第27回 社会保障審議会企業年金・個人年金部会 議事録
日時
令和5年9月25日(月)16:00~18:37
場所
AP新橋 4階D+Eルーム
出席者
森戸部会長
渡邊部会長代理(オンライン) 岩城委員 大江委員 小林(司)委員(本多代理人) 小林(由)委員(清家代理人)
小林(洋)委員
島村委員 谷内委員 冨樫委員
原田委員 藤澤委員(オンライン)
山口委員(オンライン)
(オブザーバー)
鮫島企業年金連合会理事長
松下国民年金基金連合会理事長
議題
私的年金制度の普及・促進について
議事
議事内容
○森戸部会長
皆さん、こんにちは。
定刻になりましたので、ただいまより第27回「社会保障審議会企業年金・個人年金部会」を開催いたします。
お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。
本日ですが、藤澤委員、山口委員、渡邊部会長代理については、オンラインにて御参加いただいております。
また、小林(司)委員、小林(由紀子)委員から御欠席との御連絡をいただいております。
御欠席の小林(司)委員の代理として日本労働組合総連合会の本多様、小林(由紀子)委員の代理として日本経済団体連合会の清家様に御出席いただいております。
御出席いただきました委員の方が3分の1を超えていますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
それでは、早速、議事に入らせていただきたいと思いますが、まずは、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○大竹企業年金・個人年金課長
資料の確認をさせていただきます。
本日の資料でございますけれども、資料1「私的年金制度の普及・促進について」、また、参考資料を3つつけておりますけれども、参考資料1「今後の検討における主な視点」、参考資料2「ヒアリング等における主な意見について」、参考資料3として「企業年金・個人年金部会委員名簿」となっております。
以上でございます。
○森戸部会長
ありがとうございます。
それでは、議題に入りたいと思います。
カメラの方、もし、いらっしゃいましたら、ここで退室をお願いいたします。
本日は、「私的年金制度の普及・促進について」を議題といたします。
まずは、事務局から説明をお願いいたします。
○大竹企業年金・個人年金課長
資料1に基づいて御説明をさせていただきます。かいつまんでの説明となりますことを御容赦いただければと思います。
こちらは、ヒアリングで出された御意見を踏まえ視点を3つに分けて議論を進めていくことにしておりますけれども、本日は、視点2ということで、「私的年金制度の普及・促進について」でございます。内容として5つパートがございますけれども、1つ目として「iDeCoの手続簡素化・効率化」及び「iDeCo+の導入推進関係」、2つ目として「DB、DCの加入促進策」、3つ目として「周知・広報」、4つ目として「見える化」、5つ目が「ポータビリティ拡充」ということで、5つのパートごとに準備をしております。
まず、1つ目の「iDeCoの手続簡素化・効率化」及び「iDeCo+の導入促進関係」です。
資料3ページ目をお開きください。
「本日御議論いただきたい点」といたしまして御準備しておりますけれども、「iDeCoの手続簡素化・効率化」に関しましては、未加入者の方の加入を促進するための手続面での対応、また、利便性向上のための手続面での対応ということ。また、事務の効率化、また、オンライン化手続簡素化に当たって留意すべき事項などについて、御議論いただければと考えております。
また、iDeCo+につきましては、中小企業における雇用者の資産形成支援のため、制度・手続面での対応、どのようなことを考えられるか。また、中小事業主の対象範囲などについて議論いただければと考えております。
続いて、4ページ目でございます。
「資産所得倍増プラン」における記述ということで、こちらは柱の1つとして、マル3「iDeCoの手続きの簡素化」について記載がされております。
資料の5ページ目でございます。
同じく「資産所得倍増プラン」でございますけれども、柱があるうちの4つ目の柱といたしまして、「雇用者に対する資産形成の強化」ということで、企業による資産形成の支援強化ということで、中小企業においても、企業型確定拠出年金、iDeCoが広がるように、これらの制度の普及に取り組むとともに、必要な支援について検討を行うとされているところでございます。
これを踏まえて、6ページ目です。
今後の対応といたしまして、「iDeCoの手続きの簡素化」につきまして、6ページ目一番下の枠になりますけれども、令和6年12月から、事業主証明書及び年1回の現況確認を廃止することに併せまして、さらなる簡素化・デジタル化に取り組んでいくことにしております。
続いて、7ページ目です。
こちらも同じく、昨年12月の部会資料でございますけれども、「企業による資産形成の支援強化」という部分につきましては、具体的な周知・広報の取組についての検討を速やかに実施するとともに、令和2年改正時の附則において規定されている中小企業主の範囲等についても、次期年金制度改正に向けて検討を行っていくということにしております。
続いて、8ページ目です。
「デジタル社会の実現に向けた重点計画」において、デジタル化全体の大きな絵を政府全体の方針として決めているものです。我が国が目指すデジタル社会といたしまして、デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会を目指しております。幾つか原則を定めています。その中に、デジタル完結があり、それを踏まえたものとして、一番下の枠の中になりますけれども、行政手続のデジタル完結の推進ということで、赤字にしておりますけれども、各府省庁は、上記の方針に基づき、集中改革期間の終期に当たる2025年度(令和7年度)までに手続のデジタル化を行うこととするとしておりまして、この令和7年度までにというのが一つの大きな目標としてあるということでございます。
続いて、9ページ目です。
こちらは令和元年に取りまとめました、こちらの部会における議論の整理です。制度の普及等に向けた改善ということで、iDeCoの加入要件緩和やその他の改善ということで記載をしております。これを踏まえて取組を進めてきております。
続いて、10ページ目です。
「iDeCoの加入者数の推移」ということで、2022年度末で290万人、また、今年の7月末で300万人を突破しております。
続いて、11ページ目が、iDeCoプラスの加入者状況ということで、令和2年10月1日より対象者の範囲を拡大しているというところがございますけれども、ここでの内容を踏まえて、対象者数、また、実施事業主数等が伸びてきております。
続いて、12ページ目です。
「iDeCoの口座未開設等理由」ということで、複数回答ということでいただいております。これは、年によっていろいろ変動もあるというところはございますけれども、投資に回すお金がないからとか、元本保証されないからとか、制度の内容を知らないから、こういった内容もございますけれども、赤枠書いてございますけれども、手続が煩雑で面倒だからという理由も一定割合存在しております。
一方で一番右、特に理由はないというところもございますので、こういった点も含めて、対応を考えていく必要はあるということかと考えております。
続いて、13ページ目です。
iDeCoの関係届出ということですけれども、こちらは国民年金基金連合会から、民間の金融機関等、いわゆる運営管理機関に委託をしているというところが1つポイントなのだろうということかと考えています。様々な関係者がいらっしゃるということになります。
また、3つ目に書いておりますけれども、第2号加入者の場合については、別途、勤務先の証明書の作成を依頼する必要があるというところで、ここが1つ、デジタル化の中でちょっと課題になってきているというところかと考えております。
続いて、14ページ目です。
iDeCo+の導入手続ですけれども、拠出対象者や拠出額について、労使合意を得る必要があるということがありますし、また、拠出対象者本人の同意も当然必要になるということで、そういったものに関する届出書類を提出していただく必要があるということです。
また、就業規則などの社内規程も見直す必要があるということで、一定の時間を要するということですし、手続もある程度必要かという形になります。
15ページ目です。
その事務負担ですけれども、様々な届出を紙で提出する必要があるというところがあって、事務負担が大きいということがありますし、一定の改善を行っておりますけれども、その加入者全員についていろいろExcelファイルを掲載するなどの対応をして行ってきておりますが、一定の事務負担が生じているということです。
もう少し具体的に言いますと、16ページ目になりますけれども、「iDeCo+を開始する際に必要な提出書類」ということで、原則、全ての書類を紙で出していただく。また、国民基金年金連合会と地方厚生局用ということで、2部作成いただいているというところです。このあたりの事務負担をどう考えるかというところかと考えております。
続いて、17ページ目です。「iDeCo、iDeCo+関係届出書の処理状況」ということで、加入者が伸びているということですので、処理件数も伸びているということです。
続いて、18ページ目ですけれども、昨年の10月から企業年金プラットフォームが稼働してきているということです。これによりまして様々な情報連携などが進んでいくということですけれども、来年12月からは、DBも含めた形で企業年金プラットフォームより情報共有が行われるという形になります。この仕組みを構築することで、加入時、また、転職時の事業主証明書、また、年1回の現況確認を廃止することを予定しているということです。
続いて、19ページ目です。
「iDeCoの加入申込み等のオンライン化」ということで、iDeCoについて、加入申込や変更についてオンライン化を進めているということです。こちら2つ目の○にございますけれども、運営管理機関ごとに幾つかの選択をしていただくという形になっております。
そういったわけで、幾つか赤で課題として追加をしておりますけれども、右上から見ていきますと、対応するかどうかというところを運営管理機関で選択をするという仕組みになっておりますので、ここの選択の可否によってどの程度紙届出が減るかというところも左右されているというところがまずあります。
また、2つ目真ん中の課題ということですけれども、対象手続が限定されているのではないかというところです。
あとは3つ目ですけれども、証明書が必要なところがあるというところですけれども、こちらについては、先ほど申し上げたとおり、プラットフォームの活用によっておおむね解消が見込まれるのではないかということです。
続いて、20ページ目。こちらは(参考)ということで、国基連の皆様方における事務効率化の取組ということで、5月に提出していただいた資料です。オンライン化の取組を順次進めているというところで、30の運営管理機関、加入者のシェアでいくとかなりの割合ですけれども、実施済みです。その他の帳票等についてもオンライン化の取組を進めてきております。
続いて、21ページ目。こちらも(参考)でございますけれども、事業経費の状況ということで、こちらも5月に提出させていただいた資料です。収入は、主には手数料収入です。加入者の増加によって収入も増えていくというところもありますけれども、支出も増えていく。また、こちらは国からの要請で、法改正に伴うシステム開発や、先ほど申し上げたデジタル化といったものへの対応をお願いしているという状況です。
22ページ目ですけれども、こちらは本年10月末リリース予定ということで、マイナンバーカードを利用した控除証明書等の電子送付を予定しているということの御紹介です。
23ページ目です。
こちらも(参考)ですけれども、「マイナンバーカードの申請・交付・保有状況等」ということで、マイナンバーカード、様々な御議論もいただいておりますけれども、人口の7割超に普及しているということです。
また、右側、その申請状況なども御紹介しておりますけれども、右下のとおり、スマートフォン搭載も可能になってきているということですので、そういった形で徐々に浸透、身近なものになりつつあるということかと考えております。
続いて、24ページ目ですけれども、iDeCo+の対象範囲ということで、現在の要件、300人以下ですけれども、この時点で、事業所数ベースで99.4%、また、厚生年金の被保険者ベースで55.4%の対象をカバーしているということです。
続いて、25ページ目です。
iDeCo+の実施事業所の状況ということで、1か所当たりの加入者数は平均6人程度、また、実施事業所のおよそ6割が加入者4人以下という状況になっているということです。この辺りの拡大をどう進めていくかというところも課題なのだろうかと考えております。
続いて、2つ目ですけれども、「加入促進に資するDB・企業型DCの制度見直し」です。こちらの27ページ目、本日御議論いただきたい点といたしまして、加入促進に資するDB・DC制度の見直しということで、実施事業主を増やすため、どのような制度・手続面での対応が考えられるのか。また、企業内での企業年金の対象者を拡大するための対応、また、中小企業向けのDB・DC制度の在り方など、こういった点を御議論いただければと考えております。
28ページ目です。
「企業年金の実施状況」ということで、こちらは何度か提出させていただいている資料です。厚生労働省「就労条件総合調査」を基に作成ということで、こちらは近いうちに直近の数字が出るということかと思いますので、その数字が出次第、またリバイスしたものを提供させていただければと考えております。
続いて29ページ目、こちらも同じくこれまで出させていただいている資料ですけれども、従業員規模の小さいほど退職年金制度の実施割合が低いと、そういった資料となっております。
続いて、30ページ目も同じく、これまでの資料ですけれども、従業員規模が小さいと企業年金の実施割合は低くなる傾向にあるということです。
続いて、31ページ目です。
企業内での実施状況ということで、非正規雇用労働者における企業年金・退職金制度の適用状況ということで、非正規雇用労働者の方については、適用割合が低いという状況です。
続いて、32ページ目。こちらはDBの規約数の推移で、徐々にDCへの移行等によって減少傾向にあるということです。
続いて、33ページ目。企業型DCの規約数の推移で、こちらは毎年増加しているということです。
また、34ページ目ですけれども、企業年金の加入者数の推移ということで、今申し上げたとおり、DBからDCへの移行もございますけれども、一方でDBの加入者は引き続き多いということです。
続いて、35ページ目で、中小企業向けの制度(簡易型DC・iDeCoプラス)で、こちらは前回の改正で対象人数を拡大しているということがございます。そのご紹介ということでございます。
36ページ目ですけれども、こちらは、先ほど非正規労働者という話がございましたけれども、同一労働同一賃金のガイドラインがございます。そういったものの基本的な考え方を踏まえた取扱いがなされるべきということを、企業年金の加入者の資格においては考えていただくことを、我々としても、法令解釈通知などで周知を図ってきているということです。
続いて、37ページ目。こちらは(参考)でございまして、同一労働同一賃金に関する説明、あと、ガイドラインの御紹介です。
続いて、38ページ目です。
「確定給付企業年金の導入の障害」で、こちらも導入のあるいは実施中の課題・問題についてお尋ねしたところ、財政的な負担について、手続上の負担が挙げられているということです。
39ページ目。DCについてですけれども、こちらについても、導入の障害あるいは実施中の問題についてお尋ねしたところ、財政的負担と、あとは投資教育の負担、手続上の負担が挙げられているということです。
続いて、40ページ目です。
「企業型確定拠出年金の導入手続」で、こちらは労使で御議論いただく必要があるというところもございますけれども、導入の意思決定から各種手続で1年程度を要するということです。
41ページ目ですけれども、「企業型DCを設立する際に必要な提出書類」ということで、こちらに挙げておりますけれども、こういった書類を検討していただいて、申請を行っていただく必要があるということです。
42ページ目です。
中小企業向けの普及に向けた取組で、DB、DCそれぞれ中小企業が取り組みやすいような支援策を実施しているということで、次ページ以降御紹介いたしますけれども、4つ仕組みがあるということです。
まず、43ページ目ですけれども、「受託保証型確定給付企業年金」ということで、保険契約によって積立不足が発生しないことが確実に見込まれるDBにつきましては、簡便な方法による数理計算が認められている。あるいは、手続面での簡素化が図られているということでして、今年3月末時点で491件の導入実績があるということです。
続いて、44ページ目。「簡易な基準に基づく確定給付企業年金」ということで、加入者の数が500人に満たない確定給付企業年金につきましては、掛金計算や財政検証において簡便な方法による数理計算が認められているということで、こちらも2023年3月末時点で3,695件の導入実績があるということです。
続いて、45ページ目です。
「簡易型DC制度」で、設立条件を一定程度パッケージ化した仕組みで導入がなされているということです。こちらについては、導入実績がないということですけれども、その理由としまして、対象となる規模が小さ過ぎて、特に中小企業退職金救済制度とのすみ分けが不十分だとか、対象者が第2号被保険者全員とされているというところで、役員等を対象外としたいというニーズに対応できないといった指摘をいただいているということです。
続いて、46ページ目。「総合型企業年金基金」です。こちらは総合型ということで、徐々に近年数が増えてきているということです。複数の事業者が共同して実施をする仕組みです。
続いて47ページ目。いわゆる中退共と言われている仕組みの普及状況ということで、中小企業において、退職給付制度として中退共は既に普及しているということです。
48ページ目は、そちらの概要で、掛金であったり、その実施状況、また、国からの助成があるというところを御説明しています。
続いて、49ページ目です。
DBとDCの中途引き出しの考え方ということで、DCにつきましては、原則として、60歳到達前の中途引き出しは認められていない一方で、DBについては、支給開始時期到達前に退職時にも支給される仕組みになっているということです。
この点について、転職が一般化している中で、確実な老後の給付につながっているのかというような御指摘もいただいております。一方で、こちらの部会でも御議論いただきましたけれども、DBはこれまでの経緯があってとか、退職金由来の仕組みであるというところもございます。その自由度を狭めるような形が適切なのかというところもございますし、DBとDCの整合性を取るというよりは、あくまでも老後の所得を確保していくという中で、いかにこの両制度をある意味併せつつ、その目的を達成していくべきかというところの、そういう観点からの議論も必要なのではないかという御議論をいただいているというところです。これは、また、後ほど御紹介させていただきます。
50ページ目です。
「DCの脱退一時金について」ということで、どのような場合に脱退する中途引き出しのようなものができるのかというところですけれども、極めて限定的というか、例外的な措置として、脱退一時金の支給を受けることができるという仕組みになっているということです。
続いて、51ページ目、また、52ページ目です。
先ほど御紹介したDBとDCの中途引き出しの点につきまして、両者の整合性を確保することだけではなく、全体として考えていくべきだというところを51ページ目に記載されているところです。
また、52ページ目ですけれども、こちらも令和元年12月の議論の整理ですけれども、中途引き出しにつきましては、老後の所得保障を図る観点からという面もありつつ、一方で企業年金、退職金給付由来であるということであったり、影響の大きさ、制度の柔軟さが損なわれる、そういうところを十分考慮する必要があるという御意見をいただいております。
続いて、53ページ目です。
「イギリスにおける自動加入制度」ということで、これまでもイギリスのような仕組みをという御指摘もいただいておりますけれども、イギリスにおける制度創設の経緯ということで、1階建ての年金制度が基本的には適用されているという中で、2階建て部分として、こういった新たな年金スキームが導入されているということです。このあたりの年金制度の立てつけの違いというものが大事なのだろうということかと考えております。
続いて、3つ目になりますけれども、「周知・広報」の関係です。
55ページ目です。
本日御議論いただきたい点といたしましては、周知・広報を行うべき内容・対象、効果的な手法ということです。
56ページ目です。
広報の取組ということで、現在、厚生労働省、国民年金基金連合会、企業年金連合会、運営管理機関、関係団体、こういったところで連携して、普及推進に向けて様々な取組、周知・広報を行っているということです。
続いて、57ページ目ですけれども、例えば、制度の周知に関するチラシということで申し上げれば、こういったものを作成して、配布をしているということです。
また、58ページ目ですけれども、iDeCoの公式サイトなどで様々なコンテンツを準備しているということがございますし、ポスター、パンフレット、導入ガイド等も準備しているということです。
59ページ目です。
セミナーを開催したり、公式SNS等の周知・広報を行っているということです。
60ページ目です。
こちらもその続きでございますけれども、金融広報中央委員会であったり、その他様々な機会において、周知・広報を行っているということです。こちらにつきましては、年金制度の一部という意味での周知・広報という面もあるでしょうし、今後という意味では、金融経済教育だとか、そういった全体の中で、「NISA」等、そういった投資教育の一環として、あるいは併せてという面も大事なのだろうと考えております。
続いて、「個人の年金状況の見える化」です。62ページ目が本日御議論いただきたい点です。
2つございますけれども、見える化と言ったときに様々な意味があるのだろうと考えております。1つ目がiDeCoの拠出可能額をしっかりと見える化する必要があるのではないかということで、それぞれの加入状況に応じた見える化、すべき内容、ターゲット層、また、その効果的な手法等があるということかと思います。
また、2つ目は、それぞれの年金資産であったり、給付の見込額、こういったものを見える化する必要があるのではないかということで、それぞれの制度趣旨・性質に応じた見える化の在り方であったり、その効果的な手法などを考える必要があるのではないかということです。
そういったわけで、まず、iDeCoの拠出可能額の見える化ということでございますけれども、64ページ目です。こちらは現在の拠出限度額と、また、来年12月からその限度額が変更されて、上限が引き上げられるということがございます。このような変更も踏まえつつ、それぞれの異なる上限を、それぞれの対象者の方にお知らせをしていく必要があるということかと考えております。
続いて、65ページ目ですけれども、こういう制度の議論をする場ですと、総枠といいますか、制度の大枠をお示しする必要があるということで、こういった資料を使って御説明をさせていただくことになるわけですけれども、それぞれの個人の方に御説明するという中では、この表を見てもなかなか分かりづらいところがあるのだろうということかと考えております。
そういったわけで、66ページ目になりますけれども、周知・広報を行っていく際には、iDeCoの公式サイトなどでは、属性に応じ、どういう加入状況なのかということを踏まえて、あなたの上限は幾らですというところをお示ししていくことになるかと思いますけれども、こういった形で極力その方に応じた限度額をいかに効率的にお知らせしていくのかということが大事なのだろうということかと考えております。
67ページ目ですけれども、事業主あるいは基金等における取組ということで、こちらも様々な資料、チラシなどをつくって、周知・広報を行っているということです。
68ページ目です。
御自身のiDeCoの拠出限度額につきましては、それぞれの加入状況・種別に応じて、自ら御確認いただくことになります。特に2号の被保険者の方につきましては、RKのほうで、加入者専用サイトなどで状況をお示ししているということがございます。こういったものを活用いただきながら、御自身の拠出限度額を確認していただくことが大事なのだろうと。特に上限が人によって異なるということにつきましては、御確認をいただく必要があるだろうと考えております。
69ページ目です。
「RKのサイトにおける拠出可能見込額の表示」ということで、それぞれのRKの皆様方に拠出の見込額を示していただいているということです。この点も、少し場所が分かりづらいとか、そういった御指摘をいただくこともございましたけれども、それぞれ工夫をしていただいて、見えやすくするなどの工夫もしていただいております。
続いて、見える化の関係で、年金資産や給付見込み額の見える化です。
71ページ目です。
「各制度における見える化の状況」ですけれども、それぞれの制度ごとに取組をしておるということですけれども、制度ごとの年金資産額・給付額を確認することは可能であるということですけれども、トータルで捉えることができるかというと、必ずしもそういった仕組みにはなってないということで、その点につきましては、各金融機関、あるいはフィンテック企業等において提供していただいております。
一方で、セキュリティ的に適当かどうか不明というものもあったりしますので、公的機関なり、国で全ての情報を管理するようなものが適切なのかどうかというところもあるのだろうと考えております。
続いて、72ページ目です。
「確定拠出年金の見える化の状況」ということで、年に1回以上という形にしておりますけれども、運営管理機関の加入者専用ページで常時確認が可能になっているということです。
続いて、73ページ目です。
「iDeCoの見える化の状況」ということで、iDeCoの公式サイトにおいて、様々な情報を入力していただくと、積立の総額などが表示されるシミュレーション機能を提供しているということです。
74ページ目ですけれども、確定給付の関係となりますと、こちらは各企業における取組ということですけれども、各企業年金や退職金の状況を個人別に通知している例もあるということです。こういったものもある意味参考にするとか、横展開できないかというところもあるということかと考えております。
続いて、75ページ目です。
国民年金基金の関係で、こちらにつきましても、掛金納付結果通知書において受取予定年金額を表示しているということもございますし、加入勧奨の観点から、加入を検討されている方に向けてシミュレーション機能も提供しているということです。
76ページ目以降、「公的年金の情報提供の現状」ということで、ねんきん定期便や、ねんきんネットで、加入実績、今後の収入見込みなどに応じた年金額の見込みを提供しているということです。
具体的には、77ページ目になりますけれども、「公的年金シミュレーター」、こちら力を入れてやっているというところもございますけれども、令和5年、今年の1月からはプログラムを民間事業者にも公開をして、さらに広げていくという取組を進めているということです。
78ページ目です。「公的年金シミュレーターの概要」で、こういったことができるということを(参考)としてお示しをしているところです。
79ページ目です。この公的年金シミュレーターの特徴ということで、操作性、見やすさなどに配慮しているということです。
こういった取組を踏まえまして、80ページ目ですけれども、利用状況については、順調に伸びてきているということです。
また、81ページ目ですけれども、この公的年金シミュレーターのプログラムについては公開をしているということです。
最後に、「ポータビリティの拡充」の関係です。
83ページ目です。本日御議論いただきたい点ですけれども、ポータビリティの現状・実態についてというところ、また、ポータビリティの拡充を検討するに当たって必要な論点・課題。また、DCにおける商品の現物移換など、こういった点です。
84ページ目です。
「年金資産の持ち運び(ポータビリティ)」ということで、こちらにつきましては、これまで順次取組を進めてきたということで、制度間の資産移換を拡大してきたという経緯があります。
85ページ目ですけれども、平成28年の法改正で、ライフコースの多様化への対応ということで、DCからDB等への年金資産の持ち運びを拡充していこうということです。
また、86ページ目ですけれども、令和2年の制度改正において、通算企業年金への移換等も含めて拡充がなされているということです。
また、87ページ目です。
「中小企業退職金共済制度と年金資産の持ち運び」ということで、こちらも合併等を行った事業主が中小企業である場合等、ある意味限られた場合ですけれども、資産移換が可能になってきているということです。
88ページ目になりますけれども、このポータビリティの関係につきましては、退職金制度と企業年金制度、それぞれ異なる趣旨・目的の下で設立をされて、また、制度固有の考え方に基づいて、制度上の優遇措置が講じられているということがあります。そういう各制度の社会的役割を十分踏まえた上で、制度の在り方を検討していく必要があるとされているというところです。
最後は89ページ目になります。
商品の現物移換の関係ということです。こちらにつきましてはニーズも多いところではございますけれども、法令上は、商品の現物移換は妨げてはいないというところです。この辺り、現実的な対応策といったものが考えられるかというところを今後議論していく必要があるということかと考えております。
かいつまんでの説明となりまして、恐縮でございますけれども、資料の説明は以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
ただいま御説明のありました資料について、議論に入りたいと思います。本日の議題である視点2について御議論いただきたい点、資料の中に適宜示されておりましたけれども、多岐にわたっておりますので、横断的な議論も含めて、論点ごとに区切らずに、前回と同じ方式ですけれども、全体まとめて御議論いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、委員の皆様から、御質問・御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
谷内委員、お願いします。
○谷内委員
私からは3点コメントをします。
まず、DBと企業型DCにおける中堅・中小企業向けの取組についてです。資料1の42ページ以降で現状について記載されています。しかし、iDeCoやiDeCo+については手続の見直しについて割と具体的に示されているのですが、手続の見直しはDBや企業型DCについても進めていくのかどうか、資料からいまいち読み取れなかったのですが、方向性はiDeCoと同様に見直しを進めると認識してよろしいのかどうかお伺いします。
2点目です。DBもDCも手続面の見直しなど対応すべき点は色々あるのですが、各制度の個別具体的な課題の解消と並行して、私はポータビリティの拡充をもっと推進すべきという意見をかねてより述べています。ポータビリティについては資料1の83ページ以降にも記載されていますが、特に87ページにも書かれている中退共や、さらに言いますと退職一時金もポータビリティの枠組みの中に入れるべきと考えています。
何故かと言いますと、資料1の29ページに記載の通り、企業年金の実施状況を見ると、中堅・中小企業では企業年金の導入割合はさほど高くない一方で、退職一時金制度は中堅・中小企業でも広く導入されている実態がうかがえます。退職一時金の中には恐らく中退共も含まれており、退職一時金や中退共をポータビリティの枠組みに含めることは、回り回って、中堅・中小企業における企業年金の普及拡大にも資するのではないかと考えます。なお、退職一時金については、他制度からの資産を受け入れるのは技術上難しく、おそらく他制度へ資産を移すだけの一方通行になろうかと思いますが、ポータビリティの拡大は是非検討いただきたいと考えます。これが2点目です。
そして、最後に3点目です。資料1の最後のページに記載の、DCにおける現物移換の話です。DCの資産は、運管を変更するにしても、一旦現金化しなければならないという慣習があります。一方、確定給付企業年金では、運用商品の入れ替えや総幹事の交代の際は現物移換が可能ですので、DCでもDBと同様に現物移換を可能とすべきと考えます。現物移換ができないと、せっかく運営管理機関の5年毎の見直し措置を講じても、有効に機能しません。企業型DCのガバナンス確保の観点からも、DCにおける現物移換は重要だと考えます。
以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
3点御発言いただきましたけれども、2点目は、退職一時金も含め、中退共はもちろんだけれども、ポータビリティのことを検討すべきではないかというもの。
それから、3点目の現物移換の話は、DBではもっとやれるわけだし、DCで運管を必要があれば替えるようなことができるべきだという話をしている以上、現物移換の話をもうちょっと考えたほうがいいのではないかというものでした。それは基本的にはそのとおりかなと思います。
1点目は事務局への御質問だと思いますので、よろしいですか。
○大竹企業年金・個人年金課長
ありがとうございます。
手続はDB・DC問わず、簡素化を極力図っていきたいと考えております。そこは大きい方針として間違いないということでございます。しかし、どこまで簡素化できるかというのは、DCとDBの違いがあるだろうということかと考えております。そこは具体的に検討をするべきであると考えています。
○森戸部会長
ありがとうございます。
小林洋一委員お願いします。
○小林(洋)委員
御説明ありがとうございました。
私のほうから、2点、コメントを申し述べさせていただきます。
1点目は、私的年金制度の普及拡大についてです。資料56ページ以降に広報の取組が記載されております。かねてから申し上げているとおり、私的年金制度を活用していない層へのアプローチが普及拡大の鍵を握っていると考えております。私的年金制度に関心・興味が薄い層が注目してくれるようなコンテンツを御用意いただくのがよいと思います。 その際、マーケティングに詳しい民間有識者のアドバイス等を得たらどうかと考えております。
加えて、私的年金を導入していない企業の経営者、役員、総務・人事担当者に向けた広報も重要だと思っております。従業員のために制度の導入を検討、構築する側の人間にとって、分かりやすいガイドブックやパンフレット等を作成していただくようお願いいたします。
その上で、制度導入に興味を持った企業、個人の加入に向けたアクションを後押しするような環境づくりが必要だと思います。公平・中立な相談窓口の設置、従業員への投資教育機関の整備を、厚生労働省が主体となって進めていただきたいと考えております。
その際、商工会議所が資格試験、人材登録を運営しているDCプランナー、経営のアドバイザーである社会保険労務士や税理士の活用などを検討していただければ幸いです。加入への意欲をそぐような煩雑な手続の解消、提出が必要な書類の簡素化や削減に向けた議論もお願いしたいと思います。
2点目は、iDeCo+の拠出限度額についてです。前回の部会でも申し上げましたが、私的年金制度を、働き方や勤め先の違いによって有利・不利が生じないようにすることは重要だと思います。この点、iDeCo+は、企業年金を実施する余裕のない中小企業が、従業員の老後の所得確保に向けた支援を行うことができる重要な制度であり、中小企業、小規模企業の従業員の私的年金の普及促進には欠かせない制度だと認識しております。
一方、資料65ページによりますと、企業年金加入者と未加入者との間で、iDeCoの拠出限度額に差がついておりません。現在のiDeCo+では、既に従業員が限度額まで拠出していた場合、事業主が掛金を拠出することによって従業員の負担は軽減ができますけれども、その場合でも、拠出限度額は2.3万円であり、企業年金とiDeCoを併用している個人と比べると、老後の資産形成に著しい大きな差が生じます。
他制度との公平性を期すためにも、iDeCo+と言うからには、iDeCoの限度額に加え、事業主が拠出する枠を別にプラスで設けることにより、企業年金と同額まで拠出できるような仕組みとすることも、一つの方法ではないでしょうか。議論の機会をぜひお願いいただければと思います。
以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
1点目、これまでも何度かおっしゃっていただいたことも含めてですけれども、普及拡大についての御意見、2つ目は、iDeCo+拠出限度額をもう少し拡充できないかといったお話だったかと思いますが、事務局何かありますでしょうか。
○大竹企業年金・個人年金課長
ありがとうございます。
普及の関係は、我々としても、どういう対応ができるか、どうしていくべきか、皆様方とも意見交換させていただきながら、もうちょっと検討していきたいと考えております。
我々、身内の話で恐縮ですけれども、公的年金は比較的様々な取組をしているところもございますので、そういったところと連携するとか、あるいはそういったところの取組をフォローするような形でもうちょっと発信していけないかと思いますし、そこでの経験なども生かして、もう少し私的年金についての発信をしていきたいと思います。
特に中小企業向けの方、トップの方などについて、いかに情報をお届けするかというところ、様々な口コミなどの取組も含めて、いろいろ工夫のしようはあると考えておりますので、この辺りはもう少し議論させていただいた上で、取組を進めていきたいと考えております。今お話しいただいたとおり、DCプランナーとか、社労士さんとか、そういった方々との連携、国だけではなかなかできないこともありますので、国としてもやりますけれども、いろいろな士業の方とか、中小企業との関わりが深い方から働きかけていただく。これは非常に大事な取組かと思いますので、そこをもう少し具体化していければと考えています。
以上でございます。
○森戸部会長
2点目についてはいかがですか。
○大竹企業年金・個人年金課長
iDeCo+の限度額については、今現在は、iDeCoという枠組みの中でiDeCo+という仕組みにしているところもございますので、それで、iDeCoの上限が適用されるという形になっております。この点、限度額の在り方なり、前回も御議論いただきましたけれども、そういう枠組みの中でどういう仕組みが適切なのかというところもあると思いますし、現状をベースにすると、iDeCoの枠組みの中でのiDeCo+を採用するのか、あるいは5.5万円の上限がある普通の企業年金、DCを適用していただくのか、どちらかの選択ということになります。大きな枠組みとしてどう在るべきかというのは、引き続き、議論していきたいと考えています。
以上でございます。
○森戸部会長
ありがとうございます。
今、すみません、iDeCo+の話が出たので、ついでに、少し違う話ですけれども、1点聞かせていただきたいのですけれども、24ページにiDeCo+の対象範囲の表があって、iDeCo+実施可能事業所は、現行でも事業所数ベースで99%、被保険者数ベースの55.4%をカバーしているとされています。これはもちろん事実なのでしょうけれども、これは、どういう意味で出ているのか、今でも十分結構カバーしているのですよと言いたいのかというところ、それがちょっと気になっています。
つまり、今回の資料全部そうですけれども、非常に詳細に色々なことを説明していただいているのですけれども、ちょっと謎かけじゃないけれども、若干試されている感もあって、この資料こうですよと言ったら、では、どう思うのですかと聞かれているような感じもしています。この資料だけではないのですけれども、この点、たまたま、ここが私一番気になったので、もちろん意図はないと言われたら終わりなのですけれども、いかがですかね。
○大竹企業年金・個人年金課長
ありがとうございます。
iDeCo+の課題として、対象範囲、カバレッジの範囲をもっと拡大していくべきではないかというお話もいただきます。
一方で、事実関係から申し上げると、まさに300人でもかなりのカバー率であることを事実として申し上げたわけですけれども、そういう対象範囲というベクトルもあれば、その対象範囲の中でもう少しやれることもあるのではないかということで、それは周知・広報ということかもしれませんし、手続ということかもしれませんし、iDeCo+を推進していきたい、加入を促進していきたいということのやり方は幾つかやり方があると考えております。そういう趣旨も含めての資料であるということで御理解いただければと思います。
○森戸部会長
分かりました。いずれにしても、数字を見て、思っていたよりカバーしているのだなという気は確かにいたしましたので、この資料に限らずいろいろ議論の余地があるところはあると思いますので、これからさらに詰めていければと思います。
島村委員、お願いします。
○島村委員
どうもありがとうございます。
私も、今の点についても気になっていたのですけれども、iDeCo+について、300人という企業規模要件、もっと言えば、中小企業に限った仕組みを外すことができないのかと考えております。ベンチャーとかでiDeCo+をつけても、その後どんどん大きくなって、300人未満という要件を満たさなくなると、iDeCo+を実施できなくなるというのは、会社の成長を阻むというか、足かせにもなりかねないのではないかなと思っています。
大企業の全てに企業年金があるのであれば、中小企業に限ってもいいのかもしれないのですけれども、資料によれば、大企業の全てにあるわけではないというところも出てきていると思いますので、中小事業主に特に使ってほしいというメッセージがあるのはよいと思うのですけれども、中小事業主だけしか使うことができないという、その限定的なところについては検討の余地があるのではないかと思っております。
今の点にも関連して、中小企業、特に地方とかの中小企業にどれだけiDeCo+が周知されているのかというところに関心があります。取引先の地方の金融機関とかがいろいろアプローチしてくれていれば知っているかもしれないのですけれども、それ以外にも経済団体さんとかを通じて制度について広報するとか、広報の前提としては、現状でどれだけ認知度があるのかというのを調査していただいてもよいのかなと思っています。
地方とかですと、中小企業団体中央会さんとか、経営者協会さんとか、商工会連合会さんとか、商工会議所連合会さんなどの企業が組織していらっしゃる団体とか、中小企業家同友会のような団体さんもあると聞いておりますので、そういうところを通じて実際の把握という情報収集をしていただいて、そこを媒介として制度の周知を図っていくというのもありなのではないかと思っております。
都道府県が所管している勤労者互助会というのもあるようですので、都道府県を通じて周知や広報を図って、できるだけ地方の中小で働く方にも制度が行き渡るようにしていただければと思います。
それともう一個ですけれども、私的年金制度についての広報とか見える化に向けた取組が非常にたくさんあって充実しているなと思った反面で、情報が多過ぎて、どこにどの情報があるのかというのが、利用者としては情報の洪水にあってしまうというか、迷子になりやすいというところがあるかなと思います。そうすると、政府のほうでプラットフォームみたく、こういう情報が知りたいならここへ行ってね、みたいなリンクを貼ってある羅針盤のようなサイトを用意していただいて、整理していただけると、とてもありがたいなと思いました。
すみません。長くなりました。以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
2点いただきました。1点目はiDeCo+についてで、2点目は私的年金制度全体の広報に関わる話ですけれども、おっしゃったように、確かにiDeCo+は、まず企業年金をやってくださいとか、iDeCo普及というのをやっている関係上、変な話、ちょっと広報しづらい、宣伝しづらい枠組みではありますよね。もともとiDeCoにプラスという形だから、その辺も工夫ができるのではないかというお話だったと思いますが、事務局いかがですかね。
○大竹企業年金・個人年金課長
ありがとうございます。
これはまさにiDeCo+の位置づけに関するような話であると思っていまして、我々からすると企業型DCを極力推進していきたい、できればやっていただきたいという思いがある中で、ファーストステップと言ったらあれですけれども、ちょっとiDeCo+から始めてみませんか、みたいなところがあるのだろうと思いますし、事業主の方の財政負担という観点からしても、このiDeCo+というものを実施につながるステップとして準備しているというところもあるのだろうと考えております。もちろん、iDeCo+の対象範囲の枠組みをそもそもなくすという考え方も当然あるのだと思いますけれども、我々としては、その枠組みをなくすことで、全ての企業がそっちに流れるみたいなものもあまり望ましくないだろうということかと考えております。もちろんそういった形もあり得るのだとは思いますけれども、もう少しDCならDCの取組を進めるとか、そういった取組を進めつつ、iDeCo+の在り方も考えていく必要があるのだろうと思います。
あとは、おっしゃったようなベンチャー企業とか、そういう急成長しているところが何かやりづらいとか、そういうところは、また、ちょっと違う課題と申しますか、少し緩やかな適用にするとか、そういうやり方はあるのかもしれないので、そこはちょっと議論の余地があるのだと思いますけれども、大きい枠組みとしては、中小企業向けの仕組みであるというところは1つ、この制度の趣旨としてもまずはあると考えております。
また、広報の関係もいただきました。これもどの程度周知されているのかというのはそもそもあると思っています。我々の認識としては、いろいろな方のお話を伺っている限りでは、まだそもそも制度が知られていないというところがあるのだろうと思っています。ただ、それをデータで示されていないというところもありますので、そこはどういった形で把握ができるのか、ちょっと検討させていただければと考えております。
今、我々というよりは、例えば商工会議所さんとか、投資信託協会さんとか、都道府県ごとでセミナーを開いていただいたりするなかで、各都道府県で今まさにやっているところを呼んできて、お話ししていただくといった取組もしていただいています。身近な人がやっていると、ある意味では仲間がやっていると聞くと、ちょっと自分たちもやろうかなという気になるというところはあるかと思いますので、まさに都道府県レベルでの取組とか、口コミというか、身近な人がやっているみたいなところが大事なのだろうということかと考えておりますので、都道府県レベルでの取組も進めていくということかと考えております。
どこにどんな情報があるか分からない。これはおっしゃるとおりかと思います。基本的には、いろいろ検索をしてたどり着く方が多いとなりますと、厚生労働省のホームページは基本的に比較的上位に表示されることが多いということかと思いますので、そういう意味で我々もiDeCo公式にリンクを貼ったりとか、いろいろ工夫はしておるつもりですけれども、もう少し分かりやすくとか、あるいはきちんとしかるべき情報につながるようにということかと思いますので、ここも、我々のホームページの拡充なのか、もうちょっと工夫の仕方があるのかはちょっと検討をさせていただければと考えております。
以上でございます。
○森戸部会長
ありがとうございます。
島村委員は、iDeCo+の人数要件のところについても、そこが一番重要なポイントだったのかもしれませんが、御意見をおっしゃっていました。まさに今、課長がおっしゃったように、iDeCo+の制度の位置づけをどう考えるかという話に関わる結構大きな話ですね。まだ小さい会社なので、企業年金なんかやる余裕ないよと。では、iDeCo+というのがありますから、それでやっていきませんか。企業も大きくなって、企業年金に移行していきましょうみたいなのがもしかしたらストーリーとして描かれているのかもしれないけれども、みんながそう行くわけではないというのと、本当にそんなうまく、例えば、制度をぱっと移行できるのかとか、それこそポータビリティの話にも関わったりするので、そういうことも考えなければいけないし、いずれにしても、広報の在り方も含めてですけれども、iDeCo+の位置づけなり、どういうふうにしていくかというのも、ぜひ、きちんと検討しなければいけないということが改めて分かったかなと思います。
ありがとうございました。
大江委員、手を挙げていらっしゃいます。
○大江委員
ありがとうございます。
議論に資するデータをいろいろ集めていただき、感謝申し上げます。制度として、普及、活用される上では利便性が高いことはすごく重要なので、本日のテーマはいずれも重要だと思うのですけれども、質問を2つと意見を4つ申し上げたいと思います。
まず、質問ですけれども、1つ目は、16ページのiDeCo+とか、その後の企業型DC、その他、申請の書類の話があるのですが、こういったものが地方厚生局とかに出された後、これは紙である必要性とか有効性といったものがあるのかどうかというのを、事務局にお聞きしてみたいなと思います。
質問の2点目は、17ページで、iDeCoについての処理件数を国民年金連合会さんから、年間300万件というすごい数を御報告いただいております。この内訳、どういったものの処理が多いのかということをお伺いできればと思います。
今後、デジタル化の優先順位を考える上で、どういう事務処理が解消されるといいのかという意味でお聞きできればと思います。
ここからは4点意見です。まず、1点目としてiDeCoの関連の手続についてですけれども、ぜひ、マイナンバーカードを活用してデジタル化は進めていただきたいと思います。
あと、手続については、加入だけではなく、変更・受取といった局面も発生すると思います。前回の部会は受取について非常に多くの意見が出ましたけれども、変更の部分も、働き方とか、ライフプランの変更があっても、ずっとこの制度を利用して、長い時間をかけて老後資産をつくっていくiDeCoにおいては、変更の手続がスムーズで負担がないということは大変重要だと思っております。手続は誰でも分かりやすいという点と、あと、それをサポートするFPの方がサポートしやすい点も必要ですので、ユニバーサルな形で、シンプルで利便性の高い形で提供されるというのがいいのではないかと思っています。例えば変更については、国民年金基金連合会に統一のフォームをつくっていただいて、それを各運営管理機関などのホームページに埋め込むみたいな形で運用するというのもひとつです。パターンが一緒ということであれば、契約先によらず、FPの方はサポートできますし、加入者の方は同水準の利便性を享受できます。
2つ目は普及に関することで、小林(洋)委員からも御意見が出ていた税理士の方とか社労士の方などがこの普及促進に関わっていただけることは大変重要だと思っています。
また、退職金・年金制度が整っている会社がいい会社なのだということが、転職サイトなどで認知をされると、いわゆる人手不足になっていく中で会社としてももっと前向きに取り組めるというようなことになるのではないかと思います。
3つ目ですが、見える化についてです。公的年金と相まって、私的年金が活用されていくことが重要だと思うのですけれども、そのときに、3つの情報が提供される必要があると思っています。
1つは、公的年金、そして、お勤め先の退職年金でどれぐらいの経済的な手当てができそうか。2つ目は、自分で何か備えようと思ったときに、どんな制度とか手段があるのか。そして、3つ目は、実際それを利用しようと思ったときに、例えばiDeCoの限度額のような、それを利用する上で必要な情報、この3つが老後不安の解消のために必要かと思います。
そういった意味では、8ページに、政府の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の中でも、官民連携というキーワードが挙げられていますので、ぜひ、iDeCoの限度額については、企業年金プラットフォーム、国民年金基金連合会さん、日本年金機構さんのデータを連携していただいて、公的年金の情報を提供しているマイナポータルの年金の情報の欄であるとか、ねんきん定期便、それから、公的年金シミュレーターで提供いただきたいです。公的年金シミュレーターは私もセミナーなどでご自身の公的年金額を把握頂くためにご案内しているのですが、非常に使い勝手がいいので、こういったところにiDeCoの一人一人の限度額がいつでも見られる。国民なら誰でもユニバーサルな形でアクセスできる形で情報提供いただけるということは必要な情報へリーチ度を上げることにつながりますので、ぜひ、御検討の候補に入れていただきたいと思います。
最後、4つ目ですが、現物移換の話です。谷内委員のおっしゃったとおりで、この点、DCなどガバナンスの側面で大変重要なテーマかと思います。現物移換というのは、一人一人の企業型DCとかの履歴情報をRKごとに異なる項目・形式で保存しているものを、一気に受け渡しを正確にやらなければいけません。多分、実際にやるときには、関係機関が特別体制を組んでやるというような、大変な作業なのだと思います。
ですので、実際に現実的にどういう条件が整えば可能かとか、多分これをやるためには、事業主さんも運管変更するとき費用負担を求められると思いますのでそれがどれぐらいの負担が発生しそうなのかという情報が、前提情報として公表されることが必要なのではないかと思います。そういった意味で、できれば厚生労働省さんにサポートいただいて、RKさんと資産管理機関の信託銀行さんがこの負担について協議する、具体的に議論する場を設けていただいて、例えばこんな形であればという検討を促進するような動きをぜひやっていただけないかなと思います。
長くなりました。すみません。以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
4点御意見を後のほうでいただきました。どれも非常に実務に即した具体的な御提案だったと思います。ちなみに、公的年金シミュレーターはどこかにあったのを忘れましたけれども、国がつくっているのですよね。
○大江委員
はい。
○森戸部会長
国がつくっているものを褒めるなんて珍しいと思って聞いていたのですけれども。
○大江委員
これはねんきん定期便と違って、世代を問わず自分の年金の概算額を、スマホで定期便を読んで生年月日さえ入れれば把握できますし、あとは、60歳以降に働いたときにどれだけ増額ができるかみたいな話も50代の皆さんなどは御関心高いのですが、そういうのも簡単に確認できるので、手軽にリアルな公的年金額をつかんでいただきやすいツールかと思います。
○森戸部会長
私も見てみます。
大江さんの最初の御質問2つありましたが、それも結構本質的なお話です。事務局においてお答えいただいてよろしいでしょうか。
○大竹企業年金・個人年金課長
ありがとうございます。
紙で提出していただく必要があるかということについては、それは必ずしもそうではないということかと思いますので、どちらかというと、これまで紙で出していただいていたので、それに慣れているとか、そういう話かと思います。あとは、設備等の問題ももちろんあると思いますけれども、ちょっとお時間いただいたりとかそういうことはあるのかもしれませんが、それがなければいけないということではないと思います。
処理件数、処理内容の話は、ちょっと私は、今、手元に何もないので後ほどか、あるいは後日か、何らかの形でお答えをさせていただければと思います。
○森戸部会長
後でいいですか。
○松下オブザーバー
私も、今は手元にありませんので。
○森戸部会長
では、後で相談して出していただくことにしましょう。
大江さん、逆に、紙である必要性って、何と答えが返ってくると思っておられますか。
○大江委員
私は、多分、保管する場所も大変だし、お役所側もやめたいと思っているのではないかなと。
○森戸部会長
そういう意味で言ったのですね。
○大江委員
そうです。
○森戸部会長
日本語は難しいですね。
○大江委員
慣習を変えてもいいのではないかという趣旨でした。
○森戸部会長
ありがとうございます。奥ゆかしく言っていただいたということで、すみませんでした。
富樫委員、お願いします。
○富樫委員
ありがとうございます。
先ほどからiDeCo+の話が出ていますが、私も24ページに関して意見を申し上げます。
中小企業における雇用者の資産形成の支援の必要性は十分に理解しています。島村委員からもあったように、ベンチャー企業が人数要件を満たさなくなって継続できないということは確かにそうかもしれませんが、やはり目指すべきはDBや企業型DCの導入であってほしいと考えます。
そのような企業労使の意向を阻害しない点、また現行要件でも99.4%がカバーされていることを考えれば、対象範囲の拡大は慎重に検討すべきと考えます。
次に、49ページのDBとDCの中途引き出しについてです。2019年12月の議論の整理にも記載されており、先ほど課長からも紹介がありました。このDBの中途引き出しの在り方について検討をしていく必要があるとの記載について、退職給付由来、労使合意に基づく制度であることを踏まえると、言葉を選ばずに言えば、単にDCとの整合性を取るためにDBの中途引き出しの要件を設けるべきではないと考えます。要件がないことを前提に制度を導入している企業もあると思いますし、要件を設定したことで、DBの普及が阻害されるようなことがあってはならないことを申し上げます。
それから、これは質問になりますが、31ページの非正規労働者の適用割合についてです。まず私どもとしては、将来にわたり安定的な給付を約束する企業年金制度を構築し、いかなる雇用形態であっても、企業規模に関係なく、全ての労働者が企業年金の制度に適用されるべきと思っています。
その上で現状では、パートタイム労働者の適用割合がとても低いことは課題と考えています。そもそも法令解釈通知では、職種や勤続期間等の一定の資格は認められていますが、労働時間については明確な表記はありません。各企業年金規約においてどのような資格が設定されていることにより、いわゆる非正規労働者への適用が低くなっているのかが分かるデータがあれば、教えていただきたいと思います。
それから、36ページについて、法令解釈が「同一労働同一賃金ガイドライン」の「基本的な考え方」を踏まえるよう改正されましたが、例えばこれにより、各規約の変更の申請があったのか、現状が分かれば教示いただきたいと考えます。
以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
前半のほうはiDeCo+の点、前も出ていたように、まさにiDeCo+をどういう位置づけのものと見るか、企業型DCなり、DBなりとの関係をどう捉えるかというところのまた別な視点からの御意見だったと思います。
それから、中途引き出しの話も、制度は違いますけれども、やはり、結局、確定給付、DBなり企業型DCなりをどういう制度の趣旨のものと位置づけるかという話という意味では共通する点かなと思います。その点は御意見としていただいておきますが、質問が2点あったと思います。31ページのパートタイム労働者の適用割合は低く出ているわけですけれども、この点に関するものと、それから、「同一労働・同一賃金ガイドライン」を踏まえてやれというふうに、企業年金の法令解釈通知等にも入ったわけですけれども、その点で、具体的にそういう規約申請のところで何かそういうのに対応したような動きがあったかどうかという御質問かと思いますが、事務局はその点いかがでしょうか。
○大竹企業年金・個人年金課長
ありがとうございます。
こちらの資料につきましては、以前からこの部会の中でも、中小企業への適用や、あるいは企業の中でも非正規の方を含めて様々な働き方に適用できているのかという問題意識をいただいている中で、例えば、非正規雇用労働者における適用条件ということでお示しをさせていただいたということでございます。企業年金や退職金制度に限らず、働き方によっていろいろ差が出てきているということかと考えておりますので、必ずしも企業年金固有の問題ということでもないのだろうと考えておりますけれども、まさにこの調査自体、就業形態が多様化する中で、どういう実態にあるのかということを調査した結果ということで、資料的にもお示しをさせていただいているという形になります。理由というか、どういう状況にあるかという詳細まではちょっと把握ができていないというところはありますけれども、極力こういった差を埋めるために、どういうことが必要なのかというところで議論が必要なのだろうと考えております。
36ページ目の規約の関係で、具体的にどういう動きがあったかというところは、現時点ではちょっと把握をしておりませんので、後ほど、あるいは後日、お話しできることがあれば、対応させていただきたいと思います。
○森戸部会長
ありがとうございます。
31ページの表は、もちろん基となる調査を見れば、もうちょっと詳しく分かったかもしれませんけれども、パートタイム労働者と言っても、労働時間が短いのか、結構長いパートなのかとかにもよるし、そもそも厚生年金の被保険者になっている人かどうかもはっきりしないと思うので、中身にもよると思いますが、いずれにしても、退職金も含め、非正規の人への適用が少ないことは事実だと思いますので、これも踏まえてどういう方向性を取っていくかということだと思います。
あと、31ページの表で、これは令和元年の調査ということですが、これは全体に対する要望みたいになりますけれども、最近、役所のやるいろいろな調査が、予算の関係か何か、昔、毎年やっていたのに、最近3年おきだみたいなのが多くて、でも、退職金と企業年金だけ毎年やってくれというのも、何か勝手な意見かもしれませんけれども、これも令和元年、ここに出ているのが当然一番新しいからここに出ているのだと思うのですけれども、正直、もうちょっと新しいのはないのかなとか思ってしまうので、要望ということではないですけれども、少し思ったことを一言だけ申し上げさせていただきました。
富樫委員、ありがとうございました。
では、原田委員お願いします。
○原田委員
ありがとうございます。
感想めいたことと意見と両方ですが、まず1点目は、iDeCoとかiDeCo+に関して、デジタル化を進めるとか、事務負担を軽減することは非常に重要だと思っていまして、私はiDeCoで拠出額を変えようと思って、てっきりサイトから行けるのかと思ったら、たどり着いたところが資料の請求先で、紙の資料が届いて、それを出さなければいけないということがありましたので、そういうのもデジタル化できるといいと、実感として思った次第です。結局、拠出額を変えていません。
それから、DCの拠出限度額の関係ですが、iDeCoの限度額や見える化とかいろいろとある中で、事業主負担と加入者負担という区分で限度額を考えると、結構な部分が解決するのではないかと。いろいろなパターンがなくなると、見える化についても非常にシンプルに見せることができますし、自分が幾ら出せるのかをすごく把握しやすくなるような気がするので、多岐にわたることへのソリューションになるのではないかと思ったのが感想です。
それから、iDeCo+の対象範囲拡大についてですが、資料を見ると規模の小さい会社でも実施率が非常に低いので、もっと普及できるのではと感じます。
その中でジャストアイデアですが、今は確定給付や確定拠出の企業年金制度を実施していない事業所に限定されていますが、さすがに企業型DCとiDeCo+を両方やるのは変だと思いますので、DBを実施していたとしても、iDeCo+はできるようにすることは考えられると思いました。
少し具体的に申し上げますと、総合型のDBに入っている中小企業様は、企業型DCを実施するのは少しハードルが高いという場合もありますので、iDeCo+を活用できるようにしてもいいのではないかと感じた次第です。総合型のDCもありますので、そちらに入るという選択肢もあるものの、考えてもいいのではないかと思いました。
それに加えて、先ほど富樫委員がおっしゃっていたように、人数要件を無条件にどんどん上げていくということに関しましては、私も若干否定的な捉え方をしています。それなりに規模が大きくなった企業は、事業主においても、従業員の処遇とか、退職金も含めた処遇ですけれども、そういったところに責任を持つべきなのではないかと思いまして、それであれば、きちんと自分たちで運営するDCとかDBというものを実施するという枠組みとして整理するほうがいいのではないかと思いました。
それから、中途引き出しのところを今回触れたいと思います。DBの中途引き出しの関係ですけれども、退職金由来という理由もありますが、資料の49ページですね、ちょっと見方を変えて考えますと、DBは退職一時金と同じで、辞めたときに初めてもらえるかどうかも含めて、幾らもらえるかというのが決まる制度になっています。極端な話、懲戒解雇などで給付制限を受けますと、退職金もDBも給付なしということもあります。そう考えると、DBに入って、企業がDBの掛金を出した時点で、加入者に所得があったと捉えることはちょっと難しいと思っています。それが理由で特別法人税があると思うのですが、加入者の目線で考えますと、給付時まで自分のものは何もないのです。税の優遇を受けているという感覚もないと思います。運用時の非課税というところにつきましても、運用がうまくいったら給付が増えるかというと、増えないのです。
加入者の立場からすると、DBの制度で中途退職した場合に、要は加入中に税の優遇があるからという観点で給付制限を設けるべきという議論はちょっとおかしいのではないかと思いますので、あえて、今回発言させていただきました。
最後に、広報の関係については、先ほど転職サイトでというお話もありましたが、私もそういったところで、企業の取組を見えるようにするのは非常に大事だと思っています。転職サイトだけでなくて、新入社員の、学生向けのサイトとかでもあったらいいと思いますが、サイトは民間が運営していますから、強制とか義務化とかはできないと思うものの、退職金を含めてそういった企業年金制度、iDeCo、そういったものも含めて、学生向けにも周知をする機会を増やしてもいいと思います。有識者からのヒアリングの際に、学生に対して話したら非常に関心が高かったという話もありましたので、そういった草の根活動ではないですけれども、もっとやっていっていいのでないかと思いました。
すみません、長くなりました。以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
そうですね。大江さんの転職サイトの話も、私もそれにちょっと興味があったのですけれども、それも改めて触れていただきまして、ありがとうございます。
iDeCo+の点も改めて御意見いただいて、事務局がどのぐらい意図したのか分かりませんが、今日、iDeCo+についてみんな意外に食いつきがいいということが分かりましたが、結構いろいろな制度の趣旨に関わるおもしろい仕組みだろうと、いろいろ議論ができるところだなと思って伺っていました。
中途引き出しの点で、ちょっと私分からなかったのですけれども、退職金とか、要は法的理由と、辞めてみないと請求権が確定しないからという話かなと思ったのですけれども、それはそうだと思うのですけれども、それだと中途引き出し、だから、辞めたときにはきちんと出せというお話ですかね。そこのつながりが、私ちょっと分かりませんでした。
○原田委員
すみません。一足飛びに言ってしまいましたね。
中途引き出しで制限を設ける理由が何かということだと思うのですね。DCもそうかもしれませんけれども、老後のお金をためるための制度、仕組みであって、かつ税の優遇があるからというところが非常に大きなポイントではないかなと思っておるのですけれども、DBに関しては、もらうときまで加入者にとっての税の優遇はないと思うのですね。DCだと、自分のお金として運用して、運用収益を上げていって、それが最後の給付額につながってきますので、運用費非課税と、あと所得控除とか、税の控除は非常に大きな魅力だと思うのですけれども、DBにおいては、そこのところは、税の優遇措置が加入者の利益になってないのだと思うのですね。全くなってないわけではなくて、直接なってないということです。なので、それを根拠に加入者の利益を制限するような取扱いへの変更はするべきではないのではないかという趣旨でございます。
○森戸部会長
そうですね。直接税の優遇がされていないという。それは税制優遇の意義なりをどう考えるかという話にも関わってくるのだろうと思います。
すみません。ありがとうございました。
事務局、何かありますか。
○大竹企業年金・個人年金課長
ありがとうございます。
幾つか御意見いただきまして、それぞれ受け止めさせていただければと思いますけれども、iDeCo+の対象範囲というか、総合型DBをやっているところも含めてもいいのではないかとか、そういうところはニーズなども踏まえるということかもしれませんし、いろいろな御意見をいただいておるということかと思います。そういう中でどういう対応が必要かというのは受け止めさせていただきたいと思います。
○森戸部会長
ありがとうございます。
原田委員がおっしゃって、なるほどと思ったのですけれども、iDeCo+で始めても、その企業が、例えばベンチャーが大きくなっていったら、それは、むしろ、もうちょっと従業員のことを考えた制度に変わっていくというようなことが理想というのかな、一応考えられているのではないかというのは、なるほどと思いました。本当に現行法上、そういうスムーズな移行みたいなのができるのかということもちょっと考えなければいけないし、そこは分からないですけれども、少なくとも原田委員の御経験として、限度額を変えることがネットでできなかったとおっしゃっているわけだから、そのあたりは本当に趣旨に合った制度になっているのか。もちろん趣旨がそうなのかということも含めて、いずれにしてもiDeCo+でいろいろ議論点がありそうです。ありがとうございました。
ほかの方はいかがでしょうか。
では、金子委員お願いします。
○金子委員
なかなか整理がつかないのですが、多分3点ぐらいの意見になると思います。ちょっと考えながら話すので、きちんとしたロジカルな説明になるのか分からないのですけれども、1つが加入促進に資するDB、企業DCの制度見直しに関するところの意見です。これは、今日の視点というより、前回、改めて私は資料を見てなるほど思ったことがあって、それは、前回の資料に確定拠出年金のところで、制度設立時には中小企業でも導入しやすい制度と考えられていたという記載があって、改めてそうだったのだなと思った次第です。そういう意味では、特に中小企業での効果を期待したということが改めて確認できました。
ところが、制度創設以来の実際の成績、DCだけということではなくて、いろいろなほかの要因があっての実績ですけれども、企業年金の実施状況を見ると、中小企業ほど年金制度の実施割合が著しく低下しているという事実が見られるわけです。制度創設時のものに立ち返ってみますと、中小企業従業員の年金カバー率を上げていくために、中小企業での実施のしやすさというのを一層重視していくべきなのかなと思っています。
中小企業自身での企業年金として実施するということだけでなくて、私はもう少し広く捉えていまして、中小企業従業員の方の年金カバー率を上げることが重要と捉えています。そこには企業年金としてやるケースというもあるかもしれませんし、御自身でiDeCoのような仕組みを利用してやるということも含めて考えるべきかなと思っております。
いずれにしても、その観点から見ますと、iDeCo+については、派手さはないのですけれども、皆さん評価していらっしゃいますよね。着実に上がっているということなのですけれども、私は、もう少し実績が上がってもいいかなと思っておりまして、そういう意味では一層の広報の強化など、中小企業における認知度の向上が大事なのかなと思っています。これは皆さんおっしゃられたとおりです。
一方で、これは変な意見を言うようなことになるのかもしれないのですけれども、中小企業の導入時の負担軽減を考慮した、簡易型DC制度は、多分、これはiDeCo+と同時だったと思うのですが、2018年に創設されまして、残念ながら1件も実績がないということです。効果がないなら早いこと見切りつけてやめてしまったらという、そういう考え方もあるのかなと思っております。これは実際に御自身で始められた方、厚生労働省さんからするとやめるというのはなかなか言いにくいのだと思うのですけれども、だからこそ、今日私のほうから申し上げたのですけれども、実績がないようでしたら、早いところ見切りをつけて、その分iDeCo+のほうにぶつけていただくというようなことでもいいのかなと思っております。
それから、2つ目が年金状況の見える化についてですけれども、これも1つのポイントがiDeCoでの拠出可能額の把握なのかなと思っております。企業型DC加入者に対しては、2024年、来年の12月以降の対策も検討されているようで、自分自身としてどれくらいできるのかというのが把握できるようになってくるということだったと思うのですけれども、実は企業型DCの加入者以上にiDeCoの拠出可能額を知ってほしいのは、職場に年金制度がない人なのかなと思います。一律に月2万3,000円ということなので、単純ですけれども、目に触れる機会はなるべく多くなるように、これは大江委員なども御指摘されていたところだと思うのですけれども、いろいろな意味での広報に力を入れていただけたらといいのではないかと思っております。
それから、最後3つ目ですけれども、ポータビリティの拡充です。これは意見というより、感想と意見の中間みたいな話ですが、これは谷内委員とか大江委員も御指摘されていましたとおり、企業型DCにおける運管変更の障害になるから、この部分はきちんと考えるべきだというのはそのとおりなのですけれども、その問題と、個人が転職に伴ってどこかの企業に転職されて、その現物移換ができないという問題は、共に「現物移換」という言葉は使うのですけれども、もしかすると違うのではないかと思うのですね。
例えば、今回の資料の最後のページでも、現物移換の説明としては、企業型DCから企業型DCへ移換する場合という説明があって、これは個人で一人一人が何かやるケースなのではないかなと思っています。これらの問題は、同じと考えていいのか、そもそも違うと考えなければいけないのかというようなことになって、恐らく、私は別の問題ではないのかなと思いますので、これはもう少しそこは分けて考える、必要性に応じて分けて考えることが必要なのかなと思った次第です。この辺は私も解像度は十分高く把握できてないので、一つの問題なのか、別の問題なのか、少し把握できてないのですけれども、もしかすると違う問題ではないかなと思った次第でございます。
以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
4点にわたって、広く重要な御指摘をいただいたと思いますが、事務局何かありますか。
○大竹企業年金・個人年金課長
ありがとうございます。
iDeCo+の評価をしていただいて、ありがとうございます。もうちょっと広がってもいいのではないか。これは私としてもそう思うところでございまして、そのために何が必要かというところをもう少し検討していきたいと考えております。
また、簡易型DCについても御意見いただきまして、これは、我々としては何が何でも残したいという、そういうことではもちろんないのだと思っていますし、どういうところが課題なのかというところを踏まえて対応していくということかと思います。その課題への対応はなかなか難しいということであれば、なんらかうまく対応していく必要があるということかと思いますけれども、一方で、まさに簡易型というか、そういう手続の簡素化というところはある意味ニーズがあるというか、今日も御議論をいただいたところかと思います。そういうところはある意味全体にも適用していくことが大事だと考えております。
また、現物移換の話は、まさに御指摘いただいたとおり、もう少し解析度を高めるというか、我々としても深掘りをしてちょっと検討をして、実務レベルの管理者も含めて、我々も意見交換というか情報収集させていただいて、今後、どういう対応があり得るのかというところを検討して、また、改めて、何らか材料を提供できればと考えております。
以上でございます。
○森戸部会長
ありがとうございます。
簡易型DCについては、廃止と言うかどうかはともかく、少なくともこのパッケージ化して負担を少なくしましたよという、これでは中小企業にアピールしなかったというのは事実だと思うので、これをどういうふうにしていくかというのは考えなければいけないのだろうと思います。
私もちょっと思ったので、ついでに申し上げますけれども、45ページでは、簡易型DCは、要は、例えば全員対象にしなければいけないとされています。役員とかを除きたいというニーズに対応できなかったというのが1つ問題点として、ここにも書いてあります。想像でしゃべっているところがあるので違っているかもしれないのですけれども、結局、一定の資格を設けていて、この人は制度に入れないとかいうふうにするのに、解釈通知とかに一定の基準があるわけですよ。さっきの非正規の人は外すとかいうのもそうですけれども。
これは簡易型と言いつつ、それが全員となると、楽なのは、こう言っては何ですけれども、役所のほうは楽ですけれども、全員同じで出てくるから、これが本当に不当な差別的な資格ではないかという審査をしなくていいから。だけど、これは多分、企業側からすると、結局、全員入れなければ駄目だという、むしろ規制になってしまっていて、簡易なのかもしれないけれども、もしかしたらハードルが上がってしまっていると思うのですよね。それは多分1例なのだと思います。だから、本当に中小企業から見た簡易なシンプルな使いやすい制度はどういうものかというのを改めて考えなければいけないだろうと思います。そういうことを改めて考えた次第です。ありがとうございました。
岩城委員、お願いします。
○岩城委員
ありがとうございます。
まず、先ほど原田委員がおっしゃっていた、学生向けに企業年金の重要性を訴求するということですけれども、非常に有効だと思います。実は数か月前に年金局さんからのお仕事で、女子大へ行って講演をさせていただいたのですけれども、そのときに企業年金の話をしました。そうしましたら、学生さんは想像以上に福利厚生の大切さにぴんと来たようです。質疑応答の時間でも、企業の何を見ればいいのかというような質問もありましたし、アンケートの中にも、帰って早速聞いたら、姉の会社にも企業年金というのがあったけれども、あんまりよく分かってなかったみたいでしたというものもありました。非常に重要な取り組みだと思います。
それを受けて、私は金融庁にもその話をしに行ったのですね。そのことについて、もし機会がありましたら、また、改めてこの部会でも御報告させていただきたいと思っております。
結局重要なのは、すごく真っ当な資産運用・資産形成を広げていって、受益者の便益を最大化するために、金融事業者、企業年金制度の運営に関わる人たちが一丸となって顧客ファーストで企業年金・個人年金の改革をしていくことだと思うのですね。それにもう一度この理念に立ち返って、よりよく制度を改革していくのはもちろん大切なのですけれども、もう一つ、大変僣越ながら、運営管理機関と関係団体の皆様が、企業に対してしていただけることをいま一度考えていただければと思っております。具体的には、次回の部会のテーマになると思いますので、本日は、まずiDeCo+の位置づけについて要望も含めて話させていただきます。
先ほど、iDeCo+の位置づけについて、大竹課長から、「本来導入してもらいたいのは企業年金だけれど、まずはiDeCo+からという位置づけである」ということを伺って、事業主が従業員のためにプラスで拠出はするけれども、あくまでこれは私的年金の延長ということなのだなと改めて思ったわけですけれども、あえて大きな意味で福利厚生ということで捉えて述べさせていただきます。
今は、企業経営において、賃金を上げることとか、目先の課題、直面している事情もありますけれども、資産所得倍増プランの第五の柱で、雇用者に対する資産形成の強化も上げられていますし、事業規模にかかわらず、従業員の老後の関心については、決して後回しにしてはいけないことだと思っています。まず中小企業にも、福利厚生の充実が、今よく言われている人的資本経営に資するものであるという意識を持っていただけるように、運営管理機関の皆様からもしっかり訴求していただけるよう、そして、積極的に制度を導入していただけるように働きかけていただくことも大切だと考えます。
今、選択型DCはかなり熱心に普及されていると伺っています。iDeCo+において、手数料収入が選択型DCと比べて小さいということがiDeCo+の積極的な導入につながりにくい原因になっているのではないかと想像もしますけれども、しかし、言い換えれば、従業員にとって、選択型DCのデメリットを回避できるメリットがiDeCo+にはあると思うのですね。だから、選択型DCは企業型DCですけれども、給与切り出し型ですので、従業員の方にとって選択型DCだけでなく、iDeCo+という選択肢があることは有益だと思います。ぜひ、両方の制度のメリット、デメリットを正確に伝えていただいて、企業に選択してもらうということを始めていただければと思っております。
そこで、運営管理機関の皆様からのiDeCo+及び選択型DCの制度導入の経路の現状・現況について、情報提供を希望します。実績や今後の取組方針なども教えていただけるとうれしいです。今後の普及課題について何かしらヒントがあるのではないかと期待しています。お手数ですけれども、厚生労働省の皆様にもぜひお取りまとめをお願いしたいと思っています。普及には、iDeCoも併せて、皆さんおっしゃっているような手続の簡素化、合理化、情報連携などが必須というのは明白ですけれども、企業年金制度運営にかかわる人たちみんなが一丸となって進めていくことが重要なのではないかと思います。
また、企業も、ベアと併せて、雇用者の資産形成の支援というのも重要視して、自社の取組について積極的に情報開示していくことを求めていくことが必要なのではないかと思います。併せて、引退後所得保障が十分でない、より零細規模の企業とか、非正規の労働者の方々への対策がさらに重要になってきていると思います。そういう意味で企業にも理解を促していく必要があると思うのですね。ですから、これら取り組みについても議論をしていかなければならないのではないかと思っております。
以上です。
○森戸部会長
ありがとうございました。
実務的な観点からいろいろと御意見いただきましたけれども、学生さんたちに対する普及とかに関しては、私もここ何年か全国の大学を回って出張講義みたいなものでこういう話をした経験がありますので、機会があれば、そういうお話もさせていただければいいなと、今、聞いていて思いました。
幾つか要望も事務局にあったかと思いますので、何かコメントがあればお願いします。
○大竹企業年金・個人年金課長
ありがとうございます。
まさに企業の福利厚生拡充の取組として必要性が高まってきているということかと思います。我々も社会保障全体を考えるときには、人口減少社会ということで、ある意味潮目が変わったと申しますか、たくさん働く人がいたよという時代から、現役世代の数が限られている中で、企業側としても、言い方をしてよろしくないかもしれませんが、いかに人手を確保するかという中で、福利厚生であったり、様々な要素により企業価値を高めていく取組が進んでいくということかと思います。ある意味そういう潮目が変わった中で、我々としても従来型のアプローチだけではなくて、もう少し時代の変化を踏まえた対応が必要なのではないかというお話かと思いました。我々もどういう対応ができるかということは、受け止め、考えていきたいと思います。
運営管理機関がどのような取組をされているか、これは例えばどういう調査なりアンケートをやるかというのは検討させていただきたいと思いますけれども、どちらかというと、私の認識は選択型のDCとiDeCo+をどちらかいかがですかみたいな感じで売りこんでいるところが多いのかなという認識を持っております。私からすると、「選択型DCかぁ」というところも正直あり、簡易型DCはちょっとあれかもしれませんけれども、ほかにも一般的なDCとか総合型のDCとかがありますので、いろいろな売り込み方があるといいなというところもあります。iDeCo+は、選択肢としては挙げていただいているということかと思いますけれども、その辺の実態も踏まえ、どういう状況なのかというところは把握をして、また、資料なりを提供させていただければと思います。
ありがとうございます。
○森戸部会長
ありがとうございます。
上からこういうふうに売れとかこういうふうに宣伝しろと言うのも変な話で、それは意図したとおりの制度として自然とそういうふうに宣伝なり販売してもらえるようにするのが、そのためにここで議論をしているのだと思いますが、そういう観点で、また、議論していきたいと思います。ありがとうございました。
小林司委員の代理の本多様、何かありますか。
○本多代理
ありがとうございます。
私から質問を1点、意見を3点申し上げます。
まず、資料の29ページ等にある企業年金の実施状況について、今年の調査結果について取りまとめされた際には、速やかにこの部会に御提供いただければと思います。
その上で、38ページ、39ページにあるとおり、DBや企業型DCの導入の障害の1位がどちらも財政的負担ということは、導入のハードルを下げるための手続の簡素化や制度の改善だけでは一定の限界があると考えます。連合としてはこの間、春季生活闘争において、企業年金のない事業所における企業年金制度の整備、有期・短時間等で働く労働者への退職金規程の整備を方針として掲げてきています。もちろん労働組合として、今後も企業年金の普及に取り組むことは当然ですが、さらなる普及のために、先ほど岩城委員もおっしゃっていましたが、事業主や金融機関、士業など、全ての関係者が共に普及に向けて取り組むことをお願いしたいと思います。
続いて、2点目です。9ページの議論の整理に記載されているiDeCoの手数料についてです。ここでは、収支を再計算して手数料を再設定するとされています。また、以前のヒアリングの際に、国民年金基金連合会様から、「手数料の課題について、その重要性を認識しており、事業計画の中で検証に取り組んでいる。今後も、様々な変動要因の状況を十分に見極めながら、厚生労働省との協議を重ねていきたい」とのコメントをいただいています。
手数料の引き上げはiDeCoの普及促進の阻害になる可能性もあり、また、以前部会で発言のあった、iDeCoの下限額の引き下げにもかかわるテーマでもあるため、慎重に検討すべきであると考えます。
続いて、3点目です。22ページにあるとおり、今年10月からマイナンバーカードを利用した控除証明書の電子交付がリリースされると理解しています。これはあくまで控除証明書の交付ですが、将来的には、iDeCoの利用にマイナンバー制度を活用することで、自動移換者対策にもなり得るのではないかと考えています。もちろん、大規模なシステム改修とそれに伴うコストなどを踏まえなければなりませんが、検討の一つの視点として申し上げておきたいと思います。
最後に質問です。これは国民年金基金連合会様に対してとなるかもしれませんが、加入者の利便性向上のために、iDeCoの手続の簡素化・効率化をさらに進めていくことは重要であると認識しています。
その上で、20ページには、現在30の運営管理機関が加入申込等のオンライン化を実施済みと記載されていますが、全ての運営管理機関のオンライン化を実施するには、さらなる促進が必要と理解しています。なぜ運営管理機関によっては全面オンライン化を選択しないのか、19ページにあるとおりコスト負担がその課題になっているのか、さらなるオンライン化に向けて運営管理機関に対してどのような取組を検討しているのかについて、教えていただければと思います。
以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
前半は連合の取組も含めて御意見をいただいたと思いますが、質問の点は、事務局に伺います。
○大竹企業年金・個人年金課長
ありがとうございます。
オンライン化の状況ということでございますけれども、これは30機関ではありますけれども、かなり大きいところですし、シェアで申し上げると9割近いところだと見ております。そうしますと、カバー率としてはそれなりなのだと思いますけれども、残りは、規模が小さいとか、加入者が少ないところとかであるということかと思いますので、費用対効果とかそういうことが正直あるのだろうと思っております。
あとは2号ということで申し上げますと、事業証明書が必要だというところで、オンラインで全部完結しないところもあると伺っていますので、そのあたりは来年11月以降に解消されるということかと思いますけれども、こういった形で課題としても挙げましたけれども、運管の方からすると、ある意味投資をしていただくというところに見合う効果があるかというところで、少し差が出てきているということかと思います。今のままでいいのかという点も含めて考える必要があるのだと思いますけれども、課題でも申し上げたとおり、今までは運管と年金基金連合会、厚生労働省も含めて、関係者がいろいろ役割を分担してやってきたというところもありますし、負担もそれぞれ分かち合っていくというところもありましたので、そういうところも含めて、デジタル化をしていくに当たって、利便性を高めていくために、その負担をどう分かち合うかが問題になってきます。任意でやる、やらないが許されるという仕組みでいいのかというところは、今後の課題になると考えています。
○森戸部会長
ありがとうございます。
この点に関しての補足はよろしいですか。お願いします。
○松下オブザーバー
御質問ありがとうございます。
まず、効率化・簡素化のために、オンラインによる加入の申込等を実施しているわけですが、この資料では、今、30の運管さんで実施いただいているわけですけれども、今年度上期で大体34運管まで拡大してきています。150強あります運営管理機関さん全体にはまだまだ普及してないわけですけれども、その理由としては、以前も申し上げたかと思いますけれども、システム化・オンライン化の対応のために、必要な経費の負担、開発負担が、我々国民年金基金連合会側にも発生しておりますけれども、同時に、運営管理機関側にも発生するという、この要因が一番大きな原因だろうと思います。
特に諸変更につきましては、加入の申込と違って、もちろん運管さんもビジネスとしておやりになっているわけなので、ある程度採算も当然考慮しながらやっていかれるわけですけれども、そういう意味では非常に多種多様な、先ほども一部例が出ていましたけれども、変更届がございまして、それら全てにシステム投資を行って、その負担をクリアしながらこのソリューションを提供していくのは、現実問題としてはなかなか厳しい課題だろうなと我々も認識しております。
現在、私どもとして、そういう状況を少しでも改善するために、今まで行っているシステム対応のやり方とは違って、マイナポータルを使った形で、できるだけ運管さんのイニシャルコストが発生しない形でのオンライン化ができないかということを、今、運管さんと一緒に協議をさせていただいているという状況にございます。これは、今、現在進行形ではありますけれども、そういう状況だということをお伝えしておきたいと思います。
それから、すみません、先ほど大江委員から御質問があった件数の事務処理の内訳ですけれども、これも今の質問とも少し絡みますので若干申し上げておきますと、17ページの左側のグラフでお示ししているのは、さっき300万件とおっしゃっていただいたのですけれども、棒グラフのほうが処理件数でございまして、約200万件というのが事務処理の状況です。
今、細かいデータはお持ちしておりませんが、ざっくり申し上げると、この事務処理のうちの約2割が加入申込書、それから、事業証明に係るいろいろな書類が、同じく約2割、それから、銀行口座振替の依頼の対応も約2割で、大体この3つで全体の6割です。それから、先ほど原田委員からお話がありました、金額の変更とか、住所変更とか、様々な変更届が、それ以外も含めて多数ということもありまして、非常に多種多様な手続がこの200万の内訳としてはあるということで、今、なかなかオンライン化が進まないということの要因としても、こういう現状があることを御理解いただければと思います。
正確な数字は、また、後日御報告したいと思います。
○森戸部会長
松下理事長、補足をありがとうございました。
小林由紀子委員の代理の清家様、お願いいたします。
○清家代理
ありがとうございます。
私から4点申し上げたいと思います。
今回、制度の実施状況等について、データをお示しいただきまして、ありがとうございます。
2巡目以降の議論において、建設的により深掘りができるように、資料の追加をお願いしたいと思います。例えば、手続上の負担について、具体的にどのようなものがあるのか、あるいは、退職一時金のみの企業が増えているエビデンスは確認したのですが、それがどういう背景なのか、その辺りも分析した資料があるとよいのではないかと思います。これはお願いでございます。
テーマに関して、DCの中途引き出しについては、ほかの委員から指摘がありましたが、対象者が極めて限られています。これは制度上の問題があり、すぐに要件を見直すことは難しいとは思いますが、税制とも絡む問題でもあるため、前回、小林委員から、拠出、運用、給付を一体的に議論する中での検討が必要と発言したところです。この点、ぜひ検討をお願いしたいと思います。
続きまして、テーマ4「見える化」について申し上げたいと思います。先ほど、見える化だけでなく、オンライン化に関して、初期投資、場合によってはランニングコストも含めて、この問題をどう考えるのかといった指摘がありました。ほかの分野でも同様に起きている問題であり、どうしていくのか、議論が必要と思います。
また、個々の職域の中での取組事例を横展開してはどうかという示唆もありましたが、ほかの委員からもありましたように、ここで議論している制度は、公的年金と相まって国民の老後所得を確保していく趣旨の仕組みである上、公的年金での取組はかなり進んできている状況です。そのため、既にできているプラットフォーム、これからできる企業年金プラットフォームも含めて、公共性の高い機関でつくられるものを、ユニバーサルという話もありましたが、皆さんが使いやすい形にしていく方法が望ましいと思います。
最後にポータビリティについて、現物移換の議論がありました。私ども事業主サイドとしても、今回はポータビリティに係る議論でしたが、ガバナンスの観点からも制約要因になっている面は否めません。資料を拝見すると、法律上は妨げてないことが明記されておりますので、どちらかと言うと民民の話ということで理解はしました。先ほど課長のほうから、実務レベルでの情報収集等も含めて、より解析度を高めるという話がありましたので、ぜひお願いしたいと思います。
私からは以上です。
○森戸部会長
ありがとうございました。
全体多岐にわたって各ポイントについて御意見・御要望をいただいたかと思いますが、事務局から何かありますでしょうか。
○大竹企業年金・個人年金課長
基本的に、いただいた御意見を踏まえて、今後対応していきたいと思います。
見える化の部分については、確かにいただいたような御意見も当然あるということかと思います。そういった点も踏まえて、どういった形が望ましいのか、あり得るかというところはちょっと検討していきたいと思います。ありがとうございます。
○森戸部会長
ありがとうございました。
では、藤澤委員お願いします。
○藤澤委員
ありがとうございます。
先ほど来コメントがあった、学生向けの啓蒙活動について一言、感想的なところですけれども、私も大学で学生向けに毎年、年金数理を教えていますが、毎回、最初に年金の意義の話をするようにしています。よく学生に言うのは、学生が就職活動をするときに、給与を聞くことは多いと思いますが、退職金制度とか企業年金制度を質問するようなことはこれまでに聞いたことがなくて、そういうのを聞いたらいいですよという話をします。そういう学生が増えると、企業側の意識も変わって、給与だけではなくて、将来、老後所得のための企業年金なり、退職金制度をしっかり若い人に説明しないといけないという、いい意味でプレッシャーになるのではないかなと思っています。
今回の資料については、意見が1つと、簡単な質問が1つございます。
先月から労働政策審議会の中退共の部会の委員を担当することになったこともございまして、中退共の関係のところを中心にコメントしたいと思っています。
47ページの資料を御覧いただくと、中退共の普及状況が載っていて、25ページにiDeCo+の状況が載っていますが、いずれも100人未満の事業主が多く、大半を占めていることが見て分かると思います。
中退共とiDeCo+は、民間の感覚で言うと、恐らく潜在的な顧客基盤が似ているのではないかと思っていて、普及発展の観点で何かコラボができるのではないかと思っています。簡単なところで言うと、国民年金基金連合会で中退共に関する宣伝をするとか、逆に、勤労者退職金共済機構でiDeCo+を宣伝するとか、お互いにクロスするような形で普及・発展に資するような協力ができないか、今日の説明をお伺いしていて思った次第です。
ほかにも、例えば手続の簡素化とか効率化の観点でも、中退共とiDeCoの両方に加入している人がどの程度いるのかは把握していませんが、仮に両方に加入している人が一定程度いる場合、国民年金基金連合会から機構に情報のやりとりをするようなスキームがあれば、住所変更とか、結婚したので氏名が変わったとか、マイナポータルを使うのも一つの手だとは思いますが、何らかの形で横のつながりを持って、手続の簡素化ができる余地を探れないかと思っています。周知・広報とか、手続簡素化の観点で、個々の組織がやっていることには一定の限界があるような気もしているので、中退共とiDeCoでコラボする、そういう発想もあってもいいのではないかというのが1点目の感想です。
2点目は簡単な質問ですが、88ページで中退共のポータビリティのところでございます。これは複数の団体から要望が挙がっている論点で、赤枠の中身を見ると、税制がネックになるように読めるのですけれども、税制のどの部分がネックになっているのか、というのが質問になります。
以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
中退共のほうの部会の委員もされているということですので、今日も中退共の話がいっぱい出ましたけれども、これから、ぜひ情報交換ではないですけれども、中退共のほうの意見なり議論を踏まえて、こちらの議論に反映していただければと思います。
質問が1つありました。88ページで、税制がネックになっているようだけれども、具体的にどういうことなのかという御質問だったと思いますが、事務局いかがでしょうか。
○大竹企業年金・個人年金課長
ありがとうございます。
税制というところで申し上げますと、拠出・運用・給付とございますけれども、拠出と給付においては同様で、運用時の部分、特別法人税が使えるかどうかのところに差があるということで、これは前回も御議論いただきましたけれども、企業年金は特別法人税が、凍結ということでございますが、一応制度上は課されることになっております。中退共においては、特別法人税が課されない仕組みになっているという違いがあるということでございます。
税制上はそのような違いがあるということでございます。制度の趣旨とかそういったものも当然違いがあるということかと思います。そういうある意味総合的な議論が必要であるというのが88ページの御意見になるかなと考えております。
○森戸部会長
ありがとうございます。
藤澤委員も多分そういう趣旨かなと思ったのですが、私、さっきも申し上げましたが、今回の資料はいろいろ何か挑戦的なところもあって、88ページの赤枠も、退職金制度と企業年金制度はそれぞれ異なる趣旨・目的の下で設立されと向こうの部会で確認しているということですよね、平成27年ですけれども。だから、税制がネックと言えばそうなのかもしれないけれども、要は、ここでは違う趣旨の制度だと言っているわけだから、そうしたら、ポータビリティは関係ないだろうという話もありそうだけど、いや、そうではないのではないかという話ですよね。だから、これは結構重要な話だと思いますので、どういう趣旨の制度だと理解するのか。これは中退共のほうでも多分議論してもらわなければいけないでしょうし、こっちでも聞いてないと思いますし、非常にここは重要な話かなと思いました。ありがとうございます。
では、山口委員、何かありますでしょうか。お願いします。
○山口委員
ありがとうございます。
ほかの委員の方と多々重なるところがあるかもしれないのですけれども、意見を述べさせていただきます。検討事項3、4、5にまたがるような情報発信に関することが1つと、あと2点申したいと思います。
まず、周知・広報とか、情報発信ですけれども、今日の御説明で様々な機関から情報が発信されていることが分かりました。課題は、幾つかあって、まず、誰に対してどのような情報を提供するのかを整理して、より明確にしてはどうかと思いました。
それから、2つ目として、身近なところから情報提供していくという、どこかに行けばありますというのではなくて、身近なところから情報提供を充実させていくという視点も必要かと思います。
それから、知るという意味では情報提供がネットなどであるととても良いと思います。そこから動き出すときに自分はどうしたらいいのかというときの相談とか、これらがうまく状況に応じて使い分けられるようになると、さらに良いと思います。
これは検討事項4、5にもつながりますけれども、デジタル化という政府の大きな方針もあるので、そこを生かしていく対応も考えていかないといけないと思っております。
例えば、誰にという部分で、加入者を増やして入口を分かりやすくすることに関しては、最初に、老後の資産形成のメリットをイメージできるような情報提供を行うとか、加入から給付までの最小限の情報を、まず、本当に簡単に出す。あるいは、それを身近なところから伝えられるようにすることに力を入れるとか、企業に対しては、今日も中小企業のお話を中心にありましたけれども、企業型DBなのか、企業型DCなのか、iDeCo+なのかとか、それぞれ聞きに行ってくださいではなくて、関連する制度について同じところでまとめて相談できる、相談が一元化されていると、あるのかもしれないですけれども、良いと思います。
さらに、加入状況の見える化について、問題意識の部分でターゲット層というお話があり、これはどこにターゲットを絞るかということなのですけれども、まずは、30代が具体的にイメージしやすいかと思いました。これから老後の資産形成を長期的に行っていくというときに、まさに長期間運用をしていく世代であり、20代はまだ社会人になりたてで、いろいろな準備をする、まずは基本的な知識を学ぶ機会が多いと良いという感じです。結婚年齢も30歳ぐらいが平均なので、30代がある程度具体的に考える時期であるということと、あとは、ネット環境に慣れている世代なので、ここをモデルに、これはアイデアですけれども、ほかの世代にも応用していけると良いと思います。調査などを見ますと、老後の資産形成に自分でという意識は30代にはありそうで、そういうところに力を入れていくと良いと思います。
それから、公的年金との接続性という話もあります。公的年金シミュレーターの御紹介もあって、例えばシミュレーションするときに、今、例えば公的年金では「年収の壁」が議論になっていると思うのですけれども、最新の制度に基づいて御判断いただきたいということがあり、そのときに古い制度の情報が社会的に一般的な知識として普及していると、新しい制度が入ってきたときに、恩恵があっても、それを受けられないことがないように、そういうところも考えて情報提供していただきたいと、私的年金そのものの話ではありませんけれども、思います。
さらに、ポータビリティですけれども、制度の整備が進んできたのは分かります。しかし、その利点が果たして伝わっているのか。こころもデジタル化とうまくかみ合わせて、連続性があるということを手続としても示していくことにより、その性格がより伝わるようにすることも検討に値すると思っています。情報の一元的な管理ということです。それが1点目です。
2点目としては、加入促進に資するDB、企業型DCの制度の見直しについて、ほかの委員も触れていらっしゃいましたが、31ページで非正規雇用労働者の企業年金の利用状況の割合が低くなっています。特に最近は、若年層の非正規雇用が増えており、そういう方たちは、収入においても、資産形成においても、その基盤がどちらも脆弱です。一方で、資産形成を自分で行うとしても、リスク許容度があるという話も以前伺いましたので、老後に向けていかに資産を積み上げていくかというときに、いまいちど、「同一労働同一賃金ガイドライン」の趣旨を踏まえるとか、あるいは、森戸先生が以前おっしゃっていた従業員エンゲージメントですかね。いろいろな可能性というか、アプローチを考えていただいて、企業年金に入る可能性について企業に御検討をお願いしたいと思っています。
現在、iDeCoが適用拡大されて、加入者が300万を超えたというのが直近の状況ですけれども、加入されている方について、適用拡大されたほうの方が増えているのではという感じがします。そうすると、従来の方たちにはそれがあまり届いてないという感じがなきにしもあらずです。そこも含めて、企業年金をステップにiDeCoに加入するのであれば、もう少しハードルが下がるのかと想像するところもあり、そのようなところからもお考えいただきたいと思います。
3点目ですけれども、国民年金基金連合会の事務の効率化の取組について、20ページのお話がありました。これまでにも、制度改正のシステム改修の対応はなされてきていると思うのですが、今後のデジタル化の対応はかなり大がかりな取組が見込まれると思います。そうしますと、事業計画とか、予算が今の枠組みを超えるところもあるのかもしれない。その御検討は進められているのかを質問させていただければと思います。
以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
前半、非常に重要な御指摘、30代を具体的ターゲットとするのがいいのではないかということも含めていろいろいただきました。
最後、御質問が1点ありましたので、その点も含めて事務局から何かあれば、お願いします。
○大竹企業年金・個人年金課長
ありがとうございます。
システム関係の対応は、まさに皆様方に御検討いただいているということでございます。これは率直に申し上げて、手数料の話も今日出ましたけれども、手数料を上げると、当然、加入促進の阻害要因となり得るということで、それは避けたいという思いが厚生労働省側には当然ございます。一方で、我々同じ口でデジタル化をよろしくという話もしていて、あとは、当然、制度改正があれば、その改正もよろしくお願いしますという話もしているというところで、ここはまさに、山口委員におっしゃっていただいたとおり、かなりコストがかかるところだと考えています。ここは、具体的な対応などを、前回改正の対応も当然いろいろ借入などして対応していただきましたし、今後のデジタル化につきましても、まさに今、コスト面も含めて、利便性をいかに考えていくかというところで御検討いただいているということかと思いますので、その中でうまくと言ったらあれですけれども、非常にいろいろな要素を御検討いただいた上で、今ちょっと方向性を出そうとしていただいていると認識をしております。
以上でございます。
○森戸部会長
ありがとうございます。
予算をばんばんつけますとかなかなか言える話ではないのはもちろん分かりますけれども、デジタル化はお金がかかる話だろうと思います。ただ、やっていかなければいけないことではあろうと思いますので、そこは、また、検討していくということなのだろうと思います。ありがとうございました。
渡邊代理は、何かありますか。
○渡邊部長代理
ありがとうございます。
今日はいろいろな資料も提示がございまして、先ほど森戸部会長のお話にもありましたが、ちょっと謎かけのような、この資料をどういうふうに読み解けばいいのかといったような見方もありまして、私なりの理解で幾つかコメントをさせていただきたいと思います。
まず、検討事項1といったような手続面の観点からで、資料でいきますと12ページといったようなところです。iDeCoの口座未開設の理由に関して、口座に申し込む手続が煩雑で面倒だからというのが一定程度存在しているということです。ですが、この未開設の理由で、多く挙げられているのは、手続が煩雑だといったようなことよりも、制度の内容がよく分からない、複雑だといったようなところですとか、投資の知識がないとか、そういったようなところのほうが多く挙げられているということからしますと、その手続に至る前の段階のところが障壁になっているのではないかと思っております。つまり、制度内容に関しても広報の在り方とか、投資教育の充実化、そういったようなところをより検討する必要があるのではないかと考えた次第です。
次に、検討事項の2というところで、資料で参りますと30ページでございますが、DB、企業型DCの実施状況といったようなグラフがあるかと思います。こちらの表で行きますと、DBのほうの普及に関しては、実は企業規模が小規模になりますと、年々実施率は高まっているといったようなところが見て取れます。DCのほうは企業規模に関係なく増えているといったようなところが読み取れるのですが、DBが小規模のところで年々増えているといったようなところは、どういうところが理由になっているのかが分かれば、その普及に対してより有効な手立てが打てるのではないかと思いました。
さらに、資料38ページ、39ページでは、今度はその導入に関してどういった点が障害になっているかといったようなところで、手続上の負担が上位に挙げられているといったようなことが示されているかと思います。こちらは、先ほどほかの委員からも御指摘があったのですが、手続上のどんなところが負担になっているのかといった具体的な内容が分かりますと、より有効な手立てを打てるのではないかということですので、こういった具体的なところを知ることができればなと思った次第です。
さらに、手続上の負担といったようなことに関連しますと、例えば先ほどから出ておりますオンライン化されていないからとか、あるいは書類が多過ぎるからといったようなことと、あるいはそういった手続をするような適当な人材がいないとかでは、意味合いが違ってくるかと思うのですね。そうすると、適切な人材を確保するのは難しいんだ、余裕がないんだといったような企業に向けては、資料53ページにありますようなイギリスのNESTのような仕組み、そういったものを導入する、そういった検討も必要なのではないかと考えました。
また資料49ページ、これまでも幾つか御意見をいただいているところかと思うのですが、中途引き出しの考え方ということに関して、先ほど来の議論の中ですと、DBの取扱いといったようなところが中心に話し合われていたと思いますが、私はこの資料を拝見して、DCのほうの中途引き出しの要件を緩和する必要があるのではないかという形で資料が提示されたのかなと捉えました。
というのは、先ほど、なぜiDeCoなどを開設しないのかといったような意見の中に、中途引き出しができないといったような理由が挙げられていたからです。つまり、利用阻害要因の1つとしてこのDCの中途引き出しの制限というものが捉えられるのではないかと考えました。
ただ、そういうふうに捉えたとしても、こちらは先ほどの御意見の中にもありましたが、どうして税制上の優遇が設けられているのかとか、そういったところを考えますと、安易に中途引き出しの要件を緩和するのは問題がある対処方法ではないかと考えておりますので、そういった点については慎重な対応が必要だと個人的には思っております。
次に、検討事項3といったところで、広報に関する話が出てきているかと思います。検討事項3に関して、先ほどほかの委員からも御指摘があったところですが、これまでの一般的な内容の広報活動・周知活動に関しては、一定程度進んでいるという印象を受けました。今後、さらに具体的に普及を進めるといった観点からは、それぞれの状況に応じた相談窓口のほうが必要なのではないかと思います。そうしますと、自分たちの状況に合わせたアドバイスを受けられるということこそ、普及に弾みがつくように思われますので、中立公正な、そういった相談窓口の設置の検討は重要度が高いのではないかと考えた次第です。
さらに、検討事項4の見える化といったようなところに関してですが、こちらもいろいろな御意見があろうかと思うのですが、私のほうで考えたのは、まず労働者、働いている人が自分の企業にどういった制度があるのかというのをあまり知っていないのではないかということです。つまり、自分の会社がどういった企業年金を実施しているのか、していないのか、そういった取組を従業員のほうから働きかけなければ分からないといった状況を解消する、そういうところのほうが実は普及につながってくるのではないかということから、事業主のほうが積極的に労働者に対して情報を開示していく。そういったような仕組みを検討する必要があるのではないかというふうな考えを持ちました。
私のほうからは以上でございます。
○森戸部会長
ありがとうございます。
全体まとめて資料のポイントをお話しいただいて、かつ具体的な提案をいただいて、非常によくまとめていただいたような感じがしております。
事務局から何かコメントはありますでしょうか。
○大竹企業年金・個人年金課長
ありがとうございます。
まさに、それぞれ御指摘をいただいたとおりかと思いますので、それを踏まえて対応していきたいと思いますけれども、特に中小企業においてはDBが増えている理由といたしましては、我々としては総合型のDBが最近増えてきているということかと考えておりまして、規約数というか、基金の数自体というよりはそういう加入が増えているというところで、こういう中小もある意味入りやすいということなのかなと考えています。
その一方で、いただいている御要望としては、そういう加入事業所数が増える中で、そのガバナンスをどう確保するかという点について、これまでのヒアリングでも御意見をいただいてきたということかと考えております。
あと、中途引き出しに関しては、これもヒアリングなどで御要望をいただいたというところもありますし、あとは、確かに、中途引き出しが認められないためになかなか加入をちゅうちょしてしまうというところもあるということで、そういったニーズに対して、我々としては、制度趣旨としてどうしても限界があるというところを含めてお示しをしていくということなのかなと考えております。
広報の関係におきましても、カスタマイズした情報が必要だというのはそのとおりかと思いますし、あと、見える化につきましても、これはまさに、企業の皆様方からしても、せっかく企業年金を準備していろいろなことを取り組んでいくということが労働者の方に伝わっていないというのは、ある意味非常にもったいないということかと思いますので、そういう情報発信をいかにしていくかというのももちろん大事だと思いますし、ある意味受け手のリテラシーというか、受け皿というか、感度を高めるみたいな取組も大事だと考えております。
以上でございます。
○森戸部会長
ありがとうございます。
鮫島理事長、何かありますか。
○鮫島オブザーバー
私からは、企業年金の中小企業への普及、それから、ポータビリティについて申し上げたいと思います。
まず、中小企業への普及の問題ですけれども、私どもは、企業さんが福利厚生の充実を図っていかれるときに、運営コストを考えますと、複数の事業主が共同で実施する総合型のDB・DCを受け皿として活用することが非常に有効で、現実的であろうと考えております。
ちょうど今お話が出ましたけれども、総合型DBの実施事業所数、それから、加入者数は、このところ緩やかに増加しておりますけれども、これを確かなものにしていくために、今後、適切なガバナンスを確保しながら、事務負担の軽減を図るとともに、認知度向上に向けた官民による周知・広報、それから、加入勧奨のための事業所情報の提供等を行っていってはどうかと考えております。先ほどから広報の話が出ておりますけれども、総合型の企業年金についても、ぜひ御検討いただきたいと思います。
それから、ポータビリティにつきまして、ライフコースが多様化しておりますので、老後資産形成という観点からポータビリティの重要性は増していると思うのですが、残念ながら離転職時の選択を見ますと、ほとんどは一時金で受け取られているというのが実態であります。私どもの推計では、DBからの脱退では、大体9割程度は一時金で受け取っているようです。企業年金連合会は、全ての企業年金から通算企業年金への移換を受け入れる立場ですが、ポータビリティについては、制度の拡充とともに、運用面の強化が必要だと考えております。
制度面については、先ほどもお話がありましたけれども、私どもも、中退共から企業年金への制度移行を検討される中小企業のニーズがあると聞いておりますので、現在、合併等の場合に限定されている中退共から企業年金への事業所単位の資産移換について、幅広く認めていただきたいと考えております。また、中小企業においても、離転職が増えてきていると思いますので、それに対応して、中退共と企業年金の間の個人単位の資産移換、資産の通算の道を開いてはどうかと考えております。
それから、ポータビリティ制度の拡充という面では、もう一点、ヒアリングの場でも出ておりましたし、先ほど谷内委員からもお話がありましたけれども、離転職が増加する下で、老後資産形成への支援を強化するために、退職一時金についても、企業年金への資産移換を認めてはどうかと考えております。
それから、ポータビリティの運用面ですけれども、私どもは、転職者に対する老後資産形成の重要性やポータビリティの仕組みに関する教育機会の提供など、資産形成の継続を促す取組が必要になっていると思っております。今、企業年金連合会では、ポータビリティを利用した老後資産形成や通算企業年金に関する広報の強化を進めておりますけれども、こうした教育機会を幅広く提供する仕組みや、転職時にポータビリティの利用に誘導するナッジの活用など、さらなる施策の検討が必要ではないかと考えております。
運用面では、資産移換手続のデジタル化の遅れも指摘されています。この点、私どもは、DBから通算企業年金への資産移換に関して、昨年稼働させました企業年金ネットワークを介した情報連携を始めたほか、今後も政府の方針の下で、各種手続のオンライン化に取り組んでいく方針ですが、企業型DC同士の資産移換も含めまして、ポータビリティ制度全体として見ますと、ユーザーの利便性の向上に向けて、この面でも取り組むべき課題は多いのではないかと思っております。
以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
松下理事長、何かございますか。
○松下オブザーバー
最後に2点申し上げたいと思います。
先ほど山口委員からも連合会の私どもの事業計画の検討が大丈夫かというお話もございましたけれども、大竹課長からも御説明いただきましたが、私どもは、今、予算という意味では単年度ベースで策定をしておりますけれども、お話がありましたように、私ども自身のいろいろな業務イベントに加えて、法改正あるいは政府自体のデジタル化計画といったような多様な要素が絡んできておりますので、事業計画策定に当たっては、今は5年ぐらいの中期的なタイムスケジュールを意識した中で、単年度ベースの事業計画に落とし込んでいくという、こういうアプローチで、漏れがないように、網羅的な計画を策定するように心がけているというのが1点目であります。
それから、渡邊座長代理から事務の効率化に向けての負担要因が何かという話がございましたけれども、私どもとしても、今後、事務の効率化、デジタル化等を進めていく上の切り口としては大体3つぐらいあるかなと思っていまして、1つは、今行われている事務は全て法令等の背景が必ずあるということでございますので、その法令上の解釈というか、担保が大丈夫かというのが1点目です。それから、2つ目は、経済的な側面を含めた予算の問題、3つ目が、これは方法論ですけれども、システム化という方法に適合性があるかどうか。大きく言うと、法令・予算・システムと、この3つの側面で事務の効率化の必要性を検討していくといったような形で考えてまいりたいと思っております。
以上です。
○森戸部会長
ありがとうございます。
まだまだ皆さんも御意見があると思うのですが、時間も実はもう5分ぐらい超過しておりますので、そろそろまとめに入らないといけませんが、今日は、本当に皆さんからいろいろな意見が出て、それに尽きるので、私からはあまりつけ加えることはありません。要は、iDeCo+が今日は熱かったと、そういう感想でございますけれども、真面目な話、いろいろなところに係る論点を含んでいる仕組みだと思うので、今後も議論していきたいと思っています。
事務局には、非常に詳細な資料を今回もつくっていただいて、かつ、途中に議論するポイントもきちんと入れていただいたので、非常に詳細な資料をありがとうございました。
では、予定の時間をちょっと過ぎましたけれども、一応本日の議事は、以上で終了したいと思います。
今後の予定等について、事務局からお願いいたします。
○大竹企業年金・個人年金課長
次回の議題や開催日程につきましては、追って御連絡させていただきます。
以上でございます。
○森戸部会長
ありがとうございました。
それでは、第27回「企業年金・個人年金部会」を終了いたします。御多忙の折、皆様お集まりいただき、どうもありがとうございました。