2014年9月30日 第9回社会保障審議会企業年金部会議事録
年金局企業年金国民年金基金課
○日時
平成26年9月30日(火)9:54~12:02
○場所
全国都市会館 3階第1会議室
○出席者
山崎部会長、森戸部会長代理、井戸委員、臼杵委員、小林委員、白波瀬委員、鈴木委員、高崎委員、半沢委員、平川委員、村瀬オブザーバー
○議題
一般企業向けの取組について
○議事
○山崎部会長
それでは、定刻までにまだ少しありますが、委員が全員集まっておりますから、第9回「社会保障審議会企業年金部会」を開催させていただきます。
お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
本日、山本委員から御欠席の連絡をいただいております。
御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
それでは、議事に入らせていただきます。
カメラの方はここで退室をお願いいたします。
(カメラ退室)
○山崎部会長
まずは、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○内山課長
本日もよろしくお願いいたします。
まず、資料の確認をさせていただきます。
本日の資料といたしましては、
資料1 第8回企業年金部会の補足資料
資料2-1 一般企業向けの取組
資料2-2 一般企業向けの取組(参考資料)
参考資料1 社会保障審議会企業年金部会委員名簿
参考資料2 企業年金部会の今後の進め方
ということで配付させていただいてございます。
資料の不備がございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。
○山崎部会長
ありがとうございます。
議事に入る前に、前回の部会において委員の皆様からいただいた御指摘を踏まえ、事務局より補足がございます。
事務局より資料の説明をお願いいたします。
○内山課長
それでは、資料1「第8回企業年金部会の補足資料」というものを御用意いただければと思います。
この補足資料は、前回、委員の皆様から御指摘のあった事項のうち、現段階で用意できるものを御報告いたすものでございます。
おめくりいただきまして、最初に「厚生年金被保険者に占める企業年金加入者の割合」という資料がついてございます。
これは、前回、口頭で申し上げたものを図にしたものでございますので、改めて簡単に御説明申し上げます。
厚年の被保険者に占める企業年金の加入者の割合につきましては、確定給付企業年金(DB)と厚生年金基金に重複して加入するものが現時点で把握できておりませんので、正確な数値を、現在、調査しているところでございます。
仮に、重複加入者が存在しないとすれば、企業年金に加入する者の割合は、24年度末で39.5%となってございます。
下の図を見ていただきますと、確定給付企業年金に加入する者が796万人、確定拠出企業年金だけ、ここはDCだけのみに加入する者という数字が出ますけれども、ここは157万人、それから、厚年基金に加入する方が420万人ということになっています。
DB、確定給付年金と厚生年金基金の加入者の間に重複加入者があると想像されますので、そこを無視すると、1,373万人ということで、厚年被保険者に占める割合は39.5%ということになります。
したがいまして、重複加入者を想定しますと、この39.5%から何ポイントか下がることが想定されます。
重複加入者につきましては、現在、調査をしてございまして、次回以降、明らかになった段階で御報告をさせていただければと思ってございます。
2点目でございますが、おめくりいただきまして「企業年金の各給付設計の特徴について」ということでございます。
前回、いわゆるハイブリッド型DBとDCの特徴をあわせ持つ制度につきまして、御議論いただきましたが、その典型的なものをこれまでのDBあるいはDCそしてキャッシュバランスプランとともに、整理をしたものでございます。
これまでは、上からDBキャッシュバランスプランと並んでおりまして、一番下にDCがございますが、その間にオランダの集団型DC、カナダの制度、それからDCを集団で運用した場合、あるいはそれに最低保証を組み合わせた場合、そうしたものを少し一覧に整理をしてございます。
これが2点目でございます。
3点目は、今回、資料ではございませんけれども、厚年基金からの移行を含めました中小企業向け対策につきまして、御質問があったかと思います。
これは、前回の中小企業向けの取り組みにおける御議論をいただいたものも含めて、大きく3つの方向があると考えてございます。
1つ目は、御案内のように健全化法によりまして、厚年基金解散後、事業所単位、企業単位でDBや中小企業退職金共済に移行できる仕組みを創設してございますし、また、DBに積み立て不足があった場合に、掛金で埋める期間の延長などの措置をしてございます。
大きく2つ目でございますけれども、現行制度のもとで、複数の事業所、中小企業を含めた事業所が加入できるDB、DCというものが一定程度存在してございます。
解散した厚年基金の事業所も、こうした企業年金に移行することも可能かと思います。
DBのほうは、基金型やっておりますし、DCのほうは1本の規約でそこに複数の企業が対象になっているというような状況でございます。
あわせまして3つ目としましては、前回、御議論いたただきました住宅保証型DB、あるいは簡易型DCの創設、そうしたものによって、中小企業の方にもDBやDCが利用しやすくなる環境が整うことができればと考えてございます。
資料1の説明は以上でございます。
○山崎部会長
ありがとうございます。
ただいまの説明につきまして、委員の皆様から御質問等があれば、お願いいたします。
よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○山崎部会長
それでは、議事に入ります。
本日は「一般企業向けの取組」を主な議題とします。
早速ですが「一般企業向けの取組」に入りたいと思います。
事務局より資料の説明をお願いいたします。
○内山課長
それでは、資料2-1、時折資料2-2を参照していただく場面もあるかと思いますが、資料2-1と2-2に基づきまして、説明をさせていただきます。
少し大部になっておりますので、45分程度を目標に説明をさせていただければと思います。
「一般企業向けの取組」につきましては、検討課題におきまして、2つの課題を整理していただいてございます。
1つはDB・DC制度間のイコールフッティングの確保。
もう一つは企業の組織再編に対応するための手続やポータビリティーということでございます。
本日、主として御議論いただきたいのは、このイコールフッティングのところでございまして、ポータビリティーなどにつきましては、また、次回以降、資料を御用意したいと思ってございます。
それでは、大部の資料になっておりますので、目次をつけてございます。
大きく3つのパーツから成り立っておりまして、左上の1は「DB・DC創設時から現在までの状況」ということで、背景的なものでございます。
そして、論点自体は大きく2つに分けてございまして、2として拠出、3として給付の段階でのあり方について整理をしてございます。
4ページになりますけれども「1.DB・DC創設時から現在までの状況」ということでございます。
4ページはこのパーツのサマライズになっております。DB・DCの創設から10年が経過しています。その間に適年の廃止あるいは厚年基金の見直しなどが行われるなど、企業年金制度を取り巻く状況が大きく変化をしてございます。
DBにつきましては、持続可能な制度として、より幅広い企業の労使が導入しやすい制度としていくべきという御指摘がございます。
一方で、DCにつきましては、現行の仕組みは老後、引退後の所得である年金としての性格が重視されているため、従業員の退職への対応がなかなか難しいという御指摘がございます。
そうした意味で、従業員の退職といったことに柔軟に対応しつつ、そうした対応に配慮しつつ、この両方の目的でございます。年金としての目的、国民の老後生活を支えるものとして、公的年金を補完する役割をどのように果たすかといった視点から、拠出時、それから給付時の仕組みについて見直すことが必要ではないかと考えてございます。
5ページにまいりまして「企業年金をめぐる変化」でございます。
下に表になってございますが、まず、左の欄から見ていただきますと、適年と厚年基金につきましては、24年に23年度末をもちまして、適格退職年金が廃止をされてございますし、厚年保険法が改正されまして、厚年基金についての見直しもされてございます。
左から2つ目の欄でございますがDBにつきましては、平成14年にこの確定給付企業年金法が施行されまして、その後、ポータビリティーの拡充などの措置がなされてございます。
DCにつきましては、平成13年に確定拠出年金法が施行され、その後、幾たびかの拠出限度額の引き上げなどを経たり、マッチング拠出の導入などが行われてございます。
拠出限度額引き上げ、一番下の欄ですけれども、10月1日から5.5万円に引き上がるということになってございます。
一番右の欄ですけれども、平成12年に退職給付の新会計の基準が導入をされてございます。
これが後から申しましたようにDB・DCの創設に影響をしてございます。
また、16年に公的年金制度の改正が行われ、マクロ経済スライドなどが行われておりますし、その後、リーマンショックあるいは社会保障の一体改革といったことが行われております。
また、後から御説明しましたように、退職給付の会計について、会計基準が改正をされてございます。
6ページでございます。
DB・DCの創設は、下の表の真ん中にありますが、平成12年に退職給付会計の新基準が導入されたことが1つ共通のようになってございます。
図の左側でございますけれども、DBのほうは、これまでの退職給付制度の中で、早期退職あるいは一時金支給などの企業ニーズに柔軟に対応できるように設計されている適格退職年金あるいは厚生年金基金、そういった制度を継承する制度として創設された経緯がございます。
一方で、DCは図の一番右側ですけれども、アメリカの401(k)プランを参考にする形で、新しい年金として導入されたという経緯がございます。
7ページが「DB・DCの仕組み」として比較表を下につけてございます。
まず、上の欄ですけれども、DBというのは、老後、職業生活の関係でいいますと、引退後ということになるかと思いますが、老後の支給にかかわらず、従業員の退職、これは老後の退職、引退をするという場面ではない退職も含めて、そうした退職に柔軟に対応できる制度として、つくられてございます。
そういう意味で、退職であれば50歳以上から支給開始ができますし、50歳前の早期退職にも対応できるような中途引き出し、いわゆる中途脱退が容易な仕組みとなってございます。
中途引き出しと申しますのは、基本的には、この年金というのは、支給開始年齢以降、老後に受給することが原則なのですけれども、その支給開始年齢に達する前に、その年金による受給を断念して、それにかえて例外的に脱退して一時金を受給すること。これが中途引き出しということでございます。
DCにつきましては、年金は老後の所得であるという目的意識を反映した年金制度でございますので、支給開始は60歳以降、中途引き出しは原則不可となってございます。
また、後ほど、それぞれのパーツでこの比較表が出てまいりますが、簡単に7ページの下の表を御説明いたします。
ここを大きく分けて拠出時と給付時に分けてございますが、上の欄の拠出時でございます。
DBのほうは、拠出限度額の制約はなく、拠出も年単位で行われてございます。
DCのほうは、御案内のように、5.5万円などの拠出限度額の制約があり、拠出は月単位のみということになってございます。
DBのほうは、積立不足という状況が生じているわけですけれども、積立不足の場合には、企業の利益操作にならないよう、拠出に制約があるということでございます。
給付時につきましては、支給開始年齢、中途引き出し、加入可能年齢、支給方法と4つに分けて比較表をつくってございます。
支給開始年齢につきましては、DBのほうは60~65の規約で定める年齢になったときということと、または以降でございますが、退職時であれば、50歳以上の退職時に支給開始が可能ということになります。
DCのほうは、60歳以上70歳以下の請求時ということになります。
下の段、加入期間が10年に満たない場合というのは、また後から御説明しますけれども、例えば59歳で加入した方には、60歳では支給ができないといったような制約がございます。
支給開始年齢到達前の中途引き出しでございますけれども、DBのほうは制限がなく、DCのほうは原則不可ということになってございます。
加入可能年齢につきましては、DBは70歳まで、DCは60歳まで、企業型の場合は65歳まで可能ということになってございます。
支給方法ですけれども、これは年金か一時金かは受給権者が選択をするということになってございます。
年金の支給期間等は、DBは労使が選択しますし、DCの場合は受給権者が選択をするということでございます。1枚おめくりいただきまして「DB・DCの導入後の動向」ですけれども、基本的には厚年基金が数を減らしてきている中で、DB・DCが伸びているということでございます。
DCの増加傾向は、変わりませんけれども、DBはここ数年、減少、頭打ちの状況にございます。
なお、厚年基金につきましては、平成26年6月末で半数以上の基金が解散や代行返上に向けて進行中ということですけれども、8月末では6割を超える基金がこうした状況にございます。
9ページでございますが、以下はまずDBの状況そして次のページでDCの状況についてでございます。
9ページのDBの状況ですけれども、適格退職年金や厚年基金、そうしたものの見直しがあったということ、それから、退職給付に係る会計基準がさらに改正をされるということがございます。
そうした意味で、図の右側に3つ丸がございますけれども、1つは、こうした適年の廃止を踏まえてより幅広い企業の労使が導入しやすい仕組みとする必要がありますし、厚年基金の解散後の受け皿になるような安定的な制度とする必要があると考えてございます。
また、積立不足発生時の解消方法の工夫をするなど、制度の持続可能性を高める必要もあるかと考えてございます。
10ページでございますけれども、今度はDCのほうでございます。
DCは、中小企業も想定して制度ができてございますが、大企業においても導入が進みつつあるということでございます。
ただ、老後の所得である年金として性格を重視して設計されているために、従業員の退職への柔軟な対応が難しい、すなわち、拠出限度の水準あるいは支給開始年齢到達前の中途引き出しの制約、そうしたものがあるということが指摘をされてございます。
11ページは、これまでの御説明のまとめになりますけれども、企業年金は、退職にも柔軟に対応できる制度としてのDB、それから老後に受けとるものという明確な目的意識を反映したDC、この2つがそれぞれの企業、労使のニーズに応える形で発展してきてございます。
両法が施行して10年以上たっていますので、この企業年金を取り巻く状況の変化を踏まえて、DB・DCあわせた見直しの時期が来ているのではないかと考えてございます。
3つ目の丸でございますけれども、そうした意味で、今後、公的年金の給付水準が調整をされていく側面の中で「国民の老後生活を支えるものとして、公的年金の補完する役割をどのように果たすか」といったような視点からの見直しが必要ではないかと思ってございます。
資料の2-2の参考資料の8ページを少しごらんいただきますと、DB法それからDC法のそれぞれの目的規定を書いてございます。基本的には、両法とも同じ目的でして、国民の高齢期における所得の確保、それに係ります自主的な努力を支援する。それによりまして、公的年金の給付と相まって国民生活の安定と福祉の向上に寄与するということが目的とされてございます。
それでは、続きまして、大きく2つ目のパーツでございます。
論点としては拠出時のことについてでございます。
13ページに拠出時の仕組みについてのサマライズがあります。
まず、DBについては、拠出における規制が少なく、企業の労使の判断に基づいた自由な設計が可能。積立不足の解消には一定の制限があるといったことがあります。
そうした意味で、DBを安定的に運営するという課題が指摘されています。
DCについては、拠出限度の制限がございますので、DCで賄えない退職給付の部分を前払いや一時金・DB型制度で給付するといった調整を行ってございます。
そういう意味で、拠出限度などが企業の自由な退職給付制度の設計を妨げる可能性があるということでございます。
以下、14ページでございますが、これは先ほど見ていただいたDBとDCの比較につきまして、拠出の部分だけを切り出したものでございます。
15ページに進みまして「DBにおける掛金拠出の制約」でございます。
これは掛金拠出については、税制との関係から、企業が課税対象となる収益を恣意的に決定できないようにという要請がございまして、健全性維持のための事前積立が認められていない。あるいは積立不足が生じた場合に一括して不足分を拠出できないといったようなことが指摘をされてございます。
典型的には、例の1でございますが、景気がよくて企業の業績が好調なとき、こうした場合には、事前積立が認められてございません。
そういう意味では景気が悪化した場合、これは各企業の状況も厳しいことになるのですけれども、そうした場合に、DBのほうの状況もよくなくなりまして、追加拠出が必要といったような状況になってございます。
16ページでございますけれども、退職給付会計基準の変更でございます。
2013年4月から図の左側に書いてございます。いわゆる未認識過去勤務債務、こうしたものを即時認識しなければならないというルールになっていまして、そういう意味で、企業の債務として認識をする部分が少し大きくなってございます。
こうした事情から、DBにおいて積立不足を解消しやすくすること、あるいは退職給付会計の影響を受けない仕組みであるDCを拡充しやすくする、そういったことがこの退職給付会計への対応ということで求められているということでございます。
17ページは「DC拠出限度額の影響」でございます。
図の左側のグラフにございますように、DC実施企業の15%、大企業においては25%が拠出限度額を超えて到達している状況がございますので、拠出限度額の規制によって、DCで賄えない退職給付水準については、給与に上乗せして前払いをするあるいは退職一時金。DB等のほかの制度で給付するといった調整を行っている状況にございます。
18ページからは、拠出時の論点でございます。
19ページは、これまでの御説明のまとめになりますけれども、DBの掛金拠出については、課税対象となる収益を恣意的に決定できないといったような制約がございます。これがDBを安定的に運営する上での課題となっているということです。
また、2013年度決算からの会計基準変更がございますので、年金債務が企業に与える影響が大きくなってきているということでございます。
2つ目の丸ですけれども、DCにおいて拠出限度額を超過した場合には、DCで賄えない退職分をほかの制度で調整を行っているということですので、DCの拠出限度が企業の退職給付制度の設計に影響を与えているということでございます。
3つ目の丸でございますけれども、前回、いわゆるハイブリッド型について御議論をいただきました。このDB・DCを柔軟に組み合わせたリスクシェアの仕組みを御議論いただきましたので、これからはDB・DCを個々独立したものとして捉えず、こういう中間的なハイブリッドという形も出てきていますので、DB・DCを一体的、包括的に捉えていくほうが柔軟に対応できる制度設計を考えることができるのではないかと考えてございます。
20ページ以降は具体的な論点でございます。
まず、20ページ、DBの安定的な運営のための掛金拠出ということでございます。
これは先ほど御説明しましたように、事前積立が認められていない、あるいは一括拠出ができないといった制約がございます。
こうしたことから、健全性維持のための事前積立あるいは積立不足解消のための拠出方法につきまして、企業の恣意的な掛金拠出とならない範囲で、柔軟な掛金拠出を可能とすべきではないかと考えてございます。
例えば、資料には書いてございませんけれども、例えば、DBの持ちます保有資産によりまして、保有資産の種類によってリスクが異なるという状況があるかと思います。
そうした意味で、将来、発生し得る積立不足につきまして、資産のリスクの状況に応じて、あらかじめリスクに応じて想定をし、それを計画的に拠出できるような仕組みが考えられないかというようなことも考えられるかと思います。
続きまして、21ページ、DB・DCの拠出限度ということでございます。
「1」としては拠出限度のイコールフッティングということでございます。
拠出限度額を超過した場合にDCについてはDBなどによる調整を行っているということ。それからハイブリッド型の議論もしていただいたということを踏まえておりますので、拠出限度についてはDBとDCを一体的に考えてはどうかということでございます。
一体的に考えるというときには、自由な制度設計を可能とする、それから制度をシンプルにするという観点から、DB・DCの両方を合わせた1つの水準を設定してはどうかというたたき台になってございます。
なお、下の※印の2つ目に書いていますけれども、マッチング拠出あるいは個人型DCとの関係、こうしたものについては、次回以降のライフコースの多様化のところで御議論いただければと思ってございます。
22ページは、DB・DCを合わせた限度とすることのイメージ図でございます。
左の図のように、それぞれの枠を設定するのではなく、右の図のようにDBとDCを合わせた拠出限度を設けることによりまして、DB中心の設計あるいはDC中心の設計、あるいはDBだけの設計もDCだけの設計もこうした合わせた限度を設定することにより柔軟にできるのではないかと考えてございます。
2つ目でございますけれども「拠出限度の設定方法」でございます。
1つ目の丸ですけれども、今、DCには月単位、DBには年単位という差異がございますので、拠出期間の規制単位については、年単位で統一してはどうかと考えてございます。
次に、設定方法ですけれども、DCは定額で設定されていますが、昇格・昇給に伴って掛金がふえる制度ということでございますので、給与に対する一定割合(率)として設定してはどうかと考えてございます。
率で設定する場合には、例えば標準報酬を用いることとしてはどうかと考えてございます。
24ページは、年単位とした場合の使い残しをなくすことができるイメージ図でございますし、25ページは給与水準に応じた率で設定した場合のイメージ図でございます。
すなわち若い時期、給与の低い時期には使い残しがなくなるし、給与が高くなった場合には、拠出限度に当たることが少なくなるということでございます。
26ページでございますが、3つ目ですけれども、では、その「拠出限度の水準」をどう設定をするかということでございます。
現在、国民の老後生活の資金というのは、公的年金を中心に預貯金、それから退職金・企業年金を補完する形で賄われてございます。DB・DCの双方を合わせて拠出限度を設定するということであれば、老後の生活資金について、公的年金を補完するという役割を担えるような水準が必要ではないかと考えてございまして、公的年金の補完的位置づけを担えるよう、現在の企業の退職給付水準を勘案して設定をすべきではないかという御提案でございます。
27ページは「老後の生活資金」、公的年金を中心に、預貯金や企業年金、退職金が補完をするという形の資料でございます。
28ページは「拠出限度の水準の考え方」、今、申し上げた老後の生活資金は、公的資金を中心としまして、預貯金それから企業年金・退職金といった退職給付から成り立ってございますので、この企業年金・退職金である退職給付という水準、これに基づきまして、拠出限度の水準を設定したらどうかということでございます。
29ページは、この「退職給付水準の状況」でございます。
一時金と企業年金を合わせまして、一般的には2,500万円程度、大企業では3,000万円程度という退職給付水準というデータがございます。
また、30ページには「老後に求められる生活費水準」としまして、日常生活費として20万円強、さらにゆとりある老後生活を送るとすれば、加えてもう10万円強が必要ではないかというアンケートがございます。
31ページが給与比例で拠出限度を決めた場合のモデルでございます。
掛金率10%と設定した場合には、退職給付総額としては1,900万円を賄え、20年で支給した場合には、月額8万円ほどになるということでございますし、15%で設定した場合には、それが2,800万円、12万5,000円ほどと。20%で設定した場合には3,800万円、16.7万円となるという試算でございます。
32ページは、このように一旦退職給付水準でその拠出限度を設定した後、その後、将来的にどうしていくかという論点でございます。
御説明しましたように、老後の生活資金は公的年金を中心に預貯金それから企業年金、退職金等が補完しているということですが、公的年金については、中長期的に給付水準の調整が行われるということになってございます。
そうした意味で、この公的年金以外の企業年金の役割が高まっていくということが予想されますので、企業年金の掛金拠出を将来的にはふやしていくことが求められているのではないかということでございます。
33ページは、先ほどの資料でございますので省略をいたします。
34ページは、公的年金の給付水準が将来的に調整をされていくということでございます。
35ページは、OECDの報告ですけれども、公的年金の所得代替率に対して、日本の場合は私的年金の資産規模が相対的に低いということでございますので、私的年金に対する拠出をふやす必要があるといった指摘がございます。
それで、この将来の拠出のあり方についての論点ですが、37ページでございます。
1つ目の丸は、御説明したように、公的年金の給付水準の調整が行われている中で、給付調整を補う形での私的年金での対応への支援というものが指摘されています。
また、2つ目の丸ですけれども、現行法においても、公的年金を補完する形でのものだということのフレームが構築されています。
そうした意味から、3つ目の丸ですけれども、将来的に公的年金を十分に補完できるように拠出限度については、公的年金の給付水準の調整を勘案した改定のルールを検討してはどうかということでございます。
39ページからは、大きな3つ目のパーツ、論点としては2つ目の「給付時の仕組みのあり方」でございます。
39ページ下の欄ですけれども、DB・DCは、従業員の退職にも柔軟に対応できる制度として創設されたDB。それから老後の所得であるという目的意識を明確に反映したDC、そうしたものによって、支給開始年齢等の仕組みが異なっています。
今後、公的年金の支給開始年齢の引き上げ、それから就労期間の長期化、そうしたような変化を踏まえて、この従業員の退職に対する柔軟な対応ということ。それから老後の所得確保策としての役割、そうした視点からこの給付時の仕組みも検討することが必要ではないかと考えてございます。
40ページは、DB・DCの給付時の違いでございます。
DBのほうは退職にも柔軟に対応できるという仕組みでございますので、最初のほうに御説明したように、50歳以降の退職時であれば、支給開始ができますが、DCのほうは支給開始が一律60歳以降というようなことになってございます。
表がついてございますが、それぞれの部分でまた出てまいりますので、少し省略をさせていただいて、42ページからは、まず大きな1つ目、4つほどございますが、まず、支給開始年齢でございます。
支給開始年齢につきましては、DBのほうは年齢到達とともに退職時には50歳以上ということになっていますし、DCのほうは60から70の年齢到達時ということになってございます。
それから、DCのほうには、加入期間に応じた支給開始年齢がございまして、10年に満たない場合は、それぞれの加入期間に対応した年齢以降の請求が可能となっております。
例えば、52歳で入った場合には61歳で、57歳で加入した場合には63歳以降でこの請求が可能ということになってございます。
43ページは、この支給開始年齢到達前の中途引き出しということでございます。
DBのほうは中途引き出しが広範に認められていますが、DCのほうは原則不可ということになっております。
43ページの下でございますけれども、諸外国、他の国でのDCの中途引き出しの状況を見ますと、アメリカやイギリス、ドイツとも中途引き出しは原則として不可という整理になってございます。
44ページにまいりまして「老後の所得確保策としての年金制度」について、少し整理をしてございます。
年金といった場合に、大きく2つの意味があると考えてございまして、1つは老後の所得、引退後の所得という意味でございます。
就労期間中に一定期間、一定額を掛金として拠出をして、それは老後のため、引退後のための資産形成であるという観点がございます。
もう一つは、年金にはそこに「annuity」と書いていますけれども、毎年一定金額で支給をする。分割してもらうという意味があるかと考えてございます。
DCにつきましては、貯蓄と年金の制度発足時の貯蓄と年金を区別しなければならないということがございますので、支給開始年齢や中途引き出しが認められていないということでございます。
45ページは、老後の所得保障と加入者の心理的傾向ということでございますけれども、行動経済学などの知見によりますと、やはり、人々というのは将来よりも現在の利益に大きなウエートを置きがちだということですので、こうした傾向を踏まえた仕組みが必要ではないかという指摘がございます。
そうした意味で、老後に確実に所得が受け取れるような仕組みというのが必要ではないかということでございます。
46ページ以降は、少し高齢者の雇用制度の概要でして、御案内のことも多いかと思いますので、足早にさせていただきますが、高年齢者雇用安定法に基づきまして、60歳未満は定年禁止、希望者は65までの雇用確保措置が義務づけられてございます。
47ページにまいりまして、こうした法律もございまして、高齢者の再雇用などは浸透してきていまして、高齢者になっても働き続ける基盤というものが整備をされてございます。
48ページはそうした就業率の増加傾向、それから希望引退年齢も高くなってきているということでございます。
49ページでございますが、企業年金の支給開始年齢です。
80%以上が60歳以上に支給開始年齢を設定してございますが、55歳未満あるいは55歳といったところにも、一定程度の企業数があるという資料になってございます。
50ページですけれども、DBは50歳以降の退職時に支給可能ですけれども、定年退職後、定年退職時の支給が8割近くとなっているというのが現状でございます。
51ページは、日本の高齢者の就業に関しまして、高齢者の就業率は高い、諸外国と比べても高いということがございますし、引退年齢の平均も男女とも65を超えてございまして、男性に至っては70近くになっているということでございます。
ただ、52ページに参りまして、そのような高齢期の雇用、特に再雇用された場合には、賃金が減少されていますし、5割以上賃金が下がるという方もいらっしゃいますので、そういう意味で、例えばつなぎ年金としての役割、そうしたものも少し考慮をする必要があるということでございます。
53ページからは、DCの中途引き出しについてでございます。
DCについては、中途引き出しが認められていませんので、導入企業が導入時における課題として、この中途引き出しができないということを挙げられる方が多いというデータでございますし、特に中小企業などにとっては導入時の1つのハードルになっているという指摘もございます。
54ページは、このDCの中途引き出しに関する見方が分かれているというデータでございます。
老後の所得確保という観点からは、中途引き出しは認めるべきではないという意見が半数を占めてございます。
その一方で生活困窮時などには、支給開始年齢でも中途引き出しを認めるべきではないかという方が4分の1ほどいらっしゃるということで、少し分かれた答えになってございます。
55ページは、アメリカにおけるDCの中途引き出しでございます。
アメリカでは、中途引き出しは10%のいわゆるペナルティー課税を支払うことを条件に、困窮時引き出しを認めておりまして、この結果、中途引き出しをされる方というのは、加入者全体の2%弱ということになってございます。
56ページから加入可能年齢です。
57ページは、先ほど見ていただきましたように、DBは70歳まで、DCは基本60歳までということになってございます。
58ページ、59ページ、60ページは高年齢者の雇用が進展をしているという資料を改めてつけてございます。
61ページは公的年金の支給開始年齢、御案内のことかと思いますけれども、2030年にかけて65歳に引き上がっていくということでございます。
62ページは、公的年金が要するに高齢者の所得の中核を占めているということでありますけれども、今後、マクロ経済スライドによりまして、調整が見込まれているということでございます。
63ページ以降は、高齢者の老後の備えということですけれども、半数以上の方が不安、不足を感じているというデータでございますし、64ページは、定年を迎える層の中で働き続けなければいけないとか、子どもの支援が必要といった不安を抱える方が一定程度いらっしゃるというものでございます。
65ページは参考まででございますけれども、OECDの報告書の中で、十分は所得を得れるように、長期間のDCが長く掛けられるようにということを奨励しているということでございます。
66ページ以降は、支給方法でございます。
DB・DCも受給権者が年金か一時金かを支給できるということでございます。
そういう意味で、DBは法令上が年金が原則とされていますけれども、労使が選択をしますし、DCも法令上は年金が原則とされていますけれども、支給開始年齢に到達したときに受給権者が選択できるとなってございます。
68ページは「年金・一時金の選択状況」でございます。
DBについては7割、DCについては9割を超える方が一時金を選択しているというのが現状でございます。
69ページは「終身年金・有期年金の選択状況」でございまして、終身よりもDB・DCとも有期年金が選択されている制度が多く、DCでは20年、DBでは10年を最長とする制度が中心となってございます。
また、70ページはDCの「年金商品の採用状況」ですけれども、終身年金を選定している割合が3割ほどとなってございます。
71ページは、受給者の心理的傾向、先ほどの45ページの資料とも重なりますけれども、この選択方法の違いというのは、心理的傾向として一時金選択をしやすいということも影響しているのではないかということでございます。
72ページはOECDのDCに関するロードマップですけれども、終身年金化への働きかけ、あるいは終身年金商品の提供といったものが提言をされてございます。
73ページは「年金商品に対する諸外国の対応」でして、諸外国におきましても、終身年金の選択割合は低いという共通の指摘がございますが、イギリス、ドイツにおきましては、年金受給を原則としながら、一時金受給は一定割合に限るといったようなことをしてございます。
下の表ですけれども、イギリスは終身年金商品を購入することを義務づけてございますけれども、一時金は25%まで受給が可能ということになっていますし、ドイツも終身年金保険の購入が基本ですけれども、一時金の受給が3割までできるということになっています。
74ページは、最近、イギリス政府がDCの終身年金の購入義務を廃止すると発表しましたけれども、それに対しては批判もあるということでございます。
76ページからいよいよ給付時の仕組みの論点でございます。
具体的な77ページの論点からまいりますと、まず、支給開始年齢でございます。
3つ目でございますけれども、就労期間に見合った一定の拠出期間を設けることが求められるということ、そんなものも勘案しながら、公的年金の支給開始年齢、65歳を基本とすべきではないかということ。
それから、ただ、公的年金支給までのつなぎ年金としての役割も考慮して、60歳以上から支給開始可能としてはどうかということでございます。
なお、早期退職した場合に、他の企業に転職することも想定されますが、そうしたポータビリティーの仕組みは現在もございますし、ポータビリティーのあり方については、次回以降もまた別途議論をしていただきたいと思います。
77ページの2つ目の※印は、こうした全般にわたって経過措置が必要かと考えていますけれども、特に現在の状況を踏まえて、こうした支給開始年齢のあり方については、特に慎重な経過措置が必要ではないかと考えてございます。
78ページは、それに関連しました中途引き出しでございます。
2つ目の丸でございますけれども、基本的には高齢期の支給のための年金原資を安定的に形成するということで、支給開始年齢に到達するまでは、原則、中途引き出しを認めないこととしてはどうかと考えてございます。
※の2つ目ですけれども、現行制度では、ただし支給開始年齢到達前に早期退職する場合の中途引き出しが可能、そういうことを前提に、各企業の制度が設計されている実態もありますので、こうした場合には、例えば、中途引き出しを限定して中途引き出しを可能とすることも検討することも必要かもしれないということも考えてございます。
79ページでございますけれども、そうした中途引き出しについてですけれども、一方で、生活困窮時の不測の事態、そうしたときに柔軟に対応すべきだという意見もございます。
そうしたことから、一時金を一定数以上に減額されても、受給を希望する方に限って、中途引き出しを認めてはどうかと考えてございます。
なお、その水準については、例えば先ほど紹介したアメリカの10%のペナルティー課税あるいは財形年金を目的外に使うときには20%課税がかかりますが、そうしたあたりも参考にしながら検討していくべきではないかと考えてございます。
80ページは、加入期間に応じた支給開始年齢、DCでは10年というものがございますけれども、それについては、加入期間に応じた支給開始年齢は廃止してDBと同様に労使合意によって任意に設ける場合のみ設定をするということにしてはどうかと考えてございます。
81ページは大きな2つ目で加入可能年齢でございますが、これはDB70歳、DC60歳となっておりますけれども、収入がある場合には、できるだけ掛金を積み増せるようにということで、公的年金を補完するという観点もございますので、DB、DC合わせて70歳としてはどうかということでございます。
最後、82ページ、支給方法でございますけれども、2つ目の丸で書いていますように、複数年にわたって、安定的に所得を確保するという支給方法の原則をより徹底してはどうかと考えてございます。
そういう意味で、DB・DCそれぞれの実態に配慮しつつ、受給権者の年金受給をさらに促していく仕組みを設けてはどうかということでございます。
具体的な仕組みは83ページでございますけれども、DBについては、現行制度での状況も踏まえまして、年金受給を促すための一定の措置、例えば、年金と一時金の給付設計に差を設けること。あるいは一定割合以上、年金で支給すること。そうしたものの措置を労使が選択してさらに制度開始から一定期間経過後の新規加入者から適用することとしてはどうかと考えてございます。
DCにつきましては、資産規模が相対的に小さいことなどもありますので、労使が一時金選択を設けた場合、それで支給時に受給権者が一時金選択の意思表示を行わなかった場合には、特定の年金商品を選択したものとみなす。すなわち、年金商品をデフォルトとしてはどうかと考えてございます。
少し、説明が50分ほどになってしまいましたが、一通り説明をさせていただきました。
ありがとうございました。
○山崎部会長
どうも、とても丁寧な説明ありがとうございました。
本日の議題につきましては、議論すべき論点が多いかと存じますので、まず「拠出時の仕組みのあり方」について、委員の皆様から御意見等をいただき、その後で、時間の範囲内で「給付時の仕組みのあり方」についての議論をさせていただきたいと思います。
恐らく、今回だけでは十分議論ができず、次回回しということもあろうかと思いますので、とりあえず前半は「拠出時の仕組みのあり方」について、十分な御議論をいただけたらと思います。
したがって、資料2-1では38ページまでが該当する箇所となりますので、その範囲で、最初、御議論いただきたいと思います。
それでは、いかがでしょうか。
御質問等がありましたら、どうぞ。
高崎委員。
○高崎委員
今回、大部の資料で、事務局から説明をいただきましたが、DCとDBそれぞれ成り立ち、生い立ちが違う制度をいかに当時の事情から変化している環境に合わせ、しかも将来を見通してどう活用していける形に持っていくか。その中で、制度の違いによるわかりにくさ、煩雑さを解消するようという、非常にいいまとめをしていただいていると思っています。
ありがとうございます。
20ページの論点の「(1)DBの安定的な運営のための掛金拠出のあり方」の部分でちょっと確認させていただきたいのですが、現行、税制との関係で、あと企業の業績を余り操作できないようにというか、恣意的にできないようにということで、企業業績がいいとき、悪いとき問わず、安定的に拠出されることが求められていますし、一方で、積立不足については、一括では解消できないという御説明をいただいています。
事前積立については、業績がいいときに、より多く積み立てておいたほうが、企業経営、特に企業経営の長期の計画を立てていて、一定期間何年後かに、例えば手元のキャッシュの問題であったり、一時的に投資がふえたり、何らかの形でその時点で拠出をするよりも、現在、拠出をしたほうがいいかもしれないという部分があるかもしれないので、税制の問題はあるものの、例えば、課税所得の外で有税でもいいから拠出できるようにするとか、何かそういった形の工夫もあってもいいのかなと個人的には思います。
あと、積立不足について、一括で解消できないというのは、やはり企業経営をする側、これは最終的には、労働者側の給与とか賞与にも関係してくると思うのですけれども、あと雇用の安定とか。
ちょっとこの積立不足が一括で解消できないというのは、何らかの工夫が必要になってくるのかなと思いますので、ちょっとその現行、積立不足が一括で解消できないという中で、どのような形で、現在、解消が認められているのかということについて、ちょっと補足して説明していただければと思います。
○山崎部会長
どうぞ。
○内山課長
参考資料の18ページになるわけでございます。
DBにおける掛金については、幾つかの掛金がございますけれども、積立不足を解消する場合等には、この特別掛金あるいは特定掛金というものがあるわけでございます。
特別掛金の欄、18ページを見ていただきますと、基本には過去の期間に生じる積立不足を解消するための掛金ということなのですけれども、これは「1」から「4」の資格がありますが、例えば3年以上20年以内で均等に償却する方法など、一定期間で積立不足を特別掛金により拠出をしなければならないという制約がかかっているということでございますので、現時点では一括拠出というのは、認められていないという状況にございます。
○高崎委員
ありがとうございます。
○山崎部会長
平川委員。
○平川委員
ありがとうございます。
今、高崎委員がおっしゃった柔軟な掛金拠出の関係については、私も基本的には1つの方向としてはあるのではないかと考えているところであります。
ただ、懸念するのは、やはり恣意的な掛金拠出という、税制のモラルハザードにならないような仕組みをどうやって考えていくのかということは大きな課題ではないかと思っているところであります。
それを何とかクリアできるような仕組みをさらにまた検討していく必要があるのではないかと思っているところであります。
そういうことだと、11ページについて、少し哲学的な話で申しわけないのですけれども、3つ目の丸の中の、「公的年金を補完する役割をどのように果たすか」が重要だと期待されております。
私はこれは当然そうだと思いますけれども、一方で、37ページの3つ目の丸ですが、「企業年金が将来的に公的年金を十分に補完できるような仕組みとして、企業年金の拠出限度について、公的年金の給付水準調整等を一定程度勘案した改定のルール」と記載されています。
これについて、公的年金の給付水準と連動するような仕組みは、補完ではなく、代替という考え方で捉えられるのではないかと懸念しています。
参考資料の8ページにそれぞれの確定給付企業年金法や確定拠出年金法の法文が書いてありますけれども、両方とも先ほど説明があったように、「公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与する」と書いてあります。この相まってというのは、お互いに作用しあってという、もしくは両方の力が合わさって生活の安定に寄与するという意味合いでありますので、代替という意味ではないと考えております。したがいまして、先ほどの37ページの記載については賛成しかねると考えているところであります。
そういうことでありまして、では拠出限度をどう考えていくかということが課題ではないかと思いまして、28ページに「拠出限度の水準の考え方」ということが書いてあるかと思います。これは税制にかかわりますので、企業年金がない従業員の皆さん、国民の皆さんの理解も含めて、どう考えていくのかということと大きく連動する話だと思います。
この拠出限度の水準の設定ということも、もう少し深く議論していかないとだめなのではないかと考えているところであります。
以上です。
○山崎部会長
何かありますか。事務局のほうで。
○内山課長
少し補足をさせていただきますけれども、先ほどの拠出限度につきまして御意見をいただきましてありがとうございました。
先ほど、ちょっと口頭で申し上げましたけれども、ここは確かに企業の恣意的な掛金拠出にならないようにということが大前提になりまして、幾つかの工夫をしなければいけないのかなと思ってございます。
先ほど申し上げたのは、保険会社のソルベンシーマージンと同様の考え方かと思いますけれども、例えば、資産に応じたリスクというものを、やはりあらかじめ見込んでおくべきではないかというような考え方が一つできないかということでございます。
これは既に諸外国でもこうした考え方で設定している国もあるようでございますので、一つあるのかなと考えてございます。
それから、もう一つは、最低積立基準につきまして、今、これは現行制度上一括での拠出が可能なわけなのですけれども、積立基準について、少し捉え方を何か検討する必要があるのではないかということも一つ考えなければいけないなということでございますので、そうしたあたりをさらに検討させていただければなと思ってございます。
○山崎部会長
平川委員、よろしいですか。
○平川委員
先ほど言った37ページの「公的年金の給付水準調整等を一定程度勘案した改定」というところの関係はどうでしょうか。
○内山課長
37ページのこれは一旦拠出限度を退職給付水準で設定した後、将来的にどう考えていくかという論点でございますけれども、公的年金が、今後、調整されていくというのが事実だと思いますが、ここで御提案していますのは、公的年金と完全に何か自動的に上がっていくというわけではなくて、公的年金が、今後、調整されていきますので、それを前提に調整された場合には、例えば、この企業年金のほうでどの程度カバーすべきか、そうしたものを数年ごとに限度を例えば見直したり、引き上げたりするルールとしてはどうかということでございます。
○平川委員
あとは意見なのですけれども、私としては、この考え方はそれこそ公的年金を私的年金が完全に代替していくという考え方につながっていくと思いますので、賛成しかねると意見表明させていただきたいと思います。
○内山課長
一応、そこに書いておりますように、あくまでも企業年金と公的年金、企業年金を中心に公的年金や退職金が老後の所得、生活を保障してきたわけですけれども、その十分に補完できるような仕組みということですので、一応、今のところ代替ということではなく、十分な補完ということで整理をさせていただきたいなと思っております。
○山崎部会長 審議官、どうぞ。
○山崎審議官 審議官の山崎でございます。
公的年金と私的年金は、あくまでも本当にその機能、役割が異なっておりまして、公的年金は、まずはその終身の年金であるということで、そういう意味で、生活の安定ということのためには、もうこれが主柱ということは、私どもそこを基本に考えておりまして、企業年金ももちろんできれば一時金よりは年金、年金もできるだけ長期のあるいは終身のものということが望ましいとは考えておりますけれども、それを必ずそうしてくださいというところまでは、そもそも任意の仕組みでございますので、できかねるということがございますので、企業年金が公的年金の代替になると全く考えていないところでございます。
しかしながら、公的年金制度、やはり将来的な少子高齢化の中で、どうしても給付水準はそれなりに制約があると。そのときに、任意の仕組みとしてそれに上乗せできるようなものの、どこまでできるかという限度については、将来的にそれを拡充していくような方向性というものは残しておいていいのではないかということでございまして、決して代替ということでは考えていないということを申し上げたいと存じます。
○山崎部会長
とりあえずここで。
○平川委員
とりあえず。
○山崎部会長
また、改めて議論することがあるかと思います。
そのほかにいかがでしょうか。
井戸委員のほうから。
○井戸委員
ありがとうございます。
わかりやすい資料をたくさんつけていただきまして、ありがとうございました。
25ページの給与に比例した拠出限度の設定の図のところを少し確認させていただきたくて御質問させていただこうと思います。
要するにこの年齢と金額のこの四角い部分をずっと保障するということなのですけれども、この図でいくと、どうも年功序列を前提とした図になっていまして、大体40ぐらいでお給料のピークがきて、50ぐらいから下がっていくというような形になると思うのです。
先ほど標準報酬に合わせてということなので、多分、制度設計は可能だとは思うのですが、できれば、40代というのはとてもお金がたくさん要るころですし、ずっと積み上がっていって、そのときに転職した場合、多くの資金をポータビリティーで持っていけるようにしていただきたいので、お給料に合わせた波というものも可能なのかどうかというものを御質問させていただきたいと思います。
○山崎部会長
どうぞ。
○内山課長
済みません。そういう意味では、25ページ、先ほどちょっと私、若いころと言ってしまいましたけれども、基本的には給与の額と比例をしますので、当然、この右肩に一直線で上がっていますけれども、下の図が一直線で上がっていますが、ここは年とともに変動するものだと思います。
その意味では、あくまでも標準報酬、総報酬に対する率で決めますので、40代の時点で給料が高い方は多くの限度ができるということかと思っております。
○山崎部会長
白波瀬委員、どうぞ。
○白波瀬委員
ありがとうございます。
3点ほどちょっとお伺いしたいのですけれども、1点については、先ほどから出ています恣意的な拠出掛金とならない範囲でというところなのですけれども、これは確認ということなのですが、やはり恣意的であるかどうかというのは、非常に質的な決定というか、カテゴリーからの決定で、ある程度以上になったら恣意的になって、以下だったらという問題では多分ないと思いますので、ちょっとここの書き方が前半については、恣意的な掛金とならない範囲でという形になっていて、安定的な運営というちょっとここの表現が若干ある一定の閾値を超えたらみたいな感じをしていて、少しやはり定義というところで、恣意性というものを強調されたほうが、いろいろな意味で納得もされやすいのかなと1点感じました。
2点目はDB・DCの両方を合わせた1つの水準を設定すべきということで、22ページのところの図なのですけれども、労使合意に基づくというところで、これはかなり労使ともに実質的な立場で恣意的な決定をともにしていくという前提条件がないとかなり難しいのだと思うのですけれども、ここのところの恣意性というものをどれぐらい持ってくるかというのは、今後やはり制度設計のところで、多分、以前からある程度はパッケージで準備したほうがいいのではないかという議論も若干出ていたように思うのですけれども、全てを労使側に自由選択させることのいいことと悪いことというか、かえって労使間の関係が余りというか、非常に望ましいところまで到達していないところについては、ある程度のパッケージで提供してあげるというようなことが重要ではないのかなと感じました。
3点目なのですけれども、これは、今の限度額の話なのですけれども、代替では補完だという話なのですけれども、補完の基準そのものがやはり動いていますので、やはり退職金そのものも目減りしていくとか、公的年金もマクロ的に減っていくということになると、恐らくそこの行き着くところは代替ではないかという議論に出てきてしまうのではないかなという気もちょっといたしますので、そこでのどこに基準値を設定するかといったときの基準値そのものの不安定性をどう設定するかというのは、ちょっと議論のしどころかなと感じました。
以上です。
○山崎部会長
回答できる範囲内できょうはお願いします。
○内山課長
いろいろ難しい論点もあるかと思いますけれども、22ページのところは、今もDB・DCそれの組み合わせというのは、基本的には企業が労使と相談して決めているということかと思いますので、そこは基本的にはそれぞれが自由に設定していくところかなと思ってございますが、そうした御議論、御指摘も踏まえて、労使が自由に設定していただくというのが一番基本なのかなと思ってございます。
○山崎部会長
そのほか。
では、臼杵委員。
○臼杵委員
どうもありがとうございました。
拠出のほうはそんなに私は違和感はないのですけれども、幾つか意見を申し上げ、あと質問をしたいと思います。
全体として、DB・DCでまとめて拠出限度額を考えるという点については、両方イコールフッティングという意味でいいと思うのですけれども、残るとしたら、企業年金のない人をどうするかというところであり、そういう人の拠出をどうやって認めていくかというところが課題としてはあるのかなと思います。
それから、拠出限度額について申し上げます。、てに、前からの流れで行くと、退職一時金額の平均みたいなものを頭に置いて、それをどう積み立てるかかということで、1,900、2,800、3,800万円という額が31ページの下のほうに出ています。、補完と代替というと難しい議論かもしれませんけれども、補完、上乗せということであれば、もちろん一時金で引き出すことが多いのですけれども、これを老後に年金化した場合に、どのぐらいになる、あと年収も恐らくいい悪いは別として、実態としては給料の高い人ほど退職給付額は多いということになっていますので、この1つだけの年収額だけではなくて、実際に大企業と中小企業別の給与額で、どのぐらいの掛金なら積み立てられて、それを年金化すると大体どのぐらいになるかとそういうことをもう少し計算して考えたほうがいいのかなという気がします。
先ほどからの代替と補完で言うと、だから公的年金がまずあって、その上にどのぐらい乗せると,例えば合計して代替率がどのぐらいになるのかという考え方もあってもいいのかなと思うので、その辺を、これは半分質問なのですけれども、そうしてお考えになるということについては、考えておられるのかどうかというのは、1つ目の質問です。
もう一つは簡単な質問なのですけれども、DCなどでずっとよく言われていたのは、年をとってから枠が足りなくなるというようなことで、若いときの枠の使い残したものを繰り越せるようにしたらどうかという意見もあったと思うのですけれども、それによって、割と50歳ぐらいになって、少し余裕ができてというようなところで、マッチングも出しやすくなるということもあるので、全く意味がないとは思わないのですけれども、その辺についてはお考えにならなかったのかどうかというのが2点目です。
○山崎部会長
どうぞ。
○内山課長
まず、31ページですけれども、これはモデルケースを置いてそれぞれやっていますけれども、退職給付水準、確かに企業規模別などに応じていろいろな分布があるかと思っています。
そのあたりは、31ページは1つのモデルケースを置いてやってみましたけれども、そうした分布なども少し考慮に入れていく必要があるかなと、今、お聞きして思いました。
それから、繰り越しについては、まず、繰り越しをうまく持って行く記録管理というか、繰り越し分をどう持って行くようにしていく管理ができるかといった問題、それから税制との関係で、恐らくそれを複数年なり後ろに送るということで、そういうところでの検証も必要かと思っていまして、そうした課題もあるということだと思います。
現時点では、そういう意味では、今、お給料に対する率ということで、これまでの幾つかの問題というものを解決できないかという御提案になってございます。
○臼杵委員
1点だけ済みません。
一時金を年金化した場合にどのぐらいになるかということも見てどうかと思うのですが、いかがでしょうか。
○内山課長
それは、一応、31ページの下では20年に分割をした場合に、例えば掛金率10%で1,900万円を20年で分割した場合には、月額が8.4倍になるというような前提を置いての試算をしておりまして、それが公的年金などのある意味補完をして上乗せをされるというようなイメージを想定してございます。
○臼杵委員
所得が高いほど、多分、公的年金の代替率が低いので、そのあたりの状況もプラスするとどうなるかというものも見ていてもいいのかなと思います。
○山崎部会長
続きまして、半沢委員。
○半沢委員
21ページの論点にあります「DB・DC制度の拠出限度のイコールフッティング」について、意見を申し上げたいと思います。
記載にありますように、「DCにおいて拠出限度額を超過した場合にDB等により調整を行っている実態」があるというのは、資料の中でも示されているところでありますし、実際にあるのだろうとも思っております。
DB・DC合わせて1つの水準を設定した場合、今確定していない中でのお話なので一概には言い切れないのですけれども、現在のDB・DCの制度を前提として考えてみますと、結果的にですが、DBの割合を減らしてしまう、限度額の中でDBの割合を減らしてしまうといった結果につながらないかという懸念を持っております。
もちろん、労使の合意においてさまざまな設計を行うということでありますので、労使できちんと話をして、そして、労働組合としてもその役割を果たしていかなくてはならないということは認識しておりますけれども、そのような懸念があるということは申し上げておきたいと思います。
あともう一つ、26ページの「拠出限度の水準」についてであります。現行のDBでは拠出限度額がないので、「現行の企業の退職給付水準を勘案して設定」すると書かれているわけですけれども、それを超えて退職給付が支払われている場合、もしくは支払おうとした場合には影響が出てくると思っております。税制優遇ということで、どこまでということはありますが、もう少し一般的な話だけでなく、実態を含めて見ていきたいと思っているところです。
○山崎部会長
どうぞ。
○内山課長
1つ目の御意見、2つ目の御意見が重なる部分があるかと思いますけれども、双方を1つの限度とした場合に、恐らく影響を与えてくるというのは、その水準をどうするかということかと思います。
特に、DBのほうは、今まで規制がなかったので、これが何かその規制に当たるということになると、よりDBにとっても使いにくくなるということかと思いますけれども、そういった意味で、今、ちょっとどのぐらいの水準にするかというのは、1つの議論ですけれども、現実には、DBの掛金というものは、大方毎月2万円以下で8割ぐらいですし、3万円台で95%ぐらいになりますので、そうしたものも踏まえながら、少し水準の程度というものも考えていく必要があるのかなと思っております。
○山崎部会長
半沢委員、よろしいですか。
○半沢委員
はい。ありがとうございました。
○山崎部会長
では、小林委員。
○小林委員
事業主の立場で発言をさせていただきますと、今の具体的な水準の話もありますが、イコールフッティングという観点からは、現行のDCについて特に制約が多いと認識をしています。DCについてもDBと同様に、基幹的な企業年金制度の1つとして十分構築ができるような枠組みが求められていると思います。
拠出の部分について言えば、これまでも少しずつ限度額引き上げの御努力をいただいてきており、それは非常にありがたいことではありますが、今のアプローチでは限界もあると思われます。
そういう観点で言えば、DBとDCと1つの枠組みで考えるというアプローチは、考え方として理解できるところはあるものの、給付の部分まで含めて考えたときには、特にDBについて、今回の御提案の内容では制約が強まり、むしろ使い難くなっていると捉えざるを得ません。
やはり、各社の制度設計やニーズは、非常に多様であり、制度の実施形態もそれぞれの事業主、企業によってさまざまだと思います。
その中で、制度の選択や組み合わせ、必要水準については、資料にもお示しいただいているような平均値だけで議論することは適切ではないと思います。もう少し良く分析する必要があるのではないでしょうか。
具体的な掛金の水準が最終的には問題になるとは思いますが、税当局との交渉の結果、十分な水準が確保できないとなると、かえって企業年金の普及や拡大を阻害しかねない状況も懸念されますので、慎重な議論が必要であると考えています。
○山崎部会長
補足することはございますでしょうか。
○内山課長
確かに、今、御指摘のありましたように、それぞれの企業の実情とかもありますので、今は基本的には平均の年収や平均の退職金といった資料をお出ししておりますけれども、そうしたそれぞれの企業の実情ももう少し丁寧に見ながら少し具体的な制度、提案にしていきたいと思ってございます。
○山崎部会長
鈴木委員。
○鈴木委員
今の小林委員のお話に私も非常に賛同するところがあるのですけれども、税の話については、今後の検討課題ということになって、今回は述べられていないのですけれども、つまるところ、企業年金というのは、こういう制度であれば、税制上の恩恵がありますよということですので、そこのところの前提がどうなるかによって判断が変わってくるものだと思います。
何かこういう公的年金の補完ですという観点でまとめられていて、それはそれで私も合理的なまとめだとは思うのですけれども、それは当然のことながら暗黙の前提として公的年金の補完としてのふさわしい税制がとれるという前提でありまして、そういうことで議論をして判断した結果、いや税制がとれませんでしたというのだったら、何か今よりも使いにくくなって税制が変わりませんというようなことになれば、それはますます普及しなくなるということだと思うのですね。
ですから、税のことはやはりセットで考えないと、税が取れた場合はこれ、取れない場合はこうだとセットで考えないと賛成していいものやら、反対していいものやらわからないという立場になります。ということが1つです。
それからもう一つは、きょうのこの御議論で、DCとDBの1つの限度額でという私も合理的だと思っています。
ただし、それは公的年金の補完たる制度であって、それに伴う税制上の優遇があるというのが大前提です。
しかし、企業年金には、公的年金の補完ということ以外にも、実は存在理由があると思っていまして、つまり、退職金というものを会社の外に倒産隔離をして積み立てておくということについて、企業年金の公的年金の補完と同等あるいはもしかしたらそれ以上かもしれない存在意義があると思っていまして、そこの部分については国として知らないというのは、いかがなものかということなのですね。
現実に、今の厚生年金基金においても、公的年金の補完たる税制の限度額の部分があり、それを上回る部分も認めているわけですよね。DCは認められていないけれども、DBにおいては、今、限度額がないのですから、これを公的年金、補完ということで考えて、こういう論理構成をすれば、それはおのずと限度額が必ず出てくるわけですね。それはうまくいくかいかないかは別にして、公的年金の補完といった途端に無限に限度額が今のDBのようにないということは多分あり得ないと思うので、そうすると、この組み立てですと、退職金の公的年金の補完たる部分以外の退職金について、事前積立を奨励する企業年金制度はないということになって、それは今より後退ではないかという気がするわけです。
そこについて、どうお考えかというのをちょっとお聞きしたいと。
○山崎部会長
どうぞ。
○内山課長
まず、1点目の税制との関係ですけれども、当然、税制は私どもからすると、税制当局に要望していくということになろうかと思います。
その意味では、確かに税制がどうなるかというのは、今後の形次第ですし、あるいは税制のほうでも、政府税調などでの議論が始まっているという報道もございますので、そういう意味では、そうした税制の動きあるいは税制当局との関係の中で、確かに少しずつ幾つかのバリエーションというのは今後考えられるのではないかと思います。
2点目ですけれども、確かに公的年金のところで要するに税制優遇を受けるような補完の部分の仮に社外積立その税制優遇がなくてもいい部分というのがあるかということなのですけれども、まさにその税制優遇がなくてもよい部分をどうするかというのは、少し委員の皆様方の御意見などもお伺いしながら、少し考えてみたいと思ってございます。
○鈴木委員
その税制優遇がない部分というのは、実は2つあって、今のDB、昔の適年でもいいのですけれども、あるいは厚生年金基金の望ましい給付水準を上回る部分、その事業主掛け金は損金になるわけですね。
事業主掛け金が損金になるには、やはり根拠の法律が要るわけです。適年とか厚生年金基金とか確定給付企業年金、そういう法律の根拠はなくても、自社年金でできるわけですけれども、その場合は損金にはならないです。給与としての課税かもしくは資産課税ということですよね。
ですから、今のDB並みあるいは厚生年金基金の並の事業主掛金損金を認めてもらおうとすれば、やはり根拠法が要るということです。そこのことを言っている。
つまり、法律がなくてもできるではないかと。それはできるのです。資産勘定でやればできるのですけれども、でも法律がないと損金にならないですよねというところについて、それは公的年金の補完に限るのですかということを聞いているということですね。
○山崎部会長
どうぞ。
○内山課長
損金でも、法人税法上の損金ですよね。
○鈴木委員
そうです。
○内山課長
ですよね。なので、そういう意味では、要は税優遇が損金にせよついているという理解。
○鈴木委員
そこはちょっと深みにはまっていくのですけれども、要するに厚生年金基金とか、ここで言っているのは恐らく全然触れられていないですけれども、暗黙の了解として、特法税は非課税だと私は理解しているのです。きょうの議論。
つまり、公的年金に準ずるということであるので、この特法税は非課税だと理解しているのですけれども、そうではないと言ったらまた話が全然違いますよということを先ほど申し上げたのです。
特法税非課税がとれないのであれば、今よりこれ規制が厳しくなりますよねということを言っているのです。またもう一点は特法税課税でも損金にならないですよね、法律がなければということです。
○内山課長
ちょっと今後の姿はあるかもしれませんけれども、現時点で資料をつくっていますのは、現行の税制を前提にしていますので、特法税については、期限つきで、今、課税をされていないという状況、それを、今、前提にしてつくってございます。
○山崎部会長
引き続き、議論をするということで。
村瀬理事長、どうぞ。
○村瀬理事長
○村瀬理事長
今回の資料ですけれども、非常によくまとまっていると思います。
ただ、ちょっと違和感といいますか、イコールフッティングという言葉について、多分経済界並びに年金関係者からの要請というのは、より制度をいい方向へ合わせるためのイコールフッティングという形で御要請を申し上げたのではないかと思います。
ところが、残念ながら、中にはイコールフッティングが特に給付関係のところについては、非常に制約的な問題が出てきているという部分も含めますと、1つ検討の余地があるのではなかろうかと思います。
それで、検討した上で、やはりこういう問題があるからこのイコールフッティングができないのだよという納得感あるデータが出てくればいいのでしょうけれども、それがないなら、ではなぜ限度額を決める必要があるのですかと。限度額を決めるとどういう問題が起こるのですかというところが明示されていないわけでございまして、そういう点では、検討の余地があるのではなかろうかと思います。
それから、柔軟な掛金拠出については非常に前向きな形でいいと思います。
この中で恣意的なという問題がありますけれども、やはり、年金財政をしっかり保っていくということであれば、逆に100%積立を前提で考えた場合に、お金が積めるときに積める。何で悪いのですかという議論もあっていいのではなかろうかと思います。
○内山課長
ありがとうございます。
まさに、今回、資料をおつくりしていますのは、イコールフッティングという観点に立って、このDBやDCの制度をよくするためにはどうすればいいか。特に、DCのほうには、いろいろな制約が強いという御指摘を今までいただいていますので、そういう観点からつくっているつもりでございます。
もっともその中で、今、DBのほうは基本的に制約がないところにイコールフッティングの観点から年金性を高めるとか、そうしたことをどうかという御提案をしているわけですけれども、もちろんこれは事務局で用意した議論のたたき台、取っかかりでございますので、まさに私どもが用意した取っかかりについて、委員の皆様からどういう御意見をいただけるか、どういう評価をいただけるか、そうしたことについて、御意見をぜひいただければと思ってございます。
○山崎部会長
森戸部会長代理。
○森戸部会長代理
幾つかあって、話はまたあちこち行くかもしれませんが、基本的に拠出の部分に関しては、皆さんと同じで、その基本的方向に余り異論はありません。非常に詳しい資料をつくっていただいて、それでかつ方向性についても基本的に異論はありません。
ありませんが、確かに、結局、この税制枠というのですか、それがどうなるか次第では、これは鈴木委員その他、皆さんおっしゃったとおりだと思いますので、確かに何か理論的にはきれいでイコールフッティングなものができたが、しかし何か税制枠がすごいちまちまして結局いじったけれども、やぶへびだったねみたいになると、それは非常にまずいと思うので、それは今後の話としてやはり十分な税制枠なり、そういうものがあることが前提の議論であろうと。
今後の持って行き方というのですか、それは注意しなければいけないだろうなというのは確かに私も思ったところであります。
拠出のところの各論点というか、方向として大きく3つぐらい出ていて、先ほど申し上げたように異論はないのですが、例えば少し柔軟に掛金拠出できるようなという1つ目ですよね、これなども現実としてやはりもちろん例の恣意的な税逃れを認めるようなものはいけませんけれども、しかし、現実として企業年金をやることが経営上のメリットがあるような方向をつくるということはいいことだと思いますし、そのことと企業年金の普及をうまくリンクさせるというか、企業年金普及のドライブにするというのは望ましい方向だと思うのです、ぜひそういうリンクがうまく行くように考えていただきたいと思います。
それから、DC・DBまさにイコールフッティングで同じ限度額一体で考える。これもそれでいいと思いますし、ただ、代替か補完かという話を先ほど平川委員などからも問題提起がありましたが、私はこんなことを言うと実もふたもないのですけれども、代替も補完もそんな大して意味は変わらないだろうと思っていまして、現実として公的年金がもう余りこれからそんなに伸びない、どちらかといえば減っていくことは事実なので、これを前提とすると、いずれにしても、公的年金が落ちないように頑張るとか、何か措置を講じるという、そちらの措置はあると思うのですけれども、公的年金がどうなるかが先に決まるので、それに応じて代替にせよ、補完にせよ、企業年金のあり方を考えて行かざるを得ないというのが現実なのかなと思っています。
むしろ、連動すべきかどうかという話で言えば、単純に言えば、公的年金がマクロスライドで減っていくのだったら、逆マクロか何か知らないですけれども、企業年金の税制枠はそれに従って広がっていくような仕組みがむしろ自然かなと私は思うぐらいです。
先ほどの事務局の案とは違いますけれども、そのほうが理屈としてはむしろ合うのではないかと思っているぐらいではあります。
それから、あと、DB・DCのこれまでの違いとか、イコールフッティングを議論する前提で出てきましたが、御承知のとおり、DBは元の退職金の性格をかなり引きずっていて、その結果、いわゆる懲戒解雇とかになった人について退職金を没収するとか、減額するとか、バッドボーイ条項などと言いますけれども、そういう退職金にある制度がそのままDB法にも実は書かれていて、そういうことができるようになっているのですね。
DCのほうは一定年限たつと、そういう措置ができないので、そういうものも違うことになっていたのですけれども、そういうこともどうするかというのは、細かい話ですけれども、考えなければいけないのかなと思います。
それから臼杵委員がおっしゃった過去拠出し切れなかったというか、その分の枠が余っているのを年をとってから企業年金の枠に使えないかという話はどうかということですが、私もなかなか難しい面があると思いますが、検討はぜひすべきではないかと思っていて、やはり人生いろいろ波があるので、若いうちなどは全然苦しかったけれども、ある程度余裕が出たというときに、昔積めなかった分を積めるということ自体が理屈としてまさに公的年金を補う老後のための制度として、そんなに理屈としておかしいとは思いませんので、そういうことは考えてもいいのではないかなと思います。
それから、まだあと2つぐらいありまして、済みません。
今回の議論、まだ拠出の部分だけですけれども、拠出という点でも例えば先ほどもちょっとこれも臼杵委員から出ましたか、企業年金がない人とか、あるいは非正規の方の企業年金とか、公的年金の補完はどうするのだということは問題としてあると思います。
これは、今後のそれこそ個人型はどうするかとか、そういう議論の中で出てくる話でもありますが、労働法的に言うと、労働契約法20条というものができて、一応、非正規、正規で労働条件に不合理な差があってはいけないというような結構インパクトのある規定ができましたので、そういう問題にも企業年金の話もなってくるのではないかなと思います。
それから、最後ですが、鈴木委員の問題提起はそのとおりだと思います。これも先ほどの税制枠がとれるかという話とリンクしますけれども、確かにかえって退職金、企業年金というものはいい意味でも悪い意味でも何となく退職金の性格も持ちつついろいろな機能を果たしてきたのを、理屈を整理し過ぎて、かえって使いにくくなってしまうというのは、それはよくないだろうと思います。
なかなか難しいのですけれども、私、何年か前に年金シニアプラン総合研究機構、あそこで臼杵委員とか、たしか審議官とかも一緒に研究会をやっていて、そのときに理想的な企業年金のあり方みたいな研究をしていたのですけれども、別に宣伝するわけではありませんが、そのときは、要するにどれだけ企業年金が理想のというのですか、どれだけ老後所得保障制度としてちゃんとしているかによって、段階をつけてすごくちゃんとしていたら、税制優遇がいっぱいあって、ちょっとぐらいちゃんとしていたら税制優遇が半分ぐらいとか、非常にざっくりとしたものですけれども、そういうイメージで考えて、例えば整理したらどうかという案を出したのです。
鈴木委員がおっしゃったようなことも、つまり最低限外に積むだけでもやっていたら、ちょっと優遇してやれよと。さらに老後の所得保障にとっていい制度になっていたらもっと優遇してやれよとか、例えばそういうイメージで整理することで、何か変な制度にならないような措置は講じられるのかなと思いました。
実際にどう仕組むかはかなり難しいのですけれども、イメージとしてそういうものも少し参考になればと思いました。
以上です。
○山崎部会長
ありがとうございました。
一通り御議論いただいたと思いますので、後半に移りたいと思います。
「給付時の仕組みのあり方」につきまして、委員の皆様から時間の範囲内で御意見等をいただければと思います。
事務局から。
○内山課長
今、森戸委員から御指摘がありました懲戒解雇のとき、DBは基本的には年金をもらえないように、企業のほうに戻すこともできるし、DCの場合は3年以上だと基本的には年金が支給されるようになってございます。
今回は、DB・DC特に給付と拠出に着目して整理をしましたので、そうした先生言われるようなバッドボーイ条項につきましては、また後の回で少し整理をさせていただきたいと思います。
また、個人型DCについても、また次回以降の議論でまた資料を用意して整理をさせていただきたいと思います。
○山崎部会長
いかがでしょうか。
後半ですが。
臼杵委員、どうぞ。
○臼杵委員
済みません。
まず、大きな話としては、こちらの参考資料2-2の5ページの企業年金研究会というところの報告がありまして、それでこの四角の真ん中から少し下の辺「次に」と書いてあるところなのですけれども、ここがやはりちょっと一つのポイントかなと思っています。一々読み上げませんけれども、何が書いてあるかというと、要するに老後の所得保障機能をより強化するために、規制強化をする場合には、老後の所得保障が確実になるのだけれども、企業年金制度を企業の退職給付制度として活用するのが困難となると、そのために企業年金制度自体が活用されなくなるということが書いてあるのですね。
だから、実施率が低下する。きょうのお話は大きな流れとしては、年金としてしっかりした内容の制度にしようということで、特に前半のほうはそんなに私は違和感はないのです。けれども、ただ、やはりそこは常にトレードオフがあるということを、今のものに書いてあったように考えていかなければいけなくて、厚年基金が事実上なくなるか、なくなるのではないけれども、だんだん少なくなっていくという中で、企業年金制度をもっと普及させようというのが、多分、この部会の1つのテーマだったと私は理解しています。そういう意味では、年金として理想を追求するのはもちろん大事だとは思うのですけれども、ただ、やはりそこは順序とか、今の状況とか、時間軸とかが必要なのかなという気がしています。
特に、後半の給付については、やはり例えば、DBの支給開始を60歳以上にするとか、中途引き出しは、基本的には認めないという話があったりもして、それだとやはりなかなかDBは使いにくいのかなと。逆にDCの中途引き出しは、これは少し認められるようになるのかどうかとは思うのですけれども、例えば、住宅を建てるというのはその分、家賃を払わなくていいわけでやはり老後の資産になりますのでもう少し柔軟に認めてもいいのかなというような気はいたします。
あとは、引き出しについてもう一つポイントになるのは、退職一時金の税制をどう見るかというところで、例えばペナルティータックスをとったとしても、その際にどこにペナルティーをかけるのかが問題になります。退職所得控除をしてさらに2分の1になったところにペナルティーをかけるのか、そもそも引き出した全部にペナルティーをかけるのかというところもよくわからないですし、今、最後のところで年金をデフォルトにするという話も、これは私はそんなに悪いことではないと思いますけれども、ただ、やはり、今の一時金の税制を前提にすると、かなり厳しいものがあって、逆にやはり企業年金を普及するのを阻害する可能性があるのではないかと思っています。、給付のところについては、もう少し検討して我々も事務局も知恵を絞っていく必要があるのではないかと思いました。
以上です。
○山崎部会長
どうぞ。
○内山課長
給付のほう、ありがとうございました。
今回の議論で、もちろん企業年金、きょうの補足資料でも出させていただきましたけれども、今、カバーされている方が4割弱という状況の中で、この企業年金をより広く普及させようというのが1つの大きな目的であることは間違いないかと思います。
その一方で、御案内のようにDCを導入したときにも議論になりましたが、税制の優遇があるという観点から、年金と貯蓄との差なりというものが非常にこれまで議論になってきておりまして、年金性を高めるというのは理想の追求という面もあるかもしれませんけれども、そういう意味では税制との関係では、年金性を高めることが税制優遇につながるということもあるかと思います。
その一方で、おっしゃられるように、現実の時間軸などが必要という御意見もいただきまして、先ほども少し御説明をしましたが、一定程度の慎重な経過措置なり、そうしたものも必要かなと思ってございますけれども、そのあたりのことは、また、今の現状も踏まえまして、委員の皆様の御意見も伺いたいと思ってございます。
もう一点、退職一時金の税制につきましては、きょうでは説明を省略しておりますけれども、参考資料の37ページには、例えば退職金、今の給付税制の違いなども整理をしてございますし、先ほど少し御説明しましたように、政府税調などでは所得税の見直しの議論が始まっていて、配偶者控除のほかに、新聞報道によりますと公的年金控除も対象になっているやの報道もございますので、そうしたものも踏まえながら、検討を進めていく必要があるかと思ってございます。
○山崎部会長
小林委員。
○小林委員
先ほど、臼杵委員からお話がありましたとおり、給付に関する御提案の内容では、特にDB側にとってむしろ規制が強まるという印象を拭えないところであり、慎重に議論をさせていただきたいと思います。
実態として、老後の生活保障は、企業の退職給付制度を実施するに当たって、重要な役割、機能だと認識をしていますが、事業主はそれだけを目的にしているわけではありません。
例えば、優秀人材の引き留や、労働移動の円滑化等その他の機能も当然あわせ持っており、歴史的な経緯も含めて、労使での約束は引き続き一時金で行っている実態もあり、そこはきれいに理屈だけで整理し切れないという現実があると思います。一方で、本人のニーズを考えても、一概に一時金が悪く、年金のほうが常に一時金より老後の保障機能が高いという議論については疑問を感じます。この点については、引き続きよく議論をさせていただきたいと思います。
○山崎部会長
どうぞ。
○内山課長
本日の資料でつけておりませんけれども、これは検討課題の整理のときにも御議論していただいたことで、検討課題の整理の中では、企業年金制度は、老後の所得保障を担うものであるので、終身年金であるべきという御意見もありましたし、その一方で、今、臼杵委員や小林委員から御発言ありましたように、退職金制度と老後所得保障としての2つの制度、2つの観点を踏まえて議論をすべきという御意見もありましたので、そうした点を引き続き御意見をいただければと思ってございます。
○山崎部会長
関連してですか。
どうぞ、森戸部会長代理。
○森戸部会長代理
済みません。給付について、いろいろまだ私も意見がありますけれども、とりあえずきょうは今のを受けて一言だけ。
結局、税制あっての企業年金だということはもう明らかで、では税制はどうなっているかというと、明らかに退職一時金について、非常に優遇された退職一時金についての税制があると。これが現実ですよね。
それで、これは事務局に本当は聞きたいけれども、どうせ答えてはくれないでしょうけれども、つまり、税当局の動きとして、いろいろ税の見直しの動きがあって、この一時金優遇はよくないぞと、これはおかしいではないかといって、むしろ何かそういう圧力がかかっていて、そういうのだから、先手をとって、企業年金として何かちゃんと形を整えた制度にしていくのが必要だということでこういうことになっているのか、それとも、そういうわけではないけれども、やはり企業年金制度としてちゃんとしていきましょうという、ある意味先手をとっている話なのか。
これはつまり、何か変に先手を取り過ぎて、税制優遇を失ってしまって、しかしそんな大していい制度ができなかったとなるのが恐らく皆さんの懸念していることなので、そこは何かもう一時金優遇税制を潰すぞと言われていて、それだったらちょっと企業年金としてちゃんとしたものにしないとまずいなということ、では恐らくないと思うので、これを議事録に書くと何言っているかちょっとわからない発言な気がしますが、皆さん趣旨はわかっていただけると思うので、税制の動きを何か見極めつつの議論というのですか、それはうまく慎重に政治的な話もいろいろあると思うのですけれども、する必要があるのかというのは強く思いました。
済みません、余計なことで。
○山崎部会長
半沢委員。
○半沢委員
給付時の仕組みということで、一時金の選択が多いというようなお話がありますが、もちろん退職した後の生活の支えとしては、年金として安定してもらえるのであれば、それが一番私どもとしても生活に役立つと思っています。そうは言っても、一時金が多いというのは、やはり年金としてもらい続けることに対して、何らかの不安が、途中でもらえなくなってしまうのではないかとか、そういう不安がやはりあるので、一時金として確実にもらえる、かつ税制も優遇されるこの時期に引き出しておこうというような心理がやはり働いているのは事実だと思っております。そのような意味で、やはり安定した給付がもらえる仕組みをきちんとつくっていくことが広い意味で年金支給を促すことになるのだろうと思っています。
そういう前提において、79ページの論点にあるように、中途引き出しのあり方についての意見をつけ加えますが、支給開始年齢に到達するまでの間は原則として中途引き出しは認めないことを前提としながらも、ただし、生活の困窮等の不測の事態は認めるということに関しては理解できると思っています。
例えば、いろいろなケースが考えられまして、ある程度の年齢を迎えたときに、企業の転籍が雇用管理上行われるような場合もありますし、また、企業再編であるとか、こういったことも最近は頻繁に行われているわけであります。基本的には次の議論のテーマでありますポータビリティをきちんと全方位に向けて構築していくことが望ましいわけなのですけれども、そうは言っても、そのような労働者の責によらないような場合というのは起こるわけでありまして、そのような場合については、やはり中途引き出しは認めていってもよいのではないかと思っているところです。
○山崎部会長
ありがとうございました。
ほかに。
白波瀬委員。
○白波瀬委員
ちょっと今の心理的なところなのですけれども、やはり一時金としてこれだけの多くの方が退職金としてもらっていらっしゃるというのは歴史的な既存の規範のもとに成り立っていて、ただ全体の方向性、将来的な方向性としては、やはり選択はあるべきと思いますので、それを貯蓄として持って、次に運用するというやり方も多分あるかもしれませんから、そういう選択制というのはどこかで担保するべきだと思うのですけれども、ただ、企業年金のあり方としては、こちらの選択のほうが得ですよという誘導はある程度あっても全体の制度のサスティナビリティーという点から考えるとよろしいのではないかと思います。
それで、今、半沢委員もちょっとあったのですけれども、日本人の中で、やはりどうして一時金にするかと、やはり将来なくなるのではないかみたいなものがあったりとか、あとは社会学でもちょっと研究があるのですけれども、経済的に困っている人というのは、非常に即時的で我慢しないですぐ使ってしまう。ただ、やはり教育程度が高かったりとか、将来的な見通しがある人に限って、ちょっと我慢していいものをとるという心理構造というものが既にもう検証されておりますので、このあたりのことも要するにつまり年金制度としての教育もかなり小さいうちから入れていって、それは絶対なくなることはないというようなこととかを教育として入れるというのももしかしたら必要かもしれないと思いました。
以上です。
○山崎部会長
小林委員。
○小林委員
年金と一時金の選択状況のデータについて、運用実態とややずれがある印象を持っています。ここで御提示いただいているデータの前提は、DB制度のみを実施する事業所の退職者の方となっています。
例えば、DBのところで一時金72%とありますが、これは制度全体としてどのような設計になっているかによってもかなり影響されているのではないかと思います。DCについても、これは逆に、現状、制度設計にかなり制約がある中で、例えば前払いで代替している仕組みがあるなど、制度構成全体の影響が当然あると思いますので、単純に加入者の行動だけが問題なのではないと思います。
○山崎部会長
そのほか、特に。
平川委員。
○平川委員
ありがとうございます。
一時金か年金かの話で議論がございましたけれども、基本的には公的年金の補完という方向の制度でございますので、現実的には一時金が多いという率直な状況もありますけれども、方向感としては、やはり年金という方向で検討していくのが大原則ではないかと思っています。
特に、公的年金を見ますと、繰り上げ支給する方が大変多いです。それによって、低年金で生活せざるを得ないという方も大変多いという状況もありますので、そういう状況を見ますと、やはり企業年金に関しても、今寿命も大変伸びておりますので、そういうことも含めて個別の働く者からすれば、一時金のほうが安心できるという声が大変多いのは率直な状況ではありますけれども、全体的な寿命が延びていくという中では年金という方向に少しでも促していくのが適切ではないかと思います。
それから、83ページの3つ目の丸で、「一時金選択の意思表示を行わなかった場合には、あらかじめ設定された特定の年金商品を選択したものとみなす措置を講ずることとしてはどうか」という記載がありまして、これも1つの考え方ではあるのですけれども、一方で、保険業法では本人の意向確認が厳しく求められているということもあります。本人の意思表示とは何かということも含めて、もう少し深く検討していく必要があるのではないかと考えております。
以上です。
○山崎部会長
国民年金では、かつはて繰り上げ受給が非常に多かったのですが、最近は65歳受給という方がふえてきております。
ただ、繰り下げというのはほとんどないということも事実でございます。
ほかにございますでしょうか。
井戸委員。
○井戸委員
ありがとうございます。
中途引き出しのことなのですけれども、住宅ローンも資産だからという臼杵委員の御意見もありましたけれども、私は転職とかリストラとか、資金ショートして一時金がほしいとか、そういう個人の状況を全部加味するのは大変だし、それはDCではなくて、もっと違う制度でしてもいいのではないかと思うのです。
例えば、雇用保険とかが該当するかと思うのですが、だから余りここのところをずっと企業年金ばかりで議論するのはちょっとどうでしょうか。
○山崎部会長
議論は尽きないようですが。
村瀬理事長。
○村瀬理事長
済みません。
既に皆さん方御存じだと思いますけれども、現行のDB制度のほうはほとんどが退職一時金制度の年金化という形になろうかと思います。
したがいまして、中途引き出しの問題であるとか、一時金選択時の減額の問題等が案の中に入っておりますけれども、原資自体から考えると、やはり従業員の立場から言えば、決して許せるものではないのだろうと思います。
そういう点で、年金化を進めるということ自体、個人的には反対ではありませんけれども、全てが年金化ではなくて、やはり一時金と年金の選択の問題、それから制約をできるだけ少なくするということは、非常に大事なことではないか。
また一方、企業によりまして、多分、一時金と年金、それもDB・DCとセットして1つの思想でもっておやりになっているところもあるのだろうと思います。
そうしますと、そういう思想でもってやられている自由設計のプランが今回の制度改定によって崩れることはやはりあってはならないのだろうと思いますので、その点については、よくよくヒアリングをした上で、どういう考え方をもって現在のDB・DC制度をおやりになっているのか、それから退職一時金とのバランスはどうなっているのかということまでお調べいただいて、制度設計をしていただけたらよろしいのではないかと思います。
○山崎部会長
ほぼ時間になりましたので、引き続き、次回以降継続して議論させていただくということにしたいと思います。事務局におかれましては、きょうの議論を整理した上で、必要な補足資料も用意していただきたいと思います。
次回以降について、事務局から連絡はありますでしょうか。
○内山課長
また、次回のこの企業年金部会の開催日時は、事務局から各委員の御都合をお伺いした上で正式に御案内をお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。
○山崎部会長
それでは、本日の審議は終了いたします。
どうもお疲れさまでした。
(了)
団体