AIJ問題で確定給付企業年金までもが
減額容易に?
日本経済新聞一読者(12.5.9)
AIJ事件が判明後、民主党、厚労省、国会などの動きが報じられていますが、断片的でよく分かりません。しかし厚生年金基金だけでなく確定給付企業年金もドサクサ紛れに改悪しようという流れがあり警戒が必要ではないでしょうか。
民主党は3月、ワーキングチームを作り、受給者の減額は2/3以上の同意が必要なのに引下げを提起するなど、筋違いな対応が報道された後、何もみかけなくなりました。
厚労省は3月に特別対策本部を立ち上げ、有識者会議の設置を決定。この有識者会議は月二回開いて六月ごろに結論を出すと報じられ、4月13日、24日に開催されましたが、後の日程・予定を問い合わせても未定という意外な回答(5月8日)でしたが、ナント翌9日付で突然16日に開催するとの案内が厚生労働省のホームページに掲載されました。朝九時から二時間の会議で傍聴は「若干名」とありますが、急な決定でこの時間帯にどれほどの人が参加可能なのでしょうか。有識者の多忙なメンバーは出席できるのでしょうか。もっと前に決めていても国民には伏せて傍聴者が増えないようにしたのでしょうか。重要な問題を方向付けるにしては、付け焼刃的というかいい加減な感じを受けるのは私だけでしょうか。一部の人達によって方向性が決められていてセレモニー的に格好つけて六月に結論を出すのでしょうか。
確定給付年金まで巻き込む策動
気になるのは、厚労省の対策本部や有識者会議の名称は「厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する有識者会議」と「等」の文字が付けられていることです。厚労省に尋ねると「厚年基金が主題だがこれだけに限定されない」との答で確定給付企業年金も含めているのか、聴くと明確な回答は避けられました。
これまでの経過で問題なのは、AIJ事件の被害に会った厚生年金基金をどうするか、財務状態が特別に悪化している厚生年金基金をどうするか、という限定された話のはずが、確定給付企業年金も含めての対策、特に受給者の減額をし易くする方向へ広げられていることです。
日経新聞は確定給付も含め減額基準緩和の立場で「AIJ投資顧問による年金消失問題を奇貨とできるかが問われている」と書きました(4/7)。
財界の立場をいつも代弁する日経新聞らしく旗幟鮮明ですが、昨秋の経団連の企業年金に関する政府宛規制改革要求が非公開とされ、えげつない要求内容ではないかと懸念されていますが、AIJ問題を千載一遇として確定給付企業年金についても受給者の減額要件の大幅改悪など一気にやられる危険性は無いでしょうか。
厚生年金基金、確定給付企業年金の加入者、受給者は1,100万人を越えています。これに家族も含めるとかなりの数になり、膨大な庶民の声を少しでも厚労省へ届けるとか、経団連に質問するとか、草の根からの行動も色々と考えていかねばならないように思います。(なお、厚生労働省=年金局企業年金国民年金基金課(代表電話03(5253)1111内線3320)、経団連=事務局労働政策本部03-6741-0181)