2017年3月21日 社会保障審議会企業年金部会確定拠出年金の運用に

関する専門委員会(第3回)

年金局企業年金・個人年金課

 

○日時  平成29年3月21日(火)15:29~17:53

 

○場所  全国都市会館(2階大ホール)

 

○出席者

森戸委員長、臼杵委員長代理、井戸委員、大江委員、重富委員、杉浦委員、清家委員、山崎委員

○議題

(1)労使団体等からのヒアリング

(2)その他

○議事

○森戸委員長

 では、定刻になりましたので、ただいまより第3回「社会保障審議会企業年金部会確定拠出年金の運用に関する専門委員会」を開催いたします。

 お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

 杉浦委員がおくれていらっしゃいますが、間もなくいらっしゃるかと思います。

 では、早速議事に入りたいと思います。カメラの方、もしいらっしゃいましたらここで退室をお願いいたします。

 では、事務局から資料の確認をお願いいたします。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 それでは、資料の確認をさせていただきます。

 本日の配付資料は、ヒアリングに来ていただいている方からの提出資料が主となっております。

 座席表の次に資料1がありまして、これはきょうヒアリングをさせていただく団体等の方の所属、氏名が書いてあります。一覧でございます。

 資料2が1つ目の団体、日本労働組合総連合会様の資料でございます。

 資料3-1が日本経済団体連合会様の資料でございます。

 資料3-2が日本経済団体連合会様の一環として、NTTさんの資料でございます。

 資料3-3も日本経済団体連合会様の一環で、パナソニックさんの資料でございます。

 資料3-4が日本経済団体連合会様の一環の最後の日立製作所さんの資料でございます。

 資料4が森田人事労務事務所の森田様の資料でございます。

 資料5がみらい女性倶楽部の内村様の資料でございます。

 残り、参考資料1に名簿がありますほか、参考資料2といたしまして第1回目に出した資料の一部である運用の改善についての基礎資料集でございますので、適宜御参照くださればと思います。

 なお、ただいま確認いたしました資料のほかに、委員の皆様限りの資料として日本電信電話様、NTT様とパナソニック様の非公開資料を机上に置かせていただいております。

 不備等はござませんでしょうか。

 以上でございます。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 本日は、労使団体等からのヒアリングを主な議題としております。

 今回は本委員会の検討事項である運用方法の上限数、指定運用方法の選定基準の検討に資するため、労使代表の2団体、日本労働組合総連合会、そして日本経済団体連合会。中小企業の実態にお詳しい森田人事労務事務所の森田様、加入者と個人の実態にお詳しいみらい女性倶楽部の内村様から、各団体等における実態や、それを踏まえた御意見を頂戴することとしています。

 本日の進め方ですけれども、まず1団体ずつ説明をしていただいた後に15分程度の質疑応答の時間を設けたいと思います。さらに最後にまとめて質疑応答できる時間もできる限り設けたいと思っております。

 では早速、日本労働組合総連合会より説明をお願いいたします。

 

○伊藤生活福祉局長

 連合の生活福祉局の伊藤と申します。

 きょうはこのような意見表明の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。

 それでは、時間でありますので、説明させていただきたいと思います。

 連合は今、686万人という組合員でございますが、企業年金の制度をどのようなものが適用になっているか。企業型DCを何人、どの組合がやっているかといった情報をデータとして私ども本部で把握しているものはございません。今回このようなヒアリング機会をいただきまして申し上げることといたしましては、企業年金の連合としての考え方、それに加えまして実際に企業型確定拠出年金を実施している労働組合に、実際その運営にかかわっている上で、今回の提起されている2つの論点についての見解を幾つか聞いてきたので、それをまとめた形で私から御説明をさせていただくものであります。

 まず1ページ目に書きましたのは連合としての企業年金の考え方でありまして、企業年金は退職給付の一部であるということで、従来からこの場では皆様共有されていると思うのですが、賃金の後払いとしての性格ということと、また、老後の生活保障という点で近年、公的年金の給付水準の適正化が進められている中でその補完機能という両面を持つに至っている。その点から企業年金について考えております。

 まず賃金の後払いという観点からは、これは確定給付であるべきということを基本に考えております。また、公的年金の補完機能としては、今、実際問題としましては、非正規労働者については企業年金は極めて少ない適用状況。中小企業における実施が減っていることも非常に際立っております。こういう中では公的年金が今後さらに適正化されていくという中にあっては、背に腹はかえられないという意味で、確定拠出も含めて企業年金の普及促進を、抜本的に強化していく必要があると考えております。

 今般、改正された確定拠出年金法では、個人型DCを非常に推進するような内容になっているわけですが、この点につきましては企業年金とは全く性格の異なるものだと理解しておりますので、企業年金が個人型にとってかわるということがないように、私どもとしましては運動を強化しているところでございます。

 4つ目のポツですけれども、この企業年金は退職給付でありますので、労使が関与して方針も立て、監視していくこと、また、情報提供も充実していただくことが非常に重要だと考えているところでございます。

 2ページ目からが今回のヒアリング事項に即した内容でございます。先ほど申し上げましたように悉皆のデータがあるわけではございませんので、業種的には製造からサービスまで、また、規模としましても大企業から小規模の企業、また、DCの比率につきましても多々あり、地域もさまざまですが、組合の認識を聞いてきたところであります。

 まず運用商品提供数の上限の問題でありますが、運用商品の追加等、DCの設計等は年1回以上の定期的または臨時的な協議の場で実際に協議を行っているということです。頻度はさまざまというところであります。また、DCの実施状況については、こうした正式な労使協議の場とは別に専門委員会を設置している場合もあれば、事務打ち合わせという形で定期的に四半期とかで確認しているところもございます。

 そして組合からの商品ラインナップについての要求といった場合もあると聞いております。しかし、その点については企業グループで1つのDCの商品ラインナップが提供されている場合もあり、組合の意見がどれだけ取り入れられるかという点はさまざまと聞いております。

 運用商品の説明についてでございますが、これは導入時教育において新入社員や転職者等に対して、運営管理機関や事業主が実施しているということであります。また、商品説明のときに、加入者に対してきちんと商品選択してくださいと言って、商品選択を行っていると聞いております。そのほか組合が別途説明機会をもって、運管とは別の金融機関が説明をしているところもあることを把握しております。

 新規商品の説明については、継続教育の場で実施されていることが通常でありますが、説明の方法としましては、きちんと運管が事業所単位に訪問をしまして、複数回の説明を行っている場合もあれば、一方でeラーニングや冊子の配布等で行っているところもあります。また、継続教育自体、十分行われていないところもあるようです。

 業種、職種による特徴や単位事業所当たりの従業員の規模というようなことも、それには影響しているような様子も見られます。

 次のページですが、提示されている商品数につきましては1桁から40を超える商品までさまざまございました。しかし、運用商品数が多いため加入者、組合員が商品選択に困難を来しているというような認識を示している組合は特にございませんでした。いずれの組合でも元本確保型を選択している加入者の多さについては認識をされておりました。

 運用商品の提供数の上限についての考え方ですが、以上のような状況からしますと、企業年金は退職給付であることから、運用商品数の設定については労使での決定を尊重していただきたいと考えております。この上限を設定することとはある意味、相反するようなことなのですが、個人型確定拠出年金の宣伝が非常に広まっているということで、逆に組合員から商品ラインナップをふやしてほしい、うちの会社に何でこの商品がないのですかという声もあると聞いております。組合としてはそれが退職給付としてはふさわしくないからと言って受け入れないというか、提案をしないというケースもあるとも聞いております。

 また、運用商品数の導入に当たっては、加入者からの要望だけではなく、企業の資本関係とか取引先等、さまざまな要因も考慮されているという実態が見えてまいりました。組合が要望したわけでなく、会社側から追加の事情を説明される場合もあるということでございます。

 企業グループの場合のことを先ほど申し上げましたが、どういう事情でその商品数がふえているのかということもなかなかわからないようなケースもあるようです。

 最後の矢印のところですが、上限数については現在、実施されている企業型DCの実態に即して、加入者に混乱を招かないような検討をぜひしていただきたいと思っております。組合員が商品変更を余儀なくされることで手数料負担をすることにならないように、ぜひ検討いただきたいと思います。

 4ページ目は個人型の上限数です。こちらにつきましては労働組合の関与が極めて希薄ですが、個人型DCは運管によって商品数も商品構成もさまざまということが見てとれますので、この点についてはぜひDC法の本旨に即して加入者の自己責任で運用指図を行うことが実践できるように、加入者に幅広い選択肢が引き続き提供されるような検討もしていただきたいと考えております。

 5ページに入りましてデフォルト商品でございます。企業型につきまして聞いてみましたところ、設定を行っていないDCと行っているDC双方がございました。数字的には余り意味がないと思いますが、行っていないところのほうが若干多いような印象がございました。

 デフォルト商品については、運用損失による労使の責任を重視する考えで定期預金を設定しているところが極めて多かったです。保険商品を設定しているケースもございました。中には運用利回りが想定利回りから乖離していることに懸念を感じて、退職給付の水準を確保するという考え方を持って投資信託を設定したDCもございました。

 同様に長期的な水準確保を課題認識としている労働組合はほかにもございました。運用指図を行いにくいような職場とか仕事、そのようなところの関係もこういう認識にはあるようにも感じられました。また、そのような職場であるからこそ、投資教育も十分に行われていない可能性もありまして、それがまたデフォルト商品の選択につながっている可能性も感じたところであります。

 デフォルト商品を設定していないDCでは、商品説明とあわせて加入者に必ず何かは選ぶことを徹底しているということで、特に必要としていなという意見がございました。100%DCのところでは非常に強く投資教育機会を組合から求めて、そういうことが徹底されているということがございましたし、また、商品説明と同時に商品選択を求めることをきちんと行うことで、必要としていないというケースもございました。

 6ページですが、デフォルト商品の適用者への働きかけというものは、継続的に行われている例も多くございました。それでも残る者がいるのが現実でありますが、2つ目の○ですが、加入者が希望する商品自体がデフォルト商品と同じであるため、あえて運用指図を行わない可能性があるという指摘もございました。

 以上のような意見から考えますと、企業年金は退職給付であることから、指定運用方法の基準については労使での決定が尊重されるべきと考えております。実際に先ほどの5ページの2つ目の●の後段にありますように、水準確保を課題認識して投資信託を設定しているところもございますので、そのような判断が可能になるように引き続き検討していく必要があると考えております。

 デフォルト商品を設定する場合に、その設定に当たって選択した商品の理由ですとか、適用時期、こういったことはきちんと加入者に説明する、明確に周知徹底を図ることが必要だと考えております。その際、信託報酬等も重要なポイントだと考えております。

 このように考えますと、一番下の矢印ですが、元本確保型がデフォルト商品に選好されている実態を踏まえた検討をぜひしていただきたいと思います。また、元本確保型をデフォルト商品に設定している理由を聞いてみますと、やはり訴訟リスクという指摘が複数で聞かれましたので、そういった実態を踏まえた検討をお願いしたいと思います。

 7ページ、個人型のほうのデフォルトです。こちらも同様にデフォルト商品についての説明をきちんとしていただきたいと思います。矢印のところですが、こちらは加入者が不特定多数ということもございますので、資産の欠損を発生させないという観点を重視する必要もあると考えております。

 最後に、論点以外にぜひ認識していただきたい課題を幾つか掲げさせていただきました。

 1つ目ですが、継続教育につきましては、今般の法改正で配慮義務から努力義務へと強化されたと認識しております。この点につきましては法改正の国会の議論で、政府委員からも、選択のリテラシーを上げるために情報提供を行うというのが投資教育であって、その投資教育を継続的に行うことが望ましいということで、ある程度義務を強化する趣旨で制度改正を行う、というように説明されておりました。今、政府、業界を上げて金融リテラシーを高めていくことで教育も盛んに行われていると思いますが、その中でDCにつきましては自己責任で運用指図を行うというのが本旨の制度ということで、このデフォルト商品の設定が行われた場合であっても、これはあくまでも選択を留保しているだけの状態であると考えられますので、継続的に選択を促す取り組みが大事だと思います。その意味では最初に申し上げた選択のリテラシーを上げるための投資教育に対する事業主の義務が減免されることはあってはならないと考えております。デフォルト商品の設定自体がまた金融リテラシーの後退を促すことにならないようにする必要があると思っております。

 最後に、労使の意見を表明する意思決定を行う仕組みのことでありますが、民主的に正当性を持つ過半数代表者についての考え方をぜひ検討していただきたいと思います。昨年の調査では労働組合組織率は17.3%と我々の力が十分及んでいないところであります。また、過半数労働組合というものがどれぐらいあるかという調査はございませんが、ユニオン・ショップ協定がある組合についての調査が2011年にございました。64.3%ということですので、掛け合わせますと11%程度が過半数労働組合のもとにいる組合員となります。

DCがある企業の従業員についてですが、圧倒的に多くの労働者、加入者は過半数代表者というものに意思を委ねることになります。しかし、この過半数代表者の4割というのは会社指名、または社員会や親睦会等の代表者が自動的に代表者となっているのが実態ということで、これはJILPTから調査結果が出ております。過半数代表制がフィクションとなってしまわないように、きちんと労働者の意見が反映される仕組みにつきましても検討をしていただきたいと考えております。

 長くなりましたが、以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 では、ただいま説明がありました内容について、委員の皆様から御質問等をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。大江委員、どうぞ。

 

○大江委員

 どうも御説明ありがとうございました。

 私から3点ほどお聞きしたい点があります。教えていただきたいのですが、1つは商品選定の件、2つ目が投資教育の件、3つ目が商品追加に関する件です。

 まず商品選定ですが、2ページに運用商品の採用等については、当然のことながら労使合意がなされることが必要なわけですが、当然この場合は組合側と会社側との間での話し合いの中で決めていくことになりますので、ある程度組合さん側も専門的知見をお持ちの上でやっておられるケースが多いだろうと思うのです。私も幾つかの労働組合さんを存じ上げておりまして、そういうところで積極的に専門的な知見を得るための活動をしておられることも承知しているのですが、具体的に一般的にはこういった商品を選定するに当たって労働組合さんとしての意見をきちんと表明するために、そのための専門的知見を得るどういう活動をされておられるケースが多いのか、おわかりになれば教えていただきたいというのが第1点です。

 2つ目が、同じく2ページに継続教育の話とかが出ていますが、これも私も幾つか聞いた話では、労働組合さんが主催でやっておられるケースもあるとお聞きしております。これも正確な数字はなかなかつかむのは難しいかと思うのですが、今までお聞き及びの範囲内でどれぐらいの割合で主催でやっておられるのか。労働組合さんがやっておられるところがどれぐらいあるのかというのがわかれば教えていただきたい。

 3つ目は3ページに商品の追加ということで、一番最後のポツのところで運用商品の導入に当たっては加入者からの要望だけではなく、企業の資本関係や取引先等さまざまな要因も考慮されている実態があるということで、まさにこれはこのとおりかなという気はするのですが、ある意味、商品の本数がどんどんふえていっているという1つの要因がこの辺にあるような気がいたしますので、これに対して連合さんとして何か考えなり御見解なりそういうものがあれば、お聞かせいただけたらと思っております。

 以上です。

 

○森戸委員長

 では3点よろしいですか。

 

○伊藤生活福祉局長

 まず労使合意をするに当たっての知見をどのように得ているかという点ですが、今回、聞いておりませんので正直、どのように得ているかというのは把握できておりませんが、今まで聞いているところでは、組合の執行部の中でFPの資格を取るとか、そのような取り組みをしているところも聞いておりますし、それぞれ別の金融機関に聞くこともあるのかもしれません。

 また、投資教育で組合主催の教育を行っている割合ということでありますが、その点につきましても同じでして、定量的な調査ができておりませんので、そういうところがあるということしか言えないところでございます。

 3ページの追加の商品で会社側の事情といいましょうか、いろいろな大人の事情というか、そのようなものがあるということで、これに対して、では困っているかというと3ページの上のほうの2つ目のポツで書いたとおりでございまして、困っているという声が組合員からあるわけではないというところなのです。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。臼杵委員長代理、どうぞ。

 

○臼杵委員長代理

 1つコメント、1つ質問なのですけれども、まずコメントとしては3ページの下から2つ目の●で、組合員からさまざまな運用商品の提供要望が高まっているのだけれども、労使としては、それは長期運用にふさわしくないということではねているというお話だったかと思います。まさにそれはぜひそのような方向で今後もということで、投機ではなくて長期投資の場ですので、ぜひそういうことはお考えいただければということがコメントでございます。

 質問としましては、8ページの●の下から2つ目のところがよくわからないのですけれども、デフォルト商品の設定自体が金融リテラシーの後退を促すということ。そういう可能性があるということなのかもしれませんが、こういうことはあるのですか。

 

○伊藤生活福祉局長

 1つ目はコメントということでいただきましたので、お答えすることでもないのかもしれないのですが、そういうようなところもあったという話でございますので、意見を受けて、それをそのまま使用者側に要望するところもあるのかもしれません。ただ、先生から今、御指摘いただきましたような長期投資という考え方に基づいて、労働組合として意見表明をしていくことが重要だということの御指摘だったと思いますので、その点について大変ありがたい御指摘だと思っております。

 8ページの下から2つ目のところですが、実際にこういうことが起きるかどうかということを私のほうで、この理論に基づいてそうなりますということを言っているわけではございません。行動経済学というものがここの場では非常に何か共通の知見になっているのかもしれませんが、それに対抗するような何か理論があってそう言っているわけではございません。

 

○臼杵委員長代理

 ありがとうございます。若干つけ加えさせていただきますと、企業リテラシーの向上はもちろん必要なのですけれども、それはある意味で長期的な課題。こういう例えがいいのかどうか、百年河清を俟つようなものでありまして、砂に水をまくと言ってもいいかもしれませんが、ですからそれはもちろんやらなければいけないのですが、仮にそれがきっちりなされなくても、個々の労働者がおおむね間違いのない選択をするようにデフォルトを決めましょうと。それは労使の責任だということを今、考えているのだと思いますので、そこは御理解いただければということですし、このデフォルト設定は海外、OECDとかアメリカとかイギリスでも別に普通にされていて、そこで金融リテラシーの後退が起こっているとか起こりそうだという議論はないですし、むしろこれはアメリカなんかではDCのDB化というようなことで、むしろ労働者にとってはいいことだというように言われているので、そこはぜひ連合の方も御理解をいただければと思います。

 

○伊藤生活福祉局長

 ありがとうございます。砂に水をまくというお話を聞くと途方に暮れてしまうような印象があって、これだけ金融庁や金融界を挙げて金融リテラシーと言って教育界を巻き込んで行っていることが無になるような、非常にがっかりする面もございます。そういう取り組みを学校現場も含めてやっている中で、先生の御指摘についてちょっと理解ができていないところがあります。デフォルト商品の設定自体が選択を促すことにどうつながるのかとかいったところもまだ十分理解ができていないところがございます。デフォルトに任せておけばいいんだと。そうすればそこそこの運用益を出してくれるんだというような認識に立ってしまうと、これまでの金融リテラシーを高める教育とどちらがいいのだろうか、どちらが正しいのかというような思いになってしまうということで、このようなことを書かせていただいたところでございます。

 また、デフォルト商品を置くところになってくると、金融商品取引法上の契約のあり方とか、こういったところももう少し見直していく必要があるのかなと。だんだん普通の金融商品の性格とどう違ってくるのかということも、もう少しこちらも勉強していかなくてはいけないなと考えているところでございます。

 

○森戸委員長

 この議論は私も参加したいのですけれども、ヒアリングなので別のときにしましょう。いろいろ盛り上がったところ申しわけないのですが、代理はよろしいですか。手短にお願いします。

 

○臼杵委員長代理

 百年河清というのは言い過ぎたかもしれませんけれども、ただ、投資教育というのは限界があって、DBの運用執行理事ならやらないようなことをDCの加入者はやってしまいがちだと1点だけ。

 

○森戸委員長

 では御質問、御意見に戻りたいと思います。井戸委員、お願いします。

 

○井戸委員

 御説明ありがとうございました。

 私は1点ですけれども、例えば取引金融機関等に配慮してふえるというようなこととか、運管だと系列の商品を多く入れようとするというのが実態だと思うのですが、労働組合があるところは、労働組合にそういうことをきちんと伝えられているのかということと、一方、労働組合がないところ、過半数の代表者のところなのですけれども、フィクションにならないように連合としてもやっていくと書いてあるのですが、専門知見のないところだと実際にどうなっているのかという実態をお聞きしたいこと。連合さんとしてそこのフィクションにならないようにするには、具体的にどのようなことを考えられているのかというところがあれば教えていただきたいと思います。お願いします。

 

○伊藤生活福祉局長

 今度こういう商品を追加したいというような提案があった場合に、労働組合にどのように伝えられているのかというところなのですが。

 

○井戸委員

 それが純粋に提案されているのか、あるいは会社としてのつき合いの面でというのが労組さんときちんと把握されているのかどうかというところです。

 

○伊藤生活福祉局長

 全体的にということはもちろん先ほどからの繰り返しになってしまうのですが、きちんと労使協議だけでなく、非公式を含め事務折衝という形でやりとりを密にやっている組合において、商品の追加の提案があったときに、それはどういうことなのですかということを聞いていく中で、そういう話も聞いたというようなことです。そういった労使の議論の場、意見反映の場をきちんと持っているということが非常に重要になってくることもあると思います。

 過半数代表者のほうなのですけれども、こちらについては連合として何かをしていくというのは極めて難しい分野でありまして、8ページの一番最後に書いたところは連合として過半数代表者に対する取り組みをこのようにしていくということで書いたつもりではございません。非常に多くのDCの実施事業所では、この過半数代表者というのを利用しながら労使合意を形成していくことになっていると思われるので、その点についてはフィクションにならないようにしていただきたいということです。ではそれはどうすればいいのかということですが、過半数代表者の選任に当たっては選挙で選ぶとか、きちんと労働者の中で決めていくというようなこと。実際にそういう割合も2割弱あったりするところでございますから、上からの指名でおまえやれということがまかり通らないような、きちんとした過半数代表者の選任ということも考えていただきたいということであります。

 

○森戸委員長

 ほかにいかがでしょうか。山崎委員、お願いします。

 

○山崎委員

 私は質問ではなくて意見だけですけれども、今の話なんかは、連合さんはNPO法人の金融年金問題教育普及ネットワークをお持ちだと思うのですが、8ページ目の一番最後の課題はきょうの本来の議論とは別として、連合さんとして考えていただきたいすごく重要なテーマの1つだと思うのです。特に組合が必ずしもない中小企業さんでDCの導入割合は今後も高まっていくであろう。そういうところの労働者代表に対して何をサポートできるかということは、もちろん連合としては難しかったから先ほどのNPOさんとかが窓口となってサポートされていこうと努力されているものと思います。むしろそういう窓口があるんだよということを、まさに社内で選挙でいきなり労働者代表になってしまった若い社員とかが多分いらっしゃると思うのです。そういう人のところにチャネルとしてできるだけつながってあげられると、現場でいきなり「おまえがDCを決めるに当たっての労働者代表だ」と言われてしまった社員の方にとっての手助けになるのではないかと思いますので、ぜひそういう活動は頑張っていただければなと思います。きょうの議論と別のところですけれども、お願いというか期待ということで。

 

○伊藤生活福祉局長

 ありがとうございます。NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワークによるアドバイスにも引き続き取り組んでいきます。

 

○森戸委員長

 では、御意見ということでよろしいですね。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。では、次に行きたいと思います。

 続きまして、日本経済団体連合会より説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○清家委員

 経団連の清家と申します。

 委員でもありますが、経団連を代表しまして、まず私からは1枚目の表紙の下にありますとおり、経団連の中で社会保障について議論している年金改革部会というものがございまして、主要な大手企業が大体四十数社入っております。その中でDCを採用している企業の方、これも二十数社ですが、その方からお伺いした意見を踏まえて、共通認識の部分を私のほうから説明させていただいて、続けて部会に参画され、DCを採用されている代表的な企業の方から事例を3つほど補足といいますか、具体的な話をする。そういう構成でお願いできればと思います。

 まず1枚目をごらんいただきたいと思います。私どもの基本スタンスをまず御紹介申し上げます。企業型DCに関して、先ほど連合さんからもありましたが、退職給付制度の基幹的な仕組みだということで、労使合意のもとで多様で柔軟な制度設計を可能とすることが重要ではないかと考えております。その意味で、この後、御説明いただく企業の方々もさまざまな背景があって、いろいろな多様で柔軟な制度設計、そこを根幹に置いていると御理解いただければと思います。

 それにつきまして2つ目の◆にありますとおり、何らかの改正法に基づいた設定が行われるにしても、個々の労使が選択できる幅を確保していただきたいということでございます。その際には現場の状況を十分に勘案してもらいたいということで、これは1回目の会合でも私から申し上げた点でございます。

 2ページ目以降が具体的な本委員会での検討課題について御紹介申し上げます。

 まず運用商品の決定に関する現状でございます。これにつきましては最初のポツにもございますとおり、コストだったり組合側の御要望を考慮するとか、運管さんからの推奨、このあたりが決定に当たって考慮されている事項。各社さん共通認識としましては、加入者の特性とかニーズに合わせて商品を選びやすくするという点を重視されている点が1つございます。

 もう一つ特徴的なのが2つ目のポツにありますとおり、数自体が運用商品の選択の基準とか全体になっているというのは、今のところはそういうお話は伺っておりません。加入者側、組合、従業員側の参画の仕方、運用商品の決定に関しては、検討段階のところから参画されるケースもありますし、決定時の労使合意、そこで加入者側に御参画いただく。そういうケース・バイ・ケースだという現状でございます。

 今回の運用商品の数についての私どもの共通認識を申し上げますと、一律による規制は望ましくないのではないか。労使合意によって具体的な上限を定める選択の余地を残していただきたいということでございます。

 理由として2つ挙げておりますが、1つは労使の自主性を尊重していただくことと、加入者側に多様なニーズ、先ほども連合さんからもございましたが、そういった点を考慮しますと過度な制限は避けていただきたい。

 2つ目に、この後も具体的な事例の御説明があるかと思いますが、投資教育に力を入れて多様な選択肢を設けている場合に、設定の仕方によっては加入者の運用商品の選択の幅を狭めることになるのではないかといった意見もございます。

 参考までに、今回意見を取りまとめるに当たって主要な企業での運用商品の提供数を御参考までにつけておりますが、平均で約26本ということで、企年連さんのデータだと18本ぐらいだったと思いますが、比較的大手の主要企業では20本台後半以降のラインナップをそろえている企業も多いという現状もございます。

 3ページでございますが、ただいま申し上げた点をもう少し具体的に私どもの意見を申し上げますと、1つは政令で仮に上限を設ける場合、これは前回のヒアリングでも金融関係の団体さんからもございましたが、余裕のある上限数にする。もしくは政令で定める数とは別に、ここにも書いてありますが、情報提供、投資教育等、加入者の理解促進に努める場合に、労使合意で定める商品数を設けるべきという考えを持っております。

 数え方の問題につきましては、これは1回目以降の会合でも毎回出ておりますが、これは1本としてまとめたほうがいいのではないかという意見でございます。

 次に4ページ目以降は指定運用方法の基準でございます。最初に現状を簡単に申し上げますと、リスク性商品を含む投信を設定しているのはまれでした。設定している会社はほとんど元本確保型の商品です。デフォルト商品が適用されている加入者の方々に対しては、先ほども御説明がございましたが、加入者全体へのアプローチの仕方もありますし、個別に運用指図の実施を働きかけている場合もあります。配分未指定者に対してメールによる通知とか督促を行っている例もあるということでございます。

 それから、継続教育の一環で元本確保型のみで運用した場合には注意点があります。それから、元本確保型はリターンが見込めない商品特性でありますよと、そういった周知を行っているケースもございました。

 ちなみに私どもの主要なメンバーの皆さんの現状は、大体7対3ぐらいで設定しています。設定されているところは実は1社だけバランス投信で、それ以外は預貯金もしくは保険商品という現状でございます。

 最後に指定運用方法に関する私どもの意見を御紹介いたします。元本確保型を含めて労使の実情を踏まえて、柔軟な制度設計を阻害しないように幅広く選択できるようにしていただきたいということで、理由は3つございます。1つは現状で従業員側のニーズ、これは元本を毀損しないとか、リスクが低い商品をと、そういうニーズを踏まえて設定しています。企業側としても加入者の払い込み元本を毀損する可能性のあるものをデフォルト商品として設定するのは慎重を期したい。そういう考えもございます。

 現状のデフォルト商品に期待されている役割として、未運用指図者への対応だけでなくていろいろな資産移管時の受け皿だったり、あるいは特にお年を召した方を中心に受給権発生までの期間が短い方に関しては、元本割れしないとか、資産保全の受け皿といったいろいろな役割もあるのではないかということもございます。

 (3)でございますが、仮にデフォルトとして元本確保型ではない、それ以外のものということである場合には、これも前回の金融関係の団体の皆さんからもございましたが、セーフハーバーのようなものだったり、デフォルト商品を選ぶプロセスとか判断基準に関して何らかのガイドラインのようなものが必要なのではないかという意見もございました。

 私からは以上でございます。

 

○日本電信電話株式会社

 続きまして、私はNTTの梶原と申します。本日はよろしくいたします。

 お手持ちの資料に沿って簡単に御説明いたします。

 我々は2014年4月、およそ3年前にDC年金を導入しました。この背景を簡単に申しますと、DCということではなくて、その前段で65歳までを展望した処遇制度というか働き方というのはどうあるべきか。その時点で概ね50歳以下は65歳まで年金が出ない状況にあることから、もう一回、現役時代のときの働き方、処遇を話し合おうではないかという話で2012年に労使で話し合って、現役時代の処遇体系を再構築したのですけれども、その延長で2013年に年金というものを一緒にあわせて考えなければいけないのではないかとしたわけです。

 そこには2つの背景がありまして、1つは社員の自立を促すというか、こちらも資料に少し書いておりますが、自分で描く老後の生活設計を自分で考えて作っていくという話を我々としても支援していくべきではないかという話と、もう一つはリーマンショックもあり、DB制度が果たして会社だけではなくて、社員にとっても本当にいい安定的な制度であるのかという話も突っ込んで論議させていただいて、結局お互いに安定した制度で社員がちゃんと安心して働くことを描くために、DC制度への切りかえ、移行をやっていこうではないかという話を2013年に話をして、2014年から導入しました。

 導入したときは9万人弱だったのですけれども、その後、少しNTTグループの中でも対象者を広げて現在9.5万人になっております。

 商品なのですけれども、導入したときに我々は30本と設定して、それ以降、変えてございません。むしろ1本、我々の事情というよりは商品提供のほうの事情によって、ことし5月に減るという形で29本になろうかと思います。

 この30本とデフォルト商品も元本確保と書いてありますけれども、2013年に労使で非常に突っ込んだ話をしたときに、組合からは、社員にはDCへの漠たる不安がありまして、ちゃんと社員にしっかり教育をしてくれと。そして、社員の選択肢の幅を狭めないでくれという意向もあり、ある程度しっかり我々は社員の皆さんに教育を提供しようと。そして選択肢の幅が確保できる商品のラインナップをちゃんとそろえようという形で、こちらを選んでございます。

 あとデフォルトはいろいろな事情により選ばなかった方の元本を、どうしても元本割れするリスクをそこはちゅうちょするところもあり、元本確保を選んでございます。

 2ページ目が我々の先ほど30本の中のパッケージを分類した資料でございます。いろいろな御要望があるかと思いますので、元本確保型が1つと、我々は想定利回りを2%と置いているのですけれども、2%と置いた場合に達するような投資信託のバランス型、こちらも複数用意しました。あとはいろいろな多様なニーズに応えるということで、資料3のカテゴリーの商品を用意しております。

 先ほど申しましたように、我々はまずはしっかり投資教育を行う。そして社員みずから考えていただいて、掛け金の配分を決定していただくことを前提として、ただし、いろいろな御事情に、例えば休職中であるとか、移行時点で定年が近いとか、いろいろな社員のニーズもあります。そういう方に対応することから元本毀損するリスクのない商品をデフォルトとして設定しております。

 3ページ目は、2013年の秋から労使でDC制度を導入しようではないかと決定して以降、社員の方に教育を我々はさせていただきました。まず概要説明としてSTEP1、そして金融機関のいわゆるプロフェッショナルの方に来ていただいてセミナーを行わせてもらったのがSTEP2、いよいよ2014年4月から始まる直前にeラーニングを設け、リテラシー向上に取り組んだ次第です。それは制度導入して以降も毎年1回、ちょうど1年に1回、運用利回りの結果が社員の手元に届きますので、それを見計らってeラーニングを大体5月ぐらいに我々は継続してやってございます。もちろん新入社員にも同様の教育は行っております。

 最後に実際にどのように加入者が選択しているのかというのを口頭で申しますと、額ベースなのか社員数ベースなのかとありますが、額ベースで言うと大体投資信託の商品を選んでいるのは、我々の認識だと3分の2が選んでいます。これを人数ベースに直しますと8割強の人が何らかの投資信託商品を選んでいる。逆に言うと元本確保、これはデフォルト商品を含めて選んでいる人数の割合は20%以下かなと認識しています。年代別で言うと若手ほど投資信託のほうが割合が多く、年齢が高くなると少し元本確保のほうにシフトされるのかなという傾向があるという事実は把握しております。

 以上でございます。

 

○パナソニック株式会社

 パナソニックの中嶋でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 まず1枚目の当社の状況について御説明申し上げます。

 当社の退職金・年金制度は、2013年7月に従来のDBを凍結し、100%DCへ移行しております。よって13年7月以降の入社者は全額DCとなります。なお、以下に経緯として記載していますとおり、当社のDC制度の導入自体は2005年まで遡りますが、これは当時の従業員のうちごく一部、退職金、年金の一時金前払い選択者に対してのみの制度で、そういった方にDCの選択肢も設けたというものです。2009年の改定につきましても希望者のみの選択制DCですので、大きなDCの導入ということでは2013年と御理解いただければと思います。

 続きまして、当社のDC規約の規模でございますけれども、この3月時点で事業主数が84、加入者が約9万人となっております。運用商品は17本、デフォルト商品は元本確保型の定期預金商品としております。

 次のページ以降で、もう少し細かくそのあたりを御説明させていただければと思います。

 まず運用商品ですけれども、先ほども申し上げましたとおり当社のDCの運用商品は現在17本で、2005年のDCの導入当時は15本、2013年に2本追加しております。内訳は以下の表にもございますとおり、元本確保型が7本、投資信託商品が10本でございます。

 商品をどう選ぶかは、加入者の利益を最優先することを基本コンセプトに据え、信頼性や品質、コスト面の優位性に関する客観的評価を踏まえまして、労使間の検討を重ねた上で選定しております。あわせてペイオフへの対応といったリスクへの備えであるとか、あとは従業員から見た商品特性のわかりやすさといった点も、商品の選定に当たっては重視しております。

 これらの商品の内容は、過去、導入教育及び今も年に1回開催している継続教育にて従業員の説明を繰り返し行っております。

 続いてデフォルト商品ですが、当社としてはデフォルト商品というのは基本的には短期間で中途解約をして、従業員がみずから商品を選び直すことを前提にしたものと考えております。その上で万が一、従業員がデフォルト商品のままの場合に元本が目減りする商品というのは避ける必要があるだろうということで、解約時に元本割れをすることのない定期預金型を設定し、その旨を加入手続の際に従業員へ説明しております。

 また、さきに申し上げました投資教育においても元本確保型のみの運用における注意点としまして、インフレリスク等の周知、注意喚起を行ってございます。

 最後のページになりますけれども、今回の法改正に関しまして、運用商品数については弊社自体本数が多いというわけではございませんが、加入者各々のライフプランであるとか、習熟度の向上に伴う資産運用のニーズの変化であるとか、あるいは日々出てきます新しい運用商品のリリースといった状況変化に対して、当然労使の検討を踏まえた上で慎重に導入することではありますけれども、柔軟に対応できるだけの余裕を持った上限本数としていただければと思っております。

 また、本数の数え方につきましては、基本的に構造が同じである商品というのは本数がふえたといって加入者の理解の阻害をするのかなと。むしろ商品特性の違いをより認識しやすくなるのではないかと思っておりまして、同種商品のカウント方法についてもまとめて1本と見ていただければと思っております。

 また、商品除外要件は緩和されますけれども、商品数上限を設定すること自体は加入者の選択肢の制限につながることを考えますと、商品の選定除外にはさらに合理性が今まで以上に求められてくることになろうかと思います。なのでこの選定除外のプロセスや判断基準に係る指標であるとかセーフハーバーといったものがあればというところでございます。

 また、デフォルト商品に関しては、ぜひ元本確保型の商品の選択肢は残していただければと思っております。というのも中途採用は特に近年、活発なM&Aにおける転籍で、高齢者の資産移管が発生する場合においては相当額の資産が動きます。特にこのM&Aの場合等は数百、数千といった単位で従業員が一気に資産移管をすることになりますので、受給権開始までの期間の短い高齢者の方が資産移管を滞りなく行えないまま60歳を迎えてしまうといったリスクに対するセーフティーネットの観点から、ぜひ元本確保型を残していただけたらと思っております。

 あわせて先ほどの上限数同様、商品の選定についてもプロセス、判断基準について指標であるとかセーフハーバーといったものがあればというところでございます。

 駆け足で申し上げましたが、私からは以上です。

 

○株式会社日立製作所

 日立製作所の佐藤と申します。よろしくお願いいたします。

 当社の制度実施状況等をご説明いたします。

 1ページ目に示しましたとおり、当社の退職給付制度は退職一時金、確定拠出年金、確定給付企業年金から構成されています。このうち20%を確定拠出年金と退職金前払いとの選択制で実施しています。

 現在の制度構成になるまでの経緯を2ページ目に示しています。従前は厚生年金基金と退職一時金の構成でしたが、2001年12月に退職一時金の半分を過去分も含め、確定拠出年金と退職金前払い制度に移行しています。

 確定拠出年金の実施状況につきまして、3ページ目以降で説明いたします。繰り返しとなりますが、制度の開始は2001年12月です。加入者数等の規模については、日立製作所と同一の規約で加入者11万人、91社の事業主が制度を実施しています。また、スキームは共通ですが、規約を別とする形でグループ会社が7規約を実施していまして、加入者2万3,000人、28社の規模となっています。継続教育の実施状況につきましては、2007年度から2015年度の間でのセミナーの実施回数が、日立製作所で970回、グループ会社全体で2,458回となっています。

 これらの制度運営状況につきましては、会社規則に定める組織、年金委員会において、加入者の運用状況、商品運用成績等を6カ月ごとに確認しています。また、加入者の運用状況、商品の運用成績につきましては年1回、労使でも確認しています。

 提示商品の構成を4ページに示しています。分類としまして投資信託と元本確保型の2つに分けていますが、投資信託等につきましてはバランス型3本のほか、合計11本です。それに元本確保型を加えまして合計11本の商品構成となっています。商品提示の考え方につきましては表のとおりですので、説明は省略させていただきます。

 商品に関する労使合意は、制度導入時に商品構成全体について合意を得ております。加入者に対する説明は、導入教育並びに継続教育において各商品のリスク・リターン特性等を説明しています。

 運用指図がない場合の取り扱いを5ページ目に示しています。運用指図がない場合、本来は待機資金として留保すべきと認識していますが、制度導入時、システムの制約上、運用指図がない場合の商品を指定する必要がありました。このため加入者の運用指図が行われるまでの間、元本の保全を優先するという観点で定期預金を設定しています。なお、運用指図を行わない加入者に対しましては、運用指図の実施を個別に繰り返し働きかけています。

 資産配分の状況を(4)に示します。図表は日立製作所加入者の運用資産残高の割合を示したものですが、投資信託に約6割、自社株ファンド3%、GICに8%となっていまして、定期預金の割合は29.2%となっています。また、ハイライトして示しましたが、運用未指図のままの定期預金残高は全体の0.7%となっています。

 以上の運用状況の説明とあわせまして、要望事項を2点述べさせていただきます。1点目に、運用商品提供数上限の基準に合わせて講じる措置として、健全な制度運営の観点からは、商品の入れかえは必要不可欠だと考えています。システム面での制約等によって商品除外に支障が出ないよう御配慮をお願いいたします。

 2点目は、指定運用商品の基準に合わせて講じる措置として、元本確保型以外を指定運用商品とする場合、事業主としての説明責任範囲について一定のガイドラインを設けることをお願いいたします。具体的には現行の法令解釈通知の範囲で説明責任を果たすことで、事業主が免責されるようガイドラインを定めていただきたいと思います。

 以上、説明を終わらせていただきます。

○森戸委員長

 ありがとうございました。

 では、ただいま説明のありました内容について、委員の皆様から御質問等をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

 臼杵代理、お願いします。

 

○臼杵委員長代理

 清家委員でも構いませんし、あるいはきょう来ていただいた3人の方でも構わないのですけれども、ちょっと私、先ほどやや極論を申し上げたかもしれませんが、投資教育の効果について具体的に、恐らくアンケートのようなことをおやりになっているのかなとは想像するのですけれども、どのように把握されているか、あるいは数量的な指標で何か効果がわかるものがあるのかどうかということを教えていただければと思います。

 

○森戸委員長

 どなたか、まず清家委員、いかがでしょうか。

 

○清家委員 今、先生からの御指摘の点について私どもでは把握していません。各社さん、もしお答えできればお話しいただければと思いますが。

 

○森戸委員長

 いかがですか。例えば最後の日立さんですとか、要するに運用指図、ほっておいているのが0.7%とか、そういうものとかも例えばそうかなと思いましたけれども。

 

○臼杵委員長代理

 参加した人と参加していない人と比べてとか。

 

○森戸委員長

 いかがでしょう。そんなきっちりしたものでなくても、もし何かあればお願いしたいのですが。

 

○エヌ・ティ・ティ・ビジネスアソシエ株式会社

 エヌ・ティ・ティ・ビジネスアソシエの長谷川と申します。本日はありがとうございます。

 確かに投資教育の効果をどうはかるのかというのはなかなか難しく、何がいいのかというのは我々も議論しているところではあるのですが、1つの見方として投資教育を受けたことによって加入者、社員の方がどのような投資行動をとっているのかというのが1つの判断材料と考えております。

 そこで先ほどお手元に、社員の投資行動ですので委員限りとさせていただきましたが、示したものが、社員の方が配分指定をどうしているか、分散投資をどうしているかといった実績でございます。我々投資教育をするに当たりまして、想定利回りを2%に設定しておりますので、元本確保だけでは想定利回り達成は困難であって、投資信託と組み合わせてリスク・リターンを考えて投資を行ってください。その上である程度リスクをとらなければ2%の達成が困難な今の状態ですけれども、リスクをコントロールするやり方として長期継続投資と分散投資というやり方を社員の方々にお伝えしていっているところです。

 長期継続投資に関しては、DC制度の特性上、社員の方が余り意識しなくても達成できるものでありますが、分散投資は個々人の方が意識していただかなくてはいけないので、特にそちらについて教育を行っているというような状況でございます。

 そこで先ほど御説明をさせていただきました配分指定の状況ですけれども、運用商品は30本と世の中平均よりは高い本数にはなっておりますが、投資信託の比率は6割と、こちらも世の中平均よりは高い数字であると考えております。特にそういった形でリスクをとった運用を社員の方はしていただいているのですが、分散投資につきましても複数の商品で分散投資をしているという比率がかなり高くなっておりまして、また、年代別に見ても若い方ほど投資信託への比率、また、分散投資の割合が高いということは、個々人のとれるリスク許容度に応じたリスク投資ができているものなのかなということを定量的には把握してございます。そのほかに毎年のeラーニングでアンケートをとっておりまして、教育に対しての要望等をヒアリングしているころです。

NTTからは以上になります。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 ほかの企業さんでもし何かあれば。お願いします。

 

○パナソニック株式会社

 パナソニックの中嶋でございます。

 弊社のほうもアンケート等であればより定量的な、また、生の声を拾い上げていけるかと思いますけれども、まだなところがございまして、どちらかというと定性的な判断にとどまっているところでございます。

 あとは運営管理機関から定期的に受け取っております資産割合であるとか、運用のタイプ、例えば慎重派なのか積極派なのかといったところの割合を見ておりますが、年度単位で見たときに1年前、2年前と比べて元本確保だけ選んでいる比率はやや低下傾向にありますので、毎年開催している投資教育の効果というのは、一定の効果が出ているのかなと考えているところです。以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 ほかにもいかがですか。お願いします。

 

○株式会社日立製作所

 当社におきましては、主に2つの視点でモニタリングをしております。1つは先ほどの説明にもありますが、配分未指定者数の推移を計測しています。もう一つは元本確保型のみで運用する加入者の割合を時系列でモニタリングしています。投資教育を強化し始めた2007年度には、元本確保型のみで運用する加入者が4分の1程度いましたが、2015年度末には20%を切るまで減少しています。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 臼杵代理いかがですか。よろしいですか。ありがとうございました。

 ほかの方は御意見、御質問いかがでしょうか。井戸委員、お願いします。

 

○井戸委員

 3社さんともMMFが入っていて、繰り上げ償還しないといけなくなっていますが、例えば運用商品をよい商品に入れかえたりするために1つの前例になるのでしょうか。商品を閉鎖したり除外したりする企業様の手間とか時間とか費用コストとかがあると思うのですが、その辺のところがどのぐらい大変かと、どう経団連さんが考えていらっしゃるかとか、お伺いできればと思います。よろしくお願いします。

 

○森戸委員長

 除外のあれですか。

 

○井戸委員

 除外した場合とか、閉鎖した場合は、そこを閉めるときに費用等を企業さんが多分負担されると思うのです。そこの大変さみたいなものです。

 

○森戸委員長

 恐らく償還は、また本当にいい商品に入れかえるというのとは多分状況が違うのかなと思いますけれども、その点も含めて実際のところを教えていただいていいですか。

 

○清家委員

 まず現状は除外自体が全員同意というところがかかっていますので、事実上できないというところでございます。MMFについては各社さんどういった御対応をされているか、御紹介できればお話しいただくのが適切かなと思います。

 

○エヌ・ティ・ティ・ビジネスアソシエ株式会社

MMFに関しましては、先ほど委員長からもお話がありましたとおり同意が必要な除外ではございませんので、我々としては運営管理機関や会社を通じて社員の方に周知をする。具体的には2月で新たに新規買い付けが停止しておりますし、5月には今、持っている商品がそのままにしておくとデフォルトファンドに移管されることになりますので、その前段で自身の選ぶ商品にスイッチングをしていくことを注意喚起しているということになります。そういった周知の対応はありますけれども、特段大きなコストがかかったりといったような実情はございません。

 

○森戸委員長

 恐らく井戸委員の御関心は、そういうものが発表されて現場が混乱、従業員の人が混乱しているとか、別にそういうことは余りないですか。

 

○井戸委員

 例えば退職されてそのまま持っている方とかだと、会社の中でできないわけなので、わからないですけれども、おはがきを出すとか、そのような手間とかもかかるのかなと思ったのです。閉鎖とか除外とか今後決めていくのであれば、少し前例としてお聞きしておきたいなと思った次第です。

 

○森戸委員長

 何かその点でありますか。

 

○エヌ・ティ・ティ・ビジネスアソシエ株式会社

NTTの例で言いますと、まず今回のMMFの償還に関しては、運営管理機関と商品提供元がしっかりと周知をするところを基本にしておりまして、その補完として会社側から社員に対しての注意喚起を行うという位置づけにしておりますので、特段もう既に退職された運用指図者宛てに会社から案内をすることは行っておりませんで、運営管理機関のホームページにその案内を掲載するという形で対応しております。まだ制度導入から日が浅いので、運用指図者自体も限定的というところはありますけれども、今回、MMFの償還に関してはそのような対応をとりましたので、今後の商品除外等に当たってはまた状況が異なってくると思いますので、考えていかなければいけない課題だと考えております。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。井戸委員よろしいですか。

 では大江委員、お願いします。

 

○大江委員

 質問というか意見として申し上げたいなと思っているのですが、経団連さんの資料の1ページで基本的なスタンスということで、労使合意のもとで多様で柔軟な制度設計を可能とすることが重要。これは全くそのとおりだと思うのですけれども、いろいろなところでたしか前回もこのような御意見が金融機関さんから出ていたような気がするのですが、多様で柔軟な制度設計、ここで制度設計というのは私の理解は、例えば退職給付制度の中に占めるDCの割合であるとか、あるいは給付ですとか、想定利回りですとか、そういったものは確かに制度設計ということになるかと思うのですが、商品数まで制度設計に入るのかどうかなということになると、私はそれは違うのではないかと思っているのです。

 といいますのは、基本的に私も多少資産運用とそれに対するアドバイスを業としてやった経験から言うと、例えばパッシブ型の投資信託ということであれば、一定以上の残高があれば手数料の一番安いものだけが一番いいもので、あとは選択するには当たらないというものだと思うのです。だから例えば先ほど拝見しましたパナソニックさんにしても、日立さんにしても、大体国内の各カテゴリの資産クラスの商品というのは1本ずつというのは極めて合理的な選定ではないかと思います。特にこれらはインデックスですからね。

 一方、アクティブというのは当然パッシブ、インデックスを上回ることを目的にしているわけですけれども、非常に実際にはインデックスを上回っているもののほうが圧倒的に少ないという事実がありますし、もちろんないわけではないのですけれども、そういうものは事前には絶対にわからないということがあります。

 ですからそのように考えると、何か金融機関から言われたからどんどんアクティブの本数をふやしていく。そのために上限数は制約を設けないでほしいということではなくて、むしろ本数に関しては一定のルールを設けておくことで金融機関に競争させること。つまり労使で話し合って十分お互いに知見に基づいて一定の基準を設けて、そこでそれにふさわしいものを提供させるという金融機関に多少なりとも働きかけていって、質のいい商品を提供させることのほうがむしろ大切なことではないかと思うのです。

 そういう意味で運営管理機関とか金融機関の側からオファーがあって、これを入れたらどうですかというので、それをそのままということはないのですけれども、それをどんどん入れていって本数がふえていくというのが、それが今までの経過だった部分もあるかと思いますので、そういう意味では少しそこのところはもう一度議論したほうがいいのかなと考えております。

 ということで私の意見として言わせていただきました。

 

○森戸委員長

 ありがとうございました。

 では、それはコメントということでいきたいと思います。

 ほかの委員の方、御意見、御質問よろしいですか。杉浦委員、お願いします。

 

○杉浦委員

 前回は出張に出ておりまして、参加できず申しわけありません。本日も事故に巻き込まれまして少しおくれました。失礼しました。

 1つ、投資教育の部分のところ、各社で非常に御熱心な取り組みをされているということが改めてわかって大変よかったかなと思うのですが、1つ知りたいのは、教育の結果としてこういう傾向が出てきたんですというところを把握されているところまでわかりました。ただ、適合性原則の観点から考えると、結果論として投資の方向性がそちらに行ったのだけれども、もしかしたら、その投資性向はその人にはふさわしくないのかもしれないけれども、教育によってかえってそちらに導かれてしまった。本来ならそれだけリスクを負わなくてもいいものになってしまった可能性があると考えた場合、別に極端な金商法上や、金融商品販売法の問題の話をしているわけではないのですが、投資教育をしたときにどれだけのことをわかったのですかという、いわゆる確認のようなものはアンケート以外に特にスコアリング的なものが出るようなことはされていないという理解でいいですか。

 

○森戸委員長

 今のは例えば金融リテラシーテストみたいな。

 

○杉浦委員

 そうですね。金融教育について、臼杵先生が砂に水をまいているみたいなことをおっしゃったのですが、企業の方々からは、これだけやって一定の効果もおありだと聞き、ただ、個別商品の内容についてわかっている人、わかっていない人というのが当然いるなと考えていて、そこに関しては何か把握されていますかという意味です。

 

○森戸委員長

 先ほどの例以外に、もう少しその辺を把握しているようなところがあればもし教えていただければと思うのですが。eラーニングの中とかで恐らく最後にわかりましたみたいなものは恐らくあると思うのだけれども、そういうもの以外ですかね。

 

○エヌ・ティ・ティ・ビジネスアソシエ株式会社

 先ほど申し上げた社員の投資行動というのはアンケートではなく、実際の投資実績をモニタリングレポートした結果です。その結果、年代によって投資行動に変化が出ておりまして、それというのは教育によって投資期間等を踏まえたリスクのとり方を考えるといった投資行動がなされているように思います。

 また、細かい話なので今回挙げていないですけれども、投資行動の中には私どもは投資信託は伝統的な資産だとアクティブ、パッシブ両方用意して、それぞれニーズがあるだろうということで提供しているのですが、内外株式等はパッシブとアクティブの差はそれほど選択比率は変わらない。若干パッシブのほうが高いのですけれども、それほど変わらない一方で、債券等はパッシブのほうが非常に選択度合いが高いというような実績も出ていまして、そういったパッシブ、アクティブの特性であるとか、伝統的4資産のそれぞれの特性なとどといった教育を受けての投資行動につながっているのではないかと感じます。

 

○森戸委員長

 ほかはいかがですか。ほかの企業さんもしあれば。

 

○パナソニック株式会社

 おっしゃられるとおりで、できるだけ定量的に理解度を図るというのをやらないといけないなということで、まだ実績はございませんけれども、拾い集めた結果を投資教育のやり方を総花的なものから個人のニーズに即したものに切りかえていく1つの判断材料にしようというところで今、取り組んでいるところです。

 

○森戸委員長

 よろしいですか。

 

○杉浦委員

 先ほど質問差し上げたのは、金融関係の調査で欧州に行き、ヨーロッパで一部の会社にヒアリングをしてみたところ、試験等を通じ、そういうスコアリングを出して、あなたはリテラシーの問題で、デフォルト商品しか選べないねみたいな感じとか、ある程度リスクが高い商品も選べるということがわかる仕組みを持っている会社も、そんなたくさんあるわけではないのですけれども、一部あることがわかったのです。今回、デフォルトの部分で、特に元本確保型について皆さん方のこだわりの中に、もし元本確保型がデフォルト商品でないと、自分たちに何かの責任が事業者として及ぶのではないか。要するに損が発生した場合の責任を意識してというところにあるのだとすれば、それは自己投資責任的なロジックが、今回のDC法改正の中で加入者が運用指図を行ったものとみなすということで導入されたということを考えれば、試験のようなものを導入されることで一定レベルの事業者側の責任を回避できるのではないかと私は思ったので、そういう考え方もあるのかなと思って現況どうなっているのかと思った次第です。

 1つ追加でいいですか。思うに仮にデフォルト商品の中で元本確保型ということだけにこだわらないとすれば、確かに損失が発生すると一部の人は騒ぐという可能性は否定できない。ただ、一方、デフォルト商品を元本確保型ということに完全に確定した場合は、恐らく本来得られるはずの運用リターンが得られないということになって、たしか機会損失が発生するというふうにも考えられる。ただ、この機会損失は実は元本確保型ですからという言葉を聞いた瞬間に、多くの労働者の方たちはそこで思考が停止してしまって、恐らくそこでは騒がない。こういう構造があると確かに後者の方にすると事業者側も楽だし、楽だしという言い方は言い過ぎですが、確かに責任を負わなくてもいいということになるのかもしれないけれども、機会損失を与えているという意味においては恐らく事業者側としての忠実義務に照らして考えてみると、そこにはややバランスに欠いた話になってしまうのではないかということも私は懸念をしていて、私は一社外取締役でもあるので、そういった意味で言うと従業員の方たちにはできるだけこういった機会を使ってもうけていただきたい。より将来的にいい生活を送っていただきたいと考える立場でもあるので、そういった考え方も1つあるのかなと思って追加意見を述べさせていただきました。

 長くなりました。失礼しました。

 

○森戸委員長

 今の最後のほうはコメントとして承っておけばよろしいですかね。ありがとうございます。貴重な御指摘だと思います。

 ほかにいかがでしょう。委員の方から御質問、御意見よろしいですか。では、ありがとうございました。次に行きたいと思います。

 続きまして、森田人事労務事務所の森田様より説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○森田人事労務事務所 森田氏

 本日はこのような機会をいただき、ありがとうございました。

 社会保険労務士の森田栄次と申します。

 弊所は主に中小企業の人事労務に関しましてアドバイスをしております。同時に企業年金制度の御相談も多く引き受けてまいりました。本日は確定拠出年金における中小企業の実態についてお話しいたします。ほとんど企業型中心のお話になるかと思います。

 なお、中小企業の範囲は、中小企業基本法で定める範囲とし、その他の一般業種では従業員数が300人以下が含まれることとなります。

 表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。まず中小企業の実態と中小企業での確定拠出年金の実態をお話した後で、本日のテーマである中小企業における運用商品上限数並びに指定運用方法の基準について意見を述べたいと思います。

 初めに中小企業の実態についてです。一口に中小企業と言いましても実態はさまざまです。確定拠出年金を実施する上で、このような傾向があると思われている内容を御紹介いたします。

 まず中小企業での人材問題です。中小企業には優秀な方がいらっしゃっても確定拠出年金の専門家は少ないのではないかと思われます。総務等の人数は最小限に抑えておりまして、時には社長さんが直接、確定拠出年金の導入を御担当される場合もございます。

 次に、中小企業での退職金制度の優先度ですが、優先順位は賃金、賞与に次ぐものであり、決して高くはなく、その点を考慮した負担軽減が必要と思われます。また、制度面、金額面が大企業と異なりまして、同じような議論は難しいと考えております。ただし、優秀な人材を確保したいというニードは非常に強く持っていらっしゃいまして、転職してくる人たちの企業年金制度の受け皿も必要であり、確定拠出年金を導入しやすい制度づくりが求められると考えています。

 ページをおめくりください。では中小企業での確定拠出年金の実態はどうかという点でございます。確定拠出年金導入時に1つの難所というものがございます。主に従業員数が100人以下の中小企業が該当するかもしもれません。ここでのお話は、中小企業が単独で申し込む場合であって、グループ企業や業界団体または総合型の厚生年金基金等が共同で申し込む場合は除きます。どういう点かといいますと、運営管理機関を自由に選べるわけではなく、企業規模等の制限がある場合が多いようです。

 次に述べます総合型確定拠出年金は、ややハードルが低く、中には加入者1人でも引き受け可能なところがありますが、かなり限られているようです。この点につきましては運営管理機関側でも採算ラインがあるものと理解しております。そして、総合型確定拠出年金、総合型DCプランあるいは401kプランとも言われていますが、それが多いようです。それはパッケージ型であり、同時に中小企業も手間をかけたくないということで、双方のメリットがあります。

 次のページをごらんください。では中小企業向けの総合型確定拠出年金の特徴は何かといいますと、まず第1に代表事業主が既に地方厚生局長の承認を受けており、その1つの企業型年金規約に複数の中小企業が参加するというものです。具体的には事業所追加という手続により加入いたします。資本関係も必要なく、業種も異なってもよいです。そして運用商品等はパッケージ型であり、つまり運用商品ラインナップが型決めされているということです。

 一方、制度設計は加入企業のニーズに応じまして一定の範囲内で柔軟な対応が可能となっています。運用商品はパッケージ化されていても、制度設計はパッケージ化されていません。中小企業もこの自由性を求めているようです。

 さらに短期間で加入でき、スケールメリットにより事務コストも割安というメリットがありまして、中小企業のニーズを満たしております。

 次のページをおめくりください。以上の点を考慮しまして、中小企業での運用商品関連の実態を考えてみます。運用商品選定の考え方ですが、総合型の場合、主に従業員数100人以下が多いと思われます。こちらはプランごとに既にパッケージ化されています。つまり運営管理機関を決めますと、こちらもセットになっています。単独型、こちらはオーダーメード型で従業員数が200人、300人の中小企業が該当すると思われますが、運営管理機関主導によるバランスがとれた商品構成が提案されます。企業側はそれをベースに選定して、一部商品が入れかえされる場合もあります。

 実際の運用商品数、総合型の場合は同様に既にパッケージ化されています。単独型の場合、バランスのとれた商品構成でスタートしますが、導入後は取引上の関係で商品が追加される場合もあります。継続投資教育の実態、中小企業は少ないと思われます。

 次のページをごらんください。これらの実態に基づきまして、中小企業における運用商品上限数のあり方について意見を述べますと、総合型は既にパッケージ化されており、運営管理機関次第と言えます。運用商品上限数のあり方を考えてみますと、多過ぎると確かに加入者は迷うかもしれません。しかし、投資教育がしっかりできるのであれば、多少多くても問題ないと思われます。企業側からも商品の選択肢はある程度広くしておきたいという声を聞きます。この点も継続投資教育がしっかりできるかどうかがポイントと考えます。

 最後に、中小企業における指定運用方法の基準のあり方についてです。総合型は既にパッケージ化されており、運営管理機関次第となっています。指定運用方法の基準のあり方を考えてみますと、中小企業の担当者からはデフォルト商品は元本確保型が安心という声もあります。その理由は、運用実績がプラスの場合はいいのですが、マイナスとなって従業員から不満が出るのを嫌がる傾向があるようです。また、想定利回りで制度設計を行っている場合は、本来はそれを運用目標にすべきであり、デフォルト商品もそれに準じて考えるべきかもしれませんが、それは投資教育がきちんと行われている場合と考えます。つまり、継続投資教育がどの程度実行されるかがポイントと考えます。

 最後に、特に従業員数100人以下の中小企業に対しましては、他の法改正事項であります簡易型DC制度の創設や、小規模事業主掛金納付制度についても期待しております。

 以上で私からの御説明を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

 

○森戸委員長

 ありがとうございました。

 では、ただいま説明のありました内容について、委員の皆様から御質問等をいただきたいと思います。いかがでしょうか。重富委員、どうぞ。

 

○重富委員

 今ほど御説明いただきました投資教育が非常に重要だというのは、まさにそのとおりかと思っております。ただ、6ページのところを見ますと継続投資教育の実態ということで、中小企業は少ないと思われると記載されておりまして、継続投資教育の実態が少ないことによりまして、実際に加入者が商品選択する際に元本確保型が多い等の傾向だとかがあるのかどうか。もしわかればで結構ですけれども、教えていただければと思っております。

 以上です。

 

○森戸委員長

 いかがでしょうか。

 

○森田人事労務事務所 森田氏

 継続投資教育が少ないという実態で、こちらは中小企業でも比較的大きい中小企業であっても導入後10年間、継続投資教育なし。その方の話を聞きましても、かなり詳しい方ではあるけれども、御自分の運用実績はほとんど把握していないというケースもあるようで、しかしながら、御自身は不満は余り持っていない。ここが1つ難しいところがあるのかなと思っています。継続投資教育が少ないということに対して何らかのアクションがあるべきなのでしょうが、そこのところは声が少ないのかもしれません。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。よろしいですか。

 ほかにいかがでしょうか。大江委員、お願いします。

 

○大江委員

 1点だけお聞きしたいのですが、個人型の確定拠出年金との絡みで、昨年までは企業年金のない企業、主に中小企業が多いと思うのですが、その場合にはそこの従業員は加入することができるということでしたので、多分、今のお話でも中小企業さんの場合は非常に事務負担が大変だということがありますから、だとするとあえて企業型を導入しなくても個人型を入れて、そして例えば給付天引きだけしてあげるとか、そういう手続をすることがもっと多くてもいいのかなという感じが今までしていたのと、もう一つは、今度の新しい仕組みで個人型に加入しておられる人に対して企業が上乗せをする。これこそがまさに日本版401kだと思うのですが、そのようなことができるようになるということで、今後こういう個人型を採用するような事業主さんというのはふえていくでしょうか。その辺をお聞きしたいと思います。

 

○森戸委員長

 お願いします。

 

○森田人事労務事務所 森田氏

 その情報というのはまだ余り持っていませんけれども、ただ最近、数十名の中小企業でも従業員さんが個人型DCの申し込みをした、または事業主にその問い合わせが来た、そういう声を最近聞きます。ということは、いわゆる法改正の新しい内容ですが、小規模事業主掛金納付制度がどのような形で中小企業に提案できるのかということは、1つの有力な仕組みづくりと思っています。

 

○森戸委員長

 逆に過去はというか、これまではそんなに余り先ほど大江委員がおっしゃったような個人型をやったらというか、天引きするからぐらいなことでしょうけれども、そういうものは余り聞いたことはなかったですか。

 

○森田人事労務事務所 森田氏

 余り聞かないですね。

 

○森戸委員長

 今回のiDeCoで少し反応が出ている感じがあるというお話ですか。

 

○森田人事労務事務所 森田氏

 はい。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。大江委員、よろしいですか。

 ほかにいかがでしょうか。杉浦委員、どうぞ。

 

○杉浦委員

 4ページのところに確定拠出年金導入時の難所というものを書いていらっしゃって、大江委員が今おっしゃられたようなパターンに持っていければいいと思うものの、これまでも含めて中小企業が大変だったのは、今日、経団連側にいらっしゃっている企業の皆さん方は、運営管理機関が喜んでプロモーションに来て、それでぜひねと言われる企業さんしかいらっしゃらないし、メーンバンクが決まっているので、そこでオーケーという形だと思うのですけれども、中小企業だと、金融機関もなかなかそういったプロモーションに行かないし、だから情報も伝わらないんですよねということもリンクするのかなと考えたときに、現状で把握されている範囲で、中小企業についてはどういうところが運営管理機関に比較的なっていらっしゃる傾向があるのかというのがあれば、私は前回のとき出ていないのであれですけれども、少なくともメガバンクのところではないのではという印象を勝手に持っていたりするのですが、ただ、損保さんなら可能性があるのかなとか、いろいろ考えてしまったので、御存じの範囲で何かそういった運営管理機関の担い先についての傾向があったりとか、探すのが難しい場合、どうやって探しているのかとか、そういった現実を教えていただければと思うのですが、いかがでしょうか。

 

○森田人事労務事務所 森田氏

 私の感想ですけれども、決してメガバンクさんが選ばれているというわけではなくて、1つは難所というのがやはり企業規模がございますので、例えばその企業さんが70名でした。では70名の企業さんを引き受けてくれる運営管理機関というのはどこがありますでしょうか。そうした場合にいろいろな金融機関さんとか、金融機関以外でももちろん運営管理機関がありまして、そういう中で中小企業の事業主が選ぶところというのはサービスがいいところです。サービスというのはどこまで情報提供してくれるか、制度に関してのサポートをしてくれるのか。そこのところがかなりの決め手になるのではないかと思います。ですから運営管理機関の母体が大きい小さいというのは、余り大きな影響はないかなというのが私の感想です。

 

○森戸委員長

 よろしいですか。御質問としては業種として言える範囲もあるかもしれないけれども。

 

○杉浦委員

 業種としてあるのかというのが1つあって、私の推測は、勝手な推測ですけれども、恐らくメガバンクさんが中小企業にアプローチするというのはないと思ったので、逆に言うと地銀さんとかそういうところが来られているのですかとか、場合によっては恐らく個人個人という意味で言うと生保のお客さんは個人なので、生保さんはないなと思ったときに、法人で考えていくと今度は損保さんとかそういうところかなという推測。そういうところが運営管理機関を引き受けられたりするのかなと思ったりしたのですけれども。

 

○森戸委員長

 人数が少なめなところを拾ってくれる。業態でこういうところが多いですとかいうものがもしあれば。

 

○森田人事労務事務所 森田氏

 その答えでいきますと、小規模の企業に提案する総合型を持っているところではないでしょうか。ですから持っているところが生保さんであったり、地銀さんであったり、損保さんであったり、証券さんだったり、ですからそこはこういう中小企業に加入を積極的に勧奨しようというところが候補になってくるのではないでしょうか。ですからあまり業態にこだわらなくても。

 

○森戸委員長

 別にそんなにないですか。

 

○森田人事労務事務所 森田氏

 結果的には今、話したところが熱心なのではないでしょうか。

 

○森戸委員長

 総合型と単独とまた大分状況は違うと思いますけれども、そのぐらいでよろしいですか。ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょう。臼杵代理、どうぞ。

 

○臼杵委員長代理

 先ほどの投資教育のところの若干の繰り返しなのですけれども、継続投資教育は非常に少ないというお話だったと思うのですが、今度、法律が変わって一応、努力義務にはなっているのですけれども、そのあたりで何か動きというか、これはやらなければいけないとかいう話、具体的にやっている会社、そういう動きとかがどのぐらいあるかというのを教えていただければと思います。

 

○森田人事労務事務所 森田氏

 正直に今回法改正になったのでもっと動きがあるかなと思っていましたが、余りそういう反応ではなく、1つは負担といいますか、継続投資教育をやらなければいけないことに対する負担という部分が懸念している。そういう面ではいわゆる継続投資教育をこれから努力義務。努力義務ということはやはりやっていくようになる。そうした場合に負担を軽減して定着できる方法も考えるべきではないかと思っています。法律の改正だけで強制というのはなかなか難しいのかなと。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。よろしいですか。

 では山崎委員。

 

○山崎委員

 今回の論点で、中小企業のDCの課題というのが出たのではないかと思うのですけれども、私が感じたのは質問というよりは意見ですが、総合型のDCというのが中小企業においての現実的なDCの入れ方の1つとして機能しているのは事実で、そこが運用商品の上限数の問題であるとか、指定運用方法のあり方に関しても、ある程度配慮したことは考えておかなければいけないのかなと。特に代表事業主あるいは総合型DCそのものをマネジメントしている運営管理機関が主導的な立場を発揮して、個別の各社はなかなかニーズが反映されにくいという構図はどうしても出ると思いますので、指定運用方法あるいは運用商品の上限を回していくときに、代表事業主の都合だけで全てが回らないようにということは考えておかなければいけないのかなと思いました。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 ほかに委員の方はいかがでしょうか。井戸委員、お願いします。

 

○井戸委員

 5ページのところなのですけれども、全て運用商品がパッケージ化されていて、ラインナップも決まっている。けれども、一定の範囲内で柔軟な制度設計が可能というのは具体的なところをお示しいただきたいのと、資本関係も何もなく、とにかく事業所追加でどんどん大きくなっていくわけですね。代表事業主さんのお名前も誤認するような名前のところもあったりしたりして、何か業務されていて問題点とかお気づきなところがあれば教えていただければと思います。よろしくお願いします。

 

○森田人事労務事務所 森田氏

 まず柔軟な制度設計で一定の範囲内ということですが、一定の範囲内と言いましてもかなりの自由性があると思っています。私が理解している柔軟な制度設計、一定の範囲内と言いましても例えば掛け金の設定、加入者の範囲、他の制度からの資産移換、事業主返還ルール、拠出の中断、前払いとの選択制、事務費の負担割合、マッチング拠出の有無等は全て設計可能と理解しています。

 ということは、これだけができればかなり中小企業のニードに合った制度設計は十分できるのではないか。そういう意味では総合型確定拠出年金というのは、中小企業のニードにも合うプランの1つだなと。運用商品はパッケージ化されていますけれども、制度設計に自由性があるというのは、どちらかというと中小企業さんはそちらのほうを選ぶ傾向が強いと思っております。

 

○森戸委員長

 だからまさにこの委員会で議論しているところはパッケージなのですよね。その運用商品のラインナップとかはね。それはどちらかと言えばそちらですね。

 井戸委員、よろしいですか。臼杵先生、どうぞ。

 

○臼杵委員長代理

 パッケージという場合に、大体商品数はレベルとしてはどのぐらいに考えればいいのですか。

 

○森田人事労務事務所 森田氏

 そこも私が把握している限りですけれども、例えば15~30本前後ぐらいという印象です。正確に統計データをとったわけではないです。

 

○森戸委員長

 結構幅はあるのですね。総合型でも15本もあれば30本もある。

 

○森田人事労務事務所 森田氏

 そう思います。

 

○森戸委員長

 ほかはいかがでしょうか。では、ありがとうございました。次に行きたいと思います。

 続きまして、みらい女性倶楽部の内村様より説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○みらい女性倶楽部 内村氏

 みらい女性倶楽部の内村と申します。よろしくお願いいたします。

 本日は、このような機会をいただいて本当にありがとうございます。

 本日は、個人型確定拠出年金に対する一般の方の反応についてお伝えいたします。

 資料の1ページをめくっていただきまして、先に簡単ではありますが、私どもみらい女性倶楽部の紹介をさせていただきます。

2015年より女性ファイナンシャルプランナー2人で始めた団体であり、主に30代から40代の女性に向けて、マネーリテラシーの向上のために活動しております。

2015年の活動当初から、個人型確定拠出年金に関するセミナーを東京と水戸で開催しており、同時に加入に関する個別相談、そして情報配信を行っております。

 本日は、これまでにかかわった一般のお客様の声や実態等をお伝えできればと思っております。

 早速、その下のところのiDeCoセミナー参加者や相談者の層というところに入ってまいります。これまでそうしたセミナーや相談にいらした方の層というのが、そもそも運用や投資に興味のある30~40代の主婦の方。金融機関や保険会社等で働く方、または以前勤めをされていて、現在は退職をして主婦の方。そして自営業者の妻。これまでにマネー講座に参加したことがある方。もともと興味があってマネーリテラシーの高い、感度の高い方です。そして既にiDeCoに加入している方。または企業型に加入する夫を持つ妻という方が参加者になっております。

 3ページ、制度に対する個人の声です。こちらは率直な声としてまとめました。まず、どの金融機関、どの運営管理機関で入ればいいのかわからない。申込書等を含め書類の書き方がわかりづらい。ここには掲載しておりませんが、なぜ申し込みがWebでできないのかという声もあります。また、資料請求として運営管理機関から届く分厚い冊子、そうでないときもありますけれども、それらを目にしたとき面倒と感じ後回しになってしまうケースは多いです。商品比較の際、運営管理機関により語彙の表現方法が異なるためわからなくなり断念する。というのは、運営管理機関によりホームページであったり資料であったりというところで商品の見せ方や分け方が違っておりますので、一般の方がそれをもとに各運営管理機関の商品比較をするというのは非常に難しい状況です。そして興味を持ってから実際に運用が始まるまで時間がかかり過ぎる。さらによくある声ではiDeCoに入るのに、自分の年金なのに、なぜ会社に印鑑をもらわないといけないのか謎だということで、そういう声をいただいております。

 資料下のほうが、セミナーや御相談者の私どもが感じた実態です。まず所得控除で節税できる仕組みを理解しておりません。ご自分の所得税率を知らない方がほとんどです。そして年金制度、公的年金、企業年金、私的年金という区別、仕組みも理解していない。投資信託に限っては、そもそも仕組み自体を理解していない。また、投資するなら勉強しようとして、時間がかかり実行に移せないケースもあります。それと、投資をされたことがない方は、投資に踏み出す、実行に移すまでに非常に時間がかかるケースがあります。

 ここまでで御理解いただけるかと思いますけれども、個人型確定拠出年金に関するセミナーを開催しておりますが、まず制度説明の際に所得控除の仕組み、節税の仕組みと年金制度というところの説明から入っております。また、運用に関しても投資信託の仕組みを含めた内容からご説明しているのが実情です。

 企業型の状況です。企業型の方も御相談にいらっしゃるケースがあるのですが、ここは実態としまして私どもが受けた時点では、加入時に選んだ商品からメンテをしていない。そして、何を選んでいるかも忘れているケースが多いかなというところです。もしくは意識していないというところです。そして、投資教育は加入時のみ受けた記憶があるが、それ以降はWeb上で学べるという状況。ただし、Web上で学べるケースでも活用している人が少ないと感じられます。また、見てもわかりづらいというのが声としてあります。

 4ページ、運用商品について、元本確保型があることで安心する人は多いです。特に投資未経験者の方です。これはデフォルトで運用される際も同様ではないかと考えております。運用商品を選ぶところでつまずいてしまう方。商品名を聞いても何が何だかわからない。パッシブ・アクティブ・信託報酬といった言葉を聞くだけで難しく感じてしまうという方が多いです。そしてバランス型の意味がわからない。4資産とは何か。債券とは、株式とはどういうものか、という説明が必要です。こうした投資に関する言葉の説明が個人型確定拠出年金セミナーのなかでは不可欠です。。投資信託を選択した場合に、信託報酬を比べて商品選びをするというのが本来のところだと思うのですけれども、まずベースがないので信託報酬が低いのか高いのかの判断が難しい。そして、資産残高が増えたときに、信託報酬がどう影響するのかが想像できる方はほとんどいないという状況です。

 確定拠出年金を始めるに当たり、勉強しようとして商品説明を読み込んでも、結局理解できず面倒になり、保留になってしまう人もいらっしゃいます。運用商品を選ぶに当たって、運営管理機関等の運用商品説明資料がわかりにくい。これは商品を選ぶ際に商品一覧・商品概要・運用実績と、運営管理機関によっては冊子が3冊に分かれているものもあり、商品数が多くなればそれぞれの冊子もある程度の厚みを持ってきますので、それを見たときにとても難しく感じる方が多いのが実情です。

 以上が私どもの資料の御説明になります。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 では、ただいま説明のありました内容について、委員の皆様から御質問等をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

 臼杵代理、お願いします。

 

○臼杵委員長代理

 どうもありがとうございました。

 このタイトルなのですが、一般の方の反応についてと書いてあるのですが、これは何に対する反応ですか。

 

○みらい女性倶楽部 内村氏

 こちらは個人型確定拠出年金のセミナー参加者、個別の御相談者に対してのものです。

 

○臼杵委員長代理

 ここに書いてあるいろいろな声とか、最後のページとかは、これはだからいろいろなシチュエーションで集めたという理解でいいのですか。セミナーに参加した人にセミナーの後で聞いたとか、そういうわけでもないのですか。

 

○みらい女性倶楽部 内村氏

 はい、それだけではなく、その後に個人相談になるケースもございまして、その全て個人の方の声を網羅したという形の資料になっております。

 

○臼杵委員長代理

 4ページのこれはだから投資教育をやる前なのか、やる後とか、そういう判断は余りしてはいけないということですね。

 

○みらい女性倶楽部 内村氏

 そうですね。そもそも個人の方ですので、投資教育というものを企業様のように受ける機会がない状況です。

 

○臼杵委員長代理

 わかりました。

 

○森戸委員長

 大江委員、お願いします。

 

○大江委員

 お話をお聞きしますと、女性の方が非常に多い。会の趣旨もそうなのでしょうけれども、例えば主婦の方が多いというお話を今いただいたお話の中でありましたが、大まかな傾向とか特徴的なものがありますか。例えばここで自営業者の妻と企業型に加入する夫を持つ妻というものがありますね。これは多分今までは片一方は入れるけれども、片一方は入れないというものがあったと思いますが、そういう女性の方々あるいは主婦の方々の中でも、傾向として見られる部分はあるのでしょうか。

 

○みらい女性倶楽部 内村氏

 主婦の方も自分の年金ということで非常に興味を持ってセミナー等に参加いただいていますが、今すぐ始めるかというと、所得控除という面でお仕事をされていてもパートですと、節税の効果がまだ得られないということで、ゆくゆく入っていこうというところに現在はとどまっているような状況だと思います。

 

○大江委員

 それはすなわち3号被保険者の方ということですね。

 

○みらい女性倶楽部 内村氏

 そうです。

 

○森戸委員長

 御質問は、恐らく自営業の方の奥様とかと傾向は何か違うのかということだと思うのですけれども、そのあたり何かありますか。

 

○みらい女性倶楽部 内村氏

 自営業の方の奥様の場合は、現状は御自身が入るというよりも御主人を入れたいというのでいらっしゃるケースが多いです。

 

○大江委員

 あと例えば企業型に加入する旦那さんがいらっしゃる奥さんというのが、例えば旦那さんのもらった書類を持ってきて、これを教えてくれとか、そういったケースもあるのですか。

 

○みらい女性倶楽部 内村氏

 そうですね。今、企業型に入っている方というのは、自宅に書類で運用状況が送られてきます。それを見たときに、最近はないのですが、少し前ですと、書類をあけた途端に運用状況がマイナスであり、そこで驚いて何人かの奥様が御相談にいらっしゃっいました。時期的な要因もあるのですが。ご相談の際は御主人の企業型書類を一式持っていらっしゃる方が続いたときがありました。

 

○大江委員

 ということは、企業型に加入しておられて投資教育を受けているはずですが、実は余りよくわかっていらっしゃらない方も多いということですね。

 

○みらい女性倶楽部 内村氏

 そうですね。実際には御主人にも確認がいるようです。どういう状況で確認しているのかわかりませんが、運用状況に対して聞いても余り返事は返ってこない。なぜこの商品を選んだかと聞いても回答が得られないというので、不安になってご相談にいらっしゃったようです。

 

○大江委員

 ありがとうございます。

 

○森戸委員長

 では清家委員、お願いします。

 

○清家委員

 御質問ということで3ページ目のセミナー、御相談者の実態の2つ目に、年金制度を理解していない方がいらっしゃるということで、その中で例えば公的年金の積立金が例えば分散投資して長期で運用しているとか、これは広く国民の皆さん全般にかかわることではあると思うのですが、そのあたりについての御認識というのはどのような感じでございますか。これもある意味、リテラシーにかかわる部分かなと思ったりするのですが。

 

○みらい女性倶楽部 内村氏

 一般の方は、公的年金が運用されているという感覚はほとんどないと思います。ここは安全で老後資金としてある程度保障されている。いただけるものという認識だと思います。

 

○森戸委員長

 では井戸委員、どうぞ。

 

○井戸委員

 大江委員からおっしゃっていた企業型の夫がいらっしゃって書類を一式持ってこられる。これはどうしたらいいんだという場合なのですけれども、では一式で企業さんにどのような商品があるか見ることになります。そういうときには商品名とかそういうものを、具体的にこれはやめてこれをしたほうがいいというふうにアドバイスされるのか、個人型でも実際に口座を開いてみたのだけれども、後でラインナップを見たときに実際に戸惑うことが多いので、どうしたらいいかという御相談のときにも、具体的に商品名をおっしゃるのか。もしおっしゃる場合ですとFPとして御家族の職業とか、妻が働いているかどうかとか、その辺のところまで加味しておっしゃるのかとか、その辺のところを教えていただければと思います。

 

○みらい女性倶楽部 内村氏

 お答えさせていただきます。実際にこの商品がいいというようなものは私どもでは言うことはまずないです。お客様にアドバイスする際には、どうしても拠出するお金だけをどう振り分けるかというところに集中してしまいます。そうではなくて全体の老後資産、もしくは今お持ちの資産等の一部であるというところを確認いただきます。今どういった資産をお持ちかというのはお伺いしています。その中で将来に向かって確定拠出年金でどのような商品を選んでいくのか。投資商品を選んだ場合、例えば100%元本確保型にした場合と、50%元本確保型にして、あと半分を例えばバランス型を選んだ場合のイメージをお伝えするところまで御案内しています。ご自身の資産状況と投資商品のイメージを踏まえて最終的にお客様が商品選択するような形をとっております。

 

○森戸委員長

 よろしいですか。今の追加みたいになるのですけれども、具体的に今回のこの委員会のヒアリングの話は、まさに運用商品の本数の話なのですが、具体的に個人型の場合に冊子が厚過ぎてわからないとかいうときに、少し具体的なアドバイスの場面、この商品とは言わないまでも、こういうものが来たのですけれどもとか、これはどういうふうに選んだらいいのでしょうねという場面は経験があるのかなと思って、そのときにまさにここで問題になっている本数が多くてこうだったとか、あるいはこういうものだったら選びやすかったとか、感覚的な話になってしまいますけれども、商品の本数によってこういう選択に影響を与えた、いい意味でも悪い意味でも、そういう例みたいなものがあれば伺えればと思うのですが、いかがですか。

 

○みらい女性倶楽部 内村氏

 商品数に関してはいろいろ御意見があるかと思いますけれども、私どもが受けた状況ですと、もちろん投資自体の御経験がある方は、ある程度の数がある中から選ぶというのも1つ楽しんでいらっしゃる方ももちろんいらっしゃいます。ただ普通の方、一般の方はシンプルなほうが、余り多過ぎないほうが選びやすいかと思います。実際は、商品数が多いほど理解されようとして見てしまうケースがあるので、そうしますと選ぶハードルが上がっていきます。私どもが受けたお客様の中では、シンプルなほうが商品選びがスムーズになり始めやすいのではないかというようなイメージを持っております。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 山崎委員、どうぞ。

 

○山崎委員

 私も似たようなことを言おうかなと思ったのですけれども、今までの流れだと個人型のDCは自由度が高いほうがいいではないかという雰囲気があったと思うのですが、むしろきょうの生々しい話といいますか、普通の方のハードルの高さを考えると、もしかすると個人型DCに関しても、本数はシンプル・イズ・ベストのほうが望ましいのかもしれないというのも一理あるなというのがまずあります。それは適合性のことを考えても、そもそも理解度が余り高くない人に何十本も与えるべきかというのがあると思います。一方でまた悩んでしまうのは、個人型DCにして運用方法はどうなるのかというのが、御本人がちゃんと理解した上でデフォルトのバランス型の投資信託を買うというのが長い目で見ればいいわけなのですけれども、これで言うとそもそも公的年金と企業年金の区別がついていないとか、税制の理解が追いついていないところで、ふうふう言いながら加入申込書をようやく書くような方に対して、投資商品でよくわからなかったらデフォルト商品でスタートしてしまいましょうというのは、なかなかこれは難しいテーマだなと感じます。これからもちろん議論をしていかなければいけないわけなのですけれども、逆を言うとそういう意味では貴重な資料というか、本当の一般の方の生の声という形で発表いただけたものと思います。どうもありがとうございました。

 

○森戸委員長

 よろしいですか。

 重富委員、どうぞ。

 

○重富委員

 私からは2点ありまして、まず1つ目が資料に書いてありますが、個人の方の声ということで非常にわかりづらい、選べないというような声がありますが、逆に、みらい女性倶楽部さんのほうでセミナーですとか、いろいろな教育をされることで運用商品を選べるようになったというケースもあるのかなと思うのですけれども、投資教育等の部分で、例えば実際に選ばれる方が運営管理機関を選ぶときにどのような基準で選択されるのか、あるいはセミナーの中でどういう形で教育等やられているのか教えていただきたいというのが1点目でございます。

 もう一点が、資料の3ページで個人の方は所得控除で節税できる仕組みを理解していないということが記載されていますけれども、iDeCoでは3つのメリットがあるということで喧伝をされております。しかし、所得のない方は所得控除のメリットというのは享受できないと思うのですが、そこの部分で誤認をされているというか、そこの理解がない方、所得がないけれどもメリットがあるのではないかというような誤認をされているような方がいらっしゃるのかどうか。その実態の部分について、わかれば教えていただきたいと思います。

 2点です。

 

○みらい女性倶楽部 内村氏

 まず運営管理機関の選び方によっては、これは私どもも初めは手数料が安いほうがいいのではないかなと思っていましたが実際に始めてみますと窓口が近いほうがいいという方がいらっしゃったり、既にネット銀行等をお使いの方は証券でつながっているのでその窓口を身近に感じて利用されたりするケースもありました。もちろん事務手数料等を踏まえて選んでいる方もいらっしゃるので、人によってよしとされるものが違うということを本当に最近は実感しております。

 所得控除のほうですが、セミナーでお話しているので誤認ということはないのです。今後御自身で働いていくつもりのある方というのは、将来的にはメリットが得られるのかなとお考えかと思います。そして既に若い層の女性の方ですと運用自体に興味がある方が主婦の方でも非常に多くなってきています。その場合、普通に投資信託を購入、運用をするのであれば、個人型確定拠出年金を利用しておいて、今後働いたときに所得控除も得られればいいのかなとお考えの方もいらっしゃいます。

 

○森戸委員長

 よろしいですか。ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。これで一応、皆さん御説明いただいたのですが、あともう少しだけ時間がありますので、全体を通して御質問等、また、お聞き逃した点があったという方もいるかもしれませんので、他に質問等があれば委員の皆様から御質問等をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。臼杵代理、お願いします。

 

○臼杵委員長代理

 皆さん、きょうは貴重な御発表をいただきまして本当にありがとうございます。

 2点、事務局に確認ないし提案なのですけれども、1つは事業主さんからの発表の中で例えば加入してしばらくは決められないとか、あとM&A等があって統合された場合にしばらく決められないとか、あるいは逆にもう引退まで近い場合は元本確保がいいとか、いろいろな元本確保のニーズがあったと思うのですが、改正法の24条の2とか25条の2の中で指定運用方法というのは、例えばターゲット・デートを1つに数えることもあるかもしれませんけれども、そうでもなくても複数、例えば年齢とか状況に応じてケース・バイ・ケースの指定運用方法を定めることができるのかどうかというのが伺いたかったことです。

 2つ目は提案のようなことになるのですが、投資教育については私は自分が教育者としてふだんから能力がないので、教育について否定的なことを申し上げてしまったのかもしれないのですが、効果を定量的にはかることが大事になってきて、もちろん先ほどパナソニックさんか日立さんでしたっけ、そういうふうに試みられているという話もあったのですが、例えばDC投資リテラシーテストみたいなものを厚労省さんもお考えいただいて、例えば半年に1回とか1年に1回とか、それを定期的に加入者に対して実施してみるとか、そういうものをすることで投資教育をやりなさい、努力義務ですよというのも大事なのですけれども、成果をきっちりチェックするような仕組みを少しこれから考えていただければなというのが提案です。

 以上です。

 

○森戸委員長

 2点目は、もしその団体ができてもここにいる人は理事長に就任しないということにしましょうね。問題になるかもしれないから。

 では1点目をお願いします。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 1点目はそういう視点で考えたことはなかったです。法律上は運営管理機関等は規約に定めたところにより運用方法のうちから一の運用方法を選定し、提示できる。法律上は運用方法全体の中で1つを選定するという仕組みですので、そこは研究してみたいと思いますが、基本的には1つということではあります。法律にそう書き切っていますので、場合分けとなると、にわかには想定できないのですけれども、研究させてください。

 

○森戸委員長

 法律上、1つと書いてあるのですか。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 はい。「一の」と書いてあります。規約の定め方の問題にできるのかどうかも含めて一応、考えたいと思います。

 2つ目は貴重な御提案として受け取ります。継続投資教育を配慮義務から努力義務にする改正は、同じように来年6月までに施行しますが、投資教育の充実は重要だと思っていますので、いろいろ策を考える中でおっしゃるようなことがどこまでできるのかは今の段階では心もとないですけれども、貴重な御提案として検討したいと思います。

 

○森戸委員長

 よろしいですか。ほかの方いかがでしょうか。御質問のし残し、もしくは御意見でも。

 

○杉浦委員

 ちょっとひっかかっていて、テストをやるのは私はテストをやるべきだと思いますが、iDeCo用のテストだとか、他の金融サービス用のテストだとかいうのを一々分けてやるのは利用者側にとって苦痛以外何もないので、それは金融庁等といろいろ議論をしていただいた上で1つぼんとつくられて、あなたは金融リテラシー1級です、2級ですとやったほうがいいと私は正直思いますし、それをさらに言うなら事業者側なり例えば連合さんとかが開催するというのはおかしな話で、金融のプロでいらっしゃらないですから、だからそこは管理機関側にどれだけ委ねながらそういったものをつくっていくのかという設計をこの委員会で出せるものか、出せないものかわかりませんが、そういった形の提言のほうがよろしいかと私は思ったりします。

 

○森戸委員長

 皆さんビジネスのにおいをかぎとっていませんか。

 

○山崎委員

 ビジネスのにおいはないのですけれども、でも以前に別のところでやっていた議論で、リテラシー的には十分な方に対して何度も何度も同じ継続投資教育をする必要があるのかというのは、論点としてあると思います。これは労使双方にとっても余り益がないことだと思うのです。むしろまだリテラシーが足りていない方、あるいは新入社員の方の教育にリソースを割くべきであって、そのための「この問題さえクリアすればあなたは継続教育はもう出なくてもいいんだよ」みたいな免罪符テストみたいなものは、本当はもう少し前向きに議論されてもいいのかもしれません。厚生労働省が年に2回ぐらいテストの問題を発表して――誰が商売するのかだんだんわからなくなってきましたけれども――本当にそういうものは議論があっていいのではないかと思います。ただ、もちろんそのときは事業主と労使の代表だけで決めるわけではなくて、多分、適切な問題かどうかという議論も必要だろうと思いますが、私は投資教育の卒業みたいなことは議論があってもいいのかなと思います。

 

○森戸委員長

 先ほど杉浦委員が出された例も、海外の例でおまえはデフォルトより先に行けないとか、ある意味そのパターンですよね。その辺もなかなか興味深い話がいっぱいありそうで、持ち続けたいのですけれども、時間の関係もありますので、ほかに御意見、御質問と、特にきょうゲストでヒアリングに来ていただいた方にもし聞き残したことがあればお願いしたいと思いますが、よろしいですか。事務局もよろしいですかね。

 では、大体予定の時間かなと思います。ちょっと早いですかね。本日の審議についてはそろそろ終了といたしたいと思います。申しおくれましたけれども、今後の検討において本日皆さんから頂戴した説明を参考にさせていただきたいと思います。本当にどうもありがとうございました。

 では、事務局から連絡等があればお願いします。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 次回の委員会の開催日時につきましては、事務局から各委員の御都合をお伺いした上で正式な御案内をお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございました。

 では、本日の審議は終了いたします。御多忙の折、お集まりいただきありがとうございました。

 

(了)

 

団体