2016年6月14日 第18回社会保障審議会企業年金部会議事録

年金局企業年金国民年金基金課

 

○日時     平成28年6月14日(火)16:00~18:00

 

○場所     中央合同庁舎第5号館共用第6会議室(3階)

 

○出席者

神野部会長、森戸部会長代理、伊藤委員、井戸委員、小林委員、白波瀬委員、高崎委員、山本委員、和田委員、村瀬オブザーバー

○議題

(1)確定給付企業年金のガバナンスについて

(2)確定給付企業年金の改善の現状について

(3)確定拠出年金法等の一部を改正する法律等について

(4)厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会における議論の経過について

○議事

○神野部会長

 それでは、定刻でございますので、ただいまから第18回「社会保障審議会企業年金部会」を開催いたします。

 ぐずついた天候が続きますけれども、委員の皆様方にはお忙しいところを万障繰り合わせて御参集いただきましたこと、深く御礼を申し上げる次第でございます。

 本日は臼杵委員、半沢委員から御欠席との連絡を頂戴しております。また、伊藤委員は30分ほどおくれて御出席いただけるということでございます。

 御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを、まず御報告申し上げます。

 それでは、議事に入りたいと思います。カメラの方はいらっしゃらないですか。報道関係の方は御退室に御協力をいただければと存じます。

 

(報道関係者退室)

 

○神野部会長

 まずは事務局から、資料の確認をお願いいたします。

 

○内山課長

 事務局でございます。

 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日の資料は少し数が多くなってございます。

 資料1 確定給付企業年金のガバナンスについて

 資料2 確定給付企業年金の改善の現状について

 資料3 確定拠出年金法等の一部を改正する法律について

 資料4 個人型DCの加入拡大に係る普及活動について

 資料5 「確定拠出年金の運用に関する専門委員会(仮称)」の設置について(案)

 資料6 確定拠出年金法等の一部を改正する法律の一部施行に伴う措置について

 資料7 熊本県における確定拠出年金の掛金納付特例の適用期間の延長について

 資料8 確定拠出年金に係る勤続年数及び通算加入者等期間の拡大について

 資料9 代行割れ厚生年金基金の責任準備金相当額の分割納付に係る加算金利率について

 資料10 厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会の開催状況(平成27年10月1日~平成28年3月31日)に関する報告書

 参考資料 社会保障審議会企業年金部会委員名簿

 以上でございます。

 資料の不備等がありましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 お手元の資料を御確認いただければと存じます。

 本日の議事でございますけれども、お手元に議事次第が行っているかと思います。4つほど主要な議題を設定させていただいております。

 (1) 確定給付企業年金のガバナンスについて

 (2)確定給付企業年金の改善の現状について

 (3)確定拠出年金法等の一部を改正する法律等について

 (4)厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会における議論の経過について

 以上、4つの議題を準備させていただいております。

 本日は御多用中のところを鈴木局長にも御臨席いただいておりますので、鈴木局長からお言葉をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○鈴木局長

 年金局長でございます。

 本日は委員の皆様、御多忙の中、御出席いただきましてまことにありがとうございます。

 御心配をいただいておりました確定拠出年金法等の改正でございますけれども、おかげさまをもちまして、5月24日に成立をいたしまして、今月の3日に官報で公布をされたところでございます。

 今般の法整備によりまして、国民全ての方々が公的年金、そしてそれを補完する私的年金をあわせて活用するということで、老後の所得保障を確たるものとしていく、こういった基盤が整えられたのではないかと考えております。

 もとより法制度は整備しただけでは意味がございませんで、広く国民の皆さんに御活用いただいてお役立てをいただく。これが不可欠であると思っております。したがいまして、私どもといたしましては、今般の法整備を受けまして、個人型DCの加入促進を強力に進めてまいりたいと考えております。具体的には本日の議題の中でも御説明を申し上げたいと思っておりますけれども、まず、官民全ての関係者がこの普及拡大に向けて参画をいたしますDCの普及・推進協議会といったようなものを速やかに立ち上げまして、広報・普及に全力を挙げたいと考えております。

 その中では特に、個人型DCといいますとなかなか言葉がかたいですので、例えば愛称やロゴマーク、キャッチフレーズといったものの作成などにも取り組みまして、国民の皆さんに知っていただく、認知度の向上・拡大を図ってまいりたいと考えております。

 それから、こういった加入促進を効果的・効率的に進めていくということになりますと、いろいろな工夫が必要になってまいるかと思います。例えば事業主の方々を通じて加入を取りまとめるといったような工夫、あるいは加入手続についてできるだけ簡素なものにしていく。こういった工夫につきまして、具体的な姿やスケジュールを皆さんの目にわかりやすくお示ししていきたいと考えております。

 また、確定拠出だけでなく確定給付の企業年金につきましても、リスク分担型のDBや、あるいはガバナンス体制の強化といったことに取り組みまして、国民の皆さんに安心していただけるような仕組みを引き続き整備してまいりたいと思っております。

 いずれにいたしましても、こういった諸課題につきまして、この部会の先生方には忌憚のない御意見、御指導を賜りたいと思っております。本日もどうぞよろしくお願いを申し上げます。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 それでは、第1番目の議題です。 確定給付企業年金のガバナンスについての審議に移りたいと存じます。

 初めに、事務局から資料について御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○内山課長

 それでは、資料1「 確定給付企業年金のガバナンスについて」をお出しください。なお、鈴木年金局長は公務のため中途退席させていただくことを御容赦いただければと思います。

 資料1は、4月の前回の部会にお出しした資料に少し加筆修正をさせていただきまして、前回に引き続き御議論をいただければと考えているものでございます。追加、修正をしたところを中心に御説明をいたします。

 1ページおめくりいただきますと、構成自体は前回お示ししたものと同じく、1として総合型DB基金への対応、2として資産運用についてということになってございます。総合型DB基金への対応につきましては3つほど論点がございまして、(1)代議員の選任のあり方に関する論点、そして(2)基金の名称に関する論点、(3)会計監査に関する論点となってございます。

 まず、代議員の選任のあり方につきまして、少し御説明を差し上げたいと思います。代議員の選任につきましては、まず、10ページをお開きいただきたいと思います。代議員の選任のあり方につきましては、前回も10ページ、11ページに掲載させていただいているように、委員の方からさまざまな御意見、御指摘をいただいたところでございます。

 論点の部分、12ページのところは前回と変えてございませんが、かつての総合型厚生年金基金では、強力な指導統制力を有する組織母体があったということでございますけれども、DBにはこうした組織母体の存在しない総合型DBも見られるところでございます。そういう意味で、単独設立あるいは連合設立と比較して企業間の結びつきが脆弱で、加入者の意思が基金運営に反映しにくい形態である総合型DB基金については、ガバナンスの強化が急務となっているわけでございます。

 そうしたことから、代議員の定数が基金の規模に見合った一定数以上であり、代議員の所属企業に偏りが生じないような代議員の選任基準を定めることとしてはどうかということでございます。

 少し前後して恐縮ですが、16ページをごらんください。総合型DB基金の代議員数でございますけれども、大半のケースでは40名以下となってございまして、多くのところは20名以下ということでございます。また、現状では代議員数と基金の規模との相関は弱いということになってございます。

 こういうことを踏まえまして、13ページが今回新しくつくった資料でございますけれども、今申し上げたような、代議員の定数が基金の規模に見合ったような数となるべきである、あるいは所属企業に偏りが生じないようにすべきではないかという点で、具体的な案をここに示してございます。

 具体的にはどういうことかと申しますと、14ページの資料自体は前回もお出ししたものですけれども、14ページにありますような商工会、あるいは生命保険会社のような、そうした例を、総代会の例を参考としながら、選定代議員、それから互選代議員が同数であるというものを企業年金の特色も考慮しまして、以下のような基準としてはどうかと考えてございます。

 まず、1つ目でございます。原則として事業主の全てを選定代議員とすることとしてはどうかということでございます。ただ、事業主の数が多い場合、例えば100人を超えるような場合には、各基金で選定基準を設けた上で、今、商工会の総代会のようなものと類似でございますけれども、一定の選定代議員を代議員とすることとしてはどうかと考えています。

 なお、その場合であっても全事業主の数の例えば1割以上の方が選定代議員となること、あるいは再任制限を設けるなどして、選定代議員が特定の事業主に偏らないような基準を定めることとしてはどうかということでございます。また、互選代議員についてはこれまでと同様、その定数を選定代議員と同数とする必要がございます。その選挙方法につきましては、これまでどおり各基金で定めることとしてはどうかということでございます。

 3つ目でございます。実施事業所が増加する場合については規約変更の際に代議員の定数を、今申し上げた基準に適合するように見直すこととしてはどうかということでございます。

 2つ目の丸ですけれども、こうした新たな基準を設ける際に、総合型DBを共同で設立する企業の大半が所属する組織体があって、その組織体が基金の運営方針について統一的な見解を将来にわたって保持するなど、企業間の結びつきが一定程度あると考えられるような場合には、今申し上げたような新たな代議員の選任に関する規制、すなわち総数の規制と再任の規制については適用しないこととしてはどうかと考えてございます。

 これが1つ目の、代議員の選任のあり方に関する論点でございます。

 次に2点目の論点でございますが、17ページからのDB基金の名称に関する論点でございます。ここのところは前回お出しした資料と特に変えたものはございませんで、19ページを見ていただきますと、DB基金の名称は社会通念上妥当なものとするという観点から、既存のDBと誤認されるおそれのある名称でないこと等を新たに基準としてはどうかということでございます。

 3点目は20ページからの、会計の正確性、外部監査に関する論点でございます。

21ページを見ていただきますと、前回、この会計監査の関係で頂戴した意見をまとめさせていただいております。そういう意味では、監査自体のやり方を柔軟化するなど、もう少し工夫が必要ではないかといった意見をいただいているところでございます。

22ページを見ていただきますと、公認会計士による年金基金の監査の現状でございますが、現在、公認会計士協会等が年金監査について研究、実務指針の開発を行っているところでございまして、年金基金の監査環境は整いつつあるのではないかと考えてございます。

23ページ、24ページは、企業の側で行われています退職給付会計について説明した紙でございます。これは確定給付型の企業年金など、退職給付制度を実施する企業につきましては、その期までの勤務に基づいて発生した債務、いわゆる退職給付債務と保有される年金資産の差額を貸借対照表に「退職給付引当金」として負債計上をしているということでございます。

25ページを見ていただきますと、企業年金の決算書類と、今申し上げたような退職給付会計の比較表を作成してございます。そういう意味では、退職給付会計のほうでは、年金資産から掛金収入額、給付支払額といった部分は会計監査の対象になってございます。企業年金の決算書類につきましては、監事の方が監査で見ておられるということですけれども、外部の専門家が見るという意味では、責任準備金の部分を年金数理人が確認をされるということでございます。

 そういう意味では、例えば単独設立のDBで、会社のほうに会計監査が入った場合には、右側のような退職給付会計について会計監査が行われているといった状況にございます。

26ページでございますけれども、前回、会計監査を行うに当たってさまざまな工夫をすべきではないかという御意見もいただいたところから、会計士協会にも御相談を申し上げて、どのような方法があるかというのを試みに考えてみたのが26ページでございます。

 考え方A、B、Cとございますけれども、考え方Cから御説明をいたしますと、これは純資産、掛金収入から責任準備金まで決算書類の全体を監査の対象とするという考え方でございます。考え方Bは、責任準備金につきましては年金数理人という専門職の方が確認をされているということですので、年金数理人が確認をされている責任準備金を除いて監査対象とするという考え方でございます。考え方Aは、不適切な会計処理の余地が比較的大きいと考えられる純資産に限って監査対象としてはどうかという考え方でございます。この考え方は、*印で書いてありますけれども、純資産について、例えば会計の専門家による確認が行われるとすれば、責任準備金については年金数理人の確認が行われていますので、いわばストックの入りと出であります純資産と責任準備金については外部の方の確認が行われ、そこから得られます当該年度の剰余金、不足金についても信頼性が一定程度確保できるのではないかということでございます。なお、掛金収入など、こうしたフローの部分については、監査意見の対象とはならないわけでございますけれども、純資産を監査する際に見るという意味では、監査手続は実施されることになるかと思ってございます。

 こうした3つの考え方を踏まえまして、新たに会計監査に関する論点をまとめ直したのが27ページでございます。上から3つ目の丸までは前回お出しした資料と変わってございませんが、3つ目の丸で、総合型DB基金の場合には外部の専門家による会計監査を実施することによる効果は一定程度あるのではないかと考えられるということでございます。なお、その際に、これは前回お話ししたことですけれども、例えば資産規模が一定以上の基金に限ることも考えられるのではないかということでございます。また、新たにつけ加えたことでございますが、ただいま御説明申し上げた考え方A~Cのような考え方に基づきまして、監査の対象範囲につきまして必要な分野、例えば資産額、あるいは業務経理といった部分に絞って監査をするということも考えられるのではないかということでございます。

 なお、いずれの場合にしましても、基金の事業状況、例えば保有資産の内容、定期預金や生保の一般勘定だけを持っている場合や、株式などを多く保有している場合、そういう違いがあるかと思いますし、また、その効果やコストもさらに踏まえて、こうした会計の専門家による監査について考えていく必要があるのではないかというような整理をさせていただいてございます。

 引き続きまして、大きな2つ目、資産運用についてでございます。

 ここのところは多くは変わってございませんが、まず、47ページをごらんいただきたいと思います。47ページには、この6月2日に閣議決定されました成長戦略「日本再興戦略2016」の抜粋を掲載してございます。「日本再興戦略」では600兆円経済の実現に向けまして、経済の好循環を実現するために、民間の未来への投資を促すことが重要であるとされてございます。そのために、コーポレートガバナンス改革を通じた企業価値の向上が重要ではないかとされておりまして、その、企業価値の向上という意味ではコーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードというものが車の両輪のような形で位置づけられてございます。

 既に企業年金連合会等はその受け入れを表明しているところでございますけれども、機関投資家によるスチュワードシップ・コードの受け入れの促進ということが重要でございますし、機関投資家の一翼を担います企業年金においても、このスチュワードシップ・コードの受け入れの促進など、コーポレートガバナンスの実効性の向上に向けた取り組みを通じた、加入者等の老後所得の充実を図ることが必要ではないかということで「日本再興戦略」に位置づけられているわけでございます。

 実際に企業年金でスチュワードシップ活動をどのようにしているかということですけれども、1枚おめくりいただきまして49ページをお開きいただければと思います。村瀬オブザーバーには本日も御出席いただいておりますけれども、これは企業年金連合会で調べていただいたものでございます。なお、平成28年2月調べと書いてございますが、これは当方の手違いでございまして、正しくは平成27年の6月から7月に調べられたものと伺ってございます。この中では、基金型DB560基金のスチュワードシップ活動について現状を聞いていただいてございまして、「関心がある」とされたDB基金は3割弱ということでございます。そういう意味では、全体の数としてはそれほど多くないということでございますけれども、具体的な取り組みについても、例えば「運用機関から議決権行使状況の報告を受ける」とか、5にあります「運用機関からエンゲージメント活動の報告を受ける」といったようなことを実際に行った、あるいは今後行う予定というものも含めると、一定数のDB基金がスチュワードシップ活動についての取り組みをされているということがわかるのではないかと思ってございます。

 こうしたことを踏まえまして、43ページに戻っていただきたいと思うのですけれども、スチュワードシップ・コード、それからESG投資、これは前回御説明したものと同じですけれども、それぞれどういうものかというのが書いてございます。矢印の部分が新たにつけ加えた部分ですが、加入者等の老後所得の充実を図るためにも「日本再興戦略2016」では企業年金等におけるスチュワードシップ・コードの受け入れの促進が求められてございます。そういう意味で、スチュワードシップ責任やESG投資につきまして、運用受託機関の選任・契約締結を行う際に定性評価項目の一つとして例示するということはどうかと考えてございます。

 また、こうしたスチュワードシップ・コードの取り組みを評価して、運用受託機関を選任した場合には、企業年金として以下に挙げるような対応をしてはどうかということでございます。例えば定期的に運用受託機関から議決権行使、スチュワードシップ行動の実績等の説明を求めるといったことや、そうした説明内容を評価項目の一つとするといったこと。あるいは運用受託機関の議決権行使、スチュワードシップ行動の状況を代議員会等へ報告するといったことを進めていってはどうかということでございます。

 次に、44ページでございますけれども、スチュワードシップ・コード自体の受け入れを表明するかどうかという点でございまして、現状ではスチュワードシップ・コードの受け入れを表明しているDB関係団体は8団体と伺ってございます。企業年金連合会や金融機関の企業年金基金を中心に、受け入れを表明されているというように伺っています。企業年金では、自家運用ではなく委託運用が中心となっているという現状でございます。こうした企業年金がスチュワードシップ行動をとるに当たっては、受け入れ表明に伴う具体的な対応、どういう対応をとったらいいかというのが明確でない部分がありまして、それを明確化する必要があるのではないかという指摘がございます。企業年金におきまして、このスチュワードシップ・コードの受け入れ表明を促進していくために、例えば厚生労働省と企業年金連合会が連携して、受け入れ表明をした場合の具体的な対応例について検討を行うこととしてはどうかと考えてございます。

 

(鈴木局長退室)

 

○内山課長

 最後に、今回、大きな固まりとして追加した項目がございます。それが55ページ以下、加入者等への説明・開示その他というところでございます。前回の企業年金部会でも、加入者への説明・開示につきまして、56ページ、57ページにございますように御意見を賜ったところでございます。

 こうしたことも踏まえまして、59ページ、最後のページをお開きいただければと思います。DB制度の目的は高齢期における年金等の支給にあるということでございますけれども、そういう意味からは、その財源をしっかりと確保するということが重要です。そういう意味では、積立基準の達成状況の毎年度の確認、それからその結果を踏まえた、必要な掛金の事業主拠出ということが仕組みとして仕組まれているところでございますけれども、今後、リスク対応掛金の仕組みが導入されますと、この積立水準を労使合意に基づいて定めることとなったりするわけでございます。

 こうした環境のもとでは、DB制度における財政や資産運用についての理解が事業主・加入者とも不可欠でございますし、意思決定への参画ということもこれまで以上に求められるということが考えられます。その前提として、まずは当事者の方が制度への関心を高めていただくことが大切ではないかと思ってございます。

DB制度への関心を高めていただく上では、自分が御加入される制度の現状を知ることがきっかけの一つになると思ってございます。現行制度でもDB制度の業務概況を加入者等に対して周知することとされているわけでございますけれども、その周知される項目、あるいは周知の方法については今後改善の余地がないかどうか、この企業年金部会等において検討していただくことにしてはどうかということでございます。

 駆け足になりましたけれども、資料1につきまして、前回の資料から追加・修正をしたところを中心に御説明をいたしました。

 ありがとうございました。

 

(伊藤委員入室)

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 ガバナンスについては前回に引き続いて御議論いただくことになりますが、事務局のほうからは、代議員の選任、DB基金の名称、外部監査、資産運用、それから加入者等への説明・開示等々の論点について整理していただいたものを御説明いただきました。

 それでは委員の皆様方から御議論を頂戴できればと思いますので、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

 高崎委員、どうぞ。

 

○高崎委員

 説明いただき、ありがとうございました。

 一つ質問と、一つ意見があります。

 質問のほうは総合型DBにおける代議員の部分ですが、今、説明いただいた中で、13ページと14ページ、選任のあり方に関する論点として挙げていただいていますが、例えば14ページで相互組織や協同組織に見られる総代会制度の例を引いていらっしゃいまして、それも踏まえながら13ページの最初の矢印で、事業主が100人を超える場合には事業主の一部を選定代議員としてもう少し絞った人数でやるということもあるのではないかとあります。ここで参考例として挙げられています総代会の仕組みについて教えていただきたいのですけれども、意思決定は総会で行われるが、総代会の設置が認められている場合というのは、総代会のメンバーでない会員に対しては、例えば総代会に諮る内容等の情報の事前提供であったり意見を聴取するような機会があるのかないのか、また、どのようなものになっているのかというのを参考までに教えていただければと思いました。それが質問です。

 それから意見のほうですが、こちらは会計監査に関する部分です。27ページの4つ目の丸で、一律に監査を義務づけるというのもちょっとどうかということで、必ずしもそうではないのではないかというところが論点として挙げられていると思いまして、これはもちろん、会計監査というのはコストがかかる話ですので、一律に義務づけた結果、個人に回るはずの資金、資産が減ってしまうというのも、きちんとした運用をするという意味では重要ではあるものの、一方でそこはバランスだと思いますので、これは大変重要な論点だと思っております。ただ、その中で最後のなお書きのところに、基金ごとの事業の状況、例えば保有資産の内容の違いに留意して、とあるのですが、この保有資産の内容の状況が、例えば先ほど例に挙がっていたような定期預金が主であったり、運用資産のリスクの状況を念頭に置かれていると思うのですけれども、もしそういったことが監査を受ける、受けないということの基準に設定されてしまった場合に、監査を受けないようにするために運用の方針が実質的に誘導されてしまうようなことがあってはいけないのではないかと思いますので、その点は留意して検討していっていただければと考えております。

 以上です。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 まず、第1点目。総代会にかかわる質問について、いかがでしょうか。

 

○内山課長

 総代会を選んだ場合には、総会のかわりになるわけですけれども、総代会に選ばれていない、いわば会員の方々に対する情報の事前提供、あるいは意見の提出等については、事務局でもまだ確認できておりませんので、次回、あるいは個別に委員の方々に後で御説明をさせていただければと思ってございます。

 また2点目。いただきました意見でございますけれども、確かに監査を受けないように、例えば運用資産を変えるということは、いわば本末転倒になりますので、そういうことが起こらないように検討を進めさせていただければと考えてございます。

 

○高崎委員

 ありがとうございます。

 

○神野部会長

 ほか、いかがでしょうか。

 山本委員、どうぞ。

 

○山本委員

 広い意味で、総合型DBが、企業年金を実施する選択肢の一つとしてこれから進めていかなければいけないことは十分理解できます。先だって申し上げたことは、中小企業から加入の要望がありながら、基金につてが無いため、なかなか総合型DBに加入できないケースや、総合型DBの一員でありながら、基金の運営にタッチしていけない企業があることにも留意をしていただきたいという事です。先ほど、会計監査に関する論点で、資産額によって対象を絞るといった議論がありましたが、少数参加者が基金に参加しやすいような組織としていただきたいのが一点でございます。

 それからもう一点、代議員会あるいは総会が開催される頻度がどれくらいかということが非常に重要ではないかと思います。例えば、金融市場のボラティリティーが高く、金融商品の相場が乱高下する状況においては、1年ごとの総会のチェックでよろしいでしょうと言っているうちに資産が3分の1になるというようなことも、ないとは言えないわけです。

加入企業は、運用に関するリスクを承知の上で加入するはずですが、例えば1年間のうちに大きな変動が起きた場合に、ポートフォリオ全体を見直してリスクヘッジできるような仕組みが必要なのではないかと思います。この考え方がいいのかどうかはわかりませんが、例えば資産総額が9割を切ったときには警告が出て、期中におけるリスクを回避可能とする仕組みが必要ではないかと思います。

 それぞれの委託先との合意によって内容は違うと思いますが、そういうリスクヘッジ条項を入れておいて、それによって、例えば資産が2割減ったときには必ず代議員総会を開催し、ポートフォリオを基本的に見直す、あるいはリスクを覚悟でそのまま運用を続けるということの判断が期中でもできるような仕組みを盛り込んでおかないといけないのではないかと思います。1年に1度程度でいい、あるいは安心だからといって預けていることが、なかなかそうならないケースもありますので、その辺のリスクヘッジのあり方をどのように代議員総会の仕組みの中に盛り込むかということは、御検討いただいてもいいのかなと感じております。

 以上です。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 最初の、少数参加者の問題と、それから今の代議員会あるいは総会の開催の頻度の問題ですね。

 

○内山課長

 1点目は、恐らく27ページの資料で説明させていただいた、総合型DBの会計監査をどういうところにするかといった中で、例えば資産規模が一定以上の基金に限るという考え方。それから、きょうお示ししましたように、要は、監査の対象範囲を絞るというような考え方。こういう、いろいろな考え方があって、その中から今後検討させていただく必要があると思っています。そういう意味では、この監査につきましても、今、委員から御指摘がありましたように、例えば小さい基金、資産規模や人数規模の小さい基金の大きな負担にならないようにということも考慮していかなければならない事項だと思ってございます。

 もう一つの御質問でございますけれども、まず、代議員の開催頻度について御質問がございました。代議員の開催頻度につきましては、法令上は年に1回以上と定まってございます。私どもがよく聞いていますのは、大体、半期に1度ぐらい開かれている基金が多いと伺ってございますけれども、今、御指摘がありましたように、例えばリスクですね、資産の内容について何か変動があったときに代議員会を開くべきではないかという御指摘だと思いますので、そういうことも踏まえて、今の法令上の年に1回以上という規制でよいかどうか、少し検討させていただければと考えてございます。

 

○神野部会長

 白波瀬委員、どうぞ。

 

○白波瀬委員

 基本的なところで一つ確認をさせてください。13ページのところで、意味は十分理解しているつもりですけれども、負担の問題がやはりあるので、どちらかというと最もリスクを負うであろう小規模の不安定なところに結果として負担が行くのは非常に不公平かなというところがあります。かといって、制度として余り複雑にしないほうがいい。そういう意味で、隔年、隔年の変動で、例えば開催頻度を変えるような話になると、とても複雑になるような気がしますので、そこはコストパフォーマンスを考えなくてはいけないと思うのですけれども、2つ目の丸のところで、これは単純に確認というか質問です。丸のところのこの配慮が、代議員の選任に関する規制を基本的に適用しなくてよいであろうというところですけれども、これは制度としてもというか、ある意味で負担も含めて考慮というのはすごくわかるのですけれども、その反面、新参者についてかなりハードルが高くなるようなイメージも一方であるような気もします。そのあたりはどうなのでしょうか。

 

○神野部会長

 よろしいですか。

 

○内山課長

 厚年基金の場合には設立母体というのもあったわけでございます。そういう意味で13ページのところについてはDB基金に関する記載でございますけれども、要は多くの企業が所属する組織体、いわば設立母体のようなものがあった場合には企業の結びつきがある程度あるということで、今申し上げた代議員の数の規制や再任の制限という規制をかけないこととしてはどうかということでございます。

 なお、仮にそうしたような企業の大半が所属するような組織体をもとに新たにこの総合型DB基金を設けた場合でも、この下の条件は適用されるものと思っていまして、そういう意味で、新たにつくった場合でも、こうした組織体があるというような要件を満たせば、代議員の数や再任制限については規制をかけないということを考えてございます。

 

○神野部会長

 よろしいですか。

 

○白波瀬委員

 はい。

 

○神野部会長

 もうお一方、手が挙がっていました。どうぞ。

 

○森戸部会長代理

 2点ほどありますが、1つはスチュワードシップ・コードです。44ページによれば、厚労省と連合会が連携して具体的な対応例について検討を行うということで、それはいいことだと思いますが、臼杵委員のペーパーにあったこと、48ページですけれども、結局、受託者責任という観点から、経済的な利益とスチュワードシップ・コードに沿った行動というものが必ずしも一致しない場合もある、そごがあり得るとの御指摘があります。その点を、つまり受託者責任との関係で、この2つをどの範囲で両立させるのかという、その関係をぜひ。連合会で受け入れているということは、そういう議論をされたということかもしれませんが、それも踏まえてこの点、臼杵委員の御指摘のところをクリアにしていただきたいという要望というか、そのように思うというのが1点です。

 もう1点は、これは繰り返しですけれども、例の加入者等への説明・開示。一番最後ですか、59ページにも出ている話ですが、これは既に私の発言も57ページに抜粋していただいていますが、繰り返しになりますけれども、やはり労働者、従業員からすると、広い意味で労働条件のラインアップの1つだと思いますので、労働法制との連携と言いましたけれども、就業規則等に例えば労基法上の規制と絡めて何か考えられないか、あるいは現状、どのような形で就業規則等に書かれているものなのか、それとも全然もう、就業規則など、労働条件とは別なものとして整理されているのか。そのあたりの実態も踏まえて、労働者の側から、自分はどういう制度にカバーされていて、どういう労働条件の中で、企業年金というのはこういう位置づけなのだということがわかるようになっているのか。わかるようにするには、どうしたらいいのかという視点で今後検討していただければと思います。

 以上です。

 

○神野部会長

 2点、よろしいですか。スチュワードシップ・コードと、それから受託者責任をどうやって両立させるかという問題ですね。

 

○内山課長

 今御指摘いただいたようなことを踏まえまして、今後も進めさせていただきたいと思っています。

 

○神野部会長

 では白波瀬委員、どうぞ。

 

○白波瀬委員

 スチュワードシップのところなので、ちょっとあれですけれども、関連して。これは労働者にとっても利益になるというところで、多分ここに位置づけられていると思うのですけれども、最初に説明を聞いたときに、そこまで、ここの枠組みで言及する必要があるのかと、私は単純に思ってしまいました。しかし、そうではないよということを積極的に明示していただいたほうがいいのではないか。厳密なところでの表裏一体というのはなかなか難しいとは思うのですけれども、究極的には労働者にとっての保護になるというところの説明が少しあると受け入れやすいかなと思いました。

 

○神野部会長

 では伊藤委員、小林委員の順にお願いします。

 

○伊藤委員

13ページの、代議員の選任のあり方のところで御質問をさせていただきます。遅参したため説明をお聞きすることができなかったので、あるいは御説明済みでしたら大変申しわけありませんが、1つ目の矢印のところ。事業主が100人を超える場合は全事業主の1割ということの関係で、例えば100人の事業主の基金であれば100人で、101人だと1割で10人というように逆転現象が起きるのかなと思ったのですが、その辺の考え方、理解が間違っているのかどうかと思いまして、この点について教えていただきたいと思います。

 それから、この13ページ全体の読み方ですけれども、1つ目の矢印で「原則として事業主の全てを選定代議員とする」と言いながら、一番下の丸の4行目、企業間の結びつきが一定程度あると考えられるようなところについては代議員の選任に関する規制は適用しないとなると、どういうところが原則とする全ての事業主を選定代議員とするような基金に当てはまるのか、イメージができなかったのです。企業間の結びつきが一定程度あるというのは、想像では、同業種で構成されている基金であって、それ以外は、加入者を多く抱えるために業種を越えてどんどん拡張しているような基金が対象となるということであれば、本当に一握りのところしか「原則」に当てはまらないのではないかという気もしています。同業種で構成されているところ、地域で構成されているところなど、それぞれどれに当てはまるのかということがイメージできる説明がいただけたらありがたいと思います。

 それから27ページ、会計監査のところは、余りに厳しい考え方をして普及しないということも問題があると思いますので、コストに見合った観点からの検討をしていく必要があると思っております。したがって、どのようなレベルの監査をやると、どれくらいの費用がかかるのかというようなこともお示しいただきたい。また、あわせて監事監査による内部監査の実効性を高めるという面も必要だと思っております。

 それから43ページ、スチュワードシップ責任、ESG投資のところですが、実は連合はかねてより、企業年金、また労働組合独自で持っているお金を含めて、ワーカーズキャピタル責任投資という考え方を持って、みずからのお金でみずからの首を絞めないように、投資先について十分留意し、また、議決権行使なども含めて投資先との意見交換も積極的に行うべきというような考え方を持っているところです。ところが、正直に言って、なかなか普及はしていない状況にあります。

 我々の考え方としては、やはり労働者が拠出したお金が労働者の首を絞めることにならないよう、環境、社会、ガバナンスに配慮した経営を行っているかどうかということを、みずからの意思で考えていくということが出発点だと思っています。今回の提起は何か説明をしてもらうとか、割と形式的な話にとどまっている。自分たちの基金はどういう運営をしていくのか、どういう投資をしていくのかということを、きちんと考えてもらいたいと思います。それによって、企業行動に変容をもたらすという、そういう大きな役割があると思っておりますので、ぜひ、そういう視点が必要だと思っています。

 最後になりますが、加入者への説明・開示、59ページです。ここについては、ぜひ強調したいところであります。前回、57ページにありますが半沢委員からもこの点について説明、情報の開示をきちんとやるべきという話がありました。半沢委員のほうからも聞いておりますが、電機連合で調査を行ったときに、労働組合から会社に対して情報開示を求めた場合に、会社側がよく理解していなかったり、開示や説明を拒むような場合も散見されたということで、大変苦慮したということです。

 私たち労働組合としても努力は当然していくつもりですが、会社においてもやはり先ほどもありました ボラティリティーの話、変化が大きくなっているということもありますし、資料にもあるようにリスク対応掛金の仕組みなども含めて考えれば、加入者の正確な理解ということが重要だと思っていますので、この点については十分な内容の説明・開示を継続的に行う仕組みが必要だと考えております。

 以上です。

 

○神野部会長

 2番目の御質問は、やや具体的に、こういう場合に幾らという。会計検査の問題ですが、少しコストのイメージが湧くようにという、これは数値でということですか。

 

○伊藤委員

 今ここでお答えいただくことができるならそれに越したことはありませんが、今後もし検討の中で試算なりが出てくるといいなということです。

 

○神野部会長

 はい。全般にわたって御質問、御意見をいただきましたが、よろしいですか。まず、選任の問題、それから検査について。

 

○内山課長

 御質問、ありがとうございました。

 まず、選任の問題でございますけれども、13ページの場合、今御指摘がございましたように、例えば100人を超える場合には総代会のような形で、例示として1割というのを出していますけれども、そうした場合は今御指摘がございましたように、ある意味、逆転現象は起こるということになります。これは14ページに出させていただいている、ほかの、生協や労働金庫などでも同じ状況が起こっていますので、一応、今の案ではそういう逆転が起こるということもあり得ると考えています。

 また、13ページの2つ目の丸でございますけれども、実際にどんなイメージかという御質問だったと思います。御指摘にありましたように、同業種や同じ地域の同じ事業をされている方の集まり、そういったものを想定しております。そうしたものについては、今の厚生年金基金が設立母体を求めていますように、一定程度の結びつきがあるのではないかと考えています。そういう意味で、仮に現時点で新たな総代会のような仕組みを設けた場合に対象となるDB基金がどのくらいあるかということでございますけれども、私どもも詳細に把握しているわけではございませんが、それほど多くない。恐らく10とか20とか、それほど多くない数が現時点では対象になるのではないかと見込んでございます。

 また、「原則」と「ただし」ということでございますが、そういう意味では原則が代議員の仕組みという意味でこの紙をつくったわけではございませんで、そういう意味ではやや誤解を招くような表現で申しわけなかったのですけれども、13ページの1つ目の矢印というのは、このように組織体、母体のようなものがない場合には、原則として事業主全てを選定代議員とするということでございます。原則の例外は、「ただし」以下でございまして、ただ、全員参加の選定代議員会が多くなり過ぎる場合には、いわゆる総代のようなものを定めてはどうかという趣旨でございます。

 次に大きな2つ目、会計監査でございます。本日、その考え方としてA~Cのような、要は監査の対象範囲を少し検討してはどうかという案を出させていただいていますが、まだ、この監査の対象範囲を定めた場合にそれに対してどのくらいのコストがかかるかということを、私どもも十分把握できていないところでございますので、今後の検討過程の中で、このように監査の対象範囲の考え方としてA~Cのような形で行ったときにどの程度のコストがかかるか、少し研究をさせていただきたいと思ってございます。

 あわせまして、内部監査、監事による監査の実効性の担保というお話も伺ったわけでございまして、そうしたところも現在行われている監事監査について、何か工夫あるいは改善する余地がないか、少し考えさせていただきたいと思ってございます。

 

○神野部会長

 3番目、4番目はよろしいですか。何かあれば。

 

○内山課長

 特にきょう御欠席の半沢委員から御指摘いただいたところもございますが、例えば4番目の、加入者等への説明・開示というところは59ページにお示ししていますように、具体的な措置はこれから考えさせていただきたいと思ってございますので、いただいた御意見も踏まえて、よい形にしていきたいと思ってございます。

 

○神野部会長

 はい。

 小林委員、お待たせしました。

 

○小林委員

 大きく2点、申し上げたい点がございます。

 まず1点目は、スチュワードシップ・コードについてです。先ほど森戸先生からも御指摘がありましたように、受託者責任との関係整理が必要という点はそのとおりだと思います。ただ、資料の書き方の問題かもしれませんが、44ページに書かれている「スチュワードシップ・コードの受け入れ表明を促進するため」という、アプローチには若干違和感があります。日本再興戦略の引用にもあるように、加入者等の老後所得の充実を図ることが本来の狙いであり、コードを受け入れるかどうかは必ずしも老後所得の充実と直接リンクするものではないと思います。

44ページにも書いていただいている通り、年金基金は、スチュワードシップについてはアセットオーナー、資産保有者としての行動が求められると理解しておりますが、コードに規定されている内容では、アセットオーナーとして対応するべき範囲が必ずしも明確でないと認識しています。コードの受け入れによりどのような影響が出るのか、あるいは効果の面も含めて、不明な点が多いと思います。コードの受け入れ表明ありきということではなく、まずはこれらの点をクリアにしていく方向で御検討をいただければと考えております。

 2点目は、加入者等への説明・開示等についてです。資料の58ページに省令の規定が示されていますが、こうした内容についてはほとんどの基金等で既に開示が行われているのではないかと思います。また、加入者や受給権者の方に理解してもらうため、例えばビジュアル化の工夫をするなど、よりわかりやすい情報開示をそれぞれ工夫をしている例も少なくないのではないかと思います。

 基本的に開示が必要な項目は、58ページに書いていただいているもので十分足りていると考えておりまして、わかりやすさということで言えば、開示項目を増やすよりも、むしろ簡素化すべきであり、いたずらに項目を追加して負担を増やすことは避けるべきではないかと思います。中には、実務負担が大きく、情報開示に工夫ができないという年金基金等もあるかと思いますので、例えばそうした基金に対しては好事例をテンプレートで示すなど、サポートの面を強化する必要があるのではないかと思います。

 また、先ほど来話が出ています、57ページの労働条件との関係で言いますと、基金等の対応というよりは、本来的には個別の労使、あるいは各社の労務管理上の問題として事業主が対応すべき観点がほとんどであると思います。こうした点が年金制度の運営との関係で問題になるのは、多くの場合、事業主と距離のある、総合型のような制度ではないかと理解をしております。総合型の制度の場合、基金財政におけるそれぞれの個社の持ち分が必ずしも明確ではありませんし、企業会計上も負債認識が不要であることもあって、事業主が問題意識を持ちにくい構造があるのではないかと思います。こうした状況も踏まえて、検討に当たっては、問題の所在がどこにあるのかをよく整理した上で議論をするべきではないかと考えております。

 以上です。

 

○神野部会長

 事務局のほうから特にコメントはありませんか。よろしいですか。

 

○内山課長

 はい。

 

○神野部会長

 井戸委員からは何かございますか。よろしいですか。

 

○井戸委員

 はい。

 

○神野部会長

 では、和田委員。

 

○和田委員

 既にいろいろ御意見が出ているので、私からは1点だけ意見を申し上げたいと思います。

 会計監査に関する論点のところで1つあります。結局のところ、こうした会計監査を行うということは、AIJ事件を含めたいろいろな不祥事があって、それに対する牽制ということで、こういう監査を入れてやっていってはどうかということかと思います。企業年金の使命といいますか、約定した給付を払うためには適正な年金数理に従った掛金をきちんと納めていただくということが必要という中で、過去の年金基金をめぐる不祥事といいますか、そういったようなことを考えてまいりますと、AIJ事件については金融当局のほうで再発防止等の策が既にかなりとられており、また、厚生労働省でもこの対応策を設けておられるところであります。そこはもう少しやらないといけないとは思うのですけれども、過去の事例を振り返りますと、やはり掛金の横領や、業務経理における同じようなことが起こっていたのではないかと思います。

 最も重要なのは、掛金はやはり金額的にも大きいということもあって、ここをしっかり押さえておく必要があるのではないかと思いまして、今回提示していただきました資料の26ページでしょうか、企業年金の決算書類に対する専門家による監査のあり方の中で、考え方がAからCまでございますけれども、例えばということで申し上げますと、考え方Aのような、純資産のところを監査対象とするという形で監査の範囲を考えるというのも一つの考え方としてあり得るのかなと思います。純資産というところで見ますと、これは必然的に純資産を計算するためには流動資産、流動負債のところも当然チェックしなければいけないということでございまして、流動資産の中には未収掛金や預貯金といった科目がありまして、ここのところが一つ、過去の事例で問題があった点だろうと思います。そういったところも含めての純資産というようなところ。それから、できれば掛金等収入、給付費が適切に収納または支出されているかというようなところまで見てあれば、大体、過去に起こったような不祥事の部分はある程度牽制できるのではないかと思うわけであります。

 そういったところも踏まえて、今回、27ページの4つ目の丸にありますとおり、費用対効果も十分考えていただきながら、最も適切なチェックの仕方というものを御検討いただけるだろうと私は感じましたので、ぜひ、その方向で具体的な対応策を詰めていただければと思います。私からは以上です。

 

○神野部会長

 では、村瀬オブザーバー。

 

○村瀬オブザーバー

 それでは、私のほうから2つほどお話をしたいと思います。

 1つは前回の部会で、現場の声をよく聞いて政策の方向性を決めていただきたいと申し上げましたけれども、企業年金連合会の政策委員会等で内山課長に来ていただきまして、丁寧な説明、質疑応答等にお時間をとっていただきましたことに対し、まず、お礼を申し上げたいと思います。

 今回のまとめで方向性が決まったものもございますけれども、まだ継続検討のものも幾つか含まれております。今般と同様に現場の意見を聞きながら方向性を決めていただくことを常に要望したいと思います。何度も申し上げておりますけれども、総合型DBは中小企業の企業年金の受け皿であり、厚生年金基金の解散に伴って多くの基金でさまざまな工夫がされています。例えば掛金を定額にするとか有期化するとか同一業種で県単位であったものを、広域化を考える等々、いろいろ工夫をしながら総合型DBの立ち上げを既に行っている、または現在進行形で立ち上げをしようとしているところが多数ございます。我々企業年金連合会としましても、さまざまな形でかかわっていきたいと考えておりますけれども、行政もしっかりサポートをしていただきたいと思っております。今後ともよろしくお願いしたい。これが1点目でございます。

 2点目はスチュワードシップ・コードについて先ほどから出ておりますけれども、御存じのように連合会は当初からサインをしております。個々の企業年金の皆様との勉強会もしております。ただ、御存じのように、企業年金の理事長は母体の役員を兼ねている場合が多く、基金だけではなかなか方向性が決まらないということが現実だろうと思います。ただ、実際問題としまして、運用受託機関などについてどういう形で考えていくかということについては、当然、相手側はスチュワードシップ・コードを受け入れていまして、パフォーマンス向上のためにどうするかということをしっかりやっているわけです。そうすると、別に宣言しなくても実務的にはそれと同じ効果を得ていることもあり得るわけです。ただ、もう一歩前進する必要があるかどうかというのは今後の課題だろうと思いまして、その点につきましては先ほど御指摘がありましたように、厚生労働省と手を携えて、基金の皆様方が納得した形で判断をしていただく、こういう形で努めてまいりたいと思っております。

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 では山本委員、お待たせしました。

 

○山本委員

 再び私のほうから、感じるところを申し上げます。

 何かそもそも論のようなことになってきてしまうのですけれども、この総合型DBに加入していく、あるいは設立していくインセンティブが本当に働くのだろうかと、何となく不安な感じがしてきております。

 厚生年金基金のようなものに対する企業の信頼感は、余り高いとは言えない状況にあるような気がします。ですから、ガバナンスを強めても、再びまた何か似たようなものが出てきたなという印象を企業に与えるだけで、それを払拭できるだけの影響を与えることは難しいのではないか、と感じます。

 このため、企業年金の推進を国家の基本戦略のような形で前面に押し出していった場合に、どの様な結果になるのだろうかと不安を感じまして発言を致しました。基金の設立形態1の単独設立と、2の連合設立はある程度求心力がありますから、事業者も納得して入会しやすいと思うのですが、単独企業が集まっての3総合設立のDB基金というのは、誰が運用しているのか等々、実態が分かりにくいという問題があります。

 また、基金には当然、運営のコストがかかります。そうすると、そこにおける収支のバランスなど、基金の運用に信頼性が持てるか持てないかという問題も出てくると思います。自分のお金で年金資産の運用をする分には幾らやっても構いませんけれども、企業年金の運用を、企業から受託してやれるだけの信頼性を十分みんなが感じてくれるような基金が本当にこれから雨後のタケノコのようにいっぱい出てくることができるだろうかというのは不安な感じがします。

 ちょっと短絡的かもしれませんが、個人型を活用した加入促進の方法がもしもとれれば、商工会議所や実業連合会の様ないろいろな団体に加入することによって、DBを受けられますよということにしたり、市中金融機関や大手の保険会社などが業務代行をして、総合型DBの様な企業年金ができるようにするなどをまず第一ステップとして専心し、厚生年金基金の解散等に伴って移行先を求めている方々には、むしろそういうところに入っていただけるルートを指し示していくようなことをまずやったほうがいいのではないかと思います。

 我々も中小企業ですから、加入する立場から考えていますと、新しい企業年金に対する信頼感というものがどこまで早い時間のうちに実現できるのかということを考えると、過去の事例等々から見ても、そう簡単ではないような気がします。もう少し安定して、安心して、企業年金制度に入っていけるルートというものを、重点を置いて人々に知らせていくことをまずやったほうが、加入者側の安心感は高められるのではないかと思います。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございます。

 現時点でコメントしていただくことがあればお願いいたします。

 

○内山課長

 うまくお答えになっているかどうかわかりませんけれども、今回、既存のDBについて少し、総合型についてはガバナンスを高めるということでございます。お答えになっているかどうかわかりませんけれども、今回、DC法ですとか、今御指摘のあったような、例えば受託保証型DBというのも広まりつつありまして、そういう意味ではさまざまな選択肢というものは、なるべく私どものほうも広げていこうという観点で施策を進めているわけでございます。そうしたものについて、しっかりと運営される信頼性があるかというところと、わかりやすく制度が国民の皆様に伝わっているかというところだと思いますので、そういうところは引き続き取り組ませていただきたいと考えてございます。

 

○神野部会長

 和田委員及びオブザーバーの意見について何かコメントがあれば。特にないですか。

 

(山本室長、内山課長首肯)

 

○神野部会長

 はい。どうもありがとうございました。

 ほかに御意見がないようであれば、時間の関係もございますので、本日の議論はこのあたりとさせていただきます。どうも、建設的な御意見をたくさん頂戴いたしましたこと、感謝申し上げる次第でございます。

 この確定給付企業年金のガバナンスについては、次回以降も議論をさせていただくことになります。多くの建設的な御指摘等々をいただきましたので、この御指摘いただいた項目については、事務局でまた論点整理をしていただいた上で、再度、御議論を頂戴できればと考えております。ただ、議論を生産的に進める上で、論点整理のうち、例えば基金の名称の取り扱いなど、特段御意見がなかった項目については大体この方向で進めることにさせていただいて、御指摘いただいた項目について整理をし、集中的かつ生産的に御議論を頂戴できればと考えておりますので、そのような方向で進めさせていただいてよろしいでしょうか。

 

(「はい」と声あり)

 

○神野部会長

 ありがとうございます。

 それでは、そのようにさせていただきます。

 続きまして、次の議題でございますが、 確定給付企業年金の改善の状況について、入っていきたいと思います。前回の企業年金部会にて議論をしていただきました確定給付企業年金の改善の進捗状況について、事務局から御報告していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

(森戸部会長代理退室)

 

○内山課長

 それでは、資料2をごらんいただきたいと思います。1ページお開きいただきまして、前回の企業年金部会でも議題とさせていただきました、リスク対応掛金の仕組み、それからリスク分担型DBについての進捗状況でございます。まず、厚生労働省では、この政令案につきまして、現在、5月27日からパブリックコメントを実施しているところでございます。

 もう一つ、リスク分担型DBを今後実施していく上で、大きな論点となってございます会計処理の扱いについてでございます。企業会計基準委員会でこのリスク分担型企業年金の会計処理に関する実務上の取り扱いについて案をつくっていただきまして、公開草案が6月2日から公開されてございます。この公開草案は行政で申し上げますパブリックコメントと同様のものでございまして、2カ月にわたって意見募集が行われてございます。

 その内容を2ページに、簡単にまとめさせていただきましたが、リスク分担型企業年金に係る会計処理につきましては、企業会計基準委員会の公開草案では、企業が追加拠出義務を実質的に負っていないということであれば、会計上はDCに分類されるということでございまして、制度導入時にリスク対応掛金相当額を負債として計上する必要はないという整理がされているわけでございます。企業会計基準委員会のほうでは、2カ月ほどこの公開草案に対する意見を受け付けると伺ってございます。そういう意味で、こうしたパブリックコメントや公開草案に関する意見をいただき、それについての対応を行った上で、早ければ9月ないし10月ごろを目途に施行できればと考えてございます。

 参考までに3ページ、4ページは、企業会計基準委員会が出されている公開草案の、ホームページに載せられているものを抜粋させていただきました。

 簡単でございますが、資料2の説明とさせていただきます。

 

○神野部会長

 ただいま事務局のほうから御説明いただきました改善の状況につきまして、御質問等がございましたら頂戴したいと思います。

 よろしいですか。特段なければ引き続きまして次の議題に入りたいと思います。 確定拠出年金法等の一部を改正する法律等についてという議題でございます。確定拠出年金法等の一部改正に関する法律の施行について、事務局から御報告があるということですので、よろしくお願いいたします。

 

○内山課長

 それでは、資料3から資料9を引き続き御説明させていただきます。

 資料3。1枚お開きいただきますと、確定拠出年金法の一部を改正する法律。先ほどの局長の挨拶にもありましたように、おかげさまをもちまして、1ページでごらんいただいていますような確定拠出年金法、DC法の一部改正をする法律案。2ページをごらんいただきますと4月15日に参議院本会議で可決、5月24日に衆議院本会議で可決・成立をいたしまして、6月3日に法律が公布されたところでございます。

 1枚おめくりいただきまして3ページですけれども、参議院におきまして施行日の修正がなされてございます。2点ございまして、企業年金連合会への投資教育の委託等につきましては、原案では平成27年10月施行となっていたわけですけれども、施行日を過ぎてございますので、平成28年7月1日に修正をさせていただいてございます。

 2点目でございますが、平成29年1月1日施行としていましたものが2点ございました。1点目は、DCの拠出単位を月単位から年単位にするというもの。2点目は、個人型DCについて加入可能範囲を拡大し、原則全ての国民の皆さんが加入できるようにするという内容でございます。これにつきましては、施行まで半年強となっていることで準備の関係上から個人型DCの加入可能範囲の拡大につきましては原案のとおり平成29年1月1日施行とさせていただきますけれども、月単位から年単位にするということにつきましてはシステム対応の時間という観点から、1年おくらせまして平成30年1月1日に修正されてございます。

 また、4ページでは、衆議院、参議院、それぞれで附帯決議が付されてございますので、こうした附帯決議の報告でございます。

 次に資料4でございます。おめくりいただきますと、個人型DCの施行、すなわち原則全ての国民の皆様が個人型DCに希望すれば加入できるようになるという個人型DCの法改正が平成29年1月の施行でございます。この施行に向けまして、国民年金基金連合会、それから金融機関の団体などの民間団体等から成ります協議会(DC普及・推進協議会(仮称))を広報活動の中心として立ち上げることを現在検討させていただいてございます。

 7月を目途に協議会を立ち上げさせていただきたいと思ってございまして、想定される普及活動例でございますが、局長の挨拶の中にもありましたように、個人型DCの愛称の決定、共通キャッチフレーズ・共通コピー等の作成、特設サイトの開設といったことをするとともに、加入者向けにはホームページのリニューアルや説明会などで、極力この制度をわかりやすく説明したいと思ってございますし、また、加入手続の簡素化の検討、あるいは個人型DCは原則それぞれの個人の方が申し込んでいただくわけですけれども、事業主の会社が職場で受け付けを取りまとめる工夫等ができないか、そうしたことの検討もさせていただきたいと思ってございます。

 下のページを見ていただきますと、法案が5月に成立、6月に公布されましたので、7月に協議会を発足し、愛称の公募・決定、それからセミナー等を通じた普及・推進、あるいは各種媒体を通じた周知・広報を進めていきたいと思ってございます。あわせまして、今申し上げた、事業主が受け付けを取りまとめる工夫の検討や、加入手続の簡素化の検討を行いまして、金融機関での申請受け付けに備えたいと考えてございます。

 これが資料4でございます。

 引き続きまして資料5でございますけれども、法案の中には公布2年内の政令で定める日から施行されるとされてございますDCの運用改善の部分がございます。これは公布2年内ということですので、平成30年の春から夏にかけて、4月から6月にかけての施行を予定しているわけでございますけれども、その中には3の部分、主な検討事項を見ていただきますと、確定拠出年金の指定運用方法、いわゆるデフォルトファンドにつきまして法律で定めましたので、この選定基準を政省令で定める必要がございます。また、企業年金部会でも御議論いただきましたが、運営管理機関が提示します運用の方法の上限数。法律では上限数を決めるということになってございまして、具体的な上限数を幾つにするかを政令で定めることとされてございます。

 こうした、主にデフォルトファンドの選定基準、それから運用方法の上限数について定めていく必要があるわけでございますけれども、これにつきましては、この企業年金部会のもとに専門委員会を設けさせていただきたいと考えてございます。委員長は部会委員の中から、また、委員は確定拠出年金制度や、今回は金融にもかかわりましたので、金融に精通されている有識者・専門職等の方になっていただいて、この専門委員会を設置させていただければと思ってございます。なお、人選に当たりましては、労使の協力も得て人選をさせていただければと思ってございます。そういう意味で資料5は、この専門委員会の設置についての御報告でございます。

 資料6でございます。これはDC法の中で、先ほども少し触れましたが、ことしの7月1日、来月1日に施行される部分がございます。その部分につきまして、政省令を今、パブリックコメントにかけているところでございますので、その御報告でございます。

 具体的にどういうものかということでございますが、1ページにどういうことかというのが書いてございます。DBの実施事業所の減少の特例に関する手続、あるいは積立金をDCに移換する場合の手続の見直し等でございます。

 具体的なものですけれども2ページをごらんください。これも企業年金部会で御議論いただいて法律に盛り込んだ事項でございますが、DC法の中ではDBで掛金未納などが起こった場合には、企業年金基金、DB基金からそうした事業所に退場いただく、事業所として減少させるということができることになってございます。今回、これが7月1日から施行されるわけですけれども、政省令事項としまして手続要件、例えば規約型の場合には減少事業所以外、すなわちDB基金に残られる事業所の労働組合の同意、あるいは基金型の場合には代議員の定数の4分の3以上による議決、こうしたものが必要としてございます。また省令で、この掛金未納の状態でございますけれども、1年分に相当する額を超えて未納を行った場合にこの減少をさせる、退出いただくことができるようにしたいと考えてございます。このほか、弁明の機会などについても省令で定めることとしてございます。

 あわせて3ページ、4ページ。少し細かいことになりますけれども、3ページにつきましては下線を引いてあるところですけれども、法律でDBからDCに移換する場合に、移換しない事業所につきまして、掛金が増加しない場合等については移換しない、すなわち残られる事業所の加入者の同意を不要とするという措置を法律に盛り込んでございます。今回、省令で具体的に掛金が増加しない場合ということをより詳細にマル1、マル2、マル3のような形で定めさせていただこうと思ってございます。

 あわせて4ページでございますけれども、脱退一時金相当額を移換する場合に、今、2つの要件がございます。移換元のDBの資格を喪失した日から1年、それから移換先の企業年金の資格を取得した日から3月という要件がございますが、四角い枠の中の※印に書いていますように、DBの資格喪失の3月以上前から並行してDCに加入しているような場合、そういう場合にはDCの脱退一時金相当額の移換はできないということになっていますので、今回、マル2の要件を削除いたしまして、こうした事態にも対応できるようにしようというものでございます。

 こうしたことを7月1日の施行に合わせた政省令の改正事項として考えてございます。

 次に、資料7からはDC法の改正とは直接関係するものではございませんけれども、御報告でございます。資料7の裏をめくっていただきますと、これは前回のこの企業年金部会で報告させていただいたことでございますけれども、熊本県における地震の影響を受けまして、DCの掛金納付につきまして、特例、すなわち納付が困難な場合にその納付の期限を延長するという措置を講じたわけでございますが、前回御報告したものでは4月、5月に納付する掛金についての措置でございました。地震の影響でまだ避難所におられる方もいらっしゃいますし、最近また震度5の地震もあったということでございますので、この4月、5月までの措置を今後、厚労大臣が指定する日まで延ばすという措置を講じたいと考えてございます。これが資料7でございます。

 次に資料8でございます。まず1ページおめくりいただきまして、確定拠出年金に係る税の勤続年数の拡大についてということでございます。DCの老齢給付金を一時金で受け取る場合には、所得税額の退職一時金控除があるわけでございますけれども、その退職所得の控除額というのは本人の勤続年数に応じて増加する、右の表にございますような仕組みになってございます。この勤続年数につきまして、従来からDC法の通算加入者等期間に合わせて60歳までとしていましたけれども、今般、税制当局から、加入年齢を「65歳以下の規約で定める年齢」に引き上げた場合、すなわち63とか64に規約で引き上げた場合の勤続年数の取り扱いについて、その規約で定める年齢まで算入可能であるとの見解が示されたところでございます。

 税法の解釈でありますことや、この取り扱いによりましてDCに係る税の控除が拡大するということでございますので、60歳以降の加入者期間も勤続年数に参入する取り扱いとさせていただきたいと思ってございます。

 なお、源泉徴収義務者であります資産管理機関、あるいは記録関連運営管理機関等における対応が必要でございますので、本年10月を目途に、これらの機関において準備が整い次第、こうしたことをしたいと思ってございまして、そういう意味では平成26年1月から対象者が出るわけでございまして、税の還付の手続が行われる場合もございます。そのような意味で、今回、そうした措置をしようというものでございます。

 もう1枚おめくりいただきまして、最後のページでございます。確定拠出年金における通算加入者等期間の拡大についてということでございます。右の表にございますように、DCにおきまして受給可能となる年齢、すなわち何歳からもらえるかというのは、加入者等の期間(通算加入者等期間)に応じて定められてございます。すなわち、30歳から加入していた場合には60歳から受給可能ですが、例えば59歳から加入した場合というのは65歳から受給が可能になります。この通算加入者等期間は月単位で60歳までとされてございます。これまで1月に満たない、60歳に達した月の前日が属する月、すなわち60歳に到達した月につきましては、これを算入しないという扱いをしてきたところでございます。

 今般の制度改正によりまして、個人型確定拠出年金の加入対象範囲が大幅に拡大されることになってございます。こうした場合に、9年11カ月、7年11カ月といったケースの場合には、この60歳到達月を算入すると受給開始年齢を1年繰り上げることができるということになりますので、この機会にこの問題を改めて捉えまして、この受給開始年齢に係る本人の選択肢を拡大するという観点から、60歳到達月をこの通算加入者等期間に算入する取り扱いとさせていただきたいと思ってございます。なお、実施につきましては法の施行に合わせて平成29年1月から新しい取り扱いのもとで運用をさせていただければと考えてございます。

 引き続きまして、資料9でございます。厚生年金基金の加算金利率というものでございます。裏をおめくりいただきますと、代行割れをされている厚生年金基金が解散後に責任準備金相当額を分割納付していただくということが必要なわけでございますが、それには加算金がかかることになってございます。この加算金につきましては、いわゆる延滞金等と違いまして、解散をスムーズに行うという観点から、国債の利回りを勘案して定めることとされてございます。実際には平成26年度には0.63%、平成27年度は0.37%という率が定められてございます。今回、平成28年度の率を定めるに当たりまして、4月に発行された国債の利回りを見ますと、今、マイナス金利下のもとで4月の国債がマイナス0.069%となってございます。こうしたことから、加算金でございますので、マイナスにするのもどうかということで、今回、これまでの考え方を見直して、平成28年度の加算金利率につきましては0.01%として定めることとしたいと思ってございまして、この案で現在、パブリックコメントをかけているところでございます。

 以上、駆け足になりましたが、資料3~9につきましての御報告でございます。

 

○神野部会長

 どうもありがとうございました。

 ただいま御説明いただきました事柄につきましては、基本的には報告ということでございますので、御承知おきいただければと存じますが、特段何か御質問、御意見があれば。

 では、伊藤委員から。

 

○伊藤委員

 ちょっと確認をさせていただきたい。教えてもらいたいのですが、資料6の2ページのマル1、DBの実施事業所の減少の特例に係る手続というところですが、掛金滞納事業所を継続困難な事業所として減少させる際に、2つ目の四角にあるとおり、当該労働組合等の同意なしに減少させることを可能としていることになるわけですけれども、この企業年金が労働債権に該当するもの、つまりあらかじめ支給条件が労働契約等で明確に定められているようなものは退職金同様に労働債権になると思うのですけれども、それであっても不利益変更とならないという考え方があるのかということを確認させてもらいたい。この特例によると、出ていってもらう労働組合の同意はなしで、残る労働組合の同意をとるとあります。ですから、労働債権となる場合に不利益をこうむるのはC事業所の従業員ですので、C事業所の労働組合等の同意がなくてもいいとする、その考え方について御説明いただきたいと思います。

 

○神野部会長

 お答えをいただく前に、井戸委員の御意見を承っておきます。

 井戸委員、どうぞ。

 

○井戸委員

 私は資料4と資料5について発言させていただきます。

 資料4のところでスケジュールを拝見しますと、法案が成立したのが関係していると思うのですけれども、NISAのときよりもかなり遅い感じがします。ですから、できるだけ早く前倒しで進めていただければと思っています。NISAはもう、金融機関なども盛んにコマーシャルをされているので、私たちフィナンシャルプランナーは短い期間だったらNISA、DCは退職後の生活設計という形で、節税をしながら資産をふやすということで、セットで御説明することがとても多いのです。ですから、これは私見ですけれどもNISA、NIRAというように、何かセットで押さえられるようなものがあったら楽しいなと、個人的には思っています。それから資金、予算の関係もあると思うのですけれども、なるべく早く、講演会や広報のところで、誰の目から見てもすぐわかるような形でどんどん進めていただければと思っています。

 それから資料5ですけれども、これはお伺いしたいところもございます。資料5の、運用の専門委員会というのはすごく大事なことだと思うのです。例えばデフォルト商品をどうするのかというのもありますし、2番の上限数を政令で定めるというのは、金融機関の関係もすごくあると思います。それから今、除外の商品の要件が全員になっていて、施行日から3分の2となっていますけれども、これは実際、事実上はハードルも高く難しいと思うのです。施行日以降のファンドが3分の2になってしまうので、今、全員の同意が要るうちにファンドの数を結構ふやしている証券会社もありますし、別に罰則の規定もないので、この辺のところも議論としてはなかなか難しいのではないかと思っています。

 こういうことをいろいろ進めていくスケジュールというのが、今回、設置の案ということで資料を頂戴しておりますので、まだわからないのですけれども、大体で結構ですので、内容や、いつごろ決められるのかというあたり、年内なのかとか、そういうことをお示しいただければいいかなと思います。できるだけ、余り実態と乖離しないような感じで進めていただければと思っています。

 以上です。

 

○神野部会長

 事務局のほうから、よろしいでしょうか。

 

○内山課長

 1点目、伊藤委員の御質問ですけれども、これは企業年金部会等で御議論いただいた上で法案に含めている内容でございますが、C事業所の場合には、これは滞納があって、そういう意味では企業年金全体として、そのような滞納に対応するためのものであります。厚生年金基金であれば滞納処分等ができるわけですけれども、DBはそういうことができないということがございますので、そういう意味で、C事業所について減額をするといった御意見もありましたが、制度として、このC事業所には退場していただく仕組みとしたわけでございます。そういう観点から、このC事業所については、事業主やその構成員である労働組合等の同意なしに減少することができるという格好に、今、させていただいているところでございます。

 2点目の、井戸委員からの御質問、御意見ですけれども、PRにつきましては御意見をいただきましたように、施行まで余り時間がないということもございますので、私どもとしても精力的に動きたいと考えてございます。

 また、運用に関する専門委員会のスケジュール感でございますけれども、できましたら7月ないし8月には発足をさせていただきたいと思ってございます。なお、平成30年4~6月ごろの施行ですけれども、金融機関等の準備等もあると伺っていますので、現状で想定していますのは、来年の春から夏にかけて一定程度の結論をこの専門委員会で得ていただければと思っております。

 なお、2~3カ月に1度、企業年金部会が開催される際には、この専門委員会の審議状況について御報告をさせていただくことを想定してございます。

 

○神野部会長

 よろしいでしょうか。

 

○伊藤委員

 今のお答えに対して、もう一回よろしいでしょうか。

 

○神野部会長

 はい、どうぞ。

 

○伊藤委員

 企業年金基金の健全性の確保のために、ずっと滞納しているところは出ていってもらうという考え方を理解しないわけではないのです。全体の運営を考えればそういう必要性は理解できるのですけれども、ただし事業所としては、退職金横倒しであれば、それは労働債権になるわけで、それは残存していて、企業年金から出てもらうということなのか。そういったことが誤解されないように、ぜひ、指導していただくということは必要だと思いますし、故意に支払いを滞納していくというような、例えば労使で合意して企業年金に入るよと言いながら、結局滞納してやめてしまうとか、そういうことは困りますし、きちんとした運営をしてもらうようにお願いしたいと思います。

 

○内山課長

 そういう意味では、先ほどのお答えが十分に質問の意図をくんだものではなくて申しわけございませんでしたが、事業者と労働者の関係という意味ではございません。そういう意味では事業者と労働者との関係につきましても、しっかりと整理をして、この仕組み自体を周知していきたいと考えてございます。

 

○神野部会長

 ありがとうございました。

 それでは、第4番目の議題に移りたいと思います。この部会の下に置かれている、厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会における議論の経過について、事務局のほうから御報告していただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○内山課長

 資料10でございます。前回の企業年金部会で、平成27年4月から9月にかけてのこの専門委員会の開催状況について報告をさせていただきました。

 今回また半年分、平成27年10月から平成28年3月につきまして、報告書ができ上がりましたので、報告をさせていただきます。

 1、2につきましては前回と基本的には変わってございませんで、3でございます。平成27年10月1日から平成28年3月31日までの間に、専門委員会を計5回開催させていただいてございます。延べ26件の厚生年金基金について審査を行ったところでございまして、2回にわたる継続審査になったものもございますけれども、最終的にはこの26件につきまして、特例解散の承認が妥当と判断されているところでございます。

 個別の5回の開催状況につきましては、2ページ、3ページに書いてございますので、ごらんいただければと思います。

 簡単でございますが、資料10の説明とさせていただきます。

 

○神野部会長

 ありがとうございました。

 これも御承知おきいただければと思いますが、特によろしいですね。

 どうもありがとうございました。

 予定の時間でもございますので、本日の審議をそろそろ閉じさせていただきたいと思いますが、事務局のほうから次回以降の開催及び、何か連絡事項がありましたらお伝えいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○内山課長

 次回の部会の開催日時はまた事務局から各委員の御都合をお伺いした上で、正式な御案内をお送りしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○神野部会長

 それでは、これにて本日の審議を終了させていただきます。最後まで熱心に御討議をいただきましたこと、深く感謝を申し上げる次第でございます。

 どうもありがとうございました。

 

(了)

 

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