2014年6月4日 第4回社会保障審議会企業年金部会議事録
年金局
○日時
平成26年6月4日(水)14:00~16:00
○場所
都道府県会館 1階101大会議室
○出席者
山崎部会長 井戸委員 小林委員 白波瀬委員 鈴木委員
高崎委員 冨高委員 平川委員 森戸委員
○議題
(1)企業年金制度の現状等について
(2)次回以降の進め方について
(3)その他
○議事
○山崎部会長
定刻のちょっと前でございますが、皆様御出席なので始めたいと思います。
お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。
本日、臼杵委員、山本委員から御欠席の連絡をいただいております。
また、御出席いただきました委員の方が3分の1を超えていますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
それでは、議事に入らせていただきます。カメラの方は、ここで退室をお願いいたします。
(カメラ退室)
○山崎部会長
資料の説明の前に、まず事務局から資料の確認をお願いいたします。
○黒田課長
それでは、資料の確認をさせていただきます。本日配付の資料でございますが、
資料1:社会保障審議会企業年金部会委員名簿
資料2:企業年金制度の現状等について
資料3:次回以降の進め方について(案)
参考資料1:社会保障審議会企業年金部会運営規則
を配付させていただいております。
資料の不備等ございましたら、お知らせいただければ幸いです。
○山崎部会長
ありがとうございます。
まず、今回から企業年金等の制度のあり方の議論を始めるに当たりまして、香取年金局長より一言挨拶をお願いいたします。
○香取局長
年金局長でございます。お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。
昨年の秋にこの部会を新しく設置をいたしました。この間、3回にわたりまして昨年成立いたしました厚生年金基金制度の改正の施行に向けての御議論をいただいてまいりました。おかげさまで本年4月から、当初予定どおり法案は施行されております。この間の委員各位の御尽力に改めて御礼を申し上げる次第でございます。
年度も変わりまして、今回以降は企業年金、私的年金の制度のあり方について御議論いただくということになります。御案内のように、昨日、厚生年金、国民年金、公的本体の財政検証の結果を公表いたしたところでございます。きのう、きょう、マスコミ、新聞等でも大きく報道されてございますが、御案内のように現在の公的年金制度は、平成16年の制度改正で、マクロスライドという制度を導入してございます。これは、現役の負担と受給者のバランスをとるということで、保険者の上限を固定して、給付で長期的に年金財政を均衡させるという制度が入っているわけでございまして、この制度によりまして、年金制度は今後、何十年かの期間をかけて所得代替率50%まで、財政の状況によっては50%の前でとまることもあるわけですが、徐々に調整をしていくというスキームが入っているということになります。その意味では、公的年金制度の給付水準は、長期的には少しずつ下がっていくというのが制度的にビルトインされているということになってございます。
本体の議論でもありますけれども、他方でさまざまな働き方をしている方がふえている。非正規の方々の問題や、あるいは従来であれば結婚されて3号になる方々が少なくなっている。女性も多くの方々が働き手になっているというような状況の中で、お一人お一人のライフスタイルが大きく変わっている。働き方も多様化しているという中で、ある意味では制度的につくられた、割と画一的な所得保障とは別に、それぞれの個々人のライフスタイルに合わせた老後の生活設計というものを行っていくことが可能になるような制度をつくっていくということが大きな課題になってございます。
この点は、日本だけではございませんで、諸外国の年金制度を見ても、どこの国も公的年金制度が財政的に非常に厳しい状況にありますし、多様な働き方をされている方がふえているということで、公的年金と、いわゆる私的年金と言いますか、日本で言う3階に相当する企業年金、あるいは私的年金を組み合わせて、一人一人の生活に合った老後の所得保障を図っていくという方向での制度改正というものが行われておりまして、一種、それは先進国の老後の所得保障の大きな流れということになっていると理解してございます。
OECD等の統計でも、最近は公的年金だけではございませんで、ある程度一定以上の加入がある私的年金は、いわば公的年金に準ずる所得保障の制度ということで、その両者を足し合わせて制度的な保障の水準をお示しをするというようなことが行われてきております。その意味で、厚生年金制度の見直しの後、基金の制度の見直しの後、我が国の企業年金をどのように示されていくかということは、非常に大きな今後の課題であると私どもは考えてございます。
確定給付企業年金制度、あるいは確定拠出年金制度、DB、DCそれぞれ施行後既に10年余りを経過してございます。こういった社会経済情勢の変化や、公的年金制度の動向を含めて、今後、上乗せ年金である企業年金等のあり方について全体的な見直し、組み立て直しというのが必要だと私も考えてございます。
そのような観点から、大変重要な、かつ難しい御議論をお願いすることになると思ってございますけれども、当部会の先生方におかれましては、ぜひとも精力的で建設的な御議論を進めていただけますように、私からもお願い申し上げて、冒頭の御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○山崎部会長
ありがとうございました。
本日は「企業年金制度の現状等について」を主な議題とします。
それでは、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○黒田課長
それでは、お手元の資料2をもとに「企業年金制度の現状等について」御説明を申し上げたいと思います。
ページをめくっていただきまして、真ん中のところに通しページが打ってございます。
この資料は2部構成で、まず最初に現状、それから課題、そんな2部構成になってございます。
まず最初の「1.企業年金制度の現状」という差し込みの表紙がございますが、これをおめくりいただきまして、通しページの2~3ページをごらんいただけますでしょうか。
2ページにありますのが、公的年金の制度と組み合わせた我が国の年金制度の現状でございます。先ほど、局長より申し上げましたとおり、国民年金、20歳以上の全国民をカバーする国民年金、その上に被用者をカバーする厚生年金保険、共済年金等々がございます。ただ、この共済年金につきましては、厚生年金に統合されるという方向性が既に定められているところでございます。こうした公的年金と言われるものの上に乗っかっているのが確定拠出年金、確定給付年金、それから国民年金基金が左にもございますが、いわゆる上乗せの年金ということでございまして、その中でも、大宗を占めるのが民間の被用者の方々にお入りいただいているいわゆる企業年金でございます。厚生年金基金につきましては、見直しの方向性が定まってございますけれども、この分野の現在の最大の制度は確定給付企業年金、その次に位置するのが確定拠出年金、こういう位置づけになっているということでございます。
3ページにまいりますと、各制度の加入者の動向でございます。この10年余り、非常にフラットに推移をしているということでございますが、制度の切りかわり等々に応じた変化というものも見据えた上で、どこの分野のあり方というものを検討していく必要があろうかと思っています。
次の4ページにまいります。この中の、特に企業年金制度に特化をしまして整理をした資料でございまして、そのうち4、5、6ページがそれぞれの制度、現在の主力である確定給付、それから確定拠出年金の制度がどのような形で創設をされてきたのか。現在の制度の落ちつきがどうなっているのかということを要約した資料でございます。
4ページにまいりますと、真ん中のところに確定給付企業年金、その右側に確定拠出年金がございますが、それぞれ現在の企業年金制度を担う2制度でありますが、沿革はかなり異なっております。
確定給付企業年金は給付だての制度ですが、その制度の淵源としてあるのが左側にあります適格退職年金、それから厚生年金基金でございます。これらの仕組みは、この表の左側の欄にまとめてございますが、昭和30年代の後半から40年代の頭にかけてそれぞれ創設をされまして、先に給付をお約束をして導入するというタイプのいわゆる給付だての制度として導入をされてございます。そのうち適格退職年金は、税法上の制度でございますので、身軽な形で設立がされるというメリットがありましたが、一方で法律上の位置づけがないということがありましたので、受給権等々の関連ではやや不安定ではないかと。それから、財政の構造についても課題があるのではないかということが言われておったということでございます。
また、先生方御案内の厚生年金基金制度は、公的年金の代行の性質と、それから企業年金の性質の2つをあわせ持ってございます。これは厚生年金保険法に定めがありまして、給付等々についても細かな規程が置かれておりましたが、昨年の6月に成立した法律ということでありまして、こちらについては代行部分、あるいは公的年金と企業年金との間の線引きをもう一度引き直すというような趣旨の制度改正の結果として、今後5年間の間に加算代行返上等が進んでいくという法律になったということでございます。
また、適格退職年金につきましては、24年のところにありますけれども、既に廃止をされたということでございます。
こうした2つの制度の中にありますさまざまな足らざる点を補ったり、あるいは公的年金との線引きを引き直すということを課題にして確定給付企業年金の制度は導入をされてございます。
この制度が導入されてから約13年経ってございます。導入をされた後は、この左側にあります適格退職年金、あるいは厚生年金基金からの移行の受け皿というような位置づけもございまして、徐々に加入数が伸びてきて現在に至っております。その制度が導入されました後、給付の弾力化あるいはポータビリティの拡充といった制度の改善について、認定を行われながら現在に至っているという流れでございます。
それに対しまして、その右側にあります確定拠出年金の制度は、年限がかなり異なっておりまして、この表の一番右の欄にございますが、規制緩和の推進計画の中で確定拠出の年金制度等が提言をされ、金融ビッグバンの動き、それから諸外国における動きといったものにも強く影響を受ける形でこの制度の導入が検討され始めたということでございます。ただ、この我が国の年金制度は伝統的に給付だて、公的年金もしかり、それから左側にあります年金もしかりということで、この新しいタイプの制度につきましては、年金としての性格をどのように捉えたらいいのか、あるいは貯蓄なのか、年金なのかといった議論もありまして、制度の導入が提言をされてから実際制度がスタートするまでの間に複数年の議論が、主に税との関係でなされた上で導入をされた、こういう経緯でございます。
その結果として、後でまたごらんいただきますけれども、拠出限度額の設定、それから中途脱退要件の設定等々、一定の法律上の規程を置くということを条件にして、この制度がスタートしたということでございます。
この制度が導入をされてから10年余り経っておりますが、逐次、制度の改善は行われておりまして、拠出限度額は順次引き上げられ、今年度中にも引き上げが予定されており、また、平成23年の年金確保支援法の中でマッチング拠出の導入、中途脱退要件の緩和等々の見直しも行われてきているということでございまして、両制度それぞれ異なる淵源ではございますが、フレームがそれぞれ定められ、以後は制度の改善という形で現在に至っているということでございます。
次の5ページは、両制度の対比表でございます。今、ごらんいただいているような制度のたてつけになっておりますが、掛金負担のところについても若干の差異がございますし、給付についても差異がございますし、片や給付だて、片や拠出だてということで制度の基本的な考え方がそれぞれに位置づけられた制度だということでございます。
次の6ページでございます。今、申し上げたようなことを、これは平成19年ですから、今から7年前の研究会の報告書の中に関連の記載がございますので、それをまとめたものでございます。私が先ほど申し上げたようなことの記述がこちらにございます。こちらは後ほどごらんいただければと思います。
7ページ以降で、それぞれの制度の概要について資料を御用意しておりますので、ごらんいただければと思います。
7ページが確定給付企業年金の概要でございます。この仕組みは、純粋な企業年金、給付だてという仕組みでございますので、先達の制度であります厚生年金基金とは異なりまして、給付や掛金については、労使で決めていていただくという制定になっておりまして、こういった部分については労使の裁量が非常に大きい制度ということでございます。
一方で、年金を給付するための制度でございますので、給付のルール、それから財政のルール、それからこの下のところにありますように、受託者責任あるいは情報開示等の規定が置かれるということになっておりまして、労使における密接な協議、議論というものを前提に、その両者での合意が給付と負担に反映される。そういった制度として創設をされるということでございます。
次の8ページがこれまでの歩みでございます。施行が14年4月ですので、今はまだ10年余りでございます。このときから16年、17年、21年等々と順次改正を行って現在に至っているということでございます。
9ページは、加入者数の推移でございます。創設当初は代行部分がないということもありまして、それはかなり目新しい制度だったということもありますけれども、以降、他制度からの移行の受け皿というような方々をメーンに加入者が順次増加をしてきたということでございます。それで、適格退職年金からの移行が一段落したということに伴いまして、加入者数はおおむね800万人のところで横になっているというのが現在の状況ということでございます。
10ページにまいりまして、この推移を設立時の移行元別で整理をした、ちょっと違った観点から見てみたのが10ページでございます。白黒になっていますので少し見えにくいのですが、一番下の楕円で丸がついているところですが、この設立時の移行元で見ますと、適格退職年金からの移行という件数が非常に多くなっておりまして、これが先ほど申し上げました他制度からの移行、特に適年からの移行の受け皿としてこの仕組みが活用され、それで加入者が伸びてきたということがうかがわれるところでございまして、これが大きな特徴であるということが見えます。
11ページは、財政状況でございます。給付だての制度というものにつきましては、財政との関係が語られることが多うございますが、左側に2つの四角が組み合わさった部分がございます。これは、確定給付企業年金のうち、企業年金連合会に加入をしている622の制度についてのデータでございますが、継続基準、非継続基準それぞれで見たときに、資産が責任準備金を上回っているという状況ではございますので、一定水準以上のものということが一方では言えるかと思います。他方で、右側に、恐らくそれぞれの制度自体に着目してみますと、トータルで見ると左側のような状況なのですが、個々の制度ごとに見ますと、継続基準あるいは非継続基準をまだ満たしていない制度も一定数あるということがございまして、制度全体で見ると一定水準以上ではありますが、中身には少しばらつきがあるということも伺える、そんな制度だということでございます。
続きまして、12ページの確定拠出年金のほうでございます。これは、企業型のデータで、その次の13ページが個人型でございますが、両方に共通をしておりますのが、まさに拠出だての制度だということでございます。
この企業型のほうにつきましては、確定拠出年金だけという企業が実施される場合には、限度額が今年度の見直しを反映すると5.5万円、今は5.1万円です。それに対しまして、確定給付型の年金制度を実施している企業がこの仕組みをあわせて実施をするという場合には、その半分になるということになっておりまして、見直しを反映すると2.75万円、これは見直し前ですと2.55万円ということになっております。
この拠出限度額について、この範囲内で個々の従業員の方々にメリットを付与して、その原資と運用の果実を加えて年金原資とし費用を培養する、そういう制度でございます。拠出された金額についての税制上のメリットがあるということは、こちらに記載のとおりということでございます。給付だての制度については、給付の見込みが立てやすいということがありまして、そちらは老後の生活にとっては見やすいという効果があるということが特徴ですが、こちらの確定拠出年金につきましては、企業にとって特に掛け金の追加負担を生じないという点に着目されるケースが多いということでございます。
13ページの個人型でございます。12ページは企業が設立していただくタイプですが、13ページは個人が加入をするケースでございます。これは、下にありますように自営業の方々を中心に入っていただく、公的年金でいうところの1号被保険者の方々が加入いただくケースと、被用者の方々、2号被保険者の方々の中で、他の企業年金制度を実施しないというような企業の従業員の方々にも御加入いただける、いろいろな制度の谷間を埋めるような形で位置づけられた制度だということでございます。こちらは、取りあえず国民年金連合会が実施主体となっておりますが、この仕組みもあわせて、2つセットで確定拠出年金という制度でございます。
14ページの経緯でございますが、この仕組みは平成13年10月に施行されてございます。10年余り経っているのは確定給付企業年金と同様でございますが、その間の見直し案の中で、ポータビリティの拡充、年度額の引き上げ等々順次実施をされてまいりましたが、比較的大きな制度の見直しは、平成23年8月の年金確保支援法の中で、マッチング拠出が導入されたこと、それから、脱退一時金の支給要件の緩和、投資教育の継続的実施の明確化といったところでございます。
次の15ページが限度額の設定を図示をしたものでございます。これをごらんいただきますと、個別の方々の事情に応じて累計化をして、その累計ごとに限度額が設定をされるという形態になっておりますのと、加入ができない方々がいらっしゃるというのがこの仕組みの特徴でございます。
次の16、17ページをごらんいただきますと、16ページが加入者数の推移でございます。これは、右肩上がりで伸びておりまして、一番新しい25年度末の段階で464.2万人まで増加をしてきております。
それに対しまして、次の17ページにあります個人型、こちらも伸びてきておりますが、絶対的な人数は上の企業型のほうが大きくて、近年の伸びがございますが、個人型のふえ方はマイルドだということが理由かと思います。
次の18ページは、企業型の設立時の移行元別のデータでございます。先ほど、確定給付企業年金の仕組みについては、適年からの移行がかなり多いということでデータをごらんいただきました。こちらと対比していただきますと、この表には、同じく適格退職年金からの移行も一定のシェアもございますが、新規というところがかなり多くなってございます。つまり、それまで退職給付を実施していなかった企業が新たに実施をしようというときにこの制度が選ばれるというケースがかなり多いということでして、2つあわせてみますと、それぞれの企業の状況ですとか、若さというのでしょうか、そういったものも考慮いただいた上で、ふさわしい仕組みをどちらか選んでいただいているということが言えるかと思います。
次の19ページがマッチング拠出でございます。こちらは導入をされましてからまだ日が浅い仕組みではありますが、規約でマッチング拠出ができますということを位置づけていただいている規約の数等々については右肩上がりで伸びておりまして、大体2割ぐらいで導入がされているということでございます。ただ、導入をされますことと実際の拠出が始まることとの間には多少タイムラグがございまして、実際の拠出については、その下の※2のところにございますが、まだまだこれからというところはございますので、この部分の評価、それからポテンシャルをどう見るのかという点については、これからいろいろあろうかと存じます。
20ページにまいります。これは、確定拠出年金の資産残高と運用商品、つまりどれぐらいの資産があって、どんな商品に投資されているのかということでございます。世界から伸びてきているのですけれども、割合は大体安定的に推移をしておりまして、預貯金で約4割、それから有価証券で訳4割、生損保の商品で約2割、そんな形になってございます。これは、確定拠出年金の制度は自己選択で、自己責任の制度だということがございますので、御自身で決めていただくということが制度の大前提でございます。一方で、この運用のあり方と、対象企業の水準を設定をするときの労使での話し合いの間で、整合的になっているのかどうか等々といったお話はあろうかと思いますので、こういった部分についてもさまざま議論が交わされているところではないかと思います。
21ページは、投資教育の関係です。この部分につきましては、今、ごらんいただいているとおりでございますが、導入時だけではなく、制度が導入された後についても事業主の方々に投資教育をということが法律に位置づけられてございます。努力義務ということでございます。この部分につきましては、広げていかなければならないという線もあれば、どのようにすれば費用対効果等々で効果的なやり方なのか等といったお話もあろうかと思います。いろいろ議論のあるところだろうと思います。
22ページが年金の給付水準の話です。先ほど、局長からの挨拶の中にもございましたが、公的年金はどの国でも徐々にスリムになっていくというような共通した傾向が見られるところですが、他方で、一定以上のカバー率を有する私的年金、上乗せの年金と組み合わせて老後の所得の確保のあり方を考えていこうというような動きが先進国の中でも共通して見られるということでございます。
そういったものについては、まだ荒いところでございますけれども、次の23、24ページに主要4カ国についての模式図をつけてございます。アメリカは、伝統的に401K等々の企業年金、それから個人年金を積極的に導入をされているということでございますし、イギリスにつきましても、公的年金の制度改革の議論とあわせて、上乗せの年金の拡充のお話があり、その次の24ページにありますけれども、ドイツでもこの個人年金の部分にさまざまな取り組みが見られるといったところがございます。スウェーデンは、労使単位の企業年金の仕組みが非常に手厚い国だということでございます。
このように諸外国でも、公的年金と上乗せの年金を組み合わせる形の議論というものが順次行われているということが我が国でございます。
25ページ以降で、企業の状況について少し御説明を申し上げます。
26ページをごらんいただけますでしょうか。公的年金の仕組みの中に徐々に時間をかけて給付水準の調整をしていくという仕組みがあるということでございます。これは、まさに財政検証の中で議論をされているところですが、徐々に給付水準の調整をしていこうということ自体は、法律に明記をされているところでございます。他方で、現在の高齢者の方々は、公的年金で老後の暮らしを賄う割合が非常に高うございますので、だんだん時間をかけてスリムになっていくということとセットで考えれば、上乗せの仕組みというものの重要性が高まっていくということであろうかと思います。
27、28ページで、最近の動向を少し御紹介をいたしますと、27ページには退職給付の導入をされる企業の割合が少しずつ下がってきているというデータがございます。ここでいう退職給付は、一時金も含めたものでございますが、一番上の太いひし形のマークがあるグラフをごらんいただきましても、少しずつ下がってきているということがうかがえますし、その次の28ページに最近行われました就労条件総合調査を見ていただきますと、これは棒グラフが並んでおりますが、見方を申し上げると、一番上の黒いところが年金をやっている、あるいは年金プラス一時金、数量がついているところが一時金のみ、白いところが退職給付なしということですが、トータルで見ましても、その黒いところが少し減って、それにほぼ対応する形で白い部分がふえていくということがうかがえるところですし、特にこの点々を打ってありますように300人未満の企業の中で、黒いところの減り方、それから白いところのふえ方というところがかなり見えてくるということでございます。もちろん退職給付のあり方、それからその中で企業年金を実施するかどうかという点は労使の御判断ということにはなりますが、これぐらいの変化が見られるということになりますと、やはり制度側の中に一定の見直しをしたほうがよい点というものもあろうかと存じますので、こういった点を努力して、どう課題に結びつけていくのかという点はあろうかと思います。
29~30ページにかけましては、事業主の方々の認識等々をまとめたものでございます。
30ページをごらんいただきますと、事業主の方々にはやはり安心して働いてもらう、あるいは老後の生活保障、長期勤続への慰労等々、そういったいろいろなお考えの中でこういった仕組みについてもお考えいただいているということがうかがえるところでございます。
31ページは、働き方の部分です。これは、ほかの分野でも多々議論されるところでございますが、非正規の方々の割合がふえて、それから一つの職場で働き続ける期間が短くなっているというようなことがうかがえますので、従来型の安定した職場というもののイメージが少しずつ変わり始めているということでございます。
32ページは一時金の関係です。この仕組みは、いずれも年金の制度でございまして、年金の制度を導入するということと引き換えでインセンティブがさまざま税制等によって講じられているということでございます。こうした分野の取り組みを仮に見直していく、あるいは少し大きくしていこうという話がありますときには、年金制度としての位置づけというものにある程度アクセントをつけながらということが一つ考えられるわけですが、それと一時金選択が高いということとの兼ね合いをどのように整理をしていくのかという点が課題だろうと思います。
33、34ページは確定給付、確定拠出のシェアの推移でございます。上昇に確定拠出型の割合が高まってきているというのが33ページ、それから34ページは、OECD諸国のデータを少し御紹介しているところでございます。
35ページの図は、先ほどごらんいただいたものと共通をしているということですが、上乗せ制度それぞれの対象者ごとに非課税の拠出限度額や適用範囲等々が設定をされるという形になっております。こういう形になっておりますと、同じ所得水準の方々の中でも年金水準というものに少しずつ差が出るケースも想定をされるということでございますが、こういった点をどう考えるのかということでございます。
続きまして、36ページでございます。以上、ごらんいただきました資料の中からうかがい知れる課題というものを大きくくくってみたということでございます。ただ、後ほどまた出てまいりますけれども、この紙に書かせていただきましたのは、この企業年金の仕組み、あるいは企業年金の仕組みを中心とした上乗せの仕組みというものは企業年金の主の当事者というのはまさに労使でございます。労使で御議論され、労使でつくっていただきという形を経てつくっていただいている、そういう仕組みでございます。それから、労使から託されてこういった分野にかかわっていただいている関係者の方も数多くいらっしゃるということでございます。ですので、取りあえず書かせていただきまして用意いたしましたが、こういった課題については、まさにこの仕組みの当事者、この仕組みの主要関係者の方々のお話をお聞きした上で整理をすることが適切であろうと思っておりますが、一応御用意したものを御紹介いたしますと、一番上に中小企業の労使にとって取り組みやすい仕組みというものが書いてございます。先ほどごらんいただきましたように企業年金の実施率が低下傾向にございますので、中小企業の労使の方々にとって選んでいただきやすい仕組みというものについて、制度的な工夫をどのようにしたらいいのかという点が一つ課題だろうと思います。
また、その下にございますが、中小企業を含む一般企業の労使にとって取り組みやすい仕組みはどのようなものなのかという点がございます。企業再編、企業会計基準の話等々、これまでになかなか見られなかったような影響がこの分野にも出てきているということを視野に置いたときに、どのような制度的な工夫が高められるのかという点でございます。
その下がライフコースの多様化への対応でございます。働き方が変わっていくということの中で、こういった分野でどのような対応が考えられるのか。
その下にありますのが、柔軟で弾力的な制度設計と書かせていただきましたが、伝統的な給付だて、伝統的な拠出だてがまずはあるわけですけれども、その2つのよさを組み合わせたような制度設計ができないのかというようなお話を私どももいただくことがございます。そういった点について、何か制度側からのアプローチが考えられないのかどうか。
それから、保険者のガバナンスでございます。先達の制度の中でもいろいろなことが起こっておりますが、労使のかかわり合っての仕組みだということもございますし、関係の当事者の方々がたくさんいらっしゃいます。そういった方々を込み込みで、こうした保険の仕組みというものがうまくマークをしていくためのガバナンスのあり方がここに書いてあります。
最後に、関連制度との関係ということでございます。個人単位の仕組み、あとこの分野と密接な関係がある制度もございますので、こういった関連制度との関係をどう考えるのかということでございます。
こういった課題につきまして、まさに当事者の方々、あるいは就労の関係の方々のお話をよくお聞きした上で、こういった課題を整理していくことがよろしいのではないかということでこの資料を用意した次第でございます。
以上、長くなりましたが、資料2の説明でございます。
○山崎部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいま説明のありました資料につきまして、委員の皆様から御質問や御意見等をいただきたいと思います。
はい、冨高委員。
○冨高委員
きょうはまだ全体的な話だと思いまして、今後ヒアリングの中で課題が出てきて、それについて論議をしていくということだと思うのですけれども、従来からこの企業年金部会の中では私どもが主張しておりますように、この企業年金というものは退職給付の一部をなすものだと考えておりますし、賃金の後払いとしての性格、それから老後の生活保障としての機能を有するものだと考えますと、今回、最後のところで検討課題として示していただいたように、中小・零細企業で働く労働者であったり、またライフコースの多様化のところについては、先ほども触れていただきましたけれども、特に非正規労働者も含めて全ての労働者が加入できて、確実な給付を受けられる企業年金制度というものを確立することが重要なのではないかと思います。したがいまして、まずその部分について、ぜひ積極的に論議をしていくべきではないかと思っております。
今の考え方に基づきますと、6ページの「確定給付企業年金・確定拠出年金導入までの動き」のところで少し触れていただいているのですけれども、やはり新会計基準によって退職給付債務が、負債認識されるということが要因となって、確定給付企業年金を維持してきた企業でも確定拠出年金の導入が進んでいると思います。ただ、先ほど申しました確定給付企業年金を維持して、退職給付の一部をなす企業年金としての趣旨を守ることが、結果的にその企業にとって割に合わなくなってしまっていると捉えられるとしたら、それは課題ではないかと考えております。国際的な流れもあって、会計基準自体を見直すということはもちろん難しいと思うのですけれども、何らかほかの方策も含めて、企業が確定給付企業年金を維持する、または導入しやすくなるような環境づくりとか、支援策というのが必要ではないかと考えますので、意見として述べさせていただきたいと思います。
以上です。
○山崎部会長
事務局のほうから何か。
○黒田課長
ありがとうございます。
先ほどの御説明で申し上げた点と冨高委員のお話が重なっております。両制度が、言ってみれば車の両輪になって今のこの国の企業年金制度ができているということでございます。ですので、確定給付、確定拠出両方の中で選んでいただくという仕組みになっているということです。
他方で、債務認識の話がもう一方ではあってということでありますので、そういう意味では労使に選んでいただくときの前提条件というものが、制度を導入されたときから少しずつ変わりつつあるという面もあるのかなという感じがいたします。そういう意味では、ほかの課題と関係づけながらこの話を議論する。あるいは、伝統的な確定給付、伝統的な確定拠出というようなことよりももう少しウィングを広げて議論をしていくことも今のお話に対して議論を深めていただくためには必要なのかなという感じもいたしまして、この点を御議論いただく際には、私どもとしてもできるだけ御議論いただきやすいような素材なり、世代基準はわかりませんけれども、そういうものを御用意して、議論を深めていただけるような体制にしていきたいと思います。
ありがとうございます。
○山崎部会長
よろしいでしょうか。
○冨高委員
両輪というのはそうなのかもしれないのですが、我々としてはやはり確実な給付を受けられる企業年金制度という意味でいくと、確定給付企業年金が重要であろうということを申し上げているということで、意見とさせていただきます。
以上です。
○山崎部会長
ほかにいかがでしょうか。
はい、井戸さん。
○井戸委員
先ほど、多様な働き方とか、ライフプランというお話も出てきたのですけれども、35ページのところにありますように、国民年金の3号になった、あるいは公務員になると、確定拠出年金の対象外になります。中途脱退要件は緩和されましたが、加入期間が3年以下、または年金資産額50万円以下だと一時金で受け取れますが、それを超えてしまうと、もう持っている資産で運用し続けないといけないわけですね。そうすると長期間にわたって手数料がかかってくるので、運用状況によりますが、長期にわたると資産がなくなってしまうと思うのです。そういうすき間を埋めるような制度があればいいと思います。
○山崎部会長
はい、どうぞ。
○黒田課長
ありがとうございます。
現在の制度のたてつけからいたしますと、個人型の確定拠出年金というものが制度の中に位置づけられておりますけれども、制度をつくったときはそこはどうしてもほかの仕組みを活用できない方にその仕組みを使っていただく、そういう前提でつくられた経緯がございます。これは、ですから10数年前にそういうことでスタートしたということでございますが、他方でこういった仕組みを取り巻く環境が変わってきていることも事実だろうと思いますので、そういった環境の変化、あるいはこういった分野の税制との関係等々さまざまございますけれども、まずは環境がどんなふうに変わっているのかということの事実関係のところから入った上で、今のようなお話についても御議論の中に当然入っていくものとして考えております。
ありがとうございます。
○山崎部会長
はい、白波瀬委員。
○白波瀬委員
ありがとうございます。
今、ライフサイクルの多様化というところで、昨日も試算が出ましたし、そういう意味では企業保険の重要さというものを再確認したという感じなのですけれども、ただ、この31ページの非正規雇用者の話なのですけれども、局長のほうからも多様化ということで、それは一つの企業年金、あるいは全体の老後所得保障というのを考える上の多分一つの概念になるのではないか、キーとなる現象になるのではないかと思うのですけれども、ただこれはどちらかというと企業年金というのは労使間の合意というところですので、マクロなことを考えると、多様性というのはそういう対象から外れた人、つまりここでの非正規就労者については、この企業年金を考えることの手前に、そこに入らない人たちがどちらかと言うと増加すると考えられますので、つまりいろいろな働き方、企業に雇用されて、それからみずからが企業をたててというところでの多様な生き方なり、また加入期間というのも、そういう意味ではある程度柔軟性を持って、できるだけ短いところで設定しないと一つの働き方自体のサイクルが短くなっているというのはそうなのですけれども。ですから、この企業年金を議論するときは、やはり全体の公的年金とうまく連動させながら、どの人をターゲットにおいた制度かというのを常に確認しながら議論を展開する必要が、ますます必要なのではないかと感じました。
以上です。
○黒田課長
どうもありがとうございます。
まさにその公的年金の側の議論、財政検証の話もありますけれども、中でもこういった働き方の方々に対して、公的年金としてどんなふうに対応できるのかということがまさに制度論として議論されていると思いますし、それと組み合わせて老後の所得をというのがこういった分野の、私どもからすれば、公的年金の役割分担をするという前提ではあるのでしょうけれども、その上に乗っている制度として何ができるのか。どういう点が今、そういった方々に入っていただく際のハードルになっているのか等といった話は、できるだけ客観的なものを使いながら御利用いただけるように、私どもとしてもしたいと思います。
どうもありがとうございます。
○山崎部会長
はい、小林委員。
○小林委員
企業年金制度については、従業員の老後の安心や安定という観点で、論議に基づき実施していますが、事業主の立場から特に直近の10数年ぐらいを見ますと、制度を運営する環境は非常に厳しかたというのが、偽らざるところです。
また、この10年の間で、企業経営を取り巻く環境は大きく変化しています。例えば企業グループ内の会社分割や統合といった組織再編だけではなく、グループを超え、かつ海外も含めた外部企業との合併や買収等、資料にも少し触れていただいていますが、企業再編の動きが加速しているという現実がございます。
一方で、従業員サイドに立って見ましても、多様な働き方への対応ニーズが高まっています。労働市場自体も流動化が進む中で、一度会社に入ったらそこで定年まで勤めるという、これまでは多くの人にとって当たり前だった枠組みも徐々に変わってきています。加えて経験者や外国籍人材の採用も増え、従業員構成も変わってきている中で、企業年金制度についてもどうあるべきか、改めて議論が必要だと認識しています。
このように、今のDB、DCが施行された10数年前から、様々な前提が中で、企業がより高い自由度を作ることができるような、環境の整備が必要だと考えています。したがって、企業年金制度のあるべき姿を考えていくに当たっては、今の制度を前提とした小幅な改善をめざすのとではなく、時代の変化に即して求められているものを踏まえながら、現行法令の枠組みにとらわれない抜本的な検討をするべきだと考えております。
○黒田課長
ありがとうございます。
制度が導入されてこの10年余りの間で、その時々の課題に応じた改善というものが、一部は法律という形をとり、一部は運用の方法をとりながらステップ・バイ・ステップでやってきたという面はあろうかと思いますが、ただ、10数年経って振り返ったときに、そういったステップ・バイ・ステップの改善のアプローチだけできちんと労使あるいは公的企業、あるいは今の若い方々を含めた動きにうまくキャッチアップできているのかどうかという話は、振り返って考えるタイミングンなのなかという感じもいたします。
今のお話の中でも、いろいろな変化というものがございましたけれども、その変化をできるだけ客観的な裏づけでもってごらんいただけるような工夫がどうかなという感じがいたしまして、私どものほうでも、暮らしのほう、それから企業の行動の件、さまざまあるかと思うのですけれども、私どものほうでいろいろ用意していきたいと思いますし、私どもでなかなか御用意できないものも、ヒントをいただいたりしながら、できるだけ御議論に供するようなデータ等々については集めた上で、建設的な議論をいただけるような前提を考慮していきたいと思います。
どうもありがとうございます。
○山崎部会長
ほかにいかがでしょうか。
はい、平川委員。
○平川委員
ありがとうございます。
資料の28ページですけれども、「企業年金を巡る近年の状況3」ということで、特に299人以下の中小企業において企業年金を実施する割合が低下しているというふうなことでございまして、やはりかなり厳しい状況がここに見てとれるのではないかと思います。
ただ、30ページの「企業年金を巡る近年の状況5」で、中小企業の退職給付の考え方ということでありますけれども、やはり「長期勤続への慰労」や「安心して働いてもらう手段」として考えている割合が高いということで、これをどう見ていけばいいのかということであります。ただ、まだちょっと調べていかないとだめだと思いますけれども、やはり中小企業にとってこの企業年金の運営というのが、もしかしたら厳しい状況にあるのではないかということも想定されます。特に厚生年金基金においては、一つ、ガバナンスの問題というのが大変大きな課題としてありました。ガバナンスといっても、その意味合いが何なのかというといろいろあるかとは思いますけれども、一中小企業が運営する企業年金のガバナンスをどうやって支援していくのかということや、また、リスクということも負いますので、そのリスクの不安を少しでも解消していくような、もしくは支援していくような対応はどうあるべきなのかということも検討していかなればならないと考えています。
労働者にとってみれば、やはり企業年金も公的年金とあわせて老後の人生設計における大変重要な役割を有していますので、しっかりとその辺を考えていく必要があるのではないかと思っています。
それと、ほかの委員の先生も言われていましたけれども、非正規労働者の割合がふえているということがあります。社会保障制度改革プログラム法の中でも、短時間労働者への社会保険の適用拡大が課題として示されていますので、ぜひ適用拡大に向けた対策も必要ではないかと考えているところです。
以上です。
○黒田課長
ありがとうございます。
先ほど、平川委員から御紹介いただいた幾つかのデータ、私どもの手元にあるものを幾つか添えておりますが、何と申しましょうか、中小企業の方々にとって、この審査が下がってきている原因となっている要素がどんなものなのか、あるいは、中小企業の労使の方々にとってそれが負担だという要素はどんなものなのだろうかというお話をもう少し深めて考えていくべきだ、そういう御意見だと承りました。
私ども、幾つかお伺いしていることはございますが、やはり中小企業の方々にとっての事務的な負担というものは一つのこういう分野の取り組みを少し慎重にやらざるを得ない要素になっているような感じもいたしますし、あるいは制度設計側の事情というものもあるのかもしれません。私どもももう少し集めてみたいと思いますし、ぜひ労使の方々、それから本日お集まりの先生方に、こういうふうなところを掘ってみたら少しうまく切り取れるのではないかという御示唆をもしいただけるようでしたら、私どもそういったものをいただいて、データをそろえていくなり、何なりといった、こういった努力はしてまいりたいと思います。大切なテーマという御指摘は、そのとおりだと思いますので、それをもう少し深く御議論いただけるような準備をしてまいりたいと思います。
ありがとうございます。
○山崎部会長
はい、鈴木委員。
○鈴木委員
今般の厚生年金基金の法改正に伴いまして、前回の適格年金の廃止に加えて、中小企業での企業年金のカバー率と言いますか、実施企業が大きく減るだろうというのは、皆さん衆目の一致しているところだと思います。そのことに関して、私なりに何か対策があろうかということをずっと考えてきたのですが、きょうの36ページにあるこの部会での検討課題という中でも、これがイの一番に挙がっているのですけれども、この中で、中小企業の問題というのがやはり一番難しいと思うのです。それはなぜかと言うと、企業年金全体の普及のグラフが先ほどありましたけれども、実は中小企業も含めまして、適格年金あるいは厚生年金基金が当初の企業年金だったわけですけれども、現在までなだらかに普及してきたわけではなくて、適格年金とか厚生年金基金という制度ができたときに、一挙にどんとできて、そこから先は微増なのです。それはどういうことかと言うと、やはりそのとき、昭和37年と41年ですが、ちょうど真ん中が東京オリンピックですから、高度成長期に突入した時代であって、労働力も非常に企業に不足していたというときであって、そのときに、実は退職金制度というものが既にほとんどの企業にあったということがあります。その退職金制度が既にあるのだけれども、定年退職者というのがほとんどいないということがあって、退職金の事前準備をするのに、よく退職金の振りかえという話が出てきますけれども、企業側にとってもやがて出てくる退職金を平準化して積み立てるというニーズが明確にあって、そういうことから一挙に普及をしたということなのです。そういう事情が、労働環境も今、変わっているわけです。
もう一つは、非常に逆説的になりますけれども、企業年金のいいところは、一旦やるとなかなかやめられないということがありまして、やめると従業員に支払わなければいけないが、任意にやめた場合、退職所得にならないわけです。そういうこともあって、やめにくいというのは従業員にとっては非常にいいことだと。ただ、前回の適格年金と今回の法改正ということで、やむなくと言いますか、やめてしまったところが、一旦完全にやめてしまったところがもう一度かつてのような、昭和30年代の終わりから40年代の初めのようなことで普及するかというと、非常に難しいと思うのです。原点に返って、中小企業の企業年金の普及ということを考えるときに、大企業との格差があるわけですけれども、それは、企業年金の普及率だけに格差があるのかということを考えますと、やはり賃金の格差も多分あるのでしょうと。そのときに、ではその中小企業の収益がアップし人件費に使える財源ができたときに、その中小企業の労使ともどもが先に退職金を、あるいは企業年金を普及するようにそれを使うというふうに向かうだろうか。まず、賃金ではないかという気がするのです。
そうすると、当部会は企業年金部会ということですが、なかなかこの企業年金という枠内だけで対策を考えても、結局その中小企業の企業年金の普及率アップの策というものが何か難しいなというのが、私がしみじみ思っているところであります。、そういう意味では、本当にこの普及率を上げるということであれば、もう少し政策的な枠を広げて考えないと現実策は難しいかなという感じがします。ただ、これは私が思っているだけの話で、これからヒアリングをされる中で、それはなるほどというような有効な対策が出てきてほしいなと本当に思います。
ということなのですけれども、一つはこの部会での、ここで言う検討課題での答えの枠というのはどこまでなのでしょうねというのが、一つ質問というか、意見なのですけれども。
○山崎部会長
どうぞ。
○黒田課長
ありがとうございます。
議論のステージの段階から申しますと、次の資料ともかかわりますし、今ごらんいただいている資料の課題の点の一番下のところに少し書いてあることと重なりますけれども、今の議論の段階はどちらかと言うと課題設定、つまりどういう課題をこれからこの集まりで議論をしていこうか、どういう課題を共有して、これをみんなで考えていこうかという課題設定の段階で、その課題を設定した上で、特にこれを先にやろうとか、これが大事だとかということはあるかもしれません。ということですので、今の段階でこれが入りませんとかいうことを申し上げるつもりはございません。もちろん確立したほかの仕組みとの兼ね合いが出ることがあるので、それは別の場所があったりすることもあります。そちらとの関係を考えなければいけませんが、そういう意味で、少し行きつ戻りついたしますが、まずは課題がどこなのかというところを今、御議論が始まった、そういうところだと思います。
それから、そういう意味では企業年金というのは、労使で決めて、労使でお金を出し合ってというようなものというものが、この企業年金部会でイの一番に議論するお話だとすれば、この紙に少しだけ書いてありますけれども、その関連をする制度との兼ね合いというのはどうしても出てくるということだと思います。その関連制度のウィングをどの辺りまで設定をするのかというのは、この紙には何も書いていないわけですけれども、そこを力説をする分野も含めてこの場で御議論いただくということが、何か差し支えがあるかと言われれば、差し支えはないと思います。
それから、先ほどのお話でありましたように、もともと経営が非常に厳しいときに、何か原資が幸い来たときに、それを現在の職場の安定に使うのか、老後の安定のために使うのかという話は、まさにその会社の労使の中でけんけんがくがくのお話をしていただいた上で決めていただくお話なのだと私は思います。ただ、先ほどごらんいただいたグラフ、ちょっと見方がいいかどうかというのもあるのですけれども、思いましたのは、何か選択肢に乗せていただく前に、もうやめておこうというお話から、つまり制度側の制約のほうが先に来て、労使で御議論いただく前にその選択肢が物質的になくなっている可能性もあるのかもしれないとは感じまして、これはもう少し深くお聞きしたりしながら考えなければなりませんが、だとすれば、制度の中にあるいろいろなハードルというものが、どの辺が実質的な制約になっているのかということを考えること自体には、私は意味があると思いますし、そういったことを御議論いただいた上での労使の決めごとと、そういう話がない状態での労使の決めごとというのは、もしかすると着地は違うのかもしれないとも思いますので、情緒的な話で少し客観的に見る素材を用意しながらだと思いますけれども、議論に足りるテーマなのかなと私も思っています。
○山崎部会長
高崎委員。
○高崎委員
冒頭でお話がありましたとおり、公的年金と私的年金という両輪の中で、今後ますます私的年金が重要だということは、多分皆さん何となくわかっているとは思うのですが、本当にどこまで重要かという問題意識が、やはり感覚として重要だということがわかっているだけなので、それは事業主側も労働者側も含めて、また、働いていない人も含めて、本当に自分にとって豊かな老後というか、安全で快適な暮らしを続けるためにどのぐらい最終的に資産を持っていなければいけないのか。どのタイミングでどの程度の資産があれば生活が維持できるのかといったところで、ちょっと資料の途中で投資教育という話が出たのですけれども、何か投資教育というと、どうしても短期的に資金を運用するイメージがあったりとか、ちょっと余裕資金で何かということだというイメージが先走ってしまうような気がするのですが、まずそういうことではなくて、その前提として資産がどのぐらい必要だからどうやって資産を形成するのか。その中では、銀行の預貯金もあるでしょうし、あるいはほかの金融資産投資もあるでしょうし、あるいは場合によって不動産という形で資産を形成していくという方もあると思うのですけれども、要は生活をするための資産がどのぐらい必要かと。その中で、自分のライフスタイルに応じて、企業に勤めている方であれば私的年金という枠組みをどう活用していくかというところが、まず非常に重要かなと個人的には思っています。
あと、私的年金が重要だという中で、今、活用のされ方がやはり使いづらいケースもあるのかもしれませんし、ちょっとそこら辺は私もいろいろこれから考えていきたいと思っているのですが、例えば使いにくい一つの理由としては、もしかしたら、確定拠出年金の場合は、拠出できる金額に非常に制限が大きいと言いますか、何となくこの資産を形成するための原資としては小さいという感覚があるのかもしれない。極端なことを言いますと、給与所得から出すだけではなくて、もともと自分が持っている資産も年金資産に組み入れて企業に勤めている間は何か運用できるですとか、何か柔軟に考えていった場合に、労働者側がもっとそういうものを使いたいといって企業で働くことを選択するかもしれませんし、そうなれば事業主側もそういう制度を取り入れたほうが、採用したほうがいい人材が集まるという、いい展開もあるかもしれませんので、何かそういった形での制度設計の工夫、ちょっとすごく大きな、概念的な話になってしまうのですけれども、そういった観点からも考えていければなと思っています。
○黒田課長
ありがとうございます。
2つ大きなお話をいただきました。先ほどの公的年金の話もそうなのですけれども、この分野もそうだと思うのですが、やはりいわゆる控除の仕組みだけで長くなる老後の生活を考えるのか、控除プラスこういう事情を公的に応援をする仕組みも活用して考えるのかということによっても大分違うと思いますし、自分の老後のことを自分で早いうちから考えていただくきっかけがあるのとないのとでこういった分野に対する期待なり、関心の度合いというものは大分変ってくるのかなという感じがいたします。制度の中にそういうきっかけが十分あるかどうかという話もあると思いますし、一部制度にある投資をするという仕組みもありますが、そこだけを見れば答えが出るのかと言われると、そうでもないのかもしれませんし、やはり自分で資産形成するということであれば、自分で将来のことを考えた上でお考えいただけるような環境づくりというものがどうしても要るのかなという点は、まことにそのとおりだと思います。
こういう分野は、総論があっても具体論に踏み込むツールがなかなかないという点が私どもも悩み、投資教育についてもそうですし、それ以外の部分についてもそうなので、こういうやり方をすることが有効だとか、こういう職場だとこういうことをやっているとか、何かそういうお話をいろいろ御紹介いただいたりすると、こういう議論が具体的に深まっていくような気がいたしますので、ぜひ御示唆いただきたいと思います。
また、2番目のお話も、制度上のとっかかりのお話はいろいろあろうかと思いますので、そういった点についてこういうふうなやり方でこんなニーズがありそうだとか、そんなお話をいただけますと議論の幅が広がるのかなと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
ありがとうございます。
○山崎部会長
森戸部会長代理、お願いします。
○森戸部会長代理
もう皆さんほかの委員の方がおっしゃったようなことをなぞっている話も多いのですが、一応私の意見を申し上げようと思います。
まず、今後やっていくであろうヒアリングに向けて、資料にも検討課題(案)を出していただいていますけれども、まさにこういうことを含めて大きな制度の枠組みというものを考える時期なのだろうと思います。
まず、先ほども委員の方からありましたけれども、企業年金といってもその沿革は退職金で労使がつくってきたものですということは間違いないと思うのです。資料においては企業年金として整理してありますけれども、退職金と余り別なものと考えて議論してはいけないのだろうということは、もちろん皆さん御存じのとおり大事なことだと思います。
他方で、これもまたほかの委員の方から出ましたけれども、いわゆる非正規の労働者の問題、非正規の労働者というのは、伝統的には少なくとも退職金はない人たちでしたから、今もそうだと思いますけれども、ある意味そういう退職金制度の枠外にあったわけですね。それから、中小企業の労働者、中小企業の労使にとっての企業年金のあり方というのももちろん課題ですけれども、これに関してはより根本的に、鈴木委員とか、高崎委員からもありましたけれども、そもそも中小企業の労働者について、なお企業が本当に企業年金という形でこれをやらなければいけないのか。無理に政策として「中小企業もぜひ企業年金やりなさい」と言って、例えば税制などでインセンティブをつけて、無理にと言ったらあれですけれども、本当に誘導すべきことなのか。まさに先ほど委員からありましたけれども、利益が上がったときに、それを賃金ではなくて企業年金に回すべきだということをデフォルトとして推し進めるべきなのか。もしかしたら、筋としてはまず賃金として労働者がもらって、労働者がもしそれを老後に回したければ回せるようにしてあげるというほうが筋としてはいいのかもしれないですね。企業年金ということではなくて、それはだから自助努力のサポートなのかもしれません。だから、必ずしも企業年金という枠内で全部やる、企業年金という形で、どんな薄いと言ったら失礼ですけれども、どんな給付が少ない制度でも、何か企業年金という形になっていることがいいのだという頭は少し捨てなければいけないのかなと思います。ちょっと逆説的ですけれども、要は企業年金という制度になっていることが大事なのではなくて、中小企業の労働者とか、非正規の労働者の人が老後について何か備えができる枠組みがあるのが大事だと思いますので、そこは、ある意味従来の議論の枠を越えるのかもしれないですけれども、ほかの委員の御指摘もあるようにすごく柔軟な議論をしなければいけないのだろうということは強く思いました。
同じような話ですが、この企業年金制度全体の枠組みというのは、税制のDCの拠出の限度額とか、そういうものはみんな、今もそうだと思うのですけれども、要するに、厚年基金並みの給付がもらえるのが望ましいのだと。したがって、厚年基金並みのところまでは税制を優遇しましょうみたいな発想で、ではDCを計算し直すと、DCでどれぐらいまで限度額が認められますねというような計算をしてつくってきていると思います。ところが、厚年基金が廃止になると。厚年基金並みというのは何だったかと言うと、要するに、共済並みにいいということだったのですけれども、共済が一元化なので、実はよりどころがもうなくなってしまっているのですね。厚年基金もない、共済もない。では結局、企業年金とか、老後所得保障として、所得代替率なのかもしれませんが、どういう枠組み、どこまでそういう老後のお金というのは必要だという前提で制度をつくるのかという基準が実はなくなっていますので、それを考えなければいけない。もちろん公的年金とあわせてどのぐらい目指すのか。そのときの税の優遇の枠内はどうなるのかということは考えなければいけませんが、これはあちこちで何度も言っているのですけれども、それは公的年金の上乗せではなくて、むしろ逆で、私的年金という入れ物、自助努力とか、老後所得保障の枠というものがあって、その中に公的年金とか企業年金とか、自助努力が入っているようなイメージかなと。だから言ってしまえば、企業年金部会も、将来的にはもしかしたら私的年金部会か、老後所得保障部会か知りませんけれども、もっと広げていって、どちらかと言えば年金部会より偉いか偉くないかということではないですけれども、枠としては外にあるべきものなのかなと思ったりもしています。
あと、細かい点もいろいろあります。自己責任とか投資計画という話もありましたけれども、これも資料にもちょっとありましたが、もちろんDCとか自己責任を前提に投資教育をやってというような制度でできているのですが、アメリカとかイギリスでもやはり自己責任というのは限界があるよねという話にはなってきていて、自動加入制度とか、そういう制度もむしろある程度パターンのリスティクに誘導していかないとだめだねという方向も出ていますから、果たしてDC、自己責任ということでいいのかということも考えなければいけないでしょうし、それから、給付のあり方、これも資料にありました。年金給付か一時金かという話がありましたけれども、資料にある年金というのは、有期年金の場合がほとんどで、しかし有期年金というのは修身の年金と大分違うわけで、本当に長生きリスクに備えるのであれば、理屈としては公的年金みたいに本当は終身なのだろうと思います。ただ、資料にわざわざ終身年金の困難さという臼杵委員の論文が引用されているので、私が何か言いそうだから入っていたのかなと思ったのですけれども、よくあちこちで言っているので。でも、そういう終身年金の難しさはありますが、給付のあり方として老後所得保障なわけですから、終身であるべきなのか、そうではないのか。そうでないとしたら、どういう形で老後所得保障として位置づけるのか、こういう議論も必要だろうと思います。
ヒアリングに向けて、いろいろ細かい実務上の問題点もぜひ現場から聞きたいですけれども、それとともにもっと大きな枠で、どういう制度をつくるかということを考える議論をすることも必要だと思っております。
以上です。
○山崎部会長
ありがとうございました。
ほかにございますか。
はい、鈴木委員。
○鈴木委員
ほかにではないのですけれども、先ほど言葉足らずだったかもしれないので申し上げておきたいのですけれども、中小企業の企業年金の実施に対するハードルをもっといろいろ下げていきましょうよという、そのことに対しては、全く大賛成でありまして、それはこの場で議論をする、あるいはヒアリングをしてそういうことを言っていただくというのは非常に意義あることで、そのことで少しでもカバー率が上がればいいと、もちろん思っているわけですけれども、私が申し上げたかったのは、かつての適格年金、厚生年金基金ができた当時のカバー率に、それを元に戻すというようなことを考えるのであれば、時代が違うので、環境が違うので、それを単に今、企業年金の枠内だけで議論していても多分復活と言いますか、その水準まで戻るのは難しかろうと。もしそういうことが必要であれば、もっと広い枠の政策で考えないとという、そういう意味でございます。
○山崎部会長
はい、白波瀬委員。
○白波瀬委員
済みません、ちょっと基本的なことなのですけれども、先ほどから中小企業ということで議論がされているのですけれども、28ページにもあるように、どうも私の中で中小企業のイメージが何か定まらないというか、明らかにこのデータでも100人未満か以上かによって状況がちょっと違うわけです。特に、中小企業になりますと、第二の人生というところの人たちもいるわけですので、構成員自体が違う、老後の保障ということとか、みずからの老後というところの距離感が全然違って、多分それも私的年金というか、企業年金の加入の仕方なり、位置づけ自体にも反映してくると思いますので、ちょっとデータとしてどこまで最終的に出してもらうのかわからないのですけれども、何か私なんかだったら基本的に、構成員の年齢分布を大ざっぱに見たいなとか思ってしまうのですけれども、中小といったところの異質性というのを、中と小に変えるのかわからないですけれども、ちょっと考慮を入れて議論ができるといいかなと思いました。感想です。
○黒田課長
ありがとうございます。
非常に役所的なお話から申しますと、中小企業の定義は中小企業基本法にある定義だということにはなるのですが、こういう話を議論するときには、やはり規模だけでは切れません。規模で少し違いがあればもう少し掘ってみましょうということではあったとしても、規模だけで語ることは難しいですし、あとは、やはり企業も伝統がある、割と長く続いている企業もあれば、比較的事業を起こされてから日が浅くて、従業員の方もすごく若い企業もあれば、ということも多分あって、そういう企業の特徴によって、恐らくこういったことをお考えいただきやすい場合もあれば、そうでない場合もあるでしょうし、お考えいただくときでもどういうものに御関心を持っていただけるかというのは多分違うのだろうと思います。
そういう意味では、まず規模で見ていただいてというのは入口みたいなお話で、そこから先にもう少し、データがなかなかとりにくい分野ではありますけれども、何か基礎的なお話も含めて、どんな切り取り方、分析の仕方をしていただけるのかというお話は、私どもとしてもできるだけ多角的に考えたいと思いますし、最近の先生方のそれぞれの御専門なりの中で「こういう会社はこういうことをやっているよ」というお話だとかをいただけるようでしたら、私どもの非常に助けになりますので、ぜひお願いをいたします。
ありがとうございます。
○山崎部会長
ほかにいかがでしょうか。
特にないようでしたら、頂戴した御意見をもとに、今後、本部会における検討課題の整理を行ってきたいと思います。
続きまして、本部会の次回以降の進め方につきまして、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○黒田課長
お手元の資料の3をごらんいただけますでしょうか。
次回以降の進め方についての案でございます。先ほど、資料2について先生方にごらんいただきましたが、やはりこの分野のお話を深めていくためには課題設定がポイントだと思いますし、きょうごらんいただいたのは、御議論いただくための素材ではありますけれども、先生方のお話をいただいたり、それから実際にかかわっていらっしゃる方々のお話をお聞きしたりしながらこの課題設定を補強して、それで課題設定をして、決めたものを順次検討していくということでいかがかなと思っております。
資料3に入りますと、まず今回がこの制度論の一番最初の会なわけですが、関係団体の方々に御意見をいただく機会を持ってはどうかということでございます。これは、ヒアリングと便宜的に書かせていただいておりますが、任意でお入りいただいている先生方の中には労使、まさにいろいろな先生方もいらっしゃいますので、まずヒアリングという形態にこだわるわけではありませんけれども、当事者の方々のお話をお聞きする会というものを、場合によっては複数回設けてもよろしいのかなということでございます。
それから、そういったお話を受けて、また委員の先生方で御議論いただいた上で、今後こういった点を中心に議論をしていこうというような課題をより出していく。あるいは、その中での順番ですとか、優先度といったものを選んでいただくという形で整理をした上で、そのものについて順次という形でいかがかなということでございます。特にこの分野は、まさに労使でつくっていただいている分野でもありますし、関連の方々がたくさんいらっしゃる分野でもありますので、課題設定に時間をかけて、それを皆さんで共有しながら進めていくという形でいかがかということで、この資料を御用意させていただきました。
以上でございます。
○山崎部会長
この進め方につきまして、いかがですか。よろしいでしょうか。
それでは、本部会の次回以降の進め方について、特にございませんか。
(「異議なし」と声あり)
○山崎部会長
それでは資料3のとおり進めることとし、まずは関係団体にヒアリングを行っていくことといたします。ヒアリングの対象とする関係団体につきましては、事務局と相談して決めたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○山崎部会長
ではそのようにさせていただきます。
それでは、予定の時間には達していませんが、本日の審議につきましては終了させていただきます。
次回の開催につきまして、事務局より連絡ございますでしょうか。
○黒田課長
次回の日程につきましては、事務局より各委員の御都合をお伺いした上で調整させていただきまして、御案内をお送りさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○山崎部会長
ありがとうございました。
それでは、本日の審議を終了いたします。御多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございました。
(了)
団体