2014年11月18日 第12回社会保障審議会企業年金部会議事録

年金局企業年金国民年金基金課

 

○日時

平成26年11月18日(火)10:00~11:55

 

○場所

都道府県会館(1階101大会議室)

 

○出席者

山崎部会長、森戸部会長代理、井戸委員、臼杵委員、小林委員、白波瀬委員、鈴木委員、

高崎委員、半沢委員、平川委員、山本委員、村瀬オブザーバー

○議題

確定拠出年金における運用について

○議事

○山崎部会長

 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第12回「社会保障審議会企業年金部会」を開催いたします。

 お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。

 本日、半沢委員が少々おくれておられるようでございます。また村瀬オブザーバーからは、30分程度おくれるとの連絡をいただいております。御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。

 それでは、議事に入らせていただきます。カメラの方はここで退室をお願いいたします。

 

(カメラ退室)

 

○山崎部会長

まずは事務局から資料の確認をお願いいたします。

 

○内山課長

 それでは、資料の確認をさせていただきます。

 お手元の資料ですけれども、資料の1として、また少し大部のものになっておりますけれども、「確定拠出年金における運用について」という資料がございます。

 また、参考資料1、参考資料2として、それぞれ1枚ものでございますけれども、参考資料1は当部会の「委員名簿」、そして参考資料2は、これまでもお出ししておりますけれども、「企業年金の進め方」ということでございます。

 資料の不足がございますようでしたら、事務局にお伝えいただければと思います。

 

○山崎部会長

 ありがとうございます。

 本日は「確定拠出年金における運用について」を主な議題といたします。

それでは、早速、議題「確定拠出年金における運用について」に入りたいと思います。事務局より資料の説明をお願いいたします。

 

○内山課長

 それでは、資料1、70ページを超える少し大部のものになってございますので、40分から50分程度お時間をいただいて、御説明をさせていただきたいと思います。

 まず、1ページをおめくりいただきまして、目次ですけれども、大きく3つのブロックから成り立ってございます。1番目は「DCの現状と課題」ということでございます。2と3で論点を書いてございまして。2のほうは、運用商品、運用するに当たっての加入者の方の知識、教育、あるいは意識といった課題についてでございます。大きな3は、長期の年金運用としてどのように適切に運用していくかといったような論点でございます。

 それでは、おめくりいただきまして、3ページの「DCの運用の現状と課題」ということでございます。

 4ページ、御案内のとおり、DC制度は事業主等が拠出した掛金を個々の加入者が運用していき、その運用結果に基づいて年金を受け取るという制度でございます。老後までの間の運用というのが、将来受け取る給付を左右するということですので、個々人がどのように運用商品を選択するかといったことが重要となっています。

DC法では、下に書いていますように、幾つかの措置を設けてございます。

 4ページの右側に3つ書いてございますが、1つは、投資教育、あるいは運用資産の状況を加入者に通知する業務がございます。2つ目は、少なくとも3つ以上の商品を提示する。そのうち1つは元本保証型商品でなければならないといった、商品提供の規制がございます。また運用資産を選択しない者への対応といたしまして、いわゆるデフォルトファンドに関することも定まってございます。

 5ページをあけていただきまして、6ページ以降の現状と課題のまとめになってございます。

 1つ目の「○」ですけれども、自分が制度に加入していること、あるいはDCの運用状況について把握していらっしゃらない方が多いということ、そして制度加入時に選択した商品を一度も変更したことがない方もいらっしゃるということでございます。

 2つ目の「○」は、DCに加入することによって、運用に関する意識というのが向上するという効果があると考えられる一方で、DC運用について何も考えていらっしゃらない方、運用の選択、資産の選択が難しいと考えられている方、そういう方が多く存在するということです。

 3つ目の「○」ですけれども、資産の選択状況、運用の状況を見ますと、利回りの低い元本確保型の資産に集中する傾向がございます。そうしたことから、加入者全体の半数以上の利回りが2%以下という状況にございます。

 4つ目の「○」ですけれども、将来、物価上昇することが見込まれていることを踏まえますと、現状の資産選択状況のままであると、年金資産の実質的価値を維持できなくなる方が増加する可能性があるのではないか。そういう問題意識から、経済情勢、あるいは将来の生活設計を踏まえた適切な運用資産選択を行える環境の整備が必要ではないかということでございます。

 6ページですけれども、これはDCの加入者、DCに入られている方に聞いているのですけれども、それでも3割の方が「DC制度を知らない」という回答がございます。

 おめくりいただきまして、7ページですけれども。DC加入者の約3割は、自分の運用資産の状況、どのような商品に投資されているかも、その資産運用がうまくいっているかについても、「わからない」という回答をされております。

 8ページですけれども、DCの加入者で、掛金の配分変更、資産配分の変更(スイッチング)の経験がない方が全体の7割を占めておられます。

 9ページ、10ページは、DC制度は予定利率を設定する必要はございませんけれども、退職給付水準、労使で合意した退職給付水準がある場合には想定利回りを用いることがございますけれども、加入者のうち7割が「想定利回り」を知らないという状況にございます。

11ページですけれども、これはDCの加入者と非加入者を比較した資料になっています。資料の右側のほうを見ていただきますと、例えば定期的に資産配分、これはDCに限らず、自分が持たれている資産ということですが、そうした見直しを行っている、あるいは自分のライフステージも考えて資産の配分、運用をされている、あるいは金融市場の環境変化も見据えてやられているという方が、いずれも非加入者よりも加入者のほうが多くなっているということで、資産の配分の意識については明確な差があるのではないかというふうに考えてございます。

 一方で左側のほうでございますけれども、さはさりながら、資産配分について特に考えられていない加入者のほうが、非加入者より低くはなっておるのですけれども、3割程度の方は「特に考えていない」という回答をされているという状況にございます。

12ページですけれども、DC制度の改善点について伺ったところ、「自分のかわりに資産運用をしてくれる仕組みがあるとよい」といったような意見もございまして、なかなか資産運用に難しさを感じているという可能性もございます。

13ページをおめくりいただきまして。13ページは、現状のDCの運用の利回り分布でございますが、2%以下の方が半数以上にのぼっておりまして、特に1%以下の方が約半分を占めている状況にございます。

14ページですけれども、運用商品の構成を見ますと、預貯金が4割、生損保商品が2割、元本確保型の商品が6割となっている状況でございます。

15ページは、生損保商品、これはDC創設時に1から3の要件を満たす生損保商品については元本確保商品に含めるということにしてございまして、15ページの下の「※」ですけれども、生命保険では利率保証型の積立生命保険、あるいは損害保険では積立型の損害保険といったものが商品として提供されているという状況でございます。

16ページは、それぞれの運用利回りですけれども、元本確保商品は1%に届かない、低めの状況になっておりますし、有価証券類は一定程度の利回りということになってございます。

 おめくりいただきまして、17ページでございます。DC制度ができましてから約10年たっているわけですけれども、この10年間、20年間程度ですが、特にこの10年間は物価上昇率はおおむねマイナスないしゼロの近辺ですので、デフレ状況が続いてきたと言えるかと思います。こうした環境下では、例えば、預貯金で運用した場合でも、その資産は目減りをせずに実質的な価値を維持することができるという状況だったと考えられます。そういう意味では、元本確保型の商品に投資することも一定の合理性があったのではないかということでございます。

18ページですけれども、内閣府でも日本銀行でも、今後、消費者物価上昇率が上昇していくという見通しが示されてございます。この場合、従来のデフレの環境下と同じような資産構成で運用した場合には、積立資産の実質的な価値が減少する可能性があるのではないかと考えます。将来の実質的な価値の減少を防止し、老後の備えを確保するためには、適切な運用商品を選択していく、そして運用収益を確保していく必要があるのではないか、というのが1つの問題意識でございます。

19ページは、イギリスのNESTでも、インフレにまさる運用利回りを上げるということが1つの投資の目標、目的とされているという資料でございます。

 大きな2つ目のブロックに入りますけれども、運用商品を選択しやすい環境の整備ということで、知識、教育、意識といったようなところでございます。

21ページに、このところの全体の見取り図を書いてございます。将来の生活設計を踏まえた適切な運用商品の選択ができるようにということで、21ページの下の図、課題を大きく2つに分けてございますが、1つは、知識がなかなかなくて、適切な運用商品を選択できない。あるいは自分の資産運用に対する意識が低い方がいらっしゃるというような課題でございます。こうした課題については、投資教育の実施率向上ですとか、内容や基準の明確化といったようなこと、それから意識の向上のための措置といったことが考えられるかと思います。

 2つ目ですけれども、また後から出てきますように、DCの運用のために提示されている商品の選択肢というのが多くなっていますので、なかなか選択ができないということがございます。そういう意味では運用商品数を限定するかどうか、あるいは現行の商品除外規定、これについてどう考えるかといったような論点が出てまいります。

22ページからは、今、申し上げた中で、特に知識ですとか意識、教育の部分でございます。

23ページ、24ページについては、いわゆる投資教育についてでございます。

DC制度は、加入者が自分で年金資産を運用する仕組みということですので、そのニーズに応じて適切な運用商品の選択ができるように、事業主は、加入者に対して資産の運用に関する基礎的な資料の提供、その他必要な措置、いわゆる『投資教育』を実施するということが法律に書いてございます。

24ページにございますように、DC法では、22条に、いわゆる投資教育に関する規定がございます。投資教育は、大きく「導入時の投資教育」と「継続した投資教育」に分けることができまして、法律上は導入時の投資教育は努力業務、継続投資教育は配慮業務というふうな規定のされ方をしてございます。なお、真ん中辺の「※」で書いていますように、導入時教育の実施率は現状ほぼ100%行われている状況にございます。

 おめくりいただきまして、25ページは、投資教育について、私どもの局長通知で定めています具体的な内容でございます。大きく4つございます。1つ目は制度の内容、2つ目は、金融商品の性格や特徴や種類、それからリターン・リスクに関するようなことでございます。3つ目は運用の基礎知識ということで、リスクの内容、リターンとの関係、あるいは長期運用や分散投資の考え方、そうしたものを教育していただくこととなってございます。4つ目は、DC制度を含めた老後の生活設計全般ということで、老後の生活設計について教育をしていただくということになってございます。

26ページは、特に導入時教育はほぼ行われていますので、特に継続投資教育に関する資料を載せてございます。 継続投資教育の実施と未実施に分けて、それぞれデータを取ったものですが、例えば26ページの左側のほうから見ていただきますと、「自助努力による老後の備えの理解」、あるいは「投資運用への関心」、そういったものが継続教育をすることにより向上する。また右側のほうでは、「長期運用の理解向上」や「分散投資の理解向上」でございますが、そうしたものが、投資教育によってポイントが上がるということがわかるかと思います。

27ページは、同様に、投資教育の効果について研究された効果ですけれども、投資教育によって運用商品選択について一定の効果がある。下の棒グラフに書いていますが、そうしたことが研究の成果としても挙げられてございます。

28ページは、「継続投資教育の実施状況」ですけれども、継続投資教育については55%程度の実施率となってございまして、3割以上の事業者が投資教育を実施していないし、計画もしていないという状況にございます。

29ページは、「導入時投資教育・継続投資教育の対象者」でございますが、導入時投資教育のほうはほぼ全社員を対象にしている場合が多いのですけれども、継続投資教育については、希望者にのみ行うといったケースも多くて、対象となる社員が少ない状況にございます。

30ページは、継続投資教育を実施していない企業の、その理由を挙げたものですけれども、時間や人員を割く余裕がない、あるいはその費用確保といったことが理由に挙げられています。また、半数以上の企業で、継続投資教育について明確な実施基準の必要性を感じているということでございます。

31ページ、32ページは、少し教育から離れまして、意識的なものに関するものですけれども、31ページは、DCを担当されている担当者に聞いたものですけれども、加入員の方の理解・関心が低い、あるいはWEBやコールセンターの利用者が少ない、といったことを運営上の課題として挙げられている方が多いということでございます。

32ページは、いわゆる資産額通知。DCの資産を年1回以上加入者に通知することが法令上義務づけられておりますが、その通知につきまして、毎回よく見ていられるという方は2割以下、よく理解されているという方も1割程度といったような状況にございます。

33ページは、資産額通知の内容例を記載してございます。

 こうしたことを踏まえまして、「加入者の投資知識等の向上」のところの論点でございますが、34ページは、まず投資教育のあり方ということでございます。適切な運用資産選択をするために、運用資産の選択に一定程度の効果があると考えられている投資教育を、実効性のある形で行っていくということが重要ではないかというふうに思われます。導入時の投資教育はほぼすべてで行われていますが、継続投資教育については実施率があまり高くないという状況にございます。

 そういう意味で、DC法上事業主の配慮業務とされています継続投資教育につきまして、導入時投資教育と同様に努力業務としてはどうか、というのが1つ目でございます。

 また継続投資教育、これは加入者ごとに投資知識や意識が異なることが予想されますので、なかなか一律に実施することが難しいということもございます。またその内容は実施のタイミングについてなかなか明確に意識されない事業主も多いということですので、その継続投資教育の基準を少し通知等で明確化してはどうかというのが2つ目の論点でございます。最も基準の策定に当たっては費用負担等に配慮することも必要だと考えられます。

35ページですけれども、資産額通知のほうでございます。資産額通知に対する関心というのは、ごらんいただいたように、低いのが現状ですので、例えば投資教育の中で通知内容の理解を深める内容を行っていただくように明確化するとか、あるいは関係機関と協力する必要があると思いますけれども、この通知に対する関心を高めるための何か努力、工夫というものを検討すべきではないかということでございます。

36ページからは「運用商品提供数のあり方」でございます。

37ページを見ていただきますと、運用商品の提供数、増加傾向にありまして、現在18本ほどとなっています。

38ページを見ていただきますと、DCを導入して長い期間、長い企業、時間が経過した企業ほど追加した割合が高いことになってございます。

39ページは、行動経済学の知見によりますと、選択すべき項目が増えて、選択肢が多いと、なかなか選択できないということがございます。

40ページ、41ページはアメリカの401(k)の事例ですけれども、401(k)に関する研究では、運用商品が増加すると加入率の低下につながる。特に一定数、そこで申しますと、30本を超えるようなことですと、低下傾向が顕著ということが研究としてございます。

41ページは、同じく401(k)に関する研究ですけれども、商品数が増加するほど商品の特性がなかなか考えられなくなり、結果的には不利な商品選択につながっている可能性が指摘されています。

41ページの下のほうですけれども、「全部のファンドを検討するのがあまりにも煩雑だったため、最も大きな分類である株式を頭の隅に追いやることで選択肢の数を減らそうとしたのではないか」といった考察がされてございます。

42ページは、諸外国での工夫・対策ですけれども、運用商品の選択をサポートする手法として、商品提供数自体を制限するといった対策を講じている国がございます。イギリスのNESTでは、対象となるニーズも踏まえ6種類というふうに商品提供の数をしてございますし、そのほかの国でもそうした工夫をしている国がございます。

43ページからは、我が国の、商品を除外する場合の規定でございます。今、DCの運用商品を除外して商品提供数を減らす場合には、現行のDC法では、除外しようとする商品を持たれている加入者、そして運用指図者全員の同意が必要ということになっています。 なかなか全員に個別同意を取ることが難しいということ。あるいは個人情報との関係で、運営管理機関から事業主が、だれがその商品を持っているかというリストを入手することが難しい。あるいは転職等によって運用指図者になった方の把握ということもあって、実際には44ページですけれども、商品除外というのはかなりハードルが高い、というふうに事業者の方が考えられているというデータがございます。

45ページ以下は、「運用商品の提供数」に関する論点でございます。

45ページは、商品提供数の上限ということですけれども、先ほど見ていただいたように、現在約18本というふうになってございます。多様な商品の提示というのは、分散投資の促進や加入者の選好という意味では重要かもしれませんけれども、その一方で、個々の商品内容を吟味する、それによってより良い商品選択が行えるという意味では、商品選択肢を抑えるということも重要ではないかということでございます。

 そういう意味で、3つ目の「○」ですけれども、選択肢の過度な増加を防ぎつつ、その厳選を促すために、法令で運用商品提供数の上限を設定してはどうかという論点でございます。

 具体的なものは、例えば10本以下ですとか、現在の平均提供数18本を踏まえて、また考えていく必要があるのではないかということでございます。

46ページですけれども、今度は除外規定でございます。除外規定につきましても、運用商品の上限とあわせて、実効性のある運用商品除外規定にしてはどうかということでございます。

 平成19年の『被用者年金一元化法』を検討していく際に、47ページに、後でまたごらんいただきたいのですけれども、「労使の同意があれば除外できる」という規定を一度検討したことがございます。この際には、今持たれている、除外される商品を購入されている方の保護という観点で見送ったわけですけれども、46ページの「※」に書いていますように、除外される商品を購入している方の保護を図る観点から、一定の経過措置を設ける、あるいは、また後で出てまいります、何らかのデフォルト商品を設定していなければその除外ができない、あるいは除外について周知をする、といったことをあわせて検討した上で労使の同意があれば除外することができる、としてはどうかという論点でございます。

48ページから少し長くなっていますけれども、今度は「長期の年金運用として適切な運用方法」ということでございます。

49ページは、長期の運用における老後に向けて安定した年金資産形成を考えるためには、リスクの軽減、それから安定的なリターンとのバランスをとることが重要ということですので、まず分散投資というのがその重要な要素になるのではないかということでございます。

50ページは、長期投資においては分散投資が安定的なリターンを得るためには1つ重要になるということを図解しているものでございますし、51ページは、分散投資によりまして短期的な効果、すなわち市場変動の影響を軽減できる効果、それから長期的な時間分散の効果、すなわちライフステージに応じて望ましいリスク・リターン特性に応じた投資ができるといった効果を図解しているものでございます。

52ページですけれども、現状の運用資産選択の状況でございます。DC法上は資産を3種類以上組み合わせて分散投資を図ることを想定してございますけれども、実際の加入者の状況を見ますと、1資産の方が4割ほど、1資産・2資産の方で大体半分程度ということになってございます。

53ページに、「長期の年金運用という観点からの課題」を少し整理していますが、長期の年金運用としては資産分散、時間分散効果のある分散投資が望ましいとされてございます。その場合に、自ら選択をする者、それから選択がなかなか難しい方、それぞれについてより分散投資の選択を促すための改善を図る必要があるのではないかということでございます。

 自ら選択をされている方については、今、DC法上で少なくとも3つ以上の商品の提供が義務づけられています。その商品、3つ以上について、運用商品の内容が明確に法律で規定されてないこともありますので、見ていただいたような分散投資の状況は1資産、2資産の方が多いという状況にございます。ここが1つの課題ではないかと考えられます。

 また、実際に運用商品の選択がなかなか難しい方については、「あらかじめ定められた商品による運用方法」、すなわちデフォルトファンドというものを通知上できることにしてございますが、法律上規定はされていない。また、後から申しますように、その多くが元本保証型となっているということがございますので、そのあたりが課題になるのではないかと考えられます。

54ページですけれども、元本確保型商品と分散投資の収益の比較をしたものでございます。

55ページからは、自ら運用商品を選択する方への対応ということで、56ページで、法律上少なくとも3つ以上の運用商品の提供、それからそのうち1つ以上は元本確保型商品の提供ということが義務づけられています。ただ、その中で、3つ以上というのは、長期運用ではリスク・リターン特性の異なる3つの商品を組み合わせて分散投資を行うことが基本であるという趣旨から設けられたものでございます。1つ以上の元本確保型商品というのは、日本、我が国における預貯金の性向を考慮している、皆さんの特色を考慮して設定をされたものであって、我が国の独自の規定となってございます。

57ページですけれども、DCについては少なくとも3つ以上と書いてありますけれども、法律上の明文化はされていないということでございまして、58ページ、DBのほうの資産運用構成のバランスと、先ほど御説明したように、DCのほうは預貯金、保険などが多いという運用資産の構成が大分異なっているという図でございます。

59ページですけれども、運用商品を選択される方、3つ以上の運用商品の提供についての論点でございます。2つ目の「○」ですけれども、法律上3つ以上の運用商品の提供が業務づけられていますけれども、法律上は「3つ以上」と書いてあるだけですので、3つ目の「○」ですが、「少なくとも3つの運用商品の提供の義務づけ」となっているところを、この趣旨に沿う形でリスク・リターン特性の異なる3つ以上の運用商品の提供義務づけというように、性質の異なる複数の商品提供という趣旨を法律で明確化してはどうかという論点でございます。

 なお、リスク・リターン特性の異なる3つ以上の商品提供と法律に書いた場合には、元本確保型の提供義務づけは、重なる趣旨になりますので、規定は必要なくなるのではないかというふうな論点でございます。

60ページ以降は、なかなか運用商品の選択が難しい方に関する、いわゆるデフォルト商品に関します論点でございます。

61ページですけれども、デフォルト商品による運用方法はどうなっているかということでございます。DCの制度上は運営管理機関等が運用商品のラインナップを提示する。その中で加入者が選ぶということが原則となっています。ただ、実際には選択するのを忘れたという方や、選択に迷ってしまうという方もいらっしゃって、選択をしない方もいらっしゃるということですので、そういう意味で「あらかじめ定められた運用方法」、いわゆるデフォルト商品による運用方法を活用できることが通知で定められています。実際にこのデフォルト商品による運用方法を設定しているという企業が半数を超えている状況でございます。

62ページは、デフォルト商品に関します、私どもの年金局長の通知でございます。

63ページは、デフォルト商品を設定している企業のデフォルト商品の内容でございますけれども、預貯金が7割、生損保の商品が25%ほどということで、元本確保型商品をデフォルト商品としている企業がほとんどということでございます。

64ページ以降は、各国の状況ですが、64ページは、OECD諸国におけるデフォルト商品ということで、アメリカの401(k)、イギリスのNESTではデフォルト商品による運用方法の活用が普及されてございます。

 それは、行動経済学の教訓とともに、元本確保型商品が多いデフォルト商品に投資した場合には、なかなか期待したリターンが得られないという課題が浮上したこともございます。こうしたこともありまして、OECDでも、DC制度を設計する際にはデフォルトの設計というのが1つポイントになるという報告がございます。いわゆるOECDのDCロードマップにそうしたことが書かれてございます。

65ページでは、そうしたデフォルト商品の運用の普及の背景についてまとめてございますし、66ページは今ご紹介しました、OECDのDCロードマップにおける投資方針について書かれたものでございます。

 「1」、「2」と書いていますけれども、「1」では、適切なデフォルト投資方針の確立といったことが書かれておりますし、「2」では、長期の年金運用に資するということで、ライフサイクル型の投資方針をデフォルトとすることを検討すべきということが書かれてございます。

67ページは、OECD諸国、ほかの国のDC制度におけるデフォルト商品の設定方法に関する資料です。大きく「1」と「2」に分けてございまして、「1」のほうは、デフォルト商品の設定に関して法令の規定など、何か政府が関与しているかどうか。「2」については、実際にデフォルト商品の内容について何か決めているかということでございます。

 ごらんいただいてわかりますように、まず「1」のほうのデフォルト商品に関する法令の規定ないし政府の関与ですけれども、多くの国では政府や関係機関の関与、あるいは法令での規定というのがある一方で、我が国では事業主の任意とされてございます。

 「2」のデフォルト商品の内容ですけれども、また後から御説明しますように、ライフサイクル型のファンドということが多くの国で採用されてございますけれども、我が国は事業主の任意とされてございまして、先ほど見ていただきましたように、元本確保型の商品が多くの企業でデフォルトに設定されているということでございます。

68ページはイギリスのNESTにおける運用商品でございます。イギリスのNESTでは、下の表に書いてありますように、運用商品は、先ほど提供数のところで見ていただいたように、6つというふうにされてございます。そのうちライフサイクル型のファンドであります、リタイアメントデートファンドがデフォルトファンドというふうに設定をされてございまして、9割以上の加入者がこのライフサイクル型のファンドを選択している状況にございます。

69ページは、ライフサイクル型のファンドの概念図を書いてございますが、DCに加入してから退職するまでのライフサイクルを主に3つに分けまして、その場面ごとに運用商品のリスクを変化させることによりまして、長期的な収入・収益の確保ということを目指しているものでございます。

 まず、加入当初、若い時期、当初数年間におきましては「基礎フェーズ」と位置づけられていまして、基本的には資産価値の暴落のリスクを極力回避するということでございます。少しなれてきたころには、「成長フェーズ」というふうに位置づけられていまして、当然資産価値の暴落のリスクは回避しながら、十分なリスクをとりつつ老後資産の最大化を図るような、少し積極的な運用ということでございます。また退職が近くなってまいりますと、ここのところは基本的には資産価格の暴落リスクを回避して、基本的には安定的な運営をするといったようなこととしてございます。

 こうしたライフサイクル型の投資方針につきましては、OECDでもこうした投資方針の有効性というものが書かれた資料が70ページに掲げてございます。

71ページは、「デフォルト商品による運用方法の重要性」ということで、加入者の投資選択のための環境整備として、デフォルト商品による設計というのは重要ではないか。事業主としてデフォルト商品を通じて期待される水準を満たさない可能性が高い安全資産ばかりに誘導するということは、リスクの高すぎる投資に誘導すると同じぐらい将来に対してはリスクを伴うものではないか、という指摘も71ページの資料にございます。

72ページは、401(k)におけるデフォルト商品の規定でございます。エリサ法では、事業主の責任としまして、加入者自身が口座資産に対するコントロールを有する場合については、事業主のほうの受託者はその運用結果について責任を負わないというふうにされてございます。コントロールを有する場合を担保するために、運用商品を3本以上提示する、あるいは四半期に1回、口座資産の運用指図を行える。あるいは十分な情報提供、投資教育を実施するというようなことが定められています。

 その一方で、2006年の年金保護法におきましては、「適格デフォルト商品」に係る規定が整備をされてございます。アメリカの労働省規則で定めます要件に該当する「適格デフォルト商品(QDIA)」をデフォルト商品として事業主が設定した場合には、これはコントロール行使があったとして、運用結果の責任を事業主が負わないこととされてございます。

73ページは、その適格デフォルト商品の内容でございます。ここでも米国労働省によりましてその要件が定められておりまして、基本的には先ほどご紹介したような、ライフサイクル型ファンドを中心としました分散投資効果が期待できる商品が設定をされてございます。

 なお、2つ目の「・」で書いていますが、元本維持商品についてデフォルト商品として設定するのは適切ではないとされまして、加入後の最初の120日間についてのみ適格デフォルト商品として元本維持商品は適合するというふうにされてございます。

74ページは、アメリカにおきます商品選択状況で、株式ファンドやバランス型ファンドというものが中心になってございます。

75ページからは、運用商品選択をなかなか難しい方への論点でございます。

75ページ、1つ目ですけれども、見ていただきましたように、デフォルト商品による運用につきましては通知で行われているということでございますので、デフォルト商品については、事業主の責務の明確化、加入者保護といった観点から、法律等、法令に明記すべきではないかという論点でございます。2つ目は、デフォルト商品の内容でございますけれども、76ページの1つ目は、まず分散投資が基本であるということ。そういう意味ではOECDのDCロードマップでも適切なDCの投資方針の構築、ライフサイクル型をデフォルトとすることを検討すべきということがされてございます。

一方で、元本確保型商品を自分で意識的に選択されている方もいらっしゃるということでございます。そういう意味で元本確保型商品を自ら望む方については、その選択を可能としながら、より年金運用として適切なものをデフォルト商品と設定していってはどうかということでございます。

77ページに書いていますのは、最初のほうで御説明したように、公的年金の給付調整が見込まれる中で、DCの役割が高まりつつあるということで、一定程度の給付額の確保が必要ではないかということでございます。また2つ目の「○」でも、最初のほうで説明したとおり、将来の物価上昇が見込まれていますので、その物価上層に対応できる程度の運用利回りを得ることは必要ではないかということでございます。3つ目の「○」で書いていますのは、デフォルトで長期の年金運用を行っていくことも可能性として考えられるわけでございますけれども、現状ではその多くが元本確保型商品ということになっていますので、現行の元本確保型のデフォルト商品で運用した場合には、物価上昇になかなか対応ができずに、将来の年金給付として、想定よりも給付水準が低くなってしまう可能性があるということでございます。

 こうしたことを踏まえて78ページでございますが、OECDのDCロードマップも参考にしながら、またデフォルト商品規定を、先ほど1つ目の論点で法令化するということとあわせまして、当然自ら元本確保型商品を選択される方は、それは選択できるようにするとともに、以下のような規定の整備を検討してはどうかということでございます。

 まず1つ目としましては、事業主に対してリスク・リターン特性の異なる分散投資効果が見込まれる商品をデフォルトとして設定するよう、法令上の努力業務としてはどうかということでございます。分散投資効果が見込まれる商品としましては、複数の資産の組み合わせによりましてリスクが分散されて、資産分散効果、時間分散効果が得られる運用方法が想定できるかと思います。

 2つ目としましては、その運用方法について、下位法令で一定の基準を示すことを検討してはどうかということでございます。具体的な基準については、また後ほどこの部会でも内容を検討していくことを想定してございます。

 3つ目の「・」でございますけれども、元本確保型商品を設定する場合には、アメリカの例でもございますように、加入から一定期間、具体的には1年ですとか、ここも検討する必要があると思いますが、一定期間に限ることとしてはどうかということでございます。

 長くなりましたが、資料1の説明は以上でございます。

 

○山崎部会長

 ありがとうございました。本日の議題につきましては、議論すべき論点が大変多くなっておりますので、最初に、運用商品を選択しやすい環境の整備について委員の皆様から御意見をいただき、その後、後半で、長期の年金運用として適切な運用方法の促進について扱いたいと思います。

 それでは、資料1の20ページから47ページまでが該当しますけれども、「運用商品を選択しやすい環境の整備について」、御意見等がありましたらいただきたいと思います。高崎委員。

 

○高崎委員

 御説明いただき、ありがとうございました。

 加入者が選択しやすい環境をどう整備していくかというのは、今まで議論をしてきた、制度が複数あってわかりにくいとか、使いにくいといったことを整備していく中で、次のステップとして、現状でも大事なのですけれども、いい制度をつくってその上でさらに使っていただくという観点でとても重要だと思っております。

 大きく2つあると思うのですけれども、現状、提供されている商品数が多いのでわかりにくいと。私自身もDC加入していますけれども、会社のメーンのビジネスが証券ビジネスということもあるのですけれども、その私ですら、いざ選ぼうと思うと商品がたくさん並んでいて、特性が書いてはあるのですけれども、結局のところ似たようなものがたくさんあってよくわからなくなってしまう。仕事柄、投資教育とか、長期の資産運用、分散投資というものの重要性を理解はしているつもりなので、それでもあえて選ぼうとはするのですけれども、今まで投資をしたことがない方ですと、「さて、どうしよう」でとまってしまうと思います。そういう観点からは、個人の資産全体の投資という話ではなくて、あくまでも年金に係る投資ですので、ここはグッと選択肢を絞ってわかりやすくするというのは、利用を促進する上で非常にいいことかと思っています。数を絞るということからは、リスク・リターンが異なるものを、特徴の際立ったものをある程度用意するということで、より明確になるかと思っています。

 あと投資、商品選択をする上で、分散効果の効果ですとか資産運用の重要性というのを理解していただくというのがどうしてもあると思うのですけれども。25ページに、投資教育の具体的な内容の部分抜粋で、具体的な投資教育の内容が「1」から「4」というふうにあると思うのですが。まず私個人で考えているのは、社会人になって「あなたはDCに加入するんですよ」と言われたり、自分で加入したりする時点から、初めてこういったことについて勉強するというよりは、これは日本全体の話なのですけれども、学校教育の中でやはり小さいうちから、自分が将来生活をして、独立して、自立して生活をしていく上でどういうものが重要なのか、その一環として資産運用というものの重要性というのを繰り返し学んでいく機会があったほうが、社会人になってから「あれもこれも自分で考えなさい」と言われるよりはわかりやすいのではないかと思いますし、あるいは、例えば我々世代でそういう教育を受けてなかったとしても、お子さんがもし学校で習ってきて、例えば宿題で「自分の家の年金の状況を聞いていらっしゃい」と言われたとしたら、親としても説明をしていくというふうにして、意識がそちらのほうに向かいますので、そういった取り組みというのは、厚生労働省さんだけではできないかもしれませんけれども、ほかの省庁と連携をとってやっていただけると大変いいかなと思います。

 あと、お役所の方が考えるときに、どうしても理屈から考えてしまうと思うのですが、例えば25ページの「1」から「4」の並び順なのですが、確かにDCについて説明をしようと思うと、「DCについて」というところから入ってしまうと思うのですけれども、話を聞く側、学ぶ側からすると、まず「何でこんなことを学ばないといけないんだろう、やらないといけないんだろう」という意味では、「4」が非常に大事かなと思っていまして、そこで4番として、自分の生活設計をしていく中でのあり方、重要性というのを腹落ちした後で初めて、ではどうやって自分の資産を運用していけばいいのか。その中で、自分はこのDCというものにかかわっていくのであればどうやっていくのか、そういう順序も工夫して、自分のこととして一人ひとりが捉えられるように工夫をしていっていただけるといいと思います。以上です。

 

○山崎部会長

 同じような、関連するご意見等はございますか。井戸委員、お願いします。

 

○井戸委員

 わかりやすい資料をつくっていただいて、ありがとうございます。私は運営機関のほうから、そういう教育のとか、以前はいただいたことがあるのですけれども。運営管理機関さんはすごく工夫されていて、今、高崎委員がおっしゃったように、4番が一番大事なのです。そうするとそういうパンフレットも実は4番からちゃんとつくってあるところが多いと思います。

 それから、余り資産額の通知の閲覧とか見ないというデータがあったかと思うのですが、例えば33ページのところですが、通知内容のところ、これは多分どなたがごらんになっても、よくレポートの見方がわからないと思うのですね。でも、ある運営管理機関さんだと、すごくおもしろかったのが、偏差値になっていて、開始以来から、今、年利何%で回っているのだとか、同じ会社の中で、自分が、学校の成績みたいなのですけれども、どの分布に行っているのかみたいなものをつくっていらっしゃる方がいらっしゃるのですね。厚生労働省さんのほうから、こういうのがあるととても理解しやすいというようなモデルケースをつくっていただくとか、いいところをどんどん発表していただくとか、そういうような工夫も必要かと思います。

 あと1点だけなんですけれども、スイッチングが少ないと出ていたと思うのですけれども、スイッチングするのに10日もかかるのですね。あと資産を移管するにも1カ月かかりますし、11日過ぎると2カ月かかってしまうので、もう動かすタイミングの時期をかなり逃してしまうのです。なので、そちらもあわせて御検討いただければとてもありがたいと思います。ありがとうございます。

 

○山崎部会長

 ほかに、山本委員。

 

○高崎委員

 御説明いただき、ありがとうございました。

 加入者が選択しやすい環境をどう整備していくかというのは、今まで議論をしてきた、制度が複数あってわかりにくいとか、使いにくいといったことを整備していく中で、次のステップとして、現状でも大事なのですけれども、いい制度をつくってその上でさらに使っていただくという観点でとても重要だと思っております。

 大きく2つあると思うのですけれども、現状、提供されている商品数が多いのでわかりにくいと。私自身もDC加入していますけれども、会社のメーンのビジネスが証券ビジネスということもあるのですけれども、その私ですら、いざ選ぼうと思うと商品がたくさん並んでいて、特性が書いてはあるのですけれども、結局のところ似たようなものがたくさんあってよくわからなくなってしまう。仕事柄、投資教育とか、長期の資産運用、分散投資というものの重要性を理解はしているつもりなので、それでもあえて選ぼうとはするのですけれども、今まで投資をしたことがない方ですと、「さて、どうしよう」でとまってしまうと思います。そういう観点からは、個人の資産全体の投資という話ではなくて、あくまでも年金に係る投資ですので、ここはグッと選択肢を絞ってわかりやすくするというのは、利用を促進する上で非常にいいことかと思っています。数を絞るということからは、リスク・リターンが異なるものを、特徴の際立ったものをある程度用意するということで、より明確になるかと思っています。

 あと投資、商品選択をする上で、分散効果の効果ですとか資産運用の重要性というのを理解していただくというのがどうしてもあると思うのですけれども。25ページに、投資教育の具体的な内容の部分抜粋で、具体的な投資教育の内容が「1」から「4」というふうにあると思うのですが。まず私個人で考えているのは、社会人になって「あなたはDCに加入するんですよ」と言われたり、自分で加入したりする時点から、初めてこういったことについて勉強するというよりは、これは日本全体の話なのですけれども、学校教育の中でやはり小さいうちから、自分が将来生活をして、独立して、自立して生活をしていく上でどういうものが重要なのか、その一環として資産運用というものの重要性というのを繰り返し学んでいく機会があったほうが、社会人になってから「あれもこれも自分で考えなさい」と言われるよりはわかりやすいのではないかと思いますし、あるいは、例えば我々世代でそういう教育を受けてなかったとしても、お子さんがもし学校で習ってきて、例えば宿題で「自分の家の年金の状況を聞いていらっしゃい」と言われたとしたら、親としても説明をしていくというふうにして、意識がそちらのほうに向かいますので、そういった取り組みというのは、厚生労働省さんだけではできないかもしれませんけれども、ほかの省庁と連携をとってやっていただけると大変いいかなと思います。

 あと、お役所の方が考えるときに、どうしても理屈から考えてしまうと思うのですが、例えば25ページの「1」から「4」の並び順なのですが、確かにDCについて説明をしようと思うと、「DCについて」というところから入ってしまうと思うのですけれども、話を聞く側、学ぶ側からすると、まず「何でこんなことを学ばないといけないんだろう、やらないといけないんだろう」という意味では、「4」が非常に大事かなと思っていまして、そこで4番として、自分の生活設計をしていく中でのあり方、重要性というのを腹落ちした後で初めて、ではどうやって自分の資産を運用していけばいいのか。その中で、自分はこのDCというものにかかわっていくのであればどうやっていくのか、そういう順序も工夫して、自分のこととして一人ひとりが捉えられるように工夫をしていっていただけるといいと思います。以上です。

 

○山崎部会長

 事務局のほうから。

 

○内山課長

 いろいろな御意見をありがとうございました。例えば、特に25ページの順番の御指摘などは、私どもですとやはりどうしても制度から入ってしまうので、今の御指摘まことにもっともだと思います。例えば、今、論点の中でも、継続投資教育などに対する基準などを、ということがありますので、一たんこの投資教育に関する内容面ですとか、そうした通知のところを全体的に見直す必要があるかという気もいたしましたので、今の御指摘も踏まえて、継続教育の基準も含めて、現行あるこうした順番も含めて、少しこの先検討させていただきたいと思います。

 また、社会人になってからということではなくて、学校教育からという御指摘もありましたので、そのあたりはまた関係省庁とも今後少し相談をさせていただければと思っています。

 また、先ほど井戸委員から偏差値のケースを御紹介いただきましたけれども、確かにグッドプラクティスといいますか、そういうものをどこかで蓄積して、それを皆さんに紹介していって、それを可能であれば採用していただくというような試みというのは非常に大切だと思いますので、ここのところもどういうグッドプラクティスがあって、どういう取り組みがあってというような収集ですとか、それをまた皆様にお伝えしていくような工夫というものを少し考えてみたいと思っています。

 あとスイッチングなどに時間がかかるというお話もございました。ここのところも私どもは余りこれまで意識をしてこなかったところでありますけれども、やはりスイッチングでは、例えば5日ですとか1週間とかかかるというお話も伺ってございます。当然、これは老後に向けての長期投資ですので、例えばその日のうちの資産運用状況ですごく変わるかというところはあるかと思いますが、さはさりながら、実際にそれだけ本当にかかるのか、時間がかかるのかというところももう一度検証させていただいて、短くできるところがあれば、そこは少し検討させていただきたいと思っています。

 また論点の中でも少し書いてございますけれども、実際に投資教育をしていく、充実させていくという方向性の場合には、それにかかります事業主の方のコストですとか、労力とかということも課題になるかと思ってございます。近年は、例えば一定割合ですけれどもeラーニングなども、大分効果のある手法をほかの分野では開発されたりしていますので、例えば共通プラットフォームのようなもの、中小企業の皆様も、なかなか集めて講義をされるというのは難しいと思いますので、そうしたような手段、例えばプラットフォームみたいなものができるかどうか、そうしたものを関係の団体、これは企業年金連合会さんになるのか、わかりませんけれども、そうしたところも含めて少し教育について何かツール、共通プラットフォームのようなものができないか、そういう工夫も検討させていただければというふうに思います。

 

○山崎部会長

 半沢委員。

 

○半沢委員

 投資教育について、今、いろいろ議論をされているところだとは思います。34ページにある、「継続投資教育について、導入時投資教育と同様に事業主の『努力業務』としてはどうか」というような御提案については賛成です。定期的に、例えば年に1回実施するとか、資産の通知に合わせて案内するとか、いろいろな工夫が考えられるのではないかと思っています。

 近年、DCの比率が高い企業が幾つか見られるわけですけれども、こういったところにおいて、若年層の皆さんが元本確保型商品の選択が多いという、労組役員の悩みなども聞くところです。若年層の皆さんであると、これから長い間年金を運用していかなくてはならないので、そのままになってしまうのは非常に問題が多い。本人が選択したのであればそれでもいいのでしょうけれど、先ほどのアンケートなども拝見して、仕組みを十分に理解せずにそのままになっているというようなことがあれば、やはり問題ですので、定期的に継続投資教育を行うことは重要だと思っております。

 また、資料で、9ページのところに、「想定利回りに関する認知度」というのが書かれていまして、非常に認知度が低いところが、まずは1つ問題があるのではないかと思っています。

13ページに、「DCの運用利回り分布」ということで、「半数以上が2%以下」とあります。ここに導入企業の平均想定利回りは2.04%という調査結果も示していただいているのですが、これは平均なので、多分導入企業の想定利回りにも幅があるのだろうと思います。私も幾つかの企業を見ている中で、このバラツキも感じています。この想定利回りについては、環境によって変わってくる部分もあるのではないかと考えておりまして、ある程度高い利回りを設定して、長い間そのリスクを加入者が負ってしまうということも懸念するところであります。したがいまして、定期的に、想定利回りであるとか、制度全体について労使協議を開催して、必要に応じて見直すであるとか、そういったものを通じることが労働者への情報提供の機会にもなると思いますし、それに合わせて情報提供をさらに徹底していくべきなのではないかと、この資料を見て感じたところでございます。

 あと、少し細かいところなのですが、DCの場合、資産額の通知をいただくのですけれども、通知に対して関心が低いというような話も伺いました。例えば自宅に手紙が届くのですけれども、その場合、記録管理機関の名前であったりしますと、「何かのお誘いなのかな」というような感じで開けないような場合もあると、過去にはそのような例も聞いたことがあります。したがいまして、ここに例えば企業名を入れていくとか、厚生労働省の名前を入れるとか、確定拠出年金ということを明確に書くであるとか、小さいことですが、いろんな工夫ができるのだろうと思います。また、勤務先からきちんとこういうものだという説明をつけて渡すとか、こういう小さい工夫もベストプラクティスということで御紹介いただく中で考えてもいいのではないかと思っておりました。以上です。

 

○山崎部会長

白波瀬委員、どうぞ。

 

○白波瀬委員

 ありがとうございます。最初に山本委員からありましたけれど、投資という考え方自体、特に日本人の中ではすごく、世代差もあるところもあるのですけれども、かなり限定的なイメージがずっと根強いというところがあります。特に今回は老後の年金の投資という、ある意味では限定的な場面を中心に議論が展開されているのですけれども、そういう意味では、学校とかという話もあったのですけれども、長期にわたって足元から広げて行くような手厚い対応が必要かと思うのです。教育という点で、共通プラットフォームということを今おっしゃったのですけれども、これぜひお考えいただきたい。特に中小さんのように、人的にもそんなに余裕がないところできめ細かい教育というのを企業の側だけにお願いするというのは物理的に難しいところもありますので、そういう意味ではワンストップ型で共同利用できるようなプラットフォームができますと、継続的な教育も現実的に可能になってくるのではないかと思います。そこの中にはカウンセラーというか、専門職の方もちゃんと従事していただけるようにして、共通のプラットフォームができるといいと思いました。

 あと1点、継続型の教育ということなのですけれども、これはまた中身が非常にバラバラだと思います。データでも、最初はみんな100%やるといっていますが、その後ばらつきが目立ちます。イントロダクションというのは比較的何を教えたらいいのかというのは大体わかるのですけれども、それからあとの内容については理解度も要求もどんどん多様化していく中で、設計することが難しくなります。継続教育の中身自体もある程度1、2、3みたいな、大きな枠組みで段階を設定して組み立てていくと、継続教育の中身自体も少し見えやすくなってくるのではないかと考えました。

以上です。

 

○山崎部会長

 臼杵委員。

 

○臼杵委員

 1点だけ、皆さんとほとんど意見は同じなのですけれども、今、白波瀬委員もおっしゃったように、私も中小企業の投資教育が非常に大事だというところで1点だけつけ加えさせていただきます。共通プラットフォームをつくるというところとも関連するのですけれども、中小企業の場合は、投資教育の負担を減らし、共通プラットフォームをつくる方法として、商品数を思い切って減らすということが1つの方法ではないか。例えば後半ともそれは関連しますけれども、元本確保型といわゆるライフサイクルファンド、その2つだけでもいいのではないかと思ってもいます。その元本確保とライフサイクルについて共通プラットフォームで説明をするというようなことをしていけば、相当投資教育の負担も下がるし、なおかつ実効性も上がるのではないか。何回か前に簡易型DCというお話もあったかと思うのですが、その簡易型DCでは、例えばその2つにしてしまうというようなことを考えていってもいいのでないかと思いました。以上です。

 

○山崎部会長

 事務局から。

 

○内山課長

 さまざまな意見、ありがとうございました。

 まず継続教育について回数というお話もございました。継続教育の内容をこれからさらに実効性があるようにしていかなければいけないと思ってございます。先ほどグッドプラクティスというお話をしましたが、私どもがお聞きしている範囲では、例えば資産額通知に合わせて継続教育の機会を設けているような会社もあると伺っています。そういう意味では、これから継続教育の基準なりを決めていく際には、そうした回数やタイミングも含めて少し検討させていただければと思ってございます。

 次に、半沢委員から想定利回りについてのお話がございまして、具体的なデータをきょう資料では出してございませんけれども、申し上げますと、そもそも9ページ、10ページで御説明しましたように、想定利回り自体は10ページで御説明しましたように、DB型の予定利率とは異なりまして、必ず設定しなければいけないものではございません。そういう意味で、現在、平均を出した調査の中で、想定利回りを設定していないというDCがおおむね4分の1、25%ほどございます。残りの75%について、想定利回りの分布状況ですけれども、現状では1%以下で設定しているところがおおむね10%強、1%から2%で設定しているところが50%ほど、2%から3%で設定しているところが40%弱ということでございます。3%以上で設定しているところが2%ほどございます。そうした分布状況になってございます。

 これも「知らない」というデータもございますので、例えば投資教育の中で、導入時、継続時も含めて想定利回りを設定している場合には、それも投資教育の中で扱うことも含めてさらに少し検討が必要かと思ってございますし、労使の関与ということでございますが、基本的には労使の関与については、次回以降またガバナンスの改革で少し御議論していただきたいと思いますが、労使の関与のあり方につきましては、ガバナンス改革での議論も踏まえて少し検討させていただきたいというふうに思っています。

 次に資産額通知に関する御指摘もございまして。現状、少し聞いてみたところ、資産額通知、自宅に来る場合と会社を通じて加入者に届く場合とございます。現状、聞いてみたところは、自宅に来る場合と会社を通じて配る場合と大体半々ぐらいになっているというふうに聞いてございます。御指摘いただきましたように、自宅に来る場合は、おおむねレコードキーピングの会社の名前で来るわけですけれども、勤められている企業の名前を併記できないか。これは個人情報の問題等もあるかと思いますが、そうしたことや、あるいは厚生労働省の名前、「年金定期便」とか入っていると思いますので、そういうことも踏まえて、できないか。少し通知に関する工夫も内容面も含めて考えていくべきかと思ってございます。

 また継続教育について、多様化といいますかいろいろな方がいらっしゃるというお話がございました。これは、私どもが今聞いております事例の中では、ある会社では、習熟度別に選択をして選べるようなセミナーを設定しているようなところもございます。そうしたような事例も聞いていますので、またそのコストや手間との関係もございますけれども、少なくともそうしたいい事例、グッドプラクティスの事例も集めながら、どういうふうに効果的な教育ができるかといったところをさらに検討させていただければと思ってございます。

 

○山崎部会長

 鈴木委員。

 

○鈴木委員

 きょうのこのテーマについては、私は基本的には労使でお決めになったらいいということがほとんどだと思っています、まず大前提として。そういう中で、先ほどから出ています、例えば商品が多いと選択が難しい。確かにそれはそういうことはあると思うのですけれども。それだから法律として、制度として上限を決めるべきかというと、それはちょっと違うのではないか。それは、個々にそういうふうに思われる企業の労使が少なくしたいのであればそう決めればいいということではないかと思うのですね。

 きょうのテーマ全般に、どうも投資教育の行き届いていない、知識のない従業員の方について、どう合理的な運用をさせるかということが1つのメーンストリームになっていて、そのことによって、それを実現するためにどうするかという方法で検討されていると思うのですけれども、しかし実際のDCの加入者の中にはきちんと理解をして、運用商品も広い運用商品の中から選びたいという人も現実にいるわけですね。そういうきちんと勉強をしている人の行動が、余り勉強もしてない人の合理的な選択のために狭められるというのは、それは本末転倒ではないかと思うわけです。ですからそこは個々の労使が決めればいいということではなかろうか。数が多くて、余り知識のない人は選択できないというのであれば、それは見せ方の問題でかなりの部分が解決するわけで、例えば20本の商品をベタッと並べるとそれは選択しにくいかもしれませが、初心者向けの商品はこれですと、それは3本でも5本でもいいのですけれども、あとはお好きな人が選んでくださいというふうな見せ方をすれば、解決するのではないかと思います。

したがって商品を、この人たち、きょうのメーンテーマの人たちの、要するに知識のない人たちが選びやすくする、合理的に選択させるという1点だけ数を制限するというのはいかがなものかということです。

 もう一つの除外の話は賛成です。これは、このことによって本当にどう合理的に考えても除外したほうがいいような商品が残っている。典型的にはパッシブの、インデックス型の商品で手数料が下がったと。手数料が下がったのに、昔、高い手数料の商品を買っている人が一人でもいたら除外できないというのは、これはどう考えてもナンセンスだと思うので、これについては賛成です。

 以上です。

 

○内山課長

 今、労使で、例えば運用商品の本数について労使で決めればという御意見もありましたけれども、この資料では、現状労使などで決めている場合には、なかなか選択できないほど増えているというような問題意識がございます。そういう意味で、仮に商品提供数が多くて選べないという方に対しては現状の労使で決めるという方向性のほかに、例えば法律で決めるということを考えてみてはどうかという論点ですので、まさに法律などで決めるのか、現状のままでいいかというのは、またこの場で皆さんの御意見を十分にお聞きしながら方向性を決めていただければと思っています。

先ほど御説明したように、あと一体何本に絞るかというのも恐らく論点としてございまして、事務局的には、例えば10本ですとか、現行の18本というのを提案させていただいたわけですけれども、確かに知識が豊富な方が選ぶときに選択肢が多いほうがいいのかもしれませんが、高崎委員の御発言にもありましたように、本当に選べるかどうか、逆に10本なり18本の設定では足りないのかどうか、そういうあたりも具体的な本数自体は、この法律なりを改正して施行段階ということになるかもしれませんが、その段階で御議論していただく必要があるのかというふうに思ってございます。

 

○山崎部会長

臼杵委員。

 

○臼杵委員

私も鈴木委員のおっしゃることもある程度はわかるのですけれども、ただ、制度であれば最大公約数的なところをとらざるを得ないところもあって、DCが最初普及してきた頃に、僕はどうしてもロシア株のファンドが欲しいのだとか、ブラジル株のファンドが欲しいのだとかという人も中にいて、そういうのに答えるのに大変だとかという話も聞いたこともあるのですけれども、それは別にDC以外のところでやってもらえればいいのではないかというのが私の考えです。その辺はおっしゃるように制度の説明や見せ方である程度修正できるところもあるのかもしれませんけれども、トレードオフというか、全員のニーズに応えないといけないのか、それともは最大公約数的なところでいくのかというところが、ポイントで、私は今、最大公約数的なところでもいいのではないかと思っています。

あと、中小企業については、先ほどの繰り返しになりますけれども、制度が難しいと加入者も選択できないし、恐らく事業主も制度を採択するのに躊躇してしまうという意味で、普及させるという意味でも、思い切って商品本数を減らしてもいいのだと、あるいは本数減らしたほうがいいのだというぐらいのメッセージを出していってもいいのかなと思っています。以上です。

 

○山崎部会長

 鈴木委員。

 

○鈴木委員

同じことを多分言っていると思います。今の臼杵委員のお話は私も全く同じ経験があります。私もDCの仕事をしていたとき、企業の方にそういういろいろニッチな運用のことをいう従業員がいるのだと、それはDCではなくて自分の金でやってくれと言っているのだと言って入れないという話は幾らでも聞きました。それはそれで正しいのです。そのこと自体が、だから、それは労使で決めているのでしょうということです。そんなことをDC制度ですべきだと言っているのではなくて、それは正しい選択をされましたね、ということではないかと思います。中小企業で絞ったプランをつくりたいと、それもよくわかりますし、全く反対はしません。

 

○山崎部会長

 小林委員。

 

○小林委員

 商品数の上限設定について、10本という商品数は、現場の実感として、少なくとも弊社のプランからすると少ないと思います。先ほど来、議論に出ているように、プランの大きさによっても加入者の特性や多様性の度合いは異なりますので、余り強い制約を設けてほしくないというのが正直な意見です。鈴木委員がおっしゃったように、商品の選択肢も含めて労使で決めればよいことかと思います。

あわせて、商品数の上限について一定の考え方を示すのであれば、商品除外の要件緩和を一体で進めていただかないと運営に支障が生じると思います。実際に制度を運営する中で、個別の商品を見ていくと、除外を検討したい商品も存在します。ただ、現時点では加入者全員の同意が必要であることを考えると、何万人という規模の同意を取得することは現実的ではありません。そういう中で、新しい商品を追加すると、商品数は増える一方になってしまうため、新商品の追加に対しても慎重にならざるを得ないというジレンマも生じています。商品除外の要件緩和は、他の課題に先行して検討していただきたいと思います。

もう一点、少し話を戻して恐縮なのですが、投資教育について、特に継続教育は、導入教育と比べると事業主にかかる負担も相当大きいのではないかと思います。教育の内容や、対象者をどう捉えるべきかといった企画立案段階も含めて、いろいろ検討すべきことも多く、難易度は高いと思います。きめ細かく実効性のある教育を実施しようとするほど、相応の負担が生じますので、その点については慎重に考えていただきたいと思います。また、実際に継続教育をきめ細かく実施しようとしたときに、事業主が保有する情報だけではなかなかうまく運営できないところがあると思います。具体的には、教育のニーズの把握のため加入者個人の運用状況を分析しようとすると、運営管理機関さんからの情報提供が不可欠であるため、運営管理機関さんの協力も欠かせないと思います。

そうした中で、基準等を明確にすることはいいと思いますが、基準が具体的にどういった位置づけなのか、どういうレベル感のものなのかというところは明確にしていただきたいと考えています。

以上です。

 

○山崎部会長

平川委員。

 

○平川委員

 ありがとうございます。今の議論の方向性であるとか、提案された内容の方向性については基本的には理解できると考えているところであります。ただ、この間、私からDCの構造的な問題について指摘させていただきましたけれども、なかなかすべて払拭するのは厳しいのではないかということは1つ押さえておく必要があるのではないかと思っているところです。

そのような中で、投資教育も含めて、どういうふうに担保していくかというのは、先ほど言われたように、特に中小企業においては負担感が強いということがありますので、それをどうやって払拭していくのかというのが重要なポイントかと思います。ただ、この企業年金部会におきましては、そういう個々の努力であるとか、好事例を紹介し推進していくのは重要ですけれども、それ以上に制度的に投資教育の実施について、どうやって制度的に担保していくのかという面も重要ではないかと思います。

そのような意味で、先ほどから出ています運用商品除外規定の中にも労使の同意があれば除外できるというふうなことについて課題として出されておりますけれども、ガバナンスにかかわることでありますけれども、重要事項であるとか、今、言った除外できるということに関しても、それをどの場で審議・決定していくのか。労使の合意もそうですし、従業員の声をどうやって反映させていくのか、そういう仕組みをどうやってつくっていくのかというのが重要ではないかと思います。

DC はどうしてもDBに比べれば、個人の責任という面が強調されるわけでありますけれども、これは労使もそうですけれども、事業主としても結果責任みたいなものも一定程度出てくるようなことが必要ではないかと思います。

そのような意味で、先ほど言いました一定規模以上の企業においては、DCの運用に関しても、運用状況について審議できるような機構みたいなのを一定程度検討していくのも必要ではないかと考えているところであります。以上です。

 

○山崎部会長

 山本委員。

 

○山本委員

 1つは、想定利回りは、50%以上の企業が2%以下なんですね。しかし、各御担当の方に想定利回りを聞いたときに、2%未満で50%をシェアしてしまうということだとすれば、おそらく、これまでのデフレ経済の中にいた方々の価値観というのがいまだに支配しているかもしれません。将来2%の物価上昇率をある程度想定した場合の運用利回りは、それを超える必要性があること、資産が目減りしていくということが理解されてないような気もします。なぜ、担当者がそれだけ想定利回りを低く描いてしまっているのかということが、少し疑問に思いましたので、質問です。それから、メニューの選択肢の問題ですけれども、貴重な御意見をいろいろ伺いまして、幅広い選択肢がある程度あってもいいのではないかと思います。ただ、その中でそれぞれの企業にとってのお勧めのメニューを幾つか選び、これが私どもの企業の推奨メニューです、といったことにして、その他の中にはテイストの違う商品を、好きに選べるように残しながら、わからない方については、お勧めメニューではどうかという方法もあるのではないかと御提案申し上げます。

 

○山崎部会長

 事務局から。

 

○内山課長

 今までいただいた御意見について幾つかコメントをさせていただきます。

まず運用商品除外規定と商品提供者の上限のあり方、関係についてセットでというお話がございましたが、私どもも事務局的には46ページに書かせていただいていますように、基本的には除外規定と商品提供者の上限についてはセットで設定をしていただくということを想定してございます。

本数につきましては、45ページで書かせていただきましたように、本当に10本がいいのかどうか、どのような水準がいいのかについては、さらにまた後の機会に御議論をいただければと思ってございます。

あと、継続教育につきましては、継続教育になりますと、それぞれの加入者の方の運用状況も大分変わってくるということもございますし、知識量なども変わってくることがございますので、御指摘のとおり、これも個人情報との関係ございますけれども、管理機関との関係などについても少し整理・検討させていただければと思ってございます。また、継続教育含めて投資教育に関するレベル感と申しますか、そういうお話と、また運用の結果責任のお話もございました。我が国におきましては、基本的には運用というのはそれぞれの加入者がやっていただく。そういう意味で事業主には、いわゆる投資教育に関します努力義務なり配慮義務なりが課されているということですので、結果責任、それぞれの加入者の運用の結果について、事業主が今責任を負うということはない状況にございます。

実際の投資教育の内容に関しましては、今、法令で努力義務、配慮義務が課されているとともに、先ほど見ていただいたような年金局長通知で、いわばガイドライン的なものが示されている状況でございますので、現在のところ、こうした枠組みで考えていきたいと思っています。

 

○山崎部会長

 山本委員、何か。

 

○山本委員

想定利回りが2%以下で担当者が考えていらっしゃるということの質問についてはどうか。

 

○内山課長

 想定利回りは、まだ私どものほうも現状の設定だけ把握している状況ですので、また、山本委員の御指摘も踏まえて、少し調査などしてみたいと思います。

 

○森戸部会長代理

今の点、一言。

 

○山崎部会長

 部会長代理から。

 

○森戸部会長代理

今、山本委員の想定利回りの話ですが、資料10ページにあるように、これを想定利回りと多分呼んでいるのですね、今の会では。もともとの退職金ぐらいの水準になるには少なくとも2%、あるいは3%で回さないと足りないですよというのを想定利回りだとすれば、それは一応そのときにそう決めているので、多分経済状況がどうあれ変わらないと思うのですね。そういう意味でなくて、今後、このぐらいで回していける、あるいはこのぐらいで回していけば老後にこれぐらいのお金になるのではないかという意味で想定利回りという言葉を使うのだったら、山本委員がおっしゃったように、2%でなくてもっといけるのではないとか、そういう話になると思うので、山本委員がおっしゃったのは、どちらかというと、もとの退職金を前提とした想定利回りでなくて、本来このぐらいで回していくべきではない、この時代では、という意味で多分おっしゃっているので、資料の説明と少しずれがあるというか、むしろ10ページの定義でいけば、1%とか2%と言っているほうがありがたいというか、そんなに頑張って運用しなくても、もとの退職金にいきますという数字が低いほど、そういうふうに制度変更した企業という意味になると思うので、そこを区別して考えたほうがいいかなと思いました。

済みません、余計なことですけれども。

 

○山崎部会長

 よろしいですか、事務局から何か補足ありますか。

 

○山本室長

今、森戸委員がおっしゃったとおりございまして、今、この資料で使っております想定利回りといいますのは、退職金が水準を毎月の拠出額に換算するための率のような意味で使っておりまして、想定利回りが低くなれば、低い利回りでも、もとの想定した退職金が確保できると、そういうような位置づけになりますので、利回りが低いほど毎月の拠出部分は大きくなると、そういう関係になるということでございます。

 

○山本委員

 そうしますと、御担当の方が想定利回りは、安全性の高いところでいいのだと考え、結果として50%ぐらいの方が2%以下の運用利回りを選択しているという結果が出ております。これは担当する人のマインドが2%以下でいいのだと考えているからだと思われます。将来のあるべき企業年金の姿から言うと、担当者が、基本的に2%以下で本来の退職金の額が補填できるからいいのだというふうに考えてしまっていいのかどうか、その捉え方が、物価上昇率を上回る運用していきましょうというふうに担当者の意識が変わっていかない限り、いつまでたっても2%以下の企業が多かったという結果で終わるのではないだろうかと心配をしています。

 

○山崎部会長

村瀬オブザーバー、どうぞ。

 

○村瀬オブザーバー

 まず今回の継続教育の問題で、配慮義務から努力義務ということで非常に前向きな方向が出ていると思いますけれども、先ほどもお話ありましたように、大企業と中小企業、それから商品を提供されている内容によって教育の中身は当然違うわけで、そこらあたりはよく状況を踏まえて、努力義務にするのであれば、具体的にこういう商品提供であればここまでやらなければいけないけれども、これだけの商品提供であればこの範囲でいいというやりやすい仕組みをぜひ考えていただけたらと思います。

それから、あと少し気になっていますのは、前からお話していますように、100人以下の小規模企業で個人型DCに事業主が追加拠出するという話がありまして、その部分との関係で、例えば企業型DCを使う場合には教育義務が課せられるのに、個人型DCの場合はどうするのかというのはまだ見えていません。ここの整理をしないと、逆に小規模の企業について言えば、企業型DCから個人型DCに変わることだって起こり得るわけで、そこの整理をぜひお願いをしたいと思います。

それから、商品提供については、先ほどお話もありましたように、基本的には合従連衡とか合併とかで必然的に商品が多くなってきて、除外したいけれどもできないがために残っている部分と積極的に必要だから本数を伸ばしているところと企業は2通りあると思うのです。先ほどありましたように、積極的にたくさんの商品を提供しようというところについては、教育も熱心に多分おやりになっているところで、そういうところがあえて商品を絞ることがいいのかどうか、ここはよくよく検討する必要があるのではないか、この2点です。

 

○山崎部会長

 平川委員。

 

○平川委員

 今の努力義務のところですけれども、考え方によっては努力義務の中身が、実効性をどうやって担保していくのかというのを考えていかなければならないかと思います。先ほど私は、ある程度の結果については事業主についてもそれなりの努力をしていただくことが必要ではないかと言いましたけれども、努力義務の中身をしっかりと担保していくということと、ある意味、努力義務が強化されることによって、逆に中小企業がなかなか運用しづらくなるという形になれば、一方で中小企業については努力義務でいいのか、それとも配慮義務でいいのか、それも含めて検討していくということも課題としてはあるのではないかと思います。以上です。

 

○山崎部会長

事務局から。

 

○内山課長

 今、要は努力義務の内容についての御意見をいただきましたので、それはまた継続教育等も含めて、その内容を検討していく際にさらに詰めていきたいと思っています。

あと、先ほど私がお答えの中で、結果責任について負わないという発言をしてしまいましたけれども、正確にはこうした日本の法律では結果責任については明確ではないと言ったほうが正確でございますので、訂正をさせていただきます。

 

○山崎部会長

 最後になりましたが、部会長代理のほうから。

 

○森戸部会長代理

 まず、質問が1つありまして、あとはコメントですが、11ページに運用資産の扱いに対する意識の違いということで、意識的に資産配分を行っている層と注意していない層というので分かれていますが、これは意識的に資産配分を行っている層のほうが結果的にいい運用になっています、資産配分に注意してない層はやはり運用がパッとしませんというようなデータがあるのか、それともその人たちが結果的にどういう運用結果になっているかというのはデータがもしあれば、すぐにではなくてもいいのですけれども、もしあればちょっと見たいと思いました。それが1つ質問です。

あとはコメントをちょっと、あちこち行きますけれども、先ほど山本委員がおっしゃった中小企業で投資なんてやらないでやってきたのだと、そういう企業だと。それならそれでいいと思うし、でももしそういう企業であれば、終身雇用でDBですごいいい退職金を用意して、従業員は何も心配しなくていいよとやればいいわけで、そうでなくて、うちは投資なんかと言いつつ、従業員はDCでよろしくね、と言うと、それはある意味、企業の考え方とずれていますよね。

そのことからわかるように、結局ここでしょっちゅう出ている話ですが、DCになってようが、もとは多くの企業でまだ退職金の一部であるし、労働条件の一部なのだと、労働条件なのだと、労働の対価なのだということはやはり動かせない現実としてあると思います。

そのことから考えると、投資教育の話、25ページで、今の投資教育の内容ですというのがありました。これは確かに順番ももう少し考えたほうがいいのではないかとか、皆さんがおっしゃったこと、いちいちもっともだと思いましたが、これを見ても思うのは、一般論が多くなっていますけれども、先ほどのお話したことから言うと、結局、これはある意味、労働条件についての説明義務なのですね。うちの会社では労働の対価としてどういうものを用意しているのか。いわば賃金とか退職金とか複利厚生とか、そういうものと同じように、DCというものもうちの会社の労働の対価として用意しておりますということをきちんと従業員に説明しなければいけないということがあるわけです。これはある意味、その一部だとも言えると思うのですね。

投資教育、共通プラットフォームで効率化という話がありました。そういうふうにできる部分はすべきだと思いますが、プラットフォーム使うとしても、その中身はある意味、カスタマイズされた部分がどうしてもあると思うし、それがなくなってはいけないのではないか。つまりその会社の労働条件なので、それは共通にお話できる話とそうでない話があって、うちの会社では、つまり同じDC制度をやっている企業でも、うちの会社とこちらの会社の位置づけは違うかもしれないので、うちの会社の退職給付なり労働条件の中で、このDCというのはどういう位置づけなのですかということを説明するというのが私は一番大事だと思っていて、それはもし立法論的に言うならば、例えば労基法の労働条件説明義務とか、そういうものとのかかわりもちょっと考えなければいけませんが、そういうこともこの指針なり投資教育の内容を考えるときに、少しそういう考えを入れないといけないと思います。だから共通化できる部分とその企業がある意味責任持って説明しなければいけない部分というのは絶対に残ると私は思います。

先ほどの想定利回りもまさにその話ですね。10ページの資料ありましたけれども、要するにもともと退職金として本来払うべき額に行くには、2%で回してもらう必要が、3%で回してもらう必要がありますよというのは、これは絶対にちゃんと説明すべきことだと思います。でも他方でこういう制度になってないのだったら、別にもっと一般的にこのぐらいで回していかなければいけないとか、世間の相場ではこうですねとか、そこは説明は変わってくるはずで、結局これも退職給付制度なりDCがどういう位置づけかということにリンクする話なので、くどいようですけれども、労働の対価であり、労働条件の一部だということを前提とした説明義務なり投資教育。その位置づけによっては、ある意味共通説明で済む場合もあるし、より詳しい説明も要る場合もあると思います。そこをぜひ私は強調したいと思います。

それから、あとは商品の数の話がありました。これは確かに余り多いのも何だなという気はします。何本がいいかというのはなかなか難しいのですけれども、1つ考えたのは、思いつきみたいな話ですけれども、例えば基本は10本だけど、もしそれ以上やりたいのだったら労使合意してとか、そういう方法もあり得るかと思います。どこかで一定の基準は決めて、もしそれ以上増やしたければ労使で話し合って決めてねというのも1つの手段かなと思います。

幾つでもいいけれども、3本なり5本なり、お勧めファンドというのは、若干法的に、これをお勧めして、お勧めしてないほうの似たようなファンドがよかったりした場合に、若干文句出てくる可能性がある気がして、少し微妙になってくる。まさに先ほどの結果責任ではないですけれども、受託者責任と言っていいのかどうかわからないですけれども、お勧めするのも逆に難しいかなという気がしました。もちろんやり方ですけれども、特に数について明確な主張があるというわけではありませんが、一応そういうことを思いました。

いずれにしても、除外のことはセットだし、それから、一応除外されて、そのファンドを選んでいた人は自動的にどこかにスイッチングさせられるのだから、その人の手数料とか、かわいそうだなとはちょっと思いましたけれども、そういう配慮は何かあるのかどうかわかりませんが、少し疑問に思ったところであります。

2までのところについては以上です。

 

○山崎部会長

 事務局からどうぞ。

 

○内山課長

最初の11ページの運用結果に関するデータは持ち合わせていませんので、そういう結果があるかどうかを含めて持ち帰って少し作業させていただきたいと思います。

あと、おっしゃるように、私、共通のプラットフォームと申し上げましたが、当然共通の部分と御指摘のように、それぞれの会社の退職給付水準やそれとの関係でのDCの位置づけというところもありますので、そこは共通の部分とそうでない部分も仕分けをしながら、少し検討していく必要があるかという気がいたします。

また、上限数で10本、仮に定めた上で、例えば労使合意というような御提案もいただきましたので、そうしたものも踏まえて検討を進めてさせていただきたいと思います。

また、スイッチングの手数料というお話もございました。商品除外はいわば強制スイッチングだということで御指摘もあったわけですけれども、今、DC法上、手数料の費用負担の規定はございませんので、現実的には手数料の多くは、今、事業主が負担されているケースが多いということでございます。いずれせよ、この手数料をどういうふうに位置づけていくか、どのように扱っていくかというのは今後検討課題の1つであると考えてございます。

 

○山崎部会長

 白波瀬委員、どうぞ。

 

○白波瀬委員

 済みません、商品の話なのですけれども、確かにお勧めをつくるというのはなかなか難しいと思います。ただ、デフォルトとオプショナルというか、構造的に、そういう形での提示というのは、私は設計する上に参考になるのではないかと考えています。以上です。

 

○山崎部会長

 まだ、ございますか。村瀬オブザーバー。

 

○村瀬オブザーバー

 今、オプショナルの商品という観点で、以前、企業年金連絡協議会のほうから、協働運用型商品の提案があったと思うのですが、そのときに出たのは何かといいますと、ちょうど企業側がDBでやっているキャッシュバランス制度をDCのデフォルト商品として考えたらどうかという提案があったのだろうと思いますけれども、その部分がある意味では1つの大手企業にとってみると可能性がある、ただ、法律的に難しいかどうかもわかりませんけれども、まさにアセットミックスができた商品ですから、そして、またコストも多分安いと思いますので、それも1つの今後の検討材料にしておいていただけたらと思います。

 

○山崎部会長

活発な御議論いただきましてありがとうございました。結果的に後半の議論をする時間がほとんどなくなりましたので次回回しにしたいと思います。特に御発言されたいことがございますか、次回に向けてでも結構でございます。

なければ本日の審議につきましては終了させていただきます。次回の開催について、事務局より連絡ありますでしょうか。

 

○内山課長

いつもと同じでございますけれども、次回の部会の開催日時につきましては、また事務局から各自の御都合をお伺いした上で、正式な御案内をお送りいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○山崎部会長

 それでは、本日の審議は終了します。御多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございました。

 

(了)