2018年4月20日 第20回 社会保障審議会企業年金部会 議事録

年金局企業年金・個人年金課

 

○日時    平成30年4月20日(金)9:57~12:00

 

○場所    イイノホール4階ルームB

 

○出席者

(委 員) 神野部会長、森戸部会長代理、伊藤委員、井戸委員、臼杵委員、内田委員、小林委員、

      白波瀬委員、山本委員(小林代理人)、和田委員

(オブザーバー)村瀬企業年金連合会理事長

○議題

(1)確定給付企業年金のガバナンスについて

(2)確定給付企業年金の積立基準について

(3)確定拠出年金における兼務規制について

(4)その他

○議事

○神野部会長

 それでは、定刻を少し前なのですけれども、委員の皆様方おそろいでございますので、ただいまから第20回、ちょうど区切りのいい回数でございますが「社会保障審議会企業年金部会」を開催したいと存じます。

 委員の皆様方には、年度初めの大変お忙しいところを万障繰り合わせて御参集いただきましたことに深く感謝を申し上げる次第でございます。

 本日は山本委員から御欠席との御連絡を頂戴いたしておりますが、山本委員の代理として、日本商工会議所企画調査部担当部長の小林様に御出席いただけるということでございますので、部会の御承認を頂戴できればと思います。

 いかがでございますか。よろしいですか。

 

(「異議なし」と声あり)

 

○青山課長

 今、部会長からお話しいただきましたとおり、前回の企業年金部会から事務局に異動がございましたので、御報告させていただきます。

 年金局長の木下でございます。

 

○木下局長

 木下でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○青山課長

 総務課長の岩井でございます。

 

○岩井課長

 岩井でございます。よろしくお願い申し上げます。

 

○青山課長

 以上でございます。

 

○ 神野部会長

 ありがとうございました。

 それでは、議事に入らせていただきたいと思いますが、大変恐縮ですが、カメラの方々はここで御退室を頂戴できればと思います。よろしく御協力方、お願い申し上げる次第でございます。

 

(報道関係者退室)

 

○神野部会長

 それでは、事務局から資料の確認をお願いできますでしょうか。

 

○ 青山課長

 審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 本日の資料として、

 資料1 総合型確定給付企業年金基金における会計の正確性の確保について

 資料2 確定給付企業年金の積立基準について

 資料3 確定拠出年金における兼務規制について

 資料4 厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会の開催状況(平成29年4月1日~平成30年3月31日)に関する報告書

 参考資料1 社会保障審議会企業年金部会委員名簿

 参考資料2 企業年金制度の現状等について

を配付させていただいております。

 資料の不備等はございませんでしょうか。

 

○ 神野部会長

 よろしいですか。お手元、御確認いただければと思います。

 どうもありがとうございました。

 それでは、議題に移りたいと思いますが、お手元に議事次第が行っているかと思います。御確認いただければと思います。

 本日は「その他」を含めますと4つを準備させていただいておりまして、まず第1番目の議事につきましては「 確定給付企業年金のガバナンスについて 」、2番目の議題は「 確定給付企業年金の積立基準について 」、3番目の議題が「 確定拠出年金における兼務規制について 」を議題とさせていただきたいと思っております。4番目に「その他」として報告事項がございますので、御承知おきいただければと思います。

 それでは、前回といっても1年ぐらい前に少々御議論いただいた続きといいますか、それを踏まえた議題になりますが、第1番目の議題「 確定給付企業年金のガバナンスについて 」を事務局から御説明いただければと思います。

 

○ 青山課長

 それでは、資料1を御説明させていただきます。これは「総合型確定給付企業年金基金における会計の正確性の確保について」という、議題に関する資料でございます。

 2ページをお開きください。今回、この議題を提示させていただいている趣旨・経緯をまず御説明させていただきます。

 2ページにありますとおり、資本関係等のない複数事業主で設立する総合型確定給付企業年金基金(総合型DB基金)は、自らの掛金拠出分が他の事業所分と混在するため、各事業所では、基金全体の会計の正確性の把握が困難でございます。

 これまで当部会では、平成27年1月の議論の整理において、公認会計士等が外部の専門家による監査を活用することも考えられるとしていましたが、その後、会計監査には相当のコストを要することを考慮し、合意された手続(Agreed Upon Procedures)ということで、AUPの導入を検討することになっておりました。

 3ページをお開きください。これが先ほど御紹介しました平成27年1月の当部会の議論の整理でございます。御参照いただければと思います。

 その後、資料が大部ですので、かいつまみながら、飛びながらで恐縮です。8ページをごらんください。その後、平成28年4月の本部会でも一度、論点を提示し、議論し、済みません、経緯だけで恐縮です。10ページをお開きください。同じ28年6月に引き続き議論を行い、直近が12ページでございます。この直近の会合である平成29年6月30日の第19回の当部会におきまして、12ページにあるような論点を出させていただいておりました。

 ここに書いてありますのが、2つ目の○でありますように、本格的な会計監査の導入にはコストの面から困難であると考えられることから、今、御紹介しましたAUPを導入してはどうかという点を提示し、次の○の1つ目のポツにありますとおり、一定規模以上、具体的には資産総額が20億円超の総合型DB基金について、AUPを受けることとする。

 次の○にありますとおり、その際、AUPの着眼点、基準等の手続の詳細については、公認会計士協会、厚労省及び総合型DB基金関係者が連携しながら検討してはどうかということをお諮りしていたところでございます。

 そういう経緯で、おおむね、こういう方針は了承いただいた上で詳細を詰めるということになっておりましたので、きょうの会合をその具体化ということで議題にさせていただいたものでございます。

 この資料にはございませんが、前回の会合のときに、そういう詳細を29年度に検討し、30年度に通知等の改正を行い、31年度より実施というスケジュールも示しておりました。今、通知等と申しましたが、 確定給付企業年金につきましては、適正に業務を運営するための基準を通知により定めておりまして、今回の AUP もその一環として定めることにより、これに伴いまして、行政指導等を行うという位置づけで考えております。

 前回の29年6月の会合以後、厚労省では公認会計士協会に協力いただきながら、チェック項目の案、あと、総合型DB基金に御協力いただき、試行をしたり、あと、総合型DB基金の方とも数度にわたり意見交換をさせていただきまして、内容を詰めてまいりました。今回、制度の具体化となる成果物が、案ができましたので、御報告し、審議いただくものでございます。

 経緯が長くなりましたが、これから中身に入ります。

 恐縮です。19ページをお開きください。

AUPとはということなのですが、改めて申しますと、これは公認会計士等と総合型DB基金の間で、確認する事項とその方法について、あらかじめ合意し、その結果得られた事実について報告を行うもので、会計監査で行うような、適正かどうかとか、妥当かどうかという主観的評価の手続ではないというものでございます。

21ページ以降ですが、まずAUPを総合型DB基金に導入するメリットを整理させていただいております。

 これは会計監査の専門家である公認会計士から確認を得られるということで、この下の箱にありますとおり、誤謬や不正の防止、信頼度等の向上、あと、内部統制の適正化。そういう助言も得られるということ等のメリットがあって、会計に関する質が高まるという効果があるかと思っております。

23ページをお開きください。AUPを行う会計の専門家のことでございます。

 これまで公認会計士等と申していますとおり、上の赤枠の4行目にありますとおり、実施者は原則、公認会計士または監査法人としますが、公認会計士等と同等水準で業務を遂行できる場合に限り、それら以外の者でも可能とすると考えております。

 同等水準といいますのは、公認会計士等が基準としております実務指針に従い業務を実施した場合と同等の水準でできるという趣旨でございまして、この青枠の矢羽根にありますとおり、一定の監査に関する実務経験を有するとか、実務指針を熟知し、それに準じた手続ができる等の要件が必要と考えております。

 資料が飛びまして恐縮です。27ページ以降「3.AUPの対象範囲と進め方」でございます。

AUPは、一定の会計の正確性の確保の観点から必要となる手続をAUPでチェックする対象とするということです。進め方は、それらを全て一時に導入すると、非常に負担増となる懸念がありますので、必要な手続のうち、毎期に必ず実施する手続と各年度の重点領域を設けて、複数年かけて、ローテーションのように実施していくことが適当ではないかと考えております。

29ページをごらんください。AUPの確認項目でございます。

 まず、29ページは総合型DB基金の事務フローとの関係を示したもので、企業年金でございますので、事業主からの掛金が入り、それを運用し、責任準備金として積み立て、給付を行うという年金経理の部分と、それ以外の、給付に要する以外のさまざまな諸経費を扱う業務経理の部分があるかと思いますが、各お金の出入りやお金の管理のフロー、それぞれにおいてチェックが必要であるということで項目番号がついております。

 この項目1から項目4までの項目を、具体的に中身を示したものが30ページ以降の資料でございます。

 その項目も細かいので、時間の関係で、個々に細かい内容を御説明はできませんので恐縮なのですが、一部だけ御紹介しながら御説明しますと、まず30ページと31ページが業務経理の関係のチェック項目になっております。

 済みません。その前に30ページの上の箱にありますとおり、先ほど言いましたローテーションでやる際の毎期手続が赤のもので、ローテーションで複数年かけてやるのが青のものです。あと一部、母集団の数が多く、サンプリングが必要なものは緑で表記しております。

 そういうことで、30ページ、31ページの業務経理関係ですと、掛金収入の正確性の確認から残高の正確性とか、例えば31ページの4.でございますけれども、経費の支出等をする際の内部統制、要は承認の手続など事務フローをチェックするような項目を考えております。そういう項目をチェックして確認をしている。それで、どういう項目とどういう項目を突き合わせる等のチェックポイントを一個一個述べております。

32ページと33ページ、掛金に関する、掛金の収納に関するチェックポイントでございます。掛金ですから、給与の一定割合という場合が多いのですけれども、給与改定通知書等の関係の手続がちゃんとできているかとか、あと、33ページの8.などですが、未収掛金の管理等、回収の関係等々の内容が続きます。

34ページが掛金を積み立て、運用されるわけですが、その運用資産の管理の項目でございます。運用は資産運用管理機関に委託をしているのがほとんどで、資産管理機関との整合性も含めてチェックするというチェック項目を書かせていただいております。

35ページは給付に関するチェックポイントでございます。これは受給者に対して正確に、適正に請求を受けて、支払いができているか、内容の突き合わせと事務フローの、内部統制の整備、両面においてチェックする項目となっております。

36ページが残高確認でございます。

 このように、こういう項目を公認会計士協会等とも相談しながらチェックポイントとさせておりまして、実際にはこれをもとに、個々の基金ごとに、具体的に、さらにどういう手続とか書類を見るかということを契約で決めていただくイメージでおります。

37ページをお開きください。導入のスケジュールです。

 冒頭にローテーションという趣旨で申しましたとおり、負担軽減の観点から、1カ年に全てやらずに、段階的にやることを考えております。これは31年度の決算分からやることを考えておりまして、31年度の決算分につきましては、この黒というものは毎期手続だけです。まず毎期手続だけをやり、翌年度は毎期手続プラス重点領域のうち一部で、3年目で毎期プラス残りの重点領域ということを考えて、その次からは毎期プラス重点というローテーションを2カ年ずつ回していく。そういう手続で、段階的に負担を軽減しながらやってはどうかと考えております。

38ページをごらんください。

 これは御参考なのですが、年金でございますから、チェックする項目の中には母集団が多いものがございます。全部見るということは難しく、サンプルで見ることになる項目がありますが、サンプルが適正に抽出されるかは重要でございますので、サンプルの抽出方法を事前に定めておく必要があるということを書いております。こういうことも含めて実務でお願いしたいということでございます。

41ページをごらんください。

 「AUPの実施が望まれる項目」とありますのは、先ほどの14項目でお願いしたところは最低限必要な項目なのですが、それ以外に、さらにチェックすることが望ましい項目ということを立てております。これは任意でございますけれども、会計監査を適正に今後行っていくということも見据えますと、実施をしていただくことが望ましいと考えております。運用資産関係等々がございます。

42ページをお開きください。以上が内容でございましたが、既存の周辺の制度との関係を整理しております。

42ページは監事監査との関係です。企業年金に対しましては、法律上、監事を置いて監査することを義務づけております。いわゆる内部監事による監査で、それと、このAUPの関係でございます。

 下の青い箱にありますとおり、監事監査をAUPは補完するものでございます。□が2つありますけれども、監事監査が十分に機能している場合は当然あるかと思いますが、そういう場合であっても、事務作業の結果の信頼度が公認会計士の確認により高まる。逆に内部監事できちんとやっていただいた上でチェックしますので、AUP自身の費用の低減にもなるかと思います。

 逆に、監事監査が十分に機能していない場合には、内部統制の改善といった必要なことや監事監査自体の機能の向上にAUPでの助言等によってつながる可能性が高いと思われます。

43ページをお開きください。行政機関による監査との関係でございます。

 法律に基づく企業年金でございますので、監督する行政機関において監査を行うこととなっております。実際には3年に1度、赤枠にありますとおり、さまざまなガバナンスや掛金の収納等も含めた項目について監査を行って、その結果、指導などを行っております。

 これとの関係なのですが、下の青枠でございますけれども、AUPというものはあくまでも自主的にやっていただくものですが、そういう自主的にやられたAUP実施結果については、上にありますような行政機関における監査の際に提出を求めて、実施結果を確認することで行政監査の参考にすることを想定しております。

44ページをお開きください。先ほどAUPの業務実施者は原則、公認会計士または監査法人と申しましたが、それを担う公認会計士の確保が重要と考えております。

 そういうことで、公認会計士協会と企業年金連合会と協力しまして、そういう担い手の確保を進めたいと思っておりますが、具体的には下の箱の*2にありますとおり、企業年金連合会と協会が相互に連携して、企業年金の実務に関する研修等をやっていただく。それで、公認会計士協会は研修終了者をリストアップしますし、企業年金連合会でそれらも含めた全体の研修が終わった人をリストアップして、その名簿を総合型DB基金に提示して利用いただくということで、実施者の確保・供給に抜かりのないようにしてまいりたいと思っております。

 次が、AUPの費用でございます。

 この企業年金部会のこれまでの議論でも、コスト面での御懸念が非常に出ておりました。また、コストがなかなか見えないので、実施に当たっても効果等も判断しにくいといった声がありました。互いの契約でやっていただくものであり、一律に費用は決めるものではないのですが、どれくらいかかるという見込みを可能な範囲で事務局で立ててみております。

46ページは費用の計算とか考え方でございまして、上のほうに青とか水色で表がありますけれども、この費用推計という一番左の項目にありますとおり、時間当たり単価のαに、一つ一つの手続にかかる時間のβ、あと、実際の手続の項目。標準では14項目示していますが、それらの単価、時間、手続数を掛け合わせて、間接コストという事前の調整等にかかるコストを足し上げるという計算です。

 単価というものはもちろん、個々に決まるものではあるのですけれども、ごく参考までに右下に公認会計士協会が公表している制度ごとの平均単価を示しております。これを見ますと、全平均が右下、1万1,570円という時間当たり単価が示されております。

 それで、実際の費用、この総合型DB基金についてやってもらう場合の費用でございますが、48ページをお開きください。その費用を、ある程度推測するため、また、チェック項目の実効性を確認するためもありまして、この間、一部の企業年金基金さんに御協力いただきまして、試行、パイロットテストをやってみました。それを見て、かかる時間を推測しております。

 左に表がありますけれども、左の上半分の表にあるとおり、事前準備から項目ごとにやっているヒアリング、サンプリング等々にかかる時間が38~58時間で、それプラス間接的な時間ということで、合計が下4分の1ぐらいのところにありますが、55~75時間程度と推測しました。それを公認会計士協会が公表している総平均単価という仮定を置いて、掛け合わせますと、このページの右半分の真ん中の緑の枠の中にありますとおり、64万円~87万円ということでございます。

 過去のこの部会で、初め、本格的な会計監査の議論をしていたときには、こちらでいろいろ推計しましたら、会計監査には数百万、場合によっては1,000万というオーダーでかかるということでございましたので、それと比較して見ていただければと思います。

 このコストの関係は、金額としてのイメージはそういうものですが、最後、49ページをごらんください。AUPにかかる費用の性格でございます。

 給付に要する費用そのものではないので、業務経理で支弁するものかと認識しておりますが、ただ、業務経理に余裕がない場合等、どうするかということでございまして、現行でも年金経理に剰余がある場合に、繰り入れを行わなければ、支障を来す等のやむを得ない場合に、年金経理から業務経理への繰り入れを認めております。

 そういうことで、AUPの費用につきましても、初年度において、当初の想定以上に費用がかかる場合とか、事務費掛金の引き上げ等が間に合わない等の場合で、あくまでも年金経理に剰余がなければいけませんが、剰余があって、繰り入れがやむを得ない場合には、年金経理から業務経理に繰り入れということも考えられるかと思っております。

 以上、AUPの今回の経緯、メリット、内容、費用等について御説明させていただきました。御審議よろしくお願いいたします。

 

○ 神野部会長

 どうもありがとうございました。

 間隔が置いていることもあって、これまでの確定給付企業年金のガバナンスについての経緯を、資料を的確に準備していただきまして、その上で前回までに私どもでガバナンスについて行いました審議、それから、その対応策について了承したものがあるわけですけれども、それについて、今回はやや具体的なフェーズで、それに基づいて総合型企業年金の会計にかかわるAUPをどのように具体化していくのかという内容、あるいは手続について御提案を頂戴しております。

 委員の皆様方から御審議賜ればと思いますので、御質問あるいは御意見がありましたら頂戴したいと思います。

 内田委員、どうぞ。

 

○ 内田委員

 質問が1件、要望が1件ございます。

 企業年金の原資については、その多くが資金の後払いとしての退職給付であると考えております。企業年金加入者の受給権の保護という観点が極めて重要であると思っております。そうした観点からも、総合型DB基金に限らず、全ての企業年金において、会計の正確性も含めたガバナンス体制の確立がなされなければならないと思っております。

 今回、総合型DB基金における会計の正確性の確保という目標に対して、AUPという手法の実効性の確保が重要な論点になると考えております。そういった意味で、AUPが客観的に判断できる事実のみの確認という内容ではありますが、少なくとも第三者である、外部の公認会計士等から確認をされるという点については、目標に対して前進する取り組みであると理解しております。

 そこで1点質問ですが、こうしたAUPの対象については、12ページ目にありますように、一定規模以上ということで、資産総額が20億円超の総合型DB基金のみになるということなのですが、全体から見て現在対象となる総合型DB基金はどの程度の割合になるのかを教えていただきたいというのが1点あります。

 また、意見になりますが、今後、20億円以下の総合型DB基金に対しても会計の正確性を担保するための監査的な取り組みを広げていく必要があると考えます。

 もう一点、要望ですが、会計の正確性の確保という観点では、実施する公認会計士等がどれほど企業年金の会計に精通しているかというような、AUPの実施するレベル感をはかるための基準も問われると思います。例えば総合型DB基金において不正等が発生しないように、長年同じ公認会計士等にAUPを実施させるのではなく、何年かに一度はAUPの実施者を変更させるなどの要件を入れることなども検討するべきではないかなと考えます。

 以上です。

 

○ 神野部会長

 それでは、1点目の質問と2点目の要望についてお願いできますか。

 

○ 青山課長

 わかりました。

 まず、今回のAUPの対象である、資産規模20億超のところ、どのぐらいあるのかということで、28年度の決算報告を当方のデータで見ますと、総合型DB基金のうち年金資産が20億超は約7割でございます。

 ちなみに企業年金基金は、設立後は一定期間、年金資産が増えていくものになります。実際の変動は加入者数とか掛金の変動で左右はされますけれども、例えば平均加入期間を20年と仮定して、現状から、機械的に20年分の年金経理の掛金を出して計算してみると、将来的には今の7割から8~9割の基金が対象となるのではないかと考えておりまして、かなりカバーができると思います。

 もちろん、会計の正確性はどの基金にも必要なので、AUPも進めながら、全体的には行政監査も使いながら見ていかなければいけないと思っております。

 具体化に当たりましては、基準が必要であるとか、公認会計士の交代とかの話もありました。実務的に、参考となる御指摘だと思いますので、これから具体的に、さらに実施までの間に詳細は実務的に詰めていきますので、十分、参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 

○ 神野部会長

 よろしいですか。

 

○内田委員

 はい。

 

○神野部会長

 ほかはいかがでございましょうか。

 どうぞ。

 

○ 和田委員

 このAUPの導入に際しまして、項目を結構絞り込むなどをして、費用負担面での配慮を相当程度していただいたということでございます。それは私も以前から非常に気にしていた部分なので、そこのところは非常にありがたいと思っているのですが、2点だけお話し申し上げたいと思います。

 1点目は、これはまた重ねてのお話になってしまうかもしれないのですけれども、このAUPに必要な経費は業務経理から捻出するということが原則となると思います。ただ、現在設立されている総合型DBの基金さん方は、業務経理の予算を立てる際に、このAUPを想定しない状況で予算を考えて、今、運営を行っている。そこにこういった追加的な費用が出てくるということなのですけれども、私は、これが年金経理から直接支出できるものだと勘違いしていましたので、基金さんの規模について、資産で線引きするということに関して、前回の会議ではもう少し見直したほうがいいのではないかという意見を申し上げたところではあるのですが、これが業務経理からの支出ということになりますと、資産の規模というよりも加入者数のほうにより強く依存するのではないかということでございます。

 そういうことで、加入者数が、私の感覚だと、おおむね5,000人程度以下の基金さんということになりますと、業務経理の年間の収入というものが場合によっては3,000万とか4,000万程度で賄っている中で、100万円程度ではございますけれども、費用を捻出するというところで御苦労される可能性もあるかなと思っておりまして、私がこう申し上げても委員の先生方はぴんとこないかもしれないのですが、そういった基金さんから御事情をヒアリングしてもよかったかなとは思っているところでありますが、そういった規模の小さい基金さんに対して一定の配慮を重ねてしていただけたらありがたいかなというのが1点目です。

 2点目は、ちょっとかぶる部分もあるのですけれども、地方の単県版の基金さん、北は北海道から沖縄まであるわけですが、1つの県で同業の事業所さんが共同で基金を設立している場合、そういった基金さんは総じて規模が小さいこともあります。大きいところもあるのですが、小さいところも多い。そういった基金さんでAUPを導入する際に、例えば東京からわざわざ会計士さんに出張していただくとかということになりますと、コストがかさむということがありますので、これはお願いということになるかと思うのですけれども、この資料の44ページにございますような研修については、地方の会計士さんなどにも十分やっていただけるような形でお願いできたらということが2つ目のお願いといいますか、意見でございます。

 私からは以上でございます。

 

○ 神野部会長

 2点、よろしいですか。AUPの業務経理からのファイナンスについて、中心点は小規模企業への配慮ということですか。

 

○和田委員

 はい。

 

○神野部会長

 そういう観点からの問題と、2点目の公認会計士の地方の問題についてです。

 

○ 青山課長

 今回のAUPは、先ほど経緯を御説明しましたように、もともと本格的な会計監査が必要ではないかという議論から始まり、それでは非常にコスト面で難しいので、比較的安価でできるAUPを導入するという経緯で議論してきたものでございます。

 やはり会計の正確性の確保が必要だということで、AUPも本来、全てのところで必要な、望ましいのですけれども、負担というものが重ねて議論がありましたので、対象を限ったわけですが、資産規模で見るという趣旨を改めて御説明しますと、年金支給に必要な負債でございますので、それだけ責任を負っている。具体的には何らかの問題が生じたときの影響は、資産規模に応じて大きいですので、そういうことから資産規模20億超ということで導入させていただいたわけでございます。

 さまざまな財政の事情があるかと思いますけれども、段階的に実施するなどの対策も講じていますので、その中で必要性を理解いただいて実施いただきたいと重ねて思っております。

 2点目の担う公認会計士の確保でございますが、おっしゃるとおりで、特定の東京などに偏ってはいけませんので、公認会計士協会や企業年金連合会と連携しますときには、当然のことながら、全国ベースで募り、研修しということは努めたいと思っております。

 

○ 神野部会長

 ほかはいかがでございましょうか。

 どうぞ。

 

○小林代理人

 幾つか、AUPに関しまして意見を申し述べたいと思います。

 まず1つは、AUPによる検査項目を限定されております。これがガバナンスの向上に本当に有効なのかどうかという点。これは非常に大事な点だと思いますけれども、この点は担保されているのかどうかということが第1点でございます。

 第2点目は、規模の小さい基金への配慮という御意見がございましたが、全く同感でございます。20億円超という区切りでございますけれども、やはり全てのDB基金を対象にAUPを導入するのはコストの関係で難しいかと思います。そもそも、このAUP自体は行政機関によります監査を補完するものと理解しております。AUPを導入するのみならず、行政機関による定例監査を従来よりも強化するということも本来ガバナンス向上を図る意味では重要なことかと思います。そのようなお考えがあるかどうかというところを確認させていただきたいと思います。これが2点目でございます。

 3点目は、このAUPを実施する者が公認会計士等ということで、この実施する者を例えば社会保険労務士等に拡大することは可能なのかどうかというところをお聞かせいただきたいと思います。

 以上でございます。

 

○神野部会長

 よろしいですか。少し1点、かぶるところがあるかもしれませんが、よろしくお願いします。

 

○青山課長

 わかりました。

 まず、1点目の項目が有効なのかどうか、御指摘いただきました。確かに、なるべくあらゆる会計のステージをチェックしなければいけないのはおっしゃるとおりでございます。我々も公認会計士協会等とも御相談しながら、総合型DB基金について、どこをチェックするのかというのは詰めてまいりました。

 ただ、他方でやはりチェック項目が多いと時間もコストもかかるということで、必要最低限のものはそろえたつもりでございます。必要なもの、十分なものを考える中で、他方で負担ということもあるので、本当にどれが必要最低限だろうかということは十分に考えて、総合型DB基金さんともやりとりしながら、例えばこれが本当に要るのか、要らないのかとか、詰めた議論もしましてやってきましたので、こちらとしては、この項目は、14項目につきましては、必要なものはそろえていると思っております。

 もちろん、それに加えて、項目をふやしていく分には全く望ましいことかと思いますので、各基金さんの実情等に応じて、自主的にやっていただくことは大変ありがたいかと思っております。

 2つ目の話は、小さいところへの配慮というのは先ほど和田委員からもお話がありましたとおりでございますが、我々の趣旨は先ほど申したとおり、やはり一定の資産、年金資産を持っていることの影響の大きさ、責任の大きさということを御理解いただければと思っておりますが、行政監査との関係は、行政監査の補完とおっしゃいましたが、我々はやはり法律に基づく自主的に運営する基金でございますので、まず自己の責任で自分たちの会計をチェックしていただくのが基本と思っておりまして、行政監査はそういう自主的な管理をしていることを確認させていただく役割かと思っております。

 ただ、他方で行政監査も、こういうことをお願いする以上、AUPが働いたかも含めて、きちんとやっていきたいというのはおっしゃるとおりと思いまして、今回のこの制度導入を十分に念頭に置きながら行政監査も一生懸命やってまいりたいと思います。

 3番目、実施する公認会計士等でございますが、資料にもありましたとおり、23ページで御説明しましたとおりで、やはりこれは会計のチェックでございますので、会計の専門家である必要がございます。そういうことで、公認会計士または監査法人としています。

 ただ、会計の専門家と同等水準でできるということであれば会計士以外でも可能ということで、御案内しましたとおり、会計の実務指針の理解や実務経験ということで、例えば社会保険労務士やほかのサムライ業の方で公認会計士等と同等のこういう業務ができれば可能ではありますけれども、逆にこれを満たさないとそれは認められないことかと思います。

 

○神野部会長

 伊藤委員、どうぞ。

 

○ 伊藤委員

 先ほど内田委員の質問に対してのお答えが、カバレッジが7割で、現状3割が対象にならないという話で、将来的には8~9割ぐらいのカバーになるだろうという話で、今、資産総額の基準の考え方、一定規模の資産を持っていると影響とか責任が大きいからという話でしたね。それは受給者の立場からすれば余り関係のない話で、自分が加入している総合型基金がそういうマクロな視点で影響が小さいとか責任が小さいということで、きちんとした財政状況を把握していなくてもいいということには決してならないと思うのです。

 それで、今回のAUPの導入の目的も、42ページのところに位置づけということで、一番下に、監事監査が十分機能していない場合にAUPを導入すれば、この機能の向上につながる可能性が高いということもあります。そうすると、この小規模な総合型、300人以上で設立できるということで、こういうところで監事監査が十分機能しているのか。仮に十分でない場合、こういうAUPによる機能強化・向上も期待できないということになるわけです。費用の資産が示されましたが、なるほどというように各基金が見ていると思うのですけれども、1つは、いろいろ機械化とかも含めてコストダウンというものもあり得ると思いますし、あとはAUPの対象にならないところの行政監査をきちんとやるとか、何らか置き去りにしない対応が必要だと思うのです。その点、どのようにお考えか、聞かせていただきたいのです。

 

○神野部会長

 お願いします。

 

○青山課長

 ありがとうございます。

 確かに対象にならないところが全く会計の正確性の確保が必要ないということは全くないですし、見なければいけないのは同じなのですが、先ほどからるる申している経緯で今回、皆さんの御意見もあり、対象を限っておりますが、対象にならないところが会計面が不十分である場合には、今の措置の中で検討しますと、やはり行政監査で、AUPは要らないけれども、ふだん、どのように会計チェックをされているのか、内部監事による監査をどうやっているのかなどを確認させていただくのは大変重要かと思っていますので、そういうことも含めて、今後検討し、かつ取り組んでいきたいと思います。

 

○伊藤委員

 ぜひお願いします。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 ほかはいかがでございましょうか。

 白波瀬委員、どうぞ。

 

○白波瀬委員

 御説明ありがとうございました。

 基本的に今までの流れということで、コストという観点からまずはAUPを試みるという流れを理解しているのですけれども、やはり加入者、当事者の利益は、最後はどこかで担保しなくてはいけないという観点から言いますと、背に腹はかえられないというコストの問題もありますが、AUP導入そのものが最終目的になっているような議論にならないよう注意が必要だと思います。やはり最終的には監査という形に持っていくが、過渡的な対応者としてAUPという位置づけだと理解していますので、その点については再確認していただくような議論を進めていただきたいというのが1点であります。

 あと、具体的なところなのですけれども、これはコストがあるからという、常にそこで理由づけが出てきているのですが、このAUPの具体的な対象範囲とか設定する項目のことなのですけれども、費用のところで一番かかっているのはサンプリングだったりするのです。それで、全部やると大変なのでサンプリングしますということなのですけれども、これは1年目にサンプリングするということであれば、単純に無作為なので、ある意味簡単かなと思うのですけれども、これが何年か続きますと、どの範囲での無作為なのかを確認する必要が出てきます。前年に対象となったケースを抜かすのかから始まって、昨年度との間の関係も考えなくてはいけないということになります。つまり、ここでサンプリングする構造がちょっと見えにくいといいますか、項目でサンプリングになっていたり、チェックポイントでサンプリングになっていたりしております。ですので、そのあたりは整理していただいたほうが、せっかくやられるのにかえって、サンプリングを入れることがコストを上げているような感じにもなるので、その点、御説明いただければありがたいです。

 

○神野部会長

 よろしいですか。

 どうぞ。

 

○青山課長

 まず1点目の、本来、本格的な会計監査があるので、その途中ではないかということで、御案内のとおり、おっしゃるとおり、企業年金部会では会計監査の導入の議論から始めて、コストがあるということでAUPを実施するという議論になったわけでございますが、もちろん、会計監査を目指すべきという議論が全くなくなったといいますか、否定されたわけではないと思います。まず我々、AUPをきちんとやりまして、会計の正確性のチェックということをやっていただき、その状況を見ながら改めて当部会での御議論などもいただきながら、会計監査というものは将来的には検討すべきものというところは変わっていないと思います。

 

○神野部会長

 どうぞ。

 

○山本室長

 2点目について申し上げます。

 サンプリングが重要だということは白波瀬委員御指摘のとおりだと思います。それで、1点だけ補足をさせていただきますと、ここでいうサンプリングというものは、例えばある年度の経費について、何かチェックをするときに、その年度の支出されたもののうちから何を選んでチェックするのかということですので、要するにある年度にサンプリングをしますが、翌年度はまた別の、次の年度の経費から見ていくということになりますので、そういう意味では白波瀬委員がおっしゃったような重複するということはないかと思います。

 同じようなことで、例えば給付費の額なんかのチェックのときにも、本年度に払われた給付費からサンプリングをして、翌年度は翌年度のものからサンプリングをしていきますので、そういう意味では重複はないのですが、ただ、同じような問題が起こるようなところを収集的にサンプリングしていてもチェックにならない可能性がございますので、その点は配慮する必要があるのではないかなと考えております。

 以上でございます。

 

○神野部会長

 よろしいですか。

 

○白波瀬委員

 はい。

 

○神野部会長

 ほかはいかがでございましょうか。

 どうぞ。

 

○村瀬オブザーバー

 企業年金連合会の村瀬でございます。企業年金連合会の名前が出た関係もありまして、一言つけ加えさせていただきたいと思います。

 まず、今回のAUPの導入に当たりまして、厚生労働省と私どもでも随分打ち合わせをさせていただきましたし、厚生労働省自身に総合型DBへの個別のヒアリングであるとか、連合会に総合型企業年金小委員会というものがございまして、そこと数回にわたりまして説明会であるとか意見交換会をさせていただきました。丁寧に対応していただいたことに対して、厚生労働省にまず感謝を申し上げたいと思います。

 また、個別基金の協力を得まして、厚生労働省による模擬監査による項目チェックであるとか時間測定等の取り組みも今回出ておりますけれども、これについても謝意を表させていただきたいと思います。

 しかしながら、これは残念といいますか、何と言ったらいいかわかりませんけれども、やはり管理する側と管理される側で意見の相違はまだ相当開きがございまして、今回の問題に対しまして、総合型小委員会として厚生労働省に対して要望書を出しております。中身を見ていただきまして、検討できるものはしっかり検討していただきたいと思う次第でございます。

 私のほうからは2点お話を申し上げたいと思います。

 1つは先ほど出ました基金の規模の問題で、20億が一つの目安になってございます。これは制度設計自体が従来からあった部分、これから設計しようとする部分ではいいのでしょうけれども、この29年、30年度にでき上がった総合型基金が非常に多いわけです。これは御存じのように、厚生年金基金が解散もしくは代行返上してつくり上げたということでございまして、そういうものを加味して制度設計されていないところに新たなものが加わるということで、基金の構造といいますか、構成といいますか、その部分については、やはり非常に心配な部分がある。

 それで、社会福祉法人の20億というものが一つの目安になっておりますけれども、その確認をしましたら、社会福祉法人も必ずしも20億ではなくて、もう少し高い金額から実施するという変更になさっている部分も聞いておりますので、その点で柔軟な考え方をしていただけないか。もちろん、毎年監査をするのと、3年間に分けてAUPという工夫をしていただいたということで、中身は違いますけれども、やはり先ほど申し上げましたように、でき上がって間もないということで、事務費の蓄えが残念ながら小型基金についてはないわけでございまして、そこはぜひ御配慮をお願いしたいと思います。

 2つ目に、負担額の計算についてですが、今回、サンプリング調査を含めて、個々の基金の調査実態に合わせて金額を設定されているわけですけれども、おわかりのように、一人当たり時間コストによって金額が決まってくる。それで、使われている金額が平均値の1万強でございます。ところが、中身を見ていただきますと多分、どういうチェックをするかということで、必ずしも会計士である必要のない部分もたくさんあります。そうすると、会計士の中の雇用構造がどうなっているかはわかりませんけれども、安いコストの方で現物チェック等をし、実際の専門家でなければできないところについてのみ会計士がやるということであれば時間コストはもっと下げられるということなので、ブレークダウンが必要なのではなかろうか。これを基金側にやれといっても無理でございまして、やはり厚生労働省として公認会計士協会等と詰めた上で、できるだけ時間コストを下げる工夫もしていただきたいと思います。

 一方、時間コストの問題で、先ほどサンプリング調査の話も出ましたけれども、実は事前準備がしっかりできているか、できていないかによって、時間が違ってくるのだろう。そういうことになりますと、これは基金側の問題として、公認会計士のAUPを受けるときに、事前にどういうものを準備するかというのが明確になっておれば時間圧縮も可能なのだろうと思います。したがいまして、その部分については、やはりチェック項目についての詳細、また逆にそれをどういう段階で準備をする。わざわざ資料をつくらなくてもいいような仕組みをどうしてあげるかというのは非常に大事なことなのだろうと思います。そこにつきましては、実際の監査法人の監査を受けられている基金の協力も得ながら連合会としても汗をかくつもりでおりますけれども、厚生労働省としてもそこはしっかり公認会計士協会と詰めていただくということをお願いしたいと思います。

 どちらにしましても、やはりガバナンスの強化ということからいえば、コストを踏まえながら導入をすることは必要だろうと思いますけれども、不断に導入できる仕組みをどうやって知恵を絞るかということに尽きるのだろうと思っております。

 以上です。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 ほかはいかがでございましょうか。

 臼杵委員、どうぞ。

 

○臼杵委員

 3点、意見になるのかもしれません。特にお願いという感じになるのかもしれません。

 1つは、今回の措置の効果という意味では少なくともガバナンスの強化、特にあるいは極端すぎる例かもしれませんけれども、背任・横領とまではいかなくても、それに近い例がこれまで全くなかったわけではなかったので、そういうことも含めて、ガバナンスが強化されるということでは一つの前進ではないかと思います。

 2つ目に、最初に内田委員からお話がありましたように、やはりAUPをされる会計士さんと基金の間の、会計士さんとしては、ある意味では基金に雇われているところがございますので、利益相反的なことについては少し注意して、例えばさっきお話があったように、何年か、3年とか5年でかえるということも一つの考え方かと思います。

 3点目は、やはり20億というものは今回、一つの考え方であったと思うのですが、そこがある意味で20億以上と下で全然違うということがないことはやはり大事なのかなということで、20億で大体100万ですので、資産で割る。100万を20億で割ると5ベーシスポイントになるかと思うのですが、もちろん、人数も考慮しなくてはいけないと思うのですけれども、20億から下でも、その範囲、例えば資産の5ベーシスポイントぐらいの負担であれば、このぐらいだったらできるのだということもこれから少し検討していただきたいですし、それから、さっき企業年金連合会さんからもありましたが、そのコストの面も内容をチェックして、これから経過措置も含めて、いろいろ工夫をしていただきたいなと思います。

 以上です。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 どうぞ。

 

○伊藤委員

 済みません。2回目の発言になってしまいますけれども、対象の縮小を要望する御意見が複数出ているので、重ねて申し上げたいと思うのです。

 先ほど言いましたように、受給者からすれば、どこの基金に加入しているかというのは関係ないということがあるので、先ほど行政監査を強化するようなことをお願いしたのですけれども、そういう対象にならないようなところについての基金の内部統制の強化ということを特段に求めていく必要もあると思いますので、そういうことも含めてお願いしたいと思います。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 それでは、森戸部会長代理、どうぞ。

 

○森戸部会長代理

 いろいろ御意見が出て、多分、これからの制度だからいろいろ問題点、現場での問題点もありますし、理屈として20億がいいかどうかとか、いろんな問題があるのはわかるのです。ですから、1つ大事なことは、今後、まだ試行までも、制度が始まるまでもそうですけれども、制度が始まってからはちゃんとモニタリングといいますか、どういうふうに、実際上はどう機能しているのか、現場でどんな問題が起きているのかとか、そういうことをちゃんとチェックしていただいて、この部会なりで報告し、見直しをしてということをぜひしていただきたい。

 そのときの基本的な考え方は、この流れにありましたように、本来は会計監査をやるべきところを、コストの問題とかもあるから、AUPでとりあえずやりましょうという流れなので、これは始まった結果、これではやはりガバナンスの点で問題があるということになれば、より基準を厳しくしなければいけないのではないか。やはり会計監査が必要なのではないか。資産規模ももっと下げたほうがいいのではないかとか、それから、法的根拠として、これは制度導入といっても、通知レベルで始まる話ですけれども、もうちょっとちゃんとした政省令なり法律なりにしていく話ではないかとかということも含めて、ちゃんと機能しなければもっと厳しくなり得る話だという前提で考える問題だと思うので、そういうふうに現場のほうもといいますか、捉えなければいけないのだろう。少なくとも、ここまでに至る流れとしてはそういう議論をしているということは忘れてはいけないのではないかなと思います。

 以上です。

 

○神野部会長

 ありがとうございました。

 どうぞ。

 

○青山課長

 一言だけ簡単に、時間がない中、済みません。

 皆さんの御意見、ありがとうございました。

 必要性と負担との兼ね合いで、このような形でスタートさせていただきたいと思いますが、さらに具体化に当たっての標準化とか、有益な提案もいただきましたので、十分参考にしながら、さらに実施に向けて詰めていきたいと思います。

 以上です。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。生産的な御議論を賜ったこと、感謝を申し上げる次第でございます。

 それで、御議論を拝聴した上で、これはほぼ、こういう提案どおりやっていくことが前進であるということはそれぞれの方、お認めになった上でもって、こういう問題点があるので注意すべきだとか、これの位置づけとして、つまり、まず初めの一つの前進であるということの限界性とか、さまざまな御注意を頂戴したと理解しております。

 そこで、この部会では一応、この案を、きょういただいた御意見や御要望、御注意等々を、進めていくプロセス等々で十分に、厚生労働省におかれては、配慮した上で、ここの部会としては、この案で手続等々に、つまり今後、パブリックコメントとかに入っていくと思いますので、その手続に入ることをお認めしたということにさせていただいてよろしいでしょうか。

 

(首肯する委員あり)

 

○ 神野部会長

 それでは、そのようにさせていただきます。

 引き続いて、2番目の議題に移りたいと思いますが、これも確定給付型の積み立ての問題なのですけれども、お願いできますか。

 

○山本室長

 御説明申し上げます。資料2をごらんください。「確定給付企業年金の積立基準について」でございます。

 まず1ページ目で、こちらは確定給付企業年金、DBの財政運営の枠組みを模式化したものでございます。

 いずれも法律や政令、省令でこの枠組みというものは規定されてございますけれども、いわばPDCAサイクルのような形になっておりますが、マル1またはマル2から出発するのですが、まず最初に必要な掛金の水準を決めていただきまして、マル3のように掛金を拠出して運営するのですが、それをマル4にございますように、毎年度チェックするという仕組みになっています。そのチェックの結果に応じて、特に問題がなければ、そのまま翌年度に行くということなのですが、チェックの結果、問題があるということであれば、掛金を追加して拠出するという形になって、それを以後繰り返していく枠組みになってございます。

 この財政検証のところに関して、大きく申しまして2つ、継続基準、非継続基準。これはどちらも法定されたものですが、それでチェックをすることになってございます。

 具体的には、2ページをごらんいただきたいと存じます。「継続基準と非継続基準のイメージ」です。

 考え方を申しますと、継続基準は年金制度が将来、継続して、掛金も入るし、資産運用も継続して実施されるという状態を仮定した上で、将来の給付費、掛金を見通しまして、財政均衡しているかどうかという観点でチェックをするわけですが、現状持っておくべき積立金を責任準備金という形で出しまして、それを上回る積立金を持っているかどうかをチェックするのが継続基準でございます。

 他方で非継続基準というものは、年金制度が今、終了するということを仮定した上で、その上で過去期間の分の給付に見合った積立金を持っているかどうかをチェックする仕組みになっております。個人、加入者それぞれについて、過去期間分の給付に見合った資金を出しまして、それを合算したものを最低積立基準額と呼んでおりますけれども、それを上回る積立金があるかどうかをチェックするというものが非継続基準でございます。

 次の3ページは継続基準、その次の4ページは非継続基準について、それぞれ御説明しておりますが、時間の関係で、きょうは割愛させていただきたいと存じます。

 5ページをごらんいただきたいと思います。非継続基準に関しまして、先ほど申しましたけれども、個人について現在、受給権保護の観点から今ある給付を、過去期間分の給付という最低保全給付というものがあって、それを予定利率で割り引くような割引現在価値を出しまして、それを最低積立基準額と呼んでおりますが、それを全員について合計する形で決まってくるということでございます。

 そのときの予定利率で、今、これは告示で決まっておりますけれども、30年国債の利回りに基づいて決めることになっております。また、この率は標準的には今、申し上げた率なのですが、労使合意で個々に合意することによって、その率に0.8倍ないし1.2倍の係数を掛けて利率を少し変えることもできるということになっております。

 6ページは、現在の非継続基準の予定利率でございます。

30年国債、赤い折れ線グラフが30年国債ですけれども、この実績をもとに5年間の平均をとったものを非継続基準の予定利率という形で決めておりまして、平成30年度にチェックするときには1.24%という率を使うことになっております。

 ちなみに6ページの下、青い表にございますのは0.8~1.2倍ということで幅を持たせておりますので、その幅の範囲を示しておりまして、例えば30年度であれば0.992~1.488の間で決めることになってございます。

 7ページに参りまして、この非継続基準の最低積立基準額で、こちらは実は単なる積立基準ということで用いているだけではございませんで、ほかの用途でも使ってございます。

 例えば、この7ページのマル5をごらんいただきますと、DBからDCに移行する場合には、過去の積立金をDCに移換することになるわけですけれども、その移換金の額は最低積立基準額に基づいて決めることになっているということで、例えば最低積立基準額が変われば、それに応じて移換される額も変わってしまうこともあるということでございます。

 8ページは、非継続基準に抵触した場合の掛金の拠出方法でございます。

 抵触した場合、ある年度で1を下回っただけでは掛金を出すことにならなくて、3年間のうち2回以上抵触し、かつ直近0.9倍以上という要件もあるのですが、仮に抵触してしまった場合は、この8ページにあるような形で特例掛金を拠出することになっています。

 幾つかやり方があって、選択できるようになっておりますけれども、大きく分けますとマル1の積立比率方式、マル2の回復計画方式というものがございます。マル1の中でも積立比率方式には、掛金の拠出時期が翌年度になる場合、または翌々年度になる場合、2つに分けられているということでございます。

 それで、この積立比率方式というものは、積立比率の度合いに応じて、0.9倍以上の部分であれば15分割したような形以上の額を出すことになりますし、0.8倍から0.9倍のところであれば10分割したような額以上の額を出すことになっております。

 こちらの資料の黄色く塗っております「増加見込額D」とございますけれども、こちらは翌々年度に出す場合だけ、この金額を計算することになっているのですが、翌々年度に出す場合には、先ほどの分割した額に加えまして、この増加見込額の総額を一括して拠出することになっているということでございます。

 回復計画方式につきましては、今後7年間の見通しをつくりまして、7年以内に積立水準を回復するように掛金を設定するやり方になっているということでございます。

10ページに移っていただきたいと存じます。10ページは非継続基準に関してなのですが、こちらは企業年金連合会から要望をいただいているということがございましたので、それを事務局の責任で要約して掲載してございます。

 要望事項として、大きく分けると予定利率にかかわる部分とそれ以外の部分に分かれますが、予定利率にかかわる部分ということで申しますと、今、国債に基づいて決めていますけれども、それを優良社債の利回りを勘案して決める。DBは国ではなく、民間により実施されているので、国と同じ信用度は必要ないという考え方のようでございます。

 2つ目は、0.8~1.2を掛けることになっておりますが、もとになる予定利率が高い水準であれば、これも0.8~1.2でも幅があるわけですが、もとになる予定利率が下がってきますと幅が狭くなってしまうので、例えばプラスマイナス0.5%のような形で一定の幅を維持する方式に変えたらどうかといったことが要望として上がっています。

 3つ目は、マイナス金利で国債金利が下がっているのですが、これは自然な取引を形成していないと考えれば、この辺、機械的に、これも含めた平均をとるのではなくて、除外するとか、あるいはもう少し長い期間で平均をとってはどうか。そのような御要望でございます。

 そのほか、予定利率以外についても御要望がありまして、1つは出し方の問題ですけれども、先ほど8ページで黄色い部分、Dということで、一括して拠出する部分がございましたが、こちらのほうを一括ではなくて経年的な負担額の変動を著しく増加させることがないように、分割して払うようにできないかということでございます。

10ページの最後のところは、もともと非継続基準の導入当初は経過措置として0.9倍まで確保していればいいとなっていまして、一旦、これは経過措置が終わっておりますけれども、それをもう一度、再導入してほしいというのが10ページの最後の提案でございます。

11ページは、優良社債ということがございましたので、優良社債と国債の金利の比較をとったものですけれども、20年での国債で比べてみると、優良社債のほうが直近ですと0.5%ぐらい高い数字になっているということでございます。

 ただ、優良社債は、11ページの下にあるような規模で、国債に比べるとかなり小さな規模になっているということではございます。

 それから、12ページは参考としておつけしていますが、昨年1月から、継続基準のほうでリスク対応掛金というものを導入することになって、拠出できるようになっておりますので、これを活用すれば継続基準のほうで高い掛金を出せば積立水準が自然と上がりますので、そうすると非継続基準に抵触しにくいような安定的な運営が可能になっているということでございます。

13ページに移ってもらいまして、先ほど企業年金連合会からの要望というものもございましたけれども、そういったことを踏まえて、今後のあり方に関して、事務局としての論点といいますか、考え方を整理してみたのが13ページです。

 まず1つ目は、継続基準と非継続基準と2つございますけれども、これは両者異なる性格のチェックですので、引き続き併用することが適当ではないかということでございます。

 その上で、2つ目の○ですけれども、非継続基準の予定利率で、急に下がっているという事情もあるのかもしれませんが、もともと、この予定利率自体、5年間の平均を使うということで、一時的な変動はなるべく除去するような仕組みになっておりますし、それから、0.8~1.2を掛けるということも急激な変動があったときに、そのあたりを一旦緩和したり除去したりすることができるということで入れたものでございまして、現行の非継続基準の予定利率そのものについても、一時的な変動は除外できる仕組みにはなっているということでございます。

 その上で、それに加えて、最低積立基準額ですが、先ほど申しましたとおり、積立基準だけではなくて、移換金などの基準にもなっておりますので、これを変更すると加入者等の受給額に直接影響するということもございます。そういったことを考えますと、現時点で予定利率が下がっていることを受けて今の時点で変更することは適当ではないのではないかというのが私どもの考え方でございます。

 他方で、先ほど申しましたように、拠出の仕方については、一部の方式で一括拠出することになっておりますけれども、そのほかの方式を選べば、必ずしも一括拠出しなくてもいいということとのバランスを考えれば、ここは分割払いと言ったら変ですが、14ページにございますような形で、分割して拠出できるようにしたらどうかというのが我々の考え方でございます。

 この辺につきまして、委員の御意見を伺いたいと考えてございます。よろしくお願いします。

 

○ 神野部会長

 いかがでしょうか。確定給付企業年金の積立基準です。とりわけ国債の利回りが低下しているもとで、非継続基準のあり方について、一部見直しをしてはどうかという御提案でございますが、いかがでございますか。

 森戸部会長代理、どうぞ。

 

○森戸部会長代理

 済みません。1点質問ですが、14ページで、結局、現行から改正案に変えようということは13ページの一番最後に説明があるとおりでわかるのですが、現在の翌年度の増加見込み分は一括で翌々年度に乗るのを変えようということですが、これは13ページの最後の○によれば、均衡を欠いていると考えられるということですけれども、逆に現行こうなっていることの何か明確な説明といいますか、趣旨が何か説明されていたのかどうか。その点、ちょっと確認したいのです。

 

○神野部会長

 よろしいですか。

 どうぞ。

 

○山本室長

 こちらは、これまで一括拠出のようになっていたわけなのですけれども、この拠出の仕方については一昨年の4月に一部修正をしているということがございます。そのときに何を変えたかと申しますと、翌年度に拠出できるようにしたということと、もう一つは、この一括拠出のもとになる増加見込額の計算といいますか、もともとはその年に入る見込みであった掛金額を引いていいというルールになっていたのですが、実際にこれを引いてしまいますと、一括して出したいというところが出せなくなってしまう問題があって、そういった指摘もあったので、一昨年では一旦、一括して掛金額を上回る部分ではなくて、増加見込額を一旦、一括して拠出することに変えたということなのですけれども、そのときに一括というところでは変わりがないのですが、計算の仕方が少し、掛金を上回る部分というところから増加分の全額になってしまったので、少し積立ルールとしては厳しくなってしまっていた状況があったということでございます。

 以上、よろしいでしょうか。

 

○神野部会長

 どうぞ。

 

○森戸部会長代理

 それはわかりました。

 そうすると、では、それで不都合が出たのを解消するのはいいのですけれども、そのもともとの一昨年のときの趣旨は、今度は、今回の改正では大丈夫なのかというのは思ってしまうのです。

 

○山本室長

 一昨年の趣旨は、非継続基準でございますので、なるべく早く出したいということがあったわけですので、そういう意味で、要するに掛金を上回った分だけではなくて、足りない部分を全部出せるようにしたということなのですが、その結果として、要するに全てのところが一括して出せなくなってしまっていた。そういうことでございます。

 

○神野部会長

 いいですか。

 

○森戸部会長代理

 はい。

 

○神野部会長

 お待たせしました。伊藤委員、どうぞ。

 

○ 伊藤委員

 とにかく企業年金は、最初に内田委員がおっしゃっていたように、賃金であるということでこだわっているわけなのですけれども、今、大変難しい運用環境の中で一定の運用成果を上げていただいているのは非常にありがたいことであると思っています。

 ただ、今回の提案を見ますと、幾つかありますが、13ページの1つ目の○でいいますと、論点として書いていただいているように、継続基準と非継続基準の併用というものは適当ではないか。まさにそうだと思っています。安定性が必要ですので、退職給付の保全ということで絶対必要だと思っています。

 それで、この予定利率、10ページの御要望に対応して申し上げますと、上のほうにあります「予定利率の算定基準の変更」については、13ページで整理していただいているように、加入者の受給額に直接影響するということでありますし、他制度に移行する場合も含めて影響があるということは非常に大きい問題ですので、これについてはやはり私どもとしては認めることはできないと考えています。ぜひ、この適当ではないのではないかという整理を共有したいと思っています。

 もう一つは、増加見込額Dのところの払い方なのですけれども、これについても、今、説明を聞いて、やはりそうだなと思ったのです。DBの解散とか終了とかという不測の事態を想定して、できるだけ早く掛金の対応を促す意図があったということではないかと思うので、ここについては9ページに非継続基準が1未満となるDBの割合という推移が出ていますけれども、こういうところを注意深く見ながら引き続き検討していくことが必要ではないかなと思います。

 以上です。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 ほかはいかがでございましょうか。

 どうぞ。

 

○村瀬オブザーバー

 非継続基準の問題につきましては、連合会として要望書を出させていただきました関係で、一言お話を申し上げたいと思います。

 今回の要望書については、年金関係者並びに有識者に御参加いただきまして、研究会という立場でまとめさせていただいて、要望書を出させていただきました。その点をまずはっきり申し上げたいと思います。

 今後の問題としましては、やはり低金利が長引く可能性がまだございまして、30年国債の応募者利回りの5年平均を使っておりますけれども、これは多分、来年、再来年もこのまま行くと低下する可能性があるのだろうと思います。

 その中で、平成16年度に改定されて、20年物国債から30年物国債に変更した事例もございます。それから、現在、自由度として0.8~1.2という掛け算をしていいという規定もございます。しかしながら、低金利になりますと、0.8~1.2を掛けましても、その影響度が極めて低いという問題を、定額にしたらどうかという問題を踏まえて申し上げたような状況でございます。

 一方、海外という観点からいえば、優良社債を入れた上で、加味して非継続基準を決めている国もございますし、中には非継続基準さえない国もあるやに聞いております。もろもろのことを踏まえまして、ちょうど再検討するいい時期ではないかということで御提案申し上げたわけでございます。

 今回、検討の中で追加債務を分割償却することを認めてはどうかという御提案を厚生労働省からいただきましたけれども、これは一歩前進なのだろうと思います。また、現時点で変更することは適当でないということが書いてありますけれども、我々としては引き続き、これは検討していただく課題ではなかろうかと考えております。

 以上です。

 

○神野部会長

 ありがとうございました。

 ほかはいかがでございますか。

 では、どうぞ。

 

○和田委員

 非継続基準について、今回のこの結論といいますか、方向性については特に異存はないのですけれども、1点確認と、1点お願いがございます。

 確認したいのは、今、村瀬理事長からお話のあった優良社債の件なのですけれども、もともとの非継続基準の考え方に立てば、例えばAA格以上の優良社債のレートを使って考えるのもおかしな話ではないと私は思っているのですが、そこがなぜ、もう一つなのかというところを御説明いただければというのが1点です。

 もう一点は、この資料の中でもいろいろ統計的なデータをお出しいただいているところであるのですけれども、この9ページの積立水準が悪いDBの割合ということで出ているところなのですが、ちょっと本旨から外れてしまいますけれども、継続基準の積立水準が1未満となるDBの割合が平成27年度で2割近くあるということなのですが、これは私の肌感覚ですとそんなにないということなのですけれど、恐らく、もう少し細かいデータがあれば、どういったところに積み立ての状況について課題があるかというところが見えてきて、それに対しての有効な手を打っていくということの検討ができていくということではないかと思っています。

 言いたいのは、今後、当部会で企業年金のあり方を議論する際にいろんな切り口の、企業年金に関する統計データがもう少しあったほうがいいのではないかということでして、そういったデータの収集、これは非常に大変な作業になって難しい部分もあるかと思いますが、ぜひお願いできればというところでございます。ちょっと今回の議論とは外れますけれども、ぜひお願いしたいと思います。

 

○神野部会長

 ありがとうございました。

 とりわけ、第1点目について、お願いします。

 

○山本室長

 まず、非継続基準の金利、国債なのか、優良社債なのかということに関連して、そもそも、なぜ国債なのかというところでございますけれども、非継続基準自体は受給権の保護を主な目的としていますが、要するに受給者の給付の価値を今の時点で評価したら幾らになるのかというあたりを見るために、将来の給付なものですから、今の時点に引き戻すために割引をするわけなのですけれども、より確実に給付をすることに対しては、なるべくリスクのない金利のほうが適当であるということで、現在は国債を使っているということもございます。

 ちなみに優良社債とかというものは、確かに会計基準の世界とかでもよく使われている部分があったり、海外の事例でも優良社債が多数あるような国ではそういったものを使うこともあるかもしれませんけれども、まず、会計基準は基本的には財務の比較可能性を高めるというあたりなどに対しまして、非継続基準のところは受給権に直結します。先ほどのDCの移換額にも直結しているように、ここの金額というものは本当にもらう額に直結するものでありますので、必ずしも会計のようなものをそのまま入れるものではなくて、むしろ、どこまで保障するか。だから、優良社債並みでいいのか、国並みの信用度にするのかという、要するにその辺の考え方によって決まってくるものだろうというものがあるのかと考えているところでございます。

 2点目で、細かいデータというところで、この9ページに、例えば2段書きにしていまして、上は企業年金連合会の統計でして、下はうちの統計でして、若干違うところがありまして、企業年金連合会は会員向けの統計でして、大きな企業のものを、統計をとっているということはあるのですが、下の我々の統計は契約型を含めた、小規模のところも含めた全体の統計でございます。こちらを見ると、非継続基準に抵触しているものは7.7%という数字になっているということでございます。

 こちらの統計は、我々のほうでもずっと事業報告というものを毎年度受けておりまして、実は今年度初めて統計というものを集計して、1月ぐらいに公表しているということです。ただ、御指摘のように、データというものは議論のための基本であると思いますので、今後もこの点は拡充してまいりたいと思っているところでございます。

 以上です。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 ほかはいかがでございましょうか。

 小林委員、どうぞ。

 

○ 小林委員

 今回、御提案いただいた措置は、事業主の立場からすると、安定的な制度運営、負担の平準化がはかられるものと理解をしています。他制度と比較して、DBの制度運営にかかる負担は大きい点に御配慮いただいたことはありがたいと思います。

 先ほど御説明いただいた点について、念のため確認をさせてください。規制改革ホットラインの対応策の中で回答のあった、「翌事業年度における予定利率の低下を必ずしも反映する必要がない」という措置について、今回の資料には記載がありませんが、併用可能と理解してよろしいでしょうか。

 

○神野部会長

 コメントをいただければと思います。

 

○山本室長

 お尋ねの点は、先ほどの14ページで言いました、要はDの計算にかかわる部分だと思います。予定利率自体は、各年度で使う予定利率は決まっているわけでして、そういう意味で予定利率を先取りする考え方も、今年度なのに来年度の予定利率を先取りすることも考えられなくはないのですけれども、そのあたり、恣意的に変えるのはよろしくないと思いますが、一定の考え方を持って、同じ方針に基づいてやっているのであれば、当年度の分もそのまま継続して使うやり方はありますし、翌年度の見込みのようなものを使うこともあり得るかと思いますので、そのあたりは規制改革ホットラインで回答させていただいたところですけれども、そういうやり方でやっていただいてよいと考えておるところでございます。

 以上です。

 

○神野部会長

 ほかはいかがでございましょうか。よろしいですか。

 それでは、どうもありがとうございました。

 私の認識では、御異論が特に強く出たと認識しておりませんが、しかし、さまざまな御要望や御指摘も頂戴しております。したがって、今後とも適切な積立基準のあり方について御検討いただくということをお願いした上で、今回御提案いただいた内容については、この部会として承認したということにさせていただいてよろしいでしょうか。

 

(首肯する委員あり)

 

○ 神野部会長

 それでは、そのようにさせていただきます。どうもありがとうございました。

 引き続いて、資料3といいますか、3つ目の議題で「 確定拠出年金における兼務規制について 」。これは青山課長ですね。よろしくお願いいたします。

 

○青山課長

 わかりました。

 資料3をごらんください。まず、この確定拠出年金ですが、これまでの2つの議題の確定給付型と異なり、加入者本人が運用する制度でございます。加入者が行う運用を支援する趣旨から見直すべき規制があるのではないかという観点で今回御提案させていただいております。

 恐縮ですが、1ページと2ページを一緒に見ていただくとありがたいのですが、2ページをごらんください。これは確定拠出年金の企業型の場合のフロー図です。

 この制度では、企業型ですので【従業員】と一番左のところにありますが、これが加入者です。加入者が行う運用をサポートする運営管理機関という主体が真ん中の黄色のところにいます。これは厚生労働大臣の登録が必要なもので、加入者の利益のみを考えて業務を行う義務がある主体でございます。具体的には、ここにありますとおり、運用商品の選定、提示とか情報提供といった運用関連業務などを行います。

 しかし、1ページの左の赤のところなどを見ていただきたいのですが、この運営管理機関というものは実際には、2ページでいうと一番右にあるような商品提供などをする、いわゆる営業をする金融機関が兼ねることが制度上可能です。実際、法人として、会社として兼ねることは可能なのですが、そうした場合、利益相反が起こる可能性があるということで、法人として兼ねる場合に、その中の営業の立場である営業職員が運営管理機関としての業務を行うことを今、命令で禁じております。

 ただ、それにつきましては、右に<緩和の必要性>とありますけれども、その結果、営業職員の立場を持たないDC専任の職員であればできるのですが、金融機関はなかなか窓口には専任の職員は置けないということで、その結果、加入者が窓口で商品の説明を受けられない実態が生じております。

 そういうことで、加入者が窓口で商品の説明を受けられるようにして、商品について理解を深め、みずから運用しやすくするという環境を整備する必要があるのではないかという問題意識でございます。

 実は、この問題意識はかねてからございまして、1ページの右下にありますとおり、平成26年12月の企業年金部会でも改善事項として提示しておりました。その後、確定拠出年金法自体は法改正を行い、個人型DCの拡大とか加入者の運用支援という別の改正もしています中、本論点も加入者の運用支援に資するものとして検討してきたところでございますが、今回、事務局として見直しの案が固まったことから、議題にしたという経緯でございます。

 4ページをお開きください。イメージとして持っていただくために示しております。

 運営管理機関が行う運用関連業務というものは、加入者に対し商品を提示し、情報提供をするのですが、運用商品というものはこのように運営管理機関ごとにリスク・リターン特性のバランスをとって決めてもらって、このようにラインナップとしてつくられています。加入者がこの中から選んで商品を決める仕組みになっております。

 今、問題意識を申しましたとおり、5ページでございます。そういう利用者・加入者が運用を行いやすくする観点から、業務規制のあり方について考えるべきと思っております。

 具体的に見ますと、運用関連業務、運営管理機関の行う業務というものは運用商品を、選定といって、決める行為と、提示といって、見せる行為と、情報提供といって、中身を説明する行為があります。

 まず、一番上にありますとおり、商品を選定する行為は、引き続き利益相反の可能性も大きいので、緩和しないこととしてはどうかと思っております。

 他方、加入者に提示する、情報提供をするといった業務は、既に決まっている商品の提示等であり、また、商品の情報提供はこの運営管理機関の業務として、加入者の利益のために、こういうことをきちんと説明せよという義務をいろいろ課しております。そういうことで、利益相反となる可能性が選定と比べて低いので、この提示と情報提供に限りまして、一定の措置を講じた上で営業職員も行えるようにしてはどうかということを考えております。

 これが下の表にありますけれども、×のところを○にするという、2番目から4番目の項目の部分でございます。

 他方「なお」のところで、運営管理機関は、先ほども言いましたように、加入者の利益のみを考えて行動する義務がありますが、そうした中立性を確保するために、個別の運用商品の推奨助言ということは、営業職員によるものは引き続き認められないとしてはどうか。

 表でいいますと、表の下から3つ目でございます。個別商品の運用推奨というものは、お勧めをする、これがいいですと説明したり、あなたはこれをやるべきではないかということをする行為ですが、これはもともと運営管理機関の仕事とは位置づけておりませんで、かつ禁止しております。これは引き続き維持することをここでは書いております。

 6ページをお開きください。今、御説明の中で提示や情報提供については、営業職員による行為を認めるときには一定の措置を講じた上でと申し上げましたが、その措置でございます。

 その認める場合に、この上の○、四角の中の3行目ですが「もっぱら加入者等の利益が最大となるよう法令を遵守して行われる必要がある」という点は引き続きございます。そういうことで、それを確実に担保するために一定の措置を導入してはどうかということもあわせて提案させていただいております。

 もっとも、8ページ以降をさらっとごらんいただければと思うのですけれども、今回の措置をやる前から、法律制定時から、先ほどから一部言っていますように、運営管理機関にはさまざまな加入者への中立義務を初めとした義務等があります。中立に行う義務や、それを背景として、逆にやってはいけない利益誘導的な行為を例えば法律100条で幾つも禁止しております。

 逆に、恐縮です。10ページをお開きください。本来、運営管理機関がやるべき商品の選定・提示についてのルールとして専門的知見を持ってやらなければいけないとか、また、下の施行規則などにも書いてありますけれども、情報提供については、このようなものをちゃんと提供しなさいということで、加入者の利益のためにやらなければいけないという趣旨での義務も課しております。

 済みません。6ページにお戻りください。そうした従来からのさまざまな義務に加えて、今回、営業職員に認めることにあわせて、一層それを担保するために措置を追加したいと思うのが6ページ、7ページでございます。

 具体的には、業務管理態勢の整備がマル1ですが、社内規則の整備をしたり、営業職員が今回新たに手がけるとなると、確定拠出年金に関する研修とかコンプライアンスに関する検証等が必要かと思います。

 マル2は、先ほど5ページのなお書きにありましたとおり、営業職員による特定の商品の推奨は引き続き禁止するということでございます。ただ、特定の商品の説明を求められた場合には、ラインナップ全般を示して説明することは情報提供と言えるかと思いますが、特定の商品の推奨は禁止でございます。

 マル3は、情報提供は認めるのですけれども、自己等の利益を図る目的で、特定の商品のみを情報提供することも禁止したいと思っております。あくまでも全体を客観的に情報提供する責務を課したいと思っております。

 7ページでございます。

 マル4で、加入前の者に対する適切な行為の確保。加入者が運用する者ではあるのですけれども、実際、加入者となる、制度に入る際に、商品の情報提供等をするとか、本人の方で商品を知りたい場合はもちろんございます。そういうことで、加入後のみならず加入前のそういう制度に入りたい、商品を見たい人に対して、やはり行為準則に反する行為が行われると、加入者となったときに、権利が侵害されたことに結果的になりますので、そのことのないように留意するよう指導したいと思っております。

 マル5で、運用商品全体の適切性確保でございます。これは今回緩和しないと申しました運用商品を決める行為につきましては、引き続き営業職員には認めないのですが、ただ、情報提供を認める際に、そもそも運用商品が客観的に加入者のために選ばれているかということを担保する必要は一層強いと思いますので、現在、加入者等に対して用意している全ての商品の情報のインターネット公表ということを求めたいと思います。

 個人型はもちろんそうですし、企業型も趣旨としてはそうなのですけれども、企業型というものはもともと企業に対して提示されたものでもあるので、別途、今回の法改正で事業主が運営管理機関を評価する措置も盛り込んでいまして、そちらの中で、そちらに資するものとして整理をしたいと考えております。

 マル6が、これは確定拠出年金制度上の情報提供であることの説明でございます。営業職員はいろいろな、確定拠出年金以外の制度も扱うものではありますが、通常の、普通の営業で販売される金融商品と、この確定拠出年金の商品は別のもの、趣旨も別でございます。ただ、これについて、加入者等にとって混同や誤解を与えてはいけませんので、営業職員が確定拠出年金の情報提供を行う場合には、あくまでも営業ではないということで、運営管理機関の立場で行っていますということ、あと、確定拠出年金の商品としては特定の商品の推奨はできないということをちゃんと説明してもらうことを考えております。

 以上のような措置も含めて、あわせて総合的に講ずることで、引き続き加入者の利便、加入者の保護を図りながら、加入者の運用を支援するような措置を講じてまいりたいと考えております。

 以上です。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 ただいま御説明いただきましたように、確定拠出年金における、いわば加入者自身による運営の支援。この御提案について、御意見・御質問がございましたら、どうぞ。

 

○井戸委員

 御説明ありがとうございました。

 兼務規制の緩和というものはすごく申し込みが実際に窓口でしやすくなるので、とても私はいいと思っています。今でも申し込みができるのですけれども、その場で商品を選ぶのはなかなか個人ではできないので、iDeCoの申し込みされる件数が非常にふえるのではないかと期待しております。

 ただ問題は、6ページにありますように、窓口の方の個別商品の説明をされるときのクオリティーの向上がすごく大事だと思います。例えば投資助言とか、代理業者ぐらいのレベルぐらいのところまで求めてもいいのではないかと思っています。

 いろいろ、6ページのところなどでも、こういうふうに研修をしましょうとか書いてありますけれども、厚労省さんからもっと具体的にルールづくりというものを支援されたらいいのではないかと思いますので、その辺、どうお考えなのかということをお聞きしたいのが1つです。

 あと、希望なのですけれども、今、iDeCoの場合は全部の商品の信託報酬というものがオープンになっているわけです。そうすると、一般で買う場合とiDeCoで買う場合の信託報酬の差は私たちでもわかるわけです。

 ただ、企業型DCの場合は、どの商品があって、同じような商品でも企業型ですと、信託報酬が当然、全く開示されていなくて、企業と運営管理機関さんとのかかわりや、手数料を肩がわりされているとかも聞いていますので、企業型の信託報酬もオープンになればDC全体が公平になって、情報格差がなくなるのではないかと考えています。

 よろしくお願いします。

 

○神野部会長

 ありがとうございました。

 2つとも青山課長でよろしいですか。

 

○青山課長

 はい。

 1つ目の6ページのマル1のような研修等について、もっと具体的にしろということでございます。運用商品の情報提供等の業務については、法令で情報提供すべき内容を細かく書いて指導しています。やはり本人の選択を支援する、あと、誤解を与えないよう、それをきちんと研修でつまびらかに伝えるような指導はしてまいりたいと思います。そして、今の御意見を参考に、どのような指導をしていけるか、考えたいと思います。

 2つ目のお話は7ページのマル5の関係かと思いますが、企業型につきましては別の制度改正関連で整理はしたいと思いますが、それに当たりましても、今、おっしゃったような信託報酬、手数料といったことも含めて、どう公表してもらうかということは引き続き御意見を承りまして詰めていきたいと思います。

 

○神野部会長

 よろしいですか。

 

○井戸委員

 はい。ありがとうございました。

 

○神野部会長

 ほかはいかがでございますか。

 伊藤委員、どうぞ。

 

○伊藤委員

 この兼務規制の緩和について考える際には、やはり個別商品の運用商品の推奨とか、そういう不適切な行為が行われないようにして、建前が実体化するような観点で検討していくことが重要だと思っています。

 2つ質問と意見を言わせていただきたいのですが、1つは6~7ページに書いてある措置で、マル1とか、研修、社内規則の整備、法令遵守状況の検証等を求めるとか、マル4の、これは留意する必要があるということとか、マル5のインターネット公表を求めるとか、こういうものはどういうように履行確保を求めるのかという、法令上の地位とか、そういうものを教えていただきたいのが1つです。

 もう一つは、このマル5の読み方なのですけれども、前段のところは「運営管理機関を選択しようとしている者が」ということで、加入しようとしている人だと思うのですけれども、こういう人が適切に選択できるとかということだと思うのです。それで、2行目の途中から出てくる「また」というのは「運用商品の選定を促進するため」ということで、誰がなのかなと思ったのですけれども、これは運営管理機関のプロの人の選定の仕方がちゃんとなるようにみたいなことなのでしょうか。

 

○青山課長

 はい。

 

○伊藤委員

 だとしたら、後に出てくる参照条文で、10ページです。DC法23条の第3項で、これは義務ではないかなと思うので、専門的な知見に基づいて、これを行わなければいけないのに、促進するというのでは甘いのではないかなというのが疑問です。

 そうであれば、ここから意見ですけれども、7ページのマル5の4行目にあります、全ての運用商品に係る情報をインターネットで公表するということですが、ぜひ選定理由を明確に公表していただきたい。

 そのときに、バランスをとりましたみたいなことだけではなく、ちゃんと、このラインナップにしたということがわかる理由が説明される必要があると思います。

 以上です。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 どうぞ。

 

○青山課長

 ありがとうございます。

 1つ目の履行確保で、兼務規制自体はもともと省令レベルのもので書いてあります。そちらで措置する必要があるのと、6ページ、7ページの、物によるのですけれども、もともと命令で運営管理機関の禁止行為を列挙したりしますので、そちらで書く部分もありますし、命令などを実施するときの解釈となる通知とかQ&Aの中で書いていくものもあります。いずれにしても、命令、通知やQ&Aは実際、運営管理機関が守らなければいけないものでありますので、それに基づき、問題があれば指導するということになります。

 あと、7ページのマル5で、済みません。表現が、主語がわかりにくかったので、おっしゃるとおりで、加入者が運営管理機関を選択しようとする話が1行目で、2行目、3行目は運営管理機関が情報提供する前にきちんと専門的に選定していなければいけなくて、確かに「促進」という表現は、もともと法令上の責務なので、違和感というのはそのとおりかと思いますので、恐縮でした。それは当然のことをちゃんとやってもらうということを書いた趣旨でございます。

 最後にございました選定理由を提示することにつきましては、今回の方針をお認めいただければ、今後、公表の具体的な内容は実務的に詰めていきますので、非常に貴重な意見として承って考えていきたいと思います。

 

○神野部会長

 よろしいですか。

 臼杵委員、どうぞ。

 

○臼杵委員

 ありがとうございます。

 今回の兼務規制の緩和というものは一つ前進ではないかと思います。前進という意味は、特に個人型等の場合には商品に関する情報提供を求める声が非常にある、あるいはニーズがあるということだと思いますので、緩和された中で、それがどれだけ満たされるかというのを考えていきたいと思います。

 ただ、やはり最終的には一体、どういう商品が自分に合っているかを知りたいという、個別商品の推奨ということなのかもしれませんけれども、そういうニーズは多分強いと思うのです。だから、それは法律に書いてある以上、運営管理機関にそれはやってはいけないというのは仕方がないとは思うのですが、逆に今後、むしろそういう個別商品に関するアドバイスとか情報提供をどういう形で提供していくかということも、iDeCoの拡充をしていく上では必要なのではないかなと思います。

 そのあたりは、要するに利益相反でない、客観的・中立的な商品の推奨をどういう手だてで考えてみていくか。普通に証券会社等でも利益相反のおそれがある中で、ある意味で商品の推奨をしていると思いますので、そのあたりも少し参考にするのかどうか、わかりませんけれども、検討していただければと思います。

 以上です。

 

○神野部会長

 ありがとうございました。

 何かコメントはございますか。

 

○青山課長

 委員がおっしゃりましたとおり、推奨助言は今、禁止されておりまして、確定拠出年金法のスキーム上、個別の商品のアドバイスということはないといいますか、法スキームに取り込んではいないのですが、そういうニーズがあるという御指摘につきましては、ニーズも今後よく見ていきながら、将来的な検討課題かと思っております。

 

○神野部会長

 ほかはいかがでございましょうか。

 森戸部会長代理、どうぞ。

 

○森戸部会長代理

 私も今回の方向性はよろしいだろうと思いまして、窓口とか現場での不都合はなるべく引き続き解消していって、ただ、他方でより大事なのは、運営管理機関が加入者のために忠実にということはちゃんとなされているかというのは、この点だけではなくて、全体的なチェックが必要なのだろうと思いますので、この点はいいけれども、しかし運営管理機関として、ちゃんと忠実義務を果たさなければいけないのだ。それで、そのためにはどういうことが必要なのかということはむしろ、ちゃんと今回の法改正等でも入ったことはありますけれども、きちんとやっていかなければいけないだろうと思います。

 あと1点だけ、小さいことですが、課長が先ほどから命令とおっしゃっているのは、省令のことですか。政令ではないですね。

 

○青山課長

 はい。確定拠出年金運営管理機関に関する命令で、何で命令かというと。

 

○森戸部会長代理

 では、それは政令なのですか。

 

○青山課長

 省令に当たります。厚労省と金融庁の共管なので命令と呼んでいるだけで、いわゆる厚生労働省令と同じレベルのものです。

 

○森戸部会長代理

 でも、それは命令と呼んでいるのですか。

 

○青山課長

 はい。命令と呼んでいます。

 

○森戸部会長代理

 わかりました。了解です。

 細かいことで済みません。

 

○神野部会長

 よろしいですか。

 

○森戸部会長代理

 はい。

 

○神野部会長

 ほかになければ、どうもありがとうございました。

 それでは、確定拠出年金における兼務規制については、部会でもって御了承いただいたということにさせていただいてよろしいでしょうか。

 

(首肯する委員あり)

 

○神野部会長

 今後とも引き続き、加入者みずからが運営する方法について、適切な選択ができるような環境整備に御努力いただければと存じます。

 それでは、一応、議事として掲げた3つのものは終了させていただきましたので、続いてですが「厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会における議論の経過について」を事務局から御説明いただければと思います。

 

○ 青山課長

 資料4をごらんください。手短にいたします。

 厚生年金基金は代行割れ基金がある中で、代行割れ基金が解散する際には減額、納付猶予という形での、猶予された形での代行返上を認めており、そういうものを特例解散といいますが、特例解散については個々の是非を審議する委員会をこの部会のもとに専門委員会として森戸部会長代理を委員長にお願いしてやっております。この審議状況をこの部会に報告することとなっておりますので、この資料4がございます。

 時間の関係で結論だけでございますが、昨年度1年間で新しい特例解散の案件と、特例解散した後の納付猶予をさらに延長するような申請の案件との2種類の審議が行われました。新規の特例解散は4件あり、そのうち3件が認められ、1件は継続になっております。変更の申請は12事業所13件ありましたけれども、いずれも、やむを得ない理由に当たらないということで認められないという審査をしております。

 以上です。

 済みません。もう一点、ついでで恐縮なのですが、今回の資料の中で参考資料2という、名簿の次にある資料は、きょうは時間の関係で御説明する時間がありませんが、企業年金・個人年金に関する各種データ、現状であります。後半のほうには資産運用状況などもつけていますし、最後のほうには、前回の部会でも御紹介しましたiDeCoの普及推進を進めている状況も御紹介していますので、皆様、お時間があるときにご参照いただければ幸いです。

 以上です。

 

○ 神野部会長

 森戸部会長代理、何かございますか。いいですか。

 

○森戸部会長代理

 大丈夫です。

 

○神野部会長

 それでは、御報告いただきましたことについて御承知おきいただければと存じます。

 予定の時間にちょうどなりましたので、本日の審議を終了したいと存じます。

 次回の開催等々について、事務局から連絡事項があればよろしくお願いします。

 

○ 青山課長

 次回の企業年金部会の開催日時は、また事務局から御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

 

○ 神野部会長

 それでは、最後まで熱心に生産的な御議論を賜りましたこと、深く感謝申し上げる次第でございます。

 どうもありがとうございました。本日はこれにて終了させていただきます。

 

(了)

 

団体