2014年10月14日 第10回社会保障審議会企業年金部会議事録
年金局企業年金国民年金基金課
○日時
平成26年10月14日(火)14:00~16:07
○場所
全国都市会館 3階第2会議室
○出席者
山崎部会長、井戸委員、小林委員、白波瀬委員、鈴木委員、高崎委員、半沢委員、平川委員、山本委員、村瀬オブザーバー
○議題
(1)一般企業向けの取組について
(2)ライフコースの多様化への対応について
○議事
○山崎部会長
ちょうど定刻になりましたので、ただいまより第10回「社会保障審議会企業年金部会」を開催いたします。
お忙しいところ、お集まりいただきありがとうございます。
本日、臼杵委員、森戸委員から御欠席の連絡をいただいております。また、井戸委員からは少しおくれて御出席との連絡をいただいております。
御出席いただいた委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
それでは、議事に入らせていただきます。
カメラの方は、ここで退室をお願いいたします。
まずは、事務局から資料の確認をお願いいたします。
(カメラ退室)
○内山課長
それでは、資料の確認をさせていただきます。
お手元に配付しております資料は、
資料1-1 一般企業向けの取組
資料1-2 一般企業向けの取組(参考資料)
資料2 ライフコースの多様化への対応
参考資料1 社会保障審議会企業年金部会委員名簿
参考資料2 企業年金部会の今後の進め方
をつけさせていただいてございます。
なお、本日御欠席の臼杵委員、森戸委員から資料、意見を提出していただいていますので、それぞれ臼杵委員提出資料、森戸委員提出資料として配付させております。
資料の不備等がございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。
○山崎部会長
ありがとうございます。
本日は、一般企業向けの取り組み、ライフコースの多様化への対応を主な議題とします。
それでは、まず一般企業向けの取り組みに入りたいと思います。
一般企業向けの取り組みにつきましては、前回の部会において事務局より説明を受け、拠出時の仕組みのあり方、給付時の仕組みのあり方、それぞれについて、委員の皆様に御議論をしていただきました。
本日は、まず前回の部会において十分に議論が行えなかった論点であります、給付時の仕組みのあり方の中で、支給方法のあり方以外の論点について御議論いただきたいと思います。その後、一般企業向けの取り組みについて、それまでに出た御意見を踏まえて、再度、全体を通して御議論いただきたいと思います。
それでは、給付時の仕組みのあり方の中の資料1-1では、41ページから65ページまでが該当する箇所でございますが、支給開始年齢・中途引き出し・加入可能年齢のあり方について、御議論いただきたいと思います。
なお、本日欠席しておられる臼杵委員、森戸委員より、本論点に関してペーパーが出ておりますので、事務局より紹介をお願いいたします。その後、臼杵委員、森戸委員のペーパーも踏まえて、委員の皆様から御意見等ございましたら頂戴いたします。
それでは、お願いいたします。
○内山課長
それでは、まず臼杵委員の資料をごらんいただければと思います。臼杵委員から出されています「第10回企業年金部会の議論についての私見」というペーパーでございます。
支給開始年齢・中途引き出し・加入可能年齢のあり方に関するところをまず御紹介させていただきますと、1ページ目の1.の「(2)給付時の仕組みについて」の「1」が該当するかと思います。
「1」 企業年金の起源が退職金であることを考えると、傷病・失業による困窮など不慮の場合や住宅の購入などの場合には、受給年齢に達する前でも払い出しを認めてはどうか(退職一時金であれば、退職時に受け取ることができるし、仮に生活保護に陥った場合に、ペナルティ課税をするのは不自然ではないか)。
という御意見をいただいております。
続きまして、森戸委員からいただいている御意見「第10回企業年金部会 提出意見」の支給開始年齢等に関係する部分を御紹介させていただきます。1ページの上段でございますけれども「論点(1)支給開始年齢と支給開始年齢到達前の中途引き出しのあり方」ということでございます。
・DBも原則中途引き出しを認めないというのは、DBにとっては相当な規制強化となる。要するにDBから「退職金」としての性格を消し去れということであり、これがDBから内部留保型退職一時金制度への「退行」を促すことにならないか、慎重な検討が必要。
・中途引き出しの要件はあまり複雑に設定してもおそらく実務上は貫徹できないので、基本的には税メリットを失わせる(=「ペナルティ」税を課しすぎない)ということを大原則にできるだけシンプルに整理すべきだと考える。
こういった意見をいただいてございます。
○山崎部会長
ありがとうございます。
それでは、委員の皆様から御意見等をいただきたいと思います。
小林委員、どうぞ。
○小林委員
只今ご説明いただいた資料で各委員からの御意見にもありましたが、中途引き出しについては、特にDBを実施する立場から見ると、現行の事務局案は大幅な制約増と受けとめざるを得ません。これは、かえって企業年金の普及拡大を阻害するばかりでなく、各委員の御指摘にありますように、一時金への回帰も含めて、企業年金制度の存続自体を考え直さざるを得ないという流れも生じさせるのではないかと懸念されます。中途引き出しの取扱についてはぜひ再考をお願いいたします。
○山崎部会長
ほかにございますか。
鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
私も、今の御意見並びに臼杵委員と森戸委員の意見に賛成でございます。
、DCとDBとイコールフッティングということで、DCでは60歳になるまで原則引き出せないのに、DBは引き出せるという違いがあるということなのですけれども、それは私の理解では、DCはそうしないと税が取れなかったということではなかろうかと思うわけです。その話は置いておいても、、DCとDBとは性格がやや違うと思うのです。DCでありますと、退職したときに受け取れなくても、権利がその時点で確定をしますね。ですから、個人別管理資産額というものはその人のものですから、60歳まで引き出せないとしても、その人の権利としてその金額は確定する。
DBで同じようなことを仮にしますと、それはDBの制度が存続しておればよろしいわけですけれども、いつ、どこで解散したりするか、わからない。そうすると、もともと受けられていた退職金の額が、解散してしまったり、倒産してしまったりしたら、今のルールであれば、減額されることになりますね。だから、DBで同じことをするというのは財政的な裏づけが必要となります。これは支払い保証もなかなか現実的でないとするならば、従業員にとって、公平にそういうことを実現するにはかなりハードルの高い、難しい問題が出てきます。。つまり、DBについて常に100%の事前積み立て、非継続基準の積み立てを行わないと、いつ、何が起こるかわからない。
それで、今までさんざん言われている話ですけれども、往々にして企業の経営がおかしくなったころに積み立て不足が生じて、そのまま解散とかに追い込まれるケースがありがちなので、そういうことを避けようと思うと、100%積み立てということを常に確保していないと、もともともらえていた金額がもらえなくなるということがあるので、DBではなかなか難しいのではないかという気がします。
○山崎部会長
事務局のほうから何か説明があれば。
○内山課長
今、中途引き出し等についての御意見をいただいたわけですけれども、これもこれまで資料などで御説明してまいりましたが、DCのほうは当然、平成13年にできました新しい制度ということでございます。できたときには、これも資料の中で御説明してまいりましたが、特に税優遇を受けるに当たって貯蓄と年金との差異というところが大きな論点になったという事情がございます。そういう意味で、DCのほうは年金性を高めるということで、中途引き出しが厳しい条件になっていたり、さまざまな制度のたてつけになっているわけでございます。
DBのほうは、そういう意味では、御案内のように、適年ですとか厚年基金などもそうした経緯も引き継いでできている制度ということであると思います。そういう意味では、今、鈴木委員から御指摘いただいたように、DC・DB、性格が違うというふうに整理してしまっていいのか。その一方で、前回ごらんいただいたように、DCもDBも年金という枠の中、目的規定などは同じ書きぶりをしていますし、年金の枠の中の制度としてできていますので、そうしたあたりをどういうふうに整理するかというところが一つ大きな論点かなと思ってございます。
○山崎部会長
ほかにございますでしょうか。
高崎委員、どうぞ。
○高崎委員
給付の話だけに限らず、支給開始年齢とか今後のライフコースの多様化の議論にも関係してくると思うのですけれども、皆さん今までおっしゃっていたとおり、DBとDCというのはやはりちょっと成り立ちが違っていたので、もともと想定されていた使い勝手、法律上は公的年金を補完するものという位置づけにはなっていますが、利用のされ方というのは現実問題としてちょっと違う要素が入っていたのではないかと思います。とはいえ年金であるという位置づけと、公的年金を補完する私的年金としてはますます重要になると思われる中で、やはり年金であるということは柱として重要なのかと思っています。
ただ、一方で足元の退職一時金のかわりといいますか、それにかわるものである使われ方をしていたりとか、そのあたりを急に否定するというのもそれはそれで現実的ではないと思いますし、その中で今後、ライフコースがそれこそ多様化する中で、よりよい年金制度、また、使いやすい年金制度としてやっていくには、今、足元でできる工夫の仕方と、あと、長期的に段階を追って変えていくべき姿といいますか、論点というものと2つあると思いますので、その2つのことを、今回、根っこの部分から議論するというちょうどいいチャンスなので、両方のことが議題になって上がってきていると思うのですけれども、2つを意識しながら考えていけば、どちらが急にだめになるとか、どちらであるべきだということではなくて、我々としてもいい結論が出せるのではないかなと思っています。
○山崎部会長
ほかに。
半沢委員、どうぞ。
○半沢委員
まず、今のDBの中途引き出しという論点について、前回申し上げたことの繰り返しともう少し補足になりますが、老後の安定した生活ということを考えれば、年金でもらうことができる、しかも安心して、というところがやはり重要なのは間違いないと思っております。そのため、論点にもありましたが、DBをできるだけ財政的に安定させるような、そういう工夫はいろいろあっていいと思っていますし、ぜひ大いに議論していただきたいと思っております。安心したDBであるということがまず1つです。
それから、年金であるとか老後の目的というものについては、残念ながら労働者としてそこまで若いころから思いをいたしているかというと、必ずしもそうではない部分もあります。DCでは投資教育などが義務づけられたりしているわけですが、産別の加盟組合などを見ますと、DBに関しては必ずしも十分に制度の理解が行き渡っていない面もあるわけであります。そのため、さらなる老後資産の理解に関しては教育であるとか、あとは労使で年金に誘導するような制度の工夫もできると思っていますので、そういうことも含めて考えていただくのも重要なことではなかろうかと思っております。
以上です。
○山崎部会長
井戸委員、どうぞ。
○井戸委員
おくれて申しわけありませんでした。
今、一時金と年金の受け取り方のお話かと思うのですが、高崎委員が足元でできることと長期でできることはとてもいい御意見で、参考にさせていただきました。現実に御相談とかを承っていますと、DBで、50歳で早期退職された方が一時金で受け取ってしまいますと、まだ教育費にお金がかかったりしてしまって、そちらのほうに使ってしまって、老後資金が足りなくなるという方がとても多いように思います。
長期で足元からできることというものを私なりに考えてみたのですが、DCなのですけれども、やめた後に管理料というものが自己負担になりますね。退職後は大体、月900円から1,000円ぐらいかと思うのですが、健康保険の任意継続みたいに、認定は2年なのですけれども、年金は5年ぐらい、企業が全部というのは大変かもしれないのですが、全部または一部を負担して、実際に退職してから年金生活というものをちょっと味わってもらって、年金インセンティブを与えるというのでしょうか。いきなりどちらというよりも、5年後をどうするかという形で少し生活リズムをつかんでいただくのもいいかなと思います。
例えば100人規模の企業さんでしたら、40年勤務ですと多分、やめられる方が5人ぐらいだと思うのです。そうしますと、企業の管理料というものもそんなに莫大にふえていかないかなと思います。私は、やはり終身年金が理想的であると思っています。
○山崎部会長
一通り御意見を伺って、また事務局から。
白波瀬委員、どうぞ。
○白波瀬委員
ありがとうございます。
やはりDB・DCというものは制度そのものが違うというところがネックになってくるといいますか、投資をどういう形で労使間で合意形成をしたのかというのもやはりありますし、永遠にその制度そのものが固定であるというわけではないのですけれども、そういう意味で、途中でいただくということをゼロにすることは多分、制度上難しいのかなと思います。
年金についても、やはり美しいといいますか、制度的にもがっちりしているのはDCのほうなので、結論から言いますと、ペナルティーというところで誘導するしかないのではないかと感じました。ですから、解釈の話になるのですけれども、DBについても終身が理想的とおっしゃって、私もそのほうがきれいだと思うのですが、有期というところで年金を解釈してあげるということもできないわけではないのです。しかしながら、DBを展開できる企業さん自体が多分、今の経済状況から言いますと、そんなに多くはないといいますか、減りはすれ、ふえることはないのではないかと思います。そういう意味では、ただ選択肢をなくしてしまうというのはいろいろな意味で難しいのではないかなと感じます。
以上です。
○山崎部会長
山本委員、どうぞ。
○山本委員
済みません、時間もないと思いますけれども、私も要するに定期的に積み立てをしておりましても、生活環境がどこでどう変わるかということは個人によって違ってくると思いますので、中途引き出しを認めないのは非常にまずいとは基本的には思います。
ただ、年金そのものの性格というものは、やはり一定の年限以降を保証していくための積み立てですから、基本的にはそれが優先して進行していかないとまずい。そういう制度であろうと思いますが、だからといって、事前引き出しというものはそのときに突然、いろいろな健康上の問題から親族の問題、いろいろなことも起こり得ますので、そのこと等を考えると、全くこれを遮断してしまうことは多少フレキシビリティーがなさ過ぎる。こんなふうな感じがいたします。
ただ、恐らく運用側から考えれば、年金型で全部が回っていったほうが、資産運用として見ますと有利な運用が多分可能になるのではないか。こういうふうに思われますので、その点が逆に受益額のほうでマイナスが生じないかどうかということがあるのかどうか、私もよくわからないのですけれども、その辺が年金的に安定した支給をしていたほうが運用利回りも高まってくることがあるのかどうか。これをちょっと伺いたいと思いました。
○山崎部会長
よろしいでしょうか。
では、事務局のほうからお願いいたします。
○内山課長
中途引き出しの件を中心に御意見をいただき、ありがとうございました。一部、この後、御議論いただきます全体の話、年金か、一時金かというお話にもかかわっていたかと思います。
それで、特にその中でも、まず実際のデータ的なもの、数字的なものに関係するものとして御紹介いたしますと、井戸委員からお話のありましたコストについて、これはまた後の回で具体的に資料をお出ししたいと思っていますけれども、少し簡単ではございますが、口頭で御紹介させていただきます。
DCにかかるコスト、特に個人型であれば、例えば加入者、運用指図者であれば、運営管理の機関の手数料や事務委託の金融機関の手数料。そうしたものがかかります。平均的なものでは、加入者で年間1万1,600円ほど、運用指図者で1万400円ほどかかると言われてございます。
また、年金受給者になった場合には、これとは別に受け取りの手数料がかかりますし、資産がある限りは運営管理機関の手数料などがかかるということになってございます。
○山本室長
一時金がなくて年金にすると資産運用で有利になるかどうかという点でございますけれども、おっしゃるとおり、選択する余地がなければ、その分、流動性ということを気にせずに資産運用することができまして、その分、年金の運用面の制約が少なくなりますので、その分で資産運用が有利になる面はあるかと存じます。
○山崎部会長
よろしいでしょうか。
それでは、改めてDB・DCのイコールフットについて、拠出時の仕組みのあり方、給付の仕組みのあり方を通して御議論いただきたいと思います。
なお、本日欠席しておられます臼杵委員、森戸委員より、本論点に関してペーパーが出ておりますので、事務局より説明・紹介をお願いいたします。その後、臼杵委員、森戸委員のペーパーも踏まえて、委員の皆様から御意見等がございましたら頂戴いたします。
それでは、お願いします。
○内山課長
それでは、先ほどごらんいただいた臼杵委員、森戸委員の御意見の中で、この一般企業向けの取り組みのところで紹介していないところを中心に御紹介したいと思います。
臼杵委員の御意見ですけれども、1ページ目の1.の「(1)拠出時の仕組みについて」として3点御意見を伺ってございます。
「1」 DB・DCの拠出枠を一つにまとめることについては、(名寄せやDBの個人単位の拠出額の計算など)実務上問題がないのであれば賛成したい。
2 拠出枠を年収の一定割合にすること、年単位で管理することについては賛成。ただし、拠出枠の繰り越しについても長所・短所を検討いただきたい。
3 拠出上限(対年収割合)については、所得階層別の退職給付額と見合う水準か。
(2)の「1」は先ほど御紹介いたしましたので、飛ばさせていただきまして(2)の2でございます。
2 受給時の年金化が望ましいという問題意識は共有する。しかし、現行の税制では制度普及を妨げる可能性があり、中長期的な課題としてはどうか。
3 なお、年金受給の促進のためには退職一時金課税の見直しが必要ではないか(→厚生労働省として、一時金の年金化を促進する税制を提案することは不可能か。例えば、年金化のための個人勘定を設け、一時金をその勘定に預け入れる場合にだけ軽減課税を認めることにしてはどうか)。
という御意見でございます。
続きまして、森戸委員からいただいた御意見でございますけれども、森戸委員のペーパーの1ページ目の下のほうでございます。「論点(3)支給方法のあり方」。
・これまでの部会での発言などから、私は終身年金絶対主義者だと思われているかもしれないが、決してそうではない。理屈からすれば「長生きリスク」に備えるには終身年金がベストだとしても、諸外国の例などからしても現実はなかなかそのとおりにいかないことは理解しているつもりである。終身年金のさらなる普及を目指したソフトな政策を講じることはよいとしても、規制を強化し過ぎてかえって企業年金制度の数が減ってしまった、なとどいう事態は避けなければならない。
・それよりも私が常々疑問に思っているのは、「年金」ならば有期でもよい、という考え方である。有期年金では長生きリスクへの対処はできない。一時金から5年とか10年の有期年金への転換を促すような政策を敢えて講じる必要はないと考える。
ということでございます。
あとの部分はライフコースの部分に係る部分ですので、この部分については以上の紹介にさせていただきます。
○山崎部会長
この両委員の御意見について、事務局のほうで今、お答えできる部分がありますでしょうか。
○内山課長
1つは、臼杵委員からありました拠出枠の繰り越しというところについて少しコメントといいますか、拠出枠の繰り越しというのは、要は今の制度ですと、DCの場合、追納するということが認められてございません。それは恣意的な拠出を避けるということで、例えば10月分の掛金を払わないということになりますと、11月や12月にその分を払うことは今の制度では認められておりませんで、10月については掛金がゼロという状態になります。
また、この使い残し分ということを繰り越していくのは、恐らくどれだけ繰り越したか。そうしたものを管理していかなければならないという事務的な課題も少しハードルもあるのかなと思ってございます。
○山崎部会長
それでは、御意見をいただきたいと思います。
鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
今のお二方に対してということではないですね。全般の話ですね。
○山崎部会長
はい。この全体を通してです。
○鈴木委員
質問が2点あるのです。
77ページで(1)のaの3つ目の○なのですけれども、アンダーラインが引いてある後ろのほうの文章で「公的年金の支給開始年齢(65歳)を基本としつつ、公的年金支給までの繋ぎ年金としての役割も考慮して、DB・DCともに60歳以上から支給開始可能してはどうか」という文章なのですが、この前段の「支給開始年齢(65歳)を基本としつつ」というのはどういう意味なのですか。これはそのまま読めば、別に60歳以上から可能なのだから、それでいいのではないか。前段の文章が書いてある意味がわからないといいますか、意味を教えていただきたいというのが1点です。
2点目は、次の78ページで、これも注で※2なのですけれども「ただし、現行制度の下で、DBに加入する」云々という、これも「従来通り中途引き出しを可能とすることを検討」という、これもどういうことなのか。要するに、DBについては従来どおり可能とするということなのかどうかというのがわからない。
その2点でございます。
○山崎部会長
今、お答えいただけますでしょうか。
○内山課長
御質問ありがとうございました。
1点目につきましては、少し私どもの表現ぶりがあれなのかもしれませんけれども、基本的には、この部分は65歳以上が原則であろうという御提案でございます。
ただ、実際にはつなぎ年金として使われている場合、そうした御利用も多いと伺っていますので、そうしたつなぎ年金としての活用という実態を考慮しますと、原則は65歳ではありますけれども、労使の合意があれば60歳以上にすることもあり得るのではないかということでございます。
○鈴木委員
労使の合意があれば60歳ということでよろしいわけですね。
○内山課長
はい。そういう意味で、労使で規約で定めた場合のみは、基本的には60歳ということでございます。
○鈴木委員
わかりました。
○内山課長
2つ目の御質問で、78ページの※2でございます。ここは、基本的には支給開始年齢をどうするかというところとも関係するわけでございますけれども、現行の制度の中で、特にDBの場合に、支給開始年齢到達前に早期退職する場合に、要するに中途引き出しをしているという実態もございますので、そういう意味では、例えば現在、そうした支給開始年齢前の早期退職をする。それを想定して退職給付が設計されている場合があるということですので、そうした場合に中途引き出しすることを認めるかどうかという御議論があると思いますけれども、そうした場合のみ、現行行われている場合のみ、何らかの基準なり枠組みをつくって中途引き出しをすることも一つ検討してもよいのではないかという趣旨でございます。
○鈴木委員
まだちょっとよくわからないのです。支給開始年齢前に早期退職するというのはどういう意味なのですか。途中でやめるということではないのですか。
○内山課長
途中でやめるということではなくて、支給開始年齢が例えば60歳であれば、50代で早期退職するような場合というのがあるかと思います。
○鈴木委員
その場合の早期退職というのはどういう意味なのですか。60歳が支給開始年齢で、50代で早期退職するというのはどういう意味なのですか。50代でやめたら、みんな早期退職なのですか。その早期退職という意味がわからないのです。
○内山課長
基本的には、支給開始年齢に到達する前にやめる場合です。
○鈴木委員
そうすると、みんな早期退職ですね。
○内山課長
そうした中で、ここはどういう場合に今、現実に使われているかということも、そうした状況を踏まえさせていただいた上で、基本的に野放図に、条件なしに中途引き出しができるというのは、これはなかなかそうした制度の御提案ではないのですけれども、仮に現実でどういう使い方をしているか。それが引き出しをするに当たって認めるべきかどうかという、ちょっと実態を踏まえた上で少し何か例外的な措置みたいなものができるか、できないかを考えるべきではないかということでございます。
○鈴木委員
皆さん、おわかりになったらそれで結構ですが。
○山崎部会長
山本委員、どうぞ。
○山本委員
今、実は適切な御質問かなと思ったのは、早期退職といいますと、企業の肩たたきですとかいろいろなことによって、早期退職というのは別な意味の言葉の意図を持ってくるケースがあるから、ここで早期退職といいますと、そのことを言おうとしているのか、それとも、期限前に退職することをすべからく言おうとしている退職なのかということが混同されて、これを読む方に混乱を与えるという意味で質問されたのではないかなと思ったので、この「早期退職」の「早期」をやめて、到達前に退職する場合等は事情に、今、おっしゃるようなしんしゃくできるような要素があればという表現の仕方に変えられたほうが、早期退職という言葉自体が別の意味を持ってくる場合があるのでと思いました。
○鈴木委員
私は、今のお話でちょっと気がついたのですけれども、このときの早期退職というのはそういう意味だったのですか。会社から肩たたきでやめさせられるといいますか、退職を勧められるという意味だったのですか。
○山崎部会長
どうぞ。
○内山課長
済みません、説明が要領を得なくて恐縮ですけれども、必ずしも早期退職イコール肩たたきというわけではありませんが、まさに山本委員が言っていただいたように、退職する場合に、仮にいろいろな御事情があると思いますので、そうした御事情によって何か区別をすることが適切かどうかといった意味で使わせていただいてございます。そういう意味では、山本委員に御発言いただいた趣旨ということでございます。
○山崎部会長
まだ首をかしげておられますが。
○鈴木委員
単に年齢のことで言っているのであれば、これは別に従来どおり認めるというふうにしか私には読めなくて、そうではなくて、肩たたきというのであれば、いいか、悪いかは別にして、言っている意味はそれでわかるのです。
○内山課長
済みません、要するに肩たたきという個別の事情だけではなくて、さまざまな御事情があると思いますので、そうした事情について何か線引きをするなり、枠組みをつくるかどうかということでございますので、必ずしもいわゆる肩たたきといったところに限定されるわけではないと思いますし、現実に使われているようないろいろな事情に応じて何か工夫をする余地があるかどうかということでございます。
○山崎部会長
半沢委員、どうぞ。
○半沢委員
本人の責によらない、すなわち本人が自主的に選択するわけではないのだけれども、例えばこの前申し上げた、会社が合併したりとか、いろいろな形で退職せざるを得ない場合というのはあると思っておりまして、そういう場合を少し区別するということが検討の方向性としてはあるのではないかと感じているところでございます。
○山崎部会長
小林委員、どうぞ。
○小林委員
畳みかけるようで恐縮なのですが、事務局のご説明からすると、自己都合で退職するケースについては中途引き出しを認めないことを意図した御提案かどうか確認させていただきたいと思います。
○山崎部会長
どうぞ。
○内山課長
そこのところがそういう意味では難しいところかもしれませんが、日本の場合ですと、自己都合といっても本当に自発的なものと、ある意味そうでない、いわゆる肩たたきのようなもの、その他さまざまな事情があると思います。そうしたものについて、先ほど来、少し申し上げていますように、何か区別をして取り出すことをするかどうか。それが適切かというところが一つ論点としてあるのではないかということでございます。
○山崎部会長
事務局も御意見を聞きたいということですね。
白波瀬委員、どうぞ。
○白波瀬委員
済みません、多分、議論についていっていないと思うのですけれども、事務局側の御説明は、基本的に原則、制度としてこういうことをしたいという提案で、要するに支給開始年齢に達するか、達しないかというのが、その中身は何であれ、そういう構造にしたい。ただ、達するか、達しないかという状況によっていろいろ問題が生じるので、それがいわゆる早期退職の意味がいろいろありますということだと思うのですけれども、最初のところはどうも原則、支給開始年齢前に達しない場合に一時金をもらうということに対しては、原則の制度としては二次的なものにしてもらいたいという御説明だと理解したのです。
そのときに、第1段階の議論とも連動するのですけれども、中途引き出しを制度として結局認めるということを、そちらを原則としておけば今の議論は結果、やはりかみ合わなくなってしまうので、小林委員のように、結局はこの原則論に、提案どおりにずっと行くと、中途引き出しというものはやはりペナルティーがあるので、行為としてはできるだけやらないような方向で設定してほしいということのような気もするのですけれども、ちょっと前段階の議論と今との議論が連動しているにもかかわらず方向性が違っていて、意見の言い方もうまく整理できないところがあるのです。
済みません、確認は、何が言いたいかといいますと、要するに中途引き出しの可能性について、最終的にはどう見るかということですか。
○山崎部会長
どうぞ。
○内山課長
まさに支給開始年齢前に到達する前の中途引き出しをどうするかということで、78ページに書いていますように、当初このペーパーの整理としては中途引き出しを原則認めないという整理にしてございます。
ただ、これまでの現実との関係から、あるいはそういう退職の仕方によって線引きをする、何か取り出して中途引き出しを認めるべき場合もあるかどうかという、もう一つ、そういう意味では二次的な論点を※2で書かせていただいているという整理でございます。
○山崎部会長
どうぞ。
○村瀬理事長
ちょっと確認ですが、77ページのaの一番上の○です。現在、DB制度を実施されている企業の中では、50歳以上になった場合に退職時から支給を開始することができるという制度がありまして、それ自体を60歳ないし65歳に上げること自体に、現行の制度から言えば、やはりよくよくしっかり聞いていただかないと無理な点があるのではなかろうかということを前回申し上げたと思うのですが、今回それが中途脱退とそうではないという形に切り分けていますけれども、現在のDB制度の中でいろいろ工夫をされている、その部分を抜本的に変えるということも含めての提案であると考えていいのですか。
○山崎部会長
お願いします。
○内山課長
ここの77ページのところでは、もちろん現行では50歳以上の退職時からDBの支給ができるわけですけれども、それをDBも含めて支給開始年齢は65歳としてはどうかということでございます。
仮に65歳とした場合には、78ページの論点というのは65歳より前、例えば57歳とか58歳の時点で中途引き出しを認めるかどうかという御意見でございます。それについては、繰り返しになりますけれども、原則中途引き出しを認めないということにした上で、少し退職の態様によって現実との連続性などを考えて何か区分けをする必要はあるかどうかという形で論点を設定させていただいています。
○山崎部会長
村瀬理事長、いかがですか。
○村瀬理事長
前もお話し申し上げましたけれども、イコールフッティングで、できるだけいい制度のほうへ片寄せしようという前提でいろいろな要望をお聞きして制度設計されている。したがって、全体感としては非常にいい方向へ制度設計されていますが、部分的なところでえらく右寄りといいますか、保守的なほうへ振っているということで、何か整合がとれないような気がするのです。
これはあくまでも提案であるということで、現場の意見をお聞きいただいた上で再度調整があるという前提で考えてよろしいのですね。
○山崎部会長
そのつもりでおります。ここで無理に議論をまとめようとも思っておりません。
事務局もよろしいですね。
○内山課長
はい。
○山崎部会長
いかがでしょうか。
白波瀬委員、どうぞ。
○白波瀬委員
ただ、やはりそもそも論に戻ってくると思うのですけれども、今、保守的なという話もあったのですが、ちょっと越境になりますけれども、今の公的年金というものが細っていく状況に対して、多分、この企業年金等についてはいわゆる大きな意味の自助という枠組みで非常に位置づけとして大きくなると思うのです。
そういう意味から、個人の選択というものを最優先にするのか、あるいは社会的なリスクをプールするといいますか、そういう意味では財源の安定性も含めて、みんなが長生きしていく状況を支え合うところを強調するのかということを考えますと、諸外国を見ても一時引き出しといいますか、中途引き出しについては比較的、財源の観点から、あるいは運用の観点から否定的なところが多いので、そういう意味では私は、個人的な意見としてはどちらかといいますと、やはり大きな意味での支え合いのシステムのところに積極的に入れていく方向性での制度設計のほうに移っていくほうがいいのではないかという意見を持っております。
○山崎部会長
全体を通していかがですか。
小林委員、どうぞ。
○小林委員
繰り返しになりますが、今回の事務局の御提案については、特にDBを運営している立場から見ますと、制約増としか受けとめられないところが多く、冒頭でも申し上げたように、仮に事務局案のまま施行されることになると、現在実施しているDB年金をやめて、DCもしくは一時金に移行することも含めて検討せざるを得ない状況になりかねません。少なくとも、そういう受けとめもあることを踏まえた上で議論が必要だと思います。
○山崎部会長
ほかに。
山本委員、どうぞ。
○山本委員
私も十分な理解ができていないところもありますが、年金は高齢になった段階からの、その後の生活保障をしていくための積立金ということを考えますと、やはりそこに軸足を置いて、しかも先ほどの運用の最も効率的な利用ということも考えていきますと、基本的にはそこに軸足を置くが、しかし一方で、開始年齢の前に退職する事例ですとか、そういうことはやはりそれぞれの人生の中においては必ずいろいろ起きてくるので、これをこの制度ですとか取り決めの中で、どこまできちんとした表現でそのことを一線を引けるのかというところに、非常にファジーで難しい課題を抱えているような原案になっていると思いますので、その辺にもう一知恵絞っていただく必要があるのかなと。こんなふうな感じがいたしました。
それともう一つ、先ほどの臼杵委員からの御指摘のところですけれども、DB・DCの拠出枠を一本にまとめるというお話で、DBはこれまで拠出枠は基本的にはないのでございますね。そういうことですから、それに拠出枠が、2つが一緒に、一本化されることによって拠出枠がはめられますと、それ以上、企業の体力として、拠出ができるにもかかわらず、そこが有税になっていくということ等が、場合によると企業サイドから見たときに非常に不利益になってくることが起こり得るとも思われるので、これは慎重な御検討が必要かなと思います。
一方、中小企業の観点から言いますと、企業経営がいい年度と、それから、非常にそれが厳しくなる状況と、いろいろ交錯する可能性があるので、その辺を拠出の、例えば持ち越しで、次年度にその分を、仮に全く払わなければ、納めなければダブルで積み立てていくということとか、企業の収益状況に応じてフレキシブルに企業が対応できる。したがって、加入しやすいものにしていただくようなことも御一考いただかないと、中小にとっては非常に厳しいことにもなろうかというふうになりますと、大企業と中小企業の間の企業年金における対応のありようの格差が非常に開いてしまう。そういう危険性もあるのではないかと。こんなふうに感じます。
以上です。
○山崎部会長
半沢委員、どうぞ。
○半沢委員
中途引き出しという点で申し上げますと、むやみやたらに中途引き出しができる制度をDB・DC両方に、というものではないのは皆さん合意されるところではないかと思っております。DB・DCを一つの枠にすることを前提に、同じような考え方で運用していくべきではないかという事務局の御提案かとも理解するのですけれども、DB・DCが大きく異なる中において、すぐにそれが可能なのかは別途、皆さんいろいろな御意見をお持ちなのだろうと思っております。
なお、本人の責によらないと先ほど申し上げましたけれども、やはり労働者としましては不測の事態もあるわけです。むやみやたらはいけないと思っていますので、ある程度の規律は必要ですが、本当に必要な場合ということをどのように線を引くかは難しいのですけれども、山本委員がおっしゃるように、そういう場合は確かにあるのだろうとは思っております。したがって、そのあたりも考慮して検討していただけるとありがたいと思っています。
○山崎部会長
鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
全般的な話なのですけれども、きょう御用意いただいている資料1-2の5ページと6ページなのですが、この5ページの企業年金研究会、これはきょう御欠席ですけれども、たしか森戸部会長代理が委員長でまとめられたものだったと思います。私どももこの当時、これはウオッチしていましたが、非常によく検討されて、ある意味では、ここに書いてあることに尽きるような気がするのです。
大きく2つの方向性があるということで、アが「労使合意を基本とした、企業や従業員の実情及びニーズを踏まえたできる限り自由な制度」で、イが「公的年金との関係を重視した、従業員の老後所得保障機能をより強化した制度」で、これの結論は一番下の段で「さらにどのような方向を目指すべきかについて、関係者間でコンセンサスがある状況にはない」となっているわけです。この当時、こうだったと私も理解しています。
先ほどから厚労省の提案、あるいは白波瀬委員のお話というのは多分、いずれもイのことをおっしゃっていると理解をいたします。それはそれで、私も方向性として理解はできるのです。ただ、イだけでいいですかということを言っている。これは前から言っていると思うのですけれども、イの部分もアの部分も両方つくればいいではないですか。アの部分は退職金の事前積み立てとして使えばいいではないですか。そのかわり、税はそれほど優遇されませんということでいいではないですか。
6ページの絵のとおり、今のDBというのは適格退職年金と厚生年金基金制度、両方の受け皿になりましたと。いろいろあるかもしれませんが、四捨五入して言えば、この適格退職年金というものはほとんど5ページのアに相当するわけです。厚生年金基金というものはイに相当するわけです。今、これが一緒くたになっているということなのですけれども、その一緒くたになったDBを全部イにしましょうという御提案のように私には理解される。
イの方向性で整理すればこうなりますというのはかなり理解できるのですけれども、ただ、それだけで本当にいいのですか。小林委員の言われるように、そのイの方向を追求した結果企業年金をやらなくなったときに、では、退職金を倒産隔離して社外に積み立てておくという、そこの機能というのは本当になくなっていいのですか。それは本当に国の行政としていいのでしょうかということを大分前から申し上げているのですけれども、言いたいのはそういうことです。
○山崎部会長
今の鈴木委員の御発言にもありましたが、結局、自由度を増すということは税制上の保護を受けにくくなる。規制を増せば、ちゃんとした保護が受けられる。その辺の兼ね合いなのでしょうね。最終的に、それを我々も選択しなければいけないのかもわかりませんね。
○鈴木委員
臼杵委員のペーパーで言いますと「3.その他」の「1」のことです。
○山崎部会長
村瀬理事長、どうぞ。
○村瀬理事長
今の意見の件に若干関連すると思うのですけれども、たしか厚生労働省の資料の中で、年金の受給者のうち一時金受給者の割合が7割程度を占めるというデータがあったのだろうと思います。ということは、現在の年金制度自体は、実は退職金の一部であるということを明らかに企業も、それから、従業員の皆さんも意識している。その中で、中途引き出しの問題であるとか等、いろいろ議論されていますけれども、やはり退職金と年金とのバランスの問題、また、それが生活設計の中でどういう位置にあるのかというのは多分いろいろ違うのだろうと思うのです。そうすると、その分を抜きにして将来設計だけで議論するのはちょっと行き過ぎではないか。やはりそこはよくよく見た上で、理念としては年金化のほうへ持っていこうというのは正しいのですけれども、現実問題として従業員なり職員が生活できなくなったら意味がないわけですね。そこをやはりよくよく調べて、きちんと議論していただきたい。
それと同時に、もう一つは確定給付のほうを前提に中途引き出しのことを言っていますけれども、確定拠出の中途引き出しというものは、現在は積立額が低いから、非常に低金額ですが、ほぼDBからDCへ移行した場合に大きな金額になる可能性があるわけですね。そうしますと、中途引き出しというものはマスト案件なのですよ。そうしますと、具体的にどういう部分であればどこまで、どこまでというのが金額で言うのか、割合で言うのかわかりませんけれども、どこまで拠出限度額を決めるのかということもどこかで議論をしないと意味をなさないのではなかろうか。こんな感じがしております。
○山崎部会長
事務局からお願いします。
○内山課長
今、村瀬オブザーバーからいただいた意見、まさに今、少しDBのほうから見て制約がというお話が多かったように思いますけれども、一方でこの部会の御議論の中で、DCのほうについて拠出限度額なり中途引き出しなりについて、現在はそういう意味では大きな制約がかかっていますので、そうしたDCについての拡大、そして規制を緩和するような方向での御要望もこの部会の出発点であるかと思っています。
そういう意味で、DBのほうから見れば確かに、ある意味、制約が強くなるのですけれども、DCのほうの拡大御要望も踏まえて、DBと同様に自由にというのは当然、税制との関係では難しいですので、ここはDB・DCあわせて、企業年金の立場としてどういう整理をするかという議論かと思います。そういう意味では、事務局としては今回の段階ではこうした御提案を踏襲させていただきましたけれども、もちろん、皆様からいただいた御意見も含め、なおもう一度、さらにこの内容をもう一回詰めさせていただきたいと思っています。
○山崎部会長
今、課長からもお話がありましたように、大まかに方向が一致しているものと、しかし、まだまだ議論が必要であるというものも大分あったようでございますから、改めて事務局で整理していただいた上でまた議論をしたいと思います。
それでは、続きまして、議題の「(2)ライフコースの多様化への対応について」に入りたいと思います。事務局より資料の説明をお願いいたします。
なお、本日欠席している臼杵委員、森戸委員より、ペーパーが出ておりますので、事務局は資料の説明の際にあわせて紹介をお願いいたします。その後、両委員のペーパーも踏まえて、皆様から御意見をいただきたいと思います。
それでは、お願いします。
○内山課長
それでは、また少し長くなりますけれども、資料2「ライフコースの多様化への対応」という資料を御説明させていただきます。
ページをおめくりいただきまして「目次」となってございます。
まず「1.就労形態の多様化」としまして、背景などを整理したものでございます。
2.と、次のページの3.が論点でございます。主として、2.のところで2つの論点、3.のところで1つの論点、合わせて3つの論点でございます。
2.の論点の1つ目は、個人型DCの扱いをどういうふうにするかということでございますし、2-2.としてマッチング拠出についてでございます。
3.としては、制度間のポータビリティーについてということでございます。
3ページでございます。
「国民の老後所得の現状」ということで、これは前回も御説明しましたように、国民の老後生活資金というものは、共助に公助を組み合わせた公的年金を中心にしまして、自助の預貯金あるいは企業年金等が補完する形で賄われています。
公的年金につきましては、平成16年年金改正によりまして、中長期的に給付調整が見込まれるということでございます。
DBや企業型DC等の企業年金につきましては、近年は企業の実施割合が減少傾向にあるということでございます。
そういう意味で、企業年金につきましては、このさらなる普及・拡大を図るため、これまでこの部会でも「中小企業向けの取組」あるいはいわゆるハイブリッド型、そして、今、御議論いただきましたDB・DCの拠出・給付の仕組み。そうしたものを御議論いただいたところでございます。
今後は、企業年金のさらなる普及・拡大というものが一方で重要ですけれども、その一方で、企業年金に加入できない方など企業年金でカバーできない方もいらっしゃいます。そうした意味で、DBや企業型DC等といった企業年金のほかに、個人の自助努力、すなわち老後に向けてみずから備えるといったことも重要ではないかということでございます。
国民一人一人がどのようなライフコースを選ぼうとも、生涯を通じて老後に向け継続的に個人の自助努力ができるような、そうした支援をする仕組みも必要ではないかという問題意識でございます。
4ページでごさいます。
また後からデータで御説明しますが、人生の中で複数の会社を経験する方が増加している、あるいは第3号被保険者の期間が短くなるといった、働く、働かないといった就労の有無も含めて就労形態の多様化が進んでいます。
公的年金を補完する確定給付企業年金あるいは確定拠出年金の重要性が高まることが予想されます。
こうしたDB・DCの中で、個人拠出の仕組みにつきましては、個々人の就労形態によりまして、老後に向けた自助努力を行う環境に差がある状況であります。
就労形態の多様化に柔軟に対応できるような、老後に向けた切れ目ない個人の自助努力を可能とするような環境整備が必要ではないかということでございます。
そうした意味で、先ほど御説明しましたように、大きく論点は3つあるかと存じます。
1つ目は、就労形態に左右されずに、生涯を通じて切れ目なく自助努力を可能とするという意味で、個人型DCの加入可能範囲等のあり方などが1つ目の論点でございます。
2つ目は、企業年金の内容や水準に左右されにくい自助努力の環境整備ということで、DCのマッチング拠出等のあり方が2つ目の論点でございます。
3つ目は、年金資産の扱いについて、離職・転職といったものに対応した選択肢の拡大ということで、制度間のポータビリティーのあり方が3つ目の議論になるかと思います。
5ページ以降は、就労形態が多様化しているデータでございます。
6ページです。下の棒グラフをごらんいただければわかりますように、直近の10年間で転職や離職を経験している方の数は男女とも増加傾向にあるということでございます。
7ページ、8ページは平均勤続年数で、7ページが男性、8ページが女性となってございます。
男性については、直近10年間で就業率、折れ線グラフのほうですけれども、就業率はおおむね横ばいですが、勤続年数は減少傾向にある。
8ページの女性のほうは、就業率は上昇していますけれども、勤続年数は減少傾向にあるということでございます。
9ページですが、従業上の地位といったものに着目したデータでございます。
※に書いていますけれども、従業上の地位というのは、今、仕事をされている方を「自営業主」「家族従事者」「雇用者」等に分類したものでございます。直近5年間で転職をした方がどういう状況にあるかということなのですが、直近5年間で転職した方の1割弱は他の従業上の地位、例えば自営業主から雇用主、自営からサラリーマンに移ったりという移動をされているということでございます。
10ページは、第3号被保険者期間の見通しということです。第3号被保険者の98%以上は女性ですけれども、就労が進むことによりまして、この第3号被保険者期間は今、減少しているということが推定されてございます。
11ページからは1つ目の論点に入るわけですけれども、12ページは年金と個人の努力との関係でございます。
公的年金につきましては、支給開始年齢の引き上げ、あるいは中長期的な給付水準の調整というものがございます。企業年金につきましては、企業年金実施割合の減少、退職給付会計の変更といったDBの環境に変化があること、あるいは非正規労働者、これはまた後で御説明しますが、企業年金に加入していない場合が多いのですけれども、そうした非正規労働者の増加ということがございます。
そうした意味で、企業年金の普及・拡大というものはこれからも努力をしなければなりませんし、これまで議論していただいたところですが、そもそも企業年金に加入できない方などがいらっしゃいますので、そうした各個人のみずからの備え、自助努力を支援する仕組みを整備する必要があるのではないかということでございます。
現在、個人が拠出できるというのは、個人型DCと企業型DCのマッチング拠出があるわけでございますけれども、これには加入範囲が限られているといった課題がありまして、各個人が老後に備えた努力をしようとする際のハードルとなっているのが現状でございます。
13ページは、前回、森戸委員から御紹介もありましたが、年金シニアプラン総合研究機構での研究の抜粋で、その中では「企業年金がない被用者や非正規労働者が増えており、自助努力による老後所得保障の確保が急務になっている」という問題意識で研究を始められております。
14ページ以降は、これまでの部会でも御説明した資料も入っておりますけれども、14ページは、老後の資金は公的年金中心。預貯金、企業年金・退職金で賄っているという資料でございます。
15ページは、公的年金の支給開始年齢の引き上げ。2030年に65歳に引き上がるということが法定されてございます。
16ページは、マクロ経済スライドによって、中長期的に給付水準の調整が行われるという資料でございます。
17ページは、老齢年金受給者の収入と年金額の状況を示したものでございます。男性と女性とを比べれば、女性のほうが総じて低額という結果でございます。
18ページも以前出したもので、企業年金を実施する企業の割合が減少傾向にございます。
19ページは現状の状況ですけれども、確定給付型の数が減少傾向にあるということでございます。
20ページも以前御説明した資料ですけれども、確定給付型企業年金においては退職給付会計基準の変更がありまして、年金債務が企業に与える影響が大きくなっているということでございます。
21ページも前回お出しした資料で、厚年被保険者に占める企業年金加入者の割合は4割弱であるということで、残り6割の方は企業年金に加入していない状況であります。
22ページ、23ページは非正規労働者の関係でございます。
22ページの上から3つ目の欄の「正社員以外の労働者」の中身は、その下にあります契約社員や嘱託社員等でございますけれども、正社員以外の労働者の方で健康保険や厚生年金については5割程度の適用があるのですが、企業年金については6.0%、財形制度は6.9%など、まず非正規労働者の方については企業年金が適用されていない場合が多いということでございます。
23ページは、御案内のように、そうした非正規労働者の方が近年高まる傾向にあるということでございます。
24ページは、先ほど御紹介しましたが、個人が拠出する仕組み、個人型DCとマッチング拠出についての図になってございます。個人が自助努力をする仕組み、個人が拠出する仕組みには現状、個人型DCと企業型DCのマッチング拠出がございます。
個人型DCにつきましては、第3号被保険者や企業年金・公務員といった方が加入ができず自助努力できない期間がライフコースの中でできてしまうこと。それから、加入範囲が限られているために離職・転職時に資産移換をしなければいけないのですけれども、その際に必要以上のコストがかかるといったこと。
企業型DCのマッチング拠出については、実施の可否を企業が決めるために、個人拠出をしたくてもできないことや、また後ほど御紹介しますが、拠出に係る規制があることといった課題が指摘されているところでございます。
25ページは、先ほども御紹介がありましたが、5年前の企業年金研究会の検証結果の抜粋でございまして、第3号被保険者や公務員、それから、企業年金制度がある第2号被保険者についても、このときに議論になってございまして、引き続きの検討課題と整理されているところでございます。
26ページからは、個人型DCでございます。
27ページをごらんいただきますと、個人型DCの加入者につきましては年々ふえてはおりますけれども、加入可能な者の総数から比較しますと約0.5%と、割合としては多くなくて、この個人の自助努力を支援するという意味からはさらなる普及が必要ではないかということでございます。
課題につきましては、先ほど申し上げたものでございます。
28ページからは、このうち第3号被保険者に関する個人型DCの課題ということでございます。
現在、第1号とか第2号の被保険者は個人型DCに加入できますけれども、第3号被保険者は加入ができないということになっています。
下のグラフを見ていただきますと、第3号被保険者においても働かれている方というのが半数近くおられます。第3号被保険者なり第2号といった公的年金のほうの仕組みによりまして、私的年金の枠組みにおいて、加入資格について環境に差があるのが現状でございます。
29ページに進みまして、これは社会保障制度を考えるに当たっては、女性の活躍推進という意味で、働き方に中立的な制度設計の必要性が高まっていることをさまざまな報告書等で指摘をされていますので、そうしたものの御紹介でございます。
30ページからは、今度は企業年金に加入している方がどういうふうに個人拠出をするかといった課題でございます。
まず、企業年金等の加入者というのは、企業型DCで労使がマッチング拠出を導入した場合などを除きますと、個人拠出ができない状況にあります。
公務員につきましては、年金払い退職給付の創設、被用者年金の一元化、そうしたものが来年、平成27年10月に実施されるわけでございますけれども、そうした意味で、企業年金等加入者と同様な環境が整備をされているところでございます。しかしながら、現時点では任意の個人拠出はできない状況にあります。
企業年金等は、御案内のように、企業の経営状況等によりまして拠出や給付が左右される可能性がございます。そうした意味で、個人の生活設計の上では、企業年金等のほかに、一定程度の将来リスクを分散させる仕組みといったものが必要ではないかという指摘もございます。
31ページは、公務員の「年金払い退職給付」の概要で、来年10月から企業年金並みの3階部分が整備されたというふうに整理をされてございます。
32ページからは、離転職におけるDC資産移換の課題でございます。
現行制度のもとにおきまして、一時的な離職、例えば妊娠・出産などで第3号被保険者になった場合には個人型DCに資産を移換することになります。その場合、この第3号被保険者期間中は資産の積み増しができないという点、それから、さらにその後に復職した場合にはもう一回DCに資産を移換するといったように、積み増しができない、あるいは移換の回数が多くなるといった課題が指摘をされてございます。
33ページは、企業型DCに加入されていた方が、転職した場合の年金資産の取り扱いをまとめたものでございます。
先に一番上の「DBのみ実施企業」であれば、DCのほうは運用指図者になり、継続的な掛け増しができなくなります。
また、下の「公務組織」に企業の方が来られるということが最近、官民交流等であるわけでございますけれども、そうした場合にはDCの加入ができないということになって、運用指図者になるということでございます。
真ん中の「DC実施企業」ですが、こうした場合には企業型DCに資産移換が可能ではございますが、資産移換のコストがかかるですとか、商品構成が変わるといった課題もございます。
なお、※で書いていますように、企業年金実施企業のうち、DBのみ実施企業割合は3割程度ということでございます。
34ページは資産移換のコストということで、資産のキャッシュ化コストなどで移換の1回に当たり8,000円程度かかるというデータでございます。
35ページで、企業型DCの加入者が転職した場合、転職先に資産移換をせず、さらに個人型DCにも加入ができない場合には、個人型DCの運用指図者、あるいは資格喪失後6カ月以内に移換を申し出ないと自動移換者ということになります。こうした運用指図者や自動移換者については現状で80万人を超えておりまして、DC加入者18万4,000人の4倍以上になっている現状がございます。
36ページは、運用指図者・自動移換者についての整理でございます。
一番上の個人型DCの第1号加入者や第2号加入者といったものにDC加入者が移る場合には、掛金を拠出して運用指図を行う。また、一番下の企業型DCにあれば移換できるということでございますが、運用指図者になりますと掛金の積み増し拠出ができないということになりますし、6カ月以内に申し出をしないと自動移換者になりまして、運用指図は行えないといった課題があるということでございます。
37ページ、38ページは、以前にもお出ししましたが、アメリカのIRA制度の概要でございます。
特徴的な点は2つで、まず加入対象者が70.5歳未満の所得のある方、公務員や自営業も含めて、その配偶者の方も含めて加入対象となるということでございますし、4つ目のポツで、ポータビリティーについては、このIRAの口座にDC型の401(k)等の退職給付制度から移換金を受け入れること等が可能になっているということでございます。
そういう意味で、38ページにありますけれども、老後資金を管理・運用するための口座、プラットホームとして機能しているということでございます。
39ページですが、諸外国の公務員のアメリカやイギリスのDCの例を出してございます。
40ページは、以前も御報告いたしましたが、OECDの報告書では、長期間の私的年金への拠出が給付につながるということで、長期間の拠出を奨励しているというものでございます。
41ページは、個人型DCの論点でございます。
先ほど見ていただきましたように、個人型DCの加入者数は、加入可能な者の総数から比較しても多くなくて、個人の自助努力を支援する観点からはさらなる普及が必要ではないかということでございます。
就労形態が多様化する中で、加入対象者が限られていること、あるいは拠出限度額が対象者ごとに分かれていること等が個人型DCの課題といった指摘がございます。
個人の老後の自助努力といったものをできるだけ支援していくためには、現行で個人型DCの加入対象外となっています第3号被保険者、それから、企業年金・公務員等共済加入者のあり方について、検討する必要があるかと思いますし、また、拠出限度額のあり方についても検討が必要ではないかということでございます。
そうした意味で、42ページでは、まず第3号被保険者の扱いでございます。
先ほど御説明しましたように、同じ非正規の労働者、同じ非正規の働き方をされている方でも、第1号・第2号は個人型DCに加入できる、第3号は個人型DCに加入できないということで、私的年金の制度の中で、第3号被保険者、公的年金の制度の枠組みで、第3号被保険者であるというだけで、個人の自助努力の環境に差があるのが現状でございます。
また、第3号被保険者は多くは女性ですけれども、出産・育児・復職等といったようなライフコースが多様化する中で、どのようなライフコースを選ぼうとも老後に向けた個人の自助努力を可能とする環境整備を行うことが、女性の活躍促進にもつながるのではないかということでございます。
なお、制度創設時には所得が低く税優遇を受けるメリットがないといったこと、あるいは公的年金において第3号被保険者の取り扱いの議論が行われているといったことから、第3号被保険者は個人型DCの加入対象としてございません。これにつきましては、運用時・給付時の税優遇はあること、あるいは第3号被保険者期間にも老後に向けて掛金を一定額拠出し運用し続けるというメリットはあること等を踏まえて改めて考える必要があるのではないかということでございます。
こうしたことを踏まえて、まず1つ目は、第3号被保険者の個人型DCへの加入をどう考えるかという論点でございます。
43ページは、次は企業年金、それから、公務員等共済加入者でございます。
企業年金・公務員等共済加入者は、企業型DCのマッチング拠出等を除くと、支援がございません。
また、先ほど申しましたように、企業の経営状況等により拠出や給付が左右される可能性がありますので、将来リスクを分散させる仕組みが一定程度必要ではないかという指摘もございます。
なお、制度創設時は企業年金に加入できない者については公平性等の観点から個人型DCの加入を認めたという経緯がございます。この点については、企業の経営状況等に左右される可能性がありまして、企業年金のほかに個人で行える仕組みが必要であるという指摘、あるいは制度創設後にはなかったマッチング拠出の仕組みが整備されたこと等も踏まえて、考える必要があるのではないかということでございます。
※は、先ほど御紹介しました公務員の新3階につきましては平成27年10月に実施することが決まってございます。
44ページで、こうしたことを踏まえまして、働き方や職域によらない個人の備えという仕組みを強化するとともに、資産移換コストを低減しつつ、継続的に資産を管理・運用できる仕組みを構築するということから、企業年金や公務員等共済加入者の個人型DCへの加入についてどう考えるかということでございます。
ここで仮に、42ページの第3号被保険者、それから、今、申し上げました企業年金・公務員等共済加入者の方々につきまして、これから御議論いただきますけれども、この全て加入を認めることになれば、全ての方が個人型DCの加入ができるといった仕組みになるかと存じます。
そういう意味では、少し前後して恐縮ですけれども、今の2つについて認めるということになりますと、24ページをおめくりいただきたいのですが、個人型DC、今は第1号被保険者と第2号被保険者の一部が加入可能ということですが、その他、今、点線でかかっている部分についても仮に認めるということになれば、こういう方も含めて全ての方が個人型DCに加入できる仕組みになるということでございます。
前後して恐縮ですけれども、45ページはそうした個人型DCの適用範囲を拡大した後の第3号についてのイメージでございます。
46ページは、個人型DCのもう一つの論点でございますが、拠出限度額のあり方でございます。
拠出限度額については、今、加入対象者ごとに分かれてございますけれども、就労形態に左右されずに切れ目のない自助努力を可能とするといった観点、あるいは限度額管理が簡単でわかりやすい仕組みとするといった観点。そうした観点から、全ての加入者に共通した考え方で設定してはどうかというふうに考えてございます。
※で書いていますが、例えば考え方としては、今、企業型DCの多くの方の平均掛金額(月額2万円程度)と水準を一つ考えた上で、上乗せ年金のない第1号被保険者などはその2倍程度としてはどうかということもこの※で書いてございます。
46ページの下の○ですけれども、これは一般企業向けのところでも御議論いただいたことだと思いますが、拠出期間の単位を年単位にしてはどうかという提案でございます。
47ページは、今、申しましたDCの掛金の平均が、今、8割方は2万円以内におさまっているということでございます。
48ページは、制度創設以来の個人型DCの拠出限度額の設定の考え方で、第1号につきましては、国民年金基金の拠出限度額と同じレベルに、第2号については、企業年金等を実施している企業の事業主拠出額の水準を勘案して現在は設定されているところでございます。
少し長くなってございますが、あと、マッチング拠出とポータビリティーのところでございます。
50ページはマッチング拠出の状況ですけれども、今、企業型DCの実施企業の中でマッチング拠出を導入している企業は20%程度でございます。
51ページに、今、導入されていない企業についての未実施の理由を聞いてございますが、会社の事務負担が大きい、従業員の関心が低い、会社掛金以下という規制が使いにくいといった理由が挙げられてございます。
52ページは、マッチング拠出を実施している企業が2割程度なのですけれども、その2割の企業のうち、マッチングを利用されている従業員、利用者の数はまた2割程度ということでございます。
53ページは、拠出限度額の到達状況ですけれども、現行の拠出限度額は5.5万円などがありますが、企業の拠出が拠出限度額まで達しておりまして、マッチング拠出を行う余地のない加入者がいる規約が全体の3割程度ございます。
54ページで、これまでのマッチング拠出に対する要望でございます。
企業規模が大きくなるほど、拠出限度額を超過する設計になる場合が多うございまして、マッチング拠出の限度額を事業主掛金の拠出限度額の枠とは別に設定してほしいという要望がこのデータから出てございます。
55ページは、加入者のほうにお聞きした要望で、加入者の側も、自分から拠出できるDCの仕組みがある場合には活用したいという意見が半数程度となってございます。
56ページは、アメリカの401kにおけるマッチング拠出で、これも以前出した資料ですけれども、参考につけてございます。
57ページは、マッチング拠出の規制でございます。
1つは、労使合計で拠出限度額までというもの。そして、もう一つは事業主が拠出した限度額までというものでございます。
きょうは紙ではデータを用意していませんけれども、労使合計で拠出限度額まで達している方はマッチング拠出をされている方の約2割いらっしゃいますし、事業主が拠出した限度額まで出されている方は、マッチング拠出者のうち約5割の方が事業主が拠出した額まで出されているというデータがございます。
58ページで、マッチング拠出の論点でございます。
マッチング拠出につきましては、先ほど実施導入企業数が2割程度、拠出限度額との関係でマッチング拠出をする余地のない者がいらっしゃること、あるいはそもそも企業が導入を認めないとできないといった課題がございます。
このマッチング拠出の取扱いにつきましては、検討課題の中で整理をしていますけれども、既に当部会におきまして、自助努力促進の観点からは、このマッチング拠出に係る規制を撤廃すべきという御意見、従業員掛金が基本となるおそれがあることから規制は撤廃すべきではないという御意見、あるいは個人型DCとの関係を整理すべきという御意見。そういう意味で、大きく3つの御意見があったところでございますが、今後のマッチング拠出についてどう考えるかという論点がここの論点でございます。
なお、※で書いていますけれども、企業年金や公務員等共済加入者への個人型DCの加入を可能とする場合に、マッチング拠出やDBの個人拠出制度との関係についてどう考えるかという論点もございますし、あるいはDB・DCについて合わせた水準として拠出金率を設定する場合を念頭に置きながらマッチング拠出についても考えることもあるのではないかという論点でございます。
なお、本日の資料ではつけておりませんが、ファイルの中に第8回のときに日本再興戦略という閣議決定の資料をつけてございます。
本年6月の閣議決定の日本再興戦略改訂2014におきましても、確定拠出年金の一層の普及等を図るために、ライフスタイルの柔軟性への対応等、中身としてはマッチング拠出における事業主拠出額以下との制限の取り扱いについて、公的年金制度全体の見直しとあわせて検討を行うというふうにされてございます。
最後に、59ページ以下のポータビリティーの課題でございます。
60ページは、企業年金の年金給付でございます。
これは、転職等をした場合にポータビリティーの制度がなければ、それぞれの企業から別々に支給が行われるということでございます。
ただ、DBの中では20年を支給の要件にされているところもございますので、そうした場合には支給を受けるための加入者期間を満たさずに支給を受けられなくなる可能性もございます。
61ページは、そのポータビリティーがあった場合で、ポータビリティーというのは転職時に制度間の資産移換を可能とするものでございます。現在でもDBからDCといったものは資産移換が可能となってございます。
こうした場合には、個々人の選択肢が広がり、継続的な老後の所得確保に向けた自助努力が行いやすくなるのではないかということでございます。
61ページの下のほうに書いていますけれども、具体的には加入者期間を通算することによって、将来年金として支給を受けることができる可能性が広がるということ。資産を移換することで、より効率的な運用ができる可能性があるということ。それから、企業年金に係る諸手続、複数の制度を持っているよりもそうした負担が軽減される可能性があるということでございます。
62ページは、現行の制度間のポータビリティーの課題で、転職時等のポータビリティーの範囲については、現在は全ての転職については対応できてございません。
例えば、DB実施企業の従業員が転職する場合は、下の図でごらんいただくように、転職先の企業や職種等によって、持たれている企業年金の制度の違いによって、資産移換が行えない場合があるということでございます。
63ページは、制度間のポータビリティー。これは直接、資産を移換することを想定していますけれども、移換前に加入していた制度から移換先にした場合にどういう状況になっているかということでございます。
横に見ていただきますと、一番上の「確定給付企業年金」からは、今、DBからはDBやDC等に○がついておりますが、そうでない部分もあるということでございます。
64ページは、企業年金連合会でセンター的な役割を担っていただいていますので、企業年金連合会を通じた、企業年金連合会を中心とした、このポータビリティーの現状でございます。
企業年金連合会を介しましても、例えばDBからDCのほうには行きますけれども、DCからDBには行けないということになってございます。
最後になりますけれども、65ページで制度間のポータビリティーの論点ということでございます。
離転職時に資産移換ができない制度間で移動した場合に、それぞれの制度からできないなど、加入者の選択を制約している状況になります。
そうした意味から、制度間のポータビリティーがない部分について、現場のニーズを踏まえつつ、認めていく方向で検討してはどうかというふうにしてございます。
なお、※で書いていますように、それぞれの制度で、それぞれの制度の考え方に基づきまして税制上の恩恵が与えられておりますので、資産移換を認める場合には、それぞれの制度で税制優遇を引き続き受けるような仕組みとなるような検討が必要ということでございます。
また、中小企業退職金共済制度とのポータビリティーの拡充につきましては、別途、労働政策審議会での議論が必要ということになります。
長くなって恐縮ですけれども、臼杵委員と森戸委員の御意見の紹介をさせていただきます。
臼杵委員のペーパーですと、1ページの下のほうですが「(1)個人型の適用範囲拡大」ということで、
「1」 3号被保険者、企業年金・共済加入者への加入資格拡大は賛成。
2 3号被保険者の場合、実際には使われない可能性もある。2号被保険者と世帯で合算して拠出枠を活用することは可能かどうか(cf.厚生年金の離婚時分割)。
3 拠出上限の年単位化も賛成。額(枠)についての意見は後述する。
ということでございます。
マッチング拠出につきましては、
「1」 マッチングの拠出枠を、企業型としてではなく、適用が拡大された場合の個人型の枠にすることは賛成。ただし、個人型でも企業型と同じ制度の中で天引き拠出と商品選択ができるようなインフラが整備されることが望ましい。
ポータビリティーについては、
「1」 スライド63の表中の網掛けのところを全て可能にするという提案であれば賛成。
2 企業年金連合会が(DBからの資産移換と同様に)、DCから資産移換を受け、それをDB化することも可能ではないか。
3 なお、個人型DC(あるいは連合会のDB)が、DBの脱退一時金や中退共からの一時金を受け入れるなら、事業主が社内準備から支払った一時金を(天引きで)受け入れて年金化することも検討すべきではないか(拠出枠の繰り越しが前提になる)。
ということでございます。
「3.その他」のところも、ライフコースの部分ですけれども、
「1」 税当局は「事業主拠出の損金算入+加入者の所得課税繰り延べ」と「個人の課税前所得からの拠出」を区別し、後者により制限的という理解でよいか。個人型DCの加入資格拡大の提案は後者に属すると思うが実現可能性は高いと言えるか。
2 前回提案した拠出枠の繰り越しは、「仕事や所得など、拠出余力ができたら、過去分を埋め合わせて拠出できる」という意味で、ライフコースの多様化への対応策といえるのではないか。
3 上記「1」のような税当局のロジックに乗らなくて良いのなら、年間80万円程度(現在の国民年金基金程度)の拠出枠を設け、企業のDB・DCへの拠出枠として、枠の使い残しがあれば個人型に充てられる、とする制度が公平かつ簡素といえる。その場合、繰り越しを認めれば、社内準備の一時金を受け入れることも可能であり、退職金優遇税制を廃止した場合の問題を解決できるのではないか。
4 (恐らく事務局はそのようなお考えかもしれませんし、前回鈴木委員からもご指摘があったように)、・年金及び一時金を税制の現状と経緯、・2015年税制の改正に何を要望するか、・2016年以降、長期的にどのような税制を目指すか、について、部会でも一度まとめて議論する必要があるのではないでしょうか。
ということでございます。
最後に、森戸委員の意見の紙で、裏面のところでございます。
個人型DCについては、
・すべての国民が等しく老後所得確保のための税制優遇枠を持ち、その枠は企業年金で埋めてもよいし自助努力で埋めてもよい、という形を基本とすべきだと思う。その観点からは、3号被保険者の個人型DC加入も認めるべきであろう。公務員も同様だが、ただ新3階年金の分だけすでに優遇枠を使っているとみるべきかもしれない。
マッチング拠出については、
・すでにかつての企業年金政策研究会などでも述べているが、マッチング拠出を事業主が拠出した額までとする制限は不要と考える。事業主より従業員が多く拠出するのはもはや「企業」年金ではない、という意見もあるようだが、大事なのは「企業」年金かどうかという形式ではなく、実質的に老後の所得が確保されるかどうかであると思う。
制度間のポータビリティーについては、
・ポータビリティ拡大の方向に異論はないが、移管資産受け入れを義務づけるか否か、資産移換時の計算方法について何らかの規制をすべきか否かについてはなお検討が必要と考える。
・ポータビリティの問題も、個人型DCの拡充で対応できるのではないかと考える。
という御意見でございました。
長くなりましたが、以上で説明を終わらせていただきます。
○山崎部会長
お疲れのところ恐縮ですが、ただいまのお二人の御意見について、簡単にお答えできる範囲内でお答えをお願いします。
○内山課長
まず、これもきょうは資料を用意していませんけれども、森戸委員からのペーパーにありました公務員の退職給付水準でございます。これは公務員の新3階をつくるときに人事院が調査をされていまして、民間が退職一時金と企業年金と合わせて2,500万円程度、公務員が当時は2,900万円程度というふうに、公務員が高かったわけですけれども、退職手当を400万円ほど水準を引き上げた上で年金払いの退職給付制度をつくってございます。そういう意味では、この来年10月からの制度では民間の企業年金、退職一時金と合わせた水準が、公務員でもそうした水準で退職手当と年金払い退職給付ができるということですので、そういう意味では民間と同程度の水準になるかと思います。
また、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、臼杵先生からありました繰り越しの問題。これはそうした繰り越しをできるような限度額の管理ができるかといった事務的な問題と、現在、追納が認められていないといった現行の制度との整理が必要なのかなと思ってございます。
以上でございます。
○山崎部会長
次回も引き続き議論することになりますけれども、とりあえず時間の範囲内で御意見をいただきたいと思います。
井戸委員、お願いします。
○井戸委員
ありがとうございます。
新しくつくる前に、個人型DCが18.3万人とふえているのはそうなのですけれども、0.5%しかいらっしゃらないというのでちょっとびっくりしたのですが、広報の関係なのですが、それをどう考えていらっしゃるのかをお聞きしたいのです。
例えば国民年金基金ですと、1号にチラシが入っていたりもしますし、NISAでしたら金融機関がすごくテレビのコマーシャルでも電車のPRでもすごくされているのですが、NISAより確実に年金がたまるわけですから、金融機関に働きかけみたいなものをしていただけないかどうかというのと、それをするにはやはりわかりやすさというものが絶対条件であると思っています。
お願いします。
○山崎部会長
ほかに。
平川委員、どうぞ。
○平川委員
今回、新たな個人型年金の枠の拡大という形での提案がされていますが、24ページの資料を見てみますと、これは枠の拡大というよりも新たな個人型の年金のプラットホームをつくる形になっていると思います。したがいまして、枠の拡大という議論の仕方はちょっと違うような気がします。全く新たなものをつくるというふうに考えられるのではないかと思います。そういう意味ではかなり大きな話だと思いますので、この企業年金部会だけで議論していていいのかどうなのか。年金部会も含めて、より広い、多様な方からの御意見が必要ではないかと思います。
提案されたものは普遍的な制度ではあるのですけれども、基本的には個人年金でありますが、税制上は優遇しますということです。ただ、これは言い方を変えますと、個人年金に新たにお金を拠出できる人に関しては優遇されますが、なかなかそうはなりづらい方、お金を拠出できない方は優遇されないということであります。その点で、こういう普遍的な制度を導入する場合、国民の理解は重要ではないかと思いますので、慎重に検討すべきではないかと思います。
連合としては、税制に関しても考え方を持っていまして、例えば証券とか金融関係で言いますと、総合課税すべきであるという考え方を持っています。要するに、税制については、累進性を高めるという考え方も持っているということでありますので、逆にうがった見方をしますと、社会的な格差を広げるような仕組みを入れることがどうなのかということも一方では議論しなければならないのではないかと思います。ただ、また一方では、やはり自助努力によって老後の多様な生活を保障する仕組みは重要でして、その延長線上としてこのような制度をつくって、何らかのインセンティブを与える制度も必要だというふうに考えられるのではないかと思います。
そういう意味では、新たなこの制度は大変多様な論点があるかと思います。早急に結論を、いい、悪いというのはなかなか言いづらい面がありますので、ぜひとも慎重な議論が必要ではないかと思っています。
以上です。
○山崎部会長
ほかに。
高崎委員、どうぞ。
○高崎委員
余り時間がないので、大ざっぱなといいますか、大枠についての意見になりますけれども、今、井戸委員と平川委員、両方からお話のありました、個人型DCの適用対象者を拡大するということについて、24ページの図にありますように、いわゆるほとんどの人をカバーするということになると思います。
その中で、これ自体はいろいろ考慮しないといけない点、平川委員がおっしゃったような税制の問題であるとか、井戸委員がおっしゃったように、なぜ現状、個人型DCが余り使われていないかというのもありますが、これはみんなが対象者となることによって一つわかりやすさが出ると思っていまして、現状ですと自分が果たして個人型DCに加入できるのか、できないのかといったことも含めて、かなりわかりにくくて、こういった図で整理して説明していただければわかりやすいとは思うものの、それでもいざ転職を繰り返したり、退職してまた復職したりというライフステージの変化、その中の就業形態の変化がある中では、やはり非常にわかりにくいというのが現状だと思います。
そういう中では、一律、公的年金を補完する私的年金の一環として、企業年金、企業型DCであったりDBであったりというのも重要ですけれども、一方で個人が自分の就職先の事情であったり個人の事情に左右されにくいオプションを持つのは非常に制度としてはすごくいいことかなと思います。
以上です。
○山崎部会長
白波瀬委員、どうぞ。
○白波瀬委員
ありがとうございます。
確かに、今、平川委員のおっしゃったように、個人年金そのものということだけの議論では尽くせなくて、特に公的年金と言葉的にも出ていますけれども、第3号被保険者というところでの議論で、総合的な議論は確かに重要なのですが、実際のデータを見ても、専業主婦である期間というのは全体の女性の中でも働いたことがない人が本当に少なくて、どこかの時点で、ライフステージのところで働いたことがある。ですから、そういう意味でいろいろな働き方が展開されるという事実をうまく老後保障で受け取ってあげるという点では、私は個人年金のこの考え方は非常にいいと思います。
ですから、働いている期間があって、働いていない期間があって、逆に言えば第3号被保険者について、越境ですけれども、やはり要検討といいますか、そこは切り離したところで、個人年金をそれぞれ持っていく。ただ、働き方自体が世帯とか子供の状況とかによりますので、そこは考え方としては全く個人というわけではないのですが、いろいろな働き方があって、結婚の状況もいろいろなパターンが出てくるという状況については、これは一つの、今、オプションという言葉が出たのですけれども、選択肢として、やはり積極的に議論し、発展させる意義はあると思います。
以上です。
○山崎部会長
鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
私も、全部の国民に共通にそういう個人型をつくるという、その方向性は大賛成です。やはり、今、DCのほうで、先ほどから出ている、退職しても60歳まで受け取れないという制度でありながら、退職後に行った先で、専業主婦になるとか、あるいはDCがなくて、DBのある企業に行って拠出できないというのは制度的に致命的な欠陥だと私は思うので、そういう意味で、どこに行っても、どんな状態でも続けられるというのは非常にすばらしい、画期的な御提案だと思います。
一方で、この提案の中で、前段で企業年金に加入できない者等については個人の自助努力を支援する仕組みの整備が必要と。おっしゃるとおりなのですけれども、一方で先ほどの枠のところで、一律2万円で、企業年金のない企業の従業員はその倍ということになっています。何で前段で言っていることと後段で言っていることがそうなるのかが理解できなくて、それは企業年金のない企業の従業員は2万円プラス5万5,000円になるべきだと。どう考えても論理的にそうなるべきだと思うのですけれども。それは税が取れるかどうかという話は別にして、要するに企業年金をやってくれない企業の個人を支援するのであれば、それは企業の使う分は当然与えるべきと思います。
きょうは時間が余りないということなので、このぐらいにしておきますが、基本的な方向性としては非常にいいと思うのですけれども、中身については個々、例えば第3号の、臼杵さんの言っているような話もそうですね。旦那の所得控除にも使えるというふうに何でなれないのか。つまり、例えば国民年金で学生の保険料は世帯主が払っていても世帯主の社会保険料控除になりますね。公的年金の保険料だって、世帯単位で見れば3号の分は払っているわけですから、ここも当然、そうあっていいのではないかと思うので、それ以外にもあるのですけれども、もうこのぐらいにしておきます。
○山崎部会長
一通り、お一人ずつ。
半沢委員、どうぞ。
○半沢委員
対象者という点で、2点ばかり気になったところです。
まず、22ページに「非正規雇用労働者と企業年金」とありますけれども、議論する前に、これを見ていて、厚生年金や健康保険の適用はあるのですが、企業年金は適用が少ない。こういう実態であるということであります。DB・DCの場合、一定要件を規約で定めた場合には、加入者の範囲を限定できるため、こういうことが起こっているのではないかと思うわけですけれども、労働契約法の改正によって無期転換がこれからなされていくようになったり、または有期と無期の労働条件の差異について合わせていこうという動きがあったりするわけです。そのような中において、こういった事態をもう少し改善することも考えていいのではないかと思っております。
そういう意味においては、例えば企業年金の適用範囲について、社会保険の適用基準を満たす方については受け入れるという考え方もあるのではないかと思っております。もちろん、社会保険の適用拡大も一方で必要だとは思っております。これが1つ、非正規雇用労働者に関してです。
それから、第3号被保険者について、今、議論があったと思います。一回会社に勤めて育児などでやめてまた復職するという、こういうライフスタイルはあると思っていますので、それについては理解できますし、ニーズはあるのだろうとは思っております。
ただ最近の、29ページにありますが、政府の方針にもある「女性が輝く」という議論で、社会保障のあり方に関する論議があります。女性の活躍を推進するということについて、例えば103万円とか、社会保障で言えば130万円という区切りがあるわけです。この区切りが女性の活躍を阻害している可能性があるということです。要は、130万円の壁ということで、社会保険料の負担が重いために、その枠内で働こうとするため、能力を生かすようなステップアップの道を選びにくい状況になっているということがベースにあり、それに関する議論を行う動きがあると理解しています。そういう中において、その制度のままにして、個人年金で税制優遇枠があって年金資産をつくれるというのは、さらにそういう方向の選択を促してしまうのではないかという気もしております。
この点は、全体の議論の中でこういった考え方が出てくるということであれば理解できますが、今のままの制度を前提として、ということでは少し方向性が異なるのではないかと理解に苦しむ部分もありますので、御意見として申し上げたいと思います。
○山崎部会長
山本委員、どうぞ。
○山本委員
今、ちょっと関連したことで感じましたことで発言をいたしますけれども、結局、これからの年金全体の財政のことを考えても、やはり女性も皆、社会に参加をして、それで労働に従事をし、高齢者も働ける限り働いていくということによって日本の国を支えるという方向性のベクトルは、例の所得代替率の問題を見ても、そのことが必須の要件であるというふうにもどうも見られております。
今の御発言で感じましたのはこのような、そういう中にあっては、この個人型DCとか、こういうものについての検討がさらに進んで、みんな個によって自立するという時代になって、それに応じた年金のありようというものが当然求められるということであろうと思いますが、今のこの第3号被保険者の問題がこういうことによって、また従来の130万円ですとか103万円というところの枠の中に、このことがそちらへ、むしろ女性方がそちらの道を選ぶということに仮にならないような方向へ向けて、このような個人型DCということもあわせ考えていかないと、全体の年金の中における総合的な方向性とそごを来すことも出てくるのではないかという矛盾も私はちょっと感じました。
もう一つは中小企業関係のポータビリティーの問題ですけれども、やはりその辺のところのポータビリティーが極めてローコストで、しかも潤滑にできるようでないと、中小の方々がこの制度を導入していくことに対する、その障害になってはいけないのではないかなということは感じております。
以上です。
○山崎部会長
小林委員、どうぞ。
○小林委員
個人型DCについて申し上げたいと思います。
継続的に老後の資産形成を行える環境を整備する方向性は良いと思います。現状の企業型DCからの資産移換者の状況を見ますと、先ほど御紹介がありましたように、手数料負担の問題や、掛金の追加拠出ができないことによる資産の目減りの問題も含めて、個人型に移った後、制度に継続して加入する意欲を保ちにくい実態があると思います。
特に第3号被保険者に関する問題は、企業型の制度の運営状況にも影響を及ぼしている実態があります。例えば私どもの会社の例で言えば、確定拠出年金の選択率には明らかに男女間の有意な差があり、女性は確定拠出を選ばない実態があります。第3号被保険者の加入については、こうした事実も含めて考える必要があると考えます。
もう一つ、現状の個人型DCでは、個人にかかる負荷の大きさが課題ではないでしょうか。事務手続も含めてですが、個人が主体的に動かないと情報を得られない仕組みや、手続のわかりにくさの問題も含めて、同時に解決していかないと個人型が普及しないのではないかと考えています。
○山崎部会長
村瀬理事長、どうぞ。
○村瀬理事長
今回の御提案は、厚生労働省として思い切った御提案だろうと思います。非常に評価すべきところがあると思います。ただ、1つ指摘といいますか、要望としてお話ししておきたいのが税制面での問題で、臼杵委員からもありましたように、もし個人型DCが主力になった場合に、企業型DCとの関係はどうなるのか。特に前回の提案で、中小企業については、100名以下について個人型DCで事業主負担にするという提案も出ておりまして、こういう部分との関係で、場合によったら企業型DC自体は縮小する可能性もゼロではない。そこら辺をどうお考えになって設計をされようとしているのかというのはちょっと気になるところです。
また、第2号被保険者まで拡大するということになれば、当然、マッチング拠出は必要ありませんから、現行制度自体をやめる方向でいくことも多分視野にお入れになっているのではなかろうかと思います。そういう点でぜひお願いしたいのは、現行制度自体がある中で、本件の新しい個人型DCを入れることによって現行制度にどういう齟齬が出てくるのか、また、共存がうまくできる仕組みを考えるのだろうか、ここが非常に大事なポイントだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○山崎部会長
それでは、ただいま質問がありましたから、幾つかお答えできる範囲内でお願いします。
○内山課長
多様な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
ちょっと長くなるかもしれませんけれども、まず企業年金部会だけで議論してよいかというお話もあったかと思いますが、企業年金では今回、先ほどの資料で使っているようなDBとか企業型DCのように、企業が掛金を拠出しているという年金という意味と、この企業年金部会の名前はまた違った意味で、個人型DCなども含めて公的年金を補完する、いわば3階建て部分の年金という意味とがあるのではないかと思ってございます。
そういう意味では、この企業年金部会はいわば3階建て部分の年金を議論するということでございますので、そうしたところも踏まえて御議論していただければと思ってございます。先ほど御説明しましたように、なかなか企業が拠出する年金制度ではカバーされていない方も多いということでございますので、そういう意味ではこうした個人型DCをそうした方にも適用する可能性があるのかどうかを御議論いただければと思っています。
また、個人型DCの拡大について、今、加入されている率が低いので広報が必要ではないかという御意見もいただきました。こうした個人型DCの認知度を高めるといったことは確かに少し努力すべきことかなと感じました。
あとは、企業の使える拠出限度額について、企業の使える部分は使えるべきですとか、あるいは御主人といいますか、パートナーの部分もという御意見がありましたけれども、これはもちろん、税制との関係が問題になるということでございます。ただ、例えば個人の持ち分として企業とか個人の枠も含めてつくるといった場合には、税制との関係では所得税との関係と、あるいは企業の持ち出しという意味で、拠出という意味では法人税や企業の損金算入というところを考えなければいけないということになりますので、そうした意味での整理が必要なのかなと思いました。
また、非正規の適用につきまして御意見がございましたけれども、そもそも第3号被保険者や適用範囲については企業年金部会でも御議論されてございますし、企業年金では、先ほど御意見でございましたように、差別的な取り扱いは禁じられているわけでございますが、労使交渉を経て規約で定めれば、例えば非正規労働者の方を加入者としないこともできるという現状になってございます。そうした意味で、退職給付制度の一環として設計されてきて、実施の有無を含め、基本的には各企業が労使交渉を長い時間重ねてつくられてきた制度ということでございますので、そうしたことも踏まえて法令面での規制あるいは適用といったものを考えていく必要があるのかなと思いました。
あわせて、第3号被保険者の公的年金の議論というのは年金部会のほうでも課題の一つとして上がっていますので、そうしたものとの整合性も踏まえて検討する必要があるのかなと感じました。
当面、以上でございます。
○山崎部会長
それでは、このライフコースの多様化への対応につきましてもいろいろ貴重な御意見をいただきましたので、改めて事務局で整理をしていただいた上で、次回引き続き御意見をいただきたいと思います。
それでは、時間になっておりますから、これで終了します。
どうもお疲れさまでございました。
次回の開催につきまして、事務局から連絡はありますでしょうか。
○内山課長
次回につきましても、また各委員の御都合をお伺いした上で正式に御案内をお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
(了)
団体