2017年4月21日 第1回社会保障審議会資金運用部会
年金局
○日時 平成29年4月21日(金)13:00~14:48
○場所
東京都千代田区平河町2-4-2
全国都市会館3階 第1会議室
○出席者
神野部会長、植田部会長代理、井上委員、臼杵委員、大野委員、河村委員、神作委員、徳島委員、杤原委員、永井委員、原委員、平川委員、安浪委員、四塚委員
○議題
(1)部会長・部会長代理の選出
(2)社会保障審議会資金運用部会について
(3)今後の審議スケジュール(案)について
(4)公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律(GPIF改革関連)について
○議事
○宮崎参事官 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第1回「社会保障審議会資金運用部会」を開催させていただければと思います。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございます。
部会長を選出いただくまでの間、私のほうで議事進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、本部会の第1回の開催に当たりますので、厚生労働省年金局の鈴木局長から一言御挨拶を申し上げます。
○ 鈴木年金局長 年金局長の鈴木でございます。
先生方には、大変御多忙の中、本部会の委員御就任を御快諾いただきまして、まことにありがとうございます。
改めて申し上げるまでもございませんけれども、年金積立金は国民からお預かりいたしております大変貴重な財産でございます。その管理運用につきまして、国民の皆さんの御関心も非常に高いという状況にございます。
国民の信頼に応えて、積立金という貴重な財産を毀損させることがないように効率的に運用していく、将来の年金給付のために役立てていくということが必要でございますので、しっかりと取り組んでまいらなければならないと思っております。
御案内のように、昨年の臨時国会で年金改革法が成立いたしまして、その中の大きな柱の一つが、年金積立金の管理運用に当たりますGPIFのガバナンスの強化でございます。そうしたことも含めまして、年金積立金の管理運用に関する重要事項を専門的に御審議いただく場ということで、社会保障審議会に新たにこの部会が設置されたという次第でございます。この部会におきましては、GPIFの中期目標の策定変更、基本ポートフォリオを含みます中期計画の認可や実績評価、業務方法書の認可、役員の任命基準などの事項につきまして御審議をいただきたいと考えております。
当面でございますけれども、合議制の意思決定機関でございます経営委員会の設置など、10月1日の改革法の施行に向けまして、必要となる諸事項につきまして御審議を賜りたいと考えております。
ぜひ忌憚のない御議論を頂戴したいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
○ 宮崎参事官 続きまして、委員の皆様の紹介をさせていただきます。五十音順に御紹介させていただければと思います。お手元に、資料1として部会の委員の名簿を配付いたしております。所属と役職につきましては名簿に記載されておりますので、ここではお名前のみの御紹介とさせていただければと存じます。
井上委員でいらっしゃいます。
○ 井上委員 井上でございます。よろしくお願いいたします。
○ 宮崎参事官 植田委員でいらっしゃいます。
○ 植田委員 (一礼)
○ 宮崎参事官 臼杵委員でいらっしゃいます。
○ 臼杵委員 臼杵です。よろしくお願いします。
○ 宮崎参事官 大野委員でいらっしゃいます。
○ 大野委員 よろしくお願いします。
○ 宮崎参事官 河村委員でいらっしゃいます。
○ 河村委員 よろしくお願いいたします。
○ 宮崎参事官 神作委員でいらっしゃいます。
○ 神作委員 よろしくお願いいたします。
○ 宮崎参事官 神野委員でいらっしゃいます。
○ 神野委員 よろしくお願いいたします。
○ 宮崎参事官 徳島委員でいらっしゃいます。
○ 徳島委員 よろしくお願いします。
○ 宮崎参事官 杤原委員でいらっしゃいます。
○ 杤原委員 よろしくお願いいたします。
○ 宮崎参事官 永井委員でいらっしゃいます。
○ 永井委員 よろしくお願いいたします。
○ 宮崎参事官 原委員でいらっしゃいます。
○ 原委員 よろしくお願いいたします。
○ 宮崎参事官 平川委員でいらっしゃいます。
○ 平川委員 よろしくお願いいたします。
○ 宮崎参事官 安浪委員でいらっしゃいます。
○ 安浪委員 よろしくお願いいたします。
○ 宮崎参事官 四塚委員でいらっしゃいます。
○ 四塚委員 よろしくお願いいたします。
○ 宮崎参事官 どうもありがとうございます。
御出席いただきました委員の方は、本日、3分の1を超えております。会議が成立しておりますことをここで御報告申し上げます。
事務局からの出席者につきましては、お手元の座席図をごらんいただければと思います。これをもちまして紹介にかえさせていただきます。
なお、本日、御予定の委員全員に御出席いただいておりますけれども、四塚委員におかれましては、御都合により途中で御退席されるという御連絡をいただいております。
引き続きお手元の資料の確認に移りたいと思います。本日は、配付資料といたしまして、
資料1 委員名簿
資料2 資金運用部会の設置について
資料3 社会保障審議会関係法令・規則
資料4 今後の審議スケジュール(案)
資料5 公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律(GPIF改革関連)について
参考資料 年金積立金の運用
という6種類の資料を配付させていただいているところでございます。
お手数ですけれども、御確認をよろしくお願いいたします。
資料の不備等がございましたら御指摘をいただければと存じますが、特によろしいでしょうか。
初めに、議事1として「部会長・部会長代理の選出」に移らせていただければと存じます。お手元の資料3をごらんいただければと思います。
資料3「社会保障審議会関係法令・規則」の中で、1ページ目下段に「社会保障審議会令」がございます。社会保障審議会令第6条第3項におきまして「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任する」と規定されております。本部会には、社会保障審議会、親会といいますか本体に属する委員として、神野委員及び河村委員が御在籍でございます。部会長はこの2名の委員の互選により選任することとなります。あらかじめ本会議の開催に先立ちまして、お二人の委員の方々に御相談をいただきまして、神野委員に部会長をお願いするということで、互選を行っていただいたところでございます。
互選によって神野委員が部会長に選出されたということでございます。
それでは、これからの議事運営につきましては、神野部会長によろしくお願いいたしたいと思います。恐れ入りますけれども、神野委員におかれましては、部会長席に御移動をよろしくお願いいたします。
(神野委員、部会長席へ移動)
○ 神野部会長 ただいま御紹介いただきましたような事情で、部会長に選出いただきました神野でございます。よろしくお願いいたします。
私と河村委員のいずれかということで、私のほうが明らかに年長でございますので、そうしたこともございまして、引き受けさせていただくことにさせていただきます。
とはいえ、私は功なく年だけ重ねているという状態で、しかも、生まれて初めてのかじをとるという経験に毎日戸惑うことばかりで、心もとない次第でございます。至りませんので、委員の皆様方のひときわといいましょうか、心からなる御指導を頂戴したいと思いますし、事務局の皆様方の御支援や御指示によって、どうにか職務を全うしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、お手元の議事次第の1に当たります、私は部会長に御指名というか、選出していただいたわけでございますけれども、社会保障審議会令第6条第5項に「部会長に事故があるときは。当該部会に属する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」と規定されてございます。そこで、私から、部会長代理を指名させていただきたいと存じますが、部会長代理を植田委員にお願いしたいと考えております。それでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○ 神野部会長 ありがとうございます。
それでは、植田委員によろしくお願いしたいと思います。部会長代理席へどうぞ。
(植田委員、部会長代理席へ移動)
○ 神野部会長 植田部会長代理から一言お願いします。
○ 植田部会長代理 及ばずながら頑張りたいと思いますので、よろしくお願いします。
○ 神野部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ここでカメラの方々に御退出いただければと思いますので、御協力を頂戴いたしましたので、どうもありがとうございます。
議事のほうに入らせていただきたいと思いますが、もう一度お手元の議事次第をごらんいただければと思いますけれども、きょうは4つの議事が準備されていて、第1番目の議事は既に終了したところでございます。
第2番目の議事「社会保障審議会資金運用部会について」、「今後の審議スケジュール(案)について」、「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律(GPIF改革関連)について」と4つの議題が準備されているわけですが、このうちの第2番目と第3番目の議題につきまして、初めに資料2「資金運用部会の設置について」、資料3「社会保障審議会関係法令・規則」及び資料4「今後の審議スケジュール(案)」をまとめて御説明いただいて、その後、意見の交換に移らせていただきたいと思いますので、資料2、3、4につきまして、事務局から一括して御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○ 宮崎参事官 それでは、私から資料2、3、4について御説明させていただきます。座ったまま御説明させていただきます。
まず、資料2でございますけれども、これは本資金運用部会の設置につきまして、社会保障審議会で本年3月に了承をいただいた際の資料でございます。資金運用部会の設置の趣旨等についての記載がございます。「1.設置の趣旨」にございますように、昨年2月8日に社会保障審議会年金部会におきまして取りまとめいただきました「GPIF改革に係る議論の整理」におきまして、年金積立金管理運用独立行政法人のガバナンス強化に向けて、社会保障審議会に新たに会議体を設置し、年金積立金運用に関する重要事項を審議することが提言されたところでございます。
また、これに基づきまして、昨年、国会に提出され、成立し、本年10月1日に施行される予定となっております「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律」におきましては、厚生労働大臣が、年金積立金管理運用独立行政法人の中期目標の策定、あるいは法人で策定してまいります基本ポートフォリオを含む中期計画を認可する際、法人の評価等を行おうとするときには、社会保障審議会に諮問しなければならないとの規定があるところでございます。
こうした状況を踏まえまして、社会保障審議会に、年金積立金の管理運用について御審議いただく専門の部会を設置することになった経緯でございます。
「2.当面のスケジュール」といたしましては、10月1日の施行に向けまして、年金積立金管理運用独立行政法人GPIFの役員の任命基準の検討や、関連する法令の施行に向けた準備等につきまして御議論をいただければと考えております。
資料2については、以上でございます。
資料3に移らせていただきます。資料3につきましては、社会保障審議会に関係する法令・規則を抜粋してまとめたものでございます。社会保障審議会につきましては、厚生労働省設置法に基づきまして規定がございまして、また、社会保障審議会令という政令の定めがございます。
おめくりいただきまして、審議会令の中でいいますと、2ページ目の第8条で「議事」として、本審議会の成立に関し、委員及び議事に関係のある臨時委員の3分の1以上の出席で成立するという旨の記載がございます。
政令のもとに社会保障審議会運営規則という形で、社会保障審議会が決定した運営規則がございます。この中では、部会の設置等の記載がございます。また、第5条の「会議の公開」につきましては、共通のルールとして会議の公開の扱いの規定がございます。第5条につきまして申し上げますと「審議会の会議は公開とする。ただし、会長は、公開することにより公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると認めるときその他正当な理由があると認めるときは、会議を非公開とすることができる」という規定がございます。また「会長は、会議における秩序の維持のため、傍聴人の退場を命ずるなど必要な措置をとることができる」との規定もございます。
続いて、3ページになります。「議事録」に関しては、第6条におきまして「議事録における議事は、次の事項を含め、議事録に記載するものとする」とあり、日時、場所あるいは出席された委員等の氏名、議事となった事項について記載するとあります。その上で、第2項として「議事録は公開する」とあり、ただし書きとして「会長は、公開することにより公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると認めるときその他正当な理由があると認めるときは、議事録の全部又は一部を非公開とすることができる」との規定が定められております。
なお、その際「前項の規定により議事録の全部又は一部を非公開とする場合には、会長は、非公開とした部分について議事要旨を作成し、これを公開するものとする」との規定がございます。
社会保障審議会にかかわる関係法令・規則については以上でございます。
続きまして、資料4に移らせていただければと思います。資料4につきましては、今後の当部会の審議のスケジュールの案でございます。まず、下の枠囲みにございますのが、本資金運用部会の審議の対象となる事項でございます。法令で社会保障審議会に諮るとされていることを含めまして、年金積立金管理運用独立行政法人GPIFの中期目標の策定・変更、さらに中期目標に沿いまして、GPIFで策定してまいります中期計画の認可、実績評価に関しての審議、あるいはGPIFの業務方法書の認可、GPIFの役員の任命基準に関する審議、そのほか年金積立金の管理及び運用に関する調査・審議が審議の対象になってまいります。
当面、10月1日の改革の施行に向けての準備が審議の対象になってまいりまして、その対象といたしましては、今、審議事項として3番目で申し上げました役員の任命基準あるいは施行に伴う種々の政省令等の検討があります。
毎年行う事項としては、この1番目の○の最後のほうに書いてありますが、法人の実績評価です。これは毎年度行うものでございますので、それが入ってまいります。
また、中期目標の策定・変更、中期計画の認可等につきましては、少なくとも5年に1度は財政検証に基づいて5年間の中期目標を定めるという手続がございますので、5年に1度あるいは状況の変化によりまして、アドホックに変更する場合があれば、それ以外にも不定期に行う場合もありますが、そのような定期的あるいは一部不定期な中期目標の策定・変更、中期計画の認可がございます。
それ以外に制度にかかわる調査・審議等も対象になってくるということでございます。
その上で、今後の審議スケジュールの案ということで、上の段を見ていただければと存じます。10月1日が改革法の施行でございますけれども、これに向けて必要な御審議をいただければということでございます。当面、まず、4月から5月にかけましてはGPIFの役員の任命基準について、その後、5月から6月にかけてGPIF改革の施行に伴って必要となる事項の検討。これは具体的には政省令で記載するような事項でございます。
既にGPIF改革につきましては、昨年2月に取りまとめていただきました年金部会で大きな議論等が行われてまいりましたけれども、そこで行われました議論等も紹介をさせていただきながら、政省令事項、法律の段階ではまだ決められていなかった事項等について、御審議をいただければと思っているところでございます。
その上で、7月、8月につきましては、毎年度実施していきます法人の評価、いわゆる独立行政法人の法人評価がございます。これをお願いできればと思っております。
9月から10月にかけましては、現行の中期目標、中期計画が例えば運用委員会が経営委員会に変わること、あるいは監事が監査委員に変わるというような内容を反映していない形になっておりますので、改革法の施行を反映させた形で中期目標、中期計画の変更等が必要になると想定しております。
こうした内容につきましての御確認をいただく必要があるかと思っております。
当面の審議スケジュールといたしましては、このように10月1日の施行に向けましての準備、それと夏に実績評価を御議論いただくような場をいただければと考えているところでございます。
以上でございます。
○ 神野部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいま事務局から御説明いただきました、私どもの部会のミッション及び今後のスケジュール等々につきまして、御質問あるいは御意見がございますれば、頂戴したいと思います。いかがでございましょうか。何かございましたらどうぞ。いいですか。
それでは、この議題にまた戻るというわけにもいきませんので、御承知おきいただいて、今、事務局から御説明があった今後のスケジュールに基づいてこの部会を運営していきたいと思いますが、それでよろしいですね。御承認させていただいたということにさせていただきます。
そういたしますと、御説明があったように、まずは4月から5月にGPIFの役員の任命基準をして、いわゆる政省令事項についてGPIFの改革法の10月1日の施行に向けて審議をして、その後、実績、中期目標、中期計画等々について御議論いただくというスケジュールにさせていただく。次の議題4に当たります「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律(GPIF改革関連)について」に関連して、説明をお願いできればと思います。
事務局からは、GPIFの関連する資料に加えて、本日と次回に御議論を頂戴することになっております役員の任命基準、最初の審議事項にかかわってくるわけですが、それに関する基礎的な資料をおまとめいただいておりますので、あわせて御説明を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。
○ 宮崎参事官 それでは、資料5に沿いまして、本年10月1日に施行される改革法の概要、最初の議論となりますGPIFの役員の任命基準にかかわります基礎的な資料を用意いたしておりますので、この資料5に沿いまして御説明をさせていただければと存じます。
初めての委員の方々もいらっしゃいますので、よく御存じの方にとっては重複になる場面もあるかと思いますけれども、少し丁寧に御説明させていただければと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、1ページは、この改革法が出てまいりました経緯でございます。GPIF改革についてでございますが、平成26年6月の閣議決定「日本再興戦略」におきましては、GPIFの改革に関しまして、基本ポートフォリオの見直しとあわせ、ガバナンス体制の強化を図る必要があるということを決定しておりました。その中で、年金制度、法人組織論等の観点から今後の法改正の必要性も含めた検討を行うなど必要な施策の取り組みを加速すべく所要の対応を行うという規定があったところでございます。
こうした閣議決定に基づきまして、2つの流れがございます。1つは左側でございまして、平成26年10月に基本ポートフォリオの見直し等が行われました。基本ポートフォリオの見直しにあわせまして、ガバナンス体制につきましても、その時点でできること、内部体制の強化あるいはリスク管理体制の強化、さらには専門人材の強化といった改革が行われたということでございます。
また、このポートフォリオの見直し、必要なガバナンス体制の強化と並行いたしまして、さらなるガバナンス体制の強化、閣議決定で申しますと、法改正の必要性も含めた検討ということで、法改正に至るような制度的な手直しが必要なのかどうかという観点からの検討も並行して進めたということでございます。
右側でございますけれども、さらなるガバナンス体制の強化・運用にかかわる議論ということで、平成26年11月に社会保障審議会の年金部会におきまして議論の開始が行われました。その際には、年金積立金の管理運用に係る法人のガバナンスのあり方検討作業班というものを部会のもとに置きまして、そこでかなり集中的な御議論もいただいたということでございます。
作業班におかれましては、平成27年1月に、その間精力的に御議論いただいた内容、ガバナンスに関して集中的に御議論いただいたのですが、それに関しての議論の要約をおまとめいただきまして、年金部会に報告いただいたという経緯がございます。
こうした議論の積み重ねを踏まえまして、その後、法制的な、事務的な検討等も行いまして、平成27年12月からは改めて年金部会で議論の再開があったということでございます。一昨年12月から昨年の2月にかけて、年金部会でガバナンス体制の強化、運用のあり方につきましても精力的な御議論をいただきまして、昨年2月8日に部会としての議論の整理を行っていただいたという経緯がございます。
この社会保障審議会における議論を踏まえまして、2月16日、17日には、厚生労働省でGPIF改革法の方針をまとめまして、それを与党にも報告いたしました。
年金部会での議論、与党における議論も踏まえまして、3月11日に年金改革法案を国会に提出いたしたところでございます。年金改革法案につきましては、昨年秋に開催されました臨時国会におきまして具体的に議論が行われまして、12月14日に法案が成立したということでございます。
法案の内容ですけれども、2ページをごらんいただければと存じます。法案自体は、公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律という名前からもおわかりいただけますように、GPIFだけではなくて年金制度にかかわる改正を幾つか含んでいるものでございました。
概要として5点挙げております。1としては、短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進。2として、国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料の免除。3として年金額の改定ルールの見直し。こうした年金制度の改革を含んでいるものでございました。4として挙げておりますのが、年金積立金管理運用独立行政法人の組織等の見直しでございます。最後に5として日本年金機構の国庫納付規定の整備も入っておりました。
こうした5本の柱を内容とする改革法案を臨時国会で御議論いただき、12月に成立したということでございます。それぞれの項目に関する施行日は、括弧内で記載しているとおりでございます。
では、その中で、GPIFの見直しに関してはどのような内容であったのかというものが3ページでございます。改革法案の中で、GPIFに関する改革の中身は、このページに概略を記載しているとおりでございます。目的といたしましては、国民から一層信頼される組織体制の確立を図るために、ガバナンスの改革を実施するということ。あわせて、積立金の安全・効率的な運用のために、リスク管理方法の多様化、短期資金の運用の追加を行ったということでございます。
ガバナンス改革につきましては、真ん中に現行と改正案との比較の図を上げております。ポイントとしては2点でございます。現在、制度的には理事長が大きな方針を最終的に決定する権限を持ち、業務執行の責任を持つという形で、独任制の仕組みをとっております。この独任制の仕組みを改めまして、合議制への転換を図るということでございます。基本ポートフォリオ等の重要な方針につきましては、合議制の経営委員会が決定する仕組みを入れるということでございます。
第2点目は、意思決定・監督と執行を分離するということで、執行部の執行状況を経営委員会が監督する。経営委員会が定めた重要な方針に沿って業務執行が行われているかどうかを経営委員会が監督していく。また、それを通じて執行部の責任と権限を明確化して、適切な執行が行われるようにしていくという仕組みでございます。
改正案のほうの絵を見ていただきますと、制度全体を所管する厚生労働大臣のもとにGPIFがございまして、その中で重要な方針を決定する経営委員会というものがあり、その大きな方針のもとで、執行部が執行を行っていくということでございます。
後ほど経営委員会等の役割につきましては、資料に沿って御説明をさせていただきます。改革法の中では、こうしたガバナンス改革が中心的なテーマとなりましたけれども、あわせて運用方法の追加ということで、デリバティブ取引、現在、法定で認められている取引のほかに、一部リスク管理に限定した上で手法を追加するような仕組み、あるいは短期資金の運用方法の追加ということで、コール資金の貸し付け等を追加するというものを入れてございます。
昨年に御議論いただきました年金部会におきましては、運用のあり方につきましては、例えば現在、法律で禁止されておりますGPIFの株式インハウス運用の是非等についても、かなりの時間をかけて御議論いただいた経緯がございます。けれども、こうした運用のあり方につきましては、賛否、積極的な意見、反対の意見、あるいは中立的な意見、さまざまな御意見がございましたことから、部会の取りまとめでは、当面の改革としてはガバナンス改革を中心とするという御議論でございました。
こうしたことを受けまして、改革法の中では、検討規定として、一番下にございますように、施行の状況、国民の意識、スチュワードシップ責任をめぐる動向等を勘案して、GPIFの運用が市場や民間活動に与える影響を踏まえつつ、運用のあり方について検討を加え、必要があると認めるときは、施行後3年を目途に、必要な措置を講じるというような規定を置いたということでございます。
この検討に関しましても、将来議論をするということになりますと、資金運用部会で御議論いただくことになろうかと考えているところでございます。
以上、簡単ではございますけれども、GPIF改革の中身につきまして御説明させていただきました。引き続いて、ガバナンス改革の中心にございます経営委員会等の仕組みにつきまして、資料の5ページ以下で御説明をさせていただければと思います。
まず、資料5ページは、経営委員についての概略を記載しております。経営委員の役割につきましては、基本ポートフォリオなど、法人の重要な方針を決定するという役割を持ちます。経営委員会が定めた方針に従いまして、執行部の業務執行が行われるように、執行部を監督していくという役割がございます。
経営委員会の構成につきましては、法律上、経営委員9名に執行部の代表である理事長を加えた10名で委員会が構成されるという仕組みになっております。
経営委員の任命につきましては、厚生労働大臣が社会保障審議会、まさにこの部会でございますけれども、この資金運用部会の議論を踏まえて作成する任命基準に基づきまして、経済、金融、資産運用、経営管理、その他のGPIFの業務に関連する分野に関する学識経験または実務経験を有する方の中から任命するという規定になってございます。その際、被保険者の代表者、事業主の代表者各1名を関係団体の推薦に基づき任命するということ。また、監査委員である経営委員は、ほかの経営委員と区別して任命するという仕組みをとってございます。
経営委員の任期につきましては5年間ということで、理事長と同じ任期を設定しております。
経営委員の義務・責任につきましては、経営委員はGPIFの役員として受託者責任あるいは各種の義務を負う形となります。これらの義務に違反し、法人に損害が生じた場合には賠償責任を負う形になります。
6ページですが、経営委員と兼任する形で、監査委員という仕組みも盛り込まれております。監査委員は業務監査、監査報告の作成、厚生労働大臣に提出する書類の調査等の業務を行うほか、日常的な運用業務の実施状況の監視という役割も担っております。監査委員につきましては経営委員を兼ねておりまして、9名の経営委員の中から3名以上任命される仕組みでございます。
資料に記載はございませんけれども、法律上は監査委員3名以上のうち、少なくとも1名以上は常勤としなければならないという規定も入ってございます。
こうした監査委員は経営委員と同様に、厚生労働大臣による任命になります。ほかの経営委員、監査委員を兼任しない経営委員、兼任する経営委員と区別して厚生労働大臣が任命するという仕組みでございます。
監査委員の任期は、経営委員同様5年間でございます。なお、5年ではありますけれども、最初に当該年度の財務諸表の承認日までということで、非常に細かく言うと5年を少し上回るケースも出てくるかもしれません。
監査委員の義務・責任でございますけれども、監査委員につきましては、GPIFの役員として経営委員と同様の義務・責任を負うほか、不正行為等があった場合については経営委員会や厚生労働大臣等への報告義務が課せられてございます。監査委員のこうした不正行為があった場合の報告義務に関しましては、監査委員会という組織としてではなく、監査委員個々人として報告義務を負っております。監査委員それぞれの方が自分以外の監査委員も含めまして、全ての役員あるいは執行部等におきまして、何か不正行為があった場合には、単独で経営委員会、経営委員長への報告あるいは厚生労働大臣への報告等を行う。そのような義務があるという形で、独立して行動する仕組みとなってございます。
続いて、7ページは経営委員・監査委員の義務あるいは責任等につきましてまとめております。経営委員・監査委員につきましては、欠格事由として、これは法律上の規定で、政府または地方公共団体の職員は経営委員・監査委員にはなれないとなっております。また、金融事業者であってGPIFと取引上密接な利害関係を有する者あるいはそのような事業者の役員をされている方も、経営委員・監査委員にはなれません。また、金融事業者の団体の役員、関係する業界団体の役員もその立場で経営委員・監査委員になることはできないという欠格事由が設けられてございます。
義務・責任といたしましては、受託者責任として、慎重な専門家の注意義務、忠実義務、秘密保持義務、報告義務、自己や第三者の利益を図る目的で契約を締結させてはならない等の禁止行為、損害賠償責任、罰則の適用に関するみなし公務員の規定等が係ってまいります。
常勤の経営委員につきましては、兼職の禁止、営利団体の役員や営利事業の従事の禁止が係ってまいります。また、再就職の規制ということで、在任中の求職活動の禁止あるいは退職後の法人への働きかけの規制等の規定がかかってまいります。
監査委員につきましては、報告義務ということで、不正行為があった場合の経営委員会、厚生労働大臣等への報告義務が係ってまいります。
このような義務・責任等が課せられているということでございます。
経営に係る規定で、もう一点、ややテクニカルな話になりますけれども、8ページをごらんいただければと思います。経営委員の任期につきましては基本的に5年でございますけれども、理事長と法人の役員である経営委員全員が一斉に同時期にかわるということになりますと、業務の継続性という観点からさまざまな問題もあろうということで、経営委員につきましては、その任期を3つに分けて設定するという仕組みを入れてございます。理事長につきましては、中期目標の5年に沿って5年間という任期でございます。平成29年10月をスタートとして考えますと、現在の中期目標期間が平成32年3月、平成31年度末までということになっておりますので、10月を起点としますと、残り2年6カ月が理事長の任期ということになります。
当初任命するに当たりましては、経営委員の中で、理事長と同じタイミングで任命され、任期が与えられるパターンの方があり、また、2つ目のパターンとして、理事長プラス1年。ですから、理事長の交代から1年ずれて交代をしていくパターンの委員の方。プラス2年ということで、理事長の交代よりも2年おくれて交代していくということで、3つのパターンを用意しております。経営委員長につきましては、法律上理事長の任期プラス1年というところになっております。
このように、任期をずらすという仕組みは、例えば日銀の委員におかれてもそのような仕組みをとられているところで、このようなものを参考として任期をずらすという仕組みを入れているということでございます。
以上、申し上げてきましたような仕組みを経営委員・監査委員につきましては入れているところですが、これらをまとめまして、9ページに現在のGPIFで設置されております運用委員との比較をした表をつけてございます。
左側が経営委員でございますけれども、1点目、委員会の役割で申しますと、経営委員の方々につきましては、基本ポートフォリオなど、法人の重要な方針をみずからが決定するという権限を持ちます。また、その方針に従いまして、業務執行が行われているかを監督するという仕組みでございます。
現在の運用委員の方々におかれましては、基本ポートフォリオを含む中期計画の変更などを審議いただくという形でございます。もちろん事実上は理事長が運用委員会での審議を無視して何か業務を行うということではございませんので、運用委員会において行われていることではございますが、制度的には最終的な決定は理事長が行うという仕組みでございます。また、運用委員は、運用状況等を監視するということで、モニタリングの機能を持っております。一方で、経営委員と比較いたしますと、経営委員のほうは、法人の重要な方針を決定した上で、その権限を持って監督を行うということで、より強固な役割を持っているということでございます。
法人の重要な方針と書いておりますけれども、これにつきましては、基本ポートフォリオなどと少し抽象的に書いておりますが、運用にかかわる方針のみならず組織の運営にかかわることですから、例えば組織に新しい部局を設置するとか、あるいは予算とか、そういうものも含めまして重要な方針に関してはこの経営委員会が決定していくという仕組みでございます。
委員会の構成でございますけれども、経営委員は9人プラス理事長でございます。現在の運用委員は、法律上は運用委員11人以内ということですが、その中で現行は7名ということでございます。昨年の年金部会での御議論の中では、この規模感についても御議論がございましたけれども、実は、運用委員のこの7名に加えまして2人の監事がいることを踏まえ、ほぼ同規模ということで、経営委員は9名ということが決まった経緯がございます。
委員の任命についてでございます。これはいずれも厚生労働大臣による任命でございます。経営委員につきましては、その上で、社会保障審議会の議論を踏まえて作成する任命基準に基づきまして任命をするということがございます。また、分野の例示といたしましては、運用委員に関しては、経済または金融に関して高い識見を有する者その他の学識経験となってございましたけれども、現在、運用委員の皆様方の学識経験、知見等を踏まえますと、より正確に記載するということで、資産運用あるいは経営管理、その他の業務に関連する分野ということでより詳しく記載を書いております。また、学識経験または実務経験を有する方ということで、実務経験を有する方の中から選ぶという形で追記しております。
事業主団体、労使団体の推薦に関しましては、現在の運用委員会におきましても、労使団体からの推薦者各1名に御参加いただいているところでございます。ですが、法令上の規定はないところでございました。今回の改革法におきましては、被保険者、事業主の利益を代表する者各1名を関係団体の推薦に基づき任命するという規定を法律上入れているということでございます。
委員の任期は5年間ということで、現行の運用委員が2年に対してより長い期間、役員として入っていただくという形になっております。
委員の義務・責任は、役員としての種々の義務を負うということでございます。
最後に、参考として、これまでの年金部会での議論等をまとめたものが10ページ以下でございます。これまでの年金部会での議論といたしましては、昨年2月8日にまとめていただきました議論の整理の中で、この経営委員会の任命につきまして厚生労働大臣が定める基準、例えば各分野から何人程度を選定するのか、役職ごとに求められる条件等、こうしたものを含みます基準によって行うというようなことをまとめていただいたということでございます。
より具体的な議論といたしましては、2番目の●の中にありますように、経営委員等の役員につきまして、幅広いバックグラウンドを持たれたメンバーの方に経営に入っていただくべきではないかと。例えば資産運用の分野の方が余り多くなり過ぎてもいけないのではないかという御議論があったところでございます。経済、金融、運用、経営管理等について適切な専門性を有する方である必要があるという御議論、利益相反の観点は十分に、利益相反がないように考える必要があるという御議論もあったかと記憶しております。
参考として、11ページでございますが、こうした役員の選定基準のようなものを定めている一つの例として、日本郵政グループの取締役候補者指名基準を参考として入れてございます。中身としては、柱としては3本柱から成っておりまして、1つ目は第2条にありますような、取締役会の規模なり構成なりというところを書いているということ。2点目は欠格事由に関して記載があるということ。3点目として、それぞれの役職ごとに指名基準ということで、第4条、第5条にあるような記載があるということでございます。
規模・構成について日本郵政グループの場合でいいますと、社外取締役にどれぐらいの人数を置くのかというところが一つのポイントだったのだろうと思いますが、第2項としてこのような記載がございます。その上で欠格事由や指名基準、それぞれに記載があるというところでございます。御参考までに添付しております。
12ページには、役員の任命基準等をめぐりまして、国会で御質疑があった際の厚生労働大臣の答弁を御参考までにつけております。
最後の13ページには、この改革法の議論がありました際に、参議院の厚生労働委員会で附帯決議という形で、立法府から行政府に対して御指摘があったところでございます。この中で、7項目目としてGPIFのガバナンスの強化に関する御指摘もいただいておりますので、最後に参考としておつけしております。
ちょっと長い御説明になりましたけれども、私からは以上でございます。
○ 神野部会長 どうもありがとうございました。
GPIF関連の法律について、資料に基づいて御説明していただいた上で、今回と次回で御議論を頂戴することになっております役員の任命基準にかかわる導きといいましょうか、基礎的な資料として、JPの例とか、国会等々での御議論などの資料をつけ加えていただいて、御説明を頂戴したところでございます。
それでは、この資料をめぐって、御質問、御意見を頂戴したいと思いますが、いかがでございましょうか。
四塚委員が2時で、何かもしもございましたら、まずは口火を切っていただくことがあればと思います。いかがですか。
○ 四塚委員 労使の代表を入れるという話ですけれども、ガバナンスという場合は、利害関係者、要するに、リスクを最終的に負担するのは誰かということが重要です。そういう観点から言いますと、現在の労使が、必ずしも運用が失敗した場合のリスクを負うわけではありません。
最後に配っていただいた参考資料があったと思いますが、「年金積立金の運用」という資料の2ページを見ていただくと、年度別の財源の内訳が書いてあります。これを見ると、積立金から得られる財源が重要になってくるというのは、例えば40~50年、あるいはそれ以上後の話であって、そのころに、足りなくなってきたらどうするかというと、結局その時期の現役世代が負担するということになるので、必ずしも現在の労使に限定する必要はないのではないかと考えております。
○ 神野部会長 ありがとうございます。
承っておきますが、ほかにいかがでございましょうか。
要領よくサーベイしていただいている資料をつけていただいておりますので、御質問なり御意見があれば頂戴したいと思います。
平川委員、何かあれば遠慮しなくていいですよ。
○ 平川委員 御指名ですので、ありがとうございます。
確かに今のように年金部会の中でもいろいろ御意見があったのですけれども、社会保険の運営の原則をどう考えるかという話だったと思います。これは国民なのか被保険者なのかという議論が次にあるわけですけれども、社会保険とは何かという議論をするときに、その民主的統制についてどう考えるかということは、一定程度判例でも示されているのかなというのを一つ押さえておかないとだめではないかと思いました。
詳しくは忘れましたけれども、旭川の国保料の保険の性格についての判決がありまして、それは最高裁で確定しています。その中で、社会保険の運営は保険者が運営しているのですが、被保険者という概念はしっかり押さえていかなければならないという趣旨が旭川の国民健康保険料の判決に明示されているのではないかと思います。その辺の被保険者という考え方はどの制度にも一貫しておりまして、医療保険なら医療保険の運営において、どこで物事を決定していくのかということは、被保険者が参加して運営しているというのは押さえておく必要があるのではないかと思います。
そういうことから言うと、将来、誰のための、子供たちのためとかいろいろ、まだ生まれていない人のためのという御議論もあったのは承知しておりますが、社会保険の原則からすれば、被保険者という立場については一つ明確にさせていく必要があると思います。
もちろん、事業主という位置づけについても明確にしていく必要があるのではないかと思っております。
そういった意味で、資金運用部会であっても、年金制度の中の一環としての資金運用部会なのだという位置づけを改めて再確認していかないと、いろいろな人選とか評価について変な方向に行ってしまうのではないかと懸念しておりますので、意見として言わせていただきます。
○ 神野部会長 承っておきます。
ほかはいかがでございましょうか。先ほども申し上げましたように、今回及び次回で役員の任命基準について御議論を頂戴することになっている。
どうぞ、原委員。
○ 原委員 今日はまだ細かいことというよりは、割と大きなことかと思いますので、まとめていただいた資料を拝見させていただいて、年金部会の中でのいろいろな議論も踏まえて、コメントさせていただければと思います。
全体で見たときに、この経営委員と経営委員会の役割が5ページにきちんと定義されているわけですが、基本ポートフォリオなど法人の重要な方針を決定するとか、あとは経営委員会が定めた方針に従ってきちんと執行部が業務執行が行われているか監督するということで、また、GPIFの役員として受託者責任や各種義務を負うことなど責任も明確化されていると思います。
そういった中で、もちろん列挙された任命基準があるのですけれども、その中で、例えば資産運用とか金融とか経済、経営管理という部分が出ているのですが、GPIFという性格から、資産運用については長期的な観点からの資産運用の専門性かと思われます。委員になられる皆様にはある程度以上はそれらの専門性が必要ではないかと思っているところでございます。
また、場合によっては、その他関連する業務で幅広いバックグラウンドを持つ方が入るということも考慮すべきことではないかと思います。
もう一つ、こちらもこれまでの議論の中で出てきたことなのですけれども、公的年金は国民全体のものと言えるかと思いますので、経営委員になる方々は、国民全体の代表という意識、立場で参画していただく必要があるのではないかと思います。経営委員からなる経営委員会が国民から信頼を得ることができ、そして、任せることができるようになっていただきたいと思っております。そうしないと、業務の執行という部分にも影響するかと思います。なので、こういった特性上、常に国民のほうを向いているということが必要なのではないかと思います。
さらに、業務の基本的な考え方の中に、長期的な視点から安全かつ効率的な運用をするという部分がございますけれども、この辺は後々の議論になると思うのですが、こういったことへの十分な理解も必要ですし、何をもって安全とするかということも、まだまだ議論も必要なところかと思います。こういったことなど慎重に議論していかなければいけない課題も多いので、合議制機関になるわけですので、外部への情報の発信はぜひしっかりとしていただきたいと思っています。
情報をできる限り、公開できるものは公開していただいて、しっかりと説明していくということで、国民の方々の理解を得ていくということが非常に重要で、その説明もできる限りわかりやすくするという仕組みも何かできるとよいと思っています。
例えば具体的には、GPIFの中にも広報担当があるかと思うのですが、経営委員会の方々にもそのような意識を持っていただいて、広報担当を決めることは難しいかもしれませんけれども、国民の方々に理解していただけるように発信していくというようなことです。そうしていくことによって、広くGPIFの活動や運用など理解していただければ、国民の運用に対する意識やリテラシーももっと上がっていくのではないかと思います。そして、そのことが今後、GPIFで本当に必要な改革を行うときなどには重要なポイントになっていくのではないかと思います。もちろんこれらの専門性は非常に重要ではあるかと思いますが、公的年金制度ということで、そのような意識を持っていただければと個人的には思っております。
漠然としたコメントですが、以上です。
○ 神野部会長 わかりました。
臼杵委員、どうぞ。
○ 臼杵委員 ありがとうございます。まず、コメントの前に、事務局に1点御確認させていただきたいのですけれども、この基準がどのぐらい具体的に必要になってくるのか。つまり、この基準が余りにも、例えば10ページに各分野から何人程度とか、年金部会の意見なのかどうか、一応ここには書いてあるのですが、余り細かくしてしまうと、逆にそれに合った人が見つからないという問題もあるでしょうし、基準をどのぐらい細かく、また、その基準を使って実際に10月までの間にどのようにして人を探すのかというところをもう少しイメージで結構なので教えていただければと思います。
○ 神野部会長 きょうはこの部会で共有すべき情報を提供していただいているのですが、一応、JPといいますか、日本郵政グループ等々などの例をやりながら、イメージを持っていただきたいというのが、多分、事務局の意図だと思いますが、コメントを何かいただけることがあれば。
○ 臼杵委員 恐らくJPとかは民間の会社ですので、こういうことを一応決めて、エグゼクティブサーチの会社か何かを使って候補人材のプールを持ってきて、委員会で具体的候補を挙げるという形をされると思うのです。
○ 神野部会長 事務局。
○宮崎参事官 まず、基準の内容は、きょうの御議論を踏まえてこれから準備をするということになりますけれども、郵政グループの例とか、あるいは上場企業で取締役に関する基準を設けているようなところなど、民間企業でありますけれども、それを見ますと、委員御指摘のように、余り詳しく細かく書いてあるというよりは、目指すべきところを書いてあるということが多いと思います。
一方で、例えば年金部会での御議論では、先ほど少し御議論もありましたが、各分野のバランスに関しては運用の実務経験等も必要だけれども運用ばかりに偏ってもいけないし、基本ポートフォリオを議論するに当たってはマクロ経済、経済等の専門家、あるいは本経営委員会が予算ですとか組織全体の経営管理的なガバナンスでの役割を果たすということを考えますと、経営管理に関する専門家も必要だということで、それぞれの分野、ここに例示しておりますような分野それぞれの、どれぐらいの人数が必要かという程度のことは、たがをはめるといいますか、厚生労働大臣の任命に当たって決めるべきではないかという御議論もあったので、それを踏まえて書く必要があるのかなと、記載していく必要があるのかなと、これまでの議論を踏まえますと思っているところでございます。
具体的な指名、任命はあくまで厚生労働大臣が10月1日の施行に間に合うぐらいの時期までに任命していく形になりますので、ここでお決めいただいた任命基準に沿って、厚生労働大臣が具体的な人選につきましては任命権者としてそれを受けとめてやっていくということになろうかと。10月1日に間に合うようにやっていくことになろうかと思います。
○ 神野部会長 どうぞ。
○ 臼杵委員 ありがとうございます。おっしゃるように、多分、むしろ知識というより経験だと思うのですが、アセットマネジメントの経験は全員がある必要はないのですけれども、複数人は中にいたほうがいいのかなという気はします。
それから、参考になるかどうかですけれども、よく国際比較でGPIFと比較されるCPPIBのボードの構成とかを見ると、11人のうちアセットマネジメント経験者は3人とか4人で、むしろそこで重視されているのはガバナンス的な役職、つまり、執行と監督の経験というのですか、そのバランスをとるというか、緊張関係に身を置いた経験があるというのは11人全員が持っているということなので、むしろ今回の位置づけとすると、どういう組織でも構わないと思うのですけれども、そういう経験が一つ重要なのかなという気がしております。
以上です。
○ 神野部会長 ありがとうございます。
お待たせしました。井上委員、どうぞ。
○ 井上委員 ありがとうございます。言うまでもなく、GPIFは国民の将来の生活の糧を預かっている機関ですし、その規模たるや世界最大ということでございますので、当然のことながら、経営委員はその責任者として、例えば厚生年金保険法79条の2とかGPIF法20条に示されているような長期的な視点で、安全、効率的、確実という資金運用に資する方に御就任をいただかなければならないわけです。
これに加えて、今回の改正の趣旨はガバナンス体制の強化というところにございますので、やはりその点でも組織の経営とか、今回のガバナンス改革にちゃんと魂を入れるような、ガバナンスのあり方に関しても一定の知見を持った方に参画していただく必要があるのではないかと思います。
そういう意味で、先ほど資料にも多様なバックグラウンドとありましたけれども、単に運用の専門家ということではなくて、多様な方に御参加いただく必要があると思います。
事業主は資金の拠出者であると同時に、上場している場合には投資を受ける側にもなりますので、経営委員になる方は、財務の知識のみならず、経営判断であるとか市場での対話のあり方といったことにも知見を持った、豊富な実務経験を持った方に参画していただくということも必要ではないかと考えております。
以上でございます。
○ 神野部会長 ありがとうございます。
どうぞ、徳島委員。
○ 徳島委員 大きく分けて2点ほど、質問というか御確認をさせていただけたらと思います。
1点目は、今、ご説明のありました資料5におきましても、従来GPIFに関係する事項は、基本的に年金部会で議論されていらっしゃいました。今後の年金部会と当資金運用部会との間で、すみ分けがあるのかどうか。GPIFすなわち年金資金の積立金の運用に関しては、基本的に当部会で全部議論するという整理でいいのかどうか。その点をまず御確認させていただけたらと思います。
2点目といたしましては、今回、役員の任命基準につきましては入り口ですので、いろいろなポイントを挙げていただいていますけれども、具体的に中味を考えると、例えば先ほども監査委員の場合には、少なくとも1名以上常勤であるというお話がございました。
経営委員の中でも、果たして常勤が何人程度想定されているのかとか、非常勤が何人なのかとかという構成に加えて、例えば各々の場合の報酬も重要だと考えます。任命基準があっても報酬水準の話がなかったら、結局、依頼した方も受諾しにくいかと考えられますので、法定のものとか、もしくは既に決まっているものがありましたら、次回以降の議論の際にお示しいただけたらいいのかと思います。
以上です。
○ 神野部会長 それでは、2点をお願いできますか。趣旨のところを少しかみ砕いて説明していただくことになるのかもしれませんが、すみ分けの問題等を御説明いただければと。
○ 宮崎参事官 本部会が設置された経緯につきましては資料でお示ししたとおりでございます。年金部会における議論におきましても、積立金の運用に関する事項を専門的に御審議いただくための部会を設ける必要があるだろうということでございました。
結果として、本部会が設けられたことによりまして、社会保障審議会の中には御指摘のように年金部会、資金運用部会、企業年金でいいますと企業年金部会、年金数理部会という形で、年金関係の部会が複数存在する形になります。
大きな役割分担でいいますと、年金部会が制度全体の議論を行うということでございます。その上で、個別のテーマにつきましては、それぞれのテーマに沿ってそれを御議論いただく適切な御知見を持った方にお集まりいただいているということでございますので、そういう意味で制度全体、総論的なものあるいは制度の大きくかかわる部分は年金部会で、それ以外の個別のテーマに関して各部会。それぞれ部会が連携する必要が出てくる場合もあると思いますけれども、そのようなすみ分けで考えてございます。
GPIFの運用に係る、例えばGPIF法の改正にかかわるような話は、基本的にはこの部会で御議論いただくことになると思いますし、制度全体として財政検証その他大きな法制度の枠組みは年金部会で御議論いただくということだろうと思っております。
2点目の御質問の関係でございますけれども、常勤、非常勤等につきましては、最終的には1名以上常勤という規定しかございませんので、どのような形で選ぶかは、任命権者である厚生労働大臣が最終的には判断するというのが現在の仕組みでございます。
海外の年金基金におきます理事会等の構成を見ますと、多くの年金基金で非常勤の方がほとんどという仕組みでございます。また、100名程度の組織におきまして、常勤の方が多くなるというのも、効率的な組織の運営という観点でも難しいということも考えておりますので、そういう意味で1名以上という形にしたという経緯がございます。そうした経緯を踏まえて構成は決まることになろうかと思います。
報酬等の具体的な基準につきましては、GPIFの中で他の同様の役割を持つところとの比較等を踏まえて決められることになろうかと思います。その際には、まさにその職務に合わせて報酬が決められることになろうかと思いますけれども、職務といたしましては、このような法人の役員という形で入りますので、その役員としてふさわしい報酬を、これは法人の中で十分客観的なデータ等も集めた上で決められることになろうかと思います。
そういうことにはなりますけれども、今の時点でどれぐらいとかいうことが決められているわけではございません。
○ 神野部会長 よろしいですか。
神作委員、どうぞ。
○ 神作委員 ありがとうございます。私は法律を専門にしておりますが、社会保障については全く素人でございまして、これから発言させていただくことも、もしかしたら的外れのこともあるかもしれませんけれども、間違っているという点も含めて御指摘、御教示をいただければと思います。
第1に、GPIF役員の任命基準について、主としてお話しさせていただきたいと思います。任命基準の拘束力と申しますか、規範性がどの程度のものなのか。法的拘束力まで持つものなのか、それとも、そうではなくてソフト・ロー的と申しますか、もうちょっと緩やかなガイドライン的なものなのか、議論の前提として、任命基準が一体どの程度の規範性、拘束力があるのかということを確認しておいたほうが、この後の議論を進めやすいのではないかと思いましたので、まずは任命基準の拘束力の程度、あるいは規範性のレベルについて御質問させていただきたいと思います。
第2点でございますけれども、本日、お伺いした中で、役員についていろいろなタイプの者がいらっしゃるような気がいたします。経営委員、さらに経営委員の中でも監査委員である経営委員、理事という方も出てまいりまして、役員の任命基準は、一体どこをカバーするものなのか。経営委員、理事、全部を含めるものなのか、どこまでカバーするものなのか。また、経営委員について任命基準をつくるときにも、監査委員たる経営委員とそれ以外の経営委員とで異なった基準をつくるのか。このあたりについて、イメージが必要なように思います。
法的な観点からしますと、監査委員たる経営委員は、法務に関する知識が必要になる方が含まれていることが望ましいのではないかと思われます。例えば6ページの監査委員の義務・責任の中で、不正行為があったときには、経営委員会や厚生労働大臣等への報告を行う職責があります。不正行為の恐らく代表的なものは違法行為だと思いますので、監査委員たる経営委員の方の中には、それ以外の経営委員や理事とは異なり、法務に関する経験や資質等が求められる可能性があるようにも思われます。
そうすると、任命基準をつくるときに、役員のタイプごとに分けてつくることになるのかどうか。このあたりのイメージについても、すでにございましたら御教示いただければと思います。
今の点にも関連するのですけれども、資料5の5ページでございますが、経営委員の任命の※1で被保険者の代表者、事業主の代表者各1名を、関係団体の推薦に基づき任命するとあります。この場合は、任命基準は係らないことになるのか、あるいは推薦に基づいてこられる方にも任命基準が係るということが当然前提になっているのか、この点についても、もう既に決まっていることかもしれませんが、ぜひ御教示いただきますようお願いいたします。
ちょっと長くなりますので、まずこの3つをお願いいたします。
○ 神野部会長 ありがとうございます。
最初の任命基準の拘束力、規範性、もう一つは任命基準の対象とする役員。3番目もそういう意味ではちょっと広目、同じようなことになるかもしれませんが、さまざまな構成から成る経営委員と任命基準との対応関係等々を御説明いただければと思います。
○ 宮崎参事官 まず、1点目の規範性、拘束力、法的な位置づけということになろうかと思います。その点に関して、実は、例えば大臣が任命するような仕組みのもとでこのような任命基準を定めているような事例はなくて、今回、年金部会の御議論を制度化するに当たりましては、法律上、例えば政令とか省令の形でこの基準を何かきちんと書くということはなかなか難しいだろうということで、今回の法律の中では、任命基準に関して、そういう意味で、法的な根拠を与えた形ではつくられてはおりません。基本的に任命は、具体的には大臣が専権事項としてやるものであろうということなのです。
ただし、その一方で、年金部会でのこれだけの御議論がずっとございましたので、厚生労働大臣が任命するに当たって、そういう意味ではソフト・ロー的な意味で基準を定める。それを部会で御議論いただく必要があるだろうということで、そのような位置づけのものと考えております。ですから、法的な強制力のあるものかと言われると、そのようなものではございません。
ただ、厚生労働大臣が具体的に任命するに当たって、この場で、年金部会の議論を踏まえてこのような仕組みを設けていますので、当然、ここで決められたものに従って、また、その枠の中でやるということは、ソフト・ロー的なことではございますけれども、これを守っていくという仕組みで考えてございます。また、厚生労働大臣もその旨を国会での審議等の場でも明確に、そのような社会保障審議会で議論される基準に従って任命していきたいということを申していますので、そういう形での基盤が与えられているということでございます。
2点目は、任命基準の内容にもかかわりますけれども、民間企業等の例などを見ますと、職務内容に応じて書き方を分けているというのが通例だと思いますので、そのような観点で見ますと、役員の中には監査委員を兼任しない経営委員と監査委員を兼任する経営委員とを分けて書くということ。その流れを考えればそういうことになろうかと思いますし、あわせて役員ということになりますと、厚生労働大臣が任命する対象としては理事長も任命の対象になりますので、監査委員兼任の経営委員と理事長はそれぞれ記載していくことが、その職務内容に分けて書き尽くすということであれば、そのようなことになろうかと思います。
理事につきましては、現行の仕組みでいいますと、運用担当理事の承認は厚生労働大臣の権限としてやっております。理事長が任命するのですけれども、承認をするというのが厚生労働大臣の権限としてございますので、厚生労働大臣が考慮する上での選任基準でございます承認に当たって考えるということまで含めるとなりますと、運用担当理事の部分も書き加えることもあろうかと思います。これはオプションとしてといいますか、そういうことになろうかと思います。
これらはいずれも経営委員に関する任命基準ということで、経営委員に関する任命基準を書けば、それは当然ながら被保険者の代表者、事業主の代表者の部分につきましても、同じ経営委員としてこの任命基準が係ってくるということだと考えております。
○ 神野部会長 どうぞ。
○ 神作委員 最後の3番目の御質問で、関係団体から推薦を受けた者と任命基準との関係について、御教示いただければと思います。
○ 宮崎参事官 関係団体から推薦をいただいて任命するということでありますけれども、その方も含めまして、法律上の規定も経済、資産運用、その他のそれぞれの分野の専門性を9名全員が持っているということがまずは前提として記載された上で、それを選ぶ際には団体から推薦を受けるという規定になっております。この任命基準に関しては、9名の中から大臣が任命する際の基準になりますので、推薦を受ける方も含めてこの任命基準の中で該当する方を推薦いただくと考えております。
○ 神野部会長 どうぞ。
○ 神作委員 一点だけコメントをよろしいでしょうか。長く発言して申しわけありません。
もしこの経営委員とか監査委員たる経営委員とで任命基準を分けるということになりますと、まさに11ページの日本郵政グループの例のように、経営委員会全体としての視点が漏れ落ちてしまう可能性がございますけれども、経営委員会の全体の構成は極めて大事な点だと思いますので、たとえ任命基準を、例えば経営委員と監査委員を兼任しない経営委員とそれ以外の監査委員たる経営委員とで分けて策定するときでも、経営委員会全体としての構成、バランスがどうなるかという視点はぜひ入れていく必要があるのではないかと思いますので、一言申し上げさせていただきます。
○ 神野部会長 ありがとうございます。
お待たせしました。河村委員、どうぞ。
○ 河村委員 ありがとうございます。この議論に今回から参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
私自身は社会保障審議会、親会のほうに入っておりますが、これまで比較的独立行政法人等の関係の仕事を長くさせていただいてきておりまして、政独委に10年間おりましたほか、先般の独法通則法の改正のときも行革のほうでかかわらせていただいたりということで、そちらの視点から申し上げたいと思います。
今回、いろいろこういったガバナンス等を改革していかれるということで、これは独法の中でも、中期目標達成法人、3つ分類が独法の中にできたのですが、その中の一つという形を、いろいろな議論はあったのですがおとりになられて、それでなさると。こうやって非常に特殊なお立場だなということは本当によくわかるのですが、さらなるこういうガバナンスの改革をやっていかれるということで、大臣が最終責任を持たれるという仕組みに独法はなりましたので、厚労省の関係に関しては、社会保障審議会が大臣から御諮問いただくような形で、だからこそ私たちがここでこうやって議論しているという位置づけを、一応もう一度ここで確認しておいたほうがいいかなと思います。
資金運用のお仕事というと、つい比べたくなる対象が民間の金融機関になってしまったりとか、よその国の外国の法人の例とか、派手にやっているソブリン・ウエルス・ファンドとかもありますので、そちらのほうに目がいってしまいがちで、もちろんそういうところと十分に比較検証、いろいろ検討する必要もあると思うのですが、やはり国内でやっていったときに、GPIFは最終的にこうやって独法というお立場をおとりになりましたので、既に何人もの委員の先生方がお話しされたとおりなのですが、国民に対して極めて重い責任を負っている機関でいらっしゃいますので、そのことを十分に踏まえた上で検討していったほうがいいのではないか。
資金運用ということで確かに世間の関心も高いし、そちらのほうでマニアックにというか、専門的に余り走ってしまい過ぎないように、年金部会との役割の分担もありますし、任命基準とかその後になるのでしょうか、細かい事項をいろいろ検討をというスケジュールになっていると伺っております。独立行政法人も透明性を高めた制度で間違いないとは思いますが、いろいろな法人の例、評価のところに携わってきた立場からすると、本当にガラス張りにされていて、いいことではあるのですが、こうやって法人の中で責任のあるお立場につかれた方々に対して、自己評価も非常にいろいろなことが係ったりとか、本当にかかわっていて気の毒になってしまうぐらい厳しく責任を問われるようなこともあるのです。
ですから、ぜひそういうところも5月とか6月ぐらいの議論を踏まえた上で、国民の関心が高いこともあって、いろいろなことを言われたりとか、そのときの世論の影響を受けたりということがなかなか避けられないところもあるとは思うのですが、なるべく最初に骨格を決めるときに、しかるべき骨格をきっちりと決めておいて、いろいろな波が来ると思うのですが、一々ぐらぐらしないで済むようなしっかりした骨格で、こうやっていろいろお願いする方々は大変重い責任を負っていただくことをお願いすることになると思いますので、そういうことは細かいことを審議させていただく我々の側としてもよく承知した上で、議論をさせていただければと思っております。
こんな理解でよろしいでしょうか。何か修正すべき点とかがあったら御指摘いただければと思うのですけれども、済みません。
○ 神野部会長 ありがとうございます。
貴重な御意見を頂戴いたしました。
どうぞ。
○ 安浪委員 今回のGPIFの改革について、ガバナンス改革を中心に考えておられるということで、今の企業のガバナンス改革に歩調を合わせた形で非常にいいことだと思っております。
その中でも、ガバナンス改革の中心になるのが、監督と執行の分離ということです。これが一番の目玉だと思っています。監督と執行の分離を考える場合、経営委員会の中での議論の進め方になるのですけれども、GPIFは基本的に基本ポートフォリオを決めますと、例えば5年とか、長期間にわたって運用がそれに縛られる。基本ポートフォリオを承認したその経営委員の方が5年間基本ポートフォリオを守るのであれば、結局自分が決めたことを監督するということになります。これは自己監査になることを意味します。監督と執行の分離ということが非常に大事なのですけれども、果たして監督と執行を明確に分けることができるのかなというところが気になりました。
これは経営委員会の毎月の会議の中で、審議事項と報告事項をどう分けるかといったこと等工夫をすることによってある程度の解決はできるかなという気もするのですけれども、その辺をどう考えておられるのかお聞きしたいということです。
もう一つは、任命基準の中なのですけれども、損害賠償責任が責任の中に書かれていまして、民間では社外役員については責任限定契約が入っています。GPIFの場合は130兆円という巨額のお金を預かっています。それについて損害が発生した場合となると、賠償責任の金額も相当巨額になることが予想され、委員の就任に当たってちょっとためらわれる方もいらっしゃるのではないかと思います。その辺の工夫というか、その辺のことも考えておられるとは思うのですけれども、事務局でも何か任命に当たって考えておられるのであれば御説明していただけたらと思います。
○ 神野部会長 現時点でコメントいただけることはありますか。
○ 宮崎参事官 1点目の監督と執行の分離の点は、安浪委員が御指摘のように最も重要な点でございますので、今後、経営委員会の中で、発足後、執行状況をどのように監視監督していくのかということは、毎回の経営委員会の持ち方を含めて御議論いただくことになろうかとは思います。
一方、申し上げておいたほうがよろしいかと思いますが、確かに法人の中でのガバナンスとしての経営委員会と執行部との関係に緊張を持たせていくということもありますけれども、同時にGPIFは先ほどの御議論にございましたように、厚生労働大臣が最終的な監督権者として見てまいりますので、例えばこの部会における毎年の独法の評価とか、あるいはそれ以外の機会を通じて厚生労働大臣としてもこの法人の動向を監督するという立場もございます。
そういう意味で、法人を外から評価していくという仕組みも別途ございますので、そうしたところも決してGPIFの中だけで完結するものではなくて、第三者的に評価等を行っていくことが必要だろうと。PDCAを回していくことが必要だろうと思っております。
2点目の損害賠償にかかわるところにつきましては、具体的に損害賠償がどういう場合に想定されるのかということを考えますと、通常、運用の場合でいいますと、運用で何か損失が生じた場合、その損失について結果責任を問うということは行われておりません。つまり、市場というものは予想がつかないということを前提としておりますので、その時点で適切に受託者としての責任を果たして、手続的にもあるいはそれぞれの判断におきましても、適切に判断を行った上で起きた結果としての損失につきましては、何か損害賠償が問われるという性格のものではないと考えております。
それは過去の、あるいは同種の海外の年金基金等の理事会などでも、例えばリーマン・ショックで損失が生じたから損害賠償責任を直ちに負うとかいうものではないということであると思っています。
ただ、例えば、審議の過程で明らかな瑕疵があったとか、何か不正なことをバックにして誤った判断をして、その結果法人に損失を負わせたような場合につきましては、賠償責任が問われるということがあろうかと思います。そのような性格のものということで理解をしています。
その上で、さらに何か保険みたいなものがあるのかどうかは、そのような必要性があるのかどうかも含めて、事務的に少し検討はしていきたいとは思っておりますけれども、今の理事長や理事も同様の責任を負っているわけですが、どのような仕組みでやっているのかも含めて、少し事務的に法人とも相談したいと思います。現時点で答えられる内容があるわけではございません。済みません。
○ 神野部会長 ありがとうございます。
どうぞ。
○ 大野委員 少し確認させていただきたいのですが、任期が5年ということで、再任は想定されていらっしゃるのでしょうか。もし再任されますと、10年ということで非常に長くなってしまうかと思うのですが、経営委員や監査委員に選ばれる方には、重い責任を負わされるのと同時に幅広い知見なり何なりが必要になりますので、場合によっては再任をお願いせざるを得ない状況もあると思います。そこで、再任が可能かどうかについて確認させていただければと思います。
○ 神野部会長 これはいかがでございましょうか。
○ 宮崎参事官 再任を禁止する規定はございませんので、再任はあり得るものだと思っております。ただ、10年になりますので、それがどうかということはありますけれども、法令上は再任を妨げる規定はございませんので、再任もあり得るべしということでございます。
○ 神野部会長 御発言のない永井委員、どうぞ。
○ 永井委員 1つ意見を述べさせていただければと思いますが、私は労働組合の出身で、このような年金の会議に出させていただくのは初めてですが、昨年来この法律の改正がありまして、我々の職場の現場では、どちらかというと適用拡大とかそういうことは丁寧に説明をしてきたつもりですが、GPIFというような言葉を組合員に伝えられたのかなという思いがございます。
そういう意味で、被保険者であります国民の年金制度に対して、信頼そのものに直結するものでありますので、国民、被保険者に対する責任説明は、わかりやすくやっていける視点が重要ではないかと思っております。
例えば自分の親は年金をもらっておりますが、自分の親がGPIFを知っているかと聞かれて答えられるのかなと非常に思いますし、そういう観点から、今回の経営委員の任命基準等についても、先ほど来数名の委員の皆様が述べられておりますように、バランスをとれるような構成を行っていくべきと考えております。
以上です。
○ 神野部会長 ありがとうございます。
杤原委員、何かございますか。
○ 杤原委員 御指名ありがとうございます。先ほどの神作先生とも少し関係するので、ちょっと御確認なのですけれども、資料5の9ページで、運用委員会と経営委員会の対照表を厚労省におつくりいただいておりまして、年金の件につきましては、会議の冒頭に鈴木局長から御紹介がありましたとおり、国民の将来に関係する、直結しておりますので、国民にとってはひときわ注目が高いものでありまして、我々の会員からも、年金の先行きについては、日ごろ相談が多いものでございます。
GPIFに限らずガバナンスの強化あるいは情報公開の強化は、現代の経済社会におきまして官民問わず大変重要な取り組みでございますので、とりわけGPIFは注目が高いということで、経営委員会制度がしっかり機能して、今回の改革が成功するということが一番大事なことだと思っております。
その意味で、今までの運用委員会と経営委員会は性格的に違うと思っておりまして、特に経営委員に入られる方は、経営であったり運用であったり、その他の経済情勢を幅広く知っているプロであっていただく必要がありまして、それゆえに国民からも信頼があると思っております。
その際に、委員の任命のところに例示されている分野でございますけれども、経済、金融、資産運用、その他学識、実務経験ということで、例示をいろいろとされておるのですが、例えばこの中から1人ずつ任命したときに、9人の中で1人ずつ選んでいきますと、ほとんど枠がいっぱいになるような状況でありまして、下の※で被保険者、事業主の利益を代表する者1名ということで、ここも実は人数を2名、単純に考えると各1名ですので、この人たちを2名限定してしまいますと、残り7名の中からこういう分野のプロを選ばないといけなくなると思います。
上の分野の中に込みなのですという御説明はあったのですが、被保険者、事業主の中で本当に経済のプロ、資産運用のプロがいなかった場合にどうするのかなというのがございまして、※の1つ目の、被保険者、事業主の利益を代表する方と、その上に例示されている人たちの関係が、イコールなのか、やはり違うということなのか。これはあくまで被保険者、事業主というのは過去から広く監視をするために入ってもらっている審議会の歴史があるので入っているということになるのか。
ただ、そうなるとただの過去の延長になって、経営管理委員会の独立性、自主性がせっかくガバナンス強化をするのに、過去の経緯を引きずることが本当にいいのかどうかというまた別の議論が出てきてしまうと思いますので、被保険者、事業主の利益を代表する者という人と、その上に書いてある経済、金融、資産運用で、いずれ任命基準をつくったときに、何か分野を例示しないといけないと思いますので、その中に入るのか、入らないのか、あるいは逆に入れたいのであれば被保険者、事業主というのを神作先生がおっしゃられたように分野の中に込みではなくてちゃんと明記して、本文の中で書いていただいたほうがいいのかどうか。条文のつくり方だと思うのですけれども、ここは議論が出てきてしまうのではないかと思っております。
○ 神野部会長 横軸と縦軸というか、どういう関係になっているかということで、御説明いただけますか。
○ 宮崎参事官 失礼しました。私の説明が不足して申しわけありませんでした。法律上の条文として、経営委員のバックグラウンドとしては、経済、金融、資産運用、経営管理、その他の関連する分野に関する学識または実務経験を有する者というのが、これが9名全員に係る規定として入っております。ですので、そこは既にベースラインとしてあるということでございます。
その上で、こういう方の中から厚生労働大臣が任命するという規定でございますけれども、任命をするに当たっては、各1名は関係団体の推薦に基づいて任命するということでございますので、関係団体の御推薦をいただく際には、そうしたベースラインを持っている方を御推薦いただくことが基本となります。これは推薦ですので、かなり幅広いこういう専門性を持っている方を御推薦いただければいいだけの話ですので、人材がないとかいうことではなくて、十分そこは御判断いただいた上で、適切な方を御推薦いただけるものと思っております。
ただ、つけ加えて申しますと、経済、金融、資産運用、経営管理、その他の関連分野の中から厚生労働大臣が選ぶとしか法律上の規定はございませんので、分野間で、例えば資産運用の人から9人全員を選んでも、法律上は別に違反ではないので、そういう意味で選任基準をつくるに当たりましては、分野ごとのバランスをつくる必要があるとすれば、それぞれの分野ごとに大体これぐらいというようなものは書かないと、バランスよい選任ができないということになろうかなと思っております。
以上でございます。
○ 神野部会長 ほかはいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
繰り返すようですが、とりあえず同じテーマで次回も行いますので、どうもありがとうございました。
多様な視点から、さまざまな生産的な御議論を頂戴したと思っております。繰り返しになりますけれども、次回は役員の任命基準について、引き続き審議をさせていただきますが、その際、本日にいただきました委員の皆様方の意見を事務局で整理していただいた上で、それを勘案して役員の任命基準案を作成していただきながら、それに基づいて議論をしていきたいと考えております。
それでは、特に御発言がなければ、本日、予定したものが終わりましたので、事務局から連絡事項等がございましたら、お願いいたします。
○ 宮崎参事官 ありがとうございました。次回、第2回の部会の日程につきましては、事前にお伺いをしておりました皆様方の御予定に基づきまして、5月12日の金曜日、同じく13時から15時までの開催を予定いたしております。
場所と正式な開催の御案内につきましては、後ほど各委員の先生方にはお送りさせていただきたいと思います。まだ場所が決まっておりませんので、またお送りさせていただきたいと思いますが、時間としましては、5月12日の金曜日13時から15時ということでお願いいたしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○ 神野部会長 次回は5月12日金曜日の13時から15時までということで、場所は後ほど御連絡をいたしますけれども、御承知おきいただければと思います。
それでは、長時間にわたりまして、御熱心かつ生産的に御議論を頂戴したことを深く感謝申し上げまして、本日の審議をこれにて終了したいと思います。
どうもありがとうございました。
(了)
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