金部会に諮っており、当委員会の設置の趣旨と主な検討事項は資料1になります。

 資料1をごらんください。具体的には、昨年6月3日に公布されました確定拠出年金法等の一部を改正する法律に、公布2年以内の政令で定める日から施行されるDC、確定拠出年金の運用の改善の部分があり、これは今、言いましたように、公布2年以内ということですので、平成30年6月までの施行を予定しておりますが、その中には資料1の「2.主な検討事項」にあります、確定拠出年金の指定運用方法、いわゆるデフォルト商品につきまして、法律で定めましたが、その基準を省令等で定める必要があります。

 また、運用方法の上限数については、法律では上限数を決めるということを定めており、具体的な上限数は政令で定めることとしております。

 このように、主に指定運用方法の選定基準と運用方法の上限数について定めていく必要があり、これらについて企業年金部会のもとに専門委員会を設け、委員長は部会委員の中から、また、委員は部会委員と確定拠出年金制度や金融に精通されている有識者、専門家等の方、さらに、労使の協力も得て人選することも、企業年金部会で報告しておりました。

 そういうことで、本日、委員の方に御参集いただいているわけでございまして、委員の皆様の御紹介に移らせていただきます。五十音順に御紹介させていただきたいと思います。お手元に資料2で名簿を配付いたしました。所属と役職はその名簿に記載していますので、恐縮ですが、お名前のみ御紹介させていただきます。

 まず、井戸委員でいらっしゃいます。

 次に、臼杵委員でいらっしゃいます。

 大江委員でいらっしゃいます。

 重富委員でいらっしゃいます。

 杉浦委員でいらっしゃいます。

 清家委員でいらっしゃいます。

 森戸委員でいらっしゃいます。

 山崎委員でいらっしゃいます。

 なお、事務局からの出席につきましては、恐縮ですが、お手元の座席図をごらんいただければと思います。紹介にかえさせていただきます。

 次に、委員長でございますが、委員の中から企業年金部会長が指名するということになっておりまして、あらかじめ神野企業年金部会長に森戸委員を委員長に御指名いただいております。

 それでは、これからの議事運営につきましては、森戸委員長によろしくお願いいたします。

 

○ 森戸委員長

 委員長に指名いただいた森戸でございます。委員の皆様の御協力をいただきながら、円滑な議事運営に努めてまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 まず、資料3の「社会保障審議会企業年金部会 確定拠出年金の運用に関する専門委員会運営規則」を事務局より説明をお願いしたいと思います。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 それでは、御説明いたします。資料3をごらんください。

 1枚紙でございますけれども、当専門委員会のさまざまなルールが定められております。かいつまんで申しますと、第2条の、委員長につきましては、委員の中から部会長が指名するという話につきましては、先ほどお話ししたとおりでございます。

 3条に、委員長が委員会を招集する際の通知等について定めておりますし、3項に委員長に事故があるときの処理についても書かせていただいております。

 第4条、代理人の出席を認めることができる。

 第5条、審議は公開する等々の定めをしております。

 以上でございます。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 何かこれに関して御質問等がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。

 

(首肯する委員あり)

 

○ 森戸委員長

 では、次に委員長代理の指名をさせていただきたいと思います。今、見ていただきました資料3の社会保障審議会企業年金部会確定拠出年金の運用に関する専門委員会運営規則の3条に「委員長に事故があるときは、委員のうちからあらかじめ委員長が指名した者が、その職務を代理する」と規定されています。そこで、私としましては、委員長代理に臼杵委員をお願いしたいと考えておりますが、皆さん、よろしいでしょうか。

 

(首肯する委員あり)

 

○森戸委員長

 では、異議もないようですので、臼杵委員、よろしくお願いいたします。

 委員長代理の席のほうに移動していただけますでしょうか。

 

(臼杵委員、委員長代理席に移動)

 

○森戸委員長

 それでは、委員長代理から一言お願いできますか。

 

○ 臼杵委員長代理

 臼杵でございます。よろしくお願いします。

 事故が多分ないと思いますので、私が何かすることはないと思いますので、なるべく議論を活発にするように努めたいと思います。よろしくお願いします。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 もし、カメラの方がいらっしゃれば、退室をお願いしたいと思いますが、大丈夫ですかね。

 では、議題に沿って、過去の議論についてということで、早速入りたいと思いますので、また事務局から、過去の議論の整理について、説明をお願いいたします。

 

○ 青山企業年金・個人年金課長

 御説明いたします。資料4をごらんください。議題としては、過去の議論ということで、確定拠出年金の運用の改善に関するこれまでの議論について説明いたします。

 社会保障審議会企業年金部会では、先ほど申しましたとおり、平成28年5月に改正法が成立したその法改正に先立ちまして、平成26年6月から27年1月まで、企業年金制度全般にわたる議論を行いましたが、確定拠出年金の運用のあり方について、用いた資料を中心に、そのときの議論を御紹介し、今後の本委員会での議論の参考にしていただければと思います。

 それでは、資料を御説明いたします。3ページをお開きください。改正法の概要でございます。改正は多岐にわたっておりまして、「1 企業年金の普及・拡大」「2 ライフコースの多様化への対応」のほか「3 DCの運用の改善」という趣旨でも改正をしております。詳細はこれから御説明しますが、その一定の改正事項について、政令や省令といった下位法令で決める必要があるものもございます。

 3の運用の改善につきましては、施行は公布の日、具体的には平成28年6月3日でございましたが、そこから2年以内の日で政令を定める日ということなので、平成30年、来年の6月3日までの間で政令で定める日となります。

 その次の4ページをごらんください。DCにおける運用につきましては、ここにありますとおり、確定拠出年金という制度は事業主または加入者個人が掛金を拠出し、それについて加入者が運用商品を選択して運用し、その結果、形成された資産から年金を受け取るという制度でございます。

 このため、加入者個人による運用商品の選択は重要でありまして、下の点々の囲みにありますとおり、現行は少なくとも3つ以上の商品を提示して、一つは元本確保商品でなければならないという規制とか、一番下にありますとおり、投資教育等についての一定の義務がございます。今回の改正では、運用商品の選択により資するように、見直しを行っております。

 右の法改正内容の箱をごらんください。まず、選択するに当たっての支援ということで、商品を提示する運営管理機関が提示する商品提供数の抑制、現在、下限しかございませんが、上限も設定するということでございます。商品を除外しやすいようにするための規定の整備や、提示の仕方として、3つ以上であるが、リスク・リターン特性の異なる3つ以上のものと改め、元本確保商品の提供についての義務はなくしたという改正をしております。

 2つ目に、選択しない者への支援として、後ほど御説明しますが、指定運用方法、いわゆるデフォルト商品というあらかじめ定めた方法による運用ということを想定した規定の整備をしております。

 3つ目に、運用中の支援強化とあります。投資教育につきましては、導入時に行うもの、継続時に行うものとありますけれども、特に運用中の継続的にも投資教育することを努力義務としまして、以前より強化しております。

 5ページをごらんください。確定拠出年金制度は、個人型と企業型がございますけれども、両者の関係をここで御説明しております。

 ここにありますとおり、個人型確定拠出年金の運用につきましても、企業型確定拠出年金の運用に関する規定を準用しております。要は、今回の検討事項も含めまして、確定拠出年金の運用については個人型、企業型、双方にルールを設ける必要がございます。本委員会でもどちらも対象として議論いただくことになります。

 ということで、今後の説明では、条文等は主に企業型年金に関する規定で紹介しますけれども、個人型にも準用されるということを前提に御議論いただければ幸いでございます。

 6ページ以降で、まず、検討事項の1つ目である商品提供数の上限について御説明いたします。

 まず、7ページをお開きください。改正法における運用商品の上限数についての定めの内容でございます。

 運用商品数につきましては、今回、新たに「企業型年金加入者等による適切な運用の方法の選択に資するための上限として政令で定める数以下」で提示しなければならないと定めを置いたところでございます。

 ここで一つ補足しますと、23条の条文がありますが、1項の下から2行目に「企業型年金規約で定めるところにより」とありますように、もとより運用の方法、いわゆる運用商品に関する事項は規約で定めなければいけない事項でありますが、改正後も引き続き商品については規約で定めるということで、企業型であれば労使合意した上での規約策定によって決めていただくということが前提となっております。

 あと、改正内容ですが、先ほど改正の内容を何個か御説明しましたけれども、23条2項に先ほど言いましたような、リスク・リターンの異なるものを提示しなければいけないということも書かれております。

 8ページをごらんください。関連措置として、商品除外の要件緩和とあります。これは、上限を定めるとともに、上限を規制することの実効性が確保されるように、既に設定している商品から商品を除外するための要件を緩和して、要は入れかえしやすくするというものでございます。これまでは、除外しようとする商品で運用している人全員の同意が必要だったものを、所在が明らかでない者を除くもので、3分の2の同意でよいようにするなどの措置を講じて、商品の除外についてのハードルを下げたという改正でございます。

 9ページをごらんください。関連措置でございまして、この運用の方法、運用商品の上限数の設定についての激変緩和のための経過措置を紹介させていただきます。

 法律に基づく政令で本数を定めますけれども、この上限数につきましては、施行日から5年以内は改正前の設定数で上限を超えているものでもいいということで、5年以内に政令の上限まで抑えることでよいという措置を設けてございます。

 以上が改正法の条文の内容でございました。

10ページ以降が平成27年1月までに行われました企業年金部会の議論を紹介するものでございます。

10ページは、平成27年1月16日の企業年金部会における議論の整理の抜粋でございます。商品提供数につきましては、下線部をごらんいただきますとおり「一定の範囲内に抑制するような措置を検討してもよい」ということ。「ただし」ということで「現在の提供数(平均18本)や加入者の選好を阻害しないこと等の観点」や「実際に商品が提供されている現場の状況を十分に勘案」するということの留意も付されております。

 また、2つ目の○で、提供数のあり方についてはそもそも抑制することを定めるべきではなく、労使の判断に委ねるべきという意見もあったことも紹介しております。

11ページをお開きください。今のまとめに至りました過程での議論で出た意見を紹介しております。これもかいつまんで御説明しますけれども、11ページの1つ目のポツ、2つ目のポツの意見は、商品を絞る方向での意見でございます。減らしてもいいという意見でございます。他方で、3つ目のポツにありますとおり、個々の労使が決めればいいという意見もございました。

12ページに行っていただきまして、これもかいつまみますけれども、例えば2つ目のポツで、事務局が例えば10本と提案しましたけれども、それにつきましては現場の実感として少ないということ、労使で決めればいい等々の意見がありました。また、最後のポツですけれども、基本は10本だけれども、それ以上やりたいのだったら労使合意してとか、そういう方法もあり得るかという意見もございました。

 以上が意見の紹介でございまして、13ページ以降が、議論当時も参照しましたさまざまなデータでございます。

13ページ以降は、加入者自身が運用商品を選択するという制度であるところ、実際に加入者の認知はどうなのかという観点からのデータでございます。

13ページは、加入者のうち3割が、加入者でありながらですが、DC制度を知らないという答えをしております。

14ページを見ていただきまして、自らの運用資産の状況、運用資産は何かとか、資産運用はうまくいっているかということについて、いずれも把握していない、わからないという回答が4割ずつを占め、両方の回答をした人も3割ということで、把握していないという状況が見受けられます。

15ページをお開きください。資産配分変更の経験の有無でございます。掛金の配分変更と資産の変更であるスイッチングというものは、本人の任意でできますけれども、そういうことをしていない、経験がない者が7割以上ということでございます。

16ページをお開きください。加入者の資産の扱いに関する意識でございます。非加入者とはさすがに違いがあるものの、加入者であっても資産の配分について考えていない者、左のほうでございますが、特に考えていないというのが3割近くに至るなど、多いという状況でございます。右のほうの資産配分を意識的に行っている層が比較的少ないというところも見て取れます。

17ページをお開きください。これは、制度の改善点に関する意見を聞いたところの調査でございますが、2番目に28.9%を占めますが、自分のかわりに運用してくれる仕組みがあるとよいという希望を選んでおります。自らの運用に難しさを感じている可能性があるということがわかります。

 以上が意識でございまして、18ページでございます。企業型DCの企業における商品数の実態でございます。経年で見ますと、平成10年は平均提供数は16本でございましたが、その後、だんだんとふえており、最新の2016年調査では18.4本ということで、18本程度に達しております。

 これは企業年金部会で過去に見た資料より、更新できるデータでございましたので、最新のものに更新しておりますことを申し添えます。

19ページをごらんください。運用商品の追加状況でございます。各企業型DCの企業におきまして、運用商品を追加したかということにつきましては、導入して時間が経過した企業ほど運用商品を追加した割合が高くなっております。追加をどんどんしているという状況でございます。

 以上が我が国のDCにおける商品の本数等の状況でございましたが、20ページ以降は選択する加入者の判断に関する資料でございます。

20ページは、当時の企業年金部会でも参照した資料でございますが、行動経済学の知見による分析でございます。これによりますと、金融商品の購入に当たって、選択肢がふえたり、多すぎると、選択を遅らせるか、しないという判断の傾向があるということを言っている文章があるということでございます。

21ページをお開きください。当時の部会で参照した、アメリカの事例ではあるのですが、アメリカの401(k)の制度において、商品数の増加と従業員加入率の相関関係を見たグラフでございます。横軸の商品の数が多いほど、縦軸の加入率の低下につながっているという指摘でありまして、特に一定数を超えている場合には顕著だと分析されております。

22ページをお開きください。これも同じアメリカの401(k)でございますが、これについての研究で、選択可能なファンド数がふえるごとに株式に投資しない人がふえ、かわりに債券等の比重が高まるといった、不利な商品選択を行っている可能性が高まるという、商品数の増加に関する分析でございます。

23ページが本数についての最後のページになりますが、本委員会での論点を書かせていただきました。

 1行目に、確定拠出年金の加入者が自ら主体的に運用商品の選択を行うようにするためという形で、加入者が自らの主体的な選択をするという大事な目的を書かせていただきました。そのために商品の提示はどうあるべきか。そして、それを踏まえ、提示する運用商品の本数(上限)のあり方について、どう考えるかと書かせております。

 本数を議論いただく場ではありますけれども、商品の提示そのもののあり方も含めて、大所高所から御議論いただき、その中で本数についてのあり方も御議論いただければ幸いでございます。

 下の括弧以下は、過去の企業年金部会で行った議論の整理で示された、検討に当たっての視点として、参考に書かせていただいていまして、現在の提供数とか、加入者の選好、現場の状況等が書かれていますので、参照いただければと思います。

 あと、「なお」と書きまして、企業型と個人型の関係につきまして、それぞれルールを定める必要がありますけれども、両者を共通の考え方で整理するか、それぞれで検討するかということも含めて御検討いただければ幸いです。

 提供数の上限については以上でございます。

24ページ以降は、指定運用方法の基準、いわゆるデフォルト商品の基準につきまして、御説明させていただきます。

25ページをお開きください。こちらも改正法の内容を定め、説明しております。

 1つ目の□にありますとおり、今回の改正法におきまして、指定運用方法、いわゆるデフォルト商品を設定する場合は、加入者等が運用指図を行わない状況におきましては、あらかじめ定めた指定運用方法で運用指図を行ったものとみなすと定め、みなすこととするための手続、指定運用方法の基準、規約において定めること、加入者への情報提供について法律に定めを置きました。

 ちなみに、*がありますが、現行は法律には定めがなく、局長通知で、運用指図が行われるまでの間における運用を行うために、あらかじめ定められた運用方法を規約において設定できると定めております。

 次の□ですけれども、改正法におきまして、指定運用方法の基準につきましては「長期的な観点から、物価その他の経済事情の変動により生ずる損失に備え、収益の確保を図るためのものとして厚生労働省令で定める基準に適合するものでなければならない」と定め、このように省令において基準を定めることになっております。

26ページが、今、御説明したものの条文でございます。

23条の2の1項で指定運用方法について設定できること。2項が今、言いましたような指定運用方法の基準でございまして、本委員会で御議論いただきたい省令で定める基準のもととなる法律の規定でございます。

 附則は、経過措置で施行日前に納付する掛金については従前の例によるという規定でございまして、要は、新しい仕組みは施行日後に納付される掛金について適用されるという趣旨でございます。

27ページ以下も条文ですが、指定運用方法の基準そのものではなく、指定運用方法に関する定め全般を御紹介するものでございます。

27ページの第3条でございますが、規約の規定でございまして、企業型年金の規約において定めるべき事項として、8号の2に指定運用方法を提示する場合では、その提示に関する事項と書いております。

 もとより運用方法の提示などにつきましては、規約事項でございますが、この指定運用方法につきましても同じように規約で定めることとし、これもあらかじめ労使で合意する必要があるというものでございます。

24条の2が、指定運用方法を選定し、提示した場合には加入者に情報提供しなければならない旨を書いておりまして、利益の見込み、損失の可能性、選定理由等を説明するという義務が運営管理機関等に課されております。

28ページをお開きください。条文が続き恐縮でございますけれども、これは指定運用方法、デフォルト商品の提示等の手続を書いております。

25条の2の上から6割ぐらいの部分が第1項でございますけれども、1号、2号というのは実際に掛金が納付された日などという規定ですけれども、要は、掛金が納付された日などから起算して、3カ月以上の規約で定める期間を経過してもなお加入者が運用の指図をしない、具体的には商品を選択しない場合には、その運営管理機関等が指定運用方法と2項に定める事項を本人に通知する義務を設けております。指定運用方法そのものと2項の内容は、一定の期間を経過してもなお指図しないときには、本人の資産が指定運用方法で指図されたものとみなすということですが、みなすこととなるということを予告的に通知する必要があるということになります。

 実際に2項で、通知した後、経過した日からさらに2週間以上たってもなお指図をしないときには、今、言いましたように、その加入者自らがデフォルト商品である指定運用方法を選択し指図したものとみなされる構造をとっております。

 以上が条文でございまして、29ページは、今回の法改正前、現行のデフォルト商品に関する通知の内容でございます。

 これにありますとおり、規約において設定できるとした上で、(1)にありますとおり、商品についてよく労使で十分に協議するという留意事項、(2)については規約に定める事項、(3)については定期的に本人に情報提供すべきということについて定めております。

30ページ以降が過去の企業年金部会の議論でございます。

 まず、30ページは平成27年1月の議論の整理という、まとめの内容でございます。

 1つ目の○にありますとおり、下線部を中心に見ていただければと思いますけれども、デフォルト商品を設定する場合には、一定の基準に基づいた分散投資効果が見込まれる商品を設定することを努力義務とする必要があるというまとめをしております。

 小さい※の字を見ていただきますと、基準の設定については省令等の下位法令で行うこととし、改めて当部会で議論を行うと書いてあります。これを受けまして、今回の委員会の設置をさせていただいているものでございます。また、基準の設定に当たっては、商品の手数料等のあり方についても盛り込むべきであるという意見があったということも紹介しております。

 2つ目の○でございますけれども、デフォルト商品に元本確保商品を設定する場合の話でございます。後ほど御説明しますとおり、現行のデフォルト商品は元本確保商品の設定が多い状況でございますが、それについてはどうするかということで、議論の過程で事務局からは、加入から一定期間以内の者に限るという提案をいたしましたけれども、それに対しましては基本的に労使の判断に委ねるべきであり、規制を行うべきではないという意見がある一方で、元本確保商品の設定の場合には、合理的な理由がある場合に限るべきという意見とか、事業主に対して説明義務を課すべきという意見があったことも紹介しております。

 3つ目の○につきましては、特にリスク性のある商品の設定が進んだ場合には、加入者が損失をこうむって、その結果、提示した事業主の訴訟リスクへの懸念があるのではないかという意見があったということも紹介しております。いわゆるアメリカの401(k)にありますようなセーフハーバールールのようなものをつくるべきという意見があった一方で、現行の元本確保商品でも同じような懸念があるとか、事業主が法に基づき事業主の責務として規定されている事項について対応すれば懸念が現実になることはまずないのではないかという意見などもありました。留意事項として付されております。

31ページ、32ページは今のまとめに至りました過程に出された意見について紹介しているものでございます。

 例えば1つ目のポツは労使の決定に委ねていいのではないかという意見。

 2つ目のポツにありますように、元本確保商品をデフォルト商品とするのではなくて、想定利回りにより近い方のものを設定するという考えがわかりやすいのではないかという意見。

 3つ目のポツに元本確保商品については何かの規制をすべきという意見等々が書かれております。

32ページ、例えば3つ目のポツに一定のリスク性商品だけをデフォルト商品として設定することは現実的でない等々の意見もありました。

 最後のポツは、どのぐらいコストがかかるかということも大事なので、コストについても指標にすべきという意見もいただいたところでございます。

 という議論がございましたことを紹介させていただきました。

33ページ以降は、関係のデータ等の資料でございます。これも過去、企業年金部会で出されたもの、一部更新できるデータは更新しているのですが、過去に参照した資料を再掲しております。

33ページは、あらかじめ定められた運用方法(デフォルト商品による運用方法)の現行の仕組みでございまして、通知の内容を先ほど御説明しましたので、基本的には細かいところは省略しますが、右下の円グラフをごらんください。実際、デフォルト運用方法を設定しているかどうかということを企業に聞いた結果でございますけれども、設定しているという割合が63.5%ということで、6割が企業型DCで設定をしております。

34ページをごらんください。これは、皆さんの御議論の御参考に資するために、確定拠出年金の運用商品の形態としてよくあるものの例、カテゴリーを示したものでございまして、何か決まりに基づいたのではございません。大体このように左側にあります元本確保商品としては、預貯金とか生命保険、損害保険。他方、投資信託としては国内資産を始めとする4資産やそれらを複合した複合資産でバランス型のものとか、ターゲットイヤーといって年齢が高くなったときに少しリスクを抑えるような設計にしている複合型等々が存在していることを示しております。その他、MRF、REITというものがあることを示しております。これは御参考でございます。

35ページでございますけれども、今、言いましたようないろいろな商品が出ている中で、実際にどういう商品をデフォルト商品として設定しているかということにつきまして、先ほど少し申し上げましたが、現行は預貯金等の元本確保商品を設定する企業が96%ということで、ほとんどでございます。内訳を見ますと、元本確保商品の中でも預金が7割、保険商品が26.2%、3割近いということで占められておりまして、預金がかなり多いという現状でございます。

36ページ以降が外国の例でございまして、OECD諸国におけるデフォルト商品による運用方法の普及ということでございまして、これもかいつまんでの御説明ですが、OECD諸国のDC制度では、デフォルト商品による運用方法の活用が普及しているということを説明しております。

 特に左の下にありますとおり、行動経済学の教訓を踏まえまして、加入者の自由意思に完全に委ねることが必ずしも最善ではないという考えで、判断ができないときのためのデフォルト商品というものを積極的に活用しているという傾向が、OECD諸国にあるということを示しております。

37ページをごらんください。OECD諸国の中の例をとりまして、アメリカの401(k)でございます。2006年年金保護法において、デフォルト商品ついて規定の整備が行われております。

 もともとアメリカのエリサ法は「加入者自身が口座資産に対するコントロールを有する場合」には、事業主等の受託者は運用結果について責任を負わないという規定がありますけれども、加入者自身がコントロールする場合というものはどういうことかということで、真ん中のほうにございますとおり、さまざまな運用商品の提示等についてのルールを定めたほか、下の箱にありますとおり、デフォルト商品についての定めが置かれているということでございます。特に下の太字にありますとおり、アメリカの労働省規則で定める要件に該当する商品、「適格デフォルト商品(QDIA)」をデフォルト商品として設定すれば、運用結果について事業主は責任を負わないとされております。

 その適格デフォルト商品の紹介が38ページでございます。下の表をごらんください。「QDIA」の要件を4類型で定義しておりまして、1つ目が、いわゆるターゲットデートファンドなどの名前で提供されている加入者の年齢、退職日を考慮した投資商品の組み合わせ。マル2はマネージドアカウントということで、個々の加入者の年齢等を考慮して、既存の配分をカスタマイズするような商品。3つ目が、いわゆる普通のバランス型ファンド、従業員の平均的な特徴を考慮した組み合わせ。4番目に元本維持商品、ステーブルバリューファンドが例としてありますけれども、これにつきましては、特徴の欄にありますとおり、最初の120日間だけ許されるとされております。こういう制度がございます。

 以上が過去に参照した資料等の説明でございまして、39ページ、最後に、本委員会で御議論いただく論点を示させていただいております。改めて、改正法で定められた指定運用方法の基準に関する条文の部分を抜粋しております。ここにありますとおり、長期的な観点から、物価その他の経済事情の変動により生ずる損失に備え、収益の確保を図るためのものとしてどのような指定運用方法が考えられるかということでございます。

 同じように、参考で、企業年金部会における議論の整理で言及された視点等を書いていまして、この議論の整理では、一定の基準に基づいた分散投資効果が見込まれる運用商品を設定することを努力義務とするという提言をしていますし、手数料等のあり方についても言及があり、元本確保商品に対して規制するのか、しないのか、どのような規制をするのかといういろいろありました。

 その他、事業主訴訟リスクへの懸念等という視点もまとめられておりまして、これらを参考にしていただきながら、今後、忌憚なく御議論いただければと思います。

 説明が長くなりましたが、以上でございます。

 

○森戸委員長

 ありがとうございました。

 では、ただいま説明のありました資料について、皆様から御意見をいただきたいと思います。どなたからでもかまいませんので、よろしくお願いいたします。

 重富委員、お願いします。

 

○重富委員

 連合の重富でございます。

 まず、連合の企業年金に対する基本的な考え方というところから御説明したいと思います。

 やはり企業年金につきましては、その原資というのは賃金の後払いという性格を持つ退職給付でございますので、その観点からは、企業年金については給付の算定方法が定められ、受給権が保護されているDBが基本となるべきと考えております。

 一方で、企業年金は公的年金の補完機能も有しておりますので、中小零細企業ですとか非正規労働者に対する普及促進の強化というものも必要でありまして、連合としても非正規労働者の方の加入促進に資するためのモデル年金規約の整備などともに中小企業向けの簡易型DCの普及も図るということについても否定をしておりません。

 また、どのような企業年金を構築するのかということにつきましても、当然、企業年金、退職給付でございますので、労使での決定が尊重されるべきだろうと思っております。ですので、当該の労使間において内容も含めて真摯に議論された結果、企業型DCが実施されていることも否定するものでもございません。

 その上で、資料について御質問したいのですけれども、資料4の21ページの図、先ほど少し説明いただきましたけれども、商品提供数の加入率への影響ということで、このグラフがございますけれども、何をあらわしているものなのかということで、もう一度御説明をお願いしたいと思います。

 

○青山企業年金・個人年金課長

21ページは、アメリカ401(k)制度のデータでございますけれども、アメリカでは最近改正により自動化プランといって、企業が導入すれば従業員は全員自動的に入るというプランもありますけれども、もともとは従業員が加入するかは任意になっておりますところ、従業員に対して提供される商品の数がどのぐらいだと、従業員が自らの意思で加入するということを表したものでございまして、まさに自らが積極的にこの制度を運用して利用しようという意思のあらわれということで、参照になるものとして使っております。要は、加入本数が多くなると自ら運用しようという意思が弱くなるかなということかなということで、我が国で言うと商品を選択しないという行動とパラレルに検討できるものかということで、過去から参照しているものでございます。

 

○重富委員

 ありがとうございます。

 今の御説明ですと、任意に商品選択ができる場合ということで、ここの図でいきますと商品数が一桁であれば加入率は70%台を維持する。ただ、商品数をふやして提示すると加入率が低下するということだろうと受けとめておりますけれども、しかし、そもそも日本の企業型DCですと、実施している企業の従業員につきましては、全て何らかの商品に加入することになりますので、その加入を任意で加入しないという選択肢が与えられているわけではありませんので、この資料が参考になるとは考えにくいかなと思っております。

 また、仮に個人型、iDeCoにおいて商品ラインナップ数をより少なくすべきという示唆だとしても、iDeCoに加入しようとする方がわざわざ商品数がより少ない金融機関を選ぶということも考えにくいのかなと思いますので、専門委員会の資料として適当なのかどうかについて少し考える必要があるのかなと思っております。

 それとは別に、運用商品数の提供数ということで、18ページにこの間の推移ということで、18.4本と2016年調査で載っておりますけれども、この図を見ますと年々増加傾向にあるということはわかりますけれども、例えば元本確保型商品ですとか、国内株、外株、国内債券、外国債券など、伝統的4資産、あるいはそのほかのREITやオルタナティブ資産といった、資産の種類、アセットクラスごとの提供数をどのように考えるのかということも議論が必要なのではないかと考えておりますので、意見として申し上げたいと思います。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 今の2つ目の18ページの御指摘は今後のために頭に置いておくということでよろしいかなと思うのですけれども、先ほどの21ページの話は重富委員がおっしゃるような面は確かにあるとは思うのです。アメリカの場合は従業員が、だから、このグラフが成り立つ前提というのは、加入のときに商品数も同時に提示されているイメージだから、運用商品が多いと加入率が下がるという統計が成り立っているのですけれども、日本の場合、委員がおっしゃったように、そもそも、個人型は別の話ですけれども、企業型の場合は入ることが決まっていて、その上で商品を何個提示されるかという話なので、おっしゃるように順番は大分違うのですけれども、一応一定の参考になる。数がふえるとそもそも選ぶのもそうだけれども、入るのもちゅうちょしてしまうというデータがあるという、そこだけ切り取って資料として出していただいたかなと思います。ちょっと補足です。

 では、先に井戸委員が手を挙げていたので、井戸委員、お願いします。

 

○井戸委員

 ありがとうございます。井戸でございます。

 まず、23ページの2つ目のところに、企業型と個人型、共通の考え方で整理するのか、それぞれ検討するのかというのがございます。

 企業型というのは、企業と運営管理機関さんで決められているので、従業員の方が好きなように選べるわけではないですね。個人型は、商品をまず見て、自分で運営管理機関を選んでいる、選択の自由というのがございますので、企業型と個人型を一つにするというのはなかなか議論しにくいのではないかと思います。

 この間、御相談があったのですけれども、会社が合併して60本以上になってしまったところがございまして、新入社員の方がかわいそうというのも実感でございます。企業型のほうはある程度本数の制限も必要でしょうし、同じような商品であれば、新規のほうが手数料が安くなっているのであれば、お知らせする方法とか、あるいは、投資教育のところで従業員の方にみずから気づいていただくという方法が考えられるかと思っています。

 提供数の上限のあり方というのは、要するに、商品の選びやすさということなのだと思います。一般だと目論見書を見ますが、DCだと簡易版を見るわけです。簡易版の説明をしてほしいということをすごく言われるのです。一枚ずつのファンドが並べてあるのですけれども、ほかのファンドとの違いがわかりづらい、個別の推奨をしてはならないという理由でもあると思いますが、なかなか違いがわからない。ウエブ版だと並べているだけだというようなところがありますので、趣旨から外れるかもしれませんけれども、個別推奨のところの枠をもうちょっと、ここまでは可能などあればわかりやすいと思います。

 投資教育のところでも、運営管理機関によって、以前の投資教育によってすごく資料などもわかりやすくなっているし、説明に行く講師も毎回オーディションがあって、入れ替わることもあると聞いています。そのぐらい力を入れていらっしゃるということなので、資料と講師のわかりやすさというところがあると思います。

 あと、23ページに提示のあり方というのがありますけれども、本数だけではなくて、アメリカのIRAのように、タブがついていて、私はターゲットイヤーのところでこれだけですよとか、バランス型でこれだけですよとか、自分でやりますといった3つのタブがついていて、そこから広がるようになっているようです。本数も大事ですが、提示のあり方というのもぜひこの委員会のところで御議論いただければ幸いでございます。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 非常に重要な御指摘をいただいて、1点目は、まさに23ページでもう既に論点として整理されていますけれども、企業型と個人型と違うのではないかという点、これは部会での議論でも割と何となく企業型を前提に議論していたような気もしますけれども、これは先ほど説明がありましたけれども、個人型にも両方かかる話だということはちゃんと頭に置いて議論しなければいけない。

 井戸委員がおっしゃったように、企業型、労働条件、労使合意で成立しているものと個人型と違うだろうというのはもちろんあるので、そこをちゃんと分けて議論しなければいけない。他方で、でも、提示されたものを選ぶという局面は同じといえば同じところもありますから、その共通でできる議論もあるのかもしれない。いずれにしても、企業型、個人型、両方あるという話は忘れてはいけない。事務局が言われたとおりですけれども、井戸委員も強調されたように、そこは今後私たちも気をつけなければいけないと思います。

 2点目、実務上、もっとこうしたらという話だと思いますが、逆に言うと、結局提示のあり方なり方法がもうちょっとよくなれば、本数を制限とかそういう問題ではなくて、もっと選びやすい、もっと従業員にとって、加入者にとって優しいやり方もあるかもしれないからという意味では、今のお話も実務上の工夫なりアイデアでこの問題はある程度解決し得るのではないかという御指摘だったと思います。それは23ページの論点でも運用商品の提示はどうあるべきかというところに全部入っているかなと思いますので、その辺も一緒に議論はしたいと思います。

 ありがとうございました。

 今の点、事務局から何かありますか。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 おっしゃったことも踏まえて、次回以降、議論を進めていただきます。ありがとうございます。

 

○森戸委員長

 私、委員長にしてはしゃべり過ぎですかね。大体余りしゃべってもらいたくない人を委員長にするわけだから、申しわけないです。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 そういうことではないです。どうもありがとうございます。

 

○森戸委員長

 いいですかね。そう言われてそうですねとは言えないですね。済みません。

 では、大江委員、お願いします

 

○大江委員

 ありがとうございます。大江でございます。

 まず、商品数ということで、いろいろ今まで御議論されてきたものを拝見しまして、私は井戸さんと同じく、やはり個人型と企業型というのは若干違うのかなという認識を持っております。

 といいますのは、個人型は少なくとも個人が自分の意思で加入するという前提であるのに対して、企業型の場合は労使で合意して導入するということになりますが、一般従業員の方はある日突然加入ということを知らされるわけです。

 そういう点でいきますと、選択肢はある程度一定数はあるほうがいいというのは、個人型に関してはそういう部分はあるかもわかりませんが、企業型に関しては一定数の上限を設けたほうがいいと。

 事実、私自身もかつて運営管理機関の仕事をしていたことがありまして、本当に回数で言えば数百回にわたって自分自身で説明会とかもやったことがあるのですが、商品数が30本以上というものをやってみますと、現実に説明するのは不可能なのです。その結果、どういうことが起こってくるかというと、わからないからそのままほったらかしておくということになりがちですし、よく言われるのは、アセットクラスをきちっと説明すればいいではないかということを言われるのですが、現実にやってみるとわかるのですけれども、アセットクラスの説明だけでは極めて不十分なのです。個別商品に落とし込んでいかないと難しい。その証拠に、例えばバランス型というのがありますけれども、バランス型とは、例えば株式投信の組み入れ比率で、例えば3つぐらいのパターンになっていますが、3つのバランス型をそれぞれ全部買って、それで分散投資したつもりになっているという加入者の人もかつてはいたわけです。ですから、その辺、きちっと正しく伝えるという意味では、一定数制限を設けるほうが私はいいのではないかと思っています。

 もう一つは、先ほど重富委員からお話がありました21ページのグラフ、これは、コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授の「The Art of Choosing」の中から出ているのですが、原文を私も読んでみたのですけれども、そこに書いてあることは、商品数が多くなると加入を拒絶するということではないのですね。いずれもみんな加入をしたいという前提の中で、多分、5本とか10本ぐらいの本数の中から自分で適当に選んで入ろうと思っていたのが、どんといきなり50本、60本というのを目の前に置かれると、相当調べて考えなければいけないということで、面倒くさくてそのままほっといてしまう。

 もう一つ、行動経済学という知見から言うと、現状維持バイアスというのがあるわけですね。今のまま何もしないでほっておくほうがいいと。変えたことによる不利益を恐れる余り、自分が積極的に選ぶことによる不利益を恐れる余り、何も選ばないという選択肢が出てくるということがあるので、制度としては確かに全員が加入するのと任意で加入するという違いは、日本とアメリカの場合、明らかにあるので、それは違うだろうと言われるとそうかもしれないのですが、しかしながら、全く参考にならないということではないと思います。そういう意味では、この商品数の差ということから出てくるものというのは一定の参考意見としてはあるのではないかと考えています。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 事務局、何か今の点はよろしいですか。

 では、また今も重要な御指摘をいただきましたけれども、特に実務での御経験も豊富なので、また御意見をいただく機会もあると思いますけれども、ほかの方。

 山崎委員、お願いします。

 

○山崎委員

 山崎でございます。

 私はまず、上限の本数の話のところからコメントさせていただきたいのですけれども、一応2つの考え方の話を次回以降の議論のためにしたいと思っています。

 1つは、商品数の数え方の問題です。というのは、連合会の実態調査というのは単純に1本、1本で数えているわけですね。ですから、日本株のインデックスファンドのA社のものがある、B社のアクティブファンドがある、1、2と数える。それはいいのですけれども、バランス型ファンドで同じ運用方針に基づいて資産配分を3種類、安定型と積極型と分けているものについて、これも3と数えてしまう。あるいは、ターゲットデートファンド、定年退職の時点を目標として、2025年ごろ退職する人はそれを買う。35年退職の人は35モデルを買う、45、55と、勤続38年の時代ですからターゲットデートファンドは必ず4~5本入れなくてはいけないのですけれども、そうすると、これも4と数えてしまうと、例えば15本にしてしまった場合、ターゲットデートファンドを入れたら、ほかに何も入れられないではないかみたいなことは起こり得る。本人にとっては、自分の退職年齢に近いものしかどうせ買わないわけでしょうから、そういう意味ではこれも5と数えるのか、1と数えるか、最終的に15にするのか、20にするのかという議論よりも、多分一回数え方の整理も考え直してもいいのではないかというのがまず1点です。

 もう一つは、商品数を何本にするかという議論は実は始まりであって、資料にも除外の仕方という話が何ページか紹介されていますけれども、実際問題としては、上限に引っかかって、例えば5本削らなければいけないとなったら、事業主としては運営管理機関とも相談をしながら、どれを絞るか。あるいは、どれを残すかいうことを考えなければいけないと。そうすると、事業主としては、残すものにも残す理由、何らかの理由を説明できなければ残す理由にならない。あるいは、除外するに当たっては何らかの理由、それは運用の手数料なのか、運用成績が劣後しているのか、いろいろなことがあると思いますけれども、何かの理由がなければ除外も従業員の納得はいかないであろうと思います。

 そうすると、実務的に言うと、最後は多分商品数の本数を政令で定めた後に、法令解釈であるとか、多分、幾つかのやり方があろうかと思いますけれども、外し方についての一つのヒントみたいな、ガイドライン的なことも整備を考えておかないといけないのかなと。ですから、本数の話を一回議論するのはそれぞれでいいのですけれども、その後に、もしかしたら外し方について事業主をどうサポートしていくかみたいなことを考えていただきたい。

 ひいてはこの問題は全部規約変更が必要ですから、労使合意でまず除外する規約を一回つくって、何と何について外すかどうかをしっかり議論していただいて、そこまで労使間で話すかどうかは法は求めていないですけれども、しっかり話していただいて、労使間で納得の上で除外するリストをつくった上で決定する。場合によっては運営管理機関の意見と第三者の中立的な意見などもいただきながらやっていく必要があると思いますので、そういったところというのはなかなか過去に例がない。要するに、今まで本数がふえる一方だったというのは、逆に言うと減らせないのでふえる一方だったわけなので、これから先は減らし方についての事業主のサポートあるいは労働者代表のサポートみたいなものが必要になってくるのかなと思います。

 ですから、本数を先に決めるというよりは、そういった議論も含めて流れをつくっていければと思います。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 除外の点はおっしゃるとおりで、もちろん、先に本数の話があるのでしょうけれども、それによってどういうことが起きるかということもちゃんと忘れずに議論しなければいけないというのは御指摘のとおりだと思います。

 1点目の数え方に関して、これはもちろん大事なのは明らかですけれども、そうすると、これは山崎さんに質問でいいのかもしれないけれども、18ページとかの連合会の本数提供数調査は、先ほどのような数え方で数が数えられているという理解で、先ほどのターゲットイヤーだったら年齢別で4本というので数えられているという理解でいいですかね。

 

○山崎委員

 私は企業年金連合会でもお仕事を手伝っておりますので、一応私が理解している範囲ですけれども、1グループではなくて一本一本数えますので、どうしてもバランス型ファンドを2グループとか3グループ入れていたりすると、いきなりそれだけで9本、10本になるので、本数が膨らんでしまう。事業主的には多分10本も入れているというよりは1グループで3本を入れているというイメージだと思うのです。

 一番新しい調査票は、私が全部見ていたわけではないですけれども、たしかグループとしては何本グループあるかみたいなことも調査項目に入れていたような気がするので、バランス型ファンドが平均何グループ入れているのかみたいなものは後でデータ提供は可能かもしれないですね。

 先日出たばかりの統計ですと、バランス型ファンドが4.1というのが規約の平均なのですけれども、4.1というのは、多分1グループ入れている企業さんと、3~4規約に一社ぐらいが2グループ入れていたりすると平均4ぐらいかなというイメージがありますので、そこは調べてみると議論になるかもしれないですね。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 今後、どういう数え方で上限の本数の話をするかという話と、今、18本とか出ている中がどういう数え方になっているのか。もちろん、一切ターゲットイヤーを入れていない20本と入れている20本では意味が違うのだろうから、その辺も大変かもしれないけれども、現状把握として少しそういう前提というか、このデータの中身がどうなっているかというのも、少し興味があるというか、それも知らなければいけないかなと思いました。

 事務局、何か補足があれば。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 どうもありがとうございます。

 企業年金連合会の調査につきましては、こちらでももう一度よく中を見て、山崎委員などが先ほどおっしゃった、資産種別ごとに見てみるとか、数え方をどこまで決めているのかも含めて、確認したいと思います。

 現在は規制が下限しかありませんし、3本以上であるので、何本と厳密にこちらが確認する機会が逆に少なかったということもありまして、今、どこまで厳密に数え方が整理されているかは、そこも確認しまして、あとは今後をどうするか、数え方については非常に重要で整理しなければいけないと思いますので、事務局からも一定の資料の提供や提案をしたいと思っております。

 

○森戸委員長

 いずれにしても、上限の数を何本かわからないけれども、設けるという方向だとすれば、当然、数え方の定義もしないといけないですね。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 それは必須だと思っておりますので、セットで決めるべきということはおっしゃるとおりでございます。

 

○森戸委員長

 わかりました。その点も重要な話かと思います。ありがとうございました。

 清家委員、お願いします。

 

○清家委員

 清家でございます。

 上限数の話が進んでおりますので、まず、この点について申し上げたいと思います。

 ここでも何人かの委員からもありましたとおり、企業型DCでは労使合意で運営しておりますので、何らか設定するにしても、ある程度個々の労使が選択できるような幅はできるだけ確保していただきたいというのが基本的なスタンスです。その際に、実際に企業型DCをされていらっしゃる企業の現場の状況を十分見ていただくことが必要かなと思っております。

 私、この会議に入る前に、何社かちょっとお伺いしましたので、それを一部御紹介しますと、先ほど山崎委員からもありましたとおり、本数の捉え方というのは非常に重要なポイントですので、そこは取り扱いを明確にしていただきたい。

 これも山崎委員からありましたが、運用商品除外手続、これが現場で現実的にちゃんと対応できるようなプロセスでないと、ある一定のラインが引かれて、それがなかなか実際には動かないことになると、問題ではないかといった御意見もいただいています。

 もう一つは、これはもしかしたら少数派かもしれませんが、商品数をかなり、30本以上提供されている企業さんからのお声で、むしろ導入時とか、継続投資教育とか、そういうことをしっかり行いながら、多様な選択肢の中で従業員の方に選んでいただくという考え方も望ましいのではないかと、そういうお声もありますので、一概に商品数が多いから、運用選択を阻害しているというところだけで見られると、なかなか現場の実態と合わない部分もあるのかなと思いますので、今後の議論の際にその点も御考慮いただければと思います。

 それから、事務局に御質問で、基本的なところで大変恐縮なのですが、仮に、運用商品の上限があるところに設けられて、除外をしようと労使で話し合ったのだけれども、3分の2の同意をとれなかった。そうすると、例えば超えてしまっていると。その場合、法令上どういう扱いになってくるのかという点を確認させてください。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 政令で定める数以下でなければならないとしますので、その義務はかかります。ただ、罰則があるということではないところですが、法令上の義務である以上、御指導させていただくということになると思います。政令の本数以下に抑えるように指導させていただくことになると思います。

 

○森戸委員長

 今の点は、法令上決まっているから、本数が上限を超えていたら、法令上はその規約は承認されないということになりますね。

 

○ 青山企業年金・個人年金課長

 そうです。

 

○森戸委員長

 法的なことをすぐ言うので申しわけないですけれども、法的にはそれはDC制度ではなくなるということになりますね。そういうことはないと思うのですけれども、不適格というか、DC法ではない制度だということになってしまうのでしょう。

 おっしゃったように、除外の話は3分の2でといって、3分の2同意をとれなかったらどうするのだというのは、一応究極的にはある話だから、最後は詰めなければいけないのだろうなと思います。

 それから、今の清家委員の現場の御意見ということで、これはまた後でお諮りしますけれども、いろいろ現場の声もいっぱい聞かなければいけないと思っているのですが、もちろん加入者、従業員であり、個人型の加入者、両方でしょうけれども、加入者の立場に配慮しなければいけないという観点から議論しているのですけれども、他方で、現場の声といいますか、実際の現場はどうなるのだ、どういう影響があるのだということも大事で、これは現場の方に配慮するというだけではなくて、DCのビジネスといいますかマーケットが、今後、余り参入しづらくてしぼんでしまうというのもよくないですから、みんなが利用できる、いろいろな金融機関の方が参入できるビジネスが成り立つような場にしなくてはいけないという観点も議論の中では考慮しなくてはいけないと思います。そういう意味では、実務上、現場の観点というのも、皆さん既に御指摘されたことですけれども、ちゃんと議論の中でしていきたいと思います。

 ありがとうございました。

 ほかに御意見いかがでしょうか。

 杉浦委員、お願いします。

 

○杉浦委員

 委員のなかで若干取り残された感があるので、私からも意見を申し上げたいと思います。

 私の場合、金融法のエリアの人間でもあるので、そういうところも含めた話をしたいと思うのですけれども、山崎委員がおっしゃった除外云々というところは、やはりきちっとした考え等を持ったほうがいいのかなと思っていて、余りよくもない商品が除外されずにずっとそのままラインナップに残っているのはおかしいと思っています。

 もしこれが証券会社であれば、投資助言義務が存在するのか、しないのかと、そういった最高裁判決での補足意見があり、これがそもそも労使間にも存在するのかという別の観点と比べてパラレルかどうかはわかりませんけれども、だめな商品は早く排除できる形があればあったで、それに越したことはない。

 ただ、反面、おっしゃった中で、数え方の問題ともリンクしますが、例えば似たような商品があってバランス型だねといって、これは似たような商品で違う会社が出しているけれども何本だというのが重なっているのはおかしいから、それはある程度統合して考えたほうがいいのではないですかと言ったとしても、実際問題として、恐らくある現実は、運用会社によって多少同じものがあったとしても、若干のポートフォリオを変えるだけで同じような形ではない様々なタイプのバランス型商品があり得るのではないかと考えるわけです。昨今の我が国におけるさまざまな企業の業態を見たときに、10年前はこの会社は大丈夫だったけれども、今、この会社は大丈夫ですかという企業は幾らでもある。実際に、某T社さんはこの数年間において著しく状況が変化しています。そうなってくると、そもそもバランス型とは何なのかという話もあって、そうなってきたときに、数え方が、安定的なバランス型と思ったものが、いつぞや急に崩壊する、運用として問題となる、そういったことがあったりするので、実態的な問題をより調査していただくのはよしとして、数え方の議論は幾らかの慎重な考え方もあってもいいのかなと思ったりしないでもありません。

 もっとも、おっしゃった意味に異議があるというわけではなくて、そういった整理は当然必要だと考えるということであります。

 もう一つですが、これは井戸委員がおっしゃったことと重なると思っているのですけれども、ちょっと違う観点から意見を申し上げます。大学の教員が3人いる中、大学人としての発言が今のところないのであえて言うのですが、DCの話というのは、投資教育の世界の中で非常に重要だと考えています。会社に入ったらいきなりこの問題が出てくるのですね。大学生で投資運用とかをよく積極的にやっているような学生たちもいますけれども、ほとんどがそうではない現状の中で、社会人になったらいきなりこの制度がぽんと出てきて、選びなさい、50本ありますと言われて、どうする?という世界になってしまうのですね。

 企業型も個人型もDCである限り極端なハイパーリスクを背負うようなものは多分出てこないと思いますけれども、私などはよりこの制度を活性化したいとお考えならば、正直言って、金融商品取引法の世界ではないですけれども、リスクを負える人か、負えない人かというのを、どういう形でやるかはよりけりですが、スクリーニングを行って、この人はリスクに関して大丈夫、この人はそうではないというレベルを確定し、個人の選択として、投資自己責任ではないですけれども、それに近いものが若干あったとしても、それは構わないのではないかと考えています。ただ、それを行うのであるとすれば、大学の時期からきちっと投資教育をやっておかないと、社会に出てからいきなり言われるとほとんど対応不能で、50本ですと言われて1つ選びましたがなかなか入れかえができませんと言われてしまうと厳しいので、そういった教育活動の充実化といったものもあわせて御検討をいただけるとよろしいのではないかということを踏まえて、幾つかの点を申し上げました。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 2点目のほうはもちろん大学での教育も含め、企業での投資教育も含めてかかわる御提案だと思いますので、重要だと思います。

 1点目の数え方の点は、具体的にはどういう御意見ということになりますか。繰り返しになってしまうのですが。

 

○杉浦委員

 誤解がなければですけれども、清家委員がおっしゃったことだとそのまま一定の型、バランス型とかいろいろ形があって、同じような商品設定のものであれば、そもそも一本一本数えなくてもいいのではないのという御指摘だったかなと思ったのです。

 ただ、そうは言っても完全に同じというものがあるわけではと私は思っていないものですから、そうなってくると、依然、一本一本はそれはそれでいいのではないですかと思っているという意味です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 私の理解だと、山崎委員がおっしゃったのは、同じ会社の同じ名前のファンドで、ただ、年齢によって入るのが違うものは例えば一本でもいいのではないかという趣旨ですね。

 

○山崎委員

 そうです。ですから、N証券のバランス型ファンド3本があったら、これは1、D証券バランス型ファンド3本があったら、これは1、でも、具体的商品数でいえば6個並んでいるという感じです。

 金融機関をまたいだ場合はもちろん、個別商品設計をまたいで、同じN証券でも複数のバランス型ファンドがあるのだったら、それは1、1だと思うのですけれども、多分、誤解はないかなと思います。

 

○森戸委員長

 いずれにしても、同じような種類のものを、数え方とは別の話かもしれませんが、どうまとめるかというか、カテゴリー別にファンドを整理するなり、選びやすくすべきではないかという考え方もあり得るかなと、伺っていて思いました。

 どうもありがとうございます。

 山崎委員、どうぞ。

 

○山崎委員

 ちょっと追加でお話しすると、むしろ本当は商品数のリストは元本確保型商品の本数と投資信託の本数のバランスのほうが個人投資家の投資動向にはすごく影響を及ぼしますね。行動ファイナンス的にはn分の1の問題などと言われますが、臼杵先生か大江さんに御解説いただければと思いますけれども、商品ラインナップの中に占める単純な本数が多いほうに投資家の目が偏りがちになって、20本あって15本元本確保があったら、元本確保に皆さん行きがちになるみたいな傾向があるので、もしかしたら、同じ本数の中で2つのカテゴリーの元本確保と投資信託を分けて議論というのもあるかもしれないと思いますね。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 もちろん、本数の話をしているのですけれども、結局井戸委員もおっしゃった提示の仕方によっても、大分選ぶほうの印象が、つまり、選ぶほうがどう思うかという話ですから、そこも変わってくるだろうと、いろいろ考えなければいけない点はあるのですけれども、そこもちゃんと忘れずに議論したいと思います。ありがとうございます。

 大江委員、お願いします。

 

○大江委員

 これは私の理解がまだ不十分かもしれないので、質問というか確認ですが、8ページのところで、商品除外の要件緩和に関して、26条の2項のところで、アンダーラインのところですが、除外運用方法指図者に前項の同意を得るために通知をした日から3週間以上で、規約で定める期間を経過しても同意または不同意の意思表示を受けなかった場合は、同項の同意をしたものとみなすことができる。これはいわゆるオプトアウトということですね。積極的に不同意という意思表示をしなかった場合は同意とみなすということでよろしいでしょうか。

 

○森戸委員長

 はい。そこに書いてあるとおりで。全く意思表示をしなかった場合には一定期間たてば同意とみなすということです。

 

○大江委員

 ありがとうございます。

 

○森戸委員長

 臼杵委員はよろしいですか。だんだん2巡目に入ってきていますので。別に順番に話すものでもないのですが。

 お願いします。

 

○臼杵委員長代理

 ありがとうございます。

 皆さんがおっしゃっていただいたことに同意の部分とつけ加える部分とがあると思うのですけれども、同意するところは特に本数については実際にどうやって数えるかとか、どうやって除外するかが大事だと思います。例えばここにも、先ほどの条文にもありますけれども、3分の2というときでも、例えば1人とか2人で投資していて、どうしても嫌だという人がいたときにどうするかとか、そういうところもありますので、実際、かなりそこの除外のところを考えていかなくてはいけないのかなと思います。

 補足としては、まず、提示方法が大事だというのはもちろんそうですが、ある意味でデフォルトが究極の提示方法なのかなというか、説明なのかな。デフォルトを勉強するというか、説明して、考えていく中で、デフォルトにするかどうかという選択が多分あって、そこの中で加入者それぞれに考えていただくのかな、そこをきちんと説明するのかなという気がしています。

 労使合意とか、加入者の自由意志というのは、もちろん尊重すべきところではありますけれども、労使合意といっても、老後の所得保障にふさわしい商品の提示のあり方、運用方法の提示、あるいは商品選択がされているかというところは、ある程度先ほど最初に局長がおっしゃったような、今後の老後保障に資するような制度かどうかという観点から、労使合意がそれにふさわしいのかどうかというのをチェックする必要がありますし、また、森戸先生、杉浦先生がいらっしゃる前で恐縮ですけれども、事業主側は労側にフィデューシャリーの責任、注意義務や忠実義務というものを負っているので、そこの内容ともかかわってくるのかなと、幾ら労使合意したからといって、完全に好きなように自由でできるのではないのではないか。

 具体的に、その責任の内容ということで申し上げると、先ほどから出ていらっしゃるように、例えば1つは行動ファイナンスの知見をきっちり尊重するということも一つですし、もう一つつけ加えさせていただくと、金融経済学の知見、いわゆるファイナンスの知見、例えば分散投資はフリーランチであるということですとか、名目の収益率よりも実質の収益率が大事であるとか、これはデフォルト商品にもかかわってくると思うのですけれども、長期的には、絶対だということはないのですけれども、100%ではないけれども株式のリスクプレミアムが正である確率が高いということは、注意義務、忠実義務を考えていく中で配慮していってもいいのかなと思います。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 今、臼杵委員からもちょっと出ましたが、割と皆さん、最初の御意見、本数の話が多かったですが、もちろんそちらも大事ですけれども、いわゆるデフォルト商品のほうも、きょうは一通り説明をいただいたので、御意見があればいただきたいと思います。まだ時間が20分ぐらいはあると思いますので、御意見を。

 井戸委員から、お願いします。

 

○井戸委員

 ありがとうございます。

 デフォルト商品ですけれども、私もできればそういう分散のものがいいと思っているのですけれども、企業型だと想定利回りが0%のところもあるので、それだったら別に安全確保のところでもいいなと思っていますので、それも25ページのところにお示しいただいておりますけれども、定期がすごくよくないとか、そういうイメージばかりで進めるのもどうかなと思いました。

 除外のところですけれども、山崎委員がおっしゃったように、ガイドラインでサポートするというのがすごく大事だと私も思います。除外するというのは、事業主も運営管理機関さんのほうもすごくコストと人の労力がかかると思いますので、それを国として、厚労省としてどのようになるべくそこに負荷がかからないように応援するかというところも、視点として入れていただければと思います。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 除外の点は臼杵委員も御指摘があったように、ほかの委員も皆さん、そうですけれども、非常に大事だというのは言うまでもないのでしょう。

 変な話ですけれども、除外というのは本数の上限が決まったりするから出てくる話なのですけれども、議論としては除外の仕方は政省令で決めてしまっているということですね。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 まだ法律で定めた段階であり、省令とかは、この規定も公布の日から2年以内に施行ですのでこれからですが、政省令事項はどこまであるかということはあります。通知とか、そういうことも含めて、今後整理していきたいと思います。

 

○森戸委員長

 趣旨としては、要するに、除外の手続はもう決まってしまっているのですね。だから、どういう場合に除外になるかとか、本数の話を今しているという、そういう意味では変な話というか、本数がどうなるかで除外も大分状況が変わるわけだから、そういう話なのです。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 今後、議論も踏まえながら、我々のほうでも受けとめて、整理する余地はまだありますので。ありがとうございます。

 

○森戸委員長

 現場では企業年金部会が悪者になるわけでしょう。上が決めたからしようがないのですよと言って除外されるのかなと思うのですけれども、それはしようがないです。ここでちゃんと議論する必要があります。

 デフォルトの話で、今、井戸委員がおっしゃったのですけれども、結構大事な話は、これは皆さんも御承知のとおりですが、企業年金部会のときは議論の整理では、分散、長期、どこを見ればいいのかな。課長の説明にもあったのですけれども、何ページですかね。

 

○青山企業年金・個人年金課長

30ページをごらんください。

 

○森戸委員長

 ここでは、もちろんただの議論の整理ですけれども、とはいえ、一定の基準に基づいた分散投資効果が見込まれる商品を努力義務にしたらどうかという話だったのですね。だから、ここはある意味努力義務だったわけです。そのかわり、分散投資と書いてあったのです。

 現行の年金局長通知、29ページも、例えばですけれども元本確保に限らず資産分散効果とかが得られる運用方法などもとか、ちょっとそういうことが書かれているわけです。

 ところが、改正法、今、議論している話は、26ページですが、23条の2、2項「長期的な観点から、物価その他の経済事情の変動により生ずる損失に備え、収益の確保を図るためのもの」ということで、分散投資というのは法令上はなくなっているわけです。他方で、努力義務ではなくて、これは「するものでなければならない」にしていますので、ちょっと部会の議論のときとは状況が違うということは、一応確認しておかなければいけないかなと思います。一応この法律に沿って議論しなければいけないので、そこは結構ポイントかなと思って、あえてわざわざ言うことでもないですが、言っておきたいと思いました。

 事務局、私の理解でいいですかね。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 ありがとうございます。基本的に大丈夫です。

 補足しますと、企業年金部会の報告を踏まえて法整備をしたのですけれども、法律でこういう基準を設ける際には一定の明確な基準という形にしなくてはいけないので、そういうときには分散投資と直接的に書くというのではなくて、もっと広く、目的を定める形、長期的な観点から、さまざまな損失に備えて、収益の確保を図るためのものとして定める形として定める基準という形で書いた上で、むしろ義務化するという形で、法律にするときに書き方が多少再整理されたということかと思います。もちろん部会の御議論も踏まえながら整理したということで、全く別のことを書いたということではないかと思いますけれども、法律は目的を中心に書いたという趣旨で見ていただいて、自由に御議論いただければと思います。

 

○森戸委員長

 努力義務ではなくなった点というのは、何か理由はあるのですか。今の前半はより法文としてちゃんとした内容にするという趣旨であり、内容が全く違うわけではないというのはわかったのですけれども、努力義務にしたらという話が、ある意味強くなったとも言えるわけですけれども、そこは何か趣旨はあるのですか。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 法制的に整理する際に、部会の報告どおりですと、一定の分散投資という望ましい方向が提起されて、それを努力義務で促していこうということだったと思うのですけれども、やはり法律に書くときに、デフォルト商品というのは最後、みなすとしてしまうほどの強い効果を持つ概念なので、その基準について努力義務で誘導的に促すというよりは、きちっと外縁を明確な基準にすべきだという法制的な議論が政府内でありまして、この形になりまして、かわりに基準のほうにつきましては、究極的に目指したいもの、長期的な観点から収益の図るためのものを書くことで調整を図ったということでございます。

 わかりにくくて済みません。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 いずれにしても、細かいことで恐縮ですけれども、このあたりも議論の上では大事な話かと思うので、ちょっと確認させていただきました。

 山崎委員、手を挙げていらっしゃいましたね。

 

○山崎委員

 デフォルト商品のほうでコメントさせていただきます。

 前半のほうでもルール的なものと実務的なものの話があったと思うのですけれども、こちらもそれが具体的な商品としては何になるのかみたいな、基準というかガイドラインづくり、アメリカのQDIAみたいなものを政令あるいは法令解釈等で示していかないと、現場の事業者あるいは労働組合もなかなか理解が難しかろうと思います。

 ただ、その定義というのはなかなか難しくて、法令上、物価その他の経済事情の変動によるリスク、インフレリスクには負けないということに多分なると思うのですけれども、インフレより定期預金が常に上回っている時期だったらありではないか。でも、そういう時期だけは定期預金にして、5年後に逆転してしまったらバランス型ファンドにするというのも何か余り現実的でもないので、多分、そこはかみ砕いていく必要があるかなと思います。

 企業年金連合会は、昨年の6月8日に政令に関する要望書で、バランス型ファンドとターゲットイヤーファンド、一応書き方としては「複数資産に分散投資をしてリスクを抑えるとともに、安定した運用成果が見込まれる商品(いわゆるバランス型)」とか、そんな感じで書いております。バランス型ファンドとかターゲットイヤーは考えられるのではないかみたいな感じの書き方をしておりますけれども、少し具体化していかないと、現場的には悩ましいという感じがいたします。

 その一つは、まず、基準で、もう一つはそれをさらに実際に規約に落とし込んでいくに当たっての、さらにサポートみたいな話かなと思うのです。というのは、規約変更しなければいけない。つまり、労働者代表の理解を得て納得をいただいて、さらに全加入者にそれが適用されるということになるわけですから、長い目で見ればインフレを上回るけれども、短期的には元本割れする可能性もある。ただ、それは中長期的には勤労者にとってメリットがあるということを、どうわかりやすく理解していただいて、労使間で納得の上に規約変更をしていただくか。そこが結構難しいことで、労働組合に反対されたから、事業主的には取り下げればいいやみたいになって、結果として全然普及しないというのは、長い目で見ると加入者の利益、忠実義務にはずれてくることになると思いますので、実際にデフォルトファンドを各企業のDC規約が採用できるようなところまでが意外に大事な宿題というか課題かなと思います。

 あと、一回質問したいのですけれども、これは新規のDC規約は、このデフォルトファンドを採用した規約を書いた上で労使合意を経て、規約承認を受けると思うのですけれども、既存のDC規約はどうなるのでしょうか。

 

○ 青山企業年金・個人年金課長

 既存のDC規約に書かれたデフォルト商品のことでしょうか。

 

○ 山崎委員

 既存のDC規約は旧来型のデフォルトファンドについて、今、書かれている。この法律が施行された以降は、直すことを考えなければならないのかどうか。

 

○森戸委員長

23条の2、1項では。別に提示しなくていいでしょう。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 提示は自由でございます。

 

○山崎委員

 提示した場合は。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 今回、整備方法の規定を整備しましたので、基本的に旧来の通知でのデフォルト商品というのは制度としてはなく、新しい法律でやっていただこうと思っております。少なくとも規約はそういう意味では整理し直していく必要があるかなと思っております。

 

○森戸委員長

 横から口を挟んでしまいましたけれども、23条の2の1項では、提示することができるだから、指定運用方法を決めなくてもいいのですね。決める場合は2の基準を満たせというのが今の法令のつくりですね。先ほど、私の言い方はミスリーディングだったかもしれないけれども、そういう意味では努力義務だったけれども、あれは議論の整理はむしろ選ぶようにしろと言っていた意味では、そこは言っていることは強かったのかな。今回はそもそも選定しなくてもいい話なのですね。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 はい。あと、議論の整理は、デフォルト商品設定そのものについては義務ということまでは言っていなくて、あくまでもデフォルト商品を選ぶ場合の内容について、努力義務として言っている。

 

○森戸委員長

 そうですか。そこは別に設定の努力義務ではなくて、中身の努力義務だったのですね。そういう意味では。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 議論の整理にも、デフォルト商品を設定する場合には、そういう商品を提示することを努力義務にするという表現なのでそのとおりです。混乱しまして済みません。

 

○森戸委員長

 大分混乱させて済みません。「シン・ゴジラ」でこういうシーンを見ましたよ。申しわけない。

 現行法の確認、26ページの条文の確認で、山崎さんはそれでよろしいですか。

 何か補足はありますか。

 

○諏訪園大臣官房審議官

 ちょっと聞き漏らしたところがあって、重複しているかもしれませんけれども、今回の改正法で新しく、これまでは通知で行っていたデフォルト商品を、法律上、位置づけを明確化するということで、できる規定として入れて、提示する場合についての手続の定めを行った。したがって、この規定はデフォルト商品を今後ともやっていくという場合においては、既存のDCであっても、これから新しくDCを始められるところでも、同様にこの法律の規定が適用されるということがまず1点でございます。

 先ほどの基準のところの読み方、まさに目的から書きおろしましたので、ここについてはさまざまな議論がこれからあるのだと思います。したがって、どういう商品が入るのかについて、もともと議論の整理でも努力義務としての分散投資効果が見込まれる商品がいいのではないかとの御意見もあれば、元本確保商品もあるけれども、それについては期間を設けるのか、設けないのか。あるいは労使で決めればいいのではないか。さまざまなものがあって、そういったものを全て含んで、先ほどの23条の2の2項の基準という形では、結局こういう目的に照らして必要な基準として厚生省令を定めなければならないとなっていますので、厚生労働省令を定める基準において選ばれる商品としてどういうものを選んでいくのかというところから、この委員会で御議論いただければと思っております。

 以上です。

 

○森戸委員長

 補足をありがとうございます。私がいろいろなことを言ったので説明をお願いしてしまって済みません。ありがとうございました。

 まだもうちょっと時間があるのですが、杉浦委員、お願いします。

 

○杉浦委員

 一つだけ念押しのような話をしたいと思ったのですが、デフォルト商品の話が出るときに、時において元本確保型でないとデフォルト商品ではないとかいう、デフォルト商品を元本確保型に持っていきがちな議論になるような話を時々聞いたりするのです。私、金融機関に十数年もいた立場から言うと、現状から考えるに、商品設計上ほぼ無理なので、法律的にこれができ上がったときに附帯決議とかいろいろなものを見せていただきましたけれども、もしかすると、さもそういうものが当然だという御議論がどこかで進むのはおかしいと思いました。金融機関の立場というところを考えてみたとしても、現実的に無理ですし、実際的に本当に無理かというと、保険をうまく活用するとできないことはないのですけれども、そうすると、何がおきるかというと、そこに手数料をどうするかという議論と同じかもしれませんが、手数料として保険料を相当払うということが発生し、確定拠出年金ではなくて、確定拠出損金になるので、そういった意味では余り望ましくない。

 だから、バランス型というのをどういう意味と考えるのかはありますが、努力義務の部分のところを私が推察するに法制局とのぎりぎりの折衝のもと、こういった文章になったのだと解釈していますが、ある程度努力義務的なものが入ってきた中で、とにかくできるだけの損失が発生せずに、より安定した運用効果が得られるというところに、そういう努力が認められるようなものであれば、それがデフォルトファンドであっていいのだということにするほうがよくて、元本確保型ありきという議論の方向だけはよけたほうがいいのかなということだけをあえて事前に申し上げました。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 恐らく元本確保ありきというよりは、どちらかというと、議論の流れはデフォルトというと、バランス型とかになりそうだけれども、元本確保の余地もあり得るのかという議論をしていくかなと思いますけれども、まだ始まっていないのでわかりません。

 杉浦委員が元本確保はそもそも無理とおっしゃった26ページの23条の2の2項の定義で元本確保を読むのは無理だという御趣旨でおっしゃったと。

 

○杉浦委員

 余り法律的な話ではなくて、現実的に商品設定上厳しいのではないかと思っているということが一つで、それはなぜかというと、ちょっと経験上、36のところにOECDの云々ということを書いていただいて、アメリカの401kはどうだったねという話を書いていただいている部分があるのですけれども、そこにもデフォルト商品の大半が、いわゆる元本維持商品だったために老後に必要なリターンが得られないという問題が発生したというのがありますけれども、これは現実的にそうで、企業に勤めていたときは外資にしかいたことがないので、まさに外の状況そのものをよく知っているわけですけれども、現実的に、できなかったどころか、いろいろなマーケットの局面で、確保型をすること自体がそもそも相当なインシデンスプレミアムを払わないとできないということになってしまう。その中で、これまで日本の経済設定の観点、金融商品の設定の中で預金を中心に、とりあえず預金をしておけば大丈夫だという話がずっとあったわけですけれども、今やマイナス金利になってしまっていて、事実上、今のところ、預金金利のところにまでは影響していませんけれども、北欧諸国などでは預金金利のところにも反映されてしまっているわけです。そういうことが今後起こらないとも限らないという我が国の状況の中、余り元本確保だから、そのまま預金という考え方が広がるとよくないなと思って、念のためと思って申し上げたのです。

 

○森戸委員長

 わかりました。元本確保という中身の問題ですね。ありがとうございました。現状は35ページにあるように、預金等が日本でもデフォルト、ほとんどなのですけれども、それが本当に元本確保なのかという意味では、おっしゃるように、またそういう趣旨はわかりました。ありがとうございます。

 重富委員、お願いします。

 

○重富委員

 ありがとうございます。

 想定利回りですとか、インフレリスクを踏まえた長期的な観点で分散投資効果が発揮されるような運用を行うというのは、一般論としてはそのとおりだと考えておりますけれども、例えば企業型で行きますと、加入者の退職年齢という問題もございますし、例えば2000年代初頭のITバブルの崩壊とか、リーマンショックとか、金融市場の急激な変化による影響を経験した方々からすれば、だからこそリスクをとってまで退職給付の資産をふやそうというよりも、何とか減らさずにおきたいという意識を持って元本確保型を選んでいるという方も当然いらっしゃると思っておりますので、そのことは考慮すべきだろうと思っておりますし、そのことは決していわゆる合理的な行動ではないとは言えないと思っております。

 また、働く者の観点で申し上げますと 、指定運用方法のあり方ということで、法律上、長期的な観点から収益の確保を図るとされているからといって、短期的に大きな変動があるような高いボラティリティーの商品ですとか、高いリスク性の資産というのが導入されたり、あるいは、元本確保型商品を商品構成から排除するとか、割合を極端に減らすということは、将来の生活の支えの一部という退職給付の性格からも認められないというのが働く者の立場の意見ということになります。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 もちろん、元本確保がいいと思って選んでいる場合はいいのですけれども、デフォルトの話だから、そもそもそういう選択をしない人がいるときにどうしようかという話だということもあわせてお考えいただければと思います。

 清家委員、先ほどデフォルトのほうはまた後でとおっしゃっていましたけれども、もし今あれば。

 

○清家委員

 今、重富委員からもありましたけれども、組合側さんもそういう意見もありますし、実は企業側もそのあたりはよくよく考えないといけないというお声も聞いています。ですので、最初から元本確保型はだめですよという議論ではなくて、企業なり、それぞれいろいろな背景があって、今、デフォルトを設定している部分もありますので、そのあたりもよく考慮していただいて、どういうものにしていくのかと、その点をぜひ御議論をお願いしたいと思います。

 現状でいくと、資料の33ページ、いろいろな理由が若干書かれていますが、例えば従業員の方の御事情でどうしても商品選択ができないので、セーフティーネットとして今、デフォルトを用意していますというお声も実は現場でもありますので、今回の法改正の趣旨は十分理解しつつも、そのあたりの実情があるという点は御配慮いただければと思います。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。労使の声ということで、たまたま両方伺いましたけれども、十分酌み取って議論したいと思います。

 大分時間も迫ってきたのですが、臼杵委員、何かありますか。

 

○臼杵委員長代理

 ありがとうございます。

 皆さんのおっしゃっているところは理解するつもりですけれども、一つ、想定利回りということに関して言うと、多分、想定利回りとは先ほどの名目と実質で考えると、名目で考えているのですね。そういう意味で、想定利回りで対応できないようなインフレが起こってしまった場合にどうするのかという問題を考えると、想定利回りでも退職金額が達成できるから預金でもいいでしょうとは単純には言えないのかなというのと、預金に関して言うと、預金というのはある意味で流動性を確保することがすごく目的になっていて、定期預金でもいつでも引き出せるということですので、それが本当に20年、30年の運用手段としてふさわしいのかどうかというのはこれから議論していただければと、いろいろ御意見を伺えればと思います。

 それから最初の23条の2の1項と2項ということでいくと、仮に、元本確保というのはそもそもおっしゃるように、今、ゼロ金利なので、手数料を引くと元本確保商品は世の中に存在するかどうかというのもあるのですけれども、仮に非常に低リスクのものが排除された場合に、労使としてデフォルトを決めないという方向に流れるという可能性はあるのですかね。

 

○森戸委員長

 それは誰に答えてほしい。後ろの人。

 

○臼杵委員長代理

 そういうこともありうるのかなと思いまして。

 

○森戸委員長

 「I wonder」みたいな感じで。

 

○臼杵委員長代理

 逆に、ある意味で逃げ道みたいになっている。そういう意図では多分なかったと思うのですけれども、可能性としてはあるのかなと。

 

○森戸委員長

 そうですね。法令上は今みたいなつくりで、しかし、そこは政府としてというか、国としてデフォルトは本来あるべきものではないというところまで言うのかどうかということも考えなければいけないでしょうね。今の法律の基準はそうなっていますので、そこを含め議論したいと思います。

 よく井戸委員も臼杵委員も想定利回りとおっしゃっていて、一応確認しておきたいのですけれども、この場合、ここでおっしゃっている想定利回りというのは、私のイメージだと、退職金から移行したから、退職金の本来の水準までいくには年3%でいいよとか、うちはすごくジェネラスな移行をしたから定期預金でもいけるという、それを想定利回りとおっしゃっているのですかね。

 

○臼杵委員長代理

 そうです。

 

○森戸委員長

 だとすると、そもそもそういうものはない企業もあるし、これはある意味そこの企業にずっと定年までいたらねという話だという限定はつくわけですね。そこはこの制度はそういう人ばかりではないということも前提として議論しなければいけないなと思いました。

 皆さんにいろいろな議論をしていただいて、まだまだ御意見があるかと思いますけれども、少し時間も迫ってきましたので、本日の議論としてはこのぐらいにしたいと思います。

 私は大体途中で言いたいことを全部言ったので。

 1点だけ、急に戻って申しわけないのですけれども、資料の13ページとか15ページ、DC加入者の声の、DC加入者というのは企業型なのか、個人型も両方なのか、そこは。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 それぞれ調査も違いますので、企年連のほうは企業型だと思うのですが。

 

○森戸委員長

 後で確認でいいですけれども、DC加入者の現状はこうだといったときに、統計のほうはほとんど企業型かなと思うのだけれども、ただ、議論するときに個人型と企業型で、今、出たように加入者が大分違うので、加入者がこういう声ですというのも少し中も見ないといけないかなと思いました。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 そこを明らかにしたいと思います。

 

○森戸委員長

 必要に応じて確認していただければと思います。

 時間の関係がありますので、まだまだ御意見をいただけるとは思うのですが、このあたりでひとまず区切りとしたいと思います。

 本日、議論いただいた意見等につきましては、事務局で整理していただいて、今後、議論していただきたいと思いますが、そういうことでよろしいですかね。

 

(首肯する委員あり)

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 今後の本委員会のやることですけれども、議論の参考とするために、まず、先ほど少し申し上げましたが、関係団体とか労使団体に対するヒアリングを実施してはどうかと思っております。その上で、その結果も踏まえながら議論を深めまして、最終的な取りまとめを行っていければと思います。

 これについて何か御意見はありますでしょうか。よろしいですかね。

 

(首肯する委員あり)

 

○森戸委員長

 では、そういう方向で事務局に考えていただいて、特にきょう出た視点で、実務上の現実の問題点とか、ふぐあいもあるでしょうし、現状、どのように運用商品を提示しているのかという話もありますし、私個人的には、先ほどお話がありましたように、基本は今も商品を選ぶときは規約ですから労使合意でこれとこれとこのファンドと選んでいることになっているわけですね。そういう意味では、私が部会のときに言った意見とかはある意味ピントがずれているところがあって、つまり、本数も、この商品を何で選んだかも全部労使で決めている建前になっているわけですね。その辺が、しかし、現実はどうなのかというところも少し突っ込んだ話かもしれませんが、興味がありますので、そういうこともわかればと思っております。

 それ以外のきょう出た議論も参考に、事務局のほうで準備をお願いしたいと思います。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 わかりました。

 

○森戸委員長

 それでは、大体ほぼ予定の時間よりちょっと早いぐらいですが、済みません、私、楽しくて好きなように、事務局を大分かき回してしまって申しわけないのですけれども、委員長でなかったらもっとよかったなと今、思って、まとめの直前に事故が起きるかもしれませんので、よろしくお願いしますね。議論だけしていると本当に楽しいなと思うのですけれども、余計なことですが、本日の審議を終了いたします。

 次回の開催について、事務局より連絡はありますでしょうか。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 本日はどうもありがとうございました。

 次回の開催日時は事務局から各委員の御意向をお伺いしたい後で正式な御案内をお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございました。

 では、本日は終了いたします。御多忙の折、皆様、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。

 

 

(了)

 

団体