2017年8月1日 第4回社会保障審議会資金運用部会
年金局
○日時 平成29年8月1日(火)14:30~17:42
○場所 全国都市会館3階 第1会議室
○出席者
出席者:神野部会長、植田部会長代理、井上委員、河村委員、神作委員、徳島委員、杤原委員、永井委員、原委員、平川委員、安浪委員、四塚委員
○議題
(1)GPIF改革の施行(10月1日)に伴う政省令事項について
(2)GPIFの平成28年度業務実績評価について
○議事
○神野部会長 定刻でございますので、ただいまから第4回「社会保障審議会資金運用部会」を開催したいと存じます。
委員の皆様方には大変蒸し暑い折を万障繰り合わせて御参集いただきまして、本当にありがとうございます。伏して御礼申し上げる次第であります。
個人的な事情なのですが、夏風邪をこじらせて声を出すと条件反射的に咳が出る状態になっております。議事運営に支障をきたす場合があるかもしれませんので、御寛容のほどお願い申し上げます。
本日は臼杵委員、大野委員から御欠席との御連絡を頂戴しております。
本日、大きく2つの議題を準備しておりますが、議題2のGPIFの平成28年度業務実績評価につきまして、説明者として高橋理事長初め、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の皆様方にも御臨席を頂戴しております。後ほど御説明をいただきたいと存じております。
事務局の出席者ですが、前回の資金運用部会以降、異動がございましたので、事務局から御紹介いただければと思います。
○宮崎資金運用課長 それでは、事務局から、人事異動がございましたので、その点についてまず御報告をさせていただきます。
年金局長に新しく就任いたしました木下でございます。
○木下年金局長 7月11日付で年金局長を拝命いたしました木下でございます。
部会長を初め、委員の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
これまで私は内閣官房の一億総活躍、働き方改革の室長代理補をしておりまして、年金局は13年ぶりでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○宮崎資金運用課長 続きまして、年金局総務課長の岩井でございます。
○岩井総務課長 総務課長の岩井でございます。よろしくお願い申し上げます。
○宮崎資金運用課長 あわせまして、同じく7月11日付で年金局に資金運用課が新たに設置されましたので、御報告をさせていただきます。
本日、議題は2つあるということで、部会長から御紹介ございました。後ほど後半の法人の実績評価の際には、GPIFの方々の御出席をいただくので、今日は配席が非常に変則的なものになっております。その点、御容赦いただければと思います。
私からは以上でございます。
○神野部会長 どうもありがとうございました。議事に入ります前に、事務局から資料確認をお願いいたします。
○宮崎資金運用課長 資料の確認をさせていただきます。
本日、配付をさせていただいております資料でございますが、まず資料1「GPIF改革の施行(10月1日)に伴い、政省令等において定めることが必要となる事項」。
また、資料1の参考資料をお配りしております。
次に、臼杵委員御提出の資料を1枚お配りしております。
資料2-1「平成28年度業務実績報告及び自己評価書説明資料」ということで、GPIFより提出いただいた資料をお配りしております。
資料2-2「平成28年度年金積立金管理運用独立行政法人業務実績報告及び自己評価書」。
資料2-3「平成28事業年度 監査報告」。
さらに、参考資料といたしましては5点ございます。
参考資料1「独立行政法人の評価に関するスキーム」。
参考資料2「業務実績評価結果についての点検結果」。
参考資料3「平成27年度における独立行政法人の業務の実績に係る評価等の結果についての点検結果」。
参考資料4「年金積立金管理運用独立行政法人 評価項目一覧」。
参考資料5「平成28事業年度 財務諸表等」を配付させていただいております。
お手元にお配りしております資料については以上でございますけれども、資料の不備等ございましたら御指摘をいただけたらと存じます。よろしゅうございますか。
○神野部会長 御確認いただければと思います。どうもありがとうございました。
それでは、議事に入らせていただきたいと思いますが、冒頭にも申し上げましたように、本日の議事次第をご覧いただきますと2つ準備をしております。
まず第1番目の議題、これは前回に引き続いての議題になりますが、GPIF改革の10月1日の施行に伴い、政省令等において定めることが必要となる事項について御議論を頂戴したいと存じます。
本日は前回の議論を踏まえて、事務局において政省令等において定めるべき事項等の案について資料をまとめて提出していただいております。そこで事務局から資料1「GPIF改革の施行(10月1日)に伴い、政省令等において定めることが必要となる事項」を御説明いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○宮崎資金運用課長 私からお手元の資料1に沿いまして御説明をさせていただきます。
1ページ、2ページにおきましては、前回の資金運用部会におきまして御議論いただいたところをまとめております。前回の審議では大きく分けて3つの点について御議論があった、残っていたと捉えております。
1点目が再就職規制に係りまして、運用専門職員の求職活動の特例をめぐり御議論がございました。1ページのマル1でございますけれども、全部で6点にまとめております。最初の1点目は運用専門職員の求職活動の特例につきまして、在職中の面接を禁止するというのは現実的には厳しいのではないかという御意見。2点目も、規制を講ずることによってGPIFが専門の職員の雇用を失うリスクも考えなくてはいけないのではないかという御意見もございました。一方、3点目では、国民から不信感が生じる可能性があることを踏まえると、一定程度の規制はやむを得ない。あるいは利害関係のある金融事業者と直接接触することについては違和感があるという特例の内容について賛同する立場からの御意見もございました。
また、下から2番目の点でございますけれども、運用専門職員というのは別途考える必要があるということで、バランスのとれた規制を考えていくことに基本的には賛成である。その際、代理人について一定の制約をどのように考えているのか。任命権者の承認の際に考慮するのであれば、代理人の属性等まで申告しないとルールとして適切に判断できないのではないかという御指摘もございました。
最後には、これもGPIFの業務の特性に鑑みて信頼性を確保することが重要であり、直接接触する面接を禁止するのはやむを得ないのではないかという御意見もあったということでございます。
大きな2番目といたしましては、2ページでございます。経営委員会の議事録の公表時期について御意見をいただきました。本年10月からGPIFのガバナンスが強化される中で、被保険者等からの注目が高まることを考えますと、前回お示ししました10年ないしは7年ということではなく、現行の7年計画の公表よりもさらに前倒しを図るべきではないかという御意見をいただきました。
最後、大きな3点目でございますけれども、運用対象となるデリバティブ取引の範囲につきまして御議論がございました。リスク管理のために必要なものがあれば、それほど細かく規定をする必要はないのではないかという御意見。あるいは株価指数先物取引の利用は積極的に考えていくべきではないかという御意見もございました。一方でデリバティブにつきましてはリスクが高いということから、あえて株価指数先物まで認める必要があるのかという御意見もございました。また、それに関連しましてはデリバティブ取引に関しては、GPIFは一般の事業会社とは異なって運用を行う主体として全てのポジションは時価評価をされているので、デリバティブにつきましても知らないうちに損失が膨らむような懸念はないのではないか、積極的に認めるべきという観点からの御意見もございました。このような御意見を賜ったところでございます。
このそれぞれにつきまして今回、改めて資料を提出させていただいております。3ページでございます。1点目は、運用専門職員の求職活動の特例に関しての資料でございます。最初の2つの○は前回お出しした資料を基本的に書いておりますけれども、本日はさらにこの運用専門職員の求職活動の具体的な流れに即しまして、このルールをどのように行うのかという点を記載させていただきました。四角囲みの中にございますが、運用専門職員の方が求職活動を行う場合、代理人を通して利害関係のある金融事業者に御自身の情報を提供するような場合には、その代理人となる方の情報あるいは情報提供する先の事業者の名称等を記載した承認の届け出を行い、事前に任命権者の承認を得るという形になります。その際、任命権者は公正性の観点から、承認をして問題がないかどうかを個別に判断するという仕組みでございます。
また、その承認に際しては監査委員に事後的に報告するなど、任命権者の判断が適切に行われることを担保する形でルールを運用してはどうかということでございます。このような仕組みを取り入れることで、代理人を介した求職活動で適正なものにつきましては、規制の適用除外として求職活動等を行えるようにしたいということでございます。
4ページにおきましては、求職活動の特例のイメージということで書かせていただいております。これも前回出した資料をベースにしておりますけれども、在職中におきましては代理人を介した自己の情報提供等をすることを適用除外として認めるということでございますが、その際には左側の四角囲みにありますような事前の承認等を得るという仕組みを入れるということでございます。一方で利害関係金融事業者との直接の接触につきましては、在職中は禁止をするということでございます。
続きまして、大きな議論の2点目でございますけれども、経営委員会の議事録の公表時期についての御議論でございました。経営委員会の議事録の公表時期につきましては、前回の御議論の際には事務局からの案としては2つ、案1としましては会議終了後10年経過後に公表するという案。これは同じく委員の任期が5年の日本銀行の議事録公表の扱いを参考にして10年とするという案。また、案2といたしましては、現在の運用委員会の議事録公表の扱いを参考として、会議終了後、7年経過後に公表という案1、案2を出させていただいておりましたけれども、前回の議論を踏まえて、会議終了後7年経過後に公表とするということを省令上の義務づけとしては規定させていただいてはどうかということで、整理させていただきました。
前回の議論の中におきましては、この7年よりもさらに短くできないのかという御質問に対しまして、事務局から回答させていただきましたのは、例えば経営委員会、現在の運用委員会も同様でございますけれども、重要なテーマとなります例えば基本ポートフォリオの策定に関する議論などは、5年ごとの財政検証の時期に合わせて定期的に行われることになりますが、実際の検討自体はその5年間の検討に先立ちまして1年ないし2年前から始まるということもあり、前回の基本ポートフォリオに関する議論など、こうしたものがあることを考えあわせますと、7年程度の期間を置くことが最低限の義務づけとしては必要ではないかということを申し上げたところでございます。こうしたやりとりも踏まえまして7年経過後に公表という形で整理させていただけないかという案でございます。
6ページでございますけれども、大きな議論の3点目はデリバティブ取引の範囲に関してでございます。これは前回、株価指数先物取引をこれまでの議論を踏まえて規定してはどうかということで、提案をさせていただいたところでございます。
今回、お付けしている6~9ページの資料につきましては、前回、参考資料等としてお示ししたものでございますけれども、デリバティブ取引に関して御議論があったことを踏まえて、もう一度出させていただいております。
その上で9ページをご覧いただければと思います。このGPIFのデリバティブ取引、株価指数先物等を議論するに当たりましては、前回の議論の中では積極的に考えるべきだという御意見のほかに、やはりルールを定める必要がある。非常にリスクが高いという御懸念の声もございました。
今回、デリバティブ取引を政令事項として、株価指数先物取引を入れるに当たりましては、この9ページにあるような内容のルールを設定していくことを考えているということで、従来から御説明をしてきたところでございます。上の四角囲みにありますように、ここに書いてある内容につきましては8ページの内容、これは年金部会での議論の整理として、こういう方向で認めましょうという御議論があったものでございますが、これをわかりやすく説明するために厚生労働省で作成し、昨年2月から3月に与党に示したものでございます。
このうちルール1の利用目的を明確にする、限定にするという点につきましては、既に法律の中で措置をしたところでございますけれども、ルール2以下の利用機会をどのような場合にするのか。利用額のルールをどのようにするのか等々につきましては、本年10月1日以降、具体的には経営委員会で議論されて内容が定まるものと考えております。この中で、こうした従来部会あるいは与党等に御説明してきたような内容に沿いまして、経営委員会で御議論をいただき、最終的には業務方法書に反映する形でルール化を図っていくということで考えております。
これらがルール化された際には業務方法書に入るということで、業務方法書の変更については、厚生労働省が認可をする形の手続もとりたいということで考えております。こうしたルールのもとで株価指数先物取引のようなデリバティブ取引を、他の一般的な生命保険会社等の機関投資家では普通に行われているデリバティブ取引でございますので、これを政令事項として追加して規定してはどうかということで考えているところでございます。
前回御議論になりました大きな3点については以上でございます。
この3点も含めまして前回、政省令等において定める事項として出させていただいた各項目につきまして、10ページ以下でこのような内容で定めたいということで事項をまとめております。今、御説明いたしました3点目含めまして、10~12ページでそれぞれの項目について規制する内容のアウトラインを記載してございます。
私からの説明は以上でございます。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
前回の議論を考慮して事務局でまとめていただきましたものを御説明いただきました。
それでは、委員の皆様方から御質問、御意見を頂戴したいと思いますので、どうぞ。
○徳島委員 本日の1点目と3点目について、簡単に意見を述べさせていただきます。
まず1点目の運用専門職員の求職活動の特例のところに関しましては、前回、私はやや原案が職員にとって厳し過ぎるのではないかということを御指摘させていただきました。基本的にはGPIFに雇用されている運用専門職員の立場、それから、継続してGPIFが専門性の高い職員を採用できるかという立場から、やや厳し過ぎるのではないかということを申し上げたつもりでございます。
ただ、一方、ほかの委員の方々からはそういった金融取引などのある利害関係機関との関係をしっかり担保すべきだという御指摘を頂戴しておりまして、それは一理あるかなと思っております。
私が懸念しておりましたのは、職員がGPIFから期間限定で退職した後、次の職場が決まるまで数カ月間程度の雇用の空白が空いてしまうことです。それまで厚生年金保険料を払っていたのに、いきなり退職してしばらく国民年金保険料を払わなければいけなくなってしまいます。そういう事象を含めて、職員の雇用の安定性を欠くことを何か担保できないかなと考えております。
例えばGPIFの雇用する運用専門職員の方に、何らかの退職金的な制度ですとか、退職後数カ月、これは人と場合によって時間が1カ月の方もいらっしゃるし、数カ月の方もいらっしゃるので、そこはGPIFの御判断にお任せしたいと思いますが、何らかの路頭に迷わないような仕組みを作ってあげることで、皆様の御懸念をクリアしつつかつ雇用の安定を確保できるのではないかと考えますので、今回の事務局の原案には反対いたしません。
2点目のデリバティブの使い方に関してでございますが、今日、臼杵委員からももっと対象を広くしたらいいのではないかという参考資料も出ておりますが、前回も申し上げましたとおりデリバティブに関しては、必ずしもデリバティブそのもののリスクが高いわけではないのですが、使い方に関して皆さん御懸念がある中で、私や四塚委員のようにデリバティブを自分で担当していた人間から見れば、極めて狭い範囲で使うシチュエーションしか今回の業務方法書で認めていただけなさそうです。実際にデリバティブを使って、リスク管理やポジションの取り方に問題がないことを確認して、さらに将来またこの場もしくは別の機会で使い方の拡大を考えるというステップ論的なアプローチをとることで、それはまた改めて御議論いただければいいと思うのですけれども、前回も申し上げましたとおり、為替や債券で利用できるのに、株に関してのデリバティブは使えないというアンバランスを少し正していただけたらよろしいのではないかと考えております。
以上です。
○神野部会長 ありがとうございました。
他にいかがでしょうか。どうぞ。
○永井委員 2点、御意見を申し上げたいと思います。
1つ目は運用専門職員の求職活動のところで、3ページのところですが、四角囲いのマル2のところで、任命権者は公正性の観点から承認して問題がないかを個別に判断するというところでございます。公正性の観点から問題があるという事例がもし具体的に想定されているとしたら、どのようなことがあるのか教えていただきたいというのが1つでございます。
また、運用専門職員から報告された代理人、そして情報提供先の利害関係金融事業者の名称等に基づき任命権者が何らかの調査を行うということであれば、公正性の問題があるかどうかについて任命権者に判断をさせるのかということ。それから、任命権者の判断について厚生労働大臣の命により是正措置まで行うのであれば、少なくとも個別に判断する際の判断基準は示すべきではないかということを御意見として申し上げたいと思います。
もう一つは議事録の公表時期でございます。前回、私から御意見を申し上げさせていただきました。先ほど御説明もありましたように、7年経過ということで示されているところでございますが、その理由も先ほどお伺いいたしました。自分といたしましては御説明いただいた理由については「はい、わかりました」と言えるものではないと思っておりますけれども、7年とするのであれば被保険者に対する透明性を確保した情報開示の強化という観点で、議事要旨についてさらにわかりやすさを追求していただくとともに、議事要旨の公表時期を定めたり、公表方法についてさらに工夫をいただいたりするなどお願いをしたいと思っております。
以上です。
○神野部会長 特に最初の公正性の問題の質問事項について、コメントいただければと思います。
○宮崎資金運用課長 今、御質問いただきました資料で言うと3ページの四角囲みの中にございます。個別の判断をする際の、どのような場合に例えば承認する、あるいはしないような場合があるのかということかと思いますけれども、なかなかこういう場合というのは難しいのですが、取引先の金融事業者との関係というのは例えばマネージャーエントリーという形で本当にリストに挙がっているだけなのか、実際にかなりその人が担当となって深く取引に関わっているのかなど、関わり方の深さというのがかなり違ってくると思いますので、その中で公正性の観点から見て、これは利益相反ととられかねないのではないかという場合があれば、そこは承認をしないという判断があろうかと思います。ただ、原則としては情報提供のみに留めるという仕組みからしますと、通常であればきちんと届け出されていて、関係が明確になっていれば基本的には承認をされるものだろうと思っております。
したがって、個別の判断基準なども、今ここでこういう場合と決めるのはなかなか難しいと思うのですけれども、もし今後法人の中で議論していく中で、必要があればそういうものも考えていくことがあろうかと思います。なかなか簡単ではないかなと思います。
議論の前提として正直申し上げまして、これまでにGPIFに就職いただいた専門職の方々は、いずれも何か再就職などを考えて入ってこられている方ではなくて、今もそのような必要が生じているわけではないものですから、これらの規定は念のための規定ということだろうと思うのですけれども、事例がある程度積み重ならないと、より細かなルールというのは難しいのかなと思っております。
2点目の永井委員から御指摘のありました議事要旨での対応につきましては、これは確かに議事要旨をどのような形で出すのか、速やかにと言ってもどのくらいの形で出すのか、そういったところは情報開示を進めるという観点で、これまでもいろいろな取り組みを運用委員会の中でされてきたとは承知しておりますけれども、経営委員会になってもどのような形がいいのかということは御議論いただく必要があろうかと思っております。
以上でございます。
○神野部会長 河村委員、どうぞ。
○河村委員 論点の1点目と2点目について意見と、少し御質問をさせていただきたいと思います。
まず1点目の再就職規制のところなのですけれども、私も前回、3年間の任期の最後の最後のところまで完全に面接もだめというのは厳し過ぎるのではないかと申し上げたのですが、他の委員の方々の御意見もありますし、やはり公的な立場ですので、きちんと襟を正してという必要があるのも十分理解できるところでございますので、このような結論に持っていくことについては納得いたします。了解いたします。
ただ、やはり心配なのは、今、課長からお話があって3年の有期雇用とは言いながら、皆さん再就職を考えて入ってきているわけではないとおっしゃったのですけれども、そのように決めてしまっていいのかなというところもあって、優秀な方でこういうところで1つのキャリアのステップアップを考えながらいらしてくださる方もあるかもしれず、国の年金の資金運用をお願いする大事なお仕事をやっていただく方ですので、ぜひ優秀な方に来ていただきたいと思いますので、こうした形で運用していったときに、前回も申し上げたのですけれども、「あそこはいいけれども、1回入ってしまうとその後がなかなかよそに替わったりが難しいみたいだよ」というような感じになってしまって、結果的になかなかいい方を集められなくなるということがないかどうか、ぜひGPIFでも人事の関係のセクションはおありになると思うのですが、よくアンテナを張っていただいて、このGPIFとして期待する優秀な方々に本当に来ていただけているかどうか。入れ替わりがあることが悪いことでは全然なくて、いいことではないかと思いますので、ぜひそういったところも配慮しながら今後、運営していっていただければと思います。今のは意見です。
2つ目は例の議事録の公表時期の件なのです。前回、私は所用がございまして、後半の部分は先に失礼させていただいてしまって申しわけございませんで、事後の議事録なども拝読させていただきましたし、こうやって前回の議論をおまとめくださったのも、今、御説明をくださって、前回言えなくて今回申し上げるので恐縮なのですけれども、私もこの議事録の公表の時期、実際に経営委員として参加してくださる方々のいろいろなプレッシャーを感じられる中で議論してくださるわけで、自由闊達な議論を保証するために一定の時期を置いてというのは理解できるのですけれども、もう一方で国民が知りたいというレベルもありますし、それだけではなくてこういう経済、特に金融のところについてはいろいろな経済情勢があって、先をどう見通すとか、どういう考え方、それこそ基本ポートフォリオの設定だってどういう考え方でやっていくか、割と意見がわっと割れたりする分野だと思うのです。そういうものに対してGPIFとしてどういう意見の方々が入っておられて、どういう議論をされて、例えばどういうリスクの試算等をされてそういうことを踏まえられた上で、責任ある意思決定ということでやってくださっているのかということをきちんと説明していただくことをどう担保するかという意味でも、この公表時期をいつに設定するかというのは非常に大事なのではないかと思っております。
そういう意味で、前回は10年経過後というのと7年経過後と2案あったものを、今回7年経過後としてくださっているのですが、申しわけないですが、私はこれでもまだ長いと思っていて、5年経過後でいいのではないかと思っているのですけれども、先ほど7年にする理由のところで御説明くださった例の年金の本体のほうの財政検証が5年ごとにあって、その1~2年前から基本ポートフォリオの検討もするのでということなのですが、ここが何で7年になるのかというところが、申し訳ないのですが、なかなかすとんと落ちないというか、よく理解できないのですけれども、まずここのところはもう少し御説明いただければなと思うのですが、いかがでしょうか。
○宮崎資金運用課長 GPIFの行動につきまして、先ほどの開示に関わる部分ですけれども、GPIFにつきましては今、145兆円という運用資産を持っていて、国内市場に関しても例えば株式で500兆から600兆の市場規模の中で30兆円から35兆円という形で、かなり大きな割合を占めております。これは世界の運用機関を見ても稀有な存在だと思っております。そういう意味で大変大きな存在であるがゆえに、市場への影響等につきましては非常に慎重な対応をしてきているというのがまず根本としてございます。
法人の具体的な投資行動ですとか、あるいは投資方針につきましては、例えば法人に対して取材等がありましても、法人の側からそういうことは積極的に一切言わないという形で対応してきております。こうした具体的な投資行動や投資戦略が関わるものにつきましては、情報開示の要請と、一方で市場への影響のバランスを考えながらルールをしてきているところがございます。
その上で議事録の開示に関しましてですけれども、先ほど申し上げました基本ポートフォリオを例に出して御説明させていただきました。基本ポートフォリオの策定に関しましては特に市場関係者の関心も高いところでございます。3年前、基本ポートフォリオを大幅に変更した際には、最終的な決定に至るまでの間に報道等で例えば株式が何%ではないかとか、そういう推測の記事なども何度か出るような、非常にマーケットの関心を集めるような機微に触れる情報を扱っております。そのことを考えますと、基本ポートフォリオを議論する際に、前回、今、経営委員会を構成している各委員の方々がどのようなスタンスで基本ポートフォリオの策定に関わったのかという情報が事前に明らかになるということになりますと、例えば次の基本ポートフォリオ、このような方向になるのではないかというのは推測を呼んだりということで、市場への影響が考え得るのではないか。また、そのような意見が前回、こういうことを言っていたということがつまびらかに、議事録ということですのでお一人お一人細かなニュアンスまで含めて出ることになりますので、その中で出ることがお一人お一人の自由な議論の妨げになるのではないかという観点から、5年プラス事前の準備期間を含めて1~2年ということで、7年ということを今は置いているということでございます。
それ以外にも例えば長期的な投資方針にかかわるようなものにつきまして出していくことがどの程度が適当かということを考えたときに、このような法令として公表を義務づける期間としては、7年より短くすることについてはなかなか難しいのではないかと考えて7年と設定したということでございます。
○河村委員 御説明ありがとうございます。
御説明はわかりました。何で基本ポートフォリオの設定と重ねてということでわかりましたけれども、どこまで守るべきかというところなのです。今の御説明ですと5年に1回変えるときに、これから基本ポートフォリオの議論をしましょうというときに、その1つ前のサイクルのときに同じ方が経営委員だった場合に、その方がどう言ったということが一切国民にはわからない状態で議論してもらおう。それでよろしいのですか。私はそれは明らかになってもいいのではないかと思います。同じ方だから、こういう基本的な考え方をされる方だなというのはあるでしょうけれども、5年前と5年後とでは経済情勢等も違っているでしょうし、国の財政事情も違っているでしょうし、いろいろなことを考えながらきっと御判断くださって決めてくださるのだろうなと思うのですけれども、そこまで守る必要があるのかなと。そこはもちろん厚生労働省の御判断だと、そこは伏せたほうがというお考えなのでしょうけれども、私はそうは思わなくて、公表してもいいのではないかと思います。
これは意見ですけれども、こういうお仕事をすごく独立してというか、任命された以上は専門性を発揮していただいて、よく議論してお決めいただくのがいいということではあるのですが、ただ、国民全員の大事な年金資産にかかわることですので、ひとたび厚生労働大臣から任命された以上は全部お任せ、全部その方々の御判断でやっていいというものでもない。そこのバランスのとり方なのではないかと思います。
引き合いに出していいかわかりませんけれども、日本銀行は金融政策でやっている仕事は違いますが、公表までの期間は10年です。海外ですと5年という中央銀行もあります。アメリカの連邦準備銀行は5年です。今10年ですけれども、異次元緩和をやってから5年がそろそろ経ちます。今、4年半ぐらいですよね。5年経っていくときに、10年経つまでは何も言えないから、例えば出口戦略の議論をしているのですかということを国会での質問もたくさん出ていて、それに副総裁がお答えになっている。今は答えることができません。これは議事録が10年間公表ではないからということですよね。何もわからない。これがもし5年で公表だったら、少なくとも異次元緩和を導入した時点でどういう検討をちゃんとやったのかというのが全部つまびらかに明らかになるわけです。そういう状況で今、議論をしていくのと、10年、あとどうせ5年間は誰にも何もわからないや。言葉はいいかどうかわかりませんけれども、ばれないやということで、そういうものなのでしょうか。こういう専門性の高いことというのは、国民の資産、国民の経済というか、企業の活動、家計に全てかかわるような大事なことを決めるときに、一度お願いしたら、日銀だったら国会同意人事で、この経営委員は厚生労働大臣がお決めになる。経営委員の方に1回お願いしたら、もう目隠しでお願いしてしまうような感じになって、2案あったところ7年にしてくださると今日、案をいただいているのですけれども、前向きにお答えをいただいていると思うのですが、私は個人的にはまだ長い。5年でいいのではないかということで、きょうの時点で意見を申し上げさせていただいて恐縮ですが、そのように申し上げさせていただきたいと思います。
以上です。
○神野部会長 ありがとうございます。
神作委員、どうぞ。
○神作委員 2点申し上げたいと思います。
1点目はまさに今、河村委員から論点の指摘がございましたし、その前に永井委員からも御意見がございましたけれども、経営委員会の議事録の公表時期についてでございます。
もう一点が、しつこくて恐縮ですが、前回と同じことを繰り返しますけれども、デリバティブ取引の範囲について再度意見を申し述べさせていただきたいと思います。
経営委員会の議事録の公表時期につきましては、私は実はどちらかというと、それほど短い間に公表しなくてもいいのではないかと感じております。その理由を申し上げます。
日銀の場合との大きな違いというのは、GPIFは運用の世界では他のライバルと競争関係にある点にあると思います。そういう意味では市場の対話を仕事にしているというのとは全然性質が違いまして、事務局からは市場へのインパクトという観点を指摘されましたけれども、私はこの問題というのは、それだけではなく、それと同等に、または同等以上にGPIFの利益にかなかどうかという観点から決めていくのがよろしいのではないかと思います。
少し話が飛びますけれども、私が勉強している株式会社法では取締役会の議事録が作成されるのですが、これは株主であっても当然見ることができるものではありません。裁判所の許可が必要です。それはどういう趣旨かというと、もし誰でも見られるようになると取締役会の議論自体がシュリンクしてしまったり、そもそも取締役会の議事録がきちんと作られなくなったりするおそれもあるということから、会社のようにほかにライバルがいて、競争関係にあるようなときには、そういった機微に触れる議論というのはそう簡単に、株主といえども見られるわけではないという考え方に立っているわけであります。
経営委員会の議論にしても、恐らく非常に機微に触れる事項が話し合われることになると思いますので、もし短い期間でそれが公表されてしまうことになると、本当に言いたいことを十分に言えるのだろうかという心配も出てきます。もちろん7年がいいのか、10年がいいのか、5年がいいのかというのは結局、決め方の問題で、どこかで決断をしなければいけない問題であるとは承知しておりますけれども、私は短ければ短いほどいいという話ではないのではないかと思っております。
以上が第1点でございます。
第2点は、デリバティブ取引の範囲についてなのですけれども、これは前回、私が申し上げたことと同じことを繰り返すとともに、臼杵先生から出されている意見について、先ほど始まる前に拝読しておりまして、事務局に御質問をさせていただきたいと思います。私は前回、デリバティブ取引というのはいろいろな目的のためにできる。リスク管理のためにも使えるし、投機のためにも使える。したがって使い方によっては非常に怖いことになるけれども、しかし、リスク管理がきちんとされているのであれば、選択肢は広いほうが望ましい。これは要するに適切な例えではないかもしれませんけれども、刃物に例えると切れ味が鋭いほうがいいと思うのです。もちろん使い方によっては危険な使い方もあります。しかし、せっかくリスク管理体制等についての法整備ができたのであれば、切れ味のいいナイフがあったほうが、GPIFがリスクを適切に管理するという目的をよりよく達成するためにも有益なのではないか。あとは使い方の問題で、使い方は鈍い刃物だったらおかしい使い方はなさないかというと、これも決してそうではないと理解しております。
その点に関連して、臼杵委員から出された意見は、私が今申し上げた考え方とは違っているように思いました。ヘッジ目的に限定するという点についてもう少し緩やかに解釈すればいいのではないかという御意見ですけれども、例えば臼杵先生の御意見の3番目の例というのは、法律に規定がございます損失の危険の管理を目的として行うものに当たらないと解されるのか。そもそも当たり得るようにも思われるのですが、これは現行の21条の1号の「運用に係る損失の危険の管理を目的として行うもの」という文言の解釈論で対処できないものなのかどうか、そのあたり解釈論にかかわる問題でございますけれども、もし何か御教示いただくことがあれば教えていただきたいと思います。解釈論の枠を超えて緩やかに解釈することには疑問があります。
1点御質問がございましたが、私からは以上でございます。
○神野部会長 コメントがあれば事務局からお願いします。
○宮崎資金運用課長 まず、今、神作委員の御指摘にありましたデリバティブの関係でございます。
大前提として、今回の法改正自身はデリバティブを従来は法律で一つ一つ列挙していたものを、今後は市場の変化等に応じて機動的に対応できるように、必要があれば政令で追加できるように、政令で規定したというものがございます。その上で追加する際にはリスク管理を目的にしたものに限るという形での制約をかけ、その制約の担保自身は先ほど申し上げたような実行する際のルールづくりの中で決めていくということだと思います。
先生の御質問のリスク管理の目的の中には、例えば臼杵先生が書かれているような3のマル1やマル2は入るのかというのは、概念的には入ってくるのだと思います。つまり、リスク管理を目的とされるものであれば、こういったものも入ってくるのだろうと思います。
ただ、問題は先ほど徳島委員から御指摘もございましたけれども、これまでデリバティブの活用等もほとんどない中で、今回新たに政令事項として入れるということですので、当面の措置としては株価指数先物取引というものを入れる。そして、その際には従来議論してきた内容で、ルールとしては厳格なルールをまず入れて、それを前提に導入してはどうかということでお諮りをしてございまして、未来永劫ここの範囲にとどめるとかいう趣旨ではございません。その後は必要があればまた議論を行い、その場合には必要に応じて部会なり、適切な場での御議論を踏まえた上で追加することは当然に将来としてはあり得る。立ち返りまして、法律上のヘッジ目的というのは、そういう意味で将来的なことまで考えあわせますと、3のマル1、マル2に書いてあるようなものまでも含めて取り得るものだと考えております。
以上でございます。
○神野部会長 他いかがでございましょうか。どうぞ。
○安浪委員 私の方からですが、デリバティブについては前回、非常にリスクが高いというお話を申し上げたのですけれども、今回、9ページに書いてありますように、ルール1~6を決めていただいて、特に担当者以外の方がチェックを実施するとか、毎日リスク量の測定をするといったこと。結局、管理を厳重にやらなければいけないということが前回、申し上げた趣旨ではありますので、こういった形でやっていただけるのであれば、デリバティブについて私は問題ないのではないかと感じました。
議事録の話なのですが、確かにGPIFはマーケットの中の一運用機関であって、周りがライバルであるという見方ができると思うのです。ライバルにその議事録を即公表することは、ある意味では作戦上、手の内をさらけ出すような形になって、委員が自由な意見を述べないというような二の足を踏んでしまう。意見を述べることについて早く議事録を公表することが前提になりますと、委員の方が自己の意見を述べるのに躊躇してしまうという弊害もあるのかなと思うので、私は早ければいいというものではないのかなという気がいたしました。7年がどうかというのははっきり申し上げられませんけれども、前向きに検討された結果7年であるというのであれば、よろしいかなという気がいたします。
○神野部会長 平川委員、どうぞ。
○平川委員 デリバティブの関係について簡単に意見を言わせていただきます。
まず議論がございましたけれども、やはり年金部会の中でも限定的な場面においてリスク管理をツールとして用いるということでありますので、そういった趣旨で法定化されていると考えています。デリバティブ取引そのものになじみのない方も被保険者の中に大変多くおりますので、そういった意味でリスク管理体制をどうやって整えていくかということが重要であります。9ページのようにさまざまな形で監視体制を強めていくと記載をされておりますが、例えば監査報告書などにおいてデリバティブ取引に関する執行状況の監視結果を明記されることなども必要ではないかと考えているところであります。
意見としては以上です。
○神野部会長 どうぞ。
○杤原委員 関連してデリバティブの件で懸念だけ申し上げておきたいと思います。
こちらは年金資金部会ということでございますが、片や年金部会でも年金局さんと制度の持続可能性を高めるためにさまざまな見直しをしておられますので、その一方で仮に万が一、損失を出してしまった場合に、年金に対する国民の不安を増長させて、制度そのものに対する信頼が低下することになると思われます。
そういう認識の中で、資料の6ページに株価指数先物取引を行うことが運用リスクの軽減につながると書いてございます。リスクの管理に役立つ面を否定するものではありませんけれども、万が一、予想に反して不測の事態が起きた場合に、デリバティブということであれば、例えば100倍のレバレッジで損切りをするような場合もございますし、追証が発生するような場合も起きるのではないかと思われます。むしろ管理しなければならないリスクの数そのものはふえてしまうのではないかと思っております。年金は100年計画で考えられておりますので、短期的な先物取引がなぜ必要なのか、いまだに懸念がある方も実は多いのではないかと感じてございます。
1点質問なのですけれども、9ページに絵解きをしていただいておりますが、このデリバティブをやった結果でリスクが少なくできるという御説明ではあるのですけれども、このデリバティブをやった結果で差損が発生することは絶対にないのか、差損が発生するケースが実はあるのか、そこのところが1点、御質問でございます。もしデリバティブをやった結果で差損が発生するケースがあるということであれば、そこは国民の皆さんに納得できるような絵解きをした説明が必要ではないかと考えてございます。
以上です。
○宮崎資金運用課長 まず委員御指摘の中で言えば、例えば100倍のレバレッジをかけるとか、そのような投機的なデリバティブの活用は一切行うことはできないということは御理解いただきたいと思います。その上でリスク管理のために行うデリバティブ取引ということですので、デリバティブを使うコストをかけて将来の損失を防ぐような使い方ですとか、さまざまな使い方がありますので、デリバティブが常にプラスを出すというのはなかなか約束はできませんけれども、これは通常の生命保険会社などでも使われている仕組みでございますので、その中でリスクを管理する、あるいはマーケットへのインパクトを減らすために使うという形での限定的な使い方が考えられるのだと思っております。少なくとも委員が今、御指摘になられたようなGPIFの資産全体に大きなリスクを持ち込むようなデリバティブ取引というのは、一切行われないということだと思っております。
○神野部会長 植田部会長代理、どうぞ。
○植田部会長代理 先ほど来、議事録の公開の時期の議論に関して1つだけ思うところを申し上げておきたいと思います。これはいろいろな側面があると思いますが、1つは委員の再任とか、あるいは先ほど来、議論になっています再就職に対する影響の問題だと思います。
1つの立場は、議事録を早目に公開することによって、その委員がどういう発言をして、それが正しかったのか、間違ったのかということが明らかになって、それがわかった上で任命権者が再任の判断をしたり、あるいは再就職の際にその情報が使われるということは望ましいという立場が当然あるかと思います。
他方で意識しておかなければいけないリスクとして、早目に議事録、したがって自分の個別に言った意見が名前とともに出ていくことになりますと、GPIFがそのときどういう資金運用をするのが最適かという立場からの発言だけではなくて、議事録にどのように自分の発言が載って、それが再任や再就職のところにどういう影響を持つのかということまで意識した、ある種、政治的な発言をするようになるというリスクがゼロではないし、私の経験ではかなりある。無視できないと思います。もちろんこれは短い長いを決める際の1つのポイントにしかすぎないわけですが、一応、指摘させていただきたいと思います。
○神野部会長 それでは、よろしいですか。生産的な御議論を頂戴しましたことに感謝いたします。
私は伺っておりまして、ほぼ事務局でまとめていただいた方向で御了解いただいていいのではないかと思います。確かに個々の問題について異論を提示していただきましたけれども、それはむしろ懸念とか留意事項として御指摘いただいたと理解しておりますので、事務局においては本日のここでの議論を念頭に、政省令等の作成を進めていただければと思います。
もちろん、個々の論点で異論があるということは承知しておりますので、そうした本日の議論をどのように反映させていくのかということについては、私の責任において一任させていただければと思いますが、いかがでございましょうか。よろしいですか。
(「異議なし」と声あり)
○神野部会長 ありがとうございます。それでは、事務局におかれては必要な手続を進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、私の議事運営がまずくて時間が押しておりますが、2つ目の議事でございます。「GPIFの平成28年度業務実績の評価について」に入らせていただきたいと思います。先ほどもありましたが、準備の関係がありますので少々お待ちいただければと思います。
(評価官、GPIF着席)
○神野部会長 それでは、2番目の議事に入らせていただきます。新たに御臨席いただいています御関連の方々には、お忙しい中、御参集いただきまして本当に感謝を申し上げる次第でございます。
初めに、厚生労働省全体の独立行政法人の評価の取りまとめを担当されている政策評価官室から牧野政策評価官にお越しをいただいておりますので、独立行政法人に関するスキームや今後の流れについて御説明を頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。
○牧野政策評価官 政策評価官の牧野と申します。本日はよろしくお願いします。
私から参考資料1~3を使いまして、独立行政法人の評価方法について簡単に御説明させていただきます。
まず参考資料1をご覧ください。独立行政法人の評価につきましては、平成27年度に制度が一部変わりました。平成26年度までのスキームは、独立行政法人を独立行政法人評価委員会というところが直接評価する仕組みでしたが、平成27年度からは独立行政法人を主務大臣が、総務省の指針に従って統一的に評価するという仕組みになりました。その際に外部有識者の知見を活用することになっておりまして、この外部有識者の知見を得る機会をこの場でいただきたいと思っております。
参考資料1の3ページ目をご覧いただきたいのですけれども、この有識者の知見の活用につきましては、去年までは評価官室で開催しております独立行政法人評価に関する有識者会議におきまして、GPIFについても評価に対する意見をいただいておりましたが、今年度からはこちらの資金運用部会で御意見をいただくという形にさせていただきたいと思っております。また、次回からは改正法の施行に伴い、正式な諮問事項として御意見をいただくことを予定しております。
1枚戻っていただきまして2ページ目をご覧ください。独立行政法人の評価につきまして、このページで簡単に御説明をしたいと思います。中期目標に沿った形で法人のほうであらかじめ評価項目を定めてございます。その項目に沿った形でS~Dの5段階で評価をすることになっております。この評価の方法ですが、定量的指標を設定している項目につきましてはBを標準といたします。定量的指標が目標値の100%以上120%未満の場合にB評定という形になります。見た目がかなり厳しい基準でございまして、要は100%以上、一生懸命頑張っているときにB評定となります。A評定は120%以上、S評定はそれにプラスして質的に顕著な成果があった場合になります。
また、定量的指標の設定が困難な項目につきましてもBが標準となりまして、難易度が高い項目につきましては、評定を1段引き上げることを考慮するという形になります。本日は、項目別評定の自己評価に対して、委員の方から御意見をいただきたいということでございます。最後にこれらの評価をウエートづけするような形で総合評定を出していくというような形になっております。
続きまして参考資料2をごらんいただきたいと思いますけれども、今回は、制度が変わって3回目の評価になるのですが、1回目の平成26年度の評価結果につきまして、総務省から点検結果が出ております。26年度の全省庁の評価でA評定以上の割合は20.9%でございました。これに対して厚生労働省は実は半分近くがA評定以上でございまして、評価が上振れする傾向にございました。ちなみに厚生労働省以外に外務省と経産省も評価が高くて、その3省を除くとA評定以上の割合は13.8%だったということでございます。
A評定以上の割合が高いことの何が問題かということなのですけれども、下のほうに青い箱がございまして、その左上を例としてごらんいただきたいのですが、A評定以上としている場合に根拠、理由がはっきり示されていないところが問題であるという指摘が多くされているわけでございます。したがいまして、委員の方には、特に法人が自己評価をA評定とされている部分につきまして、頑張っているからAでよいということではなくて、こういう成果、効果を上げているのでAであるという形で御意見あるいは御質問をいただきまして、理由、根拠を明らかにしていただきますと大変ありがたいと思います。
こちらからは以上でございます。
○神野部会長 ありがとうございます。適切にポイントを御説明いただきましたので、ただいまの御説明を念頭に置きながら、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の平成28年度業務実績評価について議論をさせていただきたいと思います。
初めに「I-1 管理・運用の基本的な方針、運用の目標」「I-2 リスク管理」についてGPIFから御説明を頂戴したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○三石審議役 GPIFで審議役をしております三石と申します。よろしくお願いいたします。
実際の実績評価書は資料2-2でございますけれども、七十数ページのかなり分厚いものでございますので、時間の関係もございますものですから、資料2-1、パワーポイントのほうに簡単にポイントをまとめた資料を御用意いたしましたので、そちらで説明をさせていただきたいと思います。
まず2ページをお開きいただきたいと思いますけれども、私どもは厚生労働大臣から与えられております評価項目が12項目ございます。そのうち自己評価といたしましては4つの評価項目についてA評価、残りの8つにつきましてB評価とさせていただいております。
評価項目I-1ということで3ページをごらんいただきたいと思います。こちらが管理・運用の基本的な方針、運用の目標についてという評価項目でございまして、まずマル1とございますが、厚生労働大臣から与えられている目標の内容でございます。もちろん私ども長期的な観点から運用を行っておりますけれども、独法ということで毎年度の評価項目が決められております。この場合には赤字のところにございますように、年度単位で各資産ごとにベンチマーク収益率を確保するよう努めることが、年度の努力目標ということで与えられております。
マル2は実績でございますけれども、赤字のところにございますように4資産を私どもは持っておりますが、その中の3資産、内外債券、国内株式につきましては、プラスの超過収益率を確保することができました。また、いわゆる個別資産要因、これは私どものマネージャーの選択でございますとか、あるいはマネージャーに与えるマネージャー・ベンチマークの選択、この効果をあらわすものでございますけれども、こちらでも+0.33%でございました。
一方、私どもの実際の28年度の収益率5.86%と、基本ポートフォリオどおりに市場平均の収益率を出した場合、これを複合ベンチマーク収益率と呼んでおりますけれども、これとの比較でごらんいただきますと、全体といたしましてはパラグラフの一番最後にございますように、-0.37%でございました。個別資産要因がプラスであったのに全体としてマイナスの理由でございますが、そちらの文章にもございますけれども、資産配分要因で-0.66%であったというところでございます。
その背景でございますけれども、右下に円グラフがございますが、内側の円が基本ポートフォリオで、外側の円が3月末での実際の資産構成割合でございます。ごらんいただきますとおわかりのように、4つの資産とも基本ポートフォリオに比べましてアンダーウエートになっているというのがおわかりかと思います。逆に短期資産、これには年金特会が持っている積立金も入っておりますけれども、短期資産が8.89%となっております。
この理由でございますが、2つございます。1つは想定外にいわゆるキャッシュインが多かったということで、これは28年度につきましても厚生年金基金の代行返上などがございまして、想定外にキャッシュが入ってきたというところでございます。通常であれば、こういったキャッシュについては投資に回すということでございますけれども、御案内のように国内債券についてはマイナス金利下でなかなか投資に回しづらい状況。また、内外株式につきましては28年度を振り返っていただきますと、6月のブレグジットあるいは11月の米国大統領選といったようなリスクイベントが度重なる中で、私どもの投資判断としましてはかなり保守的な運用を行ったことから4資産ともアンダーウエートになっておりまして、そのための資産配分要因がマイナスになっていたというところでございます。
なお、マル3のその他でございますが、ここではいわゆる目標にはなく自主的に取り組んだ事項を書く欄としておりますが、この項目については特に特記事項はないという整理でございます。
このような形で、この項目につきましてはB評価とさせていただいております。
各資産ごとの超過収益について、さらに要因分解をしておりますが、4ページをお開きいただきたいと思います。まず国内債券でございますけれども、超過収益率は+0.05%でございました。この超過収益率につきまして、基本的にはファンド要因とベンチマーク要因それぞれ要因分解を行っております。一番下の脚注をごらんいただきますとおわかりのように、ファンド要因というのは個別ファンドとマネージャー・ベンチマークの収益率の差による要因でございます。一方、ベンチマーク要因は私ども各マネージャー、運用機関にベンチマークを与えておりますが、そのマネージャー・ベンチマークと評価ベンチマーク、例えば国内株式であればTOPIXが評価ベンチマークになりますけれども、そういった評価ベンチマークの収益率の差による要因、これがベンチマーク要因でございまして、このような形で要因分解を行っております。
ちなみに国内債券は0.05%のプラスでございますけれども、特にアクティブ運用の収益率がマネージャー・ベンチマークの収益率よりも高かったということがプラスに寄与したところでございます。
続いて外国債券でございますけれども、超過収益率が+2.19%になっております。その要因といたしましては、ファンド要因とベンチマーク要因それぞれで1.07%あるいは1.06%を獲得しているところでございます。その中でも各ファンドごとに要因分解をしてみますと、特にバークレイズのグローバル総合のアクティブでファンド要因あるいはベンチマーク要因で稼いでいることがおわかりかと思います。
続いて5ページでございますけれども、国内株式でございます。超過収益率が+0.20%でございますが、その多くはファンド要因0.17%とございますけれども、特にTOPIX、アクティブファンド、ここでのファンド要因が大きく寄与していることがおわかりかと思います。
最後に外国株式でございますけれども、残念ながら4資産の中では唯一マイナスの超過収益でございまして、-0.41%でございました。要因分解をご覧いただきますと、特にそのうちファンド要因で-0.39%、さらにファンドごとに見ますと先進国(アクティブ)で-0.37%ということがおわかりかと思います。この背景でございますけれども、枠囲いの文章の2ポツ目をご覧いただきたいと思います。クオリティー重視でちょうど銀行セクターあるいは素材セクター、エネルギーセクターについては、ベンチマークに比べてアンダーウエートにしておりましたけれども、ちょうど先ほども申し上げました6月のブレグジットあるいは11月の米国大統領選、この後にこれらのセクターの株価が大幅に上昇したことが、アンダーウエートにしていたことによってマイナスの寄与になったところでございます。
続いて7ページのI-2、リスク管理について御説明をさせていただきます。目標といたしましては資産全体、それから、各資産、各運用受託機関や各資産管理機関といった3層構造でリスク管理を行うことが目標となっております。
マル2の実績でございますけれども、まず資産全体についてはこの後、具体的な数字をご覧いただきますが、積立金全体の推定トラッキングエラーによるモニタリングを行っているところでございます。また、各資産につきましてはトラッキングエラー、さらには債券であればそこにデュレーションを加えた格付分布、また、株式であればスタイルリスクやベータ値といったようなさまざまなリスク管理数値をモニターすることによって、リスク管理を行っているところでございます。
さらに運用受託機関などに対しましては私どもからガイドラインを示しまして、その遵守状況を定期的にミーティングを行うことによってモニタリングをしているところでございます。
具体的な数字をご覧いただきたいと思いますが、8ページをご覧いただきたいと思います。まず積立金全体のリスク管理でございますけれども、左上にございますように、全体の推定トラッキングエラーにつきましては大体1~2%の範囲で、1年間を通じて安定的に推移していることがおわかりかと思います。また、右側から左下にかけてでございますけれども、4つの資産について基本ポートフォリオを真ん中に挟んで、上下に乖離許容幅の破線を引いておりますが、4資産いずれも年度を通じて乖離許容幅の中でコントロールされていることがおわかりかと思います。
続いて9ページでございますけれども、先ほど申し上げましたようにさまざまなリスクファクターを各資産ごとにモニタリングしておりますが、ここでは代表的なトラッキングエラーについて推定のトラッキングエラー、それから、実際の実績値で測定した実績のトラッキングエラー、2つで見ておりますけれども、いずれも年間を通じて安定的に推移していることがおわかりかと思います。
そして10ページでございますけれども、各運用受託機関ごとという意味で先ほど定期的にモニタリングを実施していると申し上げましたけれども、特にリスクといたしましては、運用体制が変更された際に問題がないかどうかの確認というのが重要でございますけれども、10ページの右下をご覧いただきますと、そこにございますように18ファンド、18件について変更の連絡がございましたが、その運用体制を私ども自身で確認をいたしまして、特に問題がないことを確認したところでございます。このような目標どおりに達成できたということで、このI-2についてもB評価とさせていただいたところでございます。
以上でございます。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいま御説明いただいた評価項目I-1とI-2について御議論を頂戴できればと思います。いかがでございましょうか。どうぞ遠慮なく。
○井上委員 評価項目1-1(管理・運用の基本的な方針、運用の目標)及び評価項目1-2(リスク管理)の自己評価は適切と考えます。
質問だが、外国株式がベンチマークをアンダーパフォームした理由については「Brexitや米大統領選を控えて保守的な運用をし、外国株式を基本ポートフォリオに比べてアンダーウェイトさせたため」であると説明されている。この点に関し、基本ポートフォリオで定められている「乖離許容幅」の枠内で保守的運用を行うか積極的運用を行うか、言い換えれば、基本ポートフォリオよりアンダーウェイトさせるのかオーバーウェイトさせるかは、どのようなプロセスで判断されているのか。
○三石審議役 私どもは定期的に大体1週間に一度、投資委員会を開催いたしまして、委員長はCIOの理事で、そこに理事長あるいは理事、それから関係の部署の者が入りまして、そちらで具体的な投資判断についてはさまざまなデータに基づいて判断をしているところでございます。具体的な経済見通しでございますとか、詳しい経緯につきましては先ほども御議論がございましたように、私ども投資戦略にもかかわってまいりますので割愛させていただきますけれども、そのような投資委員会の場で最終的には投資判断をある意味、実質的な合議制でございますが、決めさせていただいているところでございます。
○平川委員 政策評価官に御質問をしてよろしいですか。参考資料2の6ページの定性的業務実績等に基づき「A」評定以上としている根拠、理由等の明確化のところですけれども、そもそも目標が簡単に言えば合理的ではないということなどが御指摘されているような気がするのですが、それから見ると今回のGPIFに対しての目標が定性的なものが多くて、それ自身も問題ではないのかということを書いているのでしょうか。
○牧野政策評価官 今回につきましては目標に対する達成度を評価していただく場なので、目標が満たされているかどうかということを御議論いただくのが基本ではあるのですが、確かに目標自体が適切ではないというケースもあるかと思います。あるいは定量指標を定めていても、その定め方の水準が適切ではないという御意見もあるかと思いますので、それにつきましても有識者の方から御意見をいただけますと大変ありがたいと思います。それは評価に反映させる場合もあれば、次の中期計画の目標見直しのときに反映させるということもございますので、目標自体についても御意見がありましたら、その点はぜひお願いしたいと思います。ということでよろしいでしょうか。
○原委員 今の点に関連してなのですけれども、全体的な評価の部分についてです。後ほど個別の項目については御質問、コメントをさせていただきたいです。評定はS、A、B、C、Dの5段階ということで、B評定というのが中央値ではあるのですが、目標値としては100%以上ということで、目標は達成しているということで、それ以上さらに120%以上目標を達成していればA評定となっています。また、A評価をつけるときにはそれなりの根拠とか理由を示す必要があるという記述があるかと思います。
その上で評価項目一覧の参考資料4を見ると、全体として全ての項目でB評定以上ということですので、既に全体として見るとBを全てとっているということで、ある程度の目標は今回達成しているというような、全体の総括的なものがあって、例えば80%以上100%未満のC評定というのはないわけですから、何となくもう改善する必要もあまりないように受けとめてしまうのです。
というのも資料2-2を細かく見させていただいたときに、I-1とI-2については<課題と対応>が書いてあったのですが、それ以外について課題と対応というものが特になしというのが多かったので、B評定であっても何らかの取り組みをされていらっしゃるのではないかというのがありますので、その辺りを知りたいと思ったのと、あとは1つ確認させていただきたいのですが、評価の視点というのがそれぞれの項目で、ずっと変わらないのかということです。つまり今年度の評価の視点はここまでで、来年度の評価の視点はここまでというように、評価項目といいますか、視点が毎年変わっていくのかということと、恐らくはそうではないという印象は受けたのですが、そこを確認させていただきたかったということがあります。
I-1、I-2とか、特にI-3以降は毎年度ということが入っていなかったので、多分、評価の視点というのは書かれていることにそって、中期目標、中期計画の中で確認していくということだと思うので、その辺の見方をぜひ教えていただきたいというのが思います。
というのもB評価であってもよりよい取り組みは継続して、さらに高い目標を目指すために課題ということもあるかと思うので、そういった意味で評価の視点ということについて少し細かく教えていただきたい。その辺りを踏まえて、今回BからBとか、BからAというものが出てきているのか、先にお聞きしてよろしければお聞きしたいのですけれども。
○宮崎資金運用課長 私から説明させていただきます。
この実績報告及び自己評価書の作り方は、5年を単位とする中期目標法人でございますので、5年間の中期目標に対して5年間の中期計画が法人から出てきて、それぞれの項目に沿って評価をするという仕組みの中でやっております。
その主な評価指標につきましても中期目標、中期計画に沿った形で基本的に5年間は同じ評価の視点で見るということで、ここは今年度、年度としては27年度、28年度と2年度目になりますけれども、変えてはおりません。その中で見ていただいてということでございます。
ただ、なかなか3年前につくった時点では具体的に書き込めなかったような取り組みも出てきております。それについては法人から特に取り組んでいる事項という形で説明がありますので、その点も加味していただきつつ、ただ、評価官から御説明がありましたように、独法のこの仕組みとしては評価指標に沿ってアウトプットがどうだったのかということでございます。
加えて先ほどの平川委員からの御指摘もございましたけれども、ではアウトプット指標をどうするのかというのは、法人と我々のほうで相談しながら決めるわけですけれども、運用という1つの業務を10に分けている中で、なかなか適切な指標になっていないという点はあろうかと思います。これはもちろん見直すことも可能なので、御指摘があれば修正する。何か適切なものがあればそれに直すことはあろうかと思いますし、次期中期目標、中期計画を定める際のこういう中期目標、中期計画の作成の仕方で独法評価の項目になってくることも考えて、そこをどう作っていくのかということは課題になるのかなと思っているところでございます。
○神野部会長 植田部会長代理、どうぞ。
○植田部会長代理 先ほどの井上委員の御質問に対する答え、もう少し伺いたいのですけれども、基本ポートフォリオの許容乖離幅の利用についてですが、以前より相当大幅になっていて、先ほどのお答えですと投資委員会に任されていると伺ったのですが、100%その投資委員会の裁量に任されているということでしょうか。もちろん事後的に運用委員会等に報告はあるのでしょうけれども、そういう理解でよろしいですか。
○三石審議役 はい。個々の投資判断、例えばニューマネーなどがあった場合に、それをどの資産に、どういうふうに投資をするか、あるいは資産相互間でリバランスを図るかといった個々の投資判断については、基本的に投資委員会で合議制のもとで議論をし、その決定に従って最終的には理事長まで決裁をとることになりますが、基本的に投資委員会の合議制で決めております。その結果につきましては四半期ごとの資産配分と、いわゆるアセットアロケーションの状況については運用委員会に四半期ごとの状況を御報告するという形で御説明をしているところでございます。
○神野部会長 他いかがでございましょうか。徳島委員、どうぞ。
○徳島委員 2点ほど簡単に申し上げます。
I-1及びI-2の自己評価Bということに関しまして、特に異論はございません。ただ、まずI-1につきましては、基本ポートフォリオに関しては所与のものという前提で、個別の資産クラスの運用についてベンチマーク収益率を確保するという評価でございますが、今回の評価の中では、単年度の超過収益の議論しかされていないような気がいたします。
運用におきましては単年度の評価とともに、例えば3年とか5年で累積というか、ローリングで見ていくという発想も必要かと思います。本来、GPIFの運用というのは中期的な観点からの運用でございますので、独法の評価という意味で単年度の評価が必要ということは十分わかっておるつもりでございますが、単年度と中期といった2つの視点が要るという気がいたしました。
また、I-2と絡むところでございますけれども、結局やはりI-2のリスク管理というのも、結果としてリスクを測定して圧縮していく方向にあります。基本的なコンセプトとして、トラッキングエラーが低いほうがいいと評価しているのではないかと見えるところをやや危惧をしております。すなわちGPIFの運用におかれましては、基本的にはリターンを上げて積立金をなるべく長く確保するというところに趣旨があります。もちろんリスクを過大にとるべきだというつもりではございませんが、どういった水準をリスクターゲットにしていくのか。今後中期的にお考えいただけたらと考えております。
以上です。
○神野部会長 河村委員、どうぞ。
○河村委員 御質問というか確認なのですけれども、この評価項目I-1、評価の視点ははっきり4ページに書いてくださっていて、各資産ごとにベンチマーク収益率を確保することと、もう一つ、各資産ごとのベンチマーク収益率が確保されているかということ。そして2番目は、要するに要因分解してちゃんと把握しましょうねということだと思うのですけれども、御説明くださったとおりで4つのうちの3つはベンチマーク収益率は大丈夫だった。外国株式のところだけがだめだった。いろいろ説明を書いてくださっていますけれども、要するにブレグジットも大統領選挙も見通しが外れてしまったわけです。投資判断のところだと思いますけれども、でも外した人は多かったと思うのですが、ただ、そういう投資判断について問うことはない。そして全体として見るから4つのうちの1つがだめだったからどうということではなくて、B評定という考え方になったのかなということでいいかどうかをお尋ねしたいと思います。
○三石審議役 まず徳島委員のコメントでございますけれども、冒頭にも申し上げましたように、私ども確かに長期的な観点で運用を行っているものでございますので、評価も単年度というよりは、長期的な評価軸で見るべきものだと考えております。しかしながら、独法評価が毎年度、毎年度評価をせよという仕組みなものですから、目標も多少御配慮いただいて、単年度についてはベンチマーク収益率を確保するよう努めるという努力目標にされておりますが、毎年毎年のベンチマークに比べてどのぐらいプラスかマイナスかということを出させていただいているところでございます。もちろん長期的な観点から運用する重要性については、私どもも全く同じ思いでございます。
リスクに関しましても全く同意するところでございまして、私どもリスクをこれがゼロに近ければ近いほどいいという考え方ではなくて、もともと想定されていたリスクが、年間を通じてデータが安定的に推移しているかどうかをモニタリングして、場合によっては想定していた以上に、例えば推定トラッキングエラーがどこかの資産あるいは積立金全体を見た場合に大きく跳ね上がるようなケースがあった場合に、そこに何があったのかということをモニタリングするために、こういったデータを、これは投資委員会ではなくて毎月運用リスク管理委員会という合議制の委員会がございますが、そこで常時モニタリングをしているところでございます。
それから、河村委員の御指摘でございますけれども、確かに定量的な評価では4資産のうちの3資産についてプラスの超過収益率であったということで、私どもとしては評価しておりますが、これもあくまでも単年度の評価でございます。重要なのは先ほども御説明させていただきましたように、残りのマイナスの超過収益率になった外国株式についてどういう背景、原因でこのようなことになったのかということをきちんと分析して、みずから把握しておくことが最も重要だろうと考えております。あくまでもこれは単年度の数字でございますので、長期的に見た場合もこういった28年度の原因を分析することが今後にもつながっていくのかなと考えているところでございます。
○神野部会長 ありがとうございました。
それでは、次の事項に移りたいと思います。評価項目のI-3、I-4、I-5について御説明を頂戴したいと思いますので、よろしくお願いします。
○三石審議役 11ページをお開きいただきたいと思います。I-3、運用手法、運用対象の多様化、株式運用における考慮事項をA評価とさせていただいています。A評価でございますが、多少細かい説明になりますけれども、お許しいただきたいと思います。
目標の内容でございますが、実はかなり多岐の目標が与えられております。1つはアクティブ運用において超過収益の獲得を目指すという定量的な目標がございます。さらには収益確保のための運用手法の見直し、運用対象の多様化を図るということ。それから、パラグラフの最後のところでございますが、株式運用においては非財務的要素であるESGを考慮することを検討せよという目標でございます。それぞれにつきまして実績を述べたいと思います。
マル2でございますけれども、最初の○でございますが、まず定量目標につきましてはアクティブ運用におきましても、4資産中3資産については超過収益を獲得したところでございます。具体的数字は後ほど述べたいと思います。
運用手法の見直しのところでございますけれども、さまざまな取り組みを行っておりますが、まず第1には従来、運用受託機関の採用、評価につきましては3年間を見て評価をし、4年目でそれについて悪いところがあれば契約を解約し、新規に採用するということを行っていたわけでございますけれども、そこでマネージャーエントリー制というものを導入いたしまして、いつ、いかなるときでも機動的に新たな運用機関を採用できる、または解約することができるというような形で、これを昨年春から導入したところでございます。内外のファンドから応募がございまして、この3月末では既に401ファンドにつきましてエントリーをいただいているところでございます。これによりまして既存の運用受託機関あるいはニューカマーの受託機関、いずれも同一の条件で比較して競争を促すことができるものという成果を期待しているところでございます。
また、外国債券のパッシブ運用におきまして、それまではシティのWGBIで運用しておったわけでございますけれども、そのサブインデックスによるパッシブファンドといたしまして、通貨別のパッシブファンドの運用を開始したところでございます。具体的にはドル、ユーロ、ポンドといったような通貨別のパッシブファンドを設けまして、運用手法の多様化の一環としてこのような取り組みを開始いたしました。さらには債券につきましては、国内債券につきましては既に実施しておりましたけれども、税制上の問題がございました外国債券につきましても、税制上の問題が解決いたしましたのでレンディングを開始したところでございます。9月の運用開始という年度途中からでございますが、収益額を34億レンディングで獲得したところでございます。
スチュワードシップ責任に関しまして評価基準を策定いたしました。さらには全体的な国内株式パッシブ運用受託機関の評価をする際には、それまでスチュワードシップ活動に関する評価、ウエートが10%であったものを30%に引き上げるというような形で、特に運用受託機関の利益相反の弊害防止措置をとっているかどうかというところに着目して評価を実施し、実際に一部の運用受託機関からは、その点で問題があるということで資金回収を行ったところでございます。
さらには運用対象の多様化についてでございますが、詳しいことは後ほども御説明をいたしますけれども、従来の共同投資というやり方でインフラとプライベートエクイティについては実施をしておりましたが、この場合には投資信託のスキームという少し複雑なスキームを使っておりましたが、この春からはインフラとプライベートエクイティあるいは不動産について、投資一任契約でFund of Fundsなりゲートキーパーと直接契約を結ぶというような形でマネージャーの公募を始めたところでございます。その準備を28年度中には実質的に終えたところでございます。
最後に国内株式を対象としたESG指数の公募。実際に7月には指数選定を終えて運用を開始したところでございますけれども、これも28年度中に実質的な準備を終えたということで書かせていただいているところでございます。詳しいことは後ほど述べたいと思います。このようにまず定量的な評価での超過収益の獲得ができたということ、さらには運用手法の多様化などにおいて多くの取り組みを実施できたというようなことを評価いたしまして、A評価とさせていただいたところでございます。
それでは、個別に入らせていただきますけれども、12ページをごらんいただきたいと思います。アクティブ運用における超過収益の数字につきましては、赤枠で囲んだところに数字を入れておりますが、3資産について超過収益を獲得できたというところでございます。そして運用手法の多様化の例といたしまして、先ほど御説明しましたマネージャーエントリー制あるいはオルタナティブ投資、通貨別パッシブの取り組みを挙げさせていただいておりますけれども、さらにオルタナティブ投資に関しましては13ページをごらんいただきたいと思います。
私ども内部のリソースといたしまして、内外でオルタナティブの投資経験を有する10人の人的リソースの採用なり整備をするとともに、専門のコンサルタント2社を採用いたしまして、この投資一任契約によるFund of Fundsの公募を開始したところでございます。特にオルタナティブ投資におきましては、安定的なインカム収益の獲得を目指すというようなことで、コア型の案件に投資をするということ。さらにはグローバルな分散投資を行うということ。こういったところに力点を置いて公募を行っているところでございます。具体的な公募の方針につきましては、そちらの表にございますとおりですが、こちらはことし3月に運用委員会に御報告をさせていただいて、御了承いただいたものでございます。
そして、この項目の最後でございますが、14ページをお開きいただきたいと思います。ESG指数の公募でございます。御案内のように私どもGPIFのような巨大な投資家となりますと、国内株式の場合、上場する全企業に投資をするという、いわゆるユニバーサル・オーナーということになります。そうしますとすぐれた企業を取捨選択して一部にのみ投資をして、アルファを稼得することも重要ではございますけれども、一方で環境や社会あるいはガバナンスといった問題が生じた場合、それが負の外部効果というような形で私どもの国内株投資全体にも影響があるわけでございます。
そこで国内株式であれば、持続的な企業価値の向上を目指すというような考え方から、このESG指数に投資をすることによって日本の株式市場全体の底上げを図りたいということで、このESG指数の公募を開始いたしました。真ん中のところに数字がございますけれども、実際に昨年7月から9月に公募いたしまして、14社27指数の応募があったところでございます。
特に私ども今回この選定評価に当たって力点を置きましたのが、先ほど申し上げましたようなESG評価の改善を通じて日本の株式市場の底上げ効果ができるかどうか。そのためには業種を問わず幅広く企業を評価し、しかもポジティブスクリーニングで評価をするというような評価手法を重視したところでございます。さらには指数会社には実際の評価のメソドロジーブックを公開させて、評価される企業にとってみてもどうすればこういった指数に採用されるかがわかるように、幅広く情報公開させるところも力点を置いたところでございます。このような形で28年度には公募を実施し、実際にこの7月には指数の選定、そして実際の運用を開始したところでございます。このような取り組みによってA評価とさせていただいたところでございます。
続いて、次のI-4をご覧いただきたいと思います。透明性の向上というところでございますが、目標といたしましては年度及び四半期の運用状況を、ホームページ等を活用して迅速に公表することが盛り込まれております。
これに対しましての実績でございます。マル2でございますけれども、昨年はちょうど法人ができて10年ということで、新たに複合ベンチマーク対比のパフォーマンスデータでございますとか、初めてインカムゲインのデータ、そういった10年間の歩みを振り返り、分析を実施したところでございます。さらにはSNSなどを通じましての情報発信の回数をふやしたり、特に英語による情報発信を増やしたところでございます。
これに加えましてマル3でございますけれども、目標にない自主的な取り組みということで、保有銘柄の全面開示を実施いたしました。特に保有銘柄の開示ということになりますと、透明性の向上を図るという御意見とともに、この開示によって対象となる企業、特に小型株などの企業の株価などに影響があるのではないか。市場への影響があるのではないか。こういう懸念の声も実際にあったわけでございますけれども、そういった透明性の向上と市場への影響への配慮というある意味、相反する2つのニーズを満たすようなやり方で今回、開示に踏み切ることができました。これをもってA評価とさせていただいたところでございます。
具体的に16ページは、10年間の歩みの代表的なデータの例でございます。
続いて17ページでございますけれども、実際のSNS、TwitterでございますとかYouTubeなどで開示をした例でございます。
そして18ページでございますけれども、保有銘柄の開示に関しまして昨年3月から運用委員会でたび重ねて御議論をいただきまして、真ん中のところの6月1日から17日のところにございますが、実際に開示をする幾つかの案について関係8団体、経済団体、労働団体、金融関係の団体に文章による意見照会を出しまして、そこでは市場への影響を懸念する御意見もございました。そういう中で最終的に社会保障審議会の年金部会や運用委員会でも御報告をして、全面開示に踏み切ったところでございます。そのやり方でございますけれども、18ページの右側にございますように段階的に実施をするということで、実際に開示をするまでの期間を徐々に短縮し、開示をするたびにいわゆるイベントスタディを行って市場への影響があったかなかったかということを実証的に検証する。このような段階を踏むというような工夫を実施いたしました。現在はこの第3段階でございまして、ちょうどことしの7月に3月末の保有銘柄を開示し、現在そのイベントスタディ中でございます。これで問題がなければ、今後は毎年7月に3月末の保有銘柄を公表するという形になるわけでございます。
ちなみにそのイベントスタディのやり方につきましては19ページございますけれども、典型的なファーマ-フレンチの3ファクターモデルを使っての実証分析でございます。
この項目の最後の項目で20ページでございますが、I-5をご覧いただきたいと思います。基本ポートフォリオの検証でございます。目標といたしましては、定期的に基本ポートフォリオの検証を行う。必要があれば見直しの検討を行うというのが目標でございます。実績といたしましては、国内金利が低下している中で基本ポートフォリオの検証をしたところ、結論といたしましては今のポートフォリオを変更する必要はないということを確認したということで、目標が達成できたという意味でB評価とさせていただいております。
今回の定期検証のポイントでございますけれども、21ページをごらんいただきたいと思います。2つのグラフがございますが、左側がいわゆる内閣府の経済見通しをベースとします経済中位ケース。そして右側が市場金利をベースとします市場基準ケースでございます。いずれも3本の折れ線が引かれておりますけれども、真ん中の線が3年前に基本ポートフォリオを変更したときの目標とする実質的なリターンでございます。そして、上の折れ線が賃金上昇率を基本ポートフォリオ変更時に比べて実態の賃金上昇率も下がっておりますので、その分、引き下げて計算した際の実質的なリターンでございまして、下の破線が賃金上昇率を更新しない場合のケースでございます。ここから読み取れることといたしましては、上の枠囲いのところにございますように、まず1つとしましては賃金上昇率を実態に即して調整したケースにおきましては、今のポートフォリオで目標利回りを満たしていることを確認できたということでございます。
マル2といたしましては、賃金上昇率を基本ポートフォリオ策定時のまま更新しない場合。この場合には確かに真ん中の線を下回るという破線のような形になるわけでございますけれども、そのような場合であっても財政計画上の予定積立金額を確保できないリスクは小さい。具体的には次のページにグラフを載せておりますけれども、リスクは小さいというようなことから、資産構成割合を変更する必要はないという判断をしたところでございます。
実際に22ページをご覧いただきたいと思いますが、向こう25年間における積立金の見込み額をモンテカルロシミュレーションで出したところでございます。下の折れ線が国内債券100%の場合、そして真ん中にある線が財政計画上の予定積立金額。上のほうの青い折れ線グラフが今回、検証を行った基本ポートフォリオにおける予定積立金額でございますけれども、まず全額国内債券の場合に比べますと、予定積立金額を確保できないリスクというのは現行ポートフォリオの方が小さいということがおわかりかと思いますけれども、さらには財政計画上の予定積立金額を確保できないリスクというのも、経済中位ケースあるいは市場基準ケースいずれにおいても現行ポートフォリオは低いということが確認できるかと思います。このような形で基本ポートフォリオの検証を行いまして、現在の資産構成割合を変更する必要はないという結論に至ったところでございます。
以上でございます。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見を頂戴したいと思います。どうぞ。
○原委員 御説明ありがとうございました。
私からは自己評価がBからAになったI-4の透明性の向上というところで意見を述べさせていただければと思います。
結論から申し上げますと、私の個人的な印象としては今の段階でAをつけるというのはどうなのかなとやや疑問が残るところです。と言いますのも、まず15ページで透明性の向上という部分の目標の内容についていろいろ御説明がありましたけれども、「公開資料をより一層わかりやすいように工夫するとともに、運用の多様化、高度化や国際化に対応した国民に対する情報公開、広報活動の在り方を検討し、…」とありますね。まず在り方を検討するという部分が重要なのかな思いますし、「その充実を図ること」ともなっています。一方、先ほど途中で質問させていただいた評価の視点ということに関しては、その次のページですけれども、「理解しやすく情報公開しているか」ということですとか、「分かりやすいように工夫するとともに、国民に対する情報公開、広報活動の充実・強化のための取組を行ったか。」ということになっているかと思います。ここまでは確認なのですが、取り組みを行ったかどうかという評価の視点のところで言いますと、15ページにあるとおりホームページ以外にもTwitter、YouTubeなど発信回数が増えているということもありますし、そういうことが実績として記載されていますので、そういった数値を見るとかなり情報発信されているなというのは、よくわかると思います。
ただ、TwitterとかYouTubeもそうですけれども、特にTwitterについてはホームページにこういうものが出されましたという御案内で、英語と日本語両方書かれているので非常にわかりやすいのですが、どうしても一方的なものになっております。そもそも透明性の向上というものが何をもってなのかということになってしまうのかもしれないのですが、できればA評価ということですので目標達成度120%以上ということであれば、その発信の在り方の検討もしっかり行われ、発信がきちんと一般の方々に届いているか、例えばもうされているのかもしれないのですが、調査アンケートなどを行って、受け手の反応を見たり情報の発信がきちんと把握されているかを確認したりするというような取り組みやその検討もあっていいのではないかと思います。
現在、フォロワー数が昨日時点で1万2,000人ということそれだけの方々が見ているということです。もしかすると、これは私の推論ですけれども、専門家、関係の方が多いのかなとも思われます。そういった意味でも目標にありますように、わかりやすく工夫した情報発信についてきちんと届いているかを確認するというような取り組みなど、国民に対する情報公開、広報活動の充実強化につながるような「国民に対する情報公開・広報活動の在り方の検討」という余地はまだあるのではないかと感じます。
さらに言えば透明性の向上ということについては管理及び運用、そして活動面など広い範囲に及ぶと思うのです。したがって、そういったことも含め、さまざまな切り口から見た評価というものが必要かと思いますし、この項目は国民に疑問や不安を与えないことにもつながる重要な項目であると思いますので、今の段階でAというのは本当にそうかなと。やや厳しい意見となってしまうのですけれども、そのように感じてしまいますので、コメントさせていただきました。
以上でございます。
○神野部会長 河村委員、どうぞ。
○河村委員 最初に確認ですけれども、政策評価官も御説明くださいましたが、この評価というのは今日ここにいる私たちが主観的に今、御説明を伺って、よくやっているねと思えばAとかいうことではないですよね。総務省の方で作られている評価の尺度というものがあって、個人のいろいろな考えがもちろんあると思いますけれども、それに合わせて5段階で評価する中で当てはめる。それでよろしいですよね。
それから見ると、正直申し上げて今回の評価を拝見してA評価がついている中で、大分ずれているのではないかと思うところがあります。
今、御説明をくださったところについて申し上げたいと思いますけれども、この評価をどのように考えるかということは、今日、御説明まではしてくださってはいないですが、参考資料3とか2とかがついていて、これは事前に拝読もしてきましたが、総務省から可能な限りいろいろ文字に落として書こうとしているということだと思いますが、私も前身の総務省の政独委を10年間やっておりましたので、これに関わっておりまして、厚労省の担当をしたこともございますし、ほかの府省の独法も含めていろいろな例を見てきました。その中で5段階で言えばAとかSとかがつくような、立派な評価がつくようなお仕事をされていらっしゃるところももちろんあるのです。でもやはりそういう目で見ると今、御説明いただいた項目はどうかなと思います。
まず評価項目I-3なのですけれども、目標は多様化しましょうということが掲げられていて、そして評価の視点もそれぞれマル1からマル2とそれぞれ書かれていて、そのとおりにやってくださっていると思うのです。ただ、それぞれについて物にもよるのですけれども、11ページで御説明くださったところであれば、マネージャーエントリー制を活用して、要するに始められたわけですね。始めてどういう効果があったのかというところまでは行っていないので、どういう効果があるか、ESGとかそういうところは目に見えてどうというところはなかなかないと思うのですけれども、そこまでいかない中で、目標を立てられて、それに向かっていろいろやってくださって、すごく頑張ってくださっているのはわかるのですが、大体これを数字に置きかえて言えば100のところに対して105とかそれぐらいなのではないか。A評価というところまで持っていくのは難しいのではないか。いろいろリスクが高いのもやられますよね。オルタナティブとか恐ろしいリスクを背負うわけだと思うのですけれども、まだ始められたばかりでしょうが、そういうところもいろいろリスクも考えてというところが評価の視点に入っていると思いますが、今の段階でこういう多様化しましょうというところでいろいろな新しいところに手を出しました、やってみましたということだけですっとAに行くものかなという気がいたします。Bぐらいのではないかという気がいたします。
より強く疑問を感じるのはI-4です。透明性の向上のところでいろいろやってくださっているのはわかるのですけれども、中身を見ても何か突出してというあれでもないですし、ただ、こういうものをやってくださるのはもちろん大事で、先ほど原委員からもお話がありましたけれども、他のところもやっていらして、でもこれぐらいやってくださって本当に結構なことだと思うのですが、Aに持っていくところまではいかないのではないか。いろいろ銘柄ごとの公表などについては目標にはなかったことをやってくださったとか、イベントスタディをやってくださって実際に影響があったかどうか慎重にいろいろ検討してくださったというのは、それは本当にプラスアルファの御努力でいいと思うのですけれども、Aに持っていくところまでにはいかないのではないか。
私が過去に見てきた独法の評価でも立派ないろいろなお仕事をされた、過去にいろいろなところがあって、厚労省さんの所管のところでも今、JCHOさんになられましたけれども、その前身の社会保険病院とかの売却などやっていらしたRFOさん、年金・健康保険福祉施設整理機構さんなんかのお仕事ぶりなんかは本当に文句が出ないです。きちんと定量的に把握しても出ますし、国立病院機構さんとか、そういう例のところでこの5段階の上から2番目とか一番上がついたときもあったと思いますけれども、そういう例を見て、だからよその省で把握されるとA以上がついている割合は13.8%、まあそんなものだろうなと。厚労省は47.8%がAで、確かにこういう項目までAにしていたら半分ぐらいA以上になってしまうだろうなという感じもして、割合から決めつけられるものではないと思うのですけれども、今、御説明くださった3つの項目のうち、I-3とI-4、とりわけI-4についてA評価は難しいのではないかというのが意見です。
以上です。
○神野部会長 平川委員、どうぞ。
○平川委員 評価基準やその視点、目標の内容そのものについても意見を言っていいということでありましたので、発言いたします。評価項目I-3の収益確保のため、非財務的要素であるESGを考慮することを検討すると簡単に書いてあるのですが、実は目標がかなり高度ではないかと思いました。
ESGを考慮した株式運用というのは、ほとんどの企業でまだまだ広がっていないと思うのです。そういった意味で簡単に書いてある目標がハイレベル過ぎたのではないかということと、それに基づいて一方でもう一つよく考えていかなければいけないのは、GPIFはかなり社会的な大きな影響を持っている。株式市場ではかなり大きな影響を持っているということ。その影響も1つ考えていかなければならないのかなと思います。
そのようなことから考えると、非財務的要素を考慮し検討したかということに対して、これは検討して進めていることについてはそれなりに評価してもいいのではないかと思います。これは国民の注目度も高いですし、国民にしてみれば、被保険者にしてみれば、どういうところに投資しているのかということの見える化というのは社会的影響も大きいですし、ESG投資を進めることについては考慮していっていいのではないかと思います。そういった意味でこの評価の基準がいまいち理解できていないので、それが120%になっているかどうかはまた別の話になるのかもしれませんが、私はその辺は率直に言って評価していいのではないかと思いました。
以上です。
○神野部会長 河村委員、どうぞ。
○河村委員 今、ESGのところが高い目標なのではないかというお話があったのですけれども、この独立行政法人、3類型に分かれたときに、GPIFは中期目標達成型の法人だったと思うのですが、中期目標達成法人については評価の枠組み上、より頑張ってやっていただくために、目標を設定するときに高い目標ということであらかじめ決めて設定しましょうという制度になっていると思うのです。
要するに事後的に評価するときに、やはりこの動きを高かったから甘く評価してあげようねというのではなくて、最初から高いですけれども、難易度が高いですけれども、目標として掲げましょうねと。ただ、評価のときには少し配慮しましょうねという項目、そういう扱いができていると資料にも書いてあったかなと思うのですけれども、政策評価官にお尋ねしたいのですが、このESGのところは中期目標達成法人、GPIFとして難易度が高いけれども、取り組むことを求める目標という扱いになっているのでしょうか。なっていないのではないですかね。
○宮崎資金運用課長 評価項目の重要度、難易度をどのように設定するかというのは、GPIFの説明資料で言うと2ページ目、表紙をめくっていただいたところにございます。12項目のうちで重要度と難易度それぞれつけておりますけれども、重要度についてはI-1、I-2、I-4について○をつけております。難易度については、この12項目については設定時点ではつけていないという仕組みでございます。
○神野部会長 どうぞ。
○安浪委員 私のほうからも透明性の向上がBからAに上げられているところなのですけれども、これに関連しまして国内債券の収益が今年度マイナスになったということで、この業務概況書の71ページに過去のベンチマーク収益率の表が出ているのです。これで国内債券を見ますと、ベンチマーク収益率が28年度が初の-0.9%で、それまではずっとプラスだったのがベンチマーク収益率そのものがマイナスになってしまったのです。これはGPIFさんから見れば、過去一番投資の中核であった国内債券が、安定収益源として中核であったものが、マーケットそのものが投資できる環境になくなってしまったというのは非常に大きな、重要な投資環境の変化というか、ある種、衝撃的な数値であるかと思うのです。
GPIFさんは国内債券の80%をほぼ国債でお持ちで、36兆ぐらいの国債に投資されている。今、ヨーロッパ、アメリカあたりが出口戦略で金利が上がるという話も出ていて、日本がこれからどうするか。日銀の話もあるのでしょうけれども、国民からしますと国債パッシブ運用がかなり厳しい環境になってきた。将来、金利が上がった場合にどうなるのかというのは、国民としては皆さん結構心配されているのではないかと私は思っています。
そういったことを透明性の向上という観点から、今の運用状況はどうなっているかという説明をするのですけれども、そういったことは透明性の向上として余り発表されていないのかなと。そういった説明が今後、業務概況書なりホームページなりに、私はすべて見ていませんから出ているか出ていないかわかりませんが、そういった国内債券の厳しさが今あるんだというマイナス情報も開示するのが本来の透明性の向上になるのかなと思いますので、そういったところをされていないのであれば、透明性の向上という点においてはA評価はいかがなものかという気がいたします。
○三石審議役 順番に申し上げますと、国内債券に関してでございますけれども、まず収益率については御指摘いただきましたように業務概況書に出しておりますし、国内債券の中で先ほど御指摘のございました国債の占める割合といいますか金額というものも、まさに今回、保有銘柄の開示を行いましたので業務概況書で言えば81ページになりますが、48兆円のうち国債が39兆円強という形で金額はお示ししております。
それから、この1年間におけるそれぞれの4資産についての収益率の動向につきましても、業務概況書の冒頭で解説をしているところでございますが、確かに国内債券の収益率がマイナスになるという今までだったら考えられないような非常に厳しい局面でございますけれども、この局面に当たってどういう投資判断をしているのかという点につきましては、先ほどからお話がございますように私どもの個々の投資判断に関わることでもございますし、それを公にすることによって私ども自身の運用戦略にも影響をしかねないという、非常に微妙な問題でございますので、そういったところについてなかなか業務概況書とかホームページで開示できないという事情については御理解いただければと思っております。
それから、なぜA評価なのかというところでございますけれども、今回は2つの項目についてA評価とさせていただいております。
まずI-3でございますが、これも冒頭のところで申し上げましたように、そもそも目標がかなり定量目標から定性的な目標まで盛りだくさんでございまして、少なくとも定量目標につきましては、アクティブ運用において超過収益を4資産中3資産において得ている。こういう計算の仕方がいいのかどうかわかりませんけれども、普通であれば、2勝2敗であれば50%のところ、4つのうちの3つであれば75%ということで超過収益を得ていることが定量的な目標でははっきり言えるかと思います。
一方で運用対象の多様化でありますとかESG指数につきましては、1年単位で企画から実際の成果までを出すというのは、当法人の性格ではなかなか難しいところがございまして、これも冒頭、申し上げましたように、もともと長期的な観点からさまざまな投資活動、取り組みを行っているものですので、そこは検討から最終的なアウトカムが出るまでにはある程度時間がかかるというところも御理解をいただけたらと思います。その上でさまざまな運用対象の多様化、さらにはESGについては検討するという目標の中で実際に指数の選定まで取り組みを行い、年度を少し超えましたけれども、今年に入っては実際に指数の選定を終えてESG指数の運用を開始したという、具体的な成果に結びついている。実際にパフォーマンスについてはかなり長い目で見る必要がございますが、そういう一連の取り組みをできれば御評価いただきたいと思っております。
I-4でございますけれども、最初に原委員から特にこの情報公開、SNSなどについていろいろ数字が出ているが、ほかの法人でも結構やっているではないかというお話で、そこはそのとおりだと思います。確かに情報発信の回数を増やしたり、英語の配信回数を増やしておりますが、これだけであれば私どももB評価かなと思っておりますけれども、これも最初のときに御説明をさせていただきましたように、私どもとしてはそれに加えて今回、保有銘柄の開示を目標にはない自主的な取り組みとして行った。しかも海外と比べても私どもの国内の株式市場におけるプレゼンスというのは大変高い中で、市場への影響がいろいろ心配される中で、そこの懸念をできるだけなくすようなやり方、全く新しいやり方で全面開示に踏み切ったというところにつきましては、できれば御評価をいただきたいということで、むしろSNSなどの回数というよりも、保有銘柄の全面開示、こういったところを特に私どもとしては力点を置いてA評価とさせていただいたところでございます。
○神野部会長 杤原委員、どうぞ。
○杤原委員 立派な取り組みをされているのは十分承知しておりまして、ここに書いてあるとおりだと思います。しかし、一方で11ページのI-3と3ページのI-1というのは、国民から見ると表裏一体のことだと捉えられると思います。運用手法、運用方針のもとで成果が出てくるということであれば、ここは表裏一体であると思っています。
3ページの運用の実績の評価はBでつけておられるのですけれども、その元になっている運用手法、運用方針がA評価となっておりますと、やっていることは正しかったのだけれども、結果は伴っていないというふうに一般国民には見えるわけでございます。事実、4資産中1資産で、外国株式ですけれども、損失を出しているという事実がございます。運用ですから損失を出すのは当然やむを得ないと理解いたしますけれども、なぜ損失を出したのか、外部要因で基本的には済まされておりまして、その間、GPIFさんがどういう対策をとったのかというのがあわせて書いてあってもいいのではないかというのが、議論を聞いておりますと何となく皆さん心の中でそう思っておられると思います。
審議役がおっしゃられたように、対外的に大きな影響を与える部分があるので将来のことは書けないということですけれども、過去にとった対策であれば書いても差し支えないのではないかと思っております。課題の整理と反省がないままにA評価をつけるというのは、一般国民から見ると違和感があると考えています。I-1かI-3にどういう対策をとったのかというものをきちんと書き込んでいただければ、国民も納得するのではないか、安心するのではないかと思います。
以上です。
○宮崎資金運用課長 事務局から口を挟むのも恐縮なのですけれども、今回の評価に関しまして法人から自己評価を出していただいて、それについて皆様方の御意見を伺って、最終的には厚生労働大臣が評価書という形でつけますので、自己評価のAなりBなりがそのまま行くというものではなくて、先生方の御意見を伺って評定をつけるものになります。
その上で評価する際には最終形をこちらにお見せすればよかったのかもしれませんけれども、AとかBとかいう評価とあわせまして、その評価に至った理由という形で例えばBだとしてもこういう取り組みについては評価するとか、そのような文章としての取り組みに対する評価的なものも書かせていただいて、大臣の最終評価といたします。ですのでもちろん各項目についてこれはAではなくてBなのではないかという御意見も大事ではあるのですけれども、個々の取り組みの中でBとはいえ、こういう部分というのは評価しているとか、A、Bという結論だけではなくて、その事業についての評価についても御意見をいただければと思っています。
例えばGPIFの取り組みの中では、独法評価の枠組みではBになるかもしれませんけれども、市場の関係者の中ではかなり先駆的な取り組みとして評価すべきものがあるということであれば、そのような御意見をいただければ、例えば最終結果としてBだけれども、この点はよくやっているとか、この点は足りないとかいう定性的なものを入れる形になるものですから、そういう御意見も含めてAかBかというところだけではなくて、御意見をいただければ私ども最終的に大臣案をつくるのに参考となるかと思っております。
○神野部会長 井上委員、どうぞ。
○井上委員 ESG投資の取組みで非常に画期的な点は、ポジティブスクリーニングの考え方に拠っていることや、指数メソドロジー(企業をスコアリングする方法)を指数会社が公開する措置を講じて指数に関して企業が建設的対話に参画していける枠組みを構築した点である。これら取組みを通じ、ネガティブな外部性が低減され、市場全体の底上げがされていくものと考えられ、評価している。
一方で1-4(透明性の向上)については、目標の位置づけが国民に対する情報公開が中心になっているので、確かに全保有銘柄の開示は基本的には望ましい取り組みだと思うが、国民に対する広報に直接には結びつかないのではないか、と感じる。
以上です。
○神野部会長 徳島委員、どうぞ。
○徳島委員 まず評価項目I-3につきましては、ここで超過収益云々という要素は実はI-1でカウントしているところですから、むしろI-3で考えなければいけないのは、目標の内容として規定されています運用手法、運用対象の多様化のほうであるべきだと考えます。
この中につきましては、実際に資料の11ページで書かれているところ、例えばマネージャーエントリー制は、もちろん企業年金連合会などでも採用されている例はありますが、これはやはりGPIFが全面的に取り組まれていること、更には世界国債インデックスのサブインデックスのパッシブファンドとか、かなり先進的な取り組みをされていらっしゃいます。また、ESG投資に関してもGPIFさんが率先してこの1年動かれたことというのは、大きな意味があります。実は、企業年金が御存じのとおり、スチュワードシップコードを全然受け入れていないような状況の中で、GPIFが率先して動いていることを極めてプラスに評価していいと思っております。私はこの評価項目I-3、実はこれは目標がやや多岐にわたり過ぎておりまして、難しい評価項目ではございますが、GPIFの取り組みを大きく評価していいかなと考えております。
一方、I-4の透明性の向上につきましては御説明にありましたとおり、目標になかった銘柄の開示をしたからAというのはやや厳しいかなと考えます。その上に記載されているところの、TwitterとかYouTube等の情報開示のところに関しては、まだまだ改善の余地があると思います。メディア懇話会とかいろいろやっていただいていますけれども、結局メディアがまだまだGPIFの運用に関する取り組みを十分に理解されていない。皆さんの御記憶にあると思いますけれども、昨年の今ごろ、四半期で5兆円損が出たから何とかしなければならないというようなことをメディアが堂々と書いている。GPIFの運用がまだまだ適切な理解を得られていないと思いますので、まだ努力の余地が十分にあるということを考えますと、I-4ではまだ厳しいのかなと考えております。
以上です。
○神野部会長 神作委員、どうぞ。
○神作委員 まず一般的な話として、例えば評価項目I-3とI-1の評価、これは確かにI-1は結果であって、正しいことをやっていれば常に結果も正しくなるということもあると思いますけれども、恐らく投資の世界ではそういうことは言えないのではないかと思います。したがって、結果が伴わないから例えばI-3の評価項目も低くしなければいけないかというと、決してそのようなことではないと思います。逆に申しますと、少なくとも短期的な結果主義という観点からのみ評価するというのは、まず戒めるべきことであると思います。
しかし、そうは言っても長期的な観点からは投資の成果が出てくる必要がございますので、私はそのような観点からすると評価項目I-3に取り上げられておりまして、今、徳島委員からも御指摘がございましたスチュワードシップの考え方というのは、これは中長期的な利益につながるという考え方のもとに策定されているものでございますから、その結果というのはすぐに出てくるものではありませんけれども、GPIFのスチュワードシップコードに対する取り組みというのは、非常に先進的な意欲的なものであると思います。
特にアセットオーナーにとってスチュワードシップ責任の果たし方というのは、モデルがあるわけでもなく非常に難しいものがございますけれども、そのような中で先進的な取組みおよび努力をされている点は、私はもっと記載してもいいし、こちらの業務実績報告では50ページ以下のところに詳しく書かれておるかとは思いますが、このあたりはまさに基本的にこういう信念、考え方のもとで業務運営を行っているという意思の表明でありまして、その点は高く評価できるのではないかと思います。
○神野部会長 済みません、私の不手際で時間が押しておりますので、次の項目のI-6、I-7、I-8について御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
○三石審議役 23ページ、評価項目I-6でございます。管理及び運用に関し遵守すべき事項ということで、こちらも目標がかなり多岐にわたっておるのですけれども、過大なマーケットインパクトを被ることがないよう努めるということ。市場の価格形成や民間投資行動をゆがめないということ。そして適切な株主議決権の行使を図るということ。そしてスチュワードシップ責任を果たす上での基本的な方針に沿った対応を行うという目標となっております。
実績でございますけれども、市場あるいは民間活動への影響に対する配慮という意味では、例えば国庫に納付する資金の捻出に当たっては、キャッシュアウト対応ファンド等の償還金、利金等を活用して現物資産の売却等を行わなかったというようなこと、あるいはリバランスに当たっては小口に分けて市場への影響をできるだけ小さいようなやり方で行ったということ。それから、議決権行使については運用受託機関を通じて適切に行使を行ったということがございます。
それに加えまして、ここもマル3を強調させていただきたいと思いますが、具体的な目標になかった、先ほど神作先生から御評価いただいておりますスチュワードシップ責任を果たす上での取り組みというところでございますけれども、28年度はかなり多くの取り組みを実施してきたところでございます。
最初の○のところでございますけれども、アセットオーナーと企業との対話ということで、企業・アセットオーナーフォーラムを開催し、恒常的に設置することといたしました。そして具体的にそこで挙がってきた企業側からの御意見、例えばショートターミズムの排除でございますとか、議決権行使基準などが形式的なものにならないようにというようなさまざまな御意見をいただいて、それをこの6月に私どもが策定しましたスチュワードシップ活動原則や議決権行使原則、この作成に大いに活用させていただいたところでございます。
2番目の○でございますけれども、海外の公的年金基金との継続的な意見交換の場として、グローバル・アセットオーナーフォーラムといったものを設置いたしました。ここで私どものESGの取り組みのあるべき方向性などにつきましても御意見をいただいて、そこにも活用をさせていただいた。また、私どもの行っているスチュワードシップ活動に関しまして、海外の方々にも御説明することができたというような場となったわけでございます。
3番目の○でございますけれども、JPX日経400対象企業にアンケートを実施いたしまして、各企業さんから出てきている御要望、特に企業から見た運用受託機関の実際に行っているスチュワードシップ活動の評価、こういった生の御意見も私どもアンケートによって得ることができましたので、それを運用受託機関との対話に実際に使っているところでございます。
さらにはダイバーシティの関係ですと、英国の30%Clubあるいは米国のThirty Percent Coalitionにオブザーバーとして加盟をいたしまして、諸外国におけますダイバーシティの推進に関する取り組みについての情報収集を実施したところでございます。
さらにはSDGsの推進円卓会議が外務省に置かれていますけれども、こちらに理事長の高橋が参画をしておりますし、私どもCIOの水野がPRIのボードメンバーに選任されまして、こういった国際的な活動にも主体的に取り組んでいるところでございます。
こういったさまざまな活動を全体的にまとめまして、平成28年、スチュワードシップ活動報告という形で初めて取りまとめを行って、実際に今年の1月にはホームページ上で公表して、国民の方々あるいは企業、運用受託機関といった関係者の方々にも私どもの取り組みを紹介しているところでございます。こういった目標にはないさまざまなスチュワードシップ活動に関する取り組み、その成果というのはある程度時間がかかるものではございますけれども、こういった取り組みを私どもとしては評価いたしまして、A評価とさせていただいたところでございます。
続いて25ページをお開きいただきたいと思いますが、管理運用能力の向上でございます。ここの目標といたしましては、高度で専門的な人材の受け入れ、あるいはオルタナティブを含めますトータルとしてのポートフォリオ全体のリスク管理システムの検討といったことが目標となっております。そして実績といたしましてはマル2でございますが、この28年度におきましては、高度専門人材として7名の者を採用したところでございます。
2番目の○でございますけれども、オルタナティブ資産を含めたトータルリスク管理の分析ということで、昨年度から新たなリスク管理ツールを導入いたしまして、そこにもございますようなさまざまなリスクのモニタリングを実施しているところでございます。
具体的には26ページをお開きいただきたいと思いますけれども、左下にどういう分野での高度専門人材を採用したかとございますが、7名を28年度に採用したところでございます。
トータルリスク管理ツールの概念図は27ページにございますけれども、より具体的なイメージといたしましては28ページの右側の表をごらんいただきたいと思いますが、これは1つのイメージの例示でございますけれども、私ども全体のバリュー・アット・リスクが10%という数字になっておりますが、最大損失額で全資産の10%が損失を被るといったような場合に、どこでリスクの寄与があるかということを右端の寄与率でご覧いだけるわけでございます。株式で60%、為替で40%、また、債券につきましては株式と負の相関がございますので、マイナスの数字がついておりますが、-10%、さらにオルタナティブの資産要因で5%という形で、どこでリスクをとっているかというのが資産横断的にビジュアル化した形でモニタリングができる。このようなツールを導入いたしまして、トータルリスク管理を推進しているところでございます。こういった取り組みを含めまして、この項目についてはB評価とさせていただいております。
続いて29ページでございますけれども、評価項目I-8、調査研究業務の充実等でございます。目標といたしましては、調査研究によって得られたノウハウを法人内部に蓄積することが目標となっております。実績でございますけれども、28年度におきましては2つの外部への委託調査研究、そして1つの大学との共同研究を実施いたしました。後ほど詳しく申し上げますけれども、いずれの成果につきましても実際の私どもの業務への活用が期待できるものでございます。
そして、ここでもマル3でございますが、目標にない事項といたしまして、ファイナンス系の若手研究者を表彰し、その活動を振興する目的で28年度にはGPIFのFinance Awards、こういった新たな賞を創設いたしました。実際に内外の著名な経済学者の方々に選考委員を引き受けていただきまして、初年度ではございましたけれども、アカデミアの方々のみならず、金融の実務家も含めまして21名の候補者の中で今回、お一人の若手研究者を受賞者として選定させていただいたところでございます。
具体的に申し上げたいと思います。まず31ページ、委託調査と大学との共同研究でございますが、特に強調させていただきたいのが、左側の各資産におけるファンド規模と超過収益獲得の関係についての調査研究でございます。御案内のように幾らすぐれた運用機関であったとしましても、投入される資金量と超過収益を獲得する能力はトレードオフの関係にあるわけでございますけれども、それを地域別でございますとか、セクター別でございますとか、あるいは運用スタイルごとに超過収益の関係を分析いたしました。この成果そのものが今後のマネージャーの選定でありますとか、管理に活用できるというように期待をしているところでございます。その他の研究につきましても、今後、私どもの活動への活用を期待しているところであります。
32ページ、33ページはGPIF Finance Awardsの関係でございます。選考委員にはノーベル経済学賞受賞者のマートン教授、そして、こちらにもいらっしゃいます植田先生などにお引き受けいただきまして、初めての受賞者という形で沖本先生を選ばせていただきました。オーストラリア国立大学、そして一橋大学の准教授をされている40歳の若手のファイナンスの研究者でいらっしゃいます。
33ページにマートン教授の講演と、沖本先生の講演を挙げさせていただいておりますけれども、沖本先生御自身がこの講演の中で、この賞は今後ファイナンスの分野での若手研究者にとって大変励みになるものであるというようにもおっしゃっていただいておりまして、これもこういった若手研究者の成果がすぐ私どもの業務に活用できるかどうかというところがございますけれども、長い目で見ますとこういった若手研究者の方々の理論的な研究が私どもの実務にも応用でき、そして実務と理論との接合ができるという意味でも、このAwardsの意義は大変大きいのではないかということも考えまして、この調査研究業務につきましてはA評価とさせていただいたところでございます。
以上でございます。
○神野部会長 ありがとうございました。
それでは、I-6、I-7、I-8につきまして、先ほど宮崎課長からの御説明等々を念頭に置いて御議論いただければと思います。
河村委員、どうぞ。
○河村委員 最初に御質問をさせていただいて、そのお答えを伺った上でコメントをさせていただきたいと思います。
評価項目I-6についてなのですけれども、一番最初にマル1で目標の内容というものが23ページに書いてありまして、管理及び運用に関して遵守すべき事項として4行書いてくださっていて、大きな存在ですから市場を歪めないとか書いてあって、最後にスチュワードシップ責任のところだけ赤字になっているのですけれども、これは事項の中でスチュワードシップ責任だけ何か重みが違うのですか。市場の中で大きなクジラのような立場でおられると、市場の価格形成とか民間の行動をゆがめないというのはとても大事で、それが本丸ではないかと思うのですけれども、そこが黒で、スチュワードシップ責任が赤になっていて、最初の4行に関することで今年一体何をなさったのかなというところをお尋ねできればと思ったのです。
○三石審議役 そもそも目標の内容がかなり多岐に渡っておりまして、前段の部分につきましては非常に大きな投資家の存在ということで、マーケットインパクトを含めまして市場の価格形成や民間の投資行動を歪めないという意味で、特にそういったことに注意をしなさいというさまざまな事項がございます。それについては詳しくは先ほど七十数ページの実績評価報告書に書かせていただいておりますが、ある意味これはやって当たり前といいますか、私どもも従前から留意をして実施をしているところでございまして、ここにも1つ具体的な事例として国庫納付するお金については現物資産を売却するような形ではなくて、債券の満期償還金や利金などを使って国庫納付を行ったり、さらには実績報告の中にも書かせていただいておりますけれども、実際に新規のリバランスを行う際には、かなり小口に分けてマーケットインパクトを避けるような形で資金投入を行うというような工夫を行っております。これはある意味、当然やるべきことですし、実施してきたことでございます。
わざわざ赤字にしておりますのは、目標の中でスチュワードシップ責任を果たす上での基本的な方針に沿った対応を行うというふうにさらっと目標では書かれておるのですが、実際に金融庁さんのスチュワードシップコードの改訂以来、私どもアセットオーナーあるいは運用受託機関に対しても求められるものが大変多くなっている中で、ここに掲げられているような取り組みを28年度に数多く実施させていただいて、実際にその中で出てきた例えば企業の御意見などを私どもの議決権行使原則でありますとか、スチュワードシップ活動原則などにも生かすことができたという意味で、特にそこを強調させていただきたいということで赤字にさせていただき、かつ、具体例を挙げさせていただいたところでございます。
○河村委員 ありがとうございます。
それを伺って、ですから最初の4行についてなさっていることというのは23ページのマル2の最初の○あたりに書いてあることぐらいなのかなと理解いたしました。
この項目に関する評価として、いろいろスチュワードシップのところでやってくださっているというのはよくわかるのですけれども、大もとの大事なところがあって、そこですね。市場をゆがめないとか、そういうところで新たなどういう工夫があって、どのようなことをなさったのかというところもあわせて評価の対象になる。それはやって当たり前だからということで全部スルーしてしまって、スチュワードシップのところだけで新しい取り組みがあったから、それはもちろん評価すべきことだと思うのですけれども、この項目全体としての評価でAに持っていくのは難しくないのかなという感じがいたします。ですからそれ以前の目標の内容の最初の4行で書いてくださっているところで、もう少し何か具体的な御説明をお伺いできればと思ったのですが、どうもそのようでもないようですので、Aは難しくないかなと思いました。
もう一点、続けて意見ですけれども、評価項目I-8です。調査研究業務の充実等ということで、いろいろな取り組みをやってくださって非常にありがたい、いいことだともちろん思うのですけれども、要するに外部資源の活用なのです。GPIFさんでなかなか自前でできるものでももちろんないし、こうやっていろいろ使ってやっていただけたらいいと思うのですけれども、いろいろな委託をされたりとか、Awardsなどを設けられて調査研究もされて、今後もされていかれる予定ということではあるのですが、そういうお取り組みでAになるのかなと。やはり正直に言って疑問な感じがいたします。
ですから何としてもAをつけなければいけないというか、そういうものでもないのではないか。独法の評価はほかの法人でもそうなのですけれども、目標の立て方にもよりますが、なかなかそんなに簡単につくものではないという目標を立てることはよくあることですし、今回この項目について目標の内容というのは、法人内部で調査研究を拡充できるような体制の整備を図って、その調査研究で得られたノウハウを蓄積することでいろいろお取り組みくださって、新たなお取り組みもあったとは思うのですけれども、これがほかの法人とかと比べてみたときに、Aというのはある意味卓越していて突出しているということだと思いますので、ちょっとそこにまで持っていくのは難しいのではないかという気がいたしました。
以上です。
○神野部会長 原委員、どうぞ。
○原委員 私からも自己評価がBからAになってI-8調査研究業務の充実等について、コメントさせていただきます。
確かに年金の積立金の管理及び運用に関するノウハウというものを法人内に蓄積することは、非常に重要かと思います。そのため調査研究業務は委託であれ、共同であれ、必要になってくるかと思いますし、また、目標にない若手研究者の表彰というのも行われたということで、これはGPIF自ら行われたということですので、それが直接、今後の業務に生かされていくような流れとか道筋が必要ではないかと考えます。
また、そういう前提で行うのであれば継続されることが必要かと思うのですが、調査研究業務についてGPIFの業務と関連した大元の目的からぶれないこと、そこからそれないようにしていかないと、どんどん研究だけが先へ先へと進んでしまうような印象を受けることになってしまわないかと若干感じております。あくまで付随業務として位置づけられているとのことですが、そのように思います。
そういった意味で、この自己評価についてはさまざまな取り組みが行われたということだったかと思いますし、目標になかったことを今年初めてAwardsという形で行ったということだと思うのですけれども、今後それがどう継続されていくのかということと、肝心なのはそのノウハウをどう法人内に蓄積するかという一歩先まで検討しているかということも含めて、できれば今の時点では総合的な視点で評価することが必要ではないかと感じました。
以上でございます。
○神野部会長 徳島委員、どうぞ。
○徳島委員 評価項目I-6につきまして、河村委員の御指摘はよくわかるのですが、正直言って、ではこの前段の4行というより3行なのでしょうけれども、ここでAがとれるかといったら、多分これはとれないと思います。マーケットにインパクトを与えないことという目標なわけですから、そういった意味では前段部分に関しては私もBかなという気がいたします。
ただ、やはりこの1年間、GPIFが取り組まれて、卓越した結果を出されたのはまさに後段、その際、スチュワードシップ責任を果たす上での基本的な方針に沿った対応を行うというところで、23ページのマル3以降で書かれていることです。これは直接すぐに運用のパフォーマンスにかかわることではないのに、大変積極的に取り組まれて市場参加者にも大きな影響を与えています。先ほど神作先生からもコメントがありましたけれども、この点はやはり私は大きく評価していいのではないかと考えます。赤字の表記にはなっていないですけれども、この23ページの一番下にある平成28年のスチュワードシップ活動報告とかGPIFがちゃんと作成して公表されたということ。私は極めて成果があったことだと考えておりますので、マーケットへのインパクト等を考えますと、これは十分に評価していい項目かと考えています。
一方、I-8につきましては、ほかの委員から御指摘のあるとおり、確かにいろいろなことをやっていただいていまして、今回、挙げていただいていますGPIFのFinance Awardsに関しても、私ども金融を研究している人間から見ればすばらしい、こういう賞を設けていただいたことはインセンティブにもなり大変好ましい喜ばしいことなのでありますが、果たしてそれがすぐに次の成果につながっているかどうか。まだ全然運用としての結果は出てきておりませんし、そういった意味ではI-8が本当にAにふさわしいものかと言われると、まだ慎重に考えてもいいのかな。もう数年議論をして成果が出てきてからでもいいのかなと考えます。ただ、この賞を設けていただいたことは、極めて良い取り組みだったと考えております。
以上です。
○神野部会長 他よろしいでしょうか。
それでは、申しわけありせん。不手際で時間がかなり押しているので、II-1、II-2、III-1、IV-1について一括して御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
○三石審議役 34ページをおめくりいただきたいと思います。評価項目II-1、効率的な業務運営体制の確立でございます。
目標といたしましては、組織編成及び管理部門を含む各部門の人員配置の実情に即した見直し、そして効率的な業務運営体制ということでございますけれども、28年度には先ほどから御説明をさせていただいておりますさまざまなスチュワードシップ活動に取り組むために、専任課としてスチュワードシップ推進課を新設したところでございます。また、私ども業務の基盤となる情報システムの整備などを行うとともに、会議のペーパーレス化などを進めたところでございます。目標どおりに達成できているということで、こちらはB評価とさせていただいております。
時間の関係がございますので、恐縮でございますが、その次の項目を御説明させていただきたいと思います。37ページでございますが、評価項目II-2、業務運営の効率化に伴う経費節減でございます。
いわゆる一般管理費、業務経費につきまして、新規に追加されるものや拡充される分を除いて前年度比で1.34%以上の効率化を行うことが目標とされております。これに関しましては28年度の予算で実際に前年度比1.34%の節減を行ったところでございます。なお、この対象には手数料は除かれておりますけれども、その手数料につきましては続いて38ページをごらんいただきたいと思います。左側に管理運用委託手数料の推移がございます。率にいたしますと3ベーシスポイントということで、2015年度と2016年度は変わっておりませんが、金額的には383億が400億という形で17億円ほどふえております。この理由でございますけれども、上の文章のところにございますように、外国債券アクティブ、これは実績連動報酬になっているわけでございますが、冒頭でも御説明させていただきましたように、外国債券アクティブ、28年度につきましてはパフォーマンスも大変好調でございました。この関係で実績連動報酬がゆえに手数料が増えたということで、先ほどの383が400億になっているところでございます。
なお、海外との比較でございますけれども、右側をご覧ください。棒グラフになっておりますが、主な北米あるいはヨーロッパの公的な年金基金におけますコストでございます。一番下の折れ線グラフが私ども当法人の手数料でございまして、比較をいたしますと当法人におきましては海外と比較しましても、低い水準にとどまっているというのがおわかりかと思います。このような経費節減への取り組みにつきましても、目標どおり達成できたということでB評価とさせていただいたところでございます。
39ページ、III-1でございますけれども、財務内容の改善に関する事項でございます。目標といたしましては、先ほど申し上げた効率化に関する目標と同じ目標になっております。実績も1.34%節減した予算を作成しているということで、この財務改善につきましてもB評価とさせていただいたところでございます。
最後に評価項目IV-1でございますけれども、その他業務運営に関する重要事項ということで、この中には目標といたしまして内部統制の一層の強化でございますとか、情報セキュリティー対策などが盛り込まれております。
実績でございますけれども、41ページをご覧いただきたいと思いますが、コンプライアンスの強化という観点では、運用委員会におきます自主ルールを新たに制定いたしました。運用委員会におきましては、運用受託機関の選定とか、手数料水準についての議論を行うわけでございますが、そういった運用委員、非常勤の委員の方々でいらっしゃいますけれども、こういった方々が利害関係のある金融事業者への顧問、評議員の就任を原則禁止するというようなことでございますとか、そのための必要な届け出を運用委員会の委員長に出すということを、新たなルールとして定めたところでございます。
もう一つのルールといたしまして、例えば運用委員の方々で大学の先生などがいらっしゃった場合に、寄附講座などの形で金融事業者から研究助成や寄附を受ける場合がございますけれども、その際には運用委員会に適宜報告をしていただいて、情報共有を図り、必要な場合には運用委員会として措置を講ずるというような自主ルールを定めていただいたところでございます。こういった運用委員の自主ルールを含めまして私ども役職員や運用委員につきまして行動規範というものを定めておりますけれども、28年度についてその自主点検を行っていただいた結果、右の赤字のところにございますが、全ての事項について違反事例がないことを確認したところでございます。
そして42ページでございますけれども、情報セキュリティー対策、さまざまな対策を講じておりますが、28年度につきましては右上のところにございますように、情報セキュリティーのいわゆるインシデントについては発生件数はなしというところでございます。
以上でございます。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
御説明いただいた評価項目は、いずれもB評価でございますので、効率的に御議論をいただいた上で切り上げたいと考えております。議事運営について御協力いただければと思います。いかがでございましょうか。どうぞ。
○徳島委員 評価についてのコメントではございませんけれども、1点だけ申し上げたいと思います。
資料の38ページのところ、管理運用委託手数料について引き続き低減に努めたかという視点でございますが、GPIFは、これから例えばインフラですとかいろいろ運用手法の拡大とか、さらには株式のパッシブファンドでもエンゲージメントを求めるというようなことに取り組まれている中で、果たして委託手数料が単純に低いことがよいことなのでしょうか。むしろある程度手数料を払ってもリターンを上げるという視点が必要なことだと思っています。将来的にGPIFを評価する視点という意味では、この評価の視点自身を見直していただく必要があるのではないかと考えております。
以上です。
○神野部会長 ありがとうございます。
河村委員、どうぞ。
○河村委員 御質問が2点ございます。
1つ目は38ページの公的年金の運用コストの平均が出ているのですが、これはどうやっておとりになったのかということです。いろいろディスクロージャーはよくやっていらっしゃるところが海外にもたくさんあると承知しておりますが、どういう形で平均を出されたのか、資産規模が大分違うと思いますが。
もう一つの質問は、39ページで財務内容の改善に関する事項です。目標の内容が「第2 業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置」で定めた事項に配慮した云々と書いてあって、お答えは経費を1.34%節減したで自己評価はBなのですけれども、とるべき措置というのはどういうことなのか、ほかに着目すべき点等はないのかどうか、お教えいただければと思います。
○大石投資戦略部次長 まず1点目の海外公的年金の運用コストでございますけれども、公開情報をもとに計算しております。それから、御指摘のとおり規模の大きいものから小さいものまでございますけれども、単純平均です。
○河村委員 加重平均ではないのですね。ノルウェーとかは規模が突出していると思います。
○三石審議役 2点目は39ページでございますけれども、結果としては1.34%節減するような予算の作成ができたということでございますが、そのプロセスの中で、これも恐縮でございます。七十数ページの正式の実績評価報告の中には詳しいことを載せていただいておりますけれども、例示といたしましてこのパワーポイントの39ページでも幾つかの事例を挙げさせていただいておりますが、例えば私ども契約審査会を設けまして、一般競争入札あるいは企画競争の実施などによりまして、情報システムあるいは先ほどの委託調査研究などでもそうでございますけれども、そういった公募案件についての経費節減にも取り組んでいるところでございます。
○河村委員 最初の質問の「第2 業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置」というのは何なのですか。そこがわからないと、それでB評価と言われても、それでいいのかどうか判断できなくて、申し訳ありません。そこを教えていただければと思います。
○神野部会長 もしもあれでしたら、後ほどやっていただけたらと思います。
○三石審議役 確認をして、後ほどお答えさせていただきます。
○宮崎資金運用課長 私から御報告しますが、GPIFの中期計画の中では、業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置としては、効率的な業務運営体制の確立ということで、組織編成や管理部門を含む各部門の人員配置を実情に即して見直すとともに、経費節減の意識、能力、実績を反映した業績評価等を適切に行うということ。2点目として、業務運営の効率化に伴う経費節減。3点目として契約の適正化。4点目に業務の電子化の取り組みという4点を盛り込んでいるところでございます。
○河村委員 であれば、今、課長から御説明くださった4点について、それぞれどういうことをなさったかという御説明は、このページに本当はあってしかるべきだったのではないかと思うのですけれども。
○神野部会長 よろしいですか。御意見として頂戴しておいて、事務局のほうで反映していただければと思います。
それでは、申し訳ありません。終了時間を既に30分以上オーバーしておりますので、法人の監事の方から監査報告について御説明していただいた上で、その監査等々を念頭に置いて現在の法人の業務運営の状況や今後の課題あるいは改善方針等々についてコメントいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○吉江監事 監事の吉江でございます。
資料2-3でございます。
1ページおめくりいただきまして、GPIFの監事は、私と今、隣におります小宮山監事、2名でございます。両監事の意見が一致しておりますので、このような形で連名で1つの監査報告を出させていただいております。無限定の適正意見となっております。
平成28年度の監査報告は、平成27年度と余り変わっておりません。平成27年度は通則法の改正、監事監査規程の見直し等によって監事監査が強化されております。平成28年度も引き続きその実践に努めてまいりました。
監査の方法及びその内容というものをIに書いてありますけれども、ここはやるべきことを書いてあるということでございますが、今、業務実績評価でお聞きいただきましたけれども、GPIFは今年とても多くの新しいことをやってまいりましたので、監事としてはその中で主に以下の5点について注目して監査を行っております。
まず、一点目は、前年度に増して業務が多様化し、新たな取り組みも数多くあったということ。
2点目は、内部統制システムに関しては、法人のリスクの把握、分析及び義務フロー図の作成等を29年3月までにつくり上げなければならなかったこと。
3点目は、情報セキュリティーに関しては監督官庁等からの緊急要請があって、それに対応しなければいけなかった。
4点目は、理事長が交代して経営陣の体制が変わった。さらに高度専門人材の採用が本格化して、組織内の顔ぶれが大きく変わったということ。
それから、スチュワードシップ活動の推進や全銘柄開示等々ありまして、GPIFの関心が非常に高くなってきて、メディアの露出やホームページ、Twitterの発信により認知度が増してきた、というようなことを踏まえて、ここに書いてあるような理事長以下、部室長、高度人材採用者のヒアリング等を通じて監査をした結果、法人は次に申し上げるように行動したと認めました。
まず、1点目は、抑制気味な運用に終始した。内外株式投資は御説明があったように基本ポートフォリオの中心よりも若干低目の割合を保ち、リスク増大に大変慎重であった。それから、年度を通じ、新たな業務に伴うリスクの把握、新たな運用手法、運用管理手法の導入に慎重に対応した。具体的に申しますと、検討や議論の時間を確保して必要に応じ担当者も会議に参加させて議論を深めた。投資委員会というところでございます。それから、マネージャーエントリー制度、オルタナティブの投資のFund of Fundsのマネージャーを選択する等に関しても、複数の外部コンサルタント会社から継続的に必要な情報や助言を受けた。その結果、選ぶ受託機関とのコミュニケーションにかかわる質疑の内容、評価方法の見直し、報酬制度の導入の検討が行われて、非常に議論と内容が深まったということが言えます。
以上の業務に高度人材の専門人材を活用した。それから、2点目は、目標管理制度を本格的に導入して、業務の多様化、新たな人材の採用を踏まえた人事評価制度の構築を図ったということ。そして、3点目は、年度を通じて業務の多様化に適用するような内部統制システムの強化、向上が図られた。
以上のことを業務監査及び決算監査から認めまして、最後のページの監査の結果に5つ書いてありますが、この5点について無限定の適正意見を出しました。現状はそういうことでございます。
今後の期待ということで申し上げますと、まずは10月1日のガバナンス体制移行を円滑に行う。それから、経営委員会と執行部の信頼関係を醸成して、その上で多様化する業務を遂行するにふさわしい内部統制システムを構築して運用していただくことを期待します。
2点目は、国民により信頼される組織となるように、適切な開示と丁寧な説明を今後とも続けることを期待しております。
以上です。
○神野部会長 ありがとうございました。
それでは、法人の高橋理事長から現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、さらには改善方針等々についてコメントを頂戴できればと思います。
○藤原理事 済みません、1分だけ頂戴できますでしょうか。先ほどの御質問の件につきまして補足の説明をさせてください。
まことに申しわけありません。財務内容の改善に関する事項の部分について、どこに書いてあるんだという御指摘でございました。これは編集上、実は前のほうに出ている話の再掲みたいな形にこの部分がなっているので、非常にわかりにくくて申しわけございませんでしたが、中期計画の中に業務運営の効率化に関する目的を達成するためにとるべき措置という項目がございます。そのうち最初の項目が効率的な業務運営体制の確立。これは本日のパワーポイントで35ページがその御説明に当たります。
それから、2番目の項目として業務運営の効率化に伴う経費節減という項目がありますが、これが37ページでございます。それから、契約の適正化という項目がございますが、これが申しわけありませんが、パワーポイントにはございませんけれども、全体の細かい分厚い資料の中でありますと、57ページから58ページにかけて御報告を差し上げているところでございます。
最後、業務の電子化の取組につきましては、パワーポイントの36ページで御報告を差し上げているところでございますので、資料の編成上、非常にわかりにくい形になりましたが、御報告としてはそこをご覧いただければと思います。
以上でございます。
○神野部会長 ありがとうございました。
それでは、理事長、お願いいたします。
○高橋理事長 いろいろ御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。今、いろいろ御意見をいただいたとおり、GPIF自身の仕事が、かなりお金が入ってくる中で運用を多様化して、それを109人で144兆円をやるということであります。従来のように割と単純な運用対象を少人数でやっていればというところから、多様化したものを今、御意見をいただきましたとおり、長期的な観点から運用しなさいということですので、我々といたしましても幾つか御議論いただきましたとおり、ESGの投資なりスチュワードシップの活動なり、将来に向けてある程度オルタナティブなアセットを持たないと、ずっと毎日毎日市場価格が変動するものだけを持っておりますので、そういった問題がなくて安定的な利息なり配当なりが入ってくるものに少し変えていきたいという思いもあります。それと並行して国民の皆様に透明性の観点からこういうものを持っていますということを説明し、なおかつリスク管理をきちんとする。リスク管理をするのにちゃんと人材を確保することを同時並行的にやっておりますので、うまくいくところともう少しこうしなさいということが出てくるのは必然だと思います。ただ、長期的な観点から着実にやっていきたいという思いでやっておることだけ御理解いただければと思います。
その上で一言だけ、私自身はすぐれた投資組織はフラットで言いやすい、オープンな組織でないときちんとした意思決定はできないと思っております。今、監事からも御報告がありましたが、内部の会議なりでは肩書きに関係なく、いいアイデアを出してもらい、いろいろな情報をいただいて、最後は国民の気持ちとしてこういう感じでいくかどうかを決めて、それでオペレーションをしていきたいと考えております。そういった文化をGPIFの中でどの程度育てられるかというところにもチャレンジしていきたいと考えております。
本日は本当にありがとうございました。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
それでは、年金積立金、GPIFの平成28年度業務実績評価にかかわる今後の取り扱いについて、事務局から御説明をいただきます。
○宮崎資金運用課長 長時間ありがとうございました。
本日、法人から説明のありました業務実績及び自己評価に対して、各委員の皆様から寄せられました御意見、法人の監事及び理事長のコメント等も踏まえまして、厚生労働大臣による評価を決定し、その評価結果について法人に通知するとともに公表をさせていただくこととなります。決定した内容につきましては後日、委員の皆様にも御連絡をさせていただきたいと考えております。
以上でございます。
○神野部会長 それでは、申しわけありませんでした。予定の時間を大幅にオーバーいたしまして、せっかく委員の皆様方から建設的な御意見を多数頂戴したのですけれども、私の不手際で終了時間を大幅に超えて時を刻んでしまったことをお詫びいたす次第でございます。
次回の開催等々について、事務局から連絡事項があればお願いいたします。
○宮崎資金運用課長 事務局から連絡事項は2点でございます。
1点は、今、各委員のお手元にお配りいたしましたけれども、GPIFの10月1日から発足いたします経営委員会の委員につきまして、本日、午前中に厚生労働大臣より10月1日付で任命する予定の9名の方を発表させていただいたところでございます。お手元にある名簿のとおりでございまして、本部会で御議論いただきました任命基準を踏まえまして選任をさせていただいたということでございます。御報告でございます。
もう一点、本部会の次回の開催日程でございます。これは事務局から各委員の御都合をお伺いいたしまして、調整をさせていただきたいと考えておりますけれども、9月上旬ないしは中旬ぐらいを予定しておりますので、改めて御連絡をさせていただきたいと考えております。
以上でございます。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
これにて本日の審議を終了させていただきますが、時間が大変オーバーしてしまったことをお詫びすると同時に、私は声が出なかったものですので、議事運営について支障をきたしましたこと、重ねてお詫びして終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。
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