07/11/15 企業年金研究会第11回議事録

 

                             第11回企業年金研究会

 

 

                                 日時 平成19年11月15日(木)

                                          10:00~

                                 場所 霞ヶ関ビル33階東海大学校友会館阿蘇の間

 

 

 

○森戸座長 ただいまより、第11回「企業年金研究会」を始めさせていただきます。本日は所用により、岩本委員、小島委員、駒村委員、藤井委員がご欠席となっております。

本日は岩本委員の代理として日本経団連経済第三本部の遠藤副本部長、小島委員の代理として日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局の伊藤部長が出席されております。

 まず初めに、今回研究会を再び開催する趣旨を申し上げます。去る7月10日に、本研究会は「企業年金制度の施行状況の検証結果」について報告書を取りまとめましたが、本年7月に本研究会で取りまとめた報告書においては「必要に応じ検証結果のフォローアップ等を行う」とされております。報告書の提出後、報告書の内容を踏まえ、平成20年度税制改正要望が提出されるなど、様々な動き、取組みがなされております。今般、本研究会において、その後の様々な動き、取組状況の報告を受け、本検証結果のフォローアップ等を行うこととしたものです。

 次に、人事異動がありましたので、ご紹介いたします。本日は、企業年金連合会の西山部長の後任として芝田企画振興部長、国民年金基金連合会の日原部長の後任として郡司確定拠出年金部長にご出席いただいております。また、本日は、国民年金基金連合会の横幕業務資産運用部長にご参加いただいておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、議事次第に沿って、会議を進めてまいります。まず、事務局より資料の確認をお願いいたします。

 

○簑原課長補佐 資料の確認をさせていただきます。今日は資料が10ほどあります。資料1として「平成20年度厚生労働省税制改正要望」、資料2として「確定拠出年金等の掛金の状況」について、資料3として「確定拠出年金における投資教育のあり方に関する検討会」について、資料4として「自動移換者問題関係者連絡協議会」について、資料5として「個人型確定拠出年金の実態調査の結果」について、資料6として「厚生年金基金における年金記録の適正な整備等について」、資料7として「確定拠出年金等における年金記録の適正な管理等について」、資料8として「国民年金基金における年金記録の適正な整備等について」、資料9として「国民年金基金・国民年金基金連合会の年金支給について」、資料10として「NTT企業年金規約不承認処分取消訴訟判決の概要」についてです。落丁等はありませんでしょうか。

 

○森戸座長 よろしいでしょうか。続きまして、事務局より、「平成20年度厚生労働省税制改正要望(企業年金関係)」について、ご説明をお願いいたします。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 説明いたします。資料1「平成20年度確定拠出年金関係税制改正要望」です。1頁ですが、本研究会の検証結果を踏まえて、今年度は3点、税制改正要望をしております。1点目は、いわゆるマッチング拠出ですが、現行の拠出限度額の枠内、かつ事業主の掛金を超えない範囲で個人拠出を認め、これを全額所得控除の対象とするという要望です。2点目の個人型の加入対象者の見直しは、現在は、企業年金が全くないサラリーマンのみしか個人型の加入が認められておりませんが、確定給付型の企業年金のみを実施している企業の従業員についても、個人型への加入を認めるという内容です。3点目ですが、個人型の現行の拠出限度額1.8万円を2.3万円に引き上げる要望をしております。注に書いてある特別法人税は今年度末で凍結期間を迎えるわけですが、これについては撤廃の要望を行っているところです。これを本年8月に財務省に厚生労働省として提出したところですが、今後、与党の部会で正式にご決定いただき、税制調査会等で議論が進んでいくということです。

 資料2ですが、確定拠出年金の税制改正要望に関連して、掛金等の状況を調査したものです。1頁ですが、全体の掛金の状況については、これまでも資料をお出ししております。全体平均で1万1,000円、「他の企業年金なし」、4万6,000円の限度額の企業については1万2,000円、2万3,000円の企業については9,000円というのが全体的な状況です。また、規模別に見ると約8割が中小企業ということで、企業型確定拠出年金が中小企業を中心に導入されているということです。

 2頁は、拠出の状況を掛金の状況別、あるいは年齢別に見たものです。まず、掛金の分布状況ですが、表の黄色のところです。個人別に分布状況を見ると、これは単位は人ですが、4万6,000円の限度額に達しているのが65万7,216人に対して3万2,120人ということで、約4.9%。また、他の企業年金がありの場合には143万2,806人に対して5万4,318人ということで、3.8%です。これまで規約ベースでしか限度額に達している状況がわかりませんでしたが、個人ベースで見ると、いままでの資料よりはやや低い状況といいましょうか、限度額を目一杯使っているのは5%程度ということです。

 また、年齢別に見ると、青の所ですが、例えば30歳まででは1万円以下の掛金が、他の企業年金なしで75.6%、企業年金ありは92.1%ということで、若い年齢層ほど掛金が低いということです。また、詳細に見ると、41歳から51歳のところが平均的にはいちばん掛金が高い状況になっております。そういう意味では、20代から50代までの若年から壮年層ぐらいまでが、いわゆる本人拠出の枠、残枠がどのぐらいあるかという観点からすると、本人拠出で積増しをして、老後の所得確保の必要性が高い層であるということです。

 3頁からは個人型の掛金の状況です。直近の数字で見ると、限度額1万8,000円に対して1万2238円ということで、平均でも6割程度まで掛金が上昇してきているということです。また、規模別に見ると、100人未満で88.4%、300人未満まで合わせると約94%ということで、中小・零細企業の従業員に多く利用されている状況が見て取れるかと存じます。

 4頁です。掛金の状況を年齢別あるいは掛金の分布別に見ると、これもこれまで1万5,000円以上という刻みしかありませんでしたが、もう少し詳細に見ると、1万8,000円目一杯使っているのが約4分の1、1万5,000円以上、ほぼ目一杯使っているのが47.6ということで、やはり約半数はもう掛金の枠がほとんどないという状況です。また、個人型確定拠出年金は1,000円単位で掛金が設定されておりますが、やはり5,000円、1万円、1万5,000円という所に山があって、切りのいいところに掛金の山があるという状況も見て取れるかと思います。

 5頁は個人型の拡大に関する関連資料で、確定給付企業年金と企業型確定拠出年金、双方を実施している企業の確定給付の掛金と、確定給付しかない企業の掛金を比較すると、確定給付の企業年金しかない企業のほうが、掛金が若干安いという状況になっております。今回の要望は、右の企業について、個人型を2万3,000円まで認めることにより、個人の自助努力で、同水準まで老後の所得の確保が図れるようにしたいという要望です。

 6頁は、個人型の限度額を1万8,000円から2万3,000円まで引き上げる際の参考資料です。現在1万8,000円というのは、厚生年金基金の掛金分布を基に決定しており、1万から2万の間が93.0%累積割合になっておりますが、概ね9割をカバーする水準ということで、1万8,000円と決定しているわけです。確定給付、確定拠出については、9割カバー水準がそれぞれ確定拠出については2万から3万の間、確定給付については3万をちょっと超えるところということで、これら全体を平均すると約2万3,000円ということで、企業年金の企業における実際の支援と同水準まで個人型も認めるという趣旨からは、こういった全体の状況を勘案して2万3,000円まで引き上げられないかということです。資料の説明は以上です。

 

○森戸座長 引き続きまして、「確定拠出年金における投資教育のあり方に関する検討会」について、企業年金連合会の芝田部長にご説明をお願いいたします。

 

○企業年金連合会(芝田) 説明いたします。確定拠出年金に関する投資教育のあり方について検討しようというものです。その目的・目標ですが、確定拠出年金法に基づき、事業主は加入者に対して投資教育を実施する責務を負っているわけですが、日本においてはまだ本格的な投資教育の取組みの歴史が浅く、適切な投資教育の内容や教育手法を考慮する必要があります。事業主の中には二極分化しており、一方では投資教育の実施義務を軽視して、ほとんど取組みを行っていないところもあるわけで、そのようなところについて、どのようなリスクがあるか、どのような責任を果たさなければならないかという、法的問題を整理するということが1つです。他方、投資教育に熱心に取り組んでいる事業主の方々の中でも、どの程度やったらいいのかということを非常に悩んでいらっしゃるところもありますので、受託者責任を果たす上で、どこまで必要があるのかという議論を深めていこうということです。また、加入者の望む情報提供と、中立的で

あるべき事業主が果たすべき投資教育義務との間には乖離が生ずることもありますので、そのような溝を埋めるために第三者機関が助言や投資教育を行うケースなども考えられるわけですが、そうした場合の受託者責任などについても、検討していただこうというものです。最終的には投資教育を行う際の指針となるべき報告を取りまとめることを目指しているものです。

 この検討会では大きく4つのステップで進めていきます。第1ステップはいろいろな事業者や運営管理機関から継続教育の実例をご発表いただく。第2ステップで論点の整理の議論をし、さらにその各論についても第3ステップで深めていく。第4ステップでレポートを作成するというものです。

 実施状況は既に3回開催しており、第1ステップは終えて、11月7日には論点の整理として、事業者の受託者責任、あるいは確定拠出加入者の理解度の実態について、ご議論をいただいているところです。

 検討会の委員については、座長にはタワーズペリンコンサルタントの浦田様にお願いしているところです。5頁以下は、その検討会の3回までの検討経過の概略をまとめたものです。以上です。

 

○森戸座長 引き続き、「自動移換者問題関係者連絡協議会」について、国民年金基金連合会の郡司部長にご説明をお願いいたします。

 

○国民年金基金連合会(郡司) 資料4に沿って説明いたします。「自動移換者問題関係者連絡協議会の設置について」ですが、自動移換者問題、いわゆる企業型年金の資格を喪失して、6カ月以内に移換手続をとられない方の問題ですが、こうした自動移換者が近年、大きく増えてきている状況にあります。これについては、本研究会の7月の施行状況の検証結果においても指摘をされ、その自動移換者の減少に努めるべきで、そのために、事業主、運営管理機関、当連合会の連携した取組みが必要であるというご指摘を受けたわけです。今回の連絡協議会についても、そうしたご指摘を踏まえて、具体的な取組みを検討することを目的に設置をされたものです。

 次頁ですが、メンバーについてはメンバー表に載せてあります。先ほど申しました事業主、運営管理機関、当連合会で15名ほどのメンバーで構成されており、いずれも実務担当の責任者クラスの方にお集まりいただいているという状況です。この協議会については、具体的な自動移換者についての連携した取組みを取りまとめることを主たるテーマとして運営していきたいということで、運営に当たっては私どもが事務局を務めてまいりたいと考えております。

 この協議会の進め方ですが、この協議会については成果として、具体的な関係者の取組みの内容について、報告書を取りまとめたいと考えております。また、自動移換者問題については、新聞等でも大きく報じられた問題ですので、そうした報道の内容等々にも配慮しながら、特に住所不明の自動移換者についての取組みについても留意して、対応を取りまとめていきたいと考えております。具体的な進め方については、関係者からのヒアリング、あるいは有識者からのヒアリング等々を行って、論点を煮詰めていきたいと考えております。

 1年ぐらいかけてということで考えており、次の頁に事務局として標準的なスケジュールをお出ししたわけです。第1回目は11月6日に会合を行ったわけですが、11月6日の会合においては、このスケジュールを前倒しをしてやっていこうという委員からのご発言もあり、このスケジュールについては前倒しで実施をしていくことにしているところです。また、事業主、あるいは運営管理機関の代行者にお集まりいただいたわけですので、この報告書を待つことなく、それぞれ取組みができる対応については積極的に前倒しで講じていきたい、ということが話し合われました。

 また、第1回の会合においては、自動移換者への取組みについては、企業型年金の資格を喪失してから自動移換者になるまでの入口のところの対策、これをどう減らしていくかという対策、あるいは滞留する自動移換者をどのように出していくのかという出口の対策といったものが重要ではないか。そうした2つに分けて考えるべきではないかというご意見、あるいは実務的な対応だけでは限界があるのではないか。制度的な対応も含めて検討すべきではないかというご意見等が出されました。自動移換者問題関係者連絡協議会については以上です。

 

○森戸座長 ここで、ただいまご説明があった項目について、皆様からご質問・ご意見等をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。資料4までということになると思いますが、いかがでしょうか。

 

○野村委員 私のほうからは3点ほど質問があり、いずれも1つ目の資料の税制改正要望についてです。1つ目は、7月の検証結果の中では、企業型確定拠出年金の加入者の個人拠出については、事業主の掛金の範囲内という意見もあり、また別の、それを超えてもいいという意見もありという形で、いろいろあるという書かれ方をしていたと思います。出されたご要望の中で、事業主の掛金を超えない範囲となさったのは、何かそうしたほうがいいというご判断があったからだと思いますので、その辺りのことを教えていただければというのが1つ目です。

 2点目は、同じく「要望」の2つ目ですが、いま個人型に入れない、確定給付型の年金のみの人にも個人型に入るチャンスを与えるというご提案のところですが、ほかの1つ目と3つ目には具体的に金額も提示してあるのに対し、この部分では特段何万円という金額がないので、なぜないのかという質問です。

 3つ目は、一般論という見通しぐらいで十分ですが、今後、政治的なステージに入ると思いますが、どのようなタイミング、どのようなスケジュール観、どのようなイベントを注意して見ていればいいのかをご教示いただければという、この3点です。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 まず、1点目ですが、検証結果では、ご指摘のとおり労使折半まで事業主の掛金の範囲内という意見と、拠出枠の限度内であれば、特に労使折半という制限はせずに拠出をすべきという2つのご意見があったかと思います。これは厚生労働省としてということですが、検証結果を踏まえて、労使折半の範囲内が適当だろうということで要望させていただいたわけです。その理由ですが、現行の企業型確定拠出年金は、企業年金の一環です。そういう企業年金の一環という制度であることを大前提としてということですが、そうするとこれは厚生年金基金、確定給付企業年金、適格退職年金、すべてそうですが、企業年金ということが基本である以上は、やはり事業主拠出が基本だろうということです。そういう意味では、事業主拠出を基本としながら、補完的に本人拠出をするというのが企業年金の本来の姿だろうということで、今回のようなご要望になったわけです。

 そういう制限をせずに、枠内であれば自由にという政策も、政策論としてはあり得ると思います。ただ、その場合には、極端な例ですが、企業型確定拠出年金でも、最大、事業主拠出ゼロで、個人が全額個人拠出ということも、制度的には可能となるわけです。

その場合に、それが企業年金なのか、あるいは個人年金なのかという、企業型確定拠出年金の性格そのものが変わる可能性といいましょうか、そのような性格論のご議論なしでは、やはりなかなか難しいだろうということで、今回はこのような形で要望させていただいたということです。

 2点目ですが、確定給付企業年金のみの企業の従業員にも、個人型への加入ということですので、限度額はその個人型の限度額がそのまま適用されるという考え方ですが、今回は個人型の限度額を2万3,000円まで引き上げる要望も合わせて行っておりますので、結果とすると確定給付企業年金のみの企業についても、個人型、限度額2万3,000円という形で導入できないかという要望となっております。

 3点目ですが、今後の税制改正のスケジュールです。これは基本的には与党でのご議論がされていくということで、実は昨日、自由民主党の年金委員会という委員会もあり、そこでこの確定拠出年金の税制改正要望についてもご議論いただき、基本的にはこの内容でご了承といいましょうか、そういう方向でという議論が行われたところです。

 今後のスケジュールですが、与党の中の関係の部会で、正式にご決定いただいた後に、税制関係の税調ですが、税調でご議論が進んでいくということです。通常のスケジュールですと、例年11月の下旬から12月の上旬にかけて、与党での税調でのご議論がなされ、そこで決定された後に、最終的には年末に政府与党として税制改正の内容を決定すると、こういう段取りになっております。以上です。

 

○森戸座長 それに関連して、私も少しお伺いしたいのですが、いまの野村委員のご質問の1点目はこの会でも議論になったのをよく覚えているのですが、結局、企業年金というのだから、企業の拠出のほうが多くないとおかしいだろうということが、たぶんいまのご説明だと思うのです。ただ、他方で今日も出ていましたが、提言なり研究会の議論の中でも、企業型でカバーしきれないところを個人型で埋めていこうという方向は出ているので、そもそも企業年金とはどういうもので、個人型との役割分担みたいなもののあり方というのは、たぶんこれから議論にはなると思うので、野村委員のご指摘というか、本当にこれでいいのかというのは、将来的には議論になると思うのです。ただ、今回の要望としては1のような形で出されたということなのだと思います。それはコメントです。

 今回もある意味、資料1の話に必ずしも直接ではないのかもしれませんが、注として特別法人税の撤廃の要望の話が出ていますね。これは前の回でも少しご紹介があったので、今日は注ということになったと思うのですが、一応、例のここの報告書では、さんざんいろいろ議論をして、特別法人税はとりあえず凍結でいきましょうという結論になっていたので、それが一応、撤廃という要望になったということは、ある意味それより先の要望が出たわけなので、そこのところの経緯と、撤廃となるといろいろこういうことを考えなければいけないというように報告書で指摘しました。そうすると、撤廃とした場合に、ほかの関係する部分はどうしようというつもりの要望を出したのかということを、ちょっとご説明いただければと思うのですけれども。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 研究会の報告書では、企業年金の立場だけからすると、企業年金の普及・促進の観点からは、給付時課税の強化とセットではなく、単純に撤廃されるべきである。しかしながらということで、年金課税全体の問題として、税全体の問題として捉える場合には、給付時課税の問題など、いろいろな抜本的なご議論が必要だと。したがって、そういう議論とセットとするということになると、税制の抜本的な改革が行われるまでの間は、少なくとも単純に凍結を解除され、いきなり課税されるということは、あり得べきではないということで、現在の凍結措置を、少なくとも継続することが必要だという趣旨ではなかったかと考えております。

 今回の撤廃要望ですが、撤廃要望そのものは、企業年金の普及・促進の観点から、特別法人税については撤廃されるべきであるという考え方の下に、撤廃要望をしております。ただ、税務当局の立場も踏まえた税制のご議論も研究会として、していただきましたが、企業年金の普及・促進の観点から撤廃要望を出した後に、税の観点からのいろいろなご議論は、税務当局との間で、事務的には現在も議論しておりますが、これからも議論が進みます。私どもの立場としては、企業年金の普及・促進の観点から、単純撤廃が望ましいという観点ですが、少なくとも現在のこういう企業年金の状況を踏まえると、単純に凍結が解除ということはあってはならないというスタンスです。

 

○森戸座長 私が凍結と凍結解除を言い間違えたかもしれませんが、ということは、報告書の中にも企業年金の普及・促進のためには撤廃という方向が筋だとは書いてあるので、そこに乗ってというか、要望としてはそれで出したと。むしろ、それ以降の問題も含めて、研究会では触れたという位置づけで捉えておけばいいですね。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 そういうことです。

 

○森戸座長 自分の名前で報告書を出しておいて、それに質問するのもどうかと思いますが、皆さん、そのようにご理解いただければと思います。資料1から資料4について、ほかの点はいかがでしょうか。

 

○島崎座長代理 自動移換者問題についてお尋ねします。資料4を見ていると、住所不明の自動移換者についても対応するというようになっているようですが、率直に言って、なかなか大変なのだろうと思いますし、コストも相当かかってくるはずではないかと思います。お伺いしたい趣旨は、コストの負担がどういう形になっているのか。たぶん法令上は明確になっていないのではないかと思いますが、どのようにお考えなのかという点についてお伺いしたいと思います。

 

○国民年金基金連合会(郡司) 自動移換者に関する業務について、自動移換者の記録の保管等々については、確定拠出年金法上、特定運用管理機関の業務とされており、私どもが特定運用管理機関に業務を委託して実施をしております。これについては、自動移換者の資産から手数料を徴収しております。例えば移換された時点ではたしか3,150円ですし、移換後4カ月目以降から、毎月50円の手数料を徴収している。そうした記録の保管等々、特定運営管理機関の業務については手数料でやっているということです。

いま先生がご指摘のように、それ以外の業務で、例えば自動移換者について住所の調査をする等となると、またその点の負担がかかるわけです。そうしたコストについて、どのように負担をしていくべきなのかという点についても、この協議会の関係者で議論してまいりたいということを考えており、現在、どういう負担が望ましいのかという点について、まだ結論を得ているところではありません。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 基本的には、いま郡司部長からご回答されたとおりだと思いますが、今日このあと自動移換者の実態調査の結果などを報告させていただくことになります。コストとの関係で、費用対効果が非常に高いところをやるとか、例えば住民票の写しで追いかけていく場合でも、つかまりそうなところを重点的にやるなど、取り組み方はいろいろなやり方があると思いますので、そういった点も含めて協議会でご検討がされるのではないかと考えております。

 

○島崎座長代理 質問の含意は何かというと、もし手数料の中に調査費用も含まれるとなると、全体にかかったコストを自動移換者みんなに割り振るのと、例えば住所不定者にかかったコスト分については当該住所不明者のみにかかるのとでは、意味合いが違ってきます。その辺りも含めて、もちろん自動移換者について、きちんとした対応をすべきだと前提に立ちつつも、その点については十分検討されたほうがよろしいのではないか。これは意見として申し上げたいと思います。

 

○森戸座長 いまの話は、要するに住所不明になっている人からだけ手数料が減っていくのではなくて、もし全体から取っていくのだとしたら、ほかの人にマイナスになるのではないかということですよね。おそらく、そういうことも含めて検討いただいているのだと思いますので、いまのご指摘も是非、頭に置いてまた議論を続けていただければと思います。ほかの点はいかがでしょうか。

 

○伊藤部長(小島委員代理) 2点あります。1つは投資教育のほうで、投資教育のあり方に関する検討会のご説明をいただきました。これは企業年金連合会のほうで、いま検討会が開かれているということですが、ここで議論された検証結果では、投資教育に係るガイドラインの策定をすると。ガイドライン策定について検討すべきであるということになっていたわけですが、この企業年金連合会の検討会でガイドラインを作っていくという理解でよろしいのか、ということを質問したいと思います。この検討会でのご議論の中身を見ると、どのようなリスクがあるかといった法的問題をいま一度整理するということもあって、いちばんそういうところが重要だと思うのです。整理した上で、ガイドラインの位置づけといいますか、仮にそれが厚生労働省のガイドラインだとしても、訴訟リスクとの関係は出てくるとは思うのですが、こういったガイドラインを作るという位置づけについて、確認をさせていただきたいと思います。

 もう1点ですが、自動移換について、いま協議会の設置で議論されているというのは、今後の自動移換者をいかに減らしていくかという話が中心のようにお見受けしましたが、もう既に特定業務会計に200億ぐらい自動移換分が来ていて、その取扱いをどうするのかという問題があると、以前から思っております。その点については、今後、とにかく減らしていくというのは重要だと思うのですが、いま自動移換で来てしまっている資産の分をどう取り扱ったらいいのかという、これはおそらく先ほどもあった実務的対応と政策的対応と両方あり得るという話ですが、たぶん政策的対応にもかかわってくるのではないかと思って、こういったところの問題意識について、お聞かせいただければと思います。

 自動移換に関してですが、住所の把握ということで、資料8で厚生労働省からの「国民年金基金における年金記録の適正な整備等について」と関連があるのかどうかわかりませんが、国民年金の記録訂正が基金の加入員に係るものであるときは、社保庁から基金に対して情報提供するということになっているようです。国民年金と個人型の基金の自動移換分の住所情報などを突合することはできないのかということを併せてお聞きできればと思います。以上です。

 

○森戸座長 いまのご質問は、たぶん事務局に先に全部お答えいただいたほうがいいと思います。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 まず、投資教育のガイドラインですが、現在、企業年金連合会で処々ご検討いただいており、まだ私どもとしてどうするかというのは現段階では未定ですが、その内容を踏まえて厚生労働省としてのガイドラインにできるかどうかも含めて検討したいと考えております。

 2点目は、現在もう既にいらっしゃる自動移換者についてどうするかです。これは本研究会にもご報告させていただいておりますが、現在、国会で継続審議になっている一元化法案において、少額資産者、資産額25万円以下の方については、正規の移換の手続を経て脱退できるという内容の法案を提出中で、これにより対応したいと考えております。いま手元に資料がありませんが、頭数で見ると、自動移換者のうち約7割は資産額25万円以下ということですので、その措置により相当数の脱退が可能になると考えております。

 3点目は後ほど資料説明をしますので、またその際にと思いますが、結論から言うと、基本的には社会保険庁が有する住所情報の提供については、公益性との比較衡量も勘案しながら提供が必要だろうと。やはり住所を知られたくないというプライバシーの問題もありますので、それとの兼合いということで、現段階での整理は公的年金の代行部分を有する厚生年金基金および国民年金基金に対して、住所情報を提供するという考え方です。

 

○伊藤部長(小島委員代理) 自動移換について、25万円以下の分については承知しているのですが、あれは正規手続をしないといけなくて、その後2年ということで、あくまでも加入者側からアプローチがないと移換というか、一時払いできないという形になると思っています。本当にアプローチがあればいいですが、いまある200億というのは、それによってどれだけ減るかという懸念はあるのです。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 正規の手続をとるかどうかという話と、アプローチがあるかどうかという話は、少し違うのではないかと思いますが、全くアプローチがないときに、実際に資産があるものをは、やはり何らかの形で管理しなければいけないわけですから、それをいま国民年金基金連合会で管理していますが、それを例えば国庫召上げなどということはできないだろうと。そういう意味では、最終的には本人のアプローチは何らかの形でいって、介在させざるを得ないと考えております。

 その上で、自動移換のままで脱退できるというのは、ある意味、制度の趣旨からは外れるわけです。アプローチがある以上は、正規の手続をとっていただいて、その上で脱退するというのが自動移換者の未然防止、今後の防止対策という意味でも有用ではないかと考えております。

 

○森戸座長 よろしいでしょうか。あとでまた出てくると思いますので、ほかにいかがでしょうか。

 

○遠藤副本部長(岩本委員代理) 資料3の検討会と、資料4の協議会の位置づけなのですが、これはとりあえずこの研究会とはある程度独立して行われているというように理解してよろしいでしょうか。例えばここの検討会の結果がこの研究会を縛るということはない、という理解でよろしいでしょうか。

 

○森戸座長 それは私がお答えしてもいいと思います。ちょっとメンバーで重なっているところがありますが、それは別だと思います。これは別に厚生労働省が答える話でもないかもしれませんが、それはそういうご理解でよろしいと思います。あくまで独自に議論はされている。ただ、先ほど課長がおっしゃったように、そこでの議論をベースに、政策的に、例えばガイドライン的なものを取り入れるとか、入れないなどという話には当然なるとは思うのですが、そういう理解でよろしいですか。ほかにご意見はよろしいですか。あとでまた質疑応答の時間もとりますので、その他、ご質問・ご意見がないようでしたら、ひとまず次にいきたいと思います。次は資料5以下、「個人型確定拠出年金の実態調査の結果」等について、事務局よりご説明をお願いいたします。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 資料5「個人型確定拠出年金の実態調査の結果」です。1頁ですが、今般、自動移換者の問題、あるいは住所不明問題等も踏まえて、個人型の加入者、あるいは自動移換者について、資産額、あるいは住所管理の状況について、本年8月末現在で調査したものです。調査は、実際には国民年金基金連合会と記録運営管理機関4社にやっていただいて、それを厚生労働省で集計をしたということです。

 2頁ですが、結果です。まず、個人型年金加入者、あるいは運用指図者全体は16万6,651

人、資産額2,200億円ということです。うち転居先不明者が1,803人という状況です。一方で、その下の自動移換者については9万3,786人、資産額228億円というのが8月末の状況です。うち転居先不明者は1万3,764人ということです。これがいわば現役の方ですが、受給開始年齢に達した方が右側のグレーのところです。受給者が644人、43億円、受給可能開始年齢に達している方が1,904人、125億円。受給可能年齢に達している自動移換の方が133人、6億円という状況です。転居不明者については、それぞれ記載のとおりです。

 3頁ですが、こういった受給可能年齢に達している方々の資産の分布です。特に実際運用なさっている方については、相当資産が高い方々が多いということで、左の白抜きにありますが、運用指図者、資産運用させている方については、約655万、自動移換者については約460万という状況です。

 最後に4頁ですが、私どもとして一定の調査結果の分析を簡単にしたものです。特に受給可能開始年齢に達している方々について分析したものですが、先ほど見たとおり、1,904人ということで、1人当たり平均資産額655万です。資産額100万円を超えている方々が97%ということで、ほとんどが100万以上ということです。確定拠出年金については、先ほど受給者が600何人に対して、まだ裁定請求をしていない方が3倍ぐらいいらっしゃるわけですが、70歳までの間、運用指図を行って資産運用をして、引き続き資産を増やすことが可能ですので、定量的にはわかりませんが、個人の選択によって資産運用を行っている方々が含まれているのではないかと考えております。

 また、自動移換者で、老齢年金の受給開始年齢に達している方は、受給可能開始年齢に達している方々全体に対して、約5%、133人ですので、受給可能開始年齢に達した以後においては、正規の手続をとり、運用指図または裁定請求を行っている方が大半であるということです。以上が調査結果です。

 関連して、資料6から8までが、こういった企業年金に係る記録の適正な整備について、私どもとして関係の方面に指導の通知を出した内容です。まず、資料6は厚生年金基金です。1頁ですが、厚生年金基金については、9月に対策として既に公表しておりますが、10月に正式に通知という形で、関連機関に通知を発出しております。内容としては、届出の徹底、あるいは厚生年金本体の記録訂正があった場合には、基金への情報提供を行う。それから、基金と社会保険庁の記録の突き合せを行う。これは平成20年度から実施して、以後5年程度に1回、定期的に実施するということです。

 4ですが、いわゆる年金定期便を、厚生年金基金についてもやっていただくよう努力していただきたいということ。それから、住所不明者については、住所の把握に努めていただきたいという内容です。

 2頁ですが、未請求の方々については、定期的に裁定請求書の送付など、裁定請求の勧奨に努めていただきたい等々です。

 注1ですが、連合会に対しても、同様の指導を行っております。また、基金加入員の住所の届出の制度化、住所管理の徹底等を平成20年度から実施してまいりたいと考えております。注3ですが、社会保険庁から基金等に対して、住所情報を平成20年度から提供するということです。以上が資料6です。

 続いて資料7です。1枚めくって、確定拠出年金と確定給付企業年金についての年金記録の適正な整備等です。これは本日付で関係機関への通知を発出したところです。1点は確定拠出年金の関係ですが、実際に確定拠出年金の場合には記録管理しているのは記録運営管理機関で、事業主から氏名・住所等の通知を行うことと既になっておりますが、その徹底を図っていただきたい。個人型については、国民年金連合会が住所変更の届出の受付主体、連合会が記録を管理している機関に対して、その通知を行っていただくことになっておりますが、そういった徹底を図ることにより、年金記録の適正な管理を行っていただきたいという内容です。

 2ですが、確定給付型での年金定期便に相当するものですが、確定拠出年金については、現行制度でも加入者等に対して、少なくとも毎年1回は資産額等に関する通知を行うこととされておりますので、改めてその徹底を図っていただきたいということです。

これは先ほどもご議論があり、コストとの関係もありますが、住所不明者について、住所の把握に努めていただきたいという内容です。

 2頁の3、4は自動移換の関係です。これは既にやっていただいているわけですが、改めての徹底ということで、事業主から退職者に対する資産移換の説明を行うこととなっておりますが、その徹底。それから、運営管理機関については、事業主と協力して、退職者に対する資産の移換手続の周知に努めていただきたいということ。4ですが、連合会においては、自動移換者に対して正規の手続の勧奨に努めていただくとともに、住所の把握に努めていただきたいという内容です。

 最後は裁定請求の関係です。これは先ほど申し上げましたが、必ずしも忘れているということではなくて、資産運用をされている方々もいらっしゃると思いますので、請求手続の勧奨ということよりは、裁定請求手続の周知といいますか、受給をされたい方については手続がありますという周知に努めていただきたいということと、住所の把握にも努めていただきたいという内容です。

 3頁ですが、確定給付企業年金です。確定給付企業年金については、別の法人格がある基金で年金記録を管理している場合と、事業主そのものが管理している場合があります。基金で管理している場合には、事業主の届出の徹底、年金記録については、いずれにしても事業主、あるいは基金において、適正な管理を行っていただきたいということ。年金定期便、裁定請求の勧奨といった内容です。

 資料8は、後ほどこれから国民年金基金の関係で、実態調査の結果等の報告があろうかと思いますが、そういったものを踏まえての指導通知です。1頁ですが、国民年金基金についても、記録の適正な管理という観点から、現行制度でも、氏名・住所変更に関する届出が制度化されておりますが、そういった届出の徹底。それから、年金記録の改めての適正な管理。国民年金本体での記録訂正があった場合の基金への情報提供。年金定期便。2頁の裁定請求の勧奨ということで、内容としては企業年金と同様の指導の内容となっております。

 また、注にありますが、国民年金基金連合会についても、同様の指導を行っておりますし、国民年金基金については付加年金の代行という公的年金の代行部分があることも踏まえて、個人情報の保護の観点に留意しながら、平成20年度から社会保険庁への住所情報の提供をするということです。以上です。

 

○森戸座長 引き続き、資料9「国民年金基金・国民年金基金連合会の年金支給について」、国民年金基金連合会の横幕部長にご説明をお願いいたします。

 

○国民年金基金連合会(横幕) 資料9ですが、厚生労働省からもご指示をいただき、国民年金基金の年金支給の状況について、実態調査を行いましたので、その結果を中心として報告をさせていただきます。まず、それに先立って、国民年金基金はそもそも企業年金とは別の仕組みですので、皆さんご承知とは思いますが、資料前半でごく簡単にどんなものかを紹介したいと思います。1頁にあるように、1号被保険者の老齢基礎年金への上乗せとして設けられているもので、いま課長からもお話があったとおり、付加年金を代行しているという性格を、併せて持っているものです。

 2頁、平成3年度から設立されております。加入資格は第1号被保険者、かつ保険料免除に該当しないなどの要件があります。任意加入ですので、それぞれご自分の意思で加入して、月々掛金を納めていただく。一方、任意脱退はできないことになっており、加入資格を喪失する事由としては、1号被保険者から2号ないし3号被保険者になる、60歳に到達するといったことなどが要件になっております。運営は、都道府県ごとに設立されている地域型と職能型の基金に分かれており、合計72、事前積立方式で行われております。給付は老齢年金が中心となっており、加入される方が口数を1口以上、自由に設定して自分で決めていただくような仕組みですが、そのうち半分以上を終身年金としていただいて、あとは有期年金にいくつかタイプがありますので、これを含めて組み合わせていただくことができるような仕組みになっております。原則65歳から年金を受けていただくことになっております。

 3頁、私ども「連合会」です。いまご紹介した基金の加入員資格を中途で喪失される方、中途脱退者と申しておりますが、こういった方々を移転し、将来の年金をお支払いするために設立されているものです。基金に、60歳までずっと入っていただいた方、あるいは15年以上加入されてから喪失された方は、基金から支払いをする。それ以外の方は、中途脱退者として連合会からお支払いするという仕組みになっております。

 4頁、いまお支払いしている年金の概要です。受給者が17.9万人、これは基金と連合会を合わせてです。1人当たりの年金額は年額で23万円、年金額の総額が1年当たり410億といった規模になっております。

 5頁以降、事務的にどのような流れになっているかということを紹介しております。先ほど申したように、ご本人から申出をいただき、毎月、口座振替で掛金を納めていただく。年に1回、各基金から納付結果を一人ひとりにお知らせしており、これで加入・納付の実績等を確認していただくという仕組みになっております。65歳になるところで、基金のほうから裁定請求書をお送りします。そもそも生きていらっしゃるかどうか、あるいは住所・年金をお受け取りいただく方法をどうするかといったことを請求書に書いていただいて、これに基づいて年金をお支払いするという流れです。

 6頁、65歳で裁定請求書をお送りするわけですが、それに先立って、60歳のときに事前にご案内をしています。一人ひとりについて、実際、何カ月分の掛金を納めていただいたか、将来の予定年金額はいくらか、65歳のときに手続をとっていただくよう、請求書をお送りしますといったご案内をしております。6頁の例は、60歳まで掛金を納め続けていただいた方の例ですので、そういったことも併せて確認がされております。

 7頁が実際の請求書の例ということになります。

 一方、私ども連合会のほうに移転された場合の取扱いが8頁以降にあります。60歳になる前に資格を喪失された方について、当連合会に移転されると、私どもからその方に承継通知書をお送りします。そのあとの流れは、先ほど申し上げたのと同じような形です。

 9頁に、その承継通知書の実際の例を挙げております。年金の仕組みや手続等が書いてあり、この中で、「住所が変わったときにはお知らせください」ということも書かせていただいているところです。この上で、60歳のときに、先ほどと同じように事前の案内をして、65歳になるときに請求書をお送りするという流れです。

 12頁以降に、実態についてまとめております。前半が72の基金をまとめた数字で、12頁がその概要です。現在加入していただいている加入員69万人、資格喪失してから受給を待っている方が13万人ほど、実際に年金を受けていただいている方が16万人、年金額にして382億円ですが、右の下のほうに、「裁定請求を行っていない者」と書いてあります。65歳あるいは一部60歳の年齢に達して受給資格が発生しているけれど、請求を行っていない方が、今年3月末の時点で5,300人ほどいらっしゃいます。1年間にお支払いする年金額で言うと、12億円ほどです。その下に「累積年金額」と書いてあります。これは一人ひとりについて、実際に受給年齢に達してから今年3月末までの期間にお支払いすべき額を合計したもので、7.6億円です。注にもありますように、基金の場合、実際に受給年齢が発生してから受けていない期間が、平均して1年より短いものですから、累積額のほうが小さいという状況になっております。

 いまの5,300人の状況について、13頁をご覧いただきますと、その後、今年9月末までにどれだけ進んでいるかを整理しております。5,300人のうち、その後の6カ月で3,130人ほどについて裁定が進んでおり、残りの2,190人、40%ぐらいがまだ未裁定で残っているということです。この方たちの分を累積年金額で言うと、5億5,000万円ほどとなっております。さらに10月に880件ほどの処理が進んでいますので、そこがさらに減っているという状況です。

 14頁以降は、裁定請求を行っていらっしゃらない方の分析をいくつか載せております。14頁は年齢別です。棒グラフには、それぞれ2つの数字があります。棒グラフの上にあるのが今年3月末の数字、下のほうにあるのが9月末の数字です。ご覧いただいてお分かりのとおり、65歳と60歳というのは、平成18年度中に受給年齢に達した方の割合が多いということで、9月末で言えば36%ぐらいが60歳ないし65歳ということになっております。

 15頁は、加入期間別に見たものです。9月末で見て1年未満の方が、約3割近くで多いという状況になっております。

 16頁が、年金額別の件数です。いくつか飛び抜けて高いところがあります。12万円以上13万円未満、24万円以上25万円未満、36万円以上37万円未満といったところが高くなっております。これは加入の仕組みが、1口いくらということになっているわけですが、いま年金を受けていただいている方の多くは、1口1万円が基本になっておりますので、月額1万円を何口かといったタイプの方が多いので、月額1万円×いくらというところで受けていらっしゃる方が多くなっております。これも9月末で見ますと、年金額の高い方は請求が進んでおりますので、年額1万円未満の方が2割ぐらいとなっております。

 一方、17頁は当連合会のほうでお支払いする方、中途脱退者の状況です。加入員はおりませんので、受給を待っている待期者が32万人ほど、受給者が1万8,000人ほどとなります。同じように右下の所に、裁定請求を行っていらっしゃらない方が0.3万人と書いてありますが、2,800人ぐらいということです。年額お支払いすべき年金額は2.6億円、累積年金額で3.6億円という状況です。

 18頁に同じような資料で、「件数」と書いてあります。1人で複数の基金に入っていらっしゃる方が若干いらっしゃいますので、人数と件数で表しております。ただ、その割合は非常に少ないので、数字を見ていただいても、ほぼ同じ数字になっております。

 19頁をご覧いただきますと、3月から9月までの処理状況が書いてあります。2,800件のうち、560件ほどの処理が進んでおり、9月末で2,260件の方が残っているという状況です。

 20頁ですが、年齢別で見ますと、やはり65歳、60歳の方が多く、9月末で3割ぐらいとなっております。

 21頁が加入期間別のものです。こちらのほうは途中で資格を喪失されていますので、先ほどのようなこぶがありません。1年未満の方が4割ぐらい、2年未満で言えば6割ぐらいというのが9月末の状況です。22頁には年金額別の状況も載せております。以上が数字で見た実態です。

 23頁をご覧いただきますと、どういった背景や理由が考えられるかということで、3つ挙げております。1つ目はいまご紹介したとおり、65歳なり60歳になったばかりの方が結構いらっしゃいますので、そういった方がこれから順次、裁定請求を行っていこうという段階にあるというように考えております。

 2つ目は、加入期間の短い方が結構多く、このため年金額も少なく、国民年金基金の給付を受けられることについての認識が薄いというケースがあるのではないかということです。

 3つ目は、これまでもお話がありましたが、住所の問題です。連合会も基金も全ての方について住所記録を持っておりますが、特に加入員資格を喪失されてから受給までの間に住所を変更されて、その届出がないような場合に、私どもから請求書等をお送りしても連絡できないことがあります。こういった場合でも、もちろんご本人から請求いただくケースがありますが、ご本人が忘れてしまうこともあるのではないだろうかと思われます。実際に連合会のほうで申しますと、平成18年度に請求書を送って返ってきてしまい、かつ、その後の請求が行われていない方が300件、5.5%という状況です。

 24頁以降は、「裁定請求の勧奨」に関する取組です。いまご紹介したような状況を重く受けとめ、確実に年金を受け取っていただく、あるいは私どもからすれば、確実にお支払いするように、さらに取組みを重ねていく必要があると考えております。まずは国民年金基金のほうです。(1)が定期的なお知らせです。すでに加入期間中は年に1回お知らせしておりますが、このお知らせする中身を厚くしようということです。いまは直近2年分の加入実績をお知らせしています。これを過去すべての分、将来の年金額などもお知らせしようというものです。

 (2)が、資格を喪失されてから年金を受けるまでの期間に、定期的なお知らせをお送りしようというものです。今のところ3年ごとぐらいに過去の納付実績書や将来の年金額、住所変更があった場合の依頼などを差し上げたいというように考えております。

 25頁の(3)が、実際に請求書をお送りしても請求されていない方がいらっしゃいますので、少なくともその後3回は期間を置いて、さらに案内を差し上げたいと思います。今日ご紹介したように、現に請求が遅れている方が合わせて4,000人ぐらいいらっしゃいます。こういった方々については現在、文書あるいは電話などで、一人ひとりに連絡を差し上げているところです。必要に応じて、実際に伺うということも併せてやっていきます。

 (4)が、転居先の住所が不明となっている場合には、市区町村への確認をやっていきたいと考えております。

 26頁には、連合会の取組みが書いてあります。いまご紹介したものと、ほぼ同じ中身になっております。27頁にはホームページによる案内もあげています。

 最後の(5)ですが、厚生労働省へもお願いしております。現在、住所変更があった場合の届出義務が課されているのは加入者と受給者に限られており、資格喪失後、受給までの期間はそういった義務はかかっておりませんので、この部分についての制度化をしていただけないだろうか、市区町村に住所確認をする場合の円滑な環境づくりをお願いできないか、社会保険庁からの住所情報の提供をお願いできないかと。最後の点については先ほどご紹介いただいたので、是非お願いしたいと思います。こういった点もあわせ、一人ひとりに確実に年金を受けていただくように、取組みを重ねてまいりたいと考えております。

 

○森戸座長 ありがとうございます。いまご説明のあった項目について、皆様からご質問、ご意見をいただきたいと思いますが、先に事務局からすみません。いま横幕部長にご説明いただいた資料9の趣旨と言いますか、いままで企業年金として議論していたものとは少し違う国民年金基金の制度について、企業年金研究会でご説明をお願いしたので、その趣旨を先にご説明いただければと思います。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 企業年金研究会の研究の範疇として、国民年金基金は対象外です。しかしながら今般の年金記録問題は、公的年金、企業年金、国民年金基金ということで、相互にかなり関連性があります。特に国民年金基金については、公的年金の付加年金の代行部分もあるので、その対策としては企業年金と共通のところもあるだろうということで、あくまでもご参考として対策、あるいは実態についてご紹介させていただきました。

 

○森戸座長 そういう趣旨です。もちろん個人型も含めて、国民年金基金連合会さんがやっていらっしゃることもありますし、いまのお話の中身からもおわかりのように、ほかの制度のことを考える上でも、だいぶ参考になる点もありますので、ご紹介いただいたということだと思います。私個人の整理では、個人型確定拠出年金も企業年金とはちょっと違うと思っているぐらいですが、非常に相互に関連しますので、一緒に議論をする、お話を伺うということでよいだろうと思います。では、いま資料について事務局のほうからあった説明なども含めて、ご意見、ご質問等をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

 

○野村委員 これはどちらかというと感想というか、コメントのようなものです。最後の国民年金基金連合会さんからのご説明の中の、23頁の「裁定請求が行われていない理由」を見て感じた点です。確定拠出年金の自動移換の問題で、加入期間が短い方および資産額があまり多くない方は脱退を可能にするという対策も、1つの現実的な対策として進められていると思っています。しかし、これも現実対応ではあるものの、折角一度年金のためのお金として入ったものを、また出してしまうというのは、よくよく考えてみると、そもそもの年金の目的からすると、極めて残念な事態であると思います。

 では、そういう中でなぜ裁定請求が行われないのか。23頁を見ますと、まず自分で選択して入ったのだから、裁定請求が行われないケースはあまり多くないというように書いておられます。また、今般、企業型、確定拠出年金のほうでも個人拠出を導入するという改正案になっています。個人拠出を認めてほしいという要望の本来の趣旨ではないかもしれないのですが、個人拠出を行うことで加入者の意識が高まり、自動移換に至ることが減れば、それはそれで1つのメリットと言えるのではないかと思いました。

 また、ここでも加入期間が短いということ、認識が薄いということがありますので、やはり同じなのだなと思いました。これもよくよく考えてみると、個人型確定拠出年金の加入資格をより広くすることで、塩漬けになってしまう人を減らすということが、自動移換を少なくするための根本的な対策、というように位置づけてもよいのではないかと思います。今回の税制改正要望で、その第一歩と言いますか、確定給付型企業年金のみに入っている方も入れるようにすると、少しパイが広がりますし、最終的にはそれ以外にも入れない、加入資格のない方がおられるわけですので、より幅広くすることの意味がこういうところにもあるのではないかと思いました。

 

○森戸座長 ほかにいかがでしょうか。

 

○小野委員 別の機会にシンポジウムをやりまして、それと若干重複してしまう質問かもしれません。裁定請求ということに関しては世間でも話題になっているわけですが、裁定というのは企業年金にとって、2つの時点が考えられます。1つは支給開始時点で、いわゆる支給時裁定です。もう1つは退職時裁定というのが、昔あったかと思っています。いつ裁定するかによって企業なり、基金なり、個人なりの記録の管理といった部分について、若干姿が違ってくる可能性もあるかと思います。

 支給時裁定に変わったのは、たしか昭和60年国会のときに厚生年金基金において、一斉に変更されたという経緯があったかと思います。例えば確定給付企業年金というのは、直接的に厚生年金保険とはかかわりのない部分もありますから、辞めたときに裁定するというのも、1つの考え方としてあるのかなという気がしております。しかし法律はそういった書き方にはなっておらず、「げにあるとおり」ということになっています。その辺りについて、例えば年金らしさを確保するとか、いろいろなことがあるかと思うのですが、その辺のご見解をいただけたらと思います。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 裁定をいつするかということについて、事務的に頭の整理あるいは検討をしたことは、正直言ってないのです。ただ、いまお伺いして思いますのは、小野委員がおっしゃるとおり、結局退職年金なのか老齢年金なのかという性格論との関係をどう整理するかという話は、税制等も絡みます。記録問題との関連では、確かに一旦裁定を受けると、その後の届出などが円滑に行われやすいということはあるのかもしれませんが、現段階ではあまり詰めて頭の整理ができていません。まずは大きな性格論というところがあるのかという感じがいたしております。

 

○森戸座長 いまの小野委員のご質問の中で、退職時裁定みたいなことができないかというのは、立法論的な提言なのかと思って伺ったのです。具体的にはどういう形になるのですか。年金としての受給権を持った人が退職したら、それはもう請求したものと見なすというような感じで、裁定してしまえということですか。

 

○小野委員 はい。法律的な位置づけなどは、私もよく整理はできていないのですが、現状面としては、例えば年金受給資格を年齢要件以外の要件として満たしている人が退職された場合に、その方にお知らせという形で文書が交付されるのと、年金証書という形で交付されるのとでは、だいぶ違うのではないかという感想を持っております。

 

○森戸座長 いまのお話ですと、例えば55歳で退職しても、そこから支給してしまえということなのか、それとも支給はもっと先だけれど、仮に裁定もどきのようなことを前にしてしまうという意味なのか、どちらですか。

 

○小野委員 後者です。支給開始年齢は退職時からやれということでもないと思うのです。今のとおりでもいいと思います。

 

○森戸座長 ただ、そうすると結局、その5年の間に振り込もうと思ったら、振り込めなかったということも起き得ることは起き得ますよね。その5年の間に行方不明になってしまうということも、なくはないですよね。

 

○小野委員 それもその基金と個人との関係で、どちらがどうかということに関しては、少し姿が違ってくる可能性があるのではないかという気がいたしました。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 ちなみに50代の退職時、あるいは今回の一元化法の中では確定給付について、60代の退職時の支給など、支給と裁定がセットという意味での退職時については、現行でも仕組みがあります。今のお話は、支給開始年齢を60歳にしながら、50歳で退職したときは50歳の裁定だけしてしまうということだと思うのです。しかし、そこについてはなぜそこで裁定して記録管理をしていくのかとか、いろいろ詰めるところがあるのではないかという感じはします。

 

○森戸座長 それでは私から1つ、横幕部長に確認します。私が制度をよくわかっていないのだと思いますが、国民年金の場合、裁定請求案内が65歳到達時でしたよね。国民年金基金は本来、65歳支給開始で、年金を受ける時期を後ろにずらすこともできるのですか。

 

○国民年金基金連合会 これは原則65歳です。加入のタイプによっては、一部60歳から受けることもできるということになっていますが、65歳より後ろへ行くということにはなっていません。

 

○森戸座長 そうすると、やはり65歳で裁定請求してもらわないと困るので、後ろのほうの資料では結局、裁定請求の遅れという扱いになるわけですね。

 

○国民年金基金連合会 そうです。

 

○森戸座長 わかりました。それとの関係で、今度は事務局にご説明していただいた資料5、個人型確定拠出年金の実態調査についてお聞きします。個人型確定拠出年金の場合は60歳を過ぎても、70歳までお金を運用指図すること自体、別に何の遅れはないわけですよね。そのわりにこの資料が何となく全体として、60歳になっても裁定請求をしない人は手続を忘れているとか、怠っている人のような感じのご説明だったような気がするのですが、そういうわけではないのですね。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 私の説明が舌足らずですみませんでした。資料5の4頁、「調査の分析」の2の部分で、70歳まで資産運用が可能だということで、「個人の選択により、運用指図を行っている者が含まれているものと考えられる」と書いてあります。感想として、そういう方がかなり多いのではないかという感じはいたします。ただ個々人に確認をして、定量的な分析ができてはおりません。この記述としては、ある意味、ニュートラルに含まれているものと考えられると書いておりますが、座長がおっしゃるようなイメージを持っております。

 

○森戸座長 ご説明はちゃんといただいたと思います。つまり現行法上は70歳まで何も言ってこない人に、「もうすぐ70歳だよ、もうすぐ70歳だよ」と言ってやる義務はないわけですよね。国民年金の場合のように、65歳を過ぎても何も言ってこない人とは意味が違うというのは確かですよね。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 そういう意味では、もうできますから裁定請求をしてくださいという、いわゆる勧奨ではなくて、60歳を過ぎると裁定手続がありますよという意味での周知を行う程度かと思っております。

 

○森戸座長 もちろん周知はしていただいたほうがいいし、今おっしゃったように、いろいろ調べた結果、運用指図しているとは言いつつ、実際上は忘れている人が多いのかもしれないとすれば、もちろん何か対処が要るのかもしれません。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 特に自動移換の方は133人ということで、もう顔の見えるベースですので、できれば個々人に確認をしていただくということもやっていただければという感想を持っております。

 

○森戸座長 ご説明いただいた資料全体やそれぞれについて、ほかに何かありますか。資料5以下についてはよろしいですか。

 ここでご質問、ご意見がないようでしたら、もう1つ資料のご説明をいただくところがあります。去る10月19日にNTT訴訟の判決が出ておりますので、最後にその報告をお願いしたいと思います。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 それでは資料10、NTTの取消訴訟判決の概要です。1頁を開いてください。この資料の1頁から3頁までは、厚生労働省において判決の骨子をまとめたもので、4頁以降は裁判所から実際に出された要旨です。この概要に基づいてご説明したいと存じます。

 訴訟の概要は、平成17年9月にNTTから厚生労働大臣に対し、確定給付企業年金の受給者の年金給付を減額する内容の規約の承認申請が出てまいりましたが、平成18年2月10日付で不承認処分をし、それに対して平成18年5月1日に、当該不承認処分の取消訴訟が提起されたものです。これについて去る10月19日に判決が出たわけですが、いずれも請求を棄却するという内容でした。

 争点と裁判所の判断ですが、まず受給者減額の要件については省令により、経営悪化あるいは掛金の著しい上昇等の要件を定めております。この省令自体が法令の趣旨に反して無効かどうかということに関しては、法令の趣旨には反しないということでした。

 それから規約の変更の申請が、給付減額に当たるかどうか。当該規約はキャッシュバランスプランで利率が変動するということから、必ずしも減額ではなくて、増額する場合もあるのではないかというのが原告の主張でした。実際の直近の10年国債の表面利率をベースに、給付がなされるという規約でしたが、それがかなり低い水準でしたので、給付減額に当たるという判断でした。

 3番目は、経営悪化により給付減額をすることがやむを得ない要件に当たるかどうかです。経営見通し等を基に、経営悪化に当たるという原告のご主張でしたが、平成14年度以降、1,000億円前後の当期利益を継続計上しており、そのような状況はないという判断でした。

 最後に2頁です。もう1つの要件である、掛金が大幅に上昇して、掛金拠出が困難になるということでやむを得ない要件に当たるかどうかです。これも業績予想から、かなりの拠出が可能だろうし、平成14年度から平成16年度の利益も上昇した掛金を相当程度上回っており、掛金を拠出することが困難となる事情はないという判断でした。

 

○森戸座長 個別の事件について報告があるというのも珍しいのですが、何しろ厚生労働省が訴訟当事者ですので、ご報告させていただいたということです。これは控訴されたのですか。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 NTTで控訴がなされております。今日ご報告した趣旨ですが、この個別の判決がどうこうということではなく、給付減額についても本研究会において現行の減額要件の適否等をご議論いただき、当面は現行制度を維持すべきという検証結果をいただいておりますので、ご参考までに判決の概要について、ご報告させていただいたということです。

 

○森戸座長 この事件に関してというか、いまのご説明に関して何かご意見、ご質問等はありますか。

 

○小野委員 私は裁判のことがよくわからないものですから、確認と、非常に初歩的な話になってしまって恐縮です。1点目は、たしかこの判決の本文が公表不可という取扱いになっていたかと思うのです。それはどういった点について公表不可になっているのかという確認をいたします。

 もう1つは、いまの控訴の件です。いまのが争点だったというのなら、すべてということかもしれませんが、どの辺が争点になっているのかということをお伺いしたいと思います。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 まず1点目ですが、私どもは裁判所の本文が公表されたという事実は確認しておりません。通常、判決については当事者に渡されるもので、今回はかなり大部なものでしたので、要旨については裁判所から公表扱いでしたが、その点は確認しておりません。

 2点目ですが、控訴した事実のみ把握しており、その詳細については、現段階では不明です。

 

○森戸座長 たぶん公表不可ということはないのではないかと思います。

 

○島崎座長代理 非開示の請求が出たのではないですか。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 非開示の請求という点も含めて、実は私どもでは法務省と、この判決の取扱いについての調整をいたしております。法務省との間では、通常、判決については公表していないので、公の場で私どもから配付するのは適切ではないということで、今回は要旨を配付させていただいているということです。

 

○簑原課長補佐 裁判の原告側のほうから、各種のデータが出ておりますが、その辺に関しては非開示の申立てが出ており、判決の全文自体は公表しないという形で、裁判所のほうでご判断されています。少なくとも判決要旨だけは公表するという形で、今回は対応されているというようにお聞きしております。

 

○森戸座長 では判例集などにも出ないのですか。

 

○簑原課長補佐 そこは確認できておりませんが、裁判所としては今のところ、そういう対応を取っているという形です。

 

○森戸座長 私もよく分かりませんが、そのデータを出したくなければ、もちろんあれなのでしょうけれども、判例の要旨としてそういうものは、例えば「証拠略」などと言って、大体判例集に載ったりしますので、載らないことはないような気がするのです。

いずれは分かると思います。

 

○濱谷企業年金国民年金基金課長 当事者がそこら辺を消した上で、情報提供をしていただければ、たぶん何ら問題はないのですが、それ以外の立場で今そういう扱いになっている以上、やはり公のものにはなかなか出し難いのではないかと思います。

 

○森戸座長 最近は裁判所のホームページなどでも、わりと早めに判決を公開しますが、いまのお話だと、法務省のほうからそれをすることはなくて、あとは当事者が何か公表できるような形で出すかどうかということのようですね。

 2点目は、もちろん構想趣意書みたいなものが出るのでしょうけれども、結局何が争点かというのは、その控訴審が始まらないと、たぶん分からないと思います。しかし内容的には、いまご説明があったものが全部争点で、当然全部について争ってくるというのが、原告側のお立場かと思います。

 ほかにいかがでしょうか。では資料10の事件のご説明以外で、いままであった資料全般に関して、何かもう一度ご質問、ご意見等があれば、改めてここで機会を設けたいと思います。いかがでしょうか。

 

○島崎座長代理 私はよくわからないのでお尋ねするのですが、投資教育の検討会の中で、受託者責任と訴訟リスクの問題を取り上げていますね。そこで言っている訴訟リスクというのは、何を指しているのですか。お伺いしたい趣旨は、訴訟にはいろいろなケースが考えられると思うのですが、例えば受給権者が、「これは投資教育を全然していなかったから損失を被った」と言って訴訟をするというリスクは排除できないですよね。どういう議論をしようと思っていらっしゃるのですか。

 

○企業年金連合会(芝田) この点については前回1回やりまして、まだ議論がいろいろ拡散しているような感じです。その際もいろいろな判例をご紹介になられたのですが、確かに大企業の中で特に熱心にやられている所に関して言うと、もともと退職金の代わりにやっているのに、みんなは元本保証で運用しているので、それが想定利回りにとうてい達しないというようなことも訴訟になるのかとか、いろいろなご心配があるようです。今後、森戸座長や野村委員にもご参加いただきますが、そのような論点についてはいろいろな方のご意見の中で整理していきたいということです。まだ議論は深まっていないと思います。むしろ委員として参加していただいている森戸先生に補足いただければと思います。

 

○森戸座長 私も一メンバーとして、たまたまその会に出ています。もちろん訴訟を起こすことを防ぐことはできないでしょうけれど、仮に「投資教育が不十分だったから俺は損した」という訴えが来たときに、例えばどこまでやっていれば一応法的に言い訳が立つのかということから、そもそもどういう訴訟があり得るかという話自体から検討しているのです。要するにそこも含めてまだ全体の、投資教育をやる上でどの程度のことを、どういうことに気を付けてやればいいのかということを、たぶん確認しようという趣旨で議論をしていると思います。ほかにいかがでしょうか。ご意見、ご質問等、今日いままで全部ご説明いただいた資料全般に関してで構わないのですが、よろしいですか。

 それでは、その他のご質問、ご意見がないようですので、本日はこれで終わりにしたいと思います。年内に税制改正要望の結果も判明することと思いますので、次回については年末あるいは年始をメドに開催し、その結果の報告を受けることとしたいと思います。日程については、事務局から改めてご連絡いたしますので、調整のほう、よろしくお願いいたします。本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。

 

(照会先)

厚生労働省 年金局 企業年金国民年金基金課 企画係

(代表)03-5253-1111(内線3320)

 

団体