第23回社会保障審議会
年金部会(議事録)
日時
令和6年12月10日(火)14:00~16:30
場所
東京都千代田区平河町2-4-2
全国都市会館 3階 第1会議室
出席者
会場出席委員
菊池部会長 玉木部会長代理
出口委員 小野委員 小林委員 是枝委員 佐保委員 島村委員 たかまつ委員 永井委員 原 委員 平田委員 堀 委員 百瀬委員
オンライン出席委員
権丈委員 駒村委員 武田委員 嵩 委員
議題
(1)被用者保険の適用拡大及び第3号被保険者を念頭に置いたいわゆる「年収の壁」への対応について②
(2)基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了(マクロ経済スライドの調整期間の一致)について②
(3)遺族年金制度について②
議事
議事内容
○総務課長 ただいまから、第23回「社会保障審議会年金部会」を開催します。皆様、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。
本日は、たかまつ委員がまだ到着されておりません。また、小林委員は途中退席される御予定です。
権丈委員、駒村委員、武田委員、嵩委員はオンラインでの御参加です。
出席委員が3分の1を超えているので、会議は成立しています。
続いて、資料を確認します。傍聴者の方は、厚生労働省のホームページから資料を御覧ください。
本日の資料は、議題(1)について資料1、議題(2)について資料2、議題(3)について資料3を事務局で用意しています。また、権丈委員から資料の提出がありました。
事務局からは以上です。
以降の進行は菊池部会長にお願いいたします。
○菊池部会長 皆様、こんにちは。本日も、大変お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
まず、カメラの方はここで退席をお願いいたします。
(カメラ退室)
○菊池部会長 それでは、議事に入らせていただきます。
本日は、「被用者保険の適用拡大及び第3号被保険者を念頭に置いたいわゆる『年収の壁』への対応について」「基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了(マクロ経済スライドの調整期間の一致)について」「遺族年金制度について」、以上3つを議題といたします。
それでは、早速、議題1につきまして事務局から御説明をお願いいたします。
○年金課長 年金課長でございます。
私からは、議題1に関連して資料1を御説明します。
資料1は2つに分かれておりまして、適用拡大と年収の壁への対応ということで、11月15日に議論いただいたものを踏まえて整理が必要とされた事項について、本日再度お示ししています。
3ページは11月15日に示した見直しの方向性でこのうちの賃金要件については引き続き議論が必要となりました。
4ページを御覧いただくと、11月15日の意見を踏まえた見直しの方向性の案を整理しています。
まず①賃金要件の撤廃については、撤廃してもいいのではないか、労働時間のみで判断するべきではないかという御意見をいただいた一方で、4つ目のポツですが、最低賃金を減額できる特例の方がいらっしゃるので、賃金要件を撤廃する際にはそういった方、主には障害者の方が多いということですので、その雇用への影響の配慮が必要ではないかという点をいただきました。
それから、その下の②ですが、週20時間以上の労働でも最低賃金の関係で賃金要件を満たさない場合があることについて、これは現在の最低賃金だと、12の都府県は最低賃金を満たすと週20時間労働で賃金要件を超えますが、それ以外の地域ははまだ越えていないので、越えることを前提にすべきではないかという御意見です。
それから③では適用拡大のメリットの周知の必要性を指摘頂いております。
それらを踏まえて、一番下ですが、見直しの方向性案を今回お示ししています。
まず、最初の2行のところは11月15日の年金部会と同様で、賃金要件が就業調整の基準として意識されていること、最低賃金の引上げに伴って本要件を満たす地域、事業所が増加したことを踏まえて、この要件を撤廃してはどうかとしています。
その際には、最低賃金の動向次第では賃金要件を満たさないこともありますので、御指摘を踏まえ、撤廃の時期は配慮してはどうかとしています。
それから、最後の「また」以下ですが、最低賃金の減額特例の対象となっている賃金が低い短時間労働者の方については、希望する場合に、事業主に申し出ることで任意に加入できる仕組みとしてはどうかとしております。
5ページは、医療保険部会における賃金要件に対する御意見になります。
6ページは、この賃金要件の話も含め、今般の見直しを行った場合のイメージになります。左側は見直し前で、50人の企業規模によって上と下に分かれていますが、見直し後は企業規模要件が撤廃された場合には、全ての企業において右のような形になります。106万円の賃金要件を撤廃した場合には、就業調整の基準となる金額がなくなり、年収を意識する必要がなくなる、あるいは賃上げに伴う就業調整が生じなくなり、適用については年収にかかわらず週20時間以上をベースに適用していくという形です。学生は引き続き除外というイメージです。
7ページは、適用拡大の進め方のイメージです。これについては、懇談会あるいは年金部会の議論を踏まえて、以下のようにしてはどうかと考えております。
まず賃金要件の撤廃について、これは最低賃金の動向を踏まえつつですが、時期に配慮しつつ施行してはどうかと考えています。
その次に企業規模要件の撤廃について、今回見直す場合には50人以下の中小企業になりますので、そこへの配慮や十分な周知・準備期間を確保するという観点で2番目に置いています。
それから、一番下は非適用業種の解消で、この場合は個人事業所になりまして、フルタイムの方も適用対象になることから、さらに十分な周知・準備期間を確保してはどうかとしています。具体的な施行期日は今後検討してまいりますが、進め方としてはこういうイメージではどうかと考えています。
続いて8ページ以降は、もう一つのテーマである、第3号被保険者制度を念頭に置いたいわゆる「年収の壁」への対応です。
これについては、事務局から保険料負担割合を任意で変更できる特例というものを提示させていただき、それに対して多くの意見をいただきましたが、9ページと10ページにまとめています。
幾つかに分かれていて、労使折半の原則との関係について幾つかいただいており、10ページでは、中小企業への影響あるいは配慮についていただいています。
医療保険部会においてもこの特例案に対するご意見をいただいておりまして、そちらは11ページの内容になっています。
以上を踏まえて、事務局のほうで論点と考え方を整理したのが12ページと13ページになります。
まず12ページですが、1つ目は労使折半の原則についての論点になります。その下が、この論点についていただいた意見を私どものほうでまとめた内容でして、目的を明確にした形で、時限措置で対象者を限定した形でやる必要があるのではないか、あるいは保険料拠出の性質を考えて、受益が間接的であること、あるいは今の折半の負担の比率は労使が対等の立場で貢献しているということもあるので、これを変える場合には、年金受給権の意味あるいは保険運営の在り方にも影響してくることに留意する必要があるのではないか。こういった御意見をいただいたところです。
これを踏まえて、下の矢印が考え方の整理ですが、年金では、健康保険における負担割合変更とは異なって組合自治という観点がなく、負担と給付が連動しているという点が異なる事情になっていること、そういう意味では、仮に年金制度においても健康保険と同様にこのような負担割合の変更が可能な制度を導入する場合であっても、以下のように時限措置とする、あるいは対象者を限定した上で、引き続き労使折半を原則としつつ、特例的な形で実施してはどうかと考えています。
時限措置については、被用者保険の適用拡大の施行状況も勘案した形での時限として、それから対象者については、保険料負担による手取りの減少が今般の施策の目的ですので、この範囲内を視野に置いて、例えば対象の標準報酬を12.6万円以下に想定してはどうかとしています。
それから2つ目は、中小企業への配慮ということで、御意見としてはその下の○ですが、利用できるのは大企業が中心になり、利用できる企業とそうでない企業との格差を招くのではないか、あるいはこういった措置を導入する場合には保険料負担の軽減策も必要ではないかということをいただいています。
企業規模によらず、なるべく多く利用していただきたいという観点からは、この対象を大きく広げるのではなくて、あくまでも被用者保険の適用に伴う壁を意識する可能性の範囲内、これは上に示しましたけれども、対象範囲について限定した形で利用していただいてはどうかと考えています。それから導入に向けた検討を進める場合には、企業側の保険料負担についても何か検討してはどうかと考えています。
続いて、3つ目の論点は、13ページですが賞与を対象にすることについてです。この点については特段の御意見はいただいておりませんでしたが、現行でも賞与を念頭に社会保険加入を躊躇することがあり得ること、あるいはキャリアアップ助成金や健康保険でも対象に含めているという観点から、事務負担のことも考慮して、賞与も対象としてはどうかと考えております。なお、その場合でも、対象が標準報酬月額で12.6万円以下の方を想定しているので、その方々に支給される賞与が対象になります。
それから、同一等級に属する方の負担をどうするかという論点もあり、これについては、例えば同じ12.6万円の標準報酬に該当する方で、人によって保険料負担が異なることになることをどう考えるか。例えば新しく採用された方は企業の負担割合が多いけれども、そうでない人は折半になるのは適当ではありませんので、公平性を確保して企業で導入しやすくする観点から、この制度を利用する事業所で同じ等級に属する方については、本人負担割合もそろえることにしてはどうかと考えております。具体的な割合は、事業所単位で任意で設定可能なものにすることで考えています。
以上を踏まえて14ページは、前回提出したものから本日の整理を加味した形で案としています。様々な御意見があると思いますが、仮に導入する場合ということで以下のようなものが考えられるとしています。
見直しの方向性は前回と同様で、原則折半であるところを、適用に伴う保険料負担の発生と手取り収入の減少を回避する、そういう就業調整層を念頭に置いて、健保法の特例を参考に、任意で事業主と従業員の合意に基づいて負担割合を変更できる特例を設けてはどうかと考えています。この措置については、労使折半との関係から例外的な特例であることを踏まえて、時限措置にしてはどうかと考えています。それに加えて、より広く活用されるような環境整備が必要と考えています。
給付については、保険料負担の総額は変わらないため、現行どおりになります。
特例を適用した場合の手取り収入のイメージを左の下に示しています。現行制度で106万円、標準報酬8.8万円に達して適用されると手取りが減り、そこからまた上がる構造になりますが、特例を適用した場合には事業主が多く負担する形になるので、被保険者本人の手取りは増える、これを赤い線で示しています。こういった形でなだらかに負担が増えるということで、壁を乗り越えやすくなることを想定しています。
それから、右側は利用できる標準報酬の範囲や同一等級に属する者の取扱いを書いています。ボーナスについても対象とすることを可能とするとともに、厚生年金と健康保険の両方またはどちらかを利用することを可能とすることとしています。
以上が提案でして、15ページからは、前回第3号被保険者についても議題として議論いただいた際の御意見を15ページから17ページまでまとめています。
ここまでが本資料、以下は参考資料です。参考資料は基本的に前回と同じものですが、新しい資料が2枚あるので御紹介します。
20ページは最低賃金の減額特例許可制度についてで、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として、個別にこういった特例が認められています。(1)から(5)まで類型が定められていて、件数は下のとおりですが、多いのは断続的労働に従事する方、それから障害をお持ちの方になります。
それから、もう一枚新しい資料は29ページです。いわゆる106万円の壁を意識している第3号被保険者の推計で、昨年9月の年金部会でも同じものを提出して、そのときは約60万人という数字でした。その後、この推計の出典である公的年金等加入状況調査が、前回は令和元年のものを使っていたところ、令和4年のものが公表された数字をアップデートしました。その結果、前回は約60万人だったところが、赤い四角で囲った方を合計すると、今回は約65万人という人数になります。この方々が106万円の壁を意識していると推計される方ですが、実際にはこれらの方々の中にも就業調整を行わずに適用を希望する方や、たまたま年収がこの水準にとどまっている方がいらっしゃいますので、最大値としてこれぐらいという推計になります。
資料1については以上です。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、御説明いただいた議題1につきまして、皆様からの御意見等をお願いしたいと思います。
いつものように会場からお願いできればと思いますが、是枝委員、お願いします。
○是枝委員 事務局の提案におおむね賛成いたします。
賃金要件を撤廃するに当たり、最低賃金の減額特例の対象となる者について例外を設けるということは、障害者の雇用を守る観点から必要ではないかと思います。
適用拡大実施の順番についても、賃金要件、企業規模要件、非適用業種の順とすることに異論はございません。ただ、遅くとも次の2029年の財政検証の頃までには非適用業種の解消まで実施していただきたいと思います。
年収の壁への対応案として保険料負担割合を変更できる特例については、昨年9月の第7回年金部会にて私が提案したものですので、これも賛成いたします。ただし、私も決してこれを積極的にやりたいというわけではありません。本来、年収の壁をなくすには、週20時間未満の方も含めて、全ての労働者が同じ保険料率で保険料を納め、報酬比例年金を受け取るという形にするのがベストです。しかし、すぐに週20時間未満への適用拡大ができない中、年収の壁への対応を何らかしなければいけないということですので、相対的にはこの案がましなのではないかなと思います。この辺りは権丈委員と同じ意見です。
また、年収の壁ということですと、学生の扶養基準について、健康保険の扶養の上限を引き上げることを検討していただきたいと思います。先日、自民、公明、国民民主の3党が特定扶養控除の対象の上限とする年収の引上げに合意したと報道されました。特定扶養控除の対象とする上限年収が130万を超えて引き上げられた場合、健保の扶養基準の130万円が学生にとっての新たな就労調整の壁ということになります。せっかく特定扶養控除の上限が引き上げられても、健保の扶養基準が130万円のままでは、学費などを賄うために働きたい学生が十分に働くことができません。本日、保険課長もいらっしゃっていますが、これは課長通知を一本出せば法改正をせずに来年からでも実施できるものですので、ぜひ御検討をよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
小林委員、お願いします。
○小林委員 御説明ありがとうございました。
初めに、適用拡大について意見を申し上げます。
まず賃金要件についてですが、仮に廃止するのであれば、最低賃金の動向により、全国47都道府県で8.8万円の賃金要件が実質的な意味を持たなくなる時期を踏まえて、廃止すべきだと思います。その後、パート労働者がどのように働くかは人それぞれだと思いますが、社会保険に加入してもらうことになる場合は、企業も半分保険料を負担することになりますので、その費用と事務の負担の増加が懸念されるということについては、改めて申し上げておきたいと思います。
企業規模要件については、例えば、小規模事業者の基準である20人で一旦区切るなど、事業者の実態に配慮していただきたい、特に、準備に向けた時間を十分にお取りいただくなど、丁寧に進めていただきたいと思います。
また、ここに来て突然提案のありました保険料負担の割合を変更できる特例制度については、企業間格差を生む要因となりかねず、賛成できません。そもそも国が全国の統一の制度として実施している公的年金制度について、労使折半ルールの原則を変更し、個別企業に保険料の設定を委ねることに強い違和感があります。
現在、多くの中小企業は、収益が上がらない中でも必死の賃上げ努力をしています。賃上げ原資確保に苦しむ中で、保険料の増加に耐えられる中小企業が多いとは考えられません。人手不足だから待遇を改善したらよい、というのは一面の理屈であって、負担余力がない現実を理解していただきたいと思います。
資料に、中小企業の保険料負担軽減策についても検討してはどうか、との記載があります。内容が分からないとコメントができませんが、中小企業の経営に負の影響が生じないようにしていただくこと自体はぜひお願いしたいと思います。
しかしながら、繰り返しになりますが、本来的な対策の在り方として、御提案の特例のようなイレギュラーな措置は導入いただくべきではない、というのが私どもの意見です。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
まず適用拡大についてですが、賃金要件の撤廃、企業規模要件の撤廃、非適用業種の解消に賛同いたします。
一方で、雇用形態、企業規模や業種によって社会保険の適用の有無が変わることは不合理であり、以前から申し上げておりますが、5人未満の個人事業所への適用拡大も進めるべきと考えます。
また、労働時間要件については、現行の20時間という要件を維持する方向性が示されておりますが、雇用保険の適用拡大を踏まえ、今後、労働時間要件の引下げに向けて議論を進めていくべきと考えております。
なお、制度の誤解による就業調整を防ぐため、制度内容の周知や社会保険の加入による給付の充実など、理解促進に向けた取組を強化すべきであると考えます。
次に、第3号被保険者制度については、議論の整理において将来的な廃止の方向性を明記すべきであると考えます。働き方やライフスタイルが多様化する中で、配偶者の働き方などで該当するかが決まる第3号被保険者制度は中立的な制度とは言えず、また、女性のキャリア形成を阻害し、男女間賃金格差を生む原因の一つとも指摘されております。
なお、適用拡大を進めたとしても、第3号被保険者が一定数いることを踏まえ、段階的、経過的な措置が必要と考えます。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、小野委員、お願いします。
○小野委員 ありがとうございます。
被用者保険の適用拡大について、4ページの最低賃金の動向を踏まえつつ、本要件撤廃の時期に配慮や、最低賃金の減額の特例の対象となる短時間労働者について、希望する場合に任意に被用者保険に加入できる仕組みという部分ですけれども、時限的ないしは例外的な該当者に対しては、標準報酬等級を下に拡大して健康保険の等級を適用するというのが私は自然だと思いました。いたずらに時期を引き伸ばしたり、任意規定を導入したりすることは好ましくないと考えます。
同様に、7ページの適用拡大の進め方ですけれども、少なくとも次期財政検証までには完了しておく必要があると思います。
次に、いわゆる年収の壁への対応について、12ページの導入に向けた検討を進める場合は企業側の保険料負担軽減についても今後検討してはどうかという部分ですけれども、これは年金制度の枠内で保険料が軽減されるということでしたら、その財政的な影響は公的年金制度全体にも及ぶ可能性があります。また、公的年金の枠外で支援金を提供するということでしたら、また新たな財政負担が生じます。いずれにしましても、この部分は強い違和感を持ちます。
次に、第3号被保険者の在り方に関しては、過去縷々申し上げてまいりましたので、今さら繰り返すつもりはありません。ただ、廃止を主張される場合には、公的年金の設計思想が変わるということになるわけですので、整合性が確保できるよう、具体的な制度全体の設計をお示しいただく必要があるのではないかと思います。
ちなみに、公的年金は社会保険ですので、老齢給付のような保険料の拠出実績との牽連性が強い給付とともに、遺族、障害のような必要給付の観点から牽連性がやや弱い給付があり、この点は個人単位化が進んだとしても、いわゆる私保険のような捉え方はできないということについては留意すべきだと考えます。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
出口委員、お願いします。
○出口委員 ありがとうございます。
賃金要件の撤廃も含めて適用拡大を進めることについては、異論はございません。ただし、施行時期については、対象となる事業所等に十分配慮いただくべきだと思います。
なお、労働時間要件につきましては、今後新たな壁となる可能性が高いと思います。課題があることは承知しておりますが、次々回の改正で改めて検討するという旨は明確に示しておくべきではないかと思います。
それと、14ページの事業主の保険料負担割合を任意で変更できる特例についてでございますが、企業で働く方に被用者保険を適用していくという原則を広げようとしているこの動きの中で、新たに例外となる特例を設けるというものであります。今後、最低賃金が上がっていけば、自然と従来生じた手取り減を解消できる水準まで年収が増えます。そうした中で、今回の提案でも、時限措置としてどの程度の期間を考えているのか、あるいは環境整備についても具体的にどのようなものを想定し、何を財源に実施するのかも含めて、現状では判然としておりません。そうした点は可能であれば御説明をいただければと思います。
また、前回の議論でも、企業内や企業間に待遇格差や不公平感などの様々な課題を生じさせるとの懸念が強く示されました。労使折半の原則との関係や、そもそも適用できる中小企業は一体どのぐらいあるのか、あるいは企業の中で格差が出てしまうことをどう考えるのか、そうした懸念が生じることは当然だと思います。仮に特例を実施しようとするならば、こうした中小企業の方々の声にきちんと耳を傾けて、指摘された課題や疑問の解消に真摯に対応していただくべきだと思います。そうしたものが示されていない以上、慎重に検討すべきだと考えます。
本来、制度的見直しとは時限的とか局所的な対応ではなくて、例えば将来的に第3号被保険者制度そのものを見直すことを明確に年金部会としてメッセージを発信するということではないかと思います。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
お尋ねがあったので、いかがでしょうか。
○年金課長 ありがとうございます。
2つお尋ねがあったと思います。まず時限措置の期間ですが、こちらは先生方や他の皆様の意見も踏まえて検討してまいりますが、何のためにこの措置をやるのかというと、厚生年金の適用を受けることについてメリットがある一方で、手取りが減ることに対して回避する方がいらっしゃり、これがいわゆる「年収の壁」ですが、これによって人手不足の状況下で就労を制約することが実際の経済にも影響を与えています。こういう状況を解消する一つの方策として導入しようというものですが、この問題がずっと続くことはないと思っており、賃上げの動向や適用拡大の状況によって徐々に解消されていくものとして、こういった点を加味して期間を設定することで検討したいと思います。
それから2つ目は、環境整備としてどのようなものを考えているのかという点で、制度を導入したものの利用されない、あるいは利用しづらいということだと導入した意味がなくなるので、例えば負担割合を変えるとしても、どういうふうに変えるのがいいのか、利用する際のガイダンスのようなもの、あるいは中小にとっては使い勝手が悪いという場合に何らかの支援策なりが考えられるのかといった点を環境整備として考えています。
○菊池部会長 出口委員、よろしいでしょうか。
○出口委員 今のところはそういう回答になるのだろうと思いますので、結構でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、島村委員、どうぞ。
○島村委員 御説明いただきありがとうございます。
賃金要件については、最賃特例も含めて基本的に賛成しております。
次に、労使自治を原則としつつ、時限措置かつ対象者を限定した上で負担割合を変更できる特例についても、基本的には賛成しております。ただ、健保組合の場合は、労使合意の上で規約で定めることによって負担割合が変更されますけれども、今回は労使合意の後、特に規約で定めるなどの手順は踏まないかと思います。そうすると、1人の代表者たる労働者との合意によって即負担義務が変更されるのか、それとも労使合意のある書面を年金事務所に提出して、その上で割合変更の行政処分とかがなされて変更になるのかですとか、保険料負担の義務の内容が対象者全員にとって画一的に変更されるにはどういう構成がよいのかという点はしっかり詰めていただく必要があると思っております。また、代表する労働者の選び方とかは、労働法でいうところの過半数代表者の選出のように選挙で決めるのか、そこまでは必要がないのかというのも要検討課題かと思います。
賞与の点や同一等級に属する者の点についても、事務局案に賛成いたします。賞与だけ負担割合を変えるのは分かりづらくなりますし、人によって対応が変わるのも不公平を生みかねません。できるだけ分かりやすい簡便な仕組みがよいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
課題の御指摘ということでよろしいですか。ありがとうございます。
それでは、逆サイドの皆様からいかがでしょうか。
たかまつ委員からお願いします。
○たかまつ委員 就業調整に対応した保険料の負担割合を変更する特例についてですが、こちらは前回申し上げたとおり、私は反対です。それは、年収の壁の中で働いたほうがお得だという考え方が就業調整につながってきたと思います。そうした壁があることで女性の社会進出を抑制してきてしまった。さらには、将来の女性の低年金や高齢女性の貧困につながってきていることなどからも、壁を超えて働いて厚生年金に加入するということで将来の年金を増やすことが大切だという理解からは、私は異なるメッセージを発してしまうことにつながってしまうのではないかと危惧しています。
政府が出す施策にはどんな将来をつくっていくのかというメッセージが含まれていると私は考えているのですが、それはこれだと壁の中で就業調整をすることが得だという考え方に寄り添う形になってしまって、誤ったメッセージを発してしまうということを懸念しています。
この特例ができてしまった場合、今度はこの特例を維持しよう、この特例の上限の金額を上げようとなり、これが新たな壁となり、その中で就業調整をすると、さらに男女の賃金格差が改善されないということを私は懸念しています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、永井委員、どうぞ。
○永井委員 ありがとうございます。
私が所属する連合構成組織でるUAゼンセンの議論を踏まえて意見を申し上げたいと思います。
まず、被用者保険の適用拡大につきましては、私どもUAゼンセンは全ての働く者に社会保険を適用させる制度の実現に向け、被用者には被用者保険が適用されるということを前提として、政府においては将来ビジョンを示すべきだとして取り組んでおります。
賃金要件の撤廃につきましては、方向性は理解いたしますが、労働時間要件が残ることで、これまでの私どもの調査傾向から、19時間近傍で調整する人が増え、現場ではこれ以上のシフト調整は困難であると企業側も懸念しているのではないかと考えております。十分な周知期間を取り、導入後も検証を進めること、雇用保険が20時間から10時間となることの影響も検証することなどを進めるとともに、労働時間要件の撤廃を含め、引き続き議論すべきと考えます。
次に第3号被保険者制度ですが、こちらは私どもUAゼンセン内でも多様な意見がございます。今回の見直しの議論においては、将来的、段階的な廃止を打ち出すべきと考えます。廃止には相当の時間を要することが想定されますからこそ、現時点でその方向性を示し、今後の具体的な議論につなげていくことが重要と考えます。
あわせて、仕事と治療の両立支援や子ども・子育て支援の充実、在宅介護サービスの充実といった支援策も必要と考えます。第3号被保険者制度の将来的な廃止を打ち出す際には、当事者の声を踏まえた上で、社会的な合意形成を図り、その必要性や重要性など、国民への丁寧な説明、周知が必要と考えます。また、具体的な検討をするに当たっては、第3号被保険者やその世帯の生活実態、高齢単身女性に多い貧困の状況を分析する必要もあるため、検討会の設置なども必要ではないかと考えます。少なくとも5年後の次の財政検証を待つことなく、将来的な廃止を含め、引き続き検討を進めることを求めたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
多分皆さん御意見がおありだと思いますので、順番でよろしいですか。
では、原委員からお願いしてよろしいでしょうか。
○原委員 ありがとうございます。
私もまず適用拡大の見直しの中で、事務局の見直し案に対してはおおむね賛成の立場です。
賃金要件につきましては、最低賃金の引上げに伴い、数年のうちに週20時間の労働で賃金要件を基本的に満たすということになると考えられることから、やはり賃金要件を設けることの必要性が薄れていくと思われますので、撤廃という、見直しの方向性に賛成いたします。
また、本要件撤廃の時期への配慮ですとか、減額特例の対象者は任意加入の仕組みとするということについても賛成いたします。
短時間労働者の被用者保険適用については、雇用管理面ですとか労務管理面を考えても、シンプルな仕組みにしたほうがよいと思いますし、そういった意味も含めてこのように進めていただければと思います。なお、7ページに進め方もありましたけれども、このように進めていただければと思います。
あと、年収の壁対応につきまして、いろいろな意見が先ほどから出ておりますが、こちらについては時限措置的ということで、そこがまず前提といいますか、そういうところで考えれば基本的には賛成いたします。
労使折半の原則というのがありますけれども、あくまでそれは原則ですが、この特例については、先ほど御説明にあったとおり例外的であり、時限措置的であり、また、対象者も限定的ということでございますので、時限措置的ということも考えて、この被用者保険の適用に伴う壁というものがあるならば、その壁を意識する可能性がある人に対しての限定ということですので、時限的に導入するということに異論はありません。
また、この特例を時限的に任意の制度として利用するかどうかというのは、私は最終的には事業主の判断となるかと思います。その企業にとって活用したほうがいいとなれば、活用するということもあるかと思いますし、それは企業規模問わずということかと考えます。仮にですが、任意で、かつ時限措置である特例制度の中にさらに特例をつくるようなことは、かえって複雑になるのではないかと思っております。全ての企業ということではないとは思いますが、配慮が必要な企業に対して何らかの支援策を今後検討するというのは必要かと思いますけれども、そういった場合は、仮に助成金などであるならば、今ある制度についてヒアリングするなどして、より利用しやすいものにしていくなどの検討も必要なのではないかと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
平田委員、いかがでしょうか。
○平田委員 ありがとうございます。
まず、被用者保険の適用拡大に関しまして、今回の最低賃金の動向を踏まえるという条件つき及び最低賃金減額特例が認められた方に対する配慮というところに関して、それも含めて賛成いたします。時間要件だけになると、適用事業所における事務負担も相当程度軽くなることはメリットだと思っております。
次に、保険料負担割合を変更できる場合の特例に関してです。これはどう判断すべきかずっと迷いつつも、現状では軽く反対の方向に振れております。その背景を申し上げますと、まず年収の壁というものが、税制における壁も含めて、今までになく話題になっている状況が世の中にあると思います。短時間労働者がこれを超えるための時限的な後押しという側面において、必要性がないとは言えないと思います。
反面、壁を意識しているであろう一定の短時間労働者のみ、その方々だけを対象にして設定するのはどうかと思います。もちろん企業が独自に、人が足りない時間帯や曜日、あるいは特定のスキルを持っている人の賃金を高めるなどして人を動機づけようとするのは、一般的な行動です。しかし、それを社会保険料という、国全体として個人が負担すべきものと決めて、みんながそれに従っているものに対してまで及ばせることには、違和感が否めないところです。
先ほど壁を越えるための後押しと申し上げましたが、自転車を一人で乗れるようになるまでに補助輪をつけたり親などが押してくれたりしたと思うのですけれども、そういう補助輪的なものをここに適用するのがどんなメッセージを与える得るのだろうか、ということも考えたほうがよいと思います。
また、同じ企業内で働く人同士の間で、本人が就労調整しているかどうかという基準で待遇が異なるということも、おかしなことを招きかねないと思います。大企業さんで、何万人も短時間労働者がいるところは、エイヤで行けると思いますけれども、目の前に就労調整している人、していない人など多様な短時間労働者がいて、その方々が協力し合ってその企業を支えているような場合には、経営者の方も、この等級の人は壁を意識しているから自社で負担しようなどの判断は、できかねるのではないかと思います。そのことによって労働者同士の間に溝ができてしまったら、むしろ生産性を落とすことになってしまいます。また、労働者は賃金のみにて働く場所を決めているわけではなく、働き心地とか仲間との人間関係をむしろ大切にしている状況もあります。これらを踏まえ、今回ご提案のやり方がオーケーとなった場合、小規模企業がいろいろな意味で結果的に選択できない案である可能性もあり、いかがなものかと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
堀委員、いかがでしょうか。
○堀委員 どうもありがとうございます。
今回事務局から御提案のありました賃金要件、企業規模要件を外し、労働時間を最も基本的な要件として適用拡大をするということに賛成です。なお、適用拡大をいつから実施するのかは、この施策の成否を左右する大変重要な点であり、人手不足の時期に行われるということを期待しております。
5人未満の個人事業所について今回見送ることについては賛成ですが、今後のデジタル化の進展を踏まえて、引き続き議論をお願いしたく存じます。
また、今回御提案のありました保険料負担割合を変更できる特例につきましては、実際のところどの程度企業からのニーズがあるのかということについては不明ではございますが、年収の壁を超える上で企業の取り得るオプションの一つとして捉えられるのではないかと受け止めた次第です。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
百瀬委員、お願いします。
○百瀬委員 御説明ありがとうございました。
適用拡大については、今回の提案に異論はございません。資料の6ページのイメージで書かれているように、短時間労働者の適用ルールがシンプルな形になることが望ましいと思います。また、賃金要件については、最低賃金の動向を踏まえつつ、撤廃の時期に配慮するということにも賛成いたします。
一方で、保険料負担割合を変更できる特例については、任意の仕組みであったとしても、賛成することができません。確かに健康保険組合では負担割合の変更が認められていますが、公的年金と健保組合を同列に論じることはできません。健保組合の場合は組合自治の観点があり、保険料率自体も一定の範囲内で組合が設定できますし、給付内容についても付加給付を支給できるなどの対応が取れる仕組みになっています。
資料の12ページでも健康保険組合と公的年金の違いが書かれています。資料では、その違いゆえに、制度を導入するとしても時限措置とすべきという主張につながっていくわけですが、私は違いがあるのだから制度をそもそも導入すべきではないと思っています。
適用拡大に際しては、就業調整を行う可能性のある女性労働者に、御自身が障害の状態に至った場合や御自身が亡くなった場合の保障の充実も含めて、厚生年金加入の意義を理解してもらう必要があります。そのためにも、本日の第3の議題である遺族年金の見直しを通じて、働く女性の納付した厚生年金保険料を遺族給付に結びつきやすくするべきだと考えています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、オンライン参加の皆様からいかがでしょうか。
嵩委員、お願いします。
○嵩委員 ありがとうございます。
私から、まず4ページの見直しの方向性案について、最低賃金の動向を踏まえて賃金要件の撤廃時期を設定するという点に賛成いたします。
また、最低賃金の減額特例の対象者に対して任意加入とする点についてですけれども、本来社会保険では強制加入ですので、慎重な判断というか検討が必要だと思いますが、特例対象者の方の固有の事情に照らせば、任意加入とすることは許容されるものと思います。
なお、障害を有する方の被用者保険の適用については、障害厚生年金の支給の在り方にも関わってくると思いますので、今回の法改正の後にも障害年金全体の議論として引き続き検討していく必要があると思っております。
また、7ページの進め方のイメージも適当と思います。
14ページの保険料負担割合を変更できる特例の案については、部会でのこれまでの議論を踏まえていただいた御提案と思いますけれども、前回の議論について経済界等から広く様々な意見が示されているところです。社会保険は、一律に適用されることによって企業の競争条件をそろえるという意味もあると思いますが、労使の負担割合を変更できるとなると、中小企業においては人材確保においてさらに厳しい競争にさらされるおそれも懸念されまして、格差拡大につながるという指摘は的を射ているところがあると思います。
そのため、今回特例を導入するということになるのであれば、今回お示しいただいたように、人を限定するということで使用者に受け入れられやすい条件を付すということは必須だと思います。
あと、就労調整の対策というのは、国の取り組むべき政策だということを前提としていると思いますけれども、それを前提とすれば、労使合意に基づくとはいえ、その負担を使用者のみに負わせるということは必ずしも望ましくないと思いますので、もしこういった措置を導入するのなら、いろいろ賛否はあるところですけれども、何かしらの支援というのを使用者に行うということを組み合わせることも必要かと思います。
また、今回の提案については時限措置ということです、この特例措置が恒常化しないよう、制度については中期的に廃止も含めて見直しの検討が必要と思っております。
以上です。通信が
○菊池部会長 ありがとうございます。それでは、駒村委員、お願いします。
○駒村委員 まず事務局案については、適用拡大順番も含めてこの案におおむね賛成であります。評価の分かれていた負担割合の変更も含めて賛成をいたします。
適用拡大で少し気になる点を申し上げておきたいと思うのですけれども、先ほども少し議論がありましたが、特定扶養控除を拡大するという政策を一方でやり、同時に学生には厚生年金の適用を除外したままにしておくとなると、特定扶養控除の拡大で労働供給が増える可能性があり、なおかつ学生のほうには、厚生年金の適用にならないため、労働需要がシフトする可能性がありますので、かなり学生の労働時間が増えていく可能性があるのではないかなと思います。
アルバイトが長時間になることについて、学力とアルバイト時間の相関なのですけれども、これは幾つか内外に研究があって、やはり長過ぎるアルバイト時間というのは学力に影響を与えるという研究もあります。今、学生は就職活動が長期化、早期化もしておりますので、こういった政策が組み合わされて行われたときに一体どういう影響があるのか、厚労省にきちんとフォローアップの調査をお願いしたいなと思います。
本来は学費のために長い労働時間になるのは、教員の立場から見てもあまり望ましくないと思います。そういった部分には奨学金政策も含めての拡充をしなければいけないということであろうと思いますので、もし労働需要が学生側にシフトし、長時間のアルバイトの学生が発生するということになれば、労働需要の中立性という観点からも、学生に対する厚生年金の適用も将来検討する必要があるのではないかなと思います。
それから、3号については、労使の主立った団体がおおむね見直しを主張されているということは極めて重要なことだと思います。永井委員をはじめ、労使の関係の方が指摘されているように、3号については骨太の議論を今後やるべきではないかと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
権丈委員、お願いします。
○権丈委員 適用拡大の目的というのは、被用者でありながら第1号被保険者の中にとどめ置かれている第1号被保険者の4割を占める人たちに厚生年金を適用することだと昔から思っております。彼らが厚生年金に入ることができれば、手取りは増えます。これをいつも3号が政治的に邪魔をするので、私は3号制度はそんなにおかしくないけれども民主主義の中で邪魔だというのをいろいろ書いてきたわけです。
加えて、適用拡大は成長戦略なのです。厚生年金の適用除外規定は事業主負担をしなくても済む安い労働力を雇うことができる、一種のダンピング・システムなわけです。そうした適用除外規定をなくしていけば、企業は付加価値生産性を上げるために企業家精神を発揮せざるを得なくなります。逆に言うと、厚生年金をはじめ、被用者保険に適用除外規定があったために、社会保険そのものが非正規雇用を推奨して、格差を生む原因となっていただろうと。そして、低い生産性のままでも低い労働条件で人を雇うことができたために、日本全体の成長の足を引っ張っていたということがあると思うのですが、そうしたことは絶対にあってはならない。だけれども、そういう状態が続いていた。
そもそも被用者保険に適用除外規定があることのほうが初めからおかしいわけで、全世代型社会保障構築会議ではこれまで適用除外という言葉が使われています。2022年12月の報告書では「被用者保険の適用除外となっている規定を見直して適用拡大を図る」と書かれていて、適用除外規定そのものが問題視されている。事業主負担に適用除外規定がある限り、厚生年金をはじめとした被用者保険が非正規雇用や格差を生む構図は変わりません。その意味で、今回提案された適用拡大は、一方は前進だと評価しているけれども、ゴールは事業主負担の適用除外規定をなくすことでないと私は支持しません。
それと、資料にいろいろと書いてあるところで、今後の適用拡大時に「必要な配慮措置や支援策を講じる」という話が幾つも書いてあるわけですけれども、私はその言葉は要らないと思う。これから適用されていく企業やその団体が配慮措置や支援策を求めるのは分かりますけど、それを政策に反映するかどうかは政治が決めることであって、我々第三者が決めることではない。幼稚産業を保護していったら、それが一人前に育っていくという歴史があるのならば考える余地はあるかもしれないけれども、本当にそうだったのかと。過去の配慮措置や支援策は企業に頑張っていこうというような変化を起こさなかったわけです。だから、私は一立場、研究者、公益委員として、必要な配慮措置や支援策は要らないと思う。あとは政治にお任せしますということです。
今回も年金部会における意見がピックアップされていますけれども、発言者を記載しておいたほうがいいと思う。政策がどのような政治過程を経て決められていくかというのを分かっていないというか、関心がない若い記者たちは、ここの報告書とかに書いてあることが専門家による客観的な論だと勘違いするので、誰が発言しているのか、どの立場から発言しているのかというのはあってもいいのではないかとは思います。無理でしょうけれどもね。
次に、年収の壁支援強化パッケージの後継の制度について話をします。人が不足すると、賃金をはじめとした待遇改善を図って労働力を確保したり、労働をロボットなどの資本に置き換えて対応するのが市場規律が企業に求める市場の働きです。そして、数年前に就業調整をする人たちがいたときにでも、多くの企業は手取りが減らないように賃金を上げたり、ボーナスで保険料を補填したりして対応していました。そうした企業と労働力の確保の面で競合するライバルに補助金を上げる制度ができるとどうなるか。実際にそうした制度ができたわけですけれども、もしかすると成長戦略と逆方向の、この前も話しましたが、正直者がばかを見る政策になる可能性はある。
そうした意味で、今回年金局による問題解決のためのプラグマティックな案、要するに今ある制度を終えてその後どうするかというところで、就業調整をする可能性のある人たちを対象として事業主負担割合を高くできる道を準備することによって、今ある支援強化パッケージに置き換えるというのは、私は公平性、効率性、成長戦略の面で妥当なものと評価しております。ただ、これは100点満点ではない。だけれども、何も案を出さなかったら今の政策が継続させられる可能性があることを考えると、先ほど是枝委員が「まし」という言葉を使いましたけれども、今よりもましかなと。
我々が本当は批判しなくてはいけないのは、今ある制度をつくって、これを2年後ぐらいに見直す時限措置としてやりますと言われていた、その時点で我々はそれはおかしいのではないかと言わなくてはならなかったのだけれども、実際言ってはいたのだけれども、要するに今の制度を見直すための代替案を我々は考えなければいけないということがルールの上で数年前に決まっているので、この年金局案は私は支持していく。みんなの気持ちは分かる。これをつくると、国民に対するメッセージが世の中にあるべきものと反対方向を向くというのは気持ちは分かる。けれども、問題のスタート地点は数年前に起こっているというのがあります。
それと、1つ質問なのですけれども、15ページの冒頭に小野さんの意見が書いてあります。そして、17ページの最後に私の意見があります。ここに書いてあるこの2つの話と、1985年に単身者の1階部分、定額分が半分になったことを足し合わせると、これらの話というのは、これまで年金局が財政検証のときに2回「資料4」で説明していた「賃金水準1人当たりが同じであれば、どの世帯類型でも年金月額、所得代替率は同じ」という説明と整合的な内容です。そして、3号を廃止せよという意見は数の上では圧倒的にこの資料の中でも多いのですけれども、そういう話はあの資料の説明と矛盾します。
ということで年金局に聞きたいんだけれども、年金局は「賃金水準1人あたりが同じであればどの世帯類型でも年金月額、所得代替率は同じ」というこれまで取ってきた考え方は、今日だったらば16ページの3行目にある社会保険の原理原則に反していると考えているのかどうか。この16ページの3行目を言っている人は、今ある3号制度は社会保険の原理原則に反していると言っているのだけれども、年金局は反していると思っているのか。そうだと言うと今までの年金局の説明と矛盾することになるわけだけど、その辺りのところを質問したい。3号という言葉は要らないです。これは原理原則のところの話をしているので、制度の名前は要らない。この原理原則、先ほどの小野委員が言った制度の設計思想という話があったけれども、その設計思想の話として、今ある制度は社会保険の原理原則に反しているのかな。よろしく。
○菊池部会長 それでは、御質問に対してお願いします。
○年金課長
先生に御指摘いただいた1人当たりの賃金が同じ場合における給付と負担の構造は、毎回の財政検証でも私どもはそういう資料を提出して、そのような説明をしてまいりました。その点については現在も変わっておりませんし、第3号被保険者制度を議論する際にもお示しして御議論いただいていると思っております。
これと社会保険の原理原則との関係については、3号制度の見直しというのがどのような形での見直しを考えていて、それがこれまでの説明とどう整合的に説明できるのか、そこを考えなくてはいけないと思っております。現時点でこれまでの考え方は変えておりませんし、それに対して提案をいただいた際には、おっしゃるとおり、どう整合的な説明ができるのかを考えていかなくてはいけないと思っております。
お答えになっていないかもしれませんが、以上です。
○権丈委員 いえ、ぎりぎりのラインでどうもありがとうございました。
ここは極めて重要なところで、3号とか2号とか1号の言葉は要らない。制度を設計する上での考え方、設計思想という抽象的なレベルでみんなで議論したほうが建設的かなと思っております。
以上です。どうも。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、武田委員、どうぞ。
○武田委員 ありがとうございます。
1点目、適用拡大の賃金要件撤廃等については、様々な御説明も踏まえ、今回の改革の方向性は前に進めるという意味において基本的に賛同いたします。
本来、先ほど権丈先生もおっしゃいましたように、何らかの除外がない形に向かうことが望ましいと思います。その方向性について何らかの形で明記できないかという点を併せて申し添えます。
2点目、年収の壁については、本来の意義やメリットをしっかり周知いただき壁を乗り越えていただくことは、大原則と考えます。他の委員からも御発言がございましたが、時限措置だとしても、大企業、中小企業の間、また、社内の労働者間の公平性や分かりにくさの観点で果たして望ましいのか懸念が残りました。
3点目、第3号被保険者制度については、今回将来的な見直しの方向性は明記すべきと思います。社会構造の変化に合わせて制度を見直していくべきです。考え他の委員も御発言されておりますとおり、固定的な意識や心理的な影響から、社会における様々な価値観や人生の選択、女性の働き方に影響を及ぼし、結果として過去の男女間の生涯賃金格差につながっていた可能性はあると思います。制度が社会の意識を変えていくことも踏まえ、将来的に見直す方向性を早期に示した上で、しっかり検討を開始することが望ましいと考えます。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、玉木部会長代理、お願いします。
○玉木部会長代理 ありがとうございます。
私はこの適用拡大に関しまして、賃金要件の撤廃その他、ここに提案されていることには賛成でございます。
あと、12ページにあります特例について一言コメントを申し上げます。この特例のようなものが出てくるというのはなぜかというと、壁という言葉の意味が強過ぎることにそもそもがあるのではないかと思います。以前、何回か前の会合で、小野委員から壁ではなくて段差だろうという御指摘がありましたけれども、私は14ページの下のほうの左側のグラフを見ると、百二十数万円で元に戻るわけでございますので、これはくぼみと言ってもいいだろうと思います。また、最近の労働市場、賃金の動向を見ていると、このくぼみがだんだん大したことがなくなりつつありますし、また、今回の特例措置を加えればくぼみが浅くなっていくわけでございますので、私としては、この特例措置をやるのであれば、壁なんてものは大したことがないのだというメッセージが伝わるような打ち出し方をぜひ工夫していただきたいです。並行して、先ほども皆さんがおっしゃっているような働き方に関する広報といったものの推進があるのだろうと思います。
こういったものが本筋でございますけれども、ただ、現実の社会においてはこういったものも動員して進めなくてはならないということもあるかもしれません。したがって、時限的とか、あるいは12.6万円という上限を設けるといったことについてはしっかりと限定性を確保するといったことが必要であろうかと思います。こういった措置が元になって労使折半のような原則が揺らぐとかといったことは、尻尾に振られているような気がしまして、賢くないなと思うところでございます。
それから、3号の問題について一言コメントを申し上げます。3号の問題は国民の間で様々な受け止め方があるということは事実でございまして、3号問題というイシューがあることは間違いないと思います。
このイシューに取り組む際の一つの留意点なのですけれども、女性の労働参加がどんどん進展しているということ、それから、未婚、非婚、晩婚、離婚といったものが前に比べればどんどん多くなっているわけでございまして、そういったことによって3号という方が人数としてどんどん減りつつあるということは、客観的な条件として認識すべきだろうと思います。
また、以前、年金額の分布推計のデータを出していただきましたけれども、3号を中心といった方がどんどん減っていくわけでございます。したがって、恐らく昭和の時代の「女性は家庭に入る」という考え方、アイデア、コンセプトがどんどん後退していっていて、もしかすると、今、若い方々において家庭に入るというオプションを念頭に置いていない方もたくさんいるのだろうと思います。そうなった場合、昭和に社会に出た私の世代においては、3号のような制度が女性の考え方あるいは男性を含めた社会の考え方を何がしか左右するといったことがあったかもしれませんけれども、若い世代の日本人に対してこの3号という制度がどのようなインパクトを持つのだろうかといったことは、今後の議論の中でよく考えていかなければいかんだろうなと思う次第でございます。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
是枝委員、どうぞ。
○是枝委員 小野委員から、最低賃金で週20時間働いてもなお賃金要件を満たさない場合や、減額特例が適用される場合について、特例的に健保の標準報酬を使ってはという御提案があったのですが、これについて補足させていただきます。
8万8000円の下に健保では7万8000円という標準報酬月額の等級があるのですが、これが適用されるのは月額賃金が8万3000円未満で、時給に換算すると958円ということとなります。現在958円の受給を下回る県は15しかなく、最低の県でも951円で、あと7円上げれば7万8000円の等級を使う余地がないということを踏まえると、下の等級を例外的につくる必要があるとしても、減額特例を受けた場合に限られるのではないかと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
ほかにはよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
様々な御意見をありがとうございました。被用者保険の適用拡大につきましては、全体についても様々御意見をいただきましたが、本日論点として新たに出されました賃金要件の撤廃につきましては、ほぼ賛成の御意見をいただけたと思います。少なくとも反対という御意見はございませんでした。その中で配慮措置、支援策の必要性という御意見も一定程度いただいておりましたが、それも含めて、賃金要件の撤廃については積極的に進めていくということでほぼ意見の一致があったものと思います。
一方で、保険料負担割合の変更につきましては、数的には賛成の御意見のほうが多かったと認識いたしましたが、そうは言っても慎重なお立場、そして、反対というお立場からの御意見もかなりいただいたところでございます。この点につきまして、引き続き事務局で検討していただき、部会での扱いを整理したいと思います。
また、3号の見直しにつきましても様々な御意見をいただいております。今回というよりは今後に向けてということで様々御意見をいただけたと思いますので、この辺りもまとめに向けて引き続き検討を事務局にお願いしたいと思います。ありがとうございました。
続きまして、議題の2つ目につきまして事務局から御説明をお願いいたします。
○数理課長 数理課長でございます。
私から資料2について説明いたします。
基礎年金の給付調整の早期終了につきましては、前々回、第21回の年金部会で御議論いただきましたが、その際、丁寧な説明を求める意見、特に年金が一時的に低下するデメリット、こういったところを丁寧に説明すべきとのお求めがありました。そこで、新しい事務局提案というものがあるものでありませんけれども、丁寧な説明のために追加の資料を用意したというものであります。
2ページを御覧ください。
こちらは、一部で厚生年金の積立金を基礎年金に充てることについて流用とのお声があります。そこで作成した資料となります。赤字で記載しておりますが、厚生年金の保険料18.3%には基礎年金も含まれているということであります。ですから、そもそも厚生年金の保険料や積立金というものは1階の基礎年金にも充てられるべきというものであります。
したがいまして、現行制度におきましても、右側の図を見ていただきますと、厚生年金の積立金は現在290兆ぐらいありますが、このうち105兆円が基礎年金に充てられているというものであります。また、給付調整の早期処理を行えば、それが65兆円増加して170兆円となるものであります。
これにより、左側の図にあるように2階の給付水準が低下しますが、1階の基礎年金の給水水準はその分上昇するということになります。さらに、1階は2分の1の国庫負担がありますので、その分も増加いたしまして、2階の低下より1階の上昇が大きくなるということで、将来的には厚生年金の受給者を含め、ほとんどの方の給与水準が上昇するというところであります。
3ページを御覧ください。
報酬比例の給付調整が継続することによりまして一時的に給付水準が低下する影響を見ているというものであります。比例の給付調整の継続によりまして、現行制度と比べ、所得代替率が低下するということであります。その低下幅については、最大になります2036年度で取得代替率1.8%低下ということであります。
ただ、マクロ経済スライドが導入されました2004年の見通しを灰色の点線で示しておりますが、こちらを見ていただきますと、2023年度には所得代替率50.2%まで低下し、マクロ経済スライドは終了していたということでありますので、そのときの見通しと比べると6%ほど高くなっているということになります。
また、マクロ経済スライドは2004年のときの見通しでは17回発動して既に終わっているという予定でしたけれども、デフレが続いたということで、まだ発動は5回ということであります。
こういったことを踏まえまして、給付水準の低下する将来の受給者の年金を確保するため、もうしばらくはマクロ経済スライドの継続に御理解いただけないかと考えているところであります。
こういったことによって、将来の受給者の給付水準は現行制度より上昇するということになります。
また、現行制度より給付水準が上昇することになる年度、青のラインとオレンジのラインがクロスするところでありますが、こちらはモデル年金で見て2040年度となります。この2040年度というのは1975年度生まれが年金の受給を開始するというところでありますので、就職氷河期世代以後の年金水準の確保に効果が大きいというものであります。特にこの世代の低年金に効果が大きいものになります。
また、1975年度以前の生まれの世代につきましても、2040年度以降も受給するとメリットを受けられるということであります。
なお、この3ページですが、こちらは経済前提が過去30年投影ケースの結果というものであり、実質ゼロ成長が続くという控え目な経済を想定した見通しとなっているところであります。
今、経済は成長型の経済に移行しているというところでありまして、このまま成長型経済移行していけば状況は大きく変わるということで、次の4ページを御覧ください。
こちらが実質1%成長が続きます成長型経済移行・継続ケースの結果となります。こちらのケースでは、比例、基礎とも直ちに給付調整を終了することができる見通しになっているということであります。このため、比例の給付調整の継続がないということで、このケースで見ますと、全ての世代の全受給者について現行制度と比べて給付水準は上昇するということになります。つまり、給付についてデメリットを受ける人がいなくて、全ての方にメリットがあるということであります。
このように、成長型経済移行・継続ケースでは大きく状況が変わるというわけですが、ここまで経済状況が向上しなくても、過去30年投影ケースよりもよい経済になれば年金についても状況が改善されるということで、次の5ページを御覧いただきたいと思います。
過去30年投影ケースより経済がよくなれば、調整期間の終了がさらに早まり、所得代替率が上昇するというものであります。この結果、比例の調整の延長幅は小さくなるということになりますし、給付水準の低下も小さくなるということであります。
このように、経済がよくなれば年金の将来を明るくなるということでありまして、経済をよくしていくことが年金の給付水準の確保に重要ということであります。
続いて、6ページを御覧ください。
2階の給付調整の延長につきまして、毎年度の年金額改定にどういう影響があるかというものを令和6年度、今年度の改定に当てはめてみたものであります。この影響ですけれども、比例の年金が高いか低いかによっても異なるということでありますので、モデル年金の場合と単身で比例の給付が高い方、低い方の3通りで確認しているというものであります。比例の給付の高い方というのは、男女平均でありますが、いわゆる年金額の分布推計で厚生年金期間中心の方を指しております。低い方というのは1号期間中心の方ということであります。
令和6年度の改定を見てみますと、上の図にありますが、賃金の伸びが3.1%ということでありまして、マクロ経済スライド調整によって0.4%の伸びが抑えられて、2.7%の改定となっておりました。この改定率に当てはめますと、赤枠にありますようにモデル年金で370円、これは夫婦2人分であります。比例の高い単身の方で360円、低い方で40円の年金の伸びが抑えられるということであります。比例の大きい方のほうが影響が大きくて、小さい方のほうが影響は小さいということであります。
また、右上の吹き出しに5年前の令和元年財政検証における見通しも示しております。こちらを見ていただきますと、当時の見通しでマクロ経済スライド調整率は0.9%ということでありました。それが、実際には労働参加が想定以上に進んだということで抑制幅が小さくなって、0.4%になっているということであります。こちらも経済よくなったことによる年金の改善の例ということになります。
今、令和6年に当てはめて見ましたけれども、次の7~9ページは将来の改定額の影響について確認したものとなります。
7ページは、モデル年金について年金額の改定の影響を見ているということであります。赤枠で囲んだ部分を御覧いただきたいと思いますが、上の赤枠の部分が実質1%成長が続くケースで、こちらは年金額が低下する人がいませんので、プラスの影響しかありません。下のほうの実質0%成長が続く過去30年投影ケースは2035年度までマイナスとなりまして、最大で920円年金の伸びが小さくなります。これは年金月額で見たものであります。ただ、足元はマイナスになりますが、2036年度以降はプラスが続くということであります。
次の8ページが年金額の高い方、9ページが低い方で見ております。高い方のほうがマイナスの影響が大きいということです。プラスの影響については基礎年金の影響となりますので、マイナスの影響ほど高い方、低い方で差は大きくないということであります。
続いて、10ページを御覧ください。
こちらは、受給を開始してから終わりまで生涯における年金総額の影響について見ているものであります。上段が2024年度で65歳の世代、下段が2040年度で65歳の世代を見ています。それぞれ平均余命まで受給した場合と100歳まで受給した場合で見ております。
まず下段のほう、2040年度で65歳の世代につきましては、こちらは先ほどと同じようにモデル年金の場合、比例の高い方、低い方と3パターンで見ておりますが、どれで見てもプラスの影響となっています。つまり、将来世代の方々については、経済が悪くても、平均寿命が生きた場合、100歳まで生きた場合、いずれのケースであってもプラスになっているということであります。
上段、2024年度に65歳の世代、足元で受給者の世代になりますが、こちらについては過去30年投影ケースで平均寿命まで受給した場合、こちらはモデル年金の方と比例の高い方ではマイナスが立っているということになりますが、ただ、比例が低い方については、この世代の方についてはプラスとなっているところであります。また、マイナスになっているモデル年金や比例の高い方についても、経済がよくなり実質1%成長になったり、長生きして100歳まで生きた場合といったときはプラスになっているということであります。
続いて11ページを御覧ください。
こちらは足元で給付水準の低下が総額でどの程度になるかを確認しております。過去30年投影ケースで見ますと、①のマイナスの部分は、15兆円になります。これは全ての年度の給付の減額を足したものになります。ただ、この15兆円というのは将来のために取りおかれるものということでありまして、将来の給付に同額の15兆円が充てられまして、②の部分になりますが、将来の受給者の給付水準を上げるために使われるということになります。
また、こちらも経済がよくなれば①の部分は小さくなりまして、実質1%の成長型経済移行・継続ケースでは0円となるというところであります。
私からの説明は以上となります。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいま説明のあった議題につきまして、御意見等をいただけたらと思います。
なお、小林委員が退室の御予定ということですので、よろしければ次の議題3も含めて最初に御意見をいただければと思います。
○小林委員 それでは、コメントさせていただきます。
まずは御説明ありがとうございました。
基礎年金水準を確保する必要性は認識しておりますが、その解決策として、事業者が保険料を半分負担している厚生年金の積立金を活用するというのは、説明をお聞きしても、やはり納得することが難しいというのが正直なところです。国民年金制度のひずみを別で解消しようとしている印象がぬぐえません。給付の時点では厚生年金の受給者ももらえる額が増えるのだから、全員がハッピーではないか、ということなのかもしれませんが、事業者にはもちろん給付があるわけではなく、保険料を負担するだけの立場ですので、そこから生じている積立金を基礎年金に使われることに違和感があるという意味です。年金制度への信頼にも関わることですので、事業者にも納得できる形で対応していただけるようお願いしたいと思います。
遺族年金制度については特にコメントはございませんので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、引き続きほかの皆様からお願いしたいと思います。
是枝委員、どうぞ。
○是枝委員 前回までと同じになりますが、調整期間の一致を行うのであれば、週10時間ぐらいまでの適用拡大マル4まで行う方針を定めることとセットにすると、厚生年金保険料を負担する労働者団体、使用者団体の納得が得やすいのではないかと思います。最後はこれで納得がいくのかという点で、労使の判断に委ねたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
それでは、小野委員、どうぞ。
○小野委員 ありがとうございます。
私は単に感想ということですけれども、マクロ経済スライドの調整期間の一致につきましては、今回初めて事務局資料に、「以後」という言葉がついてはいるものの、就職氷河期世代という特定の集団を表す、しかも、キャッチーな言葉が用いられたということが非常に印象的でありました。社会保険制度を議論する際に、社会の中の特定の集団を取り上げることには熟慮が必要だと考えていましたので、私としてはやや意外ですということで、これは単なる感想でございます。
それから、小林委員が指摘されていました積立金の移動の話ですけれども、参考資料に示されていますとおり、適用拡大を進めると国民年金に充当される積立金の額が減少していきます。2004年改正時から議論されている適用拡大が遅々として進まず、やがて20年を超えようとしていますけれども、早く対応していれば資産移動の影響はかなり緩和されていたのではないかと思いますし、言葉は悪いですけれども、必要な改革に抵抗すると別の弊害が出てくるという教訓なのかなと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 ありがとうございます。
基礎年金の給付水準を底上げすること自体は必要と考えますが、マクロ経済スライドの調整期間の一致は選択肢の一つにすぎないと思います。国民年金における改革といったことなども検討すべきであり、この提案では不十分であると考えます。
また、一定数の方は本来の水準より年金額が目減りすることが事実として起きるため、納得性としても不十分であると考えます。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
出口委員、どうぞ。
○出口委員 ありがとうございます。
御説明いただき、ありがとうございます。
将来の基礎年金水準の確保に向けた議論の必要性というのは十分理解しています。ただ、本来は名目下限措置を外してマクロ経済スライドをきちんと発動していれば、より早く調整が終了していたはずだと思います。さらに、最も自然な対応策という観点でいくと、基礎年金の拠出期間の45年化も本来実施すべきでしたが、これは政府は早々に断念されました。少なくとも今回は難しいにしても、次々回の制度改正時には45年化を実施していくという方向性は最低限示していただきたいと思います。
その上で、早期終了の事務局案に対してこれまで様々な指摘をさせていただきましたが、今回も完全に御回答いただいているのかというところはあります。
まず、厚生年金の加入者の納得を得ていく上では、保険料や積立金の使途を明確にして、基礎年金をめぐる仕組みの透明性向上が不可欠であると申し上げております。今回の資料でいうと、2ページ目で一定の御説明をいただいているということなのだと思いますけれども、例えば2ページ目の左下に「積立金は必ずしもそれぞれの制度の現在の被保険者が積み立てたものではない」ということをさらっと記載していただいておりますけれども、そのほかの説明全般も含めて、果たしてこの内容で一般の厚生年金加入者が理解するのか、納得するのかというところは疑問を感じております。
また、将来の安定財源の確保の時期などが曖昧な点も問題ですし、そういう状況の中で、報酬比例部分の調整期間の終わりも見えていないというところがあります。
加えて、先ほどもお話がありましたが、国民年金財政自体の改善努力も全く示されていないということも問題だと思います。
このように、十分な理解が得られないまま急いで事を進めていくと、特に厚生年金に加入する現役世代の不信感がさらに高まるのではないかということを懸念しております。ぜひ真摯に御対応いただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
島村委員、お願いします。
○島村委員 ありがとうございます。
厚生年金の保険料については基礎年金分も含まれていて、厚生年金の積立金には国民年金の保険料の性質のある部分というのもまだまだ残っているという点は共通認識が必要かと思っています。
ただ、特に労使が負担した保険料が元となって運用される積立金が1号のために使われる点については、やはり適用拡大などを一緒にできるだけ一緒にやっていただいて、その部分を少なくする努力は必要かなと思いますし、あとは、20歳未満や60歳以降で、2号ではあるけれども、国民年金のほうには資金移転されていなかった部分もあるかと思いますので、そういうのが基礎になって厚生年金の積立金はできているといいますか、厚生年金の積立金はたまりやすい構造があるというところにも目を向けたほうがよいのではないかと考えております。
いずれにしても、国民年金と厚生年金の関係性を改めて問い直して、両者の連携だとか所得の再分配の在り方に関連する重要な問題かと思いますので、事業主の皆さんや被保険者の皆さんに御理解いただけるような仕組みにすることが不可欠ではないかと考えております。ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、私の右サイド、たかまつ委員からお願いします。
○たかまつ委員 マクロ経済スライドを早期に終了することは、給付水準の世代間格差をなくしていくため、私は賛成です。国庫の負担が増額することへの懸念をどう考えるのか、低年金の人がこれで生活できるのか、私はかねてから言っているのですけれども、例えば余裕がある高齢者の方の課税などをして再分配するなど、今後の検討課題として低年金者の方の実態を調査した上で生活を支える議論というのをさらにできるといいかなと思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
では、永井委員、お願いします。
○永井委員 ありがとうございます。
今回、基礎年金の給付調整の早期終了に伴う年金額改定の影響などの試算を御提示いただいたことにつきましては、感謝を申し上げたいと思います。
今後も適用拡大に優先的に取り組み、その上で試算結果に基づいて慎重に検討するとともに、拠出者の納得性と合理性を追求すべきであり、現時点では取りまとめにはもう少し議論が必要ではないか、今回の改正で性急に結論を得るべきではないのかないのではないかと考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
平田委員、お願いします。
○平田委員 ありがとうございます。
基礎年金の水準の確保はすごく大事だと思っております。1号には以前に比べて多様な方々が含まれている。その多様な方々の中に、やはり社会保障としての年金が救うべき弱者が一定程度含まれているのではないかと思っており、その点から水準の確保ということが、非常に大事であると考えています。
今回のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了の案ですけれども、これを行うための一つの手だてであると認識しております。年金は社会保障であって、社会保障というものは国全体で国民を支え合うセーフティーネットである。基礎年金はその土台であるというところから、やはりこれを軽視してはいけないなと思っております。
ただ、この案を進める場合も、やはりちゃんと説明することがとても大事だと思います。特に企業側には丁寧な説明が必要だと思います。個人は行き来しているかもしれませんけれども、先ほど小林委員からもあったように、企業側はずっと、社員の社会保険料を折半して払い続けています。
これもこれから整理する問題かもしれませんけれども、今までは週30時間以上の方についてのみ払っていたものが、がんがんがんと適用拡大が進んでいて、企業負担分の支払いが増えている。そのこと自体が悪いとは思いませんけれども、ではなぜ適用拡大を進めているのか、今まで週30時間以上の方だけが社会保険に加入していたことが特例なのであれば、その特例とは一体何だったのか、ということがちゃんと認識されないと、国民全体の理解にならず、いろいろな分断につながったり、年金への不信感につながりかねないと思っております。
つまり、年金とは何なのか、被用者保険とは何なのか、1時間でも雇ってその人の時間をいただくのであれば、雇用主が社会保険料を折半して支払うものなのか、そんなことを根本から考え、どんな社会にしていくかということをみんなで議論し、大きなビジョンを描くことなく、この問題は解決しないし、私としても明確にこれがいい悪いと言いかねるというのが今の思いです。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
皆さんということで、原委員からお願いしていいですか。
○原委員 ありがとうございます。
この論点については、何人かの皆さんがおっしゃっていましたけれども、過去において、例えば遠い昔ですが、特例水準の影響ですとか、あとはマクロ経済スライドが導入されてからなかなか発動できなかったというような経緯の影響もあって、給付調整がなかなか進まなかったということなども含めて考える必要があるかと思います。
そして、今回の財政検証では、今後の見通しとして基礎年金のみ調整期間が長引いて、厚生年金の調整が終わってしまうというような事態になるということが分かって、それ自体は是正する必要というのはあると思っております。それは将来世代の給付水準の確保という意味においても先延ばしにはしないほうがいいのではないかと思いますが、確かに安定財源の確保といったものの必要性、それはどうするのかということですとか、あとはどうしても説明もなかなか難しいところでございますので、事業主の方や従業員の方、そして、厚生年金加入者の方、国民年金加入者の方それぞれ、一般の方々に対しても十分な説明、そして、理解を得ることが必要であるのではないかなと思っております。こういった基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整を早期に終了させるということ自体はよいと思いますけれども、そういった中でいろいろと超えなければならないものは、まだまだあるかもしれないと少し思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、堀委員、お願いします。
○堀委員 どうもありがとうございます。
今回、マクロ経済スライドにつきまして詳細なデータをお示しいただき、ありがとうございました。
国庫負担につきましては不安が残るところでございますけれども、7ページで世帯単位の年金額を見ますと数百円程度のマイナスにとどまっており、家計への影響は軽微にとどまると受け止めました。様々な問題がございますが、事務局の御提案に賛成したいと思います。
ところで、この資料で突然出てきました就職氷河期世代につきまして、四半世紀研究をしてきた立場から一言申し上げたいと思います。
就職氷河期世代は政策的には1993年から2004年卒業者とされておりますけれども、学卒時に正社員としての就職が困難であったが、その後時間をかけて正社員化が進んできたという点については誰しも意見が一致するところかと思います。しかし、年金という観点からすれば、正社員への移行が遅れて非正社員の期間が長く、かつこの時代、現在とは異なり、非正社員は十分に厚生年金の対象とはなっておりませんでした。
また、私の研究によりますと、就職氷河期世代は正社員、失業、無業、アルバイトなどを行きつ戻りつするヨーヨー型キャリアが多く見いだされ、一時点の正社員率で判断することが難しい世代でもございます。
さらに、氷河期世代が上の世代に比べて賃金が低いところは多くの研究において知られておりますので、賃金の低さというのは直接年金に影響を及ぼすところでもございます。
そして、何といっても、日本社会においてはこの世代のボリュームが非常に大きいので、この世代の年金不安を払拭していくということは重要な政策課題だと考えております。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
百瀬委員、お願いします。
○百瀬委員 御説明ありがとうございました。
2つ目の議題については、基本的に厚生労働省の今回の提案に異論ございません。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、オンラインの皆様から御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。
では、嵩委員からお願いします。
○嵩委員 ありがとうございます。
調整期間の一致については、基礎年金改革以来、厚生年金は基礎年金拠出金を通じて国民皆年金の一翼を担う制度として位置づけられてきたのではないかと考えています。そうした厚生年金の役割に照らしますと、厚生年金の積立金を1階部分に重点活用することで、基礎年金の給付水準の低下を防止して国民皆年金の実質を維持するということは、厚生年金の役割の延長線上にあると思いますので、様々な御意見がありますけれども、不合理な方策ではないと思っております。
他方で、過去30年投影ケースでは厚生年金のマクロ経済スライドが現行ルールを超えて継続し続けることになりますので、一定期間の給付水準の低下というのが現在の受給権者に対して行われるということで、法的には財産権の侵害というのを意味することになると思います。もっとも、今回試算いただいたように現行より最大1.8%の引下げになるということですので、基礎年金の給付水準維持という目的に照らしますと、憲法に違反する不合理な引下げと評価されるおそれは低いのではないかと思います。ただ、それでも水準低下における給付受給者の方々の不利益に配慮して、今回の取組についてはその必要性や意義について丁寧な説明をしていく必要があると思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
駒村委員、お願いします。
○駒村委員 この基礎年金に対するマクロ経済スライドの早期停止も全面的に賛成でございますので、今回なるべく成立するようにお願いできればと思います。
まず、この問題は厚生年金が国民年金を救済するなどという話ではない。2004年以降の経済環境の変化に、制度が対応できなくなっているというのが主たる要因でありまして、基礎年金と厚生年金のバランスが壊れたというのが最大のポイントになるということになります。
基礎年金というのは、単に年金制度にとどまらず、所得保障の柱でありますので、これが壊れていくというのは極めて深刻な状態になるということでございます。
資料の3ページで、前回この絵が少し抽象的で、青い線とオレンジの線がどこでクロスするのかというのが曖昧だったので、そこの数字を見せてくれとというお願いはしておりました。さらに7ページのような数字を出していただいて、大変ありがとうございます。2040年のところでクロスしていくというところで、ちょうど団塊ジュニア、氷河期世代のところに間に合うということでございます。
この世代をなぜフォーカスするのかというのは、今、堀委員がおっしゃったとおりでございまして、年金制度というのは、特定時点での就労状態がいいか悪いかではなくて、その人の初期からのキャリア、賃金から影響を受けるわけでありますので、今、堀委員がおっしゃったように、この世代は厳しい頃を経験した期間が長いということで、それが年金に反映されるということは議論するまでもないことです。
少し数字をもって説明すると、マクロ経済スライドを放置しておけば、この世代が80になったときに基礎年金は実質どのレベルの水準になるかというと、CPIで割り引いて5.3万円のレベルまで、何も対応せず放置すれば下がってしまうということです。
それから、この世代の年金水準が、今回出された年金のシミュレーションの分布額を見て、前の世代、後ろの世代と遜色ないのではないかというように見えますけれども、これは加入期間が前の世代は40年、この世代は44年と想定され、10%加入期間が延びたとしたらという想定で議論していることも見落としていけないことだと思います。
先ほど堀委員がおっしゃったように、この世代は1学年200万人、しかも、未婚率が50代前半で男性30%、女性20%になっています。この世代を、65歳以降も基礎年金が落ちるままに放置しておくというのは、所得保障政策上、大変大きな問題をもたらすと思いますので、ぜひこれは何とか止めるような施策として今回の案を通していただきたいと思います。
ちなみに、基礎年金が低下すると、地方のほうが恐らく基礎年金のウエートが高い人も多いので、地方経済にも非常に悪影響を与えると思います。この対策は今回の改革の中でも一番重要な点だと思いますので、厚生労働省におかれてはぜひ頑張っていただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
武田委員、お願いします。
○武田委員 ありがとうございます。
まず、前回も申し上げましたけれども、マクロ経済スライドの給付調整の早期終了の意義は私も大きいと思います。過去の経緯で進めるべきときに調整が進められず、結局、次の世代、将来世代に先送りしてきたということがございます。
今、駒村委員、堀委員から詳しくございましたけれども、団塊ジュニアの時代以降、就職が非常に厳しい時期があり、確かに就職氷河期という言葉も生まれましたし、それから、非正規から正規にずれているという現時点での事実はございましたけれども、当然非正規と正規の働いていた時間にも差がありますし、また、今のように適用拡大が進んでいなかったというような事実もございますし、そもそも賃金も30年間据え置かれてきておりました。
先ほどもございましたけれども、団塊ジュニアの層は人数も多く、これからの日本の社会を考えたときにも、必ずしもその世代の話だけではないと私は思います。したがって、私はこうした成長の議論をするときに、将来世代あるいはその世代に対しての責任ということも含めた議論は必要だと思っています。
一方で、皆様の御発言を伺っておりますと、この案についていろいろと理解を得るための努力、それから、丁寧な説明、こうしたことはもちろん必要だと思います。それから、同時に一番気にしていますのは、これが財源のないまま話が進んでしまいますと、結局さらに将来世代にツケが行くということもございますので、しっかり基礎年金の給付水準増加に伴う国庫負担分について、財源確保が後追いにならないこと、つまり、財源確保が先に立つということは大前提ではないかと思います。
したがって、私はこの意義というのは非常に重要だと思っておりますけれども、同時に、それが付け回しにならないように、財源の確保を担保し、先に立つということを大前提に話が進むということが重要ではないかと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
権丈委員、お願いします。
○権丈委員 昨晩のNHKの『時論公論』を見ていると、「専門家からも大筋了承されています」という解説があって、専門家から外されたかなと思うのですけれども、前回の年金部会も今日のようなこんな雰囲気だったと思います。調整期間の一致を支持する、反対するという論点そのものは、みんなは前回の年金部会と全然変えていないと思います。だけれども、あの日の夜から、あるいは次の日の新聞では、調整期間の一致には年金部会で大筋合意を得られたみたいな報道があったので、ええっと思ったわけです。
先週の全世代型社会保障構築会議で、内閣府の赤澤大臣が過去30年投影ケースだけを取り上げた議論をしていいのだろうかという発言をされていて、ホラーストーリーという言葉を使われていたわけですけれども、この調整期間の一致というのを行いたいがために、ここ数か月間こんなに年金は大変なのですよという話、ホラーストーリーが物すごく一般的になっていったので、最近の年金世論というのは完全にすさんでしまっているというのはあります。
先日出演した『アベプラ』で、調整期間の一致の特集の中「この案自体が年金制度自体がうまくいってない証拠では」と言う若い人たちに、そんなことはないのだよと説明をする役割をやらなくてはいけない、なかなかつらいポジションに私はいたわけですけれども、そういう年金批判を政治が嫌がるのはよく分かります。財政検証で割とハッピーな未来が描かれたのにホラーストーリー一色になっているのはもったいないと思っております。
そして今日はホラーストーリーの強化のために、先ほど堀委員も言っていたように、今回突然就職氷河期という言葉が出てくるわけで、それに関する、そもそも就職氷河期という特別な世代があるのかを論じた資料を提出しています。
そうした世代の厚生年金被保険者期間というのが周りの世代と比べてどうなのか。そういうことをはじめ、仮にその世代の10万円未満の人たちとの給付が上がるといったとしても、就職氷河期以外も全部含めて低年金者の年金本体がそもそも小さいので、調整期間の一致をやってもそんなに効果がある話でもないというようなことをちゃんとみんなで議論したほうがいいと思います。
そして、この過去30年投影だけでなく、経済成長のほうに移行してそれが持続していくというケースも含めて考えていくと、そう早急にやらなくてはいけない、あるいは調整期間の一致をやらないと本当に悲劇が起こるというような話なのかどうかということも、私はもう少しみんなで議論してもいいのかなと思っています。
そういうことで、先週の全世代型社会保障構築会議では、私は今回の改革が調整期間の一致と呼ばれていたように、最近名前が変わったわけですけれども、もともとは調整期間の一致と呼ばれていたように、問題は調整期間の不一致だったわけでして、私は厚生年金の調整期間を延ばしていくことは昔から反対はしていない。それを行うと厚生年金で積立金が上積みされていくのだけれども、その使途を今決める必要はないのではないかというようなことを少し話しました。基礎年金の問題というのはあるわけですけれども、基礎年金を上げる方法というのは、ほかにも45年化とか適用拡大とか、年金部会で私が王道の改革と呼んできた方法もありますので、それをどういうふうに展開していくかというのをこれからの5年間で議論し、次の財政検証の様子を見て決めていけばいいのではないかというような発言をしております。
前回も経団連の出口委員ととても意見が合っていたわけで、今日もそうですけれども、調整期間の不一致のもともとの原因は、要するにマクロ経済スライドのフル適用を我々が幾ら言っても政治が拒んでいたというところにあったわけです。そういうことを含めて、国庫負担に頼るばかりではなく、しっかりと年金も汗をかくということが大切なのではないかと私は思っております。
以上です。どうも。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、玉木部会長代理、お願いします。
○玉木部会長代理 ありがとうございます。
この議論を拝聴しておりまして、実に様々な見方があるものだと思いを新たにするところでございます。
広報の過程においてなるべく抑えていかなくてはいけないなと思う一つの誤解なのですけれども、これは1号に得させるためにとか、積立金が50兆円とか60兆円とかのオーダーで「流用」されるなど、刺激的で思考を停止させるような表現が時々流布しているのを見るのですけれども、それはやはり違うということはしっかり言っていく必要がある。基礎年金と国民年金は同じものではないので、厚生年金の積立金の充当先が、例えば私はずっと2号で来ておりますけれども、私の属している厚生年金の積立金の充当先が2階から1階に移るということであって、利害が違う人のところに行ってしまうということではそもそもないのだろうと私は理解してございます。
また、この点、人によって非常にこういう捉え方が違うなとつくづく思ったのは、資料の2ページの左下にピンクの四角がございますけれども、積立金は必ずしもそれぞれの制度の現在の被保険者が積み立てたものではないと書いてございます。これは私は全然違和感がなくて、私はこの積立金というのは年金特別会計で整理されている国有財産である、したがって、年金に関する法令の定めるところによって用いられるということは当然なのですけれども、その中の仕切りにおいて財産的なものとか、あるいは誰かとのつながりがあるとかいったものは、私個人としては全然考えたこともございませんでした。ということで、様々な議論はあるのだろうなと思います。
あともう一つ、基礎年金の水準が下がっていくということについてはやはり重大なものとして考えるべきでありまして、基礎年金に依存する割合が高い方というのは、必ずではないですけれども、しばしば経済的な弱者であることがあるわけです。例えばあまり就職等の機会に恵まれなくて、経済的にあまりうまくいかなくて単身高齢者になるという方々が一定数必ずいるわけでございます。そういう人生パスを歩んだことを責めることはできないわけです。したがって、そういった方々への配慮は当然あっていいだろうと思いますし、そのための大変うまいメカニズムが基礎年金という定額部分の存在であり、それによる再分配の仕組みだろうと思います。
現在、1号の3分の1は被用者ですよね。こういったことがある中で基礎年金といったものは考えていく必要があるわけですし、また、適用拡大については多分四半世紀ぐらい言われているのだろうと思うのですけれども、今回よくぞ頑張ってくださったと思うのですが、マル2までしかいかないわけですから、まだまだ道のりはあるわけです。ですから、これはやらなくてはいけないということを含めて考えていかなくてはならないし、また、今回私は45年加入という大変いいアイデアが出たな、ぜひ応援したいなと思ったのですけれども、早々にこの年金部会での議論からは後退してしまったということでございますけれども、やはり基礎年金を底上げするという非常に大きな目標に向かって様々なツールを導入していくというのが本来の政策形成の在り方ですし、これはもしかすると年金制度の枠を超えて、一般会計の安定財源といったところへの目配りも必要になるだろうと思いますし、そのときに、税とかいろいろなものを含めた広い議論の中で、年金という制度がきちんとした立ち位置を確保できるような議論の深まりといったものを今後進めていかなければいけないのだろうなと思った次第でございます。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
皆様から御意見をいただくことができました。ありがとうございます。
ただいま御議論いただきました基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了につきまして、本日、新たな資料を事務局から御提示いただき、御議論いただいたわけですが、前回もそうでしたけれども、先ほどの保険料負担割合の変更と同様、数的には賛成の方のほうが多かったと認識してございますが、かなりの慎重な御意見もいただいたところでございます。いずれにしましても、国民の皆様への丁寧な説明が必要であるとか、あるいは理解を得るための努力をすべきであるというところは大方の皆様の一致するところかと思います。
ということで、様々な御意見を賜りましたので、いただいた御意見を踏まえ、さらに事務局で検討していただき、部会での扱いを整理したいと存じます。ありがとうございます。
かなり時間が押してございますが、あと1つございまして、休憩を取るとさらに後が押してしまいますので、すみませんが、引き続き議題の3つ目に入らせていただきます。
事務局から御説明をお願いします。
○年金課長 議題3について、資料3の御説明をいたします。
遺族年金の見直しについては、7月30日の年金部会で議論いただき、そこで幾つか指摘をいただきました。それから、部会後も御指摘をいただいており、それらをまとめて今回の資料を用意しています。
3ページからお開きいただくと、遺族年金については老齢年金と違ってなじみが薄いということがあって、制度も複雑で分かりにくいという指摘もいただいていることから、3ページ以降にポイントとなる資料を作っています。
3ページですが、今回の見直しの契機は、現行の遺族厚生年金の制度において、お子さんがいない方については、男女差が制度にあるという点です。これについて、見直しの方向性は男女差を解消するというもので、それも直ちにではなくて、段階的に20年ほどかけて、まずは40歳未満のお子さんのいない配偶者について5年の有期給付にしてはどうかとしています。
加えて、その下は新しい御提案になりますが、配慮が必要な方については5年で給付が終わりではなく、引き続き継続して給付することを考えており、これが最長65歳まで継続する方向性にしています。
この有期給付化の際の配慮措置として、有期給付加算、婚姻期間中の記録を分割する死亡時の分割、それから年収850万円という要件を撤廃して受給しやすくすることの導入を考えています。こちらは前回の御提案と同じです。
それからこの見直しは、お子さんのいない高齢期より前の方が対象で、現在の遺族年金では御高齢の方が受給者の多数を占めるわけですが、こういった方々やお子さんがいる配偶者については、現在の給付が継続されますので、こちらはしっかりと明記したいと思っております。
続いて4ページは男女差の解消についてで、現行制度ではお子様がいない場合の遺族厚生年金には男女差がありますが、これを見直し後では20年という時間をかけて、夫と妻のどちらに対しても原則5年の有期給付プラス先ほど申し上げた配慮が必要な方への継続給付を提案しています。
配慮措置については、先ほどの繰り返しですが、現在の受給者や高齢者への影響はないこと、足元の見直し対象は40歳未満であること、あるいはお子さんがある場合は同じであること、ここをきちんと説明してまいりたいと思っております。
5ページは改正のイメージで、上の段は現行制度ですが、お子様のいない女性の場合は850万円という収入要件を満たした場合には、配偶者の死亡時点から遺族厚生年金が無期給付という形で給付されます。下は見直しの後の最終的な姿を書いていますが、まず、女性のみならず男性にも支給することになり、男女ともに支給するというAの部分です。それから5年の有期給付に加算をつけるというのがBの部分です。さらに、今回新しい提案になるのが継続給付で、配慮が必要な方へは5年目以降も継続するのがCの部分です。それから、年金を受給しやすくする収入850万円要件の撤廃がDの部分です。最後に、年金の死亡時分割による65歳以降の老齢厚生年金の増額がBの部分で、全体としてこういった形での見直しを考えています。
6ページもお子様がいないケースですが、現行制度では妻と夫のところに差があるところ、その下にあるとおり、妻と夫のいずれの場合であっても、配偶者が亡くなった場合には5年の有期給付プラス加算をした上で、継続給付があって、それから65歳以降の死亡時分割の増額の仕組みに時間をかけて移行する提案です。
続いて7ページは、遺族年金の見直しというと御不安になる方もいらっしゃいますが、受給者の多くの方は見直しの対象にならないということを説明する資料です。
まず、お子様がいる方については、子を養育する間、これはお子様が18歳というのが今のルールですが、その間については現行どおりの給付になります。加えて、本日の新しい提案ですが、子どもが18歳になった以降も5年の有期給付が継続することを加えています。
それから、60歳以降の高齢期の遺族年金の受給も現行どおりで、また、施行日前に既に受給されている方についても一番下にあるとおり現行どおりになります。
ここまでが全体のアウトラインで、具体的にどこの点が7月30日から変更されたのかというのが9ページです。
主に4点で、先ほどの説明とも重複しますが、一番大きいのは一番上で、様々な事情によって5年の有期給付後も生活の再建に至っていらっしゃらない方については、生活保障の必要性の観点から5年以降についても給付を継続すること、これが新しい御提案です。
それから、お子様がある配偶者の遺族厚生年金については前回の資料では明確に示していませんでした。この点について、お子様がいらっしゃる方の遺族厚生年金については、お子様が18歳になると、対象から外れてある意味でお子様がいない状態として評価されますが、この点については、引き続き養育費用の必要性あるいは就労に向けた準備期間として、そこから5年間の有期給付を給付してはどうかという御提案です。
その下の死亡時分割、収入要件の見直し、有期給付加算はこれまでどおりです。
それから4点目の寡婦年金の取扱いについては、寡婦年金も名前のとおり男女差を内包した制度ですが、これについて見直しが必要という御意見がある一方で、寡婦年金の支給期間は60代前半になりますが、生活実態は様々であると考えられ、遺族への保障の在り方はさらに検討が必要と考えています。したがって、将来的な廃止も含めて引き続きの検討事項としてはどうかと考えています。あわせて、死亡一時金の取扱いも検討してはどうかと考えています。
10ページ、ご説明しましたものの全体像で、左側はお子様のいない配偶者への遺族給付、右側はいらっしゃる場合になります。いらっしゃらない場合については、これまで説明申し上げたことと同じで、原則5年の有期給付となったことに加えて、配慮が必要な方への継続給付という構成になります。
お子様のある配偶者については、現行制度が一番右上ですが、7月30日の時点では、お子様が18歳になって遺族基礎年金を失権した時点で給付が止まるというようなイメージになっておりましたが、この点については、お子様が18歳になって遺族基礎年金を失権した後も5年間の有期給付プラス有期給付の加算となって、それから配慮が必要な場合には継続給付が受給できる、ということで、お子様がいない場合と同じような給付構成にしてはどうかと考えております。
続いて11ページは、継続給付の具体的な内容です。どういった方が対象になるかというところで、左側の①と②に分かれていますが、①は障害年金の受給権者であって障害の状態にある方で、この障害年金受給者は1級、2級、3級の方を想定しております。
それから②では前年所得に基づく所得基準を設けますが、この基準は、前年所得について国民年金の保険料免除基準を勘案して設定した上で、この基準の所得未満であれば全額を支給、そこから所得が少しずつ上がっていくと支給額を調整するイメージです。
その支給額の調整イメージが12ページになります。これは継続給付を受給されている方が就労により収入が変化した場合のイメージ図になっていて、左の就労による収入が少ない場合には、この継続給付の額は、加算も含めた額が現行の計算式に基づいて支給されますが、就労が増えてくると、それに伴って、継続給付の支給額が緩やかに減っていきます。結果として、就労と合わせた収入としては緩やかに上昇する仕組みとしてはどうかと考えています。
こういった仕組みがない場合には、基準額を超えると継続給付がなくなることから、そこを超えないような新たな動きが出ることも考えられますので、全体の収入が緩やかに上昇していく仕組みにしてはどうかと考えております。
続いて、13ページは、お子様がいる場合の遺族厚生年金の支給イメージになります。現行でも同様の仕組みがありまして、左の上ですが、30歳前に遺族基礎年金を失権した方には、失権後からプラスで5年間の有期給付が支給される制度になっています。今回の見直しでは、お子様がいる場合の仕組みについて、現行の30歳という年齢を徐々に時間をかけて60歳に引き上げてはどうかと考えています。配偶者が亡くなってから遺族基礎年金を失権するまでは、遺族厚生年金と遺族基礎年金が配偶者に支給されて、その終了後、つまり、お子様が18歳に達された場合などは、さらにプラス5年間の有期給付という構成で考えています。
続いて14ページは前回7月の資料とほぼ同じです。有期給付の導入に伴う配慮措置として、死亡時に伴う年金の記録分割の導入、それから、生計維持条件のうちの収入要件の廃止、有期給付加算の創設でして、このまま進めてまいりたいと考えております。
それから15ページですが、今回の配偶者の死亡に伴う年金分割制度に関連して、離婚時の分割に同じような仕組みがありますが、新たにこういう仕組みを設けることについて法的な整理が必要であるという御指摘をいただいており、それを試みたものです。
導入の目的としては、現行の遺族厚生年金は生涯にわたる無期給付として高齢期における所得保障をカバーしていますが、今回は有期給付にすることに伴って、配偶者の婚姻期間中の寄与・貢献を評価して、高齢期の年金受給額の改善を図るものとして導入したいと考えています。
制度設計に際しては、離婚時分割を参考にしており、妻の寄与・貢献を評価して分割する根拠規定を法令上で定めます。この妻の寄与・貢献の評価については、離別と死別での差はないと考えており、離別での考え方を死別にも拡張して、新たな根拠規定を年金法上に示してはどうかと考えています。
その際の分割の仕方については、死亡に際しての按分割合をあらかじめ合意するのはなかなか難しいので、死亡に伴う独特の部分として、按分割合については夫婦の標準報酬月額合計の2分の1を定めて分割する合意があったものと擬制してはどうかと考えています。
そういった形で整理して、記録の分割と遺族給付という2つの保障について支給期間が重複しないよう「二重利用」のない形で整理をしたいと思っております。
16ページは、有給加算の支給期間についてで、5年間の経過後も、障害年金の受給者であったり、所得が一定以下の場合には継続給付が続くことにしています。その際には有給加算も合わせて支給するという考え方にしています。
17ページは7月の資料とほぼ同じです。遺族基礎年金の話になりますが、子供に対する遺族基礎年金は、現行制度であれば父または母と生計を同じくする、同居している場合には支給停止となっています。一番下にある全てのケースにおいて、子に遺族基礎年金が支給されるよう見直しをする方向性については前回と変わっていません。
18ページと19ページは、時間をかけて段階的に制度を移行するスケジュールをイメージ図にしたもので、こちらも前回と変わっていません。
最後に遺族年金の関連で20ページ、21ページになります。
20ページは、委員からの御指摘があった課題についてで、現行制度で遺族厚生年金を受給している場合に、老齢年金の繰下げ受給ができないという点についてです。その結果、繰下げを希望される場合に、死別されて遺族厚生年金の受給権が発生している場合には、老齢年金の繰下げができない、あるいは中断するという事象が生じており、今後も増えていくことが想定されています。
したがって、見直しの方向性ですが、年金を増額させたいという受給者の選択を阻害しない観点から、今般繰下げの申出を可能とすることを検討したらどうかと考えています。具体的には、老齢基礎年金の繰下げの申出を認めることと、老齢厚生年金については一定の条件を満たす場合において繰下げの申出を認めてはどうか、としています。
21ページはそのイメージ図になります。現行制度が左側で、例えば一番上で申し上げると、死別して遺族厚生年金の受給権が発生した方が、65歳になって自分の老齢厚生年金の受給権が発生しても繰下げができず、そのまま老齢厚生年金と調整して受給することになります。
その下の段では、遺族厚生年金の受給権が発生した後、その請求をしない状況にあった方が、老齢厚生年金を増額する繰下げ申出をしたいという場合も、現行制度ではできない仕組みとなっています。
こちらについて、右側の見直し後ですが、本人が請求を行わず、遺族厚生年金の受給ではなくて繰下げの増額を選択したい場合には、その選択ができる仕組みにしてはどうかとしています。
老齢厚生年金と遺族厚生年金の受給権の発生時期が逆でも同じことが発生しており、老齢厚生年金の受給権が発生している方が繰下げの待機をしている時に、遺族厚生年金の受給権が発生すると直ちに繰下げの待機が終わって中断されることになります。それが右側の見直し後は、遺族厚生年金の受給を選択しないことで繰下げの待機とそれに伴う増額を選択できる仕組みにしてはどうかとしています。つまり、遺族厚生年金の受給権あるいは繰下げの増額のどちらかを本人の希望で選択できる仕組みにしてはどうかと考えています。
資料の説明は以上になります。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、御説明いただきました議題3につきまして、御意見等をいただければと思いますが、予定していた終了時間16時30分まであまり間がありませんので、時間内に収めることは難しいということは御理解を賜れればと思いますが、まず16時半で中座せざるを得ないといった、先に御発言をお求めの方がいらっしゃいましたら、優先してお願いしたいと思いますので、百瀬委員、原委員、平田委員ですか。こちらはよろしいですか。あと、駒村委員ですね。分かりました。では、4名様、先にお願いしたいと思います。
それでは、百瀬委員からお願いします。
○百瀬委員 次の会議の関係で先に発言させていただきます。
資料の3ページで今回の見直しのポイントが整理されています。今回の見直しの出発点は男女差の解消です。問題となるのはどう解消するかになります。過去の部会で意見を述べているので、詳細は省略しますが、社会状況の変化を踏まえれば、現在の男性、あるいは女性のどちらかに合わせるという単純な解消方法は望ましくありません。
7月30日に提案された5年の有期給付、さらに今回提案された継続給付の組合せで男女差を解消することに賛成いたします。7月30日に提案された各種の配慮措置にも異論はございません。現行制度では、共働き世帯の55歳未満の夫は、子がいない場合、妻が亡くなったときに遺族年金を受け取ることができません。子がいる場合は遺族基礎年金が支給されますが、遺族厚生年金は夫に支給されず、子に支給されます。見直しによってこうした男性の不利益が解消されます。
また、今回の見直しが実現すれば、見直し前に比べて、働く女性の拠出した厚生年金保険料が遺族年金に結びつきやすくなり、妻が厚生年金保険料を納付するメリットが増加します。その点で厚生年金の適用拡大とも整合的だと考えます。
さらに、5年有期化の実施についても、対象年齢の段階的引き上げにより、十分な経過措置が取られています。
また、様々な事情で有期給付終了後の就労が難しい場合についても、65歳までは継続給付による対応が行われて、65歳以降は年金分割による対応が行われます。
なお、新規に提案された継続給付では、拠出制年金に所得調査が導入されることになります。この点について理論的な観点から懸念があるという意見もあるかもしれません。ただし、遺族年金は老齢年金と比べれば拠出と給付の直接的な関連性が弱いという特徴があり、所得調査を導入する余地は十分にあると思います。
また、継続給付の対象とする保険事故が配偶者の死亡による扶養の喪失が続いていることだと捉えれば、拠出制の年金であっても受給者の所得を確認して給付を行うことは問題ないと考えています。
実際に欧米諸国の制度を見ましても、老齢年金については、支給開始年齢以降、受給者の収入額によって年金額を減額する仕組みが存在しないことが多くなっています。一方で、遺族年金については、受給者に所得がある場合に支給額を調整する仕組みを設ける国が少なくありません。
理論面での懸念以外にも、所得調査については、遺族の就労に負のインセンティブを与える可能性を指摘する声が上がるかもしれません。しかし、今回の提案は収入の増加に伴って収入と継続給付の合計額が緩やかに上昇する仕組みとなっており、就労意欲を大きく阻害しないように設計されています。
また、過去の部会で、子供がいる配偶者について、その子供が18歳年度末に到達した後の遺族厚生年金をどうするのか、これを検討してほしいと述べました。7月30日の案ではその点があまり明確ではありませんでしたが、今回、子供が18歳到達以降も少なくとも5年間、場合によってはそれ以上給付されるという回答が提示されました。この案にも賛成いたします。
国民年金の寡婦年金は、保険料掛け捨て防止の性格が強い給付で、支給期間も60代前半の5年間です。第6回の部会では、拠出期間の5年延長の議論と合わせて見直すべきだと問題提起しました。ただし、5年延長案が取り下げられた関係上、今回については見直しを見送って、引き続き検討事項とすることはやむを得ないと思います。
親と同居する子供に対する遺族基礎年金の支給停止規定の見直しにも賛成いたします。資料の17ページで4つのケースが書かれていますが、一番左のケースは10年前の年金部会でも議論になっていた点です。子に対する遺族基礎年金を子供の成育のために必要な保障として位置づけることで、今回の見直しを通じて、今後は被保険者死亡後の子供の養育環境にかかわらず遺族基礎年金を支給していただきたいと思います。
最後に1点だけ確認をさせてください。継続給付は所得に応じて減額する仕組みとなっていますが、この所得というのは、受給者本人の所得であって、受給者が同居している家族の所得は含まないという理解で間違いないでしょうか。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
事務局からいかがでしょうか。
○年金課長 御指摘ありがとうございます。
受給者本人の所得で判定する仕組みで進めたいと思っております。
○百瀬委員 ありがとうございました。
○菊池部会長 それでは、平田委員、お願いします。
○平田委員 ありがとうございます。
遺族年金制度の見直しに関しまして、お示しいただいた案におおむね賛成でございます。特に配慮が必要な方に65歳まで給付を継続するということは、安心感につながるとてもよい策だと思いました。
今回、男女の差を解消するということがテーマの一つに大きくなっていると思いますけれども、それ自体はすごく大事なことだと思います。一方で、実際にはまだまだ若い世代であったとしても、子育て世代であったとしても、家庭内における男女の役割分担というのは存在しているのが実態かと思います。これはどのようなことで起こるかというと、主に男性の中の当たり前の違いみたいなところでしょうか。あるいは女性よりも男性の方がやはり賃金が高いとか、昇進が見込めるので、そちら側に頑張ってもらったほうが家庭全体としてはメリットがあるとか、いろいろな考え方があると思いますけれども、そんなことで実際には男女差はあるのが実態かと思います。ですので、この男女差の解消ということを前提としながらも、そのことが結果的に女性に不利益にならないようにということで、社会全体を変えていくということがとても大事になるのではないかなと思いました。
細かいことですけれども、男性も家事、育児をしている。時間的には少ない。では、その差がどこから生じているかというと、女性は例えば子育てであったとしても、先生との連絡とか保育者との連絡とか、何ちゃらノートを書いたり、子供がお昼御飯を食べるの食べないのみたいなことを一々心配したりみたいなことはやはり母親の役割になっていることが多いわけです。きっとそんなことにいろいろ時間を取られているという中にあって、そこが男性も本当にフィフティーに担えるようになっていくと、本当のよりよい社会となるのではないかなと思います。
同時にもう一つは、地方と東京では大分社会の当たり前の観念の差があるなと思っております。我々の親世代も含めて、何が当たり前なのか。長男とはみたいなところで、やはりずっと地方との意識差があるというのはずっと感じてまいりましたけれども、その辺りも含めて全体性を見ていくことが大事なのではないか。今回の格差解消というのは、それをリードする役割として大事なことだと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
原委員、お願いします。
○原委員 ありがとうございます。
私も今回の遺族年金制度等の見直しについて、この見直し案には賛成の立場でございます。
特に先ほどもおっしゃっていましたけれども、遺族厚生年金制度の見直しのポイントは、3ページにあるとおり、男女差の解消というのが大きな目的であると思います。さらに、現在の社会や家族の姿、状況に合わせたものにするということもあるかと思います。男女の差というものの解消ということで見たときに、今回の見直し案については賛成できるものだと思います。
まず、これについては、念のためにお伝えすると、現在の受給者や高齢者は影響がないということはしっかりと周知を引き続きしていただきたいと思います。
中身についても、百瀬委員からもお話があったのですが、配慮が必要な人については5年目以降も継続して受給可能というところが今回ついたかと思うのですが、こちらは有期給付にした際のインパクトというものを配慮が必要な人については継続給付とすることで軽減できるのではないかと思っております。
なお、1点だけなのですけれども、この継続給付の支給要件については前年所得で判断するものがあります。これは11ページにもありますけれども、保険料の免除基準を勘案して設定するということですが、ここの部分についてより明確な形でチェック体制ですとか、しっかりとした仕組みや体制を取っていただき、判断していただきたいと思っております。
その他についても賛成でございます。最後の繰下げに関わる論点ですけれども、現在も年金相談の現場において、こういった理由で繰下げするのを諦めるという人もいるようですので、これは見直しをお願いしたいと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、オンラインから駒村委員、お願いします。
○駒村委員 ありがとうございます。
すみません。まさにもう出なければいけないので、本当に一言になってしまいます。
まず、事務局案はおおむね賛成ということです。前回の説明でよく分からなかった部分、粗かった部分を大変細かく説明していただいておりまして、百瀬さんがおっしゃるとおりよく分かりました。
一方で、事務局にぜひお願いしたいところがありまして、このテーマをこれだけ短い時間で議論するにはしんどいと思います。死亡時分割、継続給付、繰下げの辺り、もう少しじっくり議論したい部分も残っているのですけれども、ここは議論を深めるだけの余裕が多分今日もないのではないかと思っております。ただ、おおむね事務局案に賛成ということだけお伝えして退室したいと思います。どうもありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。時間がなくて失礼いたしました。
それでは、ほかの皆さん、いかがでしょうか。
是枝委員からお願いします。
○是枝委員 事務局の遺族厚生年金の改正提案に全面的に賛成いたします。7月30日の第17回年金部会の後、国民から広く寄せられた意見を踏まえ作成された、よりよい改正案になっているものと思います。
5年の有期給付が終了した後、様々な事情で十分な生活の再建に至っていない者への配慮として、所得状況及び障害の状態に応じて給付を継続するというのはよい案だと思います。その際の基準として、所得の場合、資料12ページにあるとおり、国民年金保険料の全額免除基準を超える所得3に対して年金1を支給停止するというのは、よく考えられたよい方法だと思い、賛成いたします。
国民年金保険料の全額免除というのは、単身や子が社会人になった後の場合、給与収入にして年収120万円ほどになります。遺族厚生年金の金額は、有期給付加算がついて平均で60万円ぐらいではないかと思います。そこから所得3に対して年金1を支給停止するというのは、給与所得控除も考慮しますと、およそ給与収入が4増えるごとに年金が1支給停止されるという形になります。すると、遺族厚生年金が全額支給停止になる年収は、およそ年収360万円ぐらいではないかと思います。現在、女性の厚生年金被保険者の平均年収がちょうど360万円ぐらいですので、10年後ぐらいにはほとんどの人がこれぐらいの収入を稼げるよう、労働市場を変えていきたいと思います。
もし配偶者死亡や子が18歳になってから5年たっても年収360万円程度を得られない場合には、遺族厚生年金の継続支給というのがセーフティーネットの役割を果たすことになります。収入の増加に応じて年金が停止される形となりますので、労働のディスインセンティブになりやすい形にはなるのですが、その減り方が給与4に対して年金1停止のペースですので、この程度までであれば労働意欲への影響は限定的だと思います。
一方で、セーフティーネットという形になりますので、5年経過後の継続給付の部分につきましては、再婚による失権というのはやはり残すべきではないかと思います。家族の役割分担の中、一方は専業主婦型、一方は稼ぐ形にして世帯として収入を確保する世帯に対して継続給付を継続するというのはおかしい考えだと思いますので、5年経過後については再婚による失権というのはあってよいかと思います。
話題が変わりますが、遺族基礎年金の支給停止規定の見直しにつき、事務局に1点質問がございます。資料3の17ページにおける遺族基礎年金の支給停止規定の見直しについて、施行日以後、支給停止を解除するという考え方でよいでしょうか。つまり、施行日以後に受給権が発生したものだけでなく、現時点で遺族基礎年金の受給権がありながら支給停止になっている人も解除するという考え方でよいでしょうか。よろしくお願いします。
○菊池部会長 事務局、いかがでしょうか。
○年金課長 御指摘ありがとうございます。
その点については、御指摘があった方向で検討を進めたいと思っております。つまり、施行日以後は今支給停止になっている方の停止が解除されることで考えております。
○菊池部会長 よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
ほかには。
小野委員、どうぞ。
○小野委員 ありがとうございます。
私は正直に言ってこの分野というのは通じていませんが、全体として了承いたします。ただ、とにかく仕組みが複雑との印象を受けましたので、やはり周知が課題だと思いました。
それで、1点質問ですけれども、遺族厚生年金受給権者の老齢年金の繰下げ申出の見直しについては、趣旨は理解しましたが、例えば大分若い時代に遺族厚生年金を有期で受給した場合にも繰下げができないのかというところについて分かりませんでしたので、教えていただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
○年金課長 御指摘ありがとうございます。
御指摘があった有期給付は、今回の見直しで対象が拡大する方向になりますが、有期給付から継続給付にならない場合は5年後に失権することになります。失権すると、受給権はリセットといいますか、発生していないことになるので、繰下げには影響しないことになります。
○小野委員 ありがとうございました。
○菊池部会長 それでは、佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
遺族年金の議論に当たっては、家族類型や働き方、ライフスタイルなどの多様化に照らして検討され、遺族厚生年金における男女差を解消する提案と認識しております。男女差を解消する方向性には賛同いたします。
先ほど駒村委員も話されていたように、示された各内容について今後も丁寧に検討する必要がある部分があろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかに会場からは。
島村委員、どうぞ。
○島村委員 御説明ありがとうございます。
年金分割を含め、私は基本的に賛成の立場ですが、幾つか疑問もあるのでコメントさせていただきます。
まず、継続給付の位置づけについてなのですけれども、それまでの5年間の年金に関する受給権が失権しないという扱いになるのか、それとも先ほど要件というような議論もありましたけれども、別の権利として発生する話なのかというのは整理が必要なのではないかと思っております。
1つ質問をさせていただきたいのが、件数自体は少ないかもしれないのですけれども、子がいる場合で850万円以上の場合にはどういう扱いになりますでしょうか。
○菊池部会長 もしほかにもあれば、全部まとめてどうぞ。
○島村委員 大丈夫です。繰下げについては賛成です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
○年金課長 御指摘ありがとうございます。
まず、1点目の5年間の有期給付について、5年終わった後の継続給付が新しい権利に変わるのかという点については、継続給付もそのまま遺族厚生年金の規定に基づく給付になり、新たに何か違う権利が発生するという構成は考えておりません。
それから、お子様がいる場合の850万円以上の扱いについては、今日の資料では検討中としていますが、この場合妻の収入が850万円以上ありますので、妻自身の有期給付は支給停止とした上で、ただその間はお子様で収入850万円を超えている方はあまりいないことから、お子様自身に遺族厚生年金が?支給されます。それでお子様が18歳になると、支給停止になっていた妻の有期給付が停止解除になり、そこから5年間の有期給付を受給する構成で考えています。お子様のことも含めた世帯としては、お子様が18歳までの給付額は現行と同じで、お子様が18歳以降は収入が850万未満の方と同様に、妻に有期給付が5年間給付されるのとプラス継続給付という構成で考えております。
○島村委員 御説明ありがとうございます。
その点について、私個人としては、850万円以上の人にも激変緩和は必要だと思うので支給すべきと思いますけれども、その支給のタイミングというのはやはり死亡時とつながっていないと説明ができないのではないかと思っておりまして、18歳以降になって突如850万円以上の配偶者に支給というのには違和感がありますので、その点は申し添えさせていただければと思います。ありがとうございます。
○菊池部会長 どうもありがとうございます。
ほかには。
権丈委員、お願いします。
○権丈委員 社会状況の大きな変化、特に働き方、女性の働き方とか、あるいはライフコースの変化、家族の在り方とかに対応して、この3ページにある見直しの方向性、男女差の解消、それと原則5年の有期給付という方向性を私はとても支持しております。
同じ原因、つまり、社会状況の変化、働き方の変化、そして、ライフコースの変化、ライフスタイルの多様化とかということをベースとして考えるのであれば、タイミング的に間に合わない可能性は多分にあるのだけれども、遺族年金の課税化もやはり視野に入れてもらいたいというのはあります。
老齢年金は課税で遺族年金は非課税なわけですけれども、2004年のときから、自分の厚生年金と遺族年金との併給時には自分の厚生年金を先に受けて、遺族年金は差額を上乗せするというルールになっています。その結果、共働きで自分の厚生年金がある人はその年金に課税されて、遺族年金しかない人は非課税というような状況があり、共働きとか女性が働くという社会になっているときに、こういうところで差があっていないいのかなと。いろいろな形で課税のところでも、あるいは医療・介護の自己負担とか保険料とか、いろいろなところでも差が出てくるけれども、大きな流れとして女性が働き、共働きも進んでいる状況に対応していないこの状況は、やはり、社会状況の変化という同じ原因で見直していきましょうという男女差の解消とか原則5年の有期化というものと同じぐらいのウエートで視野に入れてもよかったのかなと思っております。
どうもありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
たかまつ委員がお手を挙げていらっしゃったので、一旦戻らせていただきます。ごめんなさい。
○たかまつ委員 ありがとうございます。
私は今回の遺族年金について賛成します。子供の権利の観点から子供の受給権が停止することの見直しをお願いしていましたが、その点が考慮されていてよかったです。
今回、多くの方々の心配する声もあったと思うのですが、それも検討していただき、ありがとうございました。
以上になります。
○菊池部会長 ありがとうございます。
お待たせしてすみません。嵩委員、お願いします。
○嵩委員 ありがとうございます。
遺族年金について、今回の御提案は男女の違いが解消されるという御提案で、とても意義のある改正案だと思っております。また、それとともに、遺族年金で保障するニーズについて、従来の考え方を転換する、あるいは従来の考え方について現在の社会状況も踏まえてより精緻化していくということかと思います。
その際、現行と大きく異なるのは、まず死亡時年金分割の導入ですが、これは15ページの法的整理について適切な整理だと思っております。
また、5年と区切って男女を問わず年収要件、所得要件を問わずに支給されることになるという点も大きな見直しで、これを配偶者の死亡後の生活の立て直しを支援するための給付という形で整理されることになるのだと思います。
他方で、18歳未満の子がいる場合に、18歳未満の子がいなくなった時点から5年の有期給付に切り替わるということですが、この給付の目的が何なのか、子供がいないケースでの死亡直後の5年間の有期給付と同じ趣旨なのかどうかという点は、遺族年金の根本的な仕組みを見直すことになりますので、趣旨というのを整理しておく必要があると思います。
例えば子育てがあるためにこれまで十分に自立に向けた活動を行うことができなかったのが、18歳未満の子供がいなくなったことで、その時点以降について改めて自立に向けた活動を支援するための給付といったことで捉えていくのかなと考えられますけれども、現在、30歳未満の有期給付の趣旨というのもあると思うので、それも一緒に踏まえて検討する必要があると思っております。
また、まず、5年間の有期給付が終了した後の障害年金の受給者への配慮というのは必要だと思います。あと、5年間の有期給付後に所得が低い、現在30歳未満の妻についてはそのような措置はないのではないかということからすれば、一つの考え方として、もはや雇用政策で対応すべき領域と整理し切ることも考えられますけれども、今回の御提案では今後有期給付の対象者の年齢が引き上がっていくということですので、そういった方々、年齢層が比較的高い人たちの現実のニーズに年金制度として対応する必要があるということで、こういう御提案になっているのだと思います。
そこで、国民年金の免除基準ということでやや厳しいですが、所得要件にて継続給付とすることについて、所得要件を社会保険に取り込むことになりますけれども、先ほど百瀬委員がおっしゃったとおり、遺族年金において所得要件のある継続給付を導入することも不合理ではないと思っております。
なお、一旦十分な就労収入を得て継続給付がゼロとなったというか、失権となった場合には、再度収入が下がってしまってもこれは復活しないと理解しておりますが、その理解でよいのかというところだけ確認したいと思います。
あと、21ページの繰下げの見直しと17ページの支給停止の見直しについても賛成いたします。
最後に、今回の改正が実現しますと、遺族年金はかなり複雑になるということなので、先ほども御指摘がありましたけれども、それぞれの給付の趣旨を整理することと、何よりも分かりやすい周知が必要だと思いますので、その点もどうぞよろしくお願いいたしますという意見で終わらせたいと思います。
先ほどの質問についてよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 いかがでしょうか。
○年金課長 御指摘ありがとうございます。
説明を省いて失礼しました。継続給付を受給している方について、所得が高いことによって例えば全額支給停止になった場合ですが、直ちに失権することは考えていません。資料11ページの真ん中の辺りですが、全額支給停止となった時点から2年間が経過したときに失権する構成で考えています。したがいまして、例えば一時的には所得が上がったけど、結果的にまた戻ったような場合には、2年の範囲内であれば支給停止が解除されて引き続き受給できる。ただし、2年間継続して所得が高いような状態になると、そこは失権するということで、少し様子を見る期間を取りたいと思っております。
○嵩委員 すみません。見落としておりました。ありがとうございます。
○菊池部会長 権丈委員、どうぞ。
○権丈委員 先ほど言い忘れたのですけれども、遺族年金の課税化は税調とも関わってきて、所得税とも関わりますので、私は政府税調のほうでもこれは声を大にして言っております。構築会議のほうでも声を大にして言って、今後の年金部会でも提起したいということを先週言っておりますので、いろいろなところから相談が来るかもしれないのですけれども、年金部会のほうでも話があったということをお伝えいただければと思います。
それと、調整期間の一致のところで、トロイの木馬という話を前回の会議でしたわけですけれども、これは意味をみんなもう少し考えてもらったほうがいいかなと思っております。調整期間の一致というのを今やると、先ほどのコメントをいろいろ聞いて思ったのですが、今やると王道としてのさらなる適用拡大と45年化というのはなくなるなというのが私の不吉な予言だということです。
以上です。どうもありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかによろしければ、玉木部会長代理からお願いします。
○玉木部会長代理 私はこの遺族年金の議論、前回7月にありましたけれども、その議論を通じて一番感じた感想を1つ申し上げると、この遺族年金の無期給付であるというのは、議論した昭和の時代に30代、40代の女性がきちんとした仕事に就いて家族を支えることは無理だという判断があったという話がありました。そのような時代からたかだか数十年でこれだけ変わってしまうわけでございますので、今回のような遺族年金の制度改正は社会の変化に追いついていくためのいい対応だろうと思います。
また、今回思ったことが1つありますのが、21ページあたりに繰下げとの関係がございますけれども、あなたは遺族ですから繰下げできませんと言われたときに、ああそうかと腹落ちする人はいないのだろうと思うのです。したがって、私は年金制度のあちこちに、よく説明を受けたけれども腹落ちしないというものがもしあれば、これは潰していくということについて頑張っていただきたいと思います。腹落ちしないということが1つあると、年金制度のごく一部について腹落ちしない、例えば在老について腹落ちしないとか、遺族年金について腹落ちしないということがあると、年金制度全体、場合によっては社会保障全体について何だか変な代物だという信任の低下につながりかねないところがございますので、一見小さなことですけれども、リパーカッションとして大きくなることがあるのだといったことを感じたところでございます。
今日の資料にありますような進め方につきまして、私は違和感は全然ございません。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
遺族年金制度につきましては、おおむね皆様から事務局提案の見直しの方向性で御了解いただけたと思います。
島村委員、嵩委員から御指摘があったかと思います。これは法学研究者のお立場からの御指摘だと思います。私も十分理解できるところでありますけれども、法律改正の後、これは一体どういう趣旨のどういうものなのだと疑問に思われないためにも、今日も法的整理の資料を出していただきましたけれども、引き続き御検討いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、予定しておりました議事は以上でございます。
今後の予定につきまして事務局からお願いします。
○総務課長 本日は、長時間にわたりありがとうございました。
次回の議題日程につきましては、追って連絡をいたします。
○菊池部会長 それでは、本日の審議は終了いたします。延長をしてしまいまして大変申し訳ございませんでした。
御多忙の折、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。お疲れさまでした。