07/03/09 企業年金研究会第7回議事録
第7回企業年金研究会議事録
日時 平成19年3月9日(金)
10:00~12:00
場所 全国都市会館3階第2会議室
○森戸座長 ただいまより第7回企業年金研究会を始めます。本日は加子委員、菊地事務局長が所用により欠席となっています。本日は加子委員の代理として前回に引き続き、日本経団連経済第三本部の遠藤副本部長が出席されています。また所用により渡邉年金局長、間杉審議官が欠席となっていますので、ご了承ください。それでは議事次第に沿って会議を進めてまいります。まず事務局から資料の確認をお願いします。
○簑原課長補佐 資料の確認をさせていただきます。資料1は第5回研究会資料の「企業年金共通の課題について」です。資料2は前回の研究会資料の「個別制度の課題について」です。落丁等はございませんでしょうか。以上です。
○森戸座長 今日の進め方ですが、前回の続きでございます。まず個別制度の課題について議論し、残りの時間で、企業年金共通の課題及び個別制度の課題を通じた全体の議論をしたいと思います。前回の続きということになりますと、まず個別制度の課題の資料で、「確定拠出年金について」の途中であったと思います。これについて議論を進めたいと思います。前回は資料2の7頁以下で企業型の拠出限度額の話まで終えていますので、本日は企業型のマッチング拠出の話です。したがって資料2の10頁からになります。ここから議論を進めたいと思います。前回同様、項目ごとに区切って一つひとつ扱っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。10頁の企業型における個人拠出(いわゆるマッチング拠出)の部分について、皆様からご意見、ご質問等をいただければと思います。いかがですか。
○野村委員 企業型における個人拠出について、資料の上のほうに、貯蓄と変わらないという意見もあり、その理由として従業員本人の拠出を任意とする点や、運用方法も自ら選択する仕組みの2点を挙げてあります。確かに従業員自身が拠出するかどうかを決める形になろうかと思いますが、他方、その資金を入れた後のさまざまな制約、例えば引出しについては企業の拠出する分と変わらないという前提に立つと、これをもって貯蓄と変わらないと言うのはよくわからず、そのように見る必要はないのではないかと思います。
また運用方法を自ら選択するというのは、いまの確定拠出年金はもう既にそういうことになっています。だからといって貯蓄と変わらないということにはなっていないと思うのと、また自ら運用方法を選択するように、あえてそういう制度設計にしたのは、どちらかというと運用のリスクを事業主ではなくて、加入者自身が負うという確定拠出年金の特性故に、それであれば運用も自分自身がするという考え方もあったと思います。運用方法を加入者自身が自ら選択するからといって、貯蓄と変わらないということにならないのではないかと思います。
○森戸座長 いま言われたことは、確かにそのとおりだというところがあると思います。何が貯蓄かという定義にもよりますが、結局、年金も老後に備えて貯蓄しているのではないかという見方もできるでしょうし、確かに貯蓄のような面もあるでしょうけれども、引き出せない、その他いろいろな制約を考えれば違う面もあるだろうし、その言葉の定義の問題というのもあるかと思います。ほかにいかがですか。
○小島委員 このマッチング拠出については、この研究会の冒頭のところでも何度か発言していますが、基本的に私がこれまで考えてきたのは、日本の場合の企業年金について、確定給付企業年金にしろ確定拠出年金にしろ、退職金が原資になっていると思っています。それの企業年金という形ですので、原資を考えた場合には退職金ということになり、退職金に従業員本人が拠出するということ自体が原則的に馴染まないと思っています。そういう意味では日本の場合の企業年金、特に確定拠出年金のところにマッチング拠出というのは、どうも馴染まないのではないかと考えています。
それはアメリカの401Kと基本的に違いがあるのではないでしょうか。アメリカの401Kというのは、まず本人の拠出があって、それに対して企業がマッチングするという考え方です。アメリカの場合はどちらかというと個人貯蓄優遇税制という意味合いがあります。そのために個人退職勘定というのが別にあって、それとの関係で本人の拠出についての一定の税制上の優遇あるいは枠があるということですから、必ずしも401Kが企業年金という性格を持っているだけではないと思っています。よって、アメリカの401Kを参考にして、日本のマッチング拠出を考えるということにはならないのではないかと思っています。
それが原則的な考えなのですが、そうは言っても、次の頁にありますようにいまある適格退職年金なり確定給付企業年金について個人拠出も認められているということで、それとのバランスをどう考えるかということですから、確定給付企業年金あるいは適格退職年金に本人拠出が認められていることとのバランスを考えた場合には、本人拠出というのも検討していい課題ではないかと思っています。確定給付企業年金、適格退職年金のほうでは本人拠出が認められており、特に適格退職年金というのは退職金の分割あるいは外部積立てという程度です。それに本人拠出が認められているという選択です。そのような観点を考えた場合に、退職金に本人拠出するのは馴染まないと思うし、バランスが取れるかということもあります。
しかし、税制上、適格退職年金にしろ確定給付企業年金にしろ、本人掛け金については生命保険料控除扱いになっているので、この確定拠出年金の企業拠出分のような限度額で非課税枠になっていないということもあり、その辺のバランスをどう考えるかということです。仮に適格退職年金あるいは確定給付企業年金と同じように選択制で本人拠出を認めるという場合に、本人拠出分を税制上どう考えるか。これについては原則課税扱いで認めるべきだという意見もありますが、せめてバランスという形で考えた場合には、生命保険料控除程度の優遇というか、優遇と言えるかどうかわかりませんが、そのようなことも考えられるのではないかと思います。
それが11頁の[2]で指摘されている厚生年金基金、あるいは確定給付企業年金における個人拠出が認められているということで、それとのバランスという指摘をしていますが、確かに厚生年金基金の本人負担については、社会保険料控除扱いになります。しかし、確定給付企業年金のほうについては生命保険料控除という違いがありますので、その辺の税制上のバランスをどう考えるかということもあるのではないかと思っています。
もう1つ、19頁で仮に企業型に個人拠出を認める場合に、税制上、個人年金のほうも生命保険料控除ということがありますから、他の個人年金とのバランスも考えると出てくるのではないかと思います。
○森戸座長 いま小島委員から的確にご説明いただいたと思いますが、事務局の資料にもありますけれども、確定給付企業年金のほうには実は個人拠出があるわけです。それとのバランスを考えれば確定拠出年金にあってもいいではないかというのは、ひとつ意見としてあるわけです。ただ、そこは税制上どうするかというのは複雑な問題もありますし、そこはこれから詰めるところだとは思います。
前半に言われたことですが、確かに退職金の部分で、そこの労働条件が下がってその分は労働者個人で補え、そこは個人拠出だと言われれば、それは連合に限らず働く側としてはあまり受け入れたい話ではありません。ただ、それはまた別な話で、従来ある退職金のほかに個人で自助努力するということが、マッチングによってできてもいいのではないかという議論であれば可能でしょうし、それは小島委員のお話の後半にありましたように、それがけしからんということではないのかと伺っていました。もちろん、ご指摘いただいたように、いろいろ詰めなければならない点があるのはそのとおりだと思います。ほかにいかがですか。
○藤井委員 私は10頁の趣旨のところを見て考えるのですが、[1]と[2]について十分な議論がまだ行われていないのではないかという気がします。というのは、[1]では貯蓄と変わらないから難しいと、ただ、今後の検討課題としているということですが、貯蓄と変わるか変わらないかというのは税制上の区分の問題であって、制度の内容からすれば貯蓄と変わるか変わらないかという議論は、さして意味のないことです。
私の知る限りでは、例えば米国の401Kについて言えば、具体的なプラン名の表題を見てみると、セービングプラン、スリフトプランと堂々と書いてあるわけです。すなわち401Kというのは社内での位置づけは明らかに貯蓄であって、貯蓄イコール老後への備えであるという考えが自然に存在するわけです。貯蓄であるかそうでないかという議論はそもそも存在しないと考えられますが、ただ、我が国では貯蓄か年金かということで税制が異なるがために、その議論が大いにされているということだと思います。
一方、[2]を見ると、従業員拠出を認めなければいわゆる3階部分を全く利用できない。したがって、こうしたものに限って加入者拠出を事業主の拠出とみなして道を開いたと書いてあるわけですが、これがどういう意味かということが重要だと思います。この道を開かなければ可哀想だから、だから若干、税制を歪めることとなるけれども、やむを得ずやっているという意味なのか。それとも、これは当然それでいいのであって、それは正々堂々とやっているのだというのか、これはどちらと考えるかでずいぶん違う話になると思います。特に3階部分を全く利用できないこととなるから、だから可哀想だというところで、全く利用できないから認めるというところが、どれほど強烈な重要ポイントかということがあると思います。全く利用できないことはないけれども、相当利用できない人は可哀想ではないのかと考えられますし、[1]と[2]の整理を十分行う必要があると思います。
その場合、前々回に少し申し上げたと思いますが、本人拠出とは何なのかということを議論する必要があると思います。先ほども出ましたが、厚生年金基金や確定給付企業年金では本人拠出が認められているというわけですが、本人拠出というのは言葉の問題と実態の問題があると思います。厚生年金基金の場合ですと、基金が本人拠出をすることを代議員会で決議して承認を得てしまいますと、強制的に本人の給与から本人の判断なく天引きしてしまうということがあります。確定給付企業年金ですと、加入の際に加入するかどうかの判断を本人にさせるということはありますが、加入した以上は、その後は特に変化することはできないわけですし、加入した場合に拠出する額というのも通常は規約上規定されていますから、本人がそれを特に変えることはできないということがあります。
これは、これまでの歴史の上では、連合の方を横において何ですけれども、本人拠出というのが従業員の集団対会社という対立の発想の中で、全体としてベースアップの一部を振り向けるなどの考えから、それでも本人拠出の実感が伴っていたのだと思いますが、今日の考えですとなかなかそうはいかなくて、本人拠出と言うからには、時々において本人の個人的な判断によって、しかも将来に向かっても増額したり減額したり、あるいは貯蓄を取りやめてみたり廃止してみたりということがあって、初めて本人拠出という実感が伴うのではないかと思います。 そういうことまで含めて考えると、本来、貯蓄と区別するということにさほどの意味があるとは思えないのです。結論めいたことを言うと、[2]の考えをもう少し広めに捉えて、本人拠出を事業主拠出と特段変わらないものと考えて、広げていくという考えをとったらどうかと思います。
第4回研究会で野村委員にご説明いただいたような気がするのですが、私の理解では401Kにおける本人拠出というのは、非常に形式的に見るとあれは事業主拠出であって、本人の給与を本人に払うことなく事業主が後で払うわけですが、後で払うまでの間、事業主が勝手に置いておくのも何だから、本人が指図するとおりに会社で運用しておいてあげるということで、本人には払っていない会社の拠出だという建前をとっていると思います。そのような点と[2]の考え方を考え合わせると、その道も開けてくるのではないかという感じがします。
○森戸座長 事務局から、この10頁の[2]について何か補足いただけるところがありますか。特別にこれを認めたということの意味です。
○濱谷課長 制定の経緯から申しますと、確定拠出年金は特に税務当局との調整で、いちばん難航したのは個人型の創設そのものということです。おっしゃるとおり税の考え方からすると、個人に所得控除を認めるものというのは極めて例外で、認めるべきものではないということから、個人型の創設そのものにかなり難色を示されたわけです。最終的には拠出限度額を低くし、かつ、企業年金は全くないという極めて限定的な要件で認められた経緯があります。ただ、経緯は経緯として、理屈の整理としてはここで書いてある[1]、[2]ということですので、いまの5年後検証の段階で改めてその点を白紙で議論したらどうかということを、ご理解いただきたいということです。
○森戸座長 藤井委員からご指摘いただいた点はいろいろな点がありましたが、どれも非常に重要な話です。確かに本人拠出なるものは、私などは法律家ですから、法律で本人拠出と言っているものは本人拠出でと思うのですが、例えば経済学の先生は、本人拠出だろうが事業主拠出だろうが、報酬の一部で変わらないのではないかという話をよくされて、そこは永遠に議論が噛み合わないところがあるのです。そこまで戻らなくても、本来はどういうものかという経済的な捉え方をする必要もあるでしょうし、本人拠出と言っても確かに強制的なものと、おそらく確定拠出年金の場合は強制という話では今のところ考えていないでしょうから、そうすると、また後で議論がありますけれども、本人拠出と言ってもいろいろな程度のものがあるということも、もちろん分けなければいけないと思います。
それから貯蓄かどうかという議論も先ほど出ましたが、確かに私もアメリカの議員と喋っていて、日本ではリタイアメント・ベネフィットかセービングスかみたいな議論をしていると言うと、何だ、同じだろう、どこが違うのだと言われて、そう言われるとみたいな話になったのです。その捉え方として、確かに税制上の扱いが違うというところはありますが、少し柔軟に考えたほうがいいのかもしれないという気はします。今、たくさんご指摘をいただいたのですが、どれも重要な課題かと思います。
○企業年金連合会(西山部長)この点は私どもからも要望させていただいたのですが、企業年金を実施している側からの意見として、個人のリスクでこれを運用するというものですが、そういう意識を持っていただくのに非常に苦労しているところがあります。そうした中で個人の拠出が全くできないというのも、その要素の1つなのかという意見も出てきています。そうした意味で、いろいろなやり方があるかと思います。任意にするとか税制上もありますが、この道を全く閉ざしているということは、10頁の[4]にありますけれども、所得保障の支援以外というか所得保障を全うする意味でも、そのような仕組みを全部閉ざしているというのは、むしろ問題があるのではないかという意見が強いことを話しておきたいと思います。
○森戸座長 確かに10頁の[4]にもありますが、前にご要望としていただいたときも、自分で拠出すること自体に積極的な意味を持たせるべきなのではないかという声が、結構あるというお話が出ていたかと思います。そこも検討課題かと思います。ほかにいかがですか。
○遠藤副本部長(加子委員代理) 私も基本的に企業年金連合会さんと同じような考え方を持っています。いま現在の状況からすると、自助努力を支援することは非常に大きな意味があり、マッチング拠出という、本人拠出が可能になる仕組みを是非導入してほしいと思っています。
○藤井委員 言葉遣いの確認をしておいたほうがいいと思います。皆さんお気づきだと思いますが、中にはそう思っていない方にお目にかかることがあるので言っておいたほうがいいと思いますけれども、米国におけるマッチング拠出というのは本人拠出を基礎とした上で、それにマッチさせる形でその何パーセントかを事業主が支援する拠出のことを言っていますから、マッチング拠出という言葉で本人拠出を言い表すというのは全く逆転した発想で、何を言っているか訳がわからないと思っている人もいらっしゃるのではないかと思います。その点の確認が必要だということです。
さらに深めて考えると、しからば我が国で本人拠出を認めた上で、それにマッチングする形の事業主拠出という設計を認めるかという問題のほうが、問題を論ずるとすればさらにあるのではないかという感じがします。いまの議論の仕方というのは、事業主拠出があって、それに対して本人拠出を全く任意にそれとは無関係に、限度はあるかもしれませんが、出すか出さざるかという議論をしているかと思うのですが、その議論と、本人拠出を認めた上で、それにマッチさせる形で事業主拠出を認めるという、本当の意味のマッチング拠出という制度設計を認めるかというのは、違うことではないかというように思います。○森戸座長 後半のご指摘は、確かにさらに考えていけばそこまでいくなということです。前半は確かにここでも何度も出ていますが、アメリカの401Kで言うマッチングと、ここで議論しているマッチングとは言わば逆のことを言っているのですが、ただ、事務局が作った資料にもいわゆる「マッチング拠出」と書いてありますので、もうほぼ公式な用語になったということで、日米逆の用語になったという理解でいいのかなと思っています。内容を勘違いしないように議論をする必要があるということは、そのとおりです。
○小野委員 個人型について、経緯はこういうことだったかと思いますけれども、こういった企業年金二法を施行して5年経ち、経緯を見ていると適格退職年金が中小企業退職金共済など他の制度も含めて、移行せずになくなってしまっているという事実は踏まえるべきではないかと思います。その辺は制度創設の経緯からすると、状況はかなり違ってきている点かと思います。○森戸座長 いまのは移行せずに、要するにこの機会にやめてしまっている経緯が結構あり、それは個人型のようなものが受け皿になるべきだということですね。○小野委員 退職給付制度というのが、積立型の企業年金がなくなってしまうことによって全くなくなってしまう人が増えていくのであれば、それは個人型というのも1つの受け皿になるのではないかということです。
○森戸座長 なるほど、わかりました。○野村委員 いまの議論をいろいろ伺っていて改めて思ったのですが、質問にも近いですけれども、個人に対して老後の所得というか退職のための資産を積み上げていくという個人の行為に対して、何某かの税制の優遇を与えるという考え方が、この国でそもそも認められているのでしょうか。企業年金にはそれなりの措置があるのは皆様ご承知のとおりで、ただ確定給付型であっても、それは最終的には加入者一人ひとりの個人のために実施しているということですから、確定拠出年金のほうが、個々人の存在感は非常に大きいのですが、実質的には同じ目的と言うこともできると思います。
そういう中で企業年金について、まさに10頁の[2]にも関わると思いますが、3階部分が利用できないので特別というようなところからも、行為の主体が個人であると言った途端に、とてもハードルが高くなってしまう感覚があります。でも確定給付型も最終的には個人のためなのに、どうしてそのような話になるのかという感触もあったものですから、質問のような形ですけれども、以上です。○森戸座長 それは誰に対する質問でしょうか。事務局、どうぞ。○濱谷課長 歴史的には厚生年金基金や適格退職年金、退職金あるいは企業が行う自社年金については、かなり税制上の措置を含めて進んできている経緯がある一方、個人については、今までは個人年金保険に対する生命保険料控除が基本的なもので、それで対応してくださいということです。ご指摘のとおり、全く個人が行うものについての税制の扱いというのは、アメリカ等と比較すると、ということでしょうか、企業年金に比べるとあまり進んでいないというのが現状だと思います。
○森戸座長 そこのところは、いろいろ議論して整理していくと相当大きな、また面白くて興味深い問題になるかと思います。確かに自営業者であればまた別でしょうが、企業にいる従業員が公的年金、企業年金、そして退職金以外に、個人で何かやっていくということがそれほど想定されていたかというと、個人年金の控除ぐらいで、あとはなかった。そういうのはそもそも個人型などは別として、どうせそれ以外に余裕を持って貯められないという前提なのか、それともそのような発想がなかったのか。あるいは企業を通じて企業にインセンティブを持たせて、インセンティブでないという話もここで出ていましたが、企業側のインセンティブを通じて老後所得保障を、企業の従業員については作ってもらうほうがいいという発想でできているのかもしれません。これは私の個人的な印象ですが、ご指摘の点は非常に重要だと思いますので、その辺も含めて議論したいと思います。
いわゆるマッチングに関して、まだご意見があるかと思いますが、ほかのトピックもやらなければいけませんので次にいきたいと思います。次は20頁の投資教育について、ご意見、ご質問があればいただきたいと思います。いかがですか。
○小島委員 この投資教育については、確定拠出年金の導入時は情報開示あるいは投資教育が努力義務となっていますので、されていると思います。導入した後の継続教育のほうが、必ずしもそこは徹底されていないところが課題として残っていると思います。それが、まさに一旦入れた後の老後の所得保障ということであれば、10年、20年、30年の間の運用が問題になりますから、そこはこれから極めて重要なテーマになってくるのだと思います。導入されて5年ですので、これから長期老後に向けて個人が自分の責任でどう運用するかとなりますから、そのための最低必要条件あるいは条件整備ということで、導入時の教育に合わせて継続教育についての、十分な整備が必要だと思います。これは法律上、どう義務づけるかは課題としてあるかと思いますが、そこは、きちっと個人が自己責任を果たすだけの条件整備というのは必要だろうと思っています。そこはもっと強く位置づけをしていく必要があるだろうと思います。○森戸座長 ほかに、いかがでしょうか。
○野村委員 継続教育が非常に重要であるという点は全く同感です。20頁の[4]の基準を作成して、一定の基準を満たせば事業主が免責されるという考え方や、[5]に義務化するということが挙げられているわけですが、その際に何某かの基準が明示されたほうがよいということや、どこまでやればいいのか分からないので目安がほしいという気持はよくわかります。一方で、おそらく継続教育の基準については、導入時の教育とはかなり異質なものというか、本質的に異なる性格を有することは十分理解しておく必要があると思います。 というのも、導入時の教育では、最低限伝えなければならないものが目白押しにあって、大体そのコンセンサスもあって、もうそれを伝えるのに精一杯という部分もかなりあろうかと思いますので、何をやるのかは大体見えているところもあると思います。継続教育の最大の違いというか難しさは、まず事業主の方々からよくご指摘があるのですが、事業主の体力というか、どこまでコミットできるかという個性があります。その個性は、導入時の教育よりも、長きにわたっての継続教育ということで差が出ざるを得ません。基準策定は、そこの部分も考えざるを得ないというのが1つです。
さらに、これは確定拠出年金の特徴ですが、事業主間の違いだけでなく加入者個々人の違いというのが非常に大きく効いてきます。仮に全く同じ企業が2つあって、同じような業種に属して同じような体力を持っていたとしても、働いている従業員一人ひとりが同じ教育に対してどのような反応を示すかは全く千差万別というか、予測できない部分がどうしてもあります。それを踏まえると、継続教育について基準を設けるのは大変だという気がします。 どのぐらい行われているかというアンケート調査なども、この会でご紹介いただき、おそらくまず第一歩という意味では、そういう形の現状把握が必要です。「やっていない」という答えがこんなにあるなど、そういう部分の現状把握を、時々やるアンケートというより、もう少しシステマティックに当局に把握していただくことが、まずは第一歩ではないかという気がします。
○森戸座長 ほかに、いかがですか。
○藤井委員 私の意見は皆さんの考えと少し異なるかもしれないのですが、教育という言葉を使うと、さも大げさで上から相手を見下ろすような感じがしますけれども、導入時と継続時では確かに全然意味が違っていて、導入時というのは制度内容の説明と、仕組みの説明や基本的な性質の説明などではないかと思います。現実には継続教育というのは、ほとんど行われていない場合も多いという統計資料が22頁に出ていますが、実施していなくても現場的に言うとあまり問題はないのだろうと思います。
だけど必要だ、必要だと言う人がいます。なぜそのように言う人がいるのかですが、これは21頁には全部出ていないと思いますけれども、通知などに非常によく書かれていて、継続教育というのはいわゆる継続教育と言っているだけであって、その本質は情報提供だと思います。投資対象物などに関する情報内容について、適宜、適切に本人に伝えることが本来の趣旨ではないかと思います。そういう何か運用の手ほどきをして、例えば、本人に有価証券投資を促すような教育をすることが是であるような風潮が一部にあるようですが、決してそういうことではないと思います。別に有価証券投資をしたくなければしなければいいだけのことですから、そうではなくて、いわゆる基本的には情報提供を適宜、適切に行うということではないかと思います。その意味では、インターネットを通じながらやるとか、データを自分で取ることもしているわけでしょうから、ある程度行われているのではないかと思います。 ところが、アンケートを取って「継続教育をやっていますか」と聞くと、おそらく集合させて、導入時に行ったような一斉教育を講師を招いて実施するとか、ビデオを強制的に見せるとかを指して言うので、こういうことになっているのだと思います。もう少し意味を明らかにした上で、実態はどうかということを考えてみると、ある程度行われているとも言えるのではないかという気がします。
○企業年金連合会(西山部長) 先ほど確定拠出年金の実態調査ということを言っていただいたのですが、その調査結果もしくは私どもの関係者に聞くと、かなり熱心に行っている所ほど不安感を持っていて、ほとんど意識を持っていない所は何も言ってこないという感じなのです。なぜかというと、企業が確定拠出年金を導入するときに想定利回りをある程度考えて例えば1.何パーセントとか、あのときの調査にもあったのです。ところが実際には、ある一定割合の方は関心を持って、それなりに自分で運用しようと言っていただけるのですが、それ以外の方はほとんど確定利回りの商品ばかり買っているところがあって、そこがなかなかうまくいきません。
先ほど野村委員が言われたように、人によってずいぶん違うということもあって、かなりいろいろ工夫して熱心な所はやっていますけれども、もし将来的に想定どおりに回らなかったらどうなるのだろうという不安を抱えながら熱心にやっている所もあります。ある意味で言えばガイドラインというか、そういう基本的なある枠組みを示していただきながらやっていく。もちろん事業主も自分で頑張りますけれども、そういう形で、あまり将来にわたっての問題がない形ができればよいというのが実はあって、このような問題提起を出したものの方からもさせていただいているということです。
○遠藤副本部長(加子委員代理) この投資教育につきましては、事業主としても通知等が出されていることもあり、非常に熱心に行っているつもりであります。ただ、[5]に書いてあるような義務化ということについては、投資そのものは自己責任が原則であるということからすると、いかがなものかと考えます。
継続教育につきまして、いろいろ良い事例がたくさんあるのではないかと私どもとしては思っていて、それを集めて情報提供していくというのがまず第一歩です。そのような研究の場が厚生労働省の中にあるのではないかと思いますので、そこを活用していくのがスタートラインとしてよいのではないかと思っています。
○駒村委員 この投資教育については現場のことはよくわからないので、あまりコメントできないのですが、21頁で、制度の実態、加入者のニーズ等の把握の必要性云々と書いてありますが、いまのお話を聞いていて情報の提供にとどまるのかどうなのか。あるいは加入者がどのようなことを望んでいるのかという話になってくるわけですが、24頁も企業担当者の満足度調査ですから、ここに出ている資料だけでは何を望んでいるのかよく分かりません。結局、憶測になってしまいますので、より加入者について聞いたデータがないのでしょうか。もしないようならそれを調べた上で議論しないといけないのではないかと思います。○森戸座長 どうですか。実際にありましたか。
○濱谷課長 手元にありませんので、宿題にさせていただきます。○森戸座長 確かに投資教育のことがこれだけ議題になっているのは、先ほど企業年金連合会さんもおっしゃっていましたが、担当者のほうのいろいろな不安などから割と出てきている面が多いですね。確かに教育を受ける側のほうはどうかという視点が弱かったかもしれないという気はしますので、そこもまた宿題でやっていただけるということですし検討させていただきます。
まだいろいろご意見があるかと思いますが次にいきたいと思います。今度は26頁からですが、企業型の運用商品の除外についてという点です。これに関してはいかがですか。もちろん要望という形では他のテーマについても、一般的にヒアリングなどで出てきているわけですが、この運用商品の除外に関して何かご意見等ございますか。
○小島委員 いまの現実の対応として、運用商品の除外については本人同意が前提となっていますけれども、ここは現実にそういう事実でやっているということなのですかね。
○濱谷課長 制度上はそのような手続になっていますが、聞くところでは、実際に除外している例はないのではないかと思います。
○小島委員 その関係で、本人同意があるからなかなか除外できないのだということから、このような要望が出ているのだと思いますが、その際に26頁の[4]ですけれども、労使合意があれば本人同意がなくても除外できるという規定を設けたらどうかということです。ここは本人が仮に除外したいという商品について、個人がそこを運用していく場合を想定した場合に、全く運用していなければいいのだと思いますが、運用している人が1人でもいた場合、それを本人の同意なく労使合意でやめてしまうのは、手続としていかがなものかと思います。労使合意があったからといって、本人同意を外してもいいという話にはならないのではないでしょうか。その本人同意がなぜ難しいかというところは、もう少し本人同意が取り付けられるように、スムーズな改善措置をまず検討したらどうかと思います。
○森戸座長 この問題が挙がってきているのは、実際上、1人だけになったファンドがあるけれど、その人が嫌がっているから廃止できませんという声があるわけではないですが。
○企業年金連合会(西山部長) 実を言うと、例えば本当にどう見ても有利なはずの商品があったときに、どなたがそれを買っているか、個人情報になってしまうので事業主が把握できないということです。ある意味で全部わかっていれば個人に聞くこともできるのですが、そこで実際上、どう見ても損なはずがない、例えば同じようなパッシブファンドで手数料だけが異なるといったとき、つまり本人が全部同意できないと言ってもなかなかそれはうまくできないということで、何らかの対応ができないだろうかという形で話があると承知しています。
○濱谷課長 先ほど申し上げた点を訂正いたします。過去に3件ございまして、2件は商品自体がなくなったもので、残りについては、商品はあるけれども、除外をしたいということで除外されたということです。
○森戸座長 商品がなくなったときは、それはどうしたのですか。
○濱谷課長 商品がなくなる場合、現行法でも除外していますので、そういう意味では同意をとった件数としては1件ということになります。
○森戸座長 この商品はなくなりますという場合は、もう別に同意の問題ではないのですね。
○濱谷課長 そうです。それは現行法でもです。
○森戸座長 要するになくならないが、うちの会社ではこれは人気がないから外したいというときの問題ということですか。
○濱谷課長 いま西山部長からお話がございましたが、いろいろな商品が出てくるときに、いまの段階では基本的に新しいのを随時追加していき、旧来のものは残しておくという対応がほとんどだと思いますが、現実問題このような話が出てくるのは、実際に商品の管理上の問題あるいはシステム上の問題で、一定の商品以上は商品の中に管理上入れられないという現実があり、そうすると既存の商品を一定程度除外しないと新しい商品は入らないことになります。そのときに誰がどのような情報を持っているかもよくわからないので同意が取りづらいため、それをもう少し柔軟にできないかといったご要望かと伺っています。
○遠藤副本部長(加子委員代理) 事業主側としても、これは一定程度の手続を経て除外できるような仕組みにしてほしいと思っています。その場合、例えば一定の周知期間を設けて加入者から特段の異議がなければ、ほぼ合意が得られたという形として除外するという手続も、選択肢として設けてほしいと思っています。
○小島委員 28頁に出ている図ですが、企業と運営管理機関との関係で見て、確かに事業主は各個人がどの商品を運用しているか分からないということですが、運営管理機関は把握しているわけです。個々人が何を運用しているかは分かっていますので、個人名は別として、どういう運用商品をどのくらいの人が行っているかについては、事業主は運営管理機関から情報を取れると思いますから、もしその中で利用率が低い、あるいは商品を入れ替えたという場合に、その商品を何人、どういう人が運用しているかは、運営管理機関に問い合わせれば分かるはずです。そういうことをすれば運営管理機関を通じて同意を取り付けるといった方法はできないのでしょうか。
○森戸座長 この問題は個人情報との関係がもちろんありますし、現場の要望もよくわかるのですが、ただ、それは同じような商品があるならよいではないかとも考えられます。一方では自己選択で、自由に自分の好きな商品を選んでよいですよという建前で選んだものを、もしかしたら俺はこれがいいとか、客観的な理由で別にこれにこだわらなくてもという場合でも、一応、こちらにさせるという効果はあるわけです。そこは私は別にそれに反対しているわけではないですが、慎重に考えなければならないところではないか。そのときに不利益がないのかどうか。労使合意でやらせてよいのかどうか、そのあたりもまさに問題点が出ているところですが、議論は十分すべき問題ではないか。制度全体の思想にも関わると思いますので、私はそのように思います。
○藤井委員 現在は、このことはやや空想的な議論にすぎないとは思いますが、座長がおっしゃるように、制度の根幹に関わる問題ではあると思います。どこが根幹かと自分なりに考えると、いわゆる注意義務とか忠実義務というのが事業主に課されていると言われてはいますけれども、確定拠出年金については、自己責任と言っているわけですから大した責任があるわけではないのではないかと思うわけです。
ただ、唯一あるのは、制度発足時に商品を選定するということで、これは個人型と違って予め事業主が商品を選定する以上は、本人は選定されていないものに投資することはできないわけです。しかし、除外をするかしないかですが、除外をしないとなれば事業主はどんどん商品を追加して、将来に向かって増やすという選択肢しかないことになります。そうすると、同意のときにおいてのみ、その一瞬のみ事実上責任を果たして、その後については責任を果たす方法が事実上何もないことになるわけです。そこについて除外するとなった場合に、制度設計上のポイントは、除外をどの程度強制できるかという問題だと思います。同意を取る以上は大して責任があるとは思えないわけですが、その同意の取り方もあるでしょうし、同意を取らずとも一定の場合には除外できるとするとなれば、それを不服に思う人が出てくるはずですから、その場合は争いが生じることも考えられるので、それについて、その争いに対抗できるだけの何か要件があるのかないのかという話になります。
逆に言うと、除外を行えるような手続を強制的に行うようにしたとしても、それは執行しづらいということも考えられるので、その辺を踏まえた制度設計が必要ではないかという気がします。
○野村委員 これはまだ先の話かもしれませんが、ひとつ思ったのは、徐々に確定拠出年金を導入する企業が増えるにつれて、例えばそれらの企業同士が合併したとします。アメリカでは比較的よくある話ですが、そのようなときに効率性の観点から、同じ会社になったのだから、両方が持っている確定拠出年金同士を一本化したいという話が自然と出てくるわけです。そういった場合でも商品をどうしましょうというのは必ず発生しています。
ただ、まさにご指摘があったように、あちらでもそう簡単な話ではなくて、制度上は除外できるようになっていますけれども不服に思うような人もいるだろうという観点もあり、私が昔調べたときに聞いたのは、実務上、とりあえずの措置という意味で、本当は除外したい商品があったとすると、そこに対する新規の資金を止めてしまうのです。ですから新しく拠出するような場合は、同じような商品がもう1つあることが想定されていますけれども、そちらに入れるという形で凍結してしまうのです。そういうやり方で逃げを打っているというか、そのような対応も行われているというように聞いたことがあります。
ただし、このやり方でいくと本数がどんどん膨らんでいってしまうのです。これは実務上大変な問題で、どれだけレコードキーピングのプラットフォームに載せられるかという制約もありますし、また加入者教育の観点というか、加入者に対する商品の並べ方、見せ方という意味でも、あまり本数が多すぎるのは混乱も生じやすいこととなります。ましてやこれには入れられるけど、これには入れられないというのは混乱を生じやすいという指摘も一方であります。そこでマッピングと言うのですが、似たような商品を対比させて、通知等々の周知徹底、情報提供や、その他の手続は当然踏まえてなのですが、一つを除外しもう一つに一本化してしまうことも行われます。ですから、除かれるものは除かれるということも同時に行われていると聞いています。
○森戸座長 いまアメリカのお話もしていただいて、ここは結構さらっとやろうと思ったのですが、考えてみると結構大事なところですね。事業主なり運営管理機関なり、とにかく会社側の法的な責任にも関わってきます。そもそもファンドを最初に選び、入れ替えることもしっかりやれというのが、おそらく広い意味で法的責任であり、例えば「これを除外する、お前、こっちへ移れ、同じような商品だよ」と言った後に、「除外したほうが運用成績が良くなって、移ったほうが駄目だったらどうしてくれるんだ」と言われたときにどうするか。そのような法的な問題はいろいろ考え得る話で、結構議論をしておいたほうがいい話だというのは、いま明らかになったかと思います。
まだ議論したいのですが、早くも押していますので次の話題にいきます。押している理由は私が必要以上に喋るからなのですが、29頁で企業型中途脱退について、ここはいかがですか。金額が少ない場合に、税制改正の要望もして一定の方向で検討中ということも[2]に書いてあります。これに関して何かありますか。
○遠藤副本部長(加子委員代理) 中途脱退について、今般も税制改正の中で、ある程度の対応を図っていただけることは前進でありありがたく思いますが、例えば確定給付企業年金との比較をしたときに、やはり確定拠出年金のほうで制約が大きいのではないかというような声があります。確定給付企業年金法施行規則の第30条の中で中途脱退の要件が書かれてあったと思いますが、あのくらいのことを認めるようなバランスの取れた制度体系にしていただければ、ありがたいと思っています。
○森戸座長 ほかにいかがですか。中途脱退に関してよろしいですか。○企業年金連合会(西山部長) 事務局に教えていただきたいのですが、[2]の中で要望したけれども、企業型から直接脱退は認められなかったと書いてありますね。それは特にどのところが絶対駄目だと言われたことなのでしょうか。
○濱谷課長 貯蓄との関係、年金制の担保ということになるのですが、企業型を脱退した人も基本的には年金として老後の資金を蓄えて、年金として使うという観点から、個人型に移換して資産運用していただくのが筋だというのが基本的な考え方です。そういう意味では直接脱退は極めて例外的で、まずは個人型に移換すべきだということです。
個人型に移換した方についても、基本的に資産額が少ない方でも、その後、積み増しをして老後の資金として年金化を図るべきだというのがあります。ただ、そうは言っても、例えば第3号被保険者の方などは50万円までは脱退できるとしており、その他少額な方についても、その後掛け増しをするといっても掛け増しの余裕のない人もいることを考えて、一定の要件の下に個人型に移換して脱退できるようにしましょうというのが、税務当局との議論の経緯です。
○森戸座長 ほかに、いかがでしょうか。○野村委員 個人的には、この中途脱退の問題は、確定拠出年金でいろいろな要素をいちばん含んでおり難しい問題ではないかと思います。先ほど遠藤さんからありましたように、確定給付企業年金とのバランスの問題というのは大事だと思います。もう1つ、退職一時金から移行するという部分が実態としてありますので、年金という理由で優遇税制を付与したのだからという考え方もわかるのですが、実態とのバランスという部分で、この中途脱退がいちばん大きく効いてくるのではないかということです。答えはなかなか出ないだろうと思いますが、制度全体のバランスを考えた答えというのが、いちばん大事ではないかと思います。
○森戸座長 次にいきたいと思います。次は30頁の個人型の拠出限度額についてです。ここに関してはいかがですか。ご質問、ご意見があればいただきたいと思います。
○国民年金基金連合会(日原部長) これは私どもも先に要望させていただいたのですが、企業年金の対象となっていない方だという特性を踏まえて、是非、引上げをお願いしたいと思っています。
○森戸座長 既にご要望でもいただいていると思いますが、そういうご意見ですね。ほかにいかがですか。個人型の拠出限度額に関して、先ほどに関連して企業型の話との絡みでも出てきたと思いますが、ほかに何かございませんか。
○駒村委員 31頁を見ると、望ましい水準として退職前所得の6割とあり、政策的に望ましい水準という意味だと思うわけですが、ここは6割ぐらいを目指しているわけです。個人型だけその水準に欠けていますので、ここを埋めてほしいというのは極めて政策的にも自然な考え方かと思っています。○森戸座長 ほかに、いかがですか。
○藤井委員 ここでの重要ポイントは、30頁の[4]にも書いてあると思いますが、企業型で個人拠出を認めるとした場合に、個人型の限度額をどう考えるかというところがポイントだと思います。簡単に考えても当然そうなのですが、さらに少し考えてみると、企業型で個人拠出を認めるとなれば、なぜ認めるのかということが重要です。なぜ認めるかということを考えれば自ずと個人型に関しても、その並びとせざるを得ないという議論が登場するのではないかと考えるので、企業型における個人拠出を導入するかどうかというのが、非常に重要なポイントではないかと思います。
○森戸座長 確かに考えてみれば、企業型で個人拠出を認めるというのは個人型に入ってもいいと言っているのと同じかもしれないし、その辺の関係は違うものとして整理するのか同じようなものとして整理するのか、そこも議論になるかと思います。よろしいでしょうか。 では、個人型の拠出限度型のところはご意見をいただいたということで、次は33頁の自動移換の問題です。ここも結構ご要望で多かったところだと思いますが、ここについてご意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
○小野委員 あまりよくわかっていないので基本的な質問かもしれないですが、確定拠出年金の場合に従業員なり個人がアカウントを持つということですが、その制度全体のコンセプトとして個人型であれ企業型であれ、アカウントは1個でなければいけない、つまり、野村委員からのご説明にもありましたとおり、401kに入っていた従業員が退職した場合に、401kではキープという選択肢もあったかと思いますし、IRAにロールオーバーするという選択肢もあったかと思います。その場合は、おそらくIRAと401kの勘定の両方を持っていることになるのではないかと思いますし、税制上も掛金としてのフローだけをチェックすればいいということであれば、あえて1個にこだわる必要はないのではないかという気がするのですが、そういった認識が正しいのかどうかも含めてお伺いします。
○濱谷課長 いまは、1個しか勘定を持たない制度設計にしています。その仕組みはいま最後に言われたことですが、税制上も含めて限度額管理はフローですが、フローの管理も複数になるとなかなか管理がしづらいということがありまして、現在は1つの勘定で管理をする仕組みになっています。
○小野委員 私が考えているのは、60歳に到達して資格喪失をした場合に運用指図者になるけれども、そうでなければ個人型に移換するようなことのように読めるのです。金融機関ですと、50歳ぐらいから転出したりということもあって、そのような人たちはどちらかというと確定給付型の世界では待期者も含めて、日本的な感覚かもしれないですが年金受給者の仲間かという意識もあろうかと思います。そのような人たちについて、どうしても個人型に移換しなければならないのか疑問に思っていたところです。
○野村委員 おそらく自動移換者の数が8万人を超える、人数が増えているところが問題になっていると思いますが、自動移換を議論するときに、少なくとも2つのタイプの自動移換者がいることを踏まえて議論したほうがいいという気がします。1つが、ある程度以上残高もありまして、確信犯というか意図的に個人型加入者の手続きをとらないで資産を国民年金基金連合会に移してしまうタイプの自動移換者。もう1つは、よく制度がわからない等々の理由で自分で6カ月間行動を起こさなかったが故に、自動移換になってしまったというタイプの自動移換者の、2つのタイプがいまは少なくとも認識されていると思いますので、これはかなり異なるアプローチが必要ではないかと思います。
○森戸座長 いまのお話はよく聞きますが、前半の人は実際にあったことはありますか。資産があってそういうことをする人というのは、本当に確信犯というか分かってやっているのでしょうけれども、確実にいることはいるのですか。○野村委員 聞いたことがあります。
○森戸座長 それと、ただよくわからないで放っている人とは異なる人だということは、十分認識したほうがいい、それはそのとおりです。それは前の調査の結果でも金額のところを見て、ご要望の段階でもあったとは思います。
○藤井委員 言いにくいのかもしれないですが、確信犯的に自動移換する人がいるからには何か嬉しいことがあるのだろうと思うのですが、そういうことを言うのはふさわしくないかもしれませんが、どなたかご存じではないですか。何もなければ、確信犯というほどのものではないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○森戸座長 手数料を払わなくていいというか、かからないということですか。
○野村委員 この場合は、金額が少ない人も該当してしまうと思いますが、手数料の問題というのはよく耳にする点であります。○藤井委員 もしそうなら、手数料の設定の仕方が均衡を欠いていることにもなるのではないかという気がします。
○森戸座長 移換の問題ではなくて、手数料をきちんと取ればいい話だということかもしれないという整理ですか。
○藤井委員 そういう点もあるのではないかと思います。
○森戸座長 自動移換に関してはいかがでしょうか。
○遠藤副本部長(加子委員代理) 33頁の[4]で、退職後の方に企業側が特定の商品を選定しておいて、そこに移すということが書かれてありますが、企業側としては、退職された後の方ですので、このような仕組みを設けるかどうかについてはネガティブなスタンスです。むしろ個人の責任という形であれば、アメリカのようなIRAという仕組みを設けて、そこに素直に移すこともあっていいのではないかと思っています。
○森戸座長 それは経営側の立場からいくと、退職後の人に関することなのに何かファンドをデフォルトでも指定しておくことが抵抗があるということですか。
○遠藤副本部長(加子委員代理) そういうことです。
○森戸座長 わかりました。ほかにいかがでしょうか。自動移換に関してはよろしいですか。問題点自体はデータ等もいただいて、よくわかっているところです。○国民年金基金連合会(日原部長) 自動移換になりました資産や記録をお預かりさせていただいている立場から申し上げますと、実感として、現在の自動移換制度は、ご自身で運用されるという制度の趣旨からは非常に外れているというのが一つと、この資料の中には退職される際の事業主の情報提供のあり方を書いていただいていますが、ボタンの掛け違いはもう少し前から始まるという印象を持っています。例えば無理矢理入らされたとか、退職金がこうなると聞いていたのに、なぜ退職したときに引き出せないのかとか、自動移換された方からお問合せいただくと同時にお叱りや不満も伺います。
○森戸座長 なるほど。先ほどは、ある程度金額がある人が悪い人みたいな言い方をしましたが、制度の作り方の認識のずれみたいなところでも生じているのではないかということですね。それは確かに認識しておかなければならないと思います。それも含めて現場からの声ですので、参考にさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
その他ご質問、ご意見がまだあるかと思いますが、一応各項目を一通りやりました。実は、まだ確定給付企業年金についての議論をしていません。その議論を進めたいと思いますので、事務局から資料のご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○濱谷課長 資料2の36頁からです。確定給付企業年金等についてということで、まずは支給要件についてです。60歳台前半の話です。高年齢者雇用安定法において60歳台前半の雇用促進措置を講ずることとされていますが、そのようなことも勘案しまして現在は、確定給付企業年金を年齢要件で支給するということで60歳台で支給することが原則ですが、現在は50歳台においては退職時支給が認められています。60歳台前半の退職が今後も増えることも勘案しまして、60歳から65歳以下において退職した場合にも老齢給付金を支給することができるようにするというご要望がありますが、この点についてどのように考えるかということです。
もう1点のご要望としては、現在は50歳台しか退職時支給が認められていませんが、50歳未満で退職した方についても退職時支給を認めてほしいというご要望について、どのように考えるかということです。ただ、50歳未満での支給の場合には、確定給付企業年金は原則老齢年金ですので、そういったこととの整合性をどのように考えるかがあろうかと思っています。 37頁は、選択一時金の上限額についてです。技術的な話で恐縮ですが、小野委員からもプレゼンテーションがあった件と同じものですが、確定給付企業年金は年金給付を原則としていますが、選択によって一時金選択が可能です。ただし、年金給付が原則ですので、それを推進する観点から一時金額が将来の年金額の現在価値に比較しまして、高額になって一時金選択者が増加することを防ぐ観点から、各受給権者の選択一時金の上限額を定めていまして、具体的には下限予定利率で、10年国債の実績を勘案した利率ですが、年金額を一時金選択時の価値に割り引いた額を上限としています。ただ、他方で多くの企業が確定給付企業年金導入前の退職一時金を年金原資として、退職一時金と選択一時金が同じ価値になるように制度設計をしていますが、下限予定利率自体は毎年国債の利回りの実績により変動しますので、各受給権者の選択一時金の上限額も年金受給中に変動し得るということで、市場金利の上昇局面においては、退職一時金と等価な選択一時金が支給できないケースが想定されるということです。
これは文字で書いてあるとわかりづらいので、図にしたのが38頁です。図1は、選択一時金の上限額自体は、実際に60歳から受ける年金額を足しまして、それを国債の利回りを勘案した下限予定利率で割り引いて、それがその選択一時金の上限額になるということです。一方、図2は退職一時金、選択一時金と年金額との関係ですが、年金の支給開始段階では、下限予定利率よりも給付利率が高くなければならないという規制をしていますので、支給開始時点では、上限額よりも必ず選択一時金の額は低い形になるということです。ところが39頁です。左が受け取った時点ですが、実際に年金を支給開始した時点においては、退職一時金の現価よりも選択一時金の上限額のほうが必ず高いことになっていますが、下限予定利率が変動する一方で給付利率は固定されていますので、例えば5年後に市場金利の上昇局面においては、下限予定利率と給付利率の関係が逆転をする。下限予定利率のほうが高くなることがあり得ます。その場合は、選択一時金の額よりも上限額のほうが低くなってしまうことがありまして、こういった問題についてどう考えるかということです。ご要望としては、この上限の規制を緩和してほしいということです。
37頁の[3]は、選択一時金の上限を緩和することについて、どのように考えるかということが問題提起です。ただ、この点について2点留意点があります。確定給付企業年金、老齢年金は年金給付が原則だということで、税制上の措置もそういったことを前提に講じていますので、この場合には税の議論が必要になるだろうというのが1つ。それから、これはいろいろご議論があると思いますが、市場金利の上昇局面においては年金給付をあくまで原則と考えますと、むしろ給付利率を引き上げて年金額を増額して、選択一時金と等価にする方法もあるのではないかという点です。
41頁は、キャッシュバランスプランについてです。現行のキャッシュバランスプランは、市場の一定の客観的指標で再評価率が変わる、あるいは類似では給付利率が変わるというものですが、その再評価率の指標については基本的には客観的な指標ということで、定率あるいは国債利回り、CPI、賃金指数を用いることとされています。また、再評価率についてはゼロですが、下限が定められています。これは受給権の保護を図るために、再評価率がマイナスにならないようにすること、あるいは客観的指標というのは、受給額が予測可能なものにするという考え方に基づくものであると考えられます。この点について緩和要望があります。1点目は、オランダのコレクティブDCを参考に市場インデックス、日経平均やTOPIXといったプラン、指標を用いることを認めるべきではないかといったことです。2点目は、運用利回りの実績そのものを用いることを認めるべきだというご要望がありますので、この点についてご議論したいということです。
43頁も、関係団体からのご要望の中にあった話で、やや小さい論点ですが、代行型の厚生年金基金が代行返上を行って確定給付企業年金に移行した場合に、薄皮部分、基本部分で代行部分に乗っている非常に薄い部分ですが、その薄皮部分の給付義務が確定給付企業年金に引き継がれます。この部分は極めて年金額は少額ですので、年金額に比して手数料のほうが高いといったこともあります。現在、年金にするか一時金にするかは年金の受給者の選択に委ねられていますが、こういった薄い部分については強制的に一時金清算にしてしまおうといったご要望があります。こういった点について、どのように考えるかということです。当然ながら、年金としての受給権の保護という観点とのバランスが論点かということです。 44頁です。以上の3点が給付設計に関わるものでしたが、最後は毛色が異なりまして審査の効率化です。これも強いご要望があります。現在、認可届出事項、大まかに言いまして給付、特に減額に関わるところは認可、それ以外は届出という基本的な考え方に立っていますが、昨今の規制緩和の状況を踏まえて届出で足りる事項の拡大、添付資料の簡素化等についてどのように考えるかが1点。それから、現在軽微な規約変更等については地方厚生局で事務処理を行っていますが、事務処理の取扱いが異なるというご指摘もいただいていまして、審査の標準化についてどのように考えるかです。
最後は、藤井委員の日本年金数理人会からのご要望を踏まえての論点ですが、年金数理人による事前審査制度を設けて不利益変更事項等のスクリーニングを行っていただいて、それで審査の迅速化等を図るべきではないかという点についてどのように考えるかということです。ただ、仮にこういった事前審査制度を設ける場合には年金数理人の位置づけ、特に責任の範囲、何かあった場合の賠償責任などについても整理が必要ではないかということです。簡単ですが以上です。○森戸座長 ありがとうございました。確定給付企業年金に関しては項目も確定拠出年金に比べて少ないので、まとめて議論をしていきたいと思います。これからある程度時間を取りまして、いまご説明いただいた確定給付企業年金に関する論点のご質問、ご意見等を皆様からいただきたいと思いますのでよろしくお願いします。いかがでしょうか。どこからでも、どの点からでも構いません。
○藤井委員 36頁の支給要件の観点です。これも年金数理人会からの提言の中にも入っていたかと思いますが、60歳定年が定着した後、昨年から65歳に向けての雇用促進措置を講ずるように法的にも出てきています。そういう中で、60歳を老齢年金の老齢だといまの企業年金法としては位置づけているわけですが、厚生年金保険でも本来の支給は65歳になっており、雇用についても65歳まで延長するよう措置されているということがありますから、老齢年金であるという性格を変えないとしても、65歳までその考えを5歳ずらすという退職時の支給の範囲を拡大することは、是非進めていただきたいと思っています。
○小野委員 いまのご指摘に同感ですが、2行目の65歳以下というところにあえて限定する必要はあるのでしょうか。
○濱谷課長 ご要望を踏まえてということと、いま国民年金等もそうですが、少なくとも65歳になった場合には公的年金を支給することになっていますので、それとの均衡を考えますと退職が70歳の場合に、70歳までは年金を支給しないというのはいかがかという観点です。
○遠藤副本部長(加子委員代理) 例えば、企業の中には65歳を超えて定年年齢を定める企業もあります。そうした場合に65歳と限定されてしまうと、65歳超で規約で定めた年齢で支給開始できることが制限されてしまう可能性はないのでしょうか。もし可能であれば、それも認めていただければありがたいと存じます。また、60歳から65歳についても、退職日で支給開始できる形にしていただければ大変ありがたいと思っています。
○森戸座長 ありがとうございました。先ほどの藤井委員のご意見で、36頁の50歳未満に関しては別の話ですか。
○藤井委員 これは別だと思います。元々が退職金であることから、退職時にという観点のご意見は相当出てくると思います。いまの確定給付企業年金法が、老齢給付をすることを大前提として立法となっているので、それがいいかどうかは別途議論があるとは思いますが、[2]について対応しようと思えばたぶん法の根幹をすべて書き換えることになると思います。それは選択の問題ですから、そういうことも別にあってもなくても可能性としてはあるわけですが、性質が相当異なることと、そんなに若くから年金を払う意味がもともとあるかどうかがよくわからない。障害年金などの場合は払うことはあっていいと思いますが、それほどニーズがあるとは思えないです。50歳未満で一時金を取ることは規約に書けば可能なわけですから、40歳台から年金を払うことはニーズがあるとはあまり思えないです。
○森戸座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。事務局に伺います。次の話題の選択一時金の上限額の37頁以下のところで、座長でありながらきちんとわかっていないとすれば申し訳ないですが、これ以上支給しろというならばわかるけれども、、これ以上支給してはならないという上限ですよね。その理由は37頁によれば、一時金選択者の増加を防ぐためだと。これは、各制度が別にいくら支給しようが好きにやればいいではないかという気もするわけで、でも一時金の選択者が増加することを防ぐというのは、年金給付を推進する観点から、つまり、年金をみんなが選んでくれるような制度設計にしろという発想だということでよろしいですか。
○濱谷課長 年金が老齢年金ですので、まずは年金が原則ということです。一時金の選択はありますが、いわば補完的なものであり、基本的な哲学はそういうことに立って、年金が有名無実化して実際は一時金のほうが有利だという制度設計は、もともとの老齢年金としての位置づけとそぐわないのではないかということです。この問題は、いまは選択一時金の上限額という論点で挙げていますが、もともと老齢年金における選択一時金の位置づけではどうかというところも突き詰めると、そのような議論になる話だと思っています。
○森戸座長 一時金が駄目なら、言ってみれば一時金は駄目と言えばいいではないかという話までいくわけで、そうではないけれども上限をはめることで、一応そちらに誘導しているのがいまの考え方ということですか。
○濱谷課長 はい。そういう意味で、企業年金の最初の性格論に出したところの話が全部このようなところにも関わっているわけですが、目的はまず老齢年金の支給だということです。一方で、退職一時金から移行してという実態を引きずっていまして、そういう意味では実態と目的と現実問題として調和した制度設計として、いまこうなっているということです。
○森戸座長 よくわかりました。これも、元の退職一時金ベースで計算した額でよいではないかという考え方もあるでしょうし、それは年金になった以上、年金としての価値で考えようということなのか、結局例の企業年金の性格論みたいな話に戻ってくるのかと思います。ほかの論点も含めていかがでしょうか。
○藤井委員 いまの点で37頁を見ながらお話しますと、いまの年金設計というのは確かにおっしゃるように年金をまず第一義に置いて、それを一時金選択するということで割り引くということですから、割引率が低いほうが一時金が大きい形になっています。したがって、金利が上昇すると割引率を引き上げろと言われるので一時金が下がる。これは問題設定なのですが、それは現場的に考えると相当逆転していて、ここにもきちんと書いてありますが[3]の下に「金利上昇局面では給付利率を引き上げて、年金額を増加することで対応する方法もあると考える」というのはそのとおりで、おそらく現場では下限予定利率が引き上がってくる、すなわち市場金利が上がってくるとなりますと、一時金額を変えないようにするために、あるいは利率の上昇を反映させるために年金額を引き上げるという給付改善の制度変更をやることになるのではないかと思います。
一時金を下げるというのは、元が退職金であることを考えると非常に考えにくいことですから現実離れしていて、実際には年金額を引き上げるのだと思います。その段階ではあまり問題はなくて、そのまた将来に金利が再び下降局面となった場合に、一旦引き上げた年金給付額を引き下げることで一時金を変えずに年金で調整するということで、この選択一時金の規制を適用しようとしますが、こうするときに給付減額という道を通らねばならないが、それが必ずしも容易ではないところに本当の問題があるということだと思います。
○森戸座長 ありがとうございます。確かに、そこまでつながっていく問題ですね。
○小野委員 身も蓋もない議論だということは十分に承知していますが、確定給付企業年金制度とか確定拠出年金制度とか、いままで脱退一時金の議論があったり特別法人税の議論があったり終身年金の議論があったりといろいろあった中で、制度単体としてすべて用意する前提の下に考えるのは、やや限界なのかと思います。整理していく上でも、少し矛盾が出てくるのではないかという気がしています。例えば、いまのお話でも下限予定利率の現価というのが小さくなってしまうので一時金を支給できないということですが、一時金を支給すれば支給された一時金でもって、より有利な個人年金が買えるかもしれないですね。そういうことを考えると、フルラインで揃えることは限界があるのではないかと思います。然は然りながら、ある程度の規制は必要かもしれません。
この間のアメリカの法律改正の中でも、キャッシュバランス制度はアカウント残高が似たような問題で一時金として受け取れないという問題があって、それについても対応しています。それは、1996年当時に出た通知によってセーフハーバー的な利息クレジット率を設定していましたが、その範囲で設定しているのであればアカウントはそのままでもいいですよという位置づけになったと理解しています。そういう意味では、ある程度の市場連動のような給付利率を使っているのであれば、何も杓子定規に下限予定利率というものだけを適用するのもどうかという気がします。
○藤井委員 やや専門的ですが、本件はキャッシュバランス類似制度という制度が我が国には用意されていて、退職後の期間に関して金利の変動などに基づいて、キャッシュバランスと同じように金額の変動をさせる仕組みがあります。この場合も、原則的には下限予定利率の適用になるわけでありまして、そのために最低保証額という形でこの設計が求められてはいます。このときに、いま小野委員が言われたようなことが我が国でも既に起こっていて、キャッシュバランス類似またはキャッシュバランスとしているような場合であって、退職後の取扱いがもともと金利実勢に合わせて増加減少する場合には、この下限予定利率の点があるので問題点にはなるところですが、一定の説明や情報提供することによって引き下がる場合も、それを引き下げと言わない扱いというような通知か何かがあったような気がします。そのような点である意味では解決されているところですが、未だキャッシュバランスまたはキャッシュバランス類似としていない場合に、将来は引上げ局面で引き上げた結果、さらに将来引き下げるときに問題が生じ得るという問題を抱えているということだと思います。
○遠藤副本部長(加子委員代理) 質問です。例えば利率を退職時なりで固定するという、適格退職年金で取られているような仕組みは取れないのでしょうか。
○濱谷課長 利率と言いますのはどういうことでしょうか。○遠藤副本部長(加子委員代理) 下限予定利率と書いてありますね。これが市場金利によって変動するという形になっていますが、私の理解が正確でないかもしれませんが、適格退職年金であれば退職時にこの辺の利率は、ある程度固定して運用していた記憶があるのです。むしろ、適格退職年金からの移行を考えると、そのような仕組みがあり得ないのかどうかということです。○早川基金数理室長 現在の考え方は、下限予定利率というのは何かを計算するときに、すべて利率についてはその下限を下回ってはいけないというやり方になっています。遠藤副本部長がおっしゃいますように、考え方を柔軟にして、その人が裁定を受けたときの下限予定率が属人的に適用されるというやり方も手段としてはあろうかと思いますが、現段階での制度ではそうなっていません。
○遠藤副本部長(加子委員代理) 逆に、そういった仕組みについてもご検討をいただければありがたいです。
○森戸座長 ほかにいかがでしょうか。論点の(3)以降もあります。もちろん(1)(2)でもいいですが、(3)(4)(5)に関して。○小島委員 いまの遠藤副本部長の話と連動するかもしれません。41頁のキャッシュバランスの件ですが、これも予定利率を何によるかということで、もっと市場連動型も認めたらどうかという考え方になって、[2]はまさにそうだと思います。キャッシュバランスをそこまで認めると確定拠出年金になってしまいますが、いまの確定拠出年金は個人運用ですが、[2]は一括運用での確定拠出年金を認めるかどうかという話になってくると思います。一定のファンドに一括委託して、個人運用ではなくて一括運用を委託するという確定拠出型も1つの検討にはなるかと思います。オランダの事例にも出されていますし、公的年金であるスェーデンの年金も保険料18.5%のうち、たしか上の2.5%は積立方式で個人運用をする、あるいは、個人運用をしなければ一定のファンドに預けて委託して一括にさせるというものも公的年金の中でも認められていますので、確定拠出年金でも一括運用型の委託ができるような形についても1つの検討課題になってくるのではないかということですか。
○森戸座長 確かに41頁の(2)は、まさにコレクティブDCとオランダについて書いてありますが、それになると確定拠出年金についての議論になるでしょうか。それから確定拠出年金のほうの議論で、もうやったと思いますが、運用を事業主に任せるのはどうかという話がありましたよね。それと両方から来て、一緒になるような話かもしれないですね。制度としてはもちろん異なる話でしょうけれども、小島委員がおっしゃったようにそういうものを認めるかどうかについても議論になることだと思います。
○藤井委員 これについては個人的にいろいろ考えるところがありまして、運用利回りの実績を用いるようなことが、果たしてニーズがあり、我が国に馴染むのかという点については、相当疑問に思っています。先ほども座長がおっしゃったように、責任の所在ということがあると思います。ヨーロッパ諸国でこのようなものがあるということですが、相当社会風土が違うのではないかと思います。日本の場合は、個人の権利や自由な判断を重んじる気風が強いのではないかと感じています。会社は勝手に運用して、結果は悪かった。悪かったからそれは当然それでも特に問題なく、会社なのか会社と従業員代表が合わさって協議して運用するのかはわかりませんが、それでもってすべての従業員が「ああ、なるほど。そんなもんなんだね」と納得する社会風土かどうかだと思います。不満の方が出てきたり、よほどうまく従業員の総意を得たことを持って運用することをしない限りは、現実になかなかそううまくいかないでしょうし、企業の側もそこまで船を漕ぎ出して一手に引き受けるようなことをするかどうかです。企業がもし運用するのであれば、それに参加しない自由をよこせということに必ずなって、参加したい人だけが勝手にすればよろしいということで、企業が直営する1つの運用商品と言えないこともないようなものになるのではないかなどの社会風土があると思います。我が国の確定拠出年金は特にそのような意識は強烈で、自己責任という旗印の下に導入してきて、どんどん本人の判断と責任に傾いているわけで、なかなか導入はどうなのかなと思います。
もう1つは細かな話ですが、市場インデックスという場合も中身はよく考えたほうがよくて、日経新聞の方がいらっしゃるとあれですが、例えば日経平均というのはある会社が公表しているある商品です。時折、その銘柄は適宜入れ換えておられるようでもありますし、労使で同意するインデックスとして客観性という点では、どういうものがふさわしいのかという点については、内容をよく見て検討する必要があるのではないかと思います。以上です。
○野村委員 いまの藤井委員の意見とほぼ同じラインのことではありますが、先般に発表させていただいたときにも少しだけ触れたつもりではありますが、運用のリスクを誰が最終的に負うのかということと、運用に関する意思決定権とが、いまの日本では、アメリカもそうですが一致しています。確定拠出年金の場合は、リスクを取るのも、最終的な意思決定をするのも、共に加入者です。確定給付型については、追加の拠出をどうしても求められうる意味において企業がリスクを取っていますし、運用も実際に企業がすると簡単に表現することも可能ですが、実態としては運用機関にお願いをしています。ただ、運用機関の選定等々を企業が最終的には考えましょうという部分があると思いますので、確定給付型の場合は企業がリスクを取り、かつ運用にも口を出す形です。これらについて、少しオランダ式に発想を変えるのかという観点ではないかと思います。 先般のオランダのコレクティブDCについての発表を伺って私が感じた印象は、オランダもあの制度を入れるときには、ある意味ではかなり苦しい状況にあって、その結果そういう意思決定をするところが出てきたように理解しました。また藤井委員がおっしゃったようにいろいろ風土的な部分も違うことも踏まえて、あのような事例も参考にする必要があるのではないかと思いました。以上です。
○藤井委員 繰り返して申し訳ないですが、この点は日本年金数理人会での提言の中にも、これに類似することに触れているので補足的に申し上げておきますと、いま野村委員がおっしゃった点もありますが、いま直ちに強いニーズがあるかどうかという点とは別に、ニーズが生じ得るのではないかということから中長期的な課題としては方策を取られておく必要があるのではないかという点です。確定給付型と確定拠出型の間のような制度の場合、ここに書かれているのは制度だけというわけでもなくて一部保証を与えるような形で、事業主の責任範囲をある程度広げたような制度も考えられるので、その場合には従業員もそれについて乗り出すことも考えられることもありますから、さらにもう少し幅広いアイデアを持ち出しつつニーズが本当にどの辺にあるのか、あるいは将来の環境変化なども踏まえつつ、中長期的な課題とするのが良いのではないかという気がします。
○小野委員 [2]のコレクティブDCの件ですが、先日ご発表いただいたあとフォルダーさんと会話をしたときにご説明いただいたのですが、あのプレゼンテーションでもおわかりのように、あれは集団的なDC制度と見るのではなくて、積立金の運用パフォーマンスの状況によって給付が変動する条件付きの確定給付制度であると理解したほうが正しいのではないかという議論が、オランダの中でもあるとお伺いしました。私は思いますが、確定給付制度の受給権なりが、かなりソリットなもの、堅いものであるとすれば、それは保険と同じような理屈によってある程度のソルベンシーといいますか、資本要件を課すような対応が必要になってくるだろうと思いますし、そういう意味でいまの状態は100%の積立を目標としてしか積み立てられなくて、目標として120%では積み立てることができないとなっていますので、そこの自由は認めたほうがいいのではないかというのを私のプレゼンの中でもご提案申し上げたところです。 然は然りながら、現実問題として積立水準を引き上げろという話は、なかなか納得しづらくて受け入れ難い状況もあると思いますので、もう1つの解決手段として債務側にソリットな部分と、ある程度ソフトな部分があって、積立状況によってはソフトな部分について若干給付の調整をするという道もあっていいのではないか。ソルベンシーを資産側で確保するのではなくて、債務側のほうで確保するみたいなイメージなのですが、そんなようなことがオランダの制度からの示唆ではないかと思っています。
○企業年金連合会(西山部長) (5)の関係でよろしいですか。私どもは(5)の審査の効率化、ほかの団体の方からもいろいろ要望があったかと思います。ここでは、確定給付企業年金の課題を取り上げていただいたことはとてもありがたいのですが、いろいろ聞いていますと確定拠出年金、厚生年金基金、すべてにこういうお話がかなり要望としては来ています。ただ、確定給付企業年金の場合は最近企業の合併や分割、人事政策の変更が多いので、件数としてはおそらくこれがいちばん多いのではないかと思いますが、現場からは相当強い要望が出ています。もう、運用面の話だと思いますが、厚生労働省もすぐに人員が増える体制どうこうとはならないと思いますが、届出事項の拡大や事務のマニュアル化、先ほど企業年金課長からお話をいただきましたが、どうも聞く人によって場所によって言うことが異なるのは事実としてあるようですから、マニュアル化はきちんと進めてやっていただくだけで、かなり解消できる部分があるのではないかと感じています。
○森戸座長 まだ確定給付企業年金に関してもご意見をいただいてよろしいのですが、残りの時間はもうお忘れかもしれませんが、資料1、資料2も全部含めて、企業年金共通の課題について、それから今日残りも説明いただいた個別制度の課題について全部を通じて、もちろん今日ご説明いただいたところでも構いません。確定拠出年金、確定給付企業年金の個別の論点でも構いませんが、それを含めて全体に関わる話でも構いませんので、フリートークというほどではないですが残りの15分間で、まだ言い足りなかった点もあったかと思いますので、さらに追加でご意見をいただきたいと思います。
○遠藤副本部長(加子委員代理) 追加的なことも含めて、要望をいくつか申し上げます。資料2の43頁に書いてある薄皮部分については、代行返上したところからしますと相当事務コスト等もかかっていることから、年金の金額と一時金に換算した金額とが遜色ない形であれば、一時金で清算できるような道を是非開いていただきたいと考えます。
それから、最近企業の分割とか合併等が盛んに進んでいまして、特に確定拠出年金について規約の分割とか統合が認められていない状況で、一旦脱退させてから再度加入させるという二重の手続が必要になってきています。この辺の事務手続も是非改善できるような仕組みにしていただきたいと思っています。
企業外への出向者について、例えば確定給付企業年金、確定拠出年金ともに一旦非常に複雑な手続を取って再加入させることになっていますので、この辺の継続的に加入できるような枠組みを認めていただきたいということと、休職時も同じような扱いを是非認めていただきたいと思っています。
確定拠出年金の掛金で非常に細かい話ですが、毎月納付することになっていますが、どうしても間に合わない場合があったときに翌月まわしということを認めていただきたい。○藤井委員 先ほど、企業年金連合会からご指摘のあった44頁の点で、現場から非常に強い要望があるということで何度かご指摘があったかと思いますが、審査の効率化、迅速化について現場から大きな声があるということだろうと思います。これに関して44頁の[3]にもありますように、日本年金数理人会から先日の提言の中でも触れさせていただいていますが、これまで年金数理人というのは数理事項に関して取り扱うということで、給付設計や数理事項そのもの以外の点に関しては直接には触れない、関係ありませんという位置づけだったわけです。したがって[3]に書いてありますように、事前審査制度というのは主に給付設計のことを指しているわけですから、内容の深さよりも前に守備範囲が根本的に異なることを提言させていただいていることがあろうかと思います。 あとに書いてありますように、損害賠償の問題、数理人の位置づけや責任範囲に関する慎重な審議が必要なのは、おっしゃるとおりだと思います。しかしながら、これはある種の手段でありまして、問題なのは[1]、[2]をどう解決していくかが本質だろうと思います。加えて適格退職年金があと4年か5年ぐらいで時間切れとなるということで、終盤に向かって大量の審査が必要となるのではないかと思われるわけですが、現状でも現場から大きな声があることに加えて、今後そういう事態が当然に予想されるわけですから、いずれにしても何らかの措置を講ずる必要があるのではないかということだと思います。その場合に是非年金数理人を活用させていただいて、全体としてうまくいくような方策を考えていくべきではないかと思います。
○森戸座長 ありがとうございます。藤井委員としてはというか、日本年金数理人会としてかはわかりませんが、44頁の(5)の[3]の書き方自体はこれでよろしいですか。いまのお話だと基本的に計算の部分の仕事なので、不利益変更が別に正しいとかいうことにお墨付きをするわけではないということですか。
○藤井委員 そこは非常に難しいところだと思います。最終的な権限をどこに置くかという点と、そこに至るプロセスの中でどのような役割を担うかという問題で、限定的に考える必要はないとは思います。届出とするのか認可にするのかという点で考えると、届出ということであれば届け出る人がそもそも責任者であって、それ以外の方は直接の責任を負わないわけですよね。認可とする場合には、大臣認可であれば大臣が責任を負うのでしょうけれども、その点でその間をどのような位置に置くのかが制度設計上非常に重要なポイントだと思います。大臣が負っているような責任を全面的に数理人一個人が負うことは、立法上も非常に困難なことでしょうし、そうはならないと思いますが、その微妙なあたりで実際にうまく運営がなされるところをよく考えていく必要があるのかな思います。○森戸座長 ありがとうございました。ほかの点も含めていかがでしょうか。
○小野委員 数理人という立場を離れてコメントします。いまの44頁の[3]の点は、ある意味で年金のガバナンス的な話と通じるのではないかと思います。私のプレゼンの中では一応制度を設定する、プランデザインはスポンサーなり基金にあると申し上げまして、エリサ法的な、アメリカ的な話からいうと年金数理人というのは、その制度を管理運営するという受託者でもないという状態ですよね。このご提案というのは、おそらく制度設定機能の部分について数理人がコミットするという話になってくるので、ガバナンスの構造としてはアメリカと比べると、かなり異なったものになるのではないかという気がします。事実IBMの訴訟を見ていても、IBMという会社とIBMというプランが被告になっていて、別にコンサルティングをした数理人やコンサルタント会社が被告になっているわけではないという立場もあります。
○藤井委員 そこは非常に重要なポイントだと思います。細かな議論になりますが届出制にした場合は、我が国でも届け出た人が責任者だと思います。それについて、誰かが承認を与えるかどうかにそもそもならないわけですから、届け出るとする以上は届出者の責任になると思います。また細かな話で座長がお得意のところかもしれないですが、承認する場合は誰が責任になるのか。これは我が国の法律では、承認を受けなければ発行しないと書いてあります。したがって、承認を受けたからといって発行するとは書いていません。○森戸座長 それは認可のほうです。
○藤井委員 失礼しました。認可をしないと発行しない、効力を有しないと書いてあるけれども、認可をしたから効力を有するとは書いていないので、結局効力を有する源は基金の議決と実行によることだと思います。それでも、なお労使関係ではそれで十分かという議論も加えてあるところだとは思いますが、そのあたりも含めてそもそも誰が責任を負っている制度なのかということを確かにクリアにしていく必要も生じて、その中で数理人はいかなるポジションが要るのかということです。加えて、事前審査制度というのは提言書の中では、単に事前審査を数理人が勝手にやるということではなくて、予め当局との同意を取った判断基準みたいなガイドラインを作った上で、それに基づいてチェックをするということを提言していますし、具体的な事案は明らかにガイドラインに合致していればいいわけですが、些かでもそうでない点がある場合は判断を当局とするなり個別にしていく、すなわち全体としての事務の効率化を言っているという位置づけだと思っていまして、権限行為を法的に認めることにはどう説明してもならないのではないかという気がしています。
○森戸座長 私も、44頁は基本的審査の効率化の話として書いてありますので、先ほど法的責任のところを伺ったわけです。いまのお話を伺っていますと、ここは確かに現場での声から発して、審査の効率化についての話ですが、議論していくとそれは数理人に限らず、年金のガバナンスの話なり、そのあたりまで広がる話に意識できるということがわかりました。
○島崎座長代理 今後の進め方も含めて、質問というか意見がありますので、簡単に。今年度は、一応これで最後なのですか。
○濱谷課長 1月にお示ししたスケジュールでは、3月中にその他の課題ということでいま議題になっているものも関連しますが、年金のガバナンス的な責任論や支払保証というものを議論したいということでしたが、これまでの議論がなかなか2回で終わらなかったのでご相談ですが、次回は4月以降に残った議論をさせていただきたいと考えています。○島崎座長代理 座長のご意向もあるかもしれませんが、いずれまとめるというイメージですね。議事録をそのまま公開して終わりですという形ではなくて、報告書という体裁をとるのか、名称はともかく、何らかの形でこれまであった議論を取りまとめる。だからこそ、前回、座長が「発言しないと議事録に残りませんよ」という趣旨でおっしゃったのかもしれませんが、そのようなイメージですか。
○濱谷課長 とりあえず課題の議論をしまして、それ以降の進め方はまた座長と相談しながらと考えていますが、いずれにしてもご議論いただきましたので、何らかの形で議論の整理は最低限必要ではないかと考えています。
○島崎座長代理 その関係でいえば、甲論がありました、乙論がありましたといった、最近の報告書にみられる両論併記型が1つの現実的な選択肢かもしれませんが、いままでかなりテクニカルな議論から大振りな議論までいろいろとあったわけで、意見の単純な並列というのはどうか。多少青臭い意見かもしれませんが、企業年金制度がどちらの方向を向いて走ろうとしているかをもう1回どこかで議論する必要があると思います。それは、論争の蒸し返しをせよということではありません。申し上げたいことは、今日の議論の中にもありましたとおり、元々の日本の企業年金は退職金を横に移行したという沿革がある。しかし、大きな方向として老後の所得保障、企業年金、つまり年金的な性格を帯びさせていく方向感が仮にあるのではないか。もちろんこんなきれい事ばかり言っていられない、どうしても退職金的な名残りというか退職金の性格が混入してくるのは避けられないし、アメリカみたいにきれいにしてしまうのがいいとは私も思っていませんが、大きな方向感としてそういうことがあるとすれば、いままで議論した税制上の措置や今日いろいろと議論したことが、そういう枠組みの中にうまくフィットするのかどうか。そうした整理がないと、具体的に税務当局と折衝するときに、この議論のときはこの議論、こちらの議論のときはこちらの議論と、二枚舌、三枚舌を使うことになる。それも必ずしも悪いことではないかもしれませんが、1つの線というか筋が通った上でそのバリエーションとして、こういう要素も考えなければいけませんねという形にしないと、ここまで座長の下で議論してきたことの成果としてはもう1つかなという感じがします。一度そのあたりもそれぞれの委員の頭の中を整理するとともに、必要に応じて事務局のほうでも、本当に特別法人税の議論にしても、うまく論理が流れるのかを一度検証されたほうがいいのではないかという感想を抱きます。
○森戸座長 その点に関しては、もちろん事務局と私とで議論をして、これはあとで申し上げようと思ったのですが次回にまた議論をして、どういう方向になるかはわかりませんが何か議論としてのまとめみたいなものはしたいとは思っています。ただ島崎委員のご指摘のことはよくわかりますが、この研究会は非常に大きな理論的な話もしつつ、他方で制度の細かい部分も議論しなければいけないというのがありまして、その両方をやりつつやらなければならないところもあります。それから、ただこういう意見がありました、困りましたねみたいなのはよくないですが、他方でこの研究会はみんなが同じ方向を走っていることでもないので、なかなか統一してこうだというのを出せないところもあるとは思います。そこは両論併記でもしょうがないと思います。ただ方向性として、全体としてはこうなのではないかということは折角ですから議論をしたいですし、それは4月以降にやりたいと思っています。 二枚舌、三枚舌もおっしゃるとおりですが、この研究会で制度を検討してみた結果、企業年金の現行法自体が結構二枚舌、三枚舌でできているのではないかというのは明らかですよね。つまり、ここでは退職金から来たとか、ここでは年金だと言い、ここでは確定給付企業年金と確定拠出年金のバランスといって、急に確定拠出年金は年金で整理したとかを言っているわけです。だから、もともと二枚舌、三枚舌ですという開き直りも1つはありますが、そうではなくて、それも含めてその現状を認識した上でどう整理するか。これでいいのかという、なかなか1つの論理で割り切れないのは島崎委員もわかっておっしゃったと思いますので、そこを含めていまのご意見を最大限に入れてしたいと思います。4月以降は基本的にはそのような考え方でおりますので、皆さんもよろしくお願いします。
大体時間になりましたが、よろしいでしょうか。次も議論する機会があります。最後に島崎委員に非常にいいまとめをいただきましたので、本日はこれで終了します。次回は第4回の論点案にありましたと言われても、おそらく誰も覚えていないと思いますが、その他の企業年金を巡る課題という、まさに先ほど課長がおっしゃった支払保証その他、島崎委員がご指摘になったような根本的な議論も含めていろいろな論点がありましたが、これについて議論していきたいと思います。次回は、先ほど課長からありましたが4月に開催したいと思っていますので、事務局のほうで日程の調整をよろしくお願いします。 本日は、これで終了します。ありがとうございました。
(照会先)
厚生労働省 年金局 企業年金国民年金基金課 企画係
(代表)03-5253-1111(内線3320)
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