2017年6月30日 第19回社会保障審議会企業年金部会議事録

年金局企業年金・個人年金課

 

○日時  平成29年6月30日(金)9:59~12:07

 

○場所  イイノホール4階ルームB

 

○出席者

(委員) 神野部会長、森戸部会長代理、伊藤委員、井戸委員、臼杵委員、

     内田委員、小林委員、白波瀬委員、山本委員、和田委員

(オブザーバー) 村瀬企業年金連合会理事長

○議題

(1)確定拠出年金法等の一部を改正する法律の施行等について

(2)確定給付企業年金のガバナンスについて

(3)厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会における議論の経過について

○議事

○神野部会長

 それでは、定刻でございますので、ただいまから第19回「社会保障審議会企業年金部会」を開催したいと存じます。

 委員の皆様方には大変御多用のところ、また、ぐずついた天気が続いているうっとうしい季節にもかかわりませず、万障繰り合わせて御参集いただきましたことに、重ね重ね深く感謝を申し上げる次第でございます。

 いずれ臼杵委員もお見えになるとは存じますので、開催させていただきます。

 初めに、事務局から委員の異動等々がございました関係もございますので、連絡事項につきまして御説明いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○ 青山課長

 まず、企業年金部会委員の異動について、御報告いたします。

 参考資料1に名簿がございますが、前回まで委員でいらっしゃいました半沢委員が退任され、後任として新たに委員に御就任いただきましたので、御紹介いたします。

 内田文子全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会総合研究企画室事務局長兼教育部専門部長でいらっしゃいます。

 内田文子委員でいらっしゃいます。

 

○ 内田委員

 電機連合の内田です。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○ 青山課長

 ありがとうございました。

 あわせて、委員でいらっしゃいました高崎のぞみ委員が御退任になっております。

 本日は、御出席いただきました委員の方が3分の1を超えていますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。

 前回の企業年金部会から、事務局にも異動がありましたが、お手元の座席図に役職と名前が記載されていますので、紹介は割愛させていただきます。

 事務局からは、以上でございます。

 

○ 神野部会長

 どうもありがとうございました。

 それでは、議事に入らせていただきたいと存じますけれども、その前に、事務局から資料の確認をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 

○ 青山課長

 お手元の資料の確認をさせていただきます。

 本日の資料として、

 資料1-1 確定拠出年金の運用に関する専門委員会について

 資料1-2 確定拠出年金の運用に関する専門委員会報告書

 資料2 確定拠出年金法等の一部を改正する法律の整備政省令の概要

 資料3 企業年金連合会における投資教育共同実施の取組状況

 資料4 iDeCo(個人型確定拠出年金)の普及推進の取組状況

 資料5 確定拠出年金における自動移換について

 資料6 確定給付企業年金のガバナンスについて

 資料7 厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会の開催状況(平成28年4月1日~平成29年3月31日)に関する報告書

 参考資料1 社会保障審議会企業年金部会委員名簿

 参考資料2 確定拠出年金法等の一部を改正する法律の概要

 参考資料3 企業年金制度の現状等について

を配付させていただいております。

 大部で恐縮ですが、資料の不備などはありませんでしょうか。

 以上でございます。

 

○ 神野部会長

 どうもありがとうございました。

 ただいまから、議事のほうに入りたいと存じますので、カメラの方がいらっしゃるようでしたら、大変恐縮ですが、ここで御退室をいただきます。

 

(報道関係者退室)

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 お手元に議事次第がお配りされているかと存じます。ごらんいただきますように、本日は、議題3つを準備させていただいております。1つは「確定拠出年金法等の一部を改正する法律の施行等について」、2つ目は「確定給付企業年金のガバナンスについて」、3つ目は「厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会における議論の経過について」という議事を準備させていただいております。

 このうちの「確定拠出年金法等の一部を改正する法律の施行について」という第1番目の議題に入りたいと存じます。委員の皆様方には御案内のとおりでございますけれども、確定拠出年金法の一部改正の件につきましては、資料1「確定拠出年金の運用に関する専門委員会報告書」がございます。御案内のとおり、この企業年金部会のもとに専門委員会を設けて御審議をいただき、それをおまとめいただいたものでございますけれども、森戸部会長代理に委員長を務めていただいております

 森戸委員長から、この件につきまして、まずは御報告を頂戴したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○ 森戸部会長代理

 確定拠出年金の運用に関する専門委員会につきましては、昨年の確定拠出年金法改正に伴い、確定拠出年金の運用商品の本数の上限と指定運用方法の基準について、ことし2月より議論を行ってまいりました。労使代表や運営管理機関等からのヒアリングも行い、委員の方々に熱心に御議論いただき、6月6日にその結果を報告書として取りまとめました。

 今後、この報告書の趣旨を踏まえて、改正法の施行を適切に行っていただくことを期待しております。

 詳細につきましては、事務局より説明をお願いいたします。

 

○ 神野部会長

 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまのお話にありましたように、事務局から御説明をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

○ 青山課長

 それでは、御説明させていただきます。

 資料1-1と資料1-2が資料でございますが、資料1-2に本文がございますけれども、この説明では資料1-1の概要を使って御説明させていただきます。

 恐縮です。資料1-1をひっくり返していただいて、5ページの参考の部分をごらんください。今、森戸部会長代理からもお話をいただきましたとおり、改正法の施行のために、政省令に委ねられている事項であります、みずから商品を選択しない者に適用される指定運用方法の選定基準と、加入者に運営管理機関から示す運用の方法、つまり、運用の商品の上限の数を専門的な見地から検討するため、確定拠出年金の運用に関する専門委員会を設けて6月6日に報告をまとめていただきました。

 委員は資料にあるとおり、森戸部会長代理を委員長、臼杵委員を委員長代理にお願いし、その他、井戸委員を初めとする専門家、連合、経団連の方に参画いただいたものでございます。

 報告書の概要を御説明いたします。1ページ目をごらんください。この報告書の1つ目の柱が、加入者による運用商品選択への支援でございます。加入者自身が適切に運用商品を選択できるように(1)にありますとおり、運用商品提供数の上限を35本とすることが適当としたほか、飛ばしますが(3)の運用商品の選定の際には、加入者が真に必要なものに限って提供されるよう、運営管理機関等と労使が主体的に設定して見直すこととか、商品全体のラインナップのバランス、個々の商品の質を十分吟味して説明することなども提言されております。(4)の運用商品の提示にあたりましても、提示の仕方の工夫を行う等の言及をしております。

 2つ目の柱が2ページで、運用商品を選択しない者への支援でございます。(1)にありますとおり、加入者自身が運用商品を選択するという基本の中で、その選択が行われない場合に適用される指定運用方法につきまして、その法的位置づけや法の規定を踏まえながら、基準としてはこのページの下の3つ、黒ポツにありますとおり、物価その他のリスクに考慮がなされていることとか、2ポツ目にありますとおり、収益がリスクとの関係で合理的であることの説明ができるとか、加入者集団にとって必要な収益の確保が見込まれること、最後にありますとおり、手数料が過大ではないこと等を掲げております。

 加えて3ページ、指定運用方法を設定するにあたっては、労使や運営管理機関等において、今の基準を踏まえながら、加入者集団のリスク許容度や期待収益などを考慮・検討しながら決定すべきとして、さらに着眼点(イメージ)とありますが、ここにありますとおり加入者集団に係る幾つかの視点、商品に係る幾つかの視点、それぞれから提示しております。また、指定運用方法の基準と合わせまして(3)で指定運用方法適用前後における加入者への情報提供などのあり方についてもまとめられております。時間の関係で詳細は省略いたします。

 2つの検討事項のまとめは以上なのですが、4ページにあります3におきまして、デフォルト商品のみならずDC全体の運用の課題として、効果的な運用を支援するということで、投資教育等の積極的な働きかけなどについて、また、関係者、国の役割についても提言がなされております。

 資料1の説明は、以上でございます。

 

○ 神野部会長

 どうもありがとうございました。

 森戸委員長から御説明をいただいた上で、資料1-1の概要に基づいて、事務局のほうからかいつまんで報告書について御説明を頂戴いたしました。

 それでは、この件に関しまして、委員の皆様方から御質問、御議論を頂戴したいと思いますが、いかがでございましょうか。

 白波瀬委員、どうぞ。

 

○ 白波瀬委員

 基本的なところで教えていただきたいのですけれども、上限を35本という形で設定された背景というのは、この報告書だと参考資料2の16ページの不指図率というのが恐らく基本になっていると拝見するのですが、単純に見ると、確かに多くなればなるほど不指図率が上がっており、同率の明確な上昇が36以上で認められるのでそこが閾値であろう、と理解しました。ただ、これは単純に本数だけで不指図率を読んでよろしいものかというのが基本的な質問でございまして、逆に言えば、本数が多いところにあっては、構成員のそのものが高齢化しているとか、ちょっとこの数字の読み方について教えていただけますとありがたいです。

 以上です。

 

○ 神野部会長

 事務局のほうから、いいですか。お願いできますか。

 

○ 青山課長

 ありがとうございます。事務局から、このデータは実際、不指図といって、指図せずに現行でも運用でデフォルト商品が適用されていますので、適用されていて指図していない人の数を本数との関係で見たものでございます。

 確かに選ばないという要因にはいろいろなものがあろうかと思いますけれども、一応、例えば企業規模で見たとか、そういうことも含めて委員会では検証しましたが、やはり全体の数で、本数の要素も当然あるという中では、本数と指図行動のエビデンスとしてはこれが唯一のものでございましたので、本数は絶対的な、法令上超えると違反になる条件でございますので、このエビデンスを踏まえてやろうという議論になりました。

 他方で、おっしゃいましたように、多い投資教育の問題とか商品の見せ方の問題など、あとは商品の質の問題など、いろいろな要因が絡んで本人の選択という行動に結びついているので、そこもあわせて関係者が協力してこうしようということも、かなり強く報告書でも求められていることから、本数だけではない取り組みを推進したいと思っております。

 

○ 神野部会長

 よろしいですか。

 伊藤委員、どうぞ。

 

○ 伊藤委員

 ありがとうございます。伊藤です。

 専門委員会には、連合からも議論に参加させていただいてきましたので、その中で意見反映をきちんとさせていただきました。まず、上限35本という点については、私どもの加盟組合の中に聞いてみても、労使合意を経て35本を超えるそういった事業主のところが複数ありましたので、その点については、労使合意というものを尊重していただきたいということを繰り返し主張してまいりました。

 こういう形で決まるということになりましたら、5年以内にそういった事業所においては除外の手続が必要になっていくということで、ここでも労使がきちんと加入者に不利益がない形で、納得のいく形で除外の議論をしていく。そういうことをしていかなくてはいけないと思っております。

 また、デフォルトのほうにつきましては、基本的に労使合意を尊重する内容になったと理解しておりますので、その点についてはよかったと思っております。ただ、両方に共通することでありますが、労働組合がある事業所においては、労使合意がきちんとした協議というような形で進められる基盤があると思っておりますが、過半数代表者というものを活用するところが実態としては多くなってしまっている。それについて民主的な選出が行われていないといった問題提起もさせていただきました。

 この点についても、専門委員会で最後に座長から、労働法の世界だけでなく、こちらでも議論が必要なことであるという御示唆もいただいております。労使合意のインフラとして、過半数代表者なるフィクションの仕組みが使われている。この点については、より重要になってまいりますので、その正当性について、今後、皆様、関係者において御認識いただいて、また議論もしていければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○ 神野部会長

 ありがとうございました。

 ほかにいかがですか。よろしいですか。

 どうぞ。

 

○ 山本委員

 失礼いたします。山本でございます。

 今、35商品以内で運用する案について報告がございました。それぞれの方が選ばれたものとして、その運用実績がよかったかどうかは本人のリスクですから、それはある意味でしようがないと思うのですが、35の運用商品全体が全体として目指す利回りというのか、労使間で共有している目標のようなものがあると思います。これに対して、選ばれたものの合計の総平均である数字自体が、うまくいったか、いかなかったかということのチェックを行う、つまり、運用実績が労使の間でもシェアされて、これら商品が適切であったとかどうかの判断をして改善を図るというときの、いわゆる目標となる数字のシェアは行われているのかという感じがあります。例えば全体として1%の運用利回りを目指そうというようなことであれば、35の総平均としては成功したのかどうかという意味ですが。

 個々にどれを選んだかによって本人のリスクは発生するけれども、運用商品の選定の仕方としてよかったのだというような判断が行われているのかどうかと思いまして、質問でございます。

 

○ 神野部会長

 これは事務局でよろしいですか。

 どうぞ。

 

○ 青山課長

 企業型DCにおきましては、労使と運管で協力して、今までもラインナップ、商品の一覧を決められたと思うのですけれども、そのことも含めてDCを運営する方針の中で、退職金由来のところなどは想定利回り、目標利回りのものを決めていらっしゃるところもあるし、そうではないところもあるとは聞いております。

 いずれにしましても、おっしゃっているとおり、商品を労使と運管で御議論して決められる際には、ちゃんとみずからの加入者にとってどういうものがいいかをよく検討して厳選するということも報告書でも盛り込まれていますので、おっしゃっているような、利回りも含めて、各企業であるべき運用を考えてもらって、本数も含めて取り組んでもらうということは、今後、この報告書の実施を通じて進めていけるものと思っております。

 

○ 神野部会長

 ありがとうございます。

 ほかによろしいでしょうか。

 どうぞ。

 

○ 伊藤委員

 先ほどちょっと言い残しましたので、ぜひ今後、この専門委員会で確認したことを、厚労省のほうでは、さまざまな形で周知するようなことをされるのではないかと思っております。労使合意をしていくための必要な情報になりますので、その点についてきちんと周知していただく。その際、ここから変わることがないよう、バイアスがかからないように、正確な周知をしていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○ 神野部会長

 ありがとうございました。

 それでは、御質問、御議論頂戴したことに感謝を申し上げますとともに、今回、この専門委員会から御議論いただいたものを報告書として頂戴したわけでございますが、これについて今、頂戴した御質問、御意見を見てみますと、大きな異論というよりも、むしろ施行するにあたって留意すべき点等々を承ったと了解、私は認識しておりますので、きょう、いただいた施行にあたっての留意点等々を参照しながら、事務局において政省令の準備を進めていただくべく、この報告書については本部会として了承させていただいたということにさせていただいてよろしいでしょうか。

 

(首肯する委員あり)

 

○ 神野部会長

 ありがとうございます。

 それでは、事務局のほうでは、この報告書に基づきながら、政省令等の準備をお進めいただければと存じます。

 続いて、同じ議題1「確定拠出年金法等の一部を改正する法律の施行等について」に関しまして、資料2から資料5を準備していただいておりますので、事務局から御説明を頂戴したいと思います。よろしくお願いします。

 

○ 青山課長

 資料2「確定拠出年金法等の一部を改正する法律の整備政省令の概要」以降を御説明いたします。それにあたりまして、恐縮ですが、後ろのほうの名簿の後にあります、参考資料2「確定拠出年金法等の一部を改正する法律の概要」を横に置きながらお聞きくだされば幸いです。

 これから御説明しますのが、この改正法の施行のための政令、省令の整備の状況の報告でございます。施行の段階ごとに御説明をさせていただきます。

 資料2の1ページは、平成29年1月1日に施行した分の政省令の整備の概要でございます。1月1日施行分といいますのが、参考資料2の概要でいいますと、2の1、個人型確定拠出年金法の対象範囲の対象範囲でございました。これにつきまして、整備政省令におきましては、はしょって御説明して恐縮ですが、限度額の定めとか、あとは企業型DCと個人型DCの同時加入が可能となりましたので、それに伴うさまざまな措置等について整備をいたしました。以上が1ページでございます。

 めくっていただきまして、2ページに平成30年1月1日施行分とあります。この日に施行される改正事項は、参考資料のほうのポンチ絵でいいますと、1の3でございまして、具体的には拠出する掛金の拠出の単位を月ごとから年単位に改正したというものでございます。そういうことを法律で書いたわけですけれども、整備政省令におきましては、これは非常に技術的なものが多いのですが、例えば拠出方法の1ポツにありますとおり、拠出単位期間を12月から11月までの1年間とした上で、1年の中で数カ月ずつなど区分は可能といった、何カ月ごとの拠出が可能となることなどとか、1つ飛んで拠出限度額にありますとおり、各月で計算される限度額を積み上げたものを限度額とするなどの整備をしております。来年1月1日施行分でございますが、準備の都合上整備政省令を公布しております。

 最後は3ページでございますが、これは公布2年内施行分とあります。法律の公布が平成28年6月3日でありましたので、来年、平成30年6月3日までに施行するものでございます。これから施行時期になっている改正事項としましては、参考資料のポンチ絵でいいますと、1の1と2、2の2と3の運用でございます。そういうことで、資料2の3ページに戻っていただきまして、上から順に行きますと簡易型DCといいまして、参考資料1でいいますと1の1ですけれども、企業型DCを中小企業に導入しやすくするために、設立手続等を大幅に緩和した簡易型DCを法律で設けているわけでございますが、掛金が定額だが階層化が可能等、また、導入時の書類を限定する等の措置を整備の政省令で規定することとしております。

 次に中小事業主掛金という項目があります。これは、個人型DCなのですけれども、中小企業を対象に個人型DCの従業員の拠出に追加して事業主が拠出できることとした改正でございましたが、整備政省令等では、この掛金の拠出方法、これも定額で、定額ですけれども勤続年数等に応じて階層化が可能といった措置をするものでございます。

 次に運用とあります、これはポンチ絵でいいますと3番でございますが、先ほどの運用に関する専門委員会報告を踏まえた内容を政省令に反映するものでございますので、内容が重複するので、ここでは省略いたします。

 最後にポータビリティといいますのが、改正法のポンチ絵でいいますと2の2でございますが、これまでできなかったDCからDBなどへの持ち運び、ポータビリティが可能となった改正でございましたけれども、DB等といいますか、中小企業退職金共済への持ち運びも合併等の場合に可能となったわけでございますが、政省令ではそうした際の合併等の内容や、資産の移換とか期間通算のルールについて定めるものでございます。

 資料2は以上でございます。

 続けて資料3「企業年金連合会における投資教育共同実施の取組状況」の1ページをお開きください。これも今般の法改正で措置されたことに関するものでございまして、事業主が行う投資教育の中で、加入後に継続的に行う継続投資教育につきましては、配慮義務だったものを努力義務に強化いたしました。ただ、中小企業などはみずからでは実施が難しい場合もありますので、同じ改正法で事業主が企業年金連合会に委託して実施できることとなりました。

 2ページは、この改正を受けまして、企業年金連合会では準備を行ってまいりまして、本年度から、事業主からの委託を受けて、その従業員に対する投資教育を共同で実施する予定としております。ここにありますとおり2時間程度の従業員向けのセミナーを用意し、企業に働きかけて、委託を受けてこのような投資教育の共同実施を進める予定でおります。

 資料3が以上でございます。

 資料4「iDeCo(個人型確定拠出年金)の普及推進の取組状況」をお開きください。改正法によりまして、ことし1月、平成29年1月から、個人型確定拠出年金がこれまで加入の対象ではなかった方も含めて、全ての国民が加入できるように拡充いたしました。他方で制度の認知度が低いということで、広報啓発などを強力に推進するという方針のもと、法律が成立しました後、金融機関の団体などの参画を得て、確定拠出年金普及・推進協議会を昨年7月に設置しました。これが1ページでございます。

 2ページをお開きください。普及・推進の初めとしまして制度のなじみやすい愛称を公募しまして、9月に「iDeCo」という頭文字などをとった愛称を決定したものでございます。

 3ページ、4ページをあわせてごらんください。それを使いまして、昨年度に広報活動を行いました。これは3ページにありますとおり、政府で補正予算をとりまして、広告、アプリ等の開発、シンポジウム等を強力に行いました。また、4ページにありますとおり、政府広報の枠組みを活用して、各種広告を打たせていただきました。

 5ページですが、今年度は実行委員会を設けまして、そこが主体となって、趣旨に賛同する企業や団体からの協賛金を募りまして、その資金を使いまして、広告、シンポジウム、シンポジウムは地方での実施を想定しております。来月以降、広告等をやっていくこととしております。

 さまざまな広報をしたところでございますが、iDeCoの加入者につきましては、後ほどごらんいただければ幸いですが、参考資料3の14ページあたりにもグラフがございますけれども、制度拡充直前の平成28年12月は約30万人でしたが、ことし5月末までに約20万人増えて、50万人を超えております。そういう形で、加入者が着実にふえているところでございます。

 資料が行ったり来たりで恐縮です。資料4に戻っていただきまして、5ページの後にある参考資料の6ページ以降をごらんください。ここでは、昨年度に行いました各種広告、広報、CM等のコンテンツのカットなどを御紹介しています。7ページがCMのカット、8ページがiDeCoガイドという特設サイトの御紹介。9ページが漫画・アニメの紹介。10ページがiDeCoアプリというアプリです。このようなものをさまざまに講じております。

 ここで、7ページに紹介していますCMをちょっと放映させていただきまして、ごらんいただければと思います。前にスクリーンがありますので、ごらんください。

 

(動画上映)

 

○ 青山課長

 以上です。ありがとうございました。

 先に言い忘れましたが、15秒のものと30秒のものを続けて見ていただきました。それでちょっと重複感があると思うのですけれども、2バージョンを見ていただきました。ありがとうございます。

 資料4の説明は、以上でございます。

 議題1の最後になります、資料5「確定拠出年金における自動移換について」でございます。めくっていただきますと、1ページの文章と2ページの図がありますが、2ページの図を主にごらんください。

 企業型確定拠出年金(企業型DC)を退職した方のお話なのですが、企業型DCは、企業を退職すると、その加入者資格を失うものでございます。その資格を失った加入者本人が、青い枠の矢印が上下にありますけれども、本人が個人型DCに新しく入っていくと、そこに移換するとか、あとは新しい別の企業に就職し、そこが企業型DCをやっている場合にはそちらに資産を移換する手続を6カ月以内に行っていただくべきなのですが、行わない場合があります。そういう場合には、肌色みたいな矢印が点々とありますけれども、そのように国民年金基金連合会のほうに自動的に資産を移換しまして、移換した後は運用されない資産として手数料が引かれる状況になります。それを自動移換とか自動移換者と呼んでおります。そうなっている方が今は56.7万人。資産額ゼロを除くと33.6万人ですが、それだけ蓄積しております。

 こうしたことを踏まえまして、御本人が退職にあたりまして移換の手続を行うことを促しておりまして、事業主や記録を管理する運営機関から、本人によく勧奨するようにお願いするということを厚労省から指導もしております。これは図の左下のほうに矢印があるのですが、そういう内容でございます。

 また、それでも自動移換されてしまった人がいるわけで、自動移換された自動移換者に対しましては、自動移換した後も手続ができますので、国民年金基金連合会のほうから、右から矢印が伸びていますが、年1回、手続を促す周知をしております。

 これらの対策につきましては、右下の青く塗った四角がありますが、今後、政令にも明記する予定でございます。さらに、真ん中のほうに黄色く塗った矢印があるのですけれども、今回の法改正におきましても、こうした退職した人や自動移換した人が手続をしない場合には、本人が申し出をしなくても、その人が別の企業型DCに入っている場合には、そちらのDCに移換する扱いをやるということを改正法で盛り込んでおりまして、来年に施行されますが、そのような直接的な移換の取り扱いも含めて、自動移換というものから本来の運用に戻っていただくということを取り組んでいるところでございます。

 資料5の説明は以上でございます。

 説明は以上でございます。

 

○ 神野部会長

 どうもありがとうございました。

 関連する資料2、3、4、5を適切に御説明いただいたところでございますけれども、ただいまの御説明につきまして、委員の皆様方から御質問あるいは御意見があれば頂戴したいと思います。いかがですか。

 遠慮しないでどうぞ。

 

○ 伊藤委員

 質問がまずはあります。広報のところで、資料4です。3ページで平成28年度に補正予算を活用して広報事業を積極的にやりましたというお話なのですけれども、これはお幾らだったのかを教えてほしいのと、平成29年度については、広報についての予算措置はどうなっているのかを教えていただきたいのです。

 

○ 神野部会長

 よろしいですか。広報の予算措置についてです。

 

○ 青山課長

 平成28年度の補正予算は約5億円でございました。平成29年度は、国のそういう、今、言ったようなiDeCo広報予算はございませんで、資料にありますとおり、実行委員会におきまして、趣旨に賛同する団体、企業といった民間からの協賛金を得まして、それを原資に事業を実施する予定でございます。

 

○ 神野部会長

 よろしいですか。

 どうぞ。

 

○ 江口室長

 補足で1点御説明させていただきます。普及推進室長の江口でございます。

 平成28年度と平成29年度の予算の関係が今、青山課長から御説明がありましたけれども、平成29年度については、先ほど説明がありましたとおり、確定拠出年金の普及推進協議会の下にiDeCo広報実行委員会というものを設けまして、実行委員会が主体となって、平成29年度は広報を行っていくという整理にしております。

 その広報の原資となるものですけれども、各運営管理機関を中心に、企業の皆様から御協賛をいただいて、それを原資として実施するということにしておりまして、5月末の時点で2億5,000万円ほど御協賛をいただいております。引き続き、各関係の企業には依頼をしておりますので、これがさらにふえる可能性もあるというのが現状でございます。

 

○神野部会長

 よろしいですか。

 どうぞ。

 

○ 伊藤委員

 今年はないということがわかりましたので、一つなるほどと思ったのですけれども、初年度に5億円というのが、先ほどの個人型DCの加入者、平成27年度末比較でいって25万人ぐらい、ことしからということだと20万人で、割ってみると1人あたり2,500円とか2,000円というお金がかかっていることになるわけです。

 先ほどCMも見せていただき「年金は入っているけれどもね」とか言っていましたが、公的年金はだめだよねと言っているような感じがしないでもないですし、貴重な税財源ですから、これがこういう使い方でよかったのかというのは、やはり検証が必要だと思っております。しかも、今回の加入者は公務員が多かったりするところもありますし、今後は事業者が拠出してやっていくということですので、その点については安心しましたが、意見として申し上げさせていただきます。

 あともう一つの資料で、資料3の投資教育なのですけれども、これも一つお願いでありまして、企年連で投資教育の共同実施をやられるということですので、ぜひ今後の実施状況について御報告をここの場なりでいただきたいと思っています。共同実施はなかなかやりにくい面もあると思いますし、でも、こういうものがないとさらに進まないということもあると思いますので、事業主数、参加者数など実施状況の報告をお願いしたいと思います。

 以上です。

 

○ 神野部会長

 どうぞ。

 

○ 青山課長

 また実施状況を把握しまして、適時に御報告したいと思います。

 

○ 神野部会長

 広報活動についても適切に一応情報というか、さまざまな国民の御意見、反応については聴取されているわけですね。先ほど効果がどのぐらいあるかと。

 

○ 青山課長

 常に効果を見ながらやっております。

 

○ 江口室長

 平成28年度、補正予算を活用して行った広報につきましては、効果測定を行いまして、どういうところに加入者なり国民の方の反応がよりあったのかを検証いたしまして、その検証結果、効果測定の結果を踏まえて、平成29年度の広報に生かすという形で現在は取り組んでいるところでございます。

 

○ 神野部会長

 ありがとうございます。

 ほかにいかがですか。白波瀬委員、小林委員の順です。

 白波瀬先生、どうぞ。

 

○ 白波瀬委員

 広報活動についてあったので、ちょっと確認させてください。投資額が高額ですし検証が必要です。有効に活用されているとは思いますけれども、その場合、具体的にどういう検証データをつくられているのかというか、どういった形のものを準備されているのかというところがちょっと見えません。どうして加入されたのですか、といったアンケート結果をちゃんと積み上げてデータベースをつくるとか、細かい話になっていますけれども教えてください。

 2点目については、とてもかわいいキャラクターもでてきてよいのですけれども、このところで欠けているのは、この個人型確定拠出年金の加入対象が拡大されたことで、この点意外と御存じない人が多いことがあげられます。要するに、誰でも入れますという重要なメッセージが、このCMからはちょっと見えないのです。ですから、今、公的年金にプラスアルファでという側面が強調されているような印象ですので、もう少し積極的なメッセージがもうちょっとあってもよかったかなという感想を持ちました。

 以上です。

 

○ 神野部会長

 小林委員、関連してですか。別件ですね。

 承っておいて反映していただければと思いますが、何かコメントがあれば。

 

○ 江口室長

CMについては、どうしても秒数の制限がありますので、その中で何を強調して訴えていくかということで、あのような形になりましたけれども、おっしゃいましたように、ことしの1月から、基本的には二十以上60歳未満の方であれば誰でも入れるというところは、当然アピールポイントの一つでもありますので、そこについてしっかり広報していきたいと思っております。

 

○ 神野部会長

 お待たせしました。済みません。ちょっと待ってください。

 まずは小林委員、どうぞ。

 

○ 小林委員

 少々細かい点で恐縮ですが1点、資料2の3ページに記載されている内容について確認させていただきたいと思います。指定運用方法の選定基準として「リスク・リターンの関係が合理的であることを説明できること等を定める」とありますが、先ほど御説明をいただきました資料1-1でも、設定プロセスの着眼点として、想定利回りが挙げられていました。

 この部分について、指定運用方法の期待収益率が、必ずしも制度の想定利回りを上回る必要はないと理解してよいか、確認させていただきたいと思います。例えば、想定利回りは踏まえるものの、リスクを抑制する観点で、想定利回りより低い期待収益率の商品を選定することは認められると考えてよいでしょうか。

 

○ 神野部会長

 よろしいですか。

 

○ 青山課長

 確定拠出年金の運用に関する専門委員会の報告書では、本文の9ページ、10ページあたりに記述があるのですが、その内容を省令に反映するのですが、収益の確保が見込まれるなどの基準は当然ありますけれども、具体的には「想定利回りを設定するものとする」みたいな打ち出しにも、この報告書でもなっていませんし、それをマストにするということではないかと我々も思っております。そこは実情に応じて、ただ、ありますとおり、リスクとリターンの関係が合理的に説明できて、それが必要な収益を何らかの形で労使で認識いただき、判断いただくということかなと思っております。

 

○ 神野部会長

 よろしいですか。済みません。お待たせしました。

 山本委員、どうぞ。

 

○ 山本委員

 ありがとうございます。全体を今、スクリーンも見せていただきまして、いずれにしても、政府がお進めになることについて、国民の理解度を高めるということについては非常に重要なことで、今回の広報について、このような御提案と実施をされているということは評価したいと思います。

 しかしながら、一方で、5億円と先ほどおっしゃったけれども、それだけの費用がこの市場に投入されるということは、広告市場全体の変化につながる。GPIFと同じです。やはり巨大な費用が、巨大かどうかということ自身もちょっとわかりませんけれども、その辺の適切な程度の中と、その必要性と、なぜこのことだけに政府がお金をかけるのかという適切な説明がないと、ほかのことについてはやっていないのに、このことについてだけお金が使われているという不均衡のようなものを感じさせないようにする配慮が必要かなというのと、民間がいろいろな意味で、ネットの世界では、世界中が全部インクルードされていますから、何かが入ってくることによってほかに変化が連動していくわけです。したがって、そういうことの波及効果も、国がおやりになるということになりますと、そこも十分に配慮した適切な範囲が多分、あろうかと思います。

 もう一つは、確かに私もこれまでの年金の将来性の、何となく皆さんが思っていらっしゃる危機感を、これによって払拭できますというような、それの補填型の広報のように見えておりましたので、もっとポジティブに、こういったことについて積極的な、将来性も含めて、ビジョン性も含めての広報が必要かなと思いました。

 一方で、誇大な広報になってもいけないというところもあると思うので、これの実力を超えない範囲の適正な、しかし、前向きなという非常に難しいところを行かなくてはいけないのですけれども、そのような配慮を含めた、ある意味でチェッカーのような方が、テレビなどでも視聴者委員会とかいろいろありますが、そのような意味合いでの、何か客観的な目線を入れるようなものが、これはたまたま1回単発であったというだけのことで、そういうことを制度的にするということはいかがなものかとは思いますが、いずれにしても、物事の考え方の中には、そのような視線も入れておかないと、客観性があるのかどうかというところで冷静に立ち戻れる場も準備しておく必要があるのかなというのはちょっと感じましたので、意見でございます。

 

○ 神野部会長

 どうぞ。

 

○ 内田委員

 内田です。要望と確認の2点あります。資料5の2ページですが、まずは要望です。高齢期における所得の確保を図るための制度であるDCにおいて、退職等で本人が手続を行わなかった場合に、その資産が連合会に自動移換されて、運用されないまま手数料のみが引かれてしまっている状態、つまり資産が目減りしていくという状態にあることは極めて大きな問題だと認識しています。

 この自動移換につきまして、新聞等でも「DCの塩漬け資産」であるとか、「DC難民」、「DC無縁仏」などと報道されてきた課題であり、今回、この自動移換された年金資産について、転職後の企業型DCに移換する対策にあたっては、対応漏れが発生しないように突き合わせ作業など、丁寧に実施をしていただきたいと思います。

 その上で1点、確認がございます。この図の黄色い矢印の中にあります新規(2)のBに「企業型加入者資格取得した場合に手続なしで企業型に移換」とありますが、この対象者につきましては、施行日以降の新たな自動移換者が対象となるのか、あるいは現在の自動移換者も含めて企業型DCに移換されるのかということを確認したいと思います。

 

○ 神野部会長

 よろしいですか。

 

○ 青山課長

 これは改正後に、今回の施行でこういう措置をするのですけれども、施行後に実際に資産移換をやっていきますが、どういう方々を対象にするかにつきましては、今、事務的に調整中でございます。

 

○ 神野部会長

 いいですか。

 引き続いてどうぞ。

 

○ 内田委員

 調整中ということでありますが、課題の重要性からも、現在の自動移換者も含めて企業型DC加入者は移換対象とするべきと考えておりますので、前向きに御検討いただくよう、よろしくお願いいたします。

 

○ 青山課長

 わかりました。

 

○ 神野部会長

 ほかにいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。

 広報活動について等々、さまざまな御意見を頂戴しました。なかなかこれも難しい問題でしょうが、今後の行政活動に御反映させていただければと思っております。

 それでは、議題1についてはこの辺で引き上げさせていただきまして、引き続いて、議題2「確定給付企業年金のガバナンスについて」に入りたいと思います。

 まず、事務局から御説明を頂戴できればと思います。よろしくお願いします。

 

○ 青山課長

 資料6「確定給付企業年金のガバナンスについて」を御説明いたします。確定給付企業年金のガバナンスにつきましては、そもそも平成17年1月の企業年金部会の議論の整理で課題として盛り込まれたことから、前々回、前回のこの部会で御議論いただいてきました。それらの議論も踏まえながら提示しているものでございます。

 まず、資料6を開いて目次をごらんください。どういう項目があるかでございますが、1つ目が総合型DB基金への対応ということで、この中に代議員の選任の課題と会計の正確性の論点がございます。会計の話につきましては、前回までは会計監査の論点としていたものでございます。

 2つ目の論点が資産運用でございます。

 3つ目の課題が、目次でいうと4ページですが、加入者等への説明・開示という構造になっております。

 5ページ以降は、前回と同じ資料が多々入っております部分があるため、分量もあるものですから、恐縮ですが、変更した点を中心にかいつまんだ御説明をさせていただきます。

 まず、6ページ以降の「1.総合型DB基金への対応」です。総合型DBとはどういうものかが7ページにあります。これは2以上の事業主が共同で実施する企業年金ですが、人的関係が緊密ではないものでございます。そういうことで、ガバナンスについてきっちりやる必要があるということで、議論がなされてきたわけでございます。

 9ページ以降が、そのうち1つ目の代議員の選任の論点であります。飛んで済みません。恐縮ですが11ページをお開きください。前回にお示しした論点でございました。前回は、基金の意思決定を担う代議員につきましては、原則として事業主の全てを選定代議員とする。ただし100を超える場合には1割以上とする。事業主の大半が所属する組織体で基金の運営方針について統一的見解を保持するようなものがある場合には規制を適用しないという案を提示しました。

 これにつきましては、100を境に逆転現象が起こること等の指摘がございました。あとは2つ目の提案についても具体化する必要がございまして、今回、前回の提案を一部見直すことも入れまして、新たに提案をしております。それが13ページでございます。

 まず、代議員の数でございますが、1つ目の○でございます事業主の数の10分の1(事業主の数が500を超える場合には50)以上とするというのを提案いたします。ただし、その際には、全ての事業主により選定を行うことを確保するということで、1のように事業主が共同で候補者を指名するとか、2のように1事業主が交互に指名する。いずれかをやってもらう。いずれでもない場合は、3のように第三者の選定人に委任してもらうということなどを条件にしたいと思います。

 あわせて3つ目の矢印でございますが、こういう規制が適用されない類型として整理しております。まず、矢印の1行目にありますとおり、事業主の9割以上が所属するDBとは別の組織体、業界団体等が想定されますが、そういうことでございまして、それについてアからウまでのいずれの要件も満たすものでございます。アにありますとおり、構成員である事業主に対して組織体がDBへの加入を義務づけ、または推奨する。それを実際にやっているということ。イにありますように、DB基金の方針を組織体が組織決定をしている。ウでございますが組織体が、基金の運営状況について定期的に報告を受けている。以上の要件を満たす場合に、規制が適用されないとしたいと思っております。

17ページに飛んでください。今の要件にも関連しまして、御紹介いたしたいのが、総合型企業年金に関するアンケートで、企業年金連合会にやっていただいたものでございます。一番上の○にありますとおり、母体組織との関係につきましては、今回、要件にしている90%以上の事業主が入っているという基金は54%でございます。

 1つ飛んで最後の○でございますが、今回も規制が適用されない要件として、いろいろ書いていますが、それに相当するような、当たるものがどれぐらいいるかを参考に見ていただけたらと思うのですが、例えば、上から3つ目で運営を定期報告。これは要件ウにありましたけれども、それが24%。その次の加入を勧奨というアの要件に係るものは23%。方針を組織体、母体組織で決定している、議論しているというのが、一番下ですが、6%となっております。それほど適用除外になるものは多くないということがこれでわかるかと思います。

18ページは、今のような適用除外の要件とした趣旨に絡むものでございますが、要は、代議員会で本来議決するような予算とか事業報告等の基本事項や制度の設計等につきまして、つまり、これをそういった代議員のことにかかわるものについて、まずは母体組織でもきちんと検討しているということで、代議員会が適切に機能することが想定できるということで、今回の適用除外を設けたという趣旨をこれで見ていただければと思います。

 次が総合型DBの2つ目の課題で、19ページ以降の会計の課題でございます。22ページが前回提示した論点でございます。1つ目の○にありますとおり、DBのうち単独型とか連合型といった、特定の企業がかかわっているようなものにつきましては、そちらの企業の会計監査のほうで対応できる部分がありますが、次の3にありますとおり、今回、対象としているような総合型の場合には一つの事業主のチェックだけではいけませんので、外部の専門家による会計監査が効果はあると提示させていただいておりました。

 これについては、資産規模や対象範囲を限る等の提案もしていたわけでございますが、23ページにありますとおり、前回の議論でも、コストや費用対効果を見ながら検討すべきだという御意見などもいただいたところでございます。

 そういうことを踏まえまして、24ページをごらんください。事務局で、会計監査にかかる費用の実態を監査法人にヒアリングして調べました。

 これは基金の規模や内容により異なるのですけれども、25ページをお開きください。例えば上の表でございますが、財務諸表全体を対象に監査をする場合は、初年度で、小さいところは690万から大きいところは最大2,385万というように、こういう3桁、4桁万円の額で監査費用がかかるということでございます。下に絞るともう少し下がります。それでも数百万、一千万という大台でございます。

 費用としては決して少なくないと思われまして、26ページですが、事務局で一定の方法について検討いたしました。いろいろ調べましたところ、これまで想定しましたような、公認会計士が行う本来の会計監査、財務情報の適切性を保証する本来の会計監査業務のほかに、公認会計士がかかわるものとして、合意された手続業務(AUP)というものがあるということがわかりました。これは表の右にありますとおり、依頼者との間で確認する事項をあらかじめ合意し、その結果得られた事実について報告するという形でございまして、費用は比較的安価にできるということでございました。

 恐縮ですが、27ページにあるとおり、ほかの制度でございますが、例がありまして、この表の右から2番目のような、あらかじめ確認する事項を決めておいて、それをチェックしましたという報告でやるというのが監査に相当する取り組みとして使われている例もあるようでございます。

 もう一点は参考としまして、28ページをお開きください。これは社会福祉法人の会計監査の取り組み状況でございまして、ここにありますとおり、本来の会計監査が求められるのですけれども、それを見据えながらも、真ん中の一定資産額が限られた場合につきましては、赤い点線で囲っていますが、財務関係に関する内部統制に対する支援業務を行うことも許容しているという例でございます。

 これは29ページにあるように、最後の話はこういうチェック項目みたいなものを決めておいて、それについて課題、改善提案を公認会計士にやっていただくという取り組みを想定していると聞いております。

 そういうことを踏まえまして、31ページですが、論点を整理いたしました。もとより1つ目の○にありますとおり、公認会計士による本格的な会計監査の導入が有効というものは引き続き考えられるところでありますが、次の○以降にありますとおり、コスト面で困難があると考えられますので、そこはDB基金は内部の監事監査がありますが、それに公認会計士が帯同するなどの形で、先ほど紹介しましたAUPを導入して、内部統制の向上を図っていってはどうかと提案したいと思います。

 次の○ですが、その際、さらに、規模の小さいところもありますので、例えば20億超といった一定規模以上の総合型DBについては、会計監査か、今、言いましたAUPを受ける。それ以外のところにつきましては、将来の会計監査の導入を見据えつつ、公認会計士等の支援を受けることが望ましいという形で、社会福祉法人の例も参考にしながら示してはどうかと思っております。

 次の○で、また、1つ目のポツで言いましたような、AUPの取り組みをするにあたりまして、AUPをする際の着眼点、基準等の手続の詳細を統一ルールとして事前に公認会計士協会や厚労省、基金関係者が連携しながら検討してはどうかと思っております。

 いずれにしましても、こういう取り組みを進めていくことで、最終的には本格的な会計監査の導入を目指すということも、引き続き目指していきたいと思っております。

32ページでございます。今、言いましたAUPの基準などの手続を決めるにあたりましては、公認会計士協会等における検討も必要ですので、所要の準備をしまして、平成31年度から実施できればと思っております。

 以上が総合型DBの論点でございました。

33ページ以降が「2.資産運用について」という論点でございます。これにつきましては、順に参ります。36ページ以降でございます。資産運用の中で、運用基本方針・政策的資産構成割合の策定でございます。基本的に前回のとおりですので、簡単に御説明しますが、40ページをお開きください。

 運用の基本方針は、今では小規模DB以外に策定義務があり、小規模DBにはないということと、政策的資産構成割合は努力義務の策定となっております。しかし、今後は、全てのDBにおいて基本方針と政策的資産構成割合の策定を義務づけることとしてはどうかと思っております。ただ、受託保証型確定給付企業年金は、引き続き除くことを考えております。

 次の41ページ以降は資産運用ガイドラインの見直しでございます。資産運用ガイドラインといいますのは、資産運用関係者に課されている善管注意義務等を果たしてもらうために通知で定めているガイドラインでございますが、これにつきましては、今回は議論はDBについてやっておりますが、厚年基金で平成24年ごろに、そのときの状況を踏まえて一部強化するような改正を行っていまして、今般、DBにつきましても、厚年基金の強化された部分を取り入れながら強化しようという議論をこれまでしてきたわけでございますので、その方針にて引き続き、今回も資料をつくっております。

45ページが資産運用委員会です。これは資産運用に関して、基金の運用関係者で意見を述べる委員会のことでございますが、今、設置が望ましいとしていますが、今後は一定の規模、例えば資産規模100億以上に設置を義務づけてはどうかという、これは前回どおりですが、提案しております。

46ページの分散投資でございます。これは分散投資を行わないなら行わない旨の基本方針を記載することとか、特定の運用機関に集中しないために、集中投資に関する方針を定めなければいけないという、厚生年金基金のガイドラインの内容をDBでも妥当だというように取り入れることを考えております。

47ページと48ページをあわせて御説明いたします。これもオルタナティブ投資についての留意事項や48ページにありますとおり、運営受託機関の選任・契約締結の際の定性・定量評価の基準の具体例をもっと盛り込むということにつきましても、厚年基金のほうで強化している内容がDBでも妥当しますので、取り入れてはどうかということでございます。

50ページは、受託機関を選任・締結する際の話でございますけれども、下線にありますとおり、運用受託機関が受託会社の監査人といった第三者から内部統制の有効性を保証する報告書等を受けていることが望ましいとしてはどうかという提案をしております。今、こういう保証を受けて証明している場合も結構あるようでございまして、これをガイドラインでも明記して確保することがどうかという提案でございます。

51ページも運用受託機関の選任にあたりましての話ですけれども、運用受託機関が運用成績を示してきますが、示す運用成績について、GIPSという公正な表示等を確保するための世界共通基準に準拠したもの等が望ましいということを書いてはどうかという提案でございます。これもGIPSというのは一定程度普及していると聞いていますので、ガイドライン上も明記したいと思っております。

52ページ以降でございますが、運用コンサルタント。これも運用コンサルタントの要件を、金商法の登録を受けていることなどを厚年基金で書いていますけれども、DBでも妥当すると思っております。

53ページをお開きください。これは代議員会・加入者への資産運用に関する報告でございます。これも厚年基金のほうで、運営受託機関の選任・評価状況などを代議員に報告することが定められ、また、先ほど出てきましたけれども、資産運用委員会の議事録を保存して、この概要を加入員へ周知するということが厚年基金では定められていますが、DBでも同じような見直しを行ってはどうかということを書いております。

54ページは、スチュワードシップ責任、ESGとございます。この論点は前回のこの部会以降、多少動きもありましたので、そこも含めて御説明いたします。スチュワードシップ・コードというものは、投資先企業の企業価値向上を図るために企業との対話等を機関投資家がやるということを促すようなコードでございますが、そのコードの受け入れ促進が企業年金でも求められているところでございます。特に企業年金は委託運用でございますので、運用受託機関のスチュワードシップ・コードの取り組みとか、ESGについても同様に考え方を取り入れることが考えられると思っております。

 そういうことで、54ページの2つ目の□ですけれども、ガイドラインには、運用受託機関の選任・締結にあたりまして、スチュワードシップ・コードの受け入れの状況とか、ESGに対する考え方を定性評価する項目とすることが望ましいとか、2つ目のポツ以降にありますけれども、コードを受け入れている運用受託機関には利益相反の方針の策定などを求めるとか、スチュワードシップ活動の実績報告を受けることが望ましいとか、スチュワードシップ活動報告を運用機関から受けた後、その内容を代議員会に報告したり加入者に周知することが望ましいということを盛り込んではどうかと提案させていただきます。

55ページ以降は参考ですので、55ページがスチュワードシップ・コードの原則等の説明資料でございます。

56ページにありますとおり、スチュワードシップ・コードの年金基金等における受け入れ促進につきましては、昨年度もありましたけれども、今年度も政府の成長戦略であります未来投資戦略2017でも盛り込まれております。

57ページは、スチュワードシップ・コードの企業年金での受け入れ促進に向けた取り組みを紹介したいと思います。2つ目の□以降でございますが、企業年金でスチュワードシップ・コードを受け入れるにあたりまして、具体的な対応が不明確等の指摘がありましたので、企業年金連合会と厚労省とで連携して、スチュワードシップ検討会を昨年開催してきまして、ことし3月に取りまとめを行いました、こういう報告書を企業とか企業年金に周知するとともに、企業年金連合会におきましても、企業年金向けにスチュワードシップ活動に関する支援をさまざまにやっていくこととしております。

 スチュワードシップ・コード、検討会の報告書のことを58ページ以降数ページにわたりつけていますけれども、簡単にどういうことを書いた報告書かをここで御紹介さしあげますと、58ページをお開きください。

 先ほど言いました具体的対応例が不明だとか、コストが心配等の声もありましたので、下半分でございますけれども、まずは企業年金にとってのスチュワードシップ・コード受け入れの意義ということで、運用機関の取り組みを促すという意味での意義があるとか、受託者責任の履行の観点から意義があるとか、あとは2つ目のチェックでありますけれども、コード受け入れに伴う具体的な行動ということで、運用機関にさまざまなことを示したり求めるといったことも、行動例を例示しております。さらに、受託機関等のさまざまな調整、ミーティングが必要ですけれども、そのミーティングの際のチェック項目等についても、具体的なチェック表のようなものも今回、報告書の末尾につけまして、例示をして活用いただけるようにしております。そういう報告書をまとめておりますので、周知していっているところでございます。

 飛んで66ページが、ガバナンスの最後の論点でございます。「3.加入者等への説明・開示その他」でございます。

69ページですが、前回も御議論しましたとおり、加入者への説明では、3つ目の○にありますとおり、業務概況を加入者等に周知するという義務が法令上ございますけれども、これについて改善の余地がないかを検討する必要があるという議論がございました。

 それにつきまして、事務局で業務概況の周知の現状等を確認いたしました。71ページの2つ目の○でございます。実際には、受託機関が作成した業務概況を御周知するためのひな形が使われておりまして、そこを見ますと、図表を用いたり補足説明などの工夫が見られるところでございます。

 それを72ページ以降で簡単に御報告いたします。例えばですけれども、72ページは業務概況の中の給付設計の部分でございますが、モデル給付なども示すなどで、わかりやすい、イメージしやすい提示を試みられております。

 飛んでいただきますと、74ページでございますが、積立金の積立状況も周知しなければいけない事項の1つですけれども、ここで出てきます継続基準・非継続基準の説明が必須になるかと思うのですが、言葉自体が非常に専門的で、見なれない、耳なれないので、説明を丁寧に加えているなどの工夫がされております。

77ページは、今、言ったような内容での業務概況が、2つ目の○にありますよ、イントラネットとか掲示板等を使って周知されているということがわかっております。

 ということで、78ページに論点を書かせていただいております。業務概況の周知、法令上必要な事項を列挙しておりますけれども、周知の内容については、必要なものが網羅されていると言えるかと思います。他方、周知の仕方につきましては、例えば積立状況、資産構成割合につきましては、DB制度全体の数値を厚労省でも整備して提供したいと思いますが、それと比較をする等のことで、より自分のDBの状況がわかりやすくなるのではないかと思われます。

 その他、加入者などに対しまして、DBのみではなく、その企業の退職金制度の全体像、その中でのDBの位置づけがわかるように表示すると、理解、関心が深まるのではないかと思われます。この点について先行研究がございまして、次の79ページに、行われました過去の老後保障の観点から見た企業年金の評価に関する研究にありますとおり、退職金制度の中でDB以外にも一時金、DCなども体系的に示すということの提言がなされていまして、そういうものがイメージされるかと思います。

78ページに戻っていただきまして、今、見てきましたようなさまざまなわかりやすい提示例とか、こういう全体像を示すということの研究も踏まえて、加入者等へわかりやすく開示するための工夫が望ましいといったこともガイドラインに埋め込んではどうかと思っております。

 資料6は以上でございます。長々と、大変駆け足で恐縮でございましたが、よろしくお願いいたします。

 

○ 神野部会長

 どうもありがとうございました。

 私どもの企業年金部会の議論を参照していただきながら、資料6「確定給付企業年金のガバナンスについて」の御提案を御説明いただいたわけでございますが、委員の皆様方から御質問、さらには御意見を頂戴したいと思います。いかがでございましょうか。

 どうぞ。

 

○ 和田委員

 日本年金数理人会の和田でございます。総合型の基金への対応というところで、幾つか御質問と、もしわかれば教えていただきたいという部分がございます。

 まず、代議員の選任のあり方に関する論点について、加入している事業所の事業主の皆さんが基金の運営にしっかりと関心を持っていただくことが必要だというところは、私も全く異論がないところであります。

 ただ、一つは、事業主の数が500を超える場合、50人の選定代議員ということは、代議員の数が100名以上という形になるかと思うのですけれども、実際には15ページの参考で資料を出していただいているところを見ると、該当するところは余りないということなのですが、今後、総合型の基金が加入事業所を募って事業所数がふえていく中で、そういったことに該当する基金がふえてきたときに、代議員数が100人というところが、ちょっと現実的ではないのかなという感じ、印象を受けています。

50人、60人といったような人数であれば、会議室なども比較的容易に手当てできますが、さすがにそれを超えてということになると、現実感がちょっとどうなのかなと。しかしながら、加入事業所の皆さんにちゃんと基金の運営について関心を持っていただくという観点との折り合いというところで、上限として50がいいのか、30がいいのかというようなところは、もうちょっと検討する必要があるのではないかと考えたところです。

 また、13ページの3つ目の矢羽根のところで、この基準を適用除外するような基金についての基準をお示しいただいているのですけれども、ここを読んでいてふと思ったのは、基金の独立性というのか、そういったところと母体の組織との関係は、この基準を考えるにあたってどのように整理されたのかというところは少し教えていただければと思います。私は、個人的にはほとんど適用されることのないような基準であれば、あえてつくる必要はないのではないかとも感じているところであります。以上が、まず、代議員の選任のあり方に関する論点についてです。

 次に、総合型DBの会計の正確性の確保に関してでございますけれども、こちらの論点の中で一つ教えていただきたいのは、AUPという手続で対応した場合に、どれぐらいのコストがかかるのかという水準感が、この資料の中ではわからなかったので教えていただければということがあります。

 また、31ページの3つ目の○の、規模の小さな総合型DB基金への負担も考慮してという中で、1つ目のポツなのですけれども、貸借対照表の資産総額が20億円超ということで、これは例えばということでお書きいただいているのだろうと思うのですが、20億円というのは例示で出されております社会福祉法人を参照されたのかなと思うのですが、基金と社会福祉法人とは事業の内容も形態もちょっと違うのかなと私は思っております。さらに、もう少し申し上げると、資料24ページのヒアリングの対象としたDB基金のモデルをごらんいただきますと、資産残高40億というのは、規模としては小と位置づけられているわけでして、中が100、大が300ということなのです。これは一つの例示にすぎないとは思いますけれども、こういったところから考えても、20というのは少し小さ過ぎるのかなと思います。これもちょっと感覚的な話になってしまいますが、資産総額100億円超でもいいのではないかと少し考えた次第です。というのは、AUPのコストの水準感がわからないので何とも言えない部分があるのですけれども、業務経理で賄えるかどうかというところ、それは先ほどのモデルの基金のところの事業規模なども見ていただくと、何となくイメージが湧くのではないかと思いますし、仮に年金経理から必要経費という形で業務経理に繰り入れを行うとした場合であっても、20億ではなかなかコストをカバーしていくには厳しいのかなと。100億あれば、ある程度年金経理からの繰り入れという形でもカバーできるのではないかと考える次第です。ここは意見ということでございます。

 あとは同じく31ページで、3つ目の○の2つ目で、非常に小規模の総合型については、内部統制の向上を図るため専門家による支援を受けることが望ましいというところで、専門家として括弧書きで、年金数理人を挙げていただいております。これは我々年金数理人が基金の財政を中心として深くかかわり合っているというところで、基金の事業運営に関与が大きいというところから入れていただいたのかなということで考えておるところでございますが、ここは年金経理のところを中心に、いろいろとアドバイスといいますか、支援をしていくということはできるのかなとも思っております。

 ただ、その際に、その下の○で、できればAUPの着眼点、基準等の手続を検討していく際に、年金数理人会についても、実際はオブザーバー的な位置づけになるかもしれませんが、関与させていただければと思う次第でございます。

 私からは以上でございます。

 

○ 神野部会長

 どうもありがとうございました。

 よろしいですか。代議員の選任の問題と、2点ばかり御質問をいただいた上で、会計の責任制等々に伴って、よろしくお願いします。

 

○ 山本室長

 今、御質問をいただきましたので、順次お答えいたします。まず、代議員の数、労使を合わせても100人になるのが上限というのが少し大き過ぎるのではないかということでございました。これに関しまして、他制度の例ではありますが、資料14ページに相互組織、協同組織の例で、これは総代会の例ではありますけれども、こちらのほうを見ますと、上限100とか上限500とかいうことで、総代会を100人とか500人で開くことを想定したような規定もございますので、これは実現可能なのではないかと思っております。

 先ほど委員からもありましたけれども、15ページに総合型基金の代議員数、現在、126の総合型基金がございますが、その事業所数と選定代議員数を、左側の図ですが、プロットしてあります。こちらを見ても、事業所数500を超えるところはわずかでございまして、多くのところは100以下だということもございますので、それほど大きな混乱が起こることはないかと見ております。

 2つ目の、13ページでございます。母体組織といいますか、矢羽根の3つ目でございますけれども、組織について、代議員会と組織の関係でございまして、ただ、これは私どもの考えとしては、3つ目のポツが、何か一つの原則的な扱いということではなくて、むしろ上にありますような代議員会で方針などを決めていただく。それも多くの事業者にかかわっていただきつつ方針を決めていただくことが基本だと思っております。

 ただ、これまでの厚生年金基金でもそうですけれども、母体組織があって方針を決めてきたということもあろうかと思いますので、そういったときに、それが機能しているのであれば、その上にさらに代議員の数を規制するのも、過剰な規制になるかもしれないということで、矢羽根の3つ目のようなものを準備させていただいている。ですが、そのときにも母体組織は代議員会と同等以上の方針を決定しているというような実績が確認されるというような考え方で、13ページの矢羽根の3つ目は構成させていただいているところでございます。

 会計監査に関しまして、AUPという手続を導入することによって、コストがどう変わるのかということでございます。先ほど25ページでお示ししたのは、あくまでも会計監査という本格的な監査の場合の費用ではありましたけれども、AUPにするとこれよりは安くなるわけなのですが、AUPにした場合にどの程度のコストがかかるのかは、AUPでチェックのポイントを何個ぐらい設けるかとか、そういったところによって変わるところがあって、なかなか聞いてもお答えいただきにくい部分ではあったのですが、いろいろと聞いてみますと、会計監査の場合の数分の1程度のコストになるのではないかということもお聞きしているところでございます。

 その次の4番目でございますが、今回、基準として設けた20億という基準が少し低過ぎるのではないかというところではございますけれども、この20億は、社会福祉法人で負債20億円以上のところは、将来的には監査の対象になって来得るようなところに聞いておりまして、それも参考に、総合型のDBも同じような考え方で、年金基金の場合は、負債と資産もおおむね一致いたしますので、資産総額20億という形でこうしておりますけれども、社会的な責任を考えますと、20億という意味では、社会福祉法人で20億以上ぐらいが監査の対象になって来得るのであれば、総合型DBも同じような基準でかけていいのではないかという考え方にいたしました。

 もちろん先ほどモデルで示しましたところでは、小さなところでも40億円ということでありましたけれども、総合型基金のうちで決算を一度やっているところは27の基金があるのですが、そちらを見ますと、大体2割はこの20億以下になるという形になっているところでございます。

31ページで、年金数理人の方にもAUPの手続を着眼、見ていく上で、オブザーバーで参加したいということですが、これにつきましては年金数理人の御知見も拝借したいと思いますので、何らかの形で関与していただくことを検討したいと考えてございます。

 御質問につきましては、以上でございます。

 

○ 神野部会長

 ありがとうございます。

 よろしいでしょうか。

 どうぞ。

 

○ 村瀬オブザーバー

 ただいま御説明いただきましたけれども、私のほうも、ガバナンスの関係でいいますと、代議員の数の問題と、会計監査の方法について少しお話を申し上げたいと思います。

 今回、厚生労働省としては、現場の基金の意見を踏まえながらさまざまな形でおまとめいただいたと思いますけれども、現実をもう少しお話し申し上げますと、御存じのように平成26年3月末、健全化法が施行されたときに、531基金を数えましたが、この5月末で110基金まで減少し、110基金のうち8基金を除いて解散または代行返上という形になると伺っております。その中で、総合型厚生年金基金の相当数が総合型DBを立ち上げたという形でございまして、総合型DBをいかに今後育成するというか、維持していくか。極めて大事なときになってきているのではなかろうかと思うのです。

 そういう点では、今回、企業年金を守るという観点で、中小企業の経営者の皆さん、基金運営にあたられている責任者の皆さんの熱意に対し、または努力に対しては敬意を表する次第でございます。したがって、お願いしたいのは、総合型DBを維持していくことが可能な形の内容に、ぜひそのためのガバナンスの方法であるということを視点にしっかり検討していただけたらと思います。

 その中でちょっと疑問に思いますのは、代議員をふやすことが本当にガバナンス強化になるのでしょうか。ここが大きな一つの疑問点でございます。おっしゃるように、組織と関係なく基金加入者をふやそうとしている基金があるのであれば、そういうDBに対しては有効かもしれません。しかし、多くの総合型DBの場合は、業界団体等を対象とした総合型でございまして、現在におきましても、その組成によって加入事業所数には極めてばらつきがありまして、統計では9割以上のところが多いと言われていますが、そうではなくて5割、4割というところもなくはないわけでございまして、そういう点では非常にばらついているということでございます。

 その理由は何かといいますと、一つは団体構成員の中の大手企業は自分でDBを独自でお持ちになっているようなところがあったり、会員数が数多い団体の場合については小規模企業が非常に多いという形で、業界全体での加入数が限られているということもございます。そのような点を踏まえますと、代議員の数をふやすということに、ちょうどいろいろな情報開示の話が出ておりましたけれども、年金に関する事業運営を開示するとか、年金事業への参加意欲をどのような形で向上させるとか、ホームページの充実であるとか、さまざまな工夫によってガバナンスの強化方法があるのではないか。こういう点でしっかり議論していただけたらと思います。

 特に厚生年金基金からDBになって、実は、多くのところは会員数が減っておりますし、加入者も減っております。年金資産も大幅に減少しております。それにもかかわらず、代議員数を増加させなければだめだと。ちょっと何か、言っていることが違うのではなかろうかと思う次第でございます。

 ぜひもう一度現場の声をお聞きいただきまして、持続的に制度が維持できるためにどうしていったらいいのかという形で、中身をお詰めいただけたらと思います。

 会計の正確性の確保の問題ですけれども、公認会計士の会計監査ありきという前提の中でどうしていったらいいのかと見えるような感じのまとめ方になっております。会計監査をやること自体には反対はしませんけれども、費用の問題であるとか、もう一つは要員の問題で、会計監査が入った場合に本当に対応し切れるのかどうか。業務が滞って、そちらにずっと行ってしまうということもあり得るのではないか。このようなところも含めまして、いま一度しっかりとお考えいただけたらと。

 その点でAUPに対して、いろいろなところと、年金関係者も入れた上で考え方をまとめるということになっておりますけれども、これについてはぜひお願いしたいと思います。したがいまして、実施対応の規模の問題だとか、手続業務の問題、あとはAUPの金額の問題が見えない中で、なかなかこれは議論ができないのではなかろうかと思う次第でございます。

 ぜひ御検討のほどよろしくお願いしたいと思います。

 

○ 神野部会長

 現場の実態のほうから、ガバナンスについては先ほどと同じような代議員の人数の問題、会計監査については、公認会計士等々の問題の御指摘がありました。

 お答えいただければと思います。

 

○ 青山課長

 御指摘ありがとうございました。代議員の数につきましては、確かに数のみというよりも、全ての事業主がちゃんと意思決定に参画することを確保するための工夫でございまして、前回、全員ということを少し緩和させていただいているところでございますので、かつ、適用除外の類型も設けておりますので、いろいろな状況、厚年基金から移換しているところもあるかと思うのですが、ガバナンスが他方で保たれないと、将来の制度の持続的運営にもむしろかかわる部分もあるかと思いますので、今回、多少緩和して見直した基準をまずはよく御説明をさせていきたいと思っております。もちろん引き続き、現場の方の御意見を不断に聞いて、今後、必要に応じ見直すということは当然あるかと思っております。

 会計監査は、おっしゃるとおり、会計監査が本来望ましい一方で、AUPというものを見出しました。確かにAUPをどこまでの基準でお願いするかにもよってくると思いますので、制度設計、AUPの設計の中で、現状をよく聞きながら工夫していきたいと思っております。

 以上です。

 

○ 神野部会長

 ほかにいかがでございましょうか。

 小林委員、どうぞ。

 

○ 小林委員

 代議員会・加入者への報告、周知について、4点ほど申し上げたいと思います。1点目はお願い事項ですが、資料53ページに、規約型制度における対応に関して、「DBには基金を設置しない規約型があることに留意」と記載をいただいています。このとおり、規約型の制度においては、制度の運営形態上、厚生年金基金のガイドラインをそのまま適用すると対応できないものがあると思いますので、この点はぜひ御対応をよろしくお願いしたいと思います。

 2点目ですが、同じく資料の53ページ目に、厚生年金基金のガイドラインにある「資産運用委員会の議事の概要等」という部分をDBのガイドラインにも適用するとのことですが、議事の状況、その他の情報というのは、具体的にどのような内容を想定されているのかお伺いしたいと思います。資産運用委員会の位置づけや役割にもよると思いますが、例えば資産運用委員会で具体的な運用委託先の選定や、個別の運用商品に関する議論等を行う場合、委員会での議論内容の全てをつまびらかにする必要性は薄いと思いますし、現実的に対応も困難ではないかと思います。基本的には、代議員会等の場で運用方針や資産の配分構成が開示されれば十分ではないかと考えますが、この点について、確認をさせていただきたいと思います。

 3点目は、スチュワードシップ責任等の関係ですが、資料65ページで、「運用機関から受けたスチュワードシップ活動の報告を代議員会への報告、加入者等への周知事項に加えることが望ましい」とありますが、加入者にとって必要なことは、運用が方針どおりに実施されていて、経済的な利益がきちんと確保されているかどうかということだと思います。したがって、スチュワードシップ活動の状況報告それ自体は、それほど必要性が高くないのではないかと考えます。

 最後に4点目ですが、資料の78ページに、加入者等への説明・開示その他に関する論点として、「加入者等に当該企業の退職金制度の全体像及びその中でのDBの位置づけがわかる資料を開示することで、関心、理解が深まるということが期待できるのではないか」との記載があります。こうした取り組みの必要性自体はよく理解できますし、大切であると認識していますが、その対応を母体企業とは別の法人である基金に対して求めるのは、少々筋が違うのではないかと思います。特に複数の企業で運営している場合は物理的にも対応が困難だと思いますし、前回の委員会でも申し上げましたが、退職金制度の全体像やその中でのDBの位置づけの説明は、本来的には各社の労使あるいは事業主が責任を持って対応すべきものであることを踏まえて整理していただきたいと思います。

 以上です。

 

○ 神野部会長

 4点いただきましたが、コメントいただいたほうがいいものについて、少し重点的にお願いします。

 

○ 青山課長

 まず、53ページの規約型につきましては、53ページで基金を設置しない規約型があることにも留意と書きましたのが、基金にあるような代議員といった組織が規約型には想定されていないなど、外づけの組織ではないことも踏まえたということでございますので、確かに代議員会に係る規制などはかからないと思います。他方で、ガイドラインは規約型、基金型共通にかかりますので、このガイドラインは、資産運用するときに立てたほうが望ましいものを示したものでございますので、この中で事情に応じ、ガイドラインを最大限踏まえてやっていただくことになるかと思います。

 また資産運用委員会の議事概要の御説明がありました。これはまさに概要ですので、議事録を網羅的に全て一言一句ということではもちろんないです。趣旨としては、厚年基金などでは、運用についてのことがどういう経過でこういうものが出されたというのを加入員が知らないまま問題のある運用になってしまったという反省も踏まえて書かれたものでございますので、基本方針に係るものだけかどうかはともかく、そこは加入者にちゃんと提示されるべきであるような運用についての重要事項というのでしょうか、運用の状況、必要なものを開示、周知いただく、そういうことかと思います。

 スチュワードシップのことでございます。スチュワードシップ活動につきましては、委託運用の場合は運用機関にやってもらって、その報告を受けるものでございますけれども、スチュワードシップ活動の意義は、中長期的なリターンになるということが究極的な目的で、加入者に返ってくるものでございますので、加入者のために運用機関に活動してもらうものでありますので、加入者のためになるというものを加入者に見せる意義は十分あるかと思いますし、むしろ加入者のほうに報告して関心を高めていただくことによって、運用機関の活動もあわせて活性化するという効果も、スチュワードシップ検討会報告書にも書かれておりますので、そこはその意義をちゃんと理解していただいて、加入者と共有を図っていただければありがたいと思っております。

 加入者への説明につきましては、基金となると企業とは別ではないかということでございますけれども、基金は基金で、基金が運営しているDBの状況はつまびらかに開示する必要があるかと思いますが、確かに構成する企業ごとに退職金が違ったり、基金で見えない部分があるというのは、他方で状況によってあるかもしれません。それは事業主の責任なのかもしれないけれども、むしろ労働条件としての必要な開示が別途あろうかと思いますので、我々もそういう点を目配りして、基金なり、労働条件を提供する事業主の役割なり、いずれも必要なものと思っていますので、そういうことも念頭に置いて基金と事業主双方に周知していきたいと思っております。

 以上です。

 

○ 神野部会長

 ありがとうございます。

 山本委員、どうぞ。

 

○ 山本委員

 済みません。ほかに皆さん手を挙げていらっしゃったので恐縮です。

 時間を考えながら言いたいと思いますけれども、代議員の数の問題でございますが、数よりむしろバランスのほうが重要かなと。

 それから、代議員が何をやるかが18ページに全部書いてございますけれども、起きた大きな問題は、財産目録がしっかりとそのとおり押さえられているのかという裏づけのとり方に問題があったと思うので、先ほどAUPだったかもしれませんが、バランスシート、貸借対照表の確認だけで済ませるような記述があったような気がしたのですが、むしろそれを裏づけている財産目録的なもののほうの実態性のほうをよく見ていくあたりが重要かというように、今、不信感を抱かれるであろうという部分はそこかなという気がしますので、このことについては、むしろ公認会計士か、あるいはいわゆる代議員会の中でこれを見る監査役という内部監査の役割も、それがちゃんと機能していれば公認会計士は追認のようなものでも済むのかもしれませんし、それらの自立性というものをさらに考えていく必要があるのではないかと思われて、人数がふえると管理コストがかさみますから、その辺も数だけに頼って、それで全ての管理が適正になると理解しないで、むしろバランスと内容がどうなるのかを問いながらこのことはお考えになったほうがいいのではないかということで申し上げました。

 もう一つ、スマホで、総合型DBを調べますと、厚生年金基金というところに入っていくのです。実際に見たときに、これらの違いが一般の人にはよくわからないのではないかという気がしましたので、意見として申し上げます。

 以上です。

 

○ 神野部会長

 ありがとうございます。

 いかがでございましょうか。

 伊藤委員。

 

○ 伊藤委員

 時間も限られているので、一応全部この資料に関しての意見を言わせていただいてよろしいでしょうか。

 

○ 神野部会長

 よろしくお願いいたします。

 

○ 伊藤委員

 代議員の選任について、13ページですけれども、数については14ページに資料が出ていたので、ほかの制度とのバランスではこういうものなのかなと受けとめていたところです。

 一つ疑問に思いましたのは、3つ目の矢印で、基金の設立事業主の9割以上が所属する別の組織体による決定などを活用できるというところです。そもそも代議員の選任の論点は、やはりガバナンスのことだと考えていました。厚生年金基金で、特定の人がこのように決めたのだといって、ほかの代議員といいましょうか、企業や加入者が実態としてほとんど関与していない形でどんどん決められていたというようなことが問題意識としてあったのではないかと思います。そうすると、この3つ目の矢印は、どうやら基金のほかにきちんと決める場があればいいということであって、誰かが決めてしまっているかどうか、つまり、民主的な議論のもとに行われている組織体なのかどうかということは、これでははかることができていないと思います。その点、このルールを使うことには課題があると思っていますので、まだまだ検討が必要だと思います。

 監査のほうなのですけれども、皆様おっしゃっているように、AUPに関する費用が出ないと何とも判断がつかないと思っています。このAUPなるものがどのように実効性が確保できるのかがよく見えておりませんで、公認会計士協会で検討してもらったルールみたいなものができたとして、これがどう正確性の確保を担保するものなのか。たとえば、地方厚生局が監査するときの監査基準になるのだということなのかを確認させてもらいたいと思います。

 その上で、これについては受給権を保護するという観点で重要だと思っていますので、31ページの一番下の○には、本格的な導入を目指してはと書いてありますが、将来的に全ての基金において、きちんとした監査的なものが行われることの道筋をきちんとつけていくことが重要だと思います。

46ページで、DBガイドラインの「(4)運用の基本方針」というところが空欄になっているのですけれども、この点については、39ページにも委員からの意見もございますし、厚年基金ガイドラインと同様に定めていくことが重要だと思います。

53ページの代議員会加入者への報告・周知のところでありますが、先ほども御指摘があったところです。DBについては規約型があることにも留意という点です。これについては、第14回の企業年金部会で事務局から出ている資料でも、規約型には「事業主が実施主体となるため、企業の経営に左右されやすい」という課題が示されていたとおりでありまして、DBのガバナンスという点では、労使が合意に基づいてガバナンスを果たしていくしかありません。したがって、基金に対する報告に代わるものとしては、労働組合等に対する報告・周知が重要になってくると思いますので、そのような位置づけをしていただきたいと思います。

 以上です。

 

○ 神野部会長

 私の不手際で時間が押しておりますので、お答えする方が大変かもしれませんが、まずは御意見を皆さんに伺ってから、まとめてお答えいただくということにさせていただければと思います。

 井戸さんのほうが先に挙がっていたと思いますので、井戸委員に先にいただいて、後でお答えいただきます。

 

○ 井戸委員

 ありがとうございます。私のほうからは、加入者にわかりやすくというところで一言だけお願いさせていただこうと思います。

 給付型というのは、そもそもお任せなので信頼ありきが前提です。論点はたくさんあって、ガイドラインでたくさんの課題をお示しいただいて、とてもわかりやすいと思うのですが、そもそも運用受託機関と内部統制のところが、保証のところに書いてありましたけれども、どういう信頼が置けるかどうか、投信の方針では、なぜそのように分散投資の割合を行なっているのかがきちんとわかりやすく、興味が湧くように御説明を書いていただければと思います。

 今、報告書などでも見ますと、ことしの経済状況はとか、もうかっているのかどうかとか、そういうことが前面に出てくるのですけれども、それを読んでしまうだけでシャットアウトみたいになってしまうので、加入者目線で難しくて届いていないところを、報告書に載せる工夫が必要です。iDeCoはすごく工夫されて、加入者数もふえているというのは、加入者が理解されて動いていらっしゃる証拠だと思うのです。DBはおざなりになっている感がありますので、企業側の説明、国でも受託機関でもなく、加入者に対してわかりやすいという形でおまとめいただきたいと私は思っています。

 よろしくお願いします。

 

○ 神野部会長

 ありがとうございます。

 お待たせしました。

 内田委員、どうぞ。

 

○ 内田委員

 お時間もございませんので、簡単に要望を1点述べさせていただきます。資料の54ページ目になります。先ほどの答弁の中でも、スチュワードシップ・コードのお話で、スチュワードシップ活動の意義は、中長期的なリターンになるということが究極的な目的で、加入者に返ってくるものとのご説明があったように、被保険者のために投資リターンの拡大が図られることが重要であると考えます。

 労働組合としましても、公的年金はもとより企業年金は労働者のための資金であり、その資金運用において、環境、社会、ガバナンスといったESG要素を考慮することで直接的または間接的に企業行動や経済、社会に実質的な影響を与えて、将来にわたってよりよい社会の実現につなげていくことが、極めて重要なことだと考えています。

 そうしたことからも、こちらの資料の真ん中の、「DBガイドラインに以下の点を記載してはどうか」というところの1点目に、「運用受託機関の選任・契約締結において運用受託機関のスチュワードシップ・コードの受け入れや取り組みの状況、ESGに対する考え方を定性評価項目とすることを検討することが望ましい」と記載されておりますが、こちらは「検討すること」ではなくて、「定性評価項目とすることが望ましい」と明記していただければということで、1点の要望を申し上げます。

 以上です。

 

○ 神野部会長

 どうもありがとうございます。

 それでは、事務局でおまとめいただけますか。

 

○ 青山課長

 私から、かいつまんで御回答いたします。

 基本的には皆様の御意見を十分に踏まえながら、今回、制度化していきたいと思いますけれども、一部の点、会計監査や代議員の数につきましては、特に代議員のほうにつきましては、数ありきというよりは、いかに全事業主がきちんと参画しているかということを目指して、今回は考えたものでございます。

 適用除外要件に幾つか御指摘がございましたけれども、民主的運営をないがしろにするというのがよくないのはそのとおりでございまして、あれはあれほど母体組織がさまざまなかかわりをしていると、事業主の間の結びつきが強いことが証明できるということで、要件にしたものでございます。結びつきが強いことできちんと統率力を持った、きちんとした運営がなされている実態も業界団体等でございますので、そういうことを想定して要件を定めてございますが、今後、そこも含めて適用除外の運用にあたりましては、監査等で見ていきたいと思っております。

 今、監査と申しましたが、事業運営、会計の話なり、代議員の話なりはおっしゃっているとおり、事業運営基準に定めまして、履行を求めます。履行確保は、実際には厚生局におけるDBへの監査を通じてやりますので、きちんとやっていきたいと思います。

 スチュワードシップにつきましては、今回、初めて書き込むわけでございまして、まだまだこれから各企業に意義などを周知しようという段階でございますので、第一歩としましては検討することから始めていただくという思いで書いています。理想的にはそうなのかもしれませんけれども、スチュワードシップ・コードの意義自体の周知を先というか、まずはきちんとしながらやっていこうと思っていますので、現状ではこういう内容で始めたいと思っております。

 以上です。

 

○ 神野部会長

 どうもありがとうございました。

 さまざまな観点から建設的な御意見を頂戴したことを深く感謝申し上げる次第でございます。御意見を伺って、本日御提案いただいた内容についてはほぼ御同意いただいた上で、種々の観点から御要望とか御忠告を賜ったというのが私の印象でございます。

 本日、いただいた御要望、御意見を事務局といいましょうか、今後、ガバナンスの改善に向けた措置として御検討いただくことを要請した上で、本日は御提案いただいた内容をこの部会として御承認いただければと思っています。

 それでよろしいでしょうか。

 

(首肯する委員あり)

 

○ 神野部会長

 それでは、そのようにさせていただきますので、事務局にはそうしたことで御検討を進めていただくと同時に、適切な制度化をお願いしたいと思います。

 最後の議題でございますけれども「厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会における議論の経過について」で、これも事務局から御説明をお願いします。

 

○ 青山課長

 ごく簡単に、これは特例解散といって、代行割れ基金について減額とか納付猶予を認める措置を承認する際に審議していただいたものでございますが、昨年度1年間で専門委員会を8回開催し、27件を審査しました。特例解散を認め、承認はしておりますけれども、例えば1回承認したものの後に納付期間をさらに延ばしてほしいという要望については認められないということを判断するなど、各基準等に沿いまして、厳正に運営していることを御報告申し上げます。

 以上です。

 

○ 神野部会長

 この議題については、本日は御報告を承ったということにさせていただきますが、特に何か御質問があれば、よろしいでしょうか。

 それでは、皆様方、この報告書については、御承知おきいただければと思います。

 予定の時間になりました。私の不手際でお昼の時間にまで審議が延びてしまいましたことをおわび申し上げますとともに、委員の皆様方には大変建設的な御議論を頂戴したことを深く感謝申し上げる次第でございます。

 次回開催以降等の連絡事項について、事務局からございましたら、お願いいたします。

 

○ 青山課長

 次回の日程につきましては、また事務局から御連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 以上です。

 

○ 神野部会長

 それでは、重ねてでございますが、時間が延びましたことをおわび申し上げまして、これにて本日の審議を終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。

 

(了)