2014年1月23日 第19回社会保障審議会年金部会議事録
年金局
○日時
平成26年1月23日(木)11:00~12:00
○場所
厚生労働省12階 専用第15・16会議室
(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2)
○出席者
神 野 直 彦 (部会長)
小 塩 隆 士 (委員)
柿 木 厚 司 (委員)
菊 池 馨 実 (委員)
駒 村 康 平 (委員)
小 室 淑 恵 (委員)
出 口 治 明 (委員)
花 井 圭 子 (委員)
原 佳 奈 子 (委員)
宮 本 礼 一 (委員)
諸 星 裕 美 (委員)
○議題
年金事業の運営の見直しについて
○議事
○神野部会長 それでは、定刻でございますので、ただいまから第19回の年金部会を開催したいと存じます。
本日は、新しい年が明けてから初めての会合でございますので、おくればせながら、委員の皆様方には、新年のお祝いの言葉とともに、お忙しい中を御参集いただきましたことに深く感謝を申し上げる次第でございます。
本日の委員の出欠状況でございますが、植田委員、小山委員、佐藤委員、武田委員、藤沢委員、森戸委員、山口委員、山本委員、吉野委員、米澤委員から御欠席との御連絡を頂戴しております。
御欠席の委員の皆様方が大変多いのですけれども、定数、つまり委員の方々の御出席は3分の1を超えてございますので、会議は成立しているということを御報告申し上げたいと思います。
また、事務局の皆様方の出席者でございますけれども、お手元の座席図のとおりとなっておりますので、それをもって御紹介にかえさせていただきます。
まず、議事に入ります前に、資料の確認をさせていただきたいと思いますので、事務局のほうからよろしくお願いしたいと思います。
○八神総務課長 それでは、お手元の資料について確認をさせていただきます。
本日は、配付資料といたしまして、
資料 政府管掌年金事業等の運営の改善のための法律改正について(案)
参考資料1 平成26年度予算案等における国民年金保険料収納対策等について
参考資料2 年金記録問題に関する特別委員会報告書(概要)
以上を配付させていただいております。
よろしく御確認をいただきたいと存じます。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
皆様方のお手元を御確認いただければと思います。
それでは、ここで大変恐縮でございますが、カメラの方々には御退室をお願いいたします。よろしく御協力をいただければと存じます。
(報道関係者退室)
○神野部会長 ありがとうございます。
それでは、議事に入らせていただきます。
議事次第にございますように、本日、準備をさせていただいております議事は「年金事業の運営の見直しについて」ということでございます。
この議題につきましては、事務局のほうから御報告をいただいて、その案件について委員の皆様方に御審議いただいた上、御承知おきいただくという案件でございます。
それでは、事務局から資料について御説明いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○大西事業管理課長 それでは、年金局事業管理課長の大西でございます。
説明者は2名で、途中、手分けをいたしますので、よろしくお願いいたします。
お手元の資料「政府管掌年金事業等の運営の改善のための法律改正について(案)」という資料でございますが、1枚表紙をおめくりいただきますと、今回の政府管掌年金事業等の運営改善のための法律改正について、大きな検討中の改正内容として、4つの柱というものを掲げさせていただいております。
1つが「年金保険料の納付率の向上方策等」、2つ目が「事務処理誤り等に関する特例保険料の納付等の制度の創設」。それから「3.年金記録の訂正手続の創設」、4番目に「年金個人情報の目的外利用・提供の範囲の明確化」。この4本の柱になってございます。
それぞれに、資料が順を追ってついてございまして、次の2ページ目、これがまず1つ目の項目の「年金保険料の納付率の向上方策等」というものでございます。
お手元のほうの参考資料1という私どもの年末のプレスリリースを参考資料につけさせていただいております。
当部会のもとに設置されました徴収体制強化に関する専門委員会の報告書を前回の当部会で御説明させていただいたところでございましたが、それに基づいて、予算編成をやった結果がこのプレスリリースという形で取りまとめてございます。
簡単に御紹介いたしますと、参考資料1をおめくりいただきますと、大きく「国民年金保険料の収納対策及び厚生年金の適用対策の取組強化に要する経費」が192億円、対前年度は40億円ということで、大幅増額になってございます。これについて「国民年金保険料の納付率向上策」、下に92.6億円とございますけれども、(1)強制徴収体制の強化、(2)徴収コストの延滞金の利率の引き下げ。
次の2ページ目に行きますと、(3)免除等における申請主義の見直しということで、運用の改善、以下(4)(5)というような形で盛り込ませていただいたということでございます。
この取り組みの中で、特に法律改正が必要になるというものが最初の資料の中に出てくる「年金保険料の納付率の向上方策等」ということでございます。
この資料にお戻りいただきますと、2ページ目の「1.納付猶予制度対象者の拡大」というものが現行の30歳未満の被保険者を対象として、時限措置で講ぜられている若年者納付猶予制度の対象年齢につきましては、50歳未満に拡大をしたいというのがまず1つ目の項目でございます。
それから、2つ目の項目「学生納付特例事務法人制度の見直し」とございますけれども、現行で厚生労働大臣が指定した大学におきまして、学生からの猶予申請を受理できるということになっていますけれども、その効果が大学が年金事務所に申請書を届けたときに発生する。その結果、大学のほうに例えば、大学が書類を持っている間に事故が起こった場合の障害年金が支給されないというようなことで、負担になってしまうという問題がございまして、大学が学生から申請を受理したときに、厚生労働大臣に申請があったものとみなすということによりまして、大学の負担を軽減し、この制度の普及を図るということが第2の項目でございます。
それから、3番目「3.保険料納付機会の拡大」というものがございます。
現行では後納制度が平成27年9月までの時限措置ということで、10年間の後納ができるという制度がございますけれども、この後納制度が終了した後、現行の後納制度にかわりまして、5年間保険料が納付できるという制度を32年9月までの時限措置ということで設けたいと考えております。
なお、可能な限り、やはり2年以内に保険料を納めていただくというのがやはり原則であると考えていまして、この後納制度というか、5年間の納付制度におきましては、高い保険料額を設定するということを予定しております。
それから4番目「4.国民年金保険料の全額免除制度等の見直し」というものがございます。
これは、先ほどの予算のプレスリリース資料の中にございました免除の申請の簡素化というところと関係ございますが、現在、検討しておりますのは、一定の要件に当たる所得の情報などで、この方、免除にほぼ間違いないだろうというような方については、電話など口頭での申請を認めてもいいのではないかということで、手続の負担軽減を図るというようなことを考えておりますが、これに関しましては、省令改正等で対応できるのですが、そういった手続の負担の簡素化を、現在、市場化テストということで、国民年金の保険料につきましては、免除勧奨等の業務を市場化テスト業者に委託しておりますので、そういった民間事業者でも、厚労大臣の指定を受けて、この免除申請を受けられるというようなことをするということにつきましては、今回、法律で対応させていただきたいというのが4項目目でございます。
それから、5項目目は「滞納した保険料等に係る延滞金の利率の軽減」。
現在、税金のほうの延滞税のほうが今年より9.2%ということで、引き下げを図られておりましたけれども、社会保険料は、原則14.6%というような高い利率になってございまして、ここを税とそろえるという改正を検討しているということでございます。
以上が「年金保険料の納付率の向上方策等」でございます。
次のページをおめくりいただきますと、3ページ目ですが「事務処理誤り等に関する特例保険料の納付等の制度の創設」というものがございます。
事務処理誤り等の事由により、国民年金保険料の納付の機会を逸失した場合等について、特例保険料の納付等を可能とする制度の創設ということでございます。
こちらは、お手元の参考資料2というほうが、こちらは社会保障審議会の日本年金機構評価部会という別の部会がございますけれども、こちらの部会のもとに設けられました年金記録問題に関する特別委員会の報告書、こちらが1月に取りまとめられているということでございます。
これは概要版なのですが、10ページ目「概要10」と下に書いてあるところに「第8 事務処理誤りの現状と再発防止策」という章がございます。
現行で、私ども年金機構におきましては、極力事務処理誤りの根絶を期すということで、取り組んでおりますけれども、やはり、どうしても過去に社会保険庁時代も含めて、発生した部分もございますし、これからも発生し得るということでございます。
こういった場合への対応ということで、給付面では時効特例法が制定されておりまして、仮に、間違った給付があったら、時効制度にかかわらず、正しく訂正できるというようなスキームがありますけれども、保険料の納付ということに関しましては、救済の方策、現行制度では、2年の時効というものが過ぎてしまうとないというものが基本になっておりますので、この点について、今回、制度を創設して、救済を図るというものでございます。
最初の資料にお戻りいただきますと、事後的に事務処理誤りなどの事由が明らかになり、それによって国民年金保険料の納付の機会を逸したと認められる場合、例えば、この任意加入をしたらいいかどうかということを被保険者の方が御相談に来られた。
「あなたは、今から任意加入しても年金受給権を発生しませんよ」と間違った説明をしてしまった。
本当は、実は加入すれば年金受給権に結びついたはずなのに、間違えて説明してしまった。こういうようなケースにおきましては、今回の措置によりまして、保険料を納めていただき、それで将来に向けて、つまり納めたら、そこから受給権が発生する。あるいは年金額がふえるというような形で救済を図るというのが1つ目の項目でございます。
2つ目「付加保険料の納付等の特例」というものがございます。
こちらも同じく、年金記録問題の特別委員会のほうから御指摘をいただいた案件なのでございますけれども、付加保険料のかつての現行でもまだそうなのですが、納期限に納付がおくれた場合は、任意加入の制度ですので、脱退したという扱いをするということが法律上定められていたということでございます。
具体的な事例として、口座の中に十分にお金がなかったために、引き落としされなかったという場合には、その時点で実は脱退扱いとしなければならない。これが法律に則った正しい処理ということでございますが、実態としましては、年金事務所によって実はばらつきがございまして、そのとおり、脱退扱いとして、改めて申請がない限りは、付加年金への加入を認めないという取り扱いをしていた事務所と、そうではなくて、その後、引き落としがうまくいけば、その時点から付加保険料の申し出があったというようなことで、実際、受け付けていたというような場合と両方ございます。
そういった不統一があったことを鑑みまして、今般の措置では、それをどちらも過去、納付自体をみなされた。口座からは落ちなかったけれども、みなされた期間について、納付を可能にする制度というものを3年間の時限措置で過去10年間にさかのぼって認めようということが、この「付加保険料の納付等の特例」という制度でございます。
以上が、最初の1つ目、2つ目の項目でございます。
引き続きまして、事業企画課長のほうから御説明をいたします。
○赤澤事業企画課長 それでは、私のほうから3番目と4番目のほうにつきまして、御説明をさせていただきたいと思います。
まず、お手元の資料の4ページでございます。こちらのほうが3番目の「年金記録の訂正手続の創設」についての御説明ということでございます。
これは、前回の年金部会でも御報告させていただきました年金個人情報の取り扱いに関する専門委員会の報告書を受けた措置ということでございます。
現在の年金制度におきましては、年金記録の訂正の手続、恒常的な訂正の手続が存在していないということを踏まえまして、今回、そちらに書いてございますように、年金個人情報、具体的には国民年金、厚生年金保険の原簿記録、年金記録について、被保険者等がその原簿記録が真実でないと思った場合には、訂正の請求を可能とするということで、請求権を付与するという改正をしたいということでございます。
訂正請求をいたしますと、民間有識者の審議に基づいて、厚生労働大臣が記録を訂正するまたは訂正しないという形での決定を行うということを考えているところでございます。
下のところに書いてございますように、年金記録の訂正請求権は被保険者等に付与して、ただし、その場合、事実関係について、非常に複雑なケースがございますので、それをできる限り明らかにするために、訂正請求があれば、厚生労働大臣が関係機関に資料提供等を求める。
そして、民間有識者からなる合議体の審議によって、厚生労働大臣が訂正決定を行う。
そうすることで、訂正決定で行政処分という形で構成されますので、その決定に不服がある場合、要するに訂正しないという決定を行った場合は、不服申立手続や司法手続に移行が可能となるという仕組みを考えておるところでございます。
下のイメージ図をちょっとごらんいただきますと、請求者が訂正請求という形で年金事務所で受け付けて、厚生労働大臣に請求する。実際には、訂正の権限を地方厚生局に委任することを考えておりまして、地方厚生局のほうで、利用者、関係者、関係機関に調査を行うということをまずやります。
そして、その上で、地方厚生局に置かれます民間有識者からなる合議体、これに諮問、答申をいたしまして、最終的に訂正するか、不訂正決定をするかということを決めて、請求者に通知するということを考えているところでございます。
その審査基準につきましては、社会保障審議会に分科会を設けまして、そこのほうで審査基準を定め、それに従って訂正請求の手続を進めていくということを考えているところでございます。
以上が3番目の点でございます。
それから、引き続きまして、5ページでございます。
もう一つの関係でございます。
「年金個人情報の目的外利用・提供の範囲の明確化」ということでございます。
現在、年金記録の情報を初めとします年金個人情報、これはプライバシーが非常に高いということで、その目的外の利用・提供につきましては、行政機関について適用されている個人情報保護法よりも厳しく制限されているということでございます。
具体的には、年金に関連する事務以外には、基本的には情報を出さないというような形で、法律が書かれているところでございますが、政府管掌年金事業に関連する事務以外の事務で、一定程度蓄積があるケースがあれば、こういう場合に、年金個人情報の提供をできるという形で明確化してはいいのではないかと考えるところでございます。
具体的事例、そちらで書かせていただいております。
経済的虐待を受けているおそれがある高齢者の方、そういう方について、市町村が高齢者虐待防止法に基づきまして、虐待の事実を調査、確認したい。年金の受取口座情報を知りたいけれども、御家族との関係等で、年金の口座がどこにあるかということもわからないという場合に、市町村のほうに、その受取口座情報等の提供をするということを具体的には1つの事例として考えているところでございます。
そういう類型につきまして、きっちり法令上位置づけて、年金個人情報の目的外利用・提供を可能とするという措置を講じさせていただきたいというのが4番の改正事項でございます。
私のほうからは以上でございます。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
ただいま、事務局のほうから、政府管掌年金事業の運営の改善のための法律改正の案につきまして、検討中の改正内容、4項目を中心に簡潔に御説明をいただいたところでございます。
それでは、委員の皆様方から御質問あるいは御意見ございましたらば、頂戴できればと思います。
宮本委員、どうぞ。
○宮本委員 ありがとうございます。
それでは、私から「年金事業の運営見直しについて」の2ページの「納付猶予制度対象者の拡大」のところで一つ御意見を申し上げたいと思います。
この納付猶予制度の対象年齢を30歳未満から50歳未満までに拡大するということについては、ここにあるように、恐らく非正規労働者の年齢層がこれから広がっていく。既に広がっていますけれども、これに伴う対策としてそうだろうと推測をして、その点でこれは理解ができます。
ただし、この制度は、猶予した保険料を納付することができる制度であって、必ずしも納付しなければならない制度ということではないので、追納がない限りは、年金受給額には反映されない仕組みですから、納付率向上の根本的な解決策としては、どうなのかと思っています。
納付率向上のためには、この拡大だけではなくて、免除適用の拡大ですとか、社会保険そのものの適用拡大といったような対策もあわせて必要ではないかと思っていまして、さらに言えば、厚生労働省にお願いしたいのは、労働行政を所管する行政機関として、労働者が安心して働けるような、雇用の安定に資するような政策全般についても、ぜひこれからも積極的に推進をしてもらいたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○神野部会長 納付猶予制度の対象年齢の拡大について、御意見を頂戴したのですが、事務局のほうから何かコメントございますか。
承っておくだけでよろしいでしょうか。
いいですか。どうぞ。
○樽見年金管理審議官 年金管理審議官の樽見でございます。
ありがとうございます。
基本的に御指摘のとおりだと思います。
まさに、これによって納付猶予を拡大するわけでありますけれども、追納しなければ年金額はふえないわけですので、むしろ、この納付猶予の年齢層を拡大して、これをうまく使っていただくことによって、例えば、生活が苦しくて払えないときには、こういうものをうまく使っていただきながら、その加入期間というものをうまく乗り切っていただくということかなと思っておりますし、おっしゃりますように、まさに免除の話でありますとか、適用拡大でありますとか、全般的な労務対策でありますとか、そういうところとともに取り組んでいくべき課題と考えております。
ありがとうございます。
○神野部会長 ありがとうございます。それでは、諸星委員、どうぞ。
○諸星委員 ありがとうございます。
本日の結果を受けまして、いろいろ各専門委員会で御検討されたことを非常に前向きに対応されているなということで、好印象を持ちました。ただ、ちょっと私のほうから3点ほど意見と2点ほど情報ということでお伝えしたいと思います。
まず、1点目の意見なのですが、2ページ目の「学生納付特例事務法人」、たしか前回の部会の中で、花井委員がこの事務法人についての質問をされたときに、24年度で168法人というお話があったと思います、
この点を見直すことはいいのですけれども、やはりその法人数をふやさないと、学校によって、つまり通う大学によって、手続きにおける差が出てくるという危険もございますので、そういった差別化につながらないような何か方法の御検討をしていただければなと思っています。
次に同じく2ページの4、全額免除制度の見直しということで、私は以前から、全額免除制度における継続申請についてはもう一度、もっとやりやすいように、全額免除だけではなく、前年度の収入に基づき異なる免除対象になったときの問題を前回にも提起したと思いますけれども、そういったことも含めてやっていただきたいと再度お願いしたい。また現在行われている市場化テストについては、実際の効果がどの程度あるのかなという点については正直疑問に思っております。もし、この申請を受託できる制度を創設するということであれば、やはり指定する業者について、毎年成果の確認をするなり、あるいはこういった社会保障あるいは年金、そういった制度についてよく熟知している業者あるいはそういった研修をされているということだったのですけれども、私も社会保険労務士の一員ということもあり、社会保険労務士はやはりそういった一端を一部担うべきと思っているので、今までの成果も含めた見直しをされたほうがいいのかなと思っております。
それから、3番目として3ページ目にあります誤った説明を受けたなど、事務処理誤り等の事由についてですが、先ほど、例えということで、任意加入してもむだという説明をしてしまったという事例が出ましたけれども、そもそも間違っていたデータであれば、当該説明した方々が本当に誤った説明をしたのかというのは、非常に難しい問題だと思われます。なぜなら、社保審査会における多くの不服の理由として、国民の方々は行政側から誤った説明を受けたのでと言われることが多かったのです。
けれども、やはりよく確認して見るときちんと説明をされているのですが、なかなか御理解が得られなかったケースが多く、中身を見てみますと、専門用語を多く使ってしまっており、被保険者である国民の方々は、それだけで頭がもうパニックになってしまい、もうわかりましたなどということで、引き下がるというような事例もありました。そのような事実からもやはり、ここの部分で誤って説明を受けたなどの事務処理ということよりも、逆に国側で言えば、誤った説明をしていないという証拠性ですか、いわゆる証拠の担保というものをやはり考えないと、公平性が保てないのではないかとちょっと私は危惧しておりますので、その点も十分、今後、議論をしていただきたいなと思っております。
最後に、2点ほど情報なのですが、プレスのところで、参考資料1、4ページです。
「公的年金制度に対する理解の促進」ということで、特に若年者の納付率を向上しましょうということで、映像資料とか、いろいろなものを作成されているようなのですが、私、たまたま先日、内輪の話で申しわけないのですけれども、社会保険労務士の方がバンドを組んでいて「ハタチの約束~国民年金~」というものを歌っていたのです。びっくりしまして、ハタチの約束、後ほど事務の方にはその詩を渡しますけれども、二十歳になったら国民年金を納めないと、障害年金もらえないよとか、自分が困るよとか、保険料を納めなかったら、免除申請があるよとか、そういうことを歌っているものがありますので、そういった何か若い人に受けるような広報の仕方というものも一つ検討されてはどうかなと思っております。
もう一点、情報としては、参考資料2のところで、年金記録回復ということで、実際につい先日、私が経験したばかりのことなのですけれども、なかなか記録回復ができないという中の御相談が具体的にあったのですが、たまたま年金の記録が多分間違いなくそうだろうと見つかったことがあったものですが、それが自分の子供のこともわからないような認知症の方の厚年記録だったのです。周囲には誰も当時、昔、若いころに働いていたということを証言できる人が誰もいない。これから高齢者がふえてきて、認知症もふえてくるということなので、先ほどは暴力を受けたとかの被害を受けたみたいな事例のことがありましたけれども、それだけでなく、やはり認知症がふえてきたときの対応をどうするのか、そういったこともやはりあわせて御検討していただければ、もっとさらにその記録の回復というものが進むのではないかと思っております。
私からは以上です。
ありがとうございました。
○神野部会長 ありがとうございました。
3点、2点とお分けいただきましたが、いずれも留意点といいますか、意見というか、留意すべき点を御指摘いただいたかと思うのですので、これもコメントをいただければと思います。
○樽見年金管理審議官 ごく簡単に。
最初に、学生納付の扱いの話、この法律改正の資料2ページ目の2番、学生納付特例事務法人、これはまさに大学がまだやっているところが少ないというのは御指摘のとおりで、今回はこういう改正をするということの一つの意図として、今は学生さんから大学のほうに申請が来ても、そのときに効力を発生しなくで、それを大学が年金機構のほうへ持っていったときに効力が生ずるということで、そこにタイムラグがあるものですから、従って大学当局が、これをいわばそういう事務をやるということのリスクを感じているということがあると認識しています。
それで、今回の改正で、大学が学生さんからいわば申請を受けたときに効力を発生するということになります。
要は、大学が握っている間に、例えば、部活動で障害になってしまったりすると、障害年金が出ない。それが大学が握っていたせいであると言われてしまうというのは、大学のほうとしてリスクを感じているというようなお話も承知したものですから、そういうことでこういう改正をするということでございまして、これをやることによって、もちろん学生さんにとって、メリットが生じるのもそうなのですが、こういうことによって、むしろ大学のほうが、今、数が限られております学生納付特例事務法人にいわば大学のほうも参加をしていただきやすくするということが今回の改正の1つのねらいでございますので、それだけコメントさせていただきます。
○神野部会長 ありがとうございました。
ほかの点はいかがでございましょうか。
全額免除とか。
○大西事業管理課長 その他の免除制度の見直し、一部免除の方の継続申請の話とか、あるいは市場化テスト業者の管理監督の問題とかの、まさに御指摘のとおりだったと思います。
事務処理誤りについては、公平性が心配だという御指摘をいただきましたが、先ほどの説明では端折っておりますけれども、この事務処理誤りの認定に当たりましては、基準を定めて、その基準も第三者の御意見を私どもが勝手に定めるのではなくて、外部の有識者の御意見を聞いた形で定める。その基準に則って運用をしていくというようなことで、公平性を担保してまいりたいと考えております。
あるいは、また広報についての御指摘も、若い方が大事だということに関しては、全く同感でございまして、私どもただ広報については、事業仕分けということを、今、予算が0円というところから、今、ようやく今回、モデル的な形で効果をきちんと検証しながら取り組むということで第一歩を踏み出したいと思っていますので、引き続き御支援いただければと思っております。
○神野部会長 ありがとうございます。どうぞ。
○八神総務課長 広報の件で、今、事業管理課長からもお話ししました。
まず、諸星委員から御紹介のあった社労士さんのバンドについてはぜひ御紹介いただければと思います。
その上で、私どもも、どうやって特に若者を中心に情報を発信していくかということを今こそ大変しっかりやらなければいけないなと思っておりますので、私どもの中でも、調査研究を始めておりまして、どういうやり方をすれば若者に届くかということをまさに研究を始めておりますので、いろいろと御示唆がございましたら、ぜひお願いできればと思います。
どうもありがとうございます。
○神野部会長 それでは、どうぞ、花井委員。
○花井委員 私からは、今回の改正については、この方向性でぜひやっていただきたいということをお願いした上で、もう一つ、年金記録のこと、それから日本年金機構の体制のことについて意見を少し述べたいと思います。
今回の改正あるいはその後に一体改革による制度改正が続くわけですが、日本年金機構が扱っている情報や、被保険者それから受給者の数を考えると、膨大な事務量に、現在、なっているかと思います。
先ほど、事務処理の誤りということがありましたが、当然誤りはあってはならないのですが、それを0にすることは相当難しいだろうとも思っております。
可能な限り、誤りがないよう、あるいは事務作業がスムーズに行くよう、専門性を持った人員の配置ですとか、予算との関係は十分承知しておりますが、そういう運営体制の強化ということもあわせてぜひ、今後、検討していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
以上です。
○神野部会長 これはいいですかね。
承っておけば。
○樽見年金管理審議官 しっかりと受けとめて考えたいと思います。
○神野部会長 わかりました。
どちらからいきますか。
ちょっとではお待ちください。
先に駒村委員が挙がっていたので、駒村委員。
○駒村委員 いいですか、菊池委員も手を挙げていました。
猶予制度についてなのですけれども、先ほども御意見があったかと思いますけれども、非正規労働者が増加しているということが背景にあるわけですけれども、やはりこれは厚生年金の適用拡大が王道だと思うのです。
したがって、猶予制度を拡大することによって、適用拡大の代替措置にはなってはいけない。あくまでも補完的な政策であるというのは、今後も適用拡大は少しずつやっていただきたいと思います。
今の現状で、猶予者の追納状況は決してよくないと思います。
これは拡大することによって、50歳未満の方までに対して、払わなければいけないから、払えるときに払えばよいというように、デフォルトが変わってしまうことによって、楽なほうに流れてしまう。
結果的には、追納しないで低年金になるというおそれもあるわけですので、やはり猶予制度を拡大した後は、追納状況をきちんと精査していただいて、追納促進の仕組みも検討していく必要があるのではないかと思います。
以上です。
○神野部会長 わかりました。
これもよろしいですか。何かコメントございますか。追納制度。
○大西事業管理課長 御指摘のとおりだと。パート適用拡大の問題ももちろんそのとおりですし、追納については、専門委員会でも同様の御指摘を大変いただきまして、猶予をしてその後、追納していただくということをきちんと勧奨を図っていくことも検討してまいりたいと思います。
○神野部会長 ありがとうございます。
では、菊池委員、お願いします。
○菊池委員 ありがとうございます。
私は委員会でいろいろ議論させていただきまして、そこで申し述べさせていただいたので、この内容に関しては、特に意見等はございません。
かなりそこでの議論が反映していただいたと思っておりますので、ぜひ早期に実現していただきたいと思っております。
2点ちょっと要望というか、感想ですが、1つは、今回、改正は財源の問題などではなくて、仕組みというか、制度にかかわるものでありまして、そうすると、これは私の商売柄もあるのですけれども、せめて法律の要綱案ぐらいの、つまり具体的にここをこういじるのだ。本則なのか、附則なのか、それとも改正法のほうでやる。確かにこれは非常に技術的な問題だと、そのとおりなのですけれども、しかし、結構重要ではないかと思っておりまして、なので、これからそちらの作業に入られるということなのかもしれませんが、私の関心としては、そういったもう少し具体的にどう法律改正していくのかというあたりを知りたいという委員もいるということを申し述べさせていただきたいと思います。
若干、それとかかわるのですけれども、先ほど、諸星委員からございました3ページの新しい1の制度の創設ですが、ちょっと内容的に、まだこれからなのかもしれませんが、よくわからなくて、先ほど難しいというお話が諸星委員からもありましたが、個人がどこまで主張立証するのか、何をどこまで主張すればいいのかなど、ほとんどこれではわからないわけで、多分、それで不服があったら、これは社会保険審査会に行くのでしょうか。イメージはわかるのですが、先ほど、この基準は第三者が関与して決めるという話もありましたが、その辺ももう少し法律の枠組み、一番目の質問の中に入りますけれども、法律の枠組みがわかっていれば、我々もイメージしやすいという面があるのではないかと思うのです。
それはそれとして、私の今の3ページの件にかかわって、もう少しこの仕組み、制度のイメージがわかれば、お教えいただきたいというのが質問です。
○神野部会長 わかりました。
最初の本則か附則かとか、法律の枠組みにかかわるのは、改めてまた説明をいただくというわけにもいかないと思いますので、今時点で何かコメントいただく点があればコメントいただいて、あと御質問について、お答えいただければと思います。
○大西事業管理課長 申しわけございません。
まだ、まさに法案の何をどのように書くみたいなことは作業中でございまして、まだ現時点ではお示しできる状態にございません。
そういうものができましたら、また速やかに委員の皆様にもお届けしたいと思います。
事務処理誤りについてでございますけれども、具体的な法律の規定としては、要するに事務処理誤りがあって納付できなかった方は、納付できるという、まさにここに書いてあるようなことを規定していくという、その対象範囲は保険料の納付ができなかった場合、付加保険料の納付ができなかった場合にとどまらず、いろいろな申し出とか手続の面で、追納法あるいは免除申請、任意加入の申請あるいは納付猶予のほうの申請といったものも、ここでは救済を図るというようなことで、対象事例については、ここに書いていますけれども、そういうような形で考えております。
納めていただく保険料の額などは、実際に納められなかったその当時の額、そういった額で納めていただきまして、それが実際に納めていただいたら、その納めていただいたときから、年金額を改定するとか、あるいは受給権を発生させるというような仕組みになるということでございます。
事務処理誤り、具体的にどういうものがあるかというものは、なるべく実は先ほどの年金記録問題に関する特別委員会の中で、これはいろいろな事務処理誤りの御指摘を現にいただいていまして、あるいは年金機構のほうでは、毎月、事務処理誤りはこういうものがございましたということを発表してございます。そういうものを参考にしながら、先ほど申しました基準を設定しまして、極力余り厳密な立証責任などを当事者に課さずに、機構のほうで持っている過去の相談記録、そういうようなものを踏まえれば、確かにおっしゃっているとおりだなというような場合には、この事務処理誤りの特例の適用をするというようなことで運用してまいりたいと考えております。
○神野部会長 ありがとうございます。
どうぞ。
○菊池委員 ありがとうございます。
そうしますと、イメージとしては、4ページの訂正手続と同じようなイメージというか、厳密な立証、証明でなくても、疎明程度でいいとか、あるいは申し出があったら、積極的に第三者性のある機関が事務処理誤りがあったかどうかを調べていくという、そういったイメージの仕組みだと考えてよろしいですか。
○大西事業管理課長 個別に第三者委員会にそのつど事務処理誤りがあったかなかったかを審査していただくのではなくて、そこはもうあらかじめ基準を定め、そこのところで関与していただく。基準といっても要するに、結局、先ほど来、例で挙げましたようなこういう事由で任意加入ができなかった場合とか、幾つか具体例をなるべく類型化するというような形で、その類型に当てはまれば、事務処理誤りとしてこの手続を受けられるというようなことで考えております。
○神野部会長 よろしいですか。
○樽見年金管理審議官 ちょっと補足で。
○神野部会長 どうぞ。
○樽見年金管理審議官 きょうの資料の年金記録に関する特別委員会の報告書の概要というものが参考資料2で出ておりますけれども、これの概要の10ページ、第8というところが「事務処理誤りの現状と再発防止策」。ここには具体的に概要版ですので、詳しく書いてありませんけれども、ここの中にこれの(2)のところで、要は顧客側に責任がなくて、届け出などができなかったというような場合には、結局、年金の受給権は発生しないとずっと一生続いてしまうので、これは何らかの救済が必要ではないかということの御指摘をいただいた。
事務処理誤りの件数自体は、ここの10ページの第8の頭のところに書いてありますように、全体のトランザクションの10万分の1程度ということなのですが、ただ、事務処理誤りを被った側からすると、全体で見ると10万分の1だというのは、受けた人からすると全部ですので、そういうところを考えてどうするか。ただ、一応こういう形で何件こんなことがありましたというのは、毎年毎年集計をしているわけでございます。
先ほど、課長から申し上げましたように、こういうものもある程度の類型化、この報告書も、本文のほうでは幾つかの類型化がされておりますけれども、そういう類型化されておりますので、そういうものの中から、こういうことがわかれば、客観的に事務処理誤りがあったと見られるであろうというケースを有識者の御意見もいただいて、整理をするという作業をしまして、それに当てはまるような場合に、この事務処理誤りであるという認定をする。
ただ、それは先ほど諸星先生からお話がありましたけれども、御本人様のほうでこう言われたというのだけというのではなくて、やはり何らかの客観的な条件というものは必要とするという形にすることを考えておりますけれども、しかし、1件1件個別にどちらが悪いというのをやるというよりは、そういう類型化の中で、簡易、迅速ということに意を用いながら対応していけるような仕組みということを考えているということでございます。
○神野部会長 よろしいですかね。
では、すみません。お待たせしました。
出口委員、どうぞ。
○出口委員 1点要望と1点情報の提供をさせていただきたいと思います。まず、要望のほうでは、今回の案については、よく考えられていると本当に思いますけれども、どんなことをやるにも、やはりお金がかかるのですよね。この別紙の参考資料1を拝見して、ああ192億円、こんなにかかるのだなということを改めて思ったのですけれども、本当に時間とお金が十分あれば、どんなことでもできますけれども、今の我が国の置かれている状況を考えれば、小負担、中福祉ですから、この国は構造的に大変なので、やはり、お金は効率的に使うということが必要だと思います。今年度の予算が40億円で、新年度が192億円ということであれば、例えば、民間の感じから言えば、去年の40億円はこう使い、効果対費用がこうあったので、効果の高いところから、増額して192億円ですよとお金の効率性の御説明があったら、もっとよくわかるし、国民の理解も深まるのではないかなと思いますので、多分、内部ではきちんとそうされていると思うのですけれども、そういうお金をこう使って、こういう効果があったから、ここはもっとふやしたいということを「見える化」していただければ、やはり国民の厚生労働行政に対する理解と支持が深まるのではないかと思いますので、そういう点についていろいろ工夫をしていただければありがたいと思います。
それから、情報提供のほうは、そんなに母数がないのですけれども、1年間で数百人ぐらいの20代の方とディスカッションとかをした記憶はあると思うのですけれども、そのときに、国民年金の話をして、私の個人的な感覚なので、統計的な意味は自信がないのですけれども、正しくというか、骨格を知っている20代の方というのは、多分1割もいないのではないかという感じを受けています。
私自身は、遺族年金とか障害年金の話を少しするだけでも、ああ知りませんでした、やはりちゃんと払わなければいけないですよねという人が実はほとんどなので、仕分けで広報予算が削られたとか、大変な事情はよくわかりますけれども、実は本当にわかりやすくこう役に立つのだよと、本当に負担が給付ですから、そういう説明というのは、意外に我々が考えているよりももっと重要であるのかなということをちょっと思いましたので、そういう情報提供を申し上げたいと思います。
以上です。
○神野部会長 これはどうでしょう。租税のほうでも調整費最小の原則が基本原則ですので、鋭意努力されていると思いますので。
○樽見年金管理審議官 まさに、今、お話があった2点の話は、実は表裏がと思って聞いておりました。まさにこの予算の話も、私どもこうやって書いてしまうのですが、これの中で、例えば督促とか徴収という、これはもう全体の中でこういう層に重点を置いていくということを後ろの資料のほうで若干書いてあるのですが、そういうところをわかりやすく、わかるようにちょっとこれから資料を気をつけたいと思いますし、そういうわかりやすさということで、若い人への働きかけということも、ちょっと意を用いていきたいと思います。
ありがとうございます。
○神野部会長 あといかがでございましょうか。
どうぞ、原委員。
○原委員 御説明いただきありがとうございました。
先ほど、宮本委員や駒村委員からもお話があったところで、私も若年者猶予制度対象者の拡大のところで、少しだけお願いとコメントをさせていただきたいと思います。
猶予と免除の基準の違いの一つに、親などの世帯主の所得をみるのか、みないのかという違いがあるかと思います。
対象年齢を引き上げたときに、具体的にどういう人が対象になってくるのか、どういうことが起こり得るのか、いろいろなケースを確認していただきたいと思っております。
それから、何よりも先ほど宮本委員もおっしゃっていましたけれども、免除と猶予で何がどう違うのかというのが、なかなかまだ一般の方に伝わっていないように思いますので、その周知徹底、啓蒙活動が必要と考えます。
後から知らなかったとか、そういうことがないようにお願いしたいと思います。
また、免除制度ということについても、多段階免除制度ということで、免除の段階がありますが、一般の方になかなかその基準ですとか、種類とかがわかりにくいことがあるかと思いますので、まずは免除制度というものも広く知っていただくような取り組みをお願いしたいと思います。
そして、免除や猶予の申請窓口は主に市町村になるかと思いますので、ホームページ等、いろいろ出していらっしゃる市町村もございますけれども、市町村への周知徹底、連携というものを再度しっかりとしていただきたいと思っております。
以上です。
○神野部会長 ありがとうございました。
何かコメントございますか。よろしいですか。
ございます。
○大西事業管理課長 まさに全部御指摘のとおりだったと思います。
周知徹底には十分意を用いてまいりたいと思います。
○神野部会長 ありがとうございます。
ほか、いかがでございましょう。
では柿木委員。
○柿木委員 それでは、私のほうから1つ質問させていただきます。
ここに年金保険料の納付率の向上方策ということで、5つが並んでおります。この中には、納付できない人をきちんと区別するという方策もあるわけで、なかなか難しいと思うのですけれども、この5つの法案で、一体どのぐらい納付率が向上するのか。
例えば、3番目とか4番目といった方策について、納付率の向上がどの程度望めるかという数字をお持ちでしたら、教えていただきたい。
先ほど、出口委員からもお話がありましたけれども、やはりこういった法案を納付率の向上策として立てる以上は、法案それぞれに対して、どういった納付率向上効果が期待できるのか、そういった数値がもしおありでしたら、教えていただきたいということと、そうした観点があるのかということについて、お伺いしたいと思います。
○神野部会長 これはいかがでしょうか。
どうぞ。
○大西事業管理課長 納付率につきましては、毎年度目標を定めて具体的な数値の目標を定めて、年金機構のほうでは事業の運営、納付率の向上に取り組んでいただいております。
今度の基本5年間の中期目標、中期計画の見直し時期になっておりまして、またその中でも、新しい納付率の目標というようなものを定めていきたいと考えております。
ただ、現時点でこの個別の項目につきましては、いずれもどちらかというと、手挙げ方式と申しますか、本人が希望すればこういうものを受けられますというような制度が中心になっておりまして、これらが実際にどれぐらい納付率の向上に定量的に効果があるかという点については、私どもちょっと残念ながら、申しわけございませんが、数値では現時点ではお示しをさせていただいておりません。
そこは、納付率の目標と最初に申しました部分を設定する中で、この向上方策による効果みたいなものもある程度勘案しながら、検討していきたいと思っております。
○神野部会長 ありがとうございます。
事務局のほうはほかにいいですか。
では、小塩委員、お願いいたします。
○小塩委員 私も先ほど柿木委員と同じ質問をしようかなと思っていたのですが、今度、予算がかなり大きくなりましたので、具体的な政策目標があれば、それを示していただきたいということが一つです。
もう一つは、予算の規模を見ますと、国年と厚年はほぼ同じぐらいになっていますが、先ほどはどちらかというと、国年のほうの説明にウエートがかかっており、厚年についてはあまり数字も出ていなかったのですが、具体的にどういうところにウエートを置いて施策を展開されるのか、それをお聞きしたいなと思います。
○神野部会長 よろしくお願いいたします。
○大西事業管理課長 お手元の参考資料1の4ページ目に「厚生年金の適用促進策」というページがございます。99.6億円ということで計上させていただいています。
このうち、特に(1)の法人登記簿情報の活用という部分でございますけれども、法務省のほうから、法人登記簿情報というものをいただいておりまして、これをかなり実は法人数というのはかなりな数なのですけれども、それと厚生年金のほうの適用事業所のデータと突合をしまして、その差、つまりそれは適用していないけれども法人だということで、もしかしたら、ちゃんと適用しなければいけない可能性があるということでございます。
実態として、例えば、ペーパーカンパニーですとか、事業の実態のない法人登記してあるだけの法人みたいなものもございますので、その差が全て必ずしも厚生年金の適用事業所になるとは限らないわけでございます。
そういうものが240万ぐらいあるのではないかと考えていまして、現在、それをこの5年間で集中的に全部しらみつぶしに調べていって、適用に結びつけていくというものが、今回、大きな取り組みとして掲げさせていただいたところでございます。
(2)のほうに書いてあるものは、従来の取り組みを引き続きやっていくということでの予算を計上させていただいているということでございます。
あと、ちなみにこれ、今回、収納対策の予算が確かに大幅に拡大をしておりますけれども、事業部門といたしましては、記録問題の予算が、実は、大幅に減っておりまして、それとの見合いで考えますと、ここだけが突出して何か伸びたというわけでは別にないということでございます。
○赤澤事業企画課長 補足させていただきますと、事業部門で、年金局の業務勘定が平成25年度予算が3,932億円、26年度予算が3,844億円ということで、全体的に見ますと、伸び率マイナス2.2%ということで、私どものほうといたしましても、節減努力は重ねた上での予算案という形で国会に提出させていただきたいと考えているところでございます。
○神野部会長 ありがとうございます。
ほかによろしいですか。
小室委員、どうぞ。
○小室委員 小室です。
ありがとうございます。
先ほど、出口委員のおっしゃられていた広報の話と非常に近いのですけれども、この運営をするに当たって、予算がないにしても、もう少し何かできる広報はないかなと思っています。
というのも、私は学生の勉強会を14年間ずっとやってきているのですけれども、その中で、年金定期便とかが届いたら、それを全員で持ち寄るとかというものをやってみているのですけれども、全員、開けてみて、内容はやはり意味がわからないのだそうです。
フレンドリーなのは封筒だけだと言われていて、1行目から意味がわからないと言っています。やはりそれだと、それが届いたところで定期便が届いたことにどれほど意味があるのかなと思っていて、予算をかけなくても、あの定期便の内容をもっとわかりやすい表現に変えるだけで、何もCMを打たなくても紙ものを山ほどつくらなくても、今、送っているものの表現をもっと多くのいろいろな方にチェックしていただいて、本当に理解できるものにするだけで効果があるのではないかというのが1点。
それから、かなり年金が問題になった時期に、多くの方が自分の年金が不安だと言って、問い合わせに詰めかけたときに、若者は帰らされました。あなたはまだ急ぎではないでしょうと言って、帰らされたところから、もう二度と行っていないという人がたくさんいて、今、空いていますではないですけれども、何かそういう情報をもう一回出したら、もう一度来てくれると思うのです。
今、空いているのかどうか、私はわからないのですけれども、今なら問い合わせれば、ちゃんと対応してもらえるのだというようなことがないと、あのときかなり本当に突き返されたというか、それどころではないのだみたいな扱いを受けた若者は多かったので、そういった強化月間をつくるなり、今、送っている定期便に、例えばあなたの誕生月はあなたは優先して問い合わせを受け付けますだとか、何かしら、そういうような、今なら行ってみようかなと思わせるような情報を入れるだけで、それほどの費用は必要なく、もっと多くの方に正しい知識、来ていただいたら正しい知識が入れられると思うので、提供できるかなと思うので、ぜひやってみていただければという要望です。
以上です。
○神野部会長 これも何かちょっとコメントがあれば。
どうぞ。
○樽見年金管理審議官 まさにおっしゃるとおりで、わかりにくいというのは、本当に問題でありまして、これは実はこの年金記録問題が起きた19年、20年ぐらい、まさにお年寄りが殺到したときにも、当時の社会保険庁あるいは、その後日本年金機構、年金局も含めて、そういう意識があって、わかりやすいお知らせをすれば、わかっていただけるというのもそうですし、さらにそれによって、例えば、電話相談の件数も減らせるし、窓口の組み方も減らせるのです。わかりやすい資料をお送りすれば。そういうことも意識をしながら、日本年金機構、22年にスタートした最初のころにも、実は機構の中でできるだけ若い職員にそういう文章をつくらせるとか、いろいろな御意見を聞いて、わかりやすくするということについて、それなりの取り組みはしてきているのでありますが、ただ、やはり、わかりにくい。そういうところは本当に御指摘のとおりだと思いますので、まさにおっしゃるようなこと。それから、事務の能率の改善は、まさにお金と時間をどう効率的に使うかということを含めて、わかりやすい資料ということについて努力をしていきたいと思いますし、今なら行ってみようかなと思わせるという、ちょっとそれを具体的にどういうことができるか。例えば、今でも毎年11月は年金月間というようなことで、いろいろなキャンペーンをやっているのですけれども、何かそういうものを、例えばそういう若者との関係をどう進めるかというようなことを含めて、検討していきたいと思います。
○神野部会長 どうもありがとうございます。
それでは、定刻でございますので、本日の部会はこれにて終了させていただきますが、委員の皆様方には、大変、建設的な御質問や御意見を頂戴したことに深く感謝を申し上げる次第でございます。
法律改正については、委員の皆様方に御承知おきいただいたと考えております。
事務局におかれては、今後の年金行政を運営する上で、さまざまな角度からいろいろ御提言もいただいておりますので、御考慮いただいて、反映していただければと考えております。
それでは、事務局のほうから連絡事項がございましたら、お願いいたします。
○八神総務課長 本部会の次回の開催の日時につきましては、また追って連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
御熱心に御議論を頂戴いたしましたことを重ねて感謝をいたしまして、これにて閉会とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
(了)
団体