第16回 社会保障審議会企業年金
・個人年金部会 議事録
日時
令和2年10月14日(水)12:57~14:54
場所
TKP新橋カンファレンスセンター 16階ホールD
出席者
神野部会長 森戸部会長代理 伊藤委員 井戸委員 臼杵委員[オンライン] 内田委員 大江委員[オンライン] 小川委員 金子委員
小林委員[オンライン] 藤澤委員 細田委員 渡邊委員[オンライン]
(オブザーバー)
鮫島企業年金連合会理事長
松下国民年金基金連合会理事長
議題
DCの拠出限度額について
議事
議事内容
○神野部会長
それでは、定刻少し前ではございますけれども、予定の皆様方が、全てお揃いでございますので、ただいまから第16回「社会保障審議会企業年金・個人年金部会」を開催したいと存じます。
すっかり秋めいてまいりましたが、と言いたいところなのですが、夏と冬がくさび型に混在しているような状況になっておりますので、皆様方、体調をくれぐれも、お崩しにならないように御自愛いただければと思います。
また、本日、御多用の折にもかかわりもせず、万障繰り合わせて御参集いただきましたことに、深く感謝を申し上げる次第でございます。
本日の委員の出欠状況でございますが、白波瀬委員から御欠席との御連絡を頂戴いたしております。
また、臼杵委員、大江委員、小林委員、渡邊委員におかれましては、オンラインにて御参加をいただいております。
御出席をいただきました委員の皆様方が3分の1を超えておりますので、この会議は成立しているということを、まず、御報告申し上げたいと思います。
早速でございますけれども、これから議事に入らせていただきたいと思いますので、見渡したところ、いらっしゃらないと思いますが、カメラの方がいらっしゃるようでしたら、ここで御退室をお願いする次第でございます。よろしくお願いいたします。
本日の議事でございますが、お手元の議事次第にございますように、確定拠出型の拠出限度額について御議論を頂戴することになっております。
まず、冒頭、事務局の方から資料の確認をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
○吉田企業年金・個人年金課長
年金局企業年金・個人年金課長です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
資料の確認をさせていただきます。
本日の資料ですが、資料1「令和3年度税制改正要望事項」。
資料2「DCの拠出限度額について」。
資料3「日本年金数理人会提出資料」。
資料4「金子委員提出資料」。
参考資料1と2は、更新をしておりませんが、前回の部会に出した資料、参考資料3は、委員名簿となっております。
事務局からは、以上です。
○神野部会長
どうもありがとうございました。
それでは、準備しております議題「DCの拠出限度額について」の議題の方に入りたいと思いますが、進め方といたしましては、まず、事務局から資料1及び資料2について御説明を頂戴いたします。
その後、日本年金数理人会の小川委員からDCの拠出限度額の見直しに当たって必要となる「DBの給付水準から掛金相当額への換算」について御説明をいただきます。
さらに引き続いて、金子委員から提出資料がございます。「職場で資産形成の機運を高めるための試み」についてでございますが、御自身の企業、自社でもっての取組の事例について御披露いただけると伺っております。
こうした御説明を承った後、一括して、委員の皆様方から御質問、御意見を頂戴したいと思っております。
それでは、まず初めに、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○吉田企業年金・個人年金課長
それでは、御説明させていただきます。資料1をお開きください。
9月末、財務省に対して行った令和3年度税制改正要望事項の抜粋です。
企業年金・個人年金関係では1点、企業型・個人型確定拠出年金の拠出限度額の見直しについて要望を行っています。
まず「1.現状」のところですが、企業型確定拠出年金(企業型DC)の拠出限度額は、現行は月額5.5万円となっている。企業型DCと確定給付企業年金(DB)を併せて実施する場合は、DBに加入している者と加入していない者との間で不公平が生じないよう、月額5.5万円からDBの掛金額を控除する必要があるが、現行は全てのDBの掛金額を月額2.75万円と一律に評価し、企業型DCの拠出限度額は残りの月額2.75万円となっている。
この控除するDBの掛金額については、制度創設当時の厚生年金基金の単純平均から評価したものであるが、現在のDBの掛金額の実態は、月額2.75万円より低いDBが多く、DB間で大きな差もあり、より公平な制度とすることが求められている。
また、個人型確定拠出年金(個人型DC)の拠出限度額は、現行は企業年金の加入状況によって異なっているが、より公平な制度とすることが求められている。
「2.要望内容」ですが、「国民が高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を行うに当たって、これに対する支援を公平に受けられるようにする等その充実を図る観点から、企業年金・個人年金の在り方を検討し、税制上の所要の措置を講ずる」ことを要望しています。
続きまして、資料2をお開きください。
DCの拠出限度額について、おさらいとなる部分が含まれておりますが、前回までの議論を踏まえて資料を再整理していますので、説明をさせていただきます。
1ページ、DCの拠出限度額ですが、改めて確認しておきたいと思います。
まず、DBには、拠出限度額はありません。あくまでDCの拠出限度額の資料になります。
DBには拠出限度額がない旨、欄外の注に書いていましたが、この点、小川委員から御指摘いただきまして、誤解のないよう、絵の中に明記し、かつ、白抜きにしています。
今回の法改正によって、企業型DC加入者の個人型DC加入が容易になり、この1ページのような形になることまでは決まっています。
左から2つ目のところ、マル1の企業型DCのみを実施している場合の拠出限度額は、月額5.5万円になります。また、この範囲内で、かつ、月額2万円の範囲内で個人型DCに加入可能です。つまり、事業主掛金が月額3.5万円を超えると、個人型DCの拠出限度額は2万円から逓減、少しずつ減少しますが、個人型DCへの加入が企業型DCの規約の定めがなくても可能になります。
マル2の企業型DCとDBを併せて実施している場合、DBが横たわる形であるわけでして、DCの拠出限度額の算定に当たって、全てのDBの掛金相当額を月額2.75万円として評価しているため、企業型DCの拠出限度額は残りの月額2.75万円になります。また、この範囲内で、かつ、月額1.2万円の範囲内で個人型DCに加入可能です。つまり、事業主掛金が月額1万5500円を超えると、個人型DCの拠出限度額は1.2万円から逓減、少しずつ減少しますが、個人型DCへの加入が企業型DCの規約の定めがなくても可能になります。
マル3のDBのみを実施している場合、個人型DCの拠出限度額は一律月額1.2万円となります。
マル4の企業型DCもDBも実施していない場合、個人型DCの拠出限度額は月額2.3万円となります。
一番左、第1号被保険者の個人型DCの拠出限度額は、国民年金基金等と合算で月額6.8万円となります。
一番右、第3号被保険者の個人型DCの拠出限度額は月額2.3万円となります。
2ページ、企業型DCの事業主掛金額の加入者割合です。7月の部会では2018年度の実績をお示ししていましたが、最新の2019年度の実績に更新するとともに、7月の部会で伊藤委員から御依頼のあった企業型DCと確定給付型を実施している場合、すなわち拠出限度額2.75万円の場合の分布を右側に追加をしています。
3ページ、こちらも7月の部会で伊藤委員から御依頼のあった点ですが、企業型DCについて事業主掛金とマッチング拠出の合計額の実態になります。
4ページ、5ページは、個人型DCの掛金額別の加入者割合になります。
4ページは第2号被保険者の、5ページは第1号、第3号被保険者の個人型DCの掛金額の状況になります。
6ページ、DBの掛金額の状況になります。
企業型DCとDBを併せて実施する場合、DBに加入している者と加入していない者との間で不公平が生じないよう、月額5.5万円からDBの掛金相当額を控除する必要があるというのが基本的な考え方です。
この控除するDBの掛金相当額について、現行は、制度創設当時の厚生年金基金(1583基金)の上乗せ分の給付水準の単純平均から一律半額(現行月額2.75万円)としたものですが、現在の確定給付企業年金(DB)の掛金額(加入者1人当たりの標準掛金の金額)の実態は、全体的に低く、バラツキもあります。
7ページから拠出限度額の設定の考え方について整理しています。
前回の部会で、伊藤委員への回答の中で、私から口頭で回答いたしましたが、分かりにくかった点もあると思いますので、資料を用意しています。
7ページ、第1号被保険者の拠出限度額の設定の考え方です。
第1号被保険者の国民年金基金の拠出限度額、現行月額6.8万円については、厚生年金基金加入者に対する社会保険料控除とのバランス、つまり、税制優遇のバランスを勘案して設定しました。
個人型DC導入時は、その拠出限度額の範囲内で、国民年金基金と個人型DCの組み合わせ・選択を可能としました。
8ページ、企業年金のない第2号被保険者の個人型DCの拠出限度額の設定の考え方です。
企業年金がない第2号被保険者の個人型DCの拠出限度額、当時月額1.5万円、現行月額2.3万円は、企業年金に入っていたとしたら受けることができる拠出と同程度の拠出枠とするため、つまり、同程度の税制優遇の枠とするため、企業型DC・DB・厚生年金基金の各制度の拠出額の実態、当時はマッチング拠出もありませんでしたので、事業主掛金のみになりますが、これの実態を踏まえて設定しました。
9ページ、企業年金加入者の個人型DCの拠出限度額の設定の考え方です。
2012年1月から、企業型DCの拠出限度額の範囲内で、かつ、事業主拠出の範囲内で、従業員による拠出(マッチング拠出)を認め、老後の所得確保に向けた個人の取組を可能としました。
2017年1月から、企業年金(企業型DC・DB)加入者の個人型DC加入を認め、個人型DCの拠出限度額については、選択関係にあるマッチング拠出の実態を踏まえて設定しました。
現在、企業年金加入者の個人型DCの拠出限度額は、DBの掛金相当額を一律月額2.75万円と評価していることと連動して、3区分に分かれています。
「マル1企業型DCのみに加入する者」の個人型DCの拠出限度額(月額2万円)は、企業型DCのみに加入する者のマッチング拠出の実態の大半をカバーする水準を勘案して設定しました。企業型DCのみに加入している場合の事業主掛金の拠出限度額は月額5.5万円で、マッチング拠出は事業主掛金を超えることができないため、最大月額2.75万円となりますが、マッチング拠出の実態の大半をカバーする水準の月額2万円を、同じく個人拠出である個人型DCの拠出限度額としました。
「マル2DBと企業型DCに加入する者」の個人型DCの拠出限度額(月額1.2万円)は、DBと企業型DCに加入する者のマッチング拠出の実態の大半をカバーする水準を勘案して設定しました。DBと企業型DCに加入している場合、DBの掛金相当額は一律月額2.75万円と評価し、企業型DCの事業主掛金の拠出限度額が月額2.75万円となっている中で、マッチング拠出は事業主掛金を超えることができないため、最大月額1万3750円となりますが、マッチング拠出の実態の大半をカバーする水準の月額1.2万円を、同じく個人拠出である個人型DCの拠出限度額としました。
「マル3DBのみに加入する者」の個人型DCの拠出限度額(一律月額1.2万円)は、マル2と同額としました。
10ページ、企業型DCにおけるマッチング拠出の実態です。
7月の部会では、2018年度の実績をお示ししていましたが、最新の2019年度の実績に更新しています。拠出状況は、ほぼ変わっていません。
11ページ、今回の法改正前は、赤字の部分ですが、企業型DC加入者が個人型DCに加入するには、企業型DCの規約の定めと事業主掛金の上限の引下げが必要となっていました。すなわち、マル1の企業型DCのみを実施している場合は、事業主掛金の上限を3.5万円に引き下げ、個人型DCの2万円の拠出枠を捻出した企業の加入者のみが、個人型DCに加入ができます。
マル2の企業型DCとDBを併せて実施する場合は、事業主掛金の上限を1万5500円に引き下げ、個人型DCの1.2万円の拠出枠を捻出した企業の加入者のみが、個人型DCに加入ができます。
このように企業年金の事業主掛金の上限を引き下げると、自助努力である個人年金の加入が可能になるという関係にあり、また、それが、拠出限度額が余っている従業員を含め、当該企業全体に影響していました。
12ページ、今回の法改正によって、この点について改善を図りました。
赤字の部分、2022年10月から、企業型DC加入者の個人型DCの加入の要件が緩和され、企業型DCの規約の定めと事業主掛金の上限の引下げが不要となり、マル1の企業型DCのみを実施している場合は、拠出限度額5.5万円の範囲内で、かつ、個人型DCは2万円の範囲内で、すなわち、事業主掛金が3.5万円を超えると個人型DCの拠出限度額は2万円から逓減、少しずつ減少しますが、個人型DCへの加入が企業型DCの規約の定めと事業主掛金の上限の引下げがなくても可能になります。
マル2の企業型DCとDBを併せて実施している場合は、拠出限度額2.75万円の範囲内で、かつ、個人型DCは1.2万円の範囲内で、すなわち、事業主掛金が1万5500円を超えると個人型DCの拠出限度額は1.2万円から逓減、少しずつ減少しますが、個人型DCへの加入が企業型DCの規約の定めと事業主掛金の上限の引下げがなくても可能になります。
このような法改正を提案してきたわけでありますが、審議の中で修正の提案がありまして、具体的には個人型DCの拠出限度額は、1号被保険者を除いて一律2.75万円にしてはどうか、つまり、この12ページの絵のピンクの部分を1号被保険者を除いて2.75万円で統一してはどうかといったものであり、簡素で分かりやすいものにするものと理解できるわけですが、この点については、企業年金がある者とない者を統一することについての是非、また、そもそもDBを一律評価している点、すなわちこの12ページの白抜きになっている部分、こういうことが論点になりまして、企業年金・個人年金の見直しは税制優遇措置の拡大であり、税制改正のプロセスの中で税制の観点からの検討を経て行う必要があることから、13ページを御覧いただきまして、与野党協議の結果、附則の検討規定に、与野党共同の修正によって検討規定が追加されたところです。また、同内容の附帯決議も付されました。
14ページ、前回の部会で、伊藤委員から、なぜ、今回DBを併せて実施する場合のDCの拠出限度額の見直しの議論をするのか整理が必要との御指摘をいただきましたので、資料を用意しています。
給付建てのDBには拠出限度額がないが、拠出建てのDCは、拠出時に加入者の資産となり、加入者自身が資産運用をすることから、加入者が受けることができる税制上の措置の範囲として、事業主掛金に拠出限度額(月額5.5万円)が設定されている。
企業型DCとDBを併せて実施する場合、DBに加入している者と加入していない者との間で不公平が生じないよう、月額5.5万円からDBの掛金相当額を控除する必要があるというのが基本的な考え方である。この控除するDBの掛金相当額について、現行は、制度創設当時の厚生年金基金(1583基金)の上乗せ部分の給付水準の単純平均から月額2.75万円と一律評価し、企業型DCの拠出限度額は、残りの月額2.75万円となっている。
DB・DC2法の施行後、多くの厚生年金基金が解散・代行返上し、適格退職年金からDBへの移行も進んだ。現在、DBは1万件を超えるが、厚生年金基金の上乗せ部分の給付水準を前提に全てのDBの掛金相当額を月額2.75万円と評価している現行の仕組みは、DBの実態と乖離が生じている。また、DBごとに給付水準(=掛金水準)に差がある中、一律評価している現行の仕組みは、簡便であるものの、不公平が生じている。
DB・DC2法の創設時、すなわち、まだDBがなかった時の設定方法としては、一つの方法だったと考えるが、DB法の施行後、DBの実態が把握可能であり、かねてより公平性の観点から課題とされてきた点である。
DB・DC2法施行後5年の見直しを検討してきた企業年金研究会でも、「現状の取扱いはやむを得ない措置であると考えられるが、なおきめ細かい対応ができないか、実務上の対応の可能性を含め、引き続き検討すべきである」とされた。
また、現在は、拠出限度額から事業主掛金を控除した残余の一部を活用することで、全ての企業年金加入者が個人型DCに加入可能となったことから、DBの掛金相当額を一律評価している現行の仕組みは、企業型DCのみならず、個人型DCの拠出限度額の公平性の問題とも関連する課題となっている。
先の法改正で、企業型DC加入者(DB併用を含む)の個人型DC加入の要件緩和が図られることとなったが、その際にも、個人型DCの拠出限度額の在り方が議論となった。DB加入者の拠出限度額が月額1.2万円となっているのは、DBの掛金相当額を月額2.75万円と一律評価していることに起因するものであることから、法改正の施行に併せて改善を図るべく議論を行っているものである。
さらに、この要件緩和の施行の際には、企業型RKと国民年金基金連合会との間で、加入者に関する情報の連携・提供の仕組みを構築するが、DBの掛金相当額の在り方を見直すのであれば併せて仕組みを検討・構築することが効率的であることから、議論を行っているものである、と整理をさせていただいています。
15ページ、DBを併せて実施する場合の企業型DCの拠出限度額の見直しです。
7月の部会以来、御議論いただいている点ですが、矢印の部分、このような中、より公平できめ細かな制度とするためには、どのような仕組みが考えられるか。例えば、企業型DCの拠出限度額は、月額5.5万円からDBの掛金相当額を控除した額とすることが考えられるがどうか。
箱の部分を御覧ください。現行は、企業型DCのみを実施している場合の拠出限度額は月額5.5万円、DBを併せて実施する場合は月額2.75万円となりますが、右の欄、月額5.5万円からDBの掛金相当額を控除した額とすることが考えられます。
※の2の部分ですが、DBを実施していなければ控除する額は0円になりますので、企業型DCの拠出限度額は、現行どおり月額5.5万円となります。DBの掛金相当額が月額5.5万円を上回る場合は、DC拠出は不可となります。
絵の部分を御覧いただきまして、現行はDBの給付水準(=掛金水準)にかかわらず、企業型DCの拠出限度額は一律月額2.75万円です。右の方、見直すと、DBの給付水準(=掛金水準)が低い場合は、DCで拠出できる額は大きくなり、DBの給付水準(=掛金水準)が高い場合は、DCで拠出できる額は小さくなります。
赤枠の部分、DCの拠出を増やそうとする企業は、施行日以後、規約変更の後、拠出可能となります。
青の点線で囲っている部分ですが、現行制度下で認められていたDCの拠出については、所要の経過措置を講ずる必要性があると考えています。
16ページ、同じことを別の形で図示しています。
左の方が現行ですが、DBの給付水準(=掛金水準)にかかわらず、企業型DCの拠出が月額2.75万円の範囲内で可能です。
一番左、青字で書いているとおり、企業型DCのみの場合の非課税拠出限度額は月額5.5万円です。
企業型DCの拠出限度額について、DBに加入している者と加入していない者で不公平が生じないよう、DBの掛金相当額を控除する必要があるというのが基本的な考え方ですが、DBと企業型DCを同時に実施している場合、全てのDBの掛金相当額を一律2.75万円と評価しているため、給付水準(=掛金水準)が高いDBでも、水色のように、2.75万円のDC拠出が可能となっているのが現行です。
これを右の絵のように、企業型DCの拠出限度額について、DBに加入している者と加入していない者で不公平が生じないようにするのであれば、月額5.5万円からDBの掛金相当額を控除した額とすることで、企業型DCを実施している場合の公平を図ることができると考えます。
ただし、グレー色の部分は、左の絵では水色だった部分でして、現行制度下では拠出が認められていることから、所要の経過措置を講ずる必要がある部分です。
17ページ、企業年金(DB・企業型DC)に加入する者の個人型DCの拠出限度額の見直しです。
企業年金(DB・企業型DC)に加入する者の個人型DCの拠出限度額に関して、「マル2DBと企業型DCに加入する者」について、DBの掛金相当額を月額2.75万円に一律評価していますが、DBの給付水準(=掛金水準)に差がある中、不公平が生じています。
また、「マル3のDBのみに加入する者」について、DBの給付水準(=掛金水準)にかかわらず、一律月額1.2万円となっている点も、不公平が生じています。
矢印の部分ですが、今回、DBの掛金相当額の実態を反映することに伴って、企業年金の加入者の個人型DCの拠出限度額について、公平を図ることができるのではないか。この点は企業年金加入者間の公平を図るもので、この点も先の部会で伊藤委員から広く国民の自助努力の公平を図るべきではないかと指摘がありましたが、引き続き、企業年金のない者を含めて、個人型DCの拠出限度額の在り方について検討していく必要があるのではないか。
絵の部分を御覧ください。現行は、DBの掛金相当額を月額2.75万円と一律評価しているため、自助努力である個人型DCの拠出限度額がバラバラの3つの区分に分かれていました。
これを絵の右、DBの掛金相当額を一律ではなく、DBごとに評価することに伴って、個人型DCの拠出限度額を2万円とし、事業主掛金、これは、企業型DCの場合は実際の事業主掛金、DBの場合は掛金相当額、この合計が3.5万円を超えると、個人型DCの拠出限度額が2万円から逓減、少しずつ減少する形にすることができます。
また、この御説明している形が、最終形では当然ございません。積年の課題であるDBの掛金相当額を一律評価から個別評価に改めると、このような形になるのではないかという提案ですが、18ページを御覧いただいて、先日の部会でも御説明したとおり、個人型DCの在り方については、様々な御意見があります。
2つ目のマルの部分、「企業年金のある者も個人型DCに加入可能となったことを踏まえ、個人型DCの拠出限度額について、自助努力に対する支援の公平、企業年金のある者とない者の公平、企業年金の普及等の観点から引き続き、新たな設定方法を検討していく必要がある」と考えています。
19ページ、政府税制調査会において、老後に向けた資産形成について、税制の観点から議論が継続中です。
同調査会では、森戸委員から、全国民に等しくやってくる老後に全国民が等しく備えられるよう、「企業年金」から「引退後所得保障」へ、「積み上げ型」から「穴埋め型」へといった提案がなされ、議論が続いているものと承知をしています。
21ページを御覧ください。
制度体系は、諸外国でもいろいろあります。前回、これも伊藤委員への私からの回答の中で、口頭で回答しましたが、分かりにくかったと思いますので、資料を用意しています。
カナダのように、共通枠を設け、事業主掛金の残余の範囲内で個人拠出を認めることで、公平な税制優遇を担保している国があります。
22ページのイギリスも同様です。
21ページのアメリカのところを御覧ください。
アメリカは、個人年金であるIRAが、DBや企業型DCから独立しています。ただし、高所得者が有利に税制優遇を活用できないよう、「調整型」と赤字で書かれていますが、企業年金に加入している場合、所得額に応じてIRAの限度額が逓減・消失する仕組みとなっています。
23ページに飛んでいただきまして、2019年12月におまとめいただいた、当部会における議論の整理の抜粋です。
将来像の検討として、赤字の部分ですが、これまで企業年金・個人年金等に関する制度・税制が段階的に整備・拡充されてきた中で、働き方や勤め先の企業によって受けられる税制上の非課税枠が異なっているなどの課題がある。
老後の所得確保に向けた支援(非課税拠出の枠)を公平にするとともに分かりやすい制度とする観点から、「全国民共通の退職所得勘定(IRA)」や「穴埋め型」と言われる提案がなされてきた。
賛同する意見があった一方で、企業年金が退職給付由来であり労使合意に基づく制度であることを十分に留意する必要があるといった意見や、老後生活における自助・共助・公助の役割分担に関連するといった意見等があった。
企業の退職給付・雇用の在り方や個人の生活設計にも密接に関連すること等を踏まえ、引き続き丁寧に検討を継続していく必要がある。
以上のとおりおまとめいただきましたが、引き続き検討していくべき課題であると認識をしています。
24ページ、制度・税制の改正要望をいただいています。
経団連からは、「長寿化が進み、働き方や生き方が多様化する中で、老後の所得確保を図る観点から、公的年金の上乗せとなる企業年金制度等を改善・充実し、普及・拡大を図ることが必要不可欠である。その際、公平で分かりやすい制度の構築も求められている。今後、企業労使における退職給付の位置付け、実務等も十分踏まえつつ、制度の普及・拡大に資するような見直しの検討を進めるべきである」等の御要望をいただいています。
日商からは、マル1企業型確定拠出年金における拠出限度額の引上げ、マル2企業型確定拠出年金におけるマッチング拠出の自由化、マル3iDeCo及びiDeCoプラスの拠出限度額の引上げの3点の御要望をいただいています。
特に3点目は、企業年金のない方の現行月額2.3万円となっている拠出限度額の引上げを求めるものとなっています。
以上、経過措置の内容など、細部は検討中でして、次回、御議論いただきたいと考えています。今回は、9月末に行った税制改正要望の御紹介と、これまでの議論を踏まえた資料の更新を御説明しました。
私からは、以上になります。
○神野部会長
どうもありがとうございました。
それでは、最初に御説明しましたように、引き続いて、日本数理人会の小川委員から御説明を頂戴したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○小川委員
資料3の方を御覧ください。
これからの時間は、日本年金数理人会を代表して、お話をさせていただきます。
なお、本日の参考資料2の14ページにもございます、前回の部会で事務局から示された5つの観点につきましては、それぞれ十分に勘案の上で、本提案に至っております。
それでは、2ページを御覧ください。
全て第12回部会資料の再確認ですが、最上段の青色の囲みのとおり、論点2のDBを併せて実施する場合の企業型DCの拠出限度額は、※印のとおり、5.5万円からDBごとの掛金額を差し引いて計算するというアイデアですが、これは、その下側に記載のとおり、大きく2つ考えられる方法のうち、個人単位で評価するのではなく、DBは集団で運営しているため、DB単位で評価するものであり、また、実際の掛金額そのものではなく、DBごとの給付水準から掛金に相当する額、以下仮称ですが、仮想掛金額への換算が必要となります。
これらを受けて、以下、この換算方法を説明します。
3ページを御覧ください。
次ページ以降で具体的な算定方法を説明いたしますが、理解を進めていただくために、仮想掛金額の考え方を、まず説明します。
最上段の青色の囲みのとおり、DCの拠出限度額は、2つの数値の差額で計算します。
これら2つの数値は、その下の左側に掛金として記載のとおりですが、これらはそれぞれ右側に記載の給付に対応しています。
したがって、最下段の青色の囲みに記載のとおり、左側の5.5万円、黒い色のうち、仮想掛金額青色がどの程度の割合を占めるかは、右側の代行給付の2.23倍の給付水準のうち、DBの給付水準がどの程度を占めるかを算定することで、求めることができることが分かります。
なお、ここで代行給付という厚生年金基金特有の表現が出てきますが、これは現在も使用されている厚生年金の報酬比例部分と同じ意味です。決して過去の古い基準に立ち戻っているわけではございません。
それでは、4ページを御覧ください。
このページの中段、算定式が、まず1つ目のポイントなのですが、その前に、算定に当たっての基本的な考えを説明します。
仮想掛金額はDBごとの給付水準を適正に反映したものでなければなりませんが、以前の部会でも話題に上っているとおり、適正性と簡便性はトレードオフの関係になりますので、適正性を中心としつつも、記載のとおりシンプルで負荷の少ない方法を志向しました。
この結果、中段の算定式のとおり、DC拠出限度額5.5万円に対して、この5.5万円に対応する代行給付の2.23倍の給付水準、分母のAと、各DBの給付水準、分子のBの比を乗じることによって、仮想掛金額を求めております。
給付水準の比を算定する際は、分母分子のAとBで前提を揃える必要がありますので、ともにDB制度の加入者を計算対象として、DBの財政計算で使用している予定利率を適用しています。
なお、ここで、現行のDC拠出限度額が2.75万円となっているのは、DB仮想掛金額を5.5万円の2分の1として、5.5引く2.75万円で求めています。
計算の前提は異なるのですけれども、A分のBに当たる部分が2分の1となっているとみることができます。
続いて、算定式の下のなお書きを御覧ください。
仮想掛金額は算定式のとおり、DBごとに計算できますが、ここからさらに進めて、既に計算済みのDBごとの標準掛金額をもとに計算することで、よりシンプルで負荷の少ない算定を目指します。
5ページを御覧ください。
このページが結論になります。
仕組みは、後で説明しますが、まず中段の赤い囲みの算定方法を御覧ください。
各DBの仮想掛金額、これは、前のページでDBごとに5.5万円掛けるA分のBと算定するとしていたものですけれども、これを各DBの標準掛金額の平均に、青で囲んだ一定率を掛けて算定することとします。
一定率は、DBごとの標準掛金を算定する際の予定利率に応じて異なります。
具体的には、0%から5.5%まで、0.5%刻みで計算した結果が、下の方の表のとおりです。
これによって、仮想掛金額は既に計算済みの標準掛金額と、DBの予定利率さえ分かれば、1回の掛け算で求められます。
前回の部会で部会長代理の方からリクエストがあって、足し算、引き算でということでしたけれども、ちょっと掛け算が入ってしまって申し訳ございません。
次に、なぜ、このようなことが可能かを補足いたします。
ページは、上に戻って上段の赤い囲みを御覧ください。
ここでは、各DBの標準掛金額を出発点として算定したいので、仮想掛金額の分子分母に標準掛金を掛けてキャンセルすると元に戻るように、単なる式の変換をしただけです。
見ていただくと、分母と分子に各DBの平均標準掛金額がかかっていますので、キャンセルすると元に戻るということです。
次に、今見ていただいた上段の赤い囲みと中段の赤い囲みを比較していただきますと、それぞれ分子分母ともに、上段の方では各DBで算定していたのが、中段では平均的なモデルで算定するように変わっています。
ここで改めて中段の式を見ていただきますと、各DBごとの特性、例えば、給付水準あるいはその給付の伸び方、定年まで退職する人が多いのか、少ないのかなどといった特性は、既に標準掛金額の算定時に反映しておりますため、青い囲みの一定率の方は、平均的なモデルで算定しています。
ただし、この一定率は、予定利率に応じて大きく変動いたしますので、予定利率によって定めることとなります。
ここで仮想掛金額は標準掛金をベースとすることにしておりますので、いわゆる利子相当分については含んでおりません。
また、全ての基礎率が標準掛金の設定に当たって用いたものとなっています。
それでは、次に平均的なモデルと計算結果を、次のページで説明します。6ページを御覧ください。
まず、表の右側が平均的なモデルの前提です。
マル1番、DBの加入者につきましては、これは、実際の計算は1,000名のモデルで計算しているのですけれども、22歳から59歳までの年齢の分布につきましては、そこに書いてございます、年齢別総人口の人数比で分けております。
マル2番、定年退職時の給付金額は、中労委さんの資料で、大卒総合職で、実質2600万円程度となっていました。
マル3番、年齢ごとの退職する率は、そこに書いてある国の調査のとおりです。
マル4番、その他ですけれども、加入する年齢につきましては、大卒で22歳ですけれども、最近は大学院や中途採用もございますため、24歳としております。
また、定年は、現在、65歳に向かって延長しているところですけれども、まだ途上でございますので、60歳としております。
その他につきましては、一般的な内容としております。
これらの前提で、予定利率を変えて計算した結果が、左のグラフのとおりです。
まず、上側青い色の点線につきましては標準掛金です。年金制度の標準掛金ですけれども、こちらは右側のモデルの給付水準が同じであっても、予定利率が高いほど、利子で準備しようとする部分が大きく期待できるため、元本となる掛金そのものについては小さくなります。
一方、オレンジの方の仮想掛金額につきましては、平均的なモデル1つで計算しているため、当然、給付水準は全て同じです。
予定利率が変わっても、仮想掛金額の変化が小さいという望ましい結果となっています。
なお、このグラフは前のページ中段の標準掛金額に、一定率を掛けた結果を表しています。
次の7ページにつきましては、先ほどお話しいたしましたAとBの詳細でございますので、ここでの説明は割愛させていただきまして、続いて8ページを御覧ください。
これまで給付水準としてお話ししてきたAとかBの部分につきましては、このページで記載している給付現価というのを用いて計算をしています。
最上段に記載のとおり、この給付現価という専門用語なのですけれども、こちらにつきましては、将来受け取ることとなる給付額の現在の価値と、傍点を振っている給付と現と価と、この4つの文字で給付現価を表しています。
具体的には、その下のグラフで、黄色い棒グラフが3本立っていますけれども、こちらの数値が給付現価でございまして、それぞれ中ほどにございます、60歳退職時に898万円、一時金で受け取る計算ですけれども、その給付現価がそれぞれそこに書いてあるように計算をしています。
これらの給付現価というのを、モデル的に入社した人だけではなくて、最下段の赤字のとおり、個人ごとに全員分を計算して合計したものを給付現価として算定をしております。
さて、これまで算定式の話が続きましたけれども、残り2ページでは、計算式を離れました別の話に移りたいと思います。
9ページを御覧ください。
これまで述べた算定方法は、基本的に全ての制度で用いることができますけれども、特別な制度内容を有するDBについて3点ほど補足いたします。
(1)は、キャッシュバランスプランやポイント制の場合です。
前のページまでで提案してきた方法では、仮想掛金額は標準掛金額に予定利率に応じた一定率を掛けて求めますけれども、一方、キャッシュバランスプランでは、毎年個人ごとに付与される持分付与額に利息を付したものの総合計を、ポイント制では毎年個人ごとに付与されるポイントの総合計を、それぞれ給付金として受け取る制度のため、仮想掛金額として、それぞれこの持分付与額や付与ポイントそのものが、仮想掛金額と考えられるかもしれないのですけれども、これらの毎年の付与額は加入期間中で変動することもあって、加入する全期間を通じて一定の金額となる、これまで述べてきた方法が原則として考えられると思っております。
(2)(3)は、職種、あるいは事業主によって給付に差がある場合です。
御提案の方法が、標準掛金に一定率を掛けて仮想掛金額を求めますので、DBの財政運営上で標準掛金が区分されている限りにおいて、仮 想掛金も区分されるという原則になります。
最後、10ページを御覧ください。
最後は、これまで述べてきていない2点について触れておきます。
(1)は、見直しの基準です。
御提案の方法で算定した仮想掛金額は、基本的に継続して使用しますけれども、しかるべき見直しは必要だと考えています。
そもそもDBの給付水準から換算したものでありますため、給付水準が変更された際に、DBの標準掛金が変更されるので、それに合わせて仮想掛金額も変更されます。
一方、給付水準が変わらない変更、例えば5年ごとのDBの財政運営の見直し時には、仮想掛金の見直しというのが、DC制度、DB制度、ひいては母体企業の退職金制度の見直しまでに波及することに鑑みますと、一定のアローアンスを設けることも必要ではないかと考えています。
具体的には、一定のレベル、例えば20%変動した場合あるいは仮想掛金額の単位を1,000円とすることで、それぞれ頻繁な変更を抑制するということができるなどでございます。
(2)はDB制度において、その普及の観点から小規模の場合に認められている簡易な基準の取扱いです。
これらにおきましては、制度運営上簡略化した手続きが認められており、仮想掛金額もそれに応じたものとすることが必要と考えます。
ただし、今回提案している方法は、既に相当程度簡略化できていると思量いたしますけれども、こちらにつきましても、今後、関係する方々と継続して検討していきたいと考えております。
最後のなお書きにつきましては、先ほど事務局から説明があった点ですので、割愛をいたします。
一番最後、資料を離れて一部繰り返しになりますけれども、この仮想掛金額というものは、個人型の方のDCの拠出限度額にも影響しますので、従業員への給付の水準に応じたものとすべきであると考えています。
ただ、DBの掛金は個人単位で算出されないことや、受給権、給付額が確定していないことから、個人別の仮想掛金とすることは困難だと考え、制度単位ということで整理をしております。
また、DBの掛金は制度の予定利率で大きく異なりますが、実施企業の資金調達手段の違い、すなわち、現金で用意するのが掛金、資産運用で用意する予定利率分の運用収益といった区分でしかありません。
そのため、従業員の給付が同水準の場合には、実施企業の資金調達手段の違い、すなわち予定利率の違いで、仮想掛金の水準が異なることは好ましくないのではないかと考えております。
以上、まとめでございました。
当会からの御説明は、以上です。どうもありがとうございました。
○神野部会長
どうもありがとうございました。
それでは、引き続いてでございますが、資料4に基づいて、お手元に資料4が行っているかと思います。「職場で資産形成の機運を高めるための試み」というテーマで、金子委員から御発表いただければと思います。よろしくお願いします。
○金子委員
金子でございます。
このコマは、自助努力の推進のための取組の一例ということで、私の勤め先であります野村総合研究所で行っている資産形成の機運を高めるための試みについて、御紹介させていただきたいと思います。
早速、1ページ開いていただいて1ページ目、下段の方にグラフが2つ記載してございますが、これは一般的なサラリーマンの傾向を表したグラフでございますが、御覧いただきますように、企業年金の受取額が分からないという方が非常に多く存在しております。
また、右のグラフ、これは積み立てをやっていない人の割合を示しているわけでございますけれども、そこそこの年収があるにもかかわらず、積み立てに取り組んでない人も非常に多いということを示しております。
このため、私たちの取組として出しましては、企業年金や退職金の見込み額を把握可能にすること。それから金融リテラシーと資産形成を促すということを中心に取り組んでおります。
具体的には、2ページ目の方を御覧いただきますように、アプリですとか、人によるガイダンスによって社員に関心を持たせ、自分たちにとってどんな資産形成が向いているかを理解してもらい、実際に資産形成を始めてもらえるかを確認する、社内的な実験を行っている段階です。
用意したツールというのは、2つでございます。
1つが、igneel(イグニール)という名前で呼んでおりますけれども、職場の資産形成アプリ、スマホ上のアプリを用意しております。
もう一つは、FPによる相談で、これは職場の資産形成ガイダンスです。
この2つのツールによりまして、例えば、社員としましては、年金とはどれくらいもらえるものなのかということの理解。自分ではどれくらいためる必要があるかということの理解。自分で行われる産形成とはどういうものかということ。それから、実際に積み立てを始めてもらおうと、思ってもらえることを目指しております。
なお、この2つのツールの関係なのですけれども、アプリの方は、どちらかというと入り口の関心を引きつけるものに効果があるのではないかと思っております。
相談の方は最後に背中を押すものというような位置づけで考えております。
3ページ目、全体のスケジュールでございますけれども、資産形成アプリの方、こちらはちょうど去年の8月ということなので、1年ちょっとくらい前から連続的に行っているというものでございます。
それに対して、FP相談の方は、今年1月から4月にかけて実験を行い、今は、いろいろ反省点がございますので、改善を行っているところでございます。
もう少し具体的に、それぞれのツールについて御紹介したいと思います。
4ページ目、igneel、資産形成アプリの紹介でございますが、このアプリは、繰り返しになりますけれども、自助努力による資産形成を実現する場としての職場のポテンシャルを引き出すものと捉えておりまして、具体的なコンテンツといたしまして3つぐらいのタイプのものを用意しております。
1つが、社員の金融リテラシーの向上に資する記事コンテンツ。2つ目が企業年金のシミュレーション。それから3つ目がFP相談やセミナーの募集案内などの機能でございます。
まず、5ページ目の方に、年金、退職金のシミュレーションの機能の御紹介のページを載せております。
ここでは、あくまでもシミュレーションとしております。その理由は、人事等のデータベースにアクセスして、会社で把握している年金額を示す方法も考えられたのですが、セキュリティや認証のための仕組みが複雑になるとこいうことと、それから、仮にそういった方法を取ったにせよ、どのみち将来の見込み額を示すにしか過ぎないということで、それでしたら、気軽にシミュレーションでいいのではないかということで、シミュレーションにしてございます。
このシミュレーション機能は、特にアプリを使い始めたユーザーが、最初に関心を持つきっかけとして有効だということ。
それから、ライフイベントのタイミングで確認したいというニーズもあるだろうと思っています。
具体的なシミュレーションの仕組みなのですが、入社時の年、西暦何年なのか、あるいは、自分のそのときの年齢、それから現在の役職、退職時の年齢や役職のパラメーターを設定することによって、当社の退職金だとか、企業年金のロジックをかませて、退職以降100歳まで幾ら得られるのかということを概算します。
もう一方で、セカンドライフの希望する生活水準というのも指定してもらいまして、それによって支出を概算し、その差額が目指すべき資産形成の金額ということで提示することによって、自助努力による資産形成を促しております。
6ページ目の方には、社員の金融リテラシーの向上に資するコンテンツということで、一体どんなものを用意しているかということなのですが、なぜ、こんなコンテンツを用意しているかということなのですけれども、継続的に興味関心を持たせるためには、やはり日々、関心を持てるような記事コンテンツは重要だと考えるからでございます。
新人や若手の社員向けには、企業年金ですとか、持ち株会など社内で利用できる資産形成制度の記事紹介などを用意しておりまして、あるいは特集記事としましては、資産形成を身近に感じてもらうための社員のインタビューや資産形成に消極的な層への家計全般の話など、ターゲットごとに興味関心を意識した記事を掲載しております。
こういったアプリの評価なのですが、7ページ目を御覧いただけますでしょうか。
実績として実験期間中、今までに約1,300人の社員が利用したということになっています。これは、当社の社員で割りますと、ちょうど2割に相当する社員が利用していることになります。
このうち60%が年金シミュレーションを実施しております。年金シミュレーションや社内の資産形成制度に関する解説記事あるいは社員への資産形成へのインタビューなど、職場ならではの記事が好評で、記事を読んだことをきっかけに金融行動を取ったという方もいらっしゃいます。
一方で、年金シミュレーションに関しては改善要望が幾つか寄せられておりまして、改善要望を受けていながら、逐次アプリの改善を行っているというのが、アプリの現状でございます。
8ページ目、これはFP相談の部分なのですが、これは人によるガイダンスが資産形成をどの程度を促すかということを検証するための実験でございまして、社員モニター100名を募集し、プロのファイナンシャルプランナーによる相談を実施しました。
ファイナンシャルプランナーは、当社の退職給付制度や福利厚生制度について詳しく把握していただいて、それを前提に、社員モニターに対して家計診断、資産形成に関するガイダンスを行いました。
社内実験事務局がファイナンシャルプランナーの5法人と契約し、相談手数料を事務局側で負担しております。
実験の流れは、8ページ目の下の図のような感じなのですが、モニターに対して、相談の前後で都合アンケートを3回行っております。これによって、この効果を検証したというわけでございます。
検証された効果の一部を御紹介させていただきたいと思います。
9ページ目、最初にサービス全体に対する満足度ということなのですが、総合的な満足度という意味では、90%のモニターがサービスに対して満足したということを回答し、特に客観性については高い満足度を得ております。
ただ、総合評価に関しては、実はFPによるばらつきが非常に大きかったということでございます。これは、なぜかということなのですが、職場の資産形成ガイダンス、今回の実験に類したサービススタイルを取っているFPほど、評価が高かったということがあったため、今はガイダンスに合わせた相談内容を規格化、定型化し、提携先のFPに示すことによって全体の満足度を上げられると判断し、現在は、その規格化を行っているところでございます。
10ページ目、資産運用の見直し意向と見直しの実践に対する効果なのですが、資産運用に関しましては、相談後、8割以上のモニターが見直し意向を示しました。
そのうち約半数近くが2か月以内に、実際に資産運用の見直しを行ったというわけでございます。
これは、モニター全体からすると、4割の人がガイダンスを参考に、金融行動を取ったということでございます。10年前のイギリス政府の実験を参考に、事前に、この割合が2割程度と予想したのですが、それよりずっと高い割合になったと評価しております。
11ページ目、退職給付制度の理解ということで、相談の前後で、当社の退職給付制度に対する理解度が高まっている様子がうかがえます。
相談の前には、大体理解しているという方も含めて、20%の方しか理解していなかったのですが、それが3分の2に増えているというわけでございます。
それから、働くモチベーションの変化も見られるということで、12ページ目の方でございますが、FP相談で退職給付制度や福利厚生制度の相談をした人のうち、およそ8割の人が働く意欲が高まったと回答しております。
同様に8割以上の人が、当社で長く働きたいと回答しているということで、全般的に効果が高かったのだけれども、品質にばらつきがあるので、少し定型化することを努力した上で、次回以降の実験につなげたいという段階になっているということでございます。
当社における取組を少し御紹介させていただきました。
以上でございます。
○神野部会長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいま、資料に基づいて御発表いただいたことにつきまして、一括して御議論を頂戴したいと思いますが、まず、臼杵委員、いらっしゃいますか。
○臼杵委員
はい。
○神野部会長
2時に御退席という予定と伺っておりますので、初めに、まず、口火を切っていただければと思います。
○臼杵委員
ありがとうございます。
どうも、事務局並びに数理人会さん、ありがとうございます。いろいろな論点があって、これを全部言うと大変なことになりますので、なるべく簡潔に申し上げます。
まず、金子委員のプレゼンですけれども、非常に参考になりましたし、投資教育とか、そういう方向が、今、ずっと大切だということでやってきているわけで、ここまでやるというのは、かなり大変だろうと思いますけれども、1つの方向性として、また、今後、議論の土台にしていければなと思います。
それから、事務局の資料、これも今まで出た資料もありましたし、新しいのもあったのですが、1つコメントだけ申し上げると、たしか個人型の拠出上限をどうするかという話で、これは、やや中長期になると思うのですけれども、個人的には穴埋め型の方向にできれば持っていってもらいたいというか、持っていきたいと考えておりますので、そうすると、5.5万円の上限が1つあればいいのかなと。今の案だと5.5があって、それとはまた別に2.0とか2.3とかという2つ上限がある形なので、なかなかこれは今すぐという方向は難しいのかもしれませんけれども、5.5の一本でもいいのかなと思います。
それから、数理人会さんのプレゼンも、掛け算、割り算が入っていましたけれども、頑張れば何とか理解できるのかなと理解しております。
1つの考え方としては、これはこれで、もっともな考え方だと思うのですが、ただ今まで我々が議論してきたのは、標準掛金を頭数で割るという、これはこれで、また1つの考え方だったので、数理人会さんとして、これを今回、提出された背景というか、動機というか、標準掛金割る人数と比べて、どこが良くてという言い方は、難しいのかもしれませんけれども、なぜ、これを今回御提案になったかというのを、ちょっとお伺いできればと思います。
それから、数理人会さんのプレゼンの最後には、これは事務局と我々で考えていかなくてはいけないことだと思うのですが、もちろん経過措置が1つ重要だということと同時に、例えば、今まで余り申し上げてこなかったかもしれませんけれども、標準掛金でいった場合、これはこれで、数理人会さんの方も、ある意味で標準掛金をベース、今の給付から掛金を計算するということなのですが、例えば将来的に制度が変わったときに、給付の減額とかがあった場合に、これは仕方がないと考えるのか、各制度の規約での給付を想定した上で、掛金というのは計算されていると考えると、特別掛金とか、特例掛金とか、結局、十分に出されなくて、事業主の経営が問題になって、当初の想定の給付が十分支給されなかったようなときに、そこを何か埋め合わせる方法みたいなものというのは、今後考えられるのかと、これは、むしろ事務局に伺いたいということです。
以上です。
○神野部会長
それでは、初めに小川理事長にお答えいただいて、その後、事務局の方でコメントがあれば、していただくということにさせていただければと思いますので、小川理事長、お願いします。
○小川委員
どうもありがとうございます。
プレゼンの最後でも述べましたが、6ページのグラフのところかと思いますが、標準掛金が、確かに制度ごとに表しているものだと言えるわけですけれども、御案内のとおり、この標準掛金の青い方は、かなり変動が大きいので、やはり標準掛金そのものではなくて給付に着目するのであれば、利率の差というものを排除した方がいいのではないかと。
ですから、それを除く1つのやり方として一定率というのを掛けて、そこのところを整合させているということでございます。
以上です。
○神野部会長
では、どうぞ。
○吉田企業年金・個人年金課長
臼杵委員から給付減額があったときのDBの拠出相当額・仮想掛金額をどう評価するかというお話をいただきましたが、今日の日本年金数理人会の御指摘を踏まえ、また、次回に我々の考え方を提示したいと思うのですが、7月の部会で一度出させていただいた厚生労働省としての考え方は、将来の給付水準から、利子分を除去して、月数で割って、定額の仮想掛金額を算出しようという、こういう考えだったわけです。仮に給付減額があったときには、将来の給付水準が下がり、下がったもので同じ計算をし、その同一集団は同じ仮想掛金額を想定していますので、給付減額があった後には仮想掛金額が小さくなる、すなわちその後のDCの枠が広がる、こういう構造になっていくだけですので、過去分がどうなるということは関係ないという考え方に立っています。
また、次回に資料を出したいと思いますが、7月の部会に出したときは、そのような考え方で資料を提出させていただきました。
以上です。
○神野部会長
臼杵委員。
○臼杵委員
ありがとうございました。事務局の考え方は分かりました。
それから、数理人会さんの方も考え方は分かったので、あとは、それがいいかどうか、確かに数理人会さんの方だと、その予定利率が低くなっても、そんなに掛金が上がらないという面では、いいのかもしれないという面もあるのですが、一方で、現状の実態にどこまで合わせるかとか、あとはもちろん、その経過措置をどうするかというところと絡んでくるかなと思いますので、また次回以降の事務局の経過措置の説明とか、あるいは国税との話し合いの状況とかを踏まえて、また考えていきたいと思います。
どうもありがとうございました。
○神野部会長
それでは、ほかの委員の方々、伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員
それでは、伊藤から発言させていただきます。
前回途中退席をせざるを得なくて、その後に大分議論が盛り上がっているようですので、そのことも含めてお話をしたいのですけれども、今日は、連合として、この間、企業年金は労働条件であるという認識、労働組合の存在意義に直結する課題でありますし、また労働者の生活設計に関わる重大なテーマだという認識のもと、企業年金及び個人年金についての考え方を議論してまいりました。
今日は紙を提出することができませんが、議論してきた内容について、口頭で連合としての考え方ということで表明をさせていただきます。
まず、この企業年金及び個人年金についての今般の議論に当たっての基本的な考え方を述べさせていただきたいと思います。
長期化する高齢期の経済基盤の充実を図り、誰もが安心して暮らし続けるためには、公的年金と相まって、受給権保護が整った将来にわたって安定的な給付を約束する企業年金制度を構築し、雇用形態や企業規模に関係なく全ての労働者が適用されるよう普及を図る必要があるという考え方のもと、4つの大きな基本的な考え方をまとめました。
1つ、企業年金は、労使合意に基づく制度であるため労使自治を尊重すべきである。
2つ、個人型年金は自助努力の制度であるため、全ての人に平等に機会を提供することを基本とすべきである。
3つ、退職給付である企業年金と自助努力である個人年金は性格が異なることから、税制上の取扱いを区別すべきである。
4つ、企業年金及び個人型年金が所得の高い人にメリットが大きい仕組みであることから、公的年金の所得再分配機能を強化する必要があるという考え方のもと、今般、今年の税制改正に向けた議論になっている大きく言って2つの論点について、次のように考えます。
まず、DB併用の企業型DCの拠出限度額の見直しについて資料2の16ページのところにある所要の経過措置を講ずるという点に関わる問題であります。
DB併用の企業型DCの拠出限度額を5.5万円からDBごとの掛金相当額を控除した額とすることについては、以下の各懸念点が払拭されない限り導入すべきでないと考えます。
1つ、労使合意に基づいて制度化されたDBを縮小しなければならなくなる場合があること。
2つ、DB及びDCの掛金水準が高い企業において、DB給付減額やDCの掛金額の引き下げなど、労働条件の変更を強いられること。
3つ、DB及び企業型DCの制度終了といった、コロナ禍が念頭にありますけれども、企業年金の廃止など、労働条件変更を促しかねないことという点です。
こういった点の払拭が必要だと考えております。
次に、18ページのところの、引き続き検討すべき事項ということに関連する部分で、企業年金を実施している場合の個人型DCの拠出限度額の見直しについてです。
こちらについては、DBと企業型DCの併用、DBのみ実施の場合における個人型DCの拠出限度額を企業型DCのみ実施の場合にそろえることは、DBを実施する企業で働く者の老後などに備えた自助努力による資産形成の機会を充実させることになるのは確かですが、その活用が格差拡大にならないように、あわせて公的年金、税制を通じた所得再分配機能の在り方についても検討を行うべきであると考えます。
企業年金と、個人型DCを同じ拠出限度額で管理することは、退職給付と自助努力の性格を曖昧にするものであるため、個人型DCの拠出限度額は、今年の改正年金法の附則の検討規定を踏まえて、この理解については、今日説明もあったところでありますけれども、全ての国民と書いてあるわけですね、全ての人の自助努力への支援を公平に受けられるように、高所得者優遇とならないよう考慮しつつ、企業年金とは別の税制優遇枠として位置づけるべく検討すべきだと考えております。
最後に、DBと企業型DCの併用やDBのみを実施している企業が、退職給付である企業年金を縮小したり、一方的に自助努力である個人型DCに置き換えられるようなことがないよう、適切な労使合意などのための環境整備を行うべきであると考えます。
この点については、集団的労使関係がない事業所というのが圧倒的に多いということも念頭にあります。
それで、中小やパートの普及ということが重要ということも考えております。この点については、所得確保ができるという結果を伴うことが、やはり重要だというようにも考えておりまして、枠は埋まらないということも課題として書かれておりますけれども、そういう問題が起きてしまうと、公的年金の補完機能としての機能が十分発揮されないということになりますので、やはりこの普及ということが重要だというのを改めて申し上げたいと思います。
以上です。
○神野部会長
連合の方の基本的な考え方を御披露いただいた上で、具体的にP16、P18に関わること、さらに総括的な御方針を、御意見としてお述べいただいたのですが、事務局の方でコメントがあれば伺ってきますが。
○吉田企業年金・個人年金課長
ありがとうございます。
企業型DCとDBを併用している場合に、DCの拠出限度額からDBの掛金相当額を控除するという基本的な考え方でやっているわけですが、この控除分が一律評価で、実態とも乖離し、DBごとの差も大きくなっていますので、これを公平にしていくためには、限度額の5.5万円から、DBごとの掛金相当額というものを換算して、そこから控除する、こうしたやり方が一番公平ではないかという考え方に立って今回提案をしてきました。
この一律評価という問題は、制度発足時からの積年の課題でありますので解決に向けて努力して、もちろん所要の経過措置を講ずると書かしていただいていますが、御指摘のような懸念点が払拭されているような経過措置をちゃんと設けたいと思っています。
制度の見直しに当たっては、改正前と改正後の状態が円滑に接続するよう、必要な措置、いわゆる経過措置を講ずるというのは、制度改正の目的、経緯、与える影響等を勘案して、合理的に必要と判断される範囲で定めることができます。
ヒアリングでも、関係団体から御要請をいただいておりますが、御要請をいただいたから考えているわけではなくて、私ども必要な範囲で考えているわけですが、これはDBの掛金相当額の算出方法によって影響度合いも大きく異なってくるわけです。
本日御提案いただいた日本年金数理人会の算定方式ですと、また十分検討させていただきたいと思いますが、現在の標準掛金額に一定の係数がかかっていますので、精査が必要ですが、多くのDBで標準掛金額が半分程度になると見込まれます。そうなると、経過措置の必要性すらなくなるかもしれません。
次回、DBの仮想掛金額の算定方法とともに、必要と考える経過措置というものも併せて提示していきたいと思っています。
DBの仮想掛金額を設定すれば、企業年金加入者の、今、17ページにあるように、3区分になっている扱い、この部分は自助努力ですので、公平であるべきです。その公平の在り方が、企業年金のない人を含めるのか、さらに1号、3号を含めてどうするのかというのは大きな課題であるとの指摘でした。穴埋め型がいいのではないかという臼杵委員の意見もありましたが、一方で、退職給付と自助努力が混ざり合うのがどうかという御指摘だと思っていますので、将来的にどうあるべきか、よく考えなければいけませんが、DBの仮想掛金額が設定される以上、17ページのような形で、企業年金に加入している方については公平が図ることができるのではないかと思っています。
企業年金の普及が大事だという御指摘、そのとおりだと受け止めています。
以上です。
○神野部会長
ありがとうございます。
ほかは、細田委員、どうぞ。
○細田委員
ありがとうございます。
丁寧な御説明をありがとうございました。また、資料2の24ページに、商工会議所の意見を掲載いただきまして本当にありがとうございます。
前回も申し上げたと思いますけれども、企業の立場からしますと、御承知のとおり、コロナによって中小企業の体力が大きく削られている中で、 企業年金に影響が出ないような税制の見直しといったことを、ぜひ提案していただきたいと思っております。
一方、コロナの影響をあまり受けていない、余裕のある企業もございます。資料2の24ページにも書かれておりますけれども、そういったところでは、従業員の福利厚生を手厚くしたいということで、できるだけ金額的な規制を外していただいて、自由度を高めていただければありがたいと思っております。
そういった意味で、繰り返しになりますけれども、企業型DCの拠出限度額の5.5万円ですとか、個人型DCの拠出限度額の2.3万円の引き上げはぜひお願いしたいですし、今のお話にもございましたけれども、資料2の18ページに、「引き続き議論」とありますが、議論を延ばすのではなく、すぐに要望していただきたいと思います。
以上でございます。
○神野部会長
森戸部会長代理、お願いします。
○森戸部会長代理
森戸です。
事務局、小川委員、金子委員、御説明ありがとうございました。
小川委員の資料の御説明について、2点ぐらい質問なのですけれども、掛け算、ついに割り算という高等数学が登場して、ちゃんと分かっているかどうか不安はありますし、議事録にも残るのでちょっと恥ずかしいですけれども、質問をさせていただきたいと思います。
1点目は、3ページで掛金と給付が対応していて、左側が5.5万円、右が代行給付の2.23倍の給付水準と、ここの関係なのですけれども、制度創設時の理屈はそうなのかもしれないですけれども、素朴に考えて、今、5.5万円を毎月フルにためていったら、代行給付の2.23倍の給付になるのかというと、今の標準的な利率ではならないのではないかという気がします。
そうだとすると、今日の御説明は、制度創設時、もちろん今も免除保険料率とか代行給付という概念はあり、計算はできるのだとしても、結局、これは今の予定利率を前提とはしていないシミュレーションだったのかなと理解したのですけれども、もし違っていたら御指摘いただきたいと思います。それが1点目。
2点目も似たような話かもしれませんが、5ページで、なるべく簡素に一定の率を掛ければ計算で出せるようにしましょうと、その簡素化を図っていただくのは非常にいいことだと思いますが、この予定利率があって一定率を掛けるという、この表というのか、これを見ると、結局、予定利率が3.5と4の間、3.75とか、分からないですけれども、そのぐらいだと、これは1になりますね。多分、1ぐらいなのかなと、これは掛けているからあれだけれども、0.9と1.1だから、この間ぐらいに1という数字がもし置けるなら、あるのだろうと考えて、そうすると、それは次のページの表がそうなっているのでしょうが、結局、予定利率が3.75とかそのぐらいの制度だと、標準掛金が仮想掛金額に等しくなるという理解かなと思うのです。ということは、もう事務局がさっきおっしゃいましたけれども、今予定利率は3.75とかよりもう少し低いので、仮想掛金額、標準掛金より大体小さくなりますね、というような理解をしてよろしいかというのが質問です。
以上です。
○神野部会長
小川委員、よろしいですか。
○小川委員
私が、まず答えて、もし必要なら事務局の方にもお願いしたいのですけれども、御指摘のとおり、簡単に答えを言ってしまうと、5.5万円を所与のものとして、この中で比率というのを持ち出して計算しようとしているわけですね。5.5万円掛けるA分のBという算式、割り算ですけれども、ですから、どうしてもいろいろアプローチを変えたとしても、最終的にやはりそこに行き着いてしまうということです。
ですから、一番最初に部会長代理が言われた、現在5.5万円を運用していっても、この給付に当たらないのではないかということについては、別問題といいますか、それは事実として、そうなのかもしれないのですけれども、5.5万円の内訳で計算しようとすると、3ページないし5ページのとおり、あるいは6ページのグラフの、何となく交わりそうな点のところに一致を見るというのは御指摘のとおりでございます。
以上です。
○神野部会長
それでは、内田委員、どうぞ。
○内田委員
御説明ありがとうございます。
労働側の内田です。資料について、意見が2点ございますので述べさせていただきます。
まず、スライドの15から16ページ目になりますが、労働側としましては、労使自治の尊重という点には特にこだわりを持っているため、繰り返しになる部分もございますが、現場の立場として意見を述べさせていただきます。
スライドに、5.5万円を超える部分については、「所要の経過措置を講ずる」との記載がございますが、この部分も当然ながら、労使合意に基づいて実施されてきたものであります。
労働者、加入者からすれば、今この時間も企業年金全体を含めた労働条件のもとで、それぞれの職場で働いているわけであり、制度改正が、それらの期待を損なうようなことがあってはならないと考えております。
まだ経過措置の具体的な内容が示されておりませんが、今申し述べた点を含め、これまでの労使合意を最大限尊重した措置を講じるよう重ねてお願いします。
もう一つ、スライドの17になりますが、現行の枠組みを前提にすれば、企業年金のある者の個人型DCの限度額をそろえることは、一定の合理性があると考えます。
しかし、自助努力の支援である個人型DCが退職給付である企業年金と互換可能な関係にあるということにつきましては、やはり自助努力と退職給付という性格が違う掛金を明確に区別していないということは問題があると考えます。
退職給付は、私たち労働組合と企業が交渉を積み重ねて獲得してきたものであり、それを自助努力に置き換えられてしまうということに対しては、危機感を強く持っております。
個人型DCを全ての人に、公平な自助努力の支援として明確に位置づけることを基本に、高所得者優遇とならないよう十分に配慮しながら、企業年金の税制優遇枠とは別枠に位置づけるなど、制度の枠組みの見直しも展望しつつ、引き続きの丁寧な議論が必要ではないかと考えます。
以上です。
○神野部会長
事務局、どうぞ。
○吉田企業年金・個人年金課長
経過措置の部分の話は、先ほどの伊藤委員への回答と重なりますので省略させていただいて、17ページの個人型DCの限度額を揃えることに現行下、合理性があるというお話と、ただ揃えるとしても、退職給付とトレードオフ・代替関係にあることについて問題提起をいただいたと理解しました。
少し御説明すると、資料2の11ページ、12ページにありますように、法改正前は企業年金の事業主掛金の上限を引き下げた場合に、自助努力の個人型DCの加入が可能になるという、まさに個人型DCの拠出枠を捻出するために退職給付である企業型DCの事業主掛金を切り出す必要があったわけです。
それが、拠出限度額が余っている従業員を含めて当該企業全体に影響していたのですが、12ページのような形で改善を図ったのが、今回の法改正で、事業主掛金の上限を下げなくても、皆が入れる形になるのだけれど、もちろんこの事業主掛金が3.5万円を超えている部分については、一部トレードオフの関係となっています。この部分がどうあるべきか、内田委員からは別建てでと、ただ、先ほどは伊藤委員から高所得優遇にならないように配慮もという御指摘をいただきました。
今日の資料の中に、21ページ、22ページで諸外国の状況も入れていますが、恐らく念頭にあるのが、アメリカのような形で、企業年金と独立してIRAがありますが、ただ、私も説明したように、調整型という形になっていて、高所得者優遇にならないよう一定の配慮をIRAの方でやっているものと理解をしています。
この点、どう考えるかというのは、臼杵委員は穴埋め型という話をされますが、資料23ページにも、これからちゃんと議論しないといけないと、昨年12月のとりまとめの中にもあります。下から2つ目のマルですが、企業年金が退職給付由来であり、労使合意に基づく制度であるということを十分留意して欲しいというのは、労働界だけではなく、これは経団連、日商も含めて使用者側の意見でもあるのだと受け止めていますので、どうあるべきか、この部会でも引き続き議論し、もちろん税制は税制の議論があるかもしれませんが、我々は制度を所管する場として、どういう仕組みがいいのか検討して言っていかなければいけないと思っています。
以上です。
○神野部会長
ほか、いかがでしょうか。
どうぞ。
○井戸委員
ありがとうございます。井戸でございます。
御説明ありがとうございました。感想、お願いを申し上げたいと思います。
拠出限度額の設定の考え方は、御説明いただいてよく分かりました。
一方で、現場の声としまして、1,000円単位の設定など、細か過ぎてよく分かりにくいという相談者の声も多々耳に入ってまいります。
金子委員の取組は、すばらしく、分かりやすいです。とてもいいと思うのですけれども、自分の掛金が分かるのであれば、そういう細かさ、正確さというのも解消できるとは思います。
17ページのところで、課長が御説明いただいた公平性という考えもいろいろあるのですけれども、その公平性と金額設定の分かりやすさ、DBの仮想掛金反映後のDCの拠出限度額も含めて、あわせてバランスということも念頭に置いて御議論いただければいいかと思っております。
ありがとうございました。
○神野部会長
それでは、大江委員、挙手されているかと思いますが、大江委員、どうぞ。
○大江委員
ありがとうございます。
いろいろ御説明いただきましてありがとうございました。
私の方からは、1点感想と、あと意見を申し上げたいと思います。
給付額、仮想掛金の計算式については、ポイント制とか、キャッシュバランスなどといった方式も適用可能というような計算の仕方という点は、好ましいものと私は思います。
それから、金子委員の御発表も非常にすばらしい取組だと思います。退職金、それから社内制度を知らせて、自分ごととして行動を促すことを職場で行っていくということが、今後本当に大切だと考えておりまして、人もお金もある企業様、それから官公庁におかれましては、御発表にあったようなレベルをぜひ取り組んでいただけるよう、推進ができたらいいなと思います。
一方、企業型のDCの継続教育もそうなのですが、規模が小さくなりますと、こういった社員様への情報提供ができていない事業主の比率が高くなります。
小規模な企業ほど、お給料であるとか、退職金などの水準も相対的に低いものですから、公的年金、それから、iDeCoなどの資産形成制度について、若いうちから知ってもらって効果的に備えていただくということが、本当に大切だと思っています。
弊協会では、DCの継続教育に熱心な企業さんを表彰させていただく取組を行っているのですけれども、100名ぐらいの規模の企業様でも、自社に合った方法でしっかり取り組んでみえる先もございます。そういう先に共通しているのは、経営者の方が、社員のために、人材の定着のために、それが必要だと考えて、時間やお金を割いているということです。
健康経営のように、それをすることが採用であるとか、人材の定着といった雇用面のプラスに働くような仕掛けが作れないものでしょうか。伝えるツールとかコンテンツは、既に巷にたくさんありますので、オーナー様に取り組むきっかけと、そのことがプラスになるような仕組みづくりを、厚生労働省さんにも旗を振っていただいて、商工会議所さんですとか、社労士の先生方の御協力を得て、ぜひ推進していけたらというように考えます。
以上です。
○神野部会長
事務局、どうぞ。
○吉田企業年金・個人年金課長
大江委員から健康経営というお話がありました。少々前から、この健康経営という言葉が盛んに言われるようになったのですが、健康経営というのは、従業員の健康管理を経営的な視点で考えて、従業員への健康投資を行うことは従業員の活力の向上に資するというものです。働き方改革というのも同じだと思います。従業員にとって働きやすい環境を作ることが、従業員の活力ひいては自分たち企業のためにもなるという発想だと思っています。
この健康経営については、働き方改革もそうですが、政府を挙げて取り組んでいて、健康経営優良法人の認定というものを日本健康会議というものを政府が立ち上げて進めているものと理解しています。
企業年金の分野では、このような、まだ政府の取組というのがないわけでして、民間の取組として、まさに大江さんのところで、DCの投資教育とか、ガバナンスの優良事例の紹介というものを、毎年定期的にやっていただいているものと承知していますし、我々厚生労働省も、また、企年連も後援やサポートをさせていただいているところです。
これを、健康経営同様に、大きな流れに持っていけるかどうかというのは、我々も頑張らなければいけない部分ですが、先ほど金子委員の取組を皆さん賞賛されていたところですが、こういう取組が広く進められていくよう、我々がどう背中を押すことができるか、関係する団体の皆様とよく相談しながら、また、この場でも議論しながら進めていきたいと思っています。
○神野部会長
ほかに、藤澤委員、どうぞ。
○藤澤委員
説明の方、ありがとうございました。
小川委員の発表について、2点、コメントさせていただきたいと思います。
1点目は、資料の3ページです。先ほど森戸部会長代理から質問のあった拠出限度額の5.5万円という部分について、過去の部会でも計算根拠が厚年基金に基づいたものになっていて、今後は、新しい根拠を考えるべきという意見があったと認識しています。
将来、先ほど細田委員からも要望があったように、新しい拠出限度額の水準を議論する局面が来ると思いますが、その際には、どのような考え方に沿って設定するのか、DBの仮想掛金の算定方法をどうするのかという点が論点になると考えています。
数理人会には、このような議論が行われる際に、今回と同様に、議論の参考となるような専門家としての考え方を示していただきたいと思っています。
2点目は、別の視点からのコメントですが、現在、大学などでプロフェッショナリズムについて話す機会がございます。プロフェッショナリズム、専門職という観点でコメントをしたいと思います。
標準掛金を含む数理関係書類の確認は、年金数理人の主要な業務の1つであると認識しています。
今回のアプローチが導入されると、標準掛金が持つ意味合いが広がると思います。DC側にも影響が出るということで、年金数理人の確認業務の重要性が一層増すと考えています。
小川委員は理事長ですので、プロフェッショナリズムの重要性は理解されていると思いますが、個々の、実際に署名・確認を行う年金数理人に、その重要性が浸透するように、関係する実務基準を整備したり、現在、実施されている専門職教育の内容を工夫するなど、検討していただければと考えております。
以上です。
○神野部会長
小川委員、よろしいですかね、コメントをいただければと思います。
○小川委員
どうもありがとうございます。
1点目につきましては、3ページの一番上の引き算が5.5万円というのが、1つの固定した数字から引き算することになっておりますので、イメージで申し上げますと、この5.5万円そのものの考え方が、この右下の給付のところに、現在なっているのですけれども、これが大きく変わっていった場合には、必ずしも、例えば、これが7万円になったり、10万円になったりするようなことがあった場合に、その計算の仕方に沿って、本当にこういう引き算をする算式でいいのかとか、次ページ以降に示しましたA分のBとかという方向でいいのかと、その根本から、やはり、考え直さなくてはいけないなと思っています。
それから、2点目につきましては、おっしゃるように、DCについても、年金数理人は、プロフェッショナルとして関わらせていただいているわけですけれども、どのような形であれ、こういうものが決まっていった場合には、年金数理人が、ある意味、個々のDCにも関わっていくというような局面になろうと思っていますので、大変ありがたいことであると同時に、改めて、例えば標準掛金、それに類するものに、算定における考え方について、任意的に研修をというよりは、もしそうなった暁には、再度、全員がそういうのを学べるようなところが必要になってくるのではないかなと。
年金数理人制度ができて30年以上になるわけですけれども、非常に大きな転換になろうと思いますので、そういうことを併せて検討したいと思います。
以上です。
○神野部会長
どうぞ。
○吉田企業年金・個人年金課長
少々補わせていただきます。
先ほど藤澤委員からの御質問に、小川理事長が答えられましたが、私たちが7月の部会に一度提出したのは、標準掛金をベースにした仮想掛金の算定方式です。今日の御提案もしっかり吟味をさせていただいて、次回考え方を出しますが、どのような設定方法を取るにせよ、細田委員からも要望のありました5.5万円を設定し直すときには、今の厚生年金基金モデルで設定した設定根拠というのは放棄して、違うやり方を検討することを考えていますので、そのときには、今回設定した仮想掛金額の設定方法というのは、いずれにせよ改めて検証し直す必要があると思っています。
また、この算定方法は、最終的に決まったときは、数理人会が定めているDBに関する数理実務ガイダンスにもしっかり盛り込んでいただいていくことをお願いしたいと思っていますし、先ほど理事長から、全ての数理人が算定できるよう、また、徹底できるようにというお話もありました。厚生労働省としても協力していきたいと思っていますので、厚労省の案と数理人の案とで、最後、お互い違う考えに決まったとしても、仮想掛金額は各数理人が恣意的に計算することのないようにしていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
○神野部会長
ありがとうございます。
それでは、渡邊委員、御発言をどうぞ。
○渡邊委員
私の方からも、2点ほどコメントをさせていただければと思います。
1点目は、個人型DCの拠出限度額の水準を考えるに当たってということなのですが、先ほどもお話の中に、企業年金と個人年金の性格の違いを議論した上で、自助努力に対する支援の公平性というような観点から、個人型DCの拠出限度額全体の在り方というものを考える必要があると、今回、1号ですとか、3号被保険者の話が余り出てきておりませんでしたので、そういった1号被保険者ですとか、3号被保険者の話も含めて、今後、議論が発展していくことに期待したいと思っております。
さらに、2点目としては、今日お話を伺いました金子委員の会社の取組ということで、そこで明らかになったのは、やはり社員に対する周知というのが非常に重要であるということだと思います。
社員がきちんと制度を理解して知っているということ、それが社員の行動の変化に結びついているということが、ある程度示されていると思いますので、今後、制度ができ上がっただけではなくて、その制度をいかに国民に理解してもらうのかというような点からの支援・制度が必要なのではないのか、その点の議論が、やはり深められる必要があるだろうと思いました。
以上です。
○神野部会長
特に、コメントはいいですかね、ありますか。
どうぞ。
○吉田企業年金・個人年金課長
今回、令和3年度税制改正で御議論いただいているのは、DC側で使うときに、DBを一律評価していたところを改善できないか、その改善が積年の課題であったわけで、今回、法改正でシステム整備をする点がありますので、その際に併せて改善できないかという提案です。
もちろん、渡邊委員がおっしゃられたように、先ほど連合の伊藤委員からもあったように、国民の自助努力というところ、これを公平にというのが究極目的だと思いますので、さらに、この次は1号被保険者のところ、ただ1号については2階の厚生年金がないので、その部分は配慮しないといけないと思いますが、2号と3号被保険者のところをどう公平にしていくべきか、それも簡素に分かりやすくしないといけない。それが、国民が理解しやすくなって、積立がしやすい環境にもつながっていくと思いますので、そういう形にも発展させていかなければいけないのだろうと思っている次第であります。
以上です。
○神野部会長
小林委員、何か御発言があれば、いいですか。
○小林委員
ありがとうございます。
一点目として、日本年金数理人会様から御説明いただいた内容は、制度ごとの予定利率の違いによる影響を抑える方法が、提案されたものと理解しました。
御説明にもあったと思いますが、この予定利率の取扱いに関する数理人会様の問題意識や、考え方について、もう少し詳しく御説明をしていただけると理解が深まると思いました。
今回の数理人会様の御提案内容と、以前、事務局から御提案いただいた方法との違いについても、次回以降で結構ですが、さらに詳しく御説明をいただきたいと思います。
もう一点、金子委員から御紹介をいただいた件ですが、退職給付制度に関する見える化や従業員周知の問題は非常に重要で必要な事項と認識しております。
いろいろなアプリ機能を使われたり、ファイナンシャルプランナーへの相談体制が整備される等、非常に意欲的に取り組まれていることは参考になりました。
ただ、一方で、このような情報提供の仕組みは、それぞれ企業によって、いろいろ事情が違うので、どこまでできるかは、それぞれの従業員の特性や労使関係にも違いがありますので、なかなか一律にはいかないのではないと思います。
情報提供の仕組みについては、共通基盤の形で横断的に整うことが望ましいのではないかと思います。また、若干水を差すような言い方で恐縮ですが、企業からすると、DCの投資教育は、もちろん実施する必要はあるのですが、一般的な個人の資産運用への情報提供や、推進をどこまで対応するかというところは、なかなか難しい課題も含むと感じました。
以上です。
○神野部会長
それでは、まずは、小川委員、お願いいたします。
○小川委員
ありがとうございます。
プレゼンテーションの最後に、ちょっとお話ししたことの繰り返しになってしまうのですが、DBの掛金は、御案内のとおり、制度の予定利率というのを設定しています。
これで御案内のとおり、掛金そのものが大きく変わってくるのですが、これはプランスポンサーである実施企業が、この目指す給付をどうやって資金調達しているかという手段の違いにしかならないということです。
それで、掛金については、毎月、毎年払っていくものですから、ある意味キャッシュで用意して、その場、その場で用意していくと。
給付のうち、そのたまったキャッシュを運用した予定利率分の運用収益で調達するというのが、この利息の部分です。
したがって、この手段が掛金というキャッシュと利息という予定利率に応じたもので予定するという、この違いをどう見るかというところで、手前どもとしては、手段の違いが仮想掛金、つまり、給付水準を表すものに応じて変わってはいけないのではないかということに立脚して、今日の提案をさせていただいているということでございます。
○神野部会長
2番目のことについて、どうぞ。
○吉田企業年金・個人年金課長
その前に、予定利率の問題ですが、私たちの考えは次回提示をしますが、今のDBやDCというのは、拠出時は、本来課税されるべきものです。事業主拠出は損金算入できるのですが、掛金というのは、本来、拠出時に給与として課税すべきところを、給付時まで課税を繰り延べて、その間、本来のTTE型と同様の効果になるように、特別法人税を課してETT型になっているというのが、今の税制の体系です。
特別法人税は、今の金利状況を踏まえて止まっているという形ですが、実際に拠出時に課税されるべき受益の範囲というものを重視していくと、標準掛金に近い、我々の7月に出したものに近づくものと思っています。
その部分を、小川委員は、給付水準というDBの形から予定利率の差は生じさせてはいけないという論理の立脚かと思っていますが、この部分は、DC側でどうDBを評価するかという問題に尽きますので、次回、我々の考えというのを整理をして提示をしたいと思っていります。
小林委員から、DCの投資教育を含め、どこまで企業が担うのか、全体的な共通基盤が必要ではないか、何か統一的なものを作るというような話もあるかもしれないと指摘をいただきました。ただ、DC、DBは退職給付で企業が従業員のための福利厚生でやる側面というのがありますので、健康経営というお話が大江委員からもありましたが、取組をより充実することが、自社としてのメリットであるという側面も少なからずあるのかなと感じました。
以上です。
○神野部会長
金子委員、これまで、いろいろ称賛というか、御発言があったのですが、それらを含めて、小林委員等々からの御発言にコメントをすることがあれば、伺います。
○金子委員
基本的には、何かお褒めいただいたのかなと感じて、中には、そうではない意見もあったのかもしれないのですけれども、喜んでおります。
ただ、皆さんから御指摘いただいているように、私どもの取組は、たまたまアプリを開発できるような人材がいたから、できたのであって、一般的な普通の企業さんでやろうと思うと、かなりハードルの高い内容のものが含んでいると思います。
ただ、やって、その中でも簡単に取り組めそうなもの、やった方がいいのではないかというのを、もう一つ御紹介いたしますと、例えば、企業年金をどれぐらいもらえそうなのかというのが分かっていない方が、結構、多そうなのです。うちの会社でもそうでしたし、それから、私のプレゼンの最初の冒頭の方でも御説明させていただきましたけれども、ありました。
DCは、実はそういう意味では、自分の残高、確認するすべがあって、確認しようと思えば確認できるのですけれども、DBというのはなかなかないのではないかと思います。
私どもの会社でもそうだったのですけれども、それを確認しようと思うと、その規約を読み込んで、自分の場合には、どうなるのかというのを、じっと考えて、多分、半日ぐらい考えないと分からないと、それで分かったところで、本当にそれで正しいかどうか分からないということでございますので、そこら辺を示すだけでも結構な効果があるのではないかということです。
ただ、もう一つは、1回だけ見ただけでは、きっとそのうち忘れてしまうということで、常時ということもないのですが、時々気がついたときに簡単に確認できる手段を提供するということは大事なのかなと、これだけでも、結構、効果が違ってくるのかなと感じております。
以上でございます。
○神野部会長
お二人の方々、何か御発言は、よろしいですか。
それでは、そろそろ予定しておりました時間でもございますので、議論は継続して次回以降も行いますので、まだまだ御意見のおありの方については、そのように御承知おきいただければと思います。
今後の予定等々について、事務局の方からお願いいたします。
○吉田企業年金・個人年金課長
ありがとうございます。
次回の部会の開催日時は、事務局から各委員の御都合をお伺いした上で、正式な御案内をお送りいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○神野部会長
どうもありがとうございました。
それでは、これにて第16回「企業年金・個人年金部会」を終了したいと思います。最後まで熱心に御議論を頂戴したこと、深く感謝を申し上げる次第でございます。
どうもありがとうございました。