2014年6月30日 第5回社会保障審議会企業年金部会議事録
年金局
○日時
平成26年6月30日(月)12:59~15:05
○場所
全国都市会館 3階第1会議室
○出席者
山崎部会長 森戸部会長代理 井戸委員 臼杵委員 小林委員 白波瀬委員 鈴木委員 高崎委員 冨高委員 平川委員 山本委員
○議題
(1)関係団体からのヒアリング等
(2)その他
○議事
○山崎部会長
それでは、定刻になりましたので、ただいまより第5回「社会保障審議会企業年金部会」を開催いたします。
お忙しいところ、お集まりいただき、ありがとうございます。
御出席いただいた委員の方が3分の1を超えていますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
それでは、議事に入らせていただきます。
カメラの方は、ここで退室をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○山崎部会長
今回は関係団体からのヒアリングが主な議題ですが、ヒアリングの前に、まず事務局から資料の確認をお願いします。
○黒田課長
それでは、資料の確認をさせていただきます。
本日の配付資料ですが、資料1「社会保障審議会企業年金部会委員名簿」。
資料2「関係団体からのヒアリング等」。
資料3「今後検討すべき課題について【日本経済団体連合会提出資料】」。
資料4「中小企業における企業年金制度について【日本商工会議所提出資料】」。
資料5「企業年金について【日本労働組合総連合会提出資料】」。
資料6「社会保障審議会企業年金部会ヒアリング説明資料【企業年金連合会提出資料】」。
資料7「現行の企業年金制度に関する課題と対応策(提言)【企業年金連絡協議会提出資料】」。
参考資料1「企業年金制度の現状等について」。
参考資料2「社会保障審議会企業年金部会運営規則」を配付させていただいております。
不備等がございましたら、お知らせいただければ幸いです。
○山崎部会長
本日は、関係団体からのヒアリング等を主な議題とします。
労使代表である日本経済団体連合会、日本商工会議所、日本労働組合総連合会、企業年金の関係団体である企業年金連合会、企業年金連絡協議会から御意見を頂戴することといたします。
また、本日の進め方ですが、2部構成といたします。
まず第1部として、労使の3団体の御意見をそれぞれ15分程度いただき、労使3団体まとめて25分程度の意見交換を予定しております。
続いて、第2部として、企業年金連合会、企業年金連絡協議会それぞれ10分程度御意見を伺った後に、10分程度の意見交換といたします。
それでは、まず第1部として、日本経済団体連合会より説明をお願いします。よろしくお願いします。
○小林委員
それでは、日本経済団体連合会として「今後検討すべき課題について」と題して、お手元の資料に従いまして、御説明をさせていただきます。
具体的な制度の話をさせていただく前に、まず前提となる企業経営を取り巻く環境の変化について、少しお話をさせていただきます。御承知のように、確定給付企業年金、確定拠出年金が施行された十数年前から比べますと、企業経営を取り巻く環境は、大きく変化をしております。具体的には、企業グループ内での会社分割、あるいは統合といった組織の再編だけではなく、グループを越え、かつ海外も含めた外部企業との合併、買収、事業再編等の変革が進み、そのスピードが加速しています。
お手元の資料に85年以降のマーケット別のM&Aの件数を、参考添付させていただいておりますが、ごらんいただいてわかりますように、2000年以降、M&Aの件数が非常に増えております。リーマン・ショック後、一旦、件数としては減っておりますが、近年、再び増加する傾向にあります。
内訳を見ていただくと、日本企業同士だけではなく、日本企業と外国企業とのM&Aも増えてございます。
具体的な買収、統合との案件として、右側に幾つか事例を記載させていただいていますが、業種による濃淡はあるものの、基本的には再編や統合が国内に限らず起きており、グローバル競争を避けて通れない状況が、現下の企業を取り巻く環境と認識をしております。
資料の次のページに進んでいただきまして、もう一つの背景として、従業員サイドの観点でお話をさせていただきます。近年、多様な働き方へのニーズが高まっていると認識しておりまして、1つの企業で定年まで勤務するという枠組みが、徐々に変化をしてきています。もちろん定年までの勤務がなくなっているわけではありませんが、多様なケースが現れていると認識しております。それに加えまして、経験者や外国籍の方の採用件数等も徐々にふえてきております。
そうした状況を踏まえて、政府の政策としても、雇用制度改革、あるいは人材力の強化に向けて、ここに挙げているような各種施策が検討・議論されていると理解しております。
これらの取り巻く環境の変化を踏まえますと、今般の企業年金制度の見直しにつきましては、現行制度の枠組みを前提として、小幅な改善を目指すというよりは、時代の変化に即して、求められているものを踏まえながら、現行法令の枠組みに捉われない、抜本的な検討も必要だと考えております。
もちろん企業年金制度は、労使合意のもとで運営される退職給付制度の基幹的な制度であることは、今までと変わりはありませんが、それぞれの企業のニーズにあわせて、より柔軟で多様な制度設計が可能であるべきと考えております。各社の置かれた競争環境の中で、最適な制度をそれぞれの労使が議論をして決める。その際の選択肢は、できるだけ柔軟かつ幅広に持たせていただきたいということであります。
引き続き資料の5ページ以降、各制度ごとに、経済界が重要と考える論点について、具体的に述べさせていただきたいと思います。
まず、確定給付企業年金につきましては、従業員の方々に老後への安心感をもって働いていただくことを、第一義に実施していると認識をしております。しかしながら、景気の低迷等を経まして、制度維持のために企業としては多大な努力を要しているという事実がございまして、いかにこの制度の持続可能性を高めていくかが、大きな課題だと認識をしています。
そうした観点で、確定給付については、大きく3点、要望したいと思っております。
1点目として、給付設計のさらなる弾力化。
2点目として、ポータビリティのさらなる向上。
3点目として、過去勤務債務の償却方法の弾力化であります。
給付設計のさらなる弾力化としましては、例えば有期年金について、現行では最長20年まで支給期間が認められていますが、現状の平均余命の実態等を踏まえますと、退職後20年を超えてカバーをするニーズへの対応として、20年以上の有期年金等、給付設計のさらなる弾力化が必要なのではないかということです。
ポータビリティのさらなる向上については、冒頭申し上げました、事業再編等の増加を背景に、権利義務の移転・承継といったケースも非常にふえてございます。そうした組織単位の対応だけではなく、個人単位での会社間の異動の件数もふえておりますが、例えばこうした個人単位の異動に伴う手続については、一定の要件を満たすものは届出で可とするなど、簡素化に向けた対応も必要だと思っております。
過去勤務債務の償却方法の弾力化については、ボラテリティーの大きな運用環境下で、中長期的に安定的に財政運営する必要性を考えますと、それぞれの財政状況、事業主の負担能力に応じて、一括償却等の導入、弾力化等も検討する余地があると考えております。
資料の6ページは、確定拠出年金についてでございます。確定拠出年金については、確定給付企業年金とのイコールフッティングの確保を要望いたします。確定拠出年金について、基幹的な制度設計を可能にすることが大きな課題だと考えておりまして、具体的にはここに挙げております3点を要望させていただきます。
1点目は拠出限度額の引き上げであります。確定拠出年金の掛金は、現状、平均的な企業での賃金カーブ、あるいは退職金の水準などを踏まえますと、中高年層あるいは役職の高い者の掛金が必然的に高額になり、現状の一律的な上限設定の場合、どうしても上限を超えてしまう実態がございます。掛金の拠出上限については、引き上げを引き続き要望させていただきます。
2点目といたしまして、中途引き出し要件の緩和ですが、我が国の企業年金は、退職金から年金へと移行された経緯を持ちます。企業においては、退職給付制度という一体的な枠組みの中で議論・運営が図られていること、一方、従業員側からの退職時での一時金の受け取りニーズも、非常に高いと認識しております。退職した時点で一時金の受け取りを可能にすることで、労使双方から見て確定拠出年金の制度の魅力が増すことになると考えています。
また、受給開始要件の緩和については、現状、加入期間が10年未満の場合には、受給可能年齢が繰り下げになる枠組みになってございます。この制約については、企業再編等、加入者みずからの意思と関係なく、例えば50代で確定拠出年金に加入した場合に、加入期間が足りないがゆえに、60歳から受給ができないといった事態を招くため、見直しが必要ではないかと考えております。
資料の7ページ目は、同じく確定拠出年金について、加入者にとってよりメリットのある制度への改善という観点で要望を記載させていただいております。
中でも特に強く要望をさせていただきたい事項は、運用商品の除外要件の緩和であります。現状、商品を除外する場合、当該運用商品を選んでいる加入者等全員の同意が必要となっておりますが、実務上、その取得は現実的ではありません。その一方で、一度選んだ商品を除外することなく、継続して提供することについては、加入者の利益を確保する観点からも問題があろうと思っております。例えば労使間での合意を得て、十分な情報提供・周知期間を得た上で、過半を超える方々から、特段の異議申し立てがなければ、商品の除外を認めるといった対応を検討することも必要ではないかと考えております。
2点目がマッチング拠出の自由化でございます。現状では、事業主掛け金の範囲で個人の拠出額が決まります。自助努力へのインセンティブ向上という観点では、若年層からの拠出が望まれる一方で、制度の設計実態を踏まえますと、若年層の掛金の規模がそもそも小さい中でマッチング拠出の上限も低く抑えられることとなります。本人から見ても、興味を持って運用できる規模になるよう、マッチング拠出の上限設定の見直しも必要ではないかと考えてございます。
資料の8ページ目には、円滑な制度間の移行に関する要望を記載をさせていただいております。企業経営を取り巻く環境の変化については、冒頭、申し上げたとおりでありますが、事業再編が加速する中で、いかに退職給付を途切れさせることなく継続していくかという観点で、労使合意を前提に、円滑な制度間の移行を可能ならしめるような工夫ができないかと考えております。
1つは、確定給付企業年金から確定拠出年金への移行であります。現状、DBの積立金をDCに移換する場合は、積立不足を一括拠出しなければなりませんが、実際に制度移行する場合に、一括拠出は大きなハードルになっているかと思います。
例えば1つの案といたしまして、こうしたケースの場合、積立不足解消のための拠出を8年以内の各年度に均等に分割するような、要件緩和が検討できないかということです。 また、DBからDCへの積立金移換については、特に複数事業主で運営する制度の場合は、DCに移行しない加入者の同意も必要であり、実際の制度移行のハードルになっているかと思いますので、見直しが必要と考えています。
2点目に、確定拠出年金への60歳以降の継続加入の容認が必要であると考えています。今後、社会全体として、高齢者の雇用を促進していく必要がありますが、60歳前後で雇用される事業所・会社が変わるケースは、非常に多いと思われます。例えば同じ企業グループの中でも、60歳以降に異なる会社に勤務する場合に、確定拠出年金を継続できない実態に対して、見直しを要望したいと思っております。
3点目に、中小企業退職金共済から確定拠出年金への移行も要望事項として記載しております。
次の9ページでありますが、これまで申し上げたお話は、現行法の枠組みを前提とした議論になろうかと思いますが、もう一段踏み込んで、新たな選択肢の導入を要望させていただきます。
御承知のとおり、老後の所得確保については、公的年金を主体に自助努力が基本であると認識しておりますが、その中で、上乗せ年金の重要性は年々高まっていると認識しております。
そうした中で、確定給付年金とか、確定拠出年金といった枠組みだけではなく、例えば諸外国を見ますと、もう少し柔軟性を持った制度が運用されている事例もある中で、労使間での適切なリスク分担を図る観点で、柔軟に対応ができる新たな枠組みも検討すべきだと考えています。
一方で、働き方、職域によらない自助努力の強化も図るべきと考えております。現在、個人型の確定拠出年金については、加入資格の要件が厳しいこともあり、必ずしもうまく活用できているとは言い難いと認識しております。個人型確定拠出年金の活用に向けた、抜本的な見直しに向けた検討が求められると考えております。
最後、資料の10ページは、税制・手続の簡素化について記載しています。
第一に要望したい事項は、特別法人税の速やかな廃止であります。企業年金制度をより一層普及・拡充させる上で、ここは欠かせないと認識をしております。
その他に、手続の簡素化として幾つか記載をしてございますが、これについては、規制改革に関する答申ということで、別途挙げられておりますので、詳細については割愛をさせていただきます。
私からの説明は以上でございます。
○山崎部会長
ありがとうございました。
続きまして、日本商工会議所より説明をお願いいたします。
○日本商工会議所
日本商工会議所の杤原と申します。
本日は発言の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
それでは、中小企業の立場から意見を申し上げさせていただきます。お手元に簡単な資料をおつくりしてございますので、1ページ目をお開きいただきたいと存じます。
私どもは中小企業の立場からお話を申し上げますので、今、中小企業がどういう立場に置かれているかということを、若干前置きをさせていただいた上で、発言させていただきたいと思います。
中小企業につきましては、数の激減という事実がございます。1999年に485万社ほどございましたが、これをピークに年々右肩下がりで急減をしてございまして、2012年には386万社でございます。そのうち、385万社、99.7%が中小企業でございます。
さらにその中から、いわゆる小規模企業というくくりがございまして、従業員は、製造業で20人以下、商業・サービス業で5人以下の極めて小さな企業でございますけれども、これが334万社ということで、86.5%を占めるという実態でございます。また、中小企業が雇用の7割を占めるということで、約3,000万人の方が中小企業で働かれているというのが実態でございます。
これらの中小企業が倒産をしてはならないということで、先般、御議論いただいておりました、厚生年金基金の廃止の問題でございますけれども、1つには、連帯債務を見直して連鎖倒産を防いでいただく、加えて健全経営に戻すということで、廃止の方向もやむなしと、容認をさせていただいたということでございます。年金制度を入れるかどうかという議論の前に、まずもって企業を倒産させてはならないというのが、基本的なスタンスでございました。
一方で、昨今、足下の人手不足がございますけれども、恐らく将来的に人口が減りますので、中小企業がどうやって雇用を確保していくかということで、経営者の皆様は非常に頭を悩ませておられまして、魅力ある職場環境、あるいは働き方に合った福利厚生制度をできる限り用意をしたい、用意をしないと、今後、人の採用、定着が図っていけない時代が、すぐそこに来ている、直面しているという認識が高まってきております。できれば中小企業としても、福利厚生、年金、一時金のところをしっかり確保したい、魅力ある職場をつくりたいという気持ちは強いということでございます。
こういった前提がございまして、本日は意見発表をさせていただきたいと思います。
A4判の横で資料を御用意してございまして、1ページ目一番上の箱、DBについてです。これは厚生年金基金の御議論のときと共通いたしますけれども、1つには、DBについては、常に追加拠出のリスクが付きまとうということでございます。利回りが割れてきますと、追加拠出が必要になるということで、中小企業にとっては追加拠出が経営上の極めて大きなリスクになりますので、こういったものが一番頭の痛い問題として横たわってございます。
上場企業等におかれては、退職給付債務の計上というものが、会計基準で規定をされますけれども、こちらも100%補填をしておく必要があるということで、1つ目と同様に、リスクとして発生をしてくるということでございます。
3つ目でございますけれども、言いづらいのですが、1つには運営コストが高いという声を中小企業から聞いてございます。当然ながら、制度を運営していくためには、管理手数料や数理計算等をしていくわけでありますけれども、給付の割にはコストがかかるということでございますので、こういった点は、中小企業の体力から見ますと、負担が重いということでございます。
2つ目の箱のDCでございますけれども、こちらについても、運営コストに加えて、事務負担が大きいという声をよく耳にいたしてございます。
1つ目に書いてございますように、中小企業については、ここ20年間、デフレの中で、人員削減等に努めてきておりますけれども、経常利益が大企業に比べて極めて低く、また人件費の比率が高いので、そういった中で、DCそのものを管理していくことが、非常な事務負担となってございます。
2つ目にございますように、一方で、従業員の皆様は、元本保証を望む気持ちが強いということがございますので、元本保証の割合が高くなれば高くなるほど、想定する運用利率が下がります。そうしますと、想定する給付水準から逆算した掛け金も、相対的に高くなってくるということもございます。ここのところの兼ね合い、バランスが非常に難しいそうでございます。
3つ目は、特に声が大きいところでございますが、DCの制度上やむを得ないとは思いますけれども、投資教育への負担が極めて大きいという声をよく耳にしてございます。特に社員数が多い企業、また、拠点が複数ある場合については、投資教育を複数回あるいは複数の場所で開かないとならないということでございます。日中、教育できるような体力のあるところはよろしいかもしれませんけれども、就業時間後に説明会あるいは教育を施すことになりますと、場合によっては、時間外の手当等も発生してございますので、中小企業にとって、全社員への投資教育の徹底というのは、大きな負担とコストになっているという実態がございます。
4つ目でございますけれども、退職時の受け取りも、その後の掛け増しもできず、給付を受けるまで、塩漬けになるケースがございますので、こういったものが、従業員の皆様から不満として出てくるそうでございます。
それから、中小企業に関係するところで、一番下の箱でございますけれども、年金ではございませんが、せめて一時金を用意してあげたいという、立派な中小企業経営者は多くいまして、政府の仕組みとしては、中退共という制度がございます。自社の年金と中退共を組み合わせて、運用されている企業の方もおられます。
中退共につきましては、名前のとおり、中小企業退職金共済でございますので、企業が成長して、発展をして、中堅・大企業に成長していきますと、脱退をしないといけないことになります。このところで、やむを得ず脱退をすることになりますけれども、脱退をすれば、当然ながら解約一時金ということで、従業員の方に払われる資金が一時所得として課税をされてしまうという問題を内包してございます。
特退共ということで、商工会議所ですとか、商工会ですとか、あるいは市町村で、所轄の税務署長の許可を受けて、退職金共済をできることが、所得税法の施行令の中で規定されてございます。こちらにつきましては、大企業も含めて加入ができることになってございますけれども、逆に所轄税務署長ごとの許可でございますので、そこを越えて事務所が移設をしたような場合は、同じく一時所得としてお支払いせざるを得なくなります。脱退ということになりますので、一時所得として課税をされます。
中退共については、規模の問題が発生しますし、特退共については、立地している地域の問題が生じるということでございます。
こういったことがございまして、2ページをお開きいただきますと、課題解決に向けた方向性ということで、若干意見を申し述べさせていただいてございます。
一番上の箱でございますけれども、1)で書いてございますように、こちらは経団連さんからもございましたように、1つは、柔軟性の向上でございます。
1つ目に書いてございますように、リスク負担の柔軟性向上ということで、今はDBかDCか二者択一という制度でございますので、労使合意の上でという条件はつくとは思いますけれども、DB寄りのDCですとか、DC寄りのDBですとか、もうちょっと弾力性のある制度設計で、従業員の方の手取り額が、DCよりも多くなるような制度設計があってもよろしいのではないかということでございます。
DCの掛け金の柔軟性向上ということで、従業員の方も余裕があれば、自分でもう少し足しておきたいという御希望があるやに聞いてございますので、そういったところに柔軟に対応できるような、マッチング拠出の仕組みの改善も必要ではないかということでございます。
2)、2つ目の箱でございますけれども、企業負担の抑制でございます。
1つ目にございますけれども、投資教育の負担が重いというのが、事実としてございますので、不要とまでは言いませんが、集合でやるとか、もうちょっと簡易なやり方ですとか、もう少し弾力的な投資教育のやり方を設定していただければありがたいということでございます。
2つ目にございますように、運営コストを何とか低減できないかということでございます。例えばですが、共同して運営・事務を行うような機関を新しく創設するとか、事務をアウトソーシングするとか、小さいところが集まって、共同で運営できるような仕組みを新しく考えられないか。あるいは既にある法律で、共同運用ができることになっている団体もございますので、そういった団体の強化・拡充も選択肢の1つではないかと考えてございます。
3)でございますけれども、インセンティブの強化と書いてございますが、ある意味イコールフッティングかと思います。
1つ目に書いてございますように、政策的に中小企業の一時金制度、あるいは年金制度を強化・整備する方向で促していこうということであれば、中退共では事業主拠出金への助成制度が設けられてございますので、そういったインセンティブもあってもよろしいのではないかということでございます。
こちらも経団連さんと同様でございますが、3)の2つ目にございますように、年金資産への特別法人税撤廃でございます。税率で1.173%、恐らく額にして5,000~6,000億円ぐらいの規模になると思いますけれども、凍結延長の時限措置できておりますので、もし年金制度を強化・拡充・整備していこうというのが政府の方針であれば、この際、特別法人税というのは、廃止をしていただくべきではないかと考えてございます。
最後にその他でございますけれども、前向きに将来の年金制度を考えていこうということであれば、なるべく若いうちから、学校でも年金の教育、納税の教育、あるいはライフプランに関する教育みたいなものをきちんとして、国として、教育制度の中でやっていただくべきではないかということでございます。
それから、退職金規定をお持ちの方、あるいは規定を作っておられる中小小規模事業者というのは、それほど多くないと思われますので、そういったことの意識啓発、あるいは規定をつくっていくための助成・支援制度みたいなものも、御検討いただければありがたいと考えてございます。
商工会議所からは以上でございます。
○山崎部会長
ありがとうございました。
続きまして、日本労働組合総連合会より説明をお願いいたします。
○平川委員
ありがとうございます。
連合でございます。
「企業年金について」ということで、資料をつけさせていただいております。
連合としましては、具体的な政策や改革の方向性について、まだ十分な議論をしておりませんので、きょうはあくまでも基本的な考え方を中心に説明をさせていただければと考えています。
2ページは、現在の年金制度の体系でございますけれども、左側にピンクと赤の部分があるかと思います。これは3ページに書いておりますとおり、基本的に企業年金というのは、どういう位置づけであるべきかということを含めて、こういう資料をつけさせていただきました。
まず大前提でございまして、連合としても、何度も説明させていただいておりますけれども、社会保険に加入できていない労働者が多数存在するということであります。今回の社会保障制度改革プログラム法の中でも、短時間労働者への社会保険の適用拡大が明記をされていますけれども、まずは積極的に進めるべきであって、その上で、企業年金の問題について考えるべきであります。
社会保障制度改革国民会議の中で、公私年金の役割分担ということで、課題が提起されているところでありますけれども、公私の「私」というのは、多分企業年金のことだと思いますが、多くの労働者がその枠組みから外れている現状において、全て公的年金を補完する役割を期待するのは、なかなか厳しいのではないかと考えています。
その上で、労使の努力によって、中小や零細企業で働く労働者、退職金規定が適用されないパートなどの非正規労働者も含めて、全ての労働者が加入できるような企業年金が必要ではないかという考え方を持っているところでございます。
そういう考え方に基づいて、4ページに移りまして、確定給付企業年金等に関する基本的な考え方について、説明をさせていただきたいと思います。
近年、確定拠出年金を採用する企業が大変多くなってきている状況にあると思います。そういう中で、リスクに関していいますと、事業主がとるのか、従業員がとるのか、いろいろ考え方があるわけでありますけれども、確定拠出年金だと、基本的に事業主が従業員にリスクを負わせる形になってしまいます。やはり、雇用した立場から、退職給付を責任を持って保障するという観点が重要ではないかと思っているところであります。
確定給付企業年金という制度でいきますと、集団でリスクに対応できるというメリットもあるのではないかと考えているところであります。これが個人一人一人に分断されてしまうと、言い方は微妙ですけれども、リスクに対してのスケールメリットという観点でいうと、ちょっと弱くなるのではないかと考えています。リスクもあれば、リターンもあるわけでありますけれども、専門的なリスク管理ができるかということになると、先ほどDCの課題として言われておりました、投資教育への負担とか、そういうものも課題になっているということです。そういった意味では、確定拠出年金よりも、確定給付企業年金が基本であるべきではないかと考えているところであります。
また、DCの拠出限度額の問題についても、いろいろ御議論があるところでございます。連合としましては、この問題については、まだ十分な議論をしておりません。限度額を撤廃するか、しないかというのは、いろいろ議論があるかと思います。ただ、その中で、1つの考え方として出されておりますのが、企業年金は税制優遇されている制度ということであります。それを無制限にしてしまうと、税制優遇の意味合いが薄くなってしまうのではないかという御指摘もあり、ここについては、慎重な検討が必要ではないかと考えているところであります。
経済界の方々を含めて、労使合意の大切さについて、意見をいただいていることに対しまして、感謝を申し上げたいと思います。やはり企業年金というのは、労使に帰属するということであります。労使が十分な対話のもとで、明確な運営方針を示すことが、極めて重要だと考えているところであります。
5ページ以降ですけれども、確定給付企業年金の関係で、連合の考え方を記載しているところであります。
資産運用規制のあり方については、先ほど言いましたように、労使自治を前提に、運用資産の選択や運用方法は自主的に決定するということが基本でありますし、資産運用についても、代議員会、加入者による関与、厚生局による監視機能を強化することが、極めて重要ではないかと記載しているところであります。
次に、「2.ガバナンスの強化」であります。基金型につきましては、代議員会・理事会について、加入者を代表する代議員・理事が参画するようにする。労働組合がある場合は、労働組合代表から選出する。そういうことを含めて、しっかりと加入者の意思が反映される仕組みが重要だと考えております。
6ページにいきまして、「2.ガバナンスの強化」の続きでございますけれども、規約型におきましては、企業による利益相反の問題を解消するために、加入者・労働組合による監視・関与を強化すべきです。そのため、企業に制度運営や資産運用にかかわる重要事項を審議するための労使等で構成する委員会等の設置を、法令で義務づけるべきではないかということです。
また、基金型、規約型共通の課題でありますけれども、運用機関の選定理由であるとか、運用状況、手数料や費用などの加入者に対する公表などを含めて、法令で義務づけるべきではないかと考えているところであります。
そして、これらの運用に関しては、ガイドラインで定めるべきではないかということで、これらについて、連合として議論をしてきているという状況であります。
7ページにいきまして、実際に確定給付企業年金を実施している企業年金にヒアリングをしてきたところであります。
企業年金の理念として、役職員の老後の安心を将来にわたって保障するという前提のもと、さまざまな課題があるとも聞いたところであります。
終身保障部分があることについては、幹事会社に事務委託をしているわけでありますけれども、平均寿命が延びる中で、現在、財政面はそれほど厳しくないけれども、今後は留意が必要であるということ、また、政策アセットミックスによるリスク管理を行っているということ、また、広報による情報提供の充実も極めて重要ではないかと聞いたところであります。
母体企業との関係につきましては、退職金制度の見直しがあった場合の対応であるとか、財政検証・財政再計算の際の積立不足の問題、さらにはコンサルタントや幹事会社に任せっ切りではなく、主体的に運用をコントロールできるような人材育成が課題になっていると聞いたところであります。
労働組合との関係につきましては、運用状況を注視してもらうことや、今後の退職給付のあり方、さらなる事業所編入に関しても、もっと話し合いをしていくことが重要だと聞いたところであります。
なお、確定拠出年金の課題についても意見を聞いておりますけれども、従業員への投資教育の問題を含めて、相当の啓蒙活動が不可欠であるということで、これはかなり大変ではないか、どう徹底していくのかということについての課題が提起されていました。
このように、連合としましては、基本的に確定給付企業年金は極めて重要であると考えているところでありますし、それをどうやって持続可能なものにしていくかということで、いろいろと課題もあると思っております。特に中小・零細企業における企業年金の運営というのは、事務コストの問題などを含めて、それをどう解決していくのかというのは、極めて重要だと考えているところであります。したがいまして、その辺の解決策について、引き続き議論させていただければと考えているところであります。
以上です。
○山崎部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいま労使3団体より説明がありましたので、その内容につきまして、委員の皆様から御質問等をいただきたいと思います。
井戸委員、どうぞ。
○井戸委員
経団連の小林委員のところでも、円滑な制度の移行、ポータビリティのことを御提案いただいておりますが、ポータビリティがあるというのは、とてもすばらしい制度だと思いますが、持ち運ぶ際に一度キャッシュにしなければならない点が、大きなデメリットだと思います。定期預金を積み立ていく場合、途中で解約の金利になってしまうので、中途解約の金利で減額されますし、元本割れはしませんが、保険の証券などですと、途中解約すると、ほとんどが元本割れすると思います。あるいは投資信託などは、そのときのマーケット次第によっても違ってくるので、1回キャッシュにするというのは、全てにおいてデメリットが多いと思います。
個人の投資教育でどういうふうにポートフォリオを組んでしようかと思っていても、会社を都合退職するときというのは、多分景気がよくなかったり、マーケットも冷えているときが多いので、そのときに減ってしまったものを持たせてしまいます。次にどこへ行なかなか難しいかもしれないのですけれども、会社員が転職とか退職をしたときに、共通のプールができるようなもの、一度出さなくてもできるようなものがあれば、ベストだと思っております。
○山崎部会長
いかがでしょうか。
○小林委員
実際、制度を運営する立場からしても、ポータビリティ改善の問題は重要であると認識しております。本来は現物での移換が望ましいですが、異なる規約間での資産移換では、技術的に難しい面もあり、一旦は資産を現金化して、制度間を移る必要があります。
個社のケースで申し上げますと、資産の現金化を避けるために、基本的にはグループとして制度を共有して、同一規約の中であれば、運用の中断が起こらないように工夫はしておりますが、それでも規約が同一という一定の限界はあります。解決は容易ではないと思いますが、ポータビリティ改善が1つの大きな課題であるということは、間違いないと認識しています。
○山崎部会長
ほかにいかがでしょうか。
臼杵委員、どうぞ。
○臼杵委員
商工会議所さんにお伺いしたいのですけれども、投資教育の負担の軽減ということで、社員への投資教育が不要な新たな制度設計も含めて検討が必要ではないということで、私は割とこれにシンパシーを感じるのですが、具体的にどういう制度であれば、あるいはどういう投資教育であれば許されるというか、多分投資教育だけを取り上げて不要と言ってしまうと、単に負担を逃れるということだと思うので、もう少し条件というか、例えば人数とか、あるいは商品を簡素化するなどとの、コンビネーション、組み合わせでいかないといけないのではないかという気がするのですが、その辺について、何かお考えがあれば、お伺いしたいです。
○日本商工会議所
ありがとうございます。
今、具体的に御提案できるようなアイデアはないのですけれども、例えば幾つかの中小企業がまとまって、従業員が1カ所に集まって、セミナー的に教育を受けたことをもって、投資教育をしたことにできないかとか、あるいは、それほど多くの商品を用意するというのもなかなか難しいので、例えば信託会社さん等と連携しながら選択肢を絞るという意味ではないのですが、数もリーズナブルな数で、教育の仕方もリーズナブルな数でできればと思っております。
これは恐らく日中に教育するわけにいかないと思っていますので、そうしますと、仮に6時からやりますと、当然従業員の方にも残っていただかないといけませんし、命令で残せば時間外手当を払うことになりますし、従業員の方にとっても、定時で帰りたかったのに帰れないということになります。従業員の方にとっても、事業者にとっても、負担がかからないような、いいアイデアがないかということでございまして、現在、具体的な提案は持ち合わせておりませんが、現場としては、そういう声が出てくるということでございます。
○臼杵委員
元本保証を選択する社員が多い。これは中小企業に限らずだと思うのですけれども、それは投資教育が効いていないからなのですか。
○日本商工会議所
少しでも多くの年金が欲しいということは人情だと思います。
○臼杵委員
元本保証を選択する社員が減れば、投資教育が成功したということになるのかどうかというのは、いつも疑問に思っていて、もしそうであれば、最初から元本保証以外のものを選択するように進めればいいと思うのですけれども、それを投資教育でしていないような気がします。最後はあなたの選択ですと言っている。そうすると、元本保証にいくのが人情だと、今、おっしゃいましたけれども、投資教育というのは、建前的な感じが私にはします。私の意見になってしまって、申しわけありません。
○山崎部会長
鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
それてしまうかもしれないのですが、今の臼杵委員の意見に関しては、私も思うところはほとんど一緒であります。つまり元本確保の割合が高いということが、そもそも悪いことなのかどうかも疑問に思っていまして、それは日本人の国民性を変えるという話ではなかろうかと思います。
確定拠出は元本確保に偏りがちだという意見が結構ありますが、1,400~1,500兆の個人金融資産と、確定拠出とでの元本確保以外の割合を比べると、明らかにDCのほうが元本確保以外の割合が高いのです。だから、DCは従来の日本の国民の選択よりも、リスクのある商品を事実として選択しているのです。それをさらに高めなければいけないのかというのは、疑問のあるところです。
一方で、全部の加入者がそういうふうになっているかというと、そうではなくて、元本確保100%という加入者がかなりいます。そのことを問題視されているのはわからないでもないのですけれども、もともと日本の国民が持っている金融資産の商品選択に対する考え方からすると、無理からぬところではないか。それを教育したら簡単に変わるというのも、ちょっと幻想ではないかと思います。これは臼杵さんの言われたことに対して、私がいつも思っていることなのですが、きょうのテーマとは違うと思うので、これぐらいにしておきます。
引き続き、よろしいですか。
○山崎部会長
どうぞ。
○鈴木委員
質問ですが、同じく商工会議所さんの御意見の中で、2つありまして、1つは、冒頭、文字にはなっていなかったと思うのですけれども、人手不足が深刻になってきて、これからの高齢化を見据えると、福利厚生面も充実しなければ、人材の確保は難しいと思われているというお話があったと思うのですが、そういうふうに経営者の方に思っていただいているとすれば、企業年金の普及のためには大変、望ましい姿だと思います。
一方で、きょうの資料にもありますけれども、事務局で用意をいただいた「企業年金制度の現状等について」というもので、前に説明をいただいたところで、アンケートをとられているものがあったと思います。従業員が企業を選ぶときに、どういうことで選択しているかというのは、どこでしたかね。
○山崎部会長
29ページです。
○鈴木委員
29ページです。「新入社員の会社選択の理由」を見たときに、がっかりしたのですけれども、給与が高いからというのが、こんなに低い、本当かとそのときに思っていたのですが、経営者側の意識とこのアンケートがもし実態をあらわしているとしたら、就職しようと思っている人とのミスマッチというか、ギャップというのは、どう考えたらいいのかというのが1つです。これは1つの質問です。実態はどうなのでしょうかという話が1つです。
それから、全然違う話で、もう一つは、中退共のように、助成制度を検討したらどうかという御提案があって、中小企業に普及させるというのは、企業年金の外からの政策的な支援がないと難しいという話を前回申し上げたと思うのですけれども、その1つの解決策として、こういうものがあったらいいと、本当に思います。
さはさりながら、今の中で、こういうことを言い出すのは、結構勇気が要るといいますか、これだけ国の財政が苦しくて、社会保障費の圧縮云々という話が話題にのぼり、年金でいうと、今回、消費税まで引き上げて、やっと年金国庫負担の2分の1の財源を確保したという状況の中で、自助の年金制度にさらに国から追加で負担を出すというところは、どういうふうに説得したらいいものでしょうか。ここに国費を投入することの説得性といいますか、そういうものはどういうふうに考えたらいいのでしょうか。
この2点です。
○日本商工会議所
大変重たい問題でございまして、1つ目の人手不足のお話でございますけれども、私どもは社会保障の専門委員会を内部で持ってございます。それから、日本全体のことを考える総合政策委員会という、2つの委員会で、こういった問題を議論しておりますけれども、その委員会の中でも、最近はそういう声が強く出てございます。今まではどちらかというと、負担をしたくない、あるいは払いたくないという思いが企業サイドにあったかと思うのですけれども、ここは企業の意識を変えて、これからの少子高齢化対策の中で、労働力不足にどう対応していくのかというのが、大問題になってございます。これは労使問わず、国家的な問題でございまして、その際に、どうしたら人を採用して、定着してもらえるかという御意見は、最近、特に強くなっております。
問題は払えるか、払えないかということに帰結するわけで、先ほど冒頭に申し上げました小規模事業者であれば、既に人件費比率が83~84%ぐらいあり、社会保険料が年々上がっていく中で、これ以上どうやって負担を追加で出すのかということでございます。経常利益率などで見ましても、特に資本金1,000万以下ぐらいの小規模のところでは、ここ10年ぐらいで、特にサービス業などはマイナスでありましたし、中小企業の製造業でも3%あればいいほうでございまして、そういった中で、人件費、退職給付債務として、上乗せがどれだけできるのかという、切実な問題でございます。払えるところは当然払っていますし、1本ではなくて、特退共とか、中退共とか、企業年金とか、DCとか、そういうものを組み合わせて運用されて、努力されている企業というのも、もちろん経団連さんの会員を含めてございます。
一方で、従業員の方の意識の話ですけれども、働きがいを求めておられて、一義的には大企業を受けに行かれておられます。50社受けに行って全滅というような話も新聞に出ていたと思いますけれども、冒頭、申し上げましたように、従業員の7割は中小企業で働いておられますので、10人学生がおられれば、7人はどう転んでも中小企業に採用されるわけでありまして、その7人の方も含めて、大企業さんにアタックをする。50社行って採用されず、結果として疲弊してしまうということでございます。
中小企業としては、最初から本願で中小企業の魅力を見て就職してほしい、採用試験を受けに来てほしいという気持ちがございますので、働きがいとか、生きがいということはもちろん学生は言われるのですけれども、生活をするため、子供を育てるためには賃金が必要になりますので、就職してから、十分な賃金、老後の生活の退職金・年金というのは、当然御要望として出てくる話でございます。ここは鈴木先生がおっしゃられるように、ミスマッチと言われれば、ミスマッチかと思いますけれども、そういった意味でも、投資教育ですとか、学生時代からの社会構造・産業構造、労使の関係の教育というのは、ますます重要になるのではないかということでございます。
それから、中退共に政府の支援がございますけれども、中小企業、規模の小さいところは、独自の年金を持てませんので、どうしても退職一時金になります。退職一時金であれば、共済制度になっていますので、毎月3,000円ですとか、5,000円ですとか、そういった金額の掛け金で済みますので、そういったものをできるときに掛けておくということでございまして、それが30年後に中小企業の従業員の方の一時金として出てくるということでございます。そういった制度が中小企業にも必要だということで、政府は支援策を講じられていると思います。同じ中小企業が対象になりますので、なぜ中退共だけかということでございます。
ちなみに、1つの例ですけれども、東京商工会議所でも特退共をやっておりますが、今、上限の掛け金が月30口で、最高が3万円でございます。30年掛けていただけると、1,200万ぐらいの一時金になります。厚労省あるいは税務署で公表されている中小企業さんの退職金の平均額というのは、恐らく800~900万ぐらいかと思いますので、共済制度で合同運用していただいたほうが、少し手厚くなります。そういったことを勘案しますと、選択肢・検討の素材、政策誘導として、中退共と並ぶ制度としてもあり得るのではないかということでございます。
○山崎部会長
ほかにございますでしょうか。
山本委員、どうぞ。
○山本委員
参考になる御意見をたくさんいただきまして、ありがとうございます。
感ずるところでございますけれども、中小企業の経営の中におりますと、今、アベノミクスから企業環境が改善していると聞こえてまいりますが、なかなか中小まではいっていないということがございます。そういうことから考えて、公的年金等については、受給年齢が上にシフトされるようなことですとか、あるいは企業の非正規雇用者に対する負担がふえる等、いろいろございます。そういうことですが、高齢化社会の流れの中にあっては、中小といえども、企業年金について検討していかなければいけない、大変重要な課題であることもわかっています。
同時に、経団連さんの御指摘にもあるように、雇用制度改革、人材力の強化のところで、働き方改革の実現というのは、かなり抽象的な言葉ですけれども、いっぱい出ております。恐らく高齢化社会を乗り切りながら、将来の安定的な生活ビジョンが持てるようにしていくことを考えた場合には、やはり年金等で補填されていく部分、あるいは退職金、それらとプラスαで、例えば65歳以上の働き方のバラエティーやバリエーション、選択肢の多様化、そういうことがあわせて議論されて、それらを含んで、自助努力によって補填していく部分と、公的あるいは企業年金によって補填される部分とが合算の形で、最もすばらしいポートフォリオができることを考えていかないといけないというところに、企業年金そのものが果たすボリュームの程度がどれくらいかという問題があると思います。これは全額企業年金というわけには当然いかないわけですから、今のような自助努力と公的年金、さらに企業年金を考えれば、企業年金が適正に果たすべく比率はどれぐらいにセットしていくべきなのかということは、状況によっても違うと思いますが、議論が必要だと思います。
それから、先ほど商工会議所の指摘で、これはかねがね私も思っていたのですが、中小企業となりますと、従業員が5人、10人という零細もございます。そういう規模では、企業年金を整備していく方法がわからないということもあるし、事務負担の過大性もあるので、これらを複数企業がシェアすることによって負担額を少なくしながらも、企業年金を導入していくことができるというシステムは、今後とも非常に重要な課題として、検討する必要があるのではないかと感じております。
意見です。
○山崎部会長
ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。
森戸部会長代理、どうぞ。
○森戸部会長代理
簡単にコメントみたいな感じですけれども、お三方のきょうのお話を伺っていて、一番感じたのは、ところどころで、例えば中退共なり特退共の話が出たりということからもよくわかるのですが、企業年金制度のもとは退職金制度に起源があるというか、依然として、その性格を大きく持っているということは、周知の事実だと思うのですが、これを今後どういう方向にしていくかというときに、老後所得保障制度として、公的年金の上乗せであり、老後の所得を保障していく制度の枠組みをどうするかという話になっていくのか、それとも退職金制度という、日本の制度に根差した、人事管理の仕組みでもある退職金制度という性格を維持しつつ、今後、考えていくのかという方向があると思います。
伺っていて、そこは経団連さんも商工会議所さんも、混ざっているというか、例えば途中引き出しを認めてほしいというのは、要するに退職金制度のように使いたいということだと思いますし、特退共や中退共の話が出たのも、退職金という性格のところは、余り失いたくないということだと伺っていました。
他方で、有期年金の期間はもうちょっと延びないかというお話もあったりして、老後所得保障としてどうあるべきか、中小企業の労働者の老後はどうあるべきかという観点からのお話もあったので、これは3団体の方にというよりも、この部会で、政府としてということかもしれませんが、今後、退職金制度との関係をどう考えていくのか、退職金制度、退職一時金制度が持っている性格とか、そういうものをどういうふうに考えていくのか、老後所得保障制度のほうにそろえていくのか、そうではないのかということも、大きな方向として議論しなければいけないと思いました。
連合さんの報告では、はっきりそういうことはおっしゃっていないですけれども、勝手に推測するに、DBが基本だとおっしゃるのは、恐らく退職金制度との関係も意識されているところがあると思いました。恐らくそういうことも議論されていると思いましたので、コメントですけれども、そういう方向、つまり退職金と企業年金との関係というのは、どういうふうに意識して整理して、制度上位置づけていくのかということを、ちゃんと議論しなければいけないのではないかと思いました。
以上です。
○山崎部会長
ありがとうございました。論点整理をしていただいたと思っております。
ほかになければ、次に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
続きまして、第2部ということで、企業年金連合会より説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
○企業年金連合会
ただいま御紹介いただきました、企業年金連合会理事長の村瀬でございます。
今般は企業年金部会でヒアリングの機会をいただきまして、感謝を申し上げます。
お配りをしました「社会保障審議会企業年金部会ヒアリング説明資料」に基づき、ご説明をしたいと思います。
資料が非常に多くなってございますけれども、2ページをお開きいただきまして、今後、検討すべき課題と論点ということで、3点に絞ってございます。
本件をまとめるに当たりまして、連合会の判断で、資料のまとめを行っておりますことをつけ加えさせていただきます。
それでは、3点について、ポイントをご説明させていただきます。
第1点目は、中小企業における企業年金の存続・維持の問題でございます。今般の厚生年金保険法の改正によりまして、後ほど見ていただきますけれども、総合型の厚生年金基金の解散・代行返上が非常に進んでおりまして、その結果といたしまして、特に規模の小さい企業の企業年金の存続・維持をどのようにしていくのか、これが1つのポイントだろうと思っております。
第2点目は、退職給付会計基準の見直しによりまして、未認識債務の即時認識が始まったことは、御存じのとおりでございます。大手企業を中心に、DBではキャッシュバランスを、さらにはDCとの併設を、さらには全面DCへの移行といった動きがございます。それぞれの制度で税制面での違い、限度額の問題等もございます。労使双方のニーズを踏まえた柔軟な制度設計が可能な仕組みをどうしていくのか、これが2点目でございます。
第3点目は、今後、雇用の流動化や、多様化がさらに進むと考えられます。それに対しまして、企業年金のポータビリティ確保のための柔軟な制度設計の可能性、また、その仕組みをどうするか、これについて述べさせていただきたいと思います。
それでは、論点と課題に入る前に、企業年金連合会はどのような業務をしているのかにつきまして、簡単に触れさせていただきたいと思います。
4ページをお開きいただきたいと思います。企業年金のナショナルセンター、企業年金の通算センター事業を行ってございます。現在、会員組織でございまして、厚生年金基金は518、DBは811、DCは135、合計1,464会員でございます。基本的には、会員に対しまして、いろいろな事業を展開しておりますけれども、非会員も対象にした事業もしてございます。
詳細な中身につきましては、今日は触れませんけれども、後ほどご覧いただけたらと思います。
10ページです。先ほどDCの継続教育等について若干話が出ましたけれども、今後の継続教育等についても、連合会としまして、新たなサービス展開を考えていきたいと思っております。
一方、企業年金の通算センターの機能でございますけれども、中途脱退者等を対象にしまして、年金給付の一元管理を行ってございます。11ページをご覧いただけたらと思います。
現在、企業年金連合会は、中脱者並びに解散基金加入員等で、3,140万件の記録を管理しており、24年度で受給者が595万人に、給付総額は年間6,800億円になっております。受給者は毎年60万人ずつ増加しておりまして、現段階における年金資産は11兆8,000億円、昨年、一昨年のアベノミクス効果もございまして、修正総合利回りも2年連続2桁を確保、25年度は13.24%を確保してございます。
12ページです。連合会の運用実績は、平成11年10月から平成25年3月の運用実績は、年率換算で2.79%の利回りを確保してございます。
また、制度の持続可能性を考えまして、現在、通算企業年金の利回りは一律2.25%を適用しておりますけれども、26年10月より、一律2.25%から、受換期間に応じまして、1.5%から2.25%の範囲で見直すところです。
それでは、今後、検討すべき課題と論点について話します。
16ページの表で、1点だけつけ加えさせていただけたらと思います。企業年金の給付額ということで、平均月額を載せてございます。左下の厚生年金基金の総合型の給付額でございますが、1万2,778円ということで、そもそも厚生年金自体が大企業と比較し少額のところ、その上にわずかな金額の厚生年金基金が乗っているという状況でございまして、この点を1つ確認していただいたらと思います。
17ページ、中小企業における企業年金の存続・維持という観点で申し上げますと、厚生年金基金制度の見直しが始まっておりまして、多くの基金が解散の方向に進んでいる模様と思われます。
18ページ、適格退職年金制度からの移行の問題でございます。御存知のように、約4割の企業が制度廃止に追い込まれております。一番危惧するところは、今回の厚生年金基金制度の見直しによりまして、消滅するような企業年金がどの程度出てくるのか、ここが非常に大きなポイントではなかろうかと思います。
19ページを見ていただきたいと思いますが、特に下の表でございますけれども、左に10名未満、10~20名未満、20~30名未満等と、1企業当たりの平均従業員数で表示しておりますが、平均で見まして、10名未満の企業は39基金、企業数で1万5,443、20名未満が96基金、企業数で2万6,457、30名未満が74基金、企業数で1万5,929です。
これを割合で見てみますと、10名未満の企業では、基金数でいえば8.1%、企業数でいえば15.8%、同じく20名未満では、基金数で20.0%、企業数で26.5%、30名未満では、基金数で15.4%、企業数で16.0%となってございます。
これを累計という観点で見ますと、30名未満の基金数が43.5%、企業数で58.0%という数字になっておりまして、多くのところが、中小企業以下の非常に小規模な企業であるということが言えるのではなかろうかと思います。今回の見直しの中で、この点が極めて重要なポイントになるのだろうと思っております。
20ページ、21ページは省略します。
中小企業、中でも、小規模の企業の上乗せ給付をどのような仕組みの中で維持できるかが当面の最大の課題ではなかろうかと考えております。
21ページで若干触れさせていただきますけれども、今回の法律改正で、連合会は共同運用事業ができる仕組みになってございます。今、その部分の詳細を詰めておりますけれども、こういう形で、少しでも企業年金を維持したいという企業の皆さまのお助けができるのではなかろうかと考えております。
22ページ以降でございますけれども、大企業を中心に労使双方のニーズを踏まえた柔軟な制度設計の中で、現状どうなのかということを見ていただきたいと思います。
22ページのとおり、退職給付会計基準の見直しによりまして、予定利率の引き下げやDBからDCへの移行が、進んでいるということがこの表を見ていただきますとおわかりいただけると思います。
24ページに予定利率の低下がどうなっているかということをグラフで示しております。
一方、右側の表はキャッシュバランスプランでございます。大手企業ではこの導入も統計的には相当増えてございます。
25ページ、DB、DCを組み合わせた企業数も増えておりまして、そういう点では、二者択一ではなくて、一部DB、一部DCのように、制度を組み合わせた企業年金制度を採用している企業も増えてきております。
27ページ、DC制度には拠出限度額がございまして、企業の制度設計に対しまして、非常に制約的な要件となっております。
連合会の調査によりますと、限度額が2010年1月に引き上げられましたけれども、左図のとおり、25.9%の規約で限度額到達者が存在します。
ご存じのように、年金に関しましては、税制も制度による違いがございます。
また、ポータビリティ機能は存在しますけれども、制度間を越えた場合には、残念ながら、活用が出来ない・活用が極めてしづらくなるという問題も出てまいります。
一方、大企業の場合には、先ほど経団連さんからも説明がありましたけれども、企業の再編であるとか、M&Aによりまして、企業間の異動も頻繁に起こることが想定されますし、残念ながら、適用される年金制度もそれに従い変わることが想定されます。
また、制度自体も単一の年金制度ではなく、それぞれの制度とのメリットが組み合わせられた、新たな制度設計も求められるということで、大手企業を中心に、今まで以上に柔軟な制度設計の可能性が求められるのではなかろうかと思っております。
28ページは、先般の企業年金部会で、事務局から説明があったと思いますが、公平性の観点から、制度間における拠出限度額のばらつきであるとか、適用範囲をどうするのかは、極めて重要なポイントになってくるのではなかろうかと思っております。
29ページでございます。これは雇用の流動化・制度の多様化を見据えて、制度内のみならず、制度を越えたポータビリティ制度をどこまで拡充し、ニーズに合わせるのかということでございます。
御存じのように、現行では、DB間の資産移換は、受け手側の規約で認められている場合に限られること、また、DCからDBへの資産移換は法令上できないこと、中退共からDCへの資産移換も認められない等々、いろいろな制約もございます。このようなものを今後どうしていくかというのは、大きな課題なのだろうと思います。
以上、申し上げてきたことを30ページ、31ページにまとめとして整理をさせていただいております。
公的年金の縮小が検討されている中、社会保障制度改革国民会議におきましても、提言がありましたように、私的年金である企業年金の重要性はますます高まると考えております。
また、DB法、DC法の第1条では、「公的年金の給与と相まって、国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」と明記されておりまして、公的年金の動きとも連動した形で企業年金のあり方が総合的に検討されるべきであり、まさに企業年金部会がその任に当たられるものと考えております。
企業年金制度の維持・拡大のためには、税制面・制度面からのバックアップも不可欠であると思います。
再度申し上げますけれども、大きく2点ございます。
中小企業の中でも、小規模企業の企業年金をどのように維持していくのか、これが重要課題だと思います。
また、大企業につきましては、将来の年金受給を含めたポータビリティ制度の拡充等が求められるところでございます。
31ページにまとめとして、具体的な論点を8項目挙げてございます。この部分につきましては、既に経団連さん等からも話がありましたので、割愛をさせていただきたいと思います。
各3団体からも話がありました、特別法人税の撤廃ですが、私どもの計算では、もし特別法人税が復活した場合、年金受給におきまして、約3割減、掛金でいえば4割増というものが必要になってくる。また、税制面でも、先ほど5,000~6,000億円という話がありましたけれども、私どもの計算では、7,000~8,000億円程度の税負担になるのではなかろうかと思っておりまして、ここについては、3団体とも協力しながら、しっかりと撤廃を申し入れていきたいと思っております。
最後になりますけれども、企業年金部会で精力的な審議がなされ、短期的・中期的・長期的な将来を見据えた方向性及び具体的方策をお示しいただけたらと考えております。その検討や実現に当たりましては、現場を預かります各会員の意見を十分に踏まえながら、連合会としても積極的に協力させていただければと考えております。
以上でございます。
○山崎部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいま説明のありました内容につきまして、委員の皆様から御質問等をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
白波瀬委員、どうぞ。
○白波瀬委員
ありがとうございました。
1つ、柔軟な制度設計というところで質問したいのですけれども、私は素人なので、基本的なことかもしれないのですが、27ページの資料のところで、拠出限度額があるということで、これについては、既に指摘もされています。これが柔軟な制度設計を制約しているとおっしゃっているのですけれども、ここで言う柔軟な制度設計の内容を確認したいのですが、どういう割合での組み合わせという意味の制度設計なのでしょうか。
○企業年金連合会
具体的に詰めてお話をすることは、今の段階ではできないのですが、あくまで個人的な意見という形でお聞きいただけたらと思うのですが、例えば現在DB、DCといった2つの制度がありますけれども、これが組み合わさった1つの法律に基づく制度になった場合、DCの場合には、本人拠出と企業拠出が仮にあるとしますと、企業拠出については、あえてDCの仕組みを作らずに、キャッシュバランスのDBの仕組みを使う。一方、個人の負担の部分については、DCとしての投資教育を受けた上での制度を使う。これを組み合わせて企業年金制度にしますと、法律の枠組みを根本的に変えなければいけませんが、そうすれば、企業にとりましても、キャッシュバランス制度ですから、掛金拠出の追加負担はほとんど出てこないわけでございますし、個人につきましては、リスクを負う部分は自分の負担部分で済む。さらにその部分に対して、個人拠出を乗せることができるのであれば、乗せればいいだろう。これはいろんな想定ができると思います。
ただ、法律の枠組みを含めまして、どこまでそれをしっかり議論して決めるのか。できるのか、できないのか、こういう点も含めてお考えいただく必要があるのではなかろうかと思います。今の制度の中でも、もっと柔軟な仕組みがあるかも分かりません。ただ、さらにもう一歩踏み込んだ形で、申し上げたということでございます。
○山崎部会長
ほかにいかがでしょうか。
井戸委員、どうぞ。
○井戸委員
不勉強で申し訳ありませんが、企業年金連合会さんは、厚生年金基金連合会の後に、平成17年に改編された、役割としては、今までのデータの蓄積のまとめ、ナショナルセンターとしての研修と、相談と、情報提供、調査をされていると思います。ここの御提案のところでは、柔軟な制度設計などはどういうふうにサポートされるのかとか、その辺の流れがよくわかっていないので、事業主さん、従業員さん、年金の運用者さんのそれぞれのメリット、留意点をわかりやすく教えていただけると助かります。
○企業年金連合会
基本的には、先ほど、申し上げましたけれども、厚生年金基金、DB、DCの会員の皆さまに対しまして、サービス提供等の、事業展開をしているわけです。従いまして、その方々に対して、ガバナンス教育などの研修をはじめ、さまざまなことを実施しておりますし、実態調査という形で、財政運営の方法がどうなるのか、資産運用をどうされているのかというデータを集めて、その分析結果をフィードバックさせていただいております。
そういう形で、ナショナルセンター機能というのは、どちらかといえば、会員サービスが中心です。また、制度改正時の、厚生労働省からのパブリックコメントに対する対応については、政策委員会などの委員会を設けておりまして、その委員会の委員の皆さま方の意見等を集約して、行政に対して提言するといった動きをとっております。
受給者や待機者対しては、どちらかというと、直接ではなく、ホームページを見ていただいて、状況をお分かりいただけるようにしている、このようにお考えいただけたらと思います。
○井戸委員
ありがとうございました。
○山崎部会長
ほかにございますか。
臼杵委員、どうぞ。
○臼杵委員
どうもありがとうございました。
1点だけ、特に小規模企業の企業年金制度の維持・拡大を強調されていたかと思うのですけれども、19ページに適年からの移行のときには、かなりのところが制度廃止に至ったということで、今回は厚年基金がかなり解散とか、代行返上する中で、代行返上だったら、まだいいのかもしれませんけれども、具体的に31ページにいろいろお書きになっている中で、特に今の厚年基金の後釜というか、受け皿をきっちりつくる中で、特にここが大事というところについて、何かお考えはおありですか。
○企業年金連合会
1つは、どこであろうが、しっかり中小規模企業の年金の受け皿を作っていただければということです。生保業界、信託業界等、いろいろなところであってもいいと思います。もしなかなか受け皿がないということになりますと、唯一、中途脱退者、解散基金基金加入員等からに対して、個人単位でから年金資産の移換を受け入れる仕組みを持っている連合会が考えられます。
ところが、現状、受け皿基金としては、残念ながら運営できない。今、できることは、何かというと、共同運用事業の中で一部運用を受託する仕組みを作ろうとしていますから、その部分では支援可能ですが、例えば中小企業の皆さまが仮に基金を作られて、運用以外の事務の全てを連合会で行うという仕組みはないわけです。したがって連合会としての仕組みは、現状でも共同運用事業がありますので、連合会でも法律の仕組みをしっかり作れば、受け皿事業の実施は不可能ではないと思います。簡単ではないと考えております。
○臼杵委員
共同運用だと、恐らくDBになると思うのですけれども、DBという枠は残さなければいけないわけですね。
○企業年金連合会
おっしゃるとおりです。
○臼杵委員
会社として、いろんな努力はしてもらうにしても、DBは大変だからやりたくないということになると、それは脱退一時金相当をもっていくということしかないのでしょうね。
○企業年金連合会
そうだと思います。
○山崎部会長
鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
1点なのですけれども、29ページのところで、DCからDBへの資産移換は法令上不可能となっています。これはこのとおりだと思うのですけれども、例えばDCをやっている企業の従業員が辞めて、転職先にDBしかなかったら、DCを続けられないという、DCサイドの使い勝手の悪さから出てきていると理解していいのでしょうか。そういうことですか。
○企業年金連合会
はい。
○鈴木委員
DCで一旦受給権が確定したものをDBに移すと、また誰のお金かわからないようになるわけですから、それはちょっとまずいのではないかと思うわけです。ですから、この解決の方法は、DBしかない企業であっても、DCを続けられるという方向で解決すべきだと思うのですけれども、そういう理解でよろしいのですか。
○企業年金連合会
DC制度のないDB実施企業に入られて、個人拠出でDCを継続するというのは、現行の法律的には難しい話なのだろうと思います。ただ、ニーズはゼロではないと思います。
○山崎部会長
ほかにございますか。
どうもありがとうございました。
続きまして、企業年金連絡協議会より説明をお願いいたします。
○企業年金連絡協議会
本日は発表の機会をいただきまして、当協議会を代表しまして、心から御礼申し上げます。
プレゼン資料の2ページに記載していますとおり、私どもは全国454の会員の年金実務者が集う企業年金の団体でございます。
本日は実務者の視点から、今後の御議論の材料を多少なりとも御提供できればと思っております。
それでは、現行の企業年金制度の課題について、ご説明いたします。
4ページをご覧ください。現状認識でございますが、企業年金制度の実施率低下に拍車がかかる一方で、老後所得における役割期待は上昇していると考えております。
5ページをご覧ください。DB制度の課題についてです。DBにつきましては、ある程度制度の多様化が図られてきましたけれども、企業を取り巻く環境は、依然厳しいというのが現状認識でございます。
一方、DC制度の課題でございますが、6ページをご覧ください。私たちの問題意識は、今、御説明しましたDB制度においても、投資教育を行うことにより、加入者個々人が自己責任のもとで、難しい資産運用をどの程度適切に行えるのかという点が、いまだ答えが見つからないということでございます。中小企業で導入が進むためには、多くの課題があるのではないかと思っております。
7ページをご覧ください。課題の最後でございますけれども、老後所得確保に向けた道のりの整備という点でご説明したいと思います。
退職給付制度のある従業員にとりましては、退職時または転職時に支給される退職一時金、あるいはDB制度での脱退一時金等を移換できる受け皿が、現状、限定的であると考えております。
一方、退職給付制度がそもそもない従業員には、思い切ったお話ではございますけれども、日本版IRAのような新たな制度が必要ではないかと思っております。
以上、御説明しました課題に対しまして、私たちが考える解決の方向性につきましては、制度選択肢の多様化ということでございます。
9ページをご覧いただきたいと思います。現行の制度は、従業員と事業主、どちらか片方にリスクが集中していると考えております。企業年金制度の実施率向上を図るためには、従業員と事業主との間のリスクシェアをさらに推し進めるような、そうした制度選択肢の多様化が必要であると考えております。
○企業年金連絡協議会
10ページからは、田川がお話をさせていただきます。
10ページをご覧ください。先ほど会長から話がありました観点から考えますと、本日は3つの新しい制度について、御提言をさせていただきたいと思います。法律改正等、その他の問題はややあるにせよ、将来を見据えた上で、こういう制度はいかがでしょうかという観点からお話を申し上げたいと思います。
11ページをご覧ください。最初に提言する制度は、協働運用型DCでございます。これは労使合意に基づく単一のポートフォリオで、一般的なDC商品よりコストが低いと言われるDB向けの商品も利用可能なDC制度であります。
加入者は、運用商品の選択の必要性がなく、提示されたプランで運用することが可能になります。
この制度では、投資教育は極めて重要であります。現行のDC制度は、どうしても運用商品の選択に力点が置かれがちです。いわゆる商品教育と言われるものが中心になっておりますが、今回のこちらの提案の制度では、むしろ年金制度や基礎的な運用知識全般に加えて、老後の生活設計に必要な知識、いわゆるライフプラン教育を重視すべきだと考えています。ライフプラン教育というのは、既に人事部でも実施されておりますし、その中にいかにDCあるいはDB、年金制度を埋め込んでいくかということが、ポイントになります。
また、この制度を運営していく上では、図表の真ん中にあります制度運営委員会という形で、仮称にしてありますがこの組織が極めて重要です。これはまだ日本には制度としてはありませんが、いわゆるトラスティー的な役割を担うことを期待しております。
制度運営委員会の位置づけが狙いどおりに機能していくかどうか。これは中にいる者だけではなく、いわゆる労使が中心になって構成されますが、外部専門家の意見も活用しながら、制度運営全般のプロセス責任に重点を置いて、その責任を持つという制度でございます。この制度は、単独の事業主だけではなくて、複数の中小企業が合同して設立することもできますので、総合型厚生年金基金の受け皿として有効ではないかと考えております。
12ページをご覧ください。2つ目に提案する制度は、ただいま御説明しました、協働運用型DCに元本保証を組み合わせた制度でございます。
下段の図、事例2をご覧いただきたいのですが、退職時点の個人勘定残高、すなわち太い波線が、緩やかな上昇カーブを描いている拠出金元本を下回る場合は、事業主が差額を補填するという考え方でございます。
補填の方法は、DC制度内で補填する方法と、DC制度外、例えば退職金の内枠で補填する方法などが考えられるということでございます。
元本保証を行うことにより、一定の範囲内で給付額の変動リスクを抑制し、また、加入者各人が運用商品を行わないことによる制約を補完することになります。そういう意味では、従業員に安心感を持たせられるのではないかと考えております。
なお、この制度の基本は、あくまでDCでありまして、企業会計上の債務評価の対象となるのは、元本保証部分のみと考えられますので、退職給付会計への影響がかなり極小化できるのではないかと考えております。
13ページをご覧ください。最後の提言、退職所得の年金給付専用口座の創設といった考え方でございます。
これは先ほどもお話がありましたように、途中退職での脱退一時金に限らず、退職で発生する全ての退職給付資金の全部または一部を受け入れ、引退後に年金として支払う機能を持つ口座を創設するものであります。
運営は単独の会社で引き受けていただけるところがあれば、そこで引き受けていただきたいのですが、実際はオールジャパンの受入口座を持つことが必要になってきます。いわゆる第三者機関が担当することになりますが、この組織にはナショナルセンターとしての機能を持ってもらうことを期待したいということであります。
これによりまして、導入効果としましては、従業員には年金給付の選択肢拡大の機会を提供することになります。それから、事業主には、退職者の給付債務削減に寄与することができると考えております。
また、このような公的なオールジャパンの機関に移換することによって、一時金でのみしか受給できない従業員にも、スケールメリットを生かして、追加コストを非常に安い水準で抑えることができるのではないでしょうか。すなわち、これまで以上にコストの上昇の抑制が可能だと考えています。
簡単ではございますが、以上で当企業年金連絡協議会からの御説明を終了させていただきます。
○山崎部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいま説明のありました内容につきまして、委員の皆様から御質問等をいただきたいと思います。
白波瀬委員、どうぞ。
○白波瀬委員
ありがとうございました。
大変興味深い提案なのですけれども、ちょっと伺いたいのですが、前半部分で事務費のコストが1つ問題になったと思うのですけれども、ここでどこに事務コストを集約させるのか、位置づけられるのか、ちょっと見えなかったので、御説明をお願いしたいと思います。
それと、提言3のオールジャパン専用口座というか、これはもちろん規模の経済という点では、まさしくよくわかるのですけれども、その一方で、全部一緒になることの不安というか、筋道のわかりにくさみたいなものがあるような気がしたのですが、それはスケールメリットで全てカバーできるぐらいのものであるとお考えなのかどうか。
その2点について、お伺いしたいと思います。
○企業年金連絡協議会
最初の運用コストというか、運営コストの点でございますけれども、DCの課題ということで挙げさせていただきましたが、提言1の協働型運用DCのところで、少し説明させていただきましたけれども、現行のDCで利用する商品というのは、ある意味、個人が投資信託で購入するような商品になるわけでございまして、それは運用機関さんにお支払いする運用の委託手数料にしても、あるいはそれを管理する管理手数料にしても、少し高目のコストになっています。
一方、DCではなくて、DBのほうでは、まとめて株とか債券などを運用しますので、そうしますと、一般的な企業年金基金でいきますと、大手だと報酬は年間で0.3%とか、運用の資産に対して、そのぐらいの水準に抑えられますけれども、一方、DCの個別の商品でいきますと、資料にも書いてございますが、中には年間で1%ぐらいの高いフィーの部分もございます。全部ということでは決してありませんけれども、そういったものを払う。それが協働型運用DCであれば、DB制度と同じように、合同で資産の運用管理をしますので、そこを抑制できるのではないか、そういう御提案でございます。
○企業年金連絡協議会
それから、オールジャパンでわかりにくいというご指摘は、おっしゃるとおりです。管理は非常に多くなる。ただし、管理の入り口をいかに簡易にするかによって、十分対応できると考えております。
先ほどほかの団体さんからも御指摘があったのですが、今、税制1つをとっても、制度ごとにバラバラになっている部分は別として、管理を1つに置くことは、逆に言うと、コスト削減だけではなくて、入り口の管理の難しさは増えますが、オールジャパンで考えますと、現にそれに近いことを今やっておられる先もあるわけでございまして、管理の仕方さえきっちりルール化すれば、それは大丈夫であると考えます。
特に中小企業の要望としてよく言われるのが、制度のわかりやすさ、運営の容易さ、事業主に過度なリスクを負わせない、給付が予見可能であるといった点でして、中小企業の事業主の方々のニーズが高いということから考えましても、1つの口座に制度的にもあるいは個人的にも移すことができるということであれば、入り口の管理という部分での緻密さは必要だと考えますが、十分に対応可能であるし、また、できると思っております。
○山崎部会長
鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
協働運用型のDCなのですけれども、1つのファンドだけにするということで、投資教育の性格を商品選定というところから変えるというのはよくわかるのですけれども、これはほかにいろいろ商品を並べる必要はないのですが、売って、元本確保のようなところの商品に移るという権利はあったほうがいいと思います。
このイメージは、一旦入ると、60歳まで解約できない投信に入るということになります。だから、投信という商品はこれ1つでいいと思うのですけれども、売って、元本確保のところに移るという権利は、何か確保しておいたほうが安全だと思います。自分が自分のところの従業員に対してこの制度を勧めるとしたときに、収益があがってそれで権利を確定しておきたいとか、そういう人はそれができるような仕組みのほうが、説明しやすいと思うのです。別にこの趣旨に反しないと思いますが。
○企業年金連絡協議会
もともとこの制度をつくる発端になったのは、退職一時金なり、そういったお金は、例えばローンの返済とか、いろんな形で使われるのが大部分なのですけれども、それを安定的な運用に回せれば、ここに小さく書いてございますが、企業年金連合会で、今、通算企業年金という形の制度があります。これが、今、まさにポータビリティの1つの形になっているわけですけれども、これが先ほどの2.25%から、今度、多少幅広く設定される形なのですが、この制度は元本保証型で、非常に安定的な制度でございます。ですから、こういったものに移し替えるということであれば、よいのではないかと思います。確かに預貯金に比べれば、多少リスクはあるかもしれませんけれども、それ以上にある程度の利回りの確保が期待できる。預貯金であれば、恐らく1%以下、コンマ幾つという世界になってしまいますから、将来の年金給付という形に変えようと思うと、メリットがなかなか出てこないのではないかという気がいたします。
そういった意味では、売って、収益的な部分を確保してということもあるのですが、あくまでもこれは老後の年金給付をどう確保するかという観点から考えておりますので、その辺は多少のリスクはあるかもしれない。ただし、リスクはできるだけ抑えた商品でやっていきましょうというイメージを持っている制度ということになります。
○企業年金連絡協議会
ちょっと補足させていただきますと、この制度を選ぶかどうかは、最初に入るときに決めるということで、1つの考え方としては、今、どうしてもこういう運用が嫌だという方は、個人型DCというものをイメージしております。今の個人型DCは法改正をしないと使えませんけれども、これを幅広く捉えれば、個人型DCで十分吸収できるのではないかということです。
もう一つは、2つの制度を両立させる考えも可能でございます。これは少々面倒くさいのですけれども、今回の提案制度の他に、先ほど鈴木委員から御指摘の部分は、別のDC制度というか、本来のDC制度があるところにこれを追加すれば、ご指摘にも対応可能ということですが、本質は、今、加藤がお話しましたように、これによって、もともと自分で運用するのが嫌だという人が5割近くいるところを、いかに救うかというための提案でございますので、その点を強調したいと考えております。
○山崎部会長
臼杵委員、どうぞ。
○臼杵委員
きょう一緒に配っていただいた文章の資料を拝見すると、ある程度のところはわかって、御説明を聞いただけだと、1つだけの商品に全員強制的に加入させられるような感じがしたのですけれども、ライフサイクル的なリスク許容度が年齢によって変わることで、アセットアロケーションを変える仕組みも可能ではあるのですね。逆に言うと、普通のDCでデフォルトをライフサイクルにして、本人が選択すると、ほかの商品でもいい。それも余りたくさんつくらないで、3つぐらいのライフサイクルにして、それぐらいの選択肢にしてしまうという仕組みでもいいと思ったのですけれども、そうではなくこういう仕組みになぜされたかということを教えてください。ここに説明されている仕組みのメリットみたいなものをお伺いしたいのが1点です。
それと、11ページと12ページの違いです。もちろん元本保証というところなのでしょうけれども、それだと逆に事業主としては、リスクの低い商品を選ぶインセンティブが当然出てきますので、なぜ12ページの2が必要かということも、あわせてお伺いしたいと思います。
もう一つ、13ページの提言3ですが、ここは税制のメリットがあることを想定されている。そうでないと、これに入るインセンティブが全然ないと思うのですけれども、それを確認させてください。
以上です。
○企業年金連絡協議会
最初に答えやすいほうからですが、最後の3番目の質問はまさに税制です。これは先ほどの年金給付専用口座からの発展形式で、それにある程度慣れてくれば、ステップとして、日本版IRAの考え方が出てくるであろうということであります。
それから、リスクの分散のところは、委員がご指摘のとおり、労使の間でそれぞれ異なった考え方で、それが平行線になる部分がありますので、そこで極めて重要なのは、制度運営委員会です。いわゆるトラスティーとして、その部分をどう調整していくか。労使代表が集まりますので、ここでしっかりと話し合いをして、どちらにも偏らない結論を導いていく必要があります。プロセス責任に重きを置いているというのは、そういう意味でございます。
○企業年金連絡協議会
今の最初の質問で、デフォルトファンド、ライフサイクル、ターゲットファンドということでお話がございましたけれども、我々のほうでも、それは議論として出ました。ただ、あくまでもファンドはファンドでありますから、コスト的には高くついてしまう。そうであるなら、全体のコストを下げるという意味合いで、みんなで運用した形でということです。個々のポートフォリオは、ライフサイクル的に多少選択肢は設けてもよいと思います。例えば50歳代の人、40歳代の人、それぞれです。そういった形で、ポートフォリオを選んでいただいた上で、全体を把握すれば、1つのポートができ上がりますので、そういったことも考えられるのではないかということでございます。ですから、あくまでもコスト削減が一番重要なポイントでございます。
○臼杵委員
わかりました。結局、協働運用といっても、一人一人のある程度の柔軟性はあるわけですね。それを合算して、株とか債券のインデックスファンドか何かで運用しましょうという、そういう理解でいいですか。
○企業年金連絡協議会
そうです。
それから、税制面も補足いたしますと、年金給付専用口座なのですが、あくまでも一時金レベルで受け入れる場合、例えば退職一時金であれば、実際、その時点で、退職所得控除等、これは中小企業だから、ほとんど非課税になってしまうのですけれども、そういった形で課税後の所得ということで、実質非課税ですが、それで受け入れていけばいいと思っております。
一方で、例えばDB制度なりは、年金給付は大変だから、やはり制度の側でやって欲しいということであれば、制度的に一部を移換して受けるということになりますと、実際に制度移換ということになりますので、現状でやっているような形、非課税で移せて、給付段階では雑所得、公的年金控除等、そういった形でもよいのではないかと思います。そういうことで、それぞれ任意というか、一時金レベルで個々に受けるケースと、制度の一部として受けていくようなイメージも残しながら、制度設計ができるのではないかと思っております。
○山崎部会長
最後に森戸部会長代理、どうぞ。
○森戸部会長代理
一言だけ、企年協さんから、意欲的といいますか、非常に具体的な、また従来の枠組みに捉われない提案をいただいて、非常に心強いという思いですけれども、私も臼杵委員と同じような感じで、提言1は、臼杵委員がおっしゃったように、個人個人のDCで、ライフサイクルファンドみたいなものでも可能な話、デフォルトファンドで可能な話だと思ったのですが、DB商品を選べる、コストが安いところがメリットなのだというのは、確かにそうなのでしょう。
ただ、制度運営委員会がまさに重要だとおっしゃったように、ここの役割がトラスティーだということで、非常に役割は重要です。なので、労使の負担は結構重大だと思って、次元は違うのですけれども、DB商品で比較的安いものを使える分、トラスティーなり労使が負う責任が重くなっていて、ここがコストとして見合うのかということが、今後の検討課題だと思いました。
もう一つ、これを複数事業主でやることで、基金みたいな形で総合型というお話もあって、確かにしっくりくる面もあるのですが、他方で、総合型厚生年金基金は、みんながやる結果、誰もガバナンスを効かせられなかったみたいなものがあったとすれば、同じようなことにならないかという不安も若干ありました。でも、全体として、具体的な提案をいただいたので、またこれをベースに検討していければと思いました。ありがとうございます。
○山崎部会長
ありがとうございます。
それでは、既に予定時間を過ぎておりますので、本日の審議を終了いたします。
次回につきましても、引き続き、関係団体のヒアリングを行うこととしております。
次回の開催について、事務局より連絡はありますでしょうか。
○黒田課長
次回の部会の開催日時につきましては、7月4日16時から、全国町村会館で予定をしております。よろしくお願いいたします。
○山崎部会長
ありがとうございました。
それでは、本日の審議は終了いたします。御多忙の折、お集まりいただきまして、ありがとうございました。
(了)
団体