第21回 社会保障審議会企業年金

・個人年金部会 議事録

日時

令和5年4月12日(水)10:00~12:16

場所

TKP新橋カンファレンスセンター 15階ホール15E

出席者

森戸部会長、渡邊部会長代理(オンライン)、岩城委員、大江委員(オンライン)、金子委員、小林(司)委員、

小林(由)委員、小林(洋)委員、島村委員、谷内委員、冨樫委員、原田委員、藤澤委員

(オブザーバー)

鮫島企業年金連合会理事長、松下国民年金基金連合会理事長

議題

(1)私的年金制度(企業年金・個人年金)の主な課題について

(2)有識者からのヒアリング

議事

議事内容

○森戸部会長

 おはようございます。定刻になりましたので、ただいまより第21回「社会保障審議会企業年金・個人年金部会」を開催いたします。

 お忙しいところ、お集まりいただきありがとうございます。

 本日、渡邊部会長代理、大江委員についてはオンラインで御参加いただいております。

 また、本日の委員の出欠状況ですが、山口委員から御欠席との御連絡をいただいております。

 御出席いただきました委員の方が3分の1を超えていますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。

 では、議事に入る前に、前回の部会から事務局に異動がありましたので、事務局から御報告をお願いします。

 

○大竹企業年金・個人年金課長

 事務局の異動について御報告いたします。

 総務課長の小野でございます。

 

○小野総務課長

 4月に着任いたしました小野でございます。よろしくお願いいたします。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 それでは、議事に入らせていただきたいと思いますが、まずは事務局から資料の確認をお願いします。

 

○大竹企業年金・個人年金課長

 資料の確認をさせていただきます。

 本日の資料といたしましては、資料1、私的年金制度に関する今後の検討における主な視点、事務局提出資料でございます。資料2、石田先生、外部有識者提出資料。資料3、谷内委員提出資料、資料4、上田先生、外部有識者提出資料。また、参考資料といたしまして、参考資料1、私的年金制度の現状、参考資料2、金融商品取引法等の一部を改正する法律案の概要、参考資料3、委員名簿ということで用意をしております。

 なお、参考資料2は金融庁から今国会に提出しております法律案の概要となっておりますけれども、本日は資料の提出のみとさせていただきまして、資料の説明及び議論は次回以降とさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 それでは、議題に入りたいと思います。カメラの方はここで退室をお願いいたします。

 本日は、私的年金制度(企業年金・個人年金)に関する今後の検討における主な視点、それから有識者からのヒアリングを議題といたします。

 私的年金制度(企業年金・個人年金)の主な課題について、外部有識者として石田様、上田様をお招きして、また、谷内委員から御意見を頂戴します。お時間もありますので、事務局から資料を説明いただいた後、引き続き、石田様、谷内委員、上田様の順でプレゼンいただき、その後、一括して御意見、御質問をいただきたいと思います。

 それでは、事務局、説明をお願いいたします。

 

○大竹企業年金・個人年金課長

 お手元の資料1について御説明をさせていただきます。私的年金制度(企業年金・個人年金)に関する今後の検討における主な視点として、事務局において準備しております。

 こちらの資料の位置づけでございますけれども、今後、今回を含めて4回ほど有識者の方や関係団体の方にお越しいただきまして、ヒアリングを行いたいと考えております。私的年金制度に関する課題を抽出いたしまして、その課題ごとにさらに議論を深めていくことを想定しております。4回ヒアリングを行うということで、意見を述べていただく際に何らか取っかかりになるものが必要ではないかということで、そのような問題意識の下で事務局のほうで準備をさせていただいたということでございます。

 こちらはあくまでも意見を述べていただく際の補助という位置づけでございますので、特定の論点を除外するというものでは当然ございませんし、また、これまでの議論を踏まえて、引き続き議論を行っていくというものでございますので、何かこの資料に基づいてゼロリセットして議論を始めるわけではないという点は確認をさせていただければと思います。

 その上で、資料1、2ページ目でございます。私的年金制度に関する今後の検討における主な視点ということで、まず経済社会の変化といたしまして、働き方・ライフコースの多様化、転職者の増加、高齢期の就労拡大・多様化ということであったり、生産年齢人口の急減とそれに伴う人手不足の深刻化、さらには老後ということで申し上げると、高齢期の長期化であったり、それに伴う老後生活へのニーズの多様化という変化があるのだろうと考えております。

 それを踏まえた私的年金制度といたしましては、多様な働き方の中で、より早期に継続的に資産形成を図ることができるようにするということであったり、個々の事情に応じて多様な就労と私的年金・公的年金の組合せを可能にすることが大事なのだろうということかと考えております。

 これらを踏まえた主な視点として、これもあくまでも例ということでございますけれども、1つ目が国民の皆様方の様々な働き方やライフコースの選択に対応して、老後生活の実現を公平かつ中立的に支援していくことができる私的年金制度にしていくということで、加入可能要件であったり拠出限度額が、1号、2号、3号といった資格種別によって異なるということがございますし、あとは受給方法についても、年金であったり、一時金であったり、様々な受け取り方法がある中で、より公平な仕組みはどうなのかということを検討していく必要があるのだろうと考えております。

 また、➁といたしましては、より多くの方に私的年金制度を活用していただけるようにするということでございまして、より多くの方に御加入いただけるようにする、その阻害要因を除外していこうということで、例えば制度が分かりづらいということであったり、手続が複雑だというような御意見もございますし、あとは企業年金、これは特に中小企業を含めて推進して、普及促進していくために何が必要か、そういった点を周知広報なども含めて検討が必要なのだろうと考えております。

 また、➂といたしましては、そういった形で加入していただいた後、より効率的に運用していただくということも含めて、資産形成を促進していく環境整備が必要なのだろうということで、例えば投資教育の充実であったり、あとは前回の改正になりますけれども、導入いたしました指定運用方法の検証であったり、昨年報道が出ておりますけれども、自動移換金対策というものをどう考えていくか。あとは主に、DBも含めてですけれども、運用体制の強化であったり、高度な運用が必要ではないかというような御意見もございますので、そういった点も検討が必要なのだろうと考えております。

 あと、従来の制度改正で提起されてきた課題、これは当然検討していくということかと思いますので、こういった点を視点といたしまして、御意見をいただきたいと考えております。

 資料1については以上でございます。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 では、続きまして、早速ですが、石田様より御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

 

○石田様

 関西大学の石田でございます。本日はオンラインにて失礼いたします。公私役割分担の考え方と年金政策ということで、一部海外の事例も含めてお話をいたします。

 まず、国の年金の役割を整理いたしますと、大きくこの3つの観点から考えられるかと思います。大事なことは、民間の年金の市場等においては、市場の失敗が生じるということで、その原因として、富の偏在ということ、それから情報の偏在ないしは情報の非対称性が生じるということでございます。特に情報の偏在につきましては、二重の非対称性ということが言われており、一方で保険に加入したり年金に加入したりする人の中で、例えば医療保険であると病気がちの人が多く医療保険に加入をする。自動車保険の場合には、事故を起こしやすい人がより多く自動車保険に加入する、こういった傾向が見られます。これを逆選択問題と呼んでおります。

 一方で、保険や年金に加入する側にとっては、提供される金融商品の内容について、1つは金融機関の経営内容、具体的な商品の内容、手数料、こういったものがよく分からない、不明であるといった情報の偏在、非対称性もある。これによって品質問題が発生することになります。

 このような場合、双方の両取引当事者が相手側を監視しなければいけない、モニタリングしなければいけないということは、固有の社会的費用、市場の場合ですと取引費用の発生につながることになります。こういったことを節約する、ないしはこういった可能性を排除するところに公的年金の存在理由が見られます。

 公私年金の関係性を考える上では、公的施策によって民間の保険、年金などの市場に対する影響が重要になりますが、以前は公的年金の存在が私的年金の市場ないしは個人的な資産形成にマイナスの影響を及ぼす、このようなことが指摘され、盛んに実証的な研究が行われておりました。ただ、現在は、公的年金の存在は逆に老後資産形成の必要性や重要性を喚起すること、老後の生活費と公的年金の給付との差額を目標金額とするなどの目標達成効果が指摘されております。

 さらに、公的年金は多く賦課式年金、私的年金は積立式年金で財政方式が運営されていますが、このそれぞれの方式には、経済変動や人口動態の変化によってプラスとマイナスが生じることになります。両者の財政方式を組み合わせる、つまり公と私の年金を組み合わせることが、こうした経済や人口動態の変動を平準化する。数字的に、時間的に変動を抑制する。このような時間的リスク分散効果が公と私の組み合わせによって期待できることになります。

 公私年金の関係性を考える上で、今お話をしましたように、私的年金は公的年金を補完する役割になります。その際に、量的な側面と質的な側面が考えられる。一つは私的年金のつなぎの役割、もう一つは上乗せの役割になります。ただ、公的年金に比較すると、終身年金化、元本保証、そして実質価値の維持などについて困難や問題点があり、必ずしも十分な上乗せの役割を果たすことができない。さらには多くの人が長生きリスクについて関知をしていたとしても、積極的な政策誘導によらないと、このような終身年金などに加入することがない、いわゆる政策誘導の必要性ということが指摘されています。

 ただ、確定拠出年金プランをはじめ多くの私的年金は一時金の受け取りであるので、退職税制との関係もありますが、この一時金で受け取った資金をどのように取り崩していくのか、ないしは老後の生活資金に充てていくのか、いわゆる取崩し段階ないしはペイアウトの段階の在り方、これが今後の大きな課題になると思われます。

 質的な側面については、対象リスクの相違、それから再分配の構造とも関係した給付・負担構造の相違が指摘をされます。ただ、近年は同じ私的年金の中でも、冒頭お話がありましたように、働き方の変化、非正規雇用の増大、高齢者が多く働くことになる場合の働き方の多様化、こうしたことを通じて従来の企業年金、組織の年金から市場の年金へ少しずつウエートが移ってきております。ただ、あくまでも重点が移っているということで、職域型のDBプラン、こういったことへの政策の重要性は今後も変わらないと考えられます。

 さて、今後、マクロ経済スライドなどによって給付の水準が下がっていく公的年金を補って、公私年金によって一定の所得代替率を確保していくために、私的年金、市場年金の育成が不可避になります。この際に、ここに書いてあるような強制加入ないしは加入の義務化、オプトアウト、自ら入らないことを選択する権利を付与する自動加入制度、そして税の優遇による加入誘因の付与などの方策が考えられます。しかしながら、それぞれの方策は、海外及びOECD諸国で考えられておりますが、それぞれ固有の問題があり、なかなか成果を発揮していない、ないしは十分な市場の育成ができていない、このようなケースも見られます。特に自動加入の場合、確かに多くの人が加入し、加入率は高まる傾向にありますが、一方で、現在消費を重視することから、拠出率が低いことになって、必ずしも年金資産の高度積み上げにつながらない状況にあります。

 また、こうしたことを回避するために、プランの柔軟性を高めることは、かえってプランの内容を複雑にしてしまい、多くの人がこういったプランを回避する、このような傾向も欧米諸国で生じております。

 さて、こうした中で、今後、DCプラン、そして個人年金保険も含めた市場の育成にとって、2つのことが大きな課題になると考えています。1つが冒頭お話をしました情報の偏在。特に契約者、加入者が十分な知識を持たずに、提供する金融機関や運営管理機関などについての情報が明確にならず、十分な知識を得ないままの加入が発生してしまいます。

 そこで、今後こうした情報の開示規定を強化すること、さらには年金ダッシュボードに見られるような年金情報を、国の年金、企業年金、私的年金、こういったものを一元的に開示して、例えばねんきん定期便を拡充するといったことが考えられるかと思います。

 さらに、積極的にこうした情報を収集し、そして、それを生かすために、参画性を高めるような仕組みないしはパーソナライズといった仕組みを考えていくことが重要に思います。

 そして、これからお話しします市場の育成ということにとっては、取引費用をいかに軽減していくかが重要な課題になります。そこで、ここに書いてあるような価格規制、さらにはイギリスのNESTなどに見られるように、国が自ら私的年金を育成するためにノン・プロフィット・ベースの組織をつくって契約を引き受ける、こういった方策も考えられるかと思います。

 さて、2つの図によってOECD諸国の私的年金資産の推移を見てみます。これは対GDP比率ということで、例えばGDPが500兆、私的年金の資産が500兆である場合には、数値としては100になります。先ほどお話しした様々な私的年金の優遇策、育成策を取ることによって、デンマーク、オランダ、カナダ、こういった国々は、GDPに比率した私的年金資産はかなり上昇を見ています。一方で、フランス、ドイツ、イタリアなど公的年金の役割が中心の国々では、この資産は10%未満ということで、ほとんど上昇を見ていません。

 先ほどの図と比較して、日本の場合には青い折れ線グラフになりますが、30%程度をずっと推移している、このような状況が続いております。今後、私的年金を育成する、市場を育てていくことによって、この割合がぐっと上がっていくのか、それともこのまま他の国と同じように推移していくのか、今、大きな分岐点に立っていると思われます。

 OECD諸国の年金資産の伸びに与える影響を、私自身が統計的な回帰分析によって検証してみました。その結果、各優遇策などの寄与度、影響度を抽出いたしました。大きく4つほどありますが、それぞれの要因は絡み合って、相互に関連し合って年金資産の伸び率に影響しています。簡単に御説明しますと、コロナ前の10年間で強制加入を導入した国では、10年間で平均値で1.8倍年金資産が伸びております。さらに、市場年金と言われる個人年金への加入が10年間で10%上昇した場合には、年金資産は1.5倍増加をしております。税の控除額で言いますと、平均賃金に対して1%の控除額を高めていく、例えば1%から2%、2%から3%に高めることによって、平均で1.3倍、私的年金資産は増加をしています。

 一方で、所得の再分配の視点から、低所得者を優遇するのか、高所得者を優遇するのか、その比較をした場合には、高所得者を優遇する国々では年金資産は0.8倍、2割減少をしております。これは多分、高所得者の場合には様々な老後資金の準備方法があるということもあるかもしれませんが、いずれにしても、高所得者に偏った税の優遇は年金資産にマイナスに作用する。

 最後に、これまでお話しした取引費用の影響ですが、一国の平均資産額、例えばこれが2000万円だとすると、それに対する1%、20万円の取引費用が増加することによって、10年間で平均0.7倍に年金資産は減少いたします。こうした様々な要因が絡み合って、OECD諸国の私的年金資産の変化率が決まってくるわけです。

 今日お話をしましたように、今後、日本の私的年金がどのように変化をしていくか、それの分岐点に今立っていると思われます。今後、私的年金資産を増加させる、年金市場を育成する場合には、それぞれの優遇策等の政策検証をしっかりする必要がある。このように考えて、私の報告を以上にしたいと思います。御清聴ありがとうございました。

 

○森戸部会長

 ありがとうございました。短時間ですけれども、非常にコンパクトに分かりやすくまとめていただいたと思います。

 続きまして、谷内委員より御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

 

○谷内委員

 おはようございます。谷内です。私からも公的年金と私的年金の役割分担について発表しますが、ただいまの石田先生の発表とはやや切り口を変えまして、個々の加入者あるいは受給者の方々が、公私の年金制度をどのように組み合わせて活用すべきかという視点から、公的年金と私的年金の役割分担の在り方について論じます。

 それでは、資料3に基づき御説明します。本日は時間の関係上、本論のみ(14ページまで)の発表といたします。それでは、表紙から1ページお進みください。

 1ページです。

 公的年金と私的年金の役割分担といいますと、かつては公的年金に私的年金を上乗せする図式が一般的でした。この図式の下では、公的年金だけでなく私的年金も終身で備えることが理想とされており、この図式を、ここでは「上乗せ型」あるいは「完投型」と称することとします。

 しかし、現在は、こうした旧来の役割分担を実現するための前提条件が大きく崩れています。低金利あるいはマイナス金利環境の常態化や、長寿化に伴う死亡率の改善などの要因により、私的年金すなわち企業年金や個人年金で終身給付を提供することが困難な環境となっています。

 また、わが国の私的年金は終身ではなく有期年金・確定年金が主体となっている上、そもそも年金ではなく一時金での受け取りが広く選択されているという実態もあります。

 2ページです。 そこで、私的年金の給付実態を踏まえつつ、公的年金と私的年金の双方で老後所得を確保する新たな方策としまして、私は、完投型から「継投型」への転換を提唱しています。継投型とは、2ページ下段の図にあるとおり、まず働けるうちはなるべく長く働く。それから、公的年金は繰下げ受給を活用して終身給付の厚みを増す。そして、就労引退から公的年金の受給開始までの間を私的年金や貯蓄等でつなぐというものです。

 3ページです。

 そして、この継投策のことを、画面の左から、就労延長(Work longer)、私的年金等(Private pensions)、そして公的年金(Public pensions)、この頭文字を取って、「WPP」と命名しています。

 4ページです。

 WPPによる継投の基本形は、先発、中継ぎ、抑え、という3つの柱から成ります。まず先発投手の役割を担うのが就労延長(Work longer)です。就労延長とは、文字どおり就労する期間を延ばすことであり、働けるうちはなるべく長く働くというものです。

 次に、私的年金等(Private pensions)は、野球における中継ぎ、それも勝ちパターンで登板するセットアップとして、就労引退から公的年金の受給開始までの間をつなぐ役割を担います。私的年金等は、企業年金、退職金、iDeCo、NISA、預貯金などの様々な制度・金融商品を総動員します。よって、私的年金ではなく私的年金「等」と称しています。これは野球における中継ぎも、1人の投手だけでなく複数の投手を準備することと同じです。

 そして、最後に公的年金(Public pensions)は、野球における抑えの切り札として、人生の終盤を締めくくる役割を担います。

 5ページです。

 ここでは、就労延長、私的年金等、公的年金、それぞれの特徴を述べます。

 まず、就労延長ですけれども、就労延長のメリットは、何といっても老後の家計収支を二重に改善する点にあります。また、厚生年金の適用事業所あるいは企業年金の実施事業所に就労すれば、将来の公的年金・企業年金の増加が期待できます。

 次に、私的年金等です。WPPの枠組みでは、先発を就労延長が、抑えを公的年金がそれぞれ担うため、私的年金、すなわち自助努力で備えるべき範囲が「就労引退から公的年金を受給開始するまでの間」、年数にして5年から10年程度と明確になります。また、5年から10年程度の備えであれば、有期年金や一時金でも対応が比較的容易となります。

 最後に、公的年金です。公的年金の最大の特徴は終身給付です。終身給付は、任意加入の私的年金でやるよりも、全国民の強制加入、すなわちオールジャパンで保険集団を構成する公的年金で提供するほうが効率的です。さらに、繰下げ受給を活用することで、終身給付の厚みを増すことができます。

 6ページです。

 しかし、就労延長、私的年金等及び公的年金には、次のような留意点もあります。

 まず、就労延長ですが、働けるうちはなるべく長く働こうと主張すると、決まって、「年を取ると働き口なんてそうそうない」「いつまで健康に働けるか不安だ」あるいは「死ぬまで働かせる気か」という批判を浴びます。また、事情があって働けない方もいますので、そういった方に対しては正面切って主張しづらい面はあります。

 次に、私的年金等では、「私的年金で備えるだけの経済的な余裕がない」あるいは「うちの会社には退職金や企業年金なんて無い」といった指摘を受けます。私的年金等の選択肢が豊富で、かつ多額の掛金拠出が可能な高所得者層でないと使えないのではないかという疑問を持たれます。また、投資や資産運用には、価格変動などの不確実性がつきものです。

 最後に、公的年金については、制度に不安、不信を抱いている人が一定数いるのが現状ですし、また、繰下げ受給にしても、「繰り下げて年金が増えると、税や社会保険料の負担が増えるじゃないか」という意見もあります。

 7ページです。

 ただいま申し上げた留意点や批判に対して、私の見解を述べます。

 まず、就労延長に対する批判ですが、これは、「現役期(特に40代から50代)と同じ働き方を高齢期も続けなくてはいけない」という誤解に基づいている節があります。しかし、現役期と同じ働き方を高齢期もする必要はありませんし、そもそも不可能です。これは野球も同じでして、ベテランの選手を起用する際は、例えば、フル出場させるのではなく途中交代や休養を挟んだり、守備の負担が軽いポジションへコンバートしたり、代打専門としたり、あるいはコーチを兼任させるといった起用法がごく一般的に用いられます。これは、まさに高齢者の働き方にも通ずるものがあります。

 次に、私的年金等については、自分がどんな制度を利用可能か見極めた上で、様々な制度を総動員することで対応すべきと考えます。会社員や公務員の方であれば、勤務先にある制度、例えば企業年金や退職金、あるいは勤務先が窓口となって加入する財形年金貯蓄やグループ保険、あるいは労働組合があるならば組合員が加入できる年金共済、こうした制度の有無をまず確認すべきです。また、自営業者の方であれば、付加年金、国民年金基金、小規模企業共済など第1号被保険者の方のみが利用できる制度を、そして、そうした制度がない方についてはiDeCo、NISA、個人年金保険など税制優遇が手厚い制度や商品、これらを活用するところから始めるべきと考えます。

 最後に、公的年金ですが、公的年金は強制加入のため、逆選択が生じにくく、現況確認に係る事務負担やコストも抑えられるなど、私的年金よりも効率的な終身給付の提供が可能です。終身給付という機能を有する公的年金は、老後のための単なる貯蓄ではなく、国民全体で長生きリスクに備える「保険」でして、これは、貯蓄や資産運用では逆立ちしてもまねできない機能です。

 8ページです。

 ここではWPPの有効性について、総論として2点挙げます。

 まず、WPPを実践するための環境が近年格段に整備されています。WPPの概念自体は、実は特段目新しいものではなく、過去にも似たような主張は複数されています。しかし、現在は、高年齢者雇用の推進、税制優遇を伴う資産形成手段の創設・拡充、さらには公私の年金制度の改正による利便性の向上などの環境整備が進んでおり、WPPをより実現可能かつ機能的なものとしています。

 次に、WPPでは柔軟かつ多種多様な継投が可能という点です。野球における継投には、例えばワンポイントですとかロングリリーフと様々な手法がありますけれども、WPPも野球と同様の継投が可能です。

 さらに、例えば複数の投手をマウンドに並べて一遍に投げたり、あるいは運動会の玉入れみたいにボールをたくさん持って無差別に投げるといった、野球ではルール上認められていないような荒業も可能です。

 9ページです。

 WPPによる就労、私的年金等、公的年金の組合せは、様々なパターンが考えられます。

 まずパターン➀は、私的年金等による継投を2つの局面に分けまして、60歳以降の再雇用に伴う給与の減少を確定拠出年金で補い、65歳から公的年金の受給開始までは確定給付企業年金でつなぐという継投策です。

 次にパターン➁は、企業年金が無い方を想定したものです。60歳以降は就労、あるいは退職金や貯金の取り崩しで生活しつつ、貯蓄が底をつきそうな頃合いを見て、公的年金の受給を67歳から前倒ししたケースです。公的年金の受給開始を当初の予定から変更できるのは、繰下げの受給の仕組みがそのように柔軟だからです。

 そしてパターン➂は、想定以上に資産形成がうまくいったため、公的年金だけでなく、私的年金も終身で備えたというケースです。

 最後のパターン➃は、先発投手たる就労延長だけで公的年金の受給開始までバトンをつないだケースです。極端ではありますが、公的年金の受給開始までを就労のみで乗り切ることができれば、中継ぎたる私的年金等の出番は不要となります。

 このようにWPPは、個々人のライフプランに応じて継投の順番、組合せ、タイミングを柔軟に決定できますし、また、そうしたことが可能なのは、我が国の公的年金及び私的年金の制度設計が柔軟であることが背景にあります。

 10ページです。

 ここからは、WPPが老後の家計収支に及ぼす影響について、簡単な試算を行っています。

 まず、収入が公的年金のみで月20万円、支出が月25万円、つまり家計収支が毎月5万円の赤字の家計を想定します。収入と支出が65歳から99歳まで一定不変と仮定すると、35年間の赤字の累計は2,100万円と、どこかで聞いたことがある水準になります。よって、赤い折れ線グラフに御注目いただきますと、家計収支が赤字になるのを防ぐためには、65歳時点で2,100万円以上の資産を準備する必要が生じます。

 では、WPPを実践すると、この家計の状況はどのように変化するのでしょうか。

 次のページを御覧ください。

 11ページは、公的年金を70歳から繰下げ受給するとともに、65歳から5年間就労延長した場合の試算です。繰下げ期間中に月15万円の収入が得られれば、赤い折れ線グラフを御覧いただきますと、65歳時点で準備すべき金額は、先ほどの2,100万円から600万円にまで減少します。そして、70歳以降は、公的年金が繰下げで増額され、支出を上回る水準になるため、家計収支は一貫して黒字を確保し、100歳までの間に資産残高が枯渇する事態は生じない見通しとなります。

 また、このグラフでは、運用利回りを0%と保守的に置いていますが、0%を上回る利回りを稼ぐことができれば、この赤い折れ線グラフはさらに上方にシフトします。

 12ページです。

 12ページの試算は、65歳から5年間の就労収入を月15万円から25万円に増やしたものです。月25万円というのは支出と同額です。つまり、支出を上回る就労収入が得られるならば、65歳での資金準備は理論上不要という形になります。

 13ページです。

 前のページまでの試算は、公的年金の金額が一定不変という前提を置いていました。13ページでは、マクロ経済スライドによる公的年金収入の減少を踏まえて試算しています。先ほどまでのグラフと比べますと、青い棒グラフ、公的年金の収入が徐々に減少していますが、この試算では、経済前提がケースⅤ(実質の経済成長率が0%)かつ運用利回りも0%と非常に厳しい前提条件を置いているにもかかわらず、100歳までの間に資産が枯渇する事態は生じない見通しとなっています。

 以上、WPPを実践することによって、100歳までの資産の枯渇を相当程度回避できるだけでなく、マクロ経済スライドに対しても頑健であるということが確認できたかと思います。

 最後に14ページでは、WPPをより機能させるための環境整備について私見を述べます。

 WPPは、法令や税制の改正を待たなくても、現行制度の下でもある程度実践ですが、より機能させるための環境の整備が望ましいといえます。まず、私的年金等に関する環境整備として、年金原資の通算・一元化の拡充、税制の見直し、中継ぎに対応した受取方法の普及、の3点を提唱します。それから、就労延長及び公的年金に関する環境整備として、在職老齢年金の廃止を提唱します。

 また、WPPでは、公的年金の繰下げ期間中に手元資金を先に取り崩すことが基本戦略ですが、これには多くの方が心理的な抵抗感を覚えるものと思われます。よって、手元資金をあえて先に取り崩すという合理的判断、こうした意思決定をサポートするためには、老後所得の見える化の進展や、信頼できる専門家の育成も併せて行うことが望ましいといえます。

 最後に、野球とWPPの双方に共通する「チームづくり」の在り方について2点申し添えます。

 一つは、絶対的なエースや四番打者のみに頼らないこと。そしてもう一つは、全員野球を徹底するためには選択肢の拡充が必要なことです。人生100年時代という「いつ終わるか分からない試合」、これに万全の状態で臨むためには、特定の選手(制度)のみに頼るのではなくて、ベンチ入りしている全ての選手(制度)を総動員するという発想の転換が求められます。WPPのような方法があるということを知ってもらうことによって、老後生活への備えが「何ともならない」ではなく、「何とかなりそう」と前向きになってもらいたいというふうに考えています。

 本日発表する内容は以上です。WPPについてさらに詳しく知りたい方は、この資料の15ページ以降の参考資料や、あるいは巻末の参考文献を御参照ください。

 以上です。御清聴ありがとうございました。

 

○森戸部会長

 ありがとうございました。野球ファンだと3割3分3厘ぐらい理解がさらに増す内容で、非常に面白かったですけれども、また後で御質問等があるかと思います。

 では、続きまして、上田様より御説明をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○上田様

 皆さん、おはようございます。帝京大学の上田と申します。本日はよろしくお願いいたします。このような発表の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 私は、前のお二方のような大変格調高いお話ではなくて、ふだん私が私的年金制度に対して感じているようなことをコメントさせていただければと思います。そもそも森戸先生の前で私的年金制度を語るというのは大変勇気の要ることでございますので、肩肘張らずお話をさせていただければと思います。

 出てくる用語で、私的年金等を使った場合は企業年金、個人年金、退職給付制度等を使った場合は一時金と企業年金とが入るという御理解でお願いいたします。

 次の2ページです。

 今日、私がお話し申し上げるのは、こうすべきだというお話ではなくて、私的年金制度を考えるときに、このような視点や、切り口があるのではないでしょうかというような柔らかいお話でございます。今日お話しさせていただく主な内容はこの2ページにあるとおりです。

 お話しさせていただく内容を鳥瞰してみたのが3ページの図です。私的年金制度を時系列とエリアで見ていこうということです。これからどの辺りに力を入れていったらどうか、ということを図で示させていただいております。私も、平成2年、旧厚生年金基金に自主運用を拡大されて以来、ずっと企業年金に関わってまいりましたので、過去を振り返って、私自身の反省等も含めて申しますと、今までやはり大企業とか中堅企業以上の非常にかっちりした制度の中で、それをよりよくしていこうというところで力を尽くされてきたわけですし、また、このエリアでは、受託者責任や制度の整備などで盛んな議論が行われてきたと思うのですが、一方、中小から零細企業、それから個人とか非正規の方、これからはこのエリアに力を入れていかなくてはいけないのではないかなということで、赤い点線で囲ませていただいております。これが1点です。

 ところで、この前、NHKの「日曜討論」を見ていたら、少子化がテーマだったのですけれども、ある方がなかなか面白いことおっしゃっていて、少子化対策は、飛行機に乗っている人にもっと機内食をよくしたらどうかとか、座り心地をよくするのはどうしたらいいかとか、安全対策はどうかと。それはそれでやらなければならないし必要なことなのですが、世の中にはまだ飛行機に乗っていない人がいっぱいいると。そこをこれからちゃんと飛行機に乗ってもらえるようにやっていかなくてはいけないという話があって、なるほど、いいことを言うなと思って聞いていました。年金でも同じようなことを考えていかなくてはいけないのではないかなと思っております。

 それから、もう一つは左側の丸で囲んであるところです。私がかつてDCのお仕事をやっているときは、60歳に向けてどうやって資産を形成していこうかと、そこに非常に注力してきたのですけれども、考えてみると、今、谷内さんがおっしゃったように、人生100年時代で、60歳以降の時間が非常に長い。この長い時間の中で、どうやって積み上げた資産を取り崩していくのかとか、あるいはそもそも年金で受給する方をどうやって増やしていくのか。一方で、資産が十分でなかった方はどうやって積み上げていくのか、このエリアが課題になってくるかなと思っております。

 一方、時系列で見ていくと、社会人となってから、どの企業に属しているか、あるいはどういう働き方をしているかということで、現役時代は60歳まで来ているのですけれども、60とか65とか70歳の辺りで、どういう年金制度に今まで入っていたのか、あるいは資産状況はどうなのか、健康状況とか、介護が要るのかとか、この時点でがらっと1回組換えがあって、そこからまた新しい視点で見ていかなくてはいけないのではないかと、このような感じもしております。

 また、時系列で見ていくと、今度は左の若い時代のほうなのですが、金融教育とか年金教育を考えますと、皆さん御存じのように、高校の家庭科で金融教育が必修化されましたので、一応18歳までのところはいろいろな手当てができている。それから、二十歳に向けては、年金広報企画室でも大変力を尽くしてまいりまして、学生との年金対話集会等いろいろなことをやってきたり、クイズノックさんと連携して動画をつくって若い人に見てもらったり、大変効果を上げていまして、二十歳の国民年金の加入については大分理解が進んできたのかなと思っています。私も大学2年生の授業で国民年金に入っているか聞くと、100人ぐらいの授業でもほとんどの学生が手を挙げますので、相当、公的年金の知識や必要性は浸透してきているかなと思っています。

 一方で、例えば4年生の授業をやっていますと、間もなく就職して社会に出ていく方に対して十分なケアができているかどうか。これは私の反省も込めてなのですが、これから見ていかなくてはいけないエリアかなと思っております。

 それでは、先ほどの項目を、順を追って簡単にコメントしていきたいと思います。

 4ページです。

 企業年金研究会では、皆さん御存じのように、企業年金の役割について、この2つの役割を提示してございます。この2つをそれぞれ取り上げてコメントさせていただきたいと思います。

 次に5ページです。

 企業年金については、やはり企業の年金ですので、1つは働くことと退職給付制度、企業年金との関連がポイントですが、これは谷内さんもいろいろおっしゃいましたし、次の6ページで、私も過去に年金学会で発表させていただいておりますので、こちらのほうは割愛させていただきます。

 もう一つは、今、企業に起こっていること、企業が向かっている方向、あるいは企業が求めていること、これを踏まえて、企業年金で何かできることはないかという視点で考えていったらどうかなと思っております。例えば、盛んに今、人への投資とか学び直しが言われておりますけれども、この中で何か企業年金にできることがあるのではないかと。例えばDCの投資教育でもう少し範囲を広げてみるとか、そのようなことで企業年金ができること、企業が求めていることに対応できるのではないかなとも思っております。

 あと、私は今、大学の就職委員長を拝命しておりまして、学生の就職支援が大変なお仕事で、非常に苦労しているのですけれども、いろいろ企業の方とお話しすると、企業の方も非常に採用に御苦労されていまして、特に地方の企業さんとか中小・零細企業の方は新卒採用に大変苦心されている。こういう中で、企業年金として、あるいは私的年金として企業のためにできることがあるのではないかと思っております。

 それから、企業の中の働く方の視点で考える。これは今、企業の視点で考えたことのちょうど裏返しで、いろいろ言えることがあるのではないかと考えております。

 7ページを御覧ください。

 企業年金研究会で提示されたもう一つの視点です。老後所得保障の視点から、私的年金制度あるいは企業年金制度でどんなことができるかということです。

 1つは、3ページの鳥瞰図でも示したのですけれども、やはり大企業、中堅企業以上に比べて、中小・零細企業においては、まだまだ私的年金・企業年金制度の広がりが行き渡っていないということで、この裾野を広げることが重要ではないかと考えております。

 この辺りの具体的な数値は、9ページから12ページにかけてデータを載せてありますので、後ほど御覧いただければと思います。

 中小零細企業への私的年金・企業年金制度の広がりについては、今回ここでお話をさせていただく前に、社労士の方3名、税理士の方1名、あと金融機関の方2名からいろいろお話をお伺いさせていただきました。そうすると、適格年金が廃止になって以降、こういう問題について手薄になっているところがあるのではないかという指摘とか、あるいは中小・零細企業のオーナーさんとお話ししても、この問題に対する意識が非常にうすいというか、そもそも念頭になかったという企業がとても多いという指摘が聞かれるのです。ただ、企業経営者もじっくり話をしてみると、なかなかいい話だなと、そんないい話なのだったらちょっと考えてみようかなというオーナーも出てくるそうです。

 一方で、これは大変耳の痛い話で申し訳ないのですけれども、一つは、退職金をバブルの頃にちょっと手厚くしてしまって、一旦手厚くするとなかなか下げられないので、それでちょっと失敗したなという思いがある企業さんもいるし、あと、厚生年金基金に関していろいろありましたので、これが一種トラウマになって、退職給付制度とか企業年金に対して警戒感を持っているオーナーさんもいらっしゃる。あるいは進めようとしても、事務負担してまでやるメリットはどうなのかと、このような話も出てきたりするとのことです。

 もう一つは、小規模な企業さん、零細企業さんにおいては、やはりこういう話になると、先ずは中退共だろうという話が真っ先に出てきやすいとお聞きしました。これは信用金庫さんとか中小企業をマーケットとする金融機関がその辺に力を入れてやっていらっしゃるという現実もあります。そこで、例えば、私は個人的にはiDeCo+は非常にいい制度だと思っているのですけれども、これを中小零細企業に広めていくために、何か制度的なというか、施策として仕掛けが必要なのではないかということも考えてみたりしております。

 金融機関さんも、例えば信用金庫さんにお話を聞くと、iDeCo自体はさかんに売り込みをしているので、それと同時に話を持っていけば、オーナーさんも聞いてくれるのではないかと、こんなこともおっしゃっていました。この件は様々なルートで、社労士会とか税理士会とか商工会議所といったところを通じて、中小・零細企業への広がりを後押ししていくことも必要かと思っております。

 それから、もう一点は、やはり年金としての受給を広めていくことです。先ほど御指摘にもありましたけれども、実際、DCですと、ほとんどは一時金で受け取っていますので、これを何とかして年金で受け取っていただくような方向に後押しすることが必要だろうなと思っておりますし、先ほど申し上げたように、年金で受け取るのであれば、どうやって取り崩していくのか。運用しながら取崩しということになりますけれども、この課題については年金シニアプランで駒村先生が座長になられて、いろいろ研究を進めていらっしゃると聞いておりますので、こういった取崩しとかのモデルケースを提示するようなこともこれから必要になってくるのではないかなと思っております。

 あと、私的年金とか企業年金制度の周知とか広報ですね。これは厚生労働省の年金広報企画室で今まで公的年金については非常に力を入れてやってきまして、一定の効果は出ていると思っております。これからは、私的年金とか企業年金についても公的年金と一体の形で周知広報に力を入れていったらどうかと。これは私自身の振り返りも含めて、このように思っております。

 学生とふだん接していますと、やはり経済学部の学生は、それなりにいろいろと投資ですとか、金融ですとか、こういったことを勉強して社会に出ていくのですけれども、例えば文学部とか、外国語学部とか、あるいは医歯薬系とか理系の学生ですね。全く金融や投資の基本知識がないままに就職すると、今、企業型DCをやっている会社は非常に多いですから、いきなりステーキではないですけれども、社会人になっていきなりDCという事態もありえると思います。1時間半か2時間ぐらいのセミナーを聞いただけで、はい、投資と言われても、なかなかできない。これは私のゼミの学生も、いや、先生、そんな4月からすぐやれと言われても僕できませんと感想を述べています。企業年金や、確定拠出年金を勉強してきてもやはりそういう感想が漏れるので、大学年生向けの私的年金の広報についても、ちょっと見ていったらどうかなと思っております。

 私は、授業で例えば給与明細を例示して、社会保険料はこんなふうに引かれてくるんだよ、残ったこういう給料の中でやっていくんだよという具体的な話をしたりするのです。それがいいかどうか分かりませんが、そのようにいろいろ社会に出ていく前に、大学の3年生、4年生向けに社会保険の話と共に、公的年金・私的年金一体としてお話をしていく、こんなことも必要かなと思っています。

 それから、ちょっと戻って恐縮なのですけれども、1点、さきほど言い忘れたのですが、企業さんが求めていることで何かできることはないかという話なのですけれども、現在、企中小零細企業は採用に非常に苦労しているという状況の中で、私のゼミの学生に聞いてみると、賃金の高いところ、労働条件がいいところはもちろんなのですけれども、自分を育ててくれるというか、自分を成長させてくれるような企業がいいと、これを強く求めている学生が多いように感じています。また、たまたま就職委員長をやっているので、この1、2、3月で44社の企業の人事担当の方とお話ししたのですけれども、やはり皆さん口をそろえて、学生の求めるものについて、同様なことをおっしゃっています。

 また、先ほど、ご紹介した社労士さんの話なのですけれども、求人票の記載で差が出るというのです。小規模な企業、零細企業さんにおいても、やはり退職金とか中退共とかがないと人が集まらないと、肌感覚でそう言っていたのですが、もしその辺りの条件が若い人に刺さるのであれば、私的年金についても、ぜひ若い人にアピールしていく。資産形成について、育てる姿勢を持っているんだよと、そういうことを示す手段の1つに、この私的年金制度をうまく使っていただいたらいいのではないかなと思っております。

 あと、帝京大学の学生のコメントも参考に見てください。、また、これは帝京高校で行った年金アンケートの事例なのですけれども、年金講義を1コマやって、その前後にアンケートを取って、どのぐらい理解が進むか。この結果については15ページから17ページに参考として掲載させていただいておりますので、御覧いただければと思います。高校生は非常に純粋で、教えていて楽しくなるのですけれども、事前知識がないなだけに、講義の後、数字が上がるのが顕著に出ています。ただ、一方で、17ページですけれども、「自分で年金を作っていく必要があるか」は「必要だ」が100%になったのは、100%というのはあまりよくなかったなと、あまりにもきれいに話をし過ぎたかなと反省しています。

 最後に18ページです。私から今日お話しさせていただいた内容について、関連する御提言です。大変僣越ながら、一言二言お話をさせていただきますと、1つは先ほど申し上げた企業の年金というスタンスに立ちますと、今、企業でいろいろなことが起こっていると聞いておりますので、例えば企業制度とか、ガバナンスとか、会社法とか、こういう専門家の方からお話を聞く機会を持たれたらいかがかなと思っています。

 それから、今お話し申し上げてきたように、企業の今抱えている課題ですとか、あるいは企業が向かっている方向を求めていること、これを解決する一助として、うまく私的年金制度、企業年金制度を活用していったらどうかなと思っております。

 それから、あとは、社会保障の一環として私的年金制度を位置づけたときに、やはり裾野を広げていくということが求められていると思います。私的年金制度、企業年金制度には様々な税制優遇がされておりますけれども、これらの制度の加入者が厚生年金の加入者の半分に満たないような状況ですと、税制優遇の妥当性も問われかねないと懸念しておりまして、裾野を広げていくことが必要だろうと考えております。そのために、個人的にはこのiDeCo+が非常に有効なツールではないかと考えております。

 また、若い人たちの理解を進める意味では、今までは高校生ですとか、あるいは大学の1・2年生向けに非常に有効ないろいろなツールを厚生労働省の年金広報検討会のほうで開発して、効果が出ていると思うのですが、今度は大学3・4年生向けに、公的・私的年金を一体として広報するような必要も出てくると、今までの経緯を振り返って思っております。

 最後に、世の中の動きに沿った考え方へということなのですが、お話し申し上げてきました私的年金制度にしましても、やはり、1・2階の公的年金が基本でございまして、この部分の構成、あるいはレベルによって3階部分の役割は相当変わってくると思っております。

 この中で、次の19ページ、20ページにグラフを載せているのですけれども、モデルケースというか、標準世帯というか、結婚して世帯を持っていて一人の方がずっと働いて、もう一人の方が国民年金に入っていると、こういう形で月このぐらいもらえますよという話になっているのですけれども、実は授業でそういう話をすると、学生のほうから、ちょっとぴんときませんと感想が出てきます。うちはお父さんもお母さんも働いていますという学生がかなり多くて、あるいは離婚してお母さんだけですという学生は、どうもぴんときませんという話をされて、私もはっとしたのですけれども、この辺は、世帯を持って両方の方が働いているモデルをベースにしたらどうかと思います。もちろん所得代替率等ちょっと難しい問題があるというのは重々承知しているのですが、公的年金の受給の表示の土台を少し組み直して3階部分を考えることも、中長期的な課題としては必要になってくるのではないかなと考えております。

 以上で私のお話を終わらせていただきます。ありがとうございました。

 

○森戸部会長

 ありがとうございました。

 ただいま御説明のありました皆さんの資料について一括して議論に入りたいと思いますが、なお、上田様におかれましては、所用により11時半前に御退席されることになっておりますので、まず上田様からの御説明内容に関する御質問、御意見がある方は、早めに挙手いただければと思います。その点だけお願いいたします。

 それでは、委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思いますので、どなたからでも、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

 では、小林洋一委員、お願いします。

 

○小林(洋)委員

 御講演ありがとうございました。

 私は中小企業の経営者をしておるのですけれども、先日、公的年金部会でも申し上げたのですが、中小・零細企業は深刻な人手不足に直面していまして、今働いている高齢者の方にも、いかに就労を継続してもらうかが、極めて重要な経営課題と現状なっております。人手不足に対する人材確保の観点で申せば、高齢者に関して、元気でかつ働く意欲を有する人には、引退して年金生活に入るよりも、働くほうが高い収入を得られるという選択肢を提示してあげられることが重要であると思っております。私的年金の仕組みについても、そうした視点で見直す必要があると考えます。そこで、このような考えを念頭に置き、講演を拝聴しましたので、コメントと質問を合計3点申し上げたいと思っています。上田先生には、一番最後にお話しさせていただきます。

 1点目は、谷内先生の講演での在職老齢年金の見直しに関して、コメントさせていただきます。公的年金保険と私的年金の役割をWPPの理念に基づいて再整理するというアイデアは、就労延長を軸の一つに据えておられることから大変に参考になりました。特に資料3の7ページ、就労延長に関する記載内容は、私の考えとほぼ同じかなと思っております。定年を迎えた後も継続して働く場合、現役時代と同じ働き方をしていただく必要はなく、勤務時間や給与を含む労働条件を労使双方で調整しますので、労働者の希望に応じて無理なく働いてもらうことも可能だと思います。

 しかし、調整の結果として、当初は双方が雇用期間の延長を希望したとしても、年金制度との兼ね合いで、働くと逆に手取り収入が少なくなる場合、労働者が就業継続を断る可能性があります。年金制度が労使双方の就業継続の希望を阻害しないことが非常に重要ではないかなと思っております。

 これは私的年金制度の見直しだけでは実現せず、公的年金制度の改革をセットで行う必要があります。谷内先生も同じ問題認識をお持ちであるからこそ、14ページで在職老齢年金の廃止を提言されているものと推察します。在職老齢年金の仕組みにより、働いて収入が増えると年金受給額が減るため、就業継続の意欲が減退するきっかけとなっている面がございます。この部会の守備範囲とは異なるかもしれませんけれども、ぜひ年金財政、ひいては将来世代の受取見込額への影響を踏まえつつ、丁寧な議論を行っていただければと思っております。

 2つ目は、これは谷内先生への質問となるのですけれども、14ページに記載されています、相談・助言が可能な専門家の育成について質問をさせていただきます。私は以前から年金制度全般の分かりやすい解説、それを担う人材としての関係分野の専門家の活用、育成強化が必要と申し上げており、谷内先生の御指摘に強く賛同いたすのですけれども、重要なことは、具体的な対応策についてです。

 そこで、谷内先生に御質問となりますが、専門家の確保、活用、育成をどのように進めるべきか、谷内先生の御意見を頂戴できればなと思っております。これが2点目です。

 3点目は、上田先生へ私的年金普及拡大に関する相談導入支援についての質問となります。資料の4ページに記載された企業年金の性格・役割は、多くの企業が直面している人材の確保、定着という課題と密接に関係しておりますので、本部会でこの点も念頭に置いて議論を進めていただきたいと思っております。

 また、資料の7ページでは、中小・零細企業への普及拡大に触れており、企業の経営アドバイザーである社会保険労務士や税理士の活用、商工会議所が資格試験と人材登録を運営しているDCプランナーの相談など、ポイントを押さえておられるのではないかなと思っております。

 そこで、私としては、さらに踏み込んで、事業主と従業員個人の両方に対して、iDeCoやiDeCo+の始め方や情報収集等をサポートする公的な個別相談窓口を全国に設置できないかなと、できたらありがたいなと思っております。特に、そうした考えであることも踏まえますと、私的年金普及拡大に関する相談導入支援において、国・地方自治体等による公的機関が担うべき役割に関して、上田先生の御意見をお伺いできれば幸いだと思っております。

 以上です。よろしくお願いいたします。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 谷内委員への質問も2点ありましたけれども、それは後でお答えいただくことにして、覚えといてくださいね。まず上田先生への質問に答えていただければと思います。上田先生、お願いします。

 

○上田様

 御質問ありがとうございます。

 いろいろな相談窓口が必要だというのは、私も以前、厚生年金基金の総合型をいろいろ回って、総合型の理事会社のオーナーさんとたくさん話をしてきましたので、皆さんが大変経営についていろいろ悩んでいらっしゃるということは承知しております。経営者の方々は非常に孤独なので、相談相手が欲しいというのは御指摘のとおりだと思うのです。それを今まで税理士とか社労士とか商工会議所の方、あるいは金融機関が担ってきたと思うのですけれども、先ほど御指摘があった公的な相談窓口というのも、それをどういう機関において、どういう相談・回答の範囲にするかというのは別問題なのですけれども、あれば非常に力強い存在になるだろうなと思っています。

 また、DCに加入する職員にとっても、身近に相談できるような窓口があれば非常にいいなと個人的に思っています。ちょっとすみません。あまり答えになっていないかもしれないですけれども、以上です。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 上田先生の点はよろしいですかね。

 

○小林(洋)委員

 企業経営者としては、やはりどこに相談していいかと。そのときに、やはり私的のところですと利害関係やいろいろことがございまして、幅広い部分で公的なところに面で相談させてもらえるような場所ができたらいいなと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 以上です。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 それでは、ほかの方、いかがでしょうか。

 では、岩城委員、お願いします。

 

○岩城委員

 今日は示唆に富む御講義を本当にありがとうございました。私はどなたへということではなく、全体的な視点で3点述べさせていただきます。

 先日の年金部会で、企業規模要件についてさらなる適用拡大を求める声が多く出されていました。そもそも勤め先の企業規模によって社会保障に差が生じるというのが問題ですが、そこから派生する問題についても皆さんに考えていただきたいなということがあります。

 若年層の相談事例の1つに、志を持ってリスキリングを行いながら、短時間労働者として適用拡大に該当しない事業所で働いているが、国民年金、国民健康保険の保険料負担で余裕がなく、せっかくのiDeCoも使えない。老後不安は募るばかりであるし、非常に不公平を感じるという訴えがありました。実情を見ましても、短時間労働者の被保険者区分では国民年金第1号被保険者が多く、このような不安が少なくないと想像しています。

 公的年金を補完するという役目の私的年金制度について、今後進められる社会保障制度改革の議論と足並みをそろえて、いま一度俯瞰して捉えて議論を進めるべき時期にあるのではないかと感じています。

 iDeCoの加入可能年齢の引上げや、第2号被保険者のiDeCoの拠出限度額について、企業年金の有無による違いをなくすことに加えて、例えば私的年金制度にキャッチアップ枠を設けるなど、つまりは制度をより有意義に活用できるような検討も進めていただければと思います。例えば、厚生年金・健康保険に加入することによって、これまで支払っていた国民年金と国民健康保険の保険料よりも負担が減るとして、仮に1万円を全世界の株式に分散投資する手数料の低い指数連動型投資信託で積み立て投資をした場合、過去25年間のデータでは、投資元本が約3.6倍になっています。今後必ずそうなるということではないのですが、資産形成において時間というのはそれほど大切なものということです。少額でもなるべく早く始めて、長期分散低コストで合理的な積立投資を続けていけば、資産形成は決して難しいものではありません。そして、その長期資産形成に欠かせないのが、複利効果を生かすことができるお金の置き場所であるiDeCoとか、DC、つみたてNISAを活用することになります。

 これに関連しましてもう一点は、金融経済教育推進機構の業務として、顧客の立場に立ったアドバイザーの認可・育成というのがありますが、今ちまたでは、にわかにアドバイザー養成ビジネスというのが活況です。中には非常に問題を感じるほど偏ったもの、内容が不正確なものもあります。制度の説明だけではなく、合理的な資産形成をするための基本的な知識を正しく伝えられるアドバイザー養成というのが必要だと思います。

 私はこれまで多くのマネープランやリタイアメントプランの相談に乗ってきて痛感しているのは、先生方からも御指摘がありましたように、やはり働き方のプランというのがとても大切ということと、老後の経済的安定のためには、公的年金と自助努力でつくる私的年金をいかにうまく組み合わせていくか、取崩しの議論も含めてですけれども、それが鍵になるということです。こういった視点をぜひ浸透させていただきたいというのが2点目です。

 3つ目が、DCの年金受け取りと一時金の税制上の受け取り方の議論ですが、iDeCoについては、加入可能年齢が引き上がったことで、年齢の高い人も加入したいという人が増えています。金融庁の投資教育の資料で、国内外の株式と債券に、積立・分散投資を行なった結果、投資期間が5年間だと、いつ始めたかによってリターンが大きくばらつき、元本割れをする可能性もある。しかし、20年という長い投資期間だと、いつの時点から始めても大体2~8%ぐらいの間で安定的なリターンとなって、少なくとも1985年以降のデータではマイナスになったケースはなかったとあります。

 長期投資を行うと、利子に利子がつく複利の効果で増えていくことによって、結果的に元本割れをする可能性が減ると考えられます。5年ぐらいだとやはり景気の善し悪しによって結果が変わってくる。けれども、20年だと、そういう景気の善し悪しを超えて、複利の効果で資産が増えていくので、結果的に元本割れの可能性が下がるということなのですね。

 ですから、年金受け取りにすると、運用期間を延ばしながら取り崩すことで、元本割れの可能性を下げるこができます。税制の損得についてだけではなく、こういった視点も大事なのだと思うのです。こういうことも含めて議論に入れていただければ幸いです。ありがとうございます。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。コメントということで承りました。

 上田先生の御報告に関して御質問ある方がいれば先にお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 では、島村委員、お願いします。

 

○島村委員

 今日はどうも貴重な御報告をいただきましてありがとうございます。現場の声もいろいろ聞いていらっしゃると思いますので、ぜひお伺いしたいのですけれども、小規模だったら中退共が広がっていて、そこと制度的な仕掛けが要るのではないかという御発言をいただきましたけれども、その点について、もっと具体的に先生のほうでプランとか、こんなのがあったらいいんじゃないかというところがあれば御教示をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○森戸部会長

 私もちょうど同じことを聞こうと思っていたのですけれども、お願いします。

 

○上田様

 御質問ありがとうございます。

 これがいいかどうかは別として、iDeCo+を導入するときに、例えば小規模・零細企業の方々にお話を持っていって、獲得したときに、例えば推進した団体に、1件幾らというようなインセンティブをつける。これは予算の措置が必要ですし、それが広い意味での社会保障というか、老後所得保障になじむかどうかは別問題として、そういう視点があってもいいのかなとは思っています。具体的に言うとそういう感じのことです。

 

○森戸部会長

 何か中退共制度と絡めたアイデアがあるのかなと思ったのですけれども。

 

○上田様

 中退共と絡めたというより、中退共の推進を参考とすると、そういうやり方もあるのかなという意味です。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 島村委員、よろしいですか。

 ありがとうございます。ほかに上田先生に御質問がある方はいらっしゃいますか。

 では、私からいいですか。2点ぐらいあるのですけれども、1つは、学生さんとかに求人広告とかでアピールするので、例えば退職金があるないとか、そういう話がありましたが、やはり成長させてくれる企業に行きたいという、それはそうだなと思うのです。そのときに、例えば企業型DCでも、企業年金でも何でも資産形成に関するサポートがありますみたいものが、それが成長させてくれる企業だというふうに学生が捉えるのかどうかというのは素朴な疑問として思ったのです。つまり、お話では、そんなことあまり分からないという話だったから、分からない話なのに、分からない制度がいっぱいあるのが何で成長させてくれる企業だと思うのかというのが1つです。

 もう1点は、家族の形が変わってきて、専業主婦世帯みたいなのはもう全然主流ではないのだと、共働きなのだというのがデータからも明らかだという話があって、それが制度にどう関係するかということで、公的年金のほうでは、他方で世帯が原則で考えているところがあるから改善しなくてはいけないねという議論はあるわけですけれども、さっきのお話だと、3階部分、企業年金・私的年金の部分も、そういう社会を前提に考えていかなくてはいけないのではないかというお話だったと思うのです。企業年金・私的年金の制度で具体的に、今、むしろ専業主婦世帯みたいなのを前提としたような制度とかがある、もしくは改善点があるということかなと伺っていたのですけれども、何か具体的に問題と思われているところがあるのかなというのが2点目です。すみません。お願いします。

 

○上田様

 ありがとうございます。

 まず1点目です。成長させてくれるということが、この制度とどう関係してくるかという話だと思うのですけれども、幾分これはちょっと定性的なお話になってしまうかもしれません。1つは、先ほど私がいろいろヒアリングさせていただいた方々の御意見をまとめると、私自身も感じることですけれども、中小企業のオーナーの方は非常に従業員を大切にしていると。何とか中で育ってほしいという思いがあるので、いろいろ育てていく中で、仕事だけではなくてプライベートのところでもこういう制度がちゃんと用意してあって、オフィシャルな部分だけではなくて、プライベートについてもちゃんとケアがあるのだよという辺りの一つのツールになり得るのかなと思います。

 それから、もう一点は、私の経験的な話なのですけれども、DCを入れられた企業さんで、これは小売業というか接客業の企業さんなのですけれども、DCを入れて非常によかったと人事部長さんがおっしゃったことを覚えていまして、社員の方がDCを入れてから自分の人生を自分で考えるようになったし、すごく勉強するようなったと。日経新聞を読むようになったというのですね。そうすると、お客さんともいろいろな経済のことで会話がはずむし、そういう効果もあったよというようなお話をお伺いしたりしました。あるいはDCの投資教育でライフプランセミナーを併せてやりますと、40代、50代の方が、何でもっと早くやってくれなかったんだと、もっと早くこういう話を聞きたかったというような話が出てきたりして、そんなことをまとめて考えると、要は、冒頭申し上げたように、オフィシャルなところだけではなくて、仕事をさせるだけではなくて、こういうプライベートなところでもいろいろ考えているんだよと、会社が従業員のことを思っているという一つのツールになるのかなと、そんなふうに思いました。

 それから、2番目に家族の形なのですけれども、例えば共働きで、夫も奥さんも両方厚生年金に入っていると、結構公的年金の受給金額が上がってくるので、そうなれば私的年金であまり無理した運用をする必要がなくなってくるのかなと。後ろ向きに考えるとそういうことですし、前向きに考えると、最近日本は未来がないとか、最近の学生に聞いても、いや、僕らはあまり将来に明るい思いを抱いていないでんですよと言うのですけれども、公的年金について共働きの場合の年金受給の表示例があれば、もっと手厚い年金給付がベースにあって、さらに私的年金で、バラ色とは言わないですが、もっと明るい未来も考えることができるということが言えてくる可能性があるのかなと個人的に感じましたので、そんなお話をさせていただきました。

 

○森戸部会長

 ありがとうございました。

 上田先生にもし直接お答えいただきたいことがあれば、今いただきたいのですが、プレゼンへのコメントであれば後で大丈夫ですけれども、よろしいですかね。

 では、全体にといいますか、ほかにまだコメント、質問等がある方がいれば、ちゃんと小林委員の質問も覚えていますので御安心ください。ほかの方、御意見、御質問等があれば。

 では、原田委員、お願いします。

 

○原田委員

 御説明ありがとうございました。

 私もちょっと感想めいたことにもなるかなと思うのですけれども、若干DC優勢でDBが劣勢というところもありまして、多少その辺も含めて、お話しさせていただきたいと思います。

 まず、私的年金制度を広めていく、適用率を高めていく、老後の資産を多く積み上げるようにしていくことに対するいろいろな政策誘導等が必要というお話もいただきましたけれども、1つは税制のところで言いますと、いわゆる税制優遇と言われている部分に関して、受け取り側の観点から見ますと、課税されるタイミングが変わるということで、お金を老後に回せるような形になるというのがEETと言われている税金の流れの効果なのかなと思います。

 もらう側からすると、税制優遇というところは、何も税がかからなくなるということではなくて、タイミングが変わるということと、かかる税の種類が変わったり、受け取り方によって課税の方法が変わるということで税額が変わるというのも、それがメリットと言われていることなのかなと思いますので、そこをうまく使って、今のお金を老後に回すというようなこと、それから、増やすことに役立てるような税制優遇措置が必要なのだろうなと思います。

 受け取り方が違うことで有利、不利というところは、非常に私も問題意識を持っているところでございますので、そこの検討は大切だと考えております。

 それから、DCの関係で運用のところ、先ほど上田先生もおっしゃられましたけれども、取崩しとか、運用しながら受け取るというところの研究が大事だというところは、まさにそのとおりかと思いますが、一方で、やはり個人の運用になりますと、受け取るタイミングというのは一時点になってしまう。それを分散することはできない。個別に受け取る回数を増やすことで分散というのはあり得ると思うのですけれども、受け取るタイミングでそのお金については運用期間が終了するという、タイミングのリスクはやはり非常に大きなものがあるのかなと思っております。

 ですので、これはどちらかが必ずしもいいということではないのですけれども、確定給付型で企業がやっているDBの制度等でいきますと、その人に対しての給付のタイミングというのが運用のエンドではなくなるので、そういう時間的なリスクはかなり分散できるということで、非常に有効な手段だと思っております。ですので、うまくそういう制度を組み合わせていくのが非常に大事なのではないかなと思っております。

 長くなるとあれなので、石田先生の御説明の中で1つ、何かアイデアがあればということでお聞きしたいのですけれども、私的年金を拡充するための政策誘導が必要だとコメントされておったと思うのですが、税の優遇ですとか、補助金とかというような形で書いてあったと思うのですが、我々も非常にそこは頭を悩ましているところでございまして、税以外に、そういう政策誘導的な観点で行うアイデアみたいなものがもしあれば教えていただきたいと思います。

 私からは以上でございます。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 では、石田先生、コメントをお願いしてよろしいでしょうか。

 

○石田様

 承知いたしました。

 税の優遇措置というのは、これが受けられる人、受けられない人がいて、私自身が過去の調査で見ましても、やはり企業の規模によって、受ける、受けられないというのは大分違ってきますので、ここら辺のところは非常に大きな問題であると。先ほど谷内委員が言われましたが、これによって税の妥当性ということに非常に大きな問題が出てくるということで、こういった点をしっかり検証することがまず必要だということです。

 それからもう一点は、そうでなければ、あとどういうことが必要なのかということについて言えば、1つはマッチング拠出ですね。マッチング拠出というのは非常に重要でして、企業にとっては、勤めている従業員がちゃんと先のことまで考えている従業員かどうかを見極めることというのがDB、それから段階的に給付率を引き上げていくDCによって可能になるのですね。そうしたときに、そういった従業員を選別して、それに補助していくということは、働く人たち、従業員、加入者の労働生産性を高めることにもつながってくると思うので、こういうマッチングの仕組みを非常に重要視するべきだと私自身は思っています。

 そのマッチングの仕組みを重要視するためには、ある程度、やはり将来、従業員の時間選好率を伸ばすような、きちんとした教育をやっていく。この教育をやる中で一番大事なことは、それぞれの理解度を確かめながら従業員の投資教育等をやっていくことが大事になってくると思います。そういったきめ細かい仕組みをつくっていって、先ほど上田先生も言われていましたが、物に投資をする、DCに加入するということは経済の動きを知るということでもありますので、こういった経済の動きをしっかり知るような従業員を育成する。そして、そういった従業員がマッチング拠出を行ったら、それに対して会社のほうが補助していく。こうすることによって、従業員の人たちの労働生産性は高まっていきますので、これでWin・Winの関係がつくれるのではないかと、私自身はこのように考えております。

 以上でございます。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 石田先生、ちょっと確認なのですけれども、マッチングとおっしゃった場合、今、両方の意味で使っているのでややこしいのですけれども、先生のおっしゃるマッチングというのは、伺っていた感じだと、企業側からする話ですか。労働者が先に投資していて、それに企業がマッチングするというのを今マッチングと言われましたか。それとも逆ですか。

 

○石田様

 私自身が使っているマッチングというのは、以前のマッチングではなくて、前回改正のときに導入されたように、従業員の人がこういう形で将来に備えたいということを考えたときに、企業側が資金を提供するというやり方が、私自身は非常に重要だと思っております。

 

○森戸部会長

 分かりました。ありがとうございます。

 では、金子委員、お願いします。

 

○金子委員

 残り時間の割にはまだ発言されていない方がいらっしゃるので、ちょっと時間を意識しながらコメントをさせていただきたいと思います。

 資料1の2ページ目に今後の検討における主な視点例と書いてありますけれども、それに照らして所感を2つほど述べさせていただいて、あと最後、もし時間がいただけるのだったら、石田先生に1つ御質問させていただきたいなと思います。

 まず、視点例の➀に関することなのですが、日本の私的年金を俯瞰的に眺めますと、こういう言い方もできるかなと思っています。諸外国に比べて受給期の利用率が極めて低いと。受給年齢に相当する人たちの利用率を各国で比較すると、これは多分かなり低くなっているはずだと思っています。これはDBにしても、DCにしても、一時金の選択割合が高いからでして、年金で取り崩している人が少ないからということの単なる言い換えではあるのですけれども、諸外国に比べて受給期の利用率が低いというのを改めて表現してみますと、この時期に関して、諸外国並みの利便性がちゃんと提供できているのかというような観点からの考察も必要性を感じております。

 また、年金制度とは異なる領域である税制の影響で一時金の選択割合が高いという状況を所与として考えますと、私的年金制度としては、加入者が一時金受給後に合理的な行動が行えるように、加入している間に適当な支援をすることはないのかと、そういった必要性も考えられるのではないかと思っております。これはもしかするとこの資料の➂のところにも少し関連することなのかなと思っております。

 2つ目ですけれども、➁の私的年金制度の導入・利用の阻害要因を除去として、制度の分かりやすさ等が挙げられています。確かにiDeCoなんかを考えますと、特に会社員の場合は自分で幾らまで拠出できるのか容易に分かりません。もっと制度を分かりやすく、条件をシンプルにすべきなのですけれども、一方で、私的年金の在り方を考えるに当たって、公平性の観点もかなり重視されているということですので、どうしても制度が複雑になってしまいます。

 そういう条件の下で利用の障害を潰していくためには、個人個人が自分は幾らまでなら利用できるのかということを容易に確認できるようにすることも解決手段の1つだと思います。制度は複雑なのだけれども、自分の分は幾らと分かるようにするということも1つの解決手段だと思っています。

 既に企業型DCに加入している人であれば、加入者サイト等でiDeCoの拠出可能見込額が確認できるようになっていると思います。職場にDBしかない場合ですとか、あるいは職場に年金制度がないような人も簡単にできる手段が必要だと思っています。また、阻害要因としては、申込み手続の煩雑さも挙げられています。この点については、資産所得倍増プランでも、マイナンバーカードの活用も含め事務手続の効率化を図ると挙げられておりますので、これは確実に前に進めていくことが重要なのだろうなと思っております。

 所感は2つなのですけれども、最後に石田先生に御質問したい点が1つございまして、お話の中で、ペイアウトの段階での在り方の課題というのを少し触れていらっしゃったのですけれども、具体的に例えばどんなことを課題として持ってらっしゃるのかなと、改めて御意見を一言いただけたらなと思っております。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 では、石田先生、お願いします。

 

○石田様

 私自身、決して自分の独自のアイデアがあるということではなくて、どちらかといえば諸外国の事例を参考にしているわけですが、例えばドイツやイギリスの事例などを見た場合に、商品性の改革ということが非常に重要でして、商品性の改革は大きく2つの側面があって、一つは元本保証性ということと、それからもう一つは、終身年金化ということが非常に重要になっています。

 ただ、終身年金の場合には、これは確かにトンチン性によって長生きリスクを保障するということになりますが、その間、確定のお金が下りてくるわけで、余裕資金というものがなくなってしまうと、先ほど皆さんが言われているように、高齢になってお金をまた追加投資したいという可能性が閉ざされてしまうという大きな問題があります。さらには、日本の場合にも、最近は多く遺産を残したいという方がいらっしゃいますが、終身年金では、全ての資産を終身年金化してしまうと遺産を残すことができない、こういった問題も出てきています。

 そこで、例えばイギリスの事例などでは、計画引き出しプランというのがあって、これはプログラムド・ウィズドロアルというプランなのですが、定年退職してから一定期間は定額の給付を保障する、ないしは債券を購入することによって債券の利金を毎月受給者に支払う。そして、一定程度の間、この計画引き出しプランで生活を保障してもらった後に、据え置き型の終身年金を購入してもらうというやり方を今取るようになっています。つまり、計画引き出しプラン、プログラムド・ウィズドロアルとライフ・アニュイティー、トンチン性のある終身年金を組み合わせて、そして老後の生活保障を充実させるという方向に、今、イギリスなどでは動いているということがあります。

 ただ、こうした制度は残念ながら今の日本の退職税制ではちょっと難しいので、こういった制度を考える場合には退職税制を大きく変える必要がある。そこが障害になっているかと思います。

 以上でございます。

 

○森戸部会長

 ありがとうございました。

 では、ほかの方から御意見、御質問はいかがでしょうか。

 では、谷内委員。

 

○谷内委員

 質問ではなく、先程の小林委員からのご質問に対する回答をさせていただきます。

 

○森戸部会長

 では、お願いします。

 

○谷内委員

 小林委員からは、在職老齢年金に関する話と専門家の育成のあり方の2点について、コメントとご質問をいただきました。

 まず在職老齢年金について、御賛同いただきありがとうございます。資料3の14ページを御覧いただきますと、在職老齢年金の廃止は、就労延長および公的年金に関する環境整備の施策として述べています。在職老齢年金が就労延長の阻害要因となることは小林委員が述べたとおりですが、さらに公的年金の繰下げ受給を阻害する要因にもなっています。何故なら、在老によって支給停止された部分は繰下げによる増額が反映されない仕組みになっているからです。

 在職老齢年金は、2020年の制度改正の際にも廃止が検討されたものの、結局頓挫したという経緯があります。この時は、在職老齢年金の廃止は金持ち優遇との指摘がありましたが、在職老齢年金でカバーできるのは給与所得の面だけです。株式や土地などの資産を多く保有している真の意味での富裕層には、在職老齢年金は関係が無いわけです。今後は、働きながら公的年金を受ける方が、ごく一部の高所得者ではなく、恐らく広く社会全体に及ぶであろうことを考慮すると、繰下げ受給の選択に不確定な要素を生じさせかねない在職老齢年金は廃止すべきと私は考えます。

 それから、同じく14ページの一番下、相談・助言が可能な専門家の育成というところですが、私自身に何か確固たるアイデアがあるわけではないのですが、まず申し上げておきたいのは、私自身は、WPPをぜひ国策として推進してくれと言うつもりは、じつは毛頭ありません。WPPは、公私の様々な制度の柔軟性を背景に、個々人が様々な制度を活用するという「民間の知恵」であるべきと考えています。老後生活に関する議論では、特定の制度のみを持ち上げて「これが特効薬だ」とする傾向があります。公的年金にしても、批判がいろいろ絶えないのは、これは期待の裏返しですね。エースなのだから抑えてくれて当然、4番なのだから打ってくれて当然と信奉している方が多いがゆえに、現実とのギャップに声を荒げてしまう。その一方で、公的年金を全く無視して、これからは投資だ、資産運用だ、FIREだみたいな主張もあり、どうしても0か1かの両極端に議論が偏りがちです。

 けれども、WPPで申し上げたいのは、「手段は1つだけではない」ということです。公的年金だけでなく私的年金もあるし、私的年金と一口に言っても様々な制度があります。また、投資や資産運用が苦手だったら、働く期間を少し延ばすことで対応するなど、様々なやり方があって、一つの制度に固執しなくてもよいということを、専門家の方々にはもっとアドバイスしてほしいと考えます。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 WPPは非常にいいアイデアだと思って伺っていて、てっきり国策として推し進めろということだと思っていたので、ちょっとはしごを外された感がありますけれども、でも、非常にいい議論ができていると思います。

 ほかの方、御意見いかがでしょうか。

 では、藤澤委員。

 

○藤澤委員

 藤澤です。

 谷内委員に御質問したいと思っています。WPPの考え方は、私もすごく良いと思っていて、たしか20年ぐらい前にとある年金数理人の方から似たような考え方を聞いて、すごく良いと思った印象がございます。野球好きな谷内委員が野球を使ってすごく分かりやすく説明をしていただいて、こういう考え方が世の中に広まってほしいと考えてございます。

 WPPの考え方自体は長生きリスクに対処するものだと思いますが、もう一つ、昨今ちょっと気になっているリスクとして、インフレリスクというか、物価が上昇しているリスクがあると考えてございます。例えばDCで言うと、実質で見たときの拠出限度額が目減りしている状態になっていると思っています。そこに対して、例えば諸外国のようにスライド調整するという考え方もあると思いますが、毎年調整するとやはり事務が大変だったり、周知が大変だったりみたいなところもあって、メリット・デメリットがあると思っています。

 また、元本確保型の運用商品を選んでいる人が多いという話が過去の部会でもございましたが、その実質的な価値が減っている状況になっていると思っています。投資教育はもちろん大事だと思いますが、それだけで本当にいいのかという話があるのかなと。先ほど上田先生の話の中にあったように、4月入社の新卒の人にいきなり運用をやってくれというのは、ちょっと酷な話のような気もするので、例えばデフォルトファンドみたいな形で長期の投資ができるような器をつくってあげるとか、いろいろな施策は考え得ると思っています。

 今回のテーマは公的年金と私的年金の役割だと思ってますが、インフレリスクは、これまでどおり公的年金がカバーするという位置づけでいいのかどうかというところ。私的年金も一定程度、何らかの対処を今後部会で検討したほうがいいのかというところに対して、御意見をお伺いしたいと思います。

 

○森戸部会長

 お願いします。

 

○谷内委員

 ありがとうございます。本件はどちらかというと私的年金の商品性の話だと認識しております。私的年金については、資料3の1ページでも述べたとおり、やはりこの20年、30年の環境変化でなかなか苦戦しています。私は保険会社に所属する身ですが、個人年金保険は、終身年金はおろか確定年金でも売り止めする会社が出てきている状況ですので、社会・経済の環境変化を商品性だけで克服できるのかは、なかなか悩ましいところではあります。特段のアイデアがあるわけではないですけれども、WPPの枠組みでは、特定のエースだの四番打者だのに頼るのではなく、ベンチ入りしている選手をみんな起用するんだという発想が重要です。まず、今インフレに対応した商品ですとか、あるいは石田先生がおっしゃった計画的引き出しのような商品が私的年金等の選択肢として登場すれば、それを中継ぎ陣に加えて起用するというやり方があります。もう一つは、インフレに対しては私的年金等ではなく公的年金や就労延長で対応するという方法です。就労延長、私的年金等、公的年金の三者は対応できる部分とできない部分が当然異なりますので、そこはさまざまな制度でやりくりしてカバーしようというのがWPPの利点だと考えます。

 以上です。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。考えたら、谷内委員は、今日は委員であり報告者の「二刀流」なので(笑)、ちょっとお忙しくてすみません。

 ほかの方、御意見、御質問はいかがでしょうか。

 では、大江さん、お願いします。

 

○大江委員

 大江でございます。よろしくお願いします。

 石田先生に質問なのですけれども、資料の7ページのところで、加入誘因として、租税支出ということでいろいろ挙げられているのですけれども、この中で所得控除、それから税額控除、政府による補助金、先ほど先生がおっしゃったマッチングなどが挙げられているのですが、例えば所得控除と税額控除でどちらの効果が高いとか、そのようなデータというか、結果などをもしお持ちであれば、外国でどういうものの効果が高いのかといったようなことがもしあれば教えていただきたいというのが質問です。

 もう一つは、ちょっとそれに関連しての意見なのですけれども、先ほどの石田先生のマッチングという用語とはちょっと違うのですが、企業型DCのほうでマッチング拠出という制度が現在あります。私が所属しておりますNPO法人で毎年行っている調査で、企業型DC担当者の方から企業規模を問わず、各企業から制度改正要望としてマッチング拠出の事業主掛金以下という制限の撤廃というものが、ほぼ3割以上の会社から挙がっています。マッチング拠出を導入している会社では、8割ぐらいの会社がこれを撤廃してほしいという要望を出しております。この辺りはいろいろな形で企業年金を使っていけるという意味では、今後の改正の中で、ぜひ検討していただきたいなと思っております。

 1つ質問と1つ意見でした。よろしくお願いします。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 では、最初の質問のほうについて、石田先生、よろしいでしょうか。

 

○石田様

 これはハンガリーだったのか、チェコだったのか、私自身も失念してしまって、また調べて分かればお教えしたいのですけれども、この両方の仕組みを設けたときに、どのような効果があるのかということについて、金融機関がアンケートか何かをやっているのですね、それによって、結果的に、やはり税額控除のほうが単純で分かりやすいということです。所得控除のほうが、所得階層などによって若干分かりにくいということで、より簡素な分かりやすい税額控除が望ましいというアンケートがありましたので、また何かあれば情報提供させていただきたいと思っております。

 それから、もう一つ、先ほどの事業主以下の拠出という制限のマッチング拠出については、私自身も改正、撤廃の必要があると強く感じております。

 以上です。

 

○大江委員

 ありがとうございます。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 ほかに御意見、御質問はいかがですか。

 では、冨樫委員、お願いします。

 

○冨樫委員

 まず、資料1の今後の検討における主な視点について、国民の様々な働き方やライフコースの選択に対応した私的年金制度の構築が重要であるという点は、労働組合としても同じ認識です。特に、働き方やライフコースの多様化や転退職の増加に伴い、全ての制度の資産移換が可能になること、つまりは企業年金のポータビリティが拡充することも重要な観点と思います。

 また、この間の法改正により様々前進をしていますが、移換先がDBの場合は、基本的に受入れ可能という規約がないと移換できません。

 実際、受入れ可能な規約を定めていないDBはどの程度あるのか、また、定めていない理由はどうしてなのかなど、調査をした上で、できる限り受入れ可能規約を整備し、さらには義務化などについても、この部会で議論ができればと思います。

 それから、「より多くの国民が私的年金制度を活用することができる環境整備」について、中小企業に対しての企業年金の普及は大変重要だと思いますが、同時に、企業年金を実施している企業の中で、対象となっていない、例えば有期とか短時間のいわゆる非正規の方、こういう方への普及促進が重要と思います。

 現在、法律では、「特定の者について不当に差別的なものでないこと」という要件が定められており、その法令解釈として、職種、勤続期間、年齢、それから本人の希望などにより、一部の従業員をあらかじめ除外することが認められています。しかし労働組合としては、まずは全ての労働者に企業年金制度が適用されるべきではないかと考えます。したがって、企業年金のカバレッジを広げていくことや企業への支援についてもこの部会で御検討いただければと思います。

 それから、谷内委員に質問させてください。この考え方はとても刺激的だったのですが、あらゆる制度を動員するためには、まずは本人が制度を知っていなければならないと思いますが、そういうときに、どのようなタイミングで、自分に対するあらゆる制度を確認したら良いと考えますでしょうか。御教示をお願いいたします。

 

○森戸部会長

 では、質問のところを谷内委員、何かあればお願いします。

 

○谷内委員

 ありがとうございます。現状、自分自身がどのような制度を使えるかを知る機会はなかなかなくて、私自身も特段アイデアがあるわけではないのですが、例えば、現在設置が検討されている金融経済教育推進機構のような公的機関が、既に各業界ごとで業界団体等により実施されている金融教育に横串を刺すことで統一的な取組を図るというのは、1つの方法だと考えます。私も微力ながら、そういった周知・広報に関しては尽力していきたいと考えております。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。

 今、事務局に確認しましたら、残念なお知らせとして延長戦もあり得るというふうに伺いました。ただ、もちろん12時で用事がある方はよろしいです。特に石田先生を12時以降引っ張るのは申し訳ないので、石田先生に今、直接お答えいただきたいことがあれば、どなたかお願いしたいのですが、私は実は1点ありまして、要は私が質問したいだけなのですけれども、石田先生がOECDの資料をお示しになられて、日本はその分岐点にあると。非常に分かりやすいというか、要するに公的年金重視の国と私的年金重視の国とがデータ上ある中で、日本はちょうど真ん中に、日本らしいなという感じも、中途半端な感じが出ていましたけれども、3割ぐらいのところをずっと線が横に這っていましたね。あの図で、まさに分岐点にあると石田先生はおっしゃっていて、そうなのだと思うのですけれども、これはどっちに行くべきか。公的年金をもっと充実しようというのはもちろん難しいのかもしれないのですけれども、日本はどういう方向に行くべきかということ、もしくはどういうファクターによってその方向が決まるのか、もしくは今後どういうファクターがそれに関わってくるのかというところで、もし石田先生に御意見があればお伺いしたいと思ったのですけれども、その点いかがでしょうか。

 

○石田様

 ややアドホックな回答になりますが、先ほど谷内委員から、私的年金で実質価値を維持できるかというお話がありました。アメリカで一時期、保険会社が金融機関などと一緒になって、特殊なGuaranteed・Interest・Contract、GICを導入しまして、実質価値の維持を試みようとしたの。ところが、こうした仕組みがいろいろな運用商品の問題その他によって破綻をしてしまいまして、結果的に十分うまくいっていないのですね。私自身が考えるに、このような様々な金融市場だとか、他の金融機関と連携しながら、私的年金の商品性を改革することができると思いますが、これにはやはり固有のコストとリスクがかかると思っております。

 そうなると、私自身が私的年金に対して批判的なように思われるかもしれませんが、私は一つの解は、イギリスのNESTという組織だと思っています。イギリスのNESTという組織は、イギリスは御承知のように、コントラクトアウトしたり、私的年金のほうにかなりかじを切っている国であって、日本はあまり参考にならないと言われるのですが、実はこの私的年金を育成するために国がNESTという国家的な機関、組織をつくって、そこに予算をつけて、先ほど言ったような新しい商品の改革をやり、さらには実質価値の維持も行い、さらには相談窓口なども一貫して提供している。しかも、国の組織ですから、多くの民間の人は安心して活用ができるということがあります。ですから、もし私的年金のほうにかじを切るということであれば、英国のNESTのような機関をしっかり設立して、その中で私的年金の問題点や課題を補正して、なおかつ情報提供窓口や、相談窓口を充実する。このような覚悟が必要かと思っています。

 以上になります。

 

○森戸部会長

 非常にクリアに御説明いただいてありがとうございました。

 もう12時なので、ここで用事がある方はもう帰っていただいていいのですけれども、とはいえ、俺はまだ、私はまだしゃべっていないという方がいますので、御意見、御質問がある方、お願いします。

 では、小林司委員、すみません。

 

○小林(司)委員

 資料1の今後の検討における主な視点に対するコメントをしたいと思います。

 まずは、DB法、DC法ともに、第1条には「公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与する」という目的があります。この考え方に沿って、公的年金制度との整合性を取りつつ、企業年金・個人年金の在り方の検討をぜひ要望しておきたいと思います。

 その上で、主な視点の➀、「公平かつ中立的に」とありますが、、公的年金制度も働き方に中立的なものにしていくことが必要であり、社会保険のさらなる適用拡大、第3号被保険者の縮小を進めていくべきと考えています。個人年金の仕組みがそれに逆行することのないよう、公的年金制度を十分に踏まえた検討が必要と思っております。

 それから、「より多くの国民が私的年金制度を活用」ということが書かれています。企業年金と個人年金の性格の違いを十分に踏まえて、それぞれの在り方や普及に向けた議論をすべきと思います。退職給付を由来とする企業年金と自助努力の個人年金は、掛金拠出者や性格が異なる中で、企業型DC、個人型DCを確定拠出年金制度として一元的に管理している点は従前から問題意識があるところです。企業年金の個人年金による置き換えなどの懸念からの問題意識として申し述べておきます。

 最後に、検討に当たって受給権保護の視点も必要であると思います。企業年金制度は長期にわたり確実に給付が行われることが重要です。受給権保護の強化の観点で、受給要件や受託者責任、情報開示の明確化などに関して、包括的な法整備が必要と考えております。

 プレゼンテーション、御提案につきましては、石田先生のスライド6で、加入要件を緩和する場合には不十分な年金資産形成・蓄積の危険性という御指摘がございましたし、谷内委員からは、つなぎとしての私的年金制度の説明がありましたが、例えば就職氷河期世代がもう50歳を超えてきており、その方々には中継ぎとなるものがあるのかどうか、そのようなことを議論することも社会保障審議会の役割と思います。

 以上です。

 

○森戸部会長

 コメントありがとうございます。すみません。1.25倍ぐらいでしゃべっていただいて恐縮です。ありがとうございました。

 では、小林由紀子委員、お願いします。その後、渡邊委員にいきます。

 

○小林(由)委員

 ありがとうございます。私からは、今後の議論の進め方について、改めて3点、要望させていただきたいと思います。

 1点目は、本部会での検討課題の設定についてです。今後、本日以降実施される有識者、関係団体からのヒアリング結果も踏まえて、別途検討課題が整理されると認識しています。前々回の部会でも申し上げましたが、本部会では既に2019年に論点が整理され、その中に幾つか継続検討課題があると認識しております。それらの論点についてもきちんと含めていただき、今後の検討課題として整理していただきたいと思います。

 2点目として、本日御説明はありませんでしたが、金融商品取引法等の一部改正に関する法律案の概要に関して要望です。次回御説明いただけるとのことですが、本件については、既に金融庁から改正法案が国会に提出されていると認識しています。改正法案が成立・施行された場合に、企業年金制度の運営や関係者にどのような影響が及ぶのか、次回以降、詳細説明をお願いいたします。

 資料1の中にも、運用機関の選定プロセス等を個別の課題に応じて検討していくと記載されていますが、法改正後の措置について、具体的に何か検討、議論をされていることがあるのであれば、その内容を含めて御説明をいただきたいと考えます。

 最後に3点目ですが、今日も少しお話がありましたが、企業年金に関わる税制についても今後情報の共有をお願いしたいと思います。私的年金制度に関わる税制については、政府の税調で議論されていると認識しています。今後、本部会でも、例えば掛金の拠出限度額等について議論をするに当たっては、税調での議論も参考に行う必要があるのではないかと認識しております。部会として情報・認識を共有する観点で、機会を設けていただくよう御検討をお願いしたいと思います。

 以上です。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。今おっしゃった点は事務局のほうに改めて私からも検討をお願いしたいと思います。

 では、渡邊代理、お願いします。

 

○渡邊部会長代理

 お時間超過しているところを申し訳ございません。私のほうから3点ほどコメントさせていただきたいと思います。コメントの内容としては、私的年金制度に関する今後の検討の視点といったようなところからです。

 先ほども御指摘のあったところなのですが、私的年金制度と一くくりにしておりますが、私的年金制度の中での企業年金と個人年金の位置づけの整理というのが、やはり必要なのではないかと思っております。どちらも高齢期の生活を保障するといったような機能を果たしている点では共通しているといえるかと思いますが、以前からも御指摘がありますように、企業年金は退職金由来のものであると、個人年金のほうは個人の自助努力だといったような性格づけといいますか、性格の違いがあると。そういった点に関して、やはりきちんと整理をしてから議論を進める必要があるのではないかと思っております。

 2点目としましては、今現在の議論の視点というのが、どうもやはり私的年金の普及促進に偏っているといったような感が否めません。私的年金の普及促進が不十分だといった点からしては、そういった普及促進のほうに力点が置かれるのはやむを得ないかとも思うのですが、特に確定拠出型年金の普及促進を図るといった上からは、先ほどの御意見の中にもあったのですが、やはり運用の失敗などもあり得るだろうと。必ず成功するとは限りませんと。その場合に、何の手だても講じないままでいいのか。そういう失敗がないように何らかの想定をして、手だてを最初に考えておくべきなのかどうか。そういった点も含めて、受給の段階の議論もきちんとしておくべき必要があるのではないかと思っております。

 最後の点なのですが、こちらも委員の御意見の中にあったかと思うのですが、谷内委員の御説明が典型的なのですが、先ほどの継投型と言われるような仕組みを考えようといった場合、公的年金制度の現行制度の在り方が前提となっていると。そうしますと、公的年金制度、例えば支給開始年齢というものが動きます、繰下げ受給の在り方が変わりますといったようなときに、継投型の在り方も変わってしまうだろうというようなことが想定されますので、公的年金の在り方と、継続的にといいますか、公的年金と私的年金を総合的に議論していく必要があるのだと思いました。

 私からは以上です。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。それぞれの点、まさに政策的にこれから議論しなければいけない点だというふうに、ごもっともな御指摘だったと思います。ありがとうございます。

 ほかにまだ御質問、御意見のある方がいらっしゃると思うのですが、いかがでしょうか。

 では、オブザーバーの鮫島理事長。

 

○鮫島オブザーバー

 鮫島です。

 先ほど小林由紀子委員から2点目にお話のあった点について、私どもからも1点お願いをしたいと思っておりまして、金融商品取引法等の一部改正案、顧客本位の業務運営という点についてであります。私どもの会員である企業年金関係者からは、この改正案の規定によって新たな規制等が課せられるのではないかという不安の声が結構強く寄せられております。今後また次回以降御説明いただけるということですけれども、その際には、この法律の規定が創設された場合、厚生労働省として企業年金に新たに義務を追加する、あるいは新たなガイドラインを制定するといったことをお考えなのかどうか、その点についてもぜひお考えを伺いたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。その点は私からも重ねてお願いしたいと思います。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

 実は、谷内委員には、あまり委員としては今日はしゃべってもらっていなくて、結局ピッチャー(報告者)だけさせた感じで申し訳ないのですけれども、よろしいですか。

 

○谷内委員

 じゃあ、打ちます(笑)。

 

○森戸部会長

 すみません。余計な球を投げてしまいました。

 

○谷内委員

 では、石田先生の発表についてコメントします。資料2の3ページ「公私年金の関係性の考え方」です。WPPについては、W以外すなわち公的年金と私的年金はどちらもPでありPが2つ重なっている、もうちょっとネーミングを考えたほうがいいのではないかという御指摘も受けるのですけれども、そもそもは公的年金と私的年金の役割分担に関する考察からこの発想に至ったので、そこはご容赦いただきたいところです。さて、3ページの下段の「時間的リスク分散効果の発揮」というところですが、私はここに記載されている公的年金と私的年金の違いが結構重要だと考えています。財政方式に関する議論では、賦課方式と積立方式が対立的に取り上げられますが、賦課方式をやるためには保険料を徴収するための強制力を伴わないと機能しないため、私的年金は基本的には積立方式しか採用し得ないという面があります。公的年金も積立方式に移行すべきだという主張がありますが、財政方式における役割分担あるいはリスク分担を図る観点からは、私的年金は積立方式しか実施できない以上は、やはり公的年金は賦課方式とすることで私的年金との役割分担を図る方が機能的ではないかと、石田先生の資料を見て思い至った次第です。この点について、石田先生の見解をお聞かせいただければと思います。

 

○森戸部会長

 では、石田先生、もしあれば。

 

○石田様

 御質問ありがとうございます。簡単にお答えしますが、実はこれは積立式と賦課式ということよりは、時間分散効果については、給付率固定型か、保険料水準固定型か、こちらの方が非常に大事になってきます。昨今の改正によって、賦課式年金というのも実は保険料水準固定型になっているので、やや疑似積立て的になっているという要素はあるかと思います。

 一方で、今度は私的年金について任意加入と言っていますが、国が企業年金・私的年金を併せて私的年金として、それを管理するような機関をつくった場合には、必ずしも積立てだけではなくて、やや賦課的な要素も出てくるかなと思っていまして、そうなってくると、この両者というのは、新たな意味で接合できる、こういった可能性もあるかとは思っています。

 ただ、いずれにしましても、こういった財政方式が異なるものを組み合わせる。実はもっとはっきり言いますと、国の年金の場合には内部収益率というもので資金を運用していて、私的年金の場合には市場収益率で運用しておりますので、この異なる収益率を組み合わせることが実は一番時間的リスク分散効果ということにつながってまいります。

 本当はここだけで長い間お話ができる内容なのですが、谷内委員からの御質問に答えさせていただきました。

 以上でございます。

 

○森戸部会長

 ありがとうございます。すみません。時間も超過しているのに、ありがとうございました。

 本当に本当に時間になってきましたので、まだまだ御意見も御質問もあると思うのですが、この辺でよろしいですかね。15分も大延長戦になってしまいまして大変申し訳ありませんが、一応予定の時間を大分超えましたので、本日の議事を終了したいと思います。

 今日は石田先生、谷内委員、それから上田先生はもういらっしゃいませんが、本当にありがとうございました。

 いろいろ皆さんからの御質問もそうですけれども、これからの議論に係る論点の御指摘、それから御要望、特に金融庁の提出した法案に関してもいろいろいただきましたので、事務局のほうでもちゃんと検討していただきたいと、よろしくお願いいたします。

 では、今後の予定について、事務局からお願いいたします。

 

○大竹企業年金・個人年金課長

 次回の議題、開催日程については、追って御連絡をさせていただきますけれども、またヒアリングということで予定をしております。よろしくお願いします。

 

○森戸部会長

 ありがとうございました。

 15分ほど超過してしまいましたが、一応これで、第21回「企業年金・個人年金部会」を終了いたしたいと思います。御多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございました。