2014年3月18日 第3回社会保障審議会企業年金部会議事録

年金局

 

○日時

平成26年3月18日(火)10:00~11:30

 

○場所

全国都市会館 3階第1会議室

 

○出席者

山崎部会長  臼杵委員  小林委員(代理人・清家)

鈴木委員   高崎委員  冨高委員

平川委員   森戸委員  山本委員(代理人・大井川)

○議題

(1)特例解散等の手続について

(2)厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会の設置について

(3)その他

○議事

○山崎部会長

 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第3回「社会保障審議会企業年金部会」を開催いたします。皆様、お忙しいところお集まりいただきありがとうございます。

 本日、白波瀬委員、小林委員、山本委員、井戸委員からは御欠席の連絡をいただいております。

 臼杵委員がただいま到着されました。前回御欠席されていました委員で御紹介していなかった委員として、臼杵委員を御紹介させていただきます。よろしくお願いいたします。

 

○臼杵委員

 臼杵です。よろしくお願いします。

 

○山崎部会長

 御欠席の委員のかわりに出席をいただいている方で、小林委員の代理として本日、日本経団連の清家代理人に御出席をいただいております。また、山本委員の代理として、日本商工会議所の大井川代理人に御出席をいただいております。

 清家代理人、大井川代理人の御出席につき、部会の承認をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

 

(「異議なし」と声あり)

 

○山崎部会長

 ありがとうございます。

 御出席いただきました委員の方が3分の1を超えていますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。

 それでは、議事に入らせていただきます。カメラの方はここで退出をお願いします。

 

(カメラ退室)

 

○山崎部会長

 資料の説明の前に、まず事務局から資料の確認をお願いいたします。

 

○黒田課長

 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日配付の資料は、

 資料1:社会保障審議会企業年金部会委員名簿

 資料2:特例解散等の手続

 資料3:「厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会(仮称)」の設置について(案)

 参考資料1:厚生年金基金制度改正の主な内容

 参考資料2:厚生年金基金に関する基礎資料

 参考資料3:社会保障審議会企業年金部会運営規則

を配付させていただいております。

 資料の不備等ございましたらお知らせいただければと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

 

○山崎部会長

 ありがとうございます。

 それでは、本日は「特例解散等の手続について」。

 「厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会の設置について」を主な議題といたします。

 それでは、まず議題「特例解散等の手続について」に入ります。事務局より資料の説明をお願いします。

 

○黒田課長

 では、これから資料2に基づきまして御説明申し上げますが、資料説明に入ります前に御報告でございます。

 前回、12月の第2回企業年金部会で御審議をいただきました健全化法の施行関連の法令に関しましてですが、けさの閣議におきまして関連の政令が閣議決定に至りまして、施行日が本年4月1日となることが決定をされました。委員のお手元、机上のみでございますが、本日閣議決定された政令は3本ございます。これを御参考までに配付をしておりますので折々で御参照いただければと思います。

 なお、政令につきましては、今後公布の手続に入りますが、その他の省令・告示とあわせまして今月24日月曜日の公布を予定しております。また、同時期に関連の通知についても発出をする準備を進めておるところでございます。

 以上が御報告でございます。

 それでは、お手元の資料の2に基づきまして、厚生年金基金の特例解散等の手続について、資料の御説明をさせていただきます。

 資料の2をおめくりいただきまして、目次がございます。この資料は2部からなっておりまして、最初に解散手続全般、それから2番目で、その中で特例解散等手続についてということの2部構成にしてございます。

 まず、そのうちの前半であります「解散手続について」という資料でございます。

 おめくりいただきまして、下に小さい字で通しページが打ってありますので、その2ページをごらんください。「1 解散手続について」という部分でございます。

 まず、枠囲いしたところに基本的な考え方が添えてございますが、基金が解散いたしますと、国が代行部分を含めて年金を支給するということになりますので、その代行部分を支給するための原資として、いわゆる責任準備金相当額を国に納付いただくという仕組みになってございます。

 この責任準備金相当額を算定する上で、基金の加入員記録と、国の厚生年金の被保険者記録の整合性を図った上で、どの部分が国に支給義務が移るのかということを特定をした上でその金額を確定させていていくということになってまいります。したがいまして、以下、何枚かシートを御用意しておりますが、その中で記録の整理、責任準備金相当額の確定に至るまでの手続を以下御説明を申し上げたいと思っております。

 なお、この一連の作業につきまして、資料のそれぞれの部分で添えておりますが、一定の効率化等々もあわせて図ることによりまして、作業期間についてはできるだけ短くということも一方では目指していきたいということでございます。

 次の3ページが、解散手続の全体像でございます。

 この手続はかなり矢印が錯綜しておりますが、大きくかかわっている当事者の方々が3グループありまして、1つは基金。これは解散等々を志される基金の方々ということです。それから、そちらから中途脱退者等々に関する記録を引き継ぐ立場に今ございます企業年金連合会。それから、日本年金機構。それから、広い意味での国。国が本省の年金局と地方厚生局ということでございまして、大きく企業年金グループと日本年金機構と国という3つのプレーヤーからなる一連の手続だということでございます。

 この手続は、左から右に行ったり来たりいたしますが、全体的に概観で申し上げますと、まず、基金の方々のほうから解散等々についてこれから手続を進めるという意思表示をいただきまして、それを国に御連絡をいただきましてから一連の作業、各プレーヤーが作業開始をするということでございます。

 開始をして、記録の整理に至るわけですが、その記録の整理に至る前段階として、まず企業年金グループ、つまり基金と企業年金連合会との間で一定の記録の整理をまず先行して進めていただくということになってまいります。

 それが終わりましてから、日本年金機構が保有をしております国の厚生年金の厚生年金本体の記録との突き合わせ。記録の提供を受けて突き合わせの作業をしまして、そこについて合っているかどうか。合っていない部分については所要の調整を経た上で記録の整理について一定のめどをつける。この表の中では「仮完了」と呼んでおります。それを経まして、解散の認可申請と同時に、その仮完了をした記録をベースにして金額の算定等々を並行して行っていただいた上で認可申請を上げていただき、大臣の権限で認可をされて、解散の認可がされた段階で基金の保険者としての運営に一つの区切りがつくということでございます。

 その認可が終了した後、記録の整理に入りました以後の記録を中心に再度調整を図りまして最終的に記録の整理を完了させ、それに基づいて金額を確定させ、基金の財産等々についても確定をさせ、所要の調整を行って手続が終了する。こんな一連の流れでございますが、それを以下のシートにおきまして、各プロセスに分解をして図示をした資料を4ページ以降で御用意をしております。

 4ページがまず、最初の解散の方向性の議決から記録整理の開始という、言ってみればこの手続をスタートする段階でございます。

 これはこの四角の枠囲いにありますように、解散に向けた事務を各当事者間でスタートするということを共有する手続でございます。基金の側から国に解散の方向性の報告をいただき、それを受けて国のほうから御連絡を差し上げ、説明会等々を経て記録の整理が開始をされるという手続でございます。

 この以下の資料でありますのは、関係当事者が誰かということを書いておりますのと、この手続について処理期間の目安というものを表記しておりまして、この体裁は以下でも共通をした流れということでございます。

 続きまして、5ページでございます。

 先ほどの4ページの手続の中で開始が決まるわけですが、5ページの枠囲いにありますように、次の流れは国の被保険者記録の突合に先立ちまして、まず基金と連合会の間で、広い意味での企業年金グループの中で基金記録の整理・突合を行っていただくということでございます。したがいまして、この手続のメーンの部分というのは、5ページの下のほうの2つの楕円でできておりますパーツ。つまり、基金と企業年金連合会との間での記録を突き合わせるという作業でございます。

 なお、その上の欄に点々で囲っておりますが、この一連の作業。まずは、企業年金連合会と基金との間の突合作業、その後に行われます国の厚生年金の記録との突合作業に先立ちまして、基金の中での記録管理の精度を上げていただく必要があるだろうということでございます。ここの点線に囲っておりますのは、記録の突合をしていく上で必要となる準備行為の例示をしたものでございます。

 こういった手続を、一連の手続が入る前に進めていただくことによりまして、以後の手続における手戻りの確率が減るということにもなりますし、一旦手続が始まった後でこういったところに立ち戻ってということになりますと、何段階も手戻りが出ます。ひいてはトータルの手続、トータルの期間にも影響が出てくるということがございます。

 したがいまして、この基金と企業年金連合会、あるいは本体との記録の突き合わせに先立ちまして、基金の中での記録の管理の精度を上げていただくことが非常に重要だということでございまして、この部分についてはこの資料でも明記をしているというところでございます。

 続きまして6ページでございます。

 それで、基金の記録と連合会の記録について一定の整理がなされた後で、言ってみれば企業年金グループの中では一定の整合性が確認されたという後に、6ページにございます国の記録を日本年金機構から提供していただいて、それについて一つ一つ確認をしていくという作業でございます。基金から企業年金連合会を通じて私どものほうに御連絡をいただき、私どもから日本年金機構宛てに提供依頼をして提供いただくというやり方になっております。

 ただ、この一連のやりとりの中でも、例えば照会自体が漏れていたり、あるいは照会をしたけれども提供が漏れている等々の事情もございますので、そういう場合については再度の提供依頼をしていただいて、一連のプロセスの中で確認をしていくということでございます。

 この図の中で☓がしてありますのは、これまで再提供依頼につきましても基金から連合会、国(年金局)→年金機構という流れで行っていただいておりましたが、この部分につきましては、企業年金連合会のところで事務の対応をいただくことについて了解が得られましたので、この手続については不要とし、全体の回答に当たっての事務の手間なり、所要期間についても一定の短縮効果が得られないかということで考えているところでございます。

 次は7ページでございます。

 6ページの手続を経まして、厚生年金本体の記録が提供されますと、提供された記録に基づいて両者の記録の突き合わせをしていくということになってまいります。整合が図られていればそれで終了ということになりますし、不一致があるということになりますと、不一致の点についてリスト化をしていただいて、それを厚生局経由で年金機構に提供し、その確認をしていただくということになってまいります。

 こういった手続については不突合、つまり、利用者の記録について不整合があるという状態の件数が多ければ多いほど、所要の期間が長くなるということになってまいるわけですけれども、この一連の手続についても、今回の措置とあわせて一定の効率化の措置も考えてはどうかということでございます。

 吹き出しに何箇所かございますが、一つは不突合リストをつくる際の磁気媒体化。

 2つ目が、21年3月以前の記録について、別の作業で基金の記録との突合作業が行われておりますので、その作業の成果を活用することが可能であれば、それによって一定の効率化が図られる可能性があると思います。ですので、そういった作業の成果も活用して、作業期間の短縮を図れないかということでございます。

 また、その下のほうにあります吹き出しにございますように、本人確認の作業等々についても、これも日本年金機構で丁寧に手続を行っていただいていますが、それによってこの部分が終了しないと全体が終わらないということにもなってまいりますので、この部分は別の確認作業に委ねることによって、一定の短縮効果が得られないかということを考えているところでございます。

 なお、地方厚生局の欄にありますけれども、注釈を3つ打っております。

 1つは、先ほど申し上げたことと重なりますが、不突合のリストの件数が多いとトータルの作業量が1基金当たりでふえますので、この目安の期間というものが伸びていく可能性があること。

 2点目が、基金からの照会が一時期に集中をするという場合には、それに応じて期間については伸びることがあり得るということ。

 3点目が、数ページ前で申し上げましたが、基金側での記録管理を事前に準備をしていただくことによって、この精度が高まれば不突合の可能性も下がっていく。これがトータルの期間の短縮に役立っていくということで、3点の注釈をつけているところでございます。

 次が8ページでございます。

 7ページまでのプロセスによって、記録について、本体と基金の記録について整合が図られるという前提になりますので、その記録をベースにして責任準備金相当額を算定するというプロセスに入ってまいります。これは文字どおり金額に置きかえる作業ということでございまして、企業年金連合会のほうで金額の算定を行っていただくことになっております。

 ここにつきましても☓をつけておりますが、これまでの手続の中では、このデータの突合を複数回行うというやり方にしておりましたが、今回は解散の認可手続をまずは先に進めるという観点から、この部分については基本的に1クール実施ということでトータルの期間の圧縮を図りたいということでございます。

 次が9ページでございます。

 これで責任準備金の相当額も一応得られたということで、解散認可の申請をいただくということでございます。この認可要件の審査を経て認可がされますと、この認可日をもって保険者としての運営に一つの区切りがつくということでございます。

 それから、10ページでございます。

 これで区切りがつく日程が固まりますと、10ページにまいりまして申請後の記録の整理ということで、先ほどの一連の手続を始める際に、これから手続を始めますよという基準日を決めてやっていくわけですが、それ以後、解散の認可の日までの間の記録を中心に再度の精査を行っていただくというプロセスでございます。これが10ページでございます。

 それで、11ページが、最終的に財産目録等の承認申請を経ていただいて、この承認がされますと基金がお持ちの財産というものも確定をしますので、この財産目録に基づいて金額の納付等々の手続に入っていくということでございまして、以上が解散全体のプロセス。それから、一定の効率化等々を図るという内容でございます。

 なお、12ページには、今回の仕組みで一部全部または一部の前納の手続が認められておりますので、その手続についても簡単に添えております。後ほど御参照いただければと思います。

 以上が解散手続全般でございますが、次に13ページ以降で特例解散の手続についての御説明を申し上げます。

 特例解散につきましては、解散手続は基本的に全部やっていただくという前提で、それに今回の法律で位置づけられた特例の要件に該当しているかどうかの審査。それから、今回認められた事業主の方々が直接国との法的関係を結ぶということに伴う納付計画の提出等々の手続が付加されるということでございまして、そのあたりは14ページの四角のところに書いてございます。

 この特例解散は、通常解散に加えて特例の要件を法定しておりますので、その適合性を確認するということでございます。この適合性については、厚生労働大臣が認定または承認をするということによってその法的な効果が得られますが、後ほどの議題でもありますが、第三者委員会の意見を聞くということが法定をされておりますので、その手続がプラスアルファであるということでございます。

 次の15ページに、特例の部分を特出しした資料を御用意しております。

 解散の手続は全体に共通をいたしますので、その部分については同様だということのみ記しておりますが、あわせましてこの表の真ん中あたり。右のところに9、10が振ってありますけれども、まず特例解散の要件として法定をされております基金の要件等々に適合しているかどうか、適合していますという書類を上げていただくということと、それにあわせて事業主の方々からも連帯債務を外すための納付計画を上げていただくという部分がプラスをされまして、それが国のほうに上げられて、第三者委員会の御意見9を伺った上で大臣の名前で認可等々がされるということを経て、その解散認可に加えて特例解散の手続が動いていくということでございます。

 なお、10-2にありますのは、財産目録の承認等々によって、ここで一旦出していただいた納付計画等々の金額が、基金の財産が多少動くことによって、この納付計画の金額についても多少の変動が生じるので、その部分についての補正の手続が必要になってくるということで、その部分を付記したものでございます。政省令等々で定めるところの特例の要件に該当しているかどうかという点がこのプロセスの中で付記され、確認をされるということでございます。

 次に、16ページでございます。

 その法定の要件について、ここで列記をしたものでございます。12月にごらんいただいた資料ではそれが事項別に整理をされておりましたが、それを改めて箇条書きにしてみたものでございます。○で書いてあるのは7つございます。

 7項目のうちの一番下の解散命令という、これだけちょっと毛色が違いまして、これは今回の健全化法の中で施行後5年以降に厚生年金基金として存続をするためには、法定の存続基準を満たさなければならないことになっておりまして、満たさなくなった基金には解散命令を大臣が発出することができるということになっておりまして、その大臣の命令の発出に当たって、社会保障審議会の意見を聞くということが法定をされております。

 この部分は施行後5年以降に生じる事務でございますので、今回はこの部分については触れてございませんで、上の6個についてごらんをいただきたいということでございます。いずれも法律に根拠のある意見を聞くというプロセスであるということでございます。

 次の17ページをごらんいただきますと、昨年12月の会議でごらんいただきました政省令、それから、関連の通知等を踏まえると、要件としてこんなものがあるということを一覧にしたものがこの17ページでございます。

 後ほどこの右側にあります別紙のほうをごらんいただきますが、並べるとこんな感じなのですけれども、これらについてはかなり客観的な指標等々によって、いわばオートマチックに判断が可能な事項と、判断に当たって観点を整理しておくべき事項の2つがございます。こちらについては、後ほど別紙1、別紙2で詳細をごらんいただこうと思います。

 次の18ページでございますが、18ページが特例解散の中の承認申請の部分でございます。

 この特例に該当するためには、基金としての運営の努力と、事業主から提出いただく計画の合理性の2つが求められるわけですので、その2つについて特例の申請の書類、それから、事業主の方々からは納付計画の提出をいただいて、国にほうに上げていただいて、第三者委員会の議論を経て決めていく。そういうプロセスが18ページでございます。

19ページは10-2でございまして、これは承認を得た後、財産目録の確定を経て、一定の補正をしますよということが書かれているのが19ページでございます。

20ページは一旦定めた納付計画について。納付計画は基本年単位でございますので、この話は1年経過後ぐらいから徐々に出てくるということだと思いますけれども、その変更についても意見を聞くということになっておりますので、そのプロセスが図示されたもの。

21ページは、12月の会でもごらんいただきましたが、清算型基金の指定というプロセスでございます。これは、何もアクションをとらずに国の行為を待つという形での運営は好ましくないという話を12月の会でもいただきましたが、こちらについては一定の準備をした上で指定をするということもありますので、その指定の際のプロセスを図示したものでございます。

 また、次の22ページにございますのが特例解散の流れの中の清算未了特定基金の部分でございます。これは現行法の中で既に解散等々の手続を進めていらっしゃる基金の中で、今回の新しい仕組みを使って連帯債務を外して事業主ごとの計画に置きかえたいという場合にこの事務が出てまいりますが、その手続を図示したものでございます。要件等々については法定をされているということでございます。

 以上が全体の手続。解散全体、それから特例解散等の手続の全体像でございますが、その中で第三者委員会における御審議の事項を絞り込んでいく上でも必要となります整理を、23ページから25ページにかけて、3枚のページで分類をしてございます。

23ページの(別紙1)にございますが、これは特例を、要件として定められているさまざまな事項の中で、客観的な指標等によってかなりオートマチックに審査をすることが可能ではないかと考えられる事項を列記したものでございます。

 例えば、一番上のところにあります数理上合理的とされる掛金を規約でも位置づけていただいているかどうかということ。これは当該基金の掛金の設定の仕方を確認すれば、一義的にマルかバツかがわかります。

 それから、その下の2つ。掛金の比率が一定年度の全国平均より上かどうか。これが相当な努力、あるいは著しい努力というものの要件として位置づけれられる予定ですが、これもそれぞれの数字をたけくらべをして、いわば等号・不等号の関係を整理をすれば、オートマチックに判断が可能でございます。

 また、その下にあります給付抑制の措定についても、給付抑制の措置については通知等々で具体化をしていく予定ですので、それをやっているかどうか、あるいは何個やっているかということは、マルかバツか、あるいは何個かということは判断が可能でございます。

 その下にあります業務運営に要する費用の抑制措置等々についても同様でございますし、責任準備金の相当額を掛金の増加によって上回ることが可能かどうか、困難かどうかという点もその基金の成熟度というもの、受給者と加入者の比率等々と確認することで、これもオートマチックな判断が可能であろう。

 それから、その下にあります5個の項目につきましても、決算報告書等々によってこの要件を満たしているかどうかということは、もちろん御審議の事項ではございますが、あらかじめその等号・不等号、あるいはマルかバツかということを確認することによって、オートマチックな判断が可能ではないかと考えております。

 それに対しまして、次の24ページ、25ページにあります、論点を3つ添えておりますが、これらの事項につきましては第三者委員会での御審議に当たって、御審議いただく際の観点について少し整理が必要かなということで以下、資料を御用意しております。

 まず、(論点1)が、事業主の方々から提出をいただく計画の猶予額・猶予期間。特に今回の仕組みは猶予期間を最長15年から最長30年に変更しておりますので、この部分についてどのように御審議をいただくのかという点については整理が必要だろうということで、ここに用意をしております。

 1 から4までございますが、1は事業主から提出をいただく納付計画、あるいは今回の仕組みを使った連帯債務外し、あるいは国と事業主の間の法的な関係の法的な性質として記載をしているものでございます。

 全体といたしましては、現行の制度下では国との法的関係は基金との間にしかございませんで、国と事業主との間には直接の法的な関係はございません。逆に、基金は事業主との間で連帯債務の関係があるという格好になっていまして、国と事業主の法的な関係は直接にはないというのが現在の仕組みでございます。その関係を置きかえる形になるのが今回の仕組みでございまして、いわば基金と事業主の方からそれぞれ紙を出していただいて、事業主の方からはこれだけの金額を私は国に払います、これだけの期間で払いますということをお申し出をいただいて、それを承認するということによって国と基金とだけにあった法的な関係を置きかえて、国と基金、国と事業主との関係に置きかえるという作業でございます。

 そういたしますと、この事業主との行為といいますのは、いわば債務承認、あるは債務引受というような分類も可能だろうと思っております。でありますれば、2で触れます法的なフレームが大前提にはなりますが、その範囲内で事業主の御意向というのが債務承認をする、債務引受をするからには一定程度尊重するということにも合理性があるのではないかというのが1でございます。

 次に2でございますが、猶予期間については法的なフレームが既に用意をされていまして、大体4分類になっております。原則5年以内。やむを得ない理由があるときは最長10年。それにプラスアルファの、猶予期間でやむを得ない理由があるときに15年。それから、最長30年という4段階でございます。ですので、この4段階のどれに該当するのか、どの要件に該当しているのかという点については法律のフレームですので、この要件の該当性については第三者委員会で厳格にチェックをしていただく必要があるだろうと思っております。

 ただ、この範囲内で1にあります事業主の方からの申し越しの年数というものがあって、それが2の最長何年という要件に適合しているのであれば、その部分については尊重するという仕組みでいかがということでございます。

 ひっくり返して言いますと、事業主の方から例えば18年でいきたいという話があって、その事業主の方、あるいはその事業主の方が属している基金の要件からは最長15年しか認められないということであれば、18年を認めることはできません、最長15年ということになりますので、そちらが当然優先をされるということでございますが、法的な区分を大前提としつつ、その範囲内で1に示された事業主の御意向というのを一定尊重するということが、厚生年金本体と基金の事業主の間の公平ということにかなうのかなということで、このような整理を御用意しております。

 なお、払えるのかどうかという話につきましては4にありますけれども、基金の当時の掛金の納付状況というものが一つの手がかりになります。この部分についてきちんと払っていただいている、あるいは一時滞納があったけれども、その部分についても合理的に解消に向かっているということが認められるのであれば返していただきやすいということについても合理性を認めるということでいかがでしょうかということでございます。

 次が25ページ、(論点2)(論点3)でございます。

 (論点1)で期間が決まったといたしますと、その期間の中での各年の払っていただき方に関する部分が(論点2)でございます。

 この部分につきましては、下に「○合理的と考えられる事例」ということで2つのパターンを添えておりますが、まず全体としては(論点1)でも触れましたが、事業主の債務承認だということがありますので申し出が一つのベースにはなります。ですが、2にありますように、図示したこういったパターン。例えば元利均等割、あるいは前に詰めて払うというお話については一見合理的でございますので、こういった形で計画が出てくれば一見して合理的だという判断をしてもよろしいのではないかということでございます。

 それから、3で2以外の方法による納付を御希望される方もいらっしゃるかもしれません。例えば、ある年度の額だけがぽんと飛び出ているとかそういう話もあるかもしれません。そういったケースにつきましては、その払い方が合理的だということの疎明をしていただく必要があるだろうと思っておりまして、そういった書類を添えていただいて、その合理性についてはこの委員会での御審議に供してはどうかということでございます。

 なお、この合理的と考えられる事例以外のケースにつきましては、※でも添えておりますが、特に猶予期間が長期にわたる場合。例えば15年、あるいは30年といったケースについては、いわば長期間にすること自体によって厚生年金本体も一定のリスクをとっているということになりますので、特に長い期間については基本合理的と考えられる事例の形態でお願いをしたいということでございます。

 それから(論点3)が、事業主のごとの負担方法でございます。これは基本は基金の自治の案件でございまして、規約で定めるということになりますが、これまでの解散の事例等々から見ましても、報酬総額あるいは加入員数、加入員の人数で按分をするというケースが多いように思いますし、そういったケースは合理的であろうと。

 それから3にありますが、それ以外の按分方法、あるいはそれらを加味するということもあり得ますが、それらについてはそのやり方が適正だということの理由を疎明をいただくということでいかがかということでございます。

 この点につきましても※に添えておりますが、負担能力の問題、それから厚生年金本体との観点というものも忘れずに考える必要があるのではないかということでございます。

 以上が資料2の説明でございます。

 

○山崎部会長

 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明のありました資料につきまして、委員の皆様から御質問や御意見等いただきたいと思います。

 はい、平川委員。

 

○平川委員

 御説明ありがとうございました。

 ホームページで厚生年金基金の2012年度の監査結果を見させていただきました。今回の解散手続の関係で、財産目録の作成とか記録の管理は相当精度高くやっていく必要があるのではないかと思っております。

 ただ、この監査結果を見ますと、一部の基金だとは思いますが、ずさんな管理運営というのが若干見られるということであります。こういう状況でありますので、基金のずさんな管理運営というのは年金の信頼にも影響しますし、場合によっては厚生年金の本体部分も含めて積立金などが棄損する形で影響が出ると考えておりますので、引き続きしっかりと厚生労働省として対応していただく必要があるのではないかと考えているところであります。

 その上で、2点ほど意見を述べさせていただきたいと思います。

 最後のほうに論点として出されておりました、資料2-1、24ページのところです。「○検討が必要な事項」の部分についてでございます。そのうち(論点1)の2の猶予期間の問題です。

 猶予期間が最長30年になるということで、これ自身、大変配慮した制度であると思いますが、確実に猶予期間内に納付されることが大前提であると思っているところであります。第三者委員会の中では、やはり10年、15年、30年という期間の中でしっかりと納付されるかどうかという、その辺の判断が迫られてくるのではないかと思っているところであります。場合によっては猶予期間が、5年が10年、もしくは10年だったのが15年になってしまうということで、ずるずるとなし崩し的にならないように対応すべきではないかと思っているところであります。

 それから、2点目です。25ページの「○検討が必要な事項」の(論点2)でございますが、各年ごとの納付額の設定の関係ですが、例えば猶予期間が5年以上になる場合はどうしていくのかということも考えなければならないのではないかと思います。

 合理的と認められる事例については、「均等割」、もしくは「時間の経過とともに減少」という2つのパターンが記載されておりまして、基本的にはこれらがベストでありますし、5年以上となったら示されている事例以外は認めないということも含めて検討すべきではないかと考えているところであります。

 以上、意見を述べさせていただきました。

 

○山崎部会長

 どうぞ。

 

○黒田課長

 ありがとうございます。2点御意見いただきました。

 まず、前半の部分でございます。今回の仕組みは、基金を早期に解散していただくということが基金の事業主の方々にとっても、加入者の方々にとっても、厚年本体にとってもメリットがあるということで、両者のいわば調和を図るという観点で整理をされたもの。法律をつくっていただいて、その運用をやれと行政に言っていただいた。そういう仕組みだと思っておりますので、この法律の範囲を前提にした上で、その両者の均衡、公平がきちんと確保されるようにということが運営の基本だろうと思います。

 それで、納付いただけるかどうかという話については、この計画が出てきた時点、今の時点で将来のことも含めて判断をするということになりますので、一定の不確実さということがどうしても伴う面はございます。ですが、払っていただけるかどうか等々の合理性につきましては、資料で添えておるのですけれども、参考資料の2の16ページをごらんいただければと思います。

 参考資料の2の「厚生年金基金に関する基礎資料」という資料がございまして、それの16ページに、現在基金として運営をいただいている上での掛金の考え方について、御参考までに御紹介をしたいと思いますが、現在、厚生年金基金は、御案内のとおり厚生年金の代行部分と上乗せ部分との両方を込み込みで運営をしておりますが、それについて上乗せ部分の積み立て不足、あるいは代行部分の積み立て不足があるということがございます。こういったケースにつきましては、現在両方、上乗せ部分と代行部分の積み立て不足込み込みで、原則最長20年で償却をするというやり方になっていて、これがいわば掛金に反映をされた形になっております。

 であるとしますと、こういった部分につきましては、今、原則20年償却をやっているということになるので、そういう意味でも資料にございますように、今回は解散なり代行返上という形で厚生年金の運営を一区切りするということを前提に、その上で足りないお金を分割で払っていくということになるのですが、その現在の掛金設定から考えても今のやり方を一つの手がかりにすることによって、一定期間以上の延べ払いと言いますかその払い方、その中で、今の掛金をきちんと払っていただいているということであれば、支払っていただく蓋然性というものも一定確認はできるのではないかということで、まずは入り口の段階での整理にしてはどうかということでございます。

 それから、将来事情が変わった場合の変更につきましては、先ほど申し上げましたが、この納付計画は年単位でございまして、言ってみれば1年経過後、2年目、3年目に入るところから変更というお話が入ってくるということになります。この部分につきましては、まだ私ども入り口に立っておりますが、まずは新規に事業主の方からいただく計画というものをよく見せていただいた上で、その変更に際してどのような観点で臨むのかという点については改めて整理をする必要があるのだろうと思います。ですので、基本、まずはこのラインで始めたいと思いますし、その上で、変更に際して留意すべき点というものも整理をしながら、事例を蓄積しながら進んでいきたいと考えております。

 それから、2点目につきましては、厚生年金本体との観点にも配慮が必要だということで、25ページの資料にも注を付させていただているところでございます。今の段階ではこれ以外の事例は一切認めないというところまで書いておりません。実際に出てくる事案もございますでしょうからそこまでは書いておりませんが、基本はこの姿ということができるだけお伝えしやすいようにということでこのような記載にしているというところでございます。

 この部分につきましても、事例の蓄積を見ながらこういった基準をより充実させていく必要があるのかどうかという点も含めて検討して、結論を得ていくというスタンスであるということでございます。

 

○山崎部会長

 平川委員、いかがですか。

 

○平川委員

 はい、いいです。

 

○山崎部会長

 ほかに。

 臼杵委員、お願いします。

 

○臼杵委員

 御説明ありがとうございました。

 2点ほど御要望というかお願い、あるいは質問かもしれませんけれども、お伺いしたいと思います。

 1つ目は、大体3ページの手続の図でお聞きしますけれども、先ほど解散をする基金が一度に特例も含めて申請がたくさん出てきた場合には手続に少し時間がかかるかもしれないというお話があったと思うのですが、済みません、確認なのですけれども、それはここでいうと3、4、5あたりのことになるのですか。

 

○山崎部会長

 どうぞ。

 

○黒田課長

 3、4、5あたりですが、特にその作業の負荷が高まるという意味でいきますと、4ということになります。

 

○臼杵委員

 それはやはり日本年金機構さんのところで相当ワークロードが出るということですか。

 

○山崎部会長

 どうぞ。

 

○黒田課長

 年金機構との関係でもございますし、企業年金連合会と基金との間でも同様の事情が生じうるということです。

 

○臼杵委員 済みません。細かい話ですけれども、例えば企年連さんはこれにかける人をふやすとかそういうことはできるのですか。

 

○山崎部会長

 どうぞ。

 

○黒田課長

 この部分につきましては、まずは現在いるスタッフの中で。これは掛金を原資に運営をされている仕組みということをまずは前提に置きます。その上で、どれぐらいの業務の負荷なのかということはよく見せていただいた上でということになりますが、まずは現行の体制がベースということになります。

 

○臼杵委員

 例えば、もし業務の負荷が非常に大きければ、何らかの応援というかそういうことも考えられるということですか。人間か、あるいはお金になるのかわかりませんが。

 

○山崎部会長

 どうぞ。

 

○黒田課長

 この部分につきましては、予算であったり人員の制約の中でということになりますので、その時点の状況に応じて関係者の方とは御相談していくということにはなりますが、やはりコストとの見合いですとか、それぞれの組織が置かれた制約の中での判断ということはどうしても出てくるということは御案内のとおりでございます。

 

○臼杵委員

 難しい面もあるとは思いますけれども、そこら辺は少しフレキシブルにお考えいただいて、予算とか人員とか、日本年金機構とか連合会あたりでなるべくスムーズに進むようにしていただければなと思います。

 それから、2点目なのですけれども、この手続が進んでいる、これは全部足すと1年半ぐらいになるのですかね。その間は、責任準備金の計算というのはどういう形になりますか。やはり厚生年金本体の利回りでふえていくという理解でよろしいのですか。

 

○山内室長

 基本的には解散する日までは、本体の利回りで変化するということになります。

 ただ、今回、12月18日にこの部会でも御議論いただきましたように、解散計画を出せば、代行割れ相当部分については、特例解散後に適用される国債の利回りをベースとしたものを適用することも可能といったようなことなどを整備することになります。

 

○臼杵委員

 そうすると、それは表の中の6から後ということぐらいの感じになるのですか。

 

○山内室長

 解散計画をどの段階で出すかということになります。

 

○臼杵委員

 私がちょっと懸念していますのは、前にもそういう御説明はちょっといただきましたけれども、2003年ぐらいのときに代行返上で、実際それがどのぐらいマーケットに影響があったかというはいろいろ議論があるとは思うのですが、非常に株が売られて代行返上がやり玉に上がったというのは事実としてありますので、そのあたり。もちろん解散後が国債の利回りということになると、結局国債を持つのかどうか、基金の行動がどういうふうに動くかというのはちょっと難しいのですけれども、場合によっては逆に本体のほうの、例えばGPIFと同じ資産を配分にしていればほとんど大丈夫だというような形にしていくと、そのままそれをGPIFに持っていくようなことも考えられないこともないのかなとはちょっと思うのです。そのあたりを少し、今後御検討いただければと思うのですが、いかがでしょうか。

 

○山内室長

 今、申し上げました国債の利回りに対応する分というのは、代行割れ相当分ということなので、基金にとっては対応する資産がない部分なのです。基本的には、解散までの間どういう運用をされるかというのは各基金で御判断いただくということだと思いますけれども、考え方の一つとして、資産のある部分については厚生年金本体の運用と合わせるといったようなことも可能性としてはあるのだと思います。そういう場合には、代行割れ相当分は、あらかじめ考えやすい利回りでもって利子がつくので、解散までの最低責任準備の変化が見通しやすいといったようなことにはなると思います。

 それから、もう一つ。今回の仕組みでも、代行返上のときもそうでしたけれども、一定の条件のもとでの物納ということは可能になっておりますので、どういう仕組みをどういうふうに活用して解散、どういう形で最低責任準備金を返還するかといったようなことは、各基金における運用の状況とか資産の状況といったものの関係でいろいろと御検討いただければと考えております。

 

○臼杵委員

 わかりました。ただ、実際、前回のときも物納はかなりあったのですか。余りなかったような感じもしないこともないのです。

 

○黒田課長

 事例はございます。

 

○臼杵委員

 ただ、かなりの年金が1回は現金にしたというのも確かにあったと思います。その辺はできるだけフレキシブルにやっていただければと思います。もちろん基金とGPIFというのは2つ別々のエンティティーというか法人ですけれども、厚生年金という全体の枠で見ると、基金が一回売ったものをまた厚年本体で買うというのはかなり非効率なところはどうしても否めません。全体として見れば結局同じになるわけですから。それがあるので、その辺は少し考えていってもいいところもあるのかなという気がするのです。

 

○黒田課長

 ありがとうございます。

 厚生年金全体の資産の持ち方については、いろいろな議論が別の場でも行われております。その中で、厚年本体の運用がとるべきリスクというものについてもかなり精度を上げて把握しようというお話がございますので、例えばパッシブというかインデックス運用的なものについても一定の乖離幅の範囲内でなければいけないとか、かなり厳格な精度管理をされているという状況だと承知をしておりますので、物納の要件についてもそういった厚生年金の、言ってみれば高度化され精緻化されていく動きと適合的な形でということになっていくだろうと思います。その範囲内で現在の要件も一定設定をされていると思いますが、まずはそういった仕組みの御活用についても選択肢にはなりますので、そういったことをお考えいただくということも一つのやり方だとは思いますし、今回の特例解散等でも認められているということは私どもとしてもお知らせをしていきたいと思います。

 

○山崎部会長

 ほかにございますでしょうか。

 大井川代理人、どうぞ。

 

○山本委員(代理人・大井川)

 ちょっと細かい部分で確認をさせていただきたい。既に御説明いただいていたかもしれませんが、納付計画の承認要件のところで、基本的には事業主の負担する納付計画が適正なのかどうか、あらかじめ厚労省さんで数理計算等に基づいて出されると思うのですけれども、例えば事業主には当然早く納付をしていただく、期間は短ければ短いほうがいいということになると思うのですけれども、本来であれば10年ぐらいでないとこの事業主は無理ではないかというような事業主であったとしても、5年間で申請してきたりするケースがあると思うのですが、繰り上げ納付だとか、逆に、例えば10年で計画を立ててそれが承認された後に、何らかのさらにやむを得ない事情が生じて、再びその納付計画を変えるとしたら、どういう取扱いになるのか、確認させていただけますか。

 

○黒田課長

 ありがとうございます。

 今、お話しのように、できるだけ早く返したいというお話は、特にそういうリスクから早く離脱をして、企業や従業員の方を守りたいというお気持ちがある場合に、ある意味合理的なやり方だと思います。

 無理に前詰めした計画をつくらなくても、まず一旦計画を立てていただいた上で、状況が可能になったときにそれを前倒しする形での変更をしていただくということは制度上認められておりまして、一旦計画をつくった上で前倒しで払っていただく際には厚年本体にはメリットがあるので、この部分については第三者委員会の御判断をいただかなくてもオーケーということに制度上なっております。ですので、御心配のようなことについては、むしろ仕組みもあるので、柔軟にできますというお話は私どもとしてもきちんと周知をしていきたいと思います。

 逆に、一旦立てた計画を後ろ倒しに変更する場合には厚年本体との関連が出てまいりますので、変更に際しては第三者委員会の御審議をいただく必要があるということになっております。お話はどちらかというと前者のほうだと思いますので、前者のほうにつきましては、今、申し上げたようにその部分が前倒しする点についてはフレキシブルだということを申し上げておきたいと思います。

 

○山崎部会長

 はい、冨高委員。

 

○冨高委員

 1点意見と、1点質問なのですが、まず特例解散手続のところで、当然代議員会の議決が前提にはなっていますが、それに至るステップとして、附帯決議を踏まえて加入員とか受給者の方に対して基金の財務状況とか解散方法、移行先の選択肢も含めて必要な情報が早期に行き届いて、その上で最善の意思決定がなされた結果なのかというところも含めて、専門委員会への報告を求め、審議するべきではないかと思うのがまず1点、意見としてお伝えしたいと思います。

 あともう一つですが、ちょっと先ほど黒田課長のほうから毛色が若干違うということでお話しされたかと思うのですが、法施行後5年経過後の財政運営の点で、最低積立基準額、または最低責任準備金の1.5倍のいずれか低い額までの不足分を翌年度末までに回復させる措置をとればよいとなっていますが、例えばそれを繰り返すような基金がある場合、企業年金部会でどのように取り扱うのかということについて、お考えがあればお伺いしたいと思います。これは質問です。

 

○山崎部会長

 どうぞ。

 

○黒田課長

 ありがとうございます。

 前者のお話につきましては、今回の委員会は特例解散の部分を審議する委員会ですが、むしろ特例解散に限らず解散、あるいは代行返上等々に、全体に通底するお話だと思いますので、委員会でというよりは、この部会に私どものほうから定期的に、報告の仕方は少し検討させていただきますが、私どものほうから報告をさせていただくという形にさせていただきたいと思います。

 2点目につきましては、これは正直まだそこまで私ども頭が追いついていないというところがありますが、まだルールが動き出すまでの間に少しいとまがありますので、制度論、あるいはこの委員会の運用状況も見ながらこの部会で議論を深めて、そういった場合にどう対応するのかという点についても、少し時間をかけながらイメージを固めていくのにふさわしいテーマだろうと思います。

 

○山崎部会長

 どうぞ。

 

○冨高委員

 了解しました。

 1回目のこの部会でもお伝えしたように、今の2点目の御回答につきましては、基本的には基準を満たさなければ解散命令を発動するべきというふうに発言させていただきましたが、やはりそのような実態を繰り返すような基金については専門委員会の審議対象にするべきではないかと思いますので、今後の議論の中で御検討いただければと思います。

 以上です。

 

○山崎部会長

 ほかにございますでしょうか。

 はい、高崎委員。

 

○高崎委員

 今回、プロセスについて詳細にお話しいただいたので、だんだん具体化して見えてきている部分があると思うのですけれども、解散手続、特例解散、両方の手続ともそうなのですが、実際にこれが認可という結論が出るまでに、基金側の記録の整備の状況次第というところもあるものの、やはり1年以上、全部のプロセスが終わるまでやはり1年半近くというのが標準パターンとして今なっていますので、これで5年後ぐらいにどんどん期限が迫ってくるときに申請がふえる中で、基金側はともかくとして、企業年金連合会であったり日本年金機構さんであったり、先ほど臼杵委員のほうからもありましたけれども、やはり業務負荷が急にふえてかなり大変なことになる可能性というのはあると思っています。

 そうならないためにも、できるだけ早期に解散に向けて意思決定をしていくことが重要であり、それを促すような形で背中を押してあげるといいますか、考えていただくように啓蒙というかいろいろ情報提供ですとか、この仕組みについての理解を深めていただくことが重要だと思いますが、そのあたりについてどのような形で考えていらっしゃるのですか。

 

○黒田課長

 ありがとうございます。まさにそのとおりだと思います。

 まずは、プロセス自身について、今回一定の効率化なりという方法を御提案しているわけですけれども、事例を積み重ねる中でもう少しプロセス自身をショートカットできる部分がないのかとかいう話は継続的にと言いますか、今より以上にできないかということは当然模索をしていきたいと思います。

 それから、こういう手続になるのだということ自身を今回資料で少しお示しをしているわけですが、こういうものが広く共有されること自身も議論を前に進めていく効果はあるのだろうと思いますので、先生方の御理解を一定程度いただけるなら、こういうことも私どもとしてはきちんとお伝えをしてはいきたいと思います。

 それから、今のお話に少し関連をしますのでちょっと御紹介いたしますが、参考資料の2の17ページに、どれぐらい進捗していますかということで、これは前回の部会、あるいは初回の部会のときも少し数字をお出ししていました。それを時点更新したものを御用意しております。

 参考資料2の17ページですが、前回の12月の部会の際は543基金のうちで解散内諾済、あるいは将来返上済が137でしたので、大体4分の1でございましたが、その後手続の進捗等々を経て、既に解散を決めたところが分母から外れますが、現在は534基金のうち195にふえておりまして、大体3分の1ぐらいの基金が方向性を見定めているということでございます。

 ですので、こんな足元の状況ではありますが、お話のラインに沿って、むしろこういう手続ですよとかこういう点をやらないと早く進まないのですよというようなお話を丁寧にしていくことによって、お話のようなことが実現できるようにしていきたいと思います。

 ありがとうございます。

 

○高崎委員

 ありがとうございます。

 

○山崎部会長

 ほかに。

 清家代理人。

 

○小林委員(代理人・清家)

 きょう、事務局のほうから御説明のありました別紙2-1と2-2ですね。24ページ、25ページ。これについてちょっとコメントさせていただきます。

 基本的にはここで書かれたベースで進めていただいてよろしいのではないかと考えておりますが、1点確認をさせていただきたいのが、25ページの(論点2)につきまして、納付額の設定についてここに書かれた2通りが合理的だとされているのですけれども、3の2つ目の※に「特に、猶予期間が長期にわたる場合」とあるのですが、2-1をごらんいただくと、猶予期間は原則5年以内で、さらに最長10年、15年、30年とある。それで「猶予期間が長期にわたる場合」といった場合に、15年、30年は恐らく長期にわたると言えるかと思いますが、例えば10年はどうなのかといったところもなかなかちょっと微妙なところがあるのかなと思いますが、そのあたりどう考えればいいのかという点を確認させていただければと思います。

 それからもう一点は、1つ上の※です。「当該期間に納付できる根拠書類(入金に係る契約書等)」とあるのですけれども、これは、例えば先ほどの5年であれば、例えば4年目とか5年目に何らかの形で収入があるだろうということであればわからないでもない。ただ、それがまた10年といった場合に8年とか9年とかかなり後ろになってきて、厚年本体から見るとちょっとリスクが懸念されるかなといったところもあるかと思いますが、そのあたりもあわせて御説明いただければと思います。

 

○黒田課長

 ありがとうございます。

 まず、ここの25ページの(論点2)の3の長期というのはどれぐらいの期間を想定していますかというお尋ねですが、説明の際に少し添えましたが、これまで最長15年になっていたということ、それから今回30年まで認められたということなので、私どもの念頭にあるのは15年、あるいは30年コースということでございます。その上で、この上の※の話になりますが、やはり規則的なやり方の例外のような形、あるいは例外的にある年度だけぽこんと飛び出しているとかそういうお話だと思いますので、その部分についての根拠の確からしさということがどうなのですかということを疎明していただくイメージでおりますが、やはり疎明の力はもちろん年が近いほど説得力がありますし、それが先に延びるとその疎明の力はだんだん薄らいでいくということになろうかと思います。

 それで、この段階では、これを何年までしか認めませんというところまでもしませんし、実際どういう案件が出てくるのかにも応じてだと思いますけれども、25ページに何箇所か書いておりますように、この仕組みの調和点。つまり、厚生年金本体の立場と基金をつくっていただいている事業主の方、あるいはその加入者の方の両方の調和点で、その微妙なバランスの中に今回の仕組みができているということは、この仕組みをつくっていただいた原点だと思いますので、どちらかに偏らないように、両方の観点というものは常に意識をして考えていくということになろうかと思います。

 

○山崎部会長

 よろしいでしょうか。

 それでは、事務局の説明、それから、本日の委員の皆様からいただいた御意見を踏まえまして、今後特例解散等の手続を行っていくことでよろしいでしょうか。

 

(「異議なし」と声あり)

 

○山崎部会長

 ありがとうございました。

 続きまして「『厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会(仮称)』の設置について」、事務局より資料の説明をお願いいたします。

 

○黒田課長

 続きまして、資料の3をごらんいただければと思います。

 先ほど資料2でごらんいただきました諸点をもとにいたしまして、社会保障審議会での意見を聞くとされた受け皿といたしまして、資料の3にございますように、社会保障審議会企業年金部会の下に「厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会」というものを置いてはいかがかということで資料を御用意しております。

 この委員会の審議事項については、先ほど資料の2にありましたように法定をされておりますので、その法定をされた事項が審議事項。いわば法によって与えられた施行事務について御意見をいただくという会だという位置づけでいかがかということで考えております。

 それで、2.にありますが、委員会の構成でございますが、企業年金部会のもとに置かれるということがございますので、委員長につきましては部会委員の中から部会長の御指名という形でいかがかと思いますし、それから、委員の方々につきましては有識者、専門職等の中から、部会長とも御相談の上で人選を進めるということではいかがかということでございます。

 なお、これまでのこの会の御議論でもたびたび出ておりますように、この仕組み自身が厚生年金本体と、今回の基金の労使、事業主、加入員の双方の立場にということが大前提でございますので、委員の人選に当たりましては労使の御協力もいただきながら人選を進めていきたいと考えております。

 それから、開催の頻度ですが、基金側からの申し越しを受けてできるだけ速やかにやっていく必要もございますので、構えとしてはおおむね月1回程度の開催ということで考えてございます。

 開催状況につきましては、定期的に部会に御報告というイメージでおります。

 また、委員会の規則でございますけれども、おめくりいただきまして、ちょっと先にまいりまして第8条、第9条、第10条あたりをごらんいただきますと、まず議事といたしまして委員の3分の1の出席ということで考えておりますのと、それから、第9条になりますが、この委員会の審議事項は、先ほどからもお話出ておりますが、企業の運営の機微にかかわる部分でもございますので、調査審議自体は非公開といたしました上で、第10条にございますように、議事要旨を公開するという形で透明性との両立を図りたいと考えてございまして、そのような規則案とともに御提案をさせていただきたいと思います。

 以上です。

 

○山崎部会長

 それでは、ただいまの説明につきまして、皆さんから御意見や御質問等をいただきたいと思います。

 よろしいでしょうか。

 大井川代理人。

 

○山本委員(代理人・大井川)

 第三者委員会の審査についてですが、公的年金本体に毀損が生じないようにすることは、一番大切だとは認識しております。ただ、この特例解散制度自体の趣旨から言えば、事業主の方々も別にそういう状況になりたくてなったわけではないということがありますので、可能な限り第三者委員会での猶予期間の審議においては「やむを得ない理由」の範囲について、委員会の方々の判断基準がいろいろ違うのかなと思うのですけれども、可能な限り事業者を生かしていくような形で両者のバランスを見ながら審査をしていただければなと思っております。これはあくまで所感でございます。

 

○山崎部会長

 そのほか。

 それでは、厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会の設置につきましては、事務局提案のとおり進めてよろしいでしょうか。

 

(「異議なし」と声あり)

 

○山崎部会長

 ありがとうございます。

 なお、委員長につきましては部会長が指名することとなっておりますが、本部会の部会長代理の森戸委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 一言、お願いいたします。

 

森戸部会長代理

 今、御指名いただきましたので、この審議会とか部会のように政策の報告を議論する場とはまた違いまして、こちらの第三者委員会は、実際の事業主なり従業員なり受給者の権利義務に直接かかわる判断をする場ですので、非常に責任は重いと思っております。

 先ほど大井川代理人がおっしゃったことの繰り返しみたいになりますけれども、厚年本体へのマイナスの影響を可能な限り少なく抑えて、しかし、厚年基金の解散手続を可能な限りフェアに。フェアにというのはいろいろなフェアが、各当事者間、当事者内のいろいろなフェアという観点があると思いますが、可能な限りその解散手続をフェアに進めていくという、そういう法の趣旨に従って仕事をしていきたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

 

○山崎部会長

 では、よろしくお願いいたします。

 予定の時間には達していませんが、本日の審議についてはそろそろ終了させていただきたいと思います。

 次回の開催について、事務局より連絡はありますでしょうか。

 

○藤井審議官 御礼だけ申し上げたいと思います。

 本日は貴重な御意見をありがとうございました。いただいた御意見を踏まえまして、4月1日の健全化法の施行に向けまして準備を進めますとともに、適切な施行に努めてまいりたいと思います。

 特に、本日幾つか御意見いただきましたけれども、関係の基金の皆さん、あるいは事業主の皆さんに対する周知につきましては、さらに意を用いていきたいと考えておりますし、きょういただきました幾つかの論点につきましても、しっかりと検討を進めていきたいと思っております。

 また、第三者委員会も、今回の健全化法の施行につきましては、いわば肝のような役割なろうかと思いますので、森戸先生、ぜひよろしくお願いをいたします。

 以上でございます。

 

○黒田課長

 なお、次回の部会の開催日時につきましては、各委員の御都合をお伺いした上で、調整をさせていただいた上で再度御案内申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○山崎部会長

 ありがとうございました。

 それでは、本日の審議を終了いたします。御多忙の折お集まりいただきましてありがとうございました。

 

(了)