2019年2月22日 第1回 社会保障審議会企業年金・個人年金部会
議事録
年金局企業年金・個人年金課
1.日時:平成31年2月22日(金)
19:58~11:51
2.場所:AP新橋 3階ルームA
3.出席者:
(委 員) 神野部会長、森戸部会長代理、伊藤委員、井戸委員、臼杵委員、内田委員、大江委員、
小川委員、金子委員、小林委員、藤澤委員、山本委員(小林代理人)、渡邊委員
(オブザーバー)永原国民年金基金連合会理事長、村瀬企業年金連合会理事長
4.議題
(1)企業年金・個人年金制度の現状等について
(2)次回以降の進め方について(案)
議事内容
○神野部会長
それでは、定刻より少し早目でございますけれども、ただいまから第1回「社会保障審議会企業年金・個人年金部会」を開催したいと存じます。
皆様方には、年度末が刻々と近づいている大変お忙しい時期にわざわざ万障お繰り合わせて御参加いただきましたことに、深く感謝を申し上げる次第でございます。
冒頭申し上げましたように、本日、この部会は第1回目の開催となります。見方を変えると、昨年4月以来、約10カ月ぶりの開催ということになるのですけれども、部会の名称も「企業年金部会」から「企業年金・個人年金部会」に変更いたしまして、企業年金・個人年金制度についての新たな議論を始めるキックオフの回になります。
初心忘れるべからずということに関するさまざまな言葉はたくさんあるのですが、私の好きな言葉は、人間が見せる笑顔の中で最も美しい笑顔は、幼子が最初に歩き始めたときに見せる笑顔だと言われておりますので、最初の第一歩を踏み出すに当たって、心して進めていきたいと思います。
まず、木下年金局長から一言お言葉を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。
○木下年金局長
皆さん、おはようございます。年金局長をしております、木下でございます。
また、部会長におかれましては、非常に温かい言葉をいただきまして、本当にありがとうございます。
まず皆様、本当にお忙しい中御参加をいただきまして、ありがとうございます。
また、このたび新しく委員として御就任された方々も御参加いただきまして、本当にありがとうございます。
今、部会長からお話がございましたけれども、企業年金部会は先の法改正から施行まで御議論いただいてきたわけですけれども、その最後が昨年の4月の開催でございましたので、今、言われたとおり10カ月ぶりということになります。前回の改正によりまして、リスク分担型の企業年金、あるいはリスク対応型の掛金によりまして、給付設計の弾力化を図るとともに、企業年金の財政の安定化を図る改革を実施してまいりました。
一方で、企業年金のみならず、働き方やライフコースの多様化など社会情勢の変化を踏まえまして、個人型の確定拠出年金、いわゆるiDeCoの加入範囲の拡大を進めまして、平成29年1月から全ての被保険者の方々が加入できるようになり、既に100万人を超える加入状況となっております。こうした事情や背景を踏まえまして、今回の部会の再開に当たりましては、「企業年金部会」の名称を「企業年金・個人年金部会」に変更いたしております。
現在、政府では、健康寿命の延伸、あるいは高齢者の就労意欲の高まりなども踏まえまして、人生100年時代を見据えた経済・社会のあり方について、さまざまな会議体で議論を行っているところでございますけれども、厚生労働省におきましても国民の誰もがより長く元気に活躍できる全世代型社会保障の構築を目指した議論を行っております。年金制度につきましても、このような時代の変化に対応しまして、公的年金と私的年金が相まって高齢期の生活を支えるという役割を果たすことができるよう、制度の見直しを不断に行っていくことが求められているわけでございます。
公的年金制度につきましては、高齢期の働き方と年金受給のあり方等につきまして、昨年より年金部会を中心に精力的に議論をしていただいておりまして、本年、5年に1回の財政検証の年に当たりますので、そうした財政検証の結果を踏まえまして、次期制度改正の検討を進めているところでございます。長期化する高齢期の生活を支えるためには、就労と公的年金、そして、企業年金・個人年金というさまざまな組み合わせを、国民一人一人が老後のライフデザインとして設計し、そして、個人として選択していくことが必要でございまして、公的年金と足並みをそろえた議論が求められているのではないかと考えております。
こうしたことを踏まえまして、当部会の委員の皆様におかれましては、企業年金・個人年金制度のあり方について、人生100年時代のニーズに対応できる制度としてさらに進化をしていけるよう、ぜひとも精力的かつ建設的な御議論を進めていただきますことをお願い申し上げて、挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○神野部会長
どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして、事務局から御紹介していただく連絡事項がございますので、御説明をお願いいたします。
○吉田企業年金・個人年金課長
企業年金・個人年金課長の吉田でございます。どうぞよろしくお願いします。
まず、委員の御異動がございましたので、御紹介いたします。
和田委員が退任されまして、後任として、小川伊知郎 日本年金数理人会理事長でいらっしゃいます。
また、新たに4名の方に委員に御就任いただきましたので、御紹介いたします。
大江加代 NPO法人確定拠出年金教育協会理事兼主任研究員でございます。
金子久 野村総合研究所金融イノベーション研究部上級研究員でございます。
藤澤陽介 早稲田大学大学院会計研究科講師でございます。
渡邊絹子 筑波大学ビジネスサイエンス系准教授でございます。
また、前回の企業年金部会から事務局にも異動がございましたが、座席図に役職と氏名を記載しておりますので、御紹介は割愛させていただきます。
○神野部会長
どうもありがとうございました。
それでは、議事に入ります前に、皆様方にお計らいしたい事項がございます。これまで御案内のとおり、企業年金連合会の村瀬理事長にオブザーバーとして御参加を賜っております。今後、名前も変えて企業年金、それから個人年金について、この部会において議論を進めていくわけでございますので、企業年金・個人年金それぞれに関する知見を頂戴するために、今回の部会から企業年金連合会の村瀬理事長に引き続きオブザーバーとして御参加いただくだけではなく、国民年金基金連合会の永原理事長にオブザーバーとして御参加していただきたいと考えておりますので、この点、御承知おきいただけるかどうか、お計らいしたいと思います。よろしいですか。
(「異議なし」と声あり)
○神野部会長
どうもありがとうございました。それでは、そのように取り計らわせていただきたいと思います。
次いで、本日の委員の出席状況について御報告申し上げます。白波瀬委員からは御欠席との御連絡を頂戴いたしております。
さらに、山本委員から御欠席との御連絡を頂戴しておりますけれども、山本委員の代理として、日本商工会議所企画調整部担当部長の小林様に御出席をいただけるということでございますので、この点も部会の御承認を頂戴したいと思います。よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○神野部会長
それでは、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。
その上で、御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、この会議は成立していることを御報告申し上げたいと思います。
引き続きまして、これも事務局から資料の確認をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
○吉田企業年金・個人年金課長
まず、資料の形式につきましては、厚生労働省では審議会のペーパーレス化を推進しております。事前に御案内しましたとおり、本日ペーパーレスで実施させていただきます。
本日の資料としましては、
資料1 企業年金・個人年金制度の現状等について
資料2 次回以降の進め方について(案)
参考資料1から3までを用意させていただいております。
参考資料につきましては、「企業年金部会」から「企業年金・個人年金部会」に名称が変更されたこと、また、私どもの課の名前も「企業年金・個人年金課」となったことを踏まえまして、形式的な修正を行っていることからお示しをしたものでございます。
事務局からは以上でございます。
○神野部会長
お手元、御確認いただければと存じます。過不足ございませんでしょうか。
どうもありがとうございます。
それでは、議事に入らせていただきたいと思いますが、お手元に議事次第が行っているかと思います。御参照いただければと思いますけれども、今回「企業年金・個人年金制度の現状等について」「次回以降の進め方について」、この2つを議題として準備させていただいております。もちろん主要な議題は最初の「企業年金・個人年金制度の現状等について」ということでございますが、この議題につきましては、キックオフする最初のスタートでもございますので、企業年金・個人年金制度の現状、取り巻く状況等々について、部会に御参集の委員の皆様方と認識を共有していきたいと思っております。
そこで、事務局からまず状況についての御説明をいただいて、その上で委員の皆様方から御議論を頂戴したいと思いますので、資料について、事務局から御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
○吉田企業年金・個人年金課長
まず、資料1をお開きいただければと思います。制度の現状等について御説明申し上げます。先ほど部会長からもご発言がございましたが、初回ですので基本的なものから御用意をさせていただいております。
まず、制度の概要です。
2ページ、年金制度体系です。絵の部分ですが、20歳以上の全国民をカバーする国民年金、その上に被用者をカバーする厚生年金保険があり、3階部分として確定拠出年金、確定給付企業年金、代行部分を有する厚生年金基金、公務員の退職等年金給付があり、さらに個人型確定拠出年金・iDeCoがあります。左側を見ていただきまして、1号被保険者には、国民年金基金とiDeCoがあります。
我が国の企業年金・個人年金のカバレッジですが、上の箱の部分、20歳以上65歳未満の人口に対する加入者の割合は25.0%、厚生年金被保険者に占める加入者の割合は38.9%となっています。
3ページ、企業年金の加入者数の推移です。長らく企業年金の中核を担ってきた適格退職年金、厚生年金基金から、確定給付企業年金、確定拠出年金に移行してきているのが、グラフの色から変化で見てとれると思います。そして、この間、企業年金の加入者数は減少しています。
4ページ、企業年金制度の沿革です。我が国の企業年金の源流は退職一時金にありますが、明治時代、定年退職時に退職一時金を支給することが普及・慣行化し、戦後、中小企業でも退職一時金が一般化しました。
1952年、税制上の退職給与引当金制度が導入され、従業員が退職した場合に必要とされる資金、すなわち要支給額の全額について無税での社内留保が認められました。
1959年、中小企業退職金共済制度、特定退職金共済制度が導入されました。高度経済成長期には、この退職一時金の支給額が増大し、費用を平準化することが経営上の課題になりました。このような状況を背景に、一部の企業では企業年金が導入されることになりましたが、これらは自社年金で税制上の優遇措置の適用を受けないものでした。
税制改革を求める声が高まり、1962年、税制上の優遇措置として適格退職年金が導入されました。
また、この頃、厚生年金の充実も進められましたが、厚生年金と退職金・企業年金との調整を図ったものとして、1966年、厚生年金基金制度が導入されました。
その後、バブル崩壊による企業年金の運用が悪化するとともに、少子高齢化や雇用の流動化への対応が求められる中、1997年には確定拠出型年金の導入を検討することが閣議決定されました。
2000年には退職給付新会計基準が導入され、そして、2001年、確定給付企業年金法、確定拠出年金法、いわゆる企業年金2法が成立しました。
また、確定給付企業年金制度の創設に併せて、適格退職年金は10年後の廃止が決まりました。厚生年金基金についても2002年から代行部分の返上が認められ、単独型、連合型の多くが確定給付企業年金に移行しました。
2004年には、公的年金のマクロ経済スライド導入の法改正の中で、企業年金ではポータビリティの拡充等が図られた次第です。
2011年、年金確保支援法で、確定給付企業年金、確定拠出年金の見直しがありました。
2013年には、厚生年金基金制度の抜本的な見直しがあり、今後の新設が認められず、5年間の特例解散制度等が導入されました。
2016年、企業年金部会でも御議論いただきまして、確定拠出年金法を中心に大規模な見直しがあったところです。
5ページ、確定給付企業年金と確定拠出年金の創設経緯です。両者とも下の表の真ん中にありますが、2000年に企業の退職給付会計に新しい基準が導入されたことが共通の要因です。図の左側ですが、確定給付企業年金は、企業の退職給付制度の中で、早期退職や一時金支給等の企業のニーズに柔軟に対応できるよう設計された適格退職年金、また、厚生年金基金、そういった制度を承継する制度として創設された経緯があります。
一方で、確定拠出年金は、図の右のほうですが、少子高齢化、また、雇用の流動化等に対応するための新たな選択肢として、米国の401(k)プランを参考とする形で新しい年金として導入された経緯があります。
6ページ、給付建てと拠出建ての基本的な仕組みです。給付建ては、あらかじめ給付の算定方法が決まっている仕組みでして、資産は事業主・基金が運用し、積立不足が発生した場合には、事業主が追加で掛金を拠出することによって、不足額を埋め合わせることが必要になります。
拠出建ては、あらかじめ定められた拠出額とその運用収益との合計額をもとに、個人別に年金給付額が決定される仕組みになっています。資産は加入者個々人が運用し、運用が低調でも、事業主の追加拠出はないところです。
これら双方の特徴を併せ持つ制度としては、我が国では、「キャッシュバランスプラン」や「リスク分担型企業年金」があります。
7ページ、確定給付企業年金と確定拠出年金それぞれについて、制度創設時の経緯を反映する形で、加入可能年齢や受給開始年齢等の仕組みが異なっています。
上の箱の2つ目の○、確定給付企業年金は、適格退職年金や厚生年金基金の後継制度で、加入可能年齢は厚生年金と同様に70歳までとされているとともに、退職等を事由とした支給開始要件の年齢到達前の中途引き出しが認められています。
確定拠出年金は、単なる貯蓄とは異なるという制度趣旨のもと、受給開始可能年齢は60歳以上とされるとともに、年齢到達前の中途引き出しは原則認められていません。加入可能年齢については、受給開始可能年齢を踏まえ、現在60歳までとされています。
8ページから、確定給付企業年金に関する資料です。まず制度概要、2つ目の○、労使の自主性を尊重しつつ、受給権の保護を意図した制度です。労使合意に基づき、規約を作成し、厚生労働大臣の認可等を受けることで実施されます。将来の給付を事業主が約束するものです。
9ページ、制度改正の主な経緯です。昨今の改革は、下から4行目、リスク対応掛金やリスク分担型企業年金の導入といった柔軟な制度設計と、ガバナンスの確保に向けた改革がなされています。
10ページ、加入者数の推移です。2011年度末までは、適格退職年金からの移行に伴い、加入者数は増加しました。その後、加入者数は横ばいに推移していましたが、2016年度以降、代行返上や解散した厚生年金基金からの新設などにより、加入者は増加しています。
11ページ、件数の推移です。同じく2011年度末までは、適格退職年金からの移行に伴い、件数は増加しました。その後、適格退職年金制度からの移行により設立した確定給付企業年金が減少したことにより、全体の件数は減少傾向です。
12ページ、確定給付企業年金の財政運営は、継続基準と非継続基準の2つの観点から確認しています。2つ目の○、制度全体でみた場合には、継続基準・非継続基準をともにクリアしています。制度が成熟化する中、積立不足に対して必要な掛金を拠出するなど、財政の健全化が図られてきましたが、個々の確定給付企業年金ごとにみますと、継続基準を満たさないものが約2割、非継続基準を満たさないものが約1割あります。
13ページ、確定給付企業年金の資産運用の状況です。株式の割合が低下する一方で、一般勘定などの割合が高まっています。利回りは下の折れ線グラフのとおりです。
14ページから、確定拠出年金です。2つ目の○、企業型については労使合意に基づく規約を、個人型については個人型年金規約を作成し、厚生労働大臣の承認を受けることで実施が可能になります。拠出された掛金が加入者ごとに明確に区分され、掛金とその運用収益との合計額をもとに給付額が設定されます。
15ページ、確定拠出年金の制度改正の主な経緯です。大きな法改正は、2011年、マッチング拠出が認められるとともに企業型の加入可能年齢が引き上げられた改正と、2016年の先の改正になります。
また、この間、拠出限度額は3回引き上げがあり、2004年の部分を見ていただきたいと思いますが、企業型の拠出限度額は、制度創設時、月額3.6万円でしたが、2004年には4.6万円に引き上げられました。また、2010年にはそれが5.1万円に、さらに2014年にはそれが5.5万円に引き上げられました。
16ページ、企業型確定拠出年金の加入者数は年々増加しています。
17ページ、企業型確定拠出年金は新規が6割を占め、現在も新規が増加傾向です。
18ページ、2011年の改正で導入されたマッチング拠出ですが、規約数でみて38.0%、事業主数でみて30.4%で実施されています。
19ページ、個人型確定拠出年金の加入者数の推移です。2016年、愛称をiDeCoに決定しました。そして、2017年1月の加入範囲の拡大後、加入者数は急増し、グラフは年度末数字ですが、2017年度末で85万人、直近の2018年12月末現在では112万人となっています。
iDeCo加入者112万人の年齢構成ですが、右の円グラフ、20代が5%程度、30代が20%程度、40代が40%弱、50代が35%弱といった状況になっています。
20ページ、企業型確定拠出年金の拠出限度額は、厚生年金基金の望ましい上乗せ水準、具体的にはマクロ経済スライド調整後の公的年金と合わせて退職前給与の6割に相当する水準を勘案して設定しています。望ましい上乗せ水準は、制度創設時は代行部分の1.7倍でしたが、マクロ経済スライドを導入した後は代行部分の2.23倍となりました。これを給付ベースから拠出ベースへの換算に当たって、民間事業所の大部分をカバーする給与水準65万円に厚生年金基金の免除保険料率3.8%を乗じ、それを2.23倍することで拠出限度額5.5万円を算出しております。
21ページ、企業型・個人型を含む拠出限度額の一覧になります。先ほど見ていただきました企業型の拠出限度額5.5万円は、企業型のみを実施している場合でして、左から3つ目の青い箱になります。企業型と個人型を同時に実施する場合はその右隣、規約で企業型の拠出限度額を3.5万円に引き下げて、個人型のピンクの2万円の枠を用意していただくことが必要です。さらにその右隣、確定給付型には拠出限度額がないわけですが、確定給付型と企業型DCを同時に実施する場合は、企業型の拠出限度額は先ほどの5.5万円の半分の2.75万円、青い箱になります。さらにその場合で個人型を同時に実施する場合は、さらにその右隣、規約で企業型の拠出限度額を1.55万円に引き下げて、個人型のピンクの1.2万円の枠を用意いただくことが必要になります。
企業年金のない2号被保険者と3号被保険者の拠出限度額は2.3万円となっています。1号被保険者の拠出限度額は、これまで国民年金基金等の限度額が月額6.8万円であったわけですが、それをiDeCoでも共有し、合算して引き続き6.8万円となっております。
22ページ、確定拠出年金の資産構成割合ですが、元本確保型商品に資産が偏っています。
23ページ、企業型確定拠出年金の運用利回りについては、約10%が元本割れで、0~1%未満の者が約4割を占めている状況です。
24ページ、受給形態は年金か一時金か選択可能となっていますが、実態としては相当数が一時金受給を選択しています。特に確定拠出年金では、企業型・個人型ともに9割程度と、この傾向が顕著となっています。企業年金における給付設計については、終身年金の実施割合が減少しています。
25ページ、OECDの報告書が指摘する先進諸国の年金制度に共通する課題として、給付の十分性と制度の持続可能性というこの2つの要求をどうやって実現するかというパラドックスがあり、このジレンマから抜け出す解決策として3つ挙げられています。1つは就労の長期化、もう1つは公的年金の支給努力の対象を最も脆弱な人々におくこと、そして、3点目として、私的年金等の奨励があります。
26ページ、27ページは諸外国の制度概要です。今後、各論を議論する際に、折に触れて各国の状況を御紹介したいと思います。
続きまして、企業年金・個人年金を取り巻く状況について御説明申し上げます。
まず、高齢期の長期化です。29ページをごらんいただきまして、平均寿命は延伸を続け、2017年時点で女性が87.26歳、男性は81.09歳となっています。2017年の将来人口推計では、2065年時点で男女ともに現在よりさらに4歳前後延伸することが仮定されています。
30ページ、65歳を迎えた方が特定の年齢まで生存する確率です。2015年に65歳を迎えた1950年生まれの方で、赤字の部分、既に男性の3人に1人、女性の5人に3人が90歳まで長生きする見込みです。これが2055年に65歳になる1990年生まれの方については、同じく赤い部分の下ですが、男性の5人に2人、女性の3人に2人を超える方が90歳まで長生きする見込みです。さらに女性については、5人に1人が100歳まで長生きする見込みです。
31ページ、その高齢期における所得の状況ですが、高齢者世帯の収入の66%を公的年金・恩給が占めています。また、右の円グラフですが、高齢者世帯の50%超は公的年金・恩給のみで生活をしています。公的年金の給付については、マクロ経済スライドにより中長期的な水準調整が見込まれているのは御案内のとおりです。
32ページ、高齢夫婦無職世帯の収入・支出の状況です。引退して無職となった高齢者世帯の家計は、主に社会保障給付により賄われています。高齢夫婦無職世帯の実収入20万9198円と実支出26万3718円との差は月5.5万円程度となっています。その高齢夫婦無職世帯の平均純貯蓄額は、赤枠の部分、2484万円となっています。
33ページ、高齢期における資産形成状況です。2人以上の世帯で世帯主が65歳以上の世帯についてみたものですが、預貯金、生命保険等の掛金、有価証券などの合計である貯蓄現在高の階級別の分布を2002年と2017年で比較すると、4割程度が2000万円以上となっている一方で、貯蓄現在高が低い100万円未満の方、また、100~500万未満の世帯、この割合がやや増加をしています。
次に、健康寿命の延伸、体力面の若返りです。34ページ、健康寿命は延伸を続けており、2016年時点で男性が72.14歳、女性が74.79歳となっています。また、近年、健康寿命の延びは平均寿命の延びを上回っています。
35ページ、65歳以上の者の新体力テストの合計点は向上傾向にあります。男女ともに、2016年の70~74歳の部分、赤い折れ線グラフの右端になりますが、こちらの合計点が1998年の65~69歳、青い折れ線グラフで、これは左端になりますが、この両者を比較すると、2016年の70~74歳が上回っています。
同様に、2016年の75~79歳の部分、緑の折れ線グラフの合計点の右端になりますが、1998年の70~74歳、赤の折れ線グラフの合計点の左端になりますが、こちらを上回っています。すなわち、1998年から2016年までの間に高齢者の体力が5歳ほど若返っていると言えるデータです。
次に、高齢者の就業関係です。36ページ、左の図、60歳以上で仕事をしている方々に対して、あなたは何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいですかというアンケートに対する回答ですが、約8割が65歳を超えても就労したいという回答をしています。右の図、60~74歳の者の就業率は男女ともに年々上昇傾向にあります。特に女性の上昇率は大きい状況です。
37ページ、35~64歳の男女で、60歳以降も収入を伴う就労の意向がある者に、その希望する就労形態を聞いたところ、「パートタイムの社員・職員」が最も多く、次いで「フルタイムの社員・職員」という結果になっています。
38ページ、高齢者の就業理由ですが、アンケート調査の結果によると、60歳台前半では「生活の糧を得るため」が最も多いですが、60歳台後半では「健康にいいから」「いきがい、社会参加のため」といった回答の割合が増え、60歳台後半になると就業理由が多様化します。
39ページ、左の図のように、日本の人口は2025年以降、それまでの「高齢者の急増」から「生産年齢人口の急減」へと局面が変化します。生産年齢人口の急減とそれに伴う人手不足の中で、右の図のように、高齢者等の労働参加の促進が日本の経済・社会の活力維持に不可欠となっています。
40ページ、未来投資会議などで、65歳以上の継続雇用年齢の引き上げに向けた検討がなされており、2018年11月に経済政策の方向性に関する中間整理が取りまとめられています。
41ページ、これらを受けて、年金の適用(加入)と受給の関係を整理したものです。マル1、国民年金の被保険者資格は60歳の前まで、マル2、厚生年金の被保険者資格は70歳の前まで、マル3、公的年金の受給開始年齢の選択は65歳を起点に繰り上げ、繰り下げとなっています。
私的年金は、マル1、確定給付企業年金の加入は70歳の前まで、マル2、確定給付企業年金の支給は60~65歳の間で規約で定める年齢から、マル3とマル4、確定拠出年金の加入は原則60歳の前まで、マル5、確定拠出年金の受給は60~70歳の間で任意の時点で受給可能、マル6、国民年金基金の加入は原則60歳の前までとなっています。
次に、企業年金における退職給付制度の実施状況です。42ページをごらんいただきまして、退職給付(一時金・年金)制度のある企業は若干増加していますが、退職年金制度がある企業は引き続き減少、それを上回って退職一時金制度のみの企業が増加している状況です。左の折れ線グラフを見ていただくと、赤囲みの部分ですが、一時金と年金を併用している企業の割合が15.0%、退職年金制度のみの企業が7.6%、合計すると退職年金制度がある企業が22.6%となっています。右の棒グラフは、退職給付水準になりますが、全般的に低下しています。
43ページ、その退職給付制度の実施状況を従業員規模別に見たものになります。先ほど説明した退職年金制度がある企業22.6%というのは、上の青い部分になります。2008年は37.5%、2013年は25.8%、2018年は22.6%と、年々低下してきています。それを従業員規模別に見ると、赤囲みの部分ですが、従業員規模が300人未満の企業で減少が大きくなっています。なお、オレンジ色の部分は退職一時金制度の実施割合になります。
44ページ、退職年金制度の実施状況を制度種類別に見たものになります。確定給付企業年金や確定拠出年金の実施割合は増加していますが、それ以上に適格退職年金の廃止や厚生年金基金の減少の影響が大きく、従業員規模300人未満で特にその影響が大きい状況にあります。
また、2013年調査と比べて2018年調査では、黄色の囲み部分ですが、従業員規模300~999人と、1,000人以上で確定給付企業年金の実施割合が減少し、従業員規模1,000人以上では、確定拠出年金の実施割合50.5%が確定給付企業年金の実施割合44.0%を上回った状況です。
次に、働き方の多様化です。45ページ、近年、転職者数は増加しています。また、転職者に占める中高年者の割合はわずかに上昇しています。
46ページ、非正規雇用労働者の割合は、1985年頃から2005年頃までの間に大きく増加し、以降緩やかに増加してきたところです。2002年から2017年の非正規雇用労働者数の増加、約584万人のうち、半数以上の約342万人が60歳以上の男女によるものですが、59歳以下の男女の非正規雇用労働者も約242万人増加しています。
47ページ、非正規雇用労働者については、これはアンケート結果になりますが、企業年金や退職金制度の適用割合が低い状況になっています。
48ページ、企業年金・個人年金を取り巻く状況を踏まえ、主な検討課題として考えられる案を整理いたしました。今まで説明してきましたように、経済・社会の変化として、2025年以降の生産年齢人口の急減とそれに伴う人手不足の深刻化、企業における退職給付制度の実施割合・給付水準の低下、高齢期の長期化による資産形成への意識・機運の高まり、働き方・ライフコースの多様化、高齢期の就労の拡大・多様化があり、老後に目を転じると、高齢期の長期化、また、マクロ経済スライドによる公的年金の給付水準の調整があります。
こうした経済・社会の変化を踏まえ、企業年金・個人年金のあり方としては、赤字の部分、「多様な働き方の中で、早期から継続的に資産形成を図ることができるようにすることが望ましい」、また、高齢期には、「個々の事情に応じて、多様な就労と私的年金・公的年金の組合せを可能にすることが望ましい」と考えられるのではないかということです。
主な検討課題として、大きく5点掲げさせていただいます。就労期間の延伸を制度に反映し長期化する高齢期の経済基盤を充実するとともに、高齢期における多様な就労と私的年金・公的年金の組合せを可能にする環境の整備など、具体的には、加入可能年齢、拠出限度額、受給開始可能年齢などの拠出時・給付時の仕組みが一つ考えられると思います。
2つ目の○、従業員の老後資産の形成に向けた事業主の取組を支援する環境の整備など、具体的には、中小企業施策、柔軟で弾力的な設計、事務負担の軽減などが考えられると思います。
3つ目の○、働き方や勤務先に左右されない自助努力を支援する環境の整備など、具体的には、iDeCoの普及・改善、ポータビリティの拡充などが考えられると思います。
4つ目の○、老後資産の形成・取り崩しに関する選択を支える環境の整備など、具体的には、運用方法等に関する情報提供や投資教育の充実などが考えられると思います。
最後の○、企業年金・個人年金制度を安定的に運営するための体制の整備など、具体的には、企業年金のガバナンスの確保、制度を支える企業年金連合会・国民年金基金連合会等の基盤強化などが考えられると思います。
また、※の部分ですが、これらの課題の検討に当たっては、公的年金制度や税制との関係を含めた検討が必要になると考えています。
49ページ以降は、先の平成28年の法改正の概要になります。本日は説明を省略させていただきますが、今後、各論を議論する際に、折に触れて、改正の経緯、また、その内容について御説明をしたいと思います。
長くなりましたが、以上です。
○神野部会長
どうもありがとうございました。
この部会を再スタートするに当たって、企業年金及び個人年金の制度の現状、さらには取り巻く状況について、的確に御説明いただきました。認識を共有していただくと同時に、課題を認識する段階の始めとして課題等々への案もお示しいただいております。ただいま御説明していただきました事柄につきまして、御質問、御意見を頂戴したいと思います。初めでございますので、御自由に御発言を頂戴できればと思います。いかがでございましょうか。
どうぞ。
○内田委員
内田です。
私からは意見ということで発言させていただきます。企業年金が果たす公的年金の補完機能が強調される一方で、企業年金のカバレッジが低下していると思います。特に中小企業では実施率が低くなっていると感じております。非正規雇用で働く方の適用の割合が極めて低い状況ではないかと。
スライド44にありますとおり、適格退職年金の廃止や厚生年金基金の減少による影響を現行のDBやDC制度では十分にフォローできていないのではないかと思います。最終的には企業規模や雇用形態に関係なく、将来にわたって安定的な給付が約束された企業年金に全ての労働者が適用されることを目指して、企業年金のカバレッジを大幅に充実していくという観点での議論が重要だと考えます。
また、スライド48にありますが、制度全体の見直しに当たっては、個人年金が果たす役割の重要性は認識しておりますが、個人の自助努力を過度に頼みにすることなく、企業年金を強力に普及していく方向で検討していくことも重要ではないかと考えます。
加えて、企業年金の安定的な運営を確保するためには、加入者や労働組合の継続的な関与を強化していくことで、受給権保護やガバナンスの実効性を高めることが非常に重要ではないかと考えます。
以上です。
○神野部会長
ありがとうございます。
ほか、いかがでございますか。
臼杵委員、どうぞ。
○臼杵委員
非常に広範囲にわたる説明をいただきまして、ありがとうございます。
私からは、議論の方向性に関するコメントが3つと、1つだけ質問をお願いしたいと思っています。
コメントとしては、スライド25でOECDの報告書の図があったと思うのですが、これがすごくマクロピクチャーとしてはよくわかるのかなという気がしています。マル1の就労期間の長期化に関しては、これはもう日本でも御説明のあったとおり非常に進んでいるので、今もおっしゃったキャリアの多様化とかそのあたりにもきちんと対応していく。それから、これはすぐに年金までは行かないと思うのですが、同一労働・同一賃金ということも昨今言われておりますので、そのあたりにきちんと対応していくことが企業年金あるいは個人年金でも必要なのかなと思っております。
2番目の公的年金の基準を最も脆弱な人々に置くということなのですが、これは最初に局長からも公私全体のピクチャーを考えることが必要だというお話もあったかと思いますが、なかなか難しいところではあると思うのです。ここは個人的なコメントですけれども、例えば公的年金は比較的所得の低い方に重きを置いて、私的年金のほうで所得の高い人は頑張る。あるいは、もう少し言うと、例えばカナダなどの例もあるかと思いますけれども、所得再分配を公的年金ではもっと強化していくことも考えられて、そうすると、逆に私的年金のほうを促進することについて金持ち優遇とよく言われている批判があるのですけれども、そこでうまくバランスをとれれば、金持ち優遇ということに必ずしもならないのではないかということを考えています。
3番目の私的年金等の奨励ということなのですけれども、若者や低所得者層、日本ですと中小企業とその従業員ということになると思うのです。この上の図で十分性と持続可能性がトレードオフというか矛盾があるということなのですけれども、そうなってくると、これは公的年金だけの話ではなくて、例えばDBでも給付を十分にしようとすると、制度の持続可能性がなくなる。制度の持続可能性がなくなるということは、制度が普及しないということになってくる可能性があるわけで、そこはDB、DCを通じてかもしれませんけれども、給付の十分性を制度のよさというか、制度のクオリティーと言いかえると、制度のクオリティーと普及の間でトレードオフがあるのだということを認識して進める必要があるのかなと。
またそれとの関連で、十分性ということでいくとDBだけではなくてDCも視野に、あるいはiDeCoも視野に入れるということが必要で、スライド23ですか。運用利回りの分布が出ていますけれども、例えばこの十分性ということで行くと、真ん中の中央値を少しでも右のほうに持っていくという施策も必要なのかなと思います。これが3つ目のコメントです。
1つお伺いしたい、質問としては、今回の議論の中で、どうしても制度をいじっていくようなことになると税制の話が関係してくると思うのです。もちろん、ここは税金の話を議論する場ではないというのは理解していますが、そのため、場合によっては税当局に対する要望になるのかもしれませんけれども、そういうことも含めて議論していくというふうに理解してもよろしいのでしょうかということをお伺いしたいと思います。
以上です。
○神野部会長
お願いします。
○吉田企業年金・個人年金課長
御質問が1点ございました。48ページにも今後の検討課題の中に入れさせていただいておりますが、課題の検討に当たっては、税制との関係を含めた検討が必要と書かせていただいております。企業年金・個人年金は税制優遇あっての制度ですので、御議論をしっかりいただいた上で夏の税制改正要望等々に結びつけていかなければこの議論は意味がないものになりますので、そういう観点で進めていきたいと思っております。一方で、政府税調のほうでも老後の資産形成に向けた包括的な議論をしていくという流れがあります。個人の働き方・ライフコースに影響されない公平な税制の構築、また、拠出・運用・給付の各段階に応じた体系的な課税のあり方、給与・退職一時金・年金給付の間の税負担のバランス等々、さまざまな御指摘を政府税調からもいただいておりますので、我々もその議論を踏まえまして、政府税調にも必要なことを言っていくタイミングはあると思いますので、そういうことをしていきたいと思っております。
○神野部会長
ありがとうございます。
私、政府税調の会長代理をやっているのですが、この間、森戸部会長代理においでいただきまして発表していただきましたので、相互に議論を深めていくことが重要かと思います。
どうぞ。
○井戸委員
ありがとうございます。井戸でございます。
今後の検討課題を3点ほどお願いしたくて、お話をさせていただこうと思います。非常にわかりやすい振り返りの資料をいただきまして、ありがとうございました。私は社会保険労務士とFPの立場から、セミナーをしたり、相談業務をしておりますが、その中でよく聞かれる声をぜひ検討課題に入れていただきたいと思います。
21ページ、今まで拠出限度額の上限を3回変えられておりますけれども、この表を講演などでお見せしてお話ししても、ほとんどの方にわかっていただけないです。非常にわかりづらいです。5.5万円の理由も承知しておりますが、もっと自由に埋められるようなことであるとか、例えば企業年金のない会社員は、アルバイト・パートの人も該当すると思います。公的年金の被保険者適用拡大で、もっと働く人がふえてきて、企業年金のない会社員に該当しない人がふえてくると思います。そうすると、2万3000円でなく、ここは同じ5万5000円にしてもいいのでは。あるいは企業型の規約を引き下げないとiDeCoに入れないところ、ここは実際、非常に少ないと思うので、見直しもお願いできればと思っております。
2つ目です。48ページ、ここも検討課題の案としてお示ししていただいておりますけれども、下から2つ目の○、取り崩しのところなのです。これは年金部会のほうで2018年の11月2日の資料にあったと思いますが、60歳以降、働く場合と繰り下げされる場合と幾らになるかという非常にわかりやすい水準がお示しされておりました。あの中でDCも含めて考えるとか、世帯で考えるとか、非常に示しづらいとは思うのですけれども、複雑にならずに何かヒントになることが大事だと思います。
というのも、取り崩す形というのがすごく難しいものです。例えば寿命のところ、資料にもありましたように、女性が非常に長生きをする。そして、最後、例えば御夫婦の場合、一人になる期間が12~13年あると思うのですが、そのときの健康ではない時期とちょうど重なってしまうというのがあるのです。だから、一人になったときに女性が困らないようにするというのは、終身年金である公的年金がベースになると思うので、ここのところをもっと繰り下げのアピールをするとか、世帯でどちらが繰り下げをするとか、手取りも含めてそういうお示しがあるととてもありがたいです。
最後、3つ目なのですけれども、55ページです。ここのところは見ておいてくださいというところなのですけれども、企業型の確定拠出年金とiDeCoのところなのですが、iDeCo+が私はとてもいいと思っているのです。資料にはありませんが、選択制のDCで給与の一部をDCに拠出していく制度がございます。従業員の任意でもあるのですが、企業側と従業員の方のメリットのところを非常に強調される方が多いようです。お給料を減らすということは時間外ももちろん減りますし、社会保障のそもそもの国民が困ったときにみんなで助けましょうというセーフティーネットが働かなくなる可能性があると思うのです。各給付、雇用保険も全部含めて影響してまいります。なので、どういうときに、どう影響するのかを、例えば厚生労働省が例を示すなど、デメリットを徹底していただきたいです。大手でお給料が高い方は結構ですけれども、例えば100人以下の方だとお給料もそんなに高くないと思われますので、それだったらiDeCo+のほうを推奨していただきたいと思っております。
以上3つが検討していただきたい希望の課題でございます。ありがとうございます。
○神野部会長
今日はいずれにしても今後深めていく前提として御意見を頂戴しているわけですが、今の段階でコメントがあれば。
○吉田企業年金・個人年金課長
21ページにあります拠出限度額の表ですが、以前よりは分かりやすく作ったつもりですが、制度の普及のためには、国民への分かりやすさというのが非常に大事になると思います。このiDeCoの限度額の設定も、企業型DCの月額5.5万円のマッチングの実態を見て2万円に、DBとDCとiDeCoの3段重ねのところの1.2万円は、企業型の2.75万円のところのマッチング拠出の実態を踏まえながら設定させていただいているわけですが、おのおの企業型での枠、個人型での枠というのを切り分けてその枠内での対応となりますので、自由度がないという御指摘はこの部会でもずっと言われてきた部分であります。
さらには、マッチング拠出についても、事業主拠出の範囲内というところも併せてどう考えるのか、引き続きの検討課題になっていますし、私の説明の中でも企業年金のない方と3号被保険者が月額2.3万円のiDeCoの限度額になっているという御説明をしましたが、これは企業年金の事業主拠出と本人拠出を合わせた実態で設定していまして、5.5万円とは違う論理で設定しています。これらをどのような形できれいに整理ができるのかは大きな検討課題の一つではないかと思っています。
さらには、2点目の公的年金との組み合わせでどういう受給のあり方を世帯で考えるのかという点ですが、企業年金の有り無し、個人年金の有り無しでいろいろ考えなければいけないと思いますが、家計のヒントになるようなものということですので、どこまで提示できるか少し考えたいと思います。
選択制DCの話は御指摘のとおりですけれども、御説明をさせていただくと、DCを実施する場合に、賃金を引き下げた上で退職金の前払い等の位置づけで追加の現金を支給するか、あるいはDC制度に加入するか、従業員が選択できる仕組みがいわゆる選択制のDCです。まず、この賃金の引き下げについては、労働条件の不利益変更が問題になり得ると思っています。また、このような形でDCを実施すると、DCへの加入を選択した従業員については現金支給額の減少に伴って標準報酬月額も下がるという形になりますので、将来受け取ることができる厚生年金の給付も少なくなる可能性もありますし、足元の健康保険の傷病手当金も少なくなる形になります。賃金に関する不利益変更という観点では労働法規にのっとっていただいて適切に対応いただく部分でありますし、DCを実施するに当たっての労使協議、また、その後の個々の従業員が選択する場面において、従業員に不利になり得る面がありますので、この部分の十分な説明が行われて、従業員側も正確な理解の上で判断できるようにしていただくというのが大事になると考えています。
○神野部会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございますか。
どうぞ。
○小川委員
改めまして、今回から交代いたしました、日本年金数理人会の理事長の小川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
事務局のほうから非常に詳細な丁寧なわかりやすい説明、どうもありがとうございました。
48ページに課題をまとめていただいているわけですけれども、上側の経済・社会の変化のところで書いている6点のことにつきましては、こういった認識ではないかと手前どもも思っております。最初ですので、これを踏まえまして、本日は個々の課題の具体的な中身というよりは、当会の立場からどういうことがこの部会の中でお話しできるかをお話しさせていただこうと思います。
当会及び年金数理人について余り御存じない方もいらっしゃるかもしれないので、前段、それを少しお話しさせていただきますと、年金数理人制度は昭和63年に始まったわけですけれども、翌年の平成元年に当会も任意団体として創立しておりまして、30年を迎えております。
もともと年金数理人というのは、先ほどの説明でもございました厚生年金基金の個々の財政運営をチェックするのがメーンの仕事としてスタートしたわけでございました。当時、平成元年から3年間は大体年に100個ずつぐらい新しい厚生年金基金が出てきている時代で、最大1,800余りの厚生年金基金があったわけですけれども、皆さん御案内のとおり、くしくも本年3月をもって廃止ではございませんが、実質、ある程度終息したということになってございます。
資料の4ページにもございましたけれども、この間、取り巻く環境といたしましては、退職給付会計が導入されたり、確定給付企業年金法、確定拠出年金法と広がってきて、もちろん冒頭申し上げましたように財政のチェックをするというところが専門で基本ではあったわけですけれども、そういった環境の中でどちらかというと制度のコンサルとかという、ある意味、制度を考えるところとコンサルするという2つの側面を持って年金数理人は発展してきているのではないかと思ってございます。実際、制度の内容につきましては、先ほどもございましたように、直近ではリスク分担型企業年金とかリスク対応掛金について、こういう制度がよろしいのではないかという提言もさせていただいています。
さて、年金数理人としては、会としても、大きく捉えますと本日の部会を超えて我が国の老後の社会保障全般、つまり、医療とか介護という分野もあるわけでございますので、そういったところに年金の30年間の地域のコンサル、ノウハウの固まりを何か生かせないかと。大きなところではそういう立場もございますが、本日は当然企業年金のところでございますので、そこに限ってお話しいたしますと、公的年金の財政検証の年回りであることも含めて、そういったところを当然年金数理人は理解してベースとしつつ、企業年金のところ、得意分野ですのでここを中心に、600人ほど数理人がおりますので、そういったところでどのように取り組んでいけばいいか、今後具体的にテーマを出していきたいと思っています。
昨今考えているところは、スキームをつくることと、それが実際に運営される、還元しますと、老後に年金として所得のベースとして実際に受給を選択するというところまで見てこういったものを決めていく必要があるのではないかということを強く思っています。例えば、もちろん先ほど別の委員の方からもございましたけれども、余り個人に委ね過ぎるのではなく、職域たる企業年金というのを制度として構築して、それでなるべく受給をしていく。そういうことが大事なのではないかと。
最後ですが、先ほど申し上げたように、年金数理人はこの30年間、法律のところからどういう制度がいいかという提言もしてきているわけですが、もう一つの側面である実際に企業の方に説明する、人事、労務の方に説明する担い手でもございますので、実務に即して丁寧にそういう問題点をきちんと最後のところまで見て何かお役に立てればと。
最初ですので、やや決意表明的な感じになってしまいましたけれども、そういう観点でこの部会の中で役割を演じていきたいと思っております。
以上でございます。
○神野部会長
どうもありがとうございました。
どうぞ。
○大江委員
大江でございます。よろしくお願いいたします。
私はDBは専門外ですので、DCの部分で3点ほどコメントをさせていただきたいと思います。
第1点としましては、私どもはNPO法人確定拠出年金教育協会という団体です。既に企業型DCを導入している事業主様にアンケートを例年とっておりますので、そこから御報告をしたいと思います。
毎年、規約代表の事業主様にアンケートを行っておりまして、昨夏の調査では、代表の企業主様の約25%、1,505社の担当者から御回答いただいているのですが、その中で担当者の方が今、最も頭を悩ませているということで挙げられていますのが、まず「加入者の方のDC制度への関心、理解を高めるということ」、それから、「継続教育」、ここを挙げられています。
法改正要望といたしましては、約半数の御担当者様が「中途脱退要件の緩和」「マッチング拠出の掛金の上限を事業主掛金以下とする制限の撤廃」を挙げられています。現場を回りますと、特に40代後半、50代になって老後のお金をためようと思ったときには事業主掛金で上限につかえていて、御本人拠出ができない現状もあると聞いております。それから、45%の御担当者様が、「拠出限度額撤廃」を挙げられております。これは既に企業型を導入している事業主様の要望ということで、まずお伝えさせていただきました。
あと2点、まず、井戸委員がすでに御指摘され、吉田課長から御説明があってほっとしたのですけれども、給与または賞与の内枠選択制につきましては、2015年以降、非常に導入が広がっている中で、特に小規模な先においてデメリット部分の認識が浅く、先々深刻なことになるのではないかと懸念しております。
それから、事業主さんの取り組みを支援する意味で、少しDCについても、48ページに書いてあるガバナンスというところは、少し長いスパンで議論が必要かと思います。といいますのも、制度運営につきまして、本当にとてもきっちり取り組まれている事業主様もあるのですけれども、中には掛金だけ出せば後は社員が自己責任で運営してくれる、企業負担も軽くて運営コストも安い退職金制度なのだと誤解をしている事業主様も一定数いらっしゃると感じていまして、ここは非常に長いスパンで制度運営の下限みたいなところの議論は必要かと思っております。
最後に、この先だと思うのですけれども、昨年5月の法改正で加入者みずからが運用できる環境整備ができるようになっているはずなので、例えば商品除外であるとか指定運用方法の導入というものがスタートして実態としてどうなっていっているのかは今後議論していく上で現況の確認が必要ではないかと思っております。該当者について必要な情報が個人情報に当たるといわれもらえなくて運営に困るというような話も聞いておりますので、ぜひ現況をお聞きしたいと思っております。
以上です。
○神野部会長
お願いします。
○吉田企業年金・個人年金課長
企業年金のガバナンスを検討課題に書かせていただいておりますが、DBは先の検討のときにしっかり議論されたわけでありますが、DCのガバナンスのところがまだ十分に議論できていないという認識は我々も持っている点が一つ。
運用の見直しが昨年の5月からなされまして、まだデータが限られている部分はあるのですが、企年連でも実態調査結果を取りまとめていただいたりしていますので、しっかりしたデータを出しながら、現状を踏まえつつ議論ができるようにしていきたいと思っています。
○神野部会長
ありがとうございます。
金子委員、どうぞ。
○金子委員
金子でございます。
私から具体的な話というよりも総論的な観点から所感を2~3申し上げたいと思っております。
一つは、現状の企業年金制度だとか個人年金制度を取り巻く状況ということで、きちんと詳しい御説明をしていただいたわけでございますけれども、聞くにつき、改めて3階部分の企業年金や個人年金加入者の割合を高めていくことが大事なのだと思った次第です。この割合は、今、25%とか39%とかですが、過去の時系列で言うと低下していっているのだろうとは想像いたします。そこで質問なのですが、どのくらいの割合を目指したいのか、あるいは諸外国だとこんな感じなのだというのがあったら、今後の考える参考としたいので教えていただきたいと思っております。
2点目といたしましては、個々の年金制度は周辺に関連する年金制度がございますので、その制度との整合性を緻密にとることによって公平性に十分配慮されているのだと理解しております。その重要性について私どもは理解しているところでございますけれども、一方で、この部会の名前に「個人年金」が入ったことの経緯もあると思うのですが、特に個人年金みたいな加入を個人の意思に任せるような制度が出てくるとすると、余りに整合性を緻密にとることによって制度が複雑になり、それによって理解を妨げて、あるいは手続自身も複雑になるということで実際に加入が妨げられることになっても、これもいかがなものかと思っています。そういう意味では、整合性とわかりやすさだとか手続の簡素化のバランスが大事なのかなと思った次第でございます。
同じような観点でもう一つ、民間事業者、金融機関でございますけれども、彼らが制度の一翼を担うことを考えますと、彼らとしても担いで動きやすい制度なのか、そういう観点も必要なのかなと思っております。手続の厳格さにこだわる余りに理想を追求していきますと、ある意味では金融機関が取り組みにくい制度になる可能性もあるのかなと思っております。これは手心を加えようというつもりは全くなくて、制度を実際につくっていく前に事前のコミュニケーションが非常に大事なのかなと思った次第でございます。以上、所感を3点と、質問を1点、申し上げさせていただきました。
○神野部会長
お願いします。
○吉田企業年金・個人年金課長
企業年金・個人年金ともに任意で実施する仕組みですので、政府として具体的な数値目標は設定していないですが、OECDが年金給付の水準を各国比較することをやっており、例えば私的年金が義務的に加入しているようなオランダ・スウェーデン・デンマークというのは私的年金の所得代替率を公的年金とセットで見せたり、例えば労働人口の40%以上をカバーする任意の私的年金というのも同じく公的年金とセットで所得代替率を表記したりしています。我々、特に目標を持っているわけではないのですが、一つ、OECDの比較としては、そういうものが指標になっているということを御紹介させていただきます。
諸外国のカバー率は、今持っているデータが古いのですが、2013年ベースで、アメリカ47.1%、イギリス49.8%、カナダ25.7%、ニュージーランド64.4%、チリ78.9%、オランダ・スウェーデン・デンマークは私的年金の加入がほぼ義務的になっているのでカバー率はもっと高いわけであります。また整理して提示をしたいと思います。
○神野部会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょうか。
小林委員、どうぞ。
○小林委員
経団連の小林です。
私から2点申し上げたいと思います。まず1点目として、多様な就労や働き方を前提として、企業年金・個人年金のあり方を議論する観点は、今後の社会構造変化などを踏まえると、必要かつ重要な議論と認識していますが、多様な就労や働き方への対応という観点では、ここに挙げていただいたような高齢期の就労期間延伸という縦方向の議論だけではなくて、現役世代における労働移動、横方向への対応も重要な課題の一つではないかと認識しています。
企業活動の面から言いますと、グローバルでの事業展開や、働き方改革の進化に伴って、昨今、よく言われているように、メンバーシップ型からジョブ型へ雇用システム全体を抜本的に見直す議論も進んでいます。企業年金制度についても、そうした動きの中で捉え直す必要もあるのではないかと考えています。
例えば、資料の48ページに主な検討課題として挙げていただいている中の3点目に、働き方や勤務先に左右されない自助努力を支援する環境の整備がありますが、これについては、個人の目線だけではなくて企業の目線でも検討が必要だと思います。例えばポータビリティの拡充等について、さらなる検討や踏み込んだ対応が必要ではないかと考えています。
2点目ですが、企業年金制度は、それぞれの従業員特性や、処遇のポリシーを踏まえて各社の労使で議論し、合意に基づいて実施運営されるべきものだと認識しています。したがって、基本的には各社の多様なニーズを踏まえて柔軟な制度設計ができる環境を整えることが肝要であり、それが阻害されることのないような配慮をぜひお願いしたいと思います。
こうした前提で考えたときに、確定拠出年金については、経済界としても従来から様々な要望をしている中で、2016年の法改正でも引き続き解決できていないもの、例えば、先ほども出ていた中途脱退時の問題など、複数の課題が残っていると認識しています。具体的内容は、また改めてお話をさせていただきたいと思いますが、税制との関係も含めてさらに踏み込んだ議論が必要と考えておりますので、よろしくお願いします。
○神野部会長
ありがとうございました。
藤澤委員、お願いします。
○藤澤委員
藤澤でございます。よろしくお願いします。
先ほど、臼杵先生からもコメントがあったOECDの報告書についてコメントしたいと思います。25ページの一番下のところに、公的年金給付の削減を補完する私的年金等の奨励ということで、私的年金のカバー率を向上させるという記載がございますけれども、公的年金を補完するという意味でカバー率を向上させることは重要だと思っていますし、本日の説明資料でもDBやDCの加入者数の推移等のカバレッジに関する統計がございましたので、詳細に把握することができたと思っております。御説明のほう、ありがとうございます。
一方で、公的年金と企業年金をセットで考える必要があると考えておりまして、給付の十分性に関する議論についても、将来的に行う必要があると考えております。先ほど、吉田課長からも御説明があったように、例えば直近のOECDの報告書を見ると、公的年金と企業年金を足した所得代替率の統計もございますし、私はカナダでリサーチしていた時期もあるのですけれども、カナダでも議論の最初にあったのは、企業年金と公的年金をあわせてどの程度の所得代替率が必要なのかをベースに、企業年金のあり方の議論が行われていました。
特に、日本の場合は公的年金でマクロ経済スライドが導入されていることもございますので、人生100年時代を見据えたときに、超高齢期の所得をどうやって確保していくのか。そういった議論から避けて通れないと考えています。これ自体はもちろん企業年金だけではなくて、公的年金とか貯蓄とか家族のサポートとか、そういったところも含めて議論する必要があると思いますので、この部会のテーマを超えている点も含まれていると認識していますが一方で、企業年金の世界で何ができるのかを議論するのも意義があるのではないかと思っています。
例えば、本日の資料には入っていなかったのですけれども、企業年金の資産残高で見ると、29年度末で、企業年金全体で90兆円、うち企業型の確定拠出年金は12兆円と、全体の13%程度だと聞いています。これで本当に十分なのかという点は議論に値するのではないかと考えています。
20ページに企業型の確定拠出年金の拠出限度額の設定方法に関する説明がございました。昔の議事録を見ていると、第4回の企業年金部会だったと思いますが、森戸先生が似たような発言をされているようでしたが、厚年基金が実質的に廃止される中で、厚年基金並みの給付水準をベースに拠出限度額を設定するという考え方自体にどれだけ意味があるのかという点は、素朴に私自身も疑問に思っているところです。もちろん過去の拠出限度額の設定の考え方との説明の連続性はすごく大事だとは思っていますが、将来を見据えて、給付の十分性という観点から、公的年金とあわせてどの程度の拠出限度額が必要になるのかという点を議論することも意義があるのではないかと思います。
少し大きな論点になってしまいますので、中長期的に検討する課題だと思ってはいますが、今後の課題の一つに公的年金・企業年金を合わせたときの給付の十分性という論点もあるのではないかと思いましたので、コメントをさせていただきました。
以上です。
○神野部会長
ありがとうございました。
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員
大変詳細に資料を御用意いただけまして、企業年金の歴史、経緯からわかりやすく御説明いただけましたので、本当にありがたかったです。今回の問題、課題としても、超高齢化していくということで資産形成は極めて重要になっていく、本当にそう思っております。
そのときに、どうやって検討するかというところで、今回48ページに検討課題ということでお示しいただいた点、基本的に下のほうの主な検討課題をこれから時間をかけて検討していくということでよいと思っております。ただ、少し補完していただければということや検討に当たって留意していく必要があると思っていることがあり、その点、今日はお話しさせていただきたいと思います。
最初に説明いただいたとおり、企業年金は退職給付由来であるということ、それが労働条件の一部だと考えるところはきちんと確認していかなくてはいけないと思っています。一方のもう一つの機能である公的年金の補完機能のほうですけれども、これをどうやって発揮させていくかということ、カバレッジが非常に限定的だということも今日の資料で出てきています。2035年には団塊ジュニアが65歳を迎えて、その後、就職氷河期世代もどんどん連なっていく。所得確保自体に課題があって、資産形成が非常に困難な人たちが高齢期を迎えていきます。先ほど、臼杵先生からも指摘がありました同一労働・同一賃金、有期労働者の退職金の判決も出てきていますから、この点を企業年金においても留意していく必要があると思っています。あと、補完機能が悪い形で作用しているところも先ほどからも指摘がありますので、こういうことを含めて考えていかなくてはならないと思います。
もう一つ大きいのは、DCの9割とかDBの7割が一時金で受け取っていることは、高齢期の所得確保につながって、生活の安定に寄与するというDB、DCの制度趣旨からすると課題があると思っていますので、年金という形で受け取ることにより安定的な生活を送れるということを、いかに実現していくかが大きい問題だと思っています。
検討課題で48ページの下のほうの3つ目の○、働き方や勤務先に左右されない自助努力を支援する環境の制度など、これ自体は非常に重要だと思うのですけれども、自助努力を支援ということだけでなく、企業年金そのもののカバレッジを広げていくことが必要だと思いますので、iDeCoの普及だけでなく企業年金全体の普及を検討していく必要があると思います。
1つだけ質問をしたいのですが、今、話したことと離れて、もっと根本的なというか、スタートなので確認しておきたいのですが、今回「個人年金部会」という言葉がつき、課名にも「個人年金」という言葉がついているわけですけれども、具体的には何という制度が個人年金ということで念頭にあるのか。個人年金というと、どうしても所得税法上の生命保険料控除に出てくる個人年金が浮かんでくるものですから、ここでの検討の外延について、課として所管しているものの確認させていただきたいと思います。
○神野部会長
お願いします。
○吉田企業年金・個人年金課長
まず、48ページの検討課題の3つ目の○で自助努力の環境整備で、iDeCoの普及のみならず、企業年金のカバレッジを広げることも必要という話を伊藤委員からいただきました。2つ目の○に企業年金、事業主の取組支援で、3つ目の○に個人の支援と書き分けたつもりですが、誤解がありましたら資料を直したいと思います。
また「企業年金・個人年金部会」、我々の課の名前も「企業年金・個人年金課」ということになっておりますが、この個人年金とは何かという御指摘です。まず、本部会の名称につきましては、企業年金部会設置のときは、厚生年金基金の特例解散の要件について御議論をいただいた次第です。そういうこともあって「企業年金部会」と称して議論をスタートしたわけでありますが、先の改正のときに、企業年金のみならず個人年金である個人型確定拠出年金制度等につきましても幅広く御議論をいただいて、平成28年の法改正につながったと理解しています。
そういうこともありまして、部会の名前を変えさせていただいたわけであります。この個人年金の文言につきましては、厚生労働省組織令にも「個人年金」というのを書かせていただいているわけでありますが、この課名における用法と同じで、個人型確定拠出年金・iDeCoと国民年金基金、これらが含まれることになります。御指摘の民間生命保険会社等が販売しております個人年金商品、これが入るのか、入らないのかという点ですが、これは含まれないと考えておりまして、この部会で個人年金商品に関する議論を行うことは予定していません。今回の名称変更の趣旨や、社会保障審議会で設置されている部会であること、また、我々の設置法に基づく個人年金の所掌範囲を踏まえて、これらの中での御議論をいただきたいと思っております。
○神野部会長
よろしいですか。
どうぞ。
○渡邊委員
渡邊です。
今回、主な検討課題として、48ページにきれいに整理していただいておりますが、この検討課題を見るだけでもかなり多くのものを今後考えていかなければいけないということがわかります。
その上で、少しコメントをさせていただきたいのですが、先ほど、ほかの委員の方からの御意見の中にもあったように、こういった検討課題に対処するために制度を変えていきましょうということを繰り返していきますと、制度がどんどん複雑化してまいりまして、利用者にとっても非常にわかりにくくなることがありますので、制度を改善するに当たっては、その制度のわかりやすさといった観点を忘れずに検討しなければならないと思いました。
さらに、私的年金が今後の所得保障において果たす役割が大きくなってくるということを踏まえますと、その普及促進の支援のあり方を改めて考えていかなければいけないだろうと思います。それは税制優遇の措置かもしれませんし、補助金を支給する、あるいは半ば強制的に企業年金への加入の仕組みを整えるとか、いろいろな選択肢があろうかと思いますが、そういった普及促進策のあり方を考えていける場にもなればと思っております。
さらに、私的年金が所得保障の中において果たす役割が大きくなるということであれば、やはり受給権を保護するといったところが重要な課題になってくるかと思います。したがいまして、受給権の保護のあり方を支払い保証制度なども含めて検討する場になったらと思っております。
以上です。
○神野部会長
どうもありがとうございました。
どうぞ。
○山本委員(代理出席 小林様)
今後の議論を進める上で、企業年金や個人年金は、あくまでも公的年金制度を補完するものであるという認識が必要かと思います。現在、公的年金制度につきまして、高齢者の就労拡大や平均寿命、健康寿命の延伸を踏まえて、そのあり方について議論が進んでおります。企業年金や個人年金のあり方を考える上では、この公的年金制度をめぐる議論の行方を十分踏まえた上で、議論する必要があるかと思います。
公的年金は国民に等しく保障されているものでありますけれども、企業年金・個人年金につきましては、任意で選択できるものでございます。公的年金制度を補完する個人年金・企業年金の役割は今後ますます重要になると思いますけれども、考え方の順序といたしましては、まず公的年金があり、それを補完するということで企業年金・個人年金があるということ、そういう認識で進めるべきかと思います。
以上でございます。
○神野部会長
ありがとうございます。
どうぞ。
○村瀬企業年金連合会理事長
企業年金連合会の村瀬でございます。
データを見ながらお話をしたいと思います。3ページをご覧いただきたいと思うのですが、適格退職年金の廃止、並びに厚生年金基金の見直しに伴いまして結果的にどういうことが起こっているのかをこのデータで見ますと、2000年度末に2120万人の加入者であったものが、2017年度末には1600万人ということで、制度移行が十分進まなくて年金がなくなった方がたくさんお見えになる。この現実を直視する必要があるというのが一点でございます。
同じように10ページを見ていただきたいのですが、その中で今回、厚生年金基金の解散等により900万人の方が制度移行によってDB制度に移行している。十分かどうかは別にして、相当数の方々がDB制度に移行していることも一つ言えるのだろうと思います。この中で中小企業の受け皿として総合型DB、いろいろ議論されましたけれども、この部分がしっかり受け皿になったということもしっかり捉えていく必要があるのだろうと思います。今、ガバナンスの問題、それから、AUPを含めて最終局面に入っておりますけれども、これを維持していくのは今後も非常に重要な観点ではなかろうかと思います。
一方、先ほど小林委員からも提案がありましたけれども、大手企業を中心にしましてDB制度の改善、キャッシュバランスであるとか、リスク対応掛金であるとか、リスク分担型企業年金であるとか、さまざまな形で検討が進められておりますけれども、やはりDB制度をいかに維持していきやすくしてあげるかも極めて大事なところと。ただ、どうしても単年度決算との関係がありますから、厳しい局面はありますけれども、やはりDB制度を維持できるような仕組みをどう構築できるのか。これをどうサポートできるかが非常に大事ではなかろうかと思います。
データとしては、DC制度の加入者が極めて多くなっているというのも一つございまして、このデータは16ページ、これがDCの加入者が極端に増えていると言えるのかは別にしまして、毎年50万人ずつぐらい拡大してきております。私の個人的な考え方としましては、個人型DCを第2号被保険者まで拡大することによって、個人型DCへのパラダイムシフトが起きていくのではなかろうかと思っております。したがいまして、企業型DCプラス個人型DCで第2号被保険者のDC加入が大いに進んでいくのだろうと思われます。これをどうサポートしていくのかが今後非常に大事な問題になっていくのだろうと。
ただ、そのときに、企業型DCにつきましては、継続教育も含めて企業に義務化されておりますけれども、個人の場合は自分が加入するために自分が勉強する。そういう2本立て商品、2本立て管理でいいのかどうか。今後、サポートするところをどうしていくのかというのは課題で残ってくるのではなかろうかと思います。したがいまして、検討する中におきましては、サポート体制についてもどうするか、商品化もどうするのかというのも大いに考えていく必要があるのではなかろうかと思います。
もう一点、雇用の多様化について先ほどの縦軸、横軸という話がありましたけれども、いろいろな形での問題が出てきたときにポータビリティの問題も非常に大事な問題なのではなかろうかという点で、iDeCoができることによっていろいろな形でのポータビリティが検討されましたけれども、さらに一歩も二歩も進んだポータビリティの多様化も非常に大事なポイントになるのではなかろうか。
その点を考えまして、今日、私の隣に国民年金基金連合会の理事長も見えていますけれども、我々のところも一体になり、一体というのは一緒になるという意味ではなくて、協力しながらサポートする体制も構築する必要があるのではなかろうかと思っている次第でございます。
以上でございます。
○神野部会長
永原さんからも何か御発言がございましたら、お願いします。
○永原国民年金基金連合会理事長
国民年金基金連合会の永原でございます。
せっかくでございますので、一言だけお話を申し上げたいと思います。
この企業年金部会は前々から承知をしておりましたけれども、今回名称を「企業年金・個人年金部会」ということで加えていただきました。老後の所得保障の重要性、これに鑑みて正面から取り組んでいただけるということで大変心強く感じておる次第でございますし、また、こうした議論の中に参加できますことを光栄に存じる次第でございます。
平成28年度の法改正におきまして、私ども国民年金基金連合会は、DBであります国民年金基金制度と、DCであります個人型確定拠出年金、この制度の双方について携わっておりました。この両方の大きな制度改革を受けてどうしたかという話を申しますと、まず、前者DBの国民年金基金につきましては、この法改正に伴いまして合併・分割規定というものが設けられました。これを受けまして、直ちに合併方向の議論をずっと進めまして、実は最終的にこの4月1日に都道府県47の地域型国民年金基金が合併するとともに、職能型の基金が25あるのですが、このうちの3つを除き、3つと申しますのは弁護士と歯科医師と司法書士でございますが、この3基金を除いて22基金が合併をいたします。69基金が合併するということで、かなり大変なロードでございましたけれども、無事青山の地に新しい事務所を設けまして、発足するということでございます。
私ども連合会は、この円滑な合併を支援いたしますために、業務の統合、職員の引き継ぎ、合併契約や諸規定の整備といった基金間の調整を長きにわたり行ってきておりまして、まさに現在、最終の大詰めの準備作業をやっておるところでございます。この全国国民年金基金の設立によりまして加入者、受給者の利便性の向上あるいは事業運営基盤が強化をされます。かつ、事業運営の効率が図られるということで、今後は従来以上に加入の促進を強力に進めていける環境ができたものと考えておる次第でございます。
もう一個、iDeCoの取り組みでございます。これは先ほど課長から御紹介もございましたが、今回の法改正で基本的には全国民にこの制度が拡大されたわけでございます。制度拡大前の平成28年12月末は、30万人余りの加入者でございましたが、直近12月末には112万ということで、2年ぐらいの間に4倍になった状況でございます。昨年にもさらなる各種の制度の改善がなされておりまして、引き続き制度の確実な実施を図りますとともに、さらなる普及のために広報等の改善努力もしていきたいと考えておる次第でございます。
○神野部会長
どうもありがとうございました。
森戸代理、何かございますか。
○森戸部会長代理
皆さんがおっしゃったことのまとめみたいになってしまいますが、25ページのOECDの表が今後の議論のベースになるのだろうと。それをより詳しく整理していただいたものが48ページのものかと思って理解していますが、この25ページで言うところのマル3ですね。ここがまさに公的年金給付の削減を補完する私的年金等の奨励、ここをやっていかなければいけないのだということで、ここではカバー率のことが出ていますが、一つはカバー率を上げていかなければいけないという話です。
もう一つは、カバー率を上げていくときにフェアな制度、フェアに全国民に公平にカバー率を広げていかなければいけないという問題があると思います。先ほど同一労働・同一賃金の話も出ましたが、退職金などにつきましても非正規だからないのはおかしいだろうという考え方をするようにシフトしてきていますので、どのように制度があるのがフェアなのかということ。21ページの先ほどの少しわかりやすくなったという図ですね。このあいているところが、いわばこれだけで見るとフェアでない部分だとも言えるわけですが、DBのところの書き方にもよるのでこれだけでは見られませんが、とにかくフェアな制度、カバー率を広げるとともにフェアに公平にカバー率を広げていかなければいけないということがまず言えると思います。
そのときに、御指摘があってなるほどと思ったのですけれども、ただ、公平な制度を突き詰めてマニアックに公平感を追求すると、先ほどから御指摘が金子委員などからありましたが、わかりにくい制度になってしまって、かえって何だかわからなくなる。でも、パーフェクトに公平な制度にはできないから、結局マニアックなだけで終わってしまうみたいな法律家がやりがちな話なので、ぜひ公平な制度でなければいけませんけれども、ざっくり公平感が持てるような制度ぐらいの、それでより国民にわかりやすい制度はできないかと考えていったらいいかと思います。
カバー率を広げていく、フェアな制度にしていく中で無視できないのが、日本の場合は諸外国にない特色として、もともと退職金制度の伝統、歴史があり、今日御紹介がありましたが、それをどうするか。それはこの老後所得の話とは全然別なものとして考えるのか、それとも退職金制度という、今の企業年金もまだ退職金制度を引きずっているわけですけれども、そういう退職金制度を企業年金、老後の所得保障をする制度に移行させていくのか。そういうことを促すのかという選択を政策上、迫られるのかと思います。
もちろん私的年金等ですから、企業年金のみではなくて私的年金のことも一緒に考えていく。個人年金も含め、私的年金制度全体で考えなければいけないということなのだろうと思います。先ほど、部会長からもありましたが、税調のほうでもお話ししたのですけれども、これまで積み上げ型で考えてきた、つまり1階部分があって、2階部分があって、3階が企業年金・私的年金だよという発想ではなくて、国民一人一人が老後に備えるというもしかしたら義務であり、基本があって、あとはそれをどう埋めていくかの話なので、企業年金がある人は企業年金で埋められるけれども、企業年金で埋められない人はほかのもので埋められるような制度にしていくべきではないかと。それがフェアなのではないかと。積み上げ型から穴埋め型へとよく言っているのですが、そういう発想で考えなければいけないということを、25ページの図などもあらわしているかと思います。
2点目が、資料で言うと48ページあたり、先ほどのところにもかかわるのですかね。既にほかの委員からも出ましたが、ここでは取り崩し方という言い方になっていますが、もらい方ですね。給付のあり方とまとめられているのかもしれませんが、給付の形の議論もしないといけないと思います。具体的には、年金制度と言っているけれども、先ほどから御指摘があったように一時金でもらっているわけです。さらに、年金と言っているけれども、終身でなくてほとんど有期年金なわけですね。だから、老後のためであれば終身であるべきなのか、でも、終身年金を強制することはできるのかとか、そういったもらい方の部分の議論もあわせてしていかなければいけないのだろうと。そこについての規制なりサポートのあり方も議論しなければいけないのだろうと思います。
最後に、まさに先ほどの企業年金か個人年金か私的年金かみたいな話ですが、内田委員とか伊藤委員からも御発言がありました、企業年金のカバレッジを広げていくことがまず大事なのではないかと。それはそうだと思うのですが、ただ、現実、今日の資料にもありましたが、この間の改正でできた簡易型DCよりもiDeCo+のほうが割と人気があるというか、広まっている感じがデータ上あるように聞いております。それが現実で、企業にやれと言ってもなかなか企業年金はやれないという現実があるのだろうと思います。
これもよく申し上げているのですが、究極の目的は別に中小企業に無理に企業年金というものを持たせることなのではなくて、本来は中小企業に勤めている労働者、大企業の非正規の人も含めてかもしれませんが、一人一人の労働者、国民に老後所得を確保してあげることが最終の目的で、それをどうサポートするかが目的なので、別に私としては現実を見れば、企業に企業年金を何とか持たせる努力もしつつですが、それでは絶対にカバーできないこともあるから、究極の目的は何かというところに立ち戻って政策も考えなければいけないのではないかと思います。その点も既に整理がされているところですが、今後きちんと議論していければと思います。
以上です。
○神野部会長
ありがとうございました。
委員の皆様方から極めて生産的な御意見をたくさん頂戴いたしましたことに感謝申し上げる次第でございます。いただきました御意見は、事務局とともにそしゃくしながら、今後の運営を考えていきたいと思っております。
それと関連することでございますけれども、2番目の議題に移らせていただければと思います。次回以降の進め方ということでございますが、事務局から資料について御説明をお願いします。
○吉田企業年金・個人年金課長
資料2をごらんいただけますか。「次回以降の進め方について(案)」です。「企業年金・個人年金を取り巻く状況と主な検討課題」として本日の資料48ページで私どもから提示をさせていただき、さまざまな御議論をいただいたところですが、今後、検討をより深めていくに当たっては、この検討課題の設定が何より重要かと思っております。
そこで、まずは関係団体の方々、具体的には労使団体、企業年金連合会、国民年金基金連合会など、また、金融機関等々から、「企業年金・個人年金制度に関する検討課題」として考えられる点、並びにその点に関する団体の皆様のお考えがあるのであれば、それも述べていただく。そのような機会を3月、複数回設けさせていただきたいと思っております。
そして、本日、各委員からさまざまな御指摘をいただきました。この部分とヒアリングの内容を踏まえまして、部会長とも相談して事務局で課題設定をさせていただいて、4月以降、その各論について部会で御議論を進めていただければと考えております。
以上です。
○神野部会長
いかがでございましょうか。今、御説明いただきました今後のこの部会の運営につきまして、御意見を頂戴できればと思います。いかがでございますか。よろしいですか。
とりあえず資料2のような形で進めさせていただくことを御了解いただいたということにさせていただければ、この案にございますように、来月でございますが、まずヒアリングから手をつけさせていただくという段取りで進めさせていただいてよろしいでしょうか。
関係団体につきましては、事務局のほうで幾つか例示されておりますけれども、事務局とも調整しながらヒアリングの対象とする関係団体を考えさせていただくようにしておりますが、これについても御承知おきいただくということでよろしいですか。
どうもありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
本日予定をしておりました議事は終えさせていただいたと思いますので、今後の予定について、事務局から御紹介いただければと思います。
○吉田企業年金・個人年金課長
次回の部会の開催日時は事務局から各委員の御都合をお伺いした上で、また、ヒアリング先となります関係団体と日程を調整させていただきまして、その後、正式な御案内をお送りしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○神野部会長
よろしいでしょうか。
今後の予定につきましては、また再度事務局から委員の皆様方に御通知申し上げます。
それでは、これにて第1回目になりました企業年金・個人年金部会を終了させていただきます。
最後まで熱心に御議論を頂戴いたしましたことを深く感謝申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。